「発達障害」について知りたいことや今話題の「発達障害」についての記事をチェック! (13/98)
Upload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ赤ちゃんなのに歩行器で暴走。危な過ぎて歩行器はすぐ処分Upload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイわが家は母である私・ワッシーナを筆頭に、家族のほぼ全員が個性いろいろな発達凸凹タイプです。それぞれの特性をキャラクター化しており、動物の顔をしています。わが家で3番目に生まれた次女リスミーは、赤ちゃんの頃は夜泣きも人見知りもせず、ベビーベッドや畳の上でよく動き回る元気な女の子でした。上の子に比べてずいぶん育てやすい子だなという印象でした。生後半年が過ぎてハイハイができるようになったので、上の子が使っていた歩行器に乗せてみることにしました。すると歩行器にリスミーを乗せたとたん、ものすごい勢いで床の上を滑り回り、椅子や壁にぶつかりました。あぜんとする私の前で、リスミーを乗せた歩行器はどんどんスピードアップして、ふすまの小さな段差に激しくぶつかり、ひっくり返りそうになりました。リスミーを追いかけていた私は、リスミーが床に投げ出される寸前で、歩行器を止めることができました。ちょっとした恐怖体験でしたので、私は慌てて歩行器を処分しました。その日以来、速すぎるリスミーの動きには気を配るようにしていました。雑踏で迷子になっても楽しそう。母はトラブルに巻き込まれないか心配にUpload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ幼児期になるとリスミーは好奇心の強い、行動的な女の子に育ちました。ある日のショッピングセンターでのエピソードです。当時、子どもたちを連れて大型ショッピングセンターに出かけると、駐車場から出てショッピング・フロアに着くやいなや、4人の子どもたちはクモの子を散らすように、あっという間に駆け出していました。そうなると私はショッピングセンターの広いフロアを走り回って、子どもたち一人ひとりをつかまえることになります。落ち着きのない子どもたち4人全員を連れて買い物などできるはずがないのに、私は忘れっぽいので、何度でも同じ判断ミスをしてしまいます。もう二度と私一人で子どもたちを連れて買い物をしないと毎回心に誓うのですが、次の瞬間には忘れてしまうのです。その日も、いつものように走り回る子どもたちをつかまえましたが、次女リスミーだけが、どういうわけか見つかりません。途方に暮れていると館内アナウンスで迷子の案内がありました。「◯◯ちゃんと仰る3歳くらいの女の子をお預かりしています。保護者の方は~」というような内容でした。リスミーは、発音がたどたどしくて慣れない人には聞き取りができないので、違う名前がアナウンスされましたが、私はすぐに本人だと分かり、サービスカウンターに駆けつけました。すると迷子のはずのリスミーは、事務用椅子をクルクル回して楽しそうに笑っているのです。大泣きしているのではと心配して駆けつけた私はエンジョイしている様子のリスミーを見て、一気に力が抜けました。あとから聞いた話では、リスミーは自分からサービスカウンターにやってきて、スタッフの方に自分から「迷子です。お母さんを呼んでください」と伝えたそうです。この子はもしかして恐怖心がきちんと機能していないのではないか、と逆に心配になりました。大学病院で診断を受け、言語聴覚士のトレーニングを受けるUpload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ4歳になったリスミーは、約2年後に小学校入学を控えていました。ところが私には大きな悩みがありました。リスミーはこの時もまだ言葉がはっきりせず、特に「かきくけこ」の「か行」は発音できないままだったのです。そのため私は彼女の言うことの半分も聞き取れませんでした。私は、発音のたどたどしいリスミーがこのまま小学校に入学してしまうと、からかいや、いじめの対象になってしまうのではないかと恐れました。そのため、いろいろ調べて紹介状を入手し、大学病院を受診したところ「構音障害」であると診断を受けました。私は長女ニャーイの時から心の中に持ち続けていた疑問を確認してみました。「リスミーは発達障害ですか?」と聞いたのです。すると担当医は「まだ幼過ぎて発達障害の診断はできません。リスミーちゃんの構音障害は個性です。でも何もせずに放置しておくと、成長しても発音がうまくできなくなるかもしれないので、トレーニングをしましょう」との答えでした。それから定期的に通院し、言語聴覚士の指導のもと、さまざまなトレーニングを受けました。口や舌の体操をしたり、バ・タ・カ・ラの音をゆっくり繰り返し発音したり、ストローでコップの水を吹いたりしました。幼い時から始めるほど療育は効果が高くなる!?Upload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ通院で発語トレーニングを受けながら、言語聴覚士からは「自宅でもリスミーちゃんの言葉を聞き返したり、言い直したりは決してしないでください」と念を押されていました。家庭での指示を守りつつ、1年ほどトレーンングを続けていましたが、リスミーの発音には特に大きな変化が見られなかった、ある日のことです。リスミー、ニャーイ、私の3人で食事をしていると、いきなりリスミーが「ぱっぱすばすば」と言いました。聞き返すことを禁じられていたので、私はとても困りました。「ぱっぱすばすば」が何を意味するのかまったく連想できず、途方に暮れて、リスミーの隣の席のニャーイの顔を必死の形相で見つめ、SOSを出しました。するとニャーイは涼しい顔で、さらっと某アニメ映画のタイトルを答えました。この映画は家族みんなで観たばかりだったので、私も覚えていました。リスミーに向かって「おもしろい映画だったね。また観ようね」と声をかけました。すると、リスミーはうれしそうに笑いました。私は会話がつながったことに胸をなでおろしました。やがて小学校入学の直前でリスミーは課題だった「かきくけこ」がしっかり発音できるようになり、小学校に通い始めました。リスミーは発音がいまいち正しくないところがありましたが、私は「これもリスミーの個性」と捉えていました。また本人も「これはリスミー語なの!」と言っています。リスミーは、成長とともに発達凸凹の特性が目立ってきましたが、思春期に入ったあたりからは、トラブルの度に自分の工夫で乗り越えることができるようになっていきました。これは、きっと、わが家で一番低年齢から福祉や医療の支援に繋がり、専門家のトレーニングを受けたおかげだと思います。執筆/ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ(監修:森先生より)好奇心旺盛で、困ったら自分から大人に助けを求めることができる利発さがあるお子さんなのですね。良さをしっかり理解して伸ばしてあげていて素晴らしいです。構音障害も個性の一つとしてとらえながら適切なトレーニングを積み重ねてこられたので、お子さんは自信を持って成長することができたのでしょうね。トラブルを工夫して乗り越えることができるようになるためには、根本的な自信を育てながらトレーニングを重ねる必要があるのです。早くから専門家に相談することは、トレーニングを早期に開始できるという意味でも、保護者がお子さんへの接し方を学ぶという意味でも、とても良い効果があるのです。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2023年10月10日実家の母から、いきなり夜更けに電話が……!先日のことです。夜も遅くなってから実家の母からWeb電話がかかってきました。今年の母の日に私がタブレット端末をプレゼントしてから、たまにWeb電話がかかってくるようになっていました。とはいえ、かかってくるのはいつも昼間でしたので「何かあったのか?」と緊張しました。電話に出てみると母が涙目で「今いい?」と言います。深夜の電話、その訳は?「タケちゃんに謝りたい。私はひどいことをしてしまった」と母。なんのことやら分かりません。母とは離れて暮らしているし、ここ数年はコロナ流行の影響もあり、子どもたちとはほとんど接点もないはず。謝ってもらうようなことがあったかな……?しかし、よくよく聞いてみると、驚きの事実が分かりました。Upload By 寺島ヒロずっと情報から遠ざかっていた母「実は、新聞を取るのをやめたのよ。ほんとは随分前からほとんど読んでなかった」母が言うには、新聞や本は細かい字が目につらくてほとんど読んでいなかったとのこと。私の本も全然読んでないのだそう。「随分前ってどれぐらい前?」と聞いたら、「還暦過ぎたあたりから」と!え?20年近くも読まない新聞を取っていたの!?思わず声に出すと「老眼になったから新聞はいらないと新聞屋さんに言えなかった。アンタには分からんやろうねえ……」と、母は言いました。「ばあば」を変えた母の日のプレゼント「でも、母の日にタブレット端末をもらったから、インターネットでニュースが読めるようになった。新聞屋さんにもタブレットで読むから要りませんは言える」。母が新聞をやめたきっかけはタブレット端末を手に入れた事だったのです。「タブレットだとピンチアウトでいくらでも拡大できるので、これまで読んでなかったような記事も読むようになった」と、母。そのうち発達障害についての記事も目に入るようになり「発達障害ってこういうことだったんだ!」と、初めて知ったのだと。そして孫たちが小さかった頃のことを、夜になるといろいろと思い出すようになったのだそうです。Upload By 寺島ヒロ「今思えばタケルは本当にふざけてなかったし、体が思ったように動いていなかったのだ。その時は腹立たしく、そのまま放ってしまったが、何か良くないことをしたという思いが私の中にも残っていたのだろう……。忘れられなかった」と母は言いました。「その時にタケルが『(祖母からそれをふざけていると言うんだと叱られたので)これがふざけているということなのか……?』とポツリと言った言葉と、幼稚園児とは思えないような深刻な表情が今でもまざまざと思い出される」「妹のいっちゃんにも私はいろいろしとるやろうなあと思う」と続けました。15年の時間とデジタルの進化のおかげ母親の私からすると、まあまあそういう事があったんだろうなあ、とは思っていました。子どもたちは祖母の家から帰ってくると不安定になったり、誤学習をしていたりしたので、後からのフォローも大変でした。しかし、それでも当時は実家に預ける他に選択肢はなかったのです。母は今年80歳です。元職は学校の職員でした。私の子どもだけではなく、発達障害のある子どもに不適切な接し方をしたことは一度や二度ではない、むしろ忘れていることの方が多いのかもしれません。それだけに「子どもたちに謝りたい」と言ってくれたことには驚きました。意外と子どもたちには「意外ではない」?子どもたちを「ばあば」とのWeb電話に呼んだところ、「やっぱね、そうじゃないかと思ってたよ」「昔の教育を受けた人だもん、仕方ないよ。気にしてない」と2人して同じようなことを言っていました。若い時分に家を出た私と違い、子どもたちは老いた母と一緒の時間を過ごしていたので見抜いていた部分があったようです。もしかしたら、娘には弱みを見せないようにしていたのかもしれませんが……。以前発達ナビのコラムで、シルバー世代の親には理解を求めない、「分からないから」と任せてもらえた方が気楽と書かせてもらったのですが……歳月とデジタル技術の進歩のおかげで、私と母との距離は少し縮まったかもしれないと感じています。執筆/寺島ヒロ(監修:新美先生より)すごいエピソードで感動して読ませてもらいました。寺島さんも以前に書かれていたように、シルバー世代の方々は生きてきた時代が違うので、発達障害について理解してもらえない場合は、無理に理解してもらおうと思いすぎないほうがいいと思うことは多いです。そんなシルバー世代のお母さまが、80代になって、タブレット端末で情報を再び得られるようになったら、お孫さんの幼い頃のことを振り返って、謝らなければというお気持ちになってくれるなんて、柔軟な思考の素晴らしいお母さまですね。老眼で新聞を読むのをあきらめていた20年がもったいないように思ってしまいますが、80代になっても情報を保障してくれるタブレット端末というものが出てきたこともうれしく思います。情報を正しく受け取れれば、人間の思考も変化してくるということでもありますね。これは発達障害のお子さんの情報保障にもつながる話だと思いました(本人に分かるように視覚支援等を用いることで、理解できること、できるようになることが増えるという構図が重なると感じました)。興味深いエピソードを聞かせていただきありがとうございました。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2023年10月09日幼稚園に入園して最初のトラブル発達障害があるわが家の娘は現在24歳です。娘には小さな頃から変わることのない『やっかいな特性』がいくつかあります。その中のひとつに『他人のルール違反が許せない』というものがあり、それが原因で幾度となくトラブルが勃発していました。最初のトラブルは娘が幼稚園の年少の時でした。娘のクラスメイトに、じっとしていることが苦手で保育中にドアを開けて外に出ていってしまうお子さんがいました。担任の先生もそのお子さんを注視していましたが、その子は一瞬の隙をついては脱走を繰り返していました。娘はそのことが気になり止めようとするのですが、当然幼稚園児の娘が静止できるはずもなく……。結果、保育室内で娘がその子を追いかけたり、静止を嫌がるその子が娘にかみついたり、そのうちどちらかが扉に指を挟んだりと、カオスな状態となってしまっていました。しばらくしてそのクラスメイトの子が転勤で引っ越し、転園したので娘は落ち着きを取り戻しました。幼稚園年長の時も、注意をしては小競り合いに年長の運動会で、ふざけて前に出ようとするクラスメイトを娘が止めようとしているうちにお互いエスカレートし、先生が娘とそのクラスメイトを離す、という場面がありました。ほかにも、まだ幼くて周りの言うことが聞けないお友達の弟(やんちゃ系年少さん)に、娘が注意をしようとしては小競り合いを起こす、ということもありました。小学校ではもみ合いとなり備品の破損も低学年の時には、落ち着きのない児童を娘が注意した結果、もみ合いとなり学校の備品を倒して壊してしまうといったこともありました(わざとではなかったので弁償ということにはなりませんでしたが)。高学年になると娘も“注意をするのは先生”ということを理解していたので、自分から誰かを注意することはなくなりました。しかしながら特定の生徒から過度な干渉(いわゆるいじめ)があり、執拗に絡んでくる相手の行動に過敏に反応するといったことがありました。人づき合いに苦労した中学~高校の頃自分から誰かの行動を非難したりすることはありませんでしたが、苦手な人とのつき合い方に娘は苦労していました。特に押しが強い相手やしつこい相手との距離の取り方は、受動型の娘にはとても難しかったようです。学校という狭い世界の中では避けることができないケースもあり、将来のためにと親や学校の先生方がアドバイスをしたり、時には間に入って手助けをしたりしていました。社会人になってからは学生時代に比べ社会人になると周りも大人ですし、人間関係もドライになります。娘は社内でルール違反をする人が気になったこともあったようですが(特にメンタルが不安定な時)職場での困り事は自らジョブコーチに相談をしていました。周りが介入できないSNS上のトラブル入社してしばらくして娘はSNS上のトラブルが原因で体調を崩しました。どうやらSNS上で“間違った発言や行動をしていると娘が感じる人”の様子を目にして憤りを感じていたのだそうです。SNSを見なければ良いだけなのに一度気になってしまうとその人のことが気になって仕方がなくなってしまうようでした。娘はもう、親がスマートフォンを取り上げることができるような年齢ではありません。私たちは時間をかけて娘自身が理解できるように話をし、最終的に本人が納得したうえでインターネットに制限をかけることにしました。しかしながら体調が戻って一年ほどすると娘は「もう平気。今回は大丈夫だから」とインターネットの利用制限の解除を求めてきました。そして再びインターネット上のトラブルが原因で体調を崩してしまいました。「あぁ、やっぱり」これが当時の私の正直な気持でした。この時、娘はグループホームに入居していたので、相談は私よりも先に支援者にしていました。でも娘は体調不調の一番の原因がインターネットでのトラブルであるということを支援者には言っていませんでした。私は娘に言いました。「あなたは幼稚園の頃から常に“気になる人”がいて、注意しに行っては自爆していたよね? ほら幼稚園の○○君、小学校の××君、中学校の□□さん、昨年のネットトラブルの△△さん。覚えてるでしょ?」「学校や会社の避けられない人間関係は仕方ないけど、ネットは明らかに自分から見に行ってるよね。それがあなたの特性で仕方がないのかもしれないけど、今回が初めてじゃないでしょ?自らトラブルに巻き込まれるようなところに突っ込んでいくのはもうやめようよ。幼稚園や学校では先生、会社ではジョブコーチが相談にのったり指導をしてくれるよね。でもネット上のトラブルには誰も介入できないし助けることはできないよ。もうそろそろ学ぼうよ」娘は「それがなかなか難しい」と言います。このようなトラブルは娘が元気(元気すぎてハイになっている?)時に起こることが多いように感じます。まとめ障害のある子どもの子育ては本当に一筋縄ではいきません。かれらは何度も何度も同じようなことを繰り返します。やけに記憶力が良くて過去のことを鮮明に思いだしてフラッシュバックを起こしたりする一方で、過去の出来事が全くなかったかのような振る舞いをしたりもします。近くで接する親はそのたびに大きなダメージを受けます。私はこれまでも何度も言ってきたことを再び娘に言います。「世の中にはいろいろな人がいることは分かってるよね。『自分が正しいと思うこと』と『相手が正しい思うこと』が違うこともあるんだよ。あなたの物差しでジャッジして相手を変えようとすることで、自分のメンタルを崩しちゃうのってもったいと思わない? まぁこういう私の考えも、あなたに“押しつけること”はできないんだけどね」本人の意思を尊重しつつ、本人が自分の特性とのつき合い方や折り合いを身につけるまで、私たち親は根気よくつき合っていくしかないのだとつくづく思います。それでもグループホームに入居している今は、支援者の方々も娘の日々の生活について一緒に考えてくれるので、娘が自宅にいた頃に比べ親の精神的な負担は格段に減ったと感じています。Upload By 荒木まち子(監修:井上先生より)発達障害のある人たちの特性やこだわりのなかで他人のルール違反が許せないという方は少なくないと思います。頭のなかで「あの人はルールに反している」と考えるだけならよいのですが、実際にその人に対して直接行動を起こすとトラブルの原因になることがあります。ルール違反を見ないようにしても目についてしまった場合、直接相手に行動を起こすのではなく、上司や管理者に対して報告する、親御さんを含め支援者やカウンセラーに相談するなどの対処法を取れるよう本人も練習していく必要性があるかもしれません。報告や相談をしても相手の行動は変化しない場合もあるかもしれませんが、「自分は対処した」という納得が得られるように援助していくという方法です。もう1つの方法として、頭のなかに「あの人はルール違反をしている」という考えが浮かびやすい自分の特性を理解したうえで、この考えを否定せず頭のすみにおいたままにするという練習もあります。マインドフルネスなどの活用も考えられます。ご参考になれば幸いです。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2023年10月08日小学1年生:字がきれいに書けない!長女が通っている小学校では、低学年の国語の課題と言えば「字を正しくきれいに書く」ことがメインでした。しかし、長女にとってはこれがとても難しかったのです。1年生のひらがなの書き取りでは、長女の書く文字は芯がないというか、なんだかフニャフニャした字形になっていました。担任の先生にも毎回訂正をされていて、書き取り用のノートは真っ赤になっていました。でもこの時の私は、長女に知的な障害があるとは全く気づいておらず、「字はきれいな方がいいかな……」といった程度にしか考えていませんでした。Upload By 吉田いらこそこで私は長女を硬筆の習い事に通わせることにしました。長女本人の意思ではなく、無理やりだったので本人のやる気はもちろんゼロ。長女は講師の先生とお話をするのにもかなり緊張していて、数ヶ月通っても一向に上達しませんでした。ある日、硬筆の習い事に行く前につらそうな表情をしている長女を見て、なんだかかわいそうな気持ちになってきました。別に小学校低学年の今頑張らなくても、成長していけば次第に字をきれいに書けるようになるかもしれない。本人がきれいに書きたいと自覚を持ったら書き方が変わるかもしれない。