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発達が気になる子どもにかかわる仕事って?必要な資格や仕事内容、働く人の本音まで知ることができる!2019年1月27日(日)に、発達が気になる子どもにかかわる仕事について「資格要件・仕事内容などの基礎を学べる」「保育士から発達支援にキャリアチェンジした人の本音トークが聞ける」「大手法人と、仕事内容やキャリアに関してフランクに話せる」という、魅力たっぷりのイベント「LITALICO発達ナビしごとフェスタ」を開催します。出典 : イベントでは、関東近郊で児童福祉の事業所を運営する大手法人が個別ブースを出展。気になる法人と仕事内容・働き方・キャリアに関してフランクに話をすることができます。同時に「業界に関する知識がなくて不安」「未経験でも大丈夫?」という声にこたえ、児童福祉分野で働くうえでの基礎知識がわかる「児童福祉の仕事まるわかりセミナー」や、「保育の現場から児童発達支援へ転職した方のトークセッション」といった、どんな方にもきっと役立つプログラムも実施!会場には児童福祉分野に詳しいキャリアアドバイザーによる無料相談コーナーを設けるほか、児童福祉業界での働き方に関心がある方と気軽につながることができる交流会も開催します。現在児童福祉業界(児童発達支援・放課後等デイサービス)で働いている方、保育や教育・福祉の経験を発達支援に活かしてみたい方、児童福祉業界での働き方を知りたい方はぜひこの機会に、話を聞いたり、相談してみたりしてはいかがでしょうか。参加希望の方は、以下の概要を確認のうえ、申し込みフォームからお申し込みください。「LITALICO発達ナビしごとフェスタ」開催概要【日程】1月27日(日)13:00~18:00(開場12:45)※途中参加・途中退場可【会場】fabbit Global Gateway “Otemachi”東京都千代田区大手町2-6-1 朝日生命大手町ビル2階(東京駅・大手町駅直結)明るくお洒落なスペースを貸し切っての開催となります!【参加費】無料参加者全員にQUOカード1000円プレゼント!「LITALICO発達ナビしごとフェスタ」の見どころ紹介発達が気になる子どもの支援事業(児童発達支援・放課後等デイサービス)を運営する大手法人が、支援の特徴や、仕事内容、職場環境等について、説明いたします。アットホームな雰囲気の中、法人の担当者の方とフランクに話すことができます。参加法人(一部抜粋)・有限会社エスエヌ企画(ライズ児童デイサービス)・アース・キッズ株式会社(スタジオそら)・株式会社SKY(みなそら園)・ハッピーテラス株式会社・株式会社LITALICO(LITALICOジュニア)ほかみなさまの知りたいことに合わせた約30分のセミナーを開催いたします。【1】福祉の仕事まるわかりセミナー(13:00~13:30)児童福祉業界について、知識・経験がない方もご安心ください。・発達が気になる子の支援の仕事とは・「児童発達支援」「放課後等デイサービス」とは・指導員のなり方など、わかりやすく解説します。【2】保育の経験を活かして発達支援へ(14:00~14:30)元保育士で、児童福祉業界に転職した方をゲストに迎え、転職理由や、転職前後のギャップ、転職してよかったことなどを話していただきます。「保育・教育の資格や経験を発達支援に活かしたいが、実際のイメージがわかない」「発達障害の子どもへの支援ができるか不安」そんな方必見のトークセッションです。※各回定員30名(先着順)となります。※内容は変更になる可能性がございます。福祉の仕事全般に関する疑問点、転職の不安・悩み等、ぜひ何でもご相談ください。「私でも発達支援の仕事ってできるのかな?」「これまでの経験を活かしてキャリアアップしたいけどどうしたらいいかわからない」そんなあなたの悩み・不安・疑問をスタッフが一緒に解消します。軽食をとりながら、参加事業所の職員の方々とざっくばらんに話したり、他の参加者の皆さまと情報交換したりできます!事業所ブースをまわる中で特に気になった事業所の職員の方に、発達支援の仕事のリアルを聞いてみたり、児童福祉分野に興味のある参加者同士で情報交換してみてはいかがでしょうか。【同時開催】障害のある方の「働く」を支援する仕事についても知ることができる!Upload By 支援のひろば本イベントでは、お子さまへの支援だけでなく、”障害のある方の「働く」を支援する仕事”についても知ることができます。関東近郊で就労支援の課題解決に取り組む大手法人から、具体的な取り組みや働き方について詳しく聞けるブースの設置や、大手企業(GREE(グリー)株式会社)の障害者雇用担当者による「就労支援」の現状や期待を本音で語るトークセッションなども、同じ会場で実施予定。障害がある大人を支援する仕事について興味がある方も、ぜひご参加ください。※障害のある方の「働く」を支援する仕事に関して、どんなことがわかるの?という方は以下ページをご覧ください。以下ページからもイベントのお申し込みが可能です。障害のある方の「働く」を支援する仕事について、LITALICOしごとフェスタでわかること「LITALICO発達ナビしごとフェスタ」は、発達が気になるお子さまへの支援にかかわる仕事はもちろん、障害がある方の「働く」を支援する仕事についても知ることができるイベントです。ぜひご来場ください!【本イベントに関する問い合わせ先】LITALICOキャリア事務局(児童福祉・障害福祉分野に特化した就職支援サービス)info_event@litalico-c.jp
2019年01月10日発達障害と個性はどう違う?私はこれまで、発達障害の当事者やそのご家族の方たちから、こんな質問をよく受けてきました。「発達障害と個性」「自閉スペクトラム症とオタク」「注意欠如・多動症とうっかり屋」…これらはどう違うの?と。私はその違いについて、詳しくは『発達障害生きづらさを抱える少数派の「種族」たち』という本にまとめました。まずは、簡単に発達障害の特性について説明しましょう。発達障害には、自閉スペクトラム症や注意欠如・多動症、学習障害などの種類があります。自閉スペクトラム症には「対人関係が苦手」で「こだわりが強い」という特徴があります。そういう特徴を講演会などで説明すると、話を聞いた方のなかには、「私のまわりにそういう人がいます。こだわりがとても強い人ですが、その人のこだわりは障害というより、個性だと思います。発達障害と個性はどう違うんでしょうか?」と質問をくださったりします。ときにはもっと具体的に「自閉スペクトラム症の人は、個性的な人、たとえばオタクとは、どう違うんですか?」と聞かれることがあります。また、注意欠如・多動症には「不注意」と「多動性・衝動性」の特性があります。「不注意」は「気が散りやすい」に、「不注意」は「うっかり屋」に言い換えができそうです。発達障害は、個性とどう違うのでしょうか?次から、その違いについてご説明していきましょう。Upload By 本田秀夫発達障害と「オタク」の違いって?出典 : ここでは、ゴルフ好きな男性を例に解説しましょう。彼は休日になると、同僚や取引先の人たちとゴルフの練習やコースに出かけて、楽しんでいます。テレビのゴルフ中継やゴルフ雑誌、ゴルフ関係のインターネットを見るのも好きです。ゴルフ好きな友人と食事やお酒を共にして、熱い「ゴルフ」談義をすることも増えてきました。最近では周囲に「ゴルフ好き」として知られ、「接待ゴルフ」にも呼ばれるようになりました。熟練の腕前で、相手に合わせてレベルを調節することも、お手のものです。この方は「ゴルフオタク」と呼んでもけっして間違いではないでしょう。しかし、自閉スペクトラム症の特徴が見られるかというと、それは見られなさそうです。確かにゴルフにある種の「こだわり」を持っているようですが、この方はゴルフ仲間と良好な関係を築いています。「対人関係が苦手」な様子は見られません。じつはこの方のように、ある種のこだわりをもっていても、それを対人関係のなかで柔軟に調整できる場合には、むしろ「対人関係が良好」だったりします。この「対人関係」に着目すると、自閉スペクトラム症の人と「個性的な人」(いわゆる「オタク」)との微妙な違いが浮きぼりになっていきます。自閉スペクトラム症の人は、こだわりと対人関係を天秤にかけたとき、こだわりを優先する傾向があります。対人関係のために、大好きなことの優先順位を下げることには抵抗があるのです。そのため、「対人関係が苦手」で「こだわりが強い」という様子が見られるわけです。しかし、先ほど「微妙な違い」と表現したように、とても微妙な話です。発達障害の特性と個性の間に、境界線はない対人関係やこだわりの調整は「できる」「できない」の2つにはっきりと分けられるものではなく、あいまいなものです。調整できることが多ければ「個性的な人」や「オタク」に近く、調整の難しいことが多ければ自閉スペクトラム症の特徴に近いというふうに考えるのが自然かもしれません。発達障害と個性、自閉スペクトラム症とオタクには、明確な違いはないといってもよさそうです。私は、「個性」や「オタク」、発達障害は地続きのもので、そこには境界線はないと考えています。発達障害の特性がある人の交流スタイル出典 : 私はNPO法人などで、幼児から成人まで、発達障害の方たちの余暇活動を支援しています。そこに集う方たちの活動には、一般的な交流とは違った様子がみられることがあります。たとえば、アニメが好きな人たちの集いでは、みんなで集まってアニメをみたりアニメの話をしたりして、時間になったらそれぞれに帰っていきます。趣味についてはよくしゃべりますが、趣味以外の話や交流は別にしなくてもよいというつき合い方をしているのです。同じアニメを好きな人どうしが、アニメ映画をいっしょに見にいくということはあります。でも、そういう人たちが「今度いっしょにお茶でもしようよ」と誘いあう姿は、あまり見たことがありません。発達障害(とくに自閉スペクトラム症)の特性がある人たちの社交の仕方は、そういうスタイル――微妙な対人関係よりも自分の関心、やり方、ペースの維持を最優先させたいスタイルだとしかいいようがありません。あるとき、自閉スペクトラム症の人から「親友がいる」と言われたことがあります。親友どうしはいっしょに映画を見にいくのですが、映画館までの道すがらは無言だそうです。別におしゃべりをしていなくても仲間なのだから、それでいいのだそうです。一般の人は、映画を誰かといっしょに見にいったとき、相手がまったくしゃべらなかったら、親近感がないように受けとり、相手とよい関係が築けていないと不安になるかもしれません。でも、自閉スペクトラム症の特性がある人は、そのような不安をもたずに仲間と交流しています。そしてこれは,どちらがよいか悪いかという話ではなく、それぞれにスタイルがあるということなのです。もうひとつ、余暇活動のなかで「黒ひげ危機一発」で遊んだときのエピソードを紹介しましょう。「黒ひげ危機一発」というと、一般には「誰が刺したときに、黒ひげが飛び出すだろうか?」というスリルを共有して楽しむゲームです。この「黒ひげ危機一発」を使って、自閉スペクトラム症の子どもたちが、ユニークな遊び方をしていたことがあります。ひとりずつ順番に剣を刺すのではなく、ひとりが剣を刺し続け、人形が飛び出したら次の子に渡すという遊び方です。その子たちが興味をもったのはゲームのしくみであり、ほかの子とスリルを共有することは、二の次だったのでしょう。一般の人からすると、ひとりだけが剣を刺し、まわりではそれぞれ好きなことをしている光景は、楽しそうにみえないかもしれません。でも、子どもたちは「みんなで『黒ひげ危機一発』ゲームをして楽しかった!」と語り合っていました。では、「黒ひげ危機一発」の独特な遊び方をしているときに、ひとりだけ、「ふつうのやり方で遊ぼうよ!」と提案する子がいたとしたら、どうでしょう?そのひとりは、居心地が悪かったかもしれません。通常とは違う遊び方で「黒ひげ危機一発」ゲームを楽しんだからといって、別に「通常のやり方を楽しむ能力の欠損」とはいえません。ましては、能力が劣っているわけでもありません。もしも、楽しみ方に優劣があると考える人がいるとすれば、それは多数派のおごりでしょう。自閉スペクトラム症の人たちの楽しみ方は、ただ少数派というだけです。発達障害の特性を「選好性」としてとらえる少し専門的な話になりますが、私は発達障害の特性を「〜が苦手」という機能の欠損として考えるよりも、「〜よりも〜を優先する」という「選好性の偏り」として考えたほうが、自然なのではないかと思っています。ここでいう「選好性」とは、Aというものではなく、Bというものを選ぼうとする生来の志向性のようなもの。好き嫌いの「嗜好性」ではなく、心が特定の方向に向かうという「志向性」です。たとえば「雑談が苦手」という特性を「雑談よりも内容重視の会話をしたがる」という選好性としてとらえることができます。ほかにも、「対人関係が苦手」という特性を「対人関係よりもこだわりを優先する」、また、注意欠如・多動症の特性を「じっとしていることが苦手だが、それは思い立ったらすぐに行動に移せるという長所でもある」といったとらえ方ができます。発達障害は、少数派の「種族」私は、発達障害の人が向き合う困難は、マイノリティ問題と共通していると考えています。人種や民族、性的志向などの少数派(マイノリティ)といわれる人たちは、偏見や差別の目にさらされることがあります。では、なぜ偏見や差別が生じるのかというと、マイノリティの人たちがマジョリティ(多数派)を知るほどには、マジョリティはマイノリティのことを知らないという現実があるからです。発達障害は、病気というよりも、少数派の「種族」のようなものと考えるべきです。多数派が少数派のことを理解して、お互いに助け合っていくことによって、偏見や差別が少しでも減らせるのではないかと思います。そうすれば、自閉スペクトラム症や注意欠如・多動症の特性があっても「障害」とは言わなくてよい人たちが、今よりも増えていくのではないでしょうか。このコラムによって、少しでも多くの方たちが、発達障害に関心を持ち、理解を示すことにつながれば幸いです。
2018年12月26日『ムーちゃんと手をつないで~自閉症の娘が教えてくれたこと~』自閉症の女の子・「ムーちゃん」こと伊藤睦ちゃんと、その家族の物語を描いたコミックの1巻です。「ほかの子よりちょっと成長が遅いのかな」という思いが「わが子は自閉症かもしれない」となったときの不安やつらさ、それでもムーちゃんを愛さずにはいられない家族の温かい姿が描かれています。両親や祖母らの細やかな感情の描写は、作者のみなと鈴さんも自閉症のある子さんを育てるお母さんだからこそ表現できるものかもしれません。コミックではありますが、知的障害やチック症など、物語の中で出てくるキーワードなどについて、解説してくれる「ムーちゃん通信」のページもあります。ムーちゃんの成長を通して、自閉症について理解を深めながら読むことができます。(発行: 2018/11/25)『発達障害の子の遂行機能「何度言ったらわかるの?」を「できた!」に変える上手な伝え方』発達障害の困りごとには、「遂行機能(実行機能)」が大きく関わっていると言われます。臨床心理士として発達支援に携わってきた本多和子さんが、遂行機能に注目して「なかなか取りかかれない」「取りかかっても終わらない」といった子どもの困難にどう対応したらいいか、サポートの工夫を解説してくれています。遂行機能は、物事を成し遂げるための能力のことです。食事をしたり、歯を磨いたりする作業から、時間内に終わらせるために何からどうやって取りかかるかを考えたりする場面などに関わります。何度言っても、同じことを繰り返してしまう子どもを、怒ってばかりでつらい気持ちになってしまう保護者の方もいるかもしれません。子どもがうまくできない理由や、ちょっとした声掛けのコツなどがわかることは、前向きに親子の時間を過ごせるきっかけになりそうです。(発行: 2018/12/04)知りたいことは立場によってきっと違うから…。一人ひとりの背中を押す『ライブ講義 高山恵子I 特性とともに幸せに生きる』発達障害の当事者であり、ADHDのある人の支援などに取り組むNPO法人えじそんくらぶ代表の高山恵子さんの著書です。高山さんは、心理学・薬学・教育学を学んだ支援者として、全国各地で発達障害の支援について講演しています。この本は、これまでの講演をもとにまとめられました。講演では、当事者、支援者、保護者、パートナーといった立場の人が、診断名にとらわれず、特性の理解と幸せになるために大切なことを見つけるためのお話を意識されているそうです。この本も各章が「親御さんへ」「支援者の人たちへ」などに分かれ、それぞれの人に寄り添う眼差しが反映されています。自分が知りたいことを見つけやすかったり、ほかの人が困っていることに気づいて、課題を共有したりするのにも役立ちそうです。高山さんが具体的にどう考え、何をしたらいいのかを丁寧にアドバイスしてくれています。(発行: 2018/11/21)各地の事例、体験を保護者や事業所・自治体職員が紹介。『療育って何?親子に笑顔を届けて』この本では、専門家が療育について解説するだけではなく、さまざまな立場の人が手記を寄せています。例えば、実際に療育を利用した子の保護者や、支援に携わる理学療法士・作業療法士といった職員たちです。3歳までの親子支援の取り組み、児童発達支援事業と保育所との移行支援、そして就学に向けた支援についても、実際の事例がまとめられています。いずれも現場をよく知る事業所の職員などによって地域の事情も踏まえながら、紹介されているので、自分が住んでいる地域以外のことを知りたいという人の参考になりそうです。これまで行われてきた療育、そして今必要とされている支援、これからについて、それぞれの人たちの思いを知ることができます。支援が必要な子やその家族が地域で安心して生活を送るために、関係者の連携のあり方など考えさせられます。(発行: 2018/11/10)
2018年12月18日夢を語る子ども達Upload By 荒木まち子先輩に触発されたらしい娘が自ら一人暮らしの計画を立てているのはとても嬉しいことです。学生時代は親がグループホームや一人暮らしの話をしても、興味をそれほど示さなかった娘でしたが、どうやら職場の先輩が実家を出た話を聞き、触発されたようです。受動型の娘は、人任せになりがちでした。遊びに行くときも友達に“ついて行く”ことが多く、時間や場所なども周りを頼ることが多くありました。でも一人暮らしをするとなれば、自らが積極的に相談機関などを利用して行動をしていかなければなりません。役所や地域の生活支援センターへは学生時代から何度か足を運んでいるので話はしやすいはずです。「保護者無し」での相談に、どんどんチャレンジしていってほしいと、頼もしく思っています。グループホームにしても、一人暮らしを始めるにしても入居時にはある程度まとまったお金が必要ですし、またその後の継続就労も必要です。何年かかるかはわかりませんが、自らの夢の実現を励みにしながら、楽しく前向きに毎日を過ごしていって欲しいと思っています。ガンバレ、娘!
