基礎体温とは安静時の体温基礎体温とは、睡眠時のように安静にしている状態で、必要最低限のエネルギーしか使っていないときの体温です。少し身体を動かしただけでもエネルギーは消費され、体温は上がってしまいます。そのため、基礎体温は通常、朝目覚めてすぐに測ります。正しく測るには、いくつかのコツや注意点を知っておくことが大切ですよ。生理周期によって変化する女性の生理周期は一般的に25~38日程度です。排卵がある場合、基礎体温は生理周期の中ごろの排卵日あたりを境として低温期と高温期にわかれます。基礎体温が低温期と高温期にわかれるのは、エストロゲンとプロゲステロンというふたつの女性ホルモンの分泌量が変化するからです。月経期から排卵前にはエストロゲンが多く分泌され、排卵後から次の生理前まではプロゲステロンの分泌量が増えます。プロゲステロンには体温を上昇させる働きがあるため、排卵後には基礎体温が高くなります。ただし、ホルモンバランスの乱れなどが原因で生理不順になると、基礎体温グラフがガタガタになったり、高温期がなかったりして、低温期と高温期にわかれないことがあります。生理不順は無排卵月経や黄体機能不全といった異常が隠れている場合もあるため、注意が必要です。排卵日や生理予定日が予測できる基礎体温は女性ホルモンの分泌量によって変動するため、排卵日や生理予定日を予測するのに役立ちます。排卵は低温期から高温期に切り替わるころに起こるとされています。妊娠を希望する人は、このタイミングをチェックしておくことが大切ですよ。健康な女性ならば、低温期から高温期への移行は1~2日で、低温期と高温期の差は0.3~0.5℃あるとされています。妊娠が成立していなければ、高温期が約14日続いたあとに体温が下がり、次の生理が始まります。基礎体温は普通の体温計で測れない?基礎体温は1℃未満の小さな体温の変化が重要になります。脇で測るタイプの一般的な体温計は最小メモリが0.1℃刻みのことが多く、基礎体温を測るのに適していません。基礎体温を測る場合は、小数点第二位(0.05℃)まで測れる基礎体温計(婦人体温計)を使います。基礎体温計には水銀体温計とデジタル式のものがありますが、どちらを使っても構いません。基礎体温の正しい測り方は?いつ測る?枕元に基礎体温計を用意して朝起きたらすぐに測る基礎体温は安静にした状態の体温です。そのため、十分な睡眠をとり、寝起き直後に布団の中で測ります。身体を動かすと体温が上昇してしまい、基礎体温を正確に測ることができません。朝起きてから基礎体温計を探して動き回ることがないように、寝る前に枕元に用意しておくと便利ですよ。伸びや声を出すといった、ささいな動きも控えるようにしましょう。基礎体温計を舌の下に入れて口を軽く閉じる基礎体温の測定位置は、脇の下ではなく口の中です。測定部分を舌の下にあるすじ部分の根本に当てます。舌の上で測ると、0.04℃〜0.10℃の誤差が出てしまうため、必ず舌の下で測りましょう。舌の下に入れたら、空気に触れて気温の影響を受けないように、検温が完了するまで軽く口を閉じます。検温できるまで静かに待つ検温中は、寝返りを打つなどして姿勢を変えないようにして待ちます。また、顔を横向きにすると、体温計が測定位置からずれる場合があるので、仰向けの状態が良いでしょう。測定にかかる時間は「予測検温」か「実測検温」かどうかによって異なります。一般的な基礎体温計は約30秒測定すると、身体の内部の温度を予測した予測値が出ます。予測検温は少なからず誤差が生じることがあるため、より正確に体温を測定したければ、予測検温が出ても口にくわえたままにして、約5分後に実測検温が終わるのを待ちましょう。基礎体温グラフをつける基礎体温を測定したら忘れずに基礎体温表に測定値を書き入れましょう。基礎体温表は薬局などで入手することができますよ。基礎体温表の書き方は、毎日の基礎体温の点と点をつないで折れ線グラフ化し、生理期間や性交した日にはチェックを入れます。おりものの変化や生理痛の有無の他、飲酒、睡眠不足、体調、薬の服用など、基礎体温に影響しそうな内容についても備考欄にメモしておきましょう。自分で記入するのが面倒だったり、書き間違いが心配だったりするときには、体温計自体のメモリ機能や、グラフ閲覧機能を活用すると便利ですね。また、基礎体温がつけられる無料アプリもおすすめです。基礎体温を測るコツと注意点!夜に測っていいの?しっかりと睡眠する基礎体温を正しく測るには、十分な睡眠をとることが大切だという説がありますが、これを証明する医学的なデータはありません。一方で、睡眠不足やストレスなどによって自律神経が乱れると、基礎体温も影響を受け、基礎体温グラフがガタガタと不安定になりやすいことは確かです。1日に最低でも4時間は睡眠をとるようにしましょう。ただ、睡眠不足にならないように早めに布団に入っても、「夜中に何度も目が覚める」「夜中にトイレに起きてしまった」といったことが起こるかもしれません。授乳中でまとまった睡眠がとれないということもあるでしょう。基礎体温を測る前に十分な睡眠がとれていないと気になるかもしれませんが、基礎体温は毎日同じ時間に測ることも大切です。睡眠不足のときも参考値として記録をつけておき、睡眠の状態をメモしておくと良いでしょう。測る時間・場所を決める基礎体温を上手に測るコツは、毎日同じ時刻に、舌の下の同じ場所で測ることです。体温はちょっとした変化で上下動するため、条件が異なると測定結果にばらつきが出てしまうのです。ただし、毎日きちんと測ろうとするとストレスになってしまい、長続きしない可能性があります。あまり神経質になりすぎず、大らかな気持ちでまずは2~3ヶ月記録を続けてみましょう。たまに測り忘れてしまったとしても、気にしないでくださいね。「いつもは仰向けで起きるのに、今日は横向きの状態で起きてしまった」など、気になる点はメモをしておけば大丈夫ですよ。2~3ヶ月記録をつけて、自分の基礎体温の傾向を掴めると良いですね。二度寝などで測る時間がずれても記録するいつもの時間に起きたものの、基礎体温を測る前や測っている途中に二度寝してしまったということもあるでしょう。そういうときは、二度寝から目覚めたときに基礎体温を測り直し、メモとともに記録しましょう。あるいは、その日だけたまたま二度寝してしまったならば、1日くらい空欄になっても大丈夫ですよ。起き上がった後に測る場合は30分安静にするトイレに行きたくなったなど、どうしてもやることがあって基礎体温を測る前に起き上がった場合には、30分ほど布団で安静にしてから測定すると良いでしょう。夜勤などで朝に測れない人も一定の条件で測定を続ける基礎体温を測るコツは、できるだけ条件を変えず、毎日同じ時間に測定することです。そのため、日ごろから夜に起きる生活をしている人は、夜起きたときに測定すれば問題ありません。一方、看護師など、起きる時間がまちまちで同じ時間に測定するのが難しい人は、起床したタイミングで測定しましょう。基礎体温は気温や時間帯の影響を受ける?人の体温は気温や食事などさまざまな要因によって変動します。時間帯によっても異なり、早朝が最も低く、時間が経つにつれてだんだんと上がり、夕方が最も高くなるといわれています。基礎体温は外的要因の影響をあまり受けないよう、毎日同じ時刻に舌の下で測ります。しかし、夏の暑い日や、冬でも電気毛布を使って寝ると、基礎体温が高めになる可能性があります。一方、クーラーが効いていたりして基礎体温が下がることもありえます。基礎体温は環境によって上がり下がりするのが珍しくないものの、2~3ヶ月記録をつけて不安定な状態が続くようであれば注意が必要です。生理周期内で低温期と高温期にわかれていなければ、無排卵月経になっている可能性もあるため、一度産婦人科に相談すると良いでしょう。基礎体温は妊娠・避妊に役立てることができる?妊娠しやすい時期がわかる妊娠するためには排卵したときに受精し、受精卵が着床する必要があります。低温期から高温期への移行という排卵のサインがあったら、妊娠しやすい時期だと考えて良いでしょう。妊娠が成立すると、女性ホルモンの分泌が変わって基礎体温が高温を維持します。高温期が16日以上続くと、妊娠の可能性が高いといわれています。生理がこなくなり、人によっては下腹部痛や胸の張りなどの症状が出てきます。一般的な妊娠検査薬が使えるのは生理予定日の約1週間後ですが、早期妊娠検査薬の場合は高温期12~14日目くらいに判定できるといわれています。基礎体温のみの避妊対策は危険基礎体温は排卵期をある程度予測するのに役立ちます。しかし、実際にいつ排卵するかどうかを基礎体温だけで判断するのは難しいものです。基礎体温が正確に測れていない可能性もないわけではありません。妊娠を望まない場合は、コンドームなどほかの避妊方法を併用することが必要です。基礎体温を正しく測って体調管理しよう基礎体温は、妊娠しやすい日や生理予定日を知る以外にも活用することができます。生理前にイライラする、下腹部が痛くなるなどの症状がある場合には「PMS(月経前症候群)」かもしれません。基礎体温の高温期はPMSの時期と重なるため、排卵期に入り基礎体温が上がり始めたら、普段よりゆっくり過ごすよう心がけたいものですね。また、生理前にはニキビなどの肌荒れに悩む方もいます。高温期に入ったら、いつも以上にスキンケアに気をつけるといった対策を取るのも良いでしょう。基礎体温を用いて自分の心と身体の変化を予測することで、心構えができ、生理前などのつらい時期も気持ちが楽になるかもしれません。毎日記録を取るのは大変ですが、せっかく記録するのであれば、妊活や日々のヘルスケア・美容にどんどん活用していけると良いですね。
2023年10月06日ベビーカレンダーの公式YouTubeチャンネルにて、ちょっと気になる雑学ネタを集めて解説する動画シリーズ「ちょこっと雑学」を公開しています。思わず人に話したくなるような、今さら人に聞けないような、そんなネタをピックアップして紹介しているので、お仕事や家事・育児の合間にぜひチェックしてみてくださいね!人に聞きにくいような話題をピックアップして解説!本編では、ちょこっと雑学シリーズのキャラクターが、気になるあんなことやこんなことをわかりやすく解説しています。 今回のテーマは、「妊娠しやすい体位って、本当にあるの?」。 「妊娠しやすい体位」があったら知りたいと思いませんか?? 本編では、妊娠までのプロセスをはじめ、妊娠しやすいポイントの一つとして、「子宮の位置」についても解説。 女性の子宮の正常な位置は、「前傾前屈」。この前傾前屈の位置に子宮がある方が多いんだけど、その場合「正常位」が妊娠しやすい体位と言われているよ。また、女性のバックから男性が挿入する「後背位」では、腟の深くまで挿入することができるため、子宮頸部(子宮の入り口部分)により近い位置で射精ができるように。あとは、お尻の下に座布団などを入れ、お尻の位置をやや高めにすると良いとも! ただ、人によって子宮頚管部の位置や向きなどのちょっとした違いがあるので、すべての方にこの体位がおすすめとは言えなそう……! その一方で、精子は実はセックスする際の体位に関係なく、射精後数秒で子宮頸部にたどり着くことがわかっているんだって。そして、精子の運動機能や子宮の状態が正常であれば、子宮頸部付近から卵管まで15分以内に到達しているという研究データも。 結局、それはどんなオチ……? と気になった方は、動画で続きをチェックしてみてくださいね♪ ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。ベビーカレンダーでは、さまざまな出産にフォーカスしたドキュメンタリーシリーズや、赤ちゃんとママの1日に密着したルーティン動画も公開中!監修者:医師 三鷹レディースクリニック院長 天神尚子 先生
2023年08月13日ベビーカレンダーの公式YouTubeチャンネルにて、ちょっと気になる雑学ネタを集めて解説する動画シリーズ「ちょこっと雑学」を公開しています。思わず人に話したくなるような、今さら人に聞けないような、そんなネタをピックアップして紹介しているので、お仕事や家事・育児の合間にぜひチェックしてみてくださいね!人に聞きにくいような話題をピックアップして解説!本編では、ちょこっと雑学シリーズのキャラクターが、気になるあんなことやこんなことをわかりやすく解説しています。 今回のテーマは、「妊娠しやすい体位って、本当にあるの? 」。 「妊娠しやすい体位」があったら知りたいと思いませんか?? 本編では、妊娠までのプロセスをはじめ、妊娠しやすいポイントの一つとして、「子宮の位置」についても解説。 女性の子宮の正常な位置は、「前傾前屈」。この前傾前屈の位置に子宮がある方が多いんだけど、その場合「正常位」が妊娠しやすい体位と言われているよ。また、女性のバックから男性が挿入する「後背位」では、腟の深くまで挿入することができるため、子宮頸部(子宮の入り口部分)により近い位置で射精ができるように。あとは、お尻の下に座布団などを入れ、お尻の位置をやや高めにすると良いとも! ただ、人によって子宮頚管部の位置や向きなどのちょっとした違いがあるので、すべての方にこの体位がおすすめとは言えなそう……! その一方で、精子は実はセックスする際の体位に関係なく、射精後数秒で子宮頸部にたどり着くことがわかっているんだって。そして、精子の運動機能や子宮の状態が正常であれば、子宮頸部付近から卵管まで15分以内に到達しているという研究データも。 結局、それはどんなオチ……? と気になった方は、動画で続きをチェックしてみてくださいね♪ ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。ベビーカレンダーでは、さまざまな出産にフォーカスしたドキュメンタリーシリーズや、赤ちゃんとママの1日に密着したルーティン動画も公開中!
2022年08月10日妊娠中のママの身体の変化は?病院に行くほどではなくても、腰が痛い・頭が痛いなどの不快症状を日常的に抱えている人は少なくないでしょう。痛みやつらさには個人差があるとはいえ、こうした不快症状はないに越したことはありません。ところが妊娠すると、ホルモンの影響や胎児の発育を受けてママの身体にさまざまな不快症状があらわれます。こうした不快症状はマイナートラブルと呼ばれ、妊娠全期間を通じて90%以上の妊婦が経験するものです(※1)。マイナートラブルで発症頻度が高いのは、疲労感や全身倦怠感、頻尿などです(※1)。気持ちの落ち込みやイライラ、強い眠気もみられます。ほかにも皮膚の乾燥やむくみ、肩こり・腰痛、熟眠困難など、マイナートラブルには多くの症状があります。妊娠5〜11週頃に起こるつわりを知っているというパパは多いでしょう。しかし実態調査で明らかになったマイナートラブルは95種類にのぼり、そのうち50%以上の人が経験したのは45種類となりました。これだけ多くの不調が一気に押し寄せてくるとなると、ママの不安な気持ちやつらさも理解できますね。妊娠中はパパが頼りです。ママの気持ちに寄り添い、サポートをしていきましょう。ママが妊娠中、パパができること感染症対策お腹の中の赤ちゃんはママと胎盤・臍帯(さいたい)でつながっており、そこから栄養や酸素を受け取っています。しかし、胎盤を通じて赤ちゃんに届くのは栄養だけではありません。風疹やサイトメガロウイルスなど、胎盤を通じ赤ちゃんに感染する菌やウイルスも存在するのです(※2)。病原体がママからお腹の中の赤ちゃんに感染することを胎内感染といい、赤ちゃんの障害や流産・早産につながるリスクがあります。また薬による影響も考えなければならず、妊娠中の薬の使用は配慮が必要です。ママと赤ちゃんを感染から守るためにも、パパの感染症対策がとても重要です。感染症対策には、新型コロナウイルス感染症予防と同じく手洗い・うがい、消毒が有効です。密を避けるなど、新型コロナウイルス感染症対策も続けていきたいですね。風疹など必要な予防接種が済んでいないパパは、早めに接種するようにしましょう。家事などのフォロー妊娠中はマイナートラブルやお腹のふくらみなどから、妊娠前と同じように動くのは難しくなります。お腹が張るなどの症状がある場合は、特に安静が必要です。赤ちゃんが生まれるとママが家事に費やせる時間はさらに短くなるため、パパも妊娠中から家事を一緒に行っておくと安心です。お風呂掃除や掃除機がけ、食器洗いなど前かがみになる姿勢はお腹や腰への負担が大きい家事です。濡れた洗濯物を運んだりハンガーにかけたりするのも思いのほか重労働。パパが担当したり、家電を利用したりして工夫するとママの負担を減らせますよ。どちらかひとりが負担を負うのではなく、お互いに無理なく家事にとりかかれるように意見を擦り合わせておくと良いでしょう。家事代行サービスなどを利用するのもひとつの方法です。禁煙タバコの煙に含まれるニコチンや一酸化炭素は血管を収縮させたり血液の酸素運搬能力を低下させたりする作用があります。これらの作用は、赤ちゃんの成長の遅れや流産・早産に影響します。ニコチンの濃度は、受動喫煙によって上昇することがわかっています。つまり、ママがタバコを吸わなくても、ママの近くでパパがタバコを吸うと赤ちゃんにも影響がおよぶのです(※3)。家族が喫煙していると、赤ちゃんが生まれてからも受動喫煙のリスクが残ります。小児呼吸器疾患や乳児突然死症候群(SIDS)の頻度が高まるという報告もあるため、喫煙習慣がある場合は積極的に禁煙に取り組みましょう。(※4)※乳児突然死症候群(SIDS)…事故や窒息などのはっきりした理由もなく、赤ちゃんが突然亡くなってしまうこと。両親学級や父親学級の参加女性の社会進出が進むにつれて、父親の育児参加は一般的になってきました。最近では、自治体や産院が主催する両親学級や父親学級も増えています。両親学級や父親学級では妊娠中のママと赤ちゃんのこと、出産のために必要な準備、産後の生活などについて学べます。沐浴や抱っこ、おむつ替えなど、実際の育児アイテムや人形を使った体験も用意されています。自治体によっては、お腹に重りをつける妊娠体験や、参加者同士の座談会が設けられることもあるでしょう。開催場所や日程などは、住んでいる地域の保健センターなどで確認してください。新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、オンラインによる対応を行っている民間サービスも広まってきました。東京都助産師会ではオンラインで母親学級の動画をアップしています。ママへのねぎらいの言葉お腹に赤ちゃんがいる感覚や妊娠による身体の変化は妊娠した女性にあらわれる特有のもので、パパにはもちろん妊娠前後の変化はありません。親になったという実感がわくまでに時間がかかることもあるでしょう。しかし少しずつ親になるのはママも一緒です。ママと一緒にお腹の赤ちゃんを育てる気持ちで、親になるための歩みをそろえていけると良いですね。すぐに実践できるのは、言葉でのコミュニケーションです。お腹の赤ちゃんに語り掛けるときに、ママにもねぎらいのひとことをかけてみてはいかがでしょうか。その日のママの体調や予定を気に掛けるのも良いですね。時間に余裕があれば、妊婦健診につき添ったり早めに帰宅したりすると、ママは心強く感じるものです。パパにできることとママがしてほしいことを言葉にして確認し、お互いに感謝の気持ちを伝えていきましょう。出産までに揃えたい準備品とは?妊娠の判明から出産までのあいだは、長いようであっという間に過ぎてしまいます。出産までに揃えておくと良いものをリスト化し、準備を進めていきましょう。肌着やベビーバス、バスタオルは産後すぐに使います。退院時に車で移動するのであれば、チャイルドシートも忘れずに用意しておきましょう。マザーズバッグは出産準備品を入れるのにも役立ちますよ。出産祝いのお返しや命名書なども事前に目星をつけておくとスムーズです。おむつなどの消耗品はすぐに使う分だけを用意し、必要に応じて買い足しても間に合います。チャイルドシートやベビーカー、ベビー布団などの大型商品を購入するときは、パパの出番です。赤ちゃんが過ごすためのスペースを作るなどの力仕事は、ママがパパにお願いしたいことのひとつですよ。妊娠中におすすめ「ままのてアプリ」ままのて公式の「ままのてアプリ」は、時期に合わせた妊娠・出産・育児に役立つ情報が届きます。2022年の4月にはプレママ向けの新機能が追加され、スケジュール管理や体調管理がしやすくなりました。ままのてアプリはパパとママのふたりで共有できます。パパ向けのメッセージも毎日配信されるので、ママとの会話も広げやすいですよ。妊婦健診の予定や赤ちゃんの成長を把握したいとき、ママが喜ぶサポート方法を知りたいとき、子育ての情報を集めたいときなど便利に役立ててくださいね。妊娠中にパパができることを探してみよう妊娠中にママが経験する体調の変化は、身体的にも精神的にもつらいものです。パパがそれを理解せず、妊娠前と変わらぬ生活を続けているとママはとても不安に感じてしまいます。妊娠中のママのサポートというと漠然としていますが、まずはママの変化を理解し、共感することが大切です。そこから、パパができる対策をふたりで探していきましょう。※この記事は2022年5月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。
