「発達障害」について知りたいことや今話題の「発達障害」についての記事をチェック! (32/98)
発達障害のある娘と環境変化Upload By 古都 コト子(koto)娘はどちらかというと新しい環境が好きです。新しいお友達や先生たちに出会えると思うとワクワクするようで、環境が変わる前はむしろ楽しみにしている様子があります。本人も「楽しみだなぁ」と、ときどき口にしたり、張り切って準備をしたり、実際に新しい環境で楽しく過ごせたと、先生や本人からも報告があります。それとは裏腹に、いつもは気にしないようなことにこだわり始めたり、うまく切り替えることができず怒りっぽくなったり…。内心は新しい環境や変化にたいして見通しが立たないことでうまく口に出せないような不安があるのだなと思います。今まで通りと違うということは、娘にとって、ルーティーンが狂うということであり見通しが立たないということでもあります。今まで守られていたその一連の流れが変わってしまうのですから、大人でも不安になることでしょう。特に春は、もともと新しい環境や変化が苦手な子どもにとっては本当に大変な時期ですよね。娘のように口では楽しみだと言っていたり、実際に楽しく過ごせているような場合でも、やはりいろいろなことに気を使ったり、変化に対応しようと本人なりに頑張っているので、想像以上に負担がかかっているようです。発達外来で医師に相談してみるとUpload By 古都 コト子(koto)当初は、このように環境の変化によって家の中で落ち着きがなくなったり荒れやすくなったりするのは、ADHDの特性からきているものだと思っていました。ですが、発達外来の先生に相談してみたところ、「自閉スペクトラム症からくる見通しの立たなさ故の不安からきているものではないか」と言われ、なるほどと思いました。なので、部屋を片づけたり、おもちゃを減らしたりなど本人がイライラする要素を減らすよりも、明日の予定や新しい環境での過ごし方をシミュレーションしてみるなど、見通しを立たせて本人の不安を取り除くことを優先することに。結果、少しずつまた落ち着いてきました。娘は幼児期から、このような傾向がありました。例えば3歳くらいまで、行ったことのない建物には入るのが難しいほど場所見知りがありました。当時はすでに療育に通っていて、療育園そのものや安心できる人たちと行く場所はどこも楽しいものだと徐々に学習していき、入り口で泣き叫んで中に入れないといった場所見知りはしなくなりました。病院や歯医者は未だに少し警戒しますが、以前のように中に入ることもできない、ということはなくなりました。事前にどういったことをするのか説明しておくと、スムーズに通えるようになってきています。声がけのポイントはUpload By 古都 コト子(koto)季節の変わり目や環境の変化以外に、園で発表会や運動会などの大きな行事があると、その練習と本番でのプレッシャーによって荒れやすい時期がやってきます。やる気はとてもあるのですが、それゆえに完璧にやらなければならない、失敗してはいけないという重圧が娘の中にかかるようです。「失敗してもいいよ」「大丈夫だよ」と伝えても、娘が納得しなければ自分で勝手にプレッシャーを抱えてしまうのです。そこで、そういう時期は家ではあれこれ急かさないようにしたり注意を減らしたりするなど、安心して過ごせる場にしてあげるよう気をつけています。進級や新しい環境でも、「分からないことがあっても大丈夫だよ」「先生やクラスの子に聞いてもいいんだよ」と、毎日本人が安心できるような声かけをしています。また、行事のときと同じように、家では伸び伸びと過ごして気力を充電することで、少しでも内心感じているプレッシャーを減らしてあげられれば良いなと思っています。大人でも緊張する「新しい環境」というものは、きっと特性のある子どもたちにとってとんでもない出来事!外で頑張っているのに、家でもあれこれ怒られたり感情を出せなくなるのは負担が大きすぎるので、家庭でしっかりリラックスできる環境をつくったり、不安な気持ちを理解して受け止めたりしてあげたいです。執筆/古都コト子(監修:井上先生より)進級や進学は環境の変化が起こることによる楽しみと同時に、変化に対する不安が加わりとても言葉で言い表せないような不安定さが現れるのかもしれませんね。さらに「うまくやらなければいけない」という完璧主義の傾向が強まると不安はさらに高まってしまいます。こういった不安に対して逃げ出さないで向き合っている娘さんは、すごいと思います。つらくなったときは、ハードルを周囲の人が少し下げてあげて、「やり過ごし体験」をしていくことで許容範囲を広げ、自信にもつながっていくと思います。
2022年05月24日人への指摘が目立っていた小学校低学年のコウUpload By 丸山さとこ小学校低学年ごろのコウは、クラスメイトへの指摘が多くトラブルになることがしばしばありました。ASDの特性ゆえの「相手の気持ちや空気の読めなさ」によるものなのか、ADHDの特性ゆえの「思ったことを衝動的に口にしてしまう」ことからなのか、コウが何気なく繰り出す言葉の数々は相手の心を傷つけることも多く、その度に周りからひんしゅくを買っていたようです。行き過ぎた指摘を減らせないかな?と試行錯誤していたあのころコウと話をしていると、『人の嫌がることはやめよう』というのは分かっていても、指摘することの何がいけないのかよく分からないようでした。コウが指摘したことで相手の子と口論になり、ヒートアップして喧嘩になってしまった場合、それ自体は「よくなかったな」と思うコウです。けれども、きっかけとなった自分が相手にした“指摘”そのものの問題は見えないようで、「みんなも同じように言っているのに?」と基準点の見えなさに困っているようでした。Upload By 丸山さとこ実際、学校や公園などで子どもたちの様子を見ていると、指摘することそのものは多くの子どもがやっていることのようです。盛んに指摘し合い、ときに行き過ぎて揉めたりする中で徐々に加減を覚えていくのだろうと思います。そんな風に『コミュニケーションの練習』を重ねていく子どもたちの姿を見ながら、「その『加減』の習得が難しいのがコウなんだよな~…!」と私は頭を抱えました。コウが指摘でひんしゅくを買うときは、相手に対する指摘の遠慮なさだけではなく「そういう自分はできてるのか!」という突っ込みも原因の一つになっているようだったので、そこも踏まえてコウに話すことにしました。「人の世話は、自分のことができていて余力のある人がすること。まず自分の世話を終えてからだよ。自分の口元がケチャップでベタベタな人に『口ベタベタだよ』と言われても、『いや、まず自分が拭きなよ』ってなるじゃん?」…と私が言うと、「あ~、『頭の上のハエを追え』ってことだね?」と彼はうなずきました。Upload By 丸山さとこ『頭の上のハエを追え』とは、『人の頭上のハエをとやかく言う前に、自分の頭上を飛んでいるハエを始末しなさい』という言葉を通じて『人のことをとやかく言う前に自分のことを何とかしなさい』と表していることわざです。私はコウに「自分の頭の上にハエがいるかどうか自覚が難しいなら、基本的にはやたらと人に口出ししない方がいいと思うよ」と言いました。するとコウは「それはそうだね。僕そういうの気づかないとこあるからね」とアッサリ納得してくれました。そうして、『頭の上のハエを追え』ということわざを通じて状況を理解したコウのクラスメイトへの指摘は、少しずつ減っていきました。相手への行き過ぎた指摘が始まったときも「頭の上のハエはどうなってる?」とコウに聞くと「ブンブン飛び回ってるね~」と笑って気持ちを切り替えられるようになりました。そして、癇癪を起こすことなく自分のことに専念できるようになっていきました。Upload By 丸山さとこ毒をもって毒を制す!?トラブルの種同士がぶつかって…当時(小学校低学年ごろ)のコウは辞書を読むのにはまっており、故事成語やことわざを気に入って日常の会話でもよく使っていました。『今の状況にピッタリだな』『この話はあの言葉と同じだな』という故事成語やことわざが思い浮かぶと、「これって○○だよね」「それは□□だね」などと言うのがコウのお決まりでした。そのために「またコウが難しいこと言ってる」「自分のこと頭いいって思ってない?」とクラスメイトからひんしゅくを買うこともしばしばでした。Upload By 丸山さとこそんな風にトラブルの種になることもしばしばであった故事成語やことわざが、別のトラブルの種である指摘癖を抑えることになるとは、何がどう作用するのか分からないものです。「これは『毒をもって毒を制す』っていうヤツかな?」と、思わずコウのようなことを考えてしまう私でした。執筆/丸山さとこ(監修:鈴木先生より)自閉スペクトラム症のあるお子さんは、耳よりも目からの情報が多いことが知られています。従ってお子さんに物事を伝えるには口頭だけでなく、視覚的にも訴えると伝わりやすくなります。絵を描いたり、写真を見せたりして説明すれば理解が早く進むことが多いです。今回コウくんはことわざを通して理解をしましたが、同じように理解するのは難しいというお子さんには絵カードを用いたり、図示して説明したりするとよいでしょう。
2022年05月24日単に発達がゆっくりなだけ…?1歳のころの息子の発達息子は、重度知的障害を伴う自閉スペクトラム症があります。「重度」というと、幼いころからはっきり障害の特徴が出ていたのだろうと思われるかもしれませんが、知的障害や発達障害は、子どもが幼いうちは分かりづらいことも多いです。Upload By べっこうあめアマミ1歳のころの息子は、よく寝ますし、よく食べますし、癇癪もそれほど起こしませんし、それほど泣きませんし、目立った問題行動もありませんでした。ですから私は、息子の育児に困っている訳ではなく、発達の遅れに悩んでいる、という状態だったのです。当時の息子は、むしろ育てやすいくらいだったので、よくテレビや本などで見る「発達障害がある子の育児」とは少し違うようにも感じていたのです。あるとき、息子のかかりつけの病院の先生に、発達障害と知的障害の違いについて聞いてみたことがありました。今思い返すと、息子はまさにそのとき聞いた「知的障害」の発達の仕方に近いような気がします。先生から聞いた話をかみ砕くと、できることとできないことの差が大きくて発達に凸凹があるのが「発達障害」、全体的に発達がゆっくりなのが「知的障害」、ということでした。1歳くらいだと、何も障害がなくてもまだできないことが多いですし、発達の個人差も大きいです。ですから私は、漠然とした不安を感じながらも、「単に息子は発達がゆっくりなだけ」とも思っていました。息子の発達の遅れを意識した3つのポイントそんなモヤモヤを抱えつつも子育てをしていた中で、私が決定的に「息子の違和感」に気づいた3つのポイントがありました。Upload By べっこうあめアマミ息子は、1人で立ったり歩いたりすることができるようになるまでに、とても時間がかかりました。ハイハイやお座りまでは順調だったことで完全に油断していた私は、息子が1歳のころ、児童館で息子より年下の子どもが歩いているのを見て、はじめて息子が「未だに歩かない」ことに違和感を感じました。息子は私にとって第一子だったので、通常子どもがどのくらいから喋り出すのか、あまりピンときていませんでした。ところが、そんな私にとって印象的なできごとがありました。Upload By べっこうあめアマミ児童館でよく一緒になった、息子と同じ歳の女の子が、電話のおもちゃを耳にあてて「もしもーし」と言ってみせたのです。その女の子のお母さんが、「教えたら言うようになりますよ」と言っていたので家で息子にも教えましたが、息子は全く言う気配もなく…。このとき、息子がほかの子どものように言葉を覚えていないことを知り、同時に息子が「未だに1つも発語が無い」ことに違和感を覚えました。Upload By べっこうあめアマミ1歳半健診が近づき、問診票が届くと、問診票のチェック項目にほとんど〇がつかないことに衝撃を受けました。慌てて、チェック項目にあった「指さし」を息子に教えてみましたが、全くやる気配がありません。「歩く」「しゃべる」に比べたらずっとハードルが低いと思っていた「指さし」ですら息子ができないことに、「問診表にあることもできないの?」と、息子の発達への不安は決定的になりました。ほかの子どもと比べないと違和感には気づけないUpload By べっこうあめアマミ少し前に、テレビで発達障害の専門家が、「どうしたらわが子に障害があると気づけるのか」という問いに対して、「ほかの子どもと比べること」と答えていたことがありました。「他人と比べる」という所だけを切り取ると、誤解を生みそうな言葉かもしれません。ですが、実際に子どもの発達に違和感を感じたきっかけは、多くの方がそれじゃないかと思うのです。発達障害は、子どもが小さいうちはなかなかはっきり診断されることも難しいですし、血液検査などの医学的な検査でぱっと分かるものでもありません。私のように第一子に発達障害があった場合、一般的な子育てを知らないので、自分の経験則的にも判断できません。「比べる」といっても、それは「優劣をつける」こととは違います。ほかの子どもと比べて、自分の子どもとの違いを認識し、現実を受け止めること。それは親として、子どもが生きやすい環境をつくっていくためにできる、大事な最初の一歩かもしれないと思います。執筆/べっこうあめアマミ(監修:鈴木先生より)前頭前野になんらかの障害のある赤ちゃんは手の指を握ったままハイハイすることが多く、自閉スペクトラム症のあるお子さんは重力不安のため歩行時につま先歩きをすることが多いです。違和感に気づいた時点で自治体の保健師やかかりつけ医に気軽に相談してみてください。気づいたときが早期発見です。知的に遅れているお子さんは筋の緊張が弱く、抱っこがしづらい傾向があります。誰も初めから自分の子どもに障害があるとは思っていません。1歳半や3歳児健診は5歳児健診同様、年齢相当かどうか・発達につまずきがあるかどうかを親に気づいてもらうための健診です。専門の医療機関を受診すればすぐに診断がつく場合もありますが、親の受容がまだないと思われる場合は保健師さんの配慮で、あえて受診を控えて療育という手段でフォローすることも珍しくありません。しかし、早期発見・早期療育も必要なので、まずは専門ではなくてもかかりつけ医に気軽に相談するのも一つの手段です。ほかの子と比べられるのは保育園や幼稚園のような集団に入ったときです。自分の子どもが発達障害かもしれないと受容するのはなかなか難しいかもしれません。ですが、担任からの後押しなどでようやく医療機関受診の心構えができるケースも少なくありません。わが子に障害はないと言って欲しい、そんな気持ちで受診されることも多いと思います。そんな中、医師の診断が自分の思ったこととギャップがあればあるほどショック・否定・攻撃が強く出てしまいがちです。ですが生活の場で少しずつ違和感が出てくるのが「スペクトラム」たる所以です。個人個人その特性には幅があるので、子どもの成長に合わせて見守ってあげることが重要です。
2022年05月23日発達ナビユーザーの体験をコミックエッセイ化!発達ナビにて行っている「みんなどんなトラブルで悩んでる?アンケート&エピソード大募集!」。今回は「保育園トラブル」についてのエピソードをコミックエッセイ化してご紹介します。発達の遅れが気になりながらも通わせていた保育園娘は2歳半。診断などは特におりていませんが、目が合わず、意味ある言葉や意思の疎通などはまだまだ…周りの子に比べて遅れを感じていました。今回はそんな娘が通っていた保育園でのトラブルのお話です。当時の私は加配制度なども知らず、保育園の先生からも娘に関して何も言われていなかったので、保育園から泣いて帰ってくることが多かったのは気がかりでしたが、特に特別なこともせず保育園に通わせていました。ですが、やはり発達の遅れが気になるので療育施設に通わせようと親子で準備をしていました。療育に通うことも決まり、保育園にもそのことを連絡帳で伝えて…これで娘の発達についての相談場所もできたと一安心していたときに事件は起こったのでした。保育園からの突然の呼び出し3月になり今年度もあと20日、もうすぐ娘も進級か~と思っていたある日のこと。突然、保育園の園長から呼び出しの電話が。一体何があったのかと思い向かうとそこには園長と主任先生たちが…。要件を聞くと、園長から開口一番「療育施設に行くなんて聞いていません」と言われました。いや、連絡帳に書いたし、保健師さんからも連絡が行っていると思いますし、それに担任の先生にも口頭でお伝えしましたが…答えると、園長から驚きの言葉が。Upload By 発達ナビ編集部「知能も10ヶ月程度しかないって聞きましたし、療育に通うようなほかの子どもと比べて劣っているような子の保育は難しいんですよ。専門の先生がいるわけじゃないのでね。お子さんに在籍いただけるのは今年度一杯が限界だと思います」私は耳を疑いました。怒りや悲しみをこらえて「退園してほしいと言うことですか?」と聞くと「そういうわけじゃないんですよ(笑)でも、言っても聞かないし、理解できていないですし。夕方になるとずっと泣いてるんですよね、お昼寝終わってから。それから給食もほとんど嫌がって食べないですし。家ではどうですか?」とまるでクレームのように言われました。Upload By 発達ナビ編集部同席していた主任先生からは「家での様子とか全然教えてくださらないのでこちらも対処が分からなくて本当に困ってるんです」と言われました。ですが、こちらとしては先生に家での様子を聞かれたことなどありません。そのことを伝えると「担任の先生から、以前家での様子聞いたらムッとされちゃって、聞けなかったと聞いてます」と…。そもそも担任の先生とほとんど話をしたことがなく、話をしても「こんにちは」「お願いします」くらいなので本当に質問された記憶もなければ、娘の様子に困っているといった相談も過去ありませんでした。すぐに退園を決意。その後はーー私は自宅に帰り、母に話をしました。保育に携わる責任者が子どもの能力を劣っていると表現したこと、「困っている」などの相談が今まで一度もなく退園勧告と同時にクレームのような形で一方的に言われ、歩み寄りの姿勢や相談がまったくなかったこと、私の気持ちは悔しさと怒りで「このような園にはわが子は預けられない、すぐに退園しよう」と決まっていました。その日のうちに私は保育園にある娘の荷物をまとめて引き上げました。突然の保育園退園、園長は最後の挨拶にすら顔を出しませんでした。そして一連の出来事を娘の療育施設の紹介などをしてくれた保健師さんに電話をしました。保健師さんと市の子ども課の方と面談し、新しい保育園をいくつか紹介いただき、見学に行きました。