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成長が早かった母は、心も体の成長も奥手だった息子にイライラ私は、自分自身が「成長が早い」タイプだったので、情緒面でも身体面でも成長が奥手な息子にイライラすることがよくありました。年少さんになるのにお箸が持てない…。年中さんになるのに、集中して遊んでいると(起きているのに)お漏らしをしてしまい園の先生に「専門病院に行っては?」と言われる…。小学校に入るというのに、字がうまく書けないしカタカナも読めない…。進級進学の時期になると、息子自身はちっとも焦っていないのに、母だけ勝手にプレッシャーを感じ、そのたびに息子に厳しく指導をしてしまいました。Upload By ユーザー体験談年少さんなのにお箸が使えなくて大丈夫?年少さんになると、園ではお箸に移行する子どもたちも多くなります。ですが、息子はなかなかじょうずにお箸を使えませんでした。それなのに母である私が焦りすぎ「スプーンじゃなくお箸を使いなさい」と、お箸を使うことを無理強いしてしまった結果、大きくなってもバッテン箸のまま直らなくなってしまいました。バッテン箸はつかみづらいので、時には食べ物に箸を突き刺してとります。こうなってしまったのも、あのとき私が焦って無理強いさせたせいなのではないか、と今でも心にちくりととげが刺さったままです。Upload By ユーザー体験談小学生なのに「読める文字が書けない」のはどうしたら?小学生になると、今度は「読める字が書けない」問題が大きくなりました。どうしていいか分からなかった私は、鉛筆の濃さや太さ、形をいろいろ試したり、シャープペンシルを与えてみたり…。見学に行った塾では「息子さんは文字の書き方から直さないと、答案を書くスピードが遅くて受験では不利ですよ」と言われて気が遠くなったのも覚えています。5年生のときには通級を進められて言葉の教室の体験はしてみたものの、当時は遠くの学校に行って指導を受けなくてはいけず、フルタイムの仕事をしており毎週連れていくことが難しかったため諦めてしまいました。結局、多少読める文字が書けるようになったのは小学校6年生になってから。それでも、かなり頑張っても癖のある文字しか書けませんでした。中学受験の際は「とめ・はね」に厳しい学校や、漢字がたくさん出る学校は避けました。中学受験の合同説明会では、私立中学校の先生方に、息子の書いた文字を見せて「貴校ではこの文字でも採点していただけますか?」と聞いて回ったものです。「お母さん、僕たちはご子息の文字、読めますよ!」と言ってくださった学校は、出願検討対象となりました…。Upload By ユーザー体験談目に見える困りごとだけを直そうとしていた今振り返ると、お箸がうまく持てなかったのも、鉛筆で文字がちゃんと書けないのも、そもそも体幹がしっかりしていなかったためだと分かります。体幹がしっかりしてないのに、指先までうまくコントロールできるわけがないからです。息子は小学生のころ、文字を書くときはおなかを机にくっつけて、肘も机上に乗せた状態で、握り持ちで文字を書いていました。おなかや肘で身体を支えながらでないと文字を書けないなんて…至難の業ですよね…。Upload By ユーザー体験談「箸がうまく持てない」「読める文字が書けない」という目に見える「困りごと」にとらわれて、その前にはぐくむべき力をしっかりはぐくめていなかったことが、今なら分かります。読める文字は書けるようになったけれど高校生になり、身体もしっかり鍛えるようになって見違えるようにたくましくなった息子。いつのまにか、読めるノートが書けるようになっていました。でも、お箸の持ち方だけは直りませんでした…。小さいころに、じっくりゆっくりはぐくんであげられたらよかったなぁと、今でも後悔しています。イラスト/taekoエピソード参考/あき(監修:井上先生より)元々細かい運動動作に不器用さがあって、指先の力のコントロールの問題や姿勢の制御などに苦手さが見られていたのだと思います。読めるけど書けないなど、特定の領域に発達のアンバランスさがあると苦手なところが気になり、親としてはそこを何とかしてあげたいと思う気持ちが強くなりますよね。学習面では将来的なことを考えると、"意味が理解できる"ことを重視して勉強への興味が薄れてしまわないようにサポートしていかれるとよいかと思います。箸に関しては、大人になれば公的な場だけは正しく持ち直すなどのスキルがだんだんと身についていくのではないかと思います(これは私の体験でもあります)。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的能力障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年02月08日「二次障害の理解と対応」において大切なのは、子どもの“本当の声”に耳を傾けること発達障害のある子どもを育てる保護者の方は、二次障害に関心のある方も多いのではないでしょうか。二次障害とは、発達障害の特徴を理解されない環境にいることや、失敗して叱責される、不安な経験を繰り返すなどが重なり、次第に自己肯定感が下がり、うつ病、不安障害などの精神疾患の合併や、不登校やひきこもりなどの問題に至ってしまう症状が発生している状態を示します。その症状は人によりさまざまですが、二次障害が起こっている子どもとどのように関わっていったら良いのか?、将来のことが不安…など悩みはつきないと思います。2022年12月にオンラインで開催されたセミナー「二次障害の理解と対応」も大きな反響がありました。セミナー当日は、特別講演として、代官山やまびこクリニックの院長である児童精神科医の千村浩先生が二次障害発症のきっかけや治療、各家庭でできることなどを解説。質疑応答のコーナーでは、参加された保護者の方から具体的な質問がたくさん寄せられました。セミナー後には、「対応方法を知れたことで不安が減った」「またこのようなテーマの勉強会があるとうれしい」などの声をいただきました。今回の記事でも、二次障害について、またその対応方法などを千村先生に改めてお伺いしました。また、当日時間の都合で答えきれなかった保護者の方から寄せられた質問に対して千村先生からのご回答をいただいています。ぜひ参考にしてください。Upload By 専門家インタビュー・本来備わっている資質(発達障害)・子どもを取り巻くさまざまな環境(家庭環境・そのほかの社会、気候など)この2つの相互作用によって二次障害になり得ることがあります。発達障害の二次障害による症状を発達障害そのものの症状と区別すること、治療やそのほかの対処についても別々に考えることは困難な場合も多くあります。二次障害としてあらわれる症状そのものだけに焦点をあてるのではなく、その背景に子どもからのどんなメッセージがあるのかを探ることが重要です。児童精神医のKanner(1974)は子どもの症状からのメッセージとして5つの意味を述べています。1.入場券としての症状症状があることで医療機関を受診することになるなど。子どもがサポート機関へとつなぐ入場券の役目を持つ2. 危険信号としての症状問題の解決を急いでいたり、これ以上誤った対応が続けられたり、放置されることに対する警告3. 安全弁としての症状養育環境や生活状況がよくない場合、自分がつぶれてしまわないように自身をその危機から守る、最悪の事態を回避する4. 問題解決手段としての症状あえて乱暴な行動を取るなど、子どもの心理的葛藤の要因となっている問題5. 厄介者としての症状周囲の寛容さが乏しいために、怒りを買うように大げさに訴えられている参考文献:Kanner L.:Child Psychiatry,4th ed.(1972)-黒丸正四郎、牧田清志(訳):カナー児童精神医学、第2版 医学書院(1974)|CiNii(国立情報学研究所)ADHDの特徴である「不注意」「多動性・衝動性」が悪循環につながってしまうことがあります。◇不注意優勢タイプの例頻繁に遅刻するなどの失敗→叱られる→自信を失う→「自分はダメなやつ」だと思いこむ→不安やパニック、うつ状態に陥る→失敗し、また叱られる(悪循環に陥る)◇多動・衝動優勢タイプの例感情が爆発し、周囲とトラブルになる→周りから避けられる→疎外感を抱く→「自分はみんなから嫌われている」と思いこむ→大人への反抗、非行など→周囲とトラブルになる(悪循環に陥る)このような悪循環は実例でも多くありますが、起きている問題だけに目を向けるのではなく、どうして最初のその行動が起こってしまったのか、本人の気持ちによく耳を傾けることで悪化を防ぐことや、悪循環を止められる場合があります。【Q&A】子どもの症状の背景を理解することはどうして大切なの?子どもに本当の気持ちを話してもらうにはどうしたらいい?A:たとえば、「ときどき混乱して騒いでしまう」という言葉にすると同じ症状のある子どもでも、その原因は全く違うというケースはよくあることです。原因が違えば、するべき治療も対応も異なります。学校へ行き渋る、不登校になってしまったという場合も、なぜその子どもが学校に適応できなくなってしまったのか、その理由は一人ひとり異なるので、その背景を理解することが大切になるのです。Upload By 専門家インタビューA:基本は、子どもの声に耳を傾けることです。大人が気をきかせて「こうなんじゃない?」と言ったりすると、それに誘導される形で「うん」と言ってしまう子どもは少なくありません。大人が「こうだろう」と決めつけてしまうことで、子どもが余計に萎縮してしまうこともあるのです。まずは子どもの本当の声に耳を傾けてみてください。小学校1年生くらいになれば、こちらが聞けば子どもは自分の体験、思いや考えを語ってくれるものです。Upload By 専門家インタビューA:1つ例をあげます。小学校低学年の子どもがお友達を叩いてしまいました。その場面を見ていた先生からは叱られ、仕方なく謝ったようです。でも、理由もなく人を叩く子どもはほとんどいません。実はそのお友達からずっと嫌なことをされていて我慢できなくて叩いてしまったようなのです。そのようなときもまずは、「あなたに何があったの?」と聞いてあげると良いでしょう。大人の目で見ると、叩くということが発達障害が背景にある症状のように感じられることもありますが、理由があることがほとんどです。Upload By 専門家インタビューA:その1つは「こだわり」です。1つ前の質問で挙げた例でも、そもそも叩いてしまった友達からずっと嫌なことをされていたのに、「叩いた」という一場面だけしか見ずに叱る先生を信用できなくなってしまうことがあります。「でも、まぁしょうがないな」という切り替えが難しく、「もう絶対に嫌だ」というこだわりが行き渋りや不登校につながってしまうケースです。Upload By 専門家インタビューA:ADHDの特性で落ち着きがないということがありますが、そのことで先生に叱られることが多かったり、よく注意されるのを見ている周りの友達からも同様の指摘をされたりして学校に居づらくなるケースもあります。Upload By 専門家インタビュー【Q&A】「子どもの二次障害」それぞれの事例に千村先生が回答二次障害セミナー当日は参加者の方からチャットでたくさんの質問が寄せられ、千村先生にはそれらに真摯にご回答いただきました。しかし、時間の都合上すべての質問にご回答いただくことは難しい状況に…。今回チャットに寄せられた質問について新たにご回答いただきました。A:そのお子さんがどういう特性を持っているか、どういう特徴が強いかによって対応は変わります。落ち着いていられない、気が散ってしまうなどが原因で、もしかしたら学校に居づらい状況になってしまっているのかもしれません。関わり方でいうとやはりお子さんの話をしっかり聞くことが大切だと思います。小学校2年生ならしっかり聞けば話をしてくれる年齢です。関わり方というのはまず話を聞くことから始まるのだと思います。Upload By 専門家インタビューA:「対人恐怖症」と言っても、「学校の教室にいるのが怖い」というお子さんもいれば、「人混みのなかにいるのが苦手」というお子さんもいます。それによって環境の整え方は変わるものです。このお子さんは不登校ということなので、たとえば「まわりがうるさいから嫌」というケースや、「いろいろな物がある教室が落ち着かない」ということもあり得るかもしれません。具体的な本人の気持ちをしっかりと汲み取って、先生と連携することも大事です。でも、どうしても学校が難しい場合にはオンラインで勉強する場を探す…などの環境整備が必要になることもあるかもしれません。Upload By 専門家インタビューA:もしお子さんが前の晩は「明日は行く」と言っているのに、当日の朝になると頭痛や腹痛を訴えるような状態だとしたら、あまり無理はしない方が良いかもしれません。毎日この葛藤を続けていると疲れすぎて、学校に全く行けなくなってしまうケースもあるからです。私は子どもに「学校に行くときは、すごく頑張らなきゃいけない?それとも、まぁ大丈夫そう?」と聞くんです。前者なら無理して行かなくても良いのではないかと考えています。それに加えて毎日「今日はどうする?」を繰り返すと、親も子も毎日悩まないといけなくなるんです。「しばらく行かなくてもいいか」と思えたら親も子も楽になると思います。「そんなことをして全く行けなくなったらどうしよう」と考える方もいるでしょう。でも、学校に行くことはとても大事だけれど、行かないと絶対にだめなわけではありません。どんなときでもお子さんを信じることが大事です。Upload By 専門家インタビュー私が診療のなかで出会うお子さんとは「学校に行かなくても、規則正しい生活をしよう」と約束をします。睡眠障害がある場合はきちんと治療をして、睡眠覚醒リズムを整えるところからです。そして、朝ごはん、昼ごはん、夜ごはんの時間を決めて、そのあいだに勉強したり、外に遊びに行ったり…という時間を設定するイメージ。そのなかにスマホやテレビ、ゲームの時間があってもいいと思います。スケジュールは本人と相談して決めるのがベストです。スマホやテレビ、ゲームも禁止するのではなく、「これくらいの時間ならいいけど、一日中はダメだよ」などと約束するのが良いのではないでしょうか。Upload By 専門家インタビューA:ADHDが背景にあり統合失調症という診断というのは、実際診察をしていないので分からない点も多いのですが、「頑張りすぎ」ということをより具体的に考えていった方が良いでしょう。勉強を徹夜してやっているが、エネルギーが切れると突然寝てしまうのか、部活などで期待に応えるためにがむしゃらに練習をしているが自分のなかに葛藤があるなどが考えられます。ただ、中学2年生は思春期なので、なかなか親の言葉を素直に受け入れられない時期です。思春期の心の問題なども起こってくる時期なので、カウンセラーなどの専門家に介入してもらう必要があるかもしれません。Upload By 専門家インタビューA:本人が受診しないと診断や治療はできないので、とても難しい問題ですね。そこで大切なのは、やはり本人の気持ちです。病院に行きたがらないということの裏側には「今までうまくいかなかったからもうどうなってもいい」だとか「病院に行ってもどうせ話を聞いてもらえない」などの考えがあることもあります。でもさらにもっと深いところでは「今のままは嫌だ」「本当はなんとかしたいと考えていることも。思春期の子どもの『本当の気持ち』を家族が引き出すことは難しいので、第三者の介入が必要かもしれません。学校の先生やカウンセラー、もしくは信頼できる大人が導くのが良いでしょう。この場合の第三者は、専門家でなくても良いと思います。Upload By 専門家インタビュー大切なのは失敗しても「大丈夫だった」と思えることUpload By 専門家インタビュー千村先生のお話には一貫して「子どもの話を聞く」「子どもを信じる」ということがベースになっていました。加えて大切なのが、「今のままでいいよ」と子どもに伝え続けることだと言います。「よく”成功体験”という言葉を耳にします。成功体験も大切ですが、もっと大切なのは『失敗しても大丈夫だった』体験ではないでしょうか。成功体験を追求しても得られなかった体験より、失敗しても大丈夫だった体験から自己肯定感が得られると思います」。今回はセミナー当日に寄せられた質問の回答をメインにお届けしました。当日参加された方はもちろん、参加できなかった方にも子どもと向き合ううえでのヒントとなれば幸いです。発達ナビには「Q&Aコーナー」も発達ナビにはQ&Aコーナーもあります。気になることを質問するとユーザーの方が経験をもとに答えてくれます。また、話題の質問に専門家からアドバイスともらえることも!子育てに関する疑問や知りたいこと、身近な人には相談しにくいこともあるかもしれません。ぜひ発達ナビのQ&Aコーナーも参考にしてみてください。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的能力障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年02月07日自閉スペクトラム症(ASD)のある息子はゲームが大好き!自閉スペクトラム症(ASD)のある小3のミミ。最近は学校から帰ってきたらパパに見てもらいながらゲームをやるのにハマっています。パパにアドバイスを聞きながら楽しんでやっているけれど、パパは真剣故にミミに厳しくアドバイスすることもしばしば…。ある日、厳しすぎるパパの態度に泣いてしまったミミ。以前も同じようなことがあったので、私はそこまで気にせずに見守っていましたが、パパはその後ミミが飼っている虫にエサを与えていないことに気づき…さらに注意はヒートアップ!するとミミは泣きながら台所から果物ナイフを取り出し、自分の左手へ…今にも左手を傷つけてしまいそうな状況に私は慌ててナイフを取り上げ、「こんなことしちゃだめだよ」と言いミミを抱きしめました。ミミの代わりにエサやりをしているパパを見ながら「パパはミミに命を大切にできる子になってほしいんだよ」と伝えました。ですが、ゲームとエサやりの件でショックが重なり、ミミは涙が止まりません。Upload By taeko学校での不満を訴える姿に…とにかくミミを落ち着かせようとパパから離れた場所で抱きしめたまま話を聞くことに。するとミミからは「学校なんて役にたたない、行ってもしょうがない、なくなればいいのに」「勉強なんて嫌い」「生きててもしょうがない。生まれなければよかった」などと衝撃的な発言が次々と…。また、授業で発言をしているときにクラスメートに「は?何言ってるの?」と言われたことが悲しかったことも教えてくれました。(ミミは思ったことを周りの状況を見ずにどんどん話すので、その様子をクラスメートが指摘したのかな…?)しばらくなだめていたのですが、ミミのマイナス思考は止まらず…「もうみんなが話しかけてきてもあっちいけ!って言うんだ。友達なんていらない!」「生きていても仕方ない、ママとパパは結婚しなければ良かった」と言い出しました。流石にひどすぎると思って、私はミミを「そんなこと言っちゃだめだよ」と叱りました。私が怒ったことを察したミミは布団をかぶって静かにしていました。1時間ほど過ぎて、弟のふーが帰宅するといつものご機嫌なミミに戻っていたので安心しましたが…このままでは良くないと翌日私はこんなことがあったんです、と一連の事件を担任の先生に相談しに行きました。Upload By taeko担任の先生から話を聞くと担任の先生から話を聞くと、学校でのミミの様子を教えてくれました。体育の授業でドッジボールをやっていたときに突然動かなくなってしまったミミを見て先生は「みんなでやっているんだからやめたらダメだよ」と声をかけたそうです。しかしミミは味方が減って標的は自分だけ、ボールを自分から取りに行くのも怖いし、もう諦めたいという気持ちを抱いてしまい、早くボールに当たってゲームを終わりにしたかったようです。また、物事を悪くとらえて人やモノのせいにしたり、声が大きかったりするので女子から苦情が多発していました。そのこともあり女子が苦手なミミ。体育着に着替えるときに女子と目が合っただけで「おれのこと見てた!女子なんて嫌いだ!」と思ってしまったようで、体育の時間だけでもかなりのストレスがあるようでした。ミミに我慢はしてほしくない…。先生にお話しを聞いて、ミミも学校でいろいろな経験をしていろいろな気持ちを感じていて、また我慢していることもたくさんあることが分かりました。今回はパパとのゲームでのやりとりがきっかけで、ミミの普段から感じていることや我慢している気持ちがあふれたことで本音を聞くことができたけれど、悩んでいることや嫌なことがあったらもっと早く気づいてあげたいし、話してくれるような親子関係でありたいと思いました。とはいえ、今ミミが一番楽しんでいるのはゲームなので、またパパとトラブルになりそうだったら早めに間に入ってあげようと思いました。少しでもミミが家にいる間は安心して過ごせるような環境にしてあげたいです。Upload By taeko執筆/taeko(監修:初川先生より)ミミくん、家庭や学校で苦戦する場面が募っていたのですね。ナイフを手にしたとの展開にヒヤッとしましたが、それほどまでにつらいという気持ちをどうすることもできず、その気持ちの強さがそうした行動につながったのでしょう。ゲームのような楽しいとき、またクラスの女子たちとの関係など、おだやかな心持ちというよりも、良くも悪くもちょっと興奮度が高いようなとき、そんなときに、「ダメ」や否定するようなメッセージが入ると、まるで自分全てがダメのように被害的に受け取ってしまったということだと思います。そして、そうした強いネガティブな気持ちになった記憶というものはつながっているので、1つつらいことがあると、「あのときのあれも、このときのこれも…」と頭の中では芋づる式に思い出されてしまいます。パニック状態ともいえますが、そのように一旦思い出されてしまった嫌な記憶は、なかなか自分で収めることができなかったり、嫌な記憶を平然と思い出すことは困難で、嫌な記憶はそのときの気持ちを伴って思い出されるので、まるで今体験しているかのようなつらさを感じることになっていたと考えられます。応急処置的に、クールダウンとして、布団にくるまって過ごすなど、ほっとするようなことをできたのは何よりです。学校の先生にもお話され、学校での様子(苦戦する様子)が聞けたのは何よりです。調子が良くないときは、学校でも家でもうまくいっていないことが往々にしてよくあります。先生とコミュニケーションをとり、一緒に見守る体制が取れると良いですね。そして、嫌な気持ちに全くならずに生きていくことは残念ながら難しいです。いいこともあれば悪いこともあるのが日常です。我慢している気持ち、つらい気持ちをお子さんが話すことができるのは大切なことですね。その際に大事なことは、励ましたり、否定したりしないということです。嫌な気持ちを語ると、「そんなこと言うもんじゃない」「あなたにも問題がある」「大丈夫よ、そんなこと気にするんじゃないよ」と、大人が良かれと思って強めのメッセージを伝えてしまうことがあります。しかし、大事なのはそこではなく、まずは、嫌な気持ち、つらい気持ちを聞いて受けとめるということです。「そうか、それはつらかったね」「そんな嫌なことがあったら悲しくなっちゃうね」「話してくれてありがとう」。つらい気持ちをつらい気持ちのまま受けとめる。あなた(子)がそう思うのは自然なことで、その気持ちのままで大丈夫(怒っているなら怒っているで、悲しいなら悲しいで大丈夫)という心構えで受け止める。そうすることで、お子さんがつらかった話をまたしても大丈夫、お母さん・お父さんと話すと安心するという関係になっていきます。最後に、お父さんとゲームで真剣になるのは調子の良いときは良いかなと思いますが、うまくできないとき(心がちょっと弱くなっているとき)に真剣にダメ出しされるとつらくなりますね。親と子は対等な関係ではなく、大人は子どもよりも経験値が高い分、器用にできてしまうことがたくさんあります。そうしたそもそもの設定として、子どもはみじめな気持ちになりやすいので、そのあたり加味して、一緒にゲームで楽しめると良いですね。