2022年06月03日妊娠を望む女性にとって、重要なバロメーターとなるのが「生理」です。生理は女性の体が妊娠に適した環境になっていることを示す大切な現象です。そのメカニズムを理解するのは、妊活にとって必要不可欠なことです。そこで、今回は生理が起きる仕組みをはじめ、妊娠との関係性や妊娠しやすいタイミングなどについて紹介していきます。 生理はなぜ起きる?「生理」とは、定期的にやってくる経血の排出現象のことです。約28日に1回起きるのが一般的ですが、個人差も大きく、必ずしも28日周期と決まっているわけではありません。まず、女性の下腹部には左右に卵巣があります。この卵巣から約1カ月に1個だけ成長した卵子が飛び出してくるのです。このころ、子宮では子宮内膜という赤ちゃんのベッドのような組織が作られています。 卵巣から飛び出した卵子は、卵巣と子宮をつなぐ卵管という組織の中で精子を待ちます。侵入してきた精子が卵子と出合い、無事に受精すれば赤ちゃんのもととなる受精卵の誕生です。ただし、この段階ではまだ妊娠は成立していません。受精卵は子宮の中へと移動し、フカフカに成長した子宮内膜へと根を下ろします。これを着床といい、無事に着床した段階でようやく妊娠が成立するのです。 妊娠した場合はそのまま赤ちゃんが子宮の中で成長しますが、卵子と精子が出合わなかったり、受精しても残念ながら着床に失敗してしまったりするケースもあります。この場合、赤ちゃんのために厚く成長した子宮内膜は必要なくなります。受精卵は着床しやすいように新しいフカフカのベッドで迎える必要があるため、不要になった子宮内膜は一度排出しなければなりません。 このときに排出される子宮内膜こそが、生理の経血の主な成分です。受精卵が着床しなかったことを察知した体は、子宮を収縮させて子宮内膜を剥ぎ取ります。そして、卵子や血液、そのほかの組織などと一緒に体外へ排出して生理を起こすのです。 生理不順の放置は厳禁! 妊娠と生理周期の深い関係女性の体は、ホルモンバランスにしたがって一定の生理周期を繰り返しています。「月経期」「卵胞期」「排卵期」「黄体期」という4つの期間があり、約28日で1サイクルを終えるのが一般的です。なぜ生理周期が妊娠と深く関わっているかというと、この4つの期間がそれぞれきちんと成立していることが妊娠には不可欠だからです。 卵胞期は、1カ月に1個放出する卵子を成長させるための期間です。生理が終わった後から7~10日程度続きます。この期間は卵胞ホルモンの分泌量が増加し、子宮内膜が厚くなっていきます。代謝が上がってお肌の調子も良くなります。排卵期は、その名の通り卵巣から卵子が排卵される時期のことです。精子の寿命は72時間程度ありますが、卵子の寿命はたった24時間しかありません。このタイミングで精子と卵子が受精し、着床までこぎつけると妊娠が成立します。黄体期は、受精した場合に備えて妊娠の準備を進める期間です。 主に黄体ホルモンの働きによって子宮内膜は着床に適した状態に変わっていきます。代謝も下がって体内に水分を貯めこみやすくなります。この時期になると、月経前症候群など不快な症状が出始めるケースも多いです。黄体期は14日程度続きますが、妊娠が起こらないと黄体ホルモンと卵胞ホルモンの分泌が減少して月経(生理)が始まります。月経期(月経期間)は3~7日程度です。 妊娠するためには、排卵されてから卵子の寿命が尽きる24時間以内に、精子と受精させなければなりません。つまり、自分の排卵期がいつごろなのかを予測し、それに合わせて精子を体内でスタンバイさせておく必要があるのです。そのためには、安定した生理周期を維持することが欠かせません。生理不順だと排卵期の見極めが非常に難しくなるため、妊娠の可能性が低くなってしまいます。さらに、ホルモンバランスが乱れ、正常に排卵が起こらないケースもあります。なかなか妊娠しない場合は生理不順になっていないか振り返り、周期の安定化に努めましょう。 生理周期の乱れは、ストレスや栄養バランスが崩れること、体の冷え、急激な体重減少などが原因で起こります。また、過度な肥満や急激な体重増加も生理周期の乱れる原因となることがあります。そのため、定期的に運動したり、好きな音楽を聴くなどしてストレスを発散することを意識しましょう。さまざまな栄養素を含んだ食事を摂るように心がけることも大切です。しかし、十分な休養と栄養をとり、規則正しい生活を心がけても生理不順が続くようであれば、何かしらの疾患が原因の場合もあるので、病院へ早めに受診しましょう。 妊娠しやすい時期はいつ? 生理前? それとも生理後?生理周期についての項でも解説したとおり、妊娠するためには卵子と精子がタイミングよく出合う必要があります。そして、排卵から14日ほどで次の生理が起きることを考えると、生理前に性行為をしてもすでに卵子の寿命が尽きている可能性が高いです。つまり、妊娠はしにくいでしょう。 一方、生理後はどうでしょうか。精子の寿命は72時間ほどあるため、体内である程度排卵を待つことができます。排卵期の予測がつけば、その付近を狙って精子を待たせておくと妊娠の可能性は高まります。 ただし、あまりに早すぎても排卵前に精子の寿命が尽きてしまうので注意が必要です。生理周期が28日間で安定している人の場合、排卵は生理の開始から14日目に起きる場合が多いです。この場合、だいたい11~14日目を狙うと精子と卵子が元気に出合う可能性が高く、妊娠しやすいといえるでしょう。もちろん、排卵のタイミングや精子の寿命には個人差があるため、それでなかなか妊娠しない場合には、産婦人科で診察を受けて相談するほうが良いでしょう。 まとめ妊娠を望むなら、生理や生理周期の仕組みを知り、排卵のタイミングを掴むことが大切です。また、排卵期の予測には安定した生理周期が欠かせないため、生理不順が続く場合は早めに婦人科を受診するなどして治療しましょう。また、生理前よりも生理が終わってしばらくしてから挑戦したほうが妊娠しやすいです。妊活にストレスは大敵なので、焦らずゆっくり取り組んでいきましょう。 <参考>・株式会社メディックメディア『病気がみえる Vol.9 婦人科・乳腺外科 第3版』 監修者:医師 産婦人科医 福岡 正恒 先生京都大学医学部卒。同大学院修了後、京都大学助手、講師を経て、平成11年より産科婦人科福岡医院院長。京都大学在職中は、婦人科病棟や産科病棟などを担当。またこの間、英国エジンバラ大学・生殖生物学研究所に留学。日本産科婦人科学会・産婦人科専門医、京都大学医学博士。
2021年02月10日妊娠に欠かすことのできない卵子ですが、みなさんは卵子についてどのくらいご存知ですか? 実は卵子にはみなさんが知らないような不思議な話がたくさんあるんです。卵子のことを知ることで、ご自身の体のこと、命のことをより深く知ることができるかもしれません。そこで、意外と知られていない卵子について、浅田レディースクリニック理事長 浅田義正先生のお話を交えて紹介していきたいと思います。今回は、「排卵後の卵子の寿命」に関するお話です。 排卵後の卵子の寿命はどのくらい?卵巣から排卵された卵子は、卵管の先にある卵管采(らんかんさい)から取り込まれます。一方、腟内で射精された精子は、子宮内から卵管へと進んでいきます。そして、卵管膨大部で受精し、成長しながら子宮内へ移動、着床することで妊娠が成立します。 精子の寿命は、腟内に射精されてから72時間から120時間(3~5日間)に対し、卵子の寿命は、排卵されてから24時間と言われています。これは、排卵から2日後の妊娠率が0%に近くなることから、卵子の寿命が尽きたと考えられているからです。 しかし、浅田先生は「不妊治療の際に排卵直前の卵子を培養しますが、たとえ受精しなかったとしても卵子は2〜3日は確実に生きています。排卵から2日後の妊娠率が0%に近くなるのは、卵子の問題ではなく着床環境の変化によるものでしょう」とおっしゃいます。 実際妊娠の詳しいメカニズムはまだ明らかになっていないと言われています。今のところ、排卵後の卵子の寿命は24時間とされていますが、もしかしたらもっと長生きなのかもしれませんね。 妊娠しやすいタイミングとは?排卵日当日が1番妊娠しやすいと考える人が多いかもしれませんが、排卵日は1番妊娠しやすいタイミングとはかぎりません。最も妊娠しやすいのは排卵日2日前と言われています。基礎体温法、排卵検査薬など自分で排卵日を予測することは可能ですが、少しの要因でホルモンバランスは崩れやすいので、ピンポイントで排卵の時期を予測することは難しいというのが現状です。 浅田先生いわく、「排卵された卵子が卵管膨大部にたどり着くよりも先に精子が先にたどり着いて卵子を待っている状態のほうが、妊娠しやすいという結果があります。つまり、排卵検査薬などを使って排卵日がわかってから性交渉をしても妊娠率は低いということになります。ですので、排卵前後の1週間でよいので、そこで2〜3回性交渉すればほとんどの人は妊娠することができます。2〜3日に1回性交渉ができていれば100%タイミングが合っているので排卵日を気にしないで性交渉したほうがよい」とのことです。妊娠するには、排卵のタイミングや卵子と精子の寿命を考えた上での性交渉がポイントとなります。しかし、ポイントはそれだけではありません。次回は、「妊娠の期限」についてお話ししたいと思います。著者:助産師 REIKO医療短期大学専攻科(助産学専攻)卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務。 大学附属病院で助産師をしながら、私立大学大学院医療看護学研究科修士課程修了。その後、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。 監修者:医師 浅田レディース品川クリニック院長 浅田義正先生名古屋大学医学部卒業。名古屋大学医学部附属病院産婦人科医員として「不妊外来」および、「健康外来(更年期障害・ホルモン補充療法)」の専門外来を担当後、米国初の体外受精施設に留学。主に顕微授精(卵細胞質内精子注入法:ICSI)の基礎的研究に従事。95年に名古屋大学医学部附属病院分院にてICSIによる治療開始。顕微授精症例の全症例を担当し、同年5月、精巣精子を用いたICSIによる日本初の妊娠例を報告。98年ナカジマクリニック不妊センター開設。2004年浅田レディースクリニック(現・浅田レディース勝川クリニック)開院。10年に浅田レディース名古屋駅前クリニック、18年には浅田レディース品川クリニックを開院。多くの不妊に悩む女性と日々向き合っている。『不妊治療を考えたら読む本 科学でわかる「妊娠への近道」』(ブルーバックス、講談社)など著書も多数。
2020年10月12日妊娠に欠かすことのできない卵子ですが、みなさんは卵子についてどのくらいご存知ですか? 実は卵子にはみなさんが知らないような不思議な話がたくさんあるんです。卵子のことを知ることで、ご自身の体のこと、命のことをより深く知ることができるかもしれません。そこで、意外と知られていない卵子について、浅田レディースクリニック理事長 浅田義正先生のお話を交えて紹介していきたいと思います。今回は、「卵子の数は生まれたときから決まっている」というお話です。 そもそも卵子ってどうやって作られる?赤ちゃんの性別は、卵子へ辿り着くのが「X染色体をもつ精子」か「Y染色体をもつ精子」かによって決まることはみなさんもご存知かと思います。卵子とX染色体をもつ精子が受精すると女の子が生まれてきます。 浅田先生いわく、「生物の個体をつくる体細胞と脈々と生命(DNA)を繋いでいく卵祖細胞(卵原細胞)などの生殖細胞はつくられる工程が別」なのだそう。 体のパーツをつくる体細胞はどんどん分化し、そのなかで卵巣のもとになる生殖隆起がつくられます。すると、原始生殖細胞がアメーバ運動で移動し、卵子のもとになる卵原細胞になります。 おなかの中の赤ちゃんが2頭身となり健診時には心音も確認できるようになる妊娠7週ごろには、60万個もの卵原細胞がつくられているのです。そして、ほとんどのママが胎動を感じられるようになる妊娠20週ごろに最も多くなり、500万〜700万個くらいになると言われています。 卵子の数は有限! 生まれたときにはもう決まっている卵原細胞は、赤ちゃんが生まれる前に減数分裂(46本ある染色体を半分にする細胞分裂)を始めます。本来減数分裂は2回連続でおこなわれますが、卵原細胞は1回目の減数分裂の途中で休眠してしまいます。そして、原始卵胞という状態で、赤ちゃんは誕生します。このときの原始卵胞の数は約200万個。これ以降、原始卵胞の数が増えることはありません。 生まれたときに約200万個あった原始卵胞ですが、小学校に入学するころには50万個ほど、思春期には約20万〜30万個と、成長ともに減少していきます。その後、残った原始卵胞は生理周期に合わせて約3~30個ずつが卵巣の中で成長していきますが、そのうちの1個だけが成熟して、排卵されます。日本の女性の閉経の平均は51歳。それまでに排卵される卵子の数は約400~500個と言われています。では、原始卵胞を多く持って生まれてくると、妊娠しやすいと言えるのでしょうか? 浅田先生いわく、「もともと持って生まれた原始卵胞の数に多い少ないはありますが、卵子を保つ体の機能(いわゆる冷蔵庫みたいなもの)の大きさも違います。だから、個人差が大きいです。持って生まれた原始卵胞が多いからといって妊娠しやすいわけではありません」とのこと。卵子がタイミングよく受精し、無事子宮内に着床することで妊娠が成立するわけですが、もともと約700万個あった卵源細胞の数を考えると、とてつもない確率と言えますね。 今回は、「卵子の数は生まれたときから決まっている」というお話をしました。次回は、「卵子の老化」に関するお話です。 著者:助産師 REIKO医療短期大学専攻科(助産学専攻)卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務。 大学附属病院で助産師をしながら、私立大学大学院医療看護学研究科修士課程修了。その後、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。 監修者:医師 浅田レディース品川クリニック院長 浅田義正先生名古屋大学医学部卒業。名古屋大学医学部附属病院産婦人科医員として「不妊外来」および、「健康外来(更年期障害・ホルモン補充療法)」の専門外来を担当後、米国初の体外受精施設に留学。主に顕微授精(卵細胞質内精子注入法:ICSI)の基礎的研究に従事。95年に名古屋大学医学部附属病院分院にてICSIによる治療開始。顕微授精症例の全症例を担当し、同年5月、精巣精子を用いたICSIによる日本初の妊娠例を報告。98年ナカジマクリニック不妊センター開設。2004年浅田レディースクリニック(現・浅田レディース勝川クリニック)開院。10年に浅田レディース名古屋駅前クリニック、18年には浅田レディース品川クリニックを開院。多くの不妊に悩む女性と日々向き合っている。『不妊治療を考えたら読む本 科学でわかる「妊娠への近道」』(ブルーバックス、講談社)など著書も多数。
2020年09月17日女性であれば生理について基本的な知識は身についていると思いますが、ずっと信じていたそれがウソだったとしたら……?パート1に引き続き、生理について一般的に言われている情報の「ウソ・ホント」を産婦人科の先生にジャッジしてもらいました。今回は妊娠を望んでいる、または産前・産後の方必見の内容です! 答えてくれたのは……三鷹レディースクリニック院長天神尚子(てんじんひさこ)先生日本医科大学産婦人科入局後、派遣病院を経て、米国ローレンスリバモア国立研究所留学。その後、日本医科大学付属病院講師となり、1995年5月から三楽病院勤務。日本医科大学付属病院客員講師、三楽病院産婦人科科長を務めた後、退職。2004年2月2日より、三鷹レディースクリニックを開業。 Q. 排卵日にもお腹が痛くなるってホント?A.ホント「これは本当ですね。皆ではありませんが、排卵痛というものが起こる場合があります。中には出血する人もいるし、両方あるという人もいます。誤解しないで欲しいのは、排卵痛は病気ではないということです。卵胞から卵子が出ることを排卵と言うのですが、その時に卵巣が刺激されることでお腹が痛くなるんですよ。毎月痛み止めを飲まなければいけないとか、痛み止めも効かないくらい痛い場合は治療の必要がありますが、そこまででなければ大丈夫です。お子さんを希望されている方では、自分の排卵のタイミングが分かって良いという人もいらっしゃいます」 Q. 生理時期が安定している人は妊娠しやすいってホント?A.ホント「生理が順調だから妊娠しやすいというよりは、周期が安定していると排卵日が予測しやすいという理由で妊娠しやすいんです。生理不順だと、いつ排卵するか分からないからタイミングが取りづらいんですよね。そういう意味では本当です」 Q. 子どもを産むと生理が軽くなるってホント?A.ホント「産後、生理が軽くなるという人は結構多いです。というのは、もともと子宮内膜症がある人などは妊娠〜授乳中の生理が止まっている間に子宮内膜症が改善されるので、妊娠・出産後に治ることが多いのです。また、生理が不順な人の場合も、妊娠することでホルモンバランスが改善して生理が順調になることがあります」 Q. 産後、タンポンが使えないほどユルくなるってホント?A.ウソ「これはウソ。もちろん、お産直後の膣壁は伸びていますが、産後は自然に筋肉が縮まって元にもどってくるものです。もちろん個人差はありますが、心配な人は産後、お尻の穴を締めて膣を締める運動(骨盤筋底群体操)をしておけば回復も早いです。タンポンが使えないほどズルズルになるということはありません」 生理にまつわる「ウソ・ホント」、いかがでしたでしょうか。パート1では主に生理中の行動について聞きましたが、今回は妊娠・出産に関係した生理についての質問に答えてもらいました。現在、妊娠を望んでいるという方はもちろん、産後で生理がまだ来ていない人も、知っておいて損はない情報ばかり。生理というものをしっかり理解して、今後のライフステージに役立てていきましょう! 監修者:医師 三鷹レディースクリニック院長 天神尚子 先生日本医科大学産婦人科入局後、派遣病院を経て、米国ローレンスリバモア国立研究所留学。その後、日本医科大学付属病院講師となり、平成7年5月から三楽病院勤務。日本医科大学付属病院客員講師、三楽病院産婦人科科長を務めた後、退職。2004年2月2日より、三鷹レディースクリニックを開業。
