不妊治療は、精神的にも時間的にも経済的にも大変なもの。私の場合、まずは地元の産婦人科に通い、そこから大きな病院に転院しました。通院自体も大変なうえに服薬に複数の検査……。しかし、その終わりが来たのは突然でした。そんな私の不妊治療体験談をお伝えします。 赤ちゃんはそのうち授かるものだと思っていた…結婚3年目にして赤ちゃんを授からない私に、母が「それは不妊だよ」と言いました。当時、恥ずかしながら私自身は焦ってもおらず、のんびりと構えていたのですが、このことを機に少し考えるようになりました。 そこで、地元の産婦人科へ行ったのが不妊治療の始まりでした。最初はタイミング療法で「問題がなければすぐにできる」と言われたものの、結局半年経っても赤ちゃんを授かりませんでした。そして、医師に「うちよりも検査が充実した病院に行ったほうがいいね」と、地元で一番大きな病院を紹介されたのです。 通院と検査と服薬の日々不妊治療専門の病院に毎月車で通い、タイミング療法に加えて、私と夫の生殖機能検査、毎月の服薬に卵巣の確認、人工授精……。これらを何度か実施しましたが、半年以上経っても、一向に赤ちゃんを授かる気配がなく、少し疲れてきたころでした。 医師から「子宮卵管造影検査をしてみないか」と打診を受けて、これを実施。しかし、その直後も妊娠はできず、ゴールの見えない治療にあきらめかけ、熱心に取り組めなくなってしまいました。 久しぶりの“治療をしなかった”月に通院している病院が諸事情で1週間ほど休診になったことがあるのですが、折しも私のスケジュールとぴったり合致してしまい、そこで久々の「服薬も検査も何もしない月」ができてしまいました。 次の通院のために記していた基礎体温がなかなか下がらず、まさかと思って妊娠検査薬を用いてみたところ、なんと陽性! そのときに宿ってくれた赤ちゃんは、結果、私たちの子どもとして生まれてきてくれることになったのです。 とはいえ、私としては治療が無意味だったわけでなく、服薬や基礎体温の管理で「妊娠しやすい体」になっていたのかもという印象でした。そして、久々の「服薬も検査も何もしない月」に、気負わずリラックスしていたこともよかったのかもしれません。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 監修/助産師REIKO著者:半田あきら一児の母で専業主婦。家事や子育てのかたわら、自身の体験をもとに妊娠・出産・子育てに関する体験談を中心に執筆中。
2020年11月02日菅内閣が発足し、少子化対策の目玉として「不妊治療への助成拡大」を掲げています。現在、不妊治療のうち、公的な医療保険の対象となっているのは、タイミング法や排卵誘発法など、ごく一部。体外受精や顕微受精といった高度な不妊治療は、高額な治療費の一部を条件付きで国と地方で助成する制度がありますが、公的な医療保険の対象外となっています。子どもを持つことを希望する人たちにとって、重い費用負担の軽減につながる、支援の拡充は朗報と言えます。 不妊治療の種類って?そもそも、不妊治療にはどんなものがあるのでしょう? ●タイミング法(保険適用)超音波検査や尿検査などにより、排卵日を予測して性行為のタイミングを合わせる方法 ●排卵誘発法(保険適用)薬によって卵巣を刺激し、排卵を起こさせる方法 ●人工授精(保険適用外)採取した精液から精子を取り出し、排卵の時期に合わせて細いチューブで子宮内に注入することで妊娠を試みる方法 ●生殖補助医療(保険適用外)体外受精と顕微授精がある。体外受精は、培養器内で人為的に卵巣から取り出した卵子と精子を混ぜ合わせ、受精前に女性の卵管に戻す方法(GIFT)と人為的に卵巣から取り出した卵子と精子を培養器の中で受精させ、培養したあと順調に発育した良好な胚を子宮に戻す方法(IVF-ET)がある。顕微授精は人為的に卵巣から取り出した卵子の中に精子を顕微鏡下で注入して授精させ、受精卵を培養したあと順調に発育した良好な胚を子宮に戻す方法。(ICSI-ET) 下に行くほど高度な治療法となっており、選択した治療法で妊娠が得られない場合には、必要に応じて高度な治療へステップアップしていきます。 高度な不妊治療ほど費用も高額に。半数以上の人が100万円越え不妊治療にかかる費用は高度な治療になるにつれ高額となっています。2018年にNPO 法人 Fine(ファイン)が実施した「不妊治療と経済的負担に関するアンケート2018」では、体外受精の1周期あたりの平均費用は30万~50万未満と回答した人(44%)が最も多かったのですが、50万円以上と回答した人(43%)と拮抗。50万円以上と回答した人は2010年の調査と比較して約2.5倍に増加しています。また、顕微授精についても50万以上と回答した人は2010年と比べて約2倍と、治療費が高額化しています。 出典:NPO法人Fine()「不妊治療と経済的負担に関するアンケート 2018」より さらに治療費の総額が100万円を超えていると回答した人は半数以上、最も多い回答は100万~200万円未満(24.1%)となりました。これも、近年は300万~500万未満、500万円未満と回答した人の割合が増えつつあります。出典:NPO法人Fine()「不妊治療と経済的負担に関するアンケート 2018」より なお、国は不妊治療の経済的負担の軽減を図るため、不妊治療に要する費用の一部を助成しています。給付の内容は以下の通り。 ・対象者(1) 特定不妊治療以外の治療法によっては妊娠の見込みがないか、又は極めて少ないと医師に診断された法律上の婚姻をしている夫婦 (2)治療期間の初日における妻の年齢が43歳未満である夫婦 ・対象となる治療体外受精及び顕微授精(以下「特定不妊治療」といいます) ・給付の内容(1) 特定不妊治療に要した費用に対して、1回の治療につき15万円(凍結胚移植(採卵を伴わないもの)等については7.5万円)まで助成する。 通算助成回数は、初めて助成を受けた際の治療期間の初日における妻の年齢が40歳未満であるときは6回(40歳以上であるときは通算3回)まで。ただし、平成25年度以前から本事業による特定不妊治療の助成を受けている夫婦で、平成27年度までに通算5年間助成を受けている場合には助成しない。(2) (1)のうち初回の治療に限り30万円まで助成。(凍結胚移植(採卵を伴わないもの)等は除く) (3) 特定不妊治療のうち精子を精巣又は精巣上体から採取するための手術をおこなった場合は、(1)及び(2)のほか、1回の治療につき15万円まで助成。(凍結杯移植(採卵を伴わないもの)は除く) (4)(3)のうち初回の治療に限り30万円まで助成。 所得制限 730万円(夫婦合算の所得ベース)※厚生労働省HPより引用 しかし、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、今年4月、日本生殖医学会より日本で新型コロナウイルス感染の急速な拡大の危険性がなくなるまで、あるいは妊婦さんが使用できる予防薬や治療薬が開発されるまでを目安として、不妊治療の延期を選択肢として患者さんに提示するよう推奨する旨の声明が出されました。その声明を受け、厚生労働省は新型コロナウイルス感染防止の観点から一定期間治療を延期した場合、時限的に、 年齢要件を緩和する方針を発表しています。 ①対象者について療期間初日の妻の年齢「43歳未満」↓「44歳未満」 ②通算助成回数について初回助成時の治療期間初日の妻の年齢「40歳未満」の場合は通算6回まで(40歳以上43歳未満の場合は通算3回まで)助成 ↓「41歳未満」の場合は通算6回まで(41歳以上44歳未満の場合は通算3回まで)助成 NPO 法人 Fine(ファイン)が実施した「不妊治療と経済的負担に関するアンケート2018」では、助成を申請していないと回答した人が約6割に上り、申請しない理由は「所得制限を超えるから」が最も割合が高く41%(体外受精・顕微授精の経験がある人では約 65%)、次いで「受けている不妊治療が助成の対象ではないから」が 34%という結果となっています。 近年の助成延べ件数は14万~16万件となっていますが、平成27年度をピークに微減しています(表参照)。 出典:厚生労働省「不妊に悩む夫婦への支援について」より 菅政権の不妊治療拡充では保険適用・助成拡大を目指すそこで、厚生労働省では、今年9月に体外受精などの不妊治療を受ける夫婦への助成金の増額を求める方針を盛り込んだ2021年予算の概算要求をまとめました。そして、10月8日に行われた公明党の検討チームの初会合で、日本産婦人科学会に登録する600余りの医療機関などを対象におこなっている不妊治療の実施件数や費用に関する実態調査について、来月中に結果をまとめたいという考えを示しています。また、9月29日に行われた田村憲久厚生労働相の記者会見では、政府が調整する不妊治療の助成制度拡充の対象について「事実婚も含めて検討する」と表明しています。さらに、10月26日のNHK番組に出演した際には不妊治療の保険適用について男性も対象にするかという質問に対して「そうしたい」と述べ、「(適用までに)少し時間はかかる」「それまでの間は支援策を大幅に拡充したい」と説明しています。 2019年には1年間の出生者数が86万人台と過去最少となり、「86万ショック」と呼ばれました。少子化の原因として、未婚化、晩婚化だけでなく、有配偶出生率の低下も指摘されています。政府は今年5月に少子化社会対策大綱を改訂。希望出生率1.8を目指して、結婚前、結婚、妊娠、出産、子育て等、総合的な対策を打ち出しました。それを発展させる形で菅政権では、少子化対策の目玉として、不妊治療の保険適用・助成拡大を目指しています。 まとめ不妊治療の経済的な負担は大きく、現在の助成対象は限定的であるため、菅政権が掲げた不妊治療の保険適用と助成拡大は、少子化に歯止めをかける起爆剤となる可能性があります。次回は不妊治療のリアルについて、当事者のインタビューなどを交えて紹介します。
2020年10月29日妊娠に欠かすことのできない卵子ですが、みなさんは卵子についてどのくらいご存知ですか? 実は卵子にはみなさんが知らないような不思議な話がたくさんあるんです。卵子のことを知ることで、ご自身の体のこと、命のことをより深く知ることができるかもしれません。そこで、意外と知られていない卵子について、浅田レディースクリニック理事長 浅田義正先生のお話を交えて紹介していきたいと思います。今回は、「精子と妊娠の期限」に関するお話です。 精子はどうやってつくられる?生まれたときには約200万個あり、加齢とともに減少していく卵子。卵子の数は限られていますが、一方精子はどうなのでしょうか。 精子は、精巣のなかにある精細管(せいさいかん)という部分でつくられます。卵子と同じように、原始生殖細胞である精細胞が分裂して精子になります。卵子は、生まれてから一度も新しくつくられませんが、精子細胞の元となる精原細胞はなくなることはなく、分裂した細胞がほぼすべて成熟した精子になるという特徴があります。精子は第二次性徴くらいから毎日つくられるようになり、男性はほぼ一生涯を通じて精子を産生することができます。 精子も卵子と同じように老化する?卵子と異なり毎日つくられる精子ですが、精子も老化するのでしょうか。浅田先生いわく、「加齢の影響がまったくないというわけではありません。しかし、その影響は卵子に比べれば桁違いに低く、妊娠率などの臨床成績にはまったく考慮する必要がありません。 論文では94歳で生児を得た記録もありますし、精子の老化は生殖年齢ではまったく考慮する必要はありません。精子の所見は個人差が非常に大きく、年齢よりも若くても所見がはじめから悪い人も多くいますし、個人でも精液検査は大きな結果のバラツキがあり、あまりあてになりません」とのこと。 妊娠はいつまでできる?現在、日本では女性の社会進出が進み、晩婚化が進んでいます。厚生労働省の人口動態統計によると、今から50年前の1970年の女性の平均初婚年齢は24.2歳、最新のデータ(2017年)では29.4歳と5.2歳上昇しています。 女性の妊娠する力が最も強いのは22〜23歳だと言われています。しかし、最新のデータからも妊娠する力のピークを過ぎてから結婚する女性が多くなっているのが現状です。しかし、実際には40歳以上でも妊娠・出産され、子育てをしている女性もたくさんいらっしゃいます。現在、自然妊娠ではアメリカの57歳の女性が最高齢とされていますが、2019年には体外受精で妊娠した70歳の女性が双子の赤ちゃんを出産し話題となりました。 浅田先生いわく、「70歳の女性が妊娠した事例は、卵子提供と思われます。個人差はありますが、一般的に自然妊娠できる年齢の限界は42〜43歳。身体面、卵子の状態、安全なお産という観点から見ると、22歳〜35歳ぐらいまでに出産できるのが理想的」とのこと。ちなみに浅田先生のクリニックでは47歳が最高齢の出産だそうです。加齢とともに妊娠する力が衰え、不妊の原因は女性側にあると思われる人も多かったようですが、最近では「男性不妊」と言う言葉があるように、男性側の原因による不妊も明らかになってきています。しかし、浅田先生によると、「精子があれば人工授精、顕微授精で解決できます。女性の晩婚化、女性の年齢、卵子の老化が不妊症のダントツの原因です」とのこと。 最近は見直されてきている性教育ですが、まだまだ生理に関することや妊娠の仕組み、避妊の方法にとどまっていて、妊娠の期限に関する情報を得る機会が少ないようにも感じます。「性」に関する教育も必要ですが、今後は男女の生涯を通じた心身の変化ついて学ぶ機会が増えるといいなと思います。 著者:助産師 REIKO医療短期大学専攻科(助産学専攻)卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務。 大学附属病院で助産師をしながら、私立大学大学院医療看護学研究科修士課程修了。その後、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。 監修者:医師 浅田レディース品川クリニック院長 浅田義正先生名古屋大学医学部卒業。名古屋大学医学部附属病院産婦人科医員として「不妊外来」および、「健康外来(更年期障害・ホルモン補充療法)」の専門外来を担当後、米国初の体外受精施設に留学。主に顕微授精(卵細胞質内精子注入法:ICSI)の基礎的研究に従事。95年に名古屋大学医学部附属病院分院にてICSIによる治療開始。顕微授精症例の全症例を担当し、同年5月、精巣精子を用いたICSIによる日本初の妊娠例を報告。98年ナカジマクリニック不妊センター開設。2004年浅田レディースクリニック(現・浅田レディース勝川クリニック)開院。10年に浅田レディース名古屋駅前クリニック、18年には浅田レディース品川クリニックを開院。多くの不妊に悩む女性と日々向き合っている。『不妊治療を考えたら読む本 科学でわかる「妊娠への近道」』(ブルーバックス、講談社)など著書も多数。
