「発達障害」について知りたいことや今話題の「発達障害」についての記事をチェック! (19/98)
小児科医、臨床心理士、言語聴覚士、「親なきあと」の専門家による解説付エピソード集「専門家の支援を受けたいけれど、どんなことを相談できるの?」「どんなアドバイスをもらえるの?」「ほかのお子さんのケースが知りたい」そんな保護者の方や、家庭でもできる発達支援や、わが子への関わりのヒントを知りたい方に、ぜひ読んでいただきたいエピソードが満載です。トラブル多発で行き渋りがある小学生のエピソードーー小児科医の解説付忘れ物が多い、指示どおりに行動するのが苦手、先生に暴言も…学校でのトラブルに悩む小学生と保護者のエピソードです。自閉スペクトラム症とADHDの診断後、子どもへの投薬や保護者へのペアトレを始めると…?学校に対して要望がある場合の相談方法に関するアドバイスも。発達が気になる中学生のエピソード4編ーー臨床心理士の解説付自閉スペクトラム症とADHDの傾向がある中学生の「友達トラブル」に関するエピソードです。中学校に進学し、友達づきあいが難しくなってしまうお子さんは少なくありません。一緒に過ごすグループの子たちと話を合わせられず孤立してしまい、行き渋りも始まった中学生。臨床心理士の3つのアドバイスとは…?中学校から帰宅すると、すぐにゲーム・スマホを始めるADHD傾向のある中学生のエピソードです。宿題やお手伝いなどやるべきことができていない、生活リズムが乱れてしまっている。注意すると反抗的な態度をとるのでどうすれば…悩む保護者に臨床心理士が伝えた、子どもとの関わり方のポイントとは…?趣味のフィギュアに夢中で、勉強に身が入らない自閉スペクトラム症のある中学生のエピソードです。自閉スペクトラム症の傾向があるお子さんの関心の狭さや、収集癖を心配に思う保護者の方もいらっしゃるかもしれませんね。お小遣いやお年玉をもらうと、すぐに新しいフィギュアを購入。保護者が受験の話題を出しても、「高校、別に行きたくないし」と無関心の中学生。臨床心理士の一言をきっかけに、受験勉強に身が入るようになって…?高校受験を控えた、自閉スペクトラム症のある中学生のエピソードです。「志望校が決まらない」焦りは、受験時期が近づけば近づくほど大きくなっていくものですね。「わが子に合いそうな学校を選んであげて、受験するよう話をすればいいでしょうか?」と聞く保護者に、臨床心理士が伝えた大切なこととは…?多動が気になる小学生のエピソードーー言語聴覚士の解説付「授業中や食事中に立ち歩いてしまう」自閉スペクトラム症とADHDのある小学1年生の子どものエピソードです。学校の先生との面談で「立ち歩きが多い」「注意しても座り続けられない」と言われ、療育のときに相談をする保護者。すると、「座ることが目的になっていませんか?」と言語聴覚士から問いかけられて…?卒業後、親なきあとが心配…自閉症高校生のエピソードーー「親なきあと」専門家の解説付特別支援学校高等部に通う自閉スペクトラム症のある子どもの保護者が抱く、将来への不安にまつわるエピソードです。特別支援学校卒業後のことを心配に思う保護者。「親なきあと」の専門家から「療育手帳をお持ちですか?」と聞かれて、「IQ80程度という判定で療育手帳は取得できなかった」と答えると意外なアドバイスが…?コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年05月05日アダマン号は、人々を孤独から引き出して、世界とつながる手助けをする場所アダマン号へ通う表情豊かな人々、そしてその表情の奥に隠された心の問題までを優しいまなざしで捉えた「アダマン号に乗って」。発達ナビでは、4年ぶりの来日を果たしたニコラ監督に、この映画への思いを伺いました。LITALICO発達ナビ編集部(以下――)アダマン号がどのようなところか、教えていただけますか?ニコラ・フェリベール監督(以下監督):アダマン号は2010年に開所した、デイケアセンターです。パリの中心部、セーヌ川に浮かんでいます。係留されているので、航行する船ではありません。言うならば「浮かぶ建造物」です。乗っているときは水の上にいる感覚があります。大きな船が近くを通ると、ゆらゆら揺れます。船の中にはさまざまな空間があります。患者はその中を自由に移動できて、閉ざされた空間はありません。事務所であっても自由に入れます。船の上なら自由に移動していいんです。船に使われている素材はガラスや木材など重厚感があり、光がたくさん入ります。パリの中心にいるのに別の場所に来たような錯覚にとらわれる、とてもゆったりとした場所です。水が近くにあるというのも重要ですね、場所そのものに癒し効果があるんです。通ってくるのは主にパリに住む患者さんです。精神科の医師や心理師にすすめられて通ってきます。定期的に通う人もいれば不定期に通う人もいますし、複数や単体のワークショップに来る人もいれば、ただ雰囲気に浸ってコーヒーを飲みに来る人もいます。映画を見ていただいても分かると思いますが、スタッフも患者さんもみんな私服ですので、誰が患者さんで誰がスタッフなのかもわからない。レッテルがないんですね。この人は病気、患者、この人は支援者という区別がない、患者さんが「病気」の枠に閉じ込められておらず、ちゃんとした「人」として見られているんです。個性的で、人とは違うものを持ってはいるけれど、ジャッジされることもない、異常な人と見られることもないので、特に直すこところもない。ただありのままのその人として見られているんです。スタッフは、彼らの「勢い」を少し引き出そうとします。彼らを孤独から引き出して、世界とつながる手助けをするのです。アダマン号はそういう思想をもった場所です。Upload By 発達ナビ編集部――アダマン号の「アダマン」はどのような意味があるのですか?監督:「アダマン」はフランス語でダイアモンドの中心という意味です。ダイアモンドの核となる硬い部分ですね。フランス語ではあまり使われませんが、英語では比較的よく使われている言葉かもしれません。adamant は「確固たる」という意味です。「アダマン」って音的にもきれいですよね。Upload By 発達ナビ編集部映画「アダマン号に乗って」オフィシャルサイト精神科医療の世界は、私たちの世界や魂の「拡大鏡」のよう――本作を撮影したいと思ったきっかけを教えてください。監督:約25年ほど前に、精神科医療を舞台にした映画「すべての些細な事柄」(1997年)という作品を撮りましたが、私にとって、精神科医療はとても興味深いものなので、また撮りたいと思い続けてきました。私は、精神科医療の世界は、私たちが生きている世界や魂の「拡大鏡」のような場所じゃないかなと思っています。私たちは、普段自分の内面を隠して生きているところがあると思いますが、精神科医療の現場では、その内面をむき出しにされている人たちがいます。彼らに会うと驚かされたり、ちょっと動揺もすれば不安になったりということもあるかと思いますが、そうかと思うと、私たち自身のことを考えさせられたり、なんだかとっても楽しい気持ちにさせられたりということもあります。彼らと出会ったあと、すごくこう顔が明るくなるような、そういうこともあるんですよね。とにかく、精神科医療の現場というのは、いろいろな心のありようがあって、そういう意味では、映画監督としてとても豊かな現場です。Upload By 発達ナビ編集部考える時間、言葉を探す時間、話が自然な形まで展開するのをじっと待つ――監督は、映画の中で一人ひとりに時間をかけて、ゆっくりと話を聞き、返事を待ち、丁寧に、親切に撮影されていると感じました。「話を聞くことが大事」というセリフもありましたが、みなさんにインタビューしていた際、心がけていたことなどありましたら、教えてください。Upload By 発達ナビ編集部監督:必要な時間を取ることを大切にしました。私のカメラの前で語ってくれた方が考える時間、 これが自分の言いたいことなんだという言葉を探す時間、そして、話が自然な形まで展開するのをじっと待ちました。また、絶対にプレッシャーをかけないというのも重要です。なぜなら、カメラを向けられるということ自体とても威嚇的ですよね。それもあって、なるべく穏やかな空気というのが流れるように、そして信頼関係が生まれるように努めました。今の社会は、とてもスピーディーに全てのことが流れていきます。そして、人の話を聞かないで口を挟んだりする人もいれば、ネガティブな相槌をうったりする人がいます。これは私は暴力的なものだと感じています。だから私は、そういうことはせず、時間をかけることを徹底しました。――ありがとうございます。ゆっくりと待っていると、みなさんが言葉を選びながら、心のうちを語りだしてくれていました。その様子がとても心に残っています。また、監督は受賞のコメントで、「精神疾患への人々が抱く偏見を変えたいし、生産性がない人々に税金を使うのは無駄という風潮に抗いたい」とおっしゃっていました。このような偏見をなくすためには、どのようなことが必要だと思いますか?Upload By 発達ナビ編集部監督:やはり、彼ら自身の本当の声を聞くことから始まるのではないかと思います。精神疾患がある人たちを撮影したものにナレーションを入れたり、代弁をしたりして、彼らの声を直接聞こうとしないということがありますよね。それはよくないので、私は「アダマン号に乗って」ではナレーションを入れていません。私が思うに、偏見をなくすためには、まず彼らにも発言権を提供すること、そして、私たちと同等の場所にいてもらうということ大事なのだと思います。でも、今の社会は、彼らのことは見たくない、聞きたくない、知りたくないという人たちが多く、それが精神科医療をとても閉鎖的なものにしていると思います。そういう「無意味な恐れ」を消すには、当事者の声をちゃんと受け入れることが、最初の1歩になると思います。また、最初に触れましたが、「病人」というレッテルを張って、それで括っておしまいにしないっていうこと。「病人」というレッテルは、その人を人間として見ず、まるで1つのオブジェのようなものとして見ているのだと私は思います。 そうではなくて、この人も人間であり、ちゃんと考えている「主体」として見ること、これが大切です。そして、こういうことを実践しているのがアダマン号です。アダマン号ではみんな一人の人間として扱われていて、この人はこんな興味を持っているんだ、この人はこんな才能があるんだ、それが芸術的才能なんだって、その人が持っているものにちゃんとスポットを当てています。これが大切なのだと思います。実は、助けられているのは、私たちの方かもしれません――最後に、LITALICO発達ナビの読者へ、メッセージをお願いします。Upload By 発達ナビ編集部監督:私は30年前に「音のない世界で」 (1992)という聴覚障害をテーマにしたドキュメンタリーを撮りました。人は、聴覚障害のある方をハンディキャップを持ってかわいそうと同情の目で見ることが多いと思いますが、私はそれが大きな間違いだということを、このドキュメンタリーで伝えたかったんです。彼らの手話はとても素晴らしく、とても豊かなものです。顔、腕、手の表情を使い、これによって彼らの見えている世界を描写することができます。ひょっとしたら、飛行機の300個の部品を全部手話で表現できるかもしれません。みんなは聴覚障害をハンディキャップと言いますが、実はそうではなく、手話という豊かな表現方法を持っているというポジティブな形に受け止めることができるのです。ですので、ご本人も、それからそのご家族の方々もそっと見方を変えて、実はとても豊かなことなんだと自覚されるといいのではないかなと思います。障害がある人は、私たちに多くのことを学ばせてくれますよね。私たちの視野をすごく広げてくれるし、普段の生活にはない詩的な、ちょっとこう豊かなものを加味してくれます。競馬の馬が、前に集中するために視野を遮るマスクをつけることがあります。私たちはこれのマスクをつけているような生き方を、社会の中でさせられていると思います。 でも、ハンディキャップがある人は、マスクを着けている人たちからははみ出しますが、はみ出すことによって、私たちにそういう見方、感じ方があるんだと教えてくれます。実は、助けられているのは、私たちの方かもしれません。――ありがとうございました。「アダマン号に乗って」上映情報Upload By 発達ナビ編集部4月28日(金)より全国公開中パリの中心地・セーヌ川に浮かぶ木造建築の美しい船「アダマン号」は、精神疾患のある人々を無料で迎え入れるユニークなデイケアセンター。ここでは、絵画、音楽等のさまざまな文化活動を通じて、精神疾患のある人の支えとなる時間、安心できる空間を提供し、サポートしています。精神科医療の世界に押し寄せる均一化、非人間化に抵抗し、個人個人に共感的なケアをするこの魅力的な場所は、生きることの豊かさを教えてくれます。監督・撮影:ニコラ・フィリベール共同製作・配給:ロングライドインタビュー:発達ナビ編集部撮影/廣江 雅美
2023年05月04日発達が気になる子どもの悩み、ギモンに専門家が回答!発達が気になるお子さんを育てる中で、悩みやギモンがわいてくることもあるのではないでしょうか。発達ナビでは、保護者の方々のさまざまなギモンに専門家の先生が回答する企画を行ってきました!これまでのテーマは「癇癪」「睡眠障害」「就学」「二次障害」「不登校」「療育手帳」。専門家の先生に事例ごとに具体的にご回答いただいています。ぜひ参考にしてみてください!発達が気になるお子さんの悩みでも多い「癇癪」。日々の対応に困っていながらも、「病院にいっていいもの?」「薬を服用させるのが心配」という保護者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。例えばこんなギモンを小児科医の先生に質問!Q.発達障害のある子どもの癇癪(かんしゃく)にはどう対応したらよいでしょうか?事前にできる対策はありますか?Q.子どもが毎日ちょっとしたことで癇癪(かんしゃく)を起こし、親もヘトヘトです。どの程度から病院を受診してよいのでしょうか?Q. 癇癪(かんしゃく)がひどく、薬が処方されました。服用にあたって気をつけることはありますか?さくらキッズくりにっくの藤井明子先生の回答はこちらから!赤ちゃんの夜泣きがつらい、幼児期になっても寝つきが悪くて毎日寝かしつけが大変、小学生・中学生の昼夜逆転が心配…など睡眠に関してさまざまなお悩みがあると思います。また、起立性調節障害、ナルコレプシーなど睡眠障害に関わる診断名を耳にすることがあっても実際どういうものなの?とギモンに思う方もいらっしゃるかもしれません。睡眠の問題は生活習慣の問題だと思われることもあるかもしれませんが、発達障害と睡眠障害は併存していることが多く、眠れない原因の背景に睡眠障害が隠れていることもあります。例えばこんなギモンを小児科医の先生に質問!Q:子どもが寝ないという理由で、病院にかかるとしたら小児科でいいのでしょうか。どんな小児科でも相談できるのでしょうか。Q:発達障害があり、睡眠障害を併存している場合、どのような治療法がありますか。必ず薬が処方されるのでしょうか。Q:中学生の子どもは、昼夜が逆転してしまっているような状態です。睡眠のリズムを取り戻すには、家庭でどのようなサポートができるでしょうか。さくらキッズくりにっくの藤井明子先生のご回答はこちらから!保護者も子どもも選択を迫られる就学先の問題。地域によっても通える学級・学校の種類や制度などが違ってくるため、就学先の基準や相談の仕方などに悩む方も多いかもしれません。発達ナビQ&Aコーナーでも全国からお悩みの声が寄せられています。発達ナビQ&Aコーナーに寄せられたギモンQ:情緒学級がある小学校が、住んでいる地域にありません。通常学級+通級、知的障害の特別支援学級、情緒学級のある小学校などで迷っています。何を基準に選んだらよいでしょうか。こちらの質問に対する発達ナビ会員の方の実体験をもとにした回答と、発達障害のあるお子さんの支援、臨床心理学の専門家である井上雅彦先生が解説する就学先を選ぶポイントはこちらから!発達障害の特性を理解されない、失敗して叱責される、不安な経験を繰り返すなどの経験を重ねることで、次第に自己肯定感が下がり、うつ病、不安障害などの精神疾患の合併や、不登校やひきこもりなどにつながることがあり、これを二次障害と呼ぶことがあります。子どもが二次障害の状態であるとき、保護者はどのように理解し対応していったらよいのでしょうか。例えばこんなギモンを児童精神科医の先生に質問!Q.落ち着いていられない・気が散ってしまう子への関わり方を教えて下さい(小学2年生・ASD、ADHD)Q.小5の男子(ASD、ADHD)です。登校の行き渋りがあります。同級生とのコミュニケーションが上手くいかない、勉強が楽しくないなどの理由があるようです。無理にでも学校に行かせるのか、休ませるのか、どちらが良いのでしょうか?Q.専門医に助言を求めたいのですが、本人が病院に行ける状況にない(行きたがらない)場合どうしたら良いでしょうか?(高校生、未診断。対人恐怖、睡眠障害あり)代官山やまびこクリニックの千村浩先生の回答はこちらから!「学校に行きたくない」子どもがこう口にしたとき、保護者はどう対応したらよいのでしょうか。また、不登校になったときの学校や社会とのつながりや、学習について、ゲーム依存への心配など悩みは尽きないと思います。例えばこんなギモンを臨床心理士・公認心理師の先生に質問!Q.子どもが不登校になった場合、学校とはどのように連携したらいい?Q.不登校が長期間にわたっている。保護者側もサポートに疲弊、このまま学校に行かなくていいのか、ひきこもりになるのではと将来が不安ですQ.不登校になり家でゲームをずっとやっているわが子。依存症にならないか心配臨床心理士・公認心理師であり東京都内のスクールカウンセラーでもある初川久美子先生の回答はこちらから!みなさんは療育手帳を取得していますか?発達ナビ会員のみなさんに療育手帳の取得の実態についてアンケートを実施しました!療育手帳を取得するとよいと聞いたけど、分からないことだらけ…という方もいらっしゃるかもしれません。例えばこんなギモンを行政書士・社会保険労務士の先生に質問!Q.発達障害がある場合は「精神障害者保健福祉手帳」しか申請できないのでしょうか?療育手帳は取得できますか?Q.療育手帳の対象は?取得に年齢やIQは関係ありますか?Q.療育手帳を取得するメリットってなんですか?親なきあと相談室主宰であり、行政書士・社会保険労務士の渡部伸先生のご回答はこちらから!医師が患者の病名、症状、診断した内容などを記した書類「診断書」。発達ナビ会員のみなさんにも診断書についてアンケートを実施しました!診断書は、どんなときに必要になるのでしょうか。例えばこんなギモンを小児科医の先生に質問!Q.子どもの診断書はどこでもらえるのでしょうか?Q.診断書の費用は大体どのくらいですか?Q.診断書を作成してもらえない場合もあるのでしょうか?さくらキッズくりにっくの藤井明子先生のご回答はこちらから!みなさんのギモンをお待ちしていますこんなときどうしたらいいの?どこに相談したらいいの?ほかの人はどうしてる?など、これからも発達が気になるお子さんを育てるみなさんのギモンに具体的にお答えしていきたいと思っています。発達ナビ会員同士が質問・回答ができる発達ナビQ&Aコーナーでの話題の投稿に対して専門家の先生からコメントをいただくこともあるかもしれません。気になるギモン、お悩みなどぜひ発達ナビQ&Aコーナーへの投稿や、こちらの記事へのコメントでお待ちしております!コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年05月03日通園・通学ルートや食事にこだわり、気持ちの切り替えができず癇癪など…発達障害があるわが子の「こだわり・癇癪」体験談丸山さとこさんの中学2年生の息子・コウ君にはASDとADHDがあります。幼少期、「ルーティーン」へのこだわりが強かったコウ君の癇癪を防ぐために、できるだけ「ルーティーンになったら困ること」を避けていたそうです。しかし、コウ君が安心して過ごすためには、「いつもと同じ」であることも重要で…。丸山さんは、どのようにバランスを取っていたのでしょうか?SAKURAさんの娘・あーさんには自閉スペクトラム症があります。SAKURAさん夫婦は、あーさんに発達障害があると知ってから、あーさんが自己肯定感を損なうことのないよう気をつけながら育ててきたそうです。その甲斐あって、あーさんは失敗しても落ち込んだり、自信を失ったりすることなく成長。