2018年12月11日割合が多いにもかかわらず、理解されにくい発達障害のケースがある私は精神科医として30年以上、臨床経験の大半を発達障害の診療に費やしてきました。今は、信州大学医学部附属病院にある「子どものこころ診療部」を中心に、乳幼児から成長して大人になった方までたくさんの方たちにお会いしています。ここでは、私の臨床経験から、発達障害と診断された人たちのなかで、割合が多いにもかかわらず十分に理解されずに困っているケースについてお話ししていきたいと思います。まずは、おさらいとして「発達障害」の種類から紹介しましょう。発達障害には、自閉スペクトラム症や注意欠如・多動症(ADHD)、学習障害など、いくつかの種類があります。そして、それぞれに特性があります。たとえば自閉スペクトラム症には「対人関係が苦手」で「こだわりが強い」という特性があり、ADHDには「多動性・衝動性」と「不注意」という特性があります。同じ発達障害でも、種類によって特性は違うわけです。■発達障害の基本的な特性Upload By 本田秀夫発達障害の各論だけでは説明できないことも私は、多くの方に発達障害について知っていただきたくて、これまで、自閉スペクトラム症やADHDについての本を多数出版してきました。ちなみに、自閉スペクトラム症やADHDは、「発達障害」を1本の木にたとえれば、その一部なわけです。しかし、最近、「発達障害の一部」を取り上げるだけでは、発達障害そのものを説明することが難しいし、発達障害を理解していただくのに十分ではない、と考えるようになってきました。そこで、「発達障害」そのものをタイトルにした本『発達障害生きづらさを抱える少数派の「種族」たち』を上梓し、発達障害のなかでも割合が多いにもかかわらず、十分に理解されていない人たちの話をまとめようと思い立ったのです。みなさんには、こんな経験はないでしょうか?本やインターネットなどで「発達障害」の解説を読んでも、その内容が自分や自分の子どもにいまひとつ当てはまらず、結局、発達障害のことがよくわからなくなってしまったというケースです。Upload By 本田秀夫ミスが多くて、コミュニケーションが苦手な人ここで、ある成人女性のケースを紹介しましょう。彼女は、仕事でミスが多く、職場でいつも苦労していました。本人はよく気をつけているつもりですが、見積書の金額を間違えたり、資料作成時に必要なページを飛ばしてしまったりします。ただ、彼女は余計なおしゃべりをせず、一生懸命に作業をするため、真面目な人と評価され、先輩にサポートされて、働いていました。ところが、キャリアを積むうちに仕事の幅が広がり、仕事量が増えると、ミスが目立つようになってきました。彼女は真面目な人でしたが、趣味がなく雑談も苦手で、社交的ではないため、「余計なおしゃべりをしない真面目な人」というよりは、「同僚とうまくコミュニケーションをとれない人」と評価されるようになっていきました。彼女は「このままでは、やっていけないのではないか」と不安を抱いています。Upload By 本田秀夫発達障害の特性が重複して現れるケースこの人が自分の生活や仕事に悩み、発達障害の可能性を考えて本やインターネットなどで解説を読んだ場合、「ミスが多い」という点を、ADHDの「不注意」の特性ではないかと感じるかもしれません。ところが、この人にはADHDの「多動性・衝動性」はあまりみられません。結果として、自分がADHDかどうか、わからなくなりそうです。いっぽう、「雑談が苦手」という点から考えていくと、自閉スペクトラム症の「対人関係が苦手」という特性があるようにも思えます。しかし、自閉スペクトラム症の「こだわりが強い」一面があるかというと、「趣味がない」わけですから、どちらかといえば、彼女は自分の場合、こだわりは弱いと感じています。つまり、この人の場合、自分にはADHDと自閉スペクトラム症、どちらの可能性もあるように感じながらも、どちらの確信ももてないという状態になってしまうわけです。本人は、人よりもミスが多いことや、人に比べて雑談が苦手なことによって苦しんでいます。その背景には、発達障害の可能性が感じられます。しかし、どの障害だと言い切ることができません。発達障害の一般的な解説には、この「発達障害の特性が感じられるけれど、発達障害の診断がつきにくい」タイプのことがあまり書かれていません。しかし、私はこのタイプの人も一定数いるように感じています。先ほどの女性には、ADHDと自閉スペクトラム症が「重複」しているのではないかと考えられます。そのために、ADHDの「不注意」の特性と自閉スペクトラム症の「対人関係が苦手」な特性がどちらもみられるのだと考えると、彼女の悩みを理解しやすくなります。また、彼女の場合、発達の特性に「強弱」の差がみられます。「不注意」と「対人関係が苦手」は強く現れていますが、「多動性・衝動性」と「こだわりが強い」ことは、弱いようです。ただし、本人が「自分には趣味がなく、こだわりは弱い」と感じている場合でも、実際にはこだわりが強いというケースがあります。人は誰でも、自分を基準にしてものごとを考えます。この人にとっては当たり前のことでも、ほかの人がみれば、こだわりとしか考えられないようなことがあるかもしれません。両親でも、わが子の見立てがそれぞれ違うことも次に、発達障害の特性を持つ、こんな男の子のケースを紹介します。その子のお父さんは「うちの子はほかの子にあまり関心を持たないし、こだわりが強いし、自閉スペクトラム症に違いない」と考えていました。いっぽう、お母さんのほうは「うちの子は落ち着きがなくて、いつもバタバタしていて、これはADHDね」と思っていたとします。同じお子さんなのに、お父さんとお母さんで見立てが違うのはなぜでしょう?それは、人は自分を基準にして相手を見るからです。この子のお父さんは、小学校のときの通信簿によく「落ち着きがない」と書かれていたそうです。お父さんからしてみると、自分を基準に考えれば、わが子は問題視するほど「落ち着きがない」ようにはみえないのでしょう。わが子の落ち着きのなさよりも、「対人関係が苦手」「こだわりが強い」という自閉スペクトラム症の側面のほうが浮き彫りになってみえたのです。いっぽう、お母さんは小さい頃から、落ち着きのあるお子さんだったそうです。そんなお母さんからしてみると、わが子はじっとしていられないし、常に関心ごとが移り変わって、十分に「落ち着きがない子」にみえたのでしょう。「自分」を基準にして考えると、同じ子どもの同じ親という立場でも、わが子への見立てが違ってきてしまうのです。この子の場合、医師に相談したところ、「自閉スペクトラム症」という診断を受けたそうです。ただし、「ピュアな自閉スペクトラム症」というよりは、ADHDの「多動性」の重複も考えたほうがいいかもしれません。発達障害の特性があって困っている人たち先にあげた成人女性のケースも、「自閉スペクトラム症」と診断された男の子のケースも、発達障害の特性に重複があって困っている人たちです。そして、 そうした重複例はかなり多いにもかかわらず、適切に理解・対応されていないケースが多くみられるのです。自閉スペクトラム症には、「対人関係が苦手」で「こだわりが強い」という特徴があります。そしてADHDには「うっかりミスが多い」「落ち着きがない」という特徴がみられます。「こだわりが強いこと」と「落ち着きがないこと」は、一見するとまじりあわない特徴です。一見正反対の特徴だからこそ、それらが重複すると、複雑な現れ方をして、十分に理解されなくなってしまうのです。逆にいうと、自閉スペクトラム症やADHDなどの障害特性のうち、どれか1種類だけが存在しているという場合には、非常に理解しやすくなります。なぜかというと、医学書で解説されている内容に近い行動がみられるからです。ピュアな自閉スペクトラム症、ピュアなADHDだったらもしも、先の成人女性が重複例でなかった場合には、どのように行動が変わるか、考えてみましょう。自閉スペクトラム症の単独例だった場合には、「雑談が苦手」というところは変わりませんが「ミスが目立つ」という特徴はみられなくなるでしょう。同僚に「人づき合いは悪いけど、仕事はできる人」という印象をもたれ、職場に適応できるケースも少なくありません。Upload By 本田秀夫いっぽう、ADHDの特性が単独の場合には、「ミスが目立つ」という特徴は残りますが、「雑談が苦手」ではなくなります。そうすると、同僚には「ミスはあるけど、明るくて活動的な人」という印象をもたれ、苦手な面も理解してもらえることがあります。単独例は、発達特性があるわりにはうまくいっているようにみえるかもしれません。Upload By 本田秀夫発達障害の人の悩みを理解し、支援するために、発達障害が「重複」するタイプで、「ちょっと自閉スペクトラム症で、ちょっとADHD」という人もいるのだということを、ぜひ知っておいてください。重複して現れることもある、と知っておくだけでも、発達障害の人の行動や心理を読み解くのに役立ちます。著者:本田秀夫(ほんだ・ひでお)信州大学医学部子どものこころの発達医学教室教授・同附属病院子どものこころ診療部部長、特定非営利活動法人ネスト・ジャパン代表理事。精神科医として30年にわたり発達障害の臨床と研究に従事している。
2018年12月06日【ニュース】売り上げは支援や啓発活動に!LINEスタンプ第二弾「冬ダウン症あってもなくてもスタンプ」発売!Upload By 発達ナビニュース公益財団法人日本ダウン症協会が企画・販売しているLINEスタンプの第二弾が発売開始されました!「あけましておめでとう」「メリークリスマス」など冬に活躍するデザインはもちろん、日常的に使いやすいワードも含め、8種類が登場しました。スタンプの売り上げは、ダウン症のある人やその家族の支援、ダウン症の啓発活動などにあてられます。40種類と豊富なデザインのある第一弾もあわせてチェックしてみてくださいね。【名称】冬ダウン症あってもなくてもスタンプbyJDS【種類】8種類【価格】120円※LINE STOREのページに遷移します公益財団法人 日本ダウン症協会【ニュース】平成30年度「障害者週間」みんなでつくる共生社会〜共に生き、共に考える、明日を〜Upload By 発達ナビニュース毎年12月3日から9日までの1週間は、政府が定める「障害者週間」です。全国各地で、障害のある人の自立と社会参加の支援などに関する活動をはじめ、いろいろな行事や啓発活動が行われています。東京都で開かれる連続セミナーでは、さまざまな障害の支援に関わる8団体が参加し、学習や就労、街づくりなど多彩なテーマのセミナーが開催されます。この機会に、改めて誰もが暮らしやすい社会について考えてみませんか?■「障害者週間」作品展全国から募集し、推薦された「障害者週間のポスター」の原画などを展示【日時】2018年12月3日(月)〜9日(日) 10:00〜18:00【場所】有楽町駅前地下広場(東京都千代田区有楽町2丁目7番1号先)【入場】無料■「障害者週間」連続セミナー2日間の日程で、関係団体がセミナーを開催【日時】2018年12月6日(木)〜9日(日) 両日9:30〜18:20【場所】有楽町朝日スクエア(東京都千代田区有楽町2丁目5−1 有楽町マリオン11F)【参加費】無料【定員】各100人【問い合わせ・申込み】各主催団体へ【内容】・12月6日(木)特定非営利活動法人カラーユニバーサルデザイン機構「見逃されてきた色覚障害者への社会の対応〜わかりやすいはずの色使いが混乱や危険を誘発する〜」独立行政法人国立特別支援教育総合研究所「障害のある子供の教育〜特別支援教育に関するQ&A紹介〜」公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会「読み書き障害児の教育支援〜デジタル教科書(デイジー教科書)の取組と今後の課題〜」特定非営利活動法人全国言友会連絡協議会「吃音とは〜『発達障害者支援施策』&『当事者研究』から〜」・12月7日(金)全国手をつなぐ育成会連合会「命について」結婚、出産、医療を通して、障害者の人生を考える独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構「発達障害の雇用を促進するために〜雇用事例から学ぶ職場定着に向けた支援のポイント〜」社会福祉法人日本身体障害者団体連合会「ユニバーサルデザインの街づくりを考える〜好事例からみる街づくりの展望と期待〜」一般社団法人日本発達障害ネットワーク「クワイエットアワープロジェクト中間とりまとめ報告〜発達障害を手掛かりとして音環境について考える〜」※内閣府のページに遷移します【イベント】公開シンポジウム「子どもの親になること ダウン症のある子どもの父親から~子育てに関するメッセージ~」(東京都)Upload By 発達ナビニュースダウン症のある子を育てるお父さんたちのメッセージから子育てについて考えるシンポジウムが開かれます!第一部は専門家の視点から学ぶことができる父親と母親の違いに関する講演、第二部は実際にダウン症のお子さんがいる父親の講演・パネルディスカッションが予定されています。第二部で登壇されるのは、イケメンタレントあべけん太さんのお父様、出生前診断でわが子にダウン症があることがわかった方、「きょうだい児」のいる方、特別養子縁組された方の4人で、それぞれ異なる立場から「父親」についてのお話をきけそうです。【日時】2018年12月22日(土)13:00〜17:00【場所】お茶の⽔⼥⼦⼤学 ⼤学本館 3階306室(東京都⽂京区⼤塚2-1-1)【対象】どなたでも参加可能【参加費】無料【内容】第一部:「父親と母親の違いってなに?〜専門家の視点から〜」「生命倫理学からみた父親・母親」国立国際医療研究センター上級研究員高島響子先生「夫婦葛藤の心理学」山梨大学准教授・臨床心理士川島亜紀子先生第二部:「父親ってなに?〜ダウン症のある子どもの父親の視点から〜」幼児期、学童期、成人期のダウン症のお子さんがいるお父さん4人による講演。「パネルディスカッション」ダウン症のあるお子さんのお父さんたちがパネリストを務めて、「父親」をテーマにディスカッションをします。お茶の水大学大学院遺伝カウンセリング領域の三宅秀彦教授(臨床遺伝専門医)もコメントします。【お問い合わせ】Eメール: ocha.symposium1@gmail.com【申込み】2018年12月18日(火)までに事前登録をしてください。*お茶の水女子大学の申し込みフォーム(Formzuのページ)に遷移します公開シンポジウム「子どもの親になること」を開催します(12月22日(土)) | お茶の水女子大学
2018年12月05日発達障害と不眠の関係発達障害のある子どもの多くは、睡眠に何らかの問題を経験する場合が多いと言われています。不眠に悩む場合は、その原因として、感覚の過敏さなどの特性、睡眠リズムのシステムづくりに問題がある、感覚統合の未熟さによる不安感、うつなどの二次障害などが考えられます。自閉症やADHDなど、発達障害と診断された人は高い確率で睡眠の問題が起こります。特に乳幼児期には、寝つきが悪かったり、ちょっとの音で目を覚ましてしまい、途中で目を覚ますとなかなか寝ないなど、年齢相応の睡眠リズムが確立しにくい傾向が顕著にみられることも知られています。(『睡眠障害の子どもたち』大川匡子編著合同出版刊p49より)・気持ちの切り替えが困難こだわりや過集中などの特性により、寝る前にやっていたことからなかなか睡眠へと切り替えることが難しい場合があります。・感覚の過敏さ音や光などに対する感覚が過敏なため、覚醒しやすいといわれています。・セロトニン・メラトニンなど睡眠に関連するホルモンの不足発達障害がある人は、メラトニンの量や、セロトニン・メラトニンといったホルモンの元となるトリプトファンの量が、極端に多すぎたり少なすぎたりするのではないかと考えられています。体内時計をコントロールする、これらのホルモンの不足があると、不眠や概日リズム睡眠障害になりやすくなると考えられています。参考:メラトニン | 厚生労働省参考:セロトニン | 厚生労働省参考:概日リズム睡眠障害 |厚生労働省参考:生体機能リズムの発達と自閉症 | 第11回 日本小児耳鼻咽喉科学会総会・学術講演会また、感覚統合が未熟で、自分の身体の位置や動き、力の入れ具合を感じる感覚である「固有覚」などが十分に発達していないと、自分のボディイメージがつきづらく、コントロールもうまくできません。そのために不安感があり、不眠の原因になるのではないかと言われています。発達障害の二次障害であるうつなどを発症することで、不眠につながる場合もあります。上記をはじめとして、発達障害がある子どもの不眠には、いくつかの原因が考えられています。家庭でできる不眠の対処法早寝早起き、朝食をしっかりとる、昼寝させ過ぎない、日中体を動かす、夕飯やお風呂の時間を見直すなど、まずは生活リズムを整えてみましょう。特性などによって、睡眠への切り替えが難しい場合は、入眠儀式をつくることでスムーズに眠れるようになる場合もあります。寝る前に着替えて歯を磨く、絵本を読むなどの決まりごとをつくります。毎日同じ習慣や手順で眠りにつくことで、寝るモードに気持ちが変わりやすくなります。親子のスキンシップにもなるマッサージを、入眠儀式として取り入れてみるのもよいかもしれません。子どもがどんなことをすると眠りやすいか探しながら、合うものがあれば毎日繰り返して「入眠儀式」にしていきましょう。どうしても寝つきが悪い時には無理に寝かせようとせず、思い切って起きるという方法もあります。一度部屋を明るくして布団の外に出てみたり、音楽をかけてみましょう。眠れないことで不安になり、寝ようと意識しすぎるとかえって興奮してしまい眠れなくなってしまう場合もあるからです。寝室の環境も睡眠に影響します。落ち着いて眠りにつける空間づくりと、朝起きやすくなる工夫をしましょう。ベッドは日当たりのよい場所に置きましょう。遮光性のあるカーテンをして、朝決まった時間に開け、起床時に日光を浴びるようにします。インテリアは、淡い青や黄色、アースカラーなどの穏やかで落ち着いた色を選びましょう。不安を感じやすい場合や光に敏感な場合は、天井から布などを吊って高さを抑えた空間にしたり、照明を和らげたりもできます。眠る時間には静かな環境をつくってあげましょう。また、発達障害がある子どもの中には、感覚統合が未熟なためボディイメージの弱さが不安感につながっている場合があります。そのような場合には、以下に挙げられているような、重みのある寝具や、ぴったりと体に添う寝具などを取り入れると、安心して眠れるようになる場合もあります。本研究において使用されたチェーンブランケットは睡眠に対して主観的にも客観的にも肯定的な影響を及ぼした。触覚と固有受容覚の入力の増進により、重みのあるブランケットは不眠症を減少させる上で、助けとなるかも知れない。チェーンブランケットは睡眠の質を改善させるための革新的な非薬理学的方法であり、また薬理学的方法を補完するツールとなる可能性がある。「重い(重みのある)ブランケットが不眠症の人の睡眠に与える肯定的な影響」ヨーテボリ大学・サールグレン・アカデミー・臨床神経科学・生理学、 SDSクリニック(ヨーテボリ)、リンシェーピング大学 臨床実験医療(スウェーデン)より引用家庭での対処が難しいときの相談先生活リズムの改善や、環境調整、寝具の工夫などでも不眠が解消しない場合は、家族だけで抱え込まずに、かかりつけの小児科や地域の保健センターに相談しましょう。専門的な治療が必要な場合は、専門機関や対処を教えてくれるでしょう。医療機関では、不眠の原因の確認を行い、必要に応じて治療が行われます。医療機関で行われる代表的な治療法には、次のようなものがあります。子どもの睡眠障害は、保護者の生活習慣の影響を受けやすいため、家庭の生活習慣の見直しや、子どもがうまく眠れないときのかかわり方などについての指導など、行動療法的なアプローチが有効です。そこで、保護者の睡眠に関する知識を正し、睡眠環境や生活リズムを整えることで適切な睡眠が得られるようにします。睡眠リズムを記録する睡眠表をつけることもあります。子どもの薬物治療については、医師による治療方針やケースにもよりますが、生体リズムの改善のため、メラトニンやドーパミンを薬で調整する治療法があります。また、緊張や不安が原因の場合、それを和らげるための薬が処方されることもあります。薬物治療を行う際には主治医と相談の上、用法や用量を守って進めることが重要です。朝に強い光を浴びることで体内時計がリセットされる仕組みを使い、朝、身体の中心部の体温が上昇し始める時間に、人工的につくった明るい光を浴びる治療法です。参考: 概日リズム睡眠障害と光療法 | 文部科学省参考:小児神経科医のいる病院一覧 | 日本小児神経学会不眠の際に活用できる商品なども出ています。不眠の原因によっても対処法は異なってきますが、まずはご家庭でできることを試し、それでも改善が難しいようであれば、早めに相談機関につながるようにしましょう。
