こんにちは!HugMugブロガーのかみじょうです。日本科学未来館ってみなさん行かれたことありますか...? 広い施設の中に、楽しみながら学べる展示はもちろん、プラネタリウムや無料で遊べる広場、カフェもあって、家族みんなで楽しめる施設なんです!今回はそんな日本科学未来館の新常設展『老いパーク』についてご紹介したいと思います!『老いパーク』ってどんな展示?!日本科学未来館の常設展が2023年11月に7年ぶりにリニューアル。新設された4つの展示の1つが『老いパーク』。実は『老いパーク』は我が家の父ちゃんがディレクションを務めた展示なんです...!『老いパーク』では「人は老いるとどうなるのか」を疑似体験できるゲームを通じて学べる展示になっています。老いを知ることは、老いと向き合う方法を模索することに繋がり、きっとこれからの人生をより豊かにしてくれる。父ちゃんいわく、この展示には『老いは必ずしもネガティブではない!』というメッセージが込められているそうです!大人も子供も思わず夢中になる!老い体験ゲーム『老いパーク』では目、耳、運動器、脳の4つの老化現象を疑似体験することができます。今回は、実際に老いを感じ始めているであろう、私の両親、義理両親と一緒に見に行きました♪<耳の老化を体感>「サトウさん」を聞き分けられる?!まず体験してみたのは「サトウの達人」。老いるとどんな風に耳が聞こえづらくなるのかが体感できます。「アトウさん」「カトウさん」「サトウさん」と呼ばれていく中で、どれが「サトウさん」か聞き分けるゲーム。老化で聞こえづらくなっている耳の設定で音を聞き分けるのですが、これがとっても難しい!なんと呼ばれても全部同じに聞こえます。つまりそれが耳の老化、ってことなんですね!老いていくと、自分の名前が呼ばれても気付けないときもあるのかも。じぃじたちも聞き分けに大苦戦!<運動神経の老化を体感>体が思うように動かない?!次にやってみたのは「スーパーへGO!」。体が老化すると、近くのスーパーに行く道がどう感じるようになるのか、を体感することができます。実際は足に重りをつけてやるゲームなのですが、5歳児には重すぎたので、つけずにやってみることに。カートを押しながら横断歩道を渡ったり、坂を登ったり。一生懸命足踏みをして、急ぎたくてもなかなか前に進まない...!若ければ5分で着くスーパーも、老いると20分かかってしまう。そういえばうちのマンションにも、ゆっくりカートを押しながらスーパーに行っているおばあちゃんがいるなぁ...とそんな事を思い出しました。老化が進むと、自分が思っている以上に運動神経も落ちる。だからこそ今維持する努力をしなければ!と思わされたゲームでした...!<目の老化を体感>ぼやけた視界で運転できる?!次にやってみたのは「3つの◯◯なテレビゲーム」。目の老化が進むと、視界はどのように映るのか、色々なテレビゲームを通じて体感できます!テトリスやドライビングゲームなど、いくつか種類があるのですが、いずれも途中で「老化モード」になり画面が見えづらくなります。このまま行けば順調にクリア!と思いきや、急に視界がぼやけたりして、思うようにできない...!目が見えづらくなると、そんなフラストレーションもあるのかもしれませんね...!この3つのゲーム以外にも、頼まれたものを全部忘れずにお買い物ができるか試すゲームや、表情の老化を体感できるプリクラ機など。全部書いてしまうと楽しみが減ってしまうので、私からのご紹介はここまで!大人も子供も思わず夢中になってしまうゲームばかりなので、気になった方はぜひ一度遊びに行ってみてください♪お・ま・け日本科学未来館の1階に、各展示の紹介ムービーが流れているのですが、『老いパーク』のムービーには太郎さんも出演中!両端は私の両親です(笑)映っているのはほんの数秒ですが...見ることがあればぜひ見つけてみてください〜!(笑)★☆★☆★日本科学未来館の常設展入館料 は大人630円、18歳以下210円、6歳以下の未就学児無料(※特別展等やドームシアターは別料金)!良心的な価格なのに、施設はとっても充実しています!なんか子供とお出かけする場所ないかな〜と思ったときにおすすめですよ♪それではまた次のブログでお会いしましょう〜!
2024年01月18日脳には「発達黄金期」があるのをご存じですか?じつは、脳の発達は能力によってピーク期が異なります。親がその発達黄金期に合わせたアプローチをすることで、お子さまの脳はどんどん刺激されていくようです。脳医学者で東北大学加齢医学研究所教授の瀧靖之氏は、脳の成長段階の黄金期をふまえた子育て法を「脳育て」と呼んでいます。今回は、脳の発達黄金期について考えてみましょう。脳の発達ピーク1:オキシトシンの分泌量は1歳頃に “ほぼ決まる”!?脳の発達ピーク2:「おりこうさん脳」が育つのは1~18歳脳の発達ピーク3:指先は第二の脳!「巧緻性」は3~5歳に高める脳の発達ピーク4:脳の成長の原動力「知的好奇心」は3〜6歳頃に伸ばす!脳の発達ピーク5:絶対音感は4~5歳まで。聴覚は8歳までに完成する脳の発達ピーク6:運動神経が伸びる黄金期は12歳頃まで!?脳の発達ピーク7:13歳までに「脳をつくる栄養素」をしっかりとろう!脳の発達ピーク1:オキシトシンの分泌量は1歳頃に “ほぼ決まる”!?身体心理学者で桜美林大学教授の山口創氏の研究から、「スキンシップが子どもの脳を育てる」ということがわかっています。スキンシップをすると、脳内にはオキシトシンというホルモンが分泌されます。「愛情ホルモン」とも呼ばれるオキシトシンは、ストレスへの反応をやわらげ、情緒を安定させる働きがあるのです。たとえば、子どもが不安を感じているとき、親が抱きしめてあげると、泣き止んだり、安心した様子を見せたりすることがあると思います。これはオキシトシンが分泌されている証拠です。山口氏は、幼児期に「添い寝などを通じて肌にたくさん触れられて育った子どもは、成長してからも情緒が安定しており、社交性が高く、他人を攻撃する傾向も低い」としています。一方、スキンシップ不足で育った子どもは、「人間不信や自閉的傾向が高く、自尊感情も低い」のだそう……。そしてなんと、オキシトシンの分泌量は脳の発達が著しい1歳頃に “ほぼ決まる” とのこと。でも、ご心配なく!山口氏は、1歳を過ぎても、スキンシップの効果は大いにあると話していますよ。「ハグをする」「手をつなぐ」など、子どもとしっかりスキンシップをとるよう心がけましょう。脳の発達ピーク2:「おりこうさん脳」が育つのは1~18歳青山・表参道睡眠ストレスクリニック院長の中村真樹氏は、日本人の睡眠時間は世界的に短いとし、「寝不足の子どもは前頭葉の働きが低下する」と述べています。前頭葉は、思考、感情、コミュニケーションなど社会性に関わる脳の部位です。そこが未発達だと、集中力・意欲の低下、認知能力の遅れ、イライラしやすい、落ち着きがない、周囲に対して攻撃的になるなどの弊害があるのだそう。睡眠の専門家で文教大学教授・成田奈緒子氏も、慢性的な睡眠不足が子どもたちの脳に悪影響を及ぼしていると危惧するひとり。子どもの脳をきちんと育むために、親は以下の「脳の発達3段階」と、それぞれの「発達ピーク」を知っておいたほうがいいと話します。第1段階(発達ピーク→0~5歳頃):【体の脳(脳幹、間脳、小脳)】「起きる、寝る、食べる、体を動かす」といった、生きていくために最低限必要な機能第2段階(発達ピーク→1~18歳頃):【おりこうさん脳(大脳新皮質)】「言葉、微細運動、知識、スポーツ」などをつかさどる第3段階(発達ピーク→10歳以降):【心の脳(主に前頭葉)】「感情のコントロール、思考、判断」などの機能 そして一番重要なこととして成田氏は、「これらの発達は1~3の順番でしか進まない」と断言しています。どういうことかと言うと、「体の脳」が育たないと「おりこうさん脳」は育たず、「おりこうさん脳」が育たないと「心の脳」が育たないので、結果的に自分の感情をコントロールして生きていくことができなくなってしまうのです。まずは、「体の脳」を育てるため、5歳までの睡眠には特に気を使いたいですね。脳の発達ピーク3:指先は第二の脳!「巧緻性」は3~5歳に高める巧緻性とは、指先の器用さ。ハサミやヒモなどを使った工作がテストに取り入れられるなど、小学校受験でも重要視されている能力です。長年、指と脳の関係性を研究している医学博士の長谷川嘉哉氏も「指先は第二の脳」と言うほど、巧緻性は脳と密接な関わりがあります。前出の瀧氏によると、巧緻性は脳の頭頂葉の運動野がつかさどっており、その部分の発達のピークは3~5歳。積み木やお絵かき、楽器の演奏などの指先を使う遊びが、巧緻性の発達に効果的とされています。また、巧緻性が育まれ、指先を自由に使えるようになると、自分でできることが増えるため、なんと学習効果にも好影響を及ぼすとのこと。埼玉大学教育学部教授・川端博子氏の調査で、巧緻性テストで上位だった子どもは、学力テストの結果でも上位だったことがわかったのです。脳の発達ピークに向けて、どんどん指先を鍛えていきましょう!脳の発達ピーク4:脳の成長の原動力「知的好奇心」は3〜6歳頃に伸ばす!「知的好奇心は、脳の成長の原動力になる」と明言するのは、瀧氏。知的好奇心が高いとポジティブな感情になりやすく、そのポジティブな感情は、記憶力や集中力を高め、考えたり判断したりする情報処理能力をも向上させるそうなのです。たしかに、イヤイヤやったことよりも、ワクワクしながら取り組んだことのほうが、はかどるし、記憶に残りますよね。では、子どもの知的好奇心を伸ばす最適な時期はいつなのでしょう?瀧氏によると「3〜6歳頃の未就学時期は知的好奇心を伸ばすのに最適」とのこと。そして嬉しいことに、6歳を過ぎてしまったとしても、刺激を与え続ければ人間の脳は成長すると、瀧氏は言います。何歳になっても、大人であっても、脳は成長するのです。ですから、子どもの知的好奇心を伸ばしたいのであれば、親御さん自身も「大人だからできない」と思わずに、子どもと一緒にさまざまな活動にチャレンジしてみてくださいね。脳の発達ピーク5:絶対音感は4~5歳まで。聴覚は8歳までに完成する日本こども音楽教育協会によると、絶対音感とは「音を聞いて即時にドレミの高さが判別できる力」のこと。絶対音感がある人は、生活音も正確に言い当てられるのだそう。すごいですね。絶対音感は、脳の発達を促すことがわかっています。ドイツのハインリッヒ・ハイネ大学の研究で、絶対音感をもつ人と、絶対音感をもたない人の脳を比較したところ、絶対音感がある人のほうが、左脳にある側頭平面(言語の理解や数学的能力に深く関係していると考えられている箇所)が約2倍大きく発達していたのです。「先天的に絶対音感がある人は20万人に1人」と日本こども音楽教育協会ウェブサイトにはありますが、幼少期に適切なトレーニングをすれば誰でも絶対音感を身につけることができるようです。脳科学者で『ピアニストの脳を科学する』著者の古屋晋一氏は、特に4~5歳の時期に絶対音感は獲得しやすいと述べています。8歳までに人間の聴覚は完成してしまうようなので、音感トレーニングはできるだけ早く始めたほうがよさそうです。脳の発達ピーク6:運動神経が伸びる黄金期は12歳頃まで!?「運動神経とは運動の指令が脳から筋肉まで送られるときの “情報の通り道” 」と定義するのは、日本女子体育大学学長の深代千之氏。そしてなんと、運動神経の伝導速度に生まれつきの個人差はないと話します。大切なのは、幼少期の「運動環境」。多種多様な動きを経験すればするほど、脳の神経回路が発達して運動神経がよくなるのだそう。また深代氏は、運動神経を伸ばすには「最適な時期」があるとしています。3~5歳頃の「プレゴールデンエイジ」と6~8歳の「ゴールデンエイジ」です。しかし、ゴールデンエイジ期の定義には、専門家によってばらつきがあるようです。『子どもの身体能力が育つ魔法のレッスン帖』著者・髙橋宏文氏は、プレゴールデンエイジを5~9歳、ゴールデンエイジを9~12歳としています。とはいえ、どの専門家も「12歳までに神経系の発達が完了する」としていることから、運動神経を伸ばすには、12歳までの運動経験が大切だと言えるでしょう。■以下の記事で【プレゴールデンエイジ期】【ゴールデンエイジ期】におすすめの運動遊びを詳しく紹介しています!↓↓↓『子どもの運動能力が上がる!ゴールデンエイジとプレゴールデンエイジの過ごし方』『「運動神経のいい子」特徴6つ。12歳までに運動神経はもっと伸ばせる!』ゴールデンエイジは一生に一度の「運動神経が伸びる黄金期」。この時期は、動きがすぐ身につき、覚えた動作は一生忘れないそう。貴重な成長期をしっかり活かして、運動経験を積ませてあげたいですね。脳の発達ピーク7:13歳までに「脳をつくる栄養素」をしっかりとろう!「育脳レシピ」を開発する管理栄養士・小山浩子氏は、遺伝子の影響が表れる13歳頃までに “脳をつくる・働かせる・動かす栄養素” をしっかりとることを強くすすめています。脳も体の一部です。小山氏の言うように、脳が食事の影響を受けるのは当然ですね。では、 “脳をつくる・働かせる・動かす栄養素” を摂取するために、子どもには何を食べさせたらよいのでしょう?小山氏がすすめる食材を紹介します。「脳をつくる」栄養素:DHADHAは脳にとっての最重要栄養素。小山氏が「DHAの摂取量が十分な子どもとそうでない子どもでは、脳の神経回路の発達に違いがある」と言うほどです。また、DHAは体のなかでつくることができません。サバやイワシなどの青魚、サバの水煮缶やツナ缶、魚肉ソーセージを積極的に摂取しましょう。アマニ油やエゴマ油にもDHAは含まれているので、ドレッシング代わりに使うのも◎ですよ。「脳を働かせる」栄養素:レシチン小山氏によると、IQが高い子どもの脳には、脳を「働かせる」アセチルコリンという神経伝達物質が多いそう。このアセチルコリンの材料となるのが、卵や大豆に含まれる栄養素のレシチン。卵は「子どもには1日1個食べさせてほしい!」と小山氏が言うほどなので、毎日食べさせてあげましょう。豆腐や油揚げ、枝豆などの大豆製品が苦手なお子さまには、ヨーグルトやトーストにきな粉をプラスするのもひとつの手です。「脳を動かす」栄養素:炭水化物炭水化物(ブドウ糖)は脳を「動かす」ガソリンです。小山氏によると、「脳が消費するエネルギーは、体全体の消費量のなんと20%」とのこと。脳のために、エネルギーとなる炭水化物をしっかり食べることが大切です。特にエネルギーが必要となる朝は、ご飯やパン、麺類などをきちんと食べさせてください。カリウムや食物繊維を含む、野菜や果物、ヨーグルトと一緒に食べましょう。***能力ごとの発達ピークを意識すると、子どもの脳はもっと発達することでしょう。お子さまが18歳以下であれば、まだまだ能力が伸びる可能性がありますよ!(参考)瀧靖之(2016),『「賢い子」に育てる究極のコツ』, 文響社.クレア・ルウェリントン 著, ヘイリー・サイラッド 著, 上田玲子 監修, 須川綾子 翻訳(2019), 『人生で一番大事な最初の1000日の食事』, ダイヤモンド社.深代千之(2018),『子どもの学力と運「脳」神経を伸ばす魔法のドリル』, カンゼン.高橋宏文(2018),『子どもの身体能力が育つ魔法のレッスン帖』, メディア・パル.九州電力 キレイライフプラス|子どもを伸ばす「脳育て」新興出版社|頭のよさにつながる幼児期の遊ばせ方ふとん・寝具の西川|「寝る子は育つ」は本当︎睡眠専門医に聞く「眠りと発育・成績」の関係性致知出版社|「スキンシップ」が子どもの脳と心を育てるー山口創が語る最新科学が明らかにした子育のヒントSony life|特集「子ども脳も大人脳も『好奇心』で成長する脳に効く習い事」ベネッセ たまひよ|3~6才ごろの未就学時期が「知的好奇心」を伸ばすのに最適!その理由と上手な伸ばし方は【脳科学者】ベネッセ教育情報サイト|脳の成長の原動力とは?保護者に何ができる?ヤマハ音楽教室|久保純子さんがナビゲート 4・5歳が分かれ道。幼児期に音楽を始めると獲得できる様々な能力とは?NKO 一般社団法人 日本こども音楽教育協会|プログラムについてSTUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|子どもの脳をきちんと育てる「正しい睡眠」STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|子どもの脳は“親の愛情”と“食事”で育つ!「育脳」に効く食材の選びかたSTUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|“パン&〇〇”で最高の朝食になる!脳が育つ食べ合わせ「5つの黄金ルール」アイ・シー・イー幼児教室|【無料動画配信】小学校受験対策講座「制作」「生活巧緻性」J-STAGE|小学生の手指の巧緻性に関する研究―遊びと学習面からの一考察―
2022年09月29日子どもたちの生きるための底力を育むーー『マンガ・コグトレ入門』「コグトレ」とは、コグニティブ(Cognitive:認知)に着目したトレーニングの略称です。コグトレには、学習面、社会面、身体面の3方面から包括的に子どもたちを支援するという特徴があります。学習面では基礎学力の土台づくり、社会面では対人スキルの向上、身体面では身体的不器用さの改善を図ります。『マンガ・コグトレ入門』では、小学校のクラスを舞台にしたマンガで「コグトレ」を分かりやすく紹介。学習面、社会面、身体面を育む計50のトレーニングが掲載されています。実際に取り組む際のポイントや留意点、子どもからよくある質問やその答え方、間違うパターンなどを一緒に紹介しているので、「コグトレ」がはじめての方も進め方をイメージすることができます。この本に掲載されている50のトレーニングは、ダウンロードして何度でも使用できます。支援者の方だけでなく、保護者の方にもおすすめの一冊です。タブレットの活用術、便利なアプリが満載ーー『教室でできる タブレットを活用した合理的配慮・自立課題』GIGAスクール構想が動き出し、全国の小中学校では一人1台タブレットを持つようになってきました。しかし、障害特性に合わせたICT活用は進んでいない現状があります。この本では、iPadを用いて、子どもが使用する際に推奨する基本設定やそれぞれの特性に合わせた設定の仕方、アプリを活用した合理的配慮のヒント、自立課題に役立つアイデアや使えるアプリを紹介しています。教室だけでなく、家庭でもすぐに活用できるアイデアが満載です。タブレット活用の基礎が分かる一冊です。脳科学によって解明ーー『ASD、ADHDの「苦手」を乗り越え自己実現』発達障害のある人の、脳の中で起こっていることを明らかにする検査は、現時点ではありません。しかしこれまでの研究で、発達障害は脳と関連しているということは分かっています。発達障害のある人が苦手なことの中には、脳の中で起こっていることを想像できるものと、脳の中で起こっていることが想像できないものがあります。この本では、ASD、ADHDというような診断名ではなく、脳の中で起こっている「苦手なこと」に着目し、脳科学でその分析と苦手を克服するためのトレーニング方法を紹介しています。「発達障害」を今までとは違った視点でとらえることができるようになるかもしれません。発達が気になるお子さんを育てる保護者の方、そして思春期のお子さんにぜひ読んでほしい一冊です。困っている一人ひとりに寄り添う場所ーー『みんなが輝くために3 (舞台は通級指導教室)』『みんなが輝くために』は、小学校の通級指導教室の日々を描いたマンガです。主人公の松平彩はあることがきっかけで通級指導教室の担当教諭になります。さまざまな困難さや、学校生活を送る上で悩みを抱えた子どもたち。主人公は、時に周囲の先生や児童の家庭とぶつかりながらも、一人ひとりに合った支援を探っていきます。第3巻は、新入学のお話からはじまります。新一年生の担任は、入学したばかりの児童にADHD傾向があることに気づきます。過去にADHD傾向のある児童を指導した経験のある担任は、通級の活用を考え、主人公である松平彩に相談します。その中で分かったのは、保育園などとの連携で学びの場が変わっても継続して支援を続けられる工夫でした。マンガの舞台となる通級指導教室は、開設から4年目を迎えます。主人公は、通級指導教室のない学校に赴き、通級指導のために巡回し、困っている子どもたちへの支援だけでなく、通級への理解を高める活動をしていきます。著者は、発達障害教育、特別支援教育を専門とする梅田真理教授(宮城学院女子大)。通級指導教室のしくみや、指導におけるねらいについての解説つきなので、マンガを楽しみながら通級指導について知ることができます。真の幸せとは。15の家族へのインタビューーー『おかあちゃん、こんな僕やけど、産んでくれてありがとう-精神障がいがある人の家族15の軌跡』この本は、精神障害のある人の家族15組が障害や困難とどのように向き合い、未来へ歩み出したのかを紹介しています。精神保健福祉領域のソーシャルワーカーとして34年間にわたり、精神障害がある人やその家族に寄り添ってきた社会福祉学博士の青木聖久教授(日本福祉大学)がインタビューをしました。15のエピソードは、自分を大切にした生き方を考えるきっかけになるでしょう。
2022年05月10日脳科学と心理学をフル活用したオーダーメイドの企業研修・セミナーを行う株式会社ホワイトスターラボ ( 所在地:東京都渋谷区、代表取締役:山田 梨歌 )は、これまで実施してきたオーダーメイド個別研修・グループ研修の自社アンケートで最も好評価だった「6つの渇望遺伝子」についてお話する、法人設立5周年記念セミナーなどを掲載した新コンテンツを11月12日(金)よりオンラインにて無料公開します。5周年企画サイト: 【5周年】未来の社長を育てる脳を可愛がる脳会話専門学校■「 6つの渇望遺伝子」を知って営業も仕事も楽しむ「 6つの渇望遺伝子 」のセミナーでは、「 職場の人間関係を楽にする方法 」「 コミュニケーション 」「 脳へと直接に働きかける脳会話術 」といった内容を学び・体験することができます。当社の代表 山田は、セールストークやプレゼン術にこだわった固い営業スタイルではなく、セールスに従事する人も顧客もお互い気持ちよく楽しんで成果をあげることを目的に、顧客が自身でも気付いていない欲望を【 渇望遺伝子 】と名付けてプロファイリングして売る新しい方法を起業家や経営者向けに研修やコーチングをしてきました。今回の無料セミナー動画では、リーダーやマネジメント職だけでなく、社会人として仕事をする方々にも活用いただける【 脳の使い方 】についてご紹介します。「あいつ(ライバル)とオレの違いは一体なんだ!?ビジネス歴も変わらない、会社の規模も大して変わらない、ビジネスマン能力も多分そんなに変わらないはず。でも結果( 業績 )に、こんなに差がついているのはなぜ?」とスッキリしないモヤモヤした経験がある方にこそ、知っていただきたい脳科学と心理学の活用方法について、お伝えします。■【 渇望遺伝子 】= 買いたい遺伝子を目覚めさせるステップ自分のセールス力を飛躍的に高め、お客様( 商談相手 ) の【 渇望遺伝子 】を目覚めさせるためには以下の4つのステップを踏むことが必要です。(1)【 渇望遺伝子 】= 買いたい遺伝子 6つの存在を知るセールスが楽になる【 渇望遺伝子 】のメカニズムを理解することで、今まで多くの方が抱いていたセールスに対する悩みやトラウマ級の痛みを減らすことができる。(2)自分の脳の特徴を知る自分の【 渇望遺伝子 】を知り、自分の脳の癖を理解することで、なんとなく自分の上手くいった・上手くいかなかったを的確に理解できるので上手くいくようになる。(3)お客様の脳の特徴を知るお客様の【 渇望遺伝子 】と自分の【 渇望遺伝子 】との違いがわかることで、営業セールスが楽に楽しくなる。(4)お客様の特徴に合わせたセールストークを楽しむ欲求で満たされない乾いた部分を急激に今すぐに潤して、お客様の【渇望遺伝子】が目覚める脳会話ができるトークを作る。■ 5周年を迎えたホワイトスターラボ当社は、【 社員の心が楽になると、社長の心も楽になる 】【 人間のパフォーマンスの根源である心の豊かさ、脳の充実感から継続的に売上・業績をあげる安定経営を目指す心の研修 】で、カウンセリングを通してメンタルヘルスを整え、心をケアする会社です。脳の認知構造を再構築し、働き方改革に対応できる人間力を身につけ、人にもお金にも好かれる組織づくりも支援するマンツーマンでのオーダーメイドのメンタルサポートのほか、企業様のグループ研修や社長候補を育てる脳力開発、新人社員が会社にいたくなる脳の使い方講座など様々な講座も承っております。今後は2年後に、コロナ後ますますやることが増えているドクターが治療だけに専念できるように心の未病をサポートする対人支援チームを派遣する事業を、5年後には、日本の企業が心の豊かさから社員も業績も元気になったプログラムを海外向けにつくり、繊細で感受性の高い日本人だからこそ開発できた心理職・相談職を世界に発信することを目指します。<会社概要>商号 : 株式会社ホワイトスターラボ代表者 : 代表取締役 山田 梨歌所在地 : 〒150-0013 東京都渋谷区恵比寿1丁目15の9シルク恵比寿403設立 : 2017年8月17日事業内容: 企業向け研修事業・ビジネス脳力開発支援・ビジネスマン向けメンタルヘルスコーディネーター・カウンセリングセラピー・コーチング< 代表取締役 山田 梨歌 >医療法人社団 仁静会の理事として、16年間36万件以上の人間関係の相談に携わり、精神的お悩みを解決。医療福祉従事者向けの人間関係を円滑にするビジネスコミュニケーション研修事業をメインに活動したヒューマンスターメディカル研究所3年を経て、2017年8月17日に株式会社ホワイトスターラボとして法人化。現在は、全国の中小企業経営者エグゼクティブ向け研修のほか、コーチング・カウンセリング・セラピーをオンラインで提供。また、2020年にメンタルクリエイター(R)協会を設立。オールインワンで心理職・相談職ができるプロコーチ養成講座も2期目を迎える。現在著書に「使われていない97%の脳を自由自在に操るビジネス催眠力(R)」忙しいビジネスマンの為にコーチング・セラピー・NLP・催眠療法・実践心理学・脳科学・個性心理学を統合したエグゼクティブクラスのセッション「 頑張らない営業~6つの買いたくなる脳の特徴で成約率98%を生み出す! エグゼクティブコーチが社長に教えていた【 渇望遺伝子の正体 】とは?」など。海外の心理学の恩師たちから学んだ技術を繊細で感受性の高い日本人向けに開発した脳を可愛がる手法、ヒプノティックパワー(R)を世界に発信し、【 褒めて・認めて・感謝する 】勇気と元気を自家発電できる賞賛と賛美する脳内構造へと再構築し、世界平和のために、まずは会社や家庭の中から争いのない世界にして綺麗ごとを綺麗にできる人類を増やすことに注力。代表取締役 山田 梨加(1)【本件に関するお客様からのお問い合わせ先】株式会社ホワイトスターラボ お客様相談窓口お問い合せフォーム: 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2021年11月12日子どもに絵本を読み聞かせしたいと思っていても、たくさんの絵本があってどの本がいいのか迷ってしまうことありますよね。私自身もとても悩みました。そこで、わが子が低月齢のころから読んでいて、買ってよかったと思った絵本をご紹介します。 カラフルでかわいい世界に夢中! 『いっしょにあそぼ しましまぐるぐる』(絵:柏原晃夫/発行:学研プラス)は、わが家で最初に購入した絵本です。娘の反応がとてもよかったことを覚えています。絵本の中身はとてもカラフルで動物やお魚、食べ物も出てきてきます。穴があいているページもあり、娘は興味津々に穴を触っていました。カラフルでかわいらしい世界に興味津々の様子でした。 コンパクトサイズで外出時にも大活躍! 次におすすめしたい絵本は『ぽけっとえほんシリーズ①どうぶつ』(絵:かたおかともこ/発行:ブックオフコーポレーション)。 ページごとに動物の絵が描かれ、鳴き声や特徴が書いてあるこの絵本に、娘は低月齢のころから夢中でした。動物の鳴き声やしぐさをまねしながら読んでみせるとさらに夢中になり、読んでほしいと何度も持ってくる娘お気に入りの絵本です。今では、動物の鳴き声やしぐさをまねしたりして一緒に楽しく読んでいます。 残念ながら『どうぶつ』は現在売り切れのようですが、『たべもの』や『おでかけ』など、同シリーズの別の何冊かは在庫があるようでした。 スキンシップ&ぐずったときにも◎ もう1つおすすめしたいのが『脳科学からうまれた ゆびゆびえほん』(絵:わたなべちいこ/監修:岡田 浩之/発行:ポプラ社)。おすわり期になると手先も器用になってくるので、押したり回したり、効果音が流れるこの絵本に娘は好奇心旺盛な様子でした。 さらに、手遊び歌が3曲入っているので、娘の手をこちょこちょしたり、手をたたいてリズムをとったりと娘と楽しく遊べるので、自然とスキンシップも図れます。ぐずったときはこの手遊び歌で遊ぶとすっかりご機嫌になるなど大活躍でした! 低月齢のころから絵本の読み聞かせをしてきたことで娘とのスキンシップの時間が増え、親子の絆も深まったと感じています。これからも絵本を通じて親子で楽しい時間を過ごしたいです。 ※本記事の内容は、商品によっては変更となっている場合があります。 監修/助産師REIKO著者:佐倉美桜里女児の母。出産を機に仕事を退職。漫画を読むこと、食べること、寝ることが大好きな主婦で、夫と子どもと3人暮らし。現在二人目妊活中。