ところが思春期に差し掛かった今、思わぬ結果に…!?カタバミさんの息子・まちゃ君は特別支援学級に通う小学1年生。知的障害と自閉スペクトラム症があり、幼いころはおとなしく、癇癪やこだわりと感じられることは少なかったと言います。ところが、小学生になって一変!通学路にはまちゃ君のこだわりポイントがたくさんあって・・・。星河ばよさんの息子さんは発達障害グレーゾーン。保育園時代は気持ちの切り替えが難しく、思い通りにならないと泣き暴れ・・・毎日が癇癪の連続だったそうです。小学2~3年生になったころ、友達と遊ぶ予定がなくなってしまったときのこと。癇癪を起こすのかと思いきや、息子さんがとった行動は・・・?みんさんの息子・P君には知的障害を伴う自閉スペクトラム症があります。療育園に通っていたころ、新学期の環境変化にとまどい、癇癪を起こす姿が見られていました。そして、不安になるのは親も同じ。なんとか息子の癇癪を防ぎたいと、みんさんはP君の担任の先生に、お気に入りのおもちゃを出してもらえないか聞いてみました。すると、先生の答えは意外なもので・・・。さいごに今回の「こだわり・癇癪」特集では、発達ナビライターさんからさまざまな体験談をお寄せいただきました。「うちの子も、同じようなこだわりがある!」「わが子の癇癪の原因も、もしかしたら○○なのかも?」などと参考になるエピソードも多かったのではないでしょうか。わが子の「こだわり・癇癪」は、困ってしまうこともあるけれど、子どもの自己表現のひとつの形でもありますよね。うまく付き合いながら、親子共に、もっと過ごしやすくなる方法が見つかるといいですね!コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年05月01日癇癪を起こすのは子どもではなく…母である、私!?Upload By 丸山さとこ最近はほとんど癇癪を起こさなくなった息子のコウです以前はパニックになったり癇癪を起こしたりして周りも本人も振り回されることの多かったコウですが、小学5年生で「もしかして、自分の表現って人より激しいのかな…?」と気づいたことをきっかけに大分落ち着いてきました。人との違いに気がついて自分を客観視できたから落ち着いたのか、落ち着いたから人の様子や自分の姿を見れるようになったのか、どちらが先なのかは今振り返ってもよく分かりません。いずれにせよ、それらの変化はコウにとってよい循環を産んだようです。「0か100か」の白黒思考で極端な発想にいきついたときも、時間を置くことで「さっきの僕は思い込みが激しかったかもしれない」と気づくことが増えたそうです。そんな風にコウが落ち着いてきた一方で、私は癇癪を起こしやすいままだな~と思うことはしばしばです。実は私もコウと同じくASDとADHDがあり、見通しを立てることや物事の優先順位をつけることが苦手です。表面上は大人である保護者として振舞うため『はた目から見て分かりやすい癇癪』は少ないかもしれません。私が「玄関片づけて。服は脱いだらハンガーにかけるかカゴへ。水筒持ってきた?もう3日目ですが?」とガミガミうるさく言う姿は、よくある『イライラしているお母さん』だと思います。ですが、そんなときの私は『親として怒ったり叱ったりしている状態』というよりも、『自分の思うようにならないことに苛立って、ただ文句を言っている状態』になっているのだろうと思います。Upload By 丸山さとこ脱ぎっぱなしの服、出ない提出物、学校に置き忘れた水筒などなど…何度も言い聞かせたり工夫したりするだけではどうにもならず、難しさを感じることは多いです。コウ自身が「どうにかしよう」と思わないと変化は起きにくいだろうなと思います。とはいえ、ASDの特性からセルフモニタリングが難しく、ADHDの特性から注意の向かう先があっちこっちにいきやすいコウにとって、「どうにかする必要があるのだ」と実感することは難しいと理解はしています。ですが、「理解しているかどうか」と「スルーできるかどうか」はまた別の話です。ガミガミ言っても仕方がないと分かりつつ、私自身が子どものころに感じていた『イライラして癇癪を起こしているとき』と同じ気持ちで、イライラして癇癪を起こしてしまう私です。今の私は幼児のようなもの(かもしれない)このようなとき、私は「今の自分って幼児みたいなものなんだろうな」と思うことがあります。「型はめパズルのピースが思うように入らなくてイライラしてる幼児ってこんな気持ちなのかもな」と幼児に一方的に共感することもあります。Upload By 丸山さとこ『こうしたら入るはずだろう』と思ってピースをグリグリと回転させているとき、『こんなに工夫しているのに、何で!?』と思うのかな?と想像したりします。すると、「今の私は、複雑な形のピースを丸や三角形と同じように捉えてやきもきしているのかもしれないな」と思い至ります。「そうであれば、ひたすら同じ働きかけをしても変化がないのは仕方がないことだな」と考えることで、コウに対して「今の自分は強引ではなかったか?」と振り返る気持ちがほんの少し生まれます。このように幼児を通して自分を振り返ってみると、「今すぐどうにかならない現状」を受け入れつつ「どうにかなっていく可能性」を諦めないでいられることが、幼児とは違う大人らしさなのかもしれないな、と思います。焦りや不安から「0か100か」の白黒思考が強まると行き詰りやすくなるのは、コウだけではなく私も同じだな~と感じます。せっかちに結論を焦らず、投げ出さず、自分自身も含めた現状の変化をゆっくり待てるようになりたいなと思います。Upload By 丸山さとこ執筆/丸山さとこ(監修:初川先生より)母の癇癪かもしれないという思索のシェアをありがとうございます。拝読して、私はなんと鋭い視点なのだ…!と驚愕しています。それは、「母の癇癪」をさとこさんはご自身の発達障害に由来するものとして捉えていらっしゃいますが、そこは今はいったん置いておくとして、「親として怒ったり叱ったりしている状態」か「自分の思い通りにならないことに苛立っている状態」か、そこを客観視しているということが鋭く、そして素晴らしいなと感じました。ここ、ドキリとしながら読んだ方、多いのではないでしょうか(私もその一人です…)。わが子を叱る際(叱れているならまだしも、感情的に怒ってしまうこともありますね)、それが子どもにとって必要だから叱っているのか、それとも、自分の家事育児が円滑に進むようにとか、自分の虫の居所が悪くてとか、そうした自分のためにわが子を叱っているのか。ときどき、その線引きができなくなっているときって、きっと皆さん心当たりがあるのではと感じます(私は今、私自身のためにわが子を怒ったことを思い出し、一人静かに反省しています…)。子育てをしていると、また子どもが成長していることに気づいていくと、子どもの様子に照射される形で、自分自身の得意不得意やよくやる気持ちの置き所のパターンが見えてくることがありますね。今回、さとこさんはご自身の発達的な特性によるものなのではと考えてみたり(おそらくそういった面もあるのかもしれないですね)、幼児が型はめパズルに苦戦するときの気持ちが思い浮かんだり、改めてふと考えてみると、保護者である自分自身のありようについての視野が広がったのでしょう。日常にまみれたり、一生懸命になりすぎたりしていると、視野は狭くなるのでそうしたことには気づかなかったかもしれません。コウくんの成長を感じたことが今回の気づきにつながったように感じるので、そうした子どもの育ちと親の気づきとの相互作用はとても興味深く感じます。子どもは自分とは別の人間なので、思ったようには動きません。どうしてもはまらない型はめパズルのピースのように、子どもは親の思ったような形になるものではないということです。でも、パズルのピースとは違って、子どもは育つし、変化する存在でもありますね。そうした大事な視点を今回のコラムから再認識させてもらったように感じました。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年05月01日見通し不安のある息子、苦手な「避難訓練で」大パニック!ひきつけを起こしてしまい…息子はこの春で小学2年生になります。診断はありませんが、日々の急な予定変更や、幼稚園で毎年あったクラス替え、小学校入学、時間割の書き忘れで次の日の予定が分からない…など見通しが立たなくて不安になったり、癇癪やパニックにつながってしまうことが多々ありました。これまでで一番印象に残っているのは、幼稚園のときの避難訓練です。息子の通っている幼稚園では、毎月1回避難訓練がありました。息子は、サイレンの大きな音が苦手で、毎回涙目になりながら参加していました。避難訓練は、夏休み前までは先生が事前に予告してくれるのですが、子どもたちが園生活に慣れてくる9月からは、いざというときのために予告なしで行うようになりました。年少のころ、初めて予告なしの避難訓練が行われた日、突然の大きな音と状況に息子は大パニックになってしまい、ひきつけを起こして倒れてしまいました。「本当の火事じゃないから大丈夫だよ」など先生が何度も伝えてくれたそうなのですが、なかなか落ち着くことができず、次の日から「避難訓練はある?」と毎日聞いてくるようになりました。Upload By ユーザー体験談園としては引き続き子どもに予告しないという方針だったようなのですが、担任の先生と相談し、息子には避難訓練の日を事前にこっそり教えることになりました。Upload By ユーザー体験談年長になっても避難訓練が怖い!息子が見つけたまさかの「法則」とは?息子の「避難訓練が怖い」は、年長の秋ごろまで続きましたが、徐々に理解できるようになったのか、避難訓練の度に泣くことはなくなりました。そのころに先生と相談して、ほかのお子さんたちと同じように避難訓練があることを事前に伝えないことにしました。年長になり、ひきつけを起こして以来2年ぶりに予告なしの避難訓練が行われた日、息子はパニックになることなく過ごせました。「避難訓練はもう怖くないの?」と聞いたら、先生からは予告していないはずなのに「今日避難訓練やるって分かった」というのです。詳しく聞いてみると「先生が朝の遊び時間を短くする日に避難訓練をする」という法則を見つけ出し、先に心構えをしていたようなのです。Upload By ユーザー体験談実際に避難が必要になったとき、息子は大丈夫?自分なりに解決策を見つけて大パニックを起こさなくなった息子の様子に成長を感じたものの、これは避難訓練慣れしただけなのでは?実際の避難が必要な状況になったときに果たして息子は大丈夫なのか…?と、私は逆に不安になりました。私がそんなことを考えていると、避難訓練を克服した息子は、いろいろ説明してくれました。「サイレンがなったら、おしゃべりをやめて先生の話を聞くんだよ」「地震だったら、〇〇に避難するんだよ」「〇〇が火事になったら、〇〇に避難するんだよ」「逃げる場所が変わることもあるから、そのときは先生の話を聞かなきゃだめ」Upload By ユーザー体験談実際に避難が必要になったとき、見通しは立ちにくく、大人でも冷静でいられるかは分かりません。息子は、パニックを起こすかもしれません。でもこうして長い時間をかけて先生がていねいに伝え続けてくれたことは、いざというとき、息子が落ち着くためのヒントになってくれるのではないかと思います。イラスト/カタバミエピソード参考/カワカワ(監修:鈴木先生より)誰でも非常ベルの音はうるさくて嫌なものです。ASDと診断されたお子さんは感覚過敏があり、特に音過敏が多くみられます。運動会のピストル音、打ち上げ花火の音、車のクラクション音など突発的な音が嫌いです。あらかじめ分かっていても、いつ音が鳴るか不安で仕方がない場合は耳栓やヘッドホンをするなどの対処が必要です。実際に避難が必要になったときは自分で耳を抑えながら逃げるしかありません。一般のお子さんは徐々に慣れていきますが、ASDのお子さんは「慣れる」ということが難しい場合が多いということを理解する必要があります。初めに怖いと思ったらずっと怖いが続いてしまうのです。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年04月30日ADHD当事者…小学校時代の「衝動性」を思いだし私は大人になってからADHDと診断され、現在は就労移行支援を受けて、企業で働いています。私が子どものころはまだ「発達障害」という言葉もメジャーではなく、原因は分からないけれどクラスメイトと自分に違いや壁を感じることも多かったです。今回はそんなADHDのある私の小学校時代の友達トラブルを振り返りたいと思います。当時の私はADHDの「衝動性」が特に強く、よく怪我をしているような子どもでした。とにかくじっとしているのが苦手で、いつもそわそわと体を動かしており、その方が落ち着いて過ごせていました。この衝動性はもちろん学校でも出ており…小学校時代は通常学級に在籍をしていましたが席に座っていられずに授業中に立ち歩き、教室をうろうろとしていることが多かったです。また、一度自分が「こうしたい!」と思うとその気持ちを抑えられませんでした。授業中に「トランポリンしたい!」と思うと、授業中だとしても構わずに教室を出ていき、トランポリンのある特別支援学級に行ってトランポリンで跳ね、通常学級、特別支援学級両方の先生を驚かせていたりしました。Upload By ユーザー体験談「面白いから」衝動性からクラスメイトに危険なことを…そんな小4のある日のことです。授業中にまた私はそわそわ…先生の話を聞かずに別のことを考えていました。そして思いついたことは「前の席の女の子の椅子をガタガタと揺らしたら面白いのでは?」……今考振り返ると、自分の行動に驚きますが、当時の私は一度自分が「面白いかも!」と思ったことを即実行してしまう衝動性がありました。Upload By ユーザー体験談思いついたら止められなかった私。前の座席の女の子の椅子を思いっきり揺らしました。前後に揺らすと前の席の女の子は大きく揺れ、後ろの席の私の机に頭をぶつけそうな勢いです。面白くなってもっと揺らすと、その女の子は衝撃で椅子から落ちてしまいました!もちろんクラスは大騒ぎ。私は先生にすごく怒られましたが当時の私は「面白いのになんで怒られたんだろう?」と怒られている理由が分かりませんでした。Upload By ユーザー体験談女の子は保健室に行きましたが、大事には至らず…本当によかったです。当時通っていた小学校はかなりのマンモス校。クラスの人数も多く、また、私の親が毎年PTA役員をつとめ、かなり学校内で存在感があったこともあり、先生からも言いづらかったのでしょうか。今では考えられないことかもしれませんが、このことが私の親に伝わることはありませんでした。今思うと、親にこうした私の問題行動がが伝わらなったことで、ADHDに気づくことも遅れたのではないかと思います。成人後、ADHDの特性から仕事が続かない日々…TVで「合理的配慮」を知りその後、ADHDと診断されぬまま、中学、高校と進学をし、就職をしました。就職先でも相変わらずそわそわとしてしまったり、また感覚過敏も強かったので、なかなか職場の環境に馴染めず、仕事はできても環境が合わなくて体調を崩し、1つの職場に長くいることができませんでした。仕事を始めてからは、学生時代以上にうまくいかないことが続く毎日。「生きづらさ」を感じる場面が日に日に増えていくようでした。そんな中、「何かあるのかもしれない」と感じた私は、ようやく病院を受診し、ADHDの診断を受けました。「ADHDがあって、このまま仕事を続けることは難しいのかな」と思ったときにTVで合理的配慮を受けている方の番組を見ました。その番組では、聴覚過敏のある人がイヤーマフやノイズキャンセリングイヤホンをして働いている様子や、そわそわしてしまう人用のスタンディングデスク、疲れやすい人への静養室などの配慮の例が紹介されていました。「これだ…!合理的配慮を受けられたら仕事が続けられるかもしれない!」目の前が明るくなった瞬間でした。Upload By ユーザー体験談現在は、就労移行支援を受けて、企業で働いています。ADHDは「治る」ことはないけれど「うまく付き合っていく」ことはできます。今後も自分の特性を理解して、生きづらさを少しでも減らした生活ができればいいなと思っています。また、小学校時代にもし適切な支援を受けていたら…とも考えます。私が子どもだったころに比べ、現在は発達障害について社会の理解も進んできています。特性のある子どもたちが支援を受けて少しでも楽しく安心して過ごせる未来になれば良いなと思っています。イラスト/taekoエピソード提供/はっちゃん(監修:鈴木先生より)以前は小児科でも診断できなかったADHDが、今は精神科でも診断できる時代になりつつあります。私の外来には大人になってしまったADHDの方がよく受診されますが、現代においてADHDは薬物治療のできる時代になりました。保険適応もあり、慢性疾患として治療することができます。私の外来では最低2年間の内服をおすすめしています。気づいたときが早期発見でいいと思います。周りの環境次第でよくなったり悪くなったりします。母親は出産を機にADHDが悪化することが多々あります。食事や洗濯などの仕事量が増えるからです。「うまく付き合って」いけなくなったらできるだけ早く専門医に相談することをお勧めします。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年04月29日自閉スペクトラム症(ASD)とは?自閉スペクトラム症(ASD)は発達障害の1つで、これまで自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー症候群などの名称で呼ばれていましたが、2013年にアメリカ精神医学会による、精神疾患の診断基準・診断分類「DSM-5」が出版されて以降、自閉スペクトラム症(ASD)/自閉症スペクトラム障害と呼ばれるようになりました。※この記事内では以下「自閉スペクトラム症」と記述します。自閉スペクトラム症(ASD)は、「対人関係や社会的コミュニケーションの困難」と「特定のものや行動における反復性やこだわり、感覚の過敏さまたは鈍麻さ」などの特性が幼少期から見られ、日常生活に困難を生じる発達障害の1つです。知的発達症(知的障害)を伴うこともあります。幼少期に気づかれることが多いと言われていますが、症状のあらわれ方には個人差があるため就学期以降や成人期になってから社会生活において困難さを感じ、診断を受ける場合もあります。参考:(7)自閉症・情緒障害|文部科学省自閉スペクトラム症は生まれつきの脳機能障害です。乳幼児期の育て方によって発症するものではありません。自閉スペクトラム症の根本的な原因を治療することはまだ不可能と言われています。また、ひとことで「自閉スペクトラム症」と言ってもその症状は人によってさまざまなので、それぞれの特性や発達のペースに合った療育や支援、教育的な対応、合理的配慮、環境調整や本人の工夫などが必要になってきます。癇癪、衝動性、こだわりなど個別の症状に対しては、まずは環境の調整を行います。自閉スペクトラム症そのものを治す薬はありませんが、ある一定年齢以上であれば特定の症状に対して薬が処方される場合もあります。自閉スペクトラム症(ASD)と広汎性発達障害、アスペルガー症候群、高機能自閉症との違いは?広汎性発達障害とは、アスペルガー症候群や自閉症などを含む障害の概念として使われていました。 DSM-5で広汎性発達障害の名称は「自閉スペクトラム症」の診断名に統合されました。アスペルガー症候群は広汎性発達障害の1つとして定義されてきました。知的発達の遅れを伴わず、かつ、自閉症の特徴のうち言葉の発達の遅れを伴わないものがアスペルガー症候群に分類されていました。DSM-5でアスペルガー症候群の名称も「自閉スペクトラム症」の診断名に統合されました。参考:参考3定義と判断基準(試案)等|文部科学省高機能自閉症は自閉症の中で「知的発達の遅れを伴わないもの」を指す概念として使われていました。高機能自閉症と アスペルガー症候群の違いは、発達の初期の言葉の遅れの有無であり、遅れが見られたものを「高機能自閉症」と分類していましたが、明確な違いはないという指摘もありました。DSM-5で高機能自閉症の名称も「自閉スペクトラム症」の診断名に統合されました。参考:参考3定義と判断基準(試案)等|文部科学省Upload By 発達障害のキホン自閉スペクトラム症(ASD)と併存しやすい症状自閉スペクトラム症はさまざまな併存症があると言われています。