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障害者手帳は3種類Upload By 立石美津子発達障害者手帳、これがあったらどんなにいいかと思いますが、残念ながら存在しません。障害があることを証明する手帳は次の3つのみです。・身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳つまり、知的障害を伴わない、あるいは軽度の発達障害の人のための “発達障害者手帳”というものは存在しないのです。発達障害がある場合、精神障害者保健福祉手帳の対象として分類されています。厚労省精神障害者保健福祉手帳の障害等級の判定基準について障害者手帳があると就活でも活用できる従業員が一定数以上の規模の事業主は、従業員に占める身体障害者・知的障害者・精神障害者の割合を「法定雇用率」以上にする義務があります。(障害者雇用促進法43条第1項)民間企業の法定雇用率は2.3%です。従業員を43.5人以上雇用している事業主は、障害者を1人以上雇用する必要があります。一般枠で企業就労するのが難しい場合、障害者雇用枠で就労することができますが、その際に障害があることを証明する手帳が必須となります。しかし…・視覚障害、聴覚障害、上肢下肢の欠損、体幹障害による歩行困難など身体障害がなければ、身体障害者手帳の対象とはなりません。・(自治体によって異なりますが)東京都の場合、知能指数が76以上だったら療育手帳の対象とはなりません。愛の手帳について | 東京都保健福祉局精神障害があると認めたくない保護者もいる一定の知能指数のため療育手帳対象に該当しない、身体障害もないため身体障害者手帳の該当にならないとなると…残るのは“精神障害者保健福祉手帳”となります。すると、「うちの子は発達障害。精神障害ではない!」と憤る親御さんを見かけたことがあります。これに対して私は心の中で「いやいや、そうじゃないのよ。知的障害のない発達障害児が、障害者雇用促進法のもと、法定雇用率でカウントされて企業就労するには、なんらかの障害者手帳が必要。今の制度上では、知的障害のない発達障害児は精神障害者保健福祉手帳が必要となるのに」と呟きました。知的障害がなくても療育手帳の対象になる地域も発達障害のある人は知的障害がなくても、社会生活を送るにあたって多くの困難を伴います。社会生活での困難と言う面では、知的障害、精神障害、身体障害がある人と同じだと言えます。そのため、知能指数が療育手帳の範疇以上の人に対しても、療育手帳を発行している自治体もあるようです。全国的にこれが広まればよいと感じます。Upload By 立石美津子自己申告制日本の福祉は自己申告制です。親がわが子の障害に気づいて積極的に動くことで取得できます。精神障害者保健福祉手帳について紹介しましたが、こちらが取得できない場合もあると思います。たとえ障害者手帳の対象とならなかったとしても、障害福祉サービス受給者証をとって、福祉とつながっている人だということを示す方法もあります。「精神障害者保健福祉手帳が必要?わが子には精神障害はないのに!」と憤るのではなく、福祉サービス、制度を活用することで、わが子の将来の選択肢を広げられるかもしれません。精神障害者保健福祉手帳で雇用枠での就労を目指したり、受給者証で福祉サービスを活用したり、支援者につながる機会を増やすことが、わが子を守ることにつながるのではないかと思います。
2021年07月01日「頑張れ、フツウになれ」死を考えていた学生時代Upload By 桑山 知之2019年5月、ドキュメンタリーCM『見えない障害と生きる。』の取材で、筆者は初めて神山さんと出会った。「学校の先生が文字読めないなんて、悟られたくない。悟られちゃいけない」「どうやって死のう、ばっかり考えてましたね。『頑張れ頑張れ、フツウになれフツウになれ』って言われ続けると、そういうふうにならざるを得ない」彼は、文字が読めない教師。にこやかな表情とは裏腹に、これまで経験してきた生きづらさが言葉の節々からにじみ出ていた。岐阜市で生まれ育った、すぐに熱を出してしまう、体の弱い男の子。自分は文字が読めないと知ったのは、小学2年の道徳の授業だった。B4見開きのプリントの文章を読み、感想を書くという課題で、一時間経って読めたのはわずか3~4行だけだった。「ぼくはみんなと違う」――。それからは、どう叱られずに一日を過ごすかが神山少年の課題となった。教科書が丸々覚えられるようにと、3歳上の姉が音読してオープンリールのテープに吹き込んでくれ、擦り切れるまで聴いて授業に臨んだこともあった。それも小学校高学年になると、文量が増えて立ち行かなくなってしまう。Upload By 桑山 知之「先生たちにも『あいつはどうしようもないやつだ』って言われて。『学校に来る価値のない人間』とか『教室に入るな』とか、そういった言葉は日常茶飯事で。先生がそういう風にみんなの前で叱って、つるし上げたりすると、クラスの雰囲気もそうなって、いじめられました。みんなにバカにされていました」(神山さん)神山さんの母親は、端的に言えば世間体を気にしていたという。学校で何かがあると自宅に電話が入り、家に帰れば「あんたなんか産まなきゃよかった」「あんたのせいで近所も歩けない」と罵られた。中学、高校も含めて学生時代は「どうやって死のうか」とずっと考えていた神山さん。紆余曲折を経て選んだ道は、陸上自衛隊。活字とは縁遠い職業だった。つらい思いは自分で最後に…決断、そして教師へUpload By 桑山 知之18歳の神山青年は、2等陸士として京都・宇治市にある駐屯地にいた。誰も自分のことを知らないところへ行って、人生を再出発させる。体力に自信がある神山さんにとって、文字を使わないこの仕事はまさに天職だった。2年ほど過ごし、自衛隊の中で成人式をやってくれることになった。「上官が『今までの20年間をしっかりと振り返って、今後どう生きていくか人生設計を立てなさい』と話をしてくれて、考える時間もくださって。そこで、自分のようにあんなにつらい思いをするのは自分で最後にしよう、そういう教育者になりたいな、自分がそういう教育を変えていけるようにしたいなと思ったんです」(神山さん)Upload By 桑山 知之すぐに上官と相談して、夜間の短大に通い始めた。朝6時に起きて夕方まで訓練をやったあと、大学に行き、帰ってくるのはいつも23~24時だった。それでも、「同じ苦しみを抱えている子たちを放っておけない」という一心で頑張れた。そして23歳の頃、教員採用試験に合格した。しかし、教え子に対しては、なかなか自分の苦手さを伝えられずにいたという。「教科書は前日に丸暗記して、読んでいるフリをしていました。技術科の教師だったので、技術科の教科書と、自分が担任するクラスの道徳の授業ですね。行頭の文字とかキーワードだけで、そのあとの文章が出るように覚えたり。丸々暗記しようと思うと大変ですけど、段落の頭でその段落が思い出せるように、ブロックで覚えるのを毎授業やってました」(神山さん)27歳で知った自分はディスレクシアUpload By 桑山 知之自己の学習障害を隠したまま、神山さんは通常学級を6年間受け持った。そんなとき、NHKのとある番組でアメリカの小学校のことが報じられていた。それがディスレクシア(識字障害)だった。「そこではディスレクシアとかいう言葉は使われていなかったですね。読み障害とかそういう感じ。でもアメリカは移民の国なので、そういう子たちのプログラムで教育は保障できるっていう。その子たちの特性はこうです、というもの全部が自分に当てはまるから、本当に驚きました」(神山さん)その後、神山先生は特別支援学級を受け持つようになる。テレビでディスレクシアを知って「自分の中でつっかえていたものが取れた」ため、自分の苦手なこともすべてオープンに話した。劣等感を抱えている子どもたちの心に寄り添うことができた。Upload By 桑山 知之特別支援学級を5年間受け持ったあと、特別支援学校で17年間にわたり勤務。そして、主幹教諭という立場で3年間、岐阜市内の小中高などを回っていろんなアドバイスや支援をおこなった。いつしか神山さんの存在は全国各地で知られるようになり、講演依頼が絶えないほどになった。現在は、岐阜市内の小学校の用務員をやりながら、子どもたちや保護者らの相談を受けている。「日本の教育って無意識に人との比較をしてしまっているんですよね。人との比較で自分を評価することを学んでしまっているんです。それよりも、過去の自分と比べる方が自然かなって。もっと言えば、『あなたはそのままでいいんだよ』ではなくて、『あなたはあなただからいいんだよ』って僕は言いたいです」(神山さん)Upload By 桑山 知之平成元年愛知県名古屋市生まれ。慶應義塾大学経済学部在学中からフリーライターとして活動。2013年に東海テレビ入社後、東京支社営業部を経て、報道部で記者/ディレクター。2018年から公共キャンペーンのプロデューサーとして「いま、テレビの現場から。」や「見えない障害と生きる。」、「この距離を忘れない。」といったドキュメンタリーCMを制作。主な受賞歴は、日本民間放送連盟賞CM部門最優秀賞、ACC TOKYO CREATIVITY AWARDSゴールド、JAA広告賞 消費者が選んだ広告コンクール経済産業大臣賞、ギャラクシー賞CM部門優秀賞、広告電通賞SDGs特別賞など。取材・文:桑山知之取材協力:若者支援ネットワーク研究会in東海
2021年06月23日長男が8歳のとき、発達障害の1つである「ADHD」の診断がおりました。さらにお医者さんが言うには、自閉症の傾向も高めとのこと。生後半年ごろには育てにくさを感じていたのですが、受診に至ることはありませんでした。長男の発達障害がわかるまでの体験談と、「こうすればよかった!」と思ったことを紹介します。うちの子に限って!と思っていた私赤ちゃんのころからまったく人見知りをせず、抱くと毎回反り返っていた長男。とにかく動き回る子で、生後10カ月のころには私が疲労で倒れてしまいました。特におかしいなと思ったのが、月齢に合わせて届く通信教育のおもちゃをまったく使いこなせなかったこと。 ビデオ教材で見た子どもたちと違い、長男はおもちゃが分解できないことにかんしゃくを起こしていたのです。そこで発達の遅れを気にすればよかったのですが、私も初心者ママ。「まさかうちの子に発達の遅れがあるはずない」と思い込んでしまいました。 健診では悩みをうまく伝えられず…3歳までに何度か健診がありましたが、長男の発達について指摘されることはありませんでした。普段はかんしゃくを起こしがちな長男ですが、健診のときはたまたま落ち着いていたのです。 さらに健診では、保健師さんとママが1対1でお話する機会があります。保健師さんには長男に手がかかることは伝えていたのですが、具体例をうまく伝えられませんでした。事前に気になることをメモしておけば、スムーズに相談できたのかなと思います。 IQテストでまさかの平均値!健診をスルーした長男でしたが、何度か自主的に市の子育て相談にも行きました。そこでも問題は指摘されず、私はすっかり疲れ果てていました。そして5歳のとき、保育園の先生から市の療育室を紹介されたのです。 その療育室では、IQテストを受ける機会がありました。このときには「長男には何か問題があるはずだ!」と思っていた私は、これで何かわかるかも!とうっすら期待……。しかし結果は平均値。ここまでくると、私の育て方がいけないのでは?と思う自分がいました。 受診の希望を伝えると一気に話が進み!転機が訪れたのは、小学2年生に進級してすぐのこと。次男の1歳半健診のときに、長男のことで悩んでいると相談したのです。すると、県から委託されている相談先を紹介されました。それを聞いた私は即行動! 新しい相談先でIQテストを受けると、発達にかなりの凹凸があるとわかりました。 受診の促しはありませんでしたが、今度はこちらから受診を希望していると伝えました。そこからはトントン拍子で病院を紹介され、すぐにADHDの診断がおりたのです。 ふり返ると、こうしておけばよかったなと思うことがいくつかあります。まずは、「わが子に限って」と思い込まないこと。それから、健診では事前に気になる点をメモしておくこと。そして、親としての希望があればこちらから伝えていくことです。自分がどう思っているか・どうしたいのかを相手に伝えることは、とても大事だと学びました。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 監修/助産師REIKO作画/やましたともこ 著者:河津明香2男1女の母。旅行代理店勤務をしながらの育児を経て、フリーランスのライターへ転身。現在は発達障害の長男のサポートをおこないながら、旅行・育児・生活雑貨などの記事を中心に執筆。
2021年06月21日発達障害を持つ3歳の息子さんと病院へ向かうため、初めて2人での電車移動を試みたママ。いざ駅のホームにつくと、想定外のハプニングが次々と起こり、振り回されてしまった体験談です。 現在10歳で発達障害を持つ息子が3歳のころの話です。息子の検査のため、電車で病院へ行くことに。初めて2人で電車に乗るため、私もやや緊張気味でした。そんな中、電車を見た息子がすごい勢いで顔を上げ、予想外の行動に出たのです! 慌てて追いかけた私にもまさかのハプニングが次々と起こって……。 ※息子の言動はすべての発達障害の方に当てはまるものではありません。あくまでも、“息子個人”の特徴です。 初めての電車移動でいきなりハプニング!?発達障害を持つ当時3歳の息子と電車で病院へ向かうために、最寄り駅へ行ったときのこと。ホームに入ると、息子は耳を塞ぎ、しゃがみ込んでしまいました。息子は自閉症と知的障害があり、さらに視覚と聴覚が過敏なタイプの子です。普段聞かない、スピーカーを通しての駅員のアナウンスや初めて見るホームの風景は、息子の視覚と聴覚を刺激。今までに感じたことがない情報が波のように押し寄せ処理しきれず、パニック状態になってしまったのです。 耳を塞ぎ、しゃがみ込んでいる息子を見て、私は乗車をあきらめることに。「ごめんね。つらかったね。タクシーに乗ろう」と、息子の腕を軽く持ち上げたそのとき、「3番線に電車が到着します~」とアナウンスが流れました。 すると、電車がホームに入ってくるや否や、息子は突如顔を上げ立ち上がりました。かと思うと、電車の扉が開くと同時に軽やかなツーステップでそのまま乗車フィニッシュ! 顔を上げてからフィニッシュまで私の体感で3秒。息子はあっというまに電車内に姿を消しました。 あまりに突然のことで、電車内に消えた息子を呆然と見ていた私……。「扉閉まりまーす」のアナウンスを聞いてようやく「やばい! 息子を止めねば!」とダッシュし、扉が閉まるギリギリで乗車。「セーフ!」と安堵したのも束の間、なぜか前に進めない……!? なんと、電車の扉にガッチリ背中の服を挟まれていたのです。 自分の意思とは関係なく、ピーンと背筋が伸び、首を動かしても、手を動かしても首が締まる。動きを封じられたこの姿は、もはや拷問でした……。突如始まった拷問と闘いながら、首をなるべく動かさないように、息子を目だけで追いました。 身動きがとれない! 乗客の視線がつらい…電車内は座席にポツポツと数人が座っている程度で、立っているのは強制的に立たされている私ひとり。息子は、それほど混んでいない電車内をウロついています。そして息子流の“確認作業”が始まりました。ウロつきながら周囲の情報を集め、安心エリアと認定されれば作業終了となります。 「きゃあぁ!!」と声をあげ、手を叩きながらウロつき、ピョンピョンと小刻みにジャンプを始めた息子。「まずい、興奮し始めた」。息子は乗り物が大好きです。