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ADHDと自閉スペクトラム症(ASD)傾向のある娘わが家には、ADHDと自閉スペクトラム症(ASD)の傾向がある長女(現在は成人しています)と、重度知的障害がある次女がいます。今回は、長女の小学校での出来事をお話しします。長女は、発達障害の正式な診断は受けていませんが、小さいころからコミュニケーションが苦手で、「空気が読めない」ことがたびたびありました。次女と一緒に発達支援施設に通いながら、先生方に成長をサポートしていただき、地元の公立小学校の通常学級に入りました。行き渋りなどもなく元気に通っていたのですが…。小学5年生に進級したばかりのころ。担任の先生が授業の終わりに、「今日の授業がつまらなかった人は手を挙げてください」と問いかけたそうです。もちろん先生が冗談で言っていることを理解して同級生は誰も手を挙げなかったのですが、長女だけが素直に手を挙げてしまいました。それをきっかけに、担任の先生から無視をされるようになり、クラスの中でもいじめられるようになってしまったのです。Upload By ユーザー体験談中学校進学への不安、発達支援施設の先生に相談をするとなぜ、先生はそんな問いかけをしたのでしょう。小学校生活は残り2年あります。そして、このまま同級生たちと同じ公立中学校に進学したらどうなってしまうのだろうか…。不安で仕方がありませんでした。そこで、次女がお世話になっていた発達支援施設の先生に相談をしました。すると、「私立の中学校のなかには、発達障害などの特性がある子どもを受け入れていて、対応にも慣れている学校があるのではないか」とアドバイスをいただきました。「私立中学校という選択肢があるのか!」私たち夫婦は目からうろこでした。当時住んでいた地域には私立中学校がほとんどなく、中学校受験をすることなど考えたこともありませんでした。Upload By ユーザー体験談ただ夫婦で相談し、「このままではいけない」という思いに突き動かされて、急いで情報を集めました。今はインターネットで発達障害などがある子どもへの支援体制、保護者からの評判なども容易に調べられる時代ですが、当時は頼れるものといえば本のみ。塾も比較したりはできず、家から一番近いところに通うことにしました。あとから知ることになるのですが、中学校受験の準備を小5から始めるのは、かなりギリギリでした。それでも、長女がその気になってくれたのが救いでした。一緒に学校見学にも行って、「楽しそう!ここに通いたい!」と思えたことが、さらなるやる気を引き出してくれたように思います。Upload By ユーザー体験談中高一貫校に進学し、家族で引っ越しもそうして、なんとか中高一貫校の女子校に合格することができました。夫婦で心からホッとしたのを覚えています。それを機に、家族で引っ越しもして、まさに心機一転。つらい思いをした長女の環境を大きく変えることができました。進学した中学校の面談では、先生が「大丈夫ですよ」「同じようなお子さんもいらっしゃいますよ」と言ってくださったので、特性も含めて娘のことを受け止めてもらえているという安心感がありました。好きなことを見つけて大学にも進むことができ、6年間、長女を支えてくれた先生方や友達に感謝しています。Upload By ユーザー体験談もちろん、小学校のときも長女の特性を理解し、対応してくれた先生もいたのだろうと思います。ただ、本当に一つの出来事をきっかけに、学校生活が一変してしまいました。受験準備や引っ越しなど大変なこともありましたが、娘の話を聞いて早めの決断ができて本当に良かったです。その後は高校、大学受験をし、社会人となりました。現在も空気が読めないなどの特性はあるものの、支援を使いながらも家を出て生活をしています。これからも自立した生活ができるように、何かあるときには影ながらサポートなどをしていければと思っています。イラスト/taekoエピソード参考/booskaコラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年03月04日ダウン症児の平均寿命は伸びているダウン症のある人は、合併症として心臓疾患を合併する子どもが多く、かつては乳幼児のうちに亡くなることも多く、10歳以上生きられるかどうか、という時代もありました。しかし、現代では乳児の心臓手術などの医療技術が発展したため、昔に比べるととても長く生きられるようになりました。厚生労働省の簡易生命表によると、令和3年度の日本人の平均寿命は男性81.47歳、女性87.57歳となっています。一方、ダウン症児の平均寿命は、60歳前後です。一般の平均寿命に比べると短いですが、ダウン症のある人の死亡時の年齢は72%が40歳以上であることを見ても、昔に比べるとはるかに長生きしていることが分かります。厚生労働省「主な年齢の平均余命」トリソミーのある方のくらしダウン症は、1866年にLangdon H. Downによりはじめて報告された疾患で、染色体異常による疾患の中ではいちばん多い疾患です。正式には「ダウン症候群」といいます。ヒトの染色体は22対44本の常染色体と性染色体の合計46本の染色体によって構成されていますが、この染色体異常により起こる疾患です。ダウン症の場合、約95%は「標準型21トリソミー型」と呼ばれるもので、21番目の常染色体が1本多いことで起こるものです。これは受精時に偶然起こるもので両親の染色体に変異はありません。また、約4~5%は「転座型」21番目の染色体の1本がほかの染色体(13番、14番、15番、21番、22番など)にくっついたことによって起こります。、そしてもう一つ、ダウン症全体の1~3%以下の割合の「モザイク型」は、2つの異なる細胞で身体が構成されています。21番トリソミーを持つ細胞と21番トリソミーを持たない細胞が一定の割合で混在しているというような状態です。上で述べたようにダウン症の原因やタイプについては分かってきているものの、ダウン症そのものを治療する方法は現在のところありません。しかし、医学の進歩によりダウン症のある人に合併しやすい疾患の治療はできるようになってきました。特に、先天的心疾患や先天性消化器疾患などの治療が乳幼児期から行われることで、ダウン症のある人の寿命は飛躍的に延びています。胎児期や乳児期などの早期にこれらの合併症を把握できるようになり、外科手術などの高度な医療を受けられるようになったためです。また、早期療育や生活改善が実施されるようになり、合併症の予防・身体の運動能力の向上がうまくいっていることも寿命が長くなることにつながっていると考えられます。「平均余命」という言葉を知っていますか?平均余命とは、「ある年齢の人々が、その後何年生きられるかという期待値」のことです。一般に知られている「平均寿命」とは、「0歳での平均余命」のことなのです。60歳の男性が、「平均寿命」が80歳だからといって、「残りの人生は20年だ」と単純に考えるのは間違いです。令和3年の簡易生命表によると、日本人の平均寿命は男性が81.47歳 、女性が87.57歳です。65歳男性の「平均余命」は、19.85年になっています。65歳男性の残りの人生は平均約20年になる、ということです。つまり「平均寿命」から計算した16年よりも4年ほど長生きできそうである、ということを表しています。これはダウン症のある人でも同じことが言えます。さらに、ダウン症の場合、生まれてすぐから10歳になるころまでに亡くなるケースも少なくないため、平均寿命はかなり短くなります。例えば0歳のダウン症児の平均余命は48.9歳ですが、1歳のダウン症児の平均余命は51.2歳となっています。1歳でもこんなに違うのですから、10歳を超えたダウン症のある子どもたちは、もっともっと長生きできるでしょう。参考:Causes of death in patients with Down syndrome in 2014-2016: A population study in Japanダウン症がある人の死因は、年代によって異なります。ダウン症がある人は、先天性の疾患を持つことが多いため、乳幼児期はそれが原因で亡くなる人が多いのですが、老年期になるとダウン症のない人と大きな差はありません。2014年から2016年の日本におけるデータによると、乳幼児期から18歳までのダウン症のある人の死因は、先天性心疾患と白血病・リンパ腫などが多くなっています。19歳から39歳の成人期には誤嚥性肺炎や呼吸器感染が多くなり、40歳以降により高まります。ダウン症のある人は老年期が早く、40歳からとされていますが、老年期の死因は、誤嚥性肺炎・呼吸器感染、早期発症アルツハイマー病が多くなっています。ダウン症のある人は悪性固形腫瘍(臓器等の固形のガン)になる人が少ないといわれており、悪性固形腫瘍による死亡は少ないのですが、それ以外ではダウン症のない人と死因は大きく変わりません。厚生労働省 「主な年齢の平均余命」厚生労働省 「主な年齢の平均余命の年次推移」山根希代子 「ダウン症の長期追跡と療育支援」ダウン症の最高齢と日本におけるダウン症のある人の平均寿命長くなってきているダウン症のある人の寿命ですが、最高齢はいくつなのでしょうか。現在記録されているダウン症のある人の最高齢はオーストラリアで73歳、 スウェーデンで87歳、アメリカで70歳です。長寿国といわれる日本では、その年齢をさらに上回り、ダウン症のある人の最高齢は102歳であることが分かっています。1995年から2016年の約20年間の日本のダウン症患者の経年変化における調査によると、20年間で平均寿命は飛躍的に伸び、2010年以降ダウン症のある人の3 人に 1人が60 歳以上であることが分かりました。 trends in longevity among people with Down syndrome in Japan, 1995-2016超高齢社会における障害者施策のあり方に関する研究―日本におけるダウン症者および重症心身障害者に関するエビデンス―|茂木成美現在のダウン症の人の平均寿命は、男女とも60歳前後といわれています。日本人の平均寿命が、男性81.47歳、女性87.57歳ということを踏まえると、ダウン症の人も女性の方がやや平均寿命が長いなどあるかもしれませんが、この場合も「男女とも85歳前後」ということになります。ダウン症がある人の平均寿命は明確な男女差はありませんが、合併症の有無などによる差というものは存在しています。特に、先天性の心疾患で生まれてすぐに心不全など症状を発症してしまうと、寿命が格段に下がると言われています。逆に、10歳までに身体的に重度な二次障害が発症しなければ、寿命はぐっと長くなります。ダウン症の平均寿命が男女とも50歳代を超えているといわれる現代でも、合併症や症状の重度軽度などにより生まれて間もないうちから10歳になるころまでに亡くなってしまうダウン症のある人たちも、まだまだたくさんいるのです。ダウン症では男女の差よりも、症状の重さや合併症の程度などによる差の方がずっと大きいということです。山根希代子 「ダウン症の長期追跡と療育支援」ダウン症のある人の寿命は治療で伸ばすことができるの?ダウン症の寿命が短いのは、合併症を引き起こしやすいからといわれています。特に、一番多いのが先天性の心臓疾患です。以前は、この心臓疾患によって半分近いダウン症児が10歳以下で亡くなっていました。10歳以上生きられるかどうかというのが大きなターニングポイントとなるわけです。現在は乳児を含む小さな子どもの心臓手術の成功率が、かなり上がっているので、生存率は以前と比べて上がっています。また、ダウン症児の多くが併発するといわれている、食道閉鎖症、十二指腸閉鎖症、巨大結腸症、鎖肛、ヒルシュスブルング病などの命に係わる消化器疾患系の合併症もまた、医療の進歩により根治治療さえ可能となってきているのです。そのため、多くの人がこの10歳以上生きられるかどうかというターニングポイントを超えることができるようになり、平均寿命も延びたというわけです。また、大きな合併症ばかりでなく、筋緊張が低下し、筋肉がつくられにくいというも寿命の短縮に関わりがあるかもしれません。これはダウン症の二次障害の中ではあまり重要視されませんが、治療を受けなくても、生活習慣を見直したり運動不足を解消することが、ダウン症のある人の寿命を延ばすことにつながります。ダウン症の平均寿命が延びるということは大変良いことなのですが、それに伴い新たな問題も生まれました。長生きに伴い、乳幼児期や学童期だけでなく、青年期以降にも合併症などの治療が必要となり、その受け皿が少ないことが課題となっています。子どものころは合併症の治療のためにかかりつけ医を持ち、継続して通院していた人も、成長して治療が必要でなくなると、かかりつけ医を受診することがなくなることがあります。しかし、成長後に発症する疾患もあるため、かかりつけ医を持ち、定期的に検査をしたり、症状が見られたときには早めに治療を開始するのが理想的です。ところがダウン症のある人を成人期や老年期まで長期的にフォローする専門の体制がまだ確立されていないため、どの診療科を受診したらよいか分からないといった事態に陥るケースも少なくありません。また、成人のダウン症のある人に、アルツハイマー型認知症を発症する人がいるという事実が明らかになりました。全員に発症するわけではありませんが、40代ごろからその症状が現れる人もいるといいます。原因はまだ明らかにはされていませんが、ダウン症のある人は、異常たんぱく質が産生されやすく、かつ組織や臓器に蓄積しさまざまな障害を引き起こしやすいのです。この異常なたんぱく質が脳に蓄積することで、アルツハイマー型認知症を発症するのではと推測されています。参考:成人期を見据えたダウン症候群のある児への関わり「ダウン症候群のある患者の移行医療支援ガイド」医療の発展と共に著しく伸びているダウン症のある人の平均寿命。より良い成人期を過ごすために大切にしたい医療とのつながり医学の進歩により、ダウン症のある人が少しでも長く生きられる社会になっているというのはとてもすばらしいことです。成長してからも合併症が起きることがあることやアルツハイマー型認知症を発症する可能性が高いあるという報告もありましたが、医療とのつながりを保つことでいざというときに早めに治療を受けることができます。子どものころに治療が終わり病院と遠ざかってしまうこともあるかもしれませんが、成人期以降も定期的に検診を受けたり、気になる症状があるときには早めに受診したりするようにして、医療とのつながりをもっておくとよいでしょう。ダウン症のある人は、体の不調を言葉ではっきりと伝えることが難しいことがあります。大事な症状を見逃さないためにも、定期的に健康診断を受けていると安心です。
2023年03月01日発達ナビ大賞へのご応募ありがとうございました!発達が気になるお子さんを日々育てている中、「子どもの癇癪に困ってしまった…」そんな経験はないでしょうか?発達ナビ会員のみなさんをはじめ、多くの方からお寄せいただいたエピソードの中から、印象的だった5つのエピソードを発達ナビ編集部が選びました。また、あわせてお読みいただきたいコラムもご紹介します!※LITALICO発達ナビ「みんなのアンケート」にてご応募をいただいたエピソードについては上記より遷移し、ご覧いただけます息子の癇癪、理不尽に思えることにも理由があるから癇癪と暴言・問題行動と長年向き合っています。困った事だらけで…。大変だったエピソードが多すぎ…(笑)雪が降ったからイライラする。雨が降ったからイライラする。TVを付けたからイライラする。ご飯のタイミングが遅いからイライラする。こどもの声が嫌だからイライラする等々…。こちらからしたら理不尽に思える事も息子からしたらちゃんと理由があるんですよね…。言葉で上手く伝えられないもどかしさ。ストレスが溜まってもうまくガス抜きができない。感情のコントロールを上手くできない。折り合いの付け方が難しい。上手くクールダウンできない。本人が一番きつい。でも、対応する周りもきつい。癇癪が出る前に上手くコントロールできるようになれば理想的です。でもそれが難しい。そしてそれが息子の特性。(HARUKAさん)息子さんの癇癪やイライラなどに長年向き合っているというHARUKAさん。一見理不尽に思えることでも、本人には本人なりの理由がある…。理解できても、日々対応しなければならないのは大変ですね。一人で悩まずに、医療機関、療育機関など、第3者へ相談することも選択肢の一つかもしれません。発達ナビには、癇癪にまつわる疑問を小児科医の藤井先生にお答えいただいたコラムもありますので、ぜひご覧になってみてください。スーパーでの買い物中に癇癪!レジで後ろに並んでいた人の言葉が胸に刺さり…3歳の自閉スペクトラム娘は、視覚的な記憶が強く、いつもと違う状況にひどく戸惑います。例えば、スーパーでの買い物。一度行くとスーパーの売場の地図のようなものが頭に入り、棚に並んでいるものの位置も覚えてしまうようです。そのため、次に行ったときに陳列が変化しているとたちまちパニックに。元のとおりに戻そうと勝手に品物を動かし始めます。本人は正しいことをしていると言わんばかりのドヤ顔で…先日もスーパーのレジ前のお菓子が引き金に。いつもと違っていたようで、せっせと動かし始め、ほかのお客さんにもお店にも迷惑だからやめさせようとするも、おさまらない。そしてレジの順番がきて強制終了となり、床に転がりバタバタしながら泣き騒ぎ始めました。後ろのおばさんの「お菓子買ってあげたらいいのに」という一言が私に刺さる刺さる…「買っておさまるならいくらでも買うよ」とぼやきたいのを我慢しながらレジ通過。棚の並べ方が気に入らずパニックになっているのであって、何か1つ買ったところでおさまらない。そしてそもそも娘は偏食でお菓子は一切食べない…。なかなか一般の方々には伝わらないよなぁ。欲しいお菓子買ってもらえてないって映るんだなぁ。そして会計を終えても癇癪は続き、袋詰めのところでカゴの中身を投げ始め、床にヨーグルトをぶちまけ、ポテトサラダは容器から飛び出し…ほかのお客さんに当たらなかったのが不幸中の幸い。本人も生きづらくつらいんだろうと思うけれど、日常の買い物も癇癪の種にあふれ、いつも緊張状態でいなきゃいけないのは正直つらい!(プラムさん)「いつもと違うといや」で並べ替えたい――お子さん本人がつらいのはもちろんですが、日々の買い物にも神経を使う状況のプラムさん、おつらいですね…。買い物など外出中での癇癪・パニックは、たまたま居合わせた事情を知らない方には、一見「ただのわがまま」に思われてしまうということも、保護者のみなさんが困ってしまう原因の一つだと思います。発達ナビライターのSAKURAさんも、お子さんが小さいころ、外出時の癇癪に悩んでいたそうです。しかし、子どもが癇癪を起こしたときの自分の中の「ルール」を作ったことで、少し気持ちが楽になったとのこと!ぜひ参考にしてみてください。癇癪中に虐待だと思われて児童相談所に通報今は中学1年の息子。癇癪がとにかくひどい子で未だにあります。自分の思い通りにならないときなど酷く、テレビを破壊されたり壁に穴を開けられたりドアが凹んだり、コンセント部分も凹んだり時計を投げつけて壊されたり(涙)ギャーという声がまた全力…。最悪なのは、窓が開いてるのに気づかず癇癪中にこちらも怒鳴っていたら、虐待だと思われて児童相談所に通報されました。ちゃんと話をして納得して同情されましたが、通報までされたことがあまりにも悲しくて相談員の方の前で泣いてしまいました。癇癪中はその場から離れるというアドバイスをドクターからしてもらい実行しましたが、その場を離れている間も暴れて壁に大きな穴を開けられました(泣)息子からしてみると見捨てられたと感じたようです。ドクターからのアドバイスでもその子によって効かない事もあるんだと身をもって感じた瞬間でした。少しづつ良くはなってきましたが、ゼロになる日がくるのかはわかりません。段々と成長してもうすぐ私の身長を抜かします。