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私の息子は3歳半健診で、「発達障害の疑いがある」と診断されました。結果的に、その1年後の健診で「発達障害ではない」と診断されましたが、息子の幼過ぎる行動を見るたびに、発達障害と親のしつけについて考えさせられた私の体験談をお伝えします。3歳半健診で色が答えられない私の夫は外国人で、私たち家族は長い期間を国外で過ごしています。息子の周りで日本語を話すのは私だけでした。 あれは日本に帰国し、3歳半健診を受けたときのことです。「この色は何?」という質問に、息子は答えられませんでした。私は相談室に入り、医師に「息子は日本語が苦手なだけです」と話をしました。その後もさまざまなテストを受け、できることもあればできないこともありましたが、最終的には「発達障害の疑いがある。様子を見ましょう」と医師に言われてしまいました。 発達障害? 親のしつけのせい?息子はレゴブロックを組み立てたり、本の内容を覚えたりする点ではほかの子よりも優れているところもありました。そのため、息子が店で走り出したり、大声で怒り出して止まらなくなったりしても、手のかかる子だと思う程度でした。 ところが周りからは、私の息子への対応が甘過ぎる、しつけが悪いと言われることもありました。そう指摘され、息子に厳しく接することも。そのため、3歳半健診で「発達障害の疑いがある」と言われたとき、「本当に発達障害かもしれない」という思いと、「いや違う、私のしつけのせいだ」という思いから毎日悩みました。 息子の個性と親のしつけを考える 1年後の健診で、息子は「発達障害ではない」との診断を受けました。テスト結果は、同年代より優れている部分と劣っている部分の両方がありましたが、普段の生活でも、ほかの子より優れている部分と劣っている部分の差が大きい息子。以前はその劣っている部分を直そうと、厳しくしつけをしていました。 私はその視点を変えることにしました。周りからのプレッシャーもありましたが、今は息子の個性を大事にして優れている部分を伸ばそうと考えています。 息子は、いまだに幼い子のように自分の感情を強く出します。それは、のちに発達障害と診断されることになるかもしれません。でも、私には息子の優れた部分もきちんと見えています。今はその個性を大切にしたいと思っています。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 イラスト/imasaku監修/助産師REIKO著者:シュストルじゅんこ二児の母。海外で結婚し、2人の男の子を妊娠・出産。異文化を楽しみながら子育てをしている。自身の体験をもとに妊娠・出産・子育てに関する体験談を中心に執筆中。
2022年12月06日アイデンティティーとは? 私という人間を俯瞰してアイデンティティーについて辞書で調べると、以下のように定義されています。1 自己が環境や時間の変化にかかわらず、連続する同一のものであること。主体性。自己同一性。「―の喪失」2 本人にまちがいないこと。また、身分証明。引用: デジタル大辞泉 小学館アイデンティティーとは、誰かが「私はBやCではなく、間違いなくAという存在である」と言うときのAだということですね。私のアイデンティティーは長らく混乱していました。若いころには子ども時代に親や社会から背負わされた役割を自分のアイデンティティーだと誤解。一方、背負わされたものは捨てていいのだと理解したここしばらくは、代わりに何をアイデンティティーとしていいのか分からなかったのです。自分のアイデンティティーを発見するのに必要だったことここ数回のカウンセラーの先生とのセッションでは、ずっとアイデンティティーがテーマになっていたように思います。「今後、どう生きていくべきだろうか。私が人生で本当にやりたいことはなんだろうか。それがよく分からない…」トラウマ治療を専門としている先生は「複雑なトラウマのある人は自分の欲求を感じる部分が混乱していて、つい『べき』で動いてしまうことがある。コツとしては、何かをしているときの自分を想像してみて、身体感覚が楽になるか不快になるかを基準とするといい」と説明してくれました。しばらくそれをヒントに過ごして自分と向かい合ってみたあと、ある日のセッションで、私は先生に掘り下げてもらいながらこんなことを語りました。「私は、文章を書くことは得意だし、周囲から要請されるからやってきたけど、実はそれほどやりたいことではないのかもしれない」「最低限人生でやりたいことは、夫のパートナーとして共に楽しく穏やかにささやかな日々を暮らすこと」「価値観の合う人たちと人生について深い語り合いをするようなことが大好き」「私的なアイデンティティーと職業上のアイデンティティーはそれぞれ違うものなのかもしれない」これらの考えが、私が自分のアイデンティティーを見つけるうえでの大きなヒントになりました。私の私的なアイデンティティー「べき」を捨てて自分の心身にとことん素直になった私が、では自分の私的なアイデンティティーとはなんだろう? 私は私的な人生において何者だと言えるのだろう? と考えてみて、こんな答えが出てきました。・私は「夫の妻」である。・私は「父の娘」である。私は、理屈で考える場合には女性を「誰々の妻/娘」と定義づけることは好まないのですが、自分の中から出てきた素直な感覚は、夫の妻であり父の娘ということでした。これには驚きました。こうした答えには、私がいま、夫の妻であることを自ら選択し、彼の妻という生き方を楽しんでいることが現れていると思います。同時に、関係の悪化や断絶といった紆余曲折を経て、いまは父の娘として関わることを自ら選択し、彼との関係性を大事にできていることも。逆に、私が彼らと関係性を持つことを望まないのであれば、夫とは離婚し、父とも関係を断絶すればいいはず。私が、まだ存命中の母と関係を断絶し、自らを「母の娘」とは呼んでいないように。でも私は望んで夫と父との関係性を続けていっているのです。私の職業上のアイデンティティー「私の当面の職業はライターだけど、だからといって職業上のアイデンティティーをライターに置く必要もないんだな、だってアイデンティティーって自分で決めるものなんだから」というのが、職業上のアイデンティティーについて最初に考えたことでした。しばらく考えて、こんな答えが出てきました。・私の仮の姿はライター、その真の姿は「ピア支援者を目指す者」。私はまがりなりにもライターとしてのキャリアを積んできたのは事実です。心理や福祉の専門家を目指したこともあった。今後もライターとして仕事がいただければお受けするだろう。けれど、本当に仕事としてやりたい、かつ、やりがいを感じながら生涯続けていけそうなのはピア支援者だと気づいたのです。文章を通して不特定多数の人を助けることではなく、クローズドな場で私の個人的な語りを通して特定の仲間の助けとなること。それが私のやりたいことであり、かつ、できそうなことでした。アイデンティティーは自ら選んでいくもの上に挙げた私の私的アイデンティティーと職業上のアイデンティティーには共通点があります。それは、私が自ら選択したものであるということ。冒頭の引用に「主体性」とありますが、このようにして、自分が主体となって選んでいくのがヘルシーなアイデンティティーだと思うのです。中盤に出てきたカウンセラーの先生は私に「人は選択肢が与えられなかったときにトラウマを負う、逆に言えば選択肢が与えられればトラウマにはなりにくい」と教えてくれたことがあります。人生はいつもままならないものですが、そのままならない中でも自ら納得して選んでいくこと。これが私、これが私の人生、そう言えるのがアイデンティティーなのでしょう。パラレルキャリアならぬパラレルアイデンティティーでいいもう一つ重要なのが、アイデンティティーは自分の側面の数だけあってもいいということです。知人のキャリアカウンセラーが、「最近はセカンドキャリアではなくパラレルキャリアと言って、自分のキャリアパスを複数持ちながら生きていくのがよいとされている」と言っていたことがあります。これは私的アイデンティティーでも同じで、私的アイデンティティーでも職業上のアイデンティティーでも、それぞれにおいてアイデンティティーはいくつもあってよいと思います。たとえば私がもし、趣味のダンスにもっと心血を傾けているとしたなら、私的なアイデンティティーに「ダンサー」を加えることもあったかもしれません。ときどきは「べき」や常識から離れて、自分のアイデンティティーについて考えてみるのもいいかもしれませんね。文/宇樹義子(監修初川先生より)ご自身のアイデンティティーにまつわる思索のシェアをありがとうございます。自分とは何者か、それを掴むための視点の一つとして、宇樹さんのカウンセラーの方からの、自分が何かしている際の身体感覚が快か不快かといった面に注目してみること。そのようにご自身のこれまでと今を振り返られ、一つに定めすぎずにあるありようが、しっくり来た、というところのように感じました。カウンセラーの先生の言葉として紹介されていたように、自分が選択肢を持ち選ぶことができること(どんな小さなことでも自ら「選ぶ」ことができるとそれは自分自身で決めたことになるので、納得度合いが深まり、振り回され度がさがりますね)、そして、「こんな自分もあり、あんな自分もあり」と自分で納得できるならば、ご自身のありようとして統合されているといえます。自らの行為(好きなこと・仕事など)に限らず、人間関係でも「自分はこの人といると心地よいのだ」と感じることができればそれは宇樹さんのいうところの「ヘルシーな」ありようなのだと感じます。読者の方の中には、お子さんの子育てで慌ただしく過ごされ、翻弄されているように感じる方もいらっしゃると思います。自分って…というテーマと出合うことも、時には大事ですし、そうして振り返ることで今の自分のありようをどう捉えるかが変わってくる面もあります。一人で悶々と考えるとつらくなりやすいテーマでもありますので、よき相談相手を見つけ(心理専門職などそうしたテーマに長けた人もいます)、話し合ってみることをおすすめします。
2022年12月05日特別支援学級か通常学級かUpload By まゆん小学6年生の半ば過ぎ。中学校のクラス選択について、小学校の特別支援学級の先生と話をした。特別支援学級か通常学級か。先生と私の間では太郎の状況の共有がされていた。そして先生が見る太郎と私が見る太郎への見解に差がなかった。先生と私の間では既に一択だった。「中学生になっても特別支援学級」あとは本人の意志の確認のみだった。小学生になる前とは違い、私の中で迷いはなかった。あのときはいろいろなものと葛藤していた。先生からの情報では、太郎が進学する中学校の場合、小学校と違いほぼ通常学級で授業を受けることになると聞いた(※)。私はすごく不安だった。先生も「不安ですよね?私も不安で…中学校に一緒について行きたい気持ちです…」そこまで言ってくださった。中学校では教科毎に先生が違うため、どうしても個別での授業は厳しくなるとのことだった。授業についていけず放心状態になる太郎や、緘黙になる太郎が浮かんできた。それを思うとやはり、心理的なサポートの意味でも特別支援学級が太郎にも私にも良いのではと思った。行き詰まったときの逃げ道を確保したいと思った。(※)地域によって異なりますUpload By まゆん小学6年の太郎に聞いた。中学生になったら特別支援学級と通常学級どっちがいいかと。もちろん内容も説明した。本人が理解したのかもわからないが太郎はこう言った。「わからない」Upload By まゆんそうだよな、わからないよな。形としてそれが目の前にあるわけでもないし、漠然とした未来の説明されてもなぁと私は太郎の言葉を聞いて思った。Upload By まゆん小学校から中学校へと環境が変わるし、とりあえずは特別支援学級を選択して様子を見ようと考えた。時間が経過して太郎が通常学級だけがいいと言うのであればその道も考えよう。そういう考えにまとまった。小学校の入学準備を行っていたのは、太郎の特性がまだグレーと言われているときでした。そして太郎の意思の確認も難しく、私の意志で決めなければならないことから、かなりのプレッシャーを感じていました。ところが今回、中学校へ進む前はそのプレッシャーがほぼありませんでした。太郎の特性を先生も私も理解できており、私の特別支援学級に対するネガティブなイメージも少なくなっていたからだと思います。あとは太郎本人の意思の確認をできるようになったことも大きな違いだと考えます。答えは曖昧でしたが、何も間違えてない答えだと素直に思いました。「わからない」…誰も未来のことなんてわからないですよね。執筆/まゆん(監修:初川先生)中学進学にあたって、通常学級か特別支援学級かという迷い・悩みのエピソードをありがとうございます。同じように悩んでいらっしゃる保護者の方も多いのではと思います。通常学級では、中学から教科担任制、そして1コマ50分の授業となるのが小学校との大きな違いですね。教科ごとに折々に課題が出たり、定期試験前後にドリルやノートの提出があったり、学校として提出物一覧をつくってくださるところも多くありますが、とはいえ、自分で課題や学習のスケジュールを意識しておく必要はあります。小学校までだと宿題は翌日に出すものと思い込んでいるお子さんも多いですが、中学以降はなかなかの量の課題をしばらく後に提出するタイプの宿題も出されるため、宿題は前日にやればよいと思っているお子さんは苦労することもあります。こうしたことは「中1ギャップ」と言われることもありますが、小学校と中学校のそもそもの構造的な違いは結構あるというのが私の印象です。太郎くんは進路選択について「わからない」と答えたとのこと。その通りだと思います。お子さん本人からしたら、まだ見ぬ中学校生活、何をどう選択していいかも難しいですね。中学校の学校公開が開催されていたら、授業参観に行くのも1つです。また、就学相談を通して、中学校の特別支援学級の見学・体験に行ける場合も自治体によってはあるかもしれません。中学校の様子を知る機会がある場合には足を運んでみるのもいいでしょう。
2022年12月03日ママ友から相談された、抑揚のない話し方自閉スペクトラム症と知的障害がある息子を育てていると、同じように自閉スペクトラム症がある子どもを育てている親御さんたちから相談されることがあります。昔からの友人に、自閉スペクトラム症の診断を受けている女の子がいます。3歳当時、言葉はたくさん出ていましたが、独り言の一方通行の言葉ばかりでした。友人は「抑揚のない感情を感じられない一本調子の話し方は、どうすればなおるもの?」と聞いてきました。私は医師でも専門家でもないのでためらいましたが、21年間自閉スペクトラム症のある息子を育ててきた経験から次のように答えました。「コミュニケーションをとりたい、人と関わりたいと思うようにならない限り、抑揚をつけて話すようにはならないと思う。人は『相手にこうしてほしい』という働きかけをしたいという動機があって言葉が出たり、声を大きくしたり、強弱や抑揚をつけたりするものだと思うんだ。だから、独り言の状態にいる限り、抑揚をつける必要もないから一本調子のまんまなんじゃないかな」親の価値観は子どもとは違うかもしれないから私の答えを受けて、友人はこう言いました。「じゃあ、友達をたくさん作って遊ばせたらいいんだ。友達と遊ぶと楽しいから、話し方も変わるかもしれないよね」私は「それは親の価値観であって、子どもが楽しいと感じて、しゃべり方まで変わるかどうかは分からないよ。友達と遊ぶことがストレスになり、1人で遊んでいるのが楽しいことなのであれば、それを潰さないほうがいいんじゃないかな。まだ3歳なんだからこれから経験を重ねていくうちに、自然と育ってくるからそのとき抑揚がでてくるかもしれないし…。」また、加えて次のように話をしました。「その時の言葉がたとえ『触っちゃダメ!』とか『嫌!』といった、拒否する言葉であっても、自分の気持ちをしっかり伝えている言葉であるなら、立派なコミュニケーション。それでよしとすればいいんじゃないかなとも思う」と伝えました。友人とは信頼関係もあるので、ここまで言うことができました。息子の初めてのコミュニケーションUpload By 立石美津子息子は5歳になるころまで、言葉を話しませんでした。発語するようになっても、スーパーではリンゴの棚の前で「ジョナゴールド・津軽・紅玉・シナノゴールド・秋映・王林…」と覚えている品種を順に言うばかり。けれども、「ママ、このリンゴ美味しそうだね。買って~買って~」と言うことはありませんでした。21歳になった息子は、会話はできるようにはなりましたが、相手に共感を求めるこういった言葉は今も言うことはありません。そんな息子でしたが、初めての言葉らしい言葉は5歳のとき、デパートの讃岐うどんのお店に連れて行ったときのこと。息子が食べていたうどんの器には、あと1本だけ、うどんが残っていました。その器を、店員が「お下げいたします」と持って行こうとした瞬間、店員に向かって「まだ食べる!」と大きな声で叫んだのです。自分の意思をはっきりと示し、まっすぐと相手に届く言葉でした。オウム返しはコミュニケーションではない?息子が特別支援学校高等部のころ、自閉スペクトラム症があるクラスメートの親御さんとお子さんと一緒に動物園に行きました。するとそのお友達は、パンダの檻の前で「友達の眼鏡をとってはいけません」「友達の眼鏡をとってはいけません」「友達の眼鏡をとってはいけません」と、授業中に担任から注意された言葉をずっと唱え続けました。なぜずっと先生の言葉をオウム返ししているの?なぜ以前言われた言葉を、動物園という状況で言うの?なぜずっと繰り返し唱えるの?「これはコミュニケーションではない。聞いた言葉をただ繰り返しているだけ」と親御さんは悲しそうに言いました。確かにそうだったのかもしれませんが、もしかしたら、一緒に動物園に来たクラスメートと並んでパンダを見ながら先生に言われた場面を思い出し、「お母さん聞いて、先生が『友達の眼鏡をとってはいけません』と言っていたよ」と伝えたかったのかもしれません。息子やほかの自閉スペクトラム症のある子どもたちのことを知れば知るほど、「抑揚とか声の大きさまで含めた会話を要求したり、期待したりすることは難しいのかな…」「そもそもそうした話し方を期待すること自体、親のエゴなのかな」と思うのです。執筆/立石美津子(監修鈴木先生より)言葉を発せなくとも、お子さんが「あー」とか「いー」とか何か声を出したら、それに反応するように親御さんも「あー」とか「いー」と言うように心がけてみてくださいと、健診の時にお伝えしていました。難聴がなければ母音は認識しているからです。新生児期でも名前で呼んであげることが大切です。例えば、「なおちゃん」と呼ぶと最初の「な:NA」の母音である「A」の音に反応することが分かっています。自閉スペクトラム症のオウム返しは聞いたことを確認する行為とも言われています。「私はこう聞いたけどそれでいいですか」という確認を繰り返し行っているともとらえられます。食べたいときに「まだ食べる」と言えたことは、どこかでそういうシチュエーションがあって記憶されていたのかもしれませんね。いろいろな場所へ連れて行っていろいろな経験をさせることが重要なのです。
