「発達障害」について知りたいことや今話題の「発達障害」についての記事をチェック! (23/98)
乳児揺さぶられ症候群とは?症状や注意したいことを解説Upload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホン乳幼児揺さぶられ症候群とは?症状や原因は?乳幼児揺さぶられ症候群とは、乳幼児が激しく揺さぶられることによって脳内が傷ついてしまう状態、またそれによって重大な障害が残る状態を指します。乳幼児揺さぶられっ子症候群、Shaken Baby Syndrome (SBS)とも呼ばれます。■乳幼児揺さぶられ症候群が起こる原因赤ちゃんは頭が重く首の筋肉が未発達のため、激しい揺れで脳が衝撃を受けやすい状態にあります。また、新生児の脳の大きさは大人に比べて小さく、成長と共にどんどん大きくなっていきます。このような脳の発達に備えて、頭蓋骨と脳の間にはある程度のすきまがあります。つまり、赤ちゃんの頭の中は、頭蓋骨の中に脳が浮いているような状態にあるのです。そのため、激しく揺さぶられると頭蓋骨の内側に何度も脳が打ちつけられ、脳の血管や神経に損傷が起きてしまいます。このため、保護者が赤ちゃんをあやしたり抱っこしたりするときは、新生児期・乳児期を通じて頭がぐらぐら揺らされていないかどうか、力強くすばやく揺らしてしまってはいないか、注意する必要があります。■何歳くらいに起こるものなの?新生児~生後6ヶ月ごろまでは、首の筋力が弱く安定していないことから特に注意が必要です。それ以降も頭蓋骨の成長が完了する2歳ごろまでは、頭蓋骨と脳の間に少しのすきまがあるため激しく揺さぶってはいけません。乳幼児揺さぶられ症候群の症状赤ちゃんが激しい揺さぶりを受けると、脳細胞が破壊され、脳の中が低酸素状態になります。揺さぶりを受けたあと、赤ちゃんが以下のような症状を見せた場合、乳幼児揺さぶられ症候群の可能性があります。・元気がなくなる・機嫌が悪くなる・傾眠傾向(すぐに眠ってしまう状態)・嘔吐(ウイルス感染による嘔吐症と間違われやすいです)・けいれん・意識障害(呼んでも、応えない)・呼吸困難・昏睡(強く刺激しても目を覚まさない状態)・死このように、乳幼児揺さぶられ症候群は死に至る可能性もあります。赤ちゃんを激しく揺さぶってしまい、このような症状が現れた場合は、すみやかにかかりつけの小児科か最寄りの救急救命センターへ子どもを連れていきましょう。乳幼児揺さぶられ症候群の後遺症は?目が見えなくなったり、言葉が遅れたりする?また、命が助かった場合でも、以下のような症状・後遺症を起こしてしまうこともあります。・脳の周りの出血(硬膜下血腫、クモ膜下出血など)や脳の中の出血・失明、視力障害・言葉の遅れ、学習の障害・後遺症としてのけいれん発作・脳損傷、知的障害・脳性麻痺硬膜下血腫やクモ膜下出血とは、脳の表面で起きた出血が原因で起こります。頭蓋骨と脳の間には、頭蓋骨側から「硬膜」「クモ膜」「軟膜」の3つの膜があります。硬膜下血腫やクモ膜下出血は、硬膜・クモ膜と脳の間に血液が溜まってしまう状態を指します。乳幼児期という脳の発達においてとても重要な時期に、乳幼児揺さぶられ症候群で脳内が傷ついてしまうと、身体機能や精神機能、学習機能などさまざまなところに影響が出てきてしまうことがあります。乳幼児揺さぶられ症候群はストレス対処で未然に防ぐことができます乳幼児揺さぶられ症候群は赤ちゃんを激しく揺さぶると発症する脳の損傷です。脳へ大きなダメージが与えられるので、子どものその後の発達に大きな影響が出ることがあります。赤ちゃんをあやす際には頭や首をしっかり支え、激しく揺らしたりしないようにしましょう。乳幼児揺さぶられ症候群は保護者の育児ストレスが背景にあることが多く、そのストレスに対処することで未然に防ぐことができます。疲れたとき、ストレスが溜まっているときなど、一人で抱え込まず相談することも大切です。イラスト/taeko
2023年01月02日新年あけましておめでとうございます新年あけましておめでとうございます。編集部一同、2023年がみなさまにとって素晴らしい一年となることを願っております!さて、2022年、発達ナビはさまざまな取り組みを行ってきました。ここで、この一年を振り返り、取り組みについてご紹介したいと思います。新たな連載ライターも多数加わり、発見や共感がたくさんあるコミックエッセイをお送りしてきました。また、発達ナビの会員のみなさまの体験をもとにしたコミックエッセイも数多くリリースしました。こんな場面、ご自身も経験した…というエピソードも多くあるのではないでしょうか。そこでの思いや対応、どのように乗り越えたのかなどはきっとヒントになるはずです。みなさまの体験されたエピソードもぜひお寄せください!また、専門家による体験談を漫画形式でつづる企画もスタートしました。最前線の臨床で、専門家のみなさんが、当事者である子どもやご家族にどのような助言や治療を行い、子どもたちがどのように変化していったのかを追体験できるコラムに仕上がっています。発達ナビのQ&Aコーナーには、毎日たくさんの疑問や不安が寄せられ、会員のみなさま同士でのやり取りが活発に行われています。そうしたコーナーの中から、多くの人が悩んでいる話題をピックアップし、発達ナビの監修の先生方に助言をいただく新企画がスタートしました。保護者のみなさま同士のアドバイスに加え、専門家の助言、基礎知識まで詰め込んだコラムです。ぜひお読みください!皆さんのQ&Aコーナーへの投稿、引き続きお待ちしています!イラストや図入りで分かりやすく解説する記事も毎月公開しました。みなさまのご意見、発達ナビとの関わりをコラムに!Upload By 発達ナビ編集部2023年1月26日は発達ナビの7歳の誕生日です。この日を記念して、ユーザーのみなさま参加型のコラムもリリースさせていただきたいと考えています!「発達ナビと出合って変わったこと」「こんな風に使っています」「こんな機能があったらうれしいな」発達ナビを活用いただくことで変わったこと、変わるといいなと思っていることをぜひお寄せください!いただいたエピソードやご意見は、7周年記念コラムでもご紹介させていただければと考えています。アンケートを実施していますので、ぜひご協力ください。
2023年01月01日帰省、お手伝い、冬ならではの悩み…年末年始に読んでほしいコラムをピックアップ!長期休暇でご実家に帰られたり、普段は会わない親戚や友人と集まったりする機会も多くなる時期。お子さんの障害について伝えることが難しい…と感じている方もいらっしゃるかもしれません。ウチノコさんは、ADHDと自閉スペクトラム症の診断のある小学3年生、むっくんのお母さん。まだむっくんが小さいころ、一緒に暮らす家族以外の人にむっくんの特性を理解してもらいたいとき、伝え方に気をつけていたことがあると言います。もう一つは発達ナビ会員さんから寄せられた体験談です。自閉スペクトラム症やDCD(発達性協調運動症)などの診断がある息子さん。ある日、家族旅行で実家のある県へ行く機会があり、7年ぶりに帰省することになったのですが…。祖父母が障害のある孫と初めて会ったときのエピソードです。加藤路瑛さんには感覚過敏があります。感覚過敏のない人たちが普段当たり前のようにできたり、楽しんだりしていることが、感覚過敏のある人にとっては耐えられないほどつらいこともあると言います。このコラムでは、冬ならではの感覚過敏の困りごとや、当事者視点での「あるある」エピソードをご紹介します。次は、発達ナビ会員さんの体験談をご紹介します。重度知的障害がある娘さんには「水が大好き」という特性があります。娘さんが3歳の冬のある日、お母さまが深夜に帰宅したところ、ヒヤリとする場面に遭遇してしまったそうで…。お正月と言えばおせち。昨年末、簡単につくれるおせちの材料を買ったものの、いざとなると面倒になってしまった丸山さとこさん(お気持ちよく分かります…)。しかし、そこで丸山さんはひらめきました。「もしかしてコウならつくれるのでは…?」知育菓子と家庭科の授業で鍛えられたコウ君の料理能力に期待して、おせちづくりをまかせてみた結果はいかに!?さいごに今年もたくさんの方に発達ナビをご利用いただきありがとうございました。来年もみなさまのお役に立つコラムや企画をお届けできるよう、発達ナビ編集部一同頑張ってまいりますので、変わらぬご愛顧のほどよろしくお願いいたします。それでは、どうぞ良いお年をお迎えください!
2022年12月31日「病院利用」にまつわる発達ナビライターの体験談をご紹介!にれさんの娘のまゆみちゃんは、自閉スペクトラム症と知的障害があります。多動のため一瞬たりとも目の離せない状態での病院受診は緊張の連続。少しでもストレスなく受診できるよう、にれさんが大切にしている4つのことを教えていただきました。ぼさ子さんの息子ほぺろう君は、知的障害(知的発達症)と自閉スペクトラム症があります。病院でのほぺろう君の泣き暴れを抑えるのは至難の業!やがて泣き暴れを抑えるのではなく「いかにスムーズに受診を終えるか」という考え方に変わっていき、情報を集め、工夫するようになったそうです。丸山さとこさんの息子コウ君は中学1年生。ASDとADHDがあります。コウ君はADHD治療薬を服用しているため、定期的に発達外来のある病院へ通っているのですが、普段はおしゃべりなのになぜか『診察室で医師と会話できない状態』になってしまうのだそうです。5年後にはコウ君も成人。いずれ1人で診察を受けるようになることを考え、丸山さんはスクールカウンセラーに相談してみることにしました。みんさんの息子P君が2歳のとき、『体を硬直させながら震える』という症状があったそうです。発達障害の原因として、てんかんなどほかの疾患が隠れていないか調べるために病院を受診。その結果、検査入院をすることになり…。親子とも大変だった入院のエピソードです。吉田いらこさんの小学6年生の長女ゆいちゃんは、軽度知的障害・場面緘黙・ASDの診断をされています。ゆいちゃんの特性には、「他人と会話するのが苦手だったり先の見通しを立てないと不安になってしまう」というものがあります。病院ではいつもちょっとした苦労があるそうで…。さいごに今回の「病院利用」特集では、発達ナビライターの方々から非常に多くの体験談をお寄せいただきました。共感できるエピソードも多かったのではないでしょうか。発達ナビでは来月も引き続き、病院利用に関する体験談を公開予定です。発達ナビライターのみなさんの悲喜こもごものエピソード、どうぞご期待ください!
2022年12月30日PTSDの治療法は?大人の場合と子どもの場合PTSD(Post Traumatic Stress Disorder:心的外傷後ストレス障害)は、つらいできごとがトラウマとなり、さまざまな症状を発症する疾患です。PTSD治療において、大切になるのは本人のペースに合わせて回復していくということです。周囲が無理に今すぐ治そうとしても、思い通りにはなかなかいきません。※この文章を読んで、自分のトラウマがよみがえってきたり、気持ちがつらくなった場合には、一旦画面を閉じましょう。可能であればゆっくりと深呼吸をして、今が安全であることを確認しましょう。気持ちが落ち着いたら、また再開してくださいね。Upload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンPTSDの治療大人の場合このコラムでは、PTSDの治療法について、紹介していきます。大人と子どもでは、PTSDになるできごとが異なったり、大人のほうが精神的に発達していたりと、同じPTSDでも異なる点があります。まず、大人に対するPTSDの治療法について紹介します。PTSDの治療には、その症状や原因をよく理解することが重要です。PTSDは、トラウマ体験をした人であれば誰でも起こることがあります。しかしPTSDになる人の多くは、PTSDについて詳しく知らないことも多く、そのため、PTSDになったことに対して罪悪感を感じてしまうことがあります。治療の第一段階としては、PTSDについて正しく理解することで、罪悪感を軽減したり、自分の感情をコントロールする術を身につけたりすることが多いです。PTSDの研究の中で、薬による治療(薬物療法)が効果的であることが分かっており、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)をはじめとした抗うつ薬などが有効だと考えられています。PTSDはうつ病や強迫症などさまざまな精神障害と併せて発症することがあります。そのようなときには、合併している疾患への治療も踏まえて、薬を使用していくことになります。精神疾患の薬は使い方を誤ると、重篤な副作用がでることもあります。そのため、医師の指示のもと、綿密に相談しながら、薬と正しい付き合いをしていくようにしましょう。現在、もっとも有効だと考えられている治療法が、精神療法です。特に、トラウマに焦点を当てた認知行動療法の有効性が明らかになっています。このうちの一つの「持続エクスポージャー療法(Prolonged Exposure Therapy:PE)」は、現実世界や想像の中のトラウマ記憶に持続的に曝露していくことで、トラウマに対する恐怖を消去していくという方法です。このほか、「眼球運動による脱感作と再処理法(EMDR法)」という、治療者の指を追って目を動かしながら、同時にトラウマ体験を思い出していくという治療法もあります。いずれも有効性が認められた治療法ですが、実施できる施設は限られている場合があります。PTSDの治療子どもの場合PTSDの治療の大枠は、大人と子どもで変わりません。しかし、子どもは自分の感じていることを言葉で表現することが難しいため、トラウマやどのような症状があるのかを周囲の人が適切に把握するために工夫が必要になることがあります。例えば、子どもたちの遊んでいる様子や描いた絵から心情を推測します。治療を開始するときには、大人と同様にPTSDがどのような病気であるのかを理解できるようにします。その後、薬を用いたり、認知行動療法をしたりして治療していきます。ここでは、子どものPTSD治療において有効性が実証されているトラウマフォーカスト認知行動療法について紹介します。トラウマフォーカスト認知行動療法(TF-CBT)の目的は、トラウマに関連した症状や問題のある子どもと保護者が社会生活をするにあたり、トラウマを適切に処理することを支援することです。個人療法として行われることが多く、週に1回、60~90分、8~16週かけて行います。TF-CBTには3つの段階があります。1.トラウマに向き合う準備をするTF-CBTでは、トラウマ克服だけでなく、教育的な面も多く含まれています。はじめの段階では、ストレスマネジメントや感情を表に出すこと、ものごとの捉え方などの学習を行います。これらの教育的要素が十分身についたら、次の段階へと移行します。2.トラウマ記憶に向き合う少しずつトラウマと向き合えるようにしていきます。そのために、子どもが主体的にトラウマの体験を言葉で表したりできるようなプログラムになっています。また、いきなりトラウマに向き合うことができなくても、不安の少ないものから徐々に慣れさせていき、最終的にトラウマに向き合えるような工夫がされています。3.定着と統合親子で学んだことを復習したり、子どもがトラウマに対して感じたことを親と共有するような時間になります。この段階では、プログラムの成果の定着を図ると共に、親子の絆が一層強くなることも期待されています。TF-CBTは、子どものPTSDに対して有効だとされていますが、まだ新しい取り組みであり日本でそれほど普及しているわけではありません。PTSDは患者さん一人ひとりで症状に幅があります。そのため、医師と相談しながら、一人ひとりにあった治療をしていくことになります。普段からトレーニングや治療をしていても、パニックになることがあります。そのときにどのような声かけや対応をすればいいのか子どもの年齢別に説明します。適切な声かけや対応をすることで、PTSDが悪化することを防ぐことができます。参考:TF-CBTトラウマフォーカスト認知行動療法|兵庫県こころのケアセンター・就学前の幼児から小学校低学年まだまだ周りで起こったことを正しく理解し、全てを的確に表現できるわけではありません。例えば、地震が起きて揺れがおさまってもずっと怖がっているときには、すでに揺れはおさまりもう安全であることを伝えましょう。怖い夢を見た次の日に恐怖で眠れないときには、絵本の読み聞かせをしたり、抱きしめたりするのも効果的です。・小学校中学年程度周囲で起きていることだけでなく、自分自身の内側で起きていることに対して不安を感じるようになります。「今、この瞬間はもう大丈夫だよ」と安全を保証すると共に、保護者や周囲の大人が子どものつらさやしんどさに十分に理解を示すことが大切です。本人が話したそうなときは、無理に引き出さずにその話に耳を傾けることが、助けになる場合があります。・小学校高学年から、中・高生中高生は自分でしっかりと考えることができる段階にあるものの、ネガティブな考えから抜け出せなくなったり、一人で解決できそうにない問題が生じているときには、周囲のサポートが必要になります。まずは苦しいときにはいつでも助けを求めていいことを伝えておきましょう。また、相談しても頭ごなしに否定されないことや、一緒に解決策を考えることを保証していくことも大切です。いずれの年代においても、子どもたちをサポートするためには、まずは周囲の大人が安全な環境が確保され、心身の状態が落ち着いていることが必要です。※上記は代表的な年齢区分ごとの対応を示していますが、子どもの発達状況によって時期は前後することがあります相談先--もしかしてPTSDかも?と思ったらトラウマになりそうな犯罪被害にあったり、いじめにあったりしたときには専門家に相談することも視野に入れるといいでしょう。友達や先生、家族には相談しにくいことであっても、カウンセラーや、類似体験をした当事者同士であれば話せることもあります。大人の場合には、・病院の精神科・心理カウンセラーなどに相談できます。子どもの場合には、これに付け加えて、・児童相談所・家庭福祉相談所・担任の先生やスクールカウンセラーなどに、相談できます。また、性的暴力や、いきなり暴行に遭ったなど犯罪被害の場合には、・全国被害者支援ネットワーク・被害者支援団体・警察庁犯罪被害者支援室といったグループを頼ることもできます。まとめ同じようなできごとに直面しても、PTSDになる人、ならない人がいるため、PTSDと診断される人はメンタルが弱いのではないかと言われることや、本人が罪悪感を持つことがあります。しかし、本人が責任を感じる必要はありません。また、周囲の人も「あのとき、こうしておけばよかったかもしれない」などと責任を感じる必要もありません。それよりも、安全な環境をつくったり、本人が話せるときに話を聞いたりすることが大切です。イラスト/カタバミ
