RSウイルス感染症は、冬に流行する(ときにほかの季節でも流行)、せきや発熱をおこす呼吸器感染症です。とくに生後3カ月未満の乳児は呼吸困難感が強くなって、入院が必要になることも多いのです。RSウイルス感染症とは、どのようなものでしょうか? 症状や診断、治療・ホームケア、感染予防のポイントなどを解説していきます。RSウイルス感染症、その症状は?最初は、せきや鼻水などの症状が数日続いたのち、発熱したり胸がゼロゼロして呼吸があらくなります。発熱は数日~1週間近く続く場合や、微熱程度の場合などさまざまです。鼻水が多いことが特徴で、のどの奥に垂れ込んできてせきこみ、夜眠れなくなってきて、さらにひどくなると細気管支炎というものをひき起こしてきます。細気管支とは、気管が左右に分かれ、さらに細かく枝分かれした部分。そこが炎症を起こすのが、細気管支炎です。細気管支がむくんだり、分泌物がたまったりしますと空気の通りが悪くなってしまい、笛のようにヒューヒューと音がなる(ぜん鳴)ようになります。空気の通りが悪いと呼吸困難感がでてきて、肩で息をしたり胸やおなかがペコペコ(=陥没呼吸。下のイラスト参照)するような症状が出てきたら酸素投与をしなければなりませんから救急受診してください。この陥没呼吸はとても重要な呼吸困難のサインで、鼻がひくひくしたり、首のところがペコペコしたりする場合も見られます。数日間の軽い風邪症状から次第に呼吸困難感が強まり、数日間の症状のピークがへて、せきや鼻水は徐々に改善に向かいます、全経過で1~2週間以上はかかるものと思ってください。RSウイルス感染症「診断・治療・ホームケア」診断症状や経過を確認し、鼻の綿棒検査で調べます。この検査は、入院患者さんと、外来では1歳未満の赤ちゃんの場合、保険適用にて調べることができます。治療・ホームケアRSウイルス感染症には、残念ながら特効薬はありません。重症化に注意して症状を緩和する治療をしながら、改善するのを待ちます。鼻水や鼻づまりがひどい場合、赤ちゃんは哺乳しながらだと息がしんどくなるかもしれませんから、休みながらこまめに与えてください。脱水にもなりやすいので、水分補給はとても重要です。鼻やせきの症状に対して内服薬の効果は乏しい一方、鼻水吸引は効果的です。鼻水をとることで、のどへの垂れ込みを減らせば、せきを減らすことができますし、鼻づまりが改善すると哺乳もしやすくなります。ちなみに気管支喘息で用いるような気管支拡張薬(吸入、貼り薬、飲み薬)の効果はあまり期待できません。空気の通り道を狭くしている分泌物は気管支拡張薬ではなかなか引かないので、改善には時間がかかるものと思ってください。発熱は1週間くらい続くこともありますし、せきも長引いて数週間におよぶ場合があります。経過中に肺炎や中耳炎を合併してくる場合、抗菌薬を使う必要も出てきます。RSウイルスと診断をうけたら、こまめに受診して小児科医に状態を確認してもらってください。とくに生後3カ月未満の乳児は呼吸困難感やときに無呼吸発作が起こる場合があり、入院治療をするケースが多いです。かわいた空気は気道に刺激が加わり、せきも出やすくなります。加湿器などで適度な湿度をキープしてください。お風呂の中は加湿されていますから、ぐったりした様子などがなければ、入浴することはむしろ良い効果があるかもしれません(注:医師により判断は異なります)。RSウイルス感染症「予防、登園・登校基準」3~5日の潜伏期間があり、発症から7~10日くらいはウイルスを出しています。インフルエンザのように登園停止基準があるわけではありませんが、せきやくしゃみ、接触により感染するため、せきこみがひどいうちは登園・登校はさけたほうが無難です。RSウイルス感染症「よくあるQ&A」最後に、RSウイルス感染症について、よくある質問をまとめました。Q. 大人も感染する?A. 大人も感染します。ただし重症化することはなく通常のせきや鼻の症状です。先に大人が風邪症状を認め、のちに子どもがRSウイルス感染症になることがよくありますので、とくに小さい赤ちゃんがいるご家庭では注意してください。Q. 繰り返しかかるの?A. 年齢があがれば重症化のリスクは下がりますが、残念ながら繰り返しかかってしまいます。Q. 予防法はある?A. 今のところワクチンは開発中ですので、予防は一般的な手洗いや、感染している人との接触を避けることです。ワクチンとは異なりますが、早産児や先天性心疾患を持つお子さんなどリスクの高いお子さんは、重症化や入院を防ぐ目的で、 米MedImmue社のシナジスに代表されるパリビズマブという抗体薬を、あらかじめうつことができます。一部の方にこのお薬の適応があるので、流行期には医師から説明があるかと思います。RSウイルスは毎年多くの人が感染して1歳までにほぼ半数が、2歳までにほぼ100%の人が感染するもので、誰もが通る道です。熱やせきも長引きなかなかしんどい感染症ですが、呼吸困難やとくに小さい赤ちゃんの重症化には注意しながらなんとか乗り切ってくださいね。参考資料※ 「シナジス投与ガイド」(提供 アッヴィ合同会社/制作 リノ・メディカル株式会社)
2019年01月28日夜間の小児救急外来をしていますと、腹痛をうったえるお子さんが受診して、便秘が原因であることはよくあります。「便秘くらいですいません…」と申し訳なさそうにする保護者の方も多いのですが、便秘には腹痛、排便困難感、食欲低下などの症状があり、子どもにとってとてもつらいものです。ある調査結果によると、子どもの10人に1人くらいは便秘といわれています(※)。便が出れば解消することから、病院へ行くほどでもないと軽く考えがちですが、便秘は立派な病気です。しっかりと治療、予防をしていく必要があります(主に1歳以上の子どもを想定しています)。便秘のしくみ「体内で何が起こっている?」便秘はなぜ起こるのでしょうか?まれに先天的な病気などで便秘になる場合もありますが、多くはそのような特別な原因がない便秘で、「機能性便秘」と呼びます。排便の機能は個人差があり、毎日スムーズに出る子もいれば、毎日は出ない子もいます。あまりスムーズに出ないタイプの子は、便が固くなったりして排便の時に痛みをともなうようになります。痛みがあるとさらに排便を我慢して、出しにくくなるという悪循環にはまってしまい、便秘症の完成、つまり慢性的な便秘となってしまいます。便秘の症状・診断「目安は1週間で3回未満、5日以上出ない」便秘の症状としては、便がたまっておなかがはってくるので、腹痛や食欲低下、ときにおう吐を引き起こすことがあります。また、排便困難感があって、排便のときに痛そうにする、顔を真っ赤にしていきむ、トイレをいやがる、なんとなく不機嫌、おしりが切れて血が出るといった症状が起こります。診断の目安として、1週間に3回より少なかったり、5日以上出ない場合は便秘となります(※)。ただし、毎日出ていても、排便のときに痛がる場合は、便秘として治療が必要です。排便の頻度や回数だけではなく、おなかを触診して便のかたまりに触れるか、おなかのレントゲンを撮影して便やガスがたまっているかなどから総合的に診断します。便秘の治療「医師と相談しながら進める3つの手順」便秘の治療には、医師と相談しながら、次の手順で進めます。1. 浣腸:まずは一度、便秘の悪循環をリセットする必要があり、浣腸してひとまず便をだします。これは病院でできますし、ドラッグストアで浣腸を購入する方法もあります。2 .浸透圧性下剤の投与:便をやわらかくして出しやすくするお薬です。これ自体で腹痛を引き起こすことは少なく、比較的使いやすいお薬です。浸透圧性下剤には、次の2つがあります。糖類下剤:マルトース(麦芽糖)。代表的なものにマルツエキス(和光堂)。塩類下剤:酸化マグネシウム。ただし、量が多いと下痢をしますし、少ないとあまり効果がないので、医師と相談して調整しながら適切な量を決めなければなりません。3 .刺激性下剤の投与:ラキソベロン(帝人ファーマ)を代表的なものとするピコスルファートナトリウムを主成分とした薬で、腸を動かし排便させるものです。液体のお薬を水に混ぜて飲むもので使いやすいのですが、排便時に痛みをともなうことがあります。また、排便によりおしりが切れている場合は、おしりのケアも大切です。ワセリンなどで表面を保護してあげてください。便秘の予防「まずは食物繊維をしっかり摂取」便秘の予防にはまず、食事療法が重要で、食物繊維をしっかりとります。一般的に子どもの多くが食物繊維不足ですので、野菜、海藻、果物、芋類、豆類などを意識的にとってください。小学生にとっては、学校で排便することが恥ずかしいということがあるかもしれません。学校でトイレに行けず、便秘を悪化させてしまうことはよくあります。そのような場合は、家で朝、もしくは夜にトイレに行って排便するよう習慣づけるとよいでしょう。規則正しい排便には、十分な睡眠や規則正しい食事、適度に運動が大切です。もちろん、学校でトイレに行くことは決して恥ずかしくないことを教育していくこともあわせて重要です。子どもの便秘「よくあるQ&A」便秘について診察室でよくうける質問をまとめました。Q. 水分をとったら便秘が治る?A. 水分不足で便秘になる可能性はありますが、たくさん水分をとっても尿として出ていきますので、それだけでは改善しません。Q. 浣腸はくせになるからしないほうがいい?A. 浣腸は便秘の悪循環を一度リセットするものです。浣腸で出したあと、緩下剤や食事でコントロールして悪循環にはまらないようにしなければなりません。浣腸しないと排便できないという状況は、くせになっているというよりは、便秘の悪循環から抜け出せていない状態ととらえてください。Q. トイレトレーニングの時期は?A. おむつがはずれる時期は2~4歳と幅があり、個人差が大きいです。トイレトレーニングの時期が本人にあっていないと、排便はつらいものになり、便秘の原因となる可能性があります。うんちをしてスッキリすることは気持ちいいいということ教えていくためにも、子どもにとって適切な時期に開始していかなければなりません。赤ちゃんの便秘「綿棒の刺激で排便サポート」最後に赤ちゃんの便秘にも少し触れます。生後すぐは排便の力が十分ではありません。肛門の綿棒刺激をしてアシストすることでだんだん自分でも出せるようになってきます。寝た態勢では排便しにくいので、首がしっかりしてきたら支えながら座らせると「うーん」ときばりやすくなります。それでもなかなか出ない時は、浣腸をしたり、医師と相談のうえで下剤の使用を検討してください。以上、最近増えている子どもの便秘に関する対策をまとめました。規則正しく、すっきりとうんちを出すことは健康のバロメーターです。便秘は、ときにのたうちまわるほどの強い痛みを起こすこともあり、「病気」ととらえてしっかりと予防、治療していきましょう。参考資料※ 「こどもの便秘−正しい知識で正しい治療を−」(小児慢性機能性便秘診療ガイドライン作成委員会)
2019年01月14日冬になるとノロウイルス胃腸炎が流行して、下痢やおう吐で小児科を受診する子が増えます。今回は、下痢やおう吐の対策、ノロウイルス胃腸炎を中心に解説していきます。ノロウイルス胃腸炎の症状は? 診断、治療は??ノロウイルス胃腸炎とは、どんな病気なのでしょうか? その症状や合併症、診断のポイント、治療についてご紹介します。ノロウイルス胃腸炎、その症状は?ノロウイルスはおう吐を主な症状として下痢、腹痛、発熱を認め、冬に流行しやすい胃腸炎です。子どもが感染すると、そこから大人にも感染することが多く、家族内で流行することも珍しくありません。数日間の症状ですが激しいおう吐などから脱水になってぐったりしてきたり、おしっこが出なくなったりします。この合併症に注意ノロウイルス胃腸炎の合併症として、けいれんを起こす「胃腸炎関連けいれん」があげられます。これは、ノロウイルス以外の胃腸炎でも起きるものですが、熱性けいれんとは異なり、熱がなくても起こる症状で、数秒~数分の短いけいれんを反復するという特徴があります。熱性けいれんとは治療薬が異なるので、けいれんが見られた時には医師に胃腸炎症状があるかないかを伝えることはとても重要です。ノロ、それとも? 医師の診断ポイントおう吐にはじまり、下痢症状をともない、数日の胃腸症状ののち改善し、周囲でも流行しているようならノロウイルス胃腸炎の可能性が高いと医師は診断します。ノロウイルス胃腸炎の場合、おう吐から始まることが多いですが、おう吐=ノロとは限りません。実は、おう吐=ノロと考えるとほかの疾患を見逃すことになり、思わぬ落とし穴があります。例えば、髄膜炎や心筋炎などでもおう吐の症状があります。ノロウイルス胃腸炎かどうかの診断については、便の検査はあるものの必須ではなく、保険診療での検査も3歳以下や65歳以上の高齢者のみと制限があります(子どもと高齢者は悪化しやすいため)。そのため、便の検査は補助的に用いて、基本的には診察や経過で総合的に医師が判断します。特効薬はなし! ノロウイルス胃腸炎の治療特効薬はありません。下痢としてウイルスが体内から出ていけばだんだんと改善しますので、症状のある数日間、脱水にならないようにしのぐことが最も重要です。薬としては、症状を緩和させるために整腸剤や、漢方薬の五苓散などが使用されます。オーエスワン/OS-1(大塚製薬)など経口補水液による脱水対策が大切ですが、飲めない場合は点滴を考慮します。これらはノロウイルスに特別な治療ではなくて、ほかの胃腸炎でも同じ対症療法です。つまり検査でノロウイルスを確認しなくても治療は可能で、おおまかに胃腸炎ということがわかればそのあとの治療は一緒です。そのため、ノロウイルス胃腸炎かどうか検査するためだけの受診は必要ないといえます。どちらかというと、そのおう吐がほかの病気ではないこと、胃腸炎であることを確認することを一番の目的としたほうがいいでしょう。受診するか、しないか…その目安は?受診するかしないか迷った時は、脱水傾向があるかどうかが目安になります。つまり、水分がとれずぐったりしている、尿が少ない、口がかわいている、などの症状です。脱水の症状があれば、点滴が必要になる可能性があるからです。逆に言えば、脱水の心配がなく水分がとれているようであれば、無理をして受診をしなくても家でしばらく様子をみてもかまわないでしょう(注:医師により判断は異なります)。もちろん不安だったり、ほかの病気の心配があれば受診したほうがベター。ただ、ある程度元気で、脱水の症状が出ていなければ、ホームケアで自然と治っていく病気であるといえます。一番こわい脱水症状を防ぐ「吐き気がある時の水分摂取」ポイントは症状が強い数日間、ここをいかに経口補水でしのぐかです。よく、おう吐するから飲ませないと考える場合があるかもしれませんが、おう吐して水分が少ない状態でさらに経口摂取を絞れば、すぐに脱水になってしまいます。飲ませ方には、ちょっとしたコツがあるので、以下の手順ですすめてみてください。脱水症状を防ぐ水分の取り方1.おう吐直後はすぐまたもどしてしまうので、水分は飲ませないほうがいいでしょう。30分くらい時間をあけます。2.吐き気がおさまったタイミングで、水分を一度口に含ませてみてください。スプーン1さじでかまいません。3.1さじ飲めたら、2さじ、3さじと段階的に様子をみながら水分量を増やしていきます。吐かない程度に少量づつ体に水分をいれていけば、脱水を予防できます。※もし、1さじも受けつけない、数さじでもおう吐するようであれば、病院での点滴を考えたほうがいいでしょう。飲ませる水分は、アクアライト(アサヒグループ食品)など乳児用イオン飲料や、オーエスワン/OS-1などの経口補水液がいいでしょう。ナトリウム(電解質)や糖分が入っていないと、血液中のナトリウムが少なくなったり、低血糖によって倦怠感(けんたいかん)を感じたり、時にけいれんを起こす可能性があります。飲み物はできる限り、電解質や糖分を含むものにしてください。経口補水液が飲みにくいという場合、軽症であればりんごジュースなどと半々で割って飲みやすくしてから与える方法もあります(※)。家族への感染を食い止める! 予防法とホームケア親が感染すると看病を含め2倍、3倍のしんどさになります。下痢、おう吐の処理は手袋をして、可能であればビニールエプロンを使って感染対策をしてください。寝具におう吐すると後片付けが大変なので、ペットシーツなどをしいておくのも一つの方法です(我が家も一度ひどい目にあいました…泣)。子どもがおう吐しそうになったときすぐに受けることができるよう、洗面器やボウルにビニールをかぶせておくと便利です。もし出かける場合はおう吐に備えて、紙袋+ビニール袋や、着替え(親の分も)、手をふくウェットティッシュなど用意しておくことをおすすめします。予防には、手洗いが基本です。できるだけ流水でウイルスを洗い流しましょう。ノロウイルスは飛びやすいので、いろいろなところに付着しているため、ほかの人がさわる可能性のあるところは極力さわらず、どこかさわったあとは手を洗うようにしてください。アルコール消毒は効果が乏しいので、ハイター(花王)といった次亜塩素酸ナトリウム配合の商品で除菌するのがおすすめです。ドラッグストアにはノロウイルス対策と書いていても、成分がアルコールという場合があります。買う時の参考にしてくださいね。参考資料※ Effect of Dilute Apple Juice and Preferred Fluids vs Electrolyte Maintenance Solution on Treatment Failure Among Children With Mild Gastroenteritis: A Randomized Clinical Trial.