2020年10月17日初潮が始まってから、ずっと順調だと思っていた生理。それが、アラサーになって、突然、生理周期が乱れるようになりました。そして結婚後、不妊検査をしてみたらある事実が判明したのです。 「ちょっと変?」でも大事だとは思っていなかった初潮からずっと周期通りに来ていた生理。しかし、28歳ぐらいから乱れることが多くなりました。 まず、経血量が極端に少なくなりました。ナプキンに「なんとなく血がついてる」ぐらいの量で、3日ほどで生理が終わることがありました。そして、生理が予定日から1カ月半ぐらい遅れることもあったのです。 それでも、なんとなく生理は来ていたし、もともと量も特に多いほうではなかったこともあり、私は重大な事とは考えず、放置していたのです。 不妊検査を受けてみたら、意外な病が判明…その後、私は結婚。そして、不妊検査をすることになりました。 検査後、婦人科医から説明されたのは、「ホルモン値が若干異常である」ということ、そして「その周期は排卵していない」ということ。その後は、再度婦人科を受診して、採血によるホルモン値検査、フーナーテスト、AMH検査、卵管造影など、ひと通りの不妊検査を行いました。 初めの卵胞検査で排卵していないことはわかっていましたが、その後の検査で、卵胞刺激ホルモン(FSH)や黄体形成ホルモン(LH)の値の異状がわかり、排卵しにくいことが確定。つまり、「無排卵月経」だったということがわかったのです。 ※無排卵月経(無排卵周期症)とは正常な月経周期では、排卵が起こり、妊娠が成立しなかった場合、月経となります。これに対し、無排卵月経では、排卵が起きていないのに、月経のような出血がみられることが特徴。無排卵周期症においては、生理周期の長さが一定ではないことが多く、月経期間(日数)も短かったり長かったりしますが、正常な月経と区別できない場合も。なお、無排卵月経は不妊の原因にもなります。 無排卵月経だけど、赤ちゃんが欲しい!治療に通った結果…無排卵月経ということがわかってからは、約2週間に1度婦人科を受診し、排卵誘発剤の処方をしてもらいつつ、卵胞検査を行いました。 そして、治療開始から3カ月。私は、赤ちゃんを授かることができました。排卵誘発剤でちゃんと排卵できていたこと、卵管造影検査後で妊娠しやすくなっていたことにより早く結果が出たのかもしれません。もし、あのとき病院に行かなければ、子どもを授かれるようになるまでには、すごく時間がかかっていたと思います。 私は無排卵月経であったことが早くわかったおかげで、無事に妊娠することもできました。生理は「今まで順調だったから大丈夫」と慢心していてはダメ。女性の身体は歳とともに変化していくのだから、少しでもおかしいと思ったら、早めに婦人科を受診するべきだと思いました。 監修/助産師REIKO-----文/くまさん
2020年09月23日不妊治療をしている人にとって、仕事と治療の両立は大きな悩みになっています。精神面の負担が大きいことや、通院回数が多いことなどが両立を妨げる原因となり、結果として不妊治療を諦めてしまう人や、逆に会社を退職してしまう人も少なくありません。 そんななか厚生労働省から、不妊治療と仕事の両立のため、職場で不妊治療への理解を深めてもらうためのサポートハンドブックが発行されました。 不妊治療と仕事の両立サポートハンドブックを厚生労働省が発行日本では、不妊を心配したことのある夫婦は3組に1組、そして実際に不妊の検査や治療を受けたことのある夫婦は5.5組に1組にも及びます。(※1)これほど多くの人が治療をしていながら、職場では不妊治療について、あまり知られていないのが現状です。仕事と治療の両立に苦しみ、ある日突然会社を辞めてしまう「不妊退職」ということも起こっています。できれば仕事を続けたいと思いながら退職するのは、企業や社会にとっても大きな損失といえます。そこで厚生労働省では、2020年3月、働きながら不妊治療に取り組む人を支援するため、『不妊治療と仕事の両立サポートハンドブック』を発行しました。このハンドブックのサブタイトルは「不妊治療を受ける方と職場で支える同僚の皆さんのために」。不妊治療に関して、不妊治療を受ける当事者はもちろん、職場の上司や同僚などが知っておくべき情報が、わかりやすくまとめられています。 (※1)国立社会保障・人口問題研究所「第15回出生動向基本調査」より <参考リンク>厚生労働省:『不妊治療と仕事の両立サポートハンドブック』 仕事をしながら不妊治療をすることの難しさ厚生労働省の調査によると、不妊治療をしたことがある(予定している)働く人のうち、仕事と治療を両立している(両立を考えている)人の割合は53.2%ですが、仕事と不妊治療の「両立できずに仕事を辞めた」「両立できずに不妊治療をやめた」「両立できずに雇用形態を変えた」という人は34.7%にも及びました。(※2) 仕事と治療が両立できなかった理由では、「精神面で負担が大きいため」「通院回数が多いため」「体調、体力で負担が大きいため」などのほか、「待ち時間など通院にかかる時間が読めない、医師から告げられた通院日に外せない仕事が入るなど、仕事の日程調整が難しいため」といった切実な悩みが挙げられています。 (※2)厚生労働省「平成29年度『不妊治療と仕事の両立に係る諸問題についての総合的調査』」より 不妊治療をしている人は身近にいる不妊治療のなかでも高度な治療に体外受精や顕微授精があります。こうした生殖補助医療(ART)によって、2017年には日本で5万人以上の赤ちゃんが生まれていて、これはその年に生まれた赤ちゃんの約17人に1人の割合になっています。(※3) このほか、タイミング法や人工授精といった一般不妊治療で妊娠する人も数多くいるので、実に多くのカップルが不妊治療で子どもを授かっているのです。つまり、知らないだけでまわりに不妊治療体験者がいる、ということ。ですから、職場に治療中の人がいても珍しくはないのです。そんなときに大切なのが、正しい情報を知って接することです。 (※3)ARTの出生児は日本産科婦人科学会の「ARTデータブック」より。出生数は厚生労働省「人口動態統計」より 正しく知ることでハラスメントを防げる今回、厚生労働省が制作した『不妊治療と仕事の両立サポートハンドブック』には、不妊治療の現状や治療の方法、職場で配慮すべきポイントなどが紹介されています。 不妊治療がどのようなスケジュールで進むのか、どれくらいの頻度で通院が必要なのかなど、一般的に浸透していない情報は多くあるものです。しかし、知らないことで「いったいいつ妊娠するんだ?」「また病院に行くの? 仕事をやめて治療に専念したほうがいいんじゃないの」といったプレ・マタニティハラスメントに問われる発言も起こりかねないのです。 こうしたことを防ぐためにも、多くの人が不妊治療の現状を把握し、理解することが重要です。ハンドブックは不妊治療をしている人と同じ職場で働く上司や同僚に向けた内容になっていますが、一般的な知識として知っておきたい情報といえます。 また、不妊治療を受けているまたは受ける予定の人に向けて、自分の会社の制度をよく調べるようアドバイスが記載されています。さらに、職場へ不妊治療中(または治療予定)であることを伝え、不妊治療と仕事の両立に関する配慮を求めるためのツールとしても使用できる「不妊治療連絡カード」についても紹介されています。 事業主や人事部門に向けたマニュアルも発行厚生労働省は、事業主や人事部門向けとして『不妊治療を受けながら働き続けられる職場づくりのためのマニュアル』も同時に発行しています。 こちらは、企業が不妊治療と仕事の両立支援に取り組む意義や、不妊治療と仕事の両立支援導入の具体的なステップなどについて取り上げたものです。実際に制度を導入している企業の支援内容や導入・運用のポイント、さらに利用者の声も紹介されています。 <参考リンク>厚生労働省:『不妊治療を受けながら働き続けられる職場づくりのためのマニュアル』 NPOも企業の制度導入をサポートさらに、不妊体験者を支援するNPO法人Fineでも、2020年3月に『不妊治療支援を通じたさらなる女性活躍推進について制度導入促進ガイド』を発行しています。当事者の立場から、企業に望むサポートを伝えるとともに制度導入を提案し、企業向けにオンライン相談会も実施しています。 働きながら不妊治療に取り組めるように、多方面から支援がスタートしています。身近な社会課題といえる不妊治療と仕事の両立について、まずは正しい情報を得ることが大切です。 <参考リンク>厚生労働省:不妊治療と仕事の両立に関するマニュアルとハンドブックを作成しましたNPO法人Fine:Fine妊活プロジェクトみらいAction『制度導入促進ガイド』 著者:ライター NPO法人Fine 理事准ファンドレイザー 野曽原誉枝(のそはらやすえ)福島県郡山市出身。NECに管理職として勤務しながら6年間の不妊治療を経て、2012年12月に男児を出産。自らの不妊治療と仕事の両立での経験、高齢出産の経験から、今の妊活、多様な家族形態を認め合う社会を作るために2013年よりNPO法人Fineに参画、2014年9月同法人理事に就任。主にFine妊活プロジェクト~みらいAction~の推進と企業や自治体向け啓発活動に力を入れている。
2020年09月09日不妊治療のために仕事を辞める「不妊退職」。厚生労働省やNPO法人Fineの調査によると、日本では働きながら不妊治療をしている女性の4〜5人に1人が不妊治療と仕事の両立ができずに退職したという結果に。さらに、不妊退職による国内の経済損失額は1,345億3363万円に上ることが明らかになっています。 不妊治療と仕事の両立が困難な理由NPO法人Fineが2015年(※1)、2017年(※2)に実施した不妊治療と仕事の両立に関するアンケートでは、両立が困難と答えた人がそれぞれ92%、96%という結果に。また2018年の厚生労働省による「不妊治療と仕事の両立に係る諸問題についての総合的調査研究事業(※3)でも「両立が困難」と答えた人が87%と、不妊を取り巻く労働環境に大きな変化は見られませんでした。「両立ができずに退職した」と答えた人は、Fineの調査では約20%、厚生労働省の調査結果は23%と、働きながら不妊治療をしている女性の4〜5人に1人が不妊治療と仕事の両立ができずに退職したという結果が出ています。 なぜ不妊治療が仕事と両立しづらいのでしょうか。理由は、突発的で頻回な通院にあります。これは不妊治療が“女性の生理周期”に合わせて進められるためです。女性の生理周期は個人差もありますが一般に25~38日ぐらいで、複数のホルモンの複雑な相互作用によって調節されているため、毎月一定ではありません。そのため事前に通院日が決定できないことが多く、先の予定が立てにくいのです。また、同じ人が同じ治療をおこなっていてもそのときの体調によって生理周期も変わりますし、薬の効き目なども変わるため、治療スケジュールを立てにくいのです。 そのうえ、最も高度な治療(体外受精や顕微授精)をおこなっても出産率は12%程度(※4)で、治療を続けていれば妊娠・出産できるというものではありません。「これ以上周囲に迷惑をかけられない」と自ら退職を選ぶ女性もいれば、上司や周囲からのプレ・マタニティハラスメント(※5)によって退職を選択せざるを得ない人もいます。そして多くの人が「自己都合退職」として退職の理由を明かさないため、不妊退職の現状が企業側に見えていないことも大きな課題です。 (※1)NPO法人Fine「仕事と治療の両立についてのアンケート」調査結果報告(2015年)(※2) NPO法人Fine「仕事と不妊治療の両立に関するアンケート Part 2」結果速報(2017年)NPO法人Fine「仕事と不妊治療の両立に関するアンケート Part 2」結果(2017年)(※3) 平成29年度 厚生労働省 不妊治療と仕事の両立に係る諸問題についての総合的調査研究事業(※4) 生殖補助医療による出生児数(2017年累計出生児数)は『日本産科婦人科学会雑誌第71巻第11号』より引用(※5)NPO法人Fine「プレ・マタニティハラスメントについて」 企業には見えない、不妊退職の経済損失※NPO法人Fineプレスリリースより抜粋 実際に不妊退職による経済的損失はどれだけのものなのでしょうか。Fineでは、第一生命経済研究所による「出産退職の経済損失」の試算(※6)を参考に、不妊退職の経済損失を試算しました。その結果、企業活動の付加価値が1,345億3,363万円(※7)減少していると推定することができました。この数値には退職者への育成費用や新規人材雇用のための費用は含まれていませんので、見えない不妊退職による企業の経済損失はさらに増えると推定できます。 見えない不妊退職を防ぐためには、不妊治療についてや当事者の負担を正しく知り、不妊治療と仕事の両立に関するサポート環境を充実することが必要となっています。これは不妊治療にかかわらず、男女や年齢問わず、闘病や介護、育児の両立を支援する体制作りにつながると考えています。 (※6) 第一生命経済研究所 ニュースリリース「出産退職の経済損失1.2兆円」(※7)NPO法人Fine プレスリリース「不妊治療の理解を求める国会勉強会を開催!」 著者:ライター NPO法人Fine 理事准ファンドレイザー 野曽原誉枝(のそはらやすえ)福島県郡山市出身。NECに管理職として勤務しながら6年間の不妊治療を経て、2012年12月に男児を出産。自らの不妊治療と仕事の両立での経験、高齢出産の経験から、今の妊活、多様な家族形態を認め合う社会を作るために2013年よりNPO法人Fineに参画、2014年9月同法人理事に就任。主にFine妊活プロジェクト~みらいAction~の推進と企業や自治体向け啓発活動に力を入れている。