2022年12月29日PTSDと発達障害の関連性とは?PTSD(Post Traumatic Stress Disorder:心的外傷後ストレス障害)は、つらい出来事がトラウマとなり、さまざまな症状を発症する疾患です。ADHDの症状の中にはPTSDの症状と似ている点があったり、自閉スペクトラム症(ASD)のある子どもの中にはPTSDだと診断されなくとも、こころの傷によって苦しんでいる場合もあります。※この文章を読んで、自分のトラウマがよみがえってきたり、気持ちがつらくなった場合には、一旦画面を閉じましょう。可能であればゆっくりと深呼吸をして、今が安全であることを確認しましょう。気持ちが落ち着いたら、また再開してくださいね。Upload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンADHDとPTSDの類似性ADHD(注意欠如・多動性障害)とPTSDの症状には、実は似ている点が多くあると言われています。ADHDのある子どもは、不注意、多動性、衝動性の特性があります。ADHDのある子どもに見られる行動として、・大人しく座っていられない・すぐにかんしゃくを起こす・診察中に突然、病室から飛び出すといったことがあります。ですが、PTSDの症状としても、これらと似たような症状が見られることがあります。そのため、子どもの行動から、その原因がADHDの特性によるものなのかPTSDの症状として出ているものなのかを区別することは、専門家であっても難しい場合があります。ADHDとPTSDを正しく見分けるためには、子どもの過去にどのようなことがあったのかや生育歴・発達歴の情報が大切になってきます。子どもと一番長い時間を過ごしてきたのは、医師や専門家、学校の先生ではなく家族です。少しでも気になる出来事があったり、ある日を境に急にADHDと思われるような症状・傾向が見られるようになったと感じたときは、医師に伝えるといいでしょう。自閉スペクトラム症とトラウマ自閉スペクトラム症(ASD)のある子どもは、その特性から、苦しんでいることがあります。「タイムスリップ現象」と呼ばれる症状が自閉スペクトラム症のある子どもに多くみられます。タイムスリップ現象とは過去の楽しかったことやつらかった出来事を突然思い出す症状です。この現象が起こりやすいという面から、ASDのある子どもは、(楽しい記憶のみでなく)過去にいじめや暴力を受けたときのつらい記憶について急に思い出し、まるで今その経験をしているかのように振る舞ってしまうことがあります。自閉スペクトラム症のある子どもが、フラッシュバックまたはネガティブな記憶のタイムスリップ現象に関して抱えている問題には、・トラウマになるような経験をしやすい・自分の身体に起こっていることを説明することが難しい・気持ちの切り替えやコントロールが難しいといったことが要因として挙げられます。自閉スペクトラム症のある子どもは、定型発達の子どもに比べるとストレスを感じやすい環境で生活していることが多くあります。感覚過敏のある子どもにとっては、普段の教室にいるだけでもストレスがたまっていくことが珍しくありません。また、うまく友人との関係性が構築できないという苦痛や、安心できるルーティンが崩される苦痛を受けやすいことなども挙げられます。自閉スペクトラム症のある子どもにとって、自分の身体で起きていることを正確に周囲に伝えることは困難を伴うことが多いです。子どもからのSOSがなく、親や学校の先生であっても、子どもがタイムスリップ現象で困っていることに気づけないことがあります。過去にいじめられたり、人間関係でうまくいかなかったりしたことを克服したように見えても、子どもが未だにその経験によって苦しんでいることもあります。自閉スペクトラム症のある子どもはパニックや癇癪、フリーズ(どうすればいいのか混乱してしまい、体と思考が凍りつく)を起こしやすかったり、気持ちの切り替えがうまくいかない傾向にあります。自閉スペクトラム症のある子どもが次のような行動をとったときには、トラウマが関連している可能性があるので、子どもに最近なにかあったか聞いてみるといいでしょう。・新たに、攻撃的・破壊的な行動をするようになったとき・夜、寝られなくなるなどの身体に変化が起きたとき・社会性、コミュニケーションにおいて、症状が悪化したとき・常同行動が増えたとき常同行動とは、手をひらひらしたり、体を揺らしたり、奇声を上げるなど、一見無目的に同じ行動を繰り返すことです。参考:友田 明美、杉山 登志郎、谷池 雅子/編集『子どものPTSD-診断と治療-』(診断と治療社、2014年)自閉スペクトラム症のある子どものPTSD予防のために自閉スペクトラム症のある子どもは、トラウマになるような経験をすることが多いと言われています。PTSDを予防するためには、大人子どもを問わず「安全な環境をつくること」「安全な人間関係をつくること」「自分に対するコントロール能力を回復すること」などが大事だと言われています。保護者が傍にいて安心できる環境を作ったり、家族や周りの人が心配し守っているということをきちんと伝えてあげることが、子どもが相談しやすい環境や安心へとつながります。また、なるべくそれまでの生活のパターンを変えずに、規則正しい生活を心がけて、自分に対するコントロール能力を回復するのを助けてあげることも重要です。イラスト/カタバミ参考:心の外傷とその対応|厚生労働省
2022年12月28日小学校入学後、次女がトイレに行けていないことに気づかなかった小学校入学後、私は次女が学校のトイレに行けていないことにしばらく気づけませんでした。保育園時代にはトイレに行けないことが問題になることはなかったので、油断していました…。当時、私たちは海外に住んでおり、子供たちは現地の日本人学校に通っていました。低学年のうちは送迎が必須だったため、私は次女を学校まで毎日送り迎えしていました。次女が学校から自宅に着いたとたんに焦ってトイレに行くことが多かったり、学校からの帰り道に「トイレに行きたいから」と早く帰りたがったりすることはあったのですが、まさか丸一日トイレに行っていないとは考えもしませんでした。ある日、学校帰りに迎えに行くとトイレに行きたがっていたので、学校のトイレに誘ったところ「ママついてきて…」という感じで、一人で行くことができませんでした。Upload By まりまりUpload By まりまりトイレに行けなくなった理由次女に、学校でトイレに行けない理由を聞いてみると「怖いから」ということでした。確かに、家のトイレでさえ一人で行けていなかったのに、学校のトイレなんて行けるわけない…。あとになって、私なりに次女が保育園ではトイレに行けていた理由を考えてみました。・保育園では、先生が時間でトイレの声掛けをしてみんなで行っていた・小さい園だったので、トイレが教室にとても近かったこれが、小学校に上がったとたんに、・自分で判断して休み時間トイレに行かなくてはならない・教室からトイレまでの距離があって行くのが大変Upload By まりまり次女の場合、ただでさえ不安が強いのに、これでは行けるわけがないよね…と納得でした。担任の先生に相談まず次女と話をしました。「トイレは怖くて行けない」ということだったので、休み時間にみんなのあとをついて行ったりすることを提案するものの、まずそういうことができない次女…。早速担任の先生に相談しました。Upload By まりまり保育園のときのトイレの状況や、次女の不安の強さをお話しして、休み時間にクラスメイトがトイレに行くタイミングを見計らって、先生のほうから次女に声を掛けていただけることになりました。長女にも協力してもらった長女にも理由を話して、少し協力してもらいました。長女と次女の教室が近かったので、休み時間にもし廊下などで出会うことがあったら声を掛けて欲しいとお願いしました。担任の先生と長女の協力の結果…担任の先生の声掛けと、長女の協力により、次女はなんとか学校のトイレに行けるようになりました!Upload By まりまりその後、時間の経過と共に、声掛けなしでも一人でトイレに行けるようになっています。次女に聞くと「トイレが怖い」というのは変わらないけれど、「慣れた」とのこと。声掛けによってトイレに行くタイミングがつかめたり、休み時間はトイレに人がいることが多いと身をもって分かったりしたことが大きかったようです。結局、私がいろいろ説明したりするよりも、怖くても自分自身で「大丈夫かも」という体験を積み重ねていくしかないんだな~と思った出来事でした。執筆/まりまり(監修:藤井先生より)「トイレが怖い」という気持ちを否定することなく、受け止めて、学校の先生や長女さんにも協力を仰いで、少しずつ慣れていったのですね。怖い気持ちはありながらも、少しずつできたという経験を積み重ねていったのは、とても良かったと思います。周囲と比べてできるはず、と説得するのではなく、気持ちを受け止めてもらったのも、安心感をうみ、少しずつやってみようという気持ちになったのだと思います。
2022年12月28日PTSDとは?概要や症状、原因を解説PTSD(Post Traumatic Stress Disorder:心的外傷後ストレス障害)は、ショック体験や強いストレスをきっかけに、こころにひどく傷を負うことで発症します。※この文章を読んで、自分のトラウマがよみがえってきたり、気持ちがつらくなった場合には、一旦画面を閉じましょう。可能であればゆっくりと深呼吸をして、今が安全であることを確認しましょう。気持ちが落ち着いたら、また再開してくださいね。Upload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンPTSDを発症すると、その出来事に関わる人・場所を過度に避けたり、常に気を張ったり、考え方が否定的になったりと、日常生活を送る上で支障が出てしまいます。時間が経つにつれて症状が軽くなることもありますが、数ヶ月、症状が長引くようであれば、専門家に相談することも必要になります。また、PTSD患者は、他の精神疾患を合併することが多いとされています。PTSDがある人が精神疾患を合併する割合は80%近くになります。合併することの多い精神疾患としては、うつ病、不安障害、アルコール中毒や薬物中毒といった物質使用障害です。PTSDは、誰しもがかかりうる疾患です。出典:日本精神神経学会/監修『DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル』(医学書院)PTSDの原因PTSDはショック体験や強いストレスがこころを傷つけ、トラウマになることで引き起こされる疾患です。人それぞれトラウマになる出来事はバラバラです。しかし、アメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)によって、PTSDにつながるショック体験や強いストレスが定義されています。PTSDと診断するときには、以下のような経験をしたことを条件としています。A.実際にまたは危うく死ぬ、重傷を負う、性的暴力を受ける出来事への、以下のいずれか1つ(またはそれ以上)の形による曝露:(1)心的外傷的出来事を直接体験する。(2)他人に起こった出来事を直に目撃する。(3)近親者または親しい友人に起こった心的外傷的出来事を耳にする。家族または友人が実際に死んだ出来事または危うく死にそうになった出来事の場合、それは偶発的なものでなくてはならない。(4)心的外傷的出来事の強い不快感をいだく細部に、繰り返しまたは極端に曝露される体験をする。(例:遺体を収集する緊急対応要員、児童虐待の詳細に繰り返し曝露される警官)注:基準A4は、仕事に関連するものでない限り、電子媒体、テレビ、映像、または写真による曝露には適用されない。出典:アメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)例えば、診断基準として上の条件を満たすような経験には、次のようなものがあります。・自然災害・殴られる、蹴られるなどの暴行・性的な虐待・手術中に意識を取り戻してしまうなどの医療事故・交通事故・大切な人の予期せぬ死これらの経験は、本人に失態があり、降りかかるようなものではありません。PTSDの原因になる経験は、日常生活を送る上で頻繁に起こるものではなく、非日常的な出来事であることが多いです。PTSDの症状PTSDは、過去に悲劇的な出来事があれば必ず発症するものではありません。過去にショック体験や強いストレスがあったことと、以下に挙げる特徴的な4つの症状が1ヶ月以上持続することを共に満たす場合にのみ、PTSDだと診断されます。・トラウマが突然、思い出される・トラウマに似た状況を避けようとする・自分自身や他者、世の中に対して否定的になる・いつも緊張状態にある特徴的な4つの症状について、一つずつ詳しく見ていきます。トラウマとなった記憶が急に思い出されて、さまざまな反応を引き起こすことをフラッシュバックと言い、場合によっては、突然反応がなくなったように見えることもあります。つらい記憶に似た状況に置かれたときに、記憶が急に思い出されるケースもあります。例えば、東日本大震災がトラウマになった子どもは、比較的小さな地震が起きたときにも、東日本大震災での記憶が呼び起こされます。PTSDがある人は、トラウマとなった出来事に関係する刺激を、常に避けようとします。多くの人は、トラウマを思い出さないように、つらい記憶について考えたり、会話したりすることや、トラウマに関係する場所、人を意図的に避ける努力をします。PTSDになると、否定的な感情を抱いたり、トラウマとなった出来事に対する認識がゆがんだりすることがあります。例えば、「私がすべて悪い」、「誰も信用できない」と考えてしまうこともあります。また本来、本人には一切の責任がないようなことであっても、原因が自分にあると思いこんでしまったりすることも少なくありません。PTSDがある人は、いつも気を張り詰めて緊張状態にあることがあります。日常の中で、ささいなことに苛立ちを覚えたり、電話がなると飛び上がるなど、予期しない刺激に過剰に反応してしまいます。このような症状が発症したとしても、数ヶ月のうちに自然におさまることも少なくありません。しかし、数ヶ月を超えても続く、あるいは段々とひどくなっていくという場合には病院で相談してみるといいかもしれません。また、半年以上経過してから発症する場合もありますので、時間が経ってからの症状にも注意が必要です。イラスト/カタバミ
2022年12月27日発達ナビ大賞へのご応募ありがとうございました!発達が気になるお子さんを育てる日々の中、子どもに接したときに言われたひと言にドキリ…!そんな経験はないでしょうか?子どもの鋭いひと言、本質をついた言葉、意外だった言葉など、発達ナビ会員のみなさんをはじめ多くの方からお寄せいただいた言葉の中から、印象的だった5つの言葉を発達ナビ編集部が選びました。また、あわせてお読みいただきたいコラムもご紹介します!※LITALICO発達ナビ「みんなのアンケート」にてご応募をいただいたエピソードについては上記より遷移し、ご覧いただけます「自閉症を治したい?」という残酷な質問に、高校生息子の答えは…わが家の大学生息子(自閉症)は小2で本人告知をしています。1歳代から療育に通い、二人羽織状態での加配付で年少で保育園入園&小学校入学まで療育並行通園、義務教育の小中9年間はガッツリ情緒支援学級在籍。「自閉症の程度」としては重度です。高校生になったころ、とあるテレビ番組で「自閉症を治療する」というようなものがありました。息子に直球で「この治験に参加してみる?自閉症治るかもよ?」と聞いてみました…非常に残酷な質問です。息子の答えがコレ。「俺は、これまで自閉症として生きてきた。確かに、不便はめっちゃくちゃあるけれど、『自閉症ではない俺』は、俺ではないと思う。俺は、『自閉症の俺』として生きていきたい」彼が「自閉症の俺」というアイデンティティをしっかりと構築していたということに、とても驚きました。(あまだれさん)自閉症(現在は自閉スペクトラム症)は、療育や服薬、環境調整などの工夫で生きづらさを軽減することはできても、根本から治すことは難しいとされています。高校生にして、自閉スペクトラム症がある部分も含めて「自分」なのだという自己認識をされていた息子さん。しっかりした考えを持っていらっしゃることに「ドキッ」としました!分かり合えず苦しかったとき、ADHDのある息子に言われた言葉夫と3人の息子たちと暮らす中で、一般常識だと思ってきた私の感覚が彼らに通じないことも多くて悩んだり苦しくなることがたくさんありました。ある日『あなたたちに私のことは分からない。孤立して苦しい。』と吐き出したとき『それが僕らが普段外で味わっている感覚』と言われました。(まつぼっくりさん)わが子や身近な人に発達障害があり、まつぼっくりさんのように、思うようにコミュニケーションが取れず悩んでいる方も多いと思います。しかし『それが僕らが普段外で味わっている感覚』、この言葉に「ドキッ」とさせられました…。まずは相手を知ろうとすることが大切なのかもしれませんね。忘れられない定型発達のきょうだい児の言葉うちは自閉症の息子と、3歳下の定型発達の妹がいます。息子のことで心身共に疲弊したときも、妹の明るい性格に何度も助けられてきました。そんな妹が小学校1年生のころ「ママは私よりもお兄ちゃんのほうが好きなんだよね」ってポソッと言われてドキッとしました。なんで?と聞くと「だってママはいつもお兄ちゃんのほうに行っちゃう」と、、。そんなつもりは全くありませんでしたが、何をやるにも手のかかる兄に比べ、なんでもそつなくこなす妹は、つい後回ししてしまっていたことがあったかもしれないと反省しました。幼い妹なりに、自分よりも兄を構う私の姿を何度も見て感じてきたのかと思い、そんな気持ちにさせてしまっていたことにショックを受けました。今でもその言葉を言われた時のことは忘れません。(ゆーたんさん)きょうだいがいる場合、定型発達の子どもより手がかかる場面はどうしても多くなってしまいがちです。娘さんが感じていたさみしさに気づき、反省させられたというゆーたんさん。ゆーたんさんの愛情は、きっと娘さんに伝わっていると思います!知的障害のある弟へ、姉のやさしい願い知的障害のある3歳の弟の代理で、七夕の短冊に願い事を書く7歳の姉。何て書くのか、覗いてみたら、「○○(弟)が毎日ニコニコしていますように」ですって。ひらがなが書けるように、とか、スイミング19級に合格しますように、とか、そんな目先のことではない姉の願いを見て、母は恥ずかしくなりました。(こむらいのりさん)子どもが成長し、できることが増えてくるのは喜ばしいことですが、ついあれもこれも…と欲が出てしまうのが親というもの。「弟がいつも幸せであってほしい」という娘さんの言葉に「ドキッ」としつつも、息子さんに対する思いやりに心が温まりました。いつまでも仲良しなきょうだいでいてほしいですね!知的障害のある娘、高等部になってから喋り出した言葉に『ドキッ!』単語などでの会話があったものの、自分の思いなどを伝えるのが下手だった娘。喋らないと思っていたら高等部で、いきなり喋りだした。「お母さん、ピーマン嫌い、と言って残したら怒って叩きました。納豆を食べました」確かに10年ほど前にそんな出来事あったな。とドキッ。その後は「これをして 怒られました」「行きたくないのに学校に連れていかれました」と 出る出る、嫌だった私の行動。喋りだしたら怖いから気をつけて、と昔医師に言われたことを思い出しました。「○○先生は、私をつねりました」えっ?今更、確認できないわー(汗)。しばらくは、ドキドキしてました。(こっこちゃんさん)これは「ドキッ」としますね…!言葉は話さなくても、これまでも娘さんはいろいろなことを理解し、感じていたのですね。記憶力の良さにも「ドキッ」としましたが、いやな記憶ほど忘れられないものなのかもしれませんね。おわりに子どもたちの心からの言葉に耳も心も傾けることの大切さを教えてくれるエピソードばかりでした!ご紹介したお子さんたちの言葉に、みなさんも、ハッとさせられることがあったのではないでしょうか。大賞に選ばれた5人の方々には、人気エッセイ本をプレゼントいたします。どうぞお楽しみに!発達ナビでは、これからもみなさんに楽しんでいただけるような企画をしていきたいと思っています。次回の発達ナビ大賞もどうぞご期待ください!