2023年02月05日塾はまだ早い?迷うわが家が始めたタブレット用の「勉強アプリ」Upload By 丸山さとこ息子のコウは中学1年生の今、学習塾に通っていません。塾について家族で相談した結果、「大勢に向けた話を聞くのが難しい今の段階では、集団塾に通っても効果は薄いだろう」という結論になったためです。とはいえ、『そう遠くないうちに家庭で学習を見るのは難しい年齢になっていくだろうな』という気がかりはあります。それなら個別指導塾はどうかと思い資料を取り寄せたこともありましたが、料金表に並んだ金額を見た私と夫が「今から通ったら中3までに資金が尽きてしまうね…」と青ざめたため、塾の話は再び見送りになりました。そんな状況の中で「塾は早くても2年生の夏からかな?」と考えていた私でしたが、あるときコウが「資格を取りたい」と言い出したことから、タブレット学習用の勉強アプリを家庭学習に取り入れることになりました。タブレット学習については、以前『もしコウが不登校を選んだら』と考えて調べたことがありました。そのため、現在の学年以外の単元も自由に選べるアプリがあることを知っていました。コウが取りたがった資格のためには先取り学習が必要だったため、「前に話した勉強アプリやってみる?」と提案すると「やりたい!」と二つ返事のコウ。Upload By 丸山さとこワーッと盛り上がってサーッと冷めそうな予感がしましたが、『少しでも家庭学習のきっかけになれば』と思い、初めての勉強アプリをスタートすることになりました。タブレット学習用アプリを使ってみましたそうして始まった勉強アプリでの自宅学習ですが、タブレットを使用した学習は思った以上にコウに合っていたようで、半年近くたった今でも(多少のムラはありつつ)続いています。コウが勉強アプリを使っているときは大体私も同じ部屋にいます。家事や仕事をしながら見ていることが多いため画面そのものはほとんど見ていませんが、授業動画の内容や学習の進み具合は音声やコウの様子から何となく分かります。そうして学習風景を見ているうちに、何となく『コウの好む学習スタイル』や『コウが苦手とする学習スタイル』が見えてきました。その勉強アプリの基本的な流れは『動画視聴をしてから演習問題』となっています。コウはアプリを開くとまずは動画を見ていくことが多いのですが、1.25~1.5倍速で動画を再生していることがほとんどです。元々早口気味でムダなく授業を展開していく講師が多い授業動画です。近くで聞いていると、耳から漏斗で情報を流し込まれているような気持ちになってきます。Upload By 丸山さとこそんな学習風景を見ていると「本当に理解しているの?」と心配になりますが、コウは「ちゃんと分かってるから大丈夫だよ~」とニコニコしています。その後の演習問題の正答率を見ていくと、確かに彼の言う通り概ね理解しているようです。そんな様子を見ていくうちに、私は『仮に1回で理解できないときがあったとしても、心地よい速さで繰り返し聞く方が彼にとっては楽なのだろうな』と思うようになりました。そうして動画視聴が終わったあとは演習問題が始まるのですが、画面上で選択肢を選ぶ形のため、紙に書くのが苦手なコウも次々と問題を解いていくことができます。また1問ごとに正誤が分かるので、「これで合っていたのかな?」とモヤモヤすることなくスッキリした状態で次の問題に進めるのも快適なポイントのようです。Upload By 丸山さとこ出題の際は1問ずつ画面に表示されるため「今どこ読んでたんだっけ?」となりにくいところも良いそうで、タブレットでのアプリを用いた学習はコウにとても合っているのだなと思いました。私にとっても勉強アプリは救いの一手になりました。まず、答え合わせのチェックをしなくてよいところが助かります。コウの答え合わせはアテにならないところがあるため、紙の問題集の場合はときどき親がチェックする必要があります。小学生の間は主に私が答え合わせをしていたため、問題を解くコウ本人だけでなく、親の私も負担を感じることがありました。それを全てタブレットが行なってくれるのは非常にありがたく、心強いものです。回答が間違っていた問題は時間をおいてアプリ内で再度出題してくれるため、定期的な見直しを促さなくてもよくなりました。Upload By 丸山さとこまた、授業動画はボンヤリと見るだけであれば受け身でも行なえるため、コウにあまり意欲がないときも取り組めるのがありがたいです。講師との相性はあると思いますが、幸い今のところコウはどの教科の授業も面白いと言っています。私も同じ部屋でほかの作業をしながら授業動画を聞いているため、コウが学習しているところにしっかり付き合わなくても「コウの今の学習状況はこんな感じだな」と知っておけるのも良いところです。勉強アプリを続けて約半年!今はこんな感じですそんな風に良いところがたくさんあった勉強アプリですが、良いことづくしではありません。勉強アプリを続けて約半年たった今、困っているところもいくつかあります。まず、コウが紙での回答を面倒くさがるところは変わっていません。勉強アプリに沿った内容の紙の問題集もありますが、コウはたまに使うこともある程度で積極的には使っていません。タブレット上の問題だけではアウトプットの機会が少なくなってしまいますが、気軽に解けるタブレットだからこそ続いているのだろうと考えると難しいところだなと感じます。また、コウは「親が同じ部屋にいた方が集中しやすい」と言うのですが、そのためにコウのペースで私まで半強制的に授業を受けている状態になりがちなのがつらいときもあります。Upload By 丸山さとこ授業動画を聞くのは概ね楽しく、それ自体が苦痛なわけではありません。とはいえ、生徒の注意を惹きつけるための『聞かせる』話し方が延々と聞こえる状況には気力体力をジワジワと削られるのも確かです。コウのやりたいことにはできるだけ協力したいと考えていますが、倍速動画の猛攻に地味に耐えていることもしばしばです(あまりに疲れているときは、コウにヘッドホンを使ってもらっています)。このように「アプリを使えば、学習に関するお悩みは全て解決!」とはいかない現状ではありますが、コウが勉強アプリを使ってくれることは本当に助かっています。もしコウに紙の問題集を使うよう強いたとすれば、早々に学習意欲を失ったであろうと想像できます。また、コウの場合は紙の上で問題を解く負担も『問題を簡単だと感じること』である程度は軽くなるので、その点でも先取り学習ができるアプリの効果を感じています。多少音にストレスを感じようが、コウが少ない声かけでスムーズに学習を進めてくれることを考えれば、ストレスの総量は圧倒的に少なくなったと言えます!Upload By 丸山さとこまた、相性はあると思いますが、タブレット学習は「ゆっくりペースで学習を進めたい子ども」にも向いているだろうなと感じました。授業動画は速度を落として再生することも可能ですし、一時停止や巻き戻しもできるため、自分の理解のスピードに合わせて授業を受けられます。動画視聴と演習問題を繰り返すことで、分からないところを洗い出しやすいのも良い点だと思います。「塾には通っているけれど授業内容を活かしきれていない」という場合も、タブレット学習にて予習復習を行なうことで、より集中して塾の授業を聞いたり質問したりできるかもしれません(実際にそれを目的として学習アプリとタブレットを提供している塾もあります)。Upload By 丸山さとこ私は「タブレットでの学習は塾と家庭学習の間のような雰囲気だな」と思っています。塾の授業のような緊張感がないので集中力に欠けてしまうところもあるかもしれませんが、リラックスして受けられることのメリットは大きいなと感じています。ソファーや床で姿勢を崩しながら動画を見ているコウを見ると「中学生の学習風景…これでいいのか?」と思わなくもないですが、「学習を続けられることは大事だな」という気持ちでこれからも薄目で見守っていきたいです。執筆/丸山さとこ(監修:鈴木先生より)タブレット学習には一長一短があります。IQで処理能力の低いお子さんは板書をノートに写すのに時間がかかるため、タブレットで写真を撮って必要なところだけを記入する方法をおすすめしています。アプリやタブレットによる学習は教室の音も気にせず他人に邪魔されることなく集中して学ぶことができます。授業後もほかの生徒からいじられることもなく、いじめられることもありません。タブレットは会話が苦手な自閉スペクトラム症のお子さんには良いツールかもしれませんが、コミュニケーションが乏しくなるため、複数の人との会話能力が伸びにくいという面もあります。最近ではさまざまなネットサービスも普及し、昔に比べて他者との対話機会が減ってきています。しかし、社会という集団の中で生きていくには、コミュニケーションが重視されることもまた事実です。単にタブレットだけに頼るのではなく、ときには学校や習い事の小集団に入れてコミュニケーションを増やすことも、社会で生きていくためには必要なのです。
2023年02月04日無料の参加登録受付中!すべての親子に届けたい、発達が気になるお子さんの成長を応援するオンラインセミナーが3/5(日)に開催決定Upload By 発達ナビアライアンス プログラムもうすぐ春休み!うれしい気持ちがある一方で、新学期を迎えるにあたって不安がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。新学年への準備はどうしよう?春休みはどう過ごしたらいいのだろう?新しいクラスでお友達ができるかな…そこで発達ナビでは、発達が気になるお子さんとそのご家族が、ご自宅で気軽にみなさまの役立つ情報を得られる機会をお届けするため「オンラインまなびフェスタ2023」を開催します!発達が気になるお子さんを応援する専門家・企業によるセミナーやQ&Aをご用意し、少しでも毎日の生活のお役に立てたらと思っています。当日は豪華13セミナーの中から、お子さんやご家族のお悩み・知りたいことに合わせてご視聴いただけます。・日時:2023年3月5日(日)9:30~15:30(予定)・参加費:無料・形式:Youtube Live配信・参加方法:事前申込必須。下記ボタンよりお申し込みください・内容:専門家講演、発達が気になるお子さんを応援する企業によるセミナー、当日参加者限定のプレゼント抽選会専門家セミナー:発達が気になるお子さんを支える、商品・サービスのご紹介Upload By 発達ナビアライアンス プログラム大好評企画、鳥取大学大学院教授で臨床心理士の井上雅彦先生によるトークライブを開催。事前アンケートでみなさまから募集した質問やお悩みにお答えいただきます。3月から4月は多くのお子さんに環境の変化が訪れ、親子共に不安に思うことや気になることが多くある時期ですよね。この時期ならではのテーマを中心に、発達ナビ編集長・牟田とのセッションでお届けします。さらに、当日はチャット機能を使ってリアルタイムで井上先生に質問できるチャンスも!(時間の都合上、すべてのご質問を取り上げることは難しい場合もございます)井上雅彦 先生鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授/LITALICO研究所 客員研究員 応用行動分析学をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のためのさまざまなプログラムを開発している。特別講演:学校・家庭での「学習」のつまずきのサポート方法は?〜学校連携のポイントから具体的な学習支援方法まで解説〜Upload By 発達ナビアライアンス プログラム「宿題を始めてもすぐに集中が途切れてしまう」「間違いを指摘すると癇癪を起こす」「今は授業についていけているけれど、この先が心配…」お子さんの学習面のサポートについて、家庭学習の進め方や学校との連携方法など、さまざまなお悩みが出てくるものですよね。今回は学校精神科医の小川しおり先生に、学校との連携のポイント、合理的配慮の考え方や、学習面のサポート方法についてお話しいただきます。さらに保護者の方からよく寄せられるご質問をもとに、学習面におけるお悩みや不安の解消に向けた具体的な手立てについても解説。当日は視聴者のみなさまからの質疑応答タイムもご用意しています。ぜひご参加ください!小川しおり 先生日本福祉大学 教育・心理学部 心理学科 准教授療育センターや大学病院での児童精神科臨床を通して、発達に心配のある子どもと家族の支援、学校精神科医として教育現場との連携に取り組んでいる。外国につながる発達障害児支援の一環として多言語版パンフレットの英語版監修にも携わった。心理学部および大学院での教育活動に奮闘中。Upload By 発達ナビアライアンス プログラムお子さんが、自分らしく自信をもって人とやりとりをし、社会参加ができるようになるためには、幼少期に「まなびの基礎」をつくることが大切です。まなびの基礎とは何でしょう。ポイントは次の2つです。1つ目は、睡眠や生活リズムが安定していること。2つ目は、お子さんに「自分のできることには自分から取り組み、できないことは安心して人に頼る姿勢」が育っていることです。これら、まなびの基礎がつくられることで、お子さんは年齢が高くなるほど社会参加に必要な多くのことを意欲的に学べるようになります。まなびの基礎をつくるために、保護者はどのようなサポートができるか、家庭でできる“ちょっとした工夫”についてお話しします。日戸由刈 先生相模女子大学人間社会学部教授、博士(教育学) 横浜市総合リハビリテーションセンター 発達精神科外来にて20年間心理士として勤務後、同センター児童発達支援事業所「ぴーす新横浜」園長を務める。2018年より現職。公認心理師、臨床心理士、臨床発達心理士。Upload By 発達ナビアライアンス プログラム不登校や特性ゆえに学校から離れたお子さんは、ほかのお子さんと同じように勉強をすすめるのが難しい時期もあります。しかも焦る親の気持ちも知らず、子どもはゲームに熱中するばかり。講師の私は中学2年生で不登校。40歳を目前にADHDの診断を受けました。当事者目線として思うこと、そして不登校や特性のある当事者、親、識者など400人以上に取材してきた経験からお話したいと思います。今回、お話しするのは、発達障害の特性ごとにどんな勉強法が向いているのか。不登校や特性ゆえに学校から離れたお子さんが、どのように勉強を再開させたのかの実例。心に傷を負っている場合の対応について、時間が許す限りお話しします。石井志昂 氏不登校新聞の代表。『不登校新聞』とは「当事者の声に寄り添う」をモットーに、日本で唯一の不登校に関する新聞として、98 年に創刊。 以来1000 名を超える不登校・ひきこもり当事者経験者の声を掲載。2022年からは不登校の親専用コミュニティ「親コミュ」を設立。自身も中学生で不登校を経験しており、不登校新聞にかかわり続けている。近著に「フリースクールを考えたら最初に読む本」(2022年/主婦の友社)専門家特別講演は、日本生命保険相互会社の提供でお送りします。未来をつくるのは、いつだって子どもたち。けれど、この国では多くの人が、子どもを育てることの難しさに直面しています。みんながもっと自分らしく生きられる明日を叶えるために。子どもたちが未来に向かって伸びやかに、自分の可能性をひろげることができるように。群れ全体が協力しあって子どもを育てるペンギンのように、子育ての壁や不安のない社会を、みんなで手を取り合ってつくっていきたいとの想いから、「NISSAYペンギンプロジェクト」を始動しています。子育てに頑張るすべての人を、そして子どもたちの未来を、日本生命は全力でサポートします。Upload By 発達ナビアライアンス プログラム企業コラボセミナー:発達が気になるお子さんを支える、商品・サービスのご紹介発達が気になるお子さんの成長を応援する企業のみなさまにも協賛をいただき、多様なセミナーをお届けいたします。育児や療育、学習、普段の暮らしをより豊かにする商品・サービスをご紹介いただきますので、ぜひご期待ください!今回ご参加いただく企業のみなさまをご紹介いたします。Upload By 発達ナビアライアンス プログラム少子化社会でも不登校が過去最高であることに見られるように、日本の画一的な教育システムは制度疲労を起こし始めています。こうした時代の中で、これからの子どもたちに必要になるであろう教育内容をお伝えします。代表は、LITALICOの元・執行役員やプログラミング教育必修化に向けた委員も歴任。好奇心とデジタルを中心に子どもたちの未来を考え続けてきました。当日は、実際の子どもたちの事例なども踏まえながら、子どもたちの好奇心の可能性の大きさや保護者としての向き合い方などを、実際に運営している「オンライン習い事」や「オルタナティブスクール」の内容も入れながらお話しします。Upload By 発達ナビアライアンス プログラムUpload By 発達ナビアライアンス プログラム満足度5段階中4.8を達成!無学年式教材「すらら」が提供する親向け人気講座「ほめビリティ講座」では、褒めるを中心にペアトレ同様「行動分析学」による関わり方を実践。思春期前、思春期中で分類し、不安が強いお子さんには「認知行動療法」も取り入れて生活と勉強のコミュニケーション、両方の関わり方を伝授しています。また、今年からスタートした「ほめビ講座オンラインコミュニティ」は、1人で続ける大変さを支える「つながり」と「情報」を提供し参加者の実践を後押し。セミナーでは、「ほめビリティ講座」の内容とコミュニティ内でのやり取りを一部ご紹介します。「ペアトレ知識を行動に移したい方」必見のセミナーです。イベント内で案内するアンケートに回答された方にはもれなく500円分のギフト券をプレゼント!ご参加をお待ちしております。Upload By 発達ナビアライアンス プログラムUpload By 発達ナビアライアンス プログラム「学校に通うのが楽しい!」という気持ちを生み出し、毎日の笑顔や自信にもつながるランドセル選び。色やデザインはもちろん機能面にもこだわって選びたいですが、発達に凸凹のあるお子さんの場合、ランドセルとの相性によっては自己肯定感が低下するケースも…。・重いランドセルを背負って徒歩通学できるかな・整理整頓ができるか心配・給食袋などうまく取り外しできるかな・必要な機能って?つまずきやすいポイントは?70年以上ランドセルをつくり続け、すべてのお子さんに笑顔でランドセルを背負う夢を届ける努力を重ねてきた株式会社協和が、ランドセル選びのポイントやお子さんの体に合わせたカスタマイズについてご紹介。みなさまから事前に寄せられたお声やご質問にもお答えします。Upload By 発達ナビアライアンス プログラムUpload By 発達ナビアライアンス プログラム「うちの子は英語授業についていける?」「つまずいてやる気をなくすかも…」英語の授業は小学3年生から始まり、将来に役立つよう実践的なコミュニケーションを中心にしたものにシフトしており、内容は以前より難しくなっています。授業への不安を解消し、お子さんの興味・やる気を引き出し自信につなげるには、安心できるおうちの中で、楽しめる形で少しずつ英語に触れていくことが大切です。セミナーでは、集団授業で英語に苦手意識を持つ前におうちで無理なく英語学習できる環境をつくり、「授業でつまずかないための備え」に加え、「楽しみながら将来使える英語力を習得」するための方法について、完全1対1・Step by Stepでの子ども専門オンライン英会話を提供するリップルキッズパークが解説します。Upload By 発達ナビアライアンス プログラムUpload By 発達ナビアライアンス プログラムお片づけや着替えが苦手、姿勢が悪い、危険をかえりみず高いところへ上りたがる…。日常生活や園/学校生活でのお子さんの気になる行動の裏には、実は本人がいちばん困っている事情があります。お子さんの困りを理解するキーワードは感覚の「どん感」と「びん感」。そして、困りごとの解消につながるヒントはご家庭や公園での遊びに詰まっています。セミナーでは、それぞれの困りの解消に役立つのはどんな遊びなのか、家の中などの狭い場所や公園で実践できる遊びをご紹介します。Upload By 発達ナビアライアンス プログラムUpload By 発達ナビアライアンス プログラム「学校の仕組みが合わない」「新年度の新しい環境に不安を感じている」そんなお子さんにむけて、「オンラインフリースクールSOZOW」をご紹介。子ども一人ひとりの「好き」を起点に、自己肯定感を育む学校外の居場所としていま注目されています。代表は、LITALICOの元・執行役員。LITALICOワンダーで、デジタルを通して、不登校や発達特性のある子どもの可能性を解き放ってきた経験者です。当日は、「学校には行かずゲームばかりしている」「感受性が強くて新しいことに取り組むことが苦手」など実際にあったお子さんの事例も含めてお話しします。Upload By 発達ナビアライアンス プログラム参加者向けの楽しい企画も!発達が気になるお子さんの役に立つ商品を抽選でプレゼント!イベントをより楽しんでいただくための企画もご用意しています。発達が気になるお子さんに役立てていただける商品を、当日参加いただいた方の中から抽選でプレゼント!Upload By 発達ナビアライアンス プログラム~ 「小学校は楽しい!」を、親子で準備しよう!~北欧から届いた、アタマと心をバランスよく育てる小学校準備プログラム。ゆるやかに、ゆっくりと、自分のペースで階段をのぼっていけるように、デンマークの公教育で義務化されている小学校準備クラス「0年生」。北欧教育スクールフィーノリッケは、日本で初めて、この0年生のレッスン・教材を日本向けにカスタマイズ。独自のオンラインプログラムを提供しています。認定こども園で正課導入されるなど、受講人数は延べ3,200人を超えました。今回は「もっとやりたい!」とお子さんから大人気の1レッスンをお届けします!小学校低学年を楽しく過ごすために、ぜひ親子で一緒にご参加ください!Upload By 発達ナビアライアンス プログラムUpload By 発達ナビアライアンス プログラム「カンジモンスターズ」は、部首を合体させ、漢字の力を使って戦う"漢字バトルカードゲーム"です。漢字の知識不要!色さえわかればゲームをたのしめるので、5歳からでも遊べます!気づいたら漢字を好きになっています。さらに、ルールが奥深く、大人が遊んでも楽しいので、ぜひ家族の時間でお試しください!Upload By 発達ナビアライアンス プログラム2021年から開催し今回で5回目となる、多様な選択肢と出合える、発達ナビの「オンラインフェスタ」。「家庭学習」「習い事」「進路選び」「学用品」など、幅広い切り口で多くの専門家の方々や累計25社の協賛企業にお集まりいただき、のべ1万名を超える保護者のみなさまにご参加いただいて大きな反響をいただきました。【ご参加いただいたみなさんのコメント】・困っていた答えが見つかり、ほかの家庭も同じことで困っていることを知れるいい機会になりました。・専門家の意見が勉強になりますし、ほかの保護者の悩みなど共感でき自分だけが悩んでる訳ではないとポジティブになれました。・個別支援級に所属しているのですが、療育を受けてきても知らないこと、気づかない視点がまだまだあると感じました。・同じような境遇の親御さんの質問の答えを聞けたり、普段なかなかどうしたらいいかとか相談窓口がない状況だったりで悩んでることをオンラインで詳しく聞けたりしてとても参考になりました。・どれも今後必要な課題だなぁと改めて感じましたし、自分の対応の仕方にも反省することができました。同じように悩んでる人にもすすめたい内容ばかりでした。登壇者の方への質問や保護者のみなさん同士の交流のコメントで盛り上がったこのイベントには、事後アンケートで多くの次回開催を望む声が届きました。この春も、保護者のみなさんの疑問や不安に寄り添ったオンラインセミナーをお届けします!ご自宅からお気軽にご参加ください。たくさんの方のご参加を、心よりお待ちしております。
