「発達障害」について知りたいことや今話題の「発達障害」についての記事をチェック! (31/98)
学校のコロナ対策で、過剰な負担が減った子・親・先生たちこんにちは。『発達障害&グレーゾーン子育てから生まれた楽々かあさんの伝わる! 声かけ変換』ほか、著者・楽々かあさんこと、大場美鈴です。突如現れた未知の新型コロナウイルスのために、全国一斉休校措置となった、あの2020年春の緊張感を思い出すと、最近の「少しずつ、コロナ前の日常を取り戻しつつある」空気感を、私はとても嬉しく思っています。当時元気がなくて心配していた長女も、このころは毎日放課後、近所のお友達と外で走り回って遊べるようになりました。その一方で、長女の公立小学校では、運動会に向けて長時間の事前練習が始まったり、PTA講演会の動員が再開されたり…と、私には非合理的に思えることも一部で復活の兆しを見せており、「コロナを機に改善されたことも、また、元に戻ってしまうのではないか」という心配もしています。長男・次男の小学校時代、まずは自分たちでできる努力や工夫をした上で、私は合理的な配慮について学校側と相談してきましたが、公教育の体質的・制度的な大きな壁にぶつかり、「よほどのことがない限りは変われないだろうな」と諦めた部分も多々あり、長男・次男は私立中学受験を選択しました。その、「よほどのこと」が起きたのが、新型コロナウイルスの感染拡大です。新型コロナウイルス対策を機に合理化・効率化されたことのうち、発達障害・不登校傾向のある子など、学校生活に特に負担を感じやすい児童生徒を始め、多くの子どもたち・先生・保護者にメリットがあり、「ぜひ続けてほしい」「もとに戻さないで」と私が願う公教育の変化を5つ挙げます。立場や考え方によって、「旧来の方法のほうがよい」と思われる方もいらっしゃるでしょう。多様性を考えるひとつの視点として記させていただきます。1.オンライン授業の定着公立小中学校でのICT教育の推進は、政府のGIGAスクール構想の前倒しなどで、ひとまずはほとんどの児童生徒にタブレットが配布され、うちの小学校も全教室でWi-Fiが使えるようにもなりました。ただし、その活用度合は、「去年の担任の先生はタブレット沢山使ったけど、今年はあんまり使わない」などと長女が話すように、学習に十分に活かせている場合もあれば、未だに「持ち帰り訓練をするだけ」なんて場合もあり、地域・学校・先生による状況のようです。オンライン授業も、公立に通う長女は試験的に一度15分のホームルームが行われたのみですが、長男次男の私立学校ではすでに授業ノウハウがすっかり定着しています。学校間のICT格差がかなり開いているように感じます。それでも、感染拡大の局面でニュース等で報じられたような、教室の密を避けるために一部の学校で試験的に行われた、対面授業とオンライン授業が選択できる「ハイブリッド型の授業」の試みに、私は公教育への希望を感じました。コロナの影響で不登校の子も増えていると聞きますが、ハイブリッド型の授業が全国的に広まれば、不登校やいじめ、感覚過敏などで「教室にいるのがつらい」と感じる子の学びの選択肢を増やすことができます。離島や過疎地域などに住む通学負担が大きな子どもや、病気やケガで長期間登校できない子どもなどへの学びの保障にもなります。また、地震などの災害リスクに加えて、近年は気候変動の影響で、「危険な暑さ」の猛暑日や、台風・豪雨・豪雪などの異常気象が増え、徒歩通学の子ども達がとても心配になることもありますし、感染症の流行は新型コロナウィルスだけに限りません。最低限、各校でオンライン授業のノウハウを絶やさずにいれば、コロナ以外の理由でも、臨機応変にオンライン授業に切り替えられるので、子ども達の命や健康を守りながら、学びを止めずに済みます。2.デジタル教科書の普及2024年度より本格導入予定の「デジタル教科書」も、LD(学習障害/学習症)のある子どもの読み書きがラクになったり、忘れ物が多い子の心配事が減ったり、教科書すべてがタブレット一台に入れば子どもたちの過重なランドセルの負担を減らせたりできるので、私は大いに期待を寄せています。ですが、文部科学省の「デジタル教科書の今後の在り方等に関する検討会議第一次報告」(2021.6.8公表)によれば、デジタル教科書の発行状況は小中学校ともに約 95%に達しているものの(R3年度現在)、児童生徒への普及状況は「公立学校全体では 7.9%、公立の小学校では 7.7%、公立の中学校では 9.2%、公立の高等学校では 5.2%となっている」(R2.3.1.現在)とのこと。つまりは、「モノはあるけど、使いこなせていない」状況で、まだまだ十分な活用の実践例が不足しているようです。それでも、コロナを機に教育現場が重い腰を上げて、一歩でも二歩でも、導入の歩みを進めた実績は大きいでしょう。デジタル教材を十分活用できれば、個別最適化された学習もしやすく、宿題も「音読・漢字書き取り・計算ドリル」以外の選択肢を増やせるので、デジタルネイティブの子ども達の学習意欲と効率がUPするのではないでしょうか。そして、みんなが文房具のように学校でタブレットを使いこなしていれば、LDのある子どもが教室に持ち込んでも、誰も「〇〇さんだけズルい」だなんて言わないでしょうし、先生方がIT機器の取り扱いに慣れれば、親も理解を得るために何度も学校側と交渉しなくて済むハズです。多忙な先生方にとっても、デジタル教材の活用で、板書や教材作り、プリント配布や採点、提出物のチェックや検温記録の管理などの負担も減るでしょう。文部科学省|デジタル教科書の今後の在り方等に関する検討会議第一次報告3.学校行事の工夫と効率化ここ数年、多くの小中学校で、運動会や学習発表会などの行事を規模縮小しながらも、試行錯誤でなんとか工夫して実施していたことと思います。今年度から、手洗いや消毒などはしつつも、「コロナ前と同じ形」で、運動会が実施される学校もあると思いますが、これは、保護者によって賛否が分かれるのではないでしょうか。例えば、運動会での迫力ある組体操や、一糸乱れぬ動きの集団ダンスなどを観て感動する方もいれば、ケガや熱中症が心配だったりで「そこまで求めていない」という方もいるでしょう。そして、以前は子ども達も先生方も、一ヶ月以上前から膨大な時間をかけて、運動会の練習を積み重ねていました。率直に言えば、小学校の運動会の季節は、上の子たちも私も憂鬱でした。なぜなら、その時期は休み時間を削りながら炎天下で事前練習が続き、子どもの心身に大きな負担がかかるので、毎年決まって登校しぶりが続いたからです。また、疲れや不満が溜まるのは他の子も同じなので、運動会の前後はトラブルが発生しやすく、いじめ要注意の季節でもありました。ところがこの数年は、先生方は運動会の競技をさほど練習の必要がないレクリエーション的な内容に工夫してくれ、子ども達の心身の負担やトラブルも減りました。私は、「徒競走はみんなでゴール」などと言わずに、運動が得意な子には活躍の場を与えてあげて欲しいですし、みんなでひとつのことに向かって協力することは子どものソーシャルスキルや心の成長にも繋がりますから、運動会自体はぜひ実施していただきたいと思っています。でも、過剰な事前練習が必要だったり、安全面で不安があったり、整列や入退場の練習を繰り返したりすることはこれを機に見直し、より負担の少ない方法を継続してほしいですし、そのためには、保護者の側も学校行事に過剰な期待を寄せないであげて下さい。特に、運動が苦手な子どもは、危険度・難易度の高い競技や、「みんなの動きがピッタリそろうまで」ダンスの練習をすると、心身に過剰な負担がかかる上、自分ができないせいで他の子どもたちの練習量までが増えれば、つらい思いをします。体力がなかったり、感覚過敏などがある子どもは、大音量の音楽に合わせて何度も練習したり、身体接触の機会が多かったり、休み時間に休めないことが一ヶ月以上も続いたりすると、本番当日までに疲れ切ってしまいます。先生方も、ただでさえ人手不足で多忙な中、日々の感染症対策まで追加されている上、更に学校行事に多くの労力を費やすと、子ども達に余裕のある接し方ができなくなるかもしれません。この数年間のような工夫された運動会が定着すれば、児童生徒・先生方の負担が減り、保護者も、早朝から席取りや大人数分の弁当作りに追われたり、妊婦や乳幼児連れの親が長時間炎天下で立たなくて済みます。同様に、学習発表会などの事前練習の負担の大きな学校行事は、効率のよい方法を柔軟に続けて頂ければ、学校側も新しい学習内容や感染症対応で圧迫されている授業時間に、少しは余裕ができるのではないでしょうか。子どもたちも先生方も、休み時間は休みましょう。4.全校集会などの合理化長女の小学校では体育館での密を避けるために、全校集会がビデオ会議システムを使った各教室での「オンライン集会」に変更されました。長男は私立中学に入学して、まず真っ先に「全校集会で体操座りをしなくていい」ことを、嬉々として報告してきました。ADHD傾向のある彼にとって、小学校の体育館の硬い床の上で、狭いスペースに長時間姿勢を崩さずに黙ってじーっと座り続けることは、心底苦行だったようです。長時間体操座りをしなくて済めば、成長期の子ども達みんなが、体への負担を減らすことができるのではないでしょうか。また、全校集会のために、全児童・生徒を廊下に整列させて移動する時間の短縮にもなりますし、先生方の準備や後片付けの手間も減らせます。こういった、小さな負担の積み重ねを1つでも2つでも減らして、合理化していくことで、学校の印象は徐々に柔らかく変わっていくと私は思っています。5.欠席のネット連絡と書類のペーパーレス化子どもの欠席時、コロナ前は連絡帳を近所の子に手渡しする方式でしたが、接触機会の感染リスクを避けるため、うちの子が通う小学校では「欠席連絡専用メールアドレス」ができました。ほかにも、専用のグループウェアやSNSなど、「連絡帳以外の方法」で欠席を伝えることが可能になった学校は多いと思います。「正直、もっと早くやってほしかった!」……と、思う保護者は多いのではないでしょうか。なぜなら、連絡帳を手渡しするために、朝の忙しい時間に他のお宅を訪ねることは、預ける側・受け取る側双方の負担になるだけでなく、「帰り」も誰かが欠席した子の家に立ち寄る必要があったからです。特に、低学年や、部活や塾のある子どもや、自宅同士が離れた子どもが遅い時間に1人で立ち寄るのは、防犯面でも心配でした。そして、不登校傾向のある子とその親にとって、「連絡帳の手渡し」は、大きな心理的負担になっていたことと思います。うちでは次男が小5の時、学校に行けない日が続いた時期がありました。私は毎朝、連絡帳を同じ登校班の子に預けにゆき、帰りも同級生の女の子が遠回りして連絡帳をうちに届けてくれましたが、本当に申し訳ない気持ちでしたし、次男自身も、そのことをとても気にして負担に思っていたようです。また、ほかのお子さんに連絡帳を預けると、登下校中などに、ちらっと「中身」を見てしまうこともありました。時折、連絡帳には、発達面での気がかりや、クラス内の人間関係に関することなど、担任の先生にデリケートな相談内容を書くこともあるので、他のお子さんに預けるのは少々不安でした(以降、デリケートな相談内容は封書にするか、「お手すきの時にお電話頂けますか」とだけ書くようにしました)。これらの悩みを一発解決したのが、欠席のネット連絡の導入です。ありがとうございます。また、うちの子どもの小学校では、ネット連絡と同時に書類のペーパーレス化も進みました。子どもの欠席時の他、忘れ物の多い子や、仕事で多忙な保護者や、(私のように)書類の整理が苦手な保護者も、学校からのお便りがネットでいつでも閲覧・ダウンロードできるようになったので大助かりです。教頭先生も「紙代とインク代が大幅に節約できるし、担任の先生が各教室で紙を配る手間も減らせてよかった」とおっしゃっていました。また、PTAの議決やアンケート回答も、ネットから回答フォームで送信できるようになったので、集計作業はもう不要です。コロナ前には戻さないで。学校を誰もが頑張りすぎない環境へ。コロナ以前は、学校生活のあらゆる場面で、子ども・先生・保護者に過剰に負担がかかっていた状況だったように思います。それでも、なかなか柔軟に変われない印象を受けていた公教育の現場が、未知の感染症への対応を迫られたこの数年間は、学校をどんな子にとっても合理的で過ごしやすい環境に改善する千載一遇のチャンスでもありました。何度も小学校側に理解や配慮を相談してきた私には、「ここで変われないことは、もう二度とムリかも」とすら思えます。そして、学校を負担に感じているのは、発達障害・不登校傾向のある子だけではありません。多くの子ども達・保護者、そして先生方が、様々な事情を抱える中で、無理をし続けているのです。子ども達の笑顔につながること以外は、どうか、コロナ前に戻さずに、学校を誰もが負担なく、頑張りすぎない環境に改善されていくことを、社会全体で許容してあげてほしいと、私は切に願ってやみません。文:大場美鈴(楽々かあさん)(監修:井上先生より)新型コロナの流行は私たちの社会や学校にとって大きな衝撃でしたが、デジタル化や遠隔での授業の浸透、行事の簡素化など、革新的な面も多くもたらしました。楽々かあさんの言われる通り、これらの変化の中にはコロナ収束後もニーズの多様性への対応として重要なヒントが含まれています。地域や学校の実情に合わせて、ぜひ継続して欲しいと思います。このコラムを書いた人の著書大場美鈴(著),『発達障害&グレーゾーン子育てから生まれた 楽々かあさんの伝わる! 声かけ変換』あさ出版, 2020.6.27
2022年06月14日特別支援教室のガイドラインが変更に出典 : 東京都では、平成28年度から小学校、平成30年度から中学校の特別支援教室の導入を進めてきました。この導入期に合わせて「特別支援教室の導入ガイドライン」が作成され、ガイドラインに沿って各校で特別支援教室の導入が進められました。そして、令和3年4月に東京都の全ての区市町村立小中学校において特別支援教室の導入が完了しました。それに伴い、令和3年3月に「特別支援教室の運営ガイドライン」が作成されました。このガイドラインには、あらたに指導期間の考え方や指導目標の設定の仕方などが記載されました。東京都教育委員会|「特別支援教室の運営ガイドライン」を作成しました「特別支援教室の運営ガイドライン」は、導入時のガイドラインとどのような点が変わったのでしょうか。東京都教育委員会の教育庁都立学校教育部特別支援教育企画調整担当の方にお話を伺いました。新ガイドラインでは、指導期間や指導目標について明確に。そのねらいとは?出典 : 発達ナビ編集部(以下――)特別支援教室の導入時のガイドラインと、最新の 「特別支援教室の運営ガイドライン」の違いはなんでしょうか?東京都教育委員会:特別支援教室の運営に必要なことだけではなく、特別支援教室での指導以外の場面での役割の重要性など、これまでの導入ガイドラインの内容をさらに充実させています。特に、指導期間の考え方、指導目標の設定(読み書きチェックリストの活用、連携型個別指導計画の作成)の仕方、指導による達成状況の確認、指導目標を達成した後の在籍学級での支援などについても記載を充実するなど、発達障害のある児童・生徒への支援について総合的に記載しています。ーーガイドラインが発表されたことにより、支援者や保護者からどのような声がありましたか。東京都教育委員会:保護者の方や学校の先生方から、指導期間の考え方について教えてほしいといった声などが寄せられました。発達障害のある児童・生徒は、学校生活での多くの時間を通常学級で過ごしています。こうしたことからも、特別支援教室での学びを通じて、学習上や生活上の困難さを低減し、学校生活を有意義に過ごしてほしいと考えています。そのため、一定の指導期間の中で、どの程度、指導目標を達成できたのかを確実に評価すること、その上で、引き続き指導の継続が必要なのか、それとも指導を終了し、通常学級の中での配慮や工夫をしていくことが良いのかなどをしっかりと判断して実践していくことが重要だと考えています。指導期間は、一つの区切り。大切なのは、子どもの困りに着目すること出典 : ーーガイドラインの中の「原則の指導期間 は1年間とする」「延長する場合、再設定する指導期間は最長1年間とする」という指導期間について具体的に教えて下さい。それ以降は在籍できないということなのでしょうか?東京都教育委員会:そのような声が保護者の方や先生方からもありました。期間をはっきり記載したのは、「基本的に1年間しか在籍できません、最長2年間までしか在籍できません」ということではありません。1年、2年というのはあくまでも一つの区切りなので、期間を設けた上で「本当にその子が困っていることは何なのか」「指導法は合っていたのか」などを確認しよう、2年間の指導に対し、指導目標の達成まで至らなかった場合は、改めて適切な支援の在り方から考え直そう、ということです。そこでやはり特別支援教室での指導が必要であれば、再度在籍することもできます。また、特別支援教室を退室したお子さんが、やはり指導が必要だとなれば、改めて特別支援教室で指導を受けることも可能です。ーーありがとうございます。指導期間の考え方についてよく分かりました。最後に子どもたちへのメッセージをお願いします。東京都教育委員会:発達障害による困難さで、さまざまなつまずきを感じているかもしれません。また、うまくいかないなどの経験から自信をなくしてしまうこともあるかもしれません。特別支援教室は、みなさんのスキルを向上するための教室です。発達障害による困難さを少しでも低減することができるよう、先生方が寄り添ってくれます。先生方を信じて頑張ってくださることを願っています。取材協力:東京都教育委員会教育庁都立学校教育部特別支援教育企画調整担当