そうなったときにまだ続いていたらもう止められないので、そのときは警察や児童相談所のお世話になることを覚悟していますし、本人にもいざとなったら警察に通報するから、とは伝えています。そうならない事を祈るばかりです…。(空色さん)虐待を疑われて児童相談所に通報されてしまい、悲しみのあまり涙してしまったという空色さん。さらに「癇癪中はその場を離れる」というお医者さんからのアドバイスに従ったら、壁に大きな穴が開いてしまったとのこと…。保護者としてどのように接したら良いのか、悩まれている方も多いのではないでしょうか。また、ご近所さんとの関わり方も、気になるところだと思います。空色さんと同じように、癇癪中のお子さんとの向き合い方や、ご近所との関わり方に悩んだというユーザー体験談をご紹介します。お友達を嚙んでしまった!頭を下げ続ける日々1人目が軽度発達障害と言われ落ち込んでいたころ(20年以上前です)、2人目(3歳ぐらい?)を近所にできたショッピングモールに連れて行きました。よくテレビとかで見る、これ買ってくれないと嫌だ~!と地面に寝っ転がって地団駄踏むことを30分近くしてくれました…。1人目とは違う特性だったので、この子どもたちは一体何なんだろう?と本当に悩み疲れ果てていました。そのショッピングセンターには半年行きませんでした。(行けませんでした?)遠いところまで買い物に行ったことを思い出します。2人目を連れて行ったのは3年後のことです。あと、幼稚園でのべ6人のお友達をかみました!(一度にじゃないですよ)自分は人様に迷惑をかけたこともないし、謝ったこともなく、子どものためにどれだけ頭を下げまくったか…(遠い目…)。そんな子どもたちも、まだまだ特性がありますが、もう自立できる歳になりました。まだ、3人目が中学生、3人ともそれぞれ違う特性で、いろいろ私にたくさんの経験をさせてくれました。いい思い出とは言えませんが、20年以上たつと親もあきらめることができるようになります(笑)(ゆうママさん)3人のお子さんそれぞれの特性に違いがあり、癇癪だけではなく他害にも悩まれたというゆうママさん。乗り越えられてきた数々の苦労も、いまは思い出となり、お子さんたちも自立できる年齢まで成長されたとのこと。現在進行形で悩んでいらっしゃる方々の励みにもなるエピソードをありがとうございました!発達ナビライターのかなしろにゃんこ。さんの息子・リュウ太くんも、中学生のころまで癇癪が激しかったそうです。そんな「怒りモード」を鎮めるために、リュウ太くん本人が考え出したイライラとの向き合い方とは…?「自分のお金で」ゲームができず癇癪!息子が小3のとき、アーケードゲームをやりたくて自分のお財布を持って行ったはずが、お財布を家に忘れてきてしまいました。「お金貸してあげるから」と、私がお金を出してゲームをやり、一件落着…のはずだったのですが、食料品売り場で買い物をしようとしたら、どうも息子の様子が怪しい。仕方なく買い物を諦めて帰ろうとしたら、暴れながら私の服を掴んで何度も連れ戻すので、大急ぎで買い物をして車に乗り込みました。そこから家までの10分余り、息子は車の中で全力で泣き叫び、私はうるさくて耳が痛い中、とにかく事故を起こさないように必死でした。家に帰ったら、今度は走って家から逃げるし。自分のお金でゲームをしたかったのに、それができなかったこと、買い物をするはずなのに、買い物をせずに帰ろうとしたことが、自分の予定と違っちゃったんでしょうね。その後もゲームセンターへ行くのに忘れ物をして、何度かパニックになったりしましたが、徐々に自分で折り合いをつけられるようになりました。(なまちゃんさん)自分の予定や見通しがかなわなかったことでパニック、癇癪に繋がってしまった、なまちゃんさんの息子さん。少しずつ折り合いをつけられるようになってきたとのこと、良かったですね。発達ナビライターのウチノコさんの息子、ADHDと自閉スペクトラム症のあるむっくんも、小さなころから今から何をするのか分からない状況や急な予定変更が苦手でした。しかし、「見通し」を伝えることを学んでからはずいぶんと過ごしやすくなったそうです。おわりにわが子の癇癪に「困った!」となってしまう場面にも、子どもなりの理由を理解しながら対処されている保護者のみなさまに、頭が下がるエピソードばかりでした!ご紹介したエピソードの中に、みなさんも、共感したり気づいたりしたことがあったのではないでしょうか。大賞に選ばれた5人の方々には、人気エッセイ本をプレゼントいたします。どうぞお楽しみに!発達ナビでは、これからもみなさんに楽しんでいただけるような企画をしていきたいと思っています。次回の発達ナビ大賞もどうぞご期待ください!コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年03月01日好きなことを楽しめるように次女は幼少期から、工作したり絵を描いたりすることが大好きでした。Upload By まりまりただ、家で親の手伝いのもと実施するのはどうしても限界が…。2年生のときに、本人に、工作したり絵を描いたりできるようなアートスクールに行ってみてはどうかと聞いてみたところ、「行ってみたい!」とポジティブな返答がありました。そこで、次女に合っていそうな、少人数で、かつ自分のペースでできるようなところを探しました。見学・体験して長女と一緒に通うことにこのとき4年生だった長女も興味を示してくれたので、2年生の次女と一緒に見学・体験してみることに。子どもたちが10人弱で先生が2人という少ない人数だったうえ、ほとんど話さなくても何とかなる状況で、次女にとって負担が少なく楽しめた様子。Upload By まりまり長女も楽しめたようで、2人一緒に同じところに通うこととなりました。長女が辞めてしまって、次女も辞めたがった1年少し通ったころ、長女が「辞めたい」と言い始めました。最初のころのように楽しめなくなったとのことで本人の決心は固く、長女はそこで辞めることに。ただ、次女は、長女が休むときは一緒に休んで一人で行くことは全く無く、一緒だったから通えていたという部分が大きかったので、次女も辞めると言い出しそうで心配していたら、案の定「私も辞める」と言い始めました…。Upload By まりまり好きなことは続けて欲しい次女に詳しく話を聞いてみました。すると、次女は「作ったり描いたりするのは好き」「アートスクールは楽しい」けど、「先生と話ができない」「一人で行くのは不安」との話でした。Upload By まりまりせっかく好きで楽しく通えているので、長女が辞めてしまったとか話せないという環境のせいで辞めてほしくないというのが私の気持ちでした。今の次女なら一人でも行けそうきっと、通い始めのころだったら次女の不安もかなり強かったと思います。ただ、すでに通い始めてから1年以上経過しており、アートスクールの担当の先生もずっと変わらない。さらに、このときは3年生の3学期で、次女自身も成長し、学校での生活も順調に過ごせていて安定している…。今なら少し頑張ったら一人で行けそうだと思いました。次女は漠然とした不安感のことが多いので、具体的に、「今のあなたなら一人で行けそう」という上記の理由を話して、何かあったときは電話してもらえればすぐに駆けつけることを保証して少し無理やり送り出したのでした。Upload By まりまりそれから…迎えに行ったら、いつも通りに過ごせたようで、変わらない様子で帰ってきました…!行ってみて「一人でも大丈夫そう」と感じたようで、その後も一人で通っています。アートスクールに通い始めてから、今年で3年過ぎました。この習い事に関しては、「できるようになる」とか「役に立つ」と考えて始めたのではなく、「楽しめる」のを一番の目的にしたので、次女には負担が無くて継続できたのではないかと思いました。これからも、次女が楽しめる限り、続けていってくれたらいいなと思っています。執筆/まりまり(監修:新美先生より)場面緘黙のある方は、不安を抱きやすいことが多く、環境に慣れるのに時間がかかる場合もあります。話すことができないために、突発的なことが起きたときに困るかもしれないという不安もありますね。今回聞かせていただいたエピソードでは、1年間お姉ちゃんと一緒に通って場に慣れて、ご本人も安定した状態だったのでスムーズに一人で通うことができるようになったというお話でした。一人で通えることで自信もついたことでしょうね。特性によって楽しいことを楽しめる場が制限されるのは残念なので、今回伺ったエピソードでは「お姉ちゃんと一緒に1年間」ということでしたが、例えばお母さんが付き添いをして半年通って、慣れたら付き添いをやめるなどと応用できそうなエピソードかと思いました。ありがとうございました。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年02月28日3歳で気づいた周りの子どもたちとの差わが家の小6の息子は、6歳のときにADHD(注意欠如・多動症)の診断がおりました。息子は1歳から保育園に通っていました。自分の興味がないことはやりたがらず、特にダンスや体育などみんなでやることが嫌いで参加しようとしませんでした。また、切り替えの苦手さもあり、好きなことを始めたらやめることができない、片づけなどをダラダラしてやらない、保育園に迎えに行っても遊びに夢中でまったく帰ろうとしない…といったこともありました。私が同年代の子どもたちとの差に驚いたのは、年少の遠足のときです。出発前にクラスのみんなはきちんと並んで先生の話を聞いているのに、息子だけ脱走して遊具で遊び始めてしまい、じっと話を聞くことができませんでした。それまでは、「男の子だし、3歳だし、こんなものなのかな」と思っていたのですが…。Upload By ユーザー体験談「自閉症の可能性」から「ADHD」と診断されて3歳児健診では特に指摘は受けませんでしたが、保育園でのクラスメートとの違いにショックを受けた私は「早いうちに発達支援を受けさせたほうがいい」と思うようになり、保健センターに相談しました。そして、心理士さんに心理検査をしてもらいました。数値的には気になる点はないとのことでしたが、飽きて逃げ出したりなど集中できていない様子が見られたので、「もし気になるのであれば」と療育センターの紹介を受け、通うことに。そして、児童精神科の先生に「自閉スペクトラム症(ASD)の疑いがある」と言われました。私は少し意外な感じがしました。そのころ、目立っていたのは衝動的な行動の多さだったからです。ですから、ASD(自閉スペクトラム症)ではなく、ADHD(注意欠如・多動症)だろうと考えていたからです。息子は、じっとしていられず道路に飛び出す、お友達に手を出す、押す、かみつく…。公園で遊んでいると必ずトラブルを起こすので、自転車に乗って誰もいない公園を探し、人が来たらまた移動し…の日々。スイミングスクールにも通っていたのですが、隣のコースに入ってしまったり、順番を守れず飛び込んだり、プールから脱走してしまうこともあり、クビのような状態で辞めました。Upload By ユーザー体験談そんな息子の様子から、ADHD(注意欠如・多動症)の特性に当てはまることばかりだなと思っていたのです。ただ、服薬していたわけでもなく、医師も「診断名にこだわらず様子をみていきましょう」という感じだったので、そのときは特に確認をしませんでした。その後、就学に伴い療育センターから大学病院に転院になり、大学病院の小児精神科医に「ADHD」と診断されました。ADHDについては、未就学児は分かりづらいために就学後に診断されることも多いし、ASDと併発することもあるのだと、のちに知りました。「クラスに居場所がない」通常学級からの脱走小学校に入学し、通常学級に通い始めました。ところが、席に座っていられず教室から脱走したり、クラスの友達に手を出したり、言い争いになって上級生のメガネを壊したりということが続きました。しまいには「クラスに居場所がない」と感じるようになったようで、特別支援学級の教室に逃げ込むように。通常学級在籍なので、本来であれば特別支援学級で過ごしたり、授業を受けたりすることはできないのですが、先生方のご厚意で息子の一時避難場所として過ごせるようにしてくれました。特別支援学級は少人数で先生が寄り添ってくれて、好きなときにおもちゃで遊べるのもうれしかったようです。好きなときに好きなことができない、好きな教科以外の勉強をしなければいけない、というのが息子には苦痛のようでした。そしてストレスが重なったのか、風邪をこじらせて喘息の発作を起こし、小1の6月の終わりから2週間ほど入院することになってしまいました。その様子を見て、「この子はみんなと違うんだ。母である私がそのことを受け止めて、私がしっかりと向き合わなければ、息子を追い詰めてしまう」と目が覚めた気がします。Upload By ユーザー体験談「通常学級に戻りたい」という息子の思い入院中、うれしい出来事もありました。通常学級の友達が寄せ書きをくれたのです。息子はそれを見て、「またクラス(通常学級)に戻りたい。そのためには迷惑をかけたくない」と思ったようでした。7月初めに退院しましたが、夏休みも近かったので登校は最低限にして早めの夏休みに入ることにしました。私はフルタイム勤務だったので、息子が赤ちゃんのころから夏休みの平日など遊びに行くことはほとんどありませんでしたが、ちょうど下の子の育児休業中だったので、一緒に思いっきり遊びました。また、「みんなと同じことができるようになりたい」という息子の意思が強かったので、投薬を開始しました。はじめはADHDの治療薬であるインチュニブからスタートしたのですが、眠気がひどく昼休みに校庭で寝てしまい帰ってこないということが起きてストップ。医師に相談してコンサータに切り替えました。食欲は落ちるようですが、多動性が抑えられるので現在も学校に行く日のみ服薬しています。息子のことを誰も知らない環境で再チャレンジ11月からは、通級指導教室を開始しました。週1回、朝1~2時間目に他校で授業を受けてから、自校に戻るというスタイルで、小6の今まで通い続けることができています。あれだけ衝動的で多動だった息子ですが、今では大人しいくらいです。また、以前は絶対にやらなかった学校行事にも積極的になり、任意の陸上大会や球技大会にも参加するようになりました。ただ特定の友達はおらず、放課後に遊ぶようなことはありません。今までは自分のことしか見えていませんでしたが、年齢とともに周りにも目を配れるようになりました。その分、周りとの差も感じ始めているようです。息子にはADHDの告知もしていて、「できないことはできない。できることを伸ばそう」と伝えています。それでも、できないことが気になって自己肯定感が低く、同級生に助けてもらうことが当たり前になってしまっています。「このままでは本人の自主性・自立性が育たない」と思い、環境を変えようと決意。勉強は得意なので中学受験をし、息子のことを誰も知らない環境で一から頑張ることにしました。入学が決まった中学校は、通級指導教室の先輩も通っている学校で、息子の特性のことも伝えてあります。息子は、4月から新しい環境で、素晴らしい友人に会えることを楽しみに、最後の小学校生活を頑張っています。これからも自分の特性と付き合いながら、それをも強みにして得意分野をたくさんつくってほしいです。Upload By ユーザー体験談イラスト/吉田いらこエピソード参考/カプゴジラ(コメント:鈴木先生より)ADHDの診断・治療は6歳になってからです。ASDとADHDはカードの表裏のように繋がっている場合が多く、就学前であっても親御さんやご本人が困っていれば療育や薬物療法で調整は可能です。早めに小児科の神経外来の受診をお勧めしています。医師でないと正確な病名を告知できないからです。しかし、今回のように、医師によっても知識や経験の差があるのは否めないので、ネットで調べて神経発達症の診断・治療に経験の多い専門医を選ぶといいでしょう。ただ、そういう先生の外来は混んでいてなかなか予約が入らないのが現状です。きちんと診断して適切なADHD治療を行えば自尊心は上がっていきます。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年02月25日アスペルガー症候群の夫、ユーマさんとの結婚生活からカサンドラ症候群になり、離婚したアコさんのお話です。夫のユーマさんはやさしくて真面目な人。しかしアコさんは、結婚後、息苦しさと孤独を感じるように。特に産後は、ユーマさんに育児の悩みを相談しても一緒に悩んでくれる様子が見られず、アコさんの心はどんどん離れていきました。そんなある日、娘のために発達障害の本を読んでいたところ、アコさんはユーマさんに症状が当てはまることに気が付きました。「もしかしてユーマは発達障害なのかも」と、アコさんは疑いをもつように。その後も、ユーマさん意思疎通がうまくできない日々が続き、アコさんは疲弊していきました。やがてアコさんは眠れなくなってしまって――!? 心療内科を受診した結果… ※誤)ミュニケーション→正)コミュニケーション ※誤)割り着ればいいんだよ!→正)割り切ればいいんだよ! ユーマさんはお願いごとは何でも聞いてくれましたが、アコさんにとって、意思疎通は難しいものでした。 たとえば、「子どもを見ていてね」とお願いすれば、本当に見ているだけ。絵具を床にぶちまけていても、子どもたちが絵具まみれになっていても何もしません。 またあるとき急いでいたアコさんは、「時計見て!」とユーマさんに言いました。時間を教えてほしかったのですが、ユーマさんは時計を見つめるのみ。 すべてを説明しなければ伝わらないことに、アコさんは疲弊してしまいます。 そんな日が続き、アコさんはある夜から、眠れなくなってしまいました。心の不調を感じたアコさんは、心療内科を受診。 診察の結果、「うつになる手前」ということでした。そして、「診断するとしたら今は不安障害で、ノイローゼの一種」だと医師は言いました。 思い当たる原因はあるかと医師に聞かれたアコさんは、夫であるユーマさんとコミュニケーションがうまくとれないこと、わかり合えないことなど、困っていることを伝えました。 深刻な悩みを打ち明けたアコさんでしたが、医師はあっけらかんと言いました。 「男なんてそんなもんだから割り切らないと! お金稼いできてくれる人って割り切ればいいんだよ!」 アコさんは、反論する気力も起こらず苦笑い……。 そして、医師に言われたことはきっと正しいのだろうと、信じるしかなかったのでした。 アコさんはこのとき、時間をかけて検査してもらった結果、うつではないことにはホッとしたと言います。けれども、医師に割り切るよう笑って言われたことはとてもショックだったに違いありません。悪気はなく励ましのつもりだったのかもしれませんが、ますますアコさんが、自分の考えがおかしいのではないかと、自分を責めたり、落ち込んだりしてしまいそうですね。 監修/助産師 松田玲子 作画:鳥頭ゆば 著者:マンガ家・イラストレーター アゴ山シングルマザーで2児の母です。自分の体験談や過去に出会ったヤバイ人たちの話などを書いてます。イラストは鳥頭ゆばさんに描いて頂いています。
