「発達障害」について知りたいことや今話題の「発達障害」についての記事をチェック! (33/98)
トラブルの多い息子。上履きを隠された!?Upload By かなしろにゃんこ。小学校時代息子のリュウ太は、しょっちゅう周りとケンカをしていました。売り言葉に買い言葉で、いつ誰に恨まれていても仕方がない状態でした。そんなある日、息子は学校で誰かに上履きを隠されてしまったのです。上履きを隠されてしまい、仕方がなく裸足で過ごしていた息子。先生は、「上履きがない間はPTA来賓用のスリッパを履いていましょう」と持ってきてくれ、リュウ太はその間スリッパで過ごしていました。Upload By かなしろにゃんこ。机に座っていてもスリッパはすぐ脱げるため、リュウ太は授業中、座っている間は裸足になっていました。それが案外よかったようで、上履きがなくなってもテンションが下がることもなく「スリッパ意外にイイ」と気にいっていました。下駄箱からなくなってしまったときは怒ったものの、時間が経てば忘れて怒りがすぐに静まるのです。一方で先生は、「上履き隠し=いじめ」と感じたのでしょう、放課後必死に探してくれて「校舎の裏に落ちていました!」と上履きを見つけてくれました。あとから聞いたところリュウ太自身は先生が心配して探してくれている間、床に寝ころんだり、まったりして自分で探そうとはしなかったそうです。上履きがなくなったことはどうでもよくなって(完全に忘れていた?)、のびのび過ごしていたようでした。Upload By かなしろにゃんこ。私自身も(上履き隠し事件は誰でも通る道なのでは?)と深刻には捉えてはいませんでしたが、先生はこのようなトラブルが起きたことを謝ってくれました。そのとき、先生は「以前ケンカなどをした子かもしれません、リュウ太くんに仕返ししたいけど面と向かってできない場合はこのような形で嫌がらせをすることがあります。上履きを隠した子も、悩んでいたり悔しい思いをしているということなのかもしれません」とおっしゃっていました。先生は上履きを隠した子に心当たりがあるようでしたが、今回は犯人捜しなどせず、しばらく様子を見てみることを教えてくれました。Upload By かなしろにゃんこ。上履き隠しトラブルは、息子の普段の行動にもワケがある?Upload By かなしろにゃんこ。息子に聞いてみると、「これまでほかの人に対して競争心を持ったり、ライバル視などをしたことはない」と言います。嫌がらせをされない限り、自分から無条件で誰かを攻撃したりもしないので、思い返せばこれまで起きた対人トラブルは、周りがリュウ太に干渉してきてトラブルになる、というパターンばかりでした。しかし、売られたケンカは買ってしまうリュウ太。そのときの相手を言い負かすような行動が、誰かを苦しめていた…?対人トラブルがあると「苦しんでいるのはこっちじゃ!」と思ってばかりいましたが、それだけでもないのだと知りました。ただ、そう思っても仕返しのために上履きを隠すという心理は理解しがたく、私はモヤモヤした気分になったのでした。ですが、リュウ太自身は上履きを隠されても「スリッパ最高!」とダメージを感じていないので、それでもうヨシとしておこうと思いました。Upload By かなしろにゃんこ。これでは上履き隠しをした子は、仕返しのためにやったのだとしてもスッキリしないでしょう(笑)。 作戦失敗と感じたかもしれません。その後、靴を隠されたことが一度あった程度で、履物のトラブルはなくなりました。もしかしたら隠した方も深い気持ちはなく、遊びのノリだったのかもしれません。とはいえ、当時のことをどう思っているのか成人になった息子にこのときの話を聞いてみると、嫌な思い出になっていなかったことが分かりました。スリッパの対応などを素早く提案してくれた先生に感謝です。執筆/かなしろにゃんこ。(監修:井上先生より)子どもが上履きを隠されたという事実を知ったときに親としては、かなり動揺すると思います。先生が丁寧に説明をしてくださり、その後の対応もうまくされたのだと思います。上履きを隠されたリュウ太さん自身が、あっけらかんとしていることは親の立場から見ると肩透かしをされた感じかもしれませんが、お子さんによっては極端に不安を感じ学校に行くのが怖くなってしまうお子さんもいるので、それを考えると逆に安心されたのではないでしょうか。学校の中のトラブルに関して親は、実際にその場にいないですし直接関与できないのですが、先生としっかり連携していくことで解決していける問題は多いと思います。
2022年04月26日初めて聞いた「発達外来」Upload By まる息子の発達の遅れが判明してから相談しにいった発達支援センターで、心理士さんから発達外来(※)の受診を促された。そのときは具体的な理由を言われなかったが、今振り返ると息子を支援に繋げていくためだったんだなと思う。私は発達外来の存在を知らなかったため、『発達障害って病院にかかるのか!』と内心驚いたことを覚えている。それまでは「発達障害=療育へ行く」だけだと思っていたのだ。心理士さんより、「行くなら院内にOT(作業療法士)やST(言語聴覚士)のいる病院がいいよ」と教わったのだが、調べてみるとそんなに数がない。私の住んでいる地域でその条件を満たしていて家から通えそうな病院が3ヶ所ほど。1番近い病院は毎月1日の朝からその月の診察を電話で予約するのだが争奪戦らしい。1日は仕事の予定があったので朝から電話をすることができず、お昼の休憩時間に電話をかけてみたのだがすでにその月の予約は埋まってしまっていた。仕方なく家から電車とバスを乗り継いで1時間ほどかかる病院に決めたのだが、そこは紹介状がないと受診ができない。急いでかかりつけの小児科へ行き紹介状を書いてもらった。※発達外来…小児科の中に設置されていることが多い。診察時間を絞り、発達が気になる・遅れがあるお子さんを専門医が検査・診断したり、助言(療育・子育て)や投薬を行ったりする。緊張しながら病院へUpload By まる発達支援センターで発達外来の受診を勧められてから数ヶ月後、リュウが2歳8ヶ月ごろに初受診をした。当時の息子を連れて電車とバスを乗り継いで病院まで行くのは大変だったため、初回は父(息子の祖父)に車を出してもらった。初受診の際は紹介状と母子手帳を持って行った。息子が自閉スペクトラム症だと言われるのか、ドキドキしながら呼ばれるのを待っていたのを覚えている。担当になってくれた先生は優しそうで、でもハキハキと喋ってくれる女性の先生だった。初受診Upload By まる「リュウくんこんにちは!」先生がリュウに話しかけるも息子はスルー。キョロキョロと室内を見回し自由に動き回っている。そんな息子の様子を見ながら先生といろいろな話をした。言葉がまったく出ていないことや発達状況、家族構成や身内に発達障害がある人や病気の人はいるか、保育園のこと、仕事のことなど、さまざまなことを聞かれた。「いつごろ歩き出した?」「いつごろ指差しした?」なども細かく聞かれるのでこれから受診を控えている方はメモして行った方がいいと思う。私はまったく用意してなくて「いつできた?」の問いかけにしどろもどろになってしまった。特に先生の口から自閉スペクトラム症などの診断名が出てこないので、恐る恐る「この子は発達障害があるんですか?」と聞いてみた。すると、言葉が出ていないことに関して、ただ言葉が出ていないだけ(こちらの言うことをちゃんと理解している、やりとりができる)ならただ言葉が遅れているだけの定型発達かもしれないが、やりとりができていない、理解も及んでいない部分が見えるので「発達障害の可能性が高い」と伝えられた。ただ、「まだ発達検査をできる段階ではないためハッキリと断言できない」とも言われてしまった。発達外来へ行くようになってUpload By まるそれから3ヶ月毎に発達外来を受診することとなった。行くたびに近況報告で、「こんなことができるようになりました!」「こんな発語がありました!」などを伝えている。先生も「おー!すごいねぇ!!」と褒めてくれるので私も嬉しくなってしまう。受診時間は15分程度で病院への移動時間や待ち時間の方がだいぶ長くかかるが、息子のできたことを伝え、発達外来の先生に褒められるということが嬉しくて受診が苦ではない。定期的に気になったことの相談もできるし、その後、発達検査を受けてOTやSTの訓練にもつながることができたので、発達外来に通うようになってよかったと思う。執筆/まる(監修:井上先生より)発達外来に通ったことで、お子さんの得意なことや苦手なこと、少しずつできるようになっていくことなど、さまざまなことに気づけるようになったのはよかったですね。通うのに時間がかかったり、待ち時間が長かったりとその間どのように過ごされたのかと想像するとさまざまなご苦労があったことでしょう。投薬などはなくても、定期的に主治医の先生にお子さんの発達の様子を見ていただくことは、まるさんの感じておられたメリットのほか、子どもさんが少し大きくなってきてからも健康管理やさまざまな行政書類、学校への意見書などを書いていただけたりなど、たくさんのメリットがあると思います。
2022年04月26日発達ナビユーザーの体験をコミックエッセイ化!発達ナビにて行っている「みんなどんなトラブルで悩んでる?アンケート&エピソード大募集!」。今回はその中で投稿のあった「癇癪」についてのエピソードをコミックエッセイ化してご紹介します。2歳ごろから癇癪が激しかった娘娘は2歳前ころから癇癪が激しく、私の悩みの種でした。癇癪が始まると声が大きくなり、同じ娘だとは思えないような怖い表情になり、顔を真っ赤にしたまま1時間は癇癪モード。2時間くらいになるとさすがに疲れてくるのか、だんだんと落ち着いてくる、というのがほとんどでした。2歳ごろはいわゆるイヤイヤ期なのだろうと思っていましたが、3歳になっても、4歳になっても、5歳になっても落ち着くことはありませんでした。むしろ年齢が上がるごとに声はどんどん大きく出せるようになり、発語もはっきりしてきたため、癇癪を受ける側のダメージはアップしていきました。Upload By 発達ナビ編集部自分の要望が満たされなかったり、本人の予測と違ったことが起きると娘は癇癪になりました。特に癇癪を起こすタイミングは「出かける前」。そして娘が一番癇癪を起こしやすいパターンは「遊びを中断する」ということでした。そのため、出かける前に娘が時間がかかりそうな遊びを始めるのは高リスクでした。娘が遊びに熱中しすぎないように声をかけて気を逸らしたり、短いテレビ番組を流して”観終えたら出発”と約束してみたり、毎日同じ方法ではうまくいかず、とにかく娘がご機嫌に出かけられるようにできることを日々いろいろと考えました。その甲斐もあり「これから出かけるから、一旦遊びは終わらせて一緒に行こう」と落ち着いて話しをして、癇癪を未然に防ぐことができる日もありました。穏やかな朝が一変!掃除機が癇癪の引き金に娘、4歳5ヶ月のころ。その日は、いつもよりも穏やかに1日がスタートしていました。娘は朝の着替えを嫌がることもなく、朝ごはんもおいしそうに食べ、幼稚園に行くというスケジュールも理解していました。普段だったら娘が不機嫌になり、バタバタと出かける準備をしているくらいの時間だったのですが、不思議なくらいスムーズに事が運び、時間に余裕がありました。出発時間まではあと30分ほど。娘が出発前におもちゃを出して遊び始めても、落ち着いて話せば遊びをやめて出かけられそうな雰囲気がありました。時間があったので、私は少し離れたところで掃除機をかけ始めました。この油断がいけなかったのです。この日は、これが癇癪の引き金でした。娘「掃除機しないで!!」母「嫌だった?ごめんね」…娘の表情はみるみる変わっていきました。娘の表情を見たら(ああ、もうこれは癇癪モード突入だ…)とすぐに分かりました。Upload By 発達ナビ編集部癇癪のとき娘は「お母さん、ねえ、聞いて!」と叫ぶのがお決まりでした。「うん、なあに?」「聞いてるよ」と私が言っても、娘は理由などを言うわけでもなく…。娘が話し始めるのを待っていると「だまらないで!」「しゃべって!」と叫びます。そのあと私が「聞いてって言ってたから、待ってたんだよ」と言うと「しゃべらないで!」と娘、そして「お母さん、ねえ、聞いて!」に戻る…という。こんなやり取りが1時間続くというのがいつものパターンでした。こうなると私はもうサンドバッグ状態でした。完全に娘はパニック状態なので、少し距離を置いたほうがいいのかなと思い、そっとその場から離れようとすると「行かないで!」と叫ぶのです。娘が我に返るまで、私はとにかく娘のそばで終わるのを待つしかありませんでした。いつもの癇癪と思って耐えていたら、警察が…その日、癇癪が始まって40分くらいしたとき「ピンポーン」と自宅のインターホンが鳴りました。インターホンのモニターをみると、そこには警察らしき人が映っていました。「ああ、通報されちゃったんだな」とすぐに分かり、涙が出てきました。その日は窓を開けておくと気持ちがいい6月のとある日(しかも私の誕生日…)、大声で「お母さん!」「行かないで!」と言う声が外に響いていたのでしょう。Upload By 発達ナビ編集部突然のインターホンの音と「お巡りさんだ!」という私の声にびっくりして娘の癇癪も収まり、私は娘と一緒に玄関に向かいました。警察の方「○○署の者です。お子さんの泣き声がすると連絡があり…、お母さんどうして泣いているんですか?」私「すみません…。心配していただきありがとうございます。すみません、娘が癇癪を起こしてしまって…」このころ娘の癇癪がない日はほとんどありませんでした。毎日必死で向き合ってきたのに、それは誰にも伝わっていないんだな…と感じ、私はやるせなく涙が止まりませんでした(しかも誕生日なのに…!!)。Upload By 発達ナビ編集部そのあとは警察の方が、娘に「こんにちは」と言うと娘も「こんにちは」と答え、親子と警察の方で少し他愛もない会話を交わしたあと、心配ないと思ってくださったのか、特にほかに何か聞かれることはなく帰っていきました。ご近所の方への感謝と切なさ私は自分の地元を離れ子育てしており、このころご近所付き合いもほとんどありませんでした。ご近所の方は、子どもの激しい泣き声を聞いて、娘を心配して通報してくれたのだということは分かりますし、地域の方が子どものことを気にしてくださることに感謝をしています。ただ、娘がどんな子どもなのか、私がどんな子育てをしていてどんなことで悩んでいるのか、わが家がどんな家庭なのか…このとき心配してくださった方に伝える手段がなかったことが悲しく、少し苦い思い出として残っています。そして、誕生日が来る度に思い出します。この出来事のあと、私は地域の行事に親子で参加したり、地域の方と話す機会を意識してつくるようになりました。娘の激しい癇癪は私(母)に対してがほとんどですが、小学2年生くらいまで頻繫におきました。10歳になった娘は、今でもたまに怒りがコントロールできず「お母さん、ねえ、聞いて!」と言うお決まりのセリフで1時間怒っていることがあります。まさか10歳まで続くとは思っていなかったのですが、理不尽な会話で私がサンドバッグ状態になることはかなり少なくなりました。また怒りが落ち着いたタイミングで「怒る気持ちになると、自分でも言わない方がいいと思うことを言っちゃう」と話してくれるようにもなりました。娘が怒りの気持ちとこれからうまく付き合って行けるように親子でできることをしていきたいなと思っています。エピソード参考/カワカワイラスト/taeko(監修:三木先生)これはとてもつらい経験でしたね。しかし、そんな経験のあとに自分から地域に出ていくという行動を取られたことは驚きと称賛に値すると思います。そういったご苦労のおかげで、いま娘さんはだいぶ落ち着けるようになったんでしょうね。あなたのエピソードもコラムになるかも?体験談募集中!保護者の方が日々子育てをする中で「こんなトラブルがあった」「こんなハプニングがあった」など悩みはつきないと思います。そんな発達ナビユーザーのみなさんの「困った」エピソードを募集しています。テーマは「ゲーム」「不器用」「ママ友・保護者」「祖父母や親戚関係」「ご近所トラブル」などに加え、今回より「自傷」「学習」「不登校」のお悩みも追加募集!癇癪を起こして自分の頭を叩く、地団太を踏むなどの自傷行為…読み書きや計算の困りはもちろん、授業を落ち着いて受けられないなどの学習の悩み…行き渋りや不登校などの悩み…いろいろなお悩みエピソード、お待ちしております。お寄せいただいたエピソードの中から数作品、発達ナビの連載ライターさんにコラムとしてコミックマンガエッセイ化していただき、発達ナビで公開致します!あるあるのエピソードからヒヤリとしたエピソード、SNSなどではなかなか言えないような家族やママ友とのトラブルまで。いろいろな「困った」エピソードをぜひ教えてください。
2022年04月25日先生のお話から検査へ児童精神科を受診し、先生との問診で、今までの次女の経過と現状をお話しました。Upload By まりまりUpload By まりまりその経過と現状から、先生から「次女さんですが、今までのお話から、たぶん場面緘黙といって良いと思います」とのことでした。ただ、続けて「場面緘黙の裏に隠れて発達障害などが潜んでいる場合があるので、そういったものをはっきりさせてからですね」とのことで、いくつか検査を実施することになりました。もともと場面緘黙の本などで読んだりして、その可能性も考えていたので、検査に関しては私としては「ぜひやってほしい!」という気持ちでいました。そして、先生と相談の上、本人には田中ビネー知能検査Ⅴ、バウムテストを実施し、さらに保護者が答えるかたちのPARS-TRを実施することになりました。次女と検査についての話をするUpload By まりまり学校では、話す以外の日常生活はなんとかできていましたが、不慣れな環境では緊張しすぎると固まってしまうことがあります。なので、これから取り組む検査に関して、なるべく不安を軽減できるように事前に説明することにしました。検査の目的については、次女の得意なことと不得意なことを知って、これからの生活に役立てていくこととして説明。バウムテストに関しては、絵を描くことが得意で自信のある次女なので、たぶんなんとかなりそう。ただ、田中ビネー知能検査Ⅴはかなりハードルが高そう…。Upload By まりまりなので、田中ビネー知能検査Ⅴに関しては、ネットで事前に検査で使うグッズの画像を見せて、なんとなくどんなことをするか伝えたり、テストじゃないしできてもできなくても全く問題ないことを伝えたりして、少しでも安心して取り組めるように話をしました。が、次女の反応としては「どんなことやるの」「どんな質問があるの」「間違ったらどうするの」と不安そうな様子は拭えませんでした。まずはバウムテスト検査をする心理の先生と慣れるように、というのもあって、まずバウムテストを実施。これは、問題なくできました!先生からの絵に関しての質問にも、小さい声ですが何とか答えられました。この調子なら、田中ビネー知能検査Ⅴもいけるのでは…と少し期待感が。田中ビネー知能検査Ⅴついに田中ビネー知能検査Ⅴへ。まず、言語性の課題から始まったのですが、声を出すのはもちろん、どれかを選んだり、指差ししたりも、固まってしまって難しい状況でした…。心理の先生が、言葉のいらない道具を使った課題もやってくれたのですが、簡単なものでも全く手が出せませんでした…。Upload By まりまりUpload By まりまり結局、何もできずに検査は中止となったのでした。もしかしたらできるかも!と少し期待していましたが、慣れない先生に慣れない場所で試されるような検査。事前に説明したものの不安感は拭えず、まあ、できなくてもしょうがない…とそこは割り切ることにしました。結果…知能検査は全くできず、結果も出ませんでした。ただ、保護者が答えるかたちのPARS-TRを実施して、その他の総合的な判断から、次女の場合は、発達障害はたぶんなく、場面緘黙との診断となったのでした。こうして、場面緘黙の診断がおりて、正直、ホッとした気持ちが大きかったです。それまで、次女自身が困っていることが多くても、話せずコミュニケーションがとれないことで問題が表面化しないことがほとんどで、「問題なく過ごせています」と担任の先生に言われてしまっていました。なので、診断が出たことで、「支援が必要な子」ということを分かってもらいやすくなったのではないかと思いました。執筆/まりまり(監修:三木先生より)お子さんにとって、検査の場面は緊張しますよね。初対面の人の前で課題に取り組むことは、相当にハードルが高いことです。ご本人や親御さんが「失敗した」という気持ちにならないように我々専門家も気をつける一方で、「どこまでできたか」「どんな様子でできなかったか」という様子が見立ての参考になることも多いです。明らかに無理な検査を強いる必要はないですが、チャレンジしてみると良いこともあるかもしれません。
