「小児科」について知りたいことや今話題の「小児科」についての記事をチェック! (16/17)
先日、筆者のかかりつけ小児科医から『2歳まではテレビを消してみませんか?~赤ちゃんとのすてきな時間のすごしかた~』というパンフレットを渡されました。そこに書かれていたのはテレビ視聴が子どもの成長に悪影響を及ぼすというもの。さらに、テレビと同様、スマホについても子どもに安易に与えないようにと書かれていました。そのパンフレットの発行元であるNPO法人「子どもとメディア」は、子どもとテレビ・ゲーム・スマホ・パソコンといったメディアの関わり方について調査研究し、フォーラムなどを行っている団体です。テレビやスマホが子どもに良くないと考える理由と子どもとメディアの関わり方について、「子どもとメディア」専務理事・筑紫女学園大学教員(准教授)の原陽一郎さんに話を聞きました。筆者のかかりつけ小児科で配布された「子どもとメディア」が発行しているパンフレット子どもにテレビを見せないほうがいい理由「子どもにテレビを見せることで危惧されるのは、体験機会の損失です。指先を使ってオモチャで遊んだり、ママとコミュニケーションを取る機会を奪われてしまう。テレビは一方的なものであり、リアクションがありません。そのためテレビばかり見せていると、相手が何を考えているのか分からず、人との付き合い方が苦手な大人になってしまう恐れがあるのです」原さんは「子どもは人との関わりによって成長する」と強調して言います。パンフレットの中でも赤ちゃんにとって大切なものは「人を信じる心、親子の絆」であり、メディアがそういった親子の時間を奪っていると書かれています。さらに、子どもの言葉の発達とテレビ視聴との関係について原さんは、「アメリカ小児科学会や日本小児科医会は、テレビの視聴時間が長いほど2歳までの子どもの言葉の発達に遅れが出る、との研究報告を出しています。私たちは、“2歳までのテレビ・ビデオ視聴を控えるように”という日本小児科医会の提言に賛同し、活動しています」テレビの視聴は子どもの言葉の発達だけでなく、身体の発達にも悪影響を及ぼす危険性があると、原さんは警鐘を鳴らします。テレビはじっと止まって見ることが多いので、ほとんど筋肉を使いません。たっちやあんよといった生得的と言われるものの発達については特に遅れはないとされているものの、筋肉を使わないことで転びやすくなったり、骨に負担がかかってしまうリスクが高まるそう。子どもが体を動かせる遊びをして、筋肉を育てることが大事とのことでした。例えば、赤ちゃん向けの教育テレビ・ビデオは15分程度で終わる短い内容がほとんどです。しかし、繰り返し再生によってテレビが流れっぱなしになり、無意識のうちに子どもに長時間視聴させてしまう危険性もあります。スマホで遊ばせるのは特に危険?いまやテレビ以上に身近な存在と言っても過言ではないスマホ。大人がみんな触っているせいか、赤ちゃんのころから興味を持つ子も多いですよね。子ども向けの知育アプリなども数多く出ていますが、こちらも原さんに話を聞きました。「テレビと違ってスマホにはリアクションがありますが、子どもの脳内システムである『報酬系』を強烈に刺激するのが問題です。スマホから強い快楽を得ることで他のことが面白くなくなり、対人関係にも興味を持てなくなる恐れがある。子どものころから接触していることで、将来『ゲーム依存症』になりやすくなるという指摘もあります。『ゲーム依存症』はWHOが正式に疾病指定すると発表していて、とても深刻な問題になっているんですよ」家にしかテレビがなかった昔と違って今はスマホがあるので、家でも外でもずっと映像が流れたり、ゲームをすることができる環境にあります。それも問題だと、原さんは言っていました。家事が大変なときは、おんぶが一番!パンフレットでは家事をするときのママたちのアイデアとして、おんぶが推奨されていました。原さんによると、「最近の子どもはおままごとをするとき、赤ちゃんやペットになりたがるそうですよ。ママがしていることを見ていないので、赤ちゃんやペットになった方が楽だと言うんです。おんぶは日本が誇れる育児文化です。おんぶすることで、ママと同じ目線からものを見て学ぶことができるでしょう」パンフレットではおんぶ以外にも家事をするときのアイデアとして、1歳くらいの子どもなら「小麦粉ねんど」や不要な空き容器や道具を利用した「ままごと」、2~3歳くらいになれば物を運んだり並べるなどの簡単なお手伝いをおすすめしています。テレビやスマホに関する意見を知った上で、ママ自身が子どもとメディアをどう関わらせていくか、一度ゆっくり考えてみませんか?<文:フリーランス記者奥 汐紀取材協力:NPO法人「子どもとメディア」>
2018年05月09日耳の中は汚れが見えづらく、ケアを後回しにしやすいところではないでしょうか。どうするのが正しい方法なのか悩んだことはありませんか?ネット検索に頼ると「お風呂後に拭くくらい」「2歳くらいまでは何もしなくてもよい」と書いてあったりして具体的な方法が分かりませんでした。そのため我が家では、産院で聞いていた新生児のころの情報「綿棒で耳の入り口を撫でる」をずっと続けていました。耳鼻科に行って判明した、溜まり過ぎた耳垢子どもが1歳のころ、耳に指を差し込んでかゆそうな素振りを何日か見せたときがありました。熱を出した後でもないし、よく聞く中耳炎のように痛がる感じはありません。しかしいつもとは少し違う様子に違和感を覚え、耳鼻科に行くことにしました。耳を覗いてもらった先生の第一声は「耳あかがたまり過ぎています」。掃除をお願いしましたが、たまり過ぎた耳あかが長い年月をかけてギュッと固まってしまい簡単には取り出せないとのこと。診察時間も長くなって子どもの癇癪(かんしゃく)もひどくなり、耳あかを軟らかくする薬を処方され、後日掃除してもらうことになりました。良かれと思ってやっていた綿棒掃除が、実はいけなかった耳あかが固まってしまった原因として、綿棒掃除が考えられるそうです。我が家では耳の奥まで綿棒を入れていたわけではありません。入り口部分をほんの少しかくくらいの軽いものです。しかしそれが1年間、積もりに積もって耳あかを固めていったのかもしれないとのこと。ちなみに耳あかには、乾燥しているタイプと柔らかいタイプがありますが、娘は乾燥タイプでした。耳掃除は耳鼻科に行くのがオススメ、その頻度は?耳あかを軟らかくする薬は、液状タイプ。子どもが寝静まってから耳に垂らすよう教えてもらいました。しかし 「寝耳に水」とはまさにこのことで、子どもは気持ちよく寝ているところに突然垂らされる水に驚き、その恐怖に体が震える姿はかなりかわいそうでした。しかもこれを数日間続けなければいけません。小さな子を耳鼻科に連れて行くのはかなり骨が折れることですが、この経験を思うともう少し早く耳鼻科に行けばよかったと思わずにはいられません。ちなみに鼻吸いは小児科でもしてくれますが、今回のような耳掃除はしてくれません。小児科の先生から耳鼻科に行ってくださいと言われました。では実際にいつごろからどれくらいの頻度で通えば良いかというと、個人差がありますが、わが家は現在2カ月に1回を目安に耳鼻科に通っています。今のところ、問題は全くありません。そして、産まれてすぐは産院で習った方法を実践しながら、3~4カ月で耳鼻科デビューするのが良いかもしれません。耳掃除で悩んでいる方はぜひ一度耳鼻科に行ってみてはいかがでしょう。診察後は、何よりの安心感と子どものスッキリとした気持ちのよい笑顔が得られますよ。<文・写真:フリーランス記者幸森陽子>
2018年04月28日「子どもに健康に育ってほしい」と毎日の食事の栄養バランスに気をかけていても、不足しがちな栄養素があります。足りない栄養素とは何? 普段の生活でどう補えばいいの?「赤ちゃんだけでなく、実はママ自身も不足しています」という小児科医の伊藤明子先生に、お話をうかがいました。伊藤明子先生 プロフィール小児科医師、公衆衛生専門医、同時通訳者。東京外国語大学イタリア語学科卒業。帝京大学医学部卒業後、東京大学医学部附属病院で臨床研修。同病院小児科入局。東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻修了。同大学院医学系研究科公衆衛生学/健康医療政策学教室客員研究員。2017年より赤坂ファミリークリニック院長、NPO法人Healthy Children, Healthy Lives代表理事。著書・共著に『小児科医がすすめる最高の子育て食』『天然ヘルシー「調和食」レシピ』など。テレビ番組「林修の今でしょ!講座」などに出演中。■過度な紫外線対策でママも子どももビタミンDが不足気味に―― 赤ちゃんに不足しがちな栄養素とはズバリ何でしょうか?伊藤明子先生(以下、伊藤先生):タンパク質やカルシウムなどいくつかありますが、近年、特に足りていないと言われるのはビタミンDです。日本で健康に生まれた赤ちゃんを調べたところ、約22%がビタミンD不足だったという研究データがあります。母乳にはとても優れた栄養がつまっていますが、ビタミンDは少ないですし、母体がビタミンD不足であるがゆえに赤ちゃんも不足しているとも考えられています。また、私たちが行った研究で、日本の0歳から15歳までの子どもに、医師が診断した病名を調査したところ、「ビタミンD欠乏性くる病」が2009年から2014年の間で3倍以上に増えていることがわかっています。くる病とはビタミンD不足などにより、骨格異常や骨の変形が起きてしまい、歩行に影響が出ることもある怖い病気です。ビタミンDは、免疫にも発達にも関係しています。―― 生まれた時から足りていないとは…! なぜビタミンD不足が起きてしまうのでしょうか?伊藤先生:ビタミンDの源となるのは日光(紫外線B)と食品。その割合はおおよそ7対3というくらい、日光が占める割合が大きいのです。それにもかかわらず、最近のママたちの多くは美容への意識が高いこともあって、日焼け止めや日傘、アームカバーなど紫外線から「完全防備」しています。つまり、日光からビタミンDをほとんど生成できていない状態なのです。そうなってくると、ただでさえ不足しがちな母乳中のビタミンDがさらに不足することに。さらに、紫外線を気にしすぎるあまり、赤ちゃんにもばっちり日焼け止めを塗ってしまい、日光によるビタミンDの生成をさまたげています。日焼け止めクリームを少しでも塗るとビタミンDが作られないので、海や山など屋外で過ごす時間が長い時には塗るなど、調整しながら使えるといいですね。―― 赤ちゃんに日光浴は大切なんですね。一日あたりの目安はどれくらいでしょうか?伊藤先生:一日10分~15分、日光を浴びるといいでしょう。紫外線の弱くなる秋から春にかけては、1時間くらい浴びるのがベター。全身でなくても、手のひらや足の先だけでも大丈夫ですよ。とはいえ、緯度によっては(暮らしているところが北であればあるほど)、1時間の日光浴では足りないこともわかってきているので、ビタミンDが強化された食品などをとることを考えたいですね。■離乳食の新常識! 卵アレルギーのリスクを軽減する方法は?―― 紫外線対策のやりすぎは禁物ということですね。食事の面ではいかがでしょうか?伊藤先生:ビタミンDが含まれる食品はイワシやしらす干し、サケ、卵黄など。きのこ類にも含まれますが、微量です。普段通りの食生活をしていると、どうしても不足しがちな食品ばかりです。みなさんは毎朝、卵を食べていますか? アレルギーのない幼児なら一日1個食べることをおすすめしています。「アレルギーやコレステロールが心配だから」と敬遠するママも多いようですが、最近では離乳食早期から加熱して少しずつ与えることでアレルギーのリスクを減らせることがわかっています。また、遺伝的にコレステロールが高い方を除いて、大人なら毎日1~2個食べても血中のコレステロール値にはあまり影響しないことが研究で示されました。ビタミンDを補う離乳食「アボカドディップ」(1歳半~)<材料 2人分>アボカド 1個卵 1個レモン汁 小さじ1塩 少々こしょう 少々マヨネーズ 大さじ1オイルサーディンなど 適宜<作り方>1.アボカドは縦半分にカットし、包丁の刃元部分を種に突き刺して取り除く。アボカドの皮をカップにする場合はスプーンなどで実をくり抜く。器に盛りつける場合はそのまま皮をむく。2.アボカドの実を1cm角のさいの目切りにする。3.卵を固ゆでにし、冷水で粗熱をとったら殻をむいてみじん切りにする。4.ボウルにアボカド、卵、レモン汁、塩、こしょう、マヨネーズを入れて混ぜる。器かアボカドの皮をカップにして盛りつける。―― そのほかにできることはありますか?伊藤先生:欧米でよく利用されるのが、サプリメントや強化食。日本ではまだ種類は多くありませんが、牛乳や卵などにビタミンDを添加した強化食があります。スーパーなどで手に入りますよ。サプリメントも含めて、上手に活用できるといいですね。なお、子どもにサプリメントを与える時は医師に相談してからにしてください。 ■貧血症状がなくても鉄分不足の疑いが…「隠れ鉄欠」に注意!―― ビタミンD以外にも足りていない栄養素はありますか?伊藤先生:赤ちゃんやママに限らず、日本人全体に足りていないのが、鉄です。鉄が足りないと、鉄欠乏症貧血になり、疲れやすかったり、走ると息切れがしたりします。子どもだと、集中力が続かなくなったり、身長が伸びにくくなったり。注意すべきは、鉄不足の自覚がない「隠れ鉄欠」。めまいなどの貧血の症状が出れば、わかりやすいのですが、そういう症状が出ない鉄不足の人は多いのです。ママがやせ気味、もしくは栄養状態があまりよくないと、栄養が偏っている可能性があり、かなりの割合で子どもも貧血気味となります。―― どんなものを食べるといいのでしょうか?伊藤先生:鉄が多く含まれるのは、赤身肉や魚介類、卵黄、葉物野菜、大豆、穀類などです。ビタミンCと一緒にとると吸収されやすくなります。献立を、肉や魚料理+納豆や豆腐などの大豆製品にするなど2種類以上のタンパク質をとるようにすると、タンパク質と鉄分の両方を多く摂取できるのでおすすめです。鉄分を補う離乳食「シジミのおみそ汁」(1歳半~)<材料 2杯分>シジミ(真空パック) 1パック水 400cc小ねぎ 1/2本<作り方>1.分量の水を入れた鍋にシジミを入れ、ひと煮立ちさせる。生のシジミは殻を洗い、塩水に漬けて一晩砂抜きしたものを使う。2.お椀にそそぎ、細かく切った小ねぎをちらして出来上がり。お椀に入れたシジミに直接お湯を注いでもOK。―― 最後にママたちにメッセージをお願いします。伊藤先生:クリニックにいらっしゃる患者さんを見ていて思うことは、極端に偏った食生活はしないでほしいということ。マクロビも徹底しすぎるとタンパク質やビタミンDなどの栄養が不足しますし、赤ちゃんに卵を与える時期が遅くなりすぎると、アレルギーのリスクがかえって高まります。健康のためと思ってやっているのに、不健康になってしまっては元も子もありませんから…!ネットで検索した情報は古かったり間違っていることもあります。信頼できる医師に相談したり、出典元がしっかりしている情報を見極める目を持てるようになりたいですね。子どもも、ママ自身も健康が一番! 特にビタミンDと鉄分に注意しながら、親子で栄養バランスに気を配った食事をしましょう。参考図書: 「小児科医がすすめる最高の子育て食」 1512円(税込)講談社伊藤明子著。「健康」「免疫力が高い」「頭がいい」「心が安定した」子どもを育てるためにどのような食事を与えたらいいのか、最新の研究に基づいて紹介しています。カラー写真付きでわかりやすい58の簡単レシピも収録されています。
2018年04月19日ママたちの頭を悩ませる毎日の食事作り。栄養バランスは大切と思いつつも、ついつい「子どもが喜んで食べるから」と揚げ物や甘い物を多くあげていませんか?普段の食生活でどんなことに気をつけたらいいのでしょうか? テレビでも活躍中の「東大ママドクター」こと小児科医の伊藤明子先生に、「丈夫な子」「頭のいい子」「心が安定した子」を育む食事について、教えていただきました。伊藤明子先生 プロフィール小児科医師、公衆衛生専門医、同時通訳者。東京外国語大学イタリア語学科卒業。帝京大学医学部卒業後、東京大学医学部附属病院で臨床研修。同病院小児科入局。東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻修了。同大学院医学系研究科公衆衛生学/健康医療政策学教室客員研究員。2017年より赤坂ファミリークリニック院長、NPO法人Healthy Children, Healthy Lives代表理事。著書・共著に『小児科医がすすめる最高の子育て食』『天然ヘルシー「調和食」レシピ』など。テレビ番組「林修の今でしょ!講座」などに出演中。■子どもだって「糖化」は要注意! 「揚げる」より「蒸す」「煮る」―― 子どもが好きな食べ物といえば、揚げ物や甘い物を思い浮かべるママは多いと思います。体にはどんな影響があるのでしょうか?伊藤明子先生(以下、伊藤先生):「揚げ物も甘い物も絶対NG!」というわけではありません。これらに含まれる糖は体にとって大切なエネルギー源です。ただ、たくさん食べると「糖化」を進行させてしまうので注意が必要。「糖化」とは、糖とタンパクが結びついて加熱によって起きる現象で、食べ物からとり込んだり、体内で糖化現象が起きて、肌や血管、骨などが劣化していくことをいいます。糖化によって作られたAGE(終末糖化産物)が老化を加速させることが研究でわかっています。加齢とともに糖化は進んでいくものですが、子どもの頃から糖化が進みすぎると、骨の質が低い状態で成長してしまうため、将来的に骨粗しょう症やがんなどの病気のリスクが上がる傾向にあります。シミやしわの原因や、認知症との関連も報告されています。AGEはクセモノで、一度蓄積されるとなかなか減らすことができません。離乳食や幼児食の頃から、なるべく気をつけてあげたいですね。―― 子どもの頃から血管や骨の劣化に気を付けないといけないなんて…衝撃的です! 揚げ物が大好きな子はどうすればいいのでしょう?伊藤先生:揚げ物をおいしいと思うのは当たり前のこと。いきなりやめてしまうと子どももつらいので、徐々に回数を減らしていけるといいですね。注意してほしいのは、揚げ物を特別扱いしないこと。がんばったから「今日は特別に揚げ物ね♪」はやめましょう。子どもの中で「揚げ物=ごほうび」になってしまいます。大人の言うことがある程度わかる年齢の子であれば、「揚げ物ばかり食べていると、ベタベタ物質が体の中にたまるよ。食べ過ぎると○○ちゃんの体に良くないんだよ」と教えて納得させるのもひとつの手ですね。―― 普段の料理で心がけることは?伊藤先生:糖化リスクが低い調理は、「生→蒸す・煮る→焼く→揚げる」の順です。揚げ物の代わりに、積極的に蒸し料理や煮物を取り入れましょう。ただ、生のものばかりを食べることは、さまざまなリスクがあるためおすすめしません。糖化リスクを下げる幼児食「エビとオクラの煮物」(3歳~)<材料 2人分>エビ 4尾オクラ 6本塩 小さじ1/2出汁 100cc薄口しょう油 小さじ1みりん 小さじ1<作り方>1.エビは殻をむき、串などで背ワタを取り除く。2.オクラは手早く塩もみし、硬い「がく」の部分を包丁でくるりと削り取る。3.鍋に出汁、薄口しょう油、みりん、オクラを入れて火にかけ、オクラがやわらかくなったら1.のエビを入れて火が通るまで煮る。 ■血糖値=精神状態? 心の落ち着いた子を育てる食材選び―― 揚げ物以外ではどんなことに気をつけたらいいでしょうか?伊藤先生:先ほどは「糖化」についてお話ししましたが、もう一つ注目してほしいのが「血糖スパイク」です。血糖スパイクとは、食後のごく短時間で血糖が急上昇して元に戻る、血糖の乱高下状態のこと。血糖スパイクが起きると、血管が傷ついてしまい、病気のリスクも高まります。血糖と子どもの精神状態は強く結びついているといわれており、例えば、朝食をとらないと低血糖でやる気が出ない状態になります。さらに、そういった空腹時に血糖値が急上昇するようなものを食べるなどして血糖のハイ&ローを繰り返すと、子どものテンションも急激に上がったり下がったりするので、精神的に不安定になってしまいがちに。本来、食事を始めてゆるやかに血糖が上昇するのが理想です。―― 朝食抜きは厳禁ですね。理想の食事のために、ママたちは具体的にはどうすればいいでしょうか?伊藤先生:調理法は先ほどもお伝えしましたので、ここでは食材の選び方に注目してみましょう。血糖値の上がりにくい食材を選ぶのがポイントです。白米や小麦など精製されているものよりも、雑穀や全粒粉など精製されていないものがいいですね。雑穀ごはんや、アレルギーがなければそば粉をクレープのようにして間食に食べるのも一案です。野菜を摂取する時は、ジュースなど食物繊維が取り除かれた状態のものではなく、そのまま食べるか、スープなどでいただきましょう。ジュースが完全にダメなわけではないのですが、残念ながら、野菜ジュースは野菜の代わりにはなりません。―― 離乳食についても何かありますか?伊藤先生:日本では白米の全かゆから始めるのがスタンダードですが、おすすめは雑穀かゆ。糖質の摂取量を減らせますし、ビタミンやミネラルなどの微量栄養素と食物繊維もとれます。日本人は白米でアレルギーを起こす人が少ないと言われていますが、統計上ではひえやきび、あわなど雑穀に対してもアレルギーを起こす頻度は高くないのです。欧米ではオートミールやほかの雑穀から始める国がほとんどですし、白米だけにこだわらなくてもいいと思います。血糖値をゆるやかに上げる離乳食「雑穀のおかゆ」(0歳~1歳半)<材料 1食分>もち麦 10gキアヌ 5g白米 10g水 250cc<作り方>1.研いだ白米、もち麦、キアヌ、水を茶碗か耐熱容器に入れ、炊飯器の真ん中に置いて、大人のご飯と一緒に炊き上げる。2.1.でできたお子さん用のおかゆを鍋に移し、水を足してさらにやわらかくなるまでコトコト煮る。3.乳児用のすり鉢でよくする。■夕食までの“つなぎおやつ”与えて安心なのは?―― ママたちの悩みとして聞かれるのが、子どもがおなかを空かせてしまって夕食まで待てない時、何を食べさせたらいいのか? ということ。とりあえず、わが家ではちくわをあげているのですが、どう思われますか?伊藤先生:うーん、スナック菓子よりはいいですね(笑)。ただ、塩分が多いのであげすぎは注意してください。果物は果糖が多いので、あまりおすすめしません。きゅうりやにんじん、だいこんなどの野菜スティックがいいですね。食事の邪魔をせず、切るだけですぐあげられます。お好みで減塩みそやマヨネーズにつけても。これまで話題に出た食べ物のなかでのおすすめ度でいえば、野菜スティック>ちくわ(練り物)>果物>スナック菓子でしょうか。野菜スティック以外だと、ゆで卵や味付けの濃くない焼き鳥(串からほぐして)などがおすすめです。ちなみに、のりも悪くないのですが、水溶性の食物繊維が多くて胃腸に負担がかかるので、全形1枚以内にとどめておきましょう。―― 最後に、忙しい朝のおすすめメニューを教えてください。伊藤先生:私も仕事をしながら2人の子どもを育ててきたので、朝から包丁を使いたくない気持ちはよくわかります。おすすめは、納豆と卵料理、雑穀ごはん、それにできればみそ汁もプラスできるといいですね。パン派は全粒粉のパンにするのがおすすめです。参考図書: 「小児科医がすすめる最高の子育て食」 1512円(税込)講談社伊藤明子著。「健康」「免疫力が高い」「頭がいい」「心が安定した」子どもを育てるためにどのような食事を与えたらいいのか、最新の研究に基づいて紹介しています。カラー写真付きでわかりやすい58の簡単レシピも収録されています。
