ASD(自閉スペクトラム症)とは?ASD(自閉スペクトラム症)は、・対人関係や社会的コミュニケーションの困難さ・特定のものや行動における反復性やこだわり、感覚の過敏さまたは鈍麻さなどの特性がある発達障害の一つです。知的障害(知的発達症)を伴うこともあります。ASD(自閉スペクトラム症)は多くの遺伝的な要因が複雑に関与して起こる生まれつきの脳機能障害だと考えられています。しかし、はっきりとした原因はまだ分かっていません。5歳児時点でASD有病率は約3.22%ともいわれています。参考:斉藤まなぶ、廣田智也、坂本由唯、足立匡基、高橋芳雄、大里絢子、Young Shin Kim, Bennett Leventhal, Amy Shui,、加藤澄、中村和彦著「5歳児の全母集団サンプルにおける自閉症スペクトラム障害の有病率と累積発生率、および併発する神経発達障害のパターン」『分子的自閉症 11』 (2020)4歳頃は言葉の発達や社会面・精神面での発達が著しく伸びる時期であるため、その遅れに気づきやすい時期ともいえます。3歳児健診などで「様子見」と言われたり、園生活などで集団行動ができずに先生から指摘され詳しい検査を勧められ、受診して気づくこともあります。4歳頃の子どもに多くみられるASD(自閉スペクトラム症)の特性としては、・集団生活が苦手、友達と遊ぶことが苦手・強いこだわり・感覚の過敏さ・癇癪を起こしやすいなどがあげられます。詳しくは次章以降で紹介します。参考:自閉症Q&A|厚生労働省4歳児の発達の目安って?4歳頃になると、言葉や心の発達はもちろん、全身のバランスを取る能力も発達し、体の動きが巧みになっていきます。・自然など身近な環境に積極的に関わり、さまざまな物の特性を知り、それらとの関わり方や遊び方を体得していく・想像力が豊かになり、目的を持って行動し、つくったり、描いたり、試したりするようになる・自分の行動やその結果を予測して不安になるなどの葛藤も経験する・仲間とのつながりが強くなる中で、けんかも増えるが、一方で決まりごとの大切さに気づき、守ろうとするようになるこうした成長の中で、感情が豊かになり、身近な人の気持ちを察し、少しずつ自分の気持ちを抑えられたり、我慢ができるようになったりしていく時期です。参考:児童発達支援ガイドライン|厚生労働省もしかしてASD(自閉スペクトラム症)?幼稚園、保育園で気づいた違和感、こだわり。4歳児の検査、診断4歳児は、幼稚園でいうと年中の年にあたります。幼稚園や保育園などの集団生活の中で、発達の遅れや問題行動が気になってくる時期でもあります。ASD(自閉スペクトラム症)の特性や行動としては、第1章でも触れた発達の遅れ、集団生活(友達と遊ぶことなど)が苦手、こだわり、常同行動、感覚の過敏さ、癇癪などがあります。成長には個人差があるため一概にはいえませんが、園などの集団生活の中で起こりやすいトラブルや困りごととしては、・集団行動や友達と一緒に遊ぶことなどが苦手、指示が通りづらい・大きい音が苦手・粘土、砂場、裸足などが苦手・絵を描くことが苦手、運動が苦手など、不器用さが出てくる・偏食が強く、給食が食べられない・(言葉の遅れがある場合)友達や先生との意思疎通が難しくなるなどがあげられます。園へ行きしぶる・朝送って行ったときに(保護者と離れるとき)泣く、あるいは行事やみんなの前での発表を嫌がる(参加しにくい)など、癇癪を伴う激しい拒否反応が出るケースもあります。3歳児健診で「様子見」と言われた、あるいは4歳になって園の先生に発達の遅れなどを指摘され、検査を受けるかどうか考える保護者の方も多いでしょう。検査は、医師や(発達)心理士が行います。4歳頃に受ける検査は以下のようなものがあります。・問診保護者から、成育歴や「いつぐらいから」「どのような困りごとや症状があるか」などを対話形式で聞き取ります。明確に伝えるためにも、普段の様子をメモしておくといいかもしれません。・行動観察数十分程度、子どもとの対話や遊ぶ中で、どのような言動を取るのかを観察します。・発達(心理)、知能検査「田中ビネー知能検査V」や「新版K式発達検査」、「AQテスト」などが行われます。そのほかにも、ASD(自閉スペクトラム症)の診断で行われる検査は多くあります。専門外来のある小児科、脳神経小児科、児童精神科などで行われることが多いですが、診療できる医療機関は限られています。かかりつけ医や保健センターなどに相談してみるといいでしょう。参考:自閉症|文部科学省参考:ASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群)について|e-ヘルスネット4歳児に表れることの多いASD(自閉スぺクトラム症)の特性をチェックUpload By 発達障害のキホン※発達や成長に加え症状や特性には、この時期大きな個人差があります。当てはまる反応や行動の数が多いからといって、すぐにASD(自閉スペクトラム症)と診断されるわけではありません。先生などに指摘されたら?受診の目安、療育への手続きについてASD(自閉スペクトラム症)の悩みについての相談先はたくさんあります。しかし、4歳頃になってくると、家庭生活、園生活、友達関係など悩みや困りごとが複雑化し、「どこに相談したらいいか分からない」「何をどう相談したらいいか分からない」というケースも多くあるようです。しかし、何か一つだけでも相談してみれば、そこから少しずつ糸口が見つかっていくかもしれません。・園の先生何人ものお子さんを見てきている先生であれば、「ここに相談してみては」などのアドバイスを受けられることもあります。また、先生とお子さんの状況を共有することで、日常生活の中での改善策を見つけやすくなることもあります。・子育て支援センター小さいお子さんを持つ保護者が交流を深める場ですが、育児不安などについての相談指導もおこなっており、電話相談も可能です。必要に応じて適切な機関の紹介を行います。・保健師・保健センター就学前のお子さんや高校生、成人に対する発達障害の相談も受けつけています。必要に応じて医療機関への紹介なども行います。・療育センター障害のある子どもの症状や特性に合った治療や支援を行う施設です。どのような支援を行っているのか、どのような機能を持った施設かは、施設によって異なります。上記のほかに、発達障害者支援センターなどもあります。4歳はまだまだ発達の個人差が大きい時期なので、お子さん一人ひとりにあった子育てのアドバイスをもらうようにしましょう。4歳でASD(自閉スペクトラム症)と診断された、あるいは様子見と言われているけれど、少しでも困りごとを減らしてあげたいと療育を考え始めている保護者も多いと思います。療育とは、「障害のある子どもに対してそれぞれの特性に応じた身体的・精神的機能の発達を促し、日常生活や社会生活を円滑に営めるように行うもの」です。4歳の場合は、「児童発達支援」で行う日常生活の自立のための療育や学習支援、運動プログラムなどが主になります。学習・訓練といったものではなく、その子の特性に合ったプログラムを、楽しみながら、子どもが興味のあるものを取り入れながらおこないます。自治体管轄などの公的機関、あるいは民間でも公費で提供しているところで「障害児通所支援」を利用して療育を受けるためには、まず「通所受給者証」(通称:受給者証)の取得が必要です。受給者証があれば、利用料金の助成を受けることができます(子どもが満3歳になって初めての4月1日から3年間の間は無償です。それ以前や学齢期以降は1割負担になります。家庭によって上限額が異なります)。療育の内容は施設によって異なります。短期間で身につくものではなく、じっくりスモールステップで、あるいは何度も同じようなシチュエーションを繰り返すことで、少しずつ社会性が身についたり、困りごとが少なくなっていきます。中長期にわたって通うことになるので、子どもの特性に合った療育が受けられるか、通うのに遠すぎないか、空きがあるかなどの情報リサーチも大切になってきます。参考:ともに歩む親たちのための家族支援ガイドブック|厚生労働省参考:小林 勝年, 儀間 裕貴, 北原 佶著「エビデンスに基づく療育・支援とは何か」『子どものこころと脳の発達』2020 年 11 巻 1 号 p. 3-10発達で少しでも気になることがあったら、一人で抱え込まず、まずは周りに相談をしましょう。少しずつでも子どもの日常生活の困りごとを減らしてあげることで、将来の見通しも立ちやすくなります。4歳児は他者との関わりが増え、身辺自立に向けての基礎がしっかりつくられていく時期です。早期介入・早期支援が大きなカギとなってきます。また、どの環境においてもできるだけ同じ支援をすることも重要です。園の先生をはじめ子どもと関わる人に子どもの状況や特性を伝え、共有することも大切です。(新美先生コメント)集団生活に入ると、家庭での様子とは異なるお子さんの姿が見えることもあり、保護者の方が気になってしまうことが増えるかもしれません。集団生活の中でストレスを受けやすいお子さんの場合、園での生活の仕方を調整していったほうが健やかに育めると思います。園での集団活動で困難さがある場合や、園では周囲に合わせているけれど過度にストレスが溜まって、行きしぶりや家での癇癪・こだわりが強まる場合なども、必要に応じて専門機関につながることで、お子さんの強みと困難さ、適した関わり方が見えてくることもあります。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年02月11日ASD(自閉スペクトラム症)とは?ASD(自閉スペクトラム症)とは・対人関係や社会的コミュニケーションの困難・特定のものや行動における反復性やこだわり、感覚の過敏さまたは鈍麻さなどの特性が幼少期に現れる発達障害の一つです。知的障害を伴うこともあり、日常生活の中で困難を感じることも多くあります。ASD(自閉スペクトラム症)は、生まれつき脳内の情報処理の仕方に障害があるために発症すると考えられていますが、その原因はまだよく分かっていません。遺伝的要因をはじめとした、さまざまな要素が複雑に関与していると考えられていますが、発症するまでのメカニズムはいまだに不明とされています。3歳になると、保育園・幼稚園などで他者と過ごす時間も増えてくるため、人との関わりや集団生活の中で困難や問題などに気づくことも多くなってきます。3歳頃にみられるASD(自閉スペクトラム症)の特性としては・言葉の遅れ(コミュニケーションが苦手)・独特な興味や行動パターン・光や音、触れられることなどへの感覚過敏・急な予定変更などに対応できない(癇癪を起こすなど)・集団生活が苦手(じっとしていられない、先生の指示が通らないなど)などが挙げられます。詳しくは第3章で紹介しますが、3歳児健診において指摘・診断されるケースも増えます。参考:自閉症Q&A|厚生労働省3歳児の発達の目安って?定型発達児における、3歳児の発達の目安としては、・基本的な運動機能が伸び、それに伴い食事、排泄、衣類の着脱などもほぼ自立できるようになる・話し言葉の基礎ができて、盛んに質問するなど知的興味や関心が高まる・自我がよりはっきりしてくるとともに、友達との関わりが多くなる(実際には、同じ遊びをそれぞれが楽しんでいる平行遊びであることが多い)・大人の行動や日常生活において経験したことを「ごっこ遊び」に取り入れ、象徴機能(見立て)や観察力を発揮して、遊びの内容に発展性がみられるようになる・予想や意図、期待を持って行動できるようになるなどが挙げられ、情緒面・社会面でぐっと成長する時期ともいえます。参考:保育所保育指針解説書 |厚生労働省ASD(自閉スペクトラム症)と診断されるのは3歳児から?言葉が遅い、集団生活が苦手……違和感や気になるサイン園生活がスタートしている子どもも多いため、集団生活の中で・社会性(集団行動ができない、指示が聞けない、友達と遊べない)・感覚過敏(大きい音が苦手、砂場、裸足などが苦手)・常同行動(同じ行動を繰り返す)などのトラブルが起きやすい傾向にあります。また、家庭内の困り事として・こだわりが強く、気持ちの切り替えが苦手・感覚過敏、鈍麻、こだわりなどでトイレトレーニングが進まない・園への行き渋り・言葉の遅さあるいは言葉は出ているが、会話がスムーズにできない。聞かれたことに答えにくいなどといった場面がみられることが多いと言われています。3歳児健診では、「PARS-TR」「SDQ」などでASD(自閉スペクトラム症)のスクリーニングチェックを行う場合があります。「PARS-TR」はASD(自閉スペクトラム症)の傾向を知るための検査で、こだわり行動や遊びや言語の発達など、12項目について保護者から聞き取ります。0点・1点・2点の3段階で評定し、合計得点からASD傾向の強さを導き出し、今後の有効なフォローに繋げていくものです。「SDQ」は、行為面・多動性・情緒面・仲間関係・向社会性の5項目の質問から、子どもの適応と精神的健康の状態を包括的に把握するためのものです。そこからさらに詳しい検査が必要な場合は、問診や行動観察、「新版K式発達検査」「遠城寺式乳幼児分析的発達診断検査」などの発達検査、知能検査、場合によっては脳波検査などを行い、診断されます。参考:効果的な巡回相談支援のための基本と実践|厚生労働省3歳児に表れることの多いASD(自閉スペクトラム症)の特性による症状Upload By 発達障害のキホン※発達や成長に加え症状や特徴には、この時期大きな個人差があります。当てはまる反応や行動の数が多いからといって、すぐにASD(自閉スペクトラム症)と診断されるわけではありません。受診の目安や、療育への手続き、保護者ができることなど集団行動も増えるため、気になる言動が目立つ時期ともいえます。保護者や先生から見て、生活するうえでの困難さや気になる行動があった場合は、早めに相談・受診しましょう。市区町村の保健師・保健センターなどに相談してみましょう。また児童精神科、自治体や民間の子育て支援窓口、療育機関などでも相談は可能です。園に通い始める子どもも多いので、先生に園生活の様子やどこで相談できるかを聞いてみてもいいでしょう。3歳児健診時や集団生活が始まり、先生からの指摘や紹介で療育に通うことを考え始める保護者も多いのではないでしょうか。子どもの発達には個人差があるため、何歳で必ずこの特性が出る、というものではありませんが、早い段階で気づけばその子どもに合った療育を早期にスタートすることができます。療育とは、「障害のある子どもに対してそれぞれの特性に応じた身体的・精神的機能の発達を促し、日常生活や社会生活を円滑に営めるように行うもの」です。療育(発達支援)には、自治体などの管轄の公的機関で行うもののほかに、民間の施設などで行うものがあります。大学病院など一部の医療機関ではOT(作業療法)やST(言語療法)などを行っている場合もあります。自治体のほか、民間の施設の中にも公費で受けられる発達支援を提供しているところがあります。この支援は「通所受給者証」(※)を所持していると利用でき、利用料金の助成を受けることができます(基本的に1割負担となりますが、満3歳になって初めての4月1日から3年間は無償となります。また、家庭によって上限額が異なります)。療育では子どもにだけでなく、保護者にも日頃どのような対応や声掛けをすれば良いのかも教えてくれます。療育は子ども自身の生活QOLやスキルを上げるだけでなく、日常生活における親子で抱える困難やストレスを軽減することにも繋がります。※福祉サービス等を利用するために発行される証明書のこと。自治体に申請して、審査のうえ発行される。日数(支給量)や、月額の利用料の上限額(上限負担額)が記載されている。参考:小林 勝年, 儀間 裕貴, 北原 佶著「エビデンスに基づく療育・支援とは何か」『子どものこころと脳の発達』2020 年 11 巻 1 号 p. 3-10参考:共に歩む親たちのための家族支援ガイドブック|厚生労働省ASD(自閉スペクトラム症)にとって、早期発見、早期療育はとても重要です。社会面・情緒面で大きく伸びる3歳前後で早期介入・支援をスタートすると、社会的なスキルやコミュニケーション能力が向上する場合もあります。成長や発達に個人差はありますが、保護者だけでなく子どもに関わる人からの情報をもとに、相談や受診につなげることが大切です。(監修:新美先生より)園での集団生活が始まる3歳児では、保護者も周りと比べて焦ってしまうことが増えるかもしれません。ですが、3歳ごろのお子さんにとって大事なことは、不安に圧倒されたりストレスを感じすぎずに、自分なりの好奇心を満たして楽しく日々を過ごせるかだと思います。興味がほかの子と少し違っていたり、ほかの子はストレスに感じないことがストレスになるのだとしたら、お子さんのタイプをよく見極めてお子さんに適した育て方をするために、療育という場を上手に使っていけるといいかもしれません。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年02月10日障害受容をし、息子に無理させないよう丁寧に育てたつもりだけれど、二次障害として強迫性障害(強迫症)に現在、息子は23歳。知的障害(知的発達症)を伴うASD(自閉スペクトラム症)です。息子は療育手帳を持っていますが、中学の時に二次障害として強迫性障害(強迫症)を発症したので、精神障害者保健福祉手帳も持っています。息子は2歳3ヶ月のとき自閉症(※)が分かり、診断を受けました。医師からは「こんなに小さいうちから自閉症の診断を受けられたんだから、将来二次障害を起こさないように特性にそった子育てをしましょう」と何度も何度も言われました。私は療育の鬼になるのをやめ障害受容をし、息子に無理をさせることなく丁寧に丁寧に育てたつもりでしたが、その10年後に強迫性障害(強迫症)になったのでした。※以前は「自閉症」という診断名が用いられていましたが、アメリカ精神医学会発刊の『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)において自閉的特徴を持つ疾患が統合され、2022年(日本語版は2023年)発刊の『DSM-5-TR』では「自閉スペクトラム症」という診断名になりました。私も強迫性障害(強迫症)だった実は私も、就職した直後に強迫性障害(強迫症)を発症しました。そして、通院治療では治らないほどこじらせ、精神科に9ヶ月入院した経験があります。退院後も自宅に帰ると再発するといわれたため、1年間社会復帰施設に入所していました。入院中はベッドに手足を縛られ拘束され、オムツをし、たくさんの服薬をするという毎日で、今振り返っても地獄の日々だったと感じます。今までの人生の中で一番つらい時期でした。その後、未婚の母として息子を産み、シングルマザーとして育てているなかで息子の障害が分かり、さまざまな茨の道もありましたが、こんな経験があったので、いつも「あの入院時代に比べると、こんなことは大したことない」と思え、乗り越えられたのだと思います。そういう意味では、私のつらく悲しい入院生活は意味があったことだと思うようにしています。息子の異変にすぐ気づくことができたのは、私の経験があったから自分が強迫性障害(強迫症)になった経験があったので、息子の異変にはすぐに気づきました。ある日、いつものようにスイミングスクールに行く際、息子が道中プールの道具を何度も何度も確認するのです。ASD(自閉スペクトラム症)の子どもは同じことを繰り返したり、確認行為を繰り返したりすることがありますが、強迫性障害(強迫症)の場合も同じような確認行為をすることがあります。でも、本人が望んで確認行為をするASD(自閉スペクトラム症)の行動と強迫性障害(強迫症)のそれとは似て非なるものです。忘れ物の確認、ガスの確認、物が同じ向きになっていないと気になって仕方がないなどの不完全恐怖、「4」などを極端に避ける縁起恐怖などの強迫性障害(強迫症)、本人も「こんな行為はばからしい」と自覚していても、それをしないと苦しくなってしまいます。息子の強迫性障害(強迫症)は発見が早かったため通院治療で済んでいますが、もし「これもASD(自閉スペクトラム症)の特性だ」と放置していたら、こじらせて入院していたかもしれません。ASD(自閉スペクトラム症)の特性による行動なのか、強迫性障害(強迫症)なのか……判断がなかなか難しいと思いますが、私の経験が生きた出来事でした。執筆/立石美津子(監修:森先生より)お子さんに愛情をかけて、お子さんをよく見ているからこそ気付けたのですね。ご自身のつらい経験も活かされましたね……。お子さんは、保護者の方や療育の専門家と接する場だけでなく、あらゆる環境に晒されてストレスを受けながら育つもの。「気をつけたから二次障害を起こさない」というものではありませんよね。お子さんの異変にすぐに気付いて、お子さんに合ったやり方を模索したからこそ、重症にならずに踏みとどまれたのでしょう。療育には正解はなく、愛情を持って一人ひとりに合わせた支援をしていくことが大切ですね。前の記事はこちらUpload By 立石美津子Upload By 立石美津子Upload By 立石美津子Upload By 立石美津子(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年02月10日無料の参加登録受付中!発達が気になるお子さまやご家族へ届けたい、オンラインセミナーが2/17(土)に開催決定Upload By 発達ナビアライアンス プログラム一度癇癪(かんしゃく)を起こすと、切り替えが難しい。思い通りにならないときに起きる癇癪が激しい……そのようなお子さまもいらっしゃるのではないでしょうか。お子さまの心の状態から、家庭でどう向き合ったらいいのか?今後どうしたらいいのか?小児科医や発達の専門家から詳しい情報を得られ、さらにその場で質問もできる、未就学児の保護者さま向けオンラインセミナーを開催します。・日時:2024年2月17日(土)9:30~13:35(予定)・参加費:無料・形式:Zoomウェビナー配信・参加方法:事前申込必須。下記ボタンよりお申し込みください。・内容:専門家講演、すべてのお子さまを応援する企業によるセミナー※企画調整中のため、今後変更となる場合もございますオンラインセミナーの内容をご紹介お子さまが癇癪を起こしてしまうとき、どう対応して、今後どう向き合ったらいいのか。いま直面しているお困りやお悩みも尽きないのではないでしょうか。本セミナーでは、癇癪とその要因や関わり方、そして将来に向けて大切なことについて解説します。当日は視聴者の皆さまからの質疑応答タイムもご用意しています。ぜひご参加ください!Upload By 発達ナビアライアンス プログラム講師:新美妙美先生信州大学医学部子どものこころの発達医学教室特任助教発達障害、心身症、不登校支援の診療を大学病院及び一般病院専門外来で行っている。グループSST、ペアレントトレーニング、視覚支援を学ぶ保護者向けグループ講座を主催し、特に発達障害・不登校の親支援に力を入れている。Upload By 発達ナビアライアンス プログラム伝えたいことがあるのに、自分の気持ちを言葉にすることが難しい……。自身もADHDの診断を受けた、株式会社コペル代表の大坪信之が、子どもの頃に起こる困りの背景について、当事者目線、そして幼児教育に携わってきた経験をもとにお話しします。お子さまが何を感じ、大人はどう接したら良いのか一緒に考えましょう。セミナー当日は、視聴者の皆さまからリアルタイムで質問やお悩みも受け付けますので、ぜひご参加ください。Upload By 発達ナビアライアンス プログラム発達が気になるお子さまの子育てをオンラインサポートする「発達ナビPLUS」。 本セミナーでは、作業療法士の福永寿紀先生に、発達に特性があるお子さまのこだわりのメカニズムや手立てについて解説いただきます。・マイルールやこだわりを親にも強く要求・自分の思い通りにいかないと癇癪を起こす・そもそもこだわりが強い理由が分からないなど、発達障害があるお子さまの「こだわり」に関するお困りごとへの手立てについてお話しします。※本セミナーは過去に収録した動画の上映になりますUpload By 発達ナビアライアンス プログラム発達障害のあるお子さまの就学に向けて、・お子さまにあった学習環境の選択肢通級指導教室・特別支援学級・特別支援学校などの選択肢と特長を利用していた方々の声と共にご紹介します。・就学相談/就学先決定までの流れ就学先が決まるまでのタイムスケジュールや各自治体が行っている就学相談に向けた準備をご紹介します。・教育にまつわる準備進路進級にまつわる教育費用の、現実的な準備についても解説します。を中心としたプログラムをお届けします。Upload By 発達ナビアライアンス プログラムお子さまの癇癪について、・お子さまの困りごとの背景を整理するお子さまの特性や性格を理解し、かんしゃくなどの困りごとが生じやすい環境や状況を整理する考え方・かんしゃくが起こる理由と対応のコツ「そもそもかんしゃくってなに?」「どうして起こるの?」といった基本的なことや、起きてしまったときの対応のコツ・予防的に今から取り組めること予防的に取り組みたいことや、お子さまの状況・かんしゃくが起こっている要因に合わせた療育での具体的な支援事例を中心に解説します。たくさんの方のご参加を、心よりお待ちしております。
