家でも外でもおかまいなしに、子どもが癇癪(かんしゃく)を起こして、泣いて叫んで大暴れ…。そうなると、お母さんはどうしていいかわからないですよね。「こんなに癇癪を起こすなんて、私の育て方が間違っているのかしら…」そう不安に感じるお母さんは多いでしょう。そもそも、子どもはどうして癇癪を起こすのでしょうか。その予防法はあるのでしょうか? 子どもの癇癪について、くわしく解説していきましょう。【監修】赤坂ファミリークリニック院長 伊藤明子 先生小児科医師、公衆衛生専門医、同時通訳者。東京外国語大学イタリア語学科卒業。帝京大学医学部卒業、東京大学医学部附属病院小児科入局。東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻修了。同大学院医学系研究科公衆衛生学/健康医療政策学教室客員研究員。2017年より赤坂ファミリークリニック院長、NPO法人Healthy Children, Healthy Lives代表理事。著書・共著に『小児科医がすすめる最高の子育て食』など。テレビ番組「林修の今でしょ!講座」などに出演中。二児の母。■癇癪(かんしゃく)とは癇癪(かんしゃく)を起こすとは?「癇癪」とは、激しい感情を抑えきれず、大きな声を出したり怒ったり泣いたり、時には物を投げたり暴れたりすることです。英語で癇癪は「temper」、特に幼児期の癇癪は「tantrum」、癇癪持ちは「hot tempered」「short tempered」「quick tempered」といいます。hot、short 、quickといった形容詞が、癇癪を起こした時の様子をよく表しているといえるでしょう。【癇癪(かんしゃく)を起こしている子どもの様子】癇癪を起こしている子どもは、突然叫び声を上げたり、泣いたり、怒ったり、手足をバタバタさせたりします。感情が高ぶりすぎると、大きな声で泣きながら床に寝そべってゴロゴロ転がったり、手足をバタバタ振り回したりすることも。外出先で子どもが癇癪を起こすと、お母さんは本当に困ってしまいますよね。▼癇癪(かんしゃく)パターン1: 嫌なことを取り除こうとしている子どもは、癇癪を起こすことで「嫌なことを取り除こう」としています。例えば、公園で遊んだ後、「もう遅いから帰ろう」と子どもに声をかけると、「まだ帰らない! 遊ぶ!」と子どもが泣いて叫んで帰られない…というのはよくありますよね。これは、「嫌なこと=遊びをやめて帰る」を取り除こうとして、お母さんに訴えているわけです。▼癇癪(かんしゃく)パターン2: 困っているサイン子どもが癇癪を起こすもう一つの原因に、「何か困っているサイン」があります。例えば、ブロックが組み立てられない、服のボタンがうまくとめられないなどで、キーッと癇癪を起こし何もかも投げ出してしまう時がこれに当てはまるでしょう。子どもの癇癪(かんしゃく)の原因子どもが癇癪を起こす原因は、大きく分けて次の2つが挙げられるでしょう。▼生理的なもの子どもの癇癪は、欲求不満があったり、疲れていたり、おなかが空いていたりといった、「生理的なもの」が原因というケースが多いでしょう。例えば、おもちゃ売り場で「これ買って!」とダダをこねて、最後には泣いて暴れて…というのは、よくある子どもの癇癪のパターンです。しかし、実はこの癇癪の本当の原因は、「おもちゃが手に入らないこと」ではないことも。疲れていたり、眠かったり、おなかが空いていたりなどの生理的な原因がもともとあり、「おもちゃが買ってもらえない」をきっかけに感情が爆発する場合もあります。▼コミュニケーション手段になっている子どもが癇癪を起こす原因のもう一つには、「コミュニケーションを取るため」というのが挙げられます。親にかまって欲しい、人の注意を引きたいという気持ちから、癇癪という形であらわれるのでしょう。「上の子は聞き分けが良かったのに、下の子は癇癪持ちで…」とこぼすママは少なくありません。上の子に比べ、2番目、3番目以降の子どもは、親を独り占めできることが少ないですよね。もしかしたら、気を引こうとして癇癪という表現方法を取っているのかもしれません。癇癪は、子どもが親に気持ちを伝えるコミュニケーション手段の一つといえるでしょう。癇癪(かんしゃく)が始まるのは1歳になる少し前から?子どもの癇癪を起こし始めるのは、1歳になる少し前くらいからといわれています。ちょうど、少し言葉が出始めた頃ではないでしょうか。赤ちゃんの頃は泣くことしかできなかったのに、言葉という伝達手段を手に入れ、親子でコミュニケーションが少しずつ取れるようになり始めた1歳前後。しかし、子どもは当然、言葉ではまだうまく気持ちが伝えられません。そのジレンマが、癇癪を起こすという行動に結びついているのかもしれません。その証拠に、言葉でうまく感情を伝えられるようになる5歳頃から、ほとんどの場合、癇癪の頻度は少なくなっていきます。■子どもが癇癪(かんしゃく)を起こすのは育て方のせい? 発達障害なの?癇癪(かんしゃく)を起こすのは育て方のせいではない子どもが癇癪を起こすと「私の育て方が悪いのかな…」と心配になったり自分を責めたりするお母さんも多いでしょう。しかし、子どもの癇癪は、お母さんの育て方というより、子ども自身の性格や、その時の状況、環境、子どもの成長の過程とが複雑に絡み合って起こるものです。ごくまれに、心理学的、医学的などの理由で癇癪を起こす場合があります。一度の癇癪が15分以上続く、1日に何度も癇癪を起こすようなら、その可能性が考えられます。癇癪(かんしゃく)持ち=発達障害とは限らない次の3つに当てはまる子どもの癇癪は、その子の性格や環境、成長過程によるものが多いといえます。発達障害と安易に関連づけることはできないでしょう。▼ほかの人と関わるのが苦手子どもは、行動範囲が広がるにつれて、さまざまな人とコミュニケーションを取るようになります。最初はお母さん、お父さん、きょうだいといった家族だけ、次に一緒に遊ぶ同年代のお友だちやその家族、幼稚園・保育園に通い始めたら先生や違う年齢の子どもたち…。関わる人が多くなる過程で、子どもはほかの人とコミュニケーションをとる練習をし学んでいきます。ただし、それも子どもの性格や環境によって、得手不得手の差は出てくるもの。ほかの人との関わりが苦手な子どももいるでしょう。例えば、お友だちとおもちゃの取り合いになった、ブランコの順番を待っていたのに抜かされたといった子ども同士のトラブルは日常茶飯事ですね。そういった時、相手に合わせる、相手と交渉するというのが苦手な場合は、癇癪を起こしてしまうでしょう。▼言葉が遅い言葉がまだうまく使えず、思ったことが伝えられない。また、何か言われても十分に理解できない。そういった時、子どもは自分の気持ちが伝わらず、状況も理解できなくて不安に感じます。それが、癇癪という形であらわれるのです。ほかの子より言葉が遅い子は、同じ年齢のお友だちと遊んでいても、うまく気持ちが伝えられません。そのため、泣いて怒って、時には手が出てしまうこともあるのでしょう。▼気持ちをまだコントロールできない子どもと比べて、大人が感情のコントロールをできるのは、その経験値からです。不快なことが起こらないようにあらかじめ準備をして避ける、嫌なことがあっても人に話すなどして鬱憤(うっぷん)を晴らす、別の楽しいこと思い出して気持ちを切り替えるなど、これまでの経験から自分の気持ちや行動をコントロールする術を知っているわけです。しかし、子どもはまだそういった経験が浅く、感情を抑えることも下手です。嫌なこと、不快なことがあったら、泣く、大声をあげる、怒る、暴れる…。でも、そういった激しい感情の起伏で癇癪を起こすことで、子どもも大きなストレスを感じているに違いありません。それを何度か繰り返すことで、感情のコントロールを学んでいくのでしょう。今は、その途中なのではないでしょうか。発達障害の子どもに見られる症状の一つに、癇癪を起こしやすい傾向があるということで、心配になるお母さんも多いでしょう。たびたび癇癪を起こすからといって、すぐに発達障害と結びつけることはできません。ただし、あまりに頻度と程度のひどい癇癪を起こすようなら一度、専門の小児科医に相談することをおすすめします。■子どもの癇癪(かんしゃく)への対処法癇癪(かんしゃく)が起こる前にできること癇癪は一度始まると、子どもの気持ちが高ぶっている間は、何を言っても通じません。きつく怒ったり、無理やり連れて行こうとすると、火に油を注ぐ結果にも。そうなる前に、先回りして対処し、癇癪を起こさせないようにできると良いですね。▼環境を整える子どもがスムーズに気持ちを切り替えられるような声がけを心がけると良いでしょう。例えば、急いでいる時に子どもが公園で遊びたいと言った場合。「急いでいるからダメ」と言うと、子どもは癇癪を起こしてしまうでしょう。そんな時は、「急いでいるから、滑り台3回だけね」と声がけすることで、子どもはもっと遊びたい気持ちはあるけれど、急いで移動しなければいけないことも理解し、滑り台3回の間に、気持ちをある程度切り替えられるのです。この時、注意したいのは「じゃあ、ちょっとだけね」という曖昧(あいまい)な表現を使うこと。子どもには「ちょっと」「少し」の感覚がわかりにくいので、回数や時間で伝えるようにしましょう。▼子どもに伝わりやすいツールの用意先に紹介したように、子どもに曖昧な表現は通じません。「ちょっと」「少し」といった大人の表現をわかりやすく伝えるツールを用意しておくと良いでしょう。例えば、時計を見せて「長い針がここまできたら終わりね」とか、ゲームやテレビなどはタイマーを使って時間の制限をわかりやすく伝えるなどで、子どもにわかりやすいツールを活用するのも一つの方法です。また、言葉がうまく伝えられない子どものために、気持ちを視覚で表せるツールもあるといいでしょう。例えば、「イライラしている」「怒っている」「落ち着いている」といった感情を表せるイラストを用意して、それを使って子どもが気持ちを伝えられるようにするのも一つの手です。癇癪を起こすきっかけとなる「気持ちをわかってもらえない」という子どものフラストレーションが解消できるでしょう。同様な効果が期待できるコミュニケーション支援アプリなどもあるので活用してみてください。▼癇癪(かんしゃく)が起こった時のルールを子どもと決めておくどんなに予防線を張っても、子どもは何をきっかけに癇癪を起こすかわかりません。いざ癇癪を起こしたら、どう対応すればいいか子どもと話し合っておきましょう。「イライラしたり怒ったりした時は、どうしたらいいかな?」と子どもに聞いて、子どもに決めさせるのです。例えば、一人になれる場所へ移動する、気持ちが落ち着くような言葉をつぶやく、好きなアイテム(ぬいぐるみや毛布など)を触るなど決めておくと、その行動=気持ちの切り替えとなって、感情がクールダウンするきっかけとなるかもしれません。▼食生活を見直す偏食がひどい子どもに、癇癪を起こしやすい、情緒不安定、不安障害といった症状が出る場合があります。青魚に多く含まれるEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)や、たんぱく質、鉄分を積極的に取り入れ、糖質、添加物を控えるバランスの良い食生活によって改善する場合もあります。食生活から見直してみるのもおすすめです。癇癪(かんしゃく)が起こったら1: クールダウンさせる子どもが癇癪を起こした時、落ち着かせるために昔から取り入れられている方法に、「タイムアウト法」があります。タイムアウト法は、次の手順で進めます。1.子どもが癇癪を起こして、泣いて暴れたり人に迷惑をかけたりしたら、まずはそれがいけないことだと説明します。2.一定時間いすに座っているように伝えます(必要ならいすまで連れて行きます)。3.年齢の数だけの分数、例えば4歳なら4分間、子どもをそこに座らせます(最長5分間)。ただし、途中で子どもが立ち上がったら、時間はリセットして最初から始めます。4.時間になったら、どうして叱られたのかを子どもに質問します。理由を答えられない場合は、もう一度教えて、思い出させるようにします。このタイムアウト法は、癇癪を起こすことは悪いことだと理解しているのに感情が抑えられない子どもには有効な方法です。そのため、良い悪いがまだ判断つかない2歳未満の子どもには効果がない場合もあります。ただし、癇癪を起こしている真っ最中の子どもを、言い聞かせていすに座らせること自体が難しいですよね。そうなる前に、あらかじめ癇癪を起こした時にはどうするといったことを子どもと話し合っておくといいでしょう。癇癪(かんしゃく)が起こったら2: 感情的に叱らないようにする子どもが大きな声をあげたり暴れたりすると、お母さんもついつい感情的になってしまいますよね。子どもよりさらに大きな声をあげて、なんとか抑えこもうとしてしまいがちです。すると、子どもはそのお母さんの声や態度にさらに興奮してしまいます。感情的に叱るのは、子どもの癇癪には逆効果となります。癇癪(かんしゃく)が起こったら3: ご褒美で釣るのはNGもし、子どもが「お菓子買って!」とスーパーで床に寝そべって泣いてねだったら…。お母さんは恥ずかしくて早く立ち去りたいから、「まあ、いいか…」と買ってしまいそうですよね。特に外出先で子どもが癇癪を起こした時は、なんとか早くなだめようといつもはダメと言っていることも「いいよ」とお母さんは許してしまいがちです。しかし、それを繰り返していると、子どもは「癇癪を起こす=ご褒美がもらえる」と覚えてしまい習慣化します。難しいことではありますが、どんなに癇癪を起こしても、ダメなものはダメと筋の通った態度を見せることは大切です。■子どもの癇癪(かんしゃく)に引きずられないためにまずは大人が落ち着けるようにする子どもが癇癪を起こすと、お母さんも冷静でいるのは難しいですね。しかし、大人同士でも、お互いが感情的になってしまうと「売り言葉に買い言葉」でケンカがヒートアップしてしまいがちです。逆に片方があくまで冷静な態度を崩さなければ、感情的になっている相手もだんだんとクールダウンするもの。「子どもの不機嫌と自分の感情は別のもの」と割り切って、子どもの激しい感情に引きずられないのが肝心。お母さんは常に冷静を心がけ、フラットに淡々と対応するのがいいでしょう。イライラしたらその場を離れるのも◯癇癪を起こしている子どもを目の前にすると、「自分が何とかしなきゃ」とお母さんは焦りますよね。でも、癇癪が長引いてくると、お母さんもイライラしてしまいます。お母さん自身がストレスをためないためにも、子どもの安全を確認したうえで、その場から少し離れるのもいいでしょう。気配は感じられるくらいの距離、例えば隣の部屋やトイレなどに一時避難すると、子どもの姿が見えないだけでも気持ちがリセットできます。その場を離れられない時は耳栓も有効まだ小さくて目が離せない、物を投げたり暴れたりして危ないなどの時は、子どもから離れることは難しいですね。そんな時は、耳栓をするだけでも効果があります。お母さんが一番イライラするのは、子どもが叫んだり大泣きする声ではないでしょうか。それが聞こえないだけで、ずっと気持ちは楽になります。■大人にも癇癪(かんしゃく)持ちっている?大人の癇癪(かんしゃく)持ちとは? 子どもとどう違う?大人でも、子どもほど激しくはありませんが、怒鳴ったり叫んだり、場合によってはつい手が出るなど癇癪を起こしてしまう人はいます。子どもと大きく違うのは、大人は「癇癪を起こすことは悪いこと」と理解していること。大人はこれまでの経験値から、コントロールできない感情は周りの人に迷惑をかける、悪いことだと理解しています。それでも、癇癪を起こしてしまうのが、子どもと大きく異なるところでしょう。大人の癇癪(かんしゃく)への対処法自分自身が「怒りっぽい」「子どもや夫にきつく当たってしまう」「人前でも怒りが抑えられない」といった癇癪持ちの自覚があるなら、次のことを試してみましょう。・その場から離れ、刺激の少ない静かな場所へ移動する。・耳栓をして、耳からの刺激を減らす。・深呼吸をしたり、瞑想する。・自分の怒りを数値化する。・イライラした原因を紙に書き分析する。 など上記の方法で、怒りをコントロールしましょう。もし、夫やきょうだい、父母など近い関係の大人が癇癪持ちの場合、自分自身や子どもに被害があることもあるでしょう。対処法は、子どもの癇癪の場合と似ています。・イライラしていることを自覚させる。・一人にしてクールダウンさせる。・話し合いは落ち着いてから。上記に加え、大人ならではの対応法は「伝えたいことは紙に書いて伝える」こと。直接話すと感情的になってしまうことも、手紙なら冷静に受け取ってもらえるでしょう。■子どもの癇癪(かんしゃく)に悩んだら早めに相談しよう子どもの癇癪で悩んだら、お母さん一人で抱え込まず、次の機関に相談してみましょう。子育て支援センター主に乳幼児の子どもを持つ家庭を対象に、市区町村ごとに公共施設や児童館などで地域に根ざした子育て支援サービスを行っています。自治体ごとに内容はさまざまですが、育児講座や親子で参加するイベントの開催、遊び場スペースの提供、子育て相談、保育サービスの案内などを行っています。詳細は、お住いの市区町村のホームページをご確認ください。児童発達支援事業所・放課後等デイサービス子どもの特性や、心身の発達の遅れ、障害などに合わせた支援を行う福祉施設です。児童発達支援は、主に就学前の子どもを対象に、日常生活に必要な動作の指導、知識や技能の教示、集団生活への適応訓練などを行っています。一方、放課後等デイサービスは、小学生〜高校生が対象。生活訓練や社会交流などの療育プログラムを放課後や夏休みなどの長期休暇を利用して実施しています。事業所によっては言語聴覚士や理学療法士、作業療法士などの専門家による支援も受けられ、子どもの発達や子育ての相談にも対応しています。発達障害者支援センター年齢に関係なく、発達障害を持つ方とその周囲の方(家族や教師など)の支援を行っている施設です。子どもはもちろん大人の発達障害や、その周囲の悩み、困りごとなどの相談もできます。■まとめ心の成長に必要な過程の一つだとわかっていても、子どもの癇癪は、困るし悩むし疲れますよね。あらかじめ、癇癪を予防する方法や、クールダウンの仕方、周囲の適切な関わり方を知っておくと安心ですね。もし、子どもの癇癪があまりに頻繁であったり、長引いたり、激しいもので心配があるようなら、ご紹介した子育て支援機関に一度、相談してみましょう。参考資料:・国立特別支援教育総合研究所 発達障害教育推進センター 「かんしゃくを起こすのですが・・・」 ・国立障害者リハビリテーションセンター 発達障害情報・支援センター 「こんなときどうする?」 ・日本小児精神神経学会 「応用行動分析 ─子どものパニック・癇癪への対応─」 ・国立教育政策研究所 「非認知的(社会情緒的)能力の発達と科学的検討手法についての研究に関する報告書」 ・厚生労働省 「障害児支援の強化について」
2019年11月27日わが家が引っ越しをして間もないころのできごとです。そのころ、末っ子の長男はまだ1歳くらい。お風呂が大嫌いで、毎回大泣きをしていました。そんなある夏の日、突然児童相談所の訪問を受けてしまいました。そのときの体験談をご紹介します。 誤解の原因は子どもの「お風呂嫌い」3歳くらいまで、息子は「お風呂嫌い」でした。特にシャンプーは大嫌いで、シャンプーハットをかぶっていても顔が濡れるのが怖かったのか、毎回かなり盛大に大泣きをしていました。引っ越したばかりで、ご近所さんとはあいさつをする程度の間柄でしたが、顔を合わせたときには「いつも子どもが騒がしくてすみません」と声をかけていました。このときの言葉の足りなさが、児童虐待疑惑を生んだ原因だったのではないかと思います。 突然の児童相談所訪問にびっくり仰天!不思議なもので、お風呂は嫌いでもプールは大好き。庭で息子をビニールプールに入れて遊ばせていたときのことです。「こんにちは」と庭先から声をかけられました。あいさつを返しながら見てみると、そこにはにこやかな笑顔を浮かべた中年の男女の姿が……。 「県の福祉事務所から来ました」「福祉事務所……ですか?」男性の言葉に首をかしげていると、男性は衝撃のひと言を発しました。「はい。児童相談所です」と。 無用の誤解を避けるためにできること 児童相談所の方の説明では、「近所に毎日子どもが泣き叫んでいる家がある」と、いわゆる「虐待の通報」があって訪問されたのだとか。そのときの児童相談所の方がチェックされていたのは「子どもの体にケガやアザがないか」でした。 息子のお風呂嫌いのことを説明し、相談所の方が息子自身とも話をした結果、誤解だとわかっていただけて、ホッとひと安心。こういう誤解による通報もけっこうあるとのお話でした。 誤解が解けて安堵する一方で、ご近所の方に、息子が毎日泣く原因を具体的に話しておけば無用な誤解は生まれなかったと、自分の言葉の足りなさを反省するばかりです。 イラスト:(c)chicchimama著者:恋瀬たまこ一男二女の母。商業簿記、珠算、アマチュア無線技士の資格を持つ。自身の経験をもとに妊娠・出産・子育てに関する記事を執筆中。 ✿❀ベビカレ秋のマンガ祭り❀✿大好評のマンガ記事を増量してお届けする期間限定“マンガ祭り”開催中! 人気レギュラー連載10作品に加え、新たにゲスト連載8作品が登場♪ 育児や家事、仕事などの合間の息抜きタイムにどうぞ♡
2019年11月08日「友だちとケンカしちゃった」「宿題やってないよ…」「かけっこでうまく走られるかな…緊張する」子どもの頃を思い返すと、毎日がピンチの連続ではありませんでしたか? 大人になって振り返ると大したことではないと感じるのに、当時は冷や汗タラタラで、この世の終わりの心境だったことも。きっと我が子も今、そう感じながら毎日を過ごしているのではないでしょうか? 「どうしよう」「もうダメだ…」と我が子が落ち込んでいた時に、ぴったりの一冊が 『ピンチ!! それはチャンスだ!』 (高橋書店)。「こころのふしぎ なぜ?どうして?」(高橋書店)、「失敗図鑑 すごい人ほどダメだった!」(文響社)など、子ども目線のベストセラーを次々と出している文筆家、大野正人さんの新刊です。文筆家 大野正人(おおの・まさと)さん プロフィール1972年、東京都生まれ。累計270部を突破した「楽しく学べる」シリーズ(高橋書店)で、執筆、イラスト原案を担当。 同シリーズで一番の売上を誇り55万部を超えた『こころのふしぎ なぜ?どうして?』(57万部)など、心を形にする著作を数多くもち、携わった書籍の累計は400万部以上になる。おもな著作に、絵本『夢はどうしてかなわないの?』『お金があればしあわせなの?』(汐文社)、『一日がしあわせになる朝ごはん』『失敗図鑑 すごい人ほどダメだった! 』(文響社)などがある。■運動会前の緊張マックスだった息子が手に取った1冊まだ残暑厳しい、ある土曜日の朝。この日が運動会本番という我が家の小5男子は、イベント時だけ超早起きになる「小学生男子のあるある」を発揮し、早々に準備万端整えて、お弁当の完成を待っていました。いつもならゲームをやったりテレビを見たりして待つ息子が、この日は静かに本を読んでいたのです。それが、大野さんの『ピンチ‼︎ それはチャンスだ!』でした。漫画やイラストが多用されて子どもも読みやすいこの本を、それまでにも息子はちらちらと見ていました。この朝、彼がじっくり読んでいたのは、「ピンチ17 きんちょうでガチガチ!」の章。ピアノの発表会でこれからステージに立つ女の子が、緊張でガチガチに。「どうしよう、どうしよう、誰か助けて!」という女の子が登場し、そういったピンチをチャンスに変える方法がわかりやすく紹介されているページでした。人前に立つのが大の苦手な息子はきっと、運動会で「徒競走、転ばないかな」「ダンス、うまく踊れるかな」と不安や緊張の気持ちがふくらんでいたのでしょう。いてもたってもいられず、平静を装いつつ無意識にこの本を手に取ったのかもしれません。■親が気づかない「子どものピンチ」この『ピンチ‼︎ それはチャンスだ!』は、親が読んで子どもに伝える子育てアドバイス本ではなく、読者対象はあくまでも子ども。すべての漢字に読み仮名がふられ、出てくるピンチは、毎日、園や学校で繰り広げられている「子どものあるある」シチュエーションばかりです。例えば、「友だちとケンカしちゃった」や「おしっこ…もれそう!」、「へえこいてもうた!」、「キライな人がとなりの席!」などなど…。うちの息子がよく遭遇しているシチュエーションでいえば、「宿題わすれた!」や「テストの点が最悪」でしょうか…(苦笑)。大人になったら「あんな些細なことに、どうして悩んでいたんだろう」と笑い話になりますが、子どもの頃は「もうこの世の終わりだ…」くらいの気持ちでしたよね。でも、この本で紹介されている子どもがピンチと感じるシチュエーションは、そんな「些細なこと」も拾い上げています。もしかしたら、親になってしまった私たちは見落としているかもしれないことです。親の気づかないところで、我が子はピンチに押しつぶされそうになっているかもしれない。そんな気づきを与えてくれる本でもあります。■親が言えない「一歩踏み込んだピンチをチャンスに変える言葉」そして、この書籍の特筆すべきところは、我が子がピンチの時、親が言いがちだけど何の解決にもならないありきたりな声がけを「それもわかるけど、できないよねー」と一歩踏み込んだ解決策を提案しているところ。例えば、「友だちとケンカしちゃった」の章。親友とケンカしてしまったと我が子が相談してきたら「『ごめんね』とすぐ謝れば良かったのに」と子どもに言ってしまいそうですよね。子どもからしたら、「そんなことはわかってるよ…」と言い訳したい。でも、せっかくママがアドバイスしてくれたから言い返せない…と思っているかもしれません。そして、ピンチをチャンスにできないまま、「もうママには相談できないな…」と子どもはあきらめ、園や学校でのトラブルを家で口にしなくなることも。そんな時、本書では「ケンカをした時は大抵お互い悪いところがあるから、自分だけ謝る気にはなれなかったよね。わかる、わかる」とまずは子どもの気持ちを受け止めています。そして、「謝らないと仲直りってできないもの?」「一晩時間をおいたほうが、冷静になれるよ」「きっと相手もあなたと同じように感じているよ」とアドバイスしています。そうだ、そうだ、自分が子どもの頃もそうだったと思い出しませんか? 勝手にモヤモヤしていたあの頃、こういった考え方を知っていれば、もっと心が軽くなっていただろうな~と思うのです。そして、ハッと気づかされます。いつのまにかしたり顔で「親」ぶってる「大人」ぶってる言葉しか我が子にかけられなかった自分に。でも、中には親が声がけしにくい言葉やシチュエーションもありますし、親から言われたことでプライドが傷つき、あえてその逆をやってしまうタイプの子もいるでしょう。でしたら、この本を子どもの目が届くところにポンと置いておけばいいのです。子どもから何か相談されたら読むようにすすめればいいし、自分で解決したいタイプの子はこっそり読んでくれるかもしれません。うちの小5男子は後者で、この本を手に取り、運動会の緊張を自分なりに解決していたようです。親や大人が介入する前に、なんとか子ども自身でピンチをチャンスに変える方法を模索できる。そんな心強い一冊ではないでしょうか。参考図書: 『ピンチ!! それはチャンスだ!』 (高橋書店)小さなピンチから大きなピンチまで、ピンチを乗り越え、さらには成長できるような解決法を55万部突破の児童書『こころのふしぎ なぜ?どうして?』を手掛けた著者のわかりやすく心に響く文章と、5名の人気イラストレーターによる見ているだけでも楽しいイラストで紹介。人間はピンチで強くなるものであり、大切なのは、ピンチにどう立ち向かうか。もうピンチが怖くなくなること、間違いなしの一冊。