とても親身になっていただけ、手続きも柔軟に対応してくださったのですぐ保育園は見つかりました。そして今、娘は新しい保育園で現在娘は転園し、違う保育園に通っています。今の娘は泣いて帰ってくることがまったくありません。保育園の先生が「本当に楽しそうですね!」言ってくれるくらい毎日楽しそうに通っています。新しい保育園の園長先生は「子どもの発達は人それぞれスピードが違うし、発達がゆっくりな子どもから学ぶことも多く、いろいろな子どもがいる環境を大切にしたい」と話してくださいました。この園では、5歳児クラスに療育に行ってるお子さんがいるとのことでした。Upload By 発達ナビ編集部転園して今、思うこと娘が楽しそうなのが一番なので、転園して本当に良かったです。一方で、以前の園で泣きながら帰ってくるのも先生とのコミュニケーションがちゃんと取れていなかったのも「こんなもんだろう」と思ってしまっていたので、違いに驚いています。もっと早く娘にとって以前の園が笑顔になれる環境じゃないことに気づいていたら…と思い、本当に娘に申し訳ない気持ちになりました。今回の件で調べた際に、自治体によって加配の制度も異なることが分かり、もっと早く知っていればという思いもありました。以前の保育園では、加配制度などの知識がなかったように思います。娘の退園後に、自治体から指導があったようですが、ちゃんと保育園側もそのような制度があることを知り、保護者側に対しても周知する機会が必要だと感じました。ですが、確かに年齢相応の成長曲線ではなく成長がゆっくりな子どもたちの保育をするのは想像以上に大変だと思うし、1年娘を見ていただいていた以前の園の先生たちに感謝をしている気持ちは本当です。新型コロナウイルス感染予防の観点から、送迎の際のコミュニケーションがあまり推奨されない中でも、「こんなことできるようになりましたよ!」と笑顔で教えてくれる先生もいて、娘の成長を一緒に喜んでくれる様はとてもうれしかったです。だからこそ、発達の遅れなどがある子どもが適切なサポートが受けられるように、先生方が研修などで指導や情報のアップグレードができる機会が得られる仕組みを整えてほしい、そしてわが家のような思いをするご家庭がこれ以上でないことを願うばかりです。Upload By 発達ナビ編集部イラスト/taeko※エピソード参考者のお名前はご希望により非公開とさせて頂きます。(監修:三木先生より)対応に関しては園側のご事情もあるかと思いますのでコメントは差し控えますが、ただ園が「発達がばらついたり遅れたりしている子どもの面倒を見るつもりがあるか、ないか」は保護者にとってはとても大事な情報です。今回は残念な形での発覚になってしまいましたが、入園前であっても思いきって聞いてみることで、相手の反応から分かることはたくさんあります。よく保育園選びのときに「断られたらどうしようと思って子どもの障害の話をしていいものか迷う」というご相談を受けますが、正直に話してみて渋い反応が返ってくるようだったら、入園できたとしてもいつかトラブルが起きる可能性もあります。お互いに気持ちよく通園・保育できる環境を整えるためにも、丁寧なコミュニケーションができると良いですね。あなたのエピソードもコラムになるかも?体験談募集中!保護者の方が日々子育てをする中で「こんなトラブルがあった」「こんなハプニングがあった」など悩みはつきないと思います。そんな発達ナビユーザーのみなさんの「困った」エピソードを募集しています。テーマは「自傷」「学習」「不登校」「ゲーム」「不器用」「ママ友・保護者」「祖父母や親戚関係」「ご近所トラブル」などに加え、今回より「反抗期・思春期」のお悩みも追加募集!反抗期による親との言い争い、癇癪を起こして自分の頭を叩く、地団太を踏むなどの自傷行為…読み書きや計算の困りはもちろん、授業を落ち着いて受けられないなどの学習の悩み…行き渋りや不登校などの悩み…いろいろなお悩みエピソード、お待ちしております。お寄せいただいたエピソードの中から数作品、発達ナビの連載ライターさんにコラムとしてコミックマンガエッセイ化していただき、発達ナビで公開いたします!あるあるのエピソードからヒヤリとしたエピソード、SNSなどではなかなか言えないような家族やママ友とのトラブルまで。いろいろな「困った」エピソードをぜひ教えてください。
2022年05月21日エビリファイってどんな薬?「エビリファイ(一般名:アリピプラゾール)」(以下エビリファイ)は、統合失調症、双極性障害における躁状態の改善、うつ病・うつ状態に効果が期待できる飲み薬です。2016年に「小児期の自閉スペクトラム症(ASD)における易刺激性」もエビリファイの適応症となることが承認されました。易刺激性とは、ささいなことをきっかけに不機嫌になったり、怒ったり、大泣きしたりしてしまう状態のこと。ASDがある子どもは、急に癇癪を起こしたり、攻撃的になったり、あるいは自傷行動をしたりといった症状が見られることがあります。こうした症状は本人も保護者にもコントロールが難しく、日常生活にも支障をきたしてしまうこともあります。エビリファイは、こうした易刺激性をやわらげてくれる抗精神病薬です。エビリファイには、脳内でドパミンホルモン(※)が過剰に放出されているときは、ドパミンをおさえる働きをし、反対にドパミンが少量しか分泌されていないときは刺激する方向に働きます。この働きによってドパミン神経を安定化させ、気持ちを穏やかにしてくれる効果があるのです。(※)ドパミン:神経伝達物質の一つで、快く感じる原因となる脳内報酬系の活性化において中心的な役割を果たしている。参考:ドパミン|e-ヘルスネット 厚生労働省エビリファイは何歳から使える? 用量はどれくらい?小児期のASDに対してエビリファイを用いる場合、対象となる年齢は原則として6歳以上18歳未満とされています。エビリファイは錠剤のお薬ですが、錠剤を飲み込むのが苦手なお子さんには小袋に入った液剤もあります。飲む回数は1日1回。投薬開始時は、1日1mgから始めます。薬を増量する場合は、1日あたりの増量幅は最大3mgまでにとどめます。また、1日あたりの最大量は15mgを超えないようにすることが推奨されています。医師の指示に従い、用法用量を守って正しく服用することが大切です。すぐに効果が出ない場合も、自己判断で中止したり、勝手に薬を増量したりすることにないように、気をつけましょう。副作用の心配や、服用するときに気をつけることは?エビリファイは副作用が少なく、子どもにも安心して使える薬として活用されています。ただ、副作用がまったくない薬というのは存在しません。エビリファイを使用すると、次のような副作用が出ることがあります。日中の眠気体重増加、食欲増加のどの渇き起立性低血圧めまい高血糖注意力や反射運動能力の低下また、別の薬といっしょに飲むと、作用が強くなりすぎたり、お互いの作用が弱まってしまったりすることがあります。ほかに服用している薬がある場合は、必ず医師に伝えましょう。リスパダールとエビリファイの違いは?エビリファイと並んでよく使われる薬に「リスパダール」があります。リスパダールも、エビリファイ同様、ASDが原因による癇癪、衝動性を穏やかにするための治療薬です。2つの薬には、どんな違いがあるのでしょうか。まず、エビリファイとリスパダールでは、働きかける脳内の伝達物質が異なります。エビリファイがドパミンに作用するのに対して、リスパダールはドパミンとセロトニンの両方に働きかけることで、不安や緊張、精神の不安定な状態を抑えます。リスパダールは、原則として5歳から使うことができ、子どもの体重に合わせて用法用量が定められています。エビリファイとリスパダールには錠剤、液剤のほか、注射薬もあります。ただ、注射は統合失調症および双極Ⅰ型障害の方専用で、ASDのある子どもへの適応は今のところ認められていません。エビリファイとリスパダール、どちらの薬剤を使用するかは医師の判断によります。リスパダールの副作用が強かったり、薬が合わなかったりするときに、エビリファイを処方されることもあります。また、リスパダールには、リスペリドンという名前のジェネリック医薬品(後発医薬品)があり、5歳から17歳までのASDのある子どもへの易刺激性に対して投与が認められています。エビリファイにもジェネリックはありますが、まだ小児期のASDがある子どもへの投与は認められていません。医師と相談しながら適切な治療を癇癪やイライラ、気分の落ち込みは、ASDがある本人にとっても、また子どもを見守る保護者にとってもつらいものです。小児期は、薬物療法よりもまず行動療法に取り組んでいくのが一般的ですが、それは決して小児期には薬物療法ができない、という意味ではありません。子どものASDにも使える薬の正しい知識を得ることは、困りごとを解決するための選択肢の幅が広がるステップにもなります。医師と相談しながら、必要な場合には薬を上手に活用していくことも一つの手。心穏やかに、笑顔で過ごせる時間が増えるよう、専門家のアドバイスを受けながら工夫していきましょう。参考文献:お薬を正しくご使用いただくために エビリファイ |大塚製薬株式会社 HPより抗精神病薬 「エビリファイ」 小児期の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性の適応追加承認|大塚製薬株式会社 HPより
2022年05月20日埼玉県内に福祉事業所を24施設展開している株式会社SHUHARI・株式会社sopoの代表取締役:中村 敏也(なかむら・としや)が、二作目となる『発達が気になる子どもへの関わり方を教えてください!』(株式会社 かざひの文庫)を2022年4月29日に刊行しました。発達が気になる子どもへの関わり方を教えてください!文部科学省『令和元年度 通級による指導実施状況調査』によると、通級(軽度の障害の個別支援教室)で指導を受けている児童生徒数は13万4,185人。前年から10%弱増加しており、その半数が発達障害(ADHD、学習障害、自閉症)といわれています。いまは「発達障害」の認知も増えたことで、この10年で、ADHDは約6倍、学習障害は約5倍、自閉症は約3倍となっているそうです。そのため、発達障害の子どもに対し「どのように接したらいいのか?」という、適切な関わり方を求める声が、年々増えてきています。本書は、14園の保育園と6園の療育施設を運営し、のべ6万2,000人の子どもたちと関わって得た経験から、“気になる行動”をとっているときの子どもの気持ちや関わり方を、丁寧に解説しています。たとえば、小さな子どもの場合、大人が困ってしまうような行動にも悪意や害意はないことが多く、その気になる行動をしてしまうときの子どもの気持ちに共感してあげることが大切だと、中村は言います。そのほかにも、「かんしゃくを起こすときの心理」「爪を噛むときの心理」「ものを壊したり、ほかの人を傷つけたりするときの心理」…といった具体的なシーンの関わり方だけでなく、親御さんが悩みを抱え込まないために、相談支援事業所への相談の仕方なども紹介しています。子どもたちへの理解が深まり、定型発達の子どもたちも、発達に課題がある子どもたちも、一緒に生活し勉強ができるような環境を、すべての地域で実現していきたいという想いから、本書の執筆につながりました。【書籍情報】書名 :『発達が気になる子どもへの関わり方を教えてください!』著者 :中村 敏也(なかむら・としや)定価 :1,650円(税込)発売日 :2022年4月29日出版社 :株式会社かざひの文庫ページ数:208ページ本書の内容目次:1章 子どもと関わるときの基本まず5つの基本を押さえる・基本の1 時間がかかる・基本の2 「愛着」を育てる・基本の3 よいところにだけ注目する・基本の4 周囲の動きに惑わされない・基本の5 抱え込まないほか2章 子どもたちの気持ちを知ろう・なぜ子どもの気持ちを知ったほうがいいの?・子どもがどう感じているかを知ろう・子どもの「ヘルプ要求」を見逃さないようにしよう・そのままにしていいとき、改善したほうがいいとき・共依存にならないためにほか3章 シーンでわかる 困ったことへの対応方法・まず家庭で心がけたいこととは?・言葉に課題のある子には、就学前に何をすればいい?・薬を服用したほうがいいか、迷ったときにはどうする?・発達の特性を持つ子の「きょうだい」をどうケアする?・感情の起伏が激しい子にはどうすればいい?ほか4章 子どものタイプでわかる対応ポイント・療育を必要とする子どものタイプとは?・物の受け渡しがうまくできないタイプ・「自分」が強すぎるタイプ・時間軸を身につけるには?・おしゃべりで饒舌なタイプ・言葉が出にくいタイプにはさまざまな原因があるほか【著者紹介】著者 中村 敏也中村 敏也(なかむら・としや)株式会社SHUHARI 代表取締役株式会社sopo 代表取締役新座市子ども子育て会議委員朝霞市自立支援協議会委員従兄に子どもが生まれたことをきっかけに、「保育園に入りたくても入れない」という待機児童問題に驚き、保育学や児童発達支援について学ぶ。2004年9月、埼玉県志木市にて「保育園元気キッズ志木園」を開園。以後地域のニーズに対応しながら小規模保育事業、認可保育所、病児保育、学童保育、児童発達支援事業、保育所等訪問支援事業所、相談支援事業所を開設。2022年現在で、地域に根ざした福祉事業所を24施設展開。さらに2022年6月児童発達支援センター開所予定。「日本教育新聞」「埼玉新聞」「保育雑誌月刊ひろば」など、多数のメディアで保育士の離職率の低さについて取り上げられる。「プレジデントオンライン」をはじめ、教育情報メディア「リセマム」にも記事やコラムを寄稿するほか、「コドモン」「保育博」でセミナー講師を務めるなど、講演活動も多数。1977年、埼玉県朝霞市生まれ。埼玉県立川越高校、明治大学経営学部卒業後、大手通販会社へ就職。趣味はファミリーキャンプ、フットサル。古典からビジネス書、ライトノベルまで守備範囲の広い無類の読書好きでもある。著書に『保育・療育で地域オンリー1になる保育園運営の教科書』(かざひの文庫)がある。■会社概要商号 : 株式会社SHUHARI代表者 : 代表取締役 中村 敏也事業内容: 保育事業、児童発達支援事業、保育所等訪問支援事業、病児保育事業、相談支援事業、子育て支援事業、放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)、メディア対応・講演・執筆URL : 商号 : 株式会社sopo代表者 : 代表取締役 中村 敏也事業内容: 保育施設の運営URL : 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年05月19日いつもと違う環境を怖がるUpload By 吉田いらこゆいは一歳のころから保育園に通っていました。先生も手厚く優しく見てくださる保育園で、なんの問題もなく登園していました。でも年に一度だけ、ゆいが登園できなかったことがありました。それは夏まつりのときです。通っていた保育園では夏まつりを大々的に開催していました。縁日だけではなくフリーマーケットも同時開催され、地域の人や卒園生などが大勢参加する一大イベントです。私たち家族も浴衣を着て参加しようとしていたのですが、園の前まで来てゆいが入るのを嫌がりました。いつも通っている園の様子とは全く変わっていて、大きな音楽がなり、大勢の人でごった返していたからです。そのときは「人ごみにびっくりしたのかな」と深く考えず、ゆいに無理させないよう帰宅することにしました。これが年少、年中の二度ありました。遠足が怖いUpload By 吉田いらこそれから数年経ち、小学三年生の春の遠足のことです。当日の朝、玄関で靴を履いてから「怖い、行きたくない」と泣き出したことがありました。理由を聞いても「いやだ、いやだ」と繰り返すばかりです。そのときの私は、この子はわがままを言って学校行事をサボろうとしているのでは、そして私は母としてこれを許してはいけないのではと考えてしまいました。今思えば、あれは特性によるものだったのかと分かるのですが、そのことを理解していなかった当時は単なるわがままだと思ってしまい…反省しています…。なんとか登校させようとなだめているうちに登校時間を過ぎてしまい、担任の先生から電話がかかってきました。電話が来たことに焦ってしまい、さらに自身の出勤時間も迫っていたので、私は最低なことをしてしまいました。無理やりゆいを学校に行かせたのです。泣いているゆいの手を引いて学校に連れて行き、先生に引き渡しました。ゆいはあきらめてみんなと合流していましたが、今でも申し訳ない思いでいっぱいです。新しい学年になるのが不安Upload By 吉田いらこ小学五年生になる前の春休みのことです。夜ベッドに入ると、ゆいが「五年生の教室ってどこにあるの?」と不安そうな顔で言うのです。私は「始業式に先生に聞けばいいよ、きっとどの先生に聞いても教えてくれるよ」と答えたのですが納得してくれません。「ねえ母ちゃん、ネットで検索してよ」「学校の間取りをネットで調べてよ」と泣きそうな顔で言ってきました。学校のWebサイトに校舎の説明は掲載されていませんし、私も校舎の何階にどの教室があるかまでは知りません。ゆいはずっと「怖い、怖い」と言いながら眠りにつきました。今までもゆいのことを不安がるタイプの子だなとは思っていましたが、今回はちょっと度が過ぎているのでは、と感じました。そしてこのときは発達検査の予約待ちの時期だったので、やっぱりこの子には何かあるのかなとぼんやり考えていました。Upload By 吉田いらこ検査の結果を見てそのあと小学五年生でWISC-Ⅳを受け、ASDの傾向があるとの結果が出ました。ASDの特性に「いつもと違う状態になるとパニックになる、見通しが立たないと不安になる」というものがあると知って納得しました。ASDがあると分かったことでこれからはゆいの不安を減らして少しでも安心して生活できるように対応していけると考えています。執筆/吉田いらこ(監修:鈴木先生より)入学式や発表会などイベントに参加するときには昨年のVTRがあればそれを見せることで多少は流れや雰囲気がわかるのでスムーズに会場に入れることがあります。私たちも旅行のときなどにあらかじめ地元の地図や名産などを調べておくと予定が立てやすいのと一緒です。何事も予習が大事なのです。自閉スペクトラム症のあるお子さんたちは環境の変化に弱いのです。いつもと違う教室・洋服・順番など、環境が変わることで不安を感じることが多くあります。初めて行く場所の入り口で止まって固まってしまうのも不安があるからです。親御さんが先に入ることであとからお子さんがついて行き、入れたこともあります。スモールステップで慣らしていくことが重要です。
