「発達障害とは」について知りたいことや今話題の「発達障害とは」についての記事をチェック! (13/24)
「恋愛とは何か」がわからない…… どこかぎこちない恋愛遍歴振り返ると、私が恋愛の場面で抱えていたトラブルの中には発達障害の特性が関わっているものが多かったように思います。ひとことでうまく言えないのですが、私は一般社会で当たり前のものとされる恋愛市場的な価値観とはどこか離れたところで生きているところがありました。私には、多くの人がスルッと適応していく「男と女の惚れたはれた、モテるモテない、ゲットするしない」みたいな価値観がどうも理解できなかった……けれど同時にASD的な鵜呑み傾向が、「正しい恋愛・生き方とはそういうものなのだ」という思い込みにもつながっていました。結果的に、自分の中での自然な実像と「こうあるべき像」の間にギャップが生じて、そのギャップに苦しんでいたような気がします。まずは、私はもともと何かに興味を持つとき、対象がモノであろうが人であろうがあまり関係ありませんでした。その人が男か女かも関係ありません。自分にとって興味をそそる対象であれば、対象に向かって突進していく。これはおそらく発達障害の文脈で言う「積極奇異傾向」だと思います。たとえば、私が突進していったものがたまたま人であり、かつ男性(以下Aくん)であった場合、周囲が「宇樹さんはAくんのことが(恋愛的に)好きに違いない」と解釈します。どうも、Aくん本人も「宇樹さんは僕のことが(恋愛的に)好きに違いない」と考えることが多いようでした。私には悪気がないばかりか、そもそもAくんに恋愛的な好意があるわけでもありません。というか、突き詰めて考えると、誰かへの恋愛的な好意と、誰かの持っている一要素への心酔のようなものがどう違うのか、私にはいまだにわからないところがあります。結果、周囲から「宇樹さんキモい」とか言われて排除されたり、自分で「これは私がAくんを好きということなのか、私はAくんと恋愛をしなければならないのだ」と思い込んで、どこか違和感を感じながら「恋愛」を演じてしまったりすることになりました。Aくん本人が私から恋されていると思ってなんだか調子に乗った言動をすることもありました。私は、いま思い返しても「これは恋愛だったな」と感じる関係性においてもどこかぎこちないところを抱えていました。それは、「距離感が極端になりがち」ということです。小学生のころなどは、相思相愛が確認できた相手と一日中喋っているという程度で済みました。しかし、性的な関係を経験するようになると、好きになった相手と一気に性的に密着した関係性に踏み込んでしまうか(≒つきあう)、多少気まずくなっただけで二度と会わない・口もきかない(≒別れる)、のどちらかが多くなりました。恋愛関係の前後に中距離の友達関係を作るということがうまくできない。若いころには、「よく考えたら性的に利用されていたなあ」と感じる関係性も経験しました。これは、私の二次障害である複雑性PTSDの傾向も関わっているとは思いますし、発達障害のない人にも惚れたはれたの関係性は難しいものでしょう。しかし、私のこの困難さには、「白黒はっきりしない事態に対処できない」という、ASDの白黒思考も関わっていたように思います。私は小学校は共学でしたが、中高は女子校。中学高校を経るうちにだんだんと二次障害が悪化して体調が悪くなったのもあって、大学に入るころにはひきこもり傾向になっていました。私が部活やサークル、趣味のコミュニティなどに参加する余裕をなくしていく一方で、世間にはインターネットが普及していきました。それで、人と出会うときのルートがほぼSNSを介してのものになっていきました。コミュニケーション障害の関係でもともと交友関係が狭くなりがちだった私が、SNSを介してほぼ一対一で相手に出会うことも多くなりました。私の20代のころの恋愛相手との出会いはほぼSNSをきっかけとしたものです。たまたまそれほど危険な相手には出会いませんでしたし、SNSならではの良い出会いもありました。しかし、親密な相手となる人との出会いの準備段階として「複数人の中距離の友達関係の中で相手のことをゆっくり知っていく」というステップを踏めないことは、根本的にはリスクの高いものだったのではと思っています。冒頭のほうにも書きましたが、私は、世間で言う恋愛市場的な価値観にうまくなじめませんでした。そんな私には、「性的な暗黙の了解」を理解できない、という困難もありました。ASDの人のコミュニケーション障害の典型的な傾向として、「暗黙の了解」「明示されないルール」を理解できないというのがあります。よく例として挙げられるのが、行間を読めないので皮肉や冗談が通じないとか、目上の人からの遠回しな指示が通じずにトラブルになるといったものです。ASDの人の多くは、おそらくこうした困難を「性的な暗黙の了解」の分野にも抱えているように思います。私の場合、「疲れたから休みたい」「ここは騒がしいから静かなところに行きたい」といった発言が、「ホテルに行こう」という誘い文句の婉曲表現だととられる場合があることを、20代半ばぐらいまで知りませんでした。私はなんの意図もなく、純粋に言葉どおりの意味で、男性の前でこのような発言をしていました…… 特性上、お茶したり食事したりしているとすぐに疲れてしまうんですよね。特に騒がしい場所にいると疲れてしまう。恋愛とか性的関係の分野にこうした暗黙の了解があることを知ったときには非常に驚きました。同時に、自分がそれまでに自分の発言をきっかけに性的被害に遭うようなことがなかったのは単に運が良かっただけだろう、とも思い、ショックを受けました。※上記のような発言をきっかけに性的被害を受けた人がいたとしても、発言した人のせいではありません。悪いのは絶対に、加害する側です。自衛のひとつの方法は後半で書きます。ともかく私は、世の中はうっかりしていると性的被害に遭ったりするところなのだと、けっこうなショックを受けたのでした。今となっては私は、夫との関係性に悩んだとき、その悩みが互いの関係性や自分の中のどの要素からくるのかが理解できます。それに、さまざまな支援者や支援機関、支援ツールともつながりがあります。このため、パートナー関係の悩みについて孤立無援の泥沼に陥ることはありません。しかし、以前はこうはいきませんでした。20代半ばには抑うつ状態で精神科に通院するようになっていましたが、当時の私は自分の発達障害にも気づいていなかったのです。自分の心身の不調が二次障害(複雑性PTSD)によるものだとも気づいていなかったので、自分の不調がどこからくるもので、どんな助けを必要としているかも知りませんでした。自分を助けてくれる支援者や支援機関があるということなど思いもしない。結果、共依存のような状態になって、デートDVを受けたり、ストーキングのようなことをしたりされたりといったこともありました。発達障害の女の子が安定した親密な関係性を築くために私は今となっては夫と安定した関係を築いていますが、5年以上の間、ずいぶんと紆余曲折を経験しましたし、30歳を過ぎて幸運にも彼と出会うまでには、人生上のさまざまな困難に囲まれてそうとうに思いつめていました。夫と出会うまでの困難や、夫との離婚危機と必死の挽回の経緯については拙著に詳しく書いています。以下、私のような発達障害の女の子がいたとして、以前の私のようには苦しまずに、誰かと安定した親密な関係性を築くとしたらどうしたらよいかを考えてみました。私が恋愛について長いこと苦しんでいたことの背景には、冒頭に書いたような「恋愛市場的な価値観」と自分の実像との間のギャップがあります。もしかすると、最初にここからほどいていくと悩みが楽になっていきやすいかもしれません。まずは、一般的な「惚れたはれた」とか、恋愛ノウハウの目線から考えるのをやめてみる。そこで意識的にもう一段掘って、「発達障害の特性を持つ者としてどういう原因からこうなるのか・こう感じるのか」などを考えるのがよいのではと思います。現在の日本では、女性は何かと年長者や男性から利用されたり被害を受けたりしがちです。本当は利用したり加害したりしようとするほうが100%悪いです。こちらが自衛しなければいけないのはおかしいのですが、残念ながら自衛する手段を知っておいたほうが安全に過ごせるのは事実です。年長の人には、暗黙のルールを知らない当事者をバカにせず、彼女らが被害に遭っても決して責めることをしないで、淡々と知識として、世の中がどうなっているのかを教えてあげてほしいと思います。若者や女性を利用しようとする人がしがちな言動について、思いつくかぎり教えてあげるのもよいかもしれません。たとえばSNSで「泊まらせてあげる」とか言う人は危険だとか。まさにこうしたテーマを扱った本もあります。一緒にこうした本を読んでみるのもいいと思います。いま振り返って思うのは、「人にとって、所属するコミュニティは多様であるほどいい」ということです。趣味ベース、勉強ベース、困りごとベース、地縁ベースなど、さまざまな切り口で、いろいろなコミュニティに属することを意識していくとよいのではないでしょうか。人にはいろいろな「顔」がありますが、属するコミュニティが多様であるほど、多様な自分の「顔」を見いだせると思います。コミュニティによっては、ほかでは絶対に出せないような「顔」を出していけて、それが自分の救いになることもあります。ちなみに、私の場合はこの救いとなったコミュニティが10年ほど前のTwitterです。私は当時のTwitterに人生の悩みを赤裸々に綴っていくうち、現在の夫も含めたさまざまなつながりに恵まれていきました。いまのTwitterはあまりに拡散力の強いメディアになってしまっていることもあり、危険な人に出会ったりTwitterに依存してしまったりするリスクも高いので、そこは注意が必要ですが。私が現在の夫との関係性を安定したものにしていく過程でも大事だったのが、「二人の間で起こるトラブルは二人の関係性の問題なのか、それとも自分の中の問題なのか」を切り分けることです。以前の私は、恋愛やパートナー関係において何かトラブルがあると、全てを二人の間の関係性の問題だと考えていました。つまり、「私はこんなに彼のことが好きだからこんなに苦しいんだ」と。けれど、自分の発達障害や二次障害の存在に気づくにつれ、親密な関係性の中で起こるトラブルの想像以上に多くが「自分の中から来るもの」だったことを知りました。たとえば、自分の心にあいた穴が、二人の関係性を必要以上に困難なものにしている。「トラブルは自分のせいと考えて自分を責めろ」という意味ではありません。「このトラブルは本当に相手を好きだからという理由のみで起こっているのか?」「自分の不安定性が関係性に映し出された結果、必要以上にトラブルが大きくなっているのではないか?」とできるだけ冷静に分析し、それぞれの場合によって別の対応をする必要があるということです。そして、そのトラブルがなに由来であるとわかったにしろ、わからないにしろ、定期的に専門科にかかって、状況を報告・相談することを欠かさないようにするのが大事だと思います。世間ではなんとなく「女性が男性の、男性が女性のパートナーを『勝ち取り』、ひいては法的な結婚をすること、できれば子どもを産むこと」を当たり前、または理想だとしているところがあります。このためか、私たちもなんとなくそうしなければいけないと思い込んでしまいがちです。私も以前はそうでした。けれど、本来人の性的アイデンティティも恋愛対象もさまざまですし、人というのはモノみたいに「勝ち取る」ものでもありませんよね。誰かが幸せと感じる生活が誰かとの性的関係を含んだ一対一のものであるとも限りません。愛は愛であって、恋愛市場での勝ち負けなどとは関係ありませんし、現在の法律婚は、身体の性と心の性が一致したヘテロセクシャルの男女カップルのみを優遇する、理想的とは言えない仕組みです。子どもを産み育てるには膨大な労力とお金がかかりますし、現在の日本は子どもを育てづらいシステムになっています。女性たちが、迷いもなく子どもを産もうという気にはなかなかなれないのが実情です。私自身、たまたま身体の性が女性で、恋愛対象が男性であり、男性と法律婚するという、いわゆる典型的な「女性の幸せ」に至りました(子どもは産んでいませんが)。しかし、実は私の性的アイデンティティは常に揺らいでいる状態です。自分が子どもを産める性であることにいまだに違和感があります。かといって男性になりたいわけでもありません……こういった意味もあって私は、「女性の幸せは男性と結婚して子どもを産むこと」などといった粗い主張をする気には到底なれません。さらに言えば、人が幸せになるにあたって、ある程度親密な人間関係が必要だろうことはわかりますが、それが特定のパートナーである必要さえないと思います。自分の信頼のおける複数の人たちと擬似家族のようなものを築いて暮らすのも素敵ですし、一人で暮らして人とはときどき交流する生き方が幸せという人だっているでしょう。私は、若い世代の発達障害女性には、世間が提示する「あたりまえ」や「理想」なんて気にせず、自分が最も楽でいられる生き方を選んでいってほしいと願っています。
2020年07月29日娘に「生理」がきたら…広汎性発達障害の娘は、小学4年生。初潮を迎える時期が近づいてきました。娘は感覚が過敏な特性があるので、『生理』がきた時、どうなるのか…母親として気になって仕方がありません。Upload By SAKURA定型発達でも、わが子に「生理」について教えるのは難しいものです。それが発達障害がある娘となると、どうなるのか…パニックを起こすのではないか…ナプキンの感覚を嫌がるのではないか…生理について子どもに話すのは、私にとっても初めての経験です。その時うまく教えることができるのか、という不安があります。思い出してみる、自分の時のこと…。そこで、自分の時のことを思い出してみました。あれは小学生低学年のころ…私は初めて、家のトイレでナプキンを見つけました。Upload By SAKURA母に「これなに?」と聞くと、『気にしなくていい』と言われました。その時の私はそれをオムツだと思い、なんとなく「聞いてはいけないことなのかもしれない…」と、それ以上親には聞きませんでした。そして、小学5年生の時…私は初潮を迎えました。下着に突然血がつき、びっくりして、何かの病気かと思い、トイレで悲鳴を上げました。Upload By SAKURAかけつけた母に「あら!おめでとう!」と言われ、その時初めて『生理』を知りました。母からナプキンの使い方を教えてもらいましたが、初めての感覚が気持ち悪く、お腹も痛い…私はその不快感がおさえられずに、母に気持ち悪いと訴え続けました。私があまりにしつこいので、母に「いい加減に慣れなさい!」と怒られてしまいました。その日の夕食後、ケーキが出てきた時、兄が不思議そうに見ていて、すごく恥ずかしかったことを今も覚えています。Upload By SAKURAその後、学校で女子だけ保健室に集められ、「生理」のことを説明されました。5年生で初潮を迎えていた私の場合、学校の説明は、生理になった「後」でした。学校から説明される前に。最近は初潮が早くなっていることもあって、小学4年生ごろには学校から話があるということを聞きました。娘もそろそろ説明を受ける時期です。Upload By SAKURA私はその前に、娘に『生理』という言葉だけでも教えておこうと思いました。娘は一度聞いたことある話の方が集中して聞くことができるので、事前に話しておけば、学校でされる専門的な説明をより理解できると思ったからです。実際に見せてみる。そこで、いつもは娘と別々にお風呂に入るのですが、わざと自分の生理中に娘と一緒にお風呂に入ることにしました。娘が、流れる血に気がついた時、話をすることにしました。Upload By SAKURA私は専門的なことよりも、『生理』の意味と大切さを、娘に理解してほしいと思いました。娘に怖いこと、嫌なことだと思ってほしくなかったのです。「生理があるから、あなたたちに会えた」娘はその言葉を聞き、「へぇ~大事なんだ…」と言いました。専門的なことより、大事なことだということを教える。体の仕組みなどを理解してもらうというよりは、「生理」というものがあるということ、それが大切なものだということだけ教えたかったので、説明はここまでにとどめました。その後も、ちょこちょこ「生理」について話すようにしています。Upload By SAKURA娘にとってあまり重要ではないのか、忘れていることが多く、その度にお風呂で話した説明を繰り返しています。当時の私があれだけ気持ち悪いと感じたのです。きっと感覚過敏な娘にとっては、もっと気持ち悪いと感じるものになるでしょう。その時がきて娘がどう感じるのか、何を嫌がるのかはわかりませんが、今教えられることは教えて、その時は娘に寄り添い、本人が過ごしやすいようにしようと思っています。
2020年07月22日熱心な無理解者に苦しめられて『発達障害に生まれて』(松永正訓著/中央公論新社)ノンフィクションのモデルの立石美津子です。障害のある子どもを育てていると、熱心な無理解者に出あうことがあります。・「障害というハンディがあるのだから、今、辛くても頑張らせることが本人の将来のため、それが愛情だ」と思っている。・こだわりはわがままの一種なのだから、応じてはならないと思っているところがある。・努力すれば必ずできるようになると信じて疑わないところがある。・苦手を克服させようと必死に努力させ、何でも一人でやらせようと試みる。・「どうやったらこの子は○○ができるようになるのだろうか」とできないことばかりにスポットを当てがち。・偏食を徹底して直そうとする。・本人にとって難しいことであったとしても、みんなと同じことができるようにさせようとする。・本人の意図を考えずに才能を開花させようと躍起になりがち。・「やればできる」と過度な期待を抱きがち。・「障害にともなう困難の改善」ではなく、「障害そのものの克服」を目的にしているところがある。子どものことを思ってくれているのはわかる、熱心に支援をしてくれようとする…でも、こうした行為は子どもを苦しめてしまうことがあります。熱心な無理解者という言葉は、児童精神科医の故・佐々木正美先生が提唱された言葉で、私の知人でもある公認心理師、臨床発達心理士、特別支援教育士スーパーバイザーの川上康則先生も「発達障害のある子どもについて【無理解・誤解・理解不足】などの状態にもかかわらず、熱心と言われるくらいの積極的な指導・支援を繰り返し、かえって当事者の状態を悪化させてしまう人のことを指す」とおっしゃっています。たしかに、熱心であることは非常に重要です。しかし、「本人のため」「良かれと思って」の部分が前面に押し出されてしまうと、本人にとっては「苦行」のように感じられるのではないでしょうか。自閉症の息子も、療育施設で苦手な音の克服の訓練をされた結果、その施設に行くことすら怖がるようになってしまいました。「本人のため」「良かれと思って」だけが一人歩きしない支援が必要だと常々感じています。子どもの気持ちを大切にする大人のあり方では、子どもに寄り添い、子どもの気持ちを大切にする対応とはどんなものでしょう。・できることを伸ばそうとする。・偏食を無理に治そうとはしない。・こだわりに十分に付き合い、信頼関係を築いた上で、こだわりの緩め方を一緒に考えてくれる。・大人本位の「こうあるべき」にとわられすぎない。・子どもの今の状態を受け入れている。子どもにとって安心できる人は、このような対応をしているのではないでしょうか。同じ場所で支援者によって対応が違うと、子どものさらなる混乱を招く更に困ってしまうのは同じ場所でも上記の2種類のタイプの人がいて、子どもに対して全く違う対応をするケースです。子どもは無理強いされたり、許容されたりして「何が正しいのか」がわからず混乱してしまいます。こうした状況を「ダブルバインド」と言うそうです。子どものほうも相手により態度を変える(怖い大人の前でだけおとなしくし、やさしい大人にはからかいを多く出すなど)といった誤学習をしてしまうかもしれません。これは「偏食をわがままとして許さない父と、受け入れる母」など家庭内でもおこりがちです。わがままとみなすか、こだわりと共存するか感覚過敏によって偏食がある場合、無理強いされることは、もしかしたら「芋虫を小さく切ってあげるから一かけらだけでもいいから食べなさい」と言われているような状況にあるのかもしれません。熱心な無理解者はとかく「自分だけの基準」で考えてしまい、子ども本人の苦しみ、辛さまで思い至らないのかもしれません…。とはいえ、わがままかこだわりか見分けるのが難しいこともあります。しかし、「その子が何にこだわっているか」をよく観察していると、その子にも譲れない部分があるということが見えてきます。例えば靴、同じデザインのものでないと絶対に拒否するという段階の子どもがいます。違うものを無理に履かせようとすれば自傷しパニックになることでしょう。でも、「〇〇を買って欲しい」などのわがままな要求のときは、自傷や他害よりも、その場で泣くだけといった様子が見られることがあります。安全基地の確保障害がある子どもにとって、社会にはさまざまな怖いもの、苦手なこと、わからないことがたくさんある世界のように見えるかもしれません。叱責されてばかり、無理強いされてばかりだと、自ら一歩を踏み出すことすら怖くなってしまうかもしれません。「安全基地(Secure Base)」としての大人の存在が不可欠です。「この世は怖くない、安心、安全なんだ」「先生や親は自分を脅かす存在ではない」「大人は自分を守ってくれる人間である」ということを幼いうちに十分に経験させることが大切だと思います。障害があっても、経験を積んでいけばやがて「人生には思い通りにならないこともある」ことをその子なりに体験します。大海原に出ても戻ることができる心地よい「港」のような存在がいれば航海の勇気も出ます。安心安全な居場所=安全基地さえ確保していれば、時期がきたら本人から苦手なことにも挑戦する勇気も出てきます。人生をスタートさせたばかりの時期は、特に大人との愛着形成をする大切な時期です。保護者も支援者も先生もそのことを忘れてはならないと思います。