2019年10月10日「夏休み明け不登校」という言葉をご存じですか?」長い夏休みが終わり、もうすぐ学校が始まる…。もともと以前から学校に行きたくない思いがある子は、すっかり家でのんびりすることに慣れてしまい、夏休みの終わりにその気持ちが顕在化してくるのです。「ママ、学校に行きたくない」突然の子どもの告白に、びっくりするお母さんもいるでしょう。しかし、実はその前から、子どもは危険信号、SOSを発しています。そんな「夏休み明け不登校」のサイン、それに気づいた時の対処法をご紹介しましょう。■夏休み明け不登校の兆候、3つのサイン「学校に行きたくない」。そんな気持ちを抱えている子どもが発しているSOSとして、次のようなサインがあります。・朝起きられなくなる。・朝、頭痛がしたりおなかが痛くなる。・夏休みの終わり頃に「学校に行きたくない」と言い出す。始業式が近づくに連れ、上記のような症状を子どもは訴え始めます。先生が怖い、友だちとうまくいかない、給食が苦手…など理由はいろいろでしょうが、低学年になればなるほど、子ども自身もわからないことがあります。最近、注目されている子どものタイプに「ハイリーセンシティブチャイルド(HSC)」というのがあります。アメリカの心理学者エレイン・N・アーロンが提唱したもので、感受性や共感力が高く、刺激に敏感すぎるため、新しい環境や集団生活に慣れるのに時間がかかる子どものタイプです。一説には5人に1人が当てはまるといわれ、そのために不登校になってしまう場合もあるようです。■夏休み明け不登校「1週間前から親ができること」子どもが学校に行きたくない、学校がいやだと言ったら、その気持ちを否定せずに、まずは「何がいやなのか?」と話を聞いてあげましょう。子どもが小さければ小さいほど、何がいやなのかわからない、言葉にできないということも多くなります。わからないなら、わからないでいいんですよ。とりあえず「そう、行きたくないのね」と一度は受け止めましょう。子どもの訴えは受け止めつつ、夏休みが終わる1週間くらい前から、規則正しい生活に戻すよう早寝早起きをうながし、心や体を整えます。夜更かしして朝起きれなくなったために、成長ホルモンバランスなどの崩れもあり、気持ちが沈んでいるのが原因かもしれません。まずは学校に登校するペース、早寝早起きへ徐々に戻していくこと。そして、学校での楽しい記憶を思い出させるために、友だちと遊ぶ機会をもうけるのもいいでしょう(友だちがイヤという理由ではない場合)。また、夏休み明けの不登校のきっかけに「宿題が終わっていないから行きたくない」というのもあります。ですから、夏休みが終わる1週間前から、生活リズムを整えつつ、宿題の仕上げに入るよううながすのも肝心です。「宿題をやっていない」というプレッシャーさえ、子どもにとっては不登校のきっかけになります。それを取り除いてあげるのも大切です。■夏休み明け不登校「学校に行けない、その時は?」始業式の日、どうしても体調が悪くて登校できないといった場合は休んでも構いません。無理のない範囲で、一緒に学校の前まで行って引き返してきてもいいのです。学校に行かないからといって、何もしていないわけではないんです。例えば、絵を描いたり、プラモデルを作ったり、本を読んだり、塗り絵をしたり、折り紙をしたりと、何かしらに集中していることが多いんですよね。子どもが一人で黙々と集中して取り組むことがあったら、それは外界と自分の内面との折り合いをつけている時間。邪魔せずに、とことんやらせてあげましょう。焦らず子どものペースを大切にしつつ、無理のない範囲で学校の前まで登校したり、学校での楽しかった思い出を声がけし、じっくり待ちましょう。■夏休み明け不登校「学校へ行きたくない」原因がはっきりしていたら?小学校低学年の場合、学校でのイヤなことはある程度、担任の先生に相談できる内容といえます。例えば、給食がおいしくないなら「全部食べられないかもしれないです」とか、先生の大きな声が怖いなら「ちょっと大きな声が苦手なようです」とか、お友だちとうまくいっていないなら「席を離してください」とか。子どもが低学年のうちは先生に相談というのはマイナスにならないでしょう。具体的な原因がわかるのであれば、先生に伝えるのが一番だと思います。そして、「あなたが学校で心配しているようなことは起こらないように、ちゃんとお母さんが先生に言ったからね」と声をかければ、子どもの安心につながります。小学校1年生で時々、不登校になる子はいます。そういう子は、集団になじみづらく、園や学校があまり好きではなく、もともと進んで登園・登校するタイプではない子の場合が多いです。先に紹介したハイリーセンシティブチャイルド の傾向が強い場合は、ワサワサする教室の真ん中ではなく、なるべく端っこに席を移動してもらうとか、休み時間は図書室で過ごしていいことにしてもらうなど、環境を整えることである程度解決できます。■小学校高学年の不登校、語らない原因とは…高学年となると、先生への相談ですぐ解決というのは難しいでしょう。その分、不登校の原因を子ども自身がはっきり認識して伝えられるので、それに沿った対処ができます。担任の先生への相談が難しいなら、スクールカウンセラーや保健の先生、校長、副校長など、ほかにも相談できる相手はたくさんいます。子どもが信頼できる人に相談するのが一番でしょう。また、親との関係に悩んで不登校になるケースもあります。それは、学校がなんとかしてくれる問題ではありません。それは親自身も思い当たることがあるだろうから、家庭で解決していかなければいけません。でも、親やきょうだいに問題がある場合、子どもは理由をはっきり言いません。親にかまって欲しい、ほかのきょうだいに嫉妬して…といった問題は、プライドもあるので絶対言わないでしょう。代わりに、先生がいやだとか言いがかりみたいなことを理由にしてごまかすこともあります。ただし、原因をうそでごまかすかもしれませんが、感じている気持ちや思っていることは本当。もう少し掘り下げて聞くと、原因が違うところにあるのがわかるでしょう。それは心理カウンセラーの仕事になると思います。小学校低学年の不登校は、家で親と一緒にいたい、集団生活が苦手というのが原因の場合が多いので、「学校にも楽しくなることはあるよ」と根気よく伝えることが大切でしょう。その際、ママが不安な顔をしてはいけません。そこを子どもは敏感に感じとって、学校に楽しいことなんてないと思ってしまうからです。さあ、夏休みも終わりです。お母さんも子どもと一緒に規則正しい生活を送り、心も体も登校準備を始めましょう。 エキサイトお悩み相談室で佐藤先生に相談する
2019年08月27日「朝、保育園で子どもを預けようとしたら号泣されて困った…」そんな経験を持つ人は少なくありませんよね。ママだって子どもを悲しませたいと思ってはいません。でも仕事にいきたい。毎朝、後ろ髪を引かれる思いで預けるものの、泣き叫ぶ子どもの姿を見ると「仕事しないほうがいいのかな」「泣かせてまでしたいことなのかな」と悶々としてしまうこともあるかもしれません。今回は、そんなママのために仕事をする罪悪感との向き合い方について考えていこうと思います。■「仕事にいかないで」子どもからの懇願に心折れる日も…子どもを園に預けるとき「いきたくない! ママといたい!」と泣いてぐずられることは多いですよね。なだめて、すかして、説明して…。あらゆる手をつくして子どもを預ける作業は毎朝ともなると、しんどいものです。泣いて訴える以外にも「どうして仕事にいくの?」と面と向かって聞かれたり、「さみしいよ…」と悲しい顔をされたりすると、言葉につまってしまうこともあるでしょう。私には娘がおりますが、小さいときは仕事が忙しく、一緒にいられる時間はわずかでした。そんな娘からある日「私とお仕事、どっちが好き?」と聞かれたので「もちろん〇〇(わが子の名前)が好きだよ」と答えました。すると「じゃあ、どうして仕事にいくの?」といわれ…。どう答えれば良いか困ってしまったことがあります。胸をしめつけられるような子どもからの訴えを、ママはどのような気持ちで受け止めれば良いのでしょう。■ママが苦しむ「罪悪感」の原因は? 「いかないで」という子どもの様子を目にしたとき、こんな気持ちになっているママが多いのではないでしょうか。「こんなに泣かせて、私ってダメな母親かな…」「さみしい思いばかりさせて、子どもに無理をさせているかも」「仕事なんてやめたほうがいいのかも」「一緒に過ごす時間が少ないせいで、これからの子どもの成長に悪影響が出たらどうしよう」 仕事を望んでしているママ、必要に迫られてしているママなど、働く理由はさまざまです。しかし、ママだけが子育てしているわけではないのに、子どもを預けることに罪悪感を感じるのはたいていママ。ほとんどのパパは、働くことに罪悪感を感じないのに、とても不思議な現象です。それは、やはり私たちの中に「子育ては母親の仕事」という昔ながらの考えが無意識のうちにすりこまれているからでしょう。仕事をしたい、しなければいけない。でも仕事をするのは子どもを悲しませることではないのか…。葛藤し、悩み、つらくなっている状態は、母子ともに健康的とはいえません。■子どもを預ける罪悪感とうまく付き合う4つの方法罪悪感を感じるのは「働く=子どもを悲しませる」と感じているからですよね。心を軽くするにはその感じ方を変えていく必要があります。前述したママの心理状態に合わせ、別の考え方を提案していきましょう。1.「こんなに泣かせて、私ってダメな母親かな…」「働いている母親の子どもはかわいそう」「子どもが小さいときは家にいるべき」と思っている人はいませんか?これは自分がそう思っているというよりも自分の親、あるいは周りからの影響で、その考えにしばられている状態が多い気がします。外で働いているお母さんの子どもは、本当にかわいそうなのでしょうか? 子どもが小さいうちはお母さんも家にいなければいけないのでしょうか? 「~でなければいけない」という押しつけのせいで「当てはまらない自分はダメなんだ…」という思いが強くなっているのかもしれません。この「~すべき」は刷り込みである可能性を考えてみましょう。2.「さみしい思いばかりさせて、子どもに無理をさせているかも」子どもに無理をさせているかも…と感じる人は自分の立場をいったん脇において、子どもの目線から考えてみましょう。「いかないで!」「側にいて!」「僕(私)はさみしい!」といえるのは、素直な気持ちを言葉にのせて伝えられている、ということですよね。それは親子のコミュニケ―ションがとれている証ではないでしょうか。子どもといる時間が少ないにも関わらず、コミュニケーションがきちんととれている。だとしたら、子どもはママに自分の気持ちをはき出すことである程度ガス抜きができているととらえ、その気持ちを理解してあげるように向かい合ったほうがいいと思います。子どもに「いかないで!」といわれたときは「さみしいんだね」とそのまま受け止め、仕事以外の時間を子どもと充実させることに意識を向けていきましょう。3.「仕事なんてやめたほうがいいのかも」子どもはいずれ成長します。今日「仕事にいかないで」と泣いていても、来年の今日、同じことをいうとは限りません。むしろ、自分の仕事に対する迷いを子どもが感じとっている、と考えてみてはいかがでしょうか。「いかないで!」と泣かれたときには、子どもから「ママ、本当にその仕事がしたいの?」と問いかけられていると考え、仕事そのものや働き方を考え直すきっかけにしてもいいかもしれませんね。4.「一緒に過ごす時間が少ないせいで、これから悪影響が出たらどうしよう」 もし母親が仕事をしていることで子どもの性格がゆがむとしたら、日本の7割強の家庭( 平成29年版「国民生活基礎調査の概況」 より)で育った子どもはゆがんでいるということになりますよね。ママが仕事にいくことが子どもの人間性をゆがませる…という考えは、あまりに信ぴょう性がありません。後ろ髪を引かれる思いがするときは子どもの顔を見て、今抱いている気持ちを受け止めてあげましょう。それだけで子どもは満足していることが多いものです。ほんのわずかな時間でも、どう感じているのか気持ちをはき出させてあげてみてください。あんなにぐずっていたのに、翌朝にはすんなりと園に向かう日もあります。罪悪感を感じたときには、今回ご紹介したような考えを思い出すことで、少し心を軽くすることができるかもしれません。ただし、子どもが何週間もずっとぐずり続けている、表情が暗い、園や友だちのことを話さなくなったなど、長期間様子がおかしい場合は何かほかに理由があるのかもしれません。そんなときは、「わたしが仕事をしているから…」と思いつめず、園での様子を先生に聞いてみましょう。
2019年06月20日公共の場では静かに、邪魔にならないように…。子どもとのお出かけは周囲への気遣いでドッと疲れるというママ、多いですよね。わが子を育てるのはもちろん自分だけれど、どうしてここまで周囲に気を遣わなければならないのでしょうか?今回は「子育ては親だけに責任がある」という世間一般の風潮や子どものしつけについて 『今日からしつけをやめてみた』 (主婦の友社)を監修された柴田愛子先生にうかがいました。お話をうかがったのは…「りんごの木 子どもクラブ」代表 柴田愛子先生「子どもの心により添う保育」をモットーにした「 りんごの木 子どもクラブ 」代表。絵本作家。 保育者。育児書の執筆、雑誌への寄稿だけでなく全国で保育者向けセミナーや母親向け講演会をおこない支持を得る。NHK『すくすく子育て』出演。園で行っている「子ども達のミーティング」はテレビ・映画で取り上げられ「子どもの力を最大限に引き出している」と話題に。■子どものしつけ「それって、おかしくない?」――先生は 『今日からしつけをやめてみた』 のなかで「ママを脅かすしつけはいらないのでは?」という提案をされていますよね。では、ママやパパ自身が「子どもにどうしてもこれだけは伝えたい!」というしつけについては、どのようにお考えですか?柴田愛子先生(以下、柴田先生):そうね。伝えたいことってあるわよね。例えば「出されたものは食べる」というのがある。それは、残さず食べてほしいと思う「根拠」があればいいと思うの。――根拠、ですか…?柴田先生:「残さず食べなさい」というしつけの理由として「残したら、つくってくれた人に失礼でしょ」という人がいる。これ、ちょっと変じゃない…?つくってくれた人がいるのは分かるけど、だからおなかがいっぱいでも、すごく苦手なものでも苦しみながら食べなさいってことでしょ。それは、ちょっと変かなと思うのね。――残さず食べるのはいいことだと思うし、自分も親からそういわれてきました。でも、はっきりとした根拠ってなかったかもしれません。柴田先生:前にりんごの木クラブで遠足に行ったとき、お弁当がひっくり返ってしまった子がいた。中身は焼きそばだったんだけど、落とした子はそれを拾ってね…。1本ずつ水道の水で洗いはじめたの。――え…!柴田先生:洗った麺をお弁当箱に戻して、ゆすいで、食べはじめた。私は「え、食べるの?」と聞いたの。そしたら「そうだよ、食べなきゃいけないんだ」というのね。結局、全部食べたのよ。――全部ですか…!柴田先生:そのあと、子どもを迎えにきたお父さんに聞いたの。「お宅は、食べ物は残しちゃいけないとしつけているんですか?」って。そしたら「そうなんです」って。「どうして、そうやってしつけているんですか?」と聞いたら「僕の家は裕福じゃなかった。だけど食べることは親がきっちりやってくれたから、今の僕の体がある。僕はこの体があるから今、家族を養っていける。だから親に感謝している」と。――ふむむ…。柴田先生:そして「これ、やり過ぎですか?」って私に聞いたのね。だから「お宅のお子さんだから、それでいいと思います」と答えたの。それにね「妻はけして料理が得意じゃない。その妻が一生懸命つくっている姿を見たら、残していいっていえないですよ」だって…。いいお父さんでしょ! でも、お母さんは「落ちたものは食べなくても良かったのに…」って。そしたら、お弁当を落とした子は「え? 食べなくて良かったの?」だって。今度からこの子は落としたものは食べなくていいって分かるわよね。――そうか…! そうですね。食べなくていいときもあることが分かりましたね。柴田先生:こんなふうに、しつけはそれぞれの家によって違う。だから世間一般のしつけを取り入れたら数十、数百あるかもしれないけれど、親が大事にしていることを子どもに教えていけばそこに大きな柱ができる。そのあと、子どもがどう育っていくかは、その子の問題。苦しかったらしないし、感謝していたら同じようにやっていく。そうやって、つないでいくものなんじゃない? 親の思いを受け継いでいくことのほうが、きっと大事だと思う。■もっと頼って、もっと迷惑をかけて! 孤独をはね返す豊かな子育て――自分流のしつけでいいんですね…! 子育ての一般論にあてはめるより、自分流でやると自分もしっくりくる感じがします。柴田先生:そうね。お母さんはいろいろなものに脅かされることが多い気がするし、人を頼らない人も多い。「他人に迷惑をかけちゃいけない」というお母さんもいるわね。――あ、私もそうでした。夫も頼りにならないし、子育てはひとりでやらなきゃいけないものだと…。柴田先生:うんうん、そういうお母さんには「迷惑はかけるもの。迷惑をかけて人は生きていく。かけないのは孤独でしかない」って私はいうわね。――迷惑をかけたくない、と思うのは孤独…?柴田先生:迷惑をかけて、かけられるような人間関係をどれだけ築いているかが、お母さんや子どもの豊かさであると思うの。迷惑をかけられる人を何人持っているか。それが「生きやすいこと」につながる。りんごの木クラブでも具合の悪いお母さんがいると、おうちまで子どもを送り迎えするのね。お弁当をつくったりして。子育ては思うようにいかないものだから、自分が動けないときに「お願い!」っていえる関係を持っていると、生きやすいじゃない? 国や行政に頼ってもなかなかうまくいかないから、そんなときは地域力、友だち力なんかが力を発揮するわね。――何かあってもお願いできる人が側にいれば、ママも心強いですね…。柴田先生:そうね。でも、なかにはお手伝いしたら「本当に申し訳ない…」って私に謝るお母さんもいた。だから私は「頼まれるって、うれしいんだよ」と伝えたの。「お願いできますか?」といわれると、私が役に立てる! って、うれしくなる。あなたには申し訳なく思うことでも、私にとってはうれしいことなのって(笑)。――そんなふうにいわれたら、泣いてしまいます(涙)。柴田先生:「何かお返しがしたい」といわれたけど、それは違う人にするといい。ありがたかったことは「ありがとう」っていえばそれでいい。その人に返すのではなくて、今度は違う人の役に立つ。元気になったときに、頼まれたらうれしいって思う出来事がきっとあるから、そのときのためにお返しはとっておいてほしいわね。■子どものしつけは親だけの責任?――少しずつでも人を頼りにできたら「私はひとりなんだ」という子育て中の孤独が薄らいでいきそうですね。そもそも「まわりに迷惑をかけたくない」という思いは「子育ては親がするもの」という世間一般の空気感が影響しているようにも思えます。柴田先生:しつけって「子どものため」というより、周囲の目が怖いからやっているのかもしれません。例えば、電車の中で子どもが騒いだら「しーっ」というでしょう? でも黙るのは一瞬(笑)。親だって困ってるのよ。――そうです、そうです! いちばんなんとかさせたいと思ってるのは私たちなんです…!柴田先生:そうよね。そんなときって、親じゃない別の大人が「うるさいよ」っていえばいいと思う。子どもは親じゃない人からいわれると、ビクっとするわよ。――確かに、すごくびっくりしそうですね(笑)。柴田先生:困っている人に対して「親であるあなたがなんとかしなさい」って冷たくない? いくつになっても子どものことは親のせい。一生、親が責任を持っていかなきゃいけないなんて、そんなバカな話ある?――私も、そう思っていいんでしょうか…?柴田先生:子どもと大人は生まれたときから違う人間で別人格なの。だから、子どもがうるさくしたときに「本当に困っちゃうよね。元気なのはありがたいんだけどね~」っていってくれる人がいたら、どんなにありがたいかって思う。「親だけがしつけなさい」という考え方は違うんじゃないかしら。――そういう考えの人が増えたら、肩身の狭い思いをするママもきっと減っていきますね。柴田先生:保育園の建設で反対運動があったりするけど、反対する人は自分の子育てのときはうるさいなんて思わなかったと思う。でも、静かな環境でずっと過ごしていると、気になるようになってしまうのね…。自分の不都合は、遠ざけて排斥する風潮なんでしょうね。何よりも自分だけが大事。子どもがいてこその社会なのにね。でも、実をいうと私も「うるさい」と思うことはあるのよ。遠足でたくさんの子どもたちが電車に乗ってきたりすると、車両を変えたくなったりします。でも、ふと子どもの表情が目に入ると、「ああ…そうか、うれしいのね」って、はしゃいでいる子どもたちの気持ちが伝わってくる。自分の遠足のときの光景さえ浮かんでくると「楽しんできてね」なんて気分になるのよね。子どもを物体として見ていると「自分を脅かすもの」に感じる人もいるかもしれないけど、そんなときは表情を見てほしい。人として見ると表情があって、自分自身に置き換えたりできるのね。――子どもたちの顔を見ると、気持ちが変わることもある…。柴田先生:そう。そう考えると「うるさい」と思うのは、こちら側に余裕がないときなのかもしれないわね。■しつけなくても子どもはできる! あなどれない「観察力」――先生、ここでちょっと疑問です。自分流に根拠のあるしつけだけを実践してみたものの、本当にそれだけで社会のマナーや礼儀などが身に付くのか、不安になるママもいるかと思うのですが…。柴田先生:そうね。いいエピソードがあるわ。あるとき、りんごの木に通っている4~5歳の子どもたちを、隣の保育園の園長先生が招待してくれたのね。お正月に獅子舞がくるイベントだった。イベントが終わったあとで園長先生が「今から年長さんは部屋の中でお茶のお点前をいただきます。一緒にどうですか?」と誘ってくれたの。――楽しそう…!柴田先生:でも「うちは無理です(たぶん、落ち着いていられない)」って断ったの。園長先生は「そんなこといわず、どうぞ」って…。だから子どもたちに「これからごちそうしてくれるようだから、おじゃましようか?」と相談したの。そうしたら、子どもたちは玄関のほうにバーっと走っていって、靴をきちんとそろえてなかに入ったの。りんごの木では一切靴なんかそろえないのに…。――「ここは、ちゃんと靴をそろえるべき」と分かっている…?柴田先生:そう。きちんとする場所は「分かってる」ってことよね。それから部屋の中でも正座してるのね。お菓子にあんこ入りのおまんじゅうが出たんだけど、あんこが苦手な子が中身を知らず、口に入れてしまった。ペッと吐き出すかと思ったら、私の顔を見て「どうする…?」って泣きそうな顔をしてるの(笑)。「紙に包んで…」と小声でいったら、紙にそうっと包んだのね。――ここでは、いつもみたいにペッと吐き出しちゃいけない、と思ったんですね。柴田先生:そうかもね。こんなふうに子どもは大人を見ている。それに大人がどういうことを好むか、分かっていると思うの。だから家の中ではちゃめちゃでも、外にいくと「おはようございます」っていったりするじゃない?外だと良い子っているわよね。これは外面が良いというより、場をわきまえる子なの。――場をわきまえる子…。柴田先生:保育園の園長先生に「ちゃんとした子どもたちですね」っていわれて、私「はあ…(苦笑)」って。そのあと「何か質問はありますか?」って園長先生がいったら、子どもたちは「はい! はい! はい!」って手を上げて。「なんで、これはこうなんですか?」って質問攻め。そこは空気を読むんじゃなくて、自分を持っている。そこでのふるまいを心得ているんだと思ったの。――場をわきまえて、ふるまう。知りたいこと、興味のあることは素直に聞く(笑)。その姿勢って、すごく理想的ですね。心にストンと落ちる。柴田先生のお話はそんな表現がぴったりです。「子どものことは親だけの責任」という空気感に「私がしっかりしなきゃ」「迷惑をかけちゃいけない」と息苦しくなっているママは多いのではないでしょうか。みんなが心にゆとりを持てるような社会。そのためにまずは自分の心を楽にしてあげようと思いました。参考図書: 『今日からしつけをやめてみた』 (主婦の友社)あらい ぴろよ (イラスト), 柴田 愛子 (監修)「小さいうちから、きちんとしつけないと…」そうしておこなわれる「しつけ」は子どもにどんな影響を与えているのか? しつけなくして、親子が笑顔になる方法はあるのか? 子どもの目に映る世界は、大人が見ている世界とは違うもの。親子でストレスの溜まる「しつけ呪縛」から解放される一冊。