2022年05月19日ただ抱きしめてあげたいだけなのに、抱っこどころか触ることさえ拒絶され続ける毎日…。「娘の発達には、何か問題があるのでは…」と迷い苦しみ、その葛藤の日々を綴った人気コミックライターのkotoさん。同じような経験がある読者からの多くの共感の声が寄せられました。■出産後すぐに感じた違和感…こんにちは!オシャレに夢中な多動っ子の娘をもつ母、kotoです!現在、未就学児の娘は、得意なことと苦手なことの高低差が激しい自閉症スペクトラムです。注意欠如多動性障害でもあり、破天荒な毎日を過ごしています。産まれてからの娘のkoto子の様子はというと…、発育に遅れはありませんでしたが、私は生後半年ほど経った頃から何かあるのでは…と思っていました。今思えば母親の勘ってやつでしょうか…。その確信に至るまで、そして療育に通って成長していく私たち親子の記録を綴っていこうと思います!これが産後すぐに感じた違和感…。当時まだ0歳だったので、周りからは「普通だよ」「大丈夫だよ」と言われ続けましたが、そうは思えない出来事の連続だったのです。それに当時は「発達障害」「感覚過敏」なんて言葉すら知らない時期…。母親を拒否する赤ちゃんなんて聞いたことがなかったので私の接し方がダメなんだと自分を責め続ける日々が続いたのです。■今まで感じていた違和感、その正体は…その後、koto子が泣き止む唯一の方法を発見!それは何かというと…この何気ない光景で、点と線が繋がりました。「koto子には何かある!」その「何か」がハッキリした瞬間でした…。その最後のピース、それは一体…。あくまでも筆者の体験談であり、症状を説明したり治療を保証したりするものではありません。気になる症状がある場合は専門機関にご相談ください。こちらは1月5日よりウーマンエキサイトで公開されたkotoさんの体験漫画です。漫画に集まった読者からのコメントをご紹介します。■母親が1人で悩み自分を責める…というケースが多い! kotoさんのように、母親が子どもの違和感に気づき、1人で抱え込む…というケースは多いようで…。同様の経験をした読者から多数の投稿が寄せられました。・やっぱり、母親が先に気づき、父親が否定するんだな、と思いました。 自分の周りの家庭は、すべてその形でした。 母親だけが悩み、父親が否定し、大変なのは面倒を直接見ている母親でした。この記事を見て、ちょっとした違和感に気づいた母親を否定せず、一緒に悩んでくれる父親が増えてくれる事があればな、と思います。・同じような過去をもっていたので、大変共感しました。その違和感を感じつつ、必死で育児をしながら、体調を崩していた自分のほうが育児ノイローゼなのかな? と思っていたことも。・初めての子育てだと特に何が違うのか、もしかして何か障害があるのかがわかりにくく、自分を責めて悩んでいる方もたくさんいらっしゃると思います。この記事を読んでうちの子ももしかしてと診断を受けるきっかけになるのではないでしょうか。たとえ障害があるよと診断されたとしてもわからないままよりわかったほうが絶対に子どものためにも親のためにもいいと思うしそれは早ければ早いほうがいいとも思います。・我が家の長男は自閉症です。3歳まで発語はありませんでした。1歳から職場復帰をしていたため、愛情不足、仕事が原因だと何度も言われ、かなり苦しみました。・受給者証が郵送されたのを義母が受け取り大騒ぎ。義母は役所に「嫁が育児ノイローゼを孫のせいにしている」と電話したり。セカンドオピニオンを受けたくても、義母に怒鳴り飛ばされたり。初めの検査も旦那と強行したありさま。ほとほと疲れはてたけど、やはり発達支援センターでは、義母なんかのアドバイスより、役に立つアドバイスをもらえ、家では揉めたけど、結果よかったと思ってる。所詮、特性のある子を育てたことがない人には、一生理解できないから、専門家や第三者の支援が絶対に必要。同様の経験を乗り終えた経験談や、意見も数多くいただきました。・療育と園に子どもの様子など、とにかく話しました。ウザがられていたとは思いますが、心配や不安は周りにも共有して話すことで、気が楽になりました。 一人で抱え込まないこと。・発達障害と診断された事で、自分の育て方のせいではなかったんだと少し楽になりました。だからといって急に子どもと上手く向き合えるわけではなく、叱ってはいけないと言われても、つい叱ってしまうし…。・どうして?なんでこの子はと悩み全て自分の育て方が悪いのだと自分を責め、周りのお子さんそのお母さんに劣等感のようなものを抱えていました。小学2年の時、専門の先生にADHDであると言われまた。現在は無事大学生になり親子間のバトルもだいぶ小さくなって来ています。・診察して下さった専門医の先生からは、「今後生きていく上でこの子がどういう子かという証明にもなりますし、診断名をつけた方がいいと思います」と言われた。障害があると分かって傷付く人もいらっしゃるんだろうなぁと思った。私は、早く診断してほしかったからハッキリ言って欲しかった。結局、軽度知的障害を伴う自閉スペクトラム症でした。それからは学校にも堂々と自閉症だと言えたし、本当に心が楽になった。それからは他の人に相談してモヤモヤする事もないし、障害があるならあるなりに成長できるよう、専門家の力を借りたり私達も手助けしたりして、ゆっくりですが成長し、子供のペースでのびのび成長できてます。経験者の誰もがおっしゃるように、1人で抱え込まないことが大切のようです。違和感を感じたら、ご自分のためにも、子どものためにも、明日の笑顔に一歩近づくために、専門家に相談をしてみてください!▼漫画「我が子を触れない母の話」
2022年05月18日映画鑑賞中、親子喧嘩勃発むっくんと、(鬼を倒す)大人気アニメの映画をテレビで観ていたときのことです。物語はいよいよクライマックス、思わず涙がこぼれるようなシーン。真剣に映画を観ていた私に、突然むっくんがにやっと笑いながら声をかけてきました。「ねぇ?泣きそう?」(えっ、今言う?)と、もやっとしましたが私は映画を観たいのだ!と思い直し、一旦無視します。すると再び「このシーン泣けるって聞いたよ。ねぇ、お母さんも泣きそう?」(どうして今絡んでくるかな~!)イラっとしてしまった私は我慢できず言い返しました。「観てるんだから静かにしてよ!そうやって泣く人を馬鹿にするの私は嫌い!」「馬鹿にしてないよ!」「いーや!馬鹿にした!」そして言い争ううちに映画は終了…しょうもない親子喧嘩で、せっかくの映画が台無しになってしまいました。Upload By ウチノコどうふるまうと良いのかわからない結局ぷんぷん怒って場を離れた私。しばらくして、むっくんがまた話しかけてきました。「お母さん、映画を観て泣いている人がいるときはオレはどうしたらいいの?」「え?」「本当に、馬鹿にしようなんて思っていなかったの。泣くのは悪いことじゃん?だから泣かないように何か言ってあげるほうがいいんじゃないかと思ったんだ・・・」一生懸命私の誤解を解こうとするむっくん。どうやら本当にからかうつもりはなかった様子。からかうどころか、本人の中では泣いていることはよくない。だから、お母さんが泣かないようにオレが何とかしないといけない、という使命感に駆られていたようなのです。Upload By ウチノコそのあと私は一方的に決めつけて怒ったことを謝りました。さらに、感動して泣いたり物語の世界に入り込んで泣いているとき、私はできるだけそっとしておいてほしいと思っていることを伝えました。「泣いている」にもいろいろあること。今回のように、映画などを観て感動して泣いていることは「悪いこと」ではないのだとも伝えました。対人スキルの偏り今回のような場面で必要となる対人スキルは、周囲の人との関わりを通して自然に学ぶことが多いかと思いますが、むっくんはそれがとても難しい人です。専門家からも、「この子は対人スキルが年相応に備わっていない。未体験のことはもちろん、体験していたり、教えてもらっているはずの対人スキルも入りにくい傾向がある」という指摘を受けたことがあります。Upload By ウチノコ私はむっくんには対人スキルの成長に難しさがあると知っています。それなのに、それを忘れてむっくんの行動や言動に悪意があると決めつけて叱ってしまうこともあります。今回はむっくんがあきらめずに気持ちを伝えてくれたことで私は勘違いに気づくことができ、むっくんに対応を教えることができました。だけど、もし怒られたことでむっくんが委縮して黙ってしまっていたら、私は気づくことができませんでした。そう考えると、ただ一方的に「失礼だ!」と怒り拒絶した私の対応は、対人スキルが伸びにくいむっくんの学ぶチャンスを奪う行動だったのだと反省しました。ぶつかるときこそ相手を知るチャンス私は家族仲良く暮らしたいと思っているので、ぶつかり合うことは嫌だなぁと思っています。だけど、私には私の、むっくんにはむっくんなりの世界があって、家族であってもそこが全く同じというわけにはいきません。違いがある以上ぶつかることは仕方ないこと。むしろお互いを理解するためには必要で、ぶつかり合いこそ対人スキルを学ぶチャンスとも考えられます。むっくんのためにも私自身のためにも、これからは相手の言葉にむっとしたときに相手を否定し怒って拒絶することはやめて、まずは「どうしてそう思うの?どうしてそう言ったの?」と相手の世界を知ろうとする言葉からはじめていこうと心に誓ったのでした。Upload By ウチノコ執筆/ウチノコ(監修:三木先生より)発達が気になる子どもたちの感覚や理解は一般的なものとずれていることも多いので、行動だけを見るとぎょっとすることもあります。ただ、そこで先入観を外して「なんでそう思うの?」と聞いてみると、こちらが考えていたことが邪推だった、ということもよくありますよね。相手の場面に限ったことではないですが、こちらが「決めつけてしまう」ことも多いんだろうな、と思って相手の考えを聞いてみるのは、いろんな場面でとても大切なことだと思います。
2022年05月17日お友達と一緒に公園へ長女が5歳、長男が2歳のときのお話です。長女は癇癪持ちで、スイッチがはいると1~2時間ほど大声で泣き続けることがしばしばありました。特に室内にいると癇癪がおこることが多いので、なるべく開放的な公園などに遊びに行くことを心がけていました。その日は平日でしたが幼稚園はお休み。ママ友とそのお子さん2人(Aくん5歳、妹3歳)と一緒に公園に遊びに来ていました。公園には小川と池があり、小さな生き物などもいて自然がいっぱいなので子どもたちが大好きな公園で、月に何度も行っていました。5歳の2人は木の側をお家に見立てて遊んでいました。2歳の長男は、長女たちを見守る私の近くでドングリ拾い、ママ友は少し離れた小川で3歳の妹と水遊びをしていました。Upload By 発達ナビ編集部長女がお友達との言い合いから、癇癪モードに突入それぞれ楽しく遊んでいたと思っていたら…「ちがう!!そうじゃない!!」と長女が大きな声で言いました。Aくんと遊んでいる中で意見が合わず、何度話しても折り合いがつかないため、とうとう長女が大きな声を出してしまったのです。ある程度は子どもたちのやり取りを見守りたいと思っていたのですが、次の瞬間、長女がAくんを押そうとしていました。咄嗟に私は長女を止めるために駆け寄りました。長女の手を止め、私はお互いの話を聞いてみようと思いました。ところが、私が介入したことで、長女はヒートアップ!癇癪モードに突入してしまいました。初めはAくんと意見が合わないことで、怒り始めた長女だったのですが、私が介入してしまったことで「お母さんが、嫌」という思考に変換されてしまいました。私が何を言っても「お母さんは言わないで!」「お母さんあっちに行って!」、離れようとすると「行かないで!」「話を聞いて!」…とパニック状態に突入。Aくんもどうしよう…、と困り顔。そのやり取りはしばらく続いていました。長男は、なぜか気にせず、その間夢中でドングリ拾いをしていました。ママ友に助けを求めようと思ったのですが、少し離れた小川にいて声は届きません。そして長女がパニック中なので移動することも難しく、周りの人からの視線もつらく…。イライラするやら、悲しいやら、でも、怒っちゃいけない…と思いながら、冷静を装っていましたが、私もパニックになりそうでした。長男が消えた!そのとき…、私は2歳の長男が側にいないことに気づきました。長女と会話を始めたときには近くでドングリ拾いをしていたのですが、長女と私がヒートアップしていく間にどこかへ行ってしまったのです。Upload By 発達ナビ編集部公園には小川と池があり、すぐそこに車道もあります。「待って、○○(長男)がいない!」と私が言うと、怒っていた娘もハッとして癇癪が収まりました。長男は今まで、私の側を離れていくことはありませんでした。それで安心しきっていたのが私の間違いだったのです。Aくんも状況を分かってくれて、長女とAくんと私で、長男の名前を叫びながら探しました。Upload By 発達ナビ編集部なんで手を握っていなかったんだろう…なんで目を離してしまっていたんだろう…後悔と焦りの中、公園の中を探し、小川のほうに行くと…小川で遊んでいたママ友と、Aくんの妹と一緒にいる長男を発見しました。「○○(長男)くんが、お池のほうに行こうとしていたから、お母さんと一緒にみんなで行こうね、って話してたところだよ」と言うママ友。「よかった~(涙)」と泣く私を見て、慌てるママ友にさっきまでのことを話しました。長女もAくんも「よかった~」と言い、長男はポカンとしていました。Upload By 発達ナビ編集部きょうだいでも個性はそれぞれ長女が2歳ごろのときは私と離れることを怖がっていて、特定のお友達ができてもある程度大きくなるまで私から離れて遊ぶことができませんでした。長男もまた公園に行っても私から離れることはなかったので、長女と同じように「自分から私の側を離れることはないだろう」と思っていました。しかし、この出来事をきっかけに、長男は興味を持ったら「お母さんと離れる」ということを気にせずに衝動的に動いてしまうところがあることに気がつきました。それまで、長男は公園に行っても私の側から離れることはなく、いつも私の側でドングリを拾っていました。それは、長男にとって「母の側」ということが重要だったのではなく、「ドングリ拾い」が楽しかっただけだったようです。そして「ドングリ拾い」に満足した長男はその日、「あっちに池がある」ということに気づき、衝動的に池に向かっていったのだと思います。心から反省する出来事で、思い出すと今でも背筋が凍ります。長男を保護してくれたママ友に今でも感謝しています。長女の癇癪ばかりに目を向けていたことにも反省しました。長男はこのころからどんどん活動的になり、衝動性、多動性が目立っていきました。同じように生活しているきょうだいであっても、子どもは一人ひとり個性が違うことを実感しました。また子どもの傾向を決めつけず、注意深く見ること、そして何より屋外で絶対に目を離してはいけないと胸に刻みました。エピソード参考/カワカワイラスト/taeko(監修:三木先生より)お子さん二人を一人で見るのはとても大変ですよね。特に片方に手がかかっているときは、もう一方のことはうっかり見落としてしまいがちです。そのことに気づいて、でもしばらくすると忘れて、また思い出して、の繰り返しなのかもしれません。こういうきっかけでそのことに気づけたのは、とても良いことでしたね。あなたのエピソードもコラムになるかも?体験談募集中!保護者の方が日々子育てをする中で「こんなトラブルがあった」「こんなハプニングがあった」など悩みはつきないと思います。そんな発達ナビユーザーのみなさんの「困った」エピソードを募集しています。テーマは「ゲーム」「不器用」「ママ友・保護者」「祖父母や親戚関係」「ご近所トラブル」などに加え、今回より「自傷」「学習」「不登校」のお悩みも追加募集!癇癪を起こして自分の頭を叩く、地団太を踏むなどの自傷行為…読み書きや計算の困りはもちろん、授業を落ち着いて受けられないなどの学習の悩み…行き渋りや不登校などの悩み…いろいろなお悩みエピソード、お待ちしております。お寄せいただいたエピソードの中から数作品、発達ナビの連載ライターさんにコラムとしてコミックマンガエッセイ化していただき、発達ナビで公開致します!あるあるのエピソードからヒヤリとしたエピソード、SNSなどではなかなか言えないような家族やママ友とのトラブルまで。いろいろな「困った」エピソードをぜひ教えてください。
2022年05月16日幼少期の太郎と聴覚過敏Upload By まゆん自閉スペクトラム症のある太郎には、小さいころから聴覚過敏があった。今回は幼少期のエピソードを1つ。車の中での過ごし方に困っている保護者の方は多いと思う。そこで利用されるのが動画や音楽、おもちゃ、絵本、などなど。太郎には、お気に入りのDVDがあった。同じ映像を車で何百回と観たことだろう。それがないと、チャイルドシートに座らせてもシートからはみ出そうとしたりモゾモゾしたり癇癪を起こしそうになったり…。「お気に入りのDVD」は私と太郎にとって素敵な存在だった。そのDVDを流すだけで、太郎はピタッと静かに表情柔らかく車内で過ごせていた。「まるで魔法だな」そう思っていた。Upload By まゆんしかし、このときの暗黙の共通認識が私たち家族の中で1つあった。『太郎が車内でDVDを観ているときは、私語はなるべく禁止』太郎は動画にすべての感覚を集中させる。今はやりの『全集中』とはこのこのか。集中してるときに私とばあばが私語をするものなら、「うー!うー!うー!!」とか「静かにしてください!!」とかやや泣きべそ気味に言ってきた。ほかのタイミングでも、ばあばと面白い話をして笑っていたら「笑わないで!!」「うー!んー!」とまた泣きべそ気味に身体を揺すっていた。Upload By まゆん家族は特性を理解しているけれど私たちの私語が雑音として入ってきてお気に入りのDVDの邪魔になってしまうのだろう。私たちの声も大きかったのかもしれないが、観ているDVDはもう何百回も繰り返し観ているもので流れは分かっているはずである。私たち家族は太郎の特性を理解してるので「ああ、ごめんごめん、話したいことがあったからね、今から静かにするね」と言えるが、ほかの場面で通用するのか…うーんと心配にもなった覚えがある。ちなみに保育園ではというと…例えば楽器演奏に関して、太郎が「自分が奏でる音さえもうるさい」と私に伝えて来たことがあった。自衛隊の航空ショーを見に行った際には爆音でパニックになり、私が追いつけないほどの全力疾走でその場から逃げ出そうともしたこともあった。私も航空ショーを見に行ったのが初めてで、あんなに爆音がするとは思ってなかった…完全に情報収集不足だった。Upload By まゆんとりあえず、車移動にはお気に入りのDVDセットが必須であった。外出先で大人しくしなければならない場合は止むを得なくそれを見せていた。教育的にどうなのかと悩むこともあったけれど…。これは、太郎が4~6歳ごろまでの話。今は周りの話を中断するような発言はなくなっている。でもきっと雑音には思ってるのかな?あのころが懐かしい。年齢を重ねるごとに他人との会話にも入ってきて、人が笑っていると一緒に笑うようにもなりました。それがここ数年の話です。太郎も成長したんだなぁ…としみじみと感じたところで今回のコラムを終わらせていただきます。(執筆/まゆん)(監修:鈴木先生より)自閉スペクトラム症があるお子さんの聴覚過敏は、大人になってからも続くことが多くあります。ただ、経験により子どものころよりは我慢ができるようにはなっていきます。どうしても我慢できなくなったら、そのときは自分の意思でその場から去る、去りたくなければイヤホンをつけて音楽などを聴くといった対応があります。自閉スペクトラム症がある人は住宅・旅館・レストラン・電車内・教室などあらゆる場面で周りの会話や音が気になるため、静かな環境が望ましいといえるでしょう。最近では住宅や車は密閉性が高くなり、外の音が聞こえにくくなってきて聴覚過敏の人には住みやすい環境になってきているのではないでしょうか。一方では周りの音が遮断されることで聴覚過敏が強くなってしまう傾向もあるように思います。