2022年04月25日ダウン症がある子どもへの接し方Upload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホン家での接し方のコツダウン症がある子どもも反抗期を迎えます。最初の反抗期である、「魔の2歳児」と呼ばれる時期は、自分の思いを伝えるための言語能力が発達していない事から起こると言われています。ダウン症がある子どもは発達が定型発達の子どもにくらべて緩やかなため、3歳ごろから始まり、長く続くケースが多いようです。言葉で説明し、じっくり付き合ってあげるといいでしょう。[参考リンク] MSD マニュアル | ダウン症候群(21トリソミー)こだわりが強く、頑固な面もありますが、それを否定するようなことは控えましょう。決まった場所で決まった服を着る、決まった場所に決まったおもちゃをしまう。大人からすると些細なことかもしれませんが、ルーティンな行動やきまりは見通しが持てたり、安心感を得られたりする面もあり、本人にとって大切なことかもしれません。ダウン症のある子どもも一人ひとり、個性があり、性格も異なります。症状に応じた対応方法はあるものの、基本的には子どもによって育て方は異なるでしょう。筋緊張低下を示す傾向があったり、心臓の持病を併発していれば、通常の運動は難しいかもしれませんが、持病がなく、知的障害が軽度であれば日常生活における制限も少ないでしょう。不得意だったりできないこともありますが、好きなことや得意なことを伸ばせるようにしてあげましょう。学校、学び事のコツ勉強によって得た知識や技術が、短編的になりやすい傾向があります。せっかく覚えたことも、実際の生活上で応用することが難しく、また、抽象的な説明を理解する事が難しいため、実生活での体験を伴う具体的な学習が必要になります。日常生活のなかで、さまざまな経験ができる機会を設け、学べるよう工夫することも大切です。各教科を並列的に学習するよりも、子どもの心身の発達段階や障害の程度によって学習内容を決めることも大切です。また、子どもの実際の生活に役立つ知識や技術、それらを有用に活用する力を身に着けられるようにすることは、将来の生活の質の担保のためにも大切でしょう。金銭感覚をつけたり、自己管理ができるなど、社会的自立に必要な基礎力を身に着ける学習をするのもよいとされています。ダウン症のある子どもは筋緊張が低下していることが多く、姿勢が崩れやすいため、学校や家庭での椅子の座り方にも注意が必要です。足底全体が床にきちんとついていて足首が90度に曲がっていること。そして腰が椅子のうしろについた状態で膝が椅子の端に接した状態で90度に曲がっていること。さらに腕を机の上に出したときに肘が90度に曲がっていることなどが目安になります。その子の足の長さに合った椅子を選ぶことが大切です。友人関係のコツ知的な遅れがある子どもがつまずくのは、小学4年生から5年生ごろが多いようです。重度の知的障害がある場合は、小学校入学時から特別支援学級や特別支援学校に通わせるケースが多いですが、軽度であれば通常学級に在籍するケースもあります。しかし、徐々に通常学級での授業についていくことが困難になっていくことも多いようです。そんなときに大切なのは、その子のことを理解してくれる友だちです。障害の有無にかかわらず、その子自身の気持ちや特性を理解してくれる友人をつくることが大切です。同じ環境の友達をつくる最初のきっかけにもなるのが療育です。支援者に相談することで、どう育てたらいいか、どのような環境設定や学習への支援が必要かなどを知る機会にもなります。ダウン症のある子どもは周囲の人の気持ちを汲み、感受性豊かだといわれています。保護者がイライラしていたり、ストレスを感じているとそれを感じて不安になってしまう子どももいます。保護者自身が息が詰まらないよう、自分一人だけの時間を持つようにしたり、同じ環境の友達をつくることも大切です。療育施設は同じ環境の保護者が利用しています。自分自身のコミュニケーションの時間としても活用してみてはいかがでしょう。できたよ(がんばり)カードの利用ここで述べてきた、家での接し方・学校での生活や学び方・友人関係などでお子さんが頑張ってできたら、「できたよ(がんばり)カード」をつくり、そのポイントがたまったら好きなところへ連れて行ってあげるようなご褒美をあげても良いかもしれません。まとめダウン症のある人や子ども、それぞれに性格や性質がさまざまなことはもちろん、生活の様子もさまざまです。子どもの得意なこと、苦手なことなどを知り、悩んだときや情報が欲しいときなどは医療機関や児童相談所、地域の親の会などに相談し、ご家族だけで悩まないことが大切です。イラスト/かなしろにゃんこ。
2022年04月24日いくつか目立ちやすい常同行動があったコウUpload By 丸山さとこ神経発達症(発達障害)がある子どもは常同行動を行うことがあるそうですが、コウの場合は「ピョンピョン跳ねる」「ぐるぐる回る」「腕や肩を洋服から出し入れする」が特に目立っていました。コウのそれらの行動は、大体小学4年生ごろまで続いていました。クラスの中でも背の高いコウがピョンピョン跳ねると遠目に見ても目立つため、学年が大きくなるほど周囲の人から『どうしたんだろう?』という視線を感じることも増えてきました。※常同行動…手をひらひらさせる・体を揺らす・ぐるぐる回る・同じところをうろうろするなど、一見無目的に同じ動きを繰り返す行動。ピョンピョン跳ねるコウの思い出あるとき、コウとスーパーで買い物していると、コウは移動しながらピョンピョンと跳ね始めました。人や商品棚とぶつからないように声をかけたり気を引いたりしながら買い物を続け、何とかレジへ。レジでお会計をする間も跳ねてる彼を見た店員さんが、やや戸惑いつつも「ボク、元気だね~」と声をかけてくれました。でもコウは店員さんの存在など意識にない様子でニコニコしながら跳ね続けたので、微妙な空気が流れました。Upload By 丸山さとここのときに限らず、跳ねているときのコウはいつも「一人の世界に入っている」感じでした。私以外の人とは会話が成立しないことも多く、私が話しかける場合も返事は返ってくるもののどこか上の空といった雰囲気でした。コウが跳ねるシチュエーションを観察していると、ヒマなとき・不安なとき・うれしいときが主なようでした。ピョンピョンと跳ねるコウに「どうして跳ねるの?」と聞くと「わかんなーい」「なんとなくー」との答えだったので、当時は漠然と『単調な刺激の繰り返しが落ち着くのかな?』と思っていました。Upload By 丸山さとこ以前の常同行動を現在のコウと振り返ると…現在中学生のコウは、私の知る限りでは目立った常同行動は現れていません。ペンまわしや消しゴムを転がすなどの「目立たない」行動に置き換わっていった印象です。なぜピョンピョン跳ねていたのか改めて今のコウに聞いてみても、「分からない」「なんとなくだな~」とのことで理由は迷宮入り。なので、勝手に『多かれ少なかれ人間は一定のリズムの刺激が好きだからなのかもしれないな』と思っている現在の私です。Upload By 丸山さとこ赤ちゃんが退屈だったり眠かったり不安だったりしてむずかるとき、優しくトントンしたり揺すったりすると落ち着きます。大人も落ち着くために指や足先でリズムをとったり揺り椅子やハンモックで揺れたりすることを考えると、コウの常同行動も同じようなものなのだったのかもしれません。Upload By 丸山さとこ本当のところは分からないけれど、あれらの行動がコウにとって落ち着くことであったのなら、あのころのコウにその手段があってよかったなと思います。執筆/丸山さとこ(監修:鈴木先生より)神経発達症(発達障害)がある人がジャンプしたり、グルグル回ったりするのは自己刺激で行っている場合が多くあります。多動症の一種として考え、ADHDの治療をすることで頻度を減らすこともできると考えています。皮膚を搔くといった常同行動は、てんかんの可能性もあるのでかかりつけ医か小児科の神経専門医に一度相談する必要があります。以前、成人期の自閉スペクトラム症がある方から、手をひらひらさせる常同運動をすることで話のタイミングをとっていると伺ったこともあります。こうした常同行動を、無理に止める必要はありません。感覚統合訓練ではトランポリンを使って重力不安を軽減する工夫をしています。その場でジャンプしていると不思議がられますが、トランポリンをさせれば不思議がられることはないでしょう。重力不安のあるお子さんはつま先歩きも特徴の一つです。そういうお子さんもトランポリンをさせることでかかとをしっかりついて重力不安を軽減できると思われます。
2022年04月23日東京都の特別支援教室の制度が変更に?ASDのあるミミは4月から小学3年生。1年生のころから東京都内の小学校の特別支援教室に通っています。その特別支援教室ですが、来年度から在籍できる期間が1年間に…?延長できれば、最長2年間通えるらしい…。年始に制度変更のお知らせが来てびっくり!在学中はずっと特別支援教室に通えると思っていたので少し不安になってきました。Upload By taeko特別支援教室の先生との面談で、新年度のことを聞きました。来年度からは、特別支援教室に在籍できるのは基本的に1年になり、面談などを経て1回延長ができ、最長2年間は通えるという制度に変わったそう。ミミは長くても小学校の4年生まで。6歳のころ通っていたクリニックの先生には「特別支援教室は通えるだけずっと行ったほうが良い」と言われていたので今回の制度変更で私はちょっと不安になりました。ガイドライン変更のチラシをよく読んでも分からないので、東京都に電話をしました。すると、最大2年通えたとして、その次はゼロベースで見直し、通常学級で支援員をつけてもらう、福祉につなげる(放課後等デイサービス)、特別支援学級なのかなど、総合的に判断するとのこと。せめて最長2年は特別支援教室にミミを通わせたいなと思ったので、ミミのASDの診断書を書いてくれた小児科医の先生の診察を予約をしました。予約は半年後。そこで特別支援教室を延長したほうが良いかどうか、意見を先生に伺いたいと思っています。Upload By taekoミミに特別支援教室を続けてほしいのは、年末年始ごろから急に通級に行くのを嫌がるようになった、ということもある。2年生前半は楽しそうに行っていたので、続けたらまた楽しく通えるのではないかと…。特別支援教室に通うこと、本人はどう思ってる?2年生の後半ぐらいから、特別支援教室の日が近づき、私が「明日、特別支援教室だね」と言うと、ミミは「ないよ」と言うようになった。それに前までは特別支援教室の翌日以降に、先生が活動内容を書いてくれる連絡ノートを持って帰って来ていたけれど、最近は持ってこない。声をかけても持ってこない。先生に連絡ノートを渡していないようで、臨時のファイルを持ってくることが何度もあった。特別支援教室のどんなところが嫌なのか聞くと、集団のとき、ほかの子にミミに対してうるさい、と言わわれたから、と言うミミ。私は「そっか、嫌なことを言われて悲しかったね」となだめました。ミミは声が大きくて、話が途切れないので言われたのかも…。別の日は「特別支援教室の日は疲れるから、学童休みたい」とミミが言ってきました。その日は学童は休ませました。Upload By taeko最近のミミの様子を考えたら、特別支援教室に無理に通わせなくても良いかも、と思うようになってきた。もし特別支援教室が延長出来なくても民間の放課後等デイサービスに通っているから(今のところ一対一で、本人も楽しんでいる)、心配する必要はないのかもしれないな、とも思っています。Upload By taeko執筆/taeko(監修:初川先生より)特別支援教室をめぐる母の思い、よく伝わってきました。東京都の方針転換については、東京都の考えも分からなくはないですし、また私個人としても思うところがあります。過渡期である今はまさにどう捉えてゆけばよいか難しいと感じているところです。そもそも、一律にこう、と決められるものなのかどうなのかも難しいなと感じています。さて、ただ、そうした方針転換によるショックもありつつも、ミミくんの特別支援教室を嫌がることに関してはそれはそれとして落ち着いていくつかの視点で見てみることが必要かなとは感じました。まず1つ目は、本人の成長という点。特別なところでクラスの子から離れて別の活動をすることについて、本人が成長することで違和感を持つ(「どうして自分だけ?」など)というのはよくあることです。行けば楽しく活動できるけれど、なんとなく漠然とセッティング自体を嫌だなと感じるようになると、特別支援教室での活動中の嫌なことがとても嫌に感じることもあると思います。そのあたり、ミミくんはどうでしょうか。2つ目は、特別支援教室での支援目標やそのための実際の活動が本人に合っているか(あるいは、本人と目標が共有されているか)、また毎回の活動後にその活動で何を学んだか身につけたのか、自分で体感として伝わっているか、そのあたりの点です。同じ時間にグループで指導を受けるお子さんとの課題のレベル感が合っているか、活動目標が本人にとってニーズや関心のあるところになっているか、そのあたりを見直す時期なのかもしれません。毎回の振り返りも、楽しかった、難しかったといったこと以上に、何を学んだ(学ぼうとした)のか、子が理解できる言葉で伝えてくださっているといいなぁと思います。そのあたり、特別支援教室の先生方はすでにされていると思いますが、成長の著しい時期でもあります。家庭での反応を伝えつつ、担当の先生と面談できるといいですね。そういう意味で、3つ目は、特別支援教室という場でできることがミミくんにとって学びの場として機能しているか、そのあたりを見直してみる。教室での学習の内容に興味関心の強いお子さんだと学年が上がると学習内容も難しくなる分、授業が楽しいと感じるタイプのお子さんもいます。もしそうだとしたら、ソーシャルスキルや感情コントロールについては放課後や休みの日にできるほうがいい可能性もあります。好きな授業を抜けてまで、苦手なグループワークをやりたくないといった気持ちもあるでしょうし、それは自然なことに思います(とはいえ、放課後や休日に苦手なことやトレーニングをやることの体力的・心理的負担をどう見積もるかもこれまた難しいところですね…)。特別支援教室を利用できるだけで保護者の方からしたら安心の1つになりますね。ただ、どんな良いものであったとしても、本人の成長発達や課題と合うかどうか、本人の困り感をターゲットとした活動が提供できているかなどによって、どう機能するかは変わってくるものでもあります。ぜひ今回のことをきっかけに関係する先生方といろいろお話してみていただければと思います。
2022年04月22日普通の赤ちゃんだったのに…歩かない息子と発達の遅れ私の息子は、知的障害を伴う自閉スペクトラム症(ASD)があります。知的障害があるといっても程度はさまざまですが、息子はその中でも「重度知的障害」にあたります。Upload By べっこうあめアマミUpload By べっこうあめアマミ息子は生まれる前も、生まれたときも、生まれたあと1年くらいも、何の異常もないごくごく普通の赤ちゃんでした。「あれ?」と思ったのは1歳のころ。首すわり、寝返り、ずりばい、ハイハイと、問題なく身体発達を遂げてきた息子が、「歩く」という段階で、初めてのつまずきを見せました。息子がはじめて1人歩きをしたのは1歳8ヶ月。一般的な発達段階から考えると、遅めです。当時の息子はどちらかというと、「歩けない」というよりも「歩かない」ように見えました。伝い歩きはできていたのですが、体を支えるというよりは、何かに触っていないと不安を感じていたようです。そのため、最後のほうは、てすりや壁に触れる程度の伝い歩きでした。何事にも慎重な息子なので、歩くことが怖かったのかな?と思いましたが、今思えばこれはある種の「こだわり」だったのかもしれません。歩き出すのが遅いというと、一見「身体発達」の面に遅れがあるように思えます。でも実は、息子の場合は精神発達の遅れのほうが深刻だったのです。人への興味が薄い息子、私の育て方のせい?Upload By べっこうあめアマミ当時は「歩かない」ことが息子の発達における最も重大な問題に思えました。ですが問題なのは精神的な発達の遅れのほうだったと、今なら思います。というのも、今の息子はむしろ同年代の定型発達のお子さんより歩くんじゃなかろうか、というくらいよく歩く子ですが、指さしは7歳になった今もできません。人の真似などもほとんどしません。突然突きつけられた発達の遅れに、私の育て方が悪かったのかと何度も自分を責めました。Upload By べっこうあめアマミこれまでずっと「育てやすい赤ちゃん」だと周りから言われ、自分でもそう思って育ててきたので、息子に対して「障害」という言葉はなかなかピンとこなかったのです。苦しんでいる親御さんに寄り添いたいしかし、そんな息子も4歳のときに正式に知的障害と自閉スペクトラム症の診断がおり、この4月に特別支援学校の2年生になりました。息子が3歳のときには娘も生まれ、いろいろな問題を乗り越えながら、家族4人、楽しく暮らしています。子どもに発達の遅れがある、障害があるかもしれないと思うと、親の心は大きなストレスに押しつぶされそうになるでしょう。でも、そんな時期を乗り越え、「なんとかなる!」と前を向いた私たち家族のお話が、今まさに悩んでいたり、苦しんでいる親御さんの心に少しでも寄り添えたらいいなと思っています。Upload By べっこうあめアマミ執筆/べっこうあめアマミ(監修:井上先生より)ここまでの子育て振り返ると、お子さんの発達の遅れに気づかれ悩まれた時期、妹さんが生まれ2人の子育てに大変だった時期、そして就学の時期を乗り越えられ、今は妹さんも少しずつ手がかからなくなってきているころかもしれません。いろいろなことがあり、さまざまな体験をされ、本当によく頑張られたと思います。お子さんの障害の種類や程度は異なっていても、先輩の親御さんの体験は幼児期のお子さんをもつ親御さんの心の支えになると思います。これからの連載を楽しみにしています。
