「勉強 法」について知りたいことや今話題の「勉強 法」についての記事をチェック! (6/10)
「◯歳までに勉強させないと手遅れになる!?」「脳の発達には◯◯がオススメ!」——子どもの教育に関する情報は、育児アプリやブログ、SNSなどで、いつでもどこでも大量に得られる時代です。それらで得たすべての情報を鵜呑みにし、ひとつひとつノルマのように実践してはいませんか?このように、親が子どもの教育に関して完璧に行なおうとする「100点満点の教育」は、子どもの成長を邪魔してしまう可能性があることをご存知でしょうか。今回は、「100点満点の教育」を目指してはいけない2つの理由についてお話しします。「100点」を目指してはいけない理由1:過度な期待が子どもを苦しめる「100点満点の教育」を目指す背景には、「自分が“よい親”にならなくては」という思いと、「我が子を“よい子”に育てたい」という願いがあると考えられます。その思いと願いを叶えるために、自分のやりたいこと・欲しいものは我慢し、子どものことを最優先に行動する——そんな親の姿を、子どもはしっかり見ています。そして、子どもはそんな親の期待に応えようと努力します。たとえば、学習面で期待されていると思えば、テストでよい成績が取れるよう自ら机に向かい、一生懸命勉強するでしょう。しかし、その目的は、「自分の目標を達成すること」ではなく、「親の期待に応えること」になってしまいがちです。そうすると、親の目を気にしすぎて情緒不安定になってしまったり、頑張りすぎて途中で燃え尽きてしまったりすることも。青山学院大学教育人間科学部教授で小児科医の古荘純一氏は次のように説明しています。親の要求や期待に応え続けるということは、子どもにとって、本来の自分を否定され続けることに他なりません。そうした経験を積み重ねると、子どもは精神に変調を来しやすくなります。児童や思春期の子どもというのは、実は精神疾患を最も発症しやすい時期。すぐに異変が出なかったとしても、精神疾患を発症する下地がつくられます。すると、進学や就職など、環境が激変するタイミングなどで変化に対応できなくなり、不安障害やうつ病を発症してしまう、といったことは少なくありません(引用元:日経DUAL|親の過剰な期待子に取り返しつかない弊害もたらす)さらに、将来的には、親の敷いたレールの上しか歩けなくなったり、逆に親の期待に反発する生き方を選んだりしてしまうこともあります。つまり、親が子どものためによかれと思ってしたことが、結果的に子ども自身を苦しめたり、親子関係を悪くしてしまったりする可能性があるのです。「100点」を目指してはいけない理由2:親のストレスが子どもに悪影響“100点満点の教育”を目指していても、必ずしもうまくいくとは限りません。子どもの教育によさそうなことをあれこれ実践してみても、子どもがそれに対応できず嫌がったり、親自身が手いっぱいになってしまったりして、筋書きどおりにいかないこともあるでしょう。それが、完璧主義な親にとってはストレスとなってしまうことがあります。特に、自分の子育てが他人からどう思われているかを気にすると自信がなくなり、ストレスが増すという説も。また、他人のブログやSNSを見て、自分と比較してしまうタイプの人も要注意です。最近では、下記のような研究結果が発表されています。In my lab’s research on new parents, we found that mothers showed less confidence in their parenting abilities when they were more worried about what other people thought about their parenting. The popularity of social media has likely exacerbated this phenomenon because parents can look at what other parents are doing – even in ostensibly private moments – and judge themselves in comparison. In fact, recent research has linked greater Facebook use to feelings of depression due to the way individuals tend to compare themselves to others.(私の研究所が保護者に関して行なった研究によると、自分の子育てが他人からどう思われているか気にするほど、自分の子育てに自信をなくすことがわかりました。SNSの普及がこの状況を悪化させたと思われます。なぜなら、ほかの保護者たちが何をしているのか、明らかにプレイベートな場面でも見ることができるようになったため、他人との比較で自分を評価してしまうようになったからです。事実、最近の研究では、Facebookの頻繁な利用と抑うつ感に因果関係があることがわかっています。自分と他人を比べてしまうことが原因です。)(引用元:THE CONVERSATION|Worrying about being a perfect mother makes it harder to be a good parent※和訳は筆者が補った)親のストレスは、子どもにも悪影響を与えます。イライラしているとき、子どもの変化に気づかなかったり、子どもに適切な対応ができなくなったりした経験のある方は少なくないでしょう。子どものためを思っての行動がストレスになって、自分のことも子どものことも苦しめていては元も子もありませんよね。60点くらいでいい! 我が子に合わせた教育をとはいえ、「100点満点の教育」を目指さずに、子どもを賢い子に育てることはできるのでしょうか。東大卒のお母さんたちが集まる同窓組織「東大ママ門」が行なった調査によれば、東大卒のお母さんたちが育った家庭の教育方針で最も多かったのは、「教育熱心」でも、「しつけに厳しい」でもなく、「放任主義」「自由に/好きなようにやらせてくれた」という回答でした。つまり、親がつきっきりで勉強を見たり、あれもこれもと先回りして与えたりする家庭でなくても、賢い子は育つということです。また、いつも親が先回りしているようでは、お子さんが将来「指示待ち人間」にもなりかねません。行動科学の専門家であり株式会社ネットマン代表取締役社長の永谷研一氏は次のように述べています。「親の思い通りに動くことが大切なのか、自分で考えて動ける人間に育てることが大切なのか、改めて考えてみましょう」(引用元:AERA dot.|「時間管理力」が子どもの人生を変える!親が意識すべきたった3つのこと)永谷氏いわく、これからの時代は仕事において単純作業が減るため、複数のタスクをこなす時間管理能力が求められるようになっていくそう。親としては、「○○が脳に良い」「1日○時間勉強したほうが良い」といった情報を耳にすれば、あれもこれもと全てやらせたくなってしまうもの。しかし、何から何まで実践して「100点満点の教育」を目指しても、結果的に子どものためにならないことも多いのです。大切なのは、子どものことをよく見て、その子に合わせて取捨選択すること。たとえば、「ピアノが脳に良い」という情報を耳にしても、自分の子どもがピアノに興味を示さなければ無理にやらせる必要はありません。「脳に良い」と言われているものは、習い事や家庭教育、食材などさまざまなジャンルごとにたくさん存在します。その中から子どもに合いそうなものだけを選んで取り入れれば良いのです。「100点満点の教育」を目指すことは親にとっても子どもにとっても負担になります。「60点くらいで良い」と少し肩の力を抜いてみてはいかがでしょうか。***大切なのは、世間一般の“よい親”になることではなく、子どもにとっての“よい親”になることです。子どもの教育に関する情報を調べるのもすばらしいことですが、時々は、その時間の一部を、子ども自身と向き合う時間に変えてみてはいかがでしょうか。もしかしたら、本当に必要な情報が得られるかもしれませんよ。(参考)THE CONVERSATION|Worrying about being a perfect mother makes it harder to be a good parent東洋経済ONLINE|珍種?「東大女子」はいかにして育ったか日経DUAL|親の過剰な期待子に取り返しつかない弊害もたらすAERA dot.|「時間管理力」が子どもの人生を変える!親が意識すべきたった3つのこと
2019年09月06日学校の宿題や塾、習い事などで忙しい小学生。自学自習の時間を確保しづらいという子も少なくありません。親としても、「睡眠はしっかりとらせたい」「家族のコミュニケーション時間は削りたくない」と考えると、どう指導していいか迷うところ。しかし、成績のよい子たちは、しっかり時間を確保して効率よく勉強しています。それも、睡眠や食事の時間を削っているわけではないようです。では、いったいいつ勉強すればいいのでしょうか。今回は、勉強したことが身につきやすい「学習のゴールデンタイム」についてご紹介します。成績のよい子は時間を上手に使っているベネッセ教育総合研究所が、中学生の成績上位層・下位層の勉強時間を調査した結果によると、21時過ぎに勉強する子が多いのは上位層・下位層も共通でした。しかし成績上位層は、夕方・早朝に勉強する比率が下位層に比べてやや高いよう。つまり、成績が良い中学生は、夜だけでなく朝や夕方の時間帯もうまく使って勉強しているのです。宿題以外の勉強に注目すると、成績にかかわらずピークの時間帯は21時45分である。しかし、成績が上位の中学生には行為者率のピークが2回あり、17時15分~18時30分に宿題以外の勉強をしている比率が10%を超える。早朝4時、7時30分に家で勉強している比率も成績上位のほうがわずかに高い。(引用元:ベネッセ教育総合研究所|放課後の生活時間調査-子どもたちの24時間)さらに同調査では、「時間を無駄に使っていると感じるか」という問いを成績別に行なっています。これに対し、「あまりあてはまらない」「まったくあてはまらない」と答えた成績上位層は41.2%、成績下位層は33.2%。成績がよい中学生のほうが、「時間を有効活用している」と考えている傾向にあると言えるでしょう。朝は「考える」勉強では、どの時間帯に勉強すると効果的なのでしょうか。じつは、どんな勉強にも適しているオールマイティーな時間帯というのはありません。「この勉強なら、この時間帯」「この時間帯なら、この勉強」というように、それぞれ相性があるのです。脳科学者の茂木健一郎氏によると、朝の時間は、脳科学的に「ゴールデンタイム」と言えるそう。特に、算数の問題を解いたり、文章を書いたり、テキストを読んで知識を深めたりといった、創造性を発揮する勉強に適しているようです。「私たちは日中の活動を通して、目や耳からさまざまな情報を得ています。その情報は大脳辺縁系の一部である海馬に集められ、短期記憶として一時的に保管されます。その後に、大脳皮質の側頭連合野に運ばれますが、この段階では記憶は蓄積されているだけです。それが睡眠をとることで、記憶が整理され長期記憶へと変わります。すると朝の脳は前日の記憶がリセットされるため、新しい記憶を収納したり、創造性を発揮することに適した状態になります。この脳の仕組みが、朝の時間がゴールデンタイムだと言われる理由です」(引用元:PHP Online 衆知|脳科学者が勧める「朝時間」の使い方)茂木氏いわく、朝は最も効率良く脳が動く時間なのだそう。頭を働かせなければならない勉強は、朝のうちに済ませたほうが良さそうですね。夕方・夜は「暗記」がベスト一方、夜の時間は暗記ものの勉強に最適です。特に、人の記憶は睡眠により定着するため、寝る直前の時間帯に勉強するのが最適と言えます。東京大学大学院薬学系研究科准教授の池谷裕二氏は、次のように述べています。しかし就寝前の1~2時間というのは、記憶の質を高め、ひらめきを与える睡眠というバックアップ装置が付いた、きわめて学習効率が良い時間帯なのです。まさに、記憶のゴールデンタイムといえます。(中略)勉強ならやはり記憶を要する科目が向いていると思います。地理や歴史、生物、あるいは英単語などがおすすめです。(引用元:PRESIDENT Online|「寝る前1時間」は勉強のゴールデンアワー)暗記科目は、就寝1〜2時間前から勉強を始めると良いでしょう。また、勉強したあとにはすぐに眠るとより効果的なのだとか。勉強後にスマートフォンなどをいじってしまうと、余計な情報が入ってきて、せっかく勉強した内容が定着しない恐れがあるのだそう。「スマートフォンは夕食前まで」とルールを決めたり、お子さんが勉強を始めたらリビングのテレビは消したりと、勉強を終えたあとのお子さんが誘惑にかられず眠れるようサポートしてあげましょう。加えて、夕食前の時間帯も、暗記ものの勉強にぴったりです。これは、人間の本能によるものだと言われています。人間はやはり動物なので、動物としての本能から脳の一日のリズムが出来上がっていると考えるのが自然です。そう考えるならば、生きていくうえでの最重要課題は食料の確保です。そのため、狩りなどで食料を確保するときに一番脳がよく働いてくれる状態にあることが必要だったはずです。生存本能というのはとても強いものなので、現代になっても脳の働きのリズムだけが残ったというわけです。ということは、空腹になっている時間帯を中心に考えることによって脳がよく働く時間帯がわかるということです。(引用元:DIAMOND Online|脳が働く最強の時間帯は2つある)夕食前・寝る前と時間を分けて暗記科目を学習すると、脳科学的に効率が良いようですね。勉強以外の時間の使い方も大切朝は考える勉強、夜は暗記ものと分けて勉強することで、効率良く学習できることがわかりました。加えて、より効果を高めるには、勉強以外の時間の使い方にも工夫が必要です。当然ですが、ずっと暗い部屋に引きこもって勉強ばかりするのは、お子さんの精神面においても勉強面においても良くありません。脳科学者の和田秀樹氏は、「1日最低30分は日の光に当たったほうがいい」と述べています。和田氏は「光を浴びるのも、おすすめです。受験生は部屋にこもるケースが多いが、1日最低30分は日の光に当たった方がいい。そうするとうまくメラトニンが出て、睡眠の質が上がる。実は蛍光灯の光もいいんです。暗い部屋ではなく、リビングルームのような明るいところで勉強した方が効率的です」と語る。(引用元:NIKKEI STYLE|入試1カ月前からは朝型学習にダイエットは禁物)朝と夜はしっかり勉強し、日中は思いっきり外で遊んで日光を浴びることが大切ですね。***こうした生活リズムを定着させるには、「習慣化」が必要不可欠です。実際、成績のよい子の多くは、決まった時間に勉強したり遊んだりしています。まずは、親子で話し合い、「毎日、朝食前と夕食前の30分間勉強しよう」など、勉強や遊びの時間ルールを決めましょう。その際は、いきなり完璧を目指すのではなく、少しずつ習慣にしていくのがおすすめです。時間を効率的に使うことは、成績アップだけでなく、将来的には仕事の効率化やプライベートの充実化にも役立ちます。今のうちから、親子一緒に最適な生活リズムを作ってみてはいかがでしょうか。(参考)ベネッセ教育総合研究所|放課後の生活時間調査(ダイジェスト版)ベネッセ教育情報サイト|成績の良い子は夕方や早朝の時間を使うのが上手!ベネッセ教育情報サイト|英単語の暗記が楽になる!ニガテな人向け脳科学暗記法STUDY HACKER|勉強に使わないなんて損!東大生が『夜寝る前の30分』を英単語学習にあてて感じた、驚きの効果。STUDY HACKER|「眠いから無理」はもう卒業!脳に最高な “朝型勉強” を続けるための3つのルールPHP Online 衆知|脳科学者が勧める「朝時間」の使い方DIAMOND Online|脳が働く最強の時間帯は2つあるNIKKEI STYLE|入試1カ月前からは朝型学習にダイエットは禁物All About|「朝勉強」のススメ~朝は勉強のゴールデンタイム~Hugkum|小学生の勉強時間はどのくらい?勉強を習慣化するおすすめ勉強法を大公開!ダイヤモンド・オンライン|「暗記は寝る前」は、もはや当たりまえ。その後の行動が記憶の定着を左右するPRESIDENT Online|「寝る前1時間」は勉強のゴールデンアワー
2019年08月31日やらなくても理解できているうちは、勉強など二の次でいい――そう思っていると、あっという間に学習内容が難しくなり、スピードもアップして「何を勉強していいかわからない」「勉強するのが嫌だ」ということになりかねません。子どもが自ら勉強するようになるには、低学年あるいは入学前からの学習習慣がカギになります。「勉強は毎日するもの」と早い段階で脳に刷り込まれている子は、高学年になってもきちんと習慣として身についているので、自主的に勉強を続けることができるのです。今回は、高学年になってから慌てないために、「学習習慣を身につけるコツ」について紹介します。気づいたらついていけなくなっていた……なんてことも小学校低学年で習う内容はまだまだ簡単で、取りたてて復習に力を入れずとも理解できてしまうものも多いでしょう。そのため、家で勉強しなくても学習内容は身についているし、「高学年になって必要に迫られたら、自分で勉強するだろう」と楽観的に考えている親御さんも多いかもしれません。ところが、中学年の頃から抽象的な内容の学習が増え、突然勉強が難しく感じられるようになっていきます。たとえば、算数でいえば、これまで「リンゴが5個あり、2個食べました」のように日常生活に当てはめて具体的にイメージできる問題が主だったものが、突然「がい数」や「角度」といったイメージしづらい問題が増えるのがこの時期。そして高学年になると、理解できていない部分を家庭学習で補うことが苦痛になり、学習習慣が身についていない子は、勉強から遠ざかってしまうのです。また、ベネッセ教育総合研究所が全国の小学校4年生から中学校2年生までの子どもと保護者を対象に行なった実態調査から、学習習慣に対する親子の認識の差が明らかになっています。「小中学生の学びに関する実態調査速報版 2014」によると、小学生の約6割は、「親に言われなくてもコツコツ勉強できている」と感じているよう。一方で、小学生の保護者の46.7%が「子どもの学習に関する悩みや気がかり」に「学習習慣」を挙げています。「子どもは充分に学習していると感じていても、親の目から見ると不十分」というケースが多いようです。放っておくだけでは子どもの学習習慣はなかなか身につかないといえそうですね。早いうちから「勉強は毎日するもの」という意識づけをすることが、学習習慣を身につけるうえで大切なのです。学習習慣を身につけるコツ1:学習時間は短めに教育者の陰山英男先生は、幼いうちの家庭学習は短期集中型をすすめています。陰山先生いわく、小学校低学年までは、学習時間が長いほど成績が下がる傾向にあるのだそう。「週に一度、長くても30~40分、時間が取れない場合には10~15分でも十分です。それに加えて、1日に5分ずつくらい親と子どもで集中して何かをやる癖をつける。読書、音読、宿題をより丁寧にやるのでも良いので、集中力が高まったものを下げないうちに、迅速にやる。すると時間は短くても、子どもの能力は上がります」(引用元:マナビコ|【陰山英男先生に聞く】子どもを勉強嫌いにさせてしまう親の特徴とは?)また、勉強するタイミングも習慣化することが大切です。「学校から帰ったらまず宿題。それから遊ぶ」といった時間固定タイプでもいいですし、「家に帰ってきたら、18時の夕飯までに30分勉強する」といった所要時間確保タイプでもいいでしょう。夕飯の後は大人もくつろぎたい時間ですから、なるべく親子でゆったり過ごせるように、夕飯の前に学習を済ませておけるとお互いのストレスになりません。もしくは、早寝早起きを実践して、朝学習で勉強するのもおすすめです。学習習慣を身につけるコツ2:子どもに合った勉強場所をチョイス「リビングで勉強をすると学力が上がる」「東大生の多くがリビングで勉強していた」という話を聞いたことがある方は多いことでしょう。もちろん、リビングで勉強するだけで賢くなるわけではありませんが、リビングで勉強することにはいろいろなメリットがあります。小学校入学前から低学年のうちは、自分の部屋でひとりになることを怖がる子も多いもの。風で窓がガタガタ鳴ったり、物音がしたりするだけで、「おばけかな」「誰かいるんじゃないか」と不安になってしまう子もたくさんいます。しかし、リビングで学習すれば、一緒にいる家族の気配に安心できますし、物音で不安になって集中力が削がれることもありません。加えて、リビングという空間自体、人間が集中しやすい場所でもあります。ウェブサイト「中学受験情報局『かしこい塾の使い方』」主任相談員の小川大介さんは、次のように述べています。なぜなら、どういうときに人間が集中しやすいかというと、「リラックスできる空間にいて、かつ適度な緊張感と安心感がある」ときだからです。それは、まさにリビングです。一方、自分ひとりの空間である勉強部屋は、あくまでも自分だけの世界ですから緊張感はなく、集中力も下がりやすい場所だと考えることができる。(引用元:StudyHackerこどもまなび☆ラボ|“リビング学習でかしこくなる” は勘違い。東大生がリビングで勉強する本当の理由)このように、リビングは勉強にぴったりの場所なのです。もちろん、兄弟が多い家庭はリビングだと騒がしすぎる場合もありますし、人によって勉強のスイッチが入りやすい場所はそれぞれですから、一概には言えません。「絶対にリビング」とこだわる必要はなく、子どもにとってベストな環境を選ばせてあげることが大切ですね。学習習慣を身につけるコツ3:声かけのサポート学校から帰ってきてのんびりくつろいでいる子どもに、「勉強はいったいいつするの?」「早くやりなさい」という声かけは逆効果です。私たち大人が子どもの頃を思い出してもおわかりの通り、できていないことを責められるような声のかけ方では、やる気は起きにくいもの。まずは子どもに共感してあげましょう。子どもが「今日は暑くてやる気が出ないなあ」「今日は体育で疲れたから勉強したくないなあ」などと言ったときには、「こんな暑い日に勉強なんてしたくないよね」「疲れてるときに勉強なんて大変だよね」と共感してあげるのです。教育評論家の親野智可等氏いわく、子どもはそれだけで「わかってくれた」と安心するそう。一度は共感してあげてから、頃合いを見計らって「そうは言っても勉強しないとね。半分だけでもやってみたら?」と優しく声をかけることで、素直に勉強を始めやすくなるのだとか。子どもにとって勉強が苦にならないようにするためには、ガミガミ言うのではなく、子どもの立場に立ってサポートすることが大切ですね。***小学校低学年までに、勉強が習慣化していると、高学年あるいは中学生になってからコツコツ学習することが苦になりません。習慣化に大切なのは「楽しく、少しずつ」です。大人が先へ先へと急き立てるのではなく、子どもがペースをつかむまでは焦らず見守ることも大切です。(参考)PRESIDENT ONLINE|自ら机に向かう子の親が欠かさない習慣SHINGA FARM|学習習慣の基礎は幼児期からの“TO DOリスト”にあり!ベネッセ教育総合研究所|小中学生の学びに関する実態調査速報版 [2014] 2 学習態度・学習習慣ベネッセ教育情報サイト|伸び続けていくための学習習慣とは?マナビコ|【陰山英男先生に聞く】子どもを勉強嫌いにさせてしまう親の特徴とは?日経DUAL|親野智可等やっぱり子どもは褒めるに限るこどもまなびラボ|“リビング学習でかしこくなる” は勘違い。東大生がリビングで勉強する本当の理由東洋経済|大流行「リビング学習」は”諸刃の剣”であるこどもまなびラボ|「10歳の壁」ではなくて「10歳の飛躍」!親が我が子の10歳をもっと面白がるべき理由ベネッセ教育情報サイト|小学生の宿題、親の関わり方【前編】子どもの意欲を引き出す言葉と方法