2019年06月18日しつけをするのは「子どものため」ですよね。人にはやさしくあってほしい、ずるいことを考えず、正しいおこないをしてほしい。良い子になってもらうべく、私たち親は奮闘するわけです。けれど「これが本当に子どものためになるのだろうか」と迷い、悩むことがあるのはなぜなのでしょう。子育てで目指すべきゴールはどこにあるのでしょうか。今回は、子どもが「生きやすくなる」ために親ができることについて 『今日からしつけをやめてみた』 (主婦の友社)を監修された柴田愛子先生にうかがってきました。お話をうかがったのは…「りんごの木 子どもクラブ」代表 柴田愛子先生「子どもの心により添う保育」をモットーにした「 りんごの木 子どもクラブ 」代表。絵本作家。 保育者。育児書の執筆、雑誌への寄稿だけでなく全国で保育者向けセミナーや母親向け講演会をおこない支持を得る。NHK『すくすく子育て』出演。園で行っている「子ども達のミーティング」はテレビ・映画で取り上げられ「子どもの力を最大限に引き出している」と話題に。■親が自慢に思う「良い子」を演じる子どもたち――世のママやパパがしつけをするのは「良い子になってほしい」という思いがあるからですよね。でも「良い子」であることって、そんなに重要なことでしょうか?柴田愛子先生(以下、柴田先生):小さいときから「良い子」というものが評価されすぎているわね…。評価されすぎると、良い子は良い子を崩せなくなる。本当の気持ちがいえなくなってしまうの。空気を読むようになって、大人たちから褒められることが自分の生きがいになっていくのね。――褒められることが生きがい…。柴田先生:20~30代の人がこんな事を言ったりするの。「本当の私はいつ出したらいいんですか?」って。小さなころから、みんなに「良い子ね」っていわれてきた。だけど、本当の私は別にある。本当の自分をいつ出せばいいのか、分からなくなってしまったのね。――良い子の自分とは別に、本当の自分がいたんですね。柴田先生:そう。だから私は「今日から良い子をやめなさい。ひとつでもいいから自分の本音をいってごらん」といったの。自我のない人間はいない。でも、我が子が「良い子」の評価を受けると、親は満足するでしょう。それを見て、子どもは親を喜ばそうと、自ら「良い子」路線に進んでしまうの。――子どもも親の期待に応えたいと感じるんですね。柴田先生:でもそれは、人のために自分をつくることで、自分の人生じゃない。たとえ誰かに迷惑をかけても、非難されても、良い子じゃなくても…。我が子には「自分で良かった」と思って、生きてほしいじゃない?――はい…!■「好きなこと」があれば生きていける!――でも「あるがままでいい」と思うことは大人でも難しいことですよね…。まわりに振り回されず、自分の軸をしっかり保ちながら生きていくにはどうすれば良いのでしょう?柴田先生:そうね。私が小学校低学年のときに、母から「人間、好きなことがひとつあれば、生きていけるから」といわれたことがあるの。――好きなことがあれば、生きていける?柴田先生:当時「ピアノが習いたい」と母にいったら「そう。あそこにピアノ教室があるからいっておいで」って。私、1人で教室に「習いたいです」といいにいったの。ほかの友だちはみんな親がついてきてるのに(笑)。やりたいことは応援してくれたけど、手取り足取りじゃなかったわね。自分のやりたいことは自分の力で進まなくちゃいけない。――自分の力で…。「好きなことがあれば生きていける」というのは、好きなことを仕事にして食べていく、ということでしょうか?柴田先生:当時は私も意味がよく分からなかったけど「好きなことがあれば食べていける」ってことではなかったわね。「今、何かしら好きといえるものがあれば大丈夫」ってこと。――好きなことがあれば「大丈夫」…?柴田先生:母は専業主婦で大変だったけど「今日は民芸です」といって、月に1度、外出するときがあった。私はどこへでも母についていく子だったけれど、その日だけは「一緒にいく!」とはいえない空気があったの。18歳になったとき、ようやく「今日は一緒に民芸にいこう」と連れていってもらえたんだけど、劇団の芝居だったの。社会問題を扱った難しい芝居が多かったけど、一緒にいくことで私は母の考え方を知った。「母はこういう考え方を支持してるのか」と理解できたわ。――親がどういう考え方を持っているかって、聞く機会をつくらない限り分からないですよね。柴田先生:そうね。母は何より、自由を求めていた人だったと思う。「好きなことがひとつあれば生きていける」といったのはたぶん、好きなことがひとつあれば「自分がブレない」ってことじゃないかな。子育てや仕事で自分を見失ってしまうこと、いっぱいあるじゃない? そのとき、自分が好きといえるものに出会うと、自分を取り戻せるような気がしない? 好きなことって何でもいいのよ。「その先に何があるの?」ってよく聞かれるけど、そこに意味や価値はなくてもいいの。例えば、私は山登りが好きで、すごく疲れていても大自然を感じると、空気が体の中にはいってきてホッとできる。帰ってきたような気分になるのね。だから、好きなことがあると「私はこういうのが好きなんだ」「私はこう思うんだ」って自分を取り戻せる。まわりにおびやかされず、自分を守っていけるんだと思うの。■生き抜くために「たくさんの友だち」より大切なこと――それは、親だけではなく子どもにもいえることですよね。柴田先生:そう。子どもにとって、お友だちがいるかいないかはそんなに大事なことじゃない。自分がやりたいことを見つけられる力を持っていることのほうが、ずっと大事だと思うの。あるとき、りんごの木にお迎えにきたお母さんが「今日はお友だちと遊んでましたか?」って聞いてきたのね。だから私は「お友だちと遊ぶことは、そんなに大事なことではないです」って答えた。お友だちはだんだんできていくもので、つくろうとしてつくるものではないのね。ひとりぼっちでもいいじゃない? 昨日も2歳の子がずーっとひとりで泥遊びをしていたんだけど、「ああ…! たっぷり自分の時間を過ごしてるなあ」ってうれしく思ったの。――友だちは多いほうがいい、ひとりでいるより大勢でいたほうがいい。そう思い込んでいた気がします。柴田先生:大人も子どもも、基本は自分ひとりよ。ひとりでも不安にならず、夢中になれることがあることがどれだけ大事か。だから、他人の視線を気にするあまり、やってしまうのが「しつけ」だと思う。他人を気にしすぎて、自分がもろくなっていない? それより、まず自分を大事にしようって思うのね。――人の目を気にしていると、自分がもろくなる…。柴田先生:毎日毎日、子どもに「静かにしなさい」「良い子にしなさい」といっていると、お母さんは自分が自分じゃなくなるようでつらくなりますよね。もし、そう感じたのなら「うちの子うるさいな。耳栓買うか」くらいに思えばいいのよ(笑)。――耳栓!(笑)柴田先生:そう思わなきゃ、周囲に気をめぐらしすぎて自分を見失っていくと思う。今のあるがままが、どんなに大事かっていうことね。■「嫌です」面と向かっていえる? 正論が子どもを追いつめる――小学生の息子が私に「今日、友だちにひどいことをされた」と報告してくることがあります。そんなとき私は「嫌なら嫌っていわないと、相手には伝わらないよ」と答えるのですが、息子はぶぜんとした表情のままで…。息子の心に響いてない気がするんです。柴田先生:親は事実を確認して、一歩踏み込んで「あなたはこうするべき」と正論でいくことが多いわね。「嫌なことされたら、嫌っていいなさい」って。でも実際、自分より強い人に嫌っていえる人、いる?――…え?柴田先生:上司に「それ、嫌です」っていえるかしら? 自分より強い人に、嫌っていえる勇気を持っている人なんていないですよ。――確かに私も嫌といえないとき…あります。柴田先生:大人でもあるわよね。そんなときは「それはなかなかいえないよね~。いえればいいんだけどね…」と気持ちに寄り添う。それが、子どもの元気を取り戻すことになるのね。――子どもの元気を取り戻す?柴田先生:そう。子どもは「僕(私)は、こんなにひどい目にあってるんだよ!」とあなたに泣きついているの。だから「そんなにひどい目にあっているなんて…かわいそう!」って受け止めてあげるの。ここで共感してあげると、子どもはすごくホッとする。――そうか…。子どもを守りたい、という気持ちもあってつい正論で返していました。そうじゃなくて、元気を出してもらうように接すればいいんですね。柴田先生:そうね。それから嫌と言葉でいわなくても、嫌と伝える方法はいくつかあるよ、と伝えるのもいい。まず泣くのが何より効果的。それから先生やお母さんにいいつけるのも良し。その場から逃げるのもアリだよって。――確かに、いろいろな方法がありますね(笑)柴田先生:大人が正論ばかりいうから、子どもは生きる力を持てないの。嫌なときは嫌といいなさいとか、困ったら乗り越えなさいとか…。大人だって、お金使ったり、物の力を利用したりしているじゃない? なのに子どもには正論をいう。これは子どもの生きる力を奪っていると思う。――子どもにだけ正論をかざすのは、確かに変ですね。柴田先生:自分を守る方法を教えていけば、道はある。それに、わが子を分析し正論で判断ばかりしていると、親である自分も苦しくなってくるんじゃない? もちろん「今日も嫌なことをされた」と同じようなことが続くなら、何か別に理由があるかもしれない。そんなときは、先生に相談してみるといいと思う。いずれにせよ、最後の最後まで結論を追い求めるんじゃなくて、追いつめないことのほうが大事だと思うわね。良い子を強要するのは、もしかすると「本当の自分を隠しなさい」といってるようなものかもしれません。あるがままの自分を大事にすることが、生きる力になる…。ずっと忘れずにいようと思いました。次回は、「子育ては親だけに責任がある」という世間の風潮について、引き続き柴田先生にうかがいます。参考図書: 『今日からしつけをやめてみた』 (主婦の友社)あらい ぴろよ (イラスト), 柴田 愛子 (監修)「小さいうちから、きちんとしつけないと…」そうしておこなわれる「しつけ」は子どもにどんな影響を与えているのか? しつけなくして、親子が笑顔になる方法はあるのか? 子どもの目に映る世界は、大人が見ている世界とは違うもの。親子でストレスの溜まる「しつけ呪縛」から解放される一冊。
2019年06月17日働く親が頭を悩ませるのが「待機児童問題」。特に大都市圏に住む場合、居住する自治体によっては競争率が激しく、職場復帰の予定を立てるのが困難になってしまうことも……。では実際幼い子どもを持つ親たちは待機児童問題についてどう考えているのでしょうか?今回は「不満買取センター」を運営するInsight Techが、現在子どもを幼稚園・保育園へ預けている人や子供の入園を検討していたり、家族・親戚に預けようとしたりしている男女1,015名を対象に実施した「2019年待機児童問題」実態調査の結果をご紹介します!■ 7割以上が「待機児童問題が深刻」と回答調査ではまず、「現在、自分を含め周りの状況から待機児童問題は深刻だと思いますか」と尋ねると、「深刻である」と答えた人が最多で45%。次いで「かなり深刻である」が27%で、合わせて72%となりました。「深刻ではない」(18%)、「わからない」(10%)と答えた人は、まだ入園状況を調べていない、あるいは居住する自治体で待機児童問題が深刻ではないという場合もありそうです。CORA / PIXTA(ピクスタ)では、人々が実際にどのような「待機児童問題」に関してどのような経験をしたのでしょうか?皆のエピソードや、「ここを改善して欲しい」という声を聞いてみましょう。「一番下の子が生まれ、現在育休中。次男は今度年長になるが、同じ保育園へ入れなかった。4月までに保育園入所が決まらなければ次男は年長を目前に保育園を出されてしまう」「海外から3月末に帰国し、9月頃仕事復帰のため保育園入所を希望していたが、4月に連絡したら役所の人に無理に決まっていると鼻で笑われた」「保育園や幼稚園に入れないと母親は仕事につけないのに、保育園に入るには共働きであるのが最低条件だと言われた。預けられるかもわからないのに仕事決められない」などという深刻な事情が聞かれました。どうやら日本、特に大都市圏で競争率が高い地域の託児事情は、働く親にとって決してフレキシブルであるとは言えない様子。すず. / PIXTA(ピクスタ)待機児童が多い地域では、「保育園に子どもを預けて働きたい」という母親の意志と、「保育園が決まらなければ雇用できない」という企業側の意向がすれ違っているようです。待機児童の多い自治体は今後、このギャップを埋めるための対策が必要となりそうですね。■ 全国で待機児童が多い地域はどこ?では、今日本で待機児童問題が深刻である都道府県とはいったいどこなのでしょうか?厚生労働省による2018年度の「保育所関連状況取りまとめ」によると、待機児童数の多い都道府県は以下の通りでした。foly / PIXTA(ピクスタ)1位・・・東京都(5,414人)2位・・・兵庫県(1,988人)3位・・・沖縄県(1,870人)4位・・・埼玉県(1,552人)5位・・・千葉県(1,392人)また、待機児童数100人以上で待機児童率の割合が高い自治体は最多が「沖縄県南風原町」(10.11%)、次に「沖縄県西原町」(8.70%)、「福岡県筑紫野市」(8.16%)、「兵庫県明石市」(7.99%)、「福岡県大野城市」(7.55%)という順に。YUMIK / PIXTA(ピクスタ)大都市圏と比較して人口は少ないといえど、確率的に見ると沖縄県が1、2位を占めるという意外な結果になりました。気になる東京都内では7位が「東京都国分寺市」(7.09%)、9位が「東京都目黒区」(5.77%)、13位「東京都三鷹市」(4.95%)という結果でした。東京でも全区域で9割以上は何らかの託児施設に子どもを入園させることに成功していることになります。いかがでしょうか?統計の結果から判断すると、待機児童問題に対処するためには政府の対策と共に働く親としての周到な計画が必要なようです。妊娠したら会社の出産・育児休暇取得と職場復帰のタイミングを計ったり、必要ならば待機児童数が少ない自治体に移住したりするなどの対策が必要になってくるかもしれません。【参考】※ 「2019年待機児童問題」 実態調査ーInsight Tech※ 保育所等関連状況取りまとめ(平成30年4月1日)― 厚生労働省
2019年06月04日みなさんは児童手当をどう活用していますか? 金銭的な話は、なかなかママ友とも語れませんよね。わが家には、2歳から小学3年生までの子どもが4人います。児童手当も4人分いただき、非常に助かっています。今日は、わが家の児童手当の使い道をご紹介します。 1年ほど前まではすべて学資保険にわが家は、夫が会社員で私が専業主婦。毎月の貯蓄とは別に、将来の学費として児童手当を貯めていました。でも、自分で貯蓄をしていくと、何かの拍子に使ってしまいそう……。 そこで、1年ほど前までは4人とも学資保険に入り、児童手当をすべてそちらにまわしていました。保険の素人ながら、学資保険に入っていれば貯蓄代わりになると考えていたからです。 保険のプロに相談すると!?あるとき、夫の保険内容が心配だったので、1年ほど前にファイナンシャルプランナーに保険の見直しをお願いしました。 その際、ほかのすべての保険も見てもらったところ、学資保険が4人中2人も元本割れしている(支払った金額よりも戻ってくる金額が少ない)ことがわかりました。貯蓄代わりと思っていただけに、数万円も損をしていたかと思うと非常にショックでした。 すぐに元本割れの学資保険を解約!ファイナンシャルプランナーと相談のうえ、元本割れしている2つの学資保険をすぐに解約することに。代わりに提示してもらった保険が、夫名義の貯蓄型保険と生活保障型保険でした。 子どものための貯蓄=子ども名義と頭にあった私は目からうろこです。利率のいい貯蓄や保険があればそれでいいのだ! と、やっと理解しました。生活保障型は掛け捨てになりますが、一馬力で稼いでいる夫に何かあれば生活ができなくなるため、心強い保険になりました。 わが家は年収が高いわけではありませんが、子どものために児童手当総額分以上は貯蓄にまわしています。使ってしまうとあっという間になくなってしまうので、児童手当はないものと思い、貯蓄に励んでいます。著者:武山あゆみ三男一女の母。ワンオペ育児に奮闘するかたわら、自身の体験をもとに妊娠・出産・子育てに関する体験談を中心に執筆中。 ※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
2019年05月18日ガミガミいわず、いつも子どもと笑っていたい。でも親である以上「私がしっかり言い聞かせないと」と思っているママは多いですよね。私たちは、本当にしつけをしなければならないのでしょうか?最終回となる今回は子育てにありがちなシチュエーション別の対応を『 今日からしつけをやめてみた 』(主婦の友社)を監修された柴田愛子先生にうかがいました。お話をうかがったのは…「りんごの木 子どもクラブ」代表 柴田愛子先生「子どもの心により添う保育」をモットーにした「 りんごの木 子どもクラブ 」代表。絵本作家。 保育者。育児書の執筆、雑誌への寄稿だけでなく全国で保育者向けセミナーや母親向け講演会をおこない支持を得る。NHK『すくすく子育て』出演。園で行っている「子ども達のミーティング」はテレビ・映画で取り上げられ「子どもの力を最大限に引き出している」と話題に。■場面その1:おはよう、バイバイなどのあいさつをしない――先生、今回は子育て中によくあるシチュエーション別に、ママの対処法をお聞きしたいと思っています。最初の事例は「あいさつ」です。「おはよう」や「バイバイ」がいえない…と悩むお母さんは少なくありませんが、先生はどのようにお考えでしょうか?柴田愛子先生(以下、柴田先生):これはね、大人がいいたいの。だから大人がいえばいいのよ。――え、大人がいうんですか?(焦)柴田先生:そう。「〇〇ちゃん、おはよう」っていわれて、子どもが何もいわなかったらお母さんが「おはようございます!」って代わりに答えればいいの。――それでいいんですか…?柴田先生:いいと思う。親の後ろ姿を見て「こういうときは、こういうのか」って子どもは学んでいくもの。いわなくてもいいよっていうことではなくて「母は母でやらせていただきます。母のやり方で」っていうことなの。――親がお手本になる…ということですね! ちなみに、どのくらいで自らあいさつできるようになるんでしょうか?柴田先生:そうね。最初のうちはお母さんが「おはようございます!」っていっても子どもはボーッとしてる。でも、5歳の中ごろになると、親をまねて「おはようございます」っていうようになる。それまではいいんじゃない?りんごの木に子どもがやってきて、私が「おはよう!」っていうと子どもは「ふふっ」と満足そうな顔をするの。それでいいじゃないですか。――ふふって、かわいいですね(笑)。親の私たちが「あいさつ」ができた、できなかったを必要以上に気にしているだけなのかもしれませんね。柴田先生:そうね。「おはようございますは?」と子どもにいうのは、調教しているように思う。もちろん、儀式的なことを大事に考えている人もいるわね。その人はそれで良いかもしれない。でも、礼儀作法はあとでも間に合うと私は思っているの。人と人とのつながりを優先したいと思うから。■場面その2:帰ろうと声をかけても遊びが切り上げられず、泣いて暴れる――夕方、帰宅のため子どもに「帰ろう」と声をかけると「イヤだ!」「帰らない!」とごねられ、なかなか帰れない…というお悩みについてはどう思いますか?柴田先生:これは、当たり前のことだと思う。親っていうのは勝手なときがあるわね。公園でおしゃべりしていて、子どもが「帰ろうよ!」といったら「待ってて」と待たせるのに、自分の用事が終わったら「さあ、帰ろう」って。こんなときは「待っててくれてありがとね。ママの話、終わりました! じゃあ、帰ろうか」といってほしい。――確かにそうですね…!柴田先生:帰ろうっていわれて、素直に準備して帰るのは大人にゆずっているのよ。子どもに失礼なことだと思う。でも、子どもからの「帰ろう」の言葉を自然に待ってたら、夜は更けちゃうわけね…。――そのとおりです…!柴田先生:そんなときはね。「もうすぐ帰ろう」と声をかけて、遊びたい熱をさましてあげる時間をつくるの。「もうちょっとたったら帰ります」「もうすぐ帰ろう」「そろそろ行きます」「そろそろですけど…?」という感じで、4回くらい繰り返すのよ。――4回もですか…!柴田先生:場所と時間によっては大変かもしれない(笑)。3歳くらいの子だったら、20分くらい用意できるといいわね。20分たつと、子どももそろそろ意識しはじめるから。――20分かぁ…(涙)。「ごはんが食べられなくなるよ~」と声がけするのはどうでしょう?柴田先生:時間的な把握は、子どもにはまだ難しい。だから「早く帰らないとごはんが食べられなくなる」といっても「早く帰ること」と「ごはん」が結びつかずに、ピンと来ない。脅かしになってしまうの。だからとにかく「早く帰ろう」っていう気持ちにさせるしかない。「もうすぐ帰るからね。もうすぐね」「お母さん、ごはんをつくらなきゃいけないから」って少しずつプッシュする。そして最後は「さあ、帰ろう!」でいいですよ。だけど夢中になってるときに、いきなり「帰るよ!」は人さらいみたいで無謀よね。泣いて暴れるっていうのは自分の気持ちを無視されて、腹がたっているんじゃないかな。急に連れて帰ろうとするから「なんなんだ!」って抗議しているんだと思うわね。■場面その3:友だちのことを悪くいう、横柄な態度や言い方をする――私の息子がときどき、友だちのことを「バカ」とか「お前、アホだな~」とか悪くいうときがあって「そんなこといわないの」と諭すのですが、こんな場面で親はどうすべきなのでしょうか? 悪口や人を馬鹿にしたような物言いは気になってしまいます。柴田先生:そうね。これはね、人の悪口や人を馬鹿にする子に育ってほしくないという思いからよね。――そうです!柴田先生:そうよね。でもこれ、親だからいってるのかもよ?――…え?柴田先生:例えば、強い子にいばられた子は、うちに帰っていばるわね。だって自分がいばられた分、消化しなくちゃいけないから。だから外でも人のことを悪くいっているかというと、私はあまりいってないと思うのね。なぜって、気持ちを受け止めてもらったら落ち着くから。「あら~、それは嫌な子だね~」って共感してあげると子どもは落ち着くの。――嫌な気持ちを、家でリセットさせている…?柴田先生:そう。「僕は何もしていないのに、意地悪された」っていってきたら、親は「本当に何もしてないの?」とか「誰に意地悪されたの?」と追求して事実確認しようとすることが多い。事実がどうとかではなく、今この子は自分の味方が欲しいだけなのね。「そうなんだ、嫌だったね」と受け止めて欲しいと思っている。事実だけを知ろうとしてその結果「あなたが悪かったでしょ」となったら、この子の気持ちは消化できないままになってしまうのね。――子どもが外で経験したイヤなことを受け止めてあげることが大事なんですね。柴田先生:そう。「ママは僕の味方だ」と思うと、子どもは心が落ち着いて処理できる。おもしろいのはね。子どもって気持ちが落ち着いてくると「でも、○○(友だち)ってそこまで意地悪でもないんだよ」といったりするのよ(笑)。――友だちをかばいはじめる(笑)。柴田先生:そんなものなのよ。だから大人の八つ当たりと同じで、子どもなりに社会を持っているから、社会のイヤなことは全部おうちではき出させてあげましょうよ。はき出すから、また社会に出ていける。これって大人と同じだと思わない? イヤなことがあるとグチをこぼしたり、やけ食いしたり、物に当たったり、どなったりするわよね。そうすると、次の日スッキリして元気になったりする。抱えたままだと、気持ちはおさまらないと思うの。――大人と同じ…! 私も嫌なことがあった日はコンビニで高めのアイスクリームを買って、気持ちを切り替えようとします(笑)。柴田先生:子どもは「このモヤモヤを受け止めてほしい」と思っている。大事に思ってほしいのね。愛されていると確認をすることが、社会に出る元気をもらうことなのね。何歳になってもそうだと思うわよ。子どもを変えようとせずに、親である自分も穏やかに過ごせる方法を選んでいく。すると、子どもも大人も心を開きやすくなるそうです。「親も子どもも、ありのままを大事にして生きられたらいいね」という先生の言葉が心に残りました。参考図書:『 今日からしつけをやめてみた 』(主婦の友社)あらい ぴろよ (イラスト), 柴田 愛子 (監修)「小さいうちから、きちんとしつけないと…」そうしておこなわれる「しつけ」は子どもにどんな影響を与えているのか? しつけなくして、親子が笑顔になる方法はあるのか? 子どもの目に映る世界は、大人が見ている世界とは違うもの。親子でストレスの溜まる「しつけ呪縛」から解放される一冊。