2022年04月21日親がしてあげたいことと、子どもが求める距離感は違うかも?自閉スペクトラム症と知的障害のある息子ほぺろうは この4月から特別支援学校の1年生!ですが感情のコントロールはまだまだ難しく発語もないので、気持ちを表現できずにイライラしている様子です。ほぺろうが怒っているときは『抱っこ拒否・共感拒否』なので私は触らず喋らず、ただ癇癪につき合わされるだけという日々。せめて気持ちを切り替える為に こちらから働きかけることができたら…と悩んでいます。Upload By ぼさ子三木先生:大人も機嫌が悪いとき、かまって欲しい人、放っておいて欲しい人とかいろいろいますよね。ほぺろう君は放っておいてほしい感じですか?ぼさ子(以降ーー): いや、触らせてくれないくせにつき合ってほしいタイプみたいです。三木先生:なるほど。おそらく、積極的には介入して欲しくないけど側で「うん、うん、」って言ってほしい感じですかね。ホント距離感って人それぞれなので、ほぺろう君の場合は近所の子くらいの距離感を求めているのかも。側に居てほしいけど抱きしめるのはチョット…みたいな。ーーまさにそんな感じです!三木先生:でも親としては近所の子の距離感を求められると切ないっていうのがあるじゃないですか。親なんだからなにかしてあげたいって。自分が思う親の役割を 自分は果たせてないと凹んでしまう親御さんは結構います。だから親側がその気持ちをどう飲み込むかっていうところも考えてた方がいいかもしれないですね。ぼさ子さんはどうですか?そういうのつらいかな?ーーいや、今はあんまり気にしてないです。ただ、癇癪が長引くとほぺろう本人がつらいかなって思っちゃいますね。三木先生:そうですね。でも本人にもどうしようもないって部分はあると思うので、こちら側が子どもの距離感を尊重してあげるのがいいですね。そういう意味では、ぼさ子さんは割り切って接してあげることができていると思います。ーーメンタルによってはできていないですけどね(照)Upload By ぼさ子気持ちの切り替えルートは大きく二つ三木先生:気持ちが切り替わる方法って大きく2つありまして、1.本人の気が済む2.周りの刺激に引っ張られるですね。Upload By ぼさ子1は内側のことなので外部が介入するのは難しいですが、2は本人が刺激を受け入れられる準備ができているかによります。本当にどうしようもないときは待つしかないけど、ピリピリの水準がどれくらい下がったときにどんな刺激を受け入れてくれるか、経験を積み重ねて模索することですね。例えば、子どもがすごく怒っていたとしても「遊園地行こう!」みたいな強烈な報酬があると その刺激に引っ張られて機嫌が直るけど、いつもそういうワケにいかないじゃないですか。親側のコストが少なくて済むように、先入観なしで試行錯誤でいろいろ試してみるといいですね。そうやって経験を積み重ねていくと「今ならこうかな?」っていうのが見つかっていくと思います。あとは、切り替えの刺激になりそうなもののバリエーションを増やすことです。これも先入観なしにいろいろ試してほしいんですけど、大人が興味ないようなことで子どもがすごく喜ぶなんてことあるじゃないですか。例えば小さい子だと、プレゼント放り出して包装紙で遊んじゃうみたいな。ーー確かに子どもってそういうところありますね!三木先生:子どもって大人の価値観で判断しきれないところがあるので、本当にヤケクソでもいいのでやってもみてほしい。マンネリすると刺激が弱くなってしまうので、新しい方法を編み出していくと効果が高いと思います。Upload By ぼさ子おやつ・絵本・ふとんから読み取る、切り替えの『性質』ーーちなみに、今ほぺろうの三大切り替え方法は『おやつ・絵本・ふとんにくるまる』なんです。おやつを食べてお腹いっぱいになったら落ち着く、好きな絵本をじっくり読んでもらうと落ち着く、自分がふとんにくるまっているのを母に横から眺めてもらうと落ち着く…という感じで。三木先生:なるほどね!実はそれ面白いバリエーションがあることが分かるんです。おやつは、食べる行為そのものよりも、食べることで体の状態が変わるってところがポイントなんです。そこを拡張していくと『体の状態変わる』という性質のものを見つけていくといいですね。絵本は、『周りの刺激に引っ張られる』の要素だと思うんですけど、安心できる空気を浴びることによってピリピリ水準を下げる事を間接的に実現してるんだと思います。ふとんもそうで、くるまってる安心感とか圧迫感が好きで、体の状態も変わってくるしピリピリも下がってくるっていうのをゆっくり実現しているんですね。つまりは、そういう系統の刺激で落ち着きやすいという性質のものを探していって、いつもの方法が通じなかったとき、同じ意味を持つ別の方法を見つけておくといいでしょう。Upload By ぼさ子三木先生:あと、ただ見守ることが大切だったりします。親として何かしなければ!と不安にかられる人は多くて、何かしようとして余計悪化しちゃうことはよくあります。ーー案外、何もしないことが正解ってときもあるかもしれませんね。私は、癇癪を抑えるには「絵カード」というイメージがあったんですけど、ほぺろうは絵カードをあまり受けつけてくれなくて…。でも これまでのお話を聞くと、絵カードにこだわらなくてもいいと思えて安心しました。三木先生:方法は目的じゃないんで、目的が達成できるんだったら何でもいいんです。一般的な自閉スペクトラム症のあるお子さんの多数派に当てはまるものはあるけど、その子の特徴だったり、シチュエーションやタイミングによっては使えないものだってあります。Upload By ぼさ子当てはまらないときは「やり方が間違ってる」可能性も振り返ってみる三木先生:ただ、試してもあまりにはまらないときは「やり方が間違ってる」という可能性も頭に置いた方がいいですね。僕もよく反省するんですけど、例えば薬を出しても効かなかったとき「薬が効かなかったのか?僕が効くと思ってた見立てがズレてたのか?」っていうのはいつも振り返るようにしてて、どうしても合わないときは「意味を取り違えてないか?」と考え直したりしています。考え直しても合わないときは「この子には合わない」という結論になったりしますね。ーーやっぱり経験を重ねる事が大事ということですか?三木先生:一般論という近道もありますが、必ずそれが当てはまるというものではないので、やはりウチの子の場合という方法を探すといいですね。感想(みんなと同じじゃなくて大丈夫!!)ーー自閉スペクトラム症のある子どもだからって『全員同じ』というワケじゃないって思っていいんですね。実は、「発達障害のある子どもだったら 普通こうすればできるようにならない?」という意見をもらうことがたまにあって、ほぺろうはほかの発達障害のある子どもができることをできないのかと落ち込むことがあります…。Upload By ぼさ子Upload By ぼさ子三木先生:自閉スペクトラム症のあるお子さんも人それぞれ。あくまでウチの子の場合で考えましょう。気にしなくて大丈夫!!ーーそうですよね!ありがとうございました!執筆/ぼさ子
2022年04月20日どの中学校が合っている?ADHD次男の中学校選びUpload By スガカズADHDとLD(書字障害)のある次男は4月から小学6年生。療育センターで、中学校進学に向けて学校での合理的配慮に備えるためにST(言語療法士)のところに通い始めるなど、少しずつ準備を進めています。中学校生活を送る上で、生活習慣や対人関係、勉強で数々の困難が待ち受けていることでしょう。子どもの中学校選びで親として何を一番大事にしたいのか、本人の意思を考慮すべきか…私自身まさに悩んでいる最中です。Upload By スガカズ次男は仲の良い友達がたくさん通う予定のA中学校を希望しているのですが、良い噂も悪い噂もあります。特に、対人関係のトラブルに関する噂が気になり、「A中学校を選ぶことは次男にとって本当に良いのだろうか?」とどうしても感じてしまいます。仲の良い友達がA中学校より少なくても、落ち着いた雰囲気の、特別支援学級の拠点校であるB中学校が良いのではと思っています。それには、親である私自身が中学校時代に苦い経験をしたからです。母の経験。対人関係でのトラブルに悩み、不登校だった中1Upload By スガカズ私自身、学校生活の中で一番つらいと思った時期は中学1年生のときでした。当時私が住んでいた地域は選択制ではなく、基本的には進学する中学校が決められていました。通っていた小学校の同級生はほとんどがその中学校に進学しました。私には小学校のころから、折り合いの良くない女の子(Aさん)がいました。小6のとき、Aさんの私への態度と、ほかの子への態度に差を感じていたので、共通の友達に相談したことがあります。共通の友達は、善意からAさんにその内容を伝えたようで、後日Aさんは私に直接「気のせいだ」と言いました。「そうなんだ。勘違いしてごめんね」と私は返答しました。小学校のとき、Aさんとは別々のクラスだったので、その一件のあと卒業まで特に何もなかったのですが、中学1年生になって、Aさんと私は同じクラスになりました。加えて私は、小学校時代の仲の良い友達とは同じクラスにはなれませんでした。Upload By スガカズ小6のとき、私がAさんのことを友達に相談したことについて、Aさんはきっと腹を立てただろうと思っていました。中学1年生で同じクラスになりましたが、Aさんとは少しぎこちない空気になっていました。そのうちに、クラスで私への陰口が始まりました。中学時代クラスの女の子たちは、よく一緒に行動する子同士でグループのようになっていました。Aさんは、そのグループの子たちに私のことを悪く言いだしたようで、それを聞いていたほかの2つのグループからも無視をされてしまいました。そんな状況から、私は自分からクラスの女子に話しかける勇気が出ず、だんだんと孤立していきました。ある日席替えがあり、Aさんのグループの子が、私の前に決まった子に対して「あの子(私)の前になっちゃったんだ。かわいそう〜」と、笑いながら話していました。言った子は、ふざけて言ったのかも知れませんが、近くで聞こえるように話していたことが本当にショックで、「そうか、私の近くにいる子はかわいそうなんだ。」と理解し、その場に存在することがとてつもなく惨めで、その日以降学校に行かないようになりました。両親や友達に相談する勇気がなかった当時の気もちUpload By スガカズ両親は私が中学1年の約一年間、不登校だったことを実は知りません。私は7つ上に兄がいて、重度の自閉スペクトラム症と知的障害があります。母は障害のある兄のサポートが大変ですし、父も仕事が忙しい時期だったので、自分から余計な心配をかけたくなかったですし、何よりも「クラスメイトからいじわるをされている」という事実を伝えたくありませんでした。家族の前では、今まで通りの自分でいたかったのです。また、友達にも先生にも相談できませんでした。もし間違って小学校のときのように、Aさんの耳に情報が届いたとしたら、ますます自分にとってつらい学校生活になってしまうのでは?といった不安があったからです。そのため私は、毎日登校したフリをして、1時間ほど近所で時間をつぶし、家族が外出するとこっそり家に帰るといった日々を送っていました。幸いにもAさんとは中2、中3は別々のクラスになり、新しいクラスには仲の良い友達がいたので、また学校に通えるようになりました。それでも、中1のころの心の傷が残ったままで、月に2~3日ほど、反動がきて学校に行くのがつらくて休む日もありました。今思えば不登校は短い期間だったわけですが、渦中にいた当時は、一日一日が苦痛で、自分がこの世にいてはいけない存在に思えました。私は人と争うことが苦手なタイプなので、大勢がいる教室で言い返すこともできません。もし3年間同じような状況が続いていたらどうなっていたのだろうと想像すると、ゾッとします。子どもには同じ経験はしてほしくない。でも…Upload By スガカズこういった私自身の中学校での経験から、子どもには、自分と同じような経験をさせたくないと強く思っています。それにはまず「自分の居場所がある」ということが大切です。その「自分の居場所」とは、先生と生徒の距離感であったり、通う生徒の属性、人数、教育方針など、さまざまな条件があると思っています。現在次男が通っている小学校では、いろいろありましたが、結果的に次男に合った環境だと感じています。次男が低学年、中学年のころ友達とケンカになってしまったとしたとしても、仲裁にはいってくれる先生や友達がいたりしました。そのお陰で、高学年になってからは、次男がほかの子たちのトラブルの仲裁に入ったり、友達に寄り添う姿も見られるようになりました。そんな次男には、「YES、NOを伝える」「人にやさしくする」力があると思っています。一方で、「自分の行動の理由を相手に説明する」ことに不得意があると感じます。次男は今、小学校で「自分の居場所」を持つことができています。中学進学が近づいてきていますが、私が子どもの中学校選びで一番大事にしたいことは、「自分の居場所がある」ということです。勉強は二の次で、少しでも安心して中学校に通えることを望みます。A中学校よりもB中学校の方が、今通っている小学校の雰囲気に似ています。であれば、B中学校の方が、今までどおり次男が自分の居場所を確保できるのでは?と思っています。一方で、次男自身が今希望しているA中学校の場合は、通っている小学校の雰囲気とは違いますが、次男と仲の良い友達が多く進学するので、自分の居場所の確保ができることもあるのではないか?とも思います。安心できる「居場所」という枠組みは、思春期の子どもが大勢いる環境では、とても不安定であるとも思います。前年度がそのときの子どもにとってよい条件だとしても、次年度は同じとは限りません。私のように、人(友達)に相談しても解決せず、居場所が小さくなってしまうことは大いにあると思います。次男の進学先に関して、まだ2つの中学校の間で迷っている状態ですが、本人の意向も理解した上で納得してもらえないと「あのときA中学校に通いたいと言っていたのに」と次男の中で不満がでてきてしまうでしょう。本人と保護者、双方が折り合いをつけられるように、慎重に見極めていきたいと思います。執筆/スガカズ(監修:井上先生より)スガカズさん自身が中学時代につらい体験をされたことから、息子さんの中学校選びに対して友人関係、学校の雰囲気などさまざまなことを考えて迷っておられることと思います。一方で息子さんと、スガカズさんが子どもだったころというのは、特別支援教室や自治体の配慮、システムなども変わってきている部分もあります。また、お母さんとお子さんは似ているところもあれば、違うところもあるのだと思います。安心できる居場所をキープするには困ったときに相談しやすい環境が大切です。これから思春期になり、学校でのことや友人関係のことを親に相談しにくくなる年齢になると思いますが、困ったときに自分から先生などに相談しやすい雰囲気のところがあるとよいですね。今回息子さんとお互いに本音で話し合うことをきっかけに、さまざまなことを話せる関係になっていくことを願っています。
2022年04月19日自信をなくしがちな時期を乗り越えるには……?こんにちは。『発達障害&グレーゾーン子育てから生まれた楽々かあさんの伝わる! 声かけ変換』ほか、著者・楽々かあさんこと、大場美鈴です。今回のコラムは、思春期の子どもを始めとして、落ち込んでいるときに自分で自分を応援する、リフレーミングの視点をお伝えしたいと思います。子育ての上では「ほめることが大事」「子どもの自己肯定感を高めましょう」とよく言われますが、だんだんと成長に伴って周りが見えてきたり、大人や社会に対しての批判や疑問を感じる目が育ってくると、親のほめ言葉を素直に受け取れないことも多くなるでしょう。また思春期は、体の急激な成長に伴ってホルモンバランスが崩れたり、成績や進学・就職、恋愛や複雑な友達関係などで思い悩んだり、自分に否定的になったり、周りと比べて劣等感を感じたり…など、成長の上での課題に直面し、身体的・精神的に不安定になりやすい時期でもあります。加えて現在は、新型コロナウイルスや刻々と変化する世界情勢などで先行きが不透明な中、客観的に物事を見て視野を広げる経験が減ったり、ネットなどで少数の極端で否定的な言葉や、不安感を強めるネガティブな情報が、簡単に目に入りやすい状況でもあるでしょう(こんな中では、大人ですら、自信や意欲をなくしやすいのではないでしょうか)。では、この自信を失いがちな多感な時期をなんとかやり過ごし、乗り越えるにはどうしたらいいでしょう。私は、それまでの子育てで、我が子の少しでもできてるところをほめ、一見できて当たり前のような頑張りを認め、失敗しても挑戦した意欲や努力の過程に注目し、短所や欠点は長所やいいところに変換し、自信につながるように意識して接してきました。ですから、子どもが大きくなってきた今度は、親がいてもいなくても、誰がほめてもほめなくても、同様に、「子ども自身が自分でリフレーミングし、自分を応援できたらいいのではないか」と考え、我が子が周りと自分を比較し始めたころより、以下のセルフ・チェックシートを自作し、いつも見えるところに貼っていました。Upload By 楽々かあさん実は、この自分への7つの問いかけは、私自身もつい、いろいろと気になってしまうほうなので、いつも頭の中で繰り返し、習慣のようにしていることでもあります。では、うちの子どもたちと同世代のお子さんに向けたメッセージとして、それぞれ詳しくお伝えしますね(大人の方にも、ご参考まで)。落ち込んだときに、自分で自分を応援する7つの問いかけ誰だって、落ち込んでいるときには、どうしてもネガティブな情報ばかりが目についてしまうもの。そんなときは、意識して自分自身の「いい情報」に目を向けるクセをつけるといいでしょう。たとえ誰もほめてくれない時でも、以下の「自分への7つの問いかけ」などで、自分で自分のできてること、頑張っていること、いいところに気づいて、ちゃんと認めて、自分を応援してあげてくださいね。誰にでも、得意なことと苦手なことがあります。周りの人みんながいとも簡単にできているように思えることでも、それがとても苦手なことである人にとっては、ただ「みんなと同じように」「人並み程度に」するだけでも、密かにものすごく努力することが必要な場合だってあるでしょう。もしかしたら、「〇才なら、これくらい"できて当たり前"」とか、「なんでこんなこともできないんだ」なんて言葉に傷ついたり、そんな風に自分で自分を責めている人もいるかもしれませんね。でも、苦手なことはうまくできないほうが当たり前なんです。そして、あなたがそれを人一倍努力しながらやっていることは、たとえ誰も気づいてくれなくても、あなた自身が一番よく知っているハズです。