2020年07月29日妊活中は妊娠に向けて適切な夫婦生活を営むことが重要ですが、同時に妊娠しやすいような体調管理をおこなうことも大切です。しかし、妊活中に運動してもいいものかどうか疑問を持つ人もいるかもしれません。そこで、妊娠に効果的な運動や運動するうえでの注意点、妊活中でも体に負担がかかりにくい運動について解説していきます。 妊娠しやすい体づくりとは、運動の効果とは妊活中はいつ妊娠に成功できるかわからないため、運動を避ける人も見受けられますが、実際には運動をしないことは逆効果と言えます。特に体が冷えやすい人や肥満気味の人、普段から歩くことをあまりしないという人は体を動かしておくといいでしょう。もちろん、できるところから少しずつでいいのです。今まで運動をまったくしてこなかったといっても、妊活中にいきなり無理な運動をする必要はありません。体に負担が少ない運動であることが妊活には大切だと言われています。 妊娠のタイミングは体質や夫婦生活の頻度など個人差はありますが、着床しやすい状態に卵巣を近づけておくことが大切です。そのためには、血流を良くしておくことが重要だとされています。血行促進を図るためには食事や睡眠などの生活習慣も影響しやすいものですが、適度に体を動かして血行を良くすることも怠ってはいけません。運動をすると体温が上昇します。筋肉量の増加が期待できるとともに、基礎代謝が上がり、余分な脂肪の燃焼へとつながります。基礎代謝を上げることは、妊娠しやすい体作りをするうえで大切なことです。血流が良くなっていると、妊娠してから赤ちゃんに栄養がいきやすくなるというメリットも期待できます。 妊娠した後は出産に備えて十分な体力も維持しておかなければなりません。出産には相当の体力が必要です。また、妊娠中は胎児が成長するにつれ、いつもはできていたことがなかなかできなくなることもあります。例えば衣服の着脱などがそうです。妊娠してから困らないためにも、肥満気味の人は妊娠する前にできるだけ体を絞っておくほうがいいでしょう。また、肥満の場合に心配されるのは産道が狭くなってしまうことです。陣痛が始まっても出産に時間がかかってしまうと赤ちゃんに危険が及ぶこともありますし、その分お母さんも体力を消耗します。妊活中から適度な運動を心がけておくことは、妊娠しやすい体をつくることはもちろん、快適な妊婦生活や順調な出産を迎えるうえでも大切なことなのです。 妊活中におすすめの運動妊活中にしておきたい効果的な運動とは、主に有酸素運動です。ダイエットや体力作りを目的に普段からウォーキングやヨガをおこなっている人はそのまま続けていくことで、妊娠しやすい体づくりが期待できます。妊娠しやすくなるように時間を長くするなどメニューを増やす必要は特にありません。 妊活に向けてこれから運動を始めるという人は、週末の余暇や通勤時間などを利用して、まずは歩いてみましょう。1日の目安量は30分程度です。歩くときには呼吸を意識し、できるだけ腕も大きく振るようにすると、全身が鍛えられます。歩幅も大きくなるように意識していくと骨盤の安定につながります。 また、ヨガはゆっくりした動きで呼吸を意識しながらできるため、基礎代謝のアップにつながりやすい運動です。スタジオに通う人もいますが、自分のペースで進めたい人は自宅でおこないましょう。レッスン用のDVDや動画サイトなどを利用すれば、慣れない人でもポイントを掴むことはできます。ダイエット効果を期待したいときにはホットヨガもいいかもしれません。ヨガはポーズによって効果がさまざまに分かれています。女性ホルモンのバランスを整えるポーズを集中的に取り入れるのも、妊娠に近づきやすいと言えます。妊活中の人や妊婦向けのヨガスタジオも増えているので、気分転換をしたいときや、妊活仲間・ママ友を作りたい人はスタジオに通ってみるのもいいでしょう。 そして、ストレッチも妊娠に効果的な運動の1つです。代謝をアップし、血行促進が期待できるというのも理由ですが、骨盤を矯正する効果が期待できます。仰向けに寝そべり、ゆっくり息を吐きながら両足をゆっくり左右に向けてウエストをねじってみましょう。個人差はありますが、骨盤の歪み改善などの効果が期待できます。ストレッチをおこなうのは入浴後が効果的と言われています。入浴で体温も上昇していますし、さらに血行促進も期待できるでしょう。ストレッチは1日10分程度でも十分です。なかなか時間が取れないときはヨガと一緒におこなってもいいかもしれません。大切なのは続けることです。楽しくできる範囲内での運動を心がけましょう。 妊活中に気をつけたい運動妊活中に心がけたいのは体に負担をかけずにできる有酸素運動を中心におこなうことです。妊活中はいつ妊娠してもおかしくはない状態のため、記録を競うような激しい競技運動などはやめるようにしましょう。球技のような体に衝撃が加わるような運動も妊活中には避けたいものです。しかし、体に負担がかかりにくい運動であればできる限り積極的におこなうほうが出産に向けての体力作りにも役立ちます。血行促進と基礎代謝アップ、そして体を温めることを頭に置いて、適切な運動を続けましょう。 運動後のケアも大切です。汗をかいたらそのままにせず、すぐに着替えることを怠ってはいけません。せっかく体が温まったのに汗で体が冷えてしまうことがあっては逆効果です。通勤時間などを利用してウォーキングをする場合には、勤務先に着替えを置いておくのもいいかもしれません。屋外で体を動かすときには動きやすい服装を心がけ、すぐに汗が拭けるようタオルを持参すると良いでしょう。 妊活中の運動は妊娠しやすい体づくりをすることだけが目的ではありません。精神をリラックスさせ、ストレスを解消することも目的の1つです。面倒に感じることや続けることが苦しいと感じるような運動は避けるようにしましょう。 まとめ妊娠しやすい体づくりをするうえで大切なのは血行促進を心がけることです。適度な筋肉量を維持するためにも、ヨガやウォーキングなどの有酸素運動で脂肪を燃焼させながら、代謝アップを図ることが必要と言えます。体を冷やしたり無理な運動をしたりしないよう注意し、自分のペースを大切にしながら、ときには気分転換を兼ねてジムやスタジオに通うのも良いでしょう。 監修者:医師 おおたレディースクリニック院長 太田 篤之 先生順天堂大学卒後、派遣病院勤務を経て、平成22年より順天堂静岡病院周産期センター准教授就任。退職後、平成24年8月より祖父の代から続いている「おおたレディースクリニック」院長に就任し現在に至る。
2020年02月25日今回は、妊娠中に疲れを感じやすい理由と、疲労をためないためにできることについてお話しします。 妊娠中に疲れを感じやすい理由妊娠すると、女性ホルモン(エストロゲン・プロゲステロン)の分泌量が劇的に変化して、母親のおなかの中で赤ちゃんが育ちやすい環境を整えます。ホルモンバランスの変化によって、だるい・眠いなど妊娠中に特有な症状に悩まされたり、つわりや食欲の変化によって妊娠前のような食事ができなかったり、体を自由自在に動かせなかったりなど、妊娠による心身の変化によって疲れを感じやすくなります。なかには睡眠不足によって日ごろの疲労を回復できていない妊婦さんもいます。 妊娠中の疲れやすさは、妊娠前の体力や筋力の程度によっても左右されます。疲れやすさを感じる期間も人それぞれです。 また、悪阻や切迫流産、切迫早産など一時的に安静にしていた後は、体力や筋力が回復する過程にあるため、疲れを感じやすいことがあります。 そのほかに、妊娠に伴う貧血や甲状腺機能に異常があると疲れを感じやすい妊婦さんもいますが、妊婦健診の際におこなう血液検査と適切な治療を受けていれば、日常生活に支障をきたすほどに疲れを感じることはないはずです。なかなか疲れがとれず日常生活がままならない場合は、早めに産婦人科を受診して相談しましょう。 妊娠中に疲れをためないためにできること妊娠に伴う心身の劇的な変化によって疲れを感じやすくなりますが、日ごろの生活習慣を見直すことで、疲れをためにくい体づくりをすることは可能です。 ①十分な休息と睡眠時間を確保する睡眠不足になると、日常生活に緊張感が続いたり、疲れがたまりやすくなります。なるべく同じ時間帯に眠ったり起きたりしましょう。十分な休息や睡眠時間を確保せずに「疲れやすい」「疲れた」と言っている妊婦さんも少なくありません。赤ちゃんは生まれて3カ月もすると昼夜の区別がつき、朝型の生活リズムになりますので、妊娠中から生活リズムを整えていくためにも早寝早起きが理想です。 熟眠感を得られる睡眠時間は妊婦さんによって異なります。夜間ぐっすり眠れない場合は、昼寝をうまく取り入れるなど工夫して睡眠リズムを整えましょう。仕事をしている場合や、上の子のお世話などでなかなか時間の確保が難しい場合は家族で相談して、妊婦さんが休める時間を意識的に作りましょう。 ②栄養バランスのとれた食事を心がけるつわりの時期は食べやすいものを食べましょう。つわりがない、あるいはつわりの時期が過ぎたら、主食、主菜、副菜でいろいろな食材を摂るように心がけましょう。疲れをためにくい健康的な体づくりのためには、栄養バランスのよい食事を食べることが大切です。なにか特定の食材を摂ることにこだわったり、妊婦が飲める栄養ドリンクに頼る必要はありません。胎児の成長発達のために、母親が健康的な食事を食べることや食習慣をもつことは重要です。 妊娠前からあまり水分を摂らない、または妊娠中のむくみや頻尿が気になるなどの理由で積極的に水分を摂らない女性もいますが、妊娠中は血液循環を促すことや脱水を予防することが大切です。水や麦茶など、糖分やカフェインを含まない飲み物を意識的に摂取しましょう。 ③適度な運動をして体力を養う妊娠中に適度な運動をおこなうことは、心肺機能や筋力、体力の維持に効果的なため、妊娠期間を快適に過ごすことに役立ちます。また、妊娠中から体力を養うことで、産後の赤ちゃんのいる生活に、疲れにくい体を準備することができます。 妊娠12週以降で正常な妊娠経過であること、妊婦健診で医師、助産師から運動を禁止されていなければ、運動をしても大丈夫です。 妊娠経過が順調であれば、1日あたり10分程度のストレッチや、15~30分程度の散歩を日常に取り入れると良いでしょう。妊娠前から定期的な運動習慣がない方でも、無理なく続けられる程度の運動でかまいませんので続けましょう。妊娠中の体力維持だけでなく、出産時や産後のための体力づくりにも役立ちます。 高血圧、糖尿病、肥満などの妊娠中の合併症の予防と治療を目的とする運動については、医師や助産師、運動指導をするトレーナーから専門的な指導と助言を受けて、十分に注意しておこないましょう。 疲れがとれにくいときの受診や相談するタイミング睡眠や食事、運動などの習慣を見直しても疲れやすいという場合は、身体的な変化によるものだけではなく、精神的なストレスによって疲れやすいと感じている可能性があります。 日ごろから緊張や不安が続いていたり、周囲の人のサポートを物足りなく感じているならば、思っていることや感じていることを夫(パートナー)や家族、友人など身近な相手に話してみましょう。話すことで気持ちが軽くなったり、具体的な解決策が生まれるかもしれません。 何をやっても「疲れやすい」「疲れる」と感じる場合や、身近な人に上手く話せない場合は、担当医や助産師、居住地の保健師などに相談しましょう。専門家と話すことで解決策が見つかるかもしれません。 まとめ妊娠中は、心身の変化によって疲れを感じやすくなることはよくあることです。妊娠中の疲れやすさは、妊娠前の体力や筋力の程度によって左右されるため、個人差はありますが、睡眠・食事・運動の習慣を見直すことで、疲れをためにくい体力づくりをすることはできます。 なかなか疲れがとれず日常生活がままならない場合は、早めに産婦人科を受診して相談しましょう。 <参考>・産婦人科診療ガイドライン産科編2017・周産期メンタルヘルス コンセンサスガイド2017・妊娠中から始めるメンタルヘルスケア 2017年発行 日本評論社 監修者:医師 おおたレディースクリニック院長 太田 篤之 先生順天堂大学卒後、派遣病院勤務を経て、平成22年より順天堂静岡病院周産期センター准教授就任。退職後、平成24年8月より祖父の代から続いている「おおたレディースクリニック」院長に就任し現在に至る。著者:助産師 古谷真紀一般社団法人産前産後ケア推進協会プロジェクトリーダー大学病院勤務を経て、2015年より現職。妊娠中や産後の女性のココロとカラダの相談、ママパパ&赤ちゃんのちょっと気になるコトに日々応えています。
2020年02月14日妊娠初期(0~15週)に起こりやすい頻尿と残尿感についてお話しします。 妊娠初期(0~15週)に起こりやすい頻尿と残尿感って?妊娠初期(0~15週)は、妊婦さんの循環血液量が増えて腎臓の機能が活発になること、大きくなり始めた子宮が隣り合っている膀胱を圧迫するために頻尿や残尿感が起こることがあります。 頻尿とは尿の回数が多いことです。一般的に朝目覚めてから夜就寝するまでの間に8回以上の場合を頻尿と判断する目安にしますが、トイレへ行く回数は個々の状況によって異なるため、妊娠前よりも尿の回数が増えた、妊娠してから尿意を感じてトイレへ行く回数が増えている場合は、頻尿といえます。 残尿とは排尿後も膀胱に尿が残る状態で、残尿感とは排尿を済ませても尿が残っているような感じがする、すっきりしない感覚のことです。残尿感を自覚するとき、実際に尿が残っていることもあれば、尿が残っていない状態でも残尿感を感じることもあります。 膀胱や尿道に異常がなくても、妊娠をきっかけに作られる尿が増えたり、残尿があることで尿をためる膀胱のスペースが減り、1回の排尿量が少ないために、結果的にトイレへ行く回数が増えるというように、頻尿や残尿感は妊娠初期に生じやすいといえます。 妊娠初期を過ぎて、子宮が恥骨よりも上側へ出てくれば膀胱への圧迫は弱まり、頻尿に悩むことは少なくなります。その後は出産予定日が近づき、おなかの中で赤ちゃんの頭が下がり、膀胱を圧迫するようになると、頻尿や残尿感が再び起こるケースもあります。 妊娠初期(0~15週) 頻尿や残尿感が続くとどうなる?頻尿や残尿感以外に、尿を出し切った後に下腹部に痛みを感じる排尿後痛、尿の色が普段よりも白くにごっているなどの症状があれば、膀胱炎を起こしている可能性があります。 膀胱炎は原因となる細菌が膀胱に入り感染することで、膀胱の粘膜に炎症が起こる病気です。特に女性は尿管が短く、尿道口と膣、肛門が隣接しているため、膣や肛門に存在する大腸菌などの細菌が尿道から侵入しやすい状態のため膀胱炎を起こしやすいです。 また、一度発症すると繰り返しやすいという特徴もあります。妊娠中に頻尿や残尿感、排尿後痛などの症状が続くようであれば、膀胱炎の可能性がありますので、早めにかかりつけの産婦人科を受診して相談しましょう。 妊娠中は膀胱炎や腎盂腎炎などを起こしやすい妊娠によって大きくなり始めた子宮が膀胱を圧迫したり、腎臓と膀胱を結ぶ尿管を通る尿の流れが遅くなることで、細菌が洗い流されにくくなることで、膀胱炎や腎盂腎炎などの尿路感染症を起こしやすくなります。 尿路感染症とは尿を作る腎臓、尿を貯める膀胱、腎臓と膀胱を結ぶ尿管、尿を排泄する尿道口までの間に細菌によって起こる感染症のことです。膀胱炎を放置していると、細菌が尿管から腎臓へ侵入して、腎盂腎炎になる危険性があります。腎盂腎炎は膀胱炎の症状に加えて、発熱、背中や腰の痛みが起こります。 尿の中に細菌が混じっていても、特に自覚症状がない無症候性細菌尿という状態が誰にでも起きる可能性があります。妊娠していない状態では、無症候性細菌尿があっても治療の必要はありませんが、妊婦さんの場合は治療せずにいると、膀胱炎や急性腎盂腎炎を発症して、ときに母体だけでなく赤ちゃんの生命も危険にさらされる危険性があります。 妊娠中に頻尿や残尿感が続く場合、どうしたらいい?頻尿や残尿感があっても、水分摂取を控えたり、トイレへ行くことを我慢しないように注意しましょう。水分摂取を控えることは、膀胱炎や尿道炎を起こす原因となります。 頻尿や残尿感以外に、尿を出し切った後に下腹部に痛みを感じる排尿後痛、尿が混濁しているなどの症状があれば、早めにかかりつけの産婦人科を受診して相談しましょう。 膀胱炎や腎盂腎炎 妊娠中の治療は?無症候性細菌尿や膀胱炎の場合は、内服と通院で治療することができます。急性腎盂腎炎の場合は、安静と点滴による治療のため入院する必要があります。いずれの場合も妊娠経過や赤ちゃんに影響の少ない抗菌薬を選んで治療可能です。 重症な腎盂腎炎の場合、各々の病院や地域の連携体制によって多少異なりますが、かかりつけの産婦人科が小規模のクリニックや産院の場合、母体や赤ちゃんが早急に高度な医療を受けられるように、万が一に備えてNICU(新生児集中治療室)が併設された規模の大きい病院などへ転院もしくは母体搬送されることがあります。 まとめ頻尿や残尿感は妊娠初期に起こりやすい症状ですが、日常生活のなかでどうしてもそれらの症状が気になる、排尿後痛がある、尿が白くにごっている、発熱や腰痛がある場合は、早めに産婦人科を受診しましょう。 <参考>・産婦人科診療ガイドライン産科編2017・産婦人科診療ガイドライン婦人科編2017・最新産科学正常編著:荒木勤文光堂・最新産科学異常編著:荒木勤文光堂・日本泌尿器科学会 監修者:医師 おおたレディースクリニック院長 太田 篤之 先生順天堂大学卒後、派遣病院勤務を経て、平成22年より順天堂静岡病院周産期センター准教授就任。退職後、平成24年8月より祖父の代から続いている「おおたレディースクリニック」院長に就任し現在に至る。著者:助産師 古谷真紀一般社団法人産前産後ケア推進協会プロジェクトリーダー大学病院勤務を経て、2015年より現職。妊娠中や産後の女性のココロとカラダの相談、ママパパ&赤ちゃんのちょっと気になるコトに日々応えています。
2020年01月28日妊娠を望む女性にとって、重要なバロメーターとなるのが「生理」です。生理は女性の体が妊娠に適した環境になっていることを示す大切な現象です。そのメカニズムを理解するのは、妊活にとって必要不可欠なことです。そこで、今回は生理が起きる仕組みをはじめ、妊娠との関係性や妊娠しやすいタイミングなどについて紹介していきます。 生理はなぜ起きる?「生理」とは、定期的にやってくる経血の排出現象のことです。約28日に1回起きるのが一般的ですが、個人差も大きく、必ずしも28日周期と決まっているわけではありません。まず、女性の下腹部には左右に卵巣があります。この卵巣から約1カ月に1個だけ成長した卵子が飛び出してくるのです。このころ、子宮では子宮内膜という赤ちゃんのベッドのような組織が作られています。 卵巣から飛び出した卵子は、卵巣と子宮をつなぐ卵管という組織の中で精子を待ちます。侵入してきた精子が卵子と出合い、無事に受精すれば赤ちゃんのもととなる受精卵の誕生です。ただし、この段階ではまだ妊娠は成立していません。受精卵は子宮の中へと移動し、フカフカに成長した子宮内膜へと根を下ろします。これを着床といい、無事に着床した段階でようやく妊娠が成立するのです。 妊娠した場合はそのまま赤ちゃんが子宮の中で成長しますが、卵子と精子が出合わなかったり、受精しても残念ながら着床に失敗してしまったりするケースもあります。この場合、赤ちゃんのために厚く成長した子宮内膜は必要なくなります。受精卵は着床しやすいように新しいフカフカのベッドで迎える必要があるため、不要になった子宮内膜は一度排出しなければなりません。 このときに排出される子宮内膜こそが、生理の経血の主な成分です。受精卵が着床しなかったことを察知した体は、子宮を収縮させて子宮内膜を剥ぎ取ります。そして、卵子や血液、そのほかの組織などと一緒に体外へ排出して生理を起こすのです。 生理不順の放置は厳禁! 妊娠と生理周期の深い関係女性の体は、ホルモンバランスにしたがって一定の生理周期を繰り返しています。「月経期」「卵胞期」「排卵期」「黄体期」という4つの期間があり、約28日で1サイクルを終えるのが一般的です。なぜ生理周期が妊娠と深く関わっているかというと、この4つの期間がそれぞれきちんと成立していることが妊娠には不可欠だからです。 卵胞期は、1カ月に1個放出する卵子を成長させるための期間です。生理が終わった後から7~10日程度続きます。この期間は卵胞ホルモンの分泌量が増加し、子宮内膜が厚くなっていきます。代謝が上がってお肌の調子も良くなります。排卵期は、その名の通り卵巣から卵子が排卵される時期のことです。精子の寿命は72時間程度ありますが、卵子の寿命はたった24時間しかありません。このタイミングで精子と卵子が受精し、着床までこぎつけると妊娠が成立します。黄体期は、受精した場合に備えて妊娠の準備を進める期間です。 主に黄体ホルモンの働きによって子宮内膜は着床に適した状態に変わっていきます。代謝も下がって体内に水分を貯めこみやすくなります。この時期になると、月経前症候群など不快な症状が出始めるケースも多いです。黄体期は14日程度続きますが、妊娠が起こらないと黄体ホルモンと卵胞ホルモンの分泌が減少して月経(生理)が始まります。月経期(月経期間)は3~7日程度です。 妊娠するためには、排卵されてから卵子の寿命が尽きる24時間以内に、精子と受精させなければなりません。つまり、自分の排卵期がいつごろなのかを予測し、それに合わせて精子を体内でスタンバイさせておく必要があるのです。そのためには、安定した生理周期を維持することが欠かせません。生理不順だと排卵期の見極めが非常に難しくなるため、妊娠の可能性が低くなってしまいます。さらに、ホルモンバランスが乱れ、正常に排卵が起こらないケースもあります。なかなか妊娠しない場合は生理不順になっていないか振り返り、周期の安定化に努めましょう。 生理周期の乱れは、ストレスや栄養バランスが崩れること、体の冷え、急激な体重減少などが原因で起こります。また、過度な肥満や急激な体重増加も生理周期の乱れる原因となることがあります。そのため、定期的に運動したり、好きな音楽を聴くなどしてストレスを発散することを意識しましょう。さまざまな栄養素を含んだ食事を摂るように心がけることも大切です。しかし、十分な休養と栄養をとり、規則正しい生活を心がけても生理不順が続くようであれば、何かしらの疾患が原因の場合もあるので、病院へ早めに受診しましょう。 妊娠しやすい時期はいつ? 生理前? それとも生理後?生理周期についての項でも解説したとおり、妊娠するためには卵子と精子がタイミングよく出合う必要があります。そして、排卵から14日ほどで次の生理が起きることを考えると、生理前に性行為をしてもすでに卵子の寿命が尽きている可能性が高いです。つまり、妊娠はしにくいでしょう。 一方、生理後はどうでしょうか。精子の寿命は72時間ほどあるため、体内である程度排卵を待つことができます。排卵期の予測がつけば、その付近を狙って精子を待たせておくと妊娠の可能性は高まります。 ただし、あまりに早すぎても排卵前に精子の寿命が尽きてしまうので注意が必要です。生理周期が28日間で安定している人の場合、排卵は生理の開始から14日目に起きる場合が多いです。この場合、だいたい11~14日目を狙うと精子と卵子が元気に出合う可能性が高く、妊娠しやすいといえるでしょう。もちろん、排卵のタイミングや精子の寿命には個人差があるため、それでなかなか妊娠しない場合には、産婦人科で診察を受けて相談するほうが良いでしょう。 まとめ妊娠を望むなら、生理や生理周期の仕組みを知り、排卵のタイミングを掴むことが大切です。また、排卵期の予測には安定した生理周期が欠かせないため、生理不順が続く場合は早めに婦人科を受診するなどして治療しましょう。また、生理前よりも生理が終わってしばらくしてから挑戦したほうが妊娠しやすいです。妊活にストレスは大敵なので、焦らずゆっくり取り組んでいきましょう。 <参考>・株式会社メディックメディア『病気がみえる Vol.9 婦人科・乳腺外科 第3版』 監修者:医師 産婦人科医 福岡 正恒 先生京都大学医学部卒。同大学院修了後、京都大学助手、講師を経て、平成11年より産科婦人科福岡医院院長。京都大学在職中は、婦人科病棟や産科病棟などを担当。またこの間、英国エジンバラ大学・生殖生物学研究所に留学。日本産科婦人科学会・産婦人科専門医、京都大学医学博士。