2024年02月09日個性的すぎる孫を受け止めていたが、あまりのヤンチャぶりに工夫することを決意Upload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイわが家は母である私・ワッシーナを筆頭に、家族全員が個性いろいろで、発達に特性があるタイプです。私の孫サルルゥは、赤ちゃんの頃からまったく人見知りせず、誰にも懐いて抱っこされるのが好きな子でした。2歳になって歩行が安定してくると、移動はもっぱら駆け足で、水分は500mlくらいを一気飲みし、食事の量は大人の女性並みでした。体温調整が苦手なようで、気温差のある朝夕はいきなりガタガタ震え出すので、出かける時は季節を問わず、小学生になった今でも重ね着の用意が必要です。人懐っこくて、通りすがりの知らない子にも「遊ばない?」と気軽に声をかける子です。あまりにも動きが大きく激しいので、落ち着かせるために絵本を読んだり、カードゲームを教えてあげたり、パズルで遊んだりしましたが、すぐに飽きてしまいます。声がものすごく大きくて、100m先くらいから近づいてくるのが分かります。サルルゥを抱いている時に大声を出されると、聴覚に過敏のある私は、まるで殴られたように感じるのでした。独特な感覚を持っているサルルゥに声の大きさを調整してもらうため、いろいろな工夫をしてみました。サルルゥは幼いながら数字に関心を持っていましたので「サルルゥの声で耳が痛いから、声の大きさを今の10から5にしてくれるかな?」と根気よく伝え続けました。すると次第に近くにいる人に大声を出すことが少なくなっていきました。保育園でトラブルにならないか心配……発達支援施設へ相談することにUpload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ動きが激しいサルルゥには困ったことがありました。高いところから飛びついたり、棒などを振り回してモノや人を叩いたりし始めたのです。もちろん注意をして、いけないことだと伝えますが、そんなことでは止まりません。特に遊びに夢中になってしまうと、手加減なしで強く叩いてしまうのです。私は、このまま何もしないでいると、やがて保育園で、お友だちとトラブルになってしまうのではないかと心配になりました。私は、自分自身を含め家族のさまざまな特性や困りごとに向き合ってきた経験から、サルルゥは力加減や動きのコントロールに関わる「固有受容覚」のとらえ方に苦手があるのではないか?と推測しました。そこで、長年お世話になっている発達支援施設を夫ラクマと二人で訪ね、これからの対応について相談しました。その施設の先生からは「本人の好きな運動などを続けることで観察を続けてみては」とアドバイスをいただきました。発達支援施設の専門家に相談して工夫を考え、あれこれツールを試してみたUpload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイまずは夫ラクマと一緒にサルルゥを落ち着かせる工夫を探して試してみました。パンチングバッグ、バランスボール、キックボード、補助輪付き自転車などを試しましたが、どれもすぐに壊すか飽きてしまうかのどちらかでした。好奇心の強いサルルゥには、単純な動きでは長続きしないということが分かってきました。次女リスミーに、発達支援施設からのアドバイスと、これまで試してみたことを伝えつつ「楽器、あるいは道具を使ったスポーツをやってみてはどう?」と提案してみました。楽器を提案したのは、私と4人の子どもたちには、全員それぞれ得意な楽器があり、社会人になった現在も音楽活動を続けている者がいるほど、音楽好きな一家だったからです。また、道具を使ったスポーツを提案したのは、家族の中に野球やテニスを長く続けている者がいたためでした。サルルゥと同じように、私は幼い時から動きが大きかったうえに、自分の言葉遣いや態度について細かい配慮が全くできなかったので、周囲に「性格が悪い」と誤解されていました。また、「女の子だから」という理由で、本当はやりたくてたまらなかったボクシングや空手を我慢するように言われてきました。そんな経験があったからこそ、幼い頃の私と似た特性のあるサルルゥには、楽しく取り組むことのできる活動を見つけてほしいと強く思ったのです。そして、その活動の中で、これまでわが家で行ってきたさまざまな工夫を応用すれば、きっとよい効果をもたらすだろうとも考えました。サルルゥの親であるリスミーは、彼女なりに工夫を考えていたようで「太鼓がいいと思う」と即答しました。リスミーは、すぐに行動してサルルゥにオモチャの太鼓を買い与えました。サルルゥはすっかり太鼓にハマり、早朝から夜まで太鼓を叩きづづけて、あっという間に2つ壊してしまいました。活発な孫の動きに合わせるうちに家の中はお祭り状態だけど、効果が出ると楽しくなるUpload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ私はおもちゃではなく本物の楽器がよいと考え、楽器店で沖縄の盆踊り「エイサー」で使う「パーランクー」という小さな太鼓を買い与えました。サルルゥはますます太鼓にハマりました。インターネットでエイサーの動画を見ながら練習を重ね、家族全員を巻き込み、それぞれに役割を与えてエイサーの真似をし始めました。サルルゥは家の中の照明を変えて、お気に入りの曲や入退場の場所も指定して、エイサーごっこを続けました。おかげでサルルゥがわが家に遊びに来ると、家の中がイベント会場もどきになってしまい、獅子舞の役を任された夫ラクマは、へとへとになっていました。サルルゥが家族みんなを自分の遊びに巻き込んで進行を仕切ることは、一見やりたい放題のわがままのように見えるかもしれません。でも、このような「ごっこ遊び」の中にサルルゥならではの強みがあるのではないかと思います。これらの工夫を通してサルルゥはやや落ち着きを見せて、保育園でお友だちを叩いてしまうというトラブルは起こりませんでした。家族全員で工夫すると家庭内でイベントをするようなものですが、効果が少しずつ現れてくると楽しみが出てきます。執筆/ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ(監修:鈴木先生より)私の外来を受診するお子さんで、固有受容覚が苦手なお子さんには感覚統合訓練をお勧めしています。公園やアスレチックなどでの遊びが効果的なのです。当クリニックには作業療法士(OT)がいないので音楽療法の中でバランスなどのトレーニングをしています。遊び道具や乗り物もいいのですが、サルルゥさんには合わなかったのかもしれません。「エイサー」などの音楽療法がサルルゥさんには向いていたのだと思います。よく和太鼓もいいと言われていますので、今度は是非和太鼓に挑戦してみてはいかがでしょうか。前の記事はこちら
2024年02月09日知的障害(知的発達症)を伴うASD(自閉スペクトラム症)の息子がやっていた「困ったこと」わが家は二人姉弟で、現在中学3年生の娘と3歳の時に重度の知的障害(知的発達症)を伴うASD(自閉スペクトラム症)と診断された小学6年生の息子がいます。息子は無発語ということもあり、やりたいことやいやなことがあっても言葉で伝えることができません。そのために、道の真ん中で座り込んでしまったり、物を投げたりすることで意思表示することも……。また、律儀なところがあり、開いている窓や戸を何でも閉めたがるくせがあります。そんな息子がある「困ったこと」をしているのが発覚しました。「あれ?メガネがない?」大事なメガネが見つかった場所は数ヶ月前の夜、中学3年生の娘の受験を控えていたため、学校への提出物の記入しようとした時のことです。「あれ?メガネがない?」老眼鏡がないことに気がつきました。私は老眼なので、何かを読んだり書いたりする時にメガネがないと困ります。どこにやったかなと家中探したのですが、全然見つかりません。(きっと私がどこかに置いてしまったのか失くしたんだ……)とがっかり。明日新調しなければと思い、その夜は寝ました。しかし次の日の朝、思わぬところで見つけたのです!朝、1階の部屋の雨戸をあけた時のこと。私はふと違和感を感じ、窓の外に目をやりました。すると、あんなに探してもなかった私の老眼鏡が、わが家と隣の家との間、約1メートル程の雑草の茂みの中に落ちていたのです。ケースごと落ちていたのでメガネは無事でしたが、思いもよらないところにあったメガネケース……その光景はかなり衝撃的でした。Upload By ユーザー体験談Upload By ユーザー体験談誰がメガネケースを落とした?メガネケースが落ちていた場所から見上げると、わが家の2階のリビングの窓があります。おそらく、メガネケースはその窓から真下に落ちたのでしょう。なぜそんなことが起こったのか……おそらく息子がやったのだろうとピンときました。前述したように息子は窓や戸を何でも閉めたがるくせがあるので、窓を開けて物を落とし、そのあときちんと窓を閉めたのだと思いました。息子に尋ねてみようにも、重度の知的障害(知的発達症)がある息子を問い詰めたところで、答えてくれるとは思えませんでした。なぜそんなことをするのかは分かりません。どうしたものかと悩んだ私はしばらく様子をみることにしました。Upload By ユーザー体験談1日目はなにもなかったのですが、2日目はおもちゃが落ちていました。メガネケースと同じ場所です。3日目もなにもなかったのですが、4日目にはついにスマートフォンが落ちていました……!1日置きに落としたくなるのでしょうか?そんなことがあっても息子の様子はいたって普段通りです。ちょっとそわそわしている様子もありませんでした。Upload By ユーザー体験談物を落としたい息子への対策は?物がなくなったら「落ちているかな」とわが家と隣家の間を探すことができるのですが、夜は暗くてパッとは見つけられないので探すのは困難でした。ですが、3回も落ちていたので、きっとこれは息子のブームになってしまったに違いないと感じました。このまま、目についたものを窓から落とすブームが続いたら、いつかメガネもスマートフォンも壊れてしまうのではないか……家族の物ならばまだいいけれど、来客の方の持ち物を窓から落とされたら……と不安を感じた私は、ホームセンターで後付けの鍵を購入。2階リビング窓に複数個設置したところ、それ以降はパタっと物が落ちていることはなくなりました。息子は誰かを困らせようということではなく、ただ物が落ちる様を見たかったのだろうと思います。落ちていく様子を見るのがきっと息子のブームになってしまったんでしょう。落とすものにはこだわりはなかったようです。鍵の設置で解決したこの一件。意思の疎通が難しく、何かを聞いても答えてくれることはない息子です。今後また違ういたずらが出てくることもあるでしょう。でもその都度周りの人に相談しながら、あまりネガティブにならずに解決していきたいと思っています。そして、今後の予想外の出来事に備えて、メガネは複数あった方がいいと思いすぐにもう一つ買いました。イラスト/マミヤエピソード参考/あきこ(監修:森先生より)大人からみたら「イタズラ」でも、お子さんからしたら「物を落としたらどうなるのだろう?」という好奇心から出た行動だったり、窓の外に大切な物を「しまう」感覚で投げていたりと、色々な理由が考えられます。なぜそんなことをするかがわかれば、対策はとりやすいですね。ただ、理由を本人に聞いたり、周りがあれこれ考えたとしても、結局理由が分からずじまいとなることも多いでしょう。そんな時は物理的に解決するのが一番です。窓を開けられなくする、スマホを手の届くところに置かない、メガネを複数用意する、などですね。粛々と物理的な対策をとるという投稿者様の姿勢は素晴らしいです。悪気がないことをしっかり分かってあげて、頭ごなしに叱ったりせず、ネガティブに考えないことが大切です。
2024年02月08日いろいろな「周りの子どもと違う」を感じた3歳児健診Upload By 丸山さとこASDとADHDがある息子のコウは、現在中学生です。10年前に受けた3歳児健診にて「発達障害(神経発達症)の疑いがあります」として療育園を薦められたことがきっかけで、後に診断を受けることとなりました。今回は、コウと私にとって一つの転機となった3歳児健診の記憶を振り返っていきます。3歳児健診の会場では、健診を待っている間に多くの同年齢の子どもを見ることになります。『コウと大体同じ年齢の幼児』ではなく『コウと全く同じ年齢の幼児』をたくさん見たのは初めての経験だったと思います。そのため、私はそこで初めて「コウはほかの子どもと何かが違うみたい……?」と明確に感じたことがいくつかありました。まず最初に、『ほかの子どもはコウほどずっと歩き回ってはいないこと』『保護者が制止すると、それに対して何らかのコミュニケーションが見られること』が気に止まりました。Upload By 丸山さとこ周りもみんな3歳児のため、じっと座って待つ子どもばかりではありません。ですが、もっと歩きたがって嫌がる子どもであっても、止めようとする親に対して『嫌がる』ことで意思を表明する姿が見られていました。当時のコウは、止めようとする私を障害物のように扱っていたため、ほかの親子のコミュニケーションの様子に違いを感じたことを覚えています。コウを追いかけつつさらに健診を待っていると、ほかにも見えてきた違いがありました。コウのひざは、会場の子どもたちと比べると妙にキレイなのです。多くの子どものひざは擦り傷や打ち身などの跡があるのに対し、コウの膝は白くスベスベしていました。当時のコウは、公園や児童館に行っても、おもちゃの車のタイヤを回したりブロックや石を並べたりしていました。そのため、体のどこかを激しく擦りむいたり打ちつけたりすることがなかったのだと思います。医師に診てもらっている間は何事もなく……?こうして、健診を待つ間は『コウとほかの子どもとの違い』を感じたり場内を歩き回るコウを追いかけたりといろいろありましたが、健診が始まってからは意外なほどスムーズに進んでいきました。Upload By 丸山さとこ当時のコウには人見知りが全くなく、人から触られることも意に介さないところがあったため、受け身でいればよい診察ではトラブルが起きにくかったのだと思います。そんなコウの様子を見て内科の先生は「やっぱり大家族の子どもは違うね~!」と言っていました(実際は、コウと夫と私の3人暮らしの核家族です。診察中の動じない姿を見て勘違いされたようです)。そうしてつつがなく進んだ健診の最後で、臨床心理士の先生から受けた発達の検査の結果、冒頭の通り「発達障害(神経発達症)の疑いがあります」と言われることとなったのです。Upload By 丸山さとこ3歳児健診を受けるまで、私はコウに神経発達症の可能性があるとは考えていませんでした。「マイペースな子どもだな」と感じてはいましたが、初めての子育てなのもあって「幼児ってこんなものなのかな?」とも思っていたのです。そのため、神経発達症の疑いの指摘には「この程度でも発達障害(神経発達症)なの?」と、いくらか驚きました。けれども、健診の順番待ちの間にほかの子どもたちの様子を見たことで納得する気持ちにもなりました。コウに神経発達症の可能性があると告げられても割合すんなりと受け止められたのは、コウを追いかけて大変だった待ち時間のおかげだったのだろうと考えると、「あの長い待ち時間も無駄じゃなかったのかもな~!」としみじみした気持ちになりました。執筆/丸山さとこ(監修:室伏先生より)さとこさん、コウくんの3歳児健診でのご様子や、神経発達症の疑いの指摘を受けられた時のお気持ちなど共有くださり、ありがとうございます。さとこさんに共感される親御さん、たくさんいらっしゃると思います。神経発達症という言葉のイメージや、思い浮かべる症状は、人によってかなり違いがあると感じています。同じように神経発達症と診断を受けられているお子さんでも、苦手な物事の違いや、苦手の程度の違い、社会への適応の度合いの違いはとても大きいです。多少の特性があっても、ご本人にとっても周りの方にとってもお困り事が小さければ、診断に至らないこともあります。お困り事というのは、特性の程度だけでなくそのお子さんの置かれている環境にもかなり影響を受けます。ですので、例えば療育、特別支援学級や通級指導教室などを見学された親御さんからは、通っているお子さんたちがなんで神経発達症と診断されているのか分からなかった、どのあたりに困っているのか分からなかったというお話もよくいただきます。診断を受けられて、困惑やご不安を強く感じられる親御さんもいらっしゃることと思いますが、同じ診断を受けていても、症状や適応度に大きな差があることをまず知っていただきたいなと思っています。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年02月08日ASD(自閉スペクトラム症)とは?ASD(自閉スペクトラム症)は、「対人関係や社会的コミュニケーションの困難」と「特定のものや行動における反復性やこだわり、感覚の過敏さまたは鈍麻さ」などの特性が幼少期から見られ、日常生活に困難を生じる発達障害の一つです。知的障害(知的発達症)を伴うこともありますが、2歳児は「イヤイヤ期」といわれる時期でもあり、ASD(自閉スペクトラム症)の診断がつかず様子見という場合も多くあります。参考:自閉スペクトラム症 (ASD) の特性理解 (著)傳田 健三ASD(自閉スペクトラム症)の遺伝に関する研究結果として、発症・発現に何らかの遺伝的な要因が関係している可能性が高いと考えられています。しかし、はっきりとした要因はわかっていません。遺伝要因と環境要因の相互影響が複雑で、かつ偶然性に左右される部分も多いといえます。1歳に続き、この時期の成長・発達には大きな個人差があります。2歳で「ASD(自閉スペクトラム症)かも?」と診断される可能性のある行動や反応として、主に・言葉の発達に遅れがある(2語文を話さない、オウム返しが多いなど)・激しい感覚過敏やこだわりがある・他人に関心が薄いなどが挙げられます。詳しくは次章以降で紹介しますが、2歳ではASD(自閉スペクトラム症)と診断されることは少なく、「様子見」といわれることが多い傾向にあります。参考:7_自閉症|文部科学省2歳児の発達の目安って?ここでは定型発達児における、2歳児の発達の目安を紹介します。1歳児に比べてできることも格段に増え、言語獲得は2語文を話す程度といわれています。・歩く、走る、跳ぶなどの基本的な運動機能や、指先の機能が発達する・食事、衣類の着脱など身の回りのことを(完璧ではないが)自分でしようとする・排泄自立にむけての身体的機能が整ってくる・発声が明瞭になり、語彙も著しく増加し、自分の意思や欲求を言葉で表出できるようになる・盛んに模倣し、大人や同年齢の子どもと一緒に簡単なごっこ遊びを楽しむようになる・行動範囲が広がり探索活動が盛んになる中、自我の育ちの表れとして、強く自己主張する「自我の表われ、強い自己主張」は、いわゆるイヤイヤ期であるといえるので、定型発達児でも強い癇癪を起こしやすい時期であるといえます。参考:保育所保育指針解説書 |厚生労働省参考:イヤイヤ2歳|国立障害者リハビリテーションセンターASD(自閉スペクトラム症)の特性は2歳児でも表れる?言葉、感覚過敏、こだわりなど…違和感や気になるサイン2歳児は「イヤイヤ」が強く出る時期であるため、「激しい癇癪やこだわりがあるのはASD(自閉スペクトラム症)だから?」と思ってしまうこともあるかもしれませんが、その他に見られる日常の様子を見ていくことが大切です。では2歳児の気になる発達の遅れや特性とは、どのようなものがあるのでしょうか。2歳台の子どもの気になる行動として、・人見知りが強い、または少なすぎる・他人の行動を真似・模倣しない・見てほしいものや興味があるものについて共感を求めてつたえようとしない・「まんま、たべる」「ワンワン、いた」などの2語文を話さない・極端にまぶしがる、大きな音に過剰に反応するなどの感覚過敏(反対に鈍感すぎる)・突然癇癪を起こす、またそのあとの切り替えが難しい・変化をひどく嫌う、特定のものへの強いこだわり(場所見知りや強い偏食など)などが挙げられます。1歳6ヶ月児健診では「M-CHAT」という質問紙を使用した「スクリーニング検査」が推奨されていますが、2歳児にも引き続き参照されることがあります。1歳台と同様に社会性、言葉の発達(喋るのが遅い)などが表れやすい傾向があると共に、感覚過敏や癇癪やこだわりなども多く出てくる時期です。「M-CHAT」などの検査で当てはまる項目が多くても、2歳児は自我が芽生える時期であり、成長にも大きな個人差があるため、ASD(自閉スペクトラム症)であるか判断ができず、様子見となることもあります(基本的にM-CHATは保健師などがチェックするものであり、保護者自身がチェックするものではありません)。2歳児に表れることの多いASD(自閉スペクトラム症)の特性による症状Upload By 発達障害のキホン※発達や成長に加え症状や特徴には、この時期大きな個人差があります。