2022年12月01日学習のつまずきは小学校低学年から私は児童精神科医として、これまでさまざまな自治体で、教育相談や学校コンサルテーション(教育現場での問題を解決する支援)を行ってきました。小・中学校で出会うお子さんたちの相談内容は、「文章が読めない」「漢字が覚えられない」「計算が苦手」「集中力が続かない」など、発達や学習の遅れに関するものが多く、話をうかがうと、だいたい小学校の低学年から、学習面でのつまずきが始まっています。認知機能の働きが弱いという可能性そういうお子さんは、認知機能の働きのどこかに弱さをもっている可能性もあります。学力を向上させたいからといって、いくら計算ドリルや漢字ドリルをやらせても、なかなか効果が出ないことも少なくありません。学習の土台がしっかりしていないところに、教科学習を積み上げていっても定着はしづらい可能性があるのです。認知機能とは、注意、記憶、言語理解、知覚、推論・判断といったいくつかの要素が含まれた「知的機能」を指します。いわば、下の図のように「学習の土台」なのです。Upload By 宮口幸治「点つなぎ」の課題と漢字を覚えることの困難さここでは、認知機能の弱さをもっていることによる困り事例や、認知機能は強化できるという事例を挙げていきます。下の図は、小学1年生後半のお子さんが書いた「点つなぎ」の課題です。点つなぎは、視覚認知の基礎力をトレーニングするもので、見本のように、点を結んで同じ絵を再現してもらいます。Upload By 宮口幸治このお子さんは、ひらがなの読み書きが不十分で、文章が読めない、漢字もほとんど読み書きできないと、担任の先生から報告されていました。点つなぎの段階で形を模写できていないと、漢字などは点々のガイドがなく、複雑な形をしているので、覚えるのも苦労しそうだと推察できます。Upload By 宮口幸治次に、認知機能を強化するトレーニング「コグトレ」を行った前後の変化を示す例を紹介します。コグトレとは、「認知○○トレーニング(Cognitive 〇〇 Training)」の略称です。学校の勉強についていくのがしんどいと訴える中学生が、下の絵のような自画像を描きました。そのお子さんは、小学生のころから黒板をノートに書き写すことや漢字を覚えることに苦手意識をもっていました。コグトレ後は、形を覚えて模写する力が身についたのでしょう。4ヶ月のコグトレの成果で、立体図はかなり正確に写せるようになり、自画像の表現力も増し、学習面では漢字の読み書きが上達しました。Upload By 宮口幸治Upload By 宮口幸治図形の模写から知る、発達の目安ここでは、図形の模写から、お子さんの発達の程度に目安をつける簡単な方法をお伝えします。立体図や蜂の巣は、8~9歳くらい、ひし形は7~8歳くらい、三角形は5~6歳くらい、正方形は4~5歳くらいまでに描けることが、ひとつの目安です。これらの図形が、該当する年齢を超えても描けないことが明らかであれば、そのときは念のため、発達専門外来や教育センターなどでご相談されることをお勧めします。Upload By 宮口幸治トレーニングで認知機能を強化する仮に今は、立体図の模写がうまくできなくても、認知機能を強化するトレーニング次第では、かなり正確に写せるようになる可能性はあります。「写す」力が弱いなら写す練習をしたほうがいいですし、「数える」力が弱いなら注意して数える練習をしたほうがいい…。その結果、黒板を書き写せるようになる、漢字を書けるようになる、数え間違いや計算ミスが少なくなる、という効果に結びつく可能性があるなら、今、できることを少しでもしてあげたいのでないでしょうか。Upload By 宮口幸治「学習の土台」をサポートする『コグトレ』漢字が覚えられない、計算が苦手というお子さんに必要なのは、学力以前の「学習の土台」づくりです。体育の跳び箱やさか上がりにたとえるなら、それ以前に、まずは体力づくりが大事ということです。体育でいう基礎体力に相当する「学習の土台」をサポートするために考案したのが『コグトレ』です。これは、注意して見る力・聞く力、想像する力(認知機能)を鍛えていくトレーニングです。『コグトレ』は、鉛筆と消しゴムがあれば、すぐに始められるトレーニングなので、「学習の土台」のサポートとして、よかったらお試しください。
2022年12月01日焦るきっかけは「放課後デイは5年待ち」Upload By まる先月のコラムで書いた通り、現在通いたいと思っている個別療育はどこもいっぱいで空きがない状態。その中で放課後等デイサービス(以下、放課後デイ)もやっている施設に「現在放課後デイは5年待ちです」と言われたところで私の不安は強くなった。これはのんびりしていたら放課後デイに入れなくて働けなくなるのでは…!わが家はひとり親。働けないと生活ができなくなってしまうので死活問題だ。ただ急に焦ったところで今からどう動けばいいのか全く分からない。そこで年少の夏ごろに久しぶりに支援センターの担当の方と面談をしてもらうことにした。支援センターでの面談Upload By まる担当の方には約1年ぶりに会う。滑舌が悪いながらもいろいろと発語が出るようになった息子を見て「大きくなったしすごく言葉も増えてますね!!」と褒められうれしかった。今回面談をしてもらったきっかけを話すと、すぐに地域の放課後デイの資料を持ってきてくれた。資料には施設の場所、預かりの時間、送迎バスがあるかどうかなどが細かく書かれている。仕事もあるので預かり時間と小学校から施設への送迎があるかどうかはすごく重要になってくるので、これを見ていくつか候補を絞ることにした。放課後デイは基本的に児童発達支援と同じように、利用を希望する施設に直接連絡を取り、空きがあれば利用できる。(※)現在年少の息子と今から放課後デイの見学に行くのはどうなのか相談したところ、「まだちょっと早いですね。年中の秋くらいから始めれば大丈夫ですよ」と言われて肩の力が少し抜けた。※児童発達支援や放課後等デイサービスなどの「障害児通所支援」のご利用にあたっては、お住まいの自治体から交付される「通所受給者証」が必要です。また、1ヶ月あたりの利用日数(支給量)は自治体が決定し、その範囲内で利用することになります。詳しくはお住まいの自治体にご確認ください。そのほかの就学に関する相談もUpload By まる放課後デイの資料は家でゆっくり見ることにして、せっかく面談をしていただいたので今後の相談もさせてもらうことにした。特別支援学級と特別支援学校の違いについてや、私の住む地域では、就学相談、計画相談というものがあること、それらがいつごろあるかなどだ。まだあと2年以上もあるので現状では特別支援学級と特別支援学校どちらに通うことになるかはまだ分からない。ざっくりしたイメージとしては自分の身の回りのことがある程度できるなら(着替えやトイレなど)特別支援学級、それが難しければ特別支援学校になるのかなと感じた(※)。また、特別支援学級の見学は個別で行けるが特別支援学校見学は公開日が決まってからでないと行けないことなども教えてもらえたのでその辺りも今後忘れずに動いていかないといけない(見学についてはお住まいの地域や学校によります)。※ 障害のある子どもの就学先については、本人・保護者の意見を可能な限り尊重し、教育的ニーズと必要な支援について合意形成を行うことを原則とし、障害の状態や必要となる支援の内容、教育学等の専門的見地といった総合的な観点を踏まえて市町村教育委員会が決定することとなっています。文部科学省障害のある児童生徒の就学先決定について就学後、フルタイム勤務は続けられる?Upload By まる帰宅後ゆっくりと放課後デイの資料に目を通していた。私のパート先は現在8:30から17:30の勤務だ。しかし大体どこの施設も遅くて17:00までか17:30までの預かり時間となっていた。18:00まで預かりをしてくれる施設はほんの1、2件しかなく、保育園とは全く違うんだなと感じた。今も加配の保育士をつけてもらいながら長時間保育をしてもらっていることが珍しいことは分かっているので、保育園には感謝してもしきれない。息子が就学したら、朝の登校時刻を考えると、8:30の業務開始時間には間に合わないだろう。給与のことを考えるとできることなら長時間働きたいが、短時間勤務にするしかないのだろうか、と考えている。執筆/まる(監修:井上先生より)地域によって、児童発達支援や放課後等デイサービスの状況、特別支援学校や特別支援学級の状況は異なるので、早くから仕組みを知っておくことは大事ですが、さまざまな情報を集めていく中で逆に不安になってくることもあるかと思います。しかし、これらの情報収集の過程で知り合った支援者の人たちは、子どもとお母さまの「応援団」になってくださる方であろうと思います。お住いの地域にペアレントメンター(発達障害の子どもを育てた経験のある親御さん)さんがいらっしゃれば、その体験や情報提供を受けることがヒントになる場合もあります。放課後児童クラブへのインクルーシブが進んでいる地域もあります。幼児期は発達の変化も大きいので、子どもさんの発達のペースを見守りながら、時間をかけて考えていっていただければと思います。
2022年11月30日暴れるのを変えられないなら…と発想を変えた病院受診Upload By ぼさ子わが家の息子ほぺろうは知的障害(知的発達症)と自閉スペクトラム症があります。多くのお子さんは病院が苦手というのが相場ですが、「理解できない・受診拒否・泣き暴れ…」など ほぺろうの病院での困りごとは、ほかのお子さんの比ではありませんでした。ただでさえ、受診前はわが子の症状が心配で気持ちの余裕をなくしています。さらに、病院に連れて行くたびに「ほかの患者さんへの迷惑」「ほぺろうより小さな子の方が大人しくしている」などの状況に私のメンタルは削られ、ネガティブになり過ぎてしまい、ほぺろうがうるさくて別室で待機するように案内される気遣いさえも胸が苦しくなっていました。でも どう頑張ってもほぺろうの泣き暴れを抑えるのは難しかったので、やがて「いかにスムーズに受診を終えるか」という考え方に変わっていき、工夫するようになりました。予約・予告・問診票Upload By ぼさ子【病院の予約】…歯医者さんなど予約制の病院の場合は、なるべく予約時に障害の旨を先に伝えています。【予告】…ほぺろうの場合は不安を長引かせないように予告はなるべく病院に行く直前にしています。本人に合った予告のタイミングはお子さんそれぞれなので、安心できるやり方を探していけると良いと思います。【問診票】…病院での問診票に、障害の旨・コミュニケーションできない旨などを記入しています。あらかじめ書いておくことで「どうしてこの子は話が聞けないの?」みたいなやりとりを省くことができます。また これはわが家の場合ですが、予約制のときなどはできるだけ主人に同行をお願いしています。待合室での待機はほぺろうには難しい(取り乱しているときは絵本やオモチャなどのアイテムも効かない)ので、「私一人が待合室で呼ばれ待ち・ほぺろうと主人は車で待機」という形を取ったり、「受診時は私が医師の話を聞く・主人がほぺろうを抱っこ」という役割分担をしています。ほぺろうのホールド方法注射のときなどに私がよく使う、ほぺろうの体を押さえる方法をご紹介したいと思います。Upload By ぼさ子注射のときは、手足がバタついていると危険なのでしっかりホールド。上手くホールドできると処置も一瞬で済みます。ほぺろうがもっと小さかったときに看護師さんに教えてもらった技ですが、以来、予防接種のときなどによく使い、その度に「お母さん、押さえ上手!」と褒められます。薬についてほぺろうは錠剤・粉薬・シロップなど内服薬はまったく受けつけてくれません。なので、薬が処方されるときはその旨を医師に相談し、注射や点滴、そのほかの方法に変えられるかを確認しています。どうしても内服薬しか選択肢がない場合は、薬剤師さんに飲ませ方を相談しています。先輩ママさんから情報をもらう似た境遇のお子さんを育てる先輩ママさんがいたら、地域の情報は積極的に聞くと良いです。発達障害に理解のあるオススメの病院情報を教えてくれたりします。Upload By ぼさ子ところがほぺろうに変化が…すっかり「受診させ慣れ」してきた私ですが、小学一年生になったほぺろうに変化が見られるようになりました。今までは「理解」すらできず ただ泣き暴れるだけでしたが、最近になって「理解」「納得」まではできているんだなぁ…と感じさせてくれることが増えてきました。「イヤである」ことに変わりはないけれど、泣くのをグッとこらえて一人でイスに座って診察を受け、一人で注射される姿に母は涙…。Upload By ぼさ子Upload By ぼさ子Upload By ぼさ子ホールド上手と看護師さんたちに褒められた私のテクニックも、お役御免になるかもしれません。執筆/ぼさ子(監修:鈴木先生より)知的な遅れを伴っていて言葉の理解が乏しい場合、または自閉スペクトラム症のあるお子さんには、絵や写真、マークに簡単な言葉を添えてそれを見せて説明をすることがあります。トイレの男女マークが代表的なものです。今回のお子さんの場合、注射も何回か受けることで、そのパターンが写真の説明のように分かったのではないかと推察されます。ママ友の口コミによる受診は当院でも多く見られます。最近ではそれに加えて当院のホームページを確認してから来院される方が多いです。
2022年11月29日長男と次男はADHD。外出先で迷子になることが多くて…わが家には4人の子どもがいますが、そのうち上2人(長男、次男)には発達障害があります。小学校低学年くらいまでは、長男次男2人とも外出先で迷子になることが珍しくありませんでした。迷子になる子どもが1人なら多少は探しやすいのかもしれませんが、2人が同時に別々の場所で迷子になってしまうなんてこともありました。Upload By スガカズ特にショッピングモールなどの大型施設で迷子になることが多かったです。だいたいは、親(私)が買い物をしているとき。長男も次男も、コミュニケーション自体はできますし、口頭指示も伝わるので、私は「お母さんは今買い物しているから、お母さんの近くに絶対にいてね」と伝えます。そのときは「わかった」と、子どもたちも答えます。しばらく無事に行動しているのですが、不思議と、私自身が一瞬気をぬいたとき(買うものを選んでいる)にいなくなります。長男はお目当てのものを見つけると急にいなくなるため、次男より先にいなくなることが多いです。そのとき次男には、「ここ(見通しのよい場所などを選んで)で待っていてね」と伝えてその場に残し、私は下の子たち(当時2歳と1歳)と一緒に長男を探します(次男を連れていくと、次男が歩き疲れて機嫌が悪くなり、長男を探すどころではなくなります)。しばらくして次男の様子を見に行くと…。次男もいなくなっており、思わず私はその場に立ちすくんでしまうのでした…。迷子になったとわかったときの長男と次男、それぞれの反応はUpload By スガカズ迷子になりやすい長男と次男でしたが、迷子になったときのそれぞれの行動は違っていました。長男は、他人に対して好意的なので、施設の従業員に声をかけることもあります。次男はふらりとその場から離れ、結果迷子になることが多かったのですが、本人は迷子になったことが不本意のようで「家族が自分をおいてどこかに行ってしまったのでは」といった感覚になるようで、見つかったときに怒っていることが多かったです。また、知らない大人が苦手なので、人通りのある場所を離れ、死角に潜んでいるので、見つけることが難しいということもありました。迷子にならないための対策Upload By スガカズ大きな施設に行くときは、「迷子になった場合の集合場所」を決めておくことにしました。よく行く施設なら、お気に入りのコーナーで集合すれば、比較的早く見つかりやすいです。また、トイレはほとんどの施設で迷わずたどり着けるよう工夫がされていることに気づいたため、慣れない施設にいく場合は、迷子になったらトイレで集合するように話しました。それでも入れ違いになったり、集合場所への行き方がわからない、本人が聞いていなかったなど、別の問題で集合場所で再会することは難しかったです。長男中3、次男小6になった現在は…Upload By スガカズそんな2人も現在は長男は中3、次男は小6になり、多動や衝動性は目立たなくなりましたし、仮に家族とはぐれたとしても「この辺で出会えそうだな」と、家族の行動パターンを理解できるようになったため、すぐに見つけることができます。また、自宅からそう遠くない場所であれば、自力で帰宅することもできます。頻繁に迷子になった当時の話をすると、2人とも首をかしげています。そんな反応をされると、「あのときの大変だった記憶は気のせいだったのではないか?」と感じてしまいます。執筆/スガカズ(監修:三木先生より)キャラクターによる迷子パターンの違いが特徴的ですね。また、年齢が上がったあとの「家族がお互いの行動パターンを想像できるようになる」ことはとても大事ですね。それだけでもすごい能力だと思います。当の本人たちが昔のことをあまり覚えていないのはご愛敬ですが、でも覚えていて傷になっているよりは健全に育ってくれていると言えるのかもしれません。
2022年11月29日幼児期から一人で家のトイレに行けなかった次女はもともと、トイレトレーニングを始めてからずっと「トイレついて来て~」と、全く一人でトイレに行けない状態が続いていました。このころは、自分自身も小さいころはトイレが怖かった思い出があるので「こんなもんかな」とそこまで気にしていませんでした。引っ越してからトイレに行けないだけでなく一人で過ごせなくなったただ、この「一人でトイレに行けない」問題が、次女が1年生のとき引っ越しをしたことで悪化しました。新しい家では、トイレはもとより、家族が同じ家の中にいても、一人で別の部屋にいることができなくなってしまいました。違う部屋に行きたいとき、トイレに行きたいとき、常に「一緒に来て~」と呼ばれるような感じです。Upload By まりまりこの状態が数ヶ月続き、あまりに頻繁に私を呼ぶので、もちろん私が対応しきれないこともありました。料理中などは呼ばれても手を放して対応できないし、トイレが長くかかるときはその間ずっとトイレの前で待っていなくてはならないし、日常生活を送るうえで困ることが増えてきていました。Upload By まりまりスクールカウンセラーに相談このころ、次女が「場面緘黙かもしれない」ということが分かり、スクールカウンセラーに相談することになりました。そのときに、家の中で一人でいられないことや、トイレに一人で行けないことについても相談しました。すると、「場面緘黙のある子どもは、もともと不安が強い。ただ、本来は安心していられるはずの家の中でも、ずっと不安を感じているのは大変なので、スモールステップで安心して自分でできるように対応すると良い」とアドバイスいただきました。不安の強い子どもは、一人になるとその不安ばかりに目が行ってしまってどんどん不安が大きくなってしまうとのこと。なので、不安に注目しないように、好きなものなど気を紛らわすものがあれば一人でいられることもあるとのお話でした。Upload By まりまりということで、次女はテレビに集中しているときや、本を読んでいるときなどは一人でいられることもあるので、本を持ってトイレに入ってみることから始めてみました!トイレに好きな本を持ち込んでみると…トイレが長くかかるときは、この「好きな本を持ちこむ」ことで、本の内容に集中して不安を感じにくくなるのか、一人でいられるようになりました!(ただトイレのドアは全開)Upload By まりまりしかし、トイレに入るときに人を呼ばないと行けないことには変わりないので、廊下や部屋の電気を全部つけっぱなしにしたり、あらゆるドアを開け放したり、声をかけ続けたり、いろいろ試しましたがなかなか一人で行けるようになりません。スクールカウンセラーさんにアドバイスいただいた、「姿を見せておく→ちょっと離れてみる→声だけにしてみる」という感じのスモールステップで、行きつ戻りつ根気よく続けていくことにしました。Upload By まりまり3年生になってやっと一人で行けるようになったそういう感じで、できたりできなかったりを繰り返して、やっと、3年生になってから、自宅のトイレに一人で行けるようになりました。あとになって、本人にトイレに行けるようになった理由を聞くと、「慣れたから!」とのことでした…!とにかく時間はかかるし、母としてはイライラしてしまうことも多かったけど、こうしてスモールステップでやっていくことが「自分でやれた!」という本人の自信の積み重ねになっていくんだろうな~と思った出来事でした。執筆/まりまり(監修:井上先生より)場面緘黙は、特定場面以外の発話の困難がクローズアップされがちですが、背景に高い不安があり、対人不安だけでなく、新しい場所や新しい活動について高い不安を感じる人もおられます。不安に対するアプローチは、まりまりさんが実践されたように、お子様にとって弱い不安場面から少しずつ慣らしていくことが原則です。また高い不安を紛らわすために、好きな活動をするというのは非常に大切で、この方法は他の場面でも応用ができると思います。もし可能であれば、今回のような成功体験の総括のような形で、お子様自身に対して上手くいったポイントや要因を整理してフィードバックしてあげるのも良いと思います。