2020年09月07日「多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)」と診断され、不妊治療を開始しました。仕事と不妊治療の両立はとてもストレスがかかるものでしたが半年で妊娠確定、しかし……。 不妊治療の末、妊娠検査薬で陽性反応!私は結婚したのが34歳だったので、年齢的にすぐに妊娠できるか不安がありました。不妊治療をしていた友人の助言を受け、不妊検査を受けてみると「多嚢胞性卵巣症候群」と診断されました。不妊の原因にもなる病気なので、そこから不妊治療を開始することに。 治療開始から半年、通院している私と受け身な夫との感覚の差にイライラし、仕事と不妊治療の両立に限界を感じていました。そんなときに妊娠検査薬で陽性反応が! 夫婦で手を取り合って喜びました。 喜んだのも束の間…妊娠検査薬で陽性反応が出たのでさっそく病院へ。ところがまだ妊娠4週目。胎嚢は確認できましたが、胎児心拍は妊娠6週目ころになってからとのこと。このときは何の不安もありませんでした。しかし、妊娠6週目になっても妊娠7週目になっても胎児心拍が確認できず……。 妊娠9週目まで様子を見てもらいましたが、残念ながら稽留流産と診断されました。喜びから1カ月も経たないうちに、地獄に突き落とされた気分でいっぱいに。痛みもまったくなく、なぜダメだったのか?ばかり考えて泣いて過ごす日々でした。 悲しみと不安だらけの掻爬手術次の妊娠を少しでも早く考えているなら、掻爬手術(そうはしゅじゅつ)をしたほうがよいと先生からすすめられました。悲しみと手術の不安で当日はボロボロ涙が出るばかり……。夫も心配してくれて仕事を休んで付き添ってくれました。 手術をする前は、痛さや怖さを想像して不安だらけ。しかし、麻酔で眠っているので痛さは感じず、いつ終わったかもわからないうちに終了していました。目が覚めたときには、病室のベッドの上。術後の痛みもあるのかと不安でしたが、特に痛みはなかったです。 子どもが欲しくてつらい不妊治療に通っていたので、流産を知ったときは絶望的でした。引き続き、不妊治療に通いながらも自分を責めて泣いて過ごす日々でしたが、掻爬手術から2カ月半後、新たな命が私のおなかに戻ってきてくれました。あの経験があったから、戻ってきてくれたわが子がより愛おしく大切にしたいと感じられるんだと感謝しています。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 監修/助産師REIKO著者:桜井りこ1女の母。服飾パタンナーを経て、現在は化粧品会社時短勤務。不妊治療からの妊娠。美容・コスメ・健康系と合わせ、自身の体験をもとに、妊娠・子育てに関するライターとしても活動中。
2020年08月30日令和2年8月25日、厚生労働省が令和2年6月分の人口動態統計速報を公表しました。加速する少子化に厚生労働省担当者は、「さらに減少する可能性がある」と警鐘を鳴らしています。 5月の出生数が上半期の出生数に影響2020年6月の出生数は7万3,037人で、2019年6月の出生数と比べて157人減少しました。そして、2020年上半期(1~6月)の出生数は43万709人と、2019年上半期の出生数 43万9,533人と比べて8,824人減少したことが明らかになりました。さらに上半期の速報値でみると、2000年以降では最も少ない数となっています。 本来であれば東京五輪が開催される予定だった2020年。その影響もあってか、1~3月の出生数は2019年とほぼ横ばい、4月は2019年4月より2,148人上回っていました。しかし、5月の出生数が7万1,940人と、2019年5月よりも7,754人減少し、2020年上半期の出生数の減少に影響したようです。 2020年上半期、そして2021年はどうなる?現在、世界中で感染が拡大し、日本でも大きな影響を及ぼしている新型コロナウイルスですが、新型コロナウイルスの感染が日本で初めて確認されたのは2020年1月。2020年下半期前半の出生数にはあまり影響がないと思われますが、徐々に今後の出生数に影響を及ぼす可能性があることは容易に予測されます。 ベビーカレンダーが、703人の経産婦さんを対象におこなった『コロナ禍における第2⼦以降の妊娠』に関するアンケート調査では、新型コロナウイルスが流⾏する前は、全体の約50%(334人)が第2⼦以降の妊娠を希望していたものの、新型コロナウイルス感染拡⼤の影響により、第2⼦以降希望者の約32%(調査対象者 703 名のうち約15%)が妊活や不妊治療を休⽌・延期した、および妊娠を諦めたという結果が出ています。 さらにベビーカレンダーでは、今回の調査結果から、2021年の出⽣数を 70万5,024⼈ほどになる可能性があると推測しています。(※1)また、ほかにも、2020年3⽉以降、新型コロナウイルスの影響で結婚式を延期するケースも多く、妊娠計画を変更する⽅の増加も懸念されます。 今年6月に公表された2019年の出生数は、1899年の統計開始以降、最も少なく、初めて90万人を割り込みました。政府もさまざまな少子化対策を講じているようですが、新型コロナウイルスの影響も加わり、出生数増加への期待はあまりできないように感じます。しかし、一方で、コロナ禍のなか不安や葛藤を抱えつつも、妊娠・出産に前向きに臨む方も少なくありません。各産院でも、より安全により安心して妊娠・出産、子育てできるよう日々対応しています。ベビーカレンダーも、妊娠・出産・育児中の方たちへ信頼できる情報をお届けし、サポートしていきたいと考えています。 ※1)2021年の出⽣数予測●近年の出⽣数は、毎年平均約4%減少 → 2020年の出⽣数の推計は82万9,440⼈となる。●平成30年(2018年)の人口動態統計では、第1⼦の割合が46%、第2⼦以降の割合が 54%だったので、2020年の出⽣数推計に当てはめると、第2⼦以降=44万7,898 ⼈。第2⼦以降の妊娠を控える⼈が15%だと仮定すると、2021年の第2⼦以降の出⽣数は上記から 6万7,185 ⼈ほどマイナスとなる可能性がある。●第1⼦の妊娠においてもコロナ禍により同じ⼼理状況が働くと仮定する。第1⼦の割合46を2020年の出⽣数推計に当てはめると、第1⼦=38万1,542 ⼈。第1⼦の妊娠を控える⼈が15%だと仮定すると、2021年の第1⼦の出⽣数は上記か57,231 ⼈ほどマイナスとなる可能性がある。●第1⼦、第2⼦以降をあわせると、合計12万4,416 ⼈ほどマイナスとなる可能性があり、2021年の出⽣数は 70万5,024 ⼈ほどになる可能性が考えられる。 監修者・著者:助産師 REIKO医療短期大学専攻科(助産学専攻)卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務。 大学附属病院で助産師をしながら、私立大学大学院医療看護学研究科修士課程修了。その後、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。
2020年08月27日私は不妊治療を約6年おこない、ようやく子どもを授かることができた40代のパパです。不妊治療にここまで時間がかかるとは想像していませんでしたが、結果的に妻も高齢出産になってしまいました。そのため、無事に出産ができるのだろうかという新たな問題が発生し、出生前診断をおこなった体験談です。時間のかかった不妊治療不妊治療開始時に、病院で高齢出産に対しての説明を受けました。説明を受けたときの私たちの年齢は、私は30半ば、妻が30代前半だったので、私たちにはあまり必要のないことだという認識しかありませんでした。 ただ、私たちの不妊治療は想像以上にお金と時間がかかってしまい、ようやく妊娠できたのは不妊治療を開始してから約6年が経過したころ。私たちにとって待望の妊娠だったのですが、そのとき初めて高齢出産に対するリスクを認識しました。 妊娠がゴールという錯覚不妊治療の期間が私たちの予想より長かったため、私は次第に妊娠することが目標になっていました。妊娠前に高齢出産の知識を得て不妊治療をおこなっていれば、治療期間を短く設けていたかもしれません。ただ、原因不明の続発性不妊症(※1)だったため、「いつか妊娠するのでは」という思いでずるずると長い治療期間になってしまいました。 しかし、出生前診断をおこなう期間は限られていたので、いつまでも決断を先送りすることはできませんでした。 出生前診断するか否か、決断する難しさ最近よくさまざまなメディアでも目にする「命の選別」という言葉が私たちを悩ませ、簡単に決断できませんでした。 ただ、もし赤ちゃんが障害を持って生まれた場合、高齢出産である私たちは将来に不安を抱えたまま過ごすことになると予測できます。検査費用もNIPT(新型出生前診断)の場合、約20万円とわが家にとっては高額だったため、不妊治療を長年おこなっていた私たちには相当な負担額でした。 そして待望の妊娠にも関わらず、診断の結果次第で子どもを諦めなければならない状況になることにも、気持ちの落とし所が見つかりませんでした。 前向きになるための診断最後は、「不安な状態で出産を迎えるより、どのような診断結果であれ受け止め、産み育てたい」という思いで、診断を受けることに決めました。 検査から約2週間で結果が出る予定でしたが、その間も「この検査は受けてよかったのか?」という自問自答を繰り返していました。2週間後、診断の結果は「陰性(異常なし)」。どのような結果であれ産むつもりでいたので、出産に向けての悩みがようやく解消されたような気持ちになりました。 順風満帆ではありませんでしたが、悩みのない状態で出産を迎えられたのは、長い間夫婦で不妊治療に向き合い、コミュニケーションを取り続けた結果だと思っています。世間の風潮に惑わされるとこなく、家族全員が納得するように悩みを共有し、診断をおこなうか否かを決めることが大切なのではないかと、私は感じました。 (※1)続発性不妊症:1人目は自然妊娠できたのに、2人目がなかなかできない不妊症のこと。 ※人工妊娠中絶は、母体保護法により定められた適応条件を満たしている場合に限り、施行されます。※出生前診断は、すべての先天性疾患を調べられるわけではありません。NIPT(新型出生前診断)で調べることができるのは、赤ちゃんの先天性疾患の一部であるダウン症候群(21トリソミー)、エドワーズ症候群(18トリソミー)、パトー症候群(13トリソミー) です。また、出生前診断の結果が陰性であっても、必ずしも赤ちゃんに病気や障害がないとは言い切れず、出生後に判明する病気も少なくありません。※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 監修/助産師REIKO著者:ライター 吉田直樹二児の父。原因不明の続発性不妊症のため、夫婦揃って不妊治療を数年おこない授かる。グラフィック・Webデザイン事務所を経て、現在グラフィックデザイン・Webデザインのフリーランスとして活動中。
2020年08月22日結婚後、1年経過しても妊娠しなかったので、不妊治療専門の病院に通いました。実際に通ってみてつらかったこと、でも治療してよかったなと思うことをお伝えします。 まずは検査を受けることに結婚して1年。夫婦で妊娠を待ち望んでいましたが、なかなか妊娠できないので、不妊治療専門の病院へ。まずは夫婦ともに、不妊の原因になりうる感染症や体質的に妊娠しやすいかどうか、各種検査を受けました。 そのなかでも特につらかったのが、卵管造影検査。「生理痛がひどい場合はちょっと痛いかも」と主治医に言われ、実際、生理痛がひどい私には激痛でした。 次に各種検査の結果を聞きにいき、私はとある感染症にかかっていることが、そして夫は精子の運動率が低いことが判明。お互いに自覚がなく、なんだかとてもショックを受けたことを覚えています。 タイミング療法と人工授精にトライ各種検査の結果がわかり、主治医と治療方針を立てることに。まずは3回、タイミング療法にトライしましたが、うまくいかず。早めの妊娠を希望し、人工授精に切り替えました。しかし、2回人工授精をおこなっても、妊娠しませんでした。 当時はフルタイムで働いており、職場の上司には不妊治療中であることを伝え、理解を得ていました。しかし、私が通った病院は、院長がひとりで治療方針を立てるところだったため、予約しても待ち時間が長い! 仕事を休んだり、時間休を取りつつ、長いときは受付から会計まで6時間……という状況。 また、人工授精の実費負担もあり、大変な割に妊娠しない……。次のステップに進めば体外受精で、さらに実費負担がかさむな……と、うまくいかないことがつらく、先々の不安が重なって、ついに通うことを中断してしまいました。 なんと自然妊娠!ところが中断してすぐ、念のためタイミングだけ取っていたのですが、なんと自然妊娠! 主治医にも驚かれました。思えば、検査結果がわかってから、夫は主治医に相談して、すすめられたサプリメントを摂取し、私は感染症の治療をしたことや、行き詰まったときに思いきって治療を中断したことが気分転換になり、よかったように思います。 不妊治療は、精神的・経済的な負担が大きく、今思い出しても、とにかくつらく大変でした。ただ、不妊の原因がちゃんとわかり、現実的に必要な治療ができたことは、本当によかったなと思っています。 それから、あまりにつらいと感じたときは治療を中断し、気持ちをラクにすることも必要なことだったのだと思っています。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 作画/しおみなおこ監修/助産師REIKO 著者:野田 理恵もうすぐ2歳になる女の子の母。福祉関係の仕事に従事するかたわら、記事執筆をおこなう。