約70%以上の人に1つの精神疾患が、40%以上の人に2つ以上の精神疾患があると言われています。知的発達症(知的障害)、ADHD(注意欠如・多動症)、発達性協調運動症(DCD)、不安症、抑うつ障害、限局性学習症(学習障害、LD)、場面緘黙症(選択性緘黙)などが併存することがあります。参考:ASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群)について|e-ヘルスネットADHDとは、不注意(集中力がない)、多動性(じっとしていられない)、衝動性(考えずに行動してしまう)の3つの症状が見られる発達障害のことです。限局性学習症(学習障害)は知的発達に遅れがないものの「読む」「書く」「計算する」などの能力に著しい困難を示す発達障害のことです。医学的な定義では限局性学習症は上記3点の困難を指しますが、文部科学省での定義は「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算・推論する」の5点を指し、定義に若干の違いがあります。参考:学習障害(限局性学習症)|e-ヘルスネット参考:学習障害(LD)、注意欠陥/多動性障害(ADHD)及び高機能自閉症について|文部科学省発達性協調運動症とは、日常生活における協調運動が、本人の年齢や知能に応じて期待されるものよりも不正確であったり、困難であるという障害です。別名、不器用症候群とも呼ばれていました。知的発達症(知的障害)とは、発達期までに生じた知的機能障害により、認知能力の発達が全般的に遅れた水準にとどまっている状態を指します(発達期とはおおむね18歳までを指し、それ以降に事故や病気などで知的機能が低下しても、知的発達症とは言いません)。場面緘黙症(選択性緘黙)とは、たとえば家庭では問題なくおしゃべりができるのに、幼稚園や学校、公共の場など特定の場面で「話せない」状態をいいます。自閉スペクトラム症のある子どもとの生活の様子は?特選連載コラム自閉スペクトラム症のあるお子さんをもつ発達ナビの連載ライターさんの厳選コラムをご紹介。「あるある」と共感したり、今の悩みを解決するヒントが見つかるかも…?大人の自閉スペクトラム症の仕事での困りごとなど、関連コラム自閉スペクトラム症のある人が大人になると、仕事面で困ることが多くなってきます。自閉スペクトラム症のある人は得意、不得意がハッキリしていることが多いので、自身の得意分野をきちんと理解して自分に合った職や対処法を探すことが重要になってきます。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年04月28日3年生のとき、話にクラスメイトの名前が出てくるようになった次女はもともと、家で学校のことをあまり積極的に話しませんでした。コミュニケーションを取れないことでクラスメイトとの関わりがほとんどないため、学校のことを聞くと「忘れた」「覚えてない」という感じの答えがほとんど。ただ、3年生になってしばらくたってから…Upload By まりまりUpload By まりまりという感じで、学校の話が増えて、クラスメイトの名前が出てくるようになったりしました。担任の先生に聞いてみたなんで3年生になってからクラスメイトの話が良く出てくるんだろうと不思議に思っていました。もしかして、次女からクラスメイトに話しかけたりとかしてるのかも…⁉などと、少しの期待を胸に、面談のときに担任の先生に聞いてみることに。Upload By まりまり相変わらず言葉でのコミュニケーションは取れていない…先生からは「次女さん自身から友達とコミュニケーションを取っている姿はほとんど(たぶん全く…)見られない」とのことでした。分かってはいたものの、少し残念に思いましたが、先生からは「次女さんはよく頑張っていますよ」とお話がありました。Upload By まりまり担任の先生が工夫してくれていたこと先生のお話を聞くと・グループ学習のときは可能な限り一緒に入るようにしている・席替えのときに、良く話す子や面倒見の良い子を隣にしてみる・決まったことは言えるため、授業中になるべく声を出す機会を設ける・ひとこと交換日記のやり取りを続けるなどを継続して実施してくれていました。それまでは次女が「なんとかクラスにいられる状態」でやってきていました。でも、先生の対応によって、次女が「クラスに参加している」という感じで気持ちが変化してきたのかなと思います。先生のお陰で、クラスが「安心していられる場所」になっていた次女に対する以上の取り組みだけでなく、クラス全体の雰囲気も良く、次女にとってクラスが「安心していられる場所」に変わったのではないかと思います。だからこそ、学校の話が増えたり、3年生の3学期には…Upload By まりまりと、初めて「学校が好き」という発言があったのでした!それまで、次女の口から「学校好きだよ」なんて言葉が聞けることがあるとは思っていなかったので、このときはとてもうれしく思ったのでした…!執筆/まりまり(監修:新美先生より)場面緘黙のあるお子さんが、学校での話をうちに帰ってからたくさんお話ししてくれるようになったというのはとてもうれしい変化ですね。学校での生活に主体的に入れるようになったことの現れですね。学校でたくさん吸収してきたことをその場では話せなくても、家に持ち帰ってお話しすることで、お子さんの学校の一日が完了するのかもしれません。担任の先生の取り組みがとても素晴らしいです。場面緘黙がある場合、気を遣われすぎて何もしなくてもいいよという関わりも、何とかして話させようという関わりも本人にとっては居心地悪く負担になりがちです。今回のエピソードでは、話せなくてもお子さん自身が「そこにいる」ことを実感できるよう、負荷をかけすぎず上手に活動に巻き込んでくれています。先生もお友達も、自分のことを見てくれていると感じられる場面が積み重なって、「学校が好き」という発言につながったのでしょうか。うれしいエピソードをありがとうございました。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年04月27日『中が見えて取り出しやすいメッシュバッグインウォレット』の商品開発モニターを担当しました。今回、発達ナビ×フェリシモコラボの、発達が気になるお子さんや保護者さまが便利で快適に過ごせるためのグッズづくりに参加させていただきました!私は『中が見えて取り出しやすいメッシュバッグインウォレット』の商品開発モニターを担当しました。財布やカギ、スマホやハンカチなどをひとまとめにし、バッグの中で迷子になることを防ぐバッグインウォレットです。「かばんを変えると財布を忘れてしまう」「ハンカチがかばんの底でぐちゃぐちゃになってしまう」などのお悩みを元に考えられた商品です。メッシュ素材で中身が見やすいのはもちろん、かばんの持ち手に取りつけられるので、取り出しやすく、忘れる心配がありません。指を掛けやすい金具のファスナーを引くと、がばっと開いて中が一目で見渡せるじゃばら型になっています。普段から大切なものをまとめて入れておけば、バッグを変えても忘れ物を防ぐことができます。Upload By 丸山さとこ※詳細ボタンをクリックすると発達ナビのサイトから株式会社フェリシモのサイトに遷移します財布やカギなど「外出に必要な持ち物」を忘れがちな私と息子が使ってみたら…!私と息子のコウはASDとADHDがあります。財布やカギなど外出に必要な持ち物を忘れがちで、バッグを入れ変えたときなど「あっ!財布忘れてる?」「スマホ…充電したままだ!」と出先で冷や汗をかくこともしばしばです。Upload By 丸山さとこそんな私とコウが忘れがちな「財布・カギ・スマホ」の3点をひとまとめにできるアイテムが『中が見えて取り出しやすいメッシュバッグインウォレット』です!名前の通りメッシュ素材で中が見やすいため、カギやスマホを持っているかどうか一目瞭然でとても便利です。特に、財布とカギが一体化できるところが素晴らしいと思いました。Upload By 丸山さとこ考えてみれば、自宅の中でも持ち歩いて使うスマホと違い、カギと財布は基本的に外出中しか使わないものなので、一緒にしておくことは理にかなっているわけで…。「私はなぜ、今まで鍵と財布を分けていたのだろう?」と思いました。また、しっかりしたメッシュ素材でガバっと大きく開くのも、中が見やすくて使いやすいです。開けるときも大き目リングで指をかけやすく、微細運動が少し苦手な息子は「使いやすいね~」と喜んでいました。Upload By 丸山さとこ財布やカギは家に忘れてくると大変困るものなので、私にとって「忘れ物」は自覚しやすい困り感の一つです。一方、「大事なものがかばんの中で迷子になること」は探せば見つかるからか、「よく迷子になるんだよね~」と思いつつ今まであまり気にしていませんでした。ところが、今回モニターとして『中が見えて取り出しやすいメッシュバッグインウォレット』を試させていただいた結果、「持ってるはずなのに?」と慌てずにいられることで減るストレスは大きいのだな…と感じるようになりました。日常にある小さな不便やそれに伴うストレスは自覚しにくいことがありますが、それをさりげなく解消してくれる便利なアイテムを使うことで、楽になることはたくさんあるのだろうなと思いました。Upload By 丸山さとこ『中が見えて取り出しやすいメッシュバッグインウォレット』は、その名の通り「中が見えてかばんから取り出しやすい」とても便利なウォレットでした。しっかりしたメッシュ素材でポーチのように大きくつくられたウォレットは、お財布もカギもスマホもパスケースも全てまとめてくれます。大事なものをオールインワンで持ち運べる安心感は、一度体験してみると「あっ、ストレスが違う!」と分かるかもしれません。かばんの中で大事なものを迷子にしやすい方、財布やカギを忘れてしまうことがある方におすすめのアイテムだと感じました。※詳細ボタンをクリックすると発達ナビのサイトから株式会社フェリシモのサイトに遷移しますコラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年04月26日字が汚い&字を書くのが速すぎますゆきみ(以下、ーー)けんとは、3歳のときに自閉スペクトラム症の診断を受けています。文字や数字が大好きで、思いついたことを紙に書くのが昔から大好きでした。小学生になると、国語や書写の時間で「字をキレイに書く」ということを求められるようになりました。ひらがなも漢字も「とめる」「はねる」などを全く気にしない子どもなので、テストで×になってしまいます。宿題は、私が点線で下書きをして、なぞってもらったりしています。そうすると、ほんの少しだけ自分で注意してくれます。Upload By ゆきみそもそも、字を書くのがとても速く、スラスラと目にも止まらぬ速さで書き上げてしまいます。家で漢字の宿題をするとき「ゆっくり書こうね」と、長い線は3秒、真っすぐの線は2秒、濁点などは1秒というように、基準を決めてやったりしているのですが、最初は頑張ってくれていても、途中から面倒になるのか、速くなってしまいます。褒めてあげたほうがいいと聞いたし、褒めてあげたいけれど…どう褒めてあげていいのかポイントが分かりません。何かアドバイスや、練習方法などがあれば教えていただきたいです。書字の目的や工夫、褒めるポイントとは…野田先生:前提として、お子さんが「やってみよう!」と思えるポジティブな雰囲気が大事です。無理にやらせてしまうことで書くことにネガティブな気持ちが強まり、「絶対イヤ!やりたくない!」となってしまうのは良くないんですよね。まず書字は、本人にとって機能的であるかを考えます。本人が「メモできるように」というのを書字の目的とするのならば、「すごくキレイに書けなくても大丈夫だよね」ということになります。その目的を達成するラインを担保できるかが大事ということです。例えば書道家を目指すのであれば、今の字は目的を達成していないかもしれませんが、はねと、とめがなくても、読める字になっていれば、本人にとっては機能的なのです。そのラインをお子さんと相談しながら決められるといいですね。Upload By ゆきみ実は、私もけんとくんの気持ちが分かる部分があるんです。長文を手書きするときに最初は丁寧に書けていても、最後の方は読めない字になってしまいます。頭で考えている速度で、字が書けない。そのうえ、書き続けるとすぐに手が疲れてしまいます。結果として手が追い付かなくなり、字が崩れてしまうことがあります。ほかには、「早く遊びたい」と思って焦っている可能性もありますし、キレイな字を書くためには力を入れないといけないので、手の持久力も関係しているかもしれません。字を書く練習のときのポイントとしては、ゆきみさんも言っていたように「褒めること」。1文字だけでもゆっくり書けたときに「1文字、ゆっくり書けたね」「1文字、きれいに書けたね」などというように、大人の基準での100点を求めるのではなく、できているときにハードルを下げて褒めていくと「こう書いたらいいんだな」とお子さんも理解しやすくなります。例えば、立ち歩きが多いお子さんに「立たないで、座って」と言うのは、よくあると思いますが、座っているときこそ「ちゃんと座れてて偉いね」と声をかけるというのが褒めるときのポイントの1つなのです。Upload By ゆきみほかには…適切な高さの椅子、肘の位置、楽な姿勢でかけているかを確認する。道具を工夫する。・えんぴつの長さ、重さを変えてみるなど、文具選びでも変わることがあります。重めで太いものの方が書きやすいお子さんもいたりします。また、筆記用具を持ちやすくする補助具(鉛筆に付けるグリップなど)を使うのも方法です。・特に覚えたい字だけ、大きな画用紙やA4の紙に、マジックペンで書いてみると、指ではなく腕で書くことになります。そうすると、大きな動きで書字の練習ができるので、指先の細かい操作が苦手なお子さんに有効なことがあります。・漢字の練習帳もいろいろあって、マスごとに色分けされているノートもあります。一筆ごとに色が変わっているなど、視覚的に分かりやすい教材を利用する方法もありますね。このように、やり方や環境の工夫をするというのもあります。人によって字への思いの違いがある!?ーー:就学前は字のキレイさはあまり気にしていませんでした。小学校に入学してから、学校の先生が字をキレイにと頑張ってくださっているのですが、私自身は、若干諦めかけていました。でも学校の先生に「諦めます」とはなかなか言えなくて…。野田先生:「字をキレイに書く」というのは、学校の先生ごとに思いの違いがありますよね。お子さんに周囲のサポートや一定の配慮が必要な場合には、合理的配慮という形で作業療法士が同席して先生と話し合いをさせていただくこともあります。それが難しいようでしたら、お子さんの緊張をゆるめてあげて「100%キレイに書けなくても大丈夫だからね」などと声をかけて、コミュニケーションをとっていくのも1つの方法です。ーー:年度が変わり、担任の先生が代わったら、方針も違ったりもしそうですね。これからも諦めず、先生にもアプローチしつつ、難しいと思ったら息子と話すということでやっていこうかと思います。Upload By ゆきみ対談を終えて野田先生からいただいたアドバイスをもとに、さっそくいくつか実践させていただいています。字をキレイに書くというのには時間がかかりそうなので、環境面を見直すことに。背が伸びて座りにくそうになっていた、普段使っている椅子と足置きの高さを変更してみました。そして、太い方が持ちやすいかも…と思い、鉛筆につけるグリップを購入。長めに鉛筆を持ちがちだった息子も、持つ位置が分かりやすくなり、以前より筆圧も上がり、力が入りやすくなっていそうな気がします。とめ、はねの練習は、私がもっているA4サイズほどある大きなタブレットを利用してみることにしました。漢字練習アプリを使うことで、書き順や、とめ、はねを、腕を使って書きながらゲーム感覚で覚えて楽しそうです。Upload By ゆきみそしてアドバイスをもとに褒め方を細分化。「できないこと」に目を向けるのではなく「できたこと」に目を向けて褒めることを意識し、1本の線をゆっくり書けたら「今の横棒、ゆっくり書けたね」と声をかけるようにしています。あまり褒められて嬉しい感情を出す子どもではないので、喜んでくれているのかは分かりませんが、お互いイライラすることが減ったように思います。どんな「いいところ探し」ができるのかを、私も楽しんでいけたらと思っています。執筆/ゆきみ
2023年04月24日「床の色が変わると歩けない」息子のこだわりが生んだ独自ルールUpload By べっこうあめアマミみなさんは、何らかの施設内を歩いているとき、床の色の切り替わりに注目することはあるでしょうか?おそらく、ほとんどの人はないと思います。しかし、息子はそういった床の色の切り替わりに敏感で、歩く場所の色が変わると急に足を止めて踏み出せなくなってしまうことがよくありました。子どものころ、遊びの延長的に、「同じ色の場所を踏んで歩く」というルールを自分に課して学校などから帰った経験がある人はいませんか?もしかしたら、それを極端に強固にしてしまったものが、息子の床へのこだわりなのかもしれません。息子の床の色に対するこだわりは強く、「この床は踏みたくない」と思ったら全く動けなくなってしまいます。無理に動かそうとすると癇癪につながることもありますが、動けなくなった場所が人の迷惑になる場所だったり危険な場所だったりすると、非常に困ります。息子のこだわりは一貫性があるものではなく、あるときはダメだった床があるときは大丈夫になっていたりと、その日のコンディションにも左右されるものでした。息子は言葉が話せないので、こだわる理由の真相を聞き出すことはできません。しかし、おそらく息子は体のほかの部分に比べて足裏の感覚が敏感で、たとえ靴や靴下を履いていたとしても、足裏と近いところにある床が気になってしまうのではないか?と思っています。療育のお部屋が床の張り替え!「一歩」を踏み出せなくなった息子Upload By べっこうあめアマミ息子が未就学児のころ、療育で通っていた発達支援施設で、一部の床の張り替えをしたことがありました。息子がいつも使っていた教室の床も張り替えられ、きれいな教室で過ごせてうれしいな…と思っていない人が一人。息子です。いつもの教室の一部の床の色や素材が変わったことに、息子はすぐに違和感を感じたようでした。変わった場所に踏み入るのをためらい続け、どうにか療育は受けられたものの、療育中もソワソワして、その日はなんとなく落ち着かない様子だったようです。そして、帰りの時間。息子の「できる限り床を踏みたくない」気持ちが限界を迎え、部屋の隅から一向に動かなくなりました。どんな声がけも通じず、迎えに来た私は困り果てました。歩く場所は作ってあげればいい、先生が出した魔法のアイテムそんなとき、救世主が現れました。一人の先生が、息子の両足が乗るくらいの大きさの色のついた丸い紙を、何枚か持ってきてくれたのです。そして、その紙を息子の前に置き、ここに乗るようにと息子を促しました。Upload By べっこうあめアマミ目の前に現れた、別の色の床(紙)。息子はそこで気持ちが切り替えられたのか、先生がおいた紙に興味を持ち、その上に乗りました。そして、先生がさらにもう一歩前に紙を置くと、息子は新たに置かれた紙の上に進みました。息子が新たな紙の上に乗ると、後ろには戻らないように、さりげなく先生が後ろの紙を取っていきます。その後は先生の華麗な誘導と紙さばきで、どんどん前に進んでいった息子。床が気に入らなくて歩きたくないのなら、歩く場所として簡易的な「別の床」を作ってあげよう。この先生のアイデアのおかげで、無事息子は教室を出て、帰路につきました。Upload By べっこうあめアマミこだわりと上手につきあっていくために障害の有無にかかわらず、私たちは誰しも、何かしらのこだわりを持っているのではないでしょうか。そのこだわりを無理になくそうとしたり、本人の意思に反した動きを無理やりさせようとしても、お互いにイライラがたまってうまくいかないことは多いと思います。療育で、先生の見事な誘導により、息子がストレスなく自然と苦手な床の上を移動できたのを見て、私はこだわりを「なくす」のではなく「上手につきあっていく」大切さを感じました。そうはいっても現実は、同じ方法を使ってもうまくいかないこともありますし、どうにもならずに無理やり動かすしかないシーンは多々あります。それでも、できるだけ息子の気持ちを尊重し、親として息子のこだわりとつきあっていきたいと思います。