そう思って私は長女の硬筆の習い事を退会させることにしました。もう行かなくていいと知った時の長女のうれしそうな顔………。本当につらかったのだなと思いました。現在中学1年生になった長女ですが、相変わらず書く文字はフニャフニャとしています。字をきれいに書くことがいいこと、きれいに書きたいと本人が思える日が来た時にはまた練習を頑張るかもしれませんが、今はまだこのような状態です。Upload By 吉田いらこ小学2年生:算数の習い事が続かない長女は4歳の頃から自学自習形式の塾に通っていました。受講していた科目は算数と国語で、最初は簡単なひらがなや点つなぎからスタートする教材でした。最初はゲームのようで面白かったようですが、だんだんと難易度が上がるにしたがって、通うのを嫌がるようになりました。長女がとくに難しく感じるようになったのは算数で、単元の難易度は小学2年生の足し算くらいだったと思います。塾だけが特に早い進度ではなく、学校の授業と同程度の進度でしたが、長女にとってはつらかったようです。とうとう、習い事の日は泣き出すようになってしまいました。ここでもう少し言い聞かせて習い事を続けていたら、もしかしたら算数を好きになっていたのかもしれませんが、小学2年生の頃に退会しました。私の中で、泣いてでも頑張らせた方がいいのか、判断がつかなくなってしまったのです。現在は知的障害の診断を受けたので「算数の習い事、そりゃあ難しかっただろうね、つらかったね」と思いますが、当時はこれでいいのかとモヤモヤしたことを覚えています。Upload By 吉田いらこ現在中学1年生の長女が通っている習い事は、バイオリンと個別の学習塾の2つです。学習塾については毎回文句を言いながらも通っています。塾には行きたくはないけれど本人の中で「中学生は勉強するもの」という認識があるので仕方なく、といった感じでしょうか。いっぽうでバイオリンは本人が希望して始めた唯一の習い事で、こちらは楽しそうに通っています。本来の習い事とはこういう楽しいものをやるべきなんだろうなと思いつつ、「もう少し勉強にも興味をもってほしいな」と親としては願ってしまいます。執筆/吉田いらこ(監修:初川先生より)長女さんの小学校低学年時の習い事についてのエピソードをありがとうございます。字をきれいに書けるようになるために硬筆を習うことで上手に書けるようになる子もいますが、お手本を見て、自分の書こうとしている升目の同じところから書き始めて、お手本と同じようにマス目の4分割したどこを線が通って、どう曲がったり止めたりして……と字をきれいに(お手本にならって)書くというのは手と目の動きを協応させたり、視覚的な認知や俯瞰する力などが問われるなかなかのマルチタスクです。単に回数をこなせば上手になるわけでもなく、いらこさんがご指摘のように本人のモチベーションもだいぶ必要だろうなと感じます。場合によっては、家で大きな紙に大きく練習したほうが上達の近道になる場合もあるかもしれません。算数や国語など教科学習に関する自学自習の塾も、繰り返して習熟する段階の内容で、かつ、繰り返して学ぶことが向いているお子さんには良いと思います。ただ、そもそもつまずきがある場合は、そこを乗り越えるのが困難なセッティングではあるので、どこかで壁にぶつかることもあるだろうと思います。習い事は本人にとって得られるだろう良きことと、精神的・体力的負担などとのバランスを見ながらご検討いただければと思います。特に低学年の時期は、学校に行って帰ってくるだけでへとへとのお子さんもいると思います。コンディションの悪い状態ではどれほどいいことをしたところで、なかなか良い時間とならない場合もあります。体力や余力のある小学校高学年くらいから始めてうまくいった方もおられます。興味関心、必要性、お子さんの状態やモチベーションなどさまざまな点からぜひご検討ください。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年10月06日受給者証が届き、いざ療育探し開始!見学を申し込もうとしたら……Upload By プクティ受給者証が無事届いたということで、早速療育探しを開始!まずはインターネットにて児童発達支援施設を検索、通えそうなところをピックアップし(その時に支援センターの方からもおすすめされたのがLITALICO発達ナビでした!)、施設へ連絡してみました。しかし、見学は可能だけど空きがない……という施設が多く、人気のところだと1年以上空き待ちというところもありました。たくさんの施設に電話し、ようやく入れそうな可能性のあるところを3つ見つけ、見学に行くことにしました。Upload By プクティまず、どの施設も説明を聞く間は長男を預かってくれて、長男の様子を見てくれました。施設自体の雰囲気は本当にさまざまで、きっちりと机と椅子に座って指導するところや、比較的自由に遊びを通じて指導していくところなど違いが大きくあり、見学の大切さを改めて実感しました。Upload By プクティ何よりも救いだったのは、長男がどの療育も気に入ってくれたことでした。見学が終わった後はすごく楽しかったからまた来たいと言ってくれました。療育内容、先生の資格、雰囲気……いろいろなことを考慮し、療育先決定Upload By プクティ3つ全ての療育の見学を終え、施設の雰囲気、先生の持っている資格なども考慮して、最終的には通いやすさと空いている日時が決め手になり、療育先を決めました!Upload By プクティ私たちが通うことを決めた療育先は個別療育を行っている施設で、なんと長男が通っている幼稚園から近い場所にあり、幼稚園が終わった後にそのまま療育へ行けるという好条件でした。いろんな場所にその系列の施設があるのですが、どこも人気で空きがなく、たまたま新しい施設をオープンするところで空きがあり、入ることができたのでした。こうして支援センターに相談に行ったのが3月末で、そこから知能検査や受給者証発行、施設見学などをして、約3ヶ月で療育先が決定、7月から療育スタートという、運よくとんとん拍子で療育まで繋げることができました。執筆/プクティ(監修:森先生より)療育には、信頼関係がとても大切ですよね。どんなによいと思われるプログラムでも、お子さんや保護者が療育先の職員を信頼できるかどうか、楽しく通えるかどうかで効果は大きく変わってきます。合う合わないは実際に行ってみないと分かりません。また、療育に関してはスピードも大切です。早期から療育を行うと、お友達とのトラブルや不登校といったお子さんの二次障害を予防することにも繋がります。日常生活を送る上でのやり取りもスムーズになるため、お子さんと保護者のストレスが軽減されます。すぐに受け入れてくれる療育先をいくつか見学してみて、お子さんに合うところを探すといいですね。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
2023年10月05日子どもらしいと思っていた「好奇心」が、「周り迷惑をかけるもの」という心配事に変化していった乳幼児期現在6歳(小1)の息子は、5歳でADHD、自閉スペクトラム症(ASD)と診断を受けています。好奇心が強く真面目、こだわり強めの息子です。赤ちゃんの頃から息子は好奇心旺盛で、目についたものは触る、口に入れる、ボタンを押す、キッチンに忍び込んで粉類や米をぶち撒ける、トイレに手を入れてバシャバシャする、トイレットペーパーやティッシュを全部出して散らかす……と元気いっぱい!これも成長だと思って、周りに迷惑にならなければどんどんやって構わないと考えていた私は、息子の気の済むまでやらせていました。特別発達面について気になるところはなかったのですが、1歳半健診の時、言葉の遅れについて指摘を受けました。息子は当時5、6個程度の単語(パパ、ママ、ごはん、お水など)と、「ま」の一言でいくつかのものを表していたためです。この健診の流れで個別発達相談を受けるよう提案されたので、以降そちらに通うことになりました。その後、どんどん語彙も増えて行き、ひらがな、アルファベットすら読めるようになり意思疎通も問題なく行えていたのですが、2歳過ぎた頃から、ほかの子どもと比べると、一つの遊びに集中できず、あるおもちゃで遊び始めたと思ったらすぐ別のおもちゃで遊ぶなど、落ち着きがない様子が気になるようになりました。そして3歳以降は好奇心からか公園で知らない大人に話しかけたりしつこく質問するように。また、お友達に噛みつく出来事があったり、お友達が作ったものを壊してしまったり、息子の好奇心が「周りに迷惑をかける」ことが増えていったのです。Upload By ユーザー体験談私は息子からなるべく目を離さず、息子が行きそうだなと感じたらストップをかけ、周りの人たちに気を遣い動く日々を過ごすようになりました。先生「残念な結果になった」。撮影が入りビデオ販売が予定されていた発表会で息子が……幼稚園入園後、息子は集団行動ができず教室から出てしまったり、順番待ち、お遊戯などを嫌がって泣いてしまうことが続きました。毎日のようにお迎えの時に先生から本人の目の前でできなかったことややってしまったことの報告を受けました。迎えに行くといつもニコニコして外を見ていた息子でしたが、次第に窓際には居なくなり、帰りのお支度ができずに教室の端に残されて泣いていることが多くなりました。撮影したビデオの販売が予定されていた発表会で息子が動いたために、ほかの子どもたちの視線がそちらにいってしまい、「残念な結果になった」と先生から言われました。そして、入園して5ヶ月たった頃、年中になると補助の先生が居なくなるので登園しても職員室で過ごすことになるなど、実質退園勧告を受けるようになりました。周りに発達障害の子どもを持つママ友もいませんでしたし、保健所の発達相談で初めて「療育というのがありますよ」と教えてもらったものの、療育のリストはくれましたが詳しいことは教えてもらえませんでした。私も知識が全くなく、どう質問したら良いのかさえわかりませんでした。ひたすら『発達障害』というワードをネットで調べたところ、とにかく療育を受けさせる必要があると思いました。発達支援センターは初回面談が半年以上先、療育はどこもいっぱいで……。でも、ネットで情報を集めて、なんとか空きのあった所に申し込みました。転園先も主にネットで検索し、障害児を受け入れて加配を付けられることを条件に探し、見学と面談をしてそちらに移ることになりました。この幼稚園と療育につながり、私は発達障害への知識を得ていきました。Upload By ユーザー体験談小学校では「ほかの子と違う対応はするべきでない」と断言する担任の先生に落胆そして小学校へ入学、初めは何とか授業にも参加できていたと思っていたのですが、7月に校長、副校長、担任との面談が行われ、「癇癪を起こして授業が止まってしまう」「癇癪の原因は分かりやすいが、ほかの子と違う対応はするべきでない」と担任の先生から断言されてしまいました。面談の席での発言なので、学校側の総意なのだと解釈しました。Upload By ユーザー体験談担任からは入学直後の面談で「特別扱いできない」とも言われていましたので、私もあまり要望はしておらず、全体のルールを変えるなどの対応は不要と伝えてはいました。ですが、個別の配慮もここでは特別扱いになってしまうのかと、この発言を聞いて今のクラスはで息子を受け入れてもらえないのだと落胆しました。私は5月まで授業中に付き添いもしていました。そこでたびたび目にしたのは、先生が何度か注意しても、なかなかやめられないときは校長室まで引き摺られて行き、先生たちから怒られるという場面です。息子は、その経験からまた同じようなことをされるのではないかという恐怖を抱くようになり、学校に対する不安が強くなっています。勘違いされて怒られたこともありました。息子に対して、担任の先生は常にイライラしている様子が伺えました。もう、息子の存在が受け入れてもらえないのだなと感じました。そうこうするうちに、校長から「この学校には特別支援学級がないので、別の学校の特別支援学級を見学してみてはどうでしょうか」とすすめられました。小学校は味方の居ない場所に……。通常学級でがんばる?引っ越す?私がした決断は確かに、息子は衝動性からクラスの子どもを傷つけてしまう可能性がありますし、癇癪で迷惑をかけているということを申し訳なく思っていました。でも、癇癪を起こすのは教室だけです。自宅、療育、通級指導教室では落ち着いて過ごせていました。特性を理解してもらえない、配慮なくみんなと同じように同じことを強要されても、息子には難しかったのでしょう。公立校なのでさまざまな制限があるのもわかりますし、もちろん息子だけに対応するのは難しいことは理解しているつもりですが、面談で話を聞いてとても悲しくなりました。今住んでいる自治体の特別支援学級は情緒学級がなく、知的学級しかありません。情緒学級のある自治体への引越しも考えましたが、すぐには動くことができない状況です。息子は知的面での遅れはなく、むしろ今は勉強したいと意欲的です。できれば配慮を受けて勉強をさせてあげたいのですが、それでも今の学校にいたら、息子の味方が居ない場所で無理をすることになります。担任の先生が配慮しないと断言した以上、苦しい状況にいても成長に繋がらないと考え、本人は嫌がりましたが情緒級の特別支援学級のある自治体へ転校することに決めました。それしか選択肢がないと思いました。Upload By ユーザー体験談息子の心を傷つけてしまった……。いつか楽しい時間が記憶として残る環境に息子を置いてあげたい私は、息子の発達障害を受け入れていたつもりでしたが、どこかほかのの子と同じような経験をして成長して欲しいと言う気持ちがあり焦っていたのだろうと思います。今回、幼稚園に続いて小学校も変わるという経験をさせてしまい、息子の心を傷つけてしまいました。特別支援学級では息子の気持ちをよく考えながらのんびりと成長を見守っていけるようにしたいです。多少のことは笑顔で対応してあげたいです。将来はどうなっていくのか今は想像もつきません。私自身も不安しかありませんし、どう育って欲しいかも具体的に考えられませんが、近い将来、今までの嫌な記憶が少しでも和らいで、楽しい時間を過ごして、それが思い出として記憶に残ってくれたらと思います。穏やかに過ごせる環境に、息子を置いてあげたいです。イラスト/taekoエピソード参考/なのはな(監修:藤井先生より)貴重な体験談を読ませていただきありがとうございます。息子さん、親御さんのお気持ちが伝わってくる内容でした。発達障害があるお子さんへの合理的配慮を推進する法律が施行されたのが、平成28年4月です。しかし、障害のあるお子さんへの合理的配慮が細やかにされているかというと、まだ自治体によっては知的障害がない発達障害へのお子さんへの配慮がまだ行き届いていない様子も伺えます。主治医からの意見書や診療情報提供書などで、学校との連携をとられている方もいらっしゃいます。もし、主治医がいらっしゃる場合には、相談されるのも良いかなと思います。息子さんが少しでも穏やかに過ごせる環境が見つかることを願っています。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年10月05日療育手帳って?発達障害娘は取得できるの?中学1年生の娘は、4歳の時に広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)と診断されました。コミュニケーション能力が低く、情報を聞き取ること、自分の考えを口に出してしゃべることが苦手な特性があります。発達障害の診断を受けている娘ですが、療育手帳は持っていません。というより、取得することができませんでした。※「療育手帳」とは、知的障害がある人に発行される障害者手帳です。自治体によっては「愛の手帳」「緑の手帳」という名前で発行されています。療育手帳を持つことで、療育や支援をはじめとしたさまざまな障害福祉サービスを受けることができます。娘は2歳から療育畑を歩いてきました。Upload By SAKURAしかし、恥ずかしながら私は、療育手帳の存在を、娘が小学生になるまで知りませんでした。放課後等デイサービスに通うために必要な「受給者証」というものが、療育手帳と似たようなものだと勘違いしていたこともあります。Upload By SAKURA小学生になると「療育手帳持ってる?」と聞かれることが増え、「あれ?持っていないとまずいものなのかな?」と思い始めました。Upload By SAKURA療育手帳の取得方法を調べてみると……療育手帳の存在をちゃんと知らなかった私は、「取れるものなら取ろうかな」とその時は軽く思いました。Upload By SAKURAあとから知ったのですが、この療育手帳の取得は、親御さんにとって、「障害を認めたことになるようで、取得を躊躇する」ということがあるようでした。Upload By SAKURA私は、グレーゾーンの時から「早く診断名がついてほしい」と思っていましたし、療育手帳の存在は、診断を受けて3、4年経ってから知りました。躊躇することはまったくなく、前向きな気持ちでした。Upload By SAKURAそれから私は、療育手帳を取るため、取得方法を調べました。しかし、知的障害がない場合、療育手帳は取得はできないということが分かりました。※療育手帳は、各自治体によって療育手帳の取得基準や、受けられるサービスが違います。Upload By SAKURAそれ以降も、療育手帳について聞かれる場面はありましたが、「娘の場合、取れないみたいです」と答えていました。その後、娘が小学6年生の時、中学に向けて発達テストを受けることになり、テスト結果と(特別支援学級の在籍に必要な)診断書をもらうため、発達外来の受診をした時、療育手帳について確認してみると……Upload By SAKURA娘は療育手帳も精神障害者保健福祉手帳も取得はできないと言われました。やっぱり……。事前に調べていたので、確認のため……という感じの質問でしたが、帰宅後、私はふと思いました。障害者手帳が取得できない=困りごとがない訳ではないのに……Upload By SAKURAじゃあ……障害者手帳を取得できない娘は……どの位置にいるのだろうか。昔……まだ娘に診断がついていないグレーゾーンの時、発達障害なのか、そうではないのかという、中途半端な位置がとても嫌でした。その時のことを思い出しました。娘は知的障害がありません。IQも通常範囲内。しかし、しゃべれば、言葉の並びがぐちゃぐちゃだし、出てこない言葉も多い。口頭の指示は、一度では絶対に聞き取ることができないし、言われたことを覚えるのもとても苦手で、すぐに忘れてしまいます。Upload By SAKURA相手の立場になって考えることが苦手で、空気が読めないため、信じられないタイミングで、とても感じが悪いことを言ってしまうこともよくあります。自分の中の感情や、思いついた言葉を頭に留めておくことができないので、叱られているのにニヤニヤしてしまったり、一人でぶつぶつと独り言を続けてしまうこともあります。Upload By SAKURA娘は発達障害ではあるけど、障害者手帳を取得する基準にない……。今まで、手帳を持っていなくて、損したことや、受けたいけど受けられない福祉サービスがあったわけではありません。しかし、娘には、苦手なこと、困りごとが多くあります。それを証明する代わりになるような手帳は、持たせてもらえないのか……と思いました。知的障害がなくても、困っていないわけではありません。どうやってもできないことがあります。娘が大きくなった時、コミュニケーション面でなにか困ったら……。Upload By SAKURAなんてことにならないか……。考えすぎかもしれませんが、言葉で説明できない娘が心配になりました。知的障害がなくても、困ってること、助けて欲しいことはあります。日常生活に支障をきたすほどのパニックがなくても、冷静に対応できるわけではありません。そのことを証明するような……それぞれの特性や、困りごとにそった手帳があるといいのになーと思います。執筆/SAKURA(監修:新美先生より)療育手帳取得にまつわる、いろいろな思いを聞かせてくださりありがとうございます。あまりいいことではないと思いますが、療育手帳や精神障害者保健福祉手帳の取得基準については、地域による違いがあったりして、なかなかコメントがしにくいところがあります。多くの自治体において、療育手帳は原則として知的障害のある方が対象ですが、地域によっては発達障害がある場合、知的障害の基準が緩和されることもあるようです。知的障害を伴わない発達障害の方の場合、コラム内の漫画にも書いてありましたが、精神障害者保健福祉手帳が取得できる場合があります。これについても地域による基準がまちまちだったり、時代によって変化してきていることもあります。発達障害特性があって、生活面で何らかのサポートが必要な場合、精神障害者保健福祉手帳は取得できる可能性は十分にあります。一般的に、義務教育年代は、障害者手帳がなくても多くの福祉サービスは、コラムにあったように受給者証があれば利用できることが多いので、必要性をそこまで感じないかもしれません。ですが義務教育年代以降、福祉サービスを利用するためには、障害者手帳が必要になる場面が多くなります。こうしたことから義務教育年代を主に担当する支援者が精神障害者保健福祉手帳の取得は重度なケースのみと認識している地域でも、成人期にはもう少し柔軟に取得できる幅が広がるということもあるかもしれません。