2018年04月12日前回のお話で、年末次男が発熱したことに少し触れましたが、じつは年末年始は次男の体調悪化で帰省先で大騒ぎでした。今回、子どもの風邪を甘く見ずに、通常診療のうちにしっかり受診しておくべきだったなと痛感しましたー!長男が祖父母の家に行った日の夜に発熱した際は、そんなに高くない熱と、鼻水だけでした。小児科で鼻水のお薬だけをいただいて、熱も一日で下がったので安心していました。帰省する一日前の夜中、激しく咳き込んで起きてしまい、なんだか息が吸えていないような、とても苦しそうなケンケンした咳に不安を覚えました。本人はすごい元気なので、あまり心配していなかったのですが、ワタシの実家に到着したあと、夕方からやはり激しい咳でケンケン…あまりの苦しさに本人も号泣してしまいました。そしてまずは小児救急ダイヤルへ助けを求めることにしたのですが…帰省先で小児科の情報もない上に、ギリギリ通常診療最終日ではあるものの診療時間は終わっている…けっこう慌てました。後々の経過と、帰宅後の小児科で診てもらった感じでは、おそらくクループまではいっていなかったようなのですが、そのときは呼吸困難になるリスクを初めて知り、甘く見ていた自分を責めました。結局、夜間救急には駐車場に入ることもかなわず断念しました。念のため救急がある総合病院にも対応を確認して、ネットでの情報をもとに、ヴェポラッブを塗り、部屋の中にぬれタオルをたくさん掛けて加湿。夜間は夫婦交代で寝室に1人にしないよう注意して過ごしました。翌日は、1時間近くかけて休日当番医へ出向くも、昨日と同じくものすごい混雑でかえって病気になりそうな…数時間待ちと言われたので受付後は近くで時間をつぶしました。あれ? 待てよ…?夫「そういえば次男、今朝から一度も咳してなくない?」ワタシ「同じこと思っていた…でも、夕方からがひどくなるからねぇ。。。」超元気に動きまわっている次男と、その彼の受診のために何時間も無為に待機していることになんとなく違和感を覚えながらも、これでまた受診しなかったら夜中に発作が出るかも…という不安と戦いつつ待ちました。それでも結局は、出直して待ち時間を確認するとさらに数時間待ちとのこと。ほかにもっと、高熱や緊急性の高いお子さんもいらっしゃるかと思うと、熱も咳の気配もない次男の様子を見て受診は断念しました。今回は十分に加湿するだけでも苦しそうな咳はずいぶん減ったので、もっと普段からしっかり予防対策をしっかりしてあげるべきでした。そして、年末年始やお盆など病院が長期間お休みになるような時期は、本当に早め早めの受診が大切だな、とつくづく反省したのでした。
2018年01月30日皆さんこんにちは。ママライターのあしださきです。2017年も終盤に差し掛かり、小さいお子さんを育てているパパママはこれからの季節は「風邪・インフルエンザ・胃腸炎」などなど子どもの体調管理に非常に気を遣う時期ですね。わが家は3人の子どもを育てていますから、これから4月くらいまでの長い期間、小児科通いが欠かせないと思います。1人が体調を崩すとそれが家族みんなに蔓延してしまうので時には自分の具合が悪い状態で、子どもの看病をしていることもあるんですよね。皆さんはお子さんのかかりつけ医との関係、良好ですか?幼稚園や小学校でリサーチすると、元通っていた病院をあるとき変えた という話をとてもよく耳にします。それには、やはり”きっかけ”があるのです。そこで今回は中でも特徴的なエピソードを3つご紹介したいと思います。●話を全く聞いてくれない先生『とにかく厳しくて、怖くて。行くといつも緊張してしまう小児科の先生でした。少しの発熱で連れて行くと、「そんな症状くらいで来ないで!」と言われ、私が大したことないと思って1日家で様子を見てから病院に行くと「お母さんの自己判断なんか当てにならない。なんでもっと早く連れてこないの?」と怒られる。心配なことを聞きたくて、話そうとしても迷惑そうに遮られることが多々有り、ついにかかりつけ医を変えました。子どもの風邪が移って自分も具合が悪い時に、余りにもひどい物言いに耐えきれませんでした。(40代小学5年生の男の子の母)』●子どもの身長、体重についてしつこく注意された『子どもが小さい頃から検診でお世話になっていた小児科の先生は、私の子の身長や体重が標準よりも小さい事をいつも指摘してきました。「チビ」「痩せ」という言葉を連発してくるので、その度にストレスがたまって仕方がありませんでした。親だって気にしていますし、それが悩みなのに。傷をえぐられて辛い気持ちにさせる先生に、こちらから見切りをつけましたね。(30代4歳男の子の母)』●看護師をいびっている医師に幻滅『子どもに対してはいつも笑顔で優しい先生でした。そんな先生があるときご自分の足の怪我で松葉杖をついて診療しなくてはならない状況で、いつもよりイライラした様子だったことがあります。子どもには笑顔で話しかけていた先生が、内線電話で看護師さんに指示をだしていたのを偶然聞いてしまいました。「こんな初歩的な事、自分で判断しろよ、ボケ。」と言っていたのです。もう、それ以来その小児科には行くのをやめました。(20代0歳と3歳の姉妹の母)』子どものかかりつけの先生。そのお付き合いはとても長期的なものになります。子どもが10代半ばまでは何かにつけてお世話になりますし、兄弟・姉妹がいればそれ以上の期間、お会いしていかなくてはなりません 。信頼し、尊敬できる先生が理想ですが、必ずしも身近にそういう小児科があるとは限りません。「一度かかったから・家から近いから・親の知っている病院だから」など、しがらみにとらわれずに一度違う場所を試してみることも大切かもしれませんね。ちなみにわが家の子どもたちのかかりつけ医は、とても威厳のある先生です。どんな方か、簡単に紹介します。「母親のプライド」……もしそんなものを少しでもお持ちの方がいればそれをことごとく打ち砕くような発言で、母親たちを奈落の底へ突き落としてしまうような、そんな先生です。私にはデビルのように見える時もあるのですが、それでも私はその先生をとても信頼しています。デビルなのは母親に対してだけ。子どもにとっては、神様のような存在だからでしょうか。ちゃんと言うことを聞いていれば必ず体調が回復するんです。子供にとってはもちろんですが、親にとっての良し悪しも考えてみても良いかもしれません ね。----------いかがでしたか?今回実例を紹介してくれた方々は、勇気ある行動でかかりつけ医を変えて今はとても満足していると答えています。そのまま我慢していなくて良かった。自分を偽らず、子どもと自分のために踏み出すことが大切ですね。●ライター/あしださき●モデル/赤松侑里
2017年11月13日発達障害支援研究・実践の最前線を学ぶシンポジウム出典 : 発達障害の原因や治療法、支援方法に関する研究は、様々な分野の専門家が取り組んでいる領域です。発達障害のある子どもを育てている保護者や、その周辺の支援者にとって、最新の研究成果は今と未来の生活にどのような影響をおよぼすのでしょうか?誰もが多様で豊かな人生を送ることのできる社会を形成していくためにできることとはなんでしょうか?そんな疑問に応えるシンポジウムのお知らせです。11月26日(日)、「うちの子、少し違うかも...II~エビデンスに基づく発達障害支援をみんなで考える~」と題されたシンポジウムが、東京・お台場のテレコムセンターで開催されます。(主催:国立研究開発法人科学技術振興機構(JST) 社会技術研究開発センター(RISTEX))家庭・学校・地域・行政等における支援のしくみや最新の取り組みを紹介しながら、様々な支援の場面に横たわる障壁を乗り越え、改善していくための具体的方法について、分野・領域を超えて考えるシンポジウムです。サイエンスアゴラ2017 公開シンポジウム11月26日(日)「うちの子、少し違うかも...II~エビデンスに基づく発達障害支援をみんなで考える~」シンポジウム概要出典 : 日時2017年11月26日(日)10:15~12:30 (開場 10:00)場所テレコムセンタービル 8階 会議室B※新交通ゆりかもめ「テレコムセンター駅」直結参加費無料対象発達障害療育・子育て支援等に携わる方(医療・福祉関係等)学校・教育機関関係者の方行政(国・地方自治体)関係者の方発達障害児支援に関心をお持ちの一般の方、保護者・ご家族の方プログラム:10:00受付開始10:15開始10:20講演■神尾 陽子 氏(国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 児童・思春期精神保健研究部 部長)■船曳 康子 氏(京都大学大学院人間・環境学研究科/総合人間学部 准教授)■山野 則子 氏(大阪府立大学大学院人間社会システム科学研究科 教授/スクールソーシャルワーク評価支援研究所 所長)11:15パネルディスカッション■モデレーター:熊 仁美 氏 (特定非営利活動法人ADDS 共同代表)■パネリスト :上記講演者3名、外岡 資朗 氏(鹿児島県こども総合療育センター 所長)12:20フロアとの対話(質疑応答)、まとめ12:30終了出典 : 京都大学医学部卒業、ロンドン大学付属精神医学研究所児童青年精神医学課程終了。京都大学医学部精神神経科助手の後、米国コネティカット大学(フルブライト研究員)で自閉症研究に従事した後、九州大学大学院人間環境学研究院助教授を経て、2006年より国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所児童・思春期精神保健研究部部長、2010年より山梨大学客員教授、2017年よりお茶の水女子大学客員教授を併任。出典 : 年京都大学医学部卒業。京都大学医学部付属病院、京都市立病院にて研修後、京都大学大学院医学研究科に入学し、認知症の臨床研究を行った。2000年からは、カリフォルニア工科大学行動生物学教室に留学し、小鳥の歌を用いた音声発達の臨界期の研究に従事。2003年に帰国し、こころの発達、発達障害の分野の臨床と研究に従事。日本学術振興会特別研究員、京都大学医学部付属精神科助教を経て、2015年より現職。出典 : 関西学院大学社会学研究科後期博士課程修了、博士(人間福祉)。内閣府:子どもの貧困対策検討委員会委員・有識者会議委員、文部科学省:中央教育審議会生涯学習分科会委員、企画調整部会委員、家庭教育支援の推進方策に関する検討委員会座長、教育相談等に関する調査研究会議委員、厚生労働省:社会保障審議会臨時委員、ほか国の委員多数。大阪府子ども施策審議会会長、子どもの貧困部会部会長、大阪府スクールソーシャルワーク配置事業スーパーバイザー、ほか多数。出典 : 年、慶應義塾大学大学院社会学研究科修士課程修了。2011年、自閉症児に効果的な早期療育が届くことを目指し、NPO法人ADDS設立。2013年、同大大学院後期博士課程を単位取得退学、同大先導研究センター研究員。自閉症児のコミュニケーション研究や、早期療育の実践研究に携わる。NPO法人では、保護者が家庭療育に取り組むためのペアレントトレーニング、セラピスト認定制度等を実施し、現在までにセラピストを約100名養成、ペアレントトレーニングを約200家庭に提供してきた。出典 : 小児科医師。1988年、熊本大学医学部卒業、熊本大学大学院医学研究科へ入学後、同大医学部附属病院発達小児科にて勤務し、1996年、熊本大学大学院単位取得終了。1999年より鹿児島市立病院小児科(小児神経科)で医師、医長、科長を歴任後、2007年より鹿児島県児童総合相談センター療育指導部長、2010年より現職。鹿児島県こどもの虐待問題研究会副会長を併任。主催者からのメッセージ「国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の社会技術研究開発センター(RISTEX)では、「社会のなかの科学・社会のための科学」の理念のもと、社会の具体的な問題の解決を目指す研究開発を推進しています。今回のシンポジウム(入場無料)では、RISTEXにおける関連プロジェクトの成果も踏まえながら、家庭・学校・地域といった場面での発達障害支援における課題を改善し、のりこえていくための具体的なとりくみ等についての情報提供・共有や議論を行うことを目的としています。」昨年度も実施し、好評を博したシンポジウムの第2弾。様々なプロジェクトの成果の紹介や、必要とされる支援についての議論が行われます。本人や保護者はもちろん、教育や支援に関わる方に幅広く、足を運んでいただきたいシンポジウムです。イベント申し込みはこちら以下のリンクから申し込みが可能です。定員200名(予定)、氏名の登録は必須ではありません。お問い合わせは、下記のページの「主催・お問い合わせ」に情報が記載されておりますので、そちらからお願いいたします。サイエンスアゴラ2017 公開シンポジウム開催(入場無料) - 社会技術研究開発センター
2017年11月11日熊谷晋一郎先生におすすめの本をききました!小児科医の熊谷先生は、脳性マヒのある障害当事者としての立場から、当事者研究も行っています。ロボット工学を専門とする、脳情報通信融合研究センターの長井志江先生チームと、熊谷先生・綾屋沙月さんの当事者研究チームが研究・開発した「自閉症知覚体験シミュレータ」を、発達ナビのコラムでご存知のユーザーの方も多いのではないでしょうか?平成28-33年度 戦略的創造研究推進事業(CREST)「認知ミラーリング:認知過程の自己理解と社会的共有による発達障害者支援」今回は、熊谷先生に発達ナビのユーザーに読んでほしい本を教えていただきました。自分や周りの人への理解が深まるきっかけに、ぜひ読んでみてはいかがでしょうか?『うわわ手帳と私のアスペルガー症候群』「一組の母と娘の間でつむがれた、静かで、繊細で、丁寧な、相互理解の軌跡」(熊谷晋一郎先生)高橋紗都さんは10歳のアスペルガーの女の子。ある日紗都さんにお母さんの尚美さんは「好きなことに使ってええで」と1冊の白い本を手渡します。紗都さんはその本を『うわわ手帳』と名づけ、自分の世界を自分の言葉で書き始めました。「うわ~っとなる」自分のしんどい状況を「うわわオバケ」という言葉で表現し、どんなときにどんなことに困るのか、どんな風に感じているのかが綴られたその手帳は、紗都さんの世界を写しだします。そしてそれは紗都さん本人や家族が理解し、対処法を探る大きなツールとなったのです。もちろん発達障害のある人の困りごとや、感じ方は人それぞれですが、高橋さん親子の手帳は発達障害のある子どもの世界を知る、一つのきっかけとなるのではないでしょうか?『こんな私が大嫌い!』「タイトルにぴんと来たら、ぜひ読んでみよう」(熊谷晋一郎先生)自分が嫌い、でも「自分を好きになろう」…そう言われてもどうしたらいいのか、迷う方も少なくないのではないでしょうか?エッセイストの中村うさぎさんが、。中村さん自身の体験と実践をもとに、きれいごとや欺瞞抜きで「自分嫌い」という呪いを解く方法を語ります。ふりがなやイラストも多く入り、わかりやすい言葉で綴られているので、思春期の悩める子どもにおすすめです。『母よ!殺すな』「子育ての重荷を親だけに背負わせる社会にNO!」(熊谷晋一郎先生)日本の障害者解放運動、自立生活運動をけん引した「青い芝の会」の脳性マヒ者、横塚晃一さんをご存知でしょうか?横塚さんは生後10ヶ月の高熱により重度の脳性マヒがありました。当時の日本では、障害者への支援が十分でなく、家庭での子育ての負担に耐えられないことを背景とした事件が社会問題となっていました。横塚さん達「青い芝の会」は重症児殺し告発運動を行い、その障害者の立場からの批判や運動は大きな反響を呼びました。そんな横塚さんの発言を聞き書きとして集めたのが本書です。1975年に出版され、長く絶版となっており入手困難でしたが2007年に復刊されました。初版に未収録の文章や年表、原一男監督によるドキュメンタリー映画『さようならCP』のシナリオも収録されています。『暇と退屈の倫理学』「あらゆる苦しみの根底には「退屈」という宿命があった!」(熊谷晋一郎先生)熊谷先生に、面白かった本、好きな本は?と伺ったところ、教えていただいたのが高崎経済大学准教授、哲学者國分功一郎さんの本です。「なぜ人間は退屈するのか」という問いを持った國分さんが、文化人類学、哲学、経済学、倫理学など様々な側面から論考します。2012年には読者が選ぶ人文書の賞「紀伊國屋じんぶん大賞」を受賞。分厚くとっつきにくいと感じるかもしれませんが、哲学だけに収まらない視点で、この疑問への答えを導き出そうとするその道筋そのものが面白いと話題になりました。2015年に出版された増補新版ではさらに新版に寄せた論考「傷と運命」も足されています。熊谷晋一郎先生プロフィールUpload By 発達ナビ編集部熊谷晋一郎(くまがやしんいちろう)・東京大学先端科学技術研究センター准教授、小児科医・日本発達神経科学学会理事新生児仮死の後遺症で、脳性マヒに。以後車いす生活となる。東京大学医学部医学科卒業後、千葉西病院小児科、埼玉医科大学小児心臓科での勤務、東京大学大学院医学系研究科博士課程での研究生活を経て、現職。専門は小児科学、当事者研究。主な著作に、「リハビリの夜」(医学書院、2009年)、「発達障害当事者研究」(共著、医学書院、2008年)、「つながりの作法」(共著、NHK出版、2010年)、「痛みの哲学」(共著、青土社、2013年)など。熊谷晋一郎|東京大学先端科学技術研究センター