遊園地でも必ず汽車系の乗り物には、何度も乗りたがります。そんな息子の目の前に、本物の電車が現れれば興奮しないわけがありません。しかし障害があるとはいえ、公共の場で、これらの行動を放置しては迷惑になってしまう……。息子の行動を止めたいけれど、私自身の身動きが取れずにっちもさっちもいきません。今なら昆虫標本にされた虫たちの気持ちが痛いほどわかる、と思いました。 「ああ、こんなことになるなら最初からタクシーに乗ればよかった……。息子の社会勉強にもなるかと思ったのが甘かった」と、後悔が頭の中で何度も巡り続けました。乗客全員が、騒ぐ息子に冷たい視線を向けているように感じ、しかも息子を止められない理由が、己のマヌケな失態だと周囲にバレたくないので余計に焦りました。 「◯◯、こっちきて!」と何度か声かけをしていると「何で母親が動いて止めないのか?」と言いたげに、周囲がチラチラと私を見始めています。標本スタイルの拷問がバレないよう、足をクロスしたり、自然に振る舞っているつもりでしたが、扉の前で同じ体勢でずっと立っている人に、周囲が違和感を抱かないわけがありません。 息子を止めに行きたいのに、挟まれて動けない……。だからといって周りの人にこの状況を伝えるわけにもいかない……。そんなことを思いながら、心拍数を上げていると、息子が確認作業を終え、やっと私の元に戻ってきました。 抱っこを求められ、さらにピンチ!安心したのも束の間、息子は私の顔を見上げ、両手を上げて「あーおー」と言いました。「抱っこ」の要求です。「何で今やねん!?」と心の中で泣きツッコミ……。 表面上は「次で降りるからあとでね」とやさしく声かけをしていたが本音は違いました。「もうすぐ降りるから、先ほどの息子の行動を大目に見てほしい」と周囲へのアピールも兼ねていました。そんな私の気持ちも知らず、息子はなかなか抱っこしない私にイラつき始めました。シャツをグイグイ引っ張りながら、「あーおーあーおー!」と要求が強くなっていき、同時に私の首も精神的にもきつくなります。さらに周囲の視線も痛い。そんな闘いの最中、「まもなく○○駅に到着しま~す」と神の声が聞こえました。 「これで拷問から解放される!」。息子の手をぎゅっと握り、拷問からの解放を待ちわびていました。「次、降りるからねー」と息子に笑顔を向けつつ、周囲へのアピールも忘れません。電車がスピードをゆっくり落としながら、ガッ…タンと止まり、次の瞬間、私の目の前の扉が開きました。そう、逆の扉が開いたのです。まだ扉の拷問から、解放が許されませんでした。電車内の空気が「この人やっぱり……」という一体感に包まれました。 「扉閉まりまーす」と容赦なく扉が閉められました。目的地を過ぎ、もうどこに向かっているかもわかりません。電車内は変に静まりかえっています。次の駅まで2・3分の距離ですが、やたらと長く感じ、みっともなさ過ぎて一刻も早くこの場から消えたいと思いました。息子の抱っこ攻撃を「電車から降りたら抱っこするね」と誤魔化し対応をしている間に、次の駅に到着しました。 さらなる試練、そして衝撃の結末へ…ようやく拷問から解放された私は、焦る気持ちから「◯◯、降りるよ!」と勢いよく息子の手を引いてしまい、転ばせてしまいました。火が付いたように電車内で「ぎゃあぁ!」と泣き叫ぶ息子。「◯◯ごめん!」と謝りながら体を抱え、何とかホームに降りましたが、安堵はできませんでした。ホームで、とれたてのかつおのようにビチビチと泣き暴れる息子を何とか抱っこしながら時計を見ると、病院の予約時間の30分前。 「タクシーに乗ったらギリ間に合うか!?」と泣き暴れる息子をさらに強く抱き、タクシー乗り場に向かう際、ある異変に気づきました。「息子の靴が片方ない」。ベンチの下や、足もとを探しても見当たりません。「さっき電車内で転んだときに脱げてしまったのか!?」。拷問から解放されても終わらない試練に打ちのめされ、もう靴を探す気力も、病院へ行く気力も失ってしまいました。 息子が少し落ち着いたところで、病院へキャンセルの電話を入れました。ところが、受付の方が「少々お待ちください」と言ったまま、なかなか電話に出てくれません。その後、受付の方から衝撃の言葉が発せられました。 「◯◯くんの検査、先月になっておりますが……」。これまでの長い試練の時間は、この衝撃的なオチの前振りだったのかと、さらに衝撃を受けたのでした。 闘う必要のない場に勝手に飛び込み、ひとりで勝手に闘って、ひとりで勝手に負ける。そんな私の無駄な闘いに巻き込まれた息子が、気の毒でなりませんでした。電車の扉は、何か異物を挟むと自動的に開くと思っていたのですが、それも私の勝手な思い込みだったようです。この出来事以降、電車に乗るときは、扉に背を向けず、目をカッと見開き、扉をガン見しながら決して油断せずに乗車しています。 息子は療育手帳を取得。タクシー料金が割引になるため、必要に応じてタクシーも利用するようにしています。また、病院のすすめでイヤーマフ(見た目はヘッドホンに見えます)を購入。10歳になった今でもイヤーマフを愛用していて、電車内で騒ぐことなく、車窓から見える看板の文字を読んだり、電車レジャーを楽しんでいます。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 監修/助産師REIKOイラストレーター/Michika著者:猿 祭14歳娘と10歳息子の母。3月まで保育士として勤務。うつ病で休職中の旦那と受験生の娘、発達障がいを持つ息子を抱えながら無職に。これまでの子育てや、日々のあれこれを執筆中。
2021年06月15日【追加アンケート】3つの商品化候補グッズについてさらに詳しく教えてください!【みんなのアンケート】21アイテムから「ほしい!あったらいいな」を教えてください!にご協力いただき、ありがとうございました。なんと1,100名を超える方からご回答をいただきました。「たくさんほしいものがあって、1つしか選べなくて困る…」など、みなさまからの投稿コメントやご要望のお声も嬉しく拝見しました。ありがとうございました。今回は人気の高かった順に、次の5つに商品化アイテム候補を絞りました。1.椅子の姿勢崩れを防ぐ「両面滑り止め付きクッション」2.感情コントロール苦手さんのための「感情コントロールレッスンキット」3.“1人になりたい”がかなう「室内テント」4.勉強道具もゲームも持ち運び「お片づけ収納ラック」5.曜日ごとのルーティンワークが一目瞭然「1週間TO DOリスト」今回多くの共感をいただいた5つの「欲しいグッズ」の中から、具体的な商品化に向けて、以下の3つのアイテムについて、さらに詳しくみなさまのご意見を教えていただくために、追加アンケートを実施いたします。アンケートを通して、発達ナビユーザーのみなさまと一緒にグッズをつくっていきたいと考えています。ぜひご回答をお願いいたします!次の3つです。(所要時間:約10~15分)・感情コントロール苦手さんのための「感情コントロールレッスンキット」・“1人になりたい”がかなう「室内テント」・曜日ごとのルーティンワークが一目瞭然「1週間TO DOリスト」※ご自身に関係のある箇所だけお答えいただいても結構です※5月31日(月)まで※上記アンケート回答ボタンを押すと、株式会社フェリシモが実施するアンケートサイトページへ遷移します
2021年05月19日「できるけど疲れる」ことがたくさんある筆者が吉川先生を知ったのは、2018年11月にNHK総合で放送された『発達障害って何だろうスペシャル』だった。千原ジュニアさんや南沢奈央さんらをMCに据え、スタジオには小島慶子さんのほか、筆者がテレビ取材もさせていただいた“トリプル発達障害”の漫画家・沖田×華さんも出演。そこでの吉川先生の発言に、思わず膝を打った。「発達障害のある方に関して『何かができるかできないか』っていうことだけで見ると、見誤るんですね。『できる』と『できない』の間に『できるけど疲れる』ことがたくさんある」(吉川先生番組内で)誤解を恐れずに言えば、吉川先生はちょっと異質的な存在だ。元々教員になりたかったが、学校教員の文化が自分に合わないことに高校時代に気づき、子どもの精神科医という道を選んだ。大学教員などを経て「自分は研究者向きではない」と感じたといい、現在では多くの発達障害当事者や養育者に支持されている。Upload By 桑山 知之「“正確さを犠牲にした分かりやすさ”っていうのを意識しているんです。専門の研究者って、正確さを大事にしなきゃいけない立場ですよね。正確さを犠牲にできないじゃないですか。でも僕は研究者ではないから、『誤解を招きかねないけど分かりやすい』ということがいくらか許される立場なんです。研究者になってしまうとできない表現や書き方ができるというのが、研究者ではない医者の特権かなと」(吉川先生)確かに、前述の「できるけど疲れる」ことがたくさんあるというのは、それに当てはまらないケースがあるのも事実だ。しかしながら、発達障害の苦しみを理解するうえでは非常に分かりやすい表現だといえる。福祉や法律といったあらゆる領域をまたいでいるからこその見識の深さを、自身は「ひとつの領域を突き詰めるというのがあんまりできなくて……」と謙遜する。Upload By 桑山 知之この子、発達障害かも?まずは「人手集め」から我が子にADHDや自閉症スペクトラム障害のような特性がみられた場合、多くの養育者はまず子どものことを理解しようと、発達障害の知識を蓄えることからスタートしてしまいがちだ。しかし、吉川先生によれば、まず「人手をできる限りたくさん集める」ことが入口として一番“無難”だという。「人手が足りないときに知識だけ集めたり、トレーニングだけ受けたりすると、わりとややこしいことになるんですよね。例えばこの子に何か新しいことを好きになってもらおうとすると、ちょっと演出しないと難しいよって。お母さんが歯磨きをしたあとに、すぐに僕もやる!ってなる子は歯磨きを覚えさせるのも難しくないんだけど、真似っこしたい気持ちが弱い子に対しては歯磨きって楽しいんだよっていうか、何かひと手間ふた手間かけないと歯磨きが好きにならないし、できるようにならないかもしれない。だから今、この子の子育てで何かを好きにさせるためにもできるようになるためにも、もっと言うと虫歯にさせたり怪我をさせたりしないためにも、余分に人手が要りますよねっていうところを共通認識にしていくことが入口なんですよね」(吉川先生)Upload By 桑山 知之あくまで順序としては人手、すなわちマンパワーを集めることが最優先事項。それがひと段落したあと、知識や技術を身につけていく。そのためにも、家族以外からサポートを受けることが精神的な支えになるそうだ。一般的には母親が先に気づいて父親はあとからついてくることが多いが、夫婦間だけでなく祖父母世代との間でも「足並みが揃うまでに時間がかかる」ことは多い。「早い時期に関わる支援者はつい子どもの特性とか子どもに対する関わり方をどんどん伝えたくなるんですけど、それよりも先にどうやってお父さんと足並みを揃えるのか、おじいちゃんおばあちゃんへの説明をどうしようか、っていう相談に応じていただいたほうがいいと思います」(吉川先生)Upload By 桑山 知之「できたら褒める」は要注意「挑戦したら褒める」にシフトをドキュメンタリーCM『見えない障害と生きる。』を放送したのは2019年5月。発達障害は、ここ5年ほどの間に急速な認知が広がったように筆者は感じている。こうした中、人手を含めたリソースの供給などが追いついていないと吉川先生は話す。「社会の認め方もそうですけど、当事者やその身近な方の認め方も確実に変わってきているというのは、確実にそうですね。ただ、変わってきているのも、いいところも悪いところも両方あるかなって思っています。必要な方が援助にたどり着きやすくなったってことはあると思うんですが、急速に知識だけが広がってきたので、支援のためのリソースがまだ充分足りていない。文化の変化というか、そういう人たちがたくさんいるんだっていうのを含んだ“文化の成熟”っていうのも遅れているんじゃないかなと」(吉川先生)Upload By 桑山 知之吉川先生は、発達障害の有無にかかわらず子育てをする中でつい陥りがちなことがあると指摘する。それは、「できたら褒める」ということだ。「できたら褒められるっていうのを子どもが学びすぎると、大人が好きなのは完成と達成と勝利だけと思ってしまうんですよね。そうすると、どうせ達成できないから僕はやらない!ということになってしまう。発達障害のあるお子さんの中には、難しそうな課題は手を出さなくなる子が一定の割合でいるんです。どちらかというと、『挑戦したら褒める』作戦でいく方が、子どもを育てやすくなると思います」(吉川先生)Upload By 桑山 知之完成と達成にフォーカスするよりも、何かに取り掛かり始めたところで応援することに軸足を置いた方が育てやすいという。特に、きょうだいの中に発達障害と定型発達の子がいたり、知的障害のある子がいる場合、完成と達成を評価してしまうと他方への褒め方が見つからなくなる。それよりも、挑戦に対して「ナイストライ」「いいチャレンジだったね」と声を掛ける方が“辻褄が合いやすい”と吉川先生は話している。Upload By 桑山 知之平成元年愛知県名古屋市生まれ。慶應義塾大学経済学部在学中からフリーライターとして活動。2013年に東海テレビ入社後、東京支社営業部を経て、報道部で記者/ディレクター。2018年から公共キャンペーンのプロデューサーとして「いま、テレビの現場から。」や「見えない障害と生きる。」、「この距離を忘れない。」といったドキュメンタリーCMを制作。主な受賞歴は、日本民間放送連盟賞CM部門最優秀賞、ACC TOKYO CREATIVITY AWARDSゴールド、JAA広告賞 消費者が選んだ広告コンクール経済産業大臣賞、ギャラクシー賞CM部門優秀賞、広告電通賞SDGs特別賞など。取材・文:桑山知之取材協力:若者支援ネットワーク研究会in東海
2021年05月17日新5年生!新しい学年のスタート!広汎性発達障害の娘は、10歳。4月から、小学5年生になりました。新しく始まった学年…、と言っても大きな変化はありません。娘は去年と同じく、引き続き特別支援学級の在籍。交流学級は、児童数も少なく、1クラスしかないので、クラス替えはありません。変わったことといえば、特別支援学級のメンバーが少し変わったことと、特別支援学級の担任が、新任の先生になったことでした。このような(人の)変化は全く平気な娘。(特別支援学級の)新しい先生にも、新しいメンバーにも、すぐ慣れて、始業式には、楽しい様子を報告してくれていました。毎年恒例の不安定が始まった。しかし、毎年、新年度はとても情緒不安定になる娘。去年は、長い休暇明けの新年度で、生活のリズムが崩れ、ちょっとしたことで泣くことが多くありました。今年もやってくるのだろうか…覚悟して構えていましたが、やはりやってきました。Upload By SAKURA今まで明日の準備は、娘に自分でやってもらい、あとからこっそりランドセルを確認していました。いつもは、私がチェックしてもしっかり準備ができていて、フォローすることは多くなかったのですが、新年度が始まってからは、「連絡帳を入れ忘れる」「薬を忘れる」「体操服を忘れる」ということが多く、補助なしでは忘れものだらけになる状態。以前は、連絡帳も自分でチェックできていたのですが、最近は、連絡事項を見忘れることが多くなりました。Upload By SAKURA今まで、し忘れていたことでも、あとから私が指摘すると「わかったー」という反応してくれていたのですが、情緒不安定なせいか、ちょっとした指摘で絶望し、泣き、パニックを起こすようになりました。Upload By SAKURA独り言は今までもあったのですが、その回数が極端に多くなり、ひどいときには、私がしゃべっていても自分の世界から抜け出せず、私の声に反応することなく、独り言を続けています。心の不安定が、身体に現れるようになり…そういった不安定さから、私とのやり取りがうまくいかなくなり、私も私でイライラ…。結果、衝突も増え、私と娘は言い合いばかりするようになりました。Upload By SAKURA私との衝突が増えたせいか、娘は精神的不安定な状態が身体にも現れるようになり、持病のアトピーが悪化したり、蕁麻疹が出たりするようになりました。肌がどんどん荒れていく姿を、私はただただ見ることしかできませんでした。状況を良くしたいけど…私が何か指摘するたび、ストレスから皮膚を掻きむしる娘。悪化しないようにするため、「言い過ぎないように言い過ぎないように…」と、私は自分に制御をかけるようになりました。そのうちに、私は娘のことに対応した後、目が真っ赤に充血するようになりました。Upload By SAKURA私はこの状況を少しでも良くするために、娘の不安定を解消しようと試行錯誤しますが、少し前から思春期&反抗期状態の娘に、療育グッズはもはや効きません。Upload By SAKURA毎年、何かしらありますが、今年は特に激しい気がしています。いつも、時間が経てば勝手に不安定から抜け出しているので、今はただ、嵐が過ぎるのを待っている状態です(笑)去年は5月末には元通りでしたが、今年はどうかな~…。