2020年07月31日「不妊治療をしています」「していました」ということをなかなか周りの人たちに言いづらかったのですが、勇気を出してカミングアウトすることで、職場で配慮を受けられたり、仲間が見つかったりすることがありました。「不妊治療をしている(いた)ことを周りに伝えてよかったな」と感じた私の体験談をお伝えします。 不妊治療のため勤務時間を調整してもらった 不妊治療を始める前は、フルタイムのパートとして週5日、1日8時間働いていました。でも、不妊治療を始めると、治療のために休みがちになってしまいます。しかも病院からは「生理1〜3日目までにきてください」とか「次は明後日きてください」と言われるので、前もって通院の予定が立てられません。 はじめは「不妊治療するなら、仕事を辞めるしかないのかなぁ」と思ったのですが、ダメ元で上司に「不妊治療を始めたいので、勤務時間を短くしてほしい」とかけあってみることにしました。上司は驚きつつも快く承諾してくれて、短時間勤務だけど健康保険もそのまま加入し続けられるように配慮してくれました。 短時間勤務になったあとは、可能な限り勤務後の時間に通院の予約を入れるようにして、できるだけ仕事を休まないように調整し働き続けることができました。もちろんどうしても休まないといけないこともありましたが、上司も事情をわかってくれているので、後ろめたい思いをすることもなかったです。仕事を辞めなかったことで、妊娠後も働き続けることができ、産休・育休もとらせてもらって育休給付金を受給できたので、経済的にも助かりました。職場には感謝していますし、勇気を出して伝えてよかったなと思っています。 Twitterで同じ悩みを持つ人と繋がった不妊治療は夫婦で取り組むものですが、一般的に通院回数などは女性のほうが多く、精神的にも肉体的にも女性にかかる負担の方が大きくなりがちだと思います。 私は不妊治療中、夫がつらさをあまり理解してくれてない気がして、気が滅入ってしまうことが多くありました。 例えば、年賀状を見ているとき。夫が「俺たちよりあとから結婚した友だちのところに子どもが生まれたんだって、早いよね」と言ってくるんです。夫に悪気はないのですが、「なんでわざわざ神経を逆撫でするようなこと言うの?」と苛立ってしまいました。 そんなときに逃げ込んだのがTwitter。不妊治療中の見ず知らずの人たちと繋がり、夫への愚痴ツイートや、「つらい、しんどい」というツイートにコメントしあうことで心が晴れて、「また治療頑張ろう」という気になれました。私はTwitterでは本名を公開していなかったので匿名ではありますが、治療内容や思いをオープンにすることで、心のバランスを保っていた気がします。 ママ友との絆が深まった体外受精をして第1子を授かって2年、再度体外受精にチャレンジして第2子を妊娠することができました。 そのころ公園で仲良くなったママ友と話していると、そのママ友が「うちも2人目が欲しいけど、なかなかできないから羨ましい」と打ち明けてくれました。 私が「実はうちは2人とも不妊治療で、体外受精でね……」と伝えると、ママ友は驚きつつ「いや実はうちも今クリニックに通い始めて人工授精から始めていて……ねぇねぇ、最終的にいくらかかった? 体外受精の体への負担ってどうだった?」と。 かなり会話が弾み、自分の経験をママ友に伝えることができました。悩みを共有するもの同士、絆が深くなった気がしますし、そのママ友とは引越して離れたあとも連絡を取り合う仲です。 不妊治療中はいろいろなことをひとりで抱え込んで悩んで孤独になりがちでしたが、会社にも理解ある人がいたり、周りの友だちにも不妊治療中の人がいたので、勇気を出してカミングアウトしてよかったと思っています。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 監修/助産師REIKOイラストレーター/しおみなおこ 著者:矢野あい子2歳の女の子、0歳の男の子の母。子どもは2人とも体外受精で授かる。
2020年07月30日私は不妊治療をこなすだけでもメンタル的、肉体的、経済的にもつらい日々が続いていました。不妊治療もなかなかうまくいかず、不妊治療を始めてから4年目、4軒目の病院で妊娠することができましたが、喜んでいたのも束の間、流産がわかります。その後も、私は流産を繰り返して不育症の治療をおこなうことに。結果、不妊症と不育症を乗り越えて元気な赤ちゃんを授かることができました。困難を乗り越えて出産した経験をお伝えしたいと思います。 4度目の流産で不育症がわかりパニックに長い不妊治療を経て、私はやっとのことで妊娠することができたのですが、赤ちゃんの心拍確認後に流産したことがわかりました。言葉では表すことのできないショックが私を襲い、不妊治療をやめることにしました。 けれども私は自分の妊娠を諦めることができない気持ちに気づき、2年後に不妊治療の再開を決意。しかし、待っていたのは3度の流産でした。「もしかして妊娠しても出産できない?」。そのとき、初めて不育症の可能性を意識するようになり、私はパニックを起こしてしまいました。 不妊治療と不育症の治療を開始私はパニック状態から抜け出すことは難しく、時間もかかりましたが、自分の目的を考えると耐えて進む他に道はないのだと気づきました。そんななか、5回目の妊娠を確認。私は不妊治療でお世話になっている病院の先生にアドバイスをいただいて病院を選び、不育症の治療も始めることに。 不育症の治療は、初回の診察で不育症の治療のために、問診とは別にアンケートと採血をおこないました。検査結果は特に問題はなく、経過観察をすることになりました。 原因不明の不育症と経過観察私は不育症の検査結果に問題がなかったため、安心した反面、原因が見つからないことに不安も感じました。不育症の原因が特に見当たらない場合は、経過観察をすることを聞き、不妊治療(妊娠を継続させるための投薬)と不育症の経過観察をおこなうことになりました。 私は不妊治療の病院へ指定された日時に通院しながら、不育症の病院へも指定された日時に通うことに。不妊治療は妊娠7週目まで通い、不育症の病院へは妊娠8週(妊娠3カ月)まで通院。その後、私は不妊治療と不育症治療とは別の出産病院へ転院し、無事に出産することができたのです。 不妊治療と不育症の治療を経て、無事に健康な赤ちゃんを出産できたことをとてもうれしく思っています。生まれた瞬間、赤ちゃんを愛おしく思う感情は今でも忘れることができません。けれど、私の場合は結果がついてきたからこそある幸せなのだと思っています。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 監修/助産師REIKO 著者:仲本まゆこ自身の体験をもとに、妊娠・出産・子育てに関する体験談を中心に執筆している。
2020年07月20日私は長年不妊治療を受けており、今年の3月末にやっとの思いで無事妊娠することができました。助成金申請が期日の都合で4月中に申請する必要がありました。早急に市の保健所に来訪しようとした矢先の緊急事態宣言……。助成金の申請を諦めたくなかった私がどうしたのかをお伝えします。 緊急事態宣言は出ていないけれど…当時、近隣の県には緊急事態宣言が発令されていましたが、私が住んでいる県はまだ発令されていませんでした。それでも妊娠初期ということもあり、より一層外出が不安な毎日を過ごしていました。買い物以外の外出はせず、ほとんどを家の中にこもる生活。 不妊治療は全額自費のため、負担を軽減するために助成金を申請する必要がありました。申請を受け付けるのは保健所。4月中に申請する必要があったため、書類が届き次第保健所へ行くつもりでいました。 来訪予定の保健所で感染者が!4月半ばのある日、夕方に病院から必要書類が届きました。翌日には申請に行こうと思っていたのですが、往訪予定だった保健所で新型コロナウイルスの感染者が出たとのニュースが! 「もかしたら他にも感染している方がいるかも! 私まで感染してしまったら、やっと授かった赤ちゃんはどうなるの!? でも申請を諦めるわけにはいかない……」と一気に不安になりました。ただ、その日はすでに保健所の受付時間は終わっていたので、翌日電話をしてみることに。 郵送での申請許可が得られた!翌朝、受付時間になると同時に保健所へ電話をかけました。保健所へ出向く以外の方法で不妊治療の助成金の申請に関する手続きをしたい旨を伝えたところ、郵送で構わないと回答を得られました。 実は前夜に夫へ相談したところ、「もし往訪しかないのなら万が一感染してしまうリスクがあるから、助成金の申請は諦めよう」と言われていたので、本当に助かりました! 新型コロナウイルスの感染者が出た翌日の問い合わせでしたが、保健所の方はスムーズな対応をしてくださり、本当に助かりました。手続きする書類のなかには、保健所から返送してもらう必要があるものもあり、職員の方はその分の手間がかかってしまうにも関わらず、快く承諾してくださって感謝の気持ちでいっぱいです。電話に対応してくださった方から、「妊娠おめでとうございます!」とお祝いの言葉をいただき、とても温かい気持ちになりました。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じてお住いの地域の保健所や不妊治療に関する問い合わせ先に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 著者:岸本りか
2020年07月07日ベビーカレンダー編集部がおすすめの「妊娠・出産・育児マンガ」をご紹介♪ Instagramでフォロワー3万人を超えるぶちねこなみ(@buchinekonami)さんの体外受精レポをお届けします。 体外受精レポ 体外受精開始前に、甲状腺の検査をしろって言われてしてきた話です。 このとき言われた橋本病ですが、今日に至るまで特に症状がなく、なんだかよくわからないです……。 しかし不妊治療って……こういうちょっとした検査ですごくお金かかりませんか? 採卵や胚移植で数十万円かかったときは、もう腹をくくっているので、逆にそんなもんだと納得できるのですが。 ちょっと診察してもらって5000円とか8000円とか払うと、地味に精神的ダメージくらいます……私だけかな(笑)。 次回、やっと体外受精の周期が始まります~! ------------このシリーズは2016~2017年に私がおこなった治療について描いており、情報が古い可能性があります。ご了承ください。------------ ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。※本記事の内容は、3年以上前にぶちねこなみさんが受けた高度不妊治療専門病院での診療のお話になります。※不妊症の中でも原因不明の不妊症の方の場合では、通常に比べ甲状腺抗体が4倍高いと報告されています。 監修/助産師REIKO著者:イラストレーター ぶちねこなみ釣り好き旦那&体外受精で授かった2歳差姉妹と暮らしています。Instagramでは不妊治療のことのほか、育児や過去のブラック企業体験などのエッセイ漫画を公開中。
2020年06月30日2人目妊娠を目指し、37歳で不妊治療を再開。体外受精へステップアップし、やっと妊娠がわかりました。そんななか、新型コロナウイルスが日本でも流行り出すように……。私がおこなっている予防対策や気をつけていることをご紹介します。 不妊治療再開! 体外受精へステップアップ娘が1歳を過ぎたころ、2人目を意識するようになりました。娘を高齢出産していることもあり、自分の年齢を考えると妊娠は少しでも早いほうがいいと、不妊治療を再開することに。ところが妊娠はなかなかできず、今年に入ってステップアップし、体外受精へ踏み切りました。 想像以上に、肉体的にも精神的にもしんどい治療……。そんななか、ニュースなどで新型コロナウイルスの情報を知りました。不安もあり治療をお休みするか迷いましたが、すぐに妊娠するとも限らず、悩みながらも私は治療を進めました。 つらい治療を乗り越え妊娠! 喜びと不安私が胚移植を済ませたころ、新型コロナウイルスは日本でもかなり広がってきました。不安は募るものの、後は妊娠判定の結果を待つのみ。今回ダメだったら胚移植はしばらくお休みしようと考えていましたが、不安をよそに……妊娠判明! うれしい反面、これから大丈夫だろうかと心配な気持ちに。 それでもこんなご時世に「私のもとに生まれてこようときてくれた、この子はとても心の強い子、私もしっかりしよう」と思うようになりました。 妊婦が身近にできる予防対策を調べてみた新型コロナウイルス感染の予防対策について、日本産婦人科感染症学会の資料を確認すると、外出後や食事前などには、こまめに流水とせっけんで手洗い。20秒以上、手首まで洗うようにする。また、アルコールなどの消毒液が感染対策に有効とのこと。 感染していない人がマスクを着用した場合の感染予防の有効性は確認されていませんが、感染者が飛沫を拡散することを予防できると考えられているそうです。私は予防対策をしっかりおこない、睡眠時間は8時間以上とるようにし、食事はヨーグルトなど発酵食品を積極的に摂り、免疫力を高めるように心がけて生活しています。 新型コロナウイルスが猛威を振るうなかで妊娠がわかり、初めはうれしさと不安で複雑な気持ちを抱えていました。しかし、今は親としてしっかり赤ちゃんを守っていこうと思っています。そのために、きちんと予防対策をおこない、新型コロナウイルスに負けないよう免疫力を上げる生活を意識して過ごすようにしています。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 著者:桜井りこ1女の母。服飾パタンナーを経て、現在は化粧品会社時短勤務。不妊治療からの妊娠。美容・コスメ・健康系と合わせ、自身の体験をもとに、妊娠・子育てに関するライターとしても活動中。