2021年05月05日「遊んでばかりいないで少しは勉強しなさい!」「いま勉強しておかないと、将来困ることになるわよ」、そんな声かけをしていませんか。でもこれからの時代は、「いま遊んでおかないと、将来困ることになる」かもしれませんよ?今回は、幼少期に遊ぶことの必要性について考えてみましょう。「10歳までに思いきり遊べた子ども」は強い!「子どもの頃に遊べていない人間は将来的に伸びない」「“10歳までに思いきり遊ぶ” という経験は過剰な受験勉強よりも大切」――こう言いきるのは、東京都で義務教育初の民間校長として注目を集めた教育改革実践家・藤原和博氏。いままでは「正解に速くたどり着ける力(基礎学力)」があれば社会で活躍できました。しかしこれからの時代、「基礎学力」だけでは社会の変化に太刀打ちできないようです。では、どんな力が必要となってくるのでしょう。藤原氏は、「直面する問題に対して自分や他者がもつ知識、経験、技術を組み合わせて多くの仮説を立てる力(情報編集力)」を鍛えるべきだとしています。なぜならば、今後さらに多様化していく社会の問題に「決まった正解はない」からです。2021年1月に行なわれた大学入学共通テストでも、思考力・判断力・表現力など「実社会で通用する力」が重視されました。そこで今回は、子どもたちの「情報編集力」や「実社会で通用する力」を確実に伸ばす方法をお伝えします。その方法とは「子どもの頃に思いきり遊ぶこと」。それだけ!?そう感じた親御さんも多いかもしれません。しかし、幼少期の「遊び」は子どもの人生を左右するほどに重要なのです。問題解決を得意としない、エリートの若者たちなぜ、子どもの頃に遊ぶと社会に出てから活躍できるのか――NASA・ジェット推進研究所の採用基準にヒントがありそうです。以前は、国で最高の学校を最高の成績で卒業したいわゆるエリートを採用することに重点が置かれていたが、近年、そういう若者の多くが必ずしも問題解決を得意としていないことがわかってきた。(中略)そこでこれらの機関は、採用の過程で、小児期と思春期に手を使ってユニークな遊びや作業をした経歴を持つ卒業生の獲得を優先し始めた。子どものときにものを作り、遊んだ経歴に特徴のある人が、問題解決をいちばん得意とする人たちだった。(引用元:東洋経済オンライン|「遊びの時間が足りない子」の結構残念な行く末)これは驚くべきことではないでしょうか。「最高の学校を最高の成績で卒業したエリート」よりも、「子どもの頃に手を使ってユニークな遊びをしていた若者」のほうが評価される時代になってきたのです。UCLA医科大学教授のダニエル・J・シーゲル氏と、児童青年心理療法士のティナ・ペイン・ブライソン氏の共著『「自己肯定感」を高める子育て』によると、「遊び」には数えきれないほどの利点があるとのこと。遊びは子どもの「仕事」だ。遊びは認知のスキルを育て、言語能力と問題解決能力、さらには計画づくりや予測、結果の予期、予想外の出来事への順応など、高度な実行機能を高める。(引用元:東洋経済オンライン|「遊ぶ子」と「忙しい子」自己肯定感に出る大差)なるほど、「遊び」は学力などの認知スキル(IQ)も上げてくれるのですね。また、「予想外の出来事への順応」も親としては嬉しい限り。たしかに、「外で遊んでいたら急に雨が降ってきた」「ブランコの順番を守らない友だちがいる」など、遊んでいれば大なり小なりトラブルはあるものです。予想外の出来事に対処することで、生きるためのさまざまな力がつくのでしょう。「遊び」によって鍛えられる力では、どんな「遊び」がどんな力を育むのか。いくつかの遊びを掘り下げて見てみましょう。【外遊び】→問題解決力・判断力・思考力などNASA・ジェット推進研究所の採用方針にもあるように、これからの時代、問題解決力は必須です。この問題解決力が「外遊び」で身につくと主張するのは、『すこしの努力で「できる子」をつくる』著者で生物学者の池田清彦氏。特に虫採りや魚釣り、山登りやキャンプといった、自然のなかでの遊びをすすめています。遊んでいて困難に直面したときこそがチャンス。「危機や困難を回避する方法」を探す経験が問題解決力を押し上げます。また、外遊びの定番とも言える鬼ごっこでは、「どうやったら捕まらずに逃げきれる?」と頭をひねることにより、思考力や判断力が鍛えられます。【折り紙遊び】→思考力・空間認識力・集中力など先の読めない時代、思考力は強力な武器となるでしょう。折り紙は、思考力を鍛える遊びです。たとえば、折り紙の上手な折り方を考えるのは「論理的思考力」。その折り紙に顔を描いたり、部屋をつくってあげたりするのは「創造的思考力」。寂しそうだからと “友だち” をたくさん折るのは、「ケア的思考力(他者への気遣いや共感など)」です。また、折る向きや折る間隔を考えながら作業すると空間認識力が鍛えられるということも、脳科学の観点から認められています。脳医学者の瀧靖之氏は、集中力も強化されると話していますよ。【ごっこ遊び】→創造力・想像力など東北大学加齢医学研究所の川島隆太教授によると、「ごっこ遊び」は、場面やストーリーを自分のなかでつくり出す必要があるため、創造力が育まれるのだそう。四角い積み木を電話に見立てたり、砂場の砂を「小麦粉」だと言ってみたり、子どもの創造力・想像力に驚いた経験はありませんか?教育学者で東京大学名誉教授の汐見稔幸氏も、「なにもない場所から遊びをつくり出す経験は、AI技術が発達していくこれからの時代に特に必要である」と話しています。これからは、ゼロからイチをつくることのできる人材が求められるはず。ごっこ遊びで創造力をぐんぐん伸ばしてあげましょう!【友だちとの遊び】→レジリエンス・コミュニケーション能力など「一緒に遊ぼうと誘ったら断られた」「遊びのルールについて友だちとケンカになった」など子ども同士でのトラブルに悩む親御さんも多いかもしれません。ですが、子どもはそのトラブルから多くを学び、レジリエンス(回復力・復元力)やコミュニケーション能力を育みます。レジリエンスがあれば、「〇〇ちゃんは積み木遊びが好きじゃなかったのかな?ほかの遊びに誘ってみよう」と、必要以上に落ち込むことなく、次の行動を考えることができますし、コミュニケーション能力があれば、自分の考えをうまく相手に伝えることが可能です。ケンカになりそうな場面でも、必要以上に親が介入することはやめましょう。「習い事」と「遊ぶ時間」、どちらが大切?上記で挙げた4つは、子どもの遊びのほんの一例です。子どもたちは、もっとたくさんの遊びをつくり出すことができるでしょう。しかし残念なことに、いまの子どもたちは習い事や勉強に割く時間が増え、自由に遊ぶ時間が減ってしまっています。NPO法人 子育て学協会会長の山本直美氏によると、「毎日習い事」「土日は習い事のかけもち」といった子どもも少なくないのだとか。そこで、前出のダニエル・J・シーゲル氏とティナ・ペイン・ブライソン氏は、スケジュールを詰め込みすぎていないかどうかを定期的にチェックすべきと提案しています。以下1~5は子どもの様子、6~7は親の行動です。イエス・ノーで答えてみてください。疲れていたり不機嫌だったりと、ストレスがたまっている様子だ。忙しすぎて自由な時間がないようだ。十分な睡眠がとれていない。友だちやきょうだいと気ままに過ごす時間がないようだ。家族みんなが忙しすぎて、決まった時間に一緒に夕食がとれない。(※親の行動)子どもに「急いで!」とよく言う。(※親の行動)忙しくてストレスがたまっているので子どもに対してもイライラしがち。 いかがでしたか。もし1つでもイエスがあったならば、子どものスケジュールについて少し考えたほうがよさそうです。そして2つ以上のイエスがあった方は、スケジュールの見直しを真剣に考えてみてください。そして、子どもが自由に遊ぶ時間をつくってあげましょう。前出の藤原氏は、「人生100年時代」と言われているいま、大学入学や有名企業への就職を目標とするのは危険だと警鐘を鳴らしています。どんな社会になったとしても、何歳になったときでも、自分の生きる道を自身で切り開いていけるのは、「10歳までに思いきり遊んだ、発想力の豊かな人」なのです。***幼児期は、親子での遊びも重要です。「こうしたほうがいいんじゃない?」「それはやったらダメよ」なんて言わず、ただ子どもと一緒に目一杯楽しんでください。遊び込んだ子どもの未来は明るいですよ!(参考)STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|10年後に必要となる力――正解がない問題に多くの仮説を立てる「情報編集力」STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|過剰な受験勉強よりも大切な、「10歳までに思い切り遊ぶ」という経験STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|やりたいことを目いっぱいやって失敗した。その経験が「折れない心」を育てるSTUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|「外遊び」は有能感や自己肯定感を伸ばす――でも、効果のほどは「親次第」アスコム監修(2011),『10歳までの子育ての教科書』, アスコム.汐見稔幸(2008),『子どもの身体力の基本は遊びです』, 旬報社.東洋経済オンライン|「遊びの時間が足りない子」の結構残念な行く末東洋経済オンライン|「遊ぶ子」と「忙しい子」自己肯定感に出る大差日経デュアル|幼児期の「遊び込む」経験が、思考力ある子を育てるベネッセ教育情報サイト|乳幼児期から育む、折れない心【前編】困難に負けない、レジリエンスとはるるぶ Kids|おりがみ遊びがすごい!脳科学者に聞く子どもへの効果 [ハシビロコウの折り方付き]株式会社エポック社|ー報道用資料ー「シルバニアファミリー」は、子どもが人の関係性を学べる「情操玩具」の役割を果たしていることが示唆されました。たまひよ|【専門家監修】【月齢別遊び・1才6カ月~2才ごろ】「見立て遊び」「ごっこ遊び」で想像力&創造力をはぐくもう月刊トイジャーナル|子どもは遊びで創造力を育み、我慢する力とコミュニケーション能力を学ぶ日経デュアル|もしかして親のエゴ?子どもの「習い事」落とし穴プレジデントオンライン|「教育熱心な親の子」が4年生で潰れる根本原因日経デュアル|藤原和博 中学受験すると「稼ぐ人」になれるのか?
2021年03月24日発達障害の作家が描く「生きづらさに寄り添う物語」ーー漫画『僕の妻は発達障害』「大人の発達障害」をテーマにあつかった本作。漫画家のアシスタントとして働く夫と、発達障害のある妻の日常生活が描かれています。本作では、発達障害がある人の生きづらさを描くと同時に、支援者にもスポットを当てています。悪意がないとわかっていても、発達障害のある妻・知花の行動にストレスを感じてしまう、夫・悟の描写もあり、決して良いことばかりではない、リアルな2人の生活が描かれています。本作は、多様性社会の現代において、夫婦とは何か?普通とは何か?そんな重要なことを考えさせてくれる作品となっています。ぜひ、発達障害のある人、支援者の方に読んでいただきたい一冊です。子どもの「トリセツ」をつくろう!ーー『自己理解力をアップ!自分のよさを引き出す33のワーク』本書の著者は、NPO法人えじそんくらぶ代表・高山恵子さん。自分自身も知らない、多様な自分の姿を知り、うまくいかないことが、うまくいくようになる問題解決の方法を紹介しています。意外と知らない自分のほんとうの姿。その中には、まだ気づかざる才能や可能性が隠れているかもしれません。逆に、自分の苦手なことに気づかないために、大きなストレスやトラブルの種になることもあります。本書では、そんな自分のほんとうの姿をしり、自分が「うまくいく条件」を探す方法を紹介しています。本書に書かれている、サポートを受けるメインの対象は子どもたちですが、実は大人にも実践できることがたくさん掲載されています。ぜひ親子で読んでほしい一冊です。赤ちゃんが自分から食べる離乳法を紹介!ーー『手づかみ離乳食』「楽しい離乳」をテーマとした本書。著者は、たつのシティタワークリニックの院長で、昭和大学医学部の客員教授もつとめる田角勝さん。田角さんは、これまでの離乳・離乳食の常識は、大人目線で考えられたもので、もっと赤ちゃん視点で考えるべきだと言います。本書では、「離乳食はスプーンですりつぶしたおかゆを一口から」といった常識に対して疑問をぶつけながら、赤ちゃん視点の新しい離乳を提案しています。また、食べ方や量、食べむらなど、育児をするなかで保護者の方が感じるさまざまな不安に対しても、エビデンスをもとにわかりやすく解説をしてくれています。また離乳時につまづきやすいポイントについても丁寧に解説してくれているので、「子どもが離乳食を食べない」そんな悩みをかかえる保護者の方に役立つ一冊です!脳科学の知識から、発達障害を理解するーー『改訂版脳からわかる発達障害』本書は、2009年に刊行された『脳からわかる発達障害』の改訂版です。著者は、教員や指導主事として、発達障害、不登校、非行など多様な子どもの教育に関わってきた鳥居深雪さん。LD、ADHDなどがある子どもたちは、日常生活のなかでさまざまな問題をかかえることがあります。本書では、脳科学の知識をもとに、発達障害のある子どもたちが日常で抱えやすいトラブルについて解説しています。また、鳥居さんがこれまでの経験から学んだ支援のコツや具体的な事例も、紹介されています。脳科学の基礎知識から子どもの行動をわかりやすく説明した本書。子育てをしている保護者の方や、支援者など、教育・子育てに関わる方におすすめしたい一冊です。
2020年10月17日努力しろ、朝練しろ、やる気が見えないと言い、休日は朝から息子を公園に連れていき、いろんなメディアで集めたトレーニングを実践するスパルタで過干渉な妻を変えたい。というお父さんからのご相談をいただきました。うまくはないけど楽しくサッカーをしていたのに、母親のダメだしと強制練習でサッカーが嫌いになってしまうことが心配だと言っても「子どものためなの!あなたは甘い」と言われ話し合いができなくて......とお悩みをいただきました。今回のご相談に、スポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんは、ご自身も同じような体験があると言います。かつての体験と取材で得た知見をもとにアドバイスを授けますので参考にしてください。(文:島沢優子)(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<サッカーチームでいじめ?親はどう振舞えばいいのか問題<サッカーパパからのご相談>このコーナーは母親からの相談が多いようなのですが、妻の過干渉などについて相談させてください。9歳の息子がサッカーをしています。監督からチームの方針などは事あるごとに言われているので、試合や、練習中は指示や大声を出すことはないのですが、帰ってからはダメだしばかりです。努力しろ、朝練しろ、やる気が見えないと言い、休日は朝から息子を公園に連れていき、サカイクをはじめとしたいろんなメディアで集めたトレーニングを実践しています。私の方は、プロになってほしいわけでもないですし、まだ3年生なのでコーチの言う事に耳を傾けたりチームメイトと仲良く協力できればいいのでは、と思っています。何より妻のスパルタで子どもがサッカーだけでなくスポーツを嫌いになってしまう方が嫌です。なので「子どものスポーツに熱くなりすぎだよ」と言うのですが、「息子のためを思ってやっているの。何が悪い。あなたの考えが甘い」と話を聞いてくれません。息子はレギュラーではなくチームの中では平均的か少し下手なぐらいです。それでも試合は楽しそうにしていたのですが、最近は妻のダメ出しと強制自主練でやる気が無くなってきているように思います。私自身は楽しんでいてくれればいいよ、と伝えているのですが、子どもにとって母の影響は大きいもので、このままサッカーが嫌いにならないか心配です。親の過干渉が子どもにとって良いことはないと思います。家庭で解決する問題なのかもしれませんが、先輩ママとして島沢さんのアドバイスをいただけませんでしょうか。<島沢さんのアドバイス>わわわ!デジャブかと思いました。奥様、十数年前の私とよく似ています。この度はご相談をいただきありがとうございます。私も息子が小学3年生くらいまで、試合中はぎゃんぎゃん叫んでいました。ただ、私はビデオでダメ出しをしたり、自主練させたりはしませんでした。それは、仕事で忙しく、息子のサッカーに分配するエネルギーが残っていなかったためで、余裕があればやってしまったかもしれません。ただし、そんなふうに「ダメなヤツ」だったので、奥様含めた多くのママやパパがついつい熱血になってしまう感覚や理由が理解できます。■息子がより幸せな人生を送れる基盤を作ろう、と夫婦で同志感覚を持つ立派な指導者の方々は、なぜあんなに熱くなるのかわかりませんねえと「僕らは君らとは違う感」を醸し出すのですが、私は心の片隅でホントかいなと疑っています。何の後悔も失敗もせず、最初からとても良くできた親など、ほとんどいません。特に、圧迫して子どもを奮起させる教育観が強い日本では、親たちもそうやって育てられています。よく言われることですが「育てられたように育ててしまう」のはある意味当然なのです。私は自分のライターという仕事のなかで、さまざまな子育ての専門家に出逢い、その方々の知見とエキスを呑んで、自分の子育てをある程度変えることができました。しかしながら、それと同様、あなたに奥様の子育てを変えるエキスになれとは言いません。ここで大事なのは「一緒に子育てを勉強して、少しでもいい親になろうね」という"同志感覚"です。われらの息子をよりよく、より幸せな人生が送れる基盤を作ろうぜ――そんなふうに奥様に寄り添う姿勢と心構えをまずはをつくってください。■考えが甘いのは過干渉しているほう。子どもの成長を阻害している以下、具体的なアドバイスを五つ贈ります。①子育てに関する本を読んで勉強するネットで「サッカー子育て本」と検索してみてください。書籍名でトップにあがるのは『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』と『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』です。これらは、今や「少年サッカーの神様」と言われる池上正コーチの書籍で、私が一緒に作った本です。少年サッカー親の子育てバイブルと言われているものなので、ぜひ参考にしてください。ほかに、脳科学者の林成之先生が著した『<勝負脳>の鍛え方』(講談社)という新書もお勧めです。子どもの発達が理解できます。②自分の自信を作るあなたが「妻のスパルタで子どもがサッカーだけでなくスポーツを嫌いになってしまう方が嫌」で、「子どものスポーツに熱くなりすぎだよ」とアドバイスすることはまったくもって正しい。正しいけれど、今のところ「息子のためを思ってやっている。あなたの考えが甘い」と一蹴されています(サッカーだけに。いや失礼!)。ところが、考えが甘いのは、実は妻のほうです。なぜなら、言うことを聞かせ、無理やりでも自主練をやらせていることは、こうしなさい、ああしなさいと働きかけているので、子どもは自分で「上手くなるにはどうしたらいいんだろう?」と考えることもしなくていいし、楽です。お母さんの言うとおりにして、それでも上手くならなかったら、思春期になって「お母さんのメニューが悪かった!ちっともうまくならないじゃないか!」と怒ってちゃぶ台をひっくり返したり、家庭内暴力に出ます。楽をした(させられた)分、こころ(脳)が成長していないので、自分で段取りして前進しなくてはいけない年齢になると、一気に成長が止まってしまうのです。一方で、わが子に主体性を持たせるような子育てをしている家庭の子どものほうが、中学、高校でスポーツも勉強も大きく伸びます。「もっと上手くなりたいなら自分で考えてごらんよ。ただ、ママもパパも楽しくサッカーしてくれればそれでいいけどね」子どもと距離を置き、その子に対し主体性を求める。それこそが、本当の厳しさです。そんなことに比類する事柄とその根拠が、ご紹介した本にたくさん書かれています。それを読んで、あなたのほうが自信をもってお母さんと向き合える態勢を整えてください。■過干渉な親は賢い人が多い。だからこそできる解決法③自分と向き合う本にこうこう書いてあるんだよと伝えるのが目的ではありません。まずは、ご自分に自信を持ってほしいと思います。なぜなら、ご相談の文章を読むと、あなたは息子さんのために何をすべきかをすでに理解しているし、行動も起こしています。全面的に正しい(拍手です)。しかしながら現時点では「妻のダメ出しと強制自主練でやる気が無くなってきている」状態で、このままサッカーが嫌いにならないかと心配しつつも、話が通じない妻に対しお手上げ状態。いつ順番が回ってくるかわからないこの相談コーナーにメールを書かれるのですから、メール文以上に深刻な状況と察しています。問題を解決するためには、まず、妻ではなく、あなたが自分と向き合い、変わることです。お父さんは、きっととてもやさしい方だと思います。そのやさしい性格のまま、一日も早く自信をつけてお母さんと話し合って下さい。④どんな子育てがいいかを話し合ういきなり過干渉はやめろと切り出すのではなく「最近、やる気失ってるみたいだよね。ちょっと話し合わない?」と二人でテーブルにつきましょう。ケーキとかお茶を用意して、世間話のように。最初に、妻の奮闘をねぎらってあげてください。子育てよく頑張ってるよね、と。子に過干渉な親は総じてエネルギーがあり、賢い方が多いようです。できる人だから、サッカーの練習方法など情報を集められるわけです。でも、ママ、どうもちょっと違うようだ。僕と一緒に、サッカー少年の子育てを勉強しようよ。少し違う頑張り方をしないか?と提案してみましょう。■相手を許しながら、少しずつ変えること(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)⑤干渉することをひとつずつ減らす・自主練は、息子さんから誘ってこなければやらない。・試合後のダメ出しはやめる。ひとつずつ、なくしましょう。「いや、ママ、上手くなってほしいという気持ちはわかるけれど、そこは譲れない。わが家では、こういう子育てにしようって話し合ったよね」奥様を許しながら、変えていく。そんなイメージです。お父さん、落ち込むことは何もありません。妻の過熱癖に早く気付いてよかったのです。たかが子どものサッカー。そこを忘れてほしくないので、文中に寒いシャレなど挟んでみました。ピンチのときは、大人も子どもも成長する時間です。ここを切り抜ければ、とても素敵な家族になれると思います。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)スポーツ・教育ジャーナリスト。日本文藝家協会会員(理事推薦)1男1女の母。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』や『東洋経済オンライン』などで、スポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。主に、サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』『王者の食ノート~スポーツ栄養士虎石真弥、勝利への挑戦』など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著/いずれも小学館)ブラック部活の問題を提起した『部活があぶない』(講談社現代新書)、錦織圭を育てたコーチの育成術を記した『戦略脳を育てるテニス・グランドスラムへの翼』(柏井正樹著/大修館書店)など企画構成も担当。指導者や保護者向けの講演も多い。最新刊は『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)。