2018年12月31日今年は暖冬と言われて日々寒暖の変化が激しく、体調管理が難しいですよね。わが家も早速、ママンとアリッサが風邪をひき、3日ほどダウン…。アリッサは基礎体温が高く、暑がりなくせに、服を脱ぎ捨てては急に震え出し風邪を引くタイプ(汗)。今回もそのパターンで風邪をこじらせました。朝から昼までは平熱で元気なので回復したと油断していたら、夜中に39度までは発熱するのです。これは何かおかしいと思ったら…なるほど。その時のアリッサの体調をを踏まえた上で、先生が言うには、朝は体温が低く、夕方に向かって熱が上がるのは、むしろ正常とのことでした。朝から高熱な方がよっぽど重症だそうで、その時のアリッサは回復に向かっているとのこと。ホッと胸をなでおろしたパパンなのでした。※症状によっても異なるため、すべての発熱の症状を断定するものではありません。ただ、素人判断でほっておくと、良いことはありません!おかしいと思ったらすぐ病院で見てもらいしょう。熱が出るのはウイルスの増殖を抑制し、白血球を活発にさせるための防衛本能だそう。微熱であればむやみに薬で熱を下げないほうが回復が早い場合もあるようす。ただ、高熱が出ると解熱剤が処方されることは良くあると思います。お子さんが発熱した時は医師とよく相談し、用法・用量を守って正しくお使いください。=========================================本記事に記載された症状や治療法は、あくまでも筆者の体験談であり、症状を説明したり治療を保証したりするものではありません。=========================================
2018年12月07日咳は子どもには頻繁に起こる症状で、咳込んだり眠れなかったりして見ていてつらいものです。子どもが咳込むとき、家でしてあげられることは? 受診のタイミングは? と悩むことも多いのではないでしょうか。今回はそんな咳の症状や改善方法について解説します。咳をする仕組みって何??まず咳の仕組みはどのようなものでしょうか。息を吸うと空気が口や鼻から入って、のど、気管を通って肺にいきます。この通り道を「気道」といいます。この気道に細菌やウイルス、タバコの煙やアレルギー物質、食べ物などの「異物」が入ってくると、それらを外に出そうとして「咳反射」が起こります。食事中にむせると咳が出ますが、これは異物としての食べ物が気道に入ってくることで反射的に咳が出ているのです。このように咳は異物を外に出すための生理的な反応といえます。咳の原因って何??では、咳の原因にはどんなものがあるでしょうか?基本的には、気道を通る異物すべてということになります。主な原因は以下です。感染症による咳いわゆる風邪(上気道炎)は気道にウイルスや細菌が侵入して咳を引き起こします。また鼻水がでてきて、のどに垂れ込んでくることでも咳を起こします(=後鼻漏:コウビロウ)。自分で鼻をかむことができない子どもたちにとって、後鼻漏は咳の原因として大きなものです。また風邪により痰がからんでくると、それを出すために生理的な反応として咳がでます。誤嚥(ごえん)による咳食べ物や唾液が気管に入ってしまうことで咳を引き起こし、ときに肺炎を起こすこともあります。胃食道逆流(いしょくどうぎゃくりゅう)による咳胃液の逆流により胃液が気道に入って咳を引き起こします。食後や、仰向けの態勢で逆流は起こりやすくなります。気管支喘息による咳もともと気道が過敏な状態であるために、アレルギー物質やタバコの煙などの気道に入ってきた刺激に対して咳が出やすい状態になっています。受診のタイミングは? 咳で困ったときの判断基準ではこのような場合受診のタイミングはどうすればよいでしょうか? 緊急性のあるものとそうでないものがありますが、以下のような呼吸困難を伴うものは緊急性があり、早く受診したほうがいいでしょう。百日咳とくに3ヶ月未満の赤ちゃんはまだ予防接種をうけていないため重症になりやすいです。コンコンコンコンと連続的に咳をして、顔を真っ赤にして苦しそうにヒューっとうなります。※1 動画参照仮性クループのどの奥のほうにある声門の下が腫れるもので、犬が吠えるようなケンケンした咳を特徴として、呼吸困難を認めます。※2 動画参照一方、風邪の咳は1~2週間ほどで落ち着くことが一般的で、緊急性はないのですが、それ以上続く場合は肺炎や喘息など他の原因が隠れている場合があり、受診したほうがいいでしょう。肺炎の有無の確認にはレントゲン撮影が必要です。咳の特徴としては気管支喘息の場合、日中はそれほどでなくても朝や早朝、運動後などに咳き込むことが多く、肺炎など感染症によるものは、日中と夜の咳のギャップは少ない傾向です。…では治療はどのようなものがあるでしょうか。気管支喘息や百日咳、クループなどは病気ごと個別の治療があり受診が必須ですが、一般的な風邪の咳の治療であれば、ご家庭でできるものもあります。風邪の場合、咳をして異物を出すことで自然に治っていきますから、必ずしも病院で咳止めをもらわなくていいと考えます。咳にはさまざまな治療がなされますが、医学的には「一定の効果があるもの」と「効果が乏しいもの」とが混在しているというのが現状です。以下にまとめてみました。■咳の改善に一定の効果が期待できるもの(1)鼻水吸引:鼻を吸引することが後鼻漏に効果的です。小児科や耳鼻科でもできますが、電動鼻吸引器を購入して自宅で何度も吸うとより効果的です。寝ているときに垂れ込みやすいので、寝る前に吸うとよいでしょう。下記の通り、書籍「小児の咳嗽診療ガイドライン」(日本小児呼吸器学会)にも鼻水吸引が効果的だと記載されています。乳児の後鼻漏は咳嗽のみならず喘鳴や吸気性呼吸困難、無呼吸などの随伴症状をきたしたり、哺乳力低下や不機嫌などの全身症状を合併することもある。鼻汁吸引はこれらの症状の改善にも有用である出典: 小児の咳嗽診療ガイドライン / 日本小児呼吸器学会 P85 (2)ヴィックスヴェポラッブ®:ドラッグストアでも購入できる塗り薬のヴィックスヴェポラッヴは夜間の咳を鎮める効果があるというデータがあります。※3(3)ハチミツ:ハチミツにも咳を鎮める効果があるというデータがあります。ただし、ボツリヌス症の危険性があるため1歳未満の子どもには与えないでください。※4痰切りのお薬も一定の効果があるというデータがあるため使用を考慮していいかもしれません。また乾燥した空気は気道への刺激となる可能性があり、部屋は加湿したほうがいいでしょう。■咳の改善に効果が乏しいもの(1)鼻水のお薬:よく鼻水のお薬として抗ヒスタミン薬が処方されていますが、これはアレルギー性鼻炎のお薬ですので風邪の鼻水への効果は期待できません。後鼻漏の咳には抗ヒスタミン薬より鼻吸引がいいでしょう。(2)気管支拡張薬のテープ:ホクナリン®やツロブテロール®などのテープは気管支喘息のお薬ですので、咳を鎮める効果は乏しいです。咳の時は、わが子にも患者さんにもこのような対策をしています。ちなみにわが子は風邪の時咳き込んで嘔吐しやすいので、寝床にタオルやゴミ袋を用意しています。だんだんと寒くなり風邪が流行する季節になってきました。咳の時にはこれらのポイントを参考にしてくださいね。参考資料※1 Whooping Cough/Indian Health Service ※2 KidMed/Croup: What Parents Need to Know to Breathe Easier ※3 NCBI/Vapor rub, petrolatum, and no treatment for children with nocturnal cough and cold symptoms. ※4 NCBI/Honey for acute cough in children.
2018年12月06日今年は秋なのにも関わらず、インフルエンザで学級閉鎖が各地で起こっていますね。そして、よりインフルエンザが流行する季節になってきました。今回は、ワクチンや治療法、ホームケア、診断などについて2回にわたって特集します。インフルエンザにならないために、どんなことに気をつければよいのでしょうか?インフルエンザはどんな病気?まず突然の高熱に始まり、のどの痛み、頭痛、関節痛、倦怠感などの全身症状のほか鼻水や咳などの呼吸器症状、ときに嘔吐や下痢などの消化器症状もあります。発熱は数日間続きますが、自然に解熱して1~2週間ほどで元気になります。注意すべき特徴として二峰性(にほうせい)の発熱があります。二峰性とは、熱が数日続き、一旦解熱したあと、再度発熱して合計1週間ほど熱が続くものです。インフルエンザは再発熱のパターンをとることもあり、一旦熱が下がっても安心とはいきません。インフルエンザの合併症インフルエンザの症状には幅があり、普通の風邪と全く区別がつかない程度のこともあれば、ぐったりして重症感が強い場合もあります。ときに中耳炎や熱性けいれん、肺炎やインフルエンザ脳症など多彩な合併症があり、肺炎や脳症にはとくに注意が必要です。【肺炎】急速に呼吸困難が進行する場合があり、肩で息をしたり呼吸があらくなっている時は救急受診が必要です。【インフルエンザ脳症】毎年50~200人がインフルエンザ脳症になり、死に至ることもあります※1。異常言動、異常行動、ぼーっとしている、けいれんなどの症状がみられますが、同じような症状を認める熱せん妄( 第3話参照 )や熱性けいれんと区別が難しい場合があります。脳症の場合は意識障害が続いたり、短時間で悪化傾向になり、これらの特徴がみられた時は迷わず救急受診してください。予防接種は打ったほうがいい? インフルエンザQ&Aこのようにインフルエンザには重い合併症もあるため、ワクチンで予防することが重要です。それでは、ここでワクチンについての疑問について確認していきます。Q赤ちゃんでは効果が低い? 何ヶ月からうてる?現状のインフルエンザワクチンは生後6ヶ月から接種可能で、乳幼児に対する有効性については概ね20~60%の発病防止効果があったと報告されています。※2(厚生労働省インフルエンザQ&Aから引用)Qインフルエンザワクチンはいつうてばよい?ワクチンの効果は時間が経過するほど効果が低下し5ヶ月間で減弱します。よって10月~11月のうちに接種を開始すれば流行期に入る12月までに効果が得られ、流行が終わる頃まで効果が続きます。Q鶏卵アレルギーだとうてない?インフルエンザワクチンに含まれる鶏卵成分は数ng/mlときわめて微量(1ng=10億分の1g)のため、ほとんどの場合安全に接種ができます。重症度にもよるため、卵アレルギーと診断されている場合は担当医と相談してください。※3Q妊娠、授乳中でもうてる?妊娠授乳中でもワクチン接種は可能です。とくに妊娠中は症状が重くなるおそれがあり、また妊娠中のワクチン接種は生まれてきた赤ちゃんのインフルエンザ予防にも役立つため積極的に接種してください。※4子どものインフルエンザを予防するには、まず周囲の大人がしっかり打って感染源にならないことが大切です。もちろん、パパも一緒に接種してくださいね。Qワクチンを打ってもかかることはある?残念ながらワクチン接種をしていてもかかることがあります。ワクチン以外の予防方法を駆使して、できるだけかからないようにしましょう。インフルエンザの予防方法インフルエンザワクチンを打つ以外の予防方法もあります。日々の生活の中でできることを書いてみることにします。(1) 咳エチケットに注意し、マスクをする(くしゃみや咳などから感染します)(2) 手洗いやアルコール消毒をする(咳やくしゃみをうけた手にはウイルスが付着しています)(3) 加湿器を使用して湿度50%~60%に保つ(乾燥すると感染しやすくなります)(4) 栄養と睡眠を十分にとる(風邪を含め全ての基礎になります)(5) できるだけ人混みを避ける(流行期はとくに感染の確率が高くなります)なお、家族の誰かが感染した場合は避けることがなかなか難しいのが現実です。24~48時間ほどの潜伏期間ののち発症します。流行を広げないためには登校停止期間をしっかり守って外出をさけることが大切です( 第4話参照 )。インフルエンザは稀に死亡する可能性がある病気のため、わが子がかかった時にはもしもの場合の不安を感じると思います。「もしかしてインフルエンザ脳症かも?」と疑い、判断できない時は受診をためらう必要はありません。インフルエンザにかかると、時に重症の経過になる場合があります。その可能性を防ぐためには予防が一番ですので不安感を軽減する意味でもワクチン接種をお勧めします。次回は実際にかかったあとの受診のタイミングや治療法、ホームケアについて説明します。参考資料※1 インフルエンザ脳症について ※2 インフルエンザQ&A ※3 日本ワクチン産業協会:予防接種に関するQ&A集※4 産婦人科診療ガイドライン2017 <2019年9月11日 修正>記事内の参考文献を修正いたしました・「Efficacy of trivalent influenza vaccine against laboratory-confirmed influenza among young children in a randomized trial in Bangladesh.」を削除・「Protective Effect of Maternal Influenza Vaccination on Influenza in Their Infants: A Prospective Cohort Study.」を「産婦人科診療ガイドライン2017」に変更いたしました。
2018年10月22日子どもに発熱はつきもので、対応や処置について判断が迷うことでしょう。そんなみなさんのために、 前回 は子どもが発熱した時の救急受診する目安や判断基準についてお話しましたが、今回は子どもが発熱した際のホームケアについてお話します。意外と出来ていない? 正しい体温計の使い方まずは、正しく体温計を使って正確に体温を測定しましょう。耳式体温計はやや低くなる傾向にあるので注意してください。検温のポイント汗を拭いて、熱の伝導率が異ならないようにする体温計が下着に触れぬよう、気をつけるわきの中心に体温計をあてる体温計の先を下から少し押し上げるようにして、わきをしっかり閉める測る時はいつも同じ測り方をする参照サイト: omron公式サイト 熱がある時にお風呂は入っていいの?発熱していても、ぐったりしていなければお風呂に入ってもいいでしょう。ただし、外からあたためることで体温が高くなることもありますし、お風呂では汗をかいて水分が失われますから、子どもが辛そうな時は控えて下さい。ややぬるめのシャワーで軽く流す程度なら負担は少ないでしょう。熱がある時は温めるべき? 冷やすべき?一般的に熱の上がり始めの時は寒気を感じやすいです。寒気を感じたら温めた方が良いでしょう。上がりきってしまうと今度は体が熱くて辛いので、冷やしたほうが気持ち良いです。首、脇、そけい部(足の付け根)には太い血管がありここを冷やすほうが効率的です。おでこに冷却シートを貼っているお子さんをよく見かけますが、冷却の効率は良くないですし、はがれて鼻の穴を塞いだりといった事故も生じているので、あまりおすすめはしていません。私は、市販の繰り返し使える子どもの脇の下冷却袋をおすすめしています。冷却袋に紐が付いているので、簡単に装着でき、寝ている子どもにも利用できます。室温や湿度は何度くらいに保ったらいい?エアコンなどで過ごしやすい温度に調節してください。夏であれば26~28℃、冬は20~23℃くらいが目安です。風邪で咳や鼻症状がある時などは乾燥した空気は刺激になるので、湿度60%程度を維持できるよう調節してください。食欲がない時はどうすればいい?熱がある時は子どもはぐずぐずして食欲も低下します。食欲がない時は無理に食べなくてもかまいません。その代わり脱水が心配されますので、水分をこまめにとりましょう。水分だけでなく塩分や糖分も必要ですので、経口補水液やスポーツドリンクを使用してください。解熱剤は使わないほうがいい?発熱そのものは正常な生体反応ですので元気であれば不要です。しかし、高熱で辛い時や寝れない時には使用してもかまいません(38.5度以上が目安)。ただし、解熱剤の効果は4~6時間ですので、効果がなくなれば再度熱はあがること、解熱効果はせいぜい約1℃ほどで必ずしも平熱にまで下がるわけではないことに注意してください。また、子どもは「痛み」をうまく伝えることができません。発熱していて不機嫌な時、実は頭などが痛いということもあります。解熱剤や鎮痛剤には痛みどめの効果もありますから、発熱していて機嫌が悪い時は使用を考慮してもいいでしょう。様子をみても大丈夫かどうかは前回の記事 「子どもが発熱! 救急受診する目安や判断基準は?」 も参考にしてください。朝起きたら平熱だった。登園(登校)しても大丈夫?体温は一日の中でも変動しています。おおむね朝に一番低く、夜に高くなります。朝に低くても、登園してから午後に発熱してしまうことは多いです。熱が下がったといえるのは丸一日平熱になってからでしょう。風邪をひいている時の外出の目安は?おたふくかぜやインフルエンザなど、厚生労働省が出している、学校保健安全法で定められた出席停止基準のある感染症は原則として登園(登校)不可=外出不可と考えてください。詳しい出席停止期間は 公益社団法人日本小児科学会 学校、幼稚園、保育所において予防すべき感染症の解説 を参考にしてください。一方、そのほかの病気については明確な基準はなく、各自で判断しなければなりません。発熱や咳などの症状がある時は、人にうつす可能性がありますし、本人にとっても負担ですから可能であれば外出は控えた方が良いでしょう。しかし、兄妹のお迎えや必要なものを買い出しに行くなど外出しなければならない状況もあるでしょう。外出の必要度やマンパワー、体調や症状などを天秤にかけながら判断していくことになりますが、難しい時はかかりつけ医で相談してください。安静にできない子どもとの過ごし方はどうする?このように外出ができない場合でも、子どもはちょっと元気になってくると動きたくてうずうずしてきます。体調が悪い時は絵本やブロックなどの静かな遊びがいいでしょうが、しばらくしたら飽きてきてしまいます。体調不良時用に新しいおもちゃをストックしておくと、最初は新鮮な気持ちで遊べて少し時間はもつでしょうが効果は一時的なものです。あくまで体調をみながらですが、発熱などがあってもある程度元気で動ける時は、少しアクティブな室内遊びも許容していいのではと思います。「安静に」といっても子どもにとっては難しいですから、比較的元気なタイミングに多少体を動かす遊びもとり入れてもいいでしょう。その子によっても体調によってもでき得る安静の度合いは異なります。状態にあわせて無理のない範囲で遊んでください。最後に、子どもが熱をだすと手がかかり保護者も疲れてきます。そして看病をしている親にも風邪がうつることはよくあります。子どもの具合が悪い時には自分の優先度は低くなりがちですが、体調管理のためにしっかり栄養をとり、寝れる時には寝てください。そして体調不良の中の看病はとても大変ですから、元気な人がお仕事を休んだりして看病を交代してくださいね。