2020年07月18日女子の成人式の準備は2年前から始まる!?晴れ着のDM(ダイレクトメール)が届くようになったのは成人式の2年ほど前からでした。DMには振袖のレンタル、販売のほかに“ヘアメイクと着付けのセット”“ドレスや袴も着れる前撮り付き”“式前日、会場の近くのホテル宿泊プラン”“卒業式の袴レンタル割引”“浴衣と髪飾りプレゼント”など色々なプランや特典が記載されていました。娘は私が成人式で着た振袖を着ることを希望していたので、着物の購入やレンタルの予定はありませんでした。私達はチラシを「へぇー、今はこんな感じの振袖やヘアスタイルが流行りなんだねー」と軽い感じで流し読みしていました。その後DMの数は徐々に増していき、成人式の1年前になるとDMが届かない日は無い、というほどになりました。その頃にはチラシに目を通すこともなくなり、毎回ビニールの封筒→プラごみ、チラシ→紙ごみに分ける作業を機械的に行っていました。セールスの電話も頻繁にかかってきました。(個人情報ダダ漏れ)やはり信頼できるのは先輩ママの口コミ我が家は成人式の1年前に、近所の先輩ママに聞いたおすすめの美容院に着付けとへアメイクの予約をしました。「1年前ならまだ好きな時間を選べるけど、ギリギリになってからの予約だと早い時間(午前4時とか)しか選べなくなってしまう」という情報はとても役に立ちました。私達の地域の成人式は数万人規模のイベントホールで行われます。(住んでいる場所で午前と午後に分かれる)開始時間は入場券が届くまで分からないのですが、娘は午前の部を想定して予約をしました。初めての本格的な着付けに気分が悪くなった娘成人式当日はバタバタするだろうと思い、写真は成人式の半年前に撮ることにしました。撮影当日、予約をした美容院でヘアメイクと着付けを済ませた後、近くの写真館に移動しました。馴染みの写真館だったにもかかわらずなかなか笑顔になれなかった娘。徐々に顔色が悪くなり、終いには「気分が悪い」と言い出しました。撮影を早々に切り上げ帰宅してすぐに着物を脱いだ娘。よくよく話を聞くと、「本格的な着付けは初めてだから着崩れないようにきつめに着せてもらった」のだそうです。普段着に着替えるとすぐに落ち着き、写真撮影の様子を見に来ていた祖父母と食事に出かけるほど元気になりました。式当日のハードスケジュールを心配して...前撮り時に気分が悪くなったことから、私は娘に「成人式に親は同行できないから、何かあっても助けに行けないよ。もう写真も撮ったし式は欠席したら?」と言いました。でも娘はどうしても式に参加したいようでした。さらには、「成人式の日の夕方に、中学の同窓会があるから行こうと思う。ホテルでドレスコードがあるから髪の毛をアレンジして洋装で行く。」とのこと。朝5時に美容院で着付けをし、1時間以上かけて電車で成人式会場に行く。数万人規模の成人式会場から帰宅後、着替えてホテルでの同窓会に参加...そんなハードなスケジュールを娘が一人でこなせるか一抹の不安がありましたが、もう見守るしかありません。いよいよ成人式当日当日朝5時、私は娘を美容院に車で送りました。外はまだ暗く、美容院とコンビニだけが営業していました。美容院に着くと、既に晴れ着姿の新成人が何人もいました。Upload By 荒木まち子着付けを終えた娘に問題発生!?「着物用の小さいバッグが閉まらない」2時間後、美容院から着付け終了の連絡が来て、私は娘の着ていた服を引き取りに美容院に向かいました。前回体調を崩したことを踏まえ、娘は緩めに着付けをしてもらったようでした。体調は大丈夫そうで一安心。しかし、美容院で私と別れそのまま電車で会場に向かうはずの娘は何やらもたついている様子でした。どうしたのか声を掛けると「バッグが小さすぎて閉まらない」と言う娘。まさかと思ってバッグの中を見ると、予想通り小銭とカードでパンパンに膨れ上がった『ずっしり財布』がバッグを領占していました。その場でお財布を整理して小銭と不要なカードを私が預かり、娘は軽くなったバッグを手に会場へと向かったのでした。親の杞憂体調を崩すこともなく無事に成人式を終えた娘は軽食を取った後、洋装に着替え中学の同窓会へ向かいました。小学校高学年~中学時代は娘にとって(私にとっても)暗黒の時代です。娘は中2の途中で支援級に移籍していて、中学卒業時の謝恩会にも出席しませんでした。現在、娘は就職しているけれど多くの同級生はまだ学生のはず。娘はどんな気持ちで当時の友達と会うのだろう?もし当時娘をいじめていた同級生に会ったら…?私は少し心配でした。でも、私の心配は杞憂に終わりました。「○○ちゃんに会ったよ!髪の毛染めてた!!」「ほら、いつも優しくしてくれた△△ちゃん、覚えてる?すっごい久しぶりに会ったら眼鏡をコンタクトに変えててさ。『きゃーっ、久しぶりー!』って声を掛けてくれたよ」「××君は美容師を目指してるんだって!」「先生は相変わらずだったよ」帰宅後笑顔で矢継ぎ早に話をする娘を見て、失敗や挫折を繰り返しながらも娘が強くたくましく成長していたことを改めて感じた成人の日でした。
2020年07月10日発達障害のカウンセラーは、誰でもなれるもの!?『発達障害に生まれて』(松永正訓著/中央公論新社)ノンフィクションのモデルの立石美津子です。カウンセリング行為やカウンセラーは公認会計士、医師、薬剤師、弁護士のような法令が定めた業務独占資格ではありません。※業務独占資格とは、国家資格の分類の一つで、その資格を有する者でなければ携わることを禁じられている業務を独占的に行うことができる資格のことでも「発達障害専門のカウンセラー」はどうでしょう。もちろん子どもの発達支援に携わる専門家はいます。小児精神科医や臨床心理士、PTやOT、STなど…とはいえ、漠然とカウンセリングとなると急に間口が広がる気がします。所有資格として「○○団体認定カウンセラー」と書いてあっても、その団体自体が個人が作ったものかもしれません。発達障害だけじゃない――さまざまな商法発達障害とは話題が少し離れますが、“アトピービジネス”という言葉があります。これは、アトピー性皮膚炎で悩んでいる人に対し、ステロイドの塗り薬のデメリットを強調し、高額商品を販売するビジネスのことを指したものです。実は私も22歳のときアトピー性皮膚炎に苦しんだ時期があり、随分と散財してしまいました。藁をもすがる気持ちでいろんな商品を試し、結局は悪化し、入院まですることになりました。Upload By 立石美津子8050問題、内閣府はひきこもりの40~64歳が全国で推計61万3千人いるとの調査結果を発しました。このことで「ひきこもりから救い出します」のサービスも同様に広まりはじめているとも耳にします。そもそも子どもにとっては有難迷惑なサービスかもしれません。法律で規制されているわけではないある幼児教室の経営者が次のように言うのを耳にしたことがあります。「健康食品には『これを買って飲んだら○○が治ります』と宣伝してはならない“薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)”があるが教育産業にはない。小学校、中学受験をうたっている塾は合格率で客観的評価がされるが、幼児教室の場合、そうした評価もされない」発達障害のある子を育てる親がママ友から「○○さんのセッションを受けたら通常学級に入学できた!」と耳にしました。でも本当にそのセッションのおかげなのか、子ども自身にもともと力が備わっていたのか――それはわからないでしょう。また、“通常学級に行く”ことがそもそもゴールなのかという問いもあります。特別支援学級のほうがその子に合っている可能性もあるでしょう。通常学級に馴染めず特別支援級に通うことになったとき、母親はカウンセラーではなく、「うまくいかなかったのは私のせいだ」とは自らを責めてしまうかもしれません。「普通」であってほしいと子どもを追い込んでしまったとしても、将来二次障害を起こしてしまっても、カウンセラーを訴えることはないでしょう。多くの保護者は、自分の子育てを反省するだけです。わが子をそのまま受け入れる子どもが幼いと見えない将来に不安が募り、「今のうちになんとか親が頑張り、子どもにも努力させれば必ず変わる」と期待するのも無理のないことかもしれません。でも、本当にわが子に必要なものであるか、冷静な姿勢になることが大切だと思います。保護者が欲しい安心ばかりを追い求めるのではなく、今のわが子をまず受け入れることが大切なのではないかと思います。そして、わが子をよく見て、子どもが本当に必要とする支援をすることこそが、子どもの心の安定につながり、成長をもたらすと私は思っています。
2020年07月06日わが家の長女は仮死状態で生まれた影響で、発達障害があります。そのため、2歳離れた次女と同じように子育てをしているような状態でした。そんな長女と次女の子育てと、ある日の長女の行動に感動した出来事をお伝えしたいと思います。 長女は次女よりも手がかかる長女は、そしゃく・言語障害などの発達障害があります。そのため、自分でじょうずに食事ができないため、年齢が上がってからも離乳食に近い食事を作り、赤ちゃんのように食べさせてきました。 また、トイレの感覚もわからないようで、何年もトイレトレーニングを続けたりと、赤ちゃんと同じような状態。2歳離れた妹が生まれたのですが、赤ちゃんの次女よりも長女に手がかかる状況で毎日を過ごしていました。 姉妹同じように子育てをしている状態2歳違いの姉妹ですが、同じように子育てをしているような状態の日々。一緒にごはんを食べさせてあげて、一緒におむつを替えて、一緒に寝かしつけて……。 さらに、次女が2歳ごろになると、魔の2歳児が2人いる状態で、かなり大変な毎日になりました。2人とも「自分でやりたい」という意思が強くなり、お互いにライバル心も芽生え、お世話は大変でしたがその分お互いに成長したようにも感じました。 ある出来事に感動して涙…そんなある日、姉妹たちと公園で遊んでいると、男の子が木の棒を振り回しながら次女のほうに近付いてきました。私が次女のほうに向かおうとすると、近くで遊んでいた長女が勢いよく妹のほうまで走っていき、妹をギューっと抱きしめて、男の子に向かって大きい声で叫んで追い返したのです。その姿を見て、「お姉ちゃんとしての自覚があるんだ……」と私は胸が熱くなり、感動して涙が出ました。 今でも、喧嘩をしたり一緒に遊んだりと、お互いに切磋琢磨しながら、姉妹一緒に成長しています。姉が妹を思いやり、妹が姉を思いやる心がどんどん育っています。これからも、そんなわが子たちの成長が楽しみです。 イラスト/sawawa監修/助産師REIKO著者:石原みどり知的障害を持つ子どもと口唇口蓋裂を持つ子どもの母。波乱万丈で大変なこともあるが、子どもたちと幸せいっぱいに生活している。経験を踏まえ、子育てに関する情報を発信中。
2020年07月02日LITALICOで発達支援に関わる専門家らによる新刊が発売!2020年7月2日発売の「発達障害のある子どもと周囲との関係性を支援する~コミュニケーション支援のための6つのポイントと5つのフォーカス~ 」は、発達障害のある子どもと周囲の人との間にあるコミュニケーションのズレや障壁を解消するための環境アセスメントの視点や具体的な支援法が紹介されています。執筆に携わったのは、LITALICO研究所 所長でインクルーシブ教育を専門とする野口晃菜さんを始め、応用行動分析や認知行動療法、児童心理、作業療法士、テクノロジー等複数の専門分野から支援に携わる7名の専門家達。さまざまな専門性からアプローチをするなかから見えてきた、共通する支援のポイントについて、事例を交えながら述べています。発達が気になる子どもの支援に携わる方にとってはもちろん、保護者にとっても子どもとのコミュニケーションにおいて新たな気付きを得られる本です。7月10日(金)開催!支援に携わる複数の専門家の視点を得られるオンラインイベントに参加しませんか?7月10日に、この本の出版を記念した出版記念イベントが開催されます。著者自ら一歩進んだコミュニケーション支援のためのポイントを直接ご紹介します。オンライン配信のため、全国どこからでも参加が可能。多くの方のご参加をお待ちしています!本イベントでは、7名の著者のうち4名が登壇し、これからのコミュニケーション支援のポイントについて直接お話します。登壇者のプロフィールをご紹介します。Upload By 発達ナビニュース<野口晃菜>株式会社LITALICOLITALICO研究所所長1985年生まれ。小学校6年生の時にアメリカへ渡り、障害児教育に関心を持つ。高校卒業時に日本へ帰国、筑波大学にて多様な子どもが共に学ぶインクルーシブ教育について研究。その後小学校講師を経て、現在障害のある方の教育と就労支援に取り組む株式会社LITALICOの執行役員・LITALICO研究所所長として、障害のある子ども8,000名への一人ひとりに合わせた教育の実現のための仕組みづくり、公教育や児童養護施設との共同研究などに取り組む。共著に「インクルーシブ教育ってどんな教育?」や「地域共生社会の実現とインクルーシブ教育システムの構築―これからの特別支援教育の役割」などがある。博士(障害科学)。Upload By 発達ナビニュース<陶 貴行>株式会社LITALICOLITALICOワークスシニアスーパーバイザー・LITALICO研究所チーフリサーチャー約15年障害のある方の就労支援に携わっている。元、障害者職業カウンセラーで、専門は職業リハビリテーション、応用行動分析、認知行動療法。公認心理師、臨床心理士も取得している。これまで、障害のある方の就労支援における応用行動分析や認知行動療法による介入や就労移行支援事業所スタッフ向けのスタッフトレーニング(応用行動分析のスキル習得)、障害者の職場定着に影響を与える要因を検討するための調査、インターネット認知行動療法の効果検討等の研究を行ってきている。現在は、アクセプタンス&コミットメント・セラピーの就労移行支援事業所における応用や、就労移行支援事業所におけるオープンダイアローグの実践を行い、その効果を検討する研究を行っている。Upload By 発達ナビニュース<井上いつか>株式会社LITALICOLITALICOジュニアアドバイザー言語聴覚士医療・福祉機関で勤務後、現在フリーランス。複数の支援機関でお子さんの療育や自立支援、ご家族や指導者のサポートを行っている。Upload By 発達ナビニュース<緒方広海>株式会社LITALICOLITALICOジュニアチーフスーパーバイザー公認心理師臨床心理士さいたま市にて専門職(心理)として約15年間従事。こころの健康センター(精神保健福祉センター)、障害者総合支援センター(発達障害者支援センター)、子ども家庭総合センターなどで、乳幼児から成人期までの精神保健福祉、障害福祉の分野で幅広く心理臨床業務に携わる。現職においても支援に関わる指導員への研修やスーパーバイザーの育成の統括を担当している。今回のイベントでは、オンライン上で、登壇者が参加者からの質疑応答にお答えする時間も設ける予定です。ご興味のある方はぜひご参加いただき、この4名に直接質問を投げかけてみませんか?Upload By 発達ナビニュース「発達障害のある子どもと周囲との関係性を支援する」出版記念イベント~著者と共にこれからのコミュニケーション支援について考えよう~支援職や保護者はもちろん、ご興味のある方はどなたでもご参加いただけます。開催日時2020年7月10日(金)19:00~20:30※10分前よりご入室いただけます開催方法youtubeでの配信を予定※お申込みいただいた方にURL及びIDパスワードを事前にお送りいたします。※参加者の方からオンラインで質問をお送りいただけるようにいたします。詳細は改めてご案内します。イベントの内容・書籍の紹介・パネルディスカッション「これからのコミュニケーション支援について」・参加者からの質疑応答参加費無料服装自由ご準備いただくものyoutubeに接続できるスマートファンやPC※通信費等はご参加者負担となります登壇者・野口 晃菜(LITALICO研究所 所長)・陶 貴行(株式会社LITALICOLITALICOワークスシニアスーパーバイザー・LITALICO研究所チーフリサーチャー)・井上いつか(株式会社LITALICOLITALICOジュニアアドバイザー)・緒方広海(株式会社LITALICOLITALICOジュニアチーフスーパーバイザー)※プログラムの内容及び開催時間などは変更になる場合がありますので、あらかじめご了承ください。ご興味をお持ちいただいた方は下記よりお申込みください。