執筆/べっこうあめアマミ(監修:藤井先生より)療育の先生のアイディアに至るには、べっこうあめアマミさんが、息子さんのこだわりに気づいていたことが大事だと思いました。急に道端で立ち止まったり、療育に参加しなかったりという状態だけを見ると、床の色にこだわっているという点にはすぐに気がつかない可能性もあります。息子さんの行動と、その状況を観察されたことで、こだわりの詳細な内容に気づかれたのだと思いました。その観察力が素晴らしいと思いました。こだわりを「上手につきあっていく」という視点で考えると、できる工夫が浮かんでくることがありますね。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年04月24日自閉症息子の就学相談。通級指導教室、特別支援学級どっちがいい?わが家の小3の息子は5歳で自閉スペクトラム症(ASD)、小2でADHD(注意欠如・多動症)の診断を受けました。今は通常学級に在籍しながら通級指導教室に通っています。息子は小さなころから基本的にはおとなしい性格でしたが、こだわりが強く、一旦こだわりが出てしまうと癇癪に繋がってしまうタイプです。幼稚園に通っていたころは、友達からからかわれることもありましたが、当時はからかわれていること自体に気づいてなかったのか、本人的には楽しく通っていました。そして年長になり就学相談の時期に…。すでに自閉スペクトラム症の診断を受け、療育には通っていたので私は息子の就学先を「通常学級在籍で通級指導教室に通う」と「特別支援学級在籍」で悩んでいました。Upload By ユーザー体験談特別支援学級のほうが手厚い支援を受けられる?通常学級在籍は周りの友達に影響されて成長できるかも…。私の中でどちらにしたら良いのか希望はなかなか決まらないまま、就学相談で息子は発達検査、行動観察、グループ観察などを受け、11月になり教育委員会からの結果は…。通級指導教室と判定されて。母の気持ちは…教育委員会からの結果は「通級指導教室判定」でした。息子の場合は「知的障害特別支援学級は、IQが入級基準以上のため対象外」「集団観察のときにおとなしく、問題がないと思われた」ようですが「自閉スペクトラム症の診断はあり、療育に通っている」という部分で、通級判定につながったようです。その判定を聞いて、母である私はホッとしました。私だけでは、息子にはどんな支援が必要なのかが判断しきれず、悩むばかりで息子の進学先を決められなかったからです。子どもの発達に詳しい職員や、専門家の方々がそう判断してくれる進路ならと、心強いものがありました。夫や親戚たちにも伝えたところみんな口を揃えて「良かった!」と言っており、「4月から通級指導教室で頑張っていこう」という気持ちで息子の就学問題は一旦解決をしました。Upload By ユーザー体験談入学後、うれしい配慮を感じながらも問題も出てきて…そして入学後、通常学級在籍ですが担任の先生が配慮をしてくださり、息子の席は一番前、周りには息子がよそ見をしていたら声をかけてくれそうなしっかりしている子どもたちを配置してくれました。しかし、新たな悩みも…。通級指導教室へは毎週2コマ授業を途中で抜けていくのでクラスメイトから「なんでいなくなるの?」「どこに行っているの?」と聞かれることがしばしばありました。しかしまだ小1ということもあり息子自身もなぜ行くのかよく分かっていないので「なんでだろうね~」とうまく答えられなかったようです。Upload By ユーザー体験談その様子を見ていた先生がある日私に「こんなことが多くなってきたので、ちゃんとクラスのみんなに伝えたほうが良いかもしれません」と相談をしてくれました。みんなに説明して変な風に思われないかな?と正直怖い気持ちもありました。ですが、息子のことを理解もしてほしい…悩みましたが先生とも話し合い、朝の会のときにクラスのみんなに伝えよう、という話になりました。クラスメイトに通級指導教室へ通っている理由を説明。みんなの反応は?そして朝の会の当日…息子は自分で通級指導教室に通っている理由を言いました…が、まだ幼いということもあり、なぜ自分が通っているのかよく分かっていない息子。私と先生が渡したメモをそのまま読んでいましたが、本人の口から言うことが重要だと思ったので、そこは良かったと思います。そのあと先生が「みんなはガヤガヤしてるところで疲れちゃうことはない?」「〇〇くん(息子)はみんなよりそういう部分を感じやすいから少し離れて違う場所で勉強をしているんだよ。」とフォローしてくださったことで、クラスメイトたちも理解をしてくれたようです。その後は通級指導教室に行くときも「なんで?」と聞く子どももいなくなり、「いってらっしゃい!」と明るく送ってくれるようになりました。小3になった今は通級仲間もできて「自分だけじゃない」と安心して学校生活を楽しんでいるようです。Upload By ユーザー体験談しかし、また別の問題も出てきて…友達関係はうまくいっていますが、小3になるとどんどん勉強も難しくなり、通級で支援を受けていてもついていけなくなることが増えてきました。宿題の量も増え、終わらず癇癪を起こしてしまい、私も息子もイライラ…これでは良くないと特別支援学級への在籍移動を担任に相談しましたが、「特別支援学級は今これ以上人数を増やせない」「空きができても、息子さん以上に支援の必要な子どもが優先になってしまう」と断られてしまいました。もちろんその部分の優先順位は理解しています。ですが、それが息子が特別支援学級に入れない理由になってしまうのはまた違う問題になってきます。小学生のうちに、改めて在籍級について悩むことになるとは…通級指導教室に通えば一安心という訳ではありませんでした。今も担任や校長先生たちを交えてどのような形が一番息子に良いのかを話し合っています。これからもたくさん悩むこともあるだろうけど、先生方や息子の意見も聞きながら息子に合った環境を模索していければと思っています。イラスト/keikoエピソード提供/かけうどん(監修:鈴木先生より)「指導」と言う言葉はどうしても上から目線になってしまいがちなのでやはり「支援」という言葉にした方が私はいいと常々思っております。どちらにしても支援が必要なお子さんなので、ご本人や親御さんの意見を伺いつつ学期ごとにあるいは日ごとに変えられるような柔軟性が必要だと思います。今の制度では年度初めに決めたら1年間はそのままで行くことが多いようです。通級か在籍かを議論する特別支援教育委員会では有識者も含めて個人個人について話し合いますが、あくまでも紙の上での話だけであり、みんなが実際に本人の姿を見ているわけではありません。主治医の意見書などはなく、IQテスト中心に話が進んでいることが多く、実際に通ってみないと分からないのが現状です。どちらにするかは親御さんが決めることで、教育委員会の指示に従う義務はないのです。事務的な手続き優先ではなく、子どもファーストの考えを持って対応できる学校環境が望ましいのです。また、通級などで途中退席する子どももいることを事前に担任がみんなに分かりやすく説明して周知しておく必要があります。そうすれば「なんでいなくなるの?」ではなく、「頑張ってね」という言葉が必然的に同級生から出るはずです。隠さずにみんなで支援していく空気が必要なのではないでしょうか。毎年同じようなお子さんはいるので教員は先のことを見据えて早めにみんなと共有すべきだったのです。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年04月23日自閉スペクトラム症のある太郎と文字太郎は保育園時代、文字に興味を示さなかった。鉛筆を握ることも少なく、周りの園児が文字を書いていても太郎だけは書かずにウロウロしていた。保育園時代は文字を書けなくてもなんの問題もなかった。しかし小学生になると話は違ってきた。文字を覚える、書く、読む、ということが学習をするうえで大前提となった。小学1年生のとき。当時の自閉症・情緒障害特別支援学級の先生からはこう伝えられた。Upload By まゆん「太郎ちゃんはですねえ…なっかなか手強いですよ、お母さん」この言葉を言われても全然嫌味を感じなかった。私は「やっぱりそうですよねえ…」と答えた。一つの問題なら解決しやすいがそうではなかった。文字の理解、認識文字を書くという動作書きたいけど書けない葛藤、羞恥心、プライドなどの感情今振り返っても、文字を学習するうえでの問題は複合的だったし、実際にはもっと多くあったかもしれないと思っている。Upload By まゆん文字をなかなか書けない、覚えられない、ということを問題にしなくてもいいのではとも思ったが、太郎の意思は「覚えたい」の方向へ向かっていることが見ていて分かった。固まりながら、机の下に隠れながらも決して文字から逃げることはなかった。切り替えに時間はかかるが、自ら再び文字と向き合い、書くことや覚えることをあきらめなかった。家でも、「学校は楽しい」と言っていたし、行き渋りもなかった。Upload By まゆん太郎は文字を見る視点がとても細かいことが分かった。同じ「は」や「な」でも、明朝体やゴシック体など書体が異なると違うものに見えているようだった。Upload By まゆん書くことと同時に、カードを使ったクイズ方式で文字を覚えていった。先生は授業中、抜き打ちでクイズを太郎に出していた。3回正解をした文字はクリアというシステムだった。先生からは、「自宅でも、できるときに、本人のストレスにならない程度にやってみてはどうか」と伝えられていた。Upload By まゆん太郎も楽しかったのだろうか、文字をどんどん覚えていった。明朝体、ゴシック体などの書体の違いも、文字慣れしたのかスルーできるようになった。文字を覚えていくと、自然と書く方も進んでいった。ゆっくりではあるが一生懸命丁寧に一つひとつ書いていく。いまだにゆっくりと文字を書く太郎は周りから「読みやすい字だね」と言ってもらえることが多い。その後はひらがなからカタカナ、そして漢字と覚え、書くことができるようになっていった。字を覚えたあと、小学1年生の間は、私に手紙を書くことがブームになるほど文字を楽しんでいた。先生の雰囲気づくりに感銘を受けました。どうすれば太郎がストレスを感じずに、文字を覚えられるかを考え、時間をかけて寄り添ってくれた先生。本当に感謝しかありません。「手強いです」の一言からは、本気で寄り添ってくださってる優しさが伝わってきました。だから嫌味も感じなかったのだと思いました。私は社会人ですが、職場の雰囲気は働くうえで重要だと思っています。個人個人のモチベーションにも関係し、個人のモチベーションが保てると良い動きになり、結果的に良い職場になり会社としての利益につながると思っています。それくらい雰囲気づくりは重要なものだと認識してるので、当時の「クイズ方式」など楽しさを含めた指導や声かけ一つのニュアンスや口調、すべてから優しい空間がつくられていて、感銘を受けました。「なんでできないの?」と押さえつけることもなく、「どこが分からないのかな?」といつでも太郎に寄り添ってくださる姿勢に私も太郎も安心と信頼を感じることができました。先生とは、ここから3年間学校生活を共にすることになりました。執筆/まゆん(監修:鈴木先生より)このようなお子さんにはユニバーサルデザインの文字をおすすめしています。文字間や行間が適度でいいのです。また、縦書きよりは横書きのほうが読みやすい傾向があります。国語の教科書はほぼ縦書きですが、すべて横書きに書き換えた親御さんもいます。読めないと書けないので、まずは読む練習からでいいと思います。また、文字を図として扱っているため漢字などの書き順が曖昧なお子さんも多く見かけます。極端な場合、漢字を下から書く子もいます。できるだけ早くから正確な書き順を習慣として覚えさせることも重要かと思います。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年04月21日娘が通っていた『高等特別支援学校』2015年、娘は高等特別支援学校に入学しました。そこは卒業後、進学ではなく就労を目指す学校だったので、国語、数学、英語、理科、社会などの授業はありましたが、定期テストの内容は大学や専門学校の受験に向けたものではなく“社会に出たときに必要なこと”が出題されていました。入学希望者対象の学校説明会でも「この学校が『就労を目指す学校』ということを、本人が理解していることがとても重要です」と説明がありました。たとえ学力が高くても、本人が就労を希望していなければ学生生活はつらいものになってしまうからです。実際、娘の同級生の中には入学してほどなく学校を辞めた生徒もいました。逆に本人に“卒業後は就労したい”という確たる気持ちがあれば、多少苦手な教科があっても高等特別支援学校の入試にはそれほど影響はないように感じました。入学後コースを選ぶ娘の学校では、2年生になると生徒が1.オフィス系2.清掃系3.食品生産系の中から希望のコースを選びます。そして2年生の間は自分の適性を知るための実習を受け、3年生になると企業での就労体験実習や就労試験実習を受けます。娘はオフィスコースを選択したので、事務系の職場実習をいくつか受けました。本人の適性や求人の兼ね合いもあり、オフィスコースを選んだ生徒の全員が事務系の職種に就いたわけではありませんが、卒業式までには全員の就職先が決まりました。卒業して4年後、クラスメイトはどうしているのか卒業後、娘は同じコースの同級生たちと定期的に集まり、近況報告を兼ねた食事会をしていました。食事会はコロナ禍でしばらく中止になっていましたが、感染状況が落ち着きはじめた2022年後半に再開されました。そのとき、同じ会社で働き続けていた同級生は1/3ほどになっていたそうです。Upload By 荒木まち子仕事を続けている人の中には契約社員から正社員になった人もいたそうです。一方で退職後、新たな職場を自ら探して再就職した人、退職して学び直しをした人、作業所に通っている人、家で過ごしている人などなど、皆それぞれの道を歩んでいるとのことでした。ほかのコースの生徒さんのことは分からないので一概には言えませんが、それでも娘から話を聞いて、私は職場の定着率は決して高くはないと感じました。娘の学校の卒業生の就職率はほぼ100%に近いです。でも就職率と継続率(定着率)は別物です。娘の通っていた学校の場合、卒業後に学校から支援を受けられるのが「3年間」となっていることも、この結果に影響しているのかもしれません。障害のある人が安心・安定して働いていくための課題退職の理由はそれぞれですし、娘世代は少なからず新型コロナの影響も受けているかと思います。発達障害の特性は千差万別です。社会人になり、トラブルや困りごとの内容がさらに多様化しているように感じます。娘は在学中にレジリエンス(ストレスを受けても折れない心)についても学びました。でもその力が身につくまでの時間には個人差があります。経験値の少なさもネックになっているのでしょう。高校卒業時に“こんな職に就きたい”という明確なビジョンを持っている子どもの割合は定型発達でも多くはありません。『高校卒業→即就職』は、成長がゆっくりな発達障害のある子どもたちにとってはなおさら難しいのかもしれません。実際、娘も休職中で今後のことに不安もあります。障害のある人が安心・安定して働くにはどうしたら良いのか、何が必要なのかを、余暇支援も含めて長いスパンで多角的に考えていかなくてはならないと実感しています。執筆/荒木まち子(監修:渡部伸先生より)働く障害者は年々増加していますが、離職率の高さは大きな課題ですね。特別支援学校では、卒業生の就労先企業への訪問など、職場定着のための支援を行っていますが、どうしても支援の期間は限られます。なるべくスムーズに地域の障害者就業・生活支援センター(通称なかぽつ)などに引き継いで、継続的に支援を受けられる体制を整えてもらうことが大切です。ただ、必ずしも同じ職場で働き続けることが良いとは限りません。仕事内容や同僚との相性が悪く、本人がつらい状況に置かれている場合は、いったん退職して、ハローワークや就労移行支援事業所などを利用して再就職を目指してもいいと思います。この就労移行支援事業所は、特別支援学校卒業後に利用して、就労に必要な知識や能力を高める訓練を受けることもできます。また、必ずしも企業就労にこだわらず、就労継続支援A型やB型といった福祉的就労も選択肢になるかもしれません。大切なのは、本人が安心できる居場所であることだと思います。いろいろと考えさせられるエピソードでした。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年04月20日あやしても笑わない赤ちゃんだった息子息子は2歳半で自閉スペクトラム症と診断されました。今思えば、産まれてすぐから反応が少なかった息子。「赤ちゃんはママがあやしたら笑う」なんてのは都市伝説じゃないかと思うくらい本当に笑わない子どもでした。渾身のいないいないばぁも、ただただ私の独り劇場で終わる始末。Upload By 海乃けだま5歳でやってきた「誤飲の心配」と、「おままごとブーム」そしてなんでも口に入れてしまう乳児期も食べ物以外全く口に入れませんでした。当時は誤飲の心配も少なく「めっちゃ楽やん?」と深く考えず…楽天家な旦那に至っては「めちゃくちゃ賢いや~ん!」と親バカが炸裂していました。が、なんと5歳になった今…洗面所でつけ置きしていた洗面器の水をペロッとしている姿を目撃してしまいました。(絶叫)※現在、つけ置きの洗面器はお風呂場へお引越し、さらに扉に鍵をかけて厳重に管理しています。Upload By 海乃けだま最近のブームは私が夕飯の準備をしている横で、おもちゃの料理道具を持ってきて本格的な料理の真似をすること。最中はものすごく微笑ましく、「このまま料理に目覚めて料理男子になってくれたら…」なんて淡い妄想を抱いたりしてます。※なお、料理を終えた後のリビングは…Upload By 海乃けだま息子と全く違った娘の乳児期。「育てやすい子」と思っていたら…一方娘は3歳9ヶ月のころにADHDと診断されました。娘の乳児期は息子のときと打って変わって、ものすごく反応があり、2ヶ月のころにはあやすとニコニコとよく笑う赤ちゃんでした。都市伝説だと信じきっていた「いないいないばぁ」にもしっかりと喜んでくれて…母親としての育児の自信を取り戻したような気さえしました。しかもすごくよく寝る。お昼寝中にどれだけ息子が騒いでいても、ほとんど起きることもありませんでした。息子のときは膝がパキッとなるだけで起きる繊細さだったので、「なんて育てやすい子なんやぁ!!」と感動したほどです。Upload By 海乃けだまそんな育てやすかった娘も、1歳を過ぎてひとり歩きできるようになったころから現在のおてんばガールの片鱗を見せ始めます。家の中でも常に駆け足、朝起きてからベッドに入るまでずっと喋り続けています。さらに好奇心旺盛で何にでも興味を持つ娘は、狙った獲物(おもちゃ)は何が何でも手に入れないと気が済みません。おっとりなお兄ちゃんからよくおもちゃを奪い取っては泣かせていました。今では息子も負けじとおもちゃを奪い返して…喧嘩の仲裁が私の日課です。Upload By 海乃けだまおっとりマイペースな息子とぐいぐい積極的な娘、真逆のような性格の二人。産みの親である私たち夫婦も、先々のことを考えて心配してしまう私と「なんとかなるやろ!」と楽天家な旦那で真逆です。でも、そんな二人だからこそお互い苦手な部分と得意な部分を刺激し合えたり、補い合えているんじゃないかと感じていたりします。喧嘩も頻発しますが、毎日ふざけ合って笑い転げている仲良し兄妹です。性格は違っても仲良しな兄妹。二人の診断に戸惑いもあるけれど…正直、子どもたちの診断を受け入れられているかと言えば、まだ受け入れられていません!メンタルも浮いたり沈んだりを繰り返していますし、受け入れられていません!!(大事なことなので2度…)ですが、それでもここまで来れたのはたくさんの人に支えてもらっているからだと思っています。まだまだ勉強中ですが、もし私の経験が読んでくださった方の支えになれば幸いです。これからよろしくお願いします!執筆/海乃けだま(監修:新美先生より)それぞれに個性の強いお子さん二人と、真逆のご夫妻のエピソードをとても楽しいイラストとともにご紹介くださいましてありがとうございます。「まだまだ受け入れられていません!」と2度おっしゃっていますが、こんな素敵なエピソードに昇華されている海乃さんのご姿勢がパワフルで素晴らしいなと思いました(感想です)。同じ両親が基本的に同じように育てても、子どもはそれぞれの個性を発揮するものですよね。