2021年05月12日ADHDの特性が顕著に表れたきっかけは、私が3人目を妊娠したことUpload By スガカズ今から6年前のある日、年中の次男が通う保育園の先生から最近の様子について報告がありました。そのころちょうど長男が療育センターに通えるようになり、投薬治療が開始され、私自身は3人目を妊娠していました。先生が話す次男の様子は、・集団行動でいつも一番最後・上手くいかないことがあると机や椅子を蹴る、癇癪を起こすという内容でした。集団行動の遅れはもともと気になっていた部分ではありましたが、以前よりも切り替えが難しくなっていたようです。癇癪についてはいままで起こすことは少なかったのですが、クラスのお友達(男の子)と口論になったときに、自分の思いを言葉にうまく表せず、悪態をついたり物にあたる姿が目立つようになっていました。先生とは、「お母さまが妊娠してから起こったことなので、いわゆる『赤ちゃん返り』かもしれませんね」という話になり、私の中でも先生のその言葉は腑に落ちました。ですが、「この子も長男と同じで、発達障害なのかもしれない」と思う気持ちもありました。癇癪は環境が原因?それとも発達障害?Upload By スガカズ年中で先生からの指摘があったとき、たまたま次男のクラスに、次男のように癇癪が目立ちはじめたお友達がいました。数ヶ月前に引っ越しのために転園してきたご家庭で、下の子の出産を控えている点、ママが妊娠していたという点など、わが家と状況が似ていました。そのため私は「発達障害なのかもしれない」という考えもありましたが、「定型発達でも赤ちゃん返りがあるようだから、見分けがつきづらい」とも思いました。結論からいうとそのお友達は定型発達の範疇だったのですが、非常に癇癪の内容が似ていました。また、同じ園のママに話を聞くと「うちも下の子を妊娠したときは『赤ちゃん返り』があったけど、下の子の成長と一緒に落ち着いてきたよ」という答えが返ってきました。環境を整えようと考えたものの…難しいと感じ現状維持私は仮に次男が発達障害だったときのために、周りの環境を整えようと考えはじめました。しかし、当時は療育センターは患者数が逼迫しており新患受け入れストップ、子ども発達支援センターは、長男のときと同様に1年ほど待つため、通えるのは就学直前という状況でした。児童発達支援は今でこそ増えていると感じますが、当時はまだ小さな娘と次男を連れて通える距離にはなかったので、わが家にとっては難しいと判断しました。Upload By スガカズそれ以外にも、個人的な理由が2つほどありました。1つ目は、当時、落ち込みやすい長男のサポートと、下の子たち(乳児)を優先したことです。「自分1人で処理できるキャパシティー」を考えた結果、真ん中っ子で友達の多い次男の優先順位を下げてしまいました。2つ目は、「長男のことを相談したときと同じように『もっと課題の多いお子さんもいるので』と断られることへの苦手意識」です。(詳しくは前回のコラムで書かせていただいています)当時は、周りで「うちの子は落ち着きがなくて…」と心配する家庭は把握していたものの、児童発達支援に通所している家庭もなく、私にとって通所はとてもハードルの高い存在になっていたのでした。※お住まいの自治体や環境によって違う可能性があります独学のペアレントトレーニングも上手くいかず失敗続きUpload By スガカズ福祉センターに「親が自宅でもできる支援」について相談したことがあります。そこで私は、ペアレントトレーニングの存在を知ります。療育センター等の医療型施設でも講習があるとのことでしたが、小1~小3の子どもの保護者で子どもに診断がおりていることが条件でした。当時次男は年長だったため条件にあてはまらず、私は独学でペアトレを学ぶことにしました。ですが、どうしても「見ないふり」をしたり、「好ましい行動」を見つけることが難しくて、失敗続きでした。Upload By スガカズまだ乳児だった長女の泣き声を「うるさい!」と怒って訴える次男。決して妹の存在が煩わしいわけではなく、優しいところもたくさんあります。ですが、特定の音への過敏さからくる怒りの声を聞くと、どうしても私は「長女の泣き声よりも次男の大声の方が気になるよ…」「そんなに強い言い方をしなくても…」と思ってしまい、その気持ちは次第に次男に対して適切ではない言葉に変わっていってしまったのでした。次回は次男が就学してからのお話になります。私はここでようやく、自分の育児の中途半端さと、次男の気持ちを汲んだ関わり方を知っていくことになります。
2021年05月05日“自分らしい人生を描くライフプラン”実践するコンサルタント2名をご紹介Upload By LITALICOライフ(写真・左)大手教育関連企業に入社後、会社の経営に従事しつつ、地域に根付いたサービス提供を推進。中学から大学までの入試全般から、普段の学習方法や不登校等々多くのご相談を経験。現在は、進路選択から習い事へのアドバイスや教育費の備え方など広く相談を実施している。(写真・右)中学時代にいじめに遭ったこと・障害のある家族がいることから「人と人/人と環境の境目にある壁をこわすこと」を軸にする。当事者の家族であることから、家族の心のケアや障害年金、また「よくわかる高校受験」勉強会の開発者でもあり、入試全般、不登校問題の相談経験も豊富。LITALICOライフの面談はどのようなことをする?LITALICOライフ編集部(以下、ーーー):お二人は、発達障害・特性のある子のご家庭と日々ライフプラン面談をしています。面談ではどのようなことをするのでしょうか?加藤晋太郎さん(以下、加藤):ご家庭の多くは、子どもや家族の将来について「もっと良くなりたい」という気持ちがあります。そのお手伝いです。髙橋基さん(以下、髙橋):発達特性のある子は、進路や自立後の情報が手に入りにくいですよね。我々は情報を持っているので、整理しながら「どうありたいか」「どうすればそれが実現できるか」を一緒に考えます。よくある相談内容は?意外に多い「何からすればいいのかわからない」Upload By LITALICOライフーーご家庭からはどのようなご相談が多いですか?加藤:「行ける高校はあるか」「将来就けそうな仕事はあるか」など…ご家庭によってさまざまです。「何から考えたらいいかわからない」という方も意外に多いですね。髙橋:多いですね。ーー「相談内容がわからない」ケースもあるのですね。加藤:「何かを変えたい」と思いながらも、整理する時間が日常でとれないのだと思います。髙橋:面談は、そういった保護者さま自身の幸せや「実現したいこと」を再認識していく場でもあります。自分の願いを見つけるコツは「普通」「他の人と同じに」を一度忘れることーー保護者さま自身の「実現したいこと」は、どのように整理・再認識していくのでしょうか?加藤:例えば子どもの進路や趣味探しであれば、保護者さまは、子どもの特性や性格をよく知っています。それらを言葉にして整理していくだけでも、「実はこれが向いているかも」「一度挑戦してもいいかも」と見えてくることがよくあります。髙橋:保護者さま自身のことであれば、例えば「どうやったらうちの子は大学に行けますか」という質問もよく受けます。加藤:受けますね。髙橋:その場合、「なぜ大学に行って欲しいのか」「保護者さまにとって大学とは何か」と会話していくと、中には「やっぱり価値のあるものだから行って欲しい」という方もいれば、「よく考えたら行かなくてもいい」という方もいます。ーー会話していくなかで、考えが変わることがあるんですね!加藤:変わることもありますし、自分でも気づいていなかった価値観が見つかることがありますよ。髙橋:「わたし、こんなこと思っていたんですね」って言われますよね。加藤:「普通にしなきゃ」「他の人と同じにしなきゃ」と感じることがあると思いますが、世の中変化しています。例えば、コロナによってオンラインの活用など、学びのかたちも変わってきていますよね。最終的には自分たちの「こうしたい」という気持ちが大切だと思います。進路選択や相続。一般的に「良い」と言われていることも、詳しく知ると…?Upload By LITALICOライフ髙橋:「情報を正しく知る」のは重要ですよね。加藤:重要ですね。例えば「通信制高校が良いらしい」という情報があったとして…髙橋:卒業率や大学進学率、実際のカリキュラムなどを見てみると、相性の良い子と悪い子がいます。ーー通信制高校は今、注目されていますよね。子どもによって相性があるのでしょうか?加藤:はい。授業の受け方や、同世代とのコミュニケーションは独特な部分があります。「良い」と言われていても、合うかどうかはお子さま次第です。髙橋:面談で、人生にまつわる先の話をしていくと、相続の話にもよくなりますよね。ーー相続というと、親なきあとのお金のことでしょうか。お金持ちのご家庭が気にされそうですね。髙橋:お金のあるなしは、あまり関係ないかもしれません。人の別れは、避けては通れないものですから。加藤:保護者の方は「今」がとても忙しいので、考える機会がない方が多いと思います。面談では、将来や、保護者の方の家族の話になることもあります。すると「意外に時間がない」「突然のことで困る事態は避けたい」という気持ちになる方は少なくないですね。ーー相続というと専門的な印象がありますが、そういったことも相談できるんですね!髙橋:そこが私たちの強みです。現実的な家族関係やお金の問題をクリアしたうえで、「実現したい」ことに向き合いたいですからね。加藤:相続に関しても「子どもにお金を託しても管理できないから遺さないほうがいい」という意見もあります。でも、遺し方はいろいろあります。他の人に託したり、月々一定額届くようにしたり、一部の金額だけ渡したり。髙橋:その子が一人っ子ではない場合は、きょうだいのことも大事ですね。ーー将来のこと、きょうだいのこと、自分の親やお金のこと…。いろいろなことを繋げて相談できるんですね。加藤:相続や法律についても私たちは情報があるので、保護者さまは「どうありたいか」集中して考えられると思います。面談は「自分の意志で人生を描きたいと感じられる」「保護者さま自身の幸せを考える」場Upload By LITALICOライフーー最後に、保護者さまにとって面談がどういう場であってほしいか、教えてください。髙橋:保護者さまは、子どものことをすごくよく考えていらっしゃいます。だからこそ、あえて「今はあなた自身の幸せを考える場です」とお伝えしています。守りたいことや起きてほしくないことを整理して、自分たちにとっての形を追求することを、私は手伝いたいです。加藤:人生の時間は有限だと、私自身よく感じます。これからの数十年を俯瞰すると、自分ができることには物理的に限りがあります。生きているなかで何をしたいのかは、人や家庭によってさまざまです。「自分の意志で人生を描きたい」と感じられる、価値のある場にしたいと思っています。ーーありがとうございました。加藤晋太郎さんのプロフィール・無料勉強会はこちら髙橋基さんのプロフィール・無料勉強会はこちらLITALICOライフでは、発達障害のある子のご家庭と日々、「進路」や「将来」といったライフプラン(人生設計)について相談・面談をしています。14以上のテーマの無料勉強会を開催していますので、気になる方は参加してみてください。勉強会のあとに、個別の無料面談を希望することができます。LITALICOライフは、誰もが「自分らしい人生」を歩んでいけるよう、さまざまな興味・課題に合わせた情報提供や個別相談を通じて、そのひとりに合わせたライフプランニング(人生設計)をサポートしています。無料勉強会では、就学準備、地域ごとの進路情報、通級、支援級、グレーゾーンの子、不登校の子、親なきあと、私立中学受験まで、幅広く家族のための情報提供をしています。
2021年04月29日不安で始まった、運動会練習。広汎性発達障害の娘は、現在小学5年生。これは、娘が小学1年生のときのお話です。娘が小学校に入学後、初めての運動会の練習が始まりました。私は、娘が無事、練習をこなせるか心配していました。小学校の運動会は、人数も多く、ほかの学年との合同練習もあります。幼稚園の運動会とは、雰囲気もやり方も違う練習…。練習時間も長いので、娘がその時間、最後まで集中できるか不安だったのです。Upload By SAKURAちゃんとやれてる?気になるけれど…娘は、運動会の練習がある日、いつもひどく疲れた様子で帰宅していました。ちゃんと指示は聞けている?動けている?そのことが気になり、練習の様子を聞いてみるのですが、Upload By SAKURA「疲れた」「暑かった」というだけで、具体的な話がなかなか聞けません。先生からの報告や電話も特になかったので、「きっと、きついけどきちんとやっているのだろう」と思っていました。指示を聞けてなかった。ある日、用事があって小学校に行った際、担任の先生にばったり会いました。私は気になっていた、運動会の練習について、聞いてみることにしました。Upload By SAKURA娘は、「朝礼台に注目」という先生からの全体への指示に反応できず、一人、違う方向を向いてボーっとしているということでした。耳で指示を聞きとることが苦手な娘ならではの、行動だと私は思いました。なぜ見れない?私は、帰宅後、早速娘に話を聞いてみることにしました。Upload By SAKURA私は、娘が朝礼台の意味が分かっていないのかと思ったのですが、娘は朝礼台のことはわかっていました。そうなると…Upload By SAKURA私は、娘が言葉だけの指示だけでは、長く指示を聞いていられないのかもしれないと思いました。そこで、娘の脳内に指示のイメージが浮かびやすいよう、絵カードをつくることにしました。絵カードは、直前に見せる!私は、「朝礼台に注目」という言葉と、朝礼台に注目している人の絵を描きました。Upload By SAKURAしかしこのとき、娘はまだ特別支援学級に在籍しておらず、担任の先生に絵カードを渡して見せてもらう…というのは、さすがに気が引けます。娘一人のために、そんな対応を要求することは無理だと思いました。でも…絵カードなら少しは効果があるかもしれない。なんとかして活用できないか…。そう考えた私は、毎朝、登校前に朝礼台の絵カードを見せることにしました。Upload By SAKURAさらに、娘の体操服入れにその絵カードを入れ、娘が着替えるときに自然と目に入るようにしました。Upload By SAKURAこれを数日繰り返したところ、担任の先生から『朝礼台見られるようになりました』と言われるようになりました。運動会当日に確認してみると…そしてやってきた運動会当日。本当に見られるようになっているのか、気になっていた私は、ドキドキしながら開会式を見守りました。娘は「朝礼台に注目!」という掛け声で、朝礼台の方をさっと見ることができるようになっていました。Upload By SAKURAしかし、その集中力は、長く持ってはいませんでした。目が少しずつずれていき、身体がふらふら。最終的には、完全に目が下に向いていました。話している先生を最後まで見ることはできませんでしたが、最初の掛け声に対しては、さっと反応できている姿を見て、絵カードは、役に立ったと実感しました。暑い中で先生の話を聞いている間、ずっと目線をそらさず、じっと立っているというのは、(私も経験がありますが)難しいもの。今、それを求める必要はないと感じました。現在小学5年生になった娘。去年(4年生)の運動会では、「朝礼台に注目」の声かけにも難なく反応できるようになっていて、先生を見ていられる時間も以前より増えました。最近では、成長からか本人が絵カードを「いらない」と拒否するようになり、絵カードの活躍する場がほとんどなくなりましたが、これまで絵カードにはたくさん助けられました。絵カードを見てくれるうちに、たくさん活用できてよかったと感じています。