2020年06月22日ASDの長男のパニック対応…これまでの対応Upload By スガカズ長男にはASDがあり、対人関係の苦手さやこだわりによってまわりの人から強く言われる事があります。小学1~4年生頃はパニックになりがちで、帰宅して押し入れにこもったり、時には自分で自分をたたいた事もありました。そういった場面に直面した場合は、その行動には触れず、長男がキラキラする言葉をつぶやいてみたり、右手と左手の人差し指を差出し、「こっち(右手人差し指)はYES、こっち(左手人差し指)はNO。どっちを選ぶ?」など、選択しやすくする工夫で切り替えてもらうなどの対応をしていました。親子のコミュニケーションでも、パニックになりづらい声かけを意識していました。受験が近づいてきて…親もピリピリ。とうとう父親がしびれを切らして…!Upload By スガカズ年末年始で本番が近づいてきたある日の休日、いつもの様に長男は外出して3~4時間勉強、私はその支援をする予定でした。パパと残りのきょうだいは、家で留守番です。ところが本人は弟と遊ぶことに集中して、なかなか次の行動に移れませんでした。この時期は夫婦の間で緊張した空気が流れていました。パパがいよいよしびれをきらして、いつもより強く叱りました。Upload By スガカズ長男は勉強しないつもりではなく、目の前の「遊びたい」欲求と戦っていましたが、強く叱られたことでパニックまではいかないものの、落ち込み…「何のために勉強しているのかわからなくなってきた」「頑張っても怒られるくらいなら、受験するなんて決めなきゃ良かった」と言い泣いてしまいました。そんな長男に旦那は、「自分のことしか見えていない。受験勉強のために家族も頑張っているのに、自分だけが頑張っていると思っている。」と、ひと言。Upload By スガカズしばらくしてパパが長男に怒った理由を説明しました。わが家のパパは、普段しゃべる方ではないのですが、その分気まぐれで発言を変えたりしません。「やる」と決めたことは「やる」性格です。そのため、長男が「受験をやめる」と言えば、「じゃあやめよう。」と、さっと幕をひくことに抵抗がないのです。(私は今までの長男の努力など考えると、とてもじゃないですが同じ様な決断はできません)そんなパパの警告の意味を長男は理解したのと、「約束を守ることで得られること」を振り返ったようでした。その後はさっと切り替えることができました。母親として少しかわいそうな気もしますが、この先の中学校生活を考えると、敢えて障害物を与えることも大事なのだと理解しました。親子喧嘩は増えたけれど、キラキラ言葉も忘れないように…Upload By スガカズ長男は、中学受験勉強をきっかけに、家での遊びと勉強の切り替えが上手くいかず、大なり小なり叱られる回数は増えました。受験で親も焦り、叱りがちになってしまいます。でも、次の行動に移った時や、注意散漫になっている時、リラックスしている時など、私はなるべくキラキラ言葉を忘れないようにしようと心がけました。受験勉強でいろんな経験ができたので、子どももずいぶん成長した様に思います。もちろん親としては志望校に受かってほしいのはやまやまなのですが、8ヶ月間を通して「できない自分」を責める機会がグンと減り、もし受験した私立中学校に入れなかったとしても、公立中学校でやっていけそうだと感じるほど、自信がついていると感じました。さて、いよいよ試験本番の話にうつります。これまで第一希望と第二希望の学校のために勉強に取り組んできた長男でしたが、1月に本人がある決断をして、状況が変わってしまいました。次回、詳しくお話したいと思います。
2020年06月18日診断名にこだわらずわが子にじっくり寄り添う――『発達が気になる子の心がわかる 幸せ子育ての手引き』本書では、発達障害のある子の心を理解することに焦点が当てられています。そのため、障害の種類ごとにではなく、発達障害のあるお子さまがぶつがりがちな課題ごとに、よくやってしまいがちなミスや意識したいことがイラストつきで分かりやすく掲載されています。この本では、課題に対して具体的なエピソードをベースにそれぞれのお子さまの気持ちと、保護者の気持ちが分けて書いてあり、お互いの気持ちのバランスをとれるような対処法も掲載されています。また、お子さまがぶつがりがちな課題は年齢別に区分されており、困っているときにすぐ対処法を探すことができるためとても便利です。発達障害のあるお子さまをお持ちの方にぜひおすすめしたい一冊です。落語家が自身の発達障害について語る――『僕が手に入れた発達障害という止まり木』この本では、自身も識字障害のある落語家の柳家花緑さんが発達障害について語っています。本書は4章構成となっていて、第1章では花緑さんが自身の障害に気づくことになったひょんなきっかけが語られており、第2章では、発達障害を研究する第一人者である岩波明さんと花緑さんが対話形式で発達障害の基礎知識を解説しています。第3章、第4章では、花緑さんがお母さんの喜美子さんに子育てで大変だったポイントをたずねたインタビューや、花緑さんと全然違ったタイプの発達障害の症状があるお弟子さん、柳家花飛さんとのエピソードが掲載されています。花緑さんは、本書の中で落語家らしくユーモアあふれる語り口で、「人間は一人ひとり性格も違うからこそ、世の中面白いし、豊かになる」ということを伝えています。自身や家族の方に発達障害があることで悩んでいる方におすすめの一冊です。仕事の「しんどい」がラクになる――『要領がよくないと思い込んでいる人のための仕事術図鑑』本書では、ADHDがありながら会社員として企業に勤める小鳥遊さんと、SNSでひらめきメモなどのアカウントを運営し40万人近いフォロワーを有するF太さんが、「ミスが多い」、「先送りしてしまう」、「人間関係でうまくいかない」などの仕事上の「しんどい」をなくす方法を紹介しています。本書の中で著者のひとりでもあるF太さんはこれまで仕事でたくさんの失敗をし、「自分は要領が悪い」とずっと思っていたそうです。しかし、行った作業内容は一緒でも上司が変わると評価が全く違った経験から、「要領の良し悪しはまわりの人間の評価で簡単にかわるものだ」と語ります。本書では、上司やお客様に怒られたくない恐怖心から仕事に集中できないという状態から抜け出すために、仕事をするうえでの「コツ」が80個も紹介されています。仕事がうまくできなくて自分に自信が持てないという人にぜひおすすめの一冊です。保健室の先生が語る、ちょっと気になる子への対処法――『気になるあの子、気になるあのこと』この本では小中学校で、40年近く養護教諭として務めた経験をもつ著者が問題のある行動がみられる子への対処法を示しています。問題行動の具体的な事例がイラスト付きで分かりやすく紹介され、対処法についても重要な方針の部分が強調されていたりと理解しやすいつくりになっています。本書の中で、著者の澤さんは自身の経験から特性などにより学校でトラブルになったり困り感を抱えがちな子どもに対し、「ちゃんと知ってちゃんと対応すること」が重要だといいます。また、教育現場において発達障害などの知識自体は広まっているものの、対応がうまくできていないケースがみられると語っています。本書は学校の先生が読むことを想定して書かれているため、集団で行うワークなどの紹介もされていますが、一方で対応する際に意識したい心構えなど、ご家庭でも参考になる部分がたくさんあります。子どもの行動への対応に悩んでいる方に、ぜひ読んでいただきたい一冊となっています。9つの実例で徹底的に発達障害を読み解く――『発達障害支援のためのケースBOOK』この本では、40年以上、臨床心理士・公認心理師として医療や教育の現場に関わってきた著者が具体的な事例をもとに、発達障害の「支援」について解説しています。本書では、個人が特定されないかたちで9つの事例が会話なども含め詳細に掲載されており、それをベースに発達障害の支援で意識したい基本姿勢や具体的なケース別の対処法が紹介されています。著者のヴィヒャルトさんは「自分が精神的にゆとりがない状態での支援はできない」と語っています。適切な知識をもって相手に手をさしのべることが、人を助けるためにも、自分を守るためにも必要なことです。本書では専門的な知識とともに、具体的な事例を紹介しているため、発達障害のある人への支援の仕方で悩んでいる方におすすめの一冊です。
2020年06月11日子どもの頃から運動が苦手で弟に歩き方を笑われていたけれども、いまは運動が大好き出典 : 私はADHDとASDがある、現在30代の男性です。一般企業で管理職をしつつプログラマーとして働いています。私は子どもの頃は運動が苦手でした。幼稚園や小学校の運動会でも順位はほとんどビリ、夏のプールの時間も大嫌いでした。歩き方もかなり特徴的だったようで、「歩き方がヒョコヒョコしているねー」と弟に笑われたことがあります。自分ではわからなかったのですが、左右や上下に揺れていたようでした。そんな私でもあるきっかけがあり、中学生になる頃には運動が好きになっていました。今回はそうなったきっかけである、小学校の野球部でのできごとについて書いてみようと思います。バスケをやりたかったのに渋々参加した野球部出典 : 私が小学校に入る頃、私の周りではバスケットボールを題材にしたマンガが大流行していました。私もハマっており、同時期放送されていたアニメは毎週欠かさず観るほどでした。運動が苦手で、運動会でもビリの常連だったにもかかわらず、アニメの影響でバスケットボールが大好きになった私は、小学校ではバスケ部に入ろうと心に決めていました。小学生になり、いざバスケ部に入りたいということを両親に伝えたところ、私が通っていた小学校にはバスケ部がないことが発覚。中学校になったらやればいいじゃないかと父に勧められ、そこに向けて何か運動をと考えた私は野球部へ入部することにしました。全然上達しなかった入部1年目出典 : そんな経緯で野球部の部員となったものの、キャッチボールすらろくにできず、バットを振ってもボールに当たらず...練習相手の先輩が、私がとんでもない方向に投げたボールをいつも取りに行ってくれていました。父に付き合ってもらって家でも練習していたのですが、なかなかうまくなりませんでした。そんな状況なので、最初は練習に行くのが辛かったのですが、少しずつバットにボールが当たるようになっていったことで楽しさを感じられるようになり、何とか続けることができていました。それでも週末の試合にはやっとバッティングができるようになってきたレベルの私はもちろん出られず...毎回ボールボーイ(ボールが必要になったら審判にボールを渡す係)として参加していました。この状況は人によっては辛いと思うかもしれませんが、私は先輩たちの動きを見てルールを覚えたりするだけで楽しかったので、あまり苦になりませんでした。新しいポジション決めの練習が転機。それからは運動が好きに!出典 : そんな部活生活も1年がたち、6年の先輩たちが引退するため、新しいポジションを決める日がやってきました。その日は、次のピッチャーを決めるために全員マウンドからボールを投げてみることになっていました。順番を待つ間、私は“うまく投げている自分”をイメージしていました。そしていよいよ私の番です。キャッチボールもろくにできない私でしたが、「これでうまく投げられたらすごいな」と思いながらマウンドに登っていきます。そしてイメージしていたように、ミットめがけて思いっきり投げてみたところ…いままでにないまっすぐなボールを投げることができました。気分が高揚してあまり覚えていませんが、みていた先輩たちも驚いてざわついていたように思います。その日以降、いままでとは別人のように狙ったところにきちんとボールを投げられるようになりました。今思うに、それまでは身体の使い方のコツがつかめておらず、“成功するイメージ”も持つことができていなかったのだと思います。この日はじめて頭の中にイメージを描くことができ、それがうまく投げられる結果に繋がったように思います。このできごとからしばらくして不登校になったので、野球をする機会は減ってしまいましたが、この経験があったおかげで自分の中にあった運動への苦手意識はだいぶ薄れました。野球をしたことで筋肉がついてきたのか、100m走のタイムも縮まり、体育の授業にも自信を持って取り組めるようになりました。私の運動のコツは「上手い人の動きをよく見て、自分の身体でその動きを再生する」こと出典 : そのころの経験から、新しい運動をするときに私が意識するようになったのは、「自分がしたい動きをなるべく具体的にイメージして、それを身体で再現する」ということでした。運動が上手い人の動きをよく見て、身体の動きがどうなっているのか分析し、その動きと同じように自分の体を動かすよう意識してみる。うまくいかなかったら、もう一度上手い人の動きをみて自分とどこが違うのかを比べ、そのイメージに近づける。そうすることで、いつの間にか運動の上達が早くなっていました。例えば私が通っていた高等専門学校では、体育の授業でゴルフの練習をすることがあったのですが、私もクラスメイトの大半もゴルフをするのは初めてでした。最初はみんなで空振りばかりしていたのですが、ひとりだけゴルフ経験があって上手い人がいたので、私は自分の練習を止めて、その人の左腕の動かし方や肩・腰の使い方をよくみることにしました。最初に構えたところから膝や腰を上下に動かさなければ、地面を打つことはないとか、スイングバックのタイミングで左ひじは曲げないようにするとか…自分の身体でその動きを真似するようにしてみたところ、どんどんいい具合にボールを打てるようになっていき、その授業の終わりごろには、いろいろなクラブでしっかりとボールを打てるようになっていました。運動が好きになったことよりも、上達できることへの楽しみを経験したことが大きな財産に出典 : 野球部での経験は、興味があることや好きなことであれば反復練習が苦にならないということや、運動の際には身体の動きを具体的にイメージすると効率よくやれるようになるという、自分の特徴が活かせた初めての体験だったと思います。また「うまくいかなかったことも、自分の工夫次第でできるようになった!」と実感できたことは、社会人生活で苦しんでいたときにも乗り越える力をくれ、私にとって大きな財産となっています。運動が苦手で困っている当事者の方やその周りの方には、是非興味のあるものから取り組んでみていただきたいなと思います。その際、周りの人と比べるのではなく、去年の自分や先月など、過去の自分と比べて上達を感じることができると、上達することそのものが楽しくなってくるのではないかと思います。運動は苦手な人も多いかと思いますが、やってみると実は上達を感じることができるポイントがたくさんあり、私のようにその後の自信や力につながることもあります。この私の経験が、今悩んでいる方のご参考になれば幸いです。
2020年05月30日参加者満足度4.5(5段階評価)!オンライン勉強会についてご紹介発達ナビPLUSでは、オンライン勉強会個別ケース相談特別支援教材子育てヒント動画という4つのサービスをご提供しています。今回はその中でも、オンライン勉強会をクローズアップしてご紹介します。発達ナビPLUSでは、毎週、発達の専門家によるオンライン勉強会を開催しています。5月には合計9回の勉強会を開催。約500名のPLUS会員のうち、5月の勉強会にはのべ425名から参加申込をいただいている人気のサービスです。Upload By 発達ナビ編集部5月の勉強会は次のようなテーマで行いました。・心理の専門家によるサポートブック勉強会<未就学版>・心理の専門家によるサポートブック勉強会<学齢期版>・OTによる学習支援と体づくりの関係・OTによる運動・身辺自立 着替え編・STによるコミュニケーションの土台作り:未就学を中心に・STによる発語・コミュニケーション相談:小学校高学年編サポートブックなど新学期に必要となるツールについてや、ニーズの高いテーマで開催しています。オンライン勉強会は、お住まいの地域にかかわらず、またお子さまの預け先なども不要で気軽に参加できる勉強会です。リアルタイムでお子さまの発達支援に取り組む専門家の講義を聴講でき、チャットで質問も可能、ニーズの高いテーマということもあり、勉強会にご参加いただいたPLUS会員の皆さまの満足度は平均4.5(5段階評価)と好評価をいただいています。新学期、先生や支援者との連携に必要な「サポートブック」のポイントや書き方は?オンライン勉強会ルポUpload By 発達ナビ編集部今回は、サポートブックの勉強会の様子をピックアップしてお伝えします。今年度は、新型コロナウイルス(COVID-19)の影響もあり、新学期の開始が遅れましたが、ようやくスタートを切れるようになってきたのではないかと思います。新学期が始まり先生方も落ち着いたところで連携したいのが、サポートブックです。サポートブックは進学進級などお子さまのライフステージが変わる際に、関わり方等知っておいて欲しい情報を学校の先生や支援者と共有するためのツール。発達ナビPLUSでは未就学版と学齢期版の2種類のサポートブックのフォーマットを会員さま向けにご提供。勉強会では、書き方のコツから連携方法までをご紹介しました。未就学版の勉強会では・小学校入学時、どのような内容を記載しておくと連携しやすいのか・詳しく書きすぎても読んでもらえない?ちょうどいい分量が知りたい・障害についての補足資料は必要か学齢期版では・サポートブックを渡しても活用してもらえない場合はどうアプローチしたらいいか・先生にうまく受け入れてもらう渡し方が知りたい・サポートブックの見直しのタイミングは?・保護者自身支援の仕方がわかっていないのでサポートブックにも依頼したいことが書けなくて困っていると言った悩みが、事前にたくさん寄せられました。Upload By 発達ナビ編集部登壇した菅佐原洋先生は、事前に寄せられた質問を講義の中でも織り込みながら話を進めます。「サポートブックは詳しく書いていい。必要なところを先生や支援者の方でじっくり読んでくれる」「サポートブックを渡して後はお願い、というのではなく、サポートブックをみながら面談をして、どのような支援ができるのかをお互いに相談をすることが大切」「就学前や前年度に一旦面談をしても、担任の先生は前年度末まで決まっていないことがほとんど。新学期が始まって1か月程度たったくらいの時期に面談をできるといいですね」といった、具体的なアドバイスも。また、お願いしたい事を10個も20個も書いてしまうと対応が難しかったりもします。スキルチェックシートを使いながら、その中でも「家ではできていて、学校など集団の中でもあと一歩でできそうなこと」など、あともう少しで家庭以外でもうまくいきそうなことを中心に、3つ程度を重点的に支援してほしいと依頼するのが連携もしやすく、お子さまにとっても無理なくがんばれるでしょう、というお話もありました。Upload By 発達ナビ編集部Upload By 発達ナビ編集部6月以降もさまざまな勉強会がラインナップUpload By 発達ナビ編集部6月以降も、心理の専門家やOT,STによる勉強会を予定しています。7月以降はレギュラー講師による講演に加え、ゲスト講師もお呼びし、行政書士による親なきあとのお金や制度についてや、特別支援教育の専門家による学校や家庭での子どもの学びの支え方や合理的配慮についてなど、さまざまな講演も予定しています。また、6月以降、リアルタイムでご参加が難しい会員さま向けにオンライン勉強会のアーカイブ動画も掲載していきます。家事の合間に、通勤途中に、昼休みに…ご都合のいいときに知りたいことを学ぶことができます。発達ナビPLUSにはその他のコンテンツも!発達ナビPLUSでは、・オンライン勉強会・メールでの個別ケース相談・特別支援教材・子育てヒント動画など、勉強会以外のコンテンツもご用意しています。