2022年12月26日病院は助けてくれるところ!わが家の凸凹兄妹の兄、タケルは、小さなころからしばしば泣きすぎては呼吸困難を起こし、夜中の病院に駆け込んでいました。3歳ごろからは喘息の発作も起こすようになり、定期的に通院して呼吸器も使っていたので、病院に行けば苦しいのが治ると学習したようです。予防接種などのほかの用事で病院に行くときも、特に嫌がるそぶりを見せることはありませんでした。Upload By 寺島ヒロ小さいころからしょっちゅう病院に行っていたということは、良いことなのかは分かりませんが、注射や白衣の人を怖がったりすることもなく、むしろ「ハカセかっこいい!」と、憧れていました。大学に入って購買部で最初に買ったのも白衣だったぐらいです。病院大好き!な大きな理由タケルが病院を好きな理由はもう一つありました。それは、病院の先生や看護師さんは、タケルの「変わったところ」を受け入れてくれたということ。小さなころから「ハカセキャラ」だったタケル。幼稚園では、自分の興味のあることばかりをまくし立てるので、クラスのお友達とはほとんど対話できていませんでした。幼稚園は私立で、「良いことは見つけては大いに褒め、好ましくない行動は無視」が基本的な教育方針だったため、先生方に話を聞いてもらうこともほとんどありません。タケルのマシンガントークは「好ましくない行動」だったのです。「自分も変わった子だった」先生の寄り添い当時通っていた病院の先生は、発達障害の専門ではありませんでしたが、「こういう子どもってたまにいる。自分もそうだった」と言ってくださって、タケルの話をよく受け止めてくれました。多くの時間を割いてくれるわけではないのですが、タケルが言いたいことを短い言葉でまとめてくれて、的確に答えを返してくれていました。看護師さんや、ほかのスタッフさんも同様で、病院の機器を見たタケルが「それは何ですか?」「どういうものですか?」といちいち尋ねても嫌な顔一つせず、丁寧に教えてくれていました。Upload By 寺島ヒロ家か!?と突っ込みたくなる状態にそこまではまあ良いのですが…ちょっと困ったこともありました。タケルには何かに熱中すると、なかなかやめられないという特性もあります。病院の待合室で、ブロックやパズルなどを始めてしまうとそっちに熱中してしまい、診察室に呼ばれても行かなかったり、診察が終わっていても帰らなくなってしまうのです。Upload By 寺島ヒロ診察室に行かないときは、しばらくすると大好きな白衣の先生が待合室まで呼びに来てくれるので、手持ちの遊びから気がそれ、診察に進むことができましたが、問題は帰らないときです。正直、こちらは打つ手がなく、「お母さんお腹すいたからごはん食べよう!」などと、理由をつくっては引きずるようにして帰っていました。ごはんを理由に帰ったときは、ごはんを食べ終えると「お腹いっぱい?じゃ帰ろうか!」と言われることもしばしばあり、どっちが家なんじゃ!と、おかしかったです。自分の「陣地」じゃなくなった?プレイスペースからの卒業今に病院に住むと言い出すんじゃないか?と思うほど病院が好きだったタケルですが、10歳の誕生日を境に喘息の発作を起こすことが減り、病院に行く頻度も下がりました。そうすると、たまに病院に行っても帰りしぶるような様子も見られなくなりました。しばらく行かなかったことで、自分の「陣地」ではなくなったのかもしれませんね。優しかった先生方のことと共に、今では良い思い出です。執筆/寺島ヒロ(監修:藤井先生より)病院の先生や看護師さんとのやりとりを通じて、タケルさんの居場所になっていたのですね。喘息発作が落ち着くと共に、少しずつ病院からも卒業された様子で、タケルさんの居場所が病院以外にも広がって、世界が広がったのかもしれませんね。マシンガントークは、好きなことを人に伝えるという点では良いところで、状況に応じず話しすぎるという点では好ましくない点なのかもしれません。好きなことを人に伝えられたという、良い点に注目されたことで、病院がタケルさんの好きな場所になったのですね。
2022年12月26日乳幼児突然死症候群(SIDS)とは?原因や前兆などはあるの?乳幼児突然死症候群(SIDS:Sudden Infant Death Syndrome)とは、赤ちゃんが睡眠中に突然亡くなってしまう、原因不明の病気です。普段通りに元気いっぱいで、それまで特に大きな病気をしたこともない赤ちゃんに起こるもので、窒息などの事故とは異なります。SIDSは0歳に多く、発症のピークは生後2〜4ヶ月です。ただ、まれに1歳を過ぎて発症するケースもあります。厚生労働省の発表では、2021年には81名の乳児がSIDSで亡くなっています。欧米では乳児が死亡する原因の第1位に、日本でも3位、あるいは4位となる疾患です。SIDSの前兆や原因はいまだに分かっていません。しかし、赤ちゃんは呼吸の調節が未熟であることが一つの要因として考えられています。SIDSの乳児の一部には、血液中の酸素レベルが低下した兆候や、呼吸が一時的に停止していた兆候が見られた、という報告もあります。また、通常、睡眠中の無呼吸などで体に酸素が不足すると、覚醒反応が起きるはずですが、SIDSの赤ちゃんはその覚醒反応が起きにくく、低酸素状態に陥ってしまう可能性も指摘されています。乳幼児突然死症候群は寝ている間に起こる病気です。家での夜の就寝中だけではなく、昼寝の時間などにも起こることがあります。そのため家庭内だけではなく、保育園での昼寝の際などにも起きる可能性があります。SIDSは予防できる?最大のリスク因子は「うつぶせ寝」!?SIDSは、発症の兆候がまったくなく、健康に見える赤ちゃんを襲う病気。だからこそ、普段からできる限りの予防をし、発症のリスクを下げることが大切です。SIDSの最大危険因子として知られるのが、赤ちゃんのうつぶせ寝です。SIDSはうつぶせ、あおむけのどちらでも発症しますが、うつぶせ寝のほうがより発生率が高いことが分かっています。1歳になるまでは、夜の就寝中はもちろん、昼寝のときもあおむけに寝かせるようにしましょう。ただ、寝返りができるようになると、寝ている間にうつぶせになっていることもあります。可能なら仰向けに戻したり、観察をこまめにしたりするとより安全と言えるかもしれません。気づいたときにあおむけに戻してあげるようにしましょう。うつぶせになっても窒息しないよう、寝具はかためのものを選び、赤ちゃんのまわりにぬいぐるみやガーゼ、タオルなど、顔を覆ってしまうものを置かないように気をつけましょう。多くの研究調査から、母乳で育てられている赤ちゃんのほうがSIDSの発症率が低い、ということも分かっています。「粉ミルクを飲んでいるとSIDSになりやすい」という因果関係があるわけではありませんが、できる限り母乳育児にトライすることはSIDS予防にもつながる場合もあります。たばこは、SIDSの大きな危険因子の1つです。妊婦が喫煙すると、胎児の体重が増えにくくなるほか、呼吸中枢の発達にもよくない影響を及ぼします。また、副流煙による受動喫煙も、SIDSのリスクを高めます。妊娠したら禁煙することはもちろん、家族や周囲の人にも妊婦や赤ちゃんのそばでの喫煙は絶対にやめるよう、理解を求めることが大切です。ほかにも、SIDSにはさまざまなリスク因子があります。以下のリストをチェックし、普段の生活を見直してみましょう。Upload By 発達障害のキホン睡眠中の事故にも注意!取り入れたい4つの対応策SIDSの予防とともに、睡眠中の転落や窒息事故を防ぐ対策も大切です。毎年、寝ているときに赤ちゃんが窒息してしまう悲しい事故が報告されています。赤ちゃんは大人が思いもよらないようなところで簡単に窒息してしまいます。就寝環境が安全かどうか、赤ちゃんの目線でもう一度点検しましょう。転落事故を防ぐために、寝返りができないうちもベビーベッドの柵は常に上げておきましょう。また、ベビーベッドと壁の間にすき間があると、赤ちゃんがはさまって抜け出せなくなり、窒息してしまうことがあります。ベッドと壁の間に隙間を作らないことも大切です。体が沈み込むやわらかい敷布団やマットレス、ふかふかのベッドパットや枕などは、赤ちゃんがうつぶせになったときに鼻や口を塞いでしまうリスクがあります。赤ちゃん用の寝具が大人のものよりかために作られているのは、このためです。敷布団、マットレスはかためのものを、掛け布団は顔にかかっても赤ちゃんが自分で払いのけられる軽いものを選びましょう。赤ちゃんのベッドに、ぬいぐるみやタオル、ガーゼ、着替えなどを置いていませんか? 寝ている間も、赤ちゃんは寝返りをしたり、足をバタバタさせてずり上がったりと活発に動き回ります。ぬいぐるみやタオルなどが顔を覆ってしまわないよう、ベッドや布団の上には何も置かないようにしましょう。スタイも、寝返りの拍子に首をしめつけたり、顔にかかってしまう可能性があるので必ずとります。ブラインドのヒモが首にまきついてしまう事故も報告されています。ベッドの上に、ひもや巻きつく可能性がある布などが垂れ下がらないように気をつけましょう。就寝中、大人が寝返りしたときなどに赤ちゃんを押しつぶしてしまう事故も起きています。赤ちゃんはベビーベッドに寝かせるのが安全です。布団で寝かせるときも、添い寝ではなく、赤ちゃん専用の布団を敷くようにしましょう。また、添い乳は母親にとっても楽ですが、授乳中に眠ってしまって赤ちゃんをつぶしてしまうリスクも。どうしても授乳中に寝てしてしまうようなら、添い乳は避けたほうが安全です。正しい知識を持って予防をしよう!SIDSは原因不明の病気で、発症は保護者の育て方のせいではありません。当然ながら、虐待や育児のミスがあったから起きるものでもありません。ただ、多くの研究によって、SIDSのリスクを下げる方法は分かってきています。大切な命を守るために、家庭や保育園などで正しい知識を持ってできる限りの予防をすることが大切です。SIDSの予防は、窒息事故対策とも共通するものが多くあります。すやすやと眠る天使のような寝顔を守るために、日々の就寝環境を整えていきましょう。
2022年12月25日自閉スペクトラム症のある娘は「一緒に遊ぶこと」が難しい娘のまゆみには自閉スペクトラム症と知的障害があります。幼児期の早いうちからおもちゃを横に並べる様子が見られ、それを邪魔されると怒るために一緒に遊びたくても手出しができませんでした。一緒に遊ぼうとして泣かれたことは一度や二度ではありません。4歳半となった現在も人からのはたらきかけに応じて一緒に遊ぶことは困難ですが、それでもどうにか人との関わりを持ってほしい、社会性が芽生えてほしいと願い、おもちゃを通してまゆみと関わる方法を模索してきました。そんな中で気づいたことがあります。親が遊ばせたいおもちゃとは違う、娘が遊んでくれるおもちゃを求めて1歳半ごろ、積み木を積み上げられるようになったまゆみ。喜んだ私は毎日のように積み木遊びを促しました。私が積み木を二つ重ねて積むと、まゆみもその上に新たな積み木を追加してくれるのです。積み木はまゆみが私のはたらきかけで遊んでくれる数少ないおもちゃの1つでした。Upload By にれただ、積み木はどちらかといえば「私がまゆみに遊ばせたいと思っているおもちゃ」でした。家にはほかにもいろいろな種類のおもちゃがありましたが、まゆみはどれも最初だけ楽しんですぐに飽きてしまうらしく、集中して遊ぶという様子があまり見られませんでした。まゆみは外遊びが大好きだったため、暇さえあれば外に連れ出していましたが、室内遊びとなるとそんな様子だったので、雨の日などはどうやって遊んだらいいのか私は困っていました。まゆみの好きなものは何だろう?何ならもっと興味を持ってくれるんだろう?おもちゃ売り場で好きなものを選ばせようと思っても、「ものを選ぶ」という行為が難しく、たくさんのおもちゃを尻目に売り場を走り回ってしまうまゆみ。私はまゆみが自分から遊んでくれるようなおもちゃを探していました。まゆみが初めて強い興味を示したおもちゃは、3歳の誕生日にメインのプレゼントに添えて渡した幼児向けキャラクターのぬいぐるみ2体でした。夫にまゆみを頼み、一人で訪れたおもちゃ売り場でセット売りのワゴンセールになっていたためついでに購入したものです。Upload By にれメインだったおもちゃは早々に飽きられてしまったのですが、まゆみは家の中でその2体のぬいぐるみを小脇に抱えて移動するようになりました。明らかに今までのおもちゃとは反応が違い、大事にしているのが見て取れたのです。まゆみの前にはよく2体が横並びに座らされていました。あるとき私は、「このぬいぐるみたちから遊びの幅を広げるチャンスなのでは!?」と、まゆみの見ていない隙に積み木で2体のぬいぐるみに合わせたテーブルとイスをつくりました。テーブルの上にはおままごとのケーキやご馳走を並べ、ぬいぐるみは向かい合わせにして着席。そのまま待っていると、ぬいぐるみたちの「お食事会」に気づいたまゆみがやってきてじっと見つめ…そして、うれしそうに声を上げて拍手したのです。Upload By にれ興味が広がると娘の世界も広がって結果的に、そのときのぬいぐるみたちの「お食事会」からおままごとに遊びの幅が広がったようで、いつの間にかまゆみが自分で積み木のテーブルセットを組むようになりました。親に遊ばされていた積み木が、まゆみ自身の手によって遊ばれるようになったのです。今まで飾られるだけだったほかのぬいぐるみたちも引っ張り出されてテーブルを囲み、いつしか小さな「お食事会」は楽しい会話が聞こえてきそうな「パーティー」に変わっていました。Upload By にれそのうち、ブロック遊びのセットに付属していた小さなブロック人形も10体ほど加わり、まゆみのお茶会はどんどん賑やかになっていきました。今ではまゆみが一人で「アイスクリーム屋さん」という新たなおままごとの舞台をつくり出していて、遊びの発展の仕方に感動を覚えました。困惑していた「一列に並べる」も違って見えるように。娘の遊びを観察していて気づくことまゆみを見ていて気づいたのは、一見して無意味に思えるような遊び方をしていても、「まゆみの中にはちゃんとストーリーがあるんだな」ということです。高い声や低い声を使い分けてお人形にセリフらしきものを言わせたり、同じ場面や配置を繰り返したりしていて、本人にしか分からない内容であっても何か表現したいものがあって遊んでいるのだと思いました。また、まゆみのつくる世界はとても平和で温かい雰囲気に包まれていることにも気づきました。みんなでケーキを囲んでハッピーバースデーを歌うところ、大繁盛のアイスクリーム屋さんでそれぞれ好きなアイスを食べて大喜びしているところ、縦一列に列を組んでおうちに帰るところ…。最初は困惑してしまっていた『横一列に並べてあるだけの光景』すら、今では仲良く横並びで手をつないでいるかのような、平和でハッピーなものを感じます。Upload By にれ遊びの幅が広がりつつある今でも横一列に並べることは好きなようで、気づくと人形達がズラリと整列していたりしますが、「まゆみにはまゆみの理由があってこの子たちを並べているんだな」と、自然にそんな風に思えるようになりました。以前、自閉スペクトラム症のある息子さんとの生活をつづったエッセイを読んだのですが、小さなフィギュアのヒーローも悪役もみんな仲良さげに並べられる様子が紹介されていたことを思い出しました。その男の子やまゆみの心に広がる世界は、平等で平和で純粋なものかもしれない、と感じました。本人の世界を大切に最初は横に並べるだけだった世界が、ふとしたきっかけで遊び方を学んで発展していき、やがてサイズの小さなものでも遊べるようになり、さらにごっこ遊びが多様化していく。「自閉スペクトラム症のある子どもは、創造的な遊びが苦手」と以前読んだ本には書いてありましたが、好きなものを前にしたときに大人がとっかかりを示してあげれば、模倣から始まって徐々に世界を広げていける場合もあるのだと学びました。以前は「人との関わりを持ってほしい」とまゆみの世界に首を突っ込んでいましたが、今はまゆみが描く世界の広がりを感じられることがとても尊いものに思え、邪魔しないように彼女のごっこ遊びを眺める程度になっています。まゆみの場合は、2体のぬいぐるみからお人形やおままごとが好きになりましたが、どんなものが好きかはお子さんそれぞれに好みや個性があると思います。車や電車が好きな子もいるでしょうし、パズルや数字が好きな子もいるでしょう。まゆみもこの先どんな風に好みが変わるか分かりません。ただ、どんなものであっても、わが子の好きなものや世界観を尊重して見守ろうと思いました。と、一人遊びは見守ることに決めたのですが、「応じる力を遊びの中で育むことができれば…」という願いは未だにあるため、もしそうした力を育む遊びなどがあれば知りたいと思っています。まゆみの世界は広がっているけれども、未だにものを介したやりとりは難しいなぁ、と娘を見ていて感じています…。執筆/にれ(監修:新美先生より)お子さんとお母さんのとても素敵なエピソードを聞かせていただきありがとうございます。遊び方が独特で、なかなか広がらないとき、親としてやきもきするかもしれません。にれさんはお子さんの遊び方をじっくり観察して、何に興味を持つのか、何を楽しそうにするのかを大事にされて、お子さんの興味にちょっとだけお邪魔する姿勢で関わりを持つことで、お子さんの遊びを広げて発展されていかれたのですね。またお子さんの興味の持ち方、世界観を尊重して見守るというにれさんの姿勢がとても素敵で素晴らしいと思いました。大人がこれをやらせたいと思うことを押しつけるのではなく、子どもの興味あること、好きなことを、子どもの行動から見つけて、ほんの少しお手伝いして興味関心を広げていくというのは、まさにこういうタイプのお子さんの関わり方の基本形です。お子さんがどんなことを感じて考えているのかなということを観察して、お子さんの独自ワールドを尊重して子育てをすることは、お子さんにとって何より、心地よくストレスの少ない生活につながり、お子さんなりの好奇心を発揮していくことにつながると思います。