当てはまる反応や行動の数が多いからといって、すぐにASD(自閉スペクトラム症)と診断されるわけではありません。相談や受診の目安、保護者ができることとは?成長に個人差はありますが、・過敏さが強く、まとまった睡眠がとれない・ほかの子どもの遊びにあまり興味を持たない・親にも積極的に働きかけない・こだわりが強く、生活するのが難しい・目が合わない、呼んでも反応が悪いなど、日常生活の中で、困りごとが多い場合や保護者の方が心配な場合は相談しましょう。子どもの発達が気になる場合、どこへ相談すればいいのでしょうか。・市町村の保健師・保健センター母子の健康をサポートするためのさまざまな相談やサービスを受けることができます。・行政福祉窓口市・区役所等の福祉課で相談方法を知ることができ、困りごとに適した相談機関を紹介してもらえる場合があります。・発達障害者支援センター各県に1ヶ所以上あり、発達障害についての相談の対応を行っています。その他、保健所、療育センターなどもあります。また、全国に親の会などもあるので、利用してみてもいいかもしれません。診断された、あるいは発達の遅れなどが気になるから、早く療育を受けたいという保護者も多いと思います。療育とは、「障害のある子どもに対してそれぞれの特性に応じた身体的・精神的機能の発達を促し、日常生活や社会生活を円滑に営めるように行うもの」です。療育(発達支援)には、自治体などの管轄の公的機関で行うもののほかに、民間の施設などで行うものがあります。大学病院など一部の医療機関ではPTなどを行っている場合もあります。自治体のほか、民間の施設の中にも公費で受けられる発達支援を提供しているところがあり、この支援は「通所受給者証」(※)を所持していると利用でき、利用料金の助成を受けることができます(基本的には1割負担ですが、満3歳になって初めての4月1日から3年間は無償となります。また、家庭によって上限額が異なります)。ASD(自閉スペクトラム症)は早期発見、早期療育がのちの社会生活に大きく影響するといわれています。できるだけ早い時期から療育を行うことで、日常生活や園・学校生活における困難の軽減や生活能力の向上を促すことができると考えられています。※福祉サービス等を利用するために発行される証明書のこと。自治体に申請して、審査の上発行される。日数(支給量)や、月額の利用料の上限額(上限負担額)が記載されている。参考:小林 勝年, 儀間 裕貴, 北原 佶著「エビデンスに基づく療育・支援とは何か」『子どものこころと脳の発達』2020 年 11 巻 1 号 p. 3-102歳児は1歳児に比べ、言語やできることも増える分、自我の芽生えも強く出る時期といえます。それが「イヤイヤ期」によるものなのか、ASD(自閉スペクトラム症)の特性からくるものなのかはなかなか見極めにくいかもしれません。1歳児同様、発達には大きな個人差があるため、この時期だから必ずこの特徴が出るという確定的なものはありませんが、気になるポイントがあったら、早めに相談・受診しましょう。(監修:新美先生より)2歳ごろには、お子さんの行動範囲も増えてきて、好きなもの興味あるものと、興味ないものがはっきり見えてくる時期ですね。興味ないこと、苦手なことを無理強いするのは効率が悪いので、本人が興味あることを足掛かりに、興味の幅を増やしたり人とかかわることの楽しさも見つけていけるといいですね。保護者の方にとって関わり方が難しいなと感じる場合、専門機関に相談するのも、お子さんにあった子育てを知るためのきっかけになるかもしれません。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年02月07日中1自閉スペクトラム症娘、テストで100点を取っているのに…!?広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)のある娘は、中学1年生。娘が小学生の時、「テストが返されたら、設置されているお手紙ボックスに入れる」というルールにしていたのですが……Upload By SAKURA100点だとしても自分から報告してくれることはほとんどなく、私たちが気がついて「100点じゃん!」と言うと「そう、100点」と言うだけでした。中学に入学してからは、テストはまとめて行われるようになり、頻繁にテストを確認する機会が減ったのですが……Upload By SAKURA小テストや単元テストで100点を取っても、まったく言わない娘。連絡帳で満点を取ったことを初めて知り、「満点だったの?」と聞くと「うん」と言うだけ。娘の小さな頃を思い返してみると……Upload By SAKURA娘が今、反抗期だからというのもあるかもしれませんが、思い返してみると娘は、小さな頃からそうでした。2歳の頃、初めて発達支援センターでカウンセリングを受けた時……Upload By SAKURA近くで遊んでいる娘が、一度も私のところに戻ってこないことを指摘されました。たしかに娘は、何か楽しいことがあった時も私に笑いかけることも、姿を確認することもありませんでした。絵を描くのが好きでしたが、描いても見せに来ることはなく、テレビも絵本も、常に一人。思い返せば、娘の楽しさはいつも自己完結していて、人に伝えて一緒に楽しもうという、共有する気持ちはないようでした。言葉が増えてもそれは変わらず大きくなり、言葉が増えてもそれは変わらず、学校であったことは聞かないと教えてくれないし、それ自体にあまり関心がない場合は、忘れていて、先生から詳細を聞き、やっと思い出すということもあります。Upload By SAKURA子どもによく見られる「ママ、聞いて~見て~」ということがほとんどなかったため、私は二人目(長男)の時に初めて体験したほどでした。Upload By SAKURAうれしかったこと、楽しかったことなんで話さないの?娘に聞いてみると……あの時は、娘がまだ自分の気持ちを話せなかったので、カウンセリングで知りましたが、今なら娘の気持ちを確認できる。私は娘になぜ共有しないのか、うれしかったこと、楽しかったことを話さないのか、聞いてみることにしました。Upload By SAKURA娘は「共有したい」という気持ちが薄いので、話したいという人の気持ちが分からないようでした。私たちにとっては、喜びを人と共有したいということは当たり前でしたが、娘にとってそれは当たり前じゃない。私たちに娘の気持ちが分からないように、娘にも私たち側の気持ちは理解できないことだったようです。そのことを無理やり変える気持ちはありませんが、中には伝えて欲しい状況もあります。Upload By SAKURA人に気持ちを伝えないと、相手は分からないし、状況によっては話さないと困ることもあります。ありのままの娘を受け入れるべきなのは分かっていますが、娘の行動でトラブルが起きるのは避けたい……。Upload By SAKURA私たちにできることは、娘が相手の気持ちを想像できるように、周りの状況や気持ちを話していくことぐらい。今回のことに限らずですが……反抗期な娘にいろいろ諭していくのは難しくなってきました。絶対こうしなきゃダメということばかりではなく、状況に合わせたり、相手を見たり……臨機応変な対応を教えつつも、娘の個性を壊しているのではないかと、毎回悩みながらやっていることが多いです。これで合っているかの葛藤も毎回つきまとう。悩んで葛藤しながら、これからも続けていきたいと思います。執筆/SAKURA(監修:室伏先生より)SAKURAさん、気持ちの共有について、あーさんとの対話をご共有くださり、ありがとうございました。あーさんの言動に関して理解できないことについては、あーさんにお気持ちを聞いて、なるほどそうなのかと理解される、これはあーさんの個性を理解しようとされているSAKURAさん努力の賜物だと思います。その上で、あーさんに分かりやすい言葉で、SAKURAさんがどのように感じているか、どんな風に困っているのかを伝えられているのですね。これは発達障害のあるお子さんに限らず、どんな人間関係においてもとても大切なコミュニケーションですよね。あーさんの個性を壊しているなんてとんでもないです。素晴らしいなと思いました。自分の考えていることを言葉にして表出するのはとても大事なことなのですが、家族のような安心できる関係性になればなるほど、それを意識して行うことを忘れがちになってしまいます。私もSAKURAさんを見習いたいと思います。きっとSAKURAさんとの対話が、あーさんの将来に活きてくると思います。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年02月07日顔見知りがいない中で始まった小学校生活小学校低学年頃の長男ハルは、幼少期に悩まされた多動もすっかり落ち着いてきていました。元々マイペースで争いが苦手な性格だったこともあって、クラスメイトなど周囲とのトラブルは、ほぼなかったように思います。しかし、ハルの様子を見ていて「初めてのこと」には周囲と比べて順応しづらいところがあると感じていました。母として今でも申し訳なかったと思う点は、ハルが通っていた幼稚園が小学校の学区外だったため、「入学時点で知っているお友達がほとんどいなかった」ことです。ハルの周囲には学区内にある園に通っていたお子さんが多く、小学校へ上がっても知り合い同士で友達関係ができあがるのが早かったように思います。しかし先生からは、「子ども同士なのだからすぐに仲良くなれますよ!」と言われていました。Upload By 安田ふくこ「周りの子たちの話題やノリに、ついていけますように。仲間外れにされたり、つらい思いを抱えませんように……」ハルを見守っていて、私の中でその思いが消えることはありませんでした。「勉強よりも何よりも、ハルには友だちと楽しく過ごしてほしい!」私はそんなことばかり考えていました。小学校中学年になり、「ギャングエイジ」の子どもたちとトラブル発生。先生に相談したけれど⋯⋯小3~小4頃になってくると、いわゆる「ギャングエイジ」に差し掛かります。もちろんそうではないお子さんもいましたが、ハルの周囲にはヤンチャで頭の回転が速いタイプのクラスメイトたちが急に増え、ハルはだんだんとそういう子どもたちに翻弄されるようになっていきました。Upload By 安田ふくこ一時期、下校時にハルが同じ班の気の強い女子数名にランドセルを持たされたり、強く言い返せない性格を見抜かれ、ヤンチャな男子から「おい雑魚(ザコ)!」などと呼ばれたりしたことがありました。特に、ランドセルの件は連日のように続いていて、様子を見ていてもつらそうでした。当時の担任の先生に相談しましたが「ランドセルを持てと言われて”嫌だ“と意思表示もせず、持ってしまうハル君も悪いですよね?」などと一蹴されてしまいました。頭がガーンと真っ白になった私は「嫌だと言えないハルも悪いんだろうか?」と何も言えずに引き下がってしまったのですが……。Upload By 安田ふくこあとで「嫌なことをされても拒否できるならこんなに悩まない」、「“嫌だ”と言えば、もっと嫌なことをされるかもしれなかった」とハルから聞きました。そういった防衛本能で、「自分がひととき我慢すれば良いのだから」とただ黙ってランドセルを持っていた。だけど、どうしてもつらい気持ちになる……と。大人の私ですら、その頃はまだ人からショッキングなことを言われても毅然として反論できないところがあったので、ハルのその気持ちが痛いほど分かりました。ましてや子ども。心にそんな思いを抱い込んでしまう可能性があることくらい、大人が少し想像したら分かりそうなものなのに。その時の担任の先生には理解してもらえず、私は二度と、その先生に腹を割って相談することはありませんでした。嫌なことを嫌と言えない……コミュニケーションの不器用さに悩む後日、このトラブルの渦中にいた子どもたちの保護者の一人に相談したところ、すぐに分かってもらえて謝罪され、子どもたちの行為は収まりました。ですが、このことがきっかけで、私は「ハルには、他人から何か理不尽なことを言われたりされたりしても、その場で瞬時に言い返せなかったり、拒否の態度を取れなかったりするところがある」と知ることができました。理不尽に従うことなどないのに、瞬時には機転がきかず、何も分からないまま振り回されてしまう……。そんなハルのコミュニケーションの不器用さを、今後どうしたら良いのだろう?と、私自身も悩むようになっていくのでした。夫は相変わらず「ハルのことを病気や障害扱いするな!ただハルが、周囲より気弱ってだけだろう。病気や障害とかじゃない。お前は考え過ぎだよ!」とよく言っていましたが……。私は「病気扱いとかそういうわけじゃなくて!もしも発達の遅れや特性なら、適切にサポートしてあげたいっていう話よ」と、何とかあまり夫を刺激せずに理解してもらおうと、こちらも試行錯誤の日々でした。弟と一緒に受けたWISC検査で、発達障害があることを知ってハルが小4になった頃、ハルの弟・次男ツトム(当時年長)が、小学校入学前にWISC検査を受けることになりました。次男ツトムは長男ハルとは異なり、こだわりがとても強く、不眠や癇癪もありました。そのため、発達障害の知識がそれほどなかった私でも、就学前に一度発達外来で診察してもらおうと考えていました。どうみても圧倒的に視野が狭く、興味のあることにのみ過集中で多弁な次男ツトムに関しては、さすがの夫でも「検査や診察なんてするな!」とは言わなかったのでした。ちょうどその頃、私はハルの担任の先生から「ハルの会話のキャッチボールのしづらさ」を指摘されていました。「非常に穏やかで真面目なお子さんですが、こちらが言ったことやくみ取ってほしいことに対し、あまりそぐわない返事を、空気が読めずに言うのです」と。このような経緯もあり、私は「この機会に、ハルも検査を受けてみたほうが良いのでは?」と考え、次男ツトムと一緒にハルにもWISC検査を受けてもらうことにしました。そうしたキッカケがなければ、当時小4のハルが検査や診察を受けることはなかったかもしれません。WISC検査を受けた結果、ハルには各発達指標の数値に大きな「差」が見られました。さらに、医師からASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如多動症)と診断されたのです。Upload By 安田ふくここれには私も、そして夫も、少なからずショックを受けました。ですが一方で、ハルを育てている中でずっと感じていた周囲との微妙なズレの理由が、ようやく理解できたような気持ちもありました。そのため、私はすぐに「前を向こう。この子に合った接し方や伝え方とは何だろう?」と、考え始めたのでした。執筆/安田ふくこ(監修:藤井先生より)ハルさんの学校での様子を受けて、発達外来を受診されたことで、ハルさんの特性の理解ができるきっかけになったのですね。WISC検査で数値に大きな「差」があっても、発達障害に直結するものではありません。しかし、特性の理解のために補助的に検査を行うことはよくあります。知識的な言葉は持ち合わせていても、理由や説明が苦手など、検査中の行動を観察することも可能です。検査の結果は補助的ではありますが、お子さんへの接し方を振り返り、集団生活での支援を学校と共有する上で、必要になることがあります。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年02月07日毎日教室から脱走?自閉スペクトラム症の息子、幼稚園での様子スバルは一対一なら話が通じ、人が好きで、さらに興味がある事には集中して座っていられるので、2歳でプレ幼稚園に入るまでは「言葉が遅い以外に困り事はない」と思っていました。プレ幼稚園では、先生がクラス全体に呼びかけた「お片づけの時間だよ」などの指示が通らなかったり、私が膝の上でホールドしていないと絵本の時間に歩き回ってしまったりと、集団生活の中でのスバルの様子を始めて知ることとなりました。クラスメイトたちが入園から3ヶ月ほどで母子分離通園になっていく中、スバルと私は居残りで母子同伴通園を続けていました。そして3歳で自閉スペクトラム症と診断されたと同時にプレ幼稚園は退園に。その後信頼できる幼稚園と出合い、無事に年少から入園することができました。しかし、入園直後のスバルの連絡帳には毎日「今日も廊下の窓から駐車場の車を見ていました」と書かれていました。休憩時間の話ではありません。クラス活動の時間中に脱走しているのです。私は不安と心配と先生への申し訳なさから、いても立ってもいられず、用事で幼稚園の近くを通るたびフェンスの外から中の様子をうかがっていました。フェンスにかじりついて幼稚園の中の様子をうかがう様子はまさに不審。そのうえ、そこから得られる情報はほとんどありませんでした。見守る母そんなある日、幼稚園でイベント工作スタッフの募集がありました。イベント工作スタッフとは保護者主催のイベントで使う飾りつけの製作やプレゼントの梱包など、人手がいる作業のお手伝いです。年に何度か幼稚園に集まって作業をするそうで、その月はさっそく数回出番があるそうです。なんというチャンス。堂々と幼稚園の中に入ってスバルの様子をうかがえる機会が向こうからやって来るなんて!幼稚園に貢献しながらスバルの様子も見られるなんて一石二鳥です。私は熱い志望動機も書き添えて応募し、イベント工作スタッフの参加が決定しました。作業初日、少し早めに幼稚園に到着しスバルに見つからぬように細心の注意を払い幼稚園へ潜入。集合場所であるお遊戯室へ向かう途中にスバルの教室があり、ぬき足さし足しのび足で教室をのぞきました。てっきり廊下から駐車場を眺めているか教室内を歩き回っているのかと思いましたが、意外なことにスバルは座って工作をしていました。そして、近くには補助の先生がいて、スバルを含む数人をサポートしてくれていました。Upload By 星あかりスバルは、一対一で工作のつくり方を説明した時には理解できるのに、先生がクラス全体に向かって説明すると理解できないことがあります。補助の先生が近くで説明してくれることで、今自分がすべき事が理解でき「駐車場でも眺めるか」みたいな気が起こらないのかもしれないと思いました。私はほっと胸をなでおろしお遊戯室へ向かいました。お遊戯室で作業をしながら、座って工作をするスバルの姿を思い出して感動していると熱い視線を感じました。振り返ると、そこには満面の笑みでガラスの扉に張りついて私を見つめるスバルの姿が……。どうしようかとオロオロしていると、先生がやって来てスバルを連れて去って行きました。スバルは先生に手を引かれながら、廊下の奥へと姿を消すまで私のほうを見ながらニコニコしていました。どういう感情? 私は冷や汗が出たんですけど……。見つかる母それからイベント工作スタッフとして幼稚園に行くたびに、同じことが繰り返されました。その頃にはスバルも幼稚園生活に慣れて来たのか、連絡帳に「今日も廊下の窓から駐車場の車を見ていました」と書かれることは減っていきました。しかし、私がお遊戯室で作業をしていると絶対にスバルがやって来るので、駐車場の車を見ていないだけで日頃から出歩いているのだと思いました。教室から抜け出し、先生に連れ戻されるのが日常の光景なのかと落ち込みました。ある日の放課後、先生から呼び止められました。先生から「お遊戯室で作業がある日、スバルくんはお母さんの自転車を見つけると教室から出て、お母さんを探しに行ってしまうのです」と聞かされました。それ以外では教室から脱走することもなく、椅子に座って活動に参加しているらしいのです。Upload By 星あかり私はスバルに何も言わずこっそり幼稚園に来ていましたが、スバルは駐輪場の自転車を見て私の来園をチェックしていたのでした。幼稚園に貢献しているつもりが、私の存在自体が邪魔になっていたなんて……。「それで……あの~」と先生が言葉を濁すのでイベント工作スタッフのクビを覚悟したのですが「自転車はあちらの茂みに隠してください」とお願いされました。しのぶ母その後は、自転車はしっかり茂みに隠し、茂みから園舎までは木や車の影に身を隠しながらジグザクと近づき、窓の近くを通るときは姿勢を低くし決して窓に映らない事を徹底しました。正直そんなことしているのは私だけでしたが、親の姿を見つけて教室から脱走するのはスバルだけなので仕方がありません。そんな活動を続け、年少の終わり頃には面識のない保護者から「星さんってどの人だっけ?」「あの忍っぽい人」「ああ!」という認知のされ方をするようになりましたが仕方ありません。おかげで少しずつ成長していくスバルの姿を1年かけて見守ることができました。スバルはゆっくりじっくり学び、座るべき時に座りクラスメイトと同じ事に取り組めるようになりました。一斉指示は届いていないときもありましたが、それでも本当に大きな成長です。年少も終わりに近づき、1年の集大成年少も終わりに近づき、イベント工作スタッフの最終日がやってきました。私は初めて、ほかの保護者と同じように忍ばず園舎に入りました。そして教室の窓の前を通るとき、ほかの保護者と同じようにわが子に手を振りました。ほかのお子さんはうれしそうに小さく手を振り、すぐに活動に戻りました。私は1年間忍びながら、スバルの姿を見て来たのです。「たぶん今のスバルなら私を見つけても教室から飛び出して来たりしない」そんな確信がありました。ーさあスバル! 成長した姿を見せておくれ!私の姿を見つけたスバルは勢いよく立ち上がり「おかあさ~ん」と大声で叫びながら満面の笑みで大きく両手を振りました。ー立っちゃうのか! こっちに来ちゃうのか!?私はまだ忍んでいるべきだったと後悔しました。しかしスバルはすぐに着席し、私の姿が見えなくなるまでニコニコと見送っていました。ー座ったーーーー!!少し焦ったものの、1年の成長の集大成を確認することができ、本当に安心しました。執筆/星あかり(監修:藤井先生より)あかりさんが忍びながらスバルさんの園での様子をみてきた結果、成長を感じることができたのですね。園の先生とあかりさんがうまく連携して、どうしたらスバルさんが落ち着いて園生活を送ることができるか、工夫を重ねた成果でもありますね。これから成長することもたくさんあると思います。それと同時に、新たな悩みも生じることもあるかと思います。先生と連携して、成長を遂げたスバルさんの今回のエピソードを思い出して、「きっと成長できる」「大丈夫」と思うことができますね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年02月06日不登校児童生徒対応のマンツーマンオンライン塾『Preステップオンライン』を運営するCKCネットワーク株式会社(代表取締役:山崎 朋宏、本社:愛知県名古屋市)は、『年度替わりの今だからこそ 不登校は誰にでもある 不登校の不安解消の一手は家庭学習から ~家庭学習の取り組み方 オンライン説明会~』を2024年2月24日(土)に開催することになりましたので、お知らせいたします。