2023年02月24日外出は苦難。だけどご近所さんにバーベキューに誘われて…ほぺろうは現在、特別支援学校に通う小学1年生。今でこそ経験を重ねて少しずつ改善してきたものの、もっと小さなころは場所見知りが壮絶で外出するのも苦難でした。一般的に子どもが喜びそうな場所やイベントに遊びに行くなんてとても無理。泣いて暴れて収拾がつかなくなり、逃げるように帰るのが常。ほぺろうが3歳のとき、良かれと思ってチャレンジした動物園も、遠路はるばるやって来て入園できたと思ったら大号泣!…結局、入園料だけ支払って即また遠路はるばる帰宅したという記憶があります。Upload By ぼさ子そんなほぺろうが就園し年中になったある日、私たち家族はご近所さんからバーベキューのお誘いを受けました。しかし、お誘いを受けてもほぺろうの事情で参加することは難しい。「子どもはみんな泣くもの。大丈夫!ほぺろう君 連れておいで~」と優しく言ってくださるが、ご近所さんが想像する「泣く」とほぺろうのものは絶対違う。みなさんを困惑させ迷惑をかけてしまうことが目に見えていたのでバーベキューをお断りしました。が、しかし…。ご近所さんを見送ったあと、私たち夫婦は自分たちの対応を思い出して落ち込みました。言葉で説明するのが難しいほぺろうの状態。親切で誘ってくれる相手から見たら、頑なに断るわが家の態度はワケが分からなかっただろうと。そんなつもりはないのに輪に入ることを拒絶しているように見えたのではないかと…。ご近所さんにほぺろうのことを口頭では説明していたけど、実際に様子を見てみないと障害の程度や事情は伝わりにくいのだと悟ったのと同時に、伝わらないままだと「ワケの分からない家族」として孤立してしまう気がして、それはほぺろうのために良くないと反省しました。Upload By ぼさ子ほぺろうを見てもらおうと決意した夫婦会議当時は、今よりさらにほぺろうの困りごとが激しかったので、人を避けたいという気持ちがなかったと言えばウソになります。でも、中途半端にほぺろうを人から遠ざけたままでは周囲から心配や誤解を招く可能性があると考え直しました。今後どうしていこうか夫婦で会議したときの夫の言葉が印象的でした。「ご近所さんにはちゃんとほぺろうを見てもらった方がいい。『自閉スペクトラム症があります』だけでは普通は伝わらない。どんな子どもか知ってもらった上で受け入れてくれる人がいればありがたいし、逆に抵抗のある人がいれば距離を置くように配慮しよう」「迷惑をかけるのは生きている限り避けられないだろう。でも、ご近所さんには知ってもらおう…」Upload By ぼさ子人への挨拶を大切にしてきた私たち夫婦ですが、ほぺろうの癇癪が酷くなってからというもの「迷惑かけないために」と ほぺろうを遠ざけるように即撤退することが多くなっていました。でも、ほかの場所ではそれで良くても、長期的に考えると『生活圏』でこのままの状態は良くない。なぜなら、人を避けてばかりだと不可解さで周りに不安を与えてしまい、その結果ほぺろうの印象が悪くなる可能性もある。保育園や学校は数年で卒業するけど家はずっと暮らす場所。ここで暮らしていくほぺろうのことを考えると、口で説明するだけではなく私も勇気を出してもっとほぺろうの様子をご近所さんに見てもらおうと思いました。これだけは!親子で頑張って参加する行事それからは、相変わらずお出掛け的なイベントには行かないわが家ですが、ゴミ拾いや花火大会など町内行事だけは積極的に家族で参加するようになりました。ほぺろうが場所見知り人見知りしてパニックになるのでご迷惑をお詫びしつつ途中リタイアがほとんどですが、5分だけでも顔を出すところから始めて、少しずつ滞在時間を延ばしていっています。Upload By ぼさ子自宅=生きていく場所ほぺろうを知ってもらうことで優遇してほしいとか可愛がってほしいとか、ましてや発達障害について勉強してほしいとかでは決してありません。ただ「こういう子どもなんだな~」とフンワリとでも思ってもらえたらありがたいのです。ほぺろうが生きていくための居場所とは…と考えたとき、「自宅」のウエイトは非常に重い。ほぺろうもご近所さんもお互いが気持ち良く暮らせるには?と思うと「少しでもほぺろうをオープンにすること」「親である私たち夫婦が周りに不安を与えない、話しかけやすい雰囲気をつくる」ことを心がけています。特別な行為ではありませんが、小さな積み重ねでほぺろうが社会の一員に加えてもらえたらと願って。ほぺろうが小学生になった現在、いまだに「ご近所さんに障害が十分伝わった」というワケではないし、理解を押しつけようとも思いません(逆の立場で考えてみても、難しさを感じます)。でも年月が経ち、最初は顔を出すだけでも大変だったほぺろうがご近所さんの顔を覚えてきて、相変わらずコミュニケーション取れないまでもリラックスしてその場にいられるようになってきました。夏に開催された花火大会では、小学1年生にしてやっと!最後まで泣かずにその場に居続けることができました。わが家に一番近いお宅の方は 泣き暴れの激しい時代からほぺろうのことを見てくれていました。ずいぶん騒音で迷惑をかけてしまったり心配させてしまったりしたはずなのに、「今日のほぺろう君、最後までいられてスゴイ!成長したね」「これからも一緒に楽しめたらうれしい」と言ってくださって、私は目頭が熱くなりました。ずっと見守っていてくださったんだなぁ…と感謝せずにいられません。Upload By ぼさ子執筆/ぼさ子(監修:新美先生より)場所見知り・人見知りが強かったり、多動・癇癪などが強いお子さんの場合、お子さんにつらい思いをさせたくない気持ち、目立ちたくない、とがめられたくない、そもそも大変すぎて疲れるという親の気持ち両面から、人が集まる場を避けるようになることはありますよね。そういう中で、ご夫婦で話し合い、地域の中で生きていくためにも、少しずつ慣れていこうと決めて出ていかれたというエピソードは大変に勉強になりました。ありがとうございます。おそらくご夫婦で話し合って決めて、協力して連れていかれたというところが鍵なのかなと思います。エピソードにあったような5分だけでも連れて行って、あとのお仕事はご主人に任せて子どもは奥さんが連れてささっと帰るというように、外担当と子ども担当をわけて協力されるのはいいなと思いました。そういったことを積み重ねて、お子さんもだんだん慣れて、ご近所さんにも知ってもらえるというのは理想ですね。余裕がないときはそこまでできないと思うこともあるかもしれませんが、ご家族で協力してできることであれば、地域に出ていくことも大事ですね。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年02月24日特別障害者手当をもらうには?申請方法や必要書類を解説特別障害者手当の対象は、20歳以上で身体または精神に重度の障害があり、常に特別な介護が必要な在宅で生活をしている人です。身体障害者手帳1、2級程度、または療育手帳1、2度程度の障害が重複している状態、もしくはこれらと同等の疾病・精神障害がある状態が目安といえます。手帳を持っていなくても申請できます。医師の診断書など申請書類にもとづき、自治体が認定します。基準は厚生労働省の「障害児福祉手当及び特別障害者手当の障害程度認定基準」に準じます。以下の方は申請できません。・20歳未満・医療機関に3ヶ月以上継続して入院している・施設等(グループホームは除く)に入所している成人年齢は18歳になりましたが、特別障害者手当の申請は20歳以上で変わりません。月額は27,980円で、障害の重さによる金額の差はなく、一律です(令和5年4月より。手当の額は、物価変動等により毎年見直される)。申請月の翌月分から支給されます。原則として毎年2月、5月、8月、11月にそれぞれの前月分までの3ヶ月分がまとめて振り込まれます。例:5月の支給額=2・3・4月の3ヶ月分83,940円住んでいる市区町村の福祉担当窓口で申請します。医師の診断書などは所定の用紙が必要なことがあるので、事前に窓口に問い合わせておくとよいでしょう。Upload By 発達障害のキホン受給中は施設への入所状況や入院状況などを伝える「現況届」を毎年8月に提出します。この手続きは8月以降も受給するために必要です。また障害の程度が変わることがある場合は通常1~5年の範囲の「有期認定」となります。その場合、再認定期月の約1カ月前に診断書などを再度提出します。提出期限前に市区町村から案内があります。特別障害者手当の注意点はありますか?所得制限や、障害年金をもらっている場合はどうなる?特別障害者手当には所得制限があり、本人の前年の所得が一定額を超える場合、または配偶者や扶養義務者の前年の所得が一定額以上の場合、特別障害者手当は支給されません。Upload By 発達障害のキホン障害年金は所得に算入されるので、所得が一定額を超えていなければ、両方をもらうことは可能です。障害がある子どもが対象の手当って何があるの?特別障害者手当は子どもは対象ではありません。障害がある20歳未満の子どもを育てる家庭が対象の手当には、「特別児童扶養手当」、本人が対象の「障害児福祉手当」があります。特別児童扶養手当特別児童扶養手当の対象となるのは、おおよそ身体障害者手帳1~3級(一部4級程度)、療育手帳A・B、愛の手帳1~3度程度の場合です。手帳を持っていなくても、障害や疾病により日常生活が困難で、常に介護が必要な場合は対象になります。特別児童扶養手当は、障害の程度によって支給額が変わります。1級は月53,700円、2級は月35,760円です(令和5年4月より)。支給されるのは4月、8月、11月の年3回で、それぞれ前月までの4ヶ月分が受給者(家族)の口座に振り込まれます。所得制限があり、受給者もしくはその配偶者、または扶養義務者の前年の所得により、支給されないことがあります。受給中は「現況届」を毎年8月に提出します。前年の所得とその年の6月1日時点の児童の養育状況(施設に入所しているか等)を報告します。この手続きは8月以降も受給するために必要です。障害児福祉手当障害児福祉手当の対象となるのは、身体障害者手帳1~2級、療育手帳A・B、愛の手帳1~2度程度です。手帳がなくても、同じぐらいの程度の障害があると認定されると対象となります。支給額は月15,220円です(令和5年4月より)。5月、8月、11月、2月にそれぞれ3ヶ月分ずつ障害児本人の口座に振り込まれます。支給制限があり、児童施設に祐書しているときや、本人や扶養義務者の所得が一定以上の場合は支給されません。このほかにも親に障害があったり、ひとり親の場合などに支給対象となる「児童扶養手当」や、各自治体独自の支援制度があります。まとめ特別障害者手当は、20歳以上の重度の障害がある方の日常生活における経済的負担を軽減するための制度です。該当するかどうか、住んでいる市区町村の福祉担当窓口に問い合わせてみましょう。申請には医師による診断書など、多数の書類が必要になるので、窓口で確認しましょう。
2023年02月23日「頭が大きい?」1歳半健診で指摘されて…Upload By べっこうあめアマミ妊娠中から出産時まで、何の異常もなくこの世に生まれた息子は、1歳までは何の発達の遅れも不安もなく、すくすく成長していきました。「あれ?」と思ったのは1歳を過ぎたころ。1歳半健診のチェック項目のほとんどに〇がつかないという事態に陥りました。そしてこのころから息子の発達の遅れが目立つようになっていき、私は大きな不安にかられるようになっていきました。そして迎えた1歳半健診。身体面に異常はなく、分かりやすい困りごともないけれど、明らかな発達の遅れがある息子。そして、頭位(頭の大きさ)が大きいことが気になるという指摘を受けたのです。そこで初めて聞いたのが、「水頭症の可能性」でした。水頭症は、脳脊髄液が頭の内側に過剰に溜まってしまう病気です。まだ頭蓋骨がやわらかく組み合わさっている状態の幼児期に水頭症があるお子さんは、内側からの圧力で頭蓋骨が押し広げられ、頭が大きくなるそうです。ただ、あくまで可能性というだけで、検査しなければ分からないとのことだったので、1歳児の脳のMRI検査ができる大きな病院に紹介状を書いてもらうことになりました。発達の遅れの理由は、発達障害や知的障害だけではないUpload By べっこうあめアマミ大人ならすぐに済ませられるMRI検査ですが、ずっと動きを止めていられない1歳児が受けるとなるとそうはいきません。親子で日帰り入院し、息子が自然に眠っているときか、眠らなければ薬で眠らせて検査する、少し大がかりな検査になります。当日うまく寝てくれるように睡眠時間を少なめにして連れて行ったため、息子は不機嫌で何度も大泣きしました。しかし幸い疲れて寝てしまい、無事に検査を受けることができました。そして検査の結果は異常なし。ここで、息子の発達の遅れの理由から、「水頭症」の可能性が消えました。しかし、発達の遅れの理由として考えられるものは、それだけではありません。耳が聞こえていなくてコミュニケーションがとれない可能性もありますし、主治医はほかの病気の可能性も考えてくれていたようです。脳のMRIのほかに、聞こえの検査と、全身の代謝の検査などをしました。しかしどの検査でも、息子に異常は見つかりませんでした。それでも目の前にいる息子には明らかな発達の遅れがある。そのため、息子の通院は、ここから「様子見」というような形で始まりました。ショックだけれど納得もできた、障害の診断Upload By べっこうあめアマミそれから2年と少し経った4歳のとき、息子に知的障害を伴う自閉スペクトラム症の診断が出ました。そのころには私もさすがに、「何もないということはないだろう」とは思っていましたが、いざ診断を告げられると大きなショックを受けました。何度も泣きましたし、すぐに障害を受容できたわけでもありません。しかし、2年間という長い期間息子を診続けてくれた主治医による診断であること。そして、発達障害や知的障害以外のあらゆる可能性を潰した上での診断ということで、障害名に対しての納得感はありました。もちろん、診断の直接的な材料となったのは発達検査です。しかし、最初から発達障害、知的障害という方向だけで発達の遅れを見る前に、それ以外の病気や聞こえの問題などがないか検査するのは大切なことだと思ったのです。万が一、治療可能な病気などがあったとしたら、早期に手を打たなかったことを後悔したでしょう。ところが息子の場合、身体のどこにも異常はないから治療はできない。それが息子の障害、「知的障害を伴う自閉症」だということに、大きなショックの中でも納得はできました。病院だけでなく、息子は2歳から療育にも通っていましたし、「診断までにやれることはやった感」が、後の私の心の整理には大事だったと思います。通い続けて6年、長く診てもらっている病院がある安心感Upload By べっこうあめアマミ息子のように、服薬がなく身体障害や病気などもないお子さんは、病院にかかるべき明確な理由がないかもしれません。もちろん、必要性がなければ特に通院しなくても全く問題ありません。しかし、息子のように発語がなくて、本人との意思疎通が難しい子どもの場合、定期的に通う病院があると、体調の変化なども相談できて親としては安心です。今後何か病気が見つかったり、服薬の必要性が出てきたときにも病院探しに困らずにすみます。そして、障害がある子どもを育てていると、何かと診断書が必要になる機会がありますが、かかりつけ医があると、診断書のお願いもスムーズです。息子の通院の期間は長いですが、頻度は3、4ヶ月に1回程度です。そんなに低頻度の通院に意味はあるのかと思われるかもしれませんが、長く通い続けている病院は、親にとって頼りになる存在です。きっかけがないとなかなか難しいかもしれませんが、子育てをする上でかかりつけ医があるメリットは大きいと感じています。病院も、できれば自分の子どもと同じような障害がある子どもが多く通っていて、さまざまな検査が可能な設備が整った病院が安心かもしれません。きっかけが脳の検査だったこともあり、息子が通っているのは精神科ではありませんが、発達障害による困りごとをより具体的に相談したい場合、児童精神科を受診するのも良いと思います。地域ごとに評判の良い病院などもあると思いますので、気になる方は、情報を集めて受診してみるのもいいかもしれません。執筆/べっこうあめアマミ(監修:藤井先生より)べっこうあめアマミさんの息子さんが、3−4ヶ月に1回定期的に通院しているのはとても良いと思います。私の勤めているクリニックにも、服薬などは必要ないけれど定期的に通院しているお子さんがたくさんいます。状態が安定している小学生や中学生は、長期休みに受診してくれています。そのたびに、お子さんの成長を一緒に楽しみ喜んでいます。当初はクリニックの診察室に入るのも嫌がっていたお子さんが、診察室に入れるようになり、一人で椅子に座れるように、聴診器も嫌がらずに当てられるようになり、と低頻度の受診でも徐々に慣れてきます。年度変わりで、学校の先生が変わっても、いつもと同じ病院やクリニックに同じ先生やスタッフがいるということで、安心して通えるというお声を聞くこともあります。お子さんの年齢が上がってくると、主治医が見つからないという声を聞くこともあります。べっこうあめアマミさんのように小児神経科に相談するのも良いですが、発達外来のある小児科、児童精神科、精神科などに相談してみましょう。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年02月23日民生委員・児童委員とは?どんなことをする人ですか。民生委員は、厚生労働大臣から委嘱され、各地域の障害のある人、高齢者、生活保護を受けている人、子育て世代、妊産婦、母子家庭、父子家庭などの世帯に対して住民の立場に立って相談に応じ、援助を行う人です。また、民生委員は児童委員の役割も兼ねており、民生委員法に基づいた非常勤の地方公務員という立場です。児童委員の役割は、その地域の子どもたちが健やかな生活を送れるよう、子どもたちを見守ったり、子育て中や妊娠中の保護者や母親の相談を受けたり、支援することです。児童に関することを専門的に担当する主任児童委員の指名を受けている児童委員もいます。民生委員制度の歴史は古く、1917年(大正6年)に岡山県で誕生した「済世顧問制度」が始まりといわれています。その後、1928年(昭和3年)に「方面委員制度」が全国に普及。そして、1946年(昭和21年)に民生委員令が交付されその名称が現在の民生委員に変更されたのです。民生委員、児童委員、そして主任児童委員は具体的にどのような活動をしているのかを解説します。参考:民生委員・児童委員について|厚生労働省民生委員の主な活動は以下の3点です。1. 地域住民の生活状態を必要に応じて把握する社会調査や、高齢者世帯への訪問や見守り活動を行う2. 援助を必要とする人が、その能力に応じた自立した生活を送れるよう、生活に関する相談を受け、それに基づいた助言や援助を行う3. 援助を必要とする人が、最も適切な支援を受けることができるよう、関係機関や施設などとも連携し調整を行う児童委員の主な活動は以下の3点です。1.地域の子どもたちや妊産婦に関わる福祉の増進を図るため、生活や環境把握をすると共に、そのような情報の提供や援助、指導などを行う2.見守りが必要な児童・家庭への援助を行う3.子どもの非行防止など、子どもの健やかな成長を促す生活環境の改善に努める主任児童委員の主な活動は以下の3点です。1.児童福祉関係機関、施設などと連絡を行う2.区域担当の児童委員への援助活動を行う3.支援を必要とする子どもや子育て家庭に対し、相談や支援を行う民生委員、そして児童委員は以下の3つの基本姿勢を守って活動しています。1.社会奉仕の精神をもって、社会福祉の増進に努めます2.民生委員・児童委員は、その活動を行うにあたって、個人の人格を尊重し、その身上に関する秘密を守ります。人種、信条、性別、社会的身分などで差別はしません3.職務上の地位を政党や政治目的に利用しません民生委員・児童委員になるには現在全国で約23万人の民生委員と児童委員が活動しています。それぞれが厚生労働大臣から委嘱された地域福祉を担うボランティアです。民生委員法第10条で「民生委員には給与を支給しないもの」と規定されており、民生委員や児童委員は無報酬で活動しています。よって、自分の仕事や子育てをしながら活動されている方も少なくないのです。その任期は3年と定められていますが、再任は可能となっています。また、民生委員や児童委員は地域の「相談役」や「つなぎ役」であり、専門職ではありません。よって、特別な資格や専門知識は不要です。ただし、プライバシーにも関わる相談を受けるため、守秘義務が課されています。民生委員や児童委員に資格は不要ですが、活動するにあたっては厚生労働大臣からの委嘱が必要です。