2020年06月07日28歳のときに不妊治療で第一子を授かり、出産した私。第一子である娘が1歳を過ぎたころから第二子の不妊治療を始めたのですが、治療を受けるなかで失敗したと思うことがいくつかあります。今回はその失敗体験を紹介します。 不妊治療の記録をすべて捨てた待望の第一子は、タイミング法を3回したあとの人工授精3回目で授かりました。おなかの赤ちゃんは順調に育ってめでたく出産となったのですが、産後2カ月が経ったあとに急きょ夫の転勤で引越しをすることに。 引越し後は見知らぬ土地で子育てをしながら片付けにハマり、勢い余って第一子の不妊治療に関する書類をすべて捨ててしまったのです。第二子の治療は引越し先の病院で受けたため、過去の資料が一切なくて困ったのを覚えています。 領収書の管理がいいかげん第一子の不妊治療では人工授精3回目で娘を授かることができたので、治療にかかる費用はそこまで高額にならず、助成金の申請はおこないませんでした。 けれど、第二子の不妊治療では10回を超える人工授精をおこなっても子どもを授かることができませんでした。治療費も高額になったため助成金申請をしようとしたところ、領収書がいろいろな場所に保管してあったり日付通りでなかったりして大変な手間が。領収書の管理はきちんとしておく必要があると痛感しました。 妊娠に対する考えが甘かった不妊治療当初から「自然妊娠をする確率はほぼゼロで体外受精でも難しい」 と先生から言われていましたが、娘を3回目の人工授精で授かったので次も思っているよりも簡単に妊娠すると考えていました。 ところが、人工授精12回、体外受精を1回おこなったものの、未だに妊娠に至っていません。私も夫も年齢はどんどん高くなり、体も衰えていくなかでどこまで治療を続けるのかまだ決めていません。出費は増え続ける一方なので、子どもが授からなかった場合にいつ諦めるのかを考えなくてはならないなと思っています。 不妊治療をしていると、まだ見ぬ未来の赤ちゃんと会える日を楽しみに気持ちが前向きになる一方で、現実的に考えなくてはならないことがたくさんあり、気持ちが後ろ向きになることもあります。それでも、後悔のないように納得のいくまで治療に取り組んでいきたいです。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 監修/助産師REIKOイラスト/manami.koiso 著者:ライター 吉川麻和一児の母。娘の出産を機に仕事を退職し、現在は子どもの成長に合わせた働き方を模索中。不妊治療の経験や子育て経験に基づき執筆中。
2020年04月28日世界中で終息の時期が見いだせない新型コロナウイルス感染症。政府は4月7日、新型コロナウイルス感染症対策として、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、大阪県、兵庫県、福岡県に緊急事態宣言を発令しました。これに先駆け、不妊治療に関する情報として、4月1日に日本生殖医学会が「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する日本生殖医学会からの声明」を発表し、医師に対して、不妊治療を延期する選択肢を提示するよう推奨しました。これらの発表によって、各地の不妊治療施設でも新型コロナウイルスへの対策や今後の治療方針が打ち出され、妊活・不妊当事者の困惑と混乱は広がりを見せています。 そんななか、厚生労働省は4月9日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う不妊治療助成における方針を発表しました。 不妊治療の延期、助成金の年齢制限はどうなる?体外受精や顕微授精などの高度生殖医療(ART)を受ける夫婦には、特定不妊治療助成制度による助成金が支給されています。助成金の支給には、治療を開始したときの妻の年齢や受給の回数、夫婦の合算年収制限などの条件があります。 晩婚化・晩産化が進むなか、今回の新型コロナウイルスの感染拡大に伴って出された日本生殖医学会の声明に従うことが、助成金を受ける際に大きな壁となってしまうことが危惧されています。 例えば、声明に従って不妊治療を1年延期したために、治療期間初日の妻の年齢 「43歳未満」という条件を超えてしまった場合には、助成事業対象外となってしまいます。不妊治療を延期することで、助成金が受け取れないという事態が発生してしまうのです。 厚労省が不妊治療助成における対応について方針を発表妊活・不妊当事者の不安の声が高まるなか、厚生労働省は4月9日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う不妊治療助成における対応について方針を発表しました。 具体的な内容は下記のとおりです。 【新型コロナウイルス感染防止の観点から一定期間治療を延期した場合、時限的に、 年齢要件を緩和】 ①対象者について療期間初日の妻の年齢「43歳未満」↓「44歳未満」 ②通算助成回数について初回助成時の治療期間初日の妻の年齢「40歳未満」の場合は通算6回まで(40歳以上43歳未満の場合は通算3回まで)助成↓「41歳未満」の場合は通算6回まで(41歳以上44歳未満の場合は通算3回まで)助成 このように、年齢の上限が1歳引き上げられました。医師や看護師、パートナーとの丁寧なコミュニケーションが必要報道では、不要不急という言葉が繰り返されています。世界各国のARTのデータ収集・分析・普及をおこなう非営利国際機関のICMART( International Committee for Monitoring Assisted Reproductive Technology)の声明文の和訳には、「新規治療の開始を見合わせること、不妊治療に関連するその他の非緊急処置をすべて延期することを推奨する」との一文もありました。 妊婦さんや胎児に対する影響等が不明な状況では、患者の安心・安全を考えると、それも致し方ないことでしょう。しかし、妊活・不妊当事者にとって不妊治療は不要で不急ではありません。不妊治療施設のなかには、この状況において、一律に治療を延期するのではなく、個々の状況や希望に沿って治療方針を決めていく、または治療を継続できるような仕組み、対策を取っているところもあります。 不妊治療当事者は、自身が通院している施設の情報をホームページなどで確認し、また先生とよく話し合い、治療方針を決めていくことが大切です。 著者:ライター NPO法人Fine 理事准ファンドレイザー 野曽原誉枝(のそはらやすえ)福島県郡山市出身。NECに管理職として勤務しながら6年間の不妊治療を経て、2012年12月に男児を出産。自らの不妊治療と仕事の両立での経験、高齢出産の経験から、今の妊活、多様な家族形態を認め合う社会を作るために2013年よりNPO法人Fineに参画、2014年9月同法人理事に就任。主にFine妊活プロジェクト~みらいAction~の推進と企業や自治体向け啓発活動に力を入れている。
2020年04月10日令和2年4月1日、日本生殖医学会は「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する声明」を発表しました。 不妊治療の延期を選択肢に…現在、感染拡大が留まる気配がまったくない新型コロナウイルス感染症。海外では妊婦さんへの感染の情報もありますが、4月1日現在、日本ではまだそのような情報はありません。ですが、妊娠中は免疫機能が低下し、新型コロナウイルスに関わらず感染症にかかりやすくなったり重症化するおそれがあるとされています。 今回発表された声明でも、新型コロナウイルス感染症が妊婦さんや妊娠初期の胎児に及ぼす影響が明らかになっていないこと、母体から胎児への感染の可能性は不明であること、妊婦さんが新型コロナウイルスに感染するリスクが高いとはいえないとした上で、新型コロナウイルスに感染した場合、重症化の可能性が指摘されていることや治療に使用される薬が妊婦さんには使用できないものが施行されていることから、不妊治療による妊娠が成立したあとの対応に苦慮することが予想されるとしています。 また受診や医療行為に関連した感染の新たな発生も危惧されることから、日本で新型コロナウイルス感染の急速な拡大の危険性が亡くなるまで、あるいは妊婦さんが使用できる予防薬や治療薬が開発されるまでを目安として、不妊治療の延期を選択肢として患者さんに提示するよう推奨しています。 そして、採卵を予定している方や胚移植を予定している方には胚移植時期を検討、人工授精、体外受精・胚移植、生殖外科手術などの治療に関しては、延期が可能なものについては延期を考慮するよう伝えています。 ICMART からも声明文が今回発表された声明文には、世界各国のART(生殖補助医療)のデータ収集・分析・普及をおこなっている非営利国際機関、 International Committee for Monitoring Assisted Reproductive Technology(ICMART) の声明文の和訳も付記されています。 CMARTの声明では、新型コロナウイルス感染症に関して、今後新たな情報が得られるまでの間、新規治療の開始を見合わせること、不妊治療に関連するその他の非緊急処置をすべて延期することを推奨しています。また、IVF(体外受精)治療をすでに開始されている方には、妊娠を延期するために胚や卵子を凍結保存することをすすめています。 日々更新される新型コロナウイルス感染症の情報に不安が募る毎日かと思います。そんななかで発表された日本生殖医学会の「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する声明」は、現在不妊治療をおこなっている方やこれから治療を受けようとしている方にとっては、ショッキングな声明だったかもしれません。ですが、CMARTの声明には「不妊治療を受けている方は、他の方と同様に、政府や地方自治体のすべての勧告にしたがってください。私たち全員が協力することで、このウイルス大流行から受ける影響を軽減できます。また、不妊治療が再開できるときに備えて心身の健康を保つ努力も継続してください」とあります。世界的な問題となっている新型コロナウイルスの問題を乗り越えるためにも、今は一人ひとりがさまざまな困難と向き合い、耐える時なのかもしれません。 監修者・著者:助産師 REIKO医療短期大学専攻科(助産学専攻)卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務。 大学附属病院で助産師をしながら、私立大学大学院医療看護学研究科修士課程修了。その後、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。
2020年04月02日27歳で結婚後、2年間妊娠できなかったので婦人科に通い始めました。タイミング法を6回、人工授精を6回しましたが妊娠しませんでした。半年ほど悩んだ末、体外受精専門の病院に転院。子宮鏡手術を経て、1回目の移植で妊娠できました。今回は、なかなか原因がわからなかった不妊治療の体験をお伝えします。 タイミング法・人工授精で結果が出ない結婚後すぐに「赤ちゃんに恵まれたらいいな」と思っていましたが、なかなか妊娠することができませんでした。不安に感じ、まだ20代でしたが、1度夫婦で検査を受けてみようと近くの婦人科を受診しました。その結果、各種の検査で夫婦ともに異常はなし。「タイミング法で解決するか」と楽観的にとらえていました。しかし、半年間試みましたが妊娠せず、人工授精にステップアップ。そして人工授精を6回しましたが、結果が出ませんでした。 体外受精へのステップアップを決断体外受精へステップアップする決断はなかなかできませんでした。そしてメンタル的にもPMS(月経前症候群)が悪化したり、友人の妊娠を喜べないなどの状態が続く時期だったと思います。決断のきっかけとなったのは実母からの一言でした。「どうしても子どもが欲しいなら、まずは1度、体外受精を試してみたら?」と背中を押してくれたのです。母の言葉で、まずはチャレンジしてみようと前向きになることができました。さらに同世代で3人の友人たちが先にステップアップして妊娠していく姿にも励まされました。 体外受精、そして妊娠・出産体外受精の専門病院に転院し、子宮鏡手術を経て体外受精をおこないました。1回目の採卵は仕事の繁忙期と重なってしまい、採卵できたのは2個。さらに受精もうまくいかず、移植できる受精卵が1個もない状態……。高額の費用をかけたにも関わらず、納得できない結果でした。2回目の採卵は仕事を休み、担当も院長先生を指名して調整し、5個の受精卵ができました。そして1個目の移植で妊娠でき、無事出産することができたのです。 赤ちゃんが欲しいなと思ってから出産に至るまで、約5年の月日がかかりました。ステップアップは経済的負担も身体的負担も大きいものでした。不妊原因のわからなかった私たちにとっては体外受精が解決策だったようです。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 著者:小川かなえ2歳の双子姉妹の母。東京郊外在住。元保育士、不妊治療を経て妊娠出産。子連れハイキングやキャンプなどアウトドアも再開。現在は親子の森のようちえんを運営し、地域や自然とともに子育てをしている。
