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小さいころの夢は、「体操選手になって大会に出る」ことUpload By スガカズADHDのある次男は5歳のころから11歳まで6年間体操教室に通っていました。本人のモチベーションが低迷する時期もありましたが、「大人になったら体操選手になって大会に出たい!」とはりきっていた時期もあるほど熱心にやっていました。10歳(小4の3学期)のころに、本人が希望していた器械体操のクラスにあがるという体験も積めました。本人なりに頑張って通い続けていたと思います。ですが、ある日の出来事がきっかけで、本人のモチベーションがすっかりなくなってしまいました。体操教室の駐輪場で、スタッフに注意されモチベーションがゼロに…Upload By スガカズ今から半年前、次男が11歳をむかえたころの出来事です。この日は習い事(体操)がある日だったのですが、私が直前でバタバタしていたので、次男だけ先に体操教室へ行ってもらうことにしました。私は次男が出かけてから20分ほど経って出発したのですが、道のりの途中で家へ引き返そうとする次男に出会いました。「これはきっと、次男の身にトラブルが起こったんだな…」と察し、次男に声をかけました。Upload By スガカズ話を聞くと、どうやら体操教室のある建物の前の駐輪場に自転車を停めたところ、次男はキレイに停められなかったようで、管理会社の人(初老の男性)に注意されたようでした。次男は5歳ころから癇癪の多い子で、小2になったころから少しずつ癇癪は減ったものの、高学年になってからもときどきこういった場面に遭遇します。人の感情に敏感で、「叱られている」と感じると、とっさに自己防衛本能が働き、反抗することがある次男。特に、『年上(30代以上)の声や体格が大きな人』や、『お互い面識の薄い相手』『一方的に(もしくは開口一番で)怒りの感情をぶつける人』との相性はよくありません。この日注意されたときは、怒って物にあたったり暴言をはくことはなかったようですが、次男は「叱られたから、もう体操を辞める!」と言い出しました。Upload By スガカズ心身の発達にさまざまな課題がある次男には、体操を通して適度に他者とのコミュニケーションをとることができ、感覚統合のトレーニングになっているのではと感じることも多くありました。また、次男は体を動かすことが得意な方なのですが、衝動的に危険な行動をとることもあるため、放課後の外遊びを頻繁にさせると、いつか大ケガをしてしまうのではないかといった心配もありました。そのため、体操は他者(大人)の見守りのもと、安心して体を動かせる貴重な時間だと私は感じていました。「習い事(体操)を辞めたい」と思うくらい嫌な気もちになったことは理解しますが、6年間見守っていた私としては「これからも、体操で得られることがたくさんあるはずなのに…」「せっかく長く続けているのに、もったいない…」「一時の感情に流されず、よく考えてから決断したほうよいのでは?」と思ったのが正直なところです。私の希望も伝えましたが、本人の意志はかたく…Upload By スガカズ私は今回次男を叱った人の状況や気もちを、次男から得た情報をもとに、説明しました。もちろん次男の気もちも分かるので、次男の状況や気もちも言語化しました。「叱った人は『ボクは他の自転車と同じように、まっすぐ停めてほしいんだ』って言ってくれたなら次男は悲しい気もちにならなかったのかも知れないね」「とはいっても管理する人は必要だから、その人と距離をおいて声をかけられづらい場所に停めるのはどう?」「お母さんが一緒にいるときは安心だと思うよ」「今、気が乗らないなら、しばらく体操を休会してみて、またやる気が出てきたらもう一度通うのでもいいと思うよ」私は体操教室に通い続けて欲しい気もちが大きかったので、いくつか解決策を提案しました。でも、本人の「辞めたい」という意志は変わりませんでした。Upload By スガカズ次男は不安定な感情ではあるものの、自分の考えをはっきりと言葉にしました。・叱られるのが本当に苦手だということ・自分が習い事をイヤがったり遅刻したりするときに、私(母)が複雑な気もちになっているのを知っていること・せっかく毎月お金を払っているのにお互い複雑な気もちになるのは意味がないし、自分もそんな経験をしたくないこと普段は自分の感情について、あまり深く考えたり、人に説明する機会が少ない次男ですが、この日の言葉は、話に筋が通っており、私の心にズシンと響きました。「確かにそうだなあ…私は次男のやる気の芽を育てたいと思ってたし、次男のためを思って6年間支えてきたけど、ふとした瞬間に、次男に余計な負担をかけていたんだな…」と納得しました。次男には「そっか、お母さんのことも考えてくれたんだね。ありがとう。分かったよ」と返事をしました。私がその場で次男に「辞めていいよ」と言わなかった理由私が次男が「体操を辞める」と言った日に、納得したものの「辞めていいよ」とはっきり伝えなかったのには理由があります。あの日次男は「辞める」という意思は変わらなかったのですが、時間をおいてから、経験者の「スポーツを続けてよかった」という話を聞かせてみてもよいのではと思ったのです。たまたま次男の身近(家族以外)に、「長年スポーツを続けている仲のよい大人」がいました。それは、当時次男を指導してくれていた家庭教師の先生です。先生は6歳からバドミントンを始めて、高校や大学もスポーツ推薦で通い、大学を卒業するまでの16年間本気で打ち込んでいた経験があります。先生は、次男が体操を辞めたがっていることを知ると、とても残念がっていました。「次男は運動神経がいいから運動は続けたほうがいいよ!」「スポーツを続けてよかったことがたくさんあるよ!」「いや~、ほんともったいないな~!」と、話をしてくれました。Upload By スガカズ次男の反応はというと、興味のない様子で「ふーん。でもオレは辞めるけどね」と一言。この一言で、「体操教室は辞めよう!」と私の中ですっぱり諦めがつきました。後日先生から「誰かにやらされるよりも、自然に熱中できる何かがあるといいですね!」とアドバイスがありました。これには心から共感します。私は次男の習い事(体操)をサポートする上で、「次男のためになるはずだから」「次男も楽しんでいるみたいだから」といった理由にこだわってしまっていたのだろうなと思います。もちろんそれが悪いわけでは決してないと思います。ですが、やはり本人の意志が大事なので、「通いたくない」とはっきり言うのであれば、それを尊重してあげた方がよいのではないかと感じますし、やはり自分から自然と熱中できるものを見つけることに勝るものはないと思います。4月には次男は小6になります。習い事(体操)を辞めて半年経ちますが、次男が言うとおり「体操が原因でお互い複雑な気もちになる」といった状況はなくなったので、心の負担が減ったような気がします。今のところ、ゲームやYouTubeに勝るものはでてきていません。以前は次男がゲームやYouTubeばかりに夢中になっていると気になっていた私ですが、今は以前ほど気にならなくなりました。ときどき新しいことに家族で挑戦して次男の反応を見たり、次男が友達がやっていることに興味をもったときに、話を聞くようにしています。そうやって、新しいことに挑戦したいと思えたなら、ラッキーですし、そのときも、できる限りサポートしていきたいなと思います。執筆/スガカズ(監修:井上先生より)長く続けている習い事を思春期に本人が辞めたいと言ったとき、親は「せっかく続けていたのにもったいないな」「一時の感情で辞めるのではなく、長い目で見たら続けてよかったと最後に思うのではないか」などと複雑な気もちになると思います。子どもが「辞めたい」と言っても続けるように促すのか、子どもの意思を尊重して辞めさせてしまうのか、どちらかに正解があるわけではないと思います。今回のスガカズさんのように「辞める」という子どもの意思に沿って決断した場合は、代わりになるものを一緒に探していくなど、親子共々前向きな気持ちで進んでいけたらいいなと思います。たぶん良くないのは、「だからやっておけばよかったのに(もしくは、あのとき辞めればよかった)」などと後からお互いに言ってしまうことかもしれません。今まで頑張ったことを認めて、どちらの決断をしたとしても、親子で決めた決断を肯定的に捉え、次に進んでいくことが大事だと思います。
2022年03月30日癇癪の理由、分かるときはまだいいけど…Upload By ぼさ子自閉スペクトラム症と知的障害のあるほぺろうは、痛い・眠い・空腹などとにかく何でも癇癪で伝えてきます。それらはまだ理由が分かるけど、ニコニコの1秒後に急に怒り出したり原因不明なことも多々あります。癇癪の理由を探るとは、想像のバリエーションを広げることぼさ子(以下、――):癇癪の原因を解消してあげたくても、何もできないときもあって…悩んでいます。三木先生:う~~~ん、まぁ言ってしまうと子どもってそういうものなのかなって気がするんですけど、赤ちゃんへの対応と一緒で思い当たるものを一つひとつ、つぶしていくしかないかな。ただそのとき、こうかな?っていう想像が必要なんですけど、想像を通り越してむしろ『妄想』でもいいくらいです。結局大人の予想とは違ってたってことはよくあるんですけど、想像のバリエーションを幅広く持てると、癇癪の理由を10回のうち1回はつぶせた、2回はつぶせた、というふうに可能性が増えていきます。Upload By ぼさ子三木先生:でも、発語があったとしても6歳なら自分で説明するのは難しいので、ある程度は理解できなくても仕方ない部分もありますね。あとはフラッシュバックしてる可能性もあるかもしれません。ただ、何がフラッシュバックしているのかは本人の頭の中を覗かない限り分からないので、大人側の心の準備としては「フラッシュバックかも」という視点を持っておくことで「理由の分からないものは仕方ない」と思うこともできます。子どもは思うよりワケ分からないもの。突拍子もない想像をしてみよう三木先生:メジャーな理由を考えてもダメだったときは、「突拍子もない想像をしてみる」ことです。「まさかこんな理由で!?」みたいな先入観なしに。ありえないと思う可能性でも意外にスッと当てはまることもあるので、一応頭の隅っこに捨てずに取っておくといいですね。例えば「カラスが鳴いていたのが気に入らなかった」とか、もっととんでもない理由でもいいのですが、そういう可能性を考えておくと積み重ねていくうちに3回目くらいに「やっぱり関係あるかも?」みたいに、その子に対する理解の幅が広がります。Upload By ぼさ子三木先生:結構大人が理解できないようなことで子どもの癇癪は起こるので、先入観がない状態で自由に想像してもらうといいかなって。それでも100%理解するのは絶対ムリなので、気が済むところまで考えたら諦めるのもアリかなと思います。大人同士であっても定型発達の子どもであっても100%は分かり合えないですからね。喋れない子どもだったら余計「分からないものだ」という前提を持っておくことも大事かな。保育園の先生が発見した意外な理由ーー実は、保育園でほぺろうは午睡から起きると機嫌が悪いことが多いのですが、最近先生から「原因が分かりました!」という報告をもらったんです。その原因というのが「午睡後のおやつが好きか嫌いか」だったという…三木先生:原因は昼寝じゃなかったと。ーーはい、寝起きの悪さじゃなかったと。Upload By ぼさ子Upload By ぼさ子三木先生:いやぁ、でも「寝起き」という先入観があるとなかなか気づきにくいですけど、発見した保育士さんたちすごいですね!そういうところまで広げていくと面白い発見がありますよね。感想最近だと「ほぺろうは保育園から帰るとき、どんなに機嫌良くても、自宅の玄関を入った途端に泣き出す」というのが悩みの一つで、私としては理由が全く分からなくて泣き止むのを待つしかない…という毎日なんですけど、三木先生のお話を参考に突拍子もない想像をしてみたいと思います。Upload By ぼさ子ほぺろうはまだ6歳ですし自閉スペクトラム症もある。私の想像をはるかに超えていて当然なのかも知れません。こちらも思い込みを捨てて観察してみると面白い発見がありそうです。そして今回も、お話の中で印象に残った三木先生の言葉があります。Upload By ぼさ子執筆/ぼさ子
2022年03月30日最長で20時間以上、泣いて怒っていたころUpload By かさはらあやこ自閉スペクトラム症と中度知的障害のある息子が3歳のころは、・眠いのにうまく寝つけない・思い通りに遊べない・嫌なことを上手に避けられない・行事などいつもと違う状況・怪我や風邪などの体調不良・気圧や天候、温度や湿度の変化上記のような理由で癇癪を起こし、1~2時間、長い時は3~4時間、最長で20時間以上、泣いて怒る。発語もなく、意思の疎通も難しいので、その時点で理由を推測するしかなく、真相は分からない。という状況でした(きっとどの理由も正しい)。一度スイッチが入ってしまうと、最終的に全力でスルーして耐えるしか策がなく、泣き叫んで暴れるわが子と共に涙を流し、ただただ心が擦り減る日々を過ごしていました。医師と相談してはじめた投薬治療Upload By かさはらあやこ3歳6ヶ月から4歳6ヶ月の一年、偏食は酷くなり、体調もずっと崩しがちで小さな成長すら感じることも少なくなりました。癇癪も、瞬間湯沸かし器のように、一瞬の激しい怒りで床に頭を打ちつけたり、壁に激突したり…。力も強くなったことで怪我の心配もあり、一日中イライラして苦しそうな息子を見ていることもつらく、4歳を過ぎたころから医師と相談して投薬療法を始めました。飲めば、穏やかになり癇癪は起こさなくなる。薬は、それぐらい精神に作用する強烈なもの。息子が息子でなくなったらどうしようという不安と、これでやっと癇癪から解放されるという期待。9ヶ月経った今、どちらも当てはまらず。心配していた副作用も特になく、息子は息子のままで、昼間に何時間も続くような癇癪はなくなったものの、小さなイライラは相変わらず起こっている状態です。薬に完全に頼るのではなく、家での環境も見直し、できるだけ落ち着けるような空間にするために努力したり、母親である自分のメンタルを崩さぬよう仕事をセーブし(コラムもお休みをいただいておりました)、とにかく無理をしないように過ごしています。癇癪を起こす理由が少しずつ分かるようになった出来事Upload By かさはらあやこ息子は12月に入り、年末が近づいてくると荒れる傾向にあります。2020年から2021年にかけての年越しで、起きている間はずっと泣いている、という過酷な状況を経験したこともあり、2021年の年末は気合を入れて臨みました。予想通り昨年もクリスマスを過ぎたころから段々と雲行きが怪しくなり、一日中イライラして泣くようになりました。そんな状態だったある日、キッチンに立っている私を見つめ、息子が「ぐぅにゅー、ぎゅうにゅう」と言ってきたので、コップに牛乳を注いで渡すと、ごくごくと牛乳を飲み干し、満足そうにニコッと笑いました。牛乳を飲まなくなって半年以上経っていたので驚いたのと同時に、彼の中で〝ぎゅうにゅう〟と〝牛乳〟がマッチした瞬間かもしれないと感じました。それをきっかけに段々、言葉と実物がマッチするようになり、癇癪を起こす理由も少しずつ分かるようになってきました。『これじゃなくてあれが食べたいんだ』『いまこのアニメが観たいんだ』『あのおもちゃで遊びたいんだ』今までまったく分からなかった〝怒っている理由〟が分かるようになると、癇癪が起きる前に防ぐことができたり、癇癪を起こしても最短で切り替えさせることに成功したり、おさまるまでただただ耐えながら全力で無視するしかなかった時間に選択肢がうまれました。一瞬のSOSを見逃さないUpload By かさはらあやこ不快な音が流れると耳を塞ぎ、見たくないものがあると隠れたり、目を閉じたり、発語が増えると共に、3歳のころはうまく避けられなかったことも、息子なりに意思表示ができるようになりました。今は、その一瞬のSOSをできるだけ見逃さないように毎日を過ごしています。まだまだ考えても分からないようなことや失敗した!と思うことも山ほどあります。オムライスを出して烈火の如く怒り出した理由が、顔を描いたのがいけなかったのか、チキンライスを卵で巻いたことに腹が立ったのか、ケチャップが嫌いなのか…考えても考えても分からないのだけれど、オムライスが原因で怒っていることが分かっただけ息子と私にとってはとても大きな進歩です。今までは、それが原因だと気づかず、無理やり食べさせようとしつこく口に運び、食べないストレスで叱り、余計に怒らせて長引かせていたからです。でもいつか聞いてみたい。アイスやかき氷をすすめると、食べるまでに警戒して凄く時間がかかるのに、雪に速攻で食らいつくのはなぜ?って。執筆/かさはらあやこ(監修:鈴木先生より)お母さんは息子さんの優秀な通訳になれたのです。もしあなたが今、一人で言葉が違う国へ行ったら、通訳がいないと生活できません。通訳の中でも知識のある通訳は、今晩何を食べたいか3、4種類候補が出るのに対して、知識がない通訳だと今日は1種類しか提示できず選択できなくなります。優秀な通訳ならこちらの言いたいことも察してくれてそろそろトイレですねとか、喉が渇きませんかなどと聞いてくれます。お母さんはそれと同じようなことができたのです。苦手でも相手の立場に立って考えていく努力が実を結ぶのです。癇癪は自閉スペクトラム症の易刺激性が原因の場合があります。ちょっとしたことでイライラしやすく、自他傷行為や汚言などがみられることがあります。環境整備をしても生活や教育に支障が出ている場合は抗精神病薬の投与によって抑えることが可能です。副作用の心配などおありでしょうが、お子さんの将来のことを考えて集団の中でつらい思いをさせないように早めの対策も必要だと思います。