2019年12月13日妊娠31週は妊娠8カ月の最後の週で、赤ちゃんはパイナップルくらいの大きさまで成長しています。ママはおなかが張りやすくなったり、前駆陣痛で子宮が痛んだりなど、体の変化を感じやすい時期。無理のない生活をし、胎児の様子やママの体の変化もチェックしていきましょう。【監修】成城松村クリニック院長 松村圭子先生婦人科専門医。1995年広島大学医学部卒業、同年広島大学付属病院産婦人科学教室入局。2010年、成城松村クリニックを開院。女性の「体の健康」「心の健康」のために、一般の婦人科診療だけではなく女性のあらゆる面をトータルにケア。講演、執筆、TV出演など幅広く活動。著書に、『女30代からのなんだかわからない体の不調を治す本』(東京書店)、『医者が教える女性のための最強の食事術』(青春出版社)など多数。■妊娠31週の胎児の様子妊娠31週を迎えた赤ちゃんの様子を詳しくご紹介します。▼赤ちゃんの成長度合い妊娠31週の赤ちゃんの大きさはどのくらいでしょうか。胎児体重の平均値は1,635gです。ようやく1000gを超えたと思っていたら、あっという間に1500gを上回る重さになり、ママは驚くかもしれません。しかし、妊娠30週を超えれば、今後もし早産になったとしても、生存率は95%以上という高い数字になります。また、胎児体重が1.5kgを超えてくると、障害が残る確率は5%以下となります。ママもこれで少しほっとできますね。▼呼吸するために必要な物質が増加する頃妊娠31週の赤ちゃんは、肺呼吸をするときに必要な物質(肺サーファクタント)の量が急激に増えている時期です。おおよそ、妊娠26週ごろに呼吸に必要な肺の構造ができあがり、妊娠34週ごろには肺サーファクタントは十分な量になります。そして自力で呼吸ができるようになるのです。赤ちゃんは今、外に出ても大丈夫なように、生きる力をどんどん蓄えている最中です。▼胎動の測り方胎動(ママのおなかで赤ちゃんが動くこと)は毎回の妊婦健診で確認しているものですが、自分でも測ってみたいと思うママは多いでしょう。胎動の測り方で、簡単な方法が「テンカウントタイム法」です。これは赤ちゃんがおなかの中で10回動くまでに何分かかるかを計測するもの。胎動が活発なときに計測すれば短時間で終わるため、ママの負担も少なくてすみます。またデータでは、妊娠28週以降のテンカウントタイムの平均は10分から15分とのこと。また9割の人が35分以内に完了するということです。■妊娠31週のママの様子ママの変化それでは、妊娠31週のママの様子はどうでしょうか。子宮がみぞおちまで大きくなってきているので、胎動を強く感じる人は多いはず。また、おなかが張ったり、むくみやすくなったり、自分の体の変化にとまどっている人もいるでしょう。体重が増えやすい時期でもあるため、体重管理に気を配っておきたいですね。こまめに体重計に乗り、食事内容をチェックするなど、太りすぎないように日々の工夫が大切です。体重も一週間単位で測り、500g以上増えていたら注意しなければなりません。塩分を控えて、低カロリーでバランスのよい食事を選ぶように意識をします。気になるむくみには、バナナなどのカリウムを含む食品を食べるのがおすすめです。余分なナトリウムを排出してくれるので、むくみには効果的。もちろん、普段の食事でも塩分控えめを心がけましょう。さらに、長時間の立ち仕事をしない、疲れたら足を高くして寝るなど、今まで以上に無理をしないことが重要です。これから出産までの間、ママの体の負担は大きくなっていきます。とくに下半身はマイナートラブルがでやすいので、気をつけていきましょう。▼息切れしやすくなる時期さらに、妊娠31週ころは息切れもしやすい時期です。息切れや動悸(どうき)など、ちょっとしたことで呼吸が苦しくなってしまうかもしれません。ママの心拍数が最大になるのも、実はこの頃なのです。息苦しいときは動きをとめて、何度か深呼吸をしてみましょう。大きく深く息を吸い込むのがポイントです。臨月に近づいてくれば、赤ちゃんが骨盤のなかに下りてきて、呼吸がラクになってくるはずです。▼おなかの張りや前駆陣痛がある時はゆっくり休んで赤ちゃんが元気に動き、胎動が激しいのはうれしいことです。しかし、おなかが張ってきたりチクチク痛んだりする場合は休養しましょう。とくにおなかが痛む「前駆陣痛」ではあわてないようにしましょう。比較的夜に多いのですが、5分から10分おきの規則的な腹痛からだんだん不規則になり、朝になると痛みがおさまってくるものです。これは、本陣痛に備えて、ママの体と赤ちゃんが出産への準備をしている合図。ママの子宮口や頸管(けいかん)がだんだんやわらかくなり、赤ちゃんは少しずつ骨盤腔(こつばんくう)へ下がってくるのです。▼妊娠高血圧症候群に気をつけよう妊娠高血圧症候群のことは知っているでしょうか。これは、妊娠20週以降に高血圧が見られ、出産後12週までに改善する場合、または妊娠前からの高血圧にたんぱく尿を伴う場合のいずれかのことです。妊娠高血圧症候群になってしまうと、子宮や胎盤の血液がスムーズに流れにくくなるため、赤ちゃんが酸素不足や栄養不足になってしまう場合があります。低栄養状態の赤ちゃんはおなかでしっかり成長しないまま「低出生体重児」として生まれてくる場合があります。さらに低酸素状態になってしまうと赤ちゃんが「低酸素症」となり、その状態が長く続けば、脳にも影響を及ばしてしまいます。障害が残ったり、最悪のケースではおなかの中で赤ちゃんが亡くなってしまったりすることもあります。では、妊娠高血圧症候群を予防するにはどうすればいいのでしょうか。現在、確実な予防法は見つかっていないのですが、一般的に効果があるとされているのは、以下のものです。・休むこと・寝ること・適度な運動・リラックスすること基本的には安静にしているのが一番です。妊娠高血圧症候群の予防を考えるなら、こまめに体を休めて横になることをおすすめします。横になると赤ちゃんへ血流が届きやすくなり、胎児発育不全の予防にも効果的でしょう。仕事で体を使うような人なら、できるだけ早めに休職することが好ましいです。▼おなかが下がったように感じたらおなかが下がってくる時期はそれぞれですが、臨月に近づくにつれて、下がってきたことを感じやすくなります。変化としては、胎動が減ってきたり、頻尿になったりするでしょう。胎動が減るのは、ママの骨盤内に下がってきた赤ちゃんの頭が固定されることで、大きな動きが減るためです。赤ちゃんはママの産道を通る体勢になり、生まれる準備をしているのです。また、頻尿になるのも、赤ちゃんが下がってきた証拠。赤ちゃんの頭などでママのぼうこうが圧迫されて尿意を感じやすくなります。トイレの回数が多くなりますが、我慢するのは体によくありません。■妊娠31週になったらやっておきたいこと▼そろそろ赤ちゃんの名前を考え始めるのも楽しい時期妊娠8カ月の終盤なので、そろそろ赤ちゃんの名前を決めておくのもいいですね。「生まれた赤ちゃんを見てから名づける」というママもいるかもしれませんが、すぐに決まるとも限りません。赤ちゃんを想像しながら、いくつか候補を出しておくのも楽しい時間です。赤ちゃんの名前は生後14日以内に出生届とともに提出しなければなりません。期間があるので注意しておきましょう。名前のつけ方は、常用漢字と人名漢字、ひらがな、カタカナを使って考えていきます。繰り返し記号(々、ゞ)や長音符号(ー)は使えますが、アルファベットや算用数字は使用できません。ふりがなをふらないと読めないような特殊な読み方や難しい漢字の名前もありますが、被災した時など万が一の場合は不便なことがあるかもしれません。子どもが一生を通して使う名前なので、生きるうえで困ることのない名づけを意識するのもいいでしょう。■まとめ妊娠31週のママは、いろいろな体調の変化を感じやすい時期です。息切れしやすかったり、おなかが張ったり、さらにむくみや疲労感も出てくるでしょう。対策はとにかく休みこと、無理をしないこと。そして、心身のリラックスが大切です。パートナーには家事を手伝ってもらうなど、家族や周りの人には協力してもらえるようにお願いしておくのもいいですね。そして急なお産になっても慌てないよう、準備できることは進めつつ、妊娠中の生活を楽しんでいきましょう。
2019年10月29日妊娠してから「眠気が強くなった」「ぐっすり眠れなくなった」と悩む妊婦さんのために、今回は妊娠中の睡眠についてお話しします。 妊娠各期の睡眠パターンについて妊娠すると、妊娠を維持するためのホルモン(プロゲステロン、エストロゲン)の影響や、体の変化、自律神経のアンバランスによって、睡眠不足や疲労感に悩むことがあります。睡眠に関する悩みに個人差はありますが、妊娠各期の一般的な睡眠パターンは以下の通りです。 妊娠初期(0〜15週)の睡眠妊娠初期(0〜15週)は主にプロゲステロンの作用で、日中の眠気が強くなる過眠の状態が起きる一方で、夜間は寝つきが悪くなったりします。妊娠した喜びと同時に、戸惑いや不安があり、ちょっとしたできごとにも敏感になり、つわりの時期と重なるため、心身の疲労感が強く、「たくさん寝ても眠い」「寝ても寝足りない」など強い眠気に悩むことがあります。 妊娠中期(16〜27週)の睡眠妊娠中期(16〜27週)は、つわりから解放され、初期に比べて心身の疲労感が和らぐことで、安定した睡眠をとれるようになります。妊娠後期が近づいてくると、エストロゲンの作用で眠りが浅くなる妊婦さんもいます。これは産後に夜間の授乳などの赤ちゃんのお世話に対応するための準備として、眠りが浅くなると考えられています。 妊娠後期(28週以降)の睡眠妊娠後期(28週以降)は、おなかが大きくなるために起こる頻尿や腰背部痛、こむら返り、息切れ、腹部のかゆみなどの不快な症状が重なったり、胎動や不規則なおなかの張りを感じたり、出産に対する不安が増すことで、なかなか寝付けなかったり、夜間に目覚めてしまうことがあります。妊娠中期と同じように、エストロゲンの作用で眠りが浅くなりやすい時期です。 過眠や睡眠不足が起こす心身への影響睡眠には、脳や神経、内分泌、免疫系などを調整して心身を健康に保つ役割があります。妊婦に限らず、人間は十分に良い睡眠が得られないと、脳や体の休息や回復を妨げることになります。脳の機能が低下すると記憶力、判断力、問題解決力などが低下し、感情のコントロールがうまくできず、精神的に不安定になりやすい状態です。 妊婦さんは妊娠経過や赤ちゃんのことだけでなく、身の回りのできごとに対して敏感になり、不安を抱えやすいため、よい睡眠を得られるように心がけることが大切です。眠くて仕方がない、あるいは睡眠不足でどう対処したらいいかわからない場合は、妊婦健診のときに医師や助産師へ相談しましょう。 妊娠中に良い睡眠を得るための過ごし方良い睡眠によって疲労を回復させることは、妊娠中に揺らぎやすい心を安定させるためにとても重要です。人間の体内時計は24時間よりも少し長いので、眠ることで身体のリズムを24時間に合わせるために、規則正しい生活や太陽の光を浴びることが必要です。下記の項目を参考に、生活のなかで実行できそうなものを取り入れてみましょう。 ・決まった時間に起床する睡眠と覚醒のリズムが乱れると、日中の眠気がとても強くなり、夜寝つく時間が遅くなります。人間は寝だめができませんので、平日と休日の起床時刻の差は2時間以内にしましょう。 ・太陽の光を浴びる太陽の光を浴びることで、体内時計がリセットされます。曇り空でも自然光であれば効果はあります。 ・規則正しく食事をする朝食を食べないと、体温が上がりきれず、基礎代謝量が減り、脂肪が燃焼しにくいです。妊娠中の体調管理のためにも、朝食は欠かさないように心がけましょう。 ・睡眠は自分に合った睡眠時間を規則的にとる一般的に6~8時間睡眠が良いとされていますが、適正な睡眠時間には個人差があるので、時間にこだわらなくても大丈夫です。ぐっすりと眠るために、日中にしっかりと起きていることが大切ですので、睡眠時間が規則的になるように心がけましょう。 ・睡眠時間以外に昼寝や休憩を取り入れて、疲労を残さないようにする夕方以降に居眠りや仮眠をとると、夜間の睡眠に影響します。昼寝をする場合は、午後1〜3時の間で30分以内にしましょう。 ・就寝前に、ぬるめの湯(38~40℃)でゆっくり入浴する就寝前は、脳と心身をリラックスできる環境で過ごすことが大切です。体温を下げて眠りの準備をするために、寝る1〜2時間前にぬるめの湯船につかって体温をちょっと上げるのは効果的です。湯船につかる習慣がない妊婦さんや、上のお子さんとお風呂に入るためにゆっくりしていられないという妊婦さんもいるので、必ずしもこの入浴方法をすすめるものではありませんが、他の方法を取り入れてもなかなか眠れないという妊婦さんは試してみてもいいかもしれません。 ・就寝前1時間はTVやパソコン、携帯電話・スマホの使用を控える夜間に明るい光を浴びたり、明るい場所で眠ったりすると、眠るためのホルモンであるメラトニンの分泌を妨げます。特に電子機器のディスプレーから放つブルーライトはメラトニンの分泌を減らすため、就寝前1時間は使用を控えましょう。部屋の照明もLEDを使用せず、暖色系の照明や間接照明を活用しましょう。 ・寝床で悩みごとは考えない寝ようと思っているときや疲れているときに悩んでも、良い考えは浮かびにくいものです。眠れないのに眠ろうとすることもストレスになって睡眠不足になることもあります。眠れないときは気分転換することも大切です。その代わり、翌日は決まった時間に起床して、睡眠のリズムを少しずつ整えるように心がけましょう。 まとめ妊娠中は心身の変化が起こりストレスを感じやすいので、睡眠時間を意識的に確保して、心身ともにリラックスできる時間をもつことが大切です。出産後は赤ちゃんに合わせた生活となり、睡眠ペースをつかむのはとても大変です。妊娠中から自分の体と向き合い、その時期や状況に応じた睡眠サイクルを整えられるように工夫していきましょう。睡眠リズムは、産まれた赤ちゃんが成長していく過程でも関係して生活にも関わってきますので、妊娠中から早起きと朝食を食べる習慣を整えていきましょう。 ■参考・助産師基礎教育テキスト妊娠期の診断とケア編集:森恵美日本看護協会出版2018年版・日本睡眠学会HP睡眠に関する基礎知識・NATIONAL SLEEP FOUNDATION RECOMMENDS NEW SLEEP TIMES・神山潤オフィシャルWEBサイト 監修者:医師 おおたレディースクリニック院長 太田 篤之 先生順天堂大学卒後、派遣病院勤務を経て、平成22年より順天堂静岡病院周産期センター准教授就任。退職後、平成24年8月より祖父の代から続いている「おおたレディースクリニック」院長に就任し現在に至る。著者:助産師 古谷真紀一般社団法人産前産後ケア推進協会プロジェクトリーダー大学病院勤務を経て、2015年より現職。妊娠中や産後の女性のココロとカラダの相談、ママパパ&赤ちゃんのちょっと気になるコトに日々応えています。
2019年10月22日今回は、妊娠中や出産時に起こりやすい痔についてお話しします。 妊娠中に痔になりやすい理由子宮が大きくなると、足から心臓へ戻る静脈が圧迫されるため、肛門周囲の静脈がうっ血しやすいこと、肛門が子宮に圧迫されやすい位置にあること、硬い便の排泄を繰り返すことから、妊娠中は痔になりやすいです。 妊娠すると、妊娠を維持する作用をもつプロゲステロン(黄体ホルモン)というホルモンが母体の中で増加しますが、このプロゲステロンは、腸の動き(蠕動運動)を抑える作用があります。妊娠前から慢性的に便秘があると、プロゲステロンの作用がさらに腸の動きを鈍くさせることになります。腸の動きが鈍くなることで便が腸内にたまりやすく、便が硬くなり、ようやく体外へ硬い便が排泄されたことをきっかけに、溜まっていた便が次々と排泄され、軟便~下痢便を排泄することもあります。便秘と下痢を繰り返すことで痔になる妊婦さんもいます。痔は痛み・出血・かゆみなどの症状が起こりますが、出血した場合、切迫早産などに伴う性器出血ではないか、おしるしではないかと驚かされることも少なくありません。妊娠中は特に症状がなくても、経腟分娩のときに強くいきんだことで、痔が発生することもあります。肛門からの出血であれば、妊娠や胎児への影響はありません。痔の症状は塗り薬だけで治るケースが多く、必ず手術しないといけないわけではありません。 妊娠中や出産時に起こりやすいおしりの症状・いぼ痔いぼ痔には、内痔核(ないじかく)と外痔核(がいじかく)があります。直腸(粘膜)と肛門(皮膚)の境目にできるものを内痔核、境目の外側にできるものを外痔核と呼びます。 内痔核の場合、最初はあまり症状がありませんが、次第に大きくなって出血したり、排便や出産のときに肛門の外側へ脱出してきたりします。軽度であれば、脱出しても指で押し戻すことが可能ですが、出血や痛みが続く場合は早めに受診したほうが良いでしょう。 外痔核の場合、小さいうちは軽い痛みですが、大きくなると肛門部分にしこりができて座るのも辛かったり、破裂して出血することもあります。外痔核はしこりが大きく痛みが非常に強い場合は手術が必要なこともあります。 ・きれ痔きれ痔は裂肛(れっこう)といいます。肛門部分は、通常の粘膜よりも血行が悪いですが、硬い便を無理やり押し出したり、緩い便を何回も繰り返すことで、直接便と接する部位が傷つき切れてしまうことがあります。 ・肛門周囲皮膚炎痔があることで、肛門周囲の皮膚にかぶれ・ただれ・かゆみが起こることがあります。妊娠中は便秘や下痢を繰り返すことで肛門が過敏になっていて炎症が起きることもあります。入浴やウォシュレットで清潔を保つことは大切ですが、せっけんでゴシゴシ洗いすぎると、かえってかゆくなることもあります。 いずれの場合も、妊娠中や産後に使用可能な塗り薬を使うことでほとんどは治りますので、症状に悩む場合は担当医に相談しましょう。 日常生活で気をつけること・肛門周囲の清潔を保ちましょう。肛門周囲が汚れていると細菌が繁殖して、かゆみや炎症を起こします。排便後にウォシュレットで洗浄したり、おしり拭きで軽く拭き取るなど、肛門部分の清潔を保つことは予防にもつながります。 ・おしりを冷やさないように気をつけましょう。おしりを冷やすと肛門周囲の筋肉の緊張が強くなります。正常な肛門は排便時に肛門括約筋の緊張を自然に緩めますが、緩みにくい状態で排便するときれ痔になりやすいです。また、血行が悪いときれ痔の治りも悪くなります。毎日湯船に浸かることは、肛門部分だけでなく体全体の血行を促し、症状を和らげるのに役立ちます。 ・便秘や下痢に注意しましょう。妊娠中は便秘や下痢を起こしやすいので、食事や運動、睡眠などの生活習慣を見直しましょう。必要があれば下剤や整腸剤を産婦人科で処方してもらい、肛門部分に負担のかからない排便を心がけましょう。特に便が硬いことで肛門部分に傷ができたり、出るときの痛みがつらいようなときは、酸化マグネシウム製剤という緩下剤で便を柔らかくすることで、症状が改善されることがあります。 ・同じ姿勢を続けないように過ごしましょう。座ったままや立ちっぱなしなど同じ姿勢で長時間過ごすと、肛門のうっ血をきたすことがあります。肛門への圧迫を避けるため、姿勢を変えたり、軽いストレッチをするなど、肛門周囲の血行を促しましょう。 妊娠中の痔に使う薬は?痔の薬は、飲み薬に比べると薬の成分が体に吸収される量が少ないので、比較的安全に使える薬といえます。しかし、長期間は使わないほうが良いと考えられるもの(ステロイド入り)や、妊娠中には使わないほうが良い抗生物質の含まれている軟膏などもあります。いずれにしても使用にあたっては、産婦人科医とよく相談すると良いでしょう。 出産すると、痔は自然に治る?妊娠や出産をきっかけにできた一時的な痔は自然に治ることもありますが、症状を我慢したり、悪化した状態で出産や子育てをすることはつらいことです。 妊娠中は、産婦人科に相談しましょう。症状がつらい場合は、肛門科などの専門医を紹介してもらいましょう。出産直後は入院中や退院時の診察で、自然に治ることが期待できるのか、治療が必要かについて担当医に相談しましょう。 産後は1カ月健診を終えると、産婦人科へ通うことがなくなり、改めて医療機関を受診するきっかけをつかめないまま子育てをする人は多いです。症状がつらい場合は、早めに肛門科を受診して相談しましょう。 まとめ妊娠中に痔になったら塗り薬で治るケースも多いので、悩むよりもまずは産婦人科に相談しましょう。 参考:・産婦人科診療ガイドライン産科編2017・肛門疾患(痔核・痔瘻・裂肛)診療ガイドライン2014年版日本大腸肛門病学会・Pigot F et al:Risk factors associated with hemorrhoidal symptoms in specialized consultationGastroenterol Clin Biol 2005;29:1270-1274・高野正博 妊娠・分娩と痔疾患日本大腸肛門病学会雑誌43(6)19901077-1082 監修者:医師 産科婦人科福岡医院院長 福岡 正恒 先生京都大学医学部卒。同大学院修了後、京都大学助手、講師を経て、平成11年より産科婦人科福岡医院院長。京都大学在職中は、婦人科病棟や産科病棟などを担当。またこの間、英国エジンバラ大学・生殖生物学研究所に留学。日本産科婦人科学会・産婦人科専門医,京都大学医学博士著者:助産師 古谷真紀一般社団法人産前産後ケア推進協会プロジェクトリーダー大学病院勤務を経て、2015年より現職。妊娠中や産後の女性のココロとカラダの相談、ママパパ&赤ちゃんのちょっと気になるコトに日々応えています。