説明会タイトルロゴ【イベント概要】◆名称: 年度替わりの今だからこそ 不登校は誰にでもある不登校の不安解消の一手は家庭学習から~家庭学習の取り組み方 オンライン説明会~◆会場: オンライン(Zoom)他の参加者に顔や名前を出さずに参加できます◆日時: 2024年2月24日(土)11:00~12:00◆内容: 不登校児童生徒の勉強への気持ち 家庭学習への取り組み方◆詳細: ●開催に至った社会的背景と現状「増加する不登校児童生徒と不登校時の心配。不登校の原因」文部科学省の調査によると、小・中学校の不登校児童生徒の数は2022年度に過去最多の299,048人を記録しており、2013年度以降、不登校児童生徒は年々増加しています。(別紙参考資料(1))「令和2年度不登校児童生徒実体調査」では、不登校となった中学生のうち約74%が勉強の遅れに対する不安を、約69%は進路・進学に関する不安を抱えています。(別紙参考資料(2))「令和4年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」では、不登校児童生徒が不登校の主な要因として51.6%が「無気力・不安」をあげています。また、未来地図( )の調査によると、「不登校の要因」について、37.5%の保護者が「子ども自身も、学校へ行けない理由がわからない」と回答しています。参考資料(1) 不登校児童生徒数参考資料(2) 不登校生徒が不登校時に不安だったこと●開催への想い「8年間の不登校児童生徒へのサポートから得た経験」不登校生は年々増加していますが、不登校になる理由の半分以上が明確な理由ではなく、ぼんやりとした理由です。勉強が理由で不登校になる生徒は少ないのですが、不登校になった後に勉強や進路について不安を覚える方が多くいらっしゃいます。日常から家庭学習の取り組み方に目を向け、学習習慣の定着、学習の積み重ねをしておくことで、不登校になった際に、少しでも勉強や進路の不安解消につながるのではないかと思います。当社には8年の「不登校児童生徒へのオンライン授業・面談実績」があり、現在も多くのお子さま・保護者の方々への不登校支援のサポートを行っています。当社に問い合わせされる不登校児童生徒をお持ちの保護者の方は、様々な悩みをもって相談に来られます。受講していただいた生徒の保護者からは「このサポートをしていなかったら高校進学も考えられなかった。まさかうちの子が高校に行けるとは思ってもいなかったので希望をもらった。」という声をいただきました。今回の説明会をお子さまの家庭学習の環境、学習習慣などについて考えていただくきっかけにしていただきたいと考えています。【『Preステップオンライン』とは】不登校、軽度発達障害、グレーゾーンの方向けのマンツーマンオンライン塾『Preステップオンライン』の3つの特徴をご紹介します。■マンツーマン授業:1回40分小学3年生~中学3年生の内容で必要なところから学べる無学年方式で、学習以外の話もしながら楽しく基礎を積み重ねます。■個別面談:月1回15分学習状況、頑張り度をデータ化して毎月報告。学習だけでなく生活の不安や悩みの相談にも対応します。■スタディサプリを中心とした学習管理システム小学生・中学生の国語・算数・理科・社会・数学・英語の映像授業が1万本以上見放題です。授業で学習した内容をテストで確認することができ、“できた!わかった!”を定着することができます。【CKCネットワーク株式会社について】『家族に自慢できるサービスを、世の中に提供する。』を理念として1990年に愛知県で創業しました。通信指導実績33年、累計指導会員数50万人以上を誇る総合教育企業です。オンライン個別指導塾「Fit NET STUDY」や、不登校、軽度発達障害、グレーゾーンの方向けのマンツーマンオンライン塾「Preステップオンライン」など、幅広い事業を運営しています。CKCネットワーク株式会社URL: PreステップオンラインURL : 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2024年02月06日就学相談で特別支援教室へ通うことになった未診断の次男ふー次男ふーは現在5歳。就学相談の結果、次の4月に入学する小学校では、通常学級に在籍しながら特別支援教室(※)に通うことが決まりました。それまで私は、ふーが特別支援教室に通う必要があるとは思っていませんでした。ASD(自閉スペクトラム症)の小4の長男・ミミと比べて、困っていることが少なかったからです。ですが、ふーが通う保育園と児童発達支援で「必要性の理由」となる現場をいくつか目撃するようになり、ふーには特別支援教室が必要なんだと納得した私。兄のミミのときは診断書を書いてもらい、それを学校へ提出しましたが、ふーは現時点で一年前と同じく診断はされていません。そこで、保育園と児童発達支援、民間の療育で「就学支援シート」を作ってもらい、それを学校へ提出する予定です。それもあり、小学校入学が迫ってくる中、私はふーがどんなことに困っているのかよく観察しています。※特別支援教室とは、東京都などで導入されている発達障害のある子どもたちをはじめとした個別の教育的ニーズに対応し、より適切で効果的な指導を行うための一つの指導の形態です。通常学級に在籍しながら、一部の時間、別の教室で指導を受けることができます。東京都では特別支援教室と呼ばれていますが、地域によって名称が異なります。「教えて」が言えず、せっかく編んだマフラーを全部ほどいてしまったふーふーが通う保育園では、年長さんになると毛糸のマフラーを作るのが恒例。ふーも楽しく編んでいたのですが、先生から「ふーくん、途中で全部ほどいてしまったんですよ」と教えてもらいました。本人に聞くと、下のほうに編み忘れた目があって、それが穴になっているのに気がつきやり直したかったのだそう。翌日いちから編みなおすというので、「頑張ってね」と応援しました。ですが翌日、ふーが一からマフラーを編んでいたところ、途中でやり方が分からなくなってしまったそうです。そこで先生に「教えて」と言えればいいのですが、困っていることを伝えられなかったふー……。Upload By taekoその日は自治体の療育へ行く日だったので、早くお迎えに行ったのですが、教室から出てきたふーはぐずぐず……。このままでは療育まで引きずるだろうと思ったので、その前にアイスを買って食べました。これでふーの気分も持ち直しました!Upload By taekoそしてふーが大好きな踏み切りを通りながら療育へ向かい、十分余裕を持って到着!したのですが……。療育では指しゃぶりに足もじもじ、そして鉛筆を強く握って……療育についたふーは、いつも遊ぶおもちゃを「あれ......」と指さし、先生に使いたいことをアピールしました。そこで先生は優しく「何て言うんだっけ?」と促してくれたのですが、ふーは困った顔をして親指を口に入れお気に入りのタオルのようにしゃぶり、足をもじもじ。そしてシクシクしだして……最後は抱っこ。「使っていい?」と聞けなかったようです。Upload By taekoその後、先生が丁寧に声かけしてくれ、次の活動であるパズルを2種類見せてくれました。これに少し興味を持った様子のふー。「ママに手伝ってもらう?」と先生の提案に応じ、私もパズルを半分手伝うことになりました。ここで少しずつ復活し、2種類のパズルを結局1人で完成させたふーはにっこり。自信に繋がったようです。いつも通りのふーになり、お気に入りのブランコ遊びを再開しました。思いっきり楽しみ、笑顔でニコニコ!満足したところで、机でのプリントをやることに。1枚目はすぐクリア。2枚目は数字の順番どおりに鉛筆で点を繋いでいくと絵になるプリントです。ここでふーはゴキゲンな気持ちが行き過ぎたのか、ついアレンジしてこのプリントに踏み切りの絵を書きだしました。ここで先生は「ちょっと待ってね、あとで好きな絵を書き足して良いから、先に数字を繋げようか」と声かけ。Upload By taekoこれがショックだったようです。気分が乗っていただけに、止められてがっくりしてしまったふーは、口に親指を入れて指しゃぶり、そして鉛筆を持つ手に強く力が入り、プリントを机から落としました。Upload By taeko先生は丁寧な声かけをしてくれたけれど、今日はここまで……。ふーのお気に入りのタオルを渡して心を落ち着かせ、帰宅しました。ふーの困りごとは「言葉で伝えられないこと」が発端かも?そして不安感をおさえるため、指しゃぶりなどの行動につながっているようです学校ではマフラーの編み方を「もう一度教えて」と言えなかったこと、療育では、「使っていい?」が聞けなかったこと、そして先生や私から「“あれ”って何って言うんだっけ?」という声かけに追い詰められたのかな……と思いました。プリントでは、「楽しいことを思いついたから、描いて私や先生に見てもらいたかったのに止められた!せっかく見てもらおうと思ったのに……」と考えていたならショックを受けてしまったのでしょう。学校に提出する「就学支援シート」にこれらのことを書いてもらい、また、自治体が用意してくれる給食を無理に勧めないことをお願いする「偏食の子どもへの配慮のプリント」をこの「就学支援シート」とプリントを合わせて小学校へ提出する予定です。Upload By taekoこの就学支援シートがふーの楽しい学校生活の助けになることを願って……。そして、就学して1ヶ月経った頃、様子を報告するため改めて児童精神科を受診する予定です。執筆/taeko(監修:室伏先生より)taekoさんが、ふーくんの置かれた状況、表情や仕草から、ふーくんのお気持ちを理解しようととても丁寧に関わっていらっしゃるご様子が伝わってきました。いつも一緒にいらっしゃるtaekoさんなら、こう伝えたらふーくんがどう感じるか、理解ができたり、想像がつく場面もあるかと思いますが、第三者に理解してもらうことは難しいこともありますよね。すぐには伝わらなかったとしても、こんな時にはこう感じる子なんだなという具体的な事前情報があるだけで、先生もさまざまな視点でお子さんの言動を想像できるようになったり、関わり方を工夫することができるようになると思います。就学支援シートの助けも借りながら、ふーくんが先生をはじめとする周りの方々と信頼関係を築き、楽しく小学校生活を送れることをお祈りしています。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年02月06日子どもの「生きづらさ」を「らしさ」に変える【ギフテッドを知ると見えてくる、子育てのヒント Vol.2】(きほん編) の続きです。知能が高いことで知られるギフテッドですが、学校や日常生活で困ることがあり、配慮や支援が必要ということを 前回の記事【きほん編】 でご紹介しました。今回の【インタビュー編】では、 『ギフテッド応援ブック −生きづらさを「らしさ」に変える本−(小学館刊)』 の著者であり、Webメディア 「みんなの教育技術」 でギフテッドの担当をしているライターの楢戸ひかるさんに、日本のギフテッドの現状や課題についてお話を伺います。ギフテッドについて知ることは、これからの時代を生きる子どもたちの生きやすさにも関わってきます。また、個性を潰さないためにどのような教育環境を整えればいいのかというヒントにもなるはずです。ぜひギフテッドについて一人ひとりが理解を深め、社会全体でより良い議論ができるようになることを願います。\ 教えて楢戸さん /ギフテッド Q&A 「うちの子、ギフテッドかも?」と悩んだ場合Q. 我が子はギフテッドかも… と感じたら、最初にすべきことはなんでしょうか? また、どこへ相談すればいいでしょうか? 学校への説明などでアドバイスがあればそれも含めて教えてください。A. 手前味噌で恐縮ですが、今回の著書『 ギフテッド応援ブック −生きづらさを「らしさ」に変える本−(小学館刊) 』をまずは読んで欲しいと願います。日本でのギフテッドに関しての論議は、始まったばかりです。多角的にノウハウを蓄積している専門機関はまだ少ないのが正直なところです。でもお子さまの特性が心配になった場合には、まずはひとりで悩まずに誰かとつながる場所を見つけることが大切です。書籍でも紹介している「一般社団法人 ギフテッド応援隊」についてはこの続きをお読みください。また書籍では家庭の中に「ギフの湯」を登場させる方法についても書かれているので、ぜひこちらも読んで欲しいと願います。情報の海で溺れるのは、本当に辛いですよね……。この応援ブックは、厳選したベーシックな情報で構成しました。気持ちの整理をする際に、浮き輪のつもりで使って下さい。そして、『まずは、お母さんの心の居場所を確保して下さい!』と、お伝えしたいです。お母さんの心が安定していれば、たいていのことは何とかなります。居場所の確保という意味では、一人でもいいから子育てのことを本音で話せたり、相談できる相手がいることが重要です。 一般社団法人ギフテッド応援隊 だと、ギフテッドの子育てに共通理解がある人に出会いやすいと思います。この応援隊は、全国規模で活動する保護者の自助団体です。会員専用SNS内では、相談機関の情報なども共有されていると聞きます。先輩のお母さんから方から、経験談なども聞けるとよいですね!学校への説明の際は、そのギフテッド応援隊が提供している サポートブック の使用をおすすめします。会員の方は、サポートブックを会員専用SNS内から無償でダウンロードできますが、一般の方への販売も行っています。(楢戸さん)まわりにいるギフテッドの子との接し方Q. 身近にギフテッドの子がいる場合(兄弟やクラスメイト)、子どもたちにはどう説明すると理解しやすいでしょうか? また接し方で注意すべき点やアドバイスがあれば教えてください。A. もし私に読者の方と同世代の子ども(未就学児や小学生)がいたとしたら、ギフテッドという言葉は使わずに、ギフテッドの子の特徴(周囲との違いや困っていること)を、『そういう子も、当たり前にいるよね』といった気持ちで子どもと対話をしてみると思います。たとえば…『チャイムの音、〇〇(お子さんの名前)より、うんとびっくりしちゃう子がいるんだよね』『もし〇〇が、悲しい気持ち、うれしい気持ちが、いまより10倍強く感じたとしたら、どうかな?』… といった感じでしょうか。人はそれぞれ異なるということ。ギフテッドをひとつの入口にして、いろいろな角度から子どもと話をしたら楽しいと思います。ギフテッドだからといって、接し方で注意すべき点は、とくにありません。ただ、ギフテッドの子がもし我が家に遊びにきてくれたとしたら、私はその子自身にあらかじめ声かけをしておくかもしれません。たとえば、『人はそれぞれ違うから、△△ちゃんが嫌だなとか思うことがあったら、教えてもらえると助かるな。私、気が付けないと嫌だからさ』といったように。私が実際に出会ったギフテッドたちは、繊細で聡明。1を見て10を知るみたいな感じの子どもたちでした。私も最初の取材時は『ギフテッドと、どう話せばいいんだろう?』と、緊張をした記憶があります。でも妙に構えず、率直に話しをすれば、楽しく会話ができました。もしかしたら、“子ども扱い”はしない方がいいかもしれません。ギフテッドは姿かたちは幼児でも、確固とした自己を確立しているお子さんも多いからです。(楢戸さん)日本での現状のギフテッドの課題Q. 最近になってギフテッドへの認知が、徐々に広まってきているように感じます。長年取材をしてきた楢戸さんがいま感じている『日本におけるギフテッドの問題点や改善点』について教えてください。A. ギフテッドと発達障害が混同されている点が気になります。“ギフテッドの特性”と“発達障害の特性”はそれぞれ分けて考えた方が、その子が必要とする支援ニーズを整理しやすく、結果として必要な支援に辿り着きやすいと考えます。ギフテッドという言葉が広がることで、発達障害に対する対応が遅れてしまうことを懸念しています。とりわけLD(学習障害)は、専門の配慮や介入が必要なので、見過ごさないで欲しいと思います。 また、ギフテッドという言葉を、日本では“稀にいる天才”といった意味だと誤解している人がいることも気がかりです。本連載でお伝えしたように「ギフテッド」とは、知能が高いだけでなく、“学校や日常生活で困ることがある”お子さんのこと。それぞれに適したサポートが必要なのです。欧米の国の中には、公教育の中でギフテッドの教育保障をしている国もあります。私が取材した範囲では、ギフテッドの割合は約5~7%と見積もられていました。日本の35人学級で換算すると、1学級に1~2人はギフテッドがいる計算です。日本も文部科学省が2023年から予算をつけ、ギフテッドの支援事業を開始しました。ギフテッドの教育が、公教育の枠組みの中で実施されることが大切です。(楢戸さん)ギフテッドに関心を持ったあなたへ今回初めてギフテッドについて知った方へ、メッセージがあればお願いします!この記事をご覧になってくださったあなたは、いまどんな状況でしょうか? ご自身のお子さんの強い個性を『発達障害の文脈だけでは、どうにも腑に落ちない…』と感じていたならば、『うちの子、ギフテッドなのかもしれないな』と思われたかもしれません。お子さんは、学校に行けていますか?『不登校の子の中には、ギフテッドとしての対応が必要な子どもがいることを念頭に、具体的な支援が必要な時期に来ている』と指摘する研究者もいます。『うちの子とは、まったく無縁の話だわ』と思われる方も、もちろんいらっしゃるでしょう。けれども、お子さんのお友だちのなかに、ギフテッドがいる可能性はあります。今後、お子さんとギフテッド傾向のある子がお友達関係を築いていく上で、ギフテッドの知識が多少あった方が、お母さんご自身も安心なのでは… と思います。世界ではギフテッドの論議が進んでいますが、日本ではギフテッドの論議はまだ始まったばかり。でも、日本にもギフテッド当事者の声に耳を傾け、真摯にサポートをしている支援者、教育実践者、研究者たちがいます。私が取材したギフテッド情報をどのように伝えれば、多くの方に関心を持っていただけるのだろうか? 私自身、まだまだ試行錯誤をしています。読者のみなさまと一緒に考えていけるとうれしいです。(楢戸さん)\ ご紹介した書籍 / 『ギフテッド応援ブック −生きづらさを「らしさ」に変える本−』(小学館刊) 2023年10月3日発売定価1,760円(税込)/192ページ著:楢戸ひかる監修:片桐正敏(北海道教育大学旭川校教授)取材協力:小泉雅彦/日高茂暢/ギフテッド応援隊マンガ:黒川清作 著者:楢戸ひかる プロフィールライター。息子の通級をきっかけに、「特別な教育ニーズのある子どもたち」を軸に教育記事を執筆。通級を経験した母親として、当事者目線の発達障害理解教育の講師活動も行っている。主事業の最適化を考えるサイト「主婦 er」運営中。ウーマンエキサイトでも執筆中。HP: 楢戸ひかる 記事一覧 >>
2024年02月05日マンガで解説! 「ふつう」が子どもを苦しめる【ギフテッドを知ると見えてくる、子育てのヒント Vol.1】 の続きです。ここ数年で少しずつ認知が広がってきた、ギフテッド。しかし、言葉だけが先行し、ギフテッドである当事者の生きづらさや、周囲の人たちの最適な接し方といった本質的なところまではなかなか理解が進んでいません。そこで今回の【きほん編】では 『ギフテッド応援ブック −生きづらさを「らしさ」に変える本−(小学館刊)』 から一部抜粋・編集し、ギフテッドとはどんな特性をもっていて、どのような配慮が必要なのか、をご紹介します。本書ではギフテッドをとりまく現状や課題、有識者たちによる知見やアドバイス等を、マンガを交えてわかりやすく紹介。「子どもの成長に必要なもの」が生き生きと描かれており、当事者のみならず「すべての親たちに役立つ子育てのヒント」が詰まっている。さらに、この本の著者 楢戸ひかるさんに、日本におけるギフテッドの現状や課題についても伺いました。(次回【インタビュー編】にてご紹介)本連載は、初めてギフテッドについて触れる方にもわかりやすいよう 【マンガ編】 【きほん編】【インタビュー編】の3部構成でお届けしています。これを機に「ギフテッドをとりまく環境」に少しでも関心をもっていただき、すべての人が生きやすい世の中をみんなで作っていけたらと願っています。 『ギフテッド応援ブック −生きづらさを「らしさ」に変える本−(小学館刊)』 著者:楢戸ひかる 監修:北海道教育大学旭川校 片桐正敏教授本書では片桐教授のほか、佐賀大学教育学部講師の日高茂暢さん、ギフ寺住職の小泉雅彦さんの3名をはじめ、ギフテッド当事者・保護者に繰り返し取材をし、その叡智を楢戸さんが結晶させた“富良野カムイ”という架空のキャラクターも登場。※本記事は、楢戸さんがナビゲーターを務め、カムイが答えるQ&Aページや 一般社団法人ギフテッド応援隊 と みんなの教育技術 編集部による座談会ページなどから一部抜粋し、編集しています。\ ギフテッド【きほん編】 /知ってるようで知らない、そもそもギフテッドって?「ギフテッドとは、教育学や心理学で使われる用語で、一般的には知的能力(知能)の高い子どもを指して使います。医学的な診断名ではないので、医療機関を受信しても、ギフテッドと診断してもらうことはできません。アメリカではギフテッドに関する項目に定義が記載されていますが、日本には定義はまだありません。しかしながら、2022年秋に 有識者会議から文部科学省への提言 がおこなわれ、今後の施策が示されるなど、日本でも議論がスタートしているところです」IQや能力が高いひと=ギフテッド なの?「ギフテッド」とは、知能が高いだけでなく、“学校や日常生活で困ることがある”お子さんのことを指します。「ギフテッドの教育整備が進んでいる北欧のデンマークでは、2024/25年度からギフテッドのスクリーニングチェックリストの活用を目指していますが、このチェックリストのもととなった研究では、ギフテッドに該当した子どもの84%がIQが120以上だったという報告があるそうです。知能が高いというのはギフテッドのひとつの特性といえます。そしてもうひとつ大切なポイントは、“学校や日常生活で困ることがある”ということです。知能が高くても、学校や日常生活で困っていない子もいるでしょう。あえてギフテッドというラベルを使うのは、実際に困っている子がいるからです。ギフテッドは、言語理解力や記憶力、好きなことに対する探究心などは高いです。一方で、日常のルーチンが定着しない、精神的にちょっと幼いと感じるケースが、よく見受けられます。幼児期はとりわけ知識の高さに生活力が追いつかない時期で、そこにギフテッドによくある完璧主義や正義感の強さが結びつくと、イライラが募って癇癪を起こすなど、周囲の人との軋轢を生んでしまいます」ギフテッドの子が感じている“生きづらさ”って?ギフテッドの生きづらさはさまざま。例えば…・仲間に出会えずひとりで孤独を抱えている子が多い・多くの人が自然に受け入れることができる物事に、過剰に反応してしまう。同年齢の集団の中で浮いてしまう・自分に合った学習環境が手に入らず、知能に見合った学習成績が得られない…など。これまでの教育実践や研究から、ギフテッドの生きづらさを大きく3つに分類してみました。まず 1 と 2 について説明しましょう。1. ギフテッドは「姿」が見えづらい2. 「非同期発達」と「過度激動」が知られていない3. ギフテッドと発達障害との混同(→次ページで解説)1. ギフテッドは姿が見えづらいまず量的な問題として、ギフテッドが少数派であることから、仲間に出会えず、孤独を抱えている子が多いということが挙げられます。