2022年03月29日小3でついたアダ名は「忘れ物の女王」Upload By 桑山 知之筆者と広野さんとの出会いは2019年に遡る。ドキュメンタリーCM『見えない障害と生きる。』の取材のため、連絡を取ったのがきっかけだった。底抜けに明るい性格について触れると、広野さんは「このくらいじゃないと生きていけない」と笑い飛ばした。その言葉の重みに、筆者の胸が苦しくなったのを今でも覚えている。Upload By 桑山 知之広野さんは幼少期から、目の前にあるもの以外はすぐに忘れてしまう子どもだった。小学校に入ってからは管理しなければいけないものが増え、何かをこなすことは「全く無理だった」。宿題を出され、その場ではやる気でいても、家に帰れば宿題を出されたことすら忘れている。翌日提出を求められて初めて思い出す。小学校2年生の通知表に「忘れ物が多い」とはっきり書かれ、3年になると周囲からは「忘れ物の女王」とアダ名をつけられた。「どうしてみんなができるのか分からないんですよ。頑張らなきゃいけないんだけど、どう頑張ったらいいのか分からない。困るんですよね、『ちゃんとやって』って言われると。ちゃんとやっているつもりなので。一人だけ違うことしてたりするんですけど、それを問題だとも思っていない。だから怒られますよね」(広野さん)Upload By 桑山 知之学校のあちこちには、広野さんの持ち物が散らばっていたという。5年生ぐらいのころには、遠足で河原に行った際、飯盒炊飯でカレーをみんなでつくって食べるとき、広野さんは肉を持ってくる係だったが、肉を忘れてしまい、広野さんの班だけベジタブルカレーになってしまったこともあった。成績や勉強よりも「生きていくこと自体が難しかった」といい、時間に遅れないようにするなど社会生活に食らいつくのに必死だった。片づけできず夫から罵倒…「私はいても意味ない」地元の中学を経て静岡県内の高校を卒業後、青山学院大学に進学。当初は国語の教員になろうと思っていたが、LD(学習障害)の傾向があるのか、時折、字が正確に書けないことがあった。ずっと続けて文字を書いていると、例えば「春」の横棒が四本になってしまうことがあるらしい。「これでは黒板の字が不正確になってしまう」と思い、教師の夢を諦めた。落ち込んでいたところ、ゼミの教授の紹介で、都内の大学病院の教授の秘書になった。しかし、当時は自身がADHDとは知らず、自分のスケジュールの管理も難しく、何より察して動くことが全くできず、とんちんかんなことばかりしてしまい、周囲から「使えない」と言われ、思い悩むことも多かったという。Upload By 桑山 知之「若いときは、できなくても頑張らなきゃいけないとか、頑張ったらできるかもしれないとか、そういう気持ちが強かったんです。でも半年でおかしくなっちゃって。電車に乗っていられなくなったり、起きたら午後だったり、色々できなくなっていきました。生きていてもしょうがないと、思いつめていました……」(広野さん)生きることもできず、死ぬこともできず、「しんどい」毎日を過ごしていたが、23歳で当時交際していた男性と“デキ婚”。実家の両親からサポートを受けながら家事や育児に勤しんでいたが、やはり片づけがどうにも苦手だった。家の中は物で溢れかえり、食卓には書類などが大量に積まれ、食事を摂ることもままならなかった。そして29歳のころ、鬱病と診断された。Upload By 桑山 知之「旦那からは『こんな家に帰ってくる俺の気持ちになってみろ』とか『お前、一日家にいて何してるんだ』とか言われて。そのときは診断も受けていなかったので、『私はいても意味ないな』ってどんどん落ち込んでいきましたね。頑張って専業主婦をしていたときが一番つらかったです」(広野さん)そんな中、2000年に刊行された『片づけられない女たち』(WAVE出版/サリ・ソルデン著)を読み、驚いた。自分によく似た人がこんなにいる。そして、対処方法がある。そこから、発達障害というものがあることを知り、同じ悩みを抱える人とともに当事者グループをつくって理解を深めた。「最初は自分がとにかく喋りたいからつくった」と笑うが、家庭の悩みなどを打ち明けられる居場所ができたのだった。「言い訳だ」夫から度重なる暴力、そして離婚30歳を過ぎてからADHDと診断を受けた広野さん。発達障害のことを夫に打ち明け、「家事を一緒にやってほしい」「手伝ってほしい」と伝えたが、「そんなのは言い訳だ」と理解してもらえなかった。むしろ、診断を打ち明けたことをきっかけに、夫との関係は余計に悪化。物を投げられ、時には暴力を受け、外に出られないぐらいひどいあざが顔面にできることもあった。「自分が(夫の)ストレスの捌け口になっていたんだと思います。私が反論するようになって、ストレス解消ができないから、手が出るようになったのかなって。でも自分の両親はサポートしてくれたし、ママ友たちも『子どもの迎え忘れているよ』とか教えてくれるようになって、すごく助かりましたね。私自身も、ADHDがあると分かってからは、子どもに怒らないようになりました」(広野さん)Upload By 桑山 知之夫と別居するために2年ほど準備期間を経て、娘2人とともに小学校の校区の端から端に引っ越した。すぐに弁護士を立て、34歳で離婚に踏み切った。別居するとすぐさま、ストレスから解放された気分になった。そして2008年、「発達障害をもつ大人の会(現・NPO法人DDAC)」を立ち上げた。「こんな感じでも今NPO法人の代表をしていたりとか、全部ができないわけじゃないんですよね。発達障害はできることできないことにものすごく差があるけれども、できないことばかりではないということを知ってもらいたいです。あと、周りの人は何でもできるようにさせようとするじゃないですか。それをやられると、みんなだめになっていくんです。二次障害を引き起こしたりとか。何でもできる人間にならなくていいんです」(広野さん)現在広野さんは、キャリアカウンセラーとして同じ悩みを抱える若者や仕事を探している人への就労支援を行っている。発達障害があるかもしれない人や、障害者手帳を取るかどうか悩んでる人、仕事を何回も辞めさせられたり、仕事が長続きしない人など、広野さんのもとにはあらゆる相談が舞い込んでくる。Upload By 桑山 知之「とにかく“フツウになろうとしない”ことをオススメします。自分なりの生き方、生活の仕方を編み出していくのが必要なので、落ち込みすぎずにうまく周りに助けてもらいながらできることをやっていく。私も20代のころは『どうやったらうまく死ねるのかな』とか思っていたんですけど、今はこの人生も割と悪くないと思っていて。発達障害があっても楽しく生きていけるような生き方をみんなにもしてほしいと思います」(広野さん)新型コロナウイルス対策で、在宅勤務やリモート授業などが推進され、家族が一緒にいる時間が増えた。発達障害のある人にとって、毎日決まった時間に通勤・通学することの煩雑さを感じなくていいのは非常に楽だと広野さんは言う。ただし、「家の環境が良くないと地獄」とも指摘している。できないことは恥ずかしいことじゃないUpload By 桑山 知之広野さんはなぜこれほどまでに明るく前向きなのか。どうやら心理学の勉強をした上で、「訓練をした」という。「世の中落ち込むことばかりでうまくいくことよりも失敗することの方が多いんです。でも、いちいちそれを真に受けて反省して頑張ろうと思っても、また失敗しちゃうんです。そんな人生を普通のメンタルでやっていけない。いちいち落ち込んでいたら生きていけないだろうってことで、それを転換して、できる方に目を向けるように、自分を変えていきました。とにかく、自分が快適に生きていける状態がどこか?が大事であって、みんなと同じようにできるかは関係ないんです」(広野さん)できないことを「否定しない」。それは2人の娘の子育てでも実践していた。娘には、自身の障害のこともオープンに話した上で、スーパーの惣菜を買うなど家事をなるべく減らし、対話の時間を増やした。時には、娘が母である広野さんのサポートにも回った。現在、長女(25)はIT企業でデザイナーの仕事に就き、次女(23)は海外の大学に進学し、心理学を学んでいる。Upload By 桑山 知之「個を重視する世の中になりましたよね。個の時代というか。発達障害のある人たちが受け入れられるような方向に行っている気がします。でも、例えば子どもに発達障害があると診断されて、周囲に分かってもらわなきゃとか、説明しなきゃとかやっちゃうと、子どもの自尊心が下がるんですよ。あ、人と違っちゃいけないんだ、って。でも開き直って、文句ある人は近寄ってこないで!ぐらいでいいんです。分かってくれる人とやっていけばいい。大人が変わらないと子どもが変わりませんから。発達障害のあるなしに関わらず、娘たちにはやりたいことを自由にさせてあげたいと思ってきましたし、すべての子どもたちにそういう環境があることを願っています。発達障害のある子どもが生まれるということは、楽しいんだって思ってほしいです」(広野さん)Upload By 桑山 知之平成元年愛知県名古屋市生まれ。慶應義塾大学経済学部在学中からフリーライターとして活動。2013年に東海テレビ入社後、東京支社営業部を経て、報道部で記者/ディレクター。2018年から公共キャンペーンのプロデューサーとして「いま、テレビの現場から。」や「見えない障害と生きる。」、「この距離を忘れない。」といったドキュメンタリーCMを制作。主な受賞歴は、日本民間放送連盟賞CM部門最優秀賞、ACC TOKYO CREATIVITY AWARDSゴールド、JAA広告賞 消費者が選んだ広告コンクール経済産業大臣賞、ギャラクシー賞CM部門優秀賞、広告電通賞SDGs特別賞など。取材・文:桑山知之取材協力:若者支援ネットワーク研究会in東海(監修・井上先生から)広野さんのお話のように、発達障害がある人に対する支援や制度、仕組みは少しずつ充実してきています。しかしながら、現在そうした支援や制度を利用しようとすると、その多くは発達障害があるという診断や障害者手帳などが必要です。これを第一段階とすれば、その次の段階は発達障害の診断がなくても、その支援を必要とする人が必要な時にいつでも受けられるような支援や制度が広がっていくことではないかと思います。このような「障害という診断を必要としない社会」から最終的に「障害のない社会」につながっていくのだと思うのです。
2022年03月28日ほんとうに児童精神科に行っていいのか?次女が小2のときに児童精神科に行くとは決めたものの、ずっと心に引っかかっていたのが「この程度で病院に行ってもいいのだろうか」ということでした。スクールカウンセラーの先生には「学校に来ることもできて、勉強も問題なくできている。支援センターに行くほどではない」ということを言われていたので、ましてや病院なんて…という気持ちがありました。Upload By まりまりそれでも、次女自身が困っていて話したいと思っている、私自身も一人で支援していく限界を感じていたのでなんとか行動に移すことができました。予約を取るたまたま通える範囲に児童精神科クリニックがあったのでそちらに予約を取ることに。なかなかつながらない電話に諦めそうになりながらも何とかつながり、「娘に場面緘黙があるかもしれない」と事情を話しました。Upload By まりまりそこではこんな感じで言われました。病院へ行けばすべてが解決するわけじゃない、と分かってはいても、現実を見せられた感じで、なんとなく落ち込みつつも、なんとか予約を取ることができました。次女ちゃんに話す場面緘黙についてはあらかじめ話していましたが、病院に行くことについてはまた改めて話をすることにしました。知り合いのお子さんで、児童精神科への通院に関して「自分は病気じゃない」「病院へ行かない」と拒否しているという話も聞いたりしていたので、次女の通院にあたり、どう感じるのか心配はありました。Upload By まりまり次女の最初の反応はかなり拒否的でした。ただ、次女自身も話したいという気持ちがあること、私もずっと一緒にいること、ママ自身もほかに協力してくれる人がいるとうれしいな~心強いな~という感じで説明。とりあえず行ってみて、嫌だったらやめてもいいことを伝えました。次女はしぶしぶ了承してくれる…という感じで、なんとか行けることになりました!ついに病院へ。先生の言葉。嫌がる次女と一緒に何とか病院へ。膨大な量の問診票に記入。母子手帳にそんなに熱心にいろいろと記入していなかったので、小さいころの様子がなかなか思い出せず、育児日記を持ってくれば良かったと反省…。そして診察室へ。Upload By まりまりUpload By まりまりUpload By まりまり「学校も行けてる」し「勉強もできている」から問題ないと言われることが多く、ずっと、本当に児童精神科に来ても良かったのか?という不安な気持ちでいました。きっと、私の言葉の端々にそれが出ていたのか、この先生の不安を和らげてくれる言葉はとても心強く感じました。ただ、ここですぐに診断が出るわけではなく、このあとにいくつか検査をすることになりました。この間、次女は、私のうしろに顔を隠したままほとんど先生の顔を見ることなく、一言も話さずに終わったのでした…。検査の内容、診断の結果などはまた別の機会に詳しく描いていければと思います。執筆/まりまり(監修:井上先生より)場面緘黙の症状は分かっていても、医療機関に行くということについては、やはり多くの不安があったかと思います。子どもさんにとっても、初めて行く医療機関は怖いと思いますが、まりまりさんがそのことを理解し、医療機関に行く前に2人で「場面緘黙」について現時点でできる共通理解を丁寧にされていたことがとても重要に感じました。悪いところを治すために行く所ではなく、一緒に何とかしようと考えてくれる人がいる所という説明はすごく良かったと思います。医療機関、専門機関に子どもさんを連れて行く前に、どのように子どもに説明したら良いのか、多くの親御さんが悩まれると思います。そのような親御さんの参考になるコラムだと思いました。