2018年09月24日発熱は子どものもっとも多い症状の一つで、かつ保護者のみなさんを不安にさせる症状の一つでもあります。子どもが急に熱を出した時はどうすればよいでしょうか? 前編は発熱のしくみや救急受診のポイントについて、後編では発熱したときのホームケアについて解説します。どうして発熱するの?熱が高くなるのは熱中症のように外から温められ、熱がこもってしまい体温が上がる場合(うつ熱)と、ウイルスなどが体に侵入してきたときの生体反応としての発熱に分けられます。大部分の熱が後者です。発熱することは体の免疫機能が働いている証拠で、熱そのものが悪さをするわけではありません。発熱している状態はウイルスや細菌にとっては不利な状態なのです。子どもの平熱は何度?おおむね37.5度以下を平熱としていますが、平熱は個人差もあり年齢によっても異なります。元気な時の体温を把握しておいて変化をとらえることも重要で、いつもより1度以上高ければ発熱ととらえていいでしょう。一般的に、新生児では38度以上、乳児では37.5度以上、幼児・学童では37.0度以上続くときに発熱と考えます。体温測定は条件によりさまざまな影響を受けるので、一度高くても測りなおすと変化していたりします。例えば、運動したあとや食事・授乳のあと、泣いたあと、入浴後には体温が上昇しやすいので時間をおいて測り直すと下がっていることも多くあります。部屋が暑いときや、たくさん服を着ているときはそれらを調節してから測定しましょう。夜間、急な発熱。受診すべきか悩んだらどうする?子どもが夜間、急に熱を出すと不安になり救急受診すべきか悩みますね。しかし、熱の高さと病気の重さは必ずしも一致しません。40度の熱が出ていても、元気に走り回っていることもあったり、38度ほどでもぐったりしていることもあります。発熱のときに受診すべきかは、ぐったりしているか、水分はとれているかなど、全身の状態を総合的に判断します。例えば下記のようなケースが挙げられます。<例>【ケース1】 3歳女児 夕方から39度の発熱と嘔吐1回、下痢2回。水分はとれていて元気あり。↓翌日の受診でもOK【ケース2】 2ヶ月男児 発熱なし。元気がなくミルクをうけつけない。他の症状なし。↓救急受診が必要自分ひとりでは判断ができず、直接医療者の助言がほしい場合は#8000等の電話相談を使うという手もあります。また、小児科学会が監修している 「こどもの救急(ONLINE-QQ)」 では、生後1ヶ月から6歳までの子どもを対象に、下記のチェック項目を選ぶだけで「待つ」「(急患診療所に)行く!」など今すべきことを指示してくれます。□1日中ウトウトしている。□あやすと笑う。□無表情で活気がない。□ぐったりしている。□元気がある。□生後3カ月未満である。□おしっこが出ている。オムツがいつものとおり濡れている。□水分はとれる出典: 「こどもの救急(ONLINE-QQ)」 特に3ヶ月未満の赤ちゃんは、重大な病気がある場合でも症状がはっきりしないことがあり、また予防接種も十分に受けていないため重症な感染症にかかりやすいのです。3ヶ月未満の赤ちゃんは夜間でも即受診が原則です。救急はいますぐ処置が必要な患者さんへの対応を目的としているため、できる検査や治療は限られています。緊急性がない場合は翌日かかりつけ医と相談するほうがメリットが多いことも。もちろん緊急性が明らかな場合は受診をためらう必要はありません。熱が高すぎて後遺症が残らないか心配です。熱そのもので脳に障害が起こる可能性は低く、何らかの後遺症が生じる場合は脳炎や髄膜炎などが熱の原因となっています。熱の原因や全身の状態が関係しているため、たとえ40度でもその原因が風邪だけであれば、後遺症にはつながらないと考えられます。高熱でうなされている時にはどうすればいい?熱でうなされている状態を「熱せん妄」といいます。一時的に意味がわからないことを言ったり、つじつまの合わないことをしたりします。多くは短時間でおさまり、その後普段通りになります。ただ、すぐにはおさまらず意思の疎通もとれない場合は、まれに脳炎や脳症の可能性もあります。熱にうなされる状態のすべてが脳炎や脳症というわけではありませんが、判断に迷う場合は医療機関に相談しましょう。熱があって小刻みに手足が震えているけど大丈夫?このように、発熱と共に手足が小刻みに震えている場合は、けいれんかどうかがポイントになります。視線があって、意識がはっきりしていればけいれんではなく、発熱の初期に起こる「悪寒」によるものでしょう。熱が上がりきってしまえば震えはなくなってきます。モヤモヤした気持ちを抱いたら小児科へ最後に、小児科医の私でも子どもが発熱をしたら不安な気持ちになります。医療関係者でない方ならなおさらでしょう。「熱が出て不安だから大丈夫かどうか確認したい」でも、十分受診の理由になります」。緊急性の判断は難しいところもありますが、この記事や「こどもの救急(ONLINE-QQ)」などを参考にしてください。また「何だか様子がおかしい」という保護者のカンはたいてい当たっているように思います。もちろん緊急性のない受診は最小限にすべきですが、何かモヤモヤした気持ちがあれば受診を考えていいでしょう。私を含め、小児救急に関わる医療者の多くはそんな保護者のモヤモヤを少しでも解消したいと願っています。
2018年09月10日子どもの便秘を「この子の体質だから」とあきらめていませんか?医学博士・松生恒夫先生によれば、がんこな便秘でも病院にかかる前に家庭で食生活に気をつければ、あるていど解消が期待できるとか。松生先生の新刊 「子どもの便秘は今すぐなおせ」 (主婦の友社)から、今日から始められる快便のための食事法を紹介してもらいました。もちろん、子どもだけでなく、ママ自身の便秘解消にも役立つはず!お話をうかがったのは…松生クリニック院長 松生恒夫(まついけ つねお)先生医学博士。大腸内視鏡検査や生活習慣病としての大腸疾患等を専門とする。30年間で4万人の腸を見てきた腸のエキスパート。なるべく薬に頼らない便秘解消のための食生活指導などを行っている。新刊に「子どもの便秘は今すぐなおせ」(主婦の友社)がある。■子どもの便秘「快便のサイクルを完成させる」3つの生活習慣松生先生のクリニックには、3、4日どころか1週間も便が出ないような便秘体質の患者さんが相談に来ています。「子どもを含め、あらゆる年代の人が来ますが、20歳ぐらいの若い人も多いですね。いつから便秘なのですか? と質問すると、『ものごころついたときから』と答える。腸内細菌のバランスは子どものうちにある程度決まるので、お母さんたちにはできるだけ早いタイミングで“腸育”を心がけてほしい。やはり幼少期に快便の習慣をつけることが大事です」(松生先生)“腸育”にはどんな方法があるのでしょうか? 「子どもの便秘は今すぐなおせ」で紹介されている生活習慣として気をつけるべきことは次の3つです。1)寝起きに1杯の水を飲み、1日3食きちんととる腸がうんちを送り出す“ぜん動運動”は、からっぽの胃に朝食が入ってくる朝が最も強く、消化に時間のかかる固形物よりまず水を飲むのがベストだそうです。「水で腸に刺激を送り込みましょう。子どもの寝起きに、コップ1杯の水を出してあげるといいと思いますよ。朝昼夕の3食をとるといいのは、規則的な食事をすれば、腸の動きも規則的になるから。決まった時間に排便できるようにするために、心がけてください」(松生先生)2)寝る3時間前は食べない大人のダイエットでも寝る前は食べないというのは鉄則ですが、子どもを快便に導くためにも、寝る3時間前からはものを食べさせないよう注意すべきとか。「就寝前に食事をすると、うんちのリズムをつかさどる自律神経が乱れてしまいます。また、朝の“大ぜん動”が起こりにくくなりますね」(松生先生)3)便意をがまんさせないオムツをしている間はだいじょうぶですが、トイレトレーニングが終わってから出てくる問題が、子どもがうんちをがまんしてしまうということ。かたいうんちを出すと痛いので怖がってしまったり、友だちと遊ぶのに夢中になってトイレに行かなかったり。まだ就学前の子どもでも、そういう傾向があります。「がまんすることが続くと、『うんちがたまった』と直腸が認識しにくくなり、便意が起こらなくなります。『したくなったらすぐ出す』習慣をつけることが大事です」(松生先生)具体的には、朝、時間にゆとりをもってトイレにすわり、便を出す習慣をつけること。また、おけいこごとや塾の時間などに「便意をがまんせざるをえない」状況を減らすこと。ママがこまめに「うんち? トイレへ行こう」などと声をかけるといいかもしれません。■子どもの便秘「便秘解消に効く食べ物ベスト3はこれ!」一般的なイメージとして、胃腸の働きを良くする食材というと、ヨーグルトや食物繊維いっぱいのキャベツなどを思い浮かべますが、松生先生によれば、便秘解消に効く食べ物は「キウイ」「植物性乳酸菌」「オリーブオイル」とちょっと意外なもの。この3つにはどんな働きがあるのか、聞きました。1)キウイオリゴ糖がたっぷり含まれていて、食物繊維のバランスが理想的なフルーツ。便をやわらかくし、カサも増してくれます。「私の調査によれば、便秘ぎみの中学生・高校生とその母親に1日1個のキウイを2週間食べてもらったところ、その約7割が1日1回以上の便通になったということ。キウイがきらいな子なら、バナナでも同じような効果が期待できます」(松生先生)2)植物性乳酸菌乳酸菌といえばヨーグルトを思い浮かべますが、松生先生によれば、「残念ながら、ヨーグルトに含まれる動物性乳酸菌(通称)は、胃で死んでしまう場合が多い。植物性乳酸菌(通称)をとるように心がけてください」とのこと。「植物性乳酸菌とは、漬物、甘酒、みそなどの発酵食品に含まれるもの。生きて大腸に届き、善玉菌を増やしてくれます」(松生先生)3)オリーブオイル体に良い油として知られるオリーブオイルは、便通も良くするのでしょうか。「小腸で吸収されにくいので、腸をやさしく刺激してくれる天然の下剤ともいえます。また、それこそ潤滑油として、うんちのすべりをスムーズにしてくれます」(松生先生)ほかにも、海藻やきのこ、もち麦なども便秘解消に役立つそうです。どれもスーパーで買える食物で、日常の食事にとり入れやすいものばかり。子どもが便秘ぎみというママは、料理するとき、この3つを積極的にとり入れてみることをおすすめします。■子どもの便秘に効果的! 腸元気レシピ「キウイシャベーット」「子どもの便秘は今すぐなおせ」には腸が元気になる具体的なレシピがたくさん紹介されています。その中から、火を使わずにできる夏場にピッタリのかんたんメニューをピックアップ。子どもが喜ぶキウイのシャーベットデザートです。食べやすいので、食欲がないときにも試してみては?「キウイシャーベット」(レシピ:荻田尚子)【材料】キウイ 2個砂糖 40g【作り方】1. キウイは皮をむいて5mm厚さの輪切りにする。冷凍用保存袋に入れて砂糖を加え、袋の口を閉じる。上から軽くもみ、砂糖をとかす。2. 平らにならし、袋の空気を抜いて口を閉じ直し、バットなどにのせて冷凍室で冷やしかためる。3. かたまったら取り出し、室温で少しやわらかくする。めん棒でたたいてあらくつぶし、さらにめん棒を押しつけて転がす。やわらかくなったら、軍手をして袋の上からもんでつぶす。キウイをそのまま食べると、すっぱさが強い場合があり、子どもは敬遠しがちですよね。このレシピなら簡単なうえ、砂糖で甘みが増し、キウイもたくさん食べられるので、暑い季節にぴったりですね。「子どもの便秘解消のために、食事指導に一番力を入れています」と語る松生先生。うちの子、ちょっとうんちがかたいな、便通がないのにおなかを痛がるなど、便秘が疑われるときは、まず食事や食生活を見直してみましょう。参考図書: 「子どもの便秘は今すぐなおせ」 (主婦の友社)松生 恒夫著 1,200円(税別) 子どもの腹痛・イライラ・学校嫌い…それ、「便秘のせい」かも! ? 「母親が便秘なら子どもも便秘の可能性大! 子どもは約5割が便秘ともいわれているのに、気づかない親が多いのです」。便秘外来で多くの子どもを診療してきた松生恒夫医師が、子どもの隠れ便秘のチェック方法、改善法を紹介します。新生児〜6カ月、6カ月〜3歳まで、3〜12歳、12歳以降ではつまる場所、原因、対策などが違う子どもの便秘。特に幼児~小学生ママ必見の1冊です。
2018年08月29日前回は 帰省中に起こりやすい健康トラブル についてお話しましたが、イベントなどの非日常的な時は健康トラブルが起きやすいものです。今回は運動会をテーマにお話します。春に運動会をする地域もありますが、まだ一定の地域では秋に運動会があるようですね。この時期は、運動会シーズンならではの受診をみかけます。連日の練習で疲れていたり、当日少ししんどくても無理をして運動会に行き体調が優れなくなる子どもたちがいます。では、どんなことに気を付けていけばいいでしょうか。■「熱中症」は日々の疲れがより症状を進行させるので要注意ピークは過ぎたものの、まだまだ暑く熱中症には注意が必要です。連日の練習で疲れもたまっているため、より熱中症になりやすい状況と言えるでしょう。体調が優れなければ練習を休んだり、本番でも休憩をとるという判断が大切です。運動会に行く前や途中の休憩時間にはしっかり水分補給をしましょう。■「食中毒」は炎天下の競技中にどんどん菌が増殖運動会での食中毒はしばしばみかけますが、中でも特に多いのがおにぎり。素手で握ったおにぎりには、黄色ブドウ球菌という菌が付着しています。運動会当日の朝作ったおにぎりに付着した黄色ブドウ球菌は、競技をしている最中にどんどん増殖して毒素(エンテロトキシン)を作ります。この毒素を口にすることで、数時間後に腹痛や下痢、嘔吐といった症状をおこします。対処法は菌をつけない、増やさないこと。直接素手でおにぎりを握らず、ラップや手袋を用いて握ること、涼しいところに保管することです。もちろん、そのほかお肉や卵による食中毒にも注意が必要なため、調理前の手洗いや食材をしっかり加熱することも大切であることは言うまでもありません。■「擦り傷」はほったらかしにせず、化膿に注意転倒による捻挫や骨折などもありますが、ちょっとした傷はそれ以上に多いもの。少し転んだくらいではそのまま競技を続けるかもしれませんが、運動場には土や砂があり決して綺麗ではないので、その後患部が化膿してくることはしばしばみかけます。怪我をしたら、すぐきれいに洗って大人に見てもらうように教えておきましょう。■「喘息」は運動により引き起こされることも気管支喘息はダニや動物の毛、運動場の砂埃などが引き金になるほか、運動そのものがきっかけになることがあります。運動誘発喘息といい、運動後に激しいせき込みや呼吸困難感があるときは運動によって引き起こされている喘息の可能性もあります。これは練習の時点ですでにその徴候は出ています。走ったあとに咳き込んだりするようであれば、医師に相談しましょう。喘息の治療をすることで、せき込みがなくなるほか、運動のパフォーマンスもあがり「走ってもしんどくない」「こんなに早く走れると思ってなかった」と驚かれることがあります。子ども自身が運動は苦手と思っていても、実は喘息が関係していたケースがあります。■「周期性嘔吐症」(自家中毒)は心身への負荷が原因に聞き慣れない病名かもしれませんが、子どもによく生じるもので、周期性嘔吐症という病気があります。繰り返しの嘔吐が突然始まり顔色不良、倦怠感を伴います。いわゆる感染性胃腸炎による嘔吐とは異なるもので、体や心にストレス負荷がかかった時に起こりやすいです。つまり風邪や疲れなど体調不良の時や運動会や発表会で不安や緊張があるとき、逆に遠足前でワクワクして興奮していても起こりやすいのです。これまで発表会などの緊張する状況で嘔吐が見られた子には、同様のことが起こるかもしれません。治療は繰り返す嘔吐による脱水が心配されますので、点滴をすることが多いです(軽症の場合点滴しないこともあります)。点滴をすると比較的早くケロッと元気になるのが特徴で、急にしんどくなる反面良くなるのも早いのです。疲れていたり、食事が十分にとれなかったりしていると起こりやすいので、当日まで体調を十分に整えてあげてください。※嘔吐にはさまざまな原因がありますので、まずは医療機関で診断を受けてください。運動会時期の受診では「明日運動会に行けますか?」「6年生最後の運動会なのでどうしても行かせてあげたいんです」など切実な訴えがあり、苦しい判断を迫られるときもあります。何か起きてからでは遅いですから、本当にしんどければ本番であっても休ませる勇気が必要ですし、当日元気に行けるよう、疲れているときは練習を休むことも大事だと子ども達にも教えてあげてください。安全を確保して、子どもたちにとっても、保護者にとっても運動会がいい思い出になりますように。