2020年03月05日第一子は自然に妊娠しました。そして第一子を出産し、少し期間をおいて第二子への妊活を開始しました。しかし1年経っても子どもを授からず……。2人目不妊に悩んだ私の体験談をお伝えします。 第一子出産後、妊活開始第一子出産後、なぜか妊娠しませんでした。産婦人科に通い、基礎体温を測りながらわかったのですが、実は排卵していなかったようなのです。そんななか仕事へ復帰し、職場が変わってしまったこともあってか、精神面で弱ってしまい、うつ病を発症してしまいました。 育児と仕事の両立がうまくできずにいましたが、子どもが欲しい気持ちは強かったです。ところが、夫から妊活をやめたいと言われてしまいました。育児と仕事の両立をできずにいることに対して罵声を浴びせられ、私も精神的に追い込まれてしまい、当時は離婚の話もしました。 ですが、まずはうつ病を治して、職場も変えてから、今後についてどうするか決めようということになりました。 不妊治療をやめることに…半年後、子どもが欲しい気持ちに変わりはなく、不妊治療を再開しました。排卵誘発剤を使って人工授精を4回おこないましたが、妊娠せず。5回目のときに夫に原因があり、顕微受精でしか子どもができないということがわかりました。 私たちは共働きで、不妊治療の助成金は所得制限の対象になり受け取ることができません。高額な治療費がかかるため、夫に「不妊治療にお金をかけるなら、1人目の子にお金をかけてあげたい」と言われました。 悩んだ挙句、パートナーがそういう気持ちになっている以上、不妊治療を続けることができないと思い、不妊治療をやめました。 健康に意識して過ごしていたら夫との会話も一気に減り、しばらくは家庭内での笑顔が少なくなりました。でも、不妊治療をやめて、私の体への負担も少なくなったせいか、育児、家事、仕事をテキパキこなせるようになり、夫との会話もだんだんと戻ってきました。 そんななか、気休めではありますが、夫と共に運動を始め、夫は亜鉛のサプリ、私は葉酸サプリを飲み始めました。お互いの健康のために始めたことでしたが、ダイエットにも成功! 上の子は、トイトレがうまくいき始めており、また甥や姪と一緒に遊んでいるのを見て、ひとりっこでも、こうしてきょうだいのように遊んでくれる存在のありがたさを感じていました。 夫婦の心身が健やかであることそんなとき、生理が遅れていることに気づきました。妊娠していたのです!とてもうれしく、本当に感動しました。不妊治療は女の人だけでなくやはり男性にもプレッシャーはかかっています。改めてパートナーとの気持ちを通わせることは大切だな、と感じました。不妊治療は、先が見えず、不安なことだらけでした。だからこそ、心の負担が大きくなりすぎたときに一度思い切って休むことも必要だったんだな、と感じました。やはり夫婦の心身が健やかであることが大事なので、気休めでもストレス解消になることをして過ごせたことがよかったと思っています。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 著者:井上由美子3歳、0歳の二児の母。 今は子育てに奮闘中。
2020年02月28日私は第1子を不妊治療で授かり、現在は第2子不妊治療中です。不妊治療をしていると薬の服用やホルモン注射、度重なる通院などにより精神的にも肉体的にも疲れ、ささいなことでも苛立ってしまうことがあります。今回は、私が不妊治療をするなかで言われてイラッとした言葉があるので、いくつかご紹介します。 「諦めたら赤ちゃんが来るってよく言うよね」この言葉は、不妊治療をしていることを相手に伝えると大抵の人に言われる言葉です。言っている人はおそらく励ますつもりで言ってくれているのでしょうが、治療の最中であるとなかなか素直に受け入れられないのです。 もちろんその場では「 そうですよね!」 と答えますが、心の中では「 その諦めがつかないから治療をしているんです。諦めて赤ちゃんが来なかったらきっと後悔するんです」 と叫んでいます。相手が不妊治療を経験して赤ちゃんを授かった人であればまた受け止め方が違うのですが……。 「少し休んでみたらいいんじゃない?」これは夫に言われてすごくイラッとした言葉です。 1年間で子どもを授かることのできるチャンスは12回程度しかありません。だからこそ、今休んだらそのチャンスを1回捨てることになると感じてしまうのです。ゆったりとした気持ちのほうが妊娠しやすいのかもしれないと思いつつ、先の見えないトンネルを早く抜けて赤ちゃんを授かりたいと思ってしまうのです。 夫婦で治療に対する考えを伝え合うことの大切さを感じたきっかけとなった言葉でもあります。 「そんなに怒るから赤ちゃんが来ないんだよ」この言葉を言われたときの衝撃は、今でも忘れられません。一瞬何を言われたのかわからず、理解してから湧き上がる怒りに我を忘れるほどでした。実はこれ、3歳の娘に言われた言葉なのです。ついついイライラしてしまっている自分を自覚していたからこそ、言われたときは怒って娘に当たり散らしてしまいました。 その後、「この言葉は本当に傷つくし悲しくなる言葉だからもう言わないで」と娘に伝えましたが、それだけ私が怒っていたのだなぁと反省しました。 不妊治療をしていると、自分ではコントロールできないような怒りや悲しみに振り回されることがあります。それでも、周りの人の言葉をネガティブに捉えるのではなくポジティブに捉えて、かわいい赤ちゃんを授かることができるように頑張りたいです。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 イラスト/imasaku監修/助産師REIKO著者:吉川麻和一児の母。娘の出産を機に仕事を退職し、現在は子どもの成長に合わせた働き方を模索中。不妊治療の経験や子育て経験に基づき執筆中。
2020年02月23日ウーマンエキサイトをご覧のみなさま、こんにちは。妊娠を望む方たちのサポートをしているファミワンです。今回の担当は、ファミワンの生殖医療相談士・看護師の石橋です。看護師として不妊治療の現場で十数年働きながら、妊活を頑張られている夫婦のサポートをさせて頂いています。さて、今回のテーマは一番気になるけど中々聞けない「お金」のお話です。不妊の治療や検査は保険でできるものもありますが、自由診療となるものも多いため“不妊治療は高い“というイメージがあると思います。それが気になって実際に病院への受診を躊躇していらっしゃる方も多いのではないでしょうか。そこで今回は不妊治療のお金のあれこれについて少しお話しさせて頂きますね。<検査費用>保険適用検査月経中のホルモン検査:1,500円〜2,00円子宮卵管造影検査:8,000円超音波検査:1,600円〜2,000円フーナーテスト:600円黄体期の検査(超音波+血液検査):4,000円自費検査血液型:1,000円〜2,000円感染症検査(B型肝炎・C型肝炎・梅毒・HIV):5,000円〜8,000円クラミジア検査:4,000円〜5,000円AMH(抗ミュラー管ホルモン):5,000円〜10,000円甲状腺ホルモン検査:3,000円〜4,000円風疹抗体検査:3,000円〜5,000円精液検査:3,000円〜8,000円これらは一部検査であり、全てではありません。また、全てが一例ですので各病院にて料金は異なります。病院によっては月経周期に関係なくできる自費の検査を、少しでもお得にできるようにとセットにしているところもあります。<治療に関わる費用>不妊治療にはタイミング療法・人工授精・体外受精があります。それぞれの治療内容により費用は大きく変わります。今回は、それぞれの治療の1周期にかかる費用をご紹介します。タイミング療法8,000円〜15,000円月経が開始してから、排卵が終わるまでに通常2〜3回の受診が必要となります。その間に、超音波検査や必要に応じて排卵誘発剤の内服や注射、排卵促進剤の注射などが必要となります。診療の回数や必要な薬剤によって費用は前後しますが、保険適用の治療なのでこれくらいの費用になることが一般的です。人工授精10,000円〜50,000円診療の回数や使用する薬剤はタイミング療法とほとんど変わりません。しかし人工授精は自費診療となるため、料金が高くなってきます。体外受精・顕微授精診察代:50,000円〜10,000円 採卵と移植又は凍結:200,000円〜600,000円月経が開始してから排卵誘発剤の注射や内服を開始します。診察は採卵が決まるまで3〜5回ほど必要でその都度、超音波検査やホルモン検査が必要です。誘発剤の注射も1回3,000円〜8,000円を平均10回ほど実施します。また、実際にこの診察料とは別に採卵から受精卵の凍結保存又は胚移植までの費用もかかります。それらをトータルすると高額な費用となります。体外受精や顕微授精は刺激方法や卵巣機能などにより大きく変動しますが、それでもやはり高額であることに間違いはありません。<不妊治療に関する助成金や医療費控除>これまでご紹介させて頂きましたが、不妊治療は高額になりがちです。そのため経済的にサポートする目的で助成金の制度があります。また不妊治療にかかった費用は医療費控除の対象になるため申請することで負担を少しでも軽くすることができます。助成金制度不妊治療や検査に関する助成金は3種類あります。不妊治療・検査の助成金検査やタイミング療法・人工授精までの治療に関する助成制度です。こちらは各市町村にて対象や助成額が異なるためお住いの自治体にご確認下さい。特定不妊治療助成金制度体外受精・顕微授精が対象となる助成金制度です。特定助成金制度は初めて助成を受けた日に女性の年齢が39歳までであれば通算6回受けることができ、40歳以上の場合は3回となります。女性の年齢が43歳以上の場合には対象となりません。また所得制限も設けられていますので、詳細は各自治体でご確認下さい。男性不妊治療(精巣内精子生検採取法等)に関わる医療費助成特定不妊治療(体外受精及び顕微授精)に至る過程の一環として行われる、精巣内精子生検採取法(TESE)、精巣上体内精子吸引採取法(MESA)、経皮的精巣上体内精子吸引採取法(PESA)、又は精巣内精子吸引採取法(TESA)の費用の一部が助成されます。但し、男性不妊単独での申請はできません。医療費控除不妊治療にかかった費用は医療費控除の対象になるため、所定の手続きをすることで所得税や住民税の負担を軽減できます。医療費控除の対象になるものには不妊治療の検査代、治療費、お薬代、不妊治療のための鍼治療やマッサージ代です。申請する場合には領収書が必要になるためしっかりと保管しておいてください。このようにいくつかの制度があるので、それぞれの制度を理解し申請をすることで負担を少しでも軽減して下さい。又、これら以外にも例えば妊娠を目指しているご夫婦の場合、風疹抗体検査やワクチンの接種なども助成制度を設けている自治体は多くありますので、こちらも一度確認することをお勧めします。さらに企業によっては、不妊治療の費用を援助してくれる会社もありますので、お2人の会社の制度を確認しても良いかもしれませんね。今回お伝えしたように、不妊治療にはお金がかかります。そのため、受診前から実際にどの程度の費用がかかるものなのか知り、お2人でどこまでの治療をどの程度行うのか、又治療費をどのように捻出するのかなど事前に話し合っておくと良いでしょう。実際にお金の事が心配で病院を受診できない方が多いこともデータによって判明しています。治療でどの程度の費用がかかるのか情報を得ることで、事前に話ができ、受診後の不安も多少軽減できるのではないかと思います。ただそれぞれの病院によって料金は異なるので、もう少し詳細に知りたい方はこれから通いたいと思われている病院へ直接聞かれることをお勧めします。病院側も情報提供として料金をお伝えできるように準備しているところも珍しくありませんし、聞くことは決して恥ずかしいことではなく治療をする上で必要な情報ですので遠慮せず聞いて下さい。お困りごとがありましたらお気軽に私たち ファミワン にご相談くださいね。*参考資料;NPO法人Fine 不妊治療と経済的負担に関するアンケート より
2020年02月21日不妊治療を始めて3年過ぎたあたりから、子どもを授かりたいと思う願望が義務のように変化していき、妊娠に対する感覚が徐々に麻痺し始めていました。ついに、私たちは精神的な余裕が完全になくなってしまいました。そして、治療へ真剣に向き合うことが怖くなり、できなくなってしまいました。 治療法を変えても、結果は出ず一度転院して新たに通い始めた病院で3年近く人工授精を続け、不妊治療期間が約5年過ぎていました。しかし、毎月決まった時期に儀式のように病院へ行き、医師から妊娠していない事実を聞くと、妻だけでなく自分の努力が無駄に感じてしまい、夫婦共々どんどん落ち込んでいきました。 さらに、医師のすすめで体外受精・顕微受精を数回試しましたが、1回につき約40万円の出費になるため、長期的に継続して治療することは断念せざるを得ませんでした。そして、医師と会話することすら嫌気がさしてしまって、また転院することにしました。 2度目の転院にして、最後の病院次の病院でできなかったらあきらめよう、と夫婦で決めていました。年齢と負担だけが増えていって、本来の目標を失いかけていたからです。 次に決めた病院では、お金も精神的負担もかけたくなかったので、タイミング療法のみで治療を再開しました。ここの診療方針は、上の子どもが一緒に行くことも自由、なんとなく決められた日程での診察というのんびりとした環境で、私たちはそのおかげである程度平常心を取り戻していきました。 しかし同時に、妊娠することへのこだわりも徐々に薄れていきました。もうここが私たちの不妊治療の限界だと感じていたからです。 ストレスが減り、そして…最後の病院は、負担を感じることがほとんどなく、通院することができました。電車でひと駅の距離にあることや、繁華街にあるため、寄り道して気を紛らわすこともできたことなども要因だったと思います。 あまりストレスを感じずに治療を続けた結果、最後の病院へ通院して半年、不妊治療開始から約6年目でようやく妊娠することができました。正直、喜びよりも驚きのほうが大きかったです。 今思えば私も妻も、経済的な不安も含む精神的な不安が赤ちゃんを授かることができなかった1番の原因だったように思います。自分が頑張りすぎると、妻にとって負担になります。逆の場合も同じです。妻のため、夫のためと思ってしている行動が、かえって相手を苦しめていたのかもしれません。 改めて感じること次女が無事生まれ、今、冷静に振り返って考えると、私たちは不妊治療を体験できて本当によかったと思います。 真剣に家族揃って同じ目標に向かって取り組み、家族の結束が一層深まりました。さらに、不妊治療に予想外に時間がかかったおかげで8歳差の姉妹になりましたが、長女が本当によくかわいがってくれており、楽しんで子育てに参加してくれています。 妻はもちろんですが長女も頑張って協力してくれたおかげで、子どもを授かることができたのだと私は感じています。 ゴールが見えないまま、どこまで続ければいいのか不安を感じながら治療を続けることが、ここまでつらいとは正直思っていませんでした。ただ、子どもを授かることができ、さらに家族で苦難を乗り越えることができたという充実感も得ることができました。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。検査の内容などは病院によって異なります。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 イラスト:(c)chicchimama 著者:ライター 吉田直樹二児の父。原因不明の続発性不妊症のため、夫婦揃って不妊治療を数年おこない授かる。グラフィック・Webデザイン事務所を経て、現在グラフィックデザイン・Webデザインのフリーランスとして活動中。