2023年02月02日4年生のときの担任に、標的にされて私は身体が小さくひょろひょろで、運動も苦手。それでいて口が立つし座学の成績はいいし、コミュニケーション障害のせいで周囲から浮くしで、もともと幼稚園のころからいじめられがちな子でした。でもときどきいじめられるだけで、クラスの中に多少の居場所はあったと思います。私が完全に「いじめられっ子」になったのは4年生のとき。担任の教師が反抗的な(に見える)私を目の敵にするようになったのです。体育の集合のときに一瞬遅れただけで「何をもたもたしている! 馬鹿にしてるのか!」と叫んで髪をひっ掴み、引きずり回す。アゲハチョウの幼虫にそっと触っただけで、まるで私が悪意を持って乱暴に扱ったかのように、「そうするっていうことは、こうすることだ!」と叫んで、腕を痣ができるほどつねる。学級会の多数決で皆が伏せているときに私だけ覗き見をしていたという濡れ衣を着せ、冬の廊下に締め出して謝るまで入れないと言う…。エスカレートしていくいじめ濡れ衣事件が決定的となって、「宇樹は人をバカにしており、悪意があり、不正までもするような非常に悪い子で、先生も懲らしめているから何をしてもいい」という感覚が児童の間で共有されてしまったようです。この感覚はクラス内だけでなく学年全体に及び、やがて「いじめられっ子」の印象は下級生にまで共有されるようになりました。班や下校グループをつくるときにクラス中でたらい回しにされる。バイキン扱いをされる。遠足で一緒になったグループ全員から走って逃げられ続ける(私は身体が小さく足も遅いので、全速力でも皆に追いつけませんでした)。クスクスと噂話をされ、近くに行くとピタッと話をやめられる。私は社交不安症のような症状が出て、学校に行くのがとても憂鬱でした。一度両親に訴えましたが、父は「学校に行かなければ将来路頭に迷う」と脅し、母はショックで泣いて寝込んでしまったので、それ以降は観念して死ぬ気で学校に通い続けました。5,6年時の担任からも受けた不適切な対応5年に上がるクラス替えのとき、4年のときに私を積極的にいじめていた子とは同じクラスにならないよう、また4年のときの担任がまた担任にならないように配慮してもらいましたが、状況は変わらないばかりか悪化していきました。給食を私にだけ配ってもらえない。買ってもらったばかりの服を着ていったら、体育のときに体操服に着替えていた間に隠され、最終的に出てこなかった(たぶん校内の焼却炉に投げ込まれたんだと思います)。体育や休み時間のドッジボールでは、身体の大きな男子が明らかな悪意を持って力いっぱいの球をぶつけてくる。クラス対抗の球技や縄跳びなどでうまくできないと、お前のせいで負けたんだと男子から罵られ、突き倒される。部活で下級生にさえいじめられる。父に相談したところ、学級会で「憲法違反だ、加害者についてはいずれ実名で訴えてやる」などと訴え出ろとアドバイスされ、そのとおりにしたところ、クラス中から非難轟々でした。「ひどいじゃないか、宇樹にも悪いところがある、みんなが宇樹から嫌な思いをさせられてるんだからいろいろされても当然だ」といったことを口々に言うのです。担任はこうしたクラスの反応に対し、「けんか両成敗ってことだね」とまとめました。私はこの流れを見ていて、あまりのショックに脱力してしまいました。今となっては、父のアドバイスも、そのとおりにした私も方向がずれていた、もっとほかのやりかたがあったのでは、とは思います。ですが、だからといって壮絶ないじめの被害者がいじめをやめてくれと訴え出たことについて、クラスの担任が「けんか両成敗」はないだろうと思います。担任は、いじめられっ子の側に立たずクラスの空気に迎合するばかりか、いじめられるのをニヤニヤして見ていたり、いじめを肯定するような発言をしたり、ときには率先してからかったりする人でした。3つ年上で地元の公立中学に通っていた兄が「このまま(ほぼ持ち上がりで進学する)公立中に上がったら義子はいじめ殺されるか、いじめを苦に自殺する」と両親に進言してくれたこともあり、私は中学は受験をして私立に進学しました。教師の不適切な対応はなぜ起こったのか ―虐待事件から考えたことこうした教師からの不適切な対応は思い出すたび腹が立ちます。その一方で、なぜあの人たちが私を虐待するに至ったのか ―私のような扱いにくい子どもを前にしたときに加害に至ってしまうような加害者マインドに陥ったのかを考えてしまいます。先日、保育園において保育士が園児に対して凄惨な虐待を行っていたというニュースが複数流れました。そのときにはやはり、自分の小学生時代のことを思い出しました。私が小学生だった30年前当時、女性のフルタイムで働けるキャリアといえば看護師と小学校教師、保育士ぐらいしかなかったのではないかと思います。当時女性ながらキャリアを築きたいと考えている女性で、学業成績も優秀だった人は、職業に教師を選ぶことも多かったのかもしれません。小学4年から6年のころの担任は、女性でした。ここで私が邪推するのは、彼女らがそのキャリアを歩む中で、男性優位の社会で能力を低く見積もられたり、ハラスメントを受けたり、悔しい思いを抱えていたのではないかということです。※これは決して、女の敵は女だとか、女性は感情の制御において劣っているとか言う意図ではありません。必ず最後までよく読んでください。社会の歪みは常により弱いほうに受け継がれます。不適切な対応をした担任は、まず彼女ら自身に社会の中で悔しい場面がたくさんあり、その傷が私のような扱いにくい子どもを前に反応したのではないか。ほかの児童のように従順に振る舞わない私に「バカにしている!」と腹が立ったのではないか―間違っているかもしれませんが、私はそう考えます。今回の保育園での虐待事件でも同様の構造が見えるように思います。保育士の仕事は、子どもの命にもかかわるハードなものであるにもかかわらず低く見積もられがちです。その専門性の高さに対する給与の低さは常に指摘されていますし、1人の保育士に割り当てられる子どもの数があまりに多く、仕事が非常にきついことも、保育士たちを追い詰める大きな一因となったと報じられています。男性教師による虐待もあるでしょうが、かつて、あるいは生活のほかの場面で被害者である人がより弱い相手に加害する構造はよくあるものだと思います。彼らの加害は決して許すことができません。しかし私は、その加害の裏にある彼らの痛みや社会の歪みに目を向け、根治に向けて何かしらの動きをしていければなと願っています。文/宇樹義子(監修鈴木先生より)もともと神経発達症(発達障がい)のあるお子さんは「不思議ちゃん」と言われることも多く、いじめのターゲットにされやすい傾向があります。私立を含めどこの学校であってもいじめはあり、例外ではありません。それは社会に出てからも継続することがよくあります。いじめる側は周りを見てやるので発覚することが少なく、いじめられる側は徐々にストレスが溜まっていきます。今日いじめていた子が明日はいじめられる子になることもしばしばあります。その逆も然り。いじめるグループに入ると周りが見えにくくなり、記憶に残っていないのです。一方、いじめられた側は一生記憶に残っています。神経発達症のあるお子さんは、もともと友達が少なくて頼れる人がいないということもあり、そのことがいじめを助長する一因にもなっています。唯一頼れる人が担任でなければならないのですが、その担任に暴力を振るわれ、いじめられていては元も子もありません。社会全体で神経発達症の理解&支援が必要なのです。
2023年02月02日子どもたちは日中の刺激、やりたいことが気になって寝ない…私は悪戦苦闘Upload By スガカズわが家の長男(ASD、ADHD)と次男(ADHD)は、小さいころからなかなか寝ない子どもでした。日中受けた刺激から夜遅くまで脳が覚醒していたり、過集中でやりたいことを見つけると、1〜2時間は要します。加えて長男と次男は仲が良いので、お互いが次の行動の妨げになることが多いです。ただでさえ日常生活(ごはん、お風呂、歯磨きなど)がスムーズにいかないなかで、やりたいことを始めて過集中に陥ってしまうと、満足するころには日をまたいでしまいがちに。かといって、時間を守らせて22時に布団に入れたとしても、その日やりたいことが積み残された状態だと子どもたちは眠りません。また、次男は情緒不安定になることが多く、次男が情緒不安定になると一緒にいる長男にも影響します。他者から感じた「見えない圧力」Upload By スガカズまた、学校や病院などからときどき子どもたちの睡眠時間を質問されることがあるのですが、質問に答えるたび、ストレスを感じていました。答えたあとは「睡眠時間が平均よりも少ないこと」や「睡眠時間が少ないことがもたらす影響」について指摘されるからです。児童精神科の先生からもよく指摘されていました。先生は、医師として子どもたちのことを考えて発言されていることは重々承知しています。ですが、当時の私は他者から子どもたちの睡眠時間をうまく確保できていないことを指摘されるたびに、自分が「母親失格」の烙印を押されたような気がしていました。次男がチック症になってから気づいたこと次男が小1のころ、私と次男の関係はよくありませんでした。当時次男は小1の壁にぶちあたっており、私はどうしても次男の悪目立ちするところばかり気になってしまい、次男に怒ってばかりでした。もちろん怒る原因の一つに、「夜寝ないこと」もありました。そんな日々を送っていたある日、次男はストレスから「チック症」を起こしました(こわばった表情でモゴモゴと口元を頻繁にゆがませていました)。そのときの周囲や本人の意見、家庭環境から、「子どもたちをコントロールすること」ではなく、「子どもたちと気持ちよい時間を過ごすこと」のほうが重要だと気づきました。Upload By スガカズ私が子どもの睡眠時間を確保したいと思うのはなぜか?私はなぜそこまで躍起になって子どもたちに眠ってほしいと思ったのでしょうか?それにはこのようなことが挙げられます。【子ども】・生活のリズムが安定しやすいから・就寝時間が決まっていることで、物事の始まりや終わりを知ることができ、社会生活を送る上での『決まり』も学べるから・成長の遅れ、集中力、疲労感などに影響があるとされているから【私】・子どもたちが早く寝ることで、親がほかの仕事(家事、育児、仕事)をこなせるから・親の自由時間、睡眠時間も確保できるから・他人から指摘されて自分が落ち込むことが減るからこうして振り返ってみると、眠ってほしい理由は、よくも悪くも自分本位であるということが分かりました。「どうやら世の中的にはそういうことが良いとされているから」「他者から指摘されるのがいやだから」「自分の体が楽になるから」という理由が大半になります(「自分の体が楽になるから」という理由は、自分のメンタルに影響するので大事だと思います)。当時の次男は学校生活を送ることがそもそも難しく、情緒不安定になっていました。そんな中で、「就寝時間が決まっていることで、物事の始まりや終わりを知ることができ、社会生活を送る上での『決まり』も学べるから」と思って無理に寝かせようとしても意味がありません。子どもたちが気持ちのよい日々を送れるようにすること。それが一番大事だと気づきました(当たり前のことなのかもしれませんが、当時の私は余裕がなく、目の前のことしか見えていませんでした…)。個々の入眠しやすいパターンは利用するとはいえ、「そろそろ寝たほうがいいよ」と子どもたちに伝える必要はあります。また、子どもたちそれぞれが入眠しやすいパターンを知り、最低限対応することだけはしようと思いました。Upload By スガカズいろいろと模索する中で、入眠しやすいパターンが分かってきました。長男はオルゴール、次男は家庭用プラネタリウムといったふうに、それぞれの特性で有効なものが違っていることが分かりました。そのほかに、「部屋を予め暖める」、「寝る前に手足をマッサージする」、「寝る1時間前は照明を暗くする」なども試しました。手足をマッサージするのは子どもたちも気持ちよさそうにしてはいましたが、子どもが4人いて、毎日することは難しかったので「お母さんが大変になってきたからやめるね」と伝えました。Upload By スガカズまた、子どもたちは寝室に行ってからも騒がしくしていることが多いのですが、「お布団の中では寝て」「しゃべらないで」など難しくて曖昧な指示ではなく、「お布団の中で話すときは”アリさんの声”にして」など、具体的で実行しやすい指示になるように気をつけました。私は2人に「おやすみ」と言ってしばらくしてから別室で寝ます。別室であれば子どもたちが起きていてもイライラせずに済みます。「他者の意見は気にしないでいい」と、今なら思える無理に寝かせようと躍起にならなくなってからは、私自身、育児が楽になったような気がします。そんな私の様子を見て、「遅くまで起きていても注意しない」「ルールに無頓着」だとパパは思うらしく「もっと厳しくしたほうがいい」と指摘することがありますが、私はこのままでいいと思います。昔から他者から「見えない圧」を感じていたけど、実際子どもたちと一緒にいるのは自分なのだから、自分たちが楽な方法がよいですし、他者の意見はあまり気にしないでいいと思っています。執筆/スガカズ(監修:藤井先生より)スガカズさんが長男さん、次男さんの睡眠がうまく進まないことで、睡眠時間を確保したい理由を書き出されたのはとても良いですね。そのことを通じて、お子さんが気持ちよく過ごせることが第一と思うに至ったのですね。発達障害であっても、なくても、子どもは親の思い通りにならないことが多々あります。発達障害の特性があればなおのことです。「子どものため…」と思う声かけや、良かれと思った行動も、実は親自身が周りからどう見られるかなど気にされての行動だったという場合もよくあります。もちろん、親御さんの気持ちが安定するのも大事ではありますが、お子さんが気持ちよく過ごせることを第一にという視点は、今後の子育てにおいても大切な指標になりますね。
2023年01月31日義母を叩いてしまう自閉症長男に困ってしまい3歳のときに、自閉スペクトラム症(ASD)と知的障害の診断がおりた、わが家の中2長男。もちろん、義理の両親にもそのことはすぐに伝えました。義母は長男の診断を聞いて、最初は「障害はいつか治る」と思っていたようでしたが、今では孫の障害について、治るものではないと理解して受け入れてくれています。長男は人を見て態度を変えることがよくあり、特に悪いことをしても許されそうな人・怒らなそうな人に対しては叩いたり暴れたりなど、自分の思いを間違った方法で伝えてしまう一面があります。それは義母に対しても…優しい義母に長男も甘えていたようで、長男は義実家へ行くと常に義母に手を出していました。自分が手を挙げたときに、おばあちゃんが反応してくれるのが面白かったのか、叩きながらうれしそうにするのです。Upload By ユーザー体験談義母は「この子は困ったね」という感じで長男のことを警戒していたようですが、義母からは「うちに連れて来ないで」という言葉はありませんでした。長男が手を出したら「叩いたらダメ」ということは、諭してくれていたようでした。(義実家に行くときは夫と一緒だったので私は直接見たことはありません)長男が叩いた弾みで義母が転倒!そんなことが続いた長男12歳のある日、とうとう義母が長男が叩いたその弾みで倒れてしまったのです。幸いにも怪我などはなかったのですが、長男も12歳になり相当力が強くなっています。それ以来、夫は「(長男を)連れて行くと(義母が)危ないから」と言って長男を義実家には連れて行かなくなりました。Upload By ユーザー体験談義母は70代で若くないし、体も小さいので義母の身を案じてのことです。孫の顔を見せたいという気持ちより、長男は義母に必ず手を出すのでやめておいたほうがいいという夫の考えには、長男の気持ちを思うと残念な気持ちもありましたが、私も同感でした。しかし当の本人は義両親が好きなので、ときどき義実家に行きたがります。学校が休みの日に、「じいちゃん、ばあちゃん行く!」と泣きながら口にすることもありました。義両親に会わせてあげたいけれど、義母をまた叩いてケガをさせてもいけない…長男には我慢をしてもらうしかありませんでした。Upload By ユーザー体験談数年ぶりの義両親宅への訪問。長男の様子は…?そのままコロナ禍に入ってしまったということもあり、しばらく義実家に行くこともなかったのですが、今年のお正月、数年ぶりに夫が長男と次男を連れて義実家に行きました。夫と次男は、長男が義母に手を出さないよう予め言い聞かせたり、気をつけて見ていてくれたようで…そのこともあり長男が義母に手を出すことはなかったそうです!以前は長男を連れて行くことに反対していた夫も、今回の成長を見て、たまになら連れて行ってもいいかなと思ってくれたようです。そして義母も、先日電話で話をしたときに「孫はやっぱりかわいい。会いたい」と言ってくれていたので、コロナ禍などの様子を見ながらこれからも義両親に会いに行けたらいいなと感じました。Upload By ユーザー体験談そのためにも私たちは「事前にしっかり『おばあちゃんを叩かない』と言い聞かせる」「義実家では必ずそばで見守る」「義母に対してふざけそうな様子を感じ取ったら、義母との距離を離す、または家に帰る」などを心がけ、義母と長男が少しでも楽しい時間を過ごせるようにこれからもサポートをしていきたいと思っています。イラスト/SAKURA※エピソード参考者のお名前はご希望により非公開とさせて頂きます。(コメント:鈴木先生より)ダメなものはダメときっぱりと言い切ることが大事です。そして、我慢できたら褒めてあげることも重要です。こういう場面でもトークン法の「がんばりカード」などを有効活用してもいいでしょう。逆に「叩きたくなったら肩を叩いてあげようね」でもいいかもしれません。人を蹴る子どもにはサッカーを、棒で叩く子どもには野球や剣道をすすめるのと同じです。今回のお義母さんは叩かれて反応してしまいましたが、嫌なことをされた場合は、いい意味で無視することも一つの手です。周りの反応を見て楽しんでいる子どももいるので、なるべく反応しないようにすればいずれ飽きてやらなくなるはずです。
2023年01月28日PTSDとは心の外傷体験に対する反応が長期的に続いている状態PTSD(Post Traumatic Stress Disorder :心的外傷後ストレス障害)は、心の外傷体験に対する反応が長期的に続いている状態です。通常、外傷への反応は一過性で時間とともに改善しますが、災害・事件・事故など自分や身近な人の生命に関わるような重大な外傷体験の場合、症状が重く、長期化することがあります。このように症状が長期化した状態を、PTSDと呼びます。症状の代表例には、心の外傷体験を再体験するフラッシュバック、気分障害、睡眠障害などがあげられます。また、PTSDと関係が深い病名に、急性ストレス障害がありますが、急性ストレス障害は外傷体験の直後から1ヶ月以内に発症し、1ヶ月以内に収束するのが特徴です。一方で、外傷体験から3~6ヶ月以内に発症し、症状が1ヶ月以上続くのがPTSDです。(外傷後何年も経ってから発症するケースもあります。)※このページは「心の外傷とその対応|文部科学省」と各参考資料を基に作成されています。参考:心の外傷とその対応|文部科学省子どものPTSDの原因・症状・診断基準PTSDは大人・子ども問わず発症する病気ですが、大人に比べて精神的機能が未発達な子どもの場合、その外傷体験の影響が深刻になることがあります。そのため、子どものPTSDは大人よりも細やかな注意が必要です。どのようなストレスでも外傷体験となる可能性はありますが、子どものPTSDの原因になりやすい外傷体験は以下の3つと言われています。1.自分の生命や身体に対する深刻な脅威具体例:暴力、性的な虐待、人質にとらわれる、戦争、ガンなどの重い病気など2.他者が重症を負ったり、殺害されたりした出来事を目撃すること具体例:事件事故・暴力・天災・テロ・戦争など3.身近な他者に対する深刻な脅威具体例:家族の死、暴力、性的な虐待、人質にとらわれる、戦争、ガンなどの重い病気など個人差があるため、外傷体験に晒された全ての子どもがPTSDを発症するわけではありません。また、子どもが直接外傷体験に遭遇していなくても、他者の体験を目撃することで発症するケースがあるため、注意が必要です。※幼児のPTSDで多い原因のひとつに「ドメスティックバイオレンス(家庭内暴力)」が挙げられます。子どものPTSDの症状は主に「侵入症状」「回避症状」「認知および/または気分に対する悪影響」「覚醒度および/または反応性の変化」「解離症状」の5つがあり、いくつかの症状を併発することがほとんどです。1.侵入症状心の外傷体験を連想させるものを目にしたあとなどに、意図せずその体験を思い出したり、悪夢を見たりします。(6歳未満の場合、悪夢と外傷的な出来事の関連性は不明)心の外傷体験を再体験するフラッシュバックがよく見られますが、幼児の場合、遊びを通して外傷体験を再演するケースも多いです。2.回避症状心の外傷体験の記憶や感情を思い出さないように回避し続けます。その体験を連想させる物事も回避対象です。3.認知および/または気分に対する悪影響心の外傷体験を思い出せなかったり、その体験に対する考え方に歪みが生じたりする場合があります。考え方の歪みの例には「自分が悪いのではないか」「自分が何か対処をすれば避けられたのではないか」などがあり、自責的な考え方になる傾向が見られる場合もあります。また、心の外傷体験は気分にも悪影響を及ぼし、以下のような症状として表れます。・陽性感情の減少と陰性感情(恐怖・罪悪感・悲しみ・羞恥心・錯乱・疎遠感・孤独感など)の増加・物事に関心が持てなくなる・ひきこもり・感覚が麻痺していると感じる・自分が若くして死ぬと予測する4.覚醒度および/または反応性の変化心の外傷体験の前には見られなかった、過剰な覚醒状態やそれに伴う症状が表れます。ちょっとした音や変化にドキドキしたり、常に緊張している状態になったりもします。5.解離症状自分の意識が体から離れているように感じたり、現実が非現実に感じたりします。参考:小児および青年における急性および心的外傷後ストレス障害 (ASDおよびPTSD)|MSDマニュアル プロフェッショナル版PTSDは、重度の恐怖をもたらした心の外傷体験があり、その体験を再体験しているかどうかや、感情麻痺や過覚醒の病歴をもとに診断されます。PTSDと診断されるには、機能障害や精神的苦痛を引き起こすほど重度な症状があり、その症状が1ヶ月以上続く必要があります。症状が3日以上1ヶ月未満のものは急性ストレス障害と判断され、PTSDの診断にはなりません。また、PTSDには、急性ストレス障害が持続したケースや、心の外傷体験後しばらくしてから発症するケースなどがあり、発症までの経過はさまざまです。