2018年08月27日テレビなどで活躍中の医学博士・松生恒夫先生が、新刊 「子どもの便秘は今すぐなおせ」 (主婦の友社)を発売。松生先生は、院長を務める大腸専門のクリニックで子どもの便秘相談が増えていることを受け、子どもの便秘についての本を執筆されました。本の中では、子どもが便秘ぎみになったとき、ママが生活の中でできる食事療法などを紹介しています。気になる子どもの便秘の解消法について松生先生にうかがいました。お話をうかがったのは…松生クリニック院長 松生恒夫(まついけ つねお)先生医学博士。大腸内視鏡検査や生活習慣病としての大腸疾患等を専門とする。30年間で4万人の腸を見てきた腸のエキスパート。なるべく薬に頼らない便秘解消のための食生活指導などを行っている。新刊に「子どもの便秘は今すぐなおせ」(主婦の友社)がある。■子どもの便秘が増えている!? 便秘かどうかを簡単チェック子どもは便秘が習慣化していても、なかなか自分の言葉ではそれを伝えられないもの。それだけに、子どもが小さいうちはママパパがわが子の「うんち事情」をある程度、把握しておく必要がありますね。そこで、子どもの便秘相談が増えていることを受けて、松生先生は次のような「子どもの便秘チェックシート」を考案。「もしかしたら、うちの子、便秘ぎみ?」と思ったら、以下のチェック項目に当てはまるかどうか考えてみましょう。チェックした項目が多ければ多いほど、慢性的な便秘である可能性が高まります。便秘は重大な病気が原因である可能性もあるので、1つでもチェックがついたら、危険な便秘かどうか確認する必要があるでしょう。■赤ちゃんの便秘「離乳食が始まるまでは、親が注意深く観察・発見」新生児から生後6カ月ごろまで(離乳食を始めるまで)、子どもの排便には100パーセント、親の管理が必要。赤ちゃん自身にいきむ力はなく、うんちは腸の反射的な動きで排出されます。オムツ替えをするときに、うんちの色がおかしくないか、うんちに血がついていないかなどをチェックするといいそうです。「赤ちゃんのうんちの管理は、正直とても難しい。まだ話せないのでどういう状態かも教えてくれません。『便秘かな?』と思ったら、肛門を綿棒でそっと刺激するのが有効です。またはワセリンを肛門の入り口に塗って『うんちは怖くないよ』と教えるのもいいですね」(松生先生)もし、4日以上うんちが出ないときは要注意。その場合や血便が出たときなどは自己判断せず、すぐに病院へ連れていきましょう。■子どもの便秘「3歳までに快便習慣を」毎日の“うんちの記録”がおすすめ離乳食をスタートすると、腸内環境が変わり、一時的に便秘になる子も。しかし、1歳になると、大脳が発達して「便意」を感じられるようにななり、「ママ、うんち」としたいときを教えてくれる子も多くなってきます。ただ、大人と同じ食事(普通食)に近づくにつれ、うんちは固くなるもの。排便の痛みによって「うんちはこわい」というネガティブなイメージが子どもにすり込まれてしまうこともあります。「オムツが取れたとしても、まだまだ大人の手助けが必要な時期。やはり多くの家庭でママは司令塔ですから、便秘にならないためにも、食事に気をつけたり、書籍に収録した『うんち日記』のような記録をつけたりすることが大事です。記録をしておかないと、いざ便秘になったとき、何日前からうんちが出ていないのか、わからないですからね。私のクリニックには、20歳過ぎてから便秘で困ってかけ込んでくる患者さんが多いんですよ。聞くとたいてい、もの心ついたころから便秘体質だったといいます。便秘にならないため、子どものころに親御さんができることはあると思いますよ」(松生先生)■子どもの便秘「良いうんちVS悪いうんち」排便で腸内環境を知るでは、子どもの「良いうんち」「悪いうんち」とはどんなものなのでしょうか? 「子どもの便秘は今すぐなおせ」の一部をここで紹介いたします。理想的なうんちは、においの少ない、黄色いなめらかなうんち。かたすぎず、スルリと出てくるバナナ状の便が望ましいそうです。 逆に要注意のうんちは、においが気になる、黒いカチカチうんち。悪臭がして思わず鼻をつまんでしまうようなうんちや、ウサギのフンのようなコロコロしたかたいうんちはNGです。子どもが成長するにつれ、ついつい出したうんちはチェックしなくなるものですが、便秘体質にさせないためにも、ママがトイレで確認する習慣をつけましょう。■猛暑が便秘を引き起こす?「大人も子どもも“大腸が砂漠化”!」記録的な猛暑日が続くこの夏。松生先生にはぜひ子どもを持つママに警告したいことがあるそうです。それは“大腸の砂漠化”。この暑さのせいで本来、水分が多くあるべき大腸がまるで砂漠のように乾燥してしまっているといいます。「この7月は、クリニックの外来で例年の1.2倍の薬を処方しました。毎日、気温35度を超えるような暑さですし、10度以上の寒暖差がある日もあって、大腸が温度変化についていけず、便秘や下痢になる人が増えているのです。大人も子どももたいへんですね。小さいお子さんを持つママ自身も、暑い中、子どもを遊ばせるために屋外へ出て、干からびているのでは。特に便秘で困っている人が増えています」(松生先生) どうして、大腸内の水分が減ってしまうのでしょうか?「実は、水や飲料の水分のほとんどは、小腸で吸収されてしまいます。そのため、大腸には水分を多く含む消化物(食べ物)を送り込むことが必要で、その中は泥状の食物残渣(しょくもつざんさ)で多く占められています。しかし、暑さのせいで食物摂取量や食物繊維摂取量が少なくなったり、発汗量が多くなったりすると、その残渣の量が減少し、大腸内の水分量が減るんです。泥状の残渣は水分が少ないと固形化しやすく、排出しにくくなるわけです。干からびた食物残渣が腸内に蓄積したようなイメージです」(松生先生)簡単に言えば、大腸が水分不足になるので、うんちが固くなってしまうということ。まさに砂漠化で、その原因としては「発汗量の増加」「食事量の低下」があげられるのです。夏バテで食欲がない子どもも多いですが、それが便秘の原因になっているかも? 夏にはよくあることですが、あまり軽く見ないほうがいいでしょう。「放置すると、干からびたような薄い食物残渣がひとつに固まらず腸内に貯留するような状況になり、腸の蠕動運動が低下。腹部にガスがたまりやすくなって、腹部膨満感や排便障害、便秘などが起こりやすくなってきます」(松生先生)暑い時期、子どもが「うんちが出ない」と言ったり、おなかに違和感を覚えている様子があったら「砂漠化」に注意! 病院で診てもらうことを視野に入れ、家庭内でも食事でできる改善策を考えてみましょう。子どもの便秘が続く場合、要注意のうんちが出た場合などは、まずは食生活から見直してみましょう。次回は、ふだんから便秘予防として実践したい食事法をご紹介します。参考図書: 「子どもの便秘は今すぐなおせ」 (主婦の友社)松生 恒夫著 1,200円(税別) 子どもの腹痛・イライラ・学校嫌い…それ、「便秘のせい」かも! ? 「母親が便秘なら子どもも便秘の可能性大! 子どもは約5割が便秘ともいわれているのに、気づかない親が多いのです」。便秘外来で多くの子どもを診療してきた松生恒夫医師が、子どもの隠れ便秘のチェック方法、改善法を紹介します。新生児〜6カ月、6カ月〜3歳まで、3〜12歳、12歳以降ではつまる場所、原因、対策などが違う子どもの便秘。特に幼児~小学生ママ必見の1冊です。
2018年08月25日はじめまして、パパ小児科医(ぱぱしょー)と申します。専業主婦の妻とともに2人の娘(2歳、4歳)を育てています。2人の娘はちょこちょこと熱を出しますし、転んだりして怪我をしたりもします。小児科の知識がある私でも、体調が悪くなると不安になることがありますし、子どもの怪我を全て防ぐことはできません。でも子どもの病気についてちょっとしたことを知っているだけで解消できる不安もありますし、ヒヤリとすることはあっても大きな事故につながらないように予防もできると思います。■子どもを守るための「ちょっとしたコツ」このコラムでは子どもの健康を守るための「ちょっとしたコツ」をお話していこうと思います。第1話は、8月13日お盆に掲載ということで「お盆によくある子どもの体調不良」について解説します。お盆には遠出をして疲れたり、普段は慣れない祖父母宅での宿泊など非日常的なことが多くトラブルや体調不良が起こりやすいです。お盆時期の救急外来にはよく帰省中の方が受診されますが、私がこれまで出会ったケースを中心に振り返ってみます。■その1. 食べ物やホコリのアレルギーアレルギーに関連したトラブルは多いです。例えば卵アレルギーとは知らずに祖父母が誤って卵入りのクッキーを食べさせ、アレルギー症状が出たお子さんがいました。食物アレルギーと診断されている場合は事前に伝えておくこと、また食べたことがないものは与えないようお願いしておきましょう。また来客用の寝具は長期間押入れの中にしまってあるため、使うときにはホコリやダニがたくさん付着してしまっていることがあります。それらを吸い込んでぜんそく発作などのアレルギー症状が出ることがあります。泊まらせてもらう部屋の掃除や布団干しなどをお願いしましょう。貸しぶとんを使うのも一手です。■その2. 人がたくさんいても起こる「転落・誤飲」帰省先には普段子どもがいない場合、住居は子どもを想定したつくりにはなっていません。水を張ったお風呂で溺れたり、高いところから落下したり、ボタン電池やお薬、タバコの吸い殻などを誤飲してしまうなどさまざまな事故が起こります。救急受診される方はとくに「転落」や「誤飲」が多いです。「親戚がたくさんいてみんなが見てるから大丈夫」と考えがちですが、人がたくさんいるからこそ油断は生じやすいもので、意外に大勢で見ていても事故が起こっています。普段と違う環境では予期せぬことが起こります。危険な行動がないか大人が目を光らせるだけでは限界がありますから、事前に誤飲の危険があるものを手の届かないところに片付けてもらったり、転落の危険がないよう安全な場所で遊ばせるよう工夫しましょう。■その3. 風邪長時間の移動などで生活は不規則になり慣れない環境では体調を崩しやすいです。帰省先の救急受診先を調べておきましょう。普段使っているお薬の情報や、ワクチンを受けているかなど情報を整理しておくとスムーズです。帰省荷物にお薬手帳、保険証、母子手帳、普段使っているお薬などを入れることをお忘れなく。受診するべきか悩むときは 子どもの救急ONLINE が参考になります。■その4. 熱中症毎年帰省中の熱中症で受診する子どもに出会います。今年はとくに暑いですから注意してください。とくに子どもは熱中症になりやすいので、クーラーの効いた部屋ですごすようにしましょう。設定温度は家庭によりばらつきがありますが、ここは熱中症になりやすい子どもに合わせて涼しくしてもらうようにお願いしましょう。そしてバタバタしていると忘れがちですが、こまめな水分摂取もお忘れなく!■「大人しか住んでいない家」は危険がいっぱい私は自分の実家に帰省したとき、大人だけの空間がこんなにも子どもにとって危険なものなのかと愕然としました。階段にはベビーガードがありませんし、手の届く高さにガラスの花瓶があったり、子どもがついつい引っ張りたくなるようなテーブルクロス、首が引っかかりそうなブラインドのひも… あれも危険、これも危険、と到着するなり子どもを追い回しながら片付けをしたことを覚えています。自分の実家であれば、片付けたりしやすいですが、義実家ではそうもいきません。パパの実家への帰省の際にはパパが中心になって安全対策をしましょう。この記事では事故の一部の例を紹介しましたが、消費者庁の 「子どもの事故防止ハンドブック」 では、月齢別に起こしやすい事故について詳しくまとめてありますので参考にしてください。■帰省中の「子どものワクワク」を守るために子どもの頃、祖父母の家に行くと久しぶりにいとこに会えたり、おばあちゃんがかき氷を作ってくれたりしてワクワクするものでした。そのワクワクは危険な事故にあわず安全に過ごせていたからかな? といま親の立場になって思います。きっと親や祖父母、おじさん、おばさん、周りの大人たちが目を光らせたり、色々と工夫をしてくれていたのでしょう。子どもを連れての帰省、親としてはドキドキするものですが、そのドキドキこそが子どもたちのワクワクを守っているのだと思います。このお盆中、皆様が事故なく過ごされますように。
2018年08月13日気分変調症/気分変調性障害とは?出典 : 気分変調症とは、比較的軽度の気分の落ち込みが慢性的に続く病気のことを指します。成人期早期に発症することが多く、短くても数年間、ときには一生続くこともある慢性的な経過をたどりやすい病気です。症状があっても、本人は病気ではなく性格的な問題であると考えていることもあり、適切な治療が早期に受けられないこともあります。この病気の症状自体は比較的軽度ですが、就学や就労、家事などの社会的な役割や人間関係など、日常生活に及ぼす影響は、うつ病と同等あるいはそれ以上と言われています。男性と比べると女性のほうが約2倍の確率で発症しやすく、うつ病(大うつ病性障害)や不安障害、パーソナリティ障害などの他の精神疾患と併存する可能性があります。「気分変調症」という名称は世界保健機関(WHO)の『ICD-10』(『国際疾病分類』第10版)診断基準におけるものです。一方、アメリカ精神医学会の『DSM-Ⅳ-TR』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第4版テキスト改訂版)では気分変調性障害、『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)では持続性抑うつ障害という名称となります。これらは名称こそ異なりますが、症状などの内実はほとんど共通します。この記事では、ICD-10とDSM-Ⅳ-TRをひきながら説明致します。参考文献:中根允文ら/監『ICD-10精神科診断ガイドブック 』2013年中山書店/刊気分変調症/気分変調性障害の症状出典 : 気分変調症/気分変調性障害の症状はどのようなものでしょうか?アメリカ精神医学会の『DSM-Ⅳ-TR 精神疾患の診断・統計マニュアル』を参考に、気分変調性障害の方が訴える症状を紹介します。・抑うつ気分がほぼ一日中ある日が多い・食欲の異常(食欲減退か過食)・睡眠障害(不眠か過眠)・気力の低下や疲労感・自尊心の低下・集中力低下や決断困難・絶望感参考文献:高橋三郎ら/訳『DSM‐IV‐TR 精神疾患の診断・統計マニュアル』2003年医学書院/刊これらの症状はうつ病とかなり類似しているため間違えられることもあります。気分変調症/気分変調性障害と併存しやすい病気出典 : 気分変調症はうつ病やパニック障害、境界性パーソナリティ障害などの病気と合併することが多い病気です。以下において、それぞれの病気を簡単に紹介します。うつ病と気分変調症は、症状は非常に類似していますが、うつ病のほうが症状が重いことと、症状が持続する期間がより短い点において異なります。気分変調症とうつ病が合併した状態は「二重うつ病」「重複うつ病」とも呼ばれ、再発率が高く、治療が難しいとされています。