内閣府がギフテッド(特異な才能のある子ども)と仮定したIQ130以上に該当するのは、約2.3%。ボリュームゾーンである約7割の多数派からは外れてしまいます。小・中学校の頃は家と家庭が時間の大半を占めている時代です。今いる世界の中で多数派でないことは、大人が思っている以上に辛いものです。そしてもうひとつは、才能というのはそもそも見えづらいという点です。ギフテッドの中には、その子に合った学習環境を手に入れられず、知能に見合うだけの学習成績が得られない子(アンダーアチーバー)もいます。才能は学業成績だけでは測れませんし、子どもたちの中には学校の勉強に興味を持たないという子もいます。まずは、好き! やりたい! を尊重することが大切です。2. 「非同期発達」と「過度激動」が知られていないどちらも聞き慣れない言葉かもしれません。まず「非同期発達」について。いわゆる知的能力(認知能力や言語能力)、社会的な能力、情緒的な能力、運動能力は、一般的には相互に関係しながら、年齢とともに発達していきます。この発達が同期している(相互に関係がある)状態に対して、ギフテッドの場合は発達が同期していないように見えることが多いため、「非同期発達」(発達の非同期性)と呼ばれます。得意な領域の発達が目覚ましいため、ほかの能力の発達と大きな開きが出てくることがあるのです。情緒面では同年齢の子より幼さが見られることもあるほか、運動能力も比較的ばらつきが大きいかもしれません。そしてギフテッドの多くに見られるもうひとつの特徴である「過度激動」とは、文字通り、過度な感情や行動を示す状態。多くの人が自然に受け入れることができる物事に過剰に反応してしまうなど、過度激動があると集団生活の中で苦しいことがあります。環境からの刺激に対して、強い行動力・感情的な反応を引き出すので、同年齢集団の中で浮いてしまうことも。普通を主語にして物事を考えること自体が、時代遅れ。その状態がギフテッド本人の葛藤になったり、周囲の人や環境との軋轢を生むことになる可能性もあります。そのため、ギフテッドのカウンセリングをする際には、過度激動に対して否定的に捉えるのではなく、自分の過度激動に関して理解を深めることが重要視されています。(※より詳しい過度激動の5つのタイプは書籍にて紹介)「普通の枠内に収まらない強い個性を持ったギフテッドが、普通であることを求められる環境にいると強いストレスを感じます。日本では“多数派”側にいないと“普通”じゃないといわれがちですが、多様性が尊重される今の時代、普通を主語にして物事を考えること自体が、時代遅れ。いわゆる普通でない仲間もたくさんいることや、本人の辛さやSOSに周囲が気づくことが大切ですね」ギフテッド=発達障害 ではないの??ギフテッドと発達障害は、分けて考えることが重要です。なぜならば支援ニーズが全く異なるから。大切なのは「この子はなぜ生きづらいのだろうか? ギフテッドの特性があるからなのか? それとも発達障害の特性があるからなのか?」という問いなんです。「たとえば、発達障害の種類のひとつであるASD(自閉スペクトラム症)の特性である“こだわり”がある子は、興味関心のある分野についてかなり深い知識を持っているため、それを他者に滔々と話すことがあります。これはギフテッドに見られる知性過度激動の【知的好奇心が強く、言語発達も早熟。時として、周囲と話が合わずに困る】という状態と、一見すれば似たように見えます。しかしギフテッドは、総合的な学習の時間などの話し合いのある場面では、イニシアチブを発揮しながら、友だちの意見を交えつつ問題解決に向けて学習を進めていくことが可能です。話題が噛み合っていないなと感じることもできますし、話をしている相手の感情なども感じ取ることができます。ギフテッドとASDが決定的に異なる点は、ASDのある人は他者の感情や意図の読み取りが難しいということです。また、ギフテッドの中には発達障害がある人もいて、このような人を2E (ツーイー)といいます。発達障害とギフテッドでは異なる支援ニーズがあり、アプローチも異なります。したがって、両者をしっかり分けて考え、両方の特性がある場合はそれぞれの配慮と支援を考える必要があります。両者を同じだと考えたり、どちらか一方しかないと思い込むと、支援がうまくいかないことがあります」ギフテッドの子への配慮や声がけ、どう気をつけたらよい?義務教育のカリキュラムは、平均的な知的能力の人向けなので、その環境に自分を合わせようと無理をしてがんばっているギフテッドがいるということを、まずは知って欲しいです。ギフテッドの強みと弱みは表裏一体。子どもの個性を多角的な視点で捉えることが重要です。「仮にわが子が不登校で、その子が久しぶりに学校に行って帰ってきました。何て声がけをしますか? 頑張ったね! すごいね! という声がけをする気持ちはわかります。でも、その声がけを子ども視点でチェックしてみて欲しいのです。学校に行ったことを褒めることで暗黙のプレッシャーを与えていないでしょうか? 久しぶりに学校に行ったときには『大変だったね』『お疲れさま』『ご苦労さま』と、まずは気持ちを汲みとり、いたわることが大切です。ギフテッドはとりわけ環境に敏感な子どもです。がんばって合わせようとしていても、そもそも合わない環境に置かれているので、フィットするのは至難の業。それを怠けている、我慢が足りないで片付けられてしまうと、本当にしんどいのです。特性である強い集中力は、強みでもありますが、集中しすぎる(過集中)状態のときはまわりのことが見えていなかったり、ほかのことはおろそかになりがちです。つまり、強みと弱みは表裏一体。強みをうまく扱うことができれば強力な武器になりますが、一方で自分や周囲を傷つけてしまう可能性もあります。現状、日本の教育現場では、どうしても弱みや困っていることに対する配慮や支援が優先され、強みに対する配慮や支援の重要性はあまり議論されていません。ギフテッドへの理解が学校現場に浸透することで、強みに対する配慮や支援という発想が広がっていくことを期待しています」ギフテッドについて理解し、多様性を受け入れよう!今回の【きほん編】では、ギフテッドとはどんなものなのか、いくつか抜粋してご紹介しました。まずは、ギフテッドは単に知能が高いだけでなく、学校や日常生活で困ることがたくさんあるということを理解しましょう。そして、社会全体で多様性を認め合って、誰しもが生きやすい環境を整えていけるよう、関心を寄せていくことが大切です。 次回 は、『ギフテッド応援ブック −生きづらさを「らしさ」に変える本−(小学館刊)』の著書であるライターの楢戸ひかるさんに、日本のギフテッドの現状や課題について、さらにお話を伺います。\ ご紹介した書籍 / 『ギフテッド応援ブック −生きづらさを「らしさ」に変える本−』(小学館刊) 2023年10月3日発売定価1,760円(税込)/192ページ著:楢戸ひかる監修:片桐正敏(北海道教育大学旭川校教授)取材協力:小泉雅彦/日高茂暢/ギフテッド応援隊マンガ:黒川清作 著者:楢戸ひかる プロフィールライター。息子の通級をきっかけに、「特別な教育ニーズのある子どもたち」を軸に教育記事を執筆。通級を経験した母親として、当事者目線の発達障害理解教育の講師活動も行っている。主事業の最適化を考えるサイト「主婦 er」運営中。ウーマンエキサイトでも執筆中。HP: 楢戸ひかる 記事一覧 >>
2024年02月05日近年、「ギフテッド」という言葉を耳にする機会が増えてきました。ギフト=贈り物という意味から、特別な才能を授かった人という認識の方が多いかもしれません。しかし、ギフテッドの生きづらさや個性といった本質的な特徴を、きちんと理解している人は少ないのが現状ではないでしょうか。そこで、『ギフテッド応援ブック −生きづらさを「らしさ」に変える本−(小学館刊)』の著者で、 Webメディア「みんなの教育技術」 でギフテッドの担当をしているライターの楢戸ひかるさんに、ギフテッドを理解するうえで知っておきたいことについてわかりやすく解説していただきます。(全3回)今回の「マンガ編」では、著書に掲載されている“ギフテッドの生きづらさとは何か”がわかるマンガの一部を転載してご紹介します。第1話:「ふつう」がわたしを苦しめる主人公は小川結衣(おがわ・ゆい)。生まれつき知能指数が高く、突出した絵やデザインの才にも恵まれたギフテッドの少女。一人っ子。※マンガのストーリーは、北海道に実在する「ギフ寺」(ギフテッドの子どもたちのための居場所)への取材に基づいたフィクションです。登場人物・場所・設定は、実在のそれとは無関係です。↓ココから読む(左から右)ギフテッドである主人公・結衣が、どんな場面で生きづらさを感じているのか少しご理解していただけたのではないでしょうか。結衣はこの後、ギフの湯で自分の居場所を見つけ自分らしく毎日を過ごせるようになります。(マンガの続きは、『ギフテッド応援ブック −生きづらさを「らしさ」に変える本−(小学館刊)』に掲載されています。気になる方はぜひお手に取ってご覧ください)ギフテッドにとって、“自分のことを理解し、理解してくれる仲間を作って、自分のやりたいことができる安心・安全な環境をもつ”ということが、自分らしさを失わずに生きていくうえでとても重要になります。続く 【きほん編】 では、楢戸さんのインタビューを通じて「ギフテッドとは何か」について、イチからご紹介します。\ ご紹介した書籍 / 『ギフテッド応援ブック −生きづらさを「らしさ」に変える本−』(小学館刊) 2023年10月3日発売定価1,760円(税込)/192ページ著:楢戸ひかる監修:片桐正敏(北海道教育大学旭川校教授)取材協力:小泉雅彦/日高茂暢/ギフテッド応援隊マンガ:黒川清作 著者:楢戸ひかる プロフィールライター。息子の通級をきっかけに、「特別な教育ニーズのある子どもたち」を軸に教育記事を執筆。通級を経験した母親として、当事者目線の発達障害理解教育の講師活動も行っている。主事業の最適化を考えるサイト「主婦 er」運営中。ウーマンエキサイトでも執筆中。HP: 楢戸ひかる 記事一覧 >>
2024年02月05日健康で発達も早く、何も気になるところがなかった乳幼児期。でも今思い返してみると……Upload By プクティわが家の長男は4歳の時に軽度の知的障害(知的発達症)と診断されました。4000g近くで大きく元気に産まれた長男は母子手帳に書いてある目安よりかなり早い時期に首が座ったり、生後5ヶ月でハイハイをしたりと成長が早いほうでした。目も合うしよく笑うし、成長面や健康面に関して気になることは特にありませんでした。Upload By プクティただ、今思い返してみると、「そういえば、こういった行動をしていたな……」ということがいくつかありました。例えば、0歳後半になりバイバイを覚えると、その当時はあまり気にしていませんでしたが、逆さバイバイをよくしていました。また、1歳になり歩き始めると、つま先立ちで歩く様子が多く見られました。「光」と「衣替え」が大敵!成長と共に感覚の過敏さが見られるようにUpload By プクティ2歳になった頃には、感覚の過敏さも見られるようになりました。当時、特に困っていたのは「光」でした。朝起きた時にカーテンを開けたり、部屋の電気をつけたりするとまぶしがり、目が慣れるまで一時間近くかかることもありました。光に慣れるように、寝室のカーテンを遮光ではないカーテンにしたり、長男が起きる少し前からカーテンを開けておいたりといった対策もしていました。ほかにも、車に乗っている時に太陽光を顔に浴びると嫌がって泣いてしまうので、サングラスは必需品となりました。Upload By プクティさらに、洋服へのこだわりも強く、衣替えがとにかく苦手で長袖から半袖に変えるのを非常に嫌がりました。ズボンに関しては頑なに半ズボンを履くことを嫌がったので、一年中長ズボンで過ごしていました。素材もやわらかいものしか着用できず、固めのズボンや襟のあるシャツ、シャカシャカした上着などは一切着てくれませんでした。首元についているタグが苦手だったので全部切り、靴下もなるべく縫い目がないものを選んでいました。こだわりの強かった長男。5歳になった今はUpload By プクティ当時は、なんでこんなにわがままなの?と理解できず困ったり、叱ってしまうことも多々ありました。今思い返すとあれも神経発達症の特性だったのかも……と考えたり、もっと早く理解して対処できたら良かったのに……と後悔したりすることもあります。5歳になった今では、当時に比べるとこだわりで癇癪を起こすことも減り、感覚過敏も軽減してきているので、引き続き長男に寄り添って生活しやすい環境へとサポートしていけたらと思っています。執筆/プクティ(監修:室伏先生より)長男さんの乳幼児期のご様子について共有くださりありがとうございました。もっと早く理解して対処できたらよかったのに……とのお言葉ですが、「光がまぶしく感じる」、「長袖から半袖に変えるのが嫌、やわらかい素材の洋服しか着用できない、タグが苦手」などのお困りに対する、プクティさんのとても丁寧なサポート、素晴らしいと思いました!なぜ嫌がるのか、苦しんでいるのか、実体験として体感できないので、理解ができなかったり、もどかしく思ったりすることも少なくないと思います。プクティさん自身、おつらいこともたくさんおありだったと思いますが、長男さんはプクティさんの工夫に数多く助けられたのではないでしょうか。感覚の受け取り方、感じ方は個人差が大きいのですが、これが日常生活に支障をきたすほど鋭敏な場合に、感覚過敏と表現します。多くの人は、無意識のうちに五感から得られる情報から必要な情報だけ取り入れて、不必要な情報はシャットアウトしていますが、この情報処理に偏りがあると、周囲からの情報や刺激を過剰に受け取ってしまうことになります。どの感覚に過敏さがあるかは、お子さんによって異なります。本人にとってはとても苦痛が大きいこともありますが、周りから理解されにくいこともしばしば。感覚過敏のあるお子さんへのサポートは、苦手な刺激を避ける・弱めること、ゆっくり慣れていけるように適切に対応することなどが基本的な方針となります。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
2024年02月05日小学校入学と同時に始まった行き渋り現在小学6年生のわが家の長女『姉子』は、赤ちゃんの頃から繊細なところはあったものの、幼稚園の時は楽しく園生活を送っていました。しかし、小学校へ入学するとすぐに、登校前に泣き出したり、腹痛や頭痛を訴えたりして、行き渋りをするように。また、ある日突然チックの症状が出るようになりました。そして、1年生の時の個人懇談で担任の先生から発達検査を受けることをすすめられ、すぐに発達支援センターへ相談に行き、2年生になってすぐWISCを受けました。結果はかなり凸凹があり、これまで相当しんどい思いをしてきたことが分かりました。行き渋りやチックは姉子が出していたSOSだったのです。私は姉子に申し訳ない気持ちでいっぱいで、今まで気づかなかった自分をすごく責めました。でも、発達検査を受けたことで姉子の特性や困り事を知ることができたので、「上手にサポートできれば学校生活も楽しめるかもしれない」と、私は前向きにとらえるようにしました。しかし、転勤族のわが家は突然引っ越しが始まります。発達検査を受けた年と同じ2年生の夏、姉子は都心部の小学校に転校することになりました。突然の転校でさらに行き渋るように環境の変化でストレスを受けやすい姉子はますます学校を行き渋るようになりました。さらにコロナ禍で、何とか登校できても、誰とも会話できず、転校したばかりなのに友達をつくることもできません。Upload By スパ山この頃の姉子は本当につらそうで、外出すらできなくなり……。私も「こんな状態になってまで学校に行かなくてもいいのではないか」と思うようになっていました。と同時に、ここで「休んでいいよ」と言ってしまったら、「この先も何かあったらすぐあきらめるようになるのではないか」という底知れぬ不安や、「ほかの子は学校に行っているのに……うちも頑張って行けるようにならなくては」、という気持ちのはざまで揺れて本当に悩みました。Upload By スパ山母子分離不安と自閉スペクトラム症だと診断を受ける行き渋りについて、担任の先生とスクールカウンセラーさん、そして私たち母子で何度か相談していく中で、ある日姉子がポツリと「学校に行っている間、お母さんと離れるのがさみしい」とこぼしました。発達の凸凹があるから登校に不安があるのだと思っていた(もちろんそれもあるのでしょうが)私は驚きました。もう小学生だし、まさか母親と離れるとさみしいなんてことあるはずがないと思い込んでいました。そして、通院していた児童精神科で「母子分離不安」の診断を受けたのです(自閉スペクトラム症もこの時に診断されました)。Upload By スパ山スモールステップを繰り返し、約1年かけて母子登校できるようになんでだろう?どうしたらいいんだろう?と、深い霧の中にいた状態だった私たちにとって、少しだけ進む道が見えてきた瞬間でした。姉子は医師の指導のもと投薬治療を始めました。そして、私と一緒に家で授業の時間割を合わせて用意をする、一緒に学校までまで行って校門にタッチして帰る、登校して先生にプリントをわたす、といったスモールステップを地道に続け、約1年かけてやっと別室に母子登校できるようになりました。(「母子登校」とは、保護者が付き添い、子どもと一緒に登校することです。学校に行くことに不安を感じたり、不登校になってしまった場合に、通常登校へ戻るための支援策として姉子が通っていた学校では取り入れてありました)。Upload By スパ山2年間の母子登校で娘に笑顔が私は、毎朝姉子と一緒に登校し、教室の隣の部屋で課題のプリントなどをしながら一緒に過ごし、給食を食べているのを見守り(コロナ禍だったので、関係者以外の飲食は禁止でした)一緒に下校していました。最初は数十年ぶりに小学生になったような気持ちでいた私でしたが、学校なので家にいるように横になったりスマートフォンを見たり、のんびり休憩できる時間もなく……。ずっと姉子のそばにいなければならないので、常に緊張状態で、しんどくなった時もありました。それに、お昼ごはんは帰宅するまで食べられなかったので、朝ごはんを食べ忘れるともう大変!お腹の音が鳴りっぱなしで……食いしん坊の私にとって、これはかなりつらい経験でした(だからといって痩せたりはしませんでした。不思議だなあ?(笑))。Upload By スパ山そんな中で、クラスメイトや先生方にもとても温かく接していただきました。そして、姉子にもだんだん笑顔が見えるようになってきた時には「母子登校をやってきてよかったな」と、涙が出そうでした。こんな日々が結局約2年続きましたが、またその話は別の機会に書きたいと思います。執筆/スパ山(監修:新美先生より)分離不安症(母子分離不安症)は、愛着の対象(=安全基地、主には母親)から離れることを年齢に不相応に極端に怖がるような状態です。もともと繊細で不安を抱きやすい性質のお子さんに起きやすく、大きな環境の変化や、その環境(園・学校など)が合わずお子さんが不安を抱きやすい状況が続くと分離不安の症状が出やすくなります。学校に行くと分離不安となり、保護者から離れられない場合、対処法としては大きく分けて3つあります。(1)お母さんなどが一緒に登校する(母子登校、付き添い登校と言われることもあります)。(2)学校が大きい不安の対象になっているなら、学校の環境を本人が不安に感じないように工夫する(3)学校以外に本人が大きな不安を抱かなくても行ける場所を探す(例えばフリースクール、ホームスクーリングなど)といったことが考えられます。正直、母子登校は記事にもあったように保護者の方の負担もとても大きいと感じています。それでもスパ山さん親子は、かなり長い期間をかけて、また別室登校と言った形式で(2)の学校自体がお子さんに負担のないやり方の工夫などもしながら、だんだんと姉子さんに学校でも笑顔が見られるようになってきたという、母子登校をやってよかったと思えるところまで行きついたということですね。簡単には語れない2年間だったのではないかと思いますが、本当にお疲れ様でした。スパ山さんも姉子さんも本当によく頑張られましたね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年02月05日障害者手帳には3種類ある「障害者手帳」とは、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の3種類の手帳の総称です。身体障害者手帳は、身体障害者福祉法に基づき、身体の機能に一定以上の障害があると認定された方に交付される手帳です。障害の種類や程度によって1級から7級の等級が定められています。療育手帳は、知的障害(知的発達症)があると判定された方に交付される手帳です。自治体によって名称が異なる場合があり、例えば東京都や横浜市では愛の手帳、青森県や名古屋市では愛護手帳という名称で療育手帳が発行されています。知的障害の程度によって手帳の等級が判定されますが、判定基準および等級に応じた支援サービスの内容などは、各自治体によって運用が異なっています。精神障害者保健福祉手帳は、一定程度の精神障害の状態にあることが認定された方に交付される手帳です。手帳の交付は精神疾患(機能障害)の状態と能力障害(活動制限)の状態から総合的に判断され、その程度によって1級から3級に等級が定められています。参考:障害者手帳|厚生労働省上記のいずれの障害者手帳も、取得することでさまざまな支援や福祉サービスをうけることができますが、手帳の等級(障害の重さの程度)などによって、その内容は変わります。このコラムでは、・障害者手帳取得のメリット、デメリット・障害者手帳がない場合に、将来受けられる支援や合理的配慮についてなど、障害者手帳についてのギモンから、将来に役立つかもしれない情報まで専門家の先生のアドバイスを交えてご紹介します。【専門家が回答】障害者手帳取得にはメリットがある?分かりやすく解説!ここからは障害者支援制度に詳しい行政書士の渡部伸先生に、障害者手帳取得についての質問にお答えいただきます。(質問)子どもに知的障害(知的発達症)があり、「療育手帳」を取得できる可能性があると言われました。取得のメリットやデメリットを知りたいです。また、取得できないのはどういう場合でしょうか。取得できないと療育が受けられないのではないかと不安です。(回答)療育手帳を取得することには、さまざまなメリットがあります。たとえば、働く場面での選択肢が広がります。企業などで働くことを希望する際に、一般の人と同じ方法での採用が難しい場合、障害者雇用の枠で働くという可能性が生まれます。障害者雇用で働くためには、手帳があることが条件となります。またそれ以外の場面でも、医療費の助成や公共交通機関の割引、NHKや携帯電話料金などの割引、映画館などレジャー・スポーツ施設の割引、所得税など税金の控除など、多くの経済的なメリットもあります。