2020年10月14日「頭がいい子と性格がいい子、どっちがいい?」子どもの頃、テストの成績がよくなかったとき、筆者が母親によく言っていたそうです(笑)。子どもながらに「 “性格がいい” ほうがいいに違いない」と、確信していたのでしょう。「勉強ができるだけでは生きていけない」というのは、いまや常識。今回は、人生をよりよく生きるための人間力の指標として注目され、認知されてきたSQ(社会的指数)について、ご説明します。生き方の知能指数と呼ばれる「SQ」頭がよい=IQ(知能指数)をご存じの方は多いでしょう。では、SQ(社会的指数)とは何を指すのでしょうか。その前に、IQ、そして感じる知性とも言われるEQを考えてみます。IQ(Intelligence Quotient):知能指数「考える知性」であり、いわゆる頭のよさ。IQが高いほど知能が高く、低いほど知能が低いとされている。EQ(Emotional Intelligence Quotinet):感情指数「感じる知性」「心の知能指数」と言われている。自分の感情を認識してコントロールできる能力。上記が、以前から注目を集めていたふたつの能力指数です。次に、「社会的指数」と呼ばれるSQ(Social Intelligence Quontient)について。EQの進化形として登場した概念がSQです。EQ理論を日本に広めたとされる、アメリカの心理学者ダニエル・ゴールマンは、同調性・自己表現力・影響力・関心(気配り)などの社会的適応能力を測るものとして、これを発表しました。SQは「生き方の知能指数」です。人は他人とのコミュニケーションなしには生きられません。「楽しいね」「困ったね」というさまざまな感情を、友だちと分かち合い、友だちの考え方や行動に心から同感できれば、人間関係はよりよいものとなるでしょう。また、自分の主張を相手が不快に感じないように伝えられる能力も、社会生活に欠かせない力のはず。もし、相手の気持ちを考えずに自分の意見だけを主張していたら……?友だちはきっと離れていってしまうでしょうね。まわりの人たちとうまく関わることができるかどうかは、SQの高低によるのです。SQが高い子、10個の特徴米国CTI認定プロフェッショナルコーチであり、子育て支援活動を行なうUmehana Relations代表の松原美里氏によると、SQは「人と上手に関わりながら社会で生きていくための大切な筋肉」なのだそう。つまり、この能力が高ければ、学校でも社会でも、子どもたちは先の人生をうまく乗り越えていける可能性が高いということ。わが子はどのくらいSQ能力が身についているのか、気になりますよね。松原氏が提唱している「SQが高い子」の10個の特徴をチェックしてみましょう。愛嬌があり、笑顔で会話ができる素直で一生懸命に物事に取り組める正義感が強く、善悪の区別がしっかりと身についている家族を大切にする人の嫌がることをしない、人の気持ちに立って物事を考えられるほめ言葉は気持ちよく受け取りつつも、適度に謙虚で調子にのらない努力することができる、物事を達成する喜びを知っている夢をもっている、未来に向かって前向きである自分の気持ちを表現するのが上手ひとりで抱え込まず、上手に人を頼ることができる松原氏によると、「SQの高い子どもというのは『お互いを尊重できる子』と言い換えることができる」そう。まずは、お子さんが「人を思いやる行動をしているか」を確認してみてください。子どもは親の鏡。子どものミラーニューロンを刺激せよでは、わが子のSQを高めるために、親はどう子どもに関わっていくべきなのでしょう。株式会社MELコンサルティング代表取締役社長の渡辺晴樹氏は、「SQの概念の新しさは、脳科学の裏づけに基づく点にある」とし、「ミラーニューロン」などの脳内細胞がSQに深く関係していると言っています。ミラーニューロンは “ものまね細胞” とも言われ、相手のしぐさからその感情を察知したり共感したりする脳内細胞のこと。たとえば、チームのなかにミラーニューロンの働きが活発なリーダーがいれば、そのチーム全体の共感力が上がり、明るい雰囲気になるのだそう。たしかに学校でも、まわりと上手に関わり合える子や友だちに対して気配りができる子がひとりいるだけで、クラスの雰囲気がぱっと明るくなりますよね。そしてこれは親子・家族間でも同じ。親のミラーニューロンの働きが活発であれば、子どものミラーニューロンも刺激されて活性化するのです。ダニエル・ゴールマン氏は、「親は子どもが最初に関わる『他者』」だと話しています。相手の感情を察知したり共感したりする、子どものミラーニューロンが活発になるかどうかは、親の行動次第ですよ。SQを育むためにできること4つ「子どもは親の鏡」ということを肝に命じて、松原氏が提唱する4つの行動を意識的に実践してみましょう。1. アイコンタクトをたくさんとるアイコンタクトは、言葉がまだ話せない小さい子にとって大切なコミュニケーションツールです。親が子どもと視線を合わせて笑うと、子どもも親を見て同じように笑います。これが、ミラーニューロンによる「共感」の芽生え。ここから、SQが高い子への道が開くのです。2. 表情豊かに接する親が素直な感情を表し、表情豊かに子どもに接することで、子どもは自分の言動が人に与える影響や善悪を自然と学び、社会性を身につけます。自分が「悲しい」「嬉しい」という表情をすると、相手はどんな反応をするのか、子どもは少しずつ覚えていくのです。3. スキンシップや声かけで愛を伝え、絶対的安心感を人と心を通わせられる人間性を身につけるためには、小さい頃のスキンシップがとても大切です。特に、不安なことや環境の変化があったとき、子どもは急に親に甘えてくることがあります。そんなときは、ハグや「大好きだよ」の声かけで、親の絶対的な愛を伝えましょう。「愛されている」という安心感は自己肯定感につながり、共感力へと発展します。4. テレビやインターネットはほどほどにSQを高めるには、リアルな交流に勝るものはありません。リアルな体験を通して身についた人間性のベースがあって初めて、バーチャルでの感動があるのです。アメリカ・ワシントン大学の研究では、2歳以下の子どもに教育番組を視聴させても効果がないことがわかりました。効果がないどころか、言語習得が遅れるという報告も。知育番組に頼りすぎず、リアルなコミュニケーション体験の機会をできるだけ増やしてあげましょう。SQの能力発達には、家族構成も影響するそうです。祖父母と同居、または兄弟姉妹が多いと、人との交流が増えるため、SQは高くなる傾向にあります。ひとりっ子のお子さんの場合は、親との会話を増やす、友だちと遊ぶ時間を増やすなど、特に気をつけてあげる必要がありそうですね。***SQのパイオニアであるダニエル・ゴールマン氏は「暖かな社会の結びつきは人々を幸福にするはずだ」と言っています。子どもたちには家庭でも社会でも、できるだけたくさんの人との交流を通して、SQを育んでほしいですね。(参考)ダニエル・ゴールマン 著, 土屋京子 訳(2007),『SQ生きかたの知能指数』, 日本経済新聞出版社.All About|子供の性格=SQ(社会的指数)の高い子を育てるにはAll About|社会的指数を表すSQとは?子育てにおける7つのポイント株式会社エム・イー・エル|EQの概念をさらに押し広げたSQ「社会性の知能指数」SWISS JAPAN SUPPORT|東洋経済“我が子をKY人間にする親の3タイプ”の記事(2月16日付)。幻冬舎GOLD ONLINE|子どもの可能性は無限大!幼児教育のプロが教える「育脳」の進め方
2020年09月17日6歳までに脳の神経系統が大人の90%に発達すると知り、脳を発達させるメニューを知りたいコーチ。ですが、未就学児に集中させるのは難しいですよね。飽きて一人でほかの事をしだす子もいるし、この年代に教えるにはどうすればいい?というご相談です。今回のご相談に池上さんが提案する、子どもたちが楽しんで取り組める「遊び」の要素を取り入れたメニューとは。これまでジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんが送るアドバイスを参考にしてみてください。(取材・文島沢優子)(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<技術はあるのに「1対1を組み合わせた」単騎攻撃ばかり。連携のイメージをつけさせる指導法を教えて<お父さんコーチからの質問>スクールで未就学児を指導しています。6歳頃までに脳の神経系統は大人の90%にも達すると聞いたので、脳を発達させるためにいろんなことにチャレンジさせたいのですが、いかんせん集中が続かない年代なので、練習にあきたり、一人で違う事を始めることもあります。まだ始めたばかりの子たちで、中にはゲームでの接触を怖がったりして積極的にボールを追えない子もいるのですが、この年代におすすめの練習はありますか?<池上さんのアドバイス>ご相談いただき、ありがとうございます。おっしゃる通り、脳の神経系統は6歳頃までにぐんと発達します。このあたりの概論は日本サッカー協会のB級ライセンスを取得する際に学びますね。では、6歳までに発達する90%とはどんなことでしょうか?■遊びの中で身体の動きをスムーズにすることもできる例えば、手の指が一本ずつ折れる。グー・チョキ・パーができる。そのような基本的な動きが該当します。そこから、例えば「右手がグーで左がパーをやってごらん」と言われると、ちょっと難しく感じる子どもが出てきます。さらに、その右手グー、左手パーと違うものを出している状態から「グー・チョキ・パーの順番で変えていこう」となったら、ひとつずつずれていくわけです。(大人でも難しかったりします)そうなると、左右違う動きがなかなかできません。そんな基本的な動きを、遊びのなかで行うだけで、身体の動きはスムーズになります。例えば、鬼ごっこ。鬼ごっこには、本当にいろんな動きが含まれています。鬼が来た。鬼が右に行こうとしたのを見定めて、左に動いてタッチを避ける。もしくはかわすためにしゃがむ。動いている場所に、石とか、椅子とか、何らかの障害物があればそれをよけたり、飛び越えて動く。そんなふうにたくさんの遊びの要素をもったものをメニューに取り入れると、スムーズな動きが自然に身についていきます。■サッカーボールを使った左右バランスの取れた発達を図る方法もまた、幼児期にできるものとしては、サッカーボールを手で使うメニューがあります。右手と左手、両方で交互に投げさせます。右で投げるときは右で投げる姿勢と動きに、左は左のそれになります。6歳くらいで始めると、利き手で投げる動作をたくさんやっていないので、左右どちらも簡単にできるようになります。利き手と逆の手で投げる不自由さを感じないので、子どもは抵抗なく交互に試るからでしょう。ずっと利き手ばかりで投げていると、利き手のほうがスムーズなので逆の手で投げたがらなくなります。これは大人もそうですね。これは、足でも同じことが起きます。6歳以下の幼児の頃から両方の足で蹴ることを遊びの中でたくさんやってみてください。そうすると、左右バランスのとれた発達が図れます。■あまり気負わないこと、大人が義務感をもってしまうと「遊び」が楽しめない少年サッカーでは、小学3年生くらいからコーディネーションのようなトレーニングをしていますね。そんなふうに考えてやってみてください。そして、気をつけたいのは「6歳になるまで90%成長してしまうから、今のうちにいろんなことをやろう」と大人が気負わないことです。あくまでも楽しく遊ばせてあげてください。何かの本に書かれている通りにやらせなくてはと大人が考えてしまうと、遊びでやっているはずが遊びでなくなってしまいます。もっと簡単に考えると、幼児期はスキップくらいで十分です。それより上、小学3年生くらいであれば、スキップしながら手を回す。手を叩きながらスキップする。身体全体をスムーズに動かすメニューですね。ほかにも、サイドステップをしながら手を回したり、道具を使う「ラダー」などさまざまあります。ネットで検索すればたくさん出てくるでしょう。ただし、そういった運動を長い時間やる必要はありません。ちょっと経験するくらいの程度でいいのです。足がクロスするような動きの入ったものも3年生くらいからやるといいでしょう。■遊びの要素はとても重要、「我慢」ではなく楽しくて続けられることを意識して「遊びの要素」はとても重要です。大阪教育大学の先生で「子どもの遊び」の研究をされていた方が、子どもが本当に楽しいと感じたものはいつまででもやると言われていました。ノコギリで丸太を切ることにハマってしまった子どもは、30分くらい一心不乱で切り続けます。幼児の集中力は、興味関心と関連があります。楽しくなれば、ずっとやります。大人は、小さい子はすぐ飽きてしまうと思いがちですが、彼らは集中力がないわけではありません。日本人の「集中力をあげる」というイメージですぐに浮かぶのは「我慢・忍耐力・根性」です。ここを改めなくてはいけません。子どもは楽しいものを提供すれば喜んで取り組みます。サッカーも、最初に一番楽しいはずの「試合」から入らないから、そんなことが起きるのだと思います。多少気が弱いとか、相手とぶつかりそうになったらやめるといった傾向があっても、試合はこんなことなんだよ、ボールの取りあいがあって、点が入るとうれしいよね、ということが伝えられたら子どもは変わっていきます。その点で、年齢が下がれば下がるほど、すべてが楽しいものになっている必要があります。指導者も同様の対象です。「あのコーチとやるのは楽しい」という評価が、コーチのありかたにつながってほしいと思います。ところが実際は「楽しい」よりも「勝たせてくれるかどうか」みたいなことがコーチの評価になりがちです。「積極的にやれ」「逃げるな!」と叱ったりする場面を見ることはまだ多いです。しかしながら、子どもにはそういう面があることを理解しておいてほしいのです。「いま、逃げなかったらどうなると思う?」と問いかけて、解決の方法を子どもと一緒に見つけ出すことが求められます。■「無理しなくていいよ」と言ってあげることが大事(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)じゃあ、どんな練習だったら、怖くないかな?こんなふうに一度やってみる?と、少し強度を下げたり、違う形でやるメニューを提供してみることで、子どもたちは克服できる。3年生、4年生になって、子どもがぐっと変わったりしませんか?そこまで待ってあげましょう。この子は弱気だと決めつけたり、無理やりやらせる必要はありません。サッカーが嫌いになってしまいます。「ぼく、できない」と言ったときに「無理しなくていいよ」と言ってあげること。何回かでできなからといって、その子の一生が決まるわけではありません。長い目で見てあげてください。6歳の子が何かができなければ「じゃあ、来年1年生になったらまたやるか」と言ってあげてください。池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2020年08月28日大切なわが子のために、できることはすべてしてあげたいーー。そう考えるのは親として当然です。しかし、勉強面や生活面で干渉しすぎてしまうと、子どもの将来に悪影響を及ぼしてしまう恐れも。今回は、「ハイパーペアレンティング」と呼ばれる “過干渉の子育て” をする親たちについて解説していきます。急増中の「ハイパーペアレンティング」な親とは?「ハイパーペアレンティング」という言葉を初めて目にする人も多いのではないでしょうか?簡単に説明すると、「過干渉の子育て」や「子どもをコントロールしようとする親たち」の総称として使われることが多いようです。いわゆる『教育虐待』もハイパーペアレンティングに含まれると言っていいでしょう。近年増加傾向にある「ハイパーペアレンティング」な保護者たち。その原因として、昨今の不安定で混沌とした社会情勢や、SNSなどの過剰な情報によって保護者のあいだで不安が増大していることが挙げられます。東京未来大学こども心理学部准教授で育児工学者の小谷博子先生は、「決して安定した社会が望めないこれからの時代を生き抜くために、さまざまなものを身につけさせてやりたいと早期教育に走る親たちが増えてきている」と指摘します。また、明治大学文学部教授で心理学者の諸富祥彦先生も、「現在の情報化社会のなかで、親は他人の子育てや家庭教育と自分を比べて不安になり、自己否定することが増えている」と述べており、他者との比較によって不安が増大していることを危惧しています。「ハイパーペアレンティング」は、一見すると “教育熱心な親” として悪くないイメージをもたれがちですが、実際には子どもに大きな負担をかけているケースが少なくありません。さらには親自身も大きなプレッシャーを感じており、親子ともに高すぎる理想に押しつぶされてしまうことも……。子どもを疲弊させる「ハイパーペアレンティング」の例「ハイパーペアレンティング」の具体的な例をいくつか挙げていきましょう。■たくさんの習い事をさせるハイパーペアレンティングの典型と言えるのが「習い事をたくさんさせる親」です。いい学校に進学をしていい会社に就職し、よりよい人生を歩ませるために親は最善を尽くそうとしますが、その手段としてやみくもに複数の習い事をさせることは、間違いなくハイパーペアレンティングです。ひとつひとつの習い事は子どもにとって有効であっても、欲張ってすべてをやらせようとすると、子どもは心身ともに疲弊してしまいます。■予定を詰め込んで “退屈” させない習い事をたくさんさせることと同様に、学校以外の予定を親が勝手に決めてスケジュールを詰め込むのも、ハイパーペアレンティングの一例です。子どもには、ぼーっとする “退屈な時間” が必要。国立大学付属小学校の松尾英明教諭は、「成績だけでなく、人格的な面も含めて “すばらしい” と賞される子は、家でダラダラしていることが多い」と指摘しています。脳を効率的に働かせるためにも、ぼーっと過ごす時間は必要不可欠なのです。■子どもの友人関係に口を出す子どもの交友関係を黙って見守ることができず、つい「あの子とはあまり遊ばないほうがいいんじゃない?」などと口を出してしまうのもハイパーペアレンティングと言えるでしょう。さまざまなタイプの人間と関わって、豊かで深い人間関係を築くことよりも、「わが子にいい影響を与えてくれる子」や「付き合うとメリットがある子」を選ぶことを優先するのは、子どもにとって決してよいことではありません。■子どもの失敗を先回りして阻止するハイパーペアレンティングは、言い換えれば「親の過干渉」です。子どもが何か新しいことを始めようとすると、すかさず情報を集めて「でもこれってこういうところが危ないみたいよ」「やってもあまり意味ないんじゃない?」とやる気を削いだり、実際に手を伸ばして転ぶ前に抱き上げたりするのは、過干渉にほかなりません。失敗を経験しないまま大人になると、わが子はどうなってしまうと思いますか?「ハイパーペアレンティング」は、決して子どもを苦しめたり困らせたりしようとしているわけではありません。根底にあるのは「わが子によりよい人生を歩ませたい」「将来苦労させたくない」という親の強い愛情。親であるならば当然そのように考えますよね。しかし、教育評論家の石田勝紀さんは「親の『子どもにこうなってもらいたい』は押しつけである」と断言しています。親と子では、得意なことも苦手なことも、そして価値観も異なります。だからこそ、親は子どもと自分を同一視するのではなく、子ども自身ときちんと向き合い、子どもが大切にしてる価値観を大事にしてあげるべきなのです。ハイパーペアレンティングにならないためにここまで読んで、「もしかしてうちも『ハイパーペアレンティング』予備軍!?」と心配になった親御さんもいるのではないでしょうか。ハイパーペアレンティングにならないために心がけるべきことをまとめたので、ぜひ参考にしてください。濁協医科大学の永井伸一名誉教授は、「頭のよい子ども、自主的に勉強できる子どもに育つかどうかは、中学生までに親がどう関わったか、それによってどのような脳がつくられたかで決まる」と述べています。大事なのは、「遊び」のなかで学習する習慣をつけること。楽しいと感じれば、脳は活性化し、グングン新しいことを学べるのです。逆に面白がれなかったら、何を見ても聞いても知識は深く根付きません。だから、小さい時から塾に入れてしごいたとしても残念ながら本当に頭のいい子は育たないんです。(引用元:現代ビジネス|「子どもをダメにする」親の研究~3000人の聞き取り調査でわかった!)「塾にさえ入れれば勉強ができるようになる」「たくさんの習い事をさせているから大丈夫」と、根拠のない安心感を得るのは危険です。子ども自身が何を学びたいか、何に興味があるのかを見極めて、環境を整えてあげましょう。教育ジャーナリストの中曽根陽子さんは、「親であるならば『こんな人間に育ってほしい』『子どものときに自分が苦手だったことを得意になってほしい』と願うのは当たり前」としたうえで、親としての究極の願いは「子どもに幸せになってほしい」ということが大前提であると説きます。はたして、親であるみなさんが考える「理想の子ども」は、目の前の我が子とはまったく別の人間になっていないでしょうか。自分が思う理想の子ども像に我が子を当てはめようとして、子どもが「自分らしく自分の強みを生かす」ことを邪魔していないでしょうか。(引用元:STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|親の役目は我が子の「自己探求の力」を育むこと。“理想の子ども像”を押し付けてない?)そして最後に、何よりも大事なのは「親自身が自分の人生を楽しむべき」だということ。諸富先生は、親自身が幸せになることで、子どもは「人生は楽しいんだ!」ということを親の生き方を通じて知るといいます。完璧な子育てをする完璧な親になどなる必要はありませんし、なれるはずもありません。そんなことを考えるより、もっと自分の願望に素直に従って、親自身が幸せになり、子どもに「僕も幸せになっていいんだ」「わたしも幸せになっていいんだ」と思わせてあげる。それが子育てにおいてもっとも大切なことです。(引用元:STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|完璧な子育てを目指さなくていい。親はもっとわがままに“自分の幸せ”を追求しよう)また、前出の石田さんも、親が子どもの「ネガティブな部分」にばかり意識が向いてしまうのは、「親自身が自分の人生を楽しむことに意識がフォーカスできていないことが背景にある」と述べています。子どもの成績や生活態度ばかりに目が向いて、小言が多くなったり過度に干渉したりするのは、親が自分の人生に不満を抱えているケースが多いのです。まずは親自身が自分の人生を楽しむことができれば、心に余裕が生まれます。そうすれば、ありのままのわが子を愛することができるようになるのではないでしょうか。***『100万人が信頼した脳科学者の絶対に賢い子になる子育てバイブル』(ダイヤモンド社)の著者であるジョン・メディナ氏は、「ハイパー・ペアレンティングは、子どもの知能の発達を妨げる恐れがある」と警鐘を鳴らしています。子どもが子どもらしく、健やかに成長するためにも、過干渉にならないように気をつけたいですね。(参考)PHPのびのび子育て 2020年8月特別増刊号,PHP研究所.STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|完璧な子育てを目指さなくていい。親はもっとわがままに“自分の幸せ”を追求しようCHILD RESEARCH NET|スケジュールをつめ込まれた子供:ハイパー・ペアレンティングは避けるべきプレジデントオンライン|なぜ頭のいい子は家でダラダラユルユルか東洋経済オンライン|子どもを追いつめる、親たちの「願望と正論」現代ビジネス|「子どもをダメにする」親の研究~3000人の聞き取り調査でわかった!STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|親の役目は我が子の「自己探求の力」を育むこと。“理想の子ども像”を押し付けてない?ダイヤモンドオンライン|「期待しない子育て」が脳にとてつもなくいいワケ
2020年08月17日小学生の宿題といえば「音読」があります。入学したての頃は、音読するわが子の姿に成長を感じたものです。しかし2年生、3年生になっても毎日宿題として出され、内心では「え?まだ音読するの?」と少し疲れてしまっている親御さんもいるのではないでしょうか?じつは音読には、私たちの想像以上に子どもの能力を引き出して伸ばす効果があるのです。そのメリットを知れば、きっと毎日の音読を聞くのが楽しみになりますよ。低学年がとことん「音読」をするのは理由があった!「特に低学年の子どもにとって、音読は大切なもの」と断言するのは、筑波大学付属小学校の青木伸生先生です。もちろん、上手にスラスラと読めるようになることも大事ですが、それ以上に、低学年の子どもが身につけなければならないことが音読によって鍛えられるそう。学校側の狙いとしては、次のポイントが挙げられます。1. 体づくり学校では、音読する際に、しっかり両足を床につけておなかから声を出すように指導しています。そうすることで、体が小さい低学年の子どもの体幹が鍛えられます。2. 声の大きさの調整低学年の子どもは、まだ声の大きさを調整することが上手にできません。聞き手がどの位置にいるかによって、どれくらいの大きさで話すかということはもちろん、はっきりとした発音で聞き取りやすい話し方を意識することで、相手に的確に声を届ける練習になります。3. 日本語のリズムをつかむ低学年の国語の教科書には、リズムよく読める詩が多いのも特徴のひとつ。これらの文章を、テンポよくリズムに乗って声に出して読むことで、日本語の響きを体感できます。保護者のチェック項目にも、「大きな声で」「姿勢を正しく」「『、』や『。』に気をつけて」などが記載されていると思います。毎日ただなんとなくこなしていた「音読」も、じつはしっかりとした目的があったのですね。驚くべき音読の効果音読って意味あるの?と疑問に思いながらも、「宿題として出されているからしょうがない」と受け入れて、毎日聞き流していませんか?じつは音読をすることによって、子どもの脳はたくさんの刺激を受けているのです。音読をきっかけに、子どもの能力がぐんぐん伸びることも期待できますよ。<音読の効果1:文章への理解が深まる>文章を黙読するだけでは理解できないことが多い低学年の子どもにとって、自分の声を聞きながら読む音読は、内容を理解するのにぴったり。青木先生によると、「言葉を目で追いながら耳からも入れることで、理解を深めることができる」そうです。<音読の効果2:脳が活性化されて記憶力がアップする>「脳トレ」で知られる東北加齢医学研究所の川島隆太教授によると、音読によって脳の前頭葉に含まれる「前頭前野」という場所が活性化されるそう。また、音読直後は脳がより働きやすくなり、記憶力が20~30%も増加することもわかっています。<音読の効果3:コミュニケーション能力が鍛えられる>脳の前頭前野はコミュニケーション能力にも関係しています。友だちや先生に話しかけるのが苦手な子は、音読によって前頭前野を活性化させることで、積極的に人とコミュニケーションがとれるようになるでしょう。<音読の効果4:集中力が高まる>また、前頭前野が活発に働いている脳内では、セロトニンという物質が多く分泌されます。セロトニンは精神を落ち着かせ、集中力を高める効果があるため、音読を続けている子は自然と気持ちのコントロールができるようになるのです。<音読の効果5:黙読も速くなる>教育評論家の親野智可等先生は、「音読がすらすらできるようになると、普段の黙読も速くなる」と述べています。音読によって語彙や言い回しを覚えて使いこなせるようになるため、語彙力も向上し、「読む力」がしっかりと身につくのです。もっと音読の効果を上げたい!最後に、音読の効果をさらに上げる方法をいくつか紹介していきます。ぜひ参考にしてください。川島教授は、子どもの音読を聞く際には「手を止める」「すかさずほめる」を徹底して心がけるべきだと述べています。家事をしていたらいったん手を止めて、子どもの音読に付き合いましょう。そして、読み終わったらすかさずほめてあげるのです。川島教授いわく、「これだけで子どもの脳は非常に活性化する」のだそう。この「手を止める」「すかさずほめる」は、脳科学では “即時フィードバック” と呼ばれます。子どもが何かをしたとき、間髪入れずにほめてあげることで、子どもの脳は爆発的に反応して物事に対する意欲が向上するのです。また、ほめるだけでなく、子どもの読み方に対する感想を述べるのもいいでしょう。青木先生は、「音読ができたことをほめながら、『さっきのセリフをとっても大きな声で読んだのはどうして?』『小さな声で読んだのはどうして?』といったふうに問いかけてみる」ことをアドバイスしています。物語は。会話文とそれ以外の地の文で構成されています。なかでも、会話文の読み方によって、子どもがどれだけ登場人物の気持ちを理解しているかがわかるというわけです。もしかしたら子どもは、無意識のうちに声のトーンや読む調子を変えていたのかもしれません。しかし、この「振り返り」によって登場人物の気持ちを考える訓練になり、読む力がぐんと高まるのです。ここでひとつ、気をつけなければならないのは、上手に読めなくても叱らないこと。親野先生は、「叱ることで、その子の自己肯定感をボロボロにしてしまい、伸びる芽を摘み取ってしまうこともある」と注意を促しています。最初はつまずくことも多いかもしれません。しかし、何度も繰り返し音読し、その姿をお母さんやお父さんに見守ってもらいほめてもらうことで、自信につながっていくのです。毎日の音読は、子どもの自己肯定感を高めることにも役立ちそうですね。***慣れてくると「面倒だな」と感じがちな音読ですが、さまざまな能力を伸ばすのに効果的だとわかれば、音読の時間はより有意義なものに変わります。ぜひ親子のコミュニケーションにも役立ててくださいね。(参考)STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|「宿題の定番」になるのも頷ける。意外だけどすごく重要な「音読」の4つの狙いSTUDY HACKER|音読の効果とやり方を丁寧に解説。テキストの選び方・おすすめの本は?【保存版】SankeiBiz|子供の頭をよくする音読&褒めワザ「脳トレ」で知られる川島隆太所長に聞くいこーよ|宿題の定番「音読」はなぜ大事?黙読との効果の違いも紹介!