気分変調症の診断を受けた患者がうつ病を併発し二重うつ病になる確率は、だいたい40%とかなり高いため、注意が必要です。出典:ハロルド・I・カプランら/編『カプラン臨床精神医学テキスト DSM−4 』2001年メディカル・サイエンス・インターナショナル /刊参考文献:中根允文ら/監『ICD-10精神科診断ガイドブック 』2013年中山書店/刊パニック障害は突然の動悸やめまい、発汗とともに恐怖を感じる精神障害です。また、発作を繰り返すにつれて、「また発作が起こるのではないか」という不安と、「発作が起こる状況に対する恐怖」とを感じるようになります。詳しくは以下の記事をご参照ください。境界性パーソナリティ障害(Borderline Personality Disorder:BPD)は、対人関係や自己に対するイメージなどの広い範囲において、激しく考え方や感情が変化していく特性がある障害です。自己イメージの混乱や見捨てられ不安などの特性があります。詳しくは以下の記事をご参照ください。気分変調症/気分変調性障害は性格なの?出典 : 以前は、抑うつ神経症、抑うつ性パーソナリティなどと呼ばれ、性格的なものであると考えられていました。しかし現在は、性格ではなく病気であり薬物療法の対象であるという考え方が主流です。この病気の症状自体は比較的軽症のため、患者さんにとって日常の一部となってしまい、病気であることに自分ではなかなか気づけないこともあります。そのため、うつ病以上に隠れた疾患であるとも言われています。参考文献:黒木俊秀(2017)/著「持続性抑うつ障害とうつ病の慢性化」『臨床精神医学』第46巻第5号アークメディア/刊性格と間違われやすい「慢性のうつ病気分変調性/参考:性格と間違われやすい「慢性のうつ病(気分変調症)」について|三田こころの健康クリニック新宿HP気分変調症/気分変調性障害の診断基準のポイント出典 : 公的な申請に必要な診断書にも使われる、ICD-10における気分変調症の診断基準のポイントを紹介いたします。・慢性的な気分の落ち込みが2年以上続いていること・数日から数週間程度の回復期間があることもある・気分の落ち込みは比較的軽症であること・以下の項目のうち、3項目以上の症状が存在すること(1)エネルギーあるいは活動性の低下(2)不眠(3)自信喪失あるいは不全感(4)集中困難(5)涙もろさ(6)セックス及び他の快楽をもたらす活動に対する興味あるいは喜びの喪失(7)望みのない感じ,あるいは絶望感(8)日常生活上の日課に対処できないという自覚(9)将来に関する悲観,あるいは過去についての思い煩い(10)社会からの引きこもり(11)会話量の減少(引用:中根 允文ら/訳 『ICD-10精神および行動の障害-DCR研究用診断基準 新訂版』 2008年 医学書院/刊p.98−99)参考文献:中根允文ら/監『ICD-10精神科診断ガイドブック』2013年中山書店/刊気分変調症/気分変調性障害はどのように治療するの?完治はするの?出典 : 気分変調症には画一的な治療法はありません。その人自身の人生の歴史や性格、今置かれている環境などを考慮して、ケースバイケースに対応して行く必要があります。気分変調症の治療では、一般的には抗うつ薬などの薬物療法と並行して、カウンセリングなどの精神療法が行われれるようです。参考文献:黒木俊秀(2006)/著「気分変調症―精神療法が無効な慢性“軽症”うつ病?―」『精神療法』第32巻第3号金剛出版/刊参考文献:阿部隆明(2006)/著「気分変調症」『臨床精神医学』第35巻増刊号アークメディア/刊気分変調症を含め、精神疾患はかなり再発しやすい傾向にあります。そのため、基本的には完全に病気が治ったという意味の完治という言葉を使いません。代わりに、症状が一時的に良くなったり、消えたりした状態を「寛解」と表現し、これを治療の目標とします。わざわざ「寛解」という言葉を使うのは、たとえ服薬などにより調子がよくなったとしても、無理をしすぎず、焦らず今の状態を維持するために気遣う必要があるためなのです。とくに、慢性的な経過をたどりやすい気分変調症は、長い目で経過を見守るという心持ちでいることが大切です。気分変調症/気分変調性障害のある人の生活や仕事をサポートしてくれる制度出典 : 気分変調症は慢性的な疾患で、日常生活や働くうえでも影響が出てくる場合があります。就労で困ったときに使えるサービスとしては、公共職業安定所(ハローワーク)や就労移行支援、就労継続支援などがあります。これらの就労支援サービスについては以下の記事をご覧ください。自立支援医療(精神通院医療)とは精神疾患がある方で、かつ、通院による継続的な治療が必要な場合、その通院医療にかかわる医療費負担が原則1割になる制度です。詳しくは、以下のリンクをご参照ください。自立支援医療(精神通院医療)について|厚生労働省HP気分変調症の方が受けられる自立支援医療以外の経済的な支援などについては以下の記事をご参照ください。仕事や生活などで困った時は、精神保健福祉センターに相談してみることをオススメします。精神保健福祉センターとは各都道府県及び政令指定都市に設置されている精神保健や精神障害者の福祉に関する機関です。こころの悩み全般に専門家がこたえてくれますので、気兼ねなく連絡してみましょう。以下のリンクで全国の精神保健福祉センターを検索できます。全国の精神保健福祉センター一覧|厚生労働省HPまとめ出典 : 気分変調症はたしかに症状としては軽度であるとはいえ、気分の落ち込みなどのつらい症状が長引く病気です。また、その症状が日常生活に及ぼす悪影響は決して軽度ではなく、見過ごして良いものではありません。少しでも気になる症状がある方は、少し勇気を出して、お近くの精神保健福祉センターや精神科・心療内科に相談してみてはいかがでしょうか?自分だけでは見えてこなかった解決策が見つかるかもしれません。
2017年11月25日メディアで話題の心理カウンセラー、心屋仁之助さんとその一門があなたの相談に答える「凍えたココロが ほっこり温まる、心屋仁之助 塾」。今回は、「発達障害の息子の将来が心配」という、きょんちーさん(43歳・パート)に、心屋塾上級認定講師の福田とも花さんからアドバイスをいただきました。■きょんちーさんのお悩み高校一年の息子は、発達障害があり対人不安が強く学校が嫌いです。幼稚園からずっと友達も作れず、言葉がでませんでした。そして小学五年生から不登校を繰り返しており、現在もまた不登校です。病院や相談室などを転々としてきましたが、どこも具体的な解決策が見つかりません。話すことができるのは、母である私と妹、小学五年生のときに優しくしてくれた支援員さんのみです。父親に対しても苦手意識が強いほうです。心配なのは、将来社会参加できるかどうかです。毎日、家事手伝いや散歩、家庭学習をさせてはいますが、本人は外にひとりで外出することができません。母子分離不安も強いので、就職活動もできるかどうか、社会参加できるかどうか心配でなりません。どうしていけば良いのでしょうか。学校の先生たちも病院の先生も手探り状態でどうしたらいいかわからない状態です。父親は他人ごとのようで、もう何もあてにはできません。誰か助けて下さい。※一部、質問内容を編集しています。■心屋塾上級認定講師の福田とも花さんよりきょんちーさん、ご相談ありがとうございます。息子さんのこと、幼稚園の頃からずっと心配で、今は将来についての不安が強くなっているのですね…。突然ですがきょんちーさん、幼稚園生くらいの小さな自分に戻ったつもりで、次の言葉を口に出して言ってみてくださいね。「私、一人で居るのが不安だよ」「お母さんとずっと一緒にいたかったよ」「学校なんて行きたくなかったよ」「お母さん、助けてよ」言ってみて、どんな感じがしていますか? 子どもは、あなたの鏡です。もしかしたら、きょんちーさん自身が、子どもの頃からずっと、一人でいるのが不安だったのではないでしょうか? 誰にも助けてもらえず、ひとりぼっちを感じて来たのではないでしょうか?本当は上の言葉を言いたかったけれど、言ってしまったら、お母さんに迷惑をかけてしまいそうな気がして、怖かったのでしょうか。もしくは、お母さんに話しかけたけれど聞いてもらえず、いま旦那さんに対して感じているように「どうせわかってもらえないんだ」と諦めて、心を閉ざして来たのでしょうか。そのような経験を繰り返して、きょんちーさんは自分のことを、「どうせ誰にも助けてもらえない、ひとりぼっちの人」「どうせひとりでちゃんとできない人」「どうせ他の人と同じようにできない人」「どうせ普通の人より劣っている人」と思い込み始めたのかもしれませんね。そのセルフイメージ通りに、目の前の子どもが、問題を見せてくれているだけなのです。発達障害のわが子が、ペラペラお喋りできて、どんどんお友達を作ろうとしてしまったら、どうなりそうで怖いですか?伝えても伝えても、誰にもわかってもらえない悲しみを、感じてしまいそうですか?発達障害のわが子が、普通に登校してしまったら、何が怖いですか?他の子と同じようにできない劣等感を感じて、傷ついてしまいそうですか?発達障害のわが子が社会に出てしまったら、どうなりそうで怖いですか?誰にも助けてもらえず、一人で困って、悲しい思いをしてしまいそうですか? その不安や怖さは、全部きょんちーさん自身が体験してきたこと。「思い出し笑い」ならぬ、「思い出し怖い」なのです。 では、どうしたらいいのか?今まで信じこんできた「どうせ誰にも助けてもらえない、ひとりぼっちの人」という自分のセルフイメージを疑ってみませんか?ほら、ここで「誰か助けて」と言えたことで、私にはちゃんと伝わりましたよ! 喋ることで、伝えたいことを、伝えることができますね。わかってもらえないこともあるけれど、わかってもらえることもありますね。傷つくこともあるけれど、傷つかないこともありますね。お母さんに話したとき、わかってもらえたと感じたことはありませんか?「どうせひとりでちゃんとできない人」「どうせ他の人と同じ様にできない人」「どうせ普通の人より劣っている人」 自分ひとりでできなかったとき、他の人と違ったとき、「そんなあなただからいいんだよ」と近くにいてくれた人はいませんでしたか?そんなあなただから、選ばれたことはありませんか?そんなあなただからこそ、できていることはありませんか?怖がりで傷つきやすいきょんちーさんがママだからこそ、わが子の繊細な心に、目を向けてあげられているのかもしれませんね。もう、自分で自分を許してあげませんか? あのときのお母さん以上に、実は、自分が自分を一番責めていたりします。「他の人と同じようにできなくてもいい」「ひとりでちゃんとできなくてもいい」「社会や学校に行くのを、怖がってもいい」「怖がりの自分でもいい」どんな自分も自分で許して上げていくと、どんな子どもでも大丈夫! と、信じて見守ることができるようになりますよ。きょんちーさん、怖がりながらも「助けて」と伝えてくれて、ありがとうございました。きょんちーさんを、心から応援しています。 ・このカウンセラーのサイトを見る
2017年06月29日こんにちは! そんたんママです。風邪やインフルエンザが流行っていますね。我が家も数日前息子が熱を出しました。今回は踏みとどまりましたが、大体いつも息子、母、父の順にドミノのように倒れていくのがテンプレートです。子どもがうなされるのを見るのはつらいし、自分にうつるとさらにつらい…! 一緒に横になっていてくれればまだいいですが、ぐずったり、意外と元気で遊びを強要されたりするとこちらもぐったり。小児科の先生に言わせると、風邪のウイルスは100種類以上あるそうで子どもは100回くらい風邪をひくという説もあるのだとか。これがあと90何回あるのか~…と思うと気が遠くなります。でもそうやって免疫をつけていくんだものね。一緒に乗り越えねばね。子どもの免疫が目に見えてたまったら少しは前向きになれるのに。そうだ、ポイントカードをつくろう!そんな訳で今回はちょっと変わった工作、免疫ポイントカードをつくりたいと思います。STEP1 カードをつくろうつくり方はいたってシンプル。厚めの紙を用意して、100個マスを書けばいいだけです。四角でも丸でも書き方はご自由に。母子手帳と一緒に保存できたらいいなと思ったので、ここではきーちゃんの母子手帳と同じB6(広げるとB5)サイズにします。STEP2 スタンプを押そう病気になったらスタンプをひとつ押します。私は消しゴムでバイキンのはんこをつくりました。小さいはんこは100円均一でも手に入りますし、シールでもOK。治ってから子どもにシールを貼ってもらってもいいかも。ついでに日付や病気の内容をメモしておくと、いつどんな病気にかかったかの早見表になります。きーちゃんは2歳までに8個スタンプがたまりました。母の自己満足ではありますが、これ、スタンプがたまるとなぜか結構うれしい…。病気になるのは嫌だけど、いつかスタンプがたまったカードを見たら子どもも自分もがんばったな!と思える日がくるかもしれません。最後に病気にまつわるおまけ話をひとつ。うちの旦那は体が丈夫で、めったに風邪をひかないタイプ。病人の気持ちがわからないのか、息子と私が40度の熱を出してもちっとも看病してくれないので、以前に派手にけんかしたことがありました。子どもができてからは丈夫な旦那もバタバタ倒れるように…。子どものウイルス強し!病気も前向きにとらえたいですが、風邪をひかないに越したことはないですね。まだまだ寒いのでみなさんお体にお気をつけてお過ごしください。
2017年02月07日毎年、インフルエンザやノロウィルスなどの病気が猛威を振るう今の季節。働くママを悩ませるのが、突然の学級閉鎖です。「明日から学級閉鎖」という連絡が来たら、3~4日間は登校禁止。たとえ自分の子どもは元気でも、学級閉鎖になったクラスの子は、学童でも預かってもらえないのが一般的です。いざというとき慌てないために対策を考えておきましょう。■前もってクラスの欠席状況をリサーチクラスで欠席者が何人になったら学級閉鎖になるか、という明確な決まりはありません。インフルエンザやノロウィルスなど、感染力の強い病気で休む子どもがクラスに数人出はじめたら、学級閉鎖を警戒しておいたほうがよいでしょう。突然「明日から学級閉鎖」といわれて慌てないためには、日頃からクラスの欠席状況をリサーチしておくことが大切。「今日のお休みは何人?」「インフルエンザの子はいた?」などと子どもに聞き、できるだけ状況を把握しておきましょう。「もうすぐ学級閉鎖になるかもしれない」という予測ができれば、あらかじめ職場に話をしたり、仕事の量を調整したりできます。また、別の学年やクラスで学級閉鎖になっている場合は、いずれ自分の子どものクラスにも広がる可能性も。ママ友同士でも積極的に情報交換をしておきたいですね。■学童保育の規約を確認原則として、学級閉鎖になったクラスの子どもは、たとえ本人が元気であっても、学童保育で預かってもらうことはできません。ファミリーサポートセンター(ファミサポ)も同様に、学級閉鎖中の子どもは利用NGな場合がほとんど。ただ、潜伏期間を過ぎているなどの条件によっては、学級閉鎖中でも対応してもらえることもあるようです。普段利用している学童やファミサポの規約を、今のうちにしっかり確認しておきましょう。■パパとも連携して乗り切る学級閉鎖の日数は、たいてい4日ほど。1~2日なら何とかなっても、期間中ずっと仕事を休むわけにはいかない、というママもいるでしょう。学級閉鎖は突然の非常事態。ママひとりで何とかしようとするのではなく、パパとの連携が必要です。クラスの欠席状況はパパとも共有し、万が一に備え、パパにも心づもりをしておいてもらって。「明日仕事を休んで」というのは無理でも、「来週のどこかで休んでもらうかも」なら、対応可能なケースも多いはず。学級閉鎖の期間中、前半はママ、後半はパパが休みをとるなど、うまく協力し合って乗り切りたいですね。■ママ友に子どもを預けるのはOK?インフルエンザやノロウィルスなど、学級閉鎖の原因になる病気には潜伏期間があります。たとえ元気でもウィルスに感染している可能性があるため、学校などからも「不要不急の外出は避けてください」というお知らせがあるはず。たとえ親しいママ友であっても、学級閉鎖のときに子どもを預けるのはNG。もし潜伏期間だった場合は、ママ友の子どもに病気をうつしてしまう危険性があります。働くママ同士で交互に預け合う、相手から「預かる」と言ってくれるなど、感染リスクに納得している場合を除き、ママ友に子どもをお願いするのは避けたほうがよいでしょう。■やむを得ず子どもひとりで留守番させるときの注意点どうしても仕事が休めないなどの事情がある場合には、やむなく子どもを留守番させるケースも。小学校4年生ぐらいからであれば、子どもの性格やタイプによっては留守番もできるようになります。だからといって、いきなり学級閉鎖で留守番させるというのは難しいので、前もって練習して留守番できるか確かめたり、子どもとの約束ルールを作ったりする必要があります。留守番をさせる前に、次のようなものを家庭の中で決めておきましょう。<留守番させるときのルール作り>・電話や訪問者への対応方法・ガス、マッチ、ライターなどの火を使わない・子どもだけで外出しない・災害が起こったときにどうするかしっかりしている子どもでも、朝から夜までひとりで留守番をさせるのは心配。半休や早退、祖父母に応援を頼むなどして、できるだけ留守番の時間は少なくしてあげたいですね。ただし、学校によっては、学級閉鎖が起こった場合には、ひとりでの留守番を禁止するというところもあります。なぜなら今現在は、発症していなくてもいつ発症するかわからない要観察期間であるからです。日ごろから子どもの体調をチェックし、留守番できる状態かどうか十分注意して判断する必要があります。クラスの欠席状況で決まる学級閉鎖は、いくら子どもの健康管理に気をつけていてもどうにもなりません。できるだけスムーズに仕事と両立できるよう、しっかり考えておきたいですね。