2019年04月28日電車の中でさわぐ。好き嫌いが多い。友だちと遊んでいると、すぐに手が出てしまう…。子育てをしていると「どうしたらいいのだろう」と思う場面は少なくありませんよね。しつけをしなければ…と考える前にちょっと意識してほしいのは、子どもの年齢です。それぞれの年齢で、世界はどのように見ているのか。その違いを知っておくと、伝える言葉や行動が変わってくるといいます。 前回 は、子どもを「こんな子にしたい」ではなく「そもそも、どんな子なのか知る」ことから子育ては始まり、親都合のしつけをやめてみることが第一歩であると、『 今日からしつけをやめてみた 』(主婦の友社)を監修された柴田愛子先生にうかがいました。実は、2~3歳の場合と4~5歳の場合では対処が大きく違うそうです。年齢ごとの対応に踏み込んでお話を聞きました。お話をうかがったのは…「りんごの木 子どもクラブ」代表 柴田愛子先生「子どもの心により添う保育」をモットーにした「 りんごの木 子どもクラブ 」代表。絵本作家。 保育者。育児書の執筆、雑誌への寄稿だけでなく全国で保育者向けセミナーや母親向け講演会をおこない支持を得る。NHK『すくすく子育て』出演。園で行っている「子ども達のミーティング」はテレビ・映画で取り上げられ「子どもの力を最大限に引き出している」と話題に。■「困った!」その1:公共の場でさわぐ、走る、興奮する――例えば、電車やバス、お店の中などで子どもが大きな声を出してさわいだり、走り回って困る…というお悩みがあります。できることを工夫しているママも多いかと思いますが、先生はどのようにお考えでしょうか?柴田先生:そうね。結論をいうと、2~3歳までの子どもには何をどういい聞かせてもムダだと思うの。――2~3歳は何をいってもムダ…!柴田先生:この時期、子どもは自分のことしか分かっていない。「静かにしようね」「走らないでね」といわれても分からないの。だから「さわいではいけない場所に極力連れていかない」というのがベストな対処になる。とはいっても、病院での診察や家族の都合などあって、連れていかなければならないときってあるわよね。けれど子どもを変えることはできない。だったら大人が工夫するしかないのね。――やっぱり…(涙)柴田先生:おもちゃ、絵本、食べもの。私はスマホを使うのも仕方ないと思うわ。子どもの気をそらす、ありとあらゆる道具を駆使して乗り切っちゃいましょうよ。電車に乗るときは最前部か最後部がおすすめね。この場所は、車掌さんの席や窓からの風景がよく見えるところだから、子どもの気も多少まぎれると思う。――なるほど。4~5歳くらいになると、対応はまた変わってきますか?柴田先生:4~5歳になると、周りの状況を見てだんだん自分をコントロールできるようになるから、おでかけの前に緊張感を与えてみましょう。「今から電車に乗るけど、寝ている人や疲れている人がいるの。大きな声を出すとみんな驚いちゃうからシーッね」。そして「さわいだら電車はおりるからね」と伝えます。でも悲しいことに、子どもはそんなことをすっかり忘れてさわいでしまうこともある(笑)。そんなときは、思いきって電車をおりましょう。すると、ママが電車をおりたのは、自分がさわいだからと子どもは理解します。「ママは本気だ!」と思うと、次回からの行動が少し変わっていくかもしれないわね。■「困った!」その2:いつも食事を残す、好きなものしか食べない――子どもが好きなものしか食べなかったり、残してしまったりしたとき「栄養をきちんと摂ってほしい」というもどかしさから、つい「残さず食べなさい!」「好き嫌いはダメ!」と厳しくいってしまうことがあります。こんなときはどうしたらいいでしょうか?柴田先生:そうね。子どもがごはんを食べているのを監視しているようなお母さんっているわね。でも「残さず食べよう」っていうのは、生き物の中で人間だけのこと。本来は命をつなぐために体が要求しているものだけ食べる。いわば「おなかが空いたときだけ食べる」という本能的なものを、子どもは持っているのね。2歳くらいは胃も小さくて未発達だから、おなかがすぐいっぱいになるし、すぐに空く。4~5歳になると大人の食文化が分かるようになって、ウロウロしないで食べるようになる。体の大きさに比例して食があるから、自然と食べるようになるのね。――4~5歳くらいまで待てば自然と食べるようになる?柴田先生:そう。2~3歳の本能的に生きている時期に、子に「あれもこれも食べなさい」「残さず全部食べなさい」というのは、大人の文化を押し付けていることになる、ということに気付いてほしい。食事を摂るのは、命をつなぐためよね。そして、食べることは楽しいこと。それを忘れてしまって「栄養価のあるものをバランス良く食べさせなきゃ」「せっかくつくったのにどうして食べないの?」とイライラする…。そんなの、子どももつらいけど大人もつらいわね。――先生のお話を聞くと、親と子でまったく別の次元にいるような気がしてきますね。柴田先生:親は「どうしたら子どものためになるか」を頭で一生懸命に考えている。でも、子どもは本能的に生きている。そのギャップがすごくストレスになると思うの。本能的に生きているのに、いきなり私たち大人の食文化を押し付けられた子どもは気の毒だと思わない? だから子どもを信じて、1年、2年待ってみましょうよ。――待っていても、いいんですね…!■「困った!」その3:友だちと遊んでいると、言葉より先に手が出てしまう――先生、これも聞きたいのですが息子が小さいとき、持っていたおもちゃをとられて思いきり友だちをたたいてしまったことがあったんです。しかも自分より小さい子を…。相手の子に申し訳ないのと、この子にどういえばいいんだろうという気持ちで泣きたくなりました。手が出てしまうとき、親はどう対処すれば良いのでしょうか?柴田先生:2~3歳までの子は、自分の思いを言葉で説明できないのね。だから、行動で訴える。「イヤだ」という気持ちをたたくことで伝える子もいるし、かんだり、けったり荒っぽい表現をする子もいる。その子にとってはコミュニケーションのひとつになっているの。――コミュニケーションのひとつ?柴田先生:そう。言葉で伝えられない思いを行動であらわしている。だからこの時期に「たたいちゃダメ!」と言い聞かせても、本人には分からないものなの。――では親ができることは…?柴田先生:ほかの子をたたいてしまったら、親がごめんなさいねと謝りながら「一緒に遊びたかったみたい」と子どもの気持ちを相手に伝えてみてはどうでしょう。それは、子ども同士をつなげることにもなりますよ。なかなかつらい時期かもしれないけど、4歳くらいになると言葉で気持ちが表現できるようになる、と覚えていてほしい。気持ちと行動が結びつきはじめると、たたいたり、けったりという表現がおさまってくるから。――どうして言葉で表現できるようになると、手が出なくなるんでしょう?柴田先生:「やめて」というと、相手がやめてくれることが分かってくるからね。ずっとたたいたり、けったりと乱暴な子もいるけれど、そういう子は5歳くらいでほかの友だちに敬遠されちゃうのね。遊び相手がいなくなってしまうの。そうすると本人も「これはまずいぞ」と気付いて、行動が変わってくる。暴力だけじゃ自分の思い通りにならないと悟るのね。――成長にともなって、自分で自分を変えていくんですね。柴田先生:そうね。それから言葉うんぬんではなく、手が出る子もいる。そういう子は警戒心が強くて、さびしがり屋なことが多い。何かしら満たされない思いを抱えているものだから、そんな子が暴力をふるったら、私は無条件で抱きしめてあげる。そして私が「あのおもちゃが使いたかったね。でも貸してくれなくて、くやしかったね。だからぶっちゃったんだね」とその子の気持ちを代わりに言葉にするのね。「この人は自分の気持ちを分かってくれた」という安心感は、子どもに自分の感情の出所を理解させるの。こんなにも苦しい気持ちになったのは、おもちゃを貸してもらえなかったからなんだって。子どもの手が出てしまったとき、どうしても大人は「悪いのはあなたです」と裁判官のようになっちゃう。でもそうじゃなくて「通訳」になってあげたらいいと思うわね。子どもを変えようとせずに、大人が工夫する。子どもを信じて待つ。ジャッジせず、どう感じているかを理解しようとする。先生の口からは「しつけ」という言葉が出てこないことに驚きます。「私がいわなければ…」というママのプレッシャーが少しでも軽くなるのではないでしょうか。最終回となる 次回 は、「あいさつをしない」「遊びが切り上げられなくて泣いて暴れる」など、どう対処すればいいのか悩む子育てあるあるシチュエーションでの具体的な対処法をうかがいました。参考図書:『 今日からしつけをやめてみた 』(主婦の友社)あらい ぴろよ (イラスト), 柴田 愛子 (監修)「小さいうちから、きちんとしつけないと…」そうしておこなわれる「しつけ」は子どもにどんな影響を与えているのか? しつけなくして、親子が笑顔になる方法はあるのか? 子どもの目に映る世界は、大人が見ている世界とは違うもの。親子でストレスの溜まる「しつけ呪縛」から解放される一冊。
2019年04月27日お行儀よくできない。友だちと仲良く遊べない。そんなわが子の様子を「私のしつけが良くないのかな…」と自分のせいにしてしまうお母さんは、とても多いように感じます。「子どものしつけは親の責任」という言葉にうなずきながらも、「そうだけど…」とどこか釈然としない気持ちになったことはありませんか?本当にしつけって必要? しつけは本当に子どものためになるの?そんな疑問を解決すべく、今回は『 今日からしつけをやめてみた 』(主婦の友社)を監修された保育のプロ・柴田愛子先生にお話をうかがってきました。お話をうかがったのは…「りんごの木 子どもクラブ」代表 柴田愛子先生「子どもの心により添う保育」をモットーにした「 りんごの木 子どもクラブ 」代表。絵本作家。 保育者。育児書の執筆、雑誌への寄稿だけでなく全国で保育者向けセミナーや母親向け講演会をおこない支持を得る。NHK『すくすく子育て』出演。園で行っている「子どもたちのミーティング」はテレビ・映画で取り上げられ「子どもの力を最大限に引き出している」と話題に。■イヤイヤ期の2〜3歳「本能で生きる時期」しつけは押し付け?今回、お話をうかがってきたのは「子どもの心により添う保育」をモットーにした幼稚園「りんごの木 子どもクラブ」代表の柴田愛子先生です。――先生、今日はよろしくお願いいたします! 先生が監修された『今日からしつけをやめてみた』のタイトルに「え? いいの?」と驚くお母さんも多いかと思いますが、ここでいう「しつけをやめる」とはどういう意味なのでしょうか?柴田愛子先生(以下、柴田先生):なかなか過激なタイトルよね(笑)。これは「しつけはいらない」という不要論ではなくて、あなたを脅かしている、誰がいっているか分からない「しつけ論」をちょっとやめてみない? という意味なの。――誰がいってるか、分からない「しつけ」…?柴田先生:しつけをしなければいけない、と悩んでいるのは2~3歳のお子さんを持つお母さんに多いわね。でも2~3歳ってイヤイヤがはじまる、いちばんどうにもならない時期なんですよ。そんな子どもをどうにかしようとするほど、至難の業はないと思うの。――でも、早いうちからいろいろ示しておかないと将来が心配だし、しつけることがわが子のためになると思って口うるさくいってしまうんです…。柴田先生:そうよね。最近までおっぱいやミルクを飲んで寝ていたのに、立ち上がるようになって、大人のような姿かたちになりはじめる。でもね、大人に近づいたように見えるだけで、まだまだ未発達の状態なの。2~3歳ごろまでは本能的に生きている時期で、それが自然。その本能的に生きている時期に、世間一般でいわれるような「しつけ」をするということは、人間の文化を無理やり押し付けていることになるの。――未発達な時期でのしつけは、押し付け…?柴田先生:そう。押し付けられる子どもは気の毒だなぁ…と私は思う。子どもにとっても、「しつけないとしょうがない子になる」と頑張る大人にとっても、つらいものだと思うんです。■「ごめんなさい」の言葉の前に「なんだかイヤ」の感情を大切に――先生は「りんごの木」でたくさんの子どもたちと過ごされていますよね。しつけが必要とされるような場面では、どうされているのですか?柴田先生:例えば「ごめんなさい」ね。相手が泣いちゃった、だから「ごめんなさい」をいわせる。これは大人の終止符の打ち方ですよね。大人は効率良く、さっさと片付けたいと思う。でも、子どもというのは効率を考えないし、さっさと片付けられないものなのね。――私も子どもがケンカしたときは「ごめん」をいわせて、早くいざこざを終わらせたいと思ってました…。柴田先生:りんごの木では、子どものペースを保証したいから「ごめんなさい」は強要していないんですね。2~3歳の子は、今自分が持っている気持ちと「ごめんなさい」の言葉がまだ結びついていない。「なんだかイヤだった」という気持ちと、相手が泣いちゃって「困った」という気持ちはあるけれど、そうした気持ちから「ごめんなさい」という言葉を出そうとは思わないんですね。 ――そうか、なんて言葉にしたらいいかまだ分からないんですね。柴田先生:そうです。分かっていないんですね。でもここで、あなたが今感じている気持ちが「ごめんなさい」という言葉なんだ、ということは大人として伝えてあげたい。そんなときはこう伝えます。「痛かったね~。ごめんなさいだね~。ごめんね」って私がいうんです。そうすると「ああ、この気持ちはごめんねっていえばいいんだ」と子どもは分かっていく。――「ごめんねといいなさい」と強要するんじゃなくて、気持ちと言葉を大人がつないであげるんですね。柴田先生:そうです。気持ちに言葉がついていくのであって、言葉で処理すべきことではない。これは「ありがとう」もそう。「ありがとう」「ごめんなさい」はとても大事な言葉ですね。だからこそ、子どもがたっぷり育ってから、言葉と気持ちがくっついたときでいいと思うんですよ。■「どんな子にしたいか」じゃなくて「どういう子なのか」――りんごの木では保護者に向けて、何か伝えていることはありますか?柴田先生:りんごの木には遅刻という言葉はありません。「用意ができたら来てください」と伝えています。乳幼児って、朝がうまくいかないじゃない? 出かけようとすると「うんち」っていったり、飲み物をこぼしてびしょびしょになったり…。――そうそうそう! そうです!柴田先生:そのときに「出かけられないでしょ!」って怒るなら「あ~あ。やっちゃったか。じゃあ、着替えてね」でいい。みんなの用意ができたら来てね、なんですね。私の家が遅刻OKの家庭で、実はみんな遅刻常習者だった(笑)。だからって大人になって遅刻するようになるかというと、そんなことはなかった。そこはわきまえて成長する。育つってそういうことなんじゃないのかな。――「朝は準備できてからでいい」って、なんだか夢のようです…!柴田先生:これまで長く幼稚園の先生なんかをやってきたけれど、いつも親は「どういう子に育てたいか」「どういう子にしたいか」という大人の思いで子どもに接していると思うんです。そうして行き着いたところで、何が正しいことなのか分からなかった。それに気づいたとき、私は「どういういう子に育てたいか」の前にそもそも「どういう子なのか」。子ども本人のことを知らないんじゃないか、と思ったのね。――わが子が「どんな子」なのか…。柴田先生:そう。だから知りたいと思ったの。どんな子なのかを知るためには、子どもの育ちは子どもに任せてみようって。子どもを知るためなんだから、ルールは一切なし! 大人の「こうさせたい」をなしにして「りんごの木」をはじめたんですね。――子どもの育ちを子ども自身に任せる…?柴田先生:そうよ~。だから子どものやりたい放題の世界よ! でも、子どものやりたい放題って、思春期の子と違ってそうたいしたことじゃない。水道出しっぱなしとか、家の中に水を持ち込むとか、壁に絵を描くとか…。これは大変かしら(笑)。でも、やることが一人ひとりすごく違うのね。ママと別れるとき、ある子は我慢していたり、ある子は事実を目をつむって見ないようにしていたり。ワンワン泣く子もいれば「ママがいないからあなたでいいわ!」と別の大人に抱きつく子もいる。みんなこらえ方が違うのね。 本当に子どもっておもしろいなって。子どもがどうあるべきかでなく、どういう子なのかを知りたい。ただそれだけなのね。「子どものために」としつけをしていたはずが、そもそも子どものためではなく、親のため、大人の都合だったとしたら…。それならしつけなんて、今日からやめたい! と思うのは私だけでしょうか。子どもの文化を大事にすることで「これは私のせい?」「こうしなきゃいけない?」と不安になっている時間を、子どもと笑顔になれる時間に変えていくことができるかもしれませんね。 次回 は、子どもの3大「困った!」での、年齢別対処法をご紹介しましょう。参考図書:『 今日からしつけをやめてみた 』(主婦の友社)監修 柴田 愛子/イラスト あらい ぴろよ「小さいうちから、きちんとしつけないと…」。そうしておこなわれる「しつけ」は子どもにどんな影響を与えているのか? しつけなくして、親子が笑顔になる方法はあるのか? 子どもの目に映る世界は、大人が見ている世界とは違うもの。親子でストレスの溜まる「しつけ呪縛」から解放される一冊。
2019年04月26日新年度をむかえ、新鮮な気持ちで毎日を過ごしている人も多いことでしょう。新学期やクラス替えをむかえた園や学校では、新たな顔ぶれと環境に慣れるため、子どもたちもさまざまな思いを抱いている時期です。 そんな中「いつも家にひとりでいる」、そんな子どもの様子に不安を感じるお母さんがいます。どこにもいかず、友だちと遊ぶ様子も見せず、いつも家でひとり遊びをする姿に「大丈夫かな?」と心配になってしまうようです。 ■「うちの子、いつもひとり…」友だちと遊ばないわが子が心配 「うちの子、いつもひとりで家にいるけど…大丈夫?」と心配になったことはありますか? 例えば、近所の子どもたちが大勢で遊んでいるのを近くの公園で見かけとき。道端で子どもたち2~3人が楽しそうにおしゃべりしているのを見かけたとき。ほかの子どもたちはたくさん外で見かけるけれど、わが子は外に出ようともしない…。 あるいは保護者会の席で、ほかのママたちが「先日はうちの子がお邪魔させてもらって。いろいろお世話になりました」といったあいさつをかわしているが、うちには誰も遊びに来たことがないし、ほかの友だちの家へ遊びにいっている様子もない…。 まわりの子は外でたっぷり遊んでいるのに、わが子はいつも家でひとりで遊んでいる。この事実に「何か悩みがある?」「友だちがいない?」「いじめられてる?」といった不安がママの心に押し寄せてきてしまうようです。 ■「家にひとりでいる」のはなぜ? 本当の理由 では、わが子は悩みがあったり、友だちが少なかったり、いじめられたりしているのでしょうか? そのため、家にひとりでいるのでしょうか? 実はこの問題は「子どもの性格」が少なからず関係していると思います。新学期など環境の変化があった場合、子どもの性格によっては順応するのに時間がかかることがあるのです。 もともと慎重な子、内向的な子は、これまでとは違う新しい環境に慣れるのに時間がかかります。大人だって引っ越したり職場が変わったりすると、慣れるまでに一定の時間がかかるものですよね。子どもは今、順応期間、様子を見ている期間なのだと受け取ってはいかがでしょうか。 また、いろいろな子と関わりを持ち、外交的だけれど本当はすごく気をつかっている子、頭が良く周囲の様子をよく観察している子も、打ち解けるのに時間がかかる場合があるようです。外で気疲れしている分、落ち着きたい、様子が分かってから関わっていきたいという思いから、最初のうちは家で過ごすこともあるでしょう。このように、子どもの性格によって、ひとりで家にいる理由は異なります。必ずしも、ママが妄想してしまうような「悪い」理由ばかりではないのです。あるいは、お絵描きが好き、本を読むのが好き、ゲームが大好き! など、家の中で夢中になれる楽しいことがある場合も「ひとりで楽しみたいだけ」というケースでしょう。■心配なひとり遊び、大丈夫なひとり遊び、見極めは?ただ、なかには本当に心理的な苦痛を感じていて、仕方なくひとりで過ごしている場合もあるでしょう。ひとりが心地良いからひとりでいるのか、心理的な苦痛からひとりでいるのか。見極める方法として、下記の項目があげられます。わが子の様子に当てはめて、チェックしてみてください。 ・よく眠れているか。・食欲があるか(おやつを食べるか)。・園や学校のことを、聞けば話してくれるか。 眠れない、食欲がない、園や学校のことを聞いても話さない(話してくれた内容に問題がある)… という場合は心に悩みを抱えているのかもしれません。遠慮せずに先生などに相談し、解決策を考えていきましょう。 よく眠れている様子で、食欲もあり、自分からは話さないけれど「今日どんな遊びした?」「どんな本を読んだ?」「何を習った?」など、質問すれば話してくれる。このような場合は、心理的な苦痛があるのではなく、ただひとりでいたいだけということが多いでしょう。 ■「友だち100人できるかな?」同調圧力の功罪 みんなと同じが良いことである、と同調圧力の強い時代を過ごしてきた世代は「友だち100人できるかな」という言葉もあったように、友だちは多ければ多いほど良いと思ってしまうかもしれません。だからこそ、子どもがひとりでいると不安になってしまうのでしょう。しかし、「家にひとりでいる」ことは環境変化に順応しようとしている、ひとりでいる楽しさを学んでいる場合もあります。今まではクラスのみんなや周りの環境に合わせていたけれど、ひとりで自分の好きなことができるようになった。それはある意味、成長とも考えられますよね。 ひと昔前なら、「みんなと仲良くすべき!」と親や先生から教えられ、嫌いな人、苦手な人ともムリして一緒にいなければいけない風潮でしたが、今は個人個人が自由に生きられる社会に変わってきているのかもしれません。家にひとりでいる子どもたちは同調圧力を感じず、自分だけの世界を楽しんでいる、といえるのではないでしょうか。
2019年04月03日兄弟姉妹のいる家庭では、子ども同士それぞれに秘めた思いがあるものです。「お姉ちゃん(お兄ちゃん)はいいのに、どうして自分はダメなの?」「長女(長男)だからって、どうして自分ばっかり我慢しなきゃいけないの?」といった言葉が、子どもの口から出てくることもあるでしょう。ママのなかには「もしかしたら私の接し方が、きょうだい差別を感じさせているのかも…」と不安になる人もいるでしょう。今回は、子どもたちにきょうだい差別を感じさせないための声がけ法について考えてみたいと思います。■ドキッとする子どもの言葉「きょうだい差別を感じさせているかも…」兄弟姉妹がいると「愛情に偏りが出ないよう気をつけている」というお母さんも少なくありませんよね。ただ、以下のような言葉を子どもが口にしたら、「不平等な扱いをしたつもりはないのに…」と不安になってしまうこともあるでしょう。・「お姉ちゃんばっかりひいきして、ズルい!」・「なんでお兄ちゃんはいいのに、私はダメなの?」・「弟なんていらない!」・「妹になりたい」子どもは、親の何気ない言葉を聞き逃さず、「ほかのきょうだいと自分は扱いが違うのだ」と敏感に感じることがあります。例えば、こんな言葉を子どもにかけたとしましょう。「お姉ちゃんはかわいいからモデルになれるかもね。あなたはパパに似たけど…」容姿について、直接的な優劣をつける言葉ではないので、ママに悪気はなかったのかもしれません。しかし、姉妹を持つ母としては少々デリカシーのない言葉といえるでしょう。こう言葉をかけられた子はどんな気持ちを抱くのでしょうか。言われた側は、容姿の優劣はもちろん「私よりママはお姉ちゃんが好きなんだ」という感情を抱くでしょう。何気なく放ったひと言でも、子どもは敏感にきょうだい差別を感じ取ります。そんな出来事が過去になかったでしょうか? 先に紹介した言葉を子どもが口にするようなら、ママ自身の言葉かけが間違っていたのかもしれません。■親子の「感情のズレ」あって当たり前と自覚するあるママは「お姉ちゃんは髪を結んだほうがかわいいけど、下の子はおろしたほうがかわいい」と思い、下の子の髪は結ばなかったそうです。親は良かれと思ってしたことでしたが、下の子はそのとき「私も結んでほしいのに、どうして?」と悲しい気持ちを抱いていたそう。このような感情のズレから、子どもに悲しみや寂しさを感じさせてしまうこともあります。また、きょうだいがいるママのなかには「長女だから我慢ばかりさせられた」「いつもお姉ちゃんばかりほめられた」といったきょうだい差別を感じて育った人もいるでしょう。その場合、「自分が長女でたくさん我慢してきた」と思っている人は、長子に対して甘くなってしまう傾向があります。また、「兄(姉)ばかりほめられた」という気持ちを抱いたことのある人は、無意識のうちに長子をほめることにブレーキをかけてしまうケースも。そんなあなたの態度に対して何も言わないからといって、子どもに不満がないわけではありません。かつての自分がそうであったように、子どもは何も言わず我慢をためています。ですから、「自分の子ども時代の感情を満たすために付き合わせてごめんね」と自覚し、反省することもときには必要です。きょうだい差別を感じさせてしまうのは、こうした親と子の感情の行き違いが引き金になっているケースも多いようです。■子どもの不満別、きょうだい差別をはねのける3つの方法わが子がきょうだい差別を感じているようなメッセージを発したら、どのような対応をすればよいのでしょうか。今からできることは「子どもの気持ちに意識を向け、望むとおりにする」ことです。わが子の言葉から何を不満に感じているかを読みとり、子どもの要望にこたえてあげるのです。それが、不満解消の近道となるでしょう。子どもの不満別に、以下のような声がけ、働きかけを試してみてください。【生まれ順についての不満】例:「お姉ちゃん(お兄ちゃん)になりたい!」「弟(妹)になりたい!」上の子になりたい、下の子になりたいと言うなら、まずは子どもがそう思う理由を探してみます。たいていは上の子だけにしがちなこと、下の子だけにしがちなことが原因のようです。例えば、「お姉ちゃんみたいになりたい!」と言うときは、上の子にしていることをそっくりそのまましてあげます。同じ髪形にしてあげたり、同じ洋服を買ってあげたり、同じ習いごとをさせてあげるのも良いでしょう。また、我慢することが多い上の子に「お姉ちゃん(お兄ちゃん)が欲しかった」と言われたら、我慢させることを一切やめ、思いきり甘えさせてはいかがでしょうか。【性差についての不満】例:「お兄ちゃんみたいに、男の子っぽい服が着たい!」妹が兄の服装やいで立ちを好み「自分も同じようにしたい」というときは「女の子なのに…」と考えず、好きなようにさせてあげます。黒い色を基調としたコーディネート、トレーナーにズボンなどのカジュアルな服装も満足するまで着させてあげます。また弟が「お姉ちゃんみたいな人形遊びがしたい」といったときも「男の子のくせに」とは言わず、まずはやらせてあげましょう。【外見を含めた個性についての不満】例:「お姉ちゃんみたいにかわいくないから」「弟みたいにできないから」もし、わが子がほかのきょうだいほど評価されていない、比べられて低く見られていると感じたら、「あなたはかわいい」「あなたはできる」と何度も口にしましょう。周囲から評価されなくても、ママさえ認めていれば、子どもがきょうだい差別を感じる度合いは薄まります。また、例えば上の子が「お兄ちゃんは足が速いからリレーが楽しみね」などと周囲から期待されていたとします。それを聞いた下の子が「お兄ちゃんばかりほめられる」と感じているようなら、「あなたの運動会も楽しみだね」「早く応援したいな~」と声がけをしてみましょう。そうすることで「ママは僕のことも気にかけてくれている」という気持ちが生まれ、きょうだい差別を意識しにくくなるはずです。「子どもの要求を何でも聞くわけにはいかない」と感じるママもいるでしょう。でも、ときには子どもがやりたいということを「うのみ」にし、思いっきりやらせてあげることも大切です。子どものやりたい気持ちは一時的な場合が多く、やってみたらどんなものかが分かり、満足して気がすむことがほとんどです。大切なことは、子どもの言葉を認めること、実際に一度経験させることだと思います。
