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小2から不登校になった娘。「信じて待つ」と決めたけれど…出典 : 娘が学校に通えなくなったのは小2のとき。それから全く勉強もすることなく、時間は流れていきました。引きこもってパソコン、ゲーム三昧、昼夜回転生活する姿を見て心配でしたが、不登校の親の会、教育相談、児童精神科などに足を運んで相談し、「本人に生活は任せ、信じて待つ」ことに決めて待ち続けました。だけど、「信じて待つ」というのは、親にとってとてもしんどいことです。「いつ立ち上がるのか」という見通しが全くつかない中、待ち続けるのですから。でも、娘の変化は突然やってきました。中2になる年のお正月のこと。突然娘が「今年は勉強を始める」と宣言したのです。しかしここで前のめりになって、「じゃあ学校行く?ドリル買う?」と親ばかりが意気込んでは、子どもを追い詰めてしまいます。恐る恐る立ち上がった小動物を見守るように、「そうか」と微笑んで黙って娘の様子を見ていました。すると予想通り、娘はそれから3カ月全く動きを見せませんでした。学力テストを受け、中2の娘に与えられた目標は出典 : 中2になる直前に、幸運にも学習を支援してくれる方とつながることができ、まず現在の学力を計るテストを受けました。様子を見ていた先生によると、娘は九九や繰上りができないのに決してあきらめず、指を駆使して掛け算は足し算を繰り返し、3時間半かけてテストを終えたそうです。漢字はほとんど書けていませんでしたが、へんやつくりの一部を書いてあったりと、必死で思い出そうと努力したあとがありました。結果は読解力、文法力は高校1年相当。だけど算数と文字の書き取りは小2レベル以下と極端なものでした。学習障害(LD)ではなく、学習機会がなかったためと判定されました。そこで、まずは・文字を書く機会を増やすために交換日記をする・基本的な計算ができるように九九を覚えるという目標がたてられたのです。娘なりのペースで始まった勉強。ついに九九を制覇!!出典 : とはいえ、娘はこれまでほとんど勉強をしたことがありません。日記を書くのも最初は筆圧が弱すぎるのを矯正するため筆ペンを使っていました。漢字がほとんど書けない娘は、スマホで漢字辞典のサイトを見ながら「3の段の『段』って漢字は何でこんなに難しいの!」とキーッとなったりもしつつ、自分の出来るペースで(1ヶ月に2日程度のこともありましたが)日記を書きました。そして九九は、本人の希望で、「ママがいないところ(風呂)で声に出して読んで覚える」ことになりました。小2のときに通信教材の付録でついていた、お風呂の壁に貼る九九のポスターを、娘はずっと「はがさないで」と言っていました。この言葉が生きるときが来たのです。娘がお風呂に入っているとき、「にさんがろく、にしがはち…」という声を聞くとかわいくってたまらない気持ちになりました。自信がついたら「ママ聞いてくれる?」とその段を暗唱します。勉強を始めて10カ月たった先日、ついに九の段を暗唱。中2にして九九を制覇したのでした。それでも浮かない顔の娘。どうして勉強しようと思ったのか聞いてみた出典 : だけどせっかく覚えたのに、なんだか娘は浮かない顔をしています。どうしてなんでしょう?思い切って娘に聞いてみました。私「九九、覚えることができてどう?」娘「うれしい」私「そっか。ところでどうして勉強しようと思ったの?」娘「(きっぱりと)困るから。困るやろ?」私「まぁ、それは困るだろうけど…」私はこのとき気づきました。まだ娘は、心の底から「勉強したい」という気持ちが湧いているわけではないのかもしれないと。私は娘に、「小学生程度の勉強ができないと働くのは難しい」と以前から伝えていました。娘は、おそらく中2という学年から逆算して「将来自分はどうなるのか」「そろそろ勉強を始めないと人並みに高校に行けない」と、おびえていたのではないでしょうか。つまり娘の「勉強したい」という言葉は、「○○ができるようになりたい!」という希望の気持ちに基づくものではなく、「勉強できないと人並みに生きていけない」という悲痛な気持ちの表れだったと思うのです。「勉強したい」という気持ちに嘘はなく、だからこそゆっくりなペースながらも九九もやり遂げたのだと思います。ただ、「やりたい!」というよりも「しなければならない」という気持ちの方が強かったのかもしれません。娘が自分の意思で始めた勉強。どんな形であれ、親は信じて待つのみ出典 : 不登校の親の会でも、「本当にやる気になったら小学校の勉強は数か月でクリアできる」「本人の意思で立ち上がったら、親が止めてでもやる」と聞いていました。実際に回り道しても、懸命に勉強に取り組んで大学に進学する子も少なくありません。娘は、エネルギーが満ちて立ち上がったわけではないのでしょう。自分と周りの普通の子どもたちとを比較して、「九九は小2でクリアしなければならないものだ」と自分の学習の遅れを強く自覚しているようです。だから、九九ができたのをほめられても、「そんなの本当はとっくにできていて当たり前なのに」と喜ぶ気持ちになれなかったのだと思います。それでも彼女が自分で「勉強する」と決めたのですから、こうした劣等感や不安とは自分で向き合っていくしかないのだと、親としては考えています。勉強を始めてからというもの、娘は「私は勉強しているんだから」と意気込んで、以前よりもずいぶん意欲的になりました。時には勉強もストップして「しんどい」と寝込んでしまうこともあるけれど、自分の意志で頑張ろうとしているのだから、私は後ろからそっと見守るのみです。不登校や引きこもりから立ち上がろうとする子どもたちは、一気に階段を駆け上がるわけではありません。一段がとてつもなく長い道のりだったり、次の段の前で立ちすくんだりと葛藤しながら進んでいきます。親としてはプレッシャーを与えることなく、長い目で気長に待ちたいところですね。もう、「待つことが育児なり」という心境です。
2017年03月03日女優の広瀬すずさん(18)が2017年1月16日、東京都内で行われたPRイベント「SoftBank 2017 Spring」に出席し、自らの進路について語りました。今春、高校を卒業する広瀬さん。1月17日付『時事通信』によると、取材に対して『このお仕事を大人になってもやりたいと思うので、進学は考えていない』と心境を明かしたそうです。更に、『「仕事一本」ができる環境になる。すごく大変だと思うけれど頑張りたい』と女優業にかける意気込みを語ったとのこと。学生生活が終了することを契機にして、これまで以上に多くの役や作品にチャレンジしたいと抱負を述べた広瀬さんですが、この決断には多くのネットユーザーから疑問の声が上がっているようです。●『進学して教養をつけるべき』『大学行ける学力がなかっただけでは』広瀬さんの決断に疑問の声続出『前に現場の裏方さんを見下す発言をしてた子だよね。芸能界から少し離れて、社会常識を身につけるべきじゃない?』『かわいいとは思うけど、すぐ飽きられそうなビジュアル。年食っても活躍したいなら、今は進学して教養をつけたほうがいいと思う』『単に大学に行ける学力がなかっただけ、という可能性もあるな』『仕事一本しか選択肢がなかったんでしょ。ロクに高校も通ってないだろうし、たぶん中学生程度の学力しかないと思う』『ちょっと最近調子に乗ってる気がする。芸能界でチヤホヤされすぎて、普通の感覚を忘れちゃってるのでは』『この人、本当に高校行ってたの?ってくらい露出してたよね。今はいいけど、いざ落ち目になった時に学がないと自分が困るよ』『中身なさすぎ。いつまでも天真爛漫キャラでいられるわけがない。悪いこと言わないから勉強しとけ』『女子高生ブランドがなくなったら、需要もなくなるんじゃないの?仕事一本でいけるほど仕事もらえるか疑問』『バラエティでのトークを見てれば、人間としての底浅さがよく分かる。いい女優になるためには、演技だけしてればいいってもんじゃないんだよ』『時代考証が必要なドラマに出るときとか、難しい文献を読んで役どころについて研究しなきゃいけないこともあるはず。その時になって、「理解できません」「漢字も読めません」じゃマズイだろ。大学行けとは言わないけれど、学問の道をあきらめるのはどうかと思うぞ』『学力、常識、そして苦労。人間力をつけるためにも必要ですよ……』というように、広瀬さんの進路については疑問を呈する声が多く聞かれました。ドラマにCM、はたまた映画と引っ張りだこの広瀬さん。これまでも大活躍ぶりをいかんなく発揮してきましたが、「仕事一本」になる今後、果たして女優としてさらに開花することができるのでしょうか。これからの活躍を見守りたいところですね。【画像出典元】・広瀬すず(@Suzu_Mg)(Twitter)/●文/ぶるーす(芸能ライター)
2017年01月17日もともと勉強嫌いだった娘。不登校になると…出典 : 娘は小2のときに指で計算しているのをクラスメイトにとがめられ、すっかり勉強嫌いになり不登校になってしまいました。勉強嫌いで不登校になってしまった子に、勉強を教えるのは大変です。特に親が教えると、反発してしまって親子関係にヒビが入ることも。これでは、子どもが勉強でどんなことにつまづいているのか、さっぱりわかりません。でも、あることがきっかけで、計算について母娘で話し合うことができました。その後、支援者の助言と照らし合わせ、娘がどうして計算に困難を感じていたのかがわかったのです。お小遣いを渡すときに沸き起こった、ある疑問出典 : ある日のことです。娘には1ケ月に1,000円ずつお小遣いを渡しているのですが、その時はたまたま2ケ月分まとめて渡すことになりました。でも、財布には5,000円札しかありません。「ごめん、5,000円札しかないからお釣りくれる?お釣りは3,000円だよ」と伝え、娘の持ってきた3,000円をもらい、5,000円札を渡しました。すると、娘は5,000円札をじっと見つめ「納得できない」と言ったのです。娘「この5,000円の中の2,000円しか使ったらダメなの?残りはママのお金なの?」私「いや、りさはお釣りくれたでしょ。だからそれはりさのお金だよ(お釣りの額については納得していたのになぁ?)」娘「説明されたらわかったような気がするけど、なんかまだ納得できない」そう言って、紙に1人で計算し始めました。そして、「うん、何かわかったような気がするんだけど、次またこういう機会があったらもっと考えてみたい」と言ったのです。お釣りの概念を理解していなかったのはショックでしたが、こうして教える機会が自然とできてよかったです。娘はどんなふうに数を計算しているの?その答えは、本人が教えてくれたUpload By ヨーコ先日、また娘と計算の話をしました。今度は13+19をどう計算するか?についてです。娘は「筆算はわかりにくいから嫌」と言い、自分なりの方法を教えてくれました。①まず10の位を見て、10が2つあるから、10×2=20②20にややこしそうな9を先に足し、これで29③29+3をするわけですが、娘は繰上りができないので、3を1と2に分解④29に1を足して30⑤30に残った2を足して32娘は言います。「簡単な方を先に始末して、ややこしいのを分解していくねん。そして繰上りしなくていいように、私の10本の指にパズルのように数字をはめていくの。私は忘れん坊だから書いた方がわかりやすい。テストとかだったら書けないから、どこまで計算したかわからへんようになる。」ちゃんと数の概念も理解しているし、分解もできています。時間はかかるけど、丁寧に考え抜かれた計算に、私は面白いと感じました。計算が苦手なのは、特性が関係していた?出典 : なぜ、このような計算の仕方をするのでしょうか?「繰り上がりができないから」以外に理由があるのでは?と考えた私はこれまでの様子を振り返ってみました。娘は言語理解は高いものの、ワーキングメモリーが低く、単純な暗記が苦手です。また、最近支援者にこんなことを言われました。「小学校の計算は初めにサクランボ算をします。そしてそのパターンを叩きこんで暗記させ、次第に計算に慣れていくわけですが、娘さんは短期記録が苦手なため、計算が頭の中でできなくて指で計算していたのではないでしょうか?」なるほどな、と思いました。娘の計算方法を紐解くと、サクランボ算は意識せずにできていますが、それを頭の中だけで処理することができないようです。忘れてしまうんですね。10の位から計算を始める様子を見ていると、独特な理解の仕方をする癖があって、教室で教えられたことが納得できなかったのかもしれないな…と思いました。そのあたりのことを先生や私が見抜けていたら…。彼女の運命も変わっていたかもしれませんね。指があかんなんておかしい!中2の娘の主張出典 : 一通り自分の計算方法を説明した後、娘は言いました。「みんなラクするために計算してるのに、紙に書いたり、指を使うのがダメなんておかしい。みんなは頭の中で覚えているんだろうけど、私はラクするために指を使っているだけなのに。」指で計算することを恥じ、何年も計算しようとしなかった娘からこの言葉が出てきて、本当に嬉しかったです。苦手だったことと向き合おうとする姿に、成長を実感しました。また、最近は九九を覚えたことによって効率的な計算方法にも興味が湧いたようで、「だけど、みんなが学校で習うような楽な計算方法も勉強したい」と言うようになりました。苦手なことも、生活と密着した行動であれば、興味を持てるようになるんですね。とても遠回りをしている娘ですが、その遠回りは決して無駄にはならないと思います。
2017年01月13日不登校にまつわるさまざまな不安、どう取り除く?出典 : 何らかの事情で学校に通えなくなった場合、様々な不安がお子さんにも保護者にも湧き上がってくることと思います。・学校に通わずに社会性は身につくのか・学校に通わずに友だちはできるのか・学校に通わずに勉強はどうなるのか・学校に通わずに将来はどうなるのかわが家の場合は子どもたちの不登校を前向きに捉え、「学校という環境が合っていないなら家で学べば良い」というスタンスで過ごしていますが、そんな私にも不安はあります。そこで、1つでも不安を取り除くことができれば、親も子も心に余裕ができるのではないかと考えてみました。すると、上記項目の中で解決できそうな項目が「学校に通わずに勉強はどうするのか」だったのです。「学校のお友だちは、どんどん先に進んでいるんだろうな。私は勉強しなくていいのかな?」と娘が不安を口にした時から、なんとかこの不安を払しょくしてあげたいと思っていました。「親子で勉強するとケンカになる」という話をよく耳にしていましたので、「国語と算数は教科書の内容を全てクリアできます」と説明のあった学研教室に通わせてみたりもしました。しかし、これでは他の教科がカバーできません。理科実験教室なども探してみましたが、なかなか良い場所が見つからず悩んでいました。先生から誘われた2学期のテスト。それは、友達と同じ範囲を勉強するチャンスだった出典 : そんな折、学校の先生から「みんなと同じ2学期のテストを受けてみませんか?」というお話をいただきました。(娘は不登校ですが籍は学校に置いています)娘と相談した結果、教科書を使って親子で勉強し、テストにチャレンジしてみることに。先生からテスト範囲を教えていただき、娘とともに教科書を開いてみました。一瞬、「本当に教えられるのかな?」とひるみますが、私が不安に思うと娘にも伝わってしまいますので、一緒に勉強をし直すつもりでどっしりと構えていました。初めに手をつけた算数は、小数点の計算や図形の問題、コンパスで円を描くなどの部分がテスト範囲に入っていました。娘はまだ小学3年生。落ち着いてゆっくりと向き合えば、まだついて行けそうな内容です。「へ~!これはこういうことだって!知ってた?」と聞いてみると、案外簡単なことがわかっていなかったり、逆にそんなことを知っていたの?と驚くことも出てきたり、わが子の思いがけない一面を発見でき楽しくなってきました。テストに向け、いざ勉強!使用教材と勉強手順は…出典 : 教科書をざっと確認した後で、テスト勉強に使えそうな問題集を書店で探すことにしました。学校へ通っていた頃には意識したことがありませんでしたが、いろいろな教材が並んでいるものですね。その中でわが家が選んだのは、「教科書ワーク」と「教科書ぴったりテスト」というものです。株式会社文理が、各教科書出版社の内容に準拠して作っているものなので、内容はもちろんぴったりと合っていますし、教科書の範囲に対応した目次がついていて、とても使いやすい問題集になっています。地区によって使用している教科書の出版社は教科ごとに異なりますので、お手に取る際はお子さまの教科書をしっかりとご確認ください。試行錯誤の末、わが家ではこのような手順で勉強を進めることにしました。① 問題集をいきなり解いて丸付けをし「わからない」部分を認識する② ①で認識した「わからない」部分を意識しながら教科書を読む③ 不正解だった問題に再度取り組む④ テストに取り組み「わからない」部分への理解度を確認する問題集は書き込む前に、あらかじめコピーを取っておくと、何度も挑戦できていいかもしれませんね。文理の教科書ドリル子どもと勉強をするとき、私が肝に銘じていること出典 : テストは児童の下校終了後に学校で受けさせてもらいました。結果はまだ返ってきていませんが、「学校の勉強についていけなくなる不安」を払しょくするために始めたことですので、「教科書でお友だちが習ったところは自分も勉強した」という満足感を得られたことで、目的は達成できたように思います。今回、親子で勉強をする上で強く意識していたことがあります。「理解が進まない場合、子どもに問題があるのではなく、伝える側に工夫の余地がある」ということです。これは以前の子育てからの教訓です。我が家は娘のほかにADHDの息子がいます。息子は聞いて理解することが苦手だったのですが、そのことに気付かなかった私は、口頭で何度説明しても理解できなかった息子に呆れ果てていました。その後、息子が「視覚優位(見て理解する力が優位)」だったことを知り、絵に描いて説明したとたん、できることがどんどん増えていきました。このとき、「伝え方を工夫するだけで、理解できることもある」と知り、息子を責め続けていたことを反省したのです。わが子を1番よく知っている立場だからこそ、できることがきっとある出典 : 誰かに何かを伝える時、自分が1番得意な方法で相手に伝えることが多いのではないかと思います。しかし、相手にとっては、それがベストな方法とは限らないのです。「どうしてわからないの!」という言葉は絶対に子どもに言うまいと決めていました。その代わり、子どもがつまずいた時には「この説明だったらどう?」「ちょっと違う方法で説明してみるね」と何通りかの方法で説明をしながら、子どもに合う方法を探っていくようにしました。先生でもない私が勉強を教えることができるのだろうか?という不安から始まったお勉強タイム。終わってみれば、共通の話題が増えたり、子どもが理解しやすい方法を見つけられたことで、生活の中にも活用できたりと、プラスの面が多かったように思います。同じような不安をお持ちの方がいらっしゃいましたら、まずは1教科からでもお子さんと一緒に勉強に取り組んでみてはいかがでしょうか?お子さんの特性をより深く知っている保護者の方だからこそ、もしかすると「世界でいちばんわかりやすい先生」になれるかもしれません。私もそれを目指して頑張ろうと思います!