その仕組みは、都道府県知事が市町村の民生委員推薦会から社会福祉に対する理解と熱意があり、地域の状況に精通していると推薦された者について、さらに地方社会福祉審議会の意見を聞いた厚生労働大臣が委嘱するという流れになります。児童福祉法第16条により、民生委員は、児童委員を兼任。また、主任児童委員は、児童委員のなかから厚生労働大臣が指名します。障害のある人、高齢者、生活保護、子育て世代、母子、父子家庭など、民生委員・児童委員と関わりのある人たち少子化や核家族化などの影響もあり、地域とのつながりが気薄になっている昨今。何か問題を抱えていても誰にも相談できずに、その問題をさらに根深いものにしてしまったり、その人自身が孤立してしまったりするケースが増えています。民生委員や児童委員は地域のなかで、誰にとっても身近な相談役。支援の網からこぼれずに生きていくために、何か問題を抱えたときには、民生委員との関わりを持っておくことも大切です。特に民生委員や児童委員と関わりが深いといわれるケースを紹介します。・障害がある人のいる世帯・高齢者世帯・生活保護を受けているなど生活に困窮している世帯・子どものいる世帯・妊産婦のいる世帯・母子、父子家庭・その他福祉に関わる問題を抱える世帯こう見ると、どれにも当てはまらないという世帯の方が少ないのではないでしょうか。誰にとっても福祉の面で困ったことが起きたときに頼れるのが民生委員・児童委員なのです。民生委員・児童委員への相談するには高齢者や障害者などへの支援が必要なとき、また子育てや介護の不安などの困りごとがあるときは、地域の民生委員や児童委員に相談することが可能です。相談があるときは、お住まいの市区町村へ問い合わせをすると民生委員や児童委員につないでもらえます。また、民生委員や児童委員についてもっと詳しく知りたいという場合も市区町村にお問合せください。漠然と“相談”と言われても、どんなことを相談したら良いのか、また相談した先にはどんなことが待っているのかなど想像できないという方がほとんどでしょう。その疑問を解決するためにも、どんなふうに地域で民生委員や児童委員の存在が活用されているのかを紹介します。障害や病気、介護の悩み、妊娠や子育て、また経済的な悩みなど生活上のさまざまな相談を受けつけるのが民生委員・児童委員の役割です。でも、ただ単に相談を聞くだけではなく、必要に応じて行政を始めとする専門機関につないだり、適切な福祉サービスを受けられるまでをしっかりとサポートしています。一人暮らし高齢者や高齢者夫婦世帯などを定期的に訪問し、相談にのったり、健康状態の確認をするほか、詐欺などの犯罪被害防止の啓発なども行っています。市町村によっては、赤ちゃんが生まれた家庭を訪問して、子育て支援サービスなどを周知することも。また、災害が起きたときに要配慮者がいる世帯を把握することにもつとめています。地域のなかで、誰もが孤立することがないよう、居場所づくりなどを目的としたサロン事業にも民生委員や児童委員が取り組んでいるのです。高齢者や子育て中の親、障害児を育てる親、また誰でも参加できるものなど、さまざまなターゲットに向けたサロンがあり、それぞれに特徴があります。※地域ごとに開催されているサロンは異なりますので、参加希望の方は市区町村への問い合わせが必要です。子どもたちを交通事故や犯罪から守るために、登下校時に通学路での見守りなどを行っている民生委員や児童委員もいます。夏休みなどの長期休暇の前には、小学校や中学校の先生と意見交換を行い、休み中の安全な過ごし方について周知することも。また、行政や警察、消防などとも協力して、災害が起きたときの要配慮者の避難支援態勢の整備などを行うこともあります。学校や子育て支援センター、保健所、児童館などとも協力しながら、子どもたちはもちろん、子どもを育てる保護者をサポートするほか、地域が行う子供向けのイベントや事業に協力することもあります。民生委員とトラブルになった場合は?誰にとっても身近な相談役であり、味方である民生委員や児童委員ですが、なかにはトラブルになるというケースもあるようです。トラブルの大きな部分を占めるのが、相談の内容が民生委員や児童委員が対応できないことであったというものです。・お金を貸すこと・子どもの一時預かり・保証人になること・近隣トラブルの仲裁・鍵や通帳、遺言状の預かり・医療行為に関する同意・身体介助、家事補助・各種証明証の発行上記に関しては、民生委員や児童委員の活動外となっていますが、近年こういった本来取り扱えない事例の相談が増えています。それが「解決してもらえると期待したのに、だめだった」とトラブルにつながることがあるのです。ただし、適切な相談をした場合でも、支援につなげてもらえなかったケースなどは、各市区町村の福祉課など、民生委員や児童委員を管轄する部署への問い合わせが必要です。誰一人、支援の網から取りこぼさないようにするために民生委員・児童委員は、地域全体を見守り、誰一人支援の網から取りこぼさないようにするために活動しています。子育てや介護、また経済面などで心配ごとを抱えたときには民生委員や児童委員に相談すると良いでしょう。民生委員・児童委員には守秘義務があるので、他人に知られたくないことでも、安心して相談することができます。「こんなこと相談してもいいのだろうか」と尻込みしてしまうこともあるかもしれませんが、そんな相談を受け止めてくれるのが民生委員・児童委員です。福祉面で困りごとを抱えているという方はまずは市区町村に連絡をして、民生委員・児童委員を頼ってみていはいかがでしょうか。解決の糸口を見つける一歩になるかもしれません。
2023年02月22日自閉症娘、1歳の誕生日を境にいきなり偏食に娘のまゆみには自閉スペクトラム症と知的障害の診断がついています。離乳食が始まった生後5ヶ月ごろはなんでもよく食べてくれたので特に気にすることもなく離乳食をあげていましたが、生後8ヶ月ごろになると突然ベビーフードを一切受けつけなくなりました。それでも手づくりすれば肉も野菜も食べてくれていたのですが、1歳の誕生日を迎えた直後から特定のものしか食べてくれなくなり、「なんで急に?」「栄養が偏ってしまうのでは?」と不安に駆られました。Upload By にれまゆみの食べてくれるものを探る日々「もしかすると味の好みが出てきて、今までの食事には満足しなくなったのかもしれない」と思った私は、とにかくまゆみの食べられるものを探してさまざまなメニューを試してみることにしました。レトルトやベビーフードは完全拒否なのでイチからつくるのですが、元々あまり料理が得意ではない私はかなり頑張らないといけませんでした。いろいろ試行錯誤する中、手づくりのチキンナゲットなら食べてくれることが分かり、一番心配だった「タンパク質不足」の問題は少し和らぎました。しかし、四苦八苦してつくった料理は一口も食べられずに残されることがほとんどで、段々と精神的につらくなってしまい…頑張ってつくっていた料理も品数が減っていき、そのうち白米とチキンナゲットに果物を添えただけの「まゆみ定食」がわが家の定番になりました。市の栄養士さんにも相談しましたが、「今は食事の楽しさを教えたい時期なので、無理に食べさせる必要はない」という回答。少しホッとはしたものの、栄養の偏りを心配する私の不安は解消されず、「どうしたらお肉や魚を食べてくれるの?」と悶々とした日々が続きました。2歳、食べられるものに変化が。きっかけはファーストフードのフライドポテト2歳過ぎになり、出掛けた先で食べたファーストフード店のフライドポテトを何気なくまゆみに渡してみたときのことです。なんと、まゆみが「もっともっと」と手振りでおねだりをしてきたのです。それを機に、家で揚げたポテトも食べてくれるようになりました。「どこまでがまゆみの許容範囲なのか?」を見極めたくなった私は、皮つきのままのくし型ポテトや、小判状にしたハッシュドポテトや、青のりで「のり塩味」にしたポテトをまゆみに出してみましたが、どれも気にせずパクパク食べている様子を見て「ジャガイモを使えばいろいろ食べられるかも!」と希望が膨れ上がりました。マッシュポテトにいろいろ混ぜ込んでみては「まゆみが妥協して食べてくれるライン」を探っていった結果、チーズ・ホウレン草・シラス・栄養補助粉末を練りこんで揚げ焼きにした『特製ポテトお焼き』が誕生しました。「これさえ食べてくれれば少し気がラク」というメニューができて、うれしいというよりもホッとした気持ちになったのを覚えています。Upload By にれ2歳10ヶ月、食事に関する勉強を始めてまゆみに自閉スペクトラム症と知的障害の診断がついたことをきっかけに、食育についてちゃんと学びたいと思った私は乳幼児食指導士の資格を取りました。食事環境や栄養バランスの大切さを学び、発達障害児の偏食に対してもアプローチ方法を学ぼうといくつかの本で知識を得た中、まゆみに有効な方法が3つありました。1.熱々のまま出すこと、2.素材別に分けて出すこと、3.調理に参加させてみることです。Upload By にれ1については、思えばまゆみは冷めたものは食べようとしない子どもでした。これまではうどんを食べている途中でも麺が熱くなくなったら席を立っていましたが、冷めた時点でもう一度温めると食事を再開してくれるようになりました。2、3は根本が同じところから来ているようで、まゆみは料理の成り立ちについて自分の中で納得がいくと食べやすくなるようでした。それまで「手の込んだ料理ほど食べないのはなぜ?」と不思議に思っていたのですが、一品の中に多く素材が使われている料理は元の素材がイメージしづらいために、まゆみの目には「得体のしれないもの」と映っていたのかもしれません。今でも食べられないものの方が多いですが、素材別に分けて盛ったり、一緒に料理をすることで「元の素材が何か」が分かって食べてくれやすくなりました。3歳、お弁当を持って療育へ行くようになってさらに変化がまゆみが3歳になるころ、単独通所の療育に通い始めました。お弁当を持っていき、先生がマンツーマンでついてくださって一緒にお昼を食べるのですが、療育先からお弁当づくりで出された条件が2つありました。1.食べきれる量であること、2.本人の苦手なものを何か一品入れることです。1は完食して褒められることが達成感につながり食事に前向きになるため、2は自宅外で母親以外の人と食事することで食べられるようになる食材があるかもしれないため、との理由です。また、苦手なものを選ぶポイントは、「絶対にこれは嫌いだろう」というものではなく、「食べず嫌いで敬遠しているけれど味は気に入るかもしれない」というラインのおかずを選ぶことです。先生方の頑張りと、まゆみ自身の頑張りによって、通い始めた当初よりも食べられるおかずが増え、4歳になった今ではお弁当に持たせるとハンバーグ、焼き魚、お好み焼き、煮物、ピーマン、ミニトマト、枝豆なども食べてくれるようになりました。中にはかなり苦戦するものもあるようですが、先生に励まされるとまゆみも頑張って口に入れてくれるそうです。偏食について思うことUpload By にれ一時はまゆみの健康を思ってノイローゼ気味になるほど悩んだ偏食問題ですが、発達障害のある子どもは何かしらの理由があって食べられないものがあるということを知り、今は「野菜を食べないなら果物からビタミンを取ればいい」「肉を食べないなら唯一食べられる焼き鮭でタンパク質を補えばいい」とゆるく考えるようになりました。不思議なことに、そう考え始めてからの方がブロッコリーやキュウリ、焼き鯖やマグロカツ、エビフライなど食べられるものの幅が広がりました。食べないだろうと決めつけず、また無理に食べさせようともせず、「食卓に出ているものを期待せずすすめる」というスタンスにして私も肩の力が抜けたのが良かったのかもしれません。親が手を加えることで食べられない理由が解消されて食べられるようになるものならラッキーで、まゆみは基本的に食べないものは食べないのです。食べられる食材が増えてきた今だからこそそう思えるのかもしれませんが、偏食についてはまゆみの「食べたい」「食べたくない」に寄り添いつつ、「これもどう?」とゆるくすすめ続けていきたいと思います。執筆/にれ(監修:初川先生より)偏食をめぐるにれさんの奮闘の歴史をありがとうございます。お子さんの偏食に悩む保護者の方は多くいらっしゃることと思います。研究の歴史を読んでいるのかと思うほどに整理され、なんと素敵な試行錯誤なのだろうかと思いました。にれさんほどには実験的に突き詰めて考えることはなかなかできずとも、トライアンドエラーをするにあたっての着眼点や親としての心構えなど、参考になったと思われる方も多いのではないでしょうか(私もなるほどと思いながら読みました)。ASD(自閉スペクトラム症)のあるお子さんですと、口の中の食感が混ざっているとそれを気持ち悪いと感じる場合がある(だから混ぜご飯やサンドイッチは、一緒に一口で口に入れるより、それぞれ食べたほうが食べやすい)など、さまざまな経験則や知見も蓄積されてきていますね。調理した挙句に、知らない姿で出てくるよりも、その過程を見せてあげると安心して口に運べるというのも、見通しがないと行動しづらいという特性的な面との整合性もあり、いかにしてお子さんが安心して食べるかが大事であるんだなと感じます。頑張ってつくった食事を食べてくれないのは、そこに他意はないと分かっていても、保護者としてはつらくなりますね。「食べられないものがある」、ただそれだけで、それ以上に過剰な意味づけをせず(例 「お母さんのことが好きじゃないから食べたくない」のではない)、お子さんの食行動の育ちを見守っていただければと思います。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年02月22日アスペルガー症候群の夫、ユーマさんとの結婚生活からカサンドラ症候群になり、離婚したアコさんのお話です。夫のユーマさんはやさしくて真面目な人でした。しかしアコさんは、結婚後、息苦しさと孤独を感じるように。とくに産後は、育児の悩みを相談しても一緒に悩んでくれる様子が見られず、アコさんの心はどんどん離れていきました。友人に相談しても、みな、「頼めばなんでもやってくれるのにぜいたくだ」などと言って、アコさんの、夫とわかり合えないつらさを理解してくれる人はいませんでした。ある日アコさんは、「お願いだから何か言ってよ! 私はユーマの意見が聞きたいの!」と泣いて訴えました。しかしユーマさんは黙ったまま……。アコさんはこうして、期待しては落ち込むを繰り返していました。 また別の日のこと。アコさんは、娘のために買った発達障害の本を読んでいました。すると、気になることが……。 もしかして夫は発達障害…? ※誤)クレーン減少→正)クレーン現象※クレーン現象とは、子どもが何かをしてほしいときに、相手の手を引っ張ってやりたいことを達成しようとする動作のことで、他人に対する要求手段とされています。指差しや言語が出てくると自然になくなると言われています。発達障害がある子どもに多いとされていますが、発達に問題がなくても見られます。 娘のしずくちゃんは、「自閉症スペクトラムのグレーゾーン」という診断が出ているため、アコさんはこの日、以前に買った発達障害の本をもう1度しっかり読むことにしました。 するとアコさんは、本に書かれていることが気になり始めました。 「受け身すぎる」「表情や話しぶりなどから相手の気持ちをくみ取ることができない」「空気が読めない」「自分のやり方への強い固執」「興味や関心の極端な方より」「的外れなことを言ったりする」 これらは、ユーマさんにあてはまる気がしたのです。 「まさか、そんな……」と思いつつ、でも、発達障害だと考えると、今までのユーマさんの行動が、すべて腑に落ちていきます。 もしかしてユーマも発達障害なの……? そして本を読み進めて次の文章を読んだ瞬間、アコさんは凍り付きました。 「分かり合えることが難しい」 ユーマさんとわかり合いたくて、これまで必死だったアコさん。絶望感に襲われてしまうのでした。 今なら本に書かれていることがすべてではないと思うアコさんですが、当時は、書いてあることがすべて正しいと思い込み、ショックを受けたそうです。アコさんと同じ境遇で、SNSでこのマンガを読んだ方からは、本の内容に同意する苦悩の声もあれば、「相手が発達障害であることがわかってからは付き合いやすくなった」というコメントも届いていました。いつかユーマさんとわかり合えると希望を持って、これまで頑張ってきたアコさん。少しでもわかり合えることを願わずにはいられません。 監修/助産師 松田玲子 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 作画:鳥頭ゆば 著者:マンガ家・イラストレーター アゴ山シングルマザーで2児の母です。自分の体験談や過去に出会ったヤバイ人たちの話などを書いてます。イラストは鳥頭ゆばさんに描いて頂いています。
2023年02月21日数字好き息子、そろばんに興味をもって…自閉スペクトラム症のあるけんとは、自分の興味のあることにはとことんのめりこむ子どもです。中でも数字は特別大好き。社会面、運動面などに苦手さを抱えていますが、数字に関することは、親もビックリするほどの理解力をもっています。Upload By ゆきみ年中の夏ころ、買い物へ行くと、そろばん教室が新規オープンキャンペーンを行っていました。大きなそろばんが置いてあり、興味を示したけんと。数字が好きだし、そろばんを習うのもいいかもな、と以前から親心で思ってはいましたが、構音障害があり、表出言語が苦手でほぼ単語。座って授業が受けられるのかも心配だったので母としてはあきらめていました。でも本人が「やりたい」とのことだったので話を伺ってみることに。そこは超少人数制の教室。もしかしたらできるかも…と思い、自閉スペクトラム症があることを伝え、教室の了解を得て、試しに入会することにしました。5歳という年齢もあったのか、最初はそろばんを使わず、数字を書いたり、楽しく数字と遊ぶという内容でした。数ヶ月ほとがたつと、けんとが「もっと難しいのがやりたいんだ!」と先生にアピールをするように。先生が試しに…と、そろばんを教えてくださると、スラスラできるようになり、年長で、ほぼ満点で4級を取得。本人もうれしそうでした。急にやる気が低下!負のスパイラルに…Upload By ゆきみところが、3級のお勉強が始まると、間違えることが急に増え、本人のやる気が落ちてきました。間違えることが増えた理由を考えてみると…1.級が進むにつれ、桁数が増えた。視覚的に目で追うのが難しくなり、どこの計算をしているのか分からなくなっている様子だった2.そろばんに慣れ、ものすごいスピードで珠を弾くようになったけれど、手先がとても不器用なので、弾き間違えることが増えた3.書字が苦手。桁が増えるにつれ枠の中に数字を書けずはみ出し、さらに字もグチャっと書いてしまうことにより、読めずに×になってしまうこともあった4.すごいスピードで問題を解くので時間が余るが、こだわりから見直しをしない。ゆっくりやることもしない…などです。けんとの特性と、そろばんが合っていないかも…と思うように。正解率が下がった結果、集中力が続かなくなり、モチベーションも下がり、負のループにはまってしまった気がしました。すると、授業中の立ち歩きが多くなったり、「疲れたから休む」と全然やらなくなったりと、先生が困っている様子になってきたので、私がサポートで同席させていただくことにしました。好きを大切にしたいと決意、現在はアプリで…母が同席し、授業で今からやることの見通しをたて、視覚支援を取り入れました。立ち歩きが減り、座って授業を受けられるようになりましたが、相変わらず正解率は上がらず、モチベーションは低いまま。Upload By ゆきみけんとが昇級試験に受かりたいというのでやっていましたが、あまりのやる気のない態度にイラついてしまい、私もキツク当たってしまうことが続きました。このままでは、けんとが「そろばんを嫌いになってしまう」と思い、小学校1年生の夏、本人と相談をしてやめることにしました。調べてみると、暗算のそろばんアプリ(有料)があることを知りました。