この先義務教育年代以降、就労などにあたって、精神障害者保健福祉手帳があったほうがいいと考える場合は、改めて地域の相談窓口等に当たってみてもいいかもしれません。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年10月04日中学生になった自閉スペクトラム症の太郎自閉スペクトラム症の太郎が通う中学校の特別支援学級では、授業は基本的に交流学級にて行い、小学生の時のような個別の指導がほぼなくなる。Upload By まゆん中学校に進学するにあたって、私はそこに不安を抱いていた。学習面の遅れは元々あり、ギリギリで追いついている感じだった。個別指導だったからこそ追いつけている部分があったと思う。いざ、中学生になり太郎の学習面の遅れは著しかった。テストも個別の部屋ではなく交流学級で受けることになり、ますます点数は下がった。しかし、提出物と宿題だけは放課後等デイサービスや祖母の支えもあり、ほぼクリアできていた。太郎自身は交流学級での生活は楽しんでいる様子であり、特別支援学級での友達関係や担任の先生との関わりも楽しそうだった。しかし、中学校生活が半年も経つ頃には、宿題の多さに不満を漏らすことが増えてきた。ただ、不満を漏らすものの提出期限には間に合わせることができていた。しかし、宿題と提出物でいっぱいいっぱいで、ほかの学習に手をつけることはできなかった。私は、「勉強をするように」というような声かけはしなかった。怠けて勉強をしてないから点数を取れないわけではないと理解していたからだ。太郎は学習したことをすぐに忘れてしまう。指導されたその時は理解したと思っていても時間が経つともう忘れてしまう。そんなところも、今後の生活にどう影響するのかと心配があった。太郎が感情を出せる場所小学生の頃から太郎は、放課後等デイサービスの先生たちに心を開いている。中学校に進学後、太郎は週に4日から5日、放課後等デイサービスへ通っている。私に話さないこと、見せない面を、スタッフの人たちが知っていることもある。特に宿題や学習について不満を漏らすことが多かったようで、「宿題が多すぎる……」とつぶやいていたと先生たちから聞いた。Upload By まゆん太郎は普段1人で行動をすることが少ない。家にいるか、放課後等デイサービスか学校だ。太郎が感情を出せる場所が家庭だけでなくて良かったと思う。放課後等デイサービスという場所があって本当に良かった。Upload By まゆんそう思うと同時に、そろそろ本当に限界なのではないだろうか……そう気づき始めた。私の予感が、その後どうなったかはまた時間を置いてつづりたいと思う。あとがき中学生になり、学習もより複雑になってきました。小学生まではなんとかついていけていましたが、中学生になり周りとの差は明らかなものになっています。お話しがあったのがワーキングメモリー、知的の部分でした。今、かかりつけ医に相談し、より詳しい検査をすすめている段階です。これから高校進学、就労の話も出てくると思うので重要なポイントになると思っています。執筆/まゆん(監修:森先生より)成長するにつれて、保護者の方だけで支えることのできる範囲にも限界が出てきますよね。学校の勉強はどんどん複雑になりますし、提出物や宿題のサポートを受けられると心強いですね。また、思春期に入ったお子さんは保護者の方にはなかなか相談できない部分も出てくるものです。放課後等デイサービスのように、お子さんにとって、学校とも家庭とも違う自分を出せる場所があると、心の平穏につながりますね。保護者には見せられない感情を出してリラックスできる場があると、日常で生じるストレスともうまく付き合えるようになるのではないでしょうか。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年10月03日グループホームで利用者とトラブル・退去することにはじめに、自閉スペクトラム症(ASD)と知的障害があるお子さんの保護者の方から、成人したお子さんの住まいについてご相談を受けたケースをご紹介します。グループホームに入居したものの、ほかの利用者とトラブルをたびたび起こしてしまいました。施設の方と話し合いを重ね、最終的には退去することに。再び実家で一緒に暮らし始めたのですが、これからの事を考えると不安が募ります。本人の意思を確認し、家族で無理のない選択をUpload By 専門家体験談「親なきあと」についてのご相談では、「仕事」「お金」と並び「住まい」に関するお悩みがよく聞かれます。まず、このお子さんが利用していたグループホームとは、国の障害福祉サービスの一つで共同生活援助のことです。一つの住居の利用者数の平均は6名程度ですので、ほかの利用者と一緒に過ごすのが苦手な人の場合は、ストレスをためてしまうことがあります。共同生活援助(グループホーム)障害者につき、主として夜間において、共同生活を営むべき住居において行われる相談、入浴、排せつ又は食事の介護その他の必要な日常生活上の援助を行います。引用:障害福祉サービスについて|厚生労働省「親なきあと」のことを考える際に大切なのは、ご本人の希望と、親御さんの思い、どちらも大切にしながらできるだけ無理のない選択をすることです。親御さんが将来に不安を感じている一方、お子さんも実家を出て生活したいと考えているかもしれません。共同生活が難しいということであれば、一人暮らしという選択肢についても考えてみましょう。実際に、福祉サービスを利用しながら一人暮らしをしている人も多くいます。アパートなどで生活しながら利用できる福祉サービスについては、主に2つ考えられます。まず、介護が必要という状態でなければ、「居宅介護」という選択肢があります。居宅介護居宅において、入浴、排せつ及び食事等の介護、調理、洗濯及び掃除等の家事並びに生活等に関する相談及び助言その他の生活全般にわたる援助を行います。引用:障害福祉サービスについて|厚生労働省常に介護が必要という状態であれば、「重度訪問介護」を受けられる可能性があります。ただし、地域によってかなり状況が異なるため、相談支援事業者で計画相談支援を受けると良いかもしれません。重度訪問介護重度の肢体不自由者又は重度の知的障害若しくは精神障害により行動上著しい困難を有する障害者であって常時介護を要するものにつき、居宅において入浴、排せつ及び食事等の介護、調理、洗濯及び掃除等の家事並びに生活等に関する相談及び助言その他の生活全般にわたる援助並びに外出時における移動中の介護を総合的に行うとともに、病院等に入院又は入所している障害者に対して意思疎通の支援その他の支援を行います。(日常生活に生じる様々な介護の事態に対応するための見守り等の支援を含む。)引用:障害福祉サービスについて|厚生労働省ご相談いただいた親御さんには、上記のほかに日常生活自立支援事業、成年後見制度についてもご説明をしたうえで、現在つながっている支援者や通所している事業所の方を含めて検討いただくようお伝えしました。学生の頃からショートステイを定期的に利用もう一つのケースをご紹介します。知的障害のあるお子さんが中学1年生のころに、親御さんが遠い親戚の実家に行かなければならず、初めてグループホームのショートステイを利用することになりました。親御さんが迎えに行って帰宅したあと、特にお子さんに変わった様子はなかったのですが、その5年後に再び同じショートステイを利用したところ、帰宅していきなり「気持ちが悪い」と言い、嘔吐してしまったそうです。医師に診てもらっても特に健康状態などに問題はないとのこと。親御さんは心配になり念のためショートステイ先にどんな様子だったか聞いてみたところ、理由が判明。どうも周りの人たちに気を遣って我慢をするなど「いい子ちゃん」をしていたようだったのです。その無理が自宅で出てしまったということですね。そこで、親御さんは「もしも、自分たちがいなくなったらどれだけつらい思いをするのだろう」と考えて、それからは毎月ショートステイを利用するようになりました。もともと人が好きなお子さんだったので、少しずつ慣れてワガママも言えるようになり、家にいるときの何倍も楽しそうに、ウキウキとショートステイに出かけるようになったそうです。お子さんが成人してから「住まい」について考え始める親御さんが多いかと思いますが、もう少し早くから準備を始めることで、親子にとってより良い選択ができるかもしれませんね。短期入所(ショートステイ)居宅においてその介護を行う者の疾病その他の理由により、障害者支援施設、児童福祉施設等への短期間の入所を必要とする障害者等につき、当該施設に短期間の入所をさせて、入浴、排せつ及び食事の介護その他の必要な支援を行います。引用:障害福祉サービスについて|厚生労働省(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年10月02日好きなことには過集中!やるべきことには注意散漫!Upload By 丸山さとこ現在中学生の息子コウには、ASDとADHDがあります。ADHDの特性によるためなのか、意識的に集中力をコントロールして物事に取り組むことが苦手です。趣味に関しては過集中して寝食を忘れて取り組むいっぽうで、宿題など『意識的に集中しなくてはいけない作業』では、雑談を始めたり消しゴムをコロコロ転がしたりして気が散ってしまいがちです。コウは書字が遅く疲れやすいため、小学校の宿題では漢字の書き取りなど『書く量』の多さで苦戦していました。高学年になると書き取りノートのマスの数も増えるため、3~5行書いたところでコウの気持ちが折れてしまうようになりました(日によっては5文字程度で力尽きてしまいます)。そんな様子を見ていた私は「苦手な作業だし、集中しづらいのも無理はないのかな」と思っていました。ところが、中学生になった今、コウは「宿題は嫌じゃない」と言います。なぜなら、中学校の宿題はプリントが主体のため、小学校の宿題に比べて書字の量が少ないからです。実際、コウは宿題を進めながら「興が乗ってきた!」と言うこともよくあります。そんなときは、数分で宿題を終えることも珍しくありません。でも、宿題が進まない日ももちろんあります。進まないなかでも、グニャグニャしながらも頑張って机に向かっているコウを見ていると、「集中できるか否かは、コウ本人にとってコントロールが難しいことなのだろう」と感じています。宿題が、出せないままに、はや中2……(五七五)Upload By 丸山さとこ私は実家が遠方にあるため、夏休みと冬休みはコウをつれて1~3週間と長めの帰省をしています。その間は私の外出中などは、私の母がコウを見ていてくれることがあるのですが、先日帰省した際は「コウ君宿題してるみたいだけど、さっきから伸びたり縮んだりしているだけで全然進んでない」と母から報告の電話を受けて笑ってしまいました。グニャグニャしながら机に向かい、伸びたり突っ伏したりを繰り返しているコウの姿が目に浮かぶようでした。Upload By 丸山さとこそんなコウの宿題風景を前にしても、最初私の祖母だけは「こっちに来たときくらいノンビリしたらいいよ」と言っていました。ですが、滞在して数日たつと、そんな祖母まで「コウ君、宿題しなくて大丈夫かね?」と言うようになりました。コウの周りの大人たちがつぎつぎとしびれを切らしていくのを見ると、「コウの宿題を見ていて焦るのは私だけじゃないんだ!」と、少し面白くなりました。それでも、コウの宿題への取り組み方や集中力のなさを『やる気や真面目さの問題』にはしたくないと私は考えています。というのも、コウは小学校高学年の頃『宿題が進まない』現実と『宿題は絶対やらなければいけない』という考えと、『宿題は苦痛なのでやりたくない』という思いとの板挟みに合い、気持ちが不安定になったことがあったからです。ときには「宿題をできない僕はダメなやつだ」と絶望して泣くこともありました。そんなコウが、中学生の今「宿題は嫌いじゃないよ。やるのも出すのも忘れちゃうけどね!」と笑って言えるようになったのは、長い目で見れば良い変化なのではないかと思います。Upload By 丸山さとこ「集中力の補助線」を利用しながら試行錯誤している毎日です中学生になった現在も相変わらず宿題に集中できないコウですが、私に説明しながら解くことで集中の取っ掛かりをつくったり、雑談をしながら進めることで『気が乗らないことに取り組む苦痛』を和らげたりするなど、コウができる工夫は増えてきました。今はそうして私を集中力の補助線にしているコウですが、だんだんとそれをアイテムや自分自身への声かけで代用するようになっていくのではないかな? と思います。タイマーをかけて「よし、やるぞ!」と気合を入れたり、私に向かって動画配信者風に解説をしたりしながら宿題を進めるコウの姿を見て、頼もしく感じています。Upload By 丸山さとこ執筆/丸山さとこ(監修:藤井先生より)「集中力の補助線」という表現がとても良いですね。コウくんにとって、さとこさんの声かけが、集中力の補助線になっているのですね。自治体、学校によっては宿題がないところも出てきています。自主学習といって、お子さんが興味あることに取り組み、家庭学習を行うことを主体にしているようです。学校からの宿題には取り組めなくても、興味あることの延長線上の学習なら取り組めるお子さんもいます。宿題を極端に嫌がる場合には、宿題の内容の工夫について、学校と相談すると良いと思います。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年10月02日親子で心療内科を受診して、まさかの診断を受けるUpload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイわが家は母である私・ワッシーナを筆頭に、家族のほぼ全員が個性いろいろな発達凸凹タイプです。それぞれの特性をキャラクター化しており、動物の顔をしています。スケジュール管理の苦手さから、商業デザインのイラストレーターになる夢を諦めた長女ニャーイは、新たに「教師になる」という目標を見つけ、努力を続けていました。アメリカの大学を卒業し日本に帰国すると、ニャーイは地元のインターナショナルスクールの教師として採用されました。憧れ続けていた教師の仕事でしたから、ニャーイは張り切って働いていました。ところが勤務が始まってから数ヶ月過ぎたあたりから、だんだんとニャーイの元気がなくなっていきました。半年も経つと顔色が悪くなり、体重が10キロも落ちてしまいました。本人に「体調が悪いの?」と聞くと「大丈夫、疲れているだけ」と答えました。ある日のことです。ニャーイは、授業で使う教材や書類を山のように抱えて帰ってきていました。玄関から「ただいま」の声が聞こえたのに、いくら待っても家族が夕食中の居間に入ってきません。気になって見に行くと、ニャーイは書類や鞄を手に持ったまま、玄関に倒れています。私は怪我でもしたのかと驚いて駆け寄りましたが、なんとニャーイは熟睡していたのでした。そのうち、どうやらニャーイは夜眠れていないようだということが分かってきました。夫のラクマがニャーイの体調をかなり心配して、本やネットで調べたり、似た症状の人への聞き取りを重ねたりした結果を私に伝えました。「ニャーイはもしかしたら、うつかもしれない。仕事を休んで心療内科を一緒に受診する」とラクマは言いました。ニャーイは受診することをとても嫌がりましたが、ラクマと2人で説得し、私も同行して3人で受診しました。その結果、うつの中期だと診断されました。医師は「仕事ができる状態ではありません。明日から半年間、休職してください。半年で回復できない場合は、さらに半年間休職してください」と告げました。私とラクマとニャーイは、とても驚きました。まさかそこまで進行しているとは想像していなかったのです。ラクマは「発達障害の二次障害でうつを発症したのでは?」と質問しましたが、医師は首をひねるばかりで明快な答えはありませんでした。当時、わが家の地元では、大人の発達障害を診断・治療する病院がほぼないという状態でした。発達凸凹問題に取り組んだばかりの私たちは、そんなことも知りませんでした。診察を終えて自宅に帰ると、ニャーイは激しく落ちこみました。「私は普通よ。うつでも発達障害でもない」と言うばかりで現実を受け止めることができませんでした。強い副作用で錯乱し、大きなピンチをなんとか切り抜けるUpload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ職場に診断書を提出し、休職願いが受理され、ニャーイの長い自宅療養が始まりました。ところが処方された薬はニャーイに合わなかったようで、かなり激しい副作用に悩まされました。薬を服用したニャーイはまっすぐ歩くことができず、トイレはあっちこっちにぶつかりながら、ときには這って行くありさまです。友人や知人に電話をかけまくるものの、本人は自分の言動についてまったく記憶も自覚もありません。ほとんど錯乱状態なのです。ラクマは心配して私に「頼むからしばらく仕事を休んで、つきっきりでニャーイを見ていてくれないかな」と頼んできました。結果的にニャーイのひきこもり生活は2年半、続きました。日中はほとんど外出できないのに深夜に家を飛び出したり、誰もいない原野で倒れたり、夜の海に身を投げようとしたりして、命の危機が2度ありました。その都度、ニャーイは婚約者に命を助けられました。1度目は偶然通りかかり、2度目は事前に危機を察知して駆けつけてくれました。この婚約者は、その後、ニャーイが回復してから結婚しました。それが婿ゴリマッチョです。ペアトレを基本に工夫し、絵本づくりをきっかけに社会復帰を実現Upload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ休職から1年が過ぎて、一進一退を繰り返しながらも、ニャーイは次第に落ち着いてきました。私とラクマは代わる代わるニャーイに話しかけつつ、朝の散歩から回復の第一歩をスタートしました。朝の爽やかな空気の中、私はニャーイと二人でおしゃべりをしながら、公園を歩いていました。すると、ニャーイはしきりに時間を聞いてきます。私が「なぜ時間が気になるの?」と聞くと「お父さんとお母さんが『ニャーイは時間の感覚がない』と言っていたことは本当だと今は分かる」と言うのです。今振り返ると、夫婦で受講したペアレント・トレーニングで身につけた、子どもの言動を認めてオーバーに励ますという環境づくりの結果が出てきていたのかもしれません。ニャーイは自分から「発達障害の相談機関に通いたい」と伝えてきました。少しずつ、自分の特性に向き合おうとしているようでした。このように、次第に前向きに変わっていったニャーイでしたが、気分のアップダウンはまだまだ残っており、体調も安定しておらず、就労にはまだ遠いという感じでした。そこでラクマと相談した結果、家族みんなで知恵を出し合って絵本づくりをしようと決めました。ニャーイが子どもの頃から一番得意な絵を描くことで社会復帰の足がかりになるのではないかと考えました。絵本は、わが家の家族が発達凸凹に気づいてから元気になり、それぞれが個性を発揮していくというストーリーで、数年かけて3冊作りました。ニャーイはかなり苦しそうでしたが、きょうだいたちの励ましを受けて、なんとか仕上げることができました。この絵本づくりをきっかけにしてニャーイは立ち直り、苦手な事務作業のない英会話のレッスンコーチの仕事につきました。その後、この絵本をネットで公開したところ地元新聞社の目にとまり、紙上でのマンガ・エッセイの連載が始まり、やがて出版社から書籍化されました。ふりかえりを毎週重ね、花嫁道具としてサポートブックをプレゼントUpload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ英会話レッスンコーチの仕事を得て、ニャーイは再び働き始めましたが、社員間のコミュニケーションや勤務条件の変更などで、たびたびトラブルが起こったようです。問題が起こるたびにニャーイはラクマに相談しました。ラクマは「毎週末に一緒にふりかえりをやろうよ」と提案しました。でもニャーイは「お子ちゃまじゃないんだからイヤ」と猛反対です。ラクマは「試しに1ヶ月だけやってみようよ。効果がなければやめればいいさ」と説得。ニャーイは渋々同意しました。ところが1ヶ月も経たないうちに、ニャーイが「こんなにうまくいったのは人生初よ」と、ふりかえりの効果に感激したのです。その後、2人のふりかえりはニャーイの結婚式直前まで続き、ラクマはふりかえりの成果を一冊のサポートブックにまとめ、花嫁道具としてプレゼントしました。2人のふりかえりはニャーイの出産後、しばらくしてから再開し、今現在も電話やメールで継続しています。執筆/ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ(監修:井上先生より)発達障害や発達凸凹のある方の中で、「困ったら相談して」というだけでは相談に来れない方もいらっしゃいます。相談すべき適切なタイミングと本人の困った感覚のずれが原因の一つです。ラクマさんがニャーイさんに提案されたように、定期的な相談機会の提供は問題の解決だけでなく予防にも有効だと思います。ニャーイさんとのふりかえりをまとめたサポートブックは、ラクマさんに加えて、パートナーのお婿さんによっても引き継がれていくのでしょうか。