(急性ストレス障害やPTSDの具体的な基準はわずかに異なることがあります。)子どものPTSDは、年齢によって症状の表れ方に特徴があります。ご家庭でできる応急処置の方法にも違いがあるので、幼児・小学生・中高生に分けて説明します。幼児(主に小2くらいまで)これまで「安全であった世界」がそうでなくなったと感じており、安全であることを確認しようとします。そのため、家族への依存が強くなり、赤ちゃん返りなどの症状が表れます。ぼーっとしている、ものごとに関わりたがらない、危険が去ったことを理解できない、ぐずる、眠るのを怖がる、両親から離れられない、退行症状や不安感などの症状が見られる場合もあります。Upload By 発達障害のキホン・大人にできる支援「大丈夫だよ」と繰り返し伝える、スキンシップの頻度を増やす、一緒に寝るなど、安心・安全であることを思い出してもらうよう心がけましょう。また、無理に心の外傷体験を思い出させたり、大切な人と引き離したりなど、心の負担になるような刺激は避けてください。できるだけ日常生活を今まで通り続けることが大切です。心の外傷体験を再現する遊びをしたときは、ぬいぐるみなどのおもちゃや画用紙などを用意して、気持ちを表現しやすい環境をつくるといいでしょう。小学生(主に小3から小5くらいまで)このくらいの年齢になると、ストレスを受けたときの反応は不安や恐怖が中心になります。しかし、幼児期や低学年の子どもと違い、恐怖がより現実的な内容を持っています。イライラ、怒り、言うことを聞かないなどの行動や、吐き気、腹痛、頭痛などの身体症状、不眠、悪夢などが引き起こされることも多く見られます。自分の行動が気になる、苦しい思い出に関連する物事に恐怖を示す、体験したことを繰り返し話す、体験したことを再現する、集中力や学習意欲の低下、両親に心配をかけさせなくないので、不安感を告げることに戸惑う、などの症状が見られる場合もあります。Upload By 発達障害のキホン・大人にできる支援幼児期の対応と同様に、安心安全を感じられる環境を作り、心の負担となる刺激を避け、通常通りの生活を心がけましょう。ある程度大きくなったお子さんでも赤ちゃん返りをすることがありますが、からかったりやめさせようとしたりせず、受け止めることが大切です。また、成績が下がってしまった場合は、一時的なものであると伝えて、自信を喪失させないように配慮しましょう。自分の衝動をコントロールする努力をさせてみる(行動する前に、何をしたいかを言葉にさせてみる)ことも有効だと言われています。趣味や友達と遊ぶ時間を作ったり、お手伝いを頼んだりなど、気分転換を促すことも効果的です。小学6年生から中高生(主に18歳くらいまで)この年齢の子どもの場合はストレスを受けたときに、より複雑な反応を示します。引きこもり、抑うつ、自殺念慮、非行、身体症状の産出などもよく見られる症状です。恥ずかしい気持ちや罪の意識で孤立してしまったり、恐怖感や無力さを意識しすぎてしまい、人間関係でトラブルなどが見られる場合もあります。Upload By 発達障害のキホン・大人にできる支援社会的活動の場を用意することが大切です。体を動かし、人と関わり、楽しさや他者の役に立つ体験を増やしていきましょう。ご家庭では、子どもの話に耳を傾けるよう心がけてください。もし、激しい感情や行動の変化がある場合は、速やかに専門機関と連携をとってください。子どもの変化に早く気づくことができるように、日ごろから学校や友達といるときの様子に気を配っておくといいでしょう。また、親同様に、友達との関係・友達からのサポートなども重要になってきます。子どものPTSDの治療法子どものPTSDの治療法は大きく分けて3つあると言われています。1.精神療法2.行動療法3.選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)のほか、ときに抗アドレナリン作動薬精神療法では、主にカウンセリングの一種である支持的精神療法が用いられます。特定の症状を示す患児に役立つことがありますが、全てのPTSD患児に適応するわけではありません。一方、行動療法は多くのPTSD患児の苦痛や機能障害を減少させるのに、効果的であるとわかっています。PTSDの治療に使われる代表的な行動療法には「曝露療法」があり、心の外傷体験後から続く恐怖を消すのに役立ちます。子どものトラウマに焦点化した認知行動療法として「TF-CBTトラウマフォーカスト認知行動療法」があります。TF-CBTは、米国のDeblinger、Cohen, Mannarinoにより開発され、子どものトラウマに焦点をあてた認知行動療法です。欧米のいくつかの治療ガイドラインにおいて、子どものトラウマ治療の第一選択として推奨ることの多いプログラムです。基本的に毎週1回、親子で通い、親子別々に課題に取り組む回や親子一緒に話し合う回などがあり、8~16週間定期的に通う場合が多いです。参考:TF-CBTトラウマフォーカスト認知行動療法|兵庫県こころのケアセンターSSRIは感情麻痺やフラッシュバックの軽減に役立ちます。抗アドレナリン作動薬は過剰な覚醒状態の緩和に役立つ場合がありますが、まだデータが十分にとれていないので注意が必要だと言われています。参考:小児および青年における急性および心的外傷後ストレス障害 (ASDおよびPTSD)|MSDマニュアル プロフェッショナル版PTSDとうつ病の関連性PTSDはうつ病が併発しやすい病気で、以前は楽しんでいたことに対する関心が薄れたりします。SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)などの抗うつ薬はうつ病を併発していなくてもPTSDの治療に用いられることがありますが、うつ病や不安症の併発している場合は特に効果的と言われています。ただ、子どもの場合は大人以上に原因が複雑で、うつ病かPTSDかの判別が難しいので注意してください。また、併発している場合に、うつ病とPTSDのどちらが一次症状でどちらが二次症状なのかを判断するのも簡単ではありません。判断が難しい場合は、受診して「出ている症状」を抑えることが大切です。参考:PTSD|厚生労働省・みんなのメンタルヘルスもしPTSDになりそうなシーンに遭遇してしまったらお子さんと一緒にいるときに重大な出来事に遭遇してしまったときに備え、次の3つを覚えておきましょう。1.安全と安心の保証を第一に!まずは、生命の安全(環境の安全)、身体の安全、心の安心を確保しましょう。特に、子どもの心の安心を守るためには「落ち着いて行動している姿を見せる」「正確な情報を伝える」「子どもの不安な感情を受け止める」ことが大切です。2.生活をなるべく普通に戻す出来事に遭遇する前の生活になるべく早く戻すことを心がけましょう。幼稚園や学校生活への復帰、親子関係や友人関係の回復、遊びの時間の確保などが特に大切です。3.気持ちをゆったりさせる出来事に遭遇したときの不安を長引かせないために、生活に気持ちを安定させる方法を取り入れてみましょう。ヨガ・ストレッチ・散歩・静かな音楽を聞くなどさまざまな方法がありますが、特におすすめなのは『呼吸法』です。鼻から吸って、口から吐き出す呼吸を、ゆっくり行いましょう。お子さんが小さくてうまくできない場合は、風船やシャボン玉などを利用する方法もあります。子どものPTSDは大人に比べ、外傷の影響が深刻になることがあるため、細やかな配慮が必要になります子どものPTSD(Post Traumatic Stress Disorder :心的外傷後ストレス障害)は、心の外傷体験に対する反応が長期的に続いている状態です。子どものPTSDは大人に比べ、外傷の影響が深刻になることもあるため、細やかな配慮が必要になります。特に現代では、インターネットで衝撃的な映像を目にしてしまう機会も増えました。他者が傷ついている映像などを見ることも、PTSDの原因になる可能性があるので注意しましょう。もし、お子さんが心の外傷体験に遭遇してしまったり、PTSDではないかと感じる症状が見られたりした場合、まずは安全と安心の確保に努めることが大切です。その上で、症状が長いまたは重いと感じる場合は、速やかに専門家に相談してください。
2023年01月27日アスペルガー症候群の夫、ユーマさんとの結婚生活からカサンドラ症候群になり、離婚したアコさんのお話です。アコさんの夫、ユーマさんは、やさしくて真面目な人。しかし、なぜか結婚生活に息苦しさと孤独を感じていたアコさん。あるとき、ユーマさんが自分に向けて心から笑っているところを見たことがないことに気が付きます――。娘を出産し、育児に追われる中で、アコさんは娘の発達が遅いのではないかと心配していました。相談しても「大丈夫」としか言わないユーマさんに、心のすれ違いを感じるように。やがて娘は4歳になりましたが、ずっと気になっていたアコさんは、病院で診てもらうことに。1年通った結果、診断結果は「自閉症スペクトラムのグレーゾーン」でした。 グレーゾーンと言われてモヤモヤしたものの、アコさんは医師の診断が出たことにホッとする気持ちもありました。しかし、ユーマさんは納得がいかないのか、うつむいて黙っていました。 病院からの帰り道、アコさんはユーマさんに「ほらね」と言いたい気持ちをおさえながら、「わかって良かったよ」と言いました。するとユーマさんは……!? 夫のリアクションにまた心は離れて… *誤)診断しだけだし→正)診断しただけだし 娘が自閉症スペクトラムのグレーゾーンという診断を受けた病院の帰り道。 アコさんが、「ほらね」と言いたい気持ちと葛藤していると、ユーマさんがずっと閉ざしていた口を開きました。 「先生が『今は』って言ってたよね。また成長したら治っていくかもしれないよ」 アコさんは驚いてしまいますが、ユーマさんは、手はかかるけれどこのくらいの子はたくさんいるだろうと、医師の診断を信じていない様子。 アコさんは、ユーマさんが自分のみしか信じないんだと感じ、ショックを受けます。アコさんの心はまた、ユーマさんから離れてしまうのでした。 「自分の子どもが発達障害であるわけがない」と、1年通って出た診断結果を信用しないユーマさん。このことでアコさんの心はまた離れてしまいました。アコさんとしては、医師の診断を聞いて、目の前の娘さんが困っていることを少しでも取り除きたい、そしてそれを夫であるユーマさんと協力してやっていきたいという思いだったのではないでしょうか。 監修/助産師 松田玲子 作画:鳥頭ゆば 著者:マンガ家・イラストレーター アゴ山シングルマザーで2児の母です。自分の体験談や過去に出会ったヤバイ人たちの話などを書いてます。イラストは鳥頭ゆばさんに描いて頂いています。
2023年01月26日医師のすすめで水泳を始めるわが家の凸凹兄妹の兄、タケルは、3歳ごろから喘息の発作を起こすようになり、定期的に通院していました。幼稚園の年長になるころには、発作を起こすことはかなり減ってはいましたが、少し運動すると息が苦しくなってしまうということで運動に対する苦手意識がばっちり育ってしまいました。6歳になるころには体形も目に見えてぽっちゃり…そこで医師に「筋肉と心肺機能を鍛えるためにも何か習い事をしてみては」とすすめられ、小学生になると同時に近所のスイミング教室に通い始めました。私は運動なら何でも良かったのですが、すでに「将来はフィールドワークをするハカセになる!」と思い決めていたタケルは「やるなら水泳がいい!」と、自分でスイミング教室を見つけてきました。詳細はよく覚えていないのですが、確か学校の友達でそのスイミング教室に行っている子どもがいて、新入会員募集のチラシをもらってきたんじゃなかったかな…と思います。いつのまにか始まった習い事ライフ以前にも書かせていただきましたが、私は何か習い事をさせたいとぼんやりとは思っていましたが、以前自分がやっていた書道をやらせてみようかな〜というぐらいで、特にこだわりを持っていませんでした。3歳ぐらいですでにほかの多くの子どもとは違う興味関心を持ち、自分なりの日々のルーティンを持っていたタケル。小学校に上がって、同級生が習い事を始める時期になっても、今の生活パターンを守ろうとするだろうから週に何時間と決めて練習する余裕もないし、ほかの子どもと一緒にじっと座って何かを習うのも無理かもしれない…。なので、「何かやらせたいとは思うけど、今じゃないよね~」とのんびり構えていたのです。私としては、あれれ?勝手に行先が決まってしまったぞー!?という感じでした。Upload By 寺島ヒロまた心配していた「ルーティンが壊れるのを嫌がるのではないか問題」については、通うコースを決める段階で話し合い、本人が「夕方の工作の時間をなくす」と言い出したことで、すんなり新しいルーティンをつくることができました。しかし、そうすると平日にスイミングスクールのない曜日が3日できてしまいます。「予定をぎちぎちに詰めたい」「空いた時間は何をすれば良い?」とタケルが言うので、私の希望でお習字教室も入れてもらうことにしました。残りの2日はその交換条件でゲームをして良い日です。小学生だというのに、全く勉強の時間を増やしてなくて大丈夫か?とも思いましたが、まあヨシということにしました。以前に、タケルといっちゃんがやっている習い事について書かせていただいた記事はこちら↓↓マンツーマンで力を発揮いざ、習い事が始まってみると、水泳も書道も個人技ということもあり、先生が直接指導してくれるので、ほかの子どもたちとそれほどコミュニケーションを取らなくても大丈夫だということが分かりました。元々ASDならではの凝り性で、同じことを繰り返し練習することが苦にならない性格のタケル。自分なりに追求したいことを見つけては、マイペースで技術を積み重ねることができたようです。Upload By 寺島ヒロまた、たまたまでしたが、両方とも人から話しかけられることの少ない静かな環境で学べることだったというのも、聴覚過敏があるタケルにとってプラスでした。記録には残っていないけど今は22歳で大学生になったタケル。子どものころの希望通り、フィールドワークに出るような学部に属しています。臨海実習ではスイミングスクールで培った自在な泳ぎを見せ、周囲を驚かせたそうです。プールで速く泳げなかったので、スイミング教室ではなかなか進級できず、ほかの子どもにからかわれたりすることもあったそうですが、「浮くことと潜ることを納得いくまで練習したので、仕事に必要な泳ぎができることには自信がある。嫌なことを言われるからと途中で辞めなくて良かった」と言っています。書道も水泳も、何か賞を取ったり、周囲から褒められるような結果が得られたりしたわけではありませんが、今振り返ってみると、タケルの「周囲があまり気にならない特性」が幸いし、誰かと自分を比べて一喜一憂することもなく、自分なりのやり方で成功体験を積むことができたのかなと思います。執筆/寺島ヒロ(監修:井上先生より)習いたいものについて、本人が自ら希望を言えたり、小学生で自分のルーティンの調整ができるのはすごいことです。また、中学生になって両立できないときに、習い事を調整できたことは、さらに素晴らしいことと思います。習い事はその道を極めることが目的ではなく、大人になってから教養や趣味として役立っていくことが多いです。習い事は学校と違って、周りと比べないで続けられると、長く付き合えるのではないでしょうか。
2023年01月26日「高校、別に行きたくないし」自閉スペクトラム症(ASD)のある子ども発達障害の専門家が出会った子どもたちの抱えていたリアルな「困った!」をもとに、子どもたちの状況を変えた対応策などをドキュメントタッチで解説します。今回は、フィギュアに夢中で、勉強に身が入らない自閉スペクトラム症(ASD)のある子どものエピソードです。Upload By 専門家体験談Upload By 専門家体験談Upload By 専門家体験談マンガ/NEGI今回は、自閉スペクトラム症(ASD)のある中学生のお子さんに関する「勉強の悩み」エピソードをもとにマンガ化してお届けしました。フィギュアやゲーム、アニメなどに夢中で、なかなか勉強に身が入らないお子さんは多く見られます。特に受験が近かったり、テストの結果が芳しくなかったりすると、保護者の方のご心配も大きいことと思います。今回のようなフィギュアなどの収集癖があるお子さんの場合、次のようなステップで関わることをおすすめします。1.子どもの興味・関心を否定せず、話を聞いて理解しようとする2.興味・関心を起点として関心の幅(視野)を広げられるようにきっかけを与え、進学についても目的を与えるようにする3.進学先については選択肢を提示し、子どもが選びやすい状態をつくる
2023年01月25日療育園では保育中どんなことをする?療育園へ入園する前は、週2回の母子登園の療育に通っていたため、私は自家用車で送迎し、ずっとPのそばで一緒に過ごしていました。それが療育園に入園すると毎日登園になり、Pはバスに乗って1人で登園し、クラスで過ごして、またバスで帰ってくるという生活になりました。最初の方は園での生活に慣れるまで本当に大変で、集団でのルールにも従えなかったし、お友達とのトラブルもあったし、給食もほとんど食べられないなど、多くの困りごとがありました。でも療育園での生活は、障害のある子一人ひとりに合わせた保育をしてくれながらも、それだけにとどまらず、園での生活の中にABA、感覚統合療法、視覚支援などの療育をたくさん取り入れて実践してくれます。そして保育士だけではなく、週に1度は専門の療法士や心理士もクラスに入って関わってくれます。そのような手厚い環境で毎日過ごすうちに、Pもだんだん療育園に慣れ、生活も落ち着いてきたので、私も安心して通わせることができるようになってきました。Upload By みん療育園へ通わせると親も忙しい?そのように言うと、急に手が離れたかのようにも聞こえますが、Pの通った療育園は長男が通っていた幼稚園と比べると、保護者が園へ出向く機会がとても多かったです。クラス懇談、個別懇談、個別療育、勉強会、行事など、保護者が参加するような場面がたくさんあったし、普段の日でもいつでも自由にクラスを見学できたので、子どもの様子が気になったときや療育を見たいときには見学しに行っていました。でもそうやって何度も園へ行くからこそ、先生と親密になれるし、ママ友もできやすいので、私自身も相談できる人と場所が一気に広がり、知識も増えたように思いました。Upload By みん療育園は子どもだけではなく親にとっても成長できる場所そして何より、個別療育を受ける時間は子どもにとっての療育だけではなく、親にとっても子どもへの関わり方を学ぶ時間となります。私は障害のあるわが子にどうやって関われば良いのか?今こんな困りごとがあるんだけどどうすれば良いのか?などを先生に相談し、一緒に考えてもらい、対処法などを教えてもらったり、アドバイスをもらったりしていました。また、こんなことができるようになった、こんな言葉が出るようになったなど、Pの成長を先生と報告しあえるのもうれしくて良い時間となっていました。療育園へ通うことで、Pの成長はもちろん、私自身にとっても成長と学びの場になり、母子ともに本当に救われたと思っています。Upload By みん私にとって療育園は今まで足を踏み入れることのなかった知らない世界でしたが、実際に通ってみるとこんな暖かく素晴らしい園があるんだな…と実感し、とても充実した3年間になりました。今、子どもを療育園へ通わせるか?行く必要があるのか?と悩んでいる人も中にはいるかもしれません。でも、1度見学へ行ってみてください。療育園へのイメージが変わるきっかけになるかも?しれません。そして、母子ともに安心できる居場所となるような場所を見つけることができますように。執筆/みん(監修:鈴木先生より)以前学会で「療育」とは何ですかと聞かれたことがありました。単純に考えると医療と教育の造語かと思われますが、私は「科学と心」と答えました。最新の知識をもって優しい心で接することではないかと。そしてこれは療育園に限らず保・幼・小・中・高・大とその子の人生においてすべての場所で通じなければいけないことだと思っています。しかし、残念なことに現実は必ずしもそうではありません。保・幼と小学校の間には溝があり、切れ目のない療育が行われているとは言い難い現状があります。小学校からは各市町村の教育委員会が管轄になるからです。特別支援学校に進学した場合にはその限りではありませんが、一人ひとりに合わせて手厚い保育を受けていた療育園とは違い、地域の小学校ではカリキュラムと集団の中に埋もれてしまうお子さんが多いのです。理解してくれる先生にもばらつきが出てきます。そのため、未就学の時期から療育へ通っていたお子さんたちが地域の小学校へ進学する場合には、特別支援学級を利用するケースが多く見受けられますが、そこも担任次第となりがちです。校内連携がうまくいっていて、「科学と心」を持った担任に出会えれば、スムーズにいくのです。