けんとに教えたところ「やりたい!」とキラキラ目を輝かせ、毎日のように「やりたい!」と言ってくるようになったので、試しにやってみることに。アプリなので教室に通う必要もなく、私が見ていなくても自分のペースでできるので、私のイライラがゼロ。現在も楽しそうにやっています。もしも、また本人が「そろばん3級取りたい」と言ってきたら、そのときはそろばんを始めようと思っています。小学1年生、現在はプログラミングに…年長の終りころ、タイピングに興味をもったけんと。試しにやってみると、はまって遊ぶようになりました。不器用なので、なかなか上手く指を動かせませんでしたが、楽しかったようで自ら練習を重ねる日々。5ヶ月くらいがたったころ、指を上手に動かせるようになってきました。すると、小学1年生の夏ころ、今度はとあるプログラミングアプリを自分で発見し、「このプログラミングがやりたい!」と言うようになりました。最初は「まだ早いのかな?」と思っていましたが、あまりにも本人のやる気がすごかったので、そのプログラミングアプリを使うプログラミング教室へ習うことにしました。Upload By ゆきみこちらはオンラインで先生に教えてもらっています。プログラミングでステージごとのミッションをクリアするという内容のアプリなので、ゲーム性があり、けんとにとってはとても楽しい様子。やる気があるので上達も早く…私はすでについていけていません。練習を重ねたタイピングもプログラミングに活かせているようです。やる気があふれると、誰にも止められないほどの情熱を爆発させる子なので、その想いを大切にしながら、興味関心を示したものをこれからもサポートしていきたいと思っています。執筆/ゆきみ(監修:鈴木先生より)何でも興味があるものから「まず始めること」が大切です。一方で、最後までやり続けるのは難しく、ピアノやスイミングを途中でやめたりした経験がある人も多いと思います。数字に興味のあるお子さんは2~3歳でもマンションのエレベーターのボタンで覚えてしまうこともあります。プログラミングは私のクリニックへ来ている患者さんにも人気で、習い事で通っておられるお子さんも多いです。そういうお子さんは将来、情報工学系を希望する傾向があります。最終的に自分の興味があった仕事ができればいいのではないでしょうか。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年02月21日発達障害の専門家が出会った子どもたちや、その保護者の抱えていたリアルな「困った!」をもとに、対応策などをドキュメントタッチで解説します。今回は、特別支援学校高等部に通う自閉スペクトラム症のある子どもの保護者が抱く、将来への不安にまつわるエピソードです。「卒業後が心配…」特別支援学校に通う自閉スペクトラム症(ASD)のある子どもの保護者Upload By 専門家体験談Upload By 専門家体験談Upload By 専門家体験談マンガ/カタバミ解説:特別支援学校卒業後の進路を検討する上で、「障害者手帳」「障害基礎年金」「家族会」がポイントに今回は、自閉スペクトラム症(ASD)のある子どもの特別支援学校高等部卒業後の就労や親なきあとを心配する保護者のエピソードをもとにマンガ化してお届けしました。このケースのように、特別支援学校卒業後の進路として就職を考えている場合は、一般就労(一般雇用または障害者雇用)や福祉的就労(就労継続支援A型または就労継続支援B型)について、事前に確認しておくことが大切です。そのほか、手帳の取得や障害基礎年金の受給についても調べておくと良いでしょう。ポイント1.知的障害がなく療育手帳を取得していない場合精神障害者保健福祉手帳を取得できる可能性があります。一般雇用だけでなく、障害者雇用枠に応募ができるなど可能性が広がりますので、一度かかりつけ医に相談してみることをおすすめします。ポイント2.障害基礎年金の受給について障害の状態などの受給要件が定められているため、「初診日や障害の状態を証明できる診断書」「障害者手帳」などを持って、年金事務所や市区町村の担当窓口で相談できます。なお、障害基礎年金における障害要件(障害等級)とは、障害の状態を分けたもので重いものから1級・2級・3級となり、1級・2級に該当すると障害基礎年金の受給が認められます。なお、この場合の障害等級とは、労災保険の障害年金のものとは違うものです。ポイント3.「家族会」に参加し情報交換をする「家族会」では、同じような悩みを持つ保護者のみなさんと交流し、情報交換をすることができます。一度探してみてはいかがでしょうか。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年02月20日話すのは好きですが、言葉に詰まってしまうことも多いコウですUpload By 丸山さとこASDがあるコウは、オープンクエスチョンに答えたり言いたいことをまとめたりするのが苦手です。自分の思ったことやその背景を説明しようとすると「あの、えっと…それでさ?えーと…」と言葉に詰まることは珍しくありません。そんな彼ですが、小学校高学年あたりになると『発言の意図や背景を読むのが苦手なコウ』に慣れてきた同級生も現れ始め、会話の中でつまずくことがあっても周囲のサポートを受けられることも増えてきました。そのため、普段の生活の中であれば大きな困りごとは目立ちません。ですが、先生への連絡や相談など『言いたいことを明確にして相手に伝えなければならない状況』ではコミュニケーションがスムーズにいかず困ることもしばしばです。そんなコウですが、人に対して緊張することは特にないと言います。言う言葉が決まっていれば「言いたかったことを言えなくて悩む」などの困りごともないそうです。「単純に何て言ったらいいか分からなくて困る」とのことで、コウとしても『何とかできたらいいな』と思ってはいるものの中々難しいようでした。会話が苦手なコウに少し変化が…?そんな風に会話が苦手なコウでしたが、最近は診察や面談など苦手な状況でもスムーズに話せることが急に増えてきました。理由はいろいろあると思いますが、その一つはオンライン英会話だったのではないかと思います。コウは3ヶ月ほど前からオンライン英会話を始めたのですが、最初のころは「英語は得意なはずなのに、なぜ…?」と首を傾げたくなるほど散々な状態でした。Upload By 丸山さとこ何回か聞いていると、決まった型を練習したり読み上げたりするときはスムーズにできるものの、フリートークや予定にない質問に対して固まってしまっているようでした。「先生の言葉の意味は分かったが、何と答えればよいか分からない」という状況に固まってしまったコウは、先生にヒントを求めることもできません。その様子は『日常生活で会話に詰まっているときのコウ』そのままの姿で、「会話する能力っていろいろなところで必要になるのだな」と改めて感じました。そんなコウを見ていた夫が「これは英語力というよりも会話力だね…」と言うのを聞いて、私も「そうなんだろうな」と思いました。Upload By 丸山さとこそんなコウと会話しながら、先生の方も「言っていることは通じているっぽいのに黙ってしまうコウ」に対してどうすればよいか少し戸惑っているようでした。そんな状態のレッスンを数回続けたコウは、「英語勉強したのに、全然話せない…」と落ち込んでしまいました。すっかり自信をなくしてしまったコウを見て「無理をする必要はないけれど、このまま英会話に苦手意識を持って終わるだけではもったいないかな?」と思った私は、以下のような返答のパターンをコウに提案してみました。・言われたことが分からないときは、「もう一度お願いします」「どういう意味ですか?」と聞いてみるのはどう?・すぐに答えられないときは、「少し待ってください」って言ってから考えると、先生も安心できるしコウも落ち着いて考えられるかも。・それでも分からなかったときは、「分かりません」ってそのまま言ってみよう。これらの提案を聞いた、コウは「それいいね!」と喜んで採用しました。そして、自分からも「〇〇って言い方はどうかな?」といくつか返答のパターンを考えて紙にメモしていきました。Upload By 丸山さとこその後、実際にそれらの返答パターンを使って会話を進められるようになったコウは、何と答えていいか分からないときも軽く「分かりません」と流せるようになりました。そんなコウの様子を見て、先生も「OK、じゃぁこれはどう?」と違う聞き方や話題に移りやすくなったようでした。傍目から見ても会話が弾むようになり、コウは「今日もいろいろ話せたよ!楽しかった!」とレッスンを終えることが増えてきました。今では「次のフリートークでは先生にこれを聞いてみたい!」とオンライン英会話を楽しみにするようになったコウは、多少会話に詰まることがあっても「次はこうやって話そうかな?」と凹まずに対策を考えるようになってきました。「無理強いすることにならないように、ほどほどのところで『しばらくお休み』も提案した方がいいかな?」と内心ソワソワしながら様子を見ていた私だったので、英会話を楽しんでいるコウの様子を見てホッと胸をなでおろしました。好きなことは力をくれるし、きっかけになる(こともある)今回コウがオンライン英会話によって会話へ前向きに取り組めるようになったのは、まず彼にとって英語がそもそも『好きで得意なもの』だからなのだろうなと思います。よく言われることですが、『好きなこと』は力になるのだなぁと改めて実感しました。Upload By 丸山さとこまた、それと同時に「好きなことをエネルギーやきっかけにして頑張らせようと思ったら、頑張って疲れきった上に好きなことまで失くしてしまった」というパターンも起こりえるのだろうなと思いました。今回はたまたま上手くいきましたが、頑張ったけど上手くいかなかった経験により、英語が『好きなもの』から一転『苦痛なもの』になってしまう可能性も十分にあっただろうと思います。コウは、得意なことでも少しつまずいただけで「やらなきゃよかった…」と絶望して投げ出しやすい傾向があります。今回もオンライン英会話を始めるにあたって「思ったより難航したら英語嫌いになるかもしれないな~」と思いながら機会を提供したところはありました。Upload By 丸山さとこ英語に対してある程度の自信と向上心(上達したいという意欲)があったからこそ自発的に取り組めたのだろうと考えると、これを安易な『成功エピソード』として捉えた私や夫が2匹目のどじょうを狙ったところで、上手くはいかないだろうなと思います。これからも、新しいことに挑戦したコウが「好きな気持ち」と「上手くいかなくてつらい気持ち」の板挟みになることはたくさんあるのだろうと思います。そんなときは『もう少し頑張ったら何とかなりそうなのにな』という私の欲でコウの板挟みをギュウギュウと強めてしまわないよう、少し遠くから応援しつつ彼の凹みや葛藤を見守っていけるといいのかもしれません。その中で『上手くいかないコウの絶望モード』に巻き込まれそうになったら、そのときはちょっと離れたところから「好きなことに挑戦するのはいいことだと思うよ」「それができたコウは凄いと私は思っているよ」と伝えていきたいです。Upload By 丸山さとこ執筆/丸山さとこ(監修:鈴木先生より)自閉スペクトラム症の患者さんには具体的に話すことが必要です。「最近の調子はどう?」よりも「最近の学校の調子はどう?」、さらに「最近の学校の英語の授業はどう?」と言う方が分かりやすいのです。「それ取って」よりも「テーブルの上の赤いペンを取って」の方が伝わりやすいのです。聞く方も気をつけなければなりません。従って、最近はやりの「自学の宿題」も苦手になります。「英語ドリルの1ページの5番から10番までやりましょう」と言ってあげた方ができるのです。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年02月20日多動だった太郎Upload By まゆん太郎が3歳のころの保育参加。太郎は教室内での催しの際、いきなり教室を1人飛び出して大好きなお兄ちゃんがいる年長クラスへ駆け出した。その行動は注意したからといっておさまるものではないとすぐに分かった。根本的に周りの状況を理解していないのが分かった。私は一応太郎のあとを追いかけたが、私にとめられるような多動ではなかった。その後、なんとか教室へ戻って来た太郎。だが。固まる太郎Upload By まゆん次は保護者と子どもがペアになりスキンシップをとりながら運動をするという時間があった。私のところに太郎が来ないので私はポツンと座っていた。太郎はというと長机の下に隠れて黙って教室のみんなを見ていた。呼んでも、手招きしても出てこない。私とも目を合わさない。ずっと教室にいるたくさんの人をみていた。そしてそのまま固まって動かなかった。そんなとき、私の膝に保護者が保育参加に来ていない園児が座りに来た。それでも太郎は私のことを見向きもしない。Upload By まゆんつらかった。なぜつらかったのだろうか。明らかに周りと違う太郎をまだ受け入れられていなかったのかもしれない。周りとの違いを目の当たりにし衝撃を受けたのは事実であった。そして「ひとり」を感じる私がいるのに、私の存在がないかのような様子の太郎を見るのもきつかった。あまりにもつらく、当時夫に「保育参加に一緒に参加してほしい」と言ったが、夫は1度も参加することはなかった。さらに「ひとり」を感じた。Upload By まゆん感情があふれた瞬間保育参加は4ヶ月に1回ほど行なわれていた。別の保育参加の日も、太郎は変わらず自分のペースで動いていた。もうつらくて私も呆然としていた。そのとき。「太郎ちゃんママ、大丈夫?」声を掛けてくれたのはママ友だった。誰にもこのつらさを伝えられてなかったのにママ友は気づいてくれた。自分の子どもが可愛いくて、夢中で見ていたいはずなのに私のことを気にかけてくれた。Upload By まゆんそんな声かけに一気に涙があふれた。「大丈夫じゃない」「だよね、つらいよね」Upload By まゆん太郎は4歳のときに、自閉スペクトラム症の診断がおりました。3歳のころは「発達障害ではないか」という不安を感じていたものの診断前だったので周りの人にも伝えられておらず、というかまだママ友らしき人もほぼいない状態だったので相談する相手もいませんでした。みんな働いている保護者だったこと、交流の場が少なかったことも要因だったと思います。今回の「大丈夫!?」の声かけは忘れられない言葉の一つです。この一言は私をいっきに癒すものとなりました。「ひとり」を感じて、自分でもわけが分からなくなっている感情を表に出させてくれたものとなりました。その後、保護者との交流も自然と増えていき太郎について理解をしてもらうきっかけが多くなりました。そうなることで私の気持ちも楽になり、保育参加へのつらさも次第に軽減されていきました。保育参加へのつらさの原因はなんだったのか…今振り返ってみると、ほかの園児と違う行動をする太郎をどんな風にみたらいいのか分かからなかったからだと思います。どんな風に対応したらいいのか悩みました。保護者として「おちついて」と注意しなければという問題でもないし、でも周りは「なんであのお母さん自分の子どもなのに注意しないの?」なんて思われてないだろうかとか。太郎を見る目、周りの目、いろいろと悩む時期でした。(執筆/まゆん)(監修:藤井先生より)ママ友からの問いかけに「大丈夫じゃない」と言ったまゆんさんの言葉は、悩んでいるまゆんさんのSOSだったのかもしれませんね。そこから、少しずつほかの保護者さんとの交流も増え、保育参加のつらさも軽減されてよかったですね。保育参加、運動会見学、お遊戯会を見るのがつらいという相談は発達外来でもよく聞かれます。周りからどう見られているかという不安、パートナーが一緒に育児をしてくれない寂しさ、子どもの特性を受け入れいれられない自己嫌悪など、さまざまな感情が混ざっていて、親御さん自身でもどうしたら良いのか分からないということもあると思います。今回はママ友と話すことをきっかけに、感情を表に出すことができ、ご自身の気持ちの整理が少しついたのかもしれませんね。パートナー、友人、園の先生、療育先のスタッフ、主治医などに、お子さんを見ていてつらいことを話すことで、親御さん自身の気持ちが整理できて、一歩前に進むことができることがあります。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年02月20日パニック障害の治し方、治療期間の目安、処方される薬は?パニック障害(パニック症)は、突然理由もなく動悸やめまい、発汗、息苦しさ、吐き気、手足の震えなどのパニック発作を起こし、自分ではコントロールできないほどの恐怖を感じる精神疾患で、完治までには数ヶ月~数年ほどかかると言われています。パニック障害の治療を受けるまでの流れと対処法、治療期間の目安を解説します。1.問診など不安の度合い、日常生活や仕事など、またどのように育ってきたか(成育歴)を質問し、情報はカウンセリングなどの治療に生かします(守秘義務に基づく)。2.体の病気がないか調べる内科的な検査をして異常がないか、脳波や脳の画像検査を行う場合もあります。3.問診・パニック発作の確定発作ではどんな症状があらわれたか、どんな状況で起こったか、発作の前後の状況などを詳しく聞いて「パニック発作の診断基準」と照らし合わせ、確定診断を行います。4.パニック障害の診断パニック発作の確定診断があれば、次は「パニック障害の診断基準」と照らし合わせます。「症状が1ヶ月以上ある」「予期不安がある」などを調べ、場合によってはほかの不安障害などによらないか調べることも必要になります。5.広場恐怖の有無「広場恐怖の診断基準」に照らして、広場恐怖があるかどうか調べ、あれば治療法を検討します。Upload By マンガで分かる発達障害のキホンカウンセリングなどを中心とした精神療法と共にストレスへの対処を中心に治療します。特に、支持療法を中心に行うことが多いです。支持療法とは、医師や心理士が本人の話を聞いて、医師や心理士と信頼関係を築きながら、自尊心や自信、適応力を身につけていくことを目指す治療法です。そのほかにも補助的に認知行動療法などを取り入れる場合があります。パニック障害に処方される薬にはパニック発作を抑える抗うつ剤と精神を安定させる抗不安剤があります。パニック障害の症状には、ほとんどの種類の抗うつ薬が有効であると言われています。アルプラゾラムなどの抗不安剤(ベンゾジアゼピン系薬剤)は、抗うつ薬と比べてすぐに効果があらわれやすい特徴がありますが、薬物依存になる可能性があるほか、副作用として眠気、協調運動障害、記憶障害、反応の鈍化などが起こりやすくなると言われています。薬物療法により発作が起こらなくなったり、発作が起こる回数をかなり抑えられることがあります。しかし、平行して精神療法を行わず服薬のみになってしまうと「薬があると安心(逆にいえば、薬がないと不安)」で薬が手放せない状況に陥り、根本的な改善を妨げることがあります。また服薬を止めてしまうとパニック発作が再発することも多く、長期間の服用と平行して精神療法を行うことが必要になります。Upload By マンガで分かる発達障害のキホンパニック障害の症状は理由がなく不意に起こることから、すぐさま救急車を呼ばなければならないという気持ちになってしまうかもしれません。しかし、一般的に発作は10分以内にピークになり、数分で治まります。■パニック発作が起きたときの対処法・ゆっくりと息を吸って、ゆっくりと息を吐くことを意識して呼吸を整える・衣類が窮屈な場合は緩める・室内や車内のときは、窓を開けるなどして外の空気を入れるなど自分に合っている対応を見つけることが重要です。リラックスしたイメージをする、飴を舐めるなど落ち着くことができる方法を見つけられるとよいでしょう。周囲の人は突然の発作に驚くかもしれませんが、慌てずに本人がゆっくりと呼吸ができるように安心させ、症状が落ち着くのを待つことが大切です。