2021年04月28日注意するときは、絵カードで。広汎性発達障害の娘は、現在小学5年生。小さいころは言葉のコミュニケーションが苦手で、言葉でなかなか伝わらないときは絵カードをよく活用していました。3歳~4歳ぐらいのころは、買い物に行くとき、スーパーに入る前に…Upload By SAKURA『お菓子は、買いません』『ママから離れません』『走りません』の絵カードを見せてから、中に入るようにしていました。視覚優位な娘は、言葉で説明するより、絵で見せる方が理解も早く、しっかり守ることもできました。そんな娘が、幼稚園に通っているときのお話です。先生の指示に、反応できない。幼稚園に娘のお迎えに行ったとき、先生から、「おやつ、着替え、移動などの声かけ時に、一人、その場から動かず、みんなが移動した後に、先生が迎えに行ったり、お友達から手を引かれて行動したりしている…」という話を聞きました。Upload By SAKURA娘は、先生のいうことを無視していたわけではなく、先生が言ったことの意味がわからなかったのでしょう。みんなが動いたら、一緒に動く…という周りの行動を見て考えることも苦手だったので、どうしていいかわからず、その場に残っていたのだと思います。娘の特性がわかっている私には想定内だったのですが、園の中では、やはり一人先生の言うことを聞かない子として映ります。私はそのことで、娘が周りに輪を乱すと思われたり、孤立したりしてしまうことが心配でした。絵カードをつくり、持たせてみた。私たちは、幼稚園に入園するときに、言葉でのコミュニケーションが苦手なこと、絵で描くとわかりやすいことは伝えていたのですが…Upload By SAKURA娘一人のために、『絵を描いて説明してください』というのは、なかなか言いづらい…。そこで私は、先生から聞いた話から、園生活の1日の中で指示されるだろう言葉を絵にしたカードをつくり、娘のリュックの中に入れました。使われた様子はなし…翌日、早速先生に、絵カードのことを説明しました。しかし数日経っても、使ってみたという報告はない…。Upload By SAKURA出過ぎた真似だっただろうか…使ったかどうか確認したり、何度もお願いしたりするのも気が引ける…先生も忙しいから、わざわざ見せる時間がないよね…と自分を納得させ、そのままリュックの中に入れ続けました。いつの間にか、娘が…しばらくすると、娘がリュックの中のカードに気がつきました。当時、少しずつしゃべれるようになっていたこともあって、自分でカードを見ながら、一つひとつ確認するようになりました。Upload By SAKURAそれ以降、先生の指示に固まっているという幼稚園からの報告はなく、どうなったのかなと気になりつつ、そのままにしていました。遅れてはいるけれど、先生からの指示に反応できるように!それからしばらく経ったころ、幼稚園に早めに迎えに行き、帰りの会をいつもより長い時間みていると…Upload By SAKURA先生の指示にワンテンポ遅れるものの、なんとかついていこうとしている娘の姿を見ることができました。園でカードを使用してもらった訳ではありませんでしたが、つくったカードを見てことばを確認していたことで、娘自身がその言葉に反応できるようになっていたようでした。意図せぬところで、効果を発揮した絵カード。私の場合、先生が使うことはありませんでしたが、言葉での指示を聞くのが苦手だという子は、絵カードを持参していくのもいいかも!わが家のように、意外なところで効果を発揮するかもしれません。
2021年04月14日他の生徒からの「えこひいき」発言ににうまく返答できなかった私は3年前まで学習塾で指導をしていました。2年生のクラスを担当していたとき、おそらく学習障害があると思われる生徒に特別メニューで課題を与えていたところ、ほかの生徒たちから意見が出ました。問題は、1年生学習範囲の「9+3」などの一桁同士の繰り上がりの問題など易しくし、宿題量も減らしていました。するとほかの生徒から「問題も簡単だし、宿題も少ない。立石先生はえこひいきしている、ずるい」と。さらに「あの子はバカだ。頭悪い」とほかの子たちは囁きました。言われた子はその場で周りに気づかれないようにシクシク泣き出しました。算数のプリントが涙で濡れました。私は囁いた子を別室へ連れて行き叱りました。どういう言葉で叱ったか忘れてしまいましたが、「それは言ってはならないことだよ」ともし言っていたとしたら、子どもたちは口には出さなくても、ますます、その子のことをバカにしたでしょう。違う課題を与えていたことをうまく説明が出来なかったことだけは記憶しています。幼児クラスでも同様幼児のクラスでも同様のことが起りました。発達障害特性がある子どもで、落ち着きがなく教室内を立ち歩くことがありました。私が「皆と同じ」を強要することなく許していたら、家に帰って「先生はえこひいきしている」と保護者に訴える子が出てきてしまいました。そこで次のように言いました。「背が高い子、低い子、走るのが速い子、遅い子、給食をお替りする子、しない子。眼鏡をかけている人、いない人、人間はみんな一人一人違います。うまくできることとできないことがそれぞれあります。椅子に座るのが得意な子も苦手な子もいます。○○君はじっと座っていることが苦手だけれども走るのが得意です。だから立ち歩いてしまっても、○○君は走りたいのをグッとこらえて頑張っているのだから先生は叱っていないのよ」ですが、子ども達が納得できたかどうかは定かではありません。マザーテレサの言葉に「できないのではありません。できることが違うだけです」とあります。もしかしたら、この言葉を入れたら納得したのでしょうか。難しい問題です。合理的配慮はずるいのかあるテレビ番組で見た光景です。クラスに学習障害(LD)のあるA君がいました。文字が読めないので、担任はテストの時間はその子だけ教卓の横に座らせ、先生が問題を読み、答えを口頭で聞いて○×を付けていました。するとほかの生徒たちから「ずるい!僕も先生の横に座りたい!」と文句が出ました。困り果てた担任は「この子だけ特別扱いはできない。えこひいきになってしまう、そうしたらいじめにあってしまうかもしれない」と感じ、個別対応を諦めました。近視の子に眼鏡を禁止して「気合を入れて黒板の字を写しなさい」とは言いません。眼鏡だけでなく黒板の近くの席にする配慮をするでしょう。ところが、発達障害についてはほかの子と同じ学習のさせ方をしてしまうという例としてとりあげられていました。障害がある人の不当な取扱いを禁じ、個々のニーズに合った合理的配慮の提供を求めることによって、差別を解消しようとする障害者差別解消法があります。これに沿って対応しなくてはならないのに、ほかの児童のクレームに押し切られてしまった担任の先生でした。A君はこの経験から「僕は周りに助けを求めてはいけないんだ。何もかも自分の努力でこれからの人生を歩んでいかなくてはならないんだ」と思ったでしょう。ツールの活用学習障害のある生徒には先生が読んでやる、または音声ソフトを使わせればよいと思います。例えば、マルチメデア教科書(デイジー教科書)という音声ソフトもあります。参考:マルチメデアデイジー教科書について背景と文字の境界が混ざってしまい、行を飛ばしたり、読めなかったりすることもあるので、こんなときはリーデングスリットを使わせればよいのです。また、黒板の文字を写せないのならば、タブレットで写真を撮らせればよいのです。子どもの特性に合わせてツールを上手に活用することで、学びの困難を少しでも軽くすることができます。Upload By 立石美津子高い壁の向こうで行われているスポーツの試合…背が低い子に「背を高くして観戦しなさい!」と言っても無理です。ですが、踏み台を使えば平等に楽しむことができます。学習も同じで、合理的配慮とは、同じ土俵でチャレンジするためのサポートの形で、この踏み台がリーデングスリットやデイジー教科書、タブレットなのです。共に学ばせながら、ときには定型発達の子どもと障害のある子どもの教育環境を変えたり、特性を踏まえて違う課題を与えたりするのが本当のインクルーシブ教育ではないでしょうか。とはいえ、私自身も、他の児童が納得できる説明の仕方を未だに見つけられないでいます。
2021年04月12日長男は4歳のときに、子ども発達支援センターで発達検査を受けました。担当の先生からは発達障害のグレーゾーンと言われ、長男への接し方や特性の話を聞きました。乳児期のころから長男のことを育てにくいと感じていたのですが、当時はなぜ育てにくいと感じてしまうのかわかりませんでした。今回は検査結果を聞いたときの私の心境をお話ししたいと思います。 子育てがつらいと感じていた日々長男は生後3カ月ころから寝付きが悪く、夜泣きもひどく、育児用ミルクは一切飲まず母乳のみでした。実家は遠く、夫は非協力的で、金銭的な余裕もなかったので、私ひとりで長男の子育てや家事を頑張るしかありません。さらに長男が1歳、2歳と成長してくると、偏食・言葉の遅れ・こだわりが目立ち始めました。 健診では問題ないと言われていましたが、長男の様子に違和感を持ち始めていた夫や義父から、私のしつけが悪いと言われるようになり、私は長男の子育てをつらいと感じるようになってしまいました。 発達検査を受けた結果長男が4歳になる1カ月前、長男の子育てと成長について子育て支援センターに相談に行ったところ、すぐに子ども発達支援センターを紹介され、長男が4歳3カ月のときに発達検査を受けました。 担当の先生からは検査の結果、「発達障害のグレーゾーン」と言われ、知能的に高い部分と社会性の低い部分で2年半の差があるということでした。発達に凸凹があるために、長男には理解できることとできないことの差がありますが、それは性格や環境のせいで「お母さんのせいではないですよ」と言われたのです。 ショックよりホッとした気持ち夫や義父に長男へのしつけが悪いと言われていた私は、「お母さんのせいではない」と言われたとき、体の力が抜けたと同時にホッとしました。 また長男には脳機能で何かうまくいかないことがあり、感覚などの過敏があるのだとすると、育てにくいと感じていた長男の偏食やこだわりなどをすんなりと理解することができたのです。そして不思議とショックはありませんでした。むしろ、発達障害のことを、長男のことを、しっかりと理解したいと思いました。 発達検査の結果が出たあとも、夫や義父は長男の発達検査の結果をなかなか受け入れてくれず、私のしつけが悪いと言っていましたが、私は気にしませんでした。発達検査の結果を聞いた日を境に、長男の子育ては「育てにくい」から「理解したい」という方向へ変わっていきました。私のせいじゃなかった、そう思った瞬間のホッとしたときの気持ちは、うまく言葉では表せませんが一生忘れることはないと思います。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 「共感した」「私の場合はこうだった」など、ぜひベビーカレンダーサイトのコメント欄にご感想をお寄せください。また、ベビーカレンダーでは皆さんから募集した体験談を記事でご紹介させていただくことも。ベビーカレンダーに会員登録すると届くメルマガから、皆さんのオリジナル体験談をご応募ください。 監修/助産師REIKO著者:川本 千華発達障害の長男、兄が大好きな次男を育てる2児の母。元ピアノ講師。自身の経験を活かし音楽・発達障害に関するライターとして活動中。
2021年04月06日【アンケート】21アイテムから「ほしい!あったらいいな」を教えてください!発達ナビ×フェリシモの、発達が気になるお子さまや保護者さまが快適に過ごせるためのグッズづくり第3弾がスタート。第2弾企画で、グッズ開発の参考にするためにユーザーの皆さまから「普段どんなことに困っているのか」を伺ったアンケートや、これまでの開発商品へのお声から「ほしいグッズ」をピックアップしました。あなたの「ほしい!あったらいいな」と思われるアイテムはどれでしょうか。21アイテムからどれがほしいかを選び、その理由や、具体的なイメージ、さらにあったらいいなという機能なども書いてください。さまざまなご意見を参考にして、「みんなが暮らしやすい日々」を目指していきます!・1度の回答で、1つお選びいただけます・複数回、ご回答いただくことができますアンケートでお選びいただく、21アイテムをご紹介します。クッション1.椅子の姿勢くずれを防ぐ!おしゃれな「両面滑り止めつきクッション」マスク2.感覚過敏さんのための快適「マスクカバー」3.感覚過敏さんのための快適「布マスク」4.感覚過敏さんのための快適「マスクインナー」衣服・靴下5.ぬぎっぱなしOK!「裏表のないカットソーパジャマ」6.ぬぎっぱなしOK!「裏表のない靴下」カバー・ホルダー7.水筒やネームホルダー苦手さんの首元にやさしい「ふわふわネックホルダーカバー」8.荷物が増えても忘れない!「バッグの持ち手おまとめホルダー」収納・ケース9.勉強道具もゲームセットもひとまとめで持ち運び簡単!「おかたづけ収納ラック」10.玄関で忘れ物防止!マスクも鍵もティッシュも入る「玄関ドアラック」11.障害者手帳も小銭もカードも全部入って提示が楽な「マルチ手帳ケース 」食器12.おっちょこちょいさんのための「倒れないおしゃれな食器」13.不器用さんのための「すくいやすくてこぼさないおしゃれな器」タスク管理14.めくるのが楽しみ!アドベントカレンダーみたいな「服薬カレンダー」15.乱しがちな曜日ごとのルーティンワークが一目瞭然!「1日todoリスト」16.部屋においても恥ずかしくない!おしゃれな「タイムスケジュール」17.マグネットで管理。家族で共有「やったかどうかチェックボード 」18.大人もさりげなく使える「タスクチェッカー シンプルバージョン」感情・空間19.感情コントロール苦手さんのための「怒りを描いて流してスッキリ!水に溶けるカード」20.感情コントロール苦手さんのための「感情コントロールレッスン キット」21.一人になりたい!が叶う。もう一つの部屋がつくれる「室内テント」第2弾企画では6商品がデビュー!2020年度に行った第2弾のコラボ企画では、6商品がデビューしました。第3弾も、発達ナビユーザーの皆さんと一緒にグッズをつくっていきます!