就労編に続いて子育て編があると、多くの方にも参考になると思います。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2023年10月01日どんな遊びが息子に響くのか模索していた日々おっとりマイペースな息子は、あやしてもあまり笑わず、どんなおもちゃにも反応が薄い赤ちゃんでした。1歳半健診の時点で指差しもなく、発語はほぼ喃語の単語のみで、名前を呼んでも10回に1回振り向くかどうか……運動面の発達もゆっくりで、1歳5ヶ月の時点でようやくひとり歩きができたところでした。もともと怖がりで慎重派な性格だったので大きな怪我はもちろん、小さな怪我もほとんどしなかったように思います。おうち遊びでは、「今日は絶対これで遊びたい!!」という意思もなく、目の前に出したおもちゃで遊び、目の前から隠せばあっけなく諦め(忘れてる?)、そしてどんなおもちゃへの興味ももって5分程でした。お外遊び(公園など)はどうかというと……まず運動面の発達もゆっくりだったので、息子が遊ぶにはまだレベルの高い遊具がほとんどでした(ちなみに砂場は嫌いなようで、全然遊びませんでした。笑)。滑り台を一緒に滑ったり、ブランコに乗ったり……つきっきりで遊んでみるも、そんなに喜んでなさそう……(チーン)。Upload By 海乃けだまそんな息子が唯一ハマっていた遊びは、体を使った触れ合い遊び。お馬さんや高い高い、くすぐったり抱っこしてぐるぐる……などなど。しかし当時、娘を妊娠中だった私にはその遊びを何度もすることはできず……。ほぼ毎日のように児童館に通い、ママ友とそのお子さんと一緒に遊んでいました。1歳半頃から少しずつ好きなものが出てきた息子。2歳半で療育に通うまで1歳半を過ぎると、その当時見ていたテレビアニメの影響からか、息子は電車にハマり出しました。最初こそアニメのキャラクターそのものに興味があった息子ですが、そのうちに本物の踏切を見たり、電車が走っているところを見たりするのが好きになっていきました。家にはみるみるうちに電車のおもちゃが増えていき、指先の力が弱く上手くおもちゃを連結できない息子に代わり、レールの組み立て・電車を連結するのが私の日課でした。あの頃は部屋のあちこちでおもちゃの電車のモーター音が響いていたなぁ……(そしてそんな騒音の中でも赤ちゃんだった娘は熟睡していたなぁ……笑)。2歳を過ぎると、少しずつ単語が増え、簡単なやり取り(ちょうだい、どうぞ、順番や、ゴミ箱に捨ててきてなど)ができるようになってきました。ついに療育へ。親子通園した1年間。息子は2歳半で自閉スペクトラム症と診断され、療育へ通うことになりました。単語は少しずつ出ていましたが、初めのうちはお名前を呼ばれてももちろん返事なんてできません。一緒に手を添えて挙手を促し、私が代わりに返事をしていました。まだまだ体力の少ない息子と午前中2時間みっちり療育のスケジュールをこなすことになるのですが、最初の半年くらいは最後まで体力が持たず寝てしまうことも何度かありました。それでも活動自体を嫌がることは少なく(自我の成長もゆっくりだったことも関係ありそうです)、療育自体は私と行くことで楽しんでいるように思いました(特に活動の中でも、息子はリトミックとミュージックケアという音楽療法が好きでした)。3歳目前になると、2語文が出るようになり、表情や反応も見違えるように出てきました。Upload By 海乃けだま大変だった親子通園……そこで得たもの。1歳の娘を連れながらの親子通園は本当に本当に大変でした。家から遠い園だったので、車で往復1時間強。療育が終わってから家までの間に空腹で不機嫌になるので、車内で昼食を2人分食べさせたり、お昼寝に失敗して泣き叫びながらの帰り道になったり……家に着いてからも自分のごはんもままならないまま家事をこなしたり……。しかし、一緒に通園したからこそ、先生の関わり方や息子の成長を間近で感じられたと思います。特に療育の先生方の子どもたちの興味を惹く関わり方・一人ひとりの発達具合に合わせた関わり方は本当に学びになるものばかりでした。そして、同じ療育に通うお子さんの親御さんと話したり、悩みに共感したりすることで、私の心も軽くなったと感じています。Upload By 海乃けだま2年間の単独通園、そして幼稚園への転入。1年間の親子通園の期間が終わる頃には、お名前のお返事もしっかりとできるようになっていた息子。療育への通園にも慣れ、いよいよ単独通園することになりました。初日は私がいないことに不安で泣いてしまったようですが、3日で泣かないようになりました(早!)。徐々にお友達の名前も覚えてきて、今日はどんなことをして遊んだとか、時々話してくれるようになりました。できなかった線路の組み立てができるようになり、それを1周ぐるっと繋げられるようになり……。そして電車にしか興味がなかったのが、おままごとやブロックなど遊びの幅も格段に広がりました。単独通園最初の1年は1人で遊ぶことがほとんどでしたが、2年目には好きなお友達もでき、一緒に仲良く遊んでいることも多かったようです。お友達に興味を持ち始めたタイミングで、今年の4月(年長)から幼稚園に転入となりました。最初の2ヶ月は環境の変化に戸惑い、幼稚園の活動ができなかったり、家で不機嫌になったりすることも多かったですが、6月あたりから"お友達と一緒に"という意欲が出てきて、活動も息子なりに頑張っているようです。たまーに、スーパーやお店で息子のクラスのお友達とばったり会うと、「あ!〇〇(息子の名前)くん!!」とニコニコ笑顔で挨拶してくれ、それに対して息子も少し恥ずかしそうにニコニコしています。Upload By 海乃けだま4月の時点の新版K式発達検査では、実年齢5歳の息子の発達年齢は4歳前後でした。そして、もともとマイペースでゆっくりした性格の息子なので、クラスのお友達に助けてもらうことも多いのですが、療育で3年間頑張ってきて、そしてお友達にも恵まれて良かったと思っています。執筆/海乃けだま(監修:初川先生より)療育に通園する前、通園させての成長、親子通園のご苦労とありがたみ、そして幼稚園に転園しての成長と一連のプロセスのシェアをありがとうございます。お子さんの成長にとってよき関わりを安心安全な環境の中で提供してくれる療育は、その内容のみならず、先生の関わりからの保護者にとってモデリングとしての学びや、保護者同士のつながりなどさまざま良いところがありますね。小さい子を連れて数時間親子で家を空けて通うとなるとその分の負担も保護者の方にはありますね。そこについてもお知らせくださり、参考になった方や共感される読者の方も多いのではないでしょうか。療育というと、例えば苦手なことの多い子が訓練するために通う場所のように捉えられることもあるかもしれませんが、そこに通い、そしてそこを卒業(卒園)していくプロセスや保護者の方の体験談をうかがえるのは読者の方にとって参考になりますね。ありがとうございます。(※お住まいのエリアの療育がどのようになされているかは、ぜひそこに通われている方やスタッフの方、子育て支援担当の方などからお話をうかがってみてください)(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年09月30日人間と物を分け隔てしない友達が自転車に乗っていて転んだとき、自閉スペクトラムの特性がある子どもが自転車に「大丈夫?」と声をかけたという話があります。多くの人はそのような場面で、まず人間のことを心配します。しかし、人間と物を同列に見て、「友達は平気そうだけど、自転車は壊れたかも」と考える人もいるのです。自閉スペクトラムの特性がある子どもが、人に興味がないわけではありません。そうではなくて、人間と物を分け隔てしない。平等に考えるのです。そう理解したほうが、お子さんの心理を想像しやすくなると思います。※「特性=障害」とはならないため、障害(Disorder)を除いて、「自閉スペクトラム(AS)」、「注意欠如多動(ADH)」ということもあります。このコラムのなかでも、『マンガでわかる発達障害の子どもたち 自閉スペクトラムの不可解な行動には理由がある』と同様に「自閉スペクトラム」と表記しています。自閉スペクトラムの子のアタッチメント「人間と物を平等に見ている」ということが、親子の「アタッチメント(愛着)」を形成する場面にも表れることがあります。一般的には「愛着形成」というと、子どもが親に見守られて安心・安全を感じて、親子関係に愛着を持っていくような流れのことを指しますが、自閉スペクトラムの特性がある子の場合、対人関係が必ずしも重要なわけではありません。それよりもむしろ一貫性や継続性、法則性を安心・安全の根拠にするところがあります。自閉スペクトラムの特性がある子は親との関係に対して、情緒的に特別な意味を持たないことがあるのです。「この人は母親だから特別」という形で愛着を持つというよりは、「この人はいつも同じようにふるまってくれる」という点で相手を信頼し、愛着が生まれていくようなところがあります。大人の同じふるまい、予想通りの行動に安心感相手の行動に一貫性があることで安心し、安全だと感じて、相手を信頼していく傾向があるのです。そのため、愛情深くても気まぐれな人に対しては安心を感じにくいところがあります。それよりも、いつも同じようにふるまう人、自分の予想通りの行動をとる人のほうが信頼できるわけです。Upload By 本田秀夫ルーティンのある生活が安心材料になるですから、決まったルーティンの生活をすることが、自閉スペクトラムの特性がある子にとっては安心材料となります。幼児期にまるで判で押したように「パターン化」した暮らしをして、情緒的に安定して育つと、大きくなってから多少のイレギュラーが起こっても、メンタルに影響しにくくなります。生活の基本的な部分が安定しているので、情緒的に揺れにくくなるのですね。親のもともとの生活スタイルもあると思いますが、子どもが望む一貫性や継続性などを考慮して、親子で平和に過ごせるルーティンをつくっていくことをおすすめします。「いろいろな経験をさせたい」で情緒不安定になることも反対に、小さい頃から「早くいろいろなことに慣れさせなきゃ」と言われて、習い事などに頻繁に連れ出されていた子の中には、情緒不安定になる子もいます。もちろん、新しい課題も多少はあってもいいのですが、毎日予想外のことが起きて、気持ちが疲れてしまうような生活を送っていたら、「いつもと同じ」を好むタイプの子はなかなか安心できません。情緒的に安定した暮らしが送れなくなってしまうわけです。「北風」よりも「太陽」のようなサポートを私は、自閉スペクトラムの特性がある子への接し方は「北風と太陽」でいうところの「太陽」がよいと考えています。「北風」を吹かせるようなやり方で無理やり特定の活動をさせようとしても、かえってこだわりが強くなり、抵抗されることが多いです。それよりも「太陽」のようにあたたかくサポートしながら、本人が動き出すのを待つほうがいいでしょう。Upload By 本田秀夫自閉スペクトラムの特性がある子はルーティン化した生活をしていると、自分のほうからパターンに飽きて、新しいことに取り組み出すことがあります。人間は安心・安全を保障されると、慣れるのも飽きるのも早いのです。こだわりの強い子も、安心感のある環境で育つと、自発的に行動パターンを広げていきます。一人で好きな遊びを楽しむのを見守るという愛情自閉スペクトラムの特性がある子に、新しい経験をさせること自体が悪いわけではありません。子どもが安心して新しい経験に取り組めることが重要なのです。その安心感を自閉スペクトラムの特性がある子は対人関係というよりは、一貫性のある生活の中で感じ取っていきます。子どもが人にあまり興味を示さず、一人で遊んでいると、周りの人から「もっと愛情をかけて」「接する時間が足りないのでは」などと言われることがあるかもしれません。しかし、話しかけることだけが愛情の示し方ではありません。子どもが1人で好きな遊びを楽しんで、安心して暮らせるように見守ることが、最大の愛情表現になることもあるのです。あるお子さんが親御さんに、こう言ったそうです。「お母さん、何も話さないで見ていてくれるのも『好き』っていうことなんだよ」親子でこのような信頼関係を意識できると、お互いに安心して、穏やかな暮らしができるのではないでしょうか。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年09月29日家族から「甘やかし過ぎじゃない」と言われていた小さい頃からおとなしくてものすごく引っ込み思案に見えてしまう次女。外出先では、不安が強いこともあり、ほとんど私にべったりでした。そんな幼児期の次女をみて、実母からは「甘やかし過ぎじゃない?」「この子、こんな調子で小学校行って大丈夫なの?」と、言われていました。また、場面緘黙と分かってからも、夫からは「甘やかしたからこうなったんじゃない?」と言われたりもして、その都度、「私のせい……?」と考えずにはいられませんでした。それからずっと「甘やかしている?」「過保護なの?」という考えは私の中から離れませんでした。Upload By まりまり遊園地に行った時……とにかく新しいものが苦手で、最初の一歩までがとても不安が強い次女。遊園地では、いつもみんなで乗れる乗り物しか乗っていませんでしたが、その時は次女の好奇心が勝ったのか、初めて、「一人で乗ってみる」とゴーカートに乗ろうとしたことがありました。そうは決めたけど、どうしても不安になってしまって何度も手順を私に確認する次女。「やっぱりやめようかな……」と何度も並んでいる列から外れて戻ろうとしていました。でも、私としては、次女の中での好奇心とか、「やってみよう!」という前向きさとか、今このタイミングで踏み出そうとしている次女の気持ちをとてもうれしく感じていました。なので、一歩踏み出せるように何度も確認する次女に付き合って背中を押していました。Upload By まりまり過保護親認定?列に並んでいて、次女の順番が来る直前、そのやり取りを見ていた遊園地のスタッフの方に、ため息交じりに「お母さん、そんなに何度も言わなくても、この子自分でできますよ」と、言われました。Upload By まりまり操作が簡単だから次女でもできることや、次女への励ましの意味で言ってくれたのかなあとも思いましたが、その時のスタッフさんのため息や、やれやれというような表情を見て、「ああ、私、いろいろ手を出し過ぎている過保護な親に見られているのか……」と気がついて、なんとも言えない気持ちになってしまいました。おおらかな親でいたい。でも必要なこと。Upload By まりまり「できるできる!何とかなるから大丈夫!」と私もそう言いたい。ただ、それでは人よりかなり不安の強い次女が、全く踏み出せなくなってしまうことをこれまでの経験から知っています。次女が自分でできるようになるためには、周りの人からは「過保護」とか「甘やかしている」と見られてしまうような関わりが、一時的に必要なことがあるのが事実です。そうしてやってきた現在の次女は……この遊園地でのゴーカートは、そのやり取りのあとに、なんとか一人で乗ることができました。それが自信となって、その後からは私の助けなく乗れるようになりました。さらにその後は、ゴーカートだけに限らず、いろいろな乗り物に一人で乗れるようになりました。あの、周囲には「過保護」と思われてしまうようなステップがあったからこそ、その後次女は自分で挑戦できるようになったんだと思います。Upload By まりまり現在6年生の次女は、自分でできることが以前より確実に増えています。できないことを、「助けを借りながらも試行錯誤して一歩踏み出してみる」という経験を積み重ねることで、自分自身で踏み出すための自信になったり、自分なりの気持ちの落ち着け方などのやり方を見つけたりしていっているんじゃないかと思います。未だに周りからの視線は気になってしまうけど……私自身の中で、「これ(周囲に過保護とか甘やかしに見られるような関わり)は、次女が一人でできるようになるまでに必要な一過程」と納得しているけれど、やはり周りの視線とか気になるものは気になる……。たとえ周りに見られていなくても、今まで言われてきた言葉から、私の中で勝手に「過保護って思われてるかも……」とネガティブな気持ちになることも多いです。とにかくそういう時は、周りを見ずに、意識的に視野を狭めて目の前の次女のステップにフォーカスすることにしています。最終目標を「次女が自分でできるようになる」ということを次女と共有して、そのためにはどうしたら良いか、今は何が必要か、できそうにないなら何を助けてもらえばできそうかというのを、積み重ねていくしかないんだろうな~と考えています。執筆/まりまり(監修:森先生より)一つの場面だけを見ていろいろ言う人がいると、気になってしまいますよね。でも、子どもの将来のことを本当に真剣に考えることができるのは、やはり保護者の方です。最終的に、親の手を離れても一人であるいは誰かと協力しながら暮らしていけることが子育てのゴールではないでしょうか。「過保護」と「過干渉」は一見似ていますが、似て非なるものです。「過干渉」は自立の機会を奪ってしまうので良くありませんが、「過保護」は問題ないのではないでしょうか。ゴーカートに興味がない子どもに「ゴーカートをやりなさい」と押し付けるとしたらそれは「過干渉」です。ゴーカートをしてみたいと思った子どもの気持ちを応援して、不安な気持ちに寄り添いながら励まして、やり方を詳しく説明している様子は、他人から見たら「過保護」かもしれません。周りに過保護と言われても何と言われても、子どものやりたいことを尊重して、子どもが達成感を得たのだから、保護者としては100点満点ではないでしょうか。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2023年09月29日発達の遅い息子をワンオペ育児していた私。のちに産後うつに……現在中学1年生の息子は、7歳の時に自閉スペクトラム症(ASD)、ADHDの診断を受けました。息子は乳幼児期から発達の遅れが目立ちました。まとまって寝ない、抱っこを海老反りして拒否する、両親やほかの人がいても気にならないのかコミュニケーションを一切とらない……など、さまざまな問題がありました。おとなしいけれど、育てづらい……そんな印象です。この時期、私はワンオペ育児で心身ともに疲弊しており、のちに産後うつと診断されました。当時はどんどん感情が麻痺していく中、息子はこのままで大丈夫なのか、どうすればいいのかといろいろな支援施設を訪ねる日々でした。Upload By ユーザー体験談生後半年頃から成長曲線から外れ発育相談へ。「体重を増やせ」と言われるも、離乳食を食べてくれない息子Upload By ユーザー体験談生後半年頃からでしょうか。身長や体重が成長曲線に沿って増加しなくなりました。発達もおすわりまでは順調でしたが、はいはいから少しずつ遅れていき、1歳になっても立たず、喃語も出ません。「ちょうだい」「どうぞ」などというやりとりもできず、体の成長とコミュニケーションの発達に遅れが出ているのではと感じていました。そんな中、一番気になっていたのは離乳食が進まないこと。1歳になっても7ヶ月目くらいの食事しかとらず、手づかみ食べもなし。親がスプーンで運んだものしか食べませんでした。心配になった私は、まずは近くの公民館の発育相談に行きました。主に、体重や身長が増加しないこと、離乳食が進まないことを相談しました。その次は保健センターの発育相談に行き、同様のことを説明。最終的には保健所の発育相談にも行きました。どこに行っても言われたのは「とにかく体重を増やすこと」でした。これは私が頑張らなければいけないと、必死で離乳食作りをしましたが、本人は食への興味が無いようでなかなか進みません。いくら時間をかけて作っても、全然食べてくれないこともありました……。私は心も体もどんどん追い詰められていきました。1歳半健診より前にやることになった発達検査Upload By ユーザー体験談当時、私は定期的に保健師さんの訪問を受けていました。公民館、保健センター、保健所などで相談したことを話したところ、その保健師さんから離乳食だけでなく発達の遅れが気になるとの指摘を受けました。離乳食の遅れも、発達が関係していることかもしれないと言われた私は、1歳半健診が間近に迫っていたものの、それより少しでも早く発達が専門の支援員さんに息子を見てもらいたいと、保健センターを受診。そしてそこで『発達が半年ほど遅れている』ことが分かったのです。発達や発育の遅れを指摘されても、このときの私は悲しいとか悔しいとかそういう感情がわいてきませんでした。やっぱりそうなんだというくらい。すでに感情が麻痺してしまっていたのだと思います。発達検査の後に受けた1歳半健診では……ほかの子より半年遅れていると分かったことで、私は覚悟しました。1歳半健診でほかの子をみたら、息子との違いにびっくりするだろうことを……。実際に健診に行ったら、ほかのお子さんは元気に歩き回ったり、お友達と仲よさそうに遊んでいたり、自分の水筒を自分で持っていたり……。なにより、何らかのおしゃべりをしていたので、そのすべてができない息子と比べると、まるで別の世界にいるようでした。本当に別の世界の出来事……、周りのお子さんとの違いに、もはやショックを受ける気力すらありませんでした。