2022年03月27日集団行動が苦手なしのくん3歳になったばかりのころ、しのくんは集団行動が苦手で、すぐにクラスから脱走してしまったり、順番を守ることができませんでした。この当時、しのくんはしゃべることができる言葉も少なくて、こちらが言った言葉も理解できていないような状態でした。不安になった私は…Upload By keiko保育園の担任の先生に、家で何かできることはないか?と聞いてみましたが、「家で集団行動を学ぶのは難しい」と言われてしまいました。ですが、先生に任せっきりにする罪悪感と、焦りが合わさって、このまま何もしないということは私にはできませんでした。そんな中「しのくんが集団行動できるようにしたい!どうにかしたい!」という思いからひらめいたアイデアが「ドールハウス」と「お人形」でした。Upload By keikoお人形ごっこしのくんに集団行動を教えるために、保育園と同じ状況をつくる必要があると考えた私は、ドールハウス(学校)を購入しました。クラスのお友達も用意して、ピアノと椅子も用意して、家の中に保育園を再現することに成功しました。Upload By keikoそして、お人形ごっこを通して、しのくんに遊びながら、おうちで集団行動を教えていこうと試みました。しかし…Upload By keikoUpload By keikoUpload By keikoしのくんは、自分の持ってる人形をドールハウスの保育園から脱走させ、私が追いかけるのを楽しむという遊びをし始めました。現実でもごっこ遊びでもしのくんはクラスから脱走し、上手くいきませんでした。「ドールハウス」と「お人形」の話を言葉の教室の先生にしてみたらUpload By keiko後日、「ドールハウス」と「お人形」の話を言葉の教室の先生に相談してみました。すると、「同じように、人形を使って行う療育がある」と先生。この返答に私はびっくりしました!それと同時に、「今はまだうまくいかないけど、やってることに間違いはない」と自信にもなりました。現在もうすぐ4歳になるしのくんですが、今でもドールハウスとお人形を使って、ごっこ遊びをしています。今では、学校のほかも、家とデパートも用意して、実際の生活を再現したいろいろな状況のごっこ遊びもしています。ほかにも生活に生かせるような家庭でできる遊びはないかな?と思い、おうちの遊びでおままごとにも力を入れています。オモチャの大きなキッチンでしのくんは、毎日楽しく遊んでいます。しのくんの成長ためにもこれからも楽しみながら続けていこうと思っています。執筆/keiko(監修:初川先生より)ドールハウスと人形を使って集団生活を学ぶ。なるほど、面白いですね!子どもにとって、園での生活はすなわち「実践」の場です。いきなり実践の場に入ってしまうと、不安も緊張もわくわくも興奮もあるし、なかなか自分がどう振舞えばいいのか、何を見て聞いて判断して過ごせばよいのかは分からなくなるのも無理はないと思います。ドールハウスつまり保育園の教室場面のミニチュアを使って、教室の中では何をするのか、どう振舞うのがいいのか、文字通り俯瞰しながら「予習」・「心の準備」ができたことがとてもよかったのだと思います。例えば「教室の中では○○をやるよ」という言葉での予告だけだと、想像しきれないお子さんもいると思います。その意味で、かわいらしいドールハウスや人形を使って、視覚的にも情報として入りやすい形で、そして、実践的な内容を聞くことができ(先生の声かけ例、園児の反応例も聞けますね)、良きモデリングとして機能していることでしょう。しのくんを育てる中で、このアイデアを思いついたということが素晴らしいですね。確かに、こういうやり方を助言する専門家もいるかもしれませんが、こうしたらうまくいくかも、と思われた保護者としての鋭い直感、素晴らしいです。
2022年03月26日息子の癇癪パターンはいろいろUpload By かなしろにゃんこ。自分が思い描いた目標に達成できないと怒ったり、何かに夢中になっているところを横から干渉されると癇癪を起こすわが家の息子。学童期は、「もうやだー」と家具を蹴ったりする始末……その度、「あぁ~また始まっちゃった。リュウ太が怒りだすと近所に聞こえるような大きい声で怒鳴るからヤダな~」と母の私も暗くなったりイライラすることがあります(涙)。中学生になっても癇癪のときの声の大きさは変わらず「くそーーーなんでだよーーー!」と何に対して言っているのか分かりませんが、乱暴な言葉で怒鳴り散らすのでたまりませんでした。Upload By かなしろにゃんこ。Upload By かなしろにゃんこ。成人した息子に癇癪について聞いてみると「暴言は自分に対してだったりするよ、うまくいかない自分に腹が立つ」のだそう。さらに「癇癪はなくすことはできないんだ。『ほかの人は怒るときに大声なんて出さないで怒るんだよ。だからあなたも声を出さないようにしなさい』って親や先生に注意されてきたけれど、オレは声を出さないで怒りを消すことはできないんだ」と話してくれました。息子は、怒りが発生して数秒でピークに到達する→ 怒りをリセットするにはなるべく遠くに怒りを放つ感じで吐き出すから大声になる→ 大声を出すと気持ちが収束に向かうだから怒ると大声を出してしまうんだと知りました。Upload By かなしろにゃんこ。私自身は「怒りの感情」というのが時間をかけてジワジワと来たりします。そのため瞬間湯沸かし器のようになる息子の状態が今まで私には分かりませんでしたが、息子の話を聞いて「自分の中にわいてくる”嫌なもの”を早めに排除する行動だったのね!」と知りました。Upload By かなしろにゃんこ。Upload By かなしろにゃんこ。息子は、「ものによっては声を出しても怒りが収まらないときがあるけれど、『ま、いっか!』という言葉をつぶやいて全てどうでもいいことに変えるようにしてるよ。『ま、いっか!』は小学生のころからやっていて、”怒り”に区切りをつけることができる」とも言いました。小中学生のころはまだ心のコントロールができていないように見えましたが、息子は自分なりに心の調整をする方法を見つけていたと分かりました。執筆/かなしろにゃんこ。(監修:井上先生より)「怒りの感情」は、リュウ太さんが言われていたように成長と共に少しずつ制御可能になっていきます。小さいころは「制御する」というよりは、周りの大人が「我慢させようとする」ことが多いかもしれません。子どもの場合、我慢する方法を具体的に教えてあげないと「我慢しなさい」とだけ言われたことが、火に油を注ぎエスカレートして悪循環に陥ることもあります。「叩いたり壊したりするよりは、声に出すほうがいい」「声に出すよりも、走ってみるのはどうか」「壊れないものを投げてみるのはどうか」…など怒りを鎮めるやり方を一緒に考えてあげるといいかもしれません。「怒り」を押さえつけるのではなく、怒りをうまく手なずけるための代替案を一緒に考えたり、うまく怒りを鎮められたときに褒めることが大切だと思います。
2022年03月25日入園式でのパニック回避をしたくて…Upload By ゆきみ3歳のときに自閉スペクトラム症と診断を受けた長男けんと。年中から転園したこども園には制服がありました。以前、写真スタジオでスーツのような服を着たとき、早く脱ぎたくて大号泣。シャツやスーツといった普段と違うものを着るのが大の苦手でした。当日いきなり、初めての制服を着る!となると絶対にパニックになると思い、時間をかけて様子をみていくことに。制服を初めて見たとき、警戒している様子だったので、まずは目につくリビングにずっとかけて「この洋服、新しい園に着ていく洋服なんだよ」と声をかけるのを続けてみました。それから数日、制服を見慣れたころに「着てみようか?」と誘ってみると、ズボンは全く嫌がらず、すぐにはいたのですが、上着は抵抗があったようで着たらすぐに脱いでしまいました。そこからは、毎日1回。数秒でも上着を羽織ってくれたら褒めるというのをくり返し、慣れてくれたようで、入園式も嫌がらずに着てくれました。制服でのパニックは回避することができ、一安心。みんな静かに座ってる!周りと違いすぎて…Upload By ゆきみ年中からの転園だったので、入園式は1つ年下の年少の子どもたちが大多数。会場に入ると、保護者の方と静かに座っていてビックリ。けんとは、動きたくてソワソワしていました。式が始まるまでの待ち時間が長かったので、その間はスマホの中の写真を一緒に見たり、しりとりや、じゃんけんなどのプチゲームで気を紛らして、なんとかギリギリ静かに過ごせました。式が始まると、スマホを出すわけにも、しりとりなどのゲームをするわけにもいかず、けんとも退屈そうな様子。まっすぐ座っていられず、椅子にグデーと伸びきったり、床に寝転がろうとしたりするので抱っこしたら、膝の上で伸びきった体勢に。周りの子とは様子が全然違ったけど、奇跡的に静かにはしていてくれたので良かったです。式が短かったのでなんとか大丈夫でしたが、みんなが最後まで静かに座っていられていることにビックリ。けんとは、式の最中全く先生の話を聞かず、ただただ時間が過ぎるのを待っているかのようでした。通園スタート!マイペースが止まらないUpload By ゆきみ遂にこども園生活がスタート!新しい環境が不安でしたし、パニックになってしまった場合の対応法を先生にお伝えしたかったこともあり、園にお願いして2~3日間、私は廊下から見学させていただくことにしました。初日!年少さんと一緒に「園の散策ツアー」に参加。気になる教室があると勝手に入っていってしまうけんと。年少の子たちは廊下から順番に教室を覗いて、先生のお話しを聞いている姿を目の当たりにし、改めて集団行動の難しさを感じました。年中のクラスでは、みんなが先生のお話しを聞いて座っている中、けんとは壁に貼りつけてある紙類が気になるらしく、一つひとつ読み歩いてマイペースに過ごしていました。入園したのが、コロナの流行がはじまったくらいのとき。すぐに園がお休みになってしまいました。そこで園が「リモート幼稚園」を開催してくださり参加してみることに。パソコンの画面越しに「〇〇ちゃんだ!元気?」などと子ども同士が会話をしている姿に驚愕。けんとは全く興味がなかったようで、ほかの遊びを始めてしまい、ママ1人で参加している様子が画面に映されてしまいました。園生活の不安を消してくれたものは…Upload By ゆきみ「今日、園で何があったか」などを話せない子なので心配していましたが、担任の先生が連絡帳で様子を教えてくださり安心感につながりました。園であった困りごと、質問、相談などの細かいことまで連絡帳を通してやりとりしてくださったので園トラブルも把握し、対応策を考えることもできて感謝しています。そして、参加できそうなことには参加させてくださり、苦手なものは無理をせず、少しずつ様子をみながら誘っていただく形にしてくださったので、年中、年長と進むにつれてお友達と一緒に参加できるものも増えていきました。集団行動は今も苦手なままですが、私の不安をよそに、けんとは毎日楽しそうに通ってくれて、けんとの特性を理解しようとしてくださった園、受け入れてくれたお友達には感謝です。もうすぐ小学1年生。特別支援学級の情緒クラスに決定しました。幼稚園でのさまざまな経験を生かして、小学校にも楽しく通えたらいいなと願っています。執筆/ゆきみ(監修:鈴木先生より)自閉スペクトラム症のあるお子さんは、制服を好む傾向があります。毎日洋服を選ばなくて済むからです。制服でなくとも、恒常性のこだわりから毎日同じ洋服を着ることが多いのです。ただ、感覚に敏感なお子さんの場合、洋服の生地の肌触りやにおい、重さなどが合わないと嫌がります。中学校へ進学するとき、詰襟は首が絞めつけられるのが嫌で、わざわざブレザーの制服のある学校を選ぶこともあります。入園式や冠婚葬祭などじっとしていなければならない場面では、ポケットの中に本人の好きな手触りのいいものを入れて握らせていると落ち着くこともあります。園も小学校も担任の先生次第です。連絡帳しかり、苦手なものを無理しないことしかり、少しずつのスモールステップしかり、です。
2022年03月25日できないで困っている子を助けたい私は児童精神科医として、2009年から現在まで少年院に勤務し、非行少年と言われる多くの少年たちに出会ってきました。「非行少年」というと粗暴で、周囲を「困らせる子」のイメージがあるかもしれませんが、実際に私が出会った少年たちは違っていました。ひとことでいえば、その少年自身が「困っている子」だったのです…。下の図は、私が少年院で出会った中学生が描いた立体図です。彼は見本を見ながら「難しいなあ」とつぶやいてなんとか描き上げたのですが…。私は彼の苦労する姿を見て、この少年に今必要なのは、反省の念もさることながら、立体図がしっかり描けるような力、つまりは正しく物事を「認知する力」だと感じ入りました。Upload By 宮口幸治約5年間かけて開発した認知機能強化トレーニング立体図の模写は見る力の問題ですが、ほかにも調べてみると、聞く力が弱くて、簡単な文章も聞き取れない、復唱できないという少年たちも数多くいました。そこで少年院の「実科」(授業)では、見る力・聞く力をトレーニングする教材を使おうとしたのですが…なかなか納得できるものにめぐり合えませんでした。だったら、「自分で納得のいくものをつくってみよう!」と思い立ち、試行錯誤の末、完成まで約5年間の歳月がかかりました。目の前にできないで困っている少年を、なんとかできるようにしてあげたい。ただそれだけの思いで、私は「コグトレ」を考案しました。コグトレとは、「認知機能に特化したトレーニング」で、Cognitive(コグニティブ:認知)とTraining(トレーニング)の頭の文字を合わせた言葉です。認知機能の弱さが学習のつまずきにつながることも漢字が苦手、黒板が写せない、九九や計算が苦手、文章題が苦手といった子どもたちは、「写す力」「覚える力」「数える力」「見つける力」「想像する力」(=認知機能)の弱さが背景にある可能性があります。例えば、「覚える力」や「写す力」「見つける力」が弱いと、黒板を写せなかったり、漢字の書き取りができなかったりするかもしれません。「数える力」が弱いせいで、算数のうっかりミスにつながっているかもしれません。でも、たとえ基礎的な認知機能が弱かったとしても、あきらめてはいけません。トレーニングにより高められる可能性はあります。見る力・聞く力をトレーニングみなさん、「ワーキングメモリ」という言葉を聞いたことがありますか?これは、別名「心のメモ帳」と呼ばれ、短い時間に心のなかで情報を保持し、同時に処理する能力のことを指します。ワーキングメモリには「見る」と「聞く」の2種類があります。概して、記憶するには見て覚えるか、聞いて覚えるかの2つです。視覚性のワーキングメモリを使う場面は、例えば、黒板をノートに書き写すとき。黒板を見て、覚えられる情報量が少なかったり保持できる時間が短かったりすると、何度も黒板を見直さなければなりません。視覚の短期記憶や基礎力、情報整理の力を鍛えるそこで、「コグトレ」では、以下のような「覚える」課題で、視覚の短期記憶をトレーニングします。ほかにも、視覚認知の基礎力(模写・形の把握)をアップする「写す」課題、視覚情報を整理する力をアップする「見つける」課題もご紹介しましょう。「写す」「見つける」力も黒板を書き写すのに役立ちます。文字の位置を10秒間しっかり見て覚えてね。10秒たったら何があったか書いてみよう。Upload By 宮口幸治上の絵と同じように、点をつないで下に写してね。Upload By 宮口幸治下の絵のなかにはみほんと同じ絵が1枚あるよ。見つけて番号をこたえてね。Upload By 宮口幸治ワーキングメモリで大事な「聞く力」ワーキングメモリには、視覚性と聴覚性の2つがありますが、実は、パッと見て覚える分にはみなさん、そう大差はありません。人は、聞いて覚えるよりも、見て覚えるほうが得意な人が多いもの。だから支援教材には「見て分かる」系のものが多いのですね。差がつくのは「聞く力」のほうです。例えば、学校で先生から「教科書の25ページを開いて、3番と4番の問題を解いてください」と言われたら、「25ページ」「3番と4番」と言葉を順に覚える必要があります。先生の話を聞き取っては覚え、覚えながら次の話を聞き取るわけです。ただし、「聞く力」が弱かったとしても、トレーニング次第で高められる可能性はあります。次に、そのための課題を紹介しましょう。聞く力をトレーニングする「最初とポン」一例として、「最初とポン」という課題を紹介します。文章理解力と聴覚性(言語性)ワーキングメモリを鍛えていくのが狙いです。まず、出題者が3つの文章を読み上げます。ただし、お約束ごとが2つあります。1つは、文章内の最初の単語だけを覚えること。2つめは、「決められた単語」(動物、食べ物、色など)が出てきたら、手をポンと叩くこと。ここでは「動物」の名前が出てきたら手を叩きます。Upload By 宮口幸治この場合、覚えてもらうのは「牧場」「池」「カエル」で、下線の「ウシ」「アヒル」「カエル」で手を叩くのが正解です。もしも覚えづらい場合には、言葉を頭のなかで映像に結びつける工夫をしたり、グループで行う場合には、うまくいった人にどのような工夫をしたのかを聞いてみたりするといいでしょう。もしも、がんばっているのに、「今ひとつ学習が身につかない」「テストの点に結びつかない」…そう感じておられるとしたら「認知機能」の弱さが原因かもしれません。ぜひ「コグトレ・パズル」をお試しください。遊び感覚で解きながら「認知機能」を高めていくことができるでしょう。