2023年01月23日熱性痙攣(熱性けいれん)とは?約38℃以上の発熱に伴って起きる痙攣のことを「熱性痙攣(熱性けいれん)」、「ひきつけ」などと呼びます。20〜30人に1人以上は発症するといわれており、生後6ヶ月~5歳の乳幼児期に発症することが多いといわれています。そのうち生後12~18ヶ月が最も発症しやすいとされています。このページでは、熱性痙攣の治療や予防法、服薬は必要なのか、てんかんとの違いや検査についてなど小児科医に解説していただきます。Q:熱性痙攣の治療や予防法はありますか?後遺症などはありますか?A:熱性痙攣は一過性のものが多いため特に後遺症などはなく、治療をせずに成長と共に自然に治っていくのを待ちます。しかし、5分以上痙攣が続く場合には、鎮静薬の投与を要する場合があります。1度に起こる痙攣の時間が長かったりする場合は座薬(ダイアップ)などによる予防投与をすすめられる場合があります。Upload By マンガで分かる発達障害のキホン熱性痙攣の予防策とは?熱性痙攣は高熱が出ない限り発症することはありません。高熱が伴う風邪やインフルエンザなどの感染症に感染することを予防してください。日々の手洗い・うがいを徹底することが大切です。なお予防接種などを積極的に受けることもおすすめします。発熱時に解熱剤を使用することも効果的です。しかし解熱剤自体には、熱性痙攣を抑える効能はありません。ジアゼパム投与(ダイアップ)の予防投与の対象は?ジアゼパムの予防投与は、熱性痙攣の再発を優位に減少させるとされています。下記の場合に使用します。・過去に熱性痙攣を認め、持続が長かった既往があるまたは、下記のうち二つ以上を満たした熱性痙攣が2回以上認めた場合・全身で痙攣せず、体の一部または左右非対称の痙攣が起きる・24時間以内もしくは発熱中に痙攣発作を数回にわたって再発する・熱性痙攣またはてんかんの家族歴・12ヶ月未満・発熱後1時間未満の発作・38度未満での発作Upload By マンガで分かる発達障害のキホンQ:熱性痙攣とてんかんの違いを教えてくださいA:てんかんとは、大脳の神経細胞が過剰に興奮することで発作が起こる慢性的な脳の疾患のことで、熱性痙攣と同様に痙攣を症状とする疾患です。熱性痙攣が起こるのは主に発熱時に限られますが、てんかんの場合は発熱時以外にも発作が起こります。Upload By マンガで分かる発達障害のキホン熱性痙攣は主に乳幼児期に限って発症するのに対し、てんかんは発症してから長く治療し続ける疾患です。てんかんは、意識を失い全身を痙攣させる大発作、身体の一部がピクッと動く発作、話の途中でぼんやりしてしまう発作などがあり、必ずしも痙攣を伴うものではないことも特徴です。一般的なてんかん発症率の0.5~1%に対して、熱性痙攣が発症した後のてんかんの発症率は2~7.5%程度といわれています。このため、何らかの関係が存在すると考えられていますが、詳しいことは分かっていません。参考:熱性けいれんの定義|日本小児神経学会Upload By マンガで分かる発達障害のキホンまた、熱性痙攣と似ている病気として髄膜炎や脳症などがあります。熱性痙攣のように発熱と痙攣が伴います。髄膜は、脳や脊椎を覆っている膜です。髄膜が炎症することによって高熱、激しい頭痛、悪寒、嘔吐など風邪に似た症状が発症し、痙攣や意識障害を引き起こす場合も珍しくありません。脳症はウィルスが直接脳に感染し、炎症を起こすことによって発症する疾患です。髄膜炎と同様に高熱や痙攣、意識障害がおこります。Q: 熱性痙攣の検査にはどのようなものがありますか?A:単純型熱性痙攣の場合は自然と治るため特に問題はありませんが、複雑型熱性痙攣の場合はてんかんなどとの合併症の疑いがあるため検査を行います。検査を行うのは大体2回目の痙攣が起こったあとだといわれています。初めての痙攣でパニックを起こしている状態でよく観察できていない場合や、痙攣が1回だけで終わる人もいるためです。Upload By マンガで分かる発達障害のキホンてんかんや急性脳症との鑑別が必要なとき発達の遅れ、発作後のマヒ、複雑型熱性痙攣で部分発作があった場合はCTやMRIを行います。細菌性髄膜炎との鑑別が必要なとき髄膜刺激症状と30分以上の意識障害が伴う場合には髄膜検査を行います。髄膜刺激症状とは首の硬直や膝を曲げた状態で股関節を直角に屈曲し、そのまま膝を伸ばそうとすると抵抗があることをいいます(ケルニッヒ徴候)などがあります。そのほかにも医師が必要と認める検査を受けることがあります。Upload By マンガで分かる発達障害のキホン熱性痙攣が起こった場合、落ち着いた対応を熱性痙攣を初めて目の当たりにすると、保護者や周囲の人はパニックを起こしてしまうこともあります。熱性痙攣の70~85%が一過性のもので再発することはないといわれていますが、保護者は子どもが発熱する度に不安になってしまうかもしれません。しかし、痙攣は数分で治まり、脳の発達によって5~6歳までに発症しなくなるといわれています。大きな病気ではないので安心して、その都度落ち着いて対応することを心がけましょう。熱性痙攣のきっかけとなる風邪や感染症を予防することも大切です。子どもだけではなく、周囲の大人たちも予防につとめましょう。もし熱性痙攣が起こった場合には、#8000番(こども医療でんわ相談)を利用するなど冷静な判断で対処・判断をしてください。はじめて痙攣が起こった際や単純型・複雑型どちらの痙攣か判断できない場合などは、迷わず病院へ行くことをおすすめします。参考:子ども医療電話相談事業(♯8000)について|厚生労働省参考:熱性けいれんの定義|日本小児神経学会イラスト/taeko
2023年01月22日熱性痙攣(熱性けいれん)とは?熱性痙攣(熱性けいれん)とは、約38℃以上の発熱に伴って起きる痙攣のことを指し、「ひきつけ」と呼ばれることもあります。生後6ヶ月~5歳の乳幼児期に発症することが多いとされており、20〜30人に1人以上が発症します。なお、そのうち生後12~18ヶ月が最も発症しやすいとされています。気になる熱性痙攣の原因や予兆、種類、対応マニュアルなどについて小児科医に聞いてみました。Q:熱性痙攣の原因はなんですか?予兆などありますか?A:熱性痙攣は、いわゆる風邪といわれるようなウィルス性の感染症などによって体温が急激に上昇したときに、脳が痙攣を起こしやすい状態になるために起こります。Upload By マンガで分かる発達障害のキホン熱性痙攣を発症する体質は、親やきょうだい間で家族性があるともいわれています。ただし家族に熱性痙攣を発症した人がいたとしても必ずしも発症するわけではありません。Q:熱性痙攣にはどのような種類があるんですか?A:熱性痙攣には「単純型熱性痙攣」と「複雑型熱性痙攣」の2つの種類があります。ほとんどの例が単純型で、複雑型は1割ほどといわれています。Upload By マンガで分かる発達障害のキホン単純型熱性痙攣・全身での痙攣(全身発作)が起こるが15分未満で治まる・意識を失うことがほとんど・24時間以内に2回以上起こらない単純型は良性の熱性痙攣なので後遺症が残ることはほとんどなく自然と治ります。単純型の場合、正しい対処を行えば後に大きな後遺症を負う危険性も少ないため、あまり大きな心配をする必要はありません。複雑型熱性痙攣・全身で痙攣せず、体の一部または左右非対称の痙攣が起きる・発作が15分以上持続する・24時間以内もしくは発熱中に痙攣発作を数回にわたって再発するこのいずれか1つがみられる場合は、複雑型熱性痙攣となります。複雑型の疑いがある場合、検査を受けることが推奨されています。また、表情の特徴として、単純型熱性痙攣は両方の黒目が上方に偏移していることが多く、 複雑型熱性痙攣は顔面が片側だけピクピクし、黒目が横に偏移しているなどの特徴があります。複雑型熱性痙攣は後にてんかんが発症する可能性があるので、場合によっては治療が必要になります。そのため、熱性痙攣が起きたときには複雑型かどうかを見極めることが重要です。その際、痙攣の様子、時間、回数が判断のポイントとなります。Upload By マンガで分かる発達障害のキホンQ:子どもが目の前で熱性痙攣に!対応マニュアルなどありますか?A:子どもが熱性痙攣を起こしたときには、以下のような対処法を実践してください。・首の周りなどを締めつけないように衣服を緩める・抱きかかえず、平らなところに寝かせる・嘔吐や口の中に固形物がある場合は、顔を左に向けて吐いた物が気道に詰まらないようにする・口や鼻の周りの吐物を拭き取る・診察時にそなえて、痙攣の様子(左右差)や持続時間、体温などを確認しておく。余裕があれば不謹慎だと思わずに動画などを撮影してください(診察時、てんかんとの鑑別に役立ちます)Upload By マンガで分かる発達障害のキホンまた、してはいけないこととしては、・大声で名前を呼んだり、身体を揺すったりしない(刺激となり、痙攣が長引く場合があります)・「舌を噛まないように」と口の中に物を入れたりしない(熱性痙攣で舌を噛むことはほとんどありません。また、噛む力はかなり強いため、ケガをする恐れがあります)などがあります。子どもが突然痙攣を起こし、意識を失ったりしたら、驚いてしまう保護者の方も多いのではないかと思います。しかし、正しい知識を持っていれば冷静に対処することができます。Upload By マンガで分かる発達障害のキホンQ:熱性痙攣で救急車を呼ぶ必要があるのはどんなときですか?A:多くの場合、熱性痙攣は数分以内に治まります。数分以内で治まる痙攣であれば、ほとんどのケースにおいて救急車を呼んだり病院に行ったりする必要はありません。ですが5分以上痙攣が続いたり、痙攣が終わった後に呼びかけても反応が乏しいなどの意識障害が続いている場合は救急車を呼んでください。保護者での判断が難しい場合には「小児救急電話相談(#8000)」に電話相談をして指示を仰ぎましょう。Upload By マンガで分かる発達障害のキホン多くの熱性痙攣は数分以内に治まりますが、中には緊急性が高く救急車を呼ばなければならないケースや、緊急性は高くないが複雑型の疑いがあり検査の必要があるため痙攣が治まった後に速やかに病院へ行ったほうがよいケースがあります。緊急性を判断する上では以下の目安を参考にしてみてください。救急車を呼ぶ・5分以上痙攣が続く・痙攣が終わったが、その後も呼びかけても反応が乏しいなどの意識障害が続く(睡眠とは別)病院へ行く・38℃より低い熱で痙攣を起こした・全身痙攣ではなく、体の一部または左右非対称な痙攣がある保護者で判断しにくい場合・小児救急電話相談(#8000)に電話相談をする小児救急電話相談は厚生労働省がすすめる相談事業です。#8000番に電話すると、お住まいの都道府県の相談窓口につながります。そこで小児科医師・看護師からお子さんの症状に応じた適切な対処の仕方や受診する病院などのアドバイスを受けることができます。熱性痙攣時以外にも使用することができます。#8000番に電話をして状況を伝えることで、医師や看護師の適切な指示を受けることができ、子どもの保護者も、その場の対処や救急車・通院の判断を行いやすくなります。Upload By マンガで分かる発達障害のキホンイラスト/taeko
2023年01月21日自閉スペクトラム症と構音障害のあるけんとが苦手なこと自閉スペクトラム症と構音障害のある長男けんと。表出言語が苦手で、その日あった出来事などを詳しくお話しできません。先生やお友達にも上手く伝えられないので、入学前に母が得意・不得意なことなどをまとめてサポートブックをつくり、先生にお渡ししました。Upload By ゆきみ4月、小学校に入学。特別支援学級に通い始めました。「今日学校でどんなことしたの?」と質問しても「算数だよ」というように、短い言葉での返答なので、細かい状況は分かりません。学校での出来事、先生やお友達に言われたことなどは本人から聞けないので、毎日のやりとりは「連絡帳」でさせていただいています。登校時に一緒に教室まで行っているので、先生とお話しできる機会も多く、先生が忙しくなさそうなときは、直接お話しさせていただくこともあります。普段から先生は、「何か気になることや分からないことがあった場合は、いつでも放課後に電話で質問しても、見学にいらしてもいいですよ」と声をかけてくださっているので、気になることがあるときは電話で状況を聞かせていただくこともあります。状況が分からない、緊急性を感じるときは…Upload By ゆきみ連絡帳だけではどうしても状況が分からない場合や、緊急性があると判断した場合、放課後に電話で質問させていただくときがあります。ある日、「お友達を押したり、引いたりしてしまいました」と連絡帳に書いてありました。友達トラブルは次の日も続いてしまうといけないなと緊急性を感じたので、どういう状況だったのか電話で聞かせていただきました。この日は、創立記念の行事が学校で行われた日。行事の日は「いつもと違う」からなのか不安定になることが多く、こども園に通っていたときも、お友達に手を出してしまうことがありました。今回の状況は、全校集会で児童が並んでいるときにパニックのようになってしまい、整列した子どもたちを押したり引いたりしながら走り回ってしまったということでした。電話のあと、けんとにも話を聞いてみましたが、結局、理由は分かりませんでした。でも状況を詳しく理解できたので、お忙しい中、電話対応してくださった学校の先生にとても感謝しています。対応策が分からない場合は児童精神科の先生に…Upload By ゆきみ「今日は落ち着きがありませんでした」と連絡帳に書いてあることが何日か続いたことがありました。最初はあまり気にしていなかったのですが、続いたので詳しく話を伺ってみることに。すると、落ち着きがなく、すぐ離席してしまう、とのことだったので見学に行かせていただきました。様子をみていると、姿勢が崩れたり離席したり、確かに落ち着きがない様子でした。対応策が私には分からなかったので、児童精神科の先生に相談。作業療法士さんにみていただくことになりました。作業療法士さんが実際にけんとの様子をみて、姿勢維持が難しい理由の可能性をいくつかあげてくださり、その対応方法なども教えてくださいました。ほかにも「こういう部分に苦手さがある」というのも含めて全て評価表(書面)にしてくださったので、許可を得て、学校や放課後等デイサービス、保育所等訪問支援の方にもお渡しして共有することに。すると、保育所等訪問支援の担当の方も、学校へ行った際に「落ち着きのなさ」のほかの原因を考えてくださり、別の視点でアドバイスをくださいました。通っている放課後等デイサービスからも、様子を教えてくださり、アドバイスをいただけたりしたので、抱えている悩みや困りごとを共有することは、大切なのかもしれないと思いました。サポートの先生方とのコミュニケーションUpload By ゆきみ気になることがあるときは担任の先生にお話をして、見学させていただくことがあります。先日も「体育の途中で教室に帰ってしまう」と連絡帳に書いてあったので、様子が知りたくて見学に行かせていただきました。担任の先生とは普段からコミュニケーションを取らせていただくことが多いのですが、サポートの先生とはなかなかお会いしません。なので見学に行かせていただいたときに、サポートの先生からみたけんとの様子を聞かせていただいて、新たな発見や、困りごとを知るときもあります。これからも、お話しが苦手なけんとの抱えている困りごとを理解していけるように、連絡帳を中心に、周りのみなさまとコミュニケーションを取らせていただきながら、力をお借りし、少しずつけんとにとっての困りごとを改善していけたらうれしいです。執筆/ゆきみ(監修:新美先生より)表出が少ないお子さんの場合、学校での様子が把握できず気になりますよね。先生方と丁寧なコミュニケーション・情報共有をなさるようすを詳しく教えてくださりありがとうございます。連絡帳などは、担任も保護者も信頼関係ができるまでは「どのように書くのが良いか」と、お互いに気を使うところではありますが、何らかの形でできるだけコンタクトを取って思いを伝えあっていくことは大事ですよね。連絡帳、電話、直接学校に足しげく通う、サポート手帳や場合によってはSNSツールなど、どのような手段を使うのがよいかについては、学校の方針や担任・保護者の方の使いやすさによって変わってくるかもしれません。また細かく情報共有したい場合もあれば、基本的には学校のことは学校に任せたほうがいいと考える方針を取ることもあるかもしれません。担当する人によって前年度と方向性が変わるなど、気を使う面もあるとは思いますが、できる範囲で大人同士・関係者同士のコミュニケーションが取れるのが理想ですね。
2023年01月20日コウの凸凹について言われがちなセリフTOP3!Upload By 丸山さとこ神経発達症(発達障害)がある人は、『大丈夫だよ、気にすることないよ』という善意からの言葉として「そんなの誰にだってあるよ」「凸凹があるようには見えないよ?」と言われることがしばしばあります。また、凸凹エピソードに対して「うちの子どもも同じ~!」「あるある。まだまだ〇年生ってそういう子どももいるよ」と言われることは多く、『それはそうだ。コウの苦手さや難しさの程度を知らなければ、そういうコメントになるよね』と内心でうなずいたりしています。そんな定番のコメント以外にも、コウの凸凹についてよくいただくコメントがあります。「〇〇だからいいじゃない」「□□なんだから大丈夫だよ!」というものです。コウの凸の部分を指して言われるその言葉に「…って思うじゃん!?」と内心でツッコミつつ、曖昧な笑顔で応えるほかない私です。それらの言葉の中には、慰めや励ましのつもりで言われたものも多いのだろうと思います。実際、私自身が優しさのつもりで同じような言葉をかけていることも多々あるはずです。とはいえ、普段コウの凸凹にコウ本人も周りも振り回されているのを知っていると「〇〇だからいいか~!」と本心から流すことはできない複雑な心境になることもしばしばです。「〇〇だからいいか~!」とは言い難いアレコレ…コウには確かに、凸と見なされやすいところがいくつかあります。「野菜が食べられる」「読書をする」「テストの点数が高い」「英語が好き」などの要素を見ていくと、彼には凹を補って余りある凸があるように見えます。けれども、それは『凸凹の差がゆるやかな子ども』を想定した上で見たコウの姿なのかもしれません。まず「野菜が好きならいいじゃない!」に関してですが、コウは小学校中学年のころまでほとんどの肉類が食べられませんでした。『苦手』ではなく『食べられない』なので、ミンチのひとかけらすら料理に入っていれば見つけ出します。「せめて出汁や油分だけでも」と思い、豚コマ入りの焼きそばをつくってからキャベツと麺だけを取り分けたこともありました。それでも、彼は5ミリもない小さな肉のかけらが口に入っただけで「ムリ…」と涙目になって飲み込めませんでした。そんな調子なので、一般的なお子様ランチは食べられません。冠婚葬祭や旅行中のホテルでの食事など自由にメニューを選べない場では、親の食事から取り分けながら何とか食事量を確保していました。Upload By 丸山さとこ小学校高学年に入ってからは少しだけお肉も食べられるようになりましたが、それも食べたり食べられなかったりといった調子で、いくらか安定して食べられるものはレトルトのミートボールと冷凍から揚げ(それぞれ特定の1商品のみ)でした。チーズと卵は食べられたので、それらの食品もアレルギーや感覚過敏で摂れないお子さんがいることを考えれば『何とかやっていける範囲の食べられなさ』だったのだろうと思います。とはいえ、コンディションによってはそれすら受けつけないこともあるコウがご飯と野菜だけの食事をとるのを見ていると、「これでは栄養が足りないだろうな~」と不安になることもありました。また、「コウ君は勉強ができるからいいよね!」に関しても、素直に「そうだね!」と言い難い現状があります。コウの成績表は4と3で構成されています。それだけを見ればこれといって大きな特徴のない普通の成績です。私も「この成績を高校受験までキープできたらいいな」と思っています。ですが、その一見普通の成績も、凸凹の激しいせめぎ合いの結果なのです。Upload By 丸山さとこ1学期の成績表について、スクールカウンセラーの先生から「コウ君の定期テストの順位でこの成績は通常あり得ないことです」と真剣な表情で言われたことがあります。地域の上位進学校を視野に入れられる学力にも関わらず、未提出課題があまりに多すぎて5が一つもなかったのです。これにはコウもショックを受けて、2学期は課題の提出を頑張りました。その甲斐あって2学期の成績は上がりましたが、学力に合った学校に進学できるほどの内申点にはまだ届いていません。1~3割だった提出率が5~8割になっただけで、十分な提出率とは言えないからです。これまでを知っている親から見れば快挙ですし、先生方も「1学期より頑張っているね」とコウに伝えてくださっています。それでも、進学についての話になると先生方もしぶい表情にならざるをえません。Upload By 丸山さとこ私立高校への進学を選べば、受験における内申点の影響は低くなります。ですが、入試に合格できたとしても、大学への進学率が一定以上ある高校であれば、入学後に課題や提出物の量に苦しむであろうことが予想されます。提出物をどうするかは「進学を乗り越えさえすれば何とかなる」とは言い切れないコウの課題で、親子共々(そして学校やスクールカウンセリングの先生も)頭を悩ませています。これらの食事や勉強の困りごとのように、コウの凸凹は『打ち消したり補ったりするのが難しい凸凹』であることが多く、「凸は凸でありがたいし、凹は凹で凄く困ってるんだよな~!」という状況になりやすい傾向があります。学校行事で保護者の方々と話していると、「うちの子どもは勉強は苦手だけど、サッカーは得意だからスポーツ推薦で私立高校に進学することにしたよ」などの「得意を活かして苦手をカバーした話」を聞くことがあります。コウも同じような話の枠として扱われているのだろうと感じることがありますが、彼の場合は「凸に合わせれば凹でつまずき、凹に合わせれば凸でつまずく」ことが多いようです。Upload By 丸山さとこ・多くの子どもが嫌いな野菜をモリモリ食べる姿を見て「お肉も少しくらいなら食べられるでしょ?」と強いられて吐いてしまう。・「Aが理解できるのにBが分からないのは、ちゃんと話を聞いていないからだ」と思われ叱られる。・「Bが分からないということはAを説明しても無駄だろう」と判断され、説明を受けられない。…などの出来事に困ったり混乱したりしているコウを見ると、『〇〇だからいいじゃない』『□□なら大丈夫だよ』とは言えないなと思います。スポーツが得意で勉強が苦手な子どもは理解されやすいのに、コウの場合はそうなりにくいのはなぜなのでしょうか。私は、『その存在が一般的な想定の範囲内なのかどうか』によるのではないかと考えています。コウの凸凹は一般的な想定の範囲を超えているため、「できないのではなく、しないだけだろう」と解釈されやすいのかもしれません。そんな風に理解されにくい凸凹に悩まされることの多いコウですが、理解されにくいことそのものに対してはザックリと捉えて気にしていないそうです。「分からないことは仕方ない。自分も周りの人の気持ちや考えは分からないことも多いし、すごく嫌なことを言われたりするんじゃなければいいや」とコウは言います。私もコウと似たような考え方をしているところがあり、その気持ちは少し分かるなと思います。理解を求めてジレンマを抱えたりストレスを溜めたりすることを思えば、自分が楽になる考え方と言えるのかもしれません。Upload By 丸山さとこその一方で、近年の私は「これはあまりにも『他者や社会』をバッサリと切り捨てている考え方なのかもしれないな」とも思うようになりました。理解を求めず「現状こうなのだから仕方ないね」と割り切れば、悩むことはなく気持ちは楽かもしれません。ですが、理解を得られないことによる誤解や、それに基づくトラブルや軋轢(あつれき)は解消しないままになるのだろうと思います。私がそう考えるようになったのは、近年、自分の内面や都合について友人や家族に話すことで『伝えることにより理解される』という経験を積み重ねていったからなのかもしれません。Upload By 丸山さとこコウはこれからも自分自身の凸凹によってつまずくでしょうし、分かりにくい凸凹であることから周囲の理解を得られずに困ることもあるだろうと思います。そうしていく中で、彼がその時々に合った『自分の納得感』を大事にしながら、周囲とのズレも含めた凸凹と付き合っていけたらいいなと思います。執筆/丸山さとこ(監修:新美先生より)発達障害のある方にとってよくある、「誰にだってあるよ」「〇〇だからいいじゃない」とよく理解していない人に軽く言われてモヤモヤするというエピソードを、具体的に紐解いて解説していただきありがとうございます。本当によくありますよね…。書いていただいたようにまさに「凸凹は一般的な想定の範囲を超えている」ので、なかなか分かってもらえないのだろうというところです。全員に分かってもらうのは難しいので、分かってもらえそうにない人には理解を求めるのを諦めてスルーした方が、こちらの精神衛生上はいいのでは?とお話しすることが多かったのですが、今回の記事の中に「自分の内面や都合について友人や家族に話すことで『伝えることにより理解される』という経験を積み重ねていったからなのかもしれません。」という一文には、思わずハッとさせられました。誰にでも理解を求めていこうとするとこちらも疲れてしまいますが、味方になってもらいたい大切な相手には、丁寧に伝えることで理解してもらえることに越したことはありませんね。そういうときに、ここにあるさまざまな体験談・解説などの記事を参考にして自分のお子さんの場合と照らし合わせて、説明の仕方を工夫するのもいいのかもしれません。いつも分かりやすい記事をありがとうございます。