2022年11月28日生まれつき繊細な人「HSP」HSP(エイチ・エス・ピー)は、「生まれつき感受性が強く、敏感な性質を持った人」を指す言葉で、Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)の略称です。極めて(Highly)感じやすい(Sensitive)人(Person)という意味で、「敏感すぎる人」「とても繊細な人」と訳されています。米国の心理学者、エレイン・N・アーロン博士が1996年に出版した著書の中で提唱した概念であり、病気や障害ではありません。HSPの場合、視覚、聴覚、嗅覚などの感覚がとても鋭いために、少しの刺激でも強く反応し、さまざまな刺激を受けやすいと考えられています。参考書籍:ささいなことにもすぐに「動揺」してしまうあなたへ。(エレイン・N. アーロン (著) ,冨田 香里 (翻訳))HSPの4つの面HSPを提唱したエレイン・N・アーロン博士は、HSPの人には以下の4つの面があるとしています。・深く処理する(Depth of Processing)その場の空気や人の感情を読み取る能力に長けているため、簡単に結論の出るような物事であっても、深くさまざまな思考をめぐらせる。・過剰に刺激を受けやすい(Over stimulation)外部からの刺激に敏感なため、五感で受ける刺激に対して過度に反応しやすい。物音や光、食べ物の味やにおい、気候の変化等に対して敏感に反応する。・感情の反応が強く、共感しやすい(Emotional response and empathy)周りの人の気持ちを敏感に感じ取り、深く共感する傾向があるため、過剰に同調するなど、相手の感情の影響を受けやすい。・些細な刺激を察知する(Sensitivity to Subtleties)他の人が気づかないような物音や光、匂いなどの些細な刺激にもすぐ気づく。HSPの特徴とよくある悩みHSPの場合、感度の高いアンテナを常に張っている状態だと考えられています。高感度のアンテナによって、さまざまな刺激を敏感に感じ取り過ぎるために、生活のあらゆる場面で、苦しい思いや悲しい思いをすることが多々あり、「生きづらさ」を感じやすいのです。また、ほかの人が気づかないような些細なことを感知する傾向があるため、周囲からは「細かいことを気にしすぎる」「神経質」などと思われて、理解を得られないことがあります。エレイン・N・アーロン博士によると、HSPは、全人口の15~20%、5人に1人程度と考えられていますが、HSPがない人の方が大多数であり、HSPについて人からの共感されにくいといわれています。そのため、周りに合わせようとすると無理をすることになり、消耗しやすくなります。さらに、「気にしすぎる自分がいけないのではないか」「自分がおかしいのかもしれない」と考えて、気持ちを飲み込むことも多く、自分に自信が持てなくなり、自己肯定感が低くなりがちです。HSPの場合、次のような悩みを持ちやすいと考えられています。・大きな音や強い光が苦手・小さな音や匂いも気になる・些細なことでも、深く考えすぎる・他人の言動に振り回されやすく、対人関係に疲れやすい・緊張しやすい・生活の急な変化に弱く、動揺しやすい・映画やドラマの暴力的なシーンが苦手・たくさんのタスクをこなさなければならなくなると、混乱することがある・忙しくなると、一人で静かに過ごせる刺激の少ない場所にこもりたくなる・「内気な人」「敏感な人」だと周りの人に思われているHSPを改善する方法HSPは医学的な概念ではなく、「心の病」や「障害」とは異なるもので、「治療する」「努力して改善する」というものではありません。しかし、「自分は何に困っているか」を知ることで対処することができる場合があります。HSPの場合、敏感で繊細なのは、偏桃体という脳の部位(感覚的な刺激に対して無意識的・反射的に対応する)の機能が、過剰に働きがちであるためだといわれ、それは、その人が生まれつき持っている「気質(特性)」であると考えられています。このような気質は、人に限らず鳥、魚、イヌ、ネコ、馬、霊長類など、100種類以上の動物に見られることから、「繊細さ」は、生き物の生存本能(生き残るための戦略)の一つであるともいわれます。つまりHSPは、先天的な気質です。精神疾患などとも異なり、「治療する」とか「努力して改善する」というものではありません。HSPを正しく理解して「うまく付き合っていく」方法を考えていくことが、「疲れやすさ」や「生きづらさ」を和らげていくことにつながります。HSPと発達障害との違いHSPと「発達障害」の違いについて、議論されることもありますが、HSPは状態像であり、その原因や背景はさまざまであると考えられます。実際HSPの中に自閉スペクトラム症などの診断基準を満たす人がおり、感覚の過敏性などの特性に重なりがあることが多いと考えられます。HSPは「診断名」ではありませんが、医学的な治療に関しては自分で判断せず専門医に相談すると良いでしょう。HSPの対処法HSPの場合、「自分は何に困っているか」を知って、その困りごとやつらさを取り除くために行動や環境を工夫して、自分に合わせた対処法を編み出すことが大切です。以下に、対処法の例をご紹介します。・刺激の少ない環境に身を置くことで、刺激そのものを避ける。苦手だと感じる人、負担を感じる相手とは距離を置き、自然体でいられる人間関係を大切にする。・刺激を受けたとしても、その後の行動は、自分で決められることを知っておく。・外からの刺激(物音、光、匂いなど)に対しては、和らげるアイテムを活用する。耳栓で雑音をシャットアウトする。イヤホンで好きな音楽を聴く。周りが見えすぎないようにメガネをかける。メガネの度を下げる。寝るときにアイマスクをする。マスクで鼻を覆う。肌触りのいい素材のものや、締め付けすぎず、心地よいと感じる服を身に付ける。「HSPかも」と思ったら専門家に相談するHSPは、「精神疾患」や「障害」とは異なり、医師が診断できるものではないため、制度としての合理的配慮の対象とはなりません。(職場や学校の理解があれば刺激への配慮なども可能になる場合もあります)しかしHSPの場合、感覚刺激に対する脆弱性から、日常生活に支障が出たり、ストレスが高じて心身に不調をきたす人もいます。日常生活や心理面、体調面について、自分一人では対処できないような状態になったときは、カウンセリングを受けることや、病院で適切な診断と治療を受けることも必要です。まとめ生まれつき繊細なHSPの場合、少しの刺激でも強く反応してしまうため、「心が疲れやすい」「生きづらい」と感じることが多いかもしれません。しかしそれは、一生涯変わらない先天的な気質ですから、「努力して改善しよう」と考えるよりも、「正しく理解してうまく付き合っていこう」と考えていくことで、「疲れやすさ」や「生きづらさ」を和らげていくことが大切です。
2022年11月27日癇癪があり、真面目で融通が利かない娘わが家の娘は小学5年生です。小4のときにASDの可能性があると言われました。娘は子どものころから癇癪が多く、気に入ったことには熱中をしますが、それ以外には全く興味を示さない一面や、聴覚過敏の特性などもあり、発達グレーゾーンかもしれないと感じていました。真面目で融通が利かない部分もある娘。それでも、成長と共に改善するだろうとそれほど気にせずに過ごしていました。小2のころから行き渋りが始まった娘は小2くらいから週1回くらい休むようになりました。小2の3学期からコロナ禍で休校がたびたび入るようになり、休んでいること自体は目立たなくなりましたが、週1~2回は休んでいたように思います。休みながらも学校には行っていた娘でしたが、小4の6月くらいから欠席がさらに増え、教室へ全く入れなくなってしまいました。私は「今日は仕方がないから欠席してもいいけど、明日は行こうね!」と励ましていましたが、娘は次第に「私は生きている価値がない」と暗い表情をするようになってしまいました。Upload By ユーザー体験談担任の先生に相談をすると保健室登校を提案され、7月からは週2日ほど保健室登校するようになりました。登校して2時間ほど保健室で先生からの課題をこなしたり、折り紙をしたりしていました。ですが、課題が終わらず、癇癪を起こして泣くこともありました。小4の夏休み明けから完全に不登校に夏休み明けからは学校へ向おうとすると涙を流して足が動かなくなり、完全に不登校となりました。学校近くの駐車場まで車で送って、学校へ向おうとしましたが、涙目になってしまって動けなくなってしまった娘。親としてはそれまでは何とか保健室登校を続けて最終的には教室登校へ戻れればいいなと思っていましたが、本人としては一度ダメだと思った場所にはもう二度と行きたくないようでした。Upload By ユーザー体験談私は娘がこの小学校へ通うのは無理だと感じ、現在の私立の小学校から公立小学校への転校を考えました。娘は漢字や英語がとても苦手だったので、先生から本人に合った勉強の仕方があるのではないかと知能検査をすすめられ、9月にはスクールカウンセラーの先生が所属しているカウンセリングルームで検査を受けました。医師はいなかったので診断には至りませんでしたが、知能検査の結果や今までの様子から集団での授業についていくのは難しい部分もあるのではないかということでした。また発達障害に対するサポート(放課後等デイサービスなど)を考慮してはどうかとカウンセラーの先生から言われました。「家にいてもやることがない」と言う娘からの希望もあり、10月からはフリースクールに通いはじめました。そして転校についても本格的に考え始めました。カウンセラーの先生から「この知能検査の結果なら別の学校の特別支援学級へ入ることも可能だと思いますよ」と言われたこともあり、転校して環境を変えたら学校に通えるかもしれないという気持ち、そして現在通っている学校は私立ということで学費がもったいないという気持ちもあり、「12月から転校したい」と相談しました。すると、特別教育相談センターへの相談日程を異例の早さで組んで下さり、小4の12月に公立小学校の特別支援学級へと編入をしました。公立小学校の特別支援学級へ編入、しかし…当初は「転校しても通えない」と言っていた娘でしたが、初日が得意な図工の授業だったことから、通えるようになりました。小4のうちは給食は食べずに午前中のみで帰宅していたものの、週4回くらい通えていました。またフリースクールも引き続き通いたいということで、週2回、午後のみ通っていました。しかし、5年生に進級後、4月末から腹痛のため小学校へ全く通えなくなってしまいました。本人は何も言いませんが、原因は4月から始まった通常級との交流が負担だったのではないかと思っています。今思えばですが、先生方も通常級との交流がそんなに負担になるとは考えていなかったと思いますし、親の私も「今年からは通常級との交流が入るんだな〜」程度にしか考えていませんでした。でも本人的には特別支援学級へ通うことで精一杯だったんだと思います。それを見抜けずに勝手に負担を増やしてしまったことを反省しています。また、フリースクールでも「卒業生への寄せ書き」「来年へ向けての目標」などを書くことができずに毎回涙目になっていたようです。カウンセラーの先生から「文章を書くことが苦手なら、3択くらいで書けそうな文章から選んでもらうなどの配慮が必要」と言われて、娘がそこまで文章を書くのが苦手だとは認識していなかったので、配慮をお願いしていなかったとを反省しました(フリースクールも7月中旬にトランプに負けて癇癪を起こしたことをきっかけに通えなくなってしまいました…)。またカウンセラーの先生からは「娘さんが癇癪を起こしたときには別室などで1人にしてあげるのが良い」と言われました。それまでは癇癪時も先生方は「大丈夫?」などと声をかけてくれていたようで、かえって火に油を注ぐ対応になっていたようで、親も特性に対する勉強と配慮が足りていなかったと思います。現在の娘の様子はフリースクールへ通えなくなったあと、やはり「ずっと家にいるのはやることがない」と本人に言われ、市の不登校支援の教室なども考えましたが、娘のほかにもきょうだいが2人いるため送迎の都合がつかず行くことができませんでした。いろいろと検討した結果、特性への理解もある放課後等デイサービスが本人にとっても、一番居心地が良いのではないかと考え、10月から通い始めたばかりです(市役所では放課後等デイサービスを不登校の居場所代わりに使うことに難色を示され、受給者証の認可が下りるまで時間がかかりましたが…)。娘の興味がある内容で無理なく通えることを重視したので、レクリエーション・クッキング・お出かけなどその日によってやる内容はさまざまです。プログラム以外の編み物やアクアビーズなどを娘の希望ですることもあり、興味がないプログラムのときは無理せず欠席しています。Upload By ユーザー体験談娘が不登校になってからいろいろと勉強し、1年経ってようやく、もともと発達障害が根底にあり、否定されることや成績不振が重なり、自分は生きている価値がないと感じるようになってしまったのだろうと理解しました。そこから不登校へとつながってしまったように思います。もしもっと早く発達障害について学んでいれば…不登校状態となる背景には発達障害が隠れているかもしれないこと、小学校中学年くらいになると勉強が難しくなり、成績不振になる子どもが多いこと、発達障害の特徴は消えるということはなく一生付き合っていかなくてはならないことなどを知っていれば早期に適切な対応ができたのではないかという後悔もあります。きょうだいで発達障害。親の願いは…わが家には3人子どもがいるのですが、(この話の娘が長女です)その反省を生かして、登園しぶりが見られたのと習い事で集団活動ができなかった年中の長男は発達障害を疑いすぐに療育センターに相談し、支援につなげることができました。そして周りの子と同じようにできないことを叱っていた育児から、本人ができたことを一緒に喜んだり、スモールステップで挑戦する育児へ切り替えることができました。少なくとも長女のように苦しむ可能性は少なくできたのかなと思います。保育園や学校への行き渋りや不登校に悩む場合には発達障害の可能性も視野に入れた方が良いということ、親に診断を受け入れる勇気がなく、医療機関を受診しようか迷っている方がいらっしゃったら、環境が変わらないことなどで苦しむのは子ども自身なので、子どものためを思うなら早期の受診をしてほしいなと思います。わが家の場合は現在小1の次女も場面緘黙があり、特別支援学級へ通っています。きょうだい3人とも発達障害があるため、それぞれの良いところを見つけて褒めて伸ばしていってあげたいと思っています。長女に関しては、初めての場所でも話せること(下2人は場面緘黙があり、そのような場面で話すことが難しいというのを経験していることもありで、とてもすごいことだと思います)、下のきょうだいの面倒見が良いこと、今は料理や工作を楽しんでいることなどから、まずは自分に対する自信をつけていってほしいと思います。そうして最終的には自分のやりたいことを見つけていってほしいと願っています。Upload By ユーザー体験談イラスト/keikoエピソード参考/かい(監修:井上先生より)女の子の場合男の子に比べて、発達障害を早期に気づくのは難しいと言われています。初めての人や場所、活動に対する高い不安や、環境や予定の変更などによる高いストレスなど大人から見ると目に見えにくい困難が多かったのだと思います。親御さんの理解によって、お子さん本人もうまくいかないことは自分のせいではなく、自分の特性に合わせて環境や学び方を工夫すると良いことに少しずつ気づかれていくのではないでしょうか。かいさんの書いておられるように、それぞれのお子さんの得意な所や好きな所をたくさん褒めていくことがお子さんの自信を高めることにつながると思います。
2022年11月26日てんかんとはどのような病気?てんかんとは、突然意識を失い反応がなくなるなどの「てんかん発作」を繰り返す病気です。乳幼児から高齢者まで誰でも発症する可能性がある病気の一つで、患者も100人に1人と決して珍しいものではありません。原因は人それぞれで、脳腫瘍や頭部外傷後遺症など明らかな原因がある場合は「症候性てんかん」、原因不明の場合は「特発性てんかん」と呼ばれます。また新生児から思春期までに出るてんかんを「小児てんかん」と呼び、1歳までの発病が最も多く、そのほとんどが症候性てんかんです。また幼児期から学童期にかけては、話していたり何かをしていたりするときに突然意識がなくなる欠伸てんかんや良性小児てんかんなど、成人までに治ることが多い特発性てんかんが多いという特徴もあります。なお、欠伸てんかんは意識がなくなるのが数十秒と短いことも多く、痙攣などの症状も起こらないので周囲から気づかれない場合も。集中力に欠ける、授業中にぼんやりしているなど誤った認識を周囲からもたれてしまうこともあります。小児のてんかんは、発作のコントロールなどはもちろんですが、本人と保護者、そして医師や医療機関が連携し、本人にとってより良い環境をつくること、日常生活や学校生活が問題なく送れるようにすることなども大切です。リボトリール(クロナゼパム)の効能・効果リボトリール(一般名:クロナゼパム)は大人にも子どもにも使うことができるベンゾジアゼピン系抗てんかん薬です。同様のベンゾジアゼピン系抗てんかん薬としては、「ランドセン」などがあります。ベンゾジアゼピン系の薬は、脳の興奮を抑えてリラックスをさせる働きがあります。そのため、脳が興奮することで引き起こるてんかんなどの症状を和らげることができるのです。通常、手や顔の一部がピクピクと動く「小型(運動)発作」、さまざまな意識混濁に口をモグモグさせたり、衣類をまさぐるなどの症状の「精神運動発作」、吐き気、急に動悸がするなどの症状がでる「自律神経発作」の治療に用いられます。もう少し詳しく解説すると、脳内のベンゾジアゼピン(BZD)受容体が活性化されると、抑制性の神経伝達物質であるGABA(r-アミノ酪酸)の作用が高まります。リボトリールは、ベンゾジアゼピン(BZD)受容体に作動薬として結合し、GABAによる抑制性神経伝達を高める作用があります。てんかん治療のほかに、片頭痛発作発症の抑制や自律神経発作にも使われる薬剤です。開発されてから30年以上がたち、効果が優れていて安全に使用できる薬剤として、リボトリールは広く使用されています。リボトリール(クロナゼパム)の用法・用量リボトリールには、0.5(1/2)mg、1mg、2mgの錠剤と0.1%、0.5%の細粒があります。通常、初回量主成分として1日0.5〜1mgを1〜3回に分けて服用します。その後は、症状に対して効果があらわれるまで、徐々に量を増やして様子を見るのが一般的です。通常、維持量は1日2〜6mgを1〜3回に分けて服用します。乳幼児の場合は、初回量主成分として、体重1kgあたり、1日0.025mgを1〜3回にわたって服用。それ以降は効果があらわれるまで徐々に量を増やしていくことになります。通常、維持量は体重1kgあたり、1日0.1mgを1〜3回に分けて服用します。飲み忘れた場合は、気がついたときに1回分を服用するのが一般的ですが、次の服薬時間が近い場合は1回飛ばして次の時間に1回分を飲みます。2回分を1度に飲むのは禁止です。薬の増減や停止は医師の判断に委ねてください。保護者の判断だけで服用の中止をしてはいけません。急に薬の量を減らしたり、飲むのをやめたりすることで、てんかん発作に繋がったり、なかなか症状が回復しないという状態があらわれることがあるので、注意してください。リボトリール(クロナゼパム)の副作用リボトリールには、眠気、ふらつき、呼吸をするときにゼーゼー、ヒューヒューと音がする喘鳴、唾液増加などの副作用が認められています。このような症状が認められ、深刻な場合には医師に相談するようにしてください。また、薬を使い続けることによって、薬物依存が生じる可能性があります。急激な薬の量の減少や投与の中止で、痙攣発作、せん妄、不眠、不安、幻覚症状などの離脱症状があらわれることがあります。医師の判断で薬を服用していれば基本的に離脱症状が出ることはないはずですが、万が一服用中に上記のような症状が出た場合には必ず医師に相談し、指示をあおいでください。繰り返しになりますが、薬の増減、または中止は医師の判断に基づいて行うことが必須です。保護者の判断で服薬を止めるようなことはやめましょう。まとめ今回の記事では抗てんかん剤リボトリール(クロナゼパム)について解説しました。副作用や離脱症状などについても紹介しましたが、医師の指示に従い、決まった用量や用法を守って服用すれば、安全な薬です。小児から思春期は子どもにとって、とても大切な期間。てんかん発作を恐れるあまりに、やりたいことができない、行きたいところにいけない…とならないように、うまく薬を利用して、発作をコントロールできるようにすることが重要です。症状についてはもちろんですが、服薬についても不安なことがある場合には事前に医師と話し合い、本人はもちろん、保護者の方も納得したうえで進められるようにしてください。