2018年12月03日発達障害の娘、社会人になって6カ月が経ち…Upload By 荒木まち子発達障害の娘には、忘れっぽい、先の見通しが立たないと不安になる、手先が不器用などの特性があります。日々の生活していく上での困り感を減らすため、娘は小学校の時から家庭でスケジュールボードやタイマーなどを使っていました。また、高校生になると生理周期のアプリなども使って体調管理をしていましたが、社会人になってからはそれらを使っていませんでした。子どもが自ら片付けや身支度をするようになる方法~スケジュールボードをつくろう!~不調の原因がわからず不安になる娘社会人は学生のように宿題もテストもなく、生活態度を指導する”先生”もいません。自由に使えるお金が増えたことで、娘は趣味に費やす時間が増えました。働く上で趣味や余暇の時間はとても大切ですが、娘は上手く時間配分できず、寝不足気味になることもしばしばありました。また気候が不安定な時や生理前に、体調不良は顕著に表れていました。それだけが原因ではないとしても、体調が悪くなるのは「どんな時か」「何をした時」「どのような症状なのか」などを記録し視覚化することは自分を知る為にとても大切な事です。でも、タイマーやスケジュールボードの使用や体調管理表を付けることをやめていた彼女がそのことを知る由もなく、原因がわからないことで娘は不安をさらに強めていました。そこで冒頭の漫画の会話となったわけです。一方通行のサポートにならないためには私は娘が「今までのサポートや工夫は娘自身の自分の困り感を減らすためではなく、周りの人が娘を管理するために行っている」と感じていたことに驚きました。子どもに障害があると親や支援者は当然のようにサポートをしがちです。でも時には「なぜそのサポートが必要なのか」を本人に分かりやすく説明し、本人の自覚を促すことも必要なのだと気づかされました。成長に合わせて振り返りと見直しが必要成長と共に不要になるサポートや工夫も当然あります。それはとても嬉しいことです。でも継続して必要と思われることは、本人の成長に合わせて見直しながら、本人が“窮屈”“面倒”と感じないような工夫をしていくことも大切なのだとつくづく感じました。
2018年11月29日ときには3時間も。食事に時間がかかる娘娘は昔から食事に時間がかかる子でした。少しだけ食べては席を立ち、しばらく遊んだりトイレに行ってからまた少し食べるというのを繰り返し、ひどいときには3時間くらいかけて食べていたのです。叱ってみたり、保育園の先生のアドバイスに従ってみたりと、いろいろ試してみたのですがどうしても治りませんでした。16歳になった今では、ヘルパーさんがつくり置いてくれるおかずを、親子それぞれ自分のタイミングで食べるという生活に落ち着いています。娘は冷凍食品や自分で作ったものを食べることもあります。配膳を自分でするわけですから、自分が食べたいものを食べられる量だけよそっているはずですが、今でも食事を中断してパソコンに向かったり、トイレにこもったりする行動は変わりません。どうしてなのか?ふとした会話の中で、その答えを本人の口から聞くことができ、私は自分の考えの至らなさを思い知らされることとなりました。周りのアドバイスで親子ともにつらかった幼児・小学生の頃娘が3歳くらいの時のことです。娘の食事の様子について保育園の先生に相談したら、「お母さん、そんな食べ方を許していたらダメですよ。少しずつよそって、30分たったら片づけてしまって下さい!」ときつい口調で言われてしまいました。ちょっと悲しくなりながらも実践してみたのですが、娘の食べ方は変わらず、後からお腹が空いたとグズグズいうことが続きました。しつけのためだけに毎日何時間も時間をかけるのは私の精神が削られたので、1週間もしないうちにギブアップ。「お腹が空いた」とぐずる娘を見るのがつらかったということも大きかったですね。「私が甘すぎるからダメなのか?」と悩む日々が続きました。小学生になってからは、お盆やお正月に実家で家族が集まって食事するときに、私の弟(娘にとっては叔父)に「お前の食事態度はふざけている!」と怒られて、よけいに食事が喉を通らなくなってしまうことも。そのせいで実家で会食することを嫌がるようになり、高校生になった今でも私の弟とは顔を合わせようとしなくなりました。祖父母にも食事中に何度も席を立って戻らないことはいい顔をされず、「どうしてなのかねぇ」と困惑されていました。私も含め、娘に発達障害の診断がつく小学4年生になるまでは、誰も娘の食事がスムーズにいかない理由を理解できずにいたのです。感覚過敏やこだわりのせいだと思っていた娘が発達障害とわかってからは、感覚過敏やこだわりのせいかと思うようになりました。娘はご飯の食感にとてもこだわりがあり、よそったご飯は「すぐ」食べてしまわなければ気が済みません。冷めたご飯やおにぎり、冷凍ごはんを解凍したものも嫌がり、出来合いのお総菜も「変な味がする」と言い、食べないのです。今でもそれは基本的には変わっていません。だから家ではよそいたてのごはんと主菜だけ食べていったん食事を終えます。そしてしばらくたってからおやつ感覚で副菜を食べるのです。それが、食事に時間がかかる一因にはなっていると私は考えています。でも、原因はそれだけではありませんでした。鍵は"胃腸"にあった!16歳になった娘の口から語られた真実ある日、私が糖尿病の食事指導の一つとしてよく噛むように言われていることを話しているうちに、「あなたは昔から食事に時間をかけすぎると言われていたんだよね」という話題になりました。すると娘は、「私は一度に食べたらお腹が一杯になって苦しくなるねん。そんな状態で食卓に座り続けているのがつらいからパソコンしたりして気を紛らわせているだけど。小さなころのことは覚えてないなぁ」と言ったのです。保育園の頃「30分たったら食事を下げてください」と先生に言われた話をすると、「食事を始めるとすぐに便が出そうになってトイレにこもってしまうんだけど、ママはそんな時に戻ったら食事を下げられていたらどう思う?悲しいやろ?」と言っていました。「でも、給食はちゃんと食べられていたよね?どうして?」と聞くと、「あの頃はなぜか適応できていたんだよなぁ。どうしてかは自分ではわからないけど」とのこと。そういえば小学校の給食試食会で娘のクラスの給食風景を見たのですが、いただきますの前に「減らしてほしい人は来てください」と先生が声を掛け、みんなぞろぞろと配膳のところに並んで食べきれない分を自分で戻しているのです。これにはびっくりしたとともに、「何ていい時代になったんだ」と感動すら覚えました。そういう配慮もよかったのかもしれません。心と胃腸は結びついている思い出してみると、娘は小さなころから排便に難がある子でした。おむつは小は3歳になってすぐに取れましたが、大は5つ近くになるまではいたままでしかできない。おむつがとれても、絵本を読みながら私がトイレのそばにいないと出ない。外出先では個室に一緒に入って物語を語ってやるか、歌を歌ってあげないと出ない。ショッピングセンターのトイレや駅のトイレで歌ったこともありました。小学校に上がってからも、小1のとき先生に「先生、私、本を読みながらじゃないとうんちできない」と自分で訴え、特別に服に隠して本を持ち込ませてもらっていたようです。小学2年生で担任が変わってからは、その配慮を受けられなかったのかも知れないと思って本人に聞いてみたのですが、覚えてないと言われてしまいました。ひょっとしたら、それも不登校の理由の一つなのかもしれないと思ったのですが…。彼女の心は胃腸と常に結びついていて、今も腹痛を安定剤と胃腸科の薬とを使いこなしながらコントロールしています。どちらが効くかは本人にはわかるそうで。それでも、映画に行ったときは両方飲んで真っ青になりながら鑑賞してました。外出用のカバンにはいつもあらゆる薬が入っています。ちなみに娘が通う通信制サポート校の先生も「うちの生徒たちは腹痛持ちの子がすごく多いです」と仰ってました。心のSOSは真っ先に身体に出るもので、特に胃腸にくることが多いように思います。先生の言葉には大きく頷かされるものがありました。最後に私は娘に発達障害の診断がついた時点で思考停止して、「ああ全部発達障害のせいだったのか」と考えてしまっていたように思います。子どもの困った行動は「子どもの困っている気持ち」を表現していることが多いと気づきだしたのは最近のことです。今回のことも発達障害という切り口からだけでは見えてこないこともあると思うのです。確かに根底には発達の凸凹があるのかもしれません。だけど、本人が生まれついた体質や気質、それからきた困り感に周りがどう応えてきたのか、必要な配慮は受けられたのか、ということの方が大切なのではないでしょうか。原因は一つとは限らないし、その時分かるとは限りません。親だって判断を誤ることもあるでしょう。だけど、「まずは目の前の子どもの困り感を減らしてあげること」を一番に考えてあげたいと思いました。
2018年11月27日「発達障害とは何か」 を考えるスペシャル番組ここ数年、発達障害について取り上げるテレビや書籍、ネットニュースなどが増えました。LITALICO発達ナビのユーザーの中にも、認知度が上がってきたと感じている人もいるでしょう。ですが、当事者が身近にいない人にとっては、発達障害という言葉を聞いたことがあっても「発達障害とは実際のところどういうものか?」よくわからないのかもしれません。NHKでは11月から「発達障害って何だろう」をテーマにしたキャンペーンを行っています。今まで関心のなかった人にも届くよう、さまざまな角度で発達障害について取り上げています。約20の発達障害に関連する番組が集中的に放送される中で、24日(土)には「発達障害って何だろうスペシャル」が放送されます。出演者は各界で活躍する発達障害の当事者Upload By 発達ナビニュース出演者は各界で活躍する発達障害の当事者の皆さん。エッセイストの小島慶子さんは、今年、軽度のADHD(注意欠如・多動症)があると診断されました。落語家の柳家花緑さんは、子どもの頃から読み書きに苦手があり、40歳を過ぎてからLD(学習障害)の特性を指摘されました。11月からスタートした2分アニメシリーズ「ふつうってなんだろう?」でも自身の経験を紹介してくれています。『透明なゆりかご』などの作品で知られる漫画家の沖田×華(ばっか)さんは、小学生のころにLDとADHD、中学生のころにアスペルガー症候群(現・自閉スペクトラム症)の診断を受けました。日常生活での経験を漫画で描いています。それぞれのプライベートに密着し、自身の「苦手」とどう向き合い、どう折り合いをつけているのか、たっぷり語っていただきます。また、LITALICO発達ナビでもコラムを執筆している吉川徹先生も出演されます!「周囲の人は何ができるのか」工夫を紹介する発達障害は外見からは見えにくく、周りから理解されづらいと言われています。発達障害の特性から、周囲の人と軋轢を感じ、困りごとを抱えてしまうこともあります。発達障害のある人自身、自分の特性を理解してソーシャルスキルトレーニングをしたり、トラブルにならないよう困りごとを減らす対処法を行ったりしている人もいます。また、本人の努力だけでは解決しない時、環境調整をしたり、周りの人のサポートを受けることで、うまくいく場合があると言われています。ですが、実際に何ができるのか、どうしたらサポートできるのか、周囲の人にとってはよくわからず、戸惑うこともあるでしょう。番組では発達障害のある人を多く雇用している企業の工夫もご紹介します。「周囲の人は何ができるのか」を考えるためのヒントがあるかもしれません。一緒に考えることで、サポートの輪が広がるUpload By 発達ナビニューステレビ番組は広く多くの人に届けることのできるメディアです。発達障害は自分とは遠い、関わりのないことだと感じている人にも、見てもらいやすいと言えるでしょう。また、映像で、当事者の方のリアルなケースを紹介することで、イメージしやすく理解を助けてくれるはずです。発達障害のある人がどんな風に暮らし、どんなことに悩んでいるのかを知る良い機会として、多くの方が、「発達障害って何だろうスペシャル」を見たならば。学校のママ友、電車でたまたま乗り合わせた乗客同士、よく行く商店街のお店の人…。地域で暮らしている多くの人たちが、発達障害について知っていたら、当事者にとっても心強いのではないでしょうか?発達障害のある人や、周りで暮らす人がどうしたら生きやすくなるのか、できることは何か。ぜひ、周りの人と番組を見て、一緒に考え、対話するきっかけにしませんか。・「発達障害って何だろうスペシャル」(NHK総合)2018年11月24日(土)21:00~21:49・出演者【司会】千原ジュニア、南沢奈央、塚原愛アナウンサー【ゲスト】小島慶子、柳家花緑、沖田×華【専門家】吉川徹発達障害って何だろうスペシャル【キャンペーン】発達障害って何だろう
2018年11月22日発達障害がある10代対象のイベントを開催!先日、生きづらさを抱える10代への企画「#withyou」を展開する朝日新聞withnewsとの共催で、発達障害のある10代向けにトークイベントを実施しました。中高生には10代ならではの悩みがありますが、発達障害がある場合、その特性ゆえの悩みやしんどさを、なかなか周囲の友達や保護者と共有できないことも。そこで、同じく発達障害がある「センパイ」たちからのメッセージを、今を生きる10代に伝えよう、という趣旨から、今回のイベントが企画されました。今回は、自分の個性を活かしてそれぞれに活躍する発達障害当事者3名をゲストにお招きし、語っていただきました。会場には、約50名の10代当事者やその保護者が参加、また、Youtubeでのリアルタイム配信では120名以上の方々にご視聴いただきました。熱のこもったイベント当時の様子をレポートします!イベント「10代のハッタツトーク!センパイ当事者3人の『ワタシ』的生き方」当日の動画(YouTube)連載:「できる」を広げる 発達障害を自分らしく(withnews)「苦手」を受け止めてくれる人がそばにいるUpload By 発達ナビ編集部Ayanoさんは、子どもの頃からコミュニケーションに困難を感じていました。「相手の言葉の真意もわからないし、主語が抜けると、そもそも何の話をしていたのかわからなくなってしまう。他意のない表現で相手をひどく傷つけて、自分も傷ついてしまって。自分自身では誰よりも人の気持ちに敏感なつもりだったのに、仲良くなった人もいつの間にか離れていってしまいました」小5から不登校になったAyanoさん。中学校は入学式だけしか参加できず、高校は通信制に通いましたが途中でやはり不登校に。18歳になったAyanoさんは、アスペルガー症候群を取り上げたテレビ番組を目にして、お母さんに「私もアスペルガーかもしれない」と言うも「障害なんてない」と一蹴され、病院に行きたい旨を伝えることができなくなりました。そんなAyanoさんがアスペルガー症候群とADHD(注意欠陥・多動性障害)と診断されたのは2017年の3月、彼女が28歳のときのことでした。「言葉でのコミュニケーションが苦手」とはっきりわかったことにショックはなく、むしろ大きな転機になったといいます。「障害をフラットに語れる相手がいなかったので、ブログを作って発信を始め、発達障害のある人たちとの当事者会を主催するようになりました。いろいろな人と語り合うことで、悩みを共有できたり、安心感を与え合えることを知ったんです。身体と心を傷つけてまで仕事を続けるよりも、発信や表現の道に生きてみようと素直に思えたので、勤めていた会社は今年の1月に退社、発信を通じて知り合った人からプロポーズを受け3月に結婚と、人生も大きく変わりました」彼女の得意も苦手もそのまま受け止めてくれるパートナーが身近にいることで、安心してYouTubeなどを使った発信活動や、もともと好きだったダンスや絵に打ち込めるようになったとAyanoさんは語ります。この後のトークでも「できないこと」ではなく「できること」でどうやって社会とつながるかが、大きなテーマとなっていきました。「空気読めないね」と言われて…発達障害の私が顔出しできる理由さんのYoutubeチャンネル凹凸の「凸」だけで生きたっていいUpload By 発達ナビ編集部「この会場まで来るの、疲れたでしょ?」参加者へのこんな語りかけから、池田誠さんのトークは始まりました。現在41歳の池田さんは2年前に仕事での過労がたたってうつ病になり、受診した病院で医師からADHDと診断されました。それまでまったく自覚はなかったそうですが、診断を受けて思い返してみると、小学校のときの池田さんの机はいつも教壇の横で、中はプリントでぐちゃぐちゃ。大人になっても「空気が読めない」「言われたことを忘れる」など、周囲から指摘され続けてきたことが、診断を受けたことで一本の線につながったと言います。池田さんは現在、医療系の企業経営に携わりながら、発達障害当事者を支援するNPOを立ち上げ、代表を務めています。団体の理念は、国連で「障害者権利条約」が締結される際の合言葉になった“Nothing About Us Without Us”(私たちのことを私たち抜きに決めないで)。そんな池田さんが「疲れたでしょ?」と問いかけた真意はどこにあったのでしょうか。「毎日、すごく疲れるよね。でもどうしてなんだろう?僕らは凸凹が多い人間だけど、社会は凹の側しか見てくれない。凸の部分への支援が全然ないんだ。でも本当は、凹の部分ではなく凸の部分をどんどん発揮していければこんなに疲れなくてすむし、どの部分で生きていくかは自分たちで決めていいんだよね」この「疲れるよね」という言葉に、Ayanoさんが「感動して泣きそうになった」と応えた姿も印象的でした。凹を埋めようとして疲れ切ってしまうのではなく、凸を発揮するために、当事者とその周囲はどうすれば良いのでしょうか。ここで、3人目のゲスト、岩野響さんのお話へと移ります。「得意だけでも武器だ」大人になって発達障害と知った男性から君へ「小さな成功」を積み重ねるUpload By 発達ナビ編集部15歳でコーヒー屋さん「HORIZON LABO(ホライズンラボ)」を開業した岩野響さんは、小さい頃から研ぎ澄まされた味覚と嗅覚の持ち主でしたが、その反面、教室ではじっとしていられない、黒板に書かれたことをノートに書き写すことができない、そんな子どもでした。 LABO「自分ではできると思っているのに、やってみるとほかの子が当たり前にできることができない。その繰り返しで八方塞がりになっていました」ノートが取れない響さんに、担任の先生は「友だちのノートをコピーさせてもらって貼ればいんじゃない?」と提案します。親の応援だけでは足りず、友だちの手まで借りなければいけない。ショックを受けた響さんは次第にうつ傾向を示すようになり、10歳のときにアスペルガー症候群と診断されました。中学に入学し学校生活に苦しむ響さんに、お父さんが「もう学校に行かなくていいよ」と声をかけ、響さんは不登校の道を選びます。ご両親は何も強制はせず、響さんがやりたいことをするためのサポートに徹してくれたといいます。「自分は何もできないし、どうやって生きていけばいいんだろうとすごく苦しかった。でも自分のできることってなんだろう。お皿一枚洗うことから始めて、家事をするようになりました。お皿一枚でも、何かの役に立てるし人と交流することができる。今振り返れば、ささいな成功を繰り返し積むことで自信が芽生え、徐々に自分の好きなものが見つかり、打ち込めるようになったんだと思います」皿洗いから始まり家族の夕食を作るようになった響さんは、気がつけばタイカレー作りにはまっていました。毎晩タイカレーを食べさせられる日々が1か月以上も続いたときは家族もさすがに音を上げたそうですが、カレーの隠し味にコーヒーを入れたことから、響さんはしだいにコーヒーに没頭していきます。そしてある人との出会いからコーヒー焙煎を始め、自宅内に「HORIZON LABO」を開店します。とはいえ響さんもご両親も、ほかに好きなことが見つかったらコーヒー屋でなくなっても構わないと思っているそうです。実際に現在の響さんは写真を撮ったり、洋服を作ったりと興味あることにはどんどん挑戦しています。凸のタネを「どうせできない」と簡単に捨てるのではなく、軽い気持ちで育ててみることも、「疲れる」生き方から脱けだす一つの道なのかも知れません。歳コーヒー焙煎士として生きる「できない」が多かった中学時代たった一つの答えがないからこそ、語り合うUpload By 発達ナビ編集部実は、イベントに対する感想や質問は、「#ハッタツトーク」のハッシュタグをつけTwitterで投稿を呼びかけていました。3人のトークが熱を帯びていくなか、会場の参加者から「もっと10代どうしで語り合えると思っていた」というツイートが発せられて、急遽10代と保護者に分かれての、それぞれが車座になって語り合うセッションが始まりました。登壇者たちはその輪には入らず、テーマを投げかけることもしません。10代グループが気恥ずかしそうにしていたのは最初だけ、あっという間にそれぞれが自分の経験や思いを語りだします。保護者グループも教育や子どもとの接し方について、率直に話し合っていました。保護者グループのお母さんから10代グループにこんな質問がありました。「ADHDの子どもが中学で授業についていけなくなってしまい、診断を受けたらLD(学習障害)だと言われました。成績が急に落ちて、ノートを見せてもらったら真っ白だったのでわかったんですが、本人は『大丈夫』としか言いません。もしうちの子の気持ちがわかれば教えてもらえませんか?」10代グループからは「僕もなぜか勉強する気が起きない」「私も中学になったら授業中に突然眠ってしまうようになって、ノートが取れなくなった」など、体験に基づいた声が挙がりました。そのなかで、「なんで勉強をさせたいんですか?」とお母さんが逆に質問を受ける場面もありました。「勉強だけでなく人間関係を体験する意味でも、高校までは最低限行ってほしい」というお母さんの答えには、生きていく上での「凹」をなるべく減らしてあげたいと願う親心が滲んでいました。質疑応答だけでなくイベント全体を通して、結論を導き出すことよりもまずは話し合うことを大事にしようという暗黙の了解があった気がします。イベントのスポンサー紹介今回のイベントには、以下の企業の皆さまにご協賛いただきました。それぞれの企業のサービスをご紹介します!◆株式会社リクルートマーケティングパートナーズUpload By 発達ナビ編集部5教科4万本の授業動画が月額980円(税抜)で見放題の「スタディサプリ」。発達に凸凹があるお子さまに嬉しいポイントが、前の学年の戻り学習も、上の学年の先取り学習も自由自在なこと。ご自宅のパソコンやスマホで好きな時間に好きな分だけ利用でききます。分かりやすくて面白い、一流の先生による「神授業」を試してみては?◆イー・エフ・エデュケーション・ファースト・ジャパン株式会社Upload By 発達ナビ編集部世界50拠点以上で語学学校を運営する他、高校交換留学、大学留学を提供するEF。EFでは英語で自分を表現する姿勢を尊重し、間違えることはむしろ歓迎されます。発達障害への理解や合理的配慮の制度が進んでいる国際環境だからこそ、伸び伸びと個性が育めるかもしれません。親子で参加できるプログラムも!ご相談(無料)はお気軽にどうぞ。◆株式会社AXTUpload By 発達ナビ編集部「個別指導のコーチング1」は発達障害・グレーゾーン専門の個別指導塾・家庭教師を提供しています。自立して学習を行うためのコーチングのノウハウを発達障害のあるお子さまの学習指導に応用しています。授業中だけでなく、授業外での週間計画を作成し、お子さまの学習習慣を築き上げていきます。中学受験・高校受験対策を行う発達障害専門の進学塾です。今回のイベントを共催させていただいた朝日新聞withnewsでは、生きづらさを抱える10代への企画「#withyou」を展開しています。発達障害にまつわる特集も組まれているので、ぜひご覧ください。「#withyou」~きみとともに~記事一覧2019年5月頃まで視聴可能ですイベント「10代のハッタツトーク!センパイ当事者3人の『ワタシ』的生き方」当日の動画(YouTube)取材・文/柳瀬徹撮影/鈴木江実子