2023年01月20日定型発達だと思っていた次女私には二人の娘がいます。長女のまゆみは自閉スペクトラム症と知的障害の診断がついており、次女のあずさはいわゆるグレーゾーンの自閉傾向があると指摘されています。現在は4歳と2歳の娘たちですが、1歳半健診はそれぞれに思い出深いものがあります。まゆみのときは、誰が見ても「何か困りごとのある子だな」と分かるくらい意思疎通が難しい子どもで、騒ぎすぎて別室待機になったことや、相談ごとが多すぎて帰宅が夕方になったことを今でも覚えています。やがて次女のあずさも1歳半健診を受ける時期になりましたが、母子手帳のチェックリストにある“指差し”や“言葉での簡単なやりとり”などもできていたため、私は安心しきって「この子の1歳半健診はすぐに帰れるだろう」と考えていました。結果として、その1歳半健診で初めてあずさの発達面の違和感に気づき、その半年後に改めて自閉傾向の指摘を受けたことから、療育を始めることになります。「この子は問題ないだろう」と思いながら向かった次女の1歳半健診次女のあずさと1歳半健診の会場に着いてすぐ、「あれ?」と感じました。ほかの子どもたちはおとなしくお母さんの横で待っているのに、あずさだけがウロウロと待合室を練り歩くのです。「こっちにおいで」「ママのお膝で待とう」「大好きな絵本もあるよ」など、どれだけ声をかけても振り返りません。いつもなら呼んだら来るし、振り返って笑うのに、一体どうして?と思いました。仕方なく抱きかかえて席に戻ろうとすると、今度は大暴れ。どうにか席に座らせても、じっとできずにすぐウロウロ…。また捕まえても、私の手から逃れようとどんどん機嫌が悪くなってしまいます。探索に夢中になって指示が通らないその様子は、長女まゆみの小さいころを彷彿とさせました。Upload By にれ検査が終わるたびにあっちこっち行きながらも、検査自体は引っかかることなく進んでいきました。この点は予想通りだったものの、まさか待ち時間でこんなに苦労するとは想定外でした。『次の人』として待機している少しの間にも、あずさは床のシートを剥がして裏側を確かめています。そんなことをしているのは会場であずさだけでした。私はそんな娘の様子に不安を感じ、その場にいた保健師さんに聞いてみました。「この子、多動でしょうか。こんなに落ち着きがないなんて」保健師さんも観察してくれていたようで、「確かによく動く子ですね、いつもこうですか?」と聞かれました。確かにあずさは普段からよく歩き、よく遊ぶ子どもです。ただ、制止しているにも関わらずこんなに好奇心のまま動き回る様子は記憶にありません。考えてみると、あずさは病院にかかったことがほぼなく、予防接種も予約制で、移動もマイカーばかりのため、「じっとして待ってね」と声をかける機会があまりなかったように思います。1歳半健診はあずさにとって、初めての「じっと待つべき場」だったのです。不安が膨らみ、長女の療育先に相談「異常なし」として1歳半健診が済んだあずさ。けれど、一度抱いた不安は私の中で膨れ上がりました。ひと月ほど悩んだのち、私は長女の通う療育施設に「次女も多動傾向で困りごとが出てきた」と相談させてもらいました。幸いなことに、療育先は発達外来のある病院と提携しており、あまり待たずに心理士の方に診てもらうことができました。ただ、その時点では「異常とまではいえない」という結果で、「言葉もよく出ており、おもちゃを介して遊んだときに“ちょうだい”も“どうぞ”もできるので現時点では発達上問題ないといえます。よく動きたがるのはお姉ちゃんの行動を見て学んでいるとも考えられますし、性格的にも好奇心が強いようです。場所見知りと人見知りのなさは見られますが、そう心配はいらないでしょう」ということでした。「そうか、あずさの中ではまゆみの行動がスタンダードになってるんだ。もっと同年代の子の振る舞いを見る機会をつくらないと」と納得した私は、支援センターや児童館に行く回数を増やすことを安心材料にしていました。半年経って、強まってきた特性そうして1歳半健診から半年が過ぎました。その間、多動ぶりに困らされることが多くなってきて、「定型発達だろう」から「何らかの特性があるかもしれない」に私の意識も変わりつつありました。さらに、2歳を迎えてイヤイヤ期も最高潮。外へ行きたがるので1時間半から2時間ほど散歩に出る日が多いのですが、帰宅して私がクタクタになっていても、あずさは玄関でひっくり返って「おさんぽーーー!!もっかい!!いこうよーーーーー!!!!」と30分近く大泣きする日もしばしばでした。日ごろはいつもニコニコして、スーパーへ行くと周りのおじいさんおばあさんから「愛嬌のある子だねぇ~」と人気者になることも多いあずさですが、ひとたび癇癪が大爆発すると、親を叩いたりおもちゃを投げたりと手がつけられないようになってきたのです。Upload By にれそれでも私は「これがイヤイヤ期かぁ。大変だけど、まゆみはイヤイヤ期がまだ来ていないから新鮮だなぁ」とのんきに考えていました。転機になったのは、あずさを観客として連れて行ったまゆみの療育先の運動会でした。特性が大爆発!もう一度診察を受けることになって地域の体育館を借りて行われた運動会で、外に出たがったあずさが大癇癪を起こしたのです。あずさをなだめるのに抱っこして外へ出ようとすると、母親がいなくなるのを察知したまゆみが泣き出すというカオスな状況で、先生方も2人を泣き止ませようとあの手この手を尽くしてくれました。Upload By にれあとから聞いたのですが、差し出された風船を怒りのまま叩き落とすあずさを見て、先生方も「癇癪の様子がただごとではない」と感じたそうです。そこから「詳しく話を」ということになり、今度は心理士に加えて医師にも診ていただくことになりました。一番の困りごとというと多動だったので、私はてっきり「発達障害があるとしてもADHDの傾向だろう」とばかり思っていました。ところが、医師と心理士さんが問題視したのは多動や癇癪の強さよりも場所見知りと人見知りを全くしないことの方で、「現時点で診断をつけるとするなら自閉スペクトラム症」と告げられました。これには本当に驚きましたが、ADHDの診断は3歳ごろまでつけづらいという理由のほか、よくよく考えると、「周囲の様子を見ることなく自分の欲求を優先してしまう」という自閉的な傾向が場所見知りと人見知りのなさにつながっていたのか!とそこで初めて気づきました。いつもニコニコ人懐こい印象だったので、「あずさは物怖じしない性格なんだ」と思い込んでいたのです。そのまま療育をすすめられ、「療育に診断書の要る自治体だったら書いているところだけど、うちの市は診断書がなくても療育が受けられるので正式な診断はまだつけないでおきますね」と言われました。あずさはいわゆるグレーゾーンに当たる子どもなのだろうと思いました。ショックを受けつつも、心に芽生えた気持ち長女に続いて次女にも自閉傾向があるという事実はショックでしたが、2歳という早期から療育を受けられることになったのはあずさにとって良かったと思っています。指差しや受け答えができても自閉スペクトラム症とされる場合もあるのだと、私にとっても大きな学びになりました。あずさは今後、とりあえず1年間療育に通わせて様子を見るつもりでいます。Upload By にれ先生方にとって、保護者に子どもの発達の指摘をするのは勇気の要ることだと思います。元々相談実績があったとはいえ、運動会のあとに指摘してくださったことは本当に感謝しています。また、あずさの場合は気づきにくいタイプの自閉スペクトラム症だったこともあり、おそらく長女の存在なしには発達の違和感に気づけなかったんじゃないかとも思います。次女のあずさの特性の早期発見と、早期療育につながることができたのは、その前にお姉ちゃんのまゆみに発達障害があることが分かったことがきっかけで母親の私が徐々に理解を深めてこられたためでもあるので、まゆみにもありがとうと言いたいです。この先どうなっていくか未知な部分はたくさんありますが、姉妹の特性をよく理解して、親も子も笑顔を忘れないようにしていこうと思います。執筆/にれ(監修:初川先生より)次女あずさちゃんが療育につながったエピソードのシェアをありがとうございます。人の多い場面でじっと待てないことに違和感を感じたり、多動さや癇癪などに対応するのに苦労したり、そうしたことに瞬間瞬間でそう感じることはあっても、日々の子育てでそうしたことが流れていくなどして、なかなか相談する機会も持ちづらい面もあるかもしれません。にれさんが健診や長女まゆみちゃんの療育機関でそうした気配や不安をお話されたことがまずとても良かったと思います。にれさんも書かれているように、早期に療育につながったことは、あずさちゃんのより良い成長発達の面ではとても良いターニングポイントになったでしょう。相談して、何もないなら何もないで見守る。その後にまた違和感を感じたら、また改めて相談する。そうして複数の目で子どもの発達を見て、できることをする。そうした営みがとても良いなぁと感じました。
2023年01月19日自閉スペクトラム症がある息子の入園時の様子Upload By まる先生の話によると、息子は入園当初の4月5月は、部屋にいることができず教室から出て行ってしまう、椅子に座っていることができない、登園後の支度も先生が一緒にやろうとしても嫌がる、などがあり、先生も必死で接してくれていた様子だ。今思い出すとそのころはお迎えに行くと子どもたちはみんな大きなホールで待っているが、息子だけ「ホールにいたくなかったみたいで…」と別の部屋から先生と2人で出てきたりすることが多かった。私も息子が座っていられない、教室から出たがるなどは絶対しているだろうなと思っていて、入園当初は加配保育といえども、「これではうちでは見れません、辞めてください」と言われるのではないかとハラハラしていた。ただ今思い出すと、入園してからずっと保育園側から「リュウちゃん全然座っていられなくて…」などのマイナスな連絡はいっさいない。送迎時はほかの保護者も多くバタバタしているので、そんなにお話しする時間もないということもあるだろうけど、「静かな部屋に入って行って絵本読んでました」や「今日はこんなことしてましたよ」などのお話だけでにこやかに対応してくれていた。今回面談をして4月、5月ごろの息子の様子を詳しく聞けて、改めて先生方に感謝すると共に、息子の成長がうれしくなった。現在の保育園での息子Upload By まる入園当初、座っていられず教室から出て行きたがっていた息子は、なんと今は朝の回も帰りの回もお昼ご飯の時間でさえしっかり座っていられるというのだ。登園後の支度なども、荷物をリュックから出してタオルはここに置く、着替えはここに置く、など一連の流れができているそう。ほかの子どものように完璧に1人でできるわけではないので、先生がある程度ついててくれているようだがきちんと動けているらしく、「リュウちゃんすごいんですよ!」と先生もうれしそうに教えてくれた。息子は食べることが大好きなので、お昼ご飯も保育園の楽しみの一つになっていると思う。ママとのご飯のときは自分が食べ終わったらすぐに動く!の息子だが、保育園の集団の中では、時間が来るまで席を立ってはいけないということが分かったようだ。食べるのが早いのですぐに食べ終わってしまい、以前は食べ終わったらウロウロ動き出して先生が介入していたようだが、「今はつまらなそうにしてるけど、ちゃんと席に座ってごちそうさまするのを待っているんですよ…!」と聞くことができ、私も嘘でしょ!?とビックリするほどだ。自分で考えて居場所を見つけているUpload By まる少人数の保育園から急に人数の多い園に入ったことによって居場所が分からず、環境にも慣れていないために教室から出て行くなどして逃げ回っていたようだが、今は保育園に慣れて楽しんでいる様子だ。話を聞いていると、自分なりに気持ちの落ち着く場所を探して移動したりしていることが分かった。息子はおっとりとしたおとなしい性格のため人が多い場所や騒がしかったり盛り上がっている空間が苦手なようで、教室で自分の周りが騒がしくなってきたりするとスッと教室内での居場所を変えるなどしているらしい。でも毎回いなくなるわけではなく、みんなと一緒になってキャーキャーはしゃいでいるときもある様子。同じ空間の中で不機嫌にならずに自分の気持ちで場所を移動して生活できていることに成長を感じた。友達と会話ができない息子、母が一番心配なことは…Upload By まる私が一番心配なのは友達関係だ。発語はあるがまだ言葉のやりとりが全くできないので、保育園では基本的に先生と一緒に行動していて、同年代の子どもと一緒に遊ぶ姿はなかなか見られない様子。会話が成立するまで友達関係を築くことは難しいだろうと私も思っているので、無理にでも子ども同士の関わりを持たせて欲しいなどは望まないが、毎回お迎えのときに子ども同士で遊んでいる中1人でいる息子を見ると少し寂しい気持ちにもなる。でも息子が保育園を休むとクラスのお友達が「今日リュウちゃんは?」と気にかけてくる様子があったり、たまにだが絡んでくる子どももいるようで、お友達との関係性は時間をかけて様子を見守ることとなった。保育園にお迎えに行くと「リュウちゃん!ママきたよー!」と叫んで教えてくれる子どもが多く、ちゃんと息子を認識してくれているんだなと分かり、今はそれだけでうれしい。執筆/まる(監修:初川先生より)入園から8ヶ月が経ち、リュウくんが保育園に慣れてきている様子で何よりです。環境の変化を理解して馴染みつつ、自分のできること・できないこととの折り合いのつけ方を少しずつ身につけているようですね。ただ座っている(座って待つ)は実は結構難しいことなのですが、それをそういうものだとして取り込んでいるのはすごいなと感じました。先生方がきっとそれができたら即時で褒めてくれるなど、本人にとっていいことがないと、なかなかそこは身につきにくい習慣ではあります。さて、お友達関係について。園生活にも慣れてきたので、友達について考えられるようになってきたということでもありますね。大人の思う「友達」と園児たちの思う「ともだち」とはおそらく違ったものを指していると思います。もしかしたら、園の子どもたちにとっては、同じ園にいるだけで「ともだち」であることに何の疑いも持たないかもしれません。友達なのかどうか、ほかの子どもと関わるには、ということを広く考えるとなかなか雲をつかむような話です。そこで要素に分けて考える。「友達」として外から見て分かりやすいところで言えば、挨拶をする、一緒に遊ぶ、声をかける・かけられる、話をするなどがあります。そういうそれぞれの場面において、まずどこなら取り組みやすそうか、どこならうまくいきそうか(相手の子どもたちがうまく対応できそうか)というところから見ていきましょう。そして、きっとこういうことは園の先生方はうまく仕組むのがとてもお上手ですし、そういう場面をつくりたいと日ごろから考えていらっしゃるのではないでしょうか。そういうことも日々の先生方とのやりとりや面談時などで話題にしてみると良いかもしれませんね。
2023年01月19日私はしのくんと二人で出かけるのが怖かったしのくんは4歳半ごろまで我慢が苦手で、じっとすることが難しかったので、しのくんとお出かけするには覚悟が必要でした。基本的に家族3人でお出かけするようにしていましたが、夫も仕事があるため、いつも3人でお出かけできるわけではありませんでした。なので、しのくんと二人きりでのお出かけは「私一人で大丈夫か!?」と不安になってしまい、いつも怖かったのを覚えています。Upload By keiko私は常に「しのくんが言うことを聞いてくれなかったらどうしよう?」「走っていってしまったらどうしよう?」「駄々をこねたらどうしよう?」「ムリに連れて帰ることになったら、私一人で大丈夫だろうか?」と心配していました。せっかく楽しくお出かけしているのに、私はいつも気が気じゃなく、「もしも〇〇なことが起こったら?」と想像しては怖がっていました。お出かけ前はいつも緊張していたUpload By keikoお出かけのときは、しのくんが脱走しないように、いつもぎゅっと手を握りしめます。また、服装や持ち物にも気を配り、走りやすい靴と服に、両手が空くリュック。すぐにお金を払えるよう、財布はショルダーバックに入れておくなど工夫していました。それでも、しっかりと握っていたはずの手を振りほどかれて逃げられることはしょっちゅうで、両手を空けるためにリュックを背負っていても、買い物した荷物を手に持っているときに限って、しのくんが駄々をこねだし、両手に荷物と暴れるしのくんを抱き抱えて帰る羽目になったこともありました。とにかく、家を出てから、無事に家に帰るまで気を抜くことができません。そして、どんなに準備をして気を張っていても、やっぱり心配していた事態は避けられないものです。ある夏の日も、やはり事件は起きたある夏の日、デパートの広場でお祭りイベントをやっていたので、しのくんと二人で行ってみることにしました。ヨーヨーや的当て、スーパーボールすくいなど、楽しいゲームができる出店にテンションが上がるしのくん。夢中になって遊んでいる様子を見て、私は「また帰るときに駄々をこねそうだな…。」と不安になりました。ひとしきり遊んで、しのくんが満足した頃合いを見計らってなんとか帰ろうとしたそのとき…タイミング悪く、デパートの広場の仕掛け噴水が動き始めたのです。Upload By keikoUpload By keiko仕掛け噴水を見たしのくんは、テンションが最高潮に!握っていた私の手を素早く振りほどき、仕掛け噴水めがけて一直線。あっという間にびしょ濡れになってしまいました…。こうなったらもう家に帰るどころではありません。しのくんが仕掛け噴水から離れようとしないため、最終的には私も一緒にびしょ濡れになり、ヘトヘトになったころ、ようやく家に帰りました。Upload By keiko4歳9ヶ月になった現在は変わった?4歳9ヶ月になった現在は、少しずつ自分の感情をコントロールできるようになって、我慢できる場面が増えてきたように感じます。今でも外出先で手を離すのは不安ですが、いきなり走り出すとか、駄々をこねて帰らないということは減ってきたので、しのくんと二人きりでお出かけするのが怖いという感情も少なくなってきました。これからは、勇気を出してもっといろんなところにお出かけして、しのくんにたくさんの経験をさせてあげたいなと思います。執筆/keiko(監修:初川先生より)母子二人でのお出かけにまつわるエピソードありがとうございます。似たような心境、似たような展開に見舞われた保護者の方も多いのではないでしょうか。噴水で母子ともどもずぶぬれになったのは大変でしたね。あぁどうしてこんなタイミングで…!なんなんだ、今日はコントなのか…?と頭の中で自分の声が響くようなとき、不思議とありますよね。しのくんの成長に伴って、ひやひやしながらお出かけすることが減ってきたのは何よりです。成長ののちに、大変だったこともちょっとほほえましく語れる思い出として振り返れる日が来るといいなぁと思います。
2023年01月18日本人への障害告知以前コラムでも書きましたが、娘は中学2年生のときに主治医から障害の本人告知を受けています。告知は・娘自身が「自分の障害について知りたい」と思った・本人に“居場所”があり、精神的に落ち着いている・告知後、支援者(学校関係者)のフォロー体制ができていることを医師が確認したうえで行われました。そのおかげで娘は障害告知をポジティブに受けとめることができました。障害告知から6年後に、再告知その後、娘は高等特別支援学校を卒業し、特例子会社(※)に就職しました。そして20才になったある日、娘は再び私に「自分の診断名を知りたい」と言いました。私は娘に、中2のときに告知を受けているのになぜまた聞きたいのか尋ねました。娘は「診断名は知ってるけど、自分の障害の詳しい種類と程度を知りたい」と言いました。SNS上でも発達障害に関する情報や当事者として発信する人も多くなってきていましたし、娘もそういったものを見て何かしら思うところがあったのかもしれないと、このとき私は思いました。(※)特例子会社は、「障害のある方の雇用の促進、そして安定を図るために設立された会社」のことです。【参考】厚生労働省特例子会社制度の概要Upload By 荒木まち子娘は社会人になってからは一人で通院をしていました。何か親が医師に伝えたいことがあるときは、手紙を書き娘から医師に渡してもらっていました。私は医師に『娘が自分の障害名や障害の程度を知りたがっている』旨の手紙を書きました。医師は中学生のときから娘を診ているので娘のことはよく分かっています。二度目の告知は通常診療とは別枠で予約を取り、親同伴で行われることになりました。一度目の告知のときは前回の告知のときは、娘と親がそれぞれ感じている“本人の長所と短所”を事前に書き出しました。・真面目で一生懸命。我慢強い・常識を学び、言われたことは直したいと考え努力している・ルーチンに強く、さぼらない・興味や関心が深く狭い。技術や知識は多い・自分から気持ちを伝えることは、落ち着いてるとできる・会話は苦手で、相手の言葉に不安になることがある・新しいことや状況の変化・変更に対して臨機応変に対応することが苦手これらのことを一緒に振り返りながら医師が娘の『特性』を文字に起こして障害の説明をしました。本人の理解力に合った言葉選びと文字を書きながらの説明は、視覚優位の娘にはとても有効な方法です。医師からは『これからどのようにして周りの人たちに助けを求めていくのが良いか』のアドバイスもありました。2度目の障害告知では二度目の障害の説明でも、事前に本人と親で『娘の長所と短所と思われることの書き出し』をしました。その内容は6年前とほとんど違いはありませんでしたが、新たに“自分のことばで相談を持ち掛けるのは、ハードルが高い。相談してくれる人が向いてくれたら話せる。自分から働きかけることが苦手”が加わりました。娘は自らに主治医に「自閉症」「発達障害」「アスペルガー症候群」「ADHD」の違いや「自分は何に当てはまるのか」「障害の重さはどの程度なのか」などを質問しました。娘の質問に対し、主治医は図を書きながら娘に分かるように説明をしました。そして診断名は大事な個人情報だということも娘に伝えました。娘をとりまく環境の変化私は当初、再度自分の障害についての説明を望んだ娘の心境がよく分かりませんでした。でも娘と医師のやり取りを見ているうちに、娘が“学生”から“社会人”になったことが大きく影響しているのだと感じました。『学生』でなくなると、選択の自由度が増し、煩わしいもの、嫌なことを避けることもできます。学生時代は限られていた交友関係や活動範囲を広げることが可能です。一方で、自ら行動を起こさなければ人間関係は希薄になりがちです。周りの人は本人の意思を尊重します。そして自身の行動には責任が伴なってきます。そんな中で娘が自分の障害を再確認したいと思うのは自然なことだったのかもしれません。これからも親は子どもが何歳になっても親ということには変わりありません。そして子どもに障害があると、子どもを守りたいという気持ちはことさら大きくなります。でも自分の障害を理解しようとしている娘の姿を見て、私は彼女を一人の大人としてもっと尊重し、対等なスタンスで接していくべきなのだろうと感じました。これからも人生の節目やターニングポイントを迎えるたびに、娘は自身の障害についていろいろと考えることでしょう。そしてそのとき、私もまた新たな気付きを得るのだと思います。いつになるか分かりませんが、そのときまで体も心も頭も(笑)元気でいたいものです。執筆/荒木まち子(監修:鈴木先生より)そもそも自閉スペクトラム症を「障害」ととらえずに「特性」ととらえればいいのです。特性を知ることで今後の人生や生き方に役立てればいいと思います。重要なのは会社や周りの人たちがその特性を理解してくれるかどうかです。理解してくれることによって優しく丁寧に具体的に肯定文で話してくれれば、娘さんにとって生きやすい社会になります。最近はSNSなどでさまざまな情報が飛び交っております。重要なのは信頼のできる主治医と向き合って自分独自の特性を正確に知り、どういう対策を取ったらいいか知っておくことです。そしてそれを理解してくれる仲間を増やすことです。