2022年11月25日無料の参加登録受付中!お子さんやご家族へ届けたい、オンラインセミナーが12/10(土)に開催決定Upload By 発達ナビアライアンス プログラムお友達や家族とコミュニケーションを取りづらい…勉強についていけなくなった…家の中にずっと引きこもってしまう…特性ゆえに、周囲の環境による影響からストレスを抱え、二次障害に発展してしまうこともあります。どうコミュニケーション取ったらいいんだろう。周りにサポートを求めるにはどうしたらいいんだろう。これからの勉強や学校のことはどうなるんだろう。そもそもこの子が楽しめることって何だろう。など、保護者のみなさまにとっては、たくさんの不安もあることと思います。発達ナビでは、すべてのお子さんとそのご家族が、ご自宅で情報を得られる機会をお届けしようと、「二次障害の理解と対応セミナー」を開催します。・日時:12/10(土)9:30~13:15(予定)・参加費:無料・形式:Zoomウェビナー配信・参加方法:事前申込必須。下記ボタンよりお申し込みください・内容:専門家講演、お子さんを応援する企業によるセミナー※企画調整中のため、今後変更となる場合もございますセミナーの内容をご紹介Upload By 発達ナビアライアンス プログラム発達障害の二次障害について関心のあるご家庭も多いのではないでしょうか。今回は、児童精神科医の千村浩先生にご登壇いただき、発症のきっかけや治療、ご家庭でできることなどについて、事例とともに分かりやすく解説します。さらに、セミナー後半では発達ナビ編集長も登壇し、講演中チャットに寄せられた保護者のみなさんの不安やお悩みについて先生にお答えいただきます。講師:千村 浩先生児童精神科医/代官山やまびこクリニック医院長医学部を卒業後、国や地方、国際機関など幅広い分野の保健医療行政に携わった後、精神科医療、児童精神科医療に携わる。現在は、子どもの成長する力を信じて子どもたちの主体性を大切にすること、母と子、家族の幸せを大切にすることを目標に代官山やまびこクリニックで診療に当たるとともに、クリニックの隣のやまびこ村では、クリニックと連携して、子育てに悩むお母さんやお子さんを医療の枠を超えて応援するさまざまなプログラムを行っています。 私たちが大切にしていることは、お子さんやお母さん、ご家族をサポートすることです。Upload By 発達ナビアライアンス プログラム二次障害の症状の一つとして 不登校や行き渋りが多くなっています。お子さんが学校に行きたくないと言ったとき、その背景には何があるのでしょうか?ここ数年、不登校状態にある小中学生のお子さんは年々増え続けており、今年はとうとう20万人を超えました。不登校児が増え続けている背景は何なのか。お子さんは何を感じ、考えているのか。そして、不登校児が増えている裏で、学校に通っていないのに出席扱いになっている児童生徒数も過去最高を更新し、どこで学ぶかでなく何を学ぶかが大切な時代に変化しつつあります。学校が合わないお子さんにどんな選択肢があるのか、出席扱いにする方法は?そのほか保護者の方がすべきことについて、利用者の36%が不登校児の学習教材『すらら』の発達支援室長佐々木様に、詳しくお話しいただきます。Upload By 発達ナビアライアンス プログラム「コミュニケーションに不安がある」「自信がもてない」などがきっかけで 頭痛、腹痛、不眠などの身体的、精神的な症状がでていたり、不登校や行き渋りがあるお子さんにとっては、その子の「好き」を伸ばすことが前向きな将来への大きな一歩につながります。そのためには、お子さんの「好き」を大切にし、「好き」を通じて信頼できる大人や友達を増やし、お子さん自身が安心して過ごせる環境を整えることが重要です。今後ますます多様化が進む社会で、必要となる考え方や今後の教育の見方など、お子さんの「好き」を大切にした新しいオルタナティブ教育を提供する オンラインフリースクール『SOZOWスクール』の活動事例も含めながらお話していきます。Upload By 発達ナビアライアンス プログラム不登校や行き渋りなど、発達障害のあるお子さんが抱えやすい二次障害に対して、お子さん自身の個性や特性にあった進路・環境選びのポイントを解説します。【このセミナーで分かること】1.お子さんの個性・特性にあった環境選びのポイント発達障害のあるお子さんの特性や個性を活かした進路選びの考え方について解説。今の状態や困っていること、どんな環境があればよいのかなど、整理する方法を学びます。2.地域ごとの中学・高校の選択肢や特長私立・公立、特別支援教育、通信制・サポート校、高等専修学校など、中学・高校の進路の選択肢の特長や、地域ごとに異なる学校情報などを紹介します。3.教育にまつわる準備教育資金やお子さんの自立後に必要になってくる費用など、現実的な準備についても解説します。Upload By 発達ナビアライアンス プログラム「どうしてそんな行動をするの?」「こんなときどうすればいいの?」二次障害に限らず、発達が気になるお子さんの子育ての中で出てくるたくさんの疑問。そんな保護者さまの疑問をいち早く「分かった!」に変えるために、オンラインサービス『発達ナビPLUS』では、発達障害の子育てに役立つ解説動画やダウンロードし放題の特別支援ツール、OT/ST/心理士などの専門家への相談などを通じたサポートを行っています。今回は、そんな『発達ナビPLUS』のサービス内容や実際の活用方法などについてご紹介します。たくさんの方のご参加を、心よりお待ちしております。
2022年11月25日お友達ができて安心したのも束の間?毎日ケンカをしていると先生からお話があり…年中になって数ヶ月経ったときのこと。ナナちゃんというとても仲良しのお友達ができました。それまでは同じクラスにお友達がおらず、面談では先生からこう言われていました。「とまちゃんはクラスのお友達とはあまり関わってる様子はありませんが、うまくサポートできたらと思っております」こう言われていたため、娘に仲良しのお友達ができたことをとてもうれしく思いました。お友達ができたことで幼稚園が楽しくなったのか、娘自身も登園を嫌がることが減りました。しかし安心したのも束の間、お迎えに行ったときに先生からこう言われました。Upload By とまぱん娘にもナナちゃんとケンカしているのか聞いてみると…。Upload By とまぱんUpload By とまぱんお友達とのケンカは悪いことではないし、子ども同士によくあること。でも娘は昔からよく分からないところで怒ったり、ちょっとしたことですぐ怒ったりしていました。大きい声がこわい?娘が怒ってしまう原因とは以前お友達と公園で遊んだときのこと。お友達が娘に声をかけてくれました。Upload By とまぱんお友達が声をかけてくれたのになぜか機嫌が悪くなる娘。泣いてどこかへ行く娘を急いで追いかけ、怒った理由を聞いてみました。Upload By とまぱん理由はお友達が大きい声を出したからでした。ただ誘っただけなのに怒られ、お友達にとっては訳が分からないですよね…。娘は昔から大きい声、音がとても苦手で、誰かが大きい声を出すとびっくりして泣いてしまうこともあります。「大きい声=怒った声」だと思うのかもしれません。娘がまだうまく話せなかったころ、大きい声や音が苦手だということが分からず、なんで怒ってるんだろうと理解できずにいました。もしかすると大きい声が苦手になってしまったのは私が原因かもと思ったりも…。癇癪がひどかったころ、ときどき私が娘に大きい声で怒っていました。子どもが産まれるまで大きい声で怒るなんて一切ありませんでしたが、毎日の癇癪に私も感情的になってしまい。それが原因だったら申し訳ない気持ちです…。また、娘は自分の思い通りにならないときもすぐ怒って泣いてしまいます。2、3歳のころに比べればだいぶぐずるのは減りましたが、今でも同年代のお友達と比べるとよく怒ってるなという印象です。娘がナナちゃんの助けに?知らなかった娘の幼稚園での姿娘の毎日のケンカにどうしたものかと悩ませている中、ある日ナナちゃんのお母さんとお話しする機会がありました。Upload By とまぱんUpload By とまぱんそんなことは全く知らなかったのでとてもびっくりしました。娘は年少のころからお友達に助けられることはたくさんありましたが、お友達を手助けできるなんて考えもしませんでした。ナナちゃんのおかげで登園渋りも少なくなり、娘は助けられているばかりだと思っていましたが、まさかナナちゃんの手助けにもなっていたなんて。また、ナナちゃんが泣いていたとき娘が変な顔をして笑わせていたとのこと。帰って娘に聞いてみると「泣いている子を泣き止ませる方法知ってる?変な顔をすればいいんだよ!」と話す娘。私の前ではわがまま言ったりすぐ怒ったりする娘。幼稚園生活では私の知らない娘の姿がありました。今もナナちゃんと毎日ケンカをしているようですが、ケンカをしながらも仲良しのようで。これからもお友達との関わりを見守っていこうと思います。執筆/とまぱん(監修:鈴木先生より)全体の発達に遅れのあるお子さんには以前も今も「精神運動発達遅滞」という診断名がカルテに書かれていました。言葉の遅れだけがあれば「言語遅滞」、運動面の遅れだけあれば「運動遅滞」などと暫定的な症候名でとりあえず様子を見て脳(CT/脳波)や難聴(ABR/聴性脳幹反応)などの検査をしていくのが普通です。最近では言語遅滞を「知的発達症」と診断しています。運動遅滞は脳や筋肉の病気が多いので検査次第で具体的な病名がついていきます。自閉スペクトラム症のあるお子さんは聴覚過敏だと大きな声が苦手なことが多く、声の大きい先生やお友達を嫌がることがあります。また、感覚過敏があることから、突然触られると極端に驚く傾向があります。そして、泣いてしまう場面も多いかもしれません。自己紹介のときに、「音に敏感な子なので小さな声で話しかけてあげてください」とあらかじめみんなに説明しておくと良いでしょう。
2022年11月25日てんかんとは?「てんかん」とは、てんかん発作を繰り返し起こす状態のことで、脳が発生する過程で生じた構造の異常、代謝異常症、遺伝子の異常など生まれつきのものから、頭部外傷、中枢神経感染症、自己免疫性脳症、脳卒中、認知症などさまざまな脳の疾患が原因となります。てんかん発作は、脳にある神経細胞の異常な電気活動により引き起こされるもので、突発的に運動神経、感覚神経、自律神経、意識、高次脳機能などの神経系が異常に活動することで症状を出します。そのため発作では、それぞれの神経系に対してさまざまな症状が出るのです。運動神経に対応して体の一部が固くなる、感覚神経に対応して手足にしびれが出たり耳鳴りがする、自律神経に対応して動悸や吐き気が生じる、高次脳機能に対応して意識を失ったり、言葉が出にくくなる、などさまざまな影響が生じます。症状は脳のどの範囲で異常発射が起こるかによりさまざまです。たとえば脳の一部で起こった場合は本人が「光がチカチカする」「手がぴくぴく動く」などと感じます。神経細胞の異常な電気発射がさらに広がると意識がなくなり、脳全体に広がると全身の痙攣(けいれん)発作となります。てんかんは子どもから大人まで誰でも発症する可能性がありますが、その中でも18歳くらいまでの患者のことを「小児てんかん」と呼んでいます。てんかん発作を抑制するだけではなく、本人と保護者、そして医師が連携関係を築き、日常生活や学校生活を健やかに送るためのサポートが大切になります。ダイアップ(ジアゼパム)の効能・効果ダイアップは熱性痙攣の体質のある子どもや痙攣発作のある子どもに対して、痙攣を予防するために発熱時に使用する坐剤です。一般的には坐薬(座薬)とも言い、肛門から直腸内に挿入する薬です。てんかんは脳内神経の異常な興奮によって起こるとされていて、ダイアップは脳内のベンゾジアゼピン(BZD)受容体に作用して神経の興奮を抑制させ、痙攣などの症状を抑えます。ダイアップは、ベンゾジアゼピン(BZD)受容体に作動薬として結合し、GABAによる抑制性神経伝達を亢進する作用があります。ダイアップを使用すると、使用しなかった場合に比べて痙攣の発生率を70%以上減らすとされており、うまく使えば熱性痙攣をコントロールすることができるでしょう。ただ、100%予防できるわけではないので、場合によっては薬を使用しても痙攣が起こることがあるので、注意が必要です。また、薬の効果は坐剤を入れてから15分以上かかるため、すでに起きている痙攣に対しては効果が期待できません。ダイアップの処方は以下の場合に限られています。ただ初めて熱性痙攣を起こした場合には、予防目的に当日分のみ処方されることがあります。・過去に2回以上熱性痙攣を起こしたことがある・過去に15分以上長引く熱性痙攣を起こしたことがある・そのほかの理由(ほかの病気があり再度起こす可能性が高い場合など)ダイアップ(ジアゼパム)の用法・用量ダイアップの成分はジアゼパムという睡眠薬の一種です。同じ成分の粉薬を服用することもありますが、保管や使用の面を考え坐薬として用いることが一般的です。子どもには通常1日に1〜2回、直腸内に挿入します。坐薬の大きさは4mg、6mg、10mgの3種類があり、使用量は体重によって変わるため、体重が変わったときには坐薬の大きさを変える必要があります。また症状によっては薬の量を増減することも。ただ1日1mg/1kgを超えないようにします。子どもの年齢と体重、1回の量の目安は以下の通りです。・2歳ごろまで/体重8〜12kgのケース→1回4mg・2〜5歳ごろまで/体重12〜20kgのケース→1回6〜8mg・5歳以上/体重20kg以上のケース→1回10mg使用方法としては、37.5℃を超える発熱に気付いた時点で1回目を使用します。熱性痙攣は発熱直後から24時間以内に起こることが多いので、痙攣を予防するためには早めにダイアッを使用することが大切です。そのためにも風邪症状があるときや、いつもと様子が違うときはこまめに体温を計りましょう。2回目は1回目の8時間後に使用します。そのときにすでに解熱していたとしても、忘れずに使用しましょう。また、3回目以降は仮に熱が続いていたとしてもダイアップは使用せずに、医師に指示を仰ぐようにしてください。ほかの坐薬を一緒に処方されている場合は、ダイアップの30分後に使用しましょう。坐薬を使い慣れないという方のために、以下の通り簡単な使い方を解説します。1.坐薬を包装から取り出し、指先またはティッシュペーパーなどでつまむ2.子どもを仰向けに寝かせて両足を持ち上げる3.坐薬の尖った方から肛門に入れ、5秒ほど抑えておく※薬が入りにくい場合は少量の水で薬の先端を濡らすか、薬が溶け始めるまで肛門に押し当てる4.30分間は漏れがないかを確認し、明らかに漏れている場合は再度挿入するようにしてください。ダイアップの保管については30℃以上の高温になる場所は避ける必要がありますが常温でも冷蔵庫でもどちらでも保存できます。1年ほどは使用することができますが、保管が切れる前に処方を受けるのを忘れないようにしましょう。ダイアップ(ジアゼパム)の副作用ダイアップは安全性の高い薬剤ですが、一時的に副作用が出ることもあります。副作用が認められたのは総症例のうち、およそ9%。懸念される副作用は、ふらつき、眠気、集中力・反射運動能力の低下などで、まれに興奮が見られることもあります。子どもにダイアップを使用した際には、保護者がこのような副作用があることをしっかりと理解し、念のために子どもの状態を注視するようにしましょう。基本的には、重い副作用ではなく、どの副作用も時間が経過すると改善します。なお、心障害、肝障害、腎臓障害がある場合や、脳に器質的障害がある場合などは使用にあたって注意が必要なことがあるので、事前に医師に相談することが大切です。まとめ今回の記事は子どものてんかんに使われる「ダイアップ」について解説しました。てんかん発作のひとつである痙攣をしっかりとコントロールできるダイアップ。小さな副作用の可能性はあるものの、てんかんの子どもに安心して使用できる薬剤の一つではないでしょうか。発熱したときなどはダイアップをうまく利用して、事前に痙攣を抑えられるようにしましょう。ダイアップの使用期間は最後の痙攣から2年間、もしくは4〜5歳までの使用が一般的です。ですが、過去の痙攣の回数などを考慮して、医師の判断の元、その後も処方されることも多いです。どんなケースでも、不安がある場合などは医師や医療機関と密接に連携して、子どもをケアすることが大切です。