2017年11月08日食べることが苦痛な子どもたち出典 : 私は大学附属病院小児科で「思春期やせ症」(神経性無食欲症)の子どもたちを見てきた経験があります。思春期やせ症というのは、思春期の子どもに起こるいわゆる拒食症のことで、栄養不足によって、無月経、低血圧、内臓の障害、骨粗しょう症など、様々な異常が生じるだけではなく、時には死亡することもあります。患者は小学生から高校生までいました。私が出会った「思春期やせ症」の保護者、特にお母さん方はとても子ども思いの方々でした。お母さん方は、子どもの健康のために様々な努力をしていました。例えば、子どもが見て食べたくなるように、色どりや形を豊かにした食事を作っていました。それでも子どもは、食べることにまったく興味を示さないのです。また、おもちゃを買ってあげるなどのご褒美を示しながら少しでも食べさせようとしますが、子どもは口を開こうとしません。食べることが苦痛なようです。何も食べないと激しい空腹感に襲われ、食べられるものはなんでも口にしたくなる健康な食欲とは大違いです。食べなければ年齢相応の食事量を満たすことができずやせていきます。体重が一定の水準を切ると入院する必要も出てきます。重症になるとトイレも自力で行けません。歩くという行為だけでも心臓が止まる可能性があるからです。自力で食べられなければ鼻からチューブを入れて栄養物を胃に流し込まなければなりませんが、子どもたちはこの処置を嫌がります。発達段階の若い女性に起こる、思春期やせ症出典 : なぜ子どもたちはこんなにも食べることを拒否し続けるのでしょうか。そして、思春期やせ症が男性ではなく女性に多発するのは、なぜなのでしょうか。私は、ちょうど発達段階にある若い女性の母性に、その原因があるのではないかと考えています。私は、視覚系の研究に従事していた頃、出産前後の母子ネズミを扱っていました。そこで、母性を強く感じる出来事がありました。ある時、母ネズミと生まれたての子ネズミたちを放置してしまったことがありました。ネズミの乳首は10個ですので子の数は10匹程度が適切ですが、生まれた子ネズミは20匹ほどいました。子はかわるがわるお乳を吸い、すくすくと育ちました。一方、母ネズミは徐々にやせていき死んでしまいました。半面、子育て中の母ネズミは防御本能が強く、巣に不用意に手を入れると噛みつかれて大けがを負うこともあります。子を守るためにはわが身を顧みず渾身の力で闘う一方、お乳を吸いつくされても決して子を襲わず、なすがままにされて命までも落としたのです。母性とはこのように、母体の生死に関わるほどの力を持っています。子どもを守るためには、自分の体を犠牲にさえします。そして思春期の女性は、この母性を獲得していく途上にあるのです。思春期やせ症を発症するメカニズムとは出典 : 思春期やせ症の原因は、今のところ分かっていません。「太りたくない、自分を美しく見せたい」とか「大人になりたくない」という深層心理で説明する人もいます。しかし思春期やせ症をすべてそのような深層心理で説明するには無理があると思っています。若い女性には過食が生じることも知られています。人を含め動物は子を宿すとよく食べるようになります。過食もまた、母性と関係するのかもしれません。私は、大人の摂食障害の病態と、早期に発症する思春期やせ症とはメカニズムが少し異なるのではないかと考えています。思春期やせ症の場合は、脳神経系の発達になんらかのトラブルがあり、アンバランスな状態になっているのではないでしょうか。性ホルモンの分泌が盛んになる思春期に、母性に関わる脳神経系も発達していくと考えられます。また、食事行動をコントロールするのは脳なので、食事行動がうまくいかないということの背景に、脳神経系の発達上のトラブルがあるのではないでしょうか。思春期やせ症は、生理学、病理学などの専門家によっていずれそのメカニズムが明らかにされるでしょうが、私は、母性が発現し維持されはじめる若い時期の女性に多発するという現実から、母性の発達との関係を否定することはできないように思います。大きな変化を迎えた思春期の体は、時にバランスを崩すこともあるからです。今後、こうした神経系の働きや影響について究明できれば、よりよい治療方法が見つかるかもしれません。思春期やせ症への対応方法出典 : ただ現在は、思春期やせ症に対しては対症療法的に対応するしかありません。ご褒美や罰を用いて食べることへの動機づけを高める行動療法的やり方を取ったり、場合によっては、医療的処置で命をつなぐことも必要でしょう。ある思春期やせ症を患った女性は就職先にケーキ屋を選び自分自身を食べることに興味を持たせようとしました。食欲がわかなくても薬を飲むように一定量の食事をとり、体重の増加や維持を確認することが自分へのご褒美となるようにしている人もいます。周りの人は、深層心理の問題だと片付けず、患者にとって適切な支援を行っていくことが大切だと思います。
2017年11月05日こんにちは、佐原チハルです。子どもって小さい時はすぐに熱を出すし、特に保育園に行っている子どもは、最初の1年は頻繁に休まなければならなくなるとも言われています。子どもにとって、小児科はなくてはならない存在ですよね。そんな小児科は、ママにとっても強い味方。子どもの病気を治してくれるだけでなく、時にはママたち自身を救ってくれることも・・・。今回は、そんなママたちが小児科で聞いた、“涙が出るほど嬉しかった言葉”について聞いてみました。●子どもの泣き声を「本当に大きな声だね!」と言われた「初めて子どもの予防接種に行った時です。そこの病院の看護師さんに『この子は本当に大きな泣き声だね!』って言われたんです。『こんなに元気だと、ママは嬉しいけど大変だね』って。それがすごく嬉しくて、泣いちゃいました」こちらは、3歳のお子さんを育てているママの言葉です。「その時期は、毎日、毎日子どもの泣き声を聞いているのが辛くて。うちの子は泣き声も大きくて。でも、辛いって言っても『子どもだから泣くのは当たり前』『声が大きいのは元気な証拠だからありがたいこと』って言われるばっかりで。それも本当にその通りだと思うから、辛いって思う私が間違ってるんだ、私はダメな親なんだって思って、ますます辛くなったりしてました」看護師さんが“大変さ”を理解 してくれたことで、救われた気持ちになったそう。「元気なのが嬉しいことと、でもそれで大変だって感じちゃうこととは、どっちもあって当たり前なんだなって思えました。子どもの声を辛いって感じるなんて悪い親だと思っていたから、大丈夫だって思えてすごくホッとしたのを覚えています」乳児期を過ぎると、赤ちゃんの元気な泣き声は微笑ましいものに感じられることもありますし、“元気な証”なのですから、たしかにありがたいものです。しかし、それを日々聞き続けているママが「辛い」と感じてしまうのも、また当然のこと。辛い気持ちを抱えているママがいた時には、それを否定せずにいたいですね。●寝不足でボロボロの時に「お母さんも頑張ってるね」と言ってもらった「出産してすぐの時、子どもをかわいいって思えなかったことがあるんです」こちらは、4歳のお子さんを育てているママの言葉です。「授乳がうまくできなくて。胸はパンパンに張っていて、子どももお腹が空いて泣いているのに、うまく飲ませられなくて。夜中だったんですけど、周りの病室からは泣き声も聞こえないし、みんなうまく授乳できてるのかなって思って……。授乳すらうまくできないなんて、なんてダメな母親なんだろうって思いました」こちらのママさんが出産されたのは、小児科と産婦人科が併設されている専門病院。出産後は完全個室だったそう。あとから「入院中なんて私も授乳うまくできなくて、真夜中でも子どもギャン泣きだったよ」と色々なママから聞くこともあったそうですが、当時は周囲の部屋の声が漏れ聞こえることもなく、「こんなこともできないのは自分だけだ」と感じていたそう。「子どもをあやしながら片手で慣れないミルク作ってたら、看護師さんが来てくれたんです。そこで『お母さんも頑張ってますね』って言ってもらえて、泣いちゃいました」「ミルクもこちらであげておきますので、お母さんは今日はゆっくり眠っても大丈夫ですよ」と言ってもらえたため、その言葉に甘えることにしたそう。「ゆっくり眠って、朝ごはんを食べてから子どもを迎えに行きました。それから改めて授乳のやり方を聞いたり、ミルクでも大丈夫よって言ってもらったりして、すごく気が楽になりました。隣の市に引っ越しちゃった今でも、この小児科には何かあるたびに通っています」自分を「ダメな母親だ」「最低限のこともできない出来損ないの母親だ」と感じさせられてしまうのは、とても辛いことです。そんな中で頑張っていると認めてもらえて、大丈夫と言ってもらえた のが、とても心強かったそうです。筆者も出産後の入院中、似たような経験をしたことがあります。看護師さんから温かい言葉をもらえたことに加え、子どもを預かってもらえて、睡眠時間を確保できたこともとても大きかったです。産後で疲れているママにとって、温かい言葉と睡眠時間は、何よりも喜ばれるプレゼントですね。●「お母さんは大丈夫?お母さんも気をつけてね」と言ってもらえた「子どもが手足口病にかかった時、小児科のお医者さんから『お母さんは大丈夫?』って言ってもらったんです。すごく嬉しかったです」こちらは、5歳と3歳のお子さんを持つママの言葉です。「最初に下の子がかかって、それだけでも大変だったのに上の子にもうつってしまって。もちろん一番大変なのは子ども達自身ですけど、私も結構参ってしまっていたんだと思います」実家のご家族からもお子さん達の心配はされたそうですが、ママのことを労ってくれる人はなかなかいなかった そう。「うちは当時、旦那が単身赴任で、文字どおりワンオペで2人の看病しなきゃいけなくて、結構辛かったんです。私のこと気にかけてくれる人が身近にいない中でずっと張りつめていたので、泣きそうになっちゃいました。すごく嬉しかったんです」誰かに気にかけてもらえているというだけでも、気持ちが楽になることってありますよね。「最近元気にしてる?」「大丈夫?」という言葉は、かける側はそれほどの意識をしていないこともありますが、言われた方は救われた心地になることもあるのですね。忙しそうにしている友人がいたら、少し意識して声をかけてみるのもいいかもしれません。----------以上、いかがでしたか?産後や子育て中のママは、時に孤独で心細いもの。そんなママにも寄り添ってくれる病院 の存在はとても心強いですね。私たち一般のママはお医者さんにはなれませんが、時々はお互いに励ましあったり、助け合ったりすることもできます。「あそこの小児科がすごくよかったよ」なんて感想も語り合いつつ、手を取り合って日々の育児を乗り越えていきたいですね。●モデル/倉本麻貴●ライター/佐原チハル
2017年10月05日こんにちは。コラムニストで経済思想史家の鈴木かつよしです。2013年6月に“国立大学改革プラン”が閣議決定されたのを受けて、2014年8月に文部科学省から全国の国立大学に“人文社会科学系学部の廃止”が通達されてから3年が経ちました。国が率先して「大学は生産性を上げるための技術論を教えることに専念すべき」という考え方を示したことによって、わが国の大学は近年ますます“大手企業に就職するための専門学校”としての色合いを深めており、筆者が大学生であった約40年前のような“深い洞察力と広い視野を持った人間を育てる場所”のような役割は失ったように思います。ところで、そのように専門学校と同様の意図でもって行く大学は、貸与型奨学金という多額のローンを二十歳そこそこの時点から背負ってまで通う価値があるところなのでしょうか?何かの分野の専門的な技術を身につけたいのであれば、それこそ大学よりは学費の安い専門学校に通うか、あるいは衣食住を無償で提供してくれる親方のもとに弟子入りする方がよほどコスパがいいのではないでしょうか?今回は、大学進学に関して存在するさまざまな意見について、筆者同様これから大学進学の年齢をむかえる十代半ばの子どもを持つ都内C市在住のパパたちママたちに実際に聞いた話に言及しながら、“今の大学は多額の借金をしてまで行く価値があるのか?”という問題について一緒に考えてみたいと思います。●意見1:「自分は職人だが幅広い教養を求めて大学に行った。でも息子には求めない」最初に紹介するご意見は、筆者のパパ友でもある50代のガラス細工職人の男性のものです。『父親が従業員5~6人ほどの小さなガラス屋を経営していた私は、若いころからガラス製造を仕事にする気持ちは決まっていたのですが、高校生のときに親とは違う付加価値の高い創作ガラス工芸をやりたいと思うようになりました。その際、高校を卒業したらすぐにその道の大家に弟子入りする道もあったのですが、一介のガラス職人であっても政治経済や文化芸術について一家言を持った“大人の市民”として、自分の後輩や弟子たちに生き方についてのアドバイスができるような人物になりたいと思い、私立大学の経済学部に進んで西洋経済史を学びました。その選択は自分としては大正解で、妻や子や弟子たちにも恵まれ充実した人生を送ることができたと思っています。でも、いま高校生の一人息子に何が何でも大学へ行くことを希望しているかというと、正直そうでもありません。その理由なんですが、いま私たちが暮らしている社会は私たちのような一般市民にそこまでの知性や教養を求めていないように思えるからです。というよりもむしろ、私たちの若かったころと違い、いま世の中の指導的立場にある人たちは、「社会をよくするのは自分たちのような本物のエリート層がするから、一般の人たちはとにかく最大限の効率を求めてグローバル経済の時代の戦士としてもっぱら国や地域の成長・繁栄のために働いてほしい」と考えているように見えるのです』(50代男性/都内C市在住/ガラス細工職人・ガラス製品販売店経営)実はパパ友のこの意見、筆者も否定できないところがあります。筆者自身も小さな町工場経営者の子の分際でありながら、“近代国家の将来を担う誇り高き市民”のようなものにあこがれて大学に進んで学んだ者なのですが、ここ数年のわが国はそういったタイプの人間(あるいはそういったタイプの人間を目指している者)を“煙たがる”傾向があるように見えてならない のです。だとすると、人の子の親としては子どもがもっと“気楽”に生きられるように、“余計なことは考えない生き方”を選択するのを望む気持ちが生じます。つまり、“given”は“given”として疑問を持たずに受け入れて、手につけた職の腕前をひたすら磨いて安定した生活を手に入れることに専念して生きていってほしいと思う気持ちであり、大学で学ぶ哲学や文化、芸術は一般庶民の幸福にとってはむしろ邪魔になるという考え方です。●意見2:「大学卒の看護師だからといって得した覚えが一度もないし、大学は学費も高い」次に紹介するご意見は、筆者の妻のママ友である40代女性で総合病院勤務の看護師さんのものです。『娘が自分と同じ看護師を目指しているのですが、私は看護師になるのに大学へ行く必要はないと娘に言っています。理由は簡単で、私自身が大学卒の看護師なのですが、看護師になってこのかた大学卒だということで得したことなどただの一度もないということです。それに、大学は学費が高く専門学校であれば大学の約半分の費用で看護師になることができます。公立の専門学校ならもっと安い学費で看護師になれます。よく、大学卒の看護師の方が視野が広いとか人間的に幅があるとか言われますが、いまのわが国は人格的に立派な人が正当に評価されている社会だとは思えません。逆に姑息な人、他人のいいところを見ずに欠点ばかりを大声で指摘する人、有力者との縁故を手に入れた人ばかりがいい思いをしている社会ではないかと思います。そのような世の中で貸与型奨学金という多額の借金を抱えてまで大学卒の看護師になることに、どんな意味があるというのでしょうか。学費の安い専門学校で看護技術だけを学び、黙々と職務だけを遂行する。そういう生き方の方が“裏切られた感”に苛まされずにすむというものでしょう。少なくとも自分はそう思います』(40代女性/都内C市在住/看護師・総合病院勤務)このご意見にも、筆者はぐうの音も出ません。筆者自身も、大学を出たからといって何か他人様よりも得をしたという覚えがないからです。また“人格的に立派な人が正当に評価されない社会”というのもまさにその通りで、指導的立場にある人に「知性」や「教養」といったものは求めず、もっぱら「他者を言い負かす力」ばかりを求めるのが大多数の国民の感性であるのだとするならば、やはり大学なんかに行って知性や教養を身につける必要などはないのだろう と思うのです。筆者はこの看護師の女性の意見にかなりの部分で同意できます。●意見3:「あえて大学に行くのなら、人類共存への道標になるような哲学を学びに行くべき」最後に紹介するのはC市内で小児科クリニックを開業し、自身が中学生の男の子のパパでもある40代の医師の男性の意見です。『医学部のような特殊な学部は別にして、ほとんどの職業は大学ではなく専門学校で学んでも資格を取得することはできます。弁護士であろうが建築士であろうが本人にやる気と本気があるのなら、独学でもなれるというのが現実です。それでもあえて大学に行く意味はどこにあるのかと患者さんの親御さんに問われたとき、私の場合はこう答えています。「将来社会人として生きていくうえでの技術を学ぶためというのは当たり前だが、あえて大学に行く場合はその技術を人類が共存・共生していくうえでどのように使用するのがベターなのか。そういった人類共存への道標となるべき哲学のようなものを自分なりに構築する。そのために大学へ行くのですよ」と』(40代男性/都内C市在住/小児科医・小児科クリニック院長)今回のコラムに何かしらの結論めいたことを付記するのであれば、筆者はこの小児科医の男性がおっしゃっていることがそれにあたるのではないかと思います。今、世界ではどちらかというと“他者に対して攻撃的なリーダー”が支持を集める傾向がある ように見えますが、人類はそこからくる過ちをその都度克服して今日に至っています。その際に世界中の人々を我に返らせ勇気づけてきたのが、大学で自分の専門以外の隣接諸領域についても学んできた人格者たちでした。ナチス政権による迫害の中でも次の時代の価値観を模索し“生命への畏敬”の哲学を確立したドイツ人医師のアルベルト・シュヴァイツァーは名門ストラスブール大学で医学も哲学も神学も学んだ人です。また、ノーベル物理学賞受賞者の益川敏英博士は名古屋大学の学生時代、恩師である坂田昌一教授から「科学者は科学者として学問を愛する以前に、まず人間として人間を愛さなければならない」と教えられ、坂田先生の持論であった「勉強だけでなく、社会的な問題も考えられるようにならないと、一人前の科学者ではない」「物理の問題が解けるなら、世界平和に向けた難題も解ける」といった教えを機会あるたびに私たちに発信してくださっています。つまるところ、あえて大学にまで行くのならこのような“哲学”まで学ぶ“本物のリーダー”を目指す気がなければあまり意味がないということだと思います。----------いかがでしたでしょうか。少子化の今日、大学へ行くことは当たり前のように思われているかもしれませんが、ときにはこんなふうに大学へ行くことの意義そのものについてパパ・ママ・子どもたちのみんなで考えてみるのもいいことなのではないでしょうか。【参考文献】・『月刊「住民と自治」』(2016年2月号)●ライター/鈴木かつよし(エッセイスト)●モデル/ゆみ
2017年09月12日言語障害とは出典 : 言語障害とは、広義には、言葉によるコミュニケーションに何かしらの困難さがある障害を指し、精神医学上の狭義の定義では、特に言語の習得と使用に困難さのある障害を指す言葉です。言葉を使ったコミュニケーションに困難さが生じる障害・疾患にはさまざまな種類がありますが、「言語障害」という言葉がなにを指すかや、どんな疾患名が含まれるかは、その用語が使われるシーンによって少しずつ定義や使われ方が違ってきます。先に述べたように、精神医学における言語障害では、言語能力の発達の段階で、言葉を理解する能力と話す言葉を考える能力に困難さがあることを「言語障害」と定義しています。一方、一方、教育における言語障害は、より広い意味合いで捉えられています。すなわち、話す能力や聞く能力そのものというよりは、本人の発音や話し言葉によって、他人との一連のコミュニケーションに困難や不都合が生じている状態を「言語障害」と位置付けているのです。以下は、文部科学省における言語障害の定義です。言語障害とは、発音が不明瞭であったり、話し言葉のリズムがスムーズでなかったりするため、話し言葉によるコミュニケーションが円滑に進まない状況であること、また、そのため本人が引け目を感じるなど社会生活上不都合な状態であることをいいます。この他にも、介護の世界では、言語能力の発達には問題がないものの、脳卒中や認知症により後天的に話すことができなくなってしまったり、言葉を理解できなくなってしまったりする疾患を「言語障害」と呼ぶことが多いようです。このように、一口に言語障害と言ってもさまざまな定義が存在しますが、このコラムでは精神医学上の定義に則り、発達期の子どもが発症する言語障害について、人のコミュニケーションの仕組みを踏まえながら説明していきます。音声言語コミュニケーションの仕組み言語障害について詳しく解説する前に、まずは人がどのように言葉を操り、他者とコミュニケーションをとっているのか、その仕組みを確認しましょう。下の図は「スピーチチェーン」といい、人が音声言語コミュニケーションをとる仕組みについて説明するものです。Upload By 発達障害のキホンスピーチチェーンに則って考えると、人間が音声を受け取り、理解し、他者に言葉を発するまでのプロセスは、大きく三段階に分けることができます。■第一段階音響学的レベル誰かが発した音声が、空気を振動して耳へと伝わります。■第二段階言語学的レベル耳を通して伝わった音声を、脳で意味のある言葉として理解し、それについての受け答え(自分が話したい内容など)を考えます。そして、受け答えのための音声を出すために脳から発声器官(口や舌、肺など)の筋肉に信号を出します。■第三段階生理学的レベル脳の信号を頼りに声帯や舌、肺などを運動させ、音を発声します。また、口や舌の動きを使い、人が理解できる言葉にします。参考書籍:内須川 洸 /著『言語臨床入門』(風間書房,2000年/刊)スピーチチェーンの第三段階目で生成された音声に対して、相手側もまた、耳を通して聞き取り、脳で処理し、受け答えを考え、発生をする…このようなサイクルを通して、人は言葉を発し、他者とコミュニケーションをとっています。精神医学における言語障害出典 : アメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)における言語障害(言語症)は、言語の習得と使用に困難さのある疾患として定義されています。主に、上の図におけるスピーチチェーンの第二段階目にあたる、脳内の言語処理に困難さがある疾患です。その困難さにより具体的には次の3つのような症状があります。1. 少ない語彙その年齢の子どもが知っているであろうレベルより単語の知識より少なく、語彙に多様性が欠けている状態です。例えば、言葉の定義(理解)があやふやであったり、類義語や多義語が理解できなかったりなどが挙げられます。2. 限定された構文文を形成するために、文法規則に基づいて単語や語を配置することに困難さがあります。言語障害のある子どもが話す文章は、文法上の誤りを伴い、より短く単純であることが多く、特に過去時制が適切に使うことが難しい場合が多くなります。