2019年09月24日妊娠中に、なんだか胃の調子が良くない、胃がムカムカする、胃が痛いなどの症状が起きたことのある妊婦さんも多いのではないでしょうか。妊娠中は、胃の調子が悪くなりやすいです。そのため、今回は妊娠中に起こりやすい胃の不調の原因や胃薬の服用、注意したい胃の不調についてお話しします。 妊娠中に胃の調子が悪くなるのはなぜ?妊娠中の生理的な変化によって胃の調子が悪くなりやすい理由は、以下の5点が挙げられます。 ①妊娠を維持するホルモンの作用妊娠すると、妊娠を維持する作用をもつプロゲステロン(黄体ホルモン)とリラキシンいうホルモンがお母さんの体の中で増加します。このホルモンは、消化器系の筋肉の運動を緩めさせて、腸の動き(蠕動運動)を抑制する作用があります。これは、食べ物を胃や腸内をゆっくりと時間をかけて移動させることで、効率よく栄養の吸収をするためですが、時に消化不良を招くこともあります。食道と胃の境界にある筋肉が緩むと、食べ物が胃液と共に胃から食道へ逆流して胸やけが起こることもあります。妊娠週数が進むと大きくなる子宮が胃を押し上げるため、なんだか胃の調子が悪い、胃がムカムカする、胃が痛いなどの症状が起こりやすいです。 ②食生活の変化妊娠初期はつわりがあるときに、水分を多く含む食品や冷たい飲み物を大量に摂取することで、胃腸が刺激され消化不良になり調子が悪くなることがあります。妊娠中期以降は、食べる量の変化や、胎児の成長と共に子宮が胃腸を圧迫することで、消化不良を起こしやすく、なんだか胃の調子が悪い、胃がムカムカする、胃が痛いなどの症状が起こることがあります。胃の調子が悪いときは、できるだけ脂肪の少ない食品をやわらかく調理した食事を摂るように心がけましょう。酸味や辛味の強い料理、水分の多い食品、乳製品、炭酸飲料は、胃腸に対する刺激が強いので控えめが良いでしょう。 ③つわりで何度も嘔吐を繰り返す、嘔吐物に血液が混じるつわりで何度も吐くことで、胃の調子が安定しないことがあります。何度も繰り返し吐くことで、食道と胃の境界付近の粘膜が傷つき、血を吐くことがあります。この状態をマロリーワイス症候群といいます。妊婦さんが繰り返し吐いてマロリーワイス症候群となった場合、血を吐くといっても実際に交じっている血液は少量で、直ちに赤ちゃんの生命や母親の健康に危険が及ぶというわけではありません。しかし、胃の不調があって血液混じりの嘔吐をする場合は、つわりが重症で最低限の体の中のバランスが崩れていることが多いので、早めに産婦人科を受診しましょう。 ④鉄剤の内服による副作用妊娠中は貧血になりやすいですが、病院で処方された鉄剤を内服し始めたばかりの時期に、なんだか胃の調子が悪い、胃がムカムカする、胃が痛いなどの副作用が起こることがあります。共に処方された鉄分の吸収を促すビタミンCを含むビタミン剤を内服することで、消化不良が助長されるケースもあります。鉄剤は胃酸の影響を受けるため、胃薬(胃粘膜保護剤)と共に内服する、あるいは内服のタイミングを工夫する(例:食後ではなく、食間や睡眠前に内服する)ことで、副作用である胃のムカつきや胃痛などの消化器症状を抑えることもできます。鉄剤を内服し始めてから胃の調子が悪いと感じる場合には、次回の妊婦健診を待たずに医師や助産師へ相談しましょう。 ⑤精神的なストレス妊娠に伴う緊張感や生活環境から受けるストレスによって自律神経が乱れ、胃の調節機能が働かなくなることがあります。本来食物を消化するときに分泌される胃酸が、食物がないときにたくさん分泌されることで、自分の胃粘膜を攻撃して胃痛が起きたり、胃もたれや胸やけなどが起きる原因となります。 妊娠中に胃の不調…胃薬を飲んでも大丈夫?妊娠中は生理的な変化によって胃の調子が悪くなりやすいですが、自己判断で市販の胃薬を内服したり、自然治癒を期待して受診せず症状を長引かせたりすることはやめましょう。 なぜ胃の不調が起きているか原因は診察しないとわかりません。胃薬には、胃酸の分泌を抑えるタイプ、胃酸を中和するタイプ、胃粘膜を保護するタイプなど数種類あります。医師が診察をして原因に合わせた処方をしますので、市販の胃薬や過去に処方された胃薬を自分の判断で内服しないようにしましょう。 妊娠中に一般的に処方される胃薬の主成分の一般名と代表的な商品名は以下の通りです。 ・制酸剤一般名:乾燥水酸化アルミニウムゲル水酸化マグネシウム(商品名:マーロックス)・防御因子増強剤一般名:スクラルファート(商品名:アルサルミン)一般名:テプレノン(商品名:セルベックス)一般名:アズレン L- グルタミン(マーズレン S)一般名:レバミピド(ムコスタ) 以下のH2受容体拮抗薬やプロトンポンプ阻害薬は、胃酸分泌を抑える効果が高く、胃酸過多の状態にはとても有効な薬剤です。妊娠中でも、必要性があれば使用しても良い薬剤(一般的に有益性投与と呼ばれています)に分類されていますし、FDA(米国食品薬品局)の安全性カテゴリー分類でもほぼ安全とされていますが、担当の医師と相談し慎重に使用するのが良いでしょう。 ・H2受容体拮抗薬一般名:ファモチジン(商品名:ガスター)一般名:シメチジン(商品名:タガメット)・プロトンポンプ阻害薬一般名:ランソプラゾール(商品名:タケプロン) つわりや胃部の不快感などに、漢方薬も広く使用されています。小半夏加茯苓湯、五苓散、六君子湯などが用いられていますが、漫然と使い続けるのは避けましょう。 妊娠中の禁忌薬についてプロスタグランデイン製剤(商品名:サイトテック)や制吐剤(商品名・ナウゼリン)などのように妊娠中には、使用禁忌の薬剤もありますから、いずれのお薬を使用するにしても、勝手に使うのではなく、担当の先生ときちんと相談してから使うようにしましょう。※参考:薬物治療コンサルテーション妊娠と授乳第2版南山堂 有益性投与について胃薬を含めて多くの薬剤は、製薬メーカーの説明書では、妊娠または妊娠の可能性のある婦人は、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与することとあります。このような表示ではそれら薬剤の使用はほとんど問題ないのですが、医師や薬剤師に相談しましょう。 胃痛以外に症状があったら要注意!妊娠中に胃が不調となることは珍しいことではありませんが、妊娠経過に影響することもあるため見過ごしてはいけない症状でもあります。下記のようなケースは早期発見と治療が大切です。 ・細菌やウィルスなどの感染の可能性がある。妊娠中は抵抗力が弱まり、妊娠していない状態よりも細菌やウィルスなどに感染しやすいため、食中毒や胃腸炎を起こすことがあります。胃やおなかが痛いだけでなく、嘔吐や発熱を伴う場合は、早めに産婦人科へ受診しましょう。やむを得ず、内科や消化器内科など他の診療科や医療機関を受診する場合は、妊娠していることを伝えて診察を受けましょう。・HELLP(ヘルプ)症候群の可能性がある。HELLP(ヘルプ)症候群とは、赤血球が壊されること、肝機能の悪化、血小板の減少を特徴とした母子の生命が急激に危険な状態になる疾患です。HELLPは、Hemolysis(溶血:血液中にある赤血球が破壊されること)Elevated Liver enzyme(肝酵素上昇:肝臓の機能が悪くなること)Low Platelet(血小板減少)の頭文字に由来しています。 多くは妊娠高血圧症候群に合併して起こりますが、合併がなく突如発症することもあります。明らかな原因は不明ですが、症状を放っておくと臓器にダメージを与え母親の命にも関わる病気なので、妊娠を終了させること=出産することが唯一の治療方法です。 HELLP症候群は、主に妊娠後期(妊娠28週以降)~出産後48時間以内に起こることが多く、突然胃痛(心窩部痛)に襲われ、疲労感や吐き気・嘔吐、下痢の症状を伴います。妊娠中に起こりやすい症状と似ているため、単なる体調不良や風邪と思ってしまう妊婦さんもいますが、母子の生命を守るためには早期発見と治療が大切です。突然胃痛が起きて身動きがとれない、吐き気や嘔吐など症状がある場合は、直ちに産婦人科へ受診しましょう。 まとめ妊娠中は、胃の不調が起きやすいですが、自己判断で市販の胃薬を飲んだりせずに調子が悪いときは医師の診察を受けて適切な治療を受けましょう。対策を取ることで、症状は軽減できますので、無理をしないようにしましょう。 参考:・産婦人科診療ガイドライン産科編2017・薬物治療コンサルテーション妊娠と授乳第2版南山堂・医薬品情報データベース 監修者:医師 医療法人至誠会 梅田病院院長 北川 博之 先生昭和56年愛媛大学医学部卒業。その後愛媛大学付属病院にて産婦人科講師、助教授として勤務。愛媛県立医療技術大学教授を経て、平成20年より現職の梅田病院に院長として就任。現在も愛媛大学、広島大学などで非常勤講師として教育にも従事。著者:助産師 古谷真紀一般社団法人産前産後ケア推進協会プロジェクトリーダー大学病院勤務を経て、2015年より現職。妊娠中や産後の女性のココロとカラダの相談、ママパパ&赤ちゃんのちょっと気になるコトに日々応えています。
2019年09月18日避妊や生理不順の改善として服用されることが多い経口避妊薬「ピル」。妊娠を希望する女性とは縁遠いイメージですが、実は妊娠に有効な薬として妊活中の女性にも用いられているそうです。 避妊に高い効果を期待できる薬で妊娠を目指す。矛盾したようにも聞こえる「妊活」と「ピル」の関係についてお話しします。 ピルの成分と効果は?女性の体の中では、妊娠に向けて毎月1回卵巣から卵子が排出されます。また、子宮の内側には子宮内膜といわれる血液のクッションが作られ、着床しないと体の外へ排出されます。これが生理です。 この一連の働きには「エストロゲン」と「プロゲステロン」という2つの女性ホルモンが関係していて、それぞれの分泌量によって排卵や月経をコントロールしています。 ピルには女性ホルモンと同じ成分が含まれており、生理周期に合わせて28日周期で毎日服用することでエストロゲンとプロゲステロンの分泌量を一定にし、妊娠しているときと同じホルモンバランスを保つ働きをします。そのため、子宮内は“疑似妊娠”の状態。すると、以下のような効果を得られます。 ・排卵が休止する・子宮内膜を厚くしない・受精卵が子宮内膜に着床しにくくなる・子宮頸管から分泌される粘液の濃度が変化し、精子が通り抜けにくくなる ピルで妊娠に備えた身体づくり子宮内が妊娠中と同じ状態になることで、避妊率が高まったり、子宮内膜が減少して生理痛の緩和や子宮内膜症の予防ができたりと、女性にとって嬉しい効果を得られるピル。でも、妊娠を望む女性にとっては逆効果に見受けられますよね。 確かにピルの服用中は排卵そのものがされないため、妊娠は望めません。しかし、妊娠に備えた身体づくりに役立つ次のような効果があります。 ●卵巣の働きを休め、老化スピードを和らげる初潮を迎えると毎月1回卵巣から卵子を排出するようになります。妊娠に至らなければ、閉経までの数十年ものあいだ休みなく排卵を繰り返すことになり、卵巣はおのずと疲弊してしまいます。 ピルで排卵を抑制すると卵巣の働きが休まるので、老化スピードを和らげることができます。 ※ 卵巣の老化スピードは遅くなりますが、卵子自体の退化を遅らせるわけではないので注意 【関連記事】>> 子供ができないのは「卵子の老化」が原因?妊娠の確率を上げる方法 ●ホルモンバランスが整う妊娠に密接な関係がある女性ホルモン。ホルモンバランスが乱れると妊娠しづらくなるだけでなく、さまざまな婦人科系の病気を引き起こすこともあります。 ピルを服用してホルモンバランスが整うと子宮環境が良くなり、不妊の原因になる病気の予防ができます。 ピルを止めていよいよ妊活!ピルで子宮環境を整え、妊娠しやすくなる準備をする。それが、ピルと妊活の本来の関係。 ピルは妊娠を希望するタイミングでいつでもやめることができます。服用をやめると排卵が促されるので、最初の排卵と性交のタイミングが合い、着床しづらいなど不妊につながる原因がなければ、最短で1ヶ月以内に妊娠することも可能です。排卵の様子をみるためにも、基礎体温をつけておくといいでしょう。 ただ、ピルをやめて2ヶ月以上たっても生理が来ないようであれば、婦人科を受診して検査を受けてくださいね。 また、赤ちゃんへの影響を心配する声もよく耳にしますが、体内で分泌される女性ホルモンが原料なので、妊娠や赤ちゃんに悪影響を及ぼすこともありません。 ピルの正しい知識を身につけ、上手に活用して赤ちゃんを迎え入れる準備をしましょう。●ライター/パピマミ編集部
2019年08月09日そろそろ赤ちゃんが欲しいけれど、なんとなく自然の流れに任せているという人もいるのではないでしょうか。残念ながら、人間は妊娠しやすい生き物ではありません。若く健康な男女がタイミングを合わせても妊娠できる確率は1回で約3割と言われています。さらに男女共に年齢を重ねることで自然妊娠の確率は下がってきます。このコラムでは妊娠力を高めるための体づくりや食べものについて紹介します。 妊娠確定までの流れ性交渉をし、卵子と精子がうまく受精すると受精卵が、約1週間かけて子宮内に着床します。この状態で、妊娠が成立したといえます。このときはまだ妊娠の自覚症状はほとんどありません。妊娠4週以降になると生理の遅れなどに気づき始めます。体温が高めになり、だるさ、吐き気や胃もたれを感じる場合もあります。妊娠~5週では、超音波検査のときに胎嚢が確認できます。そして妊娠6週頃に心拍が確認できて、はじめて妊娠確定という状態になります。 ■受精から着床までの流れ↓↓↓ 妊娠しやすいタイミングはいつ?排卵されてから月経がはじまるまでの「黄体期」といわれる期間は、約14日間といわれています。月経周期は人それぞれ違いますが、次回の月経開始予定日から約14日前に排卵が起こることが予測できます。 また、女性の体温は月経から始まる低温期と、排卵以降の高温期の2つを繰り返します。基礎体温をはかっていると低温期から高温期に移る前に体温がぐっと下がる時期があり、この時期に排卵が起こる可能性が高いともいわれています。最も妊娠しやすいのは排卵日の1日前から排卵日です。続いて排卵日の3日前~排卵日翌日も妊娠の確立が高くなる時期です。 妊娠しやすい体づくりとは妊娠しやすい体づくりのためには、まず、女性ホルモンを整える必要があります。ホルモンは血液によって運ばれる物質です。そのために、「全身の血行をよくする」ことから始めてみましょう。日ごろから、適度な運動を取り入れることは大切です。足をあげて自転車こぎをしたり腹筋を鍛えたりといったエクササイズを行うことや、ウォーキングなどの適度な運動を行うことは、全身の血行がよくなり筋力も維持されるので、基礎体温も高まり代謝がよくなります。特に、骨盤内への血行が良くなると卵巣や子宮などの機能も高まります。また、妊娠にストレスは厳禁ですが、運動後、副交感神経が優位になることでリラックス効果が高まるために、運動が妊娠しやすい体に有効ともいわれています。 普段から良い姿勢を心がけ、できるだけ同じ姿勢を続けないようにしましょう。長時間の運転やパソコンでのデスクワークの際には、一時間ごとに立ってストレッチをするなど、体を動かすように気をつけてください。ぴったりしたジーンズやタイトスカートなど体を締めつけるような衣服も避けましょう。 「体を冷やさない」ことも大事です。クーラーのよく効いた部屋など寒いと感じる場所に長時間いると、下半身の血行障害が起こりやすくなります。足首などを温めたり、ストレッチをしたりと対策をとるようにしましょう。 逆に男性の場合は「温めすぎ」に注意してください。精巣の温度が上がりすぎると精子をつくる機能が低下します。冬場に長時間コタツにあたる、サウナに長居するなどは良くない例です。また、座ったまま同じ姿勢で長時間ゲームをする、テレビを視聴するのもよくありません。長時間精巣の血管が圧迫されることで活性酸素がたまり、精巣の温度も高くなるので精子の質を落としてしまいます。 妊活中のおすすめの食べ物妊娠しやすい体づくりのために、妊活中の食べものはとても大事です。きちんとバランスのとれた食事をとり、偏食を避けるようにしてください。野菜を中心に、肉、魚、卵などのたんぱく質を取り入れ、バランスよく食べることが大事です。その上で、妊娠力を高めるために女性に積極的にとってもらいたいものは、ビタミンです。 ビタミンB6、ビタミンEには女性ホルモンの分泌を促し、ホルモンバランスを整える働きがあります。また、月経前症候群のさまざまな症状を和らげる働きもあるといわれています。さらには血液循環を改善し、生理痛を和らげます。 そして、ビタミンB群の一種であるパントテン酸はストレス緩和作用のある副腎皮質ホルモンの合成・促進に関与しています。 ビタミンB6は、かつお・さんま・まぐろなどの魚類、ビタミンEはナッツ類、パントテン酸はアボカドや卵類に含まれています。 さらに、妊娠する前から「葉酸」を適度にとると、胎児異常を減らせることが最近分かってきました。妊娠を望むのであれば、日ごろから積極的に、野菜など葉酸を多く含む食品摂取を心がけましょう。また、妊活中はできるだけ禁煙し、お酒も控えめにしてください。 まとめ赤ちゃんがほしいと思って、すぐに授かれるのは幸運なケースです。赤ちゃんをのぞむ場合は早めに準備をするにこしたことはありません。バランスのよい食事や適度な運動を心がけ、夫婦ともに妊娠しやすい健康的な体づくりを始めましょう。一般に1年以上避妊せずに夫婦生活を送っても妊娠にいたらない場合は不妊の可能性があります。夫婦でよく相談して、必要であれば産婦人科へ相談・受診したり、不妊治療に進んだりすることも考えてみましょう。 参考・妊活のはじめてガイド5 | ロート製薬・葉酸について|エレビット (Elevit)|バイエル薬品 監修者:医師 医療法人 晧慈会 浅川産婦人科 理事長 浅川 恭行 先生1993年 東邦大学医学部卒業、1999年 東邦大学大学院医学研究科博士課程修了。浅川産婦人科の院長を務めるほか、日本産婦人科医会 幹事、東邦大学医療センター大橋病院 産婦人科学講座 客員講師、鶴見大学歯学部 産婦人科学講座 非常勤講師として活躍。