2022年05月14日同じ集合住宅に住む同級生とのトラブルが頻発Upload By かなしろにゃんこ。以前住んでいた集合住宅でわが家の隣に息子と同学年のA君という男の子が住んでいました。小学校時代はA君や同じ集合住宅に住む複数人でよく外遊びをしていました。しかし、小競り合いから度々ケンカになって、場の雰囲気が悪くなると息子はすぐに遊ぶのをやめて自分の家に戻ってしまうのでした。A君は、遊びはじめは感じが良いのだけれど、時間が経過すると言葉がキツくなったり文句が増えるそうで、息子は一緒に遊んでいて楽しくなくなってしまうようでした。息子は、まぁいわゆる意地悪をされるそうなのです。Upload By かなしろにゃんこ。そんなことがあり、息子はいくら外遊びをしたいときでも”A君が嫌な態度になるときは距離を置き家に帰る”、ということを小1~小6まで続けていました。距離を置く、ということをしていてもトラブルになることも。息子とA君は、ケンカになるとお互い手が出てしまうこともありました。子ども同士のことなので、私はなるべく干渉しないでいました。また、A君のママとは集合住宅で隣同士で井戸端会議のお付き合いもあるため、こちらの気持ちをハッキリと言いにくい雰囲気があったという理由もあります。A君ママは明るくて輪の中心人物。怒らせたりしたら反逆されそうだな…とも思っていました。Upload By かなしろにゃんこ。Upload By かなしろにゃんこ。あるとき息子がA君に手を出され鼻血まみれで泣いて帰ってきました。小4くらいから息子がA君に手を出される回数が増えてきました。それまでは、「子ども同士がよくトラブルになっていやだけど親同士はいがみ合わずに静かに暮らしていきたい」と思っていましたが、あまりにも息子ばかりが手を出されてしまうため、そうもいかなくなっちゃいました…。Upload By かなしろにゃんこ。いつも息子がやられてしまうのを我慢していたけれど、今回はA君の親御さんにハッキリ伝えることにしました。私は勇気を出して「いつも遊んでいるときにA君が息子ばかりに意地悪するようで困っています」と伝えたのです。A君のママは、事情を知るとすぐにお菓子を持ってわが家に謝罪に来てくれました。そのあと夜になってからA君のパパもわが家に来てくれて、「実はうちの子(A君)には発達障害があって…」と話をしたので驚きました。Upload By かなしろにゃんこ。同じ集合住宅に住んでいるため、A君が朝夕と泣いたり叫んだりする声がよく聞こえていました。今までは「何かツラいことがあるのかな?」と思っていたのですが、その話を聞いて「あぁ、うちと同じなのだ」と納得しました。そして、A君は教育相談所(※)に通い出してサポートを受けはじめたという話も教えてくれました。※教育にかかわる相談ができる行政機関。地域によっては教育センター、家庭支援センター、こども支援センターなどと名称が異なります。「うちと同じか〜」と知り、戦友のように感じました。そのころ私もまだ発達障害について勉強しはじめたころでした。息子の特性さえもよく分かっていなかったのでA君のことも「意地悪でイライラしている子!」と決めつけず、コンディションが悪いときは、今までのように距離を置いて外遊びをするようにしました。Upload By かなしろにゃんこ。これがきっかけになり、A君のママとは発達障害について話すようになりました。あるとき、A君のママが「ペアレント・トレーニングを受けていて、週に2回ほどA君と二人きりで15分程度外遊びをするスペシャルタイムづくりをしているよ」と教えてくれました。スペシャルタイムは親子二人きりで子どもの自己肯定感を育む特別な時間なので、A君親子の邪魔をしないように私と息子は家の中で過ごすことにしました。A君の家庭が持つ子育ての困難さが見えずにいたときは、子ども同士のケンカで私も腹を立ててしまいましたが、「今こんな支援を受けているの」「今こんな状態なの」と教えてもらったことで付き合いやすくなりました。私から「わが家の息子も教育相談所でこんなことしてるよ」なども話しました。「うちとサポートが違ったりするんだな~」なんて思ったりして、情報交換になりました。Upload By かなしろにゃんこ。その後、その集合住宅にはわが家を入れて、なんらかの障害がある子どもがいる家庭が4家族住んでいることが分かりました。障害がある子どもの親同士ランチをしたり、4家族でバーベキューをしたりもしました。子どものケンカがきっかけで親同士がいがみ合って終わるのではなく、各家庭の子どもの特性の話なんかもできるようになっていったことが、本当によかったな〜と思うのでした。息子とA君は同じ中学に進み、高校時代もSNSを通じて近況報告などをしていたそうです。二人の幼馴染という縁も続いているんだなと感じました。執筆/かなしろにゃんこ。(監修:井上先生より)特性は少しずつ違うけれども、同じ発達障害のある子どもの親の知り合いができるということは大変心強いと思います。お互いに子どもの悩みの話ができたり、受けている支援の情報交換ができたり、家族ぐるみでお付き合いができたり、小さな親の会ができたような感じかもしれませんね。親御さん同士がコミュニケーションできることによってお子さんたちも、時には距離をあけながらお互いの体調をいたわり合いながら、お付き合いができたのかなと思います。お子さんたちも、いずれお互いの障害や特性や苦手なことへの工夫などを相談し合えるようになるといいかもしれませんね。
2022年05月13日みなさんは、お子さんが「くやしい気持ち」を抱えたときに、どのように寄り添っていますか?わが家も特別支援教室(通級指導教室)や放課後等デイサービスで、気持ちの切り替えを学んでいますが、これがなかなか難しい…。ある日、特別支援教室(通級指導教室)の活動で遊んだ「すごろく」が楽しかったから欲しいと、おねだりしてきたミミ。実際にやったことがあるゲームだったらちゃんと遊べるかなと、すぐに購入しました。弟のふーも一緒に3人でやることに。Upload By taekoいざすごろくを始めると、さっそく事件が…!ワクワクしながらサイコロを振ったミミ、うれしそうにコマを進めていきます。でも、止まったマスが非情にも「ふりだしにもどる」だったんです。「どうなるかな」と焦る私。せっかく上機嫌で遊べていたのに、癇癪が爆発してしまうのでは…。Upload By taekoミミの様子を伺うと、とても驚いたのですが、その悔しさをグッと堪えていたんです。悔しそうにしながらも、自分のコマをスタートに戻していました。その姿を見て、「あぁ、普段から教室で学んでいる気持ちの切り替えが、ちゃんとミミもできるようになったんだ!」と、思わず感激してしまいます。その何気ない小さな成長が、とてもうれしかったんです。そう、ここで終われば、ハッピーエンドの話なのですが…。Upload By taekoそして、賽は投げられた。更なる悲劇が、ミミを襲うのです仕切り直して、ミミの順番がやってきました。「どうかよいマスに止まって!」と願う私、そしてミミの手の中から放り出されて転がるサイコロ。コロコロコロコロと、永遠にも感じられる長い時間が流れます。なんと出た目はさっきと同じ、当然止まったマスは「ふりだしにもどる」でした。今度は我慢できずに、「もうヤダ!!!!!!」と泣いてすごろくのマップをひっくり返してしまうミミ。一度こうなってしまうと、もう後には戻れません。そんなミミに、親としてどんな風に接してあげることができるのでしょうか。Upload By taeko私は、「悔しいのかもしれないけれど、ひっくり返すのは悲しいよ。みんなで遊んでいるのだから、もうミミとは一緒にやりたくないと思っちゃうよ」と、正直に気持ちを伝えました。変に機嫌を取るよりも、まずはまっすぐ伝えたいと思ったんです。それでももちろん機嫌は直らないので、そのままふーと2人ですごろくを続けることにしました。ミミにももう一度遊んでほしかった私は、ここである作戦を決行します!名付けて、オーバー気味に楽しんでいる姿を見せて、思わずミミも遊びたくなっちゃう作戦。すごろくの行方に一喜一憂しながら、見事ふーが勝ちました。少し落ち着いた様子のミミに、「一緒にやる?」と聞いてみると、今度は小さくうなずいてくれました。もうあの悲劇は繰り返すまいと、今度は「ふりだしにもどる」はなしのルールに変更。最後まで楽しく遊ぶことができました。Upload By taekoすごろくに限らず、子どもたちが積み上げてきたものが「ふりだしにもどる」ような、世の中の不条理にこれからの人生の中で出合うかもしれません。そんなときにも、その「悔しい気持ち」を乗り越える力、気持ちを切り替える力を、少しずつ少しずつ育んでいって欲しいと願っています。たかが「すごろく」、されど「すごろく」。だいぶ大袈裟かもしれませんが、そんなことを考えさせられてしまいました。Upload By taeko執筆/taeko(監修:井上先生より)すごろく遊びを通じて、予測不可能なマイナスの出来事に出合ったときに、感情をどのようにコントロールしていけば良いかを学べた体験ではないでしょうか。お母さんと弟さんが遊んでいる様子を見ながら落ち着きを取り戻して、そして「ふりだしにもどる」がないように環境調整をして最後まで終われた成功体験が、今後「ふりだしにもどる」があっても大丈夫という自信になると思います。
2022年05月13日私の母から見た、私(丸山さとこ)とコウの関係は?Upload By 丸山さとこコウを妊娠していた12年前の私は、実家に帰省して出産しました。以降、コウが通う園や学校の長期休暇中は2週間ほど帰省しています。また、母とはスピーカーモードで通話していることも多く、日常生活での私とコウのやりとりや、そのときどきの様子がリアルタイムで伝わることもしばしばです。そのため、私の母は夫に次いで『私とコウの関係を継続的に見てきた人』と言えるだろうと思います。今回は、そんな私の母から見た『私(丸山さとこ)とコウの関係』について書いていきます。私とコウの関係は、母の目にはどう映っているのかコラムのためにインタビューをしたいのだけれど…と説明した上で「私とコウの関係はお母さんから見てどんな感じ?」と聞くと、「コウは相手のことを、好き嫌いとは別に『信用できるかどうか』って、シビアに査定するところがあるでしょ?だから、さとこはコウから信用を得られるように気をつけて関わっているよね」と母は言いました。Upload By 丸山さとこ予想外の角度からの返答に「まずそこからなんだ!?」と驚きました。愛想の良さに隠れて見えにくいコウの一面を(それこそシビアに)よく見ているのだなと思いました。「具体的にはどういう関わり方についてそう思う?」と聞くと、「安易に約束しないとか、変更は早めに伝えて理由や対応を伝えるとか、コウが理解しやすいように話すとか…」と具体例をあげてくれました。たしかに、それらはコウが幼いころから私が意識しているところです。また、母は「コウの世界に存在している人間って、ある時期まではさとこだけだったと思う」とも言っていたのですが、これも信用に関わる話かもしれません。「お母さんのことが好きだから」ではなく、『信用できる=情報を取り入れる価値がある=相手を認識する』だったのではないかと思います。Upload By 丸山さとこ仮に「お母さんのことが好きだから」が理由だったとしても、一般的な『お母さんが好き』よりは多分もっと淡泊な…『利用価値があるので好き』に近いような感覚だったのではないかな?という印象があります。利用価値という言葉を使うと冷たい響きに聞こえますが、「機能が良い快適なモノへの親しみや好感のような何か」と考えれば、それもまたそれで一つの情なのだろうと思います。Upload By 丸山さとこ郷土愛ではないけれど『この街は交通の便もいいし、お店が充実していて病院や市役所も近いので住みやすくて好きだなぁ』と思っている感じの「好き」に近い感覚だったのではないかな~…と、コウが幼かったころを振り返って思う現在の私です。(今はやや郷土愛寄りの感覚もありそうな気はしますが、いずれにせよコウの内面のことなので謎ですね)「これまでのコウの話」を共有できる人がいるありがたさ「コウは本当に『ああ言えばこう言う』だし、大変だよね。そこに引っかかって進めなくなるからどんどん混乱するし、本人としては喧嘩を売っているつもりはないけどいちいちつっかかる感じになるし。そこを解して、でも全部は世話をせずに様子を見て…ってやっていくのは、かなり手間のかかる子育てをしているなと思う」…と、最後は労いを込めつつ私とコウの関係について語ってくれた母でした。母自身も帰省や電話などでときどきわが家の子育てに巻き込まれているからか、「大変だよね」の言葉に実感がこもっているのが印象的でした!Upload By 丸山さとこ「特に小学校の3年と5年は凄かったよね~」と振り返る母が当たり前に共有してくれている『これまでのコウの話』があることのありがたさを改めて感じた、母から見る『私とコウの関係』の話でした。執筆/丸山さとこ(監修:井上先生より)「郷土愛」というたとえは的を得ていて非常に面白いと思いました。人との関係を築くときに、分かりやすく指示してくれる人というのは、その人との関わりが成功体験にもつながりやすく、ひいてはその人との信頼関係に発展していくのだと思います。また、最近の研究では、祖父母への教育プログラムの効果というものも発表されてきています。祖父母の理解というのが、特に子育てをする母親に与える影響が大きいからだと思います。日頃の丸山さんとお母さんの良好な関係によって、「丸山さんの子育てを客観的な目でみてもらえる」のと、「自分自身を育てた先輩の親という視点からコメントももらえる」のではないでしょうか。丸山さんにとってお母さんが子育てのより大切なパートナーになっているような気がします。
2022年05月12日子どもたちの生きるための底力を育むーー『マンガ・コグトレ入門』「コグトレ」とは、コグニティブ(Cognitive:認知)に着目したトレーニングの略称です。コグトレには、学習面、社会面、身体面の3方面から包括的に子どもたちを支援するという特徴があります。学習面では基礎学力の土台づくり、社会面では対人スキルの向上、身体面では身体的不器用さの改善を図ります。『マンガ・コグトレ入門』では、小学校のクラスを舞台にしたマンガで「コグトレ」を分かりやすく紹介。学習面、社会面、身体面を育む計50のトレーニングが掲載されています。実際に取り組む際のポイントや留意点、子どもからよくある質問やその答え方、間違うパターンなどを一緒に紹介しているので、「コグトレ」がはじめての方も進め方をイメージすることができます。この本に掲載されている50のトレーニングは、ダウンロードして何度でも使用できます。支援者の方だけでなく、保護者の方にもおすすめの一冊です。タブレットの活用術、便利なアプリが満載ーー『教室でできる タブレットを活用した合理的配慮・自立課題』GIGAスクール構想が動き出し、全国の小中学校では一人1台タブレットを持つようになってきました。しかし、障害特性に合わせたICT活用は進んでいない現状があります。この本では、iPadを用いて、子どもが使用する際に推奨する基本設定やそれぞれの特性に合わせた設定の仕方、アプリを活用した合理的配慮のヒント、自立課題に役立つアイデアや使えるアプリを紹介しています。教室だけでなく、家庭でもすぐに活用できるアイデアが満載です。タブレット活用の基礎が分かる一冊です。脳科学によって解明ーー『ASD、ADHDの「苦手」を乗り越え自己実現』発達障害のある人の、脳の中で起こっていることを明らかにする検査は、現時点ではありません。しかしこれまでの研究で、発達障害は脳と関連しているということは分かっています。発達障害のある人が苦手なことの中には、脳の中で起こっていることを想像できるものと、脳の中で起こっていることが想像できないものがあります。この本では、ASD、ADHDというような診断名ではなく、脳の中で起こっている「苦手なこと」に着目し、脳科学でその分析と苦手を克服するためのトレーニング方法を紹介しています。「発達障害」を今までとは違った視点でとらえることができるようになるかもしれません。発達が気になるお子さんを育てる保護者の方、そして思春期のお子さんにぜひ読んでほしい一冊です。困っている一人ひとりに寄り添う場所ーー『みんなが輝くために3 (舞台は通級指導教室)』『みんなが輝くために』は、小学校の通級指導教室の日々を描いたマンガです。主人公の松平彩はあることがきっかけで通級指導教室の担当教諭になります。さまざまな困難さや、学校生活を送る上で悩みを抱えた子どもたち。主人公は、時に周囲の先生や児童の家庭とぶつかりながらも、一人ひとりに合った支援を探っていきます。第3巻は、新入学のお話からはじまります。新一年生の担任は、入学したばかりの児童にADHD傾向があることに気づきます。過去にADHD傾向のある児童を指導した経験のある担任は、通級の活用を考え、主人公である松平彩に相談します。その中で分かったのは、保育園などとの連携で学びの場が変わっても継続して支援を続けられる工夫でした。マンガの舞台となる通級指導教室は、開設から4年目を迎えます。主人公は、通級指導教室のない学校に赴き、通級指導のために巡回し、困っている子どもたちへの支援だけでなく、通級への理解を高める活動をしていきます。著者は、発達障害教育、特別支援教育を専門とする梅田真理教授(宮城学院女子大)。通級指導教室のしくみや、指導におけるねらいについての解説つきなので、マンガを楽しみながら通級指導について知ることができます。真の幸せとは。15の家族へのインタビューーー『おかあちゃん、こんな僕やけど、産んでくれてありがとう-精神障がいがある人の家族15の軌跡』この本は、精神障害のある人の家族15組が障害や困難とどのように向き合い、未来へ歩み出したのかを紹介しています。精神保健福祉領域のソーシャルワーカーとして34年間にわたり、精神障害がある人やその家族に寄り添ってきた社会福祉学博士の青木聖久教授(日本福祉大学)がインタビューをしました。15のエピソードは、自分を大切にした生き方を考えるきっかけになるでしょう。