2019年08月29日子どもの幼稚園選び、何を基準に考えますか。わが家の娘は好奇心旺盛で、なにごとにも前向きな性格。そんな娘に合った幼稚園を探していた時、「3年間でできるだけ多くの経験ができる」幼稚園に出合いました。そこには、専任の先生が体育、英会話、音楽、絵画造形、コンピューター、科学あそびなどを指導するカリキュラムがありました。今回は、娘の幼稚園の特徴とともに、入園から卒園までに感じた思いがけない成長についてお話しします。逆上がりは年中でできるように娘が通った幼稚園は、その名前をほかの園ママに言うと「あのお勉強系の幼稚園ね」と言われる幼稚園。毎日のカリキュラムがしっかりと組まれていて、子どもたちはそれに取り組んでいくのですが、中には親が「それはまだ難しいのでは?」と思うようなことも。たとえば、「逆上がり」。娘の園では、年中クラスでできる子どもが約8割、卒園までにはほとんどの子どもができるようになります。娘も年中の終わり頃になると、「逆上がりができるようになりたいな」と言うようになりました。体育の専任教諭は全国展開するスポーツクラブから派遣されていて、自分の背の高さにあった鉄棒や足台を使って逆上がりの練習が始まります。中には「将来フェアリージャパンに入りたい」と話すくらい運動神経抜群の子もいて、娘は、そういうお友達に逆上がりのお手本を見せてもらいながら、逆上がりのコツをつかんだようです。逆上がりができた子はカラー帽子をひっくり返し、応援団やお手本担当になります。カラー帽子が白くなるとかっこいい!という憧れが園児たちの頑張りを引き出していたようでした。ネイティブの先生による英会話指導娘の幼稚園ではネイティブの先生が教えてくれる英会話の時間がありました。耳で聞こえた音をそのまま発話するので、ABCの歌も子どもたちは私より上手に歌います。How are you?の返事も Fineだけではなく、SleepyやHappyなど、自分の今の感情を表す言葉を習い、表現豊かだなという印象がありました。卒園までには、名前や年齢、どこの国に暮らしているかなど、簡単な自己紹介ができるくらいになります。春休みにタイに旅行した際、日本料理が恋しくなった子どものために、最終日はすき焼き店でディナー。そんなに混んでいなかったためか、タイ人のウェイトレスさんがどこから来たの?何歳?と娘に聞いてきました。普段は恥ずかしがりな娘が、堂々と幼稚園で習った英語で答えた時、娘の成長を感じることができました。年長さんはコンピューターや科学あそびも年長になるとコンピューターや科学あそびというカリキュラムも始まります。お泊まり会、サッカー・ドッヂボール大会など年長さんだけの行事もあり、年長さんになったらできるという憧れをもつのも、子どもたちの意欲につながっていました。運動会の組体操も音楽会の歌や演奏も、父兄が感動するレベルまで仕上げてくることに、本当に驚きました。いろいろなカリキュラムが盛りだくさんなので、それに対して「詰め込み教育」など揶揄(やゆ)する声もあるかもしれませんが、その幼稚園に通う親から見ると、子どもがどれも楽しそうに取り組んでいるのが印象的でした。柔軟な幼児期だからこそ、「勉強」ではなく「楽しいことの一環」として体育、英会話、音楽、絵画造形、コンピューター、科学あそびに取り組めたのだと思います。それが身につくかどうかは、その後の取り組み方で変わってくると思いますが、一度経験したことで、次に遭遇した時の抵抗感はないような気がしています。園長先生が卒園式で「失敗を恐れず、新しいことに挑戦してみてください」と話をされましたが、この幼稚園でのいろいろな経験により娘は、「身のまわりにはたくさん楽しいことがある」、「知らないことを知るのは楽しい」、「できないことができるようになると自信につながる」など、多くを学ぶことができたと思います。これから園を選ぶママの選択肢のひとつになると嬉しいです。空気砲で遊ぶ科学あそび<文・写真:ライターふたえにじ>
2019年08月23日電車に乗るとテンションが上がる子、踏切を横切る電車に目がくぎ付けになる子、プラレールで何時間も遊び続ける子——。こうした「電車好き」なお子さんは、多いですよね。なかには、「こんなに好きすぎて大丈夫かしら?」と、保護者が心配するレベルのお子さんもいるようです。読者のみなさんのなかにも、心当たりのある方はいらっしゃるのではないでしょうか。そんな「電車好き」のお子さんがいるご家庭に朗報です。「電車好きな子どもはかしこくなる」という説があるのだそう。今回は、電車と知育の関係についてご紹介しましょう。電車への興味が、かしこさの土台を築く「電車好きな子どもはかしこくなる」と提唱するのは、福山市立大学教育学部准教授の弘田陽介氏です。弘田氏は、著書『電車が好きな子はかしこくなる鉄道で育児・教育のすすめ』(交通新聞社)のなかで、電車が好きな子どもがかしこくなる理由を、教育学・心理学の視点から解説しています。そのひとつが、「認知能力」の向上です。「認知能力」とは、大まかにいえば「IQ」などで測ることのできる知的能力のことです。弘田氏によれば、車両の形や色、路線名、駅名といったさまざまな情報があふれる電車の世界は、「認知能力」を高めるのに最適な環境なのだといいます。「例えば、英単語の暗記や百マス計算などの単純作業は、暗記や計算そのものよりも、この機械的な訓練を通して知性を働かせていることに意味がある。鉄道を介して、駅名や漢字、路線図を覚えることも同じこと。覚えたものが役立つというよりも、むしろ幼いときから知性を働かせ、記憶するトレーニングを積んでいたことが、将来、勉強するうえで大きな力になっていくのです」(引用元:NIKKEI STYLE|鉄道が子どもの成長に必要な理由 )もうひとつが、「非認知能力」の向上です。「非認知能力」とは、人と協力したり、目標に向かって努力したり、感情をコントロールしたりといった、IQなどでは測ることのできない能力のこと。2017年3月に改訂された「学習指導要領」に組み込まれるなど、これからの時代に不可欠のスキルだといわれています。弘田氏によれば、電車に愛着を持つことや、電車好きを応援してくれる親であれば、趣味を共有して親への愛着をより深めること、友だちと電車のおもちゃ遊びを楽しんで思いやりや協調性を高めることなどが、この「非認知能力」を向上させるのだそう。このように、電車への興味が、自然と「認知能力・非認知能力」の両方をトレーニングし、かしこさの土台を築くことにつながっているのです。知育につながる「鉄道」を利用した「新幹線学」がアツい最近、「新幹線学」という学問が人気を博していることをご存じですか? 子どもたちの学力を伸ばすと言われている鉄道のひとつである「新幹線」をさらに教材として活用したものです。新幹線学は、新幹線そのものについて学ぶだけの学問ではありません。たとえば、新幹線の走行写真に写った景色から「湖が写っているよ!」「新幹線は浜名湖の近くを通るよ!」「じゃあ、静岡県だ」と、場所を推測したり、LED照明導入による消費電力の削減率を答えたり、ほかの乗り物とCO2の排出量を比べたり、新幹線の頭の形が変化した理由を考えたり……。と、学習テーマは驚くほど多岐に渡ります。地理や、科学、環境問題といった子ども達が敬遠しがちな難しい内容でも、新幹線を題材にすると子ども達が目を輝かせて勉強するのだそう。新幹線学の教材構成を担当した玉川大学教職大学院の谷和樹教授は、「集中できない」「コミュニケーションが苦手」といった子どもたちでも、新幹線学であれば授業に集中できると言います。こんな面白そうな授業なら、大人でも受けてみたいですよね。電車好きのお子さんは特に、新幹線学を利用して勉強してみるのは得策ではないでしょうか?JR東海が運営する「リニア・鉄道館」のホームページでは、新幹線学の教材をダウンロードできます。かるたなどの簡単なものから、小学低学年・中学年・高学年の学年別教材、中学生向けの教材まで、幅広い年代に向けた教材が揃っています。ご家庭で、親子で楽しみながら、鉄道を使った勉強にトライしてみてはいかがでしょう。「楽しく学べる!鉄道教材」はこちら。電車好きな子どもにぴったりの知育本「電車好き」にぴったりの知育本も、多数出版されています。うまく活用すれば、より高い知育効果が期待できるかもしれません。口コミ評価の良い本をピックアップしてご紹介しましょう。『JR私鉄全線 地図でよくわかる 鉄道大百科』(JTBパブリッシング)日本全国の全駅、全路線が掲載された鉄道百科です。鉄道のしくみやあゆみ、車両の種類など、鉄道の基本情報もわかりやすく解説されています。特長は、路線地図がすべて正縮尺で掲載されていること。また、各都道府県の県庁所在地や特産物なども紹介されており、鉄道地図を通して地理が学べます。白梅学園大学学長で東京大学名誉教授の汐見稔幸氏も推薦されている一冊です。『図鑑漢字ドリル小学1~6年生鉄道』(学研プラス)鉄道の知識とともに、漢字を身につけることができる新感覚のドリルシリーズです。鉄道図鑑の解説文を穴うめしていく形で問題を解いていきます。この一冊で、小学校6年間で習う漢字1026字がすべて網羅できるのが特長。また、それぞれ何年生で習う漢字かわかるようになっているので、学年を問わず始めることができ、先取り学習も総復習もやりやすいのも魅力のひとつです。***最後に、電車好きな子どもの能力アップを知育本以上に支えることができるものをご紹介します。それは、保護者である読者の皆さんです。子どもが興味を持ったり、発見したりしたものを親が認めることで、子どもの能力はどんどん伸びていきます。ぜひ、子どもと一緒に電車の世界を楽しんでみてくださいね!(参考)いこーよ|子どもの鉄道好きは知育に効果あり…!?ダ・ヴィンチニュース|「電車が好きな子」はかしこくなる! なぜ鉄道は“最強ツール”なのか?NIKKEI STYLE|鉄道が子どもの成長に必要な理由すくコム|世界で注目される非認知的能力って?ならいごとキッズ|子供の知的能力を伸ばす!『新幹線学』とは?東洋経済オンライン|教育現場を変革する「新幹線学」とは何なのかJR東海|リニア・鉄道館Amazon|JR私鉄全線 地図でよくわかる 鉄道大百科 (こども絵本)Amazon|図鑑漢字ドリル小学1~6年生鉄道 (毎日のドリル×学研の図鑑LIVE)
2019年08月16日息子が通っているのは、お勉強がまったくない、いわゆるのびのび系の幼稚園。とても楽しく通っているのですが、勉強の経験がないまま小学校に入学することに不安を感じ、年長さんになる前に算数と国語を教えてくれる勉強系の習い事を始めることにしました。キャパオーバー!習い事で親子とも時間に追われる日々にすでにスイミングと片道1時間近くかかる英語教室に週1回づつ通い、降園後の公園遊びは欠かさない息子。ここに週に2回通う勉強系の習い事を入れてみたら…本当に時間がない!習い事の送迎と家事を両立させるために、その日の習い事の準備を持って幼稚園に迎えに行き、降園後に習い事に直行、スキマ時間で公園遊びをさせるように。また、晩御飯は子どもが幼稚園へ行っている間に準備をし、余った時間で掃除や洗濯などの家事をこなすようにしていたのですが、自分の時間がない生活にヘトヘトに。1か月も経たずにこのスケジュールは無理かもしれないと考えるようになりました。どの習い事も大好きな息子のために頑張りたいと思っても、常に時間に追われるスケジュールにすっかり疲れてしまい、イライラして子どもに当たっては、反省して落ち込むようになってしまいました。また、子どもも週4日の習い事は疲れるようで、習い事の帰りに寝てしまい、家に着いても起きないことも…。幼稚園のママ友に相談してみたところ、年長になるとみんな習い事のやりくりに苦戦しているそう。中には、その日の晩御飯は外食と決めて、1日に2つ掛け持ちするツワモノも。また、きょうだいがいると習い事も増えて送迎が大変なので、きょうだいで同じ習い事しかさせていないというママもいました。そして、口をそろえて言うのが、子どもがやりたい習い事、親がやらせたい習い事を全部やっているとキリがないということと、時間とお金がとても足りないということ。理想と現実に悩んでいるのは、みんな同じようでした。習い事を減らすことを決意現状に悩みながらも、ハードなスケジュールをこなしていたのですが、無理がたたったのか、私の体調不良が続くようになってしまいました。夫婦で相談した結果、私が体調をくずしてまで習い事を続けることより、親子ともに毎日楽しく元気に過ごせることの方が大事だという結論になり、習い事の整理をすることに。家から遠くて、送迎に関して一番の負担になっていた英語教室を辞めることにしました。息子は、先生とも教室とも、とても相性が良かっただけに苦渋の決断でした。辞めた後、英語教室のことを思い出しては「また先生に会いたいなあ」と呟く息子を見て、大人の都合で習い事に通わせたり、辞めさせたりとつらい思いをさせてしまったことを後悔。今後は習い事の無理なスケジュールを組むのはやめようと誓いました。送迎のいらないオンライン英会話に挑戦してみることに1歳半から続けてきた英語の勉強をどうするかを考えずに英語教室を辞めてしまったわが家。まずは家でドリルなどを使って勉強をしてみたのですが、私がうまく教えることができず、あっという間に挫折してしまいました。けれど、ここで辞めてしまうのはもったいないので、送迎がない勉強法は何かないかと探していたら、子ども向けのオンライン英会話があることを知り、始めてみることに。最初は、パソコンを使って知らない人と英語で話すということに拒否反応を示した息子。これで英語が嫌いになっては元も子もないので、教材を使うコースではなく、フリートークのコースを選択。数回目のレッスンで、最近ハマっている「マインクラフト」というゲームにとても詳しい男性の先生と出会い、あっという間に仲良くなりました。パソコンを通じての会話だと、直接顔を合わせて話すのと違い、会話が広がりにくいのではと少し心配していたのですが、「マインクラフト」という共通の話題のおかげで、まったく問題なし。むしろ、相手にどうやったら上手に伝えられるかを息子が工夫するようになり、英語力がグッと向上しました。なお、契約したオンライン英会話の先生は全員フィリピン人。英語が母国語ではないので、発音が不安だったのですが、人によって多少ばらつきはあるものの、訛りはほぼ気にならないレベルでした。話すことが好きなのに一人っ子の息子は、大好きな「マインクラフト」の話ができることが嬉しいようで、ヒマさえあれば「レッスンの予約とって!」というように。私は送迎がなくなり、息子がレッスンを受けている時間を家事に使えるようになったことで、普段の生活が格段にラクになりました。さらに、通っていた英語教室よりオンライン英会話のレッスンの方が費用が半額近く安く、結果的に教育費も抑えることができました。お気に入りのおもちゃのカタログを見ながら先生とフリートーク保育園ママに聞くと、保育園に通っていると習い事に通うのは時間的に難しいので、タブレット学習やオンラインを使っているママが多いそう。小学校に入学したり、引っ越したりして環境が変わっても続けられるのがメリットと話していました。実際にオンライン英会話を使ってみて、手軽さと充実さ、コスパの良さに驚いたので、個人的には、これからもっと自宅で出来るオンラインや通信教育などの勉強法が増えてくるのではないかと思っています。でも、スポーツなど、実際に通わないと学ぶことが難しい習い事がたくさんあるのも事実。小学生ママに聞くと、小学生になっても習い事の送迎は親が付き添うことが多いそう。習い事の送迎を卒業するのは当分先になりそうですが、今後も無理せず親子で楽しく習い事と付き合っていきたいと思います。<文・写真:ライター芳賀千歳>========読者限定RIZAPトライアルモニター募集中!「シェイプアッププログラム」を4万9800円(4回・税別)でお試し。さらにモニター謝礼として1万円のキャッシュバック!さらにモニター終了者から抽選でクオカード3000円分を100人にプレゼント。さらに本コースへの入会金5万円無料。店舗により受け入れ制限がかかる場合が想定されますのでお早めにお申し込みください。申し込みはこちら ⇒申し込み〆切:2019年8月31日(土)
2019年08月03日運動も勉強も習い事も、はじめるには早いに越したことはない!と思ってしまいがち。けれども、子どもの発達段階を考慮して教育を進めないことには、子どもにとっても親にとっても、かえって負担になってしまいます。ここでは、4歳〜7歳の幼児期から小学校入学までの時期の子どもの発達と学び、そして親が意識しておきたいことについてご紹介します。ただし、年齢についてはあくまでもひとつの目安ですので、興味関心や刺激を与えるヒントとしてご覧いただければと思います。■4歳―親子の会話で語彙力アップ【4歳頃の子ども】自分が成し遂げたことは自慢し、大人にほめてもらおうとする4歳。「ママみて!」「すごいでしょ」といったアピールが増えてくる時期です。語彙数は1500を超え、長い文章を使い、もののありかを説明するときは位置を示す言葉を使ったり、所有関係を表す言葉も使い分けます。【教育のヒント】言葉をどんどん吸収する4歳の子とは、それまで以上に「親子の会話」を楽しむことが何よりの知育になります。大人の語彙力が子どもの言葉の数に大きな影響を与えるといっても過言ではないでしょう。下記のように、ものの名前を単純に教えるような一方的な言葉かけではなく、より丁寧な表現をして会話を楽しむようにしてみましょう。×「鳥さんだよ」→〇「かわいいスズメさんがいるよ。エサを探しているのかな」×「風が強いね」→〇「ゴォーッと強い風が吹いているね、飛ばされちゃいそう!」また、4歳頃になると「子どものためになる習い事をさせなければ!」と考える親御さんも多いようですが、無理強いは禁物。イヤイヤ通ったところで、思ったような成果は出ないものです。4歳くらいの時期なら、子どもがその場所に「行ったら楽しい」と思えているかどうかを基準にするとよいでしょう。先生や周りの子どもたちと楽しい時間が過ごせるのであれば通わせ、浮かない顔をしている子に「何歳までに始めないと……」と親が焦りながら無理強いしても、かえって苦手意識を持たせることになってしまいます。■5歳—遊びから想像力や自制心を学ぶ【5歳頃の子ども】集団生活に慣れ、ルールのある遊びやゲームを楽しめるようになってくる5歳。語彙数が2,000程度にまで増えているため、ジョークを言ったり、物語を語ったりして、大人を楽しませてくれることも。また、この頃になると、物の名前だけでなく、“その言葉の意味” や “文脈の中での使い方” を質問することがあります。これは「言葉には明確な意味と比喩的な意味がある」ということを理解しているからです。【教育のヒント】言葉の持つ意味を理解しはじめる5歳くらいの子。「ごっこあそび」も好きな年頃ですが、これには、ことば(セリフ)やもの(おもちゃ)を巧みに使い、状況や社会的なできごとを他者と演じることで、想像力や自制心を学ぶ重要な役割があります。また、ごっこあそびに伴う子どもの空想ドラマは、貪欲に知識を吸収させるチャンスだと、教育コーチングオフィスSaita Coordination代表で(財)生涯学習開発財団認定コーチの江藤真規さんは言います。たとえば以下のように、親も一緒になって子どもの好奇心を上手に利用して自然に学びを増やすのもよいでしょう。《ごっこあそびで「テーブルマナー」を知る》お姫さまごっこで「お姫さま、きょうはナイフとフォークでお食事をしてみましょう」と誘ってみます。たとえおもちゃのカトラリーでも、扱い方が自然と上達していくのがわかるはずです。《ごっこあそびで「文字の練習」をする》学校ごっこの先生役になったら「さあ、ノートに名前を書いてみよう!」と促し、生徒役になったら「先生!『山』ってどう書くんですか?」と子どもに聞けば、一生懸命調べたり覚えたりしようとします。もちろん、ごっこあそびの最中で「そうじゃないでしょ!」などと叱るようなことがあってはいけません。「こうするともっと素敵なお姫さまね」「◯◯くん、書けるようになったね!」などと褒めながら、あくまでも遊びのなかで、さりげなく教えてあげるのがよいでしょう。■6歳—日常生活の工夫で学習の土台づくり【6歳頃の子ども】児童期の入り口に立つ6歳。この頃には、物語の展開を構成する起承転結がわかるようになったり、時間の概念を獲得したり、また、文字や数などの知的な活動への興味も芽生え始めます。自分や友だちの名前、街の看板などの文字を読んだり、エンピツで文字を書いたりする子どもも出てきます。【教育のヒント】小学校入学前後は特に、先取り学習に励む親子などに影響を受けて焦ってしまったりしがちですが、お手伝いやふだんの生活のなかで学びをつかみ取れることもたくさんあります。たとえば算数なら、小学校入学前に15くらいまで数えられれば数の概念はしっかり頭に入っているので、それ以上は無理に教えなくても大丈夫、と『IQがみるみる伸びる0歳から6歳までの遊び方・育て方』(廣済堂出版)の著者であり祖川幼児教育センター園長の祖川泰治さんは言います。普段の生活のなかでのちょっとした工夫で、楽しく学習の土台づくりをしていきましょう。《おやつで算数を学ぶ》無味乾燥な数字の足し算や引き算よりも、体で実感する算数が大切な時期。お菓子を一列に並べ、「今日は右から5つまで食べよう」と言ってみたり、「ママは3つ、◯◯ちゃんは2つ、全部でいくつかな?」などと聞いてみましょう。クイズのように楽しみながら大好きなおやつを食べるとなれば、子どももごきげんで答えてくれるはずです。《買い物で算数を学ぶ》お菓子やおもちゃをねだる子どもに、たとえば「100円よりも安いものならば買っていいよ」と言えば、必死になって探すはず。なんとなくでも数の概念がわかるようになり、百の位にも親しみが出てきます。そのうち足し算を覚えたら、複数の値段を合算して100円になるように選ぶこともできるようになります。《看板で文字を学ぶ》街中で、看板の文字の当てっこクイズをしたり、「“A” という字を見つけてみよう!」と、知っている文字を探し歩いたり。子どもには先入観がないからこそ、難しい漢字だろうと英字だろうと関係なく、多くの文字を学びとろうとします。《お手伝いでものの名前を学ぶ》子どもは「ごはん」や「コップ」などの身近なものの名詞は知っていても、意外と「お玉」や「しゃもじ」などの名詞は知らず「ごはんをよそうやつ」なんて表したりします。お手伝いをしてもらうときにも、「ママがお玉で味噌汁を注ぐから、お椀を運んでくれる?」というように会話におり込んでみるといいでしょう。知っている言葉が増えることは自信にもつながります。■7歳—決まった時間で生活リズムを身に付ける【7歳頃の子ども】授業や宿題がどういうものかわかるようになり、勉強をすることに少しずつ慣れてくる7歳前後。脳の回路が発達し始め、判断力や記憶力も、急速に高まっていきます。本格的に学習を開始するのに適した時期です。【教育のヒント】この頃に基本的な生活習慣を時間によって決めておくと、体内リズムも作られ、勉強の習慣づけもしやすくなります。朝起きて、朝ごはんを食べ、学校に行き、おやつを食べ、習い事に行き、夜ごはんを食べ、宿題をして、お風呂に入り、寝る、というような基本的な生活を、できるだけ決まった時間に行なうようにするといいと、江藤真規さんは言います。時間が決まっていれば、無理なくその行動に移ることができます。自然と気持ちが動くので、抵抗が少ないのです。当たり前の基本的生活習慣がリズミカルに整っていることは、子どもの体内リズムを作る上でも大変役立ちます。また、基本的な生活のペースがきちんとできていれば、その他の用事を組み込むことも簡単です。自分が自由に使える時間帯がはっきりするからです。しかも、その組み込んだ用事にも比較的抵抗なくとりかかれるので、大きな時間の節約になります。同じ時間に同じことをする、この単純な習慣が、大きな時間を作り出す源となるのです。(引用元:江藤真規(2009) ,『勉強ができる子の育て方』,ディスカヴァー・トゥエンティワン.)目安となる時間を決めておけば、たとえば8時頃お風呂に入ったら、ベッドに入る9時までは自由時間!というように、生活にも楽しみやメリハリがついてきます。おすすめは、親も子どもと一緒の時間帯に行動すること。家庭内の計画も立てやすくなり、子どももよりスムーズに生活習慣を身につけられるようになるはずです。***年齢を目安にまとめてみましたが、大切なのはこどもの個性や適性です。しっかりと向き合いながら、その子に合ったペースで学びの基礎を育んでいけるといいですね。文/酒井絢子(参考)江藤真規(2009) ,『勉強ができる子の育て方』,ディスカヴァー・トゥエンティワン.祖川泰治(2015) ,『小学校前の3年間にできること、してあげたいこと』,すばる舎.内田伸子 (2017) ,『子どもの見ている世界誕生から6歳までの「子育て・親育ち」』,春秋社.デズモンド・モリス(2010) ,『デズモンド・モリス子どもの心と体の図鑑』,柊風舎.公益財団法人母子衛生研究会赤ちゃん&子育てインフォ|Part2 赤ちゃんの発育発達と親子あそび4歳頃の子ども公益財団法人母子衛生研究会赤ちゃん&子育てインフォ|Part2 赤ちゃんの発育発達と親子あそび5歳頃の子ども公益財団法人母子衛生研究会赤ちゃん&子育てインフォ|Part2 赤ちゃんの発育発達と親子あそび6歳頃の子ども