2019年07月26日妊娠によりママの体はさまざまな変化が生じます。そのなかのひとつに、ママは赤ちゃんに優先的に糖分を供給できる仕組みを作るようになり、代謝動態が変化します。しかし、このような変化が起きていることも知らずに食欲にまかせてついつい食べ過ぎてしまうと「妊娠糖尿病」になってしまうことも。そこで今回は、妊娠糖尿病の症状や治療方法、母体や赤ちゃんへの影響などについて解説します。 妊娠糖尿病とは妊娠糖尿病とは、妊娠中に初めて発見、または糖尿病にいたっていない軽い糖代謝異常のことを言います。妊娠中に診断された明らかな糖尿病は含まれません。妊娠糖尿病は世界共通の診断基準が提唱され、妊娠糖尿病の診断基準が2010年に改定されました。日本産婦人科学会によると、妊婦の7~9%は妊娠糖尿病と診断されるといわれています。 妊娠糖尿病の原因と妊娠糖尿病になりやすい人特に妊娠20週以降になると、胎盤から出るホルモンによって、血糖値(血液に含まれるブドウ糖の量)を下げるインスリンというホルモンが効きにくくなります。そのためママの血糖値が普段より高くなり、高くなった分のブドウ糖が赤ちゃんに供給されるようになります。そのため甘い物や炭水化物などを食べ過ぎると、血糖値が上昇しやすくなってしまいます。 さまざまな要因によって、通常の妊娠時よりもインスリンの働きが抑制されてしまうと、ママの血糖値が常に高い状態となり「妊娠糖尿病」を発症してしまいます。妊娠糖尿病は、妊娠が終了し、胎盤からのホルモンの影響がなくなると症状が消失していきます。 妊娠糖尿病になりやすい人の特徴を紹介します。 ◆妊娠糖尿病になりやすい人・家族に糖尿病にかかっている人がいる・肥満・35才以上・過去に4,000グラム以上の赤ちゃんを出産したことがある・尿検査で尿糖が陽性になったことがある、または反復して陽性になる 妊娠糖尿病の症状や診断、母体や胎児への影響妊娠糖尿病は、妊婦健診でおこなわれる尿検査や血液検査で発見されることがあります。妊娠糖尿病の症状、母体やおなかの赤ちゃんへの影響を紹介します。 症状喉が渇く、頻尿、倦怠感、体重の急激な変化などの症状があります。初期は自覚症状はほとんどなく、妊婦健診で血糖値の異常を指摘されて気づくことが多いようです。 診断妊婦健診でおこなわれる血液検査で、血糖値を測定し、基準値を超えた場合、75ℊ経口ブドウ糖負荷試験をおこないます。 経口ブドウ糖負荷試験というのは、空腹時にブドウ糖75ℊを溶かした液体を飲み、1時間後・2時間後に血糖値を測定します。75 g経口ブドウ糖負荷試験において、①空腹時血糖値≧92mg/dL②1時間値≧180mg/dl③2時間値≧153mg/dLのいずれかひとつを満たした場合、妊娠糖尿病と診断されます。 妊娠糖尿病による母体と赤ちゃんへの影響妊娠糖尿病になると、ママだけでなく、おなかの中の赤ちゃんにも健康リスクを与える可能性があります。◆母体への影響・流・早産・妊娠高血圧症候群・羊水過多症・巨大児出産の時に、産道裂傷、帝王切開率上昇など・将来、糖尿病を発症するおそれ ◆赤ちゃんへの影響・巨大児(生まれるときに肩甲難産、腕神経麻痺、骨折のおそれ)・胎児発育不全・胎児機能不全・子宮内胎児死亡・新生児低血糖・呼吸窮迫症候群(肺サーファクタントの欠乏により、多呼吸・陥没呼吸・呻吟・チアノーゼなどをきたす呼吸器疾患。早産児に多い)・低カルシウム血症、高ビリルビン血症・多血症(血液中の血球(主に赤血球)の割合が多い状態)など 妊娠糖尿病の治療方法妊娠糖尿病になった場合、早期の治療をおこなう必要があります。また、予防方法について解説します。妊娠糖尿病の治療には、血糖コントロールが必須です。そのため定期的に血糖値を測定する必要があります。そのため、自己測定をすすめられることが多くあります。その結果をみながら、治療方針が決定されます。 治療方法●食事療法治療の基本は食事療法ですが、栄養バランスのとれた食事内容でカロリーコントロールが必要になります。 ≪食事療法のポイント≫・甘い物や糖質の多い物を控える・ご飯やパン、麺類などの炭水化物を減らす・ささみや豚、脂身の少ない肉を摂取・魚、大豆製品、卵などの良質なタンパク質を摂取・食物繊維が多いキノコ類や野菜などを積極的に摂取 ●インスリン療法血糖コントロールが不良の場合におこなわれます。インスリンを定期的(毎食前、寝る前など)に注射し、血糖コントロールをおこないます。インスリン注射も、血糖測定同様、自己注射がすすめられます。その際は、インスリンの量や注射の方法など間違わないよう、きちんと指導を受けておこなうことが大切です。 妊娠糖尿病の治療中、低血糖になる可能性もあります。低血糖を放置すると母児ともに悪影響を及ぼす恐れもあります。低血糖症状(気分が悪くなる、吐き気、冷や汗など)がある場合は、すぐに血糖測定をして糖分を補給するようにしましょう。 治療方法妊娠糖尿病を予防するためには体重コントロールが重要です。妊娠中の体重増加目標は、妊娠前の肥満度によって異なります。バランスのよい食生活、散歩やウォーキング、掃除など、適度な運動をおこないましょう。ただし、妊娠中の運動は無理せずに体調をみながらおこなってください。 【適切な体重増加の範囲】BMI指標=実際の体重(kg)÷{身長(m)×身長(m)}・やせの人(BMI 18.5未満):+9~12kg・肥満度が標準な人(BMI 18.5~25未満):+7~10kg・妊娠前に肥満な人(BMI 25以上):+5kg以下 まとめ妊娠糖尿病は多くの人が出産後に血糖値が正常に戻りますが、糖尿病やメタボリック症候群など、将来のママや赤ちゃんの健康にも関係するといわれています。日頃からの生活習慣を気をつけて妊娠糖尿病を予防することが大切です。また、妊娠糖尿病になった方は糖尿病になる確率が高くなるため、産後もバランスのよい食事内容を工夫し、運動や生活習慣の改善をおこないましょう。 参考:・日本産科婦人科学会「妊娠糖尿病」・日本糖尿病・妊娠学会「糖尿病と妊娠に関するQ&A」 監修者:医師 三鷹レディースクリニック院長 天神尚子 先生日本医科大学産婦人科入局後、派遣病院を経て、米国ローレンスリバモア国立研究所留学。その後、日本医科大学付属病院講師となり、平成7年5月から三楽病院勤務。日本医科大学付属病院客員講師、三楽病院産婦人科科長を務めた後、退職。2004年2月2日より、三鷹レディースクリニックを開業。
2019年07月16日妊娠中は便秘になりがちです。なかなかスッキリ出ない日が続くと、おなかが痛くなったり、張りやすくなったりと、困る方も多いと思います。妊娠中に便秘になりやすい原因とはなんでしょうか?今回は、妊娠と便秘の関連性、そして自分でできる解消法、妊娠中に便秘薬(下剤)を使用について解説します。 妊娠すると便秘になりやすい?その原因とは妊娠中に便秘になる方も少なからずいます。妊娠前は便秘になったことがないという人でも、スッキリしない日が続き、イライラしてしまうことがあるかもしれません。ここでは、まずは妊娠中に便秘になりやすい原因をご説明します。 便秘の原因1:黄体ホルモンの影響で腸の運動が鈍くなる妊娠するとママの体内では黄体ホルモンの分泌量が増えます。黄体ホルモンには妊娠を維持する役割がある一方で、消化管の筋肉を弛緩させる作用があります。これによって消化管の運動が低下し、便が体内に長時間とどまってしまう原因になるといわれています。便が大腸内にとどまると、その間、便の水分が奪われてしまい、固い便になってしまいます。 便秘の原因2:子宮が大きくなり腸を圧迫する妊娠中は子宮が大きくなることも便秘の原因とされています。妊娠中期以後は大きくなった子宮が周辺の消化管を圧迫し、便秘をもたらします。このため、週数が増えるにつれ、便秘が悪化する人が少なくありません。 便秘の原因3:生活習慣の変化妊娠をきっかけに生活が変わることも便秘をもたらす要因のひとつです。つわりによって食事の栄養バランスが崩れたり水分が不足したり、運動不足になったりすることで、便秘につながると考えられています。 便秘の原因4:過度のストレス精神的なストレスも腸管の機能低下につながり、便秘をもたらす要因といわれています。 便秘の原因5:便意を我慢する習慣なかなかトイレに行けず、便意を我慢してしまうと、便通を悪化させる原因になります。接客業など、職業上の理由でトイレに行くのを我慢している人は、便秘になりやすいです。 妊娠中に便秘になったときの解消法・予防法便秘の解消・予防には食事や運動不足の改善が重要です。健康的な生活を過ごし、ストレスを溜めないようにすることも大切です。ここでは、自分でできる対処法をまとめました。 便秘解消法・予防法1:食事厚生労働省によると便秘対策として、次の栄養素を積極的に摂りいれることが望ましいとされています。(※1) ・食物繊維ごぼうなどに多く含まれる食物繊維には、排便リズムを回復させる作用があるといわれています。食物繊維を豊富に含むその他の食材としては大豆や緑黄色野菜、さつまいもなどが挙げられます。 ・脂質・糖分適度な脂質は脂肪酸が大腸を刺激し、糖分は腸管内で醗酵しやすく大腸運動を高めるため便秘対策に効果が期待できます。ただし、脂質や糖分は摂りすぎると肥満につながる恐れがありますので摂り過ぎには注意をしましょう。 ・豆類・いも類・かぼちゃ・くりいも類、栗、かぼちゃなども便秘対策としておすすめです。これらの食材は腸管内で発酵してガスを発生させる作用があります。 ・玄米・胚芽米精米される前のお米には食物繊維と同じ働きをする難消化性でんぷんが含まれています。便秘対策としては精米後の白米より玄米、胚芽米を積極的にとりましょう。 便秘解消法・予防法2:水分をしっかり補給する便が固くなるのを予防するためには水分補給も大切です。一般的に、1日あたりの水分摂取量は、飲む分と食事から摂る分をあわせて2ℓ程度必要ですが、妊娠中はより多めに摂ることが望ましいです。ただし、便秘になったからといって、一度に大量の水を飲むことはすすめられません。一度に大量の水を飲みつづけると、急激な体重増加やむくみの原因になることがありますので気をつけましょう。十分な水分を摂取することも大切ですが、飲みやすい量をこまめに飲むことが重要です。 便秘解消法・予防法3:適度な運動をおこなう習慣的に体を動かすことも便秘の予防に効果的だといわれています。医師の指導のもと、マタニティヨガや水泳、ウォーキングなど、妊娠中でも実践できるものを選んで、生活に取りいれましょう。 便秘解消法・予防法4:ストレス解消妊娠中は体のこと、仕事や家のことなど、ストレスがつきものですが、過度なストレスが溜まると便秘だけでなくさまざまな症状を引き起こす恐れがあります。周囲の協力を得ながら、忙しい毎日の中でも息抜きの時間を確保しましょう。 便秘解消法・予防法5:食事は規則正しくとり、食後はゆっくり過ごす規則正しい食事は腸のリズムを整えます。夜遅い時間や寝る前の食事は避けましょう。 また、便秘解消には、便意を我慢しないことが重要だといわれています。個人差がありますが、食後に便意を感じる人が多いため、食後はトイレの時間を確保しておくことがおすすめです。 妊娠中に便秘薬(下剤)を使用しても大丈夫?日頃から注意していても、便秘を繰り返してしまうときは、薬の助けが必要なときもあると思います。では、妊娠中に便秘薬(下剤)を使用してもよいのでしょうか? 妊娠中でも使用できる便秘薬もありますが、妊娠経過や時期によっては注意が必要です。普段から使っている薬であっても安易には使用せず、医師に相談しましょう。強い下剤や浣腸などの使用は、子宮の収縮を誘発して流・早産の原因となることがあります。とくに妊娠初期には注意が必要で、便秘と下痢を繰り返すことも多く、下剤の使用により腹痛や下痢が起こりやすいので、基本的に服用はすすめられません。 安定期に入ってからは、比較的安全に下剤が使えるようになりますが、慢性的な便秘は腹痛の原因となることがあります。また、長時間トイレでいきみ続けると、子宮が収縮したり、外陰部が腫れたりする原因になることがあります。何日も便秘が続くときは、このようなことが起こらないうちに、医師に相談してみて下さい。 まとめママの体にさまざまな変化が起きる妊娠中、便秘に悩まされるのは辛いものです。妊娠中は便秘にならないよう、日頃から食事に気を遣い、適度に体を動かしましょう。症状が重い場合は、早めに医師に相談してください。 参考※1厚生労働省e-ヘルスネット「便秘と食事」 監修者:医師 産科婦人科福岡医院院長 福岡 正恒 先生京都大学医学部卒。同大学院修了後、京都大学助手、講師を経て、平成11年より産科婦人科福岡医院院長。京都大学在職中は、婦人科病棟や産科病棟などを担当。またこの間、英国エジンバラ大学・生殖生物学研究所に留学。日本産科婦人科学会・産婦人科専門医,京都大学医学博士
2019年07月06日妊娠7カ月ころ、お風呂に入ると脚がかゆく、「乾燥のせいかな~」と思っていました。しかしそれは日に日にひどくなっていったのです……。 それは季節の変わり目だった妊娠7カ月になり、おなかも大きくなってきたころでした。ある日お風呂に入ると、脚のすねあたりがかゆく、かくと赤くブツブツができてしまいました。季節の変わり目で肌が乾燥しているせいかな~と、そのときは軽く考えていたのです。 かゆみに毎晩悩まされるようにしかし日に日にかゆみは増していきました。決まって夜、お風呂に入るころからかゆくなり、夜中はかゆみで目が覚めるほどに。範囲も最初は脚だけだったのが、だんだん全身に広がっていきました。 居ても立ってもいられず調べてみると、妊娠中に肌がかゆくなる「妊娠性痒疹(にんしんせいようしん)」という症状があることを知りました。産院に相談したところ、「程度は異なるけれど、かゆみが出る人は少なくない」とのことで、塗り薬を処方してもらいました。 わたしは「よもぎ」で乗り切った!しかし、とにかくかゆくて夜も眠れないほどで、塗り薬はそう何度も塗れないし、すぐになくなってしまいます。そこで、何か普段から使える対処法はないか?といろいろ調べました。 そこで私がたどり着いたのは「よもぎ」でした。よもぎは肌荒れやかゆみ、乾燥対策によいとされ、古くから薬草として使われていたそうです。かゆみで目が覚めたらよもぎローションを塗ってなんとか気を休め、日中はよもぎ茶を飲んだり、お風呂にはよもぎの葉で作られた入浴剤なども入れました。 結局完全に治ることはないまま臨月を迎えたのですが、臨月になると嘘のようにかゆみがおさまりました。しかし、よもぎ茶はノンカフェインで体も温まるし、よもぎ風呂も香りがよく気に入っていたので、その後も使い続けていました。妊娠性痒疹は、わたしの場合「よもぎ」でなんとか乗り切ることができました。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 著者:ライター 岩崎未来三児(女・女・男)の母。出版社・編集プロダクションの勤務を経たのち、第一子出産を機にフリーランスに。現在は会社役員という肩書きを持ちながらも、ライター・編集者としても活動中。
2019年05月11日妊娠中には、体にさまざまな変化がありますが、その中でも妊娠中に眠れなくて悩んでいる方も多くいるのではないでしょうか。不眠は、妊娠初期から後期まで起こりやすいマイナートラブルの1つです。なぜ妊娠中に不眠になりやすいのか、眠れないときの対処法や睡眠薬の服用についてお話ししていきます。 妊娠中に不眠になりやすいのはなぜ?妊娠中に不眠になってしまう原因は、ホルモンバランスの変化と体型の変化です。ここでは、妊娠初期・中期・後期に分けて、不眠の原因や症状を紹介していきます。 妊娠初期妊娠初期は、ホルモンバランスが変わることにより、体が大きく変化していきます。特に黄体ホルモン(プロゲステロン)が多く分泌されることで、頭痛や吐き気、腰痛、腹痛、ほてり、微熱といった体調不良が起こり、不眠の原因となります。また、強い眠気が襲ってくることもありますが、日中に眠気がくることで体内時計がくるってしまい、夜に眠れなくなることもあります。さらに精神面でも、妊娠に対する不安や普段とは違う体の変化に戸惑い、不眠になりやすくなります。 妊娠中期妊娠中期にももちろんホルモンバランスは変化していきます。さらにおなかが出始めてくることによって、妊娠前に比べると寝る姿勢が変化していきます。睡眠時に人は何度も寝返りをうちますが、おなかが大きくなっているため腰痛や骨盤の痛みを感じ起きてしまうことがあります。また、子宮が大きくなることで、膀胱が圧迫されトイレが近くなることにより、夜何度か目が覚めてしまうことがあります。 妊娠後期妊娠後期になると、睡眠の質に変化が現れます。まずおなかの中の赤ちゃんが成長し、おなかがより大きくなることで、仰向けで寝るのが苦しくなってしまいます。また、胎動や赤ちゃんのしゃっくりなど、おなかが波打つようになり、それで目が覚めてしまうこともあります。そして、熟睡状態のノンレム睡眠ができなくなり、眠りが浅くなります。 また、原因はわかっていませんが、妊娠後期にはレストレスレッグス(RLS)症候群を発症しやすいと言われています。これは脚がむずむずする症状であり、夜に起こってしまうと何とも言えない不快感で眠れなくなってしまいます。(※)さらに、分娩が近くなっておなかがよく張るようになってくると、緊張感・不安感が増して眠れなくなることもあります。 ※参考:日本神経治療学会「標準的神経治療:Restless legs症候群」(IV 二次性Restless legs症候群 4.妊娠とRLS) 睡眠不足がおなかの中の赤ちゃんに与える影響は?妊婦さんの睡眠不足は、おなかの中の赤ちゃんへの影響があるという報告はほとんどありません。赤ちゃんは、お母さんの睡眠リズムとは異なるリズムで寝ているので、お母さんが眠れなくてもおなかの中で赤ちゃんは眠れています。しかし、つわりや頭痛、貧血など睡眠不足になっている理由によっては、赤ちゃんに影響があることがあります。 また、睡眠不足では、お母さんの体力は落ちやすいです。日常生活で注意散漫になりけがをしやすくなったり、分娩のときには寝不足で最後まで体力が持たなくなることもあります。それにより、けがや分娩が長引き、赤ちゃんに影響を及ぼす可能性もあります。 妊娠中は睡眠薬を飲んでもいい?妊娠中に使う薬には注意が必要であり、自分の判断で服用してはいけません。また、妊娠中に睡眠薬を服用することは、推奨されておりません。 妊娠初期の服用は、一番赤ちゃんへの影響が出やすい時期ですが、妊娠末期でも服用による影響が出る可能性があります。しかし、不眠が原因で心身に大きな影響が出るようになれば、医学的に睡眠薬が必要となる場合があります。また、妊娠前から治療で睡眠薬を服用していた方は、妊娠中も服用を続ける必要があることもあります。妊娠がわかったら、薬の量を減らしたり種類を変えたりする可能性があるので、早めに専門医に相談しましょう。 眠れないときの不眠解消法は?なかなか眠くならない、疲れているのに眠れないときについて、妊婦さんでも安心して使える不眠解消法を紹介していきます。 ・ハーブティーでリラックスハーブにはリラックスし安眠できる作用があります。カフェインレスで、リラックス効果が期待できるハーブティーを飲みましょう。 ・抱き枕で寝る姿勢を整えるおなかが大きくなり重くなってくると、寝る姿勢を整えるのも一苦労です。そういうときは、抱き枕を使ったり、布団を丸めて足に挟んだりすると、腰痛や骨盤の痛みも和らぎやすくなります。 ・スマートフォンやテレビを見ない寝る前にスマートフォンやテレビを見る人も多いかと思います。しかし長時間見ることでブルーライトが目に入り、安眠を妨げてしまいます。なるべく寝る前や長時間のスマートフォン操作やテレビを見るのはやめましょう。 まとめ妊娠中は、ホルモンバランスや体調・身体の変化など、さまざまな要因で不眠におちいりやすくなります。そんなときは、上に書いたような不眠解消法を試したり、体調が良ければ散歩などをして体を動かしてみると良いでしょう。眠れないために心身に変調をきたすようであれば、治療が必要な場合もあります。 監修者:医師 産科婦人科福岡医院院長 福岡 正恒 先生京都大学医学部卒。同大学院修了後、京都大学助手、講師を経て、平成11年より産科婦人科福岡医院院長。京都大学在職中は、婦人科病棟や産科病棟などを担当。またこの間、英国エジンバラ大学・生殖生物学研究所に留学。日本産科婦人科学会・産婦人科専門医,京都大学医学博士