2017年01月10日こんにちは。勉強嫌い専門コンサルタントの佐々木恵です。お子さんが勉強嫌いで、勉強に全くやる気をみせずに困っているというママは多いと思います。将来のためにもなんとか勉強してほしいけれど、「勉強しろ」と頭ごなしに言ってしまうと子どもが反発する……。どういう風に接するべきなのか分からない……。そんなママのために、今回は子どもが勉強嫌いになる原因と対策についてご紹介します!子どもが勉強にやる気を示さない理由は大きく分けて4つあります。(1)失敗体験(2)セルフハンディキャッピング(3)目的の不足(4)エネルギー不足以上のどれかひとつの場合もあれば、いくつかが複合的に影響している場合もあります。●(1)失敗体験勉強で大きな失敗があり、それがトラウマ化している場合 です。例えば、・それまで優等生だったのに、テストの得点が下がってしまった・勉強ができなくて、先生やお友達から馬鹿にされてしまった・成績のことで、親に強く怒られてしまった、あるいはがっかりさせてしまった・中学受験で失敗をしてしまい、第一志望に入ることができなかったなど、これらの経験からもう失敗したくないと勉強を避けてしまうのです。●(2)セルフハンディキャッピングセルフハンディキャッピングとは、その名のとおり、自分自身にハンディキャップを負わせる考え方です。子どもが試験前に全く勉強しない。試験勉強をせずに試験を受けてしまう子どもの心理が理解できないと考える親御さんは多いと思います。危機感すらないのはなぜなのか。それは「勉強していないから、成績が悪いのは当たり前」と自分に言い訳を用意する ためです。試験前に勉強して、もし成果が出なかったら「勉強したのにできなかった」、つまり自分に実力がないことを受け入れなくてはならなくなるのです。しかし、自分が無能であることを示したくないし、受け入れたくない。だからあえて勉強せず試験に臨み、「勉強しなくても30点取れた」と言いたいのです。●(3)目的の不足勉強することに対して意義や目的を見いだせていない人たちです。「何のために数学を勉強するの?こんなの将来使わないし」「歴史を学ぶ意味がわからない。私は今を生きているのに」と不満そうに口にする人は、勉強に意義や価値を見いだせないから勉強しない のです。大人になれば「勉強しておいて良かった」「もっと勉強すれば良かった」と思うことも多いものですが、子どもにはそれがわかりません。大人になったことがないのですから。●(4)エネルギー不足勉強はそれなりにエネルギーを消費しますので、心身ともに元気でなければできません。いままで勉強を頑張っていた子どもが突然勉強に興味を示さなくなった場合、体調を崩していたり、友人関係や学校での人間関係で何か問題が起きていたり するかもしれません。規則正しい生活を心がけて体力を維持させましょう。あわせて、なにか悩みを抱えていないかも確認しましょう。●まずは話を聞くそこで重要なのは、まずは子どもの本音を聞きだすこと。子どもにじっくりと話を聞いてみましょう。失敗体験を引きずっている子どもに対して「やりなさい!」と強く言ってしまったら、どうなるでしょう?もっと勉強を嫌いになることは目に見えています。勉強しない子どもを見ているとイライラする気持ちはわかります。しかし、まずは聞いてみてください。怠慢ではない原因が見えてくる はずです。●子どもは勉強の大切さを本当はわかっている子どもたち、特に小学校高学年以上だと、勉強の必要性は理解ができています。勉強しないといけない、勉強しておいたほうがいいことくらいは、頭ではわかっているのです。しかし、どうしても重い腰が上がらない、自分のどこかで納得できていないことがある、なんだか疲れた、などなど。子どもたちは心底勉強が嫌いで怠けているように見えますが、そうではありません。やらないといけないことは認識しているのです。加えて、「もっとできるようになりたい 」とさえ思っているのです。思いながら、一歩が踏み出せていません。●まずはできることから子どもたちは、勉強を怠けているように見えるかもしれません。しかし、子どもたちに本音を聞くと「本当はできるようになりたい」と口にします。全員がそう言います。できるようになりたい気持ちは持っていながら、失敗体験が気になったり、勉強して成果が出なかったときのことが怖かったり、意義のないことをしたくなかったり、疲れてそれどころではなかったりするのです。勉強嫌いの子どもに勉強をさせる際は、まずはそんな子どもたちの気持ちを理解してあげてください。怠けているわけではないことを知るだけでも、お互いに気持ちが楽になるはずです。そして、子どもが本音を話したら、どうするべきなのか一緒に考え、ともに解決してあげましょう。お父様お母様は、ぜひお子さんの最高のサポーターでいてあげてくださいね。【参考文献】・『激動社会の中の自己効力』アルバート・バンデューラ(著)・『エブリデイ・ジーニアス「天才」を生み出す新しい学習法』ピーター・クライン(著)・『いまどきの子のやる気に火をつけるメンタルトレーニング』飯山晄朗(著)●ライター/佐々木恵(教育コンサルタント)●モデル/前田彩(桃花ちゃん)
2016年12月31日こんにちは。学習コンサルタントの佐々木恵です。自分の子どもにはできるだけ賢くなってほしい。勉強を好きになってほしい。親御さんの常なる願いだと思います。できれば良い学校に進学してほしい。もしそれがかなわないとしても、 できれば自宅で子どもが一生懸命勉強している姿が見たいものではないでしょうか。しかし、このごろはパパもママも仕事が忙しく、学校の授業内容も高度になって、なかなか子どもの勉強を見てあげられないという方も多いかと思います。そこで、今日からできる勉強の見守り方のアイデアをご紹介します。●親は“教師”にならなくていい勉強を教えよう教えようと肩肘を張る必要はありません。どんなに教えるのが上手でも、親子だと期待しすぎる気持ちからうまくいきません。子ども側も親の期待に応えなければと頑張りすぎたり、甘えが出たりするもの。勉強を教えようと意気込むのではなく、見守る姿勢 が大切です。あくまで学校の勉強をベースに考えましょう。教えるのが大変でうまくいかないと感じる場合は、学習塾などの専門家に任せてしまうのも一手です。●目標設定をするその日にどこまでやるかを確認します。今日はこれだけできればいい、とその日の目標を決めて取り組みます。それが終わったらテレビを見ていいとか、一緒におやつを食べようとか、何か楽しい予定を一緒に立てられるといいですね。勉強に対する期待感が増します。●クイズをする子どもにたくさん勉強させて、情報を蓄えさせても、使えなければ全く意味はありません。では、使える知識とはなんでしょうか?知識とは、質問に答えられる ことです。勉強というと、どうしてもインプットに偏りがちですが、成績を上げたいのであればアウトプットが重要です。そこで、お子さんのアウトプットを手伝うのです。一番簡単な方法が、クイズなのです。その日勉強したことをクイズにしてみてください。親御さんは深く分かっていなくても大丈夫ですし、間違えても構いません。●子どもに説明してもらうその日学校で学んだ内容をお子さんに聞いてみましょう。ポイントが説明できれば、きちんと理解ができている証拠です。曖昧なようであれば、一緒にノートや教科書を見直して確認することができます。子どもに説明してもらうメリットは、授業の理解度がわかるだけではありません。学習の定着度は、講義を聞くだけではわずか5%、人に教えるとなんと90%になると言われています。授業の内容を説明するようにしてもらうだけで、理解度がぐんと上がる のです。授業の内容を教えてもらうだけで子どもが賢くなるなら、簡単ですね。----------親御さんが頑張って教える必要はありません。教えようと頑張った瞬間、勉強の主役が親御さんになってしまいます。勉強の主役は誰でしょうか?もちろんお子さんですね。自分から勉強する子になってもらうため にも、親御さんはサポーターに徹しましょう。一緒に教科書を読んだり、教わった内容について質問したり、一緒に考えたりする。マラソンにたとえると併走者です。ぜひ、楽な気持ちでお子さんの勉強をサポートしてあげてくださいね。【参考文献】・『1日5分! お母さんがコーチになれば、子どもの成績はグングン伸びる』加藤法彦(著)・『脳が認める勉強法「学習の科学」が明かす驚きの真実!』ベネディクト・キャリー(著)・『使える脳の鍛え方成功する学習の科学』ピーター・ブラウン、ヘンリー・ローディガー、マーク・マクダニエル(著)●ライター/佐々木恵(教育コンサルタント)●モデル/前田彩(桃花ちゃん)
2016年12月17日こんにちは。メンタルケア心理士の桜井涼です。私は以前、学習塾で講師をしていました。そのときに感じたことは、子どもの語彙力が低下しているということでした。音読をしても読むことはできます。しかし、言葉の意味を知らない子どもが多かったのです。自分で調べることをする子がとても少なかった、ということも同時に感じていました。算数・理科・社会など、国語以外の教科は、「計算できれば解ける」「実験の経験や知識があればできる」と考えてしまいがちです。しかし、問題文は日本語で書かれています。ですから、語彙力・国語力がないと、学年が上がるにつれて勉強が難しくなってくるということを考えていただきたいと思っています。そのための対策として家庭でもできるものが、書写 です。●書写とは?“書写”とは、文字の通り書き写すことです。小学1年生になると授業で習います。習字の授業の一環のように感じる人もいるでしょう。しかし、義務教育である小中学校では、国語に位置づけられています。多くの場合、鉛筆を使って書いてあることをそのままノートなどに書き写すのですが、どうしても句読点やかぎかっこなどを見逃してしまうことが往々にしてあります。これは、文字をしっかりと読んで理解していないために起こることが多いです。私が当時教えていた子どもたちも、かなりの見逃しをしてしまうことがありました。●語彙力・国語力をつけたいのなら、音読+書写!国語力は、ただ読むだけ、ただ書くだけでは身につきません。大事なポイントは、“書いてある内容を読んで理解する”ことです。そのためには、書写をする前にしっかりと音読 することが大切になります(音読とは、声に出して読むことです。声を出さないで読む黙読では意味がありません)。書いてある内容がわかれば、書写することは難しくありませんし、しっかりと頭に入ります。当時小学3年生だった男子が生徒として学習塾に入ってきたとき、教科書をスラスラ読むことが難しく、「勉強つまんない、やりたくない!」が口癖でした。書写をさせたときも、間違いが多く字も乱雑でした。明らかに国語力が低いことがわかりましたので、教室に来るたびに音読と書写をするように時間を取っていきました。1か月後、3年生の教科書はスラスラ読むことができるようになり、内容も理解し、わからない言葉が出てきたときは自分で調べるまでになったのです。書写のノートは直しがなくなり、花まるが続くようになりました。気になっていた口癖も言わなくなったのです。読んで理解することができれば、ここまで変わるのだということを実感した最初の生徒でした。始めは短めな文からスタートさせましょう。徐々に文字数を増やしていきます。正しく読み、文章の内容がわかること、文字が丁寧に書けて、しっかり写せるようになることができたら、終了する目安です。●書写に向いているノートはマス目の小さいノート書写をさせるには、小さなマス目のノート が向いています。しかし、学校では低学年に大きなマス目のノートを使わせます。大きいマス目の方が文字を書きやすいからです。自宅で書写をさせるときは、10ミリ方眼などのノートをおすすめします。マスの中に合わせて字を書き込むことができるようになりますし、ノートを見返すときに、見渡しやすいからでもあります。見渡しやすいことで、間違った点をいち早く発見することができます。脳科学の面から見ると、小さな文字を書くことで言語能力が上がる ことがわかっています。そして、小さい文字を書くことで集中力がアップし、視野が広がることで捉える文字数が増えることもわかっているのです。ですから、早い段階で小さなマス目のノートを使うことをおすすめします。●おわりに国語力は小さいうちからつけておくことがとても重要です。読んでみてわからないと、授業についていくことが難しいと感じ、勉強が嫌になってしまうことにつながります。そうなっては困りますよね。そうなる前に、“音読+書写 ”を毎日少しでもいいのでスラスラできるまでやってみましょう。学校から宿題として出ている場合もありますが、出ていない日も宿題の前に行ってみてほしいと思います。その方が集中力が継続できるからです。ぜひ、試してみてほしいと思います。【参考文献】・『伸びる子には秘密がある 小学生の勉強法』石井郁男、小学生の勉強法を考える会(編集)●ライター/桜井涼(メンタルケア心理士)●モデル/前田彩(桃花ちゃん)
2016年12月07日小2から不登校の娘は現在中学2年生。漠然とした将来への不安に、つい出た言葉は…出典 : アスペルガー症候群の診断を受けている娘は小2から不登校になり、全く勉強しないまま中学2年生になりました。勉強することを頑なに拒否し、パソコンとゲームにのめり込む日々。それでも、何も考えていない訳ではなかったようで、小5の頃でしょうか…ある日、こんなことを呟いたのです。娘「私はブラック企業しか行くところがない…」それを聞いた私は答えました。私「高卒資格がないと就職は厳しいのが現実だよ」娘「働いてお金を稼げるようになりたいよ」私「ママの経験から、コンビニでバイトするのにも小学校卒業くらいの学力は必要だと思う。学校には行かなくても、高卒資格を取るにはいろいろな道があるから大丈夫よ」娘なりに、漠然とした将来への不安を感じていたようでした。その後中2になった娘は、「そろそろ勉強しようと思う」と言い出し、日記を書いたり九九を覚えたり、電子書籍として学習できる「デイジー教科書」を読んだりと、本当に勉強をし始めたのでした。そして、「高校へ行きたい。私は通信制高校で、あまり通わなくていいところに行きたい」と、現実的な希望を描き始めたのです。娘の変化に応えるように、紹介してもらった通信制高校。見学に行くと…出典 : そんな娘の様子を、中学の支援コーディネーターの先生に話したところ、「小学校からずっと不登校だった生徒が通っている学校があるんです。見学に行ってみませんか?」と誘われました。そして地元にある小さな塾のような学校に、担任の先生と見に行くことになったのです。そこはもともと本当に塾だったところで、今は通信制高校の技能連携校になっています。技能連携校というのは、通信制高校の分校のようなところで、通信制高校と技能連携校の両方に入学することで、技能連携校の方で卒業に必要な出席日数、レポート提出、試験をすべて済ませることができるそうです。私が見学したところはとてもアットホームな雰囲気で、小さな教室がいくつかあり、授業は昼から行われていました。制服もなく、生徒さんが好きなときに来て、自分のペースで学習している様子でした。出典 : 不登校だった生徒にも手厚く、1対1で小学校の勉強から教えてくれ、心配な必要出席日数も1年に6日なので安心したのを覚えています。