2022年05月10日意外にも好きだった耳鼻科や歯医者発達障害のせいで感覚過敏がある私。小さなころは、特定の感触の服が不快で着られない、大きな音を怖がって泣き出す、食感が気持ち悪いと言って食べられないものがある、香料で気持ち悪くなるなどの傾向がありました。そんな私、病院なんか不快刺激が多くてギャン泣きしていたかというと、実はそんなことありませんでした。むしろけっこう病院が好きだったのです。特に耳鼻科や歯医者などは今思い出しても楽しかったなと思えます。好奇心が勝る耳鼻科や歯医者が特に好きだったのは、いろいろな機械があったり、変わった薬の瓶や道具が並べてあったりしてとても好奇心をくすぐるからでした。次になにを使うのかな、機械がどう動くのかな、と想像しながら治療されるのがとても楽しかった。耳鼻科や小児科で鼻や口に当てるネブライザーも大好き。看護師さんがスイッチをカチッと入れると機械がブブブブブと震えて、その振動でガラスやプラスチックのアンプルの中にある薬液が震え、同時に空気が噴射されることで霧が出る。霧の味はちょっとしょっぱい。ベースはたぶん生理食塩水… 小さなころはこのように明確に言語化はできませんでしたが、こういった仕組みが動くのを私は夢中で観察していました。耳鼻科医や歯科医の先生の特有の格好やまぶしい照明、治療しやすいように形が変わる治療用の椅子も、ちょっと怖いけど面白かったなあ。小学校低学年だったと思いますが、かっこいい医者のマンガにハマり、「あのマンガの世界みたいだ!」と、医療の世界への憧れムンムンでもありました。特定の感覚刺激にハマる私は感覚過敏のせいで苦手な感覚刺激は極端に苦手なのですが、逆になんらかの理由で好きだと感じた特定の感覚刺激にハマることがありました。病院の消毒薬のにおい、耳鼻科のハッカ油の添加された点鼻薬の味、歯医者で塗られる薬の味、風邪をひいたときに出されるシロップ薬の味。小児科で喉を診るときに舌を押さえる器具の感触、胸に当てられる聴診器の冷たさ。今では小さなころほどの感動はありませんが、病院で好きな感覚刺激に出合うと今でも「ああ、これこれ!」とニヤニヤしそうになります。「下へも置かない」扱いの心地よさ小さなころの私にとって、病院へ行くことは一種のちょっと楽しいイベントでした。両親が共働きで普段祖父母に預けられていたのですが、病院へは普段いない母か父が付き添ってくれるのが嬉しかったのです。子ども用の待合室には絵本や児童書がたくさん置いてあって読み放題だし、壁には可愛い動物のお飾りなどがしてある。おもちゃもある。途中で疲れてきて少しぐずることはありましたが、本もあるし隣で親がおしゃべりの相手をしてくれるので、基本的には長い待ち時間も退屈はしませんでした。お医者さんも看護師さんもみんな優しいし、両親も私が機嫌を損ねて素直に治療を受けなかったら大変だからか、いつもよりも優しかったように思います。みんなが、私が安心して機嫌よくいられるように扱ってくれる。治療を受ける私がいちばんの主役になるのも心地よかったですね。「病院は楽しいところ」と思わせられるといいかも自分に照らして考えてみて、子どもには「病院ではいい思いができる」と感じさせられるとうまくいきやすいのかなと思います。その子によって興味を持つものや気に入るものは違いますし、感覚過敏の程度も違うので一概には言えませんが、子どもや発達障害児の扱いに配慮のある病院を選ぶこと、また、本人には可愛らしい絵本や楽しいごっこ遊びで「病院では何をするのか」を理解させ、興味を持たせておくことは大事な気がします。普段通わず、具合が悪いときにだけ行くと、体調の悪さと病院へのイメージが紐づけられてしまう可能性もあるので、もし余裕があれば何もなくとも予防の意味でも定期的に病院に通うことをするのもいいかもしれません。健康管理のためには病院通いはとても大事。楽しみと余裕を持ってこなせるようになるといいですね。文/宇樹義子(監修:鈴木先生より)一般に顔に直接触れられてしまう歯科や耳鼻科が感覚過敏のお子さんには苦手です。特に音過敏のお子さんには歯科の機械音が大の苦手です。今回は珍しいケースですが、プラス思考で病院通いしていることがすばらしいと思います。さらに、医師、看護師、受付の人とも相性が良かったのだと思います。一つでも嫌なことがあるとそのこだわりやフラッシュバックが続いて通うのが嫌になるケースが多いのです。機械類があるのを楽しみとし、臭いや味に関しても好きな感覚刺激としてとらえ、病院は苦ではなく楽しいところと考えを転回することも工夫の一つかと思いました。親を含めた周りの人がみんなやさしいとうまくいくのです。病院だけでなく学校もそうありたいものです。
2022年05月09日マンガでダウン症を学ぼう!ダウン症は、正式名称をダウン症候群といいます。通常、ヒトの染色体は、1番目から22番目の染色体まではペアになっていますが、ダウン症がある場合は、21番目の染色体が1本多く3本あります。このコラムでは、ダウン症を分かりやすくマンガで解説します。ダウン症のある子どもとの生活や家や学校などでの接し方、親自身の過ごし方やダウン症のある子どもの力を育むためのポイントなどを小児科医の鈴木先生の解説とともにまとめました。ダウン症は大きく分けて3種類に分かれます。このページではダウン症をタイプ別に詳しく紹介。発生のメカニズムや出生前診断についてなど気になる部分を解説します。ダウン症のある子どもとの生活。ダウン症のある子どもの保護者が抱えることが多い悩みを「乳児期」、「幼児期」、「児童期以降」の3つの期間に分けて紹介します。二次障害についても解説します。ダウン症がある子どもを育てるとき、どのような点に工夫すると暮らしやすくなるでしょうか?保護者や周囲の大人ができる家や学校などでの接し方を解説します。気になる友人関係のコツなども。ダウン症のある子どもにはこだわりの強さ、勉強によって得た知識や技術が短編的になりやすい、抽象的な説明を理解することが難しいなどの特性があります。特性を踏まえ、子どもの力を育むためにできる、周囲の大人が気をつける点4つを紹介。ダウン症のある子どもは、周りの雰囲気に敏感で感受性が強く、人に対する深い思いやりがあると言われています。自分のパターンがあることが多く、いつもと違うことが起きるとパニックになってしまう一面も。子どものペースを乱さずに温かく見守ってあげることが大切です。それでも日々の子育てで悩むことはあると思います。悩んだときや情報がほしいときなどは医療機関や児童相談所、地域の親の会などに相談し、ご家族だけで悩まないことも大切です。
2022年05月08日未就園児の子育て。居場所を求めて私は結婚してすぐに夫の転勤で生まれ育った地域から遠方に引っ越しました。そのため、初めての子育ては、周りに知り合いがいない中でのスタートでした。同世代の子どもを持つ友達が欲しくて、私は自治体主催の赤ちゃん広場に行ったり、歩いて行ける範囲の公園を一日に何ヶ所もはしごしたりしました。娘がほかの子とうまく遊ぶことができず、落ち込んだり悩んだりすることはしょっちゅうでしたが、それでも通い続けるうちに顔なじみのママ友もできました。土地勘がなかった私にとってそこで得る情報はとても貴重なものでした。ママ友に誘われ私は公園で知合ったママ友に誘われて近隣の幼稚園主催の2歳児を対象とした「プレ幼稚園」に参加することにしました。それまでもママ友に誘われて幼児サークルや音楽教室などを体験したことはあったのですが、どれも娘には“早すぎた”ようで、楽しむことはできませんでした。月二回療育センターでの親子教室にも通っていましたが、それでも未就園児と二人きりの時間を持て余していた私は“ダメもと”でプレ幼稚園に参加してみることにしたのです。プレ幼稚園とはプレ幼稚園の活動内容はさまざまで、日数や時間、費用も園によって異なります(無料のところもあります)。同年齢の子どもを持つ親同士が知り合いになり、育児の不安や悩みをお互いに話したり、情報交換ができたりするので地域の子育て支援の一環として開催しているところもあります。参加したからといってその幼稚園に入園しなければならないという決まりはありませんが、優先的に入園できるケースもあります。幼稚園にそれぞれ特色があるように、プレ幼稚園にもさまざまなタイプがあります。手あそびや体操、絵本の読み聞かせなどをするところや、在園児と一緒に季節の行事に参加するところ。親子同伴型もあれば、子どもとは別の場所で保護者が交流する場合もあります。私は娘と一緒に楽しく過ごしたかったので、親子同伴型で自由度が高いところに申し込みをしました。情報通のママ友(笑)いわく、そのプレ幼稚園は「子どもを別の幼稚園に通わせる予定の親も、プレだけはそこに行きたがる」「順番待ちが出るほど人気がある」とのことでした。確かに申し込みをしたときは順番待ちでしたが、しばらくすると空きが出て、私たち親子は想定よりも早く参加ができました。実際参加してみるとそのプレクラスは月二回、幼稚園敷地内の別棟で行われていました。二時間の保育時間の多くが自由遊びの時間で、子どもたちは保育室内で自分の好きなおもちゃで遊ぶことができました。おもちゃはおままごとセット、ブロック、絵本、ミニカーなど2歳児が喜びそうなものがそろっていました。同じおもちゃが複数あるので子ども同士で取り合いになることもほとんどありません。娘は大きなキッチンのおもちゃがお気に入りでした。夏は外にビニールプールも用意されていました。娘はおままごとセットに夢中だったので参加しませんでしたが、自由遊び時間中ずっとプールに入っているお子さんもいました。保育の後半は親子で楽しめる集団遊びで・子どもの手形のうちわづくり・乾燥パスタを使ったフォトフレーム工作・親子で新聞ビリビリ遊び・大きな鍋でポップコーンづくり・子が踏んだうどんづくりなど季節を感じることができる内容が多くありました。Upload By 荒木まち子プレ幼稚園に通っている子どもたちは、自由遊びから集団遊びへの切り替えもスムーズでした(意外!)。これは・子どもたちが思う存分自分が好きな遊びができていた・次にも何か楽しいことがあるという期待感がある・親も一緒におもちゃを片付けるというのが、理由としてあるのではないかと思いました。プレ幼稚園の先生プレ幼稚園担当のM先生は、私たちと同じ“子育て中のお母さん”で、気さくな人でした。M先生は子どもの自由遊びの間、孤立しているお母さんがいるとさりげなく話しかけたり、子育ての相談に乗ってくれたりしていました。実は私はこのとき、ある悩みを抱えていました。翌年一年間、夫が単身赴任することが決まっていたのです。近くに頼れる親戚もいない中、コミュニケーションが上手くとれない自閉傾向がある娘と一年間二人きりで過ごすことに私は不安を感じていました。私はM先生に事情を話し「単身赴任先に一緒についていくこともできるみたいなんだけど、一年間だし、どうなかなぁ…」と相談しました。先生は少し考えてから言いました。「私だったらご主人の単身赴任にはついていかないかな…」私たち親子を見て、考えてくれている人がいるそれはM先生が娘のこと(環境の変化に弱いなど)を理解しているからこその言葉だったのだと思います。慣れない土地での初めての障害児育児…不安なことばかりだけど、こうして見守ってくれる人がいるなら大丈夫かもしれない…。私の気持ちは決まりつつありました。次に会ったとき私はM先生に「夫の単身赴任の間、私と娘はこのままここで暮らすことにしました」と告げました。先生は私に「そうですか。実はこの前『私ならついていかないと思う』と言ったことが無責任な発言だったかもしれないとずっと気になっていたの」と言いました。M先生が私たちのことをそんな風にずっと気にかけてくれたことに、私は胸が熱くなりました。私は先生に「大丈夫です。自分で考えて決めたので」と伝えました。先に述べた通りプレ幼稚園に参加したからといって必ずしもその幼稚園に入園する必要はありません。実際私はこの幼稚園のほかにもいくつか幼稚園を見学していました。それでも私はM先生の「もし荒木さんがこちらの幼稚園に入園したら、今までの経緯も含めて園全体で情報を共有していくので安心してくださいね!」という言葉をとても心強く感じたのでした。最初の集団生活に向けて小学校は住んでいる地域で学区が決められている場合が多いですが、幼稚園は親が選べる分、悩む方も多いと思います。今はまだコロナの影響もありプレ幼稚園の体験や活動にもいろいろと制限があるかと思いますが、一回の見学だけでは分からない幼稚園の実際の雰囲気や、子どもとの相性を知るためにもぜひプレ幼稚園の体験をしてみることをおすすめします。もちろん無理のない範囲で!執筆/荒木まち子(監修:井上先生より)いきなり幼稚園にはいるのは不安が大きいと思いますがプレ幼稚園で環境に慣れたり、先生たちと話をする機会があるのはとてもよいと思います。特に父親が単身赴任で不安な中で、しっかり話を聞いてくれる先生がおられる園はとても安心できたのではないでしょうか。お子さんも自由遊びから徐々に集団活動に移行するといったゆるやかなステップがあることで、無理なくなじめたのではないかと思います。プレ幼稚園でどんなことがされているかは口コミなどで知れることが多いので、同じ療育に通われている親御さん、地域のペアレント・メンターさん(障害のある子どもを育てた経験のある先輩の親)などに聞いてみられるとよいかもしれません。
2022年05月07日学校・園行事でトラブル続出!?一体どうしたらいいの?運動会や発表会、学芸会…学校や園行事は親としては子どものいつもと違う姿を見られるということでワクワクしてしまいますよね。しかし、発達障害の特性がある場合にはそううまくいかず…いつもと違う雰囲気、たくさん来る保護者たち、ワイワイ、ザワザワと騒がしい空間。「いつも通り」が好きな子どもにとっては、行事ごとはとってもハードルの高いものなのかもしれません。2021年度に実施した、LITALICO発達ナビのユーザーさまへのアンケート調査では、「発達が気になるお子さまを育てる中で、課題や困難を感じるのはどのような場所ですか?」という質問への回答結果を見ると、かなりの多くの方が学校や保育園、幼稚園での悩みを抱えていることがわかります。ただでさえ悩みを抱えている場所なのに、普段と違うことをする行事ごと。子どもの特性を理解し、それを園や学校に連携し配慮などを頼みたいけれど、どのように伝えたらよいのかも難しいところですよね。さまざまな体験談と解決策を描いたコミックエッセイから、こうした悩みを解決するヒントやあるあるの共感などが見つけられるかもしれません。Upload By 発達ナビ編集部学校・園行事のコミックエッセイ幼稚園、保育園、小学校に通っていると、遠足、運動会、発表会など普段とは違う楽しみなイベントがたくさんあります。ウキウキワクワクする子どもたちの中に、それを嫌がる子どももいます。自閉スペクトラム症のある立石さんの息子さんもその一人でした。毎日通う保育園には行き渋りもなく楽しく通っているのに、行事になると楽しめない息子くん。行事での号泣は年々酷くなるけれど、これも成長…?しのくんは3歳8ヶ月。診断名がついていない、いわゆる発達障害グレーゾーンの男の子です。母親のkeikoさんは保育園で開催された生活発表会を楽しみにしていたのですが、いざ始まってみると…!?小学2年生のときに場面緘黙と診断された、現在4年生の次女ちゃん。そんな次女ちゃんが場面緘黙診断前の保育園時代、2歳上の長女ちゃんの小学校の運動会に参加したときのお話です。幼稚園に入園して初めての運動会で、楽しそうな様子だったいっちゃん。参加させてよかったと母のかさはらあやこさんは感じましたが、秋になり行事が増え、睡眠が不安定になったり癇癪が激しくなってきて…。自閉スペクトラム症があり、特別支援学級(情緒クラス)に在籍している小6の太郎くん。母のまゆんさんが「太郎は発達障害かも」と思い始めたのは1歳7ヶ月のころ。保育園で開催された運動会での出来事がきっかけで…。集団への声掛けに気づきにくく、個別の声掛けを必要とすることが多いコウくん。集団の中で“すぐに見つけられる”わが子の姿を見て、母の丸山さとこさんが感じた「発達障害であることを改めて意識した瞬間」とは?自閉スペクトラム症(広汎性発達障害)があるSAKURAさんの長女、あーさん。周りと比べてゆっくりマイペースだけど、だからこそ、成長の一つひとつがとても大きく、嬉しいものです。その中で一番成長を感じることができた、幼稚園の運動会でのエピソードを紹介します。まとめ行事での楽しかった、嬉しかった思い出、少し苦い思い出などさまざまあると思います。まずは子どもが無理せず安心して楽しめるように、子どもの性格や特性を理解し、苦手なシーンを避けたり、合理的配慮などを受けられるように環境を整えていくことが重要です。