2022年06月14日ほぺろうの癇癪でつらかった時期、家族はバラバラUpload By ぼさ子自閉スペクトラム症と知的障害のあるわが家の息子ほぺろう。正式に診断が下りたのは3歳のときでした。1歳半ごろから発達の遅れは気になってはいましたが、2歳を過ぎたあたりから手のつけられないレベルで癇癪が激しくなり、いよいよ『ほかの子とは違う』という現実を突きつけられていました。当時の私は障害について検索するのに必死。改善する方法を検索して必死。障害じゃない可能性を検索して必死。…頭がおかしくなるくらい検索漬けの毎日でした。しかも「私は母親なんだから子どものことをしっかりやらなくてはならない!」という変な意地を張っていたので、仕事のあるペー太(夫)に支障がないようにほぼ毎日別室で寝ていたし、ほぺろうのことはほぼ全て私がやっていました。ただでさえ大変なほぺろうに私は24時間つきっきり。ほぺろうが何よりも最優先。ペー太とはすれ違い生活で会話は減り、そのころの夫の記憶がほとんどありません。限界のとき…妻に放たれた夫のセリフ3歳でほぺろうの診断名が出た当時の私の気持ちは、わが子の将来が見えなくて不安と絶望。また「育児は母親が背負うもの」という間違った先入観が邪魔して、「癇癪で大暴れ」や「夜の寝つきが悪い」などなど…ほぺろうと二人っきりの閉鎖的な世界で(他人に会うと迷惑をかけるので)全てを私一人で抱え込んでいました。毎日の癇癪と寝不足で心身はボロボロ。限界でしたが助けの求め方が分かりません。というか、もう正しい判断もできなくなっていたので「母親なんだから助けを求めてはいけない」と思っていました。あるとき、追い詰められていた私はペー太に心配してほしくて「ほぺろうがいなくなっても後悔しないかも…」と心にもない言葉を出してしまいました。でも そんな屈折したSOSを理解する方が難しいでしょう。Upload By ぼさ子Upload By ぼさ子Upload By ぼさ子そう言い残し、戸を閉めて行ってしまいました。そのときは、「夫は私やほぺろうに無関心なんだと」思ったし、寄り添ってもらえないと感じました。そして、さらに夫に頼るということができなくなりました。転機!全てのきっかけは私自身にあったその後もずいぶん一人でもがき苦しんでいました。でもやがて、地域のサポートや保育園にお世話になれるようになってから私の気持ちに少しずつ余裕が出てきました。そして就職も私にとって大きな転機だったと思います。決して自慢できませんが、家事がどんどん下手クソになっていったのです!あまりにも上手く家事ができな過ぎて、逆に「ま、いっか!」と開き直るようになったせいか、助けの求め方が分からなかった私が自然にペー太を頼れるようになっていきました。すると不思議なことに、なぜか家族仲が良くなってきました。ほぺろうがお父さんに懐くようになっていきました。Upload By ぼさ子Upload By ぼさ子壁をつくっていたのは私自身だったんだと気づきました。実は誰よりも息子を想っていたペー太ほぺろうが6歳になった現在、今では子煩悩で ほぺろうのためなら何でもやってくれるペー太。最近になって初めて、診断が出た当時の気持ちを聞いてみました。ペー太いわく、「診断が出たときはホッとした。その前からほぺろうはほかの子とは違うとハッキリ感じていたから、早く対策してあげたかった」「診断名が分かったから、ようやく適切なステップを踏めると思った」とのこと。私は衝撃でした。私なんてむしろ障害じゃない可能性を探したりしていたのに、ペー太はスタートラインから心構えが違っていました。全然無関心なんかじゃなかった。診断名を聞いて「よし、これからだ」とペー太は思っていたのに、障害を受け入れられずに悲観してばかりの私を見て「何やってんの」となるのは当然だと思いました。当時、ほぺろうのために何かしたかったのに、私が壁をつくっていたせいで手を出しにくかったらしい…。本当に最近までペー太の気持ちを知らず、対話してみないと分からないものだと実感しました。Upload By ぼさ子現在の気持ちも聞いてみました。ペー太いわく、「障害とは何か?と聞かれたら詳しくはよく分からないけど、”ほぺろうはほぺろう“としか思えない」とのこと。障害と向き合うと言うより、本人そのものと向き合おうとする子育ての本質を、意外にも父親であるペー太の方がつかんでいたことに驚かされました。今ではほぺろうはすっかりお父さんっ子。相変わらず私に対しては優しくない夫ですが(笑)、ほぺろうへの愛情深さは本当に尊敬しています。Upload By ぼさ子執筆/ぼさ子(監修:初川先生より)夫婦の思いが分かり合えるに至るプロセスのシェア、ありがとうございます。はじめは、ぼさ子さんがまさに孤軍奮闘している思いだったのですね。お子さんの発達がゆっくりだったり癇癪がすごかったりして、なんかちょっと違うのでは…と思うこと、そして実際に診断が下りること。うすうす感づいてはいても、衝撃と困惑とさまざまあったことと思います。大きな衝撃を受けたときの反応は人それぞれで、読者の方の中にも、ぼさ子さんのように思われる方も多くいらっしゃると思います。そして、“孤軍奮闘”になると、どうしても視野が狭くなってしまうものです。人は頑張りすぎると周りが見えなくなりがちなのはいかなる場合・状況でもそうなるものです。保育園や地域資源の利用、就職などで、さまざまな方のお力を借りる(というか、分業する、子どもと離れる時間を設け、子どもを見る良き支援者が増える)ことで、ぼさ子さんの場合には精神的なゆとりと物理的な支えを得たことが、視野が広がるきっかけだったように思います。ぺー太さんのように、子どもの発達の遅れや診断を「よかった」と受け止める方もいらっしゃいますね。そうしたところについては、夫婦や家族の中であっても、どう受け止めているのかは聞いてみないとわからないものです。話してみたら、意外とわが子を「子」として見ていてくれた(障害の有無にかかわらず「子」として見るって素敵なことです)とのこと、素敵なパートナーさんですね。一緒に子育てを担う方の中に、そうしてどーんと構えて、子どもをかわいがってくれる人がいるというのは心強いですね。
2022年06月13日子どもの不器用さ、発達性協調運動症(発達性協調運動障害・DCD)かも?発達性協調運動症(発達性協調運動障害・DCD)とは、日常生活における協調運動が、本人の年齢や知能に応じて期待されるものよりも不正確であったり、困難であるという障害です。一つひとつの運動を関連づけたり、統合することが困難な障害ですが、運動の得意不得意はどんな子どもにも見られるため、単に不器用だから、で済まされる場合も少なくありません。そんな発達性協調運動症について、年齢別の困りごとや発達障害との関連性、支援機関や家庭でのサポート方法などを専門家の解説とともにまとめてご紹介します。発達性協調運動症(発達性協調運動障害・DCD)ってどんな障害?そもそも協調運動とは?粗大運動、微細運動の基本的な解説から、発達性協調運動症(発達性協調運動障害・DCD)のある子どもの年齢別の困りごとなどを詳しく解説します!発達性協調運動症(発達性協調運動障害・DCD)の原因は?発達性協調運動症(発達性協調運動障害・DCD)の原因や、限局性学習症(学習障害)、自閉スペクトラム症、ADHDなどの発達障害との併存の関連性などを解説。診断基準ごとの違いなどの詳しい説明も。子どもの不器用さが気になったらどこへ相談したらいい?子どもの運動や動作の不器用さが気になったら、どのような施設に相談に行けばいい?相談場所はもちろん、支援が受けられる機関を紹介します。遊びの中で取り入れられる、家庭で簡単にできるサポート方法なども!まとめ発達性協調運動症のある子どもは一見「ただの不器用」と思われがちです。しかし、見過ごされ、必要な支援を受けられないままでいると、その子どもが集団に適応することが困難になることもあります。子どもに発達性協調運動症があるのかどうか心配な場合は、早めに相談機関に相談し、必要に応じて専門家の支援を受けながら、家庭でできる工夫を行っていきましょう。
2022年06月12日「もしかして発達障害」特集第2弾入園、入学、進学…新年度の行事がひと段落して、子どもの学校や園生活の様子を落ち着いてみることができるようになってくる時期ですね。この時期に「うちの子、なんだかほかの子と違う…?」「こんなにも育てづらいのはわが家だけ?」とわが子と周りの子どもとの違いに気づく保護者の方も多いのではないでしょうか。昨年度、多くの方に読んでいただいた「発達障害かも」特集、このたび第2弾として企画しました。学校での勉強の遅れや、健診で「〇」がつかずに要観察、発達検査をして診断がおりた話、誤解や偏見を感じることの多い障害児育児の胸の内など、気になるコラムはぜひリンクをクリックして読んでみてください。小5のときに軽度知的障害・ASD・場面緘黙と診断されて吉田いらこさんの長女、小学6年生のゆいちゃん。現在は軽度知的障害・ASD・場面緘黙の診断を受けています。ゆいちゃんが診断を受けたのは小学5年生のときですが、それ以前に「あれ?」と思ったこととは…?育てやすかったけれど、昔から勉強は苦手だったゆいちゃん。勉強は無理にさせなくてもいい、と思っていた吉田さんでしたが、小学校3年生くらいから本格的に「この子は勉強が苦手だなあ」と思うことが増えてきて…。自閉症育児は「かわいそう」じゃない!自閉スペクトラム症がある、かさはらあやこさんの息子さん。育児の中で 誤解や偏見を感じる場面も多くあり、たくさんの悔しい思いもしてきました。「この先、同じような思いをする人が少しでも減りますように」と願いの込められたコラムです。子どもの発達の遅れを意識した3つのポイントとは?重度知的障害を伴う自閉スペクトラム症があるべっこうあめアマミさんの息子さん。小さいころは育てやすいくらいだった息子さんの発達の遅れを意識した3つのポイントとは。3歳グレー息子、ついに発達検査!発達外来を受診してから数ヶ月後、まるさんの息子、リュウくんは発達検査を受けることに…!検査の流れやリュウくんの様子、気になる検査の結果は…!?2歳5ヶ月、発育の遅れの指摘をされて…広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)のあるあーさんは、現在小学6年生。母親のSAKURAさんが発達障害の可能性を考え始めたのは、2歳のときに行った母子相談で2語文が出ていないことを指摘されたことがきっかけで…。もしかして次男も発達障害⁉ 保育園の先生に療育をすすめられ…手がかからないおだやかな次男。発達に関して、あまり悩んだり困ったりはしていなかった母親のtaekoさんですが、ある日保育園の先生に療育をすすめられました。一体その理由とは?そのほか人気まとめコラムはこちらから!
2022年06月12日はじめての児童館。はじめて会う親子娘は2歳前ころから癇癪が激しく、私の悩みの種でした。そんな娘が1歳10ヶ月のときのお話です。私たち親子はよく公園には遊びに行っていたものの、ほかの親子に会うことが少なく、出会いを求め、近所の児童館に遊びに行きました。残念ながらその日、ほかの親子はおらず、私と娘の貸し切り状態。娘はお家にはないおもちゃや、広々としたスペースで楽しそうに遊びはじめました。(これはこれでいいかも!)と私も思い、親子で遊ぶことにしました。翌日も同じ児童館へ。その日は先に2歳半の男の子とママが遊びに来ていました。娘はおままごとのおもちゃで、男の子は滑り台で別々に遊んでいました。そんな子どもたちを見守りながら、私と男の子のママはお話をしていました。私は地元を離れて子育てをしており、当時周りに友人がおらず、夫以外の大人と話をする機会が本当に少なかったので、久しぶりに大人と会話ができることがとてもうれしかったことを今でも覚えています。娘と男の子は、はじめはお互いの様子を伺い別々に遊んでいたものの、だんだんと近くで遊ぶようになり、二人でおままごとのおもちゃで遊び始めました。Upload By 発達ナビ編集部おもちゃの取り合いで癇癪発動!おままごとのおもちゃの中には本物そっくりのマヨネーズのおもちゃがありました。押すと中身がピュッと飛び出してたのしいおもちゃ。ところがそのマヨネーズは1つしかありませんでした。娘も男の子もそのマヨネーズにロックオン!取り合いがはじまってしまいました。私も男の子のママも「順番に使おう」とわが子に声をかけましたが、うまくいかず…。大人二人がアワアワしている間におもちゃのひっぱり合いになってしまい、男の子がおもちゃを獲得しました。そして、娘の癇癪が発動…!Upload By 発達ナビ編集部このころ娘は一度泣き始めてしまうと大声で叫びながら1時間ほど泣き止まないことがしばしば。「ぎゃ~!」と泣き叫ぶ娘に、男の子のママはとても驚いていました。男の子のママ「ごめんなさい!!○○、ひっぱっちゃダメでしょ!貸してあげて!もう本当にごめんね」私「いえいえ、こちらこそすみません。こんなに泣かなくてもと思うんですが…本当にすみません」娘の泣き声にかき消されながらも大人二人で謝り続けていました。男の子はマヨネーズのおもちゃで少し遊んだあと、また滑り台で遊び始めました。男の子のママが、マヨネーズのおもちゃを渡してくれても大声で泣き続ける娘。抱っこも拒否され、「こっちのおもちゃで遊ぼう?」「絵本読む?」「おやつを食べる?」など空気を変えようとしてもダメ。とても気まずい空気になってしまいました。娘が大泣きする空間の中で、遊びにくくなってしまったようで「もう帰ろう」と男の子。男の子のママは気まずそうに「本当にごめんね」と言いながら帰っていきました。Upload By 発達ナビ編集部おもちゃの取り合いは、みんなが通る道?”おもちゃの取り合いは、みんなが通る道”と思いながらも、児童館での娘の止まらない癇癪と、はじめて会う親子を困らせてしまったことにはこたえました…。この経験はつらかったものの、”子ども同士で遊ぶ機会をつくりたい”と思っていた私は、数日後また同じ児童館に行ってみることにしました。私たちの行く時間がほかの親子とずれているのか、貸し切りのことがほとんどでした。少しだけホッとする自分と、娘にほかの子とも交流してほしいな…という気持ちがありました。別の日、また児童館に行くと2組の2歳くらいの女の子とママが遊んでいました。しばらくすると…娘と一人の女の子が、1つのおもちゃにロックオン!その日はひっぱり合いにはならなかったものの、ヒヤヒヤするやり取りが続きました。(また癇癪を起こしてしまったらどうしよう…)と私は心配になり、早めにお家に帰ろうと娘に提案しました。すると「帰らない(怒)!!」と娘の癇癪がはじまってしまいました。(ああ〜失敗しちゃった…)そう心の中で言わずにはいられませんでした。前回の経験から娘がなかなか泣き止まないと、ほかの子が遊びにくくなってしまう…ということが気になりその日は泣き叫ぶ娘をそのまま抱いて家に帰りました。そして、また別の日は、これまたはじめて会う男の子とおもちゃの取り合い、そしてまた癇癪を起こした娘。このようなことが続き、(室内でお友だちと遊ぶのは、娘にまだ難しいのかも?)と思いました。児童館はもう諦めた!公園に遊びに行くと…児童館は娘が癇癪を起こすきっかけが多すぎて、諦めました。きっと屋外だったらまだましだろうと思い、出会いを求め公園に遊びに行くことにしました。しかし公園に行けば行ったで、スコップやバケツの取り合いになってしまう娘。2歳ごろからは、おもちゃの取り合いなどなく遊べたとしても、「そろそろ帰ろう」と私が言うと、毎回癇癪を起こすようになってしまいまいした。娘の泣き声はそれはそれは大きな声で、周りの人も慌ててしまうほど。でも一度癇癪を起こしてしまうと、気持ちを切り替えることが難しく、収まるのを待つしかないので、外で癇癪になってしまうとそれはそれは気まずいものでした。Upload By 発達ナビ編集部娘が癇癪を起こすきっかけに室内、屋外は関係ないのかもしれない…。ほかの親子との出会いを求めていた私でしたが、娘の癇癪を起こす頻度が上がるごとに、ほかの親子がいないタイミングで公園に行くことが多くなりました。お友達とトラブルを起こしがちな娘を見て(娘はまだお友だちと遊ぶことを求めていないのかもしれない)とも思いました。それ以上に娘がいつ癇癪を起こしてしまうかドキドキしながらほかの親子と遊ぶということに私はとてもつらくなっていました。それでもやっぱり外に行きたい!児童館も、公園も穏やかに過ごすのは難しい。でも家の中で長時間過ごしていてもまた娘はよく癇癪になりました。娘はやっぱりお外に行きたいんだろう、というのもありましたし、私もまた二人きりで家で過ごすことに限界を感じていました。そこで、私は娘と近所中をお散歩をすることにしました。私が「もう帰ろう」と言うと娘は癇癪を起こすので、娘が自分で「おうちにかえる」と言うまでとにかく歩き続けました。朝10時に家を出て、お弁当を持って行ったり、パン屋さんのテラスでお昼にすることもありました。娘が「帰ろう」と言うのは、だいたいいつも夕方になってから。この当時はほぼ毎日朝から夕方まで私たち親子はお散歩をして過ごしました。娘は癇癪を起こすことがかなり減り、穏やかに過ごすことができました。ただこの時期の子育てはちょっと孤独だったな〜と思います。現在は10歳になった娘。やっぱりスイッチが入ると癇癪を起こすことはありますが、8歳ごろから、その頻度はめっきり減りました。言葉で説明すれば分かるようになった6歳ごろからは、私(母)とのやり取りがきっかけで癇癪を起こすことはあっても、お友達に自分の思いを言葉で伝えることができるようになり、仲良く遊べるようになりました。私もママ友が増え、孤独な気持ちは薄れてきたように思います。悩んでいたあのころの自分に「大丈夫だよ」と伝えてあげたいです。エピソード参考/カワカワイラスト/keiko(監修:三木先生より)毎日朝から夕方まで、大変お疲れ様でした。本人が気持ちを切り替えられるようになるまで、あるいは言葉が分かって説明できるようになるまでは、癇癪という形で表現するしかなかったんですよね。大きくなってご本人も楽になったと思います。これから親子ともにつながりが広がっていくと良いですね。あなたのエピソードもコラムになるかも?体験談募集中!保護者の方が日々子育てをする中で「こんなトラブルがあった」「こんなハプニングがあった」など悩みはつきないと思います。そんな発達ナビユーザーのみなさんの「困った」エピソードを募集しています。テーマは「反抗期・思春期」「自傷」「学習」「不登校」「ゲーム」「不器用」「ママ友・保護者」「ご近所トラブル」などに加え、今回より「パートナーや両親(義両親)、親族間トラブル」「冠婚葬祭」のお悩みも追加募集!パートナーなどとの意見の相違、冠婚葬祭でのルールが分からない、反抗期による親との言い争い、癇癪を起こして自分の頭を叩く、地団太を踏むなどの自傷行為…読み書きや計算の困りはもちろん、授業を落ち着いて受けられないなどの学習の悩み…行き渋りや不登校などの悩み…いろいろなお悩みエピソード、お待ちしております。お寄せいただいたエピソードの中から数作品、発達ナビの連載ライターさんにコラムとしてコミックマンガエッセイ化していただき、発達ナビで公開いたします!あるあるのエピソードからヒヤリとしたエピソード、SNSなどではなかなか言えないような家族やママ友とのトラブルまで。いろいろな「困った」エピソードをぜひ教えてください。