こんなときは、ギリギリ最低限ラインでもいいから、自分なりに努力できたのなら、自分に「よく頑張ったね」と、心の中で拍手してあげませんか。定期テストや部活動などで、自分では頑張ったつもりなのに、結果につながらなくて失敗すれば、落ち込んでしまうのは当然です。でも、全てを「0か、100か」で判断せずに、「本当にそれは”全部”失敗だったのか」を、よーく思い出して、物事をトータルで客観的に見直してみると、どうでしょうか?例えば、「最後の最後でうまくいかなかったけれど、途中まではできていたこと」や、「間違いではあったけれども、ここまではできている、わかっていること」や、「全体的には残念だったけれども、ここだけはうまくいっている部分」、そして「結果につながらなくても、努力の過程で得られたこと」だって、結構見つけられるのではないでしょうか。自分で「できた」のハードルを下げてあげると、その失敗は本当の失敗ではなくなるかもしれませんし、あなたにしか気づけない、次の挑戦へのヒントや発見だって見つけられるのではないでしょうか。自分の個性や、周りとの違いについて、思い悩むこともあるでしょう。「もうちょっと、自分も〜だったら良かったのに」とか、「〇〇さんみたいにできたら、毎日楽しいだろうなあ」とか、「なんで自分は、みんなと違うんだろう」とか……(私もそう思っていましたよ)。でも、一見その人の"短所や欠点"に思えることも、"長所やいいところ"とセットになっていることは、本当に多いんですよ。例えば、「空気が読めない」→「自己主張できる」「落ち着きがない」→「行動力がある」「飽きっぽい」→「切り替えが早い」……というように、逆に言うことだってできるんです。もしかしたら、自分では気になる短所や欠点も、どこかの誰かの目からは、あなたの長所や魅力として映っているかもしれませんね。そして、世界中を探しても、短所だけの人、長所だけの人も、きっと一人もいないでしょう。完璧な人はいません。ちょっとくらい、凸凹しているほうが、人間らしくて、いいじゃないですか。毎日のルーティンとして、フツーに、何気なく続けていることって、結構ありますよね。例えば、「身支度をして学校に行く」とか、「宿題をこなす」とか……。小さなころは、ただ着替えただけでも「すごいね!」とか、宿題をやっただけでも「えらいね」なんて、親や先生にほめられたかもしれません。でも、いつの間にか、それが”フツーのこと”で、やって当たり前になっているので、それができたからと言って、もう誰もほめてはくれないけれども、そこに、あなたの小さな頑張りの積み重ねがあることは、今でも変わりありません。たとえ、些細な習慣や、誰もが毎日当たり前にこなしていることでも、続けることって本当は簡単じゃないですよね。その、見過ごされがちな”フツー”の小さな頑張りに、誰も気づいてくれないのならば、自分で気づいて「今日もオレ、よくやった」「毎日よく頑張ってるね、私」って、ちゃんと自分をほめてあげませんか。周りと比べて、"できない"と感じることが多かったり、クラスのみんなができることができなかったりすると、自分だけ置いていかれるような焦りを感じるかもしれませんね。特に思春期では、ほんの数ヶ月で身長が10センチ以上も伸びる子がいるように、誰もが心身の成長が著しい時期にありますし、学校ではテストの順位や偏差値などが数値化されてもいて、能力の優劣を比較しやすい環境でもあるでしょう。でも、例えば、身体測定の時の身長・体重の成長曲線が「平均」や「標準」の範囲に収まる人ばかりではないように、人の成長の仕方も、そのスピードも、物事が身につくタイミングも人それぞれです。そして、1人の人の中にも、成長が早い部分もあれば、ゆっくりな部分もあるので、むしろ、なんでもまんべんなく、平均的に成長する子のほうが本当は珍しいのかもしれません。でも、1年前の自分はどうでしたか?更に、5年前の自分はどうだったでしょうか?たとえ、人よりゆっくりでも、自分なりにちゃんと成長し、進歩している部分を、たくさん見つけられるハズです。「十人十色」「大器晩成」といった言葉もあります。比較は自分自身とすればいいんです。人の心が成長していく上で、親以外の誰かに認められる経験は、大切な栄養になります。例えば、SNSや動画投稿サイトなどで、多くの人に今の自分を見てもらえたり、自分の意見に共感が集まったりすると、嬉しいですよね。ただ、あなたに対する100の反応のうち、99の肯定的・好意的な声よりも、たった1つの否定的な声のほうが気になって、”みんな”に否定された気がして、自信や意欲をなくすことだって、あるかもしれません(私もよくあります)。あるいは、直接またはメッセージアプリのやりとりなどで、誰かに言われた言葉で傷つくこともあるでしょう。特に、自分の心の中で大きな位置を占めている相手や、「この人は自分のことを分かってくれている」と信じていた相手からだと、世の中の全ての人に否定されたような気持ちになることもあるでしょう。でもそれは、あくまでその「◯◯さん」個人の考えで、"みんな"ではないし、ただ「自分とは違う」というだけなのかもしれませんそして、世の中には、自分と全く同じ考えを持ち、同じものが好きで、同じように行動する人は、一人としていません。少し寂しく感じるかもしれませんが、最初から「違う」のが当たり前なのです。そんな時は、自分に否定的な相手も「〇〇さん」という1人の人として見て、「まあ、そう考える人もいるよね」と思いながら、あなたを応援してくれる人や、いい情報のほうに意識的に向き直ってみるといいでしょう(それでもうまく気持ちを切り替えられない場合は、一旦SNSやメッセージアプリから離れるのも1つの工夫です)。誰だって、一生懸命頑張ってみたのに、結果的に失敗したり、裏目に出たり、つまづく経験ばかりが続いていたら、心が折れそうになるでしょう。中には、なにかをやってみる前に、「どうせ、やってもムダだ」「自分にはムリだ」と諦めてしまうほど、今まで失敗や挫折の体験が多かった人もいるでしょう(今頑張れない状態の人は、まずは無理せずよく休んで下さいね)。でも、「失敗が多い」ということは、「挑戦したことが多い」証拠でもあります。何もしなければ、失敗もしません(うちの長男・談)。つまり、今までたくさん失敗してきた人は、 それだけ、未経験の新しいことや、今の自分にとって少し難しいことに果敢に挑んできたから、なのではないでしょうか。「失敗の数」=「挑戦した数」です。これって、すごいことだと思いませんか?たとえ結果が失敗でも、「やってみた」「挑戦してみた」だけでも、価値があることって、たくさんあると思いますよ。そして、それは全て、その人の成長のための経験値になっているハズです。もし、あなたが何かに挑戦して失敗したのなら、ぜひ、自分の勇気に自分で「いいね!」してあげませんか。自分自身を最大の味方に……おそらく多くの人は、長所よりも短所、できたことより失敗したこと、自分に肯定的な意見より否定的な意見……などのほうが気になったり、自分の毎日の何気ない頑張りに気づかないこともあるのではないでしょうか。それが、感受性が強い時期にある子なら、尚更のように思います。また、社会的に不安要素が多い中では、不安や不満からストレスが溜まりやすく、他人の欠点や言葉のあら探しをしたり、若い人や意欲や才能のある人の芽を摘むようなネガティブな情報が広まりやすいのではないでしょうか。こんな時は、物事を両面・多角的に観た上で、「いい情報」のほうに意識的にフォーカスするクセをつけるくらいで、現実的かつ、ちょうどいいバランスが取れるのではないかと思います。たとえ世の中がどう変わっても、誰がほめても、ほめなくても、自分が自分の最大の味方であってほしい…と、私は我が子と同世代の子どもたちに願っています。文:大場美鈴(楽々かあさん)(監修者・井上先生より)自分自身の考え方のくせを見直すことはとても大事なことです。セルフチェックから一歩すすめ、あげてある内容を自分の言葉(自分にとってすっきり入ってくるキーワード)に直して何度か呟いてみる、いったくせをつけると、ネガティブな認知のくせというものが少しずつ変わってくるのではないでしょうか。このように、認知のコントロールができるようになってくると、感情のコントロールも少しずつできるようになってくると思います。
2022年04月19日突然のフラッシュバックに戸惑う日々Upload By みんみん(以下、――)Pは突然固まって何かを考え込んでいると思ったら、急に泣いたり怒ったりします。頭の中でいろんなことを思い出してそのような状態になっていると思うのですが、理由を想像しても分からないし見守るしかないのかな?と思っています。ですが、泣いたり怒ったりしている姿を見ると、何かこちらでも対応しないといけないのかな?と感じることもあり、どのように接したらいいのか戸惑ってしまうことも多いです。三木先生:あまり戸惑わず見守る形で良いかもしれません。外からできる介入はあまりないので、見守りながら本人が落ち着いたら声がけすればいいと思います。ほとんどは本人の内面世界で完結している場合が多く、本人の中で思っていることが少し外に漏れ出ているだけなんですよね。外の世界と疎通しているわけではないので、本人の中でその気持ちがおさまったときに、こちらから「どうしたの?」「大変だったね」と声をかけてみると反応はあるかもしれません。外の世界のあり様によっては内面世界のストーリーが少し変わるかもしれないので、できる外的介入としてはPくんに寄り添ってあげたり快適な状態にしてあげたりすることもあって良いのかもしれませんが、外から見ているとその変化があまり分からないので無力感がありますよね。――ものすごくあります。だから戸惑うしフラッシュバックが起こるたび対応するのが大変だなと思います。Upload By みん自分がどのように介入できるのか?タイミングを考える三木先生:日常的に全てのことに対応するのはかなり大変だと思います。でもとりあえず外的介入にトライしてみるのもありかもしれません。見守りつつ、声をかけ、どのタイミングでの声がけが有効だったかを少しずつ見つけていくのがいいかもしれません。自分のリソースが有効に活用きるタイミングを知っていき、そのタイミングで介入していくほうがお母さんも疲れませんよね。Upload By みん――そう思ったら私はまだ経験が足りないですね。フラッシュバックが起こると焦ってしまったり、どう対応するのが正解なのか分からなくなります。それから、一週間前に起こった兄や友達とのトラブルを思い出して、兄や友達にくってかかることがあります。自分1人の中で起こるフラッシュバックではなく、自分が根に持っていたトラブルを、その相手の顔を見たことで突然思い出して行動に出てしまうという感じの「対・人に対するフラッシュバック」もあります。他害は減ってはきていますが、衝動的で前触れのない他害は防ぎようもなくて困っています。「対・人」に対するフラッシュバックにはどう対応する?Upload By みん三木先生:P君の頭の中を覗けないし、フラッシュバックが起こるタイミングが分からないので止めようがないですよね。原因を把握しておくことも大事ですが、すべてを把握できる訳でもありませんし、どちらかというと本人よりも相手の子に対するフォローを丁寧にすることが大事ですね。あとはフラッシュバックを起こす前触れを見つける方がいいかもしれません。フラッシュバックが起きる前兆がないか?と観察するのが大事です。――確かに相手をフォローし、フラッシュバックの理由をこちらが説明できるようにするだけでも違いますよね。三木先生:できるだけ原因を把握し、トラブルがないように観察して相手にも説明をする。納得はできないかもしれないけれど、理解はしてもらえると良いですね。たとえばお兄ちゃんに「理不尽に耐えてえらかったで賞」などとして夕飯を好きなメニューにしてあげたりするのも良いですね。でも「仕方ないから許す」、「お詫びの品を受け取ったら許さなきゃいけない」といった流れにならないように注意です。方法に振り回されないというのを定期的に振り返りながら、子どもの成長とともに親子で試行錯誤していく。苦しんできた経験があるからこそ分かることや体感があると思います。大変なことも多いとは思いますが、とにかく今は実験したり失敗したりの経験を重ねるのが良いのではないでしょうか。Upload By みん実験と失敗を繰り返し、経験を重ねるからこそ分かること感想フラッシュバックが起こると、どうしても原因を考えオロオロしてしまいがちでしたが、何度もそういう経験を重ねることで体感として分かることや、できる対応も増えていくのかな?と思いました。最初から全てうまく対応しようとするのではなく、うまくいかなかったことや失敗も経験として一つずつ取り入れながら、自分と子どもに合った対応や育児をしていきたいと思いました。執筆/みん
2022年04月18日ダウン症のある子どもとの生活についてUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンダウン症のある子どもとの生活ダウン症は、正式名称をダウン症候群といいます。21番目の染色体が1本多いタイプが大半であるため、「21トリソミー」と呼ばれることもあります。ここではダウン症のあるお子さんの保護者が抱えることが多い悩みを「乳児期」、「幼児期」、「児童期以降」の3つの期間に分けて紹介します。障害のあるなしに関わらず、幼児は免疫がまだついておらず抵抗力が未発達のため、病気にかかりやすい時期です。さらにダウン症がある場合、合併症を持って生まれてくることが多いので、より注意しなくてはいけません。ダウン症のある子どもは、筋緊張低下を示す傾向が多くあります。こうしたことが原因で、母乳やミルクを上手に吸って飲むことが難しい場合があります。また、同様の理由であまり泣けず、(周囲の大人が)空腹に気づくことが難しくなります。対処法としては、母乳より哺乳瓶の方が力を使わず飲めるため、哺乳瓶を使った授乳を行う、もしくは母乳と哺乳瓶での授乳の混合にしてあげるといいでしょう。また、哺乳瓶の穴の大きさがより大きいものを選び、少しでもミルクを飲みやすいようにしてあげるといいかもしれません。まめに体調や状態をチェックし、時間をかけてゆっくり飲ませてあげるといいでしょう。[参考リンク] MSD マニュアル | ダウン症候群(21トリソミー)自我が芽生えてくると、保護者の言うことを聞いてくれないということに直面することがあります。これは意志の強さやこだわりの表れです。決まった服しか着なかったり、同じ道順を歩きたがったりすることもあります。時には大変なこともあると思いますが、なるべくあたたかく見守り、子どもの気持ちを尊重し、付き合うことが大切です。また、この時期には知的発達の遅れも見られ始めます。言葉が出るのがゆっくり、周りの子どもたちよりものんびりしているなど、ダウン症のある子どもは乳児期には知的発達に数ヶ月の遅れが見られます。しかし、成長するにつれ精神の発達の遅れが大きくなります。人により異なりますが、重度から軽度までの知的障害がみられます。IQの平均は約50であるといわれています。[参考リンク] MSD マニュアル | ダウン症候群(21トリソミー)小学校に入学すると、授業についていくことが難しいという壁にぶつかることが多いです。ダウン症のある子どもは、耳から理解することが困難なことがあるため、話を集中して聴くことが苦手な傾向があります。集団の中での一斉の指示を理解することが難しかったり、動作が緩慢なため、通常学級在籍の場合、授業についていくことが困難になることが多いでしょう。小学校までは、障害の程度が軽度であれば通常学級でも楽しく学べるケースもあります。しかし、中学、高校と進むにつれ、特別支援学級や特別支援学校を選択するケースが多く見られるようになります。二次障害に注意また、どの期間においても言えることですが、成長段階で二次障害をおこす可能性があります。適切な治療やサポートを受けられない場合、思春期以降にダウン症による主症状とは異なる症状や状態を引きおこしてしまうことがあります。このような症状や状態を、一般的には「二次障害」と言うことがあります。注意すべき二次障害には以下のようなものがあります。・うつ病・不安障害・不登校やひきこもり・アルコールなどの依存症などこのような症状や状態が現れた場合には医療機関をあたり、適切な処置を早急に学びましょう。普段から本人が生きづらさを感じない、適切な環境に整えることで、二次障害の可能性を大きく減らすことができます。周囲の人々は本人の気持ちを考えながら日々接することを意識づけることが大切です。イラスト/かなしろにゃんこ。
2022年04月17日手先が不器用なゆいわが家の長女ゆいはで小5で発達検査を受け、その結果、軽度知的障害・ASD・場面緘黙の診断がおりています。ゆいはちょっと不器用なところがあります。しっかりテキパキしているタイプでもありません。そんなゆいを私は「のんびり屋さんだな」としか感じていませんでした。でも発達検査を受けたクリニックでヒアリングのときに「手先は不器用ではないですか?」と聞かれたので、発達ゆっくりの子にはままあることなのかもしれません。リボン結びができないUpload By 吉田いらこリボン結びって難易度高いですよね。だけど日常や学校などいろいろな場面で洋服やエプロン、スニーカーなどリボン結びをする機会はけっこうあるものです。ゆいに教えてもなかなかうまくできず、いつも「母ちゃんやって~」と泣きついてくるので、ブラウスのリボンなどは私が結んでいます。一人で脱ぎ履きするスニーカーは、スリッポン型のような靴紐のないタイプを選んでいます。これは着替えに時間がかかるゆいにとって時短になるので選んでよかったかも。リボン結びについてはゆいが大人になったころに、もしできるようになっていたら嬉しいかな~くらいの気持ちで、今は考えるようにしています。字がうまく書けないUpload By 吉田いらこゆいは字を書くことが苦手です。かろうじて読める程度のたどたどしさです。幼児のころはそんな字を微笑ましく見ていましたが、小学校二年生になってもなかなかうまくならない姿を見かねてゆいを硬筆の習い事に連れて行ったことがあります。正直に言うと、私が「子どもの字が汚い=躾のできていない親」と思われるのが嫌で、エゴで通わせたものでした。文字の練習はひたすらお手本をなぞり真似ることの繰り返しなのですが、ゆいにとっては苦痛の時間だったようです。みるみる元気がなくなっていきお稽古中も上の空で、習う意味がないと思い途中で辞めました。無理にやらせている限りは身につかないな、いつか自身で必要と思うときが来たらまた習えばよいとそのときは考えました。小学五年生の現在、字は相変わらずミミズのはうような文字です。あのとき無理にでも続けさせていたら少しは変わっていたのか、それともいくら頑張ってもストレスがかかるばかりで何も変わらなかったのか。まだあのころの私の気持ちに折り合いはついていません。着替えが遅いUpload By 吉田いらこ家族で銭湯やプールに行ったとき、三歳下の妹のあいはあっという間に着替えを済ませるのですが、ゆいはかなり時間がかかります。時間をかけて優雅に着替えをしているという感じではなく、手間取っているように見えます。いつも妹に置いていかれてしょんぼりしている状態…。学校でもやはり時間がかかるようで「私、体育のとき着替えるのが遅くてすごく焦るんだよね」と言っていました。集団生活をする上でこれはちょっと困るのではないかと気になっています。ゆいが落ち込まないようにしたいUpload By 吉田いらこ人より苦手なことが多いけれど、ゆいが「できなかった、私はダメだ」と落ちこまないようにしたいと私は考えています。努力しても難しいのであれば、やり方や道具を工夫すればいい。今は靴や着替えなど、できるだけゆいが早く履いたり、着たり脱いだりできるようにして、コンプレックスを感じることが少なくなるよう環境を整えています。ただ、これ通用するのは家庭の中だけ。外に出たらそこまで気を配ってくれる環境は少ないでしょう。工夫でカバーしていこうと思う反面、将来のために練習もしていかなければなあ…と思うことも多く、難しいところだなと感じています。執筆/吉田いらこ(監修:三木先生より)手先の不器用は、発達障害のある子どもに比較的よく見られる特徴です。特に両手やほかの体の部分を連動して動かす必要のある動作は難しいことが多いですね。無理をさせてでもやらせた方がよいのかどうかは、本当にケースバイケースです(というか結果論と言ってもよいかもしれません)。ですので、ご自身が優先したいことを考えて下した決定であれば、少なくとも「不正解」ではないのかなと思います。本人がとてもつらい場面だけは何とか大人が手助けをしてあげて、ゆっくりと成長を見守っていきましょう。