2022年11月24日息子が幼稚園に通うためには加配の先生が必須だと思ったが…Upload By べっこうあめアマミ私は、息子の幼稚園入園を見据えて、1歳のころからいくつかのプレ幼稚園に通っていました。しかし、息子は年少での入園を控えた年の秋になっても発達の遅れが大きく、プレや見学に行ったいくつもの私立幼稚園から、入園に難色を示されてしまいました。私としても、息子が幼稚園で何の支援もなくやっていけるかと言われたら難しく感じていたので、加配の先生をつけてくれる幼稚園を探しました。しかし、当時住んでいた地域では「加配の先生」という言葉に前向きな返答をくれる幼稚園に、一つも出会えなかったのです。ある幼稚園からは、「加配の先生をつけたり特別な配慮をしたりすることは一切できないが、それでも入園したいのなら受け入れる」という趣旨のことを言われました。しかし、私は息子の発達段階を考えると、それでは幼稚園に行く意味がないように思えてきたのです。息子に対して一切特別な配慮をされない園生活を、想像してみました。おそらく息子は、大勢の子どもの中で先生の目が届かず、何もせずにぼーっと日々を過ごすだけになってしまうでしょう。人知れず困り感を抱えながら、何も学べずに過ごす日々が、息子にとって意味があるのか分からなくなりました。ですから私は、息子を幼稚園に通わせるなら、加配の先生をつけてもらえることが必須だと思いました。それが難しいのなら、しばらく幼稚園ではなく療育に通い、息子の発達が周りの子どもたちに追いついてから幼稚園に入園する方向も検討し始めたのです。息子の居場所はどこにある?幼稚園も難しく、療育にも通えない?Upload By べっこうあめアマミ当時、私と息子は月に1回程度、地域の発達支援センターの親子療育に通っていました。本当はもっと高頻度で通いたかったのですが、高頻度のクラスは定員いっぱいで入れません。そのため、いつ空きが出るかは分かりませんが、1年以上前から待機中としてエントリーしていたのです。高頻度のクラスは、幼稚園のように親子分離で通えるクラスもあると聞いていたので、次年度は幼稚園ではなくそちらに通えることを願い、連絡を待つことにしました。そんな中、待ち望んだ電話がきました。発達支援センターからの、「週3日通う療育のクラスに次年度から入れます」という連絡でした。しかし、息子が入れると言われたのは、親子通園のクラスだったのです。その発達支援センターには、「療育にきょうだいを連れてきてはいけない」というルールがありました。当時、下の子を妊娠していた私にとって事実上それは、「通えない」話でした。結局、息子はどうにか別の、民間の小規模な療育に、親子分離で通える目途がつきました。しかし、こんなにも私たち家族に選択肢は与えられないものなのかと、障害がある子どもを育てる上での社会的な障壁に愕然とし、悶々とした日々が続きました。幼稚園について発達支援センターに相談…「引っ越そう」と心が決まるUpload By べっこうあめアマミ「息子が安心して通えるような幼稚園は、本当にどこにもないのか?」幼稚園にも発達支援センターにも通えず、地域に居場所がないように感じた私は、夫と共に発達支援センターに相談に行きました。正直なところ、療育クラスに通える条件や年齢などの事前説明に行き違いがあったことを含め、私は発達支援センターの対応に不安を感じていました。しかし、当時住んでいた地域では、保健センターや児童相談所など、どこに聞いても「子どもの発達のことは発達支援センターに」と言われました。だから、何か良いアドバイスをもらえるのではないかと、一縷の望みをかけて行ったのです。すると、対応した発達支援センターの方は、「公立幼稚園なら加配の先生がつくと思いますよ」というアドバイスをくれました。しかし、「では、公立幼稚園はどこにあるんですか?」と私が聞くと、その方は答えました。「この地域に公立幼稚園はありません」それが、初めて私の頭に「引っ越し」の文字がよぎったときかもしれません。当時住んでいた自治体には、公立幼稚園が一つもなかったのです。息子が入れる幼稚園がないことも、わが家が望むような形の療育を受けられないことも、地域としてはどうしようもないことなのだと思います。しかし、子どもの発達に悩む親の頼みの綱とも言える発達支援センターで、この地域で実現可能な選択肢が示されなかったことに、私は衝撃を受け、大きく落胆しました。それから私と夫は話し合い、息子が暮らしやすい環境を整えるため、思い切って家族で引っ越すことを決意しました。地域のせいであきらめたくない!「通える範囲」で選ぶのではなく、理想の環境は自分で掴むUpload By べっこうあめアマミ引っ越しを決めた私は、息子を育てる上で理想的な環境を求め、綿密なリサーチを始めました。当初、幼稚園は「家から通える範囲」で探していましたが、引っ越しを前提に考えると、今度は候補が多すぎて絞り切れません。そこで、引っ越しを決める理由となった現実を踏まえ、「公立幼稚園があること」「発達支援センターの対応が親切であること」を基準に引っ越し先の自治体を絞っていきました。息子の発達の遅れに配慮してくれる幼稚園なら、必ずしも公立ではなくてもよかったのですが、ホームページを見ただけでは、加配の先生をつけてくれるかどうか分かりません。1園ずつ電話で問い合わせていくしか確認する術がありませんでした。しかし、全ての私立幼稚園に確認することなど到底できません。いくつか電話した中では手ごたえがなく、これ以上はどうしようもないと思った私は、私立幼稚園は選択肢から外すことにしました。公立幼稚園であれば数は絞られますし、同じ自治体の公立幼稚園なら運営方針はだいたい同じです。そして実際に問い合わせてみると、公立幼稚園からは障害や発達の遅れを理由に難色を示されることはなく、加配の話も具体的に出てきました。連日、さまざまな地域の公立幼稚園や発達支援センターへの電話を繰り返し、引っ越し先を検討するのは大変な作業でした。しかし、これまでのような暗闇を当てもなく模索するような気持ちとは違い、自分で息子の居場所を探して選んでいくという気持ちは前向きで、希望に満ち溢れていました。運命の出会いからの引っ越し!潮目が変わった私の障害児育児Upload By べっこうあめアマミある日、家族で外出した先で、夫がふと「この辺りは引っ越し先の候補として考えている地域の一つだね」と話し出しました。そして、「今、気になって調べていたら、公立幼稚園からも歩ける範囲にちょうど良さそうな物件が出ているのを見つけた」と言うのです。それは本当に偶然でした。すぐにその物件を担当している不動産会社に連絡をとり、そのままその日のうちに見学に行くことになりました。そして、見学に行くと大満足な物件。なんと私たちは、そのままそこで契約したのです。良い縁はトントン拍子に進むもので、その後、入園を希望した公立幼稚園への入園手続きも順調に進み、息子には専属の加配の先生がつきました。その地域の発達支援センターも、私たち家族のためにとても親身になってくれました。引っ越し前から何度もやりとりに応じてくれて、幼稚園と並行して通える療育の候補をいくつも提案してくれたのです。発達支援センターは、私にとって心のよりどころになりました。思い切って引っ越してから、幼稚園や発達支援センターの先生方、そこで出会ったたくさんの方たちに支えられ、私の生活は一変しました。息子には自閉スペクトラム症と知的障害という診断がつきましたが、地域に確かな居場所を見つけ、安心して息子を育てられると思えたことで、私はかなり前向きになれたのです。障害や発達の遅れがある子どもをめぐる支援の環境は、非常に地域差が大きいものだと思います。しかし、このような経験をした私は今も、障害がある子どもとその家族が、どの地域で暮らしていても等しく十分な支援が得られるようになることを、願ってやみません。執筆/べっこうあめアマミ(監修:藤井先生より)息子さんの過ごしやすい環境を探すために、何ヶ所も相談し、転居された行動力に頭が下がります。現在、残念ながら支援の地域差があることは、私自身も感じております。私も、全てのお子さんが必要な支援をどこでも受けられて、健やかに過ごせる事を願っております。
2022年11月24日発達障害と場面緘黙の関連性は?二次障害、治療についても解説Upload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホン場面緘黙(選択性緘黙)とは、たとえば家庭では問題なくおしゃべりができるのに、幼稚園や学校、公共の場など特定の場面で「話せない」状態をいいます。子どもだけではなく大人も場面緘黙の症状があらわれることもあります。このコラムでは・発達障害と場面緘黙の関連性・発達障害の二次障害としての場面緘黙について・場面緘黙の治療法、早期発見・早期治療の重要性などについて解説します。※医学的な診断基準とされるDSM‐5では「選択性緘黙」と表記されていますが、日本では一般的に「場面緘黙」という名称が用いられています。このコラムにおいては、「場面緘黙」という名称を用いて、説明していきます。場面緘黙は発達障害なの?場面緘黙は医学上の定義では不安症(不安障害)の一種と考えられており、発達障害には含まれていません。しかし、教育分野や行政政策の上では「場面緘黙」は発達障害者支援法の対象になっています。実際のところ、発達障害のある子どもの中には場面緘黙を併存しているケースもあります。2000年にアメリカの学会でクリステンセンが発表した説によると、発達障害や不安症(不安障害)は場面緘黙と併存しやすく、コミュニケーション障害、発達性協調運動症、軽度知的障害、自閉スペクトラム症(ASD)などとの併存が見られる場合もあるそうです。参考:Kristensen, H.Selective mutism and comorbidity with developmental disorder/delay, anxiety disorder, and elimination disorder, The American Academy of Child and Adolescent Psychiatry. 39. 249-256. 2000.(「場面緘黙症と発達障害/遅れ、不安障害、排泄障害の併存」)参考:場面緘黙(選択性緘黙)の多様性―その臨床と教育―参考:発達障害者支援法|文部科学省発達障害の二次障害としての場面緘黙発達障害がある(もしくはその可能性がある)子どもに対して、環境調整など適切な対応がなされなかった場合、さまざまな場面で困難が生じ、場面緘黙の症状があらわれる場合があります。このような場合、場面緘黙の症状に限って対処を行っても、改善が見られないことがあります。大人の場面緘黙の原因場面緘黙の状態が中学、高校と青年期以降も続くケースがあります。大人の場合も、子どもの場合と同様に「話さない」のではなく「話せない」状態のことをいいます。大人の場面緘黙は、小児期に発症し、それが継続ないし再発する場合がほとんどですが、小児期の場面緘黙について自覚症状がない場合や、見過ごされている場合もあります。場面緘黙は治る?早期発見・早期治療の重要性今まで、場面緘黙は「時間がたてば治る」「自然と話せるようになる」と誤解されていました。しかし、アメリカの場面緘黙症不安研究治療センター(スマート・センター)の臨床研究などをふまえ、現在、日本では「自然に治る」という見方は適切でなく、早期発見・早期治療が重要であるとされています。参考:アメリカの場面緘黙症不安研究治療センター(SMart Center)大人の場面緘黙についての認知度が高まっていること、子どものころの場面緘黙に適切な対応がなされず大人になってからうつなどの二次障害に苦しんでいる当事者が声をあげていることからも、早期発見・早期治療の重要性が明らかになっています。場面緘黙のある人が抱えている問題や困っていることは人それぞれですが、ほとんどの場面緘黙のケースで共通して「安心できる環境」「力が発揮できる環境」を整えることが重要だと言われています。場面緘黙のある人は家や、安心できる環境では話せることも多いです。トレーニングをして話せるようになる訳ではなく、まずは「もともとできていることをほかの環境でも安心してできるようになること」を目指すことが大切だと言われています。そのためにも、症状に気がついたら保育園や幼稚園、学校と連携をして、その子どもに合った環境をつくっていくことが早期治療につながっていきます。場面緘黙のある子どもは、「おとなしい子ども」などと捉えられたり、本人が困りごとを訴えることが難しかったりするために、症状が見落とされたり放置されたりすることもあります。早期発見には友達や友達の保護者とのコミュニケーション、授業参観などの機会も大切です。困っている様子が見られるときは、早めに保健センターや児童相談所、学校のスクールカウンセラーなどに相談してみましょう。場面緘黙は育て方が原因ではありません子どもの場面緘黙は2~4歳で発症することが多いと言われていますが、小学校入学まで症状が見落とされてしまうこともあります。集団活動が始まってはじめて、その不安から症状があらわれ始めると考えられています。さまざまな要因が考えられますが、育て方が原因ではありません。まずは子どもの緘黙にはどのような要因が関係しているのかを探ることが重要です。保護者の方は子どもの様子をしっかり受け止め、学校などとも協力しながら、場面緘黙を長期化させない工夫をすすめていけるとよいですね。
2022年11月23日赤ちゃんのころから発達がゆっくりだった長男が1歳半健診を受けた際、「耳が聞こえていないかもしれません」と言われました。ショックを受けながらも紹介された耳鼻科に連れて行き、検査をした結果……。長男の発達障害に気付いたときの体験談をご紹介します。 1歳半健診で長男は、指示されたように積み木を積む、車などの物の名前を聞いて絵を指さすなど、月齢相応のことは何もできませんでした。その結果、個別の発達相談に呼ばれることに。育て方の悪さを指摘されると思って私がビクビクしていると、保健師さんから「お子さんは耳が聞こえていないかもしれません」という予想外のひと言が伝えられました。 厳密には「声が聞こえにくいのかもしれない」とのこと。そこで専門的な検査ができる耳鼻科を紹介され、病院で検査を受けることに。 防音された部屋でおこなわれる聴力検査。その検査が終わり、伝えられる結果によってこの先の人生が大きく変わることになるとは、このときは気づいていませんでした。 そして検査が終わり、耳鼻科医から伝えられたのは「お子さんの聴力に異常はありません。発達支援センターを紹介しましょう」という結果でした。 「市の健診」→「耳鼻科」→「発達支援センター」という流れで、長男の発達障害を知ることになりました。健診での指摘は大変ショックなものではありましたが、この指摘がなければ、早くに長男の障害に気づけなかったと思います。受け入れるには勇気が必要な健診での指摘。前向きにとらえることは、結果的に自分のためにも子どものためにもなると感じました。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 原案/戸塚麻心作画/和田フミ江 監修者・著者:助産師 松田玲子医療短期大学専攻科(助産学専攻)卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務。 大学附属病院で助産師をしながら、私立大学大学院医療看護学研究科修士課程修了。その後、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。
2022年11月22日子どもの場面緘黙。家庭でできる4つのサポートとはUpload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホン子どもに場面緘黙(選択性緘黙)がある場合、家庭ではどんなサポートができるのでしょうか。※医学的な診断基準とされるDSM‐5では「選択性緘黙」と表記されていますが、日本では一般的に「場面緘黙」という名称が用いられています。このコラムにおいては、「場面緘黙」という名称を用いて、説明していきます。1. 子どもが安心できる環境をつくる子どもの不安を取り除いてあげましょう。リラックスし、安心した環境を整えることが重要です。2. 答えや反応を無理やり求めることはしない話せないからといって、強制的に声を出させたり、答えさせるとかえって不安感、不信感が増します。しかし、話さないからといって、声をかけない、無視するのも良くありません。積極的に声をかけ、言葉による反応がなくても、表情や動きでコミュニケーションをとれるように工夫してみましょう。3. 非言語コミュニケーションの活用言葉を発することができなくても、ジェスチャーや筆談でコミュニケーションをとってみましょう。例えば、首の動きで、うなずいたり、首を振ったりして、YES、NOの意思表示ができるように促すことも一つの方法です。4. できたことを褒める今まで話すことや、感情表現することができなかった場面や状況で、話すことや感情表現することができた場合は、どんな小さなことでも褒めてあげましょう。本人の自信につながります。場面緘黙の相談先場面緘黙は、発症時期である4歳前後だと、まだ学校に通っておらず、他人と話す機会がそもそも少ないため、症状が見落とされがちです。また学校に通い始めてからも性格の問題だと片づけられてしまうこともあります。場面緘黙は、本人が好きで黙っているわけではなく、本人が話したくても話せない状態であることに注意が必要です。子どもに場面緘黙があるかもしれないと思ったら、以下の機関に相談してみましょう。保護者など周りの人が少しでも早く症状に気づくことができれば、適切なサポートも可能になりますし、生活しやすい環境を整えることができるでしょう。一方、支援や治療を受けずにいると、症状改善が遅れたり、二次障害が発現するリスクが高くなります。家族だけで抱え込まず、専門家や周りの人たちの協力を得ながら、本人にあった接し方でサポートすることが大切です。子どもに場面緘黙がある場合は下記に相談をすると良いでしょう。1. 保健センター市区町村ごとに設置された、地域の健康づくりの場です。保健師が常駐しており、子どもの発達に関する相談に乗ってもらえます。医療機関や療育施設の紹介をしてくれる場合もあります。2. 子育て支援センター子育て家庭の支援に特化している機関です。自治体運営や医療機関に委託運営されており、保健師または看護師が相談に乗ってくれます。中には、療育指導を実施している子育て支援センターもあるので、お近くのセンターに問い合わせてみましょう。3. 児童相談所都道府県ごとに設置されている、児童福祉を専門とした機関です。医師、児童心理士、児童福祉士がおり、相談に乗ってもらえます。必要に応じて発達検査を行ってくれる場合もあります。また、全国共通児童相談所ダイアルがあり、189番にかけると24時間365日、児童福祉に関する相談を受けてくれます。場面緘黙のある青年・成人の方にとっては、電話や対面での相談はハードルが高いかもしれません。webで予約できる相談機関や病院、メールなどで相談に乗ってくれる機関を探してみるのもおすすめです。1. 精神保健福祉センター都道府県ごとに設置されており、精神保健の向上を専門とした機関です。ここでは電話相談、施設によってはメール相談を受け付けているところもあります。また、精神障害者向けのデイケアを行っているところもあります。以下は全国の精神保健福祉センターの一覧です。参考:全国の精神保健福祉センター一覧|厚生労働省2. こころの耳厚生労働省が行っている、働く人向けの心のポータルサイトです。ここでは、メール相談を受け付けており、場面緘黙の症状でうまく話せない方や、電話や面接にハードルを感じる方におすすめです。参考:働く人の「こころの耳メール相談」|一般社団法人日本産業カウンセラー協会3. 相談事業所など上記のほかにもお住まいの地域の自治体に相談窓口が設置されている場合がほとんどです。電話や対面での相談が多いのですが、お住まいの地域の自治体に確認してみましょう。場面緘黙の治療・支援機関1.病院上記の相談機関では、病院を紹介してもらえることもあります。その場合は、紹介された病院へ行くことをおすすめします。相談機関を介さずに病院へ行く場合は、心療内科や精神科を受診してみましょう。その上で、必要があればカウンセリングを受けていきましょう。2.療育施設、発達支援センター子どもに対しては療育施設や発達支援センターで療育を行うことで、場面緘黙の症状が緩和されるケースもあります。3.学校お子さんが小学生の場合は、学校のスクールカウンセラーに相談するのも良いでしょう。場面緘黙のある子どもが安心できる環境作りを場面緘黙は、話したくても話せなくなってしまう状態のことをいいます。性格の問題だと決めつけず、症状が見られる場合は、お近くの窓口で相談してみましょう。直接相談に行くことが難しい場合は、メールを活用した相談窓口も活用してみましょう。場面緘黙やその治療法の研究はまだまだ発展途上ですが、支援グッズや、地域ごとの支援団体は多く存在します。本人に合うツールを活用して、コミュニケーションの支援をしていきましょう。本人が安心できる環境を整えたり、ジェスチャーやうなずきなどの非言語コミュニケーションも織り交ぜながら、焦らず、本人が伝えたい気持ちを受け取り、寄り添い、サポートしていくことが大切です。