2021年03月30日放課後児童クラブ(放課後児童健全育成事業)とは?保護者が労働等により昼間家庭にいない小学校に就学している児童に対し、授業の終了後等に小学校の余裕教室や児童館等を利用して適切な遊び及び生活の場を与え、その健全な育成を図るものです。該当施設は「放課後児童クラブ」「学童クラブ」などと呼ばれ、子どもたちが放課後や長期休みを過ごします。子どもたちは遊びや保育の知識のある支援員に見守られ、友達と遊んだり宿題をしたり、おやつを食べたりして生活します。施設によっては、ものづくりや料理、ハイキングなどさまざまなイベントを行うところもあります。全国に26,625か所あり、登録児童数は1,311,008人(令和元2年7月1日時点)です。公営の施設と民営の施設があり、具体的なサービス内容や過ごし方は施設によって異なります。放課後児童健全育成事業について(厚生労働省)令和2年(2020年) 放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況(厚生労働省)放課後児童クラブ(学童クラブ)を利用できる人は?出典 : 児童福祉法第6条では「小学校に就学している児童」であって、「保護者が労働等により昼間家庭にいないもの」が、放課後児童クラブ(学童クラブ)を利用できると定められています。学年については、平成27年度から対象児童が6年生まで拡大されたことにより、小学校1〜6年生まで利用することができます。具体的な利用条件については各市町村が定めているので、お住まいの自治体のHPで確認する必要があります。例えば広島県広島市の場合、HPに以下のように細かく記載しています。次の(1)~(3)までの条件を全て満たす場合に対象となります。(1)広島市内に住所を有している児童(2)小学校に在学している児童(3)保護者及び同居する親族(18歳未満の者を除く。以下「保護者等」という。)が次のいずれかの事由に該当することで、家庭において適切な保護を受けられないことが常態であると認められる児童ア保護者等が、就労のため、1週間のうち概ね4日以上(月16日以上)、午後5時頃まで家庭にいないこと。イ保護者等が、疾病又は負傷の状態にあるか障害があること。ウ保護者等が、疾病又は負傷の状態にあるか障害がある親族等を、常時介護していること。エ保護者等が、出産予定日前8週間(多胎妊娠の場合は14週間)に当たる日から出産日後8週間に当たる日までの間(以下「産前産後期間中」という。)であること。オ保護者等が、大学・専門学校等へ通学中であること。カその他児童を保護できない特別の事由があること市町村によってはHPに利用条件の詳細を記載していない場合もあり、また、民間学童では独自の基準を設けている場合もあります。放課後児童クラブ(学童クラブ)の利用対象にあたるかどうかは、ご自分の市町村や周辺のクラブに問い合わせてみると良いでしょう。放課後児童クラブ(学童クラブ)の利用方法出典 : ①問い合わせ概ね9月か10月ごろ、市町村や各施設で次年度の入室希望者の募集が始まります。募集開始時期は市町村によって異なるので、HPなどで情報をチェックしておく必要があります。市町村によっては年度途中からの入室申し込みを受け付けている場合もあります。申し込みをする際、まずは市町村、もしくは利用する可能性のある放課後児童クラブ(学童クラブ)に直接問い合わせて、空き状況や必要な手続きを確認しましょう。地域の放課後児童クラブ(学童クラブ)一覧や問い合わせ先は、市町村のHPにまとめられていることがほとんどです。②入室申し込み・選考入室申込書や保護者の勤務証明書等、放課後児童クラブ(学童クラブ)から指定された書類を期限までに提出します。施設によっては、入室説明会を行うこともあります。定員を超えると選考が行われる場合もあり、その選考基準も市町村によって異なります。また、学年があがるときの継続手続きや退室手続きも施設によって異なるため、直接確認する必要があります。③利用決定・手続き利用が決定した方向けに、説明会への出席や書類の提出が案内されます。開所時間は施設によって異なりますが、概ね、平日は学校が終わったあと(14時や15時ごろ)から19時ごろまで、長期休み等は朝8時や9時ごろから19時ごろまで開室しているところが多いようです。小学校から放課後児童クラブ(学童クラブ)までの送迎を行うところもあれば、子どもたちが自分で下校・登室するところもあります。施設によって方針が異なるため、気になる方は問い合わせの際に確認すると良いでしょう。放課後児童クラブ(学童クラブ)から自宅までは保護者が送迎を行うことが多いですが、保護者の希望があれば子どもが一人で登帰室できる場合もあります。放課後児童クラブの利用料は市町村や施設によって異なりますが、数千円の月額を徴収しているところが多いようです。利用料と別でおやつ代などが必要な場合もあります。例えば東京都港区の場合、学童クラブ育成料として月額3,000円と、おやつ代・お楽しみ会費月額2,000円を徴収しています(令和3年時点)。多くの場合、家庭の状況に応じた利用料の減免制度も取り入れられています。東京都港区の場合には、対象を以下のように定めています。・生活保護世帯・区市町村民税非課税世帯・生活保護に準ずる世帯(生活保護基準額の1.2倍以下の世帯、18歳未満の子どもが3人以上の場合は1.31倍以下の世帯)・低所得のひとり親世帯(児童扶養手当受給世帯)・兄弟・姉妹で学童クラブに入会している児童の第2子以降学童クラブ育成料について発達障害のある子どもが放課後児童クラブ(学童クラブ)を利用するには?日本放課後児童支援員協会による「放課後児童クラブ運営指針」では、障害を理由として受け入れを拒否せずに、受け入れに伴う負担が過重でない限りにおいて、当人の状態に合わせた必要かつ合理的な配慮をするよう記載があります。・障害のある子どもについては、地域社会で生活する平等の権利の享受と、包容・参加(インクルージョン)の考え方に立ち、子ども同士が生活を通してともに成長できるよう、障害のある子どもも放課後児童クラブを利用する機会が確保されるための適切な配慮および環境整備を行い、可能な限り受け入れに努める。・放課後児童クラブによっては、新たな環境整備が必要となる場合なども考えられるため、受け入れの判断については、子ども本人及び保護者の立場に立ち、公平性を保って行われるように判断の基準や手続き等を定めることが求められる。また、厚生労働省による「障害児受入強化推進事業」「障害者受入強化推進事業」では、障害児の受入に必要となる、専門的知識を有する「放課後児童支援員」等を配置するための人件費・研修費等を市町村が負担すると定められています。実際の支援体制は、市町村や施設、タイミングなどによっても大きく異なります。発達障害やその傾向のある子どもが利用できるかどうか、個別の配慮を受けられるかどうかは問い合わせて確認する必要があります。すでに障害児の受入れをしたことのあるクラブであれば、それまでにどのような体制でサポートしていたのか確認してみると良いでしょう。「放課後児童クラブ運営指針」では、家庭や地域の関係機関・学校との連携を密に行うよう書かれています。・障害のある子どもの受け入れに当たっては、子どもや保護者と面談の機会を持つなどして、子どもの健康状態、発達の状況、家庭の状況、保護者の意向等を個別に把握する。・地域社会における障害のある子どもの放課後の生活が保障されるように、放課後等デイサービス等と連携および協力を図る。例えば施設によっては、以下のような連携を行ってもらえる場合があります。▼例・相談支援員や放課後等デイサービスの職員、保護者をまじえてケース会議を行い、特性や困りごと、個別支援計画について共有する・特別支援学級の先生や担任の先生と、学校と放課後児童クラブそれぞれの様子を共有する・保護者と面談を行い、家庭の様子や学童の様子を共有したり、相談に乗ったりする放課後児童クラブ(学童クラブ)と、放課後等デイサービスの違いは?併用はできる?出典 : 障害のある子どもが放課後に利用できる施設として、放課後児童クラブ(学童クラブ)のほかに「放課後等デイサービス」があります。両者にはどのような違いがあるのでしょうか。●対象放課後児童クラブ(学童クラブ)の利用対象者は、「小学校に就学している」かつ「保護者が労働等により昼間家庭にいない」児童です。放課後等デイサービスの利用対象者は、「身体に障害のある児童、知的障害のある児童又は精神に障害のある児童(発達障害児を含む)」かつ「就学児童」(小学校、中学校、高等学校に通っている児童)で、障害のある児童のみを対象としているのが放課後等デイサービスです。●支援の内容放課後児童クラブの支援内容はクラブによって異なりますが、大きな役割としては、子どもたちがおやつを食べたり遊んだり、宿題をしたりするのを見守る、遊びと生活の場です。民間の学童クラブでは、イベントや習い事などを提供するところもあります。利用者20名につき1〜2名程度の支援員がつきます。一方放課後等デイサービスでは、個別支援計画に基づいて、子どもの特性や困りごとに応じた支援が行われます。その内容は預かり型や療育型、習い事型などさまざまで、利用者5名に対して1〜2名程度の支援員がつきます。施設の空き状況にもよりますが、制度のうえでは放課後児童クラブ(学童クラブ)と放課後等デイサービスの併用は可能です。また、相談支援員や各施設の職員に連携を依頼することもできます。放課後児童クラブに通所しつつ、週1日は放課後等デイサービスで、少人数で特性に合わせた療育の支援を受けるなど、併用するケースもあります。まとめ出典 : 「放課後児童クラブ」(学童クラブ)は、保護者が労働等により昼間家庭にいない小学校に就学している児童に対し、授業の終了後等に小学校の余裕教室や児童館等を利用して適切な遊び及び生活の場を与え、その健全な育成を図るものです。障害のある子どもの受け入れも行いますが、実際の支援体制は、市町村や各施設、タイミングなどによっても大きく異なります。発達障害やその傾向のある子どもが利用できるかどうか、個別の配慮を受けられるかどうかは問い合わせて確認してみましょう。
2021年03月29日「長男の発達障害の話」最終話。「なんでうちの子が発達障害なんだろう……」。息子の発達障害という現実をなかなか受け入れることができずに苦しむばよさんでしたが、ひとまず療育相談センターへタロちゃんを連れて行き、検査やトレーニングをおこないました。その後、小学校入学するにあたって「通常級」か「支援級」か、葛藤することに。ばよさんの答えは……?! 「長男の発達障害の話」最終話 療育相談センターは市の施設で、平日しかやっていませんでした。もし仕事が平日休みじゃなかったら、どうしてたんだろう……。会社辞めてたのかな??などとたまに過去の自分に思いをはせます。 ひとたび気持ちがストンと決まり、ご近所の仲良いママたちに何もかもすっかり打ち明けたら、気持ちが軽くなってオープンマインドになれました。何をあんなに私は悩んでいたんだ?とすら思えます。 市の教育委員会による就学相談会が開催され、特別支援級が望ましいとの通知を受けます。 「できれば通常級に入れてやりたい……」と悩みましたが、「一番大事なことはなんだ?」と改めて考え直したばよさん。 「タロに合ってるんだからいいじゃん」 ストンと気持ちが決まりました。 仲の良いママたちにも打ち明けることができ、気持ちが軽くなってよかったですね! 監修/助産師REIKO
2021年03月24日「長男の発達障害の話」第3話。療育をすすめられ、ショックを受けているばよさんの気持ちを思いやることもなく、矢継ぎ早に決断を迫る主任保育士の態度に堪忍袋の緒が切れた!その場で判断せずに夫と帰宅したものの、その後数カ月にわたって夜眠れなくなってしまったばよさん。「長男が発達障害」という現実を受け入れるのにかかった時間は……? 「長男の発達障害の話」第3話 あの面談のあと、なかなか眠れなくなりました。ショックと怒りでめらめらと……。 心は置いてけぼりでしたが、タロの成長に関わる大事なことだからと療育相談センターに行きました。 面談からどれくらい経ってたかな。遅くとも面談の翌月にはセンターに向かったと記憶しています。 悲しみ、自責、ショック、否定、成長への希望……現実を受け入れるのに2年かかりました。 いろいろな感情が大波、小波、津波のように次から次に押し寄せた2年でした。 同じように面談で子どものことを言われたママ友と情報を共有したり交換したことで、本当に救われました。 「なんでうちの子が発達障害なんだろう……」 なかなか受け入れることができずに苦しむばよさんでしたが、ひとまず療育相談センターへタロちゃんを連れて行き、検査やトレーニングをおこないました。 そして、同じように面談で子どものことを言われたママ友とつらい気持ちや情報を共有しました。 次回、長男が小学校入学するにあたって、「通常級」か「支援級」か、葛藤することに。ばよさんの答えは……?! 監修/助産師REIKO
2021年03月23日発達が気になる子どもを受け持つ、園の先生方の悩み私は発達障害のある子どもを育てる保護者としての苦しみを伝えるべく、保育園や幼稚園の先生に研修をすることがありますが、そこで出会う先生方が「保護者になかなか子どもの問題を伝えられない」と悩んでいることがとても多いように感じています。同時に「悩みが目先のことに向いているようだ」「親も先生も“子どもに幸せな人生を送ってもらいたい”という見ている方向は同じなのに、大人同士の人間関係を優先してしまい、言い淀んでいる状態なのかもしれない…」と感じることがあります。研修で耳にした、園の先生方が実際に受けた言葉これらは、実際に私が耳にした園の先生方の言葉です。「親御さんに伝えられない理由はなんですか」と質問をすると…。・「子どもの問題行動は先生の指導力が問題!うちの子を障害児扱いして」と詰め寄られた経験がある。それが原因でうつになり、退職してしまった同僚がいる。・行政に訴えられたことがある。・「障害児加算をあてにしているんですか」と言われたことがある。・ほかの保護者に担任の悪口を言いふらされたことがある。・「上の子も同じ感じだったが今はしっかりしている」「家では問題ない」と言い訳されてしまい、それ以上話が進まない。・「文字も書け、数字も得意だし問題ない」と言われる。保護者と話がかみ合わず、そのまま話が止まっている。・相談機関とつなげようとしたり、「就学相談に行って、小学校の進級先を検討してみてはいかがでしょうか」と伝えたりしても無視される。・頑なに福祉サービスを受けることを拒否している。それぞれの家庭の方針があるので、踏み込めない。・「障害者手帳を所持することで、障害者のレッテルを貼られたくない」と言われた。・「障害ではなく、個性の一つ。障害としてしまったら、伸びるものも伸びなくなる」と言われた。身につけさせたいことはある保育士からの相談は、5歳児クラスのお子さんについてでした。お箸やスプーンで食事することが難しく、そのお子さんは、食事は手づかみ食べ、発語もあまりない状態だということでした。そしてそのお子さんの保護者の希望は、「わが子には、通常学級に行って定型発達の子どもたちから刺激を受けて、さらに読み書き計算ができる学力をつけてほしい。特別支援学級に進学するとそれが叶わない」ということでした。本当にそれでそのお子さんに必要な支援は受けられるのだろうか、子どもに必要な力はその環境で伸ばすことができるのだろうか、とその保育者は悩んでいました。私は思います。「その保護者の考えかたも一理ありますが、定型発達の子どもとの違いを思い知らされ、努力しても授業内容が理解できず、更にいじめにあったら、お子さんはどう感じるでしょうか。通常学級にこだわることはあまり意味がないのではないか」と…。Upload By 立石美津子教育委員会で働いていた方から次のコメントを頂いたことがあります。「障害のある子の保護者には、『隔離された特別支援学校・特別支援学級より、地元の通常学校・通常学級に入って定型発達の子どもたちと育ったほうが発育によい影響がある』と信じる方が多いです。でも、子どもの発達段階によっては、「特別支援学校・学級の方が手厚い教育を受けられるのではないか…」と思うケースも多々あります。特別支援学校・学級に入っても通常学級の子たちと交流する機会はあります。決して隔離ではありません。アメリカでは保護者はむしろ「障害のある子が特別な学校・学級で特別な教育を受けるのは権利」と考えると耳にしたこともあります。」傷つくのを恐れて研修会でのことです。ある保育士が「保護者を傷つけたくないし、園職員との人間関係を悪化させたくないので、これ以上、話したくない。」と発言しました。私は「もしかして、自分自身が傷つきたくない気持ちが潜んでいるのではないですか」と言うと、その保育士は怒ってしまいました。まさか「園との間にトラブルを起こすことなく無事卒園してほしい…」とは思っていないでしょうが、子どもやその保護者のこれからを思えば、保護者やそのお子さんを相談機関につなげるべきではないかと感じます。保育士や幼稚園の先生は親ではないので子どもの人生に関わるのは6歳までです。でもそのお子さんの人生は、園で過ごした数年間よりずっと長く続きます。幼稚園・保育園・・・小学校にいけば何とかなるだろう小学校・・・中学にいけば何とかなるだろう中学・・・高校にいけば何とかなるだろう高校・・・就労させる、そのための訓練に必死このように分断されがちです。実際、幼稚園、保育園の先生が園児のことが気になっても小学校に見に行くことはできません。ただし、保育士や幼稚園の先生は専門の医師ではないので、「発達障害の疑いがありますので専門機関に相談に行ってください」と言うことはできません。でも、保護者に対して、専門機関への一歩を踏みだせるよう、「○○さんの行動で気になることがあります。相談機関に足を運ばれたらどうでしょうか」と背中を押してほしいと私は思います。最後に保護者のみなさん方へもし、園の先生から発達の偏りや遅れを指摘されて、不愉快に感じている方がいたら「園の先生は一番言いにくいことを、伝えてくれている勇気ある先生なのだ。」と捉えてみてはどうでしょうか。