2020年08月02日みなさんは、わが子にどのような人間に育ってほしいと願っていますか?生まれる前は、「とにかく健康で元気な子だったらいい」と漠然と考えていたかもしれません。しかし、成長を追うごとに「勉強ができてスポーツが得意だったらいいな……」「誰からも好かれてお友だちがたくさんできたらいいな……」と、期待が膨らんでいっていませんか?今回は、「親の期待が子どもに与える影響」について考えていきましょう。イライラするのは、子どもに「期待」してるから子育てをしていると、わが子に対して「どうしてこんなこともできないの?」とイライラしたり、口うるさく注意したりすることもありますよね。ですが、みなさんが子どもに「どうして○○できないの?」と感じていることの裏側には、「あなたが子どもに期待していること」が隠されているのです。たとえば、モジモジしておとなしいわが子に対して、「どうして自分からお友だちに遊ぼうって言えないの?」とイライラしがちなのであれば、子どもが「社交的で積極的であること」を期待しています。日本メンタルヘルス協会公認カウンセラーのマツダミヒロさんによると、「人は、相手にかけた期待が外れたときに、怒りを感じたりイライラしたりする」とのこと。そして「思い通りに動いてくれない子どもに、自分の価値観を押しつけて、自分の望む反応を求めている」とも述べています。私たちは親として、わが子によりよい人生を歩んでほしいと願う一方で、自分が想像する幸せの型に子どもをはめ込もうとしているのかもしれません。教育評論家の石田勝紀先生は、「親が子どもへの理想のイメージをもつこと自体は問題ない」としながらも、「“こうあるべき” 姿を押しつけて、親の価値観や思考の枠からはみ出た子どもを、強制的に戻させようとすることが問題」と述べています。自分が理想とする「こうあるべき姿」をわが子に押しつけていないか、いま一度思い返してみましょう。自分ではそんなつもりがなくても、子どもが本来望んでいることとかけ離れているようなら、少し立ち止まって考え直す必要があるかもしれません。親の期待は「子どもの自己肯定感」を低下させる親が子どもに期待しすぎることで、子ども自身にはどのような影響が及ぶのでしょうか。専門家の意見や、いくつかの事例を挙げていきます。■わかったフリをするようになる親が子どもの「現時点での能力」をちゃんと理解できずに、高いレベルばかり要求した結果、子どもの脳は “ある状態” に陥るのだそう。『100万人が信頼した脳科学者の絶対に賢い子になる子育てバイブル』(ダイヤモンド社)の著者、ジョン・メディナ氏は、「自分の脳にはまだその準備ができていないのに、親からの期待が高くなるほど子どもは窮地に追い込まれる。すると脳は強制的に『低次思考』のレベルへと思考力を戻す」と述べています。その結果、子どもはその場ではわかったようなフリをするものの、本質的には理解できていないので、何も身につかないというわけです。■妥協するようになるメディナ氏によると、親の過剰な期待は、子どもが本来もつ好奇心までも奪ってしまうとのことです。子どもは好奇心をかき立てられると「これってどうなっているのかな?」と自問し、それにより成長するもの。しかし、親の期待に応えようとする気持ちが強くなると、「どうすれば親を満足させられるだろう」と妥協するようになります。つまり、親の反応ばかりを気にするようになるのです。■自己肯定感が下がる家庭教育の専門家である田宮由美さんは、「親が子どもの可能性を信じることは、親子の信頼関係を深めることにもつながる」としつつも、あまりにも期待が大きすぎることで弊害も生まれると言います。親が常により高いレベルを求めることで、子どもは「いまの努力」を認められずに報われない気持ちになるでしょう。すると、期待に応えられない自分を卑下し、「自分はダメなんだ」と自信をなくして、自己肯定感の低下を招いてしまうのです。■いい子症候群になる「大人の顔色をうかがい、先回りして親の期待に応えようとする自主性のない状態」は、「いい子症候群」になっているサインです。『ほめると子どもはダメになる』の著者で心理学博士の榎本博明先生は、「親の言いなりに動く “いい子症候群” の子は、自立できない心配がある」とし、自分で考えて動くことができないので、判断力や実行力が欠けたまま大人になる恐れもあると述べています。■反動で反抗的になる『女の子の学力の伸ばし方』などの著者で、進学塾VAMOSの代表でもある富永雄輔先生は、「子どもに期待をかけすぎるのは、父親より母親が多い傾向がある」と述べています。特に娘に対して、母親はより大きな期待をかけることがあるそう。彼女たちは幼いが故に、親の期待が自分にとってつらいものになってきてもそれを表現する力がありません。だから、なおさら親はそれを押しつけてしまい、あるとき、親と子どものパワーが逆転したときに、大きな反抗となって返ってきます。(引用元:ダイヤモンドオンライン|娘に「自分の人生のリベンジ」をさせる子育てをしてはいけない)親の期待に押しつぶされてしまうことは、子どもにとっても親にとっても、望まない結果を招いてしまうのです。自分の「親としての評価」を気にしていませんか?いくら「子どもに期待するな」と言われても、愛するわが子に期待してしまうのは当然のことです。しかし先に挙げたように、過剰な期待は子どもの人生に悪影響を及ぼします。どうしたら子どもに過剰な期待をせずに、適度な距離感で見守ってあげられるのでしょうか。前出のジョン・メディナ氏は、「子どもは大人の成功の代用品ではない」と述べています。自分の親としての評価を上げるために、子どもを立派に育てようとしていませんか?まわりの人たちからほめられたいという理由だけで、子どもに無理を強いていませんか?親はつい、自分の子どもをまるで自分の分身のように考えがちですが、どんなに小さくても子どもは自分とは違う人間だということを忘れてはいけません。ですから、自分の人生でやり残したことをやらせようとしたり、自分が経験して失敗したことを頑なにやらせなかったりするのではなく、本人が望めば好きなようにやらせてあげるのがベストです。また、子育ては競争ではありません。「あの子に比べて優秀」「あの子に比べて劣っている」といった評価を自分の子どもに下すことは、わが子の本来の姿を見ていないのと同じです。まずは、親の自分だからこそわかる「わが子のよいところ」をしっかりと認めてあげましょう。現役東大生の西岡壱誠さんによると「東大生の親は子どもに過度な期待をしない」とのこと。しかし、子どもが「自発的に考えて、努力すること」を全力で応援する親が多く、プレッシャーを与えずに子どもの可能性を引き出すことに成功しているケースがよく見られるそうですよ。***わが子に期待してしまうのは、愛情をもって育てている証拠です。大事なのは、子どもの気持ちを無視して親の期待を押しつけたり、親の期待に沿うように子どもを誘導したりしないこと。子どもを信じ、適度な距離感を心がけましょう。(参考)マツダミヒロ(2014),『“質問”に答えるだけでイライラがニコニコに変わる!魔法の子育てしつもんBOOK』,カンゼン.東洋経済オンライン|子どもを追いつめる、親たちの「願望と正論」ダイヤモンドオンライン|「期待しない子育て」が脳にとてつもなくいいワケAll About|子どもの自己肯定感が低いのは親のせい?NG言動5つと高める子育てSTUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|心理学者が指摘する“いい子症候群”たちの未来ーー自主性のない子どもの特徴5つPHPファミリー|親がかける言葉で、子どもの人生が変わるダイヤモンドオンライン|娘に「自分の人生のリベンジ」をさせる子育てをしてはいけない東洋経済オンライン|東大生の親に「お受験ママ」が異様に少ないワケ
2020年07月06日埼玉県児童発達支援事業所Upload By 発達ナビ施設情報コペルプラス上尾教室では、オリジナル教材を使用した療育をお子さんの課題に合わせて提供しています。代表的なものとして、フラッシュカードを使った支援やリトミックによる音楽療育等、脳活性化や集中力・想像力を促す支援を実施しています。ときにはお子さん主体の支援もあり、飽きずに取り組める工夫が満載です。経験豊富なスタッフが、お子さんの自信や自己肯定感につながることを目指し、成長のサポートを行います。Upload By 発達ナビ施設情報コペルプラス与野教室では、お子さんが療育の中でいろいろな事を経験し、課題解決能力を身につけることや自己肯定感を育むことを目指し、日々支援しています。経験豊富なスタッフがお子さんの発達に合わせ、オリジナル教材の中から課題をチョイス。オンライン支援も取り入れながら専門的なアプローチを行います。JR京浜東北線・与野駅(西口)より徒歩約1分と好立地。療育の中で、お子さんが新しい興味を見つけて、好きなことを作っていけるようにサポートしていきます。埼玉県の児童発達支援事業所をもっと見る大阪府児童発達支援事業所Upload By 発達ナビ施設情報KID ACADEMY豊中刀根山校では、脳科学のデータに基づく約40個のカリキュラムの中から、年齢や要望、発達段階に応じて適切なものを選び支援を行っています。カリキュラムはお子さんが楽しんで取り組めるよう「遊び」を通じて学べるものを取り揃えています。定期的な研修会では、新しい情報をスタッフ間で共有、また保護者勉強会を取り入れることで、家庭との連携、統一感を持った支援を行います。大阪府の児童発達支援事業所をもっと見る兵庫県放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報こども発達サポート 運動療育特化型 放課後等デイサービス ロジコは、プロのスポーツトレーナーが監修した運動療育特化型の多機能型事業所です。柔軟性・筋力・巧緻性・俊敏性・持久力の向上を目的とし、5つの運動療育を行っています。また、その中で集団生活で必要な集団行動ができるよう適応訓練も行っています。福祉や保育、教育施設に勤めていた経験豊富なスタッフ達が、楽しく取り組めるよう多角的方面からお子さんをサポートします。兵庫県の放課後等デイサービスをもっと見る「もっと施設の情報を詳しく知りたい!」「見学をしてみたい!」と思ったら、WEBからもお問い合わせが可能です。施設情報ページでは、掲載されている施設の情報を地域ごとに検索して見ることができますよ。
2020年06月22日身長差やサッカーの理解度の差があって同じ学年でもレベル差が大きい中学年の指導に悩むコーチから、チームの底上げを図れるトレーニングメニューなどはある?とご相談をいただきました。池上さんは、これまで見てきた中で欧州の子どもはそれほどレベル差がついてないといいます。その原因は、日本とは真逆の「指導の順番」なのだそうです。これまでジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんが送るアドバイスを参考にして、チームの底上げを図ってください。(取材・文:島沢優子)(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<U-10でどこまで守備戦術を教えて良いもの?指導のコツがあったら教えて<お父さんコーチからの質問>いつも連載拝読しています。私は少年団でU-10 、U-12の指導をしている者です。先日別の記事で、小学校中学年ぐらいは一番デコボコしているとありましたが、まさしく私のチームも同じ状況なので、指導面でのアドバイスが欲しくご相談させていただきました。体の成長速度は個々の成長速度があるので何ともし難いですが、この学年へのトレーニングメニューで、チームの底上げを図れるものであったり、もしくは練習や試合でのチーム分けの工夫などがあれば教えてください。<池上さんのアドバイス>ご相談、ありがとうございます。日本の子どもたちはなぜ、そんなにデコボコが目立つのか。それは、小学校中学年くらいだと、体の大きさや運能能力の違い、サッカーへの理解度の違いがあるから仕方がない――私たち指導者はそんなふうに考えてきました。■欧州の子どもたちは日本ほど同年代でのレベル差がないところが、スペインなど欧州の子どもはそこまでデコボコではありません。よく見ていると、欧州の子どもたちは、相手とぶつからないようにプレーします。日本のように「相手に押し負けるな」とか「コンタクトで負けるな」などという声はコーチから一切出てきません。なぜなら、幼稚園児くらいのころから「どこでボールをもらうといいかな?」とコーチらに導いてもらえるので、相手から離れてボールを受けることが身についています。日本の子どものようにボールを奪いに来る相手を体で押さえてコントロールするのではなく、フリーな状況でパスを受けます。そして、そのことを学んで身に着けるためのトレーニングを、幼稚園児のころからたくさん積むのです。その際、守備をする側は、攻撃をしてくる相手のパスカットを狙います。相手に体をぶつけるようにして足元のボールをガシガシと奪いにきません。つまり、トレーニング全体に、ボディーコンタクトがないのです。それはなぜでしょう。ひとことで言うと、育成する「順番」が日本と違うからです。「認知→判断→行動(プレー)」欧州の子たちは、この順番で育てられます。例えば、3~6歳、もしくは小学校低学年までの間に、まず「認知する力を」養います。自分がボール保持者だとしたら、味方がどこにいるか認知します。例えば、2対1の状況で、自分がドリブルでゴールに向かったほうが点が取れるのか、味方にパスしたほうが得点の可能性が高いのか。そのとき、守備をする相手選手の位置によって、いつパスをしたほうがいいのか。それが認知する力です。どこが空いてる?誰がチャンス?――そういうことを彼らは10歳くらいまでに見極められるようになります。見極められるようになったら、判断してプレーします。相手選手がパスをしたい味方との間に立っているから、ドリブルでボール1個分ずらしてからパスを通す。自分で縦に突破すると見せかけて、相手が自分に近づいた瞬間、相手をあざ笑いようにスルーパスを通す。そういった判断ができるようになります。この1.認知、2.判断ができるようになったら、最後の3.行動(プレー)の指導に入ります。プレーはつまりはスキル、技術です。それは「今の判断は良かったね。あとはコントロールを磨いていこう」というような声掛けです。トラップをミスしたり、パスがそれたりして正確にできなかったとしても、しっかり認知をし、タイミングよく判断ができているのだから、あとは技術を磨けば済むことです。■日本の子どもたちにレベル差が生まれてしまう理由ところが、日本の子どもたちは、これを逆にした順番で指導されています。1.行動、2.判断、3.認知で教えられているのです。サッカーボールに出会ったら、まずインサイドキックを教えます。コーンドリブルをします。リフティングもですね。かなり長い時間、クローズドスキルに割かれています。それらをやってから、小学校中学年くらいになってから、コーチにこう言われたりします。「ただ蹴るだけじゃだめだ」「まわりをよくみて」「スペースを探せ」「ボールをもらえる位置にいないから、いつまでたってももらえないでしょ?」そこで子どもたちは非常に混乱します。そこで格差、つまりデコボコも出てきます。日本のトレーニングは、本来は最後に指導したほうがいい「行動」、技術練習から始めているので、なかなかうまくいかない。ジュニアの世界大会で日本の子どもたちが優勝して「日本の子どもは足元の技術がうまいですね」と欧州のコーチに褒められます。足元の技術から始めているので、うまいのは当然です。ただし、そのあとはどうでしょうか?ユース年代、成人してからと、上に行くほど世界との差が開いていないでしょうか。私の大学の先輩である祖母井秀隆さんは1970年代、すでに「見て、考えて、判断して、プレーする」という段階を踏んで指導すべきだ、とおっしゃっていました。脳科学的にもそれが正しいのだとおっしゃって、私も納得出来ました。それから40年以上経過しましたが、日本はいまだ指導の順番は逆行したままです。■認知、判断力をつける練習メニュー(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)ご相談者様は、ぜひ前述した三つの順番を意識した練習に変えましょう。具体的には、ミニゲームや2対1といったオープンスキルのメニューをたくさん行って、子どもたちの認知・判断の力を鍛えてあげてください。ぶつかれ、負けるな、などと言ってはいけません。スピードやパワーを求めず、ゆったりとした状態でサッカーの成り立ちを伝えてください。「どこを見てた?」「どうしたらいい?」と子どもたちに質問して、考えさせるのです。認知・判断力はそうやって試行錯誤しながら自分で獲得するものです。池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2020年06月12日強豪校へ行った兄にようになることがモチベーションの次男。楽しそうにサッカーしているけど、チームメイトとのレベル差もあり、最近ではスクールを辞めたいようなことを口にすることも。運動神経あまりよくなく、兄のように強豪校へ進む進路は無理そうだけど、進路についてどう話せばいい?前向きにさせるか、違うことにモチベーションを持たせるか......。と悩むお母さんよりご相談をいただきました。みなさんならどうしますか?今回もスポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、取材で得た知見をもとにお母さんへ3つのアドバイスを送りますので参考にしてください。(文:島沢優子)(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<グローブがなく素手でGKを務めた息子。Bチームは面倒見てもらえないのか問題<サッカーママからのご相談>10歳の息子ですが、強豪校に行った兄を目指し、週1だけクラブチーム下部組織のスクールに通い始めました。最初はモジモジしていましたが段々と意欲的になり、今では早く行ってグランドの端っこで仲間とアップしています。楽しそうにしているのですが、たまに「今日は3人に突っ込まれ削られた」など不満を口にします。チームメイトとレベルがかなり違う(息子が下手)のは親もわかっているので、プレーがうまくいかなかったことは仕方ないと思うのですが、息子にとってはスクールでの不満が帰宅してから寝るまで続いている感じです。それに対して私は「サッカーの中での事はサッカーで解決しなさい!」とか「仕方ないよ」としか言えなくて。最近は「所属チームだけでいいかな?」と、スクールを辞めたい様な事も口にします。前向きにさせる様にするには親はどうしたらいいのか悩んでいます。兄は6年時にJrユース合格の為準備としてスクールに通い始めましたが、兄弟で運動神経は全く違う(今回相談している弟は鈍い)ので下部ジュニアユース→他県強豪校という進路は無理そうに思います。ですが、兄の様になる事だけがモチベーションの子に、どうやって進路を話したら良いかも不安がありご相談しました。息子を前向きにさせる方向がいいのでしょうか、それとも違うモチベーションを持たせるのがいいのでしょうか。アドバイスよろしくお願いします。<島沢さんのアドバイス>ご相談いただき、ありがとうございます。お母さんからのメールには、以下のような問いがありました。前向きにさせる様にするには親はどうしたらいいのか。息子を前向きにさせる方向がいいのでしょうか。それとも違うモチベーションを持たせるのがいいでしょうか。いずれも「○○させる」が並んでいます。まずは、お母さんの中から、この「○○させなくては」「○○させるべき」「○○させたい」という欲求を追い出してください。■子どもが自分から頑張るために、親はどうすればいいか私も長男が小学校低学年のころはそんな言葉ばかりを頭に思い浮かべていました。「宿題をやらせるのはどうしたらいいか」「サッカーの自主練をやらせるにはどんな方法があるだろう」ところが、親が「こうさせるぞ!」と頑張れば、頑張るほど、うまくいきません。子どもから「嫌だ!」と反発されたり、渋々取り組んだとしても、しょせん親(他者)から言われてやることなので成果が上がりませんでした。では、どのようにしたか。何十万人もの子どもにサッカーを教えながらコーチたちを導いてきた池上正さんや、脳科学の専門家、成果を上げている教育現場の人たちの話を参考にしました。すべての人が口をそろえておっしゃったのは「放っておけばいい」でした。そして、実際に放っておくと勝手に自分で自分の道を選び、そこに向かって努力を始めました。つまり、成長が始まったのです。したがって、お母さんも次男さんを、まずはほったらかしにしましょう。こうさせたい、などと考える。それはいわゆるコントロールしようとする行為です。前向きにサッカーに取り組んでほしいなら「いつでも応援しているよ。できることがあったら言ってね」とひとこと言ってあとは黙っていればいいことです。「私が干渉したままでは、息子は成長しない」ぜひそのように考えてください。■兄弟であっても違う個体なので、上の子の経験に縛られないようにしようそもそも第一子は、兄姉がないぶん可視化できる見本はないし、親も最初の子どもなので知見、経験がない。それは一見ディスアドバンテージに映ります。が、その実、子どもも親も何かの前例や価値観に縛られることなく、その子らしい道を自由に模索できるアドバンテージでもあると思います。第二子は兄や姉の姿が良くも悪くも見本になり、親のほうも、上の子の経験に良くも悪くも縛られがちです。要するに、比べてしまう。これはストレス以外の何物にもなりません。日本の子育てには「切磋琢磨する」とか「きょうだいで競い合って」という表現がありますが、そうしたいかどうかは子どもが決めることです。ご相談文を読んだだけなので想像の域ですが、ご長男は、おそらく小さいころからサッカーが得意で自分からどんどん取り組んで強豪校への道も自分で選んだのだと思います。したがって、親のほうもただ見守っていればよかったでしょう。ところが、次男は長男とは違う個体です。違っていて当然。でも、親は迷う。お母さんはいままさに「子育ての森」で迷子になっています。■子どもをコントロールしないで見守ることでは、どうするか。以下の三つを参考にしてください。1.コントロールしようとしない。冒頭でも伝えましたが「○○させる」とは考えないこと。「この子、どんな大人になるかなあ」とゆったり構えてください。子育ては、飯の食える一人前の大人に育てることが第一目標です。サッカーで強豪校に行く、名門のジュニアユースクラブに行く。これはプロセスにおける名誉かもしれませんが、実際はあまり重要なことではありません。例えば、本人が生きがいを見つけて気持ち良く人生を歩む。そんな姿を思い浮かべると、サッカーで試合に出られようが出られまいが大したことではない――親はそう思って見守ったほうがいいと思います。子どもはこのことに懸命になるでしょうけれど、親はそのカオスに巻き込まれることなく離れて見守ったほうがいいのです。子どもは必ずや、のちにお母さんがそのような達観した姿勢で置いてくれたことに感謝するはずです。「いろいろうるさくいわずに放っておいてくれて助かったよ」と。2.「言わなきゃ」よりも「聴かなきゃ」「サッカーの中での事はサッカーで解決しなさい!」とか「仕方ないよ」としか言えなくて。とあります。お母さんがおっしゃっているように、どちらの言葉も意味がありませんね。お母さんだけじゃないです。みなさん「親だからきちんといいアドバイスをしよう!」と思い込んで、空回りしがちです。そうではなく、お子さんの話を聴いてあげてください。別にじっくりじゃなくてもいい。「どんな気持ちだったの?」「どう?大丈夫?サッカー、楽しい?」質問をすると、次男君が自分の気持ちと向き合える機会が作れるかもしれません。■子どもの気持ちを親が決めつけていませんか(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)3.兄弟を比べない自分の中で比べたくなります。でも、比べないこと。比べるのなら、いいところを必ず探してあげましょう。お母さんだって、よそのお母さんと比べられると嫌ですよね?子育てがうまく行ってない人の99%が、きょうだいで比べたり、よその子とわが子をよく比べます。「うちはこんなんだよ。Aさんちの息子さんはいいなあ」と。お母さんの言うように「兄の様になる事だけがモチベーション」だとしたら、もしかしたら親御さんの態度も関係しているかもしれません。「サッカー、楽しい?楽しいなら続ければいいと思うし、そう思えないなら違うことをしてもいいよね」と伝えてください。子どもの気持ちを決めつけていないか?子どもの力を信じているか?ご自分の子育てを、少しとらえなおしてみましょう。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)スポーツ・教育ジャーナリスト。日本文藝家協会会員(理事推薦)1男1女の母。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』や『東洋経済オンライン』などで、スポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。主に、サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』『王者の食ノート~スポーツ栄養士虎石真弥、勝利への挑戦』など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著/いずれも小学館)ブラック部活の問題を提起した『部活があぶない』(講談社現代新書)、錦織圭を育てたコーチの育成術を記した『戦略脳を育てるテニス・グランドスラムへの翼』(柏井正樹著/大修館書店)など企画構成も担当。指導者や保護者向けの講演も多い。最新刊は『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)。