■日常生活で気をつけることパニック障害と付き合う上では、生活上のストレスをなるべく減らし、規則正しい生活を送ることが大切です。人間関係だけではなく、過労や睡眠不足もストレスの原因となります。回復をあせらないようにしましょう。また、コーヒーなどのカフェインを摂取しすぎることも悪化の要因になることがあります。適度な量にとどめておくとよいでしょう。発作が治まってもすぐに治療が終了するわけではありません。また服薬をしている場合、急に服薬などを止めると、再発する可能性もあります。治療をどのように、どの程度継続していくかは、必ずかかりつけの医師に相談し、独断で治療を中止しないようにしましょう。Upload By マンガで分かる発達障害のキホンパニック障害と併存症パニック障害は、不安障害(特に広場恐怖症)、双極性障害、うつ病などと併存することがあります。この章では、広場恐怖症、双極性障害、うつ病との関わりを解説します。広場恐怖症とは、大きな不安に襲われたときに「すぐに逃げられないかもしれない」「誰も助けてくれないかもしれない」と強い恐怖を抱き、その状況を回避しようとする精神疾患です。広場恐怖症を発症する前にパニック障害を発症している人が多くいることが分かっています。双極性障害とそのほかの精神疾患が併存することは多く、特にパニック発作を併発することが多くあります。調査によって併存する割合にばらつきはありますが、パニック障害とうつ病を併存することがあることが分かっています。パニック障害と発達障害との関わりASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠如・多動症)の併存症としてパニック障害を含む不安障害の症状があらわれる場合があります。また、厚労省の調査では、大人になってから発達障害があることが分かったという人が多くいることが分かりました。自身に発達障害があることに気がつかないまま生きづらさを抱え、二次障害としてパニック障害を併発することがあります。参考:成人期発達障害者の生活実態に関する調査 〜全国の発達障害者支援センターの新規相談者の1202例の分析〜|厚生労働省パニック障害は完治する?自力で治せる?医師に聞いてみましたA:パニック障害は早期に適切な治療を行えば完治することも多いので、心療内科、精神科などに相談することが大切です。薬物治療に加えて精神療法の併用が重要だということが分かっています。A:パニック障害は医師にかからずそのまま放置をして完治するものではありません。そのまま放置をしたり、気合いで乗り越えようという対応は、逆に症状の悪化や慢性化を引き起こしてしまいます。パニック障害は治療が遅れやすいので「もしかして…」と思ったら早期の専門家への相談をしてみましょう。Upload By マンガで分かる発達障害のキホンパニック障害の治療には周囲の理解も必要ですパニック障害とは、突然の動悸やめまい、発汗と共に恐怖を感じ、いつ次の発作が起きるかという不安を伴う精神疾患です。ほかの精神疾患との併存や、発達障害の二次障害として発症することもあります。パニック障害は適切な治療をすれば完治することが分かっています。もしかしてパニック障害かもしれないと思ったら、医療機関などに相談しましょう。また、パニック障害の治療には周囲の理解も必要です。周囲の人たちは、完治を焦らせずに、長い目で見守りながらサポートしていきましょう。参考:パニック障害・不安障害 | 厚生労働省イラスト/にれコラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年02月19日「なんでうちの子が発達障害なんだろう……」。息子の発達障害という現実をなかなか受け入れることができずに苦しむばよさんでしたが、ひとまず療育相談センターへタロちゃんを連れて行き、検査やトレーニングをおこないました。その後、小学校入学するにあたって「通常級」か「支援級」か、葛藤することに。ばよさんの答えは……?! 「誰のため…?」 療育相談センターは市の施設で、平日しかやっていませんでした。もし仕事が平日休みじゃなかったら、どうしていたんだろう……。会社辞めていたのかな??などとたまに過去の自分に思いをはせます。 ひとたび気持ちがストンと決まり、ご近所の仲良いママたちに何もかもすっかり打ち明けたら、気持ちが軽くなってオープンマインドになれました。何をあんなに私は悩んでいたんだ?とすら思えます。 市の教育委員会による就学相談会が開催され、特別支援級が望ましいとの通知を受けます。 「できれば通常級に入れてやりたい……」と悩みましたが、「一番大事なことはなんだ?」と改めて考え直したばよさん。 「タロに合ってるんだからいいじゃん」 ストンと気持ちが決まりました。 仲の良いママたちにも打ち明けることができ、気持ちが軽くなってよかったですね! 監修/助産師 松田玲子 著者:マンガ家・イラストレーター 星河ばよ
2023年02月17日落ち着きのない息子。3歳児健診で多動症疑いと言われて…。1歳になる前から落ち着きのなさが気になっていた息子。3歳児健診で保健師さんに相談してみたら、多動症の疑いはあるものの、身体面や言語面には特に遅れが見られなかったため「まずは幼稚園に入ってから、しばらく様子を見ましょう」と言われました。幼稚園はのびのびした自由保育のところを選んだのですが、息子が集団生活に馴染めるのかとても不安でした。そして迎えた幼稚園の入園式。泣いている子や写真撮影のときにウロウロする子もいたので、「目立つのは息子だけじゃない」と少しホッとしました。しかしすぐに現実の厳しさを思い知ることに…。脱走、癇癪、お友達トラブルで幼稚園から毎日電話!幼稚園生活が始まると、先生から毎日のように電話がかかってくるようになりました。教室から脱走、自由遊びの時間が切り上げられず癇癪、お友達とのトラブル…。2学期にはついに、息子の対応に手が掛かるせいでほかのお子さんの保育に影響が出てきてしまい、加配の先生が息子につくことになりました。そのうち幼稚園をやめてくださいと言われてしまうんじゃないかと思っていたので、ショックを受けるより、ほっとした気持ちが大きかったです。そして、私は「このままではいけない」とすぐさま発達支援センターに連絡を取りました。息子は運良くすぐに療育に通えることになりました。Upload By ユーザー体験談加配の先生、幼稚園への対応に感謝…私にできる恩返しは?息子のために新たに先生を増やして対応してくれた幼稚園には感謝しかありませんでした。加配の先生との相性も良く、息子は幼稚園に行きしぶりもなく通うことができていました。そんなある日、息子が幼稚園から来年度の父母会役員募集のお手紙を持って帰ってきました。まだ乳児だった下の子の世話もあり忙しい時期ではあったのですが、お世話になりっぱなしの幼稚園に何か恩返しをしなくては…と思い、思い切って父母会役員に立候補することに!Upload By ユーザー体験談実は当時、ほかのお母さんたちは息子のことをどう思っているのだろう…と密かに気になっていました。いま住んでいる地域へは産後引っ越してきたので、息子に加配の先生がついたことや、療育に通っていることを話すような間柄のママ友もおらず、しかもコロナ禍ということもあり、そもそも会う機会がほとんどありませんでした。もしかしたら私が把握しているよりもずっと、息子がクラスの友達にたくさん迷惑を掛けているかも、嫌な思いをさせてしまっているかもしれない…。その反面、「父母会役員やる余裕があるなら、もっとちゃんと自分の子どもを見てよ!」って思われないかな…?という不安もありました。父母会に入ってみると…驚きの事実判明!しかし、実際に父母会に入り、仕事が始まると、驚きの事実が判明…!なんと私以外の父母会役員の中に、お子さんに特性がある人が複数いたのです。お互いに子どもの発達に悩みを抱えていることが分かり、父母会の集まりに行っては愚痴や悩みを言い合う時間がいい息抜きに。「迷惑をかけている分、恩返しをしなくては」という義務感から引き受けた父母会活動でしたが、いつの間にか楽しみにさえなっていました。息子の園での様子も間近で見ることができて、以前より先生と気軽に話せるようになったことも大きな収穫でした。また、父母会活動を頑張ることで、幼稚園やほかの保護者に対する心苦しさも少し軽くなったような気がしていましたUpload By ユーザー体験談父母会で得られた繋がりは小学校が離れた今でも続き…その後、父母会活動がきっかけとなり、一人悶々と悩んでいた時間が嘘のように、役員以外のママ達にも気軽に息子の発達に関する話ができるようになりました。すると表面上は何も困っていなさそうに見えたママさんから「実はウチも悩んでてね…」と、相談を受けることも。また、息子はコミュニケーションが一方的になりがちで、同年代の子どもと遊ぶのが苦手なので、幼稚園のお友達と降園後に遊ぶことはそれまで一度もなかったのですが、父母会役員を一緒にやったママたちとは、休日に子連れで遊ぶほど仲良くなることができました。Upload By ユーザー体験談現在、息子は幼稚園を卒園し、地元公立小学校の特別支援学級に在籍しています。幼稚園で仲がよかったお友達とは校区が違うので小学校は離れ離れになってしまいましたが、幼稚園の父母会で得られた繋がりは切れることなく、今でも交流が続いています。つくづく、あのとき思い切って役員を引き受けて良かった…と思っている私は、来年また今度は小学校のPTA役員をやる予定です(笑)イラスト/SAKURAエピソード参考/あかクレヨン(監修:鈴木先生より)話の分かるママ友同士で今でも交流が続いていることは大変素晴らしいと思います。父母会の一つ上の段階に地域の親の会があります。いずれそういった組織とも繋がると、いろいろな情報が入ってきて子育ての役に立つことが多くなると思います。ただ、気をつけなければいけないのは、PTA役員に多くの時間を取られると、どうしてもお子さんと向き合う時間が減ってしまうことがよくあります。なるべくお子さんとのコミュニケーションを大事にしつつPTA役員をやることが重要だと思われます。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年02月17日息子に対する家族の反応Upload By まる私の実の母親は病気で15年ほど前に亡くなっている。父は再婚し、兄は結婚して子どもが2人いる。息子に発達障害があると分かる前から離婚騒動でものすごく心配をかけていたので、今度は発達障害で心配させるのか…と正直申し訳なかった。ただ「子どもに発達障害がありました」と言って拒絶してくる家族ではないという自信はあったので、初めて発達の相談に行ったほうがいいと言われたときも迷わず2人に連絡を入れた。「やっぱり発達に関して違和感があるから相談に行ったほうがいいって言われたよ」に対しても『あぁそうなんだ、そういうのは早く動いたほうがいいもんね』くらいの返信だったと思う。実際に自閉スペクトラム症、知的障害の診断がおりた際にもすぐに伝えたが嫌な反応は返ってこず、父は「リュウが楽しく生きられるならそれでいいよ」と言ってくれた。はじめは父も兄も発達障害に関する知識も何もないため、療育にさえ通えば、息子の発達の遅れはいずれ定型発達の子どもに追いつくと思っていたようだ。最近になって「これはそういうものではない」ということが分かったようだが、変わらずかわいがってくれている。母が生きていたら同じようにすごくかわいがってくれただろうなと思い、よく息子を仏壇の前へ行かせて顔を見せている。祖父と息子Upload By まる父はまだ仕事へ出ているためなかなか予定が合わず、息子と一緒に出かけることがあまりできていない。週に一度仕事の都合でわが家に寄る日があるので、そのときにタイミングが合えば息子と会えるのだが、毎回「◯◯日に行くけどリュウはいる?」と聞いてくるほど孫はかわいいようだ。だいたい午前中に療育がある日に寄ってくれるのでそのときに会えることが多いのだが、息子もその流れが分かってきたようで、療育から帰りながら「ジィジ(と会える)」とうれしそうにつぶやいている。言葉が出始めて喜んでいた時期、父が来るといつも着ているはんてんが家に置いてあるのだが、それを指差して「ジィジ」と言ったときはとても驚いたのを覚えている。最近は私の真似をして「ジィジノハンテン!」まで言えるようになった。父は子どもと遊ぶというよりは、ただそばでニコニコ見守っているだけの人なのだが、膝に乗って一緒に動画を見たり、歩くときはジィジと手をつなぐなど仲がいいようだ。叔父と息子Upload By まる兄は少し離れたところに住んでいるのでしょっちゅう会うことはないが、たまに家族ぐるみで遊んでくれる。車で私と息子2人だとこういうところは行けないだろうというところに(車じゃないと行けない山などの自然)一緒に連れて行っていろいろと経験させてくれることもあるので、とてもありがたい存在だ。ひとり親で親子で性別が違う際の困りごとの一つが温泉だと思う。息子は体格がいいがまだおむつのため、私と一緒に温泉や銭湯に行くことができないまま終わりそうなので、そのうち息子が理解できるようになったら温泉の入り方を教えてあげてほしいと兄に頼んでいる。ちなみに兄はUFOキャッチャーが趣味で、いつも景品で息子の好きなキャラクターものを大量にお土産として持ってきてくれるので、息子も大喜びで懐いている。祖父の家でお正月に気づいた息子の成長Upload By まる元日に父の家におじゃました。父は再婚しているので奥さんとそちらのお孫さん(息子より少し年上のお姉ちゃん)がいて、ありがたいことに息子とよく遊んでくれた。シャボン玉をやりに外へ行こうということになり支度を始めたのだが、一人でゆっくりしてていいよと言ってもらえたので、お言葉に甘えて私は一人、家に残りゴロゴロさせてもらった。最高の正月だ。シャボン玉は家でもたまにやっていたが、飽きっぽいのとうまく吹けないので用意してもすぐに遊ばなくなってしまうため最近やらせていなかった。そもそも吹き口に口をつけてフーッと吹くことができなかったのだ。そんな事情もあったのと、ママがいない状態ではすぐに帰ると言うだろうなぁと思い、テレビを見ながらぼーっと待っていたが意外となかなか帰ってこない。ウトウト待っている間に軽く昼寝ができてしまった。帰ってきたみんなからの「リュウちゃんシャボン玉吹けてたよ」の言葉は新年初の驚きだった。今まで風車を買ったりピロピロ笛を買ったりいろいろ試したが全然「吹く」ことができず、口が閉じなくていまだにヨダレが出ていることと関係があるんじゃないかと悩むことも多かった。できないことを無理にやらせても、こちらの気持ちが沈むだけなのでシャボン玉から遠ざかっていたのだ。あんなにあのとき悩んでいたのに急にできるようになっているんだな…しかしいまだにヨダレは垂れ続けている。それから今はシャボン玉ブーム到来。実はまだ毎回フーッと上手に息を吹くことは難しいようで、ブーッと唾を飛ばしながらのときも多いのだが、できることがうれしいようでシャボン玉を一生懸命フーフーして喜んでいる。執筆/まる(監修:初川先生より)まるさんのお父さん、お兄さんとの素敵な関係、リュウくんとの良い関係についてのエピソードをありがとうございます。シングルで子育てされていると親子関係で煮詰まってしまったり、お子さんが異性だと扱えない話題もあったりするかなと想像しますが、お父さん、お兄さんとの良い関係がとてもあたたかく、リュウくんにとっても良き間柄なのだなと伝わってきました。リュウくん、シャボン玉吹けるようになって良かったですね!そして、まるさんもつかの間の休息を取ることができたようで何よりです。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年02月17日多動が落ち着いてきた4歳ごろ。しかしまだまだ困りごとが…しのくんは小さいころから、スーパーに買い物に行っては、いきなり走り出したり、外食に行っても席を立って脱走したりと、落ち着きが全くありませんでした。そんなしのくんですが、4歳を過ぎた辺りから、徐々に自分の気持ちをコントロールできるようになってきて、いきなり走り出すとか、外食に行っても席から脱走することはなくなりました。しかし…自分の「したいこと」「やりたいこと」を途中で切り上げることに関しては、まだ難しい状態でした。特に悩まされたのは、「自転車の練習」と「公園遊び」でした。「おしまい」ができず癇癪4歳の誕生日に祖父母から自転車を買ってもらったしのくんは、自転車の練習が大好きでした。もちろん補助輪をつけて自転車の練習をするのですが、まだ走りが安定しておらずフラフラと倒れるかもしれないので、私はしのくんが運転する自転車のすぐ横で走ります。走って走って走りまくって、家に帰ろうと促しても帰らないと駄々をこねられます。なので、また走って走って走りまくります。私の方が先に限界を迎え、最終的にはしのくんを抱き抱え、自転車も持って帰ります。Upload By keiko毎回ヘトヘトになることが目に見えているため、しのくんの自転車の練習に付き合うのには覚悟が必要でした。公園遊びも同様で、しのくんのペースに合わせると私の方が先に体力がなくなり、最終的には帰りたくないと癇癪を起こして暴れるしのくんを抱き抱えて帰ります。遊びはどうやって切り上げる?母の苦肉の策は…そんなある日、いつものようにしのくんが自転車の練習から帰らないと駄々をこねているときのことです。私はそういえばしのくんが前からほしがっていたおもちゃをまだ渡してなかったことを思い出しました。そこで、帰らないと駄々をこねているしのくんに、「あ!そういえば、新しいおもちゃ買ったよ!お家に帰ったら遊べるよ」と言ってみました。すると、今まで帰らないと駄々をこねていたしのくんが、「え?新しいおもちゃ!?」と食いつき、ピタッと暴れるのをやめたのです。その後、すんなり私の言うことを聞いて、家に無事帰ることができました。Upload By keiko思い切ってご褒美システムを導入。その結果は…このことに感動した私は、これを機に思い切って「ご褒美システム」を導入してみることにしました!困ったときのために、常に新しいおもちゃをいくつかストックし、しのくんが何かを我慢できたときにご褒美として渡すことにしたのです。この方法はしのくんにぴったりハマり、駄々をこねたり癇癪を起こして暴れることが激減しました。ご褒美システムのおかげで「我慢すれば何かいいことがある」ということを学んだようで、未来のうれしいことのために、今やりたいことを我慢することができるようになったしのくん。ご褒美システムを導入したときは、おもちゃがもらえないと我慢できないようになるのでは?という不安もありましたが、結果として我慢の経験を積んだおかげか、なんと4歳10ヶ月の現在は、たとえご褒美がなくても「まだやりたいこと」「まだしたいこと」を切り上げることができるようになりました。Upload By keikoこれからも困りごとは出てくるかと思いますが、その都度いろいろな方法を試して試行錯誤しながら、しのくんの成長を見守っていきたいと思います。執筆/keiko(監修:新美先生より)遊びに夢中になっているときに、おしまいにするのが難しいということ、よくありますよね。行動の切り替えが難しいとき、事前に予告をする、切り替えののりしろの時間に余裕を持たせる、あと〇回などを視覚化して伝えるなどの方法もありますが、今回エピソードを聞かせていただいたように、ご褒美を使うというのも分かりやすい方法の一つだと思います。今夢中になっている行動が終わった次に注意が向けられることがポイントです。ご褒美はおもちゃ、おやつ、シール、あそびなど、続いても大丈夫な範囲で設定するとよいですね。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年02月16日療育をすすめられ、ショックを受けているばよさんの気持ちを思いやることもなく、矢継ぎ早に決断を迫る主任保育士の態度に堪忍袋の緒が切れた!その場で判断せずに夫と帰宅したものの、その後数カ月にわたって夜眠れなくなってしまったばよさん。「長男が発達障害」という現実を受け入れるのにかかった時間は……? いろいろな感情が押し寄せる日々… あの面談のあと、なかなか眠れなくなりました。ショックと怒りでめらめらと……。 心は置いてけぼりでしたが、タロの成長に関わる大事なことだからと療育相談センターに行きました。 面談からどれくらい経っていたかな。遅くとも面談の翌月にはセンターに向かったと記憶しています。 悲しみ、自責、ショック、否定、成長への希望……現実を受け入れるのに2年かかりました。 いろいろな感情が大波、小波、津波のように次から次に押し寄せた2年でした。 同じように面談で子どものことを言われたママ友と情報を共有したり交換したことで、本当に救われました。 「なんでうちの子が発達障害なんだろう……」 なかなか受け入れることができずに苦しむばよさんでしたが、ひとまず療育相談センターへタロちゃんを連れて行き、検査やトレーニングをおこないました。 そして、同じように面談で子どものことを言われたママ友とつらい気持ちや情報を共有しました。 監修/助産師 松田玲子 著者:マンガ家・イラストレーター 星河ばよ