2023年01月17日支援者のみなさまの意見を聞かせてください!フェリシモCCPでは、『ポケットの中が見えるメッシュリュックインナー』『タスクチェッカー』『両面すべり止めクッション&足もとマット』『お片づけ収納ラック』など、これまでさまざまなお助けグッズを発達ナビユーザーのみなさまと一緒につくってきました。それらのグッズを販売する中で「うちの施設にもこれを導入したい!」「こんな商品があったらよさそう!」など、支援者の方からも、あたたかいご感想やアイディアをいただくことが多くありました。Upload By 発達ナビ編集部そこで、コラボ第5弾となる今回は、ご家族や当事者とは違った視点で発達が気になる子どもを見守り支える支援者のみなさまに、お悩みや課題、アイディアをお聞きしたく、オンライン座談会を開催いたします!【参加者募集!】支援者座談会をオンラインで開催2023年2月20日(月)もしくは2月25日(土)にフェリシモ主催の座談会にご参加いただける方を募集いたします。座談会では、プランナーやスタッフ、参加者のみなさまで「こんなものが欲しかった!」「こんな困りごとがある」などの意見交換を行います。詳しくは以下の株式会社フェリシモのお申込みページをご覧ください。座談会および商品企画の様子は、発達ナビの記事やフェリシモのSNSなどでお伝えしていく予定です。※ボタンをクリックすると発達ナビのサイトから株式会社フェリシモのサイトに遷移します開催内容座談会開催日:2023年2月20日(月)もしくは2月25日(土)開催時間:14:00~16:00場所:ビデオ会議アプリ「Zoom」を予定。(希望者多数の場合、株式会社フェリシモ本社( 兵庫県神戸市・三ノ宮駅から徒歩約20分)にて対面での座談会も検討しています。アンケート内でお答えいただけます)お礼:「フェリシモお買い物クーポン券」3,000円(税込み)分をプレゼント。募集要項応募条件:上記座談会にご応募いただけるのは、次の項目にあてはまる方です1. 発達が気になるお子さまを支援するお仕事をされている方(特別支援教育に携わる先生や保育士さん、放課後等デイサービスの指導員さんなど)2. 発達が気になるお子さまとご家族の「困った」を解決するグッズを一緒につくりたい方募集人数:上限約6名(応募者多数の場合は抽選となります)※友人・知人と一緒にご参加を希望される方はそれぞれお申し込みください。また、応募フォームにその旨を記載いただくと、参加選考の際に配慮いたします。※ご応募にはフェリシモ会員登録と、フェリシモモノコトラボメンバーへの登録が必要です。いずれも登録は無料です。案内に沿ってご登録ください。申し込み締切:2023年1月31日(火)※ボタンをクリックすると発達ナビのサイトから株式会社フェリシモのサイトに遷移しますフェリシモ|モノコトづくりラボ
2023年01月16日ASD息子とお笑いライブへ!?Upload By taekoASDのある小3ミミ。最近は動画サイトで関西弁を少し覚えて家や学校でも使っていました。ミミは関西弁に興味がある?それなら…!と本物の関西弁を体感させたいと思い、お笑いライブに連れて行こうと計画!早速1ヶ月後にあるお笑いのチケットを取りました。ライブ当日。ミミがきっかけでライブに行こう!と思い立ったので、「ミミのおかげだよ、ありがとうね」と伝えました。そして2人でいざ出発。会場までは電車で40分ほど。乗り物があまり好きではないミミは途中から靴を脱いで座席に足をのせていました。エレベーターに乗るときも、混んでいるのが好きではないので「嫌だなぁ」と言っていて不安だったのですが、ライブが始まると大きな声で笑うミミ。「めっちゃ面白いね!」と話しかけてくることもあり、楽しめているようで良かった!と思いました。ライブは前半1時間、休憩が入り後半1時間ほどあり、ミミは途中でちょっとお疲れ気味に…途中で帰ろうかとも思ったのですが、ところどころで笑っていたので最後までいることにしました。Upload By taekoライブが終わり、息子の言葉は…ライブが終わり今の時間を知ったミミは開口一番「もうそんな時間!?」と驚き、「え~終わった。休みが終わった~」と不満そうでした。あんなにもライブを楽しんでいたのに?ミミに話を聞くと「ゲームをやる時間がなくなっちゃった!」とのこと。そういえばミミに始まる時間は伝えていたけど終わる時間は教えていませんでした。ミミは大好きなゲームをする時間がなくなったと思い機嫌が悪くなってしまい…。「あーあ、ゲームの時間がなくなる」「お笑いなんてなければいいのに」と怒りの矛先をライブの方へ…。私は「お笑い芸人さんは頑張っているんだから悪くないよ、私が帰りの時間を伝えずにミミを連れてきたのが良くなかったね。ゲームできなくなっちゃってごめんね」と伝えると「全然楽しくなかった。休みが終わっちゃったよ」と何度も言いました。さすがに悲しくなってきた私は「ごめんね。でもあんまり何度もそういわれると悲しいな」と伝えると「なんで悲しいの?」と全然分かっていない様子。帰り道もぶつぶつと不満を口にするミミに「ミミも笑っていたのに」というと「ウソ笑いだよ」と。ミミは特性から、空気を読んだりするのが苦手です。そして長い時間の移動も頑張ってくれて疲れていることも分かっているのですが、ミミとの距離をとても遠く感じてしまいました。親子だけど私は私でミミはミミ。別の人間なんだな…とすこし物悲しい気持ちになりました。Upload By taeko帰宅後、早速ゲームで遊ぶミミ。仕方なく普段より長い時間OKにしたら機嫌も直ったようです。そして数日たったある日…雑談の中でお笑いライブ中のネタをミミが言ってきました!それ、ライブのネタだよね?と聞くと「うん、ちょっと楽しいところもあったよ」と。私はホッとしました。少しでも楽しかった記憶が残っていて良かった…。でも次に何かに誘うときには事前準備をしっかりして、ミミの気持ちと時間を大事にしようと思った出来事でした。Upload By taeko執筆/taeko(監修:初川先生より)お笑いライブに親子で行ったエピソードをありがとうございます。楽しい時間を過ごしていたはずなのに、ちょっとしたこと(本人にとっては重大なことですが)で、一気に「楽しくなかった」と語られる出来事、多くの保護者の方には思い当たる節があるのではないでしょうか。ミミくんはASDがあるので、taekoさんのほうで、移動中やライブ中もミミくんの「体力ゲージ」、つまりコンディションを細やかに観察されていますね。これはとても大事なことです。楽しいイベント(お笑いライブ)だからこそ、移動の多少の困難もライブ中の疲れも我慢できる…大人だからこそできる芸当で、子どもの場合、特に発達的な特性の強いお子さんの場合は特に、コンディションによって「楽しさ」が左右されます。楽しいこともつらいことになってしまう可能性もあるので、様子の変化は気を配っておきたいですね。さて、ミミくんは休日のルーティン的なお楽しみのゲームができないことで一気に悲しくなってしまいました。今まで楽しく過ごしていたとしても、注意が「ゲームができない」に向くと、オセロで一気に白黒反転するかの如く、「全部楽しくなかった」と捉えてしまいます。これは実際の楽しさがどうであったかというよりも、現在の「ゲームできない」という出来事についての悲しさの度合いだと理解しましょう。楽しみにしていたライブ、ライブ中も笑っていたなどの実際のミミくんの様子や事実がどうであるかは本人には今は重要事項として捉えられず、今の今は「ゲームできない」で頭がいっぱいで、そこそこ楽しめたライブとゲームのできなさを総じて、“だいたいこのくらい楽しかった”のようにくるっとまとめて理解することが苦手なのだと思います。なので、そこについて話し合いをしてもなかなかお互いが納得できるところへ行くのは難しいです。それよりも、「そうね、いつもの休日のようにゲームできなくて悲しいね」に焦点を絞って話をしたほうがイライラや悲しみは早く収まるだろうと感じます。こうしたイレギュラーなイベントで、ルーティンの楽しい時間を取れないかもしれないときは、例えば前もってスケジュール提示をしておくことがよさそうです。「このイベント(お笑いライブなど)は、このくらいの時間がかかって、いつものゲームは同じ時間帯にはできないけれど、どうしようか」を紙に整理しながら事前に話しておきたいですね。別日に少しだけ長くゲームをする、あるいは、その日はちょっと夜更かしを許して「今日はスペシャルだよ」と例外であることをしっかりと伝えたうえで、同じ時間を取る。イベントも、ルーティンのゲームも、どちらも楽しめることで、ようやくイベントの楽しさが(ゲームを邪魔したものと上書きされることなく)純粋な楽しさとして感じられるように思います。
2023年01月15日自閉スペクトラム症(ASD)と知的障害のある息子。家庭や学校で暴れてしまい…わが家の息子は中学2年生。3歳のときに、自閉スペクトラム症(ASD)と知的障害の診断がおりました。息子は、人を見て態度を変える一面があります。悪いことをしても許してくれそうな人を見極めて、叩く・暴れる・いたずらをするなど自分の思いを誤った方法で伝えてしまいます。小さいころから私には特に激しく、児童精神科の主治医には、「お母さんだから許されると思っている」「お母さんなら何をしても嫌われないと分かっていてやっている」と言われています。そんな息子が学校で荒れ始めたのは小学5年生のころ。小学校では特別支援学級に通っていたのですが、小学4年生までずっと一緒だった担任の先生が代わったことや新入生がたくさん入ってきたことで、ガラリと環境が変わり、落ち着かなくなってしまいました。そして、教室を脱走する、突然泣いて暴れる、教室のロッカーを蹴る・叩く、校外に出て電柱に登ってしまうように…。先生からは「どうしていいか分からず困っている」と言われ、解決できないまま卒業しました。Upload By ユーザー体験談中学生になって、特別支援学校に通い始めました。入学当初は笑いながら教室を脱走し、どんな先生なのかを試していたようです。ある日、先生が「そんなに走りたいなら一緒に行くよ!」と、息子が疲れるまで一緒に走ってくれて、それ以降は教室を脱走することがなくなりました。こうして経験豊富な先生が、息子のためにさまざまな方法を探ってくださることをありがたく思っています。中学校のスクールバスでの出来事特別支援学校にはスクールバスで通っています。小学校のときは私が送り迎えをしていたので、スクールバスの利用は幼児期以来。はじめのころは、帰りにバスを降りた途端に泣き出し、わざと車道に出ようとする危険行為もありました。「学校で嫌なこと、大変だったことを頑張ってきたんだよ!」という怒りを私にぶつけていたのかもしれません。今は、バスを降りるときに「あーー」と大きな声で叫びながら降りてきます。「帰りのバスを降りる→怒りたくなる」ということが習慣化されているような気もしますが、「暴れたり怒ったりすると先生に何か言われる」と理解しているようで、「大声を出す」というスタイルで発散するようになったように思います。そして、家に着くと突然泣き出し「わーー」と暴れ出してしまいます。Upload By ユーザー体験談母親を叩く・蹴るは続いているけれど私を叩く、足で蹴る、腕を強く引っ張るなどが中2になって激しくなってきたのは、思春期のイライラもプラスされているのかなと思います。私は真顔で「やらない」「痛い」と静かに伝えるよう心がけていますが、それで止むことはほぼなく…。1時間くらい諭したり、無視して落ち着くのを待ってもダメなときは、気分を落ち着けるための頓服を飲ませています。これまで、息子から離れて別の部屋に行く、私だけ外に出るなども試しましたが、どうしても暴れて本人の安全や家の安全(窓ガラスを割ったり壁を蹴って穴をあけたりしまう可能性があります)が確保できないので、今はやっていません。特別支援学校の担任の先生は「何かあればいつでも連絡してください」と言ってくださいます。お忙しいのであまり負担になっては申し訳ないと思い、本当に困ったときや解決法を一緒に考えてほしいときに電話をしています。あるときは、先生が「○○君と電話を代わってください」と言って、息子に「お母さんを叩いたり引っ張ったりするなら今から先生がおうちに行きます。いいですか?」と交渉してくださり…。息子が「ヤダ!」と言うと「じゃあお母さんを叩きません。分かった?」と諭してくださったこともありました。家で暴れたり私に手を挙げたときは、電話をしなくても連絡帳で必ず先生に伝えています。翌日に先生が「昨日は家でどうしたの?」と息子に聞くと、「暴れた」と答えることもあるそうです。また、学校で暴れて反省することがあると、息子が独り言で「ごめんね」とつぶやくことがあったそうです。先生からは「やってしまったことをちゃんと分かっているんですね」とお話がありました。Upload By ユーザー体験談「一人ではない」という救われた気持ち自閉スペクトラム症(ASD)があること、知的障害があり言葉で表すのがなかなか難しいこと、思春期であること…などが重なって、息子の暴力をすぐに解決するのは難しいかもしれません。私一人で闘うのは、とても心細くて耐えがたい!でも、先生方が「どんどん頼ってください」「チーム○○(息子の名前)をつくってみんなで協力していきましょう!」と言ってくださるのが、本当に支えであり、「一人ではない」のだと救われた気持ちになります。また、今は状況が再び大変になってしまっていますが、先生は息子のことを「とても頑張っている。まだまだ(息子には)可能性があり、これから伸びると思う」と言ってくださっています。良くなっては戻って…の繰り返しだなあと感じる日々ですが、息子も以前よりは気持ちの切り替えにかかる時間が短くなっているように思います。これからいろいろな出来事や気持ちを経験して、自分の思いとの折り合いをつけられるようになることを願っています。Upload By ユーザー体験談イラスト/taekoエピソード参考/あかし
2023年01月13日娘の障害が分かったとき、夫は単身赴任中だったわが家の長女ゆいの障害認定が下りたころ、夫は3年間の単身赴任中でした。しかも当時はコロナで移動制限もあったころで、夫が帰宅できる回数は少なく、ほぼ私と子どもたちだけで過ごしていました。夫とはいつでもオンラインで連絡が取れるとはいえ、役所の手続きや通院、学校との打ち合わせも全部私一人で対応し、心細く大変だったことを思い出します。障害の診断が下りた当時は「うちの子は普通だ」「障害者の手帳なんかいらないのでは」「気にしすぎだ」と言っていた夫ですが、少しずつ心境が変わってきているように感じます。実は夫からちゃんとゆいについての思いを聞いたことはありません。でも、中学校の特別支援学級の説明会に参加したり、勤め先にゆいが療育手帳を取得したことも話したりしています。口にはしないだけで現実を受け入れつつあるのかなと感じているのですが…。Upload By 吉田いらこわが家の子育てバランスは、私が子どもたちに甘く夫が厳しいパターンでした。夫は甘やかすばかりでは子育てに良くないと思っていたようで、よく「俺が厳しい部門の担当になる」と言っており、ゆいの障害が確定するまでは、夫は子どもたちには特に勉強面で厳しくしていました。しかし今年に入り、単身赴任を終えて帰宅した夫は…とにかくゆいに激甘になっていました。特別支援学級に移ってから本人に合う勉強法に変えていただいているとはいえ、全員共通で受ける算数のテストの点数は相変わらず高くはありません。○が少ない答案用紙を見て、以前の夫だったら「しっかり勉強しないからだ」と注意していたと思うのですが、今はもう答案用紙を見ても微笑むだけです。Upload By 吉田いらこ夫の娘たちに対する接し方の違いが気になって…勉強面以外でも、次女のあいに接するときの夫は今までと変わらないのですが、長女のゆいに関しては「まあ、仕方ないか」という感じで流してしまうのです。ゆいが元々大人しい性格で怒られるようなことはあまりしないという事情もありますが、あいが対応に差を感じてしまうかも、と少し心配しています。夫を見ていて感じたのですが、怒るということは相手に対して期待する気持ちがあるからなのではないかということです。今よりもっと成長してほしいから怒る、ということもあると思います。このことをゆいに対しては無意識に避けているのでは、と感じました。Upload By 吉田いらこでも姉妹で対応に差をつけてしまうと、されている側は敏感に感じ取ってしまうので、二人に対して同じように接するよう、夫には気をつけてもらうようにしています。私としては二人とも優しく甘やかしてもいいのでは、と思っているのですが…。もうすぐ、長女のゆいは中学生、次女のあいは小学校高学年になります。これから勉強面だけではなく、精神面でも成長してきたときに、娘たちにどう対応していこうか悩んでいるところです。執筆/吉田いらこ(監修:藤井先生より)コロナ禍の単身赴任中に、ゆいさんはゆいさんのペースがあると、受け止められたのだと思います。一方で、次女のあいさんへの接し方が気になっているのですね。きょうだいの対応に差をつけるのは、されている側は敏感に感じ取ってしまうかもしれない、と相談されることもあります。しかし、きょうだいとはいえ、個々に個性があります。個別に対応を変えるのはあっても良いかと思います。しかし、必要な注意はあっても良いかと思いますが、成績に対して怒るという対応は工夫しても良いかもしれませんね。
2023年01月13日私の毎朝のルーティーン私の毎朝のルーティーンはここ1年ぐらいずっと以下のような感じです。1.朝7時ごろ起きてトイレ。だいたい朝のお通じがある2.緑内障治療のための目薬をさす3.パジャマを脱いで体重をはかる4.部屋着に着替える5.歯磨きをする6.洗顔・スキンケアをする(ここまでで起きてから45分)7.猫のトイレの掃除、ゴミ捨て、昨晩洗った食器の片付けをする8.朝食(だいたいここで8時ぐらい)9.洗濯(終わるとだいたい9時過ぎ)きっちり決まりすぎていて自分で窮屈に感じることもありますが、結局はこのとおりに動かないと落ち着かないし、効率を欠くのでいつもこのとおりにしています。数年間変わらない、私の朝ごはんメニュー私の朝の食事メニューはいつも以下のとおりに決まっています。・カフェインレスのインスタント粉で作った、ミルクたっぷりのコーヒー(ミルクは必ず低脂肪乳)・小麦胚芽フレークのシリアルに無脂肪ヨーグルトをかけたもの(シリアルは必ず60g)シリアルは毎度必ず秤できっちり60g量ります。1g程度の前後は許しますが、2g以上違うとシリアルを1枚2枚つまんで調整します。メニューは栄養バランス的に理想的になるように考えて決めています。タンパク質、食物繊維、ビタミン、乳酸菌がとれて、なるべく低カロリーであるように。いつも同じメニューにしているのは、そのほうが安心して落ち着くし、健康管理もしやすくなるからです。準備の手間やコスト、味も含め、朝食として便利で身体によい最適解を今のところ他に見つけられないという理由もあります。毎朝とる栄養成分もカロリーも同じにしておけば、体調や体重の変化があったときに、変化がほかの理由(日中の食事や運動、ストレスなど)から来ていることが分かるので、これが最大のメリットだと思っています。このほか、水分補給も兼ねて好きなミルクティーを午前に1杯、午後に1杯飲むことに決めています。これもやっぱり飲まないと落ち着きません。たまには変えたほうがいいかなと思うけれど…夫も含め、周囲の人が「変わった人だなあ」という目で見るし、こんな私もたまにはトーストやらスムージーやら和食やら食べてみたいなと思うこともあるので、ときどき奮起してメニューを変えようかなと思うことがあります。でも、やっぱり落ち着かないし、手間はかかるし、材料の保存期間に気は遣わないといけないし、おなかの調子が変わって「朝食を変えたせいかな?」と思ったりするので、結局はすぐに元の習慣に戻ってしまいます。たまたま旅行などで朝食を外食にしたり、違う時間に食べたりするのもやはり落ち着きませんし、調子もイマイチな感じです。柔軟にいろいろ食べたい夫との折り合いのつけ方夫は「毎日同じものじゃつまらないじゃん」「毎回シリアルをきっちり秤で量るなんて面倒くさくないの?」と言います。うーん、つまらないはつまらないし、面倒くさいは面倒くさいんです。だけど、そういうデメリットを、「落ち着く」「便利で確実」「管理しやすい」というメリットが上回るんですよね。そこを何度説明してもなかなか分かってもらえないのでちょっと困っています。私は人より体力に余裕がないので、こういう小さなところで生活タスクの負担を減らしているのです。夫は私より早く起きて仕事に行き、昼間は家にいないのですが、夕食の準備は料理好きな夫が担当です。夫は私にいろいろなおいしいものを食べさせたいと思ってくれているようで、本当にいろいろなものを食べさせてくれます。私は朝と昼にいつも同じようなものを食べているし、食べること自体は実は好きなので「夜ぐらいは変化をつけてもいいかな、夫が愛情込めて準備してくれるし、おいしいし」という感じで喜んで食べさせてもらっています。夫がいなくて一人で夕食を食べる日はやはりいつも、納豆卵かけご飯みたいな「栄養バランスには優れているし準備も簡単なメニュー」になります笑夫が適度に食事に熱心で、昼間にいないからうまく回っていますが、たとえばこれが昼間もいてじゃんじゃんおいしくて変わったものを作ってくれるとなると私は疲れてきます。コロナ禍で夫が在宅勤務だったときがそうでした。おいしいし、作ってくれた夫に悪い気持ちがあってたくさん食べてしまうので、カロリーコントロールもしづらくて太ってしまって、実はかなり困りました。喧嘩になりかけたこともあって、あの状況がもう少し続いていれば、昼はお互い好きなものを食べるシステムにしていたかもしれません。「気持ちはありがたいんだけど健康・体重管理的には作らないでほしい」と言うと夫が寂しそうな顔をするのがつらかったです…。本人に負担がなくて栄養的にあまり問題なければ気にしなくてOK今はシリアルでもレトルト食品でも栄養補助食品でも惣菜でも、味や栄養に優れたものがたくさんあります。バラエティに富んだ家庭料理で育つのも素晴らしいことではあるのですが、私をはじめ、ASDのある人が決まったメニュー以外を拒否するのにはその人なりの筋の通った理由があるはずです。そこを理解してもらえるとうれしいです。食文化の豊かさは、本人が直接食べずとも見聞きすることで十分に身に入ってくるものだと思いますし、毎日の食事を必死に手作りしたりバラエティを出そうとしたりしなくても、愛情はきちんと伝わるものだと思っています。ASDのある子どもが偏食があったり決まったものしか食べなかったりしても、本人がそれで満足していて、栄養的に大きな問題がなければある程度安心して見守っておくのもよいことではないでしょうか。文/宇樹義子(監修 鈴木先生より)ルーティーンは悪くありません。例外的なことがなければ忘れることがないからです。ただ、健康的にいいルーティーンにすべきです。夜更かしやゲーム三昧の運動不足ではいけません。野球のICHIRO選手も打席で必ずバットを前に出します。ラグビーの選手のキックする前の指の動作も一時流行りました。スポーツ選手はそうすることでリズムをとっています。おまじないみたいなものもありますが、他人が迷惑でなければ構わないのです。定期的な健康診断で異常がなければ大丈夫です。朝食もご飯派やパン派があるのでシリアル派があってもいいかと。ただ、昼や夜は野菜や果物なども取り入れて季節の変化に応じてうまくローテーションしながらのルーティーンを考えてみてはいかがでしょうか?