2017年02月05日多くの赤ちゃんは、5ヶ月を過ぎたころから、何でも口に入れて確認しようとします。ほんのちょっと目を離したすきに、食べもの以外のものを口に入れて飲み込んでしまうことも。あらかじめ、身の回りにある「誤飲しやすいもの」を知っておきましょう。まずは、一般的に注意が必要だといわれているものから紹介していきます。■誤飲しやすい身の回りの生活用品・ティッシュ・紙・砂・子ども用クレヨン・ねんど・石けん・乾燥剤のシリカゲル・小さいオモチャ・お線香・中性洗剤これらは、赤ちゃんの周辺によくあるものなので、口に入れてしまうところを見たことがあるかもしれません。たとえ飲み込んだとしても大きな問題とならない場合もありますが、含まれている成分や飲み込んだ分量などによっては、体への影響が懸念されることもあります。赤ちゃんの様子が気になる、判断がつかない、大量に飲み込んだ場合は、必ず医療機関を受診しましょう。■要注意! 早急な処置・受診が必要なもの・タバコ・大人の薬・画びょう・防虫剤・マニキュアの除光液・漂白剤・酸性・アルカリ性の洗剤・ボタン乾電池これらを飲み込んだ場合、中毒になったり、体内に傷がついたりする可能性があるため、すぐに応急処置をして医療機関を受診する必要があるといわれているものです。応急処置の方法は、ものによって異なります。誤飲の対応方法については、日本小児科学会によるサイト「こどもの救急」をぜひ一度はご覧になってください。ただ、ママが、緊急の場合にとっさに対応できたり、判断ついたりしないことも考えられます。赤ちゃんが危険なものを飲み込んだ可能性があり、対応に迷ったときは、地域の小児救急相談、中毒110番などの窓口に電話をして、相談しましょう。赤ちゃんの緊急事態はいつ起こるかわかりません。中毒110番、小児救急電話相談などの連絡先の番号や受付時間を、家の中のわかるところに貼っておくことをおすすめします。<相談の電話のときに伝えること>1.「何を」「どれ位の量」飲みましたか?2.吐きましたか? 吐いた場合、何回吐きましたか?*飲み残しの容器、吐いたものなどをとっておき、受診の際に持っていきましょう。出典: 「ONLINE QQ こどもの救急」 ■まさか! 見落としやすい意外なものここまでに紹介したものについては、注意を受ける機会も多く、見るからに危険そうだったり、いかにも赤ちゃんが飲み込みそうだったりするため、比較的気をつけやすいかもしれません。しかし赤ちゃんは、大人の視線だと考えもしないもの、大人が意識していないものを口に入れることもあります。次に、私や周囲の子たちが実際に口に入れた、ちょっと意外なものを紹介します。・ほこり赤ちゃんが何か拾って食べていると思ったら、部屋の隅に落ちているほこりを黙々と口に運んでいた…。そんな話は意外とよく耳にします。口に入れないよう気をつけるとともに、念入りに掃除しておきたいですね。・床に落ちた米粒赤ちゃんには「床に落ちたものは汚い」という感覚がまだないので、床や地面に米粒やお菓子のクズが落ちていると、反射的に食べてしまいます。飲み込んでも危険は少ないですが、周囲にお行儀が悪い印象を与えるので、食事の後はテーブルの下をチェックして、赤ちゃんに見つかる前に片づけておきましょう。・自分のウンチオムツを替えて、ママが新しいオムツを取ろうと手を伸ばした一瞬のすきに、自分のウンチを少し食べてしまった子も! 赤ちゃんには、「ウンチ=汚い」という感覚もありません。そのため、こんなまさかの事態が起こることもあるのです。・お酒、洋酒入りのチョコアルコール類は、大人にとっては危険なものではないのでつい油断しがち。赤ちゃんの手の届くところには置かないようにしましょう。もし赤ちゃんが飲んでしまって、様子がおかしい場合はすぐに医療相談へ。・お金(硬貨、お札)これも盲点。大人にとっては物品というより「貨幣」なので、注意の対象から外れてしまうことがあります。好奇心おう盛な赤ちゃんが、ママのお財布を開けて中身をチェックするのはよくある話。さらに、そのついでにお札や硬貨を口に入れることも…。お札は、紙質が硬めで破れにくいせいか、食べてしまったという話はあまり聞きませんが、赤ちゃんがなめると不衛生ですし、ボロボロになりやすいものです。一方の硬貨はのどに詰まらせる場合もあるので、注意が必要。のどに詰まらせたらすぐに吐かせ、飲み込んだ可能性がある場合は受診を。いずれにしても、お金をさわって遊んでいたら、早めに気づいてやめさせましょう。この時期の赤ちゃんは、手が届くところにあれば、何でも口に入れるもの。今回紹介したもの以外にも危険なものはたくさんあるので、油断しないようにしましょう。ずっと注意しているのは大変ですが、何でも口に入れてしまう時期がいつまでも続くわけではありません。個人差がありますが、1歳半頃には、大半の赤ちゃんが、食べもの以外は口に入れなくなるようです。身の回りの危険を意識しながら、赤ちゃんの成長を温かく見守ってあげたいですね。<参考>・ 公益財団法人 日本中毒情報センター たばこや家庭用品によって起こる中毒情報が掲載されています。中毒110番の電話情報サービスも掲載。・日本小児科学会によるサイト「 こどもの救急 」夜間、休日など時間外に病院に子どもを連れていくかの判断目安や気になる症状について説明しています。
2016年12月31日いまや社会的な問題となっている肥満。最近では大人だけでなく、子どもの肥満の問題も増加傾向にあるようです。小さいうちからの生活や食事の習慣が、将来の肥満リスクを招く原因になることもあるのだとか。気づかないうちに子どもの肥満リスクを高めてしまっていないか、普段の生活習慣を見直してみましょう。■夜更かし&睡眠不足子どもの健やかな成長には、睡眠が大きな関わりをもつということはよく知られています。さらに睡眠は、子どもの将来の肥満リスクにも影響するのだとか。睡眠不足になると、食欲や、脂肪の蓄積を抑制する「レプチン」というホルモンの分泌が低下し、反対に食欲を増進させるホルモン「グレリン」の分泌が増加するといわれます。また、夜更かしをして起きている時間が長くなると、それだけ間食を食べる機会も多くなりがちです。子どもの肥満防止のためには、生活リズムを整え、きちんと睡眠をとることがとても大切だといえます。■おやつを袋ごと与えるおやつにスナック菓子などを食べるとき、大きな袋ごと子どもに渡してはいませんか?お菓子を袋ごと渡してしまうと適量が分からずに食べすぎてしまい、一度に全部食べきってしまった、なんてことも。市販のお菓子は袋ごと与えずに、食べる分だけを皿などに取り分けるようにしましょう。子どものうちは、間食も食事の一部。栄養バランスをとるために、スナック菓子ばかりではなく、乳製品やフルーツなどと組み合わせるのもおすすめです。また、お菓子などの買いだめはできるだけ避けて。子どもがいつでもお菓子に手が届く環境をつくらないようにしましょう。■家のお手伝いをさせていない現代の子どもは、昔に比べて運動量が減っているといわれています。環境によっては外遊びができる場所も少なく、友達と遊ぶ際もテレビゲームなど座ったまま、ということも珍しくありません。さらに、子どもにあまり家のお手伝いをさせていないと、運動不足に拍車をかけることになってしまいます。「お手伝いよりも勉強」と考える家庭もあるかもしれませんが、少しでも体を動かすため、役割を決めて積極的にお手伝いをさせるようにしてみましょう。運動不足が続くと、体を動かすことそのものが億劫になってしまいます。ポストまで郵便を取りに行く、お風呂掃除をする、など、まずは簡単なお手伝いからはじめてみてはいかがでしょうか。■整理整頓の習慣がない部屋が汚い人は太りやすいといわれます。それは、「面倒だから後回しにしよう」という気持ちが食生活にもあらわれるほか、散らかった部屋が知らず知らずのうちにストレスになって食べすぎてしまうからなんだとか。子どものうちからきちんと整理整頓をする習慣をつけておかないと、大人になっても部屋が汚いままになってしまう可能性も。また、リビングなど家族の共有スペースがいつも散らかっていると、その状態を「当たり前」と思いながら育ってしまい、片づけられない大人になってしまうかも。小さいうちからきちんと、「使ったものは片づける」という習慣づけができるように心がけましょう。子どもが片づけやすいように、収納の場所や高さも工夫してあげるのも効果的です。子どもの肥満リスクには、食事の内容や量だけでない、意外な要因が関係していることも。子どもの将来の健康のために、思い当たる点がないかチェックしてみてくださいね。(かとうともみ)
2016年09月30日●連載の目次は こちら から●発達障害についての基本的な知識を持っておくことで、当事者(母や子ども)は、随分と楽になる。それは私が実体験を通じて感じていることだ。けれども、知識があったとしても、やっぱり発達障害の子を育てるのは大変! 最終回の今回は、私のそんな心境を綴ってみます。■「発達障害」の子育ては疲れます発達障害についての特集記事を、さもわかったように書いている私。けれども、私自身、いまだに「発達障害の子を育てること」と完全に折り合いがつけられているわけではない。発達障害の子を育てるのは、普通の子育てより疲れる。それは、紛れもない事実だ。少し息子の調子が良いと、その事実を忘れてしまう。そして、普通の子のようなつもりで接していると、ある日ドカンと現実を突き付けられ奈落の底に突き落とされる。そんなことの繰り返しだ。 ■専門家と繋がろう子どもに親が「キレる」ことが多くなったら、そろそろ限界値。赤信号が点滅していると思い、早めに周囲にSOSを出すよう心がけている。私が頼りにしている方々は、今のところこんな感じだ。・家族・保育園の園長をしている友人(専門知識のある一般人)・司馬先生(専門知識のある医師)・小学校の担任の先生・小学校の特別支援学級(通級)の先生(専門知識のある教員)最初に相談する相手は、発達障害についての知識がある人のほうが良いと思う。たとえば、ママ友に愚痴を言ってガス抜きをするのは大切なことだが(私も、よくやっている)、それはあくまで、「ガス抜き」でしかない。「うちの子、発達障害かも!?」と気になっているのであれば、 しかるべき相談窓口 に、一度行ってみたほうが回り道をすることなく、適切な対応策に辿り着けるのではないかと思う。 ■1人で抱え込まないで!「周囲に助けを求められるかどうか?」は、発達障害の子育ての肝だと思う。繰り返すようだが、「発達障害」の子育ては疲れる。「キレイごと」では、どうにもならない現実の毎日がそこにはある。「もうイヤだ!」と思うことがあるのは、当たり前だ。そんなときは「良いママでなければ!」と一人で抱え込まず、周囲に助けを求めよう。私は、夫や長男に「ママを閉店します」と言い置いてプチ家出をしたり、小学校に行って、「最近、大変です」と状況を正直に話して、担任や通級の先生に支援を仰いだりしている。月1回の司馬先生の診察は、自分を客観視できる良い機会になっている。先日、保育園の園長をしている友人にSOSを出したところ、物言いのストレートな彼女からは、「(虐待だと)通報されない程度に、頑張れ!(笑)」と言われた。「すごい励まされ方だなぁ」と笑ってしまったが、しんどいときは、うんとハードルを下げて自分の生活を眺めてみることも効果がある。「頑張りすぎないようにしよう」。そう日々、自分に言い聞かせている。頑張りすぎて、母の心が不安定になるようでは、本末転倒。お母さんの一番大切な役割は、毎日、機嫌よく過ごすこと。そして、わが子をいつくしむことだと思うから。
2016年07月17日●連載の目次は こちら から●発達障害についての基本的な知識を持っておくことで、当事者(母や子ども)は、随分と楽になる。それは私が実体験を通じて感じていることだ。今回は、私が質問されて答えに困った「発達障害の診断」について、軽度の発達障害クリニックの院長である、司馬理英子先生にお話を伺った。■診断はレッテルを貼るのではなく、対処法を知るため私は息子を支援学級に通わせていたので、ママ友から子育ての相談を受けることがある。そのときに、よく聞かれることは、「発達障害の診断を受ける必要ってあるの?」ということだ。発達障害は病気ではなく、「脳の発達のかたより」。そうだとすれば、「診断は本当に必要なのか?」と思ったり、「わが子に、発達障害のレッテルなんて貼りたくない」と思ったりするのは当然のことだと思う。「診断は子どもにレッテルを貼るためのものではなく、それによってどんなことで困っているのかを教えてくれるものです」(司馬先生)診断は、いわば大きな方向つけ。「これから何をするのか?」「どんな対処方法があるのか?」を考え始めるスタート地点の指標のようなものだ。もちろん、わが子を育てる作戦(司馬先生は、よく“作戦”という言葉を使われる)を立てるのに、診断を受けるだけでは充分ではない。 ただ、ADHDといってもどんなタイプなのか、その子の能力のどんなところにどう影響しているのか、それらがわかればわかるほど作戦(対策)は立てやすくなる。また診断することによって、子どもが専門家から的確なアドバイスを受けられるほか、親が本や勉強会などから、ピンポイントで情報を得ることもできるようにもなる。■診断を受けるための一般的な経路「発達障害かどうかが気になるのだけれど、誰にどんなふうに相談すればよいかわからない」これも、よく相談される内容だ。一般的には、まずは学校の担任の先生に相談するのが良いだろう。学校には、週に1~2回ほど来て、子どもや保護者の相談に乗ってくれるスクールカウンセラーという職種の人もいる。また、自治体の教育相談所や教育センターなどで、相談業務を行なっていることもある。最近では、発達障害の診断や治療の経験がある小児科の先生も増えているので、かかりつけの医院の先生に相談してみてもよいだろう。■大切なのは、早く気づいて二次障害を防ぐこと私が相談を受けたときに必ず言っていることは、「発達障害の子を育てるのは、すごく大変だし、一緒に生活するのはしんどいよね。でも、発達障害の子を育てる上で、一番大切なのは、二次障害を防ぐことだと私は思っている。診断を受けることで、子どもの特徴に早く気づければ、必要とする支援がわかり、より二次障害を防ぎやすくなると思うよ」ということ。二次障害とは、発達障害に対する対応が十分に行われないために、二次的に起こる問題のことだ。たとえば、学校に行くのをイヤがったり、学校に行けなくなったり、うつ状態になって元気がなくなったり、親にひどく反抗したりというのが二次障害だ。発達障害の子は何かにつけて叱られることが多く、「ぼく(私)はダメなんだ…」というように自尊心が低下しがち。いったん二次障害が起きると、もともとの発達障害そのものへの対応以上に、扱いが難しいこともよくあると言われている。次回は、最終回。「発達障害の子育ては疲れます」です。