Upload By ユーザー体験談そして受けた1歳半健診は、すでに発達の遅れを指摘されていてフォローアップが済んでいるということで、淡々と終わりました。いろいろな方の支えてもらい育児をしている……そんな状況が私を前に向かせてくれるようにその後の私は、いろいろな方から受けたアドバイスを実行するだけで精一杯。発達支援につながり、教えてもらったアドバイスを実行したりさまざまなことをやりました。ただ、それまでワンオペでしたが、ほかの方と一緒に息子を育ててもらっている……という気持ちが私を慰めてくれました。今、子どもは2歳過ぎまで話をしなかったのが嘘のようによく話をします。ただ、今もコミュニケーションの発達には難があります。これから先も社会にどのように関わっていけるのかは未知数です。これからも息子が少しでも社会に関わっていけるように、いろいろな方の支えを受けながら、育児を頑張りたいと思います。イラスト/吉田いらこエピソード参考/ころぼっくる(監修:鈴木先生より)母子手帳には1歳半や3歳時健診の左側に親がチェックする項目が列挙されています。最後に「子育てに困難を感じましたか」という項目があり、私はそこを一番重要視しています。普通なら「いいえ」に〇がついているのですが、私の外来に来るお子さんについては「どちらともいえない」や「はい」に〇のついているケースが多々見受けられます。それでも健診担当の保健師さんからは何もコメントのもないまま通過していることが多いのが現実です。できるだけ早期に介入し、療育を開始するのが望ましいのですが……。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年09月27日言葉も早く、目も合ったけど...言いようのない違和感があった幼少期長男あーは3歳半健診で自閉スペクトラム症(ASD)疑い、4歳で正式に診断されました。 そこから紆余曲折を経て、今は特別支援学級(情緒障害学級)在籍の小学6年生。健康と折れない心が取り柄のあーくんも、来年からは中学生です。1、2歳頃のあーは、言葉も早く目もよく合う子どもで、いわゆる発達障害の代表的な症状が出現していませんでした。でも、言いようのない違和感は、その頃からずっと付きまとっていたように思います。例えば、真夏の炎天下で1時間でも2時間でも用水路に石を投げ入れ続ける。何度呼んでも振り向かない。「自分でしたい」という欲がなく(いわゆるイヤイヤ期がない)、なんでもずっと人にやってもらっていて、それに対する疑問がない。きちんと座ることができず常に軟体動物のよう……。どんなに言い聞かせても、時に(時にでもないけどよ)怒っても伝わっている感じもなく、私の怒り声が全く聞こえていないか、あるいは聞こえたとしても怒られたこと自体にショックを受けて泣くかのどちらか……。私はそんなあーの様子にイライラを募らせて、ただただ親子仲が不穏になっていく日々を過ごしていたのでした。Upload By よいこ幼稚園入園式でのハプニング!そんな長男あーも3歳になり、幼稚園へ入園する時がやってきました。お友達ができるのか、先生の言う通りに動けるのか(一斉指示が通るか)、みんなと同じ行動ができるのか……不安半分、期待半分で入園の日を迎えました。なんといっても第一子の入園式、キラキラの思い出に……なるはずでしたが、教室で同い年の子どもたちがみんな大人しく座っている中、あーは1人走り回り、式本番では見かねて押さえつけようとした夫のメガネを破壊、私の借り物のコサージュも破壊……!もうご家庭では手に負えない!と市の3歳半健診で前のめりに相談しましたが、児童精神科の受診はなんと半年待ち。その後、ようやく自閉スペクトラム症の診断が出て、療育へとコマを進めることができたのでした。Upload By よいこ実は、長男あーだけではなかった…次男いー、そして両親にも特性が?長男あーの怒涛の育児に追われる中、4歳差で誕生した次男の「いー」。あーと比べて、なんて穏やかで育てやすい子なの!と思っていた私ですが、実はいーにも特性があり、のちに「不注意優勢型のADHD」であることが発覚。かく言う母の私も、大人になってから発達検査を受けてADHDグレーゾーンということが分かりました。さらに、夫も未診断ながら、発達の偏りがかなり強めなタイプなんです。そんな4人が集まった発達凸凹ファミリー、斜め上の出来事がたーくさん!起こります。もう私のお腹はいっぱい……主にASD長男あーのエピソードが中心とはなりますが、いろいろ話を聞いてやってくださいよ。Upload By よいこ執筆/よいこ(監修:森先生より)ひとことで「発達障害」といっても、その表れ方は多種多様、度合いもさまざまです。症状の出方や程度が異なるのがスペクトラムと言われる所以です。発達障害の原因はまだ分かっていませんが、遺伝的な要素と環境的な要素が絡み合っていると考えられているため、遺伝子も環境も近い家族は、どうしても発達の傾向が似ている場合が多くなってきます。家庭内の一人が支援に結びつくと、家族のほかのメンバーも発達の偏りを自覚しやすく、結果的にお互いを理解するきっかけとなることも多いのです。発達障害の診断がなかったとしたら、そのようなきっかけもなく過ごしていたかもしれません。発達障害があろうとなかろうと、家族といえども価値観も考え方もそれぞれに違うのに、そのことに気づかずに暮らしている家庭もたくさんあるわけです。家族のメンバーがそれぞれに違うことを理解しあえるということは、かえってラッキーなことかもしれませんね。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年09月26日「特性=障害」とはならないまずはみなさん、「発達障害」という言葉はすでに知っていると思いますが、これにはいくつか種類があって、大きくは次の3つです。1.自閉スペクトラム症(ASD)2.注意欠如多動症(ADHD)3.学習障害(LD)今回は、なかでも1.自閉スペクトラム症(ASD)について取り上げていきます。なぜなら、「自閉スペクトラム症」の特性やコミュニケーションがとりわけ理解されづらく、「普通、分かるでしょ?」というのが、分からないタイプの子たちだからです。Upload By 本田秀夫なお私は「発達障害」は病気というより、「少数派の種族」のようなものととらえています。また、「特性=障害」とはならないため、障害(Disorder)を除いて、「自閉スペクトラム(AS)」、「注意欠如多動(ADH)と呼んだりもします。このコラムのなかでも、以降は『マンガでわかる発達障害の子どもたち 自閉スペクトラムの不可解な行動には理由がある』と同様に「自閉スペクトラム」と呼んでいきます。Upload By 本田秀夫自閉スペクトラムの特性のあるお子さんは、園や学校での集団活動で、周りとペースが合わないこともあります。そんなお子さんのことを理解してもらうために、今回は、直観的に理解しやすいマンガをまじえてお伝えしていきます。皮肉や言外のメッセージが通じないUpload By 本田秀夫このマンガで親が言いたいのは、「誰が洗うと思ってんの?(洗うのはあなたじゃなくてお母さんでしょう?こんなに汚してしまったら、お母さんは大変なのよ。ケロッとした顔をしていないで、少しは反省したところを見せなさい)」というようなことですよね。そのような「含み」を込めて、「誰が洗うと思ってんの?」と問いかけているわけです。ところが子どもは、その一切合切の含みがわかっていない。申し訳なさそうな態度をとるわけでもなく、服を洗うのは「洗濯機」だという事実だけを答えています。遠回しな注意より、世渡り術やこぼさないコツをおそらくこの子には自分がとがめられているという認識がありません。このようなやりとりは、自閉スペクトラムの特性がある子によく見られることで、私たち支援者にとっては「あるある」です。子どもはふざけているわけではないので、反論したり叱ったりしないで、マンガのようにおだやかに受け止められたら理想的だと思います。遠回しに注意するのはやめて、「こういう場面では形だけでも謝罪する」という世渡り術を具体的に教えてもいいかもしれません。さらに毎日の生活のなかで、飲み物をこぼさないようにするコツも教えていければ、言うことはありません。言外のメッセージに気づかないケース相手の言っていることの「言外のメッセージ」に気づかない例は、ほかにもあります。・自転車に乗っている幼稚園の友達が転んだのを見て、自転車に「大丈夫?」と声をかける・公園の砂場でひとり遊びをしているときに、友達から「1人なの?」と声をかけられ、「4人家族だよ」と答えるいずれの場合も当人の立場で考えてみると、その子たちなりの筋が通っています。先の洗濯機の例では、母親はスイッチを入れるだけで、実際に服を洗うのは洗濯機だという、より正確な答えを出していますし、友達が乗っていた自転車の損傷を心配してもいいはずです。そして、「4人家族」と答えるのは、理屈の上では必ずしも不正解ではありません。気づかなかったら、はっきり教えてあげるしかし、多くの人に「どこか変」と思わせるのは、なぜでしょう?実は、「誰が洗うと思ってんの?」の質問には「謝りなさいよ!」のメッセージが、「1人なの?」という質問には「1人なら一緒に遊ばない?」というメッセージが込められています。また、「大丈夫?」と声をかけるのは、「私は心配していますよ」というメッセージを伝える目的があるからです。自転車に対しては、そのような目的は不要です。「普通、分かるでしょ?」が分からないのが自閉スペクトラム症の子どもたちの特性です。言外に込められたメッセージに気づかなかったら、そこははっきりと具体的に教えてあげてほしいと思います。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年09月25日「まだ遊びたい!」寝る前の癇癪の原因は……Upload By ゆきみ現在小学2年生の長男けんとは、自閉スペクトラム症と3歳の時に診断を受けました。ある日の夜、けんとがごはんを食べ終え、オモチャで遊んでいました。ほどよく遊びの時間をとったあとに「あと5分でおしまいにしようね」と言ってタイマーをセット。けんとも納得していました。そして5分後……タイマーが鳴り、もうすぐ寝る時間だったので、「歯を磨いて寝る準備をしようね」と私が伝えると、「ボクはまだ、パズルと本を読むのが終わっていないんだ!」と、けんとが癇癪をおこしたのです。「え?まだそんなにやりたいことがあったの?」と、私はビックリ……。私はその時、けんととやりたいことの確認や、寝る準備を始める時間などをあらかじめ話していなかったことに気がつきました。もう寝る時間だし、何となく分かると勝手に思い込んでいたのです。明日からは、けんとが頭の中でやりたいと考えていたことを、事前に確認してみようと思いました。やりたいことを書き出す作戦!結果は?けんとは視覚優位で、文字やイラストなどでスケジュールを伝えると、スムーズに行動できることが多いです。けんとにやって欲しいこと(ハミガキ、お風呂など)と、けんとが寝る前に自分でやりたいと思っていることを全部出し合い、スケジュールをまとめて紙に書き、視覚を使って示すことにしました。まだ、時間管理が自分ではできないので、寝るまでの残り時間などを考えながら母がタイムスケジュールを管理し、促していくことに。Upload By ゆきみ次の日から早速、相談をして紙に書き出しました。「パズル」「読書」「テレビゲーム」をしたいとのこと。寝る時間を考えて、全部のことをやり終えるために……「15分ずつにしよう」と話し合いました。タイマーをかけて、鳴ったら紙にチェックを入れ、次のこと。というように順番に行なうと、本人もやりたいことがしっかりできたからなのか、全く怒ることなく、スムーズに寝る準備に入ったのです。何度か続けていくうちに、15分で終わりたくないことがあったときは、「もっとやりたい」と伝えてくることもありました。その場合は「じゃぁ、読書の時間を5分短くする?」や「読書は明日にして、その時間を使う?」などと、相談をしながらやっていきました。「やった!」を感じるボード選びを開始最初は、紙にタスクを書いて、終ったものにチェックを入れて消していく方法や、持っていた電子ボードやホワイトボードを使い、タスクを書いて消していくという方法をとっていました。ですが、続けていくうちに、けんとが自分で「やった!」と簡単にチェックできるものがあるといいなと思い、タスクボードや視覚支援の方法をインターネットで調べてみると、いろいろな種類がありました。Upload By ゆきみ・自作のタスクボード一例■ホワイトボード、マグネットシート、マグネットを購入。マグネットシートを切ってタスクを書き、ホワイトボードに貼る。ボードを「まだ」「できた」エリアに分け、マグネットシートを移動させる。■タスクが書いてある紙を準備し、ラミネート加工をして、それぞれ切り抜いて、後ろにマジックテープを貼る。マジックテープが貼りつけられるようにしてある台紙に順番に並べ、終ったものを取っていくボード(通っている発達支援施設では、この方法を使っています)。など。・市販品のタスクボード一例■タスクが書いてあるマグネットを貼るボード■ラミネートされたタスクをマジックテープで貼ってはがしていくボード■付属の紙にタスクを書き、その紙の入れ替えができるようになっているプラスチック製のボード。数個のタスクを書けるようになっており、それぞれの項目にチェックボタンがついているので、終わったらチェックを入れていきます(タスクの内容を替えたい場合は、紙を交換すれば完了)。■持ち運びができるポーチタイプのボードほかにもタスク管理ができるアプリを使用するなど、いろいろな方法がありました。わが家は市販品をリメイク!きょうだい愛用のボードが完成けんとの場合、興味の移り変わりが早く、やりたいことが短い周期で変わっていきます。固定のタスクではなく、自由に変化できるもののほうが合っている気がしました。ただ、私は工作があまり得意ではないので、市販品を購入することにしました。悩んだ結果、紙にタスクをかき、タスクが終ったらチェックボタンを変えていくプラスチック製のタスクボードに決定(内容を変えたいときは紙を取り替える)。Upload By ゆきみ本来では紙を入れる部分に、紙ではなくマグネットシートを入れ込みました。そして、ホワイトボード用のペンでタスクを書き換えられるようにリメイクしてみました。視覚で提示すると、5歳(年長)の弟も分かりやすいようで、きょうだい2人共、愛用しています。朝のお仕度ボードや、放課後のタスクボードとしても使っています。外出先でタスクボードを使用したい場合は、わが家はアプリ「やることカード」を使用しています。やることカード ( LITALICOアプリ)寝る前の時間に癇癪を起こしてしまうと、1日の締めくくりが楽しくはないですし、寝る時間も遅くなり母子共に疲れ果ててしまっていました。でも、あらかじめやることを聞いておくこの方法を取り入れてからは、寝るまでの動きがかなりスムーズになり、笑顔で1日を終われるようになりました。「これがやりたい!」という気持ちを受け入れつつ、時間やお約束を守るための方法がほかにもあるかもしれないので、これからも模索していきたいと思います。いつかは子ども自身が自分で時間も管理できるように……段階をふみながら進めていけたらなと思っています。執筆/ゆきみ(監修:初川先生より)タスクボード導入の経緯、ご家庭の事情に合ったタスクボード探し、アレンジして使っているお話。一連のことのシェアをありがとうございます。寝る前の癇癪にも心当たりのある読者の方は多いでしょうし、視覚支援の王道たるタスクボードについて巷にあふれるさまざまな情報の整理もなされていて本当に参考になることばかりでした。やりたいこと、やらなければならないこと。どちらもスムーズに行うには、タスクボードで「見て分かる」「どこまで進んでいるかが分かる」工夫をするのはとても良いですね。そしてそもそも、やりたいことをきちんとこのタスクの中に入れてくださっている、つまり本人の希望が織り交ぜられた運用であることが素晴らしいですね。そして、このやり方が板につくにつれ、「今日はもっとこれをやりたい」と交渉することもできてきているのも何よりです。癇癪のように、感情を爆発させるのではなく、交渉に至れるのも、枠組みがしっかりしているからこそとも言えます。今後、けんとくんが育つにつれ、もしかしたらこのやり方が合わなくなる日も来るかもしれませんが、「タスクボードを使って自分はタスク管理できていた」という経過がきっと次の手立てにも生きてくるだろうと感じます。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年09月25日息子の意思表示の方法は主にジェスチャー&クレーン自閉スペクトラム症のある子どもによく見られる行動の一つに、「クレーン現象」というものがあります。クレーン現象とは、子どもが何かをしたい時に、自分ではなく大人の手を使って、物を指したり、物を取ったりして、意思表示や欲求を満たそうとする行動です。乳幼児期の息子の意思表示の方法は、主にこのクレーン現象だったと記憶しています。しかし、息子のクレーン現象は今もゼロではありませんが、徐々に減っていきました。そして現在は、クレーン現象の代わりに場面に応じたジェスチャーが、息子の主な意思表示の方法となっています。私たち家族は言葉で息子に気持ちや指示などを伝えますが、息子はさまざまなジェスチャーで、それに応えてくれているのです。息子の気持ちを伝えるジェスチャー、どんなものがある?では、息子はどのようなジェスチャーで意思を伝えているのでしょうか?息子が使う主なジェスチャー(しぐさ)は、次のようなものです。「いってきます」「ごめんなさい」「ありがとう」「こんにちは」など、息子が最も多くの場面で行うしぐさです。親である私もお辞儀や会釈をすることが多いからか、息子もそれを見て自然と身についたようです。Upload By べっこうあめアマミ「それください」「ごめんなさい(より深い反省をこめて)」などの意味で使います。お辞儀をより丁寧にした印象です。Upload By べっこうあめアマミ「ちょうだい(『それください』よりもフランクな印象)」の意味でよく使います。ほかにも、「いってきます」「ありがとう」などポジティブな気持ちを表す時に使うしぐさです。Upload By べっこうあめアマミ「いってきます」「さようなら」など、単純な別れのあいさつの時に使います。息子のテンションによって、片手だけ挙げたり、両手を挙げたり、小さく挙げたり、手をピンと伸ばして高く挙げたりします。Upload By べっこうあめアマミ久しぶりに会った大好きな相手に応える時、もしくは大好きな食べ物を早く食べたい時などに使います。手を何度も激しくたたいてあふれる気持ちを表しているようです。Upload By べっこうあめアマミジェスチャーは自由度の高いコミュニケーション方法息子のジェスチャーは、マカトンサインや手話のように、「このジェスチャーはこの意味」という明確なルールがあるわけではありません。中には療育で教わったマカトンサインが元になって派生したものもありますが、完璧な形ではなく、意味もその通りではないのです。しかも、同じジェスチャーに複数の意味があります。そうなると、「受け取る側はどんな意味か判別できないのではないか?」と思うかもしれません。しかし、意外とそこは困りません。想像してみてください。例えばお辞儀や手を合わせるしぐさ、手を振る(手を挙げる)しぐさなどは、定型発達の大人でもよく使うものだと思います。でも、そのしぐさに含める意味は、必ずしも一つに決まっているわけではないはずです。同時に、そのしぐさをされた相手も、そのシチュエーションとあわせて意味を判断しているのではないでしょうか。「このシーンでこの動作をしたなら『ありがとう』なんだろうな」「言葉はなかったけど『さようなら』と伝えたいんだろうな」という具合に。ですから、息子がこのくらい幅の広い意味のジェスチャーをしていても、シチュエーションとあわせてなんとなく判断できるものなのです。特にお辞儀などは、会釈も含めると「こんにちは」「すみません」「ありがとう」「いってきます」などさまざまな意味合いで使うもの。ジェスチャーはそれくらい自由度の高いものなのだと、改めて息子を見て思いました。意思疎通ができるようになったのは、発語がなくても言葉の理解力が上がったからジェスチャーはこのように便利なものですが、息子がここまで場面にあわせて表現できるようになったのは、ある程度大きくなってからです。また、息子の成長は三歩進んで二歩下がるというような非常にゆっくりとしたものだったため、ある年齢になって急にできるようになったというわけでもありません。ジェスチャーで意思を伝えるためには、まず相手の言っている言葉の意味をある程度理解できないといけないので、息子の中で言葉や物事の概念の理解が少しずつ深まっていった結果なのかな……と思います。息子は発語はほとんどありませんが、着実に言葉の理解は進んでいると感じています。複雑な指示の理解は難しくても、簡単な指示は通りますし、特に、興味があること、好きなことについては知っている語彙(ごい)も増えてきたと感じる場面が多くなってきました。息子は、私がなんとなく「お菓子食べる?」「ラムネあるよ」などと言うと、急いで走ってきたり振り向いたりと、普段では考えられないくらい俊敏な反応を見せます。