2022年06月11日1日限定の「注文に時間がかかるカフェ」で、吃音のある若者の夢を応援しませんか?Upload By 発達ナビニュース「注文に時間がかかるカフェ」は、接客業に挑戦したいけれど一歩踏み出せない若者に自信を、吃音を知らない人にはスタッフとの交流を通して理解を、をコンセプトに活動が始まった1日限定のカフェです。吃音を抱えながらも接客業に挑戦したいと願う若者たちの夢を叶え、吃音についての理解を広げるために活動しています。カフェに入るとまず、お客さんは吃音について説明を受けてから、吃音のあるスタッフとの交流を行います。この1日限定のカフェは全国へと活動の幅を広げていて、7月3日には川崎市での開催が決まりました。注文に時間がかかるカフェ今回は「注文に時間がかかるカフェ」発起人であり、ご自身も吃音のある奥村安莉沙さんに活動の背景にある想いを伺いしました。発達ナビ編集部(以下、ーー)「注文に時間がかかるカフェ」を始めた背景には、どのような想いがあったのでしょうか。Upload By 発達ナビニュース奥村安莉沙:私が20代前半のころに実家の机の引き出しの奥から、クシャクシャになったある一枚の手紙を見つけました。「20歳のありさへ。カフェで働く夢を叶えていますか?」その手紙は、当時カフェ店員に憧れていた10歳の私が、未来の私に宛てた手紙でした。自分の名前さえ言えないほどの重い吃音があった私は、いつしかその夢をあきらめて大人になっていたんです。25歳のころ、カフェ文化で有名なオーストラリアの街メルボルンのカフェで働きはじめた私は、障害がある人、家のない人、英語がまったく話せない人などが理解し合っている環境に衝撃を受けました。そして「日本に帰国したらこんなカフェを始めたい」と思ったのが「注文に時間がかかるカフェ」をつくった理由です。Upload By 発達ナビニュースーー活動の中で、理解が得られないなど困難なこともあったかと思います。どのように乗り越えて来られたのでしょうか。奥村安莉沙:「吃音」と一口に言っても、症状や必要なサポートは人それぞれです。ある方にとって快適な環境でも、ある方にはそうでない場合もあります。そのため、みんなが働きやすい環境にするにはどうしたらよいかを凄く悩みました。今取り組んでいることは2つあります。1つ目は、マスクに各々のニーズを書いて表現するということです。例えば、話の途中で吃音が出ても最後まで話し終えたい方や、周りの人に助け舟を出してほしい方など、求めていることは人それぞれ違います。それぞれがしてほしいことをお客さまに伝えるために、マスクに各々のニーズを記入するようにしています。Upload By 発達ナビニュース2つ目は、スタッフの意見を取り入れるということです。スタッフの中には、接客のアルバイトをしているときに固有名詞が言えなくてつらくてやめてしまったという人がいました。固有名詞の中に苦手な音があると話しにくい吃音者は案外多いのです。それならば接客のセリフは一切マニュアルに入れないようにしよう、ということになりました。Upload By 発達ナビニュースーー実際に参加された吃音のある方の変化や感想を教えてください。奥村安莉沙:カフェが終わったあと、スタッフから一番多く聞く感想は「自信がついた」ということです。今まで叶えられないと思っていた接客の夢が、吃音に理解がある安全な場で実現できた、自分はできるんだと感じたのだと思います。OBのなかには学校で吃音啓発活動を始めたり、自分より下の世代の吃音者のために交流イベントを開催したり積極的に活動している人もいるようです。Upload By 発達ナビニュース「注文に時間がかかるカフェ」が1日限定で川崎市にオープン!ーー7月3日の「注文に時間がかかるカフェ」では、どのような企画をされてますか?奥村安莉沙:今回は高校1年生のスタッフほか4人の若者たちがスタッフとして参加し、現在はオリジナルドリンクの開発を行っています。スタッフたちは学生が多いので商品企画・開発の経験は一切ありませんが、「吃音」や「夏」をテーマにしたドリンクの企画を0から行うことに挑戦しています。若者が挑戦を通して自信をつけてもらいたいと思っているので、大人がお膳立てして完璧を目指すことはしていません。若者たちが試行錯誤して取り組んだ「達成感」を大切にしているからです。私が自分の殻を破ることができたオーストラリアのカフェでの経験のように、見守りながら安心して挑戦できる場づくりに徹したいと思っています。Upload By 発達ナビニュースまた、今回はひょんなことから今回の挑戦の様子を記録した長編ドキュメンタリー映画をスタッフ総出でつくることになりました。通常、映画のナレーションは1人で話すと思いますが、2人で声を揃えると吃音があっても話しやすいということから、相談の末に高校1年生と高校3年生のスタッフ2人体制でナレーションに挑戦しています。監督、撮影者、出演者すべてが「映画製作未経験の吃音者」という風変わりなプロジェクトですが、同じように病気や障害でやりたいことに一歩踏み出せない若者に力を与えられる映画にできたらいいね、と話しています。Upload By 発達ナビニュースーー活動を継続させた先のこれからの未来に、「注文に時間がかかるカフェ」はどのような世界をつくっていきたいと考えているのでしょうか。奥村安莉沙:注文に時間がかかるカフェの活動を通して、かつてやりたいことをあきらめて生きてきたスタッフたちは「ほんの少しの理解があれば、私たちは何だってできる」ということに少しずつ気づき始めています。全国各地から集ったスタッフが故郷に戻り、その地域で注文に時間がかかるカフェの開催を手伝ってくれることで、また新たな若者が自信を得るきっかけをつくることができると思います。「理解があり、やりたいことに安心して挑戦できる環境」は吃音者だけではなく、どんな病気や障害を持つ子どもたちにとても大切なことだと私は考えています。私はそんな社会をつくるために、当事者の若者たちと力を合わせて啓発活動を続けていきたいと思います。Upload By 発達ナビニュース当日のイベントはすでに満席となり、申し込みが締め切られています。同日に予定されているライブイベントはまだ申し込み受付中とのこと。まずはぜひ、「注文に時間がかかるカフェ」を知ることから始めてみてください。星空音楽祭~吃音をもつアーティスト、若者のミニライブ~@神奈川県川崎市※クリックすると発達ナビから「注文に時間がかかるカフェ」のサイトに遷移します※記事内の写真は、2022年3月に世田谷で開催したときのものです
2022年06月11日遅れているのではなく、発達の仕方が異なるだけ知人で、自閉スペクトラム症がある4歳のお子さんの親御さんがいます。その親御さんも私と同じように、定型発達のクラスメートとわが子を比べては落ち込み、障害があるお子さんと比べては「わが子のほうができることがあるんだ」と感じてしまうと言っていました。お子さんは、保育園でもなかなか友達と遊べず、走り回っており、送迎時にその様子を見ては他の子どもたちとわが子を比べて落ち込んでいたそうです。ところが、療育に通い始めると、同じ4歳児でも、もっとじっとしていられない子どもや、発語がない子どももいました。「うちの子だってできること多いじゃない」と気持ちが少し軽くなったそうです。でも、翌朝、保育園に送っていくと定型発達の子どもたちを目にし、また落ち込んでしまいました。息子がまだ幼く、療育に通っていた時のこと。同じ療育を受けていたお子さんの親御さんは、小学校入学時に1年入学を遅らせる就学猶予を検討していました。そして私に「一年くらい遅れていると思えばいいんだよね」と言いました。私は「いえいえ、5歳になったとき定型発達の4歳児と同じようにできる訳ではないと思うよ、発達の仕方が違うんだと思うよ」と伝えました。参考:就学義務の猶予又は免除について | 文部科学省比べるのは仕方がないけれど他の子とついつい比べてしまうのは仕方がありません。「比べちゃうよね、それが親だよね」とかつての私を思い出し、共感しました。また、お子さんによっては一年遅らせることで、落ち着いたり指示が通るようになって、通常学級で学べる場合もあるのかもしれません。私は、自閉スペクトラム症のある子どもを定型発達の子どもと同じように成長させようとするのは子どもにとっても苦しいのではないかと思います。入学時期を一年ずらし、療育を行えば追いつくわけでもありません。療育は子どもがより暮らしやすく、学びやすくなるために行うものであって、定型発達児に近づけるために行うものではないと思います。他の子どもと比べて一喜一憂するのではなく、その子自身の成長を見守っていくことが大切なのだろうと思います。ただ、成長はします。発達はします。今のままの状態が永遠に続くわけではありません。Upload By 立石美津子息子の言葉息子は小学校に上がるまで、ほとんど言葉がありませんでした。オムツも5歳までつけていました。息子は現在、21歳です。昨日、息子が私に向かって夕食前に「もう!早く食べたい」、就寝前に「もう寝る!」と命令口調で言うので、「あんた、殿様だね」と言い返しました。すると「僕は殿様じゃない。立石○○だ」と怒りました。相変わらず比喩が通じない自閉症のある息子です。Upload By 立石美津子また…息子がカラスの声の真似ばかりして、家で「カアアアアーーーーーー、カアアアアアアアー」と大声を出すので…「カラスの写真付きのTシャツ買ってあげようか」「朝、起きたらカラスが横に寝ているかもね」と起こりもしないことを言うと、冗談であることを分かったような顔をして、少し笑いながら「いやだ~」と幼児のように叫びます。私が真顔で「でも、カラスは頭がいいから、外でカラスの声を出したら本当に突きにくるかもね!」と言いました。(外でカラスの声を出すので困ります。本当に突きにくるかもしれないので)その後、神妙な顔をしていました。6歳までほとんど言葉がなかった息子、このやりとりに成長を感じます。Upload By 立石美津子「相変わらず、字面通り受け止めて殿様という比喩が通じない、でも、冗談であることも口調や私の表情でわかる、昔に比べると、言葉が増えたし、会話も出来るようになった…ほんと、成長した。」とシミジミ思いました。親になると比べる病はなかなか改善しませんが、我が子の今と昔を比べるようにしたいものです。(監修・鈴木先生より)字面通り受け止めるのは自閉スペクトラム症の特徴です。ある子に「木」を描いてねと言ったところ、画用紙に「き」と書いていました。人それぞれです。皆とは違う自分の特性を生かせる環境のもとで育てることが重要です。最終的に自立・就職できることを目標にしていけばいいのではないでしょうか。自閉スペクトラム症は退行することはなく、少しずつ成長します。その子のレベルに沿ってゆっくりと進めばいいと思います。そのために特別支援学級で1~2年前の学習の復習をしつつSSTができるといいのです。日本にもデンマークのような自閉スペクトラム症専門の小中学校ができるといいですね。
2022年06月10日通常学級か特別支援学級か自閉スペクトラム症がある太郎の就学のことで頭がいっぱいだった、あのころ。悩んだ。とにかく悩んだ。悩んでも悩んでも答えが出なかった。答えは私たち親子がつくるものかもしれない、そう思った。Upload By まゆん太郎は通常の保育園に通っていた。そのほかにも療育センターへ月一、発達障害児リハビリ教室にも月一で通っていた。発達障害があるとはいえど、通常の保育園で生活できないことはなかった(園の先生方の力があってこそですが)。小学校へ進学する前の就学相談を受けた際は、就学相談の先生から「うーん…グレーだなぁ。果てしなくグレーだなぁ」と言われた。Upload By まゆんグレーならば白もあるのか長いこと太郎を診てきてくださったかかりつけの先生からは、「特別支援学級の方がいいのでは?」と言われていた。私は悩んだ。就学相談時の先生の言葉が頭から離れなかった。「果てしなくグレーだ」…グレーならば白もあるのか。だとしたら…白の方がいい。特別支援学級となると、偏見もあるだろうか。それなら白の方が…。そう考える私もいたが、それはエゴだということにも気づいていた。偏見が怖いのは私。太郎はなにも怖がってない、むしろ誰かの援助を必要としている。でも、この先、私が特別支援学級を選んだことが太郎を傷つけてしまわないか…。もう考えが分散してまとまらなかった。落ち着け落ち着け。一番に考えるべきことは、「今」の太郎だ。就学相談でほんの30分しか関わってない先生から「果てしなくグレー」と言われようが、今までと、これからの太郎をみていくのは私だ。私と太郎で、グレーを白とみなすのも黒とみなすのも自由なんだ。この時期、太郎はまだ自分で意思の決定をできなかっただけに、この決断は責任重大であった。「答えはこれから2人で探そう」そういう思いもあって、今までの太郎の状況を冷静に振り返り特別支援学級を選択した。Upload By まゆんあとがき保育園時代と違い、小学校からは特別支援学級という枠組みがあります。通常学級との違いがはっきりする気がして、私自身が周りの目を気にする部分がありました。太郎が変な目でみられないかと考えたり、ちょっと気持ちが落ち込んだりしていました。この落ち込みは、今は随分と改善してきていますが、未だにひっかかることはあります。けれど、特別支援学級を選んでよかった。そう思えることの方が遥かに多いです。それが今の私たち親子の答えになっています。これから先はまだ分かりませんが、途中経過としてはメリットの方が大きいように思っています。(執筆/まゆん)(監修:初川先生より)就学先の決定にまつわる思いのシェアをありがとうごさいます。通常学級と特別支援学級では、周りからどう見られるかという点も気になるとは思います。しかし、一番大事なポイントは、おそらくお子さんにとって、どちらが学びの多い場となるかどうか、ということだと思います。まゆんさんはあまり詳細に書かれていませんが、きっとそうした観点でも検討されたことと思います。通常学級では、知的な遅れがないことを前提として学習活動が進むので、45分間座っていること、読む・書く・話す・聞くがまんべんなく求められてゆく枠組みです。担任一人で35人以下の人数をまとめてみていく環境でもあります。特別支援学級では、担任が見る人数が少なく、また支援員の先生など大人が多く入ってくださりやすい枠組みです。座学ももちろんありますが、活動的な内容が多かったり、学習については、個々の到達度に合わせて進めてくださったり、基礎基本をじっくりと行ってくださります。子どもたちが「学ぶ」にあたっては、ただ授業を漫然と聞いていても学びにはならず、自分のレベルに合った内容について主体的に関与することで、「分かった」「できた」「そういうことか」となることで学びとして成立します。分からない授業を聞き流すことに慣れてしまうこと(学校の勉強は分からなくてもいいんだと学んでしまうこと)が私は個人的にはとても危惧するところです。お子さんにとって、どんな環境であれば学びが成立するのか。もちろんそれには配慮やサポートなど工夫が必要な場合はありますが、そのベースとして通常学級が適しているのか、特別支援学級が適しているのか。まゆんさんのお子さんは特別支援学級に所属してよかったと思うことがたくさんあるとのこと、よかったなぁと思います。
2022年06月09日2歳5ヶ月、発育の遅れの指摘広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)のある娘は、現在小学6年生。発達障害の可能性を考え始めたのは、娘が2歳のときでした。定期的に行われていた母子相談に、体重測定だけを目的に、軽い気持ちで行ったら…Upload By SAKURA「2歳5ヶ月で、2語文が出ないのはちょっと…」と声をかけられたことがすべての始まりでした。それまで、娘の発育が遅いことは気になってはいましたが…Upload By SAKURA何か発育に問題があるのだろうか…いや、そんなわけない!きっと大丈夫!でもやっぱりおかしいかも…ううん、大人しい子なんだ!と、私の考えは毎日、ころころと変わっていました。今、当時の娘を見ると…今思えば、あのときの娘はやはり明らかに、ほかの子どもとは違うと感じるところがありました。当時の動画を、今見ると…Upload By SAKURA表情がない、目が合わない、意味の分からない宇宙語の独り言、私の言葉に反応しない、クレーン現象など気になる部分がたくさんあり、「なぜ気づかなかったのか!」と過去の自分にツッコミを入れてしまうほど。しかし、私にとって娘は初めての子どもで、育児も初心者。子どもがどういうもので、どういう成長を遂げていくかということも全く知らなかったのです。始まったグレーゾーンの日々娘の発育の遅れを指摘されてから、あれよあれよという間に、私たちは療育コースへ流れていきました。Upload By SAKURAしかし、このときはまだ「発育遅れ」の状態。2歳半だった娘の言語レベルが、1歳半だと言われ、言語とコミュニケーション能力に大きな遅れがあると言われているだけで、診断名はつきませんでした。Upload By SAKURAこの子は、どこにいるのだろう…そのうち定型発達になる、ちょっと発達が遅いだけ?障害はないけれど、少し苦手な部分があるだけ?それとも障害があるの?自分の娘が、どういう子なのかが分からない状態は、とても不安でした。発達障害があるのかないのかを考え続け、表情のない娘に話しかける気力を失うこともあったし、待っても待っても、言葉がなかなか出てこないことに悩み、悲観して涙した日もたくさんありました。Upload By SAKURA娘と会話する未来が全く見えず、女の子が産まれたときに「一緒に服を選んで、買い物して、一緒にランチして、女子トークして…」と夢見たことが、一つも叶えられないんじゃないかと思ったこともありました。Upload By SAKURA発達障害が、妊娠中や出産時、育て方が原因ではないと、今は分かります。でも当時は、どこで間違ってしまったのだろうか…妊娠中、食べたものが悪かった?ストレス?出産時に時間がかかったことが原因?私がなかなか母乳が出なかったから?もっと、接し方に気をつけていれば・・・と、自分を責めて責めて、後悔して後悔して、負の連鎖でした。もし・・・発達障害があったら、この子はどうなる?生きていける?みんなに愛してもらえる?友達はできる?「発達障害」という言葉は、当時の私には重くのしかかっていました。やっとついた診断。それからときが経ち、娘が4歳のときに広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)の診断を受けました。診断を受けたとき、私は…Upload By SAKURA「やっと診断名がついた」「よかった」というのが最初の感想でした。当初は、発達障害があったらどうしよう…発達障害ではありませんように…と考えていましたが、「発育が遅れている」や「グレーゾーン」という場所にいるのは、私にとって、とてもしんどいものでした。どっちのグループにも属すことができない、道がないようなそんな感じがしていました。あんなに避けたかった診断でしたが、気がついたころには「早く診断名がついてほしい」「道をはっきりさせたい」と思っていました。Upload By SAKURA自分でも想像していなかった「発達障害」の受け止め方。診断がついて、7年。今の私にとって、「発達障害」という言葉は、そこまで重いものではありません。娘を表す一つの言葉で、私にとってはプロフィールのような…血液型や趣味、特技を書くぐらいのもので、違和感はありません。もしかして…発達障害?と、悩んでいた当時の私からしたら、想像のできない姿でしょう。今の娘は会話もできているし、学校にも通えている。今思えば、あのとき、あんなに悩む必要はなかったのではないかと思ったりもします。でも、悩み苦しんだ日々も含めて、私と娘が二人で積み重ねた経験。わが子に発達障害があるかもしれないと言われたとき、悩み苦しむのは当たり前。あの苦しんだ日々は、私を強くしてくれ、今の私の土台になっているように感じます。Upload By SAKURA今、思春期・反抗期を迎えている娘。二人で言い争いをすることも、もめてうまくコミュニケーションが取れず、イライラしたり、悩むこともあります。そんなときは、あの日々を思い出し、あのころも頑張れた…きっと大丈夫と自分に言い聞かせています。執筆/SAKURA(監修:井上先生より)発達の遅れを疑われてから診断が出るまでの間は、親御さんにとってさまざまな心配ごとや葛藤に悩まされる時期だったと思います。その時期があったからこそ今があると思えたり、今の悩みや葛藤はあのときと比べるとと思えたり、お子さんが少し大きくなられた今でもさまざまなかたちでかつてのことが思い出されると思います。当時の気持ちを誰かに伝えたり文章にされたりするのは、ひょっとしたら少しつらい部分もあるかもしれませんが、その体験を語ることがほかの親御さんにとって、とても助けになっていると思います。