こうした言葉や文法理解の困難さから、新しい単語や文章を記憶することにも困難さが生じます。例えば電話番号を覚えたり、買い物リストを覚えたりすることです。3. 話法における障害一つの話題や一連の出来事を順序をたてて説明・表現したり、会話をしたりすることに困難さがあります。このような症状は、言語の理解と産出する能力に困難さがあるために起こります。専門用語では、言語の受容性の能力、表出性の能力と言います。言語の受容性の能力とは、言語によるコミュニケーション(主に音声による)の意味のあるものとして理解することを指し、言語の表出性の能力とは、声、身振り、言葉の合図などを生み出すことを指します。言語障害は、言語がある程度発達し、個人差が少なくなってくる4歳以降で診断されることが多いです。幼稚園、保育園、小学校などに入ることで、さまざまなコミュニケーションの機会に触れる中で、他の子どもと比べてその困難さが際立つようになり、言語障害が明らかになる場合が多いと言えます。 精神疾患の診断・統計マニュアル 第5版言語障害と似たような言葉として、「言語発達遅滞」という言葉を聞きますが、その違いはなんなのでしょうか。言語発達遅滞とは、言語障害があるかどうかによらず、言語の発達が年齢に想定されるよりも遅いという状況を指す言葉です。言語発達遅滞には2つのパターンがあります。一つ目は、乳児期の時点では言葉が遅れていても、育ちの過程において、遅れが目立たなくなるような場合です。この場合は、「ただ言葉の習得が遅いだけ」、「育ちのスピードの個人差の範囲」と言えます。もう一つは、発達や聴覚に障害のある可能性があり、その兆しとして言葉の遅れが生じる場合です。言葉の発達の遅れは、発達の早期である乳幼児期において生じやすく、その子どもの育ちは個人差が大きいです。また性格や環境など様々な要因が関わっています。そのため乳幼児期に語彙が少なかったり、文や文章の組み立てが苦手であったりといった、言語発達遅滞状態にあっても、その子どもがただちに言語障害であるとは限りません。言語障害とその他の言語に関わる疾患の違い出典 : これまで説明してきた通り、『DSM-5』における言語障害は、言葉の理解と産出に困難さがあるため、言葉をうまく話すことができない障害として定義されています。しかし、言語障害以外でも、同じく「言語がうまく話せない」という症状が生じる疾患・障害は存在します。ここでは、上記で説明したスピーチチェーンのどこに問題が生じているかに触れながら、言語障害と、それ以外の言語に関わる障害・疾患の違いについて説明していきます。音が聞こえない、または音が聞こえにくいため、音声言語を正しく認識できず言葉に困難さが生じます。スピーチチェーンでは、第一段階目の「音響的レベル」に当たる、耳で音を拾う過程に困難さがある障害です。聴覚障害があるため言葉に困難さがある場合は、聴覚障害という診断になることがほとんどです。知的障害のある子どもの多くは、運動機能や言語発達に遅れがある場合があります。知的発達の遅れがベースとなって、言葉が遅れていたり、コミュニケーションに困難さがあったりする場合は、言語障害ではなく知的障害という診断が下ります。構音障害とは、声が鼻にかかったり、鼻に抜けてしまうため、発音が不鮮明になったり、間違った発音になってしまう症状を特徴とする障害です。スピーチチェーンの三段階目である「生理学的レベル」での困難さがある障害と言えます。例えば、さかな”の発音が”たかな”になってしまうようにサ行やカ行がうまく発音できない場合です。これは、唇の断裂(口蓋裂)や、音を発声させる器官(構音器官)のまひなどによる機能的問題が原因となって言葉の困難さを引き起こしています。構音障害は、精神科だけでなく耳鼻咽喉科や小児科の領域の疾患でもあります。そのため必ずしも精神科で診断がくだされるわけではありません。小児科、リハビリテーション科、耳鼻咽喉科、脳神経外科、神経内科、形成外科、言語外来を設置している各科などでも診てもらうことができます。吃音とは吃音などの話し言葉におけるリズム流暢でないために、言葉に詰まってしまったり、同じ音を繰り返してしまうことです。上の図では、三段階目の生理学的レベルに困難さがあります。そのため、吃音は精神科だけでなく耳鼻咽喉科や小児科、児童神経科の領域の疾患でもあります。例えば、”きんぎょ”を”き、ききんぎょ”と言葉を繰り返してしまったり、”き...んぎょ”など言葉が詰まってしまうなどです。このような言語に関する困難さを吃音といい、言語障害とは区別されます。言語障害と発達障害の関連は?出典 : 言語障害は、学習障害、ADHD(注意欠如・多動性障害)、自閉症スペクトラム障害などの発達障害との併存も珍しくないと言われています。発達障害について、詳しくは以下の関連記事をご覧ください。言語障害が気になる場合の相談先出典 : 歳から未就学児までの子育てに関する、不安や悩みがある親子に対する相談、援助を実施しています。子育て支援センターでは、病院と違い診断や治療を受けることはできませんが、相談・診察の状態によっては、医療機関を紹介してもらうこともあるようです。乳幼児健診(1歳半健診や、3歳健診など)では、乳幼児の健康について診てもらうだけでなく、子育てに関する相談もすることができます。場合によっては臨床心理士さんなどに相談できるよい機会です。教育相談とは、就学児(小学校入学以後の児童)の発達と教育にかかわる問題についての心理的・教育的援助です。教育相談センター・教育センターで行われる教育相談では、来所、電話、メール、さまざまな形での相談を受け付けています。児童相談所でも、幼児~高校生までの教育に関する相談を行うことができます。子どもの言語障害や言葉の遅れに関する診察や治療は、小児科や、神経科、小児神経科が主な受診先となります。言語障害のある子どもへの支援・治療法出典 : 言語障害はその症状によってさまざまな治療法があります。言語障害にはこの方法が必ずいいというわけではなく、子どもの特性や困難さに合わせた、個別の支援、治療を考えていく必要があります。言語聴覚療法とは、言葉を話したり聞いたりする機能に障害がある人に対して、日常生活を円滑に送るために行う、発音・発声に関するリハビリテーションです。言語聴覚療法では、専門知識を持った言語聴覚士がリハビリテーションにあたります。一般的に、発音・発声の機能獲得と、言語をつかさどる脳機能の獲得の二つのトレーニングを受けることができます。子どもの場合も、聞く、読む、話す、書くことという言葉全般の働きについて、その子どもの症状や課題に応じたトレーニングが行われます。また、子ども本人だけでなく、家族や生活環境にも焦点を当てたリハビリテーションが行われる場合もあります。ことばの教室とは、言葉に関する困りごとのある児童を対象とした、小学校、中学校で行われている特別支援教育の場です。一般的に、通級指導教室と特別支援学級に設置されています。ことばの教室に通うことを希望している場合は、就学前に就学相談を行う必要があります。そこで、教育委員会や学校と相談をしながら、就学先としてことばの教室に通うかどうかを決定します。また、すでに通常学級へ通っている場合でも、学校との相談の結果、必要に応じて通級指導教室に通ったり、特別支援学級に転籍することができる場合があります。まとめ言葉に関する疾患は数多くあり、広義にはそのような言葉に関する困難さ全般を言語障害と呼ぶこともあります。この記事では、医学的な診断名として定義された、発達期における、言葉の習得と使用に困難さを感じる疾患としての「言語障害」に焦点を当てて開設しました。言語障害は、コミュニケーションの中でも、特に言葉の理解と産出がうまくいかないために起こる障害です。子どもの言語の発達に不安がある場合は、上記のような相談場所へ行ってみましょう。
2017年05月30日小児科外来のカウンセリング室にやってきた母娘出典 : 病院の小児科外来でカウンセリングを行っているカウンセラーの私のもとに、不登校の娘さんと母親が心理相談を受けに来ました。そのとき娘さんは中学3年生。母親の話だと中学2年生のころから学校に行き渋るようになったけれども、教師の働きかけで今は何とか相談室登校をしているとのこと。母親が説明する間、その子は一言も話さず暗い顔をして座っていました。私は「学校で何か嫌なことがあったのか」、「友だちと気まずいことでもあったのか」と問いかけましたが、無言のまま。母親は、「家で娘に尋ねても嫌なことやいじめはないと言うのです」と代弁します。医師の方では医学的処置は行わないとのことを聞いていたので、経過観察をしながらじっくり支援の方向性を探ろうと考え、「すぐには話したくないかもしれないので、時々来て状況を知らせて下さい」と言って初回の面談を終わろうとしました。しかし母親は「どこに行っても同じことを言われます。私が心配でたまらないのです。このまま一生引きこもりになるのではないかと不安です。ここで話を聞いていただけませんか」と言うのです。娘さん本人の考えは計り知れませんでしたが、母親の困り感が大きいことも鑑み、ひとまず次週も面談の予約を入れることにしました。カウンセラーと母親と娘の三者面談、しかし彼女は一言も話さず…出典 : 翌週、時間通りに母娘がやってきました。母親はこの一週間も娘の状況は変わらないことを説明してくれましたが、肝心の娘さん本人はやはり一言も発しません。母親がしゃべり過ぎるので娘さんが話さないのかと考え、母親の発言を抑えて彼女の発話を待ちました。しかしいくら待っても言葉を発しません。最後にはうなだれ、長く伸びた髪が顔を覆い、ホラー映画の「貞子」のような状態になってしまったので、「これ以上はまずい」と思い、母親との話に戻りました。親子で訪れる小児科の心理相談の時、私は特別の事情がない限り親子別々に話すことをしません。子どもは不安を抱いて訪れます。その時に親から離れて一人で知らない人と話すことは苦痛でしかないと思うからです。廊下で待たされ母親だけが診察室に通されると、そこでは自分のことを話しているに違いないが、何を話しているのか気になるでしょう。余計な不安や苦痛を子どもに与えないために親子で話すのです。まれに母親だけに伝えなければならないことがある場合は、子どもが退屈そうに見えたとき、「退屈なら廊下を歩いてきていいよ」と言って外に出します。時間的に余裕がある環境でしかできないことかもしれません。カウンセリングというより雑談?それでも続く、奇妙な3者面談出典 : そういうわけでその母娘との面談はいつも三者で行いましたが、話すのはいつも私と母親でした。それでも娘さんは毎週来ることを拒まず、一言も話さないにもかかわらず毎回1時間近くその場に座り続けていました。半年近く話しても事態が大きく変わることもなかったので、話の内容は徐々に雑談に変わっていきます。明朗快活なお母さんはニコニコしながらたくさんおしゃべりしました。よもやま話になるとつい笑いだすようなことにもなりますが、娘さんはそれでもやはり、無表情のまま。わずかでしたが相談料を支払っていただいていましたので、談笑でお金をいただくのはどうかと思い、母親に「このまま続けますか」と尋ねました。母親は「長い目で見なければいけないのは分かっているが、娘と二人でいると気が沈んでしまうので、迷惑でなければ続けさせてください」と言ったので、ひとまず継続することに。とはいえこのままずっと談笑を続けるというのも気が引けます。なにか改善のきっかけがつかめないかと、私は彼女が在籍する中学校を訪問することにしました。しかし、娘さんは中学校では人目を避けて登校し、ほとんど相談室で好きな漫画やイラストを描きながら過ごしているとのことで、変化を期待できるような情報を手に入れることはできませんでした。高校受験が迫ったある日、無言だった娘が、はじめて「やりたいこと」を口にした出典 : それからも、カウンセラーと母親が談笑するだけという、奇妙な"三者"面談が続きました。初夏から始まった面談も初冬にさしかかっていました。母親は高校進学のことを気にし始めました。私も引き受けてくれる学校があるか気になりました。そんなある日、母親が思いがけないことを話しだしたのです。「娘は、高校はイラストやデザインが学べるところにしたいと言っています。中学校で尋ねたらA高校のデザイン科があると言われたそうで、そこを受験したいと言うのですが、先生どう思いますか」。この話も三者面談の中でした。私は母親に「それは素晴らしい。本人が受けたいと言うのならぜひ受けさせるべきです」と言いました。本人が高校には行きたいと言い、志望校もはっきりと言った。母親はこのことには喜んでいましたが、実際受験するにあたっては、相談室登校で学力がきわめて不安、試験や面接に行けるかどうか、受験に失敗したらもっと落ち込みがひどくなるのではないかなど、心配でたまらないようでした。私は、「本人が自分で道を切り開こうとしているのです。今はそれを応援しましょう。失敗したらその時に次を考えましょう」と言い背中を押しました。その後。その子は自宅でも受験勉強をし、中学校では専願という受験方法を示され、無事試験会場にも行け、めでたく志望の高校、学科に合格したのです。娘さんの高校入学後も母親はしばらくの間、「また、いつ登校しなくなるか不安だから」と言い、私との心理相談にやってきましたが、不登校が生じやすい5月の連休明けまで様子を見ても特に問題は起こらず、母親も安心して心理相談を終了しました。ずっと黙っていた娘が、なぜもう一度学校に行けるようになったのか出典 : その後も娘さんが私の相談室に来ることはなく、毎日他の生徒と同じように登校し授業を受けており、部活もバスケットボール部に入り元気に活躍しているとのことでした。母親は「嘘みたい、今までのはなんだったの」とキツネにつままれたかのようでした。心理相談を続けている間は一言も発さなかった娘さんが、なぜこのように劇的な変化を起こしたのでしょうか。私が思うに、その子自身の伸びる力がもともと眠っており、表面には出ない間も、じっくりと力を蓄えていたのだと思います。不登校、相談室登校は彼女にとって不快な経験だったと思います。彼女自身もなんとかそれを克服しようと思ったでしょう。しかしなかなか克服の道が見えず、長い間ふさぎ込むことになったのだと思います。高校進学を目の前にして、やっと自分の好きなデザインを学び、本来やりたかったバスケットを行うことに道を見出し、光を見つけたのだと思います。道を見出したのは彼女自身です。それができたのはその子の成長する力によるものと思います。小学校や中学校で不登校を経験したのちに高校生になり、「休みたくなると、もうあの不登校を再び経験したくないからという気持ちになって、それで頑張って登校したんだ」と打ち明けてくれた子もいました。一人、二人ではありません。子どもたちはしっかり学んでいるのです。そしてそのような子どもの成長する力を発揮させることができたのは母親の頑張りだったのだと思います。相談室登校の娘さんを見放すことなく、少しでも効果があることは惜しまず与え続けました。それとともに母親は、娘を支え続けるために自分の心の安定も求めました。娘さんは三者面談の中で一言も発しなくても、母親の言葉、カウンセラーの言葉をしっかり聞いていたのです。自分を支えてくれる人たちの中で自分は何をすべきかを考え続けていたのでしょう。子どもは母親や家族に支えられ、母親や家族は社会に支えられるような循環が子どもたちの成長には不可欠だとの思いを深めたケースでした。
2017年05月20日こんにちは。メンタルケア関係を中心に執筆しているメンタルケア心理士の桜井涼です。先日、乳児がハチミツを摂取したことで死亡するという痛ましい事件がありました。この事件は記憶に新しいと思います。乳児の母親は「ハチミツを食べさせてはいけないことを知らなかった」という話ですから、乳児を子育て中のママはもちろん、 これから出産して子どもを持つ方にも、乳児に食べさせてはいけない食品について、ぜひとも知っておいていただきたいと思います。そこで今回、青森県にある『沼田医院』の医院長である小児科・内科医の沼田知明先生にお話を伺ってきました。沼田先生は、長年にわたって乳幼児検診に携わっておられる先生です。沼田先生のお話と共に、乳児の食事について詳しく見ていきましょう。●離乳食に注意をしなくてはいけない理由生後5か月ごろから始まる離乳食。スープ状のものからスタートし、すりつぶし、少しずつの固形と状態を変化させながら、慎重に進めていきます。なぜ離乳食は形状に注意しなくてはいけないのでしょうか。沼田先生は、このように話されています。『乳児は、大きく分けて2つの機能が大人と違います。それが、「機能の未発達さ 」と「免疫力の低さ 」という点です。「機能の未発達さ」は、消化器官もそうですが、飲み込むという部分も未発達なために、“喉につまる”ということが起きるわけです。「免疫力の低さ」の面では、今回のボツリヌス菌もそうですが、ノロウイルスやロタウイルスなどの感染性胃腸炎などに感染することも怖いですから』「機能の未発達さ」と「免疫力の低さ」という2つは、乳児と大人では違うのだということをしっかり理解しておかなければいけませんね。●感染性胃腸炎はワクチンで防げる!乳児は、感染性胃腸炎にかかると本当にかわいそうな状態で苦しみます。それを防ぐことができるワクチンがあるとのことを教えていただきました。『ロタウイルス胃腸炎は、ワクチンを接種することで防ぐことができます。予防接種は、生後2か月から接種が可能 です。お金がかかりますが、自治体によっては補助をしてくれるところがあります』親は大変かもしれませんが、子どもの命のことを考えたら、ワクチン接種は大切だと感じました。●乳児に食べさせてはいけない食品とは?一昔前であれば、親から子へと伝わったものですが、核家族化が進み、情報が伝わっていないということも大いに考えられます。絶対に知っておいて欲しい「乳児に食べさせてはいけない食品」を沼田先生に伺いました。【乳児に食べさせてはいけない食品】・生食の魚介類や肉類(生の物には雑菌がついている)・ハチミツ(ボツリヌス菌が含まれていることがある)・塩分や油分が強いもの(味が濃いのは胃腸に良くない)・水道水(塩素が多く、雑菌が含まれていることがある:白湯はOK)・えびやカニなどの甲殻類(アレルギー反応を起こすことがある)・豆やナッツ類(喉に詰まってしまうことが考えられるのとアレルギー反応も)・自家製の生野菜ジュースなど(野菜に雑菌がついていることがある)『その他に、今はあまりないかもしれないが、井戸水もボツリヌス菌が含まれていることがあるのでよくありません』とのことです。上記の食品類は、どれも「機能の未発達さ」と「免疫力の低さ」という2つの部分が大きく関わってきています。だから注意が必要なのです。●アレルギーの心配はどう対処すればいい?アレルギーの心配はありますよね。食べさせて良いものかどうかで迷います。対処の仕方も沼田先生に教えていただきました。『乳児湿疹などの湿疹が治りにくいお子さんや、アトピーっぽい症状が見られるお子さんは、離乳食を始める前に、大きな病院でおこなっている血液検査を受ける ことです。それ以外のお子さんは、少しずつ食べさせて様子を見るようにするといいです』大きな病院の小児科では、アレルギーを調べる血液検査をやってくれるそうです。血液検査をおこなえば、小麦や卵など、何にアレルギー反応が出るかがわかるので食べさせてはいけないものがハッキリとわかります。【アレルギーの出やすい食材】・小麦・甲殻類(えび・カニなど)・頭足類(いか・たこなど)・ピーナッツ・そば・キウイフルーツ・桃・パイナップル・りんご(希に反応する人がいるとのこと)・ゼラチン・生卵(白身の部分が特に良くない)果物でもアレルギーを持っている人がいるという話でした。最初は少しずつ様子を見ながら与えるようにするべきだということがよくわかります。●情報を得るために離乳食に関する情報などは、乳幼児検診で正しい情報を得ることができます 。栄養士や保健師が、実際の離乳食の状態を見せてくれたり、相談に乗ってくれたりしますので、参加することがとても大切です。乳幼児検診は、身長や体重を計るだけではなく、たくさんの有益な情報を得ることのできる場です。ぜひ参加して話を聞いてきましょう。●おわりにわが子を守ることができるのは、親しかいません!ですから、親は自分の子を守るための知識を持っておく必要があります。特に食に関する知識は大切です。離乳食は、食べることの始めの段階です。大事にしてあげたいものです。そのための知識はしっかり身につけましょう。【取材協力・監修/沼田医院・医院長:沼田知明先生(小児科・内科医)】・沼田医院ホームページ●ライター/桜井涼(メンタルケア心理士)●モデル/杉村智子(まさとくん)