2022年05月06日もしかして感覚過敏?子どもの行動が気になったら「感覚過敏(過剰反応性)」とは、光や音などをはじめとする特定の刺激を過剰に受け取ってしまう状態のことを指します。逆に、刺激に対する反応が低くなることを「低登録・感覚鈍麻(感覚の鈍感さ)」といいます。どちらも感覚に偏りがあることが原因です。感覚過敏があると、多くの刺激を受け取りすぎることによってストレスが増したり、多くの人にとって平気な刺激を過剰に怖がったりすることがあります。また、感覚の鈍感さがあると、遊びの呼びかけの声を聞き逃してしまい、仲間に入れないなど、集団の中でうまく過ごせないことがあります。感覚に過度な偏りがあると、日常生活に支障をきたす場合があります。しかし、感覚の偏りによる困難さは個人の主観的なものであり、個々によって刺激の受け取り方はそれぞれなので、理解されにくいという側面もあります。「LITALICO発達ナビ2021ユーザーサーベイ」にて行った「お子さまの困りごとの原因となっている、感覚の過敏性、感覚の鈍さはありますか」のアンケート項目の結果を見ると、多くの方が子どものさまざまな感覚過敏、感覚鈍麻に悩んでいることが分かります。最も多いのが聴覚過敏。次に味覚過敏、触覚過敏、視覚過敏や感覚の鈍麻、嗅覚過敏と続きます。こちらのアンケートは複数回答可となっているので、上記の感覚過敏が複数ある子どもも多くいると思われます。Upload By 発達ナビ編集部アンケートの要望・フリー回答欄では、感覚過敏がある子の将来の生活の心配、学校との連携方法などに悩む一方で聴覚過敏などの認知度が上がってきているなどの声もありました。その一部をご紹介します。・HSCの娘(中3)は、知覚過敏に属するのだと コラムを読んで、娘に通じるものがあり、普段、「何で、そう感じるのだろう?」と思っていた部分が、そういうことだったのかとわかり、新たに 納得しました。(2021ユーザーサーベイより)・感覚過敏、過度激動などを持つお子さんや成人の方の生活や就労について知りたい。(2021ユーザーサーベイより)・うちの娘は感覚過敏が強いのに、本人のストレスを感じる感覚レベルが低すぎて、双方の感覚の差が大きすぎるがゆえに体調を崩すようで、今は不登校になっています。学校の先生方は温かく迎えてくださいますが、担任の先生が「元気に遊べばすぐに学校に来られるようになりますよ!」という感じで、感覚過敏からの体調不良という内容等について書類などを作ってご説明はしていますが、なかなか意識の共有がうまくいかず、学校と今後どうやってお付き合いをしていくべきかに高い壁を感じています。(2020ユーザーサーベイより)・聴覚過敏の認知度が少しずつ上がってきているので希望を持っています。サポート機関の応援を心強く感じています。(2020ユーザーサーベイより)感覚過敏・感覚の鈍麻がある子どもは一人ひとりその困りの内容が違います。まずはお子さんの様子を注意深く見て、一体何に困っているのかを見つけ、適切な対応をすることがお子さんの苦痛の軽減・安心につながっていきます。さまざまな体験談と解決策を描いたコミックエッセイからも、感覚過敏・感覚の鈍麻の悩みの解決のヒントを見つけられるかもしれません。感覚過敏についての情報コラム気になる子どもの行動。それは音や光、味などの刺激に強い不安やストレスを感じる「感覚の過敏さ」や、刺激に対する反応が低い「感覚の鈍感さ」が原因かもしれません。それらの症状の具体例と、効果的な対処方法、発達障害との関係についてご紹介します。微細運動とは、手指の細かい動きのことで、身の回りのことをするために必要な動きです。発達障害がある人の中には、手先が不器用で、微細運動の発達に課題がある場合が見られます。自閉スペクトラム症のある人の「感じ方」を、工学技術とのタッグで解析し、支援に役立てていく「CREST認知ミラーリング」プロジェクト。発達ナビライターのひらたともみさんの体験ルポです。マンガで学ぶ感覚過敏感覚過敏をマンガで分かりやすく解説します!感覚の偏りの4パターンや症状、発達障害との関係、心がけたい感覚過敏がある子どもへの対応方法などを専門家が説明!感覚過敏のコミックエッセイ子どもをぎゅっと抱きしめるって、しみじみと幸せを感じる瞬間の一つかと思います。だけどウチノコさんの息子、発達障害があるむっくんは小さなころから抱っこが苦手な子どもでした。感覚過敏の困りごとは24時間365日、当事者たちを絶えず悩ませます。今回はそんな感覚過敏の当事者たちの冬ならではの感覚過敏の困りごとをまとめて紹介します。新生児のころから感覚過敏があり、素肌に触れられることや、抱っこを嫌がるタイプの娘さん。必要以上のものが体に触れるということが、苦痛な娘さんにコロナ禍でマスク着用問題が出てきて…。小学6年生の太郎くん。自閉スペクトラム症があり特別支援学級(情緒クラス)に在籍してます。特性として感覚過敏、多動傾向、こだわり、真面目、緊張症、場面緘黙などもある太郎くんと母のまゆんさんとの生活の様子を紹介します。五感が過敏になってしまう感覚過敏と、その真逆の感覚鈍麻の2つの特性があるリュウ太くん。一日のうちに2つの感覚が入れ替わり立ち替わり起こりますが、それって一体どんなときに起こるの…!?発達障害があるリュウ太くんは「暑さ寒さに気がつきにくい」という体の感覚の鈍さがあります。小学校低学年のとき、山でのキャンプ中に熱中症になり、母のかなしろさんが気づいたこととは…。小学校3年生の娘イロハちゃん。小学生になってからときどき”ある症状”に悩まされていました。家では元気なイロハちゃん。一体その不調の原因は?4歳くらいごろから服の襟元をぐっとひっぱり、口に入れてガシガシ噛む「噛み癖」のあったジョンくん。しつけなきゃと決意し、見かけるたびに叱って止めさせていた母のママリーゼさんですが実はしつけの問題ではなく…。まとめ子どもの行動が気になったときには、まず子どもの行動をよく観察してみましょう。子どもが気になる行動をするときにはその背後に何らかの理由があります。そのようなときには、その行動がどのような刺激や、どのような理由によって引き起こされているのかを知ることが必要です。子どもの感覚の偏りを知ることによって、日々の子育てに役立てることができたり、幼稚園や保育園、学校の先生に具体的なサポートをお願いしたりすることもできます。
2022年05月05日子どもの不登校、行き渋り、どのように寄り添ってあげたらいい?不登校とは、文部科学省の定義としては「連続又は断続して年間30日以上欠席し、何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、児童生徒が登校しないあるいはしたくともできない状況である(ただし、病気や経済的な理由によるものを除く)」とされています。不登校になる原因やきっかけは子どもによってさまざまですが、早期解決できるか長期化させてしまうかは周囲の対処法によって大きく左右されると言われています。参考:児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査-用語の解説|文部科学省令和2年度の調査によると小・中学校における不登校児童生徒数は196,127人(前年度181,272人)であり、前年度から14,855人(8.2%)増加しています。児童生徒1,000人当たりの不登校児童生徒数は20.5人(前年度18.8人)。不登校児童生徒数は8年連続で増加し、過去最多となっています。また、新型コロナウイルス感染症によって学校や家庭における生活や環境が大きく変化し、それが子どもたちの行動などにも大きな影響を与えていることもわかります。新型コロナウイルスの感染回避による長期欠席者数は20,905人となっています。子どもが学校に通えなくなってしまった場合、子ども本人にはもちろん、保護者にもさまざまな不安が生じるかもしれません。いろいろな体験談と解決策を描いたコミックエッセイや、情報コラムから不登校や行き渋りの悩みの解決のヒントを見つけられるかもしれません。参考:令和2年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要|文部科学省Upload By 発達ナビ編集部不登校、行き渋りなどの情報コラム不登校の原因・きっかけはさまざまですが、早期解決できるか長期化させてしまうかは周囲の対処法によって大きく左右されると言われています。不登校はどのようにして起き、どんな経過を辿るのか、保護者の子どもとの接し方のポイントを解説します。子どもが学校に通えなくなってしまった場合、子ども本人にはもちろん、保護者にもさまざまな不安が生じるかもしれません。このコラムでは、不登校の子どもと保護者をサポートする役割を担う「教育支援センター(適応指導教室)」を取り上げます。日本で唯一の不登校専門紙「不登校新聞」。夏休み明けに増え続けている子どもの自殺を止めるために、私たち親は何ができるのか、石井志昂編集長(不登校新聞)と牟田編集長(LITALICO発達ナビ)とともに考えます。不登校、行き渋りのコミックエッセイADHDのある次男くんは4月から小学6年生。いよいよ本格的に中学校選びを始める時期になりました。中学1年生のときに対人関係のトラブルがあり、1年間不登校だったスガカズさん。「自分の子どもには同じような経験はしてほしくない」と「本人(次男)の意思に任せたい」で揺れておりーー。小学校でも中学校でも卒業式で涙を見せたことがなかった荒木まち子さんの娘さんですが、高校の卒業式では大号泣!その涙の理由は、卒業式直前に行われた、生徒主体の「学習発表会」で知ることができました。通信制高校の角川ドワンゴ学園S高等学校に在学中の高校1年生の加藤路瑛さん。今回は、ネットコース生である加藤さんの学校生活をお話しします。今話題の通信制高校のリアルを大公開!小学校入学以来、何度となく登校渋りを繰り返し、小学2年生の秋から不登校になった鈴木希望さんの息子さんですが、4年生になり普通に登校するようになりました。そこに至るまでに何があったのでしょうか。ADHDと自閉スペクトラム症の診断を持つ小学2年生、むっくん。今は不登校で自宅学習を選んでいますが、気になる将来のことについてフリーランス児童精神科医の三木先生に聞いてみました!ASDがあるいっちゃんは中学3年生。府内の美術系の高校への進学を考えており、この秋から受験塾(のようなところ)に通い始めました。しかし、塾に通うのは嫌だと言いだして…。まとめ不登校に限らず、思春期の子どもとの接し方に悩む保護者の方は数多くいるのではないでしょうか。思春期に起きる子どもの変化は、時として親子関係にも変化をもたらします。そうしたタイミングで子どもが不登校になったとき、親としての責任を感じて自分を責めたり、子育てに自信を失ってしまったりすることもあるかもしれません。ですが、不登校の原因は一つではなくさまざまな要因が複雑に絡み合っています。つまり、子どもが不登校になるのは必ずしも全て親の責任ではないとも言えます。子どもとの対話を通して、前向きに、少しずつでも前に進んでいけることを願います。
2022年05月04日おとなしくて育てやすいと思っていたゆいだけどゆいは赤ちゃんのころからおとなしくて育てやすく、夜泣きやイヤイヤ期も一般的で、検診でも何も指摘されずに成長しました。小学校に入るまで、子育てで悩んだことはそれほどありません。楽しく育児ができていたと思います。でも、今思い返せば私が脳天気で大雑把な性格のため見落としたことはたくさんあったのかもしれません。小学三年生あたりから勉強についていけなくなり、四年生で学校から「発達検査を受けてみては」と勧められたときは、とうとう来たか…と観念したような気がしました。単に勉強が苦手なだけだと思っていたけれど、教育現場のプロから見ても明らかに何かあると思われたんだ…と悲しくなりました。Upload By 吉田いらこ単身赴任中の夫に伝えると…学校の先生に発達検査を勧められたときは単身赴任中だった夫にも伝えました。夫は残業も多く、話ができるのは朝の30分だけという毎日。朝から重い話だなと思いながらもゆいのことを相談していました。夫の反応はいつも「えー、そんな大げさな」。そう思いたいんだろうなと感じました。小学五年生で発達検査を受け、療育手帳が取れる(軽度知的障害がある)と説明を受けたときは頭の中がいっぱいで呆然としてしまいました。自分はわが子の発達の遅れを見落とすようなダメな親だ。そうハッキリしたような気がしてつらかったです。でもこの子のために行動しないと、とは思いました。Upload By 吉田いらこ療育手帳を取得することで、さまざまな福祉サービスを受けられメリットが多いと思っていますが、親にとってはわが子に障害があるということを認めることにもなります。そこがちょっと難しいと思う人もいて当然だと思います。Upload By 吉田いらこ「様子見でいいんじゃない?」の言葉に…夫に話すと「そんなに急がなくても…。まだ様子見でいいんじゃない?」と言っていました。様子見でいい、という言葉はいいなと思いました。不安をやんわりと先送りにできて、未来もちょっと明るく感じます。成長したら今の困りごともなくなるかも知れないのだから。でもゆいはもう小学五年生。「様子見」は未就学児だったらいいと思いますが、わが家の場合、時間はもうないのです。続けて「それにさ、そのうちみんなに追いつくかもよ?」と言われたときは、なんだこの人全然分かってないなとちょっとイラっとしました。でも、夫に対してイラっとした自分も嫌でした。勉強が苦手で引っ込み思案だけど、気にしすぎることはないと思っていたからです。Upload By 吉田いらことはいえわが家の場合は療育手帳取得のデメリットはないなと思ったのでメリットを調べてまとめて伝えました。夫に対しては、手帳がいかに必要か感情的に訴えるよりも具体的な例を並べたほうが伝わると思いました。説明しながら、なんだか仕事でプレゼンしてるみたいだな、とちょっと笑えました。結果、夫も手帳取得に納得し(仕方なく…かもしれませんが)役所に申請することができました。はりきって手帳を取得したものの、その後の私たち夫婦は「こうしたほうがいい」「こんなことをしてみたらどうだろう?」と熱い信念もなくとりあえずやったほうがいいことをこなしているだけの毎日です。意見の相違などでの夫婦間の言い争いなどはないですが、悪く言ったらあんまり頑張っていません。でもまだまだ先は長いわが子2人と夫との4人での生活、ゆいが暮らしやすいように小さな工夫などをしてサポートしながら、楽しく過ごしていこうと思っています。執筆/吉田いらこ(監修:井上先生より)発達検査を受けたり、手帳を申請したりすることは吉田さんも書いておられるように、親としては「障害を認める」ことになり、さまざまな葛藤があったかと思います。ちなみに「療育手帳」とは知的障害のある子どもが取得できる手帳になります。療育手帳に関して、何歳までに取得しなければならないという制限はありませんが、取得にあたっては吉田さんのご夫婦のような話し合いも必要になります。療育手帳はそれぞれの自治体が交付するものであり、お住まいの地域によって受けられるメリットは少しずつ異なります。吉田さんのようにメリット、デメリットをご夫婦で検討されながら判断されるのがよいと思います。
2022年05月04日周囲は知らない人ばかりの小学校一年生タケルは私立の幼稚園に3年間通い、地元の公立の小学校に進みました。新学期が始まってみると、周りはほとんど小学校付属の幼稚園から来た子たち。すでにお友達グループができているようだったので、この中に入っていくのは、難しそうだな、と思いました。幼稚園でウケた「大技」を披露しかし、言われたことはそのまま受け取るASDの息子のこと、入学式での「お友達をいっぱいつくってくださいね」という校長先生のスピーチに、すっかりやる気になりました。早速「友達つくるぞ!」と、入学式の後、校庭で立ち話をしている男の子たちのグループに割り込みますが、知らない子が無言で入ってきても、話しかけてくれる子はいません。なんとなく距離を空けられ、いつしか解散してしまいます。Upload By 寺島ヒロなんて言って良いか分からないのかな…と、ハラハラしながら見ていると…大人びた感じの女の子が近づいてきました。どうやら、タケルが子どもたちの輪に入れないことを見て、話しかけてくれようとしているみたいです。良かった…!と、思ったのもつかの間、タケルが、急に大きな声で「ピコーン!ピコーン!」と言いながら飛び跳ね始めました!Upload By 寺島ヒロあれは…!「某有名ゲームのキャラクターが21連続でコインを叩く」というタケルの持ちネタ…!しかし、そんなことは知るよしもなく…汗だくになりながら「ピコンピコン」と繰り返すタケルに恐れをなし、女の子は半泣きでどこかに行ってしまいました。大滑りを経験して思ったこと友達をつくるぞ!と意気込んでいたものの、幼稚園ではテッパンだった「ゲームの真似」も不発に終わり、当時はタケルも相当落ち込んだようです。幼稚園では、物心つく前から一緒にいた仲間だったので、特に彼らには前振りなどなくても、タケルが何かネタを披露していると集まってきて、笑ってくれてたのですよね。でも、知らない人ばかりの中では、タケルは、急に予想のつかない動きを始めるコワイ人でしかありませんでした。会話の中で話題を変えるときのスキルそんなタケルでしたが、小学校に通い始めて2〜3ヶ月もすると、学校で親しく話すことのできる子ができてきました。4年生になるころには、クラス替えがあっても「友達」と言えるような子もでき、なんとかなるもんだなあとホッとしました。今、大きくなった息子に、小学校のときの友達のことを聞いてみると…Upload By 寺島ヒロ自分なりにルールをつくっていたようです。いつもうまくはいかないけれど…相手があることでは、自分の思いついたことをいきなり始めないというのは、当たり前のことではありますが、ASDのある子どもの場合、なかなか想像できないことかもしれないと思いました。実は二十歳を越えた今でも、それまでの会話と関係なく、思いついたことを長尺で喋ってしてしまうことがあり、しばしば友達に「ご講義はいいから!」とツッコミを入れられたりしています。三つ子の魂なんとやらですが、それでも、いつしか外で「いきなりゲームキャラの真似」はしなくなったので、少しずつ人付き合いの中で学んでいるんだろうなと思います。執筆/寺島ヒロ(監修:井上先生より)ASDのある方の場合、自分が会話に入っていくときや話題を変えるときに、タイミングが計れない、あるいは切り出し方が分からないといった声をよく聞きます。タケルさんのように、話題を転換するときに予告をしたり、相手に指摘されたときにうまく受け入れることができると、苦手意識は軽減するかもしれませんね。また、相手の話を相槌を打ちながら、上手に聴く、というスキルがあると相手との関係も取りやすくなると思います。