2022年03月24日娘の自傷行為娘は高校生のころにイライラがとても強い時期がありました。高等特別支援学校(高等部単独の特別支援学校)に通い、放課後等デイサービスや地域の基幹相談支援センター、医療ともつながっていた娘。障害に理解がある環境の中で過ごしていたにも関わらず頻繁に起きる感情の爆発がありました。それは、娘自身ではどうにもできない就職に関する悩みや女性特有の体調の悩みともあいまって、幼稚園のころのイヤイヤ期や小一の壁、10歳の壁や中一ギャップのときとは一味も二味も違う、ヘビーで複雑なものでした。学校に行きたがらなくなったり、物を壊したり、母親だけに当たったり、衝動的に家を出たり…。どの行動にも手を焼きましたが、一番対応に困ったのは自傷行為でした。親のダメージの大きさたるや今から6年間ほど前の娘が高校生だった当時は、思春期の発達障害がある子どもの自傷行為についての情報が極めて少なかったということも私の悩みを深くしていました。娘の自傷行為を知ったとき、私はまず信頼のおけるママ友や親の会の仲間に相談をしました。すると「自分自身も過去に自傷の経験がある」という人が意外と多くいました。今は頑張っていたり、輝いている人たちも、過去にはつらい経験をしていたということや、その行為には理由(原因)があるということなどを知って、私のショックは少し和らぎました。じゃあ実際どうしたら良いの?では具体的に親はどう子どもに接したら良いのか?私は、ケアする側の専門家に相談するのが良いと思い、学校の先生方や放課後等デイサービスの先生に対応策をたずねました。「傷口部分をさすってあげるとか、絆創膏を貼ってあげると良いというのを本で読んだことがある」「その話題には直接触れない方が良い」など先生によってさまざまな意見がありましたが、私はその中で“わたしたち親子が置かれている状況下”で“不自然ではなく”できそうなことを考えました。考えた結果…娘には年の離れた弟がいます。当時、弟は小学校に入学して間もないころで、まだ幼さなさが残る年ごろでした。過去に娘は私に「お母さんは弟に甘いんじゃない?」と言ったことがありました。私からすると娘の方がずっと手がかかり、弟には不便をかけているぐらいの気持だったのですが、娘はそう感じていたようです。そこで私は娘に「最近お父さんが、私が小さい息子にばかり気を掛けることにヤキモチをやいているみたいなので『だっこだっこキャンペーン』というのを始めようと思う」「これは、玄関で帰宅した家族全員を私(母親)が抱っこ(お帰りなさいのハグ)をするというキャンペーンです」と伝えました。本当は『娘を』抱っこすることが目的だったのですが、自然な感じ(?)にするため『お父さんが、私が息子ばかりかまうことにヤキモチをやいている』というていにしたのです(この件に関しては主人にも協力してもらいました)。娘の反応Upload By 荒木まち子「え?いいの?」と言う娘。私は、娘のこの反応にとても驚きました。娘は小さいころからだっこが苦手でした。反り返って嫌がるので、私は娘を落とさないように全身の力を込めてだっこしていました(いつも汗だく)。また、娘がいつ激しく反り返るか予測不能なので、わが家ではおんぶも危険だと思いほとんどしませんでした(おんぶで子どもが親に身を任せるなんて夢のまた夢)。手をつなぐのも苦手で、私が娘の手を握ると娘は必死に私の手の中から指を抜こうとしました。そのため私は、娘は人に触られることが嫌(苦手)なんだとずっと思っていました。それなのに娘のこの反応って…⁉子どもは変わる実際娘に『お帰り』のハグをすると、娘は脱力し私に身を任せていました。表情は見えませんでしたし娘は無言ではありましたが、まんざらでもなさそうなのは感じ取ることができました。私たち親は「食べ物」や「音」「色」「特定のシチュエーション」などで、いったん子どもが嫌がると「この子はこれが苦手(嫌い)なんだ」と思い込んでしまいます。特に子どもが癇癪やパニックを起こした経験があるとなおさらです。でもそれらは時と共に変わる場合がある、ということを私はこのとき実感したのです。子ども自身の体調にも影響されるので一概にそれを『成長』と言って良いのかは分かりませんが、ともかく『変わる』のだと感じました。じゃあそのあと『だっこだっこキャンペーン』のおかげで娘のイライラや自傷がすぐに収まったかというと、まあそんな簡単なわけもなく(笑)医療や各方面の支援者のサポートと粘り強いアプローチなども受け、長い時間をかけて娘は徐々に徐々に落ち着いていったのでした(娘が落ち着いたタイミングでわが家のだっこだっこキャンペーンは終了しました)。失敗も無駄じゃない子育てで困ったことがあると、親は解決策や情報を探しいろいろなことを試します。それが上手くいけば万々歳です。しかしながら自分の子には分かりやすい効果がでなかったり(場合によっては逆効果だったり)親がしんどくなって続かないこともしばしばです。でもその失敗や試行錯誤は決して無駄ではないと思うのです。つらい中でもたまにクスッと笑えることがあったり、ほんの些細な子どもの成長を感じたり、暗闇の中で小さな光の道筋が見えた(ような気がした)りしたらそれって結構イケてるのではないかと私は思っています。首の皮一でつながっている様な状態だとしても、今回のケースのように意外な気づきを得ることもあります。失敗を含めすべての経験はすべて後の糧になると私は考えています。執筆/荒木まち子(監修:井上先生より)青年期に多い自傷行為の原因は個々さまざまです。しかも本人自身もそのことを言葉でうまく説明できない場合は、親としてとても不安になり、心配されると思います。今回の「だっこだっこキャンペーン」のような方法が直接当てはまらなかったとしても、ユニークな関わりを取り入れることで家族全体の関係性がピリピリしたものからやわらかいものに変わっていったのではないかと思います。また荒木さんもご指摘のように、幼児期のこだわりや感覚過敏なども成長と共に変わっていくことが多いです。お子さんの様子を見ながら、それに合わせていろいろな関わり方を試みることはお子さんの新たな成長や変化に気づくきっかけにもなるのではないでしょうか。
2022年03月23日暖房器具に張りつくコウに効いたのは「定番の視覚支援」!?Upload By 丸山さとこ暦の上では春を迎えても私が住む地域では、まだまだ寒い日が続いています。冬の間はエアコンをつけていても足元から冷えるわが家なので、家族が過ごすことの多いLDKにはガス暖房器具を置いています。「暖房の前には絶対に物を置いてはいけないよ。暖房の前に衣類を置いて火事になったお家もあるんだよ」と口を酸っぱくして言い続けていたためか、コウは暖房器具の前に物を置くことはありません。ところが、コウ本人は火が出そうなほど暖房器具に張りついて手や足を擦り合わせていたりするので、火事&火傷の危険性でハラハラしていました。同じく近づきすぎて困るテレビには『敷物の端に合わせて座布団を敷き、そこに座って見る』という方法が有効でしたが、暖房の前に座布団を置くわけにはいきません。ほかに使えそうな目印を考えたところ、ビニールテープが思い浮かびました。Upload By 丸山さとこ「暖房周りを囲む用のベビーゲートを買うしかないのか…それかエアコンのみにするか…」と悩む夫に「1回、ビニールテープで床に目印つけてみない?」と提案すると、「ビニールテープか…そんなんで効くかな?」とあまり乗り気でない反応が返ってきました。その気持ちは分かります。今までに効かなかった視覚支援の数々…『どうせダメだろう』という気になるのも当然です。Upload By 丸山さとことはいえ、たまに「えっ、今更こんな手立てが効くの!?」というベタな手法が効くのもコウのあるあるパターンなので、「まぁまぁ、ビニールテープなら安価だしやってみようよ」と試してみることにしました。ときどきはまることもある「境界線システム」そうして試してみた結果、コウの暖房前への張りつきはピタリと止まりました!正に「えっ、今更こんな手立てが効くの!?」な結果となり、私も夫も「こんな方法でいいんだ…?」と驚きました。Upload By 丸山さとこコウには『一瞬効くけどすぐ無効になるパターン』もあるため、「一瞬でも平穏を得られたのならそれだけでもいいよね…」と心に予防線を張っていた私と夫でしたが、3ヶ月経った今でもコウへの効果は持続しています。来年のことは分かりませんが、ひとまず今ある寒さが終わるまでは通用するのではないかと思います。※「暖房器具の前にビニールテープを貼って大丈夫かな?」と迷いましたが、床を触って温度を確かめたところ温まっていないことが分かったため、貼ってから数日様子を見て剥がれないことを確認した上で行っています。視覚支援として行っているビニールテープの境界線は、小学校低学年のころは全く効かなかったものの、高学年に入ってからはたまに効くようになっていました。ただし、効果があるのは『テーブルの端に物を置いて落とす』などの無意識にとってしまう行動がほとんどで、『ゲームをしたい』『箱の中身を触りたい』など”コウの具体的な意思”が明確にある場合は全くと言っていいほど効果はありませんでした。Upload By 丸山さとこそのため、『暖房の近くであたたまりたい』という明確な欲求の行動には効かないだろうと思っていたのですが、今回予想外に効果があったことから「方法があるなら1回試してみなければもったいないのかもしれないなー」と改めて思いました。1回でも効いたら儲けもの?ゆるく続ける視覚支援現在小学6年生のコウ。近年は、自らメモを貼ったりチェックリストをつくったりすることもありますが、視覚支援などの工夫をする際は受け身でいることが多く、親まかせになりがちな現状です。視覚支援は手がかかる割に『空振り』や『1回限り有効』も多く、続けていく中で心が折れることもあります。けれども、「1回でも効いたら儲けもの!」のスタンスで、これからも無理のない範囲で続けていきたいなと思いました。Upload By 丸山さとこ執筆/丸山さとこ(監修:初川先生より)視覚支援にまつわるトライアンドエラー、そして考察をありがとうございます。今回のストーブ前のような、環境にまつわる視覚支援は、なかなか機能しやすい面があるのだろうと感じます。大人にとっても、コロナ禍でのレジ前の並ぶ場所を示すちょっとした線があると、すっかりそこに合わせて並んでしまいますね。さとこさんの考察では、無意識的な行動かどうかで機能するかどうかが分かれるとの見立てですが、それも面白い視点だなと感じます。視覚支援に限らず、あらゆる支援はうまくいくかどうかが確定したものではありません。一度うまくいっても、時間の経過や本人の成長につれて変化することはよくありますし、同じ種類の支援でも効くものと効かないものも同時に出てきたりもします。そういう意味では、とりあえず試してみる、「1回でも効いたら儲けもの」くらいの軽い気持ちでやってみるのはとても良いと思います。大切なのは、言葉での指示だけになってしまうと、お互い疲弊してゆくので、声掛けだけではない、視覚支援のような、本人の自覚に依拠するのではなく、「うっかり」適応的な行動を取ってしまう仕組み作りをどう仕掛けてゆくか、ということですね。
2022年03月22日学校では何度も話し合いを重ねていましたUpload By 吉田いらこゆいの勉強の遅れについては学校と何度も話し合いを重ねていました。遅れている子も取りこぼさず見てくれようとしている学校には感謝しています。その中で、担任の先生から「ゆいさんは現在の算数の授業についていくのはとてもキツそうです」と言われたことがありました。ゆいは授業をまじめに聴いてはいるのですが、理解できていませんでした。それでも、必死に授業のノートを取ろうとしていました。しかし、それさえも間に合わないのです。ゆいがノートを取り終わる前に板書は消され、次に進んでしまいます。現在の授業はゆいにとってはかなりのハイペースで、ついていけないのでした。Upload By 吉田いらこ私は今までゆいの成績が悪いことに一度も残念な顔をしたことはありません。ましてや叱ったことなんかありません。勉強はそこそこでいいから、毎日を楽しく過ごしてほしかったのです。Upload By 吉田いらこテストの結果や成績表を見ても「これだけできていたら充分!また次に頑張ろうね!」と明るく言うように努めてきました。それでも本人はいつも浮かない顔をしていました。親が何も言わなくても、自分が周りの子に比べて勉強が苦手なことはゆい自身気づいていたようです。Upload By 吉田いらこ「わたしはバカなの」勉強の遅れが目立ち始めてからのゆいは…「わたしはバカなの」ゆいは自分のことをそう言うようになったのは、勉強の遅れが目立ち始めてからでした。こう思わせるようになったのも私の責任だと感じています。いくら頑張っても勉強についていけず、毎日の算数の授業がつらかったのだと思います。今となっては、私があのときやるべきだったのは「頑張ろう」と励ますことではなく、早急に周りに相談してゆいに合った環境を探すことだったのだと分かりますが…。遠回りをしてしまったなと反省しています。Upload By 吉田いらこ診断が下り、私が決めた「現在のミッション」発達検査を受け診断が下りた現在、私のミッションは「ゆいがつらい思いをせずに学校へ通うこと」になりました。将来のことを考えると不安でいっぱいです。とくに就職がどうなるのか分かりません。勉強をすっぱりとあきらめていいのか…など考えればキリがありません。けれど、ゆいには笑顔で学校に通ってほしい。そう思っている私にとって、目の前の課題は今のところこれなのです。ゆいの通う小学校は「特別支援学級在籍」となっていても、みんな普段は通常学級で過ごします。そして、国語や算数などサポートが必要な科目だけ、特別支援学級の教室に集まって受けることになります。(※)保護者の私と学校の先生との間で話し、算数の授業だけは特別支援学級でサポートを受けるのがベストではないかという結論になりました。あとはゆい本人がどう思うかです。わたしはゆいにお試しでサポートを受けることを提案してみました。その結果は…?また別の機会に描きたいと思います。※自治体によって異なります執筆/吉田いらこ(監修:三木先生より)自分ができないことが分かってしまうというのは、ご本人にとってもとてもつらいことだったと思います。ただ、どこまでが限界でどこからは要支援なのかは、じっくり取り組んでみないと分からないことも多いです。子どもにつらい思いをさせないことも大切なのですが、しっかりと「できなくなるところまでやり切ったか」も同じくらい大切です。そこまでいったからこそ、今のように「つらいなく、でもしっかりと学びになるギリギリはどこか」を探していけるのだと思います。