2019年08月01日ついつい口に出てしまう「勉強しなさい!」という言葉。いくら繰り返したところで子どもがやる気を出すようにならないのはわかっていても、黙っていられない!という親御さんはきっと少なくないはず。しかし、主体的に学習する姿勢が子どもに身についていれば、自ら考え行動できるはず。したがって、「勉強しなさい」という声がけは、そもそも必要なくなります。では、どうすれば子どもの主体性を引き出すことができるのでしょうか?勉強の強制は逆効果!?「勉強しなさい!」と机に向かうことを強要し続けると、学年が上がるほど、いわゆる「馬の耳に念仏」に。すると、ますます親のイライラは募り、子どもは「ウザい」と感じるようになり、主体的な勉強からはさらに遠ざかっていくばかり……。そのような悪循環に陥るのを防ぐためにも、なるべく早い段階から「勉強しなさい」という言葉を避ける必要がありそうです。つまり、勉強は強制するのではなく習慣化するよう心がけるのが、伸びる子を育てるポイントになります。実は、成績の良い子ほど親から「勉強しなさい!」と言われていません。良い成績をおさめることができている子は、小学生のころから親にガミガミ言われなくても学習する習慣がついているのです。私の経営する学習塾でも、成績が良い生徒には、「親に言われる前にやる」タイプが多く、彼らは自分で考え、前向きな気持ちで勉強を楽しんでいます。(引用元:安村知倫(2017) ,『子どもの成績を「伸ばす親」と「伸ばせない親」の習慣』, 明日香出版社.)また、東大生の6割は「勉強しなさい」と言われたことがないといいます。彼らは、子ども時代に自主性・主体性を重視した教育を受けてきたおかげで、「好きなことに思いっきり没頭できた」のではないかと言うのは、東北大学加齢医学研究所教授で医学博士の瀧靖之氏。脳は、「好き」「興味がある」とポジティブなレッテルが貼られた情報ならば、思考が深まり、しっかり理解して記憶するようになるそう。「勉強しなさい」「やらなくちゃダメでしょ」などといったネガティブな声かけでは勉強が楽しいものだと感じることができず、拒絶するようになってしまうのも無理はありません。まずは行動を認める声がけをそうはいっても、いつまでも机に向かおうとしない子どもを黙って見過ごすことはできないですし、放っておいても進歩は望めません。まずは現在進行形で子どもの行動を認める言葉かけをするとよいと、学習コンサルタントでステージメソッド塾代表の西角けい子さんは言います。たとえば、宿題をしているときに「宿題、頑張っているね」と、声をかけてみましょう。これは宿題や勉強に限らず、ごはんを食べているときに「おいしそうに食べているね」、ゴロゴロしているときに「疲れているみたいね」といった、子どもの「いま」に対する共感の言葉がけを心がけると、家の雰囲気もよくなり子ども自身も親から行動を認めてもらえると感じるようになり、自信につながってきます。「宿題をやらなくちゃだめでしょ!」「今やろうと思ってたんだよ!」と言い合うような、怒る親とふてくされる子どもという悪しき構図からひとまず抜け出す簡単な方法です。また、「褒めて伸ばす」とはよく言いますが、テストの点を褒めたり成績を褒めたりするのももちろんですが、まずは途中の頑張りを認めて褒めてあげることも大切です。誰が見てもわかるような成果がなくても、姿勢よく机に向かっている、字を丁寧に書いている、難しい問題も投げ出さずに取り組んでいる、というような努力の過程の具体的な部分に注目し、「頑張っているね」「いいね!」と声をかけてあげましょう。これは、いちばん身近にいる親だからこそできること。小さな努力を認められ褒められて育つ子は、やる気も出て、その積み重ねで大きな成果を生むはずです。強制ではなく、きっかけづくりを子どもの「いま」を認め、さらにはテストの結果などがんばった面を評価することができたら、次に、わかっていない部分を親子で確認し合います。そこで親が「こんなふうに勉強してみたら」と提案するなどして、子どもが自分に合った勉強の仕方を発見するきっかけを作ってあげることが、勉強への姿勢を変えていくコツ。勉強して賢くなることが実感できれば、子どもは面白がってそれに打ち込むようになります。例えば練習を重ねて50メートル走のタイムがどんどん早くなったり、あるいはピアノが上手に弾けるようになったりするのと同様、勉強することで賢くなるのは、誰にとっても快感なのだから。賢くなり、難しい問題が解けるようになると、子どもなりに手ごたえを感じてくれるものなのです。(引用元:松永暢史 (2007) ,『子どもを親より賢くする本子どもを賢くする親は、ここが違う!』, PHP研究所.)子どもよりも少しだけ上のレベルの目標を設定し、「この目標を達成させるためにはどうしたらいいと思う?」と声をかけ、一緒に目標を達成するための方法や段取りを考えます。ただし、一緒に考えているようで最終的に親が「こうしなさい」と決めてしまうのはNG。あくまでも、学ぶのは子ども自身。本人から「こういう方法があると思う」という考えを引き出すことが大切です。それによって成果を得ることができれば、自ら勉強に取り組む姿がみられるようになるはずです。子ども主導で勉強時間を決めておくしかし、まずは大前提として、宿題や勉強に取り組む「時間」を生活の中に作らなくてはなりません。そこで親が「夕食前に1時間は勉強するようにしなさい!」と押しつけても、子どものモチベーションは続きません。自分で決めさせて実行させるほうが、子どもの責任感も育つというのは、チャイルドコーチングアドバイザーで桜ゼミナール塾長の安村知倫氏。子ども主導で、平日の何時から何時は宿題、何曜日の何時から何時は理科の復習、といったようなスケジュールを決めさせるのです。まずは、1週間のうちで時間が決まっている行動を書き出し、空白時間を見つけ、そこに勉強時間を設定していきます。ただし、空白時間には勉強だけでなく遊び時間もしっかり組み込み、勉強内容は最終的に子ども自身が決めるとよいといいます。効率的なスケジュールを組むことができれば、親は決まった時間に「そろそろ時間だね」と声をかける程度で済むようになるはずです。これは学習面だけでなく、健康で規則正しい生活を送るためにも有効な手段といえますが、親の協力も不可欠。できるだけスケジュールに沿った時間に子どもが夕食や入浴を済ませられるよう、生活の土台となる部分は崩さないようにしていけるといいですね。努力の「見える化」がさらなるやる気を引き出すさらに安村知倫氏は、子どもが自分で努力したことを「見える化」すると効果的だといいます。壁かけカレンダーを用意して、学校の宿題を含めたその日の家庭学習がきちんとできたら、カレンダーに◯をつけていく。学校のプリントを見直ししたら、ひとつの箱に入れていく。漢字練習や計算などの自学ノートを終わったら、同じ場所に積み上げていく。カレンダーに◯が並んだり、箱にプリントがたまったり、ノートが積み重なったりしていけば、頑張った証拠が目に見えることで満足感が得られ、さらなるやる気を引き出すことができるのです。この「見える化」した部分を親も一緒に喜ぶようにすれば、ますます効果的かもしれません。前述しましたが、親だからこそ知ることができる努力の過程を見逃さないことが大切です。テストや試験の「結果が全て」ではなく、それまでの努力が大切で尊いものだとわかっている子どもは、学習習慣が自ずと身につき、いずれ成績に反映されることでしょう。***家事や仕事を「頑張りなさい」と言われるよりも、「頑張っているね」と言われたほうがモチベーションを保てるのは、大人も同じ。何かを「やりなさい」と言われると逆効果になることが多いのは、振り返ってみれば合点が行くのではないでしょうか。「勉強しなさい!」を封印することができれば、親も子も少しずつ良い方向へ変わっていくはずです。文/酒井絢子(参考)こどもまなび☆ラボ|「勉強しろ」は逆効果!統計でわかった、親が本当にやるべき3つのことベネッセ 教育情報サイト|「勉強しなさい」よりも効果的!?な、子どもの学習意欲を高める関わり方PRESIDENT Online|自ら机に向かう子の親が欠かさない習慣「勉強しなさい」と言わない理由SankeiBiz|「勉強しなさい」は逆効果勉強嫌いな子を変貌させた家庭の特徴安村知倫 (2017) ,『子どもの成績を「伸ばす親」と「伸ばせない親」の習慣』, 明日香出版社.明光2020教育改革室 (2018) ,『開始5分の「振り返り」から子どもの学力はぐ〜んと伸びる!』, 主婦の友社.西角けい子 (2010) ,『子どもの成績は、お母さんの言葉で9割変わる!−−普通の子が次々日本一になったニシカド式勉強法』, ダイヤモンド社.小林公夫 (2009) ,『「勉強しろ」と言わずに子どもを勉強させる法』, PHP研究所.江藤真規 (2009) ,『勉強ができる子の育て方』, ディスカヴァー・トゥエンティワン.汐見稔幸 (2007) ,『親子のハッピーコミュニケーション』, 岩崎書店.瀧靖之 (2018) ,『16万人の脳画像を見てきた脳医学者が教える究極の子育て「賢い子」は図鑑が育てる』, 講談社.松永暢史 (2007) ,『子どもを親より賢くする本子どもを賢くする親は、ここが違う!』, PHP研究所.
2019年07月14日春休み。進級に伴って変化する環境に息子が適応できるのか、不安を抱える私。そんなある日、息子が1枚のチラシを差し出した担任・N先生の寄り添いに心を動かされたこともあり、3年生の後期が終わるあと1週間のところで、通学を始めた息子。とはいえ、学校で起こる不便や不快感など、根本的な問題が解決したわけではない。そして転出により児童数が減少したため、新学年からは2クラスが統合されて1クラスになるという。全校生徒の顔をなんとなく把握できるような、田舎の小さな小学校だ。「教室に見たことない子がいる」というようなことはないだろうが、1つの教室で過ごす人数が変わることで、人間関係はもちろん、室内に響く音声が、聴覚過敏もある息子の耳にどう響くかも変わってくるだろう。となると、これまでとは違った問題が発生する可能性もある。本人も不安があるのか、「新学期になったら、また毎日行けるか分からない」と言っている。まあ、考えてみたらここまでが余りにも順調すぎたのだ。本人だって「いきなり毎日最初から最後まで、というのはできないかもしれない」と言いながら、3年生のラスト1週間の毎日、始業から終業までを学校で過ごすのには、かなりのエネルギーを要しただろう。短い春休みの間で、身心両面のリカバーができるかどうかは分からない。仕切り直しだと考えて、過度な期待をせず様子を見ることにした。そんな構えで春休みを迎えようとした私に、息子が1枚の紙を差し出した。「これ、行ってきてもいいかな」それは小学校で行われている、放課後と週末のレクリエーション会の予定表だった。息子が通う小学校では毎週水曜日の放課後と土曜日の午前中、地域ボランティアの方と提携して行われるレクリエーションの時間が設けられている。会場は校舎の中。その春休み特別企画として、プログラミング体験講座が開催されるのだとか。そのころ息子は、いくつかの要素を組み合わせてオリジナルゲームを簡単に作れる、という携帯ゲーム機のソフトに夢中になっていて、それをきっかけにプログラミングに興味を示していた。何年か前に私は障害者向けの就業研修で、プログラミング言語のJavascriptを学んではいたが、きれいさっぱり忘れてしまっていたし、覚えていたとして(あと、JavaScriptが最新ではないことはさておいても)、彼の興味を引きつけるように教える自信は一切持ち合わせていない。レクリエーションでは、現役のSE兼プログラマーの方が、小学生が楽しく、分かりやすく学べるように指導してくださるようだ。徒歩で出かけられる場所で、しかも無料である。反対する理由はない。「いいじゃんいいじゃん、行ってきなよ!」「レクリエーション、3年生は対象外だったの!?」冷や冷やしながら迎えに行くと、満足そうに微笑む息子。なぜ?当日息子は冷えたルイボスティーを自分で水筒に詰め、張り切って出かけた。レクリエーションが終了するお昼近くなったら迎えに行くから、と息子の後ろ姿に声をかけ、私は仕事の作業に取りかかった。合間にふと「今ごろ楽しんでいるかな」と、レクリエーションのスケジュール表に目を向けた私はすぐさまフリーズ。そこにははっきりと「対象:4年生~6年生※3年生以下は見学」と印字されているではないか。そのときはまだ3月、息子は3年生なのだ。プログラミングを体験したくてわくわくで出かけた息子が、「3年生だから、見学ね」と言われてその状況を受け入れられるだろうか。そこで不満とともに「自分も参加させろ」と申し立てるようなタイプではないが、かなりのフラストレーションを募らせることは想像に難くない。(こりゃもしかしたら途中で帰ってくるかもしれないな…)などとぼんやり考えながら作業を再開したが、昼近くなっても帰宅する気配はない。意外にも見学を楽しんでいるのか。私は、身支度をして小学校へと向かった。待合室になっている教室で待機して、どれくらい経ったころだろうか、「お待たせしてすみません!みんなで盛り上がってしまって、ついつい長くなってしまいました!」と、レクリエーション担当の教員・K先生と、参加した児童たちが戻ってきた。もちろん、息子もおり、満足そうに微笑んでいる。「ごめん、私、チラシの説明をよく読んでいなくて…」「あ、それなんだけどね」私の言葉を受けてこちらを見上げた息子は、K先生に向き直った。「あの、本当は対象外なんですけど、見学になる参加者が息子さん1人で。ほかの児童たちも“ハルくんならきっとできるよ”と言うので、一緒に参加してもらったんです」「そうなんだよ!上級生のみんなが仲間に入れてくれたんだよ!それで、分かりにくいところは教えてくれてね!マイコン制御のロボットを(プログラミングで)操作したんだけど、あまり上手くできなくてもみんなが“最初からこんなふうにできるなんてすごいよ!”ってさあ!」K先生が説明してくださったあと、息子は目を輝かせながら、何があって、それがいかに楽しかったり嬉しかったのかを早口でまくし立てた。私が心配するまでもなく、息子は充実した時間を過ごしていたのだった。K先生にお礼を申し上げて帰ろうとしたら、K先生がこうおっしゃった。「息子さん、いろいろ学校が不便をかけて、ずっとお休みをしていたので、楽しんでもらえるか心配だったんですけど…プログラミングやものづくりが得意で大好きなのでしょうね、いきいき楽しそうに取り組んでいましたよ」私はもう一度お礼を申し上げ、息子とともに学校をあとにした。「今日から新学期だよ!」やりたいことが見つかった息子は、ランドセルを揺らしながら学校へさて、気づけば4月。まもなく新学期に突入というある朝、朝食を終えて食器洗いやらなんやらをしている私を尻目に、息子がなにやら慌ただしい。「どしたの?今日なんかあんの?」「なんかあんの?じゃないよ!今日から新学期だよ!!」新学期、間もなくではなく完全に突入していた。数日前に支度はしてあったものの、「また毎日行けるか分からない」という息子の言葉が頭に残っていたからか、私は完全に油断し日付の感覚がおかしくなっていた。「お、おう。そうだった、ごめんごめん」「のん(私の呼び名)が忘れちゃダメでしょう。じゃ、行ってきます!」息子は笑いながら靴を履き、「うおおおお!小学4年生!!!」という雄叫びとともに、集団登校の集合場所へ走り去って行ったのだった。完全に、予想外の光景である。もちろん、登校すると想定していなかったわけではない。とはいえ、約1年半の不登校生活を過ごし、1週間登校をしたものの、春休みをはさんで「また毎日行けるか分からない」と懸念していた9歳児が「うおおおお!小学4年生!!!」という雄叫びを上げながら学校に向かう姿なんぞ、誰が想像するものか。「のんが小学生のころには、コンピューター室ってあった?」春休みのレクリエーションを終えてからの帰り道、同じ小学校の卒業生でもある私に、息子は聞いた。「ないない。30年以上前は、こんなにコンピューターが普及していなかったもん。PCなんて、学校にも家にもなかったよ」「ふーん…コンピューター室が学校にあるのは知ってたけど、今日初めて入ったよ。楽しかった。でね、またプログラミング教室をレクリエーションの会でもやるし、学校でも、まあ毎日だったりしょっちゅうは無理かもしれないけど、PCを使ってプログラミンクとか、いろいろ勉強できるんだって!」普段、私が使用しているスペックの低いPCをたまにいじる程度しかできなかった息子は、比較的新しくてスペックの高いPCを、時間の限り思う存分使用できたことが本当に嬉しかったようだ。「携帯ゲーム機でオリジナルゲームを作るのも楽しかったけどさ…自分が入力した文字や数字が言葉になって伝わって、ロボットが作動したり、静止画だと思っていたものが動画になるってすごいよ!だから、すぐでなくてもいいから、ああいう勉強をしていきたいなって思ったんだよね」話しながら進む息子の足取りは、まるでステップを踏むように軽やかだった。「また毎日学校に行けるかは分からないけど、これからも勉強はしていきたいなって思う」私に向けているとも、ひとりごととも取れるような口調で、息子がつぶやいていたのを思い出す。「やりたいことがあるっていうのは、外野があれこれいう言葉より心に響くもんだね…」ランドセルを揺らして駆けていく息子の背中を眺めながら、今度は私がベランダでつぶやいていた。児童数が増えたことに伴う困難なども、特別支援学級の利用で万事解決!ではなかった…しかし、やはりというべきか、問題が浮上した。元々黒板にチョークで文字を書くカツカツという音が息子は苦手だったのだが、教室内にいる児童数が増えたことで、音の響き方がますます苦痛に感じられるようになったらしい。加えて、「班ごとで相談」という場面では、大声ではないとはいえ、たくさんの話し声が耳に届いてしまい、「自分の班の人の声を聞き取るのも大変だし、頭がちゃんと働かなくなる感じがする」と訴えた。在籍は通常学級のままではあるが、様子を見て特別支援学級の利用も可能であるという話を、以前校長先生から聞いている。特別支援学級では黒板とチョークは使わずにホワイトボードで授業を進めるらしいし、人数だってかなり少ない。今息子が抱えている困難は、解決すると思われる。そこで息子に「どうする?特別支援学級で授業を受けてみる?」と問うてみたところ、「是非そうしたい」と返ってきた。私は連絡帳を開き、息子が感じている困難と、特別支援学級での授業を希望しているということを、担任の先生に宛てて書いた。息子が連絡帳を持参したその日に担任の先生から電話をいただき、いくつかの授業を特別支援学級で受けることになった。2つの教室を行き来することで不快感が軽減され、快適に学習できるようになった息子は、毎日嬉しそうに登校。帰宅したらすぐ友達の家に出向いて一緒に宿題をしたり遊ぶなど、「本当にあなたは少し前まで不登校だった人なのですか?」と疑いたくなるほど、いきいきと過ごしていた。「特別支援学級は嫌な音がしないから、勉強も楽しくできるんだよ。休み時間に中庭や体育館でみんなと遊ぶのも楽しい。土日にのんとどこかに出かけるのも楽しいけど、今はそれと同じくらい学校が楽しいんだ!」などと申し、ゴールデンウィークの10連休については「半分でいいのに」とぼやいていたほど、学校が大好きになっていた。これで万事解決、めでたしめでたし…で、収まれば良かった。収まってほしかった。ゴールデンウィークが終了し、私の仕事が忙しくなってきたある日の午後、息子はえらく憤慨した様子で学校から帰宅した。「もうやだ!また学校行くのが嫌になって来たよ!!」えっ、ちょっと待って、今の時期に家にいられると困る…とうっかりこちらの都合による本音が出そうになったが、息子だって辛いことがあったのだから、とぐっと堪え、「どうした?何かあった?」とだけ、どうにか口にできた。この前まであんなに楽しそうだったのに、何があったんだ…。<第3回に続きます>
2019年07月08日国語はもちろん、算数や理科などあらゆる教科を勉強する際にも重要とされる「言葉の力」。子どもの「言葉の力」を伸ばすためにはどうすればいいのでしょうか。お話を聞いたのは、屈指の名門校、麻布中学・高校の国語教諭である中島克治先生です。まずは、「おしゃべりな子どもと無口な子どものちがい」についてのお考えから話してもらいました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/玉井美世子(インタビューカットのみ)ドリル学習では「言葉の力」はなかなか伸びない我が子が、まわりの子と比べて無口だと心配になってしまう親もたくさんいると思います。でも、ありていにいってしまえば、それは「個性」ということなのです。親がどんなにおしゃべりでも子どもは無口になることもあるし、その逆もある。同じような育て方をしても兄弟姉妹でちがいはありますし、親のアプローチいかんで子どもが多弁になったり寡黙になったりといったことはないのではないかとわたしは考えています。子どもには親とはまったく別の人格が備わっていて、おしゃべりであれ無口であれ、それはその子の「個性」なのです。そうとらえれば、「なんとか子どもの言葉を増やそうと努力しているのに……」と、頭を悩ますというような呪縛から解放されることになるはずです。とはいえ、おしゃべりか無口かということとは別に、「言葉の力」を身につけておくことはあらゆる勉強をするにあたって重要となります。そう考える教育熱心な親であれば、子どもにドリル学習などをさせているかもしれません。でも、ドリル学習にはあまり意味がないとわたしは考えています。子どもからすればドリル学習はやらされる、仕方なくやる受け身の側面が強いものです。しかも、紙の上での学習ということで、どうしても現実世界に応用しづらいものであるため、学習した内容の定着率も良くありません。たとえ勉強した直後には身についても、1カ月、1年といった時間が経つと内容がすっぽりと抜け落ちてしまうのです。単なるドリル学習というものは、どうしてもただ覚えること、テストでいい点を取ることに重点が置かれます。そういう学習で得た知識は、子どもにとって「生きた知識」にはならないのです。親との共通体験が子どもの学習を補強していくでは、「生きた知識」としての言葉の力をどのように伸ばしてあげればいいのでしょうか。その方法は、「実生活のなかでの親とのコミュニケーション」です。たとえば、親子で植物園に出掛けたときに、以前に図鑑で見たことのある花が咲いているのを発見したとします。そして、「これ、前に図鑑で見たよね?」「どんな花だっけ?」といった会話をする。すると、実体験のなかで実物と言葉がぴたっと結びついていくので自然に言葉が子どもの頭に入っていくのです。親に教えてもらったとか、親の質問に答えられてうれしかったとか、具体的な場面のなかでの親との共通体験が学習を補強し、そのときに得た言葉はしっかりと子どもの頭に刻まれます。共通体験といっても、わざわざどこかに出掛けて特別な体験をしなければならないということはありません。それこそ家庭での日常的な会話でもできることです。会話の内容も天気のことでもご飯のことでもいいし、幼稚園や小学校での出来事、親子それぞれが観たテレビ番組の感想をいってもいい。そういった親とのコミュニケーションを通じて、子どもは満足したり、安心したり、うれしく感じたりといったポジティブな体験とともに感受性を高めながら言葉を覚えていくのです。子どもに知識をただ詰め込もうとしても、身につくものではありません。喜怒哀楽などの気持ちが伴わなければ、学習したことが子どもの糧にならないからです。たとえば、子どもがはじめて真っ赤な美しい夕焼けを見たとき、「綺麗」という言葉を知らなくとも子どもの心はすでに震えています。そして、そばにいる親が「綺麗だね」とつぶやいた。自分の心の震えと「綺麗」という言葉が重なり合う。そんな言葉を忘れるわけがありません。親子のコミュニケーションにおける3つの注意点子どもとコミュニケーションを取る際の注意点もお伝えしておきます。ひとつは、子どもから「これ、なに?」というふうに質問をされたときに、すぐには答えないほうがいいということ。答えられることでもあえて答えず、「なんだろうね?」「うちに帰ったら調べてみようか」というふうに答えるのです。どういうことかというと、子どもに立ち止まる時間を与えるということです。そうすることにより、子どもは手探りで考えることになる。その時間が、その後の学習で得た知識の定着を高めることになります。次の注意点は、子どもの言葉を頭から否定しないということ。子どもは大人が忘れてしまったような感覚を持っていて、大人が考えもしなかった側面から考えることもあるものです。大人になってしまった親からすれば、子どもの言葉が間違っていると思っても否定してはいけません。また、子どもの言葉に親が本当に驚かされることもあるでしょう。