2022年12月24日歯医者さんでの歯の基本的な予防・治療方法歯医者さんの主な役割としては「検診、予防」「虫歯治療」「歯周病治療」などがあります。そもそも口は食べ物から栄養を取るための入り口です。食べたものをかみ砕き、だ液と混ぜてさらにその奥の消化器官へと送り込むのが口の役割となります。ここで消化活動はすでに始まっているのです。また、食べる飲むだけでなく、おしゃべりするためにも歯と口はとても大切な器官です。また、発達障害がある子どもの歯科治療についての悩みを抱える保護者の方は多くいます。パニックになったり暴れてしまい安全に治療が難しい場合もあるのではないでしょうか。このコラムでは、歯科治療で行う内容から、子どもが治療を受ける際にできる工夫、発達障害がある子どもの歯科治療についてまで解説していきます。まずは定期検診で、虫歯になりそうな部分はないかをチェックして予防します。虫歯ができてしまうと、自然治癒が難しくなるため、できるだけ虫歯にならないようなケアをすることが大事です。それでも完璧にできない場合があるので、3ヶ月おきくらいのペースで検診に通うことができれば、虫歯を早期に発見でき、深く削るほど治療せずにすませることができます。検診だけでなく、積極的な予防をすることもできます。それがシーラントやフッ化物の塗布です。生えたばかりの歯は、歯の表面のエナメル質が未熟で、虫歯になりやすいものです。そこで、特に奥歯のような溝が深く、複雑な形の歯では、汚れがたまりやすい溝をシーラントで埋めるという予防方法があります。また、フッ化物を歯の表面全体に塗ることで、弱い歯の表面を強化することができます。また、歯磨きの方法も教えてくれます。日常の口腔ケアはとても大切です。歯並びや虫歯や歯肉炎の程度など、口の中の状態は個々に異なります。個人にあった歯ブラシや歯磨き剤、洗口剤などを適切にアドバイスしてくれます。虫歯ができてしまった場合は、もちろん治療をします。虫歯は口の中にいる虫歯菌によって浸食された部分なので、それ以上浸食が広がらないために削り、削ったところに詰め物をする、という治療をします。シーラントと違うのは、削れた歯の部分に合うように調整した詰め物をとれないようにかぶせるということです。表面が少し浸食された程度ならまだ治療は容易ですが、奥深いところまで浸食が達してしまった場合は、神経に触れてしまうことも。こうなると神経を抜いて被せ物をするという治療になります。さらに歯が根元まで崩壊するほどに虫歯が進行してしまった場合は、抜歯することもあります。ただ、特に乳歯の場合は永久歯が生えてくるスペースをなくしてしまうことになるので、抜歯は歯列の状態にも大きく影響します。抜歯は「最後の手段」なのです。口の中のトラブルは歯だけが問題なのではありません。歯茎が炎症を起こす歯肉炎や歯を支える骨(歯槽骨)が壊されてしまう歯周病なども治療します。歯医者さんを怖がる子どもを歯医者に連れて行くときにできること歯医者さんでの治療を、なぜ子どもは怖がるのでしょうか。それは、見たこともない道具を口の中に入れられて、大きな音がして、麻酔の注射もチクッと痛くて、麻酔をしたとしても振動は伝わるからでしょう。体の中でも敏感な口の中を触られること自体、怖いことなのです。ではどうしたら、嫌がる子どもを歯医者さんに連れて行くことができるでしょうか。まずは、歯医者さんは「痛くない、嫌なことをされない」場所だということを、子どもに覚えてもらいましょう。そのためには、虫歯になってから歯医者さんに連れて行くのではなく、予防として検診を受けることから始めることです。検診を受けるだけなら実際痛いことはしないので、「歯医者さんに行くのは痛くない」ということを経験できます。最初に「歯医者さんは怖いところではない」という安心感を子どもが覚えることが第一歩です。乳歯が生え始めてから2歳ころまでに、痛くない検診からスタートしましょう。このころはまだ、保護者のそばが何よりも安心できる安全地帯です。歯医者さんと相談して、おすわりができる子どもでも、一人で診察台に乗せるのではなく、保護者が抱っこして一緒に座るなどの配慮や工夫をしましょう。ママやパパがついていれば安心、ということが大事なので、このときに保護者自身が緊張した表情にならないように気をつけましょう。だんだんに自分の周りの状況が分かる3歳ごろからは、歯医者は怖い場所という印象付けをしないことがまず大切です。嫌がりそうだからと、「公園に行こう」など嘘をついて連れて行くと、不信感につながります。嘘は言わないようにしましょう。行く前には、歯医者さんは楽しいところだと伝えている絵本や動画を見せて、心の準備をしてあげましょう。また、タイミングも大切です。午前中の機嫌のいい時間帯や、お昼寝から目が覚めて落ち着いたときなど、子ども自身のコンディションを優先しましょう。空腹時や眠いときなどは避けましょう。ここで大切なのは、連れて行く大人の態度と表情です。保護者自身も歯医者に苦手意識がある場合、緊張感が伝わってしまいますし、無意識に少し怖い顔になってしまうこともあります。子どもを公園や児童館に連れて行くときのような気分で対応したいところです。そして、検診や治療が終わったら、「頑張ってお口を開けられたね!」「歯みがきしていたから虫歯がなかったのね。すごいなぁ、さすが!」など、たくさん褒めてあげましょう。もし、行くまでぐずって泣いていたとしても、歯医者さんに行けた、ということだけでも褒めてあげてください。次も頑張ろうという気持ちにつながるはずです。発達障害のある子どもは、感覚過敏があることで歯磨きを受け入れにくいことがある発達障害のある子どもの場合は、さまざまな特性から歯を磨くのを嫌がる傾向があるために、虫歯になりやすく歯医者さんに通う頻度も高くなりやすいということがあります。こだわりの強さから歯磨きすることを拒否したり、動き回って安全に歯磨きすることが難しかったりします。また、感覚過敏があるために口の中に歯ブラシが入ることを拒んだり、歯を磨くことが健康のために必要であることがうまく理解できなかったりする場合もあります。甘いものなど虫歯になりやすい食べ物ばかり食べるなどの偏食や、食事時間以外にもだらだらと食べてしまうことも虫歯の原因になります。発達障害のある子どもの場合は、一時的に何かをがまんさせる代わりにご褒美として子どもの好物を与えるということもあるかもしれません。こうしたことから常に食べ物のカスがお口の中に残っている状態が虫歯になりやすい口腔環境にしてしまうことがあります。発達障害のある子どもが歯医者に行くときに気をつけたいこと発達障害のある子どもの場合、歯医者さんに行くことを受け入れられるようにするには、行く前からの準備が必要な場合があります。発達障害のある子どもの場合、何が起こるのか分からない、何をされるのかが分からないという状況はとても不安になります。まずは、歯医者さんは怖いところではないことを伝えてあげましょう。好きなキャラクターが歯医者さんに行く話や、歯医者さんは楽しいと伝える絵本を読んであげるのが分かりやすいと思います。また、歯医者さんにはたくさんの道具があるので、どんなものがあるのかを説明することも良い方法です。子どもを診てくれる歯医者さんは、内装なども楽しげな雰囲気にしつらえているところもあるので、怖い場所じゃないよ、ということをよく話して伝えましょう。子どもが歯医者さんについて知っておくようにする一方で、歯医者さんにも患者となる子どもについて、情報を伝えておきましょう。診察室に入るときだけでなく、予約したときにも話しておくと安心です。どのような方法でコミュニケーションをとると良いのか、どういうことをいやがるのか、どうすると落ち着くのか、保護者がそばにいてできることなども伝えます。発達障害のある子どもの場合、見通しが立たないことでとても不安になることも多いです。何時ごろにどこに行くのか、何時ごろに終わるのか、ということと同時に、歯医者さんに行ってどんなことをするのか、そうすると歯や口の中がどんな風にきれいになって元気になるのか、ということを分かりやすく伝えてあげましょう。大切なのは、歯医者さんは怖いところという先入観を保護者自身がもっていると、子どもへの伝え方も変わってきてしまいます。健康のために大切なことをしてくれる場所というイメージに気持ちを切り替えて、説明できるといいですね。障害者歯科(スペシャルニーズ歯科)ってどんな治療をしてくれるの?一般的な小児歯科では、どうしても治療が難しい場合もあります。そんなときは障害のある子どもについて、よく分かっている障害者歯科が味方となります。障害者歯科は、次のような患者さんを診てくれる場所です。・待合室や診療室で待てない・知的な遅れや発語が難しいために、歯の痛みを自分で訴えられない・身体の不自由さや、身体のこわばり・緊張から、治療を受ける姿勢に制限がある・病気や、内服している薬のため、医学的管理が必要である・口に治療器具などが入ると、吐きそうになったり、実際に吐いてしまったりする・歯医者さんに対して極度の恐怖感がある・歯磨きが自分で上手にできない・心身の発達の遅れや病気によって、食べ物を口から安全に食べたり飲み込んだりすることが難しいこうした子どもについての知識があり、どう対処したらいいかについての情報をもっているのが障害者歯科です。実際に障害者歯科で行われる検診や治療は、一般的な小児歯科とはどんなことが違うのでしょうか。一番特徴的なこととしては、障害についての専門的な知識をもち、理解がある人が治療してくれるということです。患者さんの障害について保護者からの情報を聞き、どう接したらいいかの情報をもって、相互理解を基本にして治療にあたってくれます。たとえば知的な遅れがある場合には、ことばで説明するだけでなく、絵や写真、絵カードなどを使って説明をしたり、予想がつかないことを嫌う場合には、治療に使う器具や部屋についての説明を丁寧にしてくれたりします。感覚過敏のある子どもで顔に触られること自体をいやがる場合には、いきなり治療を始めるのではなく、少しずつ体に触れるようにして慣れていくような方法(脱感作)をとるといった、ノウハウも障害者歯科にはあります。また、イヤーマフの準備があったり、患者さんの敏感さがどこにあるのかを、保護者からも聞き取ったりして治療に進みます。いつもと異なる状況や周囲の大きな音などが苦手な子どもには、個室を使用するなどいつも同じ環境になるような配慮があったり、歯科衛生士も同じ人が立ち会うなど、できる限る同じ環境での治療ができるような配慮があります。治療のときの姿勢に制限がある場合には、補助器具を使うことのほか、暴れてしまうなどで十分な協力が得られない場合には鎮静剤などを使用することや、場合によっては全身麻酔で治療を行うこともあります。歯と口の中の健康ケアは、悪いところができてしまったら取り除く、ということではなく、普段の生活の中で虫歯や歯周病にならないようにケアしていくために、家庭での予防が大切です。ただ、発達障害がある場合などには、こだわりが強いことや、食習慣の問題から、家庭での対策をどうしていいかが分からないこともあるでしょう。障害者歯科では、治療をする際に必要な障害についての知識や情報だけでなく、普段の生活についても障害のある患者さんに特化した口腔ケアの指導もします。それは歯磨き以外にも、虫歯になりにくい食べ物の形状、食べさせ方、食事のリズムについて、食べるときの姿勢についてなど、さまざまな視点から歯の健康を守る日常ケアについてと多岐にわたります。こうしてケアをしていても、家族だけではケアしきれない部分、みがききれない歯のクリーニングや口腔のケアを行うのが障害者歯科です。まとめ障害のある子どもが歯医者さんに通うときには、「歯医者さんは怖くない」ということを印象付けてあげてください。家庭でのケアだけで歯と口腔の健康は保ちきれない場合、安心して頼れる障害者歯科をかかりつけ医にして、二人三脚でケアしていくようにしましょう。
2022年12月24日予定日を1週間過ぎても生まれてこなかった息子わが家の息子は小学2年生。軽度知的障害や自閉スペクトラム症(ASD)があり、特別支援学級に通っています。息子の障害が分かったのは年中のころでした。ですが、その前にも「もしかして…?」と思うことがありました。私は里帰り出産をするために、出産予定日の1ヶ月前から実家に帰省していました。妊娠中、特にトラブルもなかった私。健診も終えて、予定日も過ぎたしいつ生まれてきてもいいぞ…!と期待していたら破水!病院に行くもなかなか生まれず3日が経ち、予定日から1週間が過ぎたころに医師からの助言で陣痛促進剤を使って出産をしました。妊娠中とは対照的に、出産前後からの子育ては順調ではありませんでした。出産してからも息子はなかなか授乳がうまくいきませんでした。吸う力が弱いのか、はたまた体力がないのか、すぐに飲むのをやめてしまうのです。加えて今でも思い出すのは「とにかくおとなしいくて存在感がなかった」ということです。今振り返ってみれば、乳児のころからすでに発達の遅れの兆しがあったのかもしれません。Upload By ユーザー体験談首が座らない、寝返りしない、お座りしない…健診は気になることだらけ!0歳児のころにたびたびある乳幼児健診。1ヶ月健診は「問題なし」でしたが、そのあとの3~4ヶ月健診からは「要観察」だらけに!「首座りが完全じゃない」から始まり、6~7ヶ月健診のときには「寝返りしない」、9~10ヶ月健診では「ハイハイせず、お座りも安定しない」…。とはいえ、毎回「大丈夫!ここまでできていたらもうすぐできますよ!」と保健師さんがフォローをしてくれていたこともあり、初めての子育てでよく分かっていない私は「少し発達が遅れているけれどもうすぐできるなら大丈夫かな」とあまり深くは考えていませんでした。Upload By ユーザー体験談1歳半健診、やっぱり何かおかしいと思い始め…ゆっくりですができることは増えていた息子。ですが、周りの子どもの発達のスピードはすさまじく…1歳になり、保育園に入ると、その差は歴然。周りの子どもたちはどんどん歩くようになっているのに、誕生日が比較的早いにも関わらず、息子は歩く気配一切なし…。ハイハイのほうが楽なようでなかなかつかまり立ちもしませんでした。その姿をみて、さすがの私も「何かあるのでは」とうすうす思い始めました。でもこれからグンと伸びるはず…と信じたい気持ちがあったのも事実です。そんな折、1歳半健診がやってきました。健診に行ってみると…みんな歩いて走って喋って「子ども」になってることに衝撃を受けました。それに比べてまだハイハイなのは息子一人だけ…移動手段はハイハイのみ、そして言葉を喋らない息子はたった一人だけ「赤ちゃん」のようでした。歩かない、喋らない、そしてそのころの息子はまだ指さしもしませんでした。積み木を積むことなんてもちろんできません。健診表もほとんど「できない」の項目に丸がつき、とても悲しかったのを覚えています。それでも最近はつかまり立ちを始めたし、もうすぐ歩くこともできるはず…!という思いで小児科医の先生の問診を受けました。「まだ歩かないんです、最近つかまり立ちはしたのでもうすぐ歩けるとは思うんですけど…」と相談すると、先生は息子の様子を見て「この感じだと2歳過ぎまで歩かないと思いますよ。療育センターを紹介するので、そちらを受診されたほうが良いかもしれません。」と言いました。「え…2歳過ぎまで歩かないかもしれないの?療育センター?やっぱりこの子には発達に問題があるのかもしれない…。私はどうしたら良いんだろう…」と途方に暮れてしまいました。今振り返ってもこの時期が一番落ち込んでいたと思います。Upload By ユーザー体験談療育センターのPT(理学療法士)さんや保育園の先生に支えられてとにかく療育というものに行かなければ!!とすぐ予約をし、数ヶ月後からPT(理学療法)に通うことになりました。(そのとき診察を受けましたが、まだ診断名はつきませんでした)療育センターには、週に1回通い、PTは歩行訓練を中心に行いました。保育園では2歳児クラスになり、クラスメート全員が歩いて散歩に行ける中、まだまだ歩けない息子のために特別に0~1歳児クラスで使っているベビーカーを使わせていただいたり、「今日は手すりを使って頑張って階段を上ってましたよ!」「すこしずつ単語が出てきましたね!」「〇〇くん(息子)も楽しめるようなプログラムを考えました!」などとても良くしていただきました。息子の発達は遅れているし、ネットを検索すると不安なこともたくさん書いてあり、落ち込むことも、息子の将来を考えて眠れなくなる夜もありました。ですが、保育園や療育センターで「こんなにもいろいろな人の優しさを受けているんだな」と感じるたび、ありがたいな、と前を向いて息子に向き合うことができました。そして、2歳を少し過ぎたとき、やっと一人で歩けるようになりました。歩けるようになったときはとても感動しましたが、同時に「長かった……!!」と安堵の気持ちでいっぱいでした。そして、小児科の先生の見立ては合っていたんだな、となんだか感心をしてしまいました。Upload By ユーザー体験談年中で軽度知的障害と診断されて歩けるようになったのでPTは卒業し、3歳からはST(言語療法)とOT(作業療法)に通うようになりました。協調運動がとても苦手な息子、おしゃべりも苦手、まだまだ課題はたくさんありました。そんな中、年中のタイミングで知能検査を受けることになりました。私の中では「とうとうこのときが来たか…」という心境でした。1歳半のころは小さくて診断が下りなかったですが、今だったら何かしら診断がつくだろう。そして息子の障害をハッキリさせたほうが今後のためにもいい、と思っている自分がいました。診断結果は、軽度知的障害と自閉スペクトラム症(ASD)でした。それを聞いて「やっぱりな」と思い、この数年で私自身もずいぶん図太くなったな、と感じました(笑)息子の幸せを一番に願って最初に通っていた保育園は家庭の事情で1年で退園、そのあとも小規模保育園、3歳からはこども園、(そして並行して療育)と転々としましたが、本当に人に恵まれており、嫌な思いなどは全然しなかった未就学時代でした。どこの園でもみんな息子を受け入れ、できないことも多かったけれど、あきらめずに寄り添ってくれました。今は公立の小学校の特別支援学級に毎日通っている息子。たくさんの人の支えに感謝をしながら、これからも楽しく息子らしい人生を送ってほしいと願っています。イラスト/カタバミエピソード参考/ちくわ(監修:新美先生より)療育センター、保育園の先生方などにお子さんに最適なかかわりやアドバイスを受けながら日々を送られたエピソードを聞かせていただきありがとうございます。周りの多くの子と、行動や発達のスピードがちょっと違っているのかもしれないと思うと、不安になることも多いと思います。インターネットや本などから情報を得すぎると、どれがわが子にあった正解なのか分からなくなりますが、発達に詳しい専門の先生に直接お子さんを見て、かかわっていただいて、具体的なアドバイスをもらえると、安心して成長を見守ることにつながりやすいですね。
2022年12月23日娘の不登校を相談すると夫はわが家の長女は小学5年生です。小4のときに受けた知能検査でASDの可能性があると言われ、現在は不登校を選んでいます。ほかに、1年生で場面緘黙(選択性緘黙)がある次女と、登園渋りのある年中の長男、わたしと夫の5人家族です。夫はいつもは優しくて真面目な性格ですが、ときどき高圧的なことがありました。仕事であまり家にいないので娘と過ごす時間が少なく、さらに娘と遊ぶのが苦手でいつも距離のある接し方をしていました。それでも夫にとっては「かわいい娘」だったと思いますが、その愛情は娘にはまったく伝わっていなかったようです。小4の6月、娘が教室へ登校できなくなったとき。夫は「母親が甘すぎるから行かないのではないか?何とかして学校へ行かせるように」と言いました。私は「学校へ行かないならゲーム・スマホ禁止」と伝えて何とか行かせようとしましたが、どんどん娘は表情がなくなり、「自分の対応が間違っているのでは?」と感じるようになりました。スクールカウンセラーの先生に相談して7月から保健室登校を開始しましたが、夫はまだ、私の対応が甘いせいで不登校になっていると考えていたと思います。Upload By ユーザー体験談夏休みに帰省し家族に相談すると夏休みに入り気分転換をしてゆっくり過ごそうと、車で4時間ほどのところにある私の実家へ子どもたちと私だけで帰省をしました。振り返れば、私が付き添わなければ登園できない場面緘黙(選択性緘黙)のある次女の対応で精一杯の3年間でした。それに加えて、長男も不登園になり始め、長女も不登校に…。コロナ禍で実家を頼ることができず、肉体的にも精神的にも、私一人ではどうしようもない状況に追い詰められていることを両親や妹に相談しました。話を聞いた家族全員、実家に帰ってくることをすすめてくれました。私も、実家で両親の助けを借りないとどうしようもない状況だと思いました。「別居を考えている」と夫に告げて実家から夫に連絡し「子どものことを考えると実家へ帰りたい。別居を考えている」とだけ伝えました。ただ、子どもたちに転校・転園について話をしたわけでもなく、夏休み明けには自宅へ戻りました。Upload By ユーザー体験談そして夏休み明け、長女は保健室登校もできなくなりました。ちょうどこのころ、ママ友から「同学年に親が無理をして登校させている家庭があるけれど、子どもも精神的に無理をしている様子がこちらにも分かり、見ていてつらい」という話を聞きました。夏休み中、不登校について私も勉強し、不登校の子どもは自己肯定感が低くなってしまうことが多く、それにより学校へ行けなくなり、学校へ行けない自分をダメだと思ってしまう場合がある、ということを学びました。そして何よりも本人が一番苦しんでいるということを、ママ友の話を聞いて私は本当に理解したのだと思います。私はたまらず夫に聞いた話を伝えると、「そこまでつらいなら、登校しなくてもいい」と、ようやく言ってくれました。その後しばらくして、「まだ別居を考えているか」と夫に聞かれました。「正直、私一人の手には負えないから実家へ帰ったほうが楽だと思う」と答えると、「家族一緒に暮らしたいから、申し訳ないけど別居はしたくない。私も悪かった。協力できることはするから、何とかこちらで暮らしてほしい」と言ってくれました。Upload By ユーザー体験談夫の変化とその後夫はそれまで、子どもを褒めることはほとんどありませんでした。できて当たり前、できなかったら「何でできないの?」と責めることが多かったと思います。私も夫よりは褒めていましたが、周りの子どもと同じようにできないことを叱ってしまいがちだったと思います。でも、発達障害や不登校の子どもの子育てを学ぶうちに、これではまったくダメだと分かったのです。子どもたちを褒めることを心がけるようになった私を見て、夫も同じように変わってくれました。長女との関係はそれほど変化はありませんが、それまで4年間、まったく会話のなかった長男(ASD傾向があり、夫の話しかけはずっと無視でした)と会話できるようになりました。私も夫が高圧的な態度のころは別居しか考えられませんでしたが、その後は長女をフリースクールへ通わせたり、近くの小学校へ転校させたりして、別居せずに家族で過ごす方法を考えられるようになりました。また夫と言い争いをすることがなくなり、気持ちも軽くなりました。まだ娘の不登校は続いてますが「生きている価値がない」と感じることはなくなったようです。ようやく家が安心して過ごせる場所になったのかなと思います。再び登校することだけが目標ではありません。本人のやりたいことが見つかり、それが実現できるように見守り、サポートしていきたいと思います。最終的には自分に自信を持って働いてほしいですが、同学年の子どもと同じタイミングである必要はないと思っています。これからも焦らず見守っていきたいです。Upload By ユーザー体験談イラスト/keikoエピソード参考/かい(監修:初川先生より)お子さんが登園・登校渋りになると、お子さんにとって園や学校という場がどんな場であるか、また、家庭の中でお子さんがのびやかに過ごせているかということについて、振り返ってみるきっかけとして作用しますね。お子さんにとって、園や学校で苦しいのはどんなことか、そうしたことに先生方の対応や配慮は得られそうか。そして、今回のエピソードだと、家庭内の不和やすでにある難しさをどうしていくかということを考えていくことになります。今回は、ご実家の応援もあって、特に筆者の方にとって安心して過ごせるご実家に夏休みだけ帰られたこと。よかったですね。どのような環境、お父さん(夫)との距離がどのような形だとのびやかに過ごせるかの実験ができました。「別居したい」という申し出はお父さん(夫)にとってはきっと思いもよらない話だったのでしょう。しかしそのきっかけでご自身の対応や任せてばかりの子育てを反省的に振り返られ、新たなパートナーシップへと改変しようとされたのですね。家族のパワーバランスは、「現状」のまま維持されやすく、そこを変化させるにはなかなかの工夫とエネルギーが必要なことが多いです。対話によってそうした面がうまく調整されることが理想ではありますが、今回は「別居」というインパクトある話によって調整が進んだということなのでしょう。