2022年03月21日マンガで癇癪を学ぼう!マンガで分かりやすく発達障害が学べる『マンガで学ぶ発達障害』シリーズ。今回は悩んでるご家庭も多い「癇癪」についてまとめてご紹介!癇癪ってどのような状態のこと?原因や背景をはじめ、起こさないようにご家庭でできる環境調整方法、起きてしまったときのクールダウン方法、発達障害との関係性など、公認心理師の井上先生の解説とともにご説明します。癇癪とは、声を荒げて泣いたり、激しく奇声を発したりするなどの興奮を伴う混乱状態を指します。癇癪行動の例やどのような気持ちの変化で起きてしまうのか、癇癪について原因を2つに分けて専門家が解説します。たびたび癇癪が起こるからといって発達障害があるというわけではありませんが、発達障害のある子どもに強く見られる傾向が癇癪が起こるきっかけと絡んでいる場合があります。そんな発達障害のある子どもに見られる4つの傾向と癇癪の関係を解説します。いったん始まってしまうと、癇癪を鎮めるのは難しいので、普段の生活から子どもに十分配慮をし、癇癪が起きないように回避することが重要です。癇癪が起きないように気をつけたいポイントや起きてしまったときのクールダウン方法などをご紹介します。まとめ子どもが癇癪を起こす背景には必ず理由があります。普段の生活や癇癪の起きるきっかけなどを探し、子どもに合った配慮を行うことで癇癪を抑えることもできます。もちろん全ての癇癪を抑えることは難しいです。ですが、どのようなときに癇癪が起きやすいか、クールダウン方法を知っておくことで保護者も安心して過ごすことができます。それでも子どもの癇癪に悩むときには一人で悩まずに周りの人や相談できる施設を頼ることが重要です。
2022年03月20日Get in touchの最初の活動が、「ウォームブルー・デー」、世界自閉症啓発デーのイベントだった発達ナビ牟田暁子編集長(以下――):発達ナビの読者には、東ちづるさんが理事長を務める一般社団法人Get ㏌ touch(ゲットインタッチ)の活動について、あらためてGet ㏌ touchはどういう団体なのかお話しいただいてもいいでしょうか。東ちづるさん(以下、東):Get ㏌ touchは、「誰も排除しないまぜこぜの社会」を目指すプロボノ団体です。主にアート、音楽、映像、舞台などのエンターテイメントを通じて活動しています。私たちは、まぜこぜ・多様な社会で暮らしているということを見える化・体験化していきます。メンバーはそれぞれ本業があり、さまざまな職種においてプロフェッショナルで、それぞれが培ってきたスキルやアイディア、人脈などを提供しています。特徴的なのはクリエイターやエンタメ業界に関わる人たちが多い、という点です。私個人は、30年前から社会的な活動をしていますが、ずっと何かモヤモヤしていたんですよね。それは、講演やシンポジウムに参加すると、同じような顔ぶれになりがちということ。社会課題への意識が高い人たちは集まっているけれど、本当は、こうした課題について無関心な人たちをどう巻き込むかを考えなくちゃいけないんじゃないの?と。――どんな活動がスタートだったんですか?東:最初は自閉スペクトラム症を啓発する活動からでした。4月2日の世界自閉症啓発デーのイベント「ウォームブルー・デー(Warm Blue Day)」の企画ですね。この4月2日には、先進国ではさまざまな形で「青くなっている」と知ったとき、「私は20年以上活動しているのに知らなかった」ということがショックだったんですよね。それが10年前です。「青くなる」というのは、街のライトアップをはじめ、新聞の文字をブルーにしたり、アーティストや芸能人、ニュースキャスターが、その日はこぞってブルーの服を着たり、ブルーのものを身につけたりしてメディアに登場するということなんです。そして、ブルーにするのは自閉スペクトラム症の啓発であることをみんな分かってやっている。これって、日本でもできるんじゃない!?と思ったんです。それも楽しみながら。はじめてのウォームブルー・デーのプロジェクトは批判が殺到!?Upload By 発達ナビ編集部――それが10年前なんですね。東:それまでも、自閉症協会さんや厚生労働省の働き掛けで、全国各地で青くライトアップされたり、青を使ってアピールしたりといった動きはあったけれど、「世界自閉症啓発デー」だからということは、一般の人にはほぼ知られていないという状況でした。なぜならメディアになかなか取り上げられないから。メディアに取り上げられるにはどうすればいいの?と考えて、エンタメでやっていこう!となったわけです。第1回は、東京タワーでウォームブルー・デー(Warm Blue Day)と名づけて、全国各地の自閉スペクトラム症があるお子さんのご家族や当事者、そうではない人たちが「まぜこぜ」に集まるというイベントを開催しました。ショップのウィンドウをブルーにデコレイトしてもらったり、ブルーにペイントされたスーパーカーのパレードがあったり、コスプレイヤーがブルーの服を着て歩いたり。にぎやかな祭典となりましたが、その裏では、警察や厚生労働省、自閉症協会をはじめ、さまざまなところに、私たちは一から企画の説明をして、文字通り泥臭い地道な調整をして実現したイベントでもありました。…でもね、この初回は、叩かれたりもしたんです。――そうだったんですか?それは、なぜでしょうか。東:エンターテインメントでしたから。こうした啓発活動をするときには、真面目にやらなくてはならない、というムードが日本にはありますよね。楽しいことは後ろめたい、というような。だから、「お祭り騒ぎをして何が啓発だ!」というお叱りをたくさん受けました。当事者ご家族、支援団体さん、厚生労働省からも、それはもうかなり賛同を得られませんでした。ところが、です。実際に蓋を開けてみたら、ものすごくたくさんの人が集まりました。そして、自閉症協会さんはじめ、自閉スペクトラム症や発達障害に関するサイトが問い合わせでパンクしたのです。そこでようやく、「ああ、これも啓発なんだ」と理解していただけました。今振り返ると、本当によく闘ったなと思います。――そうだったんですね。今やGet ㏌ touchは、自閉スペクトラム症や発達障害の啓発活動ではすっかり頼りにされている存在ですよね。東:ウォームブルー・デー(Warm Blue Day)に関しては、現在は東京都自閉症協会さんが都内の関連団体に呼びかけて集まった「東京タワー実行委員会(TT実行委員会)」に引き継いでいます。もはや私たちが始めたということも忘れられているくらいの盛り上がりになりました。これはGet ㏌ touchの成果の一つだと思っています。社会的に知ってもらうということが最初の目標でしたから。でも、4月2日には日本全国でさまざまな人たちが自発的に青い服を着たり、SNSで発信するのがあたりまえのように日常に溶け込んだ社会になったらいいなと思っています。たとえば、ハロウィンのようにね。障害がない人だけにマーケットが用意されているということへのモヤモヤUpload By 発達ナビ編集部――まぜこぜの社会を顕在化することを達成して、10年で解散することが目標ということでしたが、解散していないのはまだまだ課題があるということですね?東:新たなことがどんどん出てきますからね。でも、確実に社会はアップデートされています。その半面、分断はまた広がっているというか、生きづらさを抱える人が増えているのが現実です。私は、芸能界がグレードアップするといいなと思っています。「まぜこぜ一座」を立ち上げたときに、マイノリティの表現者たちのすごいスキルを目の当たりにしました。彼らの才能と努力は素晴らしい、けれども発揮する場が限られている。その才能を広く披露するチャンスがあらかじめ絶たれているという現実があります。最近気づいたことなんですが、私には、マイノリティの表現者たちに対する「後ろめたさ」もあるのだと思います。私は劇団出身でもないし、偉大な師匠について修行したわけでもない。そういうベースがなくても、芸能界で仕事をさせてもらってきたんですよね。もちろん、努力はしてきましたけどね。一方でマイノリティの表現者には、プロダクションもなく、活躍できるチャンスがまずない。私にはそれがあったんです、障害がないから。フラットにみんなにチャンスがある方が、私自身も気持ちよく仕事ができると思っています。ドラマや映画で当たり前のように共演したいんですよ。「まぜこぜ一座」のように、私が脚本を書いて演出するステージではなくて、オファーをいただいてドラマに出てみたら、私の上司がマメ山田さんで、部下が後藤ひとみさんで、同僚にかんばらけんたさんがいる、なんていう設定。すごく面白いと思う。海外では実際にそういう風にキャスティングされた映画やドラマがあって、いろいろな人たちが出演しています。海外のドラマを見ていると、普通にLGBTQの設定の役柄がある。主役ではなくて、障害やマイノリティを「克服する」といったテーマでもなくて。社員の一人だったり、近所の住人だったり、学校の生徒の一人とか、そういう方がいる日常が表現されているんです。それこそが多様性ですよね。日本でもそういうドラマや映画が増えたら、見る側の意識もかなり変わるはず。家族や友達、同僚の間でも、「そういえば、うちの学校・会社にはこういう人がいないよね、なんでだろう」とか、そういう話題が出てほしいと願っています。――当たり前だと思っていることについて、見直してみるといいんですよね。東:そうですね。見える人が見えない役を、聞こえる人が聞こえない役を演じるのもいいけれど、実際に聞こえない俳優もいるし、見えないタレントもいるので、チャンスはあった方がいいですよね。社内研修は、社会貢献じゃなくて社内貢献だった!Upload By 発達ナビ編集部――これから2022年度、やっていこうと思っていることは?東:やりたいことは、やっぱり解散ですよ、本当に。解散して、「まぜこぜ一座」も寄付による運営ではなく、ビジネスとして進めていけたら最高ですね。それから、今年はGet ㏌ touchとつながってくださっている企業さんでの、「まぜこぜの社会」についての社内研修に力を入れたいです。オンラインで研修ができるので、私とGet ㏌ touchのメンバーから、LGBTQの専門の人、自閉スペクトラム症に詳しい人などのチームで研修プログラムを展開します。実際に研修を行った企業さんからは、「社会貢献だと思っていたら、社内貢献だった」と言われるんです。家族に障害者がいる人が、実はこんなに社内にいたんだと気づかれたそうなんです。それまではあえてオープンにしていなかったんですね。うちの子は耳が聞こえないとか、発達障害のある子どもを育てているとか、親戚にダウン症のある子どもがいるんだということを。それが、社内研修をしてみると、多くの社員がそういう話をし始める。人事や取締役の方たちはびっくりしています。――そうしたことを言えないと、周りに遠慮したり、休みたくても休めなかったり、無理がたたって会社を辞めてしまうことだってありますよね。東:そうなんですよね。研修のディスカッションでそういう話がシェアできたら、その後は言いやすくなることもあります。だから社内貢献。そういう意味でも、発達ナビのユーザーさん、保護者のみなさんは、ものすごく頑張っていますよね。頑張り過ぎていない?ということが気になっています。グチを言ったり弱音を吐いたり、そういうことを発信できる場はあるので、そこでのびのびと心身を開放して、リフレッシュしてほしいと思います。――サードプレイスは大事です。肩書きとか立場とか関係なく弱音を吐けるところは必要です。そういう意味では、エンタメとしての劇場に、「まぜこぜ一座」の舞台がサードプレイスになりうるんじゃないかと。東:なると思います。劇場にはなかなか来られない方たちも多いので、ライブ配信したり、編集した映像をYouTubeで気軽に見られるようにしたりもしています。『月夜のからくりハウス渋谷の巻』4月2日には、#世界自閉症啓発デー#ブルーコーデをつけて発信をUpload By 発達ナビ編集部――今年の4月2日、ウォームブルー・デー(Warm Blue Day)も、みんなで楽しんで発信していきたいですね!東:そうですね。まずは、4月2日は国連が定めた世界自閉症啓発デーであると知ってもらうことが大事なので、青いものを見つけてハッシュタグをつけてSNSなどで発信していきましょう。Get in touchからは、#ブルーコーデ#世界自閉症啓発デー#WB_2022をつけて、青い服を着たり、青いアイテムを身につけたりした写真を、ぜひ投稿してほしいという提案をしています。――発達ナビ編集部でも盛り上げていきますね!文/関川香織撮影/鈴木江実子俳優。一般社団法人Get in touch 代表。広島県出身。会社員生活を経て芸能界へ。ドラマから情報番組のコメンテーター、司会、講演、出版など幅広く活躍。プライベートでは骨髄バンクやドイツ平和村、障がい者アート等のボランティアを30年間続けている。2012年10月、アートや音楽、映像、舞台等を通じて、誰も排除しない、誰もが自分らしく生きられる“まぜこぜの社会”を目指す、一般社団法人「Get in touch」を設立し、代表として活動中。自身が企画・インタビュー・プロデュースの記録映画「私はワタシ~over the rainbow~」が順次上映。『東京2020 NIPPONフェスティバル』のひとつとして世界に配信されている「MAZEKOZEアイランドツアー」の総合構成・演出・総指揮を担当。「私はワタシ~over the rainbow~」「MAZEKOZEアイランドツアー」