2016年07月17日●連載の目次は こちら から●ひとことで「発達障害」と言っても、その状態はさまざま。基本的な知識を持っておくことで、当事者(母や子ども)は、随分と楽になる。今回はさまざまな発達障害について、軽度の発達障害クリニックの院長である、司馬理英子先生にお話を伺った。「 発達障害って、何? 」で、発達障害には、おもに以下の3つがあるとお伝えした。今回はその内容を、もう少し詳しく見ていこう 1.不注意・多動性・衝動性が目立つ 「ADHD(注意欠如・多動性障害)」2.人との関わりが難しい「アスペルガー症候群」など「自閉症スペクトラム障害」3.特定の領域の学習がうまくいかない「LD(学習障害)」「発達障害のわが子」と向き合う本(司馬理英子/大和出版) ■ADHD(注意欠如・多動性障害)とは?不注意・多動性・衝動性を特徴とする。たとえば、忘れっぽくて集中力が乏しく、宿題などをしているときに気が散りやすい。落ち着きがなく、いつもそわそわしていて、順番を待てずなんでも我先にとやりたい。こんなふうに、年齢に応じた「注意力や行動・衝動などのコントロール」がうまくできない。そのため、毎日の生活習慣や学校での活動を行うのに苦労をする。■「アスペルガー症候群」など「自閉症スペクトラム障害」とは?「アスペルガー症候群」を含む「自閉症スペクトラム障害」の特徴はおもに「人との関わりの困難さ」にある。言葉やしぐさなどコミュニケーションをする力にかたよりがあり、興味を持つ範囲が狭く、興味のない活動には取り組めない。こうしたこだわりの強さがあるため、毎日の生活がスムーズに進まないこともある。「広汎性発達障害」や「自閉症」も「自閉症スペクトラム障害」に含まれ、なかでも言葉の遅れが見られないものは「アスペルガー症候群」と呼ばれている。 ■LD(学習障害)とは?LDでは特定の学習能力の困難さが見られる。全体的な知的発達に遅れがないのに、特定の学習能力での遅れが、小学校の低学年では1年程度、高学年では2年程度見られる場合に診断される。文章を読むことが困難な状態を「読字(どくじ)障害」、鏡文字が多く見られ、漢字や作文などを書くことに関する遅れを「書字(しょじ)障害」、計算または文章問題など算数の学力がほかの科目に比べて低い場合「算数障害」と言いわれる発達障害は決してまれなものではなく、多くの子どもにみられる。ADHDは5%、アスペルガー症候群などの自閉症スペクトラム障害の子どもは1~2%、LD(学習障害)は10%程度いると言われている。わが子に、こういった傾向を感じるとしたら、まずは本などから子どもへの対応の仕方を学んでみるのも一手だ。たとえば、『「発達障害のわが子」と向き合う本』(司馬理英子/大和出版)は、「ADHDの子どもの特徴」「ADHDの子育てのヒント」「アスペルガー症候群の子どもの特徴」「アスペルガー症候群の子どもの子育てのヒント」と、こどもの傾向別に説明と対処法の項目が分かれており、とても読みやすい。本などから得た情報で、少しでも子育てが楽になったら、ハッピーなことだと思う。また、本を読むことが、子どもへの支援を次の段階に深めるキッカケになるかもしれない。<次回は、「発達障害の診断を受けることは必要?」です。>
2016年07月17日●連載の目次は こちら から●正しい自己認識を持つこと。つまり、発達障害についての基本的な知識を持っておくことで、当事者(母や子ども)は、随分と楽になる。それは私が実体験を通じて感じていることだ。そこで、「発達障害って、何?」という基本的な疑問について、軽度の発達障害クリニックの院長である、司馬理英子先生にお話を伺った。■発達障害は「しつけ」や「育て方」が悪いわけではないほかの子に比べ、手のかかるわが子。「やっぱり、私の育て方が悪いのかしら?」と思ってしまうママもいるだろう。「夫に『子どもを甘やかすからだ』と言われる」「忙しくて充分にかまってあげられないからかな?」など、子育てがうまくいかないと、ママは自分を責めがちだ。けれども、「発達障害は、しつけの問題ではありません。多くの場合、生まれつきのものです」と、司馬先生は言う。生まれつきといっても、もちろん、生まれてすぐわかるわけではない。たとえばADHDなら幼稚園や保育園くらいまでは「活発で元気な子」という印象で、小学校に入り、生活の中心が勉強になってくると特徴が目立つ。また、アスペルガー症候群の場合は、赤ちゃんの頃から手がかかる子もいるが、「ちょっと違和感があるな」くらいの子も多い。だからこそ、難しいのだと思う。なぜなら、早い段階から障害に気づければ、親の側も「そういうものだ」と思い、ある意味、納得して育てられる。けれども、「ちょっと変わっているかな?」くらいだと、子どもの問題なのか、親側(しつけ)の問題なのか? というあたりで、ママがひとりで問題を抱え込み、グルグルと悩んでいることも多いからだ。■発達障害は病気ではない 前回 でも話したとおり、「発達障害とは、脳の発達のかたより」だ。発達障害の子どもは、すべての能力に問題があるわけではなく、“特定のある部分の発達だけ”がほかの子どもに比べて遅れている。「発達障害は、病気というわけではありません。脳の発達にかたよりがあったとしても一生がそれで決まってしまうというものでもありません」(司馬先生) ■わが子の特徴に気づいて、必要なサポートをする一般的な発達をとげている子ども(定型発達の子ども)に比べて、ある能力の発達のかたよりが目立っていて、そのために子どもが「生きづらさ」を抱えている場合、学校や家庭での状況、発育歴などのさまざまな情報を元に、発達障害かどうか?を見てみよう。たとえば、「忘れ物」。ADHDの子によく見られる忘れ物は、どの子も多少あるものだが、毎日いくつも忘れものをしていれば、そのために困ることがたくさん出てくる。個性といって片付けてしまうには困難さが際立っている場合、発達障害の診断がつけられる。「発達のかたよりに気づき、早く対処することによって、日常において困ることをずいぶんと減らすことができます」(司馬先生)発達のかたよりは、裏を返せば長所となる場合も少なくない。かたよりに早く気がつけば、子どものいい部分を生かしたり、得意な分野をしっかり伸ばしたりすることに、親子でエネルギーを使うことができる。「だからこそ、早めにわが子の特徴に気づいて、必要としているサポートをしていくことが大切なのです」(司馬先生)次回は、「発達障害のさまざまな種類」を少し詳しくみていこう。
2016年07月16日●連載の目次は こちら から●正しい自己認識を持つこと。つまり、発達障害についての基本的な知識を持っておくことで、当事者(母や子ども)は、随分と楽になる。それは私が実体験を通じて感じていることだ。そこで「発達障害って、何?」という基本的な疑問について、軽度の発達障害専門クリニックの院長である、司馬理英子先生にお話を伺った。■発達障害は、いわば「発達のかたより」育てにくいわが子。私の気にし過ぎかもしれないけれど、ちょっと心配。ママ友に相談すると「うちもそうよ。大丈夫」なんて言われて、「そうかな?」と安堵する。けれども、また別の日には、「これって、やっぱり普通じゃないよな」と思う。「でも、これはこの子の個性で、私の我慢が足りないのかもしれない」。そんな無限のループを、頭の血管が擦り切れるほど何年もグルグルと考え続けていた私。そうした状況にあった私に、司馬先生の発達障害の説明は、非常に腑に落ちるものだった。まず、発達障害の定義だが、「発達障害とは、いわば“発達のかたより”です。最近の考え方としては、全体的な知能の発達には問題がなく、以下のような特徴がある子どもを発達障害としています」(司馬先生)1.不注意・多動性・衝動性が目立つ 「ADHD(注意欠如・多動性障害)」2.人との関わりが難しい「アスペルガー症候群」など「自閉症スペクトラム障害」3.特定の領域の学習がうまくいかない「LD(学習障害)」「発達障害のわが子」と向き合う本(司馬理英子/大和出版) 発達「障害」と書くと、「障害」という言葉から重々しい感じがするが、症状の度合いは重いものから、「診断名をつけるほどではないけれど、特徴が見られる」という軽いものまで幅がある。 ■「発達障害の特徴があるかもしれない」という見方をしてみるママたちがいちばん気になるのは「うちの子が発達障害なのかどうか?」ということかもしれない。けれども、発達障害であったとしても、なかったとしても、子育てがうまくいかないのであれば、子どもの特徴を把握し、ちょっとした工夫をすることで、日々の生活は随分と楽になる。つまり、「もしかしたら発達障害の特徴があるかもしれない」という見方をしてみるのだ。■子どもの特徴に合わせた丁寧な関わり方司馬先生が教えてくださった「発達障害の子育て法」は、子どもの気持ちを尊重し、子どもの特徴に合わせた、子どもへの、より丁寧な関わり方だ。発達障害のない子どもは、さほど手をかけなくても自力で成長していけるが、それでも関わり方を丁寧にしてやることに越したことはない。つまり、子どもが発達障害でなくても、ちょっと似た部分はあるけれど診断されるほどではないというレベルでも、発達障害であっても、同じように使っていける子育て法なのだ。「発達障害かもしれないと怖がってばかりいないで、その子の特徴を見極め、その子に合わせたオーダーメイドの子育てしてみては?」というのが、司馬先生からの提案なのである。<次回は、「発達障害は、“しつけ”の問題なの!?」です。>
2016年07月16日●連載の目次は こちら から●息子を、発達障害専門クリニックである司馬クリニックで診てもらうことにした私。クリニックを受診するための問診票を書いて、診断日当日を迎えた。診察を受けて、いよいよ診断を「宣告」されると思っていたが…。■診断を受けたときの様子(私の場合)軽度の発達障害専門クリニックである司馬クリニックで、わが家は以下のような流れで診断を受けた。(クリニックによって違いがあると思うので、参考程度に)・臨床心理士の親への聞き取り:約30分・子どもの認知力検査:約1時間~1時間半・医師と子どもの面談、診察(親が同席):約20分・親への話:約30分すべての診察が終わって、親への話の時に、司馬先生は、こんなふうにおっしゃった。「湧太くんをフォローする方法は、いろいろありますよ。クリニックに通って、少しその方法をお勉強してみますか?」いよいよ診断名を宣告されると思っていた私は拍子抜けして、思わず聞いた。「あの、先生、うちの子は発達障害なんでしょうか?」「まぁ、そういうことではありますね」と、サラリと先生はおっしゃった。■診断は、対処法を知るためのもの後になって、司馬先生に聞いてみたことがある。「最初の診断時、先生は私が聞かなければ診断名をおっしゃいませんでしたよね? あれはなぜですか?」と。先生曰く、「診断名を親御さんにお伝えするかどうかは、ケースバイケース」なのだそうだ。発達障害をフォローする方法論は、かなり確立されている。診断があることで「これから何をするのか?」「どんな方法があるのか?」が見えてきやすくなる。司馬先生は言う。「診断名をお伝えするということは、たとえるならば、“ここにいけば、便利な道具がたくさん売っているよ”という○○商店というお店屋さんの名前を紹介するような感じです」けれども、診断がついた(お店の名前を教えてもらった)ということに、とてもショックを受けるお母さんも、もちろんたくさんいる。「いろいろなお母さんがいらっしゃいますから、とくに診断名をお伝えしないのが私のスタイルなんですよ」と、先生は優しく教えてくれた。 ■いちばん最初に抱いた感情は「安堵」私自身は、診断を受けてどう思ったか? それを思い出そうとすると、ある情景が思い浮かぶ。それは、診察(診断)を受ける日の朝の景色だ。司馬クリニックは、ビルの4階にある。4階分の階段を上るので、私はちょっと息切れしていた。階段を上り切って、クリニックの扉が見えた。季節柄だったのだろうか、クリニックのドアが少し、風が入るような感じで開いていた。もし、あのとき、クリニックのドアがピッチリ閉じていたら、私は扉を開く気力があっただろうか? 多分、そんな気力はなかったと思う。深い森の淵にひとりでいるような、そんな心細さがあった。「できうる限りの方法で、湧太をフォローしたい」という気持ちは芽生えていたものの、それは余りにも頼りなく柔らかい“芽”でしかなかった。 それでも、私は自分から息子の診断名を聞くことを選んだ。「思わず聞いてしまった」という方が正しかったのかもしれない。私が息子の診断を聞いたときの気持ちを、的確に表現している文章があったので、引用しておこう。人間は、大人も子どもも、自分自身の欠陥について知ると、なぜか安心する。なぜなら、生まれて初めて、自分が学校や上司などの欲求に対応できずに苦しんでいた理由と、その問題を克服するにはどうすればよいかがわかるからだ。彼らは自分を許せるようになり、(中略)自分を罪人視しなくなった。正しい自己認識は開放であり、許しなのだ。メル・レヴィーン・著/『ひとり ひとり こころを 育てる』より 正しい自己認識は開放であり、許し。まさに、そんな感じだった。ずっと、ずっと、「どうして、(この子の子育ては)上手にいかないのだろう?」と思っていた理由がわかったとき、一番、最初に感じた感情は「ああ、だから、そうだったんだ」という安堵感だった。この経験を通じて、私は正しい自己認識を持っておくこと。つまり、発達障害についての基本的な知識を持っておくことは、当事者(母や子ども)の気持ちを落ち着かせるためにとても重要だと思うようになった。次回以降は、司馬先生の協力を得て「発達障害の基礎知識」について書いてみる。
2016年07月15日●連載の目次は こちら から●「就学相談のお知らせ」に書いてある電話番号(市役所の教育支援課)に電話をして、市の発達相談の窓口である教育支援センターに電話をした私。支援センターで検査をし、結果と今後のサポートについて聞いたが、何となく心もとない。そこで、軽度の発達障害を専門とするクリニックである、司馬クリニックを受診することにした。■診断結果を知りたい!教育支援センターで検査を受けて、検査結果と、湧太に対してのサポートの方法はわかった。けれども、私が知りたかったのは、「湧太が発達障害かどうか?」という「診断」だということに、自分で気がついた。教育支援センターで得られる検査結果だけでは、当時の私には心もとなかったし、支援センターは医療機関ではないので「診断」ができないのも知っていた。このあたりになってくると、表現は変かもしれないが「毒を食らわば、皿まで」という気分になっていた。「この状態が何なのか知りたい。知ったうえで、私ができうる限りの方法で湧太をフォローしたい」という気持ちが芽生えていた。そこで、教育支援センターの方に、軽度の発達障害の専門クリニックである司馬クリニックを紹介してもらったのだ。■「特別支援学級(通級)」と「発達クリニック」ここで「特別支援学級(通級)」と「発達クリニック」について、少し触れておきたい。特別支援学級の保護者会で、そこにいるママ友から、よく「発達クリニックに通っているの? どうして?」「発達クリニックに通って、何をしているの?」といったことを聞かれた。そのとき、私が思ったのは「子どもが特別支援学級に通っているからといって、発達クリニックを受診している家庭というのは、意外と少ないんだな」ということ。私は最初から発達クリニック受診まで突き進んだが、そうでないママたちもたくさんいる。「就学相談のお知らせ」に電話をすると、「発達障害の専門病院に行くのを勧められるのではないか?」と思っている人もいるかもしれない。でも、支援学級に通う子でも、必ずしも発達クリニックを受診しているわけではない。このことを知っていると、「就学相談のお知らせ」に電話をする心のハードルは、少し下がるのではないか? と思う。話を、私のクリニック受診に戻そう。 ■発達クリニックの診断の流れ(私の場合)司馬クリニックを受診するためには、診察の前に14ページにも及ぶ問診表を書いた。診断のためには、小さい頃からの発達の様子、学校での適応などを詳しく知る必要があるからだ。その資料を事前に送った上で、当日は下記のような感じで検査が進んだ。クリニックによって違いはあるだろうから、「こういった流れもあるんだな」という参考程度にして欲しい。・臨床心理士の親への聞き取り:約30分・子どもの認知力検査:約1時間~1時間半・医師と子どもの面談、診察(親が同席):約20分・親への話:約30分 <次回、「息子が発達障害の診断を受けたとき」に続きます。>