これらは、手帳の等級や自治体などで異なる場合があります。デメリットは基本的にはありません。周囲に手帳を持っていることを知られたくない、といった心理的な負担を感じる人はいるかもしれませんが、サービスを利用するとき以外、他人に持っていることを知られることはありませんし、普段はしまっておけば大丈夫です。療育手帳が取得できるかどうかは、18歳未満の場合、児童相談所でIQや日常生活の動作などから総合的に判定されます。なお療育についてですが、療育を行っている公的機関や民間の障害児通所支援などを利用する際には、「受給者証」が必要になります。こちらは手帳とは別の制度なので、療育手帳がないと受けられないものではありません。Upload By 発達障害のキホン(質問)子どもが療育手帳(愛の手帳)を取得していましたが、更新できず返納しました。発達障害がある場合、精神障害者保健福祉手帳は取得できますか?取得の目安の年齢があれば知りたいです。また、取得するとどんなメリットがあるでしょうか?(回答)発達障害がある場合は、精神障害者保健福祉手帳の対象となる可能性があります。目安の年齢は特にありません。最初に精神科を受診してから6ヶ月経過していれば申請可能です。医師の診断書など必要な書類をそろえて、役所の障害福祉窓口で申請します。精神障害者保健福祉手帳は、ほかの障害者手帳と異なり、取得後も2年ごとに更新する必要があります。メリットですが、療育手帳や身体障害者手帳と比較すると、受けられる支援は限られる場合があります。例えば、各自治体で行っている重度心身障害者への医療費助成は、重度の身体障害者手帳や療育手帳の所持者はほとんどの自治体で対象となりますが、精神障害者保健福祉手帳の所持者は1級のみ、あるいは対象外としている自治体もあります。そのほか各種の割引や減免など、手帳の等級や自治体などによって受けられるサービスもあります。障害者雇用については、2018年から精神障害者も対象となっていますので、将来の進路の選択肢が広がるという意味で、大きなメリットがあると思います。Upload By 発達障害のキホン(質問)障害者手帳がなくても、将来的に、高校や大学などの受験や、就職する際など、支援や合理的配慮を求めることはできるのでしょうか?(回答)合理的配慮とは、障害のある人が教育や就業、その他社会生活において障害のない人と平等に参加できるよう、それぞれの障害特性や困りごとに合わせて行われる配慮のことで、行政や学校・企業などの事業者には、この合理的配慮を可能な限り提供することが求められています。この合理的配慮の対象となる障害者は、障害者手帳を持っている人に限定されません。手帳がなくても、障害により日常生活に困難のある方も含まれます。受験に際して合理的配慮を求めるためには、医師の診断書や個別の教育支援計画、学校内で行ってきた支援の実績など「配慮の必要性」を示したうえで、事前に申請をする必要があります。具体的な配慮の内容としては、集中しやすいように別室受験やイヤーマフの持参、拡大文字の問題冊子の配布など、本人の困りごとに応じた支援を依頼することができます。ただし、学校などによって対応できることは異なるようです。就業の場においては、募集や採用の時点で、本人や支援者などから必要な配慮についての意思表明を行います。そのうえで本人と企業の間でどのような配慮ができるかを相談、検討し、合意したうえで配慮を行います。就業の場合は受験と異なり継続的な支援になりますので、定期的な見直し、改善が行われることになります。Upload By 発達障害のキホン障害者手帳についての関連コラムはこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
2024年02月04日「もしかして、息子は発語がゆっくりかも?」と思ったきっかけわが家の4歳になる息子たーちゃんは、3歳半の時に知的障害(知的発達症)のないASD(自閉スペクトラム症)と診断されました。たーちゃんが1歳半の頃、数日違いの誕生日のお子さんと児童館で出会ってびっくりしました。そのお子さんが、保護者の方とおしゃべりしていたのです。保護者の方や私の言っていることも大体分かっているようで、お返事もしてくれました。一方のたーちゃんは、意味のある発語は「ワンワン」のみ。話しかけても無視ばかりで、人の言葉を理解している様子もあまりありませんでした。Upload By みかみかんそんな、同月齢のお子さんが「ママ、パパ」と呼んでくれる姿が羨ましくなって、「なんでたーちゃんはしゃべってくれないのだろう」と思ってしまいました。今思えば、その時に出会ったお子さんが、たまたま言葉の発達が早いタイプだっただけなのですが、当時の私はたーちゃんとの差を感じて少なからずショックを受けました。自宅に帰って早速インターネットで調べてみました。1歳半で言える単語がひとつのみ、指差しなし、理解している様子もないのは、やはり発達が遅いようで、調べれば調べるほど不安でいっぱいになりました。それでも検索する指を止められず、「発達障害」「知的障害」「自閉スペクトラム症」という言葉がずっと私の頭の中でぐるぐるしていました。Upload By みかみかんその後たーちゃんは、1歳9ヶ月までママ、パパと言うことはありませんでした。発語が少ない息子がとった行動に、ドキリ……。2歳前、自分の意思を言葉で伝えられないたーちゃんに質問しても、オウム返しばかりでした。「おやつ食べる?」と聞いても、「たべる?」と聞き返してきます。そして、何かやりたいことや欲しいものがあると、手を引っ張って私や夫をそこへ連れていくのです。エコラリア、クレーン現象、というインターネットで何度も調べた言葉が頭をよぎりました。「やっぱり障害があるのかな」と不安になって、たーちゃんのそんな行動を穏やかな心で見守ることはできませんでした。ある日、いつものように「おせんべいとクッキー、どっちがいい?」と、たーちゃんが答えやすいような質問をしました。たーちゃんに食べたい気持ちがあることも、たーちゃんがその質問にまだ答えられないことも分かっていました。そして、たーちゃんの返事は「どっちがいい?」でした。Upload By みかみかん普段ならなんでもないそのやり取りでしたが、発達に悩み精神的に参っていた当時の私は、その場でポロポロと涙を流してしまいました。「もうすぐ2歳なのに、こんなに簡単な質問にも答えられない。どうしてなの?たーちゃんはこれからもずっとおしゃべりできないの?」と悲観的になっていました。その後、「おせんべい?クッキー?どっち?」と声を震わせながらたーちゃんに聞いても、たーちゃんは笑って「どっち?」と言うだけでした。2歳のクリスマス。息子の成長を感じたひとこと発語や発達についてはずっと悶々と悩んでいましたが、たーちゃんの言葉は少しずつ増えていきました。それでも、自分から何かを要求したり気持ちを表す言葉はほとんどなく、木を見て「き」と言う、葉っぱをみて「はっぱ」と言うくらいでした。さらに、公園で会う、たーちゃんより下の月齢のお子さんのほうがたくさんおしゃべりしている姿を見たりして、複雑な気持ちを抱くことも少なくありませんでした。どうしても、ほかのお子さんとたーちゃんとを比べてしまっていました。そんな中、たーちゃんが2歳になり迎えたクリスマス。たーちゃんが、うれしいサプライズプレゼントをくれたのです。クリスマスの朝、サンタさんからプレゼントをもらったたーちゃんは、一刻も早くそのおもちゃで遊びたかったようでした。おもちゃの箱を見て、私と夫に「あけて」とはっきり言ったのです。それまでのたーちゃんなら、無言で私や夫の手を掴んで箱に触れさせていたのに。Upload By みかみかんその言葉を聞いて、少しずつでも確実にたーちゃんは成長しているんだと実感してうれしかったです。「たーちゃんは、本当は伝えたいことがいっぱいあるんだ」と気づくことができました。その後のたーちゃんの成長については、また別の機会に書かせていただきます。執筆/みかみかん(監修:森先生より)「言葉の発達」というと、どうしても発語……「しゃべるかどうか」に目がいきがちです。でも、しゃべるかどうかには本当に個人差があります。大人だっておしゃべりな人もいれば静かにしているのが好きな人もいますよね。言葉そのものは理解しているけれど、あまりおしゃべりに興味が向かない、というケースもあります。そういった場合、ある日突然、これまで言葉を溜め込んできたかのように一気に発語が伸びていくこともめずらしくありません。どうしても心配や焦りは出てくるかもしれませんが、みかみかんさんのように、声かけをいっぱいして成長を見守ることが大切ですね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年02月04日小学校は通常学級と特別支援学級どちらが良い?特別支援教育を受けるメリットやデメリットは?Q:4歳(年中)の子どもがおり、未診断ですが境界知能で現在療育に通っています。小学校は通常学級と特別支援学級どちらが良いのか迷っています。特別支援教育を受けるメリットやデメリットを教えてください。A:来年度まで情報を集めながら、体験入級などを活用して判断するとよいと思います。通常学級か特別支援学級の二択ではなく、通常学級に在籍して通級指導教室(東京都や一部地域は特別支援教室)を利用する選択肢もあります。Upload By 発達障害のキホンもう一年の猶予があるので、現時点で判断するというよりは情報を集めて来年度本格的に体験入級などしていくことになると思います。通常学級か特別支援学級の二択ではなく、通常学級に籍を置きながら通級指導教室(東京都や一部地域は特別支援教室)を利用することも考えられます。通常学級でも子どもに合わせた合理的配慮を受けることが可能ですが、集団が基本となるので、一対一での指導機会を持つことは物理的に制限されます。特別支援学級の場合は、少人数で学習するので個別的な指導もしやすくなります。しかし、これは通常学級でも同じことが言えますが、少人数の中でも互いの個性や特性が合わないお子さんがいる場合、困難が生じる場合があります。通級指導教室はその中間的な存在ですが、入学時から通級が確約されないこともあります。学級選択は就学前の子どもの親御さんにとって大きな悩みですが、各地域ごとに就学決定のルールが異なっていますので、学校や教育委員会の相談窓口に直接問い合わせることや、体験入級などを活用していくこと、先輩の保護者から情報を得ることなどが大切だと思います。
2024年02月03日中学・高校トラブル、病院トラブル、不登校問題など2024年1月に公開した読者体験談をまとめてご紹介!『発達ナビ 読者体験談』では、みなさんからお寄せいただいたエピソードに、発達ナビの連載ライターさんなどのイラストをつけて、コミックマンガエッセイ化して連載しています。今回は、2024年1月に公開しました読者体験談をまとめてご紹介します。1月に公開された体験談のテーマは・中学・高校トラブル・両親、義両親への障害告知、障害受容・不登校・病院受診など。みなさんのリアルな声をお届けします!2024年1月に公開した読者体験談現在高校3年生のやぎ母さんの息子さんは、高校1年生のときASD(自閉スペクトラム症)と診断されました。穏やかで真面目で優しい息子さんですが、診断が遅くなってしまったため、合理的配慮のない中、つらい思いをしてきたそうです。高校生になってからの診断、精神科を受診することになったときのお子さんの様子など、エピソードを寄せていただきました。10歳でASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けた息子さんのエピソードです。小学校では通常学級に通い目立ったトラブルはなかったのですが、中学入学後トラブルが増えたのだそう。英語の勉強に、熱心な顧問の先生がいる部活……。そんな中、息子さんからお母さまにSOSが!小学校1年生のときADHD(注意欠如多動症)、ASD(自閉スペクトラム症)と診断を受けた息子さん。中学1年生の冬、児童養護施設に入所することになりました。そのことを義実家と実家へ伝えたときのお話です。お母さまは、お子さんたちを守るために、苦渋の決断をしました。3歳9ヶ月でDQが80で境界域と診断いわれたお子さん。ご両親はお子さんのことを考え、最善の選択だと特別支援学級への進学を決めました。ですが、いつもお子さんをかわいがってくれている祖母に「私たちには発達に遅れがあるようには見えない」、「どうして通常学級に行かせないの?」と反対されて……。現在中学3年生の息子さんがいらっしゃるお母さまのご投稿です。小学校5年生のときにコロナ禍となり、休校がきっかけで見通し不安、昼夜逆転、家庭内暴力が始まった息子さん。どうすればいいのか悩みに悩んだお母さまは、ある決断をしたのですが……。知的障害(知的発達症)を伴うASD(自閉スペクトラム症)の12歳の息子さんのお母さまからのエピソードです。高熱を出した息子さんが、往診でのインフルエンザ検査を拒否して大騒ぎになってしまったのだそう。12歳になって体が大きくなると、診察に抵抗されたときの対応が難しくなりますよね。みなさんはどう工夫されていますか?あなたのエピソードもコラムになるかも?体験談募集中!発達ナビユーザーのみなさんの「困った」エピソードを募集しています。現在の募集テーマはこちらです。・障害告知でのトラブル・パートナー(夫婦) との間でのトラブル・両親(義両親)、親族などの間でのトラブル・進学・受験関係でのトラブル・冠婚葬祭関連でのトラブル・お子さまの反抗期、思春期でのトラブル・お子さまの自傷でのトラブル・お子さまの学習関係でのトラブル・不登校、行き渋りでのトラブル・お子さまとゲームの関わりでのトラブル・子さまの不器用さでのトラブル・ママ友や、ほかの保護者の方とのトラブルでのトラブル・ご近所関係でのトラブルお寄せいただいたエピソードの中から数作品、発達ナビの連載ライターさんなどにコラムとしてコミックマンガエッセイ化していただき、発達ナビで公開いたします!あるあるのエピソードからヒヤリとしたエピソード、なかなか相談できずにいたご家族の中での悩みや保護者間のトラブルまで。いろいろな「困った」エピソードをぜひ教えてください。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年02月03日発達が気になる子どもの避難や防災に関して知りたい情報は?発達ナビでは、2024年1月18日(木)から1月24日(水)まで子どもの避難や防災に関するアンケートを行いました。今回は、その中から避難所での過ごし方や福祉避難所について、発達障害を専門とする井上雅彦先生(鳥取大学大学院教授)にご回答いただきました。質問の一部をご紹介します。・知らない場所や、知らない人が多い場所では、多動の特性が強く出てしまい、すぐどこかに逃げてしまいます。そのような場合、避難所を利用するのは難しいのでしょうか。簡易テントは準備していますが、すぐに抜け出てしまうので、あまり意味はなさそうです。<4歳、多動、衝動性が強い>→Q1へ・衝動的に飛び出してしまう特性がある子どもは、どうしたらいいでしょうか。いつ、どこから飛び出すか分からない状況ですが、家族だけで24時間見守り続けることは難しく、避難場所にも行けないと思っています。その時だけ、施設や病院が保護してくれることはあるのでしょうか。<中学生、ASD(自閉スペクトラム症)・知的障害(知的発達症)・ADHD(注意欠如多動症)>→Q2へ・普段も外出先のトイレを嫌がる場合、いつもと違う災害時ではいつも以上に嫌がる可能性があると思います。日頃からできることや、災害時にできる工夫はありますか?<小学生、ASD(自閉スペクトラム症)>→Q3へ・普段から偏食が激しく、気に入らないと食べないことも多いです。非常時にはそんなことは言っていられないとも思うのですが、もし非常食を食べられなかったら……と思うと心配です。避難所にお菓子があるとも考えづらく、どう乗り切ればよいでしょうか?<4歳、こだわりが強く、衝動性・多動がある>→Q4へ詳しい回答はそれぞれの章をご覧ください。Q1:多動や衝動性のある子どもが避難所で過ごせるか不安です。(回答)避難のニュースが報道される中で多動性や衝動性のあるお子さんの保護者の方は不安に思われるのではないでしょうか。ホテルや旅館など比較的個人のスペースが確立している場所に泊まったときのお子さんの様子、修学旅行やキャンプの経験があればその様子を思い浮かべてみてください。避難所の状況にもよりますが、限られたスペースに居ることを要求されるとかなり大変ですし、あちこち動き回ってしまうこともあると思います。避難先が大きな部屋であれば、その中に簡易テントを張ることで、最低限のクールダウンスペースは作れるでしょう。あちこち動いても大丈夫なように、夏であれば外にテントを張る方法もあります。カーキャンプなどもできるかもしれません。その場合、平時の際にカーキャンプの練習などで本人の不安を和らげられるように練習をしておけるとよいでしょう。修学旅行や親の会でのキャンプ、家族での宿泊の経験は大人が考えている以上に子どもたちの練習になることもあります。修学旅行での配慮なども参考になるのではないでしょうか。小さい頃は難しいかもしれませんが、少しずつ練習できるとよいですね。避難所での生活においても、視覚的に次に何をするか(お弁当が出るのは何時など)が分かるように工夫できるとお子さんも見通しがつきやすくなります。また日中活動が安定するようなお子さん自身が楽しめる「こだわりグッズ」があったほうがよいと思います。動画を観られるスマートフォンやゲーム機器などが好きなお子さんの場合は、充電できるバッテリーなどを備えておけると安心です。Upload By 発達障害のキホンQ2:福祉的な支援が必要な場合、病院や施設で過ごさせてもらうことはできますか?(回答)福祉的な支援を必要とするというだけでは医療施設である病院で過ごすことはできません。「福祉避難所」に指定されている施設については入所できる可能性があります。事前に情報を収集しておきましょう。内閣府から出されている福祉避難所の確保・運営ガイドラインでは、福祉避難所の対象について次のように示しています。福祉避難所の受入対象者として想定されているのは、法律上「要配慮者」ということになる。要配慮者は、「災害時において、高齢者、障害者、乳幼児その他の特に配慮を要する者」(災害対策基本法第8条第2項第15号)と定義されている。よって、福祉避難所の事前指定やその準備は、これらの人々を受入対象として備えておく必要がある。「その他の特に配慮を要する者」として、妊産婦、傷病者、内部障害者、難病患者、医療的ケア(※)を必要とする者等が想定される。これらの人々は、一般的な避難所では生活に支障が想定されるため、福祉避難所を設置し、受け入れ、何らかの特別な配慮をする必要がある。引用:福祉避難所の確保・運営 ガイドライン平成28年4月(令和3年5月改定)|内閣府(防災担当)知的障害(知的発達症)や発達障害の人も対象になりますが、受け入れられる状況によって要配慮者の中でも重症であったり、ニーズの高い方が優先されます。各市町村の行政窓口やWebサイトなどで福祉避難所の情報を調べることができます。平時の際に福祉避難所はどこに開設される予定なのか、災害時どうやってその場所に行くのかなどを検討しておくとよいでしょう。また、受け入れ施設によって全ての対応は難しいかもしれませんが、事前に行政窓口などにニーズを伝えておくことも大切です。自治体によっては、自治体から依頼された民生委員が面談などして、福祉避難所の対象者を把握したり、名簿を作ったりしている地域もあるようです。詳しくは、お住まいの行政窓口やWebサイトなどでご確認ください。Upload By 発達障害のキホンQ3:トイレを嫌がる子どもの場合、どうしたらいい?(回答)避難所の簡易トイレに入るのを嫌がるお子さんもいます。あらかじめ練習をしておくことは難しいと思います。あらかじめ家庭用の防災トイレ(車の中で使えるようなもの)やおむつなどを用意しておくとよいでしょう。Upload By 発達障害のキホンQ4:普段から偏食がひどい場合、災害時の食事はどうしたらいい?(回答)特定の食べ物やお菓子なら食べられる、またアレルギーのあるお子さんもいると思います。指定避難所はインスタント食品が準備されていたり、何日間かするとお菓子も届くことが多いようです。インスタント食品や非常食の中でどのようなものが食べられて、どれが食べられないかを事前に知っておくこと、食べられるものが少ないお子さんの場合は、数日分食べられるものを非難袋に備えておくことが大切です。Upload By 発達障害のキホンまとめ避難生活では日中の過ごし方が心の安定において大切になってきます。視覚的にスケジュールが理解できるための小さめのボードやペン、日中楽しめるこだわりグッズ、予備バッテリーなどは備えておくとよいでしょう。外での寝泊りや食事、防災トイレについては平時に体験する機会があるとよいと思います。福祉避難所の利用を検討する場合は、事前に情報収集をしておきましょう。