学園長に詳しくお話を伺うと、自身のお子さんも不登校だったそうです。当時、手をあげて学校に無理に行かせようとしたらお子さんが家出し、探し回ったこと。父親である自分自身がいいお医者さんと出会い、それまでの考え方が180度変わったことなど、たくさんのエピソードを話して下さいました。学園長の話を聞いて、「ああ、ここだったら娘も安心して学べるな…」と手応えを感じ、自宅へ戻りました。通信制高校という新たな選択肢を前に、本音を話してくれた娘出典 : 家に帰って、娘が「どうだった?」と聞いてきたので、学校の様子と学園長の話を伝えました。すると娘はこう言ったのです。「そういうところだったら不登校の子も、毎日来ない子がいるのも最初からみんなわかってるやろ?だから『不登校』とか『あの子学校来ない』とかいろいろ言われなくて済むから良い。」「小学校はみんな行かなきゃいけないから来てる。だから行かないといろいろ言われる。だけど、その学校なら目的がはっきりした人が来るから、自分のペースで自分のやりたいようにできるからいいと思った」その言葉で、娘がどれだけ今まで傷ついてきたのかを思い知らされました。そして、学校という場所の本質を突いた言葉に、感心させられたのでした。親の会で知った、不登校児のさまざまな進路のかたち出典 : 娘の本音を聞いて、ふと親の会で聞いた話を思い出しました。不登校の親の会では、すでに義務教育が終わった子の親御さんが多いのですが、そこで高校進学後の話を聞くと、様々な道があることを知りました。以下は一例です。・親の希望で通信制高校に進学したけれど、スクーリングに通えずに休学中・5年遅れて高校に入学し、現在は大学に通っている・高校はやめたけれど、支援機関を通じて少しずつ働いている・自分でさっさと高校を決め、海外の大学を卒業した…通信制高校は、面接のみで入学できるところも多いので入学するのは簡単ですが、卒業するにはスクーリングができるかどうかがポイントだと感じました。学校やスクーリング会場に登校して、先生から直接指導を受けることをスクーリングといいます。通信制高校は「自学自習」が基本ですが、勉強する中でわからない部分が出てくることや、レポートをまとめようとしても、 どうしてもうまく書けないということもあるでしょう。そこで、そういった課題をスクーリングで先生と一緒に解決していくのです。子どもの進路、親はつい口出ししたくなるけれど…出典 : 本当はまだ家で休んでいたいけれど、どこにも所属しないのは不安だし、親の期待にも応えたい…という風に、自分の意思ではなく家族や世間の負い目を感じて進学した場合、つまづいてしまうことが多いようです。でも、自分の意志で立ち上がった子どもは、何年遅れても最後までやり遂げる傾向にあるようです。娘には、何年かかってもいいから、本当に自分がやりたいと思ったことを自分の意志で選んでほしいと思っています。中学を卒業したらすぐに高校に行かなくてはいけないわけではありません。これまで、自分のペースで歩いてきたのだから、これからも自分に納得できるよう、生きていってほしいな…と願っています。
2016年12月02日【ママからのご相談】小学6年生の子どもがいます。中学受験に向けて塾に通わせていますが、家では私が勉強を見ています。勉強を始めた時期がほかの家に比べて遅かったので、勉強時間は長く取るようにしています。しかし、勉強時間が相当長いのに、なかなか成果が出てきません。子どもは一生懸命に取り組んでいますが、このままだと受験に間に合わないし、折れてしまわないか心配です。●A. やみくもに学習するのをやめて、優先順位付けをご質問ありがとうございます。学習アドバイザーの佐々木恵と申します。一生懸命勉強しているのに成果が出ないと、お子さんはやる気を失ってしまう可能性が高くなりますし、質問者さん自身も不安やイライラが募ってしまい、ぶつかり合ってしまう危険性もありますね。ここで多くの方が、「もっと勉強時間を増やせば伸びるはず」と、さらに勉強時間を増やして、さらに疲弊してしまうという落とし穴にはまります。穴から抜け出すには、勉強時間を伸ばす以外の解決策 が必要になりますが、一体どうしたらいいのでしょうか?●やみくもに学んでも効果がない理由『パレートの法則 』をご存じでしょうか。『社会現象は平均的に分散しているのではなく、偏りがあり、主要な20%が全体の80%に影響を及ぼしている』というものです。勉強時間は長いのに成果がなかなか出てこない人は、やみくもに学び「すべての範囲を完璧にしなければ!」と考え、全てを均等に頭に入れようとします。すべての範囲をまんべんなく学ぶこともとても重要ですが、短時間で高得点を得ようと思うなら、重要な2割を重視して勉強する 必要があります。それで8割の得点を得られるのなら、理想的ですよね。特に、合否を判定する試験では、満点を目指す必要は全くありません。完璧を目指すというよりも、できるところを確実に解き、ほかの人ができるところを間違えずに着実にとり、プラスアルファで点数を積み上げていくことが求められるでしょう。このことからも、優先順位付けがいかに重要か、ご理解いただけると思います。●優先順位付けのコツは“過去問”にありまんべんなく学習するのではなく、重要なところだけを優先して学ぶ方が効率的ですが、問題はその方法ではないでしょうか。受験のプロではない親御さんには、どこが重要かそうでないかの判断は難しいでしょうし、そこまでのことは必要ないでしょう。そこで、活用したいのが、受験校の過去問 なのです。過去問には、重要事項が詰まっています。早い時期に過去問に触れておけば、受験校の傾向と対策を知ることができるので、受験校が何を重視しているかがわかるのです。過去問は直前まで取っておいて、実力試しにする方が多いですが、それではもったいないのです。過去問を有効活用することで、優先すべきポイントがわかるようになるのです。----------勉強時間が長いのに、うまく成果が出てこない人は、一度“まんべんなく”主義を捨てて 、過去問から傾向と対策を分析してみてはいかがでしょうか。本当に必要なところをしっかり学び、モノにすることで自信もつくはずです。ぜひ実践してみてください。【参考文献】・『勉強の技術 すべての努力を成果に変える科学的学習の極意』児玉光雄・著●ライター/佐々木恵(教育コンサルタント)
2016年11月27日親の会で偶然出会った大学の先生。その研究内容に興味津々!出典 : 読み書きが苦手なお子さんの場合、どんな学習方法やツールを選べばいいのか?悩む親御さんも多いと思います。今回は、お子さんの苦手に合わせてカスタマイズが可能な、パソコンやタブレット端末で利用できる図書の1つ「デイジー教科書」というものをご紹介したいと思います。以前、発達障害の親の会で「マルチメディアデイジー教科書」の研究をしている、大学の先生とお会いする機会がありました。私はこの研究に興味を持ち、勉強会に参加させていただくことに。これは、パソコンやタブレット端末で使う電子書籍の1つで、音声と文字と画像を同時に再生することができます。先生はこのシステムを利用し、教科書を読むことが苦手な子どもの、読んで理解する力を伸ばす研究を行っています。会場ではiPadに入れたものを体験したのですが、操作も簡単で直感的に使えるので、スマホなどに親しんでいる今の子どもたちには、とても使いやすいだろうな…と感じました。娘にも触らせると、説明書も読まずにどんどん使いこなしていましたよ。「すごい簡単」と言っていました。デイジー教科書でどんなことができるのでしょうか?その多機能ぶりがスゴいUpload By ヨーコマルチメディアデイジー教科書でどんなことができるのか、簡単にご紹介します。これは、パソコンやタブレットで教科書や一般図書を再生することのできるシステムです。その使いやすさの秘密は、①文字・音声・画像を同時に再生する②音声で読み上げる部分の文字がハイライトされる③読むスピードを変えることができる④文字の大きさ・文字色・背景色も細かく変えることができる⑤章・節へのジャンプも簡単などなど、1人ひとりの理解力に合わせ、再生方法がカスタマイズできる点にあります。娘は中1の英語と国語の教科書、1冊の絵本の英語版と日本語版を使っています。娘にディスレクシアはありませんが、小2から不登校なので、英語は読めません。しかしデイジー教科書なら、今どこを読んでいるのかハイライトで表示しながら、音声で流ちょうな発音の英語が流れてきます。また、普段聞きなれない難しい古文なども読みあげてくれるので、苦手意識を持つことなく、興味深そうに音声を聞いていました。読むことが苦手な子が使った場合、どんな効果が期待できるの?出典 : まず、読むことが苦手なお子さんには、以下のような困りごとがあるようです。・読むときの大半は、一字一字拾い読みになる・字を飛ばしたり、間違った読み方をする・読めても、内容が理解できない・授業がわからないから、学校に行きたくなくなる・紙の教科書が読めないだけで、自分は勉強ができないと思いこんでしまうデイジー教科書を使うことで、以下のような効果が期待できるそうです。・音読の困難さが軽減される・子どもが自分で、勝手読みに気をつけやすくなる・教科書に振り仮名を振るなどと言った、保護者の負担が軽減される・予習で使っていた場合、授業中につきっきりにならず、担任の負担が減る学校で使うことを認められなかった場合、自宅で活用しても出典 : 娘が籍を置いている中学校で、電子教科書の話をしたところ、先生方はその存在を知りませんでした。他の方の話を聞いていても「お宅のお子さんだけ特別扱いはできない」「教員に知識がないので」といった理由でタブレットの持ち込みを断られるケースもまだまだ多いようです。学校で使うことができれば1番いいのですが、無理なら家庭で使うだけでも大きな効果が期待できるようです。特にオススメしたいのは、授業の前に家で予習に使うことです。あらかじめ音声読み上げで内容を把握しておくことで、授業中の理解度が全く違ってくるのだそう。娘は不登校ですので、家庭学習のみに使っています。これまで、教科書を見るのも嫌がっていた娘ですが、「iPadに教科書がまとめて入っているから便利。だから勉強しやすい。」といっています。九九を覚えたり、日記を書いたりという取り組みと合わせ、週に3、4回勉強しています。利用は無料。実際に使ってみましょう出典 : マルチメディアデイジー教科書 申請方法1. 上部URLを開くと、「デイジー教科書申請フォーム」という赤いボタンがあるのでそれをクリックします。2. 申請フォームを開き、名前、メールアドレス、自分で決めたパスワードを打ち込んで登録すると、申請できる状態になります。(丁寧な説明がのっています)3. 申請理由は、「読み書きが困難なため」でOKです。保護者でも、使う本人でも申請できます。1度承認されたら、教科書の追加は簡単です。4. 申請が承認されると、約1週間以内にメールが届きます。それで手続きは終了です。ちなみに申請できる教科書は、現在の自分の学年とそれから下の学年の分です。たいていの教科書会社に対応しているので安心ですね。パソコンでデイジー教科書を使うためのソフトは、「デイジーポッド3」というものを使います。このソフトで教科書データのダウンロードから再生までできるようになっています。以下のURLからソフトをインストールしてみてください。 PC で使用する場合実際にダウンロードして操作してみました。デイジーポッド3をダウンロードして立ち上げると、申請の承認メールに書いてあるログイン名と自分で決めたパスワードを入力する画面になります。入力すると、こんな画面が出てきます。Upload By ヨーコまず、ダウンロードタブをクリックして、教科書を選んだところです。ページの左隣にチェックを入れ、ダウンロードボタンを押します。ダウンロードが終わったら、再生タブを押します。するとダウンロードした教科書の見出しが出るので、好きなところを選んで再生ボタンを押します。もちろんiPadでも同じような手順で使うことができます。iPadで利用したい方は、以下のURLをご参照ください。 / iPhone / iPod touchで使用する場合勉強嫌いでも、ツールを変えれば好きになるかも!?出典 : DAISYのホームページでは、わかりやすい動画も載っていますので、ぜひチャレンジしてみてくださいね。我が家では、マルチメディアデイジー教科書を取り入れたことによって、ちょっとした隙間時間に教科書を読むことが増えました。それがきっかけで、ノートとペンを使った学習にも抵抗がなくなってきたように思います。
2016年11月25日【ママからのご相談】小学生の娘がリビングで勉強したがります。私が学生のころは自室で勉強していましたし、そのほうが集中できましたので、自室で集中して勉強したほうがいいと思うのですが、リビングでの方がはかどるようです。理由があれば教えてください。●A. 自室よりもリビングがはかどるのには理由がありますご質問ありがとうございます。学習コンサルタントの佐々木恵です。東大生の大半がリビングで学習していたという調査結果もあるように、賢い子ほどリビング学習をしているようです。とはいえ、親御さんがしてきた方法と違う方法で勉強しているのは、少々心配にもなりますよね。そこで本記事では、リビング学習がはかどる理由を心理学の観点から 解説します。●(1)音適度な音は集中力を高めます。意外かもしれませんが、人間は全く無音の場所ではかえって集中することができません。生活をしていれば多少の音が出るのは自然なことであり、音が全くないのは不自然な状態 で、かえって精神的に不安になり、落ち着かないのです。よく、音楽を流さないと勉強できない人がいますが、彼らはおそらく音楽中毒か、無音状態に耐えられないのでしょう。お母さんが料理をする音が癒しの音になっているのかもしれません。●(2)匂い匂いも脳を活性化する要因です。匂いがあったほうが記憶力が高まる という心理学の研究結果もあるほど、脳と嗅覚は密接につながっています。勉強中に食事のいい匂いがするのはリラックス効果もありますし、「夕飯までに宿題を終わらせてしまおう」と、食事に向けてモチベーションをあげる効果もありそうですね。●(3)観客効果一般的に、人に見られていると緊張してパフォーマンスが下がると言われていますが、人に見られていることで集中できるという効果も期待できます。これを『観客効果 』といいます。適度な緊張感が集中力を高めます。皆さんにもご経験がありませんか?本当は疲れてサボりたいけれど、あの人が見ているから頑張ろうと思ったことが。それが自分の上司だったらしっかりしなければと思うでしょうし、好きな人だったらいいところを見せようと思うのが人間の性なのではないでしょうか。お子さんにとっては、親が見ている前で勉強すると「勉強している」アピールになるので、「勉強しなさい!」と言われずに済むというメリットがあります。かくいう私は、小・中学生のころはリビング学習と自室学習を使い分けていました。夕食前はダイニングテーブルで教科書を広げて音読しながら勉強しているアピールを(笑)、夕食後は面白いテレビ番組の誘惑から逃れるために自室で勉強していました。きっと、お子さんは感覚的にリビング勉強のメリットを知っているのでしょう。加えて、お母さんがそばにいる環境だからこそ、安心して勉強ができる のだと思います。【参考文献】・『記憶力の脳科学』柿木隆介・著●ライター/佐々木恵(教育コンサルタント)