2020年05月29日発達障害に関する質問は、私にだけ…『発達障害』のことを知った娘。前回までの話は一応完結しているのですが、今回は番外編です。発達障害について娘が疑問を投げかけてくるのは、私に対してだけでした。Upload By SAKURA私は、一つひとつ丁寧に答えながら、娘が夫には質問しないことが気になっていました。夫はいつも娘に対して真剣に向き合ってくれますし、療育に対して協力的。できればこのことを夫と共有したいと思っていたのですが、娘が夫に対して発達障害の話をすることはなく...気になってはいましたが、理由を娘に聞くことはせず、時間は過ぎていきました。「なんで秘密にしてたの?」初めて娘が、夫に質問。発達障害について話した日から2か月ほど経った日、娘は夫に向かっていきなり…Upload By SAKURA不意打ちの質問に私は、自分が聞かれたわけではないのに動揺しました。その質問は、私には聞かなかった初めてのものでした。しかし夫は全く動揺せず、まるで世間話をするかのように落ち着いて話し始めました。Upload By SAKURA私はこの夫の言葉を聞いて嬉しくなりました。娘に伝えていた内容自体ももちろんですが、特に嬉しかったのは「パパとママは」という言葉でした。夫の説明の中に隠れた、気づかい。少しでもブレない接し方をしたかった私は、これまでも娘とのやり取りを夫に必ず話して情報共有をするようにしていました。Upload By SAKURAそのため、娘からどんな質問をされたか、どんな会話をしたか、夫が把握しているのは当たり前なのですが…私が単独で娘に話をしていたのに、「パパとママは」という言葉を使った夫。Upload By SAKURA「ママが話したことは、パパと同じ考えなんだ」と言われているように感じ、知らないうちに考えや気持ちも共有できていたことがわかりました。「発達障害は治る?」それから、ちょっと考えた娘が今度は…Upload By SAKURA発達障害が治るか…を聞いてきました。私は、またドキッとしました。一般的には、発達障害は"治る"ということはありません。療育を重ね、やり方を変え、できなかったことが前よりスムーズにできるようになる…ということはあります。しかしそれを娘にどう説明すればいい?すると夫は…Upload By SAKURA聞かれていない私はいちいち動揺しましたが、夫は終始落ち着いて、娘にわかりやすいように話していました。夫の言葉と説明は、私の答え合わせ。今回のことで、私はまた一つ、夫の存在のありがたさを感じました。私はいまだ、娘とのやり取りに失敗して揉めたりしますし、『発達障害の自己認識』に関しては、冷静を装っても中身は動揺してばかりです。しかし、こういう場面でも冷静でいてくれる夫。普段娘のことに対応しているのは私ですが、夫はいつも、私が対応していることのまとめ…というか、決めどころ?というのでしょうか。最後びしっと締めてくれます。これがとてもありがたく、また安心します。私と娘のぶつかり合いの時は、多くを語らず、ダメ出しもせず、見守ってくれる夫。その態度も、私は「夫に信頼してもらっている」と感じ、頑張る糧になります。Upload By SAKURAそして肝心なところや、大事な場面では、大切な言葉を娘に伝えてくれる夫。私一人ではなく、常に黒子のように後ろに夫が構えていて、一緒に向き合ってくれていると感じます。娘とたくさん向き合って、たくさん話した私より、たまに出る夫の言葉のほうが娘に届いているように感じます。私はそれを悔しいとは感じず、私が対応してきたことの丸付け?答え合わせをしてもらっているように感じています。夫と娘の会話を聞きながら、あぁ…大丈夫…私間違ってなかった…と確認しています。Upload By SAKURA
2020年05月13日新サービス「発達ナビPLUS」がいよいよスタートUpload By 発達ナビ編集部この春、発達が気になるお子さんの保護者さま向けに新しく開始した「発達ナビPLUS」。「発達ナビPLUS」の会員になると、4つのサービスラインナップすべてにアクセス・参加することができます。✔ 質問もできる!オンライン勉強会(毎週開催)✔ 専門家にメールで個別ケース相談✔ ペアトレの考え方を取り入れた子育てヒント動画✔ 専門家監修!支援のプロも活用する特別支援教材今回は、毎週開催のオンライン勉強会について詳しくご案内します。テーマも充実!毎週開催のオンライン勉強会って?Upload By 発達ナビ編集部発達ナビPLUSでは、臨床心理士、作業療法士、言語聴覚士など発達の専門家によるオンライン勉強会を毎週開催。オンラインなので、お住まいの地域に関わらずご自宅で視聴ができます!子どもの特性や行動を分かりやすく解説し、子育ての中でうまれる「どうして?」「なぜ?」のお声にお答えします。使い放題の「特別支援の教材」を活用したおうちでの取り組み方もご紹介!さらに、その場で専門家にチャットで質問することもできます。定員は90名、先着順で受付します。テーマや年齢層を参考に、気になる勉強会をチェックしてみてください。Upload By 発達ナビ編集部オンライン勉強会の講師をご紹介現在、決定しているオンライン勉強会の4名の講師をご紹介します。保護者の皆さま向けにコメントをいただきましたので、合わせてご覧ください。Upload By 発達ナビ編集部慶應義塾大学社会学研究科後期博士課程。博士(心理学)公認心理師/臨床心理士/臨床発達心理士慶應義塾大学先導研究センター、常磐大学助教を経て、現在LITALICOジュニアとLITALICO発達ナビのチーフスーパーバイザーに。発達障害のあるお子さまへの直接支援、幼・小・中学校での特別支援アドバイザー、大学・教育センター・医療機関でのスーパーバイズなど発達臨床歴20年超。Upload By 発達ナビ編集部京都大学医学部保健学科卒業、奈良教育大学大学院教育学研究科修了(教育学修士)作業療法士奈良県総合リハビリテーションセンターでの支援、白鳳短期大学講師等を経て、現在はNPO法人はびりす 理事、 藍野大学 助教等をつとめる。編著に『子ども理解からはじめる感覚統合遊び』(クリエイツ・かもがわ) 、『 みんなでつなぐ読み書き支援プログラム』(クリエイツ・かもがわ)他多数。 NHK育児情報番組『まいにちスクスク』の「体の使い方が器用になる遊び」監修。Upload By 発達ナビ編集部大阪外国語大学、神戸総合医療専門学校卒言語聴覚士医療・福祉機関で勤務後、現在フリーランスとして活動。発達に凸凹のあるお子さんやご家族のサポート、支援者の育成、記事執筆・監修等を行う。Upload By 発達ナビ編集部北里大学医療衛生学部リハビリテーション学科作業療法学専攻認定作業療法士愛知県三河青い鳥医療療育センター、文京区教育センター、LITALICOジュニアを経て、現在、東京保健医療専門職大学リハビリテーション学部作業療法学科に勤務。入所、通所、外来での発達障害や肢体不自由のあるお子さまへのリハビリテーション(作業療法)を実施。また、保育園・幼稚園・学校への巡回相談も実施。運動や身辺動作の向上に向けたプログラムも開発。日本作業療法士協会学術部委員、雑誌「小児リハビリテーション」編集委員。今後、さらにさまざまな分野の講師に加わっていただく予定です。6月以降もご期待ください。園・学校の先生とのコミュニケーションに大活躍の「サポートブック」Upload By 発達ナビ編集部5月に始まる最初のオンライン勉強会のテーマは「サポートブック」です。サポートブックは、入園や入学、進学などお子さまのライフステージが変わる際に、園や学校の先生などと、お子さまの普段の様子や関わり方、知っておいて欲しい情報を共有するツールです。年度替わりの今、サポートブックを用意したいと思っていても、一人ではどう書いたらいいか悩んでいる保護者さまも多いでしょう。オンライン勉強会では、未就学児向けと学齢期向けに分けて、書くポイントなどを丁寧にご説明します。発達ナビPLUSオリジナルのサポートブックのデータも、発達ナビPLUS会員の皆さま向けにご提供します。見逃せない!2つの早期申し込み特典4月29日(水)からの申し込み開始に伴い、早期にお申込みいただいた皆さまへの特典をご用意しています。Upload By 発達ナビ編集部通常、初期コンテンツ利用料29,800円+月額利用料2,980円×11カ月(月額利用料は初月無料)のところ、5月15日(金)までに申し込みいただいた場合は特別割引が適用され、初期コンテンツ利用料が90%オフの2,980円となります。※6月以降は月額利用料2,980円で利用できます。Upload By 発達ナビ編集部「発達ナビPLUS」会員になるとダウンロードできる特別支援教材の中から、発達年齢別に複数種類ピックアップし印刷したセットをご用意。4種類の中からご希望いただいた1セットをお送りします。「子どもにあった教材選びが難しい」「印刷が手間で、なかなか始められない!」という保護者さまに嬉しい特典となっています。
2020年05月02日夫は息子の発達障害をどのように受け容れたのかUpload By 丸山さとこ「コウは発達障害かもしれない」と私から聞いた夫が最初に言った言葉は「え?コウはコミュニケーションとれてるでしょ?」でした。『かわいいわが子にまさか障害があるなんて…』というショックからの否定ではなく、本気で『え?問題なく意思の疎通とれてるでしょ?』と思っていたことから出てきた、夫の素直な反応でした。私も3歳児検診で指摘を受けるまで“コウはコミュニケーションがとれている”と思っていたので「分かる分かる…!」と頷きましたが、今後のことを考えれば呑気に共感している場合ではありません。「分かるー!けど困る~!」と頭を抱えながら、夫にどう理解してもらえばよいのかを考えることになりました。意思の疎通はできているのに?Upload By 丸山さとこコウは、コミュニケーションが全くとれていないわけではありませんでした。「はい」と言って渡したいものを差し出すことや、クレーン現象で“相手にやらせたいこと”を伝えたりすることはできますし、「いいよ」と「駄目」も分かります。でも、「お水ちょうだい」と人に要求して水を貰うことと、ウォーターサーバーのボタンを押して水を得ることの違いが、多分当時のコウには分かりませんでした。「イヤ」と言われて拒否されることと、ブザーが鳴って機能を停止することは、どちらも“音がして水を得られなくなった”という出来事ですが、その理由は全然違います。人間との間には、手順の間違いという言葉では単純に片付けられない“コミュニケーション”が存在しているからです。発達障害について少し知識を得た上で改めてコウを観察してみると、彼にとって要求とは“心を介したコミュニケーション”ではなく、ボタンを押すような行為なのだろうということが分かります。ですが、それを夫に伝えるのはかなり難しいのではないかと思いました。夫は多分定型発達者でコミュニケーションは私よりよほど上手に行えますし意図も汲めますが、気持ちを汲むことに関しては理解の解像度が低いところがあります。あれこれ例えを交えながら説明しつつも、「コウのコミュニケーション能力の遅れに対して、理解してもらうのは難しそうだなー!」と感じました。まずは“分かりやすいところ”から知ってもらう!Upload By 丸山さとこそうして頭を悩ませていたとき、ふと「コウの発達の凹んでいる場所が分かりやすい会話を聞いてもらえばよいのでは?」とひらめきました。コウの会話は基本的にエコラリア(オウム返し)によって行われていたので、挨拶などのやりとりが難しく、3歳になってからも「お名前は?」に対して「お名前は?」と返すような状態でした。 練習によって「お名前は?」「何歳?」などの受け答えができるようになりましたが、多分その練習風景は一般的な家庭のコミュニケーションとは異なるものだったと思います。まず、親が自分の肩に触れながら「お名前は?」と聞きます。次に、コウの肩に触れながら「丸山コウです」と“コウが言うべき言葉”を親が代わりに言います。それをリズミカルに繰り返してコウが「丸山コウです」と言うのを待ち、コウの肩に触れているタイミングで言えたら、素早く“コウが好きな刺激”を与えながら褒めて行動を強化します。そんな風にして“知らず知らずに行っていた療育”の結果、コウは一見すると会話ができる子に見えるようになっていたのですが、それは親の側が会話の歩調を子どもに合わせるからだと私は知っていました。Upload By 丸山さとこ後日「今からする会話を聞いていてくれる?」と夫を呼んだ私は、コウとの会話を始めました。「何歳?」「さんさい。」「いくつ?」「さんさい。」と違う聞き方でもスムーズに答えてみせたコウでしたが、「何歳ですか?」と聞いた時に『何を言われているんだろう?』という顔をして固まってしまいました。「何歳?」は教えられていても、「何歳ですか?」は教わっていなかったため、答えられなかったのです。夫はここにきてついに、「あー…これは確かに何かあるって感じがするな…。」と言い、“発達障害の可能性”に対して納得しました。夫は息子の発達障害をどのように受け容れたのかUpload By 丸山さとこ“息子は発達障害の可能性が高いらしい”と知った後も、夫は発達障害についての知識を積極的に得ようとすることはありませんでした。それはASDとADHDの診断を受けた今も変わることはありません。本やウェブサイトを少し紹介したことはありましたが、いつもパラパラッと見ては興味がわかずに終わるようなので、「無理強いすることもないか」と思い近頃はこちらから特に何かを勧めることはしていません。改めて考えてみれば、診断を受ける前から育児書などを読む人ではなかったのだから、診断を受けたからといって急に「本などを読んで勉強しよう!」とはならないのも当たり前のことなのかもしれません。そんな夫ですが、息子に全く関心や関わりがないかといえばそんなことはありません。公園やプールに連れて行ったりと一緒にお出かけもしますし、将棋を指したりして遊ぶこともあります。それだけでなく、前述のような“療育的な関わり”で挨拶を教えてくれたのも他ならぬ夫でした。痛いところを押さえて「痛い」と言うことも夫が教えてくれたおかげで、私はとても助かりました。そんな夫とコウの関わりを見ていると、「本やウェブサイトを読まなくても、夫はコウそのものから知識を得ているのだな」と感じます。それが夫にとって丁度良い、「発達障害のある息子」との関わり方なのかもしれません。Upload By 丸山さとこ
2020年04月30日発達障害のことを話してから1週間...何度も聞かれる同じ質問。娘に発達障害のことを話してから、1週間。それまで娘から『発達障害』について聞かれることは、全くなかったのですが…1週間を過ぎたころから、娘は3日に1回ぐらいのペースで私に「発達障害って…この家で私だけ?」と聞くようになりました。その度に私は同じ説明をしました。Upload By SAKURA娘は毎回、私の話を聞いたあとはそのまま去って行きます。私は、その表情から娘の気持ちを読み取ってあげることができず、ただ聞いているだけなのか、それとも何か不安を抱えているのかわかりませんでした。娘は『発達障害』をどう思った?このやり取りが何度か続いたため、私は娘が何を思って聞いているのか知りたいと思いました。そこで娘に聞いてみることにしました。Upload By SAKURA娘は、『発達障害』があることが「心配」と感じていました。私が思った以上に、娘は表面上だけではなく、深いところまで考え始めていました。困ったのは『障害』という言葉。今回、娘に説明をしていて私が一番困ったのは…Upload By SAKURAなぜこれが『障害』という言葉なのか、ということ。『障害』という言葉は、子どもにはとても説明しにくいのです。「発達障害」ではない別の言葉ならよかったと、この時ほど感じたことはありませんでした。(発達障害ではなく、個性強め型とか、〇〇タイプとか、「障害」がつかない呼び名にしてほしいと思いました。)恥じるべきことではないのに、人に使ってはいけないという矛盾を上手く説明できない葛藤もありました。Upload By SAKURA最初の説明は、きっとその後の価値観の土台になっていく…。自分の言葉一つひとつの重みを認識するたび、その大きな責任感に身が引き締まる思いでした。受け入れるまで、寄り添う。その後も間隔は少しずつ開いてきていますが、娘は定期的に「発達障害って…この家で私だけ?」という質問をします。Upload By SAKURAその度に、こんな会話をします。ただ、心配なことばかりではなく…Upload By SAKURAこんな前向きな会話も、たくさんあります。娘は、『発達障害』を知ったばかり。何度も質問するのは、まだ受け入れることができていないということなのでしょう。私だって何年もかかったのです。娘もゆっくり受け入れてくれればいいと思って、聞かれる度に何度も答えています。
2020年04月22日“子どもの発達障害”にサッパリ気付かなかった私Upload By 丸山さとこここ数年、テレビや書籍などで“子どもの発達障害”に関する情報を目にする機会も多くなりました。「もしかして発達障害なのでは...?」と薄々不安を感じながら乳幼児健診を受けられる保護者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。息子のコウが乳幼児だった10年前を振り返ってみると、今に比べ積極的に情報を得ようとしなければ詳しく知る機会は少なかったかな?と思います。私はコウの発達に凸凹があることは何となく気付いていましたが、得意・不得意の範囲だと認識していました。1歳半検診で「人間への興味関心が薄い」と指摘され、追加で行われた2歳検診では明確に「コミュニケーションに不安がある」と告げられていたコウでしたが、そこでは“発達障害”という言葉を聞くことはありませんでした。確定診断が難しい年齢であることから、いたずらに親を不安にしないよう気を使われていたのかもしれません。「発達障害の可能性が高いです」とキッパリ言われた3歳児検診Upload By 丸山さとこ3歳の検診では、ハッキリと「発達障害の可能性が高い」と告げられ、心理士さんによる知能検査を受けることと、療育園への入所を勧められました。療育園について教えてもらった私は「コウのためになるのなら是非通いたい!」と思いましたが、コウの保育園入所がようやく決まったところだったので、週5日の療育園通いは私にとってかなり決心が要る選択でした。『仕事はどうしよう……でも療育が必要なのであれば、受けさせないわけにもいかないし……』と迷う私に、相談員の方は「週に1日のコースもあります。そちらには参加できそうですか?」と提案してくれました。仕事の方も、週1日なら何とか都合が付きそう!ということで、療育園に申し込みました。流れで何となく受け入れることになった“息子の発達障害”Upload By 丸山さとこ当時、私はコウに発達障害の可能性があるということで不安や抵抗を感じることはありませんでした。“ありのままの我が子を受け入れる愛情深い母親”だからではありません。状況に対応するだけで一杯一杯だったからです。療育園も週1で通うことにはしたものの、「通っていく中で『やっぱり週5にした方が良さそうだな』と思うことがあれば、仕事を辞めることになるかもしれないな」と考えていました。「何だか急に色々と状況が変わっていくな...。」と思ったことを覚えています。Upload By 丸山さとこ知識があれば、もっと違和感を感じとることができていたら、もう少し療育を意識した関わりができていたのかな?と思ったことはあります。ですが、心配性な私のことなので、躍起になって療育をしようとし過ぎていたかもしれません。全部、今だから言えることなのだろうなと思います。今、息子の発達障害のことをどう思っているのか「発達障害の可能性が高いです」と言われた3歳児検診の頃から早7年、コウは10歳になりました。現在ではASD・ADHDの診断を受け、ストラテラを服用しています。今、彼の発達障害について私がどう思っているかと言えば、そのことを知る前の頃のように「こういう子なんだな」と思っている感じです。気付いていないだけで、心の底では戸惑いや拒絶、迷いなどの、“受け入れたくない気持ち”があるかもしれませんが、意識の上では「それがコウなんだな」という感覚でいる現在の私です。違いがあるとすれば、「彼の中にあるいくつかの要素に名前がついた」というところでしょうか。髪が短い状態に“ショートヘア”という名前があるように“発達障害”という名前があって、“得意なヘアアレンジ・難しいヘアアレンジ”があるように“できること・難しいこと”があって、“おすすめのケア方法”があるように“おすすめの関わり方”があるのではないかな?と、コウの発達障害を認識しています。「発達障害」の言葉で表される特性にも一人ひとり個性はあるけれど、「上手くいかない時に参考になる情報」があるのは凄くありがたいです。発達障害の診断を受けて、得られる情報が増えてよかったなと思います。感性が独特でコミュニケーションの癖が強く、忘れ物がしょっちゅうで、ユニークで、「お母さんの好きなもの折ってあげたい」と言いながら私の部屋を折り紙博物館のようにしていくコウ。彼の中にあるいくつかの要素に強く影響している“発達障害”というものを、7年前より“身近で当たり前なもの”に感じているということが、以前の私と今の私の大きな違いかもしれません。そんな風にしてコウが発達障害であることを知り、受け入れた私ですが、夫はどうだったかと言うと...。Upload By 丸山さとこ『かわいいわが子にまさか障害があるなんて...』というショックからの否定ではなく、本気で『え?問題なく意思の疎通とれてるでしょ?』と思っていたことから出てきた夫の素直な反応に、「分かる分かる...!」と思いながらも頭を抱えるしかない私でした。ということで、次回はそんな夫がどのように息子の発達障害を認め、受け入れるに至ったかを書いていきたいと思います。