2022年12月22日看護師さんもイライラ?混み合ってるクリニックに娘がぐずりまくり、パニックある日娘が熱を出したので病院へ行くことに。私は娘と病院に行くことが大の苦手でした。待ち時間は大人しく待つことができないし、大きい声でぐずることもよくあったからです。また、娘に少し傷がある状態で行くと「この傷は何?」と医師に問い詰められてるような感じも苦手でした。医師も仕事で聞いてるのは分かるのですが、虐待を疑われている気がして病院のあとはいつも強い疲労を感じていました。そのため、ひとりだと心細くコロナが流行る前は夫も一緒に病院へ同行してもらっていました。予約した時間に病院へ行くと待合室には人が溢れかえっていました。予約はしたものの混み合っていたためなかなか呼ばれず。娘は体調がよくなかったのもありすぐに機嫌が悪くなってしまいました。本などを持っていって時間をしのげばいいのかもしれませんが、娘は少しでも見慣れたものは全く興味を示さない子どもでした。あらかじめどこか出かけることが分かっているときは毎回新しくシールブックなどを買って持って行っていましたが、急な体調不良だと何も用意しておらず。こういうときのために買いだめしておけばよかったなと、今になっては思います。娘を優しくなだめても大きい声で怒り続ける娘に私も段々イライラ…。周囲にはほかのお母さんもいましたがそれを気にする余裕もなく、冷たい口調で怒ってしまいました。そんな中やっと呼ばれ、診察室へ。「お母さんのほうがよく分かってるんだからお母さんが入って!」看護師さんにバッサリ診察はいつも私が付き添うのですが、娘のぐずりに疲れてしまったのでたまには夫に行ってもらおうと思い、娘と一緒に診察室へ入るようにお願いしました。すると看護師さんがバッサリ。Upload By とまぱんUpload By とまぱんはーい。夫任せにしようとした私も悪いのかもしれませんが、娘のことは夫も私と同じくらい把握してます。あまり自分の子どもを把握してない旦那さんもいるかもしれませんが...。そんな旦那さんだと質問しても答えられないので医師も困るのでしょう。でも、子どものことは全部母親がやりなさい、と言われてる気がしてモヤモヤしてしまいました。診察中は娘が暴れ倒し、もうカオス状態(笑)。このときちゃんと診察ができたのか覚えていませんが娘が暴れていたため娘の靴が脱げて散乱してました。診察後、私は娘を抱えるのに必死だったので夫に荷物を持って来るようにお願いしました。夫は娘の靴に気がつかなかったのでしょう。私の荷物だけ持っていこうとすると、看護師さんがまた強い口調で言いました。Upload By とまぱんUpload By とまぱん夫も撃沈。娘は暴れたおすし、看護師さんからは冷たくあしらわれるしこの日の病院も大ダメージを受けたのでした...。5歳になった今、待合室での娘の様子は?娘は4歳ごろから病院で大人しく待てるようになりました。恐らく、幼稚園生活で「待つ」という習慣ができたからでしょう。もう娘と病院に行くのも怖くなくなりました。あまりに待ち時間が長いときは無音で動画を見せたりしますが20分程度であれば何か遊び道具がなくても静かに待てるようになりました。ある日、娘と病院へ行くと2歳くらいの男の子が待合室でぐずっていました。付き添っていたのはお父さん。男の子の声が大きく響き渡っていたのでお父さん、大丈夫かな、イライラしちゃうかなとソワソワしてお父さんをチラッと見ました。するとお父さんは男の子の気を紛らわせようと男の子を高い高いして遊んであげていました。Upload By とまぱん私は娘が病院でぐずっていたときはイライラしてしまっていたのにこのお父さん偉いな...。とひとりで感動。結局、お父さんが高い高いしても男の子は「離せーーーー!!」と叫んで機嫌が治ることはありませんでしたが昔の娘と重なりお父さんを応援せずにはいられませんでした。執筆/とまぱん(監修:井上先生より)病院での待合や診察場面で大変だったという記憶は多くの親御さんに少なからずあるのではないでしょうか。子どもさんの行動についてそうですが、それ以上にほかの親御さんの目や、医療スタッフの態度など気を遣われることも多かったのではと思います。現在いくつかの総合病院ではスマートフォンアプリの順番呼び出しなどを活用しているところも増えてきました。また治療に関する分かりやすい説明や配慮のための「心理的プレパレーション」など、病院側の配慮も進んでいくと良いと思います。
2022年12月22日限局性学習症(学習障害/LD)の診断がおりている娘わが家の娘は小学6年生です。小学1年生のときに限局性学習症(学習障害/LD)の診断がおりました。娘は小さなころから周りの人や物に対して興味の薄い子どもでした。また、赤ちゃんのころは起きている時間はほぼ泣いていて私は常にヘトヘトでした。私が娘の発達に違和感を抱いたのは幼稚園年中のころでした。娘は本を読んでいると、段落を飛ばしてしまうことがよくありました。娘は本を読むことがあまり好きではなさそうだったので、私は早く読み終わるためにわざと段落を読み飛ばしているのかと思いました。娘に都度そのことを注意すると「文字が見えなくなる」と泣いて訴えるようになりました。私は「もしかしたらディスレクシア(読字障害)があるのかもしれない…」と思い幼稚園の先生に相談しましたが「気にしすぎですよ」と言われました。その後も多動だったり気になる部分はありましたが、年長になり就学児健診も特に引っかからなかったのでそのまま娘は地域の小学校の通常学級へと就学をしました。Upload By ユーザー体験談小学校でも相変わらず読み書きに苦労していて…しかし、娘の勉強の様子は相変わらず。不安に思った私は療育に通わせようとしましたが、地域の療育は通所受給者証がないと通えず、診断がおりていない娘は療育が受けられないと断られてしまいました。なんとかしようと、かかりつけの小児科で紹介状を書いてもらい、教育委員会で知能検査を受けました。結果をカウンセラーさんに説明をしてもらいましたが、語彙力は高いけれど、読む力がとても低かったとのことで「娘にはやはりディスレクシアがあるのだろう」と思いました。その結果を元に診断をしてもらい、なんとか受給者証を発行してもらい、療育に通うことができるようになりました。また、小学校では通級にも通い始めました。娘のディスレクシアの症状とは。私の対応方法小学1年生のころの娘は普段の会話は大人っぽいのに、読む力が低いために教科書をすらすらと読むことができませんでした。当時の娘の症状としては…・段落の消滅前後の段落が見えなくなってしまい、次にどこを読めばいいのか分からなくなってしまうようでした。手づくりの段落かくしを活用して毎日音読をしました。Upload By ユーザー体験談・1~10の数字の理解が難しいおはじきやおもちゃなどの視覚支援グッズを使い、何度も何度も親子で数の復唱を繰り返しました。・かくかくした文字が読めない、読みづらいカタカナやアルファベットが読みづらかったようです。伸ばし棒、小さい「っ」などの入れ方にも戸惑っていました。こちらもとにかく繰り返し音読、書きとりを行いました。・同じ記号(数字、文字、絵含む)が続くと読めない同じものが続くと混ざって見えてしまい、数が分からなかったり、文字は溶けて見えると言い、正しく読めませんでした。0の数も続くと数えられないですし、ペイズリー柄などは柄が溶けて、マーブル模様のように見えてしまうようでした。図工の時間などに、クラスのみんなで同じテーマで絵を描くと、テーマは同じでもそれぞれみんな個性が出て私には違う絵に見えますが、娘には全て同じ絵に見えてしまい、同じものがたくさん並んでいると、さらにクラスメートの複数の絵が全て溶けて見えてしまうと言っていました。Upload By ユーザー体験談学習の困りはたくさんあったけど…母の苦労と娘の努力そんな学習の困りがたくさんあった娘でしたが、毎日音読を繰り返し、数字も根気よく復唱、苦手な書きとりもなんとかコツコツと積み重ね、小学6年生の今ではカタカナと段落の読字困難については寛解し、読めるようになりました。文字が溶けるなどの現象も、点つなぎやぐるぐる迷路などのワークをやることでだんだんと良くなっていきました。娘がカタカナが読めるようになったときにはとても感動したことを覚えています。本当に読めるようになるのかという長く暗いトンネルの中、毎日私が繰り返し娘とやってきた努力は決して無駄ではなかったのです。Upload By ユーザー体験談また、聴覚優位なので、音読アプリや私が最初に一度読むのを聞くと、その後すらすらと音読できるようになることに気づきました。通級の先生にもこのような日々の気づきを共有して合理的配慮を実施することで娘も成長したのか、小学5年生のときに受けた全統一テストの国語では、配慮なしでも平均点より上を取ることもできました。娘は今、通常学級に在籍し、週1回通級に通っていますが、勉強に苦労している姿を見て私は「特別支援学級のほうがいいんじゃない?」と提案したことがありました。ですが娘には「通常学級に通いたい」という強い意思がありました。大変でも勉強や宿題はほかのクラスメートと同じようにやることを選んだ娘。私が今できることは娘のことを一番に考え、サポートをしてあげることだと思います。これからの中学への進学のこと、そして高校受験の際に受けられる合理的配慮などを調べて、娘が楽しく自分の人生を生きていけるように今後も支えてあげていきたいと思います。Upload By ユーザー体験談イラスト/吉田いらこエピソード参考/アトマキマキ(監修:鈴木先生より)一般的にIQでワーキングメモリーの低いお子さんは読むことが苦手で、処理能力の低いお子さんは書くことが苦手といわれています。読めないと書けないのでまずは平仮名・カタカナ・漢字の読む練習を徹底して教えます。集中が長く続かずに覚えられないお子さんにはADHDの不注意優勢型の並存をしている可能性があるためADHD治療をすすめることもあります。自閉スペクトラム症のあるお子さんはマイペースなため処理能力の低いことが多いです。特に同時処理が低い場合は板書を写すのに時間がかかるため最近ではタブレットで黒板の写真を撮っている子どもも珍しくありません。SLD(限局性学習症)は医療というよりも教育の問題の部分が多いです。特別支援学級などでトレーニングする必要がありますが、ほとんどの学校ではマニュアルがないのが現状のようです。
2022年12月21日おせちづくりはコウに丸投げ!?母のズボラで子は育つ(かも)Upload By 丸山さとこ昨年末のことです。スーパーで買い物中の私は、ワゴンに積まれたおせち料理の材料を「一応見ておこうかな」くらいの軽い気持ちでのぞいてみました。すると、そこには『水で煮るだけの味つけ昆布巻き』や『つくり方がパッケージに載っている田作り』など便利そうな商品がありました。これくらいなら年末の慌ただしい中でも簡単につくれそうです。私は数の子や栗きんとんなどと一緒にそれらをカゴに入れて、意気揚々と帰りました。それから一日が過ぎ、三日が過ぎ、一週間が過ぎ…気がつけばお正月が目前に迫ってしまいました。「これくらいなら簡単そう!」と思った時点の私はどこへやら。私はすっかりおせちづくりが面倒になっていました。「もう床から離れたくない。ホットカーペットの上でゴロゴロしながらゲームをしていたい…」と怠惰モードになっていた私は、ふと「もしかしたらコウにもつくれるのでは?」とひらめきました。コウは知育菓子が大好きで、パッケージの説明書を読んではせっせと水を量ったり粉を練ったりしていました。説明を読みながら作業することはできそうです。また、当時小学6年生だったコウは家庭科の授業で簡単な料理は経験していたので「炒める・煮る」だけであればできそうだなと思いました。Upload By 丸山さとこ早速コウに「おせちの材料買ってあるんだけど、説明を見ながらつくってみない?」と声をかけると、「うん!やるやる~!」とうれしそうに乗ってきました。「さて、何をやってもらおうかな」と材料を見ていくと…数の子の塩抜きや薄皮を取る処理は火が要らず簡単そうですが、生臭い水が飛び散ったら後片づけが大変そうです。煮豆は加熱調理機で放置しておけばできあがります。そんな風にして打算と安全性を重視しつつ考えた結果、田作りと昆布巻きが「炒めるだけ」「水で煮るだけ」で安全そうだと結論が出ました。コウに「この田作りと昆布巻きをお願いします」と渡すと、彼は「まかせて~」と自信ありげに受け取りました。頼もしいその反応を見ると、逆に不安が沸いてきます。自信がある作業は雑になりがちなコウのことを考えて、やはり側で様子を見守ることにしました。Upload By 丸山さとこそうして少しドキドキしながら見守っていたコウのおせちづくりは「まかせて」の言葉通りスムーズで、「田作りをフライパンから飛ばさずに乾煎りできるなんて凄いね」と感心すると、コウは「そうでしょ」とニコニコしながら味見をしてご満悦でした。(私はせっかちに小魚を乾煎りして飛ばすことがしばしばあるので、お世辞ではなく心から感心しましたし、とても助かりました)丸投げの下地づくりはコツコツとコウは小学校低学年のころから少しずつ料理のお手伝いをしています。特別なことはないごく普通のお手伝いですが、・レタスをちぎったサラダ・プチトマトのヘタをとって洗う・包丁でキュウリを切る・人参をスライサーで千切りにするというようにスキルアップが感じられる流れを心がけつつ、スモールステップで作業を増やしていきました。Upload By 丸山さとこまた、『ホットケーキをひっくり返すタイミングを知らせる係』をすることで、焼き加減の見極めだけを練習したこともありました。全体の工程に目を通しつつ料理の作業を細かく割ることで、コウが安心して取り組めるように意識しました。料理は分かりやすいスモールステップがたくさんあるなと思います。それと同時に『周囲が乾いてきたら』『透き通ってきたら』などの曖昧な表現や基準も多く、曖昧さや臨機応変な対応が苦手なコウにとってよい練習になっていると感じます。コウを見ていると、練習の仕方が多くの人と違うことや、できるようになるまでに時間がかかることはたくさんあるようです。それらの中には『大人になっても難しいこと』も少なからずあるのだろうなと思います。それでも、彼なりのペースと彼なりの方法で「できること」が増えていけば、おせちのように『初めてやる作業だけど何とかなった』が増えていくのかもしれません。そんな風にしみじみしながら、今年も田作りはコウにお願いしようと思う私でした。Upload By 丸山さとこ執筆/丸山さとこ(監修:井上先生より)スモールステップ化され具体的な操作を書いたレシピはコウさんにとって、とても分かりやすい手掛かりになったのだと思います。品目によっては、塩加減や焼き加減といった数値化しにくいステップもありますが、その部分のステップだけ取り出して何度もモデリングさせたりすることも有効に思います。調理は将来的な自立に役立つだけではなく、本人の自信につながったり、親子のコミュニケーション機会にもなると思います。買い物とセットで続けていくとより発展していくと思います。楽しみながら頑張ってください。
2022年12月21日「休み時間に居場所がない」ASD・ADHD傾向のある子ども発達障害の専門家が出会った子どもたちの抱えていたリアルな「困った!」を取材。子どもたちの状況を変えた対応策とは?ドキュメントタッチで解説します。Upload By 専門家インタビューUpload By 専門家インタビューUpload By 専門家インタビューマンガ/NEGI今回は、ASDとADHDの傾向がある中学生のお子さんの「友達トラブル」に関するエピソードをもとにマンガ化してお届けしました。中学校に進学し、友達づきあいが難しくなるお子さんは決して少なくありません。今回のように、悪口を言われるようになってしまって休み時間を教室で過ごすことが難しくなってしまった場合、次のような対応が考えられます。1.悪口を言ってくるグループとは距離をとる。もし何か相手に言いたいけれど不安なときは、直接言う前に担任の先生やスクールカウンセラーの先生などに相談して一緒に考えてもらう2.休み時間も無理をして教室で過ごさずに、図書館など学校内で教室以外の安心できる場所を見つける3.友達はほかのクラスや学校の子でもいいので、共通の趣味をきっかけにつながりを持ってみる保護者の方はお子さんの様子を気にかけながら、心配な場合は早めに学校の先生や専門家に相談することも大切です。