2021年03月19日小学校時代、クラスで浮く存在だった息子Upload By かなしろにゃんこ。現在22歳のADHDと広汎性発達障害がある息子リュウ太は、変わっている子と小学校ではクラスで浮いた存在でした。先生の指示に従って課題に取り組むことをしなかったり、授業の準備をしなかったりと授業態度がよろしくない子でしたから、保護者会では担任の先生との話し合いで「授業面では短期目標を設定して取り組んでいけるようにしましょう」と指導目安を話し合ったりしてきました。しかし自由奔放でルールを守れないリュウ太には簡単な目標でもクリアすることが難しく、小学校卒業まで、1時間目から午後の授業まで、きちんと座って授業を受けることが達成できませんでした。このままじゃ中学ではどうなっちゃうんだろう?と心配でした。担任の先生に相談したところ...Upload By かなしろにゃんこ。6年生最後の保護者会で担任の先生に相談したところ、「中学校では発達障害があっても特別な配慮は期待できないことも多いです。少しは理解がある先生が増えてきましたが、小学校のようなフォローはない場合もあります。もしご心配ならば入学前に一度学校に相談に行かれるといいかもしれません」こうアドバイスをいただきました。相談なんてしていいの?「自分ちの子どもに配慮をお願いします!」とお願いしに行くって恐れ多いな~と思いましたが、中学生活が合わなくて孤立してしまい登校拒否になる恐れも考えて、小学校の卒業式後すぐに中学校に連絡してみました。挨拶に行った校長室で言われた言葉はUpload By かなしろにゃんこ。Upload By かなしろにゃんこ。校長先生と新1年生の学年主任の先生が話を聞いてくれることになり、息子と二人で校長室にご挨拶に伺いました。落ち着きがない、物忘れが多いなどリュウ太の特性を伝え、課題を忘れたり、持ち物を忘れたりしてしまうので、帰りのホームルーム後に声掛けをしていただけないかお願いしました。注意するときはパニックがおさまってからにしてほしいとか、暴れたときはクールダウンスペースに誘導してほしいなど、本当はもっとたくさんお願いしたいことがありましたが「過保護な親」と思っているだろうな…いくつも頼んだら嫌がられそうだな…と思い1つだけにしたのです。ところが校長先生からは「発達障害があっても特別扱いはしません。生徒の自主性に任せているので個別のサポートはしません」と言われてしまいました。Upload By かなしろにゃんこ。発達障害の特性がある子は他にもいて、一人ひとりに配慮はできないから家庭でなんとかしてください、もし特別なサポートが必要な場合は精神科医と相談して決めるので学校が紹介する精神科に通院してください、ということでした。息子は精神科には通いたくないというし、コレはもうサポートは望めないとわかりました。学年主任のT先生は「部活をはじめて、運動などもしてみると良い変化があるかもしれませんから、様子をみながら指導しますよ」と言ってくれました。でも、きっと社交辞令だと思い、学年主任の先生の言葉をあまり期待しませんでした。Upload By かなしろにゃんこ。ところが実際に入学してみると...!?発達障害って、理解してもらおうとして伝えれば伝えるほど、過保護な親と捉えられてしまいがちです。見えない障害も障害ですから配慮を頼んでいいはずなのに、目の前でシャッターを下ろされる感じです。校長先生の言葉に、中学校ってハンデのある子にも容赦ない優しくない教育現場だったのかー…なんて落ち込み、学校に相談に行くんじゃなかったかもな~なんて思ってトボトボ帰ったのでした。ところが入学してみると学年主任の先生が担任となり、課題にはついていけていないリュウ太でしたが、学校には慣れて楽しんでいくようになったのです。Upload By かなしろにゃんこ。先生は教員には珍しい、真面目すぎない、いい意味でおちゃらけた方で、息子はすぐになつきました。先生のおもしろいエピソードを家で話すようになり、運動オンチなのにテニスにも挑戦してみよう!とテニス部にも入りました。やるべきことを指示通りにやらず、先生にこっぴどく叱られる厳しい指導も受けましたが、先生に嫌われたくないという思いがあったからか?先生の指示には耳を貸すようになっていったのでした。先生に怒られても先生の話をする様子から、学校は発達障害がある子に特別扱いはしないという方針だけれど、先生はリュウ太がクラスの中で浮かないように声をかけてくれたり、文化祭や体育祭で係りの仕事をさせて自己肯定感を上げるように取り組んでくれたりしていたことが見えてきました。入学前、学校に相談するんじゃなかった...と思っていた私ですが、あのとき相談しておいて、結果的に良かったかもしれないと考えるようになりました。中学では担任の先生と話すのは保護者会だけで、特別に指導相談もなかったため、学校の様子は子どもから聞く情報でしか分かりませんでした。ですが先生は学校の方針とは別に息子の様子をみて、「声かけ」のタイミングなどを判断して、いつも気にかけてくれていたのではないかと思います。これからお世話になる学校に「子どもに発達障害があります」と伝えるのはやっぱり勇気がいりました。どの場面でも言えば配慮がもらえるわけではありませんが、子どもの特性や苦手なこと、できないことは伝えておいたら、必要な支援を考えてくれるのかもしれないと思うようになりました。
2021年03月11日私には2人の息子がいます。次男は2歳のときに言語発達遅延、その後、自閉症スペクトラム障害だと診断されました。当時の私は発達障害についてまったく知識がなく、戸惑うばかり。夜な夜なインターネットで検索しては落ち込み、将来を悲観したり、枕を濡らしたこともありました。そんな私が障害をもつ次男にどう接してきたか、次男が二語文を話し出すまでの体験をお話しします。 言葉が減っていく次男次男の異変に気が付いたのは、2歳の誕生日を迎えたころでした。それまで順調に増えていた単語が、徐々に消えていったのです。言葉の爆発期といわれる時期に、単語を忘れていく次男。不安を感じていましたが、新たに覚える単語もあったため、私は気のせいだろうと思っていました。 そんなある日、ついに次男は「ママ」まで言えなくなってしまったのです。これはさすがにおかしいと感じ、藁にもすがる思いで市の発達相談窓口へ連絡しました。 すべての動作を言語化する市の発達相談窓口に相談すると、療育センター、専門医を紹介してもらえました。そこで私は次男を連れて、紹介してもらった専門医を受診しました。専門医からは、言葉を増やす転機となる重要なアドバイスを受けることができたのです。 それは、すべての動作を言語化すること。例えば、手を洗うときは「袖をまくって、水を出すよ。水が冷たいね。泡を付けて……」と説明しながら洗うというものです。これは、簡単に見えてなかなか精神的に大変でした。反応の薄い息子に向けて、1日中、実況中継しているようなものですから。 ついに、二語文が…!次男は電車が大好きで、駅までの散歩を日課にしていました。ある日いつもの通り電車を見に行くと、突然次男がこう言ったのです。「電車、きたね」。待ちに待った二語文。 私は目に涙をうかべながら、「うんうん、そうだね。電車きたね。きたって言えてすごいよ!」と何度も何度も次男をほめました。この日の出来事は、一生忘れないと思います。長男のときは成長過程の1つだと感じていた二語文ですが、次男にとっては本当に大きな一歩でした。 次男はその後も少しずつ言葉が増え、自分の思いを相手に伝えられるようになりました。今、4歳の次男は幼稚園の人気者。先生や友だちに愛されて、笑顔あふれる日々を過ごしています。まだ会話の受け答えはうまくはありませんが、これからもたくさん話しかけて、次男らしく元気に過ごせるようサポートしていきたいと思います。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 ベビーカレンダーでは、赤ちゃん時代を卒業して自己主張を始めた2~6歳までの子どもの力を伸ばし、親子の生活がもっと楽しくなる【キッズライフ記事】を強化配信中。今よりもっと笑顔が増えてハッピーな毎日なりますように! 監修/助産師REIKO著者:中田りこ8歳と4歳の兄弟の母。次男は自閉症スペクトラム障害。教育業界を退職後、現在は実家の家業を手伝っている。
2021年03月10日まだまだ発生するパニック。広汎性発達障害の娘は、小学4年生。来月には5年生になりますが、パニックはまだまだ発生しております。特に多いのが、宿題に関する忘れ物のパニック。プリントや教科書を忘れると、この世の終わりかというくらい泣いてしまいます。Upload By SAKURA娘にとって忘れものは、この世の終わりに匹敵するほどの悲しみなのです。国語の教科書を忘れて、宿題ができない!つい先日も帰宅後、音読の宿題をしようとして、国語の教科書を忘れたことに気がつきました。Upload By SAKURAこんなとき、感情的に「仕方ないでしょ!」と言っても、娘にはあまり効果がありません。Upload By SAKURAこういうとき、私はいつも娘にどうしたいかを聞くようにしています。Upload By SAKURA希望を聞いても、叶えられないこともある。娘は、学校に教科書を取りに行きたいと言いました。しかし、この日は学校の後に放課後等デイサービスに通った日だったので、このときすでに夕方の6時すぎ...学校も閉まっているだろうし、この時間から学校に物を取りに行くことはさすがにできません。私は娘にそのことを説明しました。Upload By SAKURAどうしたいか聞きはしますが、叶えられないこともあります。一つひとつ娘の要求が不可能なことを説明していくと、今度は謝り始めます。Upload By SAKURAこの『ごめんなさい』は、私に対する謝罪ではなく、ミスをした自分が許せず、発している言葉。娘は『ごめんなさい』と言った後は、黙り込んでしまいました。できることを提案。そこで私は、一つ提案しました。Upload By SAKURA提案は、受け入れてほしいという思いよりは、ただ「こういう方法もあるよ」と教える感じでするようにしています。無理強いはもちろんしません。最終的には、時間がかかっても、娘に決めてもらいます。学校で先生に説明して...次の日、私はいつもより早く娘を学校に送りました。念のため事の経緯を連絡帳には細かく書いていましたが、まだ娘の気持ちが凹んでいたので、学校の中まで付き添いました。教室に行く途中、去年まで娘の特別支援学級の担任をしてくれていた先生にばったりあったので、経緯を説明。Upload By SAKURA娘の特性をよく理解している先生のおかげで安心した娘は笑顔になり、私は学校を後にしました。パニックが起きた後、自分で抜け出せるように。宿題を忘れるぐらい...と思われるかもしれませんが、娘にとって宿題を忘れるということは許せないこと。その気持ちが、パニックを起こしてしまいます。ただ、人生、予想外の事態はつきもの。パニックが起きないように回避することもできますが、自分でそこから抜け出す力を身につけるのも必要なことだと、私は思っています。パニックが起きたとき、そこからどうするかを自分で見つけることができるようにすることは、娘の将来に必要なことです。今はできる限りのサポートをして、同じようなシチュエーションで練習をして、娘の経験にしたいと思っています。
2021年03月10日人間関係でトラブルだらけだった私が、幸せな家庭生活を送れる?私は生まれ育った家庭では特性の理解をしてもらうことはできず、苦しい記憶ばかり残っています。学校生活でも友人関係はうまくいきませんでした。ですから、そんな私が結婚し、幸せな家庭生活を送れるようになるとは、想像もできませんでした。ですがいま、私は夫との穏やかでリラックスした生活を味わっています。 一緒に暮らすようになった当初のぶつかり合いを経て得た、私の夫との共同生活上の3つの秘訣をお伝えします。1.「私のトリセツ」を共有する私には発達障害に伴うさまざまな特性があり、ちょっとしたことで疲れやすかったり、日常に必要な作業の得手不得手が激しかったりするなどの傾向があります。これらの特性をうまく乗り切るために、私は夫との間で徐々に「私のトリセツ(取扱説明書)」のようなものを共有するようになりました。私はワーキングメモリが小さくてシングルタスク傾向なので、一度に複数のことを訊かれたり指示されたりすると、混乱してミスをしたりフリーズしたりしてしまうことがあります。なんでもパッパッと手際よく済ませることができる早口の夫とは最初ここの調整に苦労しました。最近は私たちの間で「一度に複数のことを訊かない/指示しない」は普通のこととして浸透しましたが、先日少し面白いことが起きました。私がヨガをしているときに夫が何かちょっとややこしい質問を私にしたのです。私がとっさにピタッと止まって「ごめん、いまメモリが足りない!」とだけ絞り出したら夫は「なるほど、わかった(笑)」と答え、すぐに意図が通じました。要するに私は、同時に複数のことをしたり考えたりすることが苦手なのです。私には聴覚過敏があるので、基本的にはテレビも必要なときにしかつけません。音楽も好きなのですが、どんなに好きな音楽でも小一時間聴いていると耳が疲れてきて、止めてしまうぐらいです。しかし、夫はテレビをつけたまま作業したり、さらにはテレビをつけたままPCで動画を流しながら作業したりするのが平気です。むしろ多少雑音があるぐらいのほうが落ち着くぐらいとのこと。私は複数の音楽や番組が耳に入ってくるのが短時間でも耐えられないので(頭がパンクしそうな感じがします)、夫がうっかりテレビとPCで動画を同時に流しているときは「ごめん、どっちか消して」と頼みます。彼はほとんどの場合、なんの気なしにテレビとPCで動画を同時に流しているだけなので、「ああ、すまんすまん」と快く応じてくれます。私は何かと疲れやすいので、外出や旅行はかなりゆるいスケジューリングにしてもらっています。「半日出かけたら半日休む、翌日は出かけない」「旅行では移動に疲れてしばらく動けなくなることを織り込み済みで予定を組む」といった感じです。一緒に暮らすようになった当初、夫は土日となると良かれと思って立て続けにあちこちに連れていってくれたのですが、毎度体調を崩す私を見ていて「もしかして体力的にきつい?」と訊いてくれました。夫の善意がありがたいだけに少し無理して出かけていた私も安心して「実はきついんだ」と話し、半年ぐらいのうちになんとなく大丈夫なペースが掴めるようになりました。夫は音楽や賑やかなイベントが好きで、やはり一緒に暮らし始めた当初、一生懸命一緒に連れていってくれました。でもやはり、聴覚過敏のある私には音の大きなイベントは長くて2時間が限界。2時間半や3時間となるとみるみる顔色が悪くなってぐったりし、帰り道でひどい片頭痛に襲われる私を見ていて、夫も私が本当に大きな音が苦手なのだと理解してくれたよう。半年ぐらいたつ頃には、いろいろと配慮してくれるようになりました。音の大きなイベントは2時間までにする。クラシックコンサートなどできるだけ音の静かなものにしたり、できるだけスピーカーから遠い席を選んだりする。私が耳栓をつけながら楽しむことを許してもらえる会場にする。上記の条件に当てはまらないイベントへは、夫は一人で行ったりほかの友人知人と行ったりするようになりました。どうも最初は、家に私を一人で残して出かけることを悪いと思っていたようなのですが、ぜんぜん構わないよと伝えたら安心してくれたようです。夫はフットワークが軽い人なので、突然「いまからどこどこに出かけるよ」と言われても平気なたち。でも私は違います。体調を崩しやすい私は、どういう行程でどういうところにどれくらい行くのかと照らし合わせていろいろと準備が必要だからです。「今日どこどこに行かないか」と言われるたびに「そんなに急に言われても…」と渋っているうちに、だんだん私たちの中でルールができていきました。外出はできるだけ当日には言い出さない。短い外出は前日まで、遠出は最低3日前までに伝える。どういった乗り物にどれぐらい乗るか、行き先の環境(音、光、人出、ニオイ、暑さ寒さなど)などの見通しがつくように説明する。私はそれを聞いて、持っていく薬や服飾品、体調の調整などをします。泊りがけの旅行ともなると1週間前から体調の調整に入ったりします。こうした工夫の結果、外出の最中や外出から帰ってきたあとに体調を崩すことがほとんどなくなりました。とはいっても泊りがけの旅行などすると疲れてしまって翌日は1日寝ているような状態にはなりますが…私は自分のこだわりが発揮できるため掃除と洗濯が得意ですが、料理はマルチタスクで体力を使うためにどちらかというと苦手です。夫は真逆で、掃除洗濯が苦手、料理が得意で特に人にふるまうのが大好き。