2016年07月15日●連載の目次は こちら から●マイペースで癇癪(かんしゃく)持ちの湧太の育児は大変で、「これって、普通なのかな? それとも…」というモヤモヤを、ずっと胸に抱えていた私。年長さんの7月のお泊り保育で、集団の和を乱した湧太を見て、副園長先生から「彼は気をつけてあげないと」と指摘を受けた。■もしかしたら発達障害かもしれない何となく「発達障害」という単語は気になっていたが、実際に調べてみることはなかった。「そうだったら、どうしよう」と怖かったからだ。でも、副園長先生に「彼は気をつけてあげないと」と言われ、このときばかりは、「怖いとか言っている場合じゃない!」という気持ちになり、初めてインターネットで「発達障害」について検索をしてみた。ネットで調べれば調べるほど、湧太の普段の状態は、発達障害の子そのもの。その日、子どもを寝かしつけた後、どれくらいネットサーフィンをしていたのかは記憶にない。気がついたら、夜が白々と明けていた。明け方、寝ている夫の枕元で、「ねぇ、パパ。湧太は発達障害かもしれないよ。調べれば調べるほど、湧太の状態にそっくりなの」と言いながら、泣き崩れた。■「就学相談のお知らせ」に電話をしてみるそのときに夫は「だったら、何なの? 湧太は湧太だろう」と、しっかりと受け止めてくれた。翌朝、夫の言葉に勇気づけられて、以前、幼稚園からもらった「就学相談のお知らせ」に記載されている電話番号(市役所の教育支援課)に電話をしてみた。電話口の対応は、「よくお電話してくださいましたね」と優しく包み込むような感じだった。けれども、そのときに感じたことは「発達障害の子どもがいる親だと思って、優しくされているんだ。かわいそうだと思われているに違いない」というものだった。電話はしてみたものの、「その先」に進むのはためらわれ、相変わらず気持ちは行ったり来たりしている。何の悪気もない(というか、むしろ気遣ってくれている)教育支援課の人の言うことに、わけもなく過敏に反応している。今、思えば、すごく、すごくナーバスになっていたと思う。「もしかしたら、わが子が発達障害かもしれない」という方向に一歩足を踏み出したこの頃は、心理的な葛藤が強く、つらかった。このあたりの話を書き出したら長くなるので、話を進めよう。 ■「WISC-III」という検査をするさまざまな葛藤の後、再度教育支援課に電話をし、子どもの発達が心配な人の受け入れ窓口である、市の教育支援センターで面談を受けることになった。専門家に湧太の日常の話を聞いてもらうと、「まずは知能検査をしてみましょう」という提案を受けた。湧太が受けた検査は、「WISC-III」といって、検査時間は100分程度。「言葉の理解や表現力」「注意や集中を保つ力」「記憶力、作業を正確に早く行う力」「持っている知識や得た情報をまとめて考える力」などを測定することができるそうだ。テストの結果を見ると、湧太には年齢相応の発達をしていない部分があった。検査をして下さった臨床心理士さんからは、「こういった部分が足を引っぱり、本人もつらいのではないか?」という指摘と、湧太をサポートするための具体的な方法を教えてもらった。●サポートの提案例●・相手に言われたことを理解することが苦手→手順や方法を教えるときは、一つひとつ短く伝える→言葉を教えるときはカテゴリー分けやパターン分けをしてあげる・同時にいくつものことを行うことが苦手→手順を整理して、ひとつできたら次の行動に移れるようにしてあげる<次回、「息子が軽度の発達障害クリニックを受診したときの話」に続きます。>
2016年07月14日「うちの子って本当に手がかかって大変!」ママをやっていれば、そう思うことは多々ある。でも、そんな気持ちが続くと「これって普通なのかな? それとも普通じゃないのかな? もしかしたら、うちの子、発達障害かも!?」そんなふうに心配になることがあるかもしれない。■「通級で良い先生に出会えて良かった!」自身の経験から語る発達障害わが家には、小学校6年生の双子の男の子がいる。双子のうちの1人、湧太(仮名)は、幼稚園の年長の秋、「広汎性発達障害」の診断を受け、小学校1年生~2年生の間、特別支援学級(通級。以下「支援学級」)に通っていた。今は通常学級のみの在籍で、楽しそうに毎日学校に通っている。そんな今、思うのは、「早い段階で、専門知識のある先生に出会えて良かった!」ということ。本気でそう思っているので、今回は自分の経験から、子どもの発達障害についてお話ししたいと思う。■「就学相談のお知らせ」がすべての始まり湧太が幼稚園の年長だった年の6月あたり。「就学相談のお知らせ」という紙が幼稚園のお便りに交じっていた。その紙を見たときに私自身、なぜだかとても引っかかった。ほかのプリントと一緒に捨てるのがためらわれ、幼稚園関係の保存用ファイルにとっておくことにした。その後、幼稚園関係の書類を探すたびに、目に入る「就学相談のお知らせ」。ここに電話してみたら、ずっと胸にモヤモヤしている「何か」の解決になるのだろうか? でも、電話をするのは怖い…。「就学相談のお知らせ」を目にするたびに、気持ちは行ったり来たりして揺れた。 ■わが子はマイペースでかんしゃく持ちその書類が気になったのは、湧太がマイペースで癇癪(かんしゃく)持ちだったからだ。幼稚園では周囲への関心が薄く、集団行動をすると、とんちんかんな動きをすることが多いと保育士さんから指摘を受けていた。輪の中に入るのが嫌いで、幼稚園に登園すると1人で絵本を読んでいることが多いので、友達はほとんどいない。そのくせ家庭では、気に入らないことがあると地団駄を踏んで大泣きし、母や兄弟が辟易(へきえき)して折れるまで我を押し通す。そんな湧太を育てることに、当時の私は疲れ切っていた。■お泊り保育で集団の輪を乱す湧太が年長時の7月、幼稚園でお泊り保育があった。園をあげての行事なので、担任以外の先生とも生活を共にしたようだった。翌朝、お迎えに行くと、副園長先生から、こんな言葉をかけられた。「湧太くん、ビックリしたわ。すごく大変ね。お母さん、彼は気をつけてあげないと学校に入ったら大変よ」■ネットで発達障害を調べてみる「やっぱり、そうか……」。長男を育てたときとは違う湧太の子育てには、ずっと不安があった。幼稚園の担任の先生にも何度か「湧太、大丈夫でしょうか? 何か、違和感があるんです。しかるべき機関に相談に行ったほうがよいでしょうか?」と相談はしていた。けれども、ベテラン保育士のその先生は、「お母さん、考えすぎよ。大丈夫、もう少し大きくなれば落ち着くわよ」と、いつも笑って受け流してくれていた。「ベテラン保育士さんが、そう言うんだもの。大丈夫」。ずっと、そうやって自分に言い聞かせていた。今から思えば、もっと早くに自分で調べることもできたと思うが、調べることが怖かった。「もしそうだったら、どうしよう」と思ったからだ。<次回に続く>
2016年07月14日前回 に続き、子どものための防犯術です。今回は、子どもが不審者から逃げきるために知っておきたいことをご紹介します。逃げ切るためには何m走れば助かるのでしょう。10m? 20m? いやいや30m? さて、何mだと思いますか?■犯罪者は何m追いかけるとあきらめる?「怪しい人がこっちに向かってきた! 周りに誰もいない!」というピンチのとき、子どもが、走って追いかけてくる大人を振りきるにはどうしたらいいのでしょうか。ある調査で、犯罪者が子どもを狙って犯罪におよぶ際の、やる気と距離の関係を調べた結果、次のようなことがわかったそうです。(注2)始めの4mまでは「やる気」が続き、8mを過ぎると「無理かな」という気持ちが生じ、さらに10mを超えると「がくっ」とやる気が落ち、16m前後で「ダメかな?」と思い、20mで「ダメだ」と完全にあきらめる傾向があるのだとか。つまり、20m走り抜けることができれば、犯罪者から逃げきれる、というわけです。ですが、子どもが大人につかまらずに20mも走り抜けることってできるのでしょうか。実は、ある条件があれば、可能になることがわかっています。小学2年から中学2年までの子どもを対象に、最初に犯罪者役の大学生との距離が何メーあれば20m逃げきれるか、という実験を重ねたところ、すべての年齢で、犯罪者と対峙する4m手前から走らなければ逃げきれないということがわかりました。ランドセルやかばんを持っている場合は、6mの距離が必要で、それより近い場合は持っているものを道に投げ捨てて、全力で走らなければ追いつかれてしまうということです。(注2)『犯罪からの子どもの安全を科学する~「安全基礎体力」づくりをめざして~』(清永賢二:監修/清永奈穂・田中賢・篠原惇理:著/ミネルヴァ書房) ■20m走り抜ける訓練をしてみようぜひ一度、子どもと20m走り抜ける訓練をしてみましょう。まず、4mの距離を体感するために、外で4m離れて向き合ってみましょう。大人の歩幅でだいたい7~8歩。そこから両者が1歩ずつ離れると約6mです。「怪しいな」と思う人とすれ違うときは、この距離より近づかないことが大切です。道幅が狭く、この距離が取れない場合は、来た道を戻る勇気も必要です。大人が不審者役になって、子どもが20m逃げきれるか走ってみましょう。逃げたら近くにいる人に助けを求めるところまで訓練しておくと、実際に何かあったときに迷うことなく行動できるでしょう。■怪しい人ってどんな人?何かされる前に、怪しい人かどうか見極めるために、次の行動に当てはまる人がいたら要注意。怪しい人の特徴を確認しましょう。<怪しい人の5つの特徴 「はちみつじまん」>・知らないのになにかとはなしかける人、・理由もないのにちかづいてくる人、・あなたがくるのを道のはし(車のそば)でじっとみつめてくる人、・いつでも、どこでも、いつまでもついてくる人、・あなたがくるのをじっとまっている人、こういう人に会ったら、ん!?と注意(清永奈穂・清永賢二『犯罪からの安全学習ノート』より) ■怪しいなと思ったら…ためらわない、間違いを怖れない、すぐに大人に話すなにか危害を加えられたときは、すぐに助けを求めに行くと思いますが、ただついてくる、じっと見てくる、といったことだけだと、助けを求めていいかどうか、ためらってしまうかもしれません。しかし、何かが起こってからでは遅いというもの。少しでも怪しいときは、ためらわずに助けを求めるよう、話しておきましょう。また、間違いを怖れて、「防犯ブザーのひもを引けない」「大声を出せない」ということもあるかもしれません。間違ってしまったら、「すみません」と丁寧に謝ればすむ話です。必要なら親も謝りに行きましょう。じっと見られた、つきまとわれた、体をさわられた、という被害にあっても、警察に通報しない場合が多いといわれています。怖くて話せなかったり、怒られるんじゃないかと心配したり、恥ずかしいと思ったりして、家族に話せないこともあります。「たいしたことじゃない」と思っても、大きな事件を防ぐためにも、子どもの様子が変だなと思ったら、しっかり聞き出しましょう。「怖かったね」「よく頑張ったね」と声をかけて、安心させてあげることが大切です。さらなる犯罪の予防のためにも、なるべく学校や警察に連絡して、地域で情報を共有しましょう。参考: 親子で身につける防犯術 おそわれたらどうする? | 子育てに役立つ情報満載【すくコム】 | NHKエデュケーショナル
2016年07月13日もうすぐ夏休み。小中学生は塾や習い事に行ったり、友達同士で遊びに出かけたり、子どもだけで外出する機会が増えますよね。楽しいことがたくさんある時期ですが、犯罪などに巻き込まれる危険も高まります。いま一度、子どもの安全対策を見直してみましょう。■衝撃! 防犯ブザーは2%の子どもしか使えていなかった子どもだけで出かけるとき、ほとんどのお家では防犯ブザーや携帯電話を持たせていますよね。でも、現実に危険な場面に遭遇したとき、きちんと使えているのでしょうか?子どもの危険と防犯ブザーの使い方に関する、気になる調査結果があります。それは、危機に遭遇したときに防犯ブザーを持っていて、実際に「ブザーを鳴らした」子どもは、わずか2%だったというもの。最近は小学校入学と同時に防犯ブザーを配っている自治体が多く、低学年のうちはほとんどの子が持っていますが、高学年になるにつれて持たない子が増えています。また、学校以外のときは、つい持たせるのを忘れてしまう、という人も多いかもしれません。前述の調査によると、「その時ブザーを持っていなかった」は69.9%、ブザーを持っていて「ブザーを鳴らそうと思った」は13.9%、「ブザーを鳴らそうとは思わなかった」が16.1%という結果が出ています。(注1)つまり、大半の子どもは危機に遭ったときに防犯ブザーを持っていないか、持っていても、鳴らそうと思わなかった、鳴らそうとしたが鳴らせなかった、ということになります。(注1)『犯罪からの子どもの安全を科学する~「安全基礎体力」づくりをめざして~』(清永賢二:監修/清永奈穂・田中賢・篠原惇理:著/ミネルヴァ書房) ■防犯ブザーを使いこなすために確認したい3つのこと防犯ブザーは、周囲に危機を知らせるだけでなく、大きな音で相手をひるませ、その隙に逃げるために利用できるという、正しく使えばとても頼りになる防犯アイテムです。せっかく持っているのに、いざというときに利用できないのは残念なこと。この機会に、とても基本的なことですが、次の3つのことを確認しておきましょう。 <防犯ブザーを使うために確認したい3つの基本>1.壊れていないか防犯ブザーはランドセルやかばんの外側につけていることが多く、常に雨風にさらされっぱなしなので、ぶつかったり水に濡れたりして壊れてしまうことも多々あります。月に1回は、きちんと作動するかどうか確認しましょう。 2.電池が切れていないか多くの防犯ブザーは電池式なので、当然、電池が切れていたら鳴りません。また、電池が少ないと音量が小さくなって、効果が薄れてしまいます。ときどき確認しましょう。 3.すぐに鳴らせる場所に取りつけているかすぐに鳴らせる位置になければ、いざというときに使えません。上着のポケットやズボンのベルトなど、とっさに手の届きやすい位置に取りつけましょう。よく携帯電話を首からひもでさげている子をみかけますが、逃げようとしたときにひもをひっぱられたり、首を絞められたり、凶器になる危険が。首から下げるのはなるべく避けましょう。 ■防犯ブザーを使った防犯訓練をしてみよう突然知らない人に追いかけられたり、抱きつかれたりしたら、大人でも恐怖で声が出なくなったり動けなくなったりしますよね。危機に遭ったとき、とっさに防犯ブザーを鳴らせるようにするために、大人が不審者の役になって、こんなシミュレーション訓練をやってみましょう。1.子どもは防犯ブザーを作動させやすい位置につけて歩く。2.大人が不審者役になり、木の陰などに隠れる。もしくは背後から近づく。3.大人は子どもにつかみかかろうとする、子どもは逃げる。4.子どもは防犯ブザーを鳴らし、助けを求める。 警察署による学校などでの防犯教室では、不審者から逃げる訓練はやっても、防犯ブザーを実際に使っての訓練はほとんどされていません。休みの日に広い公園などに行って、やってみてはいかがでしょう。大きく「訓練中」と書いた紙を貼って訓練するなど、周囲の人に訓練であることがわかるようにしておくと、間違って通報されてしまう心配がないですね。 ■いざというときは大人に頼って子どもとこうした訓練をするときは、ただ怖がらせるのではなく、基本的には安全が守られている、と伝えることも大切です。知らない人はみんな怖い、と思い込んでしまうと、周りの人に助けを求めづらくなってしまうかもしれません。普段から、ちょっとでも「怖いな」「怪しいな」と感じたら、すぐに大人に相談できる環境をつくっておきましょう。次回は、怪しい人に遭遇したときに、逃げきるための距離などについて紹介します。
2016年07月13日5月病というと社会人などの大人がかかるようなイメージがありますが、最近は低年齢化し園児が5月病にかかるケースも増加しています。子どものストレス状態には早く親が気づいてあげたいですよね。どんな症状がありどの様に対処したらいいのでしょうか。5月病の原因とは?5月病になる原因は1つではありません。新しい環境に慣れないことから「早く適応したい」という焦りがうまれ、頑張りたい気持ちが空回りしストレスになることや、逆に、新しい生活への期待が高すぎて現実とのギャップに落ち込んでしまうケースもありあす。また、性格が真面目な場合、新生活で緊張した状態を持続することで疲れてしまったり、長い休みで緊張の糸が切れてしまい、前の生活に戻りたくなくなるなど、様々な原因があります。5月病になっていないか、ここをチェック!5月病になっているかどうかは下記をチェックしてみましょう。・朝なかなか起きない・園に行くことを嫌がる・イヤイヤが増えた・親に甘えることが多くなった・以前できていたことをやらなくなった・疲れやすくゴロゴロしていることが多くなったさらに小学生の場合は、・食欲がなくご飯をあまり食べなくなった・笑うことが少なくなった、表情が暗い・学校でのことをまったく話さなくなった・一人になりたがったり、一人で部屋にこもることが多くなった上記のチェック項目に多くあてはまるなら要注意です。5月病の対処法5月病になってしまった場合はどのように対応したらよいでしょうか。まずは子どもの話をよく聞いてあげること。その日あったことなどを、何気ない会話の中で聞き出しましょう。食事やお風呂の時などは話しやすいですね。無理やり聞き出すのではなく、あくまでさりげなく聞いてみましょう。普段からなんでも話せる親子関係を築いておくことは大切です。甘えたい時は、思いっきり甘えさせてあげましょう。「もう〇歳なんだから」などと突き放されると精神的ストレスが増加してしまいます。スキンシップをいっぱいとりましょう。子ども自身はとても頑張っているので「頑張れ」と無理強いをすることはよくありません。「無理しなくていいよ」「よく頑張ってるよ」など、子どもの行動を認めてあげましょう。休みの日には体を思いっきり動かしたり、普段から規則正しい生活のリズムを作ったりすることも効果があります。夜更かしなどが続くと肉体的にもダラけてしてしまい起きられない、行きたくないということにつながってしまいます。5月病は大抵一過性のものであり1~2ヶ月で症状がおさまることがほとんどです。あまり症状が長引く際は病院で診察してもらう必要もあるかもしれません。しかし上記の対処にくわえ、親が子どもとしっかり向き合い笑顔で生活することで新しい環境にも適応していくはずです。普段から子どもの様子を観察し、少しでも様子が違うようであればしっかりとケアできるようにしておきたいですね。
2016年05月27日めまぐるしいけど愛おしい、空回り母ちゃんの日々
チッチママ&塩対応旦那さんの胸キュン子育て
やっぱり家が好き〜おっとぅんとみったんと私〜