2019年03月07日「どうしてそんなことを…!」男の子を持つママからはよくこんな声が聞こえてきます。予想もしないことをやってのけるので、あるときは驚いたり、あるときはあきれはてたり…。どうしてそんな行動をするのか、意味が分からない! と嘆くママも多いことでしょう。今回は「母親の理解しがたい行動をとる男の子…その理由は?」について考えてみました。■「謎過ぎる…」男の子の意味不明な行動って?男の子の謎に満ちた行動にはどのようなものがあるのでしょうか? それは例えば…・ダンゴムシをポケットに入れて飼っている(つもり)。・段差を少しでも見つけるとジャンプして飛び降りる。・登れそうなところを見つけたら、とりあえず登り始める。・くしゃくしゃの連絡プリントがランドセルの底から出てくる。・お願い事をしても、すぐに忘れる。・「誰と遊んでいたの?」と聞いても「名前は知らない」とケロっと言う。ママたちからすると「なぜ…?」と思うことを楽しそうに、平然とする男の子。こちらの想像を超えてくるその言動には、男の子ならではの脳の発達が関係しているようです。■「今を生きる!」男の子と「先を見通せる」女の子なぜ、男の子のやることなすことがママたちには理解できないのでしょうか?それは男の子の行動・言動に次の傾向が強く見られるからのようです。・目の前にあることだけを見ている。・やりたいことしかやらない。・一度にひとつのことしかできない。これは、男の子ならではの傾向で、男女の脳の成長が関係しています。脳には右脳と左脳があり、一般的に左脳は「言語」「会話」「記憶」を、右脳は「感覚」「イメージ」などをつかさどっているといわれています。この右脳と左脳がお互いに情報を伝えたり、制御したりするための重要な役割を担っているのが、「脳梁(のうりょう)」。この脳梁は、一般的に脳の成熟が早い女の子のほうが一足早く発達します。そのため女の子は、自分が感じた感情や状況を言葉にしたり、「○○しないとママに怒られる」といった先の見通しを立てるようになるのが早いといわれています。これは、脳の情報伝達や制御を行う脳梁が、男の子よりひと足早く大きくなるからだそうです。男の子は男性ホルモンの影響で、体と脳の成熟が一時的におさえられる期間があります。そのため、女の子の脳梁が大きくなっていく時、男の子の脳梁はまだ小さいままなので、感情を言葉にして伝えたり、先の見通しを立てることが女の子ほどうまくできないわけです。また、男の子は女の子に比べ、相対的に右脳が発達していく傾向にあるので、図形や空間などの認識が得意なケースが多いようです。そのため、目の前にあるものを認識し「これは何だろう?」と興味を持って集中してしまうため、ほかのことは目に入らなくなってしまう場合が多いようです。■女の子の「共感思考」、男の子の「目的思考」男女の違いは、「遊び方」にも大きく反映されます。まずは、女の子が遊ぶときを考えてみましょう。例えば、女の子は「〇〇ちゃんと一緒」など、誰と遊ぶのかを意識することが多いですよね。それから同じ場所で、同じように楽しめるかどうかということも大事にしています。遊び終わった際も「楽しかったね」と感情を共有し合います。そして「また明日、遊ぼうね」など、先の見通しを立てたような声がけをすることもありますね。女の子の遊び方は「共感思考」といえるでしょう。一方、男の子の場合、相手が誰であるかはあまり気にしていません。大事なことはゲームやサッカーをするための人数が集まるかどうか、なんですね。目的はゲームやサッカーをすることにあるため、友だちと一緒にいても会話がなく、ひたすら目の前の遊びに集中します。また、遊び終わったら「家に帰る」という目的だけがインプットされるので、自分のゲーム機や遊び道具を友だちの家に置いて帰ってしまうことも日常茶飯事。こうした遊び方は「目的思考」といえるでしょう。■男の子育児「あきらめることも大事」男の子の「謎過ぎる行動」には、脳梁の成長スピードや思考など、さまざまな理由があるようです。男の子ならではの傾向なので、「うちの子、大丈夫かな?」と不安に感じたり、心配する必要はありません。遊びに夢中で遅く帰ってきたり、落とし物や忘れ物が多かったり、危ない遊びでケガをしたりすると、「また同じことをして…」と、ついつい声を荒げたくなるときもありますよね。そんなときは「わが子は今だけに生きている男の子なんだ」と思い出すようにしてみましょう。人の迷惑になったり、命にかかわることならきつく注意する必要がありますが、「恥ずかしいから」「きちんとしていないから」程度の行動なら、「ま、いいか」とあきらめることも必要。子どもはママに「ほめられる」「愛される」ことで何よりの幸せを感じます。加えて男の子は女の子と違い、性染色体がXYと異なるため、一つが傷つくと片方が補完…というのができません。そのため、小さいころは女の子より病気がちだったり、身体が弱い傾向にあるといわれています。誰かに守ってもらわなければ生き延びられない、と本能が働くことから、母親への愛着は女の子より人一倍強いといわれているのです。大好きなママから、ほめられ愛されることが喜びとなり、生きるエネルギーになる男の子。そのためママが「理解できない、分からない」と注意したり叱ることは逆効果。「え、どうして?」という我が子の行動に出くわしたら、「あ、また謎なことをしている」とあきらめ、観察者に徹して見守るのが、ママにとっても息子にとっても一番良い方法ではないでしょうか。参考資料: 『男の子と女の子は脳のつくりが違う! 脳と性質に合った子育ての方法(「幸せ力」の育て方 Vol.8)』ウーマンエキサイト
2019年02月21日保育園や幼稚園、学校などで見かける子どもたち、その様子は普段と比べていかがでしょうか。家での姿との違いに驚いた経験のある人もいるかもしれませんね。子どもたちもある程度の年齢になると、自分の性格を使いわけ、時と場所に応じて高度なやり取りができるようになってきますよね。今回は、家と外での子どもたちの性格の違いについて、考えてみたいと思います。■子どもの性格が違うと答えた親は7割超えアンケートでは、子どもの性格が家と外で違うか聞きました。その結果、「少し違う」と答えた人が43.6%、「かなり違う」と答えた人が28.9%となり、7割以上の親が「違う」と考えていることがわかりました。 Q. お子さまの性格、家と外で違う?少し違う 43.6%かなり違う 28.9%あまり違わない 19.3%家でも外でも同じ 6.6%わからない・どちらとも言えない 1.6%一方で、「あまり違わない」、「家でも外でも同じ」と答えた人はあわせて25.9%となり、2割以上の親は、違わないと感じているようです。■外での“いい子”は、家では品切れに!?まずは「違う」と答えた親たちのコメントから、子どもたちの性格がどのように違うのか見ていきたいと思います。まずはかなり多くの意見が寄せられた、“家と違って外ではしっかり者”という親たちの声を聞きましょう。「家では“パパ、ママ”と言って甘えん坊だけど、外では“父、母”ときちんと言えて、大人ぶっているところが笑っちゃいます」(東京都 40代女性)「初めての個人面談のときは、あまりに“いい子”で先生が人違いをしているのかと思いました。家にその“いい子”を持ちかえれないか聞いたら、品切れになるそう」(茨城県 40代女性)「うちの長男は小さくて泣き虫で甘えん坊。クラスでもそうだと思っていたら、友だちから“しっかりしていて意見が言えるし、頼りになる”と聞いてびっくりしました」(三重県 50代女性)「いつも学校の先生に“娘さんのおかげで、クラスにいじめがない”とほめられる。ケンカは止めるし、みんなが嫌がる子でも仲間に入れてあげるらしい。でも、家では弟がイジメられていますから~!」(広島県 40代女性)家での姿とあまりに違い、まるで別人のように感じている親もいるようですね。なかには自分自身や母親の呼び方を家と外とで変えている、また、友だちの前ではかっこつけたふるまいをしているというコメントもありました。子どもたちなりに、外ではしっかりしようと考え、行動している様子が伝わってきますね。■外ではクール、家ではお笑い芸人また、“家だとひょうきんだが、外だと無口”というコメントも多く寄せられていました。「うちの娘は学校ではおとなしい感じの女の子ですが、家ではお笑い芸人のモノマネをよくしています」(千葉県 30代女性)「娘は家では盛り上げて笑わせてくれるタイプ! でも外では、無口で人を寄せつけないようにしているらしいです。ばかにされるのが嫌だとか」(千葉県 40代女性)「家では活発女子。4つ上のお兄ちゃんも泣かせちゃうくらい口が立つけど、外に行くと借りてきた猫。あいさつもまともにできず、私の後ろに隠れている」(千葉県 40代女性)家ではハイテンションで、歌ったり、踊ったりしているという声も寄せられました。子どもたちも、家族だけの空間では、気を使わずに思ったままに行動できるのかもしれませんね。うちの5歳の長男もまさにこのタイプで、家ではふざけて変顔をしてきたりするのですが、外では常にポーカーフェイスです。参観の日などにその様子を見ると、「少しくらい愛想よく過ごせばいいのに」なんて思ってしまうのですが、その表情は恥ずかしい気持ちを隠すためかなと想像しています。■性格が違うことがトラブルの原因にもなりうる?ここまで紹介してきた家と外での性格の違いについては、どれも思わずクスッと笑えるようなかわいいものばかりでした。しかし、コメントを寄せた親の中には、子どもの性格の違いがもたらすトラブルの存在を訴える人もいました。「子どもの友だちは、子どもの前と先生と親の前とで、かなり態度や話し方が違う。大人の目が届かないときに性悪なことをするのはやめてほしい」(兵庫県 40代女性)「幼稚園バスの添乗員をしていたことがあります。バスに乗ってお母さんが見えなくなると、途端に同じバスの子に意地悪をしたり仲間はずれにしたりというお子さんが多いです。その後、被害に遭った子が訴えたけど、乱暴な子の親は信じてくれなかった」(神奈川県 40代女性)大人の目が届きにくい子ども同士のやり取りにおいて、ときにトラブルが存在しているようです。親の知らないところで子どもが意地悪や、仲間外れをしているというのは、性格が違うということとはもはや別問題な気さえします。本来は子どものやることは大らかに見守りたいところですが、もし子どもの言動によって周りの子が傷ついているという状況があれば、大人として何らかの介入した方がいい場合もあるかもしれません。一方、トラブルによって本来の性格を外では出せなくなってしまったという子もいるようです。「家ではハキハキした元気な女の子ですが、学校では何も言えない内気な子です。1度クラスの子からヒドイ言いがかりをつけられて、自分の気持ちをぶつけるのが怖くなってしまったみたい」(北海道 40代女性)トラブルを経験して、本当に言いたいことを外では我慢して無理をしているというのは、つらい話です。ただ、外でつらい思いをしていたとしても、せめて家のなかだけでは無理せずにありのままで過ごせるといいなと思います。もし家のなかで努めて明るく振舞っている気がするなど、何か感じ取った場合には少し注意しながら様子を見てあげたほうがいい場合もあるかもしれません。■家でも外でも変わらない子ども。大物? リラックスしすぎ?一方で、家でも外でもあまり性格は違わないという子は約2割。親はどう感じているのでしょうか。「もともと裏表のない性格なので、学校の先生や習い事の先生からも家庭と同じことを言われます。外ではもう少ししっかりしてほしいですけど」(神奈川県 40代女性)「家でも外でも天真爛漫(てんしんらんまん)。何も考えてないだけか?」(愛媛県 30代女性)「小6の息子はまったく変わらないです。たまに先生に学校での話を聞いても、家での様子とほとんど変わらない。自由な男、リアルのび太です」(神奈川県 40代女性)家でも外でもリラックスして過ごす様子が目に浮かびますよね。本来の性格もあるでしょうが、どこの場でも、自分らしく過ごせるタイプなのかもしれません。もしかしたら将来、大物になったりして。ただ、“外ではもう少ししっかりしてほしい”という声も寄せられていて、リラックスしすぎている子どもの様子にやきもきしてしまう気持ちも理解できますよね。■子どもなりに社会に適応しようとしているそれでは、家と外での子どもの性格の違いには、親としてどう向き合えばいいのでしょうか。参考になる意見をご紹介したいと思います。「一緒にいる相手や場所によって違いますが、どの性格もひっくるめてわが子の性格なんだなと最近は思うようになりました」(千葉県 30代女性)「持って生まれた性格にもよりますが、年齢が上がれば周囲を見るようになります。大人だって家と外の場面によって対応を変えますよね。子は子なりに社会に対応しているんだなと思います」(千葉県 40代女性)「先生やママ友には『みんなに優しく、しっかりしているし、小さい子たちの面倒やまわりのお友だちに気配りができてうらやましい』とよく言われますが、家では完全赤ちゃんです。でも外でがんばり屋さんな娘がかわいくて仕方ありません! だから家では思いっきり愛情を注いで、また明日外でがんばれるようにパワーをチャージしてあげています」(千葉県 30代女性)「違って当然、それが自然」(愛知県 50代女性)そのほかにも、「大人も子どもも外ではある程度の緊張感を持って過ごしているから、家と外では違っていてあたり前」という意見もありました。たしかに、対応する相手によって自分の性格を変えていけるのは、子どもが社会化していることの現れだと考えられるかもしれませんね。ここまで、家と外での子どもの性格について考えてきました。性格が違う、違わない、どちらがいいというものではなく、子ども1人ひとりによって性格も違えば、振るまい方もさまざまです。立ち返ってみれば、親である自分も、家と外では性格が違っていて、やり取りをする相手やその立場、場所や時間、環境によって、少しずつ対応の仕方を変えていますよね。そうした対応ができるようになったのは、子どもの成長のひとつだと考えることもできます。子どもも外の世界では、とてもがんばって過ごしていることでしょう。親としては、家では温かい自分の居場所を作ってあげたいですね。Q. お子さまの性格、家と外で違う?アンケート回答数: 6740件 ウーマンエキサイト×まちcomi調べ
2019年02月03日自分以外の誰かに子どもを預けなければならなくなったとき、なんとなく不安になることはないでしょうか? 「預けても大丈夫かな…」というママの不安。実は子どもにも伝染しています。今回は、ママの不安と子どもの不安、その両方をやわらげるための「預け先と子どもへの働きかけ方」について考えていきましょう。■「子どもを預けるのが不安…」心配性ママの心得3カ条子どもを預けるとき、自分はどんな顔をしていると思いますか? 浮かない顔で不安そうにしていたり、考えごとで眉間にシワが寄っていたりすることはないでしょうか。預け先に着くまでにママのそんな表情を見た子どもは「あれ、今から行くところって怖いところなのかな?」「安心できる人はいないのかな?」と不安に感じてしまうことがあります。不安定な気持ちのまま預け先に残された子どもは、ずっとその不安な気持ちを引きずることになってしまいます。子どもにそんな思いはさせたくないものですよね。そこで「預ける」と決めたときに心得ていてほしい3つのことをご紹介しましょう。1.罪悪感を持たない「子どもを預けてまで出かけるなんて、やっぱりダメだよね…」なんて罪悪感を持っているママは少なくありません。その罪悪感は子どもにも伝染します。ママの気持ちを見抜いた子どもは「自分はこのまま捨てられちゃうのかも」と感じ、大声で泣き始めることもあるでしょう。こうなると余計に罪悪感がつのって離れられなくなったり、反対に「早く行かなくちゃならないのに」とイライラしてしまったり…。しかし、「子育てはママ担当」と誰が決めたのでしょうか? もしかしたら、ママ自身がそう思い込んでいるだけかもしれません。だから、罪悪感が芽生えてしまうのかも…。子育ては、ママだけではなく、いろいろな人の手助けやサポートがあってこそできるものです。子どもを預けることに、罪悪感を持つことはありません。2.覚悟を決めて、預け先を信頼する特に保育士やベビーシッターといった他人に預ける場合は、どうしても心配になってしまうママもいます。そんな不安はなんとなく子どもも感じ取るものですから、預けると決めたなら、徹底的に預け先を信頼しましょう。ママが「大丈夫、信頼しています」というオーラを出していると、子どもの警戒心も徐々に薄れていきます。また、子どもを預ける際に、保育士さんやベビーシッターさんに「信頼しています」といった言葉を伝えるのもいいでしょう。声に出すことで、自分自身の不安を取り除く効果もあります。3.終始、笑顔朝起きて、預け先に到着するまでの間は、常に笑顔でいることを忘れないようにしましょう。朝から「今日は子どもを預ける日だけど大丈夫かな」と不安そうな顔をしていては子どもも不審に思います。反対にママがずっと笑顔なら「ママは何も怖がっていない」と子どもは安心するでしょう。 ■子どもと預け先への働きかけとは?母子それぞれの不安を取り除くために、ママから預け先にできる働きかけには、どのようなものがあるのでしょうか?ここからは比較的近しい存在である義両親やママ友の場合、プロにお願いする保育士やベビーシッターの場合に分けて、それぞれご紹介していきましょう。義両親、ママ友に預ける場合義両親やママ友はいずれも見知った仲なので、子どもにとってもある程度見慣れた人で、過ごす場所も慣れた場所であることが多いですよね。そのうえで、子どもにより安心してもらうためには「おばあちゃんと一緒にお留守番していてね」「〇〇くん(ちゃん)ママとみんなで楽しく遊んでいてね」など、声をかけて共同意識を持たせてあげるといいでしょう。また、保育士・シッターさんよりざっくばらんに言いやすい間柄なので「できればしてほしくないこと」を伝えておくのもいいかもしれません。例えば「ごはんの前にはお菓子を食べさせない」「食事中はテレビを見せない」といったことですね。ただし、伝えつつも強要はせず、基本的には預け先の習慣に従う姿勢でお願いしましょう。そうすることで「伝えたいことは伝えつつ、互いを尊重する」という関係性を保つことができますね。保育士、シッターに預ける場合保育士さんやシッターさんなど、まだ慣れていない預け先の場合は、子どもが警戒心や不安を抱かないようにすることが大切です。例えば「○○さん(先生)、すごく優しい人なの。ママみたいな人だから一緒に待っていてね」など「ママはこの人を味方だと思っている」ということを子どもに伝えておきましょう。そうすることで「この人はママと同じなんだ、安心できるんだ」と子どもの不安感を減らしてあげることができます。また、保育士さんやシッターさん本人への働きかけとして「私はあなたを100%信頼しています」という気持ちを直接伝えておくのもいいと思います。相手はビジネスとして預かってくれるわけですが「ベテランの〇〇さんなら安心してお任せできます」など「預けるからには全幅の信頼を置いています」という空気を漂わせておくのも、ママの不安を取り除くひとつの方法です。一方、その言葉をかけられた保育士さんやシッターさんには、信頼されたことで責任感が生まれ、子どもとよりよい関係を築く努力をしてくれる効果も期待できます。「預けるときは笑顔で」とお伝えしましたが、それは迎えに行ったときも同じです。子どもの顔を目にしたら「待っててくれてありがとう」と思い切り抱きしめてあげてくださいね。預け先によって働きかけの対処法は変わりますが、ママに意識してほしいことは変わりません。預けると決めたなら覚悟を決めて、相手を心から信頼する。そして、笑顔を絶やさず、預けることに罪悪感を抱かないこと。そう意識することがママ、そして子どもも笑顔でいられる秘訣だと思います。
2018年11月09日ふだん、何気なく発している言葉は、良くも悪くもまわりに影響を及ぼします。「うれしい」「楽しい」などのポジティブな言葉は、周囲をハッピーな気分にさせますし、「つまらない」「めんどくさい」といった言葉は、周囲を良い気分にはさせません。家族の中でも、とくにママと過ごす時間の多い子どもの場合はどうでしょう? ママがポジティブな言葉をふだんから発していれば子どもも安心しますし、逆にネガティブな言葉ばかりでは…言うまでもありません。ならば、ママたちはふだんからどんな言葉を意識すれば良いのでしょう? 知らず知らずのうちに、子どもに影響を与えている親の口癖について、 『話し方で損する人 得する人』 (ディスカヴァー・トゥエンティワン)を出したばかりの作家で心理カウンセラーの五百田達成さんにうかがってみました。五百田達成さん プロフィール作家・カウンセラー。東京大学教養学部卒業後、角川書店、博報堂を経て独立。鋭い視点から「コミュニケーション」「人間関係」を分析し、そこから導き出す実践的なアドバイスは高い評価を受けている。「コミュニケーションのプロ」としてメディア出演多数。著書にベストセラーとなった『察しない男 説明しない女』『不機嫌な長男・長女 無責任な末っ子たち』(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)、『特定の人としかうまく付き合えないのは、結局、あなたの心が冷めているからだ』(新潮文庫)など。米国CCE,Inc.認定 GCDFキャリアカウンセラー。HP: 五百田達成オフィシャルサイト ■子どもへのNGワード「なんでするの!?」子どもへのNGワード――子どもがかまってほしいのに、忙しくてつい言ってしまう「ちょっと待ってね」。なにか失敗をした直後に口に出してしまう「だから言ったのに」。ほかにも、つい発してしまう何気ない言葉で、じつは子どもを傷つけているNGワードってありますか?五百田達成さん(以下、五百田さん):会話全般にいえるのですが、否定的な言葉は極力避けたほうがいいですね。「〜しちゃダメよ」ではなくて「〜するといいよ」。「騒いじゃダメよ」ではなくて「静かにしようね」のほうが、大人だって言われて嫌な気分になりませんね? 子どもも5〜6歳になれば立派な人間です。大人に会話するのと同じように、丁寧に、相手を気づかった言い方を意識すべきでしょう。冒頭の質問のように、「ちょっと待ってね」と言われても、ある程度成長した子どもでも、どのくらい待てばいいのかさっぱりわかりません。たとえて言うならば、職場で上司から「なる早でお願い」と仕事を頼まれたときと同じです。“なる早”の感覚は今日だったり、1週間後だったり、人それぞれ違います。こんなあいまいな会話ではコミュニケーションとしては成立しませんよね。だから、子どもにお願いされたときもいい加減な返答はせず、「◯分待ってね」とか「片付けが終わるまで待ってね」ときちんと状況を説明してあげる。そうすれば、子どもも納得して待つことができるはずです。「だから言ったのに」という一言も、なるべく使いたくないフレーズです。なぜなら、終わったことをグチグチ言い続けるのは、生産性のない会話だから。時間は戻せませんからね。たとえば、子どもがレストランで水をこぼしてしまったとき。「なんでこぼすの!」と叱るのは、親としてイマイチな対応といえます。とても純粋な人間である子どもは、どうしてこぼしたのかと親に問い詰められたら、怖くて黙ってしまうか、もしくは原因をあれこれ言うでしょう。でも、親は言い訳を聞きたいわけではなく、反省の弁を聞きたいわけで、子どものウジウジした態度にますます腹が立ってしまうのです。つまりこの質問は不毛なわけです。では、どうすればいいか? もっと前向きな言葉がけをすればいいのです。水をこぼしてしまったら、まずは「さあ、このテーブルをどうしよう?」と子どもと一緒に考えます。その後、店員さんに台拭きを持ってきてもらい、テーブルをきれいにしたら、「これから水をこぼさないようにするためには、どうしたらいいかな?」と、じっくり話し合えばいいのです。子どもにガミガミ言わなくても、親が親身になって話を聞いてあげれば十分反省しますし、ある程度大きい子なら、今後注意するようになるでしょう。ポジティブな会話の方が、お母さんにも子どもにとっても“得”なのです。■「そうだね、すごいね」ママの共感が子どもを育てる――つい怒ってしまいそうな場面でも、前向きな声がけを意識するのですね。さっそく実践してみます! ちなみに、子どもの実力や個性を伸ばすOKワードはありますか?五百田さん:特別これといったワードはありませんが、子どもの自信につながるコミュニケーションの取り方はあります。それは、子どもをよく見て、最後まできちんと話を聞いてあげること。保育園や幼稚園でのエピソードや好きなキャラクターのことなど、大人にはたいした内容ではなくても、子どもにとっては重大な話題です。子どもが話しかけてきたら、適当に対応するのではなく、しっかり顔を見ながら最後まで話を聞いてあげてください。子どもも、大人と同様に誰かに共感してほしいのです。このとき、「そうだね」「すごいね」などの言葉をかけてあげると◎。お母さんは僕・私に共感してくれるという安心感は、心の安定をもたらし、結果として自信につながるのです。余談ですが、子どもはなにか上手にできると「ママ、見てー」と何度でも言ってきますね。お母さんもやることがたくさんあって大変かと思いますが、そこは忍耐が必要です! 鉄棒だったり折り紙だったり、子どもが自信をもってなにかに取り組んでいるときは笑顔で見守り、そして一言「すごいねー」と褒めてあげてください。子どもとのコニュニケーションにおいて“聞く”姿勢も大切ですが、“見守る”姿勢も大切です。――最後に、子どもとの会話で心がけるべきはどのような点でしょう?五百田さん:子どもとコミュニケーションをとるうえで愛情が第一だと思われがちですが、それはちょっと違う気がします。愛情を前面に出しすぎると、どうしても感情的になってしまい、場合によってはコントロールがきかなくなってしまいます。ヒステリックになってしまうんですね。我が子は愛すべき存在だからこそ、あえて戦略的に向き合うのが大切。良好な親子関係を築くためにも、意識して得する言葉を選び、そして心から褒めてあげる。このバランスがポイントになってくるのです。子どもと会話するたびに感情的になっていたら、たしかにママも疲れてしまいますね。大人ならではの知恵を上手に使って、戦略的に言葉を選ぶ。これは試してみる価値がありそうです!参考図書: 『話し方で損する人 得する人』 (ディスカヴァー・トゥエンティワン)ベストセラー著者であり、話し方のプロフェッショナルである五百田氏渾身の話し方の決定版。話し方のちょっとした違いで、「損する人」にも「得する人」にもなる。よかれと思ってやっていたこと、ダメだなと思いつつ言ってしまっていること、その「損する話し方」を「得する話し方に」変えるだけで、こじれていた人間関係が改善したり、あたらしい出会いが広がる!? 本書では、各項目で「損」「得」2つの話し方を紹介。取材・文/長谷部美佐