2022年12月20日できることを増やしたい…焦っていた年長Upload By ゆきみ自閉スペクトラム症のあるけんとは、年中~年長のときに、こども園に通っていました。自分の興味があることはとことんやるけれど、興味がないことは一切見向きもしない性格。年中のころは、体操、お遊戯、制作、園の行事などに参加することはほとんどありませんでしたが、年長になって園のご協力もあり、少しずつ参加することが増えてきました。先生が声かけをしてくださったときに興味があれば参加するし、なければ参加しないで自分の好きなことをすることも多かったようです。こども園や普段の様子から「集団行動や、順番に並ぶのが苦手」「人の使っているものを勝手に使う」「興味がない授業を受けられるのか」「ルールを守れるのか」…などが特に心配でした。小学校では特別支援学級を希望していたので苦手なことは支援していただけるかもしれないと思っていましたが、就学に向けて少しでもできることを増やしたいと焦っていました。不安でいっぱいだった年長のころに行った、児童発達支援施設と家庭での取り組みについて振り返ってみたいと思ます。就学に向けた年長向けの児童発達支援施設でUpload By ゆきみ通っていた児童発達支援施設は、その日の流れをイラストにし、順番に並べて伝えるなど、視覚を使った支援を行っていました。視覚優位の特性をもつけんとにとっては、やることが分かりやすかったのか、興味がそれほどないことでもプログラムに参加することが多かったようです。そこは年長の子どもの就学に向けたプログラムをメインとしている児童発達支援施設。制作課題では、みんなで協力して1つのものをつくることもありました。ハサミや、のりなどの貸し借りをお友達の間でする、というのも目的になっていて、苦手そうな場合は指導員さんが間に入って一緒に伝えてくださいました。鬼ごっこのような少しルールのある遊び、順番に並びながら行う粗大運動のサーキッド、少人数ずつ横断歩道を渡りに行く課外活動…など、就学を意識したプログラムを行ってくださいました。帰り際、その日の子どもの様子を教えてもらい、何が苦手なのかを知ることができました。構音障害のあるけんとは、言葉で伝えるのが苦手。人の使っているものを勝手に取ってしまったり、ルールのある遊びも理解せずなんとなくやっていたりするようですが、繰り返していくたびに少しできるようになることもありました。就学に向けて不安なことは、すぐに先生に相談させていただき、アドバイスなどをいただいたので、私の安心感にもつながりました。学校とはどんなところ?不安の強いわが子へUpload By ゆきみ見通しがたたないと、すぐ不安になってしまう心配性のけんと。小学校という新しい世界に飛び込んでいくのは、環境の変化でとても不安が多いだろうなと思いました。小学校とはどういうところで、どんなことをするのか、学校にはルールがあることなど、何となくでも知ってほしいなと思い、小学校生活について書いてある本を図書館で何冊か借りてくることに。内容としては、学校にはどのような部屋があるのか、小学校での1日の時間の流れ、どういうお勉強をするのか、どんな行事があるのか、学校生活でのルール、お友達へのあいさつの仕方、教室の掃除の仕方…など、いろいろなことが分かりやすくイラストや写真を使って描いてありました。一緒に読んでみたり、目につくところにそっと置いたりしておくと、好みの本を選んで1人でも読んでいた様子。「小学校に早く行きたい!」と言うようになったので、楽しみにしてくれたのはよかったかなと思っています。先生やお友達に教えてもらいながら…Upload By ゆきみけんとは小学1年生になりました。本で見ていたイメージと、実際に通ってのイメージが合っていたのかは分かりませんが、いろいろな教科に興味をもち、授業を楽しみにしながら学校へ通っています。今でも友達のものを勝手に使ってしまうこともありますが、順番に並ぶというのはこども園のときよりはできるようになりました。年長のときは就学までにどれくらいのことができるようになったらいいのか分からず、不安になっていましたが、結局、就学までにできるようにならなかったことも多かったです。しかし現在、先生方やお友達が困ったときは助けてくださり、分からないことやできないことは教えくださっています。学校生活を送る中で成長し、学校を楽しんでいる様子なので周りの方々にとても感謝しています。現在もルールなどを守れなかったり、教室から出て行ってしまったり…と、まだまだ集団行動は苦手ですが、少しずつできることが増えてくれたらうれしいなと思っています。執筆/ゆきみ(監修:鈴木先生より)友達のものを勝手に使ってしまうことがある場合は、まずは「貸して」と言えるように教えてあげてください。神経発達症(発達障害)のあるお子さんは、興味のないことや嫌なことがあるとその場から逃げてしまう傾向があります。「がんばりカード」をつくって、少しでも参加できたらポイントをつけてみましょう。ポイントが5点たまったら動物にエサをあげられるなど、行動のご褒美をあげるというトークン法がいいと思います。小学校入学など環境が変わるときには、できれば映像を見て予習することをおすすめします。私たちが初めて海外旅行へ行くときと同じように、本よりもイメージが広がり、どんな所かが分かって安心できるからです。
2022年12月20日障害のある学生の修学や大学生活の困りごとに寄り添い、教職員への支援も行う東北大学では、2014年4月に「学生相談・特別支援センター 特別支援室」を設置。2016年3月に「国立大学法人東北大学における障害を理由とする差別の解消の推進に関する規程」を、同年4月「障害のある学生への配慮に関するガイドライン」、同年10月「修学上の合理的配慮の提供に関する対応について」を定め、障害のある学生への支援体制の整備を図ってきました。今回は、現在の支援内容や新しい取り組みなどについて、学生相談・特別支援センター副センター長の池田忠義先生に教えていただきました。発達ナビ編集部(以下、ーー)特別支援室の位置づけや支援体制から教えてください。池田先生:特別支援室は、障害学生に関する全学的な相談部署であり、学生相談・特別支援センターの中に位置づけられています。同センターには、特別支援室と全学の学生相談を担う部門である学生相談所とがあります。特別支援室には、相談員3名(専任教員)、コーディネーター2名、受付1名が配置されています。相談員やコーディネーターは、公認心理師や特別支援学校教諭などの資格を有し、発達障害や聴覚障害のある学生への支援等に関する専門性を持っていますが、現在はどの担当者もさまざまな障害に対応できるように努めています。――特別支援室ではどのようなことに注力しているのでしょうか。池田先生:障害のある学生への合理的配慮に関する支援だけではなく、修学上や大学生活上のさまざまな悩みや困りごとへの支援を行うこと、大学の構成員全体を対象とした働きかけを行うことです。したがって、障害のある学生だけではなく、その疑いのある学生も含めて、継続的な面接により支援を行い、また、障害のある学生の支援に関する教職員や学生全体の理解促進のための活動を積極的に行っています。Upload By 発達ナビ編集部発達障害がある学生の相談は増加傾向に――どのようなことでお困りの学生が多いのでしょうか。池田先生:自発的に来談する学生については、修学上のつまずき(授業についていけない、単位履修が進んでいないなど)を契機に相談につながることが多く、入学直後を含め、低年次からそうした問題に直面する場合や、学年が上がり、専門科目が増えた状況でそれらの問題に直面する場合もあります。最終学年などで、研究に取り組む中で初めてつまずきを感じて来談する学生もいます。また、卒業が近づいて進路選択をしなければならない段階で、進路選択に迷う、就職活動で思うような結果が出ないといったことで来談する学生も少なくありません。――来談する時期や内容はさまざまなのですね。相談に来る学生は増えているのでしょうか。池田先生:特別支援室の来談者は基本的に増加傾向にあり、発達障害のある学生も同様の傾向にあります。来談者を障害種別に見ると、発達障害が一番多く、未診断であるがその傾向があると思われる学生も毎年一定数います。また、発達障害に次いで精神障害が多く、2021年度の来談者は発達障害(疑いを含む)と精神障害の二つで来談者全体の6割を超えていました。こうした傾向は、今後も続くのではないかと思われます。特別支援室に来談している学生については把握できますが、学内全体で発達障害のある学生がどれくらい在籍しているかは明確ではありません。ただ、発達障害の有病率という点から考えると、特別支援室への来談や学内での支援につながっていない学生が一定数いると思われます。そのことを踏まえると、学生が相談・支援につながるための広報活動や学生と接している教職員の理解啓発をより一層強化する必要があると考えています。――支援が届いていない学生もいるかもしれないということですね。発達障害がある学生の相談内容としては合理的配慮に関するものが中心ですか。池田先生:当室を利用している発達障害のある学生の多くは、合理的配慮を申し出るための申出書作成支援や自分自身の特性理解、困難さの対処方法の相談のため来談している学生です。一方、「発達障害かもしれない」と思い相談に来る学生もおり、その学生については希望に応じてアセスメントを行うなどし、医療機関の受診などについて一緒に検討しています。合理的配慮の具体的な例としては、注意事項等の文書による伝達、レポート提出期限への配慮、別室受験等などがあります。合理的配慮を受けた学生からは、「配慮を認めてもらってとても助かった」など、修学機会の確保につながったという声を多くもらっています。ただ、配慮提供が認められたものの修学に結びつかないこともあるため、学生と振り返りながら次学期に向けての相談を行っています。――先ほど学生だけでなく教職員の方への支援にも力を入れていると伺いましたが、具体的に教えてください。池田先生:障害のある学生の支援に際しては、教職員の理解・協力が必須であることから、個別支援における教職員との連携、障害学生支援に関する理解促進のための啓発活動を特に重視しています。前者については、特別支援室へ相談に訪れた学生の支援に際して特別支援室から授業担当者や指導教員に連絡する場合と、学生対応に関する教職員からの相談を受け、連携する場合があります。後者については、学生支援に関する全学FD(FD:大学の教育の内容及び方法の改善を図るための教員の組織的な研修など) を定期的に実施するとともに、部局の依頼に応じて特別支援室スタッフが部局FDの講師を務めています。また、学生支援に関する全学的会議である学生生活支援審議会の下に学生相談・特別支援連絡会議を設置し、そこで各部局の学生相談や障害学生支援に関する状況を共有しています。――教職員の方からはどのような相談があるのでしょうか。池田先生:発達障害のある学生やその傾向があると思われる学生に対して、「どのように対応したらよいか分からない」「どこまで支援をしなければいけないのかが分からない」「配慮はほかの学生の不公平感につながるのでは」など、学生の困難さの理解のしづらさから来る対応の難しさ、合理的配慮に関する質問・意見があります。さらに、具体的な支援方法や支援事例、発達障害のある学生の就職支援についてなど知りたいといった声もあります。こうしたことから、発達障害のある学生についての教職員の理解啓発などを目的として、2021年度、「発達障害のある学生への対応について-教職員向けヒントブック-」を刊行し、全教職員に配布しました。学内講演やFDなども行い、学内の理解や啓発などを積極的に進めています。Upload By 発達ナビ編集部――特別支援室では、学生サポーターによる支援も行っているのですよね。池田先生:「学生相談・特別支援センター学生サポーター」は、誰もが共に学べる大学環境をつくるために組織された有償ボランティアであり、現在は学部生、大学院生あわせて計60名登録しています。応募動機としては、人と関わるような活動をしてみたい、障害のある学生と関わってみたいなど多岐にわたります。主な活動は、聴覚障害のある学生のための情報保障、移動が困難な人のためのバリアフリーマップの作成や改訂のほか、障害のある学生への学習支援、ガイドヘルプ、移動介助、授業中のノート作成、学内ボランティア団体でのイベント参加などです。バリアフリーマップについては全キャンパス分を学生サポーターが中心になって作成しており、現在は毎年1キャンパスずつ改訂し、各学部や入試説明会など人が集まるような行事で参加者に配布しています。コロナ禍前は大学祭やオープンキャンパスでのイベントへの参加なども行っておりましたが、本学でも対面の活動の再開に伴い今後ますます活動が広がっていくと思います。Upload By 発達ナビ編集部Upload By 発達ナビ編集部発達障害のある高校生などを対象とした大学準備講座を開催――発達障害のある高校生や既卒者向けの講座を実施されていますね。開催のきっかけから教えてください。池田先生:当室に来談する発達障害のある学生と話していると、入学後に高校と大学との違いに戸惑いを感じたり、困ったときにどこにどのように相談したらよいか分からなかったりと、大学生活などで大きくつまずいていることが少なくありません。そのため、発達障害のある本学への進学を希望する方や大学で学ぶことに興味がある方を対象に、大学のイメージを膨らませ、進学準備や進路選択に役立てられることを目的として「発達障害のある高校生・既卒者向け大学準備講座1DAYトライアル!」を開催しようと考えました。2022年3月に初めて開催し、同年8月に2回目を開催しました。――反響や参加状況はいかがでしたか。池田先生:初回は3月実施ということもあり、高校1・2年生の学生4名が参加してくれました。参加者から次回以降は夏開催を希望する声が多かったため、2回目は今年8月に開催し、高校生6名、既卒者1名の計7名の方の参加がありました。1DAYトライアルは発達障害の診断がある方向けのイベントですが、グレーゾーンの方からの問合せもあり、反響の大きさを感じました。当初対面開催を予定しておりましたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、急遽オンラインでの開催に変更したところ、東北以外からの参加もありました。イベント終了後にアンケートの記入をお願いしたところ、うれしいことに全般に高い評価を得ることができました。模擬授業は、大学と高校との違いや大学での支援体制などの座学に加えて学生サポーターも加わり参加者の疑問に答えたほか、時間割作成や自分自身の特性理解につながるワークなども行いました。障害のある当事者学生が参加した「先輩の体験談を聞く(座談会)」の時間では、障害の困難さを抱えながらもどのように大学生活を送っているのか座談会形式で行いました。参加者からは次々と質問があがり時間が足りないほどでした。参加者からは、「大学と高校の違いや本学の支援体制などを具体的に学べた」「自分自身の障害特性についても考えながら大学を知る機会になった」「先輩の話から大学について不安に感じていたことが安心感に変わった」などの感想が寄せられ、自分自身の障害特性を理解しながら大学生活を送ることについて知るとても貴重な時間になったことが伺えました。――参加者のみなさんにとって良い機会となったのですね。池田先生:そうですね。我々としても、参加者にとって大学や自分自身を知る有意義な時間になっていたと感じています。模擬授業の中の時間割をつくるワークでは、「自分は朝が弱いから2限からの授業を取ろう」「続けて授業を取りすぎると集中力が続かないから間をあけて授業を取ろう」などの感想があり、参加者が自己理解を深めながら大学での修学を考えることの大切さを実感したのではと思います。また、本学の学生サポーターや当事者学生も参加しましたが、質疑を通して発達障害のある学生への理解や自身の自己理解につながった貴重な時間になったように思います。さらに、県内の高校に今回のイベントの開催通知送付のほかに電話での案内も行い、その際に「大学の障害学生支援について知りたい」とのご相談が高校の教職員の方からあり、職員研修会での講演依頼を受けました。発達障害のある学生だけではなく、高校の教職員のみなさまにも大学の障害学生支援を知っていただく機会につながる講座であると感じています。昨年度、今年度ともに感染状況などを考慮し、対面開催からオンラインでの開催に変更しました。来年度は、食堂や図書館など学内施設の体験利用などの企画も考えながら、ご希望の多かった対面開催を目指していきたいと考えています。個別支援と学内全体の支援体制の充実を目指す――これからの特別支援室の取り組みについて教えてください。池田先生:今後については、来談者への個別支援と学内全体の支援体制の充実をさらに進めていきたいと思っています。個別支援については、修学上や生活上の支援はもちろんですが、入学や卒業の時期における支援が特に重要・必要だと思っています。現在も、大学生活に円滑に入れるための高大接続、大学卒業後の生活に向けて就労移行支援に取り組んでいるものの、まだ十分とは言えないため、これらの活動をさらに積極的に行っていきたいと考えています。また、学内全体の支援体制の充実のためには、大学構成員全体を対象とした情報発信や研修会の実施等を進めていくことが大切だと考えています。――ありがとうございました。
2022年12月19日「対面レジでの会計」はハードルが高い!場面緘黙があるゆいは、対面でのお買い物がちょっと苦手です。お会計の際に初対面の人と会話をしないといけないことがとてもハードルが高いようです。もちろんネットを使えば対面なしでもお買い物はできます。けれど、他人と接して買い物をする経験もたくさんしておくことが必要だと思うので、ゆい個人のものを買うとき、私はなるべく本人に一人でレジに行かせるようにしています。ゆいが初めて「CDを買いたい」と言い出したのは、小学6年生の秋でした。少し前から某グループのファンになり楽曲を聞いていてCDが欲しくなったようです。サブスクやダウンロードで音楽を楽しめる時代ですが、やっぱり推しができるとデータだけでなくモノそのものが欲しくなるというもの。ゆいもお姉さんになったものだと感じつつCDショップに向かいました。ショップでお目当てのCDを見つけたあと、私は「一人で買っておいで。これも人生経験だよ」と提案しました。ゆいはちょっと戸惑ってからレジの列に並びました。私は少し離れたところから見守っていました。Upload By 吉田いらこあと少しで自分の番。でもレジの列から離れてしまい…でも、あと少しで自分の番というところでゆいはレジの列から離れてしまいました。「やっぱり買うのをやめる」というのです。並んでいる間にかなり緊張してしまったようで、どっと疲れたように見えました。「いやいや、本当は欲しいんだよね?レジでやり取りするのがつらいだけだよね」と確認で聞いてみたのですが、ゆいはもう諦めたように「別にいらない。欲しくない」とつぶやいていました。これまでも、ゆいが一人で買い物をした経験はありました。たまに雑貨屋で小物を買ったりコンビニでジュースを買ったりしていたのですが、そのときのレジを担当していた方は女性や優しそうなおじいさんだったので、大丈夫だったのかもしれません。このお店のレジの方は若い男性だったのでちょっと難易度が高かったようです。Upload By 吉田いらこ本当にそれでいいの?娘に本心を聞いてみるとゆいの中で、「知らない人と接するストレスに比べたら欲しいものなど諦められる…」という考え方になっていることを知り、私は本当にそれでいいのかゆいに確認しました。そうするとゆいが「やっぱりCDは買いたいけど、一人がきつい。買い物についてきてほしい」と言ったので、私はゆいの隣について再度列に並びなおしました。私が横にいるだけで、商品を渡してお金を払うことができました。今回は何とか買い物ができましたが、これだけ疲れてしまうのは大変だろうなと感じました。Upload By 吉田いらこ最近は無人レジやネット販売が増えてきて、ゆいにとっては暮らしやすくなりいいことだなと思っています。でも、やはり他人と接する回数は生活していく上でゼロにはできません。他人と接する練習は本人にとってはつらいものになるかもしれないのですが、本人の生活のしやすさを優先するだけでなく、生きていくために社会に合うように慣れさせる必要もあり、バランスが難しいところだなと感じています。執筆/吉田いらこ(監修:鈴木先生より)ASDのあるお子さんで場面緘黙が併存することはよくあります。ASDのある方はもともと対人コミュニケーションが苦手なため、思っていることがうまく伝えられないことが多いのです。しかも、今回のケースでは知的発達症(知的障害)も伴っているため語彙も少なく、失敗をしたくないというプライドも重なり、さらにレジが若い男性という点でもハードルが高かったのではないでしょうか。学校でもよくあることですが、厳しそうな表情の先生に苦手意識を感じ登校渋りになってしまうことや、反対に優しく話を聞いてくれて笑顔の多い先生ならばスムーズに行けることもあるのです。最近では会話を必要としないセルフレジやネット販売サービスも普及し、ASDのある方には過ごしやすい世の中になってきました。しかし、人間関係の基本は会って相手の表情を見ながら話すことです。スモールステップで慣らしていくのがいいでしょう。