2022年06月08日劇的に効いた、発達障害向けの薬私が発達障害の診断を受けたのは32歳のとき。これよりも2年前に発達障害を自覚し、ほかの精神科医(発達障害は専門外)にも発達障害の可能性を指摘されていたため、診断には驚かなかった、つもりでしたが…エビリファイという、脳の覚醒度を調整してくれる薬(もともとは統合失調症用の抗精神病薬です)を処方され、半信半疑で飲んでみた初日、なんと頑固な昼夜逆転が劇的に改善されたのです。昼夜逆転には10年来悩まされていました。朝は昼下がりになるまでボーッとして目が冴えず、夜は空が明るくなるまで脳みそが高速回転している感じで眠れない。生活に気をつけてみたり精神安定剤を処方してもらったりいろいろやったのですが、どうにもならずに本当に困っていたのでした。なのに、エビリファイの最も用量の小さな錠剤を1錠飲んだ初日、私は夜9時に眠くなってパタッと眠り、気持ちよく熟睡して、翌朝6時にパッチリ目が覚めたのです。※エビリファイの副作用などを調整した、レキサルティという新薬が発売されました。現在はエビリファイから変更し、レキサルティを服用しています。生活が変わっていく服薬するようになって変わったことはまだあります。ケアレスミスが減り、生活の段取りもよくなって、まるで1日の時間がそれまでの2倍に、あるいは自分が発揮できる能力が2倍になったように感じたのです。日中は寝てばかり、夜はネットサーフィンしてばかりだった私は、夜に寝て朝に起き、3食決まった時間に食べるように。最低限の家事もこなせるようになっていきました。私は診断に対してどこか半信半疑でしたが、精神安定剤の服用ではどうにもならなかった症状が、発達障害があることを踏まえた薬の処方で、これほど劇的に軽減するとなると、私はやっぱり発達障害があるのだと認めざるをえませんでした。この時期は希望と絶望が入り混じった不思議な時期でした。自分の感じてきた不全感が自分の「努力不足」のせいだけではなかったという安堵、薬の力を借りればここまでパフォーマンスが出せるのだという自信が感じられるいっぽうで、そう感じるほどに「やっぱり私には間違いなく障害があるんだ」「30年間ムダな努力と傷つきを背負ってきたのでは」という無力感に襲われるのです。症状に応じた薬の追加その後私には、ときどき過覚醒状態に陥り、焦りから無理を重ねてドドッと体調を崩す、という癖があることが分かりました。それで主治医が、デパケン(バルプロ酸ナトリウム)を飲むように指示しました。この薬は、脳の異常興奮を抑えるもので、もともとはてんかんや双極性障害の薬。片頭痛の予防薬としての効果もあるので、片頭痛が持病の私には合っていました。最近になって自ら主治医に追加を希望してごく少量飲むようになった薬がセレネース(ハロペリドール)です。これは古くからある抗精神病薬。「不安・抑うつ発作」という、トラウマが関わる、フラッシュバックに近い症状によく効くという論文を見つけて希望しました。セレネースを飲み始めた頃はもともと自分自身の調子がかなり安定してきていたので、薬の影響がどれだけあるかは分からないのですが、少しトラウマを刺激されて動揺することがあっても、動揺が以前より小さく、落ち着くまでの時間も短くなったように感じています。服薬前との違い、副作用トラウマ治療を続けながら服薬をしてきた結果、今は仕事(障害のない人ほどの長時間は無理ですが)をこなしながら、最低限の家事プラスアルファをこなせるまでに生活が改善しています。SNSに没頭してトラブルを起こしたり、夫との関係性が緊張するようなこともなくなりました。服薬は面倒ですし、薬はなるべくなら飲まずに済ませたいのが本心ではあります。どの薬のせいか、そもそも薬のせいなのか分かりませんが、服薬するようになって以降、日光アレルギーのような傾向が出たり、やや太りやすかったりする傾向が出てもいます。しかし、せっかく安定している心身の調子を崩してまで薬から解放されたいとは思いません。精神科医は薬の調整のプロですし、主治医は10年近くにわたって私の調子の上下や性格傾向を見てくれているので、基本的に主治医の方針には従って服薬を続けていこうと思っています。メリットとデメリットを天秤にかけて薬には必ず副作用があり、お金も手間もかかります。薬に頼って生きていると、その薬が手に入らなくなったときにどうしようという不安もつきまといます。しかし、生活の質を大きく左右するような心身の調整の中で、向精神薬にしかできない範囲のこともたくさんあります。私はこうした薬のメリットを重視しています。ご自身の特性で生きにくさを感じている方は、メリットとデメリットを天秤にかけながら、賢く薬を使っていくのもよいのではないかと思っています。文/宇樹義子(監修・鈴木先生より)発達障害は「障害」というよりは「特性」と考えた方がいいです。最近は誤解のないように神経発達症という「障害」を削除した言葉が使われています。小児期に診断がつかず、成人期になって初めて神経発達症(発達障害)と診断される方が増えています。小児科はもちろん、精神科でも診断できる医師が増えてきたからだと考えています。特にADHDがあったにもかかわらず適応障害などと違う病名で悩んでいた人も、別の病院を受診することで実はADHDだったと診断されるケースが多くなっています。薬は多く飲めばいいというわけではなくて、エビリファイのようにごく少量を内服することで不眠が改善することもあります。小児においては自閉スペクトラム症の易刺激性を抑える目的で使用する事が多いです。また、最近はここでも紹介されているレキサルティが体重増加などの副作用が少ない理由で用いられるようになってきました。エビリファイがドーパミンのバランスを安定させるのに対して、レキサルティはドーパミン&セロトニンのバランスを安定させる作用があります。外からの刺激に対しての興奮を抑えるにはエビリファイが、内からのそわそわ感を抑えるにはレキサルティが用いられますが、レキサルティには自閉スペクトラム症の易刺激性に対する適応がまだありません。主治医とよく話し合ったうえでの使用となります。
2022年06月08日幼稚園探しのポイント(わが家の場合)公立の小学校や中学校は学区で決まることが多いですが、幼稚園は親が選ぶことができるぶん、悩むことも多いと思います。園の方針や雰囲気が自分の子どもに合っているということが一番大切なことですが、わが家ではほかにも1.園までの距離(通園バスが利用できる場合もありますが、バスに乗り遅れたときや急なお迎えのことを考えて)2.行事の多さ(親の負担の有無)3.保育料4.課外活動や延長保育の有無なども考慮しました。幼稚園見学へ私はママ友の口コミや療育センターで情報を集め、いくつかの幼稚園の見学をしました。A幼稚園は一番近い場所にありましたが、規律やしつけを重んじる方針の幼稚園でした。ママ友の中には“家から近い”という理由でこの幼稚園を選んだ人もいましたが、園の外から普段の保育の様子を見て厳しいように感じたので私は見学しませんでした。1学年1クラスの小規模幼稚園。少し離れた場所にあり、送迎バスや駐車場はなく、通園は徒歩か自転車のみ。「のびのび」「自主性を重んじる」がモットーで、娘に合うかも?と思い見学の申し込みをしました。保育時間中に見学に行くと園内の植え込みで一人の男の子がうずくまっていました。周りの大人は誰も気にとめる様子がなかったので、私はその子がかくれんぼでもしているのかと思いました。施設の案内や保育の様子の見学、幼稚園の方針などの説明を受け帰ろうとすると、先ほどの男の子がまだ同じ場所にうずくまっていました。私が案内担当の先生に「あの子はずっとあそこにいるみたいですけど…」と聞きくと、先生は「あの子は虫が好きなので」と答えました。確かに自主性を重んじている幼稚園なのだなと思いました。娘も大人数で一斉に何かをすることは苦手です。でも娘は療育センターで保護者参加のグループセッションに通うちに、みんなと一緒に歌ったり踊ったりすることを楽しむようになってきていました。順番待ちが苦手だったり、ときには癇癪をおこしたりもしていましたが、適切な声掛けや指示があれば娘は気持ちの切り替えができること、また、娘の興味が少しずつ“モノ”から“人”へと広がっていることを薄っすらとではありましたがこのころ私は感じていたのです。それらのことから私はこの幼稚園は娘には合わないだろうと感じたのでした。C幼稚園は療育センターで教えてもらった『知的障害のある子ども向けの幼稚園』で、子どもと一緒の見学会を実施していました。とても遠い場所にあり、通園バスに同乗しての参加となりました。通園バスは観光バスほどの大きさがありました。娘は大人しく座席に座っていましたが、園につくまでバスの上部のアミ棚にずっとぶら下がっているお子さんがいました。保育の内容はトランポリンやハンモック、ロープぶら下がりなど体を動かすことがメインで、娘はそれらの大きな遊具を楽しんでいました。自然豊かな立地を活かし近隣の森林公園散策もよく行っているとのことで、園児30人に対し職員の人数が27人と多く、手厚い支援が受けられそうでした。一方で子ども同士のコミュニケーションはほどんどありませんでした。おかえりの会のとき、知らないお子さんが私の膝の上に乗ってきました。そのことについて職員の方が特に声掛けする気配はなく、娘も見知らぬ子が母親の膝の上に乗っていても何も言いませんでした。私もどうしたら良いのか分からず結局おかえりの会が終わるまでそのお子さんはずっと私の膝の上に座っていました。Upload By 荒木まち子私たち親子は上記の3つの幼稚園を見学する前に、知り合いのママ友に誘われてD幼稚園のプレ幼稚園(親子で参加できる2歳児クラス)に月2回通っていました。娘は毎回自分のペースで楽しく遊び、私は先生に子育ての相談などをしていました。わが家の選択いろいろな幼稚園を検討した結果、私は過去に参加したプレ幼稚園を主催していたD幼稚園に娘を通わせることにしました。この幼稚園は少し遠い所にあり、通園バスもありませんでしたが、プレ幼稚園に参加しているときから娘やわが家の事情などを理解し、親身になってお話を聞いてくださっていました。娘は療育センターのグループセッション終了後に大学の研究室で療育を受けていたのですが、偶然にもD幼稚園にはその大学出身の先生が多く、園としても大学研究室との連携や情報共有に前向きだったこともこの幼稚園を選ぶ決め手になりました。希望の幼稚園が決まったら次は入園に向けた手続き&準備です。願書配布や願書受付方法は園によってさまざまです。当時(娘が未就園児だったのは20年も前のことですが)私たちが住んでいた地域では、願書配布は“先着順”が一般的で、人気の幼稚園は願書配布日に早朝から行列ができたりしていました(この“人気の幼稚園”は毎年変わるので自分が希望する幼稚園に行列ができるかどうかは配布日になってみないと分からない)。一方で願書配布枚数に制限がない幼稚園もあり、ママ友に頼んで“ついでに貰ってきてもらう”というケースもありました。わが家は主人に朝並んでもらい、D幼稚園の願書をゲットしました。幼稚園には入園選考の面接があるところが多いです。D幼稚園では園長先生が面接をしていました。どんな質問をされるのか?娘は初対面の相手の質問に上手く答えられるのか?…少し心配でしたがプレ幼稚園に通っていたことで娘も「ここは楽しい場所。これからもここに通いたい。」と思っていたようです。「お名前は?」「好きなものは?」などの質問にも普段と変わらぬリラックスした様子で答えていました。そして最後に園長先生が「じゃあ入園式で待ってるね」とおっしゃり面接は無事終了しました。初めての進路選択いろいろ悩んで、そのときのわが子にとって“ベスト”と思って選んだ幼稚園。娘にとっても私にとってもすべてが初めてのことばかりです。わが家の場合、翌年の主人の単身赴任も決まっていました。これからどんなことが起きるのか想像すらでない新米ママと娘の幼稚園生活がこうして始まったのです。執筆/荒木まち子(監修:初川先生より)幼稚園選びのエピソードのシェアをありがとうございます。幼稚園や保育園はどこを選んだらよいのか、また療育機関はどこを選んだらよいのか。選択肢があるのはよいことですが、子育ては選択の連続ですね。荒木さんは4つの園を見学されたのですね。それぞれの園で、ふと目についたことや、肌で感じたこと。そうしたことが結局のところ決め手になりますね。宣伝文句やふれこみ、口コミなどでは分からない、「わが子に合うかどうか」は、最終的にはそうした感覚、肌に合うかどうかということになります。そして、「話を聞いてくれた」というところは大きなポイントですね。見学するのは、園からすると日常の一場面でしかなく、一人で行動する園児をそっとしておくのはそれまでの歴史から何か意図があるのかもしれないなど、短時間の見学ではうかがい知れないこともたくさんあります。ただ、そこで働く先生方の見学検討されている方へのスタンスとして、そこで話を聞いてくださったり、説明してくださったりすると、信頼できそうな気配は感じますね。すべてにおいて完全に満点な選択はないと思いますが、その中でも、ここにする、と決めること。選択は疲れるものですが、決めたらひとまずはそこで進んでみる、先生方との関係はじめ人間関係は柔軟に変化しうる可能性があります。どうなるかは分からずとも進んでみること、大切です。
2022年06月07日異常な記憶力と、マシンガントーク…!きっとこれは「壁打ち練習」なんだわが家の長男タケルは、子どものころから話し始めたら止まらない子。喋り始めたのは生後10ヶ月ぐらいで特に気になることもなかったのですが、3歳を過ぎたあたりから特徴的な喋り方をするようになっていました。Upload By 寺島ヒロこのころ、もうかなり長い台詞を喋るようになってきていました。もちろん、これはほんの序章に過ぎなかったのです…。ゲーム漬けの日々5歳のころ、スーパーファミコンのアクションゲームにはまったタケル。朝から晩までゲーム漬けになりました。ゲームをする時間の長さはそれほどでもないのですが、まず起きたらそのゲームのキャラクターの絵本を読み、幼稚園ではゲームのごっこ遊びをして、家に帰ってくると折り紙でゲームのキャラクターをつくり…。それだけでは終わらずに、ごはんのあとにちょっとゲームをやると、ゲームの音楽を歌いながら眠りにつきます。わたし自身、結構なオタクなので「ハマってるなあ、すごく好きなんだねえ」と思うだけでしたが、ともかく朝から晩まで、口を開けばゲームの話ばかりで閉口してしまいました。YouTubeにハマる!そして...小学生になるとYouTubeなどで動画を見るようになりました。これも見ている番組や時間は限られているのですが、見ていないときは動画の内容を繰り返して喋っています。こちらから別の話を振ると会話しますが、その話が終わるとまた動画の話を再開するのです。Upload By 寺島ヒロすごい記憶力だ…!だが...見たYouTube番組の話をしてくるのは、今も変わりません。最近は数学チャンネルをよく見ているらしく、「問題を出して良いかい?」とニヤニヤしながらやってきます。大体私では問題は解けませんが、解説まで完璧に教えてくれます。タケルは覚えたことを、親にアウトプットしてみせることで、記憶を強化しているのでしょう。壁打ち練習みたいなものなのかもしれません。問題は、その「壁打ち」がいつでもどこでも始まるということです。問題点はお喋りをやめられないこととにかく、タケルの話はワンセンテンスが長い!そして一度遮られても続きをしゃべる仕様です。忙しいときは本当にうっとうしい!親の私でもそう思うのですから、ほかの周りの人たちも同じように思っているはず…。実際、友達数人とボイスチャットをしていたとき、会話の流れに構わず、YouTubeで仕入れた知識をべらべらと長尺で喋ってしまい、友達に「ご講義はいいから!」と突っ込まれていたのを聞いたこともあります。Upload By 寺島ヒロしかし、そんな息子のおしゃべりを聞いて、黙って離れていくのではなく、ちゃんと叱ってくれるお友達がいるのはありがたいことです。次第に友達への「講義」の頻度が下がることを期待しつつ(笑)家での「壁打ち」にはなるべく付き合ってあげようと思っています。執筆/寺島ヒロ(監修:井上先生より)とてもユニークで頭の良いお子さんだと思います。寺島さんが書かれているように、お友達の注意の仕方もユーモアがあって本人も受け入れやすいのではないでしょうか。自分の知識をしゃべりすぎてしまうことは、同じ趣味のお友達ができると欠点から長所に変わるかもしれません。お子さまにはぜひ研究者の道を歩んでいただければと思います。
2022年06月07日【アンケート】2つの商品化候補グッズについてさらに詳しく教えてください!【みんなのアンケート】日常の困りごとをぜひ教えてください!にご協力いただき、ありがとうございました。さまざまなお困りごとのご回答をいただきました。幅広い困りごとや、コメントへのイイネ!を、「なるほど~!」と思わず共感しながらうれしく拝見しました。ありがとうございました。今回はこれまでにいただいたお声などからも検討を繰り返し、次の2つに商品化アイテム候補を絞りました。1.お出かけ編:For 忘れんぼうさんお財布はもちろん、かぎやハンカチなど外に出るための持ち物をすっきりまとめてスタンバイできる「バッグインウォレット」2.おうち編:For お片づけ苦手さん収納すると隠れてしまい、存在を忘れやすい人に向けて、中を確認しやすい「透ける収納ボックス」2つのアイディアを具体的な商品化に向けて、さらに詳しくみなさまのご意見を教えていただくために、追加アンケートと、試作サンプルを試して直接ご意見をいただくモニター募集を実施いたします。アンケートとモニターを通して、発達ナビユーザーのみなさんと一緒にグッズをつくっていきたいと考えています。ぜひご回答とご応募をお願いいたします!(所要時間:約10~15分)※2022年6月19日(日)まで※ボタンをクリックすると発達ナビのサイトから株式会社フェリシモのサイトに遷移します※ボタンをクリックすると発達ナビのサイトから株式会社フェリシモのサイトに遷移します