2020年06月11日編集部:学研キッズネット編集部子どもの発達リサーチ機関「パステル総研」を運営する株式会社パステルコミュニケーションは、長引く休校で学校からの課題に困惑しているとの声を受け、2020年5月16日~5月20日の期間、パステル総研Twitterと、パステル総研ホームページ内で、「休校中の課題どうする?」の緊急1問アンケートを実施。その結果を発表しました。調査背景長引く休校で当初課題が出ていなかった地域でも、休校が長引くにつれ課題をたくさん出された、オンライン授業が始まった、中には課題の時間割が提示された、今も課題はほとんどでていないなど学校・地域によって様々な対応がなされています。自粛生活で、お母さんの役割が増えている中、「課題の量が多すぎる!」「つきっきりで教えなくてはいけなくて親の負担が大きい」「毎日が宿題バトル!」などのお母さんたちの悲鳴も聞こえてきました。そこで皆さんが休校中の課題を実際はどのようにとらえているのかを問う、1問だけの緊急アンケートを実施しました。学校が再開した地域や、多くの学校で再開のめどがたってきたこの時期に、親御さんにとっての課題、お子さんにとっての課題について改めて考え、そのことがお子さんに合わせた選択、対応を模索するきっかけになればと考えました。調査結果既に学校が再開した地域、多くの地域で学校再開が近づいてきているこの時期に、課題についてどのような傾向があるか以下の方法で1問だけのアンケートを緊急実施。有効回答は、パステル総研Twitter(回答数64)パステル総研ホームページ内(回答数58)合計122となりました。1.休校中の課題どうします?多少無理してもやらせるが34%、無理してまでやる必要はないが52%という結果になりました。無理してまでやる必要がないが無理してまでやらせるを18%上回る結果となりました。新型コロナウィルスによって生活スタイルの変化がもたらされている今、これまでの学習、これからの学習についても大きな意識の変化が起きているのではないでしょうか。新しい学びのカタチを提案パステル総研では、電子書籍の『コロナ休校中の気になる勉強アイデア集『子どもが成長するおうち時間 ー勉強編ー』を無料プレゼント中。机に向かってワークに取り組んだり、教科書を読んだりすることだけを 勉強と思っていませんか?脳科学・教育学・心理学からなる発達科学コミュニケーションを学んだママたちが実践した、新しい学びのカタチを提案いたします!■パステル総研とは?子どもの発達に関するグレーゾーンの悩みごとを、大人に持ち越さないことを目指すリサーチ機関です。発達障害やグレーゾーンの正しい理解と対応を伝えることで、子どもたちが生きやすい時代を作るきっかけづくりをしています。パステルのお子さんを抱えるママの声をデータ化して、リサーチ結果を配信したり、ママが楽しく子育てできる情報を発信します。ママが困った時はいつでも、頼れるアイデアが湧き出てくる「4次元ポケット」になりたい!という想いで、日々のリサーチと情報発信を行っております。今回のアンケート結果をもとに、皆さまにお役立ち頂ける情報を提供していきます。▼無料電子書籍ダウンロードはこちら▼パステル総研公式サイト▼1日1分! ゼロから学べる 発達障害&グレーゾーンの対応メール講座■パステル総研代表吉野加容子プロフィール発達科学コミュニケーショントレーナー。学術博士、臨床発達心理士。慶應義塾大学大学院(博士課程)修了。脳科学をベースにした発達障害の発達支援が専門。大学院卒業後、企業の脳科学研究や、医療機関での発達支援に従事したのち、脳科学、教育学、心理学のメソッドを合わせた独自の発達支援プログラム「発達科学コミュニケーション」で子どもの発達を加速する「発達科学ラボ」を設立し独立。■書籍紹介「発達障害とグレーゾーン子どもの未来を変えるお母さんの教室」青春出版社「脳を育てる親の話し方」青春出版社「脳が喜ぶ子育て」世界文化社▼詳しくはこちら■会社概要社名:株式会社パステルコミュニケーション代表者:吉野加容子所在地:〒170-6045 東京都豊島区東池袋3-1-1サンシャイン6045階事業内容:子育て講座の運営/発達に関するリサーチ・開発/起業支援事業会社公式サイト:■「学研キッズネットFor Parents」のニュース一覧はコチラ■学研キッズネット編集部(がっけんきっずねっと)『学研キッズネット』は、1996年にオープンした小・中学生のためのWebメディアです。学研の子ども向け書籍や雑誌の編集ノウハウを活かし、子どもたちが安全に楽しめるサイトとして運営しています。子どもたちのしあわせのために、家族のしあわせのために、有益な情報やサービスをお届けできるよう、いつも精一杯がんばっています。すくすく伸びる子どもたちのために
2020年05月22日子どもに絵本を読み聞かせしたいと思っていても、たくさんの絵本があってどの本がいいのか迷ってしまうことありますよね。私自身もとても悩みました。そこで、わが子が低月齢のころから読んでいて、買ってよかったと思った絵本をご紹介します。 カラフルでかわいい世界に夢中! 『いっしょにあそぼ しましまぐるぐる』(絵:柏原晃夫/発行:学研プラス)は、わが家で最初に購入した絵本です。娘の反応がとてもよかったことを覚えています。絵本の中身はとてもカラフルで動物やお魚、食べ物も出てきてきます。穴があいているページもあり、娘は興味津々に穴を触っていました。カラフルでかわいらしい世界に興味津々の様子でした。 コンパクトサイズで外出時にも大活躍! 次におすすめしたい絵本は『ぽけっとえほんシリーズ①どうぶつ』(絵:かたおかともこ/発行:ブックオフコーポレーション)。 ページごとに動物の絵が描かれ、鳴き声や特徴が書いてあるこの絵本に、娘は低月齢のころから夢中でした。動物の鳴き声やしぐさをまねしながら読んでみせるとさらに夢中になり、読んでほしいと何度も持ってくる娘お気に入りの絵本です。今では、動物の鳴き声やしぐさをまねしたりして一緒に楽しく読んでいます。 残念ながら『どうぶつ』は現在売り切れのようですが、『たべもの』や『おでかけ』など、同シリーズの別の何冊かは在庫があるようでした。 スキンシップ&ぐずったときにも◎ もう1つおすすめしたいのが『脳科学からうまれた ゆびゆびえほん』(絵:わたなべちいこ/監修:岡田 浩之/発行:ポプラ社)。おすわり期になると手先も器用になってくるので、押したり回したり、効果音が流れるこの絵本に娘は好奇心旺盛な様子でした。 さらに、手遊び歌が3曲入っているので、娘の手をこちょこちょしたり、手をたたいてリズムをとったりと娘と楽しく遊べるので、自然とスキンシップも図れます。ぐずったときはこの手遊び歌で遊ぶとすっかりご機嫌になるなど大活躍でした! 低月齢のころから絵本の読み聞かせをしてきたことで娘とのスキンシップの時間が増え、親子の絆も深まったと感じています。これからも絵本を通じて親子で楽しい時間を過ごしたいです。 ※本記事の内容は、商品によっては変更となっている場合があります。 監修/助産師REIKO著者:佐倉美桜里女児の母。出産を機に仕事を退職。漫画を読むこと、食べること、寝ることが大好きな主婦で、夫と子どもと3人暮らし。現在二人目妊活中。
2020年05月06日編集部:学研キッズネット編集部東京都を始め、全国の小中学校で臨時休校が延長される中、全国の児童精神科クリニックで作られている「日本児童青年精神科・診療所連絡協議会」は長引く休校で子どもたちが心のバランスを崩す可能性を指摘しています。そこで、子どもたちとの会話を増やし、家族との団らんの時間を作るのにおすすめな「ほめ写」についてご紹介します。GW明けまで学校が休校に!子どもにかかるストレスに注意「日本児童青年精神科・診療所連絡協議会」によると、子どもたちは登校や友達と遊ぶことを制限され、メディアの情報に不安を感じて大きなストレスがかかっている状況で睡眠や食欲に影響が出たり、怒りっぽくなるなどの症状が出る可能性があるといいます。しかし、協議会ではこうした症状が出た場合でも「周囲の大人が適切に対応することで多くの子どもは回復する」と説明し、過度な不安を防ぐ方法として、正しい情報を公的なホームページで得ることや不安をあおりがちな情報に接する時間を家族との団らんや休息に充てることを勧めています。親子のポジティブな会話が増える「ほめ写」子どもたちとの会話を増やし、家族との団らんの時間を作るのにおすすめなのが「ほめ写」です。「ほめ写」とは、子どものプリント写真を家の中に飾り、それを見ながらほめてあげることで自己肯定感を高めようという新しい子育て習慣のことです。「ほめ写プロジェクト」では教育評論家の親野氏が小学校の教師として多くの子どもたちと接してきた中で感じた“自己肯定感の高い子どもの家庭には、写真が飾られていることが多い”ことに着目し、脳科学者の篠原菊紀氏、発達心理学者の岩立京子氏・パートナー企業の協力のもと調査をすすめ、「ほめ写」の効果を実証してきました。プロジェクトメンバーの一人である教育評論家の親野智可等氏は「臨時休校が続き、子どもがずっと家にいることで、普段のように家事や仕事を行うことができずストレスが溜まって子どもを叱りがちになってしまうパパやママもいると思います。そんな時は意識して家族のポジティブなコミュニケーションを増やすのがおすすめです。ほめ写を通して子どもをほめたり、一緒に思い出を振り返りながら写真を選んだりすることが、親子のポジティブな会話のきっかけとなります。」と語ります。【自己肯定感とは】自己肯定感とは、「自分には価値があるんだ」「自分は愛されているんだ」といったように自分の価値や存在意義を前向きに受け止める感情や感覚のこと。自分のことが好きで、今の自分に満足している子どもの心や行動のあり方を指します。2019年の内閣府による調査では日本の若者の「自己肯定感」は諸外国の若者に比べて低く、欧米など6か国との比較でもっとも低いことが明らかになるなど日本の子どもたちの自己肯定感の低さは問題となっています。How to ほめ写STEP1 “撮る”子どもが楽しそうにしている、活躍している、頑張っている時の写真や、家族といっしょのシーンなど、愛されていることを実感しやすい写真を撮影しましょう。STEP2 “飾る”リビングや子ども部屋など、子どもが日常的によく過ごす場所で子どもの目線に合わせた高さに、複数枚貼りましょう。子どもと一緒に選ぶのがおすすめです。STEP3 “ほめる”写真を見ながら「この時はがんばったね」「よくできたね」と努力や成果をほめます。また、「生まれてきてくれてありがとう」「あなたは宝物」「大好きだよ」など、子どもの存在そのものを肯定する言葉を掛けます。「ほめ写スターターキット」のご紹介これから「ほめ写」を始める方には、「お好きな写真プリント+シャコラ+デザインカード」がセットになった、「ほめ写スターターキット」がおすすめです。「ほめ写スターターキット」には、89mm正方形サイズ×5枚のセットと、127mm正方形サイズ×3枚のセットの2種類があります。「ほめ写スターターキット」は、「Shacolla(シャコラ)スターターキット」を活用した商品です。「ほめ写プロジェクト」のメインパートナーである富士フイルム社が提供しています。ほめ写スターターキットのご注文はこちらから:【キットの内容】1.写真プリント89mm×89mmサイズのキットでは5枚、127mm×127mmサイズのキットでは3枚、お好きな写真をプリントすることができます。2.Shacolla(シャコラ)壁を傷つけない弱粘着の発泡パネル「シャコラ」が、89mm×89mmサイズのキットには5枚、127mm×127mmサイズのキットには3枚入っています。3.デザインカード手書きもできる、デザインカード。パネルに貼って飾るのもよし、メッセージカードにするのもよし。89mm×89mmセットには8枚、127mm×127mmセットには6枚入っています。子どもをほめたり、一緒に思い出を振り返りながら写真を選んだり、「ほめ写」で親子のポジティブな会話のきっかけ作りをしませんか?■「学研キッズネットFor Parents」のニュース一覧はコチラ■学研キッズネット編集部(がっけんきっずねっと)『学研キッズネット』は、1996年にオープンした小・中学生のためのWebメディアです。学研の子ども向け書籍や雑誌の編集ノウハウを活かし、子どもたちが安全に楽しめるサイトとして運営しています。子どもたちのしあわせのために、家族のしあわせのために、有益な情報やサービスをお届けできるよう、いつも精一杯がんばっています。すくすく伸びる子どもたちのために
2020年04月24日「笑う門には福来る」昔からのことわざにもあるように、笑顔には特別な力があります。最近では、プロゴルファー渋野日向子さんのはじけるような笑顔が話題になりましたよね。緊張した場面でも笑顔を絶やさないその姿に、笑顔の想像以上のパワーを感じた人は少なくないでしょう。今回は笑顔の効果について、改めて検証してみます。卒業アルバムで “笑顔の人” は年を取っても幸せだった笑顔の効果が、私たちの人生にどのような影響をもたらしたのかを検証した実例があります。それは、アメリカ・カリフォルニア大学バークレー校の心理学研究チームが行なった興味深い調査です。卒業生141名の「人生の追跡調査」で、卒業アルバムに写った顔が、“笑顔の人” と “笑顔でなかった人” を比べたところ、“笑顔の人” のほうが、成績優秀で満たされた結婚生活を送り、周りに良い影響を与えるなど、健康で幸せな人生を歩んだというのです。この結果は、「笑顔はさまざまな良いことを引き寄せ、人生を豊かにする」というひとつの実証となりました。ネガティブな気持ちも「笑顔」でポジティブ変換できる笑顔が人生を好転させる仕組みについて、脳科学者の茂木健一郎先生がわかりやすく解説しています。まず、なぜ笑いが起きるのかをみてみましょう。脳の中には「扁桃体」という、感情をつかさどる神経細胞があります。喜怒哀楽のうちの「喜」や「楽」といった快感を得ると、ここが反応して、すぐ近くにある「前帯状皮質(ACC)」を刺激します。その結果として起こる現象が「笑い」です。つまり、笑うということは、その本人が幸せであるというシグナルなのです。(引用元:PHPファミリー|よく笑う子ほど、才能が開花する!〜茂木先生が解説!笑顔の脳科学〜)たしかに、よく笑っている人はハッピーオーラをまとっているように見えますよね。また茂木先生は、活躍中の若手起業家は「明るくてよく笑う」人が多いと話します。「笑い」は、脳の中に備わっている、自分自身の気分を良くしたり癒したりするための装置。ネガティブなことがあっても「笑う」ことで、気分をポジティブに変えられるのです。「笑い」は逆境への対抗策。どんなにつらく苦しいときでも、笑うことでエネルギーを補充し、失敗を糧にできるからこそ、社会で活躍できる人間力がますます育まれるのですね。前を向いて力強く人生を歩んでいくための正しい思考力とメンタル力を身につけられれば、その子の可能性は無限大に広がるでしょう。「笑い」には人生を左右する大きな力があるのです。我が子には、たくさん笑って人生を切り開いていってほしいものですね。「親が笑顔」なら子どもも笑顔になる!では、子どもが笑顔でいられるように親ができることはなんでしょう?脳科学者の西剛志先生は、「親が笑顔でいること」で子どもの笑顔を引き出せると話します。人の脳は、ミラーニューロンという神経細胞を通すことで、自分が見ている人の感情を再現します。つまり、親が笑顔なら、子どももつられて笑顔になるのです。また、子どもの笑顔を引き出す以外にも嬉しい効果がありました。「お母さんの笑顔」には子どもの能力を伸ばす力があるのだそう。子どもに笑顔で勉強を教えると学習能力が10%アップする、笑顔で育てられた子は、そうでない子に比べ、脳の海馬(記憶をつかさどる部分)の成長スピードが2倍早いなど、笑顔が子どもの能力を伸ばすことは、すでに明らかになっています。(引用元:T&Rセルフイメージデザイン|2020年3月10日 山形新聞『笑顔で子どもは伸びる』特集)そして、同じものを見て笑うという感情を共有することも心の成長のためにはとても大切。楽しい体験をできるだけたくさん共有し、笑顔を心がけましょう。子どもの笑顔のためにも、子どもの能力を伸ばすためにも、親はなるべく笑顔でいたいものですね。子どもの笑顔を増やすためにできること「親の笑顔」以外にも、子どもが笑顔でいられるようにできることはあります。小児脳神経外科・発達脳科学のエキスパートである大井静雄先生と茂木先生、そして西先生の見解を中心にご紹介しましょう。■脳の成長期にできるだけ笑顔を引き出す子どもの脳の成長期は0~3歳。この時期に脳の土台をより強いものにするためには、喜びの感情を多く持つことが有効とされます。つまり、まずはこの時期に、子どもがたくさん笑える環境づくりをするのが重要です。子どもが声を発したとき、または親を見ながら何か行動をしたとき、親がニコニコ応答することで、「反応してくれた。嬉しい!」とプラスの感性が働き、子どもは笑顔になります。この「うれしい・楽しい・快い・おもしろい」などのプラスの感情を引き出すべく、親はできる限り子どもの声や行動に笑顔でこたえてあげましょう。■前向きな言葉かけが子どもを笑顔にする初めての登園や遠足のとき、子どもは緊張しますよね。親も「ひとりで大丈夫かしら」など心配していると、子どもはなおさら不安になります。これは、感情は伝染するから。アメリカ・ペンシルベニア大学ウォートン校の研究は、ミラーニューロンが感情にも及ぶことを証明しています。しかも気をつけたいのは、ネガティブな感情ほど伝染しやすいとということ。子どもにかける言葉は、意識的にポジティブを心がけて。たとえば、歌の発表会の前には、ただ「がんばってね」ではなく、「明日みんなとお歌を歌えるの楽しみだね!お母さんも楽しみで仕方ないよ」など、楽しいイメージを先行させる言葉で子どもの気持ちを緩め、笑顔を引き出してあげましょう。■たくさんの「発見と気づき体験」をさせる子どもの脳は、新しい発見や気づきに喜びを感じます。子どもの目がキラキラと輝いて嬉しそう……そんなとき、ありますよね?子どもの好奇心を育てるためにも、興味が湧いたことを自由にできるだけたくさん体験させてあげましょう。体験の幅を広げるために、親の趣味を子どもと一緒に楽しむのもいいですね。プラス体験で脳もどんどん育まれるはずです。逆に「危ない!」「汚れちゃうからダメ」などと、夢中になっている遊びを中断させられてしまうと、脳はマイナスの感情を持ってしまいます。子どもの発見や気づきを遮ってしまわないように、親は安全な遊び場を確保することに気を配りましょう。そして最後に “良い笑顔” について――。「笑い」が大事と言っても、他人を嘲笑するのは “悪い笑い” です。笑顔のパワーとして効果があるのは、自分の失敗を笑い飛ばせる強さを持った “良い笑い”。人間力を高めてくれる “良い笑顔” を子どもの人生最強の武器にするきっかけを作ってあげるのは、大人の役割なのです。***“We shall never know all the good that a simple smile can do.”(笑顔には想像もできないほどの可能性がある)マザーテレサも言っています、笑顔の力は無限大。これからさまざまな出来事に遭遇する子どもたちにも、そのことを脳と心に刻んで、笑顔で人生を歩んでいってほしいですね。(参考)PHPファミリー|よく笑う子ほど、才能が開花する!〜茂木先生が解説!笑顔の脳科学〜Hugkum|【脳科学者監修】気になる「知育」「育脳」って?喜びが脳を発達させる最新の考え方Forbes Japan|感情は伝染する?ポジティブに振る舞うべき理由Forbes|The Untapped Power Of SmilingT&Rセルフイメージデザイン|2020年3月10日 山形新聞『笑顔で子どもは伸びる』特集STUDY HACKER|“笑い”がもたらす7つの効果。究極の『笑顔トレーニング』で人生を好転させろ!