2020年02月15日何もかも手探り状態で始めた不妊治療ですが、小さな疑問や不安が少しずつ大きくなっていきました。自分たちに合う治療・病院とはなんだろうと考え続けても、答えが見つかりそうにない時期が続き、約2年が経過していました。 最初の転院原因が特定されないままに始めた不妊治療のため、タイミング療法をずっと続けていました。ただ、時間が経つにつれ、通院当初は気にならなかった片道約1時間の通院時間も負担に感じ始めました。今までの生活リズムも徐々に狂い、夫婦間の衝突も次第に増えていった結果、自宅から15分くらいで通院できる病院に転院することにしました。 次の病院は、地元では有名な不妊治療専門院に決めました。そこは院長先生がメディアにも度々露出して有名なので人気もあり、治療費も今までの病院と比べて割高でした。 毎週診察があり、1回の診察で約1万円、人工授精で約2万円、何かイレギュラーな診察があると、また数万円といった費用がかかりました。しかし、通院時間短縮や妊娠確率が上がるならと思い、その病院へ通院することにしました。 精神的な余裕がなくなっていった有名な病院だけあって、事前に大きな会場でいろいろな分野の先生から説明があり、大学のセミナーのような規模でした。ただ、ここでの説明は、私の予想と反して確率やリスクといった現実的な話ばかりでした。 私は、妊娠・出産は非常に神秘的で尊いものだと考えていたので、先生たちの生物学的な話が妊娠に対する神秘から離れていくように感じてどうしても受け入れられませんでした。うれしいはずの妊娠を前に、どんどん自分のなかに暗く不安なものを感じ始めました。 今思えば、2年続いた不妊治療でのストレスの結果、私は精神的に余裕がほとんどなく、自分本位の考え方になっていたのかもしれません。 ゴールが見えない不安の連続の毎日精神的な不安に加え、なかなか結果が伴わない状態が続いたため、この病院での治療は順調には進みませんでした。それでも、なんとか子どもを授かりたいという思いから通い続けていたのですが、2年の通院期間が過ぎたあたりから、この病院に対して不信感が芽生え始めました。 治療費だけがかさんでいき、いつまで経っても結果が出ないため、「病院側はきちんと治療しているのか?」と、病院に責任があるようにも感じ始めていました。さらに私自信の被害妄想は膨れ上がり、院内で笑い声が聞こえるたびに自分が笑われているのではないかと感じるほど、精神的に滅入っていました。 次の段階の治療へ治療内容は、この病院をきっかけにタイミング療法から人工授精へと変わっていました。医師の説明だと、治療法で飛躍的に確率が上がるわけではないと念を押されていたのですが、現状を変えたい、少しでも確率が上がるのでは、という思いで挑戦しました。 人工授精は、私の負担もさらに増大します。その病院では、朝6時に精子を病院に持ち込まなくてはなりません。そのため、不妊治療にかける時間も一気に増えました。病院によると思いますが、禁欲はもちろん、食生活から運動まで、いろいろと指示があり、妊娠のためと理解しているつもりでしたが、毎日が楽しめなくなってきていました。 自分たちが若くないため、育児できる体力や経済力を考慮すると、時間がないことが一層焦りを生んでいました。さらに、治療に時間がかかるほど経済的負担も大きくなっていくことも不安要素の原因にもなっていきました。 次回は2回目の転院・抱えていたプレッシャーについてお話しします。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。検査の内容などは病院によって異なります。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 イラスト/(c)chicchimama監修/助産師REIKO 著者:ライター 吉田直樹二児の父。原因不明の続発性不妊症のため、夫婦揃って不妊治療を数年おこない授かる。グラフィック・Webデザイン事務所を経て、現在グラフィックデザイン・Webデザインのフリーランスとして活動中。
2020年02月14日不妊治療が始まると、生活のすべてを治療のために調整しなければなりませんでした。これは事前に納得していたはずなのに、いざ治療のための調整となると、精神的にも肉体的にも、想像以上の負担を強いられるようになりました。 いよいよ治療初日なんとか治療する日程を調整し、初めて病院に行きました。不妊治療の検査は何をするのか想像もつかず、不安でいっぱいでした。 診察が始まり、軽い問診のあとに妻とは別室へ連れて行かれ、精子検査を初めて経験しました。小さな個室に入り、看護師さんに説明をされたのですが、説明があまり頭に入ってこないくらい部屋の様子に驚きました。 部屋の中にあったのは、小さなソファ、小さなテレビモニターと、選んだ人の性癖がわかるようなDVDの数々です。まるで漫画喫茶の個室をアダルトな雰囲気にした上、DVDのみをずらっと並べた感じです。病院内にこんなスペースがあることにびっくりしました。 初めての精子検査妻と看護師さんがドアの向こうで待っていると思うと、一刻も早くこの空間から出たい気持ちで、すぐに作業に移りました。 好みのジャンルでもないDVDの力を借り、ありとあらゆる想像力を働かせたのですが、精神的な影響もあって思うように捗りません。なかなかスムーズに作業できないことが、余計に恥ずかしく、より一層作業を遅らせてしまいました。 なんとか採取できたのですが、容器から伝わる温もりがとても生々しく、すぐには渡すことができませんでした。 不妊の原因は不明のまま私と妻はいろいろと検査をしたのですが、私の精子は正常、妻の卵子も年齢と比較するとかなり良い状態であるとの診断を受け、結局不妊の原因は特定できませんでした。 とりあえず、しばらくは通院をすることにしたのですが、通院する日程を決めることが大変でした。初診のときと同じく、仕事の調整・祖母の時間調整に加えて、排卵日など妻の状態も配慮しなくてはいけなくなりました。 このあたりから毎日診察日のために行動をしなければならなくなり、日常生活に徐々に影響が出始めました。 だんだん小さな衝突が増えるすぐに結果が出ないことは最初から理解していたとはいえ、終わりが見えない状態が続くと、私は日に日に疲弊していきました。妻の負担も目に見えてわかり、この時期から小さな喧嘩が増え始めました。私も家事の負担を少しでも減らそうと努力していたのですが、すべてを補うことができません。 小さな喧嘩から始まり、言い争いも激しくなると、結局は不妊治療の話になり、毎日がその繰り返しでした。 治療を始める前に、夫婦でお互い励まし合い治療に向き合うことを充分に話し合いました。しかし、頭では理解していても、今までの生活リズムに影響が出始めると、想像以上に治療に負担を感じました。 次回は人工授精についてお話しします。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。検査の内容などは病院によって異なります。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 イラスト:(c)chicchimama 著者:ライター 吉田直樹二児の父。原因不明の続発性不妊症のため、夫婦揃って不妊治療を数年おこない授かる。グラフィック・Webデザイン事務所を経て、現在グラフィックデザイン・Webデザインのフリーランスとして活動中。
2020年02月13日私は、過去に原因不明の続発性不妊症で不妊治療を約6年間経験しました。自分には関係ないと思っていた治療でしたが、調べてみると経済的にも精神的にも負担の大きな治療だと初めて知りました。夫婦で話し合い、負担は納得しているつもりだった治療も、実際に始まるとイメージしていたものとは違うさまざまな経験をしました。 不妊治療を始めるきっかけ私たち夫婦が不妊治療を始めたのは、私が35歳、妻が32歳のときでした。私たちはすでに子どもを1人授かっており、そろそろ2人目が欲しいなと話していたのですが、なかなか授かることができませんでした。 長女を計画通り授かることができたので、2人目も欲しいタイミングで授かるものとばかり思っていたので不思議に感じていました。自然妊娠がなかなかできないので、ネットなどで情報を集めると、続発性不妊症という言葉が目にとまりました。続発性不妊症というのは、以前に妊娠したことがあり、その後妊娠しない場合を言うそうです。 さらに続発性不妊症について情報を集めると、私たちがその言葉に該当することがわかりました。そのとき、初めて私たちは不妊治療が必要なのだと認識しました。 不妊治療を始める前に私たちは、それまで不妊治療についての知識がほとんどありませんでした。ただ、「金銭的に大変」「女性は精神的にも負担が大きい」などマイナスなイメージだけ持っていました。そこで、具体的に金額がいくらかかるのか、どのような治療法なのか、精神的負担とは何かなどの情報を本やネットを通じて、事前にできるだけ調べました。 やはり、そこにあった情報は精神的、金銭的負担が大きいことや、夫婦の協力・理解が必要だということでした。私たちは、長女を含めて3人で話し合い、やはり子どもを授かりたいこと、無理なら治療を中断することを確認し、不妊治療を始めることを決意しました。 病院選びも難航まず、不妊治療をおこなっている病院選びを始めましたが、この作業が意外と難航しました。妻が、近所の病院だと誰かに知られてしまうのが嫌だということで、少し遠い病院に決めました。 しかし、その病院へ通うことで、私たちの予想していなかったハードルがありました。不妊治療をおこなっている病院ではよくあることですが、子連れ厳禁だったのです。そのため、祖母に長女を預かってもらう日程と私が仕事を休める日程を調整し、病院に予約を入れなければなりません。私は治療を始める前段階で、いろいろと戸惑うことがあり、徐々に先行きに不安を感じ始めていました。 私には関係ないと思っていた不妊治療でしたが、気軽な気持ちで始めました。おそらく、1人子どもがいるので2人目もすぐにできるだろうと、心のどこかで過信していたように思います。 次回は初めての精子検査についてお話しします。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 イラスト:(c)chicchimama 著者:ライター 吉田直樹二児の父。原因不明の続発性不妊症のため、夫婦揃って不妊治療を数年おこない授かる。グラフィック・Webデザイン事務所を経て、現在グラフィックデザイン・Webデザインのフリーランスとして活動中。