世の中の「親のしつけガー」とかいうめんどくさい人たちに見せてやりたいエピソードだと思いました。子どもも大人もそれぞれの個性があるから大変で、そして楽しいものです。それぞれの個性でぶつかったり、悩んだり、工夫したり、愚痴ったりしながら、家族内でもそして他人ともいろんな形で共有していけるのは、とてもいいなと思います。これからまたいろんなエピソードを聞かせてもらえたらうれしいです。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年04月19日親ばかりが焦る!自閉症息子の高校受験発達障害の専門家が出会った子どもや大人、その保護者の抱えていたリアルな「困った!」をもとに、対応策などをドキュメントタッチで解説します。今回は、自閉スペクトラム症(ASD)のある中学3年生と、その保護者のエピソードです。なかなか、わが子の志望校が決まらないとき、保護者にできることは…。Upload By 専門家体験談Upload By 専門家体験談Upload By 専門家体験談マンガ/NEGI解説:保護者が選択肢を持ち、子ども自身に決めさせることが大切今回は、自閉スペクトラム症(ASD)の中学3年生の「進路」を心配する保護者のエピソードをもとにマンガ化してお届けしました。「志望校が決まらない」という悩みは、高校受験においてよく聞かれます。保護者のみなさんは、次のポイントを押さえて、中学校の先生にも相談してみてください。1.選択肢を知る普通科高校(公立・私立)、専門学校(実業高校)、単位制高校、定時制高校、通信制高校、チャレンジスクール(4年制)、高等専修学校など、中学校に比べて多くの選択肢があり、教育システムもさまざまです。保護者が理解し、子どもと話し合えるようにしましょう。2.子ども自身に決めさせる複数の選択肢を与えるのは良いですが、最終的な決定は子どもに任せることが大切です。高校入学後にうまくいかないことがあると、「親が決めたからだ!」「本当は行きたくなかったのに!」と親に対して反発するケースもあります。また、子どもの希望した進路を否定してしまうと、「信用されていない」とショックを受けてしまう子どももいます。3.子どもと通う・学ぶイメージを持つ通学ルートをチェックする、オープンスクールで先生に話を聞いたり在校生や授業の様子を見たりすることで、実際に通うイメージを持つことができれば、ミスマッチを防ぎやすくなります。4.入学前後の合理的配慮の必要性について担任の先生と相談をする入試のときの面接や、みんなと同じ教室で試験を受けられないということが心配であれば、合理的配慮について中学校の担任の先生と相談しておきましょう。また、入学後の困難(口頭で言われただけでは課題の締め切りを守れない、感覚過敏があるなど)が想定される場合、高校生活を送る上での合理的配慮が必要かどうかについても話し合っていきましょう。5.入学後の転校も視野に入れる中学校で行き渋りがあった場合などは特に、入学した学校に通えなくなったときに備えて別の選択肢を保護者が用意しておくことが大切です。例えば入学した年の5月時点で数日しか通学できていない場合などは、通信制高校への転校なども視野に入れると良いでしょう。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年04月18日2歳入園を目指してプレ幼稚園に通った日々まゆみがまだ乳児だったころ、私は幼稚園の2歳クラスからまゆみを入園させるつもりでいました。やがて自閉傾向があることが分かり、1歳後半から療育を始めていましたが、療育を受けながら園に通うお子さんの話をほかのお母さんから聞いていたため、「2歳クラスから入園」という希望はそのまま持ち続けていました。いくつかの幼稚園のプレに顔を出し、最終的に近所のA園に入園させようと決めて毎週のプレに通いましたが、入園希望の子どもたちの中でまゆみだけが名前を呼ばれても返事ができず、先生の呼びかけにも応えられないことが続きました。Upload By にれそんな姿に不安を抱きつつも、当時の私は発達障害とまゆみ自身の障害程度への理解が浅く、「療育にも通っているし、こうしていろいろな子どもたちがいる場所で刺激を受けていればいつかは周りに追いつくかもしれない」と考えていました。A園への願書も提出し、まゆみが2歳11ヶ月になる4月から2歳クラスに通えるつもりでいたのです。5ヶ月限定の保育園実はまゆみは保育園の1歳クラスに通ったことがあります。まゆみが2歳半のときに下の子が生まれ、産前産後の5ヶ月間(まゆみ2歳3ヶ月~2歳8ヶ月ころ)公立保育園のB園に通いました。B園は自宅から車で片道25分かかるため少し遠かったのですが、年度途中の入所のためほかに空きがありませんでした。けれど、大きなお腹でまゆみの多動ぶりに対応することが難しくなって外遊びも十分させてあげられない状態だったので、思い切り遊ばせてもらえることがありがたかったです。当時すでに療育に通っており、コミュニケーションに難があることは面接時からB園に伝えていました。先生方は「大丈夫ですよ~まだ1歳クラスですし、ほかのお子さんもまだ一人遊びの時期なので」と温かく迎え入れてくれましたが、実際の園生活はけっこう大変だったようです。お迎えのとき、心配性の私が「お友達と仲良くできていますか?」と聞くと、先生方はいつも決まって「ほかのお子さんたちもまだ周りのお友達と仲良くできる段階ではないですよ。お母さん、大丈夫です」という返事でした。実際、5ヶ月間の園生活の中でまゆみが問題を起こしたと聞くことはなく、意外なほど平穏に過ぎているように思えていましたが、最終日に先生が目に涙を浮かべてこんな報告をしてくれました。Upload By にれ聞けば、毎日毎日お遊戯室へ入るのを嫌がって逃走していたそうです。B園では先生の加配がない状態だったので、まゆみを追いかけるために1人割くことになって先生方は本当に大変だったことでしょう…。しかも、やっと慣れて入室できるようになったのかというとそうではなく、クリスマスツリーを出したらまゆみも物珍しさにつられて入室できたというのが真相でした。そんな手のかかるまゆみに園生活の経験をさせてもらえたありがたさと、5ヶ月間の先生方のご苦労に胸が詰まり、何度も何度も頭を下げてB園をあとにしました。2歳クラスでの入園をあきらめてB園を退園してから少しあと、A園への入園を控える2歳10ヶ月のまゆみに自閉スペクトラム症と知的障害の診断がついたとき、ようやく「この状態でA園に受け入れてもらえるのかな?」と焦り始めました。B園に通ったことで生活習慣にはある程度自信がついていましたが、コミュニケーション面ではまだまだ意思の疎通が難しく、入園できたとしても『みんなが先生とお遊戯をしている後ろで黙々と一人遊びをしているイメージ』しか湧かなかったのです。診断後、すぐA園に相談に行きました。先生は「診断がついても、同じ教室にいてくれるんでしたら受け入れできますよ」と答えてくれましたが、多動気味のまゆみはその「同じ教室にいてくれるか」という点に不安がありました。A園では加配の先生をつけることが難しいと聞いたため、安全確保の面から「来月からの入園は無理だ」と悟りました。A園での2歳クラス入園をあきらめるか、プレ保育にもう一年通って年少からの入園を目指すかで悩んでいた折、A園からの連絡で「やっぱりまゆみは歓迎されていないのかも」と受け取れる出来事があり、夫婦で相談してA園への入園そのものをあきらめることにしました。単独通所の療育へA園に入園することをあきらめ、「じゃあどうしよう?市内の公立幼稚園に2歳クラスはないし、もし私立で加配ができないなら今年は自宅保育で…?」と考えていた矢先、まゆみの問題行動が増えて私は精神的に追い詰められてしまいました。あることがきっかけで「もうダメです、このままでは虐待してしまうかもしれない」と泣きながら療育の先生に電話をかけました。生後半年にもならない第二子を抱えながら、問題行動の増えたまゆみと24時間を同じ空間で過ごすことに限界が来ていました。療育の先生から計画相談の先生にすぐ連絡がいき、翌週から単独通所という形で別の療育施設に月~土曜の日中預かってもらえることになりました。そのときの私は疲れ切った顔をしていたようで、先生の「下のお子さんと一緒に少し休んでください」の言葉に涙があふれました。あのとき助けてくださった先生方にはいくら感謝しても足りません。こうしようと思っていたわけではなかったのですが、結果的にまゆみは幼稚園へ行くのと同じくらいの時間を療育先で過ごすことになりました。「単独通所の療育へ幼稚園並に預けることができる」ということを知らなかった私は、そんな方法があったのか…!と衝撃を受けました。集団生活とまではいかなくても療育先にはほかの子どもたちもいて、まゆみに合った形で丁寧に療育しながらできることを増やしてもらえるので、まゆみにとっても家族にとってもベストな道だったと思っています。Upload By にれ年少での入園も無理?それまでも週に2度の母子療育に通っていましたが、まゆみ自身も親を離れるタイミングが来ていたのか単独通所の効果は目を見張るものがありました。人にあまり興味のなかったまゆみが、半年通ううちに担当の先生によく懐くようになって生活習慣も少しずつついてきました。まゆみの変化に喜んだ私は、仕事復帰が控えていたこともあって療育先に保育園の年少入所の相談をさせてもらいました。今度こそ入園できるものと信じて疑わず…。ところが療育の先生の答えは、「もう1年療育に通った方がいいでしょう」というものでした。まゆみは母親や担当の先生との愛着形成は成功しているけれども、まだ『一対一の関係』を築くことに弱さがあるので、ここがしっかりできるようになってから集団生活へ入った方がいいとのことでした。園長先生も出てきてくださり詳しい理由を聞きましたが、ガーンと殴られたような衝撃でした。まゆみはまだまだ集団生活できるレベルではないのか…そもそも2歳クラスなんて高望みだったのか…、いろいろな考えが巡り、母親なのに自分の無知が恥ずかしくなりました。幸い、育休を延ばすことができたので問題なく療育へもう1年通えることになったのですが、今度は周りの友人や知人たちの「えっ、まだ保育園に入れないの?」「早くから集団生活させた方が伸びるよ」「園でお友達をつくった方がいいよ」といった声が気になってしまいます。中には私よりも事情に詳しいだろう保健師や保育士の方もいて、もちろんみんな善意で言ってくれているのです。ありがたい反面、私は途方に暮れました。どうするのがいいのか分からない、発達障害のことが分からない、娘のことが分からない、母親なのに何も分からない…。子どもの発達を考えたとき、療育を優先するか集団生活を優先するかはきっとさまざまな考え方のある問題なのだと思います。何をどうするのがベストなのか私には分かりませんでしたが、日頃から実際のまゆみを見て分かってもらっている療育の先生方の方針を信じようと決めました。念願の入園それから1年が過ぎました。まゆみは担当の先生だけでなく、周りの先生方や特定のお友達にも関心を持つようになってきて、「今の状態なら、保育園と療育の併用でやっていけると思います」というお言葉をいただけるようになりました。ただ、まゆみは医師からも療育先からもマンツーマンで加配の先生がつかないと安全確保が難しいと言われているため、入園先を決めるにもかなりの制限が伴いました。市内の私立保育園に10ヶ所近く電話をかけて問い合わせましたが、やはり人員配置の都合上マンツーマンでの加配はできないということで、通える範囲の公立保育園2ヶ所のうち、特性があっても目が届きやすく、比較的騒がしくなりすぎない小規模園のC園を希望しました。多少遠くても5ヶ月間通ったB園へ戻ることも考えましたが、残念ながらB園は統廃合でなくなってしまったために選ぶことができませんでした。幸い希望も通り、春からはC園にて念願の就園を果たす予定です。ずっと「未就園児」だったため、「未」が取れるまでにこんなにかかるとは思ってもいませんでした。Upload By にれ最後に産休に入るときは、「職場のすぐ近くに認定こども園も保育園も幼稚園もあるし、仕事復帰しやすくて恵まれた環境だな~」と思っていたので、まさかその中のどこにも入れないとは予想外でした。さらに言うと、まゆみの妹も特性ありで、まさか2人の療育のために仕事を辞めることになろうとは想像すらしていませんでした。保育方針などをしっかり調べて「ここにしよう!」とプレに通った園にも入れず、2歳入所も年少入所も時期尚早と、入園に関しては希望がことごとく打ち砕かれてきたため、今はやっと集団生活へ入れるようになったという喜びをかみしめています。希望が打ち砕かれてきたと書きましたが、私に「集団生活に入るにはどの程度のコミュニケーションスキルがあった方が後々良いのか」という知識と、まゆみの状態を客観的に判断する力がなかったという話なので、たくさんの子どもたちを見てきた療育の先生方に判断してもらえたことはとてもありがたかったと思っています。まゆみも本当によく頑張ってくれました。よく「自閉スペクトラム症の困難が大きくなってくるのは集団生活に入ってから」といった話を聞くので、きっと本番はこれからなんだろうと思いますが、まずはまゆみの成長と頑張りを褒めて保育園へ送り出してあげたいです。また、仕事や家族のためにどうしても療育よりも入園を優先させないといけないご家庭もあると思います。実際、うちも療育優先にして育休を延ばしたり退職したりしたことで家庭の状況はガラッと変わりました。仕事と療育の兼ね合いをどう判断するかは夫婦が決めることで、誰も口出しはできないと思います。事情は家庭によっていろいろですが、自分と子どもが置かれた状況の中で、自分も子どもも笑って過ごせるような道があればきっとそれが一番なんだろうと思っています。執筆/にれ(監修:藤井先生より)まずは、まゆみさん、ご入園おめでとうございます。新しい環境で慣れないことも多々あるかとは思いますが、新たな刺激を受けて、きっと楽しいこと、できること、成長することもたくさんあると思います。ここに至るまでににれさんが、いろいろな方へ相談したのはとても良かったと思います。精神的に追い詰められながらも、心のSOSを療育の先生に相談されたことで、通所の療育につながることができました。地域によって、療育園や、保育園、幼稚園の発達障害のお子さんへの対応が一律ではありません。しかし、個別に相談することで、お子さんにとって、その地域に暮らす上での、ベストはないかもしれないですが、ベターを探すことはできると思います。新しい園でまゆみさんが笑って過ごせることを願っています。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年04月18日自主学習のテーマが決まらないコウでしたUpload By 丸山さとこコウの通っている中学校では、基本的に毎日自主学習の宿題があります。テーマを決めてノートをまとめたり問題の解答を書いていったりするものなのですが、コウにとっては難しい宿題でした。『自由にテーマを決められるから』です。「〇〇の単元をまとめなさい」という指定はなく、自分がやりたいと思った学習をまとめればよいので、本来であれば負担を自分で調整することもできる宿題なのだろうと思います。ですが、自由に決められるからこそコウにとっては「テーマが決まらない」「テーマは決まったけどどこまで書けばいいか決められない」となってしまい、負担の大きな宿題として毎晩頭を悩ませていました。「テーマが決まらない」と言うコウに「今日やった授業の範囲をまとめたら?」「ワークを解いて答えを書いたら?」といくつか提案をしてみたものの、「う~ん…今日はそういう気分じゃない」と煮え切らない様子。「宿題のテーマが決まらないのに気分とか言ってる場合じゃなくない!?」とは思いましたが、気が乗らなければどうにもならないのが私の息子…ということで様子を見守っていると、テーマ決めに2時間かかっています。いよいよあきらめて、今日やった授業の範囲を写し始めてからさらに1時間…合計3時間過ぎたものの終わらず、途中で夕食を挟みながら夜中までかかってようやく完成することもしばしばでした。テーマ選びは「狭めた範囲」から!「このままじゃ3年生になっても塾に行く時間がとれないね」と言うと、コウも「このままじゃマズいよね~」とは言うものの、テーマ選びに妥協する予定はないようです。これは、自然に解決するのは当分難しそうだな…と思った私は、「このページを写したらOK」と言えるくらい情報がコンパクトにまとまっている参考書を数冊用意しました。Upload By 丸山さとこそれらの参考書自体は喜んで読んだコウでしたが、それからもテーマ選びにはしばしば悩んでいました。それでも、どうしても決まらないときや「今日はもう時間がない」というときには、新しく買ってきた参考書から写してくれるようになりました。シンプルな図解で写しやすいものや1ページの情報量が少ないものからテーマを選べるようになったため、『実際にノートに写したときの負担』や『ページを埋める分量』がイメージしやすかったそうです。Upload By 丸山さとこまた、『基本・応用・ワンポイント』のように情報のレベルが分けられているものは、「時間がないからここまでまとめる」「思ったよりページが余っちゃったから少し付け足す」ということがしやすかったそうで、全体的に『自主学習の完成イメージ・見通し』を持ちやすくなったのかもしれません。今では、「テーマ選びは10分以内」「30分たってもページの半分以上が埋まっていなければテーマを見直すか親に相談する」という形で自主学習の宿題を行なうようにしています。どうしてもテーマが決まらないときは、私が3~5枚ほどふせんを貼ったページから選んでもらうこともあります。大量の選択肢の中からは選べないけれど「これはどう?」とピンポイントで提案されても気乗りしないコウにとって、狭めた範囲から選ぶことは比較的受け入れやすいようです。Upload By 丸山さとこ「これで自主学習問題は解決!」とはいかず、「美術についてまとめる」と言いながらイラストの書き方の本を写して、担任の先生からのコメントで「自由帳になってきましたね」と突っ込まれたりするような現在のコウです。それでも、宿題が終わらずに生活リズムがぐしゃぐしゃになったり終わらずにパニックになったり、朝にパンをかじりながらノートを書いたりしなくてもよくなったことは、十分によい変化であると感じています。学校に自主学習用のノートを忘れ続けて何冊も増えてしまったり、連続で一週間くらい提出を忘れてしまったりと相変わらずの状態ではありますが、まずは「宿題を当日中に終わらせる」を一過性で終わらせずに定着できたらいいなと願っています。Upload By 丸山さとこ執筆/丸山さとこ(監修:初川先生より)自主学習への取り組み方の工夫や実践のシェアをありがとうございます。自主学習は苦手とするお子さん多いですよね。自由ということはこんなにも不自由なのかと感じさせられます。自主学習が難しいのは、教科の選択、テーマ決めから分量にいたるまでの何から何まで自分で設定しなければならないという、決断事項の多さが加わり、そして最終的には何らかに取り組んでアウトプットしたものを提出するというところでしょう。授業を受ける中で自分の苦手とする箇所に気づき、それを補強するとか、興味のある事柄を深められたら良いのは分かりますが、忙しい学校生活、短い夜で毎回それを見つけるところから始めるのは難しいですね。今回、さとこさんは使いやすい参考書を用意したり、さらにやりやすそうなテーマを付箋で知らせたりという工夫をされました。自分の苦手さに気づくという意味では気づいてほしいけれど結構それが高等技術(振り返る力が必要)であり、興味関心にばかり重きを置くと好きなことしかやらなくなるかもしれません。そういう意味で、まずは、テーマ設定そのものにかけるエネルギー配分を減らし、実際の学習や作業に比重をかけるという判断はスモールステップとしてはありだと思います。私はよく、自主学習用のメニューを先に作ってしまったらどうですかと相談場面で提案することもあります。まずはその中から選んでやること、多少のアレンジはありにすること、悩んだらそのメニューの中からくじ引きすることなど、テーマ設定にかける「決断」の負担を減らし、慣れ親しんだ学習(計算、漢字、復習、類題)に時間をかけてみる。ゆくゆくは自分で、今の自分に必要な学びのために自主学習してほしいですが、そこに至るまでのステップを刻んでみることは工夫として良いと思います。