そういうときは否定せずに「そんなふうに考えるんだね」といったリアクションをしたり、素直に驚きを伝えたりしましょう。子どもからすれば、自分より言語能力が長けていると思っている親にちょっと先んじることができたという優越感を得ます。その優越感によって、子どもは言葉に対してよりポジティブにかかわっていくようになるのです。そして最後のアドバイスとしては、なにより親自身が子どもとのコミュニケーションを楽しむことが大切だということ。子どもは「教えてもらっている」と思うと受け身になってしまい、学びに対する積極性を失います。でも、親自身が楽しんでいれば、それは親が子に教えるという姿勢ではありませんよね。子どもも親の楽しむ姿勢に引っ張られてコミュニケーションを楽しむようになる。そうして、親子のコミュニケーションによって言葉を得る効果も高まるわけです。『本物の読解力をつけることばパズル 入門編』中島克治 著/小学館(2019)■ 麻布中学・高校国語科教諭・中島克治先生 インタビュー一覧第1回:子どもの「言葉の力」を伸ばすには?名門麻布の国語教師が説く“親の心得3か条”第2回:先取り学習はこんなに危険。「した子」の成績が「しなかった子」に抜かれるのはなぜ?(※近日公開)第3回:麻布中高の国語教師が断言。「絵本の読み聞かせ」の教育効果はやっぱり絶大だった!(※近日公開)第4回:我が子に“読書好き”になってほしいなら。ぜひ身につけさせたい「読み癖」とは(※近日公開)【プロフィール】中島克治(なかじま・かつじ)1962年生まれ、東京都出身。麻布中学・高校を経て東京大学文学部卒業。東京大学大学院博士課程修了。現在、私立麻布学園麻布中学・高校国語科教諭。『本物の読解力をつけることばパズル 初級編』(小学館)、『一生役立つ! 子どもの本当の読解力をグッと引き出す方法』(PHP研究所)、『1話5分! 12歳までに読みたい名作100』(新星出版社)、『小学生クロスワードBOOK 1・2・3年生』(星雲社)、『本物の国語力をつけることばパズル 中級編』(小学館)、『本物の国語力をつけることばパズル 入門編』(小学館)、『本物の国語力をつけることばパズル 初級編』(小学館)、『夏目漱石ほか文豪名著 書き写しノート』(朝日新聞出版)、『小学校入学前にことばの力をつける魔法の本棚』(小学館)など著書多数。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年06月24日世の中に「勉強が大好き」な人は、いったいどれくらいいるでしょうか?子どもだけでなく、大人の実社会を見渡しても「勉強が大好き!」という人に会うのはとても難しいことかもしれません。東大を首席で卒業し、現在は執筆業やコメンテーターとしても活躍する山口真由さんも、これまでの著書のなかで「勉強は楽しいものではない」と率直な感想を述べています。ただ反面、「その楽しくない勉強にも、すごくいい部分がある」ということも強調されています。「勉強しなさい!」と我が子にいうのは簡単ですが、「なぜ勉強をするのか」という具体的イメージの共有も大事なこと。そこで、山口さんが感じてきた、「勉強の良い部分」と、「勉強するうえで忘れてはならない大切なこと」をレクチャーしてもらいます。構成/岩川悟(slipstream)写真/川しまゆうこ勉強の良いところは、やればやっただけ成果が出ることわたしがこれまでの人生で努力を費やしてきた「勉強」について、思うことをお伝えしたいと思います。勉強の良いところは「やればやっただけ成果が出る」ところだと考えています。たとえば、音楽やスポーツなどは、プロとして稼いで裕福に生活していけるのは上位5%程度の厳しい世界。でも、勉強は活躍できる裾野が広く、勉強さえしていればがんばったぶんだけなにかが確実に手に入ります。つまり、たとえ勉強で上位5%に入れなくても、勉強したことが無駄になることはないのです(もちろん、音楽やスポーツの分野でも上位5%に入れなかったからといってそれまでのすべてが無駄になるわけではありませんが)。勉強はオール・オア・ナッシングではなく、社会にさまざまな受け皿があります。そのため、社会で生き抜いていくためには、じつは勉強はかなりコストパフォーマンスが良い方法だと見ることができます。なにごとも、将来の目標をしっかり持っていれば、努力を続けていくモチベーションになります。でも、ぜひみなさんにお伝えしたいのは、たとえその目標に勉強が必要なさそうに思えても、勉強はしておいたほうがいいということです。勉強がいつ役に立つのかは、人それぞれです。もちろん、受験や就職だけに役立つものではありません。勉強で得た知識そのものが役立つこともあれば、考える力や課題解決力、分析力、計算力など、人生のあらゆる場面において勉強した経験は役に立ちます。勉強をすれば、そのぶんだけ活躍できる場所が社会には用意されているのです。勉強でなにより大切なのは、細かく区切った「目標」を持つことわたしは、目標を達成するために、勉強をするという考えを持っています。となると、勉強でなにより大切なのは、まず「目標」を持つことになります。ただ、勉強を手段と割り切るだけでは、ふだんの勉強を続けていくのを難しく感じる人もいると思います。遠い目標や「なりたい自分」を思い描くのは大きなモチベーションになりますが、それだけでは、勉強の苦痛に耐えることが難しいのも現実。そこで、勉強の効果を上げるためには、最終的な目標だけでなく、その過程での小さな目標をいくつか立てることをおすすめします。たとえば、資格試験に臨むなら、そのための模試の判定でもいいし、TOEIC®なら、いまのスコアよりも少しだけ上のスコアを目標にするのです。このときのポイントは、少しがんばれば手が届くくらいの目標を設定すること。高い目標を設定して達成できずに挫折感を味わってしまうと、「根拠のない自信」も傷ついてもとも子もありません。具体的な目安としては、いまのプラス5%程度の目標値を考えると良いと思います。気合だけで勉強を続けることはできません。でも、小さな目標をクリアしていく「達成感」を意図的に配置していくことで、少しずつ最終的な目標へと近づいていけます。また、適度な負荷をかけ続けることで、ストレス耐性も増していくでしょう。※TOEIC®はエデュケーショナル・テスティング・サービス(ETS)の登録商標です。この製品はETSの検討を受けまたはその承認を得たものではありません***勉強というのは、覚えるべきことをひたすら覚え、同じルーティンを繰り返していく、まさに忍耐の作業です。でも、そこに苦痛を感じるのは子どもも大人も同様であって、むしろそれは正常なことなのです。ではなぜ、勉強をしなければならないのか――。それは、目標を達成するため、社会で生き抜くための手段といえるでしょう。もし、「勉強は楽しいものだ」と思える瞬間がくるとすれば、それはゴールに辿り着いたときなのかもしれません。そんなゴールを迎えることができるよう、子どもの勉強を考えていきたいものですね。※今コラムは、山口真由著『東大首席が教える 賢い頭をつくる黄金のルール』(セブン&アイ出版)をアレンジしたものです。『東大首席が教える 賢い頭をつくる黄金のルール』山口真由 著/セブン&アイ出版(2019)【プロフィール】山口真由(やまぐち・まゆ)1983年、北海道出身。東京大学法学部在学中3年次に司法試験、翌年には国家公務員Ⅰ種に合格。学業成績は在学中4年間を通じて「オール優」で4年次には総長賞も受けるなどし、同大学を卒業。卒業後は財務省に入省し、主税局に配属。2008年に退職し、翌年から2015年まで大手法律事務所に勤務し企業法務に従事。その後、1年間ハーバード・ロースクールへの留学をし、ニューヨーク州弁護士資格も取得。現在は、テレビのコメンテーターや執筆でも活躍している。レギュラー番組として、『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日系/毎週月曜コメンテーター)。著書には、『東大首席が教える超速「7回読み」勉強法』、『東大首席が教える「間違えない」思考法』(PHP研究所)、『リベラルという病』(新潮社)、『東大首席・ハーバード卒NY州弁護士と母が教える 合格習慣55 家庭でできる最難関突破の地頭づくり』(学研プラス)などがある。
2019年06月21日幼い子どもを抱える親の悩みのひとつに、公共の場で子どもが騒いでしまうということがあります。また、子どもが小学生くらいになれば、勉強やスポーツに辛抱強く取り組む子どもになってほしいと願うはずです。その悩みを解決し、願いをかなえる子どもの「我慢する力」はどうすれば育むことができるのでしょうか。発達臨床心理学、保育学、児童学を専門とする東京都市大学人間科学部教授の井戸ゆかり先生に、アドバイスをしてもらいました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)「生理的な我慢」は強いるべきではない「我慢」にもいくつかの種類があります。ひとつは「自己抑制」という意味での我慢。これは、なにかいいたいことややりたいことがあっても、自分で判断をして「この場ではいわないほうがいい」「やらないほうがいい」と自分を抑えることです。そういう意味での我慢は社会生活を営むうえでとても大切なものですから、幼いときからさまざまな経験を通して徐々に教えていくとよいでしょう。一方で、とくに幼い子どもの場合は、「生理的な我慢」を強いるべきではありません。トイレに行きたくなってしまう排泄欲などはその代表的なものです。そういう我慢を無理にさせると健康にも害が及ぶことがあります。たとえば電車に長時間乗らなければならないときなどは、乗車前にトイレに行かせるとか途中でトイレ休憩を取るなど、親が工夫してあげる必要があります。それらの工夫は、子どもにとって必要なルールを覚える訓練にもなります。たとえば、幼稚園や保育所のなかには、お昼ご飯の前に子どもたち全員をトイレに行かせるというところもあります。これには、食事中にはなるべくトイレには行くべきではないというマナー、ルールを教えるという意味も込められているのです。生理的な我慢を強いるべきではないといっても、野放しにしてしまっては問題です。まずはきちんとルールを学ばせる。そのうえで、どうしても体の具合が悪いときなどは遠慮しないできちんと親や保育者に伝えるということを教えることが大切です。無理な我慢をさせないように親が工夫する先にお伝えした自己抑制という意味での我慢についても、あまり幼いときから無理に我慢させることは注意が必要です。というのも、子どもは幼稚園や保育所での集団生活を通じて、徐々に自己抑制を学んでいくからです。3歳児たちの入園式では、どの子どもも落ち着きがありません。でも、3年後の卒園式では、みんなが静かにできて見違えるほどに成長した姿を見せてくれるものです。そう考えれば、電車やレストランなど、静かにしていてほしい場所に幼い子どもを連れて行く場合には、親の側が工夫するべきではないでしょうか。3歳くらいまでの幼い子どもは、走ってはいけない場所や静かにしておかないといけない場所というものがそもそもわからないのですから、まずはそういう場所にはなるべく連れて行かないという選択をすることを考えてほしいですね。どうしても行かなければいけないというときなら、短時間で済ませることも選択肢となります。または、静かなレストランで食事をするならば、お父さんとお母さんのどちらかが子どもに絵本を読んであげるとか、子どもを抱いて外に連れ出してあげるというふうに、両親が交代で子どもを見るということもできますよね。片方が子どもを見ているあいだに、食事は済ませればいいのです。あるいは、いまならキッズスペースを設置しているような子どもを連れて行きやすいような工夫をしているお店もありますから、そういうところを選ぶことも検討すべきことです。そもそも、親の都合で幼い子どもに我慢をさせることはなるべく避けるべき。なぜなら、3歳くらいまでの幼い子どもに無理やり我慢をさせたり、「ダメ!」とむやみに禁止したりすると、自発性が伸びなくなるからです。そのくらいの子どもにはなるべく伸び伸びとできる環境を用意してあげるように意識してほしいですね。「褒める」ことが子どもを我慢強くするその後、子どもが成長して小学生くらいになれば、勉強やスポーツなどに一生懸命に取り組める我慢強い子どもになってほしいですよね。そういう子どもに育てるためのポイントは、やはり「褒める」こと。子どもが我慢強くなにかに取り組めたとしたら、「頑張ったね!」「よく我慢できたね!」と褒めてあげて、「本当は遊びたかったのにね」と子どもの気持ちに寄り添ってあげましょう。我慢できたことを褒められた子どもは、我慢することに意味があると気づくようになります。同時に、褒めることは子どもの達成感を高めることにもなります。なにかを成し遂げれば、子どものなかで達成感は生まれますが、親に褒められることがその達成感をさらに高めてくれる。その体験を経て、子どもは自信を持って「次も頑張ろう」と思えるようになります。親などまわりの大人が褒めてあげることの重要性は、子どもには自分で自分を褒めることが難しいという点にあります。大人であれば、自分を客観視して「今日は頑張ったから自分にご褒美をあげよう」ということもできます。でも、子どもにはそれが難しいのです。だからこそ、子どもが我慢強くなにかに取り組んだのなら、たくさん褒めてあげて、「頑張って我慢してよかった」と感じさせてあげてください。『保育の心理学 実践につなげる、子どもの発達理解』井戸ゆかり 編著/萌文書林(2019)■ 東京都市大学人間科学部教授・井戸ゆかり先生 インタビュー一覧第1回:あなたの子どもは大丈夫?絶対に見過ごしてはいけない「自己肯定感」低下のサイン第2回:「失敗を恐れない力」の育て方。子どもに「挑戦したい!」と思わせる、効果抜群な言葉かけ第3回:「辛抱強い子」を育てるヒント。「我慢する力」を伸ばすのは“○○上手な親”だった!第4回:「先生に言いつけるよ」がダメな理由。自己主張できない子が育つ“4つのNGなしつけ”(※近日公開)【プロフィール】井戸ゆかり(いど・ゆかり)東京都出身。東京都市大学人間科学部教授。専門は発達臨床心理学、保育学、児童学。学術博士。横浜市子育てサポート研修講師、渋谷区子ども・子育て会議会長などを務める。二児の母。著書に『子どもの「おそい・できない」にイライラしなくなる本』(PHP研究所)、『「気がね」する子どもたち-「よい子」からのSOS-』(萌文書林)、編著に『保育の心理学Ⅱ 演習で学ぶ、子ども理解と具体的援助』(萌文書林)』、監修書に『1さいのなあに? のびのび育つ! 親子ふれあい絵本』『2さいのなあに? 「知りたい」がいっぱい! であい絵本』(ともにPHP研究所)などがある。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年06月14日知育アイテムとして定番の「図鑑」。東北大学加齢医学研究所教授の瀧靖之氏によると、東大生の9割が図鑑を読んで育った、あるいは興味を持っていたというデータがあるのだとか。とはいえ、大きくて重たくて、絵本のようにストーリーを読み聞かせるわけでもない図鑑を、どう活用したらいいのかわからない、なんてことはありませんか?ここでは図鑑の学習効果や家庭での取り入れ方についてまとめてみました。勉強意欲や知的好奇心が自然と高まる子どもにとって図鑑が身近なものになる一番のメリットは、勉強意欲や知的好奇心が自然と高まっていくことにあります。テレビなどの映像と違い、図鑑は何度でも読み解くことができるからこそ、手元に置いておきたいもの。一度に全てを読み進めるのではなく、自分の気づきや好奇心によって見る箇所が変わってくるため、継続して「自ら学ぶ」という姿勢を育むことができます。幼い頃から図鑑に慣れ親しんでいると、勉強への心理的ハードルをぐっと下げてくれる効果も望めるでしょう。例えば、家に植物の図鑑があり、いつも気に入って眺めている子がいたとします。小学校の初めての理科の授業で「子葉」という言葉を習うとき、「最初に出てくる葉っぱのことだ!」と、すでに図鑑で得た知識に出会うことで自信につながります。「それ知ってる!」から始まる学習は、その後の意欲や吸収の度合いに差が出てくるのです。幼児期の「なぜなぜ期」にも図鑑は有効。「なぜ?」「どうして?」と聞かれたら、図鑑で親子一緒に調べればコミュニケーションになるうえ、こどもを正しく納得させることができます。忙しくて手が離せないときにも「図鑑で見つけて、お母さんにも教えてくれる?」と子どもに自ら調べさせてもよいでしょう。また、後述の図鑑との触れ合い方にもつながりますが、図鑑は幼い頃から大人になるまで使うことができ、めくるたびに新発見があり、好奇心を刺激してくれます。一冊の図鑑はまさに一生モノ。だからこそ、親世代と子ども世代で一緒に学ぶことを楽しむツールとなり得るのです。図鑑の取り入れ方のコツでは、子どもに図鑑を自然と親しんでもらうには、どうしたらよいのでしょうか。取り入れるからには図鑑に夢中になってほしい、と意気込む親御さんも少なくないでしょう。まずは、図鑑はお勉強のための参考書ではなく、知的好奇心を広げていくワクワクする本である、と認識するのがポイントのようです。みんながみんな、図鑑を愛読して「◯◯博士」になる必要はありません。大切なのは、さまざまな分野に関する知識が満載で、きれいに分類されている図鑑という書物があること、その書物を見ると知りたいことが調べられて知識が広がるということを、家庭環境のなかで伝えていくことです。今の図鑑は非常によくできています。衣食住から自然科学に関心を持たせる工夫など、日常のあらゆるできごとから図鑑の世界へ入っていけるよう、入り口が用意されているのです。(引用元:小川大介(2016) ,『頭がいい子の家のリビングには必ず「辞書」「地図」「図鑑」がある』,すばる舎.)では、その図鑑のメリットを生かすには、どんなところに気をつけたらよいのでしょうか。家庭内に図鑑を取り入れるコツをまとめてみました。■与えるのは文字を覚える前から図鑑の中の絵や写真を見ているだけでも楽しいものですが、知りたい気持ちが湧き出てくると自然と文字への興味も生まれ、認識し、覚えるようになってきます。文字への興味が薄い、とお悩みの場合にも図鑑は有効。大好きな乗り物や恐竜の図鑑を与えてあげることで、文字の学習もスムーズになるでしょう。■興味のある分野から、1冊ずつはりきって図鑑を全巻そろえる必要はなく、子どもの好きな分野から1冊ずつ用意するようにします。そして、特に興味を示している分野があれば、その分野の図鑑を何種類か買って見比べてみるのも、おもしろいものです。ほかの分野にも興味が出てきたら、また子どもと一緒に選び、徐々にそろえていきます。そうすることで、「これらは自分の図鑑だ」と愛着も湧いてきます。■「すぐに」「その場で」触れられる場所に置く知識の吸収が一番いいのは、「あとで調べよう」ではなく、知的好奇心のアンテナが立っているその瞬間。タイミングを逃さないためにも、リビングなど子どもがいつもいる場所に図鑑を置いておきましょう。家庭内で子どもが興味を持ちそうなことが話題にあがったら、すぐにその場で「調べてみよう!」と図鑑を取り出します。その習慣がつくと、子どももわからないことに直面したときに自ら調べるようになるはずです。■「まだ知らなくていい」は禁物子どもと一緒に図鑑を読むときは、子どもの年齢的には知らない言葉や難しい内容だったとしても、制限して読む必要はありません。「は虫類」や「両生類」などといったなんとなく聞いていた単語も、そのときは理解できていなくても、その後の学習でいずれ生きてくる知識となるのです。親が「まだ難しい、知らなくていい」と制限してしまうと、子どもも敏感に反応し「このくらいでいいんだ」と自分に制限をかけてしまうことになります。図鑑の知識と現実の体験を結びつけるのは親の役割図鑑にはたくさんの知識が詰め込まれていますが、それはあくまでもバーチャルの知識。そこに現実世界での実体験が結びつくと、こどもはいっそうワクワクし、「知ること」に喜びや楽しさを感じ世界が豊かに広がっていきます。バーチャルとリアルを結ぶことで、子供の好奇心を刺激できれば、子供は自ら学びを深めていきます。本人たちも、「自分が努力して勉強している」という意識は持たないものです。伸びる子の親というのは、バーチャルとリアルを結びつけ、子供の好奇心を強くする取り組みを「意識的に」行っているのだと思います。(引用元:瀧靖之(2016) ,『16万人の脳画像を見てきた脳医学者が教える「賢い子」に育てる究極のコツ』,文響社.)・図鑑で動物に興味を持ったら、実物を見に動物園へ行く。・散歩中に花を見つけたら、図鑑でその花を探してみる。・プラネタリウムで出てきた星の名前を、宇宙の図鑑で探してみる。というように、レジャーや遊びに、学びを結びつけることを意識的に心がけると、図鑑の効果を最大限に得ることができそうです。ただし、家の外の体験で見つけたものを、家に戻って図鑑で調べるとなると、対象物を覚えておくことが必要になります。そのタイムラグを逆に利用して、「よ〜くみて覚えておいて!」と声をかけてみましょう。すると、子どもは俄然やる気を出して、近づいてじっくりと色や形や動きなどを観察するはずです。可能であればスケッチブックとえんぴつを持ち歩き、観察の際にわたしてあげるのもいいですね。図鑑の出番を増やすにはいろいろ考えて図鑑を買ったというのに、ちっとも開こうとしない……。そんな場合も、子どもに無理やり押しつけるのはもってのほか。もともと興味がある分野だったのに、「読まないともったいないじゃない」「たまには見てみたら」などと言って押しつけてしまうと、図鑑そのものだけでなく、せっかく興味を持っていた分野さえも敬遠するようになってしまいかねません。では、子どもが自然と図鑑に触れるようになるには、親はどのようなアプローチができるのでしょうか。キーワードは「親も一緒に」。少しの歩み寄りで、子どもにも変化が生まれるはずです。■親が図鑑を読む姿を見せる子どもはいつも親を見ているもの。親が習慣的に図鑑を読んでいたら、子どももまねて自分で読んだり、隣に座ってのぞき込んできたりするはずです。ただし、親にも無理は禁物。短時間でも真剣に、楽しそうに読んでいる様子を持続的に見せるのがいいでしょう。そして時には「ねえ見てみて、◯◯って書いてあるよ」と、図鑑のページから親子の会話の糸口をつかんでみるのもいいかもしれません。■図鑑クイズを出し合ってみる親が「カメはどんな場所に卵を産むでしょう?」などとクイズを出し、答えは図鑑で調べて解説します。逆に、子どもにも図鑑の中からクイズを出してもらうのも楽しいものです。図鑑には大人も知らない知識がたくさん載っているということがわかり、図鑑のすごさも改めて感じられるでしょう。ただし、このクイズは暗記のためのものではなく、あくまでも好奇心を持つことが目的。「今の話は覚えておいたほうがいい」「理科の授業でテストに出るよ」などと念押しする必要はなく、図鑑による楽しい時間を過ごせるように心がけましょう。上記のことをためしてみても、ちっとも興味を示さなければ、そういうものだと割り切ってもいいのです。中学受験情報局「かしこい塾の使い方」主任相談員の小川大介氏は「子どもは、出会いたい知識に出会いたい瞬間に出会わせてあげれば、知識を勝手に吸収して賢くなっていく」と言います。何年も図鑑を開くことがなくても、置いてさえおけば、学校や塾の授業や自由研究などでいずれ手に取る機会がやってきます。出会うべきタイミングを焦らず気長に待つのも大事なことです。***そもそも自分が図鑑に馴染みがなく、「図鑑をどうやって見たらいいのかわからない」と感じる親も少なくないはず。それでも堅く考える必要はなく、ビジュアルを見て楽しんだり、子どもが好きそうなところだけを調べてみだり。要はおもしろがることができればよいのです。図鑑は子どもの学びの相棒となるだけでなく、親にとっても、子どもと学びながらコミュニケーションを取ることができるすばらしいツール。日常生活の中に上手に取り入れていけるといいですね。文/酒井絢子(参考)こどもまなび☆ラボ|子どもは勝手にかしこく育つ。“自ら学ぶ力”を伸ばす辞書・地図・図鑑の活用法こどもまなび☆ラボ|“好奇心” がぐんぐん伸びる!学習効果アップのために活用したい「図鑑」のチカラJ-WAVE NEWS|賢い子は図鑑で育てる! 東大生の9割が実践していた知的好奇心を伸ばす方法小川大介(2016) ,『頭がいい子の家のリビングには必ず「辞書」「地図」「図鑑」がある』,すばる舎.瀧靖之(2016) ,『16万人の脳画像を見てきた脳医学者が教える「賢い子」に育てる究極のコツ』,文響社.祖川泰治(2015) ,『小学校前の3年間にできること、してあげたいこと』,すばる舎.