2020年02月12日今回は、妊娠中に親知らずの治療は可能かについてお話しします。 妊娠中に親知らずの治療は可能?妊娠中は基本的にどのような歯科治療でも受けることは可能ですが、赤ちゃんの器官や臓器が作られる妊娠初期は、緊急性の高い歯科治療のみに限定されます。 歯科医院や歯科医によっては、妊娠中の親知らずの痛みに対して治療を控える方針にしているところもありますが、治療をしないで痛みやそれに伴う感染などをそのまま放置しておくほうが妊娠経過に与える影響は大きいでしょう。 親知らずは奥歯やあごの痛みで気づくことが多いです。歯ブラシが届きにくい部分に萌えるため、周囲の歯を虫歯にしたり、横や斜めの方向に萌えて歯並びを乱すことあります。また、歯ぐきにの中に埋まった状態で痛みが生じることもあります。親知らずの状態によっては歯科医院ではなく、大学病院などの口腔外科での治療が必要なこともあります。 妊娠中の親知らずの治療については、応急処置のみにするか、抜歯するかについて、妊娠週数や親知らずの状態に合わせて歯科医が総合的に判断します。妊娠週数に関係なく、親知らずによる痛みがあるときは、まず歯科医院を受診して相談しましょう。 妊娠経過や赤ちゃんへの影響が心配な場合は、歯科医院を受診する前に、産婦人科の担当医へ相談しましょう。また、歯科医院を受診する際には妊娠していること、妊娠週数や妊娠経過、産婦人科の担当医の意見などを歯科医へ伝えることが大切です。 妊娠中は口腔環境が変化しやすい妊娠中は女性ホルモンの増加に伴って、歯ぐきの出血や発赤、腫れが起こる歯肉炎など歯周病が起こりやすくなります。妊娠をきっかけに歯周病や虫歯、親知らずの痛みが生じることもあります。受診しない限り、応急処置だけで大丈夫か、妊娠経過に影響を与えない状態かについて判断はできません。妊娠中だから歯科治療を受けてはいけないということはありません。口腔内の出血や痛みなどがあれば、早めに歯科医院を受診して相談しましょう。 妊娠中にあお向けの姿勢になったときは、大きくなった子宮が体の右側にある下大静脈を圧迫して、急激に低血圧を起こす「仰臥位低血圧症候群(ぎょうがいていけつあつしょうこうぐん)」に注意が必要です。歯科医院での治療中に仰臥位低血圧症候群が起こることがあるので、治療当日の体調に合わせて無理のない範囲で治療を受けることが大切です。 妊娠中の歯科治療に麻酔を使っても大丈夫?歯科治療で使う局所麻酔薬は、主に2%塩酸リドカイン(歯科用キシロカイン®、オーラ注®)です。妊娠中に局所麻酔薬を使っても、おなかの中の赤ちゃんへの影響はほとんどありません。痛みを伴う歯科治療の場合、痛みをひたすら耐えるよりも局所麻酔を使用したほうがストレスを軽減できるでしょう。 妊娠中に抜歯しても大丈夫?抜歯時に使用する局所麻酔薬や抜歯後に服用する抗菌剤や痛み止めの薬(解熱鎮痛薬)について、おなかの中の赤ちゃんに影響が少ない薬を選択することで抜歯することは可能です。抜歯しないことで起こる感染や炎症、持続する痛みを放置することのほうが妊娠に与える影響は大きいといえます。妊娠中の抜歯に対して戸惑いやためらいがある場合は、担当医と十分に話し合いましょう。 妊娠中に歯科でエックス線撮影(レントゲン検査)を受けても大丈夫?エックス線撮影(レントゲン検査)は、歯の口腔内の状態を確認し、診断や治療方法を決めるために必要に応じておこなわれる検査です。歯科医院でおこなうエックス線検査(レントゲン検査)は、赤ちゃんのいるおなかから離れている歯とその周りの口腔部分のみに微量の放射線を照射して撮影します。また、撮影時には腹部を覆うように防護用エプロンを着ることで、放射線被ばくを軽減するため、おなかの赤ちゃんへの影響はほとんどありません。 赤ちゃんの健康状態への影響はありませんが、妊娠中のエックス線検査(レントゲン検査)について心配なことがあれば、担当医に相談してみましょう。 妊娠中の歯科治療後に痛み止めなどの薬を飲んでも大丈夫?妊娠初期は胎児の器官や臓器が作られる時期に重なるため、妊婦さんは使用した薬による影響が心配になるかもしれませんが、実際には薬の影響で奇形が生じることは稀なことです。 薬を使用しなければ妊婦さん本人に悪影響があると考えられる場合は、おなかの中の赤ちゃんに対して安全性の高い痛み止めの薬である、アセトアミノフェン(商品名:カロナール®)や抗菌薬(セフェム系・ペニシリン系)が処方されます。 歯科治療に使用した薬について心配な場合は、妊娠と薬について専門的な相談を受けてくれる「妊娠と薬情報センター」(厚生労働省事業)などの相談窓口を利用しましょう。まとめ妊娠中の親知らずの治療については、妊娠週数や親知らずの状態に合わせて、応急処置のみにするか、抜歯するかなどを歯科医が総合的に判断します。妊娠週数に関係なく、親知らずによる痛みがあるときは、我慢せずに歯科医院を受診しましょう。妊娠経過や赤ちゃんへの影響が心配な場合は、歯科医院を受診する前に、産婦人科の担当医へ相談しましょう。 <参考>・日本歯科医師会 母子健康手帳活用ガイド 作成:平成24年3月・日本小児歯科学会・日本放射線技術学会・妊娠と薬情報センター 監修者:医師 おおたレディースクリニック院長 太田 篤之 先生順天堂大学卒後、派遣病院勤務を経て、平成22年より順天堂静岡病院周産期センター准教授就任。退職後、平成24年8月より祖父の代から続いている「おおたレディースクリニック」院長に就任し現在に至る。著者:助産師 古谷真紀一般社団法人産前産後ケア推進協会プロジェクトリーダー大学病院勤務を経て、2015年より現職。妊娠中や産後の女性のココロとカラダの相談、ママパパ&赤ちゃんのちょっと気になるコトに日々応えています。
2020年02月11日妊活をおこなうにあたっては、女性だけでなく男性側の協力も必要だと言えます。なぜなら、妊娠できない原因は男性側にある可能性もあるからです。妊活がなかなかうまくいかない場合は、男性側の生活習慣や食事・サプリで摂取する栄養素を見直してみると良いでしょう。そこで、この記事では妊活に取り組んでいる人に向けて、男性不妊の概要と男性が気を付けたほうが良いことなどを紹介します。 男性不妊とは? 男性器と精子の役割妊娠するためには、女性の卵巣内にある卵子と男性器から放出される精子が出合わなければいけません。男性器は主に睾丸と陰茎から成り立っています。睾丸は男性の生殖腺であり、男性ホルモンや精子を作り出す器官です。作り出された精子は勃起した陰茎が射精をおこなったときに放出されます。陰茎は精子を女性の腟内に送り込むための交接器官の役目を持っているのです。 射精された精子は腟内を泳ぎながら卵管を目指します。一般的に一度の射精で数億もの精子が放出されますが、卵管にたどり着けるのはそのうちの100万分の1に過ぎません。つまり、精子に特段の異常がないケースでも卵子の周囲までたどり着けるのは、およそ100程度なのです。そのため、精子の動きが鈍かったり、精子数が少ない状態で射精したりすると、妊娠する確率はさらに低くなります。また、放出される精子は卵子に到達すれば必ず受精するというわけでもありません。 卵子に到達した精子は受精するために、卵子内に侵入を試みます。そのため卵子に近づくと先体反応と呼ばれる形状に変わらなければいけないのですが、うまく形状を変えられない奇形精子が多いと受精がスムーズにできません。精子は数が多ければ多いほど卵子まで到達する可能性は高くなりますが、質が悪いと結果的に受精できないケースもたくさんあるのです。無事に受精できた場合は、卵子はその他の精子を侵入させないために、卵子の殻を厚くします。そして卵子は雌性前核を形成し、雄性前核となった精子と一緒に細胞分裂を繰り返して子宮内膜に着床し、赤ちゃんになっていきます。 つまり、男性不妊と言われるものの症状は大きく分けて2つです。1つ目は精子が放出されない(作られない)症状で、「無精子症」や「乏精子症」などが挙げられます。2つ目は「精子無力症」などの精子の運動効率が悪い症状です。精子の数は正常な人と変わらないのですが、運動効率が悪いため卵子まで到達することができず、結果的に妊娠できません。これらの症状は造精機能障害と呼ばれ、ほとんどの男性不妊の原因です。造精機能障害は先天的に病気を持っている人もいますが、後天的になるケースもよくあります。後天的に発症するケースの原因は人それぞれ違いますが、ストレスやアルコール、喫煙といった生活習慣が大きな影響を与えているケースも珍しくありません。 妊活のために男性が気を付けたいこと先天的に造精機能障害にかかっている場合は、病院で治療を受ける必要があります。しかし、後天的に造精機能障害になった場合は生活習慣が影響しているケースも多いので、日常生活を見直すだけで症状が改善する可能性はゼロではありません。 男性不妊の原因となりやすい生活習慣で、まず挙げられるのは「喫煙」です。喫煙をするとニコチンの作用で血管が収縮し、脳や皮膚といったさまざまな場所で血流を悪化させます。結果的に男性の精子の運動効率を悪化させてしまう恐れが高くなるので、妊活中はできるだけ喫煙を控えたほうが良いでしょう。また、陰茎が勃起するためには、血液が陰茎に集まらなくてはいけません。喫煙をして血流が悪くなると、陰茎が満足に勃起しなくなる「ED(勃起不全)」にかかることもあるので気を付けましょう。 妊活のために男性が気を付けておきたい2つ目の項目は「過度なアルコールの摂取」です。実際に何人もの研究者がアルコールが精子に与える影響を取り上げており、過度なアルコールの摂取が悪影響を与えることを証明しています。適度な量ならばそれほど問題はありませんが、毎日飲むようだと精子の量が減ったり、質が悪くなったりするので週に2日程度は飲まない日を設定しましょう。なお、アルコールと同じ飲み物では、カフェインを豊富に含むコーヒーの悪影響を心配する人も多いでしょう。しかし、結論からいうとコーヒーが精子に悪影響を与えるという科学的な証拠は見つかっていません。むしろ、適度に飲むことでコーヒーに含まれる抗酸化作用でアンチエイジングには効果的です。飲み過ぎには注意しながら摂取してみると良いでしょう。 男性が気を付けておきたい最後の項目は「薬の影響」です。特に注意するべきなのは、ドラッグストアなどで販売されている男性用育毛剤だと言えます。男性の薄毛の原因の1つとして、男性ホルモンの影響が挙げられます。男性用育毛剤に含まれている「フィナステリド」という成分には、薄毛の原因となる男性ホルモンを押さえる働きがあるのです。しかし、睾丸では男性ホルモンと同時に精子も作っています。つまり、男性ホルモンを作る働きが鈍ることで、精子を作る働きも鈍ってしまうのです。結果的に精子の量が減ってしまい、妊活に影響が出るケースがあります。医師から薬を処方してもらうときはもちろん、市販の薬を購入するときも気を付けなければいけません。 妊活のためにサプリや食事などでとりたい栄養素は?脂質や糖質の多い食生活ばかりを送っていては、栄養バランスが崩れて精子の量や質に悪影響を与えます。ビタミンやたんぱく質なども含めたバランスの良い食生活を心がけましょう。妊活のために男性が食事やサプリで摂取しておきたい栄養素としては「オメガ3脂肪酸」が挙げられます。オメガ3脂肪酸はナッツや魚類に多く含まれ、良い精子を作るために効率良く働いてくれる栄養素です。また、海苔やわかめといった海藻類に多く含まれる「葉酸」は精子のDNAが損傷することを防いでくれる効果が期待できます。 そのほかにも、精子数の増加に役立つ「亜鉛」は貝類や牛肉からたくさん摂取することが可能です。具体的な料理名でいうと魚介類やナッツ、チーズなどがふんだんに使われる「地中海料理」は男性不妊に効果的だと言えます。魚介類を摂取することでオメガ3脂肪酸と葉酸、亜鉛のすべてを効率よく吸収できるので、普段は肉好きだという男性も妊活中は魚介類を中心とした食生活を送ってみましょう。ただし、共働き世帯など、日常生活で忙しい夫婦の場合は毎日手のかかる魚介類料理を作るのも大変です。そのようなときは、無理せずサプリで不足した栄養素を補うようにすると良いでしょう。 一方、精子量が減る食事として妊活中は敬遠しておいたほうが良い食事は、高脂肪の肉類やお菓子、加糖飲料が挙げられます。これらの食事をたくさん食べてしまうと、精子量の減少や活動効率の悪化といった妊活にとっては悪影響を与える可能性があるので、食べ過ぎには気を付けましょう。ただし、あまり我慢しすぎてストレスが溜まってしまうと、精子数や質に悪影響を与えるかもしれません。どうしても我慢できなかったときは無理せず食べて、足りない栄養素をサプリで補う方法を取り入れるのも方法の1つです。 まとめ男性不妊は後天的なものの場合、生活習慣が影響している可能性があります。喫煙や飲酒といった日常生活を見直して、妊活に取り組んでみるとよいでしょう。また、精子数の増加や活動効率を向上させるためには、葉酸や亜鉛といった栄養素を摂取すると効果的です。サプリや食事を見直して、妊活に励んでみてはいかがでしょうか。 イラスト/sawawa監修者:医師 三鷹レディースクリニック院長 天神尚子 先生日本医科大学産婦人科入局後、派遣病院を経て、米国ローレンスリバモア国立研究所留学。その後、日本医科大学付属病院講師となり、平成7年5月から三楽病院勤務。日本医科大学付属病院客員講師、三楽病院産婦人科科長を務めた後、退職。2004年2月2日より、三鷹レディースクリニックを開業。
2020年02月07日不妊治療について調べてみて、他にも不安になったことがあります……。 調べてみて不安になったこと「痛み編」です。 もうね、怖い……。めっちゃ怖い。 注射だけでも怖いのに自己注射とか無理でしょ!!毎日薬飲んで使って注射してって恐怖しかないんですけど!! 子宮卵管造影検査、めっちゃ痛いらしいじゃん! みんな言ってる!採卵とか針ぶっさして採るんでしょ! そんなん絶対痛いやん!(確信) この覚悟がないと不妊治療はできないのだろうか……。調べれば調べるほど怖くなるのでした……。 先に言ってしまうと、そこまでの治療はしておりません。幸い運良くそこにいくまでに授かることができたのですが、この時は相当恐怖していた気がします。 第27話につづく 著者:イラストレーター 漫画家 まっふ令和元年5月1日生まれの男の子を子育て中の漫画家。多嚢胞性卵巣症候群からの妊娠を備忘録としてブログにのんびり4コマで更新中。ベビーカレンダーでは妊活中のお話「妊活レベル1 まっふの冒険記」を連載。息子とのお昼寝と一日の終わりにするゲームがなによりの至福。
2020年01月21日妊活開始から1年。診断を受けたわけではありませんが、「不妊」の領域に……。 そこで婦人科への通院を決意したのですが、予約をとった日まで数日あったのでいろいろ調べてみました(すぐ調べるマン)。 調べてみて不安になったこと、お金編です……! 無理やり4コマに押し込んだので、だいぶ簡易な説明になってしまいましたが、調べた感じ、だいたいこれくらいの費用がかかる感じでしょうか。保険がきかないので実費なんですよね……。市から助成金は出るらしいですが、それでも高額になるとか……。 ぶっちゃけ私の情報源が不妊治療されている方のブログとかで、そこで気になったことは自分で調べる感じなので、いろいろ間違っていたらすみません! でもリアルな声が聞けるブログ、いつも参考にさせていただいてます……! しかし不妊治療ってめっちゃお金かかる!! 第26話につづく 著者:イラストレーター 漫画家 まっふ令和元年5月1日生まれの男の子を子育て中の漫画家。多嚢胞性卵巣症候群からの妊娠を備忘録としてブログにのんびり4コマで更新中。ベビーカレンダーでは妊活中のお話「妊活レベル1 まっふの冒険記」を連載。息子とのお昼寝と一日の終わりにするゲームがなによりの至福。
2020年01月14日めまぐるしいけど愛おしい、空回り母ちゃんの日々
チッチママ&塩対応旦那さんの胸キュン子育て
やっぱり家が好き〜おっとぅんとみったんと私〜