2023年04月17日4月、新しい幼稚園に通うことになり…わが家には年中のときに軽度知的障害や自閉スペクトラム症(ASD)の診断がおりた小2の息子がいます。人見知りや場所見知りは少しありましたが、おとなしくて癇癪などもそこまでなかった息子。1歳半~2歳まで保育園に通っていましたが、発達の遅れはあるものの、お友達との目立ったトラブルなどはありませんでした。その後、通っていた保育園が2歳児クラスまでだったので、3歳からは近所の幼稚園に入園。入園前はまだ診断前でしたが、1歳半健診でまだ歩かない、発語も遅い、指さししない、などを指摘されて療育には通っており、親としても「今後成長したらなにかしらの診断がつくのではないか」と心の準備をしている時期でした。幼稚園側にも面接の際にそのことは説明しましたが、公立の幼稚園ということもあり発達に遅れがあっても受け入れ自体には問題はなく、「一緒に成長を見守っていきましょう」と安心する言葉をかけていただきました。入園式、幼稚園に着くなり大号泣!そして4月…入園式の日になりました。息子、私(母)、夫、夫の両親の5人で出席予定でした。家で制服を着たり、出かけるまでは順調だった息子。幼稚園までは歩いて行ける距離だったのでみんなで幼稚園に向かって歩いているとだんだんと息子のテンションが下がっていき…。幼稚園の前に着いたときには、とうとう大号泣!入園式ということもあり、園には大勢の人がいました。それに加えて知らない場所、入園式の厳かな空気に圧倒されて、「大丈夫だよ」「怖くないよ」と声をかけても一向に泣き止みません。Upload By ユーザー体験談号泣する息子を抱っこして入園式に出席するも…本来なら園児はクラスごとに整列して座り、保護者は子どもから離れて周りで見守っているのですが、号泣の息子は私と離れることができず…。幼稚園の先生は泣く息子を励ましたり、抱っこしたりとなんとか落ち着かせようとしましたが息子は泣き止まず…。園児の列の中に私も一緒に座らせてもらって泣く息子を抱っこしながら入園式に出ることになりました。Upload By ユーザー体験談周りを見ると泣いていたり、ウロウロとしてしまうのは息子だけではなかったのでホッとしましたが、式が進むにつれてみんな泣き止み、ウロウロしていた子も母親の膝の上で落ち着いてきているのに息子はずっと大号泣…迷惑になってしまうので途中でホールを出て園庭で時間をつぶすことに。園庭に出たら落ち着いて遊び始めた息子、園庭にも入園式の音楽が聞こえてきて切なくなると同時に「こんな様子で入園してからも大丈夫なのだろうか」と私は不安な気持ちになりました。義両親にもせっかく来てもらったのに、息子不在の入園式を見てもらうことになってしまい申し訳ない気持ちになりました(終わったあとに大変だったね、これも思い出になるよ、と励ましてもらいました…)。少し園庭で遊んで落ち着いた様子だったので、もう大丈夫かと思い、ホールに戻ってみるとまたもや大号泣…結局、入園式出席はあきらめました。式が終わったあとに先生方に「ご迷惑をお掛けしました」と謝ると、「大丈夫ですよ、慣れないところだと怖かったですよね」「だんだんと慣れていけばいいですから」などと優しい言葉をかけてもらいました。Upload By ユーザー体験談私は入園式に行く何日も前から今日のことをしっかりと説明したり、事前に園までの道のりを一緒に歩いたりして「この日はこれから通う幼稚園に行く日だよ」「こんなことをするんだよ」と伝えておけばよかったなと反省しました。伝えたところで息子がちゃんと理解してくれたかどうかは微妙なところですが、息子もあそこまで不安になることもなかったかもしれません。この入園式の一件があってから、息子の「見通し不安」にはかなり気をつけるようになりました。どこかに出かけるときには前日から「最初に〇〇に行って、そのあと△△でご飯を食べて、最後に××で買い物をして帰るんだよ」とスケジュールを伝えるようにしたら、本人も見通しがついて安心するのか落ち着いて過ごせるようになりました。その後も一斉指示が通りにくかったり、発語が遅かったり、不器用で運動が苦手だったりといろいろと問題や課題はあり、年中で自閉スペクトラム症(ASD)と軽度知的障害の診断がおりるのですが、先生たちのサポートのおかげで行き渋りなどもなく、幼稚園大好きになりました。入園式から3年…卒園式でみられた成長に涙そして年長になり、卒園式では賞状を練習通りに受け取り、小学校に入学してからの抱負などをみんなの前で言うことができました。残念ながらコロナ禍で義両親は卒園式に出席はできなかったのですが、入園式でのことを思うと3年間の成長を感じて涙…の出来事でした。ここまで息子を見守ってくれた幼稚園の先生方には本当に感謝しています。Upload By ユーザー体験談入園式の反省を踏まえて、小学校の入学式のときにはかなり前から「この日には新しい小学校に行って入学式をするんだよ。お友達や先生もたくさんいるけど大丈夫だからね」としつこいくらいに伝えました(笑)。その甲斐あってか、はたまた息子も成長したのか、小学校の入学式は不安定になることなく無事に乗り切ることができました。今では自分からその日のスケジュールを確認してきます。同じ歳のお友達にくらべてまだまだできないことも多いけれど、息子なりに安心して過ごすために工夫して生活をしているんだな、と成長を感じる日々です。イラスト/SAKURAエピソード提供/ちくわ(監修:鈴木先生より)ASDのお子さんは大勢の視線や音が気になるので、不安な場合は最後列にいていつでも外へ出られるような工夫が必要です。学校の許可が得られれば、前日に見学してできれば昨年の式のビデオを見せてもらうことで「予習」することができます。先のことを見据えた工夫を重ねることで一つ一つクリアしていけばいいのではないでしょうか。不安が強いと母子分離も困難ですが、慣れたら少しずつ離れていく配慮も必要です。もともとASDの方は環境の変化に適応しにくい傾向があるので新しい場所へ行く場合は予習するのが一番効果的です。一番いいのは実際にその場所へ行って臭いや雰囲気を味わうことですが、難しければビデオや写真で予習してきちんと具体的に説明してあげることが重要となります。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年04月16日『中が透けて見える収納メッシュボックス』とは?中が透けて見える収納メッシュボックスは、何が入っているかが一目瞭然!全面メッシュ素材の”隠さない”収納ボックス。「見えなくなると(隠れると)中身を忘れてしまう」という声から生まれたアイテムです。位置調整できる仕切りや、クリアポケットがついているので、中身の内容・名前などを書き込んだカードを入れると家族で使い分けもできます。持ち運びしやすい持ち手つきです。Upload By 寺島ヒロ※詳細ボタンをクリックすると発達ナビのサイトから株式会社フェリシモのサイトに遷移します見えなくなると忘れちゃう!フタつきのものが苦手私は、自閉スペクトラム症(ASD)からくる特性のためか、「見えていないものをすぐ忘れる」という特性があります。すぐ忘れるというのがどれだけすぐかというと、「鍋にふたをすると何を煮込んでいたか忘れる」レベル。自覚は薄いのですが、おそらくワーキングメモリに問題があるのでしょう。冷蔵庫のドアも開けるのを忘れて、食材を無駄にしてしまうので、引っ越しを機に家に置かなくなりました。『中が透けて見える収納メッシュボックス』をわが家で使ってみたら…!そんな私の困りごとに、この『中が透けて見える収納メッシュボックス』はぴったり!どこと置き場所の決まっていない物をぽんぽんと放り込んでおいても、常に見えているので存在を忘れることもありません。実際に使ってみると、収納力の高さに驚かされました。持ち運ぶにも丁度いい絶妙な大きさで、取っ手もついているので持ち運びもラクラクです。机の上においても、床置きでも違和感なく、色味もかわいく目を引きます。家族分の薬袋を立てておけば、お互いに「もう飲んだ?」などの声かけができて、飲み忘れも防げるかもしれないなと思いました。Upload By 寺島ヒロわが家の長女いっちゃん(自閉スペクトラム症・高校生)は、VRゴーグルとリモコンをひとまとめにして机の上に...。仕切りの位置を調整できるので、丁度いい感じに収めることができました。Upload By 寺島ヒロUpload By 寺島ヒロお兄ちゃんのタケル(自閉スペクトラム症・大学院生)は、テーブルトークゲームに使うルールブックや筆記用具をひとまとめにして使っていました。側面のポケットも中身が見えるので便利です。持ち歩くのに丁度いい大きさで、しかも机の上に置いても邪魔にならないので、「ゲームをする一人ひとりが一個ずつ持っておくと、机を移動するゲームコンベンションのときなんかに良いかもしれないね」と言っていました。Upload By 寺島ヒロ※詳細ボタンをクリックすると発達ナビのサイトから株式会社フェリシモのサイトに遷移します『中が透けて見える収納メッシュボックス』、わが家のお片づけの強い味方になりそうです!Upload By 寺島ヒロ※詳細ボタンをクリックすると発達ナビのサイトから株式会社フェリシモのサイトに遷移しますコラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年04月14日発語が遅かった発達グレー息子。まだまだお喋りがまだ幼くて…しのくんは、発達障害グレーゾーンの男の子。発語が遅かったしのくんですが、もうすぐ5歳で、おしゃべりをたくさんするようになりました。しかし、まだまだ同じ年ごろの子どもと比べるとおしゃべりが幼いしのくんです。言葉の発達が実際の年齢の水準よりゆっくりなせいか、4歳になるまでは、「この子、何言ってるか分かんない」と、公園で一緒に遊んでくれるお兄ちゃんたちによく言われていました。Upload By keikoしのくんが、このお兄ちゃんたちの言葉で傷ついたかどうかは分かりませんが…少なくとも私は傷つきました(笑)でも、しのくんが何を言っているのか分からないのは事実なので、早くおしゃべりが上手になればいいなぁと思っていました。当時しのくんは、相手の発言や質問の理解が難しかったのと、意味が分かったとしても、答えるための言葉が見つからなかったため、簡単な質問にも答えることができませんでした。なので、家では、簡単な質問に答えられるように「お名前は?」とか、「しのくん何歳?」など練習しました。何度も同じ言葉を繰り返してしまうもうすぐ5歳になるしのくんは、ようやく簡単な質問にも答えられるようになったし、何を言っているのかも相手に伝わるようになってきました。ところが…やっぱり、同じ年ごろの子どもと比べるとまだまだおしゃべりが幼くて…しのくんは、言いたい言葉が見つからないときは、同じ言葉を何度も言ってしまいます。例えば、「しのくんは、うさぎさんが大好き」と言いたかったとします。ですが、「うさぎ」という言葉が出てこないときには、「しのくんなぁ、しのくんなぁ、あの、あの、あの…」と同じ言葉が続いてしまうのです。Upload By keiko思い出せたらいいのですが、思い出せないときは、ジェスチャーや、「耳がこんな長くて、ぴょんぴょん飛ぶやつ」など、なんとか伝えようとしてくれます。Upload By keikoこれが、家だったら最後までしのくんのペースで話を聞いてあげられるのですが…家族以外の人と話しているときだと、つい私がしのくんの言葉をさえぎって、先に答えを言ってしまいます。Upload By keiko私の中でさまざまな感情が渦巻いているのが原因だと思われます(何言ってるか分からないと言われたくないし、相手の時間を気にしてしまったり…)。でも最近、それが良くないんじゃないか?と思い始めました。しのくんが、相手に一生懸命伝えようとしているのに私が邪魔をしている気がしますし、話す力も奪っている気がしました。時と場合によりけりだと思いますが、できるだけしのくんのペースに合わせて、しのくんの邪魔にならないようサポートしていきたいなと思います。執筆/keiko(監修:初川先生より)しのくんの言葉のサポートについての葛藤や逡巡のエピソードをありがとうございます。はじめに出てきた「子ども同士のコミュニケーション」。この難しさに関しては多くの保護者の方も分かる分かると感じるのではないでしょうか。子ども同士のコミュニケーションは大人が改めて聞いてみると、なかなか“残酷な言葉”が飛び交っています。「何言ってるか分かんない」もそうですが、「(あなたのこと)きらい」や「やだ(一緒に遊びたくない、遊びに入れてあげない)」など。大人が聞くとグサッと刺さったり、ハラハラしたりする言葉が飛び交っています。ただ、それは、相手の子が特別冷たいからということではなく、子どもはお互いいろいろと未熟だからなのだろうと私は理解しています。表現がストレートすぎる。ただ、だからこそ、相手の言いたいことが分かりやすい面はあります。成長すると、婉曲表現や笑顔で遠回しに嘘(建前)を言うといったことがありますが、その前には、まずは発言の意味をしっかりと受け取る練習は必要で、そういう意味でストレートな表現は発達段階的にお互いに有効な面があります。ただ、お子さんによっては、字義通りにすべて受け取れるタイプのお子さんや傷つきやすい・思い悩みやすいお子さんもいるので、そのあたりは良く見ていただければと思います。後半に書かれたkeikoさんのサポートはどちらもとても良いと思いました。なかなか思い出せない言葉(例「うさぎ」)を、ほかの言葉で説明してもらって、それを何と呼ぶのか伝える。時間がかかるサポート法ですが、とても大事ですね。うさぎの特徴を相手に伝えて分かろうとしてもらう、いわばバイパスをかけるような方法をしのくんは練習しています。そして、この場合の主眼は「言葉を思い出す」にあると思います。家族以外との対話場面で、keikoさんがやや先回りして、しのくんが「きのうなぁ」と言った時点で相手に「水族館に行ってきたんです」と伝える。keikoさんは先回りしてよくないのではと感じられたようですが(その気づき自体、とても素敵です)、たしかに先回りして、言葉を思い出すまでの時間をショートカットしているとも見えます。ですが、私には、この場合はしのくんにとって「言葉を思い出す」よりも、「相手との会話を楽しむ」「会話の実践」に主眼がおかれる設定に変わったというように見えます。言葉を思い出したり、言いたいことにしっくりくる言葉を探したり、そういうことは大事ですが時間がかかり、言いたいことがあるのにするする伝えられないじれったさを感じることもおそらく多くなります。「水族館に行った」ということをフォローしてあげることで、しのくんにとって大事な「水族館に行ってどうだったかを知らせる」にエネルギーを注ぎやすくなります。おそらく話の相手には、水族館に行って楽しかったんだよ!とか、面白かった、すごかったなどそうした興奮を伝えたいのではと思うのです。子どもの発言としては「水族館に行った」にそれも含まれると感じているお子さんは多いです。「水族館に行った(=おもしろかった!の意味)」、だからこそ、気の利く大人は「そう、よかったわねぇ」や「あら、楽しかった?」と返すことが多いのだと思います。そこを感覚的にkeikoさんも分かっているから、先回りして言いたいことを取ってしまったと感じるのでしょう。でも、本来的には「楽しかった」「面白かった」などを(察してもらうのではなく)言えた方がいいです。そのあとの言葉がうまく出ずとも、「お母さんは楽しかったけど、しのくんはどうだった?」「魚がいっぱいいてびっくりしたね」「大きな魚がいたね」など、いくつか話しやすくするための呼び水となる言葉を伝えてもいいと思います。ときどきその中で「しのくんはどうだった?」とkeikoさんからインタビューすると、話しやすくなるのではと感じます。使う言葉のレパートリーを提示したうえで、話すことを実践してもらう、ということです。そういう意味で、keikoさんがご家庭でするサポート、実際の会話場面でのサポートそれぞれの目的を整理してみると、またそれぞれへの力点の置き方が明確になるように思います。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年04月14日いつもと違う!新学期は変化だらけ!発達障害のある子どもの中には、場所見知りや人見知りがある子どもがいると思いますが、新しいクラスになると、教室が変わって大丈夫かな?先生やお友達が変わって大丈夫かな?と新生活への期待よりは不安のほうが勝ってしまうことがあると思います。私も毎年新学期になる度にそのような不安を感じていました。Upload By みん少しでも不安を和らげるために…療育園ではそんな私たちのような親子の不安を、少しでも和らげてくれるさまざまな対応をして下さっていました。例えば新学期になると靴箱の場所が変わるので、その時点でパニックになってしまう子どももいます。療育園では、一人ひとり自分のマークがあるので靴箱に貼ってあったマークを新学期には先生が全て貼り直してくれています。子どもたちは自分のマークが貼ってある靴箱の場所を確認し、その後新しい教室の入り口でも自分のマークを確認してから入室することで、「今日からここが自分の靴箱や教室なのだ」と認識することができるのです。このような工夫によって、新しい場所でもなるべくスムーズに誘導できるようにしてくださっていました。また、担任の先生が全て変わらないように昨年担任だった先生のうち1人は引き続き担任になってくれるので、親と先生との間の引き継ぎもスムーズに行えます。新しい担任の先生の中に知っている先生が1人でもいるだけで親子共にとても安心できました。Upload By みんそれでも、新しい環境は子どもにとっては大変です。Pは年中から年長になるとき、前のクラスでお気に入りだった玩具がクラスが変わってからは使えなくなったことで、玩具を片づける扉の前で玩具を出すようにと先生に要求し、出してくれない場合は癇癪を起こしてしまうこともありました。私は先生に、前に遊んでいた玩具を出してもらうことは可能ではないか?と聞きました。すると先生は「できれば玩具を出してあげたいのですが、新しいクラスではP君の遊んでいる玩具を見て、自分も遊びたいと取りに来るお子さんもいます。それが原因でトラブルになってしまう可能性もあるので、申し訳ないですがP君には我慢してもらって、クラスに慣れるまでは今ある玩具や絵本で遊んでもらえたらと考えています。」と言われました。Upload By みん新学期に不安になるのはわが子だけではない!私はP自身が落ち着くことばかり考えてしまっていましたが、先生はクラス全体が落ち着いて過ごせるように考えたうえで対応してくださっていることが分かりました。クラスのみんなが落ち着くことがPも落ち着くことにもつながるんだと思いました。先生は前のクラスで使っていた玩具をPに諦めてもらうために、Pが好きそうな動物の絵本やカードなどを新しく増やして与えてくださっていました。そして私へも、連絡帳や電話で毎日の様子を伝えてくれて、私自身もマメに見学へ行きPの療育園での様子を見ることで安心することができました。新学期はいろんな困りごとが出てくる可能性が高いですが、たとえ困ったことがあっても本人の様子を観察し、どこまでなら我慢できるか?できないか?などを考えながら、一つひとつ対応して、それを積み重ねることでいつの間にか新しい環境にも慣れ、また新たにルーティンを作り出し、落ち着いて過ごせることもできるようになると思います。そしてわが子だけでなく同じクラスのお友達が落ち着いて過ごせる環境をつくるのも同じように大切だと思います。最初は大変なこともありますが、焦らずに対応できるようにしたいと思います。Upload By みん執筆/みん(監修:新美先生より)療育園での新学期の環境変化についての工夫を聞かせてくださいましてありがとうございます。新学期の環境変化は、自閉特性があるお子さんにとってストレスになるものです。クラスが変わっても、自分のマークが同じで、マークで自分のもの・場所が分かるという仕組みは低年齢のお子さんにとっても分かりやすいですね。療育園だけでなく通常の保育園でもどこでも誰でも、このようにマークを引き継ぐということをしてもらえるといいですね。今までOKだったことが、できなくなるということは本人にとっては混乱してしまうことです。このようなことがあることは当然なのですが、その場合も本人の理解度に合わせて視覚支援などを使って、新たなルールを説明してもらえると早く納得できるかもしれません。新学期の環境に慣れるまでは、園や学校では混乱したり我慢したりすることが続くので、しばらくは自宅での活動でゆとりを持てるよう意識するといいかもしれませんね。