2018年11月03日子育ては思うようにいかないことが多いものですよね。日々のなかで解消されない行き場のない感情は、時として爆発してしまうこともあるかもしれません。子どもを持つお母さんたちのなかには「わが子をたたいてしまいそうになる」あるいは「たたいてしまったことがある」という人もいるようです。今回は、子どもに手をあげてしまう心理状態と、気持ちの整理の仕方について考えていきましょう。■子どもをたたいてしまう親「どんな時、どんな気持ち?」子どもをたたいてしまいそうになる、あるいは、たたいてしまうのはどのような時なのでしょうか? それは、子どもを手っ取り早く自分の言う通りにさせたい時や、思い通りに動かしたいのに、そうならない時ではないでしょうか。例えば、出かける予定があるから、早く食事を食べて着替えをしてほしい。終わらせなければならない家事があるのに「ねえねえ」とまとわりついて、静かにしていてほしい…などなど。「たたく」という行為は話したり諭したりすることより、はるかに簡単に子どもを操作することができますよね。けれど、それがしつけといった意味合いを含んだとしても、たたくことは暴力です。そして暴力を使うということは、恐怖や苦痛で子どもを支配していることになります。■子どもをたたいてしまう親「手が出てしまうのはどうして?」子どもを傷つけたいと願う親はいないはずです。では、どうしてわが子をたたいてしまう親がいるのでしょうか?ここからは、親の視点から考えてみましょう。たたいてしまう親には大きく分けて、下記の2つのタイプがあるように思います。【たたくことでストレス解消をしているタイプ】子育ては本当に疲れます。子どものペースに合わせていると時間に余裕がなくなり、イライラしてしまうことも多くあるでしょう。子どもをたたくことによって、そうしたイライラを解消していませんか?人によっては育児以外のこと、例えば、仕事や人間関係で生じたストレスまで子どもにぶつけてしまうこともあるようです。たたくことで自分自身のストレスを解消しています。【親にたたかれて育ってきたタイプ】子どもを持つ親のなかには「自分もたたかれて育ってきた」という人がいます。このタイプの人はたたく=しつけととらえているので、悪いことをすればたたかれても仕方がないという認識を持っています。しつけという大義名分で、自分自身もたたかれて育ってきたため、子どもをたたいて育てることに抵抗感を感じないのでしょう。たたくことを「しつけ」と正当化している人は「自分が親からされてきたことはきっと正しいはずだ」と信じているのかもしれません。そのため「たたくことを否定することは、自分の親まで否定することになる」と心のどこかで感じているのではないでしょうか。しかし、たたくことは何度も言うように暴力です。親から暴力をふるわれる小さな子どもは「イヤだ」「やめてほしい」と抵抗することができるでしょうか。親からたたかれた子は、たたかれることを受け入れるしかできません。■子どもをたたいてしまう前に「親自身でできること」では、子どもをたたいてしまいそうになった時、どうやったらそれを止めることができるのでしょうか?ここからは、対処法を子どもの年齢別に考えていきましょう。まずは、生まれたばかりの新生児から1歳くらいまでの子どもに対する対処についてご紹介します。 【新生児〜1歳くらいの親の場合】産後は赤ちゃんのいる生活に慣れず、精神的に余裕がない状態です。子どものぐずりに時間がかかり、精神的にいっぱいいっぱいとなることもあるでしょう。1歳くらいまでは、親の言葉も理解できないので、言い聞かせることもできません。そんな時は、すべてにうまく対応しようと思わなくて大丈夫です。もしも「いまイライラしている。子どもをたたいてしまうかもしれない」と感じた時は、例えばクッションなどを活用しましょう。子どもと少し離れた場所でクッションを投げたり、ボスボスとたたいてストレスを思う存分解消します。【1歳~幼児期の親の場合】言葉がある程度分かる年齢になってきたら、子どもには言い聞かせるという手段ができる一方、そのやりとりによって余計にイラついたり、カッとくることが増えてきます。言葉ではあなたの思いが子どもに伝わらず、たたきそうになった、もしくはたたいてしまった後に罪悪感を感じ、自分を責めてしまうことがあったら、(子どもにすぐ「たたいたことはごめんね」と謝ったうえで)「ママは今、たたきたくなるくらい怒っているの」と口に出してしまいましょう。そして「ちょっとママ考えてくる」などと言って一旦、子どもと離れてみてください。親自身は「子どもをたたいてしまう自分、たたきそうになる自分」を見つめなおすチャンスです。例えば、子どもをたたくのは自分の憂さをはらすためではないか、自分自身に問いかけてみてください。たたく行為に少しでも違和感を感じているなら、「なぜ自分はたたこうと思ったのか」を考えてみましょう。また「自分もたたかれて育ったから、しつけのうえでたたくのは当たり前」と思っているなら、同じことをする前に、自分自身がたたかれていた時にどう感じていたかを思い出してみてください。たたかれて痛くなかったか、怖くなかったか…。そのうえで、わが子はたたかれたらどう感じるだろうかと、想像してみてほしいのです。それでも、もし感情的になって手を上げそうになった時は、子どもとは別の部屋に移動して気持ちを落ち着かせる方法もあります。子どもが、つきっきりで見守らなくても大丈夫な年齢なら、少しの間だけ隣室で1人になるなど冷静になる時間を設けることで、イライラをやわらげることができるかもしれません。また、子どもが1歳くらいまでの対処法と同じく、クッションをボスボスするのもいいでしょう。子どもをたたいてしまいそうになる時、たたいてしまった時。まずは自分が「子どもをたたきたくなる心理状態」にあることを受け入れてあげましょう。それから、どうやったらそこから抜け出せるかを考えていきましょう。
2018年10月28日朝、パパに「いってらっしゃい」をすると、ママと赤ちゃんふたりきりの生活がスタート。赤ちゃんはかわいい一方で、家事が思うようにはかどらなくてイライラしたり、赤ちゃん以外の誰とも話さないで1日が終わっていくことに不安を感じたり…。赤ちゃんがいる生活は幸せなはずなのに、心の底からふたりきりを楽しめないのはなぜなのでしょうか? ママの気持ちがラクになる方法はあるのでしょうか?これまで多くのママと子どもの気持ちに寄り添い、支援してきた、臨床心理士の帆足暁子先生にお話をうかがいました。お話をうかがったのは…臨床心理士帆足暁子(ほあし・あきこ)先生ほあしこどもクリニック副院長。保育士資格や幼稚園教諭1級免許を持つ臨床心理士。東京家政大学非常勤講師。公益財団法人母子衛生研究会インターネット相談室相談員。クリニックで育児やこころの相談に応じている一方で、保育者の養成にも携わっている。■ママ失格?「赤ちゃんとの生活、幸せなはずなのに…」――産後、生活スタイルがガラリと変わり、ママは家事や育児に追われる毎日です。赤ちゃんとふたりきりの生活に疲れてしまうママもいます。ママたちはどういう心境だと考えられますか?帆足暁子先生(以下、帆足先生): 出産前は「赤ちゃんのいる生活」を楽しくてキラキラしたものとして思い描いていたのが、いざ赤ちゃんが生まれてくると、それだけではないことに気づかされます。自分の自由な時間がなくなってしまったり、赤ちゃんがまだ小さいと外出もままならず、話し相手もいなかったりします。産休・育休中や退職したママの場合は、社会とのつながりがなくなって不安に感じたりすることもあります。でも、多くのママは「(赤ちゃんとふたりの生活がイヤだと思うことがあっても)母親だからそう思ってはいけない」と考えてしまいます。「赤ちゃんのいる生活を幸せだと思いたい自分」と「現実にはそう思えない自分」、この2つの間でジレンマを抱えてしまうようです。――「赤ちゃんとふたりきりがイヤ」と思ってしまうことを認めるのは抵抗がありそうです。帆足先生:そうですね。でも、「赤ちゃんとふたりきりがイヤ…」そう思ったら、それでいいんですよ。「母親ならこうあるべき」「赤ちゃんと2人でいるのが幸せなはず」という考えにとらわれず、自分が今どう感じているのか、じっくりと自分の本当の気持ちに向き合うのが大切です。必ずイヤだと思う理由があるはずですから。環境や生活の変化に慣れるのには時間もかかります。「自分は母親に向いていない」などとあまり思いつめたり、自分を責めたりしないでくださいね。■「赤ちゃんとふたりきり」疲れた…と感じたら「話す・離れる」――ママは自分の気持ちに素直になることが大事なんですね! 「赤ちゃんとふたりきりに疲れたな」と思ったらどうすればいいのでしょうか?帆足先生:もし、「赤ちゃんが生まれたばかりで外出できないけど、子育ての悩みを聞いてほしい」と思ったら、赤ちゃん訪問の保健師に来てもらうこともできます。あるいは、子育て支援センターに行くのもおすすめです。保育士や心理士などの専門家もいますし、子どもの月齢が近いママと知り合うこともできて、話しているうちに気持ちがラクになることもありますよ。――確かに話を聞いてもらうだけでも気持ちが軽くなりますね。息抜きしたい時はどうでしょうか?帆足先生:ママが好きなことをしてリフレッシュするのが一番です。たまには赤ちゃんと離れて過ごしてみてはいかがでしょうか。家族や一時保育に預けて、ひとりでカフェに行ったり、ショッピングに出かけたり。パパに赤ちゃんを連れ出してもらって、ママが一日中家でゴロゴロするのもいいですね。友だちと一緒におしゃれなお店でランチするのもいい気分転換になりますよ。息抜きの頻度もママによってさまざま。月1回がいいのか、週1回がいいのか、自分でやりながら考えていければいいと思います。なかには「自分がなにをしている時が幸せなのか、分からない」というママもいます。これからの長い人生を考えると、自分に合った気分転換の方法をうまく見つけられるチャンスでもありますね。■ママだけ育児に疑問「保育のプロへ任せるメリット」――パパに預けるならまだしも、息抜きのために一時保育を利用することは子どもに悪いのではと考えるママもいます。帆足先生:そう思ってしますママはたくさんいると感じます。「子どもが小さい時にママが息抜きなんてあり得ない」と、一時保育の利用をためらってしまうのですが、ママが息抜きをして幸せになれるなら、子どもも幸せなのです。母親の幸福感や生活に対する満足度が、子どもの心の健康的な成長に影響するという研究結果もあります。ママが楽しそうにニコニコしていることは、赤ちゃんの心の成長にとって大切なことなんですよ。さらに一時保育では、ママひとりでは体験させてあげられないような活動ができたり、ほかの子どもとのやりとりを学ぶチャンスもあったりします。たとえママのために利用するのであっても、子どもにもメリットがあるのです。信頼できる保育の環境かどうかを確認したら、安心して専門家に任せましょう。子育てはママひとりでするものだと頑張りすぎず、利用できるものは利用して、周りを頼ってくださいね。社会全体で子どもを育てていくことが本来の人間社会の姿ではないでしょうか。そういう意識が持てるようになると、子育てはもっとラクになりますよ。
2018年10月28日「いつも笑顔で子どもと対話していたいのに、気づくとガミガミ言っている」「子どもが親の言うことを聞かず、いつもイライラ…」。子育ての理想と現実に悩んでいるママも少なくないのでは? 冷静にならなければと頭では分かっているのに、なかなか思うようにいかないのが育児ですよね。「子どもも大人と同じ、ひとりの人間です。だから相手が子どもだからと、コミュニケーションをサボらないで。ピュアな人間だからこそ、丁寧な会話が必要なのです」と語るのは、 『話し方で損する人 得する人』 (ディスカヴァー・トゥエンティワン)を出したばかりの作家・心理カウンセラーで五百田達成さん。 前回 は夫と円満な関係をキープするためのコミュニケーション術を教えていただきましたが、連載2回目は育児に効果的な会話の仕方を伝授していただきます。五百田達成さん プロフィール作家・カウンセラー。東京大学教養学部卒業後、角川書店、博報堂を経て独立。鋭い視点から「コミュニケーション」「人間関係」を分析し、そこから導き出す実践的なアドバイスは高い評価を受けている。「コミュニケーションのプロ」としてメディア出演多数。著書にベストセラーとなった『察しない男 説明しない女』『不機嫌な長男・長女 無責任な末っ子たち』(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)、『特定の人としかうまく付き合えないのは、結局、あなたの心が冷めているからだ』(新潮文庫)など。米国CCE,Inc.認定 GCDFキャリアカウンセラー。HP: 五百田達成オフィシャルサイト ■「あなたのためを思って」は単なる親のエゴ――育児をしていると、つい感情的になって子どもに当たってしまいます。親子が健やかな関係でいるために、日頃からどんな心持ちでいるべきでしょう?五百田達成さん(以下、五百田さん):まず言えるのが、子育て中のお母さんは、「子どもには、自分の思うように行動してほしいと思っている」という考えが根底にあることを自覚しましょう。よく、「◯◯ちゃんのことを思って言ってるんだよ」なんて子どもを叱っているお母さんを見かけますが、あれは完全に親のエゴ。例えば、お風呂に入りたがらない子どもに「入らないとバイキンがつくよ」などと言ってなんとか入らせようと必死になりますが、冷静に考えれば、単にお母さんが子どもにお風呂へ入って欲しいだけで、あれこれ話を盛る必要はないのです。――なるほど。「親がそうして欲しい」のだと、割りきることが必要なのですね。五百田さん:そうです。子どもがかわいいうえに将来のことを案じ過ぎて、ついついお母さんは感情的になってしまいますが、残念ながら子どもに親の気持ちはそこまで理解できていません。「ママ、そんなに怖い顔をしてなにを言っているのだろう?」ぐらいしか思っていないのです。だから、子どもになにかしてもらいたいのであれば、「私がそうして欲しい」と自覚して割り切ったうえで、子どもに対して効果的な話し方をすべきです。同時に、ここでポイントになってくるのが、お母さんが明るく、表情豊かに振る舞うこと。 第1回目 でも話しましたが、人はネガティブな発言よりもポジティブな会話を好みます。これは子どもも同じで、お母さんがニコニコ笑顔で楽しく話してくれれば、子どもも機嫌よく聞く耳をもつはず。また、子どもになにか言い分があるのであれば、最後までしっかり聞いてあげることも大事。些細なことでもいいのです。まずは意識して「そうなんだ」と共感してあげることで、子どもはお母さんに対して安心感を抱き、素直に行動するようになるのです。■片付けも勉強もやらない「子どもなら当たり前!」――お母さんの悩みで多いのが、遊んだおもちゃを片付けなかったり、学校の宿題になかなか手をつけなかったり、やるべきことをやらない子どもに対する不満。このような状況にはどのように対処すればよいでしょう?五百田さん:子どもがおもちゃを片付けないのも、学校の宿題をやらないのも当然です。だってやりたくないから(笑)。親がどんなにわが子の将来を思ってガミガミ言っても、子どもにはほとんど通じていませんよ。自主的にやってもらいたいのであれば、まずはお母さんが一呼吸して。そして笑顔で声をかけてみましょう。「◯◯くん、大切なおもちゃが散らかっているね〜」と。ここで相手が話をしてきたら、最後までしっかり聞いてあげます。そして、子どもが片付けたくなるような声がけをしてみましょう。「◯◯くんとママ、どっちがおもちゃを片付けるのが早いか競争だよ〜」というのはどうですか。これで動くかどうかは子どもの気分次第です。毎回、同じ声がけではなく、その時々の相手の様子をうかがいながら、やる気になる言葉を適宜選んでくださいね。――子どもの食べ物の好き嫌いで悩むお母さんもいます。苦手な食べ物が好きになる、魔法の言葉なんて…ないですよね?五百田さん:はい、ありません(笑)。お母さんが一言発しただけで子どもが心を入れ替える、そんな理想的な言葉はないですよ。ただ、ポジティブな言葉を継続的に発することで、子どもの自己肯定感が高まり改善されることはあります。もし、苦手な食べ物で悩んでいるのであれば、ポジティブな声がけテクニックを応用すればいいのです。例えば、ピーマンが嫌いならば、まずはほんの少量からトライ。この時、お母さんは身構えずにリラックスして、明るく笑顔で話しかけましょう。子どもが少しでも食べられたら、ウソでもいいから大喜びしてほめてあげてください。大げさなくらいのオーバーリアクションがいいですね。そんなお母さんの姿を見て、子どもは「そんなにすごいのか」「もうちょっと食べてみよう」と思うようになり、ストレスなく苦手を克服できるはずです。■子どもと関係悪化「上から目線で理づめの説教」――最近はゲームやスマホに依存してしまう子どもも少なくありません。ほどほどの付き合いをしてもらいたいのが親の心情です。五百田さん:その通りですよね。 ただ子どもとしては、こんなに楽しいのにどうしてセーブしなくてはいけないのか、意味が分からないわけです。子どもにゲームやスマホに執着してほしくない時、それを上から目線で理路整然と説得するのは“損な言い方”です。親から理づめで追いつめられたら、子どもはますますゲームやスマホの世界に逃げ込んでしまいますからね。こんな時は、まず子どもの話を聞いてあげましょう。どうしてゲームやスマホがそこまで好きなのか、とことん聞き共感してあげることで、お母さんは信頼され、子どもとの距離も縮まります。子どもの心の内を聞いた後は、ゲームやスマホ依存から脱するための効果的な会話の実践です。まずは雰囲気作り。お母さんは笑顔で朗らかムードで、「◯時まで楽しんだらやめようね」「(遊ぶ時間を守れたら)ちゃんと約束守れてえらいね」などの声がけをして、子どもがゲームやスマホにハマる手前でやめられるようなクセづけをします。ストレートに言ったり、ほめちぎったり、相手の反応や変化を見ながら、その都度、使う言葉を選んでくださいね。ただ、忙しい毎日、そこまで言葉に凝れない日もあるでしょう。つい感情的になって「いいからやって!」と怒鳴ってしまうこともあるかもしれませんが、そんな時も自分を責めないで。お母さんだって人間なのですから。いつも完璧である必要はありません。日頃から使う言葉を“意識”するだけで、子どもとのコミュニケーションの質は十分高くなるはずです。子どもになにかをさせたい時、ポジティブな会話を心がけることが“得する言い方”だと語る五百田さん。子どもは気分よく能動的に行動でき、結果としてお母さんの眉間にシワも寄らず、健やかな親子関係が築けるようになるのかもしれませんね。子どもの前では、イラっとしても、まずは笑顔をキープ。ここから始めてみましょう。参考図書: 『話し方で損する人 得する人』 (ディスカヴァー・トゥエンティワン)ベストセラー著者であり、話し方のプロフェッショナルである五百田氏渾身の話し方の決定版。話し方のちょっとした違いで、「損する人」にも「得する人」にもなる。よかれと思ってやっていたこと、ダメだなと思いつつ言ってしまっていること、その「損する話し方」を「得する話し方に」変えるだけで、こじれていた人間関係が改善したり、あたらしい出会いが広がる!? 本書では、各項目で「損」「得」2つの話し方を紹介。取材・文/長谷部美佐
2018年10月25日子どもの様子に「あれ、なんだかいつもと違う?」と感じたことはありませんか? いつもと同じように見えるけれど、なにかが違う気がする…。それは子どもの心のなかにちょっとした変化があらわれているのかもしれません。もしもそれが親への「助けて!」「気づいて!」というSOSサインだったとしたら? 発見が早ければ早いほど、対応も素早くできるのではないでしょうか。今回は、子どもからのSOSの見つけ方、その対処法について考えていこうと思います。■子どものSOS「心が不安定になりやすい時期は?」助けを求めるSOSサインというものは、そもそも、タイミングが予想できる類のものではありませんよね。けれど、子どもの場合は「変化があらわれやすい時期」というものがあり、この時期に注意深く見守ることでよりSOSに気づきやすくなると思います。変化があらわれやすい時期というのは、「生活環境などが変わった時」。新学期や引っ越しのあとなど、毎日見ていたクラスの顔ぶれが変わる、街の風景が変わるなど「いつもの暮らし」が変化した時、子どもの気持ちは不安定になりやすいんですね。また、夏休みや冬休みなど、長いお休みが終わりを迎える時にも要注意です。大型連休の終わり頃は、大人ですら「ああ、明日からまた仕事か…」と、どんよりした気分になるものですよね。それは子どもも同じ。それも、お休みの期間が長ければ長いほど、休み明けは心が不安定になりやすくなるようです。長期休みが3カ月に及ぶアメリカでは、休み明けにうつを発症する子どもが多くなるともいわれています。■子どものSOS「どんなふうにあらわれる?」では、子どもからのSOSは具体的にどんなふうにあらわれるのでしょうか。実は、その内容によって第1段階、第2段階…と分けられ、だんだん深刻さを増していきます。初期のSOSとなる第1段階を放置してしまうことで、子どもの言動は第2段階へと進行。気づいた時には、対処に時間がかかる状態へおちいっていることも少なくありません。子どもが不安を抱えた時に発せられるSOSの行動について、年齢を2~5歳までの幼児期と、6歳以降の学童期に大きく分けて説明していきましょう。【2~5歳:幼児期のSOSサイン】話ができるようになるものの、まだまだ社会や他人との関わりのなかで「自分」という認識が薄い2歳~5歳の年代は、親との結びつきが強い時期です。この時期に見られるSOSの段階は下記の2つに分けられることが多いようです。第1段階 出かけようとすると「イヤ」とだだをこねる、逃げる。第2段階 泣く。最初はイヤイヤをしたり、逃げ回って自分の感情を表現します。そして、その気持ちを理解してもらえないことで第2段階の「泣く」という行動に変化します。5歳までのこの言動や行動はある意味分かりやすいですが、6歳以降になるとSOS行動は一気に複雑化します。【6歳以降~:学童期のSOSサイン】6歳以降になると、集団のなかで自分の気持ちを言葉にして表現することができるようになります。また、集団生活に慣れることで、ある程度の社会性が培われてくる年齢でもあります。この年齢になるとSOSの言動は下記のような4つの段階に分けられます。第1段階 張りきる、頑張るなどの行動で「見て! 見て!」と自分に注目を集めようとする。第2段階 わざと遅刻したり騒いだりしていたずらをする。第3段階 教室を飛び出す、意地悪をする、極度に反抗する。第4段階 無視する、不登校になる。6歳以降の子どもからのSOSはまず「僕(私)を見て!」という行動が見られます。そして、親や周囲から理解されず放置されると「いたずら」などの行動へと移ります。たいていの場合、第1段階ですでに、いつもと違う様子に気づくケースが多いでしょう。けれど、うっかり見過ごしてしまうと第2、第3段階へと進んでしまう可能性もあるのです。■子どものSOS「深刻度別 親ができること」SOSの発見は、早ければ早いほど素早く親も対処でき、子どもが長く深く悩まずにすみます。しかし、もし段階が進んでしまってから気づいたとしたら、どのような対応をすればいいのでしょうか?各段階に応じてどのような対応をすればいいのか、年齢別に解説していきましょう。【2~5歳:幼児期の対応】2~5歳の子はイヤイヤをしたり、だだをこねたり、逃げたりして親を困らせることで「行きたくない」「ママといたい」という気持ちを表現します。この状態に気づいたら「気持ちを吐き出させること」「楽しいことに転換すること」で対処していきましょう。例えば、わが子が幼稚園や保育園に行くのをいつも嫌がる、とします。事前にできる対処として、30分くらい早めに準備をすませておきましょう。そうすれば時間の余裕が持て、だだをこねられてもきちんと対応できますよね。そして、だだをこねだしたら「行きたくないよね。ママも○○と一緒に遊んでいたいよ」と共感しつつ「外の電信柱のところまで競争しようか」「○○公園で虫を見ていこうか」などと誘い、遊びながら園やバスの集合場所などに向かってみるといいでしょう。第2段階の行動となる「泣く」は、子どもに思う存分泣かせてあげます。と同時に、ギュッと抱きしめてあげてくださいね。そして、子どもが落ち着いて、ある程度話せるタイミングになったら「なにが悲しい?」と聞いてみます。「ママと離れるのがイヤ」なら、だだこねと同じ対応を。もし「幼稚園の○○がイヤなの」といった話が出てきた時は、園の先生に話して様子を見てもらうなどの対応をしましょう。【6歳以降~:学童期の対応】子どもが6歳以降の場合、第3段階のSOS行動である「極度な反抗」になる前に、なるべく早く気づいてあげてほしいですね。この段階までなら、子どもに寄り添う対処で不安を解消できる可能性があるからです。第1段階で「見て見て!」と話しかけてきたら「あとでね」などと後回しにせず、すぐに話をじっくり聞いてあげてましょう。その時「頑張ったね」「うれしいね」といった言葉をかけると子どもは「気持ちが通い合っている」という感覚になり、不安感が落ち着いてきます。わざと遅刻をしたり、目立つ行動をする第2段階の場合は「かまってもらいたい」という気持ちに気付いてあげましょう。「この子はかまってもらいたかったんだな」と受け止め、「勉強時間が減って困るから遅刻しないようにしようね」「騒いでいると先生の声が聞こえなくなるから静かに聞こうか」などと、怒らずに「教える」スタンスを保つようにすると良いでしょう。第3段階に入り、極度に反抗したり意地悪をしたりする場合も「そんなことしちゃダメ」と頭ごなしに否定から入らないようにします。子どもにはどんな出来事があったのか、その出来事があってどんな気持ちになったのかを聞きます。そして「そうなんだね」と一度共感をし、そのあと「どうしようか?」「どうしていく?」と聞いてみたり、一緒に考えたりすると良いですね。不登校などの第4段階となった場合は、親と子どもだけで解決するのは非常に難しくなります。こじれて長期化し、親子ともども傷つき疲弊することもあるので、第三者の力を借りることをおすすめします。すべてに共通していますが、子どもの心の中には「自分のことを気にかけてほしい」という気持ちがあるので焦りは禁物。いちばん大切なのは、時間を十分とって子どもに向き合っていくことです。「学校に行きたくない」「おなかが痛い」などといった子どもからのサインを決して「根性がない」「我慢が足りない」などと否定しないでほしいのです。そのサインは裏には、子どもの「親に認めてほしい、分かってほしい」という気持ちが隠されている場合があるからです。子どもは「行きたくないんだね」「痛いんだね」と認めてもらえると、親は自分の理解者なんだと安心できます。安心できれば「仕方ない、頑張るか」と子どもなりに気持ちを切り替える場合もあります。早急に答えを見つけようとしなくても大丈夫です。子どものSOSにはそれぞれの段階に応じて「ほめる」「教える」「受け止める」などの対処が大切です。なによりも子どもを「勇気づける」。自分は大丈夫なんだと自信を持たせてあげると良いですね。