2022年05月03日子どもの学習の悩み、もしかしたら学習障害かも?字が読めない、書けない、計算ができない…子どもの学習の悩み、もしかしたら学習障害かも?3つのタイプがある学習障害。症状や困りごとは人それぞれです。一体どのような特徴があるのでしょうか。今回はそんな学習障害についてのコラムをまとめました。文部科学省の定義によると、学習障害とは、全般的な知的発達に遅れがないものの、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算・推論する」能力のうちいずれかまたは複数のものの習得・使用に著しい困難を示す発達障害のことと言われています。英語ではLearning Disabilityと呼ばれ、LDと略されることも多いです。医学的な診断基準とされるDSMでは「学習障害(LD)」とされていましたが、最新版のDSM-5では、診断名が変更され、現在は「限局性学習障害/限局性学習症(SLD(Specific Learning Disorders))」になっています。限局性学習障害の定義では障害内容は「読み」「書き」「計算」に限定されます。学習障害は大きく分けて・読字障害(ディスレクシア)・書字表出障害(ディスグラフィア)・算数障害(ディスカリキュリア)の3つに分けられます。しかし、一人ひとりその症状はさまざまです。その子に合った学習の方法を見つけていくことが重要です。※現在は「限局性学習症」という診断名となっていますが、一般的には最新版DSM-5以前の診断名である「学習障害」と呼ばれることが多くあるため、ここでは学習障害と表記します。参考:学習障害(LD)、注意欠陥/多動性障害(ADHD)及び高機能自閉症について|文部科学省「LITALICO発達ナビ2021ユーザーサーベイ」にて行った「お子さまに対して、特にしてあげたいと思っていることについて教えてください」のアンケート項目の結果を見ると、多くの方が子どもに合った学校の選定をしてあげたいと答えており、子どもの学力だけでなく、学びについての環境も大事にされていることがわかります。併せて学習障害のある子どもに対して活用できることの多いICT教育(PC、タブレット、スマートフォンなどの積極的な活用)にも興味のある方が多いことも伺えます。学習障害についての基礎知識を知り、子どもの特性を理解し、適切な支援につなげることで子どもの学びやすい環境を整えていくことは可能です。さまざまな体験談と解決策を描いたコミックエッセイからも、学習障害の悩みの解決のヒントを見つけられるかもしれません。Upload By 発達ナビ編集部学習障害について学べる情報コラム学習障害(LD)がある子どもはどのような状態で、何に困っているのかご存知ですか?イラスト図解などで分かりやすく解説します!学習障害にはさまざまなタイプがあります。また人によって症状の現れ方も違うので、診断が難しい障害でもあります。このコラムでは、学習障害の3つの種類とそれぞれの症状、そして、具体的な特徴や受けられる支援を説明します。大人になってから学習障害と診断される人は近年増えています。学習障害の大人が仕事で直面する困りごとや、それらに対する対処法などをまとめました。子どもが学習障害の場合、どのように接するべきでしょうか?子育ての困難への対処法、個性を伸ばすための最良の手段やその子が感じている困難さを乗り越えれるサポートなどを解説。マンガで学ぶ学習障害マンガで分かりやすく学習障害を解説!学習障害チェックシートや困難の理由、相談先や治療法、具体的な接し方の手立てなどを専門家が解説します。学習障害についてのコミックエッセイADHDとLD(学習障害)があり、本人自身勉強をあまりしたくない様子の次男くん。親のスガカズさんとしては毎日の宿題を習慣づけたいところですが…そんなときに救世主が現れて…!?学習障害がある息子2号くん。中学3年生となり、高校進学を考える時期になりました。しかし特性から読み・書き・計算のとらえ方に偏りがあり、学校の授業や受験勉強も悪戦苦闘。果たして無事に高校生になれるのでしょうか!?まとめ苦手さの理由や原因は一人ひとりのケースで違います。その子がどこに困難を感じているのか、またその理由はどこにあるのかを観察してみるとよいでしょう。環境を調整したり、やり方を工夫したりすることで対処法が見つかることがあります。その子の困難の背景を考え、寄り添ってサポートをすることが大切です。
2022年05月02日ゲーム動画で何を見ているの?テレビゲームが大好きなむっくんは毎日ゲームを楽しんでいます。さらに小学生になり、自分で動画検索できるようになってからは好きなゲームの動画も楽しむようになりました。ときに真剣に、ときにげらげら笑いながら動画を見るむっくん。私が子どものころはゲーム動画なんてありませんでした。自分でプレイすることを楽しむスタイルなので、動画で喜ぶむっくんは一体何が楽しいんだろう?と当初は不思議に思ったものです。そんなむっくんをよく観察してみると、楽しむゲーム動画の内容はおもに二種類に分けられることに気づきました。一つは攻略動画で、プレイする上でどこにアイテムがあるかや、敵をどうやって倒すのか、無事クリアするにはどんなとこに気をつけると良いか、またどんなストーリーなのかを知ることができます。もう一つは実況動画で、ゲームが上手な方がびっくりするようなテクニックでプレイされている様子や、これをやったらどうなるか?などの子ども心をくすぐる実験的な内容を楽しんでいるようです。Upload By ウチノコ攻略動画は見通しになる?!現在プレイ中のゲームに関しては特に攻略動画を見ていることが多いむっくん。攻略動画はプレイに詰まったときに見ていることが多く、どうすれば進められるのか?ということを知るために見ている様子です。むっくんは家庭内ルールでゲーム時間に縛りがあります。なので、できるだけ短時間で要領よくゲームを進める必要に迫られていて、そこを解決するのが攻略動画!なるほど、理にかなっている!また、ゲームを始めたころはキャラクターが倒されることにストレスを感じたり、どこから強い敵がでるのかハラハラしたりするため、思うように進めないときにプチ癇癪を起こすことがあったのですが、攻略動画を見るようになってからは随分減りました。おそらく事前に見ておくことで心の準備ができて安心してゲームに取り組め、困っても調べたら大丈夫という成功体験になっている様子です。実はむっくんは普段から、映画などもいったん早送りして結末を確認したあとに最初から視聴するスタイルです。そんなむっくんにとって攻略動画は予告や見通しを立てて、安心してゲームを楽しむために重要な役割を果たしているのかもしれません。Upload By ウチノコ実況動画はワイワイ楽しむ派実況動画は弟と一緒に楽しむことが多いむっくん。まるでスポーツ観戦のように、おお!すごい!え?!今のどうやったんだろう??なんてことを話しながら画面にくぎづけです。また、配信者さんのケアレスミスに笑ったり、珍しいアイテムにおお!っとなったり。まるで友達のゲームを見て一緒に楽しんでいるような楽しみ方をしています。私も子どものころはよく友達の家でゲームしてたなぁ、同じものに興味を持って、ワクワクを共有できるって楽しかったな~なんて当時の気持ちを思い出したりしています。人と接することが得意ではないむっくんですが、少しだけ友達と一緒に楽しむ雰囲気を味わえているのかな?なんて感じています。最近では面白かった動画をストックして、友達が来たら見せるんだ!と話したり。お気に入りの配信者さんのようにみんなが面白いって思う動画をつくってみたいなぁと興味の幅も広がってきています。Upload By ウチノコ本質は変わっていない私は小さいころからゲームが好きな子どもでした。親に叱られながらゲーム時間をオーバーして没収されるなど、感慨深い思い出がたくさんあります。そんな私が感じたのは、むっくんにとってゲーム動画を楽しむことは、私の時代での攻略本や、ゲームの設定資料集を読みこむ感覚に近いのかもしれないなという事です。以前実験的に、あるゲームの攻略本をむっくんに買ってみたところ、そのゲームに関しては動画を見ないという面白い結果にもなりました(ただし飽きるまで辞書のような攻略本をひたすら読み込んでいましたが…)。ゲームをした後にゲーム動画を見ていると、つい、ゲームばっかり!と不安になるかもしれませんが。何を知ろうとしているのかという目線で観察してみると、意外と内容はさまざまでお子さんの視点を知るきっかけにもなるかもしれません。また、自分の好きなものを誰かが一緒に見てくれる。同じように楽しんでくれることはとっても嬉しいものです。これからは親子で一緒にゲームだけでなく、ゲーム動画を楽しむ時間を持つのもいいかもしれないなぁと考えています。Upload By ウチノコ執筆/ウチノコ(監修:初川先生より)子どもたちの間でゲームに関する動画はとても人気ですね。むっくんがゲーム動画をどうしてそんなに好きなんだろうと思って分析してみた、というのが素晴らしいです。ウチノコさんはゲームが好きとのことですが、特にゲームをあまりしてこなかった保護者の方だと、「ゲームは良くない」という前提から子のいろいろに対応するため、どうにも対立の構図に陥りやすく、より一層、子はゲームを守ろうと強い態度を取りやすくなり、悪循環になりやすいです。子どもが好きなゲーム、ゲーム動画ってどんなのだろう?と思って、自分でやってみる。まずそこが1つのポイントですね。その際に、なるほどこれは面白いね、と思えればいいなぁと思いますが、そうではないこともあると思います(どうしてこんなのにハマるんだろう、と)。でも、少なくとも、お子さんの興味を引いているのはそのゲームや動画なわけで、それなりの魅力があることは間違いないです。ゲーム実況では、楽しい仲間との関係を疑似体験しているのかもしれない、攻略動画では動画素材によって学ぶことが得意であることの証左の1つかもしれない、ゲームそのものでは、評価がわかりやすい世界は生きやすいのかもしれないなど、お子さんをめぐるさまざまなヒントがあふれていることと思います。ぜひそういう視点もくわえていただいて、「ゲーム・動画と子ども」の関係で何が起きているのかを考えてみてもいいかもしれません。
2022年05月02日「親なきあと」の準備から「親なきあと」になるまでの話Upload By スガカズ私の母はもともと「生活保持義務」や「生活扶助義務」について私に責任をもたせる意思はなく、親なきあとの成年後見人についても、母と母方の親戚の間で、叔父(母の弟)にお願いすると決めていました。兄が20代前半のときです。母の持病が悪化してしまい、重度の知的障害のある兄を育てることが難しくなりました。そのため私たち家族は、兄のこれからの人生を障害者支援施設で送ってほしいと願い、入所するための準備をしました。入所を希望する施設には、同じ社会福祉法人が運営している共同作業所が隣接しています。その作業所は以前から兄が通っていたところで、障害者支援施設に入所した方も利用しています。そのため、仮に施設入所が決まった場合でも、兄の環境の変化が少なく済みます。私は、こういった「親なきあと」の母の意向を早めに知ることができたことは、とてもありがたかったです。私は当時高校生でしたが、「兄を含めみんなが自分らしい人生を送れるのでは」と安心したのを覚えています。それから4〜5年ほど入所を待っていたと思いますが、たまたま空きが出て、施設の入所が決まりました。現在は、施設でお世話になり始めてから18年ほど経ちました。Upload By スガカズ5年前に母は亡くなったのですが、当初の予定通り、叔父が兄の成年後見人になりました。主に母方の叔父や叔母たちが施設に面会に行ったり、ときどき外食に連れて行ってくれたり、物資の調達、医療や支援などの協議、財産管理などをおこなってくれています。私は実家から500キロ離れたところに住んでおり、4人の子どもたちもまだまだ目が離せないので、兄の身の回りのサポートをするのは難しいです。そのため、兄の身の回りのサポートをしてくれている母方の親戚には頭があがりません。コロナ禍で直接会うことは難しい…施設長が提案してくれた「WEB面会」という方法Upload By スガカズわが家の末っ子が5歳を迎えたころ(昨年)少しだけ子育てにかかる時間に余裕ができ、久しぶりに兄の入居する施設に電話をして、兄の様子について聞くことにしました。電話をとった方は施設長でした。施設長は、養護学校(注:現在は特別支援学校)卒業後に通っていた作業所で働いていた方で、兄との付き合いはかれこれ30年近くになります。「(亡くなった)お父さんもお母さんもよく作業所に来てましたよ」と昔話に花を咲かせているうちに、施設長から「よかったら、WEB上でお兄さんと面会しませんか?」というご提案をいただきました。私がなかなか会いにいける状況ではないこと、さらにはコロナ禍で実家にすら帰ることができないという事情を知った上で提案していただきありがたかったです。さっそく施設長の厚意に甘えさせていただくことにしました。電話を切って最初のうちは、私はうれしい気もちでいっぱいになりました。ですが、時間が経つとだんだんと、言葉には言い表せない複雑な感情が芽生えてきました。私が面会することで、兄の情緒が不安定になってしまわないか?という不安Upload By スガカズ私が直近で兄と会ったのは、5年前。母の葬儀のときに兄が支援員さんと参列したときです。そのため、そもそも「あまり会いにこない妹のことを兄は覚えているのか?」といった疑問をもちました。また、このような不安もありました。「仮に妹のことを覚えていたとして、私と面会することで、兄の情緒が不安定になってしまわないだろうか?」兄はもともと情緒が不安定なときに、耳を抑えてうなることはありましたが、癇癪などで表現することがないので、周りに兄の気持ちの変化などがなかなか伝わりません。また、自分の感情を言語化することができません。そのため、私は兄の本心を知ることができず、兄が今までどんな気もちで「親なきあと」の生活を送っていたのか分かりません。ただ、私が知っている事実は、「兄は母の死を今も理解できていない」ということです。母が亡くなったあと、施設の職員さんは兄に「お母さんは、もう会いにこれないって言ってたよ」「天国ってところに行ったんだって」と伝えてくれていました。それからというもの、兄は時折「おかあさん、テンゴクにいった」と、笑顔で独り言を言っているのだそうです。テンゴクはどんなところなのか?なぜテンゴクにいったのか?なぜテンゴクにいくと会いにこれないのか?そこは理解してはいないようです。心の底で兄は、母が面会に来なくなったことを、悲しんでいるのではないだろうか?いつか来てくれるだろうと待っているのではないか?もしそうだとすれば、私(家族)が面会することで、「母に会いたい」と思い、情緒が不安定になってしまわないか?不安定にさせてしまうのであれば、「兄に会いたい、話したい」と私が思うのはただのエゴなのではないか?そういった複雑な気もちが芽生えました。外の世界で、兄とは別の人生を送っていること、自由に行動できることへの罪悪感Upload By スガカズまた、私にはこのような感情もありました。5年前に母が倒れたときに、危険な状態だと知り、私は現在の家族(主人と子どもたち)と一緒に実家のある大阪へ向かいました。2週間ほど滞在し、毎日出来る限り付き添いましたし、意識のあるうちに子どもたち(孫)に会わせることもできました。ですが、重度の自閉スペクトラム症と知的障害のある兄は自分から母に会いに行くことはできません。母の命をつなぐ処置が施されている病室(ICU)に、多動の強い兄を連れていくことはできないと思いましたし、母方の親戚も同じ考えだっただろうと思います。私はこういった「私(きょうだい)は外の世界で、兄とは別の人生を送っている」「私は重要な場面で、自由に行動ができる」という事実を考えると、兄に対して申し訳なさに似た気もちがありました。兄はそういった状況を理解しているわけではありませんし、望んでいるわけではありません。「申し訳ない」と罪悪感を持つのも私の気もち次第ではあるのですが…。複雑な気もちを抱えたまま面会。笑顔の兄を見てすっかり気もちが楽にUpload By スガカズ昨年の11月に、いよいよ兄と会う日がやってきました。私は自宅のリビングで、兄は施設の事務所から、画面を通して面会しました。始めに兄のケース担当の方と話をして、5分ほどして兄がニコニコしながら事務所に入って来るのが見えました。私は「Yくん(兄の名前)!」と声をかけました。最初は目があったのですが、スルーされました。どうやら事務所は普段入ることができない場所のようで、兄は目をキラキラと輝かせながら事務所にあるものを手にとっては戻し、手にとっては戻しを繰り返していました。その様子を見て、今まで私にあった不安な気もちが消えました。多動の強い兄の行動や表情は、一緒に住んでいたときと同じだったのです。「Yくん、この人誰?」と私自身を指さして聞いてみました。すると、私の方を見てすぐ、「カズちゃん!」とニコニコしながら答えてくれました。そして、また先ほどと同じように周りを気にしていました。妹の私を覚えているのもうれしかったですが、なにより、妹よりもまずほかのことに目を向けて楽しそうにしている兄を見て、安心しました。家族(私)を気にしている様子があるのなら、それは「母が来なくなって今も寂しい思いをしている」ともとれるのではないかと思ったのです。Upload By スガカズそのあと、兄のケース担当の方から、最近の兄の様子や生活について詳しく聞くことができました。その話から兄にとっての「自分らしい生活」が送れていると感じましたし、担当の方にあたたかく見守っていただけていると感じました。面会の時間は1時間ほどだったのですが、終わるころにはすっかり私の心は軽くなりました。「Yくん、がんばってね。また会いに行くからね」と伝えると、兄は「うん、うん」とうなづきました(言葉は理解せずともあいづちをうってくれました)。Upload By スガカズここ数年、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、入居している障害のある人の家族は面会が思うようにできないという話を聞きます。そういった中でWEB面会が今回できたのは、コロナ禍であることが要因の1つかも知れませんが、私のように実家から離れて生活をしているきょうだい、家族にとっては、とても貴重なよい経験でした。現在は2〜3ヶ月に一度施設に電話をして、兄の様子を聞いたり、兄が好きなお菓子を送るようにしています。今はまだそういったことしかできませんが、10年後にはまた違った関わり方ができるようになると思います。はじめに提案してくださった施設長には心から感謝します。執筆/スガカズ(監修:三木先生より)「親なきあと」は本当に難しい問題ですよね。どういう方法や状態がベストなのかは、その人によっても違ってくると思います。そして、相当な悩みと葛藤を過ぎたあとでないと、「これでいいのかな」と思えないこともよくあります。お兄さんのコンディションや反応がどうであったとしても、そのとき、そのときを過ごしていくことで、お互いに安心できる状態になっていくのかもしれませんね。