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年04月13日20代で「うつ病」の診断私が発達障害を自覚したのは30歳。それまでずっと生きづらさはあり、いろいろな精神症状を経験しました。20代前半、第二新卒で働いていたとき、気分の落ち込みと気力の低下、希死念慮がひどく、ほとんど寝たきりのようになってしまいました。それまで精神科にかかったことはなく、インターネットで調べた、うつ病の診断もできるというクリニック(内科だったと思います)に行ったところ、うつ病との診断が。抗うつ剤を処方されて1錠飲んだところ、興奮状態になり、頭痛、下痢、幻聴という副作用が出て、パニックを起こして救急車を呼んでしまいました。※発達障害の診断が下りたあとになってわかったのですが、発達障害者への抗うつ薬の投与は慎重にすべきという意見もあるようです。このときの医師は精神科医でなかったので、私の症状には適さない処方だったのかもしれません。10年以上前のことなので、詳細はあまり覚えていないのですが、そこから大学病院の精神科にかかるようになり、31歳で実家を出て関東を離れるまで、そこの精神科の先生を主治医としてずっと面談を続けていました。32歳で発達障害と二次障害の診断31歳で実家を離れて今の夫のもとで暮らし始めた私。しばらくは夫に世話してもらいながら静かに暮らしていたのですが、翌年の夏、改めて気分の落ち込みや神経過敏に悩まされるように。やはり再び精神科に通いたいと、近所の精神科医院(標榜は心療内科でした)に行って発達障害の自覚についても話したところ、高機能自閉症(現在の分類ではASDに該当します)の診断が降りるとともに、それによる二次障害としてのうつ傾向が指摘されました。手帳取得への動き先に精神障害者保健福祉手帳と障害年金を取得していた友人に上記の診断の話をすると「福祉ともつながれるし、メリットも多いからぜひ精神の手帳を取得するといい」と勧められて、まずは手帳を取得するために動くことになりました。主治医とソーシャルワーカーさんの意見を総合すると、まだ発達障害単体で精神障害者保健福祉手帳の申請は通りづらいとの判断でした。※これは2012年当時の宮崎県での状況です。地方によっても違うとのことでしたし、現在では発達障害単体でも通ることもあると思います。地域のソーシャルワーカーさんに相談してみるとよいと思います。そこで、二次障害としてずっとうつ傾向が続いているし、手帳申請時の書類上の「初診」にあたる診療(上記の20代でかかった内科医の診療)で「うつ病」の診断が出ているのにも矛盾しないということで、「うつ病」の診断で申請してくれることになりました。診断書の内容への工夫診断書の病名自体は「うつ病」なのですが、主治医は、二次障害のうつ傾向がよくなっても矛盾が起こらないように、症状のところに「易刺激性の亢進(感覚過敏傾向の表現)」「感情コントロールの困難(コミュニケーション障害の表現)」などといった表現を入れるなど、できる限りの工夫をしてくれたようです。主治医やソーシャルワーカーさんのおかげもあり、無事、障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳)を取得することができました。手帳を取得して変わったこと何よりも経済的に助かるというのが、障害者手帳の最大のメリットです。自立支援医療制度を使って医療費が1割負担になるとか、交通機関によって運賃が割引になったりするのはとてもありがたいです。美術館などの施設も割引がある場合があります。同じく「うつ病」で同時に申請して取得した障害年金には本当に助かっています。人に自分の障害を説明するときに「私は実は障害者で、障害者手帳を持っているんです」と言えるので、説明がしやすくなりました。デメリットとしては、一つぐらいしか経験がありません。一度、タクシーで手帳での割引を使おうとしたときに差別的なことを言われて不快な思いをしたのです。私の住む自治体ではタクシーの割引金額はごくわずかだったので、その後は割引を利用しないことに決めました。障害者手帳は、自分にとって開示するメリットが大きいときに開示すればいいだけで、開示することにデメリットがあったりして隠しておきたいときには隠しておけるので、そこがありがたいなと思っています。発達障害があると症状のコントロールのために人より医療費がかかったり、特性のためになかなか思うような収入が得られなかったりと、経済的に苦労する人も多くいます。手帳はそこの負担を軽減してくれます。また、手帳を持っていると障害者雇用枠で就職・就労することもでき、働く場の選択肢も広がると思います。取得していない人は一度検討してみるのをお勧めしたいです。文/宇樹義子(監修・渡部先生より)精神保健福祉手帳の取得に際しては、心理面での抵抗もあったのではと想像しますが、決断されて本当に良かったと思います。今回のエピソードで紹介されている自立支援医療制度は、精神通院医療や薬にかかる費用の自己負担が、通常の3割から1割に軽減されるという大きなメリットがあります。その他の経済的なメリットとして、所得税や住民税、相続税の控除が受けられる、携帯電話料金の基本料金の割引きなどがあります。一方、タクシーで不快な経験をされたという、残念なお話もありました。福祉に携わる者として、障害理解、共生社会という考え方をもっと広めていかなくてはいけないのだなと、改めて考えさせられました。手帳の具体的なメリットをお話しいただき、取得を迷われている方にとっては、背中を押してくれるようなエピソードだったと思います。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年04月12日「第5回 日本財団 DIVERSITY IN THE ARTS 公募展」全国3ヶ所を巡り開催Upload By 発達ナビニュース日本財団が進める「日本財団 DIVERSITY IN THE ARTS プロジェクト」は、誰もが参加できるインクルーシブな社会の実現を目指し、「日本財団 DIVERSITY IN THE ARTS 公募展」を2018年にスタート。障害のある人の芸術活動への支援、才能のあるアーティストの発掘という面だけでなく、障害の有無、国籍や文化も越えて、自由に表現することのすばらしさを社会に伝え続けています。「第5回 日本財団 DIVERSITY IN THE ARTS 公募展」が全国3ヶ所を巡り開催。東京会場からスタートし、横浜会場、大阪会場へとバトンをつなぎます。今回の公募展には、国内外から2,246作品の応募があり、厳正なる審査を経て128作品(審査員賞6作家8作品、海外作品賞1作家1作品、入賞43作家53作品、佳作50作家66作品)が選出されました。各会場ではその中から87点の作品が展示されます。この10年で大きく変わった「障害のある人のアート」の環境日本における障害のある人のアートに関する取り組みの大きな一歩は、2001年(平成13年)に厚生労働省が国際交流と障害者の文化芸術の拠点として国際障害者交流センター ビッグ・アイを設置したことにあるのではないでしょうか。そのビッグ・アイで2011年に主催した公募展が「日本財団 DIVERSITY IN THE ARTS 公募展」の先駆けとなります。全国の障害のある人の施設では、創作活動などを行っているところもありましたが、それを世に出す機会が少なく、公募展があったとしても地域の中など、限定されたものでした。その中でビッグ・アイは、全国的、さらには国際的な視野で文化芸術活動を支援していくことを目指した公募展を始めたのです。しかし、当時は「障害のある人のアート」に関して、社会的な環境が今とは全く違っていました。「障害については、芸術ではなく福祉分野で語るべきだ」という声や、障害のある人の作品を美術として「評価する」ということに対してのさまざまな意見もあったといいます。平等性、公平性が大事とされる福祉の中で「選ぶ」ということが果たしていいのかという議論や、「『誰もが制作できる場』をつくったほうがよいのではないか」というような意見が多くあったのです。そこから少しずつ認知度や理解が高まり、障害のある人たちが自由に表現できる場が増え、社会の見方にも変化がでてきたといいます。「日本財団 DIVERSITY IN THE ARTS 公募展」の魅力「日本財団 DIVERSITY IN THE ARTS 公募展」の応募条件は、国内外を問わず、障害のある人が制作したアート作品で過去に受賞歴のない作品。絵画・イラスト・グラフィックデザイン・書・写真などの平面作品、造形などの立体作品など種類を問わず、素材やテーマも自由です。世界的に見てもこの公募展のようなユニークなアートコンクールはないと言います。こうした場があることで、障害のある人だけでなく、サポートする家族や施設の方々に「自由に表現していいんだ」という勇気を与え、回を追うごとに応募作品数だけでなく、その表現のバリエーションも広がっていきました。5回目となる今回も国内外から2,246作品の応募があり、審査により128作品が選出されました。各会場ではその中から87点の作品が展示されています。Upload By 発達ナビニュースそれぞれの作品は、語りかけてくるようなエネルギーがあります。審査員、そして展覧会のアートディレクターも務めた中津川浩章さんは作品についてこう話します。「作品には障害のある人が日々感じている生きづらさなども反映されています。多かれ少なかれみなさんが現代社会の「不自由さ」を背負いながら、表現しているというのは間違いありません。そのような生活の中から「表現」が生まれ、それが世界を変革していくというイメージを作品から感じられます。現代アートというジャンルでは、社会課題を反映し表現することが多いと思いますが、この公募展に集まる作品の数々は、意図的ではなくそれを表現しています。社会課題も同時に読み取っていくと見えてくるヒリヒリとしたリアリティが作品の中にはあります。このような作品こそが実は社会的な作品と言えるのではないでしょうか」Upload By 発達ナビニュース「第5回 日本財団 DIVERSITY IN THE ARTS 公募展」で展示されている87点の中には、画材と思われていないものをつかった作品も多数展示されています。それぞれの作品から感じる独創性、エネルギーはまさに新しいアートのジャンルをつくりだしていると言っても過言ではありません。最近では、「『障害者アート』という名前は良くない、アートとして優れているのにどうして『障害者』とつけるんだ」という声もいろいろな方から届くようになったといいます。また、国際的な現代美術市場でも、障害のある人が制作したさまざまな優れた作品が進出しています。しかし「障害者アート」とは言わず、魅力的な作品として評価されているのです。社会が大きく変わってきたと言えるのではないでしょうか。特に日本ではアートは「技術を学び、それを習得した人が制作するもの」というイメージがあるかもしれません。しかしアートは本来もっと開かれたものであり、「自由に表現する」彼らの作品こそがアートのあるべき姿なのかもしれません。「日本財団 DIVERSITY IN THE ARTS 公募展」の取り組みは、社会にある「障害」「アート」の固定概念に変化をもたらし、多様性の意義やその価値を伝え続けています。そして、それは「障害」「アート」という領域だけでなく、よりよい「共生社会」の実現につながっていくでしょう。障害のある子どもを育てる保護者の方々へのメッセージUpload By 発達ナビニュース写真左から鈴木京子さん(国際障害者交流センター ビッグ・アイ 副館長/プロデューサー)、秋元雄史さん(東京藝術大学 名誉教授、本公募展審査員長)、中津川浩章さん(美術家/アートディレクター、本公募展アートディレクター及び審査員)、エドワード M. ゴメズさん(brutjournal 創刊者 兼 編集長、本公募展審査員)、横尾紀彦さん(一般財団法人 日本財団 DIVERSITY IN THE ARTS 理事長)、齊藤裕美さん(日本財団 公益事業部 国内事業開発チーム)秋元雄史さん(東京藝術大学 名誉教授、本公募展審査員長)障害のあるお子さんを育てている、その真っ只中にいる時間にいて、楽しいことも、つらいこともあると思います。人生に答えはないと思うのですが、もし「答え」というのならばその中で向き合って暮らしていくこと、充実する時間を持とうとすることが答えなのではないでしょうか。現代社会の中で「一般的」などということを考えてしまうかもしれませんが、同じ社会に生きているのだから、もっと声をあげていいんだと思います。そして障害について、社会がもっと知っていかなければいけないと思います。中津川浩章さん(美術家/アートディレクター、本公募展アートディレクター及び審査員)凸凹があると生きづらいと感じることも多いかもしれません。その凸凹をどうやって活かしていくかというのは、みんなでつくらなければいけないと思っています。保護者の方も「誰かにつくってもらう」のではなく一緒に動いて、凸凹があっても働きやすい職場や学ぶ環境をつくっていくことで社会も変わっていくと思います。アートはその凸凹が良い形で可視化されたものかもしれません。アートをみて想いを馳せたりできると思うので、展覧会をみて凸凹のマイナス面だけじゃなく、良い面もいっぱいあるのだということ感じてほしいなと思います。エドワード M. ゴメズさん(brutjournal 創刊者 兼 編集長、本公募展審査員)私はアーティストの創造性からいろいろなことに気づかされます。同時に彼らの創造性はどこからくるんだろうという興味が湧いてきます。しかし、彼らの多くは長く解説することはありません。だから私はいつも作品から答えを探しています。作品を見ているとだんだんその作品の意味を感じられてきます。興味深い作品に出合ったときに「この作品の意味は何ですか?」と聞きたくなることがあるかもしれませんが、聞くことを我慢して自分がその作品に向き合うことで意味があらわれてくるのです。鈴木京子さん(国際障害者交流センター ビッグ・アイ 副館長/プロデューサー)発達障害のある子どもを育てる保護者の方から、小さいころは育てることに必死だったけど、その子のペースでゆっくりと成長していたんだという声を聞きます。発達障害があっても、一人ひとり、それぞれのペースで成長していること、障害の特性(感覚過敏や多動など)もさまざまであることをもっと社会が理解していかなければならないと思います。社会の理解や障害のある人の居場所を広げていくためには、これまで社会生活の中で困ったことや悲しいことがあったかもしれませんが、行きたい場所に行き、そこで困っていることを伝えることも大切だと思います。まだまだ、今の社会では障害があることで困っていることへの「気づき」は充分ではありません。保護者の方々のアクションが新しい価値感を生み出し、多様な人を受容できる社会に変えていくきっかけになるのではないでしょうか。第5回 日本財団 DIVERSITY IN THE ARTS 公募展「展覧会」および、関連イベント「授賞式・トークセッション」東京、横浜を巡り、4月12日(水)から4月17日(月)までは大阪会場で作品が展示されます。2023年4月15日(土)には関連イベントの授賞式・トークセッションが開催され、審査員を務めた秋元雄史さんと中津川浩章さんが「障害者と文化芸術」をテーマに話します。それぞれのアーティストが持つ視点や感性から新たな気づきを得られることでしょう。ぜひ足をお運びください。〈詳細〉●大阪会場会期:2023年4月12日(水)~4月17日(月)時間:11:00-19:30※4月17日(月)は16:00まで観覧料:無料会場:阪急うめだ本店 9階 阪急うめだホール(大阪府大阪市北区角田町8-7)(阪急・阪神「大阪梅田駅」から徒歩約3分/JR「大阪駅」から徒歩約4分)●授賞式・トークセッション日時:2023年4月15日(土)14:00-16:00会場:阪急うめだ本店 9階 阪急うめだホール登壇者:秋元雄史氏[東京藝術大学 名誉教授]、中津川浩章氏[美術家/アートディレクター]観覧料:無料(予約不要)主催:日本財団 DIVERSITY IN THE ARTS協力:国際障害者交流センター ビッグ・アイ、阪急うめだ本店(大阪会場)※クリックすると、発達ナビのサイトから「第5回 日本財団 DIVERSITY IN THE ARTS 公募展」の公式サイトに遷移します。
2023年04月11日見通し不安に関する悩みは、発達段階や特性で千差万別丸山さとこさんの中学1年生の息子・コウ君には自閉スペクトラム症(ASD)とADHDがあります。コウ君が不安からパニックを起こしてしまう原因は、イベントや初めての場所などの『非日常的な状況』よりも、むしろ日常の中に多く存在していたそうです。成長につれて変化してきた見通しにまつわる「困りごと」の中身についても、教えていただきました。自閉スペクトラム症(ASD)のある宇樹義子さん。実は、高校時代までは「見通し不安」による困りごとはあまり感じなかったと言います。自分でスケジュール管理をしなければならない大学・社会人になってから、困ってしまう場面がぐっと増えてきたそうです。苦しかったころの思い出と、さまざまな工夫を重ねて困難を乗り越えてきた過程を書いていただきました。吉田いらこさんの小学6年生の長女・ゆいちゃんには、軽度知的障害、自閉スペクトラム症(ASD)、場面緘黙の診断が下りています。不安をとても強く感じる特性があり、多くの子どもにとって楽しみなイベントである遠足や校外学習などの学校行事が近づいてくると、とても気が重くなってしまうそうです。どうしたらゆいちゃんの不安を軽減できるのか、吉田さんが実際に活用しているという方法をご紹介くださいました。星河ばよさんの息子さんは発達障害グレ―ゾーンの小学5年生。未就学児のころは特に、ちょっとしたお出かけから食事の献立にいたるまで、前もって伝えていた予定が変わることが苦手で、よく癇癪を起こしていたそうです。「見通し」が崩れることで不安が高まり、癇癪につながってしまうタイプのお子さんとの関わり方について、臨床心理士の初川先生からのアドバイスも必見です!さいごに今回の「見通し不安」特集では、発達ナビライターさんからさまざまな体験談をお寄せいただきました。「うちの子と似ているかも!」「わが子もこんなふうに感じているのかな」「同じように対応方法を工夫してみよう」などと参考になるエピソードも多かったのではないでしょうか。わが子の癇癪やパニックも、「見通し不安」からくるものなのかも…と考えられると、関わり方にも少し余裕が持てるかもしれませんね。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年04月10日発達ナビ大賞へのご応募ありがとうございました!新学期が始まり、環境の変化で不安定になっているお子さんもいらっしゃる時期かと思います。特にこの春、小学校に入学した新1年生の保護者の方々は、これまでお子さんの就学先についてたくさん悩み、いまも不安を感じていらっしゃるのではないでしょうか。就学先選びについて、多くの方からお寄せいただいたエピソードの中から、印象的だった5つのエピソードを発達ナビ編集部が選びました。どんな就学先を選んだのか、気になるアンケート結果も発表いたします。また、あわせてお読みいただきたいコラムもご紹介します!※LITALICO発達ナビ「みんなのアンケート」にてご応募をいただいたエピソードについては上記より遷移し、ご覧いただけます通常学級、通級利用、特別支援学級…進学先はどこを選んでいる?今回発達ナビでは、お子さんの就学先として選んだ進路についてアンケートを取りました。Upload By 発達ナビ編集部結果は通常学級(通級含む)が50%、特別支援学級が40%、特別支援学校が5%、フリースクール2%、その他2%となりました。以前発達ナビニュースでも取り上げましたが、「通常学級在籍の小中学生の8.8%に発達の特性がある」という2022年の文部科学省の調査結果が示す通り、発達に特性がある多くの子どもたちが、通常学級(通級含む)に在籍している状況が分かりました。続いて、お子さんの就学先選びについてお寄せいただいたエピソードをご紹介していきます。違和感を感じるも、学区の小学校に特別支援学級がなく通常学級に進学…現在中1の息子のことです。幼稚園での様子を見ていて「ちょっとほかの子どもと違う?」