2022年06月06日中学校の担任の先生と面談をしましたUpload By 丸山さとこコウが中学校に入学して1ヶ月が経ちました。早速物を忘れる・なくす・壊す…のオンパレードですが、毎日楽しく通っているようです。今のところ目立ったトラブルはありませんが、卒業した小学校の先生からのすすめもあり、先日担任の先生と二者面談をしてきました。面談にあたり、私は診断書とWISCの検査報告書をコピーして持っていきました。小学校入学時の面談の際はサポートブックを作成し持参しましたが、5年生でWISCを実施したときにいただいた検査報告書に・全体的な知的発達水準・指標得点の特徴・支援方法などの項目がA4一枚に分かりやすくまとめられていたため、今回はそちらをサポートブックの替わりとしました。いよいよ担任の先生との面談!今回の面談では、『神経発達症(発達障害)の話』ではなく『神経発達症(発達障害)がある息子コウの話』をするように心がけました。現段階で先生が神経発達症についてどのようにご理解されているのかも分かりませんし、今後の理解や対応のためには「息子は今までこうでした。最近はこのような感じです」と伝えることが必要だろうと考えたからです。Upload By 丸山さとこまた、神経発達症についての知識が深まることでコウに対する理解が深まる場合もあれば、先入観が育ってしまうこともあるだろうと考えました。WISCの結果や支援方法を見ると、コウは『今後予想される出来事のパターンとその対処法』がとても分かりやすいように見えます。「伝えるときは短く端的に」「行う作業は一つずつ」「予告をする」「環境や体調・気分の影響を受けやすい」などの項目やそれぞれの具体的な解説を読むと、『なるほど!そういうときはそうすればいいのか!』とスッキリ納得できそうです。Upload By 丸山さとこですが、『伝えるときは短く端的に』『抽象的なことよりも具体的なことのほうが分かりやすいです』とあるので「じゃあ、短く端的に、具体的に伝えよう!」とすれば上手くいくかというと、「説明が簡潔過ぎて分からない」「具体的に伝えられたけど、なぜそうするのか理解できない」と混乱することがあるのがコウなのです。Upload By 丸山さとこそのため、先生には『基本的な傾向や対処法』があることを伝えるのと同時に、『コンディションによって左右される要素も大きく、例外のパターンもあるということをお話しました。新しい学校生活の最初に面談をすることの意義このようにきっぱりと言い切れることが少ないため、先生に「結局この保護者は何を言いに来たんだろう…?」思われないだろうかと不安な気持ちがありました。ですが、先生は「あぁ、分かります」「あー、そういうことか…、ありますね」と相槌を打ちながら聞いてくださり、学校内でのコウの様子についてもいろいろと教えてくださいました。また、コウは集団生活において「掃除など役割分担のある作業を忘れる」「人の気持ちを考えずに話す」「自分のことだけに熱中して人を手助けしない」など、『道徳心が低い』とみなされる行動をとることがあります。そのため、小学校では周囲の子どもと揉めたり、大人から「道徳心を身につけましょう」と指導を受けたりすることがありました。コウとしては悪気がないため、悪意や道徳心のなさを理由として指摘され続けると、次第に自信をなくしたり周囲の人間に不信感を持ったりしていきます。小学校でも一時期周囲との軋轢や不信が目立ちましたが、先生方が「性格や悪意の有無を絡めず、ただ事実のみを指摘する」と意識してくださったおかげで、反発心や不信感を強めることなく注意や指摘を受け入れられるようになっていきました。このような、やる気や道徳心の問題と思われがちなコウの言動に関しても「今は部活動などでも、やる気や根性でどうにかしようとすることはないです」「いやー、それは…道徳の問題じゃないですね」と言っていただき、今回面談の機会をいただいて本当によかったなとホッとしました。Upload By 丸山さとこ私は、話をすることが苦手です。その中でも『意見を伝えたり、お互いの認識を理解し調整したりする会話』はかなり不得意で、今回のような面談の場ではいつも冷や汗をかきながら話をしています。ですが、卒業した小学校の担任の先生に中学校に入学したばかりの段階での面談をすすめられ、今回の二者面談をお願いすることにしました。小学1年生のときの担任の先生は「最初に(まだトラブルが起きていないときから)コウ君について教えていただいたおかげで、その後の対応をする際にとても助かりました。中学でも中学校生活の最初にお話いただいた方が、その後の対応がスムーズになりやすいと思います」と言ってくださいました。それが本当なのであれば、つたない曖昧な話であっても、学校生活の初期に面談を行うことには意義があるのだろうと思います。Upload By 丸山さとこ「6年の間に彼がとても成長した事実をお伝えください」と話してくださった小学校の先生や、具体的な事例を出しつつ丁寧にまとめた検査報告書をくださったカウンセラーの先生など、”家庭外の関り”の中でいただいた多くのものに支えられて今があることを改めて感じた、中学校初めての面談でした。執筆/丸山さとこ(監修:井上先生より)学年や学校が変わるたびに担任の先生にお子さんのことを説明するのは、大変なご苦労だと思います。丸山さんのように分かりやすい資料をつくって、見せながら説明していただくのはとてもよいと思います。支援方法はあくまで原則なので例外もあるということを伝えるのは難しいですが、お子さんのいろいろな姿を共通理解していくには大切な機会かと思います。
2022年06月06日発達性協調運動症(発達性協調運動障害)について相談できる機関Upload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホン子どもの不器用さが気になったら子どもの運動や動作の不器用さが気になったら、地域に設置されている下記のような施設に相談に行きましょう。保健センターは市区町村ごとに設置された、地域の健康づくりの場です。保健師さんが常駐しており、子どもの発達に関する悩みの相談を受けてくれます。場合によっては医療機関や療育施設の紹介をしてくれます。子育て支援センターは子育て家庭の支援に特化している機関です。自治体運営や医療機関に委託運営されており、保健師さんまたは看護師さんが相談に乗ってくれます。中には、療育指導を実施している子育て支援センターもあるので、お近くのセンターに問い合わせてみてください。発達障害者支援センターは発達障害者支援全般を行っている機関であり、都道府県・政令指定都市やその他法人によって運営されており全国に設置されています。お近くの発達障害者支援センターは以下のリンクより検索できます。参考:発達障害者支援センター・一覧|国立障害者リハビリテーションセンターここでは、相談支援と発達支援などを行っています。相談支援では子どもの相談はもちろん、その様子に応じて医療機関、療育機関の紹介、行政サービスの利用方法を紹介してくれます。発達支援では、医療機関、療育機関との連携を図りながら、家庭での療育方法のアドバイス、発達検査、発達状態に応じた療育計画の作成や具体的な助言をしてくれます。発達性協調運動症(発達性協調運動障害)への支援を受けられる機関上記の相談先で医療機関紹介してもらえることもあります。小児専門や発達障害専門の医療機関では療育も行っているところがあります。上記の相談先で、療育機関を紹介してもらえることも多くあります。療育機関では子どもの成長や自立支援のための、医療、治療、育成、保育、教育を総合的に行っています。民間の療育機関は保険が適用されないため、各施設により費用はさまざまです。内容や療育に当たる方との相性もあるので、あらかじめ見学に行くことをおすすめします。発達性協調運動症(発達性協調運動障害)の支援・治療方法作業療法は、作業(子どもの場合、主に遊び)などをして、複合的な動作をできるようにしていくものです。運動、日常生活、学習などの動作をスムーズに行えるようにするために、基本的な動作に加え、動きと動きの統合が必要な協調運動への支援を行います。発達性協調運動症のある子どもは、一つひとつの行動の統合が苦手であることが分かっているので、作業療法は障害の改善に効果があるといわれています。広義には高齢、障害などによって運動機能が低下した状態にある人々に対し、運動機能の維持・改善を目的に運動、温熱、電気、水、光線などの物理的手段を用いて行われる治療法です。特に運動による理学療法が発達性協調運動症の改善に役立つとされています。別名運動療法ともいわれますが、理学療法に含まれない場合もあり、定義はあいまいです。理学療法士が行う運動を使った療育では、日常生活で必要な運動、行動を訓練し改善していきます。家庭でもできること家庭でもできることは多くあります。家庭でさまざまなサポートを行う場合は、まず、「こうするべき、こうあるべき」という先入観を捨て、子どもと一緒に楽しみながらやることが長続きの秘訣です。あくまで遊びの中で取り入れ、訓練、という位置づけにしないことも大切です。家庭で見られる困りごとの例としては、以下のような例が挙げられます。・手先がうまく使えていない・正しくお箸の使い方を何度も教えたけれど、なかなかお箸をうまく使いこなせない・服のボタンをうまくはずしたり、かけたりすることができない・文字を書くときに極端に筆圧が弱い、強い上記のような困りごとに対して、考えられる不器用さの原因としては、・手の筋肉の動きをうまく制御できない・手元に注意が向いてない・手の動きと視覚の情報の連携が取れていないなどが挙げられます。これらを踏まえた上で、遊びの中で手で何かを握る経験や、握ったあとの状態を把握する機会を増やすことにより、手の筋肉に入れる力の制御を学ぶことができ、つまむ機能や握る機能が育っていきます。具体的に家庭でできることとしては、以下のような取り組みが一例として考えられます。・ブランコやアスレチックで遊び、どのくらいの力で自分の体重を支えられるようになるのかを学ぶ。・コイン遊びを通して、コインを握る、つまむ、入れるという動作を経験する。いろいろな指でコインをつかむことで指の力の入れ加減を学ぶ。・粘土で遊び、粘土の形を変形させたり、細かい作業を行うことで、感覚の加減を学ぶここで紹介した方法はあくまで一例であり、ほかにもさまざまな方法がありますまた、家庭でできるこうした取り組みも、すぐに効果が表れるとは限りません。ゆっくり時間をかけて、楽しみながらやっていきましょう。ICD-10では「発達性協調運動障害」となっておりましたがICD-11からは「発達性協調運動症」と名称が変更になるため一部表記を併記しております。参考:ICD-11における神経発達症候群の診断について
2022年06月05日幼いころのゆいの様子を思い返してUpload By 吉田いらこ幼いころのゆいは素直で大人しく、いわゆる育てやすい子でした。就学前までは子育てで特に大きな苦労を感じたことはありません。ただ、ゆいは勉強の苦手な子ではありました。年中のころから幼児向けのコースもある学習塾に通わせていたのですが、小学校1年生のころに本人がどうしても辞めたいというので退会させたことがあります。続けていけなくなったのは、ちょうどそのころから塾の勉強の内容が幼児向けの簡単なものからお勉強系に切り替わったからだと思います。この塾のシステムは、できない問題があればずっと同じところを繰り返し、理解し、解けるまで次に進むことはできません。ゆいは算数のある一ヶ所でつまずき、ずっとその問題を繰り返し解くことがつらかったようです。このときは辞めさせることをとても悩みました。勉強を嫌がるのは甘えではないのか、それを許していいのか…と。結局、ゆいがとてもつらそうにしているのがかわいそうになって辞めさせてしまいました。それに、まだ低学年だし勉強は無理にさせなくてもいいやとも思っていたのです。今思えば、このころに軽度知的障害の予兆に気づいていればできたこともあっただろうなと感じます。小学校三年生、テストの点数はいつも低く…Upload By 吉田いらこ小学3年生あたりから「この子は勉強が本当に苦手だなあ」と感じることが増えました。小学校で実施される小テストやカラープリントの点数がとても低かったのです。ゆいはいつも点数の低いテストを申し訳なさそうに私に見せてくるので、私は「次頑張ったらいいよ」「ほら、ここは○が多いじゃない」と数少ない、できていたところに目を向けてほめるようにしていました。内心では「この内容だったら、ほかの子は高得点を取っているのでは…?」と思いましたが、成績が悪いことをわが子に注意するのはかなり抵抗がありました。さらに勉強を嫌いになってしまうかもしれないと思い怖かったのです。きっといつか、勉強の大切さがわかったときには自主的に始めるだろう…と楽観視していました。かといって、ゆいに勉強に興味を持たせられるような効果のある声かけもしていなかったので申し訳なく思っています。小学校4年生のある日のことUpload By 吉田いらこそして何も解決しないまま小学四年生になったある日、担任の先生から呼び出しがありました。教室に入ると担任の先生と支援担当の先生がいて、ゆいの学校での状況を教えてくれました。ゆいは勉強についていくのがとても難しそうだということ。必死で板書を書き写そうとしているが間に合わず、授業を理解する以前の状態だということ。そして最後に、一度専門機関で発達の検査をしてみてはと言われました。そのときは「ああ、とうとうか…」と感じました。なんとなくそのままにしてきたことをはっきり指摘されたような気がしました。現在のゆいは…その後小学校5年生で新版K式発達検査を受けた結果、療育手帳(B2)が申請できると伝えられました。つまり、軽度知的障害があるということです。ゆいの場合は、学年が上がって勉強につまずき始めたことがきっかけで障害があることが発覚しました。ただ、こうやって第三者に指摘されない限り、家族だけではなんとなくそのままにしていただろうと考えています。学校の先生方に指摘された当時はショックを受けましたが、そのおかげでいろいろな対応を進めることができたので今では感謝しています。執筆/吉田いらこ(監修:三木先生より)「子どもに知的障害があるかもしれない」という発想は、普通に子育てをしていてはなかなか浮かんでこないものです。ただ一方で、気づかずに一般的な勉強方法を繰り返していては、本人にとってつらいだけのこともあります。特性に気づいて最適な方法に出会えると、少しずつ前に進めて良いですね。
2022年06月03日けだまさんの息子さんは、2歳の時に発達障害の診断を受けました。そのことを受け入れているつもりでも、ゆっくりなペースに挫けそうになることもあります。幼稚園への入園申し込みの結果はどうなったでしょうか?家に届いたのは幼稚園の入園願書。けだまさんは今、願書を出そうか悩んでいます。 ゆっくりすぎる息子の成長に心が挫けそうになるときも…… 息子さんの負担を第一に考えたけだまさんは、幼稚園入園の願書を出さないことに決めました。 発達障害のあるお子さんの場合、成長はゆっくりだったり凸凹があったりしますよね。 みんなと同じ時期に同じことができなくて、焦ってしまう気持ちがきっとあると思います。 そんなとき、自分を落ち着かせるために、皆さんはどんなことを考えたり、やってみたりしていますか? 著者:マンガ家・イラストレーター 海乃けだま発達ゆっくりな息子と活発すぎる娘を育てる2児のママ。クスッと笑える育児漫画を描いています。
2022年06月02日30分に及ぶ発達検査、果たしてふーは乗り越えられるでしょうか?Upload By taekoわが家の長男ミミは、ASDの特性があります。次男のふーは定型発達だと思っていたけれど、通っている保育園からの勧めもあって、発達検査を受けることにしました。福祉保健センターへ電話で療育を受けたいと伝え、2ヶ月後に発達検査の予約ができました。ふーにとって初めて行く場所でしたが、すんなり行くことができて、ひとまずほっとひと安心。面接では、初めて会う専門員の先生から、発達の検査を受けていきます。上手くコミュニケーションできるでしょうか…?Upload By taeko発達検査では、先生からの質問に答えたり、道具を操作したりしながら、回答するものがありました。初めての空間で初めての先生との検査だったのでどうなることやらと不安でしたが、30分以上の間ふーはとっても頑張っていました!発達検査の結果を聞きながら思いました、「あれ、どこかで聞いたことあるような…」検査のあとは、専門員さんと私の面談の時間がありました。その間、ふーは好きなおもちゃを選んで遊んで待っていてもらいます。先生から発達検査のメモ用紙を受け取り、口頭で伝えてくれる検査結果を、私が一つずつ記入していきます。その結果は、総合的に平均の範囲内ではありますが、ふーは月齢と比較して8ヶ月ほど遅れているそうでした。検査を通して、道具の操作や言葉での応答などに、苦手さがあることがわかりました。検査の結果からのアドバイスとして、人に求められていることよりも、自分の興味が優先されて指示されたことが頭に入りにくく、また見えない部分を推測することが苦手なため、周囲の人たちが個別の声がけや見本を見せることが必要だということでした。そんな話を聞きながら私の中に浮かび上がってきたものは、不安などのネガティブなものが少しも無かったと言ったら嘘になってしまいますが、それよりも「ふーも私も一緒なんだ!」という共感の気持ちでした。Upload By taeko先生から告げられる傾向の一つひとつが、「これ、私のことだ!」と思えてしかたなかったんです。本筋とは別のことばかりが気になって頭に入ってこなかったり、デジタル社会の情報の洪水の中で「結局なにもわからない…」という状況になってしまったり。私もそんなことが日常茶飯事なんです。あぁ、やっぱり、親子なんだなと感じました。でも、こんな私でもなんとかなっているんだから、ふーもきっと大丈夫!とポジティブに思うようにすることにしたんです。全ての結果を聞き終わり、先生からあらためて療育を受けるかどうかの意思確認をされました。そして、次男の療育を受けることを希望しました。Upload By taekoそして始まった、次男ふーの療育最後は必要書類に記入し、翌日区役所へ郵送。その後は、3月末ごろに通所する施設から連絡が来て、4月から月に1回・通所できることになりました。兄のミミが現在通っている民間の放課後等デイサービスの未就学児(個別クラス)も、自治体の療育とは別の日に、4月から週1回通うことが決まりました。自治体の療育はミミの療育で2年半通った懐かしい場所ですが、ふーが実際に通うのはさらに1駅離れた場所になるようでした。少し大変だな…と思いつつも、ふーは電車が好きだから通うことが楽しくなるかも、とプラスになることを考えるようにしました。療育にはどうしても不安はつきものですが、その中でもいつでもポジティブな要素を見つけて、前向きにがんばっていこう!それが、私たち親子の療育の形です。執筆/taekoUpload By taeko(監修:井上先生より)療育開始前に発達検査や知能検査などのアセスメントを受けることがあります。これは、本人の学習に関しての強みや弱みを把握し、適切な対処方法や学習の仕方を見つけるのに役立ちます。初めての場所で初めての支援者と発達検査を行うことは、お子さんもお母さんもとても不安だったと思います。子どもの検査の解説を聞きながら、ご自分のことにも当てはめて考えた、という方は意外に多いようです。taekoさんがされてきた工夫とかコツがあれば、お子さんに伝えてあげられると良いですね。