2023年02月16日いろんな配慮や工夫がある療育園の発表会本番当日、私はPに私が見ていると気づかれないように、帽子をかぶりマスクをして観覧することにしました。なぜならこのころのPには母子分離不安があったので、私の姿を見ると発表会の途中に私のところへ来てしまう可能性があったからです。療育園にはPのほかにもそのようなお子さんが多いので、親御さんたちが隠れながら舞台発表を見られるようにと、目隠しのための衝立を置いてくれていたり、別室からも舞台を見られるようにしてくれていたりなど、さまざまな配慮がありました。療育園の発表会は、子どもたち1人ひとりが自分のできることを発表するような形で行われていました。返事ができる子、着替えができる子など、自分の出番になったら舞台の上で挑戦し、発表を見せてくれました。Upload By みん障害があるわが子にも発表できることはある?Pの出番になったとき、まずは泣かないか?そしてパニックになって、逃走しないか?など、私は心配でたまりませんでした。案の定、舞台に上がったPは観客の多さに気づくと、一瞬固まって困惑した表情をしていました。でも担任の先生に導かれると、そのまま進んでいきました。Pの発表は、先生が名前を呼んだら、先生の持っているタンバリンを叩いてお返事するという簡単なものでした。「ハイ」とは言えませんでしたが、ちゃんとタンバリンを叩くことができました。Upload By みんその後は舞台の上に残り、観客に背を向けてしゃがみこんでしまったPですが、泣きもせず、舞台から逃げもせず、自分なりに発表会に参加できている姿を見て、私は十分満足していました。そしてクラス全員の出番が終わると、発表会終盤はみんなで一緒に歌やダンスの披露があったのですが、Pは歌も歌えないし、ダンスもできません。すると途中で舞台から降り、観客席に紛れ込んでクラスのみんなの発表を1人で鑑賞するという行動をとっていました。発表会というよりは、本人はただ自由に動き回っていただけなのかもしれませんが、初めての発表会に参加できただけでも頑張ったと思います。Upload By みん発表会なのに自由に動き回ってしまったけれど…Pは踊ることも歌うこともできないし、台詞を言ったり、楽器を演奏したりすることも難しくてできません。でも先生は今のPができることで、発表会に参加ができるように考えて準備をしてくれました。おかげでPも初めて舞台に立つという経験をし「発表会」という空気を知ることができました。それにPはその場を自由に楽しむことで発表会に対して悪いイメージを持たずに終われたと思います。参加をしただけでも、この経験が次の発表会へとつながり、そして年々できる発表も増えて行くはず!と思えました。実際次の年、また次の年と、毎年発表会はあったのですが、今年は衣装が着れるようになった。今年は簡単なダンスなら踊れるようになった。今年はマイクを持って自分の名前を言えるようになった。など年々できることが増えています。Upload By みん障害のある子どもにとって発表会は、どうしても参加が難しい場面があるかもしれません。でもそんな中でも自分ができることをやってみて、みんなと一緒に同じ時間を共有し、経験を積み重ねることに意味があるような気がします。そしてその場にいる人たちみんなで、その子どものペースを見守れるような暖かい雰囲気の発表会が増えると良いなと思います。執筆/みん(監修:新美先生より)発達障害のあるお子さんにとって、園の発表会はドキドキのイベントですね。ご紹介いただいたエピソードは、療育園ということでお子さんに無理なく参加できるよう工夫がされていて、親子ともども良い経験になったようでとてもよかったです。大事にしたいのは、お子さんがいやな思いをせずに参加できることですね。そのためには事前の準備が大事です。お子さんに無理のない参加形態、お子さんが興味が持ちやすい内容、スケジュールなど見通しを示す、いつも慣れている先生についてもらえる、本人がいやになったらいつでも別行動がとれるようにしてもらうなど、普段の様子から想定して、できる準備はとってもらいましょう。そして、みんさんが書いてくださったように、「みんなでその子どものペースを見守れるような温かい雰囲気」があると、安心して参加できますね。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年02月16日産後直後の一番の悩みは「哺乳問題」きいちゃんには 21番目の染色体が通常よりも1本多い「ダウン症候群」という疾患があり、いろいろな合併症を持って生まれてきました。(心房中隔欠損症、動脈管開存症、甲状腺機能低下症、などなど…)生後7日目に「ダウン症の疑いがある」と告知を受けてから、遺伝子検査、そしてこの合併症を見てもらうために病院通いが始まったのです。産後直後の私にとって、実は一番の悩みは合併症の一つの「低緊張」からくる哺乳問題でした。低緊張とは、筋力が通常よりも弱いことを意味します。なので、ダウン症のある赤ちゃんは、通常の赤ちゃんよりも肌も筋肉も柔らかく、力がありません。顔の筋肉も例外ではなく、それゆえに母乳を吸う力がなかったり、哺乳瓶のミルクでさえもなかなか飲めなかったりします。最初、まだダウン症と告知をされていなかったとき、なかなかきいちゃんが母乳が飲めないでいるのを、私が不器用なせいで上手くきいちゃんにミルクを飲ませられないんだと自分を責めていました。通常2回で終わる母乳教室を、自ら志願して、退院まで何回も繰り返し通ったりしていました。(今思い出しても目頭が熱く…(泣))Upload By 星きのこ言うまでもなく、赤ちゃんがミルクを飲めないというのは生死に関わる大問題です。産院から退院するときも、特別に産院用の一番吸い口が柔らかい哺乳瓶をいただき、「とにかくミルクを飲ませて大きくしてあげるように」と医師から言われました。ところが…やはり哺乳力が弱く、なかなかミルクを飲めないきいちゃん。規定の量を飲ませるのになんと毎回1時間かかっていました。しかもよせばいいのに、そのころネット検索魔になり果てていた私は(障害児母あるある…)どこかで「ダウン症のある子どもには母乳がいい」という記事を見つけて、無理やりきいちゃんに母乳を飲ませようとしたり、母乳が枯れないように毎回、搾乳をしていました。さらに哺乳瓶を煮沸したりしなければいけないので、かかる時間がもう1時間プラスで合計2時間!!新生児の授乳は3時間ごとなので、1時間後にはもう次の授乳時間がやってきてしまいます。それでなくても途切れ途切れの睡眠なのに、こうなると睡眠時間が完全に足りず、私の身体は疲労MAX。疲れが出て、産後1ヶ月もしないうちに膀胱炎になってしまいました。あのときの私に言ってあげたい…ミルクでもダウン症のある子どもは元気に育つよ!!と…!Upload By 星きのこでもあのころの私は、障害の告知を受けたばかりのショック状態だったので、きいちゃんの身体が少しでも良くなるなら、何でもしてあげたいと必死だったのです。話を私の身体に戻します。産後1ヶ月未満で膀胱炎になった私は、自分の代わりにきいちゃんを見ていてくれる人もいなかったので、近所のクリニックに新生児のきいちゃんを連れて駆け込みました。(膀胱炎になった方は分かると思うのですが、お腹痛くて地獄ですよね~汗)受付で看護師さんに、膀胱炎の検査のために、検尿をしてくださいと検尿のコップを渡されました。「え…いや、ちょっと待って、きいちゃんを抱っこしたまま検尿するの!?それはかなり難易度が高すぎる!!」と思った私は、検尿する間だけきいちゃんを預かってもらうことはできないか看護師さんにお願いしました。すると、看護師さんは、Upload By 星きのこ…と断られてしまったのです…。はい、きいちゃんを横抱っこしたまま検尿頑張りましたよ、私…。Upload By 星きのこ晴れて?尿検査で膀胱炎と確定し、医師に薬をもらい、会計して帰るとき、先ほどの看護師さんから…Upload By 星きのことこれまた無表情で言い放たれました。はい、すっごく大変でしたよ…!あなたが手伝ってくれなかったから…!とつい思ってしまいました…。この病院の規則で預かってもらえなかったのかもしれませんが、たとえそうだったとしても、断るときにもう少し優しさを見せてもらえれば私もそこまでショックを受けなかったと思うのです。心身ともに弱っていたときに、医療者である看護師さんに冷たくあしらわれた経験は、今も記憶に鮮明に残っています。その後、バネ指になったり、骨盤が歪んで?左足をひきずるようになったり、まだまだ自分の病院通いで大変なことになってしまったのですが、それにまつわるエピソードはまた別の機会で書ければと思います。執筆/星きのこ(監修:鈴木先生より)大きな病院であれば看護助手という方が面倒を見てくれることが多いです。それでもダメな場合は受付の事務クラークさんが代行することもあります。きいちゃんを預かってくれなかった看護師さんにも事情があったのかもしれませんが、このような場合には、規則とは無関係に預かってくれる看護師さんは多いのではないかと思います。ただ、預かってくれたとしても筋の緊張が弱いダウン症のあるお子さんを抱っこするには大変だったかもしれません。緊張の弱いお子さんはフロッピーインファントと呼ばれ、体がふにゃふにゃしていて柔らかいのが特徴です。だからなおさら、お母さんが生後1ヶ月のきいちゃんを一人で横抱っこしながら検尿できたことは神業に値します。緊張が弱いため哺乳力も弱いのです。また、もう少し成長したあとでも、緊張の弱いお子さんを抱っこするときはこちらがしっかりと抱えなければ、ずり落ちてしまう危険性があります。 緊張が弱いため、しっかりとつかまってくれないからです。誰かに預けるときには、そういった説明をひとこと言ってから預けたほうが無難かもしれませんね。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年02月15日言葉が増えない息子・万策尽きる「言葉が遅いだけ。様子を見ましょう」と診断されたスバルですが2歳になっても2歳半になっても言葉が増える気配がなく、様子を見守ったまま3歳目前になりました。絵本もたくさん読みましたが言葉が増えないままひらがなが読めるようになりました。2人きりの家の中でもたくさん話しかけました。会話はできないものの意思の疎通ができるようになってしまってお互いに不自由なく生活できるようになりました。刺激を求めてプレ幼稚園に入園しました。言葉が増えるどころか言葉とは関係ない部分での困りごとが浮き彫りになり、ほかの親子が母子分離通園になる中、私とスバルだけが母子同伴通園を続けていました。ゆっくりでも前進してくれれば…と思っていましたが、前進どころかもはや迷子です。そのころには「スバルには発達障害があるかもしれない」と考えるようになっていましたが、検査で「言葉が遅いだけ」と診断された事実から「言葉が出たら全てが良い方に変わるかも」というほんの少しの期待が捨てきれずにいました。とにかく思いつく限りの行動はしましたがなかなか言葉が増えません。プレ幼稚園という最大の刺激にもビクともせずマイペースなスバルに万策尽き、にっちもさっちも行かない状況に全てが苦しくなってしまいました。「スバルのために環境を変えてみるのも良いかな」なんて言い訳しながら、自分の心のために1ヶ月ほど実家へ帰省することにしました。環境を変えてみようと実家へ私の実家は車では10時間、新幹線と電車とバスを乗り継ぐと6時間かかる遠方なので、スバルが生まれてからはなかなか帰省できずにいました。スバルはじっとしていないタイプですが、乗り物全般が大好きで1時間くらいなら静かに座っていられるので今回の帰省は移動時間が1時間ちょっとの飛行機にしました。スバルが飽きて動き出さないようにリュックサックに車の本やカタログを詰め込みました。その甲斐あってスバルは車のカタログを読みながら大人しく座って空の旅を楽しんでいました。空港で両親の顔を見た瞬間、張り詰めていた全てが全身から抜けていきました。実家での騒がしい毎日母はスバルにものすごく話しかけてくれました。私も日頃から話しかけているつもりでしたが、しゃべらないスバルに一方的に話しかけるにはバリエーションも少なく単調になりがちでした。誰しもそんなものだと思っていました。しかし母による話しかけは、まさに言葉のシャワー!一人の人間の口からこんなにも言葉が出るのかと思う量の言葉を、毎日浴びせ続けてくれたのです。スバルのために無理をしているのではないかと心配しましたが、寡黙な父が「ぼくは毎日あの量の言葉を浴びている」と言っていたので天性の才能だと思います。言葉のコップがあふれるある日スバルが車のカタログを見ていると母がやってきていつものように話しかけました。「この車ばあばが若いころ乗ってたのよ。形はちょっと違うけど。あらまあ!最近はこんなにきれいな黄緑色の車もあるのね!あ、こっちのページにも黄緑!こっちにも。きっと今の流行なのね、黄緑。ほら今日行ったスーパーで隣の駐車場に停まってた車、この黄緑の車じゃなかった?ピカピカの…」そのときスバルが母の言葉をさえぎるように言いました。「きいろ!」と。隣の駐車場に停まっていた車は黄緑ではなく黄色だったのです。Upload By 星あかりそれを皮切りに、言葉のコップがあふれ出すようにたくさんの単語を話すようになりました。まずは車のカタログを見ながら車の色の名前を言えるようになりました。3歳の誕生日の数日前でした。それからよほど母のインパクトが強かったのか「ばあば」と言えるようになりました。「ばあば」が言えるようになる少し前は「あーばーばーばーばーばーばーばーばーばーばー」と呼んでいました。10回「ばー」を繰り返すことで母のインパクトの強さが表現できていますね。その後数日で「ばあば」をマスターしました。Upload By 星あかりそして発音は不明瞭ながらも車のメーカーや車種名、「運転席」「ハイブリッド車」などの車用語も言うようになりました。「きいろ」からの成長のスピードに驚きを隠せません。「お母さん」はその1週間後くらいに言ってくれました。「ミニバン」よりあとだけど。別に気にしてないけど。帰省を終えて、スバルと私は家へ帰りました。たった1ヶ月の間にスバルは別人のように単語でおしゃべりできるようになりました。そして私もよく食べ、よく遊び、よく寝た1ヶ月の間に心身ともにすっかり元気を取り戻し、8kg肉をつけ別人のようになりました。スバルの言葉があふれたことで、すっかり肩の力が抜けて純粋にスバルの成長を喜ぶことができました。なんとなくこのまま全てが好転するんじゃないかと思いました。しかしそう上手くはいかず、その後受けた発達検査で「自閉スペクトラム症」と診断され、プレ幼稚園からは退園勧告されるのでした。執筆/星あかり(監修:初川先生より)スバルくんの言葉があふれるように出始めたときのエピソード、ありがとうございます。「言葉の発達が遅いだけ」と言われたら、たしかにそこさえ何とかなれば…と期待を抱きますし、焦りも感じられたかなと思います。言葉の発達が遅い場合には「言葉のシャワー」がよいと言われますが、似たような毎日の中でいっぱい言葉をかけることは単調になってしまうこともあるかもしれませんね。ご実家で、お母さん(スバルくんのお祖母さん)による言葉のシャワーも良き刺激になったことと思います。これまでの積み重ねと、新鮮な刺激とできっと言葉を発するに至ったのでしょう。また、「お母さん」という発語がなかなか出ない切なさ、これは共感される方も多いのではないでしょうか。スバルくんの言葉やプレ幼稚園での集団生活をめぐる星さんの気持ちの浮き沈み、どきどきハラハラしながら読みました。最後の1文、次回のコラムも気になります…!コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的能力障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年02月15日娘との会話から娘が中学生のときのことです。私「バス通り沿いのお菓子屋さん、違うお店になってたね」娘「どこ?」私「○○バス停の近くのお店。ほら、△△交差点の…」娘「…分からない」私「えっ、しょっちゅうバスで通ってるのに⁉」バスの中で娘が携帯電話に夢中になっていて外を見ていないせいかな?とも思いましたが、そこは娘が携帯電話を持つ前からよく使っていた道です。娘は小学生のときにSSTとビジョントレーニングを受けていた時期がありました。私は当時、特別支援教育士の先生から「娘さんの視界はペットボトルの穴から覗いたような感じなんですよ」と言われたことを思い出しました。娘がバスから見える景色を覚えていないのは、そのせいなのかな?自閉スペクトラム症のある娘が見える世界、感じる世界ってどんなものなんだろう?私はずっとそんな疑問を抱いていました。8年後にチャンス到来2022年の夏、私は「新宿区手をつなぐ親の会疑似体験キャラバン隊『Winds』」によるオンライン(リモート)による知的・発達障害の疑似体験に参加をしました。必要なものはA4の紙2枚とペン一本だけ。過去に疑似体験で『参加者が軍手をつけた状態で折り紙を折ったり、シールを貼ったりする』という光景を見た記憶があった私は、果たしてリモートではどんな体験ができるのかとワクワクしながらプログラムの開始を待ちました。Upload By 荒木まち子その内容はプログラムのなかにはいくつかの体験が用意されているのですが、度肝を抜かれたのは冒頭に流れた“自閉スペクトラム症のある子どもが見ている世界を再現した動画”でした。(イギリスの自閉症協会(The National Autistic Society)が作製したものでYouTubeでも公開されています。)主催者から、視聴して気分が悪くなってしまう場合があるかもしれないとの注意がありましたが、確かに見ていてつらくなる感じがありました。過去にもテレビなどで『自閉スペクトラム症のある人はこんなふうに聞こえています』『こんなふうに見えています』というような映像を見たことがありましたが、そのときよりもリアルな感じがして、私は何度か動画から目を外してしまいました。もちろん障害のある人全員が同じように見えたり、感じたりするわけではないと思いますが、こんな状態がずっと続き、逃げることができないのならば、自閉スペクトラム症のある子どもがとても疲れたり、パニックになってしまう気持ちが分かるような気がしました。ほかにもさまざまな疑似体験のプログラムがプログラムの中には事前に用意した紙やペンを使ったシングルフォーカスの疑似体験や、ダウン症の疑似体験などもありました。やはりこれらも書籍などで得る知識では分からないリアルさがありました。“リモート”なのに“リアル”というと変かもしれませんが、本当にそうなのです。さすがに嗅覚の体験はできませんが、聴覚や視覚の体験はイヤホンやパソコン画面を使うことでむしろ感覚が強調されて分かりやすいのではないかという気もしました。