2023年01月10日息子の偏食に気づかなかった未就園児の時期Upload By カタバミ小学1年生のまちゃは、自閉スペクトラム症と知的障害があり、偏食と睡眠障害もありますが、赤ちゃんのころは母乳もミルクもよく飲み、何も問題はないと思っていました。2歳上にいるお姉ちゃんのほうが母乳を飲むのが上手でなく苦労しました。まちゃは、離乳食になってからも柔らかく煮た野菜をよく食べていましたし、お姉ちゃん向けに出したミニトマトやきゅうりのぬか漬けも食べていました。言葉が出ないのが心配で2歳半で入れた預け合いのサークルでも、お弁当づくりにはそれほど苦労はしていませんでした。家ではカレー、納豆、シラス、お鍋のあとの雑炊などを好んで食べていましたし、食欲もあるので、心配していませんでした。あんこやチョコレートなどの甘味は比較的いつでもほしがるので食べ過ぎないように注意をしているくらいでした。就園したら偏食が加速?Upload By カタバミ食事に関して、家庭で困ることがなかったまちゃの偏食がはっきりと問題になったのは幼稚園の年少のときでした。幼稚園の最初の面談で先生から「麦茶と少しのご飯しか食べず、ごくまれにメインのおかずを少し食べる程度です」と報告されたのです。介助が必要な子どもを集めたグループで食べていたそうですが、隣の席の男の子もいつも全く食べずに器を全部よけてしまうそうで、まちゃも同じことをするので2人の間には給食が境界線のように並んでいることがよくあったのだそうです。ただ、まちゃはカレーのときだけは全く介助がいらずよく食べていると聞きました。同時期から、通っていた児童発達支援事業所に持たせるお弁当も残すことが増えました。今まで食べていたウィンナーもミートボールもハンバーグも食べなくなり、食べるものといえば、味つけが塩コショウで脂身のない肉だけ。それまでは食べていたコロコロの小さな丸いおにぎりも食べなくなり、残してくることが増えました。家では朝晩よく食べているから良いかと思っていましたが、長距離ドライブ中にコンビニに寄っても、外食しても、帰省しても、まちゃの食べる物で困りました。空腹でも食べないの?いよいよ偏食と向き合うことにUpload By カタバミ年中からは近所の児童発達支援事業所に週5で通うことにしました。そこでは給食が出ていましたが、まちゃは1ヶ月以上の間全くその給食に手をつけず、毎日廃棄する状況が続いていたので、私がつくったお弁当を持たせることになりました。これには、さすがに焦りました。まちゃは、ご飯よりもパンを食べるので栄養のある食パンを焼き、焼き芋は必ず食べるので毎日お弁当に入れました。サツマイモがあまり売っていない夏の間は焼き芋の代わりにトウモロコシを入れました。毎日同じお弁当でしたが「食べてくれれば…」と全く恥ずかしいとは思いませんでした。まちゃは家でも決まった物しか食べませんでしたが、外の世界ではさらに気難しくなりました。行動療法の本を読んで偏食が治る方法も試しました。まちゃは10分くらい大泣きで嫌がったあとで小指の先程の大きさの苦手な物を食べてくれましたが、毎回大泣きさせてまで続けることに私が疑問を感じてしまい2ヶ月ほどでやめました。年長からは給食が美味しいと評判の療育園に通いましたが、まちゃの連絡帳の今日食べた物の欄には「米3粒」や「お茶のみ」などとよく書かれていました。療育園に参観に行ったとき、まちゃ以外にも海老反りになって給食を激しく拒否するお子さんがいて、先生はその子を抱えて食べさせようとしていました。まちゃはその先生の前でいつも通り静かに全部拒否しているのを見て、私はあきらめる気持ちになりました。偏食は一進一退。それでも、大きく構えて感謝してUpload By カタバミまちゃは、小学1年生になり特別支援学級に通っていますが、なんと登校2日目で給食はほぼ完食して帰ってきました。生徒の数が少ないので、担任の先生は1人ひとりの様子をよく見て少しだけよそったり、小まめに声をかけてくれているおかげだと思います。それからこれは私の考えですが、まちゃは小学校の大きな建物や、大勢のお子さんたちと過ごすことで何か感じ取っているのではないかと思います。学校の給食は食べるようになっても、家でのまちゃの偏食は全く変わらず、毎日家族とは別のまちゃ専用のメニューです。でも今まで食べなかった豚汁は給食で大好物だと聞いたので家で出してみたら抵抗なく食べてくれるようになりました。まちゃの偏食について私が考えていることは、理屈で考えても仕方がないということと、食べてくれる物もあるのだから感謝しようということです。以前好んで食べていた物も急に食べなくなります。少し食べたら思い出すのではないかと無理に食べさせたら暴れて嫌がって吐き出しました。まちゃが見て嫌だと感じたらそれはもう無理なんだとあきらめることにして、大体必ず食べるメニュー(まちゃの場合は納豆、しらす)は冷凍庫に切らさないようにしています。何年か経ったとき、食べるメニューが増えていたらいいなと大きく構えることにしたらだいぶ楽になりましたし、一進一退ですが少しずつ食べる物は増えてきていると思います。執筆/カタバミ(監修:藤井先生より)1日3回ある食事、食べてくれないと心配になりますよね。「米3粒」という記録が、偏食の強さを物語っています。この偏食は発達外来でもよくある相談です。口腔内の触覚、味覚、嗅覚、咀嚼の音への聴覚などの感覚の過敏や、食事をとる環境が落ち着かないなどが関係していることがあります。ご自宅や、療育園や事業所などでさまざまな工夫をしても、食事が進まないときがあります。カタバミさんの表現では「あきらめる気持ちになった」とありますが、偏食はダメということから少し離れて、食べられるものがあることに感謝という視点で、大きく構えることができたのがよかったと思います。
2023年01月08日運動会の保育園からの配慮Upload By まる運動会数日前に保育園より面談の話が出た。通常の面談の時期なので運動会後に面談でもいいのだが、息子は加配保育でほかの子どもとは対応が違ってくるため、ついでに運動会のことも話したいという感じだった。私も運動会の対応が気になっていたのでちょうどいいと思い面談の日にちを決めたのだが、ちょうど面談の日に息子が体調を崩してしまったのだ。面談は延期になったが担任の先生が電話で詳細を話してくれた。基本的に先生が一人息子につくこと、競技でポックリをやるのだが、息子のポックリだけほかの子どものものより面積が広く高さが低くなっていること、かけっこの競技は先生と手をつないで走ることになるだろうということ。大体予想通りのお話だったので特に驚くこともなかったが、ポックリを息子の分だけ形を変えてつくってくれていたことは知らなかったので、その配慮がとてもうれしかった。運動会当日、いつもと違う雰囲気に息子のテンションはみるみる下がり…Upload By まる運動会当日、保護者2人まで参加可能ということでわが家はまたじぃじが一緒に行くことになった。前回一緒に行った保育園のイベントの夏祭りは、息子が大泣きで何も参加できずに帰宅。イベントをよく見に来てくれるがいつも不機嫌な孫しか見せられていないので、今回も期待しないでね…と伝えて出発した。保育園に着くや否やいつもと違う雰囲気を感じ取ったのか息子のテンションがみるみる下がっていく。園児は一度玄関で待機して保護者は園庭で観覧なのだが、玄関から大泣きが始まった。ほかには泣いている子など一人もいない。大泣きの息子を抱えながら「お母さんたちは園庭に行ってください!」と言う保育士さんにすみません…と思いながら観覧席で待つことにした。先生に手を引かれながら参加したリズム競技Upload By まる先生の紹介により年少さんの子どもたちが園庭に入場してくる。みんなしっかりと整列してニコニコ笑顔の中、一番最後に先生に手を引かれながら泣き顔の息子が出てきた。立つこともしたくないのか先生の膝の上に座って一人だけベソベソしている。そのまま最初の競技のリズムが始まった。リズムはピアノの音に合わせてウサギの真似をしたり馬の真似をしたりしながら園庭を走る。みんな上手に走り回っている中、息子は先生に手を引かれてゆっくりと歩きながらスタイで顔を隠していた。せっかく動画を撮っているのにまったく顔が映らない。それはそれでおもしろかったが、まったく顔を写すことができないまま、リズムの競技は終わってしまった…。最後までこのままかと思いきや…?Upload By まるポックリの競技が始まった。園児が一人ずつポックリに乗ってコースを一周する。息子は相変わらず先生の膝の上に座っていた。もう今日は最後までこのまま不機嫌かもね…とじぃじに言うと「うーんまぁ仕方ないね」と慣れた返答が来た。さすが自閉スペクトラム症のある孫をもう数年見ているだけある。しかしできれば少しでも参加しているところを見せてあげたいなぁと思っていたら、いつのまにかポックリに乗って笑顔でスタート地点に立っている息子がいた。いつの間に泣き止んだの!?というかできるの!?とカメラを構え見守っていると、上手にポックリに乗って歩いているではないか。隣でうれしそうにじぃじがシャッターを切る音が聞こえてきた。ポックリのコースは保護者の前をぐるっと一周するようになっている。息子は笑顔でこちらを見ながら途中までコースを歩き、そのままコースを外れて一直線にママの元へ来てくれた。息子が楽しそうにしていることも、途中までだけどしっかりと競技に参加できたことも、ママのもとに一直線に来てくれたことも全てものすごいうれしかった。先生も無理に制御することはせずに、息子のやりたいことに合わせて付き添ってくれ、いいタイミングで次の競技に連れて行ってくれた。最後の競技はかけっこ。息子のペースで走り切ったUpload By まる最後はかけっこだ。もう息子は調子を取り戻したようでニコニコで先生に手をつながれながら順番が来るのを待っている。かけっこはそのまま先生と一緒に走るのかと思っていた。よーい、ドン!の合図と共に駆け出す子どもたち、息子は先生に背中を押されてワンテンポ遅れてゆっくりとスタートした。そしてそのまま先生の手を離れのんびりした走りだが一人で走り切ることができた。今日は最初から最後まで泣いてても仕方ないや、そう思いながら来たのに息子は思った以上の成長を見せてくれた。今回成長の喜びと同時に、分かってはいたけれども、ほかの子どもと比べてだいぶ発達の差があるなということも強く感じてしまった。かけっこでみんな同時にスタートして、みんながゴールしたあとゆっくり走りきる息子を見て、このかけっこの差くらい発達の差があるんだろうなとしみじみ感じた。これから先、無理にほかの子どもに合わせて進むよりも、息子に合ったスピードでゆっくり進んでいける場所をちゃんと探していってあげたい。執筆/まる(監修:初川先生より)息子くんにとって初めての運動会。成長を感じる機会となったようで何よりです。これまでの行事での息子くんのコラムも拝読していたので、今回のコラムは読んでいて私もとてもうれしい気持ちになりました。さて、運動会のような行事に関しては、発達的な難しさのあるお子さんに関しては園・学校の先生と事前によく打ち合わせしておけると良いですね。今回も面談の機会を設定いただき良かったなぁと思います。練習の中で、ここはみんなと同じように、ここは特別な配慮をして、ということを先生方は掴んでいらっしゃるので、そこを共有し、保護者の方も承知したうえでのさまざまな配慮がなされることが安心につながります。行事では普段はいない保護者がたくさん参集したり、みんなテンションが高かったり、「いつもと違う」が多いので自閉傾向の強めのお子さんにはしんどい面もあります。ですが、一度経験することで、次回は少し予想がつくため、より一層、取り組みやすくなるでしょう。今回撮られた動画や写真を来年度の運動会の前に予習として見ながら、心の準備もきっと進むことと思います。
2023年01月06日家ではお調子者な息子の意外な一面!?Upload By 丸山さとこコウは、黙っていると大人しく真面目な子どもに見られることもありますが、基本的にお調子者ですし落ち着きがありません。そんな彼が「僕、学校ではクールだと思われてることあるんだよね」と言うので、あまりの意外性に私は「えっ…クール…コウが…?」と固まってしまいました。そんな私を見たコウは「多分話すのが苦手だからだと思う」と笑い、「だから話すようになるとツンデレって言われたりする」と言いました。私はそれを聞いて『少しずつ中学校生活に慣れて話すようになっていったのだな』と安心しつつ、『それにしてもクールに見られるなんてこと、あるかな?』と首を傾げました。ASDがあるコウは、オープンクエスチョンに答えたり『言いたいこと』をまとめたりするのが苦手です。小学校低学年のころは「ポケットティッシュを使い終わったので新しいのがほしい」と思っても上手く文章にできずに困るくらいでした。なので、周りに慣れるまでは無口になりがちなのは想像できます。Upload By 丸山さとこ今では「ティッシュ新しいのちょうだい」と私に言うことはできるコウですが、病院での診察中、医師からの「最近どうですか?」に答えられないなど、今でも『普段あまり話さない相手』に対しては特に言葉が出にくい傾向があります。「緊張はしないんだけど、単純に何て言ったらいいか分からないんだよ」と本人も少し困っているようでしたが、小学校も6年生になれば大半の児童が顔見知りであるため「コウはそういうヤツだから」として何となく受け入れられていたそうです。そのため、担任の先生もスクールカウンセラーの先生も「中学校に入ってからは、半数はコウ君のことを知らない生徒になります」と心配していましたが、中学校入学後は意外にも大きなトラブルが起きることはありませんでした。Upload By 丸山さとこそんな中で聞いた「言葉数の少ないクールな人」というコウへの評価だったため、私は『やはり最初はそうなるね。大丈夫かな?』と思うと共に、『だからトラブルが起きていないのかもしれないな』と安心する気持ちもありました。それにしても、クールなイメージは遠くない?と思っていたら…そのようなわけで、新しい環境では口数が少なくなるであろうコウのことを考えれば「黙っていたらクールに見えることもあるのかな?」と一応は理解できました。けれども、「静かでおとなしい印象ならともかく、クールってコウからはかなり遠いイメージなのでは…?」と不思議に思う部分もありました。私の友人にその話をすると、彼女は「あ~、確かに黙っていたらクールって見えるの分かる」とうなずいていたので、「えー!どうして?」と詳しく聞いてみました。Upload By 丸山さとこ「コウ君って背が高いでしょ?あと勉強が得意で物知りだよね。大人びた感じの表情してるし、黙ってるとクールに感じるよ」と友人は話してくれました。それらの『クールに見える理由』をもとにコウの姿を想像すると、「あ~…そんなクールなクラスメイトっていたりするね!」と納得感が湧きました。思い返してみれば、私自身もかつては『黙っているときとしゃべるときでイメージの違う子ども』でした。読書が好きで髪型はおさげで、当時今よりは少なかった眼鏡をかけた小学生だった私は、「家で本ばかり読んでいる大人しい子ども」と思われがちでした。ところが、実際はかなり多弁で外遊びが好きな子どもでした。Upload By 丸山さとこ大人しく本を読んでいることも多かったので「読書が好きな大人しい子ども」のイメージも間違いではありませんが、木に登ったり、竹馬を限界まで高くしたり、ジャングルジムから飛び降りたりしている姿は、『読書好きのおとなしい子ども』からはかなり離れた印象だっただろうと思います。コウの「黙っているとクール」も、子どものころの私と似たようなものなのかもしれないと思うと、「クールに見える人の内面もいろいろなのだろうな」と面白く感じました。そうして、中学校入学後しばらくはクールと言われることがしばしばあったというコウでしたが、次第にクラスメイトと打ち解けていく中で『よくしゃべるお調子者』な一面が少しずつ出てきたようで、1学期の終わりごろには「ツンデレ」と言われることもあったそうです。会話の中から意図を読み取ることが苦手なコウですが、会話のパターンが蓄積された相手であれば「この人が『最近どう?』って言ったら〇〇についてのことだな」とある程度予測はできるようになります。Upload By 丸山さとこクラスや部活など同じコミュニティに属する相手だと『自分も相手も知っていること』が多くなるため、さらに話しやすくなるようです。多分、そうなれるくらい時間が過ぎたのと同時に、口数が少ない間も会話の輪の中に入れてもらえる機会があったのだろうと思います。環境が合い、安定しているコウを見て今思うこと先日行なわれた2学期末の個人面談で聞いたところによると、現在のクラス内でのコウは「勉強が得意で部活を頑張っているコウはちょっと凄いヤツ」という評価を得ている一方で、お調子者なところもしっかり認識されているそうです。「調子に乗り過ぎてやらかさないだろうか…」と親としては心配になりますが、今のクラスではそんなところも含めて「コウってそういうヤツだよな」と受け入れられているそうで、『本当にありがたいな』と今の平穏をかみしめています。環境が合うときの安定したコウからは想像できないほどの『負荷がかかって荒れるコウ』を知っているだけに、今の平穏はこれから先も約束されたものではないのだろう…と私は考えています。それでも、今の安定した状況の間に経験したことはコウの一部になって、今後も助けてくれるかもしれません。先の予測はつかない毎日ですが、そうなることを願っています。Upload By 丸山さとこ執筆/丸山さとこ(監修:鈴木先生より)人見知りが強いお子さんは一見クールに見えることがあります。環境に慣れ、場慣れしてくると本領を発揮するお子さんも少なくありません。以前にも述べましたが、ASDのお子さんは「最近どうですか」では通じないことが多いのです。「学校の授業はどうですか」などともっと具体的に聞く必要があります。ASDのお子さんは行間や空気が読みにくいからです。さらに周りからいろいろ言われたり、不安が強くなったりすると緘黙に転じてきやすいので注意が必要です。
2023年01月04日乳児揺さぶられ症候群が起きてしまう原因って?予防のためにできることは?Upload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンどうして乳幼児揺さぶられ症候群が起こってしまうの?乳幼児揺さぶられ症候群(SBS)は、乳幼児が激しく揺さぶられたときに、脳が損傷してしまうことです。乳幼児揺さぶられ症候群が起きた過去の事例を見てみると、赤ちゃんを揺さぶってしまった原因として多いものは「育児ストレス」です。保護者など、子どもの周りにいる大人が子どものことでイライラしたり、腹を立ててしまったりするときに激しく揺さぶってしまうようです。特に、子どもが泣きやまないときに、激しく揺さぶってしまった、というケースが過去の事例で多く挙げられています。参考:子ども虐待による死亡事例等の検証についてどのくらいの強さで揺らすと乳幼児揺さぶられ症候群(揺さぶられっ子症候群・SBS)になりやすい?たかいたかいやベビーカーも危険?では、具体的にどの程度激しいと赤ちゃんが乳幼児揺さぶられ症候群になってしまうのでしょうか。1秒間に2往復以上させる暴力的な揺さぶりは危険です。これは周りから見ると誰もが子どもの安全を危ぶむほど、かなり激しい揺れです。赤ちゃんの身体を支えてゆっくりと揺らす、膝の上でピョンピョンとさせてあやす、などといった通常のあやし行為で乳幼児揺さぶられ症候群が起きることはありません。また最近、「ベビーカーに子どもを乗せているときに段差がありガクンと揺れてしまった」「バウンサーを使用するのは危険なの?」「チャイルドシートに子どもを乗せているときに大きな振動を与えてしまったが大丈夫?」というような、保護者からの心配の声が増えつつあります。ですが、ベビーカーやバウンサー、チャイルドシートなどによる乳幼児揺さぶられ症候群の発症の多くは使用方法の間違い、過剰な使い方によるものです。正しい使い方を守り、注意事項を十分に理解していれば、このような機器による乳幼児揺さぶられ症候群のリスクを過剰に心配する必要はありません。乳幼児揺さぶられ症候群を防ぐには?乳幼児揺さぶられ症候群は子どもの周りの大人の意識によって十分に防ぐことができます。以下で、何に気をつければよいのかについて説明します。・子育てにおける知識・注意事項を家族全員で共有する乳幼児揺さぶられ症候群を引き起こしてしまう原因の一つとして、子育てに関わる大人が赤ちゃんをどのように扱えばいいのか、どういったことが危険なのか分からないということが挙げられます。家族の誰であっても安心して赤ちゃんの抱っこやあやしをお願いできるように、以下のようなことを子育てする家族全員で共有することが大切です。・赤ちゃんをどのくらい揺さぶってしまうと揺さぶられ症候群を発症してしまうのか?・赤ちゃんとどう接すればよいのか?・抱っこやあやす際には何に気をつければよいのか?など赤ちゃんとの安全な接し方を家族全員が知っておくことで、乳幼児揺さぶられ症候群のリスクを減らすことができます。・自分なりのストレス解消法・リラックス方法を知っておく乳幼児揺さぶられ症候群は、保護者が「ついカッとなって」、「ストレスが溜まって我慢の限界に達して」という精神状態に陥ることで起きてしまうことも多くあります。「自分だって疲れているのにこの子はどうして泣きやんでくれないの」「泣き声のせいでまともに寝ることができない」など、子育てはうまくいかないことやイライラしてしまうことが誰しもあるものです。そんな状態になったときに、つい子どもに八つ当たりしてしまった。それが原因で、乳幼児揺さぶられ症候群になり、子どもにけがや後遺症などを引き起こしてしまった…。そのような悲しいことが起きてしまう前に、自分が疲れたとき・ストレスを感じているときにどうリラックスするかをあらかじめ考えておきましょう。・ストレスでカッとなりそうになったらほかの家族に赤ちゃんの面倒を頼み、自分は赤ちゃんと距離を置いて一人になってみる・短時間でも自分の趣味を楽しむ時間をつくってみる・小児科や保健所で専門家に相談してみるなど自分にあったリラックス方法、ストレス解消法などが見つけられるとよいでしょう。赤ちゃんが泣きやまない原因は、空腹やおむつなどの生理的なものから、特に理由もなく泣いている、外からの刺激にびっくりして泣いているといったものまでさまざまです。特に、生後1~2ヶ月の赤ちゃんは泣く頻度がピークに達するといわれています。泣いている原因が何かいろいろ確かめても分からないときは、ただ見守ってみる、優しく抱っこし続けると自然と泣きやむ場合もあります。
2023年01月03日STEAM教育って何?
子育て楽じゃありません
細川珠生のここなら分かる政治のコト