2020年04月19日どんなに子どもを愛していても、自由奔放な子どもに振り回されてイライラしてしまうこともあるのが子育てです。自分のイライラにどう対処していいかわからず、悩んでいる人もいるのではないでしょうか。そこで、「幸福学」の第一人者である慶應義塾大学大学院教授の前野隆司先生に、子育てでイライラせず、かつ幸せになるという欲張りな方法を教えてもらいました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)イライラした自分を責めずに認める子育ては本当にたいへんなことの連続です。いうことを聞いてくれない子どもに対してイライラしてしまうことも少なくないでしょう。そのとき、イライラしてしまった自分を責めていませんか?それでは自分が苦しくなるばかりです。子育てにはイライラすることもあって当然なのですから、自分を責めるのではなく、「イライラしたなあ」と、イライラした自分をただ認めることが大切です。というのも、「イライラは完全に悪いものだ」といい切れるものではないからです。親のイライラというものは、子どもにも伝わり、ある程度の教育効果があります。親がイライラしていると、その事実を子どもは察して、「こういうことはしてはいけないな」と感じることもある。あるいは、場合によっては反面教師としての教育効果かもしれません。「イライラしているお母さんみたいな人にはなりたくない、穏やかな人になりたい」と、子どもが思うようなことです。しかしながら、子育てをするうえでは、やはりなるべくイライラしないほうが理想的です。ですから、イライラを抑えるためのトレーニングをしましょう。イライラしたら、まずはその事実を認める。それから、6秒間、深呼吸をしてイライラを子どもにぶつけたくなるのをぐっと我慢する。これは、怒りをコントロールするメソッドであるアンガーマネジメントの手法です。怒りは、6秒間我慢すれば消えるという研究結果があるのです。さらに、イライラしている自分を俯瞰するイメージで客観視してみてください。これら3つのことを続ければ、イライラに対して冷静に対処でき、徐々にイライラを抑えられるようになっていくはずです。子育てをめぐる夫婦の方針がちがってもいいただ、子育てにおいてイライラさせられるのは、子どもの行動だけに限りません。たとえば、どちらかといえば母親に多いことだと思いますが、「夫が子育てに協力してくれない!」ということも、イライラしてしまう大きな要因のひとつです。そういう人のなかで、パートナーに対して「あきらめ」の気持ちを持っている人はいませんか?「夫にいっても、どうせわかってくれない」と思っているようなことです。あるいは、子育てをめぐって夫婦喧嘩をしたときに、解決しないまま、「その話をするとまた喧嘩になるから」と放置してしまう。そしてまた別の理由で喧嘩をして解決しないまま放置する……。そのようにして、夫婦がわかり合えない事実をどんどん蓄積していないでしょうか。これは、子育てのためには完全にNGなことです。いや、最悪といってもいいでしょう。なぜなら、子育てをめぐる父親と母親の方針が食いちがっていると、子どもは混乱してしまうからです。ですから、やはりあきらめることなく夫婦でよく話し合うことが大切です。その場合、夫婦間で子育ての方針が一致することが理想ですが、もしちがっていたとしても、きちんと夫婦で話し合ったうえで「わたしたちは考えがちがうんだね」と認め合うことができていれば問題ありません。これは、先に挙げた、あきらめによって子育ての方針の食い違いを放置していることとはまったくちがうこと。夫婦が互いに認め合っているために、「考えはちがうけど、共存していこうよ」と前向きに子育てに向かうことができるからです。「お父さんとお母さんの考えはちがうけど、お父さんもお母さんもあなたのことをきちんと考えているんだよ」と子どもに伝えられる。そうすれば、子どもも混乱することなく両親の考えのちがいを受け止めてくれるでしょう。夜寝る前に、その日にあったいいことを3つ書き出す最後に、子育て中のみなさんがイライラせずに幸せになれる、とっておきの方法をお教えしましょう。これは、アメリカの心理学者であるマーティン・セリグマンが唱えているもので、「毎晩寝る前に、その日にあったいいことを3つ書き出す」という方法です。人間の脳は、同じ失敗を繰り返さないため、ポジティブなことよりネガティブなことをより強く記憶するようにできています。危機管理能力としては優秀ですが、やはり嫌なことばかり覚えていては、幸せを感じにくいですよね。でも、よく考えてみれば、ごく平凡に思える1日のなかにも見落としているいいことはたくさんあります。それこそ、子育て中の親であれば、いうことを聞いてくれない子どもにイライラさせられることがあったとしても、昼寝している子どもの寝顔を見れば「なんてかわいいんだ」と思うでしょう。親として最高に幸せな瞬間です。その事実を書き出すことで、日々のイライラは減り、幸せを感じられるようになるはずです。この方法が面白いのは、習慣化するといいことに自然に目が向くようになる点です。いいことを書き出したいがために、いいことを見つけられるようになるというわけです。いわば、「幸せ体質」になるといっていいでしょう。わたしの妻なんて、まさにその幸せ体質。朝の9時になる前に、「もういいことが3つ見つかっちゃった!」なんていっていますよ(笑)。『「幸福学」が明らかにした 幸せな人生を送る子どもの育て方』前野隆司 著/ディスカヴァー・トゥエンティワン(2018)■ 慶應義塾大学大学院教授・前野隆司先生 インタビュー記事一覧第1回:“他人との比較”で得た幸せは長続きしない。「幸福学」で分かった、親子で幸せになる方法第2回:目的もなく東大に入っても意味はない。本当に輝けるのは、いい意味での「オタク」だ!第3回:「子どもは宝物だ」という思考が危うい訳。子を思うなら親は“自らの幸せ”を追求すべき第4回:子育てでイライラした時どうすれば?幸福学の権威が教える「幸せ体質な親」の目指し方【プロフィール】前野隆司(まえの・たかし)1962年1月19日生まれ、山口県出身。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科(SDM)教授。1984年、東京工業大学工学部機械工学科卒業。1986年、東京工業大学理工学研究科機械工学専攻修士課程修了。同年、キヤノン株式会社に入社。カリフォルニア大学バークレー校客員研究員、慶應義塾大学理工学部教授、ハーバード大学客員教授等を経て、2008年より現職。2017年より慶應義塾大学ウェルビーイングリサーチセンター長兼任。研究領域は、幸福学をはじめ、ヒューマンロボットインタラクション、認知心理学、脳科学、心の哲学、倫理学、地域活性化、イノベーション教育学、創造学と幅広い。主宰するヒューマンラボ(ヒューマンシステムデザイン研究室)では、「人間に関わる研究ならなんでもする」というスタンスで、さまざまな研究・教育活動を行っている。『感動のメカニズム 心を動かすWork&Lifeのつくり方』(講談社)、『幸せのメカニズム 実践・幸福学入門』(講談社)、『古の武術に学ぶ無意識のちから 広大な潜在能力の世界にアクセスする“フロー”への入り口』(ワニブックス)、『幸せな職場の経営学 「働きたくてたまらないチーム」の作り方』(小学館)、『ニコイチ幸福学 研究者夫妻がきわめた最善のパートナーシップ学』(CCCメディアハウス)、『AIが人類を支配する日』(マキノ出版)など著書多数。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2020年03月14日子どもの幸せを願わない親はいません。そう考えて、子どもばかりを優先し、夫婦関係をおざなりにしている人はいませんか?「幸福学」の第一人者である慶應義塾大学大学院教授の前野隆司先生は、「親だからこそ、子どもではなく夫婦、そして自分の幸せを追求してほしい」と語ります。そのことが「子どものためになる」というのですが、はたしてどういう意味なのでしょうか。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)スキンシップをすれば幸福度が上がるみなさんは、子どもと積極的にスキンシップをしていますか?感覚的にもわかることかと思いますが、スキンシップが多いほど幸福度が上がるという研究結果があります。これは、神経伝達物質の影響によるものです。人間の脳は、他人とスキンシップすることにより、セロトニンやオキシトシンなど「愛情ホルモン」と呼ばれる神経伝達物質を分泌します。その働きにより、人は安心感を得て幸せを感じられるのです。ですから、子どもに対してどんどんハグをしてください。もちろん、スキンシップであればいいのですから、握手でもいいし、肩や背中をポンポンとたたいたり、「いい子いい子」と頭をなでてあげたりすることでもいい。とにかく、親子ともども幸せになりたいのなら、スキンシップを欠かさないことです。そういう意味では、日本人はちょっと不利かもしれません。外国人と比べると、日本人のスキンシップは明らかに少ないからです。わたしの知り合いがとあるラテン系の銀行に就職したところ、「自分の席になかなかたどり着けない」と苦笑いしていました。というのも、席に着くまでのあいだ、清掃員のおばちゃんなど出会う人出会う人から、「今日も会えたね!」と、まるで1年ぶりに会ったかのように激しくスキンシップされるからだそう(笑)。そのことを思えば、文化的にスキンシップが少ない日本人、とくに子育て中の親であるみなさんは、意識的に子どもとのスキンシップを増やしていく必要がありそうです。たとえ他人とのスキンシップには抵抗がある日本人でも、親子であれば問題ないでしょう。スキンシップをすれば幸せになるように人間はできているのですから、我が子を思う親なら、スキンシップをしない理由はありません。「子どもは宝物だ」という思考は危険さて、愛情を持って子どもとスキンシップをすることはもちろん大切ですが、その愛情の中身については注意が必要です。みなさんのなかに、「愛する子どもをきちんと育てることこそがわたしの生きがいだ!」なんて考えている人はいないでしょうか?それは、ちょっと危険な思考です。子どもに依存している可能性があるからです。わたしの母の世代の女性には、そういう人が多かったように思います。そういう女性は、妻として夫に尽くし、母親として子どもを育てることが任務であり幸せだと考えていました。そして、夫に先立たれて子どもが独立すると、自分の役割がなくなったと感じ、幸せの代わりに虚脱感を感じるようになる。そういう人の予備軍が、いまの親世代の人にも見られるのです。それこそ、「かわいい子どもには、できれば大きくならないでずっとそばにいてほしい」「将来、子どもが結婚して家を出ると思うといまから憂うつ」「子どもはわたしの宝物だ」なんて考えている人は危険です。そういう思考を持っている人は、無意識のうちに子どもを自分の「持ちもの」のように思っています。いうまでもなく、子どもは持ちものなどではなく、ひとりの独立した人間です。だからこそ、「いずれ我が家を出て他人になっていく子どもを遠くから応援しよう」という気持ちを持っていなければならないのです。子どものためにも、夫婦が仲良くしておくべきそう考えると、親が持っておくべきもうひとつの大切な思考があります。それは、夫婦こそが仲良くしておくべきだということです。子どもが独立して家を出ていったとしたら、そのあとに家に残るのは夫婦ですよね?それなのに、夫よりも、妻よりも「子どもが大事!」と子どもにばかり目を向けていれば、子どもが家を出た途端に、親はそれこそ虚脱感に襲われることになってしまいます。いま、熟年離婚する夫婦も多いですよね。それも、いまお伝えしたような、子どもにばかり目を向けている親が多いことにもよるのではないでしょうか。子どもとスキンシップをしてコミュニケーションを取ることも大切ですが、夫婦のあいだでももっともっとコミュニケーションを取るべきです。もっといえば、親自身が自分の幸せを追求してほしい。「子どものことを思えば、そんな勝手なことはできない」と考える人もいるかもしれません。でも、それは勝手なことなどではありません。むしろ、親自身が自分の幸せを追求することこそが子どものためになるのです。両親がしっかりコミュニケーションを取って幸せなカップルでいられたら、そんな両親の背中を見て育った子どもは、「自分もお父さんやお母さんみたいな家庭を築こう」と思うはずです。でも、親が子どもにばかり愛情を注いでしまうと、その子が大人になり子どもを持ったときも、自分の子どもに対して同じような愛し方しかできません。いわば、依存のループを子孫につないでしまうのです。そして、親に依存された子を待っているのは、最終的に虚脱感を味わうことです。みなさんも、我が子にそんな思いをさせたくはないでしょう。親自身が幸せになることはわがままでも勝手なことでもなく、むしろ子どものため――。そう考えて、子どもに依存しない親子関係を築いてください。『「幸福学」が明らかにした 幸せな人生を送る子どもの育て方』前野隆司 著/ディスカヴァー・トゥエンティワン(2018)■ 慶應義塾大学大学院教授・前野隆司先生 インタビュー記事一覧第1回:“他人との比較”で得た幸せは長続きしない。「幸福学」で分かった、親子で幸せになる方法第2回:目的もなく東大に入っても意味はない。本当に輝けるのは、いい意味での「オタク」だ!第3回:「子どもは宝物だ」という思考が危うい訳。子を思うなら親は“自らの幸せ”を追求すべき第4回:子育てでイライラした時どうすれば?幸福学の権威が教える「幸せ体質な親」の目指し方(※近日公開)【プロフィール】前野隆司(まえの・たかし)1962年1月19日生まれ、山口県出身。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科(SDM)教授。1984年、東京工業大学工学部機械工学科卒業。1986年、東京工業大学理工学研究科機械工学専攻修士課程修了。同年、キヤノン株式会社に入社。カリフォルニア大学バークレー校客員研究員、慶應義塾大学理工学部教授、ハーバード大学客員教授等を経て、2008年より現職。2017年より慶應義塾大学ウェルビーイングリサーチセンター長兼任。研究領域は、幸福学をはじめ、ヒューマンロボットインタラクション、認知心理学、脳科学、心の哲学、倫理学、地域活性化、イノベーション教育学、創造学と幅広い。主宰するヒューマンラボ(ヒューマンシステムデザイン研究室)では、「人間に関わる研究ならなんでもする」というスタンスで、さまざまな研究・教育活動を行っている。『感動のメカニズム 心を動かすWork&Lifeのつくり方』(講談社)、『幸せのメカニズム 実践・幸福学入門』(講談社)、『古の武術に学ぶ無意識のちから 広大な潜在能力の世界にアクセスする“フロー”への入り口』(ワニブックス)、『幸せな職場の経営学 「働きたくてたまらないチーム」の作り方』(小学館)、『ニコイチ幸福学 研究者夫妻がきわめた最善のパートナーシップ学』(CCCメディアハウス)、『AIが人類を支配する日』(マキノ出版)など著書多数。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2020年03月13日幸せになりたい――。人間の究極の願いかもしれません。それこそ子を持つ親なら、我が子には絶対に幸せな人生を送ってほしいと願うでしょう。そこで、「幸福学」の第一人者である慶應義塾大学大学院教授・前野隆司先生に、親子そろって幸せになる方法を教えてもらいました。まずは、そもそも幸福学とはどんな学問なのかというお話からはじめてもらいます。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)他人と比較できるもので得られる幸せは長続きしないわたしの専門のひとつである「幸福学」を、まだ知らない方もおられるかもしれません。幸福学が世界的に広まりはじめたのは1980年代になってからです。ただ、「人はいかにすれば幸せになれるのか?」ということについては、2500年くらい前から哲学者や宗教学者が研究をしてきました。そこに科学の視点が入り、さまざまな説にエビデンスがもたらされ、幸福学という学問として確立されたのが1980年代以降ということなのです。心理学・統計学ベースの幸福学は、哲学でも宗教学でもありませんから、「人の幸せはなにか?」という根本的な問いを扱うものではありません。幸福学の研究では、その問いはさておき、研究対象の人たちにはそれぞれの主観で自分が幸せかどうかを問います。そして、「幸せだ」と答えた人たちにはどういう共通項があるのかを研究し、「人はいかにすれば幸せになれるのか?」という問いに答えを導くのです。また、そういった基礎研究に加えて、応用分野もある。たとえば、基礎研究によってわかった人が幸せになる仕組みを、企業経営やそれこそ子育てなどに応用し、幸せになる方法を広めることも幸福学の範疇に含まれます。さて、その幸福学の研究が進んだことで、ひとつの大きな事実が見えてきました。その事実とは、「お金やモノ、地位など他人と比較できるもので得られる幸せは長続きしない」ということです。たとえば、ある人が昇進して給料が上がったとします。もちろん、その瞬間はうれしいし、幸せを感じるでしょう。でも、もっと給料をもらっている人は世界にはいくらでもいる。上を目指せばきりがありません。そのことに気づき、せっかく給料が上がって得た幸せも、結局は長続きしないのです。長続きする幸せを得るために必要な「幸せの4つの因子」では、長続きする幸せを得るにはどうすればいいのでしょうか?それは、「心と体をいい状態にすることで幸せになる」ということです。そのうち、心の状態に着目すると、幸せな心の状態というものは数え切れないほどあります。それらを因子分析という手法によって整理したところ、4つにわけることができました。つまり、心がその4つの状態にあれば、強い幸福感を得られるというわけです。それらを、わたしは「幸せの4つの因子」と呼んでいます。【幸せの4つの因子】「やってみよう」因子「ありがとう」因子「ありのままに」因子「なんとかなる」因子では、子育て中の親と子どもはどうすれば幸せになれるのでしょうか?4つの因子それぞれをベースにお話しましょう。まずは「やってみよう」因子から。いまの子どもたちの多くは幼いときからたくさんの習い事をしたり、塾に通ったりしています。なかには、「通わされている」といったほうがいい子どももいるでしょう。これが大問題。やりたくもないことをやったところで幸せを感じられるでしょうか?答えは考えるまでもなく「ノー」ですよね。人は、自分の意志で「やってみよう」と思うことをやることで幸せを感じられるからです。親であるみなさんに注意してほしいのは、親自身も「やってみよう」と思っていなければならないということ。「自分は英語が苦手だったから」と、子どもを英語塾に通わせているだけでは、親の「やってみよう」が足りません。「幸せは伝染する」ものですから、親も「やってみよう」ということが日常になければならない。つまり、親は親、子は子で、それぞれが好きなことをやることで互いに幸せが伝染し、親子そろって幸せになれるのです。子どもに感謝し、子どものありのままを認めるふたつ目は「ありがとう」因子です。イメージしやすいことだと思いますが、感謝の気持ちを忘れない人は周囲といい人間関係を築けるので、当然、幸せを感じることができます。ところで、みなさんは子どもに感謝していますか?あるいは、夫や妻に感謝しているでしょうか?子育ては本当に大変なものです。協力が足りないパートナーや駄々をこねる子どもに対して、ついイライラしてしまうこともあるでしょう。でも、それでは幸せはあなたから逃げてしまいます。「わたしのパートナーでいてくれて、わたしの子どもに生まれてくれてありがとう」という気持ちを忘れず、日常的に「ありがとう」と口にするようにしてください。3つ目は「ありのままに」因子です。この因子を潰してしまうのは、「他人との比較」です。このことにも、「やってみよう」因子と同じように、いまの子どもがたくさんの習い事をしていることが悪影響を与えていると感じています。子どもが習い事をしていると、親としてはどうしても他の子どもと我が子の出来を比較してしまいがちです。そうして他人と比較されてばかりいる子どもが幸せを感じられるはずもありません。そもそも、子どもの生育には非常に大きな個人差がありますし、親の希望でやらせている習い事が、その子が得意なことではないかもしれません。親の勝手な理想の子ども像を我が子にあてはめるのではなく、我が子の「ありのまま」を受け入れ、また子ども自身にも「ありのままの自分でいいんだ」と思わせてあげましょう。失敗した子どもに「グッジョブ!」と声をかけるアメリカ人最後は「なんとかなる」因子です。「自信がない」「どうせ自分には無理」とネガティブ思考でチャレンジを恐れる人と、「なんとかなる」とポジティブに考えてさまざまなことにチャレンジしていく人ではどちらが幸せになれるでしょうか?答えはもちろん後者です。そして、子どもをポジティブ思考にするために重要となるのは、親の言葉かけです。ここで、わたしがアメリカに住んでいたときに妻から聞いたエピソードをお話しましょう。その日、妻はまだ幼かった子どもを公園で遊ばせていました。すると、アメリカ人の子どもが転んでしまった。その子の親は、どんな声をかけたと思いますか?日本人なら、「大丈夫?」と心配し、「だから気をつけなさいっていったじゃない」なんて小言をいってしまうかもしれません。ところが、アメリカ人のその母親は、間髪入れずに「グッジョブ!」といったのだそうです。驚きですよね。アメリカ人は、子どもがなにかにチャレンジして失敗するたび、「グッジョブ!」「ナイストライ!」と声をかける。それを何度も繰り返すのですから、仮にもともとは引っ込み思案の子どもだったとしても、どんどんポジティブになっていくはずです。民族性というところもありますから簡単ではないかもしれませんが、みなさんも、もっと前向きな言葉を子どもにかけてあげることを意識してはどうでしょうか。『「幸福学」が明らかにした 幸せな人生を送る子どもの育て方』前野隆司 著/ディスカヴァー・トゥエンティワン(2018)■ 慶應義塾大学大学院教授・前野隆司先生 インタビュー記事一覧第1回:“他人との比較”で得た幸せは長続きしない。「幸福学」で分かった、親子で幸せになる方法第2回:目的もなく東大に入っても意味はない。本当に輝けるのは、いい意味での「オタク」だ!(※近日公開)第3回:「子どもは宝物だ」という思考が危うい訳。子を思うなら親は“自らの幸せ”を追求すべき(※近日公開)第4回:子育てでイライラした時どうすれば?幸福学の権威が教える「幸せ体質な親」の目指し方(※近日公開)【プロフィール】前野隆司(まえの・たかし)1962年1月19日生まれ、山口県出身。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科(SDM)教授。1984年、東京工業大学工学部機械工学科卒業。1986年、東京工業大学理工学研究科機械工学専攻修士課程修了。同年、キヤノン株式会社に入社。カリフォルニア大学バークレー校客員研究員、慶應義塾大学理工学部教授、ハーバード大学客員教授等を経て、2008年より現職。2017年より慶應義塾大学ウェルビーイングリサーチセンター長兼任。研究領域は、幸福学をはじめ、ヒューマンロボットインタラクション、認知心理学、脳科学、心の哲学、倫理学、地域活性化、イノベーション教育学、創造学と幅広い。主宰するヒューマンラボ(ヒューマンシステムデザイン研究室)では、「人間に関わる研究ならなんでもする」というスタンスで、さまざまな研究・教育活動を行っている。『感動のメカニズム 心を動かすWork&Lifeのつくり方』(講談社)、『幸せのメカニズム 実践・幸福学入門』(講談社)、『古の武術に学ぶ無意識のちから 広大な潜在能力の世界にアクセスする“フロー”への入り口』(ワニブックス)、『幸せな職場の経営学 「働きたくてたまらないチーム」の作り方』(小学館)、『ニコイチ幸福学 研究者夫妻がきわめた最善のパートナーシップ学』(CCCメディアハウス)、『AIが人類を支配する日』(マキノ出版)など著書多数。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2020年03月11日みなさんは、お子さんを褒めることが多いですか?それとも叱る回数のほうが多いですか?「子どもの自己肯定感を高めるためにも褒めてあげなきゃ」とプレッシャーを感じている親御さんも多いのではないでしょうか。「子どもは褒めて伸ばすべき」という考えにとらわれすぎて、ちょっとしたことで過剰に褒めるなど、間違った褒め方をしている親御さんが増えているいま、子どもが「褒められ依存症」になっているケースも少なくありません。今回は「褒めることのデメリット」について、詳しく解説していきます。その褒め言葉、本当に必要?近ごろでは、「褒めて伸ばす」子育てが主流になってきています。育児書やメディアなどでは、子どもを褒めることのメリットが盛んに取り沙汰され、効果的な褒め方を指南する専門書もたくさん目にするようになりました。たしかに、叱られるよりは褒められたほうが自己肯定感も上がり、毎日を前向きに過ごせそうです。特に子どもは素直で単純なので、親が上手に褒めてあげることで、本人のやる気を引き出したり、持っている能力を伸ばしてあげたりできるでしょう。しかし、心理学者の榎本博明先生は「なんでも褒めればいいと勘違いしている親が増えている」と指摘します。褒めることで自信がつき、期待に応えようと頑張るようになるというメリットがある一方で、「打たれ弱くなる」「褒めないと機嫌を悪くする」「注意や叱責を素直に受け入れられない」「見返りがないとやる気になれない」などといった弊害をもたらすかもしれないのです。榎本先生は、「褒めることと叱ることのバランスを考えることが大切」と説きます。褒めてばかりいても、子どもにとっては悪影響を及ぼすことも。次に詳しく見ていきましょう。「褒められないとモチベーションが上がらない」人間になる!?「子どもを褒めることによる弊害」には、具体的にはどのようなものがあるのでしょうか。タイプ別に解説していきます。■“褒められること”が目的化する医師・臨床心理士の田中茂樹先生によると、褒められてばかりいると「親に褒められること」を優先的にやろうとするそう。しかも、繊細で大人の顔色をうかがうタイプの子ほど、その傾向が強いといいます。この問題点は、「自分が本当にしたいこと」と「親に褒められるからすること」の境界が曖昧になること。つまり、子どもは「自分で選んだ」と思い込んでいても、根底には「親が喜ぶから」「親が望んでいるから」ということが選択の基準になっているのです。それは、おもちゃや食事といった小さなことから、進路や友人選び、就職や結婚など人生における大きな選択に至るまで、子どもの心を支配します。■褒められないと不安になる些細なことでもすぐに褒めてしまう親御さんは要注意です。公認心理師・産業カウンセラーの大美賀直子氏によると、たとえば「宿題できたの?えらいわね」などと、やって当たり前のことでもいちいち褒められていると、子どもは「褒められる状態」がデフォルトになるそう。すると、「褒められない状態」に不満や不安を感じるようになるといいます。さらには、社会に出てからは「褒められないとモチベーションが上がらない」「上司が命令ばかりしてくるからムカつく」というように、自分は何もしなくても褒められて当然の存在だと勘違いして周囲とぶつかるケースも見られるそう。■失敗を恐れるようになる榎本博明先生は、「褒められてばかりいると、ちょっと注意されただけで自分が全否定されたような気になってしまう」と述べています。そのため、非常に打たれ弱く、挫折することを必要以上に恐れるように。頑張ってもいないのに、むやみやたらに褒められ続けてきた結果、困難に立ち向かったり、失敗を反省したりする経験がないまま大人になってしまうのは本人のためにもなりません。■難しい課題に挑戦しなくなる褒められ続けて「失敗を恐れる」という状態からさらに発展すると、「難しい課題に挑戦しなくなる」傾向が見られるようになります。榎本先生によると、褒められ続けると、その状態を維持しなければならなくなるため、失敗するかもしれない難しい課題には最初から挑戦しなくなるそう。確実に褒められる自信がある得意な課題ばかりに取り組み、自分を成長させるための難しい課題には手をつけなくなってしまうのです。■本番に弱くなる中学受験専門塾ジーニアス代表の松本亘正さんは、「褒めて伸びる子」と「褒めて伸ばすが通用しない子」の違いについて、次のように説明しています。そもそも、聞き分けがよくてかしこい子であれば、親は自然に褒める機会が多くなります。すると本人が勝手に自信をつけて、さらに伸びるようになるそう。一方で、調子に乗ってふざけやすかったり、うっかりミスが多かったりすると、親は叱ったり小言を言ったりする機会が増えます。しかし、親が育児本などを読んで「褒めて伸ばさなきゃ」と叱ることを我慢すると、子どもはますます野放し状態に。松本さんは、「注意されるべきときに甘やかされた子どもは、ここぞというときに実力を発揮することができない」と断言します。叱られずに甘やかされた環境では、いざ勝負というときに結果を出せるタフなメンタリティーは育たないのです。