2020年04月20日育児につまずき、思い詰めて心療内科を受診した私。そこで医師から投げかけられた言葉は「発達障害の疑いがある」という、私にとって意外な言葉でした。そこで心理テストを受け、結果を受け止めた今の自分の心境をお伝えします。 ほかのママとどこかで比べてしまう現在、私は3歳と0歳の姉妹を育てている2児の母親ですが、上の子も下の子も出産後から両親や親戚などに頼らず、ほぼワンオペで育児をおこなっていました。孤独に育児をしていたこともあってか、ほかのママ友たちと自分を比べると「どうも私は子どもに対する愛情に欠けているのではないか」と思ってしまう自分がいることに気付いたのです。たとえば、子どもとどうやって遊べばよいか本気でよくわからなかったし、一生懸命に育児本を読んでそのようにおこなっても、いまいち乗り気になれない自分がいたりしました。特に下の子を出産したあとの数カ月の間は、上の子に対して感情的に怒鳴るなどひどい扱いをしていたことも事実です。そんなできごとから「私はもしかして産後うつなのでは?」と思い悩み、また慢性的な睡眠障害もあって、思い切って心療内科を受診したのです。 思い切って心療内科を受診心療内科を受診したのは下の子が生後半年を過ぎたころでした。医師からの診断は「適応障害と産後うつ」そして「発達障害の疑いがある」という、私にとっては衝撃的な話でした。恥ずかしながら発達障害というワードだけは聞いたことがありましたが、詳しくは知りませんでした。早速家に帰って発達障害について調べてみたり、セルフチェックテストなどをおこなったりしました。たしかに今までの人生を振り返ってみて対人関係においてのつまずきや、職場でのトラブルなどはあったのも事実だし、いわゆるADDやADHDの方の症状である「忘れっぽさ」や「衝動性の強さ」「こだわりの強さ」はあったように感じました。 愛着障害と診断を受けて後日、2日ほどに渡って精密な発達障害の心理テストを受けたのですが、結果は「発達障害の所見はなし」でした。しかし、私が過去に実親から暴力などの虐待を受けたことがあるということから、「愛着障害の可能性がある」と医師から聞かされました。愛着障害とは、乳幼児期において暴力やネグレクトなどで傷を負い、適切な愛情を持って育てられなかった子どもが、社会人になったときに対人関係や仕事、そして育児などに支障が出る障害のことだそうです。医師からその診断を受けたときは、正直言って「やっぱりな」と思う自分がいました。 まさか自分が発達障害の疑いを持たれるとは思いもよらず、心理テストの結果が出るまではモヤモヤでいっぱいでしたが、発達障害やそのほかの精神疾患などについての勉強にもなりました。客観的に自分が親にされてきたことは虐待だったのだと受け止め、過去の自分と向き合うことで本当の私になれる気がします。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 著者:仲本まゆこ自身の体験をもとに、妊娠・出産・子育てに関する体験談を中心に執筆している。
2020年04月19日長男は4歳のときに、子ども発達支援センターで発達検査を受けました。担当の先生からは発達障害のグレーゾーンと言われ、長男への接し方や特性の話を聞きました。乳児期のころから長男のことを育てにくいと感じていたのですが、当時はなぜ育てにくいと感じてしまうのかわかりませんでした。今回は長男が発達障害であるという結果を聞いたときの私の心境をお話ししたいと思います。 子育てがつらいと感じていた日々長男は生後3カ月ころから寝付きが悪く、夜泣きもひどく、育児用ミルクは一切飲まず母乳のみでした。実家は遠く、夫は非協力的で、金銭的な余裕もなかったので、私ひとりで長男の子育てや家事を頑張るしかありません。さらに長男が1歳、2歳と成長してくると、偏食・言葉の遅れ・こだわりが目立ち始めました。 健診では問題ないと言われていましたが、長男の様子に違和感を持ち始めていた夫や義父から、私のしつけが悪いと言われるようになり、私は長男の子育てをつらいと感じるようになってしまいました。 発達検査を受けた結果長男が4歳になる1カ月前、長男の子育てと成長について子育て支援センターに相談に行ったところ、すぐに子ども発達支援センターを紹介され、長男が4歳3カ月のときに発達検査を受けました。 担当の先生からは検査の結果、「発達障害のグレーゾーン」と言われ、知能的に高い部分と社会性の低い部分で2年半の差があるということでした。発達に凸凹があるために、長男には理解できることとできないことの差がありますが、それは性格や環境のせいで「お母さんのせいではないですよ」と言われたのです。 ショックよりホッとした気持ち夫や義父に長男へのしつけが悪いと言われていた私は、「お母さんのせいではない」と言われたとき、体の力が抜けたと同時にホッとしました。 また長男には発達障害という脳機能の問題があると聞き、妙に納得した感覚がありました。脳機能で何かうまくいかないことがあり、感覚などの過敏があるのだとすると、育てにくいと感じていた長男の偏食やこだわりなどをすんなりと理解することができたのです。そして発達障害だと言われても、不思議とショックはありませんでした。むしろ、発達障害のことを、長男のことを、しっかりと理解したいと思いました。 発達検査の結果が出たあとも、夫や義父は長男の発達障害をなかなか受け入れてくれず、私のしつけが悪いと言っていましたが、私は気にしませんでした。発達検査の結果を聞いた日を境に、長男の子育ては「育てにくい」から「理解したい」という方向へ変わっていきました。私のせいじゃなかった、そう思った瞬間のホッとしたときの気持ちは、うまく言葉では表せませんが一生忘れることはないと思います。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 先輩ママの体験談、いかがでしたか?「共感した」「私の場合はこうだった」など、ぜひベビーカレンダーサイトのコメント欄にご感想をお寄せください。また、ベビーカレンダーでは皆さんから募集した体験談を記事でご紹介させていただくことも。ベビーカレンダーに会員登録すると届くメルマガから、皆さんのオリジナル体験談をご応募ください。 監修/助産師REIKO著者:川本 千華発達障害の長男、兄が大好きな次男を育てる2児の母。元ピアノ講師。自身の経験を活かし音楽・発達障害に関するライターとして活動中。
2020年04月11日「私も、発達障害?」の質問に、私は…音に反応し、体調が悪くなる娘のために、購入したイヤーマフ。そこから娘は、「自分は、発達障害?」という疑問を持つことになりました。娘に「『発達障害』ってなに?私もそれ?」と聞かれた瞬間、私は動揺しました。しかし、決めていたことをすぐに思い出し、笑顔で話し出しました。Upload By SAKURA娘は自分の経緯を知りたがり、いろんな質問をしてきました。発達障害のことを知りたがったときが、本人に話す最良のタイミング。私は言葉を慎重に選びながら、娘に正直に話しました。Upload By SAKURA暗い雰囲気になってしまうのでは…?と心配していた私でしたが、娘らしい一言がとび出し、少し緊張がとけました。思った以上に、難しい質問も…娘は続けて、こんなことを聞きました。Upload By SAKURAこれはとても難しい質問です。特別支援学級に通っているということは、何かしら苦手なことがあるということです。しかし、みんながみんな『発達障害』ではないかもしれませんし、障害名についての話をしたくない人もいるでしょう。娘がその言葉をかけることによって不快に感じる保護者の方もいるでしょうし、まだその意味を知らない子どもたちがその言葉を覚えてしまい、わけもわからず使ってしまうことになるかもしれません。それを娘にどう伝えるか…少し考えてから、私はこう話しました。Upload By SAKURA私は、「『発達障害』という言葉は使い方が難しい」ということを娘にそのまま伝え、もう少し大きくなってからもう一度話すことを約束しました。娘は思った以上に、一つひとつ真剣に聞いてくれました。娘が気になったのは…娘は、質問を続けました。Upload By SAKURA私は、おそらく娘はこの質問をするだろうと思っていました。私が娘の立場なら、きっと気になるところだと思ったからです。私は、娘に「病気じゃなくて、個性だよ」と話しました。すると娘は…Upload By SAKURA娘は、個性の話の後、自分が今後どうなるのかを聞いてきました。私は、何も変わらないと答えました。そして、今、娘がたくさんの人に助けてもらっていること…親である私たちも、娘のためにやれることはなんでもする…ということも話しました。娘はそれを聞くと、笑顔で「わかった」と答えてくれました。話し終えた途端、こみ上げる不安…そして、夫に報告。娘に発達障害のことを話した私でしたが、冷静を装っていても、内心、心臓はドキドキしていました。ちゃんと言わなきゃ、笑顔で…悪い印象を与えないように…正直に…いろんなことに気を付けながら、言葉一つひとつに気を配り、話しました。しかし、話した後は不安が一気に襲ってきました。その日の夜…私は夫に、娘に『発達障害』について聞かれたこと、娘にどういう風に説明したか…を話しました。Upload By SAKURAちゃんと言えたか、表情は暗くなかったか、余計なことを言わなかったか、説明はあれでよかったか、不安を与えなかったか…振り返れば不安ばかり。そんな私に、夫は優しく声をかけてくれました。助けてくれる先生方との、情報の共有。その後私は、特別支援学級、放課後等デイサービスの両先生と情報を共有するため、すぐに手紙を書きました。私がどういう風に娘に説明したかや、もし娘から聞かれたときは隠さず話してほしいということを書きました。後日、放課後等デイサービスの先生に聞いた話によると、娘は発達障害についてかかれた漫画を持って、先生のところにやって来て…Upload By SAKURA一言、言って去っていったそうです。放課後等デイサービスの先生は、「今まで私が担当した子の中で、『自分が発達障害』と言ってきたのは、あーさんだけでした。私も、みんなはどういう風に認識しているのか…認識していないのか…親御さんが話しているのか…気になってきました。」と言いました。Upload By SAKURA娘が『発達障害』をどう捉えたか、まだわからない状態ではありましたが、娘は今まさに一歩踏み出したのです。私が教えたわけではなく、自分で気がついた娘を誇りに感じたのでした。ここから娘は娘なりに、この『発達障害』を自分の中で考え始めます。続く…
2020年04月08日順調に活躍していたイヤーマフ。聴覚過敏で体調不良を起こしていた娘。試しに使ってみたイヤーマフは、大活躍してくれました。嫌な音を遮断できるということですっかり気に入り、常に持ち歩いて、放課後等デイサービスで集中したいときや学校で一人になりたいとき、家で読書をするときなどに愛用していました。Upload By SAKURAイヤーマフがきっかけで目に留まった言葉。そんなある日、放課後等デイサービスお迎え時…Upload By SAKURA私はドキッとしました。すると、娘は続けて…Upload By SAKURA「自分が発達障害か」を聞いてきました。今まで私は、娘に『発達障害』という言葉を使って娘の特性について話したことはありませんでした。娘の特性について話した経緯。言語訓練に通う理由を聞かれたので…Upload By SAKURA簡単に理由を話しました。娘は「言葉が苦手」というのを、マイナスには捉えなかったようで、気がつけば周りの人に対しても「私はね、言葉が苦手なんだよ」と自ら説明するようになっていました。2年生から特別支援学級に在籍になった娘は、慣れるために1年生の後半から特別支援学級の教室に行くことになりました。そのときに、『特別支援学級に行く理由』を説明しました。Upload By SAKURAその後、2年生から本格的に特別支援学級在籍になったときに、もう一段階詳しい話をしました。Upload By SAKURA娘は気にするどころか、長い時間特別支援学級にいられることを喜んでいました。「障害」という言葉を耳にすることが多くなってきて…それから時間は経ち…2〜3年生になると「障害」という言葉を授業やテレビで聞くことが増え、障害のある人が世の中にいるということを知るようになりました。Upload By SAKURAこのときから私は「いつか娘に『発達障害』について話す日がくる…」と考えていました。どんな状況で聞かれるのか…どんな風に答えようか…想像し、ずっと頭の中でシミュレーションし続けていました。そして、聞かれたときのために決めていたことがありました。そのときのため、決めていた3つのこと。『発達障害』のことを話す最良のタイミングは、聞かれたとき。あまりに幼いときは話す必要はないと思いますが、娘はもう小学生。専門的な話はしなくても、そういう特性について、言葉を選べば説明していいと考えていました。Upload By SAKURA真剣な顔や暗い表情で話してしまうと、これは悪い話だと思われてしまいます。話すときは、普段の会話のときと同じトーンで、なるべく表情は変えない!少しでも誤解を与えたくないと思いました。Upload By SAKURA『発達障害』に対して、「これ以上聞かないで」という対応は絶対したくないと思っていました。聞きたければいくらでも話す、聞いてはダメなことではないと娘に態度で示そうと思いました。Upload By SAKURA何度もシミュレーションして、これは絶対に守ろうと決めていたことでした。シミュレーションは完璧だったはずだけど…しかし、そのときは思った以上に突然やってきました。まさか、イヤーマフから繋がるとは…!イヤーマフを購入したときは、そんなこと想像もできませんでした。Upload By SAKURAあんなにシミュレーションし続けていたのに…いざ聞かれると私の心臓はドキドキ音を立て、動揺が一瞬で全身に広がりました。しかし、動揺してはいけない!返事に間を空けたら、娘に変に思われる!と決めていたことを思い出し、自分に気合いを入れ、ついに娘に話すことにしました。続く…。
2020年03月25日「困りごと」を誰かに伝えることはおとなになっても難しい出典 : 発達障害の診断を受けてから、発達障害当事者としてインタビューを受ける機会が何度かありました。そこではおおむね、当事者として発達障害の「困りごと」についてお話をすることが多いです。しかし、たとえば以前視覚過敏についての「困りごと」を聞かれたとき、私はうまく答えることができませんでした。というのも、“視覚過敏がない状態では周りの景色がどう見えるのか”を知らないため、何をどう伝えればいいのかうまく考えをまとめることができなかったからです。視覚過敏がある状態が私にとっての通常の見え方なのです。結局その場では、強い光を浴びると目が開けられないとか、夜は街灯や車のライトが拡散して見えるといったお話くらいしかできずにインタビューを終えました。これをきっかけに、こういう「周りからは困っていそうに見えるが、本人はそれに気づいていない・あるいはうまく説明できないこと」というのは多いのではないかと考えはじめるようになりました。そこで今回は、世の中でいわれている発達障害の特徴や困りごとと、自分が実際に感じている困りごとについてを書き出してみようと思います。多分疲れやすいほうだし、そもそも自分の疲れぐあいに気づけない出典 : さまざまな本やホームページなどをみてみると、“発達障害当事者は疲れやすい”と書かれることが多いと感じています。私も体感として、毎日仕事が終わって家に帰るとぐったりしてしまって何もできない時間が数時間あるし、自分はかなり疲れているんだろうなと感じています。その疲れやすさが他のひとと比べてどうなのかと聞かれると、「言われてみれば自分は疲れやすいのかなと思う。ただ、他のひともこのくらい疲れるだろうと考えているので、自分が特別疲れやすいのかどうかはどうにも判断できません」という回答になります。そもそもこのくらいの活動をしたからこのくらい疲れているかな?などと他人の疲れ具合を想像することも難しいので、比較して考えることも難しいのです。また、自分自身だけに視点を向けて、自分の疲れについてどう認識しているか聞かれるとすると、「多分いま疲れてると思うけど、正直よくわかりません」という回答になります。そもそも自分の状態に気づくということがとても苦手なのです。たとえばお酒を飲んでいるときも自分がどのくらい酔っているのかわからずに飲みすぎてしまったり、体調が悪いときに自分に食欲があるのかがわからなかったりします。周りから見ても明らかに足元がフラフラしてからようやく酔っていることに気づいたり、すぐにお腹がいっぱいになって全然食べられなくなってから初めて食欲がなかったことに気づいたりします。発達障害の当事者(というか私自身)が疲れやすい原因として、この「自分の状態に気づけない」というところも大きく影響しているのかなと感じています。自分の疲労に気づけないためにペース配分を考えなかったり休憩をとらなかったりして、エネルギーを使いすぎてしまうという側面もあると考えているからです。発達障害のない人は、自分の体調に自分で気づいて適切にコントロールしていることが多いのかなと思います。それができる人から見ると、私のようにペース配分ができず疲労を溜め込んでいる人は「疲れやすい人」に見えるのでしょう。空気を読めない・・・の背景にあるもの出典 : これはASDの特徴になりますが、「周りの空気を読めない」とか「人の気持ちを想像できない」というものがあります。周りから見るとたしかにそう映るのだろうなと思うところではあるのですが、私としてはちょっとニュアンスが違うのかなと感じています。私の場合、子どものころは「他人の気持ちが存在することを想像していなかった」ということはありましたが、思春期のころからいまもずっと周りの空気がどういう状態かとか、自分がどう振る舞うべきかを自然と察することが難しく、毎回意識的に考えるようにしています。考える練習を繰り返してきて、「何かやらなければいけない場面である(どうすればいいかはわからないけれど...)」ということと「結果、その場面がどうなったか」はある程度適切に理解できているのではないかと自分では思っています。しかし肝心の「自分がどう行動するのがその場にふさわしいのか」というところのすれ違いが本当に多いです...結果として周りからは「空気を読めない」とか「人の気持ちを想像できない」というように映るのかなと思います。空気を読んだつもりが…新入社員時代の失敗たとえば私が新卒で入った会社でのできごとなのですが、入社してすぐに新人研修が開催されました。