2019年06月14日自己肯定感を育むことができるのは「存在承認」なのだそう。存在承認とは、「生まれてくれて、ありがとう」「あなたがいてくれるだけで、うれしい」など、存在そのものを承認すること。対して、「行動承認」というのもあります。これは、「テストで満点」「スポーツで1位」など、行動を承認すること。「〇〇ができてえらいね」「△△してくれたから、大好きだよ」というほめ言葉などを指します。この行動承認の言葉――ついつい言いがちですが、子どものためには「ありのままのあなたを愛しているよ!」、そんなふうに伝えたいものですね。■参照コラム記事はこちら↓「大好きだよ!」で子どもは育つ。“愛されている自覚”が自己肯定感を高め、勉強姿勢までも変える
2019年05月26日この度、息子が早稲田大学に入学したのですが、塾に通うことなく(夏期講習や通信教育なども一切なし)学校の勉強と自主勉強だけで(公立の小学校→中学校→高校)、受かることができました。もちろん本人の努力の賜物! なのですが、「どう勉強させていたの?」とか「親の声がけは?」とか聞かれることが多かったので、記事にしてみました。お役に立つのかわかりませんが…あくまで私個人の関わり方、考え方ですので、参考程度に読んでいただけたら嬉しいです。まず私は「学校の勉強・宿題」をしっかりやれたら、それ以上勉強させようという意識はありません。長女の場合…親子で宿題ノイローゼ!無理に勉強させるつもりはなかったのですが…第1子である長女が勉強嫌い(理解力はあるにも関わらず)で、最低限と思っていた宿題ですらやりたくなくて毎日何時間もかかるという…親子して宿題ノイローゼになりそうでした(笑)この経験から、「学ぶことは本来楽しいことのはず…やらせるものではなく、自らやるもの」にしないと意味がないと思うようになりました。そしてそのためにはどうしたらいいか。自分で勉強することが軌道に乗るまでは親の関わりが必要なので、息子には「嫌にならない声がけ」を意識しました。(長女、ごめん…(笑))長男の場合…命令ではなく、自分で決めさせるような声がけにそして学校のテストに対しては、「点数を競うものではなく、自分の習熟度を知るためのもの」ということを子どもにわかるように伝えてきました。こうしてるうちに長男は言わなくても宿題をやり、間違ったところは潰してスッキリするように。高校受験の時の…塾についてそんな長男、中学3年生のときのこと、高校受験が近づいてきて周囲に変化があったようです。塾は必要があれば行った方がいいとは思いますが「みんながやるから」ではなく本当に必要なのか、やりたいのかを聞きました。公立高校の受験であれば学校で習ったこととその応用なので特別なことはありません。…というわけで本人納得のもと自主勉強で乗り切りました。大学受験の時…学校の三者面談でチェックしたことそして…大学受験です。さすがに大学受験は塾も必要になるのかなと思い、「必要なら言ってね」と伝えておいたのですが、大丈夫とのことで、塾には通いませんでした。もう進路を考えることは本人主体でと思っているので口出ししません。私自身が高卒なので大学受験のことは正直わからず…高校3年時の三者面談でもこんなでした(汗)面談では頼りない私でしたが、学校・先生が大学受験に必要なフォローを行ってくれそうかどうか、この一点だけは見てきました。しっかり導いていただけそうだったのでもうお任せ。息子の通っていた高校は進学校と言われる水準の学校だったので、周囲の子や先生の影響・刺激を大いに受けたみたいです。コレが結構大きかった気がしていますので、大学受験はその前の高校選びも大切だと思っています。模試などで自分の現状を知り、弱いところを潰す。問題集や参考書は自分に合ったものを探し、自分が受験する大学の赤本をやりこむ。これを徹底したようです。運動部だったので部に所属している間は、勉強時間は大して多くはなかったようですが、部活を引退してからは急に勉強漬けの日々、毎日一人コツコツ8時間くらい勉強していたようです。受験勉強を乗り越えるために大事だと思ったこと最終的に…こんなふうに私が邪魔をするという(笑)親が気にして勉強勉強とあおるより、わが家はこれくらいの関係の方が本人のやる気もキープできていたようです。お尻を叩くのは、学校の先生にお任せ! でした。あと、苦しい時もあるであろう受験勉強を乗り越えるためには、目的(将来なにがしたいか)を持っていた方が強いです。(息子は就きたい職業が決まっていましてそのための受験でした)目的は決められないけど可能性を広げるために勉強する…というのは勉強が好きな子はいいですが、そうでない場合は難しいことだと思います。大学に合格することがゴールではなく、なりたい自分になるための通過点であることを忘れずに有意義な学生生活を送ってほしいなと思います。あ、そうそう、勉強嫌い娘がどうなったかはまた後日記事を描きたいと思います(笑)
2019年05月15日発達が気になる小学生の保護者の「知りたい」を詰め込んだ本に小学校生活では、勉強や友人関係、学校のきまりや行事など、さまざまな場面で「困った!」を感じるお子さんや保護者の皆さんも多いのではないでしょうか?出版社・すばる舎は、発達が気になる小学生の家庭生活から学習まで、さまざまな「困りごと」を解決するヒントを詰め込んだ本を制作しています。この書籍の制作にあたり、発達ナビ編集部も制作協力を、発達ナビのコラムの監修をしてくださっている井上雅彦先生も総監修としてかかわることになりました。Upload By 発達ナビ編集部そこで、発達が気になるお子さんを育てる保護者の皆さんから、子育ての中で感じている不安や疑問からご家庭での工夫まで、さまざまなご意見をいただき、よりニーズに合う内容の本にしたいと考えています。勉強・友達・家庭生活…どんなことに困っている?何が知りたい?アンケートを実施Upload By 発達ナビ編集部この本では、次のような内容について、具体的な困りごととその背景にあるもの、対応方法などを紹介していきたいと考えています。●家庭生活・身辺自立●学習・運動●学校・集団生活●人間関係●お金・時間・気持ちのコントロール「わが家では特にこれが困っている」「こんな風にしたらスムーズにできるようになった」といったさまざまな声を生かした本にしたいと考えています。ぜひ皆さんの声を寄せてください!【対象】5歳~15歳のお子さんを育てる保護者※該当するお子さんが2人以上いらっしゃる場合は、まずはお一人についてご回答ください。2人目以降のお子さんについては、お手数ですが再度フォームにご回答いただければ幸いです。【回答期限】2019年5月17日(金)本アンケートは、無記名で選択式及び記述式となっており、所用時間は15分程度です。
2019年05月10日「10歳の壁・9歳の壁・小4の壁」という言葉を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。9~10歳のころに、子供が勉強面や心理面でつまずいてしまうのは珍しくありません。「壁」を乗り越え、将来、自立した大人になるためには、この時期に自分に自信をつけることが大切です。今回は、子供が自分に自信を持つべき理由と、そのために親ができることを2つ紹介します。劣等感が生まれる!?「10歳の壁」とは10歳の壁とは、10歳前後の子供が直面する課題として、よく知られています。「9歳の壁」「小4の壁」と言われることもありますね。文部科学省は、この時期の子供について、次のように説明しています。対象との間に距離をおいた分析ができるようになり、知的な活動においてもより分化した追求が可能となる。自分のことも客観的にとらえられるようになるが、一方、発達の個人差も顕著になる(いわゆる「9歳の壁」)。身体も大きく成長し、自己肯定感を持ちはじめる時期であるが、反面、発達の個人差も大きく見られることから、自己に対する肯定的な意識を持てず、劣等感を持ちやすくなる時期でもある。(太字による強調は編集部が施した)(引用元:文部科学省|3.子どもの発達段階ごとの特徴と重視すべき課題)子供の考え方は9~10歳の時期に大きく転換します。この転換によって、抽象的な「5-2=3」という式を、「5個のミカンを2つ食べたから残りは3個」などの具体例を介さずに理解できるようになります。また、抽象的な概念だけでなく、他人の目から見た自分の姿も理解し始めます。抽象的な考え方ができるようになるまでの期間は個人差があるので、子供たちは自己と他人を比べてしまい、自己肯定感を失いがちです。そして、このときに自己肯定感を失ったままだと、その後の成長に大きな影を落としかねないのです。10歳の壁を壊す「自己肯定感」の大切さ多くの企業・学校で活用されている行動習慣化メソッドを開発した人材育成研究家の永谷研一さんは、自己肯定感の大切さを次のように述べます。自己肯定感が高い人は、楽観的に物事を考えることができるので、少々不安であっても前向きな行動を起こすことができます。また自分の気持ちを開示することができるので、周りからのアドバイスも受けやすく、ぐんぐん成長することができます。その逆に自己肯定感が低い人は、悲観的に物事を考えてしまう傾向があります。新しい行動を起こそうとしてもリスクを考えて踏みとどまってしまい、前に進むことができません。(太字による強調は編集部が施した)(引用元:東洋経済ONLINE|「自己肯定感」が低い人に現れる”残念な症状”伸びる人と停滞する人の差にもつながる)自己肯定感を失ってしまった子供は、「どうせ頑張ったって、できないんだ」と考えるようになり、次第に挑戦をしなくなります。自分から行動を起こすことはなくなり、将来、指示待ち人間となってしまう可能性もあるでしょう。そして、人の後をついてゆくだけの人間にとって、これからの時代を生き抜くには厳しそうです。「東大・京大で一番読まれた本」として知られる『思考の整理学』の著者・外山滋比古さんは次のように述べます。僕が本に書いたのは、“墜落してもいいから飛行機になれ”ということです。グライダー型人間はモノマネが得意だけれど、新しい事態や時代の変化に対応できません。しかも現在は30年前よりはるかに時代が進み、学校で学んだ知識がより通用しなくなった。人工知能(AI)やITなどが発達した今こそ、他人に引っ張ってもらって飛ぶグライダー型人間ではなく、自力で自分のめざす場所まで飛べる飛行機型人間が求められています。(太字による強調は編集部が施した)(引用元:NEWSポストセブン|外山滋比古氏の提言「墜落してもいいから飛行機になれ」)子どもが将来活躍するためには、主体性を持って行動する必要があります。そのため、主体性を生みだす自己肯定感はとても大切な要素なのです。では、10歳の壁に負けず、子供に自己肯定感を身につけさせるためにはどうすればよいのでしょうか?叱ってばかりだと、自己肯定感はボロボロに……一番大切なのは、親が子供を信頼し、行動を見守るということです。子供が行動するとき、失敗しそうで不安になり、あれこれ口を出していませんか?「早く宿題をやりなさい」や「部屋をきれいにしなさい」などと、子供の行動に毎回口をはさみ叱っていると、子供はどんどん挑戦する心を失っていってしまうのです。教員出身の教育評論家、親野智可等(ちから)さんは次のように述べます。待てない親や先生は必ず子どもを傷つけます。目先のことばかり見て「○○ができてない。ちゃんとやらなきゃダメでしょ」と否定的に叱り続け、結局は子どもの自己肯定感をボロボロにしてしまうのです。(太字による強調は編集部が施した)(引用元:親力|やる気のスイッチが入る人と入らない人、その差はどこに?)子供は自分で必要だと感じたら、その時に自分で考えて、何とかしようと行動します。そして、その行動をやり遂げることによって、子供たちは「自分なら大丈夫だ、自分もできるのだ」と思えるようになるのです。したがって、自己肯定感を身につけさせるには、まず、子供の行動を見守ってあげることが大切なのです。「頭がいいね!」で自己肯定感は伸びないまた、親が子供をきちんとほめてあげることでも、子供の自己肯定感は高まります。その際、ほめ方に注意が必要です。褒めるときは子供の能力ではなく、行動を褒めましょう。スタンフォード大学で行われた実験によると、能力をほめられた子供は学習意欲が下がってしまうのだそう。ドゥエック教授は、子どもを対象としたテストで「頭がいいから成績がよかった」と能力をほめたグループと、「がんばったから成績がよかった」と努力をほめたグループのその後の行動を観察しました。すると、能力をほめたグループの子どもは新しい課題に消極的になったり、なかなか解けない難題に対して「楽しくない」「自分はできない」とあきらめてしまったりしたそうです。一方、努力をほめたグループは新しい課題にも積極的に取り組み、難問にも根気よくがんばる姿勢を見せ、最終的にいい成績を収めたといいます。(太字による強調は編集部が施した)(引用元:サイバーユニバーシティ株式会社|能力ではなく「努力」をほめる!効果的なフィードバックの方法)人間は能力を評価されると、その「能力が高い」という評価を維持するために行動してしまうのだそう。「頭がいいね」と褒められた子供たちは、「自分が問題をとけない、つまり頭がよくない」という評価を避けるために、「そもそも挑戦をしない」という決断をしてしまうのですね。また、米カリフォルニア大学サンディエゴ校とカナダのトロント大学、中国杭州師範大学の研究者らが行った研究では、「頭がいいね」と褒められた子供たちは、不正行為をする可能性が高くなるという結果でした。したがって、子供を褒めるときは、子供が努力した姿に注目してあげるようにしましょう。***9~10歳の子供は、勉強・身体の成長・人間関係などあらゆる面で大きな変化を迎えます。そんな子供がのびのびと挑戦し育ってゆくためにも、親はどーんと構えて子供を見守ってあげましょう。そうすることで、子供は主体性のある大人に成長できるでしょう。文/村瀬裕一(参考)文部科学省|3.子どもの発達段階ごとの特徴と重視すべき課題ダ・ヴィンチニュース|225万部突破! なぜ『思考の整理学』は東大生から根強く支持されるのか?AllAbout|「10歳の壁/小4の壁」子供がぶつかる勉強の見えない壁への対策3つ親力|やる気のスイッチが入る人と入らない人、その差はどこに?AERA dot.|「9歳・10歳の壁」を乗り越える3つの法則帝京科学大学学術リポジトリ|児童期の認知発達と心理発達の特徴と支援について産経新聞|写真で褒める「ほめ写」子供の自己肯定感アップJ-CASTニュース|子どもを「賢い」と褒め続ける教育ご用心!インチキする子になりますよ
2019年05月07日「小学校入学前にひらがなやカタカナを覚えたし、簡単な足し算・引き算なら大丈夫!」というご家庭が多くなっています。出遅れないようにと準備して臨みますが、小学校低学年で習う内容は簡単なので、入学後は親子で拍子抜けしてしまうかもしれません。ところが、簡単な低学年での学習内容こそが、中学年以上での理解度を大きく左右する大事な基礎となります。簡単なのに絶対外せないのが低学年の学習内容なのです。今回は、低学年(1~2年生)で習う国語と算数の学習内容からいくつか例を挙げ、どんなポイントが重要なのか、何に気をつけて学習すれば学年が上がっても苦労しないのかを紹介していきます。【国語】漢字は成り立ちから考える。音読は具体的に褒める。まず国語ですが、文部科学省の学習指導要領には1年生の授業全体850時間のうち306時間が、2年生は910時間のうち315時間が定められ、実に3分の1以上の授業時間が費やされるほど重視されています。【重要ポイント】ひらがな、カタカナ、漢字の読み書きによって、物の名前や動きや様子、自分や相手の気持ちを理解し表現できるようになります。漢字は1年生で80文字、2年生では160文字を習いますが、身の回りのことを伝えるのに必要な、数、方向、位置、形状、色、時間、自然、天気、学校生活でよく使う日常生活に密着した文字が中心になります。<↑1年生で習う漢字><↑2年生で習う漢字>【勉強のコツ】正しい文字を習得するには、書けることよりも読めるようになることが先で、ひらがな、カタカナ、漢字のどれにも同じことがいえます。その中で、■形がよく似ている文字を比べてどこか違うのかを見つける■ひらがなとカタカナは1文字ずつ対応していることが分かる■漢字にはよく似た仲間(部首)があるといった、文字の比較から部首の存在に気づけると、漢字の成り立ちや意味をスムーズに理解できるので、その先の漢字学習が楽になります。ただくり返し書くだけでなく、漢字にインパクトを持たせることが重要なのですね。また、低学年の教科書に取り上げられている文章は、シンプルでリズムが良いのが特徴で、何度も繰り返し音読してフレーズに親しむことで、文章の組み立て方や表現の仕方を学ぶことができます。語彙や表現方法の幅が広がると文章力アップにつながります。子どもの音読は聞き流しせず、「おじいさんのセリフがとてもよかったよ」「大きな声で読めていたね」と具体的に褒めてあげましょう。【算数】足し算・引き算をとにかくしっかり定着させる次に、算数の授業時間数は、1年生では授業全体850時間のうち136時間が、2年生では授業全体910時間のうち175時間が文部科学省の学習指導要領に定められています。国語に比べて時間数は少ないですが、この先の算数や数学へつながる基礎を作る内容ですのでしっかり理解しておく必要があります。【重要ポイント】算数の勉強といえば、足し算や引き算からスタートというイメージもありますが、実は「数の仕組み」から始まります。ものの個数を数えたり数字で表したり、あるいは「前から○番目」「右から○人」といった順序数を学びます。そのうえで、繰り上がりや繰り下がりも含めた足し算・引き算について学び、2年生になると掛け算へと発展していきます。また、数や計算以外にも量や長さ、広さ、時間といった図形や単位に関わる学習も始まります。【勉強のコツ】数の仕組みを最初に学習するとき、お子さんが何番目といくつ分の違いをしっかり理解しているか確認しましょう。これは日常生活の中で「上から3段目の棚の右から2番目にあるお皿を1枚取ってくれる?」「100円で39円のきゅうりは何本買えると思う?」といった問いかけで理解度を確認できます。単位や時間についても同じように、机以外の場所で「水を150ml用意してくれる?」「この番組は30分だったから、今日はあと30分テレビが見られるね」など、なるべく具体的なものや形を使って問いかけるといいでしょう。子どもはクイズが大好きです。「えー!すごいね、合ってるよ!」など大げさに褒めてあげてください。足し算や引き算は計算カードで繰り返し何度も覚え、タイムを計って読み上げる宿題を出す学校もあります。数式をみるたびに数の増減を考えるのではなく、見た瞬間に答えが口をついて出るまで慣れておきましょう。というのも、2年生や3年生で登場する掛け算や割り算は、足し算と引き算が繰り上がったり繰り下がったりしながら何重にも関わる「積み上げの学習」ですから、掛け算や割り算をスピーディに計算をするには基本となる足し算や引き算がいかに定着しているかがカギになります。勉強が簡単なうちに身につけたい「学習習慣」と「問題解決力」一度子どもが「なんだか国語(算数)って難しい……」と感じてしまうと、なかなかスムーズに学習が進まないようです。簡単に理解できて「勉強って楽しい!」と感じる段階から、少しずつ勉強の習慣づけをしていくことが大切です。低学年のうちは、家庭での学習時間は5~10分もあれば十分とも言われます。しかし、学校の授業は45分単位と子どもが集中できる時間に比べて長いので、これに慣れるためにも30分くらい続けて机に向かうことができるのが望ましいでしょう。学校から出された宿題を済ませたあとは、図書館で借りた本や授業で使う副読本を読むのもいいですし、席を立ってうろうろ歩き回らなければ、塗り絵やパズルなどで遊ぶことも立派な勉強だと認めて褒めてあげてください。低学年のうちに「1日30分、必ず机に向かって勉強する」ことを毎日達成して自信につなげるようにします。また、内容が簡単なうちに「分からないところを分かるようにするクセ」をつておくことも重要です。特に、算数は上述したように1年生の学習から積み上げていくものですから、どこかでつまずいたまま進んでいくと、その先の理解をストップさせてしまいます。ひとつずつ問題をクリアしていく問題解決力を養うためにも、毎日の学習で分からないところを分かるようにしましょう。***大きくなってからでは、なかなか身につかない勉強の習慣。低学年のうちにしっかり身につけるには、お父さんやお母さんがお子さんの横で勉強を見届け、頑張っている姿を認めて褒めてあげると効果的です。しばらく時間はかかるかもしれませんが、親御さんの声かけで子どもは自分に自信がつき、学年が上がってからも机に向かうようになりますよ。(参考)文部科学省|平成29年改訂小学校学習指導要領浜学園教育情報TIPS|小学校低学年から身につけたい学習方法浜学園教育情報TIPS|高学年の成績に直結!低学年のうちに最低限 身につけたいこと【算数編】ベネッセ教育情報サイト|元小学校教員が語る!低学年のご家庭でやっておきたい3つのことって?