2022年11月22日気になっていた感覚過敏。疑いから確信へUpload By ゆきみ3歳のときに自閉スペクトラム症と診断を受けた長男けんと。感覚過敏について初めて気になったのは「聴覚」でした。普段聞かない音や、大きな音が特に苦手な様子で、親子教室での手遊びや、お遊戯の音も嫌がり、いつも部屋のすみに逃げていました。そして視覚過敏。2~3歳ころ、暗い場所を怖がり、明るい街灯でいつも眩しそうにしていたのを覚えています。年長の夏、臨床心理士さんに「SP感覚プロファイル」という感覚に関する検査を行っていただきました。すると全ての項目の感覚が「非常に高い」という結果に。以前から苦手な感覚があるという意識はあったものの、可視化された表と説明を受け愕然とし、感覚について深く考えるきっかけとなりました。今回は、聴覚過敏と視覚過敏への対応を振り返ってみたいと思います。聴覚過敏があるけど、イヤーマフはもっと苦手?こども園に通っていたころ、苦手な音が聞こえると教室から逃げて、しばらく戻って来られませんでした。よく通る道にレストランがあったのですが、前を通るのを嫌がりました。換気扇の大きな音がなっている場所だったからのようです。Upload By ゆきみ苦手な音が多いのだなと思い、イヤーマフを購入。しかし触覚過敏もあるようで、耳に触れている感触を嫌がり、好んでつけることはほとんどありませんでした。それでは…と、子ども用の耳栓を購入。こちらは耳の穴に何かを入れるのが嫌な様子。好きな音楽が流れてくれば、耳に触れるものでも少し興味をもつかも…と思い、子ども用の極小サイズイヤホンも試してみました。小さな音量ですが大好きな曲を流している間は興味を示しつけていましたが、やはり苦手だったようで、すぐに外してしまいました。原始的な方法に戻り、苦手な換気扇の音がするレストランの前を、母が耳をふさいで通り過ぎ「嫌な音は耳をふさぐ」と伝え続けたら、自分で耳をふさぐようになってきました。通っていた児童発達支援施設でも、音を嫌がり課題に参加できないときがよくありました。無理にでも課題に参加させようとするのではなく、「怖い気持ちをあらわす絵カードを先生に渡す」「音が怖いから教室を出たい」と先生に伝えるというように、「誰かに伝えて安心できる場所へいく」という方法を根気強く教えてくださいました。視覚過敏で偏食に?苦手な形状があるようで以前はごはんをなんでも食べていましたが、年中の夏ころから、急に給食を食べなくなり、食器にフタをして、食べたいものだけを取り出して食べるようになりました。そして、このころから急に偏食に。原因は分からないのですが、視覚からきている気がしました。Upload By ゆきみ家族、お友達が食べているドロドロした見た目のものは全く見られず、気分が悪くなってしまうように。家での対応として、簡易の卓上パーテーションをつくりました。文房具売り場にあったA3サイズのプラスチックボードを4枚貼り合わせたものですが、これを気にいり、今では見たくないものがあるとき「パーテーションつけて」と教えてくれるようになりました。ほかにも視覚で気になるのは、暗闇、明るい光、特定の色味が苦手というところ。こども園の読み聞かせの時間、絵本によっては走って教室から逃げていってしまったそうです。そこで、見たくないものがあったときは「手で目を隠す」というのを伝え続けました。が…見たくないのに、見てしまうということもあります。そういうときは、大人が手で目を隠してあげるようにしています。小学校入学。年齢があがるにつれての変化小学生になった今でも、たまに学校で怖くて勝手に逃げてしまうときもありますが、「怖いから〇〇したいです」などと、自分の気持ちと、どうしたいかを伝えられるようになってきました。学校の給食の時間は既製品のパーテーションを使い、更に窓側に向いてごはんを食べ、ほかの子の食べているものが見えないようにするなど、先生がご配慮してくださっています。構音障害があるうちの子。苦手が上手く伝えられないので、今はしっかりと周りの支援者の方と、どのような感覚が苦手そうなのかを共有して、安心できる場所をつくっておくことも大事なのかなと思っています。Upload By ゆきみ以前は、怖くてしかったなかったようなものでも、年齢があがるにつれ、「これはこの音だから大丈夫」というように変化しているような気がします。でも、苦手な感覚はたくさんあるので、少しずつでいいので自己防衛ができるようになってくれたらいいなと願っています。執筆/ゆきみ(監修:初川先生より)感覚過敏とそれへの手立てに関するエピソードをありがとうございます。けんとくんは感覚過敏に関する検査を取られたのですね。検査を取ることで客観的に把握できる面はありますが、こうした検査はおそらくお子さんをそばでよく観察されている保護者の方にとっては、確認的な意味合いになると思います。そして感覚過敏への手立てを取るにあたっては、検査はマストではありません。お子さんに感覚過敏があるかもと思ったら、さまざまな手立て・工夫を試してみて、お子さんに合う方法があれば採用してみる、というスタンスでいいと思います。イヤーマフやイヤホンなど、うまく合えば、場面の汎用性も高く、気持ちの面でも安心感が高そうに思われますが、合わないお子さんもいます。けんとくんの合う方法は、耳を手でふさぐ。これは道具を忘れてしまっても使える方法なので、これはこれでよいかなと思います(どの方法もその方法が持つ長所短所ありますし、何よりお子さんに合うかどうかが最優先です)。また、児童発達支援施設にて、初期のうちからカードや言葉で“先生に伝える”ということを大事にご指導されたことも、年齢があがったときにそうしたことが必要となる場面が増えるので、よかったのではと思います(すぐには習得できない、難しいテーマではありますが、伝えることが大事だということを知るのは大切なことですね)。視覚的な過敏についても、ツールを自作され、お子さんに合った方法を模索されたとのこと何よりです。ゆきみさんが書かれている通り、見たくないと思っても見てしまうことはあります(感覚の過敏に限らず、お子さん方にはあると思いますし、おそらく大人でもあると思います)。強烈に注意を引く何かから、自ら率先して注意を逸らすのはなかなか難しいので、大人が目をふさいであげるのも工夫の1つですね。感覚過敏については、成長に伴って緩和される面もあります。ただ、何がどのように緩和されてゆくかは個人差があるのではと思います。また、最近の研究では、不安が高まると感覚過敏が悪化するという報告もあります。その環境への安心安全感や取り組むべき事柄(課題など)の適合度といったものが感覚過敏に影響を与えうるということです。感覚過敏に手立てを取ることはもちろんですが、調子の悪い状況では、その環境設定そのものを見直すきっかけとしてみると良いかもしれません。
2022年11月22日ASD・知的障害のある息子のご近所トラブルわが家の息子は中学2年生。3歳のときに、ASDと知的障害の診断がおりました。発達検査をすると、いつも社会性の部分がとくに低い息子。4歳くらいのころは家族以外の人と関わろうとする様子がまったくなく「他人は空気」のような感じだったと思います。そのため、人から話しかけられても気づかなかったり、興味を示さないことが多くありました。息子に知的障害とASDがあることをご近所にまだ話していなかったときのことです。近所のおじさんは職人気質で声も大きく威勢のいい方でした。ただ、普段はなかなかおじさんから挨拶をしてくれることはありません。私が挨拶しても機嫌次第でスルーされることもしばしば…。しかしこの日はおじさんのほうから息子へ挨拶をしてくれました。しかし、息子はその挨拶をスルー…。そのときの息子は4歳でしたが、発語がほとんどありませんでした。また社会性の発達面がもともと低く、挨拶をされていることに気づかなかったのかもしれません。そんな息子の様子を見たおじさんは「挨拶くらいせんか!」と怒ってしまい…。Upload By ユーザー体験談障害について話していなかったので仕方がないのもあるかもしれませんが、「まったくどんな育て方をしているんだ」とも言われ私は挨拶をしないんじゃなくてできないんだよ…ととても悲しい気持ちになりました。「息子の障害をカミングアウトしよう!」と決めて私はこの経験をきっかけに「もうご近所さんに障害をカミングアウトしよう」と決めました。その日早速おじさんのお宅に伺いました。おじさんのお宅にはおばさん(おじさんの奥さん)がいたので、代わりにおばさんに「息子にはASDと知的障害があり、まだ話せないんです」とお話をしました。Upload By ユーザー体験談おばさんは落ち着いた様子で「この年になってもしゃべらないから、何かあるのかな?と思ってた」と教えてくれました。おじさん、おばさんがほかのご近所さんにも伝えてくれたようで、それ以降私から近所の方に息子の障害について話す必要がなくなり一安心しました。近所の人との関わりにも変化が私の住んでいる自治体では定期的に環境美化があったり、ごみステーションの立ち当番でご近所さんと顔を合わせることがありますが、息子が大きな声をあげたり、外で癇癪を起こしていても、近所の人たちは(何も言いませんが)「障害があるから仕方ないね。大変そうだ」と思ってくれているのか、暗黙の了解といった感じになりました。集合住宅なので、息子の泣き声や、壁を叩いたり床を蹴って怒ったりする音もご近所さんに聞こえることもあっただろうと思いますが、みなさんそっと見守ってくれていました。Upload By ユーザー体験談中学生になった今は現在中学生になった息子。最近はご近所さんのことをよく認識していて、おじさんやおばさん、ご近所さんとバッタリ会うとピョンピョン飛んで喜ぶので、みなさん「お帰り」「おはよう」などと声をかけてくれます。息子はそれに「おはよう」と答えられることもありますし(お帰り→ただいまのやりとりはまだ理解できていないので、私がフォローをしています)、挨拶をスルーして先を急いでしまうこともありますが、みなさん怒ったりせず笑顔で接してくれてとてもありがたく思っています。みなさん、息子に障害があるということを理解しながらも、普通に声をかけてくれます。先日は息子がおばさんに「こんにちは!」と返事ができたときに、おばさんが「おぉーっ!(こんにちは!って言えてる!)」と感動してくれました。私もそれを見てとてもうれしく思いました。Upload By ユーザー体験談息子もご近所さんと会うとうれしいようで、自主的に挨拶をすることも増えました。人を意識できるようになったところ、自分から挨拶をしようとするところが小さいころと大きく変わってきたと感じます。これからも息子がこの地域に住む一人としてご近所さんとあいさつを交わしたり、ほんのちょっとした会話ができる関係でいられたらうれしく思います。また、息子はお手伝いや与えられた仕事を最後までやり遂げることが得意なので、地域でも学校でも福祉サービスでも、何か人のために役割をできるようになったらいいな(掃除を手伝うとか、大変そうな人の荷物を持ってあげるとか、みんなに何かを配るときに手伝うなど)と思っています。イラスト/吉田いらこエピソード参考/あかし(監修:三木先生より)勇気をもって告白して良かったですね。人は自分の主観的な理解でものごとを考えてしまうので、こちらの状況や考えていることを伝えるのは大事なことですね。また、ご近所さんの立場から言うと「分からなければ聞いてみる」のも一つの方法です。お互いにモヤモヤしているより、気持ちのいいコミュニケーションが取れると良いですね。
2022年11月21日長所を伸ばすことについて、改めて考えてみると…Upload By 丸山さとこ発達の凸凹が大きい子どもを育てる上で、「短所ばかりに注目しない」「長所を伸ばすことが大事」と聞くことはしばしばあります。一見すると弱みに見えるところにも強みが隠れていることがあり、そこを活かせるようサポートすることで子どもが自信をつけられるとも聞きます。先日もそのような話を聞いたため、改めて「コウの長所ってどこだろう?」と考えてみると、「ここが!長所です!!」と明言できるポイントはよく分からないことに気付きました。彼の長所はたくさんあると思います。ですが、安定して(?)長所だと言えるところをとりあげようとすると中々定まりません。コウは声が大きく、授業中の発言や発表などでは聞き取りやすく堂々とした雰囲気で話すため、そこは長所なのかな?と思います。ですが、その『声の大きさ』はトラブルを生むこともあります。中学生になり、以前よりは調節できるようになったものの、今でも「丸山、声でけえ!」「うるさい」と言われることはあるようなので、分かっていてもコウにとって難しいところなのかもしれません。Upload By 丸山さとこそのようなとき、解決方法として『合う環境を選ぶこと』がよくあげられます。実際、コウにとって有効なことも多いようです。そんな中で、合う環境にもいろいろあるのだろうなと思うようになりました。コウの長所が発揮できる環境は『長所が活かされる環境』の場合もあれば『短所が目立たない環境』の場合もあったからです。コウの長所が発揮できる環境って、どんな環境だろう?コウの声の大きさや主張の強さは、発表の場ではよく活かされます。ただし、『発表をできる環境』には『コウ以外の人の発表』もあるため、それらの発表を聞くことも大切になってきます。普段から「人の話を聞いていない」と言われることの多いコウは、担任の先生から「人の発表も聞きましょう」と注意を受けることもしばしばありました。Upload By 丸山さとこ別のときには、個人懇談にて先生から「コウ君がほかの子の発言を『今言われた〇〇というのは間違っていて…』と否定して発言してしまうことで、萎縮してしまう生徒がいます」と聞いたこともありました。それらの話を聞いた私は、家庭にて「発表ではほかの人の話も聞くこと」「発言をするときは、ほかの人の意見を踏み台(枕)にしないこと」を話しました。その後それらの行動は出なくなったとのことでホッとしましたが、長所を活かすことの難しさを感じる出来事でした。そんなコウでしたが、いろいろな発表の場を見ていくうちに、『発表の場で緊張しないこと』がシンプルに活かされる場もあることが分かってきました。例えば、楽器演奏の発表では言葉を使わないため、『人の発言を押しのけたり踏んだりすること』は起きません。緊張せずに練習の成果をしっかり活かせるため、コウの短所は目立たずに長所が目立ちます。人の話を聞くのが苦手なコウも演奏には集中しやすいそうで、人の発表にも耳を傾けて参考にするようになりました。Upload By 丸山さとこほかにも、トラブルの原因になりがちな『自分の意見がハッキリしている』ことや『理由にこだわる』ところも、レポート作成には活かされることが分かりました。普段人に話せば「説明が長い」「言い訳ばかり」「講義か」と言われるようなことでも、レポートであれば思う存分書くことができます。堂々と発表ができることは『話す』こと以外で活かし、意見があって理由にこだわるところはレポートに活かす。コウの持っている要素を長所として活かすために「長所を細かく丁寧に見ること、いろいろな環境を試すこと」は大切なのだなと改めて思いました。短所は長所の裏返し…なのか?また、短所については「短所も裏を返せば長所になる」と言う言葉を聞くことがあります。実際、短所としてのみ注目されていた要素が『長所になる面』も持っていることも、たくさんあるだろうと思います。ですが、凸凹の目立つ子どもの場合はストレートに「短所も裏を返せば長所になる」とはいかないことも多いのではないか?とも思います。例えば、前述のようにコウは声が大きく主張もハッキリしていますが、それは『周りとの違いを怖がらないから言える』のでありません。『周りが見えないので怖がることなく言える』ため、周りが見えない結果トラブルにつながることもたくさんあります。Upload By 丸山さとこ神経発達症(発達障害)がある子どもは、「こだわりが強い」ことでトラブルが起きやすい反面「粘り強さや一途さがある」とされることも多く、これなど、まさに「短所を長所に!」にあたるのではないかと思います。ですが、子どもと接していると「こだわりは強いが粘り強くはない」というケースも結構あるのではないかと感じます。ほかにも「完璧主義だけど責任感は強くない」「マイペースにやりたがるが、特に丁寧ということもなく作業が雑」など、一般的にセットとされるはずの「短所は長所でもある」が通用しないことも多いような気がします。「裏を返せば」は、見方を変えるヒントの一つなのかも?こうして書いていくと、「短所は裏を返せば長所なのかも?」という言葉に懐疑的なように思われるかもしれませんが、私はそれも一つの良い見方なのだろうと思っています。一つの要素も、短所だと思い込んで見れば良い面が見えなくなることがあります。そんなときに、「こっちから見てみたらどうかな?」と新しい光の当て方をしてくれる方法が「裏を返せば」「見方を変えれば」という言葉になっているのではないかと考えています。ただ、『見方を変えようとして別の角度から光を当てているはずなのに、返って見えなくなることもあるのかもしれないな?』と思うことはあります。「落ち着きがない」という短所は、「好奇心旺盛で活発」などの長所でもあると聞いたことがあります。そういう子どももたくさんいるのだろうと思いますが、中には「好奇心旺盛ではなく活発でもないが落ち着きがなくなってしまう」子どももいるのだろうと思います。その子の場合は、『好奇心の向くままに活発に動けるように、じっとしなくていいように』支援するのではなく、『見通しを立てたり不安を解消したりする』ことや、『刺激を減らして落ち着けるようにする』ことが、その子にフィットした支援になるかもしれません。もちろん、「好奇心旺盛で活発なため落ち着きがない」場合は、その子が好奇心のままに自由に動ける環境や「先生に希望を伝えてから移動する」などの手続きを教えることがサポートになるのだろうと思います。Upload By 丸山さとこそうしていくと、よく言われがちな『その子にあった支援を』ということになるのだと思いますが、それが難しいのですよね。自分で書いておきながら、「それが簡単にできれば苦労せんわい!」という気持ちでいっぱいです。ある要素や出来事を『短所として見ること』だけでなく、『短所の中に長所を見出そうとすること』すら素直な目線を奪うことになりかねないのだろうと考えると、他者を見るとは何と難しいことなのだろうと思います。園や学校や医療機関や、療育園や放課後等デイサービスなどなど…いろいろな場所や人の力をお借りしながら、コウの中にあるさまざまな要素や可能性を見ていけたらいいなぁと考えています。執筆/丸山さとこ(監修:藤井先生より)息子さんの長所・短所を探すのは、息子さんの行動や特性を振り返る良い機会になったのだと思いました。さまざまな視点で行動を観察してみると、強みが見つかりやすいですね。「その子にあった支援」には、お子さんの成長によって変わってくる部分もあります。お子さんに関わっているいろいろな人と相談しながら、強み探しをしていくのが大事ですね。
2022年11月21日育児につまずき、思い詰めて心療内科を受診した私。そこで医師から投げかけられた言葉は「発達障害の疑いがある」という、私にとって意外な言葉でした。そこで心理テストを受け、結果を受け止めた今の自分の心境をお伝えします。ほかのママとどこかで比べてしまう現在、私は3歳と0歳の姉妹を育てている2児の母親ですが、上の子も下の子も出産後から両親や親戚などに頼らず、ほぼワンオペで育児をおこなっていました。孤独に育児をしていたこともあってか、ほかのママ友たちと自分を比べると「どうも私は子どもに対する愛情に欠けているのではないか」と思ってしまう自分がいることに気づいたのです。たとえば、子どもとどうやって遊べばよいか本気でよくわからなかったですし、一生懸命に育児本を読んでそのようにおこなっても、いまいち乗り気になれない自分がいたりしました。特に下の子を出産したあとの数カ月の間は、上の子に対して感情的に怒鳴るなどひどい扱いをしていたことも事実です。そんな出来事から「私はもしかして産後うつなのでは?」と思い悩み、また慢性的な睡眠障害もあって、思い切って心療内科を受診したのです。 思い切って心療内科を受診心療内科を受診したのは下の子が生後半年を過ぎたころでした。医師からの診断は「適応障害と産後うつ」そして「発達障害の疑いがある」という、私にとっては衝撃的な話でした。恥ずかしながら発達障害というワードだけは聞いたことがありましたが、詳しくは知りませんでした。早速家に帰って発達障害について調べてみたり、セルフチェックテストなどをおこなったりしました。たしかに今までの人生を振り返ってみて対人関係においてのつまずきや、職場でのトラブルなどはあったのも事実ですし、いわゆるADDやADHDの症状である「忘れっぽさ」や「衝動性の強さ」「こだわりの強さ」があったように感じました。 愛着障害と診断を受けて後日、2日ほどに渡って精密な発達障害の心理テストを受けたのですが、結果は「発達障害の所見はなし」でした。しかし、私が過去に実親から暴力などの虐待を受けたことがあるということから、「愛着障害の可能性がある」と医師から聞かされました。愛着障害とは、乳幼児期において暴力やネグレクトなどで傷を負い、適切な愛情を持って育てられなかった子どもが、社会人になったときに対人関係や仕事、そして育児などに支障が出る障害のことだそうです。医師からその診断を受けたときは、正直言って「やっぱりな」と思う自分がいました。 まさか自分が発達障害の疑いを持たれるとは思いもよらず、心理テストの結果が出るまではモヤモヤでいっぱいでしたが、発達障害やそのほかの精神疾患などについての勉強にもなりました。客観的に自分が親にされてきたことは虐待だったのだと受け止め、過去の自分と向き合うことで本当の私になれる気がしています。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 ベビーカレンダーでは、赤ちゃん時代を卒業して自己主張を始めた2~6歳までの子どもの力を伸ばし、親子の生活がもっと楽しくなる【キッズライフ記事】を強化配信中。今よりもっと笑顔が増えてハッピーな毎日になりますように! 監修/助産師 松田玲子著者:仲本まゆこ自身の体験をもとに、妊娠・出産・子育てに関する体験談を中心に執筆している。