その研修講師の方は私たちの上司や同期にもウケがよかったこともあり、研修の全日程が終わったあとに新人主催で講師を交えた飲み会が開かれました。半月後、別の研修があったのですが、その講師の方は私たちの上司や同期からのウケがあまりよくありませんでした。ところが「この前は飲み会があったし、今回もやるんだろうな」と思った私は、講師の方に「今日の飲み会はいらっしゃるんですか?」とダイレクトに質問してしまいました。慌てて他の同期がフォローしていたのですが、後日その同期から「きみが空気読まずに講師の方に飲み会の話をするからびっくりしたよ」と冗談交じりのクレームを受けました。私としては『研修が終わったら講師を交えて飲み会をするもの』なのかなと思っていたのですが、いま振り返ってみると私たちの上司や同期が“一緒にお酒を飲みたいなと思うかどうか”がポイントだったのです。そのとき私以外の社員の中では「今回の講師は一緒に飲みに行きたいタイプの人ではないな」という空気ができていたようなのですが、私は全く気づいていませんでした。私なりに新人として研修後の飲み会のことで率先して動いたつもりが、そのときの周囲の気持ちとはズレた行動になってしまったのです。発達障害のない人は、自分自身から一歩離れて客観的に考えて状況を把握し、適切な振る舞いをすることが自然とできるのだと思います。当事者である私も適切に状況を判断しているつもりなのですが、もしかしたら自分の疲れに気づけないのと同じように、周りの状況にも気づけていない部分がたくさんあるのかもしれません。私の本当の困りごとは「周りの状況を適切に把握できないこと」なのか「自分が適切だと考えている振る舞いが実際には適切ではないこと」なのか、あるいはその両方なのか。正直なところ自分ではわかりませんし、周りから見たら結果としては同じ「困りごと」として映ることでしょう。自分のことに気づききれていないこと、周囲の状況を適切に捉えられていないかもしれないこと。それぞれ解決していくとしてもまったく異なるアプローチとなってしまうため、ひとりで克服していくのはかなり難しいなと感じています。周りから見える困りごとの奥に本当の困りごとがあるかも?出典 : ここまで私自身が感じている困りごとについて書いてきましたが、もしかしたらこの記事を読まれている方の周りにいる当事者の方も同じように、周りから見えている困りごとと本人が感じている困りごとが、実はちょっと違うことがあるのかもしれません。表面化している事象だけでなく、根底にあるその人の特性や苦手に関してのサポートが必要な場合もあります。当事者をサポートしていてあまりサポートの効果がないなと感じるような場合、もしかしたら当事者の方が本当に困っている部分とサポートしている部分がずれているのかもしれません。そのような場合、その困りごとに直面しているときに本人がどう感じているのかを確認したり、普段の様子を観察して他に困っているポイントはないかを探ったりすることも必要かもしれません。当事者としてもこのあたりをうまく言葉にして伝えるのはかなり難しいところなので、サポートする際に「どう感じているの?」と質問して、本人の困りごとや必要なサポートについてすり合わせをしていくことが大切だと思います。ただ、感覚的な部分などは自分にとっては“当たり前”になっていて、困りごととして認識していない場合もあります。そのため当事者が自身の困りごとについて言語化するのはなかなか難しいと思いますが、言語化する機会を増やしていくことで、自分の感じ方や考え方を振り返る機会も増えます。自分の状態を他のひとに伝えることができるようになると、対処法が見つかったり環境面の工夫で解決できたりと、当事者の生きづらさが軽減されるのではないでしょうか。どういうところに困っているかとか、困っているときにどう感じているのかというところは、自分ひとりではなかなか考えることが難しいところになるのかなと思っています。そのあたりを考えたり言葉にして話したりする機会があると、当事者にとってはとてもありがたいサポートになるのではないかと思います。
2020年03月12日発達ナビユーザーから寄せられたニーズを紹介。特設ページも開設しましたLITALICO発達ナビでは「新型コロナウイルスによる休校措置についてのアンケート」(実施期間:2020年3月4日(水)から3月8日(日)、回答数279)を行いました。発達が気になる子どもの保護者の声が多数寄せられました。仕事への影響、親子のメンタルへの影響、そして情報不足に悩む姿――このコラムでは、調査結果から分かったことを紹介。また、アンケートで浮かび上がったニーズから、特設ページを開設。特設ページの内容についてもお伝えします。発達ナビユーザーから、約280の声が集まりました今回アンケートに協力してくれたユーザーのうち、72.8%が小学生の保護者、うち44.1%が低学年でした。特別支援学校小学部に通う子の保護者は1.8%でした。11.5%が中学生、5%が幼稚園でした。Upload By 発達ナビニュース71.7%が共働き、9.7%がシングル世帯です。その他18.6%の中には、母親が専業主婦もしくはシングル世帯で現在休職中などが含まれています。約40%が保護者と在宅、約15%が子どものみで留守番。放課後等デイ利用は約17%Upload By 発達ナビニュース共働き、シングル世帯が8割を超えているものの、全体の4割は保護者と過ごしているという状況が明らかになりました。また、どうしても都合が付けられず、子どもだけで留守番をしているという家庭、祖父母に見守りをお願いしている家庭もあります。学童や学校預かり、放課後等デイを利用できていても、通常よりは預かり時間が短く、仕事の調整をしてしのいでいる家庭も多そうです。Upload By 発達ナビニュースアンケート結果からも、31.6%が通常の勤務とは違う形で就労していることが分かります。具体的には、給与減を伴うシフト調整などで対応している家庭が15.8%、テレワークが6.1%、時短等が4.7%、有給等が5%という状況でした。保護者の心配ごととは?子どもの学習機会減や生活リズムへの影響、家庭内でのトラブル増への懸念が大きいUpload By 発達ナビニュース最も多かったのが「子どもの学習機会減」でした。学校のみでなく習い事なども中止となる中、子どもの学びを保障できる機会が減っていることに大きな危惧を抱いている様子が分かります。また、学校だけでなく「習いごともすべて中止になり体力を持て余している」「ゲームづけの毎日に」「未就学児保護者への優遇はあっても障害児保護者への理解はなく早く帰れない」「普段は学童だが今回は低学年優先で対象外に」といった声もあげられていました。平日日中、子どもはどのように過ごしている?Upload By 発達ナビニュースゲームをしているという答えが最も多く、次に学校から出た宿題、漫画や本、動画配信サービス、ドリルや教材という順でした。勉強もさせているものの、どうしても一人で楽しめる遊びに傾きがちな様子が浮かび上がります。家での生活、それぞれの家庭ではどんな工夫をしている?「タイマーを使って、学校の時間割のように、勉強時間を区切り、学校でのリズムを真似ている」「毎日、やるべきこと、遊びの選択肢を箇条書きして見える場所におく」など見通しをつけやすくしたり、「子どもがいかに課題に取り組めるか課題を小分けにしたり、声かけ」「なるべくしりとりやクイズ、逆にクイズ(問題)つくりなどやって一緒に楽しむ」といった課題の出し方の工夫、「朝、親が出かける前に、今日やっておいてほしいことを伝える。skypeなどで連絡がとりやすい状態にしておく」「休憩時間に電話やメールで安否確認と指示。どうしても困ったら連絡するように伝えている」など保護者が不在でも不安にならないようにするという声が多くありました。「なるべく会話をするようにしている。テレビも見せっぱなしではなく、感想を言い合ったりしている」など、動画配信サービス等も一人だけで完結しないよう関わるようにしているというユーザーもいました。「夕飯のメニューやおやつを子どもにリクエストしてもらい、イベントにして機嫌を良くする」「ひたすら子どもの好きなメニューをつくる」と、食事面でメンタルを安定させる工夫をしているという方も。「和室にテントを張ってレジャー気分。秘密基地にもなって楽しそう」など、屋内であっても小物などを使いいつもと違う雰囲気にしているというご家庭もありました。メンタルへの影響大。子どもも保護者も不安定に子ども自身も不安定になり、そうした子どもと一日中過ごす保護者自身もストレスを感じているという状況が浮かび上がりました。また、適切な情報が入ってこないことも保護者の不安を大きくさせています。子ども自身「気持ちのバランスを崩し、特に寝付きが悪い。一日に何度も突然のハイテンションと突然の沈黙を繰り返したり、ADHDの困り事が急増。慣れたと思っていた、社会性が必要な場への緊張感が増してしまい、自傷行為が目立つ」「スケジュールに対するこだわりがより強くなって、混乱している」など不安定になっています。また、外出できないストレスなどに加え「課題を親が管理しなければならない。あれこれやれと言えばキレたりして物に当たる。本人もどう手をつけて良いか分からなくなっている」「家庭学習を集中して行える環境になく(テレビ、本、おもちゃなどが見える)、大人が見守っていないと課題をやらない。親の疲れが増大」など、通常学校で行っている学習を保護者が管理・確認することで子どもとの摩擦がおきているという状態もあるようです。また、「今は休みで嬉しいと言って過ごしているが、日中留守番で見守りできない状況の中、テレビやゲームを長時間やっており、体を動かさないこともあり夜には疲労が蓄積している様子。イライラや不機嫌などが長く続くと精神的な不安定さが増すと考えている」など、生活リズムの乱れから健康面で影響が出てきているという心配も。きょうだいも24時間一緒にいることから「きょうだい児へのストレス」「兄・姉・妹トラブル。常に衝突をする。3人共に発達障害がありトラブルの連続」など、家庭内でのトラブルが起きています。子どものメンタル面をサポートするため、スキンシップをとったり、細かく言いすぎない、好きなことをできる時間を多く設けたりといったことを心がけているご家庭も多くありました。また「暴れないかヒヤヒヤ。服薬させお腹を満たしあまり強く言わない」「刺激しない、親ががまんする」など刺激しすぎないようにしているという声も。保護者へのストレスも大きくなっている現実があります。Upload By 発達ナビニュース情報はどこから得ている?必要な情報は届いている?Upload By 発達ナビニュース「保護者の皆さんは地域の状況の情報はどのように入手していますか?」という設問に対し、自治体や学校からのメール連絡、テレビのニュース、自治体のホームページを見るという回答が多い反面、「必要な支援はなんですか?」という設問に対して、最も多くあげられたのが”学校や自治体からの速やかな情報連携(115名)”でした。なかなか十分な情報が届いていない様子が感じ取れます。発達障害のある子と家族向けの特設ページを開設!地域情報のシェアや最新関連コラム情報をまとめて紹介発達ナビでは、2020年3月10日より、新型コロナウイルス関連情報をまとめたページを開設しました。発達ナビユーザー同士での情報シェアができる非公開コミュニティ(匿名制)や、関連コラムのアーカイブなどがまとめてみられます。ユーザーアンケートから明らかになった「適切な地域情報が手に入らず不安」「家での過ごし方が分からない、トラブルが増えて困っている」「親子ともにメンタルが不安定になっている」という皆さまに向け開設しました。新しく開設したコミュニティは「47都道府県別コミュニティ」のほか、「家での過ごし方、人込みを避けた過ごし方」「こんな支援が必要です」「親も子も不安定、そんなときは…」「昼間の子どもの居場所は?預け先は?をシェア」です。ぜひご活用ください。関連コラムは、今後も随時配信予定です。また、発達ナビでは、ユーザーの皆さまが必要とするメンタル面でのサポート、お子さまの学習機会に寄与する支援なども充実させていきたいと考えています。こうした情報を、ひきつづきお知らせしていきます。
2020年03月11日「自分が障害者だって、自分で明かしてはいけないの⁉」――息子の不服げな表情を見て改めて考えた、「障害」という言葉のイメージについて小学4年生の息子が、ある日「腑に落ちぬ」と言わんばかりの表情で帰宅した。彼はADHD(注意欠如多動性障害)傾向もあるASD(自閉症スペクトラム障害)当事者。約1年半の不登校生活を経て復学、最近また休みがちではあるものの、通常学級に籍を置きながら特別支援学級を利用しており、次年度からは特別支援学級への転籍が決まっている。発達障害は「見えない障害」とも言われており、息子や私も、ぱっと見では障害を抱えているとは分かりにくいだろう。そんな息子が4年生になってから、特別支援学級を利用し始めた――通常学級のクラスメイトたちからしたら、不思議だったに違いない。なぜなのかと彼らから理由を聞かれた息子は、「発達障害があって、感覚過敏などがあるから」というようなことを伝えたのだという。すると、「障害者とか、そういうことを言ってはいけないんだよ!」とたしなめられたのだそうだ。息子にしてみれば「質問に対して誠実に答えただけで、なぜ叱られるのだ」という気持ちになるのは当然だ。「誰かの秘密を勝手にしゃべったわけでもないのに…」などと、ブツブツひとりごちていた。「障害って、悪いことだとか隠すべきこと、みたいなイメージがあるからなあ」隠さざるを得ない事情や場面があることを重々知りつつ、私は息子へと言葉を投げかけた。「本当はそんなことないんだけどね」すぐにそう付け加えて。前回も書いたように、「障害」とは「人と社会の間に生じたずれ」だと思っているし、近年はそうした考え方も広がりつつあるが、まだまだ障害という言葉に対するイメージはよろしくない。「障碍」や「障がい」の表記や別の呼称を使おうと行政などが推し進めたところで、本質的なところは何も変わっていないというのが当事者としての印象であるし、「障害」という言葉、あるいは診断名が、揶揄の言葉として使われているのが現実だ。(今ふと思ったのだが、件のクラスメイトたちは「障害などの言葉で人を罵るのはいけないことである」というご指導を、親御さんから受けたのかもしれない。それが頭の中で「障害と言ってはいけない」へと変化した可能性がある)私は学童期にてんかんを発症しているため、「障害者」というラベルを手にしてからの生活はそこそこに長い。本当は良くないのだが、自分が受ける差別にはある程度慣れっこで、障害名で揶揄されたところで「はいはいそうですよ」と聞き流すことができる。最近は「障害という言葉や診断名が揶揄に使われ続けたら、誤ったイメージは広がる一方だな」と考え、冗談さながらの軽口であっても、「その言葉を聞き流すことを、私はやめることにした」とお伝えしているのだが、とにかく、傷つくことはほとんどない。しかし、自分ではない相手にそうした言葉が向けられているのを見聞きすると、なぜだか落ち着いてはいられない。ADHD性による衝動を用いて発言なさった方のもとに駆けつけ、直後にASD性を発動、「発達障害という概念やアスペルガーとも呼ばれている自閉症スペクトラム障害についての簡単な説明と、“頭が悪い”ということについてのあなたの定義を伺ったのち、障害と頭の良し悪しは必ずしも関係しないこと、そして“真に頭の悪い人など存在しないのでは”と私が思うその理由を説明させていただけないだろうか」などと申し上げたい気持ちになるが、そんなことをすれば本末転倒、障害のイメージ悪化に拍車をかけてしまうこと請け合いだ。そのうえ私は気が弱い。そんな大それた行動を起こせるわけがない。歯がゆさを抑えられないまま、「どうしたもんかね……」とうなだれるぐらいしかできないのである。支援に必要な情報である障害を容易に明かせない現状について、「障害」というラベルを長年持ち続けている私が思うこと前項に書いたように、私にとっての障害名は、自分について説明を要する際に使うラベルやカードのひとつであるという認識だ。「努力や我慢では克服できないレベルの苦手がある、ただし、こうした方法なら可能だ」と説明するためのものであり、もちろん診断名を出さない方が話が早そうなときはそうするが、障害を明かすことに抵抗はない。そして私は、「我々はどうやら発達障害というものの当事者であるらしい」と息子には早いうちに告げており、息子も息子で「なるほど。早めに分かっていれば、有事の折に対応もしやすかろう」とばかりにあっさり受け入れていた。「ゲームは夢中になり過ぎて時間を忘れがちだから、アラームをセットしよう」と自ら対策を講じたり、「自分は感情をその場で認識できないことがあるが、あとから友達に気持ちを伝えるにはどうしたらいいのだろう?」と私に聞くなどはするが、普段は自分が発達障害の当事者であることを、さして意識していないように見える。それは私も同様で、こうしたコラムを書くときや、発達障害についての情報に触れるときなどは発達障害当事者であることを意識するが、平時は「自分の一要素」に過ぎず、見えてはいるが注視はしない。しかし、ネットなどでは「子どもへの障害告知は慎重に。本人のアイデンティティーを揺るがしかねないデリケートな問題です」「障害という単語にショックを受けてしまうケースも考えられます」などと書かれており、私はのけぞった。「本人のアイデンティティーを揺るがしかねないデリケートな」障害告知を、「晩ごはんはカレーだよ」ぐらいの軽いノリで済ませてしまったからだ(もちろん、どのような行動特性が該当するかなども説明はしたが)。当時の私が発達障害を抱える方々の現実について、全くの無知であったからこその行動である。物分かりが良く、自ら質問してくれる息子であったことや、障害をネガティブなものと捉えずにいられる環境があったからうまくいっただけ。分かっている。とはいえ何かが引っかかる。『各分野の専門家が伝える 子どもを守るために知っておきたいこと』の中で、児童精神科医・臨床心理士の姜昌勲氏が下記のように書いていらした。発達障害は、「治療しなければいけない障害」ではなくて、「支援するために必要な病名」であるとともに、「かけがえのないその子の個性」でもあるのですから。「発達障害はニセの病名?」『各分野の専門家が伝える 子どもを守るために知っておきたいこと』(宋 美玄、姜昌功、ほか/星海社新書)P92より「支援するために必要な」情報を聞いた子どもがショックを受けたり、明かした人から不当な扱いを受けたり、ネガティブなイメージを抱かれるのはやっぱりおかしい。「実は発達障害で」「ふーん、そうなんだね」でいいじゃないか。もちろん私は「発達障害の当事者は誰もが、その事実を明かすべきだ」とは思わないし、「実は自分も発達障害で」とこっそり打ち明けてくれた方の話を他人に話す気にもなれない。それは、今の自分が、発達障害に関しては、明かしても差別される機会の少ない環境に身を置いているだけだと自覚しており、かつてはてんかんで「隠しても地獄、明かしても地獄」を体験しているからだ。だからこそ、悔しくてたまらないし、憤りさえも感じている。必要な情報を、誰もが気軽に明かせない現状に。「障害はその人が持つ事実ではあるが、人格そのものではない」と思う私に向けられた、友人からの嬉しい言葉Upload By 鈴木希望ところで私は、かばんにいつもヘルプマーク(外見では分かりにくい疾病や障害のある人が、配慮を必要としていることを知らせるためのピクトグラム)を付けている。私が住む新潟県でも配布されてはいるが、まだまだ認知度が低い印象がある。あるとき、私のヘルプマークを見た友人が、「これは何?」と尋ねてきた。