分かりやすい「発語」という部分に注目してしまいがちですが、コミュニケーションにおいて大切なことは、相手が言っている言葉を理解し、自分の気持ちを表現して相手に伝えようとすることだと思います。成長とともに、コミュニケーションの能力も伸びてきた息子。これからも言葉の理解をもっともっと積み上げ、いつか言葉を使って自分の意思を上手に伝えられるようになったらいいなと思います。執筆/べっこうあめアマミ(監修:新美先生より)重度知的障害を伴う自閉スペクトラム症がある息子さんの、コミュニケーションについて具体的に教えて下さりありがとうございます。発語がなくても、ジェスチャーで意思表出し、それを受け取ってもらえる関係性はとても素敵ですね。特に自閉スペクトラム症がある方は、音声による発語がなくても、ジェスチャーや絵カードなどを用いることで、意思表出ができる方も多いです。音声による発語にこだわらず、さまざまな形式で、表出の種類が増えて、意思疎通ができるようになることはとても大切ですね。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年09月23日レトルトや冷凍の食品トレイの匂いが気になる…嗅覚過敏のわが子たちわが家では、基本的に私がほとんどの食事を手づくりしています(たまに外食する事はあります)。夫がⅠ型糖尿病で食事内容に若干の制限があることと、子どもたちに嗅覚の過敏があり、レトルトや冷凍食品のトレイが電子レンジで温められたときの匂いを大変嫌うためです。Upload By 寺島ヒロスーパーのお惣菜やレトルト食品など出来合いで食べられるものを、いろいろ試して見つけ出すことができれば、私の家事の負担が減って良いかなーとは思います。でも、試しに買ってきたものを食べられないとなったとき、わが家の子どもたちは断固として残してしまうので、「食べ物を残すなんて!」という心理的負担に私が耐えきれず、結局いつも手づくりしてしまうのです。限界オカン、家事を放り出すの巻今年の3月、春にしては急に暑くなった日がありました。その暑さと疲れから、私には食事をつくるエネルギーがもう残っていませんでした。料理をするどころか、献立を考えるのも、お弁当を買いに行くのも面倒!と思った私は、夫に「今日は晩ごはんのこと考えたくない!お父さん、子どもたちと買い物に行ってなんか買ってきて済ませて!」とアバウトに言い放ち、暗い部屋で映画を観て寝落ちしてしまいました。夜中に目を覚ますと驚きの光景が……!少し寝てすっきりして、夜中に目を覚ますと……娘と息子が土気色(つちけいろ)の顔をして、オレンジの手元灯のみが照らす薄暗い部屋に並んで座っていました。四角いテーブルの一辺に並んで座っているのはちょっと異様な光景でした。Upload By 寺島ヒロ何があったのか夫に聞いてみた起きてきた夫に尋ねたところ、私が寝た後、子どもたちと一緒にショッピングモールに行き、それぞれが好きなレトルトカレーを選んで購入して、ご飯を炊いて食べたのだそうです。「ずっとごきげんだったよ?」という夫。娘と息子も、特に何かあったと認識しているわけではないらしく、私が起きていると気がつくといつも通りに会話をしてきました。しかし、明らかに元気がなく顔色が悪いのです。平気なつもりで体に不調が出てしまうその日から、2人の精神状態は大変不安定になってしまいました。息子と娘はそれぞれテストを控えていたのですが、息子は何度もストレスから嘔吐してしまい、脱水症状寸前に。娘も、今まで何も言っていなかったのに、「テストができなくて2年生に進級できなかったらどうしよう」と繰り返すようになり、寝つけなくなりました。テスト前日は2時間ほど布団の中で震えた後、薬を飲んで眠りにつきました。ルーティンが崩れたら体調も崩れる?どんなことでも、彼らは非常に繊細な感じがします。今回はテストは無事に受けられたものの、原因の分からないめまいや頭痛、だるさなどの体調不良に悩まされ、なかなか回復しませんでした。わが家の凸凹きょうだいには、私が目の前で料理して、その間ちょちょい話をして、一緒に食事をして、食べ終えたら「風呂に行きなさい」とか言う儀式がないとダメだったみたいです。ルーティンが完成しないと感じているのかもしれません。正直面倒なことこの上ないですが、こういうことも考慮して将来の自立について考えなければいけないのだなあと思うのでした。執筆/寺島ヒロ(監修:初川先生)ヒロさんの不調、そしてきょうだい2人の不調エピソードをありがとうございます。今年の夏は異様に暑かったですね。暑さにやられて、食事をつくるどころではない状態になるのも分かります(同じような思いをされた方も多いですよね、きっと)。さて、私はこれはルーティンが崩れたからきょうだい2人が不調になった面ももちろんあると思うのですが、そのほかにも要因がなかったかは検討してもいいかなと思いました。ヒロさんが不調で家事ができずに寝たことを2人はどう捉えたのか、それをお父さんは2人にどんな風に話したのか、そのあたりが気になりました。誰しも体調が悪くなることはありますが、それがすぐに治るものと捉えるか、何か良くないことが始まる前兆のように捉えるか、そのあたりは(大人だとニュートラルに捉えられますが)子どもだと悪いほうに捉えてしまうこともあるかもしれません。こういう場合に、例えば「いつもお母さんは元気とは限らないんだから、一人でも自分の食事くらい用意できるようになっておかないとね!」といった激励の言葉を仮にお父さんがかけたとすると、そのプレッシャーも感じてしまうかもしれません。そして、そもそもヒロさんが不調になるくらいの暑さなので、元々みんな調子崩しかけていたのかもとも思います。そこにテスト前という条件が重なっていたら、なかなかに厳しい状況だったのかなとも想像します。ルーティンを守ることは発達特性の強めのお子さん方が安定した日々の生活を営む上ではとても大事なことです。しかし、子どもは成長し、また親は歳を取ります。年月の経過以外にも今回のように突発的に何らかの出来事が生じることはあります。そうした場合に備えて、「ルーティンその2」のようなもの(非常用ルーティンのようなもの)を事前につくっておき元気なときに試しておくか、あるいは通常ルーティンにある程度の余白(柔軟に変更の入る余地)があるとよいのだろうなと感じました。ヒロさんがいつもいつも元気でいられたらいいのですが、それなしではきょうだいの安定が図られないのだとしたら、やはりそこには持続可能性という点で、長期的にリスクを抱えているようにも感じます。誰かが頑張ることで維持される仕組みは、実はそこが損なわれたときにみんなが苦しくなってしまう可能性があるのです。持続可能性という点から、ルーティンの点検をしてみることも、良い変化や気づきをもたらしてくれるかもしれませんね。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2023年09月22日【発達障害×子育てアンケート】不登校・行き渋りになったことがある?発達障害のあるお子さんの保護者の皆さんから「長い休み明けや日曜日の夜が近づくと体調が悪くなる」「子どもが朝なかなか起きられない」、というお困りの声をいただくことがあります。進学などで環境が変わったり、学校の行事があったりすると、そのような傾向が強くでてしまうお子さんもいるのではないでしょうか?そこで、LITALICO発達ナビではお子さんの不登校や行き渋りについて公式LINEでアンケートを実施。アンケートでは「お子さんに不登校・行き渋りはあるか?」「どんなときにあったのか?」や、お子さんが不登校や行き渋りのとき、学校の対応でうれしかった・助かったことについて伺いました。※「LINE」はLINE株式会社の商標または登録商標です。※アンケートはLITALICOの公式LINEにて!『お友だち登録』お待ちしています!Upload By 発達ナビ編集部Upload By 発達ナビ編集部不登校・行き渋りのとき、学校の対応でうれしかった・助かったことの回答「 登校渋りのはっきりした理由は分かりません。ただ、すぐ学校に相談したところ、無理に登校させなくても良いことや、子どものペースに合わせて行きましょうと言ってくださったのがありがたかったです。今も午後登校や保健室登校が多いですが、臨機応変に対応してくれます。欠席連絡もアプリ対応となったので親のストレス軽減になっています」「授業をオンライン配信してくれて、出席扱いにしてくれました。オンラインを通じてクラスの様子がわかり、登校につながりました」「発達グレーの息子が、夏休み明けから一歩も家から出られなくなりました。先生方は、まず子どもの様子を気にかけてくれたことはもちろん、分団登校から個別登校にしてくれたり、こちらのスタンスを理解して対応してくださいました。スクールカウンセリングでは、不登校の経験に対し『頑張ったんですね』と労いの言葉までくださいました」「不登校が始まった小学校ではあまり適切な対応をしていただけなかったが、中学校では特別支援学級の担任が毎週訪問して本人が興味を持ちそうなことを一緒にやってくださったり、3年時の担任は通信制高校受験のサポートを親身になってしてくださいました」「学校からは休むことに対してサボるという判断をされ、理解してもらえませんでした。しかしその事について相談したフリースクールの先生は、サボっていると言われたことに対し自己批判をする娘に『自分を守るために行かなくていい。行かない選択をしたことは勇気がいっただろうし、その判断は間違っていない』と娘を認めてくれて親子で救われました」「本人が先生やカウンセラーの先生に相談をしたので話を聞いてくれました。そして、それを親に連絡して教えてくれました。中学生にもなるとなかなか本人は親に直接話すことはなく、信頼できる先生に話すことの方が多くなるようです」LITALICO公式LINEアカウントお友達へのアンケート結果より回答期間:2023年9月3日~9月6日回答人数:2,255名※一部抜粋まとめ今回のアンケートでは、お子さんに不登校・行き渋りはあるかを聞いたところ、81%の回答者が「不登校・行き渋りがある」と回答。不登校や行き渋りがあったときで最も多かったのが「嫌なことがあったとき」、次いで多かったのが「夏休みなど長期休み明け」という回答でした。夏休みが明けて一ヶ月ほど経過した今、不登校で悩んでいる保護者の皆さんやお子さんが増えている時期かもしれません。その中でも、学校の対応でうれしかった・助かったことでは760を超えるコメントを寄せていただきました。「欠席に理解を示してくれた」「登校できた時は褒めてくれた」「オンラインで授業を配信してくれた」など、学校現場でも不登校に対する理解が深まっていることも分かりました。加えて「スクールカウンセラーの先生が対応してくれた」「フリースクールの先生が寄り添ってくれた」といった担任や学校の先生以外の大人との関わりについての回答も目立ちました。不登校の小中学生は年々増加傾向にあり、2023年は過去最多になりました。特に、発達障害のあるお子さんの場合、「学校」という枠組みや「標準」とよばれるようなものにフィットしづらい傾向があり、困りごとを抱えている中で不登校につながることがあるのかもしれません。お子さんの不登校に直面された保護者の方の多くは「子どもの将来が心配」というお気持ちなのではないでしょうか。LITALICOでは、発達ナビの記事や情報、またオンラインでの勉強会の開催など、さまざまな方法で不登校や行き渋りがあるお子さんと保護者の方をサポートしています。発達障害があるお子さんの一人ひとりの個性や特性に合わせた環境の整え方や、進路の選択肢について一緒に考える「勉強会」「個別相談」を行うLITALICOライフでは、【不登校の支援と将来の準備】に関する勉強会を開催しています。フリースクールや訪問教室など不登校のお子さんへの支援や、義務教育以降の高校進学について通信制高校など不登校に理解のある進路情報など、幅広く知ることができます。また、教育にまつわる資金など、現実的な準備についても学べる勉強会です。Upload By 発達ナビ編集部※アンケートはLITALICOの公式LINEにて!『お友だち登録』お待ちしています!(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2023年09月21日就学し支援を受けられるようにするためにはどこで誰に相談すれば良い?わが家の次男Pには重い知的障害があるので、私はほとんど進路に悩むこともなく、特別支援学校へ通わせたいと考えていましたが、それでも就学前はバタバタとさまざまな手続きがあり、とても忙しかったです。特別支援学校や特別支援学級は、急に「行きたい!」と言っても誰でも行けるわけではなく、「支援を受ける」ということになるので、そのためには各種手続きや、教育委員会の審査と判定が必要となってきます。さらに、就学先を決めるにあたり、就学相談や学校見学なども行われています。そのため、特別支援学校や特別支援学級が少しでも気になるのであれば、子どもが就学する前にまずは動いて何事も早めに調べておくほうが良いと思います。たとえば、私たちの住む自治体では、子どもの学校生活に対して何らかの不安がある人のために、子どもが年長(6歳)になった年の7月頃に「就学相談会」というものが開催されます(開催時期や名称は各自治体で異なりますので、お住まいの自治体にご確認ください)。その相談をするには、前もって予約しなければならないのですが、現在通っている園側から案内される場合もあれば、されない場合もあり、「相談会へ行きたかったのに知らない間に申し込み期限が過ぎていた……」ということにもなりかねません。私の場合、園から就学相談会の案内を受けていたので、相談会に参加することができましたが、もし知らなければ相談の機会を逃してしまうので、早めの情報収集は大事だな……と感じました。Upload By みん就学相談会では何を話せば良いの?私が参加した就学相談会では、まず面談で子どもの成育歴を詳しく確認されました。この時、子どもの成育歴や受けてきた支援内容をまとめたサポートブックを持参しました。とっさに思い出せない部分もあるかもしれないので、就学の相談をする際には、このようなサポートブックをあらかじめつくっておくか、なければ母子手帳だけでも持って行くとスムーズに話せて役に立つかもしれません。また、現在の家庭や園での状況なども聞かれることがあるので、子どもの特性や困りごと、就学を前に不安に思っていること、学校への希望なども伝えられたら良いと思います。なお、就学相談会での個人情報、相談内容などは厳正に管理され、就学決定に関する基礎情報となるということでした。Upload By みんそれから、相談会では現時点での希望を話せたとしても、希望する学校を実際に見学してみないとどんな学校なのか?どんな支援が受けられるのか?分からないことが多いと思います。たとえば特別支援学校と特別支援学級で悩んでいるのなら、両方の学校を見学しないと比較もできませんし、できればお子さんも一緒に見学や体験へ連れて行くほうが、どちらが6年間楽しく通えそうなのか?をより具体的にイメージできると思います 。Upload By みん子どもの目線に立ち、より良い環境を考え進路を決断するその後は子どもが所属している施設へ相談員が訪問し、普段の子どもの様子を見た上で、保護者と園の先生から聞き取りをする「訪問面談」や、就学する前に行われる健康診断で、身体の疾患や知的発達の度合いが検査される「就学前健診」などを経て、特別支援学校、特別支援学級、通常学級のどこで学ぶことが望ましいのか?教育委員会から総合的に判断された結果の連絡があり、その上で就学先をどこにするか?親へ最終確認がありました。わが家の場合は、当初の希望通り特別支援学校に就学することになりましたが、就学相談会や学校見学を通じて、学校生活についてより具体的なイメージを持つことができたと感じています。今まさにお子さんが就学前で進路に悩んでいる方もいるかもしれませんが、子どもは日々成長しているので、悩んで当然だと思います。また、地域や学校、その年度によって担当の先生も支援の内容も変わってくるので、希望通りにはいかないことや不安も出てくるかもしれません。実際に小学校へ6年間通うのは子どもなので、1番は子ども自身の希望、そして親は子どもの成長、様子を見ながら、小学校生活をどうサポートしていくか?を考え、進路の選択ができると良いと思います。Upload By みん実際にわが家の次男Pが特別支援学校に進学してどうだったのか?については、また別の機会にご紹介したいと思います。執筆/みん(監修:新美先生より)就学に向けてどのように動いていくとよいかについて、具体的に詳しく教えて下さりありがとうございました。就学についての相談が始まるのは、地域差もあるかもしれませんが年中の終わりから年長にかけてかと思います。ですから情報収集や見学などは、可能ならそれより前の年中の年ぐらいから動き始めるとゆとりがあるかと思います。就学の相談を始めると、通っている園、療育の先生、病院、就学担当の先生など、それぞれ意見が異なることも珍しくありません。それぞれの意見も参考にしながら、保護者の方が主体的に動かれて、ご本人にも見学、体験の機会を持ったうえで、本人らしく楽しく通える場所がどこなのかを考えて、相談していくと、保護者の方も選択していきやすいかもしれません。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年09月21日無料の参加登録受付中!発達が気になるお子さんやご家族へ届けたい、オンラインセミナーが9/23(土)に開催決定Upload By 発達ナビアライアンス プログラム学校へ行きたがらない。ずっと家にこもっている。勉強はしないまま……。そんなお子さんが今どういう心の状態なのか、どう声をかけたらいいのか、ずっとこのままなのだろうか。ご不安な方もいらっしゃるのではないでしょうか。発達ナビでは不登校のお子さまとそのご家族に、ご自宅で情報を得られる機会をお届けするために「不登校サポートセミナー」を開催します。・日時:2023年9月23日(土)9:30~13:35(予定)・参加費:無料・形式:Zoomウェビナー配信・参加方法:事前申込必須。下記ボタンよりお申し込みください・内容:専門家講演、発達が気になるお子さまや不登校のお子さまを応援する企業によるセミナー※企画調整中のため、今後変更となる場合もございますオンラインセミナーの内容をご紹介Upload By 発達ナビアライアンス プログラム夏休みも終わり2学期が始まりましたが、「学校に行きたくない」と言うお子さんへ、どう関わったらいいのか・この先どうなっていくのか、不安な気持ちでいる方もいらっしゃると思います。まずはお子さまの心の状態を理解し、前向きになってくれるサインを見逃さず接していくことが大切です。今回は、自身も40歳を目前にADHDの診断を受けた不登校新聞代表が、当事者目線で、また不登校や特性のある当事者、親、識者など400人以上に取材してきた経験も踏まえてお話しいただきます。当日は視聴者のみなさまからの質疑応答タイムもご用意しています。ぜひご参加ください!講師:石井志昂 氏不登校新聞の代表。『不登校新聞』とは「当事者の声に寄り添う」をモットーに、日本で唯一の不登校に関する新聞として、98 年に創刊。 以来1000 名を超える不登校・ひきこもり当事者経験者の声を掲載。2022年からは不登校の親専用コミュニティ「親コミュ」を設立。自身も中学生で不登校を経験しており、不登校新聞にかかわり続けている。近著に「フリースクールを考えたら最初に読む本」(2022年/主婦の友社)Upload By 発達ナビアライアンス プログラム悩みの深いご家庭と向き合う無学年式オンライン教材「すらら」。2022年は不登校や発達の気になる生徒2,700名(すらら利用者全体の約6割※)が家庭学習で利用。そして、家庭学習を見守る保護者の関わり方を学ぶほめビリティ講座は、今年リニューアルし約150名の方が受講されています。※株式会社すららネット調べ本講演では、繊細で不安が強く、無気力になってしまうお子さま、挑戦したい気持ちはあっても、不安になる気持ちとうまく向き合えないお子さまなどを持つ保護者さまへ、心理療法の「認知行動療法」も取り入れた関わり方や事例をお伝えしていきます。Upload By 発達ナビアライアンス プログラム発達が気になるお子さまの子育てをオンラインサポートする「発達ナビPLUS」。発達ナビPLUSの監修者でもある公認心理師・緒方広海先生に、思春期の二次障害への「特徴」とその「相談の目安」について解説いただきます。・そもそも二次障害って?・不登校や引きこもりは二次障害なの?・二次障害への対応はどうすれば?など、特性があるお子さまの二次障害に関する疑問やお困りごとへの手立てについてお話しします。Upload By 発達ナビアライアンス プログラム発達に特性がある子の「好き」をのばし、力に変えることのできる習い事や保護者さまの関わりについて解説する、保護者向け勉強会です。ゲームや動画が大好きなお子さまが、実際に好きなことを力に変えた成長事例などを交えて、保護者さまの関わり方のポイントや習い事の選び方、将来への活かし方についてご紹介します。・子どもの「好き」を力にする親の関わり方や習い事って?・事例で分かる!「好き」を伸ばした子のストーリー・将来に活きる力に変えるために今からできることは?Upload By 発達ナビアライアンス プログラム不登校や引きこもりがちなお子さまがいるご家庭向けの勉強会です。復学や居場所など、学校に行かない選択をした子へのサポートや、中学以降の進路の選択肢について解説します。1.不登校支援の選択肢フリースクールや訪問教室など、不登校のお子さまへの支援の選択肢や選ぶ際のポイントを解説します。2.中学以降の進路の選択肢義務教育以降の高校進学の選択肢として、通信制・サポート校や高等専修学校、チャレンジスクールなど、不登校に理解のある進路を幅広く知ることができます。3.教育にまつわる準備教育資金やお子さまの自立後に必要になってくる費用など、現実的な準備についても解説します。たくさんの方のご参加を、心よりお待ちしております。