というわけで、私たちは互いの得手不得手をふまえ、掃除洗濯は私、料理(と食材の買い出し)は夫、という形で家事を分担しています。多忙な夫に気を遣って無理して私が食事を作ろうとしていた時期もあったのですが、結局は私の負担がやたらと大きくなってしまう割には夫の助けにならないことがわかったのでやめました。私が部屋と衣服を清潔で快適に保ち、夫が温かくて美味しく栄養バランスのよい食事をつくる。わが家の家事はこんな形で回っています。2.屋内環境には妥協しない私は些細な環境の変化で体調を崩してしまいやすいので、屋内環境の快適さの優先順位はかなり高くしています。たとえば、遮光・遮熱カーテンをうまく使う。窓から入ってくる眩しすぎる光や西日、夏の暑さなどを、遮光・遮熱機能のあるカーテンで防ぎます。夫は「せっかく昼間なんだから開けていたらいいのに」と言いますが、そこは説明して妥協してもらっています。最近、部屋のシーリング照明にも、調光・調色機能つきのLED照明が出てきています。こうした機能つきのLED照明に変えてから片頭痛が少なくなったように思います。私が特に夕飯後は暗めの黄色っぽい光に調光するのを夫は暗くて不便だと思っているようですが、そこも妥協してもらっています。たまに夫の部屋に入るとまぶしくて目がチカチカします(笑)LED照明には人によって合う合わないがあるようですが、私には、高周波の音が聞こえるし熱も発生しやすい蛍光灯よりもLED照明のほうが合っていたようです。住む部屋自体も、できれば暑さ寒さが激しくないような物件を選ぶようにしています。出費はかさみがちですが、窓がペアガラスだったり建物の断熱がしっかりしていたりすると、季節や朝晩、部屋ごとの室内環境の差が小さく抑えられます。空調も、この気温がいいとかこの湿度がいいとか、エアコンの風はうるさいからだめだとかあるので、加湿器を置いたり自室の暖房はオイルヒーターにしたりするなど工夫しています。3.食事どきの団らんを大事にする夫は忙しい人ですが、できれば毎日、食卓でリラックスした会話の時間を持つように工夫してくれています。夫は食べるのが早く、皿洗いも食べ終わった食器からどんどんやってしまうタイプですが、ひととおり自分の分を洗ってしまうと再び食卓につき、私が食べ終わるまでいろいろおしゃべりしながら座っていてくれます。夫が遅くなったりして夕食が一緒にとれないときも、極端に遅くないかぎり私はなんとなく起きて待っていて、夫が晩酌しながら食べる食卓に私もつきます。最近そういう晩酌時間のつきあいもできていないな、というときには、なんとか週末の日中に二人でお茶を淹れて一緒にお菓子を食べながらおしゃべりしたりもします。お互い、実家ではこうした食卓でのリラックスした団らんの時間を持てずに寂しい思いをしてきたので、ここは二人ともとても大事にしているところです。一時期、夫が単身赴任していたときはこうした「食事どきの何気ない無駄話」が共有できず、何か用事があるとビデオ通話で用件だけ話して切るような生活を続けていたときは、なんとなく気持ちがすれ違ってとても寂しかったし喧嘩も多かったのを覚えています。発達障害があっても幸せな家庭生活を実現することはできる発達障害のある人はさまざまな特性を抱えているので、人と穏やかな共同生活が送れるのか心配な人は多いかもしれません。しかし、私は組み合わせや互いの努力によって、発達障害者が誰かと幸せな家庭生活を得ることは十分可能だと思っています。少なくともここに一例、発達障害があっても幸せな家庭生活を実現した例があるので、どうぞ希望を持って工夫していってほしいと思います。
2021年02月07日「いや!いや」と言葉で示すことができる2歳児、できなかった息子私はいま、ファミリーサポートの仕事で定型発達のお子さんを預かっています。そこで気づいた、0歳の定型発達児と自閉症のある赤ちゃんとの違いは以前コラムでも書きました。その中からいくつか抜粋すると…・親が迎えにくると嬉しそうな顔をする。・散歩のとき、よその子がいると関心を持つ。(喜んだり、怖がったりどちらかの反応)・私が手を広げると「抱っこしてほしい」のポーズをとり、手を広げる。これらは、預かっているお子さんが自然と行い、息子が幼いころはしなかったことです。先日のコラムでご紹介した以外にも、大きな違いを感じることがあります。そこで今回は、定型発達の2歳児と息子が2歳だったころの違いについて書きたいと思います。私が「靴下履こう」と言ったら「いや!」、「だったら裸足でいよう」と言うと「いや!」「公園に行こう」と言ったら「いや!」、「だったらおうちにいよう」と言うと「いや!」親にとっては自己主張が出てきた辛い嫌々期なのかもしれませんが、これも立派な会話で成長のあかしなのだと思います。息子には魔の嫌々期はなく、世の中すべてが嫌。言葉で「いや」と言う前に、自傷やパニックを起こす毎日で私は疲労困憊の日々を過ごしていました。自閉症の息子ができず、定型発達の2歳児が自然とできている5つのことを挙げたいと思います。Upload By 立石美津子1、大人の表情を読み取り気持ちを理解する発達障害がある人には、「検討しておきます」の字面だけとらえて、行動してしまうことがあります。言葉だけでなく、その場の空気、相手の声のトーンや顔つきを見て、断りなのか、歓迎なのか判断できないで、トラブルが起きがちです。Upload By 立石美津子成人した息子も、相手が嫌がっている素振りをしているのに、それが理解できずに、しつこくしてしまうことが今でもあります。それに比べて、目の前の2歳の子は生まれて2年足らずなのにも関わらず…机の上にのったときや、触ってはならないものを触ったとき、私が言葉ではなく「あれ?あららら?」といつもと違う低い声、いつもと違うゆっくりした話し方で示す、すると大人の表情と声のトーンを即座に読みとって、ばつが悪そうな顔をして、「やっちまったな…」という顔つきをします。言葉ではなく、相手の表情を読み取っている証拠、すごい能力です。2、ごっこ遊びができるままごとの道具を本物にみたてて、お皿に物を置き、食べる真似をしているのです。見立てて遊ぶことができるのは、想像力が発達している証拠です。絵本に載っている食べ物を、つまんで口元に持っていくと本物に見立てて食べる真似もできます。Upload By 立石美津子3、人の真似をする良いことも悪いことも、人の真似ばかりします。友達が石を投げていたら投げます。テレビの画面の子どもが踊っていたら歌や踊りの真似をします。真似ができるのは人に関心がある証拠です。言葉も人の真似をしてドンドン増えていっています。4、泣き真似をする公園で転んで痛くて泣いた子。1分以上たって、痛みは引いているのにも関わらず構ってほしいのか大人の気を引こうとして、泣き真似をし続けていました。(←涙が出ていないことで判断できます)5、質問に的確に答える「これ、だあれ?」と私自身を指さして聞くと、可愛い舌っ足らずの声で「たていしゃん」(←立石さんの意味)と答える2歳児。息子は小学生になっても「これ、だあれ?」と私が自分の顔を指して聞いても、「お母さん」ではなく「鼻」と答えていました。中学生になってタクシーに乗ったとき、運転手さんから「僕のお名前は?」と聞かれたときも自分の名前を言わず、「山田太郎」とタクシーの運転手のネームプレートを読み上げていました。相手の立場になって話を捉えることができないので、その場にあった答えがなかなかできないでいます。家を出るとき、「行ってきます」ではなく、いまだに「行ってらっしゃい」と言いながらドアを開けて出ていきます。とはいえ、息子も成長しています。もちろん定型発達の人とは違いますが…大きな成長の一つに、アンガーマネジメントがあります。パニックを起こした後の感情のコントロールができるようになりました。Upload By 立石美津子他にも、・トイレットペーパーがなくなったら、芯を捨てて次に使う人のことを考えて、新しいものに取り換えてくれます。相手の身になって考えることができているのか、「芯だけになったら取り替える」というルーティーンになっているのか、ともかく替えてくれます。・新聞を取りに行く、洗濯物を干す、カーテンを閉める、家の中のゴミ箱のゴミを集めるなど、決められた家事は文句ひとつ言わずに、やってくれます。成長しています。息子が成人してもまだ比べる病に侵されている私ですが、「いつまでも他の子と比べていないで、目の前の青い鳥に気が付かないとダメだな…」とシミジミ思います。Upload By 立石美津子
2021年02月04日障害児ママの葛藤第2話。2児のママ、よいこさんの体験談をマンガでご紹介します。自閉症スペクトラム(ASD)と注意欠陥障害(ADD)の長男あーくんと、次男いーくんの母、よいこさん。あーくんが自閉症と診断されるまでのエピソードをマンガでお届けします。2話目は、夫のネガティブ発言に激怒したり、療育について知った頃のお話です。 夫の「うちの子は異常なんだ」発言に…いやー、怒ってばっかだったな、このころ。今もだけど(笑)。夫にも、子どもにも、まったく余裕なかったです。 もしかしたら今、あーがこんなに言うことを聞かないのは、私があのときこんなこと言ったかもしれん、とか私があのときスマホに夢中だったからかもしれん、とか私があのときばあばに預けちゃったせいかもしれん、とかあれこれ考えては焦っていました。 「療育」という選択肢 Uくんが療育に通っているという事実は、今後のわが家の動向にもかなり影響が出てきます。ありがとう、Uくん母! うちの子、普通…じゃない? 母の葛藤 感情的に大きな声を出しても、あーの心の奥に届いている感じはまったくしませんでした。ただただ、叱られているからおびえているだけ。 でも、無理な要求をしているつもりでもなく、必要以上な「良い子」を求めているつもりもなく、話しかけたら答えてくれるとか、ただ「普通」の行動をしてほしかっただけだったんです。 大人からしたら理解できない、いや、他の子どもからしても理解できないであろう反復行動を延々繰り返す遊びを「もうやめようか?」と提案したら大かんしゃくを起こしたりとか、とにかく普通の言葉が通じない長男にほとほと疲れてしまっていた。 3歳半ばでしたが、1歳・2歳のイヤイヤ期が永遠に続いている感じで、終わりは来るのかと毎日憂うつでした。よいこさんの育児エピソードはInstagramやブログなどから更新されています。ぜひチェックしてみてくださいね。 監修/助産師REIKO著者:イラストレーター よいこ自閉症スペクトラム&注意欠陥障害の長男あー(小学生)と、次男いー(幼稚園児)の母。30代。主に泣いている。心配性の夫は社畜系転勤族。最近は仕事と家庭の両立でテンパりまくり…。
2021年01月24日■ 前回 のあらすじ娘の「何か」が違う…。その「何か」の正体がわかりました。それは、私が娘に求められていないということ…■今思えば違和感の連続だった…抱っこどころか、触らせてももらえない私には、ほかのお母さんたちの話は理解しがたいものがありました…。■できることから始めよう!まずは子育て相談室へ娘の発達障害を疑い、ついに動き始めました。…とはいえ、まだ0歳の娘にしてあげられることは限られているので、ひとまず、子育て相談室へ相談に行ってみることにしました。次回に続きます。【同じテーマの特集はこちら】 〜子どもの発達障害を知ろう、考えよう〜 【同じテーマの連載はこちら】 産後の話 この連載の全話を見る >>
2021年01月12日切り替えが苦手で集団行動が遅れがちUpload By スガカズ長男はWISC-IVの結果で処理速度が低いことがわかっています。また、注意散漫、過集中といった特性もあり、学校で次の行動に移るときに時間がかかります。なかなか次の行動に移れないとき(特に教室を移動する授業)は、クラスメイトや先生が声をかけてくれることがあるのだそうです。学校で見かけた長男とクラスメイトのトラブルUpload By スガカズ1年前のある日、私は当時小3だった次男の忘れ物を届けに学校へ行きました。すると廊下で小6の長男がクラスメイト2人となにやら揉めていました。クラスメイトに何か言われており手をひっぱられています。長男は何も言わず泣きそうになりながら拒んでいました。体操服に着替えていること、授業の始まりを知らせるチャイムが鳴っていたことから、「長男の行動が遅れているからクラスメイトが呼びに来たんだな」と理解しました。長男は次の行動に移るときに無理やり促されるのを嫌います。私はクラスメイトとのやりとりを見て「長男にとって大事な経験だ。今私が間に入るよりも、後で話を聞いてアドバイスした方が冷静に話し合える」と思い、後ろ姿を見つめていました。「病気(障害)だから仕方ない」長男の発言に腹を立て…Upload By スガカズ放課後、長男が帰ってきたので私は廊下でのやりとりについて聞きました。概ね私の予想通りで、体育館に行く途中で考えごとをしていたそうで動きが止まっていたそうです。長男がなかなか動こうとしないので、クラスメイトが「早く来て!」「遅い!」と強い口調で促していたそうです。「それは大変だったね。注意されていたとき、あなたはどんな気持ちになったの?」と聞くと、「オレは、できることとできないことの差がハッキリしている。だけどクラスの女子が無理やりオレをひっぱって連れて行こうとしたんだ」「オレ、病気だから行動がゆっくりでも仕方ないのに!」と怒り口調で答えました。私は長男が強めに促されてイヤだった気持ちは理解しますが、「仕方ない」という言葉に腹が立ち、思わず長男を叱ってしまいました。「障害だからいいでしょ」と許してもらおうとしたり、「仕方ない」からといって諦めたりするのは間違っていると思います。大事なのは、「障害に対して自分がどう向き合えばいいか」「言ってくれた相手とトラブルにならないためにどうしたらいいか」を考えて行動することだと言いました。このとき長男は「言われたのは自分の方なのに」と納得した様子ではありませんでした。どうすれば分かってもらえるのか?と考えたときに、長男に促す側の気持ちを体験してもらうことだと思いました。無視されたり開き直られたらどんな気持ちになる?Upload By スガカズUpload By スガカズその日の夜、きょうだいが全員そろったときに長男に話しかけられました。私は話しかけられていることを理解していましたがそれに反応せず、きょうだいの相手をしていました。何度も何度も話しかけていたのに長男は無視されたので、私に怒りました。怒っている長男に対して私は、「今、どんな気持ち?」と聞きました。子どもたちに話しかけられても対応できないときに「ごめんね」「ちょっと待ってね」「〇〇の後話きくね」と言うように私は気をつけていること、「〇〇だから仕方ないでしょ」という風に言ってないこと、もし「仕方ないでしょ」と言われたり無視されたらどんな気持ちになる?と長男に言いました。「…イヤな気持ちになる…」と長男は答えました。クラスメイトが声をかけてくれる(行動を促してくれる)のはありがたいことで、その行動に対して何も言わずに嫌がったり怒ったり「病気だから仕方ない」と言うのは間違っているともう一度言いました。Upload By スガカズその後聞いていなかったときや無意識で起こったことに「ごめん!」というセリフが出たり言葉で説明したりする場面が見られるように。私は素直に反応してくれたことが嬉しくて「気づいてもらえてお母さんうれしいよ」と言いました。もちろんすべてが好ましい反応にはなりませんが、気をつけようと思い言葉に出すことは、より良い生活を行うために必ず必要になってくることで、一歩前進したと言えます。中1の現在、できないことに対して「自分で解決策を考える」姿も…Upload By スガカズ中1になった現在は、どうしてもできないことに対して、考える場面も見られます。できない理由を言葉にして、私にお願いすることもあります。「どうしたらいいのか分からない」と、そのままにしてしまう場面も沢山ありますが、自分の障害を「仕方ない」と諦める前に、人に相談したり自分なりの案を試してほしいと思います。