2017年04月26日こんにちは。子育て支援を専門にしている臨床心理士の今井千鶴子です。子育てをしていると、“子どもとTVの問題”について悩んでしまうママはたくさんいます。そこで今回は、子育てにおけるTVのメリットとデメリットについて考えてみたいと思います。●子育てにおけるTVのデメリット●(1)長時間のTV視聴による発達の遅れ乳幼児のころにTVを見せ続けることは、脳の発達を考えるとあまりオススメできません。乳幼児の能力開発をする人の中には、「たくさんの刺激にふれることで脳が発達するためTVを見せるのは良い」と言う人もいますが、十分な科学的根拠があるのか疑問を感じます。発達認知科学の観点から考えると、たくさんの刺激にふれることは悪くはないのかもしれませんが、「子どもの発達段階にあった刺激なのか」「脳の疲労について考えなくていいのか」という点は慎重に議論すべきです。たとえば、“子どもがゲームに夢中になりやめられない”という状態をイメージしてください。脳が疲労しているにも関わらず、時にイライラしながらゲームを続ける子もいます。これは刺激が強いために生じている現象 だといえます。また、子どもは自分で自分の行動をコントロールしにくいため、刺激に触れ続けていることで“心地よい集中力”とは別の状態に陥ってしまうことがあります。一般的に子どもの集中力はとても短いので、一定時間を超えると、何も考えずにボーっとTVを見てしまいがちです。したがって、TVを見せる際にはあらかじめ視聴時間を設定し、長時間見せないこと が大切です。『日本小児科医会「子どもとメディア」対策委員会』は、乳幼児期からのメディア(例:TV・ビデオ・TVゲームなど)漬けの生活によって、結果的に心身の発達の遅れや歪みが生じた事例があることを指摘しています。そして、“2歳までのテレビ・ビデオ視聴を控えること”をはじめとする5つの具体的提言を発表しています。●(2)ネガティブな「気持ち」「行動」「ことば」TVとひと口に言っても、さまざまなタイプの番組があります。TV番組の中には、暴力的な映像や残虐な映像も含まれています。これまでの心理学の研究では、暴力映像を見た後には、子どもたちに不快な気持ちが生じやすく、乱暴な行動をマネしやすいことが報告されています。また、最近よく言われているのは、テレビを通じた“言葉の獲得”です。子どもには「使わせたくない言葉」や「聞かせたくない言葉」がありますが、これらの言葉は、日常生活よりもTVの中で知ることが多い と言われています。子どもの健全な成長を考えると、“視聴時間”だけを気にするのでなく、お子さんに見せる“視聴内容”もしっかり選ぶことが大切です。●子育てにおけるTVのメリット●(1)ママの時間を確保できる一日中お子さんと過ごしていると「息がつまってしまう」と感じるママも少なくありません。子育て中はどうしても子ども中心の生活になります。期間限定のことだとわかっていても、つらく感じてしまうこともあるのではないでしょうか。そんなママにとっては、たとえ短い時間であっても“ホッとできる時間”があるだけで心が楽になることもあるでしょう。先ほども述べたように、TVを見せることにはデメリットが伴います。そのため、真面目なママほど、TVを見せること(見せてきたこと)に罪悪感を感じてしまうかもしれません。理想を言うならば、私もできる限り子どもにはTVを見せない方がいいと思っています。ただし、それはTVを見なくても親子が笑顔で過ごせる条件のある場合です。たとえTVを見せていなくても、ママが心の余裕をなくしイライラしているのなら、その方が子どもの心の発達に悪い影響を与える のではないかと私は思います。もちろん、連日長時間TVに子守りをさせておくのはNGですが、ママの心と体の状態に合わせて、TVの放映内容も考えながら“調整”していくことも大切なことだと感じます。●(2)TVの登場人物がモデルになるTVのデメリットのところで、“乱暴な行動をマネしやすい”と書きましたが、良い行動も映像を見てマネしやすいことが知られています。映像の中の同世代の子どもが、歯を磨く、トイレに行く、食事するということができていると、自分もやってみようかなとやる気が高まるお子さんも多い です。良いお手本が登場するTVは、言葉では説明しにくいときなどに強い味方になってくれるツールとなります。●(3)友達とTVを通じた会話ができるTVの内容を知ることで友だちとの会話がはずみます。特に、はやりのものに関しては、知らないと友だちとの会話に入れないこともあります。また、TVの世界には、「動き」と「音」が巧みに盛り込まれています。字が読めない時期の子どもたちにとっては、わかりやすく説明してくれるTVは貴重な情報源にもなり、お子さんの興味・関心が広がることもあります 。恐竜好きの息子たちも、図鑑だけでは理解できなかった知識をDVDから学び、さらに興味を広げています。ただし、好きなものを好きなだけ見せるというのはNGです。場面を区切って見せたり、話しかけながら視聴したりするなど工夫が必要です。大好きな映像であっても、ボーっとするまで見せないように、子どもの様子を見ながらTVをうまく使っていきましょう!----------いかがでしたか?今日はTVのメリット・デメリットについて紹介しました。TVには一長一短がありますが、上手に付き合い、楽しく育児ができるといいですね!【参考リンク】・「子どもとメディア」の問題に対する提言 | 日本小児科医会()●ライター/今井千鶴子(臨床心理士)●モデル/藤本順子(風悟くん)
2017年04月04日こんにちは、ライターのNANARUKAです。子どもが何かの病にかかるとき、軽く済むに越したことはないですが、決定的な決め手がないまま微熱が出たり下がったり……これが困ります。そのまま家で安静にしておけばよいものか、北風吹き荒れるなか自転車を走らせて医者へ連れて行った方がよいものか。答えなんてどこにもないし、ママ友に聞いたって人それぞれ。そんなこんなで様子を見ているうちに悪化して、小児科の先生に「もっと早く連れてこないとダメ」なんて言われた日には、どん底まで落ち込んでしまいます。みなさんも、こんな経験ありませんか?そこで今回は小児科受診時の体験談 を取材。すると、な~んだ、私だけじゃない!みなさん結構注意されたり叱られたりしちゃってます。ちょっと安心しつつ、中でも特に多かった3パターンをご紹介します。●(1)放置していたわけではないのに! 「こんなになるまで放っておかないでね」と言われて落ち込んだ●36歳/7歳女の子、4歳男の子、2歳男の子のママの場合『次男を医者に連れて行ったときに、「放っておきすぎ」 と何度か言われたことがありますが、“ズボラで身勝手な母親”と言われているようで少々惨めな気持ちになりますね。上の子たちの経験から病気の経過はある程度わかるので、よっぽどのことがない限りとりあえず家で様子を見ますが、その様子見が長かったかな、と感じたときにたいてい注意されます。大きい子と違って、小さい子は胸がゼーゼーし出したり鼻水が悪化して中耳炎になってしまったりすることもあるので、やはり早めが良いそうです』●35歳/4歳男の子のママの場合『子どもが風邪を引いたときは市販薬を飲ませて寝かせておけば大体自然に治ると言っているママ友がいたので、自分の子が風邪気味のときにちょっと真似してみたものの悪化。すぐに医者へ連れて行きましたが、「もっと早く連れてこないと」 「勝手な判断で市販薬なんて飲ませないで」「風邪かどうかも分からないのに」などと次々言われてとことんヘコみました。確かにそのママ友たちの子どもは小学校高学年や中学生。4歳のわが子を同じに扱ってしまった自分が情けなくてしばらく立ち直れませんでした』●30歳/3歳男の子のママの場合『普段からおかしいところがあればすぐに小児科に駆け込んでいましたが、あるとき「ホームケアの仕方も覚えるといいですよ」と先生から言われ、ひどくもなっていないうちに受診するのはおかしいのかな、と反省。次に体調を崩した際には、明らかに具合が悪そうになってから受診しました。すると今度は「どうしてこんなになるまで放っておいたの?」 と叱られて混乱しました。こちらは素人なのだから、あまり厳しいことは言わないでほしいです』●(2)私って大げさ? 「これだけですぐに連れて来ないでね」と言われて恥ずかしかった●42歳/10歳女の子、6歳男の子のママの場合『1人目のときは慎重で、気になることがあるたびに医者へ連れて行っていたので、「これだけだったら来ないでいいよ」 なんて数え切れないほど言われました。2人目になると、よほどのことがない限りは様子を見ることが多くなり、「もっと早く来なさい」と言われることが増えました。1人目と2人目でこんなに変わるなんて、自分でも笑っちゃいます』●38歳/8歳女の子、6歳男の子のママの場合『上の子は病気がちだったので医者にはしょっちゅう駆け込んでいました。だから「また来たの?」 なんて言われることもあって恥ずかしい思いをしたり、そのたびに落ち込んだりもしていました。でも、自分の不安や心配事がなくなるなら結果オーライということにして、医者の言葉に一喜一憂しないようにしています』●(3)何もしてないわけない……。「お母さんの方でももっとケアしてあげてくださいね」がショック!●36歳/5歳男の子、1歳男の子のママの場合『子どもが熱や体調不良のときはいつも、あちこち冷やしたり、食べたいものをせっせと用意したりしているのに、「おうちでも冷やしたり食べたいものをあげたり、ラクになる方法をやってあげてください」 とか言われると少しばかりカチンときます。夜中に何度も起きて世話して寝不足気味で受診した際にこう言われると、さらにイラッとします。軽く聞き流せればいいんですけどね(笑)』●39歳/5歳男の子、2歳女の子のママの場合『当時のかかりつけ医はバンバン注意をしてくるタイプで、1人目育児のときは素直に言うことを聞いていました。でも2人目になりこちらにも知識がついてくると、「ホームケアもちゃんとして」 などと言われると、「それなりの世話してるわい!」と反論したくなることもしばしば。そのうち、ただ口うるさいだけの人に思えてきてしまったので、かかりつけを変えました』----------いかがでしたか?子どもの不調時、保育園や幼稚園での行事、自分の仕事や家族の都合など、あれこれ考え出してしまうと、ついつい選択や判断を誤ってしまいがち。大切なのは、「いま不調な子どもにとって、ベストは何か」ということ。このことだけを突き詰めてシンプルに考えを進めていけば、自ずと答えは見えてくるはず。自分の判断に自信を持ってお医者様の言葉に耳を傾け、少しばかりの雑音があればサラッと聞き流し、確かなアドバイスだけをモノできれば、それが最高です。子どものためにも、かかりつけ医とはほどよい距離感をもって良い関係を築いていきたいものです。●ライター/NANARUKA(フリーライター)●モデル/倉本麻貴(和くん)
2017年02月17日子どもが生まれると頻繁にお世話になる小児科。子どもが病気になったときはもちろん、健診や予防接種など、小児科を訪れる機会はとても多くなります。でも、受診したとき「症状をうまく伝えられなかった」「質問したかったことを聞き忘れてしまった」という経験があるママもいるのでは。しっかりと治療をしてもらうためにも、小児科の上手なかかり方を知っておきたいですね。■子どものふだんの様子がわかる人が連れて行く赤ちゃんや小さい子どもは、自分の症状を言葉で説明できません。小児科医がきちんと診断をするためには、付き添いの保護者の話がとても重要です。受診時には、子どものふだんの様子をよく知っているママやパパが付き添うようにしましょう。仕事の都合などでやむを得ずおじいちゃんやおばあちゃんに頼む場合は、症状や睡眠、食欲、機嫌など、子どもの様子がわかるようなメモを用意しましょう。■受診時に必要な情報は?「熱が出た」「おなかの調子が悪い」など、小児科を受診する症状はさまざま。症状を説明するときは「いつからあらわれて、どのように変化しているか」という時間的な経過もあわせて伝えるようにしましょう。また、あらかじめ熱や身長、体重をはかっておくと受診がスムーズです。子どもの身長や体重は薬の処方時にも必要な情報なので、日頃からこまめに把握しておきたいですね。■聞きたいことはメモで用意しておく医師にいろいろと聞きたいことがあったのに、診察でつい聞き忘れてしまい、家に帰ってから後悔…。そんな経験があるママも多いのでないでしょうか。診察時や待ち時間には、体調不良の子どもがグズったり泣いたりすることも。付き添いのママもバタバタして、つい質問を忘れてしまいがちです。聞き漏れを防ぐためには、病院に行く前に、聞きたいことをリストにしてメモで準備しておきましょう。メモを見ながら診察を受ければ、後で「あれも聞けばよかった」ということもありません。■下痢や嘔吐のときはオムツや写真を持参下痢や血便、嘔吐の症状のときは、便そのものが診断の助けになることがあります。可能であれば、なるべく新しい便をオムツごと持っていくと診てくれることも。その際は二重のビニール袋で密閉するなどして持ち運びましょう。持っていくのが難しいようであれば、便や吐物を写真に撮っておくだけでも、症状を正確に伝えることができます。また、湿疹などは受診時には消えていることもあります。気になる症状は画像で記録しておくと、分かりやすく伝えられて安心です。■病気と関係ない相談をしたいときは?小児科では健診のときに、栄養相談や育児相談にも対応してくれます。でもそれ以外のときでも、子どもの健康や発達についての不安を相談したいこともありますよね。クリニックによっては、診療時間とは別に、栄養士や看護師による相談を実施している院もあります。多くの場合事前に予約が必要なので、近隣の小児科に問い合わせをしてみては。なお、予防接種のスケジュールについての相談は、随時対応してくれるクリニックが多いようですよ。子どもが体調不良のときは、ママも慌ててしまいますよね。でも、だからこそ小児科を訪れる際はスムーズな受診を目指したいもの。子どもの健康のためにも、小児科と上手なおつきあいをしてきましょう。
2017年02月11日こんにちは! そんたんママです。風邪やインフルエンザが流行っていますね。我が家も数日前息子が熱を出しました。今回は踏みとどまりましたが、大体いつも息子、母、父の順にドミノのように倒れていくのがテンプレートです。子どもがうなされるのを見るのはつらいし、自分にうつるとさらにつらい…! 一緒に横になっていてくれればまだいいですが、ぐずったり、意外と元気で遊びを強要されたりするとこちらもぐったり。小児科の先生に言わせると、風邪のウイルスは100種類以上あるそうで子どもは100回くらい風邪をひくという説もあるのだとか。これがあと90何回あるのか~…と思うと気が遠くなります。でもそうやって免疫をつけていくんだものね。一緒に乗り越えねばね。子どもの免疫が目に見えてたまったら少しは前向きになれるのに。そうだ、ポイントカードをつくろう!そんな訳で今回はちょっと変わった工作、免疫ポイントカードをつくりたいと思います。STEP1 カードをつくろうつくり方はいたってシンプル。厚めの紙を用意して、100個マスを書けばいいだけです。四角でも丸でも書き方はご自由に。母子手帳と一緒に保存できたらいいなと思ったので、ここではきーちゃんの母子手帳と同じB6(広げるとB5)サイズにします。STEP2 スタンプを押そう病気になったらスタンプをひとつ押します。私は消しゴムでバイキンのはんこをつくりました。小さいはんこは100円均一でも手に入りますし、シールでもOK。治ってから子どもにシールを貼ってもらってもいいかも。ついでに日付や病気の内容をメモしておくと、いつどんな病気にかかったかの早見表になります。きーちゃんは2歳までに8個スタンプがたまりました。母の自己満足ではありますが、これ、スタンプがたまるとなぜか結構うれしい…。病気になるのは嫌だけど、いつかスタンプがたまったカードを見たら子どもも自分もがんばったな!と思える日がくるかもしれません。最後に病気にまつわるおまけ話をひとつ。うちの旦那は体が丈夫で、めったに風邪をひかないタイプ。病人の気持ちがわからないのか、息子と私が40度の熱を出してもちっとも看病してくれないので、以前に派手にけんかしたことがありました。子どもができてからは丈夫な旦那もバタバタ倒れるように…。子どものウイルス強し!病気も前向きにとらえたいですが、風邪をひかないに越したことはないですね。まだまだ寒いのでみなさんお体にお気をつけてお過ごしください。
2017年02月07日ここ数年で、日本でも浸透してきた海外のベビーブランド。blossom39が代官山にオープンしてから8年、たくさんの海外ブランドを紹介してきました。デザインが可愛い、雑誌のモデルや海外セレブが愛用している、などだけじゃない、ブランドの魅力をもっとお伝えしたい!そこで、今回はバウンサーや抱っこ紐などで絶大な支持を受ける「ベビービョルン」さんに、ブランドのコンセプトや開発秘話などをおうかがいしてきました!バウンサーや抱っこ紐、独自のアイテムを生み出すベビービョルン1961年、ビョルン・ヤコブソンと、リリモア・ヤコブソン夫妻により、スウェーデンで創業された「ベビービョルン」。ビョルンはクマを指していて、ブランド名はその名のとおり「赤ちゃんクマ」という意味です。ブランドの顔になっているクマのキャラクター、ママなら一度は見たことがありますよね!なかなか知ることのできないブランドの歴史や開発の裏話などを、ベビービョルン株式会社の代表である深井誠さんにおうかがいしてきました。ベビービョルンの歴史は、バウンサーから深井さん:ビョルン創業のきっかけは、「自分のこどもにより上質なベビー用品を使いたい」という夫妻の思いからです。旦那さんであるヤコブソン氏は、学生時代アメリカ留学をしており、そこで親戚の子のベビーシッターのアルバイトをします。そこで、アメリカのバウンサーと出会い、「これを本国で作ってみよう」と決意するんです。今でもビョルンの物流センターになっている小さな町ラナでは、当時、鉄をつくる産業が盛んでした。バウンサーのワイヤーは、そこで作られています。―――バウンサーがビョルンのはじめのアイテムなのですね。深井さん:最初の2年くらいは、全く売れなかったんですよ。ユーザーの声を聞き続け、改善を続けて、生活にフィットさせていき、やっと売れるようになってきたそうです。最初の製品から一番かわったのは、直接的なワイヤーではなく、ねじれを使って揺らす構造に変えたこと。実はこのワイヤーのねじれや支点の置き方も研究を重ね続けていて、1990年代までは改良に改良を重ねてきました。こどもの荷重だけで揺れるバウンサーで、シンプルなものなんですが、小さな赤ちゃんにはやさしく、大きなこどもには大きく揺れるように設計されています。日本のママの声から生まれた!高さ調節ストッパーの改良―――ビョルンのバウンサーにのせるとご機嫌になる、泣き止むなどの話をよく聞きます。我が子たちも使ってきたのですが、この独特な揺れが気持ち良いみたいで、すやすや寝てしまうんですよね。深井さん:日本は床生活の方が多いので、バウンサーは生活に適しているベビー用品なんですね。今でも日本が一番売れていますし、日本のママの声もたくさん取り入れられています。バウンサーは三段階で角度を変えられるようになっていますが、当初は安全性を保つため、しっかりと音がするまではめこまないと固定されない構造でした。しかしその「カチッ」という音で、赤ちゃんが起きてしまう…という声があった。―――「やっと寝た〜」と思って角度を平らに変えようとしたら…ということですよね。わかる気がします。深井さん:そこで開発チームは、音が鳴らず、絶対にはずれないストッパーを開発したんです。この赤い部分がそう。リスクを分散して、音がカチカチ鳴らなくても外れない仕組みを採用しています。ベビービョルンは、日本、特にトヨタが大好きなんです。販売した商品を「改善」していくという概念が当たり前に使われているのは、日本の影響なんですね。新しいものができても、それに満足せずに常によりよく改善していっています。安全基準、小児科医との話し合い…長い開発のプロセスの末に発売―――商品の開発プロセスというのは、どのような段階を踏んでいるのでしょうか。深井さん:ビョルンの開発プロセスは、途方もなく長く、しっかりしたもの。ぜひみなさんに知っていただきたいのが、ここです。アイテムの開発が決まると徹底的にリサーチをし、小児科医との話し合いを重ねます。また、ビョルンは現在、ヨーロッパ、アメリカ、日本、韓国の安全基準をクリアするようにしており、ここで事故のリスクは徹底的になくしています。これらの段階を経て試作品ができると、何組かのユーザーファミリーに使ってもらい、写真やビデオを撮影して、使い心地をリサーチします。ある程度決まったら、まずは工場で500個製造しますが、これに関しては売らずに捨ててしまうんです。―――売らずに捨てる!どうしてですか?深井さん:手作業の工程があり、500個くらい作らないと慣れないから。まず500個生産して、その製品でもう一度検査をします。作る人に手を慣らしてもらうのです。その検査が通ると、次は5000個をテスト生産します。これを2カ国で販売する。本国スウェーデンと、日本、フランス、オーストラリアなどが多いですね。ここでアンケートをとって、悪い点がみつかると差し戻し、開発は最初の段階からリスタートとなります。テスト販売を経て、5000個がすぐに完売、アンケート結果も良いもの、となったときに初めて本生産に入り、全世界で販売開始となるのです。―――わたしたちの手元に新発売として商品が届くまでに、長い年月がかかっているのですね。深井さん:そうなんです。そして販売したら、すぐに検証フェーズに入ります。発売後の商品についてもユーザーの方たちの声を吸い上げて、常に改善点がないか検証しているのです。抱っこ紐でいうと、「ベビービョルンONE」は、日本の声を聞いて作られたアイテム。なかでも「ONE+」は、より日本人向けにローカライズされて作られたアイテムです。これは、開発開始から実に8年もの年月をかけて、発売することとなりました。メッシュの「Air」についても、日本からの意見や要望が形になったものです。―――ベビービョルンは、スウェーデンのブランドでありながら日本と密接な関係を持っていることがわかりました。次回は、新生児から使えるビョルンの定番抱っこ紐「オリジナル」の驚くべきこだわりや、日本人のために開発された「ONE+」の開発秘話など、抱っこ紐についてのお話をお伝えします!