2023年09月20日「インクルーシブ教育」を推進するための指針を、教育リーダーズから学ぶ2022年に国連から日本へと推進が通達されたこともあり、昨今大きな注目を集めている「インクルーシブ教育」。インクルーシブ教育とは、文部科学省で下記のように定義されています。「インクルーシブ教育システム」(inclusive education system、署名時仮訳:包容する教育制度)とは、人間の多様性の尊重等の強化、障害者が精神的及び身体的な能力等を可能な最大限度まで発達させ、自由な社会に効果的に参加することを可能とするとの目的の下、障害のある者と障害のない者が共に学ぶ仕組みであり、障害のある者が「general education system」(署名時仮訳:教育制度一般)から排除されないこと、自己の生活する地域において初等中等教育の機会が与えられること、個人に必要な「合理的配慮」が提供される等が必要とされている。障害のある子もそうでない子も、共に学ぶための仕組みづくり。しかし実際の市区町村、学校教育の現場では、対応のノウハウが欠如していたり、人員が足りなかったり、推進が難しい現状もあるという声も散見されています。そんな中でも、すでにインクルーシブ教育を先駆けて推進している人たちがいます。彼らはインクルーシブ教育をどう捉え、何を考え、推進を実現してきたのでしょうか?この連載では、そんな彼らを「教育リーダーズ」と位置付け、その言葉に耳を傾けることで推進のヒントとなる”指針のカケラ”を集めていきたいと思っています。第一回は、神奈川県葉山町教育委員会の教育長である、稲垣一郎氏にお話を伺いました。Upload By 発達ナビ編集部プロフィール:稲垣一郎 氏東京目黒生まれ。早稲田大学を修了後、私学の教員、その後に県立高校の教員を経て、特別支援学校の高等部で3年間知的部門に勤めた後に、県の教育委員会で教育行政に12年携わる。教頭、副校長として通信制、専門学科を経て横浜北部学区の荏田高校で校長職、湘南高校で5年間校長職、2021年4月から葉山町の教育長に就任。Upload By 発達ナビ編集部インクルーシブ教育という言葉すらない、多様な人が自然に共にいる未来を目指すーー本日はよろしくお願いいたします。稲垣さんのご経歴を拝見したのですが、特別支援学校での指導経験もあるそうですね。はい、当時は養護学校と呼ばれていましたね。その前にいた学校で、下肢に障害がある生徒を担任した時に、障害のあるお子さんについてもっと知らなければいけないなと感じまして。インクルーシブなんて概念はない時代でしたけど、希望を出して知的障害のあるお子さんが通われる特別支援学校へ赴任することになりました。ーーそれまで指導してきた生徒とは、接するうえで異なる部分もあったのでは?そうですね、そこで自閉的傾向のあるお子さんのいるクラスを受け持ったんです。その子は自分の殻に閉じこもる傾向のあるお子さんで、入学式の日は体育館にすら行ってくれなかったんですよね。「そろそろ行ってみねえか?」なんて2人で話して、それで私たちの入学式は終わりましたよ(笑)。ーー前途多難なはじまりを経て、そこでの経験はどのような糧となったのでしょうか。そんな子どもたちと接することで気付かされたのは、「教師の意思で何かを無理矢理してもらう考え方は、この子たちには通用せんな」ということでしたね。でも、一人ひとりスピードは違えどちゃんと成長していくので焦る必要はなくて、保護者の方と小さな成長の喜びを共有することが大切。教育とは常に待つことである、そんなことを学ばせてもらいました。Upload By 発達ナビ編集部ーー以降のキャリアでは教育行政などに関わられた後に、名門と名高い湘南高校の校長に就任されます。湘南高校は中学校でオール5の生徒が集まるような学校だったのですが、当然ここに来ると順位がついてしまうんですよね。でもそこで見た光景は、成績上位の子どもが下位の子どもを馬鹿にしない風景でした。ーーなぜそのような風景が見られたのでしょうか。成績が下位の子でも、歌が上手かったりバスケが上手かったり、誰しも特別に得意なことがあるんです。それを認め合う姿を見て、これこそ完全にインクルーシブでオルタナティブなんだと感じましたね。葉山でもその姿を現場で何度も伝えているんです。ーーなるほど。一方で湘南高校の例とは異なり、日本の教育はこれまで「分断」の道を辿ってきたかと思います。障害があれば、特別支援学級や通級に行くものだと捉えている人が多いですよね。そうですね。例えば欧米では当たり前に、街で目が見えない人がいたら手を差し伸べるなど、誰かが困っていたら誰かが支援することが自然と根付いているように思います。でも、日本では障害がある人とない人で、そもそもの教育の場から区別してきてしまった。最近やたらとインクルーシブ教育という言葉を聞くようになったのは、そんな日本の分断されてきた背景があるからこそ。だから、インクルーシブ教育なんて言葉がいつか存在しなくなるほど、ごく自然に多様な人が一つの場所に混ざり合う社会にしていくことが求められているんだと思います。Upload By 発達ナビ編集部進む方向を示して目線を合わせ、取り組みを常に見える化し不信感を取り除くーーそして、現在に繋がる葉山町教育長としての取り組みが始まります。葉山に来て3年目ですが、人的な配置も含めて教育への支援が非常に手厚いと感じています。特に小・中学校に入っている教員ではない支援員さんはその多くが町の保護者の方で、葉山の教育に何らかの形で参画をしたいと思ってくれていることを非常に有り難く感じますね。元々PTAの役員をしていた方が集まってできた、学校を支援する組織もあります。そういう方々の個別の相談にもいつでも乗るように意識しています。ーー町の人が主体的に教育に参加されているのは素敵です。葉山町に来られてから、具体的にはまずどのような課題に取り組まれましたか?この町は先生も教育委員会もみんな熱心なので全方向に一生懸命取り組まれていて、その反面でどこに向かっているのかが見えないところがありました。だからまず、選択と集中をしていくために指針をつくったんです。これを見れば葉山の教育方針が分かるというものをつくりました。葉山町支援教育推進指針「葉山町支援教育推進指針」共生社会の実現に向けたインクルーシブな環境づくり 、社会情勢や教育的ニーズを踏まえた継続的な「あり方」の検討をベースに、 「すべての児童・生徒ができるだけ共に学び共に育つ仕組みづくり」、「多様かつ個別の教育的ニーズに合わせた連続性のある教育の実現」、「切れ目ない支援体制の構築」について示したもの。ーー指針をつくるうえで、特に意識されたことはあるのでしょうか。指針の受け手である子どもたちと保護者の方にとって、どういう教育理念を持っていたとしても反対するレベルのものは入れないようにしています。町や子どもたちに対する眼差しを持って、誰もが根本で共感できて目線を合わせることができるラインで選定しています。議論や対話をする必要があるのは教員ですが、そこはちゃんと議論をして解決していきますね。ーー誰もが共感できる指針。その後はどうしたんですか?指針はスタートラインでしかないので、その後に会議体を持つことにしました。各学校の支援担当の先生や校長先生、加えて外部の識者を呼んで、何が課題で今後はどこに進んでいくかを現場と識者が融合して話す場を年3回つくっています。ほかにも毎月校長会議があって、そこでディスカッションもしますし、校長先生や現場の先生を個別に呼んで話すこともしょっちゅうあります。教育長室の扉は常に町に対して開いているんです、もちろん飲みの場も多いのですが(笑)。Upload By 発達ナビ編集部ーー教育長と現場の距離が近いんだなと感じます。さて、インクルーシブ教育という視点でのテーマとなりますが、葉山町として具体的に取り組まれていることを教えてください。私が就任する以前からあるのですが、不登校のお子さんが小学生も中学生も通うことができる「ヤシの実教室」という教育支援教室がありますね。小学校の一部の場所を活用していて、自由をモットーに自分たちのやりたいことをして良い場なんです。通った時間については、所属する小・中学校の出席にあてられるようになっています。この教室に通って、気付けば学校に戻っているお子さんもいますね。また、「ことば・きこえの教室」という場もあります。言葉や聞く力、コミュニケーションについて心配のあるお子さんと保護者の方から相談を受け、必要な指導や支援を行う教室です。特別支援学級の対象ではないけれど、課題を抱えているかもしれないお子さんが通って、適切な個別指導が受けられるようになっています。個別課題がクリアできればこの教室からは卒業します。Upload By 発達ナビ編集部ーー分断ではなく、支援が必要な子どもたちのための場が設けられていると。さらに、どの学校にも支援級があります。土地柄オルタナティブスクールも多くて、年に1回程度お互いの活動を報告する会議で連携を取りながら、町全体として子どもの居場所づくりに取り組んでいるんです。ーー葉山町の特長の一つとして、教育長はSNSでの発信も多くされていますよね。そうですね。組織として動くだけではなく、それを町の人々に届けることも大切と思っています。だからSNSを通しても、私の考えは常にオープンにするようにしていますね。新しいことに取り組む際に、見えないことが不信感につながると考えているので、発信は大事なことです。結局のところ私たちがやっていることに革新的なことはなくて、進むべき道を明確にし、そして教育現場で今何が行われているかをちゃんと見える化していく地道な作業をしているだけ。でも、それこそがきっと推進のためには必要なことなんですよね。稲垣教育長のnote短期的ではなく、中・長期的な視点で、一人ひとりの学びと成長に向き合うーーインクルーシブ教育を推進する中で、具体的にどんな困難がありましたか?困難……。家が少し遠いので、毎日通勤するのが大変なことくらいですかね(笑)。というのは半分本気で半分冗談で、物事を推進する中でハードルがあったり人と人との軋轢が生まれたりするのは当たり前のことなので。だから、ハードルがあるから推進できないとあきらめるのではなく、そういうものだと開き直ってでも力強く進めることが必要なんだと思います。Upload By 発達ナビ編集部ーーそれでも、組織の中の一部には不安な空気もあったかと思います。それは当然あると思うので、だから単純に言うと「稲垣があれだから仕方ないよね」と私を悪者にしてあきらめてもらって、それで進んでいけばと。結果それが町のためになったら何よりです。ーーインクルーシブ教育推進のために、今まさに取り組んでいることも教えてください。実証実験として、LITALICOの教育ソフトの導入を進めています。誰もが凹凸があり、好き嫌いがあり、勉強の得意苦手があるので、自分をどう活かしていくかを子どもたち自身が理解していくことが大切だと考えているんです。支援が必要なお子さんの指導においても、教員の経験や感覚だけではなく、明確な軸を持てるのが良いと思います。Upload By 発達ナビ編集部ーー先生や生徒にとって必要な体制を揃えていかれるのですね。はい。そして今年、この3年間で各校の校長先生とも話し練ってきた葉山町としてのスクールミッションを出します。これは教育委員会が葉山の学校に対しての指針となる3本柱と考え方を明確にしたもので、このミッションを受けて各学校がスクールポリシーを出す計画になっています。各学校での個性を最大限活かしながら、目線の先はしっかりと葉山町全体で足並みを揃えていくための取り組みです。Upload By 発達ナビ編集部ーーなるほど。「楽校」という言葉からも葉山町の目指す方向がイメージできます。そして、インクルーシブ教育の考え方にも繋がるのですが、葉山の長柄小学校と南郷中学校を小中一貫校として統合します。昔から中1ギャップという考え方がありますが、葉山でも例外ではなく中学から学校に行かなくなる子たちが増えてしまう現状があるんです。だから、義務教育の6年+3年を一連の流れで考えることで、中・長期的な視点で少しでも成長を滑らかに支援していきたいと思っています。9年間で同一の指導方針を持てることは、子どもたちが夢を見つけて進路を決めるうえでも良いことです。それに、中学校の先生が小学校に来てもいいし、小学校の先生が教えた子がどうなったか見に行く、そんな交流も生まれると思います。何より生徒も喜ぶし、先生も喜ぶ、それが日常化していってほしいですね。ーーなるほど。それではインクルーシブ教育を推進する中で、変わってきた印象はありますか?一番変わったのは組織だと思います。結局教育長としての仕事も組織論として捉えることが多くて、どう職員室をマネジメントするかが大切だと捉えているんです。インクルーシブはもちろんですが教育には答えがないので、仕事においてたとえしくじってしまっても挑戦してもらうことを大切にしています。成功することが至上命題という考え方を捨てて、結果が元々目指していた場所から変わってしまってもそれで良いとすることが必要。当初はネガティブな捉え方もあったかと思うのですが、前向きな発言が波及してきて組織全体として挑戦を積み上げられているという実感がありますね。Upload By 発達ナビ編集部ーーさまざまな視点でお話をいただきありがとうございました。最後に、今後のビジョンを教えてください。ポリシーをつくることでブレない教育理念がちゃんとあって、そこに向けてきちんと学校が自走していくことが今後の理想だと思っています。そしていつか、子どもたちがこの町に戻ってきてもらって、新しいサイクルを生んでくれたら理想です。子どもたちが成長して20年後に振り返った時に、小・中学校の大切な時間を葉山で過ごせてよかったなと思ってもらえたら、それ以上のことはありません。この連載を重ねることで、皆さまの中でインクルーシブ教育への解像度が上がりますように稲垣さんは謙遜をされていましたが、隣に寄り添っていた教育委員会の課長は「今の教育長ほど一人ひとりの声に耳を傾け、寄り添っている人を見たことがない」とおっしゃっていました。その姿勢こそが先生方や保護者の方の教育へのモチベーションにも繋がり、同じ目線で進んでいくための原動力になっているようにも感じられました。Upload By 発達ナビ編集部これから全国の教育リーダーズの話を取材し、皆さんにお伝えしていきます。インクルーシブ教育の取り組みを知ることで指針を集め、今まさに実践されている、実践しようとしている方のヒントになりますように。ここまで読んでいただきありがとうございました。
2023年09月20日成績は良いのに提出が遅いため、教授から優秀な怠け者と注意されるUpload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイわが家は母である私・ワッシーナを筆頭に、家族のほぼ全員が個性いろいろな発達凸凹タイプです。それぞれの特性をキャラクター化しており、動物の顔をしています。マイペースな長女ニャーイは、高校卒業後に渡米し、フロリダ州の大学で美術を専攻しました。油絵で個展を開くことを目標にして、デッサンや油絵の学びを続けていました。ニャーイは幼い時から好きなことに没頭すると時間の感覚がなくなります。彼女はアメリカの大学でも日本と同じような、おっとりとしたペースで過ごしていたようです。学内で絵を描いていて、ふと気がつくと締め切り当日かつ、時間がギリギリのことが多かったようです。提出する時は、だいたい指導教授の研究室まで猛ダッシュして届けていました。絵の作品を受け取った教授は「いつも時間ギリギリなのに、なんで出来が良いんだ?」と不思議がりました。作品の出来の良さがかえって仇となり、「君は優秀な怠け者だな」と誤解されてしまいました。つまり大学でもニャーイは、能力はあるのに怠けているというふうな見られ方をされてしまったのです。学内コンペで入選した作品を自分の不注意で燃やされてしまうUpload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイニャーイはめきめき画力をつけていき、大学内の作品コンペで入選を果たしました。数百人いる全学年から選ばれた2人のうちの1人だったそうです。とても名誉なことですが、残念ながらその作品は、今はもう見ることができません。ニャーイの通うフロリダの大学では、夏期休暇中は学園の校舎をイベントなどに貸し出すため、学生の私物はすべて持ち帰ることという学内ルールがありました。もし学内に忘れ物をしたら、すべて例外なくゴミとして燃やされるというものです。ニャーイは、この学内ルールをすっかり忘れて、自分のロッカーにこれまで描きためた作品をすべて置いて帰国してしまったのです。長い夏期休暇が終わり、新学期になって登校したニャーイは、コインロッカーにあるはずの私物や作品がすべて消えているのに驚き、さんざん探し回ったあとに、ゴミ焼却炉で燃やされたことを知ったのでした。2回も期限切れし、自動車の運転免許取得にのべ10年かかってしまうUpload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイニャーイはアメリカで自動車の運転免許取得にもチャレンジしました。アメリカは日本より運転免許が取りやすいと言われていたので、自転車に乗れなかったニャーイでもなんとかなるのでは、と私は気楽に考えていました。ところが、私の楽観的な予想は外れ、ニャーイはアメリカ滞在中に運転免許が取れませんでした。外国人であるニャーイのために、免許取得を手伝おうとしてくれた人たちがいたそうなのですが、彼らが怒って帰ってしまう事態が続出したからのようです。でも、本人からの説明ではなぜうまくいかないかという理由がよく分かりませんでした。その後、帰国したニャーイは地元で自動車教習所に通いましたが、なんと免許取得にのべ10年もかかってしまいました。2回の講習期限切れののち、3回目にやっと取得できました。技能テストや試験ではパスできるのですが、有効期限内に受講したり受験したりするスケジュール管理が恐ろしいほど不器用だったのです。特性に気づき工夫の習慣化で問題解決へ向かうUpload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ学生時代のニャーイをふりかえると実行機能がうまく働いていないことがよく分かります。やるべきことは分かっていても、締め切りから逆算して予定を立てることや、日々の優先順位の立て方がうまく機能していないのです。ニャーイ自身もその後、さまざまな工夫を行ううちに、次第にそのことをよく分かるようになってきて、現在は住まいの中で4つの工夫をしています。①玄関先に貴重品入れを用意する鍵や財布など、外出先でないと困る貴重品などの置き場を備えています。②カレンダーに予定を記入玄関先に月ごとのカレンダーを配置し、日々の空欄に予定を書き込んでいます。カレンダーを見た家族が予定に気づいて知らせる効果もあります。③リマインダー係を決める家族の中に声かけ係を作り、予定が近づいたら声かけをしてもらっています。④毎週ふりかえりを行う以上のことを定期的にチェックするために、毎週末に同じ人と同じ時間でふりかえりを行なっています。これだけ周到な工夫をしても、忘れ物は消えません。小さな忘れ物やトラブルはたびたび起こります。トラブルを楽しめる心の余裕が一番大切なのかもしれませんね。執筆/ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ(監修:新美先生より)娘さんの貴重な体験を聞かせてくださりありがとうございます。ニャーイさん、高校卒業後米国留学されるような実力を持ちながら、持ち物やスケジュール管理などに致命的な困難さをあわせもつ凸凹の様子がとても分かりやすく伝わってきました。予定管理や持ち物管理などは、子ども時代は大人のサポートやフォローが必要ですが、大人になるにつれて段階的に本人主体にしていく必要があります。これについては、本人が自分の特性を自覚することで、初めて、何らかの工夫をしたり、周囲にサポートを求めるなどができるようになるので、その過渡期に自覚につながるようなまぁまぁのエピソードに直面することが良いきっかけになるかもしれません。ニャーイさんは、保護者のサポートが得にくい留学先での経験や、免許取得の道筋などを経て、自分の特性を乗りこなす工夫を身につけていったのでしょうか。具体的な工夫も詳しく教えて下さり、勉強になりました。ありがとうございました。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2023年09月20日遊具で遊ぶことが苦手だったコウUpload By 丸山さとこ神経発達症(発達障害)があるコウは、体を動かすことが苦手なようです。