2022年03月20日癇癪がない?Upload By まる昨年末に自閉スペクトラム症の診断を受けた息子リュウ(3歳)。今までひどい癇癪やパニックがない、おっとり鈍感タイプだ。友人たちにも「リュウちゃんは本当におっとりしてて優しいよね~」とよく言われる。叱っても泣くのを我慢することがあったり、泣いていてもそんなに長時間泣くことはなく親の私でも驚くほど切り替えが早い。人見知りや場所見知りで困ったこともほとんどない。こう言うとすごい楽な子じゃん!と誤解されがちだがそれなりに心配がある。癇癪などで、嫌な気持ちを今の小さいうちに表現したりすることで気持ちの切り替えや伝え方などを学んでいくと聞く。「小さいうちに体験して学んでおかないと、大人になって力が強くなってから思い通りにいかなくて暴れたりするとママの力じゃ抑えられないから今癇癪がある方がいいんだよ」と言われたことがある。息子はすでによく食べるお陰で年齢よりも大きく成長している、親戚中から将来はお相撲さんかな〜⁇と言われるくらい。これで将来手がつけられない癇癪などされたらたまったもんじゃない。息子が診断される前の私の中の自閉スペクトラム症のイメージが「癇癪、こだわりが強い、多動」などがあった。2歳ごろのリュウは癇癪とこだわりがあまりないが多動ではあった。静かに移動するので外で本当にすぐ見失う。私が買い物の棚を見ているほんの一瞬でいなくなるのだ。忍者か。それは保育園でも同じようで公園などでもそろ~っといなくなるらしい。迎えに行ったときに先生から「静かな多動」といわれて笑ってしまった。息子はおっとりタイプの性格…そうなると保育園ではUpload By まる発達障害かもと言われてから初めて支援センターで心理士さんと面談した際、「この子はおとなしいしぼーっとしているタイプの子なので、大人数の保育園などに入れると放置されやすくなるかもしれない。自ら学びを吸収しようと動くタイプでもない、そうなるとこれまで以上に発達が遅くなる危険があるのでちゃんと大人が一緒に関わるようにした方がいい」と言われた。現在通っている保育園は少人数制で先生の人数も多くよく見てもらえ、息子にとても合っていた。母子家庭ということもあり先生方にもすごく気にしてもらっていたので感謝しかない。2歳児までの保育園なので残念ながら3月で卒業だが、来年度からは、新しい保育園に転園するが、そこでは加配保育士(※)をつけていただけることが決まっている。※加配保育士とは:障害の診断を受けた子どもを対象に配置される保育士で、子ども2人につき1人を基準として配置されることが一般的。ついにきたイヤイヤ期(3歳前後)Upload By まるおとなしいと思っていた息子だが、徐々に3歳ごろからイヤイヤで大騒ぎするようになった。バナナを食べると言うのでむいてあげ、黒ずみを見つけたのでそこだけ取ると欠けたバナナが気に入らなくて泣いて投げつけてきたり、パンを食べるときに半分にして渡すと半分にしたことに怒って泣きじゃくったり。お散歩中駅に電車を見にいきたいと道路でひっくりかえって大泣きしたり、スーパーであっちこっち行く息子と買い物ができなくて手をがっちり捕まえると離せと大泣きして転がったり…私も思ったように動けず買いたいものも買えなく、泣きながら帰宅することも多々あった。療育でのイヤイヤもUpload By まる1番大変だったのは2歳9ヶ月ごろ療育に通い出したとき。最初は週1回通っていた(現在週2回)ので慣れるのに時間がかかったせいもあるかもしれない。行くたびにリトミックに参加したくない、教室から出たいと怒って大泣き、なにも参加できず「この療育に通って何の意味があるんだろう」と毎週ぐったりしていた。何ヶ月か過ぎたとき、不機嫌に泣いている息子を見てため息をついていると先生に「癇癪とまではいかないけど、ちゃんと自分の嫌なことは嫌って表現できているから大丈夫よ。それに前より『聞く』ことができていますね。これをお片づけしたらそっちのおもちゃ出そうね、とか聞き分けて自分で納得して動くこともできるようになってきているから!」と言ってもらえて安心したことを覚えている。もうすぐ4歳の息子、最近は…Upload By まるリュウはもうすぐ4歳になる。スーパーや道端で寝っ転がって泣くことやスーパーであっちこっち行くことも、1年ほどの間で少なくなってきた(日によってはある)。お陰で私が泣きながら買い物から帰宅することもなくなったし、療育でもすべてではないが多少参加できるようになってきた。先日療育で絵本の読み聞かせ中に座って居られなくて笑いながら逃げ回っている息子にちょっとイライラしていると先生が「でもさ!リュウちゃん変わったよ!最初のころ思い出してみて!ずっとドアのところで泣いてたんだよ!?」と言われてハッとした。一つできるようになるとできなかったことを忘れてしまう。この記事を書くまでイヤイヤで外で泣いて転がっていたことも忘れていて、うちの子大変なときあったっけ…?と考えていたほどだ。今も大変なことは多いが、少し前を思い出すと成長しているなぁと思える。執筆/まる(監修:井上先生より)癇癪が強いか弱いかというのは、周囲の受け止め方の違いもあったりするので、大きな癇癪がないことに対して過度に気にされる必要はないかと思います。リュウくんはその理由が比較的はっきりしていますね。そのような場合大人も原因が推測できるので、癇癪の代わりになる周囲に伝わる言葉や行動を教えていくチャンスにしていくこともできると思います。ただ、大人の要求水準が高すぎるとバトルになってしまうので、まるさんのように事前に予告をしたり、100%できなくても25%で良しという行動にしたり(25%ルール)、できている部分ややろうとしている部分に注目してそこを少しずつ増やしていけるようにすると良いと思います。まるさんの努力によって、リュウくんも少しずつ自分の感情をコントロールしたり、コミュニケーションに置き換えたりすることができてきたのだと思います。
2022年03月19日癇癪は減ってきているけど現在8歳のむっくんは小さいころと比べると、明らかに癇癪は減ってきていますがゼロではありません。最近特に癇癪を起こしやすいシーンが、弟のテレビゲーム視聴中です。むっくんは弟のプレイを見ているうちにゲームの世界にのめりこんでいってしまうようで、弟に対してつい口を出してしまう、思うようなプレイでないときはコントローラーを取り上げて自分でやろうとしてしまう。当然、弟は応戦してケンカになるため、私が介入するとそれが引き金となって癇癪を起こすというコースです。Upload By ウチノコ自分の行いをどう思っているの?毎日ではありませんが週に何度か繰り返されるこのパターンに困っていました。とにかく環境改善だと、弟のゲームを目にしないようむっくんに別の部屋に行っておいてもらう工夫をしつつ、むっくんとも話し合いを重ねました。むっくんは、弟のゲームが見たいなら黙って見ればいいと分かっているけれど、自分が大好きなキャラクターが負けてしまうことが耐えられない。自分がやれば負けないのにと、思わず弟からコントローラーを奪ってしまう。そんな自分の行いが好ましくないことは分かっていて、頑張って我慢しようとしているけどできなくて。そんなときにお母さんに怒られるとワケが分からなくなると話してくれました。Upload By ウチノコ私の対応を変えてみるこの件で私は、むっくんが弟に口や手を出すタイミングで介入していました。だけどむっくんの話では、介入より前は本人なりに必死で努力していることになります。だとしたら介入のタイミングが遅すぎるのかもしれないと考え、弟がゲームを始めたタイミングでむっくんのそばについてみることにしました。すると、むっくんは弟のプレイを見ながら手を出さず、口も出さず、じっと耐えています。こぶしをぎゅっと握りしめて、口を一生懸命つぐんでいます。Upload By ウチノコ弟のゲーム時間は30分間。しばらく耐えていたむっくんですが、少しずつ興奮して口を出すシーンがちらほらと現れはじめました。どうしようかな…と考えて、私は黙って背中をさすってみることにしました。すると少し興奮が落ち着いたのか、また我慢をはじめたのです。そんなふうにむっくんが興奮してきたら背中をさすることを繰り返すと、その日むっくんは最後まで弟とケンカをせず、癇癪も起こさず過ごすことができました。ひとりでがんばらせないこの日の体験で私は、ずっと彼なりに必死で頑張っていたんだなぁということを肌で感じました。私は今まで、むっくんが弟に口や手を出したことにだけに注目して介入していました。だけど、むっくんなりに努力をしていた時間もある。それなのに、頑張り続けられなかったことにだけに注目されて叱責されてしまうなら、癇癪だって起こしたくなるよな…と私はこれまでの対応を反省しました。以前「ひとりでがんばらせないで」という言葉を発達障害の本で読んだことがあります。ひとりでがんばらせないってどういうことなんだろう?と思っていたのですが、叱責ではなく努力を認め、そっと背中をさすること。これが「ひとりでがんばらせない」ということなのだなと理解することができました。Upload By ウチノコ見えない努力に注目する癇癪は目立つため、つい注目しがちですが限界を超えるまで頑張っていたから癇癪が起こることもあります。この場合結果としての癇癪ではなく、そこに至る過程や心の変化、特に【努力】への注目が大切なのだと私は感じました。癇癪前にある本人の頑張りに気づき、認めてもらえるのなら、癇癪を起こす必要なんてなくなるのかもしれません。私にとってむっくんの癇癪は「問題行動」などではなく「気づかないといけない何かに気づけていないよ!」という私へのサインだということを忘れず、これからもむっくんと向き合っていこうと思います。執筆/ウチノコ(監修:初川先生より)素敵な気づきのシェアをありがとうございます。癇癪でお困りの保護者の方は多くいらっしゃると思いますが、どう収めるか、というだけではなく、まずはむっくんと話し合いをし、そして癇癪のはじまりから見てみるようにしたのですね。むっくんの発達度合いや年齢にもよりますが、癇癪時の自分の心の動きを言葉にしているのは素晴らしいですね。むっくんの思いのように、癇癪は、その前の事象でイライラが募っていることに加え、それを収めようと関わる大人の言動でますます混乱してしまうことが多々あります(そこに気づけているむっくんは本当に立派!)。すでにイライラが限界に達しているお子さんに、いかに火に油を注がずに対応するか、そこを考えるには、イライラが限界に達する前の関わりが大切です。そういう意味では、弟くんがゲームを始めるときからむっくんの様子を見てみた、というのは重要な情報を得るためにとても重要なポイントでしたね。弟くんのプレイを見ているときの頑張って我慢している姿に気づき、そして思わず背中をさすってみた。その親子での協働的な関わりによって、むっくんにとってはお母さんが見ていてくれる中で、我慢を応援してくれている中で、安心して我慢できつつあったのでしょう。弟くんのプレイを見る時間がこれまではただただイライラして、結果お母さんにも怒られる残念な時間になっていましたが、3人で楽しく過ごすためにどうしたらよいかを母子で頑張る時間に変わりましたね。ときには我慢が効かず、癇癪を起こすこともあるでしょうが、それでも上手に我慢できたときは、「よく我慢できたね、頑張ったね」と褒められる機会に変化しています(繰り返しますが、これまでは怒られる機会だったのに!)。そうして、安心できる中で、イライラを爆発させずに我慢する時間を保つという行動を身につけてゆきます。癇癪は困ったものではありますが、大人が癇癪は困ったもの、迷惑だとだけ思ってしまうと、子どもへのまなざしがきつくなってしまいます。癇癪を起こしたくて起こしている子はいないと思います。まずは癇癪の前に注目して関わってみる、ということ。とても参考になるエピソードでした。
2022年03月18日悩んでいる方も多い「癇癪」特集第二弾!発達ナビユーザーの中でも「読みたい!」との声が多い「癇癪」。そんな癇癪についてのエピソードを今回も連載ライター陣に描き下ろしていただきました。「あるある!」と共感できる癇癪エピソードや、すぐに実践できそうな癇癪への対応方法、マンガで学ぶ・専門家解説の癇癪についての原因や背景など、内容も盛りだくさんです!初めての習い事。先生は「大丈夫」と言っていたけれど…?4歳、発達グレーゾーンのとまちゃん。習い事に通わせたいけれどまだまだ癇癪が多く、不安だった母親のとまぱんさんでしたが、体操教室での体験で先生の「大丈夫!」の言葉を聞いて通う決意をします。先生の「大丈夫」の言葉に安心していましたが、参観日で目の当たりにしたとまちゃんの姿は…?!あの手この手を駆使して見つけたクールダウンアイテム9選!ADHDと自閉スペクトラム症の診断がある小学2年生、むっくん。小さなころから母親のウチノコさんはむっくんの癇癪で悩んできましたが…さまざまな経験を重ねるうちに見つけた、癇癪が起こるイメージとクールダウン方法は必見です!癇癪を起こしていたころとターニングポイントを親子で振り返る小学5年生のときに「もしかして、自分の表現って人より激しいのかな…?」と気づいたコウくん。そこからグッと癇癪も落ち着いてきました。そんな過去をコウくんと母親の丸山さとこさんが分析をしながら振り返ります!「みんなと同じ経験をしてほしい」だけなのに…行事で癇癪を起こしてしまう息子を見て遠足、運動会、発表会など子どもにとっては楽しみなイベントでも嫌がる子どもももちろんいます。立石美津子さんの、自閉スペクトラム症のある息子さんもその一人でした。今は21歳になった息子さん。立石さんは写真を見返しながら、当時の心境を思い出します。相手が謝っていても「絶対に許さない!!」という息子。担任の先生にも心配されてASDのある小学2年生ミミくんの小学校での個別面談で、担任の先生から「対人関係の形成に支障がでるかもしれない」と言われる母のtaekoさん。学校での様子では、ほかにも気になるところがあって…。まるで地雷のような息子の癇癪!何が原因なの?自閉スペクトラム症のあるPくんの癇癪がいつ、どんなときに起こるのか分からずにいつも注意を払いビクビクしていた母のみんさん。「仕方ない」と思っていたけれど一体これっていつまで続くの?と悩んでいましたが、Pくんが5歳を過ぎたあたりからその状況にも変化も見えてきて…。子ども癇癪が心配で、外出できない!広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)のある、あーさん。小さいころからよく癇癪を起こしていました。SAKURAさんは、癇癪が起きたときの対応で消耗する体力・気力のことを考えただけで、ため息が出るほど。「癇癪をなくす方法」があるのではないかと思い、当時通っていた発達支援センターで聞いてみると…!癇癪について、マンガで専門家が解説!癇癪(かんしゃく)とは、声を荒げて泣いたり、激しく奇声を発したりするなどの興奮を伴う混乱状態を指します。そんな癇癪ですが、何故起きてしまうのか?原因や癇癪が起きてしまうまでの背景などを解説します。たびたび癇癪が起こるからといって発達障害があるというわけではありません。ですが、発達障害のある子どもに強く見られる傾向が癇癪が起こるきっかけと絡んでいる場合があります。このコラムでは発達障害のある子どもによくみられる4つの傾向を紹介します。いったん始まってしまうと、癇癪を鎮めるのは難しいので、普段の生活から子どもに十分配慮をし、癇癪が起きないように回避することが重要です。癇癪が起きないように気をつけたいこと、実際起きたときのクールダウン方法などを紹介します。まとめ癇癪の原因、対応方法などはお子さん一人ひとりで違います。そして、癇癪が起きないようにどんなに気をつけていても不慮の癇癪が起こることもあります。もし、つらい、どうしたらいいか分からないなどあれば、お近くの相談機関などに相談し、一人で抱え込まずに周りの人に頼ることも大切です。