2018年10月23日自治体にもよりますが、早いところではそろそろ来年度の認可保育園入園申請が始まります。まわりが戦々恐々とするなか、とりあえず無認可保育園への申し込みをすませているというママもいることでしょう。でも、ふとした瞬間に「0歳や1歳から保育園に入れるのはかわいそうかも…」と思うことはありませんか? ママになっても仕事を続ける理由はさまざまですが、家族や職場の上司などからチクリと言われたら、より一層気になってしまうもの。小さいうちから保育園に通わせるのはかわいそうなの? 子どもと一緒に過ごす時間が短い場合、どんなことを心がけたほうがいいの?これまで多くの親子の悩み相談を受け、支援をしてきた臨床心理士の帆足暁子先生にうかがいました。お話をうかがったのは…臨床心理士帆足暁子(ほあし・あきこ)先生ほあしこどもクリニック副院長。保育士資格や幼稚園教諭1級免許を持つ臨床心理士。東京家政大学非常勤講師。公益財団法人母子衛生研究会インターネット相談室相談員。クリニックで育児やこころの相談に応じている一方で、保育者の養成にも携わっている。■0歳から保育園「かわいそう」と感じるのはどうして?――0歳、1歳から保育園へ子どもを通わせることに、うしろめたさを持つママは意外と多いと感じます。ママたちはどういう心境だと考えられますか?帆足暁子先生(以下、帆足先生): おそらく、周囲の人から「小さいうちから保育園はかわいそう」などと言われているのでしょうね。「子どもが小さいうちは母親が育てるべき」という昔からの社会通念が今も残っていて、ママ自身も心のどこかで「本来はそうしたほうがいい」と思っているのではないでしょうか。――周りからも言われて、ママもそう思ってしまっているんですね。帆足先生:そうですね。ママもそう言われて育ってきたことも考えられます。そして、実際に保育園に通わせるようになってからも、朝、送っていくと子どもに泣かれてしまうので、「かわいそうなことをしている」という罪悪感がますます強くなる傾向があります。ママ向けの子育て講座でも「子どもを保育園に入れることはかわいそうなことでしょうか」と質問されて、泣き出してしまうママもいるくらいなんですよ。■0歳から保育園「育児のプロに預けるメリット」――思いつめてしまっているママもいるんですね。実際のところ、小さいうちから保育園に預けることはかわいそうなのでしょうか?帆足先生:いえいえ、そんなことはありません。大切なことは、ママが子どもと一緒にいて幸せだと思えることです。ママによって、子どもとずっと一緒にいることに幸せを感じる人、仕事もしながら子どもといることの方が幸せだと思える人…など、いろいろですよね。どうしたいのかは、ママ自身が決めていいこと。ママがハッピーなら、子どももハッピーなんですよ。イギリスの心理学者ジョン・ボウルビィも「母親が幸福を感じている時に、子どもが健全に育つ」と言っていますから。――それを聞いて安心しました! 集団生活を送るなど保育園に預けることのメリットもありますよね。帆足先生:そうです。保育のプロに子どもの発達や生活全般を見てもらえることは親にとって大きなメリットだと思います。集団生活を送るなかで、ルールなどを自然と学ぶこともあるでしょう。ママたちの話を聞いていて、今の時代、子育ての基準を自分なりに持つことが難しくなっていると感じます。子どもが大きくなるにつれて、しつけで悩むこともあるでしょう。また、子どもの発達に不安を持つママも多いようです。保育園に通っていたら、ママが不安に思っていることを、お迎えの時などに先生へ気軽に相談できるから心強いですよね。ですから、これから入園を考えているママは、子どもを信頼して任せられるかどうか、保育の専門性があるかどうかをきちんと確認するようにしてくださいね。■0歳から保育園「子どもが満たされる」2つのルール――保育園の先生が一緒に子どもの成長を見てくれるのは、ありがたいですね。とはいえ、平日に一緒に過ごす時間がどうしても短くなります。心がけたほうがいいことはありますか?帆足先生:親子関係をしっかり築いていくうえで大切なのは、時間の長さではないんですよ。例えば、帰宅後の短い時間でも、目と目を合わせて楽しく食事をしたり、会話をしたりならできますよね? もちろん、読み聞かせもいいですね。赤ちゃんならオムツ替えで楽しそうに声をかけたり、抱っこしてほしそうなときにゆらゆらと抱っこしたり。短くても、子どもとしっかり向き合う時間があれば大丈夫です。――それくらいなら、毎日のちょっとした心がけでできそうですね。世の中の働くママは救われたと思います!帆足先生:親子の愛着関係を築くうえで、ポイントは2つあります。ひとつは、子どもが「安心してチャレンジできる」ようにしてあげること。遊びだしたら見守ったり手伝ったりして、楽しさを共有するのも大切です。もうひとつは、子どもが不安やイヤな気持ちで泣いて戻ってきたら、しっかり「受け止めで守る」こと。この2つがちゃんとできていれば、子どもは「なにがあっても、自分には守ってくれる存在(=ママ)がいる」という安心感を持って成長していきます。そんなに難しく考えないでくださいね。休日に子どもと一緒に遊んで、子どもが不安そうなら朝晩ハグするだけでもOKです。仕事をしながらの子育ては毎日大変だと思いますが、ママが楽しめる範囲で意識してみてくださいね。
2018年10月17日子どもが1歳半を過ぎると始まる「イヤイヤ期」。オムツ替えもイヤ、着替えもイヤ、スプーンで食べるのもイヤ…。イヤイヤの嵐が徐々にエスカレートして、ママもついイライラしてしまうことはありませんか?そもそも、なぜイヤイヤをするのでしょうか? 子ども自身はどんな気持ちなのでしょうか? また、ママはどうやって付き合っていけばいいのでしょうか?これまで多くの親子の育児支援をしてきた臨床心理士の帆足暁子先生に教えていただきました。お話をうかがったのは…臨床心理士帆足暁子(ほあし・あきこ)先生ほあしこどもクリニック副院長。保育士資格や幼稚園教諭1級免許を持つ臨床心理士。東京家政大学非常勤講師。公益財団法人母子衛生研究会インターネット相談室相談員。クリニックで育児やこころの相談に応じている一方で、保育者の養成にも携わっている。■イヤイヤ期「やりたい、決めたい」心の発達サイン――子どものイヤイヤ期に頭を抱えているママが多くいます。子どもはなぜイヤイヤをするのでしょうか?帆足暁子先生(以下、帆足先生): 1歳半をすぎると、子ども自身の自我が成長してきて、「自分でやりたい」「自分が決めたい」という気持ちがはっきり表れるようになります。でも、ママ自身は今までと同じように子どものお世話をしようとするので、そこで子どもの気持ちとぶつかる形になってしまい、子どもは「イヤイヤ」してママに訴えることになるんですね。例えば、ママが子どもに靴をはかせようとしてイヤイヤをするのは「自分ではきたい」から、あるいは「自分が決めたい(長靴をはきたいなど)」からということもあります。――イヤイヤに子ども自身のさまざまな主張が込められているんですね。帆足先生:まだ語彙が多くないので、イヤイヤに集約されてしまうんですね。イヤイヤにうんざりしているママもいるかもしれませんが、イヤイヤすることは子どもの発達にとって大切なこと。身の回りのことなどを自分の意思で決めて行動する「自立」、自分の気持ちをコントロールする「自律」、その両方を学んでいる時期だと言えます。ママも子どもがステップアップしているところだと理解するようにできるといいですね。――イヤイヤしながら、日々少しずつ成長しているわけですね。とはいえ、いつまでこのイヤイヤが続くのだろうかとモヤモヤした気持ちになります。「わが子はずっとイヤイヤをしている」という話を聞くこともあります。帆足先生:一般的に「イヤイヤ期」と呼ばれる時期は1歳後半から3歳前後まででです。いつまでも続くわけではないので、安心してくださいね。ずっとイヤイヤをしているお子さんがいるのだとすれば、イヤイヤをせざるを得ない状況かもしれません。例えば、朝の支度で「急いでいるからママがやるね」「早くして」などとママの都合ばかりを優先してしまうと、子どもは気持ちが満足できずに、自分でやりたい思いを主張することになりますね。急いでいる時にイヤイヤをされるのは大変ですが、お子さんの「やりたい!」という気持ちの意味を理解するようにしてイヤイヤを見守れたら、ママの気持ちや行動にも余裕が持てると思います。■イヤイヤ期「任せていい“自立”、ダメなものはダメな“自律”」――つい急かしてしまったり、「親がやったほうが早いから」と子どもにさせていないこともありそうです。イヤイヤとうまく付き合うにはどうすればいいのでしょうか。帆足先生:子どもが「自分でやりたい(自立)」という意味でイヤイヤをしてきたら、なるべく「どうぞ」とゆずってあげると、子どもがイヤイヤにこだわらずにすむようになります。例えば、自分でズボンをはきたがったら、うまくできないことがわかっていても、まずはやらせてみましょう。もちろん、うまくできなかったらイライラしてズボンを投げてしまうこともあるかもしれませんが、「この体験が、自立につながる」と思うようにしましょう次に、「自分の気持ちをコントロールする(自律)」ことが必要なのにイヤイヤをしてきた場合、「ダメなものはダメ」とルールを貫いたほうがいいでしょう。例えば、夕食前なのに「おかし、たべる!」と言ってきたからといって与えてしまうと、いつでもお菓子は食べられると思ってしまいますよね。家庭の方針もあると思いますが、「おやつの時間に食べようね」と言って、ゆずらない部分は通しましょう。――しつけの部分でも大切なことですね。ただ、子どものイヤイヤがどんどんエスカレートしていくと手がつけられなくなりそうです。帆足先生:確かに自分の要望が聞き入れられないと、子どものイヤイヤはヒートアップしますが、イヤイヤをしても効果がないことが分かるとあきらめることもあります。子ども自身は「自分の気持ちをコントロールする」トレーニングをしているところなんですね。そういった時の親の対応のポイントは、「何度も言葉をかけない」「振り回されない」こと。子どもを納得させようと声をかけ続けるのは逆効果です。火に油を注ぐように、イヤイヤがエスカレートします。私自身は「肯定的無視」と言っていますが、子どもがだだをこねたら、一度だけ声をかけて、親は子どもから離れます。その時、親は子どもの視界に入る範囲、でも近すぎない距離を保って、淡々とイヤイヤ(だだこね)とは関係のないこと、洗濯物をたたむなど違うことをしてみましょう。「ママはイヤイヤ(だだこね)に興味がないよ」というメッセージになります。しばらくして、子どもが落ち着いたら、我慢できてもできなくても「よく我慢できたね」「がんばったね」と忘れずにほめてあげてくださいね。「我慢したらママにほめてもらえる」という子どものイメージづくりのために、やってみてはいかがでしょうか。それでも、ママがイライラをぶつけてしまうこともあると思います。そんな時は、素直に「ママのイライラをぶつけてごめんね」と謝れば大丈夫。子どもはきっと許してくれます。■イヤイヤ期「“ノートに記録”で傾向と対策」冷静にイヤイヤ対応――あくまでも否定はせず、子どもの近くにいるけれども、放っておくような感じがいいのですね。ほかにもいい方法はありますか?帆足先生:お子さんのイヤイヤを分析してみるのがおすすめです。どういう時に強くイヤイヤをするのか? イヤイヤの元になるものはなんなのか? ノートなどにつけてみると特徴が見えてきて、意外と楽しめますよ。「夕食前の忙しい時に、イヤイヤをよくしているな」「朝、靴を自分ではけないとイヤイヤが激しいな」など。たいていの場合、ママにゆとりがない時に、子どものイヤイヤが爆発していることが多いようです。記録をつけることで、ママ自身も客観的になれるます。イヤイヤに余裕を持って対応できるようになりますよ。――イヤイヤを記録するのはいいですね! 大きくなってから振り返っても育児日記代わりになりそうです。帆足先生:ぜひやってみてください。あとは、「必殺技」を持っておくのがいいですね。絶対に子どもが「イヤ」と言わないものを用意します。例えば、イヤイヤした時に大好きなおかしを差し出して「食べる?」と聞いてみたり。ママ自身も「これならどうかな~?」と一歩ひいて楽しむくらいの気持ちでイヤイヤに接して、巻き込まれないようにすれば、気持ちがずっとラクになれると思います。
2018年10月12日「発達障害の子に手がかかって、きょうだいに我慢を強いているのではないか?」「障害のあるなしに関わらず、きょうだいで平等に扱わなければいけないのに、それができてない」など。発達障害児と健常児のきょうだいを持つお母さんで、健常児のきょうだいとの関係に悩んでいるお話を時々耳に挟みます。発達障害児の子育てでは、発達障害児とお母さんにスポットが当たることが多いのですが、最も近しい存在である、発達障害児のきょうだいはどう感じているのか? また、きょうだいへの対応はどうしたらいいのか?きょうだい児(=病気や障害を持った子のきょうだいのこと)について考えるべく、法人マーブル代表・国沢真弓さんにお話をうかがいました。国沢さんは、健常児の娘と自閉症の息子、2人のお子さんのお母さんでもあり、ご自身の経験やさまざまな相談事例をもとにお話してくださいました。■発達障害児よりも難しい?「きょうだい児の対応」――今回は、発達障害児への対応法ではなく、発達障害児をきょうだいに持つ、きょうだい児の対応法についてお伺いしたいと思います。国沢真弓さん(以下、国沢さん):発達障害児については、その子の特性がわかれば、ある程度、接し方のコツを学ぶこともできるのですが、きょうだい児の場合はそう簡単にはいきません。きょうだい児のタイプ、発達障害児のタイプ、きょうだい児の性別・順序・年齢差・人数、友人関係、両親の性格、家庭環境などで対応もガラリと変わるので、むしろ、発達障害児への対応よりも難しさがあるかもしれません。どんなお子さんにも効く「魔法の杖」のような回答はないという前提で、私の経験や相談事例などをもとにお話させていただければと思います。――本当、その通りだと思います。ただ、それでも、きょうだい児について共通に浮かび上がってくる課題のようなものがあるようにも感じます。例えば、私の周囲では「発達障害児に手がかかり、きょうだい児に我慢を強いてしまっているのでは?」と、お母さんがきょうだい児に罪悪感を持ってしまうことが多いように感じています。国沢さん:そのように感じてしまうお母さんは多いと思います。こういうお悩みは、きっと専門家に相談すると、「きょうだい児とだけの時間を持つようにしてください」とか「きょうだい児に『あなたのこともちゃんと見ているよ』というメッセージをしっかり伝えてください」などとアドバイスをされると思います。もちろん、そのアドバイスは正しいですし、私も同じように思います。ただ、お母さんの立場を考えると、少し心配な思いもあります。――心配な思いというのは?国沢さん:お母さんの課題がどんどん山積みになってしまうという点です。発達障害児の子育てだけでも、専門家などから「こうした方が良い」という課題で日々大変なのに、きょうだい児の子育てまで専門家からアドバイスをもらうことで、山積みの課題を前に疲れ果ててしまう…。「そうした方が良い」と頭ではわかっていても、お母さんも一日24時間しかない。これは私も経験ずみなのでよくわかるのですが(苦笑)、「あれもやらなくちゃ、これもやらなくちゃ」と奮闘し過ぎて、燃え尽きてしまうお母さんも少なくないのです。――確かに、日々の忙しい暮らしの中で、専門家のアドバイスを忠実に実践していくのはなかなか簡単ではありませんよね。国沢さん:たとえ時間が取れなくても、「あなたの〇〇なところがすごい良いと思うよ」とか「いつも〇〇してくれてありがとう。すごく助かっているよ」などと、きょうだい児の存在意義や感謝の気持ちを言葉や態度で伝えることだけでもずいぶん違ってくると思います。また、「ママが時間とれたらどこに行きたい?」と、きょうだい児の希望を3つくらい聞いて書きとめておき、時間がある時に実践するのもおすすめです。この時、書きとめておく姿をきょうだい児に見せることがポイント。お母さんは聞き流さず、ちゃんと気にしていることが伝わると思います。そして、お母さんの「時間」と「気力」と「経済面」などがすべてOKになった時に、「ずっと待たせてごめんね! 今日この3つの中で〇〇だったら行けるかも!」と誘ってみてはどうでしょう?――課題の山に追いたてられるのではなく、「時間がある時に実践する」くらいのゆるさが必要ということですね?国沢さん:きょうだい児のケアはもちろん必要ですが、お母さんが余裕のないなか無理して時間を取ると、敏感なきょうだい児は「お母さん、本当に楽しんでいるのかな?」「休みたいんじゃないのかな?」と気にしてしまう子もいるようです。きょうだい児のケアと同じく、お母さん自身も「自分の時間」をとって、自分をケアし、ねぎらってあげることも必要です。そして、そのことに罪悪感を持たないこと! 頑張っている自分にご褒美をあげるつもりでいいと思いますよ(笑)。また、最初は難しいかもしれませんが、障害がわかってから何年か経っていくと、専門家や周囲のアドバイスのいいとこ取りができるようになり、自然ときょうだい児との時間も取りやすくなってくると思います。そして、きょうだい児もいろいろな意味で成長して、また違った関係性になっていくのだと思います。■きょうだいの発達障害「友だちにからかわれた」親はどうする?――国沢さんは自閉症の息子さんの5歳上に健常のお姉さん(現在は成人)がいますが、お姉さんが子どもの頃はどんな風に感じていたのでしょう?国沢さん:今回、きょうだい児の取材を受けるうえで、娘の意見も聞いてみました。娘によると、そもそも「きょうだい児に我慢させている」なんて思わないでほしいとのこと。そう思われるのは、自分の存在が負担になっているようでイヤだと言われました。――お母さんが罪悪感を持つこと自体が、子どもにとって負担になるということですね?国沢さん:娘が8歳の頃、よその人から「お姉ちゃんは弟君に障害があって大変だね。お姉ちゃんはいっぱい我慢していてえらいね」と言われたことがあります。その時、娘は「我慢しているとか、そういう言い方はしないでください。私はかわいそうな子じゃないから」と言って、相手をドン引きさせたことがあります(汗)。きっと、相手は親切心から言ってくださったのだと思いますが、娘にとって、こういった言われ方は、自分が哀れに思われているようで、イヤだったそうです。――頼もしいですね(笑)。そんなしっかり者のお姉ちゃんでも、つらかった時はあったのでしょうか?国沢さん:娘が子どもの頃、一番つらかったのは、弟がパニックになっている時だったそうです。お父さんとお母さんが弟のパニックをおさめるために集中していて、周囲の人が冷たい目で見ているのに、自分はなにもできずに傍観者となっている時。成長して、一緒に弟のパニックを抑える側になってからは、楽になったと言っていました。ちなみに、娘の方が息子のパニックを収めるのは、私より上手かもしれません(笑)。社会人になった娘は今、「弟のおかげで、私はリスク管理能力が半端ないほど身についた」と自負していましたよ。強い…(笑)。――自分が協力者側になってから、つらい思いがなくなったのですね?国沢さん:きょうだい児について、たくさんの相談を受けてきた中で感じたことがあります。きょうだい児には、私の娘と同様、気持ちが強いタイプと、ナイーブなタイプと、2パターンあるということです。ナイーブなお子さんの場合、例えば、発達障害児のきょうだいのことを、お友だちにからかわれたことがきっかけになり、学校に行きづらくなったり…。あるいは、「お母さんに甘えたい」という思いを伝えられず悩んでいたことが、あとでわかる…といった相談もよく聞きます。――発達障害児のきょうだいのことをお友だちにからかわれてしまった時などは、親はどう対処したらいいのでしょう?国沢さん:娘も、学校でお友だちに弟のことをからかわれて、泣いて帰ってきたことがあります。入学式のシーンとした状況で、弟が大きな声で歌ってしまって、お友だちから「おまえの弟うるさかった」と言われてしまって。私の場合は、その日の夕方、娘の担任の先生にお話しに行きました。先生への伝え方で気をつけたのは、まず、お友だちが言ったことは事実なので、その子を責めるつもりではないということ。ただ、セレモニーなどで緊張すると大きな声を出してしまう子がいるということ、また、たとえ事実だとしても指摘されるときょうだい児は悲しく思うこともある、ということをわかってもらえたら…と伝えました。――わが子を守るためと思うと、親はついヒートアップしてしまいがちですが、非常に冷静であたたかい対応ですね。国沢さん:余談ですが、娘が泣いたのは、言い返せなかった自分に腹が立ったからだそうです。その後も、同じ学校の支援学級にいる弟のことで、時々からかわれることがあったようですが、たくましく言い返していましたよ(笑)。――頼もしいですね(笑)。でも、お姉ちゃんのように言い返すことができない子はどうしたらいいのでしょう?国沢さん:ひとつの方法として、「きょうだい児の会(きょうだい児を支援するための団体)」に参加してみることをおすすめします。同じような立場のきょうだい児と出会って話をすることで、なんらかの解決法が見えてくるかもしれません。「自分だけじゃない」と孤立感を減らしたり、「自分の気持ちを素直に言っていいんだ」と思えるようになったり、そういった経験の中で「感情表現」のスキルを磨いたり、日常生活の工夫を学んだり…そうしているうちにプクプクと浮上してくる子もいます。また、障害児がいると普段は行きにくいようなアミューズメントパークなどに連れて行ってもらうなど、きょうだい児の体験不足を補う活動をしているところもあります。■発達障害児のこと「きょうだい児になんと説明したらいい?」――きょうだい児が小学生くらいになると、自分のきょうだい(発達障害児)について疑問に思うことも出てくると思うのですが、親はどう説明したらいいのでしょう?国沢さん:わが家には子ども向けの専門書もたくさんあったのですが、そういった学説が文字で書かれたものより、娘は、『光とともに…』(自閉症児の育児を描いた漫画。全15巻。戸部けいこ著/秋田書店)という漫画が一番わかりやすかったと言っていました。ヒカル君という人物像や日常生活での困りごと、パニック時の突飛な行動、お父さんとお母さんの苦労、周囲の人たちの言動など、発達障害の特徴を抽出して説明するような専門書と違い、発達障害児を取り巻く生活全般がつかめて、すごくわかりやすかったみたいです。また、小さい頃は、発達障害児の苦手な部分だけではなく、得意な部分とセットで伝えていくと、悪いイメージだけに引っ張られないと思います。ついでに、「あなたもここは得意だけど、ここはちょっと苦手だよね」などと、みんな同じように凸凹があるということを認識してもらう。そして、「その困りごとを少なくするために、今、療育で練習しているんだよ」と、なにもしてないわけではないことも伝えると、「お母さんも、〇〇も頑張っているんだな」と感じてもらえると思います。――程度の差はあれど、誰もが凹凸を抱えていることは知っておいてほしいですね。国沢さん:きょうだいに発達障害児がいるのは、大変なことも多いかもしれません。ですが、娘を見ていると、大変なことだけではなく、良い面もあると感じています。きょうだい児は親よりずっと小さい頃から、発達障害児と一緒に育ちます。きっと親以上に、多様な「価値観」や「対処の力」が育まれるでしょう。また、障害にとらわれずに人を見ることができたり、自分のきょうだいだけでなく、ほかの障害を持つ人たちにも寛容な心が育ったり…。それは「効率」や「生産性」ばかりが優先されがちの今の世の中で、とても大切なことだと思います。わが家にも、国沢さんと同じきょうだい構成の、きょうだい児がいます。娘が成長していく中で、弟の障害をどう受け止め、自分との関係を整理し対応していくか、そして困難をプラスに変えていける心を育てるために、親として家族として何ができるか、模索し続けたいと思います。国沢真弓さん プロフィールフリーアナウンサー、自閉症スペクトラム支援士、一般社団法人 「発達障がいファミリーサポートMarble」 代表理事<役職>ペアレント・メンター、三鷹市相談支援事業「ママサロン」相談員 、三鷹市知的障害者相談員、三鷹市発達障害児親の会「モンブランの会」会長、社会福祉法人「清陽会」評議員、社会福祉法人「みたか福祉会」評議員、児童発達支援施設「すこっぷ」家族支援アドバイザー、「三鷹市教育支援推進委員会」委員、「三鷹市社会福祉協議会」地域支援部会長。<経歴>都立新宿高校、聖心女子大学文学部歴史社会学科を卒業。富士通株式会社を3年勤務後、アナウンサーに転向。NHKテレビ「きょうの料理」「婦人百科」等の進行を約10年務めたほか、多数のテレビ・ラジオ番組に出演。海外特派員、番組企画構成も担当。ナレーション・司会は各500回以上務め、厚生労働省主催「世界自閉症啓発デイシンポジウム」の総合司会を毎春担当。「3歳までの子育ての裏ワザ」「こんな時どうする?子どもの友達・親同士」(PHP出版)など共著多数。<現在の活動>一般社団法人「発達障がいファミリーサポートMarble」代表理事として、「発達障害」や「伝える力UP」といったテーマでの講演を、全国で行っている。また、「ペアレントメンター」として保護者や支援者の相談に応じるほか、障害児の家族が気軽に参加できるイベントやお喋り会の開催等を行い、家族の元気を応援している。(詳しくはホームページをご覧ください)。取材・文/まちとこ出版社N