2019年04月27日妊娠をすると、便秘に悩まされる方も多いのですが、逆に下痢に悩む方もいます。今回は、妊娠中に起こりやすい生理的な変化に伴って起こる下痢と、細菌やウィルスなどの感染によって起こる感染性の下痢について解説します。 生理的な妊娠中の下痢について妊娠中は、生理的な変化に伴い下痢が起こることがあります。主な原因は次のものになります。 プロゲステロン(黄体ホルモン)の作用妊娠すると、妊娠を維持する作用をもつプロゲステロン(黄体ホルモン)というホルモンが母体の中で増加します。このプロゲステロンは、消化器系の内面の平滑筋を緩めさせて、腸の動き(蠕動運動:ぜんどううんどう)を抑制する作用もあります。これは、食べ物を胃や腸内をゆっくりと時間をかけて移動させることで、効率よく栄養の吸収をするためです。プロゲステロンによる腸の動きが鈍くなることで、便が腸内に長く留やすくなります。その後、ようやく体外へ硬い便が排泄されたことをきっかけに、溜まっていた便が次々と排泄される際に、軟便~下痢便になることがあります。 慢性的な便秘の影響妊娠前から慢性的に便秘があると、プロゲステロンの作用が、さらに腸の動きを鈍くさせることになります。直腸内に便が溜まって自力で容易に排便できない便塞栓が生じた場合、直腸の粘膜と便のわずかな隙間から液状の便が漏れ出てきて、下痢と間違えるケースもあります。 食生活の変化妊娠前から慢性的に便秘があると、プロゲステロンの作用が、さらに腸の動きを鈍くさせることになります。直腸内に便が溜まって自力で容易に排便できない便塞栓が生じた場合、直腸の粘膜と便のわずかな隙間から液状の便が漏れ出てきて、下痢と間違えるケースもあります。 鉄剤の内服による副作用妊娠中は貧血になりやすいですが、鉄剤を内服し始めたばかりの時期に、下痢や便秘などの副作用が起こる場合もあります。併せて処方された鉄分の吸収を促すビタミンCを含むビタミン剤を内服することで、下痢や便秘などの消化器症状が助長されるケースもあります。鉄剤を内服し始めてから下痢が起こった場合は、早めに医師や助産師へ相談しましょう。 精神的なストレス妊娠に伴う緊張感や生活環境から受けるストレスによって自律神経が乱れて、腸の動きが活発になりすぎて、下痢を起こすことがあります。 感染性の妊娠中の下痢について妊娠中は抵抗力が弱まり、妊娠していない状態よりも細菌やウィルスなどに感染しやすいため、食中毒や胃腸炎によって下痢になることがあります。感染性の下痢が必ずしも流産や早産、胎児へ悪影響を起こすわけではありませんが、もし感染源に心当たりがあれば、早めに受診して治療を受けましょう。ここでは原因となる代表的な菌やウィルスについて説明します。 カンピロバクター感染源:加熱が不十分な肉料理。菌が付着した調理器具や手指が更なる感染を起こすこともある。特徴:加熱に弱い菌であるが、低温に強いため冷凍庫や冷蔵庫のなかでも死滅しない。潜伏期:2~5日症状:腹痛、下痢、発熱など予防:肉類は十分に加熱する。調理後の調理器具や手指は、しっかり洗浄・消毒する。 サルモネラ感染源:卵特徴:食中毒を起こす代表的な菌。食品を低温で保存し十分に加熱調理することで死滅する。潜伏期:潜伏期8~48時間症状:吐き気や嘔吐から始まり、腹痛や下痢を起こす急性胃腸炎が起こることが多い。予防:妊娠中は生卵を避ける。卵は必ず冷蔵庫に保管して、短期間に消費する。調理する際は、卵黄も卵白も固くなるまで十分に加熱して菌を死滅させる。 ウェルシュ菌感染源:菌が付着した肉や魚の入ったカレーやシチュー、スープなどの煮込み料理。特徴:熱に強く、空気を嫌う。潜伏期:6~18時間症状:腹痛や下痢対策:加熱調理したものを常温で放置しない。一晩以上、常温で放置した煮込み料理は食べない。 ノロウィルス感染源:主に加熱調理が十分でない二枚貝(牡蠣、ホタテ、ムール貝など)。ウィルスに感染した人が調理した食品。特徴:冬場に流行する食中毒や胃腸炎の原因となる。潜伏期:1~2日症状:嘔吐や下痢などの急性胃腸炎を起こす。予防:貝類は十分に加熱する。調理後の調理器具や手指は、しっかり洗浄・消毒する。 妊娠中に注意が必要な食中毒食中毒を起こす一部の菌や寄生虫の種類によっては、妊婦が感染すると、胎盤や胎児へ移行して、流産や早産、死産、あるいは産まれた赤ちゃんへ影響を及ぼすことがあります。下記の2つは、特に妊娠中に感染しないように注意が必要ですが、妊婦さん本人は感染しても必ず下痢をともなうわけではなく、無症状なことがあります。 リステリア菌食中毒の原因となる菌。発育する温度の幅が広く、塩分に強く、冷蔵庫の中でも増殖する菌です。感染してもなにも症状が起こらないケースもありますが、妊婦が感染すると倦怠感や発熱などインフルエンザのような症状を起こし、時に吐き気や下痢を起こすことがあります。 【リステリア菌による食中毒を起こす危険性のある食品】・生肉レアステーキ、ローストビーフ、生レバー、馬刺し、鳥刺し、ジビエ(野生鳥獣の肉)、ユッケ・加熱殺菌されていない食品生ハム、生ベーコン、生サラミ、スモークサーモン、肉や魚のパテ、未殺菌の牛乳、コールスローサラダ、コーンサラダ、カニカマ・加熱処理されていないナチュラルチーズブルーチーズ、カマンベールチーズ、チェダチーズ、モッツァレラチーズ※日本製のものは加熱処理されている製品もありますが、製品によって異なるため食品表示を確認しましょう。輸入品は加熱処理していない製品が多いので、食べないほうが安心です。 トキソプラズマ加熱が不十分な肉や感染したばかりのネコの糞や土の中にいる寄生虫で、妊婦が初めて感染した場合は、流産や死産、赤ちゃんの脳や視力に障害(先天性トキソプラズマ症)が生じることがあります。 妊娠中に下痢になったときに心がけること■まずは自己判断せずに、医師や助産師へ相談する妊娠中に下痢が起こることは珍しいことではありませんが、妊娠にともなう生理的な変化によるものか、それともなんらかの感染によるものなのか、自分で判断することは難しいです。下痢が続く場合は、次の妊婦健診を待たずに早めにかかりつけの産婦人科を受診して相談しましょう。診察の結果に応じて、妊娠中に内服可能な整腸剤などが処方されますので、下痢止めや整腸剤、吐き気止めの効果のある市販薬や常備薬、過去に処方されたお薬を自己判断で飲むことはしないほうが良いです。 ■水分をこまめに補給する脱水を予防するために、こまめに水分を摂りましょう。水分補給には、胃腸の刺激になりにくい温度(冷たすぎず、熱すぎない)で糖分を含まない水や麦茶などが適しています。水分を飲みこみづらい場合は、胃腸へ刺激にならない程度に、氷の欠片をなめたり、砕いた氷を食べて水分を補ってもかまいません。食事もとれず、水分を飲みこむことさえ難しい場合は、入院治療が必要な可能性がありますので、速やかに産婦人科へ受診しましょう。 ■腸に刺激を与えるものは避ける下痢が続いて、食欲がないときは、できるだけ食物繊維や脂肪の少ない食品をやわらかく調理した食事を摂るように心がけ、酸味や辛味の強い料理、水分の多い食品、乳製品などの腸の動きを刺激するものは控えましょう。食事が摂りづらい状況が続くと、清涼飲料水、飴やガムなどで空腹を満たす方もいますが、清涼飲料水や菓子類に含まれる人工甘味料は、腸内で消化吸収されにくい性質をもち、時に急激に腸の動きを活発にして下痢の原因となることもありますので、下痢が続く間の摂取はなるべく控えましょう。 ■イオン飲料の飲みすぎに注意する下痢が起きた際に、水分補給としてイオン飲料(スポーツドリンク、経口補水液など)を飲む方もいると思いますが、イオン飲料は、糖やミネラルなどを含むものの、糖をエネルギーに変換するビタミンB1を含まないため、多量に飲んだり、水分補給をイオン飲料だけに限定してしまうと、ビタミンB1欠乏による脚気(かっけ:末梢神経障害や心不全)、ウェルニッケ脳症(眼球運動の異常、歩行困難、意識障害)を引き起こす危険性があります。水分補給として、イオン飲料しか飲めない場合は、速やかに産婦人科へ受診しましょう。 ■適度な安静と保温を心がける腹部への圧迫を避けて、ゆっくりと休みましょう。下痢が続く場合は、ブランケットを掛けたり腹巻きなどによる腹部の保温をすることで、おなかの中の臓器の循環血液量を増加させ、消化吸収を助けたり、腸内の炎症の回復をはかることができます。また、保温することは、痛みを和らげたり、精神的なリラックスをもたらします。 まとめ下痢が流産や早産の直接的な原因にはなりませんが、下痢が続けば、十分に食事を摂れず、母体の体力を消耗することになります。妊娠中の下痢が生理的な変化にともなって起きたものなのか、感染によるものなのかは自分で判断することは難しいです。妊娠中に下痢が続いたり、腹痛や嘔吐など他の症状をともなう場合は、早めにかかりつけの産婦人科を受診しましょう。 監修者:医師 おおたレディースクリニック院長 太田 篤之 先生順天堂大学卒後、派遣病院勤務を経て、平成22年より順天堂静岡病院周産期センター准教授就任。退職後、平成24年8月より祖父の代から続いている「おおたレディースクリニック」院長に就任し現在に至る。
2019年04月13日自然妊娠で赤ちゃんをと考えているのなら、排卵日を予測する方法を知っておくようにしましょう。自分の排卵日が予測できれば、妊娠しやすいタイミングがわかります。ここではどうして排卵日を知ると妊娠しやすいのか、排卵日を知る方法についてお伝えします。正しく知って、自然に妊娠できる可能性を上げてみませんか? 排卵日とは排卵とは、卵巣の中にある卵胞から成熟した卵子が排出されることをいいます。卵子は排卵されると卵管に入り、受精するために卵管の端に部分にある 卵管膨大部(らんかんぼうだいぶ)で一時的に精子を待ちます。その後、精子に出会わなくても、卵子は卵管を通って子宮へ運ばれていきます。この流れが起こる日が「排卵日」です。 排卵日までに女性の体は妊娠のために準備をし、排卵日には、女性の体は女性ホルモンの働きによって受精卵を出迎える準備、つまり妊娠をするための準備が整っている状態になります。 卵管の中で受精した受精卵が子宮に運ばれて無事に子宮に着床すれば妊娠成立となります。排卵時期の子宮は、妊娠するために内膜の厚みが増して受精卵のためのベッドのようにふわふわになり、受精卵が着床しやすくなっています。 もしも、受精卵が着床しなかった場合や妊娠が起こらなかった場合は、子宮の内膜は月経のときに血液とともに体外に排出されます。月経とは、次の受精卵を迎えるために新しくベッドメイキングをするシーツ交換のイメージです。 妊娠しやすいタイミングとは?妊娠するための条件として、 ・卵子が排卵されて卵管内に入ること・精子が卵管で待機していること・卵管で受精した受精卵が子宮内膜に着床すること が必要です。この条件から考えると、排卵日当日が1番妊娠しやすいと考える人が多いかもしれませんが、排卵日は1番妊娠しやすいタイミングとはかぎりません。 精子は射精後、膣から子宮頸管、子宮内、卵管へと難関を突破して、数万匹いた精子は難関を突破することができた、ほんの数匹になります。卵管までたどり着いた精子は、卵管膨大部で卵子が来るのを成熟しながら待ちます。この成熟には数時間必要で、成熟後に卵子の殻を破って受精するための酵素が完成します。 ここで大切なのは、精子と卵子それぞれの寿命です。 精子の寿命は、腟内に射精されてから72時間から120時間(3~5日間)卵子の寿命は、排卵されてから24時間 です。卵子より精子の方が、寿命が長いということがポイントです。卵子はたった24時間しか寿命はありませんが、精子は3〜5日間という寿命があり、この時間差を考えてタイミングを取ることで妊娠しやすくなります。 排卵日を予測して、妊娠する確率を上げる方法として「タイミング法」というものがあります。タイミング法は、産婦人科の不妊治療にも使われている一般的な方法です。タイミング法は、排卵日を予測して性行為を行う日を決める方法です。排卵日の4日前頃から排卵日までの間に、1~2日おきの性行為をすることで妊娠の可能性が上がります。 排卵日を特定したからといって1回のみの性行為では妊娠する確率は少ないです。先ほどお伝えしたように、排卵日では精子の成熟度が低く受精の可能性がやや低くなってしまうこと、また排卵日が特定できてもホルモンバランスのちょっとした変化で簡単に排卵日がずれてしまうことを考えて、できれば生理開始日から数えて10日目くらいから1〜2日おきに性行為をすることで、さらに妊娠する確率が高くなります。 排卵日はわかっていても、何時に排卵するかまではわかりません。朝、基礎体温を測定することで排卵日とわかっても、前日の朝から当日の朝まで24時間経ってしまうので、すでに排卵から24時間が経過していることもあるのです。そのため、排卵予定日の数日前からタイミングを取ることが大切なのです。 予測した排卵日よりも後に妊娠することもあります。それは、女性のホルモンバランスは、ちょっとしたことで変化し、ホルモンバランスによって起こる排卵が早くなったり、遅くなったりすることがあるからです。つまり、予測した排卵日よりも後に妊娠した場合、排卵日が予想よりも遅れたということになります。 排卵日はいつ?排卵日を知る方法排卵日を予測するためには、いくつか方法があります。自分でできる方法から病院で検査してもらう方法まで、自分に合った方法を選ぶことになりますが、運よく1回で妊娠できるとは限らないので、負担なく続けられる方法を選ぶと良いです。 排卵日を予測する方法1:基礎体温を見る基礎体温での予測は、排卵日を予測する方法として、最も簡単な方法のひとつです。基礎体温は体が目覚めて動き始める前に測る必要があるので、朝、目が覚めたらすぐ寝返りなどをする前(ベッドから出る前)に体温を測定し、体温の変動を記録します。この体温の変化で排卵日を予測します。 基礎体温を毎日記録すると、低温期と高温期に分かれます。体温が急激に落ちる日が排卵日である確率は28%程度ですが、低温期の最終日が排卵日である確率は60%以上とされています。基礎体温法での排卵日の特定率はやや低いですが、生理周期の管理や排卵日のおよその予測ができるので、タイミング法をはじめるには簡単で続けやすい方法です。 基礎体温で排卵日を予測するためには、小数第2位まで計測できる婦人体温計を使って、毎日起床時の体温記録をつける必要があります。毎日のことなので慣れるまでは少し大変かもしれませんが、体温計によってはメモリー機能が付いていて記録してくれるので、購入する際に確認すると良いでしょう。また、アプリと連動してスマホで管理できる体温計もあります。 排卵日を予測する方法2:尿検査(排卵検査薬を使う)排卵検査薬というものがあり、ドラッグストアなどで購入できます。これは尿中のホルモンを検査するもので、以前は病院でしかできませんでしたが、最近では自宅でも簡単に尿中の排卵ホルモンを測定することができます。 この排卵検査薬は排卵期になると増加する、尿中のホルモンの検査で、陽性になった場合、90%以上が2日以内に排卵するという研究報告がされているので確実性があります。排卵時期に尿検査をするだけなので、手間はかからず簡単ですが、排卵予定日の数日前から検査を始め、できれば朝夜2回検査することが望ましいので、検査が数回かかり、コストがかかります。 排卵日を予測する方法3:経膣超音波検査産婦人科で行う検査で、卵巣の中にある卵胞の大きさをチェックします。卵胞の中には卵子が入っていて、卵子が成熟して排卵が近くなると卵胞は大きく成長します。排卵日の数日前から超音波検査を使って、卵胞の大きさを計測することで排卵日を特定することができます。詳しい検査方法やコストについては、産婦人科に確認しましょう。 まとめ計画的に自然妊娠をするためには、排卵日について正しく知ることが第一歩です。自分の生理周期を知ると妊娠しやすいタイミングも自然とわかってきます。排卵日を予測する方法を実際にやってみて、それでもうまくいかないときは、医療機関に相談してください。 監修者:医師 産科婦人科福岡医院院長 福岡 正恒 先生京都大学医学部卒。同大学院修了後、京都大学助手、講師を経て、平成11年より産科婦人科福岡医院院長。京都大学在職中は、婦人科病棟や産科病棟などを担当。またこの間、英国エジンバラ大学・生殖生物学研究所に留学。日本産科婦人科学会・産婦人科専門医,京都大学医学博士
2019年04月11日“妊娠9週の壁”という言葉をご存じですか?妊娠9週、つまり3か月と2週目。お腹がふっくらしてきたり、胸が張って下着がキツくなってきたりと、少しずつ体つきが変わってくるころです。そして、ママの証でもある“母子手帳”を手に入れることができるのもちょうどこの時期。赤ちゃんが宿ったことを改めて実感し、喜びを感じるプレママさんも多いですよね。けれど安心してばかりはいられません。実は妊娠9週目は、大きなターニングポイントでもあるのです。今回はプレママさんたちの前に立ちはだかる“妊娠9週目の壁”について解説してきましょう。●妊娠9週目は、流産率が最も高い時期流産は、妊娠7週から9週までの間が最も起こりやすいといわれています。妊娠9週を何事もなく経過すれば、その後の流産率はグッと低くなります 。つまり、9週目はその妊娠が継続できるかどうかの第一関門ともいえるのです。“妊娠9週の壁”と呼ばれているのは、こういった理由があるから。また、つわりがピークに達するのも主にこのころです。それまであまり気にならなかった人にも、はっきりとした嗅覚過敏や激しい吐き気が現れるようになってきます。そういった面でも、プレママさんたちにとっては厳しい“壁”といえるでしょう。●心拍停止、耐え難いつわり……先輩ママたちの体験談妊娠9週目に起きた体の変化などを、先輩ママたちに語ってもらいました。『8週目、無事に心拍が確認できて喜んでいたのもつかの間。次の検診では心拍が確認できず、流産していることがわかりました。赤ちゃんの大きさからいうと、ちょうど9週目くらいのときに心臓が止まってしまった そうです。ほんとに9週めの壁ってあるんだな……と愕然としました』(30代女性/2歳女児のママ)『お腹が常に、チクチク痛かったですね。腹痛のときとも、生理痛のときとも違う、ホントにチクって内側から針でつつかれてるような独特の感じ 。赤ちゃんに何かあったのかと心配になりましたが、「子宮が膨張していくときの痛みで誰にでもあること、問題ない」と医師に説明されてホッとしました』(20代女性/1歳男児のママ)『赤ちゃんは問題なく成長したんですが、つわりが耐えられないくらい酷くなった。毎日10回以上嘔吐を繰り返し、何をしていても気分が悪くて、ひたすら横になっているしかできなかった。水を飲んでも吐くので何も口にできず、脱水症状寸前で入院 した。測ってみたら妊娠前と比べて体重が8kg減っていた』(30代女性/7歳男児のママ)実際の体験談からも、その壁の高さをうかがい知ることができますね。●壁を乗り越えるためには、周囲の協力が不可欠この時期の流産のほとんどは、胎児側の染色体異常などにより引き起こされるものです。だから万が一妊娠が継続できなかったとしても、ママが自分を責める必要は全くありません。とはいえ、「赤ちゃんのためにできることがあるなら可能な限りやっておきたい!」と願うのが親心というもの。妊娠9週の壁を無事に越えるため、先輩ママたちはどのように過ごしたのでしょうか。『冬の妊婦だったので、とにかく体を冷やさないように と助産師さんから言われました。モコモコ素材の靴下と腹巻き、ネックウォーマーは常備。手指の冷えには、手首に巻きつけるタイプの使い捨てカイロが効果的でしたよ』(30代女性/3歳女児のママ)『夫に完全禁煙してもらった 。吐く息に残り続ける有害物質も避けたかったので、私のいないところで吸うのもNGにした』(40代女性/5歳男児のママ)『安定期前だったけど、直属の上司にだけ妊娠していることを打ち明けて 業務負担を減らしてもらった』(20代女性/4歳女児のママ)『気の置けない友人たち限定で、妊娠をカミングアウトした。サッと椅子をゆずってくれたり、重たいモノを持ってくれたりしてとても心強かった』(30代女性/5歳女児のママ)妊娠9週目は、体調の波も激しくなるつらい時期。周囲に協力を頼んで乗り越えたという先輩ママたちの声が多く聞かれました。----------いかがでしたか?“9週の壁”と言われると、その言葉のインパクトに怯えてしまうかもしれません。特に初めての妊娠だと、よけいにビクビクしてしまうもの。でも、そんなときこそ深呼吸です。苦しいときはご主人や親御さんにたっぷり甘え、不安要素は医師・看護師にしっかり相談して、この壁を乗り越えていきましょう。かわいい赤ちゃんを抱っこできる日も、そう遠くはありませんよ。●文/パピマミ編集部