2016年11月13日【ママからのご相談】小学生男子の母親です。はやりのリビング勉強法を子どもにさせていますが、成績は伸び悩んでいます。むしろ、テレビはあるしおやつやジュースも欲しがるし、リビングでの勉強がはかどっていないように見えます。本当にリビングで勉強させるのって成績向上に効果があるのでしょうか?●A. リビングには「図鑑」「地図」「辞書」の3つを置くこんにちは。ライターのakiです。東大生の半数以上が子どものころリビングで勉強をしていたと言われているように、子どものリビングでの勉強は今や家庭学習の鉄板となっています。・子ども部屋と違ってゲームや漫画などがない・親の監視が行き届く・生活音を聞きながらの勉強は集中力強化に役立つなど、いろいろな利点があるからです。一方でご相談者様がおっしゃるように、リビングだとテレビが気になったりお菓子を欲しがったりと誘惑が多いのも事実。では、どうすればいいのでしょうか?それは、リビングをもっと子どもの興味のもてる空間、学習意欲をかきたてる“知的空間” に変えてしまえばいいのです。そしてそれは、ずばり「図鑑」「地球儀」「辞書」の3セットが目の届くところにあることなのです。●図鑑……理科が得意になる子が多い最近の図鑑はとてもレベルが高いです。パッと見てビジュアルがわかるだけではなく、同種類の比較なども詳細に書かれています。「植物」「動物」「人体」「天体」「恐竜」などなんでもいいのです。ただ眺めているだけでもかまいません。一度なんとなく眺めていたものは、頭の中に入っています。ゼロから勉強して知識を身に付けるのは大変ですが、一度頭に入っているものは覚えやすく かなりのアドバンテージになります。図鑑を読む子は理科が得意になる子が圧倒的に多いと言われています。また、子どものころ人体図鑑が好きで医者になったという人も多数いるそうです。そう考えると将来の研究者や発明家が生まれる可能性が大いに高まりそうです。●地図……子どもの視野を一気に広げる子どもが認識している世界はとても狭いものです。家から学校とその周辺。せいぜいそれぐらいが自分にとっての世界です。「日本ってどこ?」と聞かれても、世界のどこに日本があるのか、さらに日本のどこに自分が住んでいるのか分からなければ全くピンときません。世界にはどのような国や地域があるのか。自分が暮らしている環境と比べてどう違うかを見比べていくことは、客観的な知識 となります。視野が広がれば将来の展望や希望などもぐっと大きく広がるのです。●辞書……ネット検索よりも記憶に残りやすい最近では、わからないことがあってもネットで検索すればすぐにわかる便利な時代になっています。でも、すぐに解決できるものはすぐに頭から消えてしまう のです。しっかりと辞書で漢字や言葉の意味などを調べていくその過程こそが、記憶となり知識となるのです。辞書の見出しの中には派生語があったり類義語があったり漢字の書き順が載っていたり……。何重もの知識をじっくりと身につけることができるのです。●暗記だけでは対応できない新入試制度にも備えられる2020年から開始される新入試制度では、従来のペーパーテストではなく総合的な知識を問う教科融合型のテストに変わります。たとえば、ある資料(理科・社会)を読んでそれを図式(数学)と絡めて自分の意見を述べる(国語)というように、暗記だけでは太刀打ちできないもの に変わります。最近の中学入試でも、世界地図を見比べて文化や感想を述べさせるもの、都道府県の地図の一部を切りとって見解を述べさせるものなど幾層にも深い知識が問われるものになっています。そう考えると、まさに「図鑑」「地図」「辞書」に触れさせておくことで十分に新入試対策になりそうです。●まずは遊び感覚で親から誘ってみる最初は、「図鑑」も「地図」も「辞書」も子どもは関心がないかもしれません。その場合は、親が子どもの前で実際に使ってみたり、「一緒に見よう」と誘ってみたりするといいでしょう。勉強だと思わず、遊び感覚で「さっき公園で見た花の名前はなんだろう?」「あの魚はなんであんなに大きいの?」「福岡のおばあちゃんのお家はどこだろう?」「この字はなんて読むんだろう?」など。こうすることで、すぐに子どもは引き込まれていきます。また、リビングですぐ手に取れるように置いておく のもポイントです。調べたいときにさっと取り出せ、子どもが自分から取り出せるところでなければ意味がありません。私も実際に「図鑑」「地図」「辞書」をリビングに置いてみたところ、子どもたちは毎日のように「植物図鑑」と「宇宙図鑑」を眺めています。また、ロンドンに転校したお友達の国を地図で調べ、ロンドンについても調べるようになりました。リビングでテレビを見てゲームばかりしていたわが子からは信じられない進歩です。学びのチャンスは日常の中でいくらでもあるもの。リビングを勉強の場だけではなく知的好奇心を生み出す場にすると、お子さんの学習意欲も能力も変わってくると思います。ぜひ参考にしてみてください。【参考文献】・『頭がいい子の家のリビングには必ず「辞書」「地図」「図鑑」がある』小川大介・著●ライター/aki(中高英語教員)
2016年10月29日【ママからのご相談】小学校4年生の息子のことです。学校の宿題になかなか手を付けず、翌日に学校でテストがあるとわかっていても、勉強に身が入りません。「なんで一生懸命勉強しなきゃダメなの?」「テストでいい点をとりたいと思ってない」などと言って、ダラダラ過ごしている姿を見ると腹立たしいです。「勉強しないと将来困るよ」とか「学校で習ったことをしっかり覚えるためにテスト勉強が必要よ」などとさまざまな説明をしていますが、全く心に響かないようです。どうしたら息子をやる気にさせられるでしょうか?●A. ご褒美制度でモチベーションをアップさせるのも手!ご相談ありがとうございます、ママライターのパピルスです。「次のテストでは100点取りたいから頑張るね!」「大人になったら○○になりたいから、一生懸命勉強する!」というような、絵に描いたように素直なお子さんもいらっしゃるでしょう。けれど、「勉強するイミがわからない」とか「テストの点数なんてどうでもいい」などと投げやりな発言が飛び出して頭を抱える……というご家庭も多いのでは?わが家の高学年の息子もこうした発言が増えてきた気がします。低学年までは親や先生に言われた通り、素直に「やれと言われたことはやる」という態度だった子も、高学年以上になると簡単に従ってはくれなくなります。もともと、知的好奇心が高く、難しい問題に挑戦することが好きで、課題をクリアすることに楽しさを覚えるタイプのお子さんは別として、多くの子どもは「勉強よりも自分の好きなこと(遊びなど)を優先したい」という気持ちが強いものです。その気持ちを我慢して机に向かう“自己抑制”ができるかというと、なかなか難しいのが子どもです。「勉強しないと将来困る」「自分のために勉強は必要」「習ったことの定着のためにテスト勉強が大切」という“正論”で納得するお子さんもいれば、これらの正論が全く心に響かない(ように見える)お子さんもいるでしょう。後者のタイプのお子さんは、“遠い将来の話では危機感が持てない”、“将来の話ではイメージがしにくい”のではないでしょうか?大人と違って、子どもはまだ世の中を知らないのですから、「将来のことを想像しなさい」と言ってもなかなか難しいですよね。そういったタイプのお子さんには、「今頑張れば、近い将来に楽しみがある 」と思わせる方法が合っているのかもしれません。●ご褒美制度を活用してみましょう!遠い将来の見通しを述べても、心に響きにくい子どもには、“近い将来のご褒美制度 ”でモチベーションをアップさせるという方法はいかがでしょうか?「勉強することは当たり前のことなのに、ご褒美なんて邪道だ」というお考えの方もいらっしゃるとは思いますが、“目先の分かりやすいメリットにしか反応しない”というタイプの子どもや成長の時期があるとすれば、それも一つの方法として試してみるのも良いのではないでしょうか?東大、京大、早慶といった一流大学卒業者の中でも、突出したリーダーシップを発揮してグローバルに活躍する人材200人に幼少期や学生時代を振り返ってもらい、出た意見をまとめた本が、『一流の育て方ビジネスでも勉強でもズバ抜けて活躍できる子を育てる』。この本によれば、「成績がいいとご褒美がもらえ、それが目的になって頑張る気になれた 」という回答が数多くあったそうです。最初はご褒美ほしさでやっていた勉強でも、一度「自分は勉強が得意だ」という自信を持つと、勉強が楽しくなってくるという変化が見られることもありますよね。また、精神科医であり教育評論家でもある和田秀樹氏は著書の中で、『何の努力もしない子を褒めても努力することを覚えないが、ご褒美を出すことで子どもは「努力をすれば認めてもらえる」という実感を得ることができるようになる』とおっしゃっています。勉強を頑張って結果を出す“成功体験”をしてみることで、自分自身への自信が芽生えるケースもあるそうです。----------いかがでしょうか?ご褒美の話をして子どもが「ようし、やってみよう!」と思ったのなら、余計なことは言わずに見守りましょう。せっかくモチベーションが上がったのに、いつものように口うるさくあれこれ言ったのでは、効果は半減です。そっと見守り、子どもが困って助けを求めてくれば助けるくらいに留めましょう。1回目のチャレンジで、もしご褒美を手にすることができなかったとしても、嫌味を言うのはNG。「また頑張ればいいよ 」と励ましてあげることをお忘れなく!【参考文献】・『一流の育て方ビジネスでも勉強でもズバ抜けて活躍できる子を育てる』ムーギー・キム、ミセス・パンプキン(著)・『アドラー流「自分から勉強する子」の親の言葉』和田秀樹(著)●ライター/パピルス(フリーライター)
2016年10月25日学習障害の長男。努力ではカバーしきれない困難さを抱えた結果…出典 : 小5の長男は、ADHD、アスペルガー症候群、そして学習障害という診断を受けています。その中で、今彼を最も困らせているのが、「学習障害」です。上下斜視で2度の外科手術をしている長男ですが、視力は順調に育ちながらも、視機能や視覚認知面での遅れがありました。このため、●本の字を追って読むのが苦手●漢字や図形の形を把握して覚えるのが苦手●黒板の字を視写するのが苦手●先生の口頭の指示を覚えられない●繰り上がりなど複雑な計算が苦手こうした影響が、学習に現れています。医師の診断によると、「今は、彼が本来持っている理解力や思考力を十分に発揮できず、努力をしても定着が進まない状態です。そんな中で失敗経験が積み重なり、勉強自体に『苦手意識』『拒否感』が強まってしまったのでしょう。そのため学習場面で、パニックを起こしたりチック症状が出たりといった、二次障害が出ています。」ということでした。本来、好奇心が旺盛で好きなことなら熱心に知識を取り込み、あっという間に覚えるほど、学ぶことに対して前向きな長男。それが、読み書きという「方法が合わない」ことが原因で、学ぶこと自体が嫌になっているのです。この状況を前にし、親としては可哀想で仕方ありませんでした。タブレット学習が長男を変えた!出典 : そんなとき、通っている療育先や教育相談の先生から、「タブレットを使ってみてはどうか」と勧められました。長男に「こんなのあるけど、やってみない?」と聞いたところ、興味を示して「やってみたい!」とノリノリに。こうして、小3から通信教育のタブレット講座を始め、今ではその他のアプリも取り入れて続けています。なぜ、勉強嫌いの長男がそんなに続いているのか?お勧めの教材4つを紹介しながらお話したいと思います。出典 : こちらは、進研ゼミのタブレット教材です。国語・算数・理科・社会の4教科を、動画や音声で学習できるので、「読む」のが苦手だったり、説明を読んでイメージするのが苦手だったりする子もわかりやすいです。長男にとっては、とにかく「書かなくてもいい」のが良かったようです! 問題の答えの記入は、タッチペンを使った選択制なのです。また、間違えたら再チャレンジする仕組みになっていたり、わからないところがあったら説明や動画をもう一度見ることができたりするので、長男にとっては記憶力の強化にもなります。このシステムの面白いところは、学習をすすめるごとにご褒美(ポイントやゲーム)があるので、やる気につながるようです。「チャレンジタッチ」タブレットの仕様出典 : 長男が視覚認知・視機能の検査を受けた病院で、ビジョントレーニングとして勧められたのがこちらです。これはパソコンにダウンロードして使用するアプリケーションです。視覚認知機能5領域(注意・記憶・形状識別・空間認知・運動統合)のトレーニングができる、16種類のとてもわかりやすく楽しいゲームです。練習ステージをしてから本番に入る形だったり、前回までの記録に合わせて難易度を自動設定してくれたりと、子どものやる気を上手に引き出してくれます。また、保護者メニューでは5領域の力のバランスや、これまでの成績の変化をグラフやチャートで見ることができるので、子どもの成長状態がよくわかります。この記録をもとに、力を付けた方が良い領域のゲームを「今日のおすすめ」として自動表示してくれるので、子どもだけでもまんべんなく、力をつけていくことができると思います。視覚認知バランサー出典 : 苦手な「書く」を補うため、パソコン入力ができるようにと考え、ローマ字を負担なく覚えることができるアプリを探しました。こちらは、タブレット向けのアプリケーション。表示されたひらがな又はカタカナと同じローマ字を4択の中からタッチして選ぶ、学習アプリです。「道場」というだけに、剣道の試合のようにどんどん文字をヒットさせるのが、面白いみたいです。学校の「書いて覚える」学習では泣いて嫌がり、全くローマ字が覚えられなかった長男でしたが、このアプリはタッチするだけで覚えられるので、繰り返すうちに、少しずつですがローマ字が読めるようになってきています。剣道でおぼえるローマ字道場出典 : 漢字を書けなくてもいいから、読めるようになって欲しい。そんな気持ちで、楽しく「漢字の読み」が学習できるアプリを探しました。これもタブレット向け無料アプリです。子どもが大好きなRPGゲームの感覚で、海賊になって問題を解きながら、ステージをクリアしていく楽しみがあります。漢字の正しい読みを選択する問題、漢字の正しい形を選択する問題に回答することで、視覚的に漢字を覚えることができます。ステージを1つクリアする毎にカードやコインをもらえるのもやる気に繋がります。国語海賊〜2年生の漢字編〜その子に合った学習方法さえ見つかれば、子どもは伸びる出典 : 最近読んだ本に、こんなことが書いてありました。「勉強をその子ができる形にしてやることで、子どもは自然に力を伸ばすことができます。また、時期がくれば自然と力を伸ばすこともあります。だから、子どもを勉強に合わせるのではなく、勉強を子どもに合わせてやればよいのです。小学校に入学し、気を張って1日を過ごしてきた子どもに追い打ちをかけるのではなく、家に帰ったらほっこりさせてやりたい。だから、まずは『宿題なんかできなくても大丈夫』と考えてほしいのです。」「宿題をするのは当たり前のこと」と親子で考えていた頃は、確かに毎日が苦痛でした。私はカッとして声を上げ、長男は泣きながら宿題をしていました。でも今は、このタブレット学習を「この子の宿題」として学校に認めてもらい、やったことを記録して報告しています。自分から学習に取り組む今の姿は、以前の彼からは想像できないものでした。その子に合った学習方法を用意すれば、子どもは伸びることができる。そのことを、強く実感しています。(「宿題なんかこわくない発達障害児の学習支援」塚本章人・著かもがわ出版)