2019年05月03日新学期が始まり、子どもには気持ち新たに勉強に励んでほしいと願う保護者も多いことでしょう。そのためにはまず、環境作りが大切です。普段なかなか集中して勉強できいないとしたら、今の環境が関係しているのかもしれません。今回は2級建築士である筆者が“子どもが集中して勉強できるリビングの作り方”についてお伝えします。1:勉強するときは、壁を背にする人は背後を警戒するため、背後に気配を感じると集中できません。そのため、壁を背にして勉強にするのが望ましいでしょう。これは、子ども部屋を設けた際にも同じことが言えます。机に向かって座ったときに、背中側が壁、子どもからは出入り口が見えるという配置がベストです。反対に、子ども部屋に入ったときに、勉強している子どもの背中が見える状態はNGです。子どもは出入り口からいつ人が入ってくるかと警戒するため、集中力がそがれます。2:昼光色か昼白色のデスクライトを使用するリビングに用いられている照明の色を気にしたことはありますか?多くの場合、電球色と呼ばれるオレンジ色っぽい光か、太陽光のような自然な色の昼白色が用いられています。しかし学習面において一番いい色みは、昼光色と呼ばれる青みがかった白の光です。昼光色は脳を覚醒し、集中力を高める効果があると言われています。文字もはっきり見えますので、オフィスなどに用いられることが多いです。そうは言っても、リビングの照明が埋め込まれていて変えることが容易でなかったり、なにより昼光色はくつろぎの場であるリビングには不向きです。手軽なのは、デスクライトを取り入れること。リビングの明るさは、そもそも勉強をする際の手元を照らすには足りない場合が多いため、昼光色のデスクライトがあるといいでしょう。ただし、昼光色は子どもによってはまぶしすぎると感じるケースもありますので、その場合には昼白色でも。3:リビングに観葉植物を置く植物には記憶力や集中力を高める効果があると同時に、リラックスさせる効力をもちます。観葉植物を置いたリビングは、落ち着いて勉強するのに最適です。実際に職場に観葉植物を置くことで、効率的に仕事をこなせるという実証もあるほど。ヒーリング効果も期待できる植物ですが、部屋に置きたくないという方には緑色のアイテムを取り入れるだけでもオススメです。緑色のクッションやラグ、またはソファに緑色のブランケットをかけるだけでもOK。緑は見る人への刺激が少なく、落ち着きや安心感を与えます。また目の疲れを緩和する働きも。そのほか、学習する際にはおもちゃやゲームなど、誘惑をシャットアウトすることも必要でしょう。わが家では小学生の息子の下に2人子どもがいますが、勉強中は必ずテレビを消すことをルールとしています。ただし、ラジオは流していることが多いです。BGMとして音楽などが流れていることは、脳科学的にも集中力が増すことが証明されています。でも好きな音楽のCDは音楽に集中してしまうのでNGですよ。ぜひ参考にしてみてくださいね!<文・写真:フリーランス記者沖田かへ>
2019年04月24日障害がある子が利用できるサービスの基礎知識から申請方法までが詰め込まれた1冊『障害のある子が将来にわたって受けられるサービスのすべて』障害がある子が産まれてから、親なきあとのことまで利用できるサービスを広く紹介されているので、今利用できるものの理解から、将来に向けて準備しておくことまでを1冊読むことで理解でき、漠然とした不安をを解消できそうです。1章は「保育・教育」に関するサービスについて。通所サービスの利用まで種類や利用までの流れ、多様な学びの場についてなどが紹介されています。2章では就労について、3章では障害者手帳によるサービスが、4章では障害者総合支援法に基づくサービスとして、ショートステイや同行援護、相談支援などさまざまなサービスや申請、費用などについての詳細を知ることができます。5章では、障害年金についての基礎知識や請求方法が、6章では親なきあとに向けてどのような制度が活用できるかが紹介されています。親子の視点で振り返る、0才から24才までの発達障害のある子どもの軌跡『ADHDと自閉症スペクトラムの自分がみつけた未来』ADHDと自閉症スペクトラムがある著者のこれまでの軌跡を、自身と母親2人の視点で振り返った一冊。生まれてすぐの様子から、幼稚園、小学校、中学、高校、大学、そして就職までがまとめて書かれています。多動、不登校、就活など、それぞれの時期にある困りごとや葛藤、乗り越えるまでがリアルな感情とともに綴られているため、描かれる場面の様子が鮮明にイメージできます。またこの本の特徴ともいえるのが、当事者である本人の声だけでなく、母親の声が共に紹介されていること。同じ時期に母親が考えていたこと、思ったことも記されているため、保護者としての気持ちに共感したり、こんな捉え方もあっていいんだ、と感じられるはず。子どもの感情を育てるヒントが盛りだくさん!『イラスト版子どもの感情力をアップする本 自己肯定感を高められる気持ちマネジメント50』嬉しい、楽しい、困った、悲しい、毎日たくんさんの気持ちがあふれる子どもたち。その一方で上手くそうした感情とつき合うことができない子どももいます。どのように感情を言葉にすれば良いかが分からなかったり、感情のコントロールが苦手であったりと、一人ひとり困りごとは異なります。この本では、場面ごとに子どもの気持ちを育くみ、自己肯定感を高めるヒントをワーク形式で紹介しています。心理学の専門家であり教育学博士でもある渡辺弥生先生が監修を務めます。イラストが主体のワークに加えてポイントで解説も書かれているので、子どもと一緒に取り組むのにぴったりな一冊です。3つのステップで友達や先生との関わり方を解説する『ソーシャルスキルトレーニング絵カード 小学生低学年版』①こんなとき②こうするよりは③こうしてみてはの”3つのステップ”で、場面ごとに人との上手なやり取りが分かる絵カードです。小学生低学年でよくある状況、お友達とのやりとりなどがかわいらしいイラストで描かれています。3つのステップを効果的に子どもに伝える使い方のヒントも紹介されているので、初めてでも取り組みやすいつくりです。また別売りの「アクトボイスペン」という音声ペンと連携しており、絵カードのセリフを読み上げてくれる仕様になっています。同じ言葉でも声色の違いを直接耳にすることで感情を読み解くヒントに繋がったり、実際の状況に近い練習としても使いやすそうです。教科別サポート方法も!発達に凸凹がある子どもの支援が分かる『小学校特別支援教育 指導スキル大全』発達障害のある子どもは小学校にあがると日常生活だけでなく、国語、算数、理科、社会など勉強で困ってしまう場合があります。教科ごとに必要なスキルが異なるため、学校や家庭での勉強のサポートにも工夫が必要です。この本には日常生活での場面に加えて、教科ごとのサポートのアイデアが沢山載っています。音楽や図工、体育や道徳などバリエーションに富んだ内容になっています。写真や例を沢山用いているため、すぐに実践することができそうです。
2019年04月20日ふだんから、愛情を言葉にして子どもに伝えていますか?言葉で言わずとも、日頃の態度やスキンシップで伝わっているはず……と思っている方も多いのではないでしょうか。愛する気持ちを伝えるのが苦手な傾向にある日本人ではあるけれど、恥ずかしがらずに、子どもの前ではストレートに「大好きだよ」と気持ちを伝えてみましょう。すると、親子間のコミュニケーションだけでなく、意外な部分にも効果がみられるそうなのです。愛情を受け止めている子は、自立心も育つ幼児期に日頃からスキンシップや言葉で愛情を与えてばかりいると、べったりと親離れしなくなると考える人も少なくないと思います。けれどもそれは、実は逆。子どもが社会性を持つには、まず親からの愛情をたっぷりと受け止めている必要があるようです。20世紀半ばに、愛着に関する最初の見解がもたらされたころ、保育園でつぎのような事実が確認されました。親とつながりを持つ子どもほど、一時的な親との別れによりよく対処できることがわかったのです。子どもの母親をよく知っていれば、保育士が信頼できる子守役となるのもたやすくなります。子どもたちは保育士を信用し、二次的な愛着心を抱くようになるのです。(引用元:デズモンド・モリス(2010) ,『デズモンド・モリス子どもの心と体の図鑑』,株式会社 柊風舎.)もしも、保育園や幼稚園に入園するにあたり親離れできない子に困っているのなら、今一度、子どもへの愛情表現を見直してみるのもいいのかもしれません。たとえば、毎朝「おはよう」のあいさつの後にギューっと抱きしめながら「大好きだよ!」と言葉にして伝えるのです。子どもをほめ、たくさん抱きしめて安心させ大げさなほど愛情表現をする母親は、それより感情表現の乏しい母親に比べて、我が子が世界を探検する準備ができていることに気づくでしょう。そっけなく、ぶっきらぼうな母親は、子どもを心細くさせます。(引用元:デズモンド・モリス(2010) ,『デズモンド・モリス子どもの心と体の図鑑』,株式会社 柊風舎.)子どもの社会的、感情的な成長、そして自立には、親からの愛情表現が少なからず影響していると言えそうです。自己肯定感を育むことができるのは「存在承認」生涯学習開発財団認定コーチであり「子育てコーチ」として執筆や講演で活躍中の川井道子さんは、『“言うことを聞かない子”が、おどろくほど変わる!「HAPPYワード」7つの法則』(柏書房)のなかで、言葉かけでは「行動承認」だけでなく「存在承認」を大切にすることを説いています。*存在承認=存在そのものに対する承認「生まれてくれて、ありがとう」「あなたがいてくれるだけで、うれしい」など*行動承認=行動に対する承認「◯◯ができてえらいね」「◯◯してくれたから、大好きよ」など(引用元:川井道子 (2014) ,『“言うことを聞かない子”が、おどろくほど変わる!「HAPPYワード」7つの法則』,柏書房.)ふだん使われているほめ言葉のほとんどは、「行動承認」によるもの。子どもにポジティブな声かけをするときは「テストで満点」「スポーツで1位」など、人より優れた部分をほめることが多いと思います。でも、そればかりが増えてしまうと、子どもは「人より優れていないと認めてもらえないんだ」と感じてしまうようになるのです。でも、特別な「良くできたこと」や「いいところ」が見つからなくても大丈夫。日頃から「存在承認」による言葉かけをすることで、子どもは自ずと自己肯定感を育むことができるのです。「ありのままのあなたを愛している――」具体的には、以下のような言葉が有効だと言えそうです。「いつだって◯◯ちゃんが大好きだよ」楽しんでいるときも悲しんでいるときも、ギュッと抱きしめながら伝えたい言葉です。「生まれてきてくれてありがとう」何ひとつできなくても愛しかった赤ちゃんの頃を思い出して。親でいられることの喜びを伝えましょう。「がんばっているね!」ただ結果を待つのではなく、がんばっている子どものありのままの姿をほめてあげましょう。「結果は気にせず、楽しんでおいで」テストや試合がどんな成績を残したとしても、愛情に変わりがないことが伝わる言葉です。「愛されている自覚」が勉強する姿勢を変えるまた、子どもに愛情を伝えることは、勉強に対する姿勢にも好影響を与えるようです。精神科医で和田秀樹こころと体のクリニック院長の和田秀樹氏は、母親は子どもに対し、勉強するから愛しているのではなく、愛しているから勉強してほしい、というメッセージを伝える必要がある、と言います。「勉強しないとお母さんに嫌われるから勉強する。お母さんが恐いから勉強する」というマイナス感情で勉強させるのではなく、「お母さんは僕のことを愛してくれている。僕が勉強すると、大好きなお母さんがもっと喜んでくれるから勉強する」 というプラス感情の方向に持って行ってあげてください。(引用元:和田秀樹(2013) ,『勉強ができる子に育つお母さんの習慣』,PHP研究所.)何かを学ぶとき、マイナス感情が動機になるよりも、プラス感情が動機となって励むほうがやる気が増してくるのは当然のこと。親の「大好きだよ」「愛しているよ」といった存在承認による声かけが、「もっと頑張ろう!」という励ましにつながっていくのです。小学校も中学年以上になると、親子のスキンシップも段々と減っていくものですが、言葉かけはいくつになってもできるもの。「◯◯ちゃんが生まれてきてくれて本当にうれしいんだよ」、「うまくいかなくても、お母さんが◯◯のことを大好きなのは変わらないよ」というような言葉かけを折に触れ重ねていくことで、子どもの自立心と向上心が育ち、親自身も親子関係を見つめ直すことができるはずです。***大人になって素直な気持ちを口にするのには気恥ずかしさもありますが、言葉にしないと伝わらないこともあるものです。子どもからの「ママ、パパ、大好きだよ」がこのうえない喜びであることと同じように、子どももまた、親からの「大好き」を心から喜んでくれるはず。ぜひ日常生活に「大好き」のセリフを取り入れていきましょう。文/酒井絢子(参考)PRESIDENT Online|子供が見違える「短い声かけフレーズ10」PHPファミリー|親の言葉が子を幸せにする!わが子にプラス言葉のシャワーをAll About|育て直しは何歳からでもできる効果的に伝わる子どもの愛し方デズモンド・モリス(2010) ,『デズモンド・モリス子どもの心と体の図鑑』,株式会社 柊風舎.川井道子 (2014) ,『“言うことを聞かない子”が、おどろくほど変わる!「HAPPYワード」7つの法則』,柏書房.和田秀樹(2013) ,『勉強ができる子に育つお母さんの習慣』,PHP研究所.
2019年04月13日子どもの頃、クラスに「運動も勉強も両方できる、万能型の同級生」が何人かいたという記憶はありませんか?それもそのはず、子どもの学力と運動能力には、相関関係があるといわれているのです。今回は、運動能力と学力の関係や、それらをアップさせるための方法について紹介しましょう。「運動能力」と「学力」には相関関係があるスウェーデンのブンケフロという町の小学校で、毎日体育の授業をするクラスと、週2回体育の授業をするクラスを設けて、運動能力と学力の相関関係についての研究が行なわれました。その結果、毎日体育の授業を行ったクラスは、体育が週2回のクラスに比べて、算数、国語、英語の成績が良かったことがわかったのです。アメリカでも同様の研究が行なわれましたが、やはり同じような結果が出ました。心肺機能・筋力・敏捷性が高い子どもたちは、算数と読解のテストで高得点を獲得。そして、体力的に優れているほど、得点が高くなったそうです。なお、日本でも、文部科学省による小中学校の全国都道府県学力テストの結果と体力・運動能力の調査結果を照らし合わせたところ、「運動ができる子どもは勉強もできる」傾向があることがわかっています。やはり「運動」と「勉強」には相関関係があるとみて間違いないようです。文武両道な子どもの特徴3つまた勉強も運動も得意な子どもには、以下のような特徴がみられることが多いといわれています。【特徴1:よく歩いている】フィンランドの調査によると、毎日たくさん歩く子どもは、ストレスに対する抵抗力が高くなり、勉強や宿題を最後までやり通すことが苦にならないといわれています。そのため、毎日の徒歩通学やウォーキングは、子どもの学力向上にも良い影響があるのです。【特徴2:朝食をとる習慣がある】文部科学省の調査によると、朝食をとっている子どもほど、テストの点数が高くなるといわれています。また、農林水産省の調査でも、毎日朝食を食べる子どもは体力合計点が高いとされています。勉強や運動で能力を発揮するためには、そのエネルギーとなる朝食が欠かせないといえるでしょう。【特徴3:何度も繰り返し学べる】例えば、漢字の読み書きや計算方法を覚えることと、ボールの投げ方を覚えることは、一見まったく違う分野に見えます。しかし、いずれも何度も繰り返すことで、脳から神経に「こうすれば、この漢字が書ける」「こうすれば、ボールがまっすぐ投げられる」という電気信号が発信されるという仕組みになっているのです。そのため、繰り返して学ぶことができれば、運動能力と学力ともに伸ばすことにつながります。「運動能力」「学力」をともに伸ばすための方法運動能力と学力をともに伸ばすためには、以下のような取り組みが効果的です。■心拍数が増える有酸素運動をする脳の記憶中枢として働く海馬や、情報伝達を担うケーブルの集合体である白質は、運動によって刺激を受けることで成長することがわかっています。また、身体を動かした直後は集中力が高くなることも立証されています。記憶力と情報伝達能力、集中力を向上させるためには、心拍数が1分間で最大150回まで上がるような有酸素運動が効果的。具体的には、なわとびやボール遊び、かけっこなどに取り組んでみましょう。■“ちょこっと運動” を取り入れる前述したように、身体を動かすと、その後集中力がアップします。そのため、子どもが宿題などをしているときに集中力が途切れてきたと感じたら、宿題はいったん中断して身体を動かしましょう。数分でできるラジオ体操などを取り入れるのもおすすめです。合間に運動を挟んで集中力を高めることで、集中すべき場面とそうでない場面の切り替えがうまくできるようになることも期待できます。■集団で行なうスポーツに挑戦させるサッカーや野球、バレーボール、バスケットボールなど、集団で行なうスポーツでは、それぞれの考えを持つチームメンバーの中で自分の意見を主張したり、他のメンバーの意見を理解したり、自分よりもレベルの高いメンバーにライバル心を燃やしたりといった、さまざまな場面があります。こうした経験は、子どもの思考力や共感力、社会性の向上にもつながります。また、「みんなで協力してひとつの目標に向き合い、悲しみや喜びを分かち合う」「熱中できるものがある」という経験は、子どもにとって一生の思い出にもなります。***現代の子どもは、交通手段の発達や公園などの減少などにより、身体を動かす機会が限られています。そのため、意識的にスポーツなどを取り入れる必要があります。親子でスポーツを楽しみ、学力・体力の向上につなげましょう。文/田口るい(参考)農林水産省|1 子供の基本的な生活習慣の状況東洋経済オンライン|子どもの学力と体力の知られざる深い関係学研キッズネット|子どもが伸びる家庭の10の習慣第6回スポーツができる子は勉強もできる!?プレジデントオンライン|なぜ頭のいい人は「運動」が好きなのかベネッセ 教育情報サイト|学力も体力も生活習慣が左右!?ベネッセ ウィメンズパーク|第1回 子供の成長と運動の関係 – スポーツキッズの体と心を応援!
2019年04月01日勉強や習い事、お手伝いなどのさまざまな場面で、「子どものやる気がない」「どうしたらやる気を出してくれるのだろう?」と思い悩んだことのある親御さんは多いのではないでしょうか。事前に約束をしたり、繰り返し言い聞かせたりしても一向にやる気を出さない子どもに対して、つい頭ごなしに怒鳴ってしまうこともあるかもしれません。しかし、子どものやる気を引き出すのは、コツさえつかめば大人のやる気を引き出すよりもスムーズです。今回は、子どもと大人のやる気メカニズムの違いや、子どものやる気を引き出すポイントについて解説していきます。子どもの「やる気」を引き出しやすい理由本来、子どもはやる気に満ちあふれています。子どもは大人に比べ、さまざまな事柄に対して経験値が浅いため、日々の生活の中で新しい発見や感動につながることが非常に多いのです。例えば「昨日よりも長い距離を歩けた」という経験は、子どもにとって大きな喜びになります。大人にとっては記憶にも残らないような出来事でも、子どもにとっては印象的で大きな意味を持つ変化であり、成功体験なのです。こうした経験は、脳の奥にある大脳基底核の一部で運動の開始・持続・コントロールなどにかかわる線条体を活性化させ、子どものやる気を大きく引き出します。一方、大人の場合は、これまでの人生経験や知識から、物事に対して現実的になりやすい傾向があります。そのため、子どものように生活におけるさまざまな変化を楽しんだり、刺激を受けたりすることが少なくなるのです。また、大人になるにつれて過程よりも結果を重視される機会が多くなります。よって、経験や行動と快感を結びつけてやる気を呼び起こす線条体への刺激が少なくなり、大人は子どもに比べてやる気を引き出すのが難しいともいえます。やる気が起こる要因は2種類あるけれど……やる気が起こる要因は、心理学的に「外発的動機づけ」と「内発的動機づけ」の2種類に分けられます。どちらも “やる気のもと” ですが、どうやらやる気を出すための引き金が違うようです。それぞれについて説明しましょう。【外発的動機づけ】環境や状況、人や結果といった、外的要因からやる気を起こすこと。例えば、エアコンやフリードリンクといった快適な環境が用意されている、締め切りや試験が明日に迫っている、怖い上司や先生に監視されている、結果を出せば給料アップやご褒美が約束されているなどの理由があって仕事や勉強のやる気が出たというのは、外発的動機づけによるものです。【内発的動機づけ】ある物事の変化や発見、学びや成長から喜びを得て、自分自身でやる気を起こすこと。外発的動機づけとは違い、メリットや報酬など関係なく「これがしたい」という気持ちから、何らかの行動を起こします。内発的動機づけをきっかけとした活動は、外発的動機づけがきっかけになっている場合に比べて、本人が充実感を覚えやすく、持続性があるといわれています。では、子どもたちの「やる気」を出させるためには、どちらの動機づけを利用すればいいのでしょう?人間はやらなければならないことに対し外発的動機づけを用いると、その持続性が下がってしまうということがわかっています。逆に、内発的動機づけを用いたときは、その行動が続きやすくなるのだそう。やらなければいけないことを「勉強」とした場合、つまり、以下のようになります。■内発的動機づけを用いる→勉強が続く!■外発的動機づけを用いる→勉強が続かない……子どものやる気を引き出し継続させるには、内発的動機づけを用いた方が良いでしょう。内発的動機づけで地頭が良くなる!?内発的動機づけによる子どものやる気を引き出すためには、以下の声かけが有効です。■結果ではなく過程を褒める大人になると、物事を結果だけで判断しがちです。そのため、子どもをつい「できたのか、できなかったのか」だけで見てしまうこともあるでしょう。内発的動機づけには、結果よりも過程を楽しむことが重要なので、子どもを褒める際には結果だけでなく過程にも着目してみましょう。例えば、テストで100点が取れなくても、前回より1点でも上がっていたら、そのことをしっかり褒めます。かけっこで勝てなかったとしても「毎日公園で練習を頑張ったもんね。前より速くなったていたよ!」など、以前に比べて成長したことや頑張れば結果が変わることの楽しさや喜びを伝えると、子どものやる気につながります。■子どもが興味を持ったことを肯定する子どもは、自分が興味を持ったことを親が肯定してくれると、自分自身が肯定されたようなうれしい気持ちになります。子どもが何かに興味を持っているということは、すでにそれに対するやる気が芽生えている証拠であり、親がそれを肯定的に捉えることで、やる気がどんどん引き起こされるのです。「ダンゴムシがこんなところにいるなんて、よくわかったね。別の場所も探してみようよ」など、子どもが「もっと知りたい」と思うような声かけをしてみましょう。子どものころの「興味を追究する経験」は、地頭も鍛えられますし、その後の学習姿勢にもかかわってきます。夢中になって図鑑を読むうちに語彙も増え、読めない漢字が読めるようになっているかもしれませんよ。***子どもは、やる気次第でびっくりするほどの成長をみせることもあります。子どもならではの伸びしろを無駄にしないよう、親は子どもの興味ややる気を伸ばすためのサポートを心がけましょう。文/田口るい(参考)coFFee doctors|変化に気づく子ども、結果にこだわる大人~子どものやる気を伸ばすには?~東洋経済オンライン|子どもの「やりたくない」をやる気にする秘訣東洋経済オンライン|子どものやる気に”着火”させる2つの方法ホウドウキョク|子どもの“やる気”はどう作る? 自主性を引き出すための“声かけ&質問”を学ぼうベネッセ教育情報サイト|「原因追究」が子どものやる気を奪う?[やる気を引き出すコーチング]プレジデントオンライン|脳を騙して「4倍働いて2倍遊ぶ」方法Study Hacker|やる気が続かない?学習を持続できる『自己効力感』の高め方Study Hackerこどもまなび☆ラボ|知的好奇心がぐんぐん伸びる!東大生の多くが経験している「ハマり体験」とは