2017年01月22日こんにちは。ママライターのなかやまあぽろです。先日娘が2歳の誕生日を迎え、予防接種の際に小児科の医師に子どもの健康面を相談する機会がありました。特に2歳前後のママに共通する心配ごとは、子どもの食生活について。ご飯をたくさん食べてくれる日と、なかなか進まない日とムラがあったり、おやつをほしがって泣きわめき、根負けしてつい与えてしまったり……。一生のうちで最も成長が早い“乳幼児期”に食事で摂る栄養は、子どもの今後の成長にとても重要な役割を果たすので、食生活の見直しを勧められました。今回は、2歳から特に見直したい子どもの食生活のポイントを3つにまとめてみましたので、参考にしてください。●(1)おやつは午前と午後に1回ずつ食事は1日3回、おやつは午前と午後の2回に分けることが理想だそう。おやつを与えるときのポイントは、時間を決めて、ダラダラ食べさせないことです。おやつの摂取量の目安として、2歳前後の子どものおやつで取りたいエネルギーは、1日に必要なエネルギーの10~20%で、約100kcal です。午前のおやつはお昼ご飯に影響しないよう量や与えるものを考え、午後は腹持ちのよいおにぎりや蒸かした芋などをおやつとして与えるといいそう。2歳になると長時間の外出の機会も増えてくるので、グズったときなど、どうしても甘いおかしを頼りにしてしまうこともありますよね。しかし、そんなときもチョコレートや飴、ジュースなどはできるだけ避け、小さく握ったおにぎりや、持ち運びに便利な糖分の少ないドライフルーツがオススメです!●(2)外食をするときは、なるべく和食系を子どもが成長するにつれ、お出かけの際の外食の機会も増えてきます。レストランでは、子どもが喜ぶお子様ランチやセットを選択するパパやママも多いと思いますが、実は大人の料理を取り分けてあげる 方が、栄養バランス面で安心なことも。一般的に外食は塩分や糖分、油分が多く含まれた料理が多いですが、お子様セットは特に揚げ物が多く考えものです。外食の際は、なるべくパパやママが注文した和食系のメニューから、子どもの分を取り分けることがポイントだそう。家庭での食事は、脂肪分を控えたうす味を心がけ、素材本来のおいしさを教えてあげる機会を作りましょう。●(3)牛乳の飲み過ぎに注意2歳を過ぎると、ほとんどの子どもが離乳を完了し、牛乳に切り替えるママも多いと思います。そして、子どもたちは牛乳が大好き。牛乳をたくさん飲ませて、元気いっぱいな子に!と、筆者も当初は思っていたのですが、2~3歳で1日に取りたい牛乳、乳製品の目安は、料理に使う乳製品も含んで約200~300ml だそうです。牛乳は、一日コップ1~2杯程度に留め、栄養の偏りに注意しながら与えることがポイントです。----------2歳ごろになるとイヤイヤ期も始まり、食事での好き嫌いもはっきりしてくるころなので、ママは一苦労。成長が著しい乳幼児期なので、できるかぎり栄養面はしっかり管理していきたいですね!【参考文献】・『最新月齢ごとに「見てわかる!」育児新百科』/ベネッセコーポレーション・編【参考リンク】・子どもの成長・発達 | 公益財団法人母子衛生研究会(PDF)()●ライター/なかやまあぽろ(ママライター)●モデル/NANAMI(RIRIAちゃん)
2016年12月25日こんにちは、ママライターのましゅままです。多くのママが困難に感じる赤ちゃんのねかしつけ。寝たと思っても置いたら泣いてしまったり、やっと寝かしたと思いきや、夜中に何回も起きられたりするとママもつらいですよね。しかし、赤ちゃんのねんねをママが意図的にトレーニングし、寝かしつけや夜泣きを赤ちゃん1人で解決できるように仕向けて行く方法 があります。それが“ねんトレ ”という入眠のトレーニングです。今回は、ねんねトレーニング、略して“ねんトレ”の方法やメリット・デメリットをご紹介します。●ねんトレの方法・起床時間、活動時間、離乳食などの時間を規則正しく整える・授乳は寝付く前に終わらせておき、30分ほど赤ちゃんとスキンシップを取ったり絵本を読んだりして過ごし、「ねんねする」ことを言い聞かせ退室する・赤ちゃんが寝ぐずりや夜泣きで泣いてもすぐに抱っこや授乳をせず時間を決めて見守る・初めは5分程度見守り、声をかけたり少しとんとんしてあげたり、おむつを替えたりして「見捨ててないよ」ということを赤ちゃんに伝える・「ねんねしようね」と根気よく声掛けをする・徐々に声をかけるタイミングの間隔を開けていく・早い子で1日、遅くとも1週間ほどで独り寝できるようになる夜中に目を覚ましても抱っこや授乳を必要以上にせず、この要領で自力で再び眠ってもらいます。また、ねんトレは生後6か月からの開始が推奨されている そうです。和歌山県の小児科『生馬医院』のHPに、下記の表記があります。**********『適度(昼間のかんしゃくを起こさない程度の)に欲求を我慢するという練習も必要となります。6~8ヶ月以降は、適度に精神的夜泣きを放置する(1人で眠る)練習が徐々に可能となってきます』**********その点と、後にデメリットとして挙げる母乳分泌低下のリスクを踏まえて、6か月以降の開始をおすすめしているのです。●ねんトレのメリット・デメリット●ねんトレのメリット3つ(1)寝かしつけが安易になる。(2)夜中に熟睡できるようになるため、母子ともに質のいい睡眠 が取れるようになる。(3)日中と夜間の区別を付けさせるしつけができる(夜は、目覚めても1人で静かに寝るもの、という刷り込みができる)。●ねんトレのデメリット3つ(1)「ねんねのときは泣けばママが寝かしつけてくれる」というひとつの信頼関係をなくすことになる。(2)夜間の授乳回数が必然的に減るので、母乳分泌が減ったり ママの生理が再開するタイミングが早まったりする。(3)人肌があると興奮して眠れなくなる子も出てくるため、きょうだいができて添い寝するようになると眠れなくなってしまうリスクがある。●ねんトレは一度決意したら方針を変えないことが必須いかがですか?添い寝の文化が主流の日本は、ねんトレする家庭の方が少ないと思います。泣き声に慣れないママは、泣かせっぱなしにするのはつらすぎてつい手を差し伸べてしまいますよね。筆者も、長女育児のときは泣かせっぱなしにすることはとてもじゃないですが耐えられず、すぐに抱っこして授乳し寝かしつけていました。泣かせっぱなしにさせるくらいなら自分が苦労してでもとことん寝かしつけをしようと覚悟を決めていました。その後、寝かしつけには苦労しましたが、月齢が進んでいくうちに徐々に楽にはなっています。しかし、満6か月になろうとしている次女には、ねんトレを意識した寝かしつけをしています。というよりも長女の世話があるためやむを得ず泣かせっぱなしにする場面が多く、眠れる環境さえきちんと整えれば、後はひとりで寝付いてくれるようになってきたのです。寝かしつけがないだけでママの負担がグッと減る ことを実感しています。泣き声を聞くと心が痛いのですが、そこで抱っこしたり授乳したりしてしまうと赤ちゃんも混乱します。ねんトレを始めたら、ママは強い意思で、しかし柔らかな気持ちで、赤ちゃんが安心して眠れるようにサポートしてあげることが大切。ねんトレは完全放置である『ネグレクト』とは違います。泣かせてしまうことはつらいですが、赤ちゃんに「夜は1人で静かに寝るもの」という親としてのしつけをしているのです。ねんトレで泣いてる赤ちゃんをなだめるときは優しい声掛けをし、笑顔で肌に触れてあげてくださいね。【参考リンク】・赤ちゃんが泣く時、不快を感じている | 和歌山市の小児科 生馬(いこま)医院()●ライター/ましゅまま(ママライター)●モデル/神山みき(れんくん)
2016年12月19日風邪に対する抵抗力を高めるには、日頃の生活習慣が大切です。小児科医の澤田雅子先生によると、中でも大事なのは「水分補給」「保温」「体温調整」の3つ。普段の生活をちょっと見直すだけで、風邪はもちろん他の感染症にもかかりにくくなります。<心得その1>汗をかきにくい冬でも水分補給はマメにすべしたくさん汗をかく夏、お子さんに小まめに水分を取らせていたママも、冬場の水分補給はおろそかになりがちなようです。口や鼻から入った空気が通る気道が乾燥すると、ウイルスなどの異物を外に向かって排除してくれる線毛などの動きが悪くなり、風邪の原因に。またウイルスを含んだ痰(たん)が切れにくくなります。園児の場合は、1日約700㎖を目安に水分を摂取して気道を潤しましょう。気道が潤っていれば、ウイルスを含んだ痰が体外に排出されたり、胃に流れて胃酸で死滅します。お薦めの飲み物は水やお茶。糖分の高いジュースは、痰がネバネバして切れにくくなってしまうので避けましょう。<心得その2>血流を良くするため体の中から温めるべし冬は体温を保つために血管が縮まり、気道の血流が悪くなります。血流が悪くなると線毛の働きも低下してしまうんです。しかし温かい物を食べて体温が上がり血流が良くなると、線毛の動きが良くなり、ウイルスを含んだ痰を排除する働きが活発になります。またニンジンやカボチャに多く含まれるビタミンAと、キウイやブロッコリーに多く含まれるビタミンCを積極的に取りましょう。ビタミンAには細胞の抵抗力を高める効果があり、ビタミンCにはウイルスの感染を防ごうとする体の働きを強める効果があります。<心得その3>寝るときは過剰な厚着を避け、体温調節すべしお子さんの寝冷えを心配して、厚手のスリーパーを着せるママもいるでしょうが、厚着させ過ぎるとお子さんは寝ている間にたくさん汗をかいてしまいます。その汗がだんだん冷えて、かえって風邪をひきやすくなることも。また、暑くて呼吸が早くなると気道が乾燥し、ウイルスが侵入しやすくなります。七分丈のパジャマは、手首と足首が出るので暑さがこもるのを防ぐ上、汗をかきやすい肘と膝の汗は吸い取ってくれるので、お薦めです。◆飛沫感染を防ぐには高湿度と換気が重要風邪やインフルエンザといった感染症の主な感染源は、咳やくしゃみの際に口から出る飛沫(ひまつ)。その飛沫が口や鼻から体に入ると、ウイルスに感染します。空気が乾燥していると飛沫が部屋中に飛び散る可能性があるので、部屋の湿度は60~80%をキープ。家族に風邪をひいた人がいる場合は、湿度に気を付けながら換気して、部屋に漂うウイルスを減らしましょう。●お話を聞いたのは澤田雅子さん澤田こどもクリニック院長。日本小児科学会認定小児科専門医。一般診察のほか、ママたちの育児相談やアレルギー相談にも乗っているillustrationNODA Setsumi<文:あんふぁん編集部>
2016年11月04日こんにちは、ママライターのましゅままです。「ドクターハラスメント」という言葉をご存じでしょうか。患者さんがお医者さんの言動に傷つき、トラウマを抱えてしまったり病院に行くのが怖くなってしまったりすることです。ドクターハラスメントを体験した患者さんは、「重大な医療ミスをされたわけではないから」とその体験を公にすることはほとんどなく、その被害が知られていないことも多かったのですが、近年ネット上ではさまざまなドクハラ体験談が綴られています。ドクターハラスメントにはさまざまなケースがあり、患者さんを少しイラッとさせる程度のものから深刻な心の傷を与えてしまうものまでさまざまです。今回は、そんなドクターハラスメントの体験談をご紹介します。●ドクターハラスメント体験談『産婦人科で子宮内膜症についての診察で、年配の男性医師に大きな声で「あなた妊娠したことないからねー!子宮内膜症は妊娠するのが一番の治療だよ!ハハハ!」と言われ、中待合で待っていた大勢の患者さんに聞かれてしまった 感じがして本当に恥ずかしかったです』(30代/主婦)『今まで歯だけは健康だった私なのですが、親知らずを抜きに歯医者へ行ったら、「要治療の歯が何本もあるから次回も来てください!いま治療しないと歯が抜け落ちちゃうよ」と言われ、その後やたら歯を削られたりやたら高いセラミックの詰め物を勧められたり(後から調べたら同じセラミックのサイズでもよその歯医者さんではもっと安い値段のものでした)しました。最初のうちは先生の言葉を信じていたのですが、ある日TVで赤字経営の歯科医院は無知の患者さんに必要のない治療を強いて高い詰め物を必要以上の値段でさせることがある という特集を見て、やっと自分が一種のドクハラに遭っていたことに気づきました』(20代/会社員)『幼稚園に通う子どもが高熱を出したので小児科へ連れて行くと、「こんな高熱になるまでなんで放っといたの?」「この子ちょっと太り気味だね。お母さんのせいだよ」など失礼なことを言われました。二度とそこの小児科医は受診しません』(30代/主婦)●医師の視点からの“ドクハラ”ある眼科医師の執筆したコラムに医師側の視点から見たドクハラについての見解が述べられていました。**********『インターネットなどでは一方的に医師が糾弾されていますが、人間の常として自分の主張に不都合な事実は書かれないし、誇張や脚色もあるだろうという点は指摘しておきたいと思います。最近は患者さんの権利意識が強くなっており、また医療事故に関するマスコミ報道が増えているので、医師任せでなくきちんとした説明を要求する人が多くなりました。ところが外来は混雑し、納得いくまで説明する時間などありません。説明の要求に対して「患者は医師任せ」に慣れている医師は自分が信頼されていないと感じ、患者さんから攻撃されているような気分になって「そっちがその気なら、こっちだって」と感情的な応対をしてしまうのです』**********医師界には医師界の内情があり、その複雑な背景が医師と患者とのイザコザを生むこともあるため、必ずしもすべてのケースが医師による悪質なドクハラとはいえないということが理解できますね。●ドクハラ相談窓口も設立されていますいかがでしたか?過去に病院で受けた対応が実はドクターハラスメントだったんだ、と思い当たることがあるかもしれませんね。必ずしも医師に悪意があってされた言動であったとは言い切れませんが、ドクターハラスメントの相談を受け付ける窓口も設立されています。本来、心身の健康のために通うはずの病院で嫌な思いをしたくはないですよね。お困りのことがある方は一度相談してみてくださいね。【参考リンク】・ドクター・ハラスメント | 川本眼科()●ライター/ましゅまま(ママライター)
2016年10月31日子どもたちが風邪をひきやすい季節になり、薬を飲ませる機会が増えてきました。わが家には5歳と1歳8カ月の息子がいるのですが、薬を飲むことに慣れていない生後6カ月〜1歳過ぎまでは、毎食後のお薬タイムは母子ともにげんなり…。なかなか上手に飲ませられずに苦労しました。そこで、小児科の先生や薬剤師さん、看護師や薬剤師のママ友、3人を育てるベテランママなど、たくさんの人に相談し、いろいろな方法を試しました。今回はそんな経験から、わが家では、うまくいった方法、いかなかった方法を紹介。みなさんのお子さんに合う方法が見つかりますように!シロップと粉薬、どちらを選ぶ?上の子が生後8カ月で初めて薬を処方してもらったときに、特に考えなくシロップを選びました。「水で溶く手間もないし、簡単かな」というのが理由でした。でも、まわりの先輩ママに聞いたら、粉薬が圧倒的な人気。「常温保存ができる」「昼のおでかけや保育園に持って行ける」「容器代がかからない」「保存期間が長い」というのが主な理由でした。なるほど〜、とそれからは粉薬を処方してもらっています。というわけで、今回は粉薬の上手な飲ませ方に絞って紹介します。練ってペースト状にし、頬の内側に塗りつける初めて粉薬をもらったときに薬剤師さんに教えてもらった方法です。不器用な私が実際にやってみると、水の分量がうまくいかず、ペースト状にならない!あっという間にドロドロになって「どうするの、これ!?」と途方にくれること数回。残念ながら私は上手にできたことがありません(涙)。哺乳瓶の乳首部分をくわえさせ、水で溶いた薬を入れて吸わせるこれは小児科の先生からもらった薬の飲ませ方のプリントに書いてありました。1回目は成功したのですが「ミルクじゃな〜い!」とわかった息子は、2回目以降、手でブン!と乳首を払い落とし、薬が台無しに…。うちではあまり成果が出ませんでした。スプーンにのせて飲ませるこの方法はわが家では成功率50%。成功のポイントは1〜2回くらいで飲みきる量にすることです。何度も口に運んでいると、飽きて口を開かなくなります。また、果汁・スープ用の口が広いスプーンを使うと飲みやすいようです。ヨーグルトで薬をサンドして食べさせるこれは薬剤師や看護師のママ友が教えてくれた方法です。コツはヨーグルトに薬を混ぜるのではなく、サンドすること。混ぜるとジャリジャリした食感になり、子どもが嫌うのだそうです。スプーンに少量のヨーグルト、薬、ヨーグルトの順にのせてお口へ。食事のついでにでき、特別な容器が必要ないのでお手軽です!※薬は飲み方を間違うと、効かなかったり、思わぬ副作用が出てしまう場合があり注意が必要です。飲み合わせについては、医療機関に相談してください。シリンジ(針なし注射器)でチュッと飲ませる正直、これを知ってから薬の悩みから解放されました!そのくらい完璧に飲ますことができます。手で振り払われてもノーダメージ。口を開かなくても、先端を入れて一口分をチュッと出せば、上手にごっくん。ベーっと出したりすることもありませんでした。スポイトも同様の効果がありますが、シリンジの方が洗いやすかったです。Amazonや楽天でも購入可能。ハローキティやクマ、うさぎがついたタイプも販売されています。昨日成功したのに今日は失敗。。。なんてことが多いのが子育て。手を替え品を替え、その日の子どもに合ったものを試してみてください。あと「薬を飲ませなきゃ!」とママが真剣な(怖い!?)顔をしていると子どもは警戒するので、あくまで楽し気に、お薬タイムを笑顔で過ごしてくださいね。<文・写真:フリーランス記者飯作 紫乃>
2016年10月31日学校とのトラブル、たくさんの家庭からの相談から見えてきた法則は?出典 : こんにちは、國學院大學教授の池田行伸です。私はこれまで、高等学校のスクールカウンセラーとして、定期的に学校の教育相談室に勤務し、カウンセリングにあたってきました。また、小児科外来の心理担当としても、医師が診る範囲外であると判断があった場合、患者さん・親御さんの相談にあたるという職務も経験してきました。心理担当に回ってくるのは、不登校など学校と家庭と子どもとの関係が入り組んでいるケースなどで、場合によっては学校に直接出向いて糸口を探ることもあります。担当中、受診していた子どもが学校に行けるようになり、それと同時に健康を取り戻すという嬉しい出来事もありました。解決したケースを振り返ると、筋道をたてて根拠に基づいてタイミングを図りながら間を取り持ち、コミュニケーションが成立した場合がほとんどです。これまで経験したエピソードをお伝えするとともに、問題に直面した場合、どんな解決策が考えられるのか一緒に探っていきましょう。「私たちは学校にいじめられてきた」 − 高校でのカウンセリングで出会った事件出典 : 週に1日の出校日、教育相談室に着くなり、教育相談担当教員から「今日、生徒と親を呼んでいます。もうすぐ来られると思いますので対応お願いします。」と告げられました。教育相談担当教員から手短にその生徒の状況を聞き出しますと、その生徒に忘れ物が多く生徒指導の教員から苦情が来ているというのです。その生徒は入学したての1年生の女子で、制服に付けなければならない蝶ネクタイを頻繁に忘れ、生徒指導部に借りに来ていたとのこと。きつく叱って指導し、家を出るときにも確認するよう何度も注意したが改善しない、と怒り気味に訴えてきました。このような話が聞き終わるか終らないかののち、生徒とその両親がやってきました。出典 : <span><a class="linkclass" href="">善良そうな会社員風の父親と少しうつむき加減の母親、そしてその女子生徒です。椅子に座らせ、こちらが名乗ってあいさつした次の瞬間、やさしそうな父親が口を開きました。「この子が小学校に入ってからずっと私たち親子は学校にいじめられてきました。私たちがいったい何をしたというのでしょうか」。決して悪意を持って攻撃するような言い方ではなく、むしろやさしく問いかけるような語り口でした。娘さんは高校に入り電車通学時にたびたび乗り間違えをし、遅刻したり帰りが遅くなったりすることがあったようです。「お聞きしたことを学校教育での指導に活かさせていただきます」と伝え、まずはその日の相談が終わりました教育相談担当教員に、この生徒には注意障害があるかもしれないこと、それゆえ忘れ物をきつく叱ると心が傷つき逆効果になることなどの一般的なことがらを話し、注意障害の対応に従って指導するほうが良いと告げました。その後、生徒はきつく叱られることなく普通に過ごしていると報告を受けました。その生徒に注意障害の可能性があるかもしれないことが生徒指導教員に伝えられ、蝶ネクタイの忘れ物があってもきつく叱らずただ貸し出せばよいことが伝えられたのです。このことが学校で共有され、職務上厳しく生徒指導をしなければならないと思っていた教員の意識が変わったのでした。ただあの時の父親の「私たち親子はずっと学校にいじめられてきた」という言葉が今も脳裏に焼き付いています。学校にその子の特性を理解してもらえず、子どもの奇妙な行動を指摘され続け、親のしつけの甘さなどを暗に批判され、長年親子で悩み苦しんできたであろうことを思うと、申し訳ない気持ちになりました。母親と学校の間に募る不信感 − 小児科外来の心理相談にて出典 : 附属病院の小児科外来で心理相談をしているときにも、子どもの盾となって学校と対峙する親に出会いました。母親に連れられて、男子中学生が私の部屋に訪れました。母親は、現在子どもが中学校に行けなくなり家にいること、そうなった原因は中学教師が自分の子だけ理不尽に叱ったからであり、その後の学校の対応に誠意がないと訴えました。小児科を不登校で受診したのですが、医師として行うような治療はないので、心理で話を聞いて欲しいと、私のところへ相談が回ってきたのでした。このような場合、安易に「それは学校にも問題がありますね。」と言うと、親は「やっぱりそうだ、学校が悪い」と、学校批判を強めて火に油を注ぐ結果になりかねません。小児科医局の研修会では「それは学校が悪い」の一言は問題をさらに複雑にするので、苦しまぎれにそのような言葉を吐かないようにとスタッフに注意してきました。母親から話を聞いた後、私が学校に行って直接話を聞いてきても良いかと親子に尋ねました。二人ともけげんな顔をしていましたが、「お母さんが学校に伝えたいと思っていることを伝えてきます。担任に会ってどうしたら学校に行きやすくなるか話してきます。」と言うと「お願いします」と言って承知してくれました。この問題は、小児科外来で定期的に話しても解決するようなものではないと思ったので、そのような提案をしたのです。出典 : <span><a class="linkclass" href="">親と学校が険悪な状態に陥っているこのような場合、子どもにとって学校に行くことは一人で敵地に乗り込むことにほかなりません。登校したくなってもできないでしょう。この時私は地方の大学の教育学部の教員でしたので学校に行くことにさほど抵抗がありませんでした。先方の中学校に電話すると話し合いの場を設定してくれ、教頭、担任、学年主任など数人の先生方と話しをすることができました。学校側のその母親に対する認識はやはり「モンスターペアレント」でした。母親が学校に抗議に来るので母親からの電話には、教職員がいつもピリピリしているとのことでした。小児科での見立てを説明し、母親も一生懸命なのだが言葉が足りないのかもしれないとも話し、なんとか母親と学校の溝を埋めようとしました。学校も何とかしなくてはいけないと考えていたところだと言いました。その子の特性として級友と共同歩調をとりにくい面があるかもしれないと言い、このことは母親にも伝えてあるが、そこだけに着目した指導はしないほうがいいのではないかと意見も述べました。教員は、「分かってはいるが、ついつい目が行き、叱りつけていた。今後はあらためて指導方法を練り直したい」と言ってくれました。また、「母親の子どもを思う気持ちは分かったので何とかして生徒と接触できるようにしたい」とも言ってくれました。その後母親から、自分が働きに出ているときに、担任が何度か家庭訪問してくれた、誘われて子どもが数回登校したと、小児科外来受診時に報告を受けました。私との面談の時、母親は思いのたけをぶつけてきましたが、回を重ねるごとに学校に対する攻撃が鳴りを潜めました。同時に子どもの表情にも明るさが出てきました。このような経過を経て生徒は登校するようになりました。ずいぶん後になって子どもが専門学校に進学でき元気に通っていると母親から連絡をいただきました。非難、批判合戦から科学的教育へ出典 : 親が子どものことで一生懸命になり過ぎるあまり担任とぶつかり、間に入った学年主任や教頭とも険悪になり、家庭対学校の対立の図式が出来上がることがしばしばあります。上記の例以外にもたくさん経験しました。特に発達障害などの疑いのある子どもの場合、容易には対立が解消されない傾向にあるように思います。学校でいじめられた、教師にひどいことを言われたなどと子どもから聞いた親は、学校はなんてひどいところだと怒りの感情が先に出てしまうでしょう。一方教師は、一人だけ別なことをする子に手を焼いていて授業ができない、他の生徒の被教育権が奪われる、などとといきり立つことでしょう。そんな両者が穏やかに話し合うことは理想ではあっても困難なことだと思います。平静さを保っているように見えても、心の底ではお互い分かり合えない複雑な感情を抱いている。そんな状態では、学校は家庭がもっとしっかりやるべきだと考えるし、家庭は学校が悪いから自分の子がおかしくなったと考えるわけで、お互いの不信感がつのるばかりです。さらに母親は、「子どもがおかしくなったのはお前の育て方が悪かったからだ」と夫や義理の両親からなじられている場合もあります。子どもの回りにはこのような批判や非難が渦巻いているのです。このような状況をどのように解決すれば良いのでしょうか。今のところの解決法は、親が発達支援センターや小児科等の専門医を訪れて子どもの状態を客観的に観察してもらい、それらの情報をスクールカウンセラー等を経由して学校に伝えてもらい、その子の特性に応じた指導をするようお願いすることだと思います。学校は、必要に応じて専門家の派遣を教育委員会等の管轄組織にお願いし、そこからアドバイスを受けることもできます。ただし現在のところ第三者的存在が十分機能しているとは言えません。上記のような枠組みの中で何度も挑戦しながら経験を積み、新たな教育体制を作り出さない限り家庭と学校の非難合戦は無くならないと思います。自分の子どもが学校で正しく教育を受けていないと感じる親は、学校に対する不満や怒りをぶつけるだけでなく、客観的データ、科学的根拠に基づいた教育を行うよう学校に申し出るべきだと思います。その時には、ぜひスクールカウンセラーを有効活用してください。