2018年11月21日「発達障害って何だろう」。テーマは、発達障害を多くの人に知ってもらうことUpload By 発達ナビニュースーーNHKでは、昨年から継続的に、発達障害について取り上げています。今回のキャンペーンでは、11月中旬を中心に、さらにたくさんの番組が放送されると伺いましたが、どんな番組がありますか?NHK 齋藤真貴さん(以下齋藤さん):「今回は、11月の中旬から、約20の番組を集中して放送します。NHKラジオ第一の「すっぴん!」や、「所さん!大変ですよ」「今夜も生でさだまさし」など、バラエティ豊かな番組で、発達障害を取り上げていきます。」ーー特集番組や「あさイチ」や「ハートネットTV」などで今までも発達障害について取り上げてきたNHK。今回のキャンペーンであえて「発達障害って何だろう」をテーマとして選んだ理由は?齋藤さん:「改めて原点からスタートしようと考えました。まず、多くの人に、『発達障害とはどんなものなのか』を知識として知っていただきたいということ。そして、知ったうえで、『発達障害って何だろう』ということを考えるきっかけになれば…という思いです。」ーーLITALICO発達ナビのユーザーさんは当事者や、家族、支援者が多いのですが、発達障害を取り上げる番組があると、たくさんの方が視聴し、感想をタイムラインにあげている実感があります。齋藤さん:「これまで発達障害に関する番組を放送すると、当事者の方々やご家族から大きな反響をいただくこともあり、大変ありがたいと思っています。しかし、当事者の方の「生きづらさ」を軽減するためには、「あまり発達障害を知らない」という周囲の人に、いかに理解をしてもらうかが大切です。そこで、今回は、普段、発達障害に関心がないという人にも、幅広く知っていただくことに挑戦したいと考えました。そうした人に、いろいろなタッチポイントを作って、何らかの形で「発達障害」に触れていただき、考えるきっかけになれば…。キャンペーンのテーマでもある「発達障害って何だろう」と考える過程に、意味があると思っています。そのために、あえて今回は一般の当事者だけでなく、エッセイストの小島慶子さんや、落語家の柳家花緑さんなど、多くの著名人に番組に参加していただいています。そういった方々の力も借りて、より多くの人たちに、繰り返しでも地道に発達障害について伝えることが重要だと考えています。」テレビ番組は、まだよく知らない、関心がない周りの人の認知度をあげて、一緒に暮らしていくために何が必要かを考えるための接点となりやすいと言えます。確かに発達障害のある方の困りごとは、本人の努力では解決しないことも多い。周りの人が知らないことで、軋轢が起きているケースもあるのではないでしょうか?困っている人を街中や職場、学校で見かけたとき「テレビで見たあの特性で困っているのかもしれない」と思い当たることができれば、どうしたらよいか、その糸口になるかもしれません。そしてそんな人が社会に増えることは、発達障害のある人にとって支えとなる場合もありますね。キャンペーンの見どころは?Upload By 発達ナビニュース番組は、キャンペーンに参加する各番組の制作チームが企画しているとのこと。キャンペーン事務局でも企画の相談を受けたり、情報を紹介したりしますが、それぞれの番組らしい切り取り方も楽しみの一つです。テレビ番組を集中的に編成することで、幅広い視聴者に出会っていただける可能性が高くなります。ひとつの番組だけでなく、様々な角度から「発達障害について」知るチャンスは貴重です。齋藤さん:「このキャンペーンは、一時的なものではなく、息の長い取り組みを目指しています。11月に集中的に番組を放送するのは、言ってみればキャンペーンのスタートをお知らせする「号令」のようなものです。その後も、例えば、2分アニメシリーズ「ふつうってなんだろう?」などは、スポット的に放送されるので、いろいろな曜日、時間帯で目にするかもしれませんね。インターネットやイベントなどでも、NHKの番組や取り組みに触れていただき、それをきっかけに、みなさん一人ひとりが、発達障害について考えていく、というようなキャンペーンにできたらいいなと。これからも多面的にキャンペーンを展開していきたいと思っています。」発達障害は外見からはわかりにくいと言われています。特に、関心や接点のない人の理解を得ることは簡単ではありません。そんな時、テレビ番組で多様な角度から発達障害について映像で伝えてくれたなら…「発達障害とは何だろう」その言葉は、きっと多くの人の考えるきっかけとなってくれるのではないでしょうか。キャンペーンの概要Upload By 発達ナビニュース24日の特番「発達障害って何だろうスペシャル」を始め、さまざまなラインナップで番組が放映されます。番組放送日時はリンクからご覧ください。Upload By 発達ナビニュース放送予定・ハッシュタグで感想をつぶやこうツイッターのハッシュタグ「#発達障害って何だろう」も展開しています。Twitterをご利用の方は、ハッシュタグ「#発達障害って何だろう」でぜひ感想をご投稿ください。・発達障害の情報を集めた特設ページも開設発達障害の情報を集めたウェブサイトも展開しています。発達障害の基礎的な情報や、当事者から集めた困りごとの対処法「困りごとのトリセツ」を紹介。その他関連番組の放送予定や番組内容の詳細についても情報を掲載しています。【キャンペーン】発達障害ってなんだろう(1)「発達障害って何?」Upload By 発達ナビニュース「困りごとのトリセツ」キャンペーンや関連番組の詳細は今後も随時決定していくとのこと。最新情報は上記ウェブサイトに更新されます!どうぞお楽しみに!画像提供:NHK
2018年11月20日発達障害の感じ方の違いや生きづらさを、2分間で伝えるアニメUpload By 発達ナビ編集部2018年11月にNHKで放映がスタートした2分アニメシリーズ「ふつうってなんだろう?」。毎回当事者が登場し、自身の体験を元に発達障害のある人の感覚の違いやそこから起きる軋轢について、アニメーションで伝える番組です。NHKでは11月中旬から「発達障害キャンペーン」が始まりました。このアニメーションはそのキャンペーンの一つとして11日からスタート。総合テレビとEテレで随時放送予定です。発達障害のある人の困りごとをアニメで表現番組では、特性からの困りごとや生きづらさを抱えながら、前向きに生きる発達障害当事者が自分にとっての「ふつう」とは何かを語ります。その一人が落語家の柳家花緑さん。11日から始まった第1回では、文字を読むのが苦手という花緑さんが、学校での勉強は苦手だったけれど、耳から覚えた噺を語る落語家になった今、子どもたちに伝えたいこととは…?Upload By 発達ナビ編集部また普段の生活でも外出先で、さまざまな刺激を感じてしまうというフミヤさん。「ほかの人と感覚が違う」感覚過敏などの特性で悩んできました。一体、フミヤさんはどんな風に刺激を感じているのか、アニメーションならではの映像と音で描きます。アニメを制作するのは新進気鋭のクリエイターたち。毎回違う作風も、発達障害のある人の多様な世界を表現するのにぴったりです。Upload By 発達ナビ編集部「ふつうってなんだろう?」から始まるUpload By 発達ナビ編集部発達障害のある人の感じ方や行動は、定型発達の人とは違うこともあります。同じ発達障害のある人でも、その特性によって一人ひとり、多様で独特な感じ方をしています。そのことで、生きづらさを感じることもあるでしょう。ですが、違うことで生まれる摩擦を描くこのアニメシリーズを見ることで、「私にとっての「ふつう」は、誰かの「ふつう」とは違うかもしれない。」そんな風にも思えてきます。そして感じ方に「ふつう」も優劣もない、あるのは一人ひとりの違いだけ…。もしその違いから軋轢が生まれるとしたら、それを知った私たちには何かできることはあるのでしょうか?多様な人の感じ方やその人の困りごとを2分間という短い映像で見せてくれる「ふつうってなんだろう?」。発達障害のある人の、一人ひとりの声から、違いのバリエーションや困っていることも人それぞれと知ることもできます。ぜひ多様な世界の見方を、アニメーションを通じて、家族や周りの人と覗いて見てください。総合テレビとEテレで随時放送予定。番組詳細は以下のリンクからご確認ください。2分アニメシリーズ「ふつうってなんだろう?」NHK健康ch
2018年11月16日長男に「イヤイヤ期」が到来!Upload By SAKURA広汎性発達障害の娘には、2歳の弟がいます。息子は、1歳半を過ぎたころから自己主張が始まり、イヤイヤ期は日を追うごとに激しくなっています。「あれはイヤ!」「これはイヤ!」「自分でやる!」「こうしてくれ!」イヤイヤと、自分でやるというこだわり、そして自己主張が炸裂している、まさに魔の2歳児です!第二子である息子ですが、実は私はちゃんとしたイヤイヤ期は初めての経験です。なぜなら、娘はイヤイヤも自己主張もほとんどない子だったからです。自己主張が少なかった広汎性発達障害の娘の場合は娘が今の息子と同じ2歳のころは全くしゃべらず、騒がず…無の境地でした。お出かけしても大人しかったので、旅行や外食に連れて行っても困ることはありませんでした。しかし、手がかからない反面、ほぼしゃべらず、自己主張もしなかったので、娘が何を望んでいるのかが、なかなかわかりませんでした。Upload By SAKURA私たちの言葉を理解することも、自分の気持ちを話すこともできなかった娘。泣きだしたときなどに、なぜ泣いているか聞いても答えがわからず、泣き止むように説得することも難しかったのです。私たちは、そんな娘に合った育児をと、言語訓練や療育を通じて、どういうやり方をすれば娘とコミュニケーションが取りやすいか、試行錯誤してきました。耳から聞き取るのが苦手な娘に、視覚優位な特性を利用して絵カードで意思の疎通を図ったりしてきました。思い返すと、第一子の娘の子育ては、少し特殊だったのです。Upload By SAKURA二人目育児にして初めての「全力イヤイヤ」に母、苦戦!しかし息子は、とにかく一つひとつをイヤイヤしないと気が済まない状態。家を出る前から、服が違う、靴が違う・・・とイヤイヤしています。まさにマニュアル通りのイヤイヤ期!娘には見られなかった息子の様子に「これが噂のイヤイヤ期か~!」と初めのうちは新鮮な気持ちでした。Upload By SAKURAしかし、外へ出れば、自分の行きたい方へ行かないと気が済まず、外食なんてゆっくり食べられたことがありません。息子のイヤイヤは…予想以上!!私の一回目の子育て経験が、全くもって役に立たない!!頭を抱えてしまうことも度々あります。長女と長男、全く違う子育てができるって…楽しいかも!?激しくイヤイヤ期を爆発させている息子ですが、おしゃべりが上手になってきて、自分の思いはちゃんと言ってくれます。イヤイヤされると手がかかるように感じますが、実はある程度、言葉での説得が通じるため、楽な面もあります。発育状態が、娘と対照的に違う息子。娘のときのやり方は通じないので、気分は初めての子育てです。しかし、全く違う子育てを経験させてもらっている私は、運がいいのかもしれない…Upload By SAKURAそう考えると、娘とは違う息子の反応一つひとつに「そういうことするんだ~」と受け入れられるようになってきました。Upload By SAKURA子育てで、子どもを比べてはいけない…といいますが、私の場合、「娘はこうだったけど、息子はこうなのかぁ~!」と感心したり…それぞれにいい所を見つけられる、そんな今の子育てを、純粋に楽しいと感じています♡
2018年11月14日発達障害のある人が気をつけたい「二次障害」とは出典 : 発達障害は、注意欠陥・多動性障害(ADHD)や、自閉症スペクトラム障害(ASD)、学習障害(LD)などの先天的な脳機能の障害のことを言います。これらの障害のある人の中には、その人にあった支援やサポートが受けられない、自分の特性に合わない環境などの影響によって、二次的な合併症や行動の問題に至ってしまうことがあります。心身の症状や精神疾患、不登校や引きこもりなど、どんな二次障害が起きるかは人により異なります。また、大人になってから二次障害がきっかけで発達障害と診断されるという場合もあります。発達障害の二次障害が起きる原因出典 : 発達障害の二次障害は、家庭や学校、職場などの環境とのミスマッチによるストレスが原因で起こるものと考えられています。発達障害のある人は、その特性をまわりに理解してもらえないことが珍しくありません。そのため、発言や行動に対して、叱られたり否定的な対応をされたりすることもあります。また、感覚過敏やコミュニケーションの障害などがある人は、合わない環境で我慢を強いられたり、日常生活でも大きなストレスを感じていたりする場合もあります。このような対応が積み重なると、発達障害のある人が自分に対して否定的な考えを持ってしまったり、自尊心を低下させたりしてしまいます。それが原因で、気分の落ち込みや不安、引きこもり、暴力的な行動などが二次障害として現れることもあるのです。発達障害のある人すべてが二次障害を発症するわけではありませんが、あまりにストレスが大きかったり、ストレスへの対処がうまくいかなかった場合に発症しやすくなります。発達障害の二次障害、具体的な症状は?出典 : 二次障害の具体的な症状としては、引きこもりや暴力といった行動面の問題、不安や抑うつなどの精神的な問題、身体の不調として現れる心身症などが挙げられます。これらの症状は、「内在化障害」と「外在化障害」の2つに大きく分類されます。それぞれ詳しく見ていきましょう。自分に対するいら立ちや精神的な葛藤が、自分に向けて表現される症状のことを言います。分離不安障害、気分障害、強迫性障害などが典型的なケースとしてあり、具体的には、以下のような症状が当てはまります。・不安・抑うつ・引きこもり・対人恐怖・心身症中でも抑うつ症状は、発達障害がある青年にもっとも多い二次障害だといわれています。また、義務教育を終えた年代以降で引きこもりを続ける人には、発達障害が隠れている場合が多いことも指摘されています。これらの精神的な葛藤や問題が不登校などにつながることもあります。精神的な葛藤などが他者に向けられる形で現れる症状のことを言います。反抗や暴力、家出、ときには非行などの反社会的な行動として現れることもあります。特徴としては、思春期になってからこれらの問題を起こす子どもよりも、比較的小さいうちからそうした行動が目立つ子どものほうが多いことです。小学校低学年の頃から、他者への反抗が目立ったり、家出などを繰り返したりする子どもが一定数いるといわれています。発達障害の二次障害は、年代によって出やすい症状が異なるといわれています。・幼児期:軽度な適応行動の問題が見られることもある。・学童期:適応行動の問題が中心。学業面での問題、集団活動や対人行動における問題が目立つようになる。その他、情緒面の不安定さなどが見られることもある。・青年期:情緒面の不安定さ、精神面や行動面の問題、心身症が中心となる。適応行動の問題も見られる。・成人期:適応行動の問題、精神面や行動面の問題が中心。情緒面の不安定さなどが見られることもある。学童期において、対人関係などの問題が現れ始めた時点で適切な対応が得られないと、思春期以降になって二次障害としてさまざまな問題が前面に出やすくなると考えられています。参考書籍:齋藤万比古 (著)『発達障害が引き起こす二次障害へのケアとサポート』(学研プラス,2009)発達障害の二次障害は予防できる?出典 : 発達障害の二次障害を予防するためには、まずはまわりにいる人が発達障害に対して理解をすることが大切です。二次障害の原因となるストレスの多くは、家庭や学校、職場といった環境やそこでの人間関係から発生しています。そうしたストレスを軽減するためには、発達障害そのものの一般的な知識や、その人の特性、対応方法などを周囲が知っておく必要があります。また、本人が過ごしやすいよう環境調整を行うことも大切です。このような周囲の理解が、小学生までの早い段階で得られることによって、二次障害の予防につながるのではないかとされています。小学校に進学すると、学校の教員がどう対応するかも大きな影響を与えます。家庭だけでなく、学校の担任教員にも理解を求めることが重要です。しかし、どんなにまわりが丁寧に対応したとしても、すべてのストレスをなくすことはできません。本人の心の発達をサポートすることも大切です。・まわりの人たちに受け入れられているという安心感や信頼感を持てること・他者と接する中で学びの機会を得ること・トラブルへの対処方法を学ぶこと・自分自身の障害の特性について知ることこれらのサポートを早い段階から周囲が行っていくことで、ストレスに柔軟に対応できるようになり、二次障害も起こしにくくなるといえます。発達障害の二次障害は治るのか?出典 : 発達障害は先天的な脳機能の障害であるため、発達障害そのものを治すことはできません。しかし、生育環境によって引き起こされた二次障害については、症状に合わせて医療機関などで治療を行う場合もあります。抑うつや不安といった内在化障害の場合、認知行動療法や精神療法といった心理療法、家族に対する家族療法、薬を使った薬物療法などが、必要に応じて行われます。また、暴力などの外在化障害に対しても、攻撃性をコントロールするために薬物療法が行われることもあります。状況によっては、入院して治療する場合もあります。しかし、医療機関だけで二次障害をすべて解決できるわけではありません。家庭や学校、児童福祉機関などで連携して対応していくことが必要です。発達障害の二次障害のある人や家族が利用できる相談先出典 : 発達障害の二次障害の症状や対応について、本人や家族が誰にも言えずに悩んでいることも少なくないかもしれません。そうしたときに利用できるサポートがいくつかありますので、ご紹介しましょう。まずは相談先として、以下のような支援機関があります。・精神保健福祉センター・児童相談所・子育て支援センター・発達障害者支援センターなど各機関では、本人や家族から発達障害や育児全般に関する相談を受けたり、必要時には医療機関を紹介したりもしています。このほか、各自治体では、引きこもり・不登校に対して相談や家庭訪問を行っていたり、教育委員会でも不登校に対する教育相談を実施したりしています。また、障害者福祉施設では、強度行動障害に関する研修を終えた相談支援専門員が、相談を受けつけている場合もあります。まだ医療機関にかかっておらず、発達障害と診断を受けていない場合、医療機関に行くのはハードルが高いかもしれません。まずはこのような場所で、困っていることについて相談してみると良いでしょう。また、症状によっては障害者手帳の交付を受けたり、障害福祉サービスが受けられたりする場合もあります。地域によっては、発達障害の当事者の会や保護者の会がありますので、そうした場所で交流したり、情報収集したりするのも良いかもしれません。発達障害の二次障害がある人への対応方法出典 : では、二次障害がある人には具体的にどのように対応したら良いのでしょうか。家庭と学校、それぞれで必要な対応について見ていきましょう。親が子育てに対する自信や、子どもへの愛情を持てなくなる場合もあります。そのまま子育てに対する意欲を失ってしまうと、子どもは親から見捨てられたように感じ、二次障害から不登校などにつながっていくことも考えられます。また、子どもが自分の行動によって親や周囲の大人をコントロールできるという感覚を抱き、それが外在化障害につながる場合もあります。こうした問題に対応する方法として行われているのが、ペアレントトレーニングです。ペアレントトレーニングでは、親が子どもとの関わり方やその子の特性に合った子育ての方法を学びます。これが、子どもの過ごしやすい環境や、人間関係づくりに役立ち、二次障害の防止になるといわれています。学校での対応については、担当する教員だけではなく、他クラス・学年の教員や保健教諭、カウンセラーなど学校全体で連携して、支援を行っていくことが大事です。・本人に対し問題行動以外の部分に注目するつい問題行動ばかりに目がいってしまい、叱責が多くなることも少なくないでしょう。しかし、叱責ばかりが増えると自己評価の低下につながってしまいます。できていることをそのまま伝えたり、ほめたりすることも大切です。それによって、望ましい行動が増えたり、信頼関係を得たりすることにつながります。・本人以外の学級全体にも配慮する発達障害のある子どもが学級にいると、その子にばかり注意が向いてしまいがちになります。そうすると、ほかの子どもが不満を抱き、さまざまな問題が生じるきっかけとなることもあります。ほかの子どもにも、きちんと目を向けていることが伝わるような関わりを普段からしておくことが大切です。・学校全体で取り組む対応方針を教職員全員で共有し、実施していくことが重要です。一部で方針が違う対応をしてしまうと、本人の状態を悪化させたり、関係性が悪くなったりしてしまいます。・いったん対応方針を決めたら、しばらく続ける支援する方針を決めたら、効果を見るためにも2〜3週間は続けることが大事です。まわりの対応方法が変わるということは、本人にとってストレスであり、一時的に問題行動が増えてしまうこともあります。しかし、慣れればそうした行動が少なくなってくる場合もあるので、子どもの状態を見ながら継続するようにしましょう。対応方法について、ときには専門家に意見を求めることも大切です。まとめ発達障害の二次障害は、さまざまな形で現れますが、それらの多くは家庭や学校など周囲の人との関わりの中で生まれるものです。周囲の関わり方によって発生を予防していくことがまずは重要です。また気づいた段階でできるだけ早期に適切な対応を取ることができれば、悪化を防ぐことも可能だといえるでしょう。しかし、なかなか発達障害に気づくことができず、二次障害を発症して診断に至る人もいます。医療機関や支援機関などを利用しながら、日常生活における対処方法を学んだり、適切な生活環境を整えたりしていくと良いでしょう。宮本 信也 (編集), 日本発達障害福祉連盟 日本発達障害学会『発達障害医学の進歩〈23〉発達障害における行動・精神面の問題―二次障害から併存精神障害まで』(診断と治療社,2011)齋藤万比古 (著)『発達障害が引き起こす二次障害へのケアとサポート』(学研プラス,2009)古荘純一 (著, 編集), 磯崎祐介 (著)『神経発達症(発達障害)と思春期・青年期――「受容と共感」から「傾聴と共有」へ』(明石書店,2014)