2022年06月02日小学校から高校まで活用できるーー『改訂新版 障がいのある子の就学・進学ガイドブック: 複数の目で子どもを育み共に育ちあう教育へ』「わが子に合う学びの環境をどう選んだらいいのだろう」と迷ったり、「学校には通い始めたけれど、このままでいいのだろうか」と悩んでいる保護者の方もいるのではないでしょうか。この本の著者は、特別ニーズ教育・教育行政学を専門とする渡部昭男先生。学校・学級選びをするときに必要な「行政」「法制度」や、それらを活用した実践法を専門家の視点で分かりやすく解説しています。就学を考える場合は順を追って読むと理解が深まり、すでに就学している場合でも、今の学校・学級について見直し、活用することができます。お子さんに合った教育の環境を整え、のびのびと地域の中で暮らしていくために活用できるあらゆる制度が存在しています。「行政」「法制度」は子ども自身の「学校で学ぶ権利」を守ってくれる大切な事柄です。この本では、その制度について、行政のホームページではどこを読んだらよいのか、QRコードでも紹介しています。お子さんの就学先を決める際に迷ったとき、学校や学級に相談する際にもぜひこの本を手にとってみてください。早期療法で、新しい一歩を踏み出す!ーー『発達障害の早期療育とペアレント・トレーニング ー親も保育士も、いつでもはじめられる・すぐに使える』発達が気になるお子さんを育てる中で、人との関わり方や変化に適応する力をどのように育めばいいのでしょうか。家庭での接し方でできることはないかと考えている方もいるかもしれません。この本では、子どものさまざまな行動特性への早期療育の具体的な方法、ペアレント・トレーニングを取り入れた関わり方など、すぐに実践できる方法を紹介しています。著者は、小児科医であり金沢こども医療福祉センター・金沢療育園施設長でもある上野良樹先生と金沢こども医療福祉センターの作業療法チーム。実際に療育園で行われている子どもとの接し方や作業療法の視点での具体的なトレーニングがイラストと共に紹介されています。保護者の方や、発達が気になるお子さんと接する支援者の方におすすめの一冊です。親子でいきものになりきってリラックスーー『ヨガセラピーえほん はいポーズ どうぶつ』『ヨガセラピーえほん はいポーズ うみのいきもの』インド発祥のヨガ(yoga)。健康や美容のために取り入れている方もいるのではないでしょうか。ヨガには自然や動物をモチーフにしたポーズがたくさんあります。お子さんと絵本のページをめくりながら、動物や海の生き物の形や動きを真似してみましょう。赤ちゃんや未就園のお子さんも、真似するだけで簡単にヨガのポーズをすることができます。「どうぶつ」「うみのいきもの」それぞれ楽しいポーズがいっぱい!親子で楽しみながら心も身体もリフレッシュできる絵本です。チーム支援に役立つーー『自閉症・知的障害者支援に役立つ氷山モデル・ABC分析シートの書き方・活かし方』近年、自閉スペクトラム症・知的障害者支援の現場では、知識を学び、技術を身につけたスタッフが複数で支援する「チーム支援」が重要視されています。この本のタイトルにある氷山モデル、ABC分析は、チーム支援が円滑にできるようにするために多くの施設で取り入れられています。「氷山モデル」とは、本人の行動の背景には、特性や環境によるものがあり、それらを解決することで課題となっている行動を減らそうという考え方。「ABC分析」とは、行動が起こるきっかけには先行事象があり、そのあとの結果によって行動が増えたり減ったりするため、先行事象や結果を調整することで行動を変えるという考え方。これらを言語化し、チームが共通認識を持ちつつ、支援の内容をアップデートさせていくことで、よりよい支援につながると考えられています。この本では、氷山モデル・ABC分析シートの書き方や活かし方を、具体的な事例と共にマンガで分かりやすく紹介しています。支援者向けの内容ですが、家庭でも考え方を取り入れられそうです。
2022年06月01日発達性協調運動症(発達性協調運動障害・DCD)の診断と発達障害の関係は?Upload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホン発達性協調運動症(発達性協調運動障害・DCD)のはっきりとした原因は、まだわかっていませんが、いくつかの原因が検討されています。また、発達性協調運動症は、限局性学習症(学習障害)、自閉スペクトラム症、ADHDと併存することがまれではないと言われています。上記との併存が多くみられるため、なんらかの共通する遺伝的要因があるのではないかと言われています。また、上記のような障害のある子どもは定型発達の子どもより、発達性協調運動症を発症する可能性が高いと言われています。参考:自閉スペクトラム症に併存しやすい疾患・障害|こころの健康情報局「すまいるナビゲーター」参考:ASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群)について|厚生労働省e-ヘルスネットDSM-Ⅴでは発達性協調運動症は、5歳から11歳の子どもでは、5~6%が発症する、また、女児より男児のほうが発症率が高いといわれています。発達性協調運動症とADHD(注意欠如・多動性障害)との関係ADHDのある子どもがよくころんだり、物にぶつかったりしてしまうのは、ADHDによる注意散漫や衝動性に原因があるのか、それとも発達性協調運動症によってなのかを注意深く観察する必要があります。ADHDと発達性協調運動症との境界についてはDSM-5には特に記載がありませんが、ICD-11では衝動性や不注意のために物や人などにぶつかりやすい子どもを発達性協調運動症と診断しないようにとの記載があります。子どもの運動に対する困難さ、不器用さは必ずしも、ADHDだけが原因、発達性協調運動症だけが原因というわけではなく、両方が原因となっていることもあります。海外からは、ADHDがある男児の場合、発達性協調運動症との併存確率は30~50%ほどの可能性がある言う報告もあります。発達性協調運動症とADHDの、二つを併発している場合は、DAMP症候群(deficits in attention, motor control and preception/注意・運動制御認知における複合的障害)と呼ばれることもあります。参考:ICD-11における神経発達症候群の診断について|公益社団法人日本精神神経学会参考:注意欠如多動症児の協調運動機能が行為選択に及ぼす影響|J-STAGE発達性協調運動症と限局性学習症・学習障害(SLD・LD)との関係限局性学習症・学習障害(SLD・LD)は、読み書き能力や計算力などの算数機能に関する、発達障害の一つになります。限局性学習症には、読字の障害を伴うタイプ(ディスレクシア)、書字表出の障害を伴うタイプ(ディスグラフィア)、算数の障害を伴うタイプ(ディスカリキュリア)の三つがあります。日本語の読み書きに関しては発達性ディスレクシアの診断やアセスメント方法が確立され、音韻処理に基づく介入が行われている場合が多いですが、発達性協調運動症がある子どもの場合は音韻処理だけでは説明できず、診断、アセスメント、介入方法が異なるといわれています。参考:学習障害(限局性学習症)|厚生労働省 e-ヘルスネット発達性協調運動症と自閉スペクトラム症(ASD)との関係自閉スペクトラム症(ASD)がある子どもは、コミュニケーションが苦手だったり、感覚の過敏をともなったり、苦手なことでパニックになってしまう、見通しが立たないことに不安を感じてしまうなどがあります。さらに発達性協調運動症があると、うまくできないことが多くなり、遊びなども楽しむことができない可能性もあります。自閉スペクトラム症の併存症はさまざまありますが、約70%以上の人が1つ以上の精神疾患を持っているといわれています。特に知的発達症が多いですが、その他ADHDや発達性協調運動症、学習障害、不安症、抑うつ障害などがしばしば併存します。参考:発達障害の特性(代表例)|厚生労働省参考:ASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群)について|厚生労働省 e-ヘルスネット発達性協調運動症と知的発達症(知的障害)との関係知的発達症(知的障害)のある子どもは知的能力のみならず、体力や運動能力においてもさまざまな課題を抱えている場合があります。知的発達症のある子どもは、体力・運動能力が、年齢とともに向上しないケースもあります。これは、知的発達症によくみられる自閉傾向、あるいは身体動作の障害のために運動への拒否を示す子どもでは、成長期であるにもかかわらず、本来動かすべき運動や身体を働かす機会が少ないがゆえの身体能力の低下現象とも推察されています。参考:知的障害児の発育期における運動能力について|J-stage診断基準ごとの違い現在使われている精神疾患の診断基準は、アメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神障害のための診断と統計のマニュアル』5版テキスト改訂版)と世界保健機関(WHO)の『ICD-10』(『国際疾病分類』第10版)(※)による診断基準があります。現在、最新の診断基準である『DSM-5』が主流になりつつありますが、医師や医療機関によってどちらの診断基準に準拠しているかは異なります。発達性協調運動症における診断基準の違いは、『ICD-10』と『DSM-5』で異なる点があります。『ICD-10』では発達性協調運動症は心理発達の障害に分類されるため、精神遅滞と知能指数が重要になります。現在DSM-5、ICD-10では診断名は「発達性協調障害」となっていますが、ICD-11では「発達性協調運動症」と名称が変更されており、神経発達症群に入っています。ですので診断基準も『ICD-10』『DSM-5』から変わってくる可能性もあります。※2019年5月、世界保健機関(WHO)の総会で、国際疾病分類の第11回改訂版(ICD-11)が承認されました。日本国内ではこれから、日本語訳や審議、周知などを経て数年以内に施行される見込みです。WHOでの公表・承認を受けて、各国では翻訳やICD-10/11 変換表の作成、疾病分類表、死因分類表の作成などの作業が進められ、審議、周知などを経て施行されていきます。ICD-11への改訂によって分類コードが変化すると、書類上で要求されるICDコードが変わったり、疾病概念やカテゴリー、名称や診断基準も変更になる可能性もあります。参考:ICD-11における神経発達症候群の診断について|公益社団法人日本精神神経学会参考:ICD-11 | 世界保健機関(WHO)まとめ子どもに発達性協調運動症があるのかどうか心配な場合は、早めに相談機関に相談し、必要に応じて専門家の支援を受けながら、家庭でできる工夫を行っていきましょう。また、発達障害のある子どもの場合は発達性協調運動症を伴うことも多いです。発達性協調運動症からの特性なのか、そのほかの発達障害による特性なのかを見極めることが重要です。
2022年05月31日穏やかで友達トラブルとは無縁だったUpload By ゆきみ自閉スペクトラム症のある長男けんとは、赤ちゃんのころから、とにかくマイペースで穏やかな性格。好きなものに対するこだわりは強かったものの、遊んでいたおもちゃを誰かに取られてしまっても、お友達が遊んでいるおもちゃで遊びたいときも、ほとんど泣くことはせず、サラリとおもちゃを奪ったり、無理だなと思うとその場を離れて違う遊びをする…などの行動をとっていました。なので、赤ちゃんのとき、発達支援施設に通っていたとき、こども園の年少に至るまで、お友達トラブルとはほぼ無縁の生活。一人遊びが大好きで、集団行動にも参加していなかったのでトラブルは起きなそうだなーとママは呑気に考えていました。年長の夏。園のあとに通っていた発達支援施設の先生に「けんとくん、最近、自我が出てきたように感じます」と言われました。家で遊んでいる様子はそこまでの変化を感じていなかったので、さすが先生!よく見てくださってるなと感心し、感謝したのを覚えています。自我の出現と共に友達トラブル急増!?Upload By ゆきみ「自我が出てきたように感じる」と言われたころ、こども園の先生から「お友達を引っ張ってしまった」と報告を受けたのです。初めての友達トラブルにビックリ。表出言語が苦手でほぼ単語。さらに構音障害で発音が悪く、何を言っているのかわからない、けんと。自我が出てきたことで、やりたいこと、やってほしくないことを上手く伝えられなかったり、伝わらないことに苛立ったりしてお友達に手を出してしまうのではないか、と発達支援施設の先生から言われました。最初はお友達を引っ張ることが「ダメなこと」だというのが分かっていないような様子でした。それでも毎回、「お友達は引っ張りません」と伝えたり「引っ張っていいんだっけ?」と質問して答えてもらうようにしたら、少しずつダメなことなのだと理解し始めていきました。引っ張ってしまう園行事の練習期間中、「引っ張らない」を目標に定めた「できたカード」を毎日持たせていただきました。手を出しそうになったとき先生が「今日のできたカードは何だったっけ?」と声をかけてくださり引っ張らずにすんだ日もありました。そんな日は、嬉しそうに「できたよ☆」と自ら報告してくれて、頑張ったんだなーと私にも伝わってきました。抑えられない!?ションボリな様子の息子Upload By ゆきみ年長の3学期になると、行事のときに引っ張るだけではなく、好きなおもちゃを独り占めにしたくてお友達に手を出すようになってしまいました。先生からお話しを聞くと、3学期にクラスに導入されたおもちゃがけんとのとっても大好きなおもちゃだったため、「お友達と一緒に遊ぶ」と自分の思い通りに遊べないことが多く、ストレスになったり苛立ったりしている様子とのことでした。園のあとに通っていた発達支援施設でも、つくりたいものがあったのに壊されてしまい、お友達とケンカしてしまった。と、先生から報告を受けました。帰り道、けんと自身の口から「お友達を引っ張っちゃった」とションボリ報告をしてきてくれました。悪いことだと分かってはいるけど、自分の気持ちをコントロールできないんだ…ということが私にも伝わってきました。トラブルはいつまで?毎日心配が止まらないUpload By ゆきみ4月、小学校に入学しました。生活をしていく中でまだ通常学級で過ごす時間が短く、特別支援学級のクラスは年上のお兄ちゃんとお姉ちゃんしかいないため(1年生はけんとだけ)、大きなトラブルは今のところ起きていません。しかし、新しく通いはじめた放課後等デイサービスで、おもちゃの取りあいをしたり、1人で遊びたいのに邪魔をされたといって押してしまったり…と、トラブルが出てきています。まだまだ始まったばかりの小学校生活。これからお友達との関わりが増えていくにつれ、さらにトラブルも増えていってしまうかと心配です。小学校、放課後等デイサービスの先生方と連携して情報交換し、けんと自身が自分の心をコントロールできるようになったらいいなと願っています。執筆/ゆきみ(監修:初川先生より)「自我が出てきた」ことで、お友達に手を出してしまうことなどトラブルが急増すると、とても心配ですし、親としてやきもきすることも多くなりますね。ただ、「自我が出てきた」ことは大切な成長です。自分のやりたいことがある、こうしたいという強い思いがある。それ自体はとても大事なことです。何事にもやる気が持てず、あるいは常に受け身でいて、自分のやりたいことよりも友達を優先して譲るのみ…ということはトラブルが起きなかったとしても私はそれはそれで心配だなと感じてしまいます。お友達のことを引っ張ってはいけない、お友達に手を出してはいけない。それはその通りなのですが、その前の、けんとくんの気持ちをどう扱っているかは気になりました。理想としては遊びたいときに「(ぼくが)遊びたい」「これ(おもちゃ)使いたい」など言葉で気持ちを言えるといいなと思います。うまく言えないときは「せんせい!」と大人を呼ぶのもいいと思います。ともあれ、○○したいと強く思うこと自体は悪いことではないので、それはそれとして表出できたら(あるいは、大人がその部分を「けんとくんは、これで遊びたいんだよね」と代弁したりフォローしたりして尊重できたら)いいなと思います。その次にようやく、「でも手を出すのはいけないね」というところ。「○○したい」と強く思うと同時に、「手を出してはいけない」をやり抜くという2つの課題が課されている状態なのは、まだまだ難しいだろうな…と感じました。そんな中でも、けんとくんは、落ち着いているときにお母さんと一緒に「今日手を出しちゃった」と振り返ることができていましたね。ある意味とても気にしているということでもありますが、それほど何とかしようと考えているということでもあり、目標としては共有されている、そこまで発達してきているのだと感じました。どうしたら気持ちが伝わるか、どうしたらもめずに遊べるか、どうしたら先生に注意されずにスムーズに遊べるか。そうしたことをきっとトラブルの中で学んでいる面もあると思います。保護者の立場からすると、ひやひやする思いが続きますが、しかし、どんな塩梅で自分の気持ちを出したり、譲ったり、そのときにどんな手段を使うかということは実際にその場面を経験することで磨かれていきます。もうしばらくひやひやは続くと思いますが、先生方との連携の中で、一進一退しながらも成長してゆくことを信じて見守りましょう。