2016年10月03日こんにちは。学習アドバイザーの佐々木恵です。皆さまは、反転授業という言葉をご存じでしょうか。現在アメリカで主流になりつつあり、近い将来に日本でも導入される可能性のある反転授業。その内容とメリットとは何なのでしょうか。目次反転授業とは何か反転授業のメリットなぜ、成績が上がる?一方で課題もまとめ●反転授業とは何か教室で講義を聞き、自宅で宿題として問題を解いて予習復習をするのが一般的な学習スタイルでした。反転授業とは、これを逆転させた形式の学習スタイルです。自宅で講義動画を見て学習し、教室では動画で得た知識をもとに問題を解いたり議論を行ったりします。従来のスタイルを反転させることで、教室では講義動画の内容をフォローし、問題を解く時間を増やせる ことが大きな特徴です。●反転授業のメリット教師が一方的に講義をする一斉講義のスタイルでは、どうしても生徒たちの集中力が続かず、授業に対する理解度に差が開いてしまうことにより、勉強に対する意欲が低くなりがちなのが課題でした。反転授業では、講義を家で見ることができるため、教師は一人ひとりにあった対応をすることが可能 です。生徒側にもメリットがあります。一斉授業では一度きりしか講義を聞くことができませんが、動画であれば好きなときに何度も講義を確認できます。理解ができない箇所は動画を見返して復習することもできるため、理解度に合わせて自分のペースで学習することができるという利点があります。●なぜ、成績が上がる?授業での理解が難しい成績下位層の生徒にとっては、授業動画を何度も見て必要な箇所を自分で学べる というのは大きな利点でしょう。動画であれば、必要な部分を必要なだけ見ることができ、予習復習がしやすくなります。成績上位層においては、反転授業によって、知識を得ること、活用することの両方が可能になります。知識を与えるだけの一斉授業に対する批判はこれまでもありましたが、時間不足の問題から解消するのは難しいとされてきました。反転授業を導入することにより、各自が講義によって予習しておくことで、授業ではそれらを応用して問題を解いて思考力を伸ばすことが期待できます。あるいは、浮いた時間にグループ学習を導入すれば、個々人の主体性や仲間と共に取り組む協働性 を育てることもできるでしょう。知識のみではない、活用できる学力を伸ばせる可能性があるのです。●一方で課題もメリットの多い反転授業ですが、課題もあります。自宅で動画を見るためには、インターネット環境の整備や端末の準備が必要です。これらの経済的負担を誰が負担するのか。子どもが小さいうちは、自宅で動画を見るために保護者から子どもへ促す必要もあり、家庭には経済的・時間的な負担がかかるという懸念があります。自宅で動画を見ておかなければ、学校授業で置いていかれてしまい学習意欲がそがれる こともあるでしょう。●まとめ一人ひとりに合った学習が可能になる反転授業。自宅でタブレット端末を使って動画を見て学び、教室では話し合ったり問題を解いたり、アクティブに活動する。近い将来、これが当たり前の光景になるのかもしれません。【参考文献】・『AERA』2013年5月27日号●ライター/佐々木恵(教育コンサルタント)
2016年09月30日「頑張った結果」で評価される環境が大切だった出典 : 編集部:前回までは、畠山さんの幼少期のご経験や進学についてお聞きしました。中高一貫校に進学したとのことですが、「親がいれてくれた」というのは…?畠山:子どもですから、自分で進路の選択肢を「探して持ってくる」までは、しないですよね。親が決めたレールのうち、どれかを選ぶことはあっても基本は親の提示したレールや選択肢の中から決める。塾に入り、成績が良かった、成績が良い場合はここらへんの学校を受験するんだよ、と教えられ、何の疑問を抱かずにその通りに進みました。「自己選択したな」という自覚は別になかったですね。頑張った結果で選べるところに進んだだけ。編集部:「頑張った結果で進める」というのは、曖昧さがなくてわかりやすいですよね。畠山:そう、公文の算数がわかりやすいですよね。出来るようになれば次にいける、できないと何度もそこをくり返す。それに、成績がでるのがいいですよね、地域で何番目かわかる。努力が「事実」で認められる、曖昧な概念ではなく評価される。編集部:例えば、美術のような良し悪しの評価が難しいものは…畠山:いや数字で結果が出ればよい、というのではなく「頑張ったことを認めてもらえる」という事が大前提で一番大事だ、ということです。例えば、自分は100点とったのに、なぜか60点だったあの子が褒められる。100点をとったのに「君は才能があるから」といって努力したことを認めてもらえない、というのはおかしい。そういうことです。編集部:学校でも社会でもありますね。そういった場面で、畠山さんはどうしていたのでしょう?畠山:一つは、その集団に興味がなくなります(笑)会社だったら、そういう会社はやめてしまうかもしれませんね。例えば、上司に気に入られたらボーナスがあがる、という会社だったら仕事は頑張らなくなってしまい、上司に気に入られることを努力するでしょう。仕事を頑張ろうと思ったら違う会社に行くと思います。僕の場合は、塾で勉強すれば評価される環境だったから、しっかり勉強して伸びてきた。それだけ。偶然入った大学では、拘束が多い生活が待っていた。でもそれが自分には合っていた編集部:大学は中学高校と違い、枠組みが曖昧になってきますよね、通い方や学び方も。そこでつまづきはなかったのでしょうか?畠山:中高は無遅刻無欠席、通学も50分かかり、授業後は塾。という、それまでのルーチンとは変わりましたが、防衛大は寮生活ですし、なぜかキツいサッカー部に入ったので、生活は依然拘束されていました。それが良かったんです(笑)普通の大学生生活といってイメージするような、昼から授業にいき、眠りながら授業を受けて…という環境ではなかったので、真っ直ぐ真面目に(笑)編集部:自分のスタイルに合わせて、あえて、そういった学生生活を選んだんですか?畠山:いや、受かったからです(笑)国立の医学部で受かったのは防衛医大だけでした。親もお金かからないし、家計も助かる、じゃあ行きましょう。というところですね。今振り返えると、あの生活スタイルは自分にとって、とても良かったと思います。ただ、全寮制だとは知っていても、朝6時に点呼があるなんて知らなかった(笑)世の中は理不尽なことが多い。だからこそ僕は仕組みを学んだ出典 : 編集部:ちなみに、寮のルールや集団の決まり事に疑問を感じることなどはなかったのでしょうか?理由を考えるとイマイチ納得出来ない慣例的なルールだったり…畠山:疑問…そうですねえ…「ルールがあると知らなくて疑問を抱くこと」はありますよ。編集部:あ、なるほど。畠山:はい、だから僕はルールを隅々まで学んだ。例えば、賃貸物件。部屋を借りるときに、敷金・礼金・手数料がすごく高いことがありました。不動産屋が取れる手数料は、家賃の1ヶ月分で、手数料には消費税はつきますよね。且つ敷金/礼金には消費税はつかない。ところが、僕の手元にきた見積り書には、2ヶ月分の手数料に消費税がかかっていた。これは、宅建法違反なんですよ。というように、ルールを隅々まで学んでいれば、おかしいと思うことをすぐに論理的に理解し、社会の理不尽にすぐに対処し交渉したりできるんです。編集部:そんな風にルールを学ぼうと思ったキッカケは…?畠山:腹が立つからですよ(笑)というのは、冗談で、例えば高速道路のスピード違反、捕まる人と捕まらない人がいるのはなぜでしょう?それは、警察が取り調べをするルールがあるみたいなんですね。警察の覆面パトカーを追い越してから後ろにつかれて云々…と。要は、取り締まりのルールが決まっている。捕まる人と捕まらない人がいるのは理不尽ですよ。でも理不尽だからこそ、学ぶんです。なぜそういうことが起きているのか、という事を知っておく。知っておけば理不尽な社会でも生き抜くことができるんです。僕はそう考えています。畠山さんが現在のお仕事をされるまでの経緯について詳しく伺います。医師(整形外科医)。1974年、大阪府生まれ。1998年、防衛医科大学校卒業後、自衛隊医官として仙台市で勤務。自衛隊退職後、大泉記念病院整形外科、石巻ロイヤル病院整形外科部長を経て2010年、八木山整形外科クリニックを開業。2011年、東日本大震災で被災。2012年維新政治塾に参加、衆院選(宮城4区)に立候補するも落選。現在は複数の病院の外来や在宅診療を掛け持ちで担当している。著書に、『ぼくはアスペルガーなお医者さん 「発達障害」を改善した3つの方法』(KADOKAWA)、『「糖質制限+中鎖脂肪酸」で確実にやせる! 驚異のMCTオイルダイエット』(幻冬舎)。畠山昌樹オフィシャルサイト:
2016年09月15日コミュニケーションが苦手な息子。ドラマを見るのは立派な勉強!Upload By かなしろにゃんこ。先日、特別支援教育モデル校の先生にお会いする機会があり、そこで聞いたお話です。友達と関係を築くのが苦手な息子のことを相談すると、先生から、「最近の若い子は時間の優先順位がSNSで、ドラマを観なくなりました。でも、人付き合いが苦手だったり、相手の気持ちがわからない子はドラマを観ると良いんですよ」と教えてもらいました。ドラマは、自分とは性別も趣味も年齢も違ういろいろな立場の人が登場するので、他人の心模様を観察するのにちょうど良いんだそうです。そこで、「よし!うちもドラマで人間関係を学ぼう!」と思い立ち、時間があれば息子と一緒にドラマを観ることにしました。ドラマを実況中継!息子が分からない表現を母が解説Upload By かなしろにゃんこ。ドラマの中では本心ではない言葉をあえて使って駆け引きしたり、皮肉を言って笑わせる場面が出てきます。でも、コミュニケーションの経験が少ない息子にとっては「どうしてそんなこと言うの?」と謎なことが多いのだと分かりました。そこで、「分からないことがあったら聞いてね、教えてあげるから」と伝えてからDVDで観ることにしました。何か質問されたときは再生を止めて簡単に説明しながら観るようにしたところ、息子は「この言葉はジョークなんだ」「こういうときには本当に思っていることを言わないんだ」などを覚えて、少しずつドラマを楽しむようになっていきました。言葉を文字どおりに受け取るだけではなく、その裏に意味が隠れていることを次第に理解していったのだと思います。また、息子は自分の気分がいいとき、目の前の人の表情から「困っている」「喜んでいる」「怒っている」などの気持ちがくみ取れない、いわゆる空気が読めない性格です。ドラマを見ることで、人間には憂いやはにかみなどたくさんの感情が存在することや、そしてそのときの表情を知ってほしいというのもひとつの狙いでした。コメディを理解し始めた息子は…親の心、子知らず!Upload By かなしろにゃんこ。さて、私の好みもあってアメリカのコメディドラマも観せていると、息子はどっぷりハマってそればかり見るようになってしまいました(笑)おかげで、汚い表現やイカすちょい悪なセリフを覚えては使いたがるようになった息子…ジョークや皮肉をある程度理解するようになったところに成長を感じるものの、「なんか学んでほしいところが違うな…」と思う母なのでございました。余談ですが、アメリカドラマに『ビックバン★セオリー』という発達障害の特性を持つ主人公が出てくるコメディドラマがあります。このドラマは「発達障害を楽しく知ってもらうのにおススメ」だと私も知人から教えてもらい、私もその面白さにハマってしまいました。愛すべき特性がいっぱい出てきて、発達障害は悪いもんじゃないと思えるようになりました。発達障害のお子さんがいるご家庭で、ご覧になっていただけたら嬉しいです。出典 : ワーナー海外ドラマ公式サイト「ビッグバン★セオリー」
2016年09月13日こんにちは。エッセイストでソーシャルヘルス・コラムニストの鈴木かつよしです。お子さんが思春期に反抗的になるのはある意味当然のことですが、ごく稀に“反抗期のない子 ”がいます。親や祖父母のことが大好きで、「パパやママ、おじいちゃん、おばあちゃんのことをとにかく悲しませたくない」という子どもたちです。脳科学を専門とする医学博士でタレントの中野信子さんは、そういった“反抗期のない子”について、『脳の前頭前野の背外側部(はいがいそくぶ)の機能が弱いため、ものごとを自分の脳で合理的に考えることができない という特徴があり、親や祖父母の価値観に洗脳されやすい 』と、おりにふれて指摘されてきました。今回はそのような“反抗期のない子どもたち”について一緒に考えてみましょう。●筆者の旧友N君は、お父様のことが大好きで議員を世襲し、挫折して自ら命を絶ちました筆者の中学・高校時代の友人で、N君(故人)という人がいました。故人の名誉のために実名は伏せさせていただきますが、N君は正真正銘のセレブリティーの家に生まれ育った御曹司で、お父様は巨大与党所属の元国務大臣でした。愛されて育ったN君は本当に“いいやつ”で、愛すべき好青年でした。N君がどれほどいいやつだったかを示すエピソードが一つあります。高校のとき、勉強が苦手な友人たちは試験前になると筆者の“鈴木ノート”を借りて一夜漬けの勉強をし、及第点ぎりぎりで進級・進学したのですが、みんな友達のよしみで“鈴木ノート”を借りられて当然といった感覚でした。それに対しN君だけは試験が近づくと、「鈴木、申し訳ない。俺にもノートを貸してもらえないかなあ」と、膝をついて頼みに来たのです。あのN君であれば思春期に親に反抗したとは到底考えられません。案の定N君は30代のはじめに衆議院議員だったお父様が亡くなられた際、自分の意思でやっていたテレビ局のキャスターの仕事を辞め、巨大与党から補欠選挙に擁立されて衆議院議員に当選したのでした。高校生のころに垣間聞いた話によると、N君は「男たるもの与党の政治家となって国を動かせ」というお父様の話を素直に「はい」と聞き、年齢相応に反抗するどころかむしろそんなお父様に憧れていた ようです。ところがそんなN君の素直さは、お父様のみならずお父様の“取り巻き”だった人たちへの素直さにも直結してしまいました。取り巻きの人たちからもすっかり洗脳されてしまったN君は、その後公職選挙法違反や受託収賄容疑などで3度にわたって逮捕され、失意のまま41歳で自ら命を絶ったのでした。●親を好きであることが生きるうえで合理的なケースもあるが、逆もあるN君のように、立派なお父様のことが大好きで、そのお父様から話を聞き、おじい様のことを心から尊敬する。そのこと自体はけっして悪いことではなく、素敵なことです。そして、中には大好きな親と同じ職業に就いて成功する人もあり、親を好きすぎることが合理的な生き方でもあるケースは確かにあります。ただ、N君のようにややもすると親の価値観に影響されすぎているうえに“思いやり”もありすぎる人の場合、他人とのタフな駆け引きを必要とする政治家のような仕事が果たして適職であったかというと疑問は残ります。●脳科学に造詣の深い精神科医は、思春期に複数の価値観にふれることをすすめている都内でメンタルクリニックを開業する精神科医のA先生は脳科学にも造詣の深い医学博士ですが、N君のようなケースについて次にようにおっしゃっています。『Nさんに反抗期があったかなかったか、直接面識のない自分には分かりようもありませんが、お話だけからも明らかなことは、Nさんが非常に“思いやり”の深い人であったということです。これは、前頭前野の中でも腹内側眼窩前頭皮質(ふくないそくがんかぜんとうひしつ)と呼ばれる部分が一般的なレベルよりも発達しているためで、Nさんはこのケースに該当すると思われます。思いやりが深いことは素晴らしいことなのですが、眼窩前頭皮質が発達していて背外側部の機能が弱い場合、「思いやりが深くて打算的にはなれない 」という、政治家には最も不向きな人格に育っていたおそれは否定できません』(50代女性/都内メンタルクリニック院長、精神科医)自分の脳は人間性に強く関与する前頭前野のどの部分が発達していてどの部分に弱さがあるのか。残念ながらそれを自分で計り知ることは難しいと言えます。しかし、偏りを最小限にとどめることはある程度は努力で可能になるのではないでしょうか。A先生は言います。『思春期には、できるだけ複数の価値観にふれる ことをおすすめします。自分の親、自分のおじいさん、自分の家族の価値観には親近感はあるでしょうが、この世の中は全然違う感性を持った人間が「共に暮らしている」のだということを意識して自覚した方がいいでしょう。特にますますグローバル化が進むこれからの時代は、その方がストレスに対してタフかつ安全に生きることができるのではないかと思います』(50代女性/前出・精神科医)----------最後に、今はなき愛すべき友N君が、これからも人間どうしの足の引っ張り合いのない天国で笑顔で過ごされますよう祈念しながら、締めくくらせていただきたいと思います。合掌。●ライター/鈴木かつよし(エッセイスト)