2022年04月16日実母に息子の障害について話していなかった10年前のころ祖父母に「子どもに発達障害がある」と説明してもなかなか理解してもらえないことがあると言いますが、わが家も同じで、実母の理解を得るのに10年かかってしまいました。Upload By かなしろにゃんこ。今から10年前のリュウ太が幼少期から学童期のころ、近所に住んでいた私の母は、かわいい盛りの孫に会い頻繁に遊びに来ていました。部屋の中を動き回ったり、注意力散漫で家具に体をぶつけたり、床に落ちているオモチャを避けられず踏みつけ足をケガするリュウ太。そんな孫の姿を見て私の母はたびたび「落ち着きのない子だね、誰に似たのかしら?注意するように言い聞かせないとダメよ」などと言っていました。Upload By かなしろにゃんこ。孫はかわいいけれど、次から次へと違う会話を話し出したり、動き回るリュウ太の行動は初老の母とリズムが合わず、孫の行動をストレスに感じているようでした。一緒にレストランに行ったときその当時、教育相談所に通ったり発達障害の診断を受けたことを母には内緒にしていたのですが、一緒にレストランに行ったときに、リュウ太の落ち着きがない行動を母に再度注意されてしまいました。Upload By かなしろにゃんこ。そして「体を揺らしたり足をばたつかせたり見ていてうっとうしい、おしゃべりばかりして頭が痛くなる、親がきちんと躾けないからバカになってしまうんだ」と傷つくことを言われてしまいました。『落ち着きがない=躾がなっていない』と言われ、私は頭にきました。これまで母に育児のことで注意されても言い返さずに我慢していましたが、そのとき私は「ブチッ!!!」とキレて「リュウ太には発達障害があるんだよ(怒)! いろいろ大変で、必死に育ててるのに悪く言わないで!」と母に強く言ってしまいました。自分の子育てが間違っているのでは?と感じてしまう時期だったこともあり、子育てのことでつつかれるとつらかったのです。Upload By かなしろにゃんこ。小さいころから母に怒られたりしても歯向かわず反抗をしなかった私が急にキレたので母は「えっ?」と目をまるくしていました。そして、「障害」という言葉に驚いてもいました。「発達障害」が何か?ということを母はそのときまだ知らず、ポカーンとしていたため、私はADHDの特徴やASDの特徴を簡単に説明しました。「リュウ太はADHDがあるし、自閉スペクトラム症の特性も少しあるんだよ。ADHDは生まれつきのもので長くじっとしているのが苦手なのは躾のせいではないから、落ち着きがない子どもと一緒に食事するのが嫌なら今後一緒にレストランには行かないから」と母に伝えました。Upload By かなしろにゃんこ。Upload By かなしろにゃんこ。母は最初「発達障害?そんなもの初めて聞いたし、病院で検査したって何かの間違いじゃないの?」と理解してはくれませんでした。私は「あぁ…一生懸命説明しても理解してもらえなくてめんどくさいな~」と落ち込みました…。特徴を話す度に「あぁ!そういう行動をする子どもが昔もいたわよ、どうしようもないなと思ってた」など言う母。傷つく言葉の数々を言われながらも説明しなければならない私のメンタルったら。ズタボロになりました…トホホ。こんなやりとりが年に一度はありました。Upload By かなしろにゃんこ。ちなみに夫の両親は私の母よりも世代が上で、子育ての環境や価値観も大きく違うため発達障害への理解は難しいかもしれないと考え、今も言わずにいます。実母にだけ、毎年「だから発達障害っていうのはね!」と説明すること10年です。母も徐々に「リュウ太は物忘れしやすいADHDだもんね、大変だね」と言ってくれて、私にも「クリニックに行ったり大変な子育てだったんだね」と労わってくれるようになりました。リュウ太が23歳になるころ、やっと母が理解してくれてよかった~と思っていたところ…。母からの告白つい最近、母が「実は私も小さいころリュウ太と同じだったのよね…、よく親に怒られたわ。働いていたときもついウッカリ物忘れが多かったっけ。でもなんとか生きてこれたのよね」と告白してきました。孫のリュウ太のことを見て、母は自分みたいだなと思っていたようです。そして、自分は生きづらかったけれど、リュウ太は今から躾で治せるのではないかと思っていたのだそうです。私は、(いやいや、躾では治らないから…)とツッコミそうになりましたが、70歳になった母がやっとの思いで孫を理解してくれた気持ちに感謝して言葉をのみ込みました。そして現在、大人になって少し落ち着いたリュウ太と母は、同席で食事を楽しんでくれるようになりました。執筆/かなしろにゃんこ。(監修:初川先生より)10年、毎年発達障害のことやその特徴を伝え続けてきたのですね。あきらめずにその対話を続けようとされたこと、頭が下がりますし、「お疲れさまでした…!そして『やっとの思いで』理解してくれて、よかったですね!」という気持ちです。わが子に発達障害があるということを知ったとき、保護者の方もさまざまに反応されます。否認したり、逆にほっとしたり。さまざまな思いが去来しながら、発達障害という視点を持ってわが子を見ること、発達障害に関する知見を活かしながら子育てに取り組む。一筋縄ではいかないこともあるでしょうが、プロセスを経ながら、発達障害という視点で子どもを見ることをインストールされます。今の保護者世代の一つ前の世代(子にとっての祖父母世代)だと、発達障害というものが一般的ではなく、障害と聞くと別の障害を想像されたり、見た目が「普通」に見えることも多いからこそ、そんなことはない、と否定されることが多いように感じます。また、時代の風潮としても、努力したら何とかなる(うまくいかないのは努力が足りないから)、親がきちんと躾ければ子は良い子に育つ、と悪気なくそう信じていらっしゃる方も多いですね(ご自身が努力していたり、子育て頑張っていたりした歴史がおありになるのだろうとも感じます)。保護者もまだ完全にインストールできていない視点を、祖父母世代にインストールするのは、まさに難しいことです。さらに、かなしろさんのお母さまはご自身の過去について思いがあったとのこと。だとしたら、なおのこと大変だったことでしょう。「発達障害」という視点・切り口を持って、リュウ太くんを見てみる。それを10年投げ出さず、あきらめず、片方に決めつけず視点を行ったり来たりさせながらやってこられた、かなしろさんのお母さまもすごいなぁと感心するばかりです。今は一緒に食事を楽しめているとのこと、何よりです。
2022年04月14日じっとできない!むっくんは小学校に通っていたころは、立ち歩くことはなく座って授業を受けていたそうです。だけど、家庭学習に切り替えてからは学習中にごそごそウロウロゆらゆらガタガタ。どうにもじっと座り続けることができません。イスはそれなりに座り心地の良い高いやつで、足おきもあります。だけどちょこっと机で問題を解いたらウロウロ。また戻ってきて解きながらガタガタ。今度は床にねそべって続きを解いて、トランポリン休憩をはさみ、ハンモックに乗ってユラユラしつつ問題を読み、机で次を解いたらまたゴソゴソ。どうにもせわしないのです。Upload By ウチノコどうして動くの?私から見ていると効率が悪いだけでなく、疲れるのではないかと感じるむっくんの姿。だけど発達障害の勉強会では、じっとできない陰には体幹の弱さから体を支えつづけることが難しい、ユラユラなどの強い感覚刺激を求めている、さまざまな刺激が気になり多動・衝動性からじっとすることが難しい、などいろいろな要因があるという話を聞きました。きっとむっくんにとっては何かしらの理由や必要性があるから動き回っているのだろうとは思うものの、むっくんが何を感じているのか知りたい!そこで本人に聞いてみることにしたのです。動き回る理由「どんな感じで動いてるの?そんなに動いて疲れないの?」私の質問を聞いたむっくんは、しばらく考えてこう答えました。「なんかじっとしていると、ムズムズするっていうか。体がくすぐったくなるんだよ。勉強しているとその間はじっとするじゃん?じっとするとまばたきで瞼しか動かせないでしょ?ずっとそうしてたらオレはくすぐったくてたまらなくなるけどなぁ」なるほど、むずむず!むずむずの理由は体幹の弱さなのか、感覚刺激なのか、いろいろと気になってしまうからなのか、分からないけれど。むっくんはむずむずしている不快感を解消する目的で動き回るということに納得です。動き回っていても、それなりに学習は進んでいることを考えると、動きながらの学習が今のむっくんにとっては集中しやすく心地良いのかもしれません。それなら今はこのままで大丈夫だなと安心した私。さらにむっくんはこう続けました。「むしろ瞼しか動かせないのに、平気な方がおれには分からないよ。どうしてお母さんは平気なの?」Upload By ウチノコじっとしている理由そんなこと、私は考えてこともありませんでした。どうして私はじっとしていられるんだろう?効率重視だから?じっとしている方が心地良い?体重が重いから動きたくない気はするが?じっとしていることが私にとって本当に効率が良いのだろうか?心地良いことなんだろうか?私は自分のことなのに、思考停止していたことに気がつきました。むっくんは答えてくれたのに、私は「分からない」としか答えられませんでした。じっと座ることは「いいこと」でウロウロすることは「わるいこと」という子どものころに植えつけられた価値観、学習はじっとしてするもんだっていう思い込み。それらに疑問を抱くことなく、私はぼーっと生きてきたのかもしれない!なんだかそれはもったいないような気もしてきました。心地良いを探すこの会話の最中、あっ!と叫んでむっくんは「あるもの」を取りに行きました。それはバランスボール。むっくんのお気に入りで普段からよく使っています。おもむろに自分の椅子を避けて、バランスボールをセッティング。イス代わりに腰かけてぼよんぼよんと楽しみます。「これなら瞼以外も動かせるし、机で字も書ける!長く座っててもむずむずしない!すごくいい!!」バランスボールがむっくんの学習お助け隊に入隊しました。Upload By ウチノコ目的を見失わないように「じっとすること」は子どもがよく大人側からよく求められる姿だと思います。生きていく中でじっとすることが大切なシーンもたくさんあるでしょう。「じっとすること」が必要なシーンを想定し、無理のない範囲でじっとする練習をすることも大切だと思います。だけど、日常の学習の目的はあくまでも学習です。目的達成のために学習を邪魔するほかの不快感を取り除き、自分が一番学習しやすい、つまり集中できて頭が使いやすい姿勢でいることのほうがこの場合大切でしょう。むっくんのゴソゴソウロウロは学習に集中するための彼なりの努力なのかもしれないなぁと考えて見守っています。そして、私にも学びに適した自分にしっくりくる姿勢があるかもしれません。むっくんに負けないように私も自分の心地良いを探求していこうと思います。執筆/ウチノコ(監修:初川先生より)今回もまた、むっくんの見事な言語化に驚きました。むずむずする、どうして瞼しか動かさなくて平気なの?この問いにどう答えたらよいのかは私も難しいなと思います。さて、ウチノコさんが書かれているように、立ち歩きは(座って学習できるタイプの人からすると)気になるものですね。立ち歩いているのは集中が切れたからだ、集中していないから立ち歩くのだと暗黙の了解として持ってしまう大人は多くいます。ただ、むっくんが体現しているように、動いている方が学習や作業に集中できる人はいます。座って、いい姿勢で授業を聞くとなると、座っていることだけで、いい姿勢を維持するだけでエネルギーの大半を使い果たしてしまって、肝心の内容が入ってこない、と語っていたお子さんもいました。大人になると、仕事しているときに、立ってPC作業している方が捗る人、絶えず貧乏ゆすりしながら考え事している人など、どこかしら動いていたり、自由度の高い姿勢を取っていたりする方もいますね。大事なのは、学習の内容を理解して習得すること。そのときの姿や行動は問わない。ウチノコさんがご指摘の通りです。それが実は学習という観点からすると一番本質的な捉え方です。もちろん集団の中で学習する場合には、周りの子や授業の進行自体に支障を来さないような工夫は必要になりますが、大事なことは座っていい姿勢で聞くことではなく、内容を習得することです。姿勢や行動は気になりますが、それには惑わされず、学習が成立しているかを確認しましょう。
2022年04月14日やってきた、娘の思春期・反抗期。広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)のある娘は、4月から小学6年生。小さなころはコミュニケーション部分が苦手で、自己主張も少ないということもあって、私に言われたことを淡々とこなしていく子でした。Upload By SAKURAしかし、それも成長と共に変化し、小学4年生ごろから私に対して反抗することが増えていきました。返事をしなかったり私を睨んだり、娘の発達障害が分かってから大切にしてきた話し合いの時間も拒否し、受け入れてくれなくなりました。Upload By SAKURA当初、私はそんな娘の反抗を嬉しく思っていました。「このくらいの歳の子にはよくあること」「自分だって覚えがある」「正しく成長している証」ここを通って娘は成長していく…そう思っていました。しかし、発達障害のある娘の思春期・反抗期は、とても特殊に感じられたのです。療育グッズ、絵カードを嫌がるように。娘は耳からの情報収集が苦手という特性があります。そのため、私は視覚に訴える療育グッズをこれまでたくさんつくってきました。準備や片づけをサポートするカード、先の見通しを立てるための時間を細かく書いたスケジュール、良いこと、悪いことを絵にし、壁に貼ったりもしていました。Upload By SAKURAそうすれば娘の苦手な部分をフォローすることができましたし、娘に「自分でできる」という自信をつけることができると思ったからでした。しかし、娘は少しずつ、その絵カードなどのサポートグッズを嫌がるようになりました。Upload By SAKURA声かけも嫌がるように。私は、それも娘の大切な主張だと思ったので、絵カードはつくらずに、声かけのサポートだけ続けましたが…Upload By SAKURA絵カードでフォローできない分、声かけをすると、次第にイライラしていく娘。声かけなしでできればいいのですが…娘は声かけをやめてしまうといろんなことが抜けてしまい、パニックを起こすのです。Upload By SAKURA私は、なるべくパニックを起こさないように、スムーズにできるようにという気持ちで声かけをしていたのですが、それを娘は嫌がる…。私は、娘に声かけするたびに、イライラが溜まっていきました。発言と行動の矛盾。そのうちに娘は、いろんなことを「できるようになりたい」と言うようになり、自立の気持ちが目立つようになりました。私は、意欲が出たときがチャンスと思い、いろんな家事を一緒にやろうと誘いましたが…Upload By SAKURA娘はいつも「今はいい、今度ね」と断り、行動に移すことはありませんでした。さらに、自分のことをよく見られたいという気持ちも芽生え、家族以外の人に、自分のことを話すようになったのですが…Upload By SAKURA娘の発言と行動は矛盾していて、家ではやらないことがほとんど。家でやらないことを、いつもやっているという感じで話すので、私には娘の考えていることがよく分かりませんでした。私を拒否しているのに、自分ではやらない。私ともめたときも…Upload By SAKURA私に対して「もういい!」と言うのに、自分で何とかしようという気持ちが一切なく、私を拒否しているのに、私にやらせようとする…。その考え方の矛盾が、私には全く理解できませんでした。Upload By SAKURA発達障害のある娘を、自分の小学生のときと比較してはダメだと分かってはいましたが、常に娘ともめていた私は、正常な思考が保てなくなっていきました。再びやってきた、在籍クラスの選択。私は娘とのやり取りで分からないことがあったとき、半年に一回受けている発達外来の定期健診で先生に相談していました。しかし、それも小学2年生まででした。当時の娘は、とても安定していて、病院からの提案で、定期健診はなくなり、カルテを残し、診断書がほしいときに受診するということになりました。Upload By SAKURA病院が受診できなくなってから私は、娘のことで分からないことがあったときは、本を読んだり、ネットで調べたりしていました。今回の場合も、娘とうまくいかなくなってから、自分で調べて試行錯誤しましたが、関係性は悪くなる一方。ピリピリした空気感は強くなっていき、娘の態度を見るだけでイライラするようになってしまいました。そんなとき、特別支援学級の先生から、中学校からの在籍クラスについて聞かれました。Upload By SAKURAついこの前、在籍に迷い、やっと小学2年生からの在籍クラスを決めたと思っていましたが、あれからもうすぐ5年が経つ…。中学生からの在籍は、6年生の夏までに決めなければなりません。2年生のときに比べたらいろんなことができるようにはなりましたが、まだまだな部分も多くあります。そこで、中学からの在籍クラスを決める参考にするため、病院で発達テストを受けることにしました。久しぶり(4年ぶり)の受診ということで、いきなり発達テストではなく、テストの前に診察を受けることに。私は、その診察のときに、先生に今の娘をどう扱っていいかを相談しようと決めました。これが私と娘の転機になったのです。執筆/SAKURAさん(監修:三木先生より)お子さんの言動に不一致があると、親としてはイライラしてしまいますよね。しかもなかなか「自分で言ったんだから」と突き放し切れなかったりするものです。さて、診察ではどのようなアドバイスがもらえるのでしょう…?