2022年03月17日わが子の癇癪のスイッチが分からなくて悩む母自閉スペクトラム症のある息子P。こちらが良かれと思ってしたことに対して怒ってしまったり、何の前ぶれもなくパニックになったりすることもあり、私は自分が1番近くで見ている親なのにPの気持ちも、接し方も分かってあげられなくてずっと戸惑っていました。思えばPが2〜3歳のころが1番大変な時期だったような気がします。なだめようにも言葉を理解できないのでこちらの言うことも伝わらない。そしてPは言葉を発せないのでこちらも癇癪の原因を想像しかできず本当の気持ちや理由までは理解してあげることもできない。だから癇癪が起きたときはただただ途方に暮れることの方が多かったように思います。Upload By みんそしてPが原因の分からない癇癪やパニックを起こす度に、私は心の中で「大丈夫!大丈夫!時間が解決してくれる!そのうちおさまる!」と思ってひたすら耐え続けていました。「この子は自閉スペクトラム症があるから仕方ない」「この子は知的障害があるから仕方ない」と自分自身に言い聞かせ、納得させながら癇癪の対応をしていたのですが何十分、何時間とも続くか分からない癇癪にどうすることもできない日々が続き、「仕方ないとしてもこれはいつまで続くんだろう?このまま大きくなったらどうなってしまうのだろう?今でも大変なのにもっと大変になるのかな?」と未来を漠然と考えては不安になっていました。Upload By みん癇癪が起きないように常に注意していた私はありとあらゆる癇癪の原因を避け、排除し、癇癪が起きないように先回りするようになりました。そして癇癪が起きても落ち着けるようにと、Pのお気に入りのおやつやおもちゃなどクールダウンできそうな物を、出かけるときは常に持ち歩いていました。そうやっていつ爆発するかも分からない爆弾のようなわが子との日々を過ごしてきました。Upload By みんそんなPが少し落ち着いてきたかな?と思えたのは、5歳を過ぎたあたりです。まだ言葉は上手く出ませんが、ジェスチャーや、絵カードなどで少しずつ自分の要求を、人に伝えられるようになってきたことと、療育でも繰り返しお終いや切り替えの練習を積み重ねてきたので、自分の要求が通らない状況に納得できることも、切り替えられることも増えてきました。また、集団の中で過ごすことにより、家とは違って自分のペースばかりでは動けない経験や、我慢する経験なども増え、本人の中でもいろいろと変化があったのかもしれません。家で母子だけで過ごしていた日々に比べると、圧倒的に指示が通りやすくなり、簡単な意思疎通もできるようになってきたので、お互いに「相手の考えや思いを理解できやすくなった」ということが、癇癪が減ってきた理由の一つではあると思います。Upload By みん癇癪を少しでも減らすために私たち親子に必要だったことは?ずっと癇癪のスイッチが分からなくて、Pの気持ちを分かってあげられなくて悩んでいた私でしたが、それはきっとPの方も同じで、自分の願いや気持ちを伝えたくても伝わらないもどかしさや、伝える方法が分からないつらさの中で、今まではそれらを「癇癪という形でしか表現できなかった」のだと思います。まだまだ全てを分かってあげられないときもありますが、そういう場面になったとしても癇癪以外の方法に置き換えらえるように模索している途中です。自分の気持ちが伝わり、相手に理解してもらえるというのは、一方的ではなくお互いに必要です。たとえ言葉で表現するのが難しくても、さまざまな伝達方法を探し、それを習得しながら、お互いに意思疎通ができるようになるということが、癇癪やパニックを減らせる第一歩になるのかもしれないと思っています。Upload By みん執筆/みん(監修:井上先生より)自閉スペクトラム症のある子どもの子育ての悩みで一番多いのは癇癪などの行動的な問題です。子ども自身が言葉で表現できない場合、また感覚過敏やこだわりがある場合はその理由が分からず親御さんも困惑される場合が多いと思います。直接的な原因が発見しにくい場合も、一人でいるときに起こりやすい/起こりにくい、外出したときに起こりやすい/起こりにくい、など大まかに予測するようにすると、みんさんがされていたように事前の心構えや準備ができると思います。特に小さいころの癇癪については、完璧に予測したり、コントロールしたりすることは難しいと思います。またこのことで親自身が不安になったり苦しくなることもあると思います。そのようなときには、身近な人や相談機関にお話をするのも良いと思います。
2022年03月17日ADHD息子、注意欠如の項目は「重度」Upload By かなしろにゃんこ。※以前は「注意欠陥」という診断名でしたが、2013年に刊行された「DSM-5」で「注意欠如」に変更されましたわが家のADHDで広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)がある息子リュウ太は発達障害の診断では注意欠如の項目が「重度」という診断でした。忘れ物、なくし物は数知れず…うっかり忘れるのは、特性であると受け入れ、家族がフォローするしかないと決意したのはいうまでもありません。学童期では学校に持っていく物は玄関のドアノブにぶら下げておきました。それに加えて、週の始まりの月曜日は上履きや体操服など、持ち物が多いので玄関を出るときに一声かけることが通例でした。Upload By かなしろにゃんこ。家庭内では口頭で伝えても息子が忘れてしまいそうなことは、息子の目線がいく場所に蛍光色などの大き目の付箋に短い文を書いてメモを貼るなどの対応をしていました。(「便座のフタしめる」や「リモコン戻す」など)しかし、メモを見ても息子は忘れてしまったり、気をつけられないこともあります。成人した息子に当時を振り返って、メモについて感じていたことを聞いてみたら、こんなことがあるそうです。・メモを見て「あぁそうだった!注意しなきゃ」と思っても次の瞬間忘れちゃう・再びメモを見れば思い出すけれど、メモを見ても考えごとをしていたらスルーしちゃう・メモを見せてもらいながら、声かけも同時にしてくれないと何を伝えているのか分かりにくいなど。中高生になると、物の管理を自分で行うことが多くなります。なかなか家族が全部フォローはできない上に、忘れ物をしてしまうと困った結果になることが多いため、自分でもメモするクセをつけて工夫するように息子に促していましたが、面倒くさがりの息子はなかなか自分からメモを取るなどの対策はしませんでした。Upload By かなしろにゃんこ。Upload By かなしろにゃんこ。息子のスケジュール管理も母が担当⁉息子はメモをしても忘れ物、なくし物は減らないからムダと思っていたそうです。スマホのスケジュール機能やアラームを使うと便利だということも、分かってはいてもセットすることを忘れる息子。結局息子のスケジュールは私が管理していました。「オレ自分で管理できないから助けて、オレが予定を言うからお母さんがメモしておいて」と学校の予定、アルバイトのシフトなど、まるっきり母の私を頼ってくるのです。Upload By かなしろにゃんこ。Upload By かなしろにゃんこ。私だって自分のいろいろな仕事の管理が大変だというのに、息子はこんなんで社会に出たときに大丈夫なのかしら?と心配になりました。このような感じで18歳くらいまでは親を頼っていた息子。そんな息子も徐々に自分で管理するようになっていき、カレンダーやメモ機能に予定や大事なことを入れたりできるようになりました。20歳で就職すると、本格的に自分のことは自分で行うようになりました。たまに「忘れたらまずいからお母さん覚えておいて!」と頼まれることがありましたが、忘れずに親にSOSを出せた、それまで覚えていたことだけでもよしとしよう!なんて思いました。そして、現在は短期記憶が苦手な息子は、そのあと車の整備士として働き、今年建設関係の物品管理の仕事に転職。地上100m近い高所で働いています。大型建設工事の現場監督さんから発注された物を準備して管理する仕事です。そのためメモを取ることが必須となったようです。作業中の人に2度3度と聞き直すことができないため、全てメモを取ることにしたんだとか。監督さんに「メモしないでも覚えられるだろう」と言われるようなのですが、「いえ、僕は忘れやすいのでメモ取らせてください!」と毎回言っているそうです。「今は仕事を覚えたてだからデスクの周りはメモでいっぱいになってるよ」と教えてくれました。心配しなくても仕事ではきちんとやれるようになったみたいです。母は安心しました。執筆/かなしろにゃんこ。(監修:三木先生より)思春期から大人にかけて、注意力を司る前頭葉が発達します。また、大人になるといよいよ「抜け漏れがあると本格的にまずい」ことが増えてきます。このような生物学的な変化と意識の変化によって、自分でできることが増えていったのでしょうね。でもそのための方法論が小さいころから家庭で馴染んできた方法だからこそ、スムーズに自分のものにできたのかもしれません。今すぐに効果がなくてもサポートしてあげることの大切さが分かるエピソードです。
2022年03月15日なんで漢字の宿題には、「漢字書き取り」しか選択肢がないの…?こんにちは。『発達障害&グレーゾーン子育てから生まれた楽々かあさんの伝わる! 声かけ変換』ほか、著者・楽々かあさんこと、大場美鈴です。今回のコラムは「漢字書き取り」の宿題のこと。率直に言えば、うちの長男と次男は「漢字書き取り」の宿題が大キライ。書字にやや困難さのあった長男に至っては、小学生時代の宿題体験から、トラウマになっていると言っていいほど、今でも苦手意識が頭の奥底に染み込んでしまっています。かつては漢字を書くことも、覚えることも、思い出すことも苦手だった長男ですが、さまざまな親子での試行錯誤の甲斐あって、高校生になった今ではノートに黒板の板書を写したり、テストの回答をするときに差し支えない程度には、書字ができるようになりました。漢字の小テストも、ほぼ追試を回避できています。つまり、もう彼は漢字を書くことができるし、最近は読書も好きなので、国語も嫌いな教科ではありません。ところが、「漢字書き取り」の宿題となると、話は別です。ただひたすらに、小さなマス目に同じ字を繰り返し、繰り返し書く……この作業に大変なストレスを感じてしまい、今でも「漢字書き取り」の宿題が出た翌日の長男の部屋はいつもひどい惨状に。なぐり書きでなんとか終わらせた彼は「こんな方法では俺は漢字、覚えらんない。無意味で時間の無駄なばかりか、書けば書くほど文字が分解されて、頭がバラバラになっていく感じがするから、かえって逆効果!」と訴えます。次男も、小学生時代は、字を丁寧に書き過ぎるあまりに、宿題に時間がかかり過ぎて寝不足に。見かねた私は「もっとテキトーに書いていいんじゃない?」と提案しましたが、「訂正されたり、やり直しになるのが嫌だ」と、泣きながら漢字を書き続けていました。ただ、私は「漢字書き取り」の方法自体を批判したいわけではありません。この由緒正しい、伝統的な学習方法が「合っている子」「苦にならない子」もいるからです。長女は、比較的この単調な繰り返し作業が苦にならないタイプで、体の動きで覚えることが得意なので、繰り返しの手の動きで漢字を「書いて覚える」ことも、割とできます。ですから問題は、「漢字を覚える」ための方法が、どんな子にも一律に「漢字書き取り」一択しか、選択肢がないように思われがちな、現在の宿題の環境にあるのではないでしょうか。なぜなら、「ものを記憶する」「覚えたことを思い出す」ために、その子に合った学び方や得意な学習方法は、それぞれの子で違うのにも関わらず、自分に合わない方法を宿題として強制されると非効率的で負担感が大きく、「漢字」や「宿題」、ひいては「勉強」に対しても、ネガティブなイメージができてしまうように私には思えるからです。では、漢字を覚えるために、「ひたすら書く」以外の選択肢には、一体どんな方法が考えられるのでしょう。実例!うちで試した、"ひたすら書く"以外の漢字の覚え方うちでは、以下の実例のような方法をトライ&エラーの試行錯誤で、「ひたすら書く」では漢字を覚えられなかった子も、次第に覚えていきました。中には、うちの子たちはさほど続かなかったものや、「楽しくできたけど、学習効果は微妙……」といったものもありますが、どんな方法がその子に合っているかは、試してみないとわからないので、ご参考までに、うちで実践した10のアイデアをご紹介しますね。(ただし、これらの試みのほとんどは、通常の「漢字書き取りの宿題」とは別枠で取り組んできたので、宿題自体の負担が減ったわけではありません)Upload By 楽々かあさん「手で触って確かめる」「立体的に物事を捉える」ことが得意な子や、図画工作が好きな子には、実際に手を動かして漢字で立体造形物等を作る、アートな方法が向いているかもしれません。例えば……・モールや粘土、毛糸などで漢字を作ってみる・ミニブロック、積み木などの好きなおもちゃを並べて、漢字の形にする……などで、楽しく手を動かしながら、触覚をフル稼働すると、覚えやすいのではないでしょうか。パズルが好きな子や、論理的に考えるのが得意な子は、パズル的なアプローチがいいかもしれません。うちでやってみたのは……・市販の漢字パズル(カード式のもの)や、学習・脳トレアプリなどの活用・市販のワークの活用(LDのある子向け、中学受験生向けのほか、高齢者向けの漢字パズルやクロスワード雑誌も安価でオススメ)……などが、食いつきが良かったです。「人の話をよく覚えている」など、聴覚で記憶することが得意な子は、歌って覚える方法が合っているかもしれません。例えば、「♪歌という字は、可、可に欠ける〜」「♪窓という字は、ウカンムリにハムごころ〜」とか、その子が覚えやすいフレーズをテキトーに考えて、漢字と一緒に唱えながら書くと、記憶に残りやすいと思います(この方法は、宿題と同時にできますね)。Upload By 楽々かあさん「どこかで見たものや場所をよく覚えている」なんて、視覚的な雑情報の記憶力がいい子は、日常生活の中のあちこちで、漢字を見慣れるようにしておくと、場所とつなげて思い出しやすいかもしれません。うちでは……・日用品などに、ものの名前を書いたラベルシールを貼る・市販の漢字ポスターの活用……などのほか、長男の中学受験期には、短冊状にした大量の語句の「おふだ」を本人が作り、家中のあちこちに貼りまくって「覚えたら取ってよし」にしていました(なにやら呪術的な雰囲気になっていましたが……)。やや気の長い方法ではありますが、こうしていると、「そーいえば、この漢字は階段のところで見たような……」と、思い出せるかも。「分かってるのに、いざ書こうとすると字が出てこない!」なんて子は、思い出す手がかりとなる、ちょっとしたヒントを出してあげるといいでしょう。例えばうちでは、社会の宿題で「黒シオの"シオ"が出てこない〜!」なんてときには、「水に関係しているから、サンズイがつくんじゃない?」など、口頭でヒントをだしたり、メモ帳やノートの端などに、部首などのパーツを書いたり、一画ずつ足していく、などをしていました。この方法は、周りの大人のサポートが必要になりますが、子どもの「あー!分かった!!あれだ!」って、ムズムズした記憶がつながった瞬間のスッキリ嬉しそうな顔を見ることができます(うちの経験上、1回記憶がつながると、そのあともその字を思い出せる確率がアップするように思います)。漢字テストを見ると「"博"の点が1つ足りない」とか「"美"の横線が1本多い」とか、細かなパーツの惜しい間違いが多い子は、「お手本の字をよーく見て、大きく丁寧にゆっくり書く」ことができる工夫をするといいかもしれません。・習字で半紙に筆で書く(練習用の水半紙や、筆ペンを使うのも手軽)・ホワイトボードや窓、冷蔵庫などにホワイトボード・マーカーで書く・スケッチブックやタブレットのお絵かきアプリに、指やペンで書く……など。繰り返し同じ字を大量に書かずとも、1回だけ超丁寧に大きく書けば、効率よく覚えられる場合も、結構あるんですよ。体を動かすことが好きな子は、体全体を使ったり、踊って書く方法も楽しいですよ。うちでは親子で、お笑い芸人さんのように「”命”という字は〜」と人文字を作ってみたり、宴会芸のようにしり文字で「♪"遊ぶ"という字は、こーして、こーして、こーかくの〜」と一緒に踊ったり、「なーんて書いた?」と当てっこクイズを出したりしてみました。ただし、子どもたちはとっても楽しくできたのですが、うちでは、この方法で漢字を覚えられたことは、今のところありません(笑)。まあ、漢字学習=ツマラナイ、というイメージは変えられたかも……?Upload By 楽々かあさん国語だけでなく、「得意なはずの教科でも漢字用語の書き間違いで、テストの点につながらない」なんて、少々ソンしてる子は、ふせんなどをメモリーチェックに活用すると効率アップできるかも。