2018年11月06日【イベント】家族で音楽を思い切り楽しもう!「Shining Hearts’ Party」(埼玉県)Upload By 発達ナビニュース障害のある子もない子もその家族も、赤ちゃんからお年寄りまでみんなが楽しめるコンサートとして毎年開催されています!途中で声を出しても、踊り出してもOK!解放的な雰囲気の中、安心して音楽を楽しめます。通常のコンサートでは、演奏中の出入りができなかったりすることが多いですが、当日は入退場も自由なのでお子さんと一緒に気軽に足を運べそうです。家族で良質な音楽を楽しんでみてはどうでしょう。【対象】障害の有無や年齢にかかわらずどなたでも【日時】2018年12月1日(土) 13:30~17:00【場所】和光市民文化センター サンアゼリア 大ホール (埼玉県和光市広沢1-5)【参加費】無料【申し込み】事前申し込み不要【問い合わせ】NPO法人子育て応援隊 むぎぐみ「Shining Hearts’ Party16 ~奏でよう!いろ(16)とりどりのメロディー~」 | NPO法人子育て応援隊 むぎぐみ【イベント】障害や難病でケアが必要な家族がいる人の生き方を考える!「きょうだいの私、結婚どうする?~リアルに語る結婚観~」(東京都)出典 : 聴覚障害、自閉症、ダウン症の当事者のきょうだい3人が登壇し、ケアが必要な家族がいる人たちの結婚について、参加者とともに考えるイベントです。「身近な人の障害、慢性疾患、難病などを理解してもらえるのか」、「結婚は諦めた方がいいのかな」などと考えたことがある人は、同じような立場の人の経験を知る機会にぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。【対象】障害等のある方のきょうだい、保護者、家族にあたる方、支援者の方など【日時】2018年11月10日(土) 14:00~16:30 (13:30開場)【場所】NATULUCK飯田橋東口駅前店4階大会議室A (東京都千代田区飯田橋4-8-6 日産ビル)【参加費】1,500円【定員】80〜100人【問い合わせ】ファーストペンギンE-mail:mukazuko55@gmail.com【申し込み】以下のフォームからお申し込みください。*Peatixのページに遷移します【映画】ダウン症、自閉症、LGBT…さまざまな違いと向き合う親子の愛をたどるドキュメンタリー『いろとりどりの親子』が公開Upload By 発達ナビニュースダウン症、低身長症、自閉症などさまざまな“違い”のある当事者やその家族6組のありのままの姿に迫ったドキュメンタリー映画です。原作は世界24ヶ国で翻訳されたベストセラー『FAR FROM THE TREE』。著者であり自身もゲイであることでかつて両親とのすれ違いに悩んだアンドリュー・ソロモンが語り手として父と登場します。作中で紹介される家族は、不安や悩みの渦中にあった過去から、社会によって線引きされた“違い”への疑問、日々の中で育んだ希望や喜びまでを素直な言葉で語ります。家族がお互いに向ける深い愛情から、そこには、さまざまな苦悩があるのではなく、親子の数だけ幸せの形があることを感じさせてくれます。【公開日】2018年11月17日(土)【上映】新宿武蔵野館ほか全国順次公開【作品データ】2018年/アメリカ/英語/93分/アメリカンビスタ/カラー/5.1ch/原題:FAR FROM THE TREE/日本語字幕:髙内朝子映画『いろとりどりの親子』公開【イベント】海外の取り組み紹介や子ども向けワークショップも。「アジア太平洋ディスレクシア・ フェスティバル 2018みんなの個性が活きる社会を!」(東京都)出典 : 学習障害の中でも読み書きに著しい困難があるディスレクシアのフェスティバルが今年も開催されます!2020年に岡山県で開かれる『アジア太平洋ディスレクシアフォーラム』に向けて理解を広めようと実施されています。シンポジウムをはじめ、子ども向けのアナログゲームなど多彩な企画が予定されています。海外の取り組みも知ることができるので、ぜひプログラムをチェックしてみてください。【対象】一般市民、教育関係者、ディスレクシア本人、保護者、支援者【日時】2018年12月9日(日) 10:00~19:00 (9:30開場)【場所】国立オリンピック記念青少年センター センター棟(東京都渋谷区代々木神園町3-1)【参加費】18歳までのディスレクシア当事者は無料、学生・保護者・ ディスレクシア当事者(19歳以上)は事前登録の場合1,000円(当日参加2,000円)、一般参加者は事前登録で3,000円(当日参加5,000円)【定員】300人【問い合わせ】アジア太平洋ディスレクシア・ フェスティバル2018事務局(認定NPO法人エッジ内)TEL:03-6435-0402FAX:03-6435-2209E-mail:apdf.japan@gmail.com【申し込み】以下のフォームからお申し込みください。*こくちーずプロのページに遷移しますアジア太平洋ディスレクシア・ フェスティバル 2018 みんなの個性が活きる社会を!| 認定NPO法人 EDGE【イベント】誰もが地域で豊かに生きるために…専門家と考える未来「サイエンスアゴラ2018-地域での発達障害支援を考えよう-」(東京都)出典 : 発達障害にかかわる医療・療育・教育といった分野の研究者や支援者が、実践例を紹介するシンポジウムです。「うちの子、少し違うかも…」というテーマで一昨年から年1回開催されてきて、今回が最終回になります。当日は、登壇者が講演やパネルディスカッションを通じて、誰もが地域の中で、豊かに生きるための医療や社会支援のあり方を参加者と考えていきます。【対象】関心のある方はどなたでも【日時】2018年11月11日(日) 13:00~16:00 (12:50受付開始)【場所】テレコムセンタービル西棟 8階 会議室B (東京都江東区青海2丁目5−10)【参加費】入場無料【定員】180人【問い合わせ】国立研究開発法人科学技術振興機構(JST) 社会技術研究開発センター(RISTEX)TEL:03-5214-0132FAX:03-5214-0140E-mail:otoiawase@jst.go.jp【申し込み】以下のフォームからお申し込みください。11月8日締め切り*空席状況によって当日受付もあり*国立研究開発法人科学技術振興機構のページに遷移しますサイエンスアゴラ2018-地域での発達障害支援を考えよう-
2018年11月01日白紙の日記帳に呆然…!苦手な作文を何とかしたい!広汎性発達障害の娘は、文章を書くのが大の苦手。宿題の日記や感想文、作文…どれも最後まで一人で書くことが難しい状態です。小学生になって、この文章を書くという課題に度々つまずいてきました。少しでも書けるようになるため、私たちにできることはないかと考え…小学1年生の時、学校から帰宅後、学校の先生にあてた「先生あのね」という日記を書くことを始めました。Upload By SAKURA「先生あのね」のルールは2つだけ!娘が嫌がらないギリギリのところを考え、はじめに2つだけやり方を決めました。Upload By SAKURA「。」が2つ付いたら終わりにするルールです。「好きなことを書いて」では、自力では書けない娘。何を書いたらいいかは、娘と話しながら、私が誘導するようにしました。Upload By SAKURA2文目の「感想」の部分は娘に考えてもらい、娘が言った感想を、また私が紙に書きます。2つそろったらそれが見本になります。書いた見本を娘に見せ、最初はそれをただ写してもらうという簡単なものでした。それでも、続ければ何かしら変わると信じて、続けていました。続けていくうちに、口頭で文章を作れるように!続けて数か月経つ頃…1文目は出来事、2文目は感想のパターンに慣れ、私が紙に見本として文章を書く前に、内容を口頭で言うようになりました。試しに一人で書かせてみると、この2文のパターンなら、もう娘一人で書けるようになっていました。Upload By SAKURA2年生になって、文字数も課題の難易度もアップUpload By SAKURA2年生になると、感想文や作文を書く機会も多くなり、日記の宿題でもらう用紙のマス目は細かくなりました。2文なら書けるようになっていた娘ですが、長い文章を前に、一気に苦手意識を持ってしまいました。幼稚園の先生と続けていた文通のおかげもあって、言いたいことをどんどん書いていくことはできていましたが、文章の構成を考えながら書かなければならない作文は、娘にとって、難しかったようでした。インタビュー形式で聞き取り!こうすれば難しくない!そこで、長い文章にも慣れてもらうため、国語の授業で習った、文章の構成…「いつ」「だれと」「どこで」「何をした」「どう思った」の通りに、インタビュー形式で、私が聞いていくようにしました。Upload By SAKURAUpload By SAKURAまず娘に題材を決めてもらいます。「それはいつの話?」などと会話のような流れで質問に答えてもらい、それを私が紙に書きます。そしてそれを見て、娘が写していきます。私はまず『順番に書けば、長い文章も難しくない』と教えたかったのです。苦手なことも、成長を信じてスモールステップで進もうねそれから数か月経った今、娘は見本がなくても、私がする質問に答えながら、少しずつ自分で書けるようになってきています。「て・に・を・は」の間違いはまだまだありますが、少しずつ減ってきています。Upload By SAKURA集中力はなかなか続かないし、他の子より時間はかかりますが、娘はゆっくり確実に進んでくれています。数年後はもっと成長できていると信じて、引き続き娘のサポートをしていきたいと思います。
2018年10月31日発達障害のある子と定型発達の子の子育ては、天と地ほどの差がある私は息子が生まれてすぐに、発達障害のある子どもと定型発達の子どもの子育てには天と地ほどの差があると知りました。・抱っこしても海老反りせず身を任せてくる・発語のない0歳の時でもこちらの言っていることは解っている・長時間泣かない・外出時、自ら手を握ってくる定型発達の子どもを育てている親御さんには当たり前のことでも、1人目の子どもが発達障害だった私にはすべてが新鮮でした。そして「世間一般の人が体験する子どもの夜泣きや迷子、発語の遅さはこの程度なのか。何て楽なんだろう」と感じたものでした。まだ小さいのに、気遣いができるなんて!息子にとって「お姉ちゃん」は生まれたときから「傍にいて当たり前」の存在でした。小さいころはゲームの取り合いなどで喧嘩もよくしましたが、自分より知識があり色々なことを教えてくれる姉を尊敬していました。息子が小学校に上がったころからでしょうか、娘が近くに来ると、それまで私の横に座っていた息子が遠い席に移動するようになりました。後で理由を聞くと、「僕とお母さんが仲良くしているとお姉ちゃんが寂しく思っちゃうから」と言いました。小学校低学年なのにそんな気遣いをするものなのかと、驚いたものです。息子8歳、高校生の娘は反抗期真っ盛り娘が高校生だったころ、何を言っても全否定!という時期がありました。いつものように、私と娘がバトルをしていたときのこと。息子が険悪な母娘の横で、お笑い番組をつけたのです。Upload By 荒木まち子息子がテレビをつけたことで、娘は気持ちの転換ができ、落ち着いたのでした。息子に話を聞くと…Upload By 荒木まち子息子10歳、深刻そうな顔をして…息子が深刻そうな顔をして、話しかけてきました。息子「今日、学校で友達が『障害者ってウザいよね』って言ったんだ。その言葉がすごく嫌だったんだけど、俺そのとき、黙っちゃったんだ」私「そうなんだ」息子「ムキになって『そんなことない』って言うのもどうかと思ってさ。でも友達のその言葉が心に突き刺さってホント嫌な気持ちになったんだ」私「うん、その気持ち分かるよ」息子「…お姉ちゃんってさ、障害あるんだよね?検査とかしてるの?」私「発達検査のこと?しているよ」息子「してたんだ。診断名は何?」私「自閉症だよ」息子「ふうん、自閉症か。俺、実は本とかで調べたんだ。いつからそうなの?」私「生まれたときからだよ。小さいころから周りの子と違うと感じてたんだ」息子「へぇ、お母さんは分かってたんだ?俺、ずっと気づかなかったよ。何が原因なの?」私「脳の伝達機能の問題らしいけど、まだはっきりとは解明されていないんだよ」息子は娘が病院に通っていることを知っていましたし、私が娘と進路や将来のことなどを話すのを聞いていました。でも生まれてからずっと一緒に暮らしてきた彼は・計算は苦手だけど絵が得意・本が好きで色々なことを知っている・泣いたり怒ったりもするけど、一緒に笑ったり冗談を言い合える・不器用だけどサボらず真面目・寂しがり屋で優しいという“個性”を持つ姉として彼女を受け入れていました。成長するにつれ、姉が自分や周りの友達と違うことに気づき始めた息子は、内緒で図書館やネットで姉の症状について調べたのでしょう。思春期の入り口に立った息子に私は息子の話を聞き彼の気持ちを受け止めます。質問に答えます。でも私は娘に関することについて「息子にはこうして欲しい」などの要望は言わないようにしています。なので、この日私は息子に「5、6年になると、そういうこと口にする子もいるよね」「それってどうなんだろうね」とだけ言いました。初めての発達障害児の子育ては分からない事ばかりです。それは、きょうだい児の子育ても同じです。私がしていることが正しいのかは分かりません。先日私は会話の中で息子にあるヒントを出しました。「私が『障害者の親の会』に参加しているのは知ってるでしょ?そこで私は経験した人にしか分からない悩みや情報を共有したり、笑い話をしたりして元気をもらっているんだ。世の中には他にも『認知症の親を持つ子の会』とか『がんの当事者会』とかいろいろな会があるんだけど『きょうだい児の会』っていうのもあるんだよ」障害がある子の親がそうであるように、きょうだい児にはきょうだい児にしか分からない悩みや苦労があるはず。苦しくなったり、壁にぶち当たったり、一人で抱え込めなくなったとき。そこに足を運べばきっと気持ちが楽になる、そんな場所があるんだよ、と。これから本格的な思春期を迎える息子の悩みが少しでも軽くなれば良いな、という願いを込めて。
2018年10月19日「発達障害がある人の視点を生かした支援」を考える1日にUpload By 発達ナビニュース2018年11月4日(日)に、「LITALICOフォーラム」が開催されます。今回は、発達障害がある人の青年期から成人期の支援の現状と課題を取り上げます。基調講演には、発達障害の当事者研究の第一人者である、東京大学 先端科学技術研究センター准教授の熊谷晋一郎先生が登壇します。参考:LITALICOフォーラム当事者・支援者も登壇!パネルディスカッションを通して考える「いま、何ができるのか」Upload By 発達ナビニュースパネルディスカッションでは家族支援の分野の第一人者である、鳥取大学大学院教授・井上雅彦先生がコーディネート。当事者及び支援者2名をパネリストに迎えます。コメンテーターは、熊谷先生と、LITALICO発達ナビ編集長の鈴木悠平が務めます。発達障害のある方のニーズは、学校、家庭、職場においてさまざまです。成育歴の中での理解や支援の影響もあります。今回は当事者の視点から、社会や個人がどうあるべきかを考えます。教育・医療・福祉分野の6つの分科会も!また、6つの分科会では、医療の分野から増田史先生、福祉の分野から中里哲也先生、教育の分野からは株式会社LITALICOの野口晃菜が登壇します。分科会は次のテーマで行われます。■青年期~成人期を見据えたインクルーシブ教育の現状と課題LITALICO研究所 所長野口 晃菜■ASD者の非定型な知覚世界をVR体験しようLITALICO研究所 研究員本間 美穂■教育と福祉の未来を描く支援の 輪×和×話LITALICOワークス ヒューマンリソース部 精神保健福祉士和泉 亮■当事者への医療活用のアプローチ慶應義塾大学 精神・神経科学教室 特任助教増田 史先生■子どもの進路とその先の選択、そこに関わるお金について【講師】LITALICOライフプランニング 鈴木 健■専門職としての迷いと価値東京福祉大学・大学院 講師・LITALICOワークス外部スーパーバイザー中里 哲也先生まだまだ支援が充実しているとはいいがたい、発達障害がある人の青年期から成人期。発達障害がある人たちの生活の質が、より高いものとなるような学びの場です。発達障害当事者や保護者をはじめ、支援に携わる方まで、さまざまな立場の皆さんで活発な議論を交わし、「障害のない社会」への一歩を進めましょう。スケジュールと参加方法は?日時:2018年11月4日(日) 10:30~17:30場所:東京大学本郷キャンパス伊藤国際学術研究センター(東京都文京区本郷7-3-1)交通:東京メトロ丸の内線・本郷三丁目駅徒歩8分、都営地下鉄大江戸線・本郷三丁目駅徒歩6分対象:発達障害当事者、保護者、教育・医療・福祉など発達支援に関わる方参加費:3,000円(税込)/1人※クリックするとチケット購入ページ(Peatix)へ遷移します※購入期限は2018年10月31日(水)です