2022年12月19日長男を出産後、初めての年末は夫の実家で過ごしました。義父母、義兄、義弟と私たち家族3人で新年を迎えたのですが、夫の家族は全員、夜型の生活をしている人たちでした。今回は、生後11カ月の長男を連れ、夜型家族と一緒に過ごした初めての年末年始で困ったことをお話ししたいと思います。※コロナ禍前の体験談です 眠れなかった夜大晦日、夫と私と長男の3人で夫の実家へ行きました。家とは違う場所と、ほとんど面識のない義父母や義兄弟に会った長男は少しとまどっていました。それでも、無事に1日を過ごす事ができ、夜11時ごろ、お借りした部屋で先に休ませてもらいました。 私も長男もすぐ眠りにつくことができたのですが、夜中に何度か大きな話し声が聞こえてきて、そのたびに私はびっくりして起きてしまいました。朝4時くらいまでの間に3回ほど目が覚めたので、その夜はよく眠れませんでした。 夫家族を気づかって外で過ごした元日の朝朝7時ごろに目を覚ました長男。朝4時くらいまで夫家族は話をしていたので、当然みなさん寝ていました。 長男に朝ごはんを食べさせようと思い、静かに居間へ行くと、居間で夫家族が雑魚寝をしていました。居間と台所がつながっていたので、台所を使わせていただくことも無理でした。さらに義母は台所に義母以外の人が入るのを嫌う方だったので、勝手に台所を借りるわけにはいきませんでした。 それで、夫家族を起こしてはいけないと思い、長男と外に出ることにしました。 行くところがなく、ひたすら歩いた午前中夫を含め、夫家族が夜型の生活をしていることは聞いていました。しかし、何に困るのか予想ができなかった私は、着替えや長男のおむつ、おやつ、絵本しか持ってきていませんでした。 どこかのお店で朝ごはんを食べようと近所をひたすら歩いて探してみましたが、運悪く食事をとれるお店がありませんでした。仕方なく、コンビニでプレーンなパンと水、ヨーグルトを買って、長男と食べました。 その後も行くところがなかったので、実家の近くを歩きながら過ごしました。そして11時半ごろ、夫から起きたという連絡があり、夫の実家に戻ることができました。 このときの経験から、生活パターンが違うことは仕方がないので、泊まりで夫家族と過ごすときは、パン類、水、自分用のカロリーメイトを持っていくようにしています。 イラスト:imasaku著者:川本 千華発達障害の長男、兄が大好きな次男を育てる2児の母。元ピアノ講師。自身の経験を活かし音楽・発達障害に関するライターとして活動中。
2022年12月18日通常学級に在籍する小中学生の8.8%に発達の特性がある小中学生のうち、特別支援学級や特別支援学校でまなぶ子どもたちは、2019年度の調査で42万人、小中学生全体の4.3%となっています。ですが、特別な支援を必要とする子どもたちは、地域の学校の通常学級にも在籍しています。2022年12月、文部科学省は10年ぶりに「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果」を発表しました。その調査によると、小中学校の通常学級に在籍する子どものうち、8.8%が「学習面又は行動面で著しい困難を示す」ということが明らかになりました(※)。なお調査では、下記のツールをもとに作成された質問票に基づいて調査されました。・LDI-R-LD診断のための調査票(学習面)・ADHD評価スケール(行動面)・高機能自閉症スクリーニング質問紙(行動面)(※)学級担任等が回答した内容から知的発達に遅れはないものの学習面や行動面で著しい困難を示すとされた児童生徒数の割合を推定している調査であり、医師の診断や専門家による判断による調査ではない通常学級に在籍する、発達に特性がある子どもが受けている支援の現状この調査では、この「知的発達に遅れはないものの学習面又は行動面で著しい困難を示す」とされた子どもたちが受けている支援についても報告がされています。担当教員は特性があると考えているが、実際に特別な教育的支援が必要だと校内委員会において判断されている子どもは、28.7%にとどまっています。Upload By 発達ナビニュース今回の報告で、通常学級に在籍しながら「学習面又は行動面で著しい困難を示す」ととらえられている子どものうち、通級指導を受けている子どもは、過去に受けていた場合を加えても、12.6%という報告でした。Upload By 発達ナビニュースまた、そうした子どものうち、現在、もしくは過去に作成していた割合は2割弱で、子どもの特性に合わせた計画が立てられている割合は5人に1人となっています。Upload By 発達ナビニュース補習や宿題の工夫などの配慮については、現在もしくは以前に行っていた場合も含めて32.3%でした。Upload By 発達ナビニュース以前に比べると、通常学級における発達の特性がある子どもたちについての認知は高まってきていますが、十分な配慮が受けられていない子どもが一定数いることが、今回の報告からも読み取れます。参考:通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果(令和4年)について | 文部科学省参考:文部科学統計要覧(令和2年版)| 文部科学省特別支援教育行政の現状及び 令和3年度事業について| 文部科学省
2022年12月17日2歳ごろから突然の発作?不安になった私は…2歳ごろ、Pには体を硬直させながら震えるという症状がありました。その震えは主に食事中や、楽しいとき、興奮しているときに現れ、最初の方は1日に数回だったのに、1日に数十回も震えが見られるようになったので、Pにはてんかんなどの基礎疾患があるのかもしれないと不安に思うようになりました。そして基礎疾患の何かが発達障害の原因にもつながっているのかもしれないと考えるようになりました。私は、Pの発達について相談していた保健センターで医師に紹介状を書いてもらい、大きな病院の「小児神経科」を予約し、受診することにしました。予約の際に、「発作が起こっているときの動画が撮れたらできれば撮っておいたほうが分かりやすいし伝わりやすい」と聞いていたので、Pが震えているときの動画も撮って持って行きました。Upload By みん初診で先生は、私たち親子の様子を見ただけで「これはこれはお母さん大変そうですね」と声をかけてくださいました。何故ならこのころのPは本当に手のかかる時期だったので、長い待ち時間の間にPから受けた引っ掻き傷と噛まれた痣とで私の顔、首、腕はボロボロでしたし、P自身も初めての病院、診察室、先生を見て泣き喚き暴れていたからです。そんな中で先生は、私の話を一つひとつ丁寧に時間をかけて聞いてくれました。そしてPの震えているときの様子の動画を先生に見せると、先生はすぐ「これはてんかんの発作ではないですね…どちらかというと癖のようなもの(身震い発作)だと思います」と言ってくれたのですが、まだ未診断だったPの様子を少し見ただけでも、自閉スペクトラム症だけではなく知的障害の可能性があること、そして今までできていたはずのことができなくなるということは、ほかにも何か病気が隠れている可能性があるということを先生に指摘され、これらの理由から一応検査入院をするようにすすめられました。てんかんなどの発作の可能性は低いとしても、知的障害の可能性やほかにも病気が隠れている可能性があると聞き、私は頭が真っ白になりました。そして入院スケジュールを聞くと、早くて3日間、長引くと5日間も入院しないといけないと説明され、Pは家で過ごすのも大変な状態なのに入院生活なんて耐えられるのか?ととても不安になりました。でも大きくなればなるほど入院や検査は大変になるので、まだ小さい2歳のうちに一気に検査しておいたほうが良いと言われたので、覚悟を決めて検査入院をすることにしました。Upload By みん知的障害やほかの病気の可能性も指摘され、検査入院をすることになる検査内容は、「脳波検査」「MRI」「髄液検査」「染色体(遺伝子)検査」の4つでした。Pはまだ幼く、親の介助が必要なので私も24時間一緒に付き添う形になりました。Pが受ける検査は動いてはいけない検査ばかりだったので、入院中はたくさんの薬や麻酔で何度も眠らされることになり、小さな身体へのストレスや負担がとても心配でしたが、Pの身体の中に隠れているかもしれない病気や原因を探すために必死でした。障害の原因が遺伝子レベルで見つかる可能性があるので、染色体(遺伝子)検査も念のために受けましたが、これはかなりデリケートな検査になるので、検査前に夫と電話で話し合いました。夫婦ともに何か1つでも分かることがあるのなら…という気持ちで受けました。Upload By みん検査入院中は母子ともに本当に大変だった入院中私は、自分の好きなタイミングで食事をとることも、トイレへ行くこともできず、狭い小児用ベッドでは添い寝もできないので、ゆっくり眠ることもできず、緊張から肩にずっと力が入っていました。でも、検査のために頑張っているPや、ほかにもさまざまな病気や障害と闘いながら入院生活をしている子どもたち、それを支えている先生や看護師さんたちを見ていると、泣きごとなんて言ってられない…という気持ちになり、一緒に入院生活を頑張ることができました。幸いにも個室で過ごせていたので、その環境はかなり救いになりました。そして検査もスムーズに済み、3泊で帰れることになりました。全ての検査が終了したあと、一つずつ検査結果を聞きましたが、大きな病気や原因は今回の検査からは何も見つからず「基礎疾患はないでしょう」と先生に言っていただき、心からホッとしました。何か基礎疾患が隠れているかもしれないとずっと思っていたので、その不安から解放されたような気持ちでした。Upload By みん子どもの健康に心配や不安があるのなら…子どもの健康で何か心配や不安なことがある場合は、必ず病院へ行って医師に相談した方が良いと思います。似たような症状をインターネット等で調べて自己診断で済ませたり、気にはなっているのに分からないままでいたりして、「もっと早く病院へ行っておけば良かった」と後悔することになってしまうと大変です。検査入院の結果、何かが見つかればそれに対して行動ができるし、何も見つからなければそれはそれで安心できるので、私は検査入院をしておいて良かったなと今も思っています。執筆/みん(監修:新美先生より)2歳のころの検査入院のお話を聞かせてくださりありがとうございます。みんさんのお子さんの場合、体を硬直させながら震えるという症状があって、検査を受けることになったのですね。繰り返す特徴的な動きは、てんかんのような病気の症状である場合と、癖のような意識的な動きである場合とあり、見た目だけで区別がつく場合とつかない場合があります。専門の医師が必要と判断する場合は、ちょっと大変でも検査を受けてはっきりさせたほうが、みんさんもおっしゃっているように先に進めて安心ですね。小さいころの検査は、安全に検査を受けるために薬を飲んで眠らせたり、針を刺すような痛い検査もあるので大変です。病院といういつもと違う環境のため、警戒しているとなかなか眠れなかったり、ふだんより不機嫌になったりして、付き添いの親御さんもへとへとになることでしょう。お子さんの苦手なことなどは積極的に担当医師と相談し、検査が少しでもスムーズに受けられるよう作戦を立てられるとよいと思います。また、もう少し年齢が大きい場合は、検査の予定やどんなことをするのかなど、スケジュールや手順書などをしっかり示すことでお子さん自身が頑張れる場面も増えるかもしれません。検査入院はどうしても大変ですが、必要があるときは担当医と相談しながら頑張れるといいですね。
2022年12月15日特別支援学級?通級?特別支援学校?発達が気になる子どもの就学先に関するお悩み、みんなはどう選んでる?来年度の就学に向けて就学相談や、就学時健康診断を受けた方も多いのではないでしょうか。発達が気になる子どもの就学に関してお悩みを抱える方も多いと思います。発達ナビの人気コンテンツの一つ、Q&Aコーナーでも「ASDのあるお子さんの就学先について」の質問がありました。今回はそのQ&Aや発達障害に関する心理社会的アプローチを専門とする井上雅彦先生(鳥取大学大学院教授)からのアドバイス、就学先の種類について紹介します。Q:情緒学級がある小学校が、住んでいる地域にありません年長の息子には自閉スペクトラム症があります。軽度知的障害の診断はついておらず境界知能と言われています。保育園では、基本的なことは問題なくできるので、加配なしで過ごせています。言葉の遅れがあるので、お友達とは簡単な会話しかできず、ルールの複雑な遊びは参加できず先生と遊ぶことが多いようです。来年息子は就学を控えているのですが、進学先を悩んでいます。夫婦共にフルタイムで働いており、現在3つの候補で考えています。候補1「通常学級+通級学区内で、家から近くにある小学校」息子は指示が入りにくいところがあるので、ただボーっとしているだけになってしまうかもしれないし、お友達との関係を築くのが難しそうに感じている。また、療育の先生からも本人が不安でパニックになるのではないかと心配されている。候補2「知的障害の特別支援学級学区外で徒歩15分程度の距離にある小学校」知的の度合いに関係なく、一律で、通常学級との交流はない。教科書はなくプリントのみ。小学3年生になっても理科と社会の授業はない。候補2を選択した場合は、勉強について個別学習塾や家庭教師などで補う必要があると感じている。送迎はスクールバスの利用が可能。候補3「家から離れたところにある情緒学級のある小学校」送迎は毎日送迎サービス(移動支援)を使うか、引越すことを検討。その場合、夫婦の通勤面での心配も。また、WISCでの境界知能の結果についても、主治医から「小学2年生になる前に再度検査してみては」と言われています。そうなると通常学級へ転籍する可能性もあるかもしれません。もちろん、逆に、再検査でIQ70を下回る可能性もあると思います。今悩むよりもまずは行ってみて、トラブルが起きそうな予兆を早めに察知して、都度対処するのが最善なのでしょうか。状況が近い方の体験談など教えていただけますとありがたいです。こちらの質問には、ユーザーのみなさんのそれぞれ体験をもとにさまざまな意見が寄せられました。回答の一部をご紹介します。回答:私ならば、とりあえず候補1にするかと思います。学区内で知っている子どもたちがたくさんいる方がいいと思いますし、小学2年生になる前の検査結果や学校の様子で、また検討してみるのもよいかな、と。学校や担任がその子に合うかどうかも、入ってみないと分からないのは、経験済みですので。回答:知的障害の特別支援学級というのが、私はよく分かっていないので、リアルな情報がないのですが、自宅から通うのが現実的な候補1の「通常学級と通級」がある小学校や候補2の「知的障害の特別支援学級」のある小学校に、実際に足を運ばれて見学できるとよいですね。自分も分かっていなかったと振り返れば思うのですが、仕事と、学校や子どもの成長は違い、見通しが立ちにくく、さらに現場主義です。情報だけで判断できない難しさがあります。6年間の決断ではなく、まずは1、2年どうするかくらいで決めると気が楽かもですね。路線変更はできます。専門家からのアドバイス就学決定は基本的には地域の就学支援委員会での話し合いの結果と親御さんの意向によって決定されます。しかしお住まいの地域の教育委員会の方針や学校の状況によって進路の多様性や柔軟性は変わってくると思います。候補1の場合、「通級指導」がどのような形でなされるのか調べてみましょう。まずその地域で希望をすれば確実に通級指導教室が利用できるかどうかを確認してみましょう。地域によっては、順番待ちのところもあります。また、在籍される小学校で指導が受けられる場合もありますし、他校にそのときだけ行って授業を受ける他校通級という形もあります。東京都などのように「特別支援教室」といって外部から先生が学校に来てもらえるところもあります。候補2の「知的障害特別支援学級」の場合は、基本的にはカリキュラムとして通常の教科書通り進めるのではなく、そのお子さんの学力に合わせた教材を使って指導することになります。ご質問に書かれているように在籍する知的発達のさまざまなレベルのお子さんに対して、まったく同じ教材を使って一律の指導が「全ての授業」についてなされるわけではないと思います。また、通常学級との交流を行わないことが基本になっているというのは、あまり聞いたことがありません。実際に授業を見て、先生方の話を聞いて、情報を集めてみるとよいかと思います。候補3の「情緒障害特別支援学級」の場合、質問者様の状況では親御さんの送り迎えが必要であったり、引越しが必要であるとのこと、きょうだいがおられる場合や、お仕事や経済的なご負担なども考えていく必要があるかと思います。この場合も実際に学校を見学され、クラスを見せてもらうことをおすすめします。同じクラスの生徒さんの様子も、自分のお子さんとの相性も考えながら観察されるとよいと思います。いずれの選択肢の場合も言えることですが、情報収集をする場合、実際にその学校に足を運び、クラスを見せてもらうことは重要です。そして校長先生や担任の先生とお話しすることも大切です。ただし、先生方は、転勤される可能性もあります。就学時におられるかどうかそれとなく聞いてみるとよいかもしれません。また地域の親の会や、ペアレントメンターなどに相談すると親の視点からのアドバイスや体験も聞かせてもらえるかもしれません。就学決定は、親としては、子どもの進路について決断を迫られる大きなイベントであり、悩みであると思います。そんな中でも周囲の情報や実際に親御さんの目から見て、よりベターな選択肢を選んでいただければと思います。6年間の中で選びなおしもできますので、毎年の見直しのための支援会議をお願いしてもよいかと思います。Upload By 専門家インタビュー障害のある子どもの就学先とは?通常学級・通級・特別支援学級・特別支援学校はそれぞれどんなところ?知的障害、発達障害がある子どもの就学先の選択肢には、通常学級、通級(通級指導教室)、特別支援学級、特別支援学校があります。通常学級は、定型発達の子どもたちと一緒に教育を受けていく学級です。通常学級でも合理的配慮を求めることはできます。通級とは、通級指導教室とも呼ばれ、通常学級に在籍しながら別教室で、その子に合った個別の指導を受けられる学級です。発達障害や言語障害の特性による学習上または生活上の困難の改善に向けた指導を受けることができます。主に各教科の学習や給食は通常学級で受け、通級の時間だけ移動して指導を受けます。通級が設置されていない学校に在籍し、通級を利用する場合は、その指導時間に学校間移動をする必要があります。※東京都など一部の地域では、発達障害のある児童・生徒が在籍校で通級と同様の指導を受けることができるよう、公立小・中学校に「特別支援教室」というような名称で少人数のクラスが設置されています。特別支援教室|東京都教育委員会知的障害や情緒障害などいくつかの種別があります。特別支援学級の上限定員は8人と定められています。少人数教育で、障害のある子ども一人ひとりのニーズに合わせた教育が受けられるようになっています。特別支援学級では、必要に応じて、各教科の目標・内容を、その子どもの課題や獲得スキル状況に適したものに変更・調整したり、個別の学習支援・生活支援を受けることができます。また、「交流及び共同学習」という位置づけで、一部の授業や、給食や昼休みの時間、学校行事などに通常学級の子どもたちと一緒に参加する機会も設けられます。知的障害特別支援学校などいくつかの校種があります。障害のある子どもが通う学校です。特別支援学校の支援対象となる障害の程度は以下のリンクの通りです。これは学校教育法によって定められているものです。障害のある児童生徒の 就学先決定について|文部科学省子どもの障害の程度が特別支援学校の就学基準に該当していても、就学先が特別支援学校に限られることはなく、そのほかの進学先も検討することができます。1クラス当たりの人数は平均で3人と少人数であり、より手厚いサポートのもと教育を受けることができます。特別支援学校の教員は、小学校・中学校・高等学校又は幼稚園の教員免許のほかに、特別支援学校の教員免許を取得することが原則となっています。障害のある子どもの就学先はどのように決定するの?障害のある子どもの就学先はどのように決定するのでしょうか。文部科学省では以下のように回答しています。障害のある子供の教育に当たっては、その障害の状態等に応じて、可能性を最大限に発揮させ、将来の自立や社会参加のために必要な力を培うという視点に立って、一人一人の教育的ニーズに応じた指導を行うことが必要です。障害のある子供の就学先については、本人・保護者の意見を可能な限り尊重し、教育的ニーズと必要な支援について合意形成を行うことを原則とし、障害の状態や必要となる支援の内容、教育学等の専門的見地といった総合的な観点を踏まえて市町村教育委員会が決定することとなっています。引用:5.障害のある子供の就学先決定について|文部科学省就学先の決定には、本人の意思や、保護者の意見、それぞれの家庭の状況なども加味し、総合的に判断することが必要になります。一人ひとりに合った選択をすることが大切です。Q&Aにぜひ投稿してください!発達ナビはみんなでつくるポータルサイトです。一人ひとりの質問や回答が誰かの支えになっています。参考になる質問や回答を投稿してくださるユーザーの方々いつもありがとうございます!「ぜひ参考にしたい!」というユーザーの方々の声も多いことから話題の投稿などをご紹介し、専門家の先生にもコメントいただければと思っています。子育てに関する疑問や知りたいこと、身近な人には相談しにくいこともあるかもしれません。そんな質問をぜひ発達ナビのQ&Aに投稿してみてください!