2018年10月02日まもなく2人目、3人目…の出産を控えるママも、これから考えようと思っているママも、気になるのはすでに生まれている1人目、2人目…の子の気持ち。きょうだいが生まれると、上の子が赤ちゃん返りするとよく聞きますが、実際にはどんな気持ちでいるのでしょうか? また、ママは上の子のケアをどうすればいいのでしょうか? これまで数多くの育児や心理相談をうけ、育児支援をしてきた臨床心理士の帆足暁子先生にお話をうかがいました。お話をうかがったのは…臨床心理士帆足暁子(ほあし・あきこ)先生ほあしこどもクリニック副院長。保育士資格や幼稚園教諭1級免許を持つ臨床心理士。東京家政大学非常勤講師。公益財団法人母子衛生研究会インターネット相談室相談員。クリニックで育児やこころの相談に応じている一方で、保育者の養成にも携わっている。■赤ちゃん返り「子どもの○○の気持ちの表れ」――初めてのきょうだいができると、上の子はどんな気持ちになるのでしょうか?帆足暁子先生(以下、帆足先生): おそらくとても不思議な気持ちだと思います。上の子が3歳前後のときに下の子が生まれるケースが多いようですが、少なくとも「自分と赤ちゃんの関係=きょうだい」ということはまだよくわからない年頃ですね。ただ、まわりの大人が「良かったね」などとお祝いしてくれる雰囲気の中にいるうちに、なんとなく良いことなんだという気持ちになります。でも、ママは目の前にいる赤ちゃんのお世話ばかりしていて、いつも抱っこしている…。次第に不安になってきて、「ママ、わたしのお世話もして!」と「赤ちゃん=ライバル」になって赤ちゃん返りをするようになります。赤ちゃん返りをするのは「ママが大好き!」という気持ちの表れでもあります。でも、実際にはしない子もいますし、ママへの関心が薄いケースもあります。――赤ちゃん返りは愛情表現なんですね。その一方で、子どもによっては、赤ちゃんのお世話をしたがるケースもあるようですね。帆足先生:確かにありますよね。でも、「お姉ちゃん(お兄ちゃん)だから赤ちゃんのお世話をしなくてはいけない」という自分の役割を認識して行動しているわけではないんです。そうやって考えて行動できるようになるのは、せいぜい小学生くらいから。3歳頃の子どもだと、ママの妊娠中から「赤ちゃんが生まれたら、お姉ちゃんになるんだから、お世話してあげてね」と教えられていたり、ままごとの「ごっこ遊び」の延長線で、「「赤ちゃん(人形)のお世話したい!」と言っている場合もあるのだと思います。本当に下の子どもの世話をしたがるようになるのは、年長の頃からでしょうか。■赤ちゃん返りを防ぐには1:出産前は「上の子をたくさんハグ」――あくまでも「遊びの延長線上にお世話があるのですね。ところで、年齢差によって上の子の心境はやはり変わってくるものなのでしょうか?帆足先生:赤ちゃんとの年齢差が要因となって心境が変わるということはありません。それよりも、これまでに赤ちゃんと接した経験の有無や、赤ちゃんへの興味の有無が上の子どもの心境に影響を与えると思います。もちろん、ママとの関係や上の子の心理的な発達によっても変わってきます。例えば、上の子が1歳半~2歳くらいだと、「母子分離不安」の時期と重なります。ちょうど上の子がママと離れることに不安を感じるので、赤ちゃんの存在を受け入れるのが大変になり、赤ちゃん返りのような反応が出やすい傾向にありますね。――なるほど。年齢差を離さないで生もうと思っている、あるいは妊娠中のママにはなかなかつらいお言葉ですが…。帆足先生:子どもの発達のことだけを考えると大変に思えるかもしれないですね。でも、どれくらいの年齢差で生まれてくるかは自分自身で決められないこと。家族にとって良い時期に赤ちゃんが生まれてくる。その偶然性を大切に思う気持ちがあれば、どのようなことでも前向きにとらえていくことができると思います。そこで一番大切になってくるのが、上の子に「ママに愛されている」という実感があること。その安心感があれば、子どもは安定していられます。一方で、ママに甘えられない、怒られてばかりという状態が続いている場合は、上の子が「自分は愛されていない」と考えて、不安になり、赤ちゃんを受け入れにくくなります。下の子の誕生は、上の子との関係を見直す良い機会でもありますね。今後のためにも、その「気づき」を大切にしていけるといいですね。妊娠中のママは自分の体が思うように動かないのに、上の子のお世話に家事となにかと大変だと思います。妊娠中はおなかの赤ちゃんを守る気持ちになりやすく、無意識に上の子どもとの間に距離をつくってしまいがちです。だからこそ、今のうちに、無理のない範囲で、上の子をたくさんハグして「愛されている実感」をつくってあげてくださいね。■赤ちゃん返りを防ぐには2:出産後は「2人だけの時間」「お姉さん(お兄さん)扱い」――2人目が生まれてもそうではなくても、子どもとの関係をしっかりと作っていくことが大切ですね。最後に、まさに2人目が生まれて、赤ちゃんのお世話もあって「時間がない!」「上の子が赤ちゃん返りして大変」というママにアドバイスをお願いします。帆足先生:大事なことは、2つあります。ひとつは、上の子と2人だけの楽しい時間をつくること。下の子が寝ている間に上の子をしっかりハグしたり、絵本を読んであげたり。毎日絵本を読む時間はなくても、1日2回ハグするくらいならできますよね。朝起きた時と寝る前に「〇〇ちゃん(〇〇くん)が大好き」と伝えながらハグすることを習慣にして、上の子を安心させてあげましょう。もうひとつは、上の子を「お姉さん(お兄さん)扱い」すること。年齢にもよりますが、ママがトイレに行く間に赤ちゃんを見ていてもらったり、おむつ替えを手伝ってもらったりするなど、簡単なお世話を頼んでみましょう。自分が赤ちゃんとは違って、ママのお手伝いをする立場だと分かれば、心にゆとりができます。でも、子どもも大人と同じように、疲れたり、イヤなことがあって心に余裕がなかったりするときもあります。あくまでも、子どもが楽しくお世話を手伝ってくれる時だけ、お願いすることにしましょう。そして、上の子が甘えてきたら、ママはしっかり受け止めてあげてください。そうすれば、ママの愛情を赤ちゃんに取られるといった不安がやわらぎ、安心して赤ちゃんとの生活を楽しんでくれるようになるでしょう。
2018年10月01日「自己肯定感を持つのは大事」という言葉を、最近はよく耳にするようになりましたね。確かに「自分ならできる」という自己肯定感は高いほうが好ましいと私も思います。けれど、自己肯定感だけを高めていくと、「自分は完璧な人間だ」と錯覚し、できない自分を認められず、周りの人や環境のせいにしてしまう…という別の弊害が生まれてしまうこともあるとご存じでしょうか?わが子がそうならないために、子育てにおいて自己肯定感と同じく大切に考えていきたいのが「自己受容」。今回は、自己肯定感と自己受容の違い、それぞれの高め方について考えていきましょう。■「できる」自己肯定感、「許す」自己受容最近、よく耳にすることが多くなった「自己肯定感」という言葉。この自己肯定感とは一体、なんなのでしょうか?例えば、子どもが逆上がりができないとしましょう。その子が自分に対して、「今はできないけど、たくさん練習すればできるようになる!」と思えること、それを自己肯定感といいます。「自分はできる!」と感じる自己肯定感に対して、自己受容は「とび箱は得意だけど、逆上がりができない…。でも、まあいいか」と自分に対して思えることです。それはつまり、できない自分でもありのままに受け入れられる、許せる感覚といえるでしょう。■「わたしのせいじゃない!」アンバランスな自己肯定感ここで大切なのが、自己肯定感と自己受容のバランスです。たいてい問題が起きるのは、自己肯定感だけが高い場合。自己肯定感がいくら高くても、自己受容が低い人は、「自分はすべて完璧」「失敗するなんてありえない」と、できない自分を認められません。すると、失敗やトラブルの原因を周囲の人や環境に押しつける、自分大好き人間になってしまいます。皆さんの周りにもいませんか? どこからくるのか分からない自信にあふれているけれど、いざ失敗すると「ダメだったのは、きっとあの人(もの)のせいだったんだ」と、すべて自分以外に押しつけてしまう人。自己肯定感は、あくまで自己受容の土台の上に成り立つことで、初めて価値があるとイメージすると分かりやすいかもしれません。自己受容は低いままに、自己肯定感だけが高まっていくと、「できないのは自分じゃなくて他人のせい」「自分はいつでも特別で、なんでもできる完璧な存在」と過信し、ますます、できない自分を受け入れられなくなってしまうのです。■自己肯定感「親の働きかけはいつから? いつまで?」自己肯定感と自己受容、どちらが欠けてもバランスが悪くなるので、同じように高めていくのが理想的です。では、子どもの自己肯定感や自己受容はいくつくらいから高めることができるのでしょうか? 親が子どもの自己肯定感を高めるためには、一般的に3歳~9歳までの間の働きかけが効果的とされています。働きかけを始めるタイミングとしては、「うれしいね」「大好き」といった言葉がある程度理解できるようになる頃、大体3歳くらいからと考えておくといいですね。9歳までと区切っているのは、子どもが親とのつながりから離れ、友だちとの付き合いなど社会のなかにある自分を意識し始めるのが、大体10歳くらいからといわれているため。これまでは親の言うことは絶対だと思っていた子も、自然と疑問を持ち始め、素直に受け入れづらくなる年齢です。ただ、それは親主導で自己肯定感や自己受容を育む場合。子どもの精神の成長には個人差があり、10歳を過ぎている子がすべて、親の働きかけをまったく受け入れないというわけではありません。「もう無理か…」とあきらめるのは早すぎます。■自己肯定感と自己受容、どうやったら高くなる?では、具体的に親はどんな働きかけをしていけばいいのでしょうか? 子どもの自己肯定感を高めるためには、まず「目標を細かく分けること」です。目標とするものは、スポーツや勉強など、なんでもいいと思います。1つの目標を持たせ、難しすぎない課題をつくり、その課題を細かく分けて、親子で一緒に取り組んでみるといいですね。そして課題を達成できたタイミングで「できた!」と子どもと一緒になって達成感を味わい、たくさんほめてあげましょう。こうした流れを繰り返すことで、子どもの自己肯定感は高まっていきます。一方、子どもの自己受容を高めるために親ができること、それは「楽しいね」「悔しいね」「すっきりしたね」といった感情を子どもに伝え、共感することです。子どもがどう感じたのかを言葉にし、子どもの気持ちに寄り添うことを意識します。そして子どもができなかったことに対し「できなくてもいい。どんなあなたでも大好きだ」というメッセージを伝えることです。できなかった自分、ダメだった自分。だけど、そんな自分も悪くない。そのままでも愛されているのだ、と子ども自身が思えるように寄り添ってあげましょう。そのうえで「またチャレンジしてみる? 次はできるかもよ」などと、子どもが「もうちょっと頑張ってみようかな」と思えるような声かけができるといいですね。子どもの自己肯定感は「このままの自分、ありのままの自分でいい」という自己受容があってこそ、うまく機能していくものです。自己肯定感と自己受容、2つの違いを理解して、どちらも同じように大切にしていけるといいですね。
2018年09月09日きょうだいの形はそれぞれ。長子、中間子、末っ子といった位置づけには多くの人が見るイメージがあるものですね。例えば、長子は弟や妹など下の子の面倒を見る機会が多そうだから「しっかりもの」、反対に末っ子は上の兄姉たちにくっついてまわる「甘えんぼ」など、多くの人が想像する共通のイメージがあるものではないでしょうか。一方、きょうだいのいない1人っ子のイメージもさまざまにありますが、「かわいそう」と思われたり、言われたりすることが多いように感じます。では、なぜ1人っ子だとかわいそうというイメージを持たれやすいのでしょうか?今回は1人っ子について抱かれがちなイメージとその実態について考えていきましょう。■1人っ子が言われがちな「もやもやワード」は?1人っ子というと、どんなイメージがわきますか? よく耳にするのが「わがまま」「自己中」「マイペース」といったイメージです。あまり良いイメージの言葉ではないせいか「かわいそう」という言葉がよく上がるのかもしれません。きょうだいがいる子と比べ、なぜ 1 人っ子だと「かわいそう」と思われてしまうのでしょうか? それはおそらく「子どもは多ければ多いほど良い」という昔からの「多産が良し」とされてきた考え方が残っているからでしょう。家族は少ないより多いほうが良いに決まっている。そんな古い考えをずっと持ち続けている人が「かわいそう」という発想に行き着くのかもしれません。実際、1人っ子に対して「かわいそう」という言葉をかけるのは、 50 代以上の年配者が多いように私も感じています。また、将来きょうだいがいないと周りに身寄りがいなくなるので心配…といった思いもあるのでしょう。子ども自身のことを気づかう気持ちから出た「かわいそう」である可能性もあります。医者であり、ウィーンで教育改革に従事し児童相談所を設けるなど、子どもの精神成長に関心の高かった心理学者のアルフレッド・アドラー。日本では「嫌われる勇気」(岸見一郎著)で紹介されたことでも有名ですが、この中で「アドラーは1人っ子家庭について、 1人しか子どもが持てない経済背景があり、親がその自分の状況にビクビクしていて、子ども本人ではなく親自身のそうした状況が1 人っ子の成長に影響を及ぼしていると考えていた」とあります。確かに、アドラーがそう考えていた20世紀初頭は、 1 人っ子となった背景は貧困と深く結びつき、「かわいそう」と思われていた部分があったのかもしれません。しかし、今は昔と状況が大きく異なります。考え方も生き方も多様で、必ずしも「1人っ子=かわいそう」ではありません。■1人っ子の子育て「メリット・デメリット」イメージされがちな「わがまま」「自己中」「マイペース」といった特性は、本当に 1 人っ子に当てはまるのでしょうか?実際、 1 人っ子は親の愛情を 1 人占めできるので、わがままや自己中心的になりがちではあります。きょうだいがいないことで、多少のわがままは許してしまっているかも…と振り返る1人っ子ママも少なくないでしょう。親の立場から見ても、子どもが 1 人だけだと、気持ちも注意も集中してしまいがちです。親自身が気をつけていても、ついつい子どもの生活に必要以上に干渉してしまう恐れもあるでしょう。 こういったデメリットもある一方で、 1 人っ子だからこその大きなメリットがあるのも確かです。そのひとつに、「自己理解が深まる」ということが上げられるでしょう。1人っ子はふだん、同世代で会話する相手が近くにいません。すると、自然に自分自身と対話する機会が増えます。お人形ごっこも絵を描くのも常に 1 人なので、自分のなかだけで像をつくったり、さまざまな役を演じ分けたりします。そうした遊びを通じて、自分がどう感じなにを考えているかが理解しやすくなるのです。このように1人っ子は自己理解を深めやすくなるだけでなく、創造力、想像力といった力も養われていくといえるでしょう。■1人っ子は増加「実は5分の1が1人っ子家庭」の現実厚生労働省が設置した国立社会保障・人口問題研究所の調査によると、夫婦の完結出生児数(最終的な出生子ども数とみなされる値)の平均値 は、前回調査に続いて 2 人を下回った( 前回 1.96 → 1.94 人 ) ことが分かりました( 2015 年実施調査)。また、一人っ子の割合が前回(2010年)の調査で15.9%だったものが、今回18.6%に上昇しています。このデータと照らし合わせれば、5組のうち1組は一人っ子家庭ということになりますから、決して「珍しい」ことではないといえますよね。今後、1人っ子の持つ稀少性が薄れれば「かわいそう」というワードも出てこなくなるのではないかと思います。 1 人っ子はきょうだい間でもまれることがないため、他人の気持ちをおもんばかる機会は少ないかもしれません。逆に言えば、きょうだい間でよく起こる理不尽な扱いや、我慢をしたりさせられたりといった経験も少ないため、劣等感や卑屈な気持ちを持ちにくいというメリットもあります。もし親が、他人にもまれる機会の少なさをデメリットと感じるようであれば、なるべくたくさんの子どもたちと接する機会をつくればいいのです。例えば、保育園や児童館、習い事など、子ども同士の交流の場はいくらでもあります。1人っ子の持つ特性を尊重しながら、デメリットと感じる部分を解消するのは難しくありません。 1 人っ子は孤独に強く、小さいころから内省の習慣がつきやすいともいわれています。少子高齢化が進み、大家族が少なくなっている現代。1 人っ子はむしろ、この時代に生きやすいメンタルの持ち主と考えられるのではないでしょうか。参考: 国立社会保障・人口問題研究所「第15回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)」
2018年09月04日虐待事件のニュースが報じられるたびに、その対応の仕方や在り方が注目される児童相談所。名前は頻繁に耳にするけれども、具体的な役割や業務についてはあまりよく知らないという人も多いのではないでしょうか。そもそも虐待をしている家庭だけが関わるところ? 自分たちには全く関係ない? 実はよく知らない児童相談所についてまとめます。各都道府県に最低でも1つは設置される専門機関児童相談所とは、児童福祉法に基づいて各都道府県に設けられた児童福祉専門の機関のこと。すべての都道府県および政令都市に最低でも1つは設置されるように定められています。児童(0歳から17歳)を対象にした各種業務を行う児童相談所。具体的には本人、家庭や学校、地域の住民等から児童に関する相談に応じたり、家庭における虐待で児童の心身に問題が見られた時や死亡や家出などで保護者が児童を育てられない状況になった時に一時的に児童を保護したりします。また、児童相談所の児童福祉士や児童委員等が児童や保護者に指導することも。この指導による改善が見られなかったり家庭における児童の育成が困難と判断されたりした場合には、児童養護施設や医療機関への入所や里親への委託手続きを行います。児童相談所にはどんなことを相談できる?「児童相談所=虐待のための相談」と捉えてしまいがちですが、そんなこともありません。児童相談所には様々なことを相談できます。まずは子育てのこと。子どもに落ち着きがない、友達ができない、困った生活習慣や問題行動がある、性教育や遊びのしつけ、進路といった子育てに関する悩みを相談できます。また、言葉の遅れや何らかの障害といった心身障害に関する相談も可能。重軽度によっては適切なケアや手当などの支援を受けられるようになります。そして「離婚をしたので今後の養育が難しい」「このままでは虐待をしてしまうかもしれない」という親からの相談も受け付けています。何か起こってからではなく、起こってしまう前の段階における親の悩みに寄り添ってくれるのが児童相談所の役割なんです。虐待予防にはなっていない? 児童相談所の問題点とは上記のように子育てをする親にとっては強い味方であるはずの児童相談所ですが、実際には様々な課題も指摘されているのが現状。まずは児童相談所は公務員の異動先の一つに過ぎないため、専門的な経験や知識が不足している職員もいること。さらに相談件数も非常に多いので職員不足は常に叫ばれています。その他にも虐待に関しては一時保護所が常に満杯で受け入れる余裕がないために、児童本人が保護を希望しても児童相談所が保護を不要だと判断した場合には保護がされないこと、児童を保護する権限は持つものの保護者を取り締まる権限は持たないことなど数多くの改善点が指摘されており、「児童相談所は虐待防止になっているのか」という議論は常に巻き起こっています。子育てをしている親として、今後も変化していくであろう児童相談所の議論や法整備の情報をチェックしておくことは大切。また児童相談所の役割を知っておくことで、子育ての不安や悩みが解消されることもあります。皆さんも児童相談所の動きについて注目してみてください。
2018年08月31日外遊びが大好きな子どもたちですが、発達するにつれて、その遊び方は変わっていきます。発達に合わせて遊び方はどのように変わっていくのでしょうか。そしてその発達に親はどのような対応をしていけばいいのでしょうか。前回までは、外遊びが子どもの発達にもたらす効果と、親のかかわり方について聞いてきました。今回は引き続き、年齢別の外遊び方法について東京成徳大学の石崎一記教授にお話を伺います。【発達の専門家に聞いた外遊びの効果】 第1回 子どもの発達に外遊びは影響がない!? トータルで考える大切さ 第2回 ママのために遊ぶんじゃない、外遊びでの親のNG行動とは 外遊び、子どもの年齢別でどう変わる? -->■0~1歳の子が自然に触れる意味とは――0~1歳の赤ちゃんが、外で時間を過ごすことに意味はあるのでしょうか?発達にはもちろん影響がありますよ。3歳の子は0歳から1歳、2歳を経て、3歳になる…つまり連続性がありますから、必ず何か影響してくるはずですよね。この時期は、自然のある世界を味わうということだけでいいと思います。いっしょに木陰で気持ち良い風に吹かれる、鳥の声を聞く、気温の変化を肌で感じる、光を感じる、花を見る、水を触るなど、それだけで十分です。――家族で自然のなかで過ごす時間を楽しむだけでいいということでしょうか?そうです、家族で美しい自然の中で過ごすことによって、お母さんやお父さんたちに癒やされてほしいんですよね。0~1歳は一人では遊べないので、外遊びでは親子でいっしょに過ごしますよね。平日働いて忙しいお母さんたちも増えていて、なかなか家族でゆっくりと時間を過ごせないと思います。だから週末に1時間だけでも幸せで穏やかな時間を外で過ごしてもらいたいです。1週間のなかでそういった時間が少しでもとれるかどうかというのは、重要だと思います。■2〜4歳の「なぜ?」に親はどう受け止めればいいのか――2歳から4歳の子どもの外遊びには、どのような特徴がありますか?2~4歳の子どもたちは、「なんで?」とよく聞いてきますが、その不思議な気持ちにどうやって付き合うかが大切なんです。子どもたちが「なんで?」と聞いてくるのには、2つ理由があります。1つ目は自分が不思議に思ったということを知ってほしいから。2つ目は、本当になぜなのか答えが欲しいからです。1つ目の知ってほしいという気持ちは、必ずきちんと受け止めてもらいたいですね。そして、2つ目については、“本当に正しい答え”を教えてあげる必要はじつはないんです。――なぜ、正しい答えを教える必要はないのですか?子どもたちにとっては、本当の答えを知ることより、答えが出るまでになぜなのかを考えることが大切だからです。「なんで?」と聞かれたら、「何でだろうね、何でだと思う?」と聞き返してしまえばいいんです。そのあと子どもからデタラメな答えが返ってきたとしても、否定はせず、親もその答えを楽しんでしまえばいいんですよ。子どもたちのなかに不思議だなという穴のようなものがたくさん開いていると、知りたいという欲求につながり、理解できたときの喜びも大きくなります。長い目で見て、この時期に自然をいっぱい体験して、不思議な気持ちをたくさん持つことは大きな意味を持っていると思います。■5歳以上になると外遊びは変化する――では5歳以上の子どもたちは、どういった遊び方に変化していきますか? また、親のかかわり方は変わってくるのでしょうか?5歳以上になると、何かに挑戦するという遊び方が増えてきます。この時期になると、親がいっしょに遊ぶことは次第に減ってきて、寂しいと感じる人もいるかもしれませんね。安全確保はしっかりととり、共感してあげることも重要です。子どもに自分を重ねてしまい、ついつい心配しすぎてしまう人もいるかと思いますが、子どもには子どものやり方があるので、これくらいの時期からは自主性を伸ばしてあげることに注力してあげてください。その子らしい発達を促していかれるように、子どもが今何を感じているかということを一番に考えてあげてください。■外遊びにおいて一番大切なこととは――外遊びで持って行くといい道具があれば、ぜひアドバイスをお願いします!5歳くらいまでの子どもたちにとって“自ら遊びを作り出す力”が奪われてしまうので、ボールやラケットといった遊び道具は必要ないと思います。虫メガネは自然を観察するときにとても便利ですし、子どもも喜ぶと思うので、おすすめです。また、スケッチブックなどのお絵かき道具も、外遊びの時間を有意義にしてくれますよ。ビニール袋を持って行って、拾ったものを入れさせてあげるといいですね。拾ったものは、その日楽しかった体験の象徴です。安全かどうか確認したうえで、持ち帰らせてあげてほしいと思います。――石崎先生は外遊びで一番大切なのはどんなことだと考えていますか?外遊びというとお母さんにとっては大変なイメージがあるかもしれませんが、身近で気軽に行うのが一番です。無理に遠い公園に行こうなどと考えず、普段から遊んでいる近所の公園でも、工夫することで十分楽しく過ごすことができますよ。家族で自然の中で幸せな時間を過ごして、ぜひ外遊びを癒やされるような時間にしてもらいたいと思います。石崎一記さんプロフィール東京成徳大学応用心理学部教授。2000年4月より現職。発達心理学について、特に児童期の動機づけや感性の発達が専門。ガイダンスカウンセラー、学校心理士、1級キャリアコンサルティング技能士、日本シェアリングネイチャー協会指導者養成委員・トレーナー。千葉県社会福祉審議会委員や厚生労働省キャリアコンサルティング研究会委員なども務めている。※「石崎」の「崎」は正しくは「たつさき」)
2018年07月11日うちはモフモフ暮らし
めまぐるしいけど愛おしい、空回り母ちゃんの日々
子育ては毎日がたからもの☆