2016年08月23日【ママからのご相談】子どもが音楽を聞きながら勉強しています。勉強をするのはいいのですが、音楽を聞いていたら集中できないので、意味がないのではないかと思います。注意するとすねて勉強をやめてしまうので、どうしたものかと……。 音楽を聞きながらの勉強は効果があるのでしょうか?●A. 子どもが集中しているか見極めましょう。ご質問ありがとうございます。学習アドバイザーの佐々木です。子どもが勉強したり、宿題をしたりするのはいいのですが……。音楽を聞きながら勉強していたら、ちょっと気になりますよね。とはいえ、せっかく子どもが自分から勉強を始めたのに「音楽は聞くな!」と言うと、勉強しなくなってしまうのではないかと不安になるのではないでしょうか。悩ましい問題ですよね。●音楽を聞きながら勉強するのには理由がある音楽を聞きながら勉強する理由は大きく分けて2つです。ひとつは、“落ち着かない”から。音楽を聞きながら勉強する中学生は、こんなふうに言います。『静か過ぎると落ち着かない。少し音楽がある方が集中できるし、はかどる気がするんです』(中1男子)実はこれ、脳科学の観点でも言われていることなのです。人間は、“静かで壁に囲まれた狭い空間にたった一人でいること”に慣れていないそうです。たとえば、こんな経験はありませんか?自宅で読書よりも、カフェの方が落ち着く、はかどったという経験が。BGMや周りの人のおしゃべり、調理するときの音。適度な雑音がある方が、人間は集中できるのです。自然に生活していれば、何かしらの音が出るのが当然 ですね。全く音がない状態というのは、かえって不自然な状態なのです。だから、静かな部屋で一人で勉強するときに音楽を流したくなるのです。反対に、あまりにも音がうるさいのも、不自然な状態といえます。自宅の近くで工事をしていて騒音がひどい、家族がテレビを見ていてその音が漏れ聞こえてくるから集中できないという理由で、要するに耳栓がわり。私の生徒にも、こんな子がいます。『毎晩のように夫婦げんか、兄弟げんかが聞こえてくる。うるさくて集中できないから、音楽を流して聞かないようにしないと集中できないし、音楽がある方が安心できる』(中2女子)●勉強の環境は適切か?もし「音楽を流さないと集中できない」なら、静かすぎる、うるさすぎる不自然な状態に耐えられないのかもしれません。「音楽を聞きながら勉強してはいけない」と言う前に、環境改善が必要 です。音楽を聞くにしても、日本語の曲はやめて洋楽にするとか(日本語の曲は感情移入したくなったり、歌いたくなったりする)、集中できる音楽にするとか、音楽のジャンルを選びましょう。●音楽を聞きながら勉強してはいけない人そして、もうひとつの理由は、“音楽が好きすぎる”こと。『音楽が大好きで、音楽を流して歌いながら勉強しています』(中1女子)もしこちらの理由で音楽を聞きながら勉強しているなら、やめましょう。音楽に気を取られてしまい、勉強に集中できるわけがありません。特に、歌を歌ってしまうような人は絶対にやめた方が良いです。ただし、いずれの理由にせよ、「最初は音楽が聞こえていたけれど、気が付いたら聞いていなかった」という人は、音楽を聞きながら勉強しても大丈夫です。聞こえないのは集中している証拠。集中するための儀式として音楽を聞いている ならそれで大丈夫です。結論としては、集中できているなら音楽を聞きながら勉強してOK。集中できていないならやめるべきです。一度、お子さんが音楽を聞きながら勉強する様子を観察してみましょう。加えて、なぜ音楽を聞きながら勉強しているのか聞いてみてください。音楽がある方が集中できているようであれば大丈夫です。歌いながらであればやめたほうがいいでしょう。【参考文献】・『記憶力の脳科学』柿木隆介・著●ライター/佐々木恵(教育コンサルタント)
2016年08月13日【ママからのご相談】長女のスマホについてです。夏休みだからか、娘が家にいるあいだはずっとスマホをいじっています。夏休みの宿題もあるのに……。塾には行っていないので、自分で勉強する習慣を付けて欲しいのですが、娘いわく、スマホの誘惑に勝てないそうです。 どうすれば、勉強とうまくバランスが取れますか?●A. 時間を決めて勉強させ、終わったら思いきりスマホで遊ばせましょう。ご質問ありがとうございます。学習アドバイザーの佐々木と申します。スマホについては、当事者たちも、「どうしてもスマホを見ちゃうんです。つい、Twitterを開いてあれこれ見てたらLINEが来て、友達と喋って……気が付いたら結構な時間になっていて」と、気にしている様子です。勉強中のスマホやゲームとの戦い方。難しいですよね。そこで今日は、スマホやゲームの誘惑に負けてしまう人のためのアドバイスをご紹介します。●(1)物理的に離れるまず、スマホがどうしても気になってしまうときは、物理的に距離を置く ことです。ついつい開いてしまうアプリがあるなら、フォルダに入れて見ないようにする。・アプリから通知がこないように設定しておく・ゲームなら電源の入らない状態にする・誰かに預けてしまう・勉強部屋から一番遠い場所に置くというように、とにかく“触れない状態”をつくります。●(2)完全禁止は逆効果とはいえ、完全に禁止してしまうのも危険です。なぜなら禁断症状が出る からです。「ああああ、スマホが気になる気になる気になる!」と、もう何も手につかない状態ですね……。取り上げて何日も見られない状態が続くと、かえってスマホが恋しくなるので危険です。禁止されるとより気になってしまう心理状態を『カリギュラ効果 』といいます。「押しちゃダメ」と言われると押してみたくなる……あの心理ですね。試験前だからとまったく触らせない、全く触れない状態も、かえって危険です。●(3)時間を決めるそして、時間を決めるのです。決めるのは、スマホをいじる時間ではありません。“勉強する時間 ”を決めるのです。その日にやらなければならないことを書き出し、決めた時間までにすべて終わらせる。「終わったらスマホを好きなだけ触ってOK 」と、ルール決めをするのです。スマホが大好きで早く触りたいなら、早く勉強を終わらせるでしょう。時間を区切ることで緊張感が生まれ、頭に入りやすくなる効果も期待できます。早く終わらせようとすることでスピードがアップし、勉強の効率が上がっていきます。●(4)報酬を与える勉強が続かない理由はいたってシンプルです。報酬がないからです。ゲームは“おもしろい”という報酬がありますが、勉強には報酬がありません。だから続かないのです。将来のためになる、賢くなるなど将来的な報酬はもちろんたくさんあるのですが、子どもにはそんなことを言ってもわかりません。今の楽しみしか見えないでしょう。大人だってそうです。ダイエットは健康のためとわかりながら継続できない人を私は何人も知っています。長期的に見ればいいことがあるけれど、短期的には報酬がない。だから続かないのです。勉強が終わったら、ゲームやスマホを報酬にして、「終わったらいいことがあるんだ 」と思わせることも大切なことです。----------時間を決めて、勉強をやるときはやる。終わったら“いいこと”がある。スマホを触るときは、徹底的に触る。メリハリをつけましょう。これがコツです。【参考文献】・『直感力を高める 数学脳のつくりかた』バーバラ・オークリー(著)●ライター/佐々木恵(教育コンサルタント)
2016年08月09日【ママからのご相談】小学校1年生の男の子がいます。勉強が嫌いみたいで、学校の宿題もほとんどやらず一日中友達と外で遊んでいます。1年生でこの様子だと先が思いやられます。なんとか勉強をしてくれる方法ってないでしょうか。●A. 小学校3年生までを目標に。勉強癖はつけられます。こんにちは。ライターのakiです。小学校時代は、のびのび外遊びをすることも大切ですが、勉強をする習慣を早めにつけておくことも大切です。一説によると、小学校3年生までにしっかり勉強癖をつけるのがいいそうです。宿題がまだ少ない小学校時代の前半のうちにという意味もありますが、単純に記憶が得意な時期であり、脳の前頭前野の発達過程でもそのころが大きな節目になるからだそうです。では、具体的にどのように勉強癖をつけるといいのでしょうか?●子どもに勉強癖をつけさせる方法●(1)歯磨きと一緒で、毎日やらないと気持ち悪いと思わせる歯磨きは毎日します。虫歯になるからという理由もありますが、毎日しなければ気持ち悪いという完全な習慣化が確立しているからです。それと同じように、勉強も“しなければ気持ち悪い” と位置づけするのです。頭の中のバイキンをイメージさせて、「勉強をやらないと頭の中のバイキンがなくならないよ」と吹き込んで毎日少しづつでもいいので勉強をさせるのです。感覚的に勉強をしないことがなんだか落ち着かない……という状況にもっていくよう、まずは親がうまく立ち回りましょう。●(2)最初に音読から一緒にやってみる小学校の宿題でほぼ必ず出されるのが“音読”の宿題です。たいていのお子さんは、「音読なら簡単だからやる」と比較的取りかかりやすいはずです。もしくは音読が嫌いなお子さんも、「お母さんと読んでみようよ」と一緒に誘ってみると素直に聞いてくれることが多いです。脳科学の分野で有名な東北大教授の川島隆太氏は、音読をしているときは脳がもっとも活性化する と断言されています。脳が活発になったところでそのまま勢いにのってほかの宿題や課題をしてもいいですし、集中力が途切れたらまた音読に戻って……というやり方で上手にのせるといいかもしれません。読解力にもダイレクトにつながると言われている音読。家で遊びのように毎日音読ごっこをしてもいいくらいです。まずは、音読を基本に学習を導いてみましょう。●(3)天狗になってもけっこう。おだててやる気を持続させる勉強を好きになるには“達成感”が必要です。そのためには、親がとにかく子どもをほめることが大切です。子どもの意欲は、親が達成感を味わわせる力次第とも言われているくらいです。たとえば、小学校低学年のうちはテストでも100点や高得点を取ることが多いです。その際も、「100点すごいねえ」だけではなく、「学校を休んであまり習ってないところだったのに100点?すごいわねえ」や「この前の日曜日、一緒におさらいして頑張ったもんね。すごいねえ」などと、点数以外でも頑張った部分を具体的にほめてあげること が大切です。時には「勉強しないのにいい点とれた」と言ってくるかもしれません。その場合も、「勉強しなかったのにすごいわねえ。頭いいのね」とうぬぼれさせて新たな勉強をさせる弾みにしてもいいのです。とにかくおだててやる気を引き出すことが親の役目です。----------以上です。勉強は、中学、高校……とこの先もずっと続いていきます。親が横について勉強をさせられるのも小学校のうちだけかもしれません。小学校低学年の素直な時期に勉強癖をしっかりつけておくと、それ以降は自主的にできるお子さんになる可能性が高いです。今のうちにしっかりと親子二人三脚で頑張ってみてください。【参考文献】・『小3までに「勉強グセ」をつける法ー親の「教育力」次第で子どもの学力はいくらでも伸びる!』和田秀樹・著●ライター/aki(中高英語教員)
2016年08月07日【ママからのご相談】小学校高学年の子どもがいます。成績がどんどん下がっていて、1学期の成績は目も当てられない状態でした。子どももすっかり自信をなくしてしまって、勉強が大嫌いになってしまったようで、一切勉強をしたがりません。この夏休みのうちに自信を持ち直してもらい、勉強する習慣をつけたいのですが、どうしたらいいでしょうか。●A. 一つの目標を達成できるように、家族ぐるみでサポートしましょう。ご相談ありがとうございます。勉強嫌い専門コンサルタントの佐々木です。勉強が嫌いになってしまうと、今のうちから心配ですよね。心理学者アルバート・バンデューラが提唱した『社会的学習理論 』では、自己効力感を上げる(自信をつける)ために、4つの要素(個人的達成、代理学習、社会的説得、情緒的覚醒)が必要とされています。そのうち、勉強に対して自信と習慣をつけるためには、特に個人的達成、つまり“成功体験 ”が重要です。夏休みのあいだに、一つ目標を持って何かを達成できるように、家族ぐるみでサポートしましょう。●(1)下の学年の復習から始めるお子さんが5年生なら、4年生あるいは3年生の問題集を解くことから始めましょう。ポイントは、つまずいたところの“少し前”まで戻る ことです。どうしても、つまずいたところに戻りたくなってしまうと思うのですが、つまずいたところではなく、その子が簡単にできるところまで戻るのです。できないことを克服するのは大人だって大変なこと。できる問題をやって調子をつけてから、できないところの復習に取り掛かりましょう。●(2)カレンダーに印をつける少しでも勉強ができた日には、カレンダーに印をつけたり、シールを貼ったりしてみましょう。夏休みの約40日、全てにシールが付いたらちょっとしたごほうびを用意するのもいいですね。話し合ってルールを決め、実践してみてください。ラジオ体操に毎日行って、スタンプを集めた経験はありませんか?最初はいやいやでも、続けることで楽しくなり、やってみようという気持ちが湧いてくることも。頑張りが見えることでやりがいが出てくる ものです。●(3)ほめるそして、なんといっても最大のコツはほめること。下の学年の問題ができたら「こんなにできるんだから大丈夫!」と励ましましょう。どんなに量が少なくても、きちんと続けられたら「頑張ってるね」と、続けることが素晴らしいと伝えてあげる のです。テスト形式で問題を解いて、全問できたら大きな花丸をつけたり、大きく“100点”と書いてあげたりするのもいいですね。自信と習慣をつけるためには、小さなミスにこだわりすぎず、できたことに目を向け、ほめてあげることが大切です。厳しいことを言うのは、自信がしっかりついてから。----------勉強が嫌いな子は、できないことに嫌気がさしている場合が多いので、できていることに着目して、一つひとつ階段をのぼるように伸ばしていきましょう。夏休みの長いお休みで、「できた!」「やり遂げた!」体験を一つさせてあげることで、自信がアップします。ぜひ、家族一丸となってサポートと演出をしてみてくださいね。●ライター/佐々木恵(教育コンサルタント)