2024年02月02日自閉スペクトラム症(ASD)とは?ASD(自閉スペクトラム症)は、社会的コミュニケーションや対人関係の構築が難しい、また常同的・反復的行動が多くみられる、乳幼児期に出現する精神発達の障害です。普段と違うことを嫌がる、大きな音や光などへの感覚の過敏さがあるなど、「強いこだわり、感覚の過敏さまたは鈍麻さ」という特性もあり、知的障害(知的発達症)を伴うこともあります。症状の程度はそれぞれの人によって差があるため、スペクトラム(spectrum:範囲や連続体など幅を持った分布の意味)として診断されるようになりました。参考:傳田 健三著「自閉スペクトラム症 (ASD) の特性理解」『心身医学』57 巻 (2017) 1 号 P.19-26ASD(自閉スペクトラム症)は生まれつきの脳障害で、脳内の情報処理の仕方に障害があるといわれていますが、その原因はまだ分かっていません。この時期の成長や発達には大きな個人差がありますが、1歳でASD(自閉スペクトラム症)であると診断される指標として、・共同注意場面において「指さし」や「(他者の)指さし方向に顔を向ける」行動が出にくい・「他者の顔を見てほほえむ」などの社会的行動が出にくい・定型発達の1歳児にみられる「関心の共有」に興味を持ちにくいなどがあげられます。次章以降で詳しく紹介します。参考:横山佳奈、吉田翔子、永田雅子著「自閉スペクトラム症児への早期介入における現状と展望」『名古屋大学大学院教育発達科学研究科紀要 心理発達科学(Web) 』66巻 (2020) P.7-16参考:自閉症Q&A|厚生労働省1歳児の発達の目安って?定型発達児における、1歳頃の発達の目安としては、・歩き始め、手を使い、言葉を話すようになる・身近な人や身の回りの物に自発的に働きかけていく・歩く、押す、つまむ、めくるなど、さまざまな運動機能の発達や新しい行動の獲得により、環境に働きかける意欲を一層高める・物をやり取りしたり、取り合ったりする・おもちゃ等を実物に見立てるなどの象徴機能が発達し、人や物との関わりが強まる・大人の言葉を理解するようになり、自分の意思を親しい大人に伝えたいという欲求が高まる・指さし、身振り、片言などを盛んに使うようになり、二語文を話し始めるなどがあげられます。参考:保育所保育指針解説書 |厚生労働省ASD(自閉スペクトラム症)の特性は1歳児でも表れる?--違和感や発達の遅れ、気になるサイン1歳児は言葉の表出がまだまだ乏しいため、日常の中で気になる行動を見逃さないことが大切です。1歳頃に表れる、気になる発達の遅れやサインとは、どのようなものがあるのでしょうか。1歳児の気になる発達の遅れ、1歳児に表れやすいASD(自閉スペクトラム症)の特性として、・目が合いにくい、呼ばれても反応しない・社会性、言葉の発達(喋るのが遅い)などが表れやすい傾向・睡眠の問題(寝つきが悪い、途中で目が覚める、夜泣き)・人見知りがなさすぎる、あるいは人見知りが強すぎる、場所見知りが強いなどがあげられます。子どもにASD(自閉スペクトラム症)があるかどうかの診断において、厚生労働省は1歳6ヶ月児健診でM-CHATという質問紙を使用した「スクリーニング検査」を推奨しています。対人(対象物)関係や行動面(こだわりや常同行動など)、日常生活における反応や行動を、保護者から聞き取ります。・ほかの子どもに興味がありますか?・何かに興味を持った時、指をさして伝えようとしますか?・あなたのすることをまねしますか?(バイバイや拍手など)・名前を呼ぶと、反応しますか?など、実に20項目にわたり、将来において社会性の重要な基盤となる「非言語の対人コミュニケーション行動」を確認します。成長は個人差が大きいこともあり、M-CHATでASD(自閉スペクトラム症)の可能性が高いとされた1歳児のすべてがASD(自閉スペクトラム症)と診断されるわけではありません。また、基本的にM-CHATは保健師などがチェックするものであり、保護者自身がチェックするものではありません。参考:「改訂乳幼児期自閉症チェックリスト修正版」M-CHAT-R_F_Japanese.pdf(mchatscreen.com)1歳児に表れることの多いASD(自閉スペクトラム症)の特性による症状Upload By 発達障害のキホン※成長の個人差は大きいので、すべてに当てはまる、あるいは当てはまる項目が多いからといって「ASD(自閉スペクトラム症)である」というわけではありません。どこに相談や受診をすればいい?保護者ができることとは?1歳児は成長の個人差がとても大きく、発達の振れ幅が多い時期ですが、育てづらさがあったり、「この子に合ったよりよい関わり方を知りたい」と思ったら、まずは自治体の保健師さん・保健センターに相談しましょう。それ以外にも保健所や療育センターなどでも相談できます。参考:「1歳を迎えるお子さんをもつ保護者の方へ」|国立障害者リハビリテーションセンター子どもの発達について不安に思った場合は日常の様子をメモするなど、記録に残しておくことも大切です。保護者が見たこと、感じたことは何より重要な資料であり、それが早期発見、早期療育にもつながります。ただし、1歳児は成長・発達の個人差が一番大きい時期ともいえます。過度に心配したり気にしすぎたりせず、様子を見ながらおおらかな気持ちで接することも大切です。(監修:新美先生より)1歳頃のお子さんを育てるうえで、「1歳の子どもはこうであるべき」「1歳の子どものしつけはこうするべき」ということにとらわれ過ぎる必要はありません。うちの子はこういうことに興味があるんだな、こういうことをしていると楽しそうだな、こういう場面で困っているな、こういうシチュエーションは不安になるんだな・不快なんだなというお子さんの興味や苦手を探して、好きなこと興味ある活動を増やして、不快を減らして安心を増やすという方向性で関わっていけば間違いはないかなと思います。その中で、睡眠がとれない、癇癪が強すぎるなど、親子が生活しづらい困りごとがある場合は、相談機関に早めに相談するのもよいと思います。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年02月02日発達に特性がある子どもの中学受験。メリットとデメリットは?Q:ASD(自閉スペクトラム症)の小学生の子どもがいます。周囲に中学受験をするご家庭が多く、わが家も中学受験をしようか迷っています。発達に特性がある子どもにとって、中学受験のメリット・デメリットを教えてください。A:中学受験にはさまざまなメリット・デメリットがあります。できるだけ入学前に情報収集をすること、それも生の情報を集めることが大切になります。Upload By 発達障害のキホン中学受験のメリットとしては、発達に特性がある子どもにとって、一人ひとりの特性に合った学校環境の選択肢を広げることで、困難を減らし、本人の個性を伸ばし、学力を高められる点があげられるでしょう。また、中高一貫校の場合、高校受験がないことも大きなメリットとなるでしょう。デメリットとしては、学区域の公立の中学校と比較して自宅と学校の距離が離れている場合が多く、通学に困難が生じる可能性があること、経済的な負担の増加、子どもの特性に合わせた受験先の選択自体が難しいことなどがあげられるでしょう。入学前の情報収集が大切になりますが、学校と家庭との連携のしやすさ、合理的配慮がどの程度なされているのか(一つの例として、読み書きが苦手な子どもの学習にPCをどの程度取り入れているか)、職員との相談のしやすさなどが重要になってくると思います。公立の中学校にはない個性ある科目がある、お子さんの好きな活動があるなど、中学受験の魅力はさまざまあるかと思いますが、可能であれば先輩保護者から話を聞く、オープンスクールに参加するなど、できるだけ生の情報を集めるようにしたほうが良いと思います。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年02月01日「配慮できない」と言われた小学校から特別支援学級のある学校へ転校した息子Upload By ユーザー体験談現在6歳(小1)の息子がいます。4歳でASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)と診断を受けました。不安感が強く嫌なことばかり思い出してしまい、癇癪やこだわりも強い傾向があります。居住地域には自閉症・情緒障害特別支援学級がなかったため小学校は通常学級へ入学したのですが、学校からは「ほかの子と違う対応をすることは特別扱いだからできない」「配慮はできない」といわれ、息子は毎日先生方から怒られるばかりの日々に。学校へ対する不安が大きくなり、このままではダメだと、1年生の2学期から自閉症・情緒障害特別支援学級のある学校へ転校しました。大きな決断でしたので不安もありましたが、ここで転機が訪れたのです。新しい学校で出会った担任の先生新しい学校ではまず体験入学をしました。ここでは、特別支援学級の担任の先生が見てくださいました。「こだわりも強いけど、切り替えもできますね」「これからいろいろ問題は出てくると思いますが、大丈夫ですよ」と先生は力強く言ってくれました。当時、私は前の学校からさまざまな指摘を受けたことで滅入っていました。(受け入れてもらえるところに転校するしかないけれど、この子は変われないかもしれない……)と思っていたので、特別支援学級の先生に「この子は大丈夫」と言ってもらえた事が本当に嬉しかったのを覚えています。そして先生は、発達障害のある子どもにとても理解があり、愛情を持って根気よく接してくれました。Upload By ユーザー体験談息子の困った行動に先生は……転入後も息子の困った行動はみられました。授業中何度も立ち歩いてしまう、ダメだと言われていることも、どうしても気になってやってしまう(触らないで、入らないでと言われていることをしてしまう)、癇癪を起こして関係ないお友達を叩いてしまう、棒を振り回してしまい、お友達に当たってしまった……。そんなとき先生は、優しいだけでなく、ダメなことはダメだとはっきり伝えてくれます。そのあとは「本当は分かってるんだよね」「大丈夫」「できるよ」など安心できるような声かけをしてくれました。息子は「一番」に対してこだわりがあり、授業中の発表順や並び順などたびたび一番ではない事に癇癪を起こしていました。先生は一番にこだわって息子が癇癪を起こしそうになっていた時、「大丈夫、大丈夫、待てるよ」と言いながら息子を抱きしめて、一緒に順番が来るのを待ってくれました。順番まで待てたら、すかさず「ほら、待てたでしょ。できるんだよ!」と言って褒めてくれました。Upload By ユーザー体験談息子は幼稚園でも同じ理由で転園した事がありました。今回の転校もかなりショックだったと思います。「自分はみんなと同じように学校に通えなかった」という劣等感を抱いているようでした。転校した当初は、学校には行きたいけれど校門を入ると不安が押し寄せて癇癪を起こしたりしていました。ですが、すぐに「行きたくない」という事はなくなり、今では校門で「行ってきます!」と元気に登校していく姿を見送っています。家では学校での事を「楽しかった」「またやりたい」など笑顔で話をしてくれることも多くなりました。幼稚園から今まで、つらいことが多かった子育ての中で、子どもの様子にこんなに良い変化が見られたのは初めてでした。Upload By ユーザー体験談毎日笑顔が増えていく!思い切って転校を選択してよかった毎日笑顔が増えました。毎日何度も起こしていた癇癪は今は起こすこともなく、思い通りにいかない時に泣く事もあるものの、切り替えがとても上手になりました。弟がいるのですが弟に対して優しくなり、こだわりのある勝負事で負けたときも、負けを認めて「楽しかったー!」と終わりにできたり、弟に「上手だね、強いね」など褒める様子もみられるようになりました。まだ先は長いですが、思い切って転校を選択してよかったと心から思っています。先生は、優しいだけでなく厳しい面もありますが、いつも笑顔で、何があっても全力で受け止めてくれます。指導は厳しいけれど愛情たっぷりなのが息子にも伝わっている様子で、息子にも、親にも安心感を与えてくれます。今はまだ目の前にある問題と向き合って一つずつ解決していけるように模索しているところです。転校により良い変化が見られているので、このまま息子と私も成長していけたらいいなと思います。イラスト/吉田いらこエピソード提供/AAA(監修:鈴木先生より)お子さんにとってつらい環境から早く転校ができて良かったです。どんなに遠くても理解ある先生のいる学校がいいですよね。これは学校だけでなく医療や、美容院や塾などでも同じです。学校によって教育環境の差がなくなるように、本来は自治体や教育委員会が医療と連携して定期的な勉強会や会議が必要なのですが、現状はなかなか難しいようです。個人でいろいろな講演会を聴いて勉強している先生がいる学校では障がい児に対する「配慮」ができていると感じています。大事なのは教員の数ではなく、障がい児に対する知識の深さ&経験(センス)で、子どもの行動は教育環境にも左右されるため、いい環境に出合えることが重要です。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年02月01日中学校からの着信ASD(自閉スペクトラム症)の太郎は、現在中学2年生。特別支援学級に在籍しているが、基本的に授業は交流学級で行われている(※)。一学期の終わり、私の仕事がちょうど終わった頃に携帯に着信が入った。(※)授業の受け方や支援方法などは地域によって異なりますUpload By まゆん「〇〇中学校」太郎が通っている中学校からの着信だった。学校からの着信は珍しくはない。しかし何度かかってきても胸がざわつくもの。「今回は何があったのだろう」と、毎回不安になりながら電話に出ている。「もしもし。いつもお世話になっております。太郎の母です」私は冷静な声で電話に出るよう努めた。「こんにちは」聞き慣れた声は、太郎の担任の先生だった。太郎の担任の先生は、いつもであれば落ち着いてゆっくりと話す方である。しかしこの時は少し様子が違った。「えーっとですね」言葉に詰まっている様子から、何かあったのだと想像ができた。先生は続けて話を始めた。「今日の音楽はリコーダーのテストだったんですが……。それがみんなの前で吹くというテストで、太郎くんはそこで固まってしまって……」話は続き、リコーダーのテストは前もって生徒たちに伝えていたらしいが、太郎は「知らなかった」と言い「急な出来事」になってしまったようだということだった。Upload By まゆんみんなの注目を浴びた太郎は固まって動かなくなり、特別支援学級の先生に誘導されて少人数のクラスへ移動したとのことだった。音楽の授業は午前中に行われたが、特別支援学級に移動したあとも緘黙状態は続いたという。そしてようやく放課後になると表情は和らぎ、そのまま迎えに来た放課後等デイサービスのスタッフと学校を出たということだった。次に、今後のテストの受け方についての方針の相談があった。リコーダーのテストは受けなければ評価をできないため、必ず受けてほしいということだった。どうしたら受けることができるかと先生と話をした。本来はみんなと同じ条件でクラスメイトの前でテストを受ける形であるが、注目を浴びることで緘黙状態になるのであれば個人的にテストを受けることも可能ということだった。そして、最終的には本人の意見を聞いて、どういう形でテストを受けるか決めることになった。先生もここまで緘黙状態が続くとは思っていなかったようで、2人で教室にいて話をしようとしても太郎の口からは言葉がほとんど出てこなかったとのことだった。先生の声から、衝撃が伝わってくるようだった。すぐに私が電話したのは電話を切ったあと、すぐに放課後等デイサービスに連絡した。太郎がどんな様子だったかを知りたいというのが1番で、学校での出来事も情報共有したかった。タイミングよく太郎の担当の先生が対応してくださった。放課後等デイサービスでは、太郎自らリコーダーのテストについて話を少ししたらしいが、その後は何もなかったかのようにいつも通り過ごしていたということだった。Upload By まゆんそして次は、家にいるばあば(私の母)に電話をした。太郎に何かあって事情を話している時、ばあばはいつも冷静に「ほう。ほう。ふむふむ」と聞いてくれる。そしてばあばはこう言った。「さっきデイサービスから帰ってくるなり、リコーダーのテストができんかったって言ってたけど、自分から言えてるけん大丈夫やろー」私はこの言葉にまた安心した。その後、太郎と私は家でリコーダーの練習を一緒に行い、無事にテストを受けることができた。結局テストは、先生が太郎と話し合ってくださり、特別支援学級まで音楽の先生が来てくれて一対一で実施したという。テスト終了後の太郎は、特にその出来事を口にする訳でもなく、いつものように穏やかに過ごしていた。Upload By まゆん多方面からの支え問題が発生した時、こうして多方面からの支えがあることで私と太郎は生活ができているのだと思います。また、日頃から周りには感謝しているのですが、こういう問題発生時により強く周りの方の力というものを感じることができています。今回も学校の先生方、放課後等デイサービスのスタッフの方、私の母、そして太郎に力をもらい乗り越えることができました。太郎の特性については情報共有シートに記載して学校の先生に渡してあるのですが、どのような時にどのような場面緘黙になるのか、実際目の当たりにしないとよく分からないものだと思います。今回の件は、太郎を知ってもらうという意味では良い機会になったのではと考えています。今後も同じような場面が学校に限らず出てくると思いますが、その時その時で対処の仕方も変化していくと予想しています。引き続き、周りの人と連携をとりつつ今後も過ごしていきたいです。執筆/まゆん(監修:初川先生より)太郎くんのリコーダーテストをめぐる出来事から、情報共有について、また太郎くん・まゆんさんを支えるネットワークに関するエピソードをありがとうございます。特性についてあらかじめ情報共有していてもすべてをフォローできるわけではなく、学校はさまざまなイベントがあり、また子どもたちも日々変化・成長があるものです。こうして、何かあった際に、担任の先生と保護者の方との間ですぐに共有し、対応を検討できるのはいいですね。また、太郎くんの緘黙度合いがなかなか長時間にわたったことから、関係する方々ともその後の様子を聞き取りされたのもいいことだと感じました。保護者がお子さんの様子を常に見ているわけにもいかず、また、場や人によってお子さんも出し方を変えるかもしれない。リコーダーのテストにうまく対応できなかったという、いつもとは違う展開があったことを関係者が知っておくだけでも大事ですし、中心にいる太郎くんの様子を確認できたのは安心につながります。お子さんは自分の身に起きたこと、自分の気持ちをすべて説明できるわけでもないので、それぞれで様子をよく見てもらう意味でも、そして今後似たような出来事への予習としても情報共有は大事であると感じるお話でした。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年01月31日年末年始に体調を崩す次女が4年生の年末のことです。急に、動けないほどの胃痛を発症してしまいました。それまでも「胃が痛い」と言うことはあったのですが、こんなに痛がることはなく、すぐに病院に連れて行くことに。結局原因は分からず、お薬をいただいて痛みは軽くなったのですが、年末年始はほとんど食べられない状態がずっと続いて、クリスマスやお正月のご馳走を楽しみにしていた次女は、とても落ち込んでいました。その後、年が明けて学校が始まったある日。夕方、私が仕事から家に帰ると、そこにいたのは顔の腫れた次女。何事かと思ったら、全身がかゆいとのことで、体中にかなりの湿疹が出ていました。何かのアレルギーかと思って、すぐに病院に連れて行きましたが、原因不明の蕁麻疹(じんましん)とのことでした。こちらもお薬で軽快しましたが、しばらくは全身がかゆい状態が続いていました。Upload By まりまりどちらも原因は不明で医師からは……この立て続けに起こった体調不良ですが、どちらも医師からは、原因は分からず、「ストレスからきているのかもしれません」と言われました。「思い当たることはありませんか」と聞かれて、思い当たることしかありませんでした……。Upload By まりまりストレスの原因は?次女的には無理をしているつもりはない思い当たることとして、ちょうどその頃から通級指導教室が始まったこと、ずっと次女のカウンセリングを担当してくれていた臨床心理士さんが辞めてしまい新しい方に変わったこと、とても好きだったクラスからの進級への不安などがありました。以前、小学校入学時にもストレスから身体に症状が出ていたので、また違うかたちで出てきたのかもと思いました。ただ、次女本人にストレスの原因になっていそうなことについて聞いても、「大丈夫」「つらいことはない」「何がストレスになっているか分からない」という感じで、傍から見ていると、環境が変わって負担に感じているのは分かるのに、次女自身は、自分の状態がよく分かっていない様子でした。Upload By まりまり以前、心理士さんから聞いた言葉を思い出した以前心理士さんに、「次女には場面緘黙があるけど、好奇心旺盛でいろいろやりたがって疲れすぎてしまうことが多いので、どう対応したらよいか」と相談したことがありました。今後次女は、そういうものを自分でコントロールしていかなくてはいけないけれど、親としてはどう対応していったら良いのか難しかったのです。そこでは、心理士さんから・もちろん自分でいろいろ経験して、自分で分かるのが一番良い・ただ、今は小学生だし、自分で分かるのが難しい部分もある・近くにいる保護者としては、その時の次女の気持ちを聞いて、フィードバックしていくことで、次女自身の理解を促すというようなアドバイスを受けました。そうすることで、次女が自分の気持ちを言語化して、自分の気持ちや身体の状態を自分で考えられるようになるきっかけになるとのことでした。なので、その後から、なるべくそれを意識して次女と話していくことにしました。Upload By まりまり次女と自分の状態について言語化していく次女はまだ、自分の状態に気づくことに手助けが必要だと分かったので、この間に起こった変化と、それにあたっての次女の気持ちを話し合いました。そこで、いろいろ変化がある時はつらい気持ちになってそれがストレスになること、そういう時は無理をしないで休むことも必要だと話しました。そういうことを積み重ねて、次女が自分自身の身体や心の調子を分かって、少しでもうまくコントロールしていけるようになったらと思っています。Upload By まりまり執筆/まりまり(監修:新美先生より)ストレスが影響して、身体に不調をきたしている、いわゆる心身症の状態だったと思います。頭痛や腹痛、アレルギー疾患(蕁麻疹も含みます)や、自律神経の不調など、ありとあらゆる病気が、ストレスに大きな影響を受けます。心身症の多くの場合、ご本人はストレスを自覚していなかったり、大したことがないと気にしていなかったり、否定していたり、もっと頑張りたいと思っていたりします。ご本人がストレスをストレスと意識していないからこそ、体が症状で悲鳴を上げている状態とも言えます。子どもに心身症症状が出ている場合は、大人のほうでストレスの原因となっていることを探して環境調整したり、ご本人がストレスを自覚してストレスを避けたり上手に付き合ったりできるようなサポートが必要です。記事ではまさに、お子さんご本人が自分の状態に気づいてコントロールできるようになるよう、話し合ってサポートしたことが書いてありました。すぐには自覚できなくても、そこに焦点を当てていくことで、徐々に実感して対処法を身につけていけるようになるとよいですね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年01月31日東京都放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報2023年12月1日にオープンしたunico八王子は、「脳科学×コーチング」をテーマとしたアクティブラーニングを取り入れたレッスンを行っています。unicoでは「ちがい」と「おなじ」をどちらも大切にしたいという想いをモットーに、お子さん一人ひとりが持つ「育つ力」を引き出すことを大切にしています。「子どもたちが楽しめる場所」「子どもたちが安心する場所」そして、「子どもたちが育つ場所」を目指しています。⻑時間の集団支援だからこそ得られる体験やワークショップも充実している施設です。東京都の放課後等デイサービスをもっとみる東京都児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報コペルプラス信濃町教室は、JR総武線「信濃町駅」、東京メトロ丸ノ内線「四谷三丁目駅」より徒歩8分の場所にある教室です。すべてのお子さんがもつ「無限の可能性」と「やった!できた!楽しかった!」と思える支援を大切に日々のレッスンを実施。