2022年11月20日医療的ケア児って?医療的ケア児とは、生きるために、日常的な医療的ケアを必要とする子どものことです。ひと言で医療的ケア児といっても、抱える障害の種類や症状の程度は幅広く、必要なケアもさまざまです。歩ける場合もあれば、自分で体を動かすことや移動が難しく、一日のほとんどをベッド上で過ごす場合もあり、知的障害や身体障害、その他の障害の有無や程度も違いがあります。具体的な医療的ケアの例としては次のようなものがあります。・気管切開部のバンド交換などの管理・人工呼吸器による呼吸管理・経鼻、胃ろうなどの経管栄養・痰などの吸引・人工肛門(ストーマ)の管理・導尿・血糖値測定やインスリン注射厚生労働省の調べによると、在宅医療的ケア児の推計人数は、2005年は約1万人と発表されていました。しかし、その人数は2019年には約2万人と発表されており、14年間でおよそ2倍に増えていることが分かります。また、幼稚園~高校に在籍する医療的ケア児は約1万人、このうち8,400人は特別支援学校に在籍をしています。医療の進歩と共に、広く存在を知られることになってきた医療的ケア児。乳幼児期を経て学齢期に入ったとき、教育の場ではどのような状況におかれているのでしょうか。医療的ケア児と教育生きていくために日常的な医療的ケアは欠かせません。学校においても、それは同様です。学校で適切なタイミングで安全に医療的ケアを実施できる体制を保障することができれば、子どもたちも毎日安心して学校に通うことができます。また、そのなかでほかの子どもと同じように、授業に参加することができます。毎日学校に通うことができれば、生活リズムの形成が促され、ケアを行う看護師や教員との関係ができ、そのなかで「吸引してほしい」「姿勢を変えさせてほしい」といった、自分の意思を伝える力が育まれる場合もあります。学校生活で、仲間たちとともにさまざまな経験を重ねることで、自己肯定感や自尊感情の向上も見込め、家族以外の人との信頼関係の構築もできると思われます。通常学校であれば、他児への障害理解教育、共生教育(さまざまな違いを持つ人が一緒に学び合う)にもつながります。学校で医療的ケアを行うことには、医療的ケア児の身体的・心理的な安定やコミュニケーション力の向上、人間関係の形成といったさまざまな意義があるのです。医療的ケア児にもさまざまな実態の子どもがおり、一括りに「こういう配慮が必要」と言い切ることはできません。例えば、さまざまな実態のある医療的ケア児と、学校現場で想定される課題を考えてみると、大きく以下の3つのパターンが想定されます。1.身体障害及び知的障害ともに重度経管栄養や気管切開、人工呼吸器の使用といった濃厚な医療的ケアを必要とする場合が多く、よりきめ細やかで専門性の高いケアが必要です。病気や障害の程度や種類にもよりますが、例えば経管栄養の場合は、無理のない姿勢の調整や注入時間の調整が必要です。喘鳴や嘔吐、下痢などを起こしやすい子どもには、注入中の細やかな見守りや、注入後の全身状態の確認は欠かせません。気管切開をしている場合には、その子どもにとって最適なタイミングでの痰の吸引や、気管カニューレ部分の適切な管理が必要です。また、人工呼吸器を使用している子どもには、呼吸の状態のこまめなチェックや、呼吸器の接続の確認が必須です。車いすやバギー、ベッドでの移動がスムーズなバリアフリー環境も求められます。2.身体障害が軽度、知的障害は軽度〜重度自分で動くことはできるが、日常的な医療的ケアが必要な場合、気管切開や経管栄養、導尿などのケアが必要な場合などがあります。知的障害がほとんどない場合も多く、同年代の子どもとの集団生活や、年齢相当の学習環境も求められます。知的障害の程度によっては、ケアに必要な器具や装具を適切に扱えない場合が考えられ、支援者による見守りや教育が必要です。3.身体障害及び医療的ケアが重度、知的障害は軽度身体障害が重く自力では身体が十分に動かせなかったり、疾患により手厚い医療的ケアが必要ではあっても、知的機能にはほとんど障害がない子どももいます。本人の学習意欲が高い場合も多く、年齢相当の集団生活や学習環境が求められることも多いです。また、1と同様に、車いす移動なども可能なバリアフリー環境も求められます。もちろん、上記の3パターンの中でも個人差がありますが、共通することとして、医療的ケアを安全に、衛生的に実施できる環境を確保することが必要です。そして、そのためには、医療的ケア児の周囲にいる教職員や子どもたちの理解と協力が不可欠です。どのパターンにも想定される緊急事態として、体調の急変などが挙げられます。急変時に周囲の者が迅速に対応できるよう、急変時を想定したシミュレーション訓練や研修を定期的に行うことが必要です。これらの中には自分、支援者、友達などが、管を抜いてしまう事故抜管なども考えられます。このように、ケアを安全に行うだけでなく、体調の管理や急変時の対応や事故が起きないための工夫も必要となります。医療的ケア児と保育・教育現場の課題近年、医療的ケア児が増加する中で、保護者や教員など当事者や実践現場の声により法整備が進み、「社会福祉士及び介護福祉士法の一部改正」や「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」などによって、医療的ケア児をとりまく環境も変わりつつあります。・「社会福祉士及び介護福祉士法」の一部改正による変化(2012年)介護職員等(介護福祉士、ヘルパー、教員、保育士等)の対応が法的に位置付けられ、医療的ケアの担い手(対応者)が拡大していく方向に進みました。例えば、これまでは保護者が付き添って行うことも多かった、痰の吸引や経管栄養の実施なども教職員が行うことができるようになりました。・「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」の施行(2021年 6月)国や地方公共団体などは、医療的ケア児に対する教育体制の拡充をはかることが求められるようになりました。文部科学省からは、「学校における医療的ケアの今後の対応について」(2019年)という通知が出され、各教育委員会などに向けて、すべての学校における医療的ケア児への対応が示されました。その中では、医療的ケアの基本的な考え方や、医療的ケアを実施する際に留意すべき点などがとりまとめられています。また、各都道府県に相談や情報提供等を行う医療的ケア児支援センターも設置されました。医療的ケアを行う看護職員などへの研修資料の作成や、医療的ケア児の受け入れ体制に関する調査研究なども進められています。医療的ケア児の家族は、就学前からずっとわが子のケアを担ってきました。日常的に命に関わるケアを求められる家族の負担は、定型発達の子どもを育てる家庭に比べて、とても重くなります。病院ではなく家でケアを行うことで、「何かトラブルがあったら」という不安が常にあり、ケアの頻度が高ければそれだけ時間も割かれます。深夜も子どもの様子が気になって、熟睡できないことや、必要なケアが就寝時間帯にも及ぶと、家族の睡眠時間にも影響もするでしょう。また、子どもの今後の発達や、将来への不安を感じている家庭も多いと考えられます。支援を得るための手続きが煩雑であったり、医療的ケアが可能な保育園などの預け先が見つからない、という困りごともあり、本人にとっても保護者・家族にとっても、まだまだ負担が大きい現状は見過ごせません。医療的ケアは、痰の吸引と経管栄養の一部の行為であれば、介護福祉士や、専門の研修を修了し「認定特定行為業務従事者」として都道府県知事から認定を受けた職員もできますが、すべての行為をできるわけではありません。そのため、現場では実際に医療的ケアを行える人材が足りず、学校でケアを行う学校看護師は、慢性的に不足しています。また、看護師の配置にも地域格差があります。学校に看護師が配置されていたとしても、医療的ケア児に対しては保護者のつき添いを求めている場合もあります。医療的ケア児の家族は就労に制限が出たり、転職や離職を余儀なくされてしまうなど、厳しい状況に立たされてきました。これを解消するためにできたのが、「医療的ケア児支援法」(2021年)です。本来であれば、子ども本人の自立を促す観点から考えても、保護者がつき添わず、学校の中で支援が完結されることが望ましいでしょう。医療的ケア児支援法に則って、自治体は必要であれば看護師を配置し、教員による医療的ケアを進めていく必要があります。医療的ケア児とその家族を支援するための喫緊の課題は、大きく分けて4つあります。1.教員による医療的ケアの充実医療的ケア児のことをよく理解し、その子どもと信頼関係のある教員が、ケアを実施することで生まれる教育効果も多く報告されています。まだまだ教員が医療的ケアを主体的に担っていくには課題のある学校現場や自治体もありますが、将来的には、子どもの一番身近にいる教員が、看護師の見守りのもとで医療的ケアを行いながら、教育を保障していく形に近づいていくことが望ましいでしょう。2.教員と看護師の連携(校内連携)学校看護師は、学校で医療的ケア児の教育を保障していく上で、なくてはならない存在です。学校看護師は、人工呼吸器の管理等や体調急変時の対応など、教員にはできない医療的ケアや処置などを率先して行いつつ、教員ができる医療的ケアを見守り、医療・保健の視点からの専門的なアドバイスを行います。教員は、看護師の見守りのもとで授業を進め、担当する子どもの健康の保持・増進を教育的に支えます。また、校内の医療的ケアや医療的ケア児についての情報の管理や看護師と教員のスムーズな連携をコーディネイトする養護教諭の役割も重要です。学校内で、医療的ケア児を支えていくためには、教員、養護教諭、看護師の有機的な連携が不可欠です。3.学校と他機関の連携医療的ケア児には、教員や学校看護師のほか、主治医やリハビリにかかわる理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、また福祉についての相談やコーディネイトを行う保健師や児童相談所相談員など、さまざまな職種が支援にあたります。それぞれの専門家がそれぞれの立場から支援を行いながら、お互いの情報を共有し、子どもと保護者が安心して生活できるような支援体制をつくっていくことが必要です。4.特別な支援を必要とする子どもへの、切れ目ない支援体制の整備これは医療的ケア児に限ったことではないですが、幼児期、学齢期、思春期・青年期、成人期とステージが変わるごとに、支援の切れ目ができてしまうことがあります。そのため、幼稚園や保育園、療育などを受ける幼児期、学校に通う学齢期、子どもから大人へと変化を迎える思春期・青年期、そして成人後の社会参加と、切れ目ない支援を受けられるようになることが求められています。この課題を解決していくために、個別支援計画などを活用しながら子どもの情報を共有し、教育、福祉、医療など、子どもに関わるそれぞれの施設が連携できる体制をつくることや、連携支援コーディネーターを配置すること、広く社会に向けて、特別な支援を必要とする子どもたちへの理解について、普及、啓発していくことが必要とされています。まとめすべての子どもには、病気や障害によらず、就学先を自由に選択できる権利があり、病気や障害を理由に不利にならないこと、本人にとって望ましい環境で教育を受ける権利が保障されています。医療的ケアが必要な子どもたちにとっても、学校という教育の場はさまざまな経験をつみ、心身を成長させる大切な場です。必要な支援を適切に受けながら、自分の可能性を広げるために学び育つことができる環境がより整っていくことが、今必要とされています。
2022年11月19日中学校の特別支援学級について、先生の説明は…中学校の先生の説明では、基本的には通常学級の教室で授業を受け、苦手な科目だけ特別支援学級の教室へ移動して授業を受けるという方法をとるようでした。現在の小学校でのスタイルと同じです。あとは、部活動を始めるとクラス以外にも世界が広がるので、どこかに入部してくれることを期待しています。本人は今のところ帰宅部を希望していますが…。(ゆいの通う小学校は「特別支援学級在籍」となっていても、普段は通常学級で過ごし、サポートが必要な科目だけ、特別支援学級の教室に集まって授業を受けています。※自治体により異なります)Upload By 吉田いらこ通学路を確認するのは地図アプリで中学校へは自宅から徒歩で15分ほどです。行き方もほぼ一本道で迷うこともありません。ですが、新しい場所に対して不安の強いゆいは「中学校にどう行ったらいいのか分からない、怖い」と言うので地図アプリを見せることにしました。アプリを開いて自宅を表示したら、そこからスタートし中学校までのルートを一緒に見ていきます。「ここにカフェがあるね」「赤い屋根のおうちが見えるね」など場所を確認しながら進めていきました。この方法は「場所見知り」が強いゆいの特性にとても効果があり、よく使っています。新しい場所に行くときは前もって地図を見たり、建物の外観や内部の画像をネットで検索したり、建物のフロアマップを見たりすると全体像が把握できて安心できるようです。Upload By 吉田いらこ中学校卒業後は?特別支援学級でも内申点はつくの?私がゆいの進路選択で一番気になっていたのは、義務教育が終了したあとのことでした。今のところ卒業後に就職することは親子ともに考えておらず、進学を考えています。中学卒業後の進学先は、全日制高校の普通科、特別支援学校高等部、定時制高校、通信制高校、高等専修学校…ほかにも膨大な選択肢があります。障害者手帳を取得しているかどうかが進学の決め手になる場合もあれば、特別支援学級に在籍することで内申点がつかず、受験が難しくなる場合もあると聞きました。※お住まいの自治体等により制度は異なります特に、子どものためを考えて特別支援学級を選んだ結果、進学先の選択肢が狭まったり、進学を希望する高校の受験が難しくなったとしたら、つらいところです…。学業成績に関しては特に問題のないお子さんがいらっしゃるご家庭は悩ましいのではないでしょうか。定型発達の子どもに比べて、障害のある子どもの場合は中学校へ進学する時点でいろいろと調べなければならないことが多く大変だなと感じました。この点に関しては、ゆいが通う予定の中学校では特別支援学級に在籍していても内申点はつくということだったので安心しましたが、早めに進学を希望する学校へ足を運んで確認し動くことが大事だなと感じています。Upload By 吉田いらこ中学校生活は小学校のころとはまた違った悩みが増えてくると思いますが、親としていろいろなサポートができればと思います。執筆/吉田いらこ(監修:初川先生より)中学の進路選択やその後の準備、そして義務教育終了後を見据えてというテーマでのコラムをありがとうございます。中学校に入ったら部活をしてほしいという保護者の方は多くいらっしゃいますね。当の本人は帰宅部希望ということもよくあります。その場合、入学前から部活動のすばらしさを語ったり、特定の部活へのプッシュをしたりは私はあまりおすすめしません。ただでさえ未知の中学校生活に、何らか期待を寄せられることは、部活をもともと楽しみに感じられるお子さんならまだしも、帰宅部希望と言っているお子さんからしたら負担や負荷になってしまうだろうと思います。実際には、中学入学後、部活動の紹介や体験入部といった時期があり、その中で入部するかどうかを決めます。そのころには、中学校というものがおぼろげながらも様子が分かってきて、毎日の疲労度もなんとなくつかめてきているかもしれません。そして、部活動紹介での先輩の姿やクラスの友達の動向などによって、興味関心を突然持つこともあります。そういう意味で、部活動どうするかは入学してからのお楽しみでもいいのではと思います。ゆいちゃんは場所見知りがあって、家で、一緒に地図アプリで様子を確認するとのこと、とてもいいですね。安心できる場で(家で、家族と)、まずは写真で見て、心の準備をしておくこと、何よりです。中学校は毎日通う場になるので、きっとどこからか、歩く練習もされると思いますが、その場合には、ポイントとなるところ(目印となるお店など)で、立ち止まりきょろきょろしてみてください。不安な気持ちで前だけ見て歩いていると、行きと帰りとで景色の見え方が違い、どうにか行けたけど、帰り道は帰り道で不安になるかもしれません。ときどきくるっとうしろや左右を見ながら、歩いていただければと思います。さて、早くも中学卒業後の話が出ていますが、そのあたりを視野に入れておくことは大切です。中学校生活は3年間で、結構あっという間でもあります。私は、中学卒業後に進学を考える際には、高校卒業後を見据えて高校について考えてほしいと思っています。全日制普通科だと、多くの場合、出席日数が厳密で、学習の習得度にも赤点もあり、その学年で取得すべき単位を1単位でも取りきれなかった場合には留年する(留年させない学校もあるので、その場合退学を検討する)ことになります。通信制高校や定時制高校は単位制であることが多く、単位を取り損ねた場合には次年度また挑戦すれば良いというシステムです。しかし、自分で時間割を組んだり、課題も自分でマネジメントしたり、学校によってそのサポート具合はさまざまですが、中学までとは違う難しさが出てきます。また、通信制高校でスクーリングを行う際には、学校に通うタイプと合宿などで一気に行うタイプなどがあります。そうした特徴も、お子さんに合うかどうか、人それぞれというところです。このように高校で単位を取るのはそれなりに苦労が伴い(高校は高校卒業に値する学習を修める場なので仕方ないことですが)、そして、大事なのはその後です。今、さまざまなタイプの高校がありますが、高校卒業を目標に据える学校もあれば、その後の大学や専門学校進学あるいは就職を目標に据える学校もあります。高校は卒業したけれど、その後が…となってしまうとおそらくお子さん本人もご家族も困ってしまうのではないかと思います。そういう意味で、例えば、知的障害のあるお子さんの場合、特別支援学校の高等部に進学し、そこで就労の準備をして、卒業後は確実に就労する(特別支援学校の高等部は就職率がとても高い)、というのはなかなか心強い選択肢の1つにはなります。まだ中学に進学する前から中学卒業後のみならず、高校、そしてその後を見据えて、と助言するのはちょっと気が早いようにも感じますが、しかし心の準備として知っておいていただけたらと思います。具体的には、中学入学後、まず特別支援学級の先生にぜひ卒業生の進路の話について聞いてみるところからはじめると良いかと思います。