2022年04月30日「新学期」をテーマにした学校生活に役立つコラムをピックアップ!新学期、入園、入学、進学などもひと段落し、新生活にもだんだんと慣れてきたころでしょうか。今回は「新学期」をテーマにした、学校生活に役立つ情報コラムや連載コラムなどをピックアップ!新学期のストレス問題、合理的配慮の求め方などの役立つ情報から、新学期のあるあるトラブル、解決ライフハックまで、さまざまなコラムがあるのでぜひ参考にしてみてください。2021年度に実施した、LITALICO発達ナビのユーザーさまへのアンケート調査では、「発達が気になるお子さまを育てる中で、課題や困難を感じるのはどのような場所ですか?」質問への回答結果を見ると、かなりの多くの方が学校や保育園、幼稚園での悩みを抱えていることがわかります。特に新学期、子どもも親も慣れない環境にガラリと変わることで、かなりの不安や悩みが出てくる時期ではないでしょうか。特性があり、支援が必要な子どもを持つ保護者の方にとっては、担任の先生にどこまで合理的配慮を頼んだらよいのか、どのように伝えたらよいのかも悩ましいところですよね。さまざまな体験談と解決策を描いたコミックエッセイから、こうした悩みの解決のヒントを見つけられるかもしれません。Upload By 発達ナビ編集部学校生活に役立つ情報コラム新学期が始まりもうすぐ1ヶ月。環境や関わる人が大きく変わることの多い新学期は、子どもも親も気づかないうちに疲労やストレスがたまりがちに。子どもの出すイライラサインや症状とはどんなものなのでしょうか。新しい学校、クラス、友達との出会いにお子さんがわくわくしている一方、親としては新しく子どもの担任になる先生との連携や協力、合理的配慮のお願いなど心配事もたくさんあります。そんな新しい先生との関係の築き方、コツを解説します。新学期についてのコミックエッセイASDのあるミミくん。小学2年生進級前のギリギリのタイミングで担任の先生が変わることが分かり…!?新学期に母親のtaekoさんが新しい担任の先生にお願いしたこととは…?3歳のときに自閉スペクトラム症と診断を受けた長男けんとくん。年中のときに市の発達支援施設から地域のこども園に転園することになったのですが、不安なことだらけで…。そんなけんとくんの入園式~入園してすぐのエピソードです。自閉スペクトラム症と知的障害があるほぺろうくん。3歳のころに保育園に入園したのですが、癇癪を起こしたら?お友達とコミュニケーションは取れる?一緒に保育園生活できるの?と母親のぼさ子さんは不安がいっぱいで…。自閉スペクトラム症(広汎性発達障害)のある長女あーさん。休校あけの新学期、「学校は楽しい」と言っているのになぜか家や放課後等デイサービスで大号泣!その原因は以前もあった「あること」が理由で…。4月(新年度)になると、情緒不安定になる自閉スペクトラム症(広汎性発達障害)があるあーさん。毎年恒例のことだから…と母親のSAKURAさんは覚悟していましたが、今年は何もかも一味違い…!?4月は入園・入学・進級に合わせて持ちものを新調するご家庭も多いのではないでしょうか。上履きの左右問題、ランドセルのフック、折り畳み傘の開け閉めなど、特性のある子のつまずきやすいポイントを解消する工夫がたくさん紹介されています。発達障害がある子どもの進学、進級問題。何が最適なのかがわからず、悩んだり不安に思ったりすることも多いのではないかと思います。子どもに合う居場所を見つけるのが大切ですが、どのように見守ったら良いのでしょうか。まとめ新学期は、子どもにとって環境が大きく変化するため、子どもにとっても、親にとってもストレスや不安を抱えがちな時期です。親子で取り組めること・先生にお願いしたいことを考えたうえで、先生と良好な協力関係を築き、子どもが楽しく過ごせるように学校生活をサポートしていくことが大切です。
2022年04月30日感覚過敏と感覚鈍麻Upload By かさはらあやこ自閉スペクトラム症のある息子は感覚過敏も感覚鈍麻もあります。この過敏や鈍麻がきっかけでパニックや癇癪が起こってしまうので、いち早く気づいて不快感をなくす、または軽減することに日々意識を集中させています。とはいっても、意思の疎通が困難なため、現時点で息子に出ている症状は、母親である私の予想、想像でしかありません。また、以前は大丈夫だったのに急に過敏さを感じたり、反対に過敏だったのに大丈夫になったり。その度合いが成長や季節や体調によって変わるので判断がとても難しく、感覚過敏によって実際どのような症状が出てどのくらいつらいのか…?それを分かってあげることはできません。複雑な触覚の過敏さUpload By かさはらあやこ実際に息子にあると感じている感覚過敏をご紹介します。まずは聴覚過敏と触覚過敏です。聴覚過敏は、耳の奥が痛くなったり、頭痛やめまいなどを伴うこともあると言います。触覚過敏は皮膚に触れるものに対しての感覚過敏で、洋服がチクチクする感覚や、雨や風が皮膚に当たると痛みを覚えたり、他人に触られるのが苦痛という場合があるそうです。息子の場合は赤ちゃんのころ(現在もですが)、インターホンや郵便配達のバイクの音など、外から聴こえる音に反応してすぐに起きてしまう子でした。私は極力音を立てずに生活をし、インターホンのスイッチを切ったり、夫が出掛ける際や帰宅したときの物音がうるさいと腹を立てたり。周囲に神経質だと言われ、自分でも神経質だと自覚するぐらい気を遣っていました。それぐらい寝かせることに苦労していました。呼びかけに反応せずあまりにもしゃべらないので、「耳が聴こえていないのでは?」「病院に行ったのか?」と周囲に言われたこともありましたが、特定の音楽ですごく泣いたり、テレビから好きな番組の音楽が流れてくるとどんなに小さなボリュームでもすぐに反応してとんでくるので、絶対に聴こえていると思っていました。妹が産まれてからは、赤ちゃんの泣き声をとても嫌がり、妹が泣くと息子もパニックになり同時に泣き叫ばれる日々が続きました。今でも、入眠時に妹の声が聴こえただけで酷く怒って泣いてしまうことがあります。あやそうと抱っこをしてものけぞってしまい、うまく抱けずにより激しく泣き、どうにもできない自分の無力さに泣いていた記憶が頭をよぎります。普段から手を触ったり身体を触ったりしても嫌がられ、抱っこをしても自分の力では抱きついてくれないので、しっくりきません。未だに、求められたときにしか抱きしめられない状態です。たまに甘えてきて頬が触れるようなときも自分の手をしっかり顔の間に挟んで触れないようにガードしています(笑)。もちろんマスクをつけることはできません。寝るときに使うタオルはふわふわよりガサガサな質感でなければ怒ったり。風が吹くと凄く嫌がったり、飲み物を服に少しこぼしてしまっただけで激しく怒り出すこともありました。味覚と視覚もUpload By かさはらあやこ次に、味覚過敏です。これこそまさに偏食の原因だと思います。特定のものしか食べることができません。(抱かれるのも嫌がるし)母乳を飲むこともできませんでした。味や食感が少しでも違うとすぐに吐き出してしまいます。特に薬は98%見破るので、飲ませるのに本当に苦労します。そして視覚過敏。息子の場合は、光を眩しく感じて目を開けられない過敏もありますが、テレビに登場すると目を隠して嫌がり、パニックになって泣き出してしまうキャラクターが何種類か存在します。そのキャラクターの色が共通していることもあり、もしかすると色に対しての過敏があるのではないかと思っています。母親もつらくなる感覚鈍麻Upload By かさはらあやこそしてとても困るのが、感覚鈍麻。息子の場合、40度の熱があっても元気に走り回り、怪我をした瞬間の痛みには反応はありますが、その後はすぐ泣き止み、痛がる様子が分かりづらいので、目の届かない範囲で起こった怪我は気づくのが遅くなってしまいます。これが感覚過敏と合わさると厄介で、怪我をして、手当をしたくても触覚過敏で絆創膏を貼ることはできず、鼻血が出ても詰め物はできず、熱が出ても冷やすこともできず。薬を塗ることもできず、飲むこともできず…。頭に大きなたんこぶがあるのに、痛みが分からず、自傷行為で同じ場所を何度もぶつけたり、傷ができた場所が気になって、傷口をえぐるような行為をしてしまったり。痛いときや苦しいときや、不安でどうしようもないとき。何もしてあげられないことが母親として本当につらく…できれば怪我をさせたくないできれば風邪をひかせたくないできれば癇癪は極力避けたい…!!!そんな思いで日々生活しています。そりゃ神経質にもなるわ!と、そう思っていただけたら本望です。執筆/かさはらあやこ(監修:鈴木先生より)自閉スペクトラム症には感覚過敏が、知的発達症(知的障害)には感覚鈍麻がある傾向にあります。感覚過敏の中でも音(聴覚)過敏が最も多く、それが原因で不登校になるお子さんもいます。教室内のちょっとした音、音楽の時間、大声の先生などです。赤ちゃんのときは新聞をめくる音やお皿のあたる音などにも敏感に反応してモロー反射が起きることが多いです。成人ではアパートの隣や上階の音が気になったり、出かけるとき電車だと他人の話し声が気になるため自家用車で行ったりという人も多く見られます。視覚過敏の色に関しては、以前赤い服の先生に激しく怒られた既往がある場合、その後は赤い色を着た人はすべて怒られるものだと思い嫌がるといったこともみられます。白いご飯は食べられても、ちょっとゴマがふりかけられていると別物と思い食べなくなります。触覚過敏で多いのはシャツのタグが首の後ろについて嫌がるケースです。自分でタグをとるか、その服は着たがらないです。タグのないシャツかジャージーが喜ばれます。電車で横に座った人の足が接触するのも痛がるので端に座る傾向があります。療育としてはリハビリのOT(作業療法士)が行う感覚統合訓練や、音楽療法士が行う音楽療法を幼少期から受けることによりいろいろな過敏性は軽減していきます。そのためにも、かかりつけ医に相談して専門医に紹介してもらい、早期に診断して支援につなげていく必要があると考えています。
2022年04月29日止まらない、娘のおしゃべり。広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)のある娘は、小学4年生ごろから反抗的で発言と行動の矛盾が多くなりました。発達検査を前に、久しぶりに発達外来を受診することになったため、私は娘の行動の原因と、その対策を聞いてみることにしました。待ちに待った発達外来の診察日。担当は、今までの先生とは違う方でした。聞きたいことが山ほどある!私は、早く聞きたくてうずうずしていたのですが…Upload By SAKURA先生と娘の話がなかなか終わらない!定期的に受診していた小学2年生のころは、先生に聞かれたことしか答えなかった娘でしたが、小学5年生になり、言葉も成長していた娘のおしゃべりは、なかなか止まりませんでした。いつもと違った診察の方法に動揺!先生と娘だけの話が始まって15分ほど経ったころ、ようやく私に話がふられました。いつもなら最初、先生と娘が話をし、それが終わると、娘の相手をする看護師さんがやってきます。娘の様子や困りごとなどの話をするときは、先生と私だけです。娘が、私たちの話を聞くことはありません。しかし今回は…Upload By SAKURAなぜか先生は、娘の相手をするために来た看護師さんを、退出させました。話を始めようにも、娘がいる…話を聞かれたくない…私が、「できれば娘のいないところで話したいのですが…」と言うと先生は、『話してどうぞ』というジェスチャーをしていました。仕方なく私は、娘がいるため、言葉を選びながら、最近の様子を話しました。Upload By SAKURA最初はなるべく、娘が分かりにくいような言い回しを選んでいたのですが、途中私が気持ちをおさえられなくなってしまい、娘の前で愚痴のような内容になってしまいました。娘は、私に悪口を言われたとショックを受け、隣で泣いてしまいました。久しぶりに近づいた、娘との心の距離。だから聞かれたくなかったのに…私は娘に対して申し訳なく思い、同時に先生に対して、疑問を持ちました。すると、先生は…Upload By SAKURA先生から直接聞いた訳ではないので、ここからは私の予想ですが…先生は話を聞き始めたとき、私と娘の間の不穏な空気を感じ取ったのかもしれません。娘の話からも、矛盾感を感じ取った…。だから、私の話をあえて娘に聞かせるため、同席させたのかもしれません。何ヶ月もピリピリした状態が続いていた私と娘の心の距離が、久しぶりに近づいた気がしました。原因は、「自立心」と「自立力」のバランス?それから先生は、娘の発言と行動の矛盾の原因を話し始めました。Upload By SAKURAこの説明には、目からうろこでした。今まで、矛盾を感じていた娘の行動すべてが、理解できました。今の娘に必要なこと。娘の行動の理由は分かった…しかし、私が知りたいのは、この状態を改善する方法があるかどうかでした。Upload By SAKURAその方法とは、娘に決めさせる…?先生の言った方法は、「あーさんに、選択も結果も全て委ねる」というものでした。Upload By SAKURA次のステップへ。私は、いつも娘がパニックにならないよう、失敗しないよう、いろんなことを先回りして声かけをしていました。「○○しないと、~になっちゃうよ」「先に○○したら?」「忘れ物ない?」など、娘がスムーズに過ごせるように、良かれと思ってしていたことでした。これは私が娘の発達に問題があると分かってから、歩んできた日々の中で、言うなれば自然と身につき、染みついて離れなくなっているような…私のスキルのようなものでした。Upload By SAKURA娘がパニックを起こさないため、私が先回りしての声かけは、今の娘には不必要な支援だったのです。私は、いつまでも娘が幼くて、パニックを起こして泣いていると、思い込んでいたのかもしれません。「次のステップへ」という言葉は私の中で、区切りのように感じたのです。Upload By SAKURA執筆/SAKURA(監修:三木先生より)ご本人を場から外さないことも含めて、ちゃんと「あなたのテーマだからね」ということを明示してくださる先生なんですね。そういうメッセージも「本人のテーマを本人が扱う」ためのステップとして、素晴らしいと思います。
2022年04月27日切り替えで大癇癪勉強会で知ったのは…Upload By ゆきみ言葉が遅く、1歳半健診で指摘を受けた長男けんとは、市の発達支援の親子教室に通っていました。「毎日体を動かしましょう」とアドバイスをいただいていたのですが、散歩を嫌い、公園へ行っても座り込んで砂をサワサワ触るだけ。どうにか少しでも歩いてほしいと、大好きなエレベーターと駐車場があるショッピングセンターによく行きました。しかし3歳のころ、大好きなエレベーターに乗りまくったあと、お気に入りの場所である、地下1階にある駐車場の事前精算機の前で動かなくなってしまったのです。帰るために離れようとすると大癇癪!!床をゴロゴロ転がって抵抗し、隙をみてママから逃走してお気に入りの場所へ…。そのころはまだ弟が赤ちゃんだったので、暴れるけんとと2人を抱っこして車に連れていくのが本当に大変で、気がめいってしまいそうでした。そんなときに、親子教室や発達支援施設でおこなわれた勉強会に参加し「視覚支援」というのがあることを知ります。ネットや本でも調べてみて、軽い気持ちでやってみることにしました。視覚優位!?視覚支援がピッタリはまったUpload By ゆきみショッピングセンターに到着。「1 エレベーター」「2 ちゅうしゃけん」「3 くるま」「4 おかし」など、言葉と簡単なイラストも添えて紙を見せてみました。指をさしながら「次は駐車場だね」「次は車だね」と案内していくと、泣くこともせずに自らの足で次の場所まで歩きだしたのです!たった1枚の紙でこんなに違うの?と本当にビックリ!それからというものの「まだ帰りたくない」と癇癪をおこしてしまうような場所へいくときは紙を持っていき、順番を書いて見せることに。その後、4歳ごろに通っていた発達支援施設の臨床心理士の先生に「けんとくんは視覚優位なタイプだと思います」と言われました。文字が読めなかったり、説明するのが難しい場所へ行ったりする場合、予めインスタントカメラやスマートフォンなどで撮影をして、写真を見せるのも有効的かもしれないとアドバイスをいただきました。発達支援施設の先生の案で新たな発見Upload By ゆきみ「いつもと違う行動」というのが苦手なけんと。忘れ物に気がつき、家に引き返そうとしたときや、帰宅途中にコンビニへ寄ろうとしたときに大癇癪をおこしてしまうことがありました。「お店に寄ってから家に帰るよ」と口でいくら言っても泣き止まないのに、紙に「おみせ→いえ」と書いて見せるだけでピタリと泣き止むことも。年長で通っていた発達支援施設では「おわりの会」のときに数人が「今日の感想」を発表するというのがありました。けんとは、これが大好きで毎回発表をしたがったそうです。ですが当番制!毎回は無理です。どうしても発表したいけんとは大号泣。それが何回か続きました。そこで先生が提案してくださったのが、カレンダーを印刷し、けんとの当番の日に丸をつけてくださるというもの。施設に行く前にカレンダーを見ながら「今日は発表だね」と確認してから行くと、泣くことはなくなりました。年齢と共に少し変化!?6歳の現在は…Upload By ゆきみ6歳になった現在は「忘れ物を取りに帰る」「寄り道して帰る」というのがどういう状態なのかというのを理解したようで、文字にせず、口での説明だけでも大丈夫なことが増えてきました。それでも視覚を使わないと理解が難しいことも多く、試行錯誤の毎日です。これは最近分かったのですが、うちの子の場合「なるべく前もって見通しを伝えておく」「予定変更になりそうな予定も含めて伝えておく」というのも大事なポイントのようでした。今から思いかえしてみると、ショッピングセンターで見せた紙の最後をいつも「おかし」にしていたのがお菓子大好きけんとくんは「食べたい!」となり上手くいったのかなーなんて思ったりもします。イラストを書いたり、文字で書いたりと、ひと手間を加えるのは少し面倒なときもありますが、これからも「こんな小さなことで変わる?探し」を楽しむ気持ちでいけたらいいなと思っています。執筆/ゆきみ(監修:初川先生より)視覚支援をめぐる驚いたエピソードの共有をありがとうございます。ASDのあるお子さんは「視覚支援」「見通しを提示する」がピタッとはまることが多いです。視覚的な刺激に引っ張られやすいため、お母さんの声掛けが入りづらかったり、言葉は分かっていても、実際の物事や展開と一致させることが苦手であったりするため、絵や文字で提示するのは有効なことが多いです。また、予期せぬことにパニックになりやすいASDのあるお子さんも多くいらっしゃると思いますが、だからこそ、あらかじめ見通しを提示しておくことは安心感につながります。年齢が上がるにつれ、急な変更が入りやすい場合は、そのことも見通しの中に入れておくことができますし、そういったことにも慣れてくると、急な変更にも少しずつ慣れていくこともあります。「こんな小さなことで変わる!?探し」、素敵ですね。小さな工夫でも本人に合っていればうまく機能することは結構あるかもしれません。ぜひ楽しく探してみてください。
2022年04月27日子育て楽じゃありません
細川珠生のここなら分かる政治のコト
私の愛すべき家族