2016年10月22日発達障害の診療のための医療機関にはどんなものがある?それぞれが担う役割は?出典 : これまでの記事では、発達障害のための医療機関が少ない原因や、医療機関でできる支援についてお話させていただきました。今回は医療機関の種類をご紹介していきます。発達障害の診療に携わる医療機関には様々な種類がありますが、その分け方も色々あるのです。医療機関の種類というと、もちろん小児科や精神科などの診療科による分類が思い浮かぶのですが、今回の記事では別の切り口で分けてみたいと思います。いくつかの医療機関は日本の、時には世界の発達障害研究を担っていく役割を持っています。こうした先進的な医療機関にかかると厳密な手続きを経た診断が受けられたり、他では利用できない治療法が使えたりすることもあります。日本の、世界の発達障害支援の質の向上に貢献できる可能性があるというメリットもあります。一方でこうした機関の医療者は診療以外の業務が多く多忙です。また機関の数も限られるので、通院時間が長くなるなどアクセスも良くないことが多いでしょう。また研究途上の新しい治療には、確かめられていないリスクも伴います。良くも悪くもハイリスク、ハイリターンな選択です。その他に、地域の中核的な発達障害診療を担っている医療機関もあります。小児や障害者の病院、療育センターに附属している診療所などがこうした役割を担っていることが多いでしょう。こうした機関の専門性は高く、既存の診療技術に限って言えば、研究機関と比べても遜色がないことが大半です。また入院治療の機能を持っていることもあります。一方でこうした医療機関は比較的広域(都道府県単位)などから患者がきていることが多く、地元に密着した支援機関や学校の情報などはやや医療者に集まりにくくなります。また地域への医療サービス提供の責任を負っているので、新規患者優先、診断と投薬優先になりがちです。発達障害専門の小児科や児童精神科のクリニックなどを中心とした地域密着の医療機関も増えてきました。こうした医療機関は医師によっては、非常に高い専門性を持っていることもありますし、アクセスも良く比較的患者数も少なく、丁寧な診療が可能であることもあります。また何よりも地元の情報が集まりやすいことがメリットです。ただし地域によっては医療機関の不足のため、こうしたクリニックが中核的医療機関の役割を担わざるを得なくなっていることもあります。また最近では、地域のかかりつけ医、つまり一般の小児科医や内科医の役割にも注目が集まっています。こうした医療機関は、発熱やワクチン接種などの日常の身体的な問題に対応できるのはもちろんですが、典型的な事例の診断や専門的な医療機関での診断後のフォローアップなどが期待されています。平成28年度からは厚生労働省によるかかりつけ医向けの発達障害の診療研修も開始されました。こうした医療機関は極めてアクセスがよく、また発達障害の特性を知ってもらった上で、身体医療が受けられるという大きなメリットがあります。医療以外の支援者に恵まれている場合、医療の役割は限られるので、必要な時にかかりつけ医に相談するというスタイルでも、充分に対応が可能である場合があります。年齢の高い方の場合、成人の精神科医療機関も受診先の候補になります。現状では全ての精神科医療機関が発達障害の診療に対応できるわけではありませんが、着実にそうした機関は増えています。こうした医療機関のメリットはアクセスの良好さと、何よりも併存する他の精神疾患への対応への熟練度と手立ての豊富さです。ただし構造的に成人精神科の診察時間は短いことが多いので、それに合わせた受診の工夫を考えておく必要があります。医療機関に迷ったら、身近な支援者に相談を出典 : こうした分類は医療機関の看板に書いてあるわけではないので、利用者の方からは見分けにくいかもしれません。受診の前に保健センターなどの身近な支援者や、先輩の親御さん、ペアレント・メンターなどに受診先を相談するのはよい方法です。最後に、多くの種類の医療機関があるので、専門機関のいいとこ取りをしたい、かけ持ちをしたいという気持ちはとてもよくわかります。しかし極めて恵まれた一部の地域(ほんとにそんなのところが日本にあるのでしょうか……?)を除けば、現状ではそれはマナー違反であると考えるべきでしょう。必要な人が、少しでも早く、少なくとも正しい診断と診断書、時には薬物療法にたどり付けるような気遣いができる、余裕が持てるとよいですね。
2016年10月05日自閉症スペクトラム障害とは?出典 : 自閉症スペクトラム障害は、社会的コミュニケーションの困難と限定された反復的な行動や興味、活動が表れる障害です。さらに知的障害や言語障害を伴う場合と伴わない場合があります。また、これらの症状は発達段階、年齢や環境などによって大きく変化するといわれています。自閉症スペクトラム障害と一言で言っても、生活に支障をきたすほど症状が強い方から、症状が軽度で日常生活にほとんど支障なく暮らせる方まで様々です。症状の強弱や、知的障害を伴う・伴わないなどによって十人十色の理解やサポートが必要な障害です。さまざまな議論が交わされていますが、自閉症スペクトラム障害の原因はいまだ特定されていません。しかし、何らかの生まれつきの脳機能障害であると考えられており、しつけや愛情不足といった親の育て方が直接の原因ではないとわかっています。脳機能障害を引き起こすメカニズムとして、遺伝的な要因が原因の一部であると推測されています。何らかの先天的な遺伝要因に様々な環境的な要因が重なり、相互に影響しあって脳機能の障害が発現するのではないかという説が現在有力とされています。文部科学省では自閉症スペクトラム障害を以下のように定義しています。自閉症スペクトラムとは,自閉的な特徴がある人は,知能障害などそ の他の問題の有無・程度にかかわらず,その状況に応じて支援を必要とし,その点 では自閉症やアスペルガー症候群などと区分しなくてよいという意味と,自閉症や アスペルガー症候群などの広汎性発達障害の下位分類の状態はそれぞれ独立したも のではなく状態像として連続している一つのものと考えることができるという二つ の意味合いが含まれた概念である。したがって,自閉症スペクトラム障害には下位分類がなく,自閉的な特徴のある子供は全て自閉症スペクトラム障害の診断名となる。自閉症スペクトラム障害という診断名ができた経緯出典 : 自閉症スペクトラム障害は、いくつかの自閉症状のある障害が統合されてできた診断名です。自閉症スペクトラム障害という診断名ができた成り立ちについて追ってみましょう。自閉症スペクトラム障害は、2013年に出版されたアメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)において、これまでアスペルガー症候群、高機能自閉症、早期幼児自閉症、小児自閉症、カナー型自閉症など様々な診断カテゴリーで記述されていたものを、「自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害」の診断名のもとに統合されました。『DSM-5』以前の診断カテゴリーである自閉症やアスペルガー症候群などは、それぞれの症状に違いがあるとされ、それに伴って診断基準も異なるため、独立した障害として考えられてきました。しかし、幼少期にアスペルガー症候群と診断された方が、年齢や環境などの変化によって自閉症と診断されたり、3歳以降になってから自閉症の症状が明確に表出する場合がありました。脳画像の研究ではそれぞれの差異が認められないこともあります。また症状の程度によって生活に支障をきたす方もいれば、ほとんど支障なく生活できる方もいます。さらに支援方法も共通であることが多いため、『DSM-5』では、「連続体」を意味する「スペクトラム」という言葉を用いて障害と障害の間に明確な境界線を設けない考え方が採用されたのです。自閉症スペクトラム障害の症状には多様性があり、連続体として重なり合っているという考え方が、「自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害」という診断名に込められています。これまで自閉症、アスペルガー症候群、特定不能の広汎性発達障害と診断されてきた症状も今後は「自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害」と診断されることが多くなると考えられますが、今まで同様の障害福祉サービスを受けることができます。また、コミュニケーションの障害はあっても限定的な反復行動の問題がない場合、自閉症スペクトラム障害と診断できない場合もあります。『DSM-5』によって、自閉症スペクトラム障害と判断しきれない場合は、「社会的(語用論的)コミュニケーション症/社会的(語用論的)コミュニケーション障害」の診断名に分類されることになりました。Upload By 発達障害のキホン『障害の兆候もまた、自閉症状の重症度、発達段階、歴年齢によって大きく変化するので、それゆえにスペクトラムという単語で表現される。参考書籍:日本精神神経学会/監修『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』(医学書院,2014)『DSM-IVでは症状の数と程度によって、自閉症障害、Asperger障害、PDD-NOSの順に重症度は軽くなるよう位置づけられたが、これらの下位カテゴリーが量的に違うだけでなく質的にも異なる独立した障害単位であることを支持するに足るエビデンスはないと判断された。』参考書籍:神庭重信/著『DSM-5を読み解く 1 神経発達症群,食行動障害および摂食障害群,排泄症群,秩序破壊的・衝動制御・素行症群,自殺関連』(中山書店,2014)また以前は、自閉症、アスペルガー症候群などの自閉症スペクトラム障害に含まれる障害群とADHD(注意欠陥・多動性障害)は、併存することがない障害だと言われてきました。しかし自閉症スペクトラム障害がある方々の約70%が少なくとも1つ以上の精神医学的障害を合併しているという研究結果に基づき、『DSM-5』においては、障害の併存が認められました。自閉症スペクトラム障害の診断基準って?出典 : 自閉症スペクトラム障害に統合された自閉症やアスペルガー症候群は『DSM-5』以前は、「広汎性発達障害」という診断カテゴリーの中に属していました。広汎性発達障害には「3つ組の障害」と呼ばれる「社会性の障害」、「コミュニケーションの障害」、「限定的な行動・興味・反復行動」の3つの領域が存在していました。しかし、『DSM-5』によって広汎性発達障害という診断カテゴリーは廃止され「自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害」では「3つ組の障害」のうち、「社会性の障害」と「コミュニケーションの障害」は1つにまとめられます。その結果、「自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害」では、診断基準は「社会的コミュニケーション」と「限定的な行動・興味・反復行動」の2領域に統合・再編されました。また、これまでは3歳以前の発症が診断基準に規定されていましたが、自閉症スペクトラム障害では年齢の規定が緩められ、成人になってからの発症も診断基準として許容されることになりました。以下に、『DSM-5』における診断基準を紹介します。自閉症スペクトラム障害と診断するためには、「社会的コミュニケーション」領域のもとに分類される3項目すべてを満たしつつ、「限定的な行動・興味・反復行動」領域の4項目中2項目の合わせて5項目を最低限満たす必要があります。A. 複数の状況で社会的コミュニケーションおよび対人的相互反応における持続的な欠陥があり、現時点または病歴によって、以下により明らかになる(以下の例は一例であり、網羅したものではない)。(1)相互の対人的・情緒的関係の欠落で、例えば、対人的に異常な近づき方や通常の会話のやりとりのできないことといったものから、興味、情動、または感情を共有することの少なさ、社会的相互反応を開始したり応じたりすることができないことに及ぶ。(2)対人的相互反応で非言語コミュニケーション行動を用いることの欠陥、例えば、まとまりの悪い言語的・非言語的コミュニケーションから、視線を合わせることと身振りの異常、または身振りの理解やその使用の欠陥、顔の表情や非言語的コミュニケーションの完全な欠陥に及ぶ。(3)人間関係を発展させ、維持し、それを理解することの欠陥で、例えば、様々な社会的状況に合った行動に調整することの困難さから、想像上の遊びを他人と一緒にしたり友人を作ることの困難さ、または仲間に対する興味の欠如に及ぶ。B.行動、興味、または活動の限定された反復的な様式で、現在または病歴によって、以下の少なくとも2つにより明らかになる(以下の例は一例であり、網羅したものではない)(1)常同的または反復的な身体の運動、物の使用、または会話(例:おもちゃを一列に並べたり物を叩いたりするなどの単調な常同運動、反響言語、独特な言い回し)。(2)同一性への固執、習慣へのかたくななこだわり、または言語的・非言語的な儀式的行動様式(例:小さな変化に対する極度の苦痛、移行することの困難さ、柔軟性に欠ける思考様式、儀式のようなあいさつの習慣、毎日同じ道順をたどったり、同じ食物を食べたりすることへの要求)(3)強度または対象において異常なほど、きわめて限定され執着する興味(例:一般的ではない対象への強い愛着または没頭、過度に限定・固執した興味)(4)感覚刺激に対する過敏さまたは鈍感さ、または環境の感覚的側面に対する並外れた興味(例:痛みや体温に無関心のように見える、特定の音、感覚に逆の反応をする、対象を過度に嗅いだり触れたりする、光または動きを見ることに熱中する)C. 症状は発達早期に存在していなければならない(しかし社会的要求が能力の限界を超えるまで症状は明らかにならないかもしれないし、その後の生活で学んだ対応の仕方によって隠されている場合もある)。D. その症状は、社会的、職業的、または他の重要な領域における現在の機能に臨床的に意味のある障害を引き起こしている。E. これらの障害は、知的能力障害(知的発達症)または全般的発達遅延ではうまく説明できない。知的能力障害と自閉スペクトラム症はしばしば同時に起こり、自閉スペクトラム症と知的能力障害の併存の診断を下すためには、社会的コミュニケーションが全般的な発達の水準から期待されるものより下回っていなければならない。(『日本精神神経学会/監修『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』2014年 医学書院/刊P.49より引用)自閉症スペクトラム障害の年齢ごとの特徴出典 : 自閉症スペクトラム障害の症状は成長とともに変化していきます。症状は人によって個人差が大きいのですが、大まかな年代別の症状を紹介します。これらの症状は、すべてがあてはまるわけではなく、症状の現れ方は人によって異なります。この特徴がみられるようになるのは、生後約2ヶ月から2歳前後が最も多いといわれています。発達の遅れが顕著にみられる場合は12ヶ月よりも早く、軽度であれば2歳を過ぎてから特徴が表出するといわれています。自閉症スペクトラム障害は発達障害のひとつですが、発達障害は、言語・認知・学習といった発達領域が未発達の乳児では、その特徴となる症状が分かりにくい場合があります。ですから、生後すぐに自閉症スペクトラム障害の診断がでることはありません。しかし、幼児期全体を通してみると、以下のような特徴的な行動をとっていたことが多いと言われています。以下にそれらの症状を紹介します。■周囲にあまり興味を持たない傾向がある視線を合わせようとしない子が多いです。また他の子どもに興味をもたなかったり、名前を呼んでも振り返らないことが多いです。定型発達の子が興味をあるものを指で指して示すのに対し、自閉症スペクトラム障害がある子は指さしをして興味を伝えることをしない傾向があります。■コミュニケーションを取るのが困難知的障害を伴う自閉症スペクトラム障害がある子は、言葉の遅れや、オウム返しなどの特徴がみられます。会話においては、一方的に言いたいことだけを言ってしまったり、質問に対してうまく答えられないなどの特徴があります。定型発達の子が友達とのごっこ遊びを好むのに対し、自閉症スペクトラム障害がある子は集団での遊びにあまり興味を示さないことが多いです。■強いこだわりを持つ興味を持つことに対して、同じ質問を何度もすることが多いです。また、日常生活においてあらゆるこだわりを持っていることが多いので、ものごとの手順が変わると混乱してしまうことが多いです。■集団になじむのが難しい年齢相応の友人関係がないことが多いです。周囲にあまり配慮せずに、自分が好きなことを好きなようにしてしまう子が多い傾向があります。人と関わるときは何かしてほしいことがあるときなだけのことが多く、基本的に1人遊びを好みます。人の気持ちや意図を汲み取ることを苦手とする子も多いです。■臨機応変に対応するのが苦手きちんと決められたルールを好む子が多いです。言われたことを場面に応じて対応させることが苦手な傾向にあります。■どのように・なぜといった説明が苦手言葉をうまく扱えず、単語を覚えても意味を理解することが難しい場合があります。また、自分の気持ちや他人の気持ちを言葉にしたり、想像するのも苦手です。そのため説明がうまくできないこともあります。■不自然な喋り方をする抑揚がない、不自然な話し方が目立つ場合があります。■人の気持ちや感情を読み取るのが苦手上記でも述べましたが、コミュニケーション能力が乏しく、人が何を考えているのかなどを考えるのも苦手な傾向にあります。■雑談が苦手目的の無い会話をするのを難しく感じる人が多いです。■興味のあるものにはとことん没頭する自閉症スペクトラム障害の人は物事に強いこだわりをもっています。そのため、興味のあることにとことん没頭することが多いですし、その分野で大きな成果をあげられることもあります。参考書籍:日本精神神経学会/監修『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』(医学書院,2014)自閉症スペクトラム障害かもと思ったら、どこに相談したらいい?出典 : 自閉症スペクトラム障害の診断基準に当てはまり、自閉症スペクトラム障害の傾向があるかも?と思っても、いきなり医療機関を受診するのはハードルが高いと感じる人も多いのではないでしょうか。また、特に日常生活にも支障がない場合だと、誰にも相談せずに医療機関を受診するまでには踏み切れないこともあるでしょう。しかし、適切なサポートを受けなければ、本人にも周囲の方にも負担をかけてしまいがちです。自閉症スペクトラム障害の対人関係のトラブルなどは、障害への理解がない状態ではなかなか修復が難しかったり、本人が自分を責めてしまったりなど、状況が悪化してしまう場合もあります。専門機関への相談を事前に行うことで、そのような状態が起こらないようにできる限りのサポートを受けることができるかもしれません。たとえトラブルがあったとしても、上手く乗り越えていけるフォロー体制を家族以外の専門家も交えてつくっていけます。「いきなり医療機関を受診するのは抵抗がある」という方は、まずは無料で相談できる身近な専門機関の相談窓口を利用するのがおすすめです。早めに相談し、自閉症スペクトラム障害に対して正しい知識を得るのは重要です。家族で試行錯誤をして対処法を見つけていくよりも、専門機関に相談し色々な方法を教えてもらった方が、時間もかかりませんし、ストレスも少なくすみます。必要であれば医療機関を紹介してもらうこともできます。子どもか大人かによって、行くべき機関が違うので、以下を参考にしてみてください。【子どもの場合】・保健センター・子育て支援センター・児童発達支援事業所など【大人の場合】・発達障害者支援センター・障害者就業・生活支援センター・相談支援事業所など身近な相談センターに行って相談し、自閉症スペクトラム障害の疑いがあり、診断を希望すればそこから専門医を紹介してもらえます。自宅の近くに相談センターがない場合には、電話での相談に乗ってもらえます。自閉症スペクトラム障害を含む発達障害の専門の医療機関は他の病気に比べると少ないですが、発達障害者総合支援法などの施行によって年々増加はしています。医療機関での診断は、子どもの場合は、専門外来のある小児科、脳神経小児科、児童精神科などで行われることが多いです。また、18歳以上の場合は一般的に精神科や心療内科などで診断がなされます。また、保健センターなどでは知能検査や適応能力を診断する検査を受けられるところもあります。下記の参考リンクには全国の発達障害専門の小児科がリストアップされています。受診の際の参考にしてみてください。日本小児神経学会 「発達障害診療医師名簿」自閉症スペクトラム障害はどうやって診断されるの?出典 : 自閉症スペクトラム障害の診断は、本人の年齢や状態によって検査のボリュームは変化します。また総合的に問診や検査の結果を受けて自閉症スペクトラム障害の診断をしています。医療機関を受診した際の臨床的な診断として、行動観察と生育歴について聞き取りを行います。■行動観察遊びの空間で子どもを遊ばせ、それを注意深く観察することと保護者の方へのインタビューに基づいて行われます。■生育歴産まれてから今までの社会性や対人コミュニケーション、言葉の発達、幼稚園・保育園での様子や1歳半健診・3歳児健診での様子などをヒアリングします。