2018年10月05日「発達障害の子に手がかかって、きょうだいに我慢を強いているのではないか?」「障害のあるなしに関わらず、きょうだいで平等に扱わなければいけないのに、それができてない」など。発達障害児と健常児のきょうだいを持つお母さんで、健常児のきょうだいとの関係に悩んでいるお話を時々耳に挟みます。発達障害児の子育てでは、発達障害児とお母さんにスポットが当たることが多いのですが、最も近しい存在である、発達障害児のきょうだいはどう感じているのか? また、きょうだいへの対応はどうしたらいいのか?きょうだい児(=病気や障害を持った子のきょうだいのこと)について考えるべく、法人マーブル代表・国沢真弓さんにお話をうかがいました。国沢さんは、健常児の娘と自閉症の息子、2人のお子さんのお母さんでもあり、ご自身の経験やさまざまな相談事例をもとにお話してくださいました。■発達障害児よりも難しい?「きょうだい児の対応」――今回は、発達障害児への対応法ではなく、発達障害児をきょうだいに持つ、きょうだい児の対応法についてお伺いしたいと思います。国沢真弓さん(以下、国沢さん):発達障害児については、その子の特性がわかれば、ある程度、接し方のコツを学ぶこともできるのですが、きょうだい児の場合はそう簡単にはいきません。きょうだい児のタイプ、発達障害児のタイプ、きょうだい児の性別・順序・年齢差・人数、友人関係、両親の性格、家庭環境などで対応もガラリと変わるので、むしろ、発達障害児への対応よりも難しさがあるかもしれません。どんなお子さんにも効く「魔法の杖」のような回答はないという前提で、私の経験や相談事例などをもとにお話させていただければと思います。――本当、その通りだと思います。ただ、それでも、きょうだい児について共通に浮かび上がってくる課題のようなものがあるようにも感じます。例えば、私の周囲では「発達障害児に手がかかり、きょうだい児に我慢を強いてしまっているのでは?」と、お母さんがきょうだい児に罪悪感を持ってしまうことが多いように感じています。国沢さん:そのように感じてしまうお母さんは多いと思います。こういうお悩みは、きっと専門家に相談すると、「きょうだい児とだけの時間を持つようにしてください」とか「きょうだい児に『あなたのこともちゃんと見ているよ』というメッセージをしっかり伝えてください」などとアドバイスをされると思います。もちろん、そのアドバイスは正しいですし、私も同じように思います。ただ、お母さんの立場を考えると、少し心配な思いもあります。――心配な思いというのは?国沢さん:お母さんの課題がどんどん山積みになってしまうという点です。発達障害児の子育てだけでも、専門家などから「こうした方が良い」という課題で日々大変なのに、きょうだい児の子育てまで専門家からアドバイスをもらうことで、山積みの課題を前に疲れ果ててしまう…。「そうした方が良い」と頭ではわかっていても、お母さんも一日24時間しかない。これは私も経験ずみなのでよくわかるのですが(苦笑)、「あれもやらなくちゃ、これもやらなくちゃ」と奮闘し過ぎて、燃え尽きてしまうお母さんも少なくないのです。――確かに、日々の忙しい暮らしの中で、専門家のアドバイスを忠実に実践していくのはなかなか簡単ではありませんよね。国沢さん:たとえ時間が取れなくても、「あなたの〇〇なところがすごい良いと思うよ」とか「いつも〇〇してくれてありがとう。すごく助かっているよ」などと、きょうだい児の存在意義や感謝の気持ちを言葉や態度で伝えることだけでもずいぶん違ってくると思います。また、「ママが時間とれたらどこに行きたい?」と、きょうだい児の希望を3つくらい聞いて書きとめておき、時間がある時に実践するのもおすすめです。この時、書きとめておく姿をきょうだい児に見せることがポイント。お母さんは聞き流さず、ちゃんと気にしていることが伝わると思います。そして、お母さんの「時間」と「気力」と「経済面」などがすべてOKになった時に、「ずっと待たせてごめんね! 今日この3つの中で〇〇だったら行けるかも!」と誘ってみてはどうでしょう?――課題の山に追いたてられるのではなく、「時間がある時に実践する」くらいのゆるさが必要ということですね?国沢さん:きょうだい児のケアはもちろん必要ですが、お母さんが余裕のないなか無理して時間を取ると、敏感なきょうだい児は「お母さん、本当に楽しんでいるのかな?」「休みたいんじゃないのかな?」と気にしてしまう子もいるようです。きょうだい児のケアと同じく、お母さん自身も「自分の時間」をとって、自分をケアし、ねぎらってあげることも必要です。そして、そのことに罪悪感を持たないこと! 頑張っている自分にご褒美をあげるつもりでいいと思いますよ(笑)。また、最初は難しいかもしれませんが、障害がわかってから何年か経っていくと、専門家や周囲のアドバイスのいいとこ取りができるようになり、自然ときょうだい児との時間も取りやすくなってくると思います。そして、きょうだい児もいろいろな意味で成長して、また違った関係性になっていくのだと思います。■きょうだいの発達障害「友だちにからかわれた」親はどうする?――国沢さんは自閉症の息子さんの5歳上に健常のお姉さん(現在は成人)がいますが、お姉さんが子どもの頃はどんな風に感じていたのでしょう?国沢さん:今回、きょうだい児の取材を受けるうえで、娘の意見も聞いてみました。娘によると、そもそも「きょうだい児に我慢させている」なんて思わないでほしいとのこと。そう思われるのは、自分の存在が負担になっているようでイヤだと言われました。――お母さんが罪悪感を持つこと自体が、子どもにとって負担になるということですね?国沢さん:娘が8歳の頃、よその人から「お姉ちゃんは弟君に障害があって大変だね。お姉ちゃんはいっぱい我慢していてえらいね」と言われたことがあります。その時、娘は「我慢しているとか、そういう言い方はしないでください。私はかわいそうな子じゃないから」と言って、相手をドン引きさせたことがあります(汗)。きっと、相手は親切心から言ってくださったのだと思いますが、娘にとって、こういった言われ方は、自分が哀れに思われているようで、イヤだったそうです。――頼もしいですね(笑)。そんなしっかり者のお姉ちゃんでも、つらかった時はあったのでしょうか?国沢さん:娘が子どもの頃、一番つらかったのは、弟がパニックになっている時だったそうです。お父さんとお母さんが弟のパニックをおさめるために集中していて、周囲の人が冷たい目で見ているのに、自分はなにもできずに傍観者となっている時。成長して、一緒に弟のパニックを抑える側になってからは、楽になったと言っていました。ちなみに、娘の方が息子のパニックを収めるのは、私より上手かもしれません(笑)。社会人になった娘は今、「弟のおかげで、私はリスク管理能力が半端ないほど身についた」と自負していましたよ。強い…(笑)。――自分が協力者側になってから、つらい思いがなくなったのですね?国沢さん:きょうだい児について、たくさんの相談を受けてきた中で感じたことがあります。きょうだい児には、私の娘と同様、気持ちが強いタイプと、ナイーブなタイプと、2パターンあるということです。ナイーブなお子さんの場合、例えば、発達障害児のきょうだいのことを、お友だちにからかわれたことがきっかけになり、学校に行きづらくなったり…。あるいは、「お母さんに甘えたい」という思いを伝えられず悩んでいたことが、あとでわかる…といった相談もよく聞きます。――発達障害児のきょうだいのことをお友だちにからかわれてしまった時などは、親はどう対処したらいいのでしょう?国沢さん:娘も、学校でお友だちに弟のことをからかわれて、泣いて帰ってきたことがあります。入学式のシーンとした状況で、弟が大きな声で歌ってしまって、お友だちから「おまえの弟うるさかった」と言われてしまって。私の場合は、その日の夕方、娘の担任の先生にお話しに行きました。先生への伝え方で気をつけたのは、まず、お友だちが言ったことは事実なので、その子を責めるつもりではないということ。ただ、セレモニーなどで緊張すると大きな声を出してしまう子がいるということ、また、たとえ事実だとしても指摘されるときょうだい児は悲しく思うこともある、ということをわかってもらえたら…と伝えました。――わが子を守るためと思うと、親はついヒートアップしてしまいがちですが、非常に冷静であたたかい対応ですね。国沢さん:余談ですが、娘が泣いたのは、言い返せなかった自分に腹が立ったからだそうです。その後も、同じ学校の支援学級にいる弟のことで、時々からかわれることがあったようですが、たくましく言い返していましたよ(笑)。――頼もしいですね(笑)。でも、お姉ちゃんのように言い返すことができない子はどうしたらいいのでしょう?国沢さん:ひとつの方法として、「きょうだい児の会(きょうだい児を支援するための団体)」に参加してみることをおすすめします。同じような立場のきょうだい児と出会って話をすることで、なんらかの解決法が見えてくるかもしれません。「自分だけじゃない」と孤立感を減らしたり、「自分の気持ちを素直に言っていいんだ」と思えるようになったり、そういった経験の中で「感情表現」のスキルを磨いたり、日常生活の工夫を学んだり…そうしているうちにプクプクと浮上してくる子もいます。また、障害児がいると普段は行きにくいようなアミューズメントパークなどに連れて行ってもらうなど、きょうだい児の体験不足を補う活動をしているところもあります。■発達障害児のこと「きょうだい児になんと説明したらいい?」――きょうだい児が小学生くらいになると、自分のきょうだい(発達障害児)について疑問に思うことも出てくると思うのですが、親はどう説明したらいいのでしょう?国沢さん:わが家には子ども向けの専門書もたくさんあったのですが、そういった学説が文字で書かれたものより、娘は、『光とともに…』(自閉症児の育児を描いた漫画。全15巻。戸部けいこ著/秋田書店)という漫画が一番わかりやすかったと言っていました。ヒカル君という人物像や日常生活での困りごと、パニック時の突飛な行動、お父さんとお母さんの苦労、周囲の人たちの言動など、発達障害の特徴を抽出して説明するような専門書と違い、発達障害児を取り巻く生活全般がつかめて、すごくわかりやすかったみたいです。また、小さい頃は、発達障害児の苦手な部分だけではなく、得意な部分とセットで伝えていくと、悪いイメージだけに引っ張られないと思います。ついでに、「あなたもここは得意だけど、ここはちょっと苦手だよね」などと、みんな同じように凸凹があるということを認識してもらう。そして、「その困りごとを少なくするために、今、療育で練習しているんだよ」と、なにもしてないわけではないことも伝えると、「お母さんも、〇〇も頑張っているんだな」と感じてもらえると思います。――程度の差はあれど、誰もが凹凸を抱えていることは知っておいてほしいですね。国沢さん:きょうだいに発達障害児がいるのは、大変なことも多いかもしれません。ですが、娘を見ていると、大変なことだけではなく、良い面もあると感じています。きょうだい児は親よりずっと小さい頃から、発達障害児と一緒に育ちます。きっと親以上に、多様な「価値観」や「対処の力」が育まれるでしょう。また、障害にとらわれずに人を見ることができたり、自分のきょうだいだけでなく、ほかの障害を持つ人たちにも寛容な心が育ったり…。それは「効率」や「生産性」ばかりが優先されがちの今の世の中で、とても大切なことだと思います。わが家にも、国沢さんと同じきょうだい構成の、きょうだい児がいます。娘が成長していく中で、弟の障害をどう受け止め、自分との関係を整理し対応していくか、そして困難をプラスに変えていける心を育てるために、親として家族として何ができるか、模索し続けたいと思います。国沢真弓さん プロフィールフリーアナウンサー、自閉症スペクトラム支援士、一般社団法人 「発達障がいファミリーサポートMarble」 代表理事<役職>ペアレント・メンター、三鷹市相談支援事業「ママサロン」相談員 、三鷹市知的障害者相談員、三鷹市発達障害児親の会「モンブランの会」会長、社会福祉法人「清陽会」評議員、社会福祉法人「みたか福祉会」評議員、児童発達支援施設「すこっぷ」家族支援アドバイザー、「三鷹市教育支援推進委員会」委員、「三鷹市社会福祉協議会」地域支援部会長。<経歴>都立新宿高校、聖心女子大学文学部歴史社会学科を卒業。富士通株式会社を3年勤務後、アナウンサーに転向。NHKテレビ「きょうの料理」「婦人百科」等の進行を約10年務めたほか、多数のテレビ・ラジオ番組に出演。海外特派員、番組企画構成も担当。ナレーション・司会は各500回以上務め、厚生労働省主催「世界自閉症啓発デイシンポジウム」の総合司会を毎春担当。「3歳までの子育ての裏ワザ」「こんな時どうする?子どもの友達・親同士」(PHP出版)など共著多数。<現在の活動>一般社団法人「発達障がいファミリーサポートMarble」代表理事として、「発達障害」や「伝える力UP」といったテーマでの講演を、全国で行っている。また、「ペアレントメンター」として保護者や支援者の相談に応じるほか、障害児の家族が気軽に参加できるイベントやお喋り会の開催等を行い、家族の元気を応援している。(詳しくはホームページをご覧ください)。取材・文/まちとこ出版社N
2018年10月02日中学進学の時にぶつかった「発達障害と成績表」の問題。出典 : こんにちは。『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母のどんな子もぐんぐん伸びる120の子育て法』著者、楽々かあさんこと、大場美鈴です。今回は、うちの長男の中学受験の経験をもとに、発達障害のある子の進路に関する少々シビアな現実をお伝えします。うちの長男は私立中学受験という選択をしました。その理由のひとつは、学区の公立中学の支援学級・通常学級からの卒業後の進路に親子で不安を感じたからです。うちの学区の公立中学は超マンモス校。「人が多いと集中できない」長男には、通常学級では少々負担が大きいように感じられたので、それまでは、中学では支援学級進学ものんびりと考えていました。ところが、5年生の時、学区の中学の見学会で支援学級を実際に見てみると、「この支援学級を卒業した後、長男の進路は一体どうなるのだろう」という疑問に、全く答えが見えなかったのです。学区の中学の特別支援学級に在籍する生徒さんの大部分は、卒業後は、特別支援学校へ進学されるようでした。つまり、長男が希望する普通高校進学を前提とした生徒さんはその特別支援学級では見当たらず、卒業後の進路について何の情報も得られませんでした。また、小学校では柔軟に対応して頂けた、支援学級の子が通常学級でも授業を受ける「交流級」や、通常学級から特別支援学級へ、特別支援学級から通常学級へ、という「転籍」も、うちの地域の中学ではあまり行われていないようでした。学区の中学の支援学級からは「卒業以降」の普通高校進学の道がプッツリと途切れていたのです。今後、公立中学の特別支援学級から、公立高校の通級・支援学級への道が拓かれてゆく期待もありますが、うちの長男には間に合いませんでした。現在、こういった状況は地域・学校ごとで大きく違うようなので、まずは、お子さんが小学校卒業後、学区の中学の支援学級進学をご希望の場合は、早めに見学・相談等をされることをオススメします(正直、うちはかなり遅い例です)。中学の一斉公開日などもチェックしておくといいでしょう。出典 : 地域の中学の支援学級の現状に不安を感じた私が資料を調べたところ、うちの県では公立中学の支援学級から、全日制普通高校への進学率は公立・私立合わせても、わずか2%程。定時制・通信制の高校を含めて、ようやく20%弱(某県教育委員会のデータより)。「たった2%!? そんなマサカ…」と、文部科学省による全国統計「特別支援教育資料」を見ると、平成28年度の中学校特別支援学級卒業者の状況(国・公・私立計)は、支援学級在籍者19,135人に対し、「高校等」の進学者は約35%にあたる6,842人。その内、全日制の普通高校に進学した生徒が一体何人いるのかは、このデータからは分かりませんでした。特別支援教育について「特別支援教育資料(平成28年度)」|文部科学省では、特別支援学校に進学しない・できないタイプの発達障害のある子は、一体どうしているのかというと、うちの自治体では今のところ、普通高校への進学を希望するならば、中学では通常学級に在籍せざるを得ないようです。勿論、通常学級でもうまくいく場合もあるでしょう。でも、長男も私も、学区の中学の通常学級は様々な面で、彼にとってかなりハードルが高い環境のように感じていました。また、仮に公立中学の通常学級で、勉強を精一杯がんばれたとしても、高校入試に影響する中学の内申書は「学力以外」の面での評価も大きく、長男の現状では内申点はほとんど期待できません(理由は後述)。ですから、中学の通常学級から高校進学を希望しても、内申重視の傾向が強い公立・私立高校や、「内申点が○点以上から」と条件のある推薦入試は、かなり厳しくなるでしょう。それすらも、負担の大きな環境の中、「長男が中学にちゃんと通えたら」という前提での話。そして長男は「学区の中学に行くなら、おれは不登校する」と、キッパリ宣言しました…!そこで、遅まきながら、公立中学以外の選択肢を模索し始め、親子で私立学校等の見学会や説明会などに参加してみると、「自分に合った、小規模の私立中高一貫校に行きたい」と、本人が強く希望するようになりました。長男は学ぶ意欲が強く、自分の意思で決めたことなら人一倍がんばれるタイプです。でも、ここでも「成績表」の問題が。出典 : 私立中学各校の募集要項を見ると、中学受験でも、願書提出の際に成績表のコピーや調査票が必要になる場合があります(必要ない学校もあります)。ただしその場合も、内申重視の高校入試と違い、「小学校の成績表は参考程度」という私立中学も多いようです。それでも、推薦入試を行うある中学の説明会では、小学校の成績表に「最低評価が1つでもあるとダメ」「年間の欠席日数が○日以下」などの条件があると聞きました。私立中学でも成績表によって受験資格が左右される場合もあるようです。4年生までの長男の通常学級の成績は、C評価の「がんばりましょう」ばかり。そして、5年生の特別支援学級の成績評価は「言葉による表現」で記載され、「みんなと同じ」段階別の数値によるものではありません。長男の志望校の出願に必要なのは6年生の成績表なので(※5年生からの成績表が必要な学校もあります)、合格・不合格以前に、今の特別支援学級在籍のままでは、必要書類を揃えて願書を提出できるのかすら分からない状況でした。(ちなみに、「特別支援学級の言葉による評価の成績表を、そのまま受験用に提出した場合どうなるのか」は、いろいろと調べてみたものの、ほとんど前例がないようで、結局分かりませんでした…)ただし、私がネット上などで目にした「特別支援学級では、成績評価・内申点がつかない」なんて話は、本来はあってはならないことのハズです。ですが、現実的には信じがたいことに今だに「地域・学校によって、対応してもらえない場合がある」ようなのです。特別支援学級からの進学ーあまりに大きな地域差の現状|togetterうちの自治体の場合「特別支援学級の成績表は、ご希望があれば段階別の評価でも出せます」と、小学校の特別支援コーディネーターの先生はおっしゃってました。しかし、地域の受験事情に詳しい方のお話では「○○市では、特別支援学級でもお願いすれば、みんなと同じ形の評価で出すことはできます。ただし、その内容が問題なのです」とのこと。つまり、書類として揃えることは可能だけれど、いくら「成績表は参考程度」であっても、内容が殆ど「がんばりましょう」ばかりでは結局厳しいことには変わりない…のだそうです。出典 : 一見これは、「成績が悪いのは、本人の実力なのだから仕方ない」とも思えますが、特別支援学級在籍で「みんなと同じ」評価を受けるために、通常学級の「みんなと同じ」テストや宿題の提出が必要、となれば、実質本人にかなりの負担がかかります。「おれは、人が少なければ、集中できる!」と、自分のペースで学ぶために希望して特別支援学級に転籍した長男ですが、特別支援学級は授業の進度が通常学級とは違うため、そのままでは「みんなと同じ」単元のテストができません。実質、自力で相当な努力をして通常学級との進度の溝を埋めるか、毎日のほとんどを交流学級で授業を受け、同じテスト・同じ課題をこなさなくては、マトモな成績がつかない…ということになります。「自分のペースで学べばできる」「落ち着いた環境で学べばできる」という子も多い中、「○年生の○学期までにココの単元まで終わる」と学習指導要領で決められた中でしか段階別の評価ができなければ、特別支援学級でしっかり学んでも「みんなと同じ」基準での成績評価は難しくなります。つまり、現行の成績評価の仕組み自体が、特別支援学級の児童・生徒の多様な学び方に対応できていないのです。こういった「特別支援学級からの受験」の厳しい現状を、私は長男に噛み砕いて説明しました。すると彼は「じゃあ、おれ、6年からは元のクラスに戻ってがんばる」と通常学級への復籍を決意。そして、小学校の学習とは別の努力が必要な中学受験用の勉強と並行して、5年生の特別支援学級では交流学級を増やしながら全科目学年相応まで学習を進め、6年生からは通常学級で進学に備えることになりました。…要するに「個人の努力と根性で乗り越えた」のです。正直、11歳12歳の子には、かなり負担が大きかったと思います。長男の場合、本人の強い意志と興味のあることへの過集中、そして、周囲の理解・サポートで頑張れたのだと思います。でも、さまざまな課題を抱えながら特別支援学級で学ぶお子さん達に、ここまでの努力や負担を強いなければ「皆と同じ土俵にすら立てない」というのは、私は甚だ疑問です(仮に、学区の公立中学の特別支援学級に進学したとしても、高校受験の際、長男は同じ経験をしていたことでしょう)。そして、発達障害への理解・支援体制には地域・学校ごとで格差があり、その子の進路まで大きく影響されてしまう現状にも、大きな問題を感じます。こういった状況の中で、本人・親が希望する・しないに関わらず「受験を希望するなら、現実的には支援学級を選択できない」地域・学校もあるのです。とにかく、小中学校の特別支援学級からの受験を希望する場合、早めに在籍・進学先の学校や教育委員会などに、成績評価への対応についても、正確な情報を問い合わせておく必要があるでしょう。尚、論外ではありますが、万が一、在学中の小中学校で「特別支援学級では、みんなと同じ形式の成績評価・内申点は出せない」などと言われた場合や、正当に受験し合格しているにも関わらず、発達障害があることや元の在籍級を理由に合格を取り消された場合などは、障害者差別解消法違反に該当する可能性があるため、法的に対応していく必要があるでしょう。また、在籍校から受験校・進学校に提出される内申書や指導要録で、もしも、不当な評価や事実に反する記載・入力ミスなどがあり、受験資格の有無や合否、入学後の対応等に本人に不利益な影響を及ぼした可能性が疑われる場合などには、自治体に対し「自己情報の開示請求」ができます。発達障害児進学に苦悩私立中高一貫校入学辞退迫られ両親「多様性認めて」|西日本新聞(2013.6.11)内申書や指導要録を見せてほしい(ふらっと相談室)|ふらっと人権情報ネットワーク出典 : そして、「絶対行きたい!」志望中学のためにガムシャラになった長男は、小学校のテストの点も急上昇。ところが、オールCから脱出したとはいえ、実力に対して、成績評価は思ったようには上がりませんでした。それは、例え学習内容を十分理解している子や、真面目に勉強に取り組んでいる子であっても…・課題や宿題に取り組んでも、提出し忘れる。忘れ物が多い。・ノートや提出物の字が汚い。読み書きに時間がかかり、板書を写しきれない。