■ズルをするようになる米カリフォルニア大学、カナダのトロント大学、中国杭州師範大学の研究者らによる調査で、子どもを「賢い」「頭がいい」と褒めると不正行為を働きやすくなる可能性があるという驚きの結果が出されたそうです。3歳児と5歳児を各150人ずつ、計300人の子どもたちを対象にしたこの実験では、伏せられた数字カードの数を当てるという簡単な推理ゲームを行ないました。子どもたちが数字を当てたあとに、あるグループには「賢いね」と褒め、またあるグループには「がんばったね」と褒め、さらにはまったく褒めないグループを作ります。その後、「ズルをしないでね」と約束したあとに研究者らが部屋を出て子どもたちの様子を別室で観察しました。すると、「賢いね」と褒められた子どもたちだけ、伏せられたカードを盗み見し始めたのです。研究者らはこの結果を受け、不正行為を働いてしまう原因として、「賢い」という褒め方がプレッシャーになっている可能性を示唆しています。「いいことをした場合に『素晴らしい』とその行為を褒めるのとは異なり、『賢い』というのは自身の能力への評価であることを子どもは理解しています。自分の能力だけでは達成できない問題に直面したときでも他人の期待に応え、『賢い』と評価してもらう必要があると考え、不正行為を行うようになってしまうのです」(引用元:J CAST ニュース|子どもを「賢い」と褒め続ける教育ご用心!インチキする子になりますよ)「頭がいい=賢い」ことを褒められた子どもは、「頭が良くない」結果が出ることを恐れ、期待に応えなければという過度なプレッシャーを感じます。そして、ズルをしてでも結果を残すことに執着してしまうのです。子どもを「褒められ依存症」にしないためにできること子どもを過剰に褒め続けた結果、子どもの人間性や将来の可能性にまで影響を及ぼしてしまうことがおわかりいただけたのではないでしょうか。最後に、子どもが「褒められ依存症」にならないために、親ができることをお伝えします。みなさんは、無意識のうちに「100点満点なんてすごい!」「A判定ばかりでよかったね!」と、テストや成績表の結果にだけ注目する褒め方をしていませんか?認定心理士の中垣俊子さんは、このような褒め方をしていると結果重視になり、結果にこだわって手段を選ばなくなることもあるといいます。この場合、「集中して勉強してたからだね」「苦手を一生懸命克服しようとがんばったからだね」と、子どもが取り組んだことに注目して褒めてあげるといいでしょう。ほかにも「それでこそうちの息子だ」「お母さんも鼻が高いわ」と、子どもと親を一体化したような褒め方も危険です。子どもの行動によって、まるで親の価値が上がるような気持ちにさせると、「お母さんのために○◯しなければ」とプレッシャーを感じてしまいます。子どもの手柄は子どものもの。子どもの成功やいい結果に対しては、共感して一緒に喜ぶだけに留めておきましょう。脳科学者の篠原菊紀先生は、「『気が向いたときに褒める』くらいの適当さが、褒めることの効果を高め、結果的には子どものやる気を維持させることにもつながる」と話します。常に子どもを褒め続けてしまうと、子どもが「こうすれば褒められるんじゃないか」と予測したときに脳の快楽物質・ドーパミンが分泌されるようになるそう。しかし次第に、実際に褒められたときには喜びが薄れてしまうようになるのです。「いつ褒めよう」「どうやって褒めよう」と考えすぎると、親子の関係性にまで影響を及ぼしかねません。だからこそ、親は子どものテストの結果だけに注目するのではなく、ありのままの姿を見て、いい部分を見つけたら認めてあげるように心がけましょう。***わが子がいいことをしたら、めいっぱい褒めてあげたいのが親心。ただし、ここで説明したように、間違った褒め方ばかりをしていると逆効果になることも。「褒めてあげなきゃ」と考えるよりも、お子さんの普段の様子をよく観察して、「成長したな」と思える部分に着目した声かけをするといいでしょう。(参考)榎本博明(2015),『ほめると子どもはダメになる』, 新潮新書.DIAMOND online|「ほめる子育て」の問題点は「命令」が隠れていること。All About|ほめすぎは逆効果?アドラー流・よりよい声かけのコツ東洋経済オンライン|「褒めて育てる」でダメになった日本の若者PRESIDENT Online|「子を褒めて伸ばす」ブームで子が潰れるJ CAST ニュース|子どもを「賢い」と褒め続ける教育ご用心!インチキする子になりますよPHPのびのび子育て 2019年12月号, PHP研究所.StudyHackerこどもまなび☆ラボ|「間違った褒め方」していませんか?子どものやる気を維持させる「ほめ方」メソッド
2020年03月10日次から次へと新しい情報が入ってくる現代社会では、「このままでいいのかな」と誰しも不安になるもの。そして、子どもの将来を心配すればするほど、よりよい教育を受けさせたいと考えるのは当然の親心です。ただし、あまりにも教育熱心になりすぎるのいは逆効果かも。今回は、教育熱心な親が子どもにもたらすデメリットについて、とことん考えていきましょう。わが子をスーパーマンにしようとする親たち今の子どもたちは、小学校に上がる前から複数の習い事に通ったり、通信教育などで先取り学習をしたりと、学びの機会に恵まれています。しかし、そのほとんどは、親が選び、親が決めたものばかりなのではないでしょうか。玩具などを手がける株式会社バンダイが2019年に実施した「子どもの習い事に関する意識調査」によると、習い事を始めるきっかけは「親の意向」が全体の約6割という結果に。人気の習い事トップ3の「水泳」「学習塾」「ピアノ」にいたっては、いずれも親の意向がきっかけで始めたという回答が多いものの、「ダンス」や「サッカー」は “子どもの意向で始めた” という回答のほうが多く、子どもの興味がある習い事と、親が子どもにやらせたい習い事にはズレがあることが浮き彫りになりました。時代が進むにつれて、新しいジャンルの習い事が増えたり、多様な学習法が誕生したりと、子どもを取り巻く教育環境は変化し続けています。だからといって、親が焦って「流れに乗り遅れないように」と必死で新しいもの取り入れることは、はたして本当に「子どものため」になっているのでしょうか?教育ジャーナリストのおおたとしまささんは、「今の親は、子どもをスーパーマンみたいな人間に育てようとしている」と危惧しています。情報が氾濫している時代ゆえに、親はわが子に「高学歴を得たうえで、英語ができないといけない、プログラミングができないといけない、コミュニケーション能力が高くないといけない……」と、高すぎるハードルを課してしまうのです。教育熱心なのに残念な親の3タイプ教育熱心な親は年々増加傾向にあるものの、その根底にある思いや願望は人によってさまざまです。なかでも注意しなければならないのは、「教育虐待」に陥った結果、子どもの自己肯定感や親子の関係性を崩壊させてしまうこと。「教育虐待」とは、教育を理由に子どもに無理難題を押しつける心理的虐待であり、具体的には次のようなケースが該当します。・宿題が終わっていないと、夜遅くまでやらせる・解けない問題があると、「どうしてできないの?」と責める・塾や習い事でスケジュール漬けにしている・親子間の約束が守られなかったとき、厳しく責め立てる・成績が悪いと、「努力が足りない」「人間のくず」などの暴言を浴びせる(引用元:StudyHackerこどもまなび☆ラボ|その習い事、子どもは本当に望んでいますか?身近すぎる「教育虐待」の怖さ)子どもは決して勉強ができないわけではないのに、「わが子にはもっともっと高いレベルを目指してほしい」「今のままでは満足できない」という心理から、いきすぎた指導をしてしまうのが教育虐待をする親です。いったいなぜ、「教育熱心な親」が「教育虐待をする親」になってしまうのでしょうか。大きく3つのタイプに分けて解説していきます。タイプ1:子育てを競争だと思っている親「子どもの成功は自分の成功」だと勘違いしているのがこのタイプ。わが子がいい成績を取ることや、いい学校に進学することは、親である自分の成功だと信じているので、勝つことにこだわり、負けることが許せなくなるのです。『100万人が信頼した脳科学者の 絶対に賢い子になる子育てバイブル』(ダイヤモンド社)の著者であるジョン・メディナ博士は、親が教育一辺倒となり、厳しい指導ばかりしていると、子どもの脳の発達に影響を及ぼすといいます。親からの大きすぎる期待を感じ取った子どもは、親を喜ばせようとして理解したフリをしたり、好奇心を失って妥協するようになったりと、思考力を伸ばすことが困難に。さらに、期待に応えられないわが子に怒り、失望した親の姿を見た子どもの脳は、うつ病の引き金ともなる「学習性無力感」を引き起こす可能性もあります。タイプ2:子どもと自分を同一視している親親と子どもは違う人間だとわかってはいても、「自分の子どもなんだから同じ価値観のはず」と心のどこかで信じているのがこのタイプ。明治大学文学部教授の諸富祥彦先生は、特に母親が娘に対して「自分のコピーのようなもの」だという認識をするケースが多いといいます。このタイプは、一見すると子どもに対して理解があるように見えます。たとえば進路を決める際に、「好きな学校を選びなさい」といいながらも、子どもの志望校を聞いたとたんに「でも、その学校だとこういうところが心配だな」とつぶやくなど、「あなたのためを思っているのよ」という態度を取るのです。すると、子どもは反発しづらくなり、結果的に親の顔色ばかりうかがう「いい子症候群」になってしまいます。ありのままの自分を認めてもらえない子ども時代を過ごすと、人間関係の壁にぶつかりやすくなったり、人生自体に虚無感を抱くようになったりと、成人後に生きづらさを抱えるようになるケースも。タイプ3:間違ったほめ方をしている親「子どもを伸ばすにはとにかくほめるべき!」と信じて、知らぬ間に子どもに負担を与えているのがこのタイプです。『子どもが伸びるいいわがまま心を荒らすわるいわがまま』(PHP研究所)の著者で認定心理士の中垣俊子さんは、「親のほめ方次第で子どもに悪影響を与える危険性がある」と指摘します。たとえば、「テストの結果だけに注目してほめる」「兄弟やお友だちと比較してほめる」など間違ったほめ方を続けていると、子どもは次第に失敗を恐れるようになったり、結果重視になり手段を選ばなくなったりします。また、「この調子で次もがんばるのよ」と将来への期待を込めて圧力をかけるほめ方もよくありません。子どもにとって「いつも○○すべき」というプレッシャーにつながるので、“次回” や “未来” ではなく、「今」の姿をきちんと認めてあげましょう。どんな子どもにも備わっている「自分で伸びる力」子どものためを思うがゆえに、熱意の方向性が間違ってしまったのなら、少し立ち止まってみませんか?「百ます計算」や「陰山メソッド」でおなじみの陰山英男先生は、「将来のため」と鬼気迫る表情で子どもに勉強や習い事をさせる保護者に対して、警鐘を鳴らしています。そして、「子どもに将来幸せな人生を送ってほしいなら、幼児期に子どもが楽しい・幸せだと感じられる時間を重ねることが大事」だと断言しています。親が一歩引いて子どもを見守るように心がけると、子どもは安心して物事に向き合えます。陰山先生は、「『失敗したら怒られる』『うまくやらなくちゃ』というプレッシャーを感じていない子どもは、勉強やスポーツなど、何事に対しても楽しみながら取り組むことができる」とも。さらには、人の失敗に対しても寛容になるので、相手を思いやる気持ちも育つといいます。子どもにたくさんの習い事をさせることで、将来への安心感を手に入れている親御さんに向けて、おおたとしまささんは次のようにアドバイスしています。習い事とは、子ども自身が求めるものをすることによって、夢中になり、達成し、挫折を味わい、そして壁を乗り越えることで、「やり抜く力」を育ててくれるものであり、なんらかのスキルを得るのは副次的な成果です。(引用元:StudyHackerこどもまなび☆ラボ|「教育虐待」のやっかいな実態。今の子どもには“決定的に足りない”時間がある)おおたとしまささんいわく、「あれこれ習い事させる代わりに、『ぼーっとする時間』を子どもに与えるべき」とのこと。なぜなら、「ヒマだな」「何をして過ごそうかな」という時間があって初めて、子どもは自主性を発揮するから。そこで「ヒマだから本でも読もう」「絵を描こう」などと考えて、「何をしているときに幸せを感じるのか」を知ることができるのです。それはこれから先の長い人生で、大事な決断をしなければならないときや、自分が進むべき方向を決めなければならないとき、必要となる力の基礎になるでしょう。***親の期待が大きければ大きいほど、子どもにとってはプレッシャーになります。習い事などでスケジュールをパンパンに詰め込むよりも、「ぼーっとする時間」こそが子どもの能力をぐんぐん伸ばすかもしれませんよ。(参考)株式会社バンダイ|「子どもの習い事に関する意識調査」結果StudyHackerこどもまなび☆ラボ|その習い事、子どもは本当に望んでいますか?身近すぎる「教育虐待」の怖さダイヤモンドオンライン|「子育ては競争ではない。」親の「大きな期待」が子どもの思考を奪うのはなぜ?StudyHackerこどもまなび☆ラボ|“手がかからない子”ほど要注意!「いい子症候群」が怖い理由と、その防止法PHPのびのび子育て 2019年12月号,PHP研究所.PHPのびのび子育て 2020年1月号,PHP研究所.StudyHackerこどもまなび☆ラボ|「教育虐待」のやっかいな実態。今の子どもには“決定的に足りない”時間がある
2020年03月09日子どもは大人と同じペースで行動することができません。何をするにも時間がかかり、上手にできなかったり間違ったやり方で遠回りしたりすることもありますよね。そんなとき、イライラしてつい「早く早く!」と急かしていませんか?あるいは先回りして「こうやったら上手にできるよ」と、手出ししたり口出ししたりしていませんか?今回は、子どもに対して「待つ」ことができなくなってしまった親御さんに向けて、「待つ」ことの大切さや、それにより子どもがどう変わっていくかについてお伝えしていきます。「早くしなさい!」は子どものため?親のため?グローバル化が進み、これからの時代はますます「自主性」や「自分で考える力」が求められます。これらの力を育むには、子どもの「やりたい」という気持ちを尊重することを心がけなければなりません。そうは言っても、なんでもかんでも好き勝手にやらせるわけにはいかず、ついあれこれ口出ししたり、先に手出ししたりしてしまいますよね。モンテッソーリ教育を掲げる幼稚園「吉祥寺こどもの家」の園長である百枝義雄先生と奥さまの百枝知亜紀先生は、「親が “待つこと”」の重要性について次のように述べています。「親がやるべきことは “待つ” ことと “共感”。楽しんでなにかを成し遂げた子どもの『できた!』『やった!』という気持ちに寄り添って『できたね!』『やったね!』と言ってあげるだけで、子どもには大きな力になる」(義雄先生)「悩んだり、迷ったり、考えたりすることも子どもの『やりたい』なのだから、親が『早くしなさい』なんて言わずに待てると、子ども自身が試行錯誤するうちに “考える力” が育つ」(知亜紀先生)親が子どもを「待つ」ことで、子ども自身の能力が伸びるのですね。でも、忙しい毎日のなか、ゆっくり待ってあげることが難しいのも事実です。スーパー保育士としてメディアなどで活躍中の原坂一郎先生は、親が子どもを「待てない」のは、「待つと自分に不都合がやってくるから」と説いています。常に効率化を考えながら行動する忙しい大人にとって、一分一秒とも無駄にはできません。原坂先生は、「時間が惜しいときに待つと、あとで大変なことがやってくると想像してしまうため、つい子どもに『早く』と言ってしまうのでは」と述べています。しかし、それは完全に親の都合でしかなく、子どものペースは考慮されていません。子どもを待つと言っても、そんなに長い時間はかかりません。たとえば靴を履くときは、2歳の子どもでも10秒もあれば片足が履けます。でもその10秒を待つことができず、5秒ほどで「早く」と言ってしまってはいないか、考えてみてください。(中略)日常の中であと10秒待ってみる習慣をつけるだけで、「ひとりでできた」という達成感を味わえるものがずいぶんと増え、子どもにとっては自分自身への自信にもつながっていきますよ。(引用元:ベネッセ教育情報サイト|スーパー保育士が伝授!「待つ」ことで育つ子どもの思考力)親がほんの少し時間や気持ちに余裕を持つことで、子どもの自主性や自己肯定感を高めることにつながるのです。優しい子・賢い子の親は「待つこと」ができるでは実際に、親が「待つ」ことで子どもはどのように変化していくのでしょうか。原坂先生は、「親に待ってもらった子は、やがて自分が『待てる子』になる」と言います。自分を待ってくれた相手に対して優しさを感じ、自分自身も他者に対して待つことができるようになるのです。わが子が優しい人間に育ってほしいと願うなら、まずは親自身が待ってあげることから始めてみるといいかもしれませんね。ほかにも、親が「待つ」ことで子どもはさまざまな能力を伸ばしていきます。中学受験のプロである小川大介先生が、5,000組を超える親子と接して気づいたのは、「親に見守られて、好きなことにとことん熱中した経験のある子どもは、最後の最後で踏ん張り、自らの力でぐんぐん力を伸ばしていく」ということ。小川先生によると、親が子どもを「待つ」ことで、子どもが「自分でやりきった」という達成感を得られるそう。さらにその達成感によって自信が育まれ、ほかの課題に対する「やってみよう」という意欲にもつながっていくと言います。「早くしなさい!」は「脳を使うな」という指示!?発達脳科学・MRI脳画像診断の専門家である加藤俊徳先生は、親から「早くしなさい!」「まだできないの?」といった言葉をかけられ続けることで、子どもの脳の成長の機会が奪われる危険性を指摘します。加藤先生によると、「早くしなさい!」という指示は、脳科学的な解釈では「脳をたくさん使わず、ちょっとだけ使って、今やっていることをパパッと終わらせなさい」ということを意味するそう。“脳が動いている時間” を増やすほど脳の成長につながるので、「早く!」と子どもを急かすほど、脳を使う機会が奪われ、脳の成長にも影響を及ぼすというわけです。子どもの脳の成長のためにも、「急かさず待つ」ことが重要。頭ではわかっていても、忙しくて時間がない親御さんや、せっかちで心配性な親御さんにとっては、「待つ」ことは難しいですよね。そこで加藤先生が提案するのは、まずは「話すスピードをゆっくりにする」ことだそう私のクリニックや講演会などでもよく感じるのですが、おっとりと話す親御さんのお子さんは、総じて頭がよかったり、脳の成長が早かったりします。おそらく、親御さんがゆっくり話すおかげで、子どもの脳で「考える」時間がしっかり確保されているのでしょう。(引用元:ヤマハ音楽研究所ON-KEN SCOPE|『耳育て』は『脳育て』教えて!加藤先生|子どもの「聞く力」が伸びる親子の話し方)脳が未熟な子どもは、大人と同じことをするにも処理に時間が数倍かかると言われています。ですから、子どもの反応が遅いからといって、言葉をかけ続けたり、すぐに手を貸してしまったりしては、子どもの脳の成長を邪魔していることにつながるのです。待つ?待たない?見極めることも大事最後に、日常の「待てない」状況におけるアドバイスや、「待つこと」の注意点についてご説明します。■すぐに言い返さない!忙しいときや急いでいるときに限って、子どもがぐずりだしたり反抗的になったり……。カッとなって言い返してしまい、さらに状況が悪化することも。× NGパターン:イライラして、つい「だから、それは○○だって言ってるでしょ!」「△△だって言ったら△△なの!」と、瞬時に言い返して頭ごなしに叱ってしまう。○ OKパターン:加藤俊徳先生によると、子どもの話を最後まで聞かずに途中でさえぎったり、すぐに反論したりし続けていると、子どもの脳の “聞く力” が育たないとのこと。こういった場合、瞬発的に言い返さずに、一呼吸おいてから返答するように心がけましょう。その後、「どうやったらうまく□□できるかな?」と、子どもが困っていることのヒントになるような問いかけをしてあげるといいでしょう。■説明せずに親の都合に付き合わせない!子どもの行動が遅いため予定が狂うというストレスから「待てない」状況になっているのなら、「子どもは親の予定に合わせて動くべき」という思考になっている可能性も。× NGパターン:「8時には家を出なくちゃならないのに……(イライラ)」「ああ、もう!時間がないから早く準備しなさい!」と突然怒りだす。○ OKパターン:小川大介先生は、「誰かの予定に合わせて動くのは、とても高度なこと。子どもは自分のことで精一杯なので、親がきちんと対策するべき」といいます。わが子のペースを事前に把握して、着替えには何分かかるのか、など準備をするのに何分くらい必要なのかを計算したうえで予定を組めば、落ち着いて対処できます。また、子どもには「8時には出発しないと電車に間に合わなくなって遅刻しちゃうからね。7時50分までには準備万端にしておこうね」と理由を説明しましょう。■意地になって無理に待ち続けない!「待つことが大事」と思うがゆえに、子どものSOSを見逃してしまうケースも。手助けするタイミングも考えて、子どもの変化を敏感に察知して。× NGパターン:子どもが難しい問題を解いていて、20分も30分も手が止まっている。でもここで声をかけたらダメだと思い、自分で乗り越えるまで見守ろう。○ OKパターン:小川先生は、「ひとりで考える意味があるのは、考えれば答えにたどりつけそうな場合のみ」とし、「『どうしたらいいかわからない状態』の30分は、子どもにとって苦痛でしかない」と述べています。日ころから子どもの様子をよく観察し、助けを求めているのか、夢中になって取り組んでいるだけなのか、親だからこそわかるサインを見逃さないようにしましょう。「今の能力ではまだ対処できそうにない」と判断した場合、「どこまでわかった?」「難しいよね、一緒に考えようか」などの声かけを。***子どもに「早くしなさい!」と言ったことがない親はいません。まずはできる範囲で子どもを見守り、待つことを心がけましょう。待つことでお子さんの優しさが育まれ、脳の成長にもつながっていきますよ。(参考)StudyHackerこどもまなび☆ラボ|親が待つことができれば、子どもの「考える力」は育つ。理想の家庭教育は追い求めない!ベネッセ教育情報サイト|スーパー保育士が伝授!「待つ」ことで育つ子どもの思考力レタスクラブニュース|頭がよくなる3原則プラス1③待つ◆頭のいい子の親がやっている「見守る」子育て【連載】(6)ヤマハ音楽研究所ON-KEN SCOPE|『耳育て』は『脳育て』教えて!加藤先生|「話しかけたら、ちょっと待つ」が、子どもの脳を成長させるヤマハ音楽研究所ON-KEN SCOPE|『耳育て』は『脳育て』教えて!加藤先生|子どもの「聞く力」が伸びる親子の話し方
2020年02月14日「音楽で優れた実績を残した鬼才たち、ベートーベンもビートルズもスティービー・ワンダーも特別に優れた “音楽的脳” を持っているわけではない――」元ロック音楽プロデューサーにして現・認知心理学者で神経科学者、カナダ・モントリオール、マギル大学名誉教授のダニエル・J・レヴィティン氏は、こう言っています。つまり、生まれた時の “脳力” は皆ほぼ同じ……?環境や行動が脳を育てていくということ、そのためのすばらしい方法として「音楽」がよりよく作用することが、さまざまな研究からわかってきました。今回は、特に効果的だとされる幼少期の「音楽による脳活」について、詳しくご紹介します。子どものうちに音楽を知る大切さノースカロライナ州立大学のドナルド・C・ホッジズ教授は生前、以下のように主張しています。音楽ほど脳の多くの領域を活性化するものはありません。これは後のすべての学習の基盤を築くのに役立ち、子どもが学校で、そして後年に成功するかどうかを決定します。(引用元:Wellard School Of Music|The Benefits Music Has On Your Child’s Development)なんと、「音楽」はIQなどの認知能力もアップさせてくれるというのです。また南カリフォルニア大学の研究においても、音楽は情操教育にいいだけでなく、「頭脳形成や決断力強化に有効」であることも示唆されています。特に演奏を伴う活動は有効で、「脳が筋肉であるとすれば、楽譜を読んだり楽器を演奏したりすることは、脳にとって究極のエクササイズ」なのだそう。そして大切なのは、音楽に触れ始める時期です。人の感覚の中でいちばん早く成長するのは聴覚で、2歳頃から発達し始め、幼児後期の4~5歳の頃に臨界期(最も大事な時期)を迎えるのだそう。その大切な期間に、できるだけ多様な音楽に、できるだけ多く接する機会を作ることが、音感だけでなく、人として必要な能力を伸ばすチャンスと言えそうです。音楽が脳に与える大きなメリットでは、具体的に音楽はどのような好影響を脳にもたらしてくれるのでしょうか。3大メリットを詳しく見てみましょう。■メリット1:HQ(人間性知能)が育つ音楽を学ぶことは、HQ(人間性知能)の発達にとてもいいのだそう。「HQとは、社会の中で夢や目標に向かって協調的に生きるための能力」と言っているのは、HQ提唱者である脳科学者の澤口俊之氏。脳内の、思考や創造性を担う最高中枢である前頭前野の主要神経システムが、音楽から刺激を受けて鍛えられることで、HQが発達するという仕組みです。そして音楽の中でも、ピアノを弾くことが特にいいとのこと。両手で違う動きをすること、譜面を先読みして覚えて弾くことが、脳のトレーニングにとても効果的だと考えられているのです。■メリット2:言語習得などの学習効果がある幼児期には言語能力もどんどん発達しますが、音楽も言葉も「聞く」という行為において共通しており、実際、「言語の音に関する知識と音楽能力の間には関連性がある」という研究結果で出ています。つまり、音楽で耳を育てることで、言語習得においてもいい影響が得られるということです。また、ワシントン大学の研究では、9ヶ月の赤ちゃんに1週間音楽体験をしてもらい、彼らの脳を分析したところ、情報処理と認知機能(記憶、思考、理解、計算、学習、言語、判断などの知的な能力)を司る部分が活性化していることが認められました。加えて、トロント大学の調査でも、「音楽教育を受けている子どものほうが、知能テストや記憶力テストでいい成績を残しており、その影響は長期にわたって持続する」という研究結果が報告されています。ノースカロライナ大学の調査では、学習の中でも特に数学に効果的という結果が。これは、リズムを身につける際に自然と分数や比率などを学んでいるからだと言います。さまざまな研究で、音楽の学習効果は証明されているのです。■メリット3:運動能力が発達する音楽を聴くだけでなく、演奏することで、運動能力を高められることがわかっています。楽譜を見て、周りの音に合わせるために耳を澄まし、楽器を操るために指を細かに動かす――これらの複雑な行為が脳の刺激となって、運動機能を司る小脳を発達させて、運動能力の向上につながるというわけです。さらに、小さい頃から音楽を習っている子どもは、右脳と左脳をつなぐ部分が発達し、双方のコミュニケーションが強化されることで、さらなる能力アップが期待できるそう。音楽を聴く、演奏することは、さまざまな感覚や機能を駆使するため、脳のたくさんの部分を刺激するのですね。音楽には癒しの効果があり、情操教育にもいいことも周知の事実となっています。いいことづくめの音楽教育。堅苦しく考えずに、まずは「親子で楽しむ」という気軽さで、生活に音楽を取り入れたいですね。***ハーバード大学で2018年、少数民族を含めた世界のさまざまな国のさまざまな音楽をランダムに聴いてもらい、「子守唄」「鎮魂歌」「舞踊曲」など各テーマにマッチングしてもらうという調査が実施されました。すると、その文化に無知であっても、曲のテーマを正しくとらえることができるという結果が出たのです。言葉や文化を超えた普遍性が音楽には備わっていることが明らかに。言葉がわからなくても、音楽でつながることができる、共感できるーー音楽が、グローバル化が進む世界において、子どもたちにとって貴重なコミュニケーションツールになりうるなんて、とてもすてきなことですね。(参考)FRIENDS OF EL SISTEMA JAPAN|音楽教育は子どもの脳発達に好影響ON-KEN SCOPE|幼児〜児童期の音楽体験が与えるものとはWIRED|元ロックプロデューサーの神経科学者に聞く、音楽と脳の関係(1)StudyHackerこどもまなび☆ラボ|絶対音感はどう養う?子どもに身につけさせたい、絶対音感と相対音感のトレーニング法FRIENDS OF EL SISTEMA JAPAN|音楽教育は子どもの脳発達に好影響Wellard School Of Music|The Benefits Music Has On Your Child’s DevelopmentGYMBOREE|幼児期の子どもに音楽に触れさせると、能力が高くなる︎Pianoseed.com|音楽がもつさまざまな効能を子どもたちへ音楽教育の重要性とはPTNA|今こそ音楽を!第3章 脳科学観点から〜澤口俊之先生インタビュー(1)