2022年05月31日発達性協調運動症(発達性協調運動障害・DCD)とは?Upload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンそもそも協調運動とは?協調運動とは、手と手、手と目、手と足などの個別の動きを一緒に行う運動です。例えば、私たちがキャッチボールをするとき、ボールを目で追いながら、ボールをキャッチするという動作を同時にしていますよね。他にも、縄跳びをするとき、ジャンプする動作と、縄を回す動作を同時にしなくてはなりません。このような運動を協調運動と言います。発達性協調運動症(発達性協調運動障害)について発達性協調運動症とは、日常生活における協調運動が、本人の年齢や知能に応じて期待されるものよりも不正確であったり、困難であるという障害です。本人の運動能力が期待されるよりどのくらい離れているかは、通常「MABC-2」(Movement Assessment Battery for Children,2nd Edition version)や、「JPAN」(日本版感覚統合検査)と呼ばれる感覚処理行為機能テストなどのアセスメントによって評価されます。これらのテスト結果を参考に、医師が発達性協調運動症かどうかを判断します。人間の運動の発達をみるとき、大きく分けて、粗大運動と微細運動に分類できます。人間は、さまざまな感覚器官から得られた情報をもとに、初めは姿勢を保つことや寝返りといった粗大運動を習得し、次第に段階を踏みながらより細かい微細運動ができるようになります。粗大運動とは、感覚器官からの情報をもとに行う、姿勢と移動に関する運動です。粗大運動には、先天的に人間に備わっている運動と、後天的に学ぶ運動があります。寝返り、這う、歩く、走るといった基本的な運動は人間が先天的に持っている粗大運動能力です。一方、泳ぐ、自転車に乗るなどの運動は、環境的な影響や学習によって身につけると言われています。微細運動とは、感覚器官や粗大運動で得られた情報をもとに、小さい筋肉(特に指先など)の調整が必要な運動です。モノをつまんだり、ひっぱったり、指先を使って細かな作業、例えば、絵を書く、ボタンをかける、字を書くなどの運動があります。成長とともに、粗大運動から、より細かい微細運動ができるようになります。発達性協調運動症のある人は、粗大運動や微細運動、またはその両方における協調運動が同年代に比べぎこちなく、遅かったり、不正確になります。子どもによって、乳幼児期の粗大運動には全く遅れや苦手はなかったが、幼稚園や、小学校に行くようになり微細運動を必要とする場面が増え、微細運動が顕著に困難である場合もあります。発達性協調運動症のある子どもの年齢別の困りごと発達性協調運動症があるかどうかの判断は、協調運動が本人の年齢や知能に応じて期待されるよりも著しく不正確であったり、困難であるかどうかが重要なポイントとなります。以下で年齢別によく見られる傾向を紹介します。とはいえ、年齢が低ければ低いほど、得意な運動と困難な運動は子どもによって大きく差があり、人それぞれです。ですので、以下の例に当てはまるからといって、必ずしも発達性協調運動症であるということではありません。子どもの様子を見つつ、気になるときは専門家に相談してみましょう。乳児期は、そもそも基本的な粗大運動を学び、獲得していく段階です。また子ども一人ひとりの運動機能獲得のスピードは違いますし、できること、できないことも個人差が大きい時期です。ですので、苦手なことがあっても心配する必要がない場合も多いと言えます。ですが、発達性協調運動症があると診断される子どもは、乳児期に以下の様な特徴が共通して見られる傾向があります。例:寝返りがうまくできない、はいはいがうまくできない、不器用さから母乳やミルクがうまく飲めない(むせる)、離乳食を食べるとむせる幼児期は、特に5歳を過ぎると、運動能力の個人差が縮まってきます。そのためこの時期に発達性協調運動症と診断される場合が比較的多いと言えます。発達性協調運動症のある幼児は以下のことが不正確であったり、習得が遅れていたり、困難な場合があります。例:はいはい、歩行、お座り、靴ひもを結ぶ、ボタンをはめる、ファスナーを上げる、転んだときに手が出る、平坦な場所で転ばない、トイレで上手にお尻をふく小学校に上がると日常生活、学習生活でより複雑で細かい動作を求められる場面が増えます。そのため微細運動での協調運動の障害が顕著に表れます。発達性協調運動症がある子どもは以下のように不正確であったり、習得が遅れていたり、困難なことが見られる場合があります。例:模型を組み立てたりするのが苦手、ボール遊びが苦手、文字をマスの中に入れて書けない、階段の上り降りがぎこちない、靴ひもを結べない、お箸をうまく使えない、文房具を使った作業が苦手(消しゴムで消すと紙が破れる、定規を押さえられずにずれるなど)まとめ発達性協調運動症は、一つひとつの運動を関連づけたり、統合することが困難な障害ですが、運動の得意不得意はどんな子どもにも見られるため、単に不器用だから、で済まされる場合も少なくありません。しかし、発達性協調運動症のある子どもが見過ごされ、必要な支援を受けられないままでいると、その子どもが集団に適応することが困難になることもあります。保護者が「あれ?」と思うようなことがあれば、専門家に相談することが重要です。※ICD-10では「発達性協調運動障害」となっておりましたがICD-11からは「発達性協調運動症」と名称が変更になるため一部表記を併記しております。における神経発達症候群の診断について|公益社団法人日本精神神経学会
2022年05月30日昔から物を分解するのが大好きだった兄Upload By スガカズ重度の自閉スペクトラム症と知的障害のある7歳上の兄は、私と一緒に住んでいたころから、目の前にあるものを手にとって匂いや感触や構造を確かめるという特性がありました。そういった行動を経て、自分の中で好みのものを選別しています。「カセットレコーダー」や「ビデオテープ」は特にお気に入りで、見つけた瞬間にねらいを定めて、周りの目をぬすんで分解したりいたずらしてしまいます。Upload By スガカズカセットレコーダーは小さなネジを取り外し、綺麗に分解して中のカセットテープを取り出して遊びます。ビデオテープも分解して中の部品を取り出そうとします。しかし、難しいようで途中で中の部品が割れてしまったりしてあきらめることがほとんどでした。ビデオテープのツメ(折るとテープが上書きできなく箇所)を折ったり、シールをはがすなどしてその場に放置。それを見た姉と私が兄に怒るのがお決まりのパターンでした。Upload By スガカズ当時は何度注意しても改善しませんでした。姉や私がお気に入りの音楽を集めてカセットテープに入れても、気がつけば兄が使えなくしてしまうことが多かったので困っていました。ですが、30年経った現在は「あのときの経験は、現在の兄の生活にいい影響があったのかも知れない」と感じます。障害の重さに関係なく、得意分野が仕事につながることもUpload By スガカズ現在の兄の仕事は、給湯器の解体仕分け業務です。解体とひとことで言っても、作業はかなり細かいようで、何人かでチームを組み、一人ひとりの担当業務をしっかり分けているようです。兄の仕事(給湯器の解体)について、姉と話をしたことがあります。姉は、施設の方から「作業をする人たちの中で、一番障害が重いのに、一番綺麗に解体している」と聞いていたようでした。もしかすると家族の手前、施設の方は大げさに言ってくださった部分もあるのかもしれませんが、生まれたときから一緒に生活していた兄の行動を思い返してみると、手先を動かすことが得意な方だった気がします。姉と二人で「昔から分解は得意だったもんね」と妙に納得しました。また、施設の兄のケース担当の方からは仕事に取り組む兄の様子について「率先して仕事に取り組んでいるので助かっています」「ニコニコ楽しそうに取り組んでいます」「この前作業着から普段着に着替えるときに、ポケットに部品をこっそり入れて施設に持ち帰っていたこともありました」と、話してくれました。私は真面目に仕事をがんばる兄のことを誇らしく、また時折見せる子どものときのような無邪気さを微笑ましく感じました。障害のある方が社会の一部となって働いている。私も負けていられない!兄の通っている共同作業所ではほかにも、「クリーニング、農作業、資源リサイクル、林業の下請け」などの地域に密着したさまざまな仕事があります。私は学生のころから、兄がお世話になっている作業所の雰囲気を知っています。学生のころ、施設を通る際に、クリーニング後のシーツやタオルを支援員さんの見守りのもと笑顔でたたむ利用者の姿をよく見かけていました。私は当時は子どもの目線で「みんな笑顔で楽しそうだなぁ」と思っていたのですが、現在、私が子育てする立場なので、違う視点を持つようになりました。作業所での仕事や関わってくださる周囲の方に対して目を向けられるようになったため、「本人の特性」や「利用者自身のやる気」「達成感」を大事にして、作業所は利用者に仕事を分けているのだろうなと思いました。作業所とのパイプとなってくださっている障害者支援施設の兄のケース担当の方からも、実際に「利用者に寄り添う」心がまえを感じました。兄が楽しく仕事をできていること、障害のある方が社会の一部となって働いていることを直接知ることができました。私も社会の一部となって企業に雇用されたり、子育てをしています。日々めまぐるしく過ぎていく中で、モチベーションがあがらないときもあります。兄の様子を知ることで、「兄に負けないように私も頑張ろう!」と元気をもらえたような気がします。執筆/スガカズ(監修:三木先生より)お兄さんの興味や特性と仕事内容がマッチしているとのこと、素敵ですね。また、そういった業務を通じてお兄さんがやりがいや役割を感じられているとしたら、これもまた社会で暮らすためにはとても大事なことを実現できていると思います。
2022年05月30日10人の作家が織りなす「線」の無限の可能性。多様な表現に触れられる展覧会が開催中!2022年6月26日(日)まで、展覧会「線のしぐさ」が東京都渋谷公園通りギャラリーにて開催中です!1974年の設立以来、アメリカの障害のある方々の創作活動を牽引してきたクリエイティブ・グロウス・アート・センターの作家と、日本の作家の作品が一つの空間に集結。ローザンヌのアール・ブリュット・コレクションへの収蔵だけでなく、ニューヨーク近代美術館やパリのポンピドゥー・センターなどに作品が収蔵される作家を含む10名の作品が、「線」をテーマに一堂に会する貴重な機会です。Upload By 発達ナビニュースなぜ、「線」がテーマとなったのでしょうか。その理由について、本展を企画した担当学芸員は、こう話します。一本の線は、あるときはひとつの範囲を分け、またあるときは離れたものどうしをつなげます。相反する機能をもつ線は、空間の中で自らをさまざまに変化させ、かたちをつくり、ときには、かたちにならない何ものかを表します。「アール・ブリュット」の作品における線は、しばしば意図や計画とはかけ離れた、即興や偶然の結果とみなされます。反面、それは、作家の抑えがたい衝動や愛着、それに応じた身体の心地よい動きと離れがたく強く結びついています。そのため、作家のからだと心のしぐさは線にのりうつり、線はしぐさを生むのです。本展では、10人の作家がつむぎ出す線のしぐさをなぞります。同じ「線」というテーマのもと、日米それぞれの作家の特徴を際立たせた展示に向き合い、そしてそのしぐさをなぞることで作家一人ひとりの内面性まで紐解いていきます。Upload By 発達ナビニュースペンや色鉛筆、水彩によるドローイングや木彫、針金を用いた立体作品、糸や毛糸、布を用いたファイバー・アートなど、それぞれの方法で生み出すさまざまな「線」とその表情、しぐさは、多様性の尊さや個性の大切さまでを感じさせてくれます。アートに興味がある方も、普段アートに触れる機会の少ない方も、この機会に展覧会に行ってみてはいかがでしょうか。齋藤 裕一(SAITO Yuichi)埼玉県生まれ。2002年より川口市の「工房集」で活動。文字を書くことがきっかけとなり、好きなテレビ番組名などを連ねるドローイングへと展開。特定の文字が抽出されることが多く、それらの線が絶えず余白とせめぎ合い緊張関係を保ちながら、濃淡のある層と塊をなしていく。近年、作品がパリのポンピドゥー・センターに収蔵された。Upload By 発達ナビニュース松浦 繁(MATSUURA Shigeru)宮城県生まれ。1994年から仙台市の「アトリエ創」で木彫を本格的に始める。仕上げに指や手の平で塗り込む絵具のやわらかな色彩と、ノコギリなどを用いて残す鋭い線との対比が、木肌に豊かな表情を生む。主な展示に「木々の生命」(もうひとつの美術館、栃木、2017年)などがある。平成29年度宮城県芸術選奨新人賞受賞。Upload By 発達ナビニューススーザン・ジャノウ(Susan JANOW)カリフォルニア州サンフランシスコ生まれ。2003年よりCGACに参加。グリッドを描き、細い線のクロスハッチングで念入りに埋めるドローイングを多く制作。近年は、格子のサイズや配置、枠内の色づけに新たな変化をみせる。また、映像作品でも注目を集めている。作品は、ニューヨークのブルックリン美術館、パリのポンピドゥー・センターなどに収蔵。Upload By 発達ナビニュースダン・ミラー(Dan MILLER)カリフォルニア州カストロバレー生まれ。1992年よりCGACに参加。関心を持つものに伴うかたちやアルファベット、数字を重ねる。ペンの細い線、絵具のダイナミックな線が層をなし、時折、単語を浮かび上がらせつつも、意味から解き放たれた線の集合体を生んでいる。作品は、ニューヨーク近代美術館、パリのポンピドゥー・センターなどに収蔵。Upload By 発達ナビニュース・展覧会名 / 線のしぐさ・会期 / 2022年4月23日(土)~6月26日(日)・開館時間 / 11:00~19:00(月曜休館)・会場 / 東京都渋谷公園通りギャラリー展示室1、2・入場料 / 無料出展作家 / 齋藤 裕一、坂上 チユキ、西村 一成、東恩納 侑、松浦 繁、スーザン・ジャノウ、ドワイト・マッキントッシュ、ダン・ミラー、トニー・ペデモンテ、ジュディス・スコット主催 / (公財)東京都歴史文化財団 東京都現代美術館 東京都渋谷公園通りギャラリー特別協力 / クリエイティブ・グロウス・アート・センター後援 / アメリカ大使館*開催内容は、都合により変更になる場合がございます。予めご了承ください。
2022年05月29日友達と繁華街に出かけて遊びたい!Upload By かなしろにゃんこ。中学生くらいになると買いたい物が今までよりも高額になり、「欲しい物を買うには、今あるお小遣いだけでは足りない!」というお子さんも多いのではないでしょうか。そんなときに親の財布から「ごめんなさい、少しだけ…」と言ってお金を持ち出してしまった…なんてことは誰でも一度はあるかもしれません。しかし、わが家のリュウ太は一度では済まず、中1から中3までたびたび繰り返していました。部活がない日によく、リュウ太はよく友達に繁華街のゲームセンターなどに遊びに行こうと誘われていました。しかし、毎月お小遣いをもらってはすぐに散財するタイプのリュウ太。友だちに遊びに誘われても万年お金がない状態です。Upload By かなしろにゃんこ。でもリュウ太は誘いに弱く、誘われると絶対に行きたくなってしまい我慢ができません。私にお小遣いの前借交渉をしつこくしてくることもありました。はじめのうちは前借交渉にも応じていたものの、月3千円のお小遣いだったリュウ太にとって、2千円以上の前借りは、次の月のお小遣いで返済できる額ではなくなるため応じませんでした。「今月は、もう前借りはさせられません」と私が言うと、リュウ太はすごく不機嫌になり怒り出します。Upload By かなしろにゃんこ。「友だちと約束したから断れない。お母さんが貧乏なせいだ」とか「あとでお手伝いするから貸してくれよ。ケチだなー!」など、お願いしているはずなのに、暴言も挟んできます。今までの経験からこういうときに「あとでお手伝いする」と言っても口だけで、実際はお手伝いをしないというのは百も承知でした。私が交渉に応じないでいると「じゃぁ、もういいよ…」と言うリュウ太。諦めたという態度を示しながら居間で大人しくゲームをはじめるのですが、私がトイレや庭仕事などで居間から離れたあとに「オレ、ちょっと出かけてくる〜」と出ていきます。そうです!私が見ていない隙に財布や小銭貯金からチョロッとお金を取って出かけてしまうのです。小学校高学年〜中学の「お金使いたい期!」親の財布からこっそりと…そんなことが何度かあったので、私は用心して財布を肌身離さず持ち歩くことにしました。トイレにもお風呂にも、寝るときにも枕元に置いて寝ました。必死です(笑)!Upload By かなしろにゃんこ。小銭貯金もやめて、家の中に小銭を置かないことにしました。対策をしたおかげで息子にお金を勝手に持ち出されることはなくなってきました。ところが、私がウッカリ財布を風呂場に持って入るのを忘れてしまったとき、風呂場から出て居間に向かうと…Upload By かなしろにゃんこ。息子が私の財布からお金を勝手に持ち出そうとしていました。犯行現場をバッチリ見られた息子は、慌てましたが、手にはしっかりお札が握られており、言い訳できない状況です。私は「お金を財布から盗っているのバレてますからね。リュウ太が今までも勝手にお金を持ち出していたこと知ってたよ」と言いました。すると「だってさーお小遣いが月3千円って少なくない?友だちの家はみんな5千円とかもらえてるのにオレの小遣いが少なすぎるんだから仕方ないだろ」と言うリュウ太。開き直って謝りませんでした。Upload By かなしろにゃんこ。さらに、「あのさー、財布持ち歩かれると困るんだけど」とさらっと言いました。私は一瞬「……は???何が困るって???」と思いましたが、“お金が持ち出せなくて困る”という意味だと理解しました。盗人猛々しいとはこのことか!なんと情けないトホホ…(泣)。勝手にお金を持ち出す行為への注意と共に、悪いことを正当化するような発言をしてはいけないと教えることが必要だと思いました。私が「リュウ太の今の発言は泥棒が『盗みに入れないので玄関のカギを開けておくように!』と言うのと同じなんだよ」と伝えると「へーそうなんだ、でも友達との交際費は必要なんだよ」とお金の交渉を続けるのでした。息子も必死です。明日友達とどうしても出かけたいみたいです。(一緒に行けなかったらどうしよう…)という不安があるんだろうな…と伝わってきました。Upload By かなしろにゃんこ。Upload By かなしろにゃんこ。友達と出かけて、ある程度お金を使いたい年頃なんだよね…。自分も10代のときはそうだったのでよく分かります。確かにリュウ太にとって月に3千円のお小遣いは周りの友達に比べて少ないのかもしれません。夫が息子のお小遣いの金額を決めていたので私は口が出せずにいました。本や文具など欲しい物があれば交渉次第で息子に買っていたので、困ることはないだろうと思っていたのです。息子の気持ちも考えて、仕方なく夫には内緒でお小遣いを月5千円にアップすることにしました。そして、前借交渉も毎月2千円までOKにしました。次の月に返済できないものは、16歳からはアルバイトをして返してもらうことにしました。それからはお財布からお金を盗む行為はなくなりました。でも正直この時期の子どもの対応ではどうするべきだったのか、今でも正解が分かりません。甘やかすことになっていないだろうか?お小遣いは値上げせず月3千円で我慢させるほうがよかったのか?……子どものお小遣いの話はママ同士でもあまり話題には上らないので、ほかの家の子は決められたお小遣いできちんと我慢ができるいい子なのかしら?と不思議でなりません。執筆/かなしろにゃんこ。(監修:井上先生より)家庭の中でのお金のトラブルは相談の中にもよくあがってきます。お小遣いの金額というのはわが家ルールで決められていると思いますが、交際費は付き合う友達にもよるでしょう。親に内緒で財布から持ち出す行為は、絶対によくないことを本人に分かってもらうことが必要ですが、本人も親も感情的になってしまうと納得のいく結果が得られなくなってしまいますね。お金の価値を理解してもらうためには、「前借」ではなくお手伝い(労働)をしたあとに決められた報酬を受け取るという約束(労働契約)がよいと思います。場合によっては、仕事の出来栄えによる評価を併用してもよいかもしれません。お金の使い方やルールは将来的にも大切なので、本人が納得できるよう丁寧にお話していけるとよいと思います。