2019年03月24日勉強であれスポーツであれ、意欲的に取り組める子どもになってほしい、子どもの「やる気」を引き出したいと願う親御さんは多いでしょう。でも、なかなか親の思い通りにはならないのが子どもであり、現実です。そこで、子どもの自主性・自立性を引き出す独自の授業で注目を集める、東京学芸大学附属世田谷小学校教諭・沼田晶弘先生に、子どものやる気を引き出すためのアドバイスをしてもらいました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)誰でもやる気にさせる魔法の言葉は存在しないこう言ってしまうと元も子もないかもしれませんが……「この言葉をかけたら子どもがやる気になる」というような魔法の言葉は存在しません。「やる気スイッチ」という言葉が、それこそスイッチを入れるように簡単に子どものやる気を引き出す方法があると誤解を与えているのでしょうね。やる気というものは、コップに水が少しずつ溜まっていくように徐々に蓄積していくもの。その水を溜めるには、日頃から子どもと関わり、声かけをするなどまめにコミュニケーションを取るしかありません。そうして徐々に溜まった水がコップいっぱいになり溢れはじめると、ようやくやる気も溢れ出すという状態になるのです。しかし、具体的にどんな声かけをすればいいのかというとひとことで表現するのはとても難しい。というのも、子どもにはそれぞれに個性がありますし、万能に効く言葉はこの世に存在しないからです。僕の場合であれば、ときには褒めるし、ときには叱るというやり方をします。また、しっかり信頼関係が築けている子どもが相手の場合、「もっとできるだろう、そんなものか」と、発破をかけるようなこともあります。子どものプライドを刺激してやる気を引き出すというわけです。このような場合には、言葉のチョイスは慎重にしなくてはいけません。もちろん、信頼関係を構築するために、日頃から密なコミュニケーションを取っておく必要がある。多くの教員は教室にある自分の席で給食を食べますが、僕は子どもたちのなかで一緒に食べるようにしています。そういった場面では本当にくだらない話もしながら、子ども一人ひとりの性格やキャラクターを把握するのです。自分の子どものやる気を引き出すには、どんなコミュニケーションをするべきか――。親御さんがつねにその意識を持ってお子さんに接してください。そうすれば、自然とかけるべき言葉が見えてくるはずです。子どもが持つプライドが、内発的なやる気を生み出す親御さんにお伝えしておきたいことのひとつに、いわゆるご褒美を頭ごなしに否定しないでほしいということがあります。子どもに限らず、大人でもただ「やる気になりなさい!」と言われてそうなれるものじゃありませんよね(苦笑)?子どもがやる気になることが重要だと思うのなら、やる気を引き出すご褒美を否定するべきではないと思うのです。ご褒美を嫌う親御さんは、「ご褒美で起こしたやる気なんてすぐになくなる」と考えます。たしかにそれには一理あるかもしれない。でも、子ども自身の内側からやる気がみなぎるのをただ待っているだけではなにも変わりません。そうではなくて、ご褒美で出させたやる気が消える前に、内発的にやる気が生まれるように変える必要があるのです。いわばこれは、バーベキューのときの着火と同様の原理です。ご褒美は最初に火をつける新聞紙のようなものだと考えてください。そこに新聞紙をただどんどん足していくだけでは、肝心の炭には火がつきません。炭に火をつけるのが目的だとわかっていれば、新聞紙をどう使えばいいのかがわかるはずなのです。ご褒美否定派の人は、それこそ勝手に炭に火がつくのを待っているだけの状態……。それでは、なかなかやる気を引き出せるものではありません。では、ご褒美という新聞紙でどのように炭に火をつけるのか。それは、先に少しお伝えしましたが、「プライドを刺激する」ということに尽きます。内発的にやる気を生み出すものは、その子が持つプライドしかないといっていいかもしれません。家庭教育にもゲーム的要素を取り入れるこれらのことは、僕がクラスでやっている計算トレーニングに臨む子どもたちを見ていてもよくわかります。そのトレーニングでは、ある条件を満たせばシールをもらえるルールにしています。でも、トップクラスの子どもたちは、続けているうちにシールなんてほしがらなくなってしまいました。では、なにをほしがるのかといえば、「記録」(計算時間)なのです。そういう子どもたちは、すでに自分との戦いという領域に入っていて、内面からどんどんやる気が溢れているような状態にあります。なぜそうなったのかといえば、「もうこのレベルまで到達したら、シールなんかのためじゃないよな!」なんていって、僕がたきつけたからです。そういうことを繰り返してきたことで彼らのモチベーションは一気に上がり、いまや誰にいわれるでもなくとんでもない量の計算を毎日しています。「この子たちは遊びが嫌いなのかな?」なんて心配になるほどに(笑)。このようにして内発的なやる気が生まれるようになれば、当然、勉強の成果も飛躍的に上がります。計算トレーニングをはじめた当初、10分で問題の半分も終えられなかったある女の子は、いまは1分以内にすべての問題を終えるようになりました。家庭では、クラスのライバルのような競争相手がいないので、プライドを刺激するということはやりにくい部分もあるかもしれません。それでも、お父さんやお母さんが競争相手になるとか、ゲーム的な要素を取り入れてプライドを刺激する、やる気を引き出すということはできるのではないでしょうか。『家でできる「自信が持てる子」の育て方』沼田晶弘 著/あさ出版(2018)■ 東京学芸大学附属世田谷小学校教諭・沼田晶弘先生 インタビュー一覧第1回:子どもの「内発的なやる気」を引き出す、たったひとつの方法。第2回:「早くしなさい!」と言わないためには?着替えの時間の『ドラえもん』が効果大な理由(※近日公開)第3回:「褒める」にひそむ意外な盲点。本当に褒めるべきこととそうでないことの違い(※近日公開)第4回:「典型的ないい子」を育てるよりも大切な、伸ばしてやるべき子どもの「考える力」(※近日公開)【プロフィール】沼田晶弘(ぬまた・あきひろ)1975年9月19日生まれ、東京都出身。東京学芸大学附属世田谷小学校教諭。学校図書生活科教科書著者。東京学芸大学教育学部卒業後、インディアナ州立ボールステイト大学大学院で学び、インディアナ州マンシー市名誉市民賞を受賞。スポーツ経営学の修士課程修了後、同大学職員などを経て、2006年から現職。児童の自主性・自立性を引き出す斬新でユニークな授業が読売新聞に取り上げられ話題となる。教育関係のイベント企画を多数実施する他、教育関係だけではなく企業向けの講演も精力的におこなっている。著書に『「変」なクラスが世界を変える! ぬまっち先生と6年1組の挑戦』(中央公論新社)、『子どもが伸びる「声かけ」の正体』(KADOKAWA/角川書店)、『ぬまっちのクラスが「世界一」の理由』(中央公論新社)、『「やる気」を引き出す黄金ルール 動く人を育てる35の戦略』(幻冬舎)など。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年03月20日そろそろ子どもに学習習慣をつけさせたいと考えているなら、朝の時間を勉強タイムにしてはいかがでしょうか。「早起きは三文の徳」と言いますが、脳のはたらきも朝が最も活性化しているようです。今回は、朝学習を取り入れるにあたって、お子さんの年代に合わせたおすすめ勉強法をご紹介します。また、「朝が弱く、すっきり起きられない」「親は朝学習に付き合う必要があるか」など、朝学習を続けるうえで気になるお悩みも解決します。すでに小学生のお子さんでなかなか勉強の習慣が身につかず、この先が不安な親御さんも必見ですよ。朝は脳の「ゴールデンタイム」!早朝から集まって朝食を取りながらミーティングを行なうパワーブレックファストや、観光や寺院巡り、サーフィンなどを楽しんでから会社へ向かうエクストリーム出社など、ここ数年は朝時間を活用する動きが盛んです。このような朝時間の活用は、脳科学においても有効だとわかっています。脳科学者の茂木健一郎氏は、脳のゴールデンタイムについて以下のように話しています。私たちは日中の活動を通して、目や耳からさまざまな情報を得ています。その情報は大脳辺縁系の一部である海馬に集められ、短期記憶として一時的に保管されます。その後に、大脳皮質の側頭連合野に運ばれますが、この段階では記憶は蓄積されているだけです。それが睡眠をとることで、記憶が整理され長期記憶へと変わります。すると朝の脳は前日の記憶がリセットされるため、新しい記憶を収納したり、創造性を発揮することに適した状態になります。この脳の仕組みが、朝の時間がゴールデンタイムだと言われる理由です(引用元:THE21 ONLINE|脳科学者が勧める「朝時間」の使い方)※太字は編集部で施した朝、目覚めたばかりの脳が、1日のうちで最もぐんぐん情報を吸収して新しいことを考えだせるとしたら、この時間帯を上手に使わない手はありませんね。小中学校の約7割が、読書や勉強などの朝学習を実施脳のゴールデンタイムを使った活動は、公立の小中学校でも広く行われているようです。1時間目が始まる前の10~15分くらいを使い、「朝学習」「朝学」のような名前で、子どもたちはドリル学習や読書などを行なって朝の時間を有効に活用しています。文部科学省の教育課程部会が調査した結果によると、平成26年度の実績では、公立の小学校で74.8%、中学校では64.8%が短時間の朝学習を取り入れています。小学校では、そのうちの約半数が朝学習を週に5日行なっていて、「読書」「漢字」「計算」のほか、最近はゲームやチャンツなど音声中心の外国語活動を取り入れているところもあるようです。また、朝学習で得られる効果や成果については、次のように報告されています。目的・効果・成果(小学校)○ 目的として考えるものについては、9割程度の学校が「繰り返し学習による基礎的な知識・技能の定着を挙げており、6割程度の学校が、「朝学習を通じた児童の一日の生活リズムの定着」を挙げている。○ 「短時間学習により、指導の成果や児童の変容がみられたか」という質問に対し、「とてもみられた」または、「みられた」と回答した学校は9割を超える。○ 具体的な成果や変容については、9割程度の学校が「基礎的な知識・技能が身についた」を挙げており、6割程度の学校が「児童の一日の生活リズムが整うようになった」と回答している。(引用元:文部科学省|公立小学校・中学校における短時間学習の実施状況(平成26年度実績))朝の10~15分というわずかな時間でも、繰り返しの学習で知識やスキルの定着のほか子どもたちの生活リズムが整っていることが実感されているようです。年齢別にみた「最適な朝学習」の内容と時間脳は朝から午前中にかけて、前日の情報が整理されてクリアになっている状態なので、考える力が求められることや集中力が必要なことに適しています。ただし、目が覚めてすぐの時間帯は、脳もまだしっかり起きていません。あれこれ複雑に考えなければならない勉強ではなく、音読や計算問題などで脳のウォーミングアップをするのがいいようです。お子さんの年齢に合わせて次のような学習を取り入れてみてはいかがでしょうか。<小学校入学前>入学前に覚えられるようにと、ひらがなや数字の練習をさせたくなりますが、まずは「朝起きたら声を出す、手を動かす」ことから始めましょう。お子さんが好きな絵本があれば親子で音読をするのもいいですし、塗り絵や迷路、仲間見つけなどで楽しく学べる幼児向けのステップアップドリルもおすすめです。毎日少しずつドリルを進めていくと、達成感が得られ、明日も頑張ろうというやる気も起こります。ときには、カルタやパズルで学びにつながる遊びを取り入れてもいいですね。<小学低学年(1~2年生)>音読は、読解力を身につけるためのトレーニングとして効果的ですし、朝一番に声を出すことで脳と体が目覚めます。国語の教科書から、学習している単元の文章を音読してもいいですし、小学校低学年用の読み物を音読してもいいですね。ほかには、学校で習った内容の復習時間にするといいでしょう。宿題で漢字ドリルや計算ドリルの学習が出されていたら、1週間前にやったところや、ひとつ前の単元に戻ってやってみます。すでに済んだところは復習したがらないというお子さんもいるかもしれません。そんなときは、ドリルの問題を逆から進めたりパパやママがランダムに「次は○番!」と指定したりすると、おもしろがってくれますよ。朝学習にかける時間は個人差が出る部分ですが、習慣化していくことを考えると5~30分を目標にすると良さそうです。日によっては、5分、10分を確保するのが精いっぱいということもありますが、朝学習に取り組めたことを認めて褒め、子ども自身が達成感を得られるようにしましょう。また、毎日朝学習を続けていると、その子の中で「型」ができてきます。そして、その「型」が崩れると気持ちが悪いのです。歯を磨いたりお風呂に入ったりするのと同じように、「朝の勉強」をしないと、なんだか気持ちが悪くなるのだそう。そうなったらしめたものですね!朝学習の「困った!」こんなときは、こんなふうにとはいえ、朝学習をしようと親子で決めても、毎日続けるのは大変なことです。大人でさえ、早く起きられない日や気乗りしないこともあるので、当然ながら子どもにもそんな日はあります。朝学習を始めて直面する「困った!」には、どのように対処すればよいでしょうか。●朝、起きられない!朝起きられないことには朝学習も進みません。早めに就寝して、十分な睡眠時間を確保しましょう。朝学習へと一足飛びに進まず、まずは生活リズムを早寝早起きパターンに整えることから始めます。●朝せっかく起きたのに、ボーっとしている目が覚めるのは予定通りの時間でも、起きてからボーっとしていては朝学習の時間を取る前に登校時間が迫ってきます。そのようなときは、朝の日光を浴びる、家の中をぐるぐる歩く、歯を磨いて顔を洗う、音読で声を出すなど体を動かすと目が覚めて頭もスッキリしてきます。●朝は忙しく、子どものそばにいてやれない朝学習が習慣化するまでは、なるべく近くで見届けると、子どものやる気も出やすく、やり遂げることで自信や達成感を得られます。朝は忙しく十分に時間が取れないという家庭であれば、リビングやダイニングテーブルで朝学習をさせながら、目の届くところで朝食や出勤の準備をしながら見届けてもいいでしょう。小学校入学前のお子さんは、朝の30分を学習時間に使えるように起きるところからスタートになる子が多いかもしれません。なかなかスムーズに進まなくても焦らず、子どもの頑張りを応援する気持ちでいることが大切です。***朝学習の良いところは、曜日に関係なく一定の時間を確保しやすいことです。習い事や塾があって、夕方の時間帯はコンスタントに学習時間を取りにくいというお子さんにもオススメの勉強法といえるでしょう。(参考)THE21 ONLINE|脳科学者が勧める「朝時間」の使い方東京法経学院|朝は「脳のゴールデンタイム」!朝に勉強をするのが効率的な理由とは文部科学省|公立小学校・中学校における短時間学習の実施状況(平成26年度実績)ベネッセ教育総合研究所|第4回学習指導基本調査 第2章 教育課程外の時間Study Hacker|勉強する時間帯のゴールデンルール。効率よく勉強できる時間帯をまとめて紹介!Study Hacker|朝の勉強で脳は冴えわたる。メリットだらけの朝勉を続ける3つのコツAll About|「朝勉強」のススメ~朝は勉強のゴールデンタイム~Study Hackerこどもまなび☆ラボ|1日5分から始めよう!毎日続けることで自己肯定感が高くなる「学習習慣」のコツ
2019年03月18日「学力」とは、「教育を通じて獲得した力」です。一般的には、「どれだけ勉強ができるかを示す力」といっていいでしょう。文科省がおこなっている学力調査などは、まさにその意味で使われているものです。しかし、育児や教育に関する執筆活動の他、各種メディアで活躍する教育ジャーナリストのおおたとしまささんは、「『本質的な学力』とは『どう生きていくか』を考える力」だと語ります。構成/岩川悟(slipstream)取材・文/清家茂樹(ESS)写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)勉強をし過ぎる子どもと全然しない子どもいま、小学生を見ていて問題に感じるのは、勉強をする子どもとそうではない子どもの差が開き過ぎているということです。これは中学受験に付随する問題でもあります。いまの中学受験は競争が過酷ですから、受験をするとなるとすごく勉強をしなければなりません。一方、中学受験をしないと決めた子どもは、逆に勉強を全然しなくなる傾向にあるように感じます。人間形成のためか、あるいはいわゆる後伸びする力を養うためか、「子どもの頃にはできるだけ遊んだほうがいい」という意見もあります。でも、その遊びがただゲームをするだけだったり、スマホをいじるばかりだったりというものであれば問題でしょう。もちろんずば抜けて勉強ができる必要はありませんし、教科書を丸暗記するような必要もない。でも、教科書に書かれていることを筋道立てて理解し、小学校で得るべき基礎学力を身につけておかなければ、その子どもの後々の人生は厳しいものになるはずです。それこそ、中学受験はしなくても、高校受験や大学受験の場面で壁にぶつかることになるでしょう。基礎学力や学びの姿勢がなければ、そういうときに手にしようとするのは「付け焼き刃の学力」でしかないのです。つまり、高校入試や大学入試という目的をクリアするためだけの「間に合わせの学力」です。もちろん、それで目的を達成できれば問題はないかもしれません。ただ、付け焼き刃の学力だけしかない場合と、それとは異なる「本質的な学力」を身につけている場合では、その後の人生は大きく変わってくるはずです。「教養」が世界での自分の生かし方を示すでは、「本質的な学力」とはどんなものでしょうか。それは、ふたつの要素にわけられるとわたしは考えています。ひとつは「教養」。もうひとつは、「学び続ける力」です。教養とは、「さまざまな学問の観点から世のなかを見る目を養うこと」です。ここではひとつの卵を例にしましょう。家庭科の観点からなら、卵を使ってどんな料理がつくれるのかという見方になる。栄養学の観点なら、黄身にはビタミンが多くて白身にはタンパク質が多いといった見方になるでしょう。理科なら、この卵がニワトリのものなのか別の生き物のものなのかを見分けるための方法を考える。社会科なら卵の値段が決まった理由を考えるかもしれないし、数学なら卵の容積を求めたり、殻が描く放物線を数式で表す方法を考えたりするかもしれません。ひとつの卵というものも、いろいろな学問の観点、角度から光を当てることによってその本質が立体的に見えてきます。「教養を得る」ということは、そういうふうにさまざまな視点に立つことで、ものごとをより正確に捉えられるようになることなのです。そうして教養を得ると、自分が置かれている世界を正確に把握し、そのなかで自分をどういうふうに生かしていくのかと考えられるようになっていきます。つまり、自分が「どう生きていくのか」を判断できるようになるのです。これは「学ぶ意味」でもあり、もはや付け焼き刃の学力とはまったく別のものですよね。そして、教養が身についていれば、日常のなかで、「あ、こういうことも学ばないといけないな」と新たな課題を次々に見つけることもできるはずです。そういう意味では、「学び続ける力」も教養に含まれると考えることもできるかもしれません。抽象的思考を高めるのは幼いときの「具体的体験」子どもに本質的な学力、つまり教養を身につけさせたいのであれば、幼い頃から「具体的な体験」をできるだけたくさんさせることが重要です。11歳くらいまでは、人間は抽象的な思考を苦手としています。だから、小学生のうちは「りんごがいくつでみかんがいくつ、合わせていくつでしょう?」というふうに、目に見えるもの、手で触れられるものを使って学びます。でも、中学生以降になると、抽象的思考ができるようになる。「x」や「y」という概念上の数字を使って表す方程式を理解するようになります。抽象的思考では、りんごやみかんのような具体物を使いません。でも、頭のなかでは抽象的なものを具体物と同じように操作しています。そして、小さい頃に具体物に触れた体験が豊かであればあるほど、抽象的思考がより得意になるのです。そのために、小さい子どもにはできるだけさまざまな体験をさせてあげてほしいと思います。また、高校受験や大学受験を見越した実利的な面からわたしの意見を述べると、やはり小学校の低学年のうちに学習習慣を身につけさせておくべきです。先にお伝えした、「学び続ける力」にも通じるものですが、受験で成果を出すにも、結局は「自ら学ぶ」姿勢が必要だからです。そのためには、学校で出される宿題以外に、ほんの少しでもいいから別の勉強をすることを子どもの習慣に組み込んでみてください。内容は本当になんでもOKです。市販のドリルをやってもいいし、新聞を読んで気になった記事に対する感想を書くということでも、虫が好きな子どもなら自分で虫図鑑をつくるというプロジェクト型のものでもいいでしょう。そして、それらをやる時間は本当に短くてもいい。1日に10分の「自ら学ぶ」習慣がついていれば、その10分を30分や1時間に伸ばすことができます。でも、ゼロを1にすることはものすごく大変です。自ら学ぶ習慣がないまま大人になると、その後の人生が充実したものでなくなる可能性が高いことは、簡単に想像できますよね。『中学受験「必笑法」』おおたとしまさ 著/中央公論新社(2018)■ 教育ジャーナリスト・おおたとしまささん インタビュー一覧第1回:過当競争極まれり。難関中学への“逆転入学”が子どもに弊害をもたらしている第2回:「間に合わせの学力」では人生厳しい。「本質的な学力」を伸ばす“1日10分”の学び第3回:学力は人並程度あればいい。「新たな時代」を生き抜くためには“3つの力”が必要だ(※近日公開)第4回:「教育虐待」のやっかいな実態。今の子どもには“決定的に足りない”時間がある(※近日公開)【プロフィール】おおたとしまさ1973年10月14日生まれ、東京都出身。教育ジャーナリスト。麻布中学校・高等学校卒業、東京外国外大学英米語学科中退、上智大学外国語学部英語学科卒業。株式会社リクルートを経て独立し、数々の育児誌、教育誌の編集に関わる。心理カウンセラーの資格、中学高校の教員免許を持っており、私立小学校での教員経験もある。現在は、育児、教育、夫婦のパートナーシップ等に関する書籍やコラム執筆、講演活動などで幅広く活躍する。著書は『受験と進学の新常識 いま変わりつつある12の現実』(新潮社)、『名門校とは何か? 人生を変える学舎の条件』(朝日新聞出版)、『ルポ塾歴社会 日本のエリート教育を牛耳る「鉄緑会」と「サピックス」の正体』(幻冬舎)など50冊を超える。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年03月12日入学や進学で環境が変わるこの時期。「新しい環境になじめるかな?」「勉強についていけるかな?」と心配事を抱えて不安でいっぱいになっていませんか?親の不安な気持ちは、子どもにも伝わるもの。親御さんご自身が余裕をもって新しい環境を迎えるためには、どうしたら良いのでしょうか。まずは自宅でできることとして、少しずつ知育アイテムを取り入れることから始めてみましょう。次第に子どもは好奇心が刺激されて、不安な気持ちが小さくなっていくはずです。新しい環境や勉強に対する不安より、「はやくたくさんのことを知りたい!」という期待のほうが大きくなれば、新生活への心配事も吹き飛ぶのではないでしょうか。今回は、子どもの勉強意欲や知的好奇心を自然と高めてくれるアイテムを家庭の中に取り入れるコツをお教えします。子どもの能力を伸ばすとっておきのアイテムとは?賢い子の家にあるものと聞いて何を思い浮かべますか?よく言われているのは、『図鑑』『地図』『地球儀』ですね。なぜ、それらが家にあると、子どもの能力を伸ばすことができるのでしょう。図鑑、地図、地球儀は、どれも子どもの頭に浮かんだ「?」を解決するのを手助けするアイテムです。しかし現代では、「知りたいことを知るため」「情報収集のため」だけであれば、インターネットで充分ですよね。では、今あえてこれらのアイテムを家に置いておく意味とは一体何なのでしょう。なぜ図鑑や辞書や地図がいいかといえば、編集者が情報をきちんと整理して、必要なものを目立たせてくれているからです。(中略)想定される読者とその背景を理解して、どう届くかということを編集者が考えてまとめてくれたものが辞書、図鑑、地図。気づきを生みやすい情報を集合させて、わかりやすいかたちで整理してくれている本の力は、インターネットでは置きかえられません。(引用元:WEDGE Infinity|頭がいい子の家のリビングに辞書・地図・図鑑があるのはなぜ?)そう述べるのは、『頭がいい子の家のリビングには必ず「辞書」「地図」「図鑑」がある』(すばる舎)の著者・小川大介氏です。つまり、あらかじめ図鑑や辞書などの紙で得た知識があるからこそ、インターネットという玉石混交の情報の渦の中に飛び込んでも、情報を取捨選択することができる、というわけです。また、30年以上にわたり難関中学・高校受験指導を行ってきた家庭教師の西村則康先生は、たくさんの家庭にお邪魔するうちに気づいたことがあるそうです。それは、「できる子の家庭は、意外と散らかっている場合が多い」ということ。「お母さんが一生懸命片付けても、子どもの好奇心が勝ってリビングにモノが転がり出てしまっているんです。たとえば、リビングの中心に地球儀が出してあって、それがほこりをかぶっていなければ、「この家の子は地理に興味があって、しょっちゅう眺めているのだろう」と判断できます」と西村先生が言う通り、せっかく買った図鑑も地球儀も、実際に使わなければ何の意味もありません。「ただ置いてあるだけ」ではなく、日常の生活の一部として家庭に馴染ませることが大切なんですね。図鑑・地図・地球儀は小学校の授業で必ず役に立つ!次に、それぞれのアイテムがもたらすメリットについて、より具体的にご紹介します。「本当にいつか役に立つのかな?」と半信半疑の親御さんも、きっと安心できるはずですよ。■図鑑16万人の脳画像を見てきた脳医学者・瀧靖之先生は、著書『「賢い子」に育てる究極のコツ』(文響社)の中で、「成績が伸びていった子は幼い頃から図鑑が大好きで、よく見ていた」と述べています。そして、伸びる子の親は、図鑑を使って子どもの好奇心を上手に刺激していることがわかっていて、それは脳科学の観点からも理にかなっていると説きます。