2020年02月12日「うちの子は学校の友だちがたくさんいるし、習い事をいくつもさせているから人間関係は充実しているはず」「休みの日は家族で遊んで、長期休みにはおじいちゃんおばあちゃんに会っているし、コミュニケーションはうまく取れているほう」そう信じて安心している親御さんも少なくないのではないでしょうか。しかし、子どもの成長や学びの場は、家庭や学校・習い事以外にもたくさんあるのです。今回は、子どもの生きる力をぐんぐん伸ばす「多様な人間関係の大切さ」について考えていきましょう。狭い世界で生きる現代の子どもたち昔に比べて、今の子どもたちは世界中のさまざまな情報に触れることができるだけでなく、インターネットを通じてたくさんの人たちとすぐにつながることができるようになりました。しかしその反面、現実の人間関係はどんどん狭くなってきていることをご存じですか?平日も休日も習い事や塾などで予定がぎっしりと入っていて、近所の友だちと遊ぶこともままならない日々を過ごしている子どもたち。しかも、これから中学・高校に進学するにつれ、ますます自由な時間が減っていくことは明らかです。ただし、子どもの人間関係が制限されているのは、私たち親の意識が影響しているともいわれています。「今の親たちは、子どもと他人との関わりに敏感で、警戒心がすごく強い」と指摘するのは、国立青少年教育振興機構理事長の鈴木みゆきさん。たしかに、ニュースなどで子どもが巻き込まれる事件を目にするたびに不安を感じ、周囲への警戒心が増すのも無理はありません。「遊ぶことの大切さ」を子どもたちに伝える活動を行う『一般社団法人TOKYO PLAY』代表理事の嶋村仁志さんは、次のように述べています。子どものことを、邪魔なものであったり「自分には関係ない」と思ったり、あるいは子ども教育の専門家などが自分のサービスの「お客」として見る。そういうものばかりだとしたら、その社会では子どもをきちんと育てることができないのではないでしょうか。(引用元:Study Hacker こどもまなび☆ラボ|遊具なし、プログラムなし。異例だらけの“ガラクタ遊び”が欧州で大人気の理由)親以外の近所の大人や、お友だちのお父さんやお母さんたちとの関わり合いは、子どもにとって非常に貴重な体験になるといいます。嶋村さんは、「子どものころに近所の人にかわいがられたり、逆に迷惑をかけて怒られたりしたような経験がないまま大人になってしまうと社会性が育ちにくい」ことも指摘しています。今の子どもたちは、昔に比べて確実に狭い人間関係の中で生きているのです。多様な価値観への理解とコミュニケーション能力が必要な時代次に、どうして狭い世界で生きていくのが良くないことなのか、これからの社会ではどんな能力が求められるのかについて考えていきます。脳科学者の茂木健一郎先生は、「子どもが社会に出て活躍するために育てておきたい能力はふたつある」と述べています。ひとつは、読み書きや計算といった「認知的な能力」。そしてもうひとつは、他人と円滑なコミュニケーションをとれる「社会的な能力」です。どんなに勉強ができても、人とうまく関係を築けなければ社会では活躍できません。茂木先生によると、「幼児期は特に社会的スキルを育む必要がある」とのこと。そのためにも、日常的に年齢の違う子たちと遊ぶ機会を多くもち、さまざまな考え方やたくさんの個性に触れることが大切なのです。さらに、これからはグローバル化が進み、多様な価値観や背景を持つ人たちと接する機会が格段に増えていくでしょう。教育ジャーナリストの中曽根陽子さんは、「さまざまな価値観への理解とコミュニケーション力は、経験からしか学べない」と話します。そのためにも重要となるのが、家庭や学校・習い事以外の “第3の居場所” なのです。子どもが “第3の居場所” で得られるものとは?家庭を “第1の居場所”、学校や習い事を “第2の居場所” としたとき、“第3の居場所” とはどのようなところを指すのでしょう。前出の中曽根さんによれば、地域で開催される自然観察会や、スポーツ、音楽、アートのイベントなど、年齢も背景もさまざまな人が集まる場所だといいます。それ以外にも、1日限りのワークショップや、子どもだけで参加するキャンプ、親の友人同士の集まりなど、出会いの機会はたくさんあります。■コミュニケーション能力が伸びる!そういった第3の居場所では、自分の知らない世界を見聞きすることができるので、子どもはぐんと視野を広げることができます。そして、コミュニケーションの点においても大きなメリットが。中曽根さんは、「心理的距離があるので、理解し合うためにはどんな切り口で話をしたらいいか、自然と相手のことを考えながら話をするようになる」といいます。それは、家族や身近な友人との会話では得られない緊張感です。相手と距離があるからこそ、自分の考えを筋道を立ててわかりやすく伝える訓練にもなるのですね。■「公私」の感覚を知り、礼儀を学べる!前出の鈴木みゆきさんは、さらに「礼儀」を学ぶにも絶好のチャンスであると述べています。親以外の大人との交流で、まず、子どもは「礼儀」を身につけます。親への甘え方とはちがう態度で接したり、あるいは親が相手なら反発するようなことも素直に聞き入れたりと、子どもなりに「公私」の感覚を持つのです。また、子どもの頃、「大人の話に子どもが口を挟むな!」なんて周囲の大人に言われた経験がある人もいるでしょう。これは、「場を知る」「立場をわきまえる」ということにつながるものです。(引用元:Study Hacker こどもまなび☆ラボ|「大人の愛」と「協働力」が子どもを大人に導いていくーー親以外の人との交流によって広がる子どもの視界)■親の心がラクになる!また、子どもに第3の居場所があることは「親にとってもメリットがある」と説くのは、東京大学大学院教育学研究科臨床心理学コース教授の中釜洋子先生です。中釜先生は、「最近、わが家のルールを知らず知らずのうちに細かく決めてしまって、ママ友だちや祖父母などの考えが自分に合わないと、付き合いを狭めてしまうケースも少なくありません」と述べており、親が神経質になることで他者に対して心を閉ざしたり、人付き合いを限定したりするというのです。しかし、社会に出れば臨機応変な対応を求められることが多いもの。中釜先生は、「子どもは、『おうちではダメだけど、おばちゃんの家なら甘いお菓子を食べられる』と区別して考えることができ、意外と柔軟な思考をしている」といいます。親御さんが周囲との関係を閉ざさないように心がけることで、子どもは状況に応じた対応を学べるようになるでしょう。また、親自身も子どもと1対1で向き合い続けるとストレスがたまりますが、ほかの家族の多様な子育ての方法を知ることで、子育てのヒントに気づくきっかけにもなります。みなさんも、わが子を見ては、「どうして○○ちゃんみたいにいい子にできないのかしら」とほかの子どもの良い面ばかりに目がいき、自分の子どもが劣っているように見えてしまうことはありませんか?それはどんな親でも同じです。第3の居場所では、ほかの人が「△△くん、優しいね!」「上手にできるね!」と、わが子の良いところを見つけてくれることも。そうやって、子どもだけではなく、親御さんにとっても「気づきの場」になるのです。親子で一緒に地域の集まりに参加しよう!先ほどからお伝えしているように、第3の居場所はこれからますます必要とされるでしょう。もし今、子どもの人間関係を広げたいと考えているのなら、そのような場所に足を運んでみてはいかがですか?前出の鈴木さんがおすすめするのは、一般の親子が参加できるファミリーキャンプ。全国に点在する青少年自然の家などの施設で、お互いに知らない親子同士がキャンプをするというものです。家族以外の人と一緒に自然体験するという経験をとおして、他人と協力して働くことができる「協働力」が身につくといいます。また、嶋村さんが代表を務めるTOKYO PLAYでは、都内のあちこちで「とうきょうご近所みちあそびプロジェクト」を実施しています。これは、地元地域に暮らす人たちが町会や商店街と協力し、多世代の人が楽しみ、交流する場所をつくることを支援する活動だそう。子どもは大人との交流によって、褒められたり励まされたりすることで自己肯定感を育むことができます。ほかにも、スポーツのイベントやアート系のワークショップなど、お近くの地域でも交流の場がたくさんあるはずです。ぜひ探して参加してみてくださいね。***人間関係は、親子や先生と生徒といった「タテ」の関係と、友人同士といった「ヨコ」の関係のほかに、「ナナメ」の関係もあります。じつはこの「ナナメ」の人間関係こそ、子どもにとっての逃げ場になったり、刺激を与えられる場所になったりするのです。ぜひお子さんに、豊かな人間関係を築くきっかけを作ってあげましょう。(参考)Study Hacker こどもまなび☆ラボ|「大人の愛」と「協働力」が子どもを大人に導いていくーー親以外の人との交流によって広がる子どもの視界Study Hacker こどもまなび☆ラボ|遊具なし、プログラムなし。異例だらけの“ガラクタ遊び”が欧州で大人気の理由PHPのびのび子育て 2019年12月号,PHP研究所.学研キッズネット|AI時代を生き抜くために~「失敗力」が育つ6つの栄養素家庭・学校以外の第3の場所が子どもの生きる力を育てるMIKU|家族の中の子どもを考えよう
2020年01月11日何かに一生懸命取り組んでいてもすぐに飽きてしまうわが子を見ては、「うちの子、ほかの子に比べて集中力がないような気がする……」と頭を悩ませている親御さんも多いのではないでしょうか。今回は、集中力がある子とない子では、生活習慣や親の接し方に違いはあるの?飽きっぽいわが子でも、集中力を身につけることはできるの?という疑問にお答えします!集中できる時間はおよそ15分。短くても集中できれば問題ナシ!そもそも集中力とはどのようなものなのでしょうか。脳科学においては、年齢や学習の習熟度に関係なく、脳が集中力を持続できるのは “15分程度” といわれています。ただし、脳科学者の篠原菊紀先生によると、「いいことが起こる予感がすれば、どんな子どもでも集中力を発揮する」そう。動物がエサを追いかけたら途中でやめないように、「いいことが起こりそう」と期待するだけでドーパミン神経系は活動し、集中力も高まるといいます。つまり、脳を集中した状態に導くには、ドーパミン神経系を活性化させる必要があるのです。そのために必要なのが、「勉強するとほめられる」「宿題が終わればゲームができる」という『報酬(ごほうび)』や、「ここなら安心して勉強できる」という『癒し』の環境です。「うちの子、集中力がなくて……」と悩んでいるのなら、勉強する環境を整えたり、適度な報酬を与えたりすることを試してみてもいいかもしれません。「子どもの集中力」について別の視点で解説するのは、全国で講演活動を行なっているスーパー保育士の早坂一郎先生です。早坂先生によると、親から見て「集中力がない、飽きっぽい」と感じる行動が多くても、必要以上に心配するべきではないとのこと。たとえば、「ライオンを見たい!」という子を動物園に連れていったところ、10秒ほどライオンを見て違う動物を見ようとするわが子に対して、「え?あんなに見たがっていたのに?」とがっかりした経験がある人も多いはず。しかし早坂先生は、「飽きっぽいのではなく、この時期(6~9歳くらい)の子は、短時間だけでも満足するのです」と指摘しています。子どもは興味をもったものには必ず集中するため、たとえ集中する時間が短かったとしても、確実に集中力は養われているそうです。子どもの集中力がなくなる原因は親の声かけ!?そうはいっても、ほかの子に比べて気が散りやすく、集中が持続しないわが子が心配……という親御さんも多いはず。ここでは、子どもの集中力がなくなる原因について考えていきましょう。脳科学者の西剛志先生は、「子どものうちは集中力を司る脳の前頭前野という部分が未発達なので、子どもの集中力はなくて当たり前」としながらも、電車好きの子が飽きずにずっと電車を眺め続けるなど、好きなことに対してものすごい集中力を発揮する子がいることも否定していません。このように、前頭前野が未発達な子どもでも自分の好きなことならしっかり集中できることから、西先生は「好きなことに集中するのが、集中力を育むのにもっとも良いトレーニングになる」と述べています。さらに、子どもの集中力を途切れさせているのは、むしろ親の声かけが関係しているとも指摘しています。たとえば、せっかく集中して何かに取り組んでいるのに、親が「おもしろそうだね」と声をかけることで、その都度子どもの集中力は遮断されるそう。『子どもの成績を決める「習慣教育」』(PHP研究所)の著者である今村暁氏も同様に、「子どもの集中力を育てたいと願うなら、何かに没頭しているときは話しかけないことです。テレビやゲームであっても熱中しているなと思ったら、放っておいたほうがいいのです。集中力を養うことこそ最も大事なことなのです」と述べています。子どもが黙りこくっていると「わからないのかな?」と気になるかもしれませんが、よかれと思って声をかけても逆効果になることもあるため、子どもが集中していたらそっと見守ってあげましょう。「今こそわが子の集中力が養われているんだ」と信じて、手助けしないことが大切です。ほかにも、親の声かけが子どもの集中力を低下させる例として、教育評論家の親野智可等先生は「あなたは集中力がない。もっと集中しなきゃダメでしょ」と叱ることを挙げています。親から「集中力がない」と言われ続けることで、子どもは「自分は集中力がないんだ」と思い込みます。そしてそう思い込むことで、実際に集中力が失われていくというのです。子ども自身が「自分は集中力がある」と思えるような前向きな言葉がけを心がけるといいですね。主体的に遊ぶ・メリハリをつける・余計なものを視界に入れない次に、集中力をつけるための生活習慣について考えていきましょう。帝京短期大学教授の宍戸洲美先生は、前提として「おなかが空いている、眠い、身体が疲れている、といった状況では、集中するどころかやる気も出ません」と指摘します。まずは規則正しい生活習慣を身につけること。そのうえで、集中できる環境づくりに着目していきます。集中力と聞くと「学習への集中力」をイメージしがちですが、宍戸先生は「夢中になってひとつのことに没頭できる力こそが集中力」だといいます。しかし、その“夢中になれるもの”を見つけられない子どもが増えているらしいのです。理由のひとつとして考えられるのが、子どもが主体的に遊ぶ環境が減っていること。宍戸先生は、「常に大人が遊びを支配していたり、禁止事項が多かったりすると、子どもは主体性を出せずに、自分が何をしていいのかわからなくなってしまう」と危惧しています。子どもの集中力を高めるにも、自分がやってみたいことに自由に挑戦できる環境を整えてあげましょう。前出の篠原菊紀先生は、「何かに集中するということは、それ以外の時間とのメリハリをつけること」だと述べています。そして、こうした頭の切り替え能力は、遊びでも鍛えられるらしいのです。じっと座って手を動かすだけでも集中力は鍛えられるので、5歳くらいまでなら、迷路や間違い探しなどのゲームを楽しむのがおすすめです。またテレビゲームも、禁止するのではなく「集中してゲームをする」「休憩する」というメリハリを繰り返すことで集中力が身につきます。『大人になってこまらない マンガで身につく自分コントロール』(金の星社)の著者で作業療法士の菅原洋平さんは、目から入ってくる誘惑の情報を振り切るのは、子どもにとって大きなストレスになるといいます。気になるものが視界に入ると途端に集中力が途切れてしまうのは、大人も同じですね。菅原さんは、勉強中に机の上に複数の教材を置いたり、机の上のビニール製のシートの下にプリントなどを入れておいたりすると、余計な情報が脳に入ってくるので避けるべきだと説いています。今取り組んでいる教材以外に、ほかにもやらなければならないことが目に入ると、精神的な負担になり集中力を下げてしまうため、極力余計なものが目に入らないようにしてあげるといいでしょう。好きなことにのめり込む「絶対的集中力」を育てよう!これまでお伝えしてきたように、「集中力」とはなにも学習の場面だけを指しているわけではありません。進学塾VAMOSの代表・富永雄輔先生は、「親が考える『集中力』は、“机に向かってじっと勉強をする” というイメージが強いため、落ち着きがないわが子を見て『集中力がない!』と思うのでは?」と疑問を呈しています。しかし、どんなに落ち着きがないように見える子でも、大好きなゲームやスポーツ、遊びなどには驚くべき集中力を発揮していることも。富永先生は、たとえゲームでも漫画でも「自ら好きなことに没頭できる時間がどれだけあるか」が大切だと説きます。なぜなら、好きなことにのめり込む経験を多く積むほど、集中できる時間が延び、「絶対的集中力」として定着するから。そして絶対的集中力が身につけば、勉強などにも転化できます。つまり、今はまだ勉強以外のことでしか集中力を発揮できていなくても、いずれは勉強の場面でも発揮できる集中力の基礎を築けているということ。前出の親野智可等先生によると、「自分には集中力がある」と信じている子どもほど、好きではないことや苦手なことをしているときも、「集中力があるから、がんばれるはずだ」という気持ちが出てくるそう。まずはスポーツでも遊びでも、お子さんが「これが好き!」「やっていて楽しい!」と思えるものに集中して取り組める環境を作ってあげるといいでしょう。***西剛志先生はインタビューで、「集中力がなく飽きっぽい子どもの中には、単純に頭がいいという可能性もある」と述べています。つまり、おもちゃにすぐ飽きるのも、頭がいいためにそのおもちゃでの遊び方をすぐに学習してしまうから、とも考えられるとのこと。そう考えると、「集中力がある・ない」ことに一喜一憂して悩む必要はないのかもしれませんね。(参考)洋泉社MOOK(2017),『子どもの脳を伸ばす 最高の勉強法』,洋泉社.JTBのMOOK(2019),『未来に役立つ8つの力が育つ週末体験あそび』,JTBパブリッシング.Study Hacker こどもまなび☆ラボ|集中力がない、聞き分けがない、内気。子どもの性格の「困った」はどうする?プレジデントムック(2019),『プレジデントFamily 小学生からの知育大百科 2020完全保存版』, プレジデント社.ベネッセ教育情報サイト|子どもに集中力をつけるには?[教えて!親野先生]Study Hacker こどもまなび☆ラボ|まなびの保健だより11月号|子どもの脳が集中力を発揮するメカニズム。脳がホッとする時間も必要です洋泉社MOOK(2018),『これからの未来を生き抜く できる子の育て方』,洋泉社.
2020年01月10日みなさんの中には、「夫婦の会話よりも親子の会話こそが重要!」と考えている人も多いのではないでしょうか。たしかに親子の会話は、子どもの内面的な成長に強い影響を及ぼします。しかし、それと同じくらい、もしくはそれ以上に子どもの心に影響するのが『夫婦の会話』なのです。親子の会話以上に夫婦の会話が大切な理由子どもに話しかけるとき、みなさんは「親として」「大人として」ふさわしい言葉を選ぶように心がけているはずです。子どもに使ってほしくない言葉は使わず、模範的な話し方になるように気をつけている人も多いのではないでしょうか。しかし、夫婦で会話をしているときはどうでしょう?心を許している相手だからこそ、リラックスして“素”が出てしまいますよね。その様子を側で見ている子どもは、会話の内容を聞いていないようで、じつはしっかり耳に入っています。そして、無意識のうちに、両親の会話から多くのことを学び、子ども自身の人間関係に反映させているのです。『賢い子を育てる夫婦の会話』(あさ出版)の著者である天野ひかりさんは、親が子に言い聞かせる言葉以上に“夫婦の会話”が大切な理由を次のように説明しています。ます、直接話しかけられる言葉よりも、誰かが間接的に自分のことについて話している言葉のほうが心に響くということが理由としてあげられるそう。たとえば、友人から直接「その洋服オシャレだね」と言われた場合、嬉しいとは思いつつも「お世辞かな?」と感じることもあります。一方、「友だちの○○さんが、あなたのこといつもオシャレでセンスがいいねって褒めてたよ」と間接的に聞くほうが、より心に響くと思いませんか?このことから、天野さんは「親から直接言い聞かされた言葉以上に、親同士や親と誰かが話している言葉のほうが、子どもの心に響く」といいます。さらに、間接的な会話によって、思考力が鍛えられる効果も期待できるそう。両親の会話を客観的に聞くことで、「こんな言い方は相手を不機嫌にさせるんだ」「こういうふうに言うと相手は喜んでくれるんだ」と、知らず知らずのうちにコミュニケーションの方法を学んでいきます。つまり、第三者同士の会話を聞くことで、「これってどういうことなんだろう」と自分で考えるようになるのです。『夫婦の会話』には、私たちが考えている以上に子どもの能力を伸ばす要素が含まれていそうですね。平日は30分未満!?夫婦の会話時間は減少傾向にでは実際に、みなさんは普段どれくらい夫婦で会話していますか?ソフトブレーン・フィールド社による「夫婦のコミュニケーション」に関するアンケート調査では、平日の夫婦の会話時間は「10分~30分未満」が27.3%と一番多く、ついで「10分未満」が26.7%という結果に。なんと半数以上の夫婦が、平日に会話する時間が30分にも満たないということがわかりました。共働きで夫婦ともに忙しく、朝家を出る時間も帰宅する時間もバラバラというパターンも多いため、顔を合わせて話をする時間がないのもうなずけます。ちなみに、同調査では「会話の内容」についてもアンケートをとっており、1位は「子どものこと」で77.8%、2位は「食事や食べ物のこと」で56.4%、3位は「休日の予定」で53.9%という結果が出ました。夫婦の会話時間の短さや会話の内容について、「なんだ、どこの家庭も同じなのね」と安心した方も多いのではないでしょうか。たしかに子どもが生まれてからは、夫婦の共通の話題は、子どものことや日々の食事、休日の予定に関することばかりになりますよね。でもそれだけでは会話が続かないのも事実です。夫婦の会話から子どもが学ぶことは無限大両親の会話が少ないことで、子どもにはどのような影響があるのでしょうか。結婚生活が長くなるにつれ、「言わなくてもわかるだろう」と思い込んで、パートナーへの配慮が欠けてしまうのはよくあることです。しかし、両親の会話が減った結果、子どもは「お父さんとお母さん、ケンカしてるのかな……」「仲が悪いのかな……」と不安を感じてしまうかもしれません。「ごはん、まだ?」では思いやりの気持ちは学べない脳科学者の茂木健一郎先生は、「夫婦が意識的にお互いを思いやる会話をすることが大事」だと述べています。たとえば、お父さんがお母さんに「ごはん、まだ?」とだけ言うよりも、「そろそろごはんにしない?なにか手伝おうか?」と相手への気遣いを見せることで、子どもは「相手を思いやる」ということを学ぶのです。思いやりや感謝の気持ちは、家族間ではつい疎かになりがちです。しかし、茂木先生は「これからの時代は特に『自分の考えや気持ちをきちんと言葉にできなければ、相手に伝わらない』ことを教える必要がある」と指摘します。家庭の中に、思いやりや感謝の気持ちを表す言葉があふれていれば、きっと子どもも他者に対して思いやりの気持ちをもって接するようになるでしょう。「今日の子どもの良いニュース」で親も子も前向きに!教育・受験指導専門家の西村創氏は、「成績が良い子どもの両親は、たいてい仲が良い」と述べています。そして「夫婦の仲はコミュニケーションの量に比例する」ことも指摘しています。西村氏によると、話題が子どものことばかりになってしまうなら、その内容を見直してみるといいそう。「多くの家庭では、子どものマイナスな部分にばかり目を向けて、夫婦の会話でもそうなりがち」だとし、まずは、今日一日の「子どもの良いニュース」を夫婦の会話の軸にすることをすすめています。それは子どもの成長にも良い影響を及ぼします。この、「子どもの良いニュースを伝える」というのは、夫婦間のコミュニケーションを円滑にすること以外にも、大きなプラスがあります。日常では、子どものいたらないところに目がいきがちです。でも、夫に報告するために「我が子の今日のいいところ」を何かひとつでも見つけておこうという意識があると、子どもの良いところを見ようという前向きな視点になります。そしてそのような前向きに見守られている子どもは、いいところが伸びやすくなります。(引用元:All About|夫婦仲を良くして子どもの成績を上げる方法)親から良いところを見てもらうことで、子どもの自己肯定感も高まっていくので、ぜひ取り入れていきましょう。夫婦ゲンカを見た子どもの脳はどうなる?子どもの前で夫婦ゲンカをするのは良くないとわかっていても、つい感情的になって言い合いになることもありますよね。脳科学者の西剛志先生によると、夫婦ゲンカによる子どもへの影響は深刻なものだそう。子どもの前で両親がしょっちゅうケンカしていたら、たとえ子ども自身はケンカをしていなくても、心は常に誰かとケンカをしているときと同じ影響を受けるといいます。その結果、将来的に人間関係の問題を起こしやすくなる傾向があるのだそうです。それは、脳にある「ミラーニューロン」という神経細胞の働きが関係しています。ミラーニューロンとは、目の前の人間の行動を見て、自分も同じ行動を取っているかのように反応する働きのこと。笑顔の人を見ると嬉しい気持ちになったり、ケガをしている人を見ると「痛そう」と思ったりするのは、このミラーニューロンが作用しているからです。たとえ子どもの前で夫婦ゲンカをしてしまっても、仲直りするところまできっちり見せてあげれば問題はありません。前出の天野ひかりさんは、「ケンカを見たことがないと、子どもは正しいケンカの仕方がわからないまま成長します。すると、自分の意見を通そうとして感情的に相手を非難したり、意見を押しつける一方的な行いをしたりするのです」と述べています。正しいケンカの仕方とは、感情をぶつけ合ったとしても、相手の言い分を受け入れる努力をし、お互いに歩み寄って答えを出そうとすること。お父さんとお母さんがケンカをしているのは、お互いに分かり合いたいと思っているから。自分の気持ちを正直に相手に伝えるのはいいことで、たとえ反発し合ったとしても、相手を受け入れたり歩み寄ったりすることでより良い関係に発展することができるーー。夫婦ゲンカを仲直りの段階まで見せることで、子どもはそのことに気づかされます。実践!ありがちな夫婦のマイナス会話をプラスに変える最後に、普段無意識にしてしまっている夫婦の会話のNG例をご紹介。ちょっと気をつけるだけで、夫婦の会話は劇的に変わりますよ。「あなたは○○!」と相手を攻撃しない■NG会話妻「○○が△△でね」夫「(上の空)ふ~ん」妻「ちょっと、ちゃんと聞いてるの!?」夫「……聞いてるよ」妻「あなたっていつもそう!」どちらか一方が話しているのに、もう一方は上の空……。子どものことなど深刻な相談事であっても、これではケンカになって話が進みません。■OK会話妻「○○が△△でね」夫「(上の空)ふ~ん」妻「私はあなたに相談に乗ってほしいと思って話してるのに、真剣に聞いてくれないと悲しくなっちゃうな」東京医科大学付属女性生涯健康センターの小菅二三恵さんによると、相手を攻撃するのではなく、“自分が相手の態度をどう思ったか”を伝えるのが大事とのこと。その様子を見た子どもも、「私」を主語にした言い方をするようになり、お友だちとのトラブルでも、相手を責めずに自分の気持ちを伝えられるようになるといいます。夫婦の意見の相違は、子どもが多様な価値観を学ぶチャンス!■NG会話妻「私は○○したいんだけど」夫「△△のほうがよくない?」妻「えー、△△なんてちっともいいと思わない!」夫「……もういいよ。勝手にすれば」意見がぶつかり合ったとき、どちらも自分の意見を曲げないどころか、相手の意見を否定してしまうのはよくありませんね。■OK会話妻「私は○○したいんだけど」夫「△△のほうがよくない?」妻「なるほどね、あなたは△△がいいと思ってるんだね。じゃあお互いの意見を取り入れて、●●っていう手もあるね」夫「そうだね、それならできそうだね」どちらか一方の意見に強引に従わせるのは、夫婦だからといって許されることではありません。前出の天野ひかりさんによると、夫婦の会話を聞くことによって、子どもは「多様な価値観を受け入れる力」を育むことができるそう。お父さんとお母さんは別々の人間であり、それぞれ異なる価値観を持ち、ぶつかり合ったり尊重し合ったりしながら一緒に暮らしている、ということが理解できれば、成長してからも多様な人間関係に対応できようになります。***大人になってから必要とされる「社会的な能力」のなかで、最も重要なのは“コミュニケーション能力”です。子どもは、家族との関わり合いによって「人との付き合い方」の基礎を学んでいきます。お子さんの将来のためにも、良い影響を与えられるように、夫婦の会話にも注意を払っていきましょう。(参考)マイナビニュース|夫婦の会話時間、平日は“30分未満”が5割超ーその内容は?PHPのびのび子育て 2019年12月号,PHP研究所.All About|夫婦仲を良くして子どもの成績を上げる方法Study Hacker こどもまなび☆ラボ|子どもを自立できる人間に育てるーー脳科学者が考える「理想の子育て」天野ひかり 著・汐見稔幸 監修(2019),『賢い子を育てる夫婦の会話』,あさ出版.NIKKEI STYLE|「言い方」を少し変えるだけで夫婦関係は改善
2020年01月04日私の娘は可愛くない
あり子のワーママ奮闘記
子育てはフリースタイル