2022年11月18日ラン活?リュッ活?特別支援学校の通学かばんはどうする?Upload By みんPの就学先を考えたときに、私は「Pは特別支援学校へ行くことになるだろう」と考えていました。年長の就学相談の時期になってからは、より特別支援学校への就学を強く希望するようになりました。何故ならPは定期的に発達検査を受けていたので、障害の程度を数値的にも客観視できていましたし、知的障害の重いPにとって地域の小学校へ6年間通うというのはイメージがしづらく、自立に向けての活動ができて、支援の手厚い特別支援学校へ行くことに迷いはありませんでした。そして特別支援学校の場合、ランドセルではなくリュックサックで通学している児童が多いと聞いていたので、わが家もそうしようと思っていました。「ラン活」ならぬ「リュッ活」の始まりです。※「ラン活」「リュッ活」小学校入学を控えた子どものランドセルやリュックサックを選び、購入するための活動を指す造語リュッ活しようにも、どのようなものを選べば良いのか?情報が少ない!しかしランドセルの情報はたくさん溢れているけれど、リュックサックとなると、通学用にどのようなものを選べば良いのか?情報が少なく、全くイメージができませんでした。ある程度早めに目星をつけておきたかったので、特別支援学校へ通学する場合はどのようなものを選べば良いのか?私はSNSで情報を集めることにしました。すると、ありがたいことにたくさんの方々から通学用リュックサックの情報をいただきました。その中でも1番多かったアドバイスは「とにかくサイズの大きなもの」でした。実際に入学してみて分かったのですが、特別支援学校では教科書やノートや筆箱などの勉強道具を毎日持たせることはありませんが、学校だけではなく放課後等デイサービスの荷物もあり、かさばるものを1つにまとめて入れるためには、大きなリュックサックが必要でした。もし小さめのものを購入していたら、学校の荷物と放課後等デイサービスの荷物を分けて別々に持たせることになっていたかもしれません。Pにとっては、複数の荷物を持つことは忘れ物や取り違えなどのトラブルにもつながりやすいし、支援をしてくれる先生方にも、持ち物を何度も確認していただくことになっていたでしょう。そのため、わが家の場合は、全ての荷物を1つにまとめて入れることができる大きなリュックサックを選んで本当に良かったと思っています。Upload By みん子どもが毎日使う通学かばんなので後悔のないように選びたい!リュックサックのサイズのほかにも、前(胸)ベルトのあるものが良い、本人にも周りにも分かりやすい目立つ色のものが良い、耐水性のあるものが良い…などたくさんのアドバイスをいただきました。そして何よりその子の身体や発達に合うもの、本人が使いやすいものが1番良いということでした。学校や家での荷物の出し入れもPにとっては自立活動の訓練になります。親好みのデザインや色、メーカーなども気にはなりましたが、事前にたくさんの方々から得た情報を参考に、使う本人にとって少しでも分かりやすく、負担にならないようなものを選ぶことができ良かったと思っています。地域や学校、子どもによって通学かばんの選択肢は変わりますし、一般的には「小学生=ランドセル」というイメージの方が強いかもしれませんが、ランドセルとリュックサックどちらを選ぶにしても素敵な通学かばんと出合い、快適な学校生活をおくってもらえたら良いなと思います。Upload By みん執筆/みん(監修:三木先生より)何を選ぶにも、しっかり情報を集めてじっくり検討すると、納得のいく決断になることが多いですよね。特に学校で使うとかばんとなると、デザインや用途をどう考えるかによっても「どの選択肢も正解」になり得ます。だからこそ、自分たちが何を優先したいのかをゆっくり考えてみても良いのかなと思います。
2022年11月17日きっかけは、娘が紹介してくれた「発達障害」に関する本だった視覚優位もあってか、娘は小さいときから本が大好きでした。書籍だけでなく興味のある内容であれば、新聞、辞書、家電の説明書も読んでいました。中学生になると娘は学校の図書コーナーにある発達障害について書かれた本を読むようになりました。そしてよく私に「ママはこの本知ってる?」と尋ねてきました。 私は娘に教えてもらったある本に感銘を受けブログで紹介をしました。そのことがきっかけで筆者の上野景子さんと連絡を取り合うようになりました。初めての親の会上野さんは本の執筆のほかにテレビや講演会で発達障害の啓発活動を行っていました。また親の会の代表もしていました。私は過去にいくつか親の会に加入したことがあったのですが、集まりの日と学校の行事の日が重なったり、下の子が病気をしたりとタイミングが合わず、継続して参加することはできませんでした。娘が学校でつらい思いをしていた時期は、娘がしょっちゅう早退していたので会費だけ払って集まりに参加できないまま退会したこともありました。それ以来、親の会とは無縁の生活を送っていたのですが、このときはタイミングが良く、私は上野さんに誘われ親の会に参加することになりました。このご縁が、子どもが成人したあともずっと続くとは、そのときの私は想像もしていませんでした。緊張しつつ集まりに参加すると…親の会といっても会費などはなく、参加できる人がファミレスなどに集まり、昼食を取りながら近況を語りあったり、お互いの悩みを話したりするというものでした。「以前は講師を呼んで講演会を開いたりもしてたんだけどね」と発足当時のことを笑顔で話す上野さん。「20年前は発達障害という言葉を知らない人がほとんどで、いくら親が障害について説明しても、なかなか話を聞いてもらえなかったの。でも“専門家の先生”の講演会を開催したら学校の先生方も理解してくれるようになったの」過去の苦労を気さくな口調での語る彼女はとてもチャーミングな人でした。頼りになる先輩ママたちの情報やアドバイス!でもそれだけではなくて…Upload By 荒木まち子その言葉通り、参加している先輩ママさんたちはみんなそれぞれ多くの引き出しを持っていて、地域の相談先や学校、病院や就労支援事業所、自治体の障害者支援制度など、幅広い情報を得ることができました。でもそこは決して情報を得るだけの場所ではありませんでした。つらい話を笑いに変えたり、お互いの子どもの成長を喜び合ったり。ときには自分の趣味や健康、家族に対する愚痴を話してガス抜きをするーー親にとってものびのびできる場でした。Upload By 荒木まち子都合が良いときだけ参加できる2ヶ月に1度の和やかな会で、マシンガントークをした後はいつも心が軽くなり元気になりました。娘に感謝最近は新型コロナの影響で集まることはできませんが、今でもSNSや、無料通話アプリを使った交流はずっと続いています。高校生のころ娘が自傷をしたとき、ショックを受けた私は上野さんに電話でつらい気持ちを聞いてもらいました。上野さんからは、息子さんが会社を辞めることになったときに電話がきました。「ねぇ、聞いてほしいことがあるんだけど」これが私たちの合言葉です。話を聞いてほしいとき、何かを相談したいとき、またつらいことだけではなくうれしかったことも伝えあう、そんな関係が10年続いています。子育ての先輩であり、遠い存在だった上野さんと、まさかこんなふうに話ができる間柄になるなんて私は想像もしていませんでした。子どもの年齢、性別、障害の特性が違っていても私たちは親として分かり合える部分が多く、今では心を許しあえる仲となっています。娘の子育てにはいろいろと苦労がありましたし、今でも悩みは尽きません。でも娘のおかげでこのような素敵な出会いがあったのも紛れもない事実です。“つながる”ことと“動く”ことの大切さ2022年5月に上野さんがラジオ(※)で発信した「一つの蝋燭の明かりは小さいけど、集まれば大きな光になる」という言葉を私は日々実感しています。※~FMアップルラジコネ2022年5月3日より~ YouTubeのアーカイブ私にとって大切な存在となった親の会。そこで子育ての先輩たちに最初にもらったアドバイスは「まずは動いてみること」でした。私もブログで本を紹介したことで上野さんと知り合い、親の会のみなさんと出会いました。何かを始めることには勇気がいります。失敗することもあるかもしれません。タイミングの良し悪しもあるでしょう。でも行動を起こした先には想像を超えるような未来がきっとあります。だから私も、いま子育てに悩み苦しんでいる保護者さんにぜひ『動いてみてほしい』と伝えたいです。執筆/荒木まち子(監修:初川先生より)娘さんがすすめてくれた発達障害に関する本の著者である上野さんとつながることができ、そこからの親の会へ参加。そして、そこで先輩ママさん方からの情報収集のみならず、心がのびのびできる場であったとのエピソードありがとうございます。なんと素敵な出会い、素敵な親の会への参加なんだろうと羨ましく思われる読者の方も多いのではないでしょうか。荒木さんも書かれているように、「動いてみる」ことは大事なことですね。今はSNSなどで、さまざまな発信がなされており、地域のそうした会合の情報もスマホで集めることができます。発達障害や不登校などの親の会であったり、地域のパパ・ママ会であったり、何らかご自身とつながれそうなキーワードがあれば、そこから連絡を取ってみるのも比較的やりやすい時代です。もし、お住まいの地域で、あるいは、関心のあるテーマでの会合が開催予定と告知されている場合には、問い合わせてみるのもいいでしょう。ただ、情報発信をされている方の中には、会合への参加を広く受けつけていても、DMなどでの個別の相談を受けていない方もいらっしゃいますので、そのあたりは自己紹介欄や問い合わせフォームなどをよくご確認されることをおすすめします。「ねぇ、ちょっと聞いて欲しいことがあるんだけど」が合言葉。いいですね。それを言い合える仲間がほしくなりますね。聞いてほしいし、自分にゆとりがあるときは、相手の話も聞いてあげたい。そうした仲間がいること、とても素敵ですね。今はそうした相手に心当たりがない…という方も、上記のようにご自身で動いて(調べて)みる、あるいは、地域の教育相談センターや子ども家庭支援センターなどで、親の会などの情報を聞いてみるのもいいと思います。
2022年11月17日家族へのカミングアウトは相談と共にしのくんは現在4歳7ヶ月。診断名はついていない、いわゆる発達障害グレーゾーンの男の子です。そんなしのくんの状況を、両親や周りの人へカミングアウトしたのは2歳4ヶ月のころでした。その当時、保育園の面談で、「言葉がでてない」「集中力がない」などいろいろ指摘を受けて、「もしかしたらほかの子と違う!?」「発達障害かもしれない!?」と思った私は、まず夫の母に相談しました。Upload By keiko保育園の面談の帰りに、そのまま義実家へ行って、しのくんの状況を打ち明けて、話を聞いてもらいました(保育園のすぐ近くに義実家がある)。義母の反応は、驚きと共に「やっぱり…」といった感じだったので、すぐに相談してよかったと思いました。そのほかの家族にも同じように、会ったときにすぐに相談と共にカミングアウトをしました。みんなしのくんがしゃべらないことを気にしていたので、すんなり理解して受け入れてくれました。友人、会社へのカミングアウト「もしかして発達障害かも!?」と分かったばかりのころは、とにかくいろいろ不安になって情緒不安定になっていたと思います。これから先どうなるのか分からない不安もあって、通院や付き添いでお休みをすることも増えるかもしれない…と思った私は、すぐに上司や一緒に働くスタッフに状況を伝えました。友人には、SNSを使って育児漫画を描くことで、カミングアウトしました。そして、実際に会ったときに詳細を伝えるといった感じでした。カミングアウトへの抵抗Upload By keiko「息子がもしかしたら発達障害かも!?」「うちの子療育行ってるんです」と、人に伝えることに抵抗がなかったわけではありません。でも、黙っているのは違うなぁ…とぼんやり思ったのを覚えています。上手く言えませんが、私の中では「黙っている」ということは「周囲にどう思われるだろう?」と気にしているということで、それはつまり、自分は、しのくんのことを心のどこかで『恥ずかしい』と感じているってことじゃないか…?そう自問自答したときに、「しのくんのことを『恥ずかしい』と感じるのは違うなぁ」と思ったのです。周りから色眼鏡で見られたくはないという思いはありましたが、私が黙っていても、しゃべらないしのくんに対して「あれ?この子おかしいぞ?」と思われるくらいだったら、自分から言ってしまおう!!と決心しました。Upload By keikoカミングアウトしたあとカミングアウトしたことで、相手にどう思われているのか、あまり考えることがなくなりました。別に色眼鏡で見られたっていいじゃない!しのくんはしのくんのままでいい!と思えるようになりました。世界は思っていたよりずっと優しくて、しのくんは幸せ者だと思えるようになりました。Upload By keiko現在しのくんは現在、療育や言葉の教室に通っています。保育園の年中なので、そろそろ卒園後の進路を考える時期が近づいてきています。また迷うところが出てくると思いますが、これからも、しのくんの現状をいろんな人に聞いてもらいたいし、アドバイスもほしいし、理解してもらいたいので、開示し続けようと思います。執筆/keiko(監修:井上先生より)診断のない段階での共有と、診断後の共有は状況も違ってきますね。診断のない段階で共有しておくことで、診断後の受け入れや理解も得やすくなるように思います。また、カミングアウトはその方と周囲の状況によって、ベストなタイミングは変わります。keikoさんのようなカミングアウトについての体験談は、そういった意味で参考になると思います。
2022年11月16日フォトスタジオでの早撮りUpload By 荒木まち子Upload By 荒木まち子娘が3歳になってすぐの夏に、わが家はフォトスタジオで七五三の早撮り(前撮り)撮影をすることにしました。理由は・早撮り撮影だと料金が安かったり、いろいろなサービスがつく場合が多い・早めに撮影しておくと年賀状用の写真として使える・冬季よりも子どもの体調の心配が少ない・ママ友に「小さいうちに撮ったほうが可愛い」と聞いたから(笑)などでした。撮影当日予約した時間に写真スタジオに行くと、3組の親子がいてそれぞれ着付け、撮影、写真選びをしていました。娘は美容院で髪を切ることに慣れていたのでヘアメイクはスムーズにできました。でも着付けが終わり、娘の写真撮影の順番がきたところで問題が起きました。娘が足袋をはくのを嫌がったのです。靴下と違い、親指だけが分かれている足袋の違和感が娘には耐えられないようでした。撮影スタッフさんはとりあえず裸足のまま娘を撮影ポイントまで移動させ、そこで何回か娘に足袋と草履をはかせようとチャレンジしました。でも娘は頑なに拒否。徐々に機嫌も悪くなってきました。私は(ヘアとメイクと着付けはできてるし、もう裸足のままでも良いんじゃないかな?上半身だけ撮影するとか、足の部分をカットした写真にするとか…)と思いましたがどうやらそれはダメなようでした。スタッフさんは数十分ほど粘りましたが次の撮影の親子もいたため、私たちは撮影をあきらめその場を後にしました。結局、その日は娘が“ヘアメイクをして着物を着て、それを脱いで帰っただけ”の一日となりました。わが子には早かった。ただそれだけのことこの時期の「子どもに〇〇させたい」は、親の希望であって、ほぼ本人の希望ではないと思います。季節のイベントへの参加も“親がそうしたいから”がほとんどでしょう。子どもが小さいうちに“本人が好きそう”と習い事をさせるのも親ですし(子どもがそう言うように親が誘導しているフシもある)、「友達と仲良く遊んでほしい」というのもじつは“親の希望”だったりします。それでうまくいかなくて落ち込んだりショックを受けてしまうのもまた親自身(笑)でも子どもの成長の速度はそれぞれで『半年後、1年後、3年後にはできるようになっている』ということがけっこうあったりします。実際、娘は翌年の写真撮影のときには何事もなかったかように平然と足袋をはいていました。7歳の撮影のときに至っては、着物だけでなく自らドレスも着たがっていましたし、撮影中はスタッフの方と楽しそうに話をするほどの余裕すらありました。臨機応変に現代の七五三では、行うべき時期が明確に定められているわけではありません。七五三のお祝いをする年ごろの子どもは、成長の個人差が大きい時期でもあります。特に3歳の場合は、それぞれの子どもの成長のペースを考えて「数え年」で行うか「満年齢」で行うかを臨機応変に選ぶと良いのではないかと私は思っています。執筆/荒木まち子(監修:三木先生より)潔いあきらめと受容がとても素晴らしいですね(笑)。こういった心構えでいろんなことに向き合えると、その方が親自身も楽になりますし、お子さんにも負荷がかかりにくくて良いなと思います。親も子も、人生うまくいかないことだらけ。それをかみしめながら一緒に進んでいけると良いですね。
2022年11月15日1歳半健診で言葉の遅れを指摘される私が住んでいる地域では1歳半健診で「3つ単語が言えるか」聞かれます。スバルは「あー(Car)、バイ(バイバイ)、ばあ(いないいないばあ)」の3つで挑み再検査となりました。再検査と言っても2歳ごろに電話がかかってきて現在の成長の様子を聞かれるという簡単なものです。たまたま1歳半検診で一緒になったお子さんは「ナナ(バナナ)、パナ(パパ)、パマ(ママ)」で問題なしと言われていたので「はは~ん、私の担当の保健師さんはチェック厳しめの人だったんだな」とそこまで気にしていませんでした。今となってはスバルの3つの言葉は単語ではないと思うのですが、当時は特に気にすることなく「2歳で電話がかかってくるころにはおしゃべり上手になっているだろう」とのんきに考えていました。2歳で発達検査を受けるUpload By 星あかり2歳の誕生日を過ぎたころ、約束通り保健師さんから電話がかかってきました。半年前の私の予定では今ごろスバルはペラペラおしゃべりしているはずでしたが、実際には「ガーキ(トラック)」の単語が増えただけでした。なんなら単語とカウントして良いのかも怪しい1語です。それを保健師さんに正直に話したところ、発達検査を受けにくるように言われました。2歳になっても言葉がほとんど伸びていなかったスバルですが、そのころにはひらがなが10個くらい読めるようになっていました。もともと絵本が大好きなスバルですが、1歳半検診のあとから言葉を伸ばそうと絵本の時間を増やし言葉の成長を促しました。その結果、言える単語はほとんど増えていないのに、ひらがなが読めるようになっていたのです。私は単語が言えないことにほんの少し不安を覚えつつ、「でもひらがなは読めるしな」と言う謎の自信を持って発達検査に挑みました。発達検査では最初から最後まで集中して話が聞けました。言葉に関する項目以外は得意と不得意はあるものの、指示を理解して行動できていました。そして「言葉が遅い以外に問題はないので様子を見ましょう」と言われました。その後2歳から3歳の間に、簡易なものも含めて数回検査がありましたが、毎回「言葉が遅いだけ。様子を見ましょう。」と言われ、私はのんきに「専門家に『言葉が遅いだけ』のお墨付きをもらった」と言葉のままに様子を見守るのでした。絵本の時間をさらに増やした結果2歳を過ぎるとカタコト単語で話していた周りの子たちが軽快にトークを始めてさすがにあせりました。そしてさらに絵本の量を増やす日々…。Upload By 星あかりその結果、3歳の誕生日のころにはひらがな基本の50音が読めるようになりました。しかし単語は1個も増えず。「お」「か」「あ」「さ」「ん」が読めて発音できるのに「おかあさん」が言えない謎の状況に心が折れそうになりました。しかし忘れもしない3歳の誕生日の数日前、黄色い車を指差して「きいろ」と言ったのです!それからまさに「言葉のコップが溢れる」ようにあっという間に単語で会話できるようになりました。「言葉が遅いだけ」と言われていたスバル。言葉の問題をクリアしたら、もう怖いものなし!という訳にもいかず、3歳の誕生日を過ぎてから受けた発達検査で「自閉スペクトラム症」と診断されるのでした。診断がおりてからもまたいろいろなトラブルや問題、そして成長もあり…!そんなスバルとの日常を描いていきたいと思います。執筆/星あかり(監修:鈴木先生より)1歳半健診では有意語1語、3歳児健診では2語文が出れば問題ないというのが私の健診での一つの基準です。中には理解があり集団に入ってから言葉が増えるというお子さんもおり、表出型の言語発達遅滞と考えられています。小児科医が言葉の遅れで最初に確認するのは難聴の有無です。中耳炎やおたふく風邪などに罹患した後に難聴になることがあります。客観的な検査としてはABR(聴性脳幹反応)があります。小児科の神経外来で相談することをお勧めします。親や祖父母が何でもやってあげてしまうと、言葉を発する機会を失いがちです。服を脱いだり、靴を履いたり、いろいろとやらせてあげることも重要です。できないときに初めて「ママ―」と呼べるからです。また、幼少期からテレビなどの電子メディアの見過ぎも要注意です。会話のキャッチボールがなくなってしまい、言葉を発する機会も少なくなってしまいます。見るときは親子で一緒に、会話をしながら見ると良いと思います。
2022年11月14日STEAM教育って何?
子育て楽じゃありません
細川珠生のここなら分かる政治のコト