一般人の放射線治療の知識は不十分も、メリットの理解は進む 乳がん患者、放射線治療の正しい知識は不十分ではあるが、生活の質は高く満足度も高い
『他の治療法と比べて治療期間が短い』も6.9ポイント、『治療と就労の両立が可能』も、5.5ポイント上昇していました。
一方で、「イメージがつかなくて怖い」と回答した割合が今年は54.7%で、昨年より3.2ポイント増える結果となり、放射線治療の普及に向けたさらなる啓発活動の必要性も明らかになりました。
■東京大学医学部附属病院 放射線科助教 放射線治療専門医
扇田真美
乳がんは日本人女性で最も多いがんで、放射線治療を受ける患者さんの大きな割合を占めます。乳房温存手術後は原則として放射線治療を行うことが標準治療なのですが、そのことを事前に知らない方が多いことが今回の調査で明らかになりました。放射線治療が必要なことを知ったきっかけは乳腺外科医からという回答が多く、一般の方への周知や放射線治療医の関与が低いことが分かりました。
アメリカでは放射線治療を行うかどうかに関わらず、乳がんの治療前に放射線治療医からも話を聞くそうです。日本では放射線治療医の人数も少なく同様の体制をすぐに整えるのは難しいかもしれません。しかしながら今回の調査の結果、放射線治療について誤ったイメージをもっていたり、実際に治療を受けてみると思ったよりも楽だったと感じる方が多いことから、もっと放射線治療について皆様に知ってもらうよう我々放射線治療医は努めていかなくていけないと感じました。