2022年05月29日病院での出来事わが家の息子は現在中学生。7歳のときに自閉スペクトラム症の診断を受けています。今回は息子が5歳のころに起きたゲームに関するトラブルのお話です。息子と病院に行った日のことです。基本的に一人で静かにブロックをしたり、ゲームをしたり、お人形での戦いごっこ遊びなどをして過ごすことが好きな息子ですが、その日は病院の待ち時間が長くなり珍しくうろうろと動き回り…。そんな息子の気を反らせたく、急遽スマホのアプリゲームをダウンロードしました。最初はすぐに飽きてしまうかな?と思ったのですが意外と夢中でゲームをする息子。5分くらい遊んだころでしょうか、診察の順番が来たので急いでゲームを止めて診察室へ。バタバタと診察室へ入り、私はそのままゲームアプリの存在を忘れていました。Upload By 発達ナビ編集部後日…なんと請求が!?ゲームアプリのことをすっかり忘れていたある日の事。携帯電話使用料の請求書を見てびっくり!なんと身に覚えのない4000円の請求が!4000円なんて使った覚えないし…不正利用?一体どこで…と頭を悩ませていたときでした。「あっ!病院のときのゲームアプリ!」そうです、息子がこのときに課金していたのです。どうりでゲームをする息子が楽しそうだったはず!と納得…。Upload By 発達ナビ編集部5分の間に4000円…理由が分かった私は笑うしかありませんでした…。笑っている私をみて息子はきょとん…。そんな息子に「携帯電話のアプリで遊ぶときはママと一緒のときだけにしようね」と言うと「はい!」といい返事をしましたが、ASDがあり発達のゆっくりな息子。いいお返事はしたものの、「課金」の意味もよく分かっていない様子でした。私はすぐにワンクリックで決済できないように設定を変更し、アプリは削除しました。4000円は…私の落ち度なので支払いました(泣)Upload By 発達ナビ編集部ゲームを使うにあたってのルールを決めたこれをきっかけにわが家ではゲームのルールを決めました。5歳の時点ではまだ「課金」の仕組みもよく分かっていなかったので、課金時に出てくる「パスワード入力画面=ここから先はすすめない」程度の認識でした。(まだ文字が読めなかったので、画面を画像として覚えていたようです)ダメと言われたことは基本やらないのでパスワード入力画面が出たら諦める、ということは理解できているようでした。小学生になり、理解力が増えていくと、課金の画面についても、その意味が理解できるようになり、ここからは「お金がかかる」と認識できるようになりました。そして小学校5~6年になると、課金の画面がでたら私に確認をするようになり、より安心してゲームをしている姿を見守ることができるようになりました。Upload By 発達ナビ編集部最初は驚いたけれど…最初は息子も訳の分からぬまま課金をしてしまいましたが、ちゃんとルールを決めて伝えることで、息子にとっても「やっていいこと」「いけないこと」が明確になり、母子ともに安心してゲームを楽しめるようになったと思います。ゲームのやりすぎには注意しつつ、これからも息子の成長を見守りたいと思います。エピソード参考/ななぱんちイラスト/taeko(監修:井上先生より)課金の話はよく親御さんから相談を受けます。基本的に親御さんのスマホの設定が課金できるような設定になっていることが多いです。ななぱんちさんのやられたように子どもと一緒にルールをつくりながらゲームを楽しめると良いと思います。病院受診の際の待ち時間は多くの親御さんにとって大きな悩みになっています。最近では診察の順番前になったら知らせてくれるサービスがある病院などもあるので、病院の中にある本屋さんやレストランなどで時間をつぶすこともできます。こういった病院が増えていくと良いですね。あなたのエピソードもコラムになるかも?体験談募集中!保護者の方が日々子育てをする中で「こんなトラブルがあった」「こんなハプニングがあった」など悩みはつきないと思います。そんな発達ナビユーザーのみなさんの「困った」エピソードを募集しています。テーマは「自傷」「学習」「不登校」「ゲーム」「不器用」「ママ友・保護者」「祖父母や親戚関係」「ご近所トラブル」などに加え、今回より「反抗期・思春期」のお悩みも追加募集!反抗期による親との言い争い、癇癪を起こして自分の頭を叩く、地団太を踏むなどの自傷行為…読み書きや計算の困りはもちろん、授業を落ち着いて受けられないなどの学習の悩み…行き渋りや不登校などの悩み…いろいろなお悩みエピソード、お待ちしております。お寄せいただいたエピソードの中から数作品、発達ナビの連載ライターさんにコラムとしてコミックマンガエッセイ化していただき、発達ナビで公開いたします!あるあるのエピソードからヒヤリとしたエピソード、SNSなどではなかなか言えないような家族やママ友とのトラブルまで。いろいろな「困った」エピソードをぜひ教えてください。
2022年05月28日うちの娘は発達障害グレーゾーン。言葉の発達から運動面まで平均で1年以上の遅れがあり、就学前の発達評価では“軽度知的障害”とも言われるほどでした。■発達グレーゾーンの娘の入学は不安だらけ保育園でも一緒に遊ぶのは、発達具合が同程度の下のクラスの子どもたち。慣れない場面ではパニックを起こしやすく、運動会や発表会は毎年、一生懸命、練習を重ねた娘が取り乱して大泣きする姿を見るしかできないのがお決まりのことでした。そんな娘は就学前健診でもパニックを起こして泣き出し、ほかのみんながひとりで健診を受ける中で、うちの娘だけは母親である私同伴。「あの子、なんだろう?」「どうしたんだろう?」というクラスメイトになる子どもたちの視線は、母親である私でも痛いくらいでした。そんなわけなので…。娘の入学はとってもとっても心配なものでした。中でも心配だったのが、“友だちつきあい”。今まで年下の子たちとばかり遊んでいた娘が、同じ年のクラスメイトの中で、やっていけるのか…。周りの子たちから、孤立したりしないだろうか…。特に娘が入学したその年は、新型コロナウイルスで学校生活が大きく変化した年でした。そんな中で娘が楽しく学校に通えているかどうかは、入学から1年たっても、私の心配の種になっていました。 ■息子とともに、お姉ちゃんを迎えにいくことに!そんなある日…。その日は息子の幼稚園の都合で、息子の帰りと娘の下校時間が珍しく重なった日でした。「一緒に帰る子がいるから来なくていいよ」なんて言われて、しばらくお迎えもしていないし…。たまにはいいかと、私は息子を連れて、小学校の正門まで娘をお迎えにいくことにしました。息子は大好きなお姉ちゃんに会えると、覚えたばかりの言葉でお姉ちゃんを呼び続けます。そして、しばらく待っていると…。きたーーーー!!し、しかも…。集団で…!?娘は私たちの姿に気付くと、恥ずかしそうに笑って友だちの陰に隠れます。え…。え…!?一緒に帰る友だちって、ひとりくらいだと思っていたのに…!?勇気を出して挨拶すると、そのお友だちたちは笑顔で私たちを迎えてくれました。そして娘は、「えー…じゃあ、帰るね」そう言って、私たちのもとへ歩みを進めると…。「えーー!! やだーー!!」「一緒に帰る!!」そんな娘に抱きついて引き留めるお友だち。学校とわが家は目と鼻の先。どうやら、娘たちはちょっと遠回りしておしゃべりしながら帰るのが定番らしく、お友だちは娘をそちらに誘っています。えっ…。え…。ママ…もしかして邪魔だったーーー…!?ショックでした。でも、それは決して悲しいショックではありませんでした。むしろ、うれしかった。娘に、こんなお友だちができていたんだ…。 ■不安だらけの入学でも、娘はステキなお友だちに出会えた普通級のグレーゾーン児として先生が配慮してくださって、この子たちも、もしかしたら娘のフォローをしてくれている子たちなのかもしれない。でも、それでも、帰り際にこうして引き留めてくれるんだ。もっと一緒に話したいって、そばにいてくれるんだ…。私は、胸にこみ上げるものを抑えることができませんでした。泣くのは、我慢しました。ギリギリでした。そして、少しだけお友だちと会話を交わした後、この場は譲ることにして、息子とともに、一足先に帰路につくことにしました。確かに、親がいると話しづらいこと、あるよな…!なんて、ほほえましく思いながら…。不安だらけの娘の入学でしたが、こうして娘のお友だち付き合いを目の当たりにすることができて、私の心配性も、少しだけ軽くなったような気がします。まだまだ不安なことはたくさんありますし、学年が上がるにつれて逆に難しくなることもあるかもしれない。でも、娘もたくさん頑張って、学校を楽しんでいるんだ。そう実感することが、ものすごーくできた、出来事でした。ちなみに息子は、小さくなっていくお姉ちゃんの背中に向かい、壊れたおもちゃのように、ずっと名前を呼び続けていましたとさ…。
2022年05月27日わたしの話に耳を傾けてくれたのはUpload By かさはらあやこまさかこの子は自閉スペクトラム症があるのではないだろうか?そう疑い始めたのは、息子を産んで5ヶ月がたったころでした。早く気づいたというよりは、妊娠する前からたまたま〝自閉スペクトラム症〟という言葉を知っていたことで、特性を簡単に検索でき、あてはまる項目が多かったという感じでした。どんなに調べて夫に報告しても聞く耳は持たず、母には「自分の子どもに障害があると疑うなんて…」と言われたり。そのほか身内にも「また言ってる…そんなこと言ってたら本当にそうなるよ」と言われたりしていました。わたしの話に耳を傾けてくれたのは、息子が1歳4ヶ月のころ第二子を妊娠し母子手帳を取りに行った先で、話を聞いてくれた担当の保健師さんだけでした。(後に聞いた話ですが、保健師さんは私から話を聞いてはじめて息子の様子を見たとき、自閉スペクトラム症があるようには感じられなかったそうです。ですが親身に話を聞いてくださいました)「どうしてこうなっちゃったんだろうね」Upload By かさはらあやこ保健師さんがすぐに自治体の発達相談を勧めてくれたおかげで、心理士さんから児童発達支援に繋がり、〝社会性が低い〟ということで1歳6ヶ月から療育に通うことができました。そのころはまだ、社会性が低いと言われたことの意味を理解しておらず、確かに公園とか児童館とかに連れていったことがないなぁ…社会性を身につけないといけないのかと思ったくらいでした。自分の子どもに発達障害があるとは思ってもおらず、仮に発達障害があるとしても、『ADHD?アスペルガー?それらは個性のようなものだし、生きづらいけど療育に通えば大丈夫(治る)(※当事者の方、ご家族の方本当に申し訳ありません)』と本気で思っていたので、家族にもそう説明していました。2歳から特性が増え、2歳半で発達検査を受け療育手帳を取得したころ、母に「どうしてこうなっちゃったんだろうね」と何度も嘆かれました。何と言えばいいのか分からず「なんでだろうね…」と答えると、「あんたが前世で悪いことでもしたんでしょう」と言われ。親戚には「乗り越えられるから与えられた試練」だとか、「あなたを選んで産まれてきた」とか、お決まりの悪意のない慰めの言葉をかけられ。息子がご近所さんの敷地に入ってしまった際に障害があることを説明すると、「あら?そうなの!かわいそうにねぇ~下の子は大丈夫なの?普通なの?よかったわねぇ~」と言われました。いまざっとまとめてみても、とてもつらい時期でした。「かわいそう」と言われてUpload By かさはらあやこ「かわいそう」と言われることが多々あります。喋れなくてかわいそう。癇癪起こしてかわいそう。食べられるものが少なくてかわいそう。みんなと楽しめなくてかわいそう。障害がある子どもを産んでかわいそう。障害者はかわいそう、障害児育児は不幸、そう思う人たちを責める気持ちはありません。一緒に暮らしている夫や身近にいる家族でさえ、正確に理解をし、気持ちを慮ることなど無理なのだろうと感じることが多いからです。ただ、息子は私が産んだ大切な大切なひとりの人間です。息子にだって、楽しいことや嬉しいことや苦しいことがあって、笑ったり怒ったり泣いたり、今を懸命に生きています。その命に決して間違いはありません。親にこんなに愛され、たくさんの人たちに支えられて、季節のフルーツを1日3食 4種類も食べている息子のどこがかわいそうなのか?本人の幸せや不幸は、ほかの人が決めることではありません。理解がないということは、本当に恐ろしいことだと思います。息子を正しく知ってほしいUpload By かさはらあやこ私のコラムは、ただただ、つらいこと苦しいことをつらつらと書き連ね、解決策もなく、悩んでいるみなさまに申し訳ないなぁと思いつつ…自閉症育児の大変な部分を知ってもらいたい。一人でも多くの人に理解してもらいたい。大変であっても、わが子は愛おしく大切なかけがえのない存在であるということもまた知ってもらいたい。そんな思いで書いています。今回も過去のことを思い出しながら書いていて、涙があふれて止まらなくなる つらい内容でした。大切に大切に育てきた息子が、自らを傷つけるような行為をすると、つらく悲しく、ときに怒りすら感じてしまいます。見ているのもつらくて目を逸らしたり、激しいパニック状態に耐えられず、距離を置くことだってあります。親であってもそうなのだから、他人が息子を認め、理解をするのはとても難しいことだと思います。それでも私は息子を正しく知ってほしい。迷惑をかけてしまう部分だけを見るのではなく、面白いことをしたら笑ってほしいし、可愛いと思ってもらいたい。このコラムを、身内が自閉症育児をしている方や、支援者のみなさまに読んでもらえたらいいなと思います。そして、同じような思いをする方が一人でも減りますように。そう願っています。執筆/かさはらあやこ(監修:初川先生より)これまでの子育ての中でのつらい記憶をたどって、お気持ちをシェアしていただきありがとうございます。発達障害にまつわる誤解や偏見は残念ながら未だに多くありますね。「かわいそう」という言葉の持つ残酷さをかさはらさんは強く感じるようなご経験をされてきたのですね。発達障害(そのほかの障害や疾病もそうかもしれませんが)への偏見・誤解の多くは、「よく知らないから」「自分が知っているものとは違うから」生じるものなのだと理解しています。自分の知らないものに対して(多数派と違うからといって)、知らない・よく分からないと感じることは自然だと思いますが、そこからさらに想像の世界に入って「かわいそう」と言うのは、ちょっとご自身の見方が強すぎるな…と個人的には感じます。ただ、お近くに障害のある方がいなかったり、難しい局面だけを切り取った話が広がっていたりする面があるのも事実で、障害があろうとなかろうと、子育てには楽しいとき・悲しいとき・うまくいかなくて困るときなどいろいろあるものですが、そうしたさまざまなときを知るときが少ないですね。だからこそ、発達障害のあるお子さんを育てている保護者の方からのご発信はとても大切です。これからも子育ての中で感じたことを広くみなさま向けにご発信ください。
2022年05月27日先生から「そろそろ発達検査を受けてみましょうか」の言葉Upload By まる2歳8ヶ月ごろから通い始めた発達外来は、3ヶ月ごとに受診をしている。通い始めてから数ヶ月後、いつものようにこんなことができるようになりました!などの近況報告をしていると、先生から「そろそろ一度発達検査を受けてみましょうか?」と打診があった。発達外来に通ってはいるが、いまだにはっきりと「この子は自閉スペクトラム症があります」と言われていなかったため、私も気になっていたころだった。「ぜひお願いします」と即答。不安な気持ちも大きかったが、それ以上に早く息子の診断を出してもらってスッキリしたいという気持ちも強くなっていた。その日にそのまま検査をするわけではなく、検査日、検査結果を聞く先生との面談日、それぞれを予約した。発達検査の始まりUpload By まる発達検査を行う人は発達外来のいつもの先生とは違う先生で、診察室とは違う個室に案内された。息子はまだ「これから◯◯へ行くよ」などの声かけに対しての理解がないため事前に伝えることはしていなかったし、病院に連れて来られてもよく分かっておらずいつも通りウロウロと動き回っているだけだった。部屋に入るタイミングでは、ちょうど息子の機嫌が良くニコニコしていたのを覚えている。検査の内容は詳しく書けないが、身体を動かす検査や、椅子に座って行う検査があった。前半ではちょうど息子の得意な課題があり、なかなかご機嫌にやってくれて少し安心した。「いや~これはまだできないんじゃないかなぁ」という課題も、母の心配をよそになんと息子はクリア。「すごいじゃん!?まぐれ!?すごいすごい!」と、息子より母がはしゃいでしまうほどだった。検査の中では「こういうことも1つずつ教えていかないとダメだったのか…」と私も勉強になることもあった。やっぱり飽きるよねUpload By まる「ここまで順調に発達検査を受けられている!」と思っていたが、やはり集中力に限界が来たようで、ちょこちょこ席を立つようになっていった。ちょっと動き回っては先生の近くまで行ったり、検査で使う物が入っているバッグを開けようとしたり…。どうにか座らせて次の課題をやってもらおうとするも拒否することが多くなってきたし、出される問題も中盤あたりから息子には難しくなってきた。多分今の息子でもまだできないような課題も出てきた。そんなこんなで息子はいつの間にか全く椅子に座らずに動き回るようになってしまったのと、時間になったので検査は終了した。当日はそれでおしまい。特に先生から何を言われるでもなく帰宅した。ついに診断グレーから自閉スペクトラム症(ASD)へUpload By まるそれから数日後。検査結果を聞くだけだから息子は一緒じゃなくて大丈夫とのことだったので、保育園にお願いして私だけ発達外来に向かった。発達外来のいつもの先生と話をし、検査結果から運動や社会性など「今大体このくらいの年齢ですね」と説明を受けるだけで終わってしまった。「自閉スペクトラム症があります!」と言われることはなかった。別に診断されたから何かが変わるわけではないのだけど、気になっていたくせにはっきり言われるのが怖くて、私から「それで診断名は?」の一言が出せなかったのだ。後から知ったのだが、発達検査は発達障害の確定診断を行うための検査ではないらしい。その後、診断書を市役所に提出する機会があり、発達外来の先生に書いてもらった。用意してもらった診断書を見ていると、そこに「自閉スペクトラム症」の記載を発見。やっぱりかぁーという気持ちになったが、落ち込むことなくなんだかスッキリしたのを覚えている。※発達障害の確定診断は、生育歴や行動観察などの臨床診断と、発達検査・知能検査などの専門診断の結果を経て、総合的に診断されます。執筆/まる(監修:井上先生より)発達検査や知能検査は、お子さんが同年齢の子どもたちと比較して、発達や知能水準がどれくらいの位置にあるのかを把握したり、本人の中の凸凹を評価するために行われます。多くの実施式の発達検査や知能検査は、簡単な課題から開始され、お子さんの正答が得られなくなるまで続けられます。失敗が続くとやる気を失ってしまうお子さんの場合、休憩や気分転換を挟みながら、励ましながら行うことになります。見守っている親御さんもお子さんもよく頑張られたと思います。
2022年05月25日子育て楽じゃありません
細川珠生のここなら分かる政治のコト
私の愛すべき家族