お子さんが「今日、コぺルプラスに来てよかった」と思えること、そして、保護者の方にとっても安心できる場所になれるような教室づくりに力を注いでいるそうです。楽しく遊ぶ中から学び、できることを増やし、お子さんが園や学校、家庭で自分らしく過ごしてしていくためのスキルを身につけられるようにサポートしています。東京都の児童発達支援をもっとみる神奈川県放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報コぺルプラスジュニア稲田堤教室は、「できないこと」にアプローチするのではなく「できること」を増やしていくことを大切に考えている教室です。また、勉強という枠にとらわれず、日常生活に大切な「気づき」や「思考」にもアプローチした発達支援を実施。レッスンの中で、お子さん自身が持つ能力を楽しみながら最大限に発揮できるようなレッスンの提供を目指しています。お子さんと保護者の方が笑顔を増えるように、そして「また、コペルに来たい!」という声を聞くことができるように、ご家族にも寄り添いながら、共にお子さんの成長をサポートしています。Upload By 発達ナビ施設情報ふらっぷすは2024年2月にオープンする課後等デイサービスです。お子さんとその保護者の方の心配事、悩み事など些細なことでもヒアリングし、個別支援計画を作成してくれます。日常生活で必要な挨拶、礼儀、姿勢など自立につながることから少しずつ「できた!」という気持ちを大事にし、意欲的に取り組める支援を提供。プレオープンは2024年1月から。見学や体験はすでに受け入れ可能とのことです。保育士や児童指導員、介護福祉士など経験豊富なスタッフが迎えてくれます。神奈川県の放課後等デイサービスをもっとみる神奈川県児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報コペルプラス稲田堤教室は、川崎市の方はもちろん、調布、府中、稲城にお住いの方も通うことができる児童発達支援施設です。お子さん一人ひとりの発達の過程に寄り添い、個別または小集団のレッスンを提供。楽しく遊びながらできることを増やし、園や学校、家庭で自分らしく過ごしていくためのスキルを身につけられるようにサポートをしています。また、お子さんや保護者さんの要望や困り事にしっかりと耳を傾け「個別支援計画」を作成。 教室の隣には小学生向けのコペルジュニア稲田堤教室もあり、年長から就学への移行もスムーズに行うことができるのも特徴です。Upload By 発達ナビ施設情報コペルプラス宮前菅生教室は、2023年7月にオープンした教室です。言葉の遅れや行動に落ち着きがない、集団行動がむずかしい、癇癪、こだわり……など、発達特性や困り事はお子さんによってさまざま。診断名がなくても、お子さん本人や周囲が生活するうえで困難を感じている例もあるのではないでしょうか。コペルプラス宮前菅生では、目の前にいるお子さんの状態を理解し、起こっている困難に対し何ができるのかを第一に考えることを大切にしているそう。そして、豊かな発達の途上にあるお子さんと保護者の方をあたたかくサポートする教室です。Upload By 発達ナビ施設情報2024年2月にオープンするふらっぷすでは、お子さん一人ひとりの個性に合わせ、自立支援、対人関係支援、運動能力向上、社会適応能力の向上などを目指して、個別、集団の支援を提供。児童発達支援管理責任者、保育士、児童指導員、介護福祉士などのさまざまな分野の専門スタッフが、お子さんたちの日常生活がより良いものとなるよう将来を見据えた支援を行い、お子さん自身、また、保護者の方の不安にも寄り添い、支えになることを目指しています。そして、失敗や成功する体験を共にしながら、お子さんたちの自信へとつなげていくことに力を注ぎたいと考えている施設です。神奈川県の児童発達支援をもっとみる埼玉県児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報東武スカイツリーライン「草加」駅西口より徒歩3分とアクセスしやすい場所に位置するコペルプラス草加教室。レッスンでは、苦手な部分をフォローするのはもちろん、お子さんのできるところにスポットを当てていきます。スタッフたちがたくさんの笑顔で褒めることにより、自己肯定感を育みお子さんの可能性を引き出していきます。実際の教室の雰囲気やレッスンの様子が気になる方は、体験レッスンへお申込みされてみてはいかがでしょうか。Upload By 発達ナビ施設情報コペルプラス飯能教室は、西武鉄道池袋線 「飯能」駅 北口より徒歩3分の立地にあり、公共交通機関でも通所しやすい場所にあります。駐車場も完備されており、車での通所も可能。「子どもの可能性は無限大」をモットーに、お子さんの持つ力を最大限に発揮できる支援を常に目指しているそう。「楽しいあそび」を通して、「できた!」「やったー!」という自信につなげていくことを大切に、お子さんの発達過程の姿に寄り添い、個別または小集団のレッスンを提供している教室です。Upload By 発達ナビ施設情報コペルプラスせんげん台教室では、保育士や児童指導員などの資格を持ったスタッフたちがお子さん一人ひとりの可能性を引き出す支援を提供しています。楽しみながら挑戦をすることで、「できた!」「やりたい!」の気持ちを引き出し、お子さんの「できないことをなくす」のではなく「できることを伸ばす」ことを大切にしています。発達のことや子育てのことなど、些細なことでも相談しやすい環境を整え、「お子さんの成長の瞬間を一緒に感じ、喜び合える」そのようなスタッフがいる教室です。Upload By 発達ナビ施設情報JR高崎線「宮原駅」から徒歩3分、アクセスのよい場所に位置するコペルプラス宮原教室では、お子さんや保護者の方が安心して通える教室づくりを目指して、一人ひとりに合わせた「楽しいショーのようなレッスン」を提供。また、個別クラスだけではなくソーシャルレッスンクラスで集団でのレッスンも実施。園や学校、そして家庭でも、お子さんが自分らしく過ごしていくためのスキルを身につけることを目指しています。Upload By 発達ナビ施設情報コペルプラス川口領家教室は「できないことをなくす」のではなく「できることを伸ばす」ことで、自分の個性を認め、お子さん自身が自分の個性を認め、何事にも前向きに取り組めるようになることを目指しています。無料体験レッスンでは30分間実際の支援を受けることで、教室の雰囲気を感じられ、お子さんが楽しく通い続けられるかどうか、また保護者の方も安心してお子さんを預けられるかどうかを確認することができます。専用駐車場もあり、小さなお子さんも通いやすい環境が整えられています。Upload By 発達ナビ施設情報コペルプラスさいたま見沼教室では、お子さん一人ひとりに合わせた支援を大切にしています。そして、瞳が輝くような楽しい支援を通して、お子さんが自発的に取り組み、自ら能力を発揮していく姿をサポート。「できないことをなくす」のではなく「できることを伸ばす」ことで、お子さん自身が自分の個性を認め、何事にも前向きに取り組めるようになることを目指しています。同教室では、無料体験レッスンの随時受付に加え、無料の子育てサロンを毎週水曜・土曜日に開催。駐車場も2台分用意されているので、車での通所も可能です。埼玉県の児童発達支援をもっとみる千葉県放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報わくわくクラブは、JR常磐線、武蔵野線「新松戸駅」、流鉄流山線「幸谷駅」より徒歩3分の場所にあります。スタッフは、子どもたちの課題や苦手なことをいかに楽しくできるかを工夫しプログラムを設定。そして、子どもたちの個性を大切に、さまざまなカリキュラムや遊びを通じて、「できた!」という成功体験を積み重ねていけるようにサポート。また、時間を使った気持ちの切り替え方や、自由遊びの中でのやり取りを大切にし、お子さんがありのままの自分を認めながら、成長していけるような支援を行っています。千葉県の放課後等デイサービスをもっとみる千葉県児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報コペルプラス千葉中央教室は、千葉都市モノレール「 葭川公園」駅 徒歩5分、JR総武線 「千葉」駅、京成千葉線・京成千原線 「千葉中央」駅 徒歩10分の立地にあり、公共交通機関でアクセスがしやすい場所にある教室です。日々のレッスンでは、「笑顔あふれる発達支援」を心がけ、さまざまな着目点からのアプローチを実施。「できないことをなくす」のではなく「できることを伸ばす」ことに注力。お子さんが自分の個性を認め、何事にも前向きに取り組める姿を目指してサポートしています。Upload By 発達ナビ施設情報コペルプラス柏たなか教室は、つくばエクスプレス 「柏たなか」駅より徒歩3分と、公共交通機関で通所しやすい場所にある教室です。「できないことに対する訓練」ではなく、できないことの背景に存在する「課題」に焦点をあて、お子さんの能力を引き出すための発達支援を実施。2000種類以上の、さまざまな感覚や物事をとらえる力を育てるための多種多様な教材を通じ、お子さんの集中力を高め、豊かな学びの環境を届けています。まった、保護者の方はレッスンの様子をマジックミラー越しに見ることができ、お子さんの表情や成長の瞬間を感じることできます。Upload By 発達ナビ施設情報コペルプラス柏松葉町教室は、「けやき通り」という緑が豊かな通りに位置し、室内も広々としたとても開放感のある教室です。「柏の葉キャンパス駅」と「北柏駅」から同教室方面へ向かうバスもあり、教室から徒歩5分圏内に駐車場も用意されています。笑顔が絶えないアットホームな雰囲気の中、お子さまが自分らしくのびのびと成長し、楽しく学べるレッスンを提供。また、お子さんが自分自身を表現し、自己肯定感を高めるためのプログラムも充実しているそうです。千葉県の児童発達支援をもっとみる栃木県放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報「みんなちがって、みんないい」。それぞれの「ちがい」を認め、受け入れ、互いに助けあうことのできる社会を創りだしたいと考えるブロッサムジュニア下永田教室では、発達支援を通して自尊感情を高め、お子さんが自信をもって社会へと飛び出していけるようにお手伝いをしています。そして、お子さんの個性を丸ごと受け止め、それを伸ばしながら、新しいスキルも身に付けられるように一人ひとりに合わせた多様な支援プログラムを用意しサポートしています。栃木県の放課後等デイサービスをもっとみる茨城県児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報「つたえるってたのしい、つたわるってうれしい」をコンセプトに、コミュニケーション支援に力を入れている施設です。アートプログラムも充実しており、さまざまなアートの技法を取り入れながらお子さんに豊かな経験を提供しています。また、臨床美術士によるアートセラピー、理学療法士が作成した特別支援計画に基づく発達支援も実施。送迎も用意され、未就学児にも対応しています。保育園や幼稚園へのお迎えも可能です。茨城県の児童発達支援をもっとみる愛知県児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報就学に必要な基礎知識や生活習慣をレッスンするコペルプラス上前津教室は、地下鉄「上前津駅」から徒歩3分の通いやすい場所にある教室です。スタッフは児童指導員の資格とさまざまな経験を持ち、お子さん一人ひとりの個性を尊重する支援をしています。また、お子さんだけでなく保護者の方にも寄り添い、サポートを行ってくれるので、たくさんの喜びを分かち合いながら、お子さんの成長を見守ることができます。無料体験レッスンでお子さんの瞳が輝く瞬間を実際に見届けてはいかがでしょうか。Upload By 発達ナビ施設情報「ストリート」という施設名には「子どもたちが前に進むための“道”になりたい」という思いが込められています。日々のレッスンでは、お子さんにとっての「よいこと」を見つけ、「できる」を引き出し、「できた」ことへの達成感を獲得できるようにサポート。ABAを用いたレッスンを中心に、個別支援と、ダンスや音楽等の集団支援を組み合わせたレッスンを行い、保護者の方はその様子を見守ることができるようになっています。長年の経験を持つスタッフが、個別と集団を組み合わせた支援で、お子さんや保護者の方の困り事に誠心誠意対応できるように努めています。愛知県の児童発達支援をもっとみる静岡県児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報コペルプラス藤枝教室は、JR東海道本線「藤枝駅」南口から徒歩3分の場所に位置しています。コペルプラス藤枝教室では、お子さんの瞳が輝くような楽しいレッスンを通して、お子さんが自発的に取り組み、自ら能力を発揮していく姿をサポートしています。スタッフは保育士や幼稚園教諭、特別支援学校教諭をはじめ、精神保健福祉士や児童指導員など全員が有資格者で、お子さんの発達に関するさまざまな知識を有しています。2000種類以上のオリジナル教材は、ゲームや製作などもあり、お子さんが楽しみながら取り組めるように工夫されています。楽しいレッスンの中でできることを増やし、園や学校、家庭で自分らしく過ごしてしていくための必要なスキルを身につけることを目指しています。静岡県の児童発達支援をもっとみる新潟県児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報コペルプラス長岡教室は、JR信越本線「長岡」駅大手口より徒歩9分の場所にあり、駐車場は関東町パーキングに3台分用意されています。フラッシュカードや百玉そろばん等、さまざまな教材を使ったレッスンは、お子さんの興味や関心を引き出しながら、スタッフもお子さんの気持ちに寄り添い、共に楽しむことを大切にしているそうです。お子さんのあるがままの個性を尊重し、一人ひとりの力を伸ばす支援を目指している教室です。新潟県の児童発達支援をもっとみる大阪府児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報コペルプラス箕面粟生外院教室はマンションの1階部分が教室となっており、敷地内に専用の駐車場が2台用意されているため車での通所も可能です。さまざまな感覚や物事をとらえる力を育てるための多種多様な2000種類の教材を通じ、お子さんの集中力を高め、豊かな学びを届けています。1回60分のレッスン時間で、25~30個程度の課題に取り組むのだとか。同教室では、個別支援を中心に、2~6名の小集団レッスンや、毎回異なる運動支援も実施。また、全ての部屋にマジックミラーが設置され、保護者の方はお子さんがレッスンを受ける様子を見守ることができます。大阪府の児童発達支援をもっとみる京都府児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報JR「丹波口駅」から徒歩10分の場所にあるコペルプラス京都中堂寺教室は、「楽しい!」と感じられる時間の中から、「できた!やりたい!」という気持ちを引き出すことを大切にする教室です。「常にお子さんの成長をサポートできる存在でありたい」という考えのもと、明るく優しいスタッフたちが、お子さんに寄り添い、何事にも前向きに取り組めるように導きます。また、保護者の方は、マジックミラー越しにレッスンに取り組むお子さんの姿を見ることができ、成長の瞬間を感じることができる工夫が取り入れられています。京都府の児童発達支援をもっとみる兵庫県児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報コペルプラス塚口教室は、JR福知山線 「塚口」駅より徒歩8分の場所にある教室です。たくさんの教材を取り入れた遊びを通して、お子さんの「できた!」の積み重ねを大切にしています。「コペルはいつ?」「コペルに行くのが楽しい!」「コペルにまた行きたい!」とお子さんが思えるような支援を心掛けているそうです。スタッフは全員が児童指導員の資格を持ち、お子さんの発達に関するさまざまな知識を備え、お子さん一人ひとりの成長や自己肯定感の育成を全力でサポートしています。Upload By 発達ナビ施設情報コペルプラス明石教室は、JR「明石」駅、山陽電鉄 「山陽明石」駅より徒歩5分とアクセスのしやすい場所にあります。お子さんの発達に合わせた2000種類の豊富なオリジナル教材を用いて、「できた!」という達成感を大切にした楽しいレッスンを行っているそうです。また、知育だけでなく徳育も大切にし、お子さんの心の成長もサポート。保護者の方の不安や疑問にも寄り添い、共にお子さんにとって、よりよい未来を見つけられるようスタッフ一丸となって取り組んでいる教室です。兵庫県の児童発達支援をもっとみる「もっと施設の情報を詳しく知りたい!」「見学をしてみたい!」と思ったら、Webからもお問い合わせが可能です。施設情報ページでは、掲載されている施設の情報を地域ごとに検索して見ることができますよ。
2024年01月30日小中5年間不登校だった娘わが家の娘、いっちゃん(ASD(自閉スペクトラム症)・現在16歳)は、小学校5年生から中学時代まで不登校でした。発達障害と睡眠障害(非24時間睡眠覚醒症候群)があり、朝決まった時間に登校することが難しかったのです。全く行かないというわけではなく、午前中に目を覚ましたときは登校します。とはいえ、泊まりの学校行事には不参加でしたし、年間の出席日数でいえば、欠席していた日のほうがはるかに多かったと思います。欠席した日の勉強はどうしていたかというと……学校には月に7日程度は行っているわけなので、登校した際に、休んでいた間の授業プリントや小テストなどをもらってきて(大体教室の机の中に入ってる)、自宅で教科書を見ながら授業プリントで自習するということはやっていました。Upload By 寺島ヒロ小テストは、親か6歳年上のお兄ちゃんが付き添って、そのプリント自習の後にやらせていました。そのテストの正答率は8割ほどでしたが、担任の先生によると、ほかの児童生徒さんともさほど差はないということだったので、そのまま提出していました。ちなみに、定期テストの結果は真ん中くらい。都市や国の名前や、技術や家庭科のテストで「けがき線」や「まつり縫い」のような用語を問われると正答率が悪いという特徴は見えてきていました。親目線では「あんまり勉強してないな……」という思いはありつつ、しかし、家では絵を描いたり音楽をつくったりとほかの興味のあることで忙しくしていたので、本人も家族も「特別遅れてないならまあいいか」という感じでした。高校は通信制の学校に進学しました。通信制の高校に進学して通信制の高校に進学すると、当然ですが出席日数などは問われません。もともと自習が苦にならないタイプの娘、繰り返して見ることのできるビデオ授業がメインになったのは大変ありがたかったようです。担当の先生のテレビ通話でのフォローアップも受け、着々と単位を取得することができました。【いっちゃんが通信の高校に進学した顛末はこちら】↓しかし、希望の大学を目指そうとすると少々、いえかなり厳しい状態です。小中学校を通して学校の制度や教育システムがどうにも理解できなかったいっちゃんでしたが、高校でキャリアガイダンスや進学指導を受け……発達的にも良いタイミングだったのでしょう、やっと理解し「わたしは大学に行きたい!」と言いだしました。思いも新たに、しかし高校1年生の終わりに受けた初めての模試の結果は撃沈! それでもあきらめるにはまだ早いですし、受験がなくても勉強はしておくに越したことはありません。「数Bが全然分からん!」「忘れていることが多すぎるみたい」という娘にも、はっきりとした課題感が生まれてきたよう。今が学び直しのチャンスかも!?というわけで、娘と話し合って、高校2年生の夏休みは小学校4年生の内容から勉強のやり直しをすることに決めました。紙の本のドリルで学び直し!やり直しの方法は、市販のドリルを本屋で買って、一緒にやることにしました。Webには、高校が用意してくれたものも含めて、インターネットでできる便利な問題集などもありますが、紙の本のほうが親がついて見てやりやすいですし、手で紙に文字を書き入れる「面倒くささ」も、娘には良い経験になるだろうと思いました。さあ、これで夏休みの間にみっちりやるぞ!と思った矢先……なんと、わが家にコロナが襲来。ばたばたと家族が倒れる事態になってしまいました。危うし、学び直し!しかし、「決めたことはやる!」ASDのこだわりか、家族の中でいち早く復活した娘、家族が寝ている中、一人もくもくとドリルを進め、夏休みの終了日までに、ついに中学3年生までの分を終わらせてしまいました!Upload By 寺島ヒロただ「勉強しなきゃ」「いい点とらなきゃ」と思うだけでは難しいけど、4年生の分のドリルを終わらせる、その次は5年生の分のドリルを終わらせる……みたいに具体的にクリアする目標が見えていたので、手が付けやすかったのかもしれません。大学受験にはまだまだ遠いけど……今(高校2年生の冬)も、高校1年生の分のドリルで復習しながら、学校の勉強を進めています。「ドリルまた買ってきて」とか「英検の参考書が欲しい」と言ってくるようになり、小中の頃に比べると、はっきりと自主的に学んでいる感じがしています。執筆/寺島ヒロ(監修:新美先生より)不登校中と通信制高校進学後の学習について、詳しく聞かせていただきありがとうございます。学校にあまり通えていなくて睡眠障害で生活リズムが不安定だった時でさえも、学校のプリントを自習で着々とやりこなし、テストで正答率8割、真ん中ぐらいの成績をとれていたということは、いっちゃんは自習学習に向いている、学習が基本的に苦じゃないタイプの方なのでしょう。思春期の不登校期間に、コツコツ学習をこなしている人は多くない印象なので、とてもすごいです。そして通信制高校の学習スタイルは、そんないっちゃんにはとても合っていたのでしょう。さらに、高校でのキャリアガイダンスや進路指導がヒットして、明確な目標ができてしまえば、強いですね。苦手なところもしっかり分からないところまで戻って学び直しをして、分かる、できるようになる手ごたえをつかめてきたのでしょう。こうなってくると、学習が楽しくなってきて、目標までまっしぐらですね。楽しみです。正直、ここまでコツコツ自主的に学習できるお子さんばかりではありません。これはお子さんのタイプにもよるので、どんなに周りが仕向けようとしても動かないこともあるでしょう。学習に限らなくても、明確な目標やモチベーションがあって、本人のやり方にフィットすると、見違えるように何かに打ち込めることもありますが、その出合いがいつ来るのかは誰にも分からず、気長に見守るしかないこともありますね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年01月30日私の娘は可愛くない
あり子のワーママ奮闘記
子育てはフリースタイル