2016年08月01日【ママからのご相談】小学生と中学生の子どもがいます。頭のいい子がいるご家庭の母親たちは、「勉強しろなんて一度も言ったことがない」とよく言っています。これは、嘘なのでしょうか。それとも本当なのでしょうか?●A. 「勉強しろ」とは言わないが、子どものやる気を引き出す方法を工夫している。こんにちは。ライターのakiです。私も教員時代、東大をはじめとする超難関校に合格するお子さんのいらっしゃるご家庭をみてきました。確かに親御さんは教育熱心ではあるのでしょうが、「勉強しなさい」などと頭ごなしに勉強をさせるイメージはありませんでした。むしろ、子どもの感受性や心を育てながら、やる気にさせるのがお上手……。そんな方が多かったです。ということで今回は、ご相談者さまの質問に答えるべく、PICASOさんの著書『東大生が教える! 勉強が好きになる子どもの育て方やる気を引き出す親のヒケツ50』より、東大生のご家庭でされていた親から子どもへの接し方の具体例を挙げてまいります。●東大生の自分の成績が伸びた・やる気が出たきっかけエピソード●日常生活編『小2から旅行のプラン(行き先、宿、レストランなど)を決めさせてもらえ自主性を鍛えられた』(東大文科1類男子)『幼稚園から高校まで塾通いをしていた。苦にならなかったのはいつも母親がおやつを用意してくれて、お喋りしながら書き取りや計算を見てもらって勉強の習慣をつけてくれたから』(東大理科3類男子)『両親は共働きで忙しかったけど、本の読み聞かせと博物館や美術館にはよく連れて行ってくれた』(東大人文社会系修士男子)『母からの教育方針は「勉強しなさい」「生活態度を改めなさい」という漠然とした言い方ではなく、「門限を守らなければお小遣いを渡さない」のみ。具体的でわかりやすかった。守ってるうちに生活習慣がきちんとしたものになっていった』(東大経済学部女子)共通しているのは、無理に何かをさせられるのではなく、親から興味のきっかけを与えてもらったり具体的な指針を教えてもらっていたりするということです。「勉強しなさい」「きちんとしなさい」と言うのは簡単ですが、このようにまず具体的な方法 をお子様に示すことが大切です。●勉強編『幼稚園前からフラッシュカードや本の読み聞かせを両親がしてくれた』(東大文学部女子)『5歳まで海外にいた。帰国後は英語の本を親からどんどん与えられた。ハリー・ポッターの原書など何十回も繰り返し読んだ』(東大文科1類男子)『中学校のころ、母が問題集の中から何題か選んで手書きドリルを作ってくれた。問題集をこなすよりやる気が出た』(東大文科3類男子)『英語の音読とシャドウイング(英語を聞きながら少し遅れて発音していく訓練)のやり方を父親が教えてくれてやっていた』(東大人文社会系修士男子)ある東大生の言葉で印象に残っているものに、「親も自分と一緒に勉強していた」 というものがあります。これは別に親も一緒になって受験問題を解いていたという意味ではありません。何をどうすればいいのかを提示してあげ、並走しながらわが子の勉強を見守っているのです。まさに上記の具体例そのものです。難関大に合格する子どもを持つ親御さんの場合、このように一歩踏み込んで子どものやる気を引き出す工夫をされている方が多いのです。●その他『幼稚園のころから「どこの大学に入るかで人生は重要になってくる」とわかりやすいように説明してくれていた』(東大工学部男子)『受験前日にカラオケに連れて行かれたり、ほかの受験2日前も温泉に連れて行かれたり。父親はいつも無理にでもリフレッシュさせてくれた』(東大薬学部男子)臨機応変に子どもに対応するというのもひとつのポイントかもしれません。子どもの性格や状況に合わせて上手に向き合うのです。素直なお子様には大学に入る意味を小さいころから説明して勉強を前向きにさせたり、プレッシャーに弱いお子さんには率先して気分を盛り上げたり。子育て同様に教育方法にも決まったやり方はありません 。お子さん一人ひとりに合わせた導き方を親がきちんと把握していくといいでしょう。----------以上です。「勉強しなさい」と言わずとも見事にお子さんのやる気を引き出してやる気にさせているエピソード。ぜひ、その手法を参考にしてみてください。【参考文献】・『東大生が教える! 勉強が好きになる子どもの育て方やる気を引き出す親のヒケツ50』PICASO・著●ライター/aki(中高英語教員)
2016年07月23日【ママからのご相談】祖父母が子どもをしょっちゅうほめています。ほめてもらえるのは嬉しいですし、子どもをほめるのは大切なことだと認識してはいますが、こんなにほめちぎって大丈夫なのかと不安になることもあります。●A. 大事なのは、子どもに「やればできる」と思わせられるかどうか。ご相談ありがとうございます。教育コンサルタントの佐々木と申します。勉強が苦手な子どもに勉強を教える際、いかにほめるかが非常に重要になります。確かに、子どもの自尊心を高めるうえで、ほめることは有効な手段です。しかし、質問者様が懸念しているように、ほめ方を誤ってしまうと、かえって自尊心をくじく 結果になることもあります。●才能をほめると、挑戦しない!?こんな実験があります。子どもを2グループに分けてテストを受けさせます。一方のグループには「頭がいいのね」とほめ、難易度がより高いテストを行ったそうです。結果はどうだったかというと、「頭がいい」とほめられたグループは、“頭のいい自分”を演じようとしてしまうために、難しい問題に挑戦しなくなりました。頭がいいという評価を覆さないように、失敗を避けた のです。さらに悪いことに、自分の得点を申告する際に、得点を高く偽った子までいたのです。自分を賢くみせようとして必死になっているのですね。●努力に焦点をあてるでは、もう一方のグループはどうだったのか。もう一方のグループには「よく頑張ったね」と、才能ではなく努力をほめました。先のグループと同様に、より難しいテストをしたところ、結果は真逆。最初のテストより点数が上がっていたのです。「ほめるのは難しい」多くの親御さんがそうおっしゃいます。せっかくほめるのなら、効果のあるほめ方をしたいですよね。子どもの自尊心を高めるのは、才能よりも努力に焦点をあてた言葉です。努力をほめれば、「あなたの努力をきちんと見ている 」というメッセージを伝えることができます。お子さんの自尊心を育てるのはもちろん、安心感を与え、親子の信頼関係がよくなる効果も期待できるでしょう。全てを最初から完璧にできることではまずありません。頭でわかっていながらも、完璧を求めて、できたら「頭がいいのね!」とほめていませんか。子どもが最初からできることなんて限られていますし、できることしかしないのであれば、成長が見込めないのです。大切なのは、失敗から学んで、できるようになることです。そのためには、失敗をおそれすぎず、失敗をしてもいい、そこから学ぼうという姿勢。そして、できたときには、失敗しても諦めずに取り組んだこと、やりとげたことを評価するのです。ほめ言葉は、取り方を誤れば毒になります。一方で、正しくほめればよい薬になります。ぜひ、お子さんの成長を楽しみながら、努力をほめてみましょう。【参考文献】・『「やればできる!」の研究ー能力を開花させるマインドセットの力』キャロル・S・ドゥエック(著)●ライター/佐々木恵(教育コンサルタント)
2016年07月15日こんにちは。ライターの渦マキです。子どもにスマホやタブレットを使わせることに関しては、家庭によってさまざまな意見があり、「持たせない」という選択をしている人もいます。しかし、近年では“ICT教育”という情報通信技術教育が注目されており、授業でPCやタブレットを使用する学校も出てきています。●子どもにタブレットを使わせるメリット3つ●(1)直感的に学べる理科や社会などの学習の際、タブレットを使用することでバリエーション豊かな写真を見ながら直感的に学ぶことができます 。数学にしても、立方体などの図形を指で触れて角度を変えることで形を把握しやすくなります。●(2)学習用のアプリが豊富現在、さまざまな学習専用のアプリが販売されています。漢字の成り立ちや理科の実験など、さまざまな学習分野に対応しており、ゲーム感覚で楽しめる ように作られています。普段は勉強にやる気のない子どもでも、アプリを使用することでモチベーションUPが期待できます。●(3)タスク管理を学ぶ私たちは学校で夏休み前に、“1日の計画”という表を作っていましたよね。しかし、大抵は予定通りにいかず計画倒れになることも少なくありませんでした。タブレットにはタスク管理に適したアプリが出ているため、自分の予定をより計画的に立てることができます。●タブレット学習のデメリット一方、タブレット学習には以下のようなデメリットがあります。・学習に関係のないサイトにアクセスする恐れがある (親や先生が知らないうちにSNSに参加しているなど)・タブレット購入や学習のための費用がかかる・個人情報が流出する危険がある----------文部科学省では、ネットの怖さを認識してもらうための動画を公開しています。このような動画を親子で見ながら、タブレット学習には便利さがある反面、危険も孕んでいるのだと教え、話し合うことが大切です。【参考文献】・『スマホ・タブレットで子どもの能力を開発しよう』瀬戸武生・著●ライター/渦マキ(フリーライター)
2016年07月06日【パパからのご相談】娘が中3で、受験を控えています。娘は明らかな文系で、国語、社会、英語の勉強は順調ですが、どう頑張っても数学の成績が伸びません。私はもともと理系で数学が得意なほうでしたので、妻から数学を教えるようにと言われ教えていますが、教えたその場ではできても、テストになると途端にできなくなり、努力が点数につながっていない状態です。全ての科目の中で最も数学に時間を費やしているのに、全く成果が出ない現状……。公立高校を志望しているので受験が心配なのもありますが、親として、この状況を何とかしてやりたいです。●A. 数学が苦手な子には、見直すべきポイントがあります!こんばんは。教育アドバイザーの佐々木です。勉強嫌いのお子さんの指導を得意としています。一生懸命やっているのに成果が出ない。これほどつらいことはありませんよね。周囲の人間は間接的にしか関われないので、もどかしい気持ちもあろうかと思います。とくに文系女子にとって、数学ってほかの科目と勉強方法が全く違うので、やりにくい部分も多いかもしれません。数学、算数が苦手な子にありがちなこと。“計算が遅い” という問題です。計算が遅すぎるゆえに、全然進まずに、嫌になって折れてしまうのですよね。数学でなかなかな伸びないとき、確認すべき点は2つです。●(1)計算のやり方を、理解できているか?計算の方法を理解していないと、足すべきところで掛け算してしまうなど、得意な人にとっては理解できないような計算 をやってしまうことがあります。もちろん、本人に悪気はありません。中学生なら、プラスマイナスの計算や文字式の計算でつまずく子がとても多いです。数学でなかなか成績が振るわないのであれば、ここの理解を確認します。特に文字式では、文字が出てくると途端にわからなくなる子がいます。文字式が苦手な子は、文字を数字に置き換えて、具体化して考える ことがコツです(たとえば、30円の品物をa個買ったときの代金を求める問題では、aを具体的な数字にします。「a個じゃなくて、3個だったらどう計算する?」と聞いてあげれば、答えられるでしょう)。●(2)単純計算を「考えずに」やれているか?計算するときに、「えーっと」と考えていたり、指で計算していたりしませんか。計算で考えてしまう ことが、遅さとミスの原因です。たとえば、歩くときに「次は右足?」と考えたら、転びますよね。自転車に乗るときに「よし!ここでブレーキ!」「ここはペダルを踏んで~」と、いちいち考えないはずです。計算のやり方を考えずに、手が勝手に動く状態。脳科学ではこれを、作業記憶 といいます。計算が作業記憶化されているかどうか、チェックしましょう。----------数学・算数については、「文章題の出来」が気になる方もいるかと思います。とはいえ、文章題いかんの前に、数学のつまずきはだいたいこの2つが根本原因です。普段はできているのであれば、この2点が定着しきっておらず、参考書等が近くにある、教えてくれる人がいるから、それをマネしてできているだけの可能性が高いです。数学って、できるようになると、とても楽しいのです。問題を解いて答えにたどり着く喜びを味わえるのは、5教科のなかでは数学だけ 。しかし、この(1)(2)ができていない状態だと、問題の答えまでたどり着けないので、まったく面白くありません。どうしても成果が出ないのであれば、思い切って戻ってみるのです。こういうときこそ、急がば回れ 。まだ受験まで時間があります。ぜひ、夏休みの時間を使って、不安なところをやり直してみてはいかがでしょうか。【参考文献】・『記憶力の脳科学』柿木隆介・著●ライター/佐々木恵(教育コンサルタント)