・先生の指示を聞き逃したり、授業の準備や片づけに時間がかかる。・不器用さや局所的な苦手さ等から、体育や音楽などの副教科が努力だけではどうにもならない。・コミュニケーション面の苦手さにより、授業中の挙手の回数や発言内容が不十分。・学校自体の負担が大きく、欠席等が多くなりがち。…などの理由から、どんなに学ぶ意欲が強くても、本来の学力以外の「意欲・関心・態度」などの面で、成績評価が低くなってしまう傾向があるためだと思われます。でも、「態度」の評価が低くても、長男は決して不真面目なワケではありません。発達障害があっても、まじめな子、おとなしい子、ガマン強い子、人一倍優しい子は沢山います。そして、適切なサポート・療育や環境の工夫、または自然な成長によって、落ち着いていく子も沢山います。長男の場合、空気を読めないが故に、自習中クラスの皆が騒いでいる中でも同調せず「マジメにやってたのオレだけだった」なんてこともありました。ですから、ここでいう「態度」とは、「先生に言われたことを、言われた通りにできる力」のことなのです。集団行動に遅れたり、先生の意図を察して動けない子は評価が低くなりがちなのだと思います(親としては、書字に困難さのあった長男がノートを必死で書こうとする姿は、例え黒板を写しきれなくても、涙が出そうなくらい「意欲・関心・態度」が高いように思えますが…)。字のキレイさや挙手の回数で、「どれだけその子が学ぶ意欲を持っているのか」を、客観的に評価できるのでしょうか。また、発達障害のある・なしに関わらず、公立小の担任の先生に「中学受験への理解があるか」や、先生との関係性によって、「学力的に十分でも、厳しめに評価をつけられた」なんて話も聞き及びます。高校入試の際も、評価の甘い中学と厳しい中学での格差により、同じような学力の生徒間でも「A中学の子は推薦もらえたけど、B中学の子は内申点が足りず、〇〇高校の推薦入試が受けられない」のもよくあることでしょう。そして、先生の「内申に書くぞ」の一言が、生徒を従わせるための安易なツールとして広く普及していること自体にも、そろそろ社会全体で疑問を感じたほうがいい時期なのかもしれません。現在、学校の成績表・内申書は相対評価から絶対評価へと変わり、子ども達にプラスになった面もありますが、実質「先生の主観」に影響される部分もあり、成績表・内申書自体の客観性・信頼性・妥当性が問われています。中学校における指導と評価の一体化をめざす学習評価の在り方 -目標分析からすすめる学習展開例-(京都市総合教育センター)|国立教育政策研究所未来を拓く扉が、挑戦する前に閉ざされないために…出典 : 結局、中学受験での小学校の成績表への不安点・疑問点を、うちではどうクリアしたか、というと…まず、志望校の説明会で、私は「小学校の成績表は、どの程度合否の参考にされるのでしょうか?」と思い切って質問し、成績表は本当に「参考程度」なことを直接確認しました(ただし、「出席日数と諸活動・所見欄だけはチェックする」学校は多いようです)。また、記載内容で特に気になる点については、個別相談会で本人同席の上、成績表と普段のテストを持参し、具体的に相談していきました。また、何度も志望校の体験授業などに親子で足を運び、面接でも彼の全体像を知って頂けたので、入試本番の結果は勿論、長男のことを十分理解して下さった上で「合格通知」を頂いたもの、と思っています。(ちなみに、公立・私立問わず入学手続きには、在籍校最終学年の担任の先生が記入する「指導要録抄本(指導要録の写し。原本は在籍校保管)」が必ず必要となります。これにより、受験の際に成績表の提出が必要なくても、学籍の記録や全学年の成績評価、出席日数、所見等が記録された書類が進学先に学校経由で送付されます。)指導要録(参考様式)|文部科学省それでも私は、「発達障害と成績表」の問題は、子ども自身の努力と根性だけで全て解決できるとは思えません。新しい学習指導要領で「主体的な学び」の必要性が叫ばれ、また、大学の推薦・AO型入試の増加傾向など、多様な人材が求められるように世の中が変化している中、成績表や内申書のあり方も、早急に見直す必要があるのではないでしょうか。発達障害のある・なしに関わらず、本当に学びたい意欲と可能性にあふれた子ども達が、たかが成績表や内申書の印象で、未来を拓く扉の前で門前払いされないよう、私は心から願っています。大場美鈴/著『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母のどんな子もぐんぐん伸びる120の子育て法』2017年/刊/ポプラ社
2018年09月20日息子に言い続けた「辛いけど頑張ろうね」出典 : 発達障害の息子を育ててきて、今でも忘れられない一つの出来事があります。それは、私にとって、さまざまな価値観を変えてしまうほどの大きな感動をもたらすものでした。今回のコラムでは、そのときの話を書きたいと思います。3歳で発達障害の診断がおりた息子。それと同時に、私自身も発達障害であることが判明しました。これは、私の人生のなかで、一、二を争うほどの大事件でした。そして、私にとっては「息子に私の味わってきた苦しみを味わわせない」という大きな課題を突きつけられた瞬間でもありました。「発達障害」という言葉もなかった私の幼少期。思い出すだけで胸がギュッと痛くなるような、さまざまな困難がてんこ盛りの毎日でした。協調運動ができなくて不器用な手足。女の子同士で遊ぶ「ゴムだん」がいつまでも跳べるようになりません。「前へならえ」はできるのに、「回れ右」や「右へならえ」などになると頭が大混乱。「おまえはふざけているのか」と先生に頭を叩かれたのも、一度や二度ではありません。何よりも私が困ったのは、お喋りが止まらないこと。人の話を聞かずに喋り続ける特性のせいで、まともな人間関係が築けませんでした。同じような特性を譲り受けている息子に、私はさまざまな療育を体験させ、家庭療育や言葉がけなども工夫してきました。そんなときの私の口癖はこれ。「辛いけど、頑張ろうね」私は疑うことなく思っていたのです。息子は発達障害で辛いことばかりなのだと。だって、運動は苦手だし、感情のコントロールができないときもあるし、聴覚や触覚の過敏性でパニックになってしまうことも多いし…。どう考えたって、他の子どもに比べて、生きづらさは多いはず…。私は、いつも「なんとかしてあげなくちゃ」という思いに、がんじがらめになっていました。必死に生活をこなす中で、私は何度か過労で倒れてしまうこともありました。衝撃的だった息子の一言出典 : さて、その衝撃的な出来事は、息子が小学校に入学したあとに起こりました。小学校に入学した息子は、週に何時間かを特別支援学級で過ごすようになりました。勉強に遅れはなかったので、主にソーシャルスキルを学んでいます。週に2回は放課後等デイサービスで運動療育を中心に分刻みのスケジュールをこなします。土曜日は音楽療法に通っています。他の子どもたちと違う日課をこなしているということは、早々に本人も気づいていました。ですから、息子が疑問をぶつけてきたときに、発達障害について告知しました。もちろん、私が当事者であることも、そのときに話をしました。ある日、療育活動が終わった後に、私は息子にこう言いました。「辛いけど頑張ろうね。ママも一緒に頑張るからね」すると驚いたことに、息子がこう返してきたのです。「ママ、僕、辛くないよ」私は一瞬、「え??」と固まってしまいました。「ママは発達障害で、辛かったことしかなかったの?」息子の質問に、私は「そりゃあ当たり前でしょう。辛かったことばっかりだよ」と答えました。すると、息子はこう続けたのです。「そうなのかあ。なんでだろうね。僕は、発達障害で良かったと思うことしかない」私は息子の言っていることの意味が分からず、呆然としてしまいました。私と息子は違う時代を生きている出典 : 私の頭の中は疑問符だらけ。「なんで?なんで良かったと思うことしかないの??」と聞き返しました。すると息子は、「みんなが僕のこと助けてくれる。あと、支援学級の先生を独り占めできる。僕、支援学級の先生大好きなの。それに、療育も放課後デイも楽しいし、先生たちも大好き。それって、僕が発達障害なおかげでしょ?何が辛いの?良いことしかない」と言い切ります。私はただただ驚きました。そして思い知ったのです。私と息子は違う。育っている時代も、発達障害を取り巻く環境も。そしてそれ以上に、「発達障害=不幸」ではないのだと。私は、発達障害の特性が、自分が感じてきた困難の原因だと思っていました。この特性がある限り、困難はずっとつきまとい、発達障害であることを憎み続けるのだと。けれども、息子の言葉で分かったのです。困難の原因は、発達障害の特性そのものではないということ。周りが適切な支援をすれば、それは「ギフト」になり得るのだということ。これは、息子を育てる中での根本的な部分を覆される出来事でした。そして何よりも、息子が幸せに育ってくれていることを実感して、感動しました。なんだか毎日の大変な育児が、報われる思いでした。息子の言葉を聞いたとき、私はある言葉を思い出しました。「障害は、人の側ではなく、『社会』の側にある。」息子との対話によって、私はとても大切なことを教えられた気がします。「発達障害=不幸」という図式にがんじがらめになっていた自分にも気づきました。これからも、息子にとって「発達障害」が「ギフト」になるように、素敵な環境づくりに取り組んでいきたいと心から思います。
2018年09月13日マイペースな広汎性発達障害の娘、幼稚園の運動会で毎年親はドキドキ…幼稚園入園時、言葉がほとんど出なかった娘。年少さんのときは、先生の指示もほとんど聞き取れず、補助の先生に手を引かれながらの運動会でした。感想を聞いても、会話にならず、運動会というのをわかっているのか?というような状態でした。Upload By SAKURA年中さんになると運動会というものをしっかり理解した様子の娘。1年前とはうって変わってやる気満々。整列、行進、競技などは、笛の合図にきちんと反応し、想像していたより頼もしい姿を見ることができました。Upload By SAKURAしかし、たびたびマイワールドに入ってしまう状態で、先生の声掛けはまだまだ必要でした。年長さんの運動会では組体操に挑戦するのに、大丈夫なの⁉︎そして、幼稚園最後の運動会。娘の幼稚園では、年長さんが運動会で必ず『組体操』をすることになっていました。この組体操…娘が年少さんのときに初めて見た私は、難易度に驚きました。Upload By SAKURA「これを…2年後に…あーさんが…」と想像してみたものの…「指示に従えず、みんなの足を引っ張ったりするのではないか」という考えばかりが浮かび、できるわけがないと思いました。それから2年…ついに娘が、組体操に挑む日がやってきました。Upload By SAKURA事前に先生から「あーさんの横には、補助が付きます」と言われていたので、少し安心していたのですが、実際出番になり、娘を見ると、補助の先生がいませんでした。一人で笛の指示だけで動けるの!?と動揺していた私をよそに、演技は始まりました。不安的中、泣き出した娘にハラハラ私は、ハラハラしながら見守りました。娘は笛の合図だけで、移動、技をこなし、隊形移動も迷いなく動いていました。途中、集団技のときに、前の子が倒れこんで来て、娘にぶつかりました。Upload By SAKURA泣き出した娘を見て、私は娘が演技をやめてしまうと思いました。しかし、娘は顔をしかめ、涙を流しながらも、自分でその涙をぬぐい、立ち上がって演技を続けました。気がつくと…私は、泣いていました。Upload By SAKURA私の頭には、年少さんの頃の娘の姿が浮かんでいました。指示が聞き取れず、フワフワしていた娘。あの頃の娘は、目の前にはもういません。他の競技でも娘は、一人で動いていました。少し離れたところから見た娘は、とても大きくたくましく見えました。演技終了後、先生に話を聞くと、「練習のときは補助が付いていたのですが、補助が全然必要なく、しっかりしていたので、本番は補助なしにしました!」と言われ、先生からも信用してもらえたことに、さらに成長を感じました。「娘には無理」と思う日もあったけど年少さんの頃、できるわけがないと思った『組体操』でしたが、2年後、娘は、突然のアクシデントあっても、肩を震わせながら…涙を流しながら…演技を最後までやり切りました。それまでで私が一番、娘の成長を感じた瞬間でした。痛かっただろうに、やめたかっただろうに…それでも演技を続けた娘の姿を見て、胸が熱くなりました。娘の成長が嬉しくて、涙が出ました。運動会のことに限らず、幼稚園でのことや、家でのこと…いつになったら会話ができるんだろう…と今までいろんな心配ごとで頭を抱え、「できるわけがない」と思ったこともたくさんありました。しかし、娘は「できるようになった姿」を何度も何度も私に見せてくれました。Upload By SAKURA「できないの壁」にぶつかったとき、心を軽くしてくれる合言葉今現在も、娘には難しい…できない…ということ、たくさんあります。何度繰り返してもできずに、気持ちが沈んでしまったとき、私はあの日、成長を実感し、嬉しくて泣いた日を思い出すようにしています。そして、「できるわけがない…」と思ってしまったとき、"今は"とつけ足します。"今すぐ"を期待するのをやめ、今は難しいけど、2年後は?3年後は?と、考えることで、焦りをなくすように心がけています。「今やっていることは、数年後にきっと生きる」。それが、娘の子育てと療育の中で、私が学んだことです。Upload By SAKURA
2018年09月12日家で悩んでいるくらいなら…何はともあれ学校見学!発達障害のある子どもの進路についてはいろいろと悩みます。公立なのか私立なのか。通信制高校なのか、サポート校なのか。特別支援学校という進路もある…。進路を選ぶときには、やはり現場を訪れて雰囲気を肌で感じることが一番だと私は思っています。インターネットや書籍で発達障害の子ども向けの学校を探すこともできます。私はそれに加えて、学校の先生、通級の先生、支援級の先生、放課後等デイの先生、コーディネーターの先生、行政の教育相談担当者など、直接会って話を聞ける方からの情報を元に学校探しをしました。進路先選びは大変です。全部下見をしていたら、娘は疲れてしまうので、まずは保護者だけでチェック。・家からのアクセス・学校の雰囲気(校舎、先生、生徒)・学費・卒業生の進路先などを確認します。下見をした学校の中から、子どもに合いそうな学校かな?と感じたら、今度は一緒に・授業見学(公開授業や学校を開く週間など)・オープンスクール(夏休みや春休み)・文化祭などに行きます。授業見学やオープンスクールだと子どもが緊張しやすいので最初は文化祭がおすすめです。文化祭では部活の様子なども知ることができるので同じ趣味の仲間を探すこともできます(余暇充実は社会に出てからもとても大切です)。娘のチェックポイント普段の掲示物や落書きに、学校の雰囲気があらわれます。娘もけっこう細かくチェック!Upload By 荒木まち子Upload By 荒木まち子娘の興味がある分野の部活があるのかも大切なポイント。気になる部活のブースはかならず足を運びます。Upload By 荒木まち子在校生の雰囲気も、実際に学校に行くとリアルに感じられます。Upload By 荒木まち子中学校生活のモチベーションアップにも義務教育の間は「皆と同じように」しなければならないことが多く、辛い思いをする発達障害の子ども達。それは娘も同じでした。わが家では娘に「高校はこんなに自由で楽しいんだよ」「希望の高校に入るために、この教科は勉強しておいた方が良いよね」など伝え、「高校見学」を中学3年間ドロップアウトせず乗り切るための娘のモチベーションアップに役立てていました。学生のイキイキした姿に触れられる文化祭高校や大学の文化祭は「先生にやらされている感」が少なく、生徒の自主性を感じることができます。学校という守られた環境の中で少し背伸びをする生徒達。その自由な雰囲気に触れ、娘も進路について前向きに考えられるようになりました。文化祭めぐりは親も楽しめます。これからの時期、文化祭が開かれる学校が多いと思います。皆さんもぜひ足を運んでみて下さいね。
2018年09月05日【ニュース】特別支援学校の教材を製品化したい!クラウドファンディングの取り組みが開始Upload By 発達ナビニュース道具で発達を支援する「トビラコ」は、発達に凸凹がある子どもを支援するツールをセレクトし、ネットで販売しています。今回、トビラコは、筑波大学附属大塚特別支援学校で先生が手づくりし活用していた教材を製品化しようとしています。それは、「特別支援学校で使われる教材こそ、質が高く、きちんとしたエビデンスが必要で、子どもが手にとりたくなるデザインであることが大切」だと考えているからです。Upload By 発達ナビニュース現在、この製品化への応援を、クラウドファンディングで募っているそう。目標金額は100万円!教材についてや、子どもたちが教材を使うことでどんな変化があったかなど、詳しくはこちら↓で紹介しています。トビラコ【映画】ダコタ・ファニングが自閉症の女の子を演じる「500ページの夢の束」Upload By 発達ナビニュースダコタ・ファニングが演じる自閉症のある少女ウェンディは「スター・トレック」が大好きでその知識なら誰にだって負けない。そんな彼女が「スター・トレック」の脚本コンテストに応募するためハリウッドまで旅に出るストーリーです。人生の目標のために、つまずきながらも彼女なりの一歩を踏み出す姿に勇気と感動をもらえます!【公開日】9月7日(金)【上映】東京・新宿ピカデリーほかで全国ロードショー※東京・大阪で各1回ずつ、視覚や聴覚などに過敏さをもつ人のための、センサーフレンドリーな上映も予定だそう。ページの夢の束 | キノフィルム【イベント】絵本ではじめてクラシック「そらコンサート」(東京都)Upload By 発達ナビニュースじっとしてなくても、大丈夫!第6回をむかえる「そらコンサート」は、親子で安心して音楽が楽しめます。ゆったりとした空間の中で絵本や手遊びを使って上質なクラシックデビューをしてみませんか?また「そらマーケット」も同時開催。不要になった絵本を使った無料のお買い物体験です。おもちゃのお金を使ったお買い物の練習もできます。Upload By 発達ナビニュース【対象】新生児~小学生(特に3~6歳程度)の子どもとその保護者の方【日時】10月13日(土) 10:15~11:30 (10:00受付開始)【場所】三茶しゃれなあどホール(世田谷区太子堂2-16-7 5階)【参加費】大人:1000円 / 小学生以下お子様:無料【申し込み】下記URLからお申し込みください【イベント】「第11回 日本フリースクール大会」(東京都)出典 : 不登校の子どもが通うイメージの「フリースクール」ですが、実は既存の学校とは違う、子ども中心の学びの場となっています。このイベントの1日目には「フリースクール」がどんな理念のもと、どのように活動しているのかを知り、不登校の子どもたちに必要な支援を考えるきっかけや、実際にフリースクールに通う子どもたちの声が聞けます。2日目では「学びとは何か」「フリースクールと進路」「世界のフリースクールとホームエデュケーション」「フリースクールのつくり方と運営」「適応指導教室との連携」「実践交流『他のフリースクールではどうなの?』」の6つのテーマにそってディスカッションを行ったり、子どもの多様な学びを考えるワークショップが開催されます。【日時】9月22日(土)13:00~16:30、23日(日)10:00~16:15【場所】東洋大学白山キャンパス(都営地下鉄三田線「白山」駅A1出口徒歩5分)【参加費】両日参加:8000円(9/14までの申込み&振込で6000円)、1日参加:5000円【内容】■9月22日(土)・基調講演「フリースクールとは何か」奥地圭子さん(NPO法人フリースクール全国ネットワーク代表理事、東京シューレ代表)・子どもシンポジウム「学校に行かなかったワケ、フリースクールに行ったワケ」司会:江川和弥さん(寺子屋方丈舎代表)、シンポジスト:フリースクールに通う子ども数名■9月23日(日)・テーマ別分科会・ワークショップ「子どもの多様な学びをつくろう」【申し込み】<氏名><お立場またはご所属><連絡先(電子メールまたは電話番号、FAX番号)><参加希望日程>をご明記のうえ、下記の電子メールまたはFAX・郵送にてお申し込みください。【問い合わせ】NPO法人フリースクール全国ネットワークTEL 03-5924-0525 E-mail:info@freeschoolnetwork.jp第11回日本フリースクール大会 | NPO法人フリースクール全国ネットワーク【イベント】「障がい者とその家族のための年金教室」(東京都)出典 : 障害年金の基本について、専門家である社会保険労務士の方がわかりやすい資料を用いて解説してくれる勉強会です。なかなか理解しようとしても難しい障害年金ですが、個別相談の時間も設けられ疑問が解消できる機会になっています。関心のある方、お困りの方は足を運んでみてはいかがでしょうか。【日時】9月17日(月・祝) 13:00~16:30 (12:30~開場)【場所】練馬区立区民・産業プラザ研修室1 (練馬区練馬1-17-1 Coconeri 3階)【参加費】障害者の方とその家族は無料(社労士などその他の方は、1000円)【内容】・当事者からのお話:東久留米市市議会議員 宮川豊史 さん・個別相談コーナー(申込み時に予約必須)【申し込み】電話・メールにて担当者までご連絡ください【問い合わせ】たまごの会年金教室担当:社会保険労務士 石井良美携帯:080-4953-2911 メール:nenkin.up@gmail.com