コロナ禍でも疑似体験ができるように主催者がリモートでの体験方法を思考錯誤し、日々アップデートしている様子も伝わってきました。遊び心で元気に疑似体験では一人の講師が講演をするわけではありません。主催者のキャラバン隊Windsの隊員(?)がそれぞれの疑似体験コーナーを受け持ち、話をします。障害についての一般的な説明だけではなく、経験をもとにしたリアルな話もありました。と同時に、メンバーに障害児の親が含まれているからこその熱い思いもひしひしと伝わってきました。“当事者の気持ちを汲み取ることや本人の意思を置いてきぼりにしないようにすることってとても大切!”と実感しつつ、私は真剣な中にも遊び心を忘れないキャラバン隊から元気(パワー)をもらったような気がしました。もっと早く体験していたなら…療育を受けたり、情報を集めたりして子どもへの対処法を多少は分かっていたつもりでいた私。でも、もっと早くにこの疑似体験を受けることができていたら、子どもへの対応はきっと違っていたでしょう。子どもがパニックになる気持ちが分かれば親のイライラは減るし、効果的な声掛けや学習の進め方が分かっていれば親子がお互いにつらい思いをしないですんだはずです。過去に戻ることはできません。それでも、遅ればせながらも疑似体験を通じて自閉スペクトラム症のある娘が見える世界、感じる世界をより感覚的に理解し、イメージしやすくなったことは確かです。障害への理解が進んでお互い身構えることが減れば、みんなで笑顔になれる日が来そう。そんな前向きな気持ちになった疑似体験でした。執筆/荒木まち子(監修:藤井先生より)疑似体験を通じて、娘さんが感じる世界をより理解しやすくなったのですね。本には、感覚過敏、感覚鈍麻などの文字は書かれていますが、疑似とはいえ体験することで、少し理解がしやすくなりますね。そうすると、なんでできないのだろう?という疑問よりも、こういう理由で分からないのか、苦手なのかも、と発達障害や知的障害のあるお子さんが感じる世界を少し想像しやすくなりますね。疑似体験、親御さんだけでなく、お子さんに接する機会がある園や学校の先生も体験されると、理解が進みそうですね。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年02月13日初めての場所が苦手な自閉症と知的障害のある長男。実父の他界で葬儀へ…わが家の中2の長男は3歳のときに、自閉スペクトラム症(ASD)と知的障害の診断がおりました。長男は社会性の部分が特に低く、未就学児時代は同居する家族以外の人に興味がなく、「他人は空気」のような様子でした。また、初めての場所に入ることがとても苦手で、知らない人が多い場所ではパニックを起こすことがほとんどでした。長男が6歳のころに私の実父が他界しました。私は次男(当時3歳)を連れて、夫たちより一足早く向かい、葬儀場で身内として準備や来客対応などに追われていました。夫は長男を連れて義実家へ向かい、義両親と義妹をピックアップして、車で1時間かけて葬儀場まで来てくれました。しかし、長男は葬儀場に着くやいなや、いつもと違う場所・いつもと違う雰囲気を察して葬儀場へ入れず、駐車場にひっくり返って暴れて大泣き…。今、落ち着いて考えてみれば、初めての場所、たくさんの知らない人、長男がパニックを起こしてしまうのは当たり前です。Upload By ユーザー体験談葬儀場という場もあり、周りの人の目も気になります。泣き暴れる長男をそのままにもしておけないと、夫と義父は無理矢理にでも葬儀場に入れてしまえば何とかなると考えたようで、長男を抱き上げて力づくで連れて行こうとしました。そのときです、長男たちの様子を見ていた私の母が「やめて!」と悲痛な声で叫びました。泣いている孫を無理矢理葬儀場へ連れていくのが見るに耐えなかったのでしょう。母は「私はこの子の気持ちが大事。このままお葬式に参列してもきっと慣れない環境でまたパニックを起こしてしまいます。そこまでして葬儀に参列させなくていいから…。せっかく来ていただいたのに本当に申し訳ないけれど、この子のためにも、この子を連れて今日は帰ってもらってもよいでしょうか」と夫の両親に伝えました。Upload By ユーザー体験談実母は昔からよくわが家に遊びに来てくれていたこともあり、息子の様子もよく分かっていました。障害について理解し受容しており、孫として普段から普通に接してくれています。息子は実母にも、ときどきペットボトルの飲み物を床にわざと撒くなどのいたずらをしていました。そんなときも実母は、一方的に怒ることはせず、淡々と「やりません」とだけ言って片づけてくれていました。そんな実母です。孫の切実な声を聞いたときの実母の思いを推し量り、私はなんとも言い難い胸が痛いような、実母の思いが心の奥底まで沁みてくるような気持ちになりました。そしてまた、実母の心からの声を聞いた気がしました。実母としてもせっかく来てくれた夫の両親への申し訳なさなどももちろんあったと思います。ですがそんな中でも長男のことを1番に考えてくれたことを私はありがたく思いました。長男は帰れると分かったらすっと泣き止みケロりとした表情で車に乗り込んでいました。義両親、夫、一緒に来てくれた義妹も「こんなに人数がいるのに、何の役にも立てなくてすみません」と母の思いを受け入れてくれて、高速道路を使って1時間かけて葬儀場に来てくれましたが、私と次男を残し、長男を連れてとんぼ帰りとなりました。Upload By ユーザー体験談実父の、孫を思う気持ちを感じて亡くなった実父は初孫ということもあり、長男のことをとても可愛がってくれていました。長男は小さいころから癇癪をよく起こしていましたが、父はそれを見て「じいちゃんに勝てると思うなよー」と言いながら長男をよく抱えてくれました。亡くなる1週間前、電動の車椅子で長男が好きなあめを買うために外出をし、それが父にとって人生最期の外出となりました。最期まで孫のことを思ってくれたんだなぁとジーンとしました。Upload By ユーザー体験談正直、長男にも実父とお別れの挨拶をさせてあげたかったという思いもあります。ですが、実父も生きていたらおそらく「もういいよ、帰れ」と言うと思ったので、無理矢理お別れさせなくてよかった、と今は感じています。あのまま泣いて暴れる長男を葬儀場に連れていったら、ほかの参列者の方々の迷惑になっていたかもしれません。なにより、息子の負担にならずホッとしたというのがこのときの正直な感想です。このときのことを思い返すと、実父を亡くした喪失感や、葬儀の準備やいろいろな対応に追われてしまっていて、長男のことまでちゃんと考えることができていませんでした。前もって特性のことなどを考慮して「息子はきっとこうなるだろう」ともっと夫と予想と対策について話し合っていればよかったと感じます。後悔するとしたらこの点だけです。そして、実父の葬儀というのは、肉親はとても忙しく慌ただしく時間が過ぎていくので、親の葬儀はそういうものだと前もって知っておけたらまた結果は違っていたのかなと思いました。イラスト/keikoエピソード参考/あかし(監修:鈴木先生より)自閉スペクトラム症の子さんは初めて行く場所は怖いため入り口で止まることが多いです。以前にもコメントしましたが、冠婚葬祭や入学式など初めていく場所で行事がある時には前もってどういう雰囲気でどういうことをやるかビデオを見せて予習しておくとよいでしょう。我々が初めての場所に旅行へ行くときに写真だけでも見れれば安心するのと同じです。お葬式に出られなくてもあとで仏壇やお墓参りをすることで実父とのお別れはできると思います。パニックになったら場所を変えるのが得策だと思います。恐らくみんなが黒い服装だったので怖かったのでしょう。また、入学式や卒業式などで座っていなければいけない場所に行く場合にはポケットの中に安心できるグッズを入れておくのも一つの手です。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年02月11日ゲーム・スマホに夢中で親の声が届かない!ADHDのある子ども発達障害の専門家が出会った子どもたちの抱えていたリアルな「困った!」をもとに、子どもたちの状況を変えた対応策などをドキュメントタッチで解説します。今回は、ゲームやスマホに夢中で親の声が耳に入らない、生活が整わないADHD(注意欠如・多動症)のある子どものエピソードです。Upload By 専門家体験談Upload By 専門家体験談Upload By 専門家体験談マンガ/NEGI解説:本人に決めさせることやスモールステップを意識ーー子どもとの関わり方で大切なポイント今回は、ADHD(注意欠如・多動症)のある中学生のお子さんに関する「家庭での悩み」エピソードをもとにマンガ化してお届けしました。学校から帰宅すると、ゲームやスマートフォンが手放せず、宿題やお手伝いなどやるべきことができていなかったり、生活リズムが乱れてしまったりしているお子さんも多いことと思います。今回のように、ゲームやスマートフォン中に声かけをしても無視されてしまう、機嫌を悪くして自室に戻ってしまう場合、次のポイントを押さえて関わることをおすすめします。1.ゲームやスマートフォン中は指示が入りにくいので、それ以外のタイミングで話し合うようにするお子さんが何のゲームをしているのかをまず知ることが大事です。好きなゲームについての話にも付き合ってあげる、そのゲームの良さなども共通理解しておくことが話し合いの前提となります。2.ゲームをする時間を本人に決めさせて、しっかり約束をする親がしてほしい時間と本人がしたい時間にかなりのギャップがあることが多いと思います。1である程度のゲームに対する共通理解をしておき、それを前提に時間帯やしてよい時間について約束をしていきましょう。一度決めた約束は、その場の気分やノリで変えるのではなく、例えば3日間など最初は短めの期間を決めて実行し、期間ごとに見直すようにしていくと良いでしょう。3.お手伝いはスモールステップで取り組めるように提案し、ちゃんとできたらお小遣いをプラスするなども一つの方法学校の勉強やお手伝いなど身の回りのことを一度にやらせようとしても、うまくいかない場合もあります。そのときは、本人の取り組みやすい活動に絞って、例えばお小遣い制度を連動させることでやる気を引き出すのも一案です。
2023年02月10日いろいろ習い事へ連れて行っても長続きしないまだゆいに障害があるとは気づいていなかった幼児期から小学校低学年にかけて、私はゆいをいろいろな習い事に連れて行っていました。水泳、クラシックバレエ、体操、合唱、硬筆…。本人が興味を持ったものから親のエゴで通わせてみたものまで、いろいろな習い事に挑戦したのですがすべて続きませんでした。私のエゴで通わせたものは続かなくても当然なのですが(本当に申し訳ないことをしました)、本人が行きたいと言って習い始めたものも、1ヶ月ほど経つと嫌がるようになり辞めてしまいました。もちろんどの習い事教室のメンバーも明るく迎えてくれたのですが、本人はなかなかなじめなかったようです。今思えば、すでにできあがっているコミュニティに入っていくということが、ゆいにとってはハードルが高く、緊張してつらかったのかなと思います。しかし本人も「やってみたい」と言ってしまった手前、1ヶ月ほどは辞めたいと言い出せずに堪えていたようなので、つらかっただろうなと感じます。Upload By 吉田いらこ小学2年生で習い始めた「バイオリン」そんな中、ゆいが「バイオリンをやりたい」と言ったのは小学2年生のころでした。それまで楽器系の習い事の経験がなかったのですが、テレビで演奏する人を見て興味を持ったようでした。私自身が吹奏楽部だったこともあり、音楽の習い事に興味を持ってくれたことがとてもうれしく、近所のバイオリン教室を探して見学の申し込みをしました。バイオリン教室は先生の自宅がレッスン場所で、完全個別指導でした。今思うとこの個別指導がゆいの特性に合っていたのでは、と思います。もしかしたら今まで続けられなかったほかの習い事も、個人指導タイプだと続けることができていたのかもしれません。Upload By 吉田いらこ障害のある子どもに理解のある先生との出会い初めて先生と対面したゆいは受け答えができず、YesかNoで首を振ることしかできませんでした。当時の私はゆいのことを人見知りが強い子どもだとしか思っていなかったので「この習い事も続かないのかな…」と心配をしていたのですが、実は先生は障害のあるお子さんを何人も受け持っており、子どもの特性に理解がある方で、ゆいに合った進度で指導をしてくださいました。時間はかかりましたがゆいも先生の問いかけに単語で返せるようになり、楽しくレッスンに通うことができるようになりました。この習い事はなにより個人指導ということがゆいにとって安心できる材料だったのかなと思います。ほかに生徒がいるグループレッスンだと緊張が強く通い続けることが難しかったかもしれません。ゆいの楽器練習の進度は一般に比べるとかなりゆっくりとしたペースです。けれど、少しずつできることは増えていて、とても楽しそうです。やはり「好き」に勝るものはないなと感じました。Upload By 吉田いらこ習い事を通して娘が手に入れたものこの習い事を始めて私が一番良かったと思うのは、ゆいが自信を持てたことでした。学校の勉強は難しいし、友達をつくることも苦手なゆいが学校以外の場所でイキイキと楽しめることを見つけられたのは、親の私にとってもうれしいことでした。今、ゆいには居場所が3つあります。自宅、学校、そして習い事教室。どこかで上手くいかなくなることがあっても、ほかの居場所があれば救われることもあるのではと思います。バイオリンを習い始めたことで、音楽がゆいと私の共通の趣味になりました。ゆいは今、私と二人で合奏することをとても楽しんでくれています。これからも音楽を通じて世界を広げ、人生をより豊かにしていってくれたらと願っています。執筆/吉田いらこ(監修:井上先生より)習い事がうまくいくかどうかは、子どもの興味関心だけでなく教室の環境的な要因、例えば、人数が多い、騒がしい、先生が厳しい…なども影響します。先生と1対1で学ぶ環境というのは、ゆいさんのお母さんがおっしゃる通り、非常に安心できると思いますが、厳しく叱責したりする先生は向いていません。ゆいさんが出会われた先生のように、本人のペースを尊重したり上手にほめたりすることで、まずは楽器の演奏を楽しくして、周りの子どもができないことを自分ができるという意味で、本人が自信をつけることができるのはとても良いと思います。みんなの前でお話がしにくい子どもでも、言葉の代わりに音楽で表現できるという点も、良いのではないでしょうか。先生や家族の前で演奏ができるようになったとしても、先に述べた環境的な要因から、大きなコンサートホールや初めての場所だと一気に不安や緊張が増してしまう場合もあります。無理せずスモールステップで、演奏する喜びを感じながら進められると良いと思います。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的能力障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年02月09日成長が早かった母は、心も体の成長も奥手だった息子にイライラ私は、自分自身が「成長が早い」タイプだったので、情緒面でも身体面でも成長が奥手な息子にイライラすることがよくありました。年少さんになるのにお箸が持てない…。年中さんになるのに、集中して遊んでいると(起きているのに)お漏らしをしてしまい園の先生に「専門病院に行っては?」と言われる…。小学校に入るというのに、字がうまく書けないしカタカナも読めない…。進級進学の時期になると、息子自身はちっとも焦っていないのに、母だけ勝手にプレッシャーを感じ、そのたびに息子に厳しく指導をしてしまいました。Upload By ユーザー体験談年少さんなのにお箸が使えなくて大丈夫?年少さんになると、園ではお箸に移行する子どもたちも多くなります。ですが、息子はなかなかじょうずにお箸を使えませんでした。それなのに母である私が焦りすぎ「スプーンじゃなくお箸を使いなさい」と、お箸を使うことを無理強いしてしまった結果、大きくなってもバッテン箸のまま直らなくなってしまいました。バッテン箸はつかみづらいので、時には食べ物に箸を突き刺してとります。こうなってしまったのも、あのとき私が焦って無理強いさせたせいなのではないか、と今でも心にちくりととげが刺さったままです。Upload By ユーザー体験談小学生なのに「読める文字が書けない」のはどうしたら?小学生になると、今度は「読める字が書けない」問題が大きくなりました。どうしていいか分からなかった私は、鉛筆の濃さや太さ、形をいろいろ試したり、シャープペンシルを与えてみたり…。見学に行った塾では「息子さんは文字の書き方から直さないと、答案を書くスピードが遅くて受験では不利ですよ」と言われて気が遠くなったのも覚えています。5年生のときには通級を進められて言葉の教室の体験はしてみたものの、当時は遠くの学校に行って指導を受けなくてはいけず、フルタイムの仕事をしており毎週連れていくことが難しかったため諦めてしまいました。結局、多少読める文字が書けるようになったのは小学校6年生になってから。それでも、かなり頑張っても癖のある文字しか書けませんでした。中学受験の際は「とめ・はね」に厳しい学校や、漢字がたくさん出る学校は避けました。中学受験の合同説明会では、私立中学校の先生方に、息子の書いた文字を見せて「貴校ではこの文字でも採点していただけますか?」と聞いて回ったものです。「お母さん、僕たちはご子息の文字、読めますよ!」と言ってくださった学校は、出願検討対象となりました…。Upload By ユーザー体験談目に見える困りごとだけを直そうとしていた今振り返ると、お箸がうまく持てなかったのも、鉛筆で文字がちゃんと書けないのも、そもそも体幹がしっかりしていなかったためだと分かります。体幹がしっかりしてないのに、指先までうまくコントロールできるわけがないからです。息子は小学生のころ、文字を書くときはおなかを机にくっつけて、肘も机上に乗せた状態で、握り持ちで文字を書いていました。おなかや肘で身体を支えながらでないと文字を書けないなんて…至難の業ですよね…。Upload By ユーザー体験談「箸がうまく持てない」「読める文字が書けない」という目に見える「困りごと」にとらわれて、その前にはぐくむべき力をしっかりはぐくめていなかったことが、今なら分かります。読める文字は書けるようになったけれど高校生になり、身体もしっかり鍛えるようになって見違えるようにたくましくなった息子。いつのまにか、読めるノートが書けるようになっていました。でも、お箸の持ち方だけは直りませんでした…。小さいころに、じっくりゆっくりはぐくんであげられたらよかったなぁと、今でも後悔しています。イラスト/taekoエピソード参考/あき(監修:井上先生より)元々細かい運動動作に不器用さがあって、指先の力のコントロールの問題や姿勢の制御などに苦手さが見られていたのだと思います。読めるけど書けないなど、特定の領域に発達のアンバランスさがあると苦手なところが気になり、親としてはそこを何とかしてあげたいと思う気持ちが強くなりますよね。学習面では将来的なことを考えると、"意味が理解できる"ことを重視して勉強への興味が薄れてしまわないようにサポートしていかれるとよいかと思います。箸に関しては、大人になれば公的な場だけは正しく持ち直すなどのスキルがだんだんと身についていくのではないかと思います(これは私の体験でもあります)。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的能力障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年02月08日子育て楽じゃありません
細川珠生のここなら分かる政治のコト
私の愛すべき家族