と感じるところがありましたが、幼稚園の先生に何も言われなかったのと、学区の小学校に特別支援学級がなかったので、学区の小学校の通常学級に入りました。小2の冬に不登校になったことから、小3のときにWISCを受けました。その結果から通級を勧められて週1回通級を利用するようになりました。小5になるときに弟が入学し、学校には特別支援学級ができました。その年のコロナ休校明けに再び不登校になりました。弟も兄を追うように不登校になったのでメンタルクリニックを受診。二人とも「診断をつけるならASD」とのことでした。その後、特別支援学級に抵抗のなかった弟を校内で転籍させました。兄は特別支援学級ができた当初「あそこは保育園」と言っていましたが、卒業間際、弟が過ごす特別支援学級を見て「おれも初めからこのクラスならよかった」と言いました。違和感を無視しないで、学区を越えてでも入学のときから特別支援学級に入れた方がよかったのかな、と考えさせられる出来事でした。(ひろとしさん、通常学級)ご長男・ご次男共に不登校を経験し、ご長男については「就学時から学区を越えて特別支援学級に入れたほうが良かったのかも…」と思っていらっしゃるひろとしさん。特別支援学級の設置状況は地域によって大きく異なり、特別支援学級がないという学校も多く存在しています。そして、たとえ就学予定の学校に特別支援学級があったとしても、ひろとしさんのお子さんのように、子ども自身が途中からの転籍を拒む場合もあり、在籍クラスをどうするか決断するのは難しいものです。発達ナビに寄せられた会員のみなさんの体験談コラムから、学校の環境が合わず、発達障害のある息子さんがストレスから体調を崩してしまったことがきっかけで、息子さんの特性を受け止め、しっかりと向き合うようになったというエピソードをご紹介します。誰にも正解は分からないものですが、問題にしっかりと向き合い前へ進んでいらっしゃる様子に、励まされる方も多いのではないでしょうか。おとなしい子は「通常学級」判定!?入学後登校渋りに長男…通常学級入学、1ヵ月で登校渋り。通級に行きはじめて、小3まで順調に見えたものの、小4になってすぐ不登校。特別支援学級に移って、登校できるようになり、表情も良くなってきました。次男…入学時から特別支援学級で、課題はあるものの順調に成長しているようです。大人があまり困らないおとなしい子は、通常学級判定になってしまう。通常学級で一度傷ついてしまうと、その後まっすぐ成長するのが難しい。学校と支援の話をするのにも、幼少期から、医療福祉その他繋がりを持つことが大切だと思いました。いろいろあった長男は、今もいろいろありますが、本当にたくさんの方に支えられて、今は特別支援学級で頑張っています。(ゆみこさん、特別支援学級)大人にとって手のかからない子どもは、困っていることに気づかれにくいという話をよく耳にします。今は医療や福祉の支援に繋がり、特別支援学級で頑張っているというゆみこさんの息子さん。発達ナビライター・吉田いらこさんの娘ゆいちゃんも、おとなしいタイプで、小学5年生になるまで障害に気づかなかったそうです。吉田さんの「療育に早く繋げられなかった」という後悔、そして周囲の「どうして気づかなかったの?」という何気ない声に傷ついたというエピソードに寄せられた、臨床心理士の初川先生からの温かなアドバイスも、ぜひご覧ください。多動ありの新1年生。情緒学級がなく通常学級(通級)に就学で不安…4月から小1です。多動です。情緒学級のない地域。就学相談では、知的障害なしという事で通常学級を勧められましたが、なんとか通級をお願いしました。就学校の校長先生からは、子どもの様子を見て保護者付き添いをと言われました。4月から私も一緒に通います。今年に入ってから内服も始めましたが余計に酷くなる一方で、行きしぶりもあり…特別支援学級を強く希望すれば良かったです(療育の先生や医師からは通級を勧められて、それで何とかなると思ってしまって)。不安しかありません。不登校になる気しかしません。(AAAさん、通常学級(通級))今まさに大きな不安を抱えていらっしゃるAAAさん。ついこの前まで保育園・幼稚園に通っていた子どもが、小学校の通常学級でやっていけるのか…とても心配になりますね。発達ナビライターの荒木まち子さんも、発達障害のある娘さんの小学校入学と引越し・妊娠の時期が重なり、思うように身動きが取れない状況になってしまったと言います。当時のことを振り返り、つらいこと、大変なことがさまざま重なった中、23年の子育てのご経験から今感じることをコラムに書いてくださいました。また、つらいとき心の支えになった仲間の存在も大きかったと言います。荒木さんの「いま子育てに悩み苦しんでいる保護者さんにも、ぜひまず『動いてみてほしい』」というメッセージが、心に沁みます!就学準備は年中から。入学までほぼ月一回小学校に!年中から通い始めた児童福祉センターの療育(併行通園)で、動くなら早い方が良いと言われ、講演会などに積極的に参加しましたね。年長に上がる前の2月には、通う予定の小学校へ連絡を入れ、行事などが落ち着く6月くらいから校長先生にお会いして面談しました。幸い、特別支援に力を入れている小学校なのもあり、参観日の見学や行事の参加など積極的に声をかけていただき、入学までにほぼ月イチで息子も連れて小学校へ行ってました。言葉が遅いなどがあり、当初から特別支援学級希望ではあったのですが、授業参観の時にとりあえず通常学級も…と思ったのですが、教室に近づくにつれ息子の拒否が凄かったので、あぁ、やっぱりね…と思ったものです。そんな息子も、4年生から増えた交流授業(理科と時々体育)に楽しんで参加するようになっています。そろそろ、中学をどうするか頭を抱える時期になってきました…。(あきっちさん、特別支援学級)お子さんが年中のころから、綿密な準備を進められたあきっちさん。就学予定だった小学校が、特別支援教育に力を入れている学校ということで、とても協力的だったのですね。学校での息子さんの様子を実際に確認できたことも、就学先決定のポイントだったのではと思います。また、そろそろ中学校の進学先について考える時期とのこと。連載ライターSAKURAさんの娘さんは、小学校では特別支援学級に在籍していましたが、中学校でも特別支援学級に…とは、当初あまり考えていなかったそうです。しかし、娘さん本人に中学校から在籍クラスをどうするか聞いてみると、意外な答えが…?ぜひご参考になさってみてください。将来は「特別支援学級の先生」になりたい!小学校は、通常学級に在籍しての入学。入学してから、皆と動きが同じにできず…。先生の勧めで検査し、アスペルガーと診断。さらには聴覚過敏症や偏食も。低学年のころは言葉で伝えるのが難しく、教室のガヤガヤ感が耐えられず暴れると先生2人がかりで連れ出される始末。イヤーマフが本当に役に立ちました。特別支援学級の先生の勧めで2学期から特別支援学級に通級すると、少人数で静かな環境が本人には合っていたのか、授業も集中できるし、分からない部分は少人数の良いところで、細かく教えてもらうことができ、通常学級よりも進んで教わっていました。あまりにも進行速度が違うと、調節するためにご褒美時間(内緒のお茶会やDVD鑑賞)がありました。特別支援学級の先生は、発達障害児がどこにつまづきやすいのかを分かっていて、掛け算九九をパソコンやCDで目と耳を使って早めに教えてくれたり、コンパスの使い方を早めに教えてくれたりと、至れり尽くせりでした。おかげさまで、小、中と不登校もなく来れました。高校も無事に合格し、将来は特別支援学級の先生になりたいって言ってます。(しのっぺさん、通常学級(通級))しのっぺさん、息子さんの高校合格おめでとうございます!自分に合った少人数の落ち着いた環境で学べたことで、不登校もなく学校に通うことができ、将来の夢は『特別支援学級の先生』とのこと、素晴らしいですね!すべての子どもたちがしのっぺさんの息子さんのように、自分に合った環境でのびのびと学んでいける世の中になることを願ってやみません。発達ナビライター鈴木希望さんの息子さんは、不登校を経験した後、特別支援学級に転籍したことで、再び学校に楽しく通うことができるようになりました。改めて自分に合った環境で学ぶことの重要さを感じます。おわりに発達の気になる子どもの就学先については、就学時には子ども自身の意思が確認できない場合も多く、保護者が決断しなくてはならないことから、誰しも大いに悩むことだと思います。たくさん調べ、悩んだ末に選んだ道が果たして正しかったのか?正解は分かりませんが、大切なのは、学校や医療機関、支援者と連携する体制を作ること、そして状況の変化に臨機応変に対応できるようにしておくことではないでしょうか。大賞に選ばれた5人の方々には、人気エッセイ本をプレゼントいたします。どうぞお楽しみに!発達ナビでは、これからもさまざまな企画をしていきたいと思っています。次回の発達ナビ大賞もどうぞご期待ください!コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年04月08日障害児向けの絵本作家として活動しているしょうじあいかは、2023年3月に「全国の障害児施設へ自作絵本を配るクラウドファンディング」を実施し、初期の目標金額389%を達成。この度、クラウドファンディング成功を足がかりに、4月1日に障害児支援を目的とした絵本屋サイト『絵本屋だっこ』をオープンしました。URL: 絵本屋だっこに掲載中の絵本■絵本作家しょうじあいかとは・北海道在住の3児の母で、長男が重症心身障害児・保育士、幼稚園教諭、教員免許、カウンセラー資格等を保有・言語理解が難しい息子でも楽しめる絵本をつくりたいと、2022年から障害児向けの絵本づくりをスタート「自作絵本を障害児施設に配りたい」という夢のため2023年2月~3月に挑戦したクラウドファンディングは、400%に迫る達成率で成功をおさめました。4月より全国の施設へ絵本約2,000冊を配布していきます。実施した絵本クラファンまた「絵本づくりを少しでも障害児支援につなげたい」という思いから、クラウドファンディングと同時進行でサイト『絵本屋だっこ』の立ち上げ準備をしてきました。しょうじあいかの絵本の売り上げは、全額、障害児支援のための寄付にします。■絵本屋だっこの取り組み・絵本の売り上げを障害児のための寄付に・障害者アーティストのイラストを絵本にし、売り上げはアーティストに全額還元・一部絵本の売り上げをもとに障害児施設等へ絵本を配布絵本づくりをとおして、インクルーシブな社会の実現へ寄与できればと考えています。■絵本屋だっこの絵本ジャンル・重い障害があっても楽しめる絵本・障害があってもなくても楽しめるインクルーシブ絵本・障害者アーティストの作品を使用した絵本・障害への理解を広める絵本・英語版絵本■絵本の購入はAmazonから絵本屋だっこ制作の絵本はすべてAmazonからご購入いただけます。(AmazonのKDPにより出版)※HPの購入ボタンを押していただくと、それぞれの絵本のAmazon販売ページに遷移します。■読み聞かせ動画も無料公開絵本の内容を知っていただくため、絵本屋だっこでは全作品の読み聞かせ動画を公開中です。▼しょうじあいか【障害児向け絵本作家】絵本屋だっこ ■今後は法人化も検討現在は個人事業として運営していますが、書店への絵本流通や図書館や海外への絵本寄付など、より幅広い活動のため、今後は法人化(出版社化)も検討しています。・公式サイト ・絵本屋だっこInstagram ・公式LINE ・しょうじあいかInstagram 絵本屋だっこチラシ 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2023年04月07日小学3年生ごろから勉強についていけなくなったゆいは小さいころからおとなしい性格で、親や先生の指示も理解して行動できる子どもだったので、特に発達について心配だと感じたことはありませんでした。イヤイヤ期なども多分、一般的なものだったと思います。その証拠に、当時の私は母子手帳に『育児の不安:なし』と記入しています。ただ、人見知りが強い子どもだな、程度にしか感じていませんでした。低学年当時はまだ勉強が簡単なので周りについていくことができていたのですが、小学3年生あたりから、だんだんと成績が落ち始めていきました。ゆいが持ち帰ったテストを見ると、苦手な問題は考えた形跡がなく、白紙になっていました。この点は先生からも指摘を受けましたが、ゆいはどうやら最初からまったく取り組んでいないのです。それを見て、私は怠けていると感じ、腹立たしく思いました。Upload By 吉田いらこやる気がなさそうな娘に、母はイライラ…『やる気がない』というのは、ゆいが宿題をしているときに横で見ていても感じました。ゆいは分からない問題にさしかかるとフリーズしてしまうのです。無言で鉛筆が止まり、そのまま時間がながれていきます。私が「どこが分からないの?」と聞いても、ゆいは固まったままです。多分、どこが分からないのか説明することもできないくらい分からなかったのだと思います。そんなゆいに勉強を教えていると、私はどうしてこんな簡単なことが分からないのだとイライラしてきてしまいました。そして自分でも分かるくらいに教えている口調がだんだん冷たくなっていってしまい、最終的にゆいがポロポロ涙を流してしまいました。Upload By 吉田いらこ今振り返ると、ゆいにとって問題が難しすぎたということもありますが、私もどうやって教えればゆいが理解できるのかが分からず、教えながらイライラしていました。そうしているうちに勉強の時間がつらくなってしまったことも、ゆいの勉強に対する意欲がなくなってしまった原因ではと思います。小4のとき、ついに成績表で1が…。そして、軽度知的障害があることが判明そしてとうとう小学4年生の2学期終わりに、3段階の成績表で1がつきました。このままではゆいも私もつらいと感じ、プロに任せることにしました。個別指導塾に申し込みをしたのです。塾では1学年下の問題をじっくり教えていただいています。その後、小学5年生のときに軽度知的障害の診断がおりて特別支援学級のお世話になるようになり、学校でもゆいに合った簡単な内容で指導してもらえるようになりました。成績評価も通常学級の進度に合わせるのではなく、特別支援学級で学んでいることの成績として採点していただいています。Upload By 吉田いらこ特別支援学級で学ぶ現在は…現在のゆいは当時を振り返って「3段階の成績表で1がつくのは職員会議ものらしいよ。私ってヤバかったよね」と自嘲しますが、これくらい軽く言えるようになってよかったなと思います。あのまま通常学級でついていくのが難しいままだと、もっとつらい思いをさせてしまっていたかもしれません。小学5年生のときに障害の診断が下りてから、小学校での目標は『楽しく学校に通う』に決めました。特別支援学級の力を借りて、なんとか勉強のつらさを減らすことができたのではと感じます。中学校ではどのようなことが起こるか分かりませんが、本人の負担を減らしつつも周囲とうまくやっていく方法を親子で見つけていけたらなと思っています。執筆/吉田いらこ(監修:新美先生より)知的な面での困難さがあると、学校での一斉学習では大変さがでてくるかもしれません。初めのうちは、勉強を嫌がる態度で現れてくることも多いので、一見すると「なまけている」「さぼっている」「やる気がない」といったようにとらえられてしまうことも多いです。子どもは、学校という場で、怠ける・さぼるということはほぼめったにないので、学業に手がついていない様子が見られたら、分からないのか、やり方がお子さんに合っていないのか、心のゆとりがなくなっているのか…なにか理由があるかもしれないと探してみるといいですね。吉田さんの娘さんのエピソードを聞かせていただきありがとうございます。知的障害があると分かるまでは、親子ともども困惑したり、大変な日々だったかと思います。でもその後お子さんに合った学習をされていることで、お子さんも自分の大変だった時期を冷静に振り返ってコメントができるぐらいになっているのはとても素敵です。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年04月07日自己肯定感が高い広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)のある娘広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)のある娘は、4月から中学1年生になりました。これは娘が小4~小6のときのお話です。娘は小さいころから自己肯定感が高く、「自分はできる!」という気持ちが強い子どもでした。私たち夫婦は、娘に発達障害があると分かってから、自分に自信をなくしたり、他人と比べて落ち込んだりしないように、育ててきました。「発達障害があっても、引け目を感じることがない」「あなたには、あなたの良さがある」と声をかけていました。Upload By SAKURA元々、特性上周りをみないところがあるので、自分と他人を比べることはなく、純粋な性格が影響してか、自己評価の高い子どもになりました。しかし、成長するにつれ、この接し方が、悪い方に影響するようになってきました。耳から聞いたことを、覚えておくのが苦手。娘は、情報を耳で聞き、頭で処理する力が弱いという特性があります。そのため、口頭で指示を出しても、記憶に定着せず、すぐに忘れてしまうことが頻繁にあります。Upload By SAKURA言われたことを思い出した瞬間、「またやっちゃった!」「なんで私はこうなの!?」と過剰に反省し、自分を責めることをするのですが…Upload By SAKURAその反省は長く続かず、数分後に同じミスを繰り返したりします。視覚から記憶するため、メモを提案するものの・・・私は視覚優先な娘に対して、「メモをとってみたら?」と何度もアドバイスをしましたが・・・Upload By SAKURAその度に娘は、「大丈夫!私、ちゃんと覚えておけるから!」と言い、メモをとることをしませんでした。私が指示を紙に書き、見せるということをしようと思えばできたのですが、ちょうどこのときは、娘の思春期&反抗期が激しかった時期で…発達外来で、先生から「自立力を伸ばすために、あーさんに決めさせてください。その結果、起きたことも自分の責任だと思ってもらいましょう」とアドバイスされたこともあって、私は、自分が手助けすることはせず、メモをとることを娘に強制することもしませんでした。Upload By SAKURAメモを取らないことで負の無限ループに…なんとかメモを取り入れてほしいという思っていた私は、無駄かもしれないと思いつつ、メモの良さ、便利さなどを話したのですが…Upload By SAKURA娘の考えを変えることはできませんでした。娘は長い期間、聞く→忘れる→激しく反省する→アドバイス→無視→聞く→忘れる…という流れを何度も繰り返しました。Upload By SAKURAその間私は、何度もイライラし、なんで!?と、娘の特性そのものを責めそうになりました。過剰に反省しながらも、自己肯定感の高い娘。「私ならそんなに自分を追い詰めるほどの失敗したら、自信がなくなるけどな・・・」と、自己肯定感が低すぎる私は、娘の行動がまったく理解できませんでした。Upload By SAKURAいつまで私はこのことを娘に言い続けなければならないのか…モヤモヤした日々が続きましたが、とうとうある日、メモをとるようになったのです!そのお話はまた別のコラムで書けたらと思います。Upload By SAKURA執筆/SAKURA(監修:鈴木先生より)自己肯定感の低い神経発達症のお子さんが多い中、親御さんに「あなたの良さがある」と育てられた娘さんは幸せだと思います。一般的にはASDのお子さんは視覚優位と言われていますが、聞いたことを忘れるのは言語性が高くないか不注意が多いかのどちらかが多いです。詳しく知りたい場合はIQテストやADHDのチェックをすることで分かることも多いので専門の医師に相談することをおすすめします。ADHDの場合はメモしてもそれすら見ないことが多く、周りから責められて自尊心が低下していきます。せっかく自己肯定感が高く育ってもASD以外の併存疾患で負のループに陥ってしまうお子さんもいますので、気になる場合は主治医に相談をしてみましょう。無限のループも原因が分かれば無限でなくなり、出口が見えてくるはずです。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年04月05日STEAM教育って何?
子育て楽じゃありません
細川珠生のここなら分かる政治のコト