2016年10月03日結婚して時間がたつと、家族を作りたい!と願う人は多いのではないでしょうか。なかなか授からず妊活を始めたりと、悩んでいらっしゃる方も多くいます。そんな方に是非お薦めしたい普段からできること、気を付けたいことを紹介したいと思います。身体の冷えがホルモンに影響冷え性や低体温だと、血液のめぐりが悪くなっていきます。血液、身体のエネルギーの素となる栄養素や酵素、身体を整えるホルモンなどを運んでいるので、 これらがうまく身体の全体にいきわたらなければ、女性特有の病気へとつながる可能性が高くなり、卵巣機能、黄体機能などの生殖機能の低下を招きます。以上のような理由から、身体が冷えていると妊娠しにくくなり、身体を内側からも外側からも温めれば、不妊症を解消できる可能性があるといわれています。冷えと不妊症の関係・㈰排卵障害の可能性冷え性により血流が悪くなると、卵胞刺激ホルモンが分泌されにくくなり、排卵障害を引き起こす可能性があります。卵巣への血流が足りない場合、卵胞の発育が悪くなって排卵しなかったり、 体外受精の際に十分に発育した卵を得られないということにもなりかねません。・㈪着床、卵管障害の可能性冷え性によって臓器の働きがよくなくなるということは前にも説明しましたが、それは毎月1回くる女の子の日にも影響を与えるんです。生理は不要な血液や粘膜を対外に排出します。冷えによってその力が弱まると排泄されるべき不要なものが体の中に残ってしまうことになります。その血液が逆流し卵管障害になったり、子宮内膜症、子宮筋腫、卵管狭窄などの原因になる可能性もあります。身体が冷える原因そもそも身体が冷える原因はどこにあるんでしょうか。女性は男性よりも身体が冷えやすいといわれています。その理由は様々ですが、代表的なものを紹介したいと思います。・筋肉が少なく、脂肪が多い筋肉は熱エネルギーを発生させる役割があります。その熱によって、温められた血液が全身をめぐり、身体を温めてくれます。女性は皮下脂肪が多く、一度冷えるとなかなか温まりにくいといわれているので、冷え性の原因になるといわれています。・ダイエット偏った食事や減量をすると、栄養不足になるためにエネルギーが作られなくなります。それにより熱が生まれにくくなり、冷えてしまうといわれています。・薄着ファッション女性はおしゃれしたいですよね。肌見せコーデや短いスカートなど、流行りのコーディネートは挑戦したいもの。ただ、これも体を冷やす原因のひとつともいえるのではないでしょうか。冷えによって血行不良が起きると、臓器へ栄養や酸素が十分に行き渡らなくなったり、ホルモン分泌が上手く出来なくなり、様々な臓器の働きが悪くなります。子宮の働きが悪くなると、女性ホルモンが上手く分泌されず、卵巣や黄体機能が低下して、卵子の発育悪化や卵子の老化を引き起こすため、不妊の原因になるといわれています。冷え症を改善するためには・食事毎日の食事は大切です。その食事を見つめ直してみましょう。冷たいものばかり、スナック菓子やスイーツを食べすぎていると体温も下がってしまいます。また、季節のお野菜に注目することも大切です。冬の食材のさつまいもや大根には身体を温める作用があるといわれていますし、 反対に夏の食材のトマトやキュウリは身体を冷やす作用があるといわれているので、上手な食材選びも冷えを改善するうえでは大切なことです。・運動激しい運動やトレーニングではなく、適度な運動が効果的です。「散歩をする」「ストレッチをする」など、日常生活の中で簡単にできることがおすすめです。新陳代謝を高めることで、未然に冷えを防ぐことができます。インナービューティが効果を発揮!腸は第二の脳といわれています。身体の細胞や血液を作っているのは、毎日私たちが食べて腸で吸収したものでできています。身体の重要なホルモンも腸でできているので、腸を整えること=インナービューティが大切になります。インナービューティすることで、不妊症の改善も夢じゃありません。身体にとってできるだけ自然なもの、消化に負担がかからないものを毎日摂るようにすると、身体が変化していきます。毎月来る、女の子の日の肌荒れ、腰痛や腹痛など、あらゆる症状が改善していきますよ。もちろんアンチエイジングやダイエットにも効果ありで嬉しいことばかりです。最近では、バリバリ働く女性も多く、女性進出に伴って食習慣や生活スタイルが乱れがちな気がします。妊娠しやすい身体になるために身近にできることは意外とあるので、是非この機会に自身の食・生活スタイルを見直してみてはいかがでしょうか。
2016年05月18日【ママからのご相談】もうすぐ妊娠5か月になろうとしているプレママです。だんだんとお腹が目立つようになってきました。そのせいかお腹の皮膚にむず痒さを感じるときがあります。今まで特に妊娠線予防の対策をしてこなかったのですが、 そろそろ何かケアをした方がいいでしょうか?具体的にはどんな方法がおすすめですか?●A. ぜひとも今から対策を始めて。一番は急激な体重増加を防ぐこと。こんにちは、ママライターのacoです。ご相談ありがとうございます。妊娠線は一度できてしまうと完全に消えることはありません。出産後、徐々に薄くなり目立たなくはなるものの、できれば予防したいですよね。通常、妊娠線は妊娠8か月ごろから現れることが多い のですが、お腹が目立つようになる妊娠中期にできる人もいます。ぜひこのタイミングからケアを開始しましょう。一番の予防方法は急激な体重増加を避けることですが、それ以外に保湿やマッサージも効果的です。●こんな人は妊娠線ができやすいぽっちゃり体型の人は一般的に妊娠線が現れやすいと言われています。皮下脂肪が厚いと皮下組織が伸びにくくなり 、皮膚に亀裂が入りやすくなることが原因のようです。その他に小柄な人やお腹の赤ちゃんが大きめの人、双子を妊娠している人なども、皮膚が大きく伸びるため妊娠線ができやすいでしょう。●具体的な予防方法●(1)急激に体重を増やさない妊娠線を防ぐ最も効果的な方法は、急激に体重を増やさないようにすることです。妊娠中期に入るとつわりがおさまることもあり、食欲が増え、知らず知らずのうちに太ってしまった という人も多いです。バランスのよい食事と適度な運動で乗り切りましょう。●(2)脂肪がつきやすい部分はこまめに保湿をクリームやオイルで保湿することも大切です。妊娠中はホルモンの変化によりどうしても皮膚が乾燥しがちです。しっかり保湿をして伸びやすい皮膚 を維持しましょう。『高価なクリームを少しずつ使うよりも、お手頃価格のものをこまめにたっぷりと塗りこんだ方が十分に保湿できた』(30代ママ)『お腹ばかり保湿していたら、お尻と胸に妊娠線ができていた』(30代ママ)というママ友の意見もありました。お腹だけでなくお尻や太もも、胸など、脂肪がつきやすい部分をこまめに保湿することがポイントですね。●(3)保湿と同時にマッサージも保湿の際にはマッサージも同時に行いましょう。お腹の両わきを、恥骨からおへそに向かって下から上にマッサージします。胸やお尻も持ち上げるように下から上へ。円を描くようにマッサージするのもいいでしょう。新陳代謝がアップし、伸びやすい皮膚になります。●もし妊娠線ができてしまっても諦めないで残念ながら、気をつけていても妊娠線ができてしまうことはあります。その場合、入浴後に皮膚の繊維にそって縦方向にクリームなどでマッサージしたり、蒸しタオルを使って温湿布をしたりましょう。完全に消すことはできませんが、だんだんと目立たなくなります。また、産後に体が回復したら、腹筋を鍛えるのも効果的 です。お腹のたるみが引き締まり、妊娠線を短くとどめることができます。----------いかがでしたか?妊娠線予防のケアは早いに越したことはないですが、妊娠中期になってもまだ対策ができていないという人は、ぜひスタートしてみてくださいね。【参考文献】・『はじめての妊娠・安産百科』井尾裕子・監修●ライター/aco(フリーライター)
2016年04月11日神経痛ってなに?妊娠期間中に、腰から太ももにかけてしびれを感じたり、心臓の周りにピリッとした痛みが出たりするといった症状が現れることがあります。そういった痛みやしびれは、神経痛の可能性があります。神経痛とは、病名ではなく症状そのものを指します。全身に張り巡らされている運動や感覚を伝えるための連絡網である末梢神経が、なんらかの原因で刺激を受けることによって、痛みやしびれといった症状として現れます。・妊娠による、ホルモンや体型の変化ママの体内では妊娠初期から、卵巣や子宮、胎盤などからリラキシンというホルモンを分泌します。リラキシンには、出産に向けて赤ちゃんが狭い骨盤を通れるようにするため、骨盤などの関節や周辺のじん帯をゆるめる作用があります。骨盤が緩むことで体を支える力が弱くなり、背骨などにもゆがみが生じます。また、妊娠後期は胎内でどんどん大きくなる赤ちゃんによって、ママの重心や姿勢の変化にともない、骨や関節の位置がずれやすくなります。これらの理由から、おしりや下肢に伸びる神経が圧迫され、痛みやしびれなどといった症状が引き起こされます。・血行不良による冷え赤ちゃんが胎内で成長すると共に、子宮は大きくなります。このことで、お腹や骨盤内の血管が圧迫され、下半身に冷えやむくみが起きやすくなります。これが痛みに対する感受性を高めてしまい、神経痛の発症を促したり、すでに症状がある場合は悪化させたりする原因の一つとなります。・ストレスや不安妊娠による生活面での制限や体型の変化は、ママの心の戸惑いをはじめ、親になるための不安やプレッシャーなどストレスの要因になることが多く、精神的な負担が増えます。これらのストレスも冷えと同様に、神経痛の発症を促したり、すでに症状がある場合は悪化させたりする原因の一つとなります。妊娠後期の神経痛はいつからいつまでになるの?妊娠28週以降は体型の変化や血行不良といった理由から、神経痛を感じ始めるママも多いようです。出産することで治る人もいますが、骨盤や筋肉は長期間同じ状態でいることで固定されてしまうために慢性化し、出産後も続く可能性があります。神経痛の症状が現れたら、妊娠中に放置しないことが大切です。神経痛が現れる妊娠時期とは骨盤をゆるませ神経痛の一因となるリラキシンの分泌は妊娠2ヶ月頃から起こります。またママが妊娠初期に感じる精神面の不安やストレスなども加わり、妊娠4週~15週頃という早い時期から発症する場合があります。お腹の赤ちゃんが成長し、子宮が大きくなることでママの体内の臓器が神経を圧迫することで起きる神経痛に関しては、妊娠中期~後期にわたり症状が現れる場合があります。 神経痛の種類と、痛みやすい場所は?妊娠期間中に発症しやすい神経痛には、座骨神経痛と肋間神経痛があります。・座骨(坐骨)神経痛(ざこつしんけいつう)お腹が大きくなることで姿勢の変化や重心の変化が起こります。座骨神経が圧迫されたり刺激されたりし、お尻や太ももの後ろやすね、足先などに痛みやしびれが現れます。また腰痛を放置しすぎると、悪化して座骨神経痛につながることもあります。・肋間神経痛(ろっかんしんけいつう)妊娠によるストレスで筋肉が緊張したり、子宮が大きくなったりすることで内臓が内肋間神経を圧迫します。それに伴い、肋間(肋骨と肋骨の間)周りに痛みやしびれを引き起こすことがあります。妊娠後期の神経痛予防と対策神経痛の痛みは独特で、痛みの頻度は天気や気温に左右されることがあります。痛みの強さによっては眠れないこともあるため、あらかじめ予防対策を行うことが大切です。・心の安静を保つ妊娠期間中の生活は制限しなければならないことも多く、ストレスを感じやすくなります。またママの体内で分泌される流産を防ぐはたらきを行うプロゲステロンというホルモンは、気分の落ち込みやイライラなどを引き起こします。落ち込みやイライラを感じたら気分転換を行ったり、体そのものを休めるなど、気持ちの切り替えをこまめに行いましょう。・体を温める血行が良くなることで、冷えの原因となるストレスをやわらげることができます。湯船にお湯を張って入浴したり、足湯などの時間を設けたりして、しっかりと体を温めましょう。・就寝時の体位を工夫する仰向けの状態で寝ると、腰やおしりの筋肉が座骨神経を圧迫することになります。下半身に痛みやしびれを感じるママは抱き枕などを利用し、横向きで体を曲げた体勢で眠りにつきましょう。体の重みを分散させることで、神経への刺激をやわらげることができます。・簡単なストレッチをするお腹に負担がかからず、無理なく行えるストレッチを行い、筋肉の緊張をほぐしましょう。腰椎椎間板ヘルニアがある方や、切迫早産と診断されている方の運動はママとおなかの赤ちゃんの健康に影響が出る可能性があります。必ず、健診医または分娩医に相談の上行いましょう。
2016年04月04日感染症は、ウイルスや細菌などの病原体が、体内に入ることで発症する病気の総称です。妊娠中は、特に免疫機能が低下する傾向にあり、感染しやすいと言われています。妊娠初期においては、つわりによる体力低下も原因の一つです。妊娠中期以降は、子宮が大きくなるにしたがい、肺活量や心肺機能の低下が見られるため、感染症にかかりやすくなっています。感染症が引き起こす母子感染とはママが何らかのウイルスや細菌などに感染して、それが赤ちゃんに感染することを母子感染と言います。特に妊娠中の母子感染は流産や早産などを引き起こす可能性があり、赤ちゃんが直に影響をうけることもあるため、早期の治療と予防が欠かせません。胎内感染赤ちゃんがお腹の中にいるときに、へその緒や血流を介してウイルスや細菌に感染することを指します。産道感染お産時、赤ちゃんがお母さんの産道を通るときにウイルスや細菌に感染することを指します。母乳感染産後、母乳育児中に発生します。ウイルスや細菌に感染したママの母乳を介し、赤ちゃんがウイルスに感染します。感染症の種類赤ちゃんへの感染予防を兼ね、ママ自身がウイルスに感染しないよう注意が必要です。ウイルスによる感染症は、人の血液や体液などを介し、既存のウイルスに感染することによって発症します。インフルエンザウイルス気道感染症であるインフルエンザを引き起こすウイルスです。症状は一般のかぜと似ていますが、重くなりやすい疾患ととらえられています。また国内で使用されているインフルエンザワクチンは生ワクチンではないため、重い副作用を引き起こしにくく、妊娠中のすべての時期において、ママの体と赤ちゃんの発育に関して影響がないと言われています。万が一インフルエンザにかかってしまっても、タミフルやリレンザなどの薬は赤ちゃんの健康リスクも高くないため、処方されます。B型肝炎ウイルスB型肝炎ウイルスが主に血液・体液を介して感染しておきる肝臓の病気です。赤ちゃんに感染すると持続感染状態になるリスクがかなり高くなり、症状が出なくとも、将来的に肝炎や肝硬変、肝がんなど何らかの異常や病気を発症させる可能性があるウイルスです。妊娠健診では、妊娠初期の8~12週前後に血液検査で検査を行います。C型肝炎ウイルスC型肝炎ウイルスが主に血液を介して感染して起きる肝臓の病気です。赤ちゃんに感染すると、将来、肺炎や肝硬変、肝がんなど何らかの異常や病気を発症させる可能性があるウイルスです。妊娠健診では、妊娠初期の8~12週目に血液検査で検査を行います。HTLV-1(ヒト細胞白血病ウイルス)HTLV-1は、感染してもほとんどの場合で症状も現れないため、赤ちゃんに感染しても、同じくほとんどの場合に無症状だと言われています。しかし将来的に感染者全体のおよそ2.5~5%にATLと言う白血病の一種が発症することがあります。また、ごくまれにHAMという神経疾患などが発症することがあります。特にHTLV-1は母乳感染によって起きやすいことが分かっています。検査は妊娠30週ごろまでに、妊娠健診で抗体検査を行います。HIV(エイズウイルス/ヒト免疫不全ウイルス)進行状況によって数年~10年程度かけて免疫力が弱まり、健康な人であれば何ともない菌やウイルスによりさまざまな病気や疾患を引き起こすウイルスです。それら病気が、エイズ指標疾患に該当する場合“エイズを発症した”と診断されます。HIV検査は妊娠後の妊婦健診で受けることができますが、万が一ママがHIVに感染している場合、医師の治療を受けることにより、母子感染を防ぐ対策をとることも可能です。パルボB19ウイルスりんご病と呼ばれる伝染性紅班の原因となるウイルスで、妊婦さんが感染すると、およそ30%が赤ちゃんにも感染します。まれに流産や胎児水腫などを引き起こすことがあります。性器ヘルペス単純ヘルペスウイルスが原因とされる、性感染症の一つです。産道を通じて赤ちゃんに感染すると、重度の肺炎や脳炎を起こすことがあります。サイトメガロウイルス性器ヘルペスと同様、ヘルペスウイルス科のウイルスです。妊娠初期に初感染すると、流産を引き起こしたり、赤ちゃんに肝障がいや難聴などが発生する可能性があります。風疹ウイルス発熱や発疹、リンパ節の腫れなどを引き起こすウイルスです。妊娠20週頃までにママが感染すると赤ちゃんに母子感染し、聴力障害や視力障害、先天性心疾患などを引き起こす先天的風疹症候群になる可能性があると言われています。水痘(水ぼうそう)水痘は、水痘帯状疱疹ウイルスに感染することによって生じる感染症です。赤い発疹が出ることが特徴で、水疱や膿疱になった後、かさぶたになって治ります。妊娠中に発感染があると、まれに赤ちゃんに眼の異常や皮膚の萎縮が生じることがあります。梅毒梅毒トレポネーマという病原菌が原因とされる感染症です。感染部位にしこりができたり、赤い発疹が起きたりします。赤ちゃんに感染すると、神経や骨などに異常をきたす先天梅毒になることがあります。性器クラミジアクラミジア・トラコマチスという菌が原因の性感染症です。赤ちゃんに感染すると、結膜炎や肺炎を起こすことがあります。B群溶血性レンサ球菌(GBS)膣内や肛門付近にいる細菌です。母体には影響はありませんが、赤ちゃんに感染すると、肺炎や髄膜炎、敗血症などの感染症を起こすことがあります。リステリア菌食品を介して感染する食中毒菌で、妊娠中は特に感染しやすくなります。赤ちゃんに影響が出ると、敗血症と同様の症状が現れる新生児リステリア症が発症することがあります。感染症を防ぐには感染症は、人との接触、空気感染のほか、食べ物や飲み物、ペットなどの動物の体などを介する感染などで発症します。日頃から感染症を予防することを心掛けておきましょうこまめな手洗い、うがいを行う帰宅した後や、調理をする前後、食べる前、トイレの後など、手洗い・うがいを行うことで接触感染や飛沫感染を防ぎます。アルコールを含む消毒液で手を消毒するのも有効です。マスクをするインフルエンザなどにかかった感染者の咳やくしゃみなどの飛沫感染を防ぎます。外出時にはマスクを着けましょう。キッチン周りの消毒と、食品の加熱処理調理用具や調理台はいつも清潔に整え、食品はしっかりと加熱して調理して食品感染を防ぎましょう。加熱すべき食材は、中心部までしっかりと火を通すことも大切です。予防接種を受けるインフルエンザや風疹など、予防接種を受けることで感染を防ぎます。妊娠前に受けるものと、妊娠中に受けてもよいものがあるため、健診医に相談しましょう。免疫力を高める免疫力の低下は感染の確率を高めます。十分な睡眠をとり、できるだけバランスの良い食事を1日3食摂って免疫力を高めましょう。ただしつわりがある時期は食べられるものを食べられる量だけで構いません。診断の仕方と、診断後の生活について妊娠期間中は、感染症にかかっていないかを調べるために妊婦健診で検査を受けます。もし検査で感染症が見つかった場合は、赤ちゃんへの感染を防ぐためにも、医師による保健指導が行われます。治療は、感染症の種類や妊娠週数によっても異なります。妊娠中に治療しお産に備える場合や、特に母体に影響がない場合は、妊娠中は治療しないものなどもあります。何らかの感染症が見つかったら、家族や健診医や分娩医などとよく相談して、早めに対処法を考えましょう。症状の現れ方によっては、緊急に処置が必要な場合もあります。分娩施設は24時間365日開いているので、自己判断せずに相談をするように心がけましょう。参照サイト 東京都多摩小平保健所「感染症とは」 厚生労働省「参考とした文献等の概要 4 妊娠中のおくすりに関する基本的な考え方 国立成育医療センター」(平成21年) 厚生労働省「母子感染を知っていますか?」 厚生労働省「母子感染を知っていますか? HTLV-1抗体検査を受けましょう」 国立感染症研究所「風疹とは」 厚生労働省「水痘 Q1水痘とはどんな病気ですか?」 厚生労働省「梅毒に関するQ&A」 国立感染症研究所 感染症情報センター 肝炎情報センター「B型肝炎について」 首相官邸「感染症対策特集~様々な感染症から身を守りましょう~」 東京都感染症情報センター「咳エチケット」
2016年04月04日妊娠すると便秘をする人は多いです。まず、妊娠するとプロゲステロンというホルモンの働きにより、消化器平滑筋が緩みます。また、子宮が大きくなることで、胃を圧迫します。このことで、消化器運動が低下し、妊娠前であれば6時間も経てば、胃の内容物は空になるのに対し、妊娠中は6時間経っても消化しきれずに食物が残っているというような状態になってしまうのです。そして、胃の中にいつもよりも長時間食物が停滞することによって、便秘になりやすい状況になります。更に子宮内へ羊水を貯め込む働きから、腸内の水分が減ってしまうことや、つわりで十分に水分や食事が摂れないため、便の原料が不足するということもあって、妊娠初期から便秘になるわけです。また、中期や後期に起きる便秘の原因は、主に大きくなった子宮の圧迫で腸の動きが悪くなることです。 ちなみに、便秘とは、主に、通常1日1回だった排便が、数日に1回程度に減少する、排便間隔が不規則、便の水分含有量が低下し、硬便になっていることなどを指します。尚、毎日出ていても、出る便がカチカチの硬便の場合には、便秘となります。便秘にならないようにするには、水分と食物繊維をしっかり摂る、便をいつ出したかを覚えておくというのが一番ですが、もし便秘になってしまった場合には、薬を利用し、排便を促しましょう。水分がなくなってカチカチになった便をいきんで出すのは、裂肛(切れ痔)の原因になるので避けましょう。みんなどうだった? 妊娠中の「便秘」の体験談・自分で作ったゴボウ茶を妊娠初期からよく飲んでいました。根菜だから体も温まるし、無添加なので安心です。便秘にも良いですよ。(26歳)・鉄分補給の為にあさりを、便秘予防の為にひじきを、カルシウム補給の為に牛乳を摂っていました。(28歳) 赤すぐ妊娠情報
2016年04月04日うちはモフモフ暮らし
めまぐるしいけど愛おしい、空回り母ちゃんの日々
子育ては毎日がたからもの☆