本を読むときは、脳の中でも、「言語野」と呼ばれる「側頭葉」や「前頭葉」などの部分が活性化します。それに加え、図鑑は必ず画像(写真やイラスト)をともないますから、図形認識や空間認知を担う領域など、言語野以外の複数の脳の領域も同時に活性化できます。脳の刺激という面だけで考えても、「図鑑は子どもの脳にいい」ということがわかるでしょう。(瀧 靖之(2016年),『「賢い子」に育てる究極のコツ』,文響社.)また、図鑑の題材の多くは自然科学なので、理系の能力を伸ばすアイテムとしても最適です。たとえば、就学前に魚の図鑑を眺めていて「エラ呼吸」という言葉が目に入ったとします。その時点ではよく意味がわからなくても、小学校6年生の理科で呼吸について習ったとき、「あ!図鑑に出てきた!」という気づきにつながります。このように、「自分はこれを知っている」という自信は、確実に子どもの学習意欲を高めるでしょう。■地図今、子どもの行動力や空間認識力が低下傾向にあることが問題視されています。大人である私たちも、スマートフォンや車のナビゲーションシステムの発達により、音声案内のおかげで地図を読まずに目的地までたどり着くことが可能になりました。しかし、どんなに時代が変わっても「地図が読めること」は、生きていくうえで必要不可欠な能力であり、もちろん学校教育でもしっかりとカリキュラムが組まれています。小学校1・2年生は、生活科の授業において地図を読むための基礎的な力を養います。学校探検や通学路探検、学区内探検を通じて簡単な絵地図などを書かせることで、身近な場所について認識します。小学校3年生からは、本格的に社会科の授業が始まります。地域における社会的事象や地形といった深い知識を学ぶために、地図の見方や記号などを認識し、具体的に活用しながら学習に活かします。また、地図を作成することで空間認識力を養います。生活科の授業に比べて、学ぶ範囲は身近な地域→市区町村→都道府県→世界へと広がります。■地球儀「百ます計算」に代表される陰山メソッドで有名な教育者・陰山英男先生が「子どもの知的好奇心を刺激し、満たすのに地球儀は最適」と太鼓判を押すほど、地球儀は子どもの学びの可能性を広げてくれるアイテムです。一言で地球儀と言っても、基本的なものから付属のタッチペンで音声情報を聞くことができるものまで、今はさまざまな種類が展開されています。お子さんの興味をそそるものを一緒に選んであげましょう。小学校の授業に地球儀が登場するのは5年生から。それまでに、地球儀を身近な遊び道具として生活の中に取り入れることで、小学校高学年からの学習にもスムーズに入っていけるはずです。親が家庭でできること最後に、これらのアイテムを上手に活用するために親ができることについて考えていきましょう。■はじめての図鑑にはワクワク感を!前出の瀧靖之教授は「3~5歳頃に訪れる『なぜなぜ期』には、ぜひ図鑑を活用して子どもの好奇心を思考力に結びつけましょう」と述べています。初めて図鑑に触れさせるときに重要なのが、「図鑑には知らないことがたくさん詰まっていて、ページをめくれば世界が広がって楽しい!」と実感することであり、それを親と共有することです。■図鑑から実体験へとつなげる子どもが図鑑を見て目を輝かせていたら、その内容に関する体験をさせてあげるといいでしょう。恐竜なら博物館、魚なら水族館……図鑑と現実が結びつくと、知識はより強固になります。■地図を貼るならリビングに子どもの目線に合う位置に地図を貼ることで、リビングでリラックスして過ごしているときにも、無意識に目に入ってきます。すると、地図が生活の一部となり、いずれ学校で勉強する地図学習においても抵抗なく受け入れることができるでしょう。■手づくりの地図が宝物になる就学前のお子さんなら、少しずつ地図に慣れさせましょう。いつもは自転車で通り過ぎる近所の道も、あえて地図を片手に徒歩で探索してみると意外な発見があるかもしれません。手づくりの地図を用意して「きれいなお花が咲いている場所」や「猫ちゃんが集まっている公園」に、花や猫のシールを貼って印をつけるのもいいですね。■子どもが自然に手に取る工夫を隂山英男先生は、テレビの近くに図鑑や地球儀を置くことをすすめています。理由は、ニュースやクイズ番組を見て気になったことをすぐに調べられるからです。子どもの行動パターンや生活動線を考えて、「この場所にこれがあったら、学習意欲の向上につなげられるかも」と想像して、さりげなく置いてあげるのがポイントです。■ニュースの話題に国名が出てきたらチャンス!スポーツを題材にすれば低学年の子どもでも世界の国に興味を持つことができます。「サッカーワールドカップが開催されたロシアってどこ?」「テニスの国際大会が開かれるウィンブルドンってどこにあるの?」ニュースから流れてくる話題に耳を傾けていると、自然と世界の国々に興味がわいてきます。■一歩進んだ地球儀の活用法「どうして夏は暑いの?」「どうして夜になると暗くなるの?」こういった疑問に答えるときも地球儀が役立ちます。たとえば懐中電灯を太陽に見立てて地球儀に当て、「日本に太陽が当たっているとき、裏側のブラジルは真っ黒だよね。だから日本が昼ならブラジルは夜だね」と説明しましょう。さらに深い理解につながります。***重要なのは、知育に役立つアイテムを置いておくことではありません。それらをいかに活用し、お子さんの学びにつなげることができるか、そのことを忘れないようにしましょう。(参考)WEDGE Infinity|頭がいい子の家のリビングに辞書・地図・図鑑があるのはなぜ?日経BPムック(2017),『日経DUAL Special!』,日経BPムック.瀧 靖之(2016年),『「賢い子」に育てる究極のコツ』,文響社.洋泉社MOOK(2017),『子どもの脳を伸ばす最高の勉強法』,洋泉社.Study Hacker こどもまなび☆ラボ|もっと地図を楽しもう!「地図が読める」だけじゃない、子どもが地図に親しむメリットStudy Hacker こどもまなび☆ラボ|地球儀で子どもの興味関心をグローバルに!遊びながら学べる、地球儀の上手な活用法。
2019年03月11日子どもが小さいうちは、勉強を見てあげたり、目の届くところで宿題をさせたい…と、リビングで学習をさせている家庭も多いことでしょう。子どもの立場からしても、身近な人の声や生活音がある場所のほうがリラックスできそうですね。ただリビング学習において注意したいのが“照明”です。今回は照明コンサルタントの筆者が、リビング学習において気をつけたい照明について説明します。リビングでは明るさが足りていない?近年の流行として、リビングには埋め込み式のダウンライトが設けられていることが多く、そうでない場合にも“明るすぎない”明かりを使用する傾向が見られます。照明には昼光色と呼ばれる白っぽい光と、暖色と呼ばれるオレンジみを帯びた光がありますが、一般的にダウンライトや間接照明に用いられるのが後者の色です。暖色系の色みには落ち着きがあり、生活をするのにはいいのですが、学習する環境としてふさわしいものではありません。照明の明るさを表すもののひとつに“照度”があげられますが、勉強や読書の際には500~1000ルクスの照度が必要です。多くの家庭のリビングでは、この照度が足りておらず、照度が足りていないと字が見づらいために顔を近づけて見るようになり、視力低下や姿勢を悪くする原因となりかねません。局部照明を加えることで明るさアップに照度を上げるには、机の上に置くデスクライトで補うことができます。このとき、いくつかの注意点があります。・デスクライトを置く位置によっては、手で影を作ってしまうため、きき手の逆側にデスクライトを配置する・夜勉強するときには、デスクライトのみではなく、全体照明を使ってまわりも明るくする・明るすぎない光源を選ぶいずれも目に負担をかけないために必要なことですが、3つ目の光源選びにいたってはデスクライトを購入する際から考えておかなければなりません。デスクライトにも種類が多くありますので、目安として以下のようなものを選ぶといいでしょう。LEDを使用したもの最近ではほとんどの照明がLEDを使用しています。蛍光灯のように熱くならないため、子どもが触っても安全です。消費電力が少ないため、省エネにも。シェード幅の広いものシェードとは電気スタンドのかさの部分を意味します。デスクライトでは“電球のある部分”です。シェード幅が広いものは場所をとってしまうという難点もあるのですが、明るさのムラが少ないため目に負担をかけません。演色性の高いもの自然光があたったときの色が、どれだけ再現されているかを表すのが演色性です。“Ra”で表され、Ra100が自然色と同色です。自然色に近いほど目が疲れにくいため、勉強をする際にはRa80以上のものを選ぶことをおすすめします。購入の際には説明書きを確認してください。勉強をする環境の明るさは、集中力にも影響を及ぼします。今まで明かりには気をつかっていなかった人も、新学期前のこの時期にぜひ見直してみてくださいね。<文・写真:フリーランス記者沖田かへ>
2019年03月10日子どもは時に、大人をハッとさせるような疑問を投げかけてきます。その疑問に正確かつ誠実に答えようとすればするほど、「この答えは本当に子どもに響いているのかな?」「ちゃんと納得できたかな?」と不安になってしまいますよね。今回は、いつの時代も大人を悩ませる子どもの疑問、「どうして勉強しないといけないの?」について、とことん考えてみましょう。「将来のため」はNGみなさんも子どものころ、親御さんに「どうして勉強しないといけないの?」と聞いたことはありませんか?すると、このような答えが返ってきたのではないでしょうか。「いい大学に入るためだよ」「今のうちに勉強しておかないと後で苦労するよ」「なりたい職業につくためだよ」確かにその通りですね。大人になってみると、学生時代にしっかりと勉強することの大切さや意味を実感することも多いはずです。でも、はたして、その回答で子どもは本当に納得し、勉強に対するモチベーションが上がるのでしょうか。ふくしま国語塾主宰のカリスマ教師・福嶋隆史先生は著書の中で次のように述べています。「「将来のためだから」と言われても、たいていの子どもは何年・何十年も先の自分の “将来像” をイメージすることなどできないので、あまり良い答えとは言えません」また、教育・子育てアドバイザーの鳥居りんこさんは、勉強に悩む多くの中高生から相談を持ちかけられるそうです。そこで出たひとつの結論を紹介します。優秀な子供が勉強する目的を見失った時に、大人が「試験のため」「知名度の高い大学へ行くため」「裕福な生活をするため」と言って丸め込もうとすると、親の期待とは正反対のところに着地するケースは少なくない。そうした大人の意見は、幸せに至るひとつの“手段”であって、人生の“真の目的”ではないから子供の疑問解消には至らないのだろう。(引用元:PRESIDENT Online|「なぜ勉強が必要?」子供への模範解答3)ただ漠然と「将来のため」と言い聞かせても、いま現在勉強の意義について疑問を感じている子どもにとっては、納得のいく答えではないようです。ではいったい、どのような回答が望ましいのでしょうか。「勉強する意味」の答えはひとつじゃないここからは、教育のプロや各界の著名人が「人生の先輩」として考えた回答を見ていきましょう。■広い視野で世界を見るため前出の鳥居さんは、藤沢市の聖園女学院中学・高校の校長、ミカエル・カルマノ神父に「人はなぜ勉強しなければならないのでしょう?」と問いかけたところ、次のような答えが返ってきたそうです。「勉強は自分の窓を開けるということです。学ぶことで、今まで見ていたものとは違う何かを見ることになります。視界を広げるために学ぶのです」■子どもの「生きる力」を引き出すため教育ジャーナリストのおおたとしまさ氏は、勉強とは「生きる力を引き出すこと」だと説きます。もともとeducationの語源はラテン語のdocere(引き出す)であるという説があります(アルク語源辞典より)。子どもにインプットするのではなく、アウトプットさせるように仕向けるという意味です。それが正しいとするならば、「未知なる状況に接しても狼狽することなく、道理を見極めて対処する能力」こそ、どんな状況の中でも「生きる力」であり、それを引き出すことこそがeducationの本来の意味だといえるのではないでしょうか。だとすれば大人がすべきことは、子どもに「生きる力」を授けることではなく、子どもの「生きる力」を引き出すことであるといえるはずです。(引用元:おおたとしまさ(2013年),『子どもはなぜ勉強しなくちゃいけないの?』,日経BP社.)■生きるうえで役立つものを選ぶため将棋棋士の羽生善治さんは、道徳について考える本の中で「どうしてお母さんは、ボクの嫌いな勉強をおしつけてくるんだろう?」という子どもの疑問に対して、「たくさんのことを知ると生きていく上で役に立つから」と答えています。この世界にはたくさんのものがあります。目に見えるもの、見えないもの、手にふれられるもの、ふれられないもの、その一つひとつを知ってゆくのが勉強で、外で遊ぶのも勉強です。お母さんは世界のたくさんのことを知ってほしいのです。それが大きくなって大人になった時に生きていく上でとても役に立つ事を知っているのです。たくさん勉強して、たくさん遊んでできるだけたくさんの事を知ってください。そして、大人になったときにいらないものは自分の判断ですべて捨てて、残ったものがあなたが勉強したものです。(引用元:文 やまざきひろし/絵 きむらよう・にさわだいらはるひと(2018年),『答えのない道徳の問題どう解く?』,ポプラ社.)■これからの時代に必要な能力を伸ばすため東京大学名誉教授で教育学者の汐見稔幸先生は「なぜ勉強するのか」という問いに、「好奇心や思考力、表現力を伸ばすため」と答えています。これからは「教えたことをどのくらい覚えているか」ということを学力の目安とするよりは、「与えられたテーマをどう解決していくか」という思考力や、「考えたことをどう伝えるか」というコミュニケーション力や表現力を学力として考えたほうがよい、としたうえで、「豊かな思考力を身につけるには“思考する練習”が必要」とのこと。つまり、テストで良い点数をとるために勉強が必要なのではなく、もっと広い視野で物事を考え、自分の言葉で表現する手段として勉強することが大切なのです。■“学び方” を知るためまた、筑波大学准教授でメディアアーティストの落合陽一氏は、勉強する理由を「新しいことを考えたり、新しいことを身につける方法を学ぶため」と説きます。新しいことを学ぶ必要がある時に、「どう学ぶのが自分にとって効率的か」を知っていると非常に有利になります。そのためにどうやってその状態に自分を持っていけるかを考えながら、常に勉強し続けることが大事になってくるのです。(引用元:落合陽一(2018年),『0才から100才まで学び続けなくてはならない時代を生きる学ぶ人と育てる人のための教科書』,小学館.)よく「学校の勉強なんて社会に出たらまるで役に立たない」という言葉を耳にします。しかし「学習する訓練」を怠っていたら、社会に出たときに新しいことを学習する方法がわからないのでつまずいてしまうのです。■たくさん失敗して成長するため教育評論家の石田勝紀氏は、高校受験を控えたある生徒に「勉強の意味」について聞かれたとき、「自分の成長のため」と答えました。さらに「トップ校にいく人と比べて自分ができないという比較ではなく、1ケ月前の自分と比べて成長したのかどうか」が重要であり、途中で投げ出さず、諦めない姿勢を貫くことの大切さを伝えたのです。また、石田氏は「学び=成長は、失敗や間違いから生まれるもの」だとも説きます。「何が学べたか、次はどうすればうまくいくか?」に焦点を当てるようにすれば、子どもの中に「自分はできる」という自信や希望が芽生えます。そのことを目の当たりにしてきた先生ならではの回答ですね。大事なのは「ごまかさないこと」これまでご紹介してきた“教育のプロ”の回答を参考にして、いくつか答えを考えてみました。ぜひ参考にしてみてください。これから〇〇くんはたくさんの人と出会うよね?その中には、自分とはまったく違う考え方の人もいるかもしれない。そういった人たちとも一緒に遊んだりお話したりするときに、それまで勉強してきたことが役立つんだよ。知らないことを知るって楽しいことなんだよ。ワクワクして「もっと知りたい」って自然に思えることが本当の勉強なんだ。だから、勉強は「楽しむため」にするんだよ。頑張って続けてきたことは、いずれ必ず大きな花を咲かせる。スポーツでも習い事でも、「もうやめたい」って諦めそうになっても頑張って続けることが大事。勉強だって同じだよ。勉強する内容よりも大事なことは、勉強を続けること。続ける力をつけることだよ。途中で投げ出したら何にも残らなくなっちゃうから、目の前の課題をコツコツこなしていけば、いずれ大きな宝物になるよ。これらはほんの一例です。もしお子さんが納得できなければ、親子で一緒に考えてみましょう。お子さん自身が勉強の意味について深く考え、向き合うことが、答えを導き出す唯一の方法です。***大人は子どもの疑問に完璧に答えられなきゃいけない!とプレッシャーを感じていませんか?だからといって、ありきたりな言葉で適当にごまかしても、子どもはすぐに見抜きます。それよりも「お母さんもわからないから一緒に考えてみよう」と提案しましょう。(参考)福嶋隆史(2010年),『わが子が驚くほど「勉強好き」になる本』,大和出版.PRESIDENT Online|「なぜ勉強が必要?」子供への模範解答3おおたとしまさ(2013年),『子どもはなぜ勉強しなくちゃいけないの?』,日経BP社.文 やまざきひろし/絵 きむらよう・にさわだいらはるひと(2018年),『答えのない道徳の問題どう解く?』,ポプラ社.汐見稔幸(2008年),『汐見先生の素敵な子育て「子どもの学力ほ基本は好奇心です」』,旬報社.落合陽一(2018年),『0才から100才まで学び続けなくてはならない時代を生きる学ぶ人と育てる人のための教科書』,小学館.東洋経済ONLINE|「勉強する意味は?」と問う子に刺さる言葉東洋経済ONLINE|子どもに「夢を持て」と言う前にすべきこと
2019年03月09日「どうしたら子どもがかしこくなってくれるのだろう――」。この、答えがありそうで実際には答えのない問いに苦心されている親はとても多いかもしれません。しかし、ウェブサイト「中学受験情報局『かしこい塾の使い方』」主任相談員の小川大介さんは、「子どもは勝手にかしこくなる」と語ります。大切なポイントは、そうなるための家庭環境をつくること。その家庭環境づくりに欠かせない「三種の神器」ともいえるものが、「辞書」「地図」「図鑑」だといいます。構成/岩川悟(slipstream)取材・文/清家茂樹(ESS)写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)辞書は「言葉の置き換えの練習帳」「子どもにかしこくなってほしい」と考えると、つい「とにかくたくさん勉強をさせる」という発想になり、問題集や参考書などの教材を買い与えたくなります。でも、いわゆる学習教材とはちがった効果によって子どもをかしこくさせる3つのツールがあります。その3つとは、「辞書」「地図」「図鑑」。それぞれが子どもになにをもたらすかについて、順に説明していきます。【辞書】辞書はいうまでもなく言葉の意味を、「定義」したもの。辞書を引くとき、子どもは「この言葉は厳密にはどういう意味なんだろう?」と考えています。その意識は「論理的思考力」に直結するのです。「だいたいこんな感じ」と内容をふわっと理解するだけでは、論理的思考力は伸びません。論理的思考力を育むには「定義」という観点が重要なのです。また、国語のテストなどで「◯◯をわかりやすく説明してください」という問題がありますよね。「説明する」とは、簡単にいえば「別の言葉に置き換える」ことを意味します。辞書はそれこそ置き換え作業されたものが記されているものです。それに触れることで、言葉の置き換え作業や、他人にものごとを説明する能力が伸びる。辞書は、「言葉の置き換えの練習帳」なのです。地図から「神の視点」を得る。図鑑は「何度も読み解けるメディア」【地図】「地図」が伸ばしてくれるのは「客観的思考力」です。地図は俯瞰視点で描かれています。本来であれば、地上にいる人間には見られない世界(視点)ですよね。いわば、上から見下ろす「神の視点」を得ることで、第三者的な視点、客観的思考力が育まれます。また、地図に触れることは縮尺と距離を体感することでもある。いま自分がいて広く感じられるこの場所も、地図上で見ればほんの小さなものだと知る。算数に例えるなら、「割合と比」の勉強をしていることに他なりませんよね。【図鑑】図鑑の効果は、テレビなど映像メディアと比較するとわかりやすいかもしれませんね。映像にはたくさんの情報が含まれています。それをすべて文字情報に置き換えると膨大な量になってしまう。だから、図鑑は「いかに情報を削ぎ落とすか」という観点でつくられています。なぜなら、重要な要素をはっきりさせるためです。図鑑の多くが写真ではなくイラストを使っていることも同じ理由です。単純化し、注目するべきポイントを浮かび上がらせているわけです。その特徴によって、図鑑は「何度も読み解けるメディア」になっています。膨大な情報を含む映像を見た場合、「なんとなく知った気」になって終わり。一方で図鑑の場合は、あるときは掲載されている動物の生息地が気になって地球儀で調べたり、あるときは異なる動物の共通点に気づいたりと、自分の気づきによって見るポイントが変わるのです。それこそ、「自ら学ぶ」という姿勢を育むものといえるでしょう。親自身が子どもにとっての「第一の環境」このように、「辞書」「地図」「図鑑」は、子どものさまざまな力を伸ばすために有用なツールです。とはいえ、「今日から図鑑を見なさい」と子どもに押しつけたところで、親御さんの思惑どおりに興味を示すということは少ないでしょう。よく引き合いに出される話ですが、水を飲みたいと思っていない子ヤギを水場に引きずって行ったところで水を飲むことはありません。でも、喉が渇いたときに水場を教えてあげれば自分で勝手に水を飲みに行く。その原理は子どもの勉強にも通じます。子どもは「自分で勝手に育つように、かしこくなるようにできている」のです。親がやるべきことは、子どもが「水が飲みたい」と思ったときのために「水」を用意しておくことではないでしょうか。辞書や地図、図鑑を用意しておくのです。それらを置くのは勉強部屋とは限りません。リビングでもダイニングでも、子どもが手に取りやすい場所に置いておきましょう。子どもに無理やり読ませたり、「一緒に読もう」と頑張ったりする必要はまったくありません。辞書や地図、図鑑に「子どもがいかに自然に出会うか」という発想で、子どもにとっての家庭環境をつくることが大切です。子どもが日常生活のなかでふとなにか気になることに遭遇した。家に辞書や地図、図鑑が身近にあるから使ってみた――そういうシチュエーションをなるべく多く発生させれば、子どもの「自ら学ぶ力」を育てることにつながるのです。そして、「三種の神器」を置くこと以外に、もうひとつ大切なことがあります。それは、「親自身が第一の環境」だという認識を持つことです。親がいつも楽しそうにしているだけで、子どもがかしこくなる可能性は高まるのです。親がいつも楽しそうにしていて家族の仲が良ければ、子どもは人としゃべったり、人の話を聞いたりすることが楽しいことだと思うようになります。勉強でも仕事でも、多くの人の話を素直に聞ける人間が伸びていきますよね。人と心地良くつながれることは、それだけで能力を発揮する土台となるのです。そして、親が楽しく毎日を過ごすには、親が自分自身を好きになること。それが、子どもをかしこくする家庭環境づくりのスタートです。『頭がいい子の家のリビングには必ず「辞書」「地図」「図鑑」がある』小川大介 著/すばる舎(2016)■ 中学受験のプロ・小川大介さん インタビュー一覧第1回:“国語嫌い”になりやすい子どものタイプと、親がやりがちな間違った教育法第2回:“リビング学習でかしこくなる”は勘違い。東大生がリビングで勉強する本当の理由第3回:子どもは勝手にかしこく育つ。“自ら学ぶ力”を伸ばす辞書・地図・図鑑の活用法第4回:“後伸び”する子としない子の違い。成長後に学力が急伸する幼少期の過ごし方(※近日公開)【プロフィール】小川大介(おがわ・だいすけ)1973年生まれ、大阪府出身。ウェブサイト「中学受験情報局『かしこい塾の使い方』」主任相談員。プロ家庭教師集団「名門指導会」副代表。京都大学法学部卒業。関西最大手の進学塾の看板講師として活躍後、個別指導教室「SS-1」を創設。教科指導スキルに、声かけメソッド、逆算思考、習慣化指導を組み合わせ、短期間での成績向上を実現する独自ノウハウを確立する。家庭をひとつのチームと見立てておこなう独自のカウンセリングは実施数5000回を超え、高い精度でクライアントを成功へ導いている。受験学習はもとより、幼年期からの子どもの能力の伸ばし方、親子関係の築き方といった子ども教育分野でも定評がある。著書に『1日3分! 頭がよくなる子どもとの遊びかた』(大和書房)、『頭がいい子の家のリビングには必ず「辞書」「地図」「図鑑」がある』(すばる舎)、『親子で学べる! カピバラさんドリル 小学社会47都道府県』(かんき出版)など多数。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年03月06日STEAM教育って何?
子育て楽じゃありません
細川珠生のここなら分かる政治のコト