2021年01月04日発達が気になる子の就園。サポートは受けられる?出典 : 発達が気になる子どもが保育園や幼稚園に入園する際、集団生活についていけるかどうか、お友達と関われるかどうかなど、不安に思うこともあるかもしれません。また、園生活が始まってから、気になる様子が見られ始めるという場合もあります。就園前や就園してから、必要な配慮を依頼することはできるのでしょうか。また、発達が気になる子どものサポート制度はあるのでしょうか。幼稚園や保育園では「障害児保育」を実施していたり、「加配」の先生をつけられたりする場合があります。このコラムでは、そうした制度について解説します。特別な配慮が必要な子どもを受け入れる基準は、自治体や園によってさまざまです。例えば、以下のような基準があります。・障害者手帳の保持者・特別児童扶養手当対象者・医師等による診断を受けていることなど例えば東京都練馬区では、(1)申込みに必要な書類一式、(2)『心身状況表』、(3)『主治医等見解書』、(4)身体障害者手帳、愛の手帳、精神障害者保健福祉手帳等を所持している場合は、障害の程度が分かるページのコピーの提出が必要です。入園に関すること(練馬区)ほかにも市区町村独自の基準を設けているところがあるので、詳細はお住まいの自治体に問い合わせて確認する必要があります。また、園ごとに受け入れ人数が決まっていることも多いです。希望する場合は、申し込み期日などを確認しておきましょう。「加配制度」とは、他児と同じように保育園の生活を送ることが難しい子に大人がつき、生活面や集団参加をサポートしてくれる制度のことです。保護者からの申請によって加配をつけられる園が全体の約4割、申請がなくても保育所独自に加配を行っているケースが2割程度あります。また、私立の園では自治体の補助金等による加配を実施している割合が高くなります。補助金をどのように分配して使用するかは園によって異なるため、私立の園では公立の園と比べ、申請を出しても加配をつけられないケースが多いようです。公立・私立問わず、申請を出しても加配をつけられるかどうか、どのような配慮を受けられるかどうかは園によって異なります。加配を申請する際はまず園に問い合わせて、今まで加配制度を利用した子がいたかどうか、その際はどのような配慮を行なっていたかなど確かめると良いでしょう。保育所における障害児保育に関する研究報告書(みずほ情報総研)埼玉県 私立幼稚園等特別支援教育費補助金加配の先生とは?出典 : 加配の先生とは具体的に、どのような支援をしてくれるのでしょうか。詳しく説明します。加配の先生は配慮の必要な子どもに対して、それぞれのケースにあわせた支援を行います。具体的には、以下のようなサポートがあります。・身辺自立の支援例えば食事でスプーンやフォークをうまく使えない場合や自分でトイレに行けない場合などに、サポートを行います。加配の先生と家庭で連携しながらトイレトレーニングを行い、オムツを卒業できたという声もあります。・お友達との関わりや集団参加をサポートうまく友達と遊ぶことができずトラブルになってしまうときや、集団参加が苦手で周囲の子と同じように行動できないときなど、加配の先生が介入してサポートします。友達と遊ぶときのルールや声かけの仕方など隣について教えることで、少しずつ自分の力で関わったり集団参加できるようになっていけるケースが多くあります。・保護者とのコミュニケーション子どもの発達や家庭での関わりなど、保護者は子育てについてさまざまな不安を抱えていることも多いでしょう。そんなとき、担任の先生のほか、加配の先生に相談できることがあります。客観的なアドバイスを受けられることで保護者が状況を整理できたり、悩みに寄り添ってもらえる安心感があるでしょう。また、多くの自治体では発達支援に理解の深い専門家が施設を巡回しており、加配の先生は専門家の助言にもとづいた支援を行っています。加配の先生は、子どもの数に対してどの程度ついてくれるのでしょうか。半数近くの自治体で、具体的な基準は決まっていません。「障害の程度を問わず一律の配置基準を設けている」という自治体もあれば「障害の程度により基準が異なる」という自治体もあります。障害の程度を問わず一律の基準を設けているところだと、「3人もしくは2人に保育士1人」という基準を定めている自治体の割合が多く、約3割の市区町村では子どもとマンツーマンになるよう基準を定めています。申請方法や費用は?出典 : 公立の園には多くの場合加配制度があり、私立の場合も自治体から補助金を受けて実施している場合があります。自治体によって補助額は異なるため、自治体ごとに確認する必要があります。加配を支援する補助金には、「療育支援加算」と「障害児保育加算」があります。「療育支援加算」は障害児保育を行う園に適用され、「障害児保育加算」は小規模保育、事業所内保育、家庭的保育といった地域型保育を支援します。なお、加配制度を利用するのに保護者の自己負担はありません。加配制度の申請方法は、自治体によって異なります。ここでは一例として、とある自治体における申請方法を記載します。①診察予約②診察・相談・書類申請③書類発行具体的な申請方法については、お住まいの自治体に問い合わせて確認してみてください。小学校でも加配制度を利用できる?出典 : 加配制度を利用して園に通い、卒園後に小学校でも同じようなサポートを受けることはできるのでしょうか。小学校で配慮を受けるには、特別支援学級や特別支援学校に通うという選択や、通常学級に在籍しながら通級や特別支援教室を利用して必要な支援を受けるという選択があります。ほかにも、通常学級で個別のフォローを受けられる場合があり、フォローする大人は「加配」「補助教員」「支援員」「民間ボランティア」など、呼び方や役割が少しずつ異なります。例えば授業に集中しにくい子に付き添って声かけをしたり、友だちとコミュニケーションを取るのが難しい子の仲立ちをしたり、LDのある子に代読や代筆をする、と言った形で、学習や集団生活のサポートを受けることができます。ただし自治体で人員と予算を検討するため、親が加配の希望を伝えても難しい場合があります。逆に親が希望を出さない場合でも、学校判断で申請されることもあります。自治体によって手厚い人員が確保できる場合とそうでない場合があるため、差があるのが現状です。また、放課後や土曜日など家庭保育が難しい場合に子どもを預かる「放課後児童クラブ」においても、厚生労働省の出しているガイドラインで「配慮を要する児童を可能な限り受け入れに努めること」という記載があるものの、加配制度の有無や基準は各自治体に委ねられています。放課後児童クラブ運営指針解説書(厚生労働省)支援をうまく活用して、お子さまの発達をサポートしよう出典 : 配慮の必要な子どもをサポートする制度には、事業所に通って日常生活の自立支援や機能訓練を受けられる「児童発達支援」や、園や学校に支援員が訪問して集団生活への適応をサポートする「保育所等訪問」もあります。医療機関や療育センター、市町村の保健センターなども、園と連携をとって必要な配慮についてアドバイスをしてくれる場合があります。園の外の支援も、うまく利用してみてください。まとめ障害や特性があり特別な配慮が必要な子どもは、加配制度を利用することができます。ただし、利用できる基準や申請方法等は自治体によって大きく異なるため、必ずお住まいの自治体に問い合わせてみてください。まずは、かかりつけ医や療育の先生に相談してみても良いでしょう。児童発達支援や保育所等訪問など他のサービスも利用しながら、お子さまの園・学校生活をサポートしていきましょう。
2020年12月28日会話が難しい長男に対する次男の関わり方双子の次男は読書が大好きで、歴史や生物、法律の本など読みあさっています。一方、自閉症の長男はひらがなを全部読むことができません。また、発語も単語がぽつぽつと出るくらいでなかなか会話にはなりません。そのため二人で仲良くおしゃべりしたり、 一緒に本を読んで共感したり、会話を交わしたりすることはとても難しいです。にも関わらず、次男は長男が大好きで部屋の中で追いかけっこをしたり、手押し相撲をしたりと、何かと長男に働きかけ遊ぼうとしています。Upload By シュウママ小学6年生の現在も、次男はせっせと長男をくすぐっては関心をひこうと努力しています。特別支援学校のママ達と話すと、やはりきょうだいとの関わりに頭を悩ませていて...我が家がそんな感じなので、そういうものだと思っていた私。しかし、長男の通う特別支援学校のママたちと話しているときに、とても驚きました。なぜなら、だんだんと定型発達の子と障害のあるきょうだいとの関係が、うまくいかなくなっているという話が多かったからです。奇声をあげて感情をコントロールできない障害のあるきょうだい児に対して、定型発達のきょうだいが疎ましそうにしていたり、腹をたてて怒鳴ったりといったことが増えているとのこと。Upload By シュウママそれは実際に私も長男を見ていて、ありそうなことだなと思います。我が家も今は仲良しですが、いつかは次男が長男の存在を疎ましく思うときがくるかもしれません。「シュウが自閉症じゃなければいいのにって思わない?」そう聞いてみると意外な答えが…けれどいま、我が家ではそんな様子はありません。私は、「次男は長男のことをどう思っているのだろう?」と疑問に思い、ストレートに次男に聞いてみました。Upload By シュウママ「自閉症じゃなければ一緒の学校に通えたし、話もできたのにと思ったりはしないの?」すると次男はしばらく考えて「僕、自閉症について調べたんだよね」との答えが返ってきました。「脳機能の先天的な障害って書いてあったよ。それはシュウのせいじゃないんだから仕方ないでしょ。生物には解明できてないことがたくさんあるんだよ」ああ、まあそうだけどね…。「それにさ、シュウかわいいじゃん。もし、シュウが自閉症じゃなかったとしたらどうだったかな。例えば僕は体育があんま得意じゃないけどさ、お前足おっそ!とか罵ってくる嫌なやつだった可能性もあるよ?」Upload By シュウママそうかもしれないけど。ポジティブ思考だなあ、と思う私。そして次男は最後にこう言いました。双子でよかったと思うよ、次男のその言葉に涙が出て...「それに僕とシュウは双子だから。僕が自閉症だった可能性もあるでしょ?」Upload By シュウママその言葉が胸にぐさりと刺さりました。小学校低学年のころ、お兄ちゃんは自閉症なんだと次男に教えたことがありました。けれどあれから数年経って、次男は私が知らないうちに自閉症について自分なりに調べていたのです。さらに双子であるがゆえ、長男と自分が反対の立場だった可能性まで考えてより広い心で兄を受容していたのです。そのことに気づき、私は涙がこぼれそうになりました。先のことはわからないけれど。いま、次男が長男に抱いているその気持ちをずっと持ち続けてくれることを願うばかりです。
2020年11月30日育児につまずき、思い詰めて心療内科を受診した私。そこで医師から投げかけられた言葉は「発達障害の疑いがある」という、私にとって意外な言葉でした。そこで心理テストを受け、結果を受け止めた今の自分の心境をお伝えします。 ほかのママとどこかで比べてしまう現在、私は3歳と0歳の姉妹を育てている2児の母親ですが、上の子も下の子も出産後から両親や親戚などに頼らず、ほぼワンオペで育児をおこなっていました。孤独に育児をしていたこともあってか、ほかのママ友たちと自分を比べると「どうも私は子どもに対する愛情に欠けているのではないか」と思ってしまう自分がいることに気付いたのです。たとえば、子どもとどうやって遊べばよいか本気でよくわからなかったですし、一生懸命に育児本を読んでそのようにおこなっても、いまいち乗り気になれない自分がいたりしました。特に下の子を出産したあとの数カ月の間は、上の子に対して感情的に怒鳴るなどひどい扱いをしていたことも事実です。そんな出来事から「私はもしかして産後うつなのでは?」と思い悩み、また慢性的な睡眠障害もあって、思い切って心療内科を受診したのです。 思い切って心療内科を受診心療内科を受診したのは下の子が生後半年を過ぎたころでした。医師からの診断は「適応障害と産後うつ」そして「発達障害の疑いがある」という、私にとっては衝撃的な話でした。恥ずかしながら発達障害というワードだけは聞いたことがありましたが、詳しくは知りませんでした。早速家に帰って発達障害について調べてみたり、セルフチェックテストなどをおこなったりしました。たしかに今までの人生を振り返ってみて対人関係においてのつまずきや、職場でのトラブルなどはあったのも事実ですし、いわゆるADDやADHDの症状である「忘れっぽさ」や「衝動性の強さ」「こだわりの強さ」があったように感じました。 愛着障害と診断を受けて後日、2日ほどに渡って精密な発達障害の心理テストを受けたのですが、結果は「発達障害の所見はなし」でした。しかし、私が過去に実親から暴力などの虐待を受けたことがあるということから、「愛着障害の可能性がある」と医師から聞かされました。愛着障害とは、乳幼児期において暴力やネグレクトなどで傷を負い、適切な愛情を持って育てられなかった子どもが、社会人になったときに対人関係や仕事、そして育児などに支障が出る障害のことだそうです。医師からその診断を受けたときは、正直言って「やっぱりな」と思う自分がいました。 まさか自分が発達障害の疑いを持たれるとは思いもよらず、心理テストの結果が出るまではモヤモヤでいっぱいでしたが、発達障害やそのほかの精神疾患などについての勉強にもなりました。客観的に自分が親にされてきたことは虐待だったのだと受け止め、過去の自分と向き合うことで本当の私になれる気がしています。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 監修/助産師REIKO著者:仲本まゆこ自身の体験をもとに、妊娠・出産・子育てに関する体験談を中心に執筆している。
2020年11月29日むっくんの異変私がむっくんの様子に違和感を覚えたのは、不登校を決断する3週間前でした。もともと家で癇癪をよく起こす子でしたが、その頻度が激増!四六時中イライラしており、以前は穏やかにやり取りできていたことにも、激しい反応を示すようになりました。Upload By ウチノコそんな様子に、私は「小学校ではどうだろう?」と不安を覚え学校での様子を先生に確認するも、穏やかに過ごせているとの返答。イライラもパニックも家庭内のみで、この時点では学校への行き渋りもありませんでした。異変の理由?その後も大荒れが続くむっくん。そんな時少し前から運動会の練習が始まったと聞きました。「それだ!!」年間行事の中で運動会の練習はむっくんと最も相性の悪い行事です!おそらくそのストレスを家庭で吐き出しているのだとようやく納得。Upload By ウチノコ先生の話では、練習は嫌がりつつも何とか参加しているとのことで、私はむっくんが学校でとても頑張っていることを知りました。「むっくんは疲れていて、自己コントロールが困難になっているのだな...期間限定だし仕方ない、耐えよう」と家で極力休めるよう心がけることにしました。学校に行きたくないしかしその週末に、むっくんは初めて「学校に行きたくない」と言い出しました。Upload By ウチノコUpload By ウチノコこれは疲れが限界だと判断し「疲れているみたいだから、1日休もうか」と、私から提案しました。ホッとした顔で喜んだむっくんは、元気休みでストレスから解放され、自宅でゆっくり静養。「明日は頑張るよ!」と明るい顔で言うものだから、一見回復したようにも見えました。しかし...不登校へ翌日は休んだことを怒られるかも...(もちろんそんなことはないのですが)と、少し緊張した顔で学校へ行きました。Upload By ウチノコ今までも何度か授業拒否はありましたが、同じ日にいくつかの授業に出ない、となると入学してから初めてのことでした。ここへきて私もようやく今までとは違う状況であることを理解。慌てて即日、学校に面談をお願いしてむっくんの状況を共有。対応の希望を伝え、短時間登校を始めました。Upload By ウチノコUpload By ウチノコむっくんは、家庭でよくパニックを起こしますが、一度も小学校では起こしていませんでした。それはやはり「友達にあの姿を見られたくない」という思いで、必死に自分をコントロールしていたのだろうと思います。それが続けられないことは、むっくんにとって一番辛い状況だと感じました。崩れ始めたきっかけは運動会の練習でしたが、入学後の頑張りをこれ以上続けること自体が限界なのだと感じました。満身創痍のむっくんには、一度負担をゼロにして回復する時間が必要だと判断し、翌日から学校を休むことに決めたのです。行かないと決めたけれど...むっくんは保育園時代から集団生活を好みませんでした。行き渋りも強く、私はいつか不登校を選んでも不思議はないなぁと考えていていろいろと準備をし、覚悟もしていたつもりでした。Upload By ウチノコそれなのに、家でのんびり過ごしているむっくんに、苛立ちや焦りを覚えました。先のことばかり考えてしまい、不安が次々と襲ってきます。想像と経験はやはり全然違うものだなと、そんな自分にも正直がっかりもしました。Upload By ウチノコ私の心の変化むっくんが休むようになって、私はまず自分の気持ちを外に出すことから始めました。家族に「黙って話を聞いてほしい」と頼み、ひたすら話を聞いてもらい、SNSで発達障害について理解のある方々とも繋がっているので、そこでも気持ちを吐き出させてもらいました。また、準備として繋がっていた方々ととにかくお話をさせていただきました。Upload By ウチノコたまっていた気持ちを吐き出して、いろいろな方のお話を聴きながらさまざまな価値観に触れ、不登校経験者の方々の今を知り、何より実際むっくんと日々を過ごすうちに、少しづつ不安は和らぎました。Upload By ウチノコ和らぐどころか、だんだんと楽しくなってきてしまったのです。こんなにゆっくり、弟の邪魔もなくむっくんと一緒に過ごすのは久々で、新鮮で。「面倒!仕事させて!」と思う日もありますが、明日は何しようと、ワクワクする自分も見えてきました。Upload By ウチノコ何かを失った気がしていたけれど、手放した代わりに得ているものがある。そう考えられることも増えてきて、今は以前より焦りも落ち着いてきています。新しい形を探していこう学校で学べることは多岐にわたります。そういった良さを手放すには勇気がいりますが、不登校だからこそ学べることも、たくさんあるのだと思います。むっくんは、決まった一本道を歩いているわけではありません。これからはむっくんが楽しく、幸せに歩ける「ちょうどいい道」を一緒につくっていけたらと思っています。次回「むっくんの周囲の子ども達へ学校に行かない決断を伝えた時の話」に続きます。
2020年11月27日STEAM教育って何?
子育て楽じゃありません
細川珠生のここなら分かる政治のコト