彼女は帰郷してから知り合った人で、発達障害つながりではない。子ども同士が仲良しだったことからつながった、いわゆるママ友だ。私がヘルプマークの概要を簡単に説明して、「私はてんかん発作を起こしたり、発達障害からくる感覚過敏があって、パニック発作を起こす可能性があるんだ。だからそうしたときに適切な対応をお願いできるように、このマークを付けているんだ」と話した。すると彼女は「そうなのかー。てんかんのことも発達障害のことも私はよく分からないけど、手伝えることがあったら教えてね!」と微笑んでくれたのだ。(そう…!これ!これなんだよ!こういう対応が嬉しいの…!)感激屋の私はむせび泣きそうになるのをぐっとこらえて、「うん、ありがとう!お願いするね!」と返した。差別されたくないのはもちろんのこと、同情が欲しいわけでも、特別扱いされたいわけでもない。いつでも誰に対しても助けを乞うつもりはないし、自分ができる範囲内なら、ほかの誰かが困っているときにはサポートだってしたい――私が知る限りではあるが、多くの障害当事者はそう願っている。障害を感じにくい人たちもそうであるように、障害当事者にも純粋な人もいれば卑劣な人もいる。障害を理由に差別されていることを逆手に取ってひらりとかわす、狡猾でありながらもどこかキュートな友人の話もいずれ紹介したいが、それは一旦横に置く。とにかく「障害」というのはその人に関する事実ではあるが、人格そのものではない。「実は発達障害で」「ふーん、そうなんだね」ぐらいの扱いになってほしいと願うのは、傲慢なのだろうか。重要なのはラベルではなく中身。「障害」という言葉のイメージを変えたい私が考えた、あえての遠回りさて、息子の話に戻る。「障害って言ってはいけないのなら、これからどういう風に説明したらいいんだろう…というか、障害は悪いことじゃないんでしょ?なのに…」まだ「解せぬ。世の誤ったイメージのためになぜ自分が厄介なことを考えなくてはならぬのだ」という思いがにじみ出る表情の息子に、私は代替案を伝えた。「最初に障害って言葉を言わないでさ」「え⁉言ってることが矛盾してる!!」「分かってるよ。でも、誤解されるなら最初は避けた方がいいんじゃない?で、今回は特別支援学級を利用している理由を伝えたいわけだよね。だから、例えば“チョークで黒板に書く音で耳が痛くなったり、たくさんの人のひそひそ声で先生の話に注意を向けにくくなって、授業を受けることに障害を感じてしまうから”とか、困っていることの具体的な内容と、“障害というのは、困っていることという意味なんだ”と受け止めやすい言葉で伝えたらいいんじゃないかなあ?」幸い、クラスメイトたちは息子の特性を、なんとなくかもしれないが理解してくれているようなので、これで十分に伝わるだろう。「そのときになったら、そんな説明できるかな…」「じゃあ、“通常学級で授業を受けていると、困ったこと、障害がいろいろ出てくる”とかはどう?そこで質問してもらえたら具体的に言えばいいし、ふーんで終わればそれはそれでいいと私は思うが、どうかな?でも、障害っていう言葉を使う必要はないかなと私は思うよ。伝えたいのは障害の中身であって、障害という単語じゃないんだから」私の提案を受け、息子はまだ納得できていない様子だったが、少し考えてから「そうか…そういうことが障害なんだって後から分かってもらえたらいいのかもな…」と、誰に向けるでもなく、つぶやいていた。「障害」という言葉に付きまとう悪いイメージをなくしたい私が「障害」という言葉を避けるような表現を選ぶのは、息子が申すように矛盾も甚だしく、本末転倒とも言える。しかし、障害を明かさなければならない場面において重要なのは、「障害」というラベル以上に、「なぜそうしたラベルを持たざるを得ないのか」という理由、ラベルを示す人それぞれの困難の詳細についてというケースが多いように私は感じている。ならばそちらを優先させて、追々「障害」という言葉との紐づけを行う方が、遠回りのようだが、実は効率良くイメージの変化へとつなげられる道なのではなかろうか。その前に、発達障害については誤解をなくすことや、地域による情報格差など、片づけるべきさまざまな問題があるのだが…。「障害」という言葉のイメージが変わり、障害のある人たちへの偏見がなくなることに従って、人と社会の間のずれも消えていき、あらゆる人が助けを求めやすい世の中になる――なんて、現状では夢物語だ。しかし、そのような未来が訪れることを、私は願っている。そのためにも私はもっともっと学びたいと思っているし、感覚のアップデートも忘れたくない。
2020年03月08日3人の女性当事者が語りあう。発達障害のある人生Upload By 発達ナビ編集部「女性の発達障害鼎談企画」に集まっていただいた3名の当事者の方々。3名とも成人してから診断を受け、それぞれ発達障害に関する情報の発信をされています。今回は発達ナビユーザーへのアンケートももとにして、ご自身のことから女性特有のお悩みとの向き合い方まで幅広くお話を伺いました。まずはご自身の特性や診断を受けたきっかけ、障害受容について、困難もあった人生を生き抜いてきたライフハック術などをお話しいただきました。診断を受けて服薬して、「これまで無駄な努力をしていた」と傷ついた(宇樹さん)ライターとして活躍している宇樹義子さんは、32歳のときに高機能自閉症と診断されたそう。鍼灸院で聴覚過敏ではないかと指摘されたことをきっかけに特性を自覚し、その1年ほど後に心療内科で診断を受けたそう。診断されたとき、どのような心境だったのでしょうか。Upload By 発達ナビ編集部宇樹さん――診断を受けて薬を飲み始めて1日目に、10年ぐらい悩んでいた昼夜逆転がピタッと治ったんですよ!それでものすごく救われた面と、私はその薬を飲まないと生活できない障害者なんだっていう2つの間で引き裂かれるようになっちゃって。私は今まで無駄な努力というか、頑張ってもできないことを一生懸命してきてしまったんだなっていう喪失感があって、30年分ぐらいさかのぼって傷ついた。ただ、これからどうするべきかっていうのを早く考えなきゃいけないと思って支援を受け始めました。それまでの自分の生活を振り返って納得感があった(姫野さん)姫野桂さんは、ご自身の著書のほか、発達障害当事者への取材もたくさんされています。今から約1年前に算数LDと不注意優勢のADHDの診断を受けたそう。算数LDについては小学1年生からいくら努力しても算数ができなかったことから自覚があったそうですが、ADHDについては特に自覚はなかったとか。Upload By 発達ナビ編集部姫野さん――診断を受けて、いろいろ納得がいきました。自分が算数ができないということと、ちょっと人より行動が遅いこととか。そういうことがあったんだなぁって思いました。息子の発達障害の可能性...調べてみたら、自分に当てはまることだらけ(鈴木さん)鈴木希望さんは、発達ナビでもおなじみのライターで、自閉スペクトラム症の診断があります。Upload By 発達ナビ編集部鈴木さん――息子が可能性があるって言われている自閉スペクトラム症とADHDについて調べたときに、これは私じゃないか!と思ったんですよ。息子より私の方がこれは強くないか?と。診断については、「努力不足や性格の問題ではないことが分かって嬉しかった」とおっしゃっています。もともとてんかんがあることから、発達障害の診断についても抵抗はなかったそうです。支援を受けることに後ろ向きな人へ――考え方ややるべきことは?3つのアイディアUpload By 発達ナビ編集部自身の障害を受け入れて生活されている3名ですが、当事者や家族のお悩みとしては、「周りと違うことに抵抗感が強く、受容できない」「支援を拒否してしまう」といったケースもよく耳にします。自身の特性を受け入れて、支援をうまく活用しながら生活していくにはどうしたらよいか、アドバイスを伺いました。姫野さん――得意なことも具体的に書き出してみるとよいですね。友人が就労移行支援を利用して最近就職したのですが、その友人は今まで接客業が多かったから自分は接客が向いてると思ってたらしいんです。でも就労移行支援事業所でのワークで適性を見てもらったところ、マニュアルがあれば大丈夫だと気づいたらしくて。そういうふうに、”自分はこれがあれば大丈夫”っていうのが分かると、なんだか前に進めそうな気がしますね。宇樹さん――抵抗感が強いのは分かるんですけど、その抵抗感の中にいたらずっと自分が被ってきた損をこのまま被り続ける。でも勇気を出して踏み出してみたら、もうちょっと楽に生きられるようになるかもしれない。自分のためなんだとなるべく考えるようにすればいいのかなと思います。また、支援を受けるにあたっての「情報収集」の大切さについては、3名ともがお話しされていました。宇樹さん――それまでに結構、発達障害の人ってズタズタに傷ついているんですね。人によっては助けてもらおうとして誰かに頼って裏切られてってことを繰り返してきているので、なかなかそこから出ていくのって難しいと思うんですけど、まずは情報を手に入れること。支援者はいろんな人がいて1人ダメだったら他の人にどんどん当たればいいんだということ、支援機関もどこがダメだったら他のところにどんどん当たればいいんだっていうこと、そういうあたりを知ること。鈴木さん――ご自身が障害を受け入れられないっていう方もそうだし、ご家族の理解を得られない場合も人と繋がるというか、情報を得られる方法とかが分かれば。姫野さん――SNS時代なのでクチコミかなぁと思っていて。病院を探していた友人に相談をされたことがあって、私も病院のことはよく知らないので、とりあえずそういう発達障害系の自助会とかをひらいている方にSNSで相談をしたらいろんな人に聞いてくれて、いろんな病院のリストが集まったっていうこともありました。Upload By 発達ナビ編集部障害や自身の特性をどう捉えて受容していくか、その考え方のポイントも参考になりますが、情報収集を幅広く行い、どんな支援が受けられるのかをまず調べてみることも大切だと実感されているようです。日常から仕事まで!3人が教えてくれた7のライフハックご自身が障害を受容したあと、こういう工夫をしたら生きやすくなったなど、具体的なライフハック術についてもいろいろとお話しいただきました。まずは姫野さんから。姫野さん――私は確定申告がボロボロだったので、税理士さんをつけてお金で解決しました!できないことはできないって認めていろいろ人に頼っています。姫野さん――忘れ物を結構しちゃうので、玄関に100円ショップで買える小さいホワイトボードを貼って、そこにいつも持っていくものや必ず持っていくものを書いて、家を出る前にチェックして忘れ物対策をしています。これについては鈴木さんも同様の方法を取り入れていました。鈴木さん――忘れ物しないように、うちは貼り紙だらけなんですよ。よく息子が玄関の鍵を閉め忘れるので、もう”鍵を閉める!鍵を閉める!鍵を閉める!”みたいに、めちゃくちゃいっぱい紙が貼ってあったりとか。目に付くところにとにかく貼り紙を。姫野さん――仕事では基本ノートパソコンを使いますが、家で仕事をするときは27インチの大きい画面に映して作業します。そうすると誤字脱字を防ぎやすいです。宇樹さんは先端技術をいろいろと取り入れて生活をしているそうです。宇樹さん――「タイマーをかけて」とか言えば、手で操作しなくてもタイマーをかけられたりして便利です。Upload By 発達ナビ編集部宇樹さん――活動量計っていう、自分の心拍数とかのログをとってくれて、自分の体力の残り具合とか今のストレスレベルとかを計ってくれる機械を愛用中。主治医に体調を伝えるときにも活用しています。鈴木さんは、身近な人と苦手をカバーしあっています。鈴木さん――息子が私と正反対で、数字にすごく強いんですよ!お互いちょうど得意なことや苦手なことが逆だったりする。なので、数字を見間違ってないか確認してもらったり。私の母も、“覚えのないところから郵便が来たんだけど、これは詐欺ではないか”みたいな不安があると、私が実家に行って確認したり。とにかく相談できる相手と確認するようにしています。鈴木さん――気になることは書いて主治医のところに持って行って、「コミュニケーションの中でこの反応はどうだったんだろう」とか、そういうことも含めてこまめに相談するようにしています。貼り紙をすることや家族と確認しあうことなど、日々気をつけたいことへの対策は日常生活の中にしっかり落とし込んでいるようでした。そしてお話しいただいた中でも、宇樹さんの「先端技術の活用」には他のお2人も興味津々で盛り上がりました。忘れがちなタスクは機械に頼って管理したり、見えないものを見える指標で計るようにしたり...最近はスマホアプリなども本当にさまざまな種類があるので、自分の苦手に合ったものを探してみるのもよいかもしれないですね。ここまで、まずは性別に関係なく、当事者としてのご自身のことや生活術を伺いました。次回は女性ならではの話題にも切り込んでお話を伺っていきます。今回お話しいただいた内容はyoutubeでも公開中。コラム文面に乗り切らなかったお話もご視聴いただけます。
2020年03月04日空気を読むって?広汎性発達障害の娘(小学3年生)には、コミュニケーションが苦手という特性があります。小さいころは人との関わり方がよく分からず、相手の言葉を聞かず、会話が一方通行だったり、自分だけが理解している謎の文章を話したりしていました。Upload By SAKURA定期的な言語訓練や日々の療育で、少しずつ人との関わり方を学んでいき、今では会話もスムーズになった娘ですが、いまだに苦手なことがあります。それは「空気を読む」ということ。その場の雰囲気から、自分が何をすべきか…すべきではないか…相手がしてほしくないことや、望んでいることを察することです。謝って許されたら、それでいいと思ってしまう娘。たとえば、パパに叱られたとき…Upload By SAKURAいいよと言われた直後に、ケロッとして「ゲームしてもいい?」と言ってしまいます。こういった場合、きちんと謝られたらもちろん相手は「いいよ」と許すけれど、大事なものを落とされたことが嫌だったという気持ちはすぐにゼロになる訳ではありません。表情や相手の雰囲気からそれが読み取れていれば、申し訳なさそうな顔をしたり…少し時間を空けてから話しかけたりします。でも娘にとっては、「いいよって許してもらったから、もう終わりでしょ?」ということなのでしょう。空気を読む意味も、理屈もよく分からないのかもしれません。娘の特性を知っている私たちが相手なら、ある程度は容認できます。しかし、学校で友だちと同じような状況になったとき、相手の嫌な気持ちは倍増してしまうかもしれません。「空気を読む」というのは、私自身誰から習った訳でもありません。経験から少しずつ学び、あ…今のはまずかったかな…と感じたり、人の行動を見ながら状況を判断していくものです。娘も経験する中で少しずつ学んでいくだろうと思いながら見守っているとき、私はあることを思い出しました。思い出した、ある新入社員のこと…それは、私が社会人3年目の時のこと…。4月、新入社員の入社初日。その年に入社したばかりの事務の女性社員が2人、定時を知らせる5時半のチャイムが鳴った瞬間立ち上がり、荷物を持って更衣室に向かっていったのです。その日は業務が立て込んでいて、周りにはまだ忙しそうに仕事をしている先輩たちがいます。一瞬何が起きたか分からず、その場にいた同僚に「え?どこいったのかな?…まさか黙って帰ったわけじゃないよね?」と話していると…Upload By SAKURA当時、新入社員の教育係担当だった私は先輩に言われて、慌てて2人を追いかけました。「もしかして…帰るの?」そう聞くと、2人は「はい、定時のチャイムが鳴ったので」と答えました。Upload By SAKURA私が「えっと~…まだ先輩が仕事してるよ?確かに定時にはなったけど、でもこういうときはまわりを見て...」と言うと2人は、言ってる意味が分からないといった表情で、顔を見合わせてキョトンとしていました。私はうまく説明できず、とりあえず「勝手に帰ったらダメだよ。事務所に戻って。」と言いました。2人は私と一緒に事務所に戻りましたが…Upload By SAKURAそのあとキョロキョロしながらときどき私を見て、どう帰ったらいいか迷っているようでした。習っていないから分からなかった。初めての経験に私もパニックになってしまい、どうしたらいいかしばらく考えてしまいました。そして私は、自分が入社するときに社員研修で言われた言葉を、そのまま彼女たちに言うことにしました。Upload By SAKURA私は当時、なぜこんなことを言わなければならないのだろう…社会人なんだから分かるはずだ…と思っていました。しかし、娘が生まれてコミュニケーションを苦手とする特性を知り、空気が読めない…対応がわからず困る…といったことを間近で見ていると、あの子たちも悪気があったわけではなく、それを習っていないから分からなかったのだと思いました。相手の気持ちを読むことを、一緒にやってみる。私は、将来娘が社会に出たときに困らないよう、子どものときからある程度は教えよう!と思いました。しかし「空気の読み方」というのは、説明してもかなり抽象的。「空気を読むってなんなの?どういう意味?」と聞かれても、Upload By SAKURA私自身がちゃんと説明できない状態。どうやって説明したらいいんだ…と考えながら気がつきました。Upload By SAKURA教えるの、"パターン"だ!それと、具体的な対処法だ‼たとえば、誰かを怒らせてしまったとき、「いいよ」という言葉を言われたとしても、相手はまだ完全には許していないかもしれません。すぐに話しかけたら嫌な気持ちがまだ残ってるかも。この場合は...Upload By SAKURA相手の気持ちを想像し、具体的に対応を指示しました。それに慣れたころ、今度は顔を見てから話しかけよう!と相手の顔を見るように教えました。夫に協力してもらい…Upload By SAKURA本来ならちょっと考えられないシチュエーションをつくり、相手の顔色を確認することを教えました。さらに、私の取り込み中に、娘がどうでもいい話題で話しかけようとしていたら…Upload By SAKURA夫が先手を打ち、空気を読むように促してくれたりします。私たちができることは…空気を読む状況は、もちろん1つ教えればいいわけではなく、様々なパターンがあります。私たちにできることは、空気を読む!という状況になったときに、状況を声に出して説明し続けること。そうすることでいつか…大人になったときでもいい、一人で状況を読まないといけないときに私と繰り返した日々が少しでも思い出されて、ほんのわずかでも娘の助けになればいいと考えています。