発達面で知的障害の疑いがありそうか、発達にどんな特性がありそうかなどを見立てていきます。自閉症スペクトラム障害について、より専門的な診断を行う場合には以下の検査が用いられることが多いです。■ADOS(エイドス)検査用具や質問項目を用いて、自閉症スペクトラム障害(ASD)の評価に関連する行動を観察するアセスメントです。発話のない乳幼児から成人の方まで、幅広く対応しています。■ADI-R対象者の行動の系統や詳細な特徴を捉える検査です。精神年齢が2歳0ヶ月以上であれば、幼児から成人まで、幅広い年代に対応しています。社会性、対人コミュニケーションや限定的な行動・興味・反復運動などに焦点を当てて構成されています。■PARS-TR自閉症スペクトラム障害がある方の特性理解を深め、一人ひとりに合った支援を可能にしていくために、日常の行動の視点から簡単に評価できるアセスメントです。対人、コミュニケーション、こだわり、常同行動、困難性、過敏性の評価項目をもち、全57項目から構成されています。自閉症スペクトラム障害には知的障害、てんかん、感覚過敏、鈍麻などの合併症を伴う場合があります。合併する障害があるかアセスメントを行ったうえで検査する場合が多いです。■知能検査知能検査は心理検査のひとつであり、精神年齢、IQ(知能指数)、知能偏差値などによって測定されます。最近では、ウェクスラー式知能検査、田中ビネー知能検査、K-ABC知能検査などがよく使われています。■脳波検査自閉症スペクトラム障害はてんかんとの合併症を伴っている場合があるため、CTやMRIといった脳波検査を行ういます。自閉症スペクトラム障害の子どもの場合は狭い空間に入るとパニックになることもあるので、検査をする際には注意が必要です。■感覚プロファイル自閉症スペクトラム障害をはじめ、発達障害の人たちの感覚特性を客観的に把握するためによく使われている尺度です。質問票は保護者と本人が記入し、聴覚、視覚、触覚、口腔感覚など、幅広い感覚に関する125項目で構成されています。■Vineland(バインランド:社会生活能力検査)0歳から92歳の幅広い年齢帯で、同年齢の一般の人の適応行動をもとに、発達障害や知的障害、あるいは精神障害の人たちの適応行動の水準を客観的に数値化する検査です。対象者にどんな特性があるのかを評価してくれます。また教育や福祉分野の個別支援計画の立案はVinelandの評価に基づいて行われることがあります。また、精神疾患との合併症の疑いがみられる方には精神病に関する検査を行う場合があります。「自閉症スペクトラム指数(以下AQ)」という評価尺度があります。AQは50項目の設問に本人が答えていきます。数値が高いほど自閉症スペクトラム障害の傾向が強いといわれています。しかし、AQが高いから低いからといって自閉症スペクトラム障害がある・ないと断定できるわけではありません。あくまで、本人の一人称的な視点から評価された指標であり、他者からは違った印象を持たれている可能性もあります。あくまで参考として捉えて、社会生活に大きな困難がある場合には専門機関への相談を行い、医療機関で診断してもらうことをおすすめします。自閉症スペクトラム障害は治せるの?出典 : 自閉症スペクトラム障害を根本的な治療法や手術といった医学的な方法は確立していません。しかし、早期からの療育や環境調整などを行うことで症状を緩和したり困りごとを軽減することができます。教育・療育によるアプローチで本人が困難への対応法を学んだり、保護者や家族が困難を未然に防ぐためのフォローなどを学び、お互いに生きやすい環境をつくっていくことが可能です。また、てんかん等の合併症を緩和させる薬が処方されることがあります。これは自閉症スペクトラム障害そのものを治すための薬ではなく、不安障害を抑える薬やパニックを抑える薬など、あくまで症状や合併症を緩和するためのものです。■ABA(エービーエー、Applied Behavior Analysis/応用行動分析)人間の行動を個人と環境の相互作用の枠組みの中で分析し、問題解決に応用していく理論と実践の体系です。自閉症スペクトラム障害に対する療育だけでなく他の障害や教育、福祉、医療、スポーツ分野でも利用されています。■TEACCH(ティーチ、Treatment and Education for Autistic and related Communication handicapped Children)米国ノースカロライナ州で生まれた、自閉症スペクトラム障害の当事者とその家族を障害支援する総合的なプログラムです。■PECS(ペックス、Picture Exchange Communication System)絵カードを使ったコミュニケーション援助プログラムです。上記のABAの原理に基づいて作成されています。■SST(エスエスティー、ソーシャルスキルトレーニング)対人関係をうまく行うための社会生活技能を身につけたり、障害の特性を自分で理解し自己管理をするためのトレーニングの総称です。■ペアレントトレーニング保護者の方々が子どもとのより良いかかわり方を学びながら、日常の子育ての困りごとを解消し、楽しく子育てができるよう支援する、保護者向けのプログラムです。■ピア・カウンセリング似た立場の親同士の横の関係をつくり、対等な立場から意見や情報を交換、正しい行動の選択についてみんなで考え、ペアレントトレーニングの一部に設けられている場合が多いです。■メンタリング「ペアレント・メンター」と呼ばれる発達障害がある子どもの子育て経験がある方が先輩として、初めて発達障害と向き合う親の相談やアドバイスに応えています。薬物療法は医師の指示のもと用法や用量を守って服用していかなくてはいけません。薬に頼り切って多用するのは避けましょう。薬の服用により特徴が緩和されている時には療育や教育の効果も上がりやすくなるとも言われています。以下が使われることの多い薬です。■非定型抗精神病薬自閉症スペクトラム障害によってみられる攻撃性、興奮、自傷およびチック(身体が勝手に動くこと)に使用されます。ただし、保険適応外使用になります。■SSRI、SNRI、三環系抗うつ薬こだわり行動、うつ、不安障害などに使用されます。■抗不安薬、SSRI、ベンゾジアセピン系不安、心身症、抑うつ、睡眠障害、緊張、PTSD(フラッシュバック)に使用されます。■ 抗てんかん薬気分変調、躁うつ、てんかん発作、イライラなどに使用されます。■抗ヒスタミン薬不安、睡眠障害に使用されます。自閉症スペクトラム障害の支援をする上で心に留めること出典 : 自閉症スペクトラム障害は早期から療育を行うことで二次障害や二次的問題を予防することができます。また自閉症スペクトラム障害がある子どもを支援する上で大切な考え方をご紹介します。自閉症スペクトラム障害の二次的問題とは、例えば対人関係が上手くいかない理由でいじめの被害を受けてしまったり、不登校・ひきこもりになることや、親や周囲からの期待に応えられずに常に怒られることでストレスが溜まり、うつや不安障害などを引き起こすといった問題です。自閉症スペクトラム障害には特有の発達過程・スタイルがあります。周囲の理解がない状態では、「不器用」「ちょっと変わった人」「無神経な人」「こういう性格なんだ」と理解され、それらによって二次的な問題が発生する場合があります。自閉症スペクトラム障害は、特有の発達過程・スタイルがあります。それを理解しながらサポートしていくことが大切です。例えば「子どもは○歳で○○ができます」という情報が広く一般の方に浸透しています。その情報は大勢の子どもたちを集めた実験研究から統計的に導かれています。あくまで参考程度の統計データのはずが育児本やインターネットに「1歳頃になったらバイバイを教えてみましょう」という書き方をした記事があることで、「子どもは1歳までにバイバイさせなければいけない」と思い込み、いつの間にかノルマにすり替わってしまっている場合があります。しかし自閉症スペクトラム障害特有の発達過程・スタイルがあります。発達の遅れや言動への困難さに悩むこともあるかもしれませんが、サポートする側が障害を正しく理解することが大切です。早期療育の効果は認められていますが、一人ひとりの発達の状態をアセスメントし、本人に合わせた課題を設定することが大切です。トレーニングによって獲得したり支援できることもありますが、困難な場合もあります。個々の障害のレベルや発達に応じた環境調整や支援グッズの活用も合わせて考えていく方がいいでしょう。まとめ出典 : 自閉症スペクトラム障害は自閉症関連の障害が統合された『DSM-5』における診断カテゴリーです。共通した症状があり、またその症状は発達段階や年齢、時には環境によって変化するため自閉症スペクトラム障害の診断名のもとに統合されました。よって、検査の結果や診断名も年齢やその時の状況によって変化する場合があります。周囲の方はその時々の本人の状態に合わせて接していくことが大切です。自閉症スペクトラム障害はその発達過程やスタイルが特有なものといわれています。これまでは、障害がある方が定型発達を基準として合わせていくような考え方がありました。ですが、発達に優劣をつけることはできません。本来ならば定型発達の方と比べるのではなく、障害の特性・個性に焦点を当て、理解し合うことでお互いにリスペクトし合った関係性がつくれるはずです。そのためにも、自閉症スペクトラム障害の特性を理解することが大切な一歩につながるのではないでしょうか。
2016年09月29日【ママからのご相談】2歳の男の子と6か月の女の子のママをしています。下の子どもが生まれてからというもの、小児科のお世話になることが頻繁になりました。そのために、お医者さんとの関係に悩んでしまっています。行く回数が増えるごとに医師から出される親への厳しすぎる“要求”が苦痛になってしまいました。子どもの体調管理は親の責任であるということもよくわかっています。母親がこんなことを思ってはいけないのでしょうが、吐き出させてください。「無理!」と……。目次1 どんどん吐き出していきましょう! 多くのママが無理だと思っています2 (1)3歳になるまでは、お砂糖の味を覚えさせないということが大事!3 (2)食事は和食! 薄味で素材本来の味を生かした調理を! 品目数は多く!4 (3)高熱のときに、熱の計り方でいちゃもんつけんな!●A. どんどん吐き出していきましょう! 多くのママが無理だと思っていますご相談ありがとうございます。ママライターのあしださきです。子どもをもって初めて感じたのですが、お医者さんは子どもには優しくてママたちに少し厳しすぎるような気がします。子どもと通う「小児科」「歯科」「耳鼻科」「皮膚科」「眼科」……どこに行っても聞くことになるお医者さんのキツーイ発言 には、筆者も悩まされてきました。もちろん、子どものことを考えた上での意味のあるアドバイスであり、本来ならばありがたく聞いた上で正しく実行すべきこともあるでしょう。でも、つい思ってしまいます。「そんなの無理です! 」って。そこで今回は、お子さんをお持ちの20代から40代までのママたちから「お医者さんに言われた無理難題」についてのエピソードを聞いてきました。その中には、ご相談者様のお気持ちに近いものもあるのではないでしょうか。「女性は悩みを吐き出すことで、ストレスを解消できる生き物」と言われている通り、どんどん悩みを吐き出していきましょう!●(1)3歳になるまでは、お砂糖の味を覚えさせないということが大事!『上の子どものときからお世話になっている歯医者さんからのありがたくも厳しすぎるお言葉。2歳の下の子に虫歯の疑いがある歯があり、診察に行きました。幸い深刻な虫歯ではなく、定期的に検診して現状を維持できれば治療の必要なく一安心。ところがそこから、「与えているおやつは?」「時間は決めているか?」「回数は?」などの質問攻めにあい、最後に言われたのは「1番良いのは、3歳まではお砂糖の味を覚えさせないこと」という言葉。お砂糖が虫歯の原因菌の栄養になるためという理屈はわかりますが……もう散々食べさせてしまっているし、上の子のおやつを見て「私も欲しい」と言う2歳の子に我慢させるなんて到底できることではありません よ。言われても真剣に受け止められず、笑ってごまかしてしまいました』(20代専業主婦・2児の母)●(2)食事は和食! 薄味で素材本来の味を生かした調理を! 品目数は多く!『小児科のお医者さん。ロボットみたいにいつもこのセリフを言ってきます。わが家は3人子どもがいますので、これまでに十数回乳幼児健診に行きました。そのとき医師による問診があります。これを言われるのは栄養の相談項目のときです。医師:「食事はどうですか?」私:「はい、えっと……」医師:「和食にしてね。それから薄味に慣れるように、素材本来の味を感じられる調理法でね。出汁もとって。品目数は多くね」私:「……はい(出た、いつもの)」これを十数回ですよ。もう、聞き流すのがプロ並みです。言われたことを実行するのは無理です。忙しすぎますよ。毎日かつおと昆布で出汁をとった一汁三菜みたいな食事を作っていたら、自分が病気になる もん』(30代会社員・3児の母)●(3)高熱のときに、熱の計り方でいちゃもんつけんな!『近所の小児科医がやたらと母親に厳しくて有名。私は高熱が出て受診したときにこんなことを言われた。私:「昨晩から40度の熱があり……」医師:「どうやって熱を計った?まさか、布団に入った状態?」私:「はい、寝ているときです」医師:「あー、それだと体温は高めに出てしまうから、当てにならないな。あと、泣いているときもダメ ね」私:「はい……分かりました」明らかに昼間から体調が悪そうなわが子が、夜寝入ってから何だか触れると熱い気がして、熱を計ってみるということない?または、ぐずっている子の熱を計ろうとして、計りながらギャン泣きされたことはありませんか?そういう母の苦労のことを考えもしないのか!正しいと分かっているけれど、具合の悪い子どもと一晩過ごして、ようやくたどり着いた病院でこれを言われると一気に気力が失われる』(40代専業主婦・2児の母)----------いかがでしたか?ご相談者様と同じように、医師から告げられる“意識高すぎ ”の要求に苦しんでいるママたちの実際の体験談は参考になりましたか?そして、少しでも心を軽くしてくれたでしょうか。毎日頑張って子育てし、子どもの体調に気をつけているママだからこそ、こういう厳しい医師のアドバイスも真摯に受け止めて改善しなくてはとお思いになるのでしょうね。しかし、できることとそうでないことがあって当然ですし、不満に思えばこうして吐き出していくのも時には大切です。ぜひ、ママの心と体の健康が疎かになりませんように……。●ライター/あしださき(元モデル)●モデル/倉本麻貴(和くん)
2016年09月19日【ママからのご相談】先月、初めての子を出産しましたが、両親、義両親が遠方なうえ近くにまだ信頼できるママ友もいないので、何でも心配でとにかく不安。肌のカサカサ、視線の向き、ちょっとした動きや母乳の飲み方など、赤ちゃんに気になることがあるたびにネットで検索する毎日。 疲れて育児を楽しむ余裕がありません……。目次1 大丈夫、多くのママが不安な毎日を乗り越えています2 まぶたと首の後ろの赤いアザに悩んだ3 息子が斜視ではないかと心配していた4 “てんかん”の発症で危うく手遅れになるところだった5 片足の薬指がやけに短いことが不安だった6 小学校に上がってもおねしょする息子に頭を悩ませた●A. 大丈夫、多くのママが不安な毎日を乗り越えていますご相談ありがとうございます。ライターのNANARUKAです。初めての育児では、そんな不安の連鎖を抱えるママさんも少なくありません。次から次へとわいては消えていく疑問、答え探しの日々。2人、3人育てていても、新たな悩みにぶつかれば不安は募るもの、というママさんの声もあります。自分以外はみんなスマートに育児をしているように見えますが、多かれ少なかれ、同じような不安を誰もが抱えているものです。今回は、育児中のママがぶつかった不安や心配事体験談と、その後 を取材しました。●まぶたと首の後ろの赤いアザに悩んだ『長女を産んだとき、まぶたと首の後ろに赤いアザがあったので、「残ったらどうしよう」「病気なのでは?」と、とにかく悪い方へばかり考えて毎日泣いていました。後々、それは大きくなるにつれて消えていくアザだとわかりましたが、それでも本当に消えるのかどうか、見るたびに不安 になりました。けれど、成長するにつれて薄くなり、日焼けで目立たなくなったりしているうちにいつの間にか消えていて、こちらもすっかり忘れ、今回の取材で久々に思い出しました。あのころは毎日毎日悩んでいたのに、忘れてしまうものですね』(41歳/3歳女の子・6歳女の子のママ)●息子が斜視ではないかと心配していた『第2子の男の子は赤ちゃんのころに斜視ではないかと気になっていました。かかりつけ医からは「赤ちゃんのうちは斜視に見えがち」と言われましたが、どの程度が許容範囲かもわからず、1日に何度も目線を確めてはドキドキ していました。けれど、3歳になるころには気にならなくなり、今では「そういえばそんなこともあったなぁ」という思い出です』(38歳/5歳男の子・7歳女の子のママ)●“てんかん”の発症で危うく手遅れになるところだった『1人目の子が生後6か月で“てんかん”を発症しました。そんなことになるとは夢にも思っていなかったし、何の知識も持っていなかったけれど、初めて発作を見たときは「絶対に何かがおかしい」と直感したので、その後の発作をビデオに録画して近所の小児科を受診しました。ところが、診断は「様子を見ましょう」だけ。帰宅後も発作が続いたのでとにかく不安でしたが、何度も起きる発作を録画し続け、てんかんについて調べ、2日後再受診して「てんかんではないか」と訴えました。結果、すぐに紹介状を書いてもらい、その日のうちに大学病院を受診したところ即入院。「もう少し遅かったら手遅れだったかも」とも言われ、ゾッとしました。子どもを毎日見ている母親だからこその“直感” は信じてください!』(39歳/5歳男の子・9歳女の子のママ)●片足の薬指がやけに短いことが不安だった『第3子が産まれて2日後くらいに、片足の薬指がやけに短いことに気付きました。しかし、上の子たちに何か心配事があったとき、小児科医や保健師さんたちに「3歳くらいまで様子を見ましょう」「○○できるようになったときにまだ続いていたらそのとき考えましょう」とよく言われていたので、大きくなって歩き方に異常を感じたら、そのとき真剣に考えようと思っていました。その後普通に歩けるようになったので、1歳半検診で指が短いことを尋ねてみたところ、「普通に歩けるなら問題ありません」と言われました。たとえ気になることがあっても、いま検査や治療が本当に必要なのかを見極め、慌てず落ち着いて経過を観察する ことも大切です』(32歳/2歳男の子・6歳男の子・8歳女の子のママ)●小学校に上がってもおねしょする息子に頭を悩ませた『小学校に上がっても、なかなかおねしょがなおらなかった息子。幼少期に夜尿症だった親族がいたので遺伝も疑い、大きな病院の専門医の受診も考えましたが、3年生までにはほとんどしなくなり、4年生になった今ではすっかりなおりました。周りの子よりはるかに時間はかかりましたが、病的なものではなかったようです。そのときは必死でしたが、思い返せば、保育園年中から小学校低学年のあいだはつねにそのことに頭を悩ませ、貴重な時間をたくさんムダにしてしまった なぁと感じます』(41歳/9歳男の子のママ)----------いかがでしたか?どんなママでも、さまざまな悩みや不安を乗り越えて今日に至っています。ママの性格や育児経験にもよるとは思いますが、毎日心配で心配でストレスに感じるくらいなら、思い切って専門医の診察を受けてみるのもよいと思います。もちろん、医療費の問題や「こんなことくらいで受診しないで」というような医者の目も気にはなりますが、ママが安心して元気に育児に向き合えるなら、それもひとつの手ではないかと思います。情報にむやみに流されず、時期を待ってよい症状なのか、そのときすぐ対処するべき症状なのかを正しく判断できれば、たいていの不安はクリアできるはず。深刻になりすぎず、的確な判断力を磨いて、気軽に育児を楽しめるといいですね。●ライター/NANARUKA(フリーライター)●モデル/大上留依(莉瑚ちゃん)
2016年09月17日子供のかかりつけの病院っていつ頃、どうやって決めたらいいのでしょう。3歳までは予防注射もたくさん受けますし、病気も多い時期。どんな事に気をつけて選んだらいいのか、これからかかりつけの病院決めや予防接種デビューするママの参考になったら嬉しいです。我が家の場合は…最寄り駅に小児科はあるのですが、任意の予防注射が受けられなかったため、任意の予防注射などもしっかり受けられる、隣駅の小児科に。担当の先生や助手・受付のお姉さんもとても感じが良く、何度か通ううちに信頼のおける先生だと感じたので、そこに決めました。時間帯も午前は朝8時半〜12時、午後は15時半〜18時までやっており、午前中の診療なら日曜日以外全てやってるので、急に熱が出た時にも助かります。人気があって混んではいますが、ネット予約システムも導入されているのも助かるポイント。当日診療開始15分後以降にネットで予約して、自分の番が近づいた頃に向かえばいいので、長時間待つ事もなく、とても便利なシステムです。かかりつけ医を決める時の3つのポイント1、クリニックor総合病院?まずは周辺の情報収集を!周辺に住んでいるママや保育園の先生などから、小児科の情報を色々聞いておくと良いです。周囲の口コミ情報は、かかりつけを選ぶときに役立ちます。転勤など引っ越しをされる際は、現在のかかりつけの先生に、その地域で知っている小児科が無いか聞いてみると良いですよ。街のクリニックは先生がほぼ固定されていて、行けばいつもの先生に診てもらえます。まずは近くのクリニックをかかりつけ医に選んでみてから、セカンドオピニオンとして地域の総合病院を利用したらいいんじゃないかと思います。2、何かあったときに行きやすい所がベスト!働くママならなおのこと、いくら評判が良い病院であっても、家から遠いと通うのは大変!小児科が開いている時間や曜日は勿論のこと、駐車場やエレベーターはあるのかなど、子どもを連れて行きやすいかも、しっかりチェックしておきましょう。3、最後の決め手は、診察&説明が丁寧か!先生によっては対応も異なります。説明が丁寧だったり、不安なことなど質問しやすい医師だと、ママも少し安心できますよね。なかなか一回の受診ではわからなかったりするで、何度か受診してみて決めてみるのが良さそう。少しでも不安を感じたら、別の小児科を受診してみるのも大切です。赤ちゃんは痛みや症状など自分で伝えることができないので、ママの状況判断も大事ですね。ただし、あっちこっち小児科を変えて診てもらえばいいという訳ではありません。長い目でみて、子どもの健康と成長に寄り添ってもらえる小児科を選びましょう。予防接種はどこで受けたらいい?病気の診察と予防接種を受ける病院を使い分けているママもいるようですが、できることなら予防接種は、ふだんから診てもらってるかかりつけの小児科で受けるのがベスト。予防接種前に体調崩をしてしまっても、予定通り予防接種を受けられるかなど、かかりつけの先生に直接質問できる点は大きいです。小児科によっては、母子手帳をもとに予防接種のスケジュールなどの予約や相談にものってくれますよ。忘れやすい、予防接種はアプリで管理!小児科でも予防接種のスケジュールなどをたててくれる場合もありますが、予防接種を受け忘れてしまっては大変です。ママ自身もしっかり管理した方がいいですね。我が家はまだアナログに紙で管理してます(笑)普段必ず見る冷蔵庫の扉に貼ったり、ホワイトボードに書いたりしてます。お兄ちゃんと妹のがごっちゃにならない様に気をつけています。でも、最近では便利な予防接種アプリがあるそう。調べたら、ここの予防接種のスケジュールアプリ「 予防接種スケジューラーアプリ」が良さそうでした。予防接種お知らせメールなどが届いたり、使い勝手が良さそうです。赤ちゃんの予防接種って種類も回数も多く、スケジュール管理が大変。アプリなど上手く活用して、少しでも管理しやすいように工夫していきましょう。
2016年09月16日STEAM教育って何?
子育て楽じゃありません
細川珠生のここなら分かる政治のコト