2022年04月13日クラブ・ルーツを訪れたのは…クラブ・ルーツでようやくガバナーに会えたサシャ。話をしていると…Upload By 荒木まち子Upload By 荒木まち子執筆後記残すところあと2話(^▽^)vちなみにガバナーの名前の由来は“government(行政)”です^^執筆/荒木まち子
2022年04月12日あまりにも字が下手私は字を書くのが苦手でした。字をきれいに書くことができず、きれいに書こうと気をつけるとやたら時間がかかってイライラする。算数でノートの計算式がだんだん歪んでいって桁がわからなくなり、盛大に計算ミスする。私は手書きのノートで勉強するにあたって常にイライラしていました。その理由が当時は思い当たらず、自分のフラストレーションについて言語化もできず。ぼんやりと、皆こうして我慢しているものだと思っていました。あまりに球技ができなかった苦手な体育の中で特に苦手だったのが球技です。ともかくボールが怖い。ボールをよく見ろ、逃げるなと言われても、ボールを正しく「見る」というのがどういうことなのかわからないし、必死に目をひんむいて見ようとしたところで、怖くて反射的に目をつぶってしまう。自らボールを迎えにいけと言われても、やはり身体が勝手にボールを避けようとします。そんなこんなで、いくら練習しても、投げられたボールが取れない。ボールを力いっぱい投げても飛びません。ボールに的確に力がかかる方向に投げる動きができないのです。たとえば理屈で「◯度の角度で投げろ」「ボールがここに来た瞬間に手を離せ」という感じで説明してくれる人はおらず、ともかく「真面目に」「本気で」「やる気を出して」やれと叱咤されるばかりでした。同級生からのいじめ、先生からの叱責苦手な体育の種目は球技ばかりではありません。走るのも遅くて走り方が変、長縄が怖くていつまでも入れない。小学校時代は、ドッジボール、リレー、長縄などのクラス間競争で「お前のせいで負けた」「真面目にやらないからだ」とクラスメートから罵声を浴びせられる。突き飛ばされ、動きを真似されて笑われる。私の身体の不器用さは、私をいじめるための格好の理由になっていました。身体の不器用さにまつわる私の苦難は、中学生になっても続きます。中学生の頃、あるとき数学の先生が私の数学のノートを見て激怒しました。「こんなに汚く書くのには悪意があるに違いない。私をバカにしているのでしょう」と言います。私は心底驚きました。そんなふうに捉えられるなどとは思ってもみなかったのです。「いや、もともとノートを書くのが苦手なうえに数学が苦手なので、苦痛でこうなってしまうだけです」と説明しましたが、先生の怒りは治まらず。結局、反省文の提出を要求される事態にまで発展してしまいました。いま思えばこれらのできごとは30年前後前、発達障害について世間的な認知のない頃のこと。私はほかの教科の成績はよかったし、ともかく口は立ったので、特定の教科・特定のことだけ苦手かもしれないことに、クラスメートも先生も思い至らなかったのかもしれません。私としては精一杯頑張っているつもりなのに、悪意で手を抜いている、性格が悪いと解釈されるのです。私はこうしたできごとのせいでかなり傷つきましたし、どうしてわかってくれないのかと怒りも覚えました。そうしたモヤモヤの理由も、持っていきどころもわからず…。ITとの出会い、発達障害の自覚しかし、私は30歳を過ぎてようやく自分の発達障害を知ることに。発達障害者には字がうまく書けなかったり運動が苦手だったりする人が多いこと、その理由のひとつは協調運動障害(DCD)といって、頭の中のイメージと身体の動きが一致しなかったりすることによる身体の動きの不器用さだと知りました。私は初めて、自分が手書きのノートに対して長きにわたって感じていたフラストレーションの原因を知ることになりました。そうなのです。「頭の動きに手の動きがついてこない」感じ。頭の中でイメージしていることを手が思ったように出力してくれない、手が思考を出力するボトルネックになっている。そんな感じだったのです。そして、手の動きがボトルネックとならなければ、持ち前の頭の回転を存分に生かせるのが私でした。私は大学に入ってからタッチタイプを習得し、いろいろな文章をワープロソフトで書いていくようになりましたが、その小気味いいこと。考えると同時に手が出力してくれる、何にも邪魔されない感じ。どれほど雑にタイプしてもきれいに整った字で出力してくれるワープロソフト。今の私の生産性は確実にワープロソフトに支えられています。その後はPCをはじめ、さまざまなITを活用して自分の苦手をカバーしています。表計算ソフトを使えばきれいな表の作成や苦手な計算も思うまま。買い物メモは手書きだとあとで自分でも読めなかったりしてミスのもとなので、スマホで入力したり、スマートスピーカーと買い物リストを連携して音声入力したりしています。運動も、身体を動かすこと自体は好きなのだと気づいたので、ゆったりしたヨガやゆっくりめのダンスなどを日常的に楽しんでいます。使えるツールは使って「本人の楽」を大事に私の人生は、自分の苦手を把握し、苦手をカバーしてくれるツールと出会ってから格段に楽になりました。要らぬトラブルやストレスが減り、それまで誰も知ることのなかった本来の能力を発揮できるようになって自己肯定感もアップしました。私が子どもの頃には発達障害の世間的認知もなく、今のようなITツールも存在しませんでした。しかし、いまの子どもたちにはこれらの両方があります。いまの子どもたちにはぜひ、こうした環境を存分に享受させてあげてほしいと思います。障害のあるなしに関わらず、人にはそれぞれに苦手なこと、頑張ってもできないことがあり、それはツールで乗り越えられるならどんどん乗り越えていけばいいのです。文/宇樹義子(監修者・鈴木先生より)発達性協調運動症(発達性協調運動障害)は不器用さが根底にあり、球技が苦手だったり、字の上手く書けないことが多いです。ただ、ADHDの治療をすすめ、集中できるようになると字がきれいになったり、シュートが入るようになったりする人も多いのです。日本では根性論的な指導をされることが比較的多いのに対して、野球が盛んなアメリカではリトルリーグ時代から何度の角度で投げればいいなど具体的に教えてくれます。発達性協調運動症(発達性協調運動障害)のある人は、周りの理解がないと責ばかり受け、自尊心が落ちてしまいがちです。感覚統合訓練や音楽療法が訓練法としてお勧めです。宇樹さんが行っていたダンスは音楽と感覚統合が組み合わさっているのでとてもいい方法だと思います。字が上手く書けなくても、今はPC等ITツールも普及しており、それに救われる人も多いのではないかと思います。書字障害のある方も学校でPCやタブレットを用いることでいじめや叱責から逃れられています。みんなと一緒でなくてもいいのです。
2022年04月11日クラスのみんなとの活動にも参加できるようになってきたしのくんは、発達障害グレーゾーンの男の子です。年少さんクラスになって、加配の先生も一人しのくんについてくれて、だんだんとクラスに慣れてきた3歳4ヶ月ころのことです。以前は集団行動ができず、すぐにクラスから脱走してたしのくんでしたが、それも減りました。だんだんと律動(リズムを使った運動)などのクラスのみんなとの活動にも参加できるようになってきました。Upload By keikoそんなとき、運動会にむけて園歌をクラスで練習することになりました。最近はみんなでの活動ができるようになってきたと思っていたので、その様子を先生から聞き、私はショックを受けました。練習に参加せず一人暴走するしのくん先生に聞いたところ、運動会の練習の時間にみんなは園歌を歌っているのに、しのくんは絵本を広げて読んでみたり、歌ってるみんなの周りをぐるぐるまわってみたり、クラスの子にちょっかいを出しているのだそうです。Upload By keikoみんなの反応は…⁈私はこの話を担任の先生から聞いて、一人で勝手なことばかりするしのくんに、みんなは怒ってないのか心配になりました。クラスのみんなはしのくんのことどう思っているのかな?嫌われていたらどうしよう??…思わず先生に聞いてしまいました。Upload By keikoけれど、みんなしのくんに優しくて、誰も怒らず、ちょっかいを出された子も困った顔をするだけなんだそうです。Upload By keikoほかにも自由遊びの時間にみんなが頑張って積み上げた積み木をしのくんが倒したとしても、クラスの子たちは怒らないというエピソードを聞いて、みんなの優しさに感動し感謝しました。ですが、このままではダメだと思い、まずはみんなと園歌の練習はできるようにしようと先生から園歌の楽譜をもらい、家で練習をすることにしました。現在まだまだ集団行動が苦手なしのくんですが、これからも家でできることはやっていこうと思います。Upload By keiko執筆/keiko(監修:井上先生より)雰囲気のよい園でkeikoさんも安心されたことと思います。行事の中でも得意なことと苦手なことはでてくると思うのですが、家で1対1で練習することで園で練習するときよりも覚えやすいと思います。お子さんが歌に親しむために家で行事で使う歌や音楽をかけたり、練習のときの動画を見せたりするのはいい方法だと思います。運動会という行事の中で本人が何をやったらいいか分からなかったり、長い時間待たなければいけないというのは、苦手なお子さんも多いと思います。このような場合は、競技の流れを視覚的に示すことで、参加しやすくなります。また待ち時間は、ほかの場所で遊びながら過ごすなど、特別なルールがあるとよいかもしれません。いっぺんに全部に参加させようとすると本人にも周りにもプレッシャーがかかります。参加できそうなところを中心に、本人に合った活動に部分的に参加しながら、年齢と共に徐々に参加できるものを増やしていけたらいいですね。じっとしながら歌うのは大変なことです。例えば、歌を歌う時間や、待ち時間などにお子さんに役割を与えというのもいいかもしれません。小学生のお子さんの例ですが、指揮者や歌詞をめくる係、得点係などを担って、運動会に参加したというお子さんもいます。また、感覚過敏などがあると大きな音がつらくなってしまうこともあるので、園などに相談し苦手なところに配慮しながら行事に楽しく参加できるといいですね。
2022年04月09日コウが「お母さんみたいにちゃんとしたいな」と言う理由は?Upload By 丸山さとこコウは、私が予定を組んだりリマインダーをかけたりタイマーを使ったりするのを見ながら「僕もお母さんみたいにちゃんとしたいなー」と言うことがあります。私は忘れっぽくミスもよくするので、「ちゃんとしてるといったらお父さんじゃない?」と聞くと、「確かにお父さんはちゃんとしてるけど、お母さんは僕みたいにウッカリなのに工夫してるよね!」と力説するコウ。「だからすごいなって思うし、参考になるのはお母さんだと思うんだよ」と語る彼に、「なるほど~、ウッカリ込みの評価か!」と笑いつつ、彼なりに考えて観察しているのだなと感心しました。その観察眼には拍手を送りたいところですが、観察しているだけで試したり取り入れたりはしないコウなので、「そう思うなら自分でも工夫してみよう?」と言うと「工夫か~…」と面倒そうにしています。Upload By 丸山さとこ親としては「そこは何とか頑張ってみなよ~」と思いますが、面倒くさがりな1人の人間としては、その気持ち…よく分かります!そして、コウを見ていると、『工夫をすることは今のコウにとって負荷が大きく、本当にとても面倒で気力のいることなのだろうなぁ』と感じます。”工夫”と感じてはいなかったけれど…私はコウ以外にも、いろいろな人から「よく工夫をしている」「頑張って工夫をしている」と言われることがあります。けれど、自分としては、ことさらに工夫している感覚はありません。そのことを話すとコウが意外そうに驚きました。そんな彼に、「コウはこうもりから『人間は超音波が使えないのに、暗いところでも動けるようにライトを使ったりして頑張って工夫してるね!』って言われたらどうする?」と聞くと、「それは…ん~?『ありがとうございます…?まぁ普通にそうしてます』って感じだねぇ」と笑いながらうなずきました。Upload By 丸山さとこ私も人から工夫を褒められたときに、前述のコウの言葉に近い感想を抱いている部分があります。好意的に評価されたり労われたりすること自体は全く不快ではないしありがたいなと思いますが、『普通にそうしている』自分の感覚とズレを感じることはあります。小さなニュアンスの違いですが、私としては『工夫』よりも『方法』の方が、言葉としてはしっくりする感覚があります。Upload By 丸山さとこ『工夫』という言葉自体に『いろいろと考えて出したよい方法』という意味も含まれているので、工夫は方法の一つと言えそうです。先の例えで言えば、「ライトを使うという『工夫』をしているのではなく、ライトという『方法』を使っているのだ」という認識が、私の中の自然な感覚なのかもしれません。とはいえ、「工夫という単語が用いられるのも分かるなぁ」と思います。『多くの人が備えていることを前提とされた能力』がない状態で暮らしていると、工夫と表現されるような方法が必要になるシーンは多いだろうなと考えられるからです。Upload By 丸山さとこ私はメガネで矯正可能な強度近視なので、メガネをかけて生活しています。夜道に対して『ライトという方法』を使うような感覚で、『メガネという方法』を使っています。そこに工夫の意識はありません。そんな便利なメガネですが、うたた寝や洗顔の際に外したまま置き場所を忘れてしまうことがあります。スマホのカメラで部屋を写しながら探すと見つけやすいのですが、私はこの方法のことを「工夫である」と感じます。『いろいろと考えて出したよい方法』だからなのかもしれません。自分に合った工夫をして、より快適に!こうして改めて考えてみると、『工夫をする必要のないやり方』だけが、ただのシンプルな『方法』であると言えるのかもしれません。それならば、確かに私の生活には無意識の工夫がたくさんありそうです。今はライフハックとして紹介されている工夫がたくさん見られる時代です。たくさんの書籍やSNSから…そして自分自身の経験から、コウが自分に合った工夫をして、より快適に暮らしていけたらいいなと思いました。Upload By 丸山さとこ執筆/丸山さとこ(監修:初川先生より)工夫と方法について、一緒に考えながら読みました。なるほど、さとこさんにとっては、工夫とわざわざくくる必要もないような、ご自身やコウくんにあった方法を見つけ出しながら実践されているのですね。コウモリの話も、面白い視点だなと感じました。そのやり方が見つけ出せない人からすると、自然と出てきた方法もきっと工夫として映るのでしょう。文中にもあるように、今はSNSなどでさまざまな工夫(ライフハックと言われますね)が共有されている時代です。やりやすい方法の「呼び水」である工夫をそうして取り込みながら、自分に合った方法を考えられるといいですね。ところで、さとこさんがされている「スマホのカメラで探す」工夫、私は考えたことがなかったので、早速やってみたい気持ちでうずうずしています(たしかに、カメラで家の中を撮影すると、思っていたよりもずっとごちゃついているように見えたりして、自分の見ているものがいかに自分用に加工された映像であるかということを思い知りますもんね…。なくし物を探すときに使えるとは…面白いです!)。
2022年04月08日共感の言葉が欲しい幼い自閉スペクトラム症の子を育てている知人も次のように話していました。「今までで一番嬉しかったことは、オウム返しだった息子が、母親の声かけに対して『うん』と答えたこと」私には知人の嬉しい気持ちがとてもよくわかります。「う・ん」これはたった2文字の言葉ですが、立派な会話だからです。息子は2才ごろから言葉を話せるようになりましたが、動物園に連れて行くと、ゾウの展示の前で、全くゾウと関係ない、大好きなトイレの便器の型番をずっとブツブツと言っていました。Upload By 立石美津子「象がいるね」と話しかけたら、息子に「うん」と言って欲しかったものです。だから、知人の気持ちがとてもわかるのです。小さな成長がともかく嬉しいこうした、小さな出来事のように見えるかもしれないことに幸せを感じられるのは、障害のある子の子育ての醍醐味かもしれません。先日も45リットルのゴミ袋のストックがないのを見て「お母さん、ゴミ袋ないよ」と言ってきました。こんなことでいちいち、心が嬉しくて震えます。聞かれてもいないのに、「2023年8月3日は木曜日」なんて言えなくていいから、一緒におやつを食べながら、「お母さん、このアイスクリーム、冷たくておいしいね」と言って欲しい…。一緒に外に出たときに、自分から「お母さん、今日は暖かいね」と言って欲しい…。自閉スペクトラム症のある子どもを育てる親の願いです。言葉が出ない子どもでも表情で「うん」と答えてくれる、言葉が出るようになってもオウム返しではなく、「これ美味しいね」「今日は寒いね」と親に自ら共感を求める言葉を言ったとき、心が嬉しくて震えるのです。こういうことに幸せを感じられるとき、私も親として少しは成長をしているのかなと、思うのです。(監修者・鈴木先生から)以前私の患者さんでADHDの治療をしたら入浴後に「シャンプーがないよ」と言ってくれたお子さんがいます。治療を継続する中で、自ら気づくようになり、それを記憶して母親に言えるようになったのです。そういうところからも会話が増えることはあります。息子さんも成長してゴミ袋のストックがないのに気づき、忘れないうちに言えるようになったのかもしれません。返事に関しては周りの大人も気をつけなければいけません。相手に対して大人もきちんと返事をしていれば自然と子どももまねるものです。最初はオウム返しでも構いません。赤ちゃんのころからお子さんの口ずさんだことに対して無視せずにその子の顔の前で必ず反応してあげることが大切です。