2020年02月26日お客さんからも店長からも理解されない青年『発達障害に生まれて』(松永正訓著/中央公論新社)ノンフィクションのモデルとなった立石美津子です。以前、とあるテレビのドキュメンタリー番組で、発達障害のある青年の仕事や暮らしについて取り上げられていました。青年は発達障害の診断を受けておらず、自らも親も気がついていない状態でスーパーに就職し、退職に追い込まれてしまいました。スーパーで働いていた青年は、客から「この商品はどこにありますか?」と聞かれ、素直に「分かりません」と答えてしまいました。「商品を探してほしい」という客の意図がくみ取れなかったのです。客は店長に「店員の態度がなってない!」とクレームを言い、彼は店長から「どうして商品を案内しないんだ!気遣いが足りない!分からなかったら、なぜ分かるスタッフを探さないんだ!」と叱られていました。青年は次第に「僕はダメ人間だ」と自己否定して、転職を繰り返すようになりました。その後、自閉症スペクトラムの診断を受け、「営業職や接客ではなく、コミュニケーション能力があまり求められない職場を探している」といった内容の放送でした。本人も家族も気づかないまま今、成人している人が幼少期を過ごした時代は、今のように“発達障害”について情報がなく特別支援教育も今ほど充実していなかったのではないかと思います。特に知的障害を伴わないグレーゾーンの人たちのなかには、家族はもちろんのこと、自身も自分に発達障害があることを知らないまま日常生活、学校生活を送っていた人が相当数いるのではないでしょうか。通常学級に通っていても、親や先生から発達に凸凹があることを理解されて、療育に通ったり、通級指導教室に行ったり、また特別支援学級や特別支援学校に通い特別支援教育を受けている場合「できないときはどうやってSOSを出せばいいのか」などの練習も学校教育のなかで受けることができます。けれども、障害があることを知らずにいたら、これらを学習することもなく社会に出ていくことになります。社会に出て働くとなると、要求されることはそれまでより更に厳しくなります。法定雇用率は上がっても今は従業員数が45.5人以上の民間企業には法定雇用率が課され、障害者を2.2パーセント雇わなくてはならない決まりになっています(※)。将来、さらにその割合が上がると言われています。ただ、障害がある人を採用したものの、その後の対応に苦慮している企業もあると聞きます。「とりあえずこれやっといて」 「朝イチで資料作成して」「資料は多めに作っておいて」これらの曖昧な指示が分からない人がいることを、どれだけの企業、そこで働くスタッフが知っているでしょうか?インクルーシブ教育、ダイバーシティ(多様性)、障害者差別解消法、合理的配慮など、昔に比べて障害のある人が生きやすい社会に確実になってきていると思います。けれども、車椅子の人を入店拒否しないお店は増えても、見た目では分かりにくい発達障害の人に対しての理解はまだまだ浅いようにも感じます。※2020年2月現在障害者の法定雇用率の引き上げについて | 厚生労働省近所のスーパーでも私が頻繁に行くスーパーに、「これありますか?」と聞いても、「ありません」とだけ答える店員がいます。特性ゆえの対応なのか、それともマナーの問題なのか…ある程度知識がある私でもカチンときてしまいます。私でもそう感じてしまうということは、世間の目はきっとより厳しいだろうなと想像します。制度を整えるだけでなく、社会の人の理解を深めていくことも同時にしなくてはならないと考えさせられるテレビ番組でした。
2020年02月17日ポジティブでもネガティブでもなく発達障害を受け入れる私が抱く、「発達障害児者=天才」説への強い違和感日頃から方々で申し上げているが、私はとても凡庸な人間である。発達障害があるという点ではマイノリティであり、その特性によって失敗をしたり、罪悪感に苛まれるなどの悩みはあるが、平々凡々に生きている。「発達障害があったっていいことがない!」と嘆き続けているわけでもなければ、「特性は強み!ポジティブに捉えていきましょう!」などと啓発する気もない。「まあ、厄介事はいろいろあるけど、発達障害がなければ人生イージーモードとも限らないし、なければないなりの悩みもあるでしょうよ。これが基本設定なのだし、どうにかやっていくしかないよね」というのが、私のスタンスである。いつでもポジティブではないが、ずっとネガティブでいるわけではない。この辺りの考え方は「いつでもポジティブ」から「ずっとネガティブ」までの幅があって、度合いは人それぞれ、どれが正しいという話ではない。もちろん、「いつでもポジティブではないが、ずっとネガティブでいるわけではない。揺れがある」という私が中庸だとも思わない。一口に発達障害と申し上げても、十人十色というわけだ。以前もそんな話をコラムに書いた。ところが、なぜかそれを許してくださらない方が時折いらっしゃる。例えば、息子には発達障害があると私が明かしたとき、「え、じゃあ今から何か習い事をさせたほうがいいんじゃない!?そういう障害がある人って、常人にはない特別な才能があるっていうし、今のうちに伸ばしてあげないと!」などとアドバイスをくださる、いわゆる「発達障害児者=天才説」支持者である。息子の持てる才能を伸ばすにしても、なぜ本人が希望しているわけでもない習い事をさせにゃならんのだなど、突っ込みたい点はさまざまある。しかしそれ以前に「ハンディがあるのだから、それぐらいのアドバンテージがないと不公平。かわいそう」という考えが根本にあるのだと、会話の端々から分かるので、真面目に返答する気になれない。「本人が望んだら考えるけどね」「えー!もったいない!せっかく天才になれるかもしれないのに!」(天才はなろうとしてなれるものじゃないし、息子はこのままでも最高なんだ。ほっといてよ)との言葉をグッと飲み込み、私は曖昧に笑うのだった。「非凡性」での形勢逆転を狙って苦しむ私の視点を変えた「不可能性の発見」前述のような考え方に私が強い反発心を抱くのは、かつての私がそうした考えの持ち主で、それによって自分の首を絞めていたからだ。飛び抜けて勉強ができるわけでもなければ、高い身体能力を持ち合わせてもいない。容姿も十人並み以下で、まともな人間関係を築くのにも困難が生じるほどのコミュニケーション下手。一家庭の構成員としては、そうした事実もほぼ問題にならないのだが、保育園や小学校などで集団生活を送ることになると、能力は相対的に評価され、自分ではどうにもならない容姿さえジャッジの対象となる。それらによって周囲の扱いは変わり、凡庸かつコミュニケーションに難がある私は、嫌われ者へとまっしぐら、教師による吊るし上げの対象になったことも、一度や二度ではなかった。この苦しみから脱するには、自分の中にあるかもしれない非凡さを見つけて、それにすがるしかない――幼いながらに私は、もがいた。どうしたら自分の非凡性を見つけ出せるのか分からないまま。そんな最中の小学4年生のとき、国語の授業で『人生は不可能性の発見』という文章に出会う。映画監督・大島渚氏による随筆だ。ざっくり説明すると、組織や集団など、新しい世界に飛び込んで行くとき、どのような心構えを持てば良いのか、どのように自分の魅力や才能を見つけ出せば良いのかについて、大島氏の経験から導き出した意見を述べる内容だった。魅力を磨くといえば自分の長所を出してゆくことだ、と考えるかもしれないが、じつは組織や集団に入って知ることは、自分がいかにダメな人間かということである。私の持論で言えば、人生とは自己の可能性の発見ではなく、不可能性の発見なのである。自分は何ができないのかを、まず自覚することによって、自分のできることを探す。それを探り当てることができれば、今度はそれを意識的にやろう、と頑張るから、最終的に魅力が出てくるのだと私はおもう。「人生は不可能性の発見」『理屈はいい こういう人間が愚かなんだ』収録(大島渚著/青春出版社)P73よりこのくだりは衝撃だった。何かを頑張ってもできないのは、自分の努力不足であり、諦めることは悪だと思っている節さえあったのだ。悪だと思いながらもできないことだらけで苦しんでいた私には、救いのようにさえ思えた。「できないことはできないと認めて、次にできることを探せばいいのか…!」「人間には無限の可能性がある」だとか、「何事も諦めず、粘り強く続けることが大事」だというような言説が、あらゆる場面で強く唱えられていた昭和60年、件の随筆は学校教育の場にふさわしくないと、担任教師か誰かが判断したのだろう。全員でざっと音読をするのみで、以後授業で触れられることはなかったが、私の心には強く残った。「できないことはできないと認めてもいい」この思いが逆に、新しいことに挑戦する際の恐怖心を薄れさせてくれた。できなければ次に行けばいい、可能性探しは消去法でもいいのだ、と。そして、できないことや諦めることが悪ではないのなら、非凡さでの形勢逆転を図ることは、さして必要ないのかもしれない、とも思えてきた。(とはいえ、あっさり手放せたわけではないのだが。詳細は次回に)何十年も“不可能性の発見”を繰り返し、挫折も散々味わいつつ、「文章を書くこと」が手元に残った。そこからライターが生業になるに至るまでの話は、過日『LITALICO仕事ナビ』に寄稿したのでご覧いただければお分かりになるだろうが、私のトライ&エラーは華々しいものでは全くない。しかし、「やはり、可能性探しは消去法でも悪くない」という実感があるから、私は今後も“不可能性の発見”を続けていくだろう。「自分には才能なんてない」自己肯定感低め人間に贈る”イカダ下り”型キャリア形成のススメ育ちゆく息子に、「凡庸な発達障害者」である私が願うことところで、昨年春に復学した小学4年生の息子だが、近頃また登校したり休んだりを繰り返している。学齢や、本人の成長につれて問題となることも変化しており、壁にぶつかるたびに苦心する息子を、学校の先生方やかかりつけ医の協力を得て、どうにかこうにか私なりに支えている。とはいえ、「できないこと」があったら、まずは方法を変えてみて、それがだめならタイミングを変えてみる。何度試してもだめなら、「できなくても困らない方法」を考える――これらのトライ&エラーのパターンを、私が教えずとも息子が自ら繰り返しており、支えるというよりも「がんばっておるのだな」と眺めている、という表現が正しかろう。彼は自身の経験から、「不可能性の発見」を体得しているのだろう。この先、息子はなにがしか特別な才能を発揮するかもしれないが、もちろん私と同じく、発達障害のある凡庸な人間として生きるのかもしれない。はっきり言って、どっちでもいい。天候ひとつで体調を崩すなどアップダウンを繰り返す私が、彼の見本になれるとは思えない。それでも、「発達障害と特別な才能を併せ持っていなくたって、こんなにヘラヘラ生きている大人もいるんだし、凡庸って悪くないな」なんてことを感じてくれたら嬉しい。反面教師になってしまう可能性もあるが、それでもいい。息子が自分という存在を受容し、肯定できさえすれば。私は息子の存在を、全力で肯定する。
2020年02月07日「障害のない社会」の実現に向けて――児童発達支援・放課後等デイサービスのこれからを考えるLITALICOは「障害のない社会をつくる」というビジョンを掲げ、社会の課題と向き合ってきました。お子さま一人ひとりにとって最適な学び方と環境を提供するLITALICOジュニア、就労移行を支援するLITALICOワークス等の取り組みの中で培ってきた支援の経験と、日本全国で運営されている児童発達支援事業・放課後等デイサービスの素晴らしい取り組みを皆さまとシェアし合うことで、その先にいるお子さまやご家族がいきいきと暮らしていける「障害のない社会」へつなげていきたいと願っています。Upload By 発達ナビ編集部その想いから、LITALICO発達ナビではサイトの運営のみでなく、全国の児発・放デイ等の施設さま向けに、お子さまの支援に活用いただけるさまざまな教材のご提供や、支援スキル向上に役立つ研修、施設運営のサポートなどを行っています。全国の児童発達支援・放課後等デイサービスの運営者が集う「児発・放デイのこれからを考える『全国発達支援フォーラム2020』」を開催LITALICO発達ナビでは、2020年3月7日に、児発・放デイを運営される方向けのフォーラムを行うことになりました。このコラムでは、フォーラムの内容について詳しくご紹介しています。実際に施設経営を担う方々が講師に!実例紹介を交えたさまざまなセミナーを開催Upload By 発達ナビ編集部人材採用・育成、ブランディング、事業拡大、保育所等訪問支援、実地指導などの障害児通所支援事業所の経営に必要な情報・ノウハウを、交流型のセミナー形式で学ぶことができます。セミナー内容・事例紹介1(株式会社ワンセルフ 清水様)- 就労支援施設との接続を意識した発達支援施設のあり方- 地域社会の中での支援のあり方・事例紹介2(株式会社LITALICO 芳賀)- 就労移行支援の現場で感じる発達支援への課題と期待・会場参加者同士での意見交換、登壇者への質疑応答セミナー内容・児発・放デイの現在の開所・運営状況について・開所の各種手続きと連携先・開所前後につまずきやすいポイントと対策・年間収益計画の立て方・開所資金の準備について(資金調達)・FCの施設とは?加入前に知っておきたいこと・児発・放デイそれぞれのサービス設計のコツセミナー内容・事例紹介1(株式会社ダンデライオン 佐野様)- 訪問支援実施前の園、学校との事前の関係性づくり・事例紹介2(NPO法人発達わんぱく会 小田様)- 保育所等訪問支援とは(制度理解)- 実現する上でのハードルと進め方・会場参加者同士での意見交換、登壇者への質疑応答Upload By 発達ナビ編集部お申し込みはこちらの特設サイトから!
2020年02月07日広汎性発達障害の娘の友達関係は...広汎性発達障害の娘(小学3年生)は、小学2年生の時から特別支援学級に在籍しています。現在は、国語と算数以外の時間を交流学級で過ごしています。特別支援学級所属になった当初、私は友達関係のことを心配していました。特別支援学級にいることでからかわれたり、いろんなことで少しずつ配慮されることを「特別扱い」と言われるんじゃないかと不安だったのです。しかし、実際の友達関係は私の想像と違いました。わが家には、幸運なことに娘の友達がよく遊びに来ます。今回は私が見た、娘と友達の様子を紹介したいと思います。言い間違いを優しく訂正。娘はまだまだ「て・に・を・は」や、言葉自体の言い間違い、使い間違いがよくあります。そんな時、娘の友達は…Upload By SAKURA言い間違いをバカにすることなく、優しい口調で教えてくれます。これが娘にも合っているようで、私が言ったら反抗してきそうな指摘を、友達だと素直に聞いていました。そんな関係がありがたく、いつも私はお礼を言っています。勘違いも笑ってくれる。娘は、言い間違いも多いですが、聞き間違いも多いです。知らない言葉もたくさんあるので、他の友達同士が話している会話を聞き間違えて、違う意味で捉えてしまったりすることがあります。Upload By SAKURAそんな時も娘の友達は、笑ってくれます。笑うといってもバカにする感じではなく、その場の和みとして捉えてくれた笑いで、娘の聞き間違いひとつで、みんなが長時間笑っていることもあります。聞き間違いがあって大丈夫、そう思うと安心して見守ることができます。人と違うことをしても受け入れてもらえる。遊びの中でも、周りをみたり、場の空気に合わせて行動を選んだりすることが少し苦手な娘。周りと比べて、突拍子のない選択をしてしまうことがあります。Upload By SAKURAあまりに周りとかけ離れた選択をしても、それはそれとして楽しんでくれる友達。娘の特性や性格をわかってくれているような、その言葉かけに驚いてしまうこともあります。好かれている安心感。親がついつい助け舟を出したい場面もあるのですが、普段から仲良しなこともあって、思ったよりなんとかなっていることもあります。Upload By SAKURA私たちがいろんな面で娘に対して不安に感じることは、友達の中ではもしかしたら大したことないのかもしれないと感じることができました。親としてできることは…社会に出ていく前の人間関係の勉強になる学校生活…。友達とのコミュニケーションは私にとってかなり心配となる部分でしたが、娘は思ったよりも楽しそうにやれているようでした。学校ではどうか…担任の先生に聞いてみても、仲良しグループ内での様子は変わらないようで、他の子たちがうまく娘をカバーし、サポートしてくれるようです。私が娘の友達関係で気を付けていることがいくつかあります。1つは…友達が遊びに来るという提案をなるべく断らないこと。近くで友達との関係性を見たい私にとって友達が来てくれることはありがたいので、友達が「あーさんの家に行きたい!」と言ってくれた時や、娘が「友達連れてきてもいい?」と言った時、私はよろこんで「いいよ」と言うことにしています。もう1つは…お礼を忘れないこと。娘に普段から「友達にお礼を忘れないように」と話すことはもちろんですが、娘が助けてもらった時は、その場で私からも娘の友達にお礼を言うようにしています。「いつもありがとうね」「優しいから嬉しいよ」「助けてくれてありがとう」と言葉にしています。そうすることで、"友達の親"という立場からほんの少しだけ近づくことができています。おかげで、子どもたちの世間話や遊びに誘ってもらえることもあります(笑)いい友達に恵まれていることに感謝しつつ、何か起こった時にはサポートできるよう、引き続き出過ぎず…見守っていきたいと思います。
2020年01月22日新しい年の始まりですね!新年あけましておめでとうございます。昨年は、たくさんコラムを書くことができ、そして皆様に読んでもらえて、とても充実した一年でした。今年も、皆様の心に残るコラムが書けるように頑張りますので、引き続きよろしくお願いします。Upload By SAKURA今年1本目…ということで、お正月のお話をしたいと思います。お正月といえば、いろんな遊びがあります。私も子どもの時、お正月になると外で一日中、お正月ならではの遊びをしていました。Upload By SAKURAお正月の外遊びにチャレンジしたものの…これは、娘が小学生になる前のお正月のこと…。お正月らしい遊びをしてもらおうと、凧とコマを準備し、近所の公園へ行きました。Upload By SAKURA娘に凧があがったところを見せようと、20年以上ぶりに凧をあげる私たち。思った以上に難しく、必死になって高くあげ、娘に持たせましたが…そこまで楽しそうではない娘。凧はすぐ落ちてしまい、娘は「もうやめる」と凧を離してしまいました。それならばと、次はコマ回し。Upload By SAKURA夫は得意になり、娘にコマ回しを披露。手取り足取り回し方を教えましたが、娘がやるとなかなかうまくいかず…数回チャレンジして、「帰る」と言いました。元々、外の遊びがそこまで好きではない娘。その上、難しいと判断したらすぐにやめてしまう性格のため、結局この年で凧もコマも押し入れの奥へ片付けられてしまいました。室内の遊びなら!と思ったけれど…それから時が経ち、小学生になった娘。お正月に従姉妹同士で、かるたやすごろく遊びをしました。これなら室内だし、和気あいあいと進められるのでは?と思いましたが…Upload By SAKURA自分が負けそうになると、泣き始めてしまい、周りに気をつかわせてしまう、重々しい空気に。私がフォローしてみたのですが、結局途中で抜けてしまいました。私は、「お正月遊びには、娘の楽しめる要素がないのか…」と諦めていました。「干支って?」そんな疑問がきっかけで…小学2年生になった娘。12月に入り、「来年の干支はなんだっけ~」と主人と話していると…Upload By SAKURA娘が「干支って何?」と質問してきました。私たちが、干支の説明と、順番について話すと…Upload By SAKURA娘は学校の図書館で干支の本があるか調べ、干支の順番についてかかれた絵本を見つけ、借りて帰ってきました。そして、絵本を広げながら私に干支の順番の理由を説明してくれました。Upload By SAKURA無理に遊ばなくてもいい、好きなことで楽しむお正月。それから娘は、お正月に関する絵本を借りてくるようになりました。Upload By SAKURAそうか…お正月の楽しみ方は人それぞれ。私がお正月遊びが好きだったからといって、娘にも好きになってもらう必要はない。娘がお正月に関する本を借りて来ては読む姿を見て、これでいいんだと思いました。といっても、わが家には、娘とは対照的に外遊びを好む息子もいます。息子が3歳の今年は、凧とコマを押し入れから久しぶりに引っ張り出し、広場に行くことになるでしょう。その時は娘に無理強いせず、主人と相談し、二手に分かれようと思います(笑)Upload By SAKURA
2020年01月08日STEAM教育って何?
子育て楽じゃありません
細川珠生のここなら分かる政治のコト