2018年09月03日不安いっぱいだった去年の夏休みの宿題、なんとか完成…!広汎性発達障害の娘は、現在小学二年生。去年初めて夏休みの宿題というものを経験しました。娘も初めてですが、私も親として小学生の夏休みの宿題に挑むのは初めてでした。まず、自分の頃と違うその量に驚きました。ちゃんと終わるのか…娘にやらせることができるのか…。不安いっぱいで挑んだ一年生の夏休みは、私が娘の横にぴったりとくっつき、どれをやるか指示することに。娘の調子や機嫌を探りながら、私が何ページやるかを決めると、娘は素直に言われた分を着々とこなしてくれました。順調に宿題は進んでいき、8月に入った頃、全部終わりました。Upload By SAKURA成長しているはずの娘、まさかの抵抗!?今年はなんだか手強いそして、今年もやってきた夏休みの宿題。去年の経験もあったので、同じような方法でいこうと思っていたのですが…今年の娘は一味違いました。Upload By SAKURA去年よりも自分の意志が強くなった娘は、宿題をすることに反抗するようになったのです。ここは予想外だった私。自分の意志がなく、フワフワしていると思っていた娘が、「やりたくない」と反抗したことは、うれしい成長ではありましたが、宿題が無事終わらないかもという不安もありました。宿題はやりたくないけど、何をしたらいいかもわからない宿題をしたくないというので、じゃあ好きなことをすれば?と言うと…Upload By SAKURA"好きなこと"という「自由」が苦手な娘は、「何したらいい?」と何度も聞きに来ます。そこで私たち親子は、夏休みの一日のスケジュール表をつくることにしました。スケジュールは私が娘に提案しながら、二人で相談しながら作っていきました。スケジュールに宿題の時間を入れることは、意外にも嫌ではない様子。そうして、スケジュール表が完成しました。スケジュールがあれば、自分で動ける!それから娘は、毎日スケジュールを確認しながら過ごしました。Upload By SAKURA私がやらせようとしたら嫌がっていた宿題も、時間になれば仕方なくですが動きます。せっかくの夏休みに窮屈なものを作ってしまったかと思いましたが、娘にとっては先の見通しが立つ安心につながったようでした。スケジュールを見ながら娘が自分で考えて動く姿は、一年前からは想像できないほど、しっかりしていました。いつまでやることを一つ一つ指示しないといけないのだろうか…と心配していましたが、娘は、その心配を吹き飛ばす成長を、見せてくれました。「イヤ」の裏側に成長があった。これからも親子で一緒に方法を考えよう宿題に関して反抗を見せた時、どうなることやらと不安でしたが、同時に娘は、自分で決めて一人で取り組むということができるようになりました。他のことに関しても、娘は私の言ったことに少しずつ反抗し始めています。Upload By SAKURAちょっと頭を抱えていた私ですが、「イヤ」という言葉の裏側には、何かしらの成長があると今回で学びました。反抗に対して、叱るばかりではなく、その真意を探ることもしつつ、臨機応変に対応できたらいいなと思います。
2018年08月29日発達障害の本を積み上げた、あのころ息子が発達障害と分かってから、買い漁った”発達障害のある子の子育てハウツー本”。わが家には山のようにハウツー本が積み上げられており、書き込みや付箋でいっぱいです。息子の特性に右往左往していた幼児期、ハウツー本には本当に救われました。解決法が見えない困ったことが起きても、本を読めば必ず解決法は見つかる!と気持ちを強く持つことができたからです。そういえば、最近すっかり発達障害児関連の本を読まなくなったなあ…と思い、久しぶりに話題の本をいくつか読んでみることにしたのです。そこで手に取ったのが、『赤ちゃん~学童期 発達障害の子どもの心がわかる本』(主婦の友社)。この本をパラパラと読み始めてすぐに、私は「そうだったそうだった」と息子が小さいころを懐かしく思い返しました。言葉の遅れはないのに、会話は一方的。独特の大人びた口調で、まるでニュースのキャスターのような話し方をしていたり、出かければすれ違う人に「あの人太っているね!!」と指を差して大声で言ってしまい、殴られかけたり…。泥水に足が浸かっただけで、「足が気持ち悪い」とパニックになり、大泣きして止まらなかったことも。「なんで?どうしてなの?君は何を考えているの?何が辛いの?」パニックになって大泣きする息子の側で、ぐったりと膝を抱えていた私。息子の行動の一つひとつに、ちゃんと理由があったのだなあと、この本を読みながら改めて気づいたのです。本を読むと、自閉症スペクトラム障害の子どもの行動の意味を、子どもの側に立って理解できるようになります。そして、特性は「治す」ものではなく「寄り添う」ものだということを、教えてくれています。実は、この本の感想をこうしてしたためるのに、大変な時間がかかってしまいました。書こうとしても書こうとしても書けないのです。すごい有用な情報が載っているなあ、そうそう、息子もこんなだったなあと思いましたが、やはり「感想」が書けないのです。なぜだろう、と思いながら読み続けていて、ふと気づきました。私はまるで、「物語」を読むような気持ちでこの本を読んでいたのです。息子の成長を楽しむUpload By 林真紀息子が発達障害だと診断を受けたのは3歳のころ。幼稚園に入園する直前でした。3歳とは思えないほど難しい言葉を使う子だったし、ニコニコと愛嬌があるタイプだったため、発達障害と言われても周囲は「??」という感じでした。けれども当時、私は連日の息子の癇癪とこだわりの強さや偏食に、毎日途方に暮れていました。息子は可愛かったけれど、育児は常に不安がベースにありました。幼稚園入園にあたっても、あれもこれもできないんじゃないだろうか…と不安ばかりが頭にありました。息子の多動が酷かったために家の外に出るのも面倒で、毎日のように発達障害についての本やネット情報を読み漁っていたものです。将来に希望は持てませんでした。他の子とうまくやっていけるのか、小学校に入るまでに座って勉強ができるようになるか、大人になって普通に就職できるのか…。ごくごく当たり前に子どもの成長を願うその時期に、私は目の前の不安で押しつぶされていました。息子の困り感や特性の強弱は、成長と共に次々と移り変わっていきました。さまざまな工夫により目立たなくなってきたと思えば、今度は新しい問題が出てきたり。それに必死に対処したり支援したりしているうちに、気づいたら本人がそれを克服する力をつけていたり。とにかく、息子も私も「今この瞬間」だけを見て生きてきたのでした。そうしているうちに、幼少期のころの「なんで?どうしてなの?」という行動は減ってきていました。そして、息子への育児は「不安」ベースではなく、「楽しみ」ベースになってきていることに気づきました。これは、大きな変化だったと思います。「今この瞬間」が、いつか「物語」になるUpload By 林真紀そうして、目の前の育児に走り抜けた日々。息子は今、8歳になりました。あのころ悩んでいたいろいろな特性は、療育や成長のおかげで、息子自身でコントロールすることができるようになっています。癇癪を起こすこともなくなりました。イライラしやすいところはありますが、自分でちゃんとそれを周りに訴えることができます。また、触覚過敏や味覚過敏についても、「無理はしない」というスタンスでお互いいるため、特別悩んだことはありません。「無理はしない。でも頑張れるところは頑張る」という感じです。ああ、息子可愛い、とやっと余裕を持って思えるようになりました。最近頭を巡らすのは、学習のこと、そして、友達関係のこと。実際、不安が強すぎたり、お友達とのコミュニケーションがうまくいかず、登下校で介入が必要だったときが何度もあったり、幼少期にはなかった課題も次々に出てきますが、息子と一緒に試行錯誤しながら、丁寧につき合っていっています。Upload By 林真紀これからも、育児は続いていきます。でも、私にとって「もうお先真っ暗」「疲れて明日のことも考えられない」というような状態は、終わりました。毎日毎日息子の行動の課題や特性に悩まされ、他の子どもと比べて絶望感に打ちひしがれるような日々も、終わりました。だから、久しぶりに発達障害のある子の育児本を読んだとき、私には一つの「物語」に思えたのです。当時はあまりに必死過ぎて、過去も未来も私にはなかったのに、息子幼少期の育児は、今「物語」になっていたのでした。振り返ってみると、療育はとても楽しかった、幼稚園での支援は本当に有り難かった、たくさんの資料と本に埋もれての学びも多かった。でも…もう少し長い目で見て、肩の力を抜いて育児をすれば良かった。「物語」として受け止められるようになった今、さまざまな思いが去来します。苦しく、必死で、未来が見えないとしても、やがてそんな日々は「物語」になっていくのだと、私はつくづく感じたのです。改めて、先が見えなくても、足元を見ながら前に進んで行こうと勇気づけられたのでした。こうしたハウツー本のなかには「親ができること・するべきこと」についての記述がたくさんあります。それを知ることはとても大切なこと。でも、今こうして息子と過ごした日々を振り返りながら、発達障害のある子を育てるうえで、「親ができないこと・他人に頼るべきこと」についても、フォーカスしてほしいと思います。全部背負い込んで、疲れ果てていた自分のようにならないように。
2018年08月19日親子が大好きな幼稚園の先生との出会い広汎性発達障害がある娘は、幼稚園入園時、無言で、表情もない状態でした。しかし、園で出会った先生は、無言の娘にたくさん声をかけてくれ、表情がない娘にたくさん笑いかけてくれました。Upload By SAKURAそして、みんなが当たり前にできることでも、嫌な顔一つせず対応してくれ、娘が一つできるようになると、一緒に喜んでくれました。当時の娘は、私の通訳がないと、言っていることを周りの人に理解してもらえない状態だったのですが…先生と娘はなぜか分かり合えていました。前回のコラムでその出会いについてご紹介しましたが、実はそのあとも、私たち親子は先生にとても助けられています。Upload By SAKURA3年間、一緒に悩み、一緒に成長を喜んでくれた先生に、親子共々支えてもらいました。卒園式は、私の方が寂しくて泣きそうでした。卒園後も、娘の中で先生の存在は消えず、「先生、元気かな?」「私、先生大好き!」とたびたび言っていました。卒園後、大好きな先生とばったり再会!先生から意外な提案がそして、娘が一年生の夏休みのこと。偶然、買い物に行った先で、先生とばったり会いました。娘と先生は再会を喜び、たくさんお話をして大盛り上がり。私も、卒園してから今までの学校生活や娘の成長を、先生に話していきました。私たちの話を、先生はうれしそうに聞いてくれました。Upload By SAKURA「もっと、あーさんの話を聞きたい」と思ってくれたのでしょうか。先生は私に「あーさんと文通させてくれませんか?」と言いました。娘は「やる!やる!お手紙書く!」とやる気満々。娘と先生は文通をすることになりました。読み書きが苦手な娘、はじめての文通にチャレンジ!しかしこの時、娘は文章を読むのもたどたどしく、まだ自分で文章を書くことができませんでした。今まで手紙を書くといっても、私が手伝いながら、頑張って書かせても一行程度。とても時間もかかっていました。先生からの申し出を、うれしいと思うと同時に「娘に文通なんてできるのだろうか」と心配な気持ちにもなりました。しかし、大好きな先生との手紙のやり取りは、「娘にとっていい影響を与えるに違いない!」そう考え、チャレンジしてみることにしました。Upload By SAKURA先生から届いた手紙を読む時、そして娘が返事を書く時は私がサポートしながら、二人は文通を続けました。娘の誕生日の時は、バースディカードも送ってくれました。「4歳、5歳、6歳、7歳と、あーさんに誕生日カードを書かせてもらえてうれしい」と書かれてあり、私は涙が出るほどうれしかったです。そして娘は、やり取りの中で少しずつ、少しずつ…先生の手紙をスムーズに読めるようになり、少しずつ、少しずつ…一人で返事を書けるようになっていきました。娘は私が想像していた以上に、楽しみながら手紙を書いています。どんなことを書こうか…先生に何を伝えようか…自分で考え、私のアドバイスなしで書く姿は、急にお姉さんになったように見え、とても成長を感じます。直接支援が終わっても、つながる気持ちに支えられている文通を始めてもうすぐ一年。娘は手紙が届くのを、そして返事を書くのを、毎回楽しみにしています。幼稚園の先生が、小学校に上がった今も娘のことを気にかけ、話を聞きたいと思ってくれるだけでもありがたいのに、「相手のことを考え、自分のことを伝える」そんなコミュニケーションを楽しく学ばせてくれる先生。卒園しても、娘を成長させ続けてくれています。Upload By SAKURAこの先生との出会いに、私たち夫婦は本当に感謝しています。これからもずっと、二人のきずなを深めていってくれたらうれしいです。私自身も先生とLINEのやり取りをしています。私とも是非、末永くつながっていてくれたらなーと思います(笑)
2018年08月15日幼稚園生時代、夏休みの帰省で。「孫に障害はない!」と完全否定する祖母Upload By 荒木まち子私は娘が1歳頃の時から、周りの同世代の子どもとの違いや育てづらさを感じていました。健診時に指摘などはされていませんでしたが、娘の幼稚園入園前から療育機関などに相談をしていました。娘は人見知りをしなかったので、年に数回しか会うことがない祖父母は「本やテレビが好きな大人しい孫」「歌やお絵描き好きなおっとりさん」と感じていたのかもしれません。出典 : おじいちゃん、おばあちゃんっ子だった娘娘自身もおじいちゃんとおばあちゃんが大好きで、帰省の時は親ではなく祖父母と一緒に寝たがる程でした。電車に乗れるようになると一人で祖父母の家に泊まりに行ったり、旅行好きな祖母と一緒に旅にも行ったりしていました。高校生になるとPC検定の資格を持つ娘が祖母にパソコン操作を教えることなどもありました。おおらかで優しいお年寄りと過ごす時間は娘にとっても心地良かったのだと思います。出典 : 初めて、娘のパニックに遭遇した祖母娘が高校3年生の時、たまたまわが家に泊まりに来ていた祖母は娘のパニックに遭遇しました。この頃の娘は、就職活動中だったこともあり、とても不安定でした。「学校から配布された資料が見つからない」と家中の引き出しを開けて探しまわりました。私が「学校に電話して同じものをもらえば良いんじゃない?」と言っても「それは絶対ヤダ!」「あの先生は怖いんだ」と全く聞く耳をも持ちませんでした。同じ引き出しを何度も開けたり閉めたりすることを止められない娘。しまいには弟の机の引き出しやランドセルの中まで探し始めました。その時、祖母は…Upload By 荒木まち子祖母が娘をなだめている間に私は学校に電話をし、先生に娘の様子を伝え、翌日同じ資料をもらうことになりました。パニックは1時間ほどで治まりましたが、孫のパニックを目の当たりにした祖母はショックを受けたようでした。孫の将来を案じてその後、就職がなかなか決まらなかった娘を心配した祖母に「知り合いの会社を紹介しようか?」と勧められたことがありました。私は「いつまでも親が子供を守り続けられるわけじゃない。私たちは娘のことを理解して支援してくれるような人(ジョブコーチ)がいる会社を探している」と伝えました。祖母の思う幸せとは、違うかもしれないけれど就職後、娘は祖父母のところに行くことはほとんどなくなりました。孫のことが心配な祖母は、しょっちゅう電話を掛けてきます。「会社には休まず通っているの?」「会社の先輩とはうまくいっている?」「身だしなみはきちんとしているのかしら?」「お金は足りてるの?」「親としてちゃんと悩みを聞いてあげてる?」「また一緒に旅行に行きたいんだけど…」私はその一つひとつに丁寧に答えます。「会社は無理して毎日通うより、休み休みでもいいから彼女のペースで長く続いた方が良い」「娘は人間関係は時間をかけて築き上げていくタイプ」「完璧でなくても他人を不快にさせない程度の身だしなみはできていると思う」「まだ職場になれるのに精一杯でお金を使う暇もあまりないみたい」「職場の悩みを聞くのは親ではなくてジョブコーチという会社の上司なんだよ」「休みの日は趣味や友達と過ごす時間に充てているよ。もう家族と一緒に出掛ける年じゃないし」“おばあちゃんの思う『幸せ』とは少し違うかもしれないけれど、本人が辛いと感じることなく毎日を過ごせていれば、それが彼女にとっての幸せなのだ”と時間をかけて伝えていこうと思っています。
2018年08月10日子どもへの声かけを学ぶ!『発達障害とグレーゾーン子どもの未来を変えるお母さんの教室』発達障害のグレーゾーンのお子さんがいるお母さんに、具体的なシチュエーションを想定して、肯定的な言葉がけができるテクニックや好ましくない行動をされたときの対応などをその理由とともに解説しています。幼少期に「体が弱く、手のかかる子」だったという著者の吉野加容子さん。自己肯定感が低かったそうですが、「苦しいよね。よく頑張ってるよ」と声をかけられてから、心が軽くなる経験をし、コミュニケーションや声かけの大切さを知りました。吉野さんは発達科学コミュニケーショントレーナー、臨床発達心理士。特別支援教育や発達心理学を学び、脳科学の研究を行っています。本の中では、「まずは3ヶ月やってみる」というスモールステップが設けられているので、始めやすいかもしれません。15年ほど発達支援に関わっていた吉野さんが、頑張るお母さんの気持ちに寄り添って声かけのアドバイスをくれます。(発行: 2018/7/1)子育ての気持ちが楽になるヒントを一問一答で!『「ウチの子、発達障害かも?」と思ったら最初に読む本』約20年にわたり、3,000人もの発達障害のある人と接してきた横須賀市療育相談センター所長で小児精神・神経科医の広瀬宏之先生の著書です。この本は、「発達障害かも?」と疑問を持ったり、発達障害の診断を受けて間もない子の保護者に向けられています。「診断されたら、何をしたらいいの?」「子どもの障害を受け入れるのがつらい」「保育園や幼稚園、学校にはちゃんと行けるの?」など、多くの保護者がぶつかる疑問や不安に対して、一問一答方式で、特性や困りごとへの対応などを紹介しています。1つの質問に対しての解説は1〜2ページにまとめられているので、気になる部分を中心に読み進められます。知らないことが多いと不安も多いですが、あらかじめ困りごとへの準備ができたり、先のことが分かると、いざというときに落ち着いて対応ができるようになりそうですね。(発行: 2018/7/10)保育者向け雑誌から発達障害の特集が登場!『PriPri特別編集発達支援「困った!」を抱える子の保育』これまで保育者向けの雑誌「PriPri」の中で数ページを使って連載してきましたが、10年の連載を経て現場からの強い要望から発達支援に特化した一冊として登場しました!子どもの困りごとの例やその対応をはじめ、園内研修向けの"困りごと擬似体験"の方法など、保育者が発達障害のある子どもに寄り添えるようなコンテンツがまとめられています。また、保護者と連携したサポートなども提案。巻末には幼稚園の指導計画の事例などもあり、実践のヒントになりそうです。同時に、食事やトイレの生活習慣をうながす絵カードの使い方も紹介されているので、さまざまな場面で活用したいですね。ほかにも、保育のノウハウだけでなく、特性を生かし、15歳でコーヒー焙煎士の道を選んだ岩野響さんや家族のインタビューなど、さまざまな内容が盛り込まれています。(発行: 2018/6/28)子どものころからの苦しみを救った自分へのメッセージ『ヘン子の手紙 発達障害の私が見つけた幸せ』自分と夫に宛てた作文「ヘン子の手紙」が第51回NHK障害福祉賞で最優秀作品に選ばれ、その後テレビでドキュメンタリーが放送されるなど話題になった著者・伊藤のりよさんの著書です。発達障害のある2人の子どもを育てる中で、36歳で自分にも発達障害があることに気づいた伊藤さんが、これまでの人生をつづっています。大人に怒られることが多かった子ども時代、生きる意味を見出せなくなったほどの特性による生きづらさ、葛藤もありのままに振り返っています。伊藤さんは生きづらさが発達障害のためだったと分かり、ホッとしつつも、対処が分からず精神的に追い込まれてしまいました。そこで自分への手紙を書いたことで抱えていたものと向き合うことができたそうです。発達障害のあるなしに関わらず、読む人が今の自分を見つめ直すことができる一冊です。(発行: 2018/7/31)医師であり発達障害当事者の著者が解説『自分の「人間関係がうまくいかない」を治した精神科医の方法』30代半ばにアスペルガー症候群とADHDがあると気づいた精神科医の西脇俊二さんが、自身の経験などから人間関係に悩みがある人へ解決のヒントを集めた本です。「なぜか相手をいつも怒らせてしまう」「学校や職場など、集団での生活が苦痛」といった悩みがある人に向けて、自身が行って改善があった対処法などを紹介しています。また、「人間関係がうまくいっていない人」とのコミュニケーションのポイントもシチュエーション別にまとめられています。当事者と夫婦や友人、部下、上司といった立場で関わりがあり、悩みを抱えている人も参考になりそうです。コミュニケーションにとらわれず、好きなことにのめり込むことで、社会に影響を与える仕事ができたり「特性は悪いことばかりではない」というメッセージも。自分がつまずいた経験があるからこその視点が詰まっています。(発行:2018/7/25)
2018年08月08日子育て楽じゃありません
細川珠生のここなら分かる政治のコト
私の愛すべき家族