2022年04月07日戦中生まれの母…発達障害なんて分からない!?私の母は戦中の生まれで、発達障害についてはほとんど知りません。普段、本を読むこともなく、テレビもほとんど見ないので、情報源といえば新聞ぐらい。発達障害がある私の2人の子どもたちのことも「ちょっと変わった子だから、いじめられないか心配」ぐらいの感覚のようです。ちなみに父は早くに亡くなりました。私は一人っ子です。子どもたちに発達障害があることを言ってみたけれど…Upload By 寺島ヒロ私の母のような人が、これから積極的に勉強して、発達障害や障害者福祉について理解し、孫たちのためになにか行動するとか、全く現実的ではないですし、期待しても仕方がないことだと思っています。あえて理解を得ないという戦略子どもたちの細かいケアを頼ることはできませんし、ときには心ない言葉で精神を削られることもありますが、子どもたちの進学先や所属する学級、支援の申請内容などを、私と子どもたちだけの判断で決められるなど、関わってこられなくて気楽という面もあるので、あまり「理解を得る」ことにリソースを使わないようにしています。そんな母ですが、孫のことはたいへん可愛がってくれ、よく観察しているなと感心することもあります。おばあちゃんの買ってきた服は嫌!いっちゃんが7~8歳ぐらいだったころ、母がこんなことを言いました。母「いっちゃんは本当にアンタに似てるねえ…」私「日がな一日絵を描いてるところとか?」母「それもあるけど、見た目が似てる」私「顔は似てないでしょ」母「服が似てる」母が言うには、いっちゃんが母の家に泊まりに行ったとき、私が持たせた服が足りなくなることがあるのだそうです。それで、予備で買っておいた服を着せるんだけど、大体すぐ脱いでしまうのだと。Upload By 寺島ヒロおそらく、いっちゃんには感覚過敏があるので、母が感じ取れないレベルの生地のケバ立ちが気になって、着られない服があったのでしょう。私も似たようなことをしていた!さらに母は「アンタも私が買ってやった服が気に入らないと、よくチクチクするってケチつけて着なかったよね」と言います。全く覚えていないのですが、幼いころの私も母が買ってくれた服を「チクチクする」と着なかったことが頻繁にあったようです。シュミが渋すぎる娘たち母「自分で選べばと思って、一緒に服を買いに行っても、地味な色のくたクタクタした服ばっかり選ぶのも一緒。なんていうか子どもらしくないのよ!」子どもがみな鮮やかな色の服が好きというのは、母の思い込みだと思いますが、たしかにそれも私と娘ではそっくりです。私たちは、明度と彩度の高い色の服が大の苦手。眩しいという感じと似ているのですが、例えばテラテラした素材のピンクのスカートなどが、視界に入ると目が「ケチャケチャ」して不快に感じてしまうのです。外に出るときは白いシャツとかも着るけど、基本家ではグレーのグラデーション。イラストにするときは、人物の区別がつかないので色を載せているんですけどね。「ちゃんとした服」を着て!と言われても…いっちゃんが15歳になった今でも、よく母に「いっちゃんに、ちゃんとした服を買ってあげなさいよ」と心配されます。というのも、いっちゃんは服が足りなくなると、私の服を「これほしい」と言っては持っていき、大抵いつも私のお古を着ているのです。新しい服を買いにお店などに行くよりは、私のチェックを通過した服から選んだ方が効率的ということらしいです。明るくて騒がしいお店での買い物が苦手ないっちゃん、賢いと言えなくもない判断です。Upload By 寺島ヒロ母に「服を買って送ってあげる!」と言われることもあるのですが、断固として断っています。気持ち的には「服を買ってあげる甲斐のない娘と孫でごめんなさい!」なのですが、ここは私たちにとってどうしても譲れないところなのです。執筆/寺島ヒロ(監修:初川先生より)祖父母や親戚の方が、発達障害のあるお子さん・孫についてどうご理解くださるかはなかなか難しい問題ですね。いつも一緒に生活しているわけではないと、発達障害のあるお子さんの多くの面をご覧になっているわけではないがゆえに、「大丈夫よ」「障害なんて気にしすぎなんじゃないの」といったことを言われることが多い気がします。そして最終的な責任のありかとしては保護者である親にかかってくるので、どこまでそうしたご意見を取り入れるのか、それ以前にどこまでお子さんの障害のさまざまな側面をご理解いただくかはとても悩ましいところではあります。ヒロさんのように、すべてを理解してもらうのは難しい、とある意味割り切って、障害についての理解はさておき、孫を可愛いと思っているその側面でお付き合いしていくのも一つの道だと思います。いっちゃんのお祖母さんは、ヒロさん(娘)を育てるときも地味な服ではなく子どもらしい色の服を着せたい(そのときにあまり肌触りは気にしない)という思いを持たれ、いっちゃんに対してもそう思っていらっしゃるのですね。鮮やかな服がきっと似合うと強く思われていらっしゃるのでしょう。ただ、実際には、ヒロさんもいっちゃんも地味な色味で肌触りや軽さが重要。いっちゃんにとってお母さん(ヒロさん)が良き理解者であることは、服をめぐるあれこれについてとても安心感を与えてくれることだろうと思います。
2022年04月06日特別支援学級で授業を受けてみた結果は…?小5のときに軽度知的障害、ASD、場面緘黙の診断がおりた長女ゆい。先生から苦手な算数の授業について特別支援学級で受けることを提案されました。私も先生も、ゆいの負担を考えると特別支援学級に移ることがベストだとは思いました。でも自分だけ別教室で授業を受けることについて、本人が嫌がったり周りに何か言われるようなことがあればやめておこうと話していました。(ゆいの通う小学校は「特別支援学級在籍」となっていても、普段は通常学級で過ごし、国語や算数などサポートが必要な科目だけ、特別支援学級の教室に集まって授業を受けます。※自治体により異なります)Upload By 吉田いらこお試しで通ってみた初日、私はドキドキしながらゆいに様子を聞いてみました。ゆいの返事は「別に何もなかったよ」でした。思いのほか気にしていなかったようです。初日は、特別支援学級での取り出し授業にも問題なく行けたので、翌日からも特別支援学級に通うようにしていましたが、特に問題は起きませんでした。Upload By 吉田いらこゆいは、通常学級で授業を受け、算数の時間になると別の教室へ移動します。別教室には、ほかのクラスからも集まり五人ほどで「特別支援学級」としての授業を受けます。授業の進度は通常クラスと同じですが、問題は基本だけをとても簡単に、ボリュームも少なくして教えてもらっていました。ゆいはサクサク進む通常の授業についていくのが難しかったのですが、ここでは個人のペースに合わせて待ってもらえるのでかなりラクになったのではないかと思います。また、友達から特別支援学級に通うことについて何か言われるのではないかという不安もありましたが、それも必要なかったと分かったことがありました。気になっていた友達関係Upload By 吉田いらこそれは、放課後友達が家に遊びに来て一緒に宿題をしていたときのことでした。ゆいと通常学級の友達とでは、算数の宿題が違います。ゆいの宿題は友達のものよりも易しく、量も3分の1ほどでした。みんながわが家に集まり、ダイニングテーブルの上にそれぞれの宿題を広げ、ワイワイとやり始めました。ゆいが行き詰っていると、友達が教えてくれます。それもとても自然に。宿題の種類が違うことなどだれも何も気にしていないのです。Upload By 吉田いらこ算数の授業を特別支援学級で受けるようになってから、もう一つ良いことがありました。Upload By 吉田いらこ算数以外の教科のテストの点数が以前よりも上がったのです。照れながらも嬉しそうに答案を見せてくるゆい。多分、算数の授業が易しくなって負担が減ったからなのかなと感じました。今までは毎日算数の授業にたくさんの気力を使い、とても疲れていたのでしょう。そして、必死に頑張っても結果がついてこないことに落ち込んでいたと思います。以前に発達検査を受けてから、私はいろいろ考えました。特別支援学級に行くか行かないかはもちろん自由でしたが、毎日勉強で無理して学校が苦痛になってしまうのは避けたかったです。そこで、小学校での目標を「楽しく学校に通うこと」にしました。そのためにできることを今はやることができているのかなと思います。執筆/吉田いらこ(監修:三木先生より)ご本人にとって無理のない負荷に調整できたのはとても良かったですね。そのことによって手応えと自信をもって課題に取り組めるようになると、また日々の暮らしが楽しくなり、そして課題への取り組みがさらに良くなると思います。ともあれ、楽しそうに過ごしているお子さんの姿を見られるのは親としても安心ですね。
2022年04月05日発達凸凹の困りごとを解決するヒントが分かる『でこぼこポン!』Upload By 発達ナビニュース発達障害や、発達に凸凹のあるお子さんが、社会生活で大切なスキルを学べる番組『でこぼこポン!』。2021年3月、12月の放送で大きな反響がありました。そして好評の声を受け、この春NHK Eテレでレギュラー放送が決定。放送時間は、火曜日午前 8:35~8:45(再放送:木曜 午前 7:20~7:30)。いよいよ2022年4月5日(火)から放送スタートします!『でこぼこポン!』は、お笑い芸人・俳優の鳥居みゆきさんが演じるはかせの「でこりん」、はかせの年の離れた友達「ぼこすけ」、不思議な生き物「ポン」の仲良し3人が繰り広げるドタバタ劇。発達に凸凹があるお子さんにとってよくあるシチュエーションや、そのサポート方法を描いたドラマを中心に、テレビの前で一緒に遊べるゲームやダンスなどの楽しいコーナーも通してお子さんの発達をサポートします。第1回の放送から「でこりん」役として出演する鳥居みゆきさんにお話を伺いました。Upload By 発達ナビニュースーー昨年3月、12月の「でこぼこポン!」放送後の周りの方からの反響はいかがでしたか?鳥居みゆきさん(以下、鳥居さん):周りの発達障害のある子どもを育てる親御さんは、今までカミングアウトしづらかったらしいんですね。それが、「でこぼこポン!」が放送されたあと「実は言ってなかったんだけど…」って話してくれる人が結構多くいました。その話を、私がまた「結構カミングアウトしてくれる人が増えたよ」と伝えると、それでまたそれぞれ安心してくださって。みんなに「すごく気が楽になった」と言われました。実は、私の親戚の子どもにも発達障害のあるんですけど、昔は「何で?」と思っていた行動も、「でこぼこポン!」を通して客観的にみることができてその行動も「あっ」と理解ができたんです。それに特性による行動って、みんなもあてはまることの延長だったり、それが強いか、弱いかだったりするだけなんだなと思いました。私も自分の親から「落ち着きがないな」とか「何でそんなことで怒るの?」とか「何ですぐパニックになるの?」とか、小さいころからよく言われてました。それもあって「でこぼこポン!」で取り上げる困りごとは、みんなそれぞれあてはまることじゃんって思って。だから私も「今まで何で(周りの人たちを)理解しようとしてなかったんだろう」と思いました。私も今回でこりん役をやらせていただきましたが、でこりんだけでなくて、ぼこすけの悩みとかも全部あてはまってて(笑)。「でこりん」みたいにみんなが発明品をつくることができるわけじゃないけど、こういう考え方をすればいいんだって言うのが分かりました。ーー番組を楽しみにしている方たちへのメッセージをお願いします。私の身近な人は、これまでの放送がきっかけでカミングアウトしてくれた人が結構いたんですが、カミングアウトすることだけが正しいというわけでないのかなと思うんですよ。だから別に「言う・言わない」はそれぞれだと思うんですけど、「でこぼこポン!」を通してちょっとでも気が楽になってくれたら、と言うか、そんなにあんまり「気が楽」とかも考えず、「でこぼこポン!」を楽しいなと感じてくれるだけでもいいなと思っています。ストーリーに出てくる「この発明品、おもしろいなあ」でも。みなさんに番組をフランクに楽しんでいただけたらなと思っています。4月5日放送「声の大きさ調節の発明品」Upload By 発達ナビニュースレギュラー放送の初回は2022年4月5日(火)午前8:35~8:45に放送。その気になるあらすじをご紹介します。〈あらすじ〉友達と電話をしているぼこすけ。「いま電話中だからね」と、でこりんに静かにしてもらうように促しますが、でこりんは大きな声で話をしてしまいます。「電話中とは聞いたけど、静かにして、とは言われなかった」と、でこりん。どうやらでこりんは、場面によって「適切な声の大きさが違う」 ということが分からないみたい。そこで、図書館や公園など、さまざまなシチュエーションで どんな大きさの声が適切かをロールプレイして試せる発明品をつくることに…仲良しだけど、いつでもうまくいくわけじゃない…!そんな「でこりん」「ぼこすけ」「ポン」の3人の関わり合いは発達が気になる子どもたちが毎日を過ごすためのヒントがいっぱいです。学びになるだけでなく、すべての人がみんな違った個性をもっているからこそ楽しい!ということに改めて気づくきっかけになるはずです。ぜひご覧ください!放送予定<NHK Eテレ>本放送 火曜 午前 8:35~8:45(初回放送 4月5日)再放送 木曜 午前 7:20~7:30※クリックすると発達ナビからNHKのホームページに遷移します
2022年04月04日パズルを解きながら「学習の土台」を育もうーー『医者が考案したコグトレ・パズル なぞときアドベンチャー編』「コグトレ」とは、認知機能を向上させるトレーニングのこと。ベストセラー「ケーキの切れない非行少年たち」の著者でもあり、児童精神科医・医学博士の宮口幸治さんが考案しました。「注意」「記憶」「言語理解」「知覚」「推論・判断」などの認知機能は、基本的な社会生活を営むために必要なだけでなく、「学習の土台」でもあります。コグトレ・パズルで謎解きをして、遊びながら認知機能を育みませんか?授業についていきたい、漢字を覚えたい、計算力をつけたいと感じているお子さんにおすすめの1冊です。スモールステップで「できた」を増やそうーー『イラストでわかるDCDの子どものサポートガイド』「なんだか不器用」「よく人やものにぶつかる」「ボールをなげるのが苦手」「スキップができない」などお子さんの日常で気になることはありませんか?もしかしたらDCDが関係しているかもしれません。DCD(発達性協調運動障害)とは、脳機能の1つである「協調」の発達に問題がある神経発達障害です。まだ日本ではDCDへの認知度は低いため、DCDがあることに気づかず適切な支援を受けられないという子どもがたくさんいるといわれています。実は、DCDは子どもの約5〜6%に見られる障害です。ADHDの頻度である約5%と変わらず、ASDの約1%という頻度よりはるかに多い神経発達障害であるということが分かっています。『イラストでわかる DCDの子どものサポートガイド 不器用さのある子の「できた!」が増える134のヒントと45の知識』では、DCDとはいったいどのような障害なのか、DCDのある子どもたちの具体的な困りごととその解決のヒントを分かりやすく紹介しています。もしかしてわが子はDCDかもしれないと思った保護者の方、支援者の方におすすめの1冊です。誰かと真剣に向き合うとき、素敵な物語が生まれる。ーー『空から見える、あの子の心』エイプリルは、マーシャルビル学園小学部の6年生。周りの友達との価値観にずれを感じ、同級生と距離をとりたくて休み時間に年下の子のお世話をするボランティアを始めました。そのボランティアをする中で、校庭を一人で歩き回ったり、寝そべったり、人知れず壮大なアート作品をつくっている4年生のジョーイと出会います。ジョーイには自閉スペクトラム症の特性がありました。自分の言葉で気持ちを伝えることが苦手なジョーイ。そんなジョーイを理解しようと向き合うエイプリル。二人の出会いが、学校を巻き込む出来事につながります…!見ている景色はみんな違うけれど、向き合い、理解しようとすることで歩み寄ることができるということをこの物語から感じるでしょう。小学校高学年~大人までおすすめの1冊です。障害未満なのに生きづらいのはなぜ?ーー『発達障害「グレーゾーン」 その正しい理解と克服法』数年前に比べて「発達障害」は広く認知されるようになりました。それに伴い自分も発達障害があるかもしれないと医療機関を訪れる人も増えています。しかし発達相談で「様子を見ましょう」と言われ、発達診断に行っても確定的な診断が出ないいわゆる「グレーゾーン」といわれている人もいる現状があります。この本では、さまざまな事例と共にタイプ別に発達障害未満の生きづらさの傾向とその対策について解説しています。