2016年07月01日【ママからのご相談】40歳、専業主婦です。中2の息子がいます。「勉強しなさい!」と毎日繰り返すのに疲れてしまいます。自分から机に向かわせる方法はありませんか?●A. 反抗期に入ると「勉強しなさい!」の声がけだけでは逆効果です。こんにちは。ご相談ありがとうございます、ライターの渦マキです。「勉強しなさい!」というお母さんの声に、はじめは「はーい!」と機嫌よく返していますが、だんだん「うん……」「いまやる!」「わかってる!」と、子どもの返事の仕方や声の調子が変わってきますよね。言う側、言われる側ともにいい加減うんざりしてしまうでしょう。反抗期に入ると、親から「勉強しなさい」と執拗に言われるとかえって逆効果になることもあります。●自分から勉強をはじめる子ども親から言われなくても机に向かうことができる子どもは、自己管理力がしっかりと身に付いています。勉強することが、顔を洗ったり歯を磨いたりする行動と同じで習慣化されている ので、「遊びたいけれど勉強を終わらせないうちに遊んでしまうとスッキリしない……先にやってしまおう!」となるわけです。●習慣づけるにはどうしたらいい?まずは親御さんと子どもとで、約束ごとを作りましょう。約束ごとは原点に立ち返り、「なぜ勉強しなければならないか 」という根本的なことを話して納得させていき、次に細かい約束ごとを決めていきます。・勉強しなければ、子どもにどのような損が生じるか(将来社会人になってからどのように影響していくか)・宿題はどのようにやるかを教える(予習、復習の仕方などをアドバイスする)・勉強と遊びの時間割をつくるといった内容を話し合いながら、親子一緒に計画をたてます。ゆっくり会話しながら、命令口調ではなくアドバイスしてあげてください。「勉強しなければならない」ことは漠然とわかっていても、それが「将来どのように影響を及ぼすか 」までは考えていない子どもが案外いるものなのです。●親がしっかり見守ることが大事先に示した決めごとを子どもがしっかり実行できたかを確認することが親の役割です。時間割通りに漫然とやっただけでは、やっつけ仕事になってしまいます。中身が薄ければ何の意味もありません。時間よりも、その中身をしっかりと親御さんが評価します。また、勉強の内容を見て、「ここの部分はこういう風におぼえるといいよ」などといったアドバイスをしながら、親子の会話を増やしていきましょう。子どもが一生懸命取り組んでいることが認められたなら、褒めることも大切 ですね。褒められることで、子どものモチベーションはぐんとアップします。そこから、勉強が子どもにとって日常生活の一部として習慣化されていくようになるでしょう。●万が一、子どもに勉強する兆しが見えなかったら「勉強しなさい!」ではなく、「おかあさん、ご飯の支度するんだけど、そろそろ勉強の時間だよね?」といったように軽く声をかけてあげましょう。諦めないで根気強く見守ることが大事です。親の見守りがなくなると、子どものやる気は途端になくなってしまいます。親……特にお母さんの取り組み方次第で子どもはどんどん変わるものです。【参考文献】・『勉強好きにする導きかた』品川不二郎・著・『男の子は10歳になったら育て方を変えなさい!』松永暢史・著●ライター/渦マキ(フリーライター)
2016年06月29日一人で学習する習慣は、親が子どもに身につけさせたい習慣のひとつ。しかしその習慣の前に、身につけておくべき“大切なこと”があるって知っていますか?学ぶことは楽しい!という意識今回話を聞いたのは、塾講師でありホームラーニングのプロ、荒川茂樹さん。元小学校教員で、6人の子の父でもある荒川さんが大切にするのは、「学ぶことは楽しい!」ということ。「『学ぶのが楽しい』という意識が定着する時期は4~9歳です。そしてこの“楽しい”を一番学べる場所は、学校でもなく塾でもなく、家庭なのです」。荒川さん曰く、学ぶ楽しさを知っている子どもは、放っておいても自ら学習するようになるのだとか。どうやら、4~9歳がゴールデンエイジのよう。これは逃したくないタイミングですね。でも、「家庭で学ぶ楽しさを教える」って、自分でさえ「学ぶ楽しさ」を知らずに育ったのに難しそう・・・。「心配しなくても大丈夫。子どもと一緒に遊べばいいのです」と、荒川さん。そこでどのような方法があるのか、具体的に教えてもらいました。遊びの中に学びをまず子どもが今、興味を持っていること、好きなことを知ること。そこをふまえて、これらのアイデアを参考にしてはいかがでしょう。1.子どもの“大好き”を文字の練習にひらがなやカタカナを覚えるのに、自分の名前やあいうえお順から始める人も多いでしょう。しかしここは発想を変えて子どもが一番好きなものから始めてみてはどうでしょう。大好きな恐竜の名前、興味のある昆虫の名前、お気に入りのキャラクターなど、子どもの“一番のお気に入り”をネタとして登場させます。字を覚えさせるのではなく、遊びながら学ぶことがポイント。子どもは自然と文字を覚えていくでしょう。2.“できる!”を体感、数字にはトランプ数字に興味を持ちはじめたら、トランプ遊びもおすすめです。数字として認識しにくいJ(ジャック)、Q(クイーン)、K(キング)は省き、1から10までの数字で神経衰弱も楽しいです。難しければ1から5までに減らします。子どもが難しいと感じるものではなく、まずは少しハードルを下げて「できた!」「楽しい!」を実感させてあげましょう。私も荒川さんに教えてもらった「足し算神経衰弱」をやってみました。2枚の数字を足すと10になるカードを当てるというもの。いつもと違うルールに子どもたちも前のめり、親の私たちも本気モードです。その様子に子どもたちのテンションもあがり、親子で楽しむことができました。3.多種多様な“かるた”も使う価値あり「『漢字の部首かるた』、『地図記号かるた』、『国旗かるた』、『ことわざかるた』など、種類が豊富な“かるた”を活用しない手はないですよ!」と荒川さん。早速ネットで検索してみたところ、あるある!習う漢字も増え、熟語の意味を質問してくる長女には“四字熟語かるた”、海外や世界地図に興味を持つ次女には“国旗かるた”、「となりのトトロ」が大好きな三女には“となりのトトロかるた”かな?と、それぞれの興味・関心を思い出しながら検索。商品を見ている私も、子どもの反応を想像してわくわくしました。4.トイレでも学習できる?荒川さんいち押しの方法に「トイレ学習法」があります。トイレに座ったときに、子どもの目に飛び込むように、壁に表やカードを貼っておくものです。あいうえお表や九九の表は定番だと思いますが、子どもが「おや?なんだろう?」と興味を持つものを選んでみるとよいとのこと。私が試してみたのは、ポルトガル語会話。2016年オリンピック開催地のブラジル、この機会にブラジルを知ろうと、子どもと調べたのがきっかけでした。A:「はじめまして、お元気ですか?」B:「はい、元気です。お名前はなんですか?」A:「○○です」B:「では、またね」ポルトガル語で簡単な会話をしているページ。このコピーを1週間くらいトイレに貼っておいたところ、小学生の長女と次女がフレーズを丸暗記。しかも二人で会話を成立させて遊んでいるではないですか。こんなに簡単に覚えてしまうもの?、と正直驚きました。この方法は英会話にも使えそうです。九九の表も、1から9の段全部を貼りっぱなしにするのではなく、最初の1週間は2の段、翌週は3の段といったように変化をつけます。子どもたちは新しいものが大好き、ちょっとした変化にも敏感に気づくので、そこを逆手にとって楽しい“学び”を貼ってあげましょう。すべては母と子の“コミュニケーション”たくさんの例を教えてもらいましたが、学びと遊びを別物と考えるのでなく、いかに融合させるかがポイントのよう。「『遊びながら学ぶ』という意識をお母さんが持って接すると、子どものやる気は倍増、いや3倍に育ちますよ」と荒川さん。「しかし子どもは自分とは別人です。思うように反応しないとき、失敗だってあります。それらは次のネタ探しの糧となりステップアップにつながりますよ」と、前向きなアドバイスもいただきました。子どもの好きを発見し、子どもに働きかける、そして子どもの反応を楽しむ、すべては母と子のコミュニケーション。母と子がうまく循環しだすと、“楽しい”は自然と定着していき、後の人生でも“学ぶことを楽しむ”土台となるようです。まずは簡単な方法から試してみてはいかがでしょうか。<取材協力>笑学舎<文・写真:フリーランス記者林未香>
2016年06月27日【パパからのご相談】小学校5年生の息子がいて、休日に勉強を教えています。一生懸命教えているのですが、なかなかうまくいかず、テストの点がいつも悪いです。「なんでできないの?」と聞いても何も言いませんし、褒めても叱っても効果なし。自分の頃は何も考えずがむしゃらに勉強していたので、なぜこんなにやる気がないのか理解できません。どうしたらやる気に火がつくのでしょうか?●A. やる気を出す声のかけ方を知りましょう。ご相談ありがとうございます。教育コンサルタントの佐々木です。お子さんのやる気になかなか火がつかないのですね。お父様が学生だったころとは随分と環境が変わってしまい、「自分のころはこうだった」が通用しなくなっているのも、難しさの原因のひとつかもしれません。そこで今回は、いまどきの子のやる気をあげる声のかけ方をご紹介します。●「なぜできない?」と聞いてはいけないテストの結果が悪かったとき、「なぜできなかったの?」と聞くと、厳しい印象を与えてしまいます。子どもは「なぜ?」と問われると、責められているように聞こえる のです。相手を責めない聞き方をすることで、本音が聞き出せます。「テストができなかったのは、何が原因だと思う?」と聞けば、その子を責めているわけではなく、理論的に分析しようという姿勢になるため、子どもの本音が出やすくなります。練習が足りなかったとか、学校の授業がよくわからないとか、本人が思う理由が出てくれば、対策も取りやすいはず。そしてさらに、原因がわかったら、「どうやったらうまくいく?」 と質問します。「どうしてできないの?」だと、できない自分ばかりをイメージし、自分はダメだと思い込むことにつながります。そこで、うまくいっているイメージを描けるように質問するのです。イメージを描いて、そのときの感情を想像する。例えば、「勉強ができるってどんなイメージ?」と聞いてみるのです。答えは「いい点を取る」だけではないかもしれません。「試験でスラスラ解ける」「学校の授業でたくさん挙手をする」「お友達に勉強を教える」など、イメージは人によってさまざまです。そのイメージを実現させるためにはどうすればいいのか、お子さんと一緒に考えてみましょう。●“やらないとどうなる”より、“やったらこうなる”子どもに勉強の話をする際に、「勉強しないとお先真っ暗」みたいな話をしてしまっていませんか。人間の脳は、“正しいこと”では動きません。“楽しいこと”に反応します 。たくさんの子どもを見てきましたが、いまどきの子は特に、義務感よりも楽しさに反応する傾向が強いように思います。「勉強しないと進学できないし、就職もできないよ!」というのは正しいのですが、楽しくはありません。言い方を変えて「勉強すれば希望の学校に進学できて、希望の進路に進めるよ」と言うのは、楽しさを伝える言い方です。いずれも「将来のために勉強は必要」という同じメッセージを伝えているにも関わらず、脳の捉え方はまったく違う のです。お子さんと勉強の話をするときは、できるだけ楽しいことをイメージしてみてください。勉強すれば憧れのあの学校に進学できる、お友達がたくさんできる、かっこいい彼氏ができる、お金を稼げる、趣味に没頭できるなど。そのほうが楽しく勉強に取り組むことができます。意外かもしれませんが、どんなに勉強が嫌いな子どもでも、「勉強は必要」ということは認識していて、やらないといけないとは思っています。それなのに、なぜやらないのか?それは踏み出せないからです。どうやったらいいかわからない、何から始めたらいいかわからない、やってもできないなど。だから子どもたちは、やり方次第、声のかけ方次第で変わっていきます。「自分のころとは違う」ことに戸惑うかもしれませんが、一度、声のかけ方を変えてみてはいかがでしょうか。【参考文献】・『いまどきの子のやる気に火をつけるメンタルトレーニング』飯山晄朗・著●ライター/佐々木恵(教育コンサルタント)
2016年06月03日【ママからのご相談】子どもが「どうして勉強しないといけないの?」と繰り返し聞いてきます。どうやら、勉強がつまらないらしく、やる気が出ずにこんなことを言っているようです。超有名な学校に入ってほしいとは思わないですが、せめて勉強を嫌いになってほしくありません。家でできることはありますか。●A. 子どもが興味をもつ4つのツボをおさえる!ご相談ありがとうございます。教育コンサルタントの佐々木です。これまで勉強に興味のない子どもに対して勉強を教え、興味を持たせることに取り組んできました。●勉強が嫌いになる理由勉強が嫌いになってしまう理由は大きく2つあります。1つは「できない」から 。上手にできないことを好きになるのは、大人であっても難しいですよね。上手にできないとき、頑張っても成果が出ないとき、一生懸命頑張れば頑張るほど、子どもは勉強を嫌いになっていきます。もう1つは「つまらない」から 。自分のやっていることに意義が見いだせていないのです。意味のわからないことを1日何時間もやらされていれば、嫌いになるのも無理はありません。大人はつい「勉強は我慢してするものだ!」なんて言ってしまいますが、子どもは楽しみが見いだせないとどんどん勉強が嫌いになります 。●勉強のやる気を引き出すツボ4つそこで、勉強が「できない」「つまらない」を解消するために、『ARCSモデル』 をご紹介します。ARCSモデルは、アメリカの教育工学者ジョン・M・ケラーが「学習のやる気を出す方法」をモデル化したもので、4つの要素の頭文字をとって、このように呼ばれています。『ダイヤモンド社』の人材開発用語集サイトでは、以下のように説明されています。**********①注意(Attention)学習者の興味関心を引き、探究心を喚起する。マンネリを避け、学習者に「面白そうだなぁ」 と思わせることである。②関連性(Relevance)学習の目標に対して親しみをもたせ、与えられた課題を受身的にこなすのでなく、学習者が自分のものとして積極的に取り組めるようにする。目標に向かうプロセスを楽しめるようにし、学習者に「やりがいありそうだなぁ」 と思わせることである。③自信(Confidence)ゴールを明示し、成功の機会を与える。自分の努力によって成功したと思える教材にし、「やればできそうだ」 と思わせることである。④満足感(Satisfaction)学習の結果を無駄に終わらせない。目標に到達した学習者をほめて認める。公平な評価を行い、「やってよかったなぁ」 と思わせることである。**********この4つを順番に刺激できればやる気がアップします。どれか単体として刺激しても、効果が現れます。おうちで子どもと一緒に勉強する際には、この4つ全てを考えながら勉強を教えるのは難しいかもしれません。しかし、どれか1つをおさえることはできそうなのではないでしょうか。例えば、・勉強のときに一緒に絵を書いて「おもしろい!」と思わせる・勉強することやその内容が、日常生活と密接に関わっていることを教えて「やりがいがありそうだ」と思わせる・たくさんある、やるべきことを細かく小さく分解して、「これならできそうだ」と思わせる・勉強が終わったらほめて、「やってよかった」と思わせるこれだけなら、普段の取り組みと心がけ次第で、おうちでできることがたくさんあるはずです。むしろ学校よりも家でこのような話をしておいたほうが、勉強に対して興味関心を持てるかもしれません。この4つのツボをおさえて、お子さんと話をしてみてくださいね。【参考リンク】・ARCS(アークス)モデルとは | ダイヤモンド社の適性検査・社員教育・研修()●ライター/佐々木恵(教育コンサルタント)
2016年05月22日STEAM教育って何?
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細川珠生のここなら分かる政治のコト