中学生になった現在は「運動が苦手で少し不器用だな」と感じるくらいで普段は大きく気になりませんが、保育園の頃は遊具で遊べないレベルの不器用さが目立っていました。そんな動きの不器用さも相まってか、足元が狭いところや不安定なところでは慎重に歩きたがっていたコウ。高いところは特に苦手で、5歳の頃に集合住宅の1階の部屋から2階建ての家に引っ越した時は、階段を数段登ったところで「落ちちゃうよ~!」と動けなくなっていたほどでした。それくらい『動きの不器用さ・高いところへの恐怖心』があるコウにとって、公園は石や落ち葉やどんぐりを並べるところでした。公園や保育園などの子ども用の遊具は大体高いものです。おおむねどこの公園にもある3大遊具の滑り台、ブランコ、ジャングルジムで遊べないとなると、体を動かすことを促したい親としても「散歩しよう」としか言えない状態でした。Upload By 丸山さとこ散歩中に植物や水を眺めたり、樹木にかけられた樹種の名札や解説を読んだりして過ごしつつ、「この子はこういう感じなのか~。これはそういう個性なの?」と漠然と思っていました。お母さんの安全保証つき?地道な滑り台の練習開始!そんな風に散歩しては石やどんぐりを並べるだけでも、「まぁコウがそれを好きならそれでいいか……」と流していた私でしたが、療育園に通うようになってから、少し考えが変わりました。というのも、コウが通っていた療育園での粗大運動の時間(室内遊具での全身を使った遊び)は結構スパルタで、泣いても叫んでも徹底して取り組ませるスタイルだったからです。Upload By 丸山さとこその特訓風景を見ている内に「このままでは遊具を見ただけで泣き叫ぶようになり、公園の前を歩けなくなるのではないか……?」と心配になった私は、近所の公園でコウと滑り台の練習を始めました。滑り台のてっぺんで座ったコウの体を私の両手で挟むように支えながら、コウに安全性を説明しました。「絶対にゆっくりしか滑らないので安全です」「怖くないようにします」「怖すぎたら途中でも抱き上げて中断できます」Upload By 丸山さとこそうして実際に途中で抱き上げたり滑り台の途中で止めたりして『コウが嫌だと思えばいつでも安全に中断できること』を証明すると、コウは「本当かな……?」という表情をしつつも練習につき合ってくれました。コウが泣かない程度の地道な練習を続けたところ、意外にも数日で滑れるようになりました。「やったー」と言い、跳ねてうれしそうにニコニコするコウに「もう1回滑る?」と聞くと「滑らない」とのお返事で、その素っ気なさにコウらしさを感じつつ家に帰りました。Upload By 丸山さとこ次の日もすんなりと滑れたため滑り台は克服できたのかと思いきや、ほかの滑り台は完全拒否でした。私から見れば『大体同じ高さで同じつくりの滑り台』も、コウにとっては『全く別の滑り台』だったようです。「ほかの滑り台はどんな感じかな?調査しに行こう」とコウに言いながら(これまた無理のない範囲で)いくつかの公園を回って複数の滑り台にチャレンジしていき、1ヶ月経った頃にはベーシックな形の滑り台であれば大体滑れるようになりました。こうして、ブランコ、はしご、ロープの遊具などを少しずつ克服していったコウは、休日に市内の大型公園へ行くと喜んで遊ぶようになりました。喜んで遊ぶといっても、年齢相応の動きではありません。膝程度の高さであっても必ず何かにつかまりながらソロリソロリと降り、階段は一段ずつ足を揃えて登るなど、『動きの不器用さ』はその後も目立ちました。動きの不器用さは今でもあるけれどUpload By 丸山さとこ中学生になった現在のコウも、歩く姿を遠目に見て「多分コウだな」と分かるような歩き方をしています。それでも、あの時に遊具で遊べるようになったことは、親子共に「練習してできるようになることもあるんだな」という微かな自信になったと思います。それと同時に、「練習しても(少なくともその時点では)どうにもならないこともあるんだな」という『現状の受け入れ』の土台も整ったような気がします。『〇〇ができるのなら□□もできるだろう。〇〇ができないなら□□もできないだろう』という見通しが立たない育ち方に親子で翻弄されながら、そのときどきにできることを試していきたいなと思います。Upload By 丸山さとこ執筆/丸山さとこ(監修:鈴木先生より)球技などの運動が苦手で不器用なお子さんは、発達性協調運動症と診断されることが多いです。発達性調教運動障害があるお子さんへの支援は、病院のリハビリなどでは感覚統合訓練をOTと呼ばれる作業療法士さんが実施しています。また、私のクリニックでは音楽療法の中に感覚統合も含めてトレーニングと評価を行っています。病院へ行けない場合は、公園の遊具やアスレチックなどでトレーニングすることもできますので、親子で楽しみながら取り入れてみることもお薦めですよ。もし、お子さんの様子が気になる親御さんがいらっしゃいましたら、今後きちんと向き合うためにも、ASD、ADHD、発達性協調運動症など具体的な診断、医師の診察を受けられることも視野に入れられてはいかがでしょうか。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年09月19日2人兄弟を育てるゆーとぴあさん。2歳児健診で長男は言葉が遅いと発達相談を受けます。次男は言葉の遅さに加えて多動傾向があるにも関わらず、健診で問題なしと言われたことに疑問を抱き、後日保育センターに相談して親子教室に通うことに。同時にほかの施設の教室にも参加させ幼稚園に備えました。入園式で次男は制服を身につけるのを嫌がり、じっとしていられない状態で通園に不安を覚えます。予想に反して次男はすぐに幼稚園に慣れたものの、先生から次男の問題行動の報告を受け、発達医療センターへ行くように言われます。さらになんと長男まで発達医療で診てもらうように言われ、就学のため特別支援級の見学に参加するように言われてボーゼンとするのでした。夫に報告すると、義理の叔母にまで伝わってしまい、兄弟の発達障害は母親のゆーとぴあさんに問題があるように一方的に決めつけられるのでした。義理の叔母からの心ない言葉をきっかけに、発達障害について書かれた本で遺伝するという記述を見つけます。自分が発達障害なら両親も?と思い母親に自分のことを聞いてみると、そうかもねとにこやかに答えていたのですが、亡くなった父親もそうだったのかなと言うと一転して憤慨してしまい、それ以上聞くことができませんでした。 家族に相談できないので、勇気を出してママ友に話したら ※児発とは、「児童発達支援」のこと。障害児通所支援の1つで、主に小学校就学前の6歳までの子どもが通い、支援を受けるための制度。日常生活の自立支援や機能訓練をおこない、保育園や幼稚園のように遊びや学びの場を提供するなど障害児への支援を目的としています。 義家族からは母親が原因と決めつけられ、実の母親からも非難され誰にも相談できない状態でしたが、勇気を出してママ友に幼稚園から長男の支援級をすすめられたことを伝えてみました。 すると、そのママも去年同じことを言われて悩んだと言います。どうやら園長が発達に遅れがあると感じた園児に対して、すぐ支援級をすすめるということは有名な話とのこと。 ママ友は普通のクラスを希望していたので、習い事などできることをおこなって現在は普通のクラスに通っており、結局は親の判断が大きいと話してくれました。 普通のクラスから途中で支援級に入れるそうなのですが、「最初から支援級だとなかなか戻れないよ」その言葉に現実を突きつけられたのでした。 ◇◇◇ 義家族はもちろん、実の母親からも発達障害に対する考え方が合わず、相談を拒絶されたゆーとぴあさんでしたが、勇気を出しママ友に話してみると同じことを言われたと明かしてくれました。同じ幼稚園や学校に通うママ友の情報は有益だと言うゆーとぴあさん。同じ悩みを持つもの同士で気持ちを共有できることは大事ですよね。 ゆーとぴあさんの連載は、以下のサイトからもご確認いただけます。ぜひチェックしてみてくださいね。 著者:マンガ家・イラストレーター ゆーとぴあ
2023年09月16日赤ちゃんの頃から気になっていた娘の発達。成長して一見目立つ困りごとはないけれど…はじめまして、マミヤと申します。わが家は主人、私、小学校3年生の娘(8歳)の3人家族です。娘のしぇーちゃんは2歳4ヶ月の時に自閉スペクトラム症と診断されました。娘が産まれてすぐ「寝ない、飲まない、泣き止まない」ことで育てづらさを感じ、歩き出してからは多動や意思疎通の難しさが気になるようになりました。1歳半健診では発語の少なさや指差しができず「要観察」。その後自閉スペクトラム症の特徴と思える行動(逆さバイバイやクレーン現象など)が増えてきたので、「娘に発達障害があるのではないか」という思いが私の中で次第に強くなりました。その後、発達相談を経て、娘が2歳になってすぐに療育機関へ通うことになりました。就学までいくつもの療育機関に通い続けた結果、2~3歳頃に心配していた多動は徐々に落ち着き、オウム返しも減り、年長になる頃には、娘は一見目立つ困りごとはない元気な女の子に成長しました。Upload By マミヤ小集団療育でも一斉指示が通らない、聴覚過敏もある娘。就学先は…ただ、目立つ困りごとがないからといって、娘の自閉傾向がなくなったわけではありませんでした。年長で小集団療育に通っていた時のことです。療育に参加していた子どもは娘を入れて5人。子どもたちの目の前で、先生が活動の開始を伝えるのですが、何回やっても娘には先生の「それでは始めて下さい」が聞こえませんでした。さらに、活動を始めている周りの子どもを見ることもありません。個別の声がけをされるまでボーっとしているのです。また、雨が激しい日や蝉の声が聞こえる時期には、 娘は「外の音で室内の声が聞こえない」と訴え、これではとても通常学級の中で学校生活を送れるとは思えませんでした。娘をよく見て下さっていた小集団療育の先生のすすめもあり、娘が楽しく通えることを優先して特別支援学級の情緒障害学級を希望しました。Upload By マミヤ登校渋り、不登校…心配事もあるけれど、娘の個性に寄り添ってUpload By マミヤ娘は好奇心旺盛で負けず嫌いです。「やりたい!」と思ったら何度も練習して習得するガッツがあります。好きな言葉は「あきらめない」。これは大好きな戦隊ものや美少女戦士から影響を受けていると思います。活発でゲームが大好きなのでお友達は男の子が多いです。逆に細やかなコミュニケーションは苦手で親しい女の子の友達はいません。また正義感が強く、納得できないことをいつまでも気にしたり、自分が理解できない行動をする相手を嫌悪したり怖がったりしてしまうことがあります。「学校にいるだけですごく疲れてしまう」と教えてくれたこともありました。特別支援学級に入れたので「はい、安心」とはいかず、入学後は娘の登校しぶりや不登校など現在も悩みはつきません。娘の小さい時の様子や小学校生活での出来事、親子関係などもお伝えできたらいいなと思っています。執筆/マミヤ(監修:新美先生より)マミヤさん、初めまして。しぇーちゃんの魅力が伝わる素敵な初回コラムをありがとうございます。好きなものがいっぱい、好奇心旺盛で負けず嫌いで、好きな言葉は「あきらめない」ってとっても素敵ですね。また「学校にいるだけですごく疲れてしまう」と自分の状態を言語化できるのもすごいです。学校という枠は、しぇーちゃんには窮屈なところがあるのかもしれません。そんな学校とのお付き合いで日々の調整を担う親のほうもとっても疲れますよね。コラムでいろいろ聞かせてもらえるのが楽しみです。よろしくお願いいたします。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年09月16日2人兄弟を育てるゆーとぴあさん。2歳児健診で長男は言葉が遅いと発達相談を受け、親子教室に通います。次男は言葉の遅さに加えて多動傾向があるにも関わらず、健診で問題なしと言われたことに疑問を抱き、後日保育センターに相談して長男と同じ親子教室に通うことにしました。それでも次男が心配で、同時にほかの施設の教室にも参加させ幼稚園に備えました。入園式は制服を身につけるのを嫌がり、抱っこしていないと走り出してしまう状態で通園に不安を覚えます。予想に反して次男はすぐに幼稚園に慣れたものの、先生から次男の問題行動の報告を受け、発達医療センターへ行くように言われます。さらになんと長男まで発達医療で診てもらうように言われ、就学のため特別支援級の見学に参加するように予定を組まれてボーゼンとするのでした。帰宅して夫に長男について、幼稚園での面談の報告をすると、見学して息子に合っていれば支援級でも構わないのではと冷静な返答。数日後、義理の叔母が家に押しかけ長男が支援級に入ることになったのかとまくし立てます。長男の発達障害は母親のゆーとぴあさんが原因なのではと、不躾で勝手な決めつけでものを言う義理の家族に怒りと悔しさを募らせるのでした。 お父さんってもしかして? ただ質問しただけなのにーー 義理の叔母の言葉が引っかかり、図書館で大人の発達障害について調べるゆーとぴあさん。専門書に発達障害は遺伝するという記述を見つけます。自身が発達障害であるならば、両親のどちらかも発達障害の可能性があるのかもしれません。 それを確かめるべく、母親に聞こうと実家を訪ねて質問します。すると母は、ゆーとぴあさんは少し変わっているので発達障害かもしれないと思っていたと笑って答えますが、加えて遺伝なのかと聞くと途端に険しい表情に。 「亡くなったお父さんって発達障害だったのかな?」「うちのお父さんはそんなんじゃない!」 すぐに発達障害のせいにする最近の人の風潮に怒りをあらわにします。相談のつもりで聞いたのに、逆ギレのような受け答えをされてゆーとぴあさんは呆気に取られるのでした。 ◇◇◇ 息子の未来を考えるために相談したかっただけなのに、「発達障害」に対する世代からくる考え方の違いからか、議論の入り口にも立てない状態でした。ゆーとぴあさんの発達障害の可能性はすぐに受け入れましたが、父の可能性は受けつけず逆ギレした母。もちろん不確定の要素で、責めているわけでもないのに、子どもとしてこの状況はあまりに悲しいですよね。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 ※ADHDについてADHDの症状は最終的な神経経路で起こるとされ、原因は様々とされています。乳児期の外傷、分娩時の問題、妊娠中の薬物や飲酒、遺伝的な可能性等が記載されていますが、原因がわからないことがほとんどです。ADHD以外に自閉症スペクトラムの症状がある場合は、精神科や小児神経科等で診察を受けてみるのもよいでしょう。 ゆーとぴあさんの連載は、以下のサイトからもご確認いただけます。ぜひチェックしてみてくださいね。 監修者:医師 神奈川県立こども医療センター 産婦人科 松井 潔 先生 著者:マンガ家・イラストレーター ゆーとぴあ
2023年09月15日強いストレスとプレッシャー。小6ですでに二次障害の兆し学校で壮絶ないじめにあっていたけれど、勉強はできた私。私が小学生だった30年ほど前は、発達障害についてなんてほとんど誰も知りませんでしたから、親や先生を含め、周囲の大人は私を神童扱いしていました。持ち前のバイタリティで出世しつつあった父は、私にもそのバイタリティを求め、厳しく叱咤激励しました。「学校に行かなくなったら将来路頭に迷うぞ」「お前は頭がいい、エリートになれる。将来エリートになって、いじめっ子たちを見返してやるんだ」。普通の小学校高学年の子どもが、こうした言葉をどのように理解するかはわからないのですが、ASDの私はこうした言葉を字義通り解釈し、怖くて震え上がりました。そして、「死ぬ気で学校に行き続け、有名大学に入り、ゆくゆくは有名企業に入るなり弁護士とかになるなりしなければならないんだ」と思い込むようになったのです。小6の時、それまで無条件で可愛がってくれていた祖父が亡くなりました。唯一の心の支えであった彼を亡くした私は、さまざまな精神症状に苦しむようになります。教室に入るとき、どのような顔で、どこに視線をやりながら、どっちの足から入るか。何歩で、どういった角度で自分の席を目指すか……。そういったことを頭の中で一生懸命シミュレーションする。クラスメートの声が、すべて自分を攻撃し、嘲笑しているように聞こえてくる……。もし当時、医療とつながる機会があったなら、何かしら二次障害の診断が出ていただろうと思います。頼る先も、情報も選択肢もない日々でも、当時の親や先生が、私に障害があり、二次障害を起こしているであろう状況だなんて知るよしもありません。「子どもがメンタルに不調を感じたら大人と同じように専門家につなぐべき」などという知識もありません。私自身も、ただ自分が「頭がおかしく」て、「悪い」んだとばかり考えて、自分を恥じていました。勇気を出して相談したところで「あと少しなんだから頑張れ」とか、叱咤激励が返ってくるか、母の場合はショックを受けて寝込んでしまったりするだけだということもわかっていたので、自分が苦しいということは周囲に対してひた隠しにしていました。私が中学生になる頃には母の言動もだんだん異常になっていき、家庭生活も厳しさを増しました。自治体の広報だよりなどから「精神保健福祉センター」というものがあることを知り、親に隠れて電話相談に頼ったりしていました。しかし、結局そこでも理解ある対応はしてもらえず、「お母さんに感謝しなさい」などと叱責されてよけいに落ち込んだり……。結局、何十年もあとになってから、母は強迫症やためこみ症といった精神疾患だったことがわかったのですが、そういったことも当時は誰ひとり気づかなかったわけです。知識・情報と選択肢が欲しかった今となっては、周囲の大人には「子どもにも、学校に行く以外にさまざまな選択肢がある」「勉強ができること、エリートになることだけが、あなたの存在意義ではない」と教えてもらいたかったと思います。それだけではなく、発達障害も含めたさまざまな精神障害について、もっと世間に知識や情報が普及していてほしかったし、困ったときには家庭で抱え込んでいないで福祉など外側の人に頼っていいのだということも知っていたかったです。私はそれらのないまま、一人で傷だらけになり、いわゆる青春のすべてを勉強のために犠牲にして無理を重ねました。大学新卒時の就活がうまくいかなかった時には「エリートになっていじめっ子を見返す」という唯一の精神的支柱を失って完全に心折れてしまいます。その頃には母の精神状態もさらに悪くなっており、そのまま20代を準ひきこもりで過ごすことに……。今、発達障害についての知識は深まっていますし、子どものメンタルケアの環境も整いつつあるので、私のような状況に追い込まれる子どもは少なくなっているかもしれません。それでも、保護者のみなさんには、相手が子どもだからといって良かれと思ってさまざまなことを決めてしまうことはせず、多様な選択肢を見せて選ばせてあげてほしいと思います。たとえば、特別支援学級やフリースクールに行ったほうがいいかもという事態になったとき、保護者としてはできるだけ頑張って通常学級に行かせたいと思うかもしれません。しかし思い返すに、私の場合は通常学級にこだわりすぎず、特別支援学級やフリースクールに行かせてもらったほうが、いま背負っているような傷や二次障害を背負わずに済み、結果的に社会適応度も上がって、もっと楽に幸せに生きられたのではないかと思っています。もちろん、特別支援学級やフリースクールに行くことでのデメリットもあるとは思いますが、本人が教育を受ける中でできるだけ傷つかず、結果的に強くポジティブに生きられるようになることがいちばん大事なのではないかと、私は思うのです。支援を得ること、人と違う生き方をすることもとても素晴らしいこと、あなたが最も楽で幸せな道を選ぶのが大事なのだと、お子さんに伝えていただければ嬉しいです。文/宇樹義子(監修・鈴木先生より)障害者支援法という法律もできたように、時代とともに神経発達症に対するとらえ方には変化がみられています。しかし残念ながら神経発達症に対する支援や知識はさほど以前とは大きな変化がないように私は感じています。各自治体において医療・教育・福祉・保健の連携がまだまだないのも一因であると感じています。学校の先生、小児科医、精神科医などの神経発達症に関わる人びとの知識もまだ十分とは言えないでしょう。車いすのように目で見える障害であればわかりやすいのですが、神経発達症は困りごとが見えづらく、また障がいというより特性なので、わかりづらい面があります。最近は神経発達症に関する知識が深まったとはいえ、いまだにかかりつけ医でも診断することが難しいのです。特別支援学級やフリースクールに在籍していても、理解の乏しい環境下の場合、通えなくなるお子さんも多く目にしてきました。小・中・高と診断されないまま、大学生や社会人になって初めて受診する患者さんも多くいらっしゃいます。誰か一人でも傾聴して認めてくれる人がいれば最も楽で幸せな道を選ぶことができるはずです。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年09月15日私の愛すべき家族
育児に遅れと混乱が生じてる !!
こどもと見つけた小さな発見日誌