2022年04月02日「世界自閉症啓発デー」とはUpload By 発達ナビニュース2007年の国連総会において、毎年4月2日を「世界自閉症啓発デー」とすることが定められました。それぞれの加盟国が、自閉症(自閉スペクトラム症)についての理解が進むように意識啓発の取り組みを行うことなどが求められています。また、日本では、4月2日から4月8日は発達障害啓発週間となっています。自閉症(自閉スペクトラム症)について十数年前に比べ日本での認知度は高まったものの、今もなお偏ったイメージやあいまいな情報も存在しています。自閉症(自閉スペクトラム症)に関しての研究は世界で現在も続いており、はっきりとした原因はいまだ特定されていません。しかし、何らかの生まれつきの脳機能障害であると考えられており、しつけや愛情不足など育て方が直接の原因ではないことが分かっています。自閉症(自閉スペクトラム症)のある子どもはこだわりが強かったり、感覚過敏や感覚鈍麻などの特性があります。そのため、育てにくさを感じたり、適切な接し方が難しいと感じる場合があります。しかし周囲の自閉症(自閉スペクトラム症)についての理解や支援が十分であれば、自閉症(自閉スペクトラム症)があっても住みやすい環境で、その人らしく充実した生活をすることができます。「世界自閉症啓発デー」は、自閉症(自閉スペクトラム症)に関する理解を深めることで、自閉症(自閉スペクトラム症)のある人を含めたすべての人が過ごしやすい世界を実現していくための日なのです。「Warm Blueキャンペーン」に参加しよう!Upload By 発達ナビニュース「癒やし」や「希望」などを表すブルーを、自閉症(自閉スペクトラム症)のシンボルカラーとしています。毎年4月2日はナイアガラの滝やピラミッドなど世界中のさまざまなランドマークが青に染められ、また青い服を身に着けるなどの青をテーマにした啓発イベントが各国で行われます。4月2日に向け青いものを身に着けたり、ブルーにデコレーションした施設などの写真をSNSに投稿してみませんか?以下のハッシュタグをつけてぜひ投稿してください!#自閉症啓発デー #WB_2022 #2022TT #LIUB発達ナビ連載陣にも「青」をテーマにイラストを描きおろしてもらい、SNSで発信中です。ぜひチェックしてくださいね。東京都自閉症協会、Get in touchを中心としたTT2022実行委員会主催のオンラインイベントが予定されています。発達障害当事者のふわふわおさん、ミス日本グランプリの河野瑞夏さんが司会。ゲストとして自閉スペクトラム症のある方々、Get in touch代表で俳優の東ちづるさんが登場し、さまざまなブルーアクションを紹介します。日時:2022年4月2日16:40配信スタート予定※詳細ボタンをクリックすると発達ナビのサイトからYouTubeに遷移しますUpload By 発達ナビニュース4月2日に向け日本でもさまざまな取り組みが行われます。東京都で行われる取り組みの一部をご紹介します。■東京都都庁、東京ゲートブリッジがブルーにライトアップされます。■渋谷区4月8日まで渋谷区役所本庁舎、渋谷区子育てネウボラ、中央図書館がブルーでデコレーションされます。また自閉スペクトラム症や発達障害について、理解を深めてもらうための啓発パネル展示や関連書籍の展示を行うほか、区内障害者施設で制作したオブジェの展示やシブヤフォントを使ったオリジナルの啓発ステッカーも配布しています。■丸井グループ商業施設運営を行う丸井グループでは、各店舗にて、Blueの装飾やBlue商品コーナーの展開を行い、スタッフもBlueのアイテムやバッジを着用して、お客さまへ自閉症啓発デーの周知を行います。■SHIPSセレクトショップのSHIPSでは、各お店のウインドーをブルーで色どり、スタッフもブルーのコーディネートに。また、異彩を、放て。をミッションに掲げる福祉実験ユニット「ヘラルボニー」とのコラボ商品の販売がされます。■日本障がい者サッカー連盟武蔵野の森総合スポーツプラザ(東京都調布市)で東京のJクラブや障害者チームと一緒にまぜこぜウォーキングフットボールが開催されます。■アクサ生命ブルーのリストバンドと啓発ステッカーの制作、配布を行います。ほかさまざまな企業や自治体など100を超える団体がこのキャンペーンに参加しています。自閉症(自閉スペクトラム症)がある人だけでなく、どんな人もさまざまな個性をもっています。誰もが自分らしく日々を過ごせるように「世界自閉症啓発デー」を通して一人ひとりにできることを考えてみませんか。
2022年04月01日最近、一人で近所の公園に行くようになったミミUpload By taeko休みの日は家で過ごすことが多かったミミ。最近、午後になると自宅から1分ほどの公園に一人で行くようになりました。学校のお友達がいることがあるので、誰か来ていることを期待をしているのかも?帰宅したミミに聞くと、知り合いではない子と遊ぶときもあるようです。Upload By taekoある日の夕方、公園から帰ったミミは涙目。どうやら公園に持っていったおもちゃのクワガタ2匹をお友達が砂場に埋めてしまったようです。その日はもう遅い時間だったので「明日探そう」と約束しました。私は「大事なおもちゃは持って行かないほうがいいかもね。でもその子に反撃しなくてえらかったね」とミミに言いました。しかし…ミミ「絶対に許さない!仕返ししてやる!!」私「ミミも同じように相手の子を悲しませちゃうよ」…このやり取りは何度も続きました。Upload By taekoその夜ミミは、埋められたクワガタのおもちゃが砂場から出てくる夢を見たらしい。わが家に山ほどあるクワガタやカブトムシのおもちゃは、一つひとつの買った場所を覚えているほどミミにとって思い入れのあるおもちゃ。翌日の午前中にミミと私で1時間ほど公園の砂場を掘って探しましたが、クワガタのおもちゃは見つかりませんでした。その日の午後ミミは、また一人で同じ公園に行きました。夕方6時近いので迎えに行くと、偶然おもちゃを埋めてしまったお友達のお母さんがいて、話をすることができました。どうやらお友達の証言を聞いて、お友達のお母さんとミミも一緒に3人で探したところ、おもちゃのクワガタのうち1匹は見つかり、もう1匹が見つからず…そのあとお友達のお母さんがわざわざ新しいものを探して注文してくれたとのことでした。その日ミミは、砂場から見つけ出したおもちゃのクワガタ1匹と帰宅しました。Upload By taekoお友達のお母さんが新しいものを探してくれたとはいえ、埋められたクワガタのおもちゃがなんだかかわいそうに思えました。ミミが夢に見るほど悲しい出来事だったんだな、と私は切なくなり、その次の日もミミが言う砂場を掘りまくりました。1時間ほど掘ってみましたが、見つからず…。Upload By taeko翌週の放課後、相手のお母さんがミミに新品のクワガタのおもちゃを渡してくれました。セットになっていて、大きめ!なんだか相手のお母さんに申し訳ないけれど、ミミが同じようなことをしてしまったら、相手の子の気持ちを考えて私も同じことをするなと思い、ありがたく受け取りました。ミミのクワガタのおもちゃに対する思いが分かる出来事でした。そして、近ごろお友達とトラブルになると「絶対許さない!」と言うミミが心配ですが、今回突発的に相手のお子さんに仕返しなどせず少しほっとしています。Upload By taeko執筆/taeko(監修:鈴木先生より)自閉スペクトラム症のあるお子さんは図鑑が好きな子が多く、特に虫の図鑑、その中でもカブトムシやクワガタの好きなお子さんが多いようです。見たこともない種類の虫の名前も言えることがあります。虫以外では、乗り物、恐竜、宇宙などある特定の領域に深く興味を持つことが多いのです。それだけ大切にしていたクワガタのおもちゃが砂場に埋められたら「絶対に許さない」と感じるかもしれません。一般的には月日が経つと記憶が薄れていきますが、自閉スペクトラム症のあるお子さんは些細なことも含めてずっと覚えていることが多いのです。突発的に仕返しをしなくても、忘れかけていた1週間後や1ヶ月後に「仕返しをする」という気持ちになってしまうこともありますので注意してお子さんの様子をみておくとよいと思います。
2022年03月31日小さいころの夢は、「体操選手になって大会に出る」ことUpload By スガカズADHDのある次男は5歳のころから11歳まで6年間体操教室に通っていました。本人のモチベーションが低迷する時期もありましたが、「大人になったら体操選手になって大会に出たい!」とはりきっていた時期もあるほど熱心にやっていました。10歳(小4の3学期)のころに、本人が希望していた器械体操のクラスにあがるという体験も積めました。本人なりに頑張って通い続けていたと思います。ですが、ある日の出来事がきっかけで、本人のモチベーションがすっかりなくなってしまいました。体操教室の駐輪場で、スタッフに注意されモチベーションがゼロに…Upload By スガカズ今から半年前、次男が11歳をむかえたころの出来事です。この日は習い事(体操)がある日だったのですが、私が直前でバタバタしていたので、次男だけ先に体操教室へ行ってもらうことにしました。私は次男が出かけてから20分ほど経って出発したのですが、道のりの途中で家へ引き返そうとする次男に出会いました。「これはきっと、次男の身にトラブルが起こったんだな…」と察し、次男に声をかけました。Upload By スガカズ話を聞くと、どうやら体操教室のある建物の前の駐輪場に自転車を停めたところ、次男はキレイに停められなかったようで、管理会社の人(初老の男性)に注意されたようでした。次男は5歳ころから癇癪の多い子で、小2になったころから少しずつ癇癪は減ったものの、高学年になってからもときどきこういった場面に遭遇します。人の感情に敏感で、「叱られている」と感じると、とっさに自己防衛本能が働き、反抗することがある次男。特に、『年上(30代以上)の声や体格が大きな人』や、『お互い面識の薄い相手』『一方的に(もしくは開口一番で)怒りの感情をぶつける人』との相性はよくありません。この日注意されたときは、怒って物にあたったり暴言をはくことはなかったようですが、次男は「叱られたから、もう体操を辞める!」と言い出しました。Upload By スガカズ心身の発達にさまざまな課題がある次男には、体操を通して適度に他者とのコミュニケーションをとることができ、感覚統合のトレーニングになっているのではと感じることも多くありました。また、次男は体を動かすことが得意な方なのですが、衝動的に危険な行動をとることもあるため、放課後の外遊びを頻繁にさせると、いつか大ケガをしてしまうのではないかといった心配もありました。そのため、体操は他者(大人)の見守りのもと、安心して体を動かせる貴重な時間だと私は感じていました。「習い事(体操)を辞めたい」と思うくらい嫌な気もちになったことは理解しますが、6年間見守っていた私としては「これからも、体操で得られることがたくさんあるはずなのに…」「せっかく長く続けているのに、もったいない…」「一時の感情に流されず、よく考えてから決断したほうよいのでは?」と思ったのが正直なところです。私の希望も伝えましたが、本人の意志はかたく…Upload By スガカズ私は今回次男を叱った人の状況や気もちを、次男から得た情報をもとに、説明しました。もちろん次男の気もちも分かるので、次男の状況や気もちも言語化しました。「叱った人は『ボクは他の自転車と同じように、まっすぐ停めてほしいんだ』って言ってくれたなら次男は悲しい気もちにならなかったのかも知れないね」「とはいっても管理する人は必要だから、その人と距離をおいて声をかけられづらい場所に停めるのはどう?」「お母さんが一緒にいるときは安心だと思うよ」「今、気が乗らないなら、しばらく体操を休会してみて、またやる気が出てきたらもう一度通うのでもいいと思うよ」私は体操教室に通い続けて欲しい気もちが大きかったので、いくつか解決策を提案しました。でも、本人の「辞めたい」という意志は変わりませんでした。Upload By スガカズ次男は不安定な感情ではあるものの、自分の考えをはっきりと言葉にしました。・叱られるのが本当に苦手だということ・自分が習い事をイヤがったり遅刻したりするときに、私(母)が複雑な気もちになっているのを知っていること・せっかく毎月お金を払っているのにお互い複雑な気もちになるのは意味がないし、自分もそんな経験をしたくないこと普段は自分の感情について、あまり深く考えたり、人に説明する機会が少ない次男ですが、この日の言葉は、話に筋が通っており、私の心にズシンと響きました。「確かにそうだなあ…私は次男のやる気の芽を育てたいと思ってたし、次男のためを思って6年間支えてきたけど、ふとした瞬間に、次男に余計な負担をかけていたんだな…」と納得しました。次男には「そっか、お母さんのことも考えてくれたんだね。ありがとう。分かったよ」と返事をしました。私がその場で次男に「辞めていいよ」と言わなかった理由私が次男が「体操を辞める」と言った日に、納得したものの「辞めていいよ」とはっきり伝えなかったのには理由があります。あの日次男は「辞める」という意思は変わらなかったのですが、時間をおいてから、経験者の「スポーツを続けてよかった」という話を聞かせてみてもよいのではと思ったのです。たまたま次男の身近(家族以外)に、「長年スポーツを続けている仲のよい大人」がいました。それは、当時次男を指導してくれていた家庭教師の先生です。先生は6歳からバドミントンを始めて、高校や大学もスポーツ推薦で通い、大学を卒業するまでの16年間本気で打ち込んでいた経験があります。先生は、次男が体操を辞めたがっていることを知ると、とても残念がっていました。「次男は運動神経がいいから運動は続けたほうがいいよ!」「スポーツを続けてよかったことがたくさんあるよ!」「いや~、ほんともったいないな~!」と、話をしてくれました。Upload By スガカズ次男の反応はというと、興味のない様子で「ふーん。でもオレは辞めるけどね」と一言。この一言で、「体操教室は辞めよう!」と私の中ですっぱり諦めがつきました。後日先生から「誰かにやらされるよりも、自然に熱中できる何かがあるといいですね!」とアドバイスがありました。これには心から共感します。私は次男の習い事(体操)をサポートする上で、「次男のためになるはずだから」「次男も楽しんでいるみたいだから」といった理由にこだわってしまっていたのだろうなと思います。もちろんそれが悪いわけでは決してないと思います。ですが、やはり本人の意志が大事なので、「通いたくない」とはっきり言うのであれば、それを尊重してあげた方がよいのではないかと感じますし、やはり自分から自然と熱中できるものを見つけることに勝るものはないと思います。4月には次男は小6になります。習い事(体操)を辞めて半年経ちますが、次男が言うとおり「体操が原因でお互い複雑な気もちになる」といった状況はなくなったので、心の負担が減ったような気がします。今のところ、ゲームやYouTubeに勝るものはでてきていません。以前は次男がゲームやYouTubeばかりに夢中になっていると気になっていた私ですが、今は以前ほど気にならなくなりました。ときどき新しいことに家族で挑戦して次男の反応を見たり、次男が友達がやっていることに興味をもったときに、話を聞くようにしています。そうやって、新しいことに挑戦したいと思えたなら、ラッキーですし、そのときも、できる限りサポートしていきたいなと思います。執筆/スガカズ(監修:井上先生より)長く続けている習い事を思春期に本人が辞めたいと言ったとき、親は「せっかく続けていたのにもったいないな」「一時の感情で辞めるのではなく、長い目で見たら続けてよかったと最後に思うのではないか」などと複雑な気もちになると思います。子どもが「辞めたい」と言っても続けるように促すのか、子どもの意思を尊重して辞めさせてしまうのか、どちらかに正解があるわけではないと思います。今回のスガカズさんのように「辞める」という子どもの意思に沿って決断した場合は、代わりになるものを一緒に探していくなど、親子共々前向きな気持ちで進んでいけたらいいなと思います。たぶん良くないのは、「だからやっておけばよかったのに(もしくは、あのとき辞めればよかった)」などと後からお互いに言ってしまうことかもしれません。今まで頑張ったことを認めて、どちらの決断をしたとしても、親子で決めた決断を肯定的に捉え、次に進んでいくことが大事だと思います。
2022年03月30日癇癪の理由、分かるときはまだいいけど…Upload By ぼさ子自閉スペクトラム症と知的障害のあるほぺろうは、痛い・眠い・空腹などとにかく何でも癇癪で伝えてきます。それらはまだ理由が分かるけど、ニコニコの1秒後に急に怒り出したり原因不明なことも多々あります。癇癪の理由を探るとは、想像のバリエーションを広げることぼさ子(以下、――):癇癪の原因を解消してあげたくても、何もできないときもあって…悩んでいます。三木先生:う~~~ん、まぁ言ってしまうと子どもってそういうものなのかなって気がするんですけど、赤ちゃんへの対応と一緒で思い当たるものを一つひとつ、つぶしていくしかないかな。ただそのとき、こうかな?っていう想像が必要なんですけど、想像を通り越してむしろ『妄想』でもいいくらいです。結局大人の予想とは違ってたってことはよくあるんですけど、想像のバリエーションを幅広く持てると、癇癪の理由を10回のうち1回はつぶせた、2回はつぶせた、というふうに可能性が増えていきます。Upload By ぼさ子三木先生:でも、発語があったとしても6歳なら自分で説明するのは難しいので、ある程度は理解できなくても仕方ない部分もありますね。あとはフラッシュバックしてる可能性もあるかもしれません。ただ、何がフラッシュバックしているのかは本人の頭の中を覗かない限り分からないので、大人側の心の準備としては「フラッシュバックかも」という視点を持っておくことで「理由の分からないものは仕方ない」と思うこともできます。子どもは思うよりワケ分からないもの。突拍子もない想像をしてみよう三木先生:メジャーな理由を考えてもダメだったときは、「突拍子もない想像をしてみる」ことです。「まさかこんな理由で!?」みたいな先入観なしに。ありえないと思う可能性でも意外にスッと当てはまることもあるので、一応頭の隅っこに捨てずに取っておくといいですね。例えば「カラスが鳴いていたのが気に入らなかった」とか、もっととんでもない理由でもいいのですが、そういう可能性を考えておくと積み重ねていくうちに3回目くらいに「やっぱり関係あるかも?」みたいに、その子に対する理解の幅が広がります。Upload By ぼさ子三木先生:結構大人が理解できないようなことで子どもの癇癪は起こるので、先入観がない状態で自由に想像してもらうといいかなって。それでも100%理解するのは絶対ムリなので、気が済むところまで考えたら諦めるのもアリかなと思います。大人同士であっても定型発達の子どもであっても100%は分かり合えないですからね。喋れない子どもだったら余計「分からないものだ」という前提を持っておくことも大事かな。保育園の先生が発見した意外な理由ーー実は、保育園でほぺろうは午睡から起きると機嫌が悪いことが多いのですが、最近先生から「原因が分かりました!」という報告をもらったんです。その原因というのが「午睡後のおやつが好きか嫌いか」だったという…三木先生:原因は昼寝じゃなかったと。ーーはい、寝起きの悪さじゃなかったと。Upload By ぼさ子Upload By ぼさ子三木先生:いやぁ、でも「寝起き」という先入観があるとなかなか気づきにくいですけど、発見した保育士さんたちすごいですね!そういうところまで広げていくと面白い発見がありますよね。感想最近だと「ほぺろうは保育園から帰るとき、どんなに機嫌良くても、自宅の玄関を入った途端に泣き出す」というのが悩みの一つで、私としては理由が全く分からなくて泣き止むのを待つしかない…という毎日なんですけど、三木先生のお話を参考に突拍子もない想像をしてみたいと思います。Upload By ぼさ子ほぺろうはまだ6歳ですし自閉スペクトラム症もある。私の想像をはるかに超えていて当然なのかも知れません。こちらも思い込みを捨てて観察してみると面白い発見がありそうです。そして今回も、お話の中で印象に残った三木先生の言葉があります。Upload By ぼさ子執筆/ぼさ子
2022年03月30日子育て楽じゃありません
細川珠生のここなら分かる政治のコト
私の愛すべき家族