2022年12月15日ことばの教室に行くことになったきっかけしのくんは、2歳7ヶ月をすぎても2語文が出ていなかったので、小児科の先生にことばの教室を紹介していただきました。どんなところか想像がつかずドキドキしながら連れていったのを覚えています。Upload By keiko初めてのことばの教室に行ってみると、9畳くらいの部屋に、椅子と机が置いてありました。しのくんが通うことになったクラスは、先生がマンツーマンで対応してくれるところでした。Upload By keiko先生との時間は驚きの連続!まず、先生の声が大きくてビックリしました。ただ声が大きいだけではありません。ゆっくり、しのくんに分かりやすく意識して声を出しているんです。私はそれを見てハッとさせられました。それまで私は、しのくんに対して大きな声でゆっくり話しかけていなかったから…。しのくんのペースに合わせて分かりやすく話すことの大切さを気づかせていただきました。また、『先生がシャボン玉を吹いて、しのくんがそれを壊す』という活動をしたのですが…しのくんが家族以外の人と、こんなに楽しそうに、「イェイイェイイェイ!」と声をあげながら、夢中でシャボン玉を次々に壊しているのを見て衝撃を受けました。そしてもう一つ驚いたことが…!先生は次にシャボン玉を吹く前に、指を1の形にして「もう一回する?」としのくんに聞いてから、シャボン玉を吹いていました。そして、それを3回くらい繰り返しました。それから先生は「もう一回する?」と聞いて、しのくんの反応を待っていました。すると、しのくんも指を1の形にして、「やりたい」という意識表示をしたのです!Upload By keiko当時のしのくんは、2語文はもちろんのこと、単語もあまり発することがなく、コミュニケーションが思うようにとれていませんでした。私はどうすれば良いのか分からず、絶望的な気持ちで毎日を過ごしていましたが、先生のおかげで、しのくんと話すときのコツが分かり、ことばの教室に通うのが希望の光になっていました。しのくんと初めて会ったときから、先生は私よりしのくんを分かっている感じがして「凄すぎる…!」と思いました。Upload By keiko今もことばの教室に通うしのくんと、大きく変わった私の心境4歳8ヶ月になったしのくんですが、今も月に一度ことばの教室に通い続けています。通い始めたときから思っていますが、毎回驚きの連続です(笑)。そして、私には見えない何かが先生には見えているようで、私には分からないしのくんの行動理由を明確に教えてもらって、次の行動目標なども教えてもらっています。なので、ことばの教室に通い始める前は、ネットの検索魔になっていましたが、今は先生に聞けば解決したり、こういうときはこうすれば良いというのを教えていただけるので、不安からネット検索を繰り返すこともなくなり、私の心も落ち着いています。本当に心の底からことばの教室に通って良かったし、先生に出会えて良かったと思っています。これからも、いろんな人に支えてもらいながら、しのくんと一緒に私も成長していきたいと思います。執筆/keiko(監修:新美先生より)自治体の幼児向けのことばの教室でしょうか。良い先生に会えて、お子さんのことをより理解して関われるようになったというエピソードをご紹介いただきましてありがとうございます。ことばのことで心配があるときに、ことばの面だけでアプローチするのではなく、行動面全体からお子さんの特性を理解して、ことばだけでない関わり方全般の工夫をすることで、結果的にことばの面も伸びてくることもあります。インターネットはさまざまな情報があふれていて、自分の子どもにあった情報を取捨選択することが難しくかえって不安になってしまうことがあります。実際にお子さんをみて、お子さんの行動をみて、お子さんに合ったアプローチの仕方を一緒に考えてくれる専門家に出会えると、親子共に安心ですね。自治体に幼児向けのことばの教室はないところもありますし、希望しても必ず受けられるわけではないかもしれませんが、気になる方は自治体の相談窓口で一度相談してみると良いかもしれません。
2022年12月13日なぜか診察では無口になるコウですUpload By 丸山さとこコウは小学4年生から中学1年生の今までADHD治療薬を服用しています。そのため定期的に発達外来のある病院へ通っているのですが、診察中はほぼ口を開きません。先生から質問されても、「ハイ」とうなずくか「う~ん…」と首を傾げるかで反応が薄いコウです。私が「最近〇〇って言ってたね」と話題を振ってもコクコクとうなずくばかりで、先生が促しても詳細を話すことはありません。それなのに、毎回診察室を出た途端に「今日さ~」「僕は…」とペラペラ話し出すのだから不思議です。なぜ診察室では話さないのかコウに聞くと、本人にもよく分からないとのこと。緊張しているわけでもないらしく、確かに私から見ても特に緊張したり固まったりしている様子はありません。発達外来の医師は威圧感もなく話しやすい相手のように思いますし、コウも先生への印象は良いようです。全く話さないというわけではなく、時折うなずいたりして相づちを打つ姿は見られます。また、コウは「家庭以外の場や家族以外の相手に緊張する」ということは特にないと言います。Upload By 丸山さとこ実際に公開授業や運動会などの学校行事でコウの様子を見ると、クラスメイトと話したり授業中に発言したりしていることも多く、多少は気を張っているものの彼なりに楽しんで過ごしているようです。このように『診察室で医師と会話できない状態』の理由は今一つ分かりませんが、コウも5年後には成人して1人で診察を受けるようになるだろうと考えると少し気になります。いずれはコウも1人で診察を受けるのだな、と考えると…今は私が診察に同伴していますが、将来を考えたとき1人で医師の問診に答えられないのは困りそうです。先日スクールカウンセリングにて相談する機会があったため、「今すぐ困ることではないのですが…」と伺ってみました。先生は「もしかしたら、診察では『最近どうですか?』などのオープンクエスチョンが多くてコウ君にとっては難しいのかもしれませんね」と推察してくださり、私は「それは確かにあるかもしれない」と納得しました。Upload By 丸山さとこまた、コウは『頭の中にあることをサッと言葉にすること』や『自分の内面を説明すること』が苦手な傾向もあります。知識を述べることや、既にストーリーとして自分の中でまとまっている文章を話すときはスムーズな彼ですが、「どうしてですか?」「どう思いましたか?」などの質問も多い診察中の会話は、彼にとっては難易度が高い会話なのかもしれません。最近コウの生活は比較的落ち着いており、本人の自覚としては大きな問題はありません。そのため、「調子はどう?」と聞かれて「いいです」と答える大雑把な応答でも困ることはありませんが、今後再びトラブルや不調などの困りごとが起きるときもあるかもしれません。『病院の問診で聞かれやすいこと』をあらかじめ紙に書き出しておいたり、その場で答えられなくても次回までに考えておいたりするなど、彼なりの方法で診察を受けられるように練習していきたいなと思いました。Upload By 丸山さとこ執筆/丸山さとこ(監修:鈴木先生より)ASDの患者さんは抽象的な表現の理解が苦手なため具体的に聞く必要があります。「最近どう?」よりも「学校はどう?」、それよりも「学校の授業はどう?」、それよりも「学校の英語の授業はどう?」とより具体的に尋ねた方が分かりやすいのです。主治医も行間が読めるかどうかを確認するためわざと省略して尋ねることもあります。親御さんと一緒だと話しづらいという場合もあるので、私の外来では親子別々に入れて診察するようにしています。そうすることで親に気遣うことなく話せることがあります。そういう患者さんは、親と一緒のときに親の顔を確認したり気遣ったりして話しています。また、ASDの並存疾患の一つに場面緘黙があります。家では普通にしゃべっているのに、玄関を出た瞬間あるいは目的地に到着した瞬間にしゃべらなくなることがあります。相手と話す不安が多い場合にはSSRIなどの抗不安薬で対処する方法もあります。
2022年12月12日本が読めるってどういうこと?文字が読めることと、本を読めることは似ているようで少し違うと思います。幼い子どもにひらがなを教え、絵本を拾い読みするようになっても、本当の意味では実は「本を読める」ようにはなったとは言えないのではないか、と思います。例えば、次の英語の歌を歌うにはどうしたらよいでしょうか。To the place, I belongWest Virginia, mountain mamaTake me home, country roads(「カントリー・ロード」より)これを子どもに読ませようとアルファベット26文字を教えても、この文章を読むことはできないでしょう。英語で書かれた本を読むとき、アルファベット一文字一文字を知っていても、「home」「road」など言葉として単語が頭に入っていなければ声に出すことさえできないからです。では、日本語の場合はどうでしょう。む・か・し・む・か・し・あ・る・と・こ・ろ・に・お・じ・い・さ・ん・と・お・ばあ・さ・ん・が・す・ん・で・い・ま・し・た。あ・る・ひ・お・じ・い・さ・ん・が・や・ま・で・し・ば・か・り・を・し・て・い・る・と・・・・・・・・・・・・・・ひらがな46文字を覚えていればこの文章を「読む」ことはできるでしょう。でも、“音を拾って声に出しているだけ”かもしれません。たどたどしく音読はできても、意味内容までは分からず、「ママ読んで」となることもあります。この状態を“拾い読み”といいます。読めてはいるけれど、文章の内容理解にまで至っていない状態です。算数の文章題が苦手な小学生の中には、文章を読むことが苦手なために、内容をきちんと理解できておらず式を立てられない子どももいます。先生に声を出して読んでもらったら立式できても、自分だけで読もうとすると何を問われているのか分からなくなってしまうのです。ひらがなは、文字と音とが一文字1音、1対1で対応しているため、どんなに難しい内容のものでも、ひらがなで書かれてさえいれば、とりあえず音を拾って声に出すことはできできます。ですが、内容を理解して文章を読めているかというと、そうではないこともあるからです。言葉として教えようでは、どうすれば書かれている内容をきちんと理解できるようになるのでしょうか。私は幼児教室で子どもたちに教えていたことがあります。そのときには、次のようにひらがなを教えていました。“あ・い・う・え・お・か... ... ”とバラバラに教えるのではなく「あひる」「あめ」といった言葉として教えるのです。それによって、文章を見たとき、「あ・ひ・る」と一文字一文字バラバラで目に飛び込んではこないので、「あひる」と読むことができます。つまり、英語の「orange」「apple」のように、ひらがなも「みかん」「りんご」と言葉で教えていけばいいのです。でも、ひらがなって形が似ていて読み分けしにくいですよね。「おじいさん」「おばあさん」「おにいさん」「おねえさん」どれもこれも形が似ていて判別が難しいです。また、ひらがなでは意味がはっきり分からないことがあります。例えば、桃太郎の昔話にでてくる「おじいさんは、やまへしばかりにいきました」という文章。”しば“というと”芝生(しばふ)“をイメージしてしまう子どももいるかもしれませんが、正しくは”柴刈り“の”柴“です。また、”あめ“と言われても”飴“なのか”雨“なのかパッと意味が分からないこともあります。漢字って実は分かりやすい!?Upload By 立石美津子さて、次の4種類の文字、どれが子どもにとってやさしくてどれが難しいでしょうか。「あ」・「中」・「虫」・「蟻」2歳の文字をまだ読めない子どもたちを集めて試したことがあります。すると、一人の例外もなく、「蟻」の漢字を先に覚えました。「ひらがな」は表音文字、つまり一字一字音を表すだけで意味そのものを表していない単なる記号。「あ」と見せられても色もなければ形もない、何か具体的に頭に浮かぶものではありません。だから、覚えにくいのです。これに対して漢字は表意文字、意味のある文字です。「蟻」と見ると、子どもは頭の中に実物のあの黒くて小さい「蟻」を想像し簡単に覚えてしまいます。同じ漢字でも「中」はどうでしょう。画数は少ないので小学1年生で習いますが「コップの中」「部屋の中」とつかみどころがありません。小学校1年生で習う「上」「下」「左」「右」などの抽象的な概念を表す漢字は実は覚えにくいのです。「虫」は「中」よりはイメージが湧きますが、「虫」という名前の虫は存在しません。「蝉」とか「蜘蛛」とか「蝶」とそれぞれ名前がついています。だから「虫」の文字を見ても「蟻」のようにパッとイメージしづらいのです。というわけで、イメージがしやすい「蟻」の漢字のほうが覚えやすかったというわけなのです。書くことと読むこと書くことと読むことをごっちゃにしてしまうと「漢字は難しい」となってしまうかもしれません。たしかに漢字は書くのは難しいかもしれませんが、読むという面から見ると複雑な方が特徴があって分かりやすかったりします。具体的な意味もあり、それぞれの特徴がある漢字は印象深く残ります。私たち大人でも“薔薇、鬱、麻雀、挨拶、葡萄、推薦図書”などは、すぐには書けない人も多いと思いますませんが、読むことはできるのではないでしょうか。実際に、私が接した子どもたちは「蜜柑」「林檎」「怪獣」「救急車」「餃子」「苺」「兎」「象」「豚」「宇宙人」などの具体的な概念を表す漢字は数回見せただけで覚えてしまうことが多くありました。多くの幼稚園、保育園では、子どもの名前をひらがなで下駄箱に書いていたり、それぞれの子どものマークを決めてげた箱などに貼っている園もあります。でも、マークではなく漢字にしてみると、おそらく多くの子どもたちは自分や友達の名前の漢字を覚えてしまうのではないでしょうか。障害がある子どもへの指導で見えたこと私は長年、障害のある子どもたちの指導にも携わっていました。6歳から24歳まで指導をした知的障害がある子どもは、「蜜柑」「葡萄」「卵」「餃子」「牛乳」「焼肉」「象」「猫」「冷蔵庫」「風呂」の漢字は驚くほどよく覚えました。中華料理が好きだったのですが「冷やし中華」「餃子」「麻婆豆腐」「焼売」の漢字もあっという間に覚えてしましました。けれども、ひらがなで書かれた自分の名前はなかなか覚えることができませんでした。障害がある子どもに指導すると何がやさしくて、何が難しいのかを教えられる場面が多くあります。具体的で想像しやすい単語であれば、一見読むのが難しそうな漢字で書かれていても理解しやすいのですね。執筆/立石美津子(監修鈴木先生より)自閉スペクトラム症のあるお子さんは漢字を「図形」ととらえています。ですから書き順にこだわらず、下から上に書いてしまうことも珍しくありません。私たちがハングル文字やアラビア文字を図形のように見てしまうことと似ているかもしれません。一方、SLD(特異的学習症)のお子さんは、黒板に書いてある「ゆきだるま」の字を「ゆ・き・だ・る・ま」と一字一字見ながら書くので雪だるまそのもののイメージがつかめません。漢字で「雪達磨」と書いた方がイメージはわくかもしれません。平仮名だけだとどこで区切っていいかも分からないので「ゆき/だるま」のように教科書に斜線で区切ってあげると読みやすくなります。また、自閉スペクトラム症のある方は空気や行間を読むのが苦手です。冗談も通じにくいところもあり、文字通りに解釈してしまう傾向があります。よって、本を読んでも字面だけを追っていて深い内容の理解が乏しいことが多々あるのです。想像力の欠如も相まって「あめ」を自分の印象で勘違いすることもあります。漢字で「雨」や「飴」と書いた方がイメージはわきやすく誤解を招かずに済んでいるものと考えています。
2022年12月10日特別支援学級の見学と体験Upload By カタバミ自閉スペクトラム症と知的障害のあるまちゃが年長のころ、就学先は特別支援学校と特別支援学級、どちらがまちゃに合っているのかで迷っていました。まずは特別支援学校に見学と体験に行きました。今回は特別支援学級の見学と体験です。初めにまちゃの就学先にと私が考えた特別支援学級の条件は「1、知的障害児用のクラスがあること」と「2、歩いて通える距離なこと」と「3、まちゃが過ごしやすい雰囲気であること」でした。連絡してみるとまず保護者だけで見学のみな学校と、保護者の見学とまちゃの体験を同じ日に行う学校がありました。実際に見学してみると当たり前ですが校舎はそれぞれ造りが違っていて、下駄箱から特別支援学級の教室までが遠い学校も近い学校もあり、私はまちゃの能力を考えて下駄箱から特別支援学級の教室までが近い学校がいいと思いました。それから実際に行ってみて天気が悪い日のことを考え、なるべく短時間でも駐車できる学校がいいなと思いました。でもどの学校も住宅地にあり、大体どこも有料の駐車場に停めてもらった方がよいとのことでした。特別支援学級でのまちゃの反応Upload By カタバミいくつかの特別支援学級に体験・見学に行きましたが、まちゃは人数が極端に少ない特別支援学級では広く空いている空間で走り回りふざけてしまいました。でもいろいろな学年が一緒になって大人数で勉強していた特別支援学級では、その様子を見て何かを感じたらしく、私の隣の席で静かに座っていました。これはお子さんの特性にもよると思いますが、視覚優位のまちゃには大勢の子どもが机に向かっている環境の方が合っているのかもしれないと思いました。席に座ったまちゃが騒がないようにと私が紙と鉛筆を渡したら、まちゃは文字らしきものを絵と混ぜて書いて、私に得意そうに渡してくれました。まちゃは普段いくつかの単語をしゃべるくらいですが、私にはまちゃが「学校ってこういうことをするんでしょ?僕知ってるよ」と言っているように感じました。その様子を見た年配の先生が「じゃあこれはできるかな」とすぐに平仮名のなぞりがきのプリントを数枚持ってきてくださり、まちゃがそれを得意気に完成させると「もうまちゃくんは小学1年生になれますね」と言ってくださいました。いつも表情の少ないまちゃですが、うれしそうだなと感じました。まちゃは自分の気持ちをしゃべることがほとんどないので、小学校に対してどんな気持ちでいるのか私には全く分かりませんでしたが、私が思っているよりも張り切っているのかもしれないと思いました。こんな時期に…療育手帳の更新のための再判定Upload By カタバミまちゃにやる気があるのなら特別支援学級に入れてみようかと思い始めたころに、療育手帳の更新のために発達検査を受けることになりました(前回の療育手帳のための発達検査は3年前でした)。再検査の結果、等級は前回の軽度から中等度になりました。覚悟はしていましたが成長も感じていたのでやはりショックでした。終わってから発達検査をしてくださった臨床心理士の方と話すと、数値は低く出ましたが学ぶ意欲と姿勢があるのは本当にいいところですと褒めてくださり、特別支援学級でもいいのではないかと言っていただけました。私も発達検査の結果だけが全てではないと思っていたのでうれしかったのですが、その後短い期間で専門職の方数人とお会いすることが続き、まちゃの発達検査の数値を知るとみなさん、私の特別支援学級という選択にいったん顔を曇らせました。まちゃをよく見て、いろいろな方の話を聞いてUpload By カタバミ本当にこの時期はたくさんの方のお話を伺いました。1年ほどお世話になっていた言語聴覚士の方からは「特別支援学級ではみんな普通にしゃべっていますから苦労すると思います」と言われました。でも、少しまちゃを診た行動療法の先生からは「この子は発達検査の数字は低く出ますができることは多いタイプですから数字を気にしないことですよ」と言われ、少しまちゃを診た作業療法士の方からは「この数値なら特別支援学校です。でも挑戦させてみることは自由ですよ」と言われました。そして、いつも頼りにしていた地域の相談支援機関の方からは「入学してみて合わなかったきには学校を変えることもできます。ただ特別支援学校から特別支援学級に移動することは難しい場合もあります」と言われました。この機関が主催した、教育センターの方と複数の先輩ママ達から就学先の話を伺う会にも出席しました。熟考した結果、まちゃは「もう1年生になれますね」と言ってくださった特別支援学級に通わせてみることに決め、教育センターからもその決定を認めていただけました。実際に入学したあとで何が起こるのかは分かりません。毎日通う場所から自己を否定され続けて深刻な二次障害を起こしてしまった話も聞きますし、無理をさせて今のまちゃの穏やかさが消えてしまったら取り返しがつかないと思い心配もしていますが、たくさんいろいろな方の話を聞き、まちゃの様子もよく見て考えたので、ひとまずこの決定で悔いはないと思っています。執筆/カタバミ(監修:鈴木先生より)お子さんがどこに通うかどうかは最終的には親御さんが決めることになっています。もちろん本人の意見も大事です。療育手帳が中等度の場合、特別支援学校を選択される方が多いのは事実です。ただ、一旦、特別支援学校に通い始めると地元の特別支援学級には戻れないことが多いです。それならばまずは入学した1年間だけでも地元のお友達と一緒に勉強してみることも一つの手段です。特別支援学校は地元から離れたところにあり、バスで通学するため地元の子どもたちにまちゃさんを知ってもらえる機会がとても少なくなります。地元の子どもたちにまちゃさんが同じ地域にいるということを知ってもらうには最初の1年間だけでも地元の小学校へ通うことはよいと思います。一方で、地元の学校では教員の人数の関係で密に面倒を見られないこともあるので、環境を変えたほうがよいと感じたら早めに特別支援学校へ移る決断も必要です。社会的な教育を受けることで就職につながることも多く、実際特別支援学校は就職率がよいという面があります。
2022年12月09日STEAM教育って何?
子育て楽じゃありません
細川珠生のここなら分かる政治のコト