例えばうちでは……・覚えたい語句や用語を書き出した一覧や、教科書やプリントの太字の大事な部分などにふせんを貼る→テスト前などに「その字が書けるかどうか」を一回だけ書いてチェックし、正確に書けたものだけふせんを取る→次の日に、残ったふせんの部分だけ、もう一度書いてチェック……これを繰り返すと、いつかは書けるようになったので、長男も中学以降の定期テストを乗り切ってきました。文章を書いたり、ストーリーを考えるのが好きな子は、自分で覚えたい漢字をいくつか使った例文を考えてノートに書き、ひとつのエピソードとして複数の漢字をつなげてイメージすると、効率よくまとめて覚えやすいかもしれません(この方法は、現在の長男のイチオシです)。特に、一見無関係な漢字同士を無理やりつなげたヘンテコな文にしたり、ダジャレや語呂合わせを入れたり、自分の好きなものに関連づけたりすると、印象に残りやすいと思います。そして、その子の好きなことや、興味関心に合わせると、漢字学習だってずーっと覚えやすく、楽しくできることもあります。例えば、歴史好きの長男は、戦国武将や旧国名から、だんだんと書ける漢字が増えていきました。マンガ好きの次男には、必殺技名や好きなキャラのセリフを使った「特製漢字ノート」を作ったら、意欲的に取り組むことができました。お絵かきが好きな長女は、自ら漢字ノートに自分の創作キャラをラクガキして、「ここは出る」「点をつける」など、間違いやすいポイントの解説を入れると印象に残りやすい上、ノートを開くのが楽しいようです。こうして、効率よく楽しく柔軟に、その子に合った学び方で取り組めば、漢字だって、一つずつ「できた!」体験が増え、次の「できた!」や自信につながり、だんだんと、「もっと学びたい」「勉強が好き、楽しい」という意欲につながるように私は実感しています。先生。そろそろ宿題も、個別最適化のアップデートを……以上のように、うちの経験からの実例で、「漢字書き取り」以外の漢字を覚えるための方法を10コほど、ご参考までに紹介させて頂きましたが、本当は「その子にあった学び方」は、子どもの数だけ、選択肢があるのかもしれませんね。新学習指導要領の導入やICT教育の推進等で、様々な教育方法の見直しが進む中で、文部科学省も「個別最適な学び」を次世代の教育目標として掲げています。文部科学省|育成を目指す資質・能力と個別最適な学び・協働的な学び私が紹介した方法は、そのままでは「宿題」としては向かないものも多いでしょう。でも、ある学年での長女の担任の先生は、「宿題の漢字は、漢字ノート1ページを好きに使っていいですよ。自分の覚えやすい方法なら、繰り返し書いてもいいし、何マスか使って字を大きく書いてもいい。自分で例文を作ったり、絵を添えてもいいですよ」と、柔軟な方法で宿題を出してくれました。その年は長女も、語源を調べて象形文字の絵を書いたり、大好きな犬を使った例文を考えたり……と、漢字の宿題の時間を楽しみにしていたようです。何より、宿題をするときに「嫌だな、つらいな」「メンドクサイ、つまらない」といったネガティブなイメージと共に漢字を覚えるよりも、その子に合った方法で、効率よく楽しく覚えられたほうがずっと頭の中に残りやすく、いいイメージと共に思い出しやすいのではないかと思います。宿題の目的が「忍耐力を養うため」ではなく、「その漢字を書けるようになるため」であるのならば、そろそろ伝統的な「漢字の宿題」の方法も、個別最適化したアップデートをする時期に来ているのではないでしょうか。文:大場美鈴(楽々かあさん)(監修:鈴木先生より)現代の時代に合わせられない教育の盲点の問題ですね。今までの伝統を替えて新しいことを始めるのには困難なことが多いのです。病院でも同じです。しかし、誰かがやらないと進歩しないのです。とにかく理解のある自治体・学校・先生から勇気をもって改革してほしいと願って止みません。最近は漢字ドリルを問題文含めて3回写さないといけないとか言われて面倒でやる気を失うお子さんも多くみられます。神経発達症(発達障害)の特性を理解してもらって写すのは1回だけでもいいように親からお願いしてもらうこともあります。神経発達症(発達障害)のお子さんは練習(宿題)が嫌いでも本番には強いことが多くの場面でみられます。運動会・発表会・テストなどです。以下に紹介するアプリは筑波大学の院生の方がつくったものです。今回、1番の立体アート法でも示されたような色で分けた書き順がこのアプリの中でも展開しています。先生が黒板に色のついたチョークで示すかのごとく、わかりやすくつくられています。漢字が苦手なお子さんにはぜひ試していただきたいアプリです。つくば市は国際都市で外国の方も多く、漢字を覚えるのにこのアプリを利用なさっている方もおられます。いいアイデアは惜しまずに全国に広まってくれれば、漢字で悩むお子さんが一人でも多く、早くいなくなっていくのではないかと考えます。参考:漢字を書くことが苦手なお子さん向けの漢字練習アプリ「Oska Writing」大場美鈴(著),『発達障害&グレーゾーン子育てから生まれた 楽々かあさんの伝わる! 声かけ変換』あさ出版, 2020.6.27
2022年03月14日「塾に通わせてほしい」中1の秋に長男に言われ、理由を聞くと…発達に凸凹のある長男が中1秋のころのお話です。長男が通う私立中学は前期後期制。この日は前期期末試験が近づいていたこともあり、長男は試験勉強に取り組もうとしていました。浮かない顔をしていたので、静観していたのですが、しばらくすると長男が少しイライラした様子で私に「英語が全くついていけていないから、塾に通わせてほしい」と相談してきました。Upload By スガカズ英語に関しては、小学校のときから「苦手だろうな」と、心配していた教科です。実際長男は、中学校にあがってから、文法もつづりも理解していないままどんどん授業が進んでいくため、今さら恥ずかしくて先生に質問することができないようです。長男にとって英語の時間は苦痛以外の何物でもなかったようでした。これまで長男は気が進まないのに、こちらが半ば強引に勉強をさせてもあまり意味がありませんでした。そのような経験を、数えきれないほどしてきたため、こうやって長男自身が自分から「塾に通いたい」と言うのはとてもよいきっかけだと感じ、私はできる限り長男の希望に応えたいと思いました。Upload By スガカズとは言っても、長男の通う中学校は土曜日を含めて毎週6日通学しないといけません。通学にかかる時間も往復2時間かかるため、現状のタイムスケジュールに加えて塾に通うことは本人にとって負担となると感じました。そこで、私は自宅にいながら指導してもらえる家庭教師にお願いするという選択肢を長男に提案しました。長男と私だけの判断で決定することができないので、長男と私で話したあと、パパに相談をすることにしました。ですが、事情を聞いたパパに「(塾などの勉強に関する習い事は)認められない」と却下されてしまいました。パパに相談してみると、「解決する努力をしていないのに、それって費用対効果はあるの?」Upload By スガカズ理由はこうでした。・長男が家庭で予習、復習をする習慣をつけていないことが気になる・長男は分からないことに対して解決策を考えず、おざなりにしていることが気になる・そんな状況で簡単に決断はしたくないこと・そもそも長男は4人きょうだいの中で最も教育に対してお金や労力をかけられていること正論を言われてしまい長男も私も「これはOKをもらえないパターンだ…」と察しました。Upload By スガカズパパの言い分はもっともですが、私は普段子どもたちのことを見ている立場からすると、「教育に対して費用対効果を求めるのは難しいのではないか」と感じました。特に発達に凸凹のある子どもたちは、やる気があったとしてもさまざまな特性が勉強に対する困難につながることもあるため、1つの成功体験をつむためのコスト(時間、労力、お金)はある程度寛容であった方がよいと私は思っています。費用対効果を求めてしまうと、結果的に本人がいろいろなことに対して挑戦しにくくなってしまうかもしれませんし、保護者も期待しすぎてストレスの原因にもなってしまうかもしれません。また、そこから親子の関係がギクシャクしてしまうのでは…と心配になります。私は長男が自分自身で「苦手な英語を少しでも分かるようにしたい」と思ったことを応援したいと思ったので、その日は一旦諦めて、時間をかけてパパを納得させられる理由を模索しようと思いました。約2か月後、長男の弟(次男)が解決のカギにUpload By スガカズところで、長男には3歳離れた小4の弟(次男)がいます。なんと今回の悩みを解決するカギは、この次男の存在でした。次男はADHDとLD(書字障害)があるのですが、長男が勉強で悩んでいたこの時期に学校でほかの友達と言い合いになる場面が増えてきました。クールダウンのために保健室や廊下で過ごしたり、教室内で授業中に工作に没頭することが目立つようになりました。そうすると、授業に参加する機会が減ります。授業で使うノートも、プリントも真っ白です。もともと次男は勉強が苦手なので、私は「授業を受けるだけでもえらい」と思っていました。ですが、授業を受けない状態を許容した状態を続けると、次男がだんだんと「授業に参加しなくてもよい」「周りが何も言わないから勉強はしなくてもいいや」という発想になってしまうのが心配でした。その穴を埋めるためにも次男には、学校以外での勉強の場(苦手かもしれないけどある程度は勉強をしないといけない)をつくったほうがいいと感じました。ところが、私が家庭で次男の勉強を見ようとすると本人が嫌がるため、勉強の場として第三者との時間が必要であると思いました。そのようなこともあり、きっかけは異なるものの長男と次男の勉強に対する問題は両方「家庭教師にお願いする」ことで解決するのではないかと私は考えました。家庭教師は塾よりも個別のニーズに合わせやすい特徴があります。また、きょうだいがいる家庭は、1人の先生に2人同時に見てもらったり、時間を区切って別のきょうだいを見てもらうことが可能です。次男には「パパがOKだしたらの話なんだけど、家庭教師のお兄さん(その子に合った先生を選ぶことが可能)に、勉強を教えてもらうのはどうかな?ゲームとかYoutubeの話もできるかもしれないし、塾に通うよりも次男は楽しいと思うよ」と話しました。次男は「それはいいね!」と応えました。Upload By スガカズ私はそのことをパパに相談しました。また長男に関して、ここ2ヶ月私も一緒に英語の勉強のサポートに入ってみたり、本人なりに英語の復習の時間をつくったりしてみたけれど解決できず、限りある時間を有効に使うことが難しかったということや、後期の中間試験で得意な教科にも影響が出始めたことを伝えました。パパはLDのある次男に対して、「自分で解決することは難しい特性だから、学校以外で勉強の場を設けてもよいのかも知れない」と感じたらしく、長男のときのような否定はしませんでした。であれば長男の件についても、そこまで否定する必要はないし、金銭的な面でも納得できたようでした。こうして紆余曲折しましたが、当初の目的である長男の勉強環境と、さらに次男の環境もつくることができました。まさに一石二鳥といえるでしょう。子どもに合った先生のもとで学ぶことの大事さUpload By スガカズはじめのころに来ていただいた家庭教師の先生は、当時大学生でした。小4の次男は学校以外(放課後等デイサービス除く)でほかの人に勉強をみてもらう機会は少ないです。まずは環境に慣れてもらうために、「勉強をがんばったあとに、先生と30分遊べる」というルールにしました(先生に快諾していただけました)。先生のお陰で長男も次男も楽しく勉強をするきっかけを得ることができました。未就学の下のきょうだいたちも、先生が来る日をとても楽しみにしており、約1年間子どもたちと友達のように関わっていただきました。ですが、その先生は今年の4月から社会人なので、家庭教師を引退することになりました。そのため、今年の1月から代わりに新しい先生に勉強を見ていただいています。その先生は発達障害のある子の指導を長年やってきたという経験があるため、子どもの特性に合わせた関わり方がとてもうまいです。新しい先生に代わったタイミングで「30分遊べる」ルールは終わりにしたのですが、それでも長男も次男も前向きに勉強に取り組んでいます。先生は毎回2人に宿題を出すのですが、2人とも「先生との約束だから」と、宿題に取り組んでいます。長男が英語が苦手で悩んでいた当初は、パパに家庭教師をお願いすることを反対され、どうなることかと思いましたが、先生方に関わっていただいたことで長男も英語に限らず、勉強に取り組む様子に変化が見られるようになりました。少し前に、長男が「勉強は、ルールさえ理解できたらあとは楽になるんだ。でもそのルールを見つけるまでが大変なんだ」と話していました。そういった気づきは本人でないと得られないことなので、家庭教師をお願いしたことで、長男の気づきを得る手伝いをできたのかも?と少し安心しました。パパが反対していた当時に言っていた「費用対効果」は、得られているのではないか?と感じています。執筆/スガカズ(監修:井上先生)家庭教師作戦が成功してよかったですね。長男さんが言われているように「自分に合った学び方のルール」が分かっていくことがとても大切だと思います。親が教えるとどうしてもお互い感情的な部分が出てきてしまうので、お子さんの特性を理解してもらえる家庭教師という第三者の存在はとても大事ですね。また、家庭教師の先生がいないときに学習の習慣がついてきたというのは、すばらしいと思います。勉強以外に友達のことや将来の目標のことなど、気軽にしゃべれるような関係性ができることで自分のお兄さんのような感じで心の支えや目標になってくれるといいですね。
2022年03月14日癇癪を起こさないために普段から気をつけたいことUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンいったん始まってしまうと、癇癪を鎮めるのは難しいので、普段の生活から子どもに十分配慮をし、癇癪が起きないように回避することが重要です。・刺激の過敏性に対する配慮気になるものをなくす、不快な刺激を生み出すものを遠ざける、違うものに変更するなど・見通しの立てられるような言葉がけを気持ちの切り替えを行うことは子どもにとっては難しいことです。いきなり遊びを中断されたりすることは子どもにとって大変ストレスなことなので、癇癪を起こす要因の一つとなります。あらかじめ予定を視覚的に見せることで伝わりやすくしたり、感覚過敏のある場合には、苦手な環境や状況を避けるなど、癇癪の背景にある特性に合わせて、癇癪が起きにくい環境を整えることが大切です。・自分の気持ちを知ってもらう「今、自分はこんな気持ちだ」ということが周囲に知ってもらうだけでも、気持ちが楽になっていくこともあります。例えば、困ったときに口に出すべき具体的なセリフを教えてあげることで、「困ったときには人に頼ってもいいんだ」という安心感が生まれます。・余暇グッズを用意する長時間待たなければならない場合など、何もすることのない状態だと手持無沙汰によるイライラや不安などから癇癪に繋がることがあります。本人の楽しめる余暇グッズを用意することで気を紛らわし癇癪を減らすことができます。・ルールを一緒に決める言葉を理解し、話すことができるくらいの年齢の子どもに対して有効な方法です。癇癪が起きてしまったときにつぶやくと落ち着く言葉や、落ち着く場所や行動など子どもと一緒にルールを決めておくとよいでしょう。対処方法をルール化することで、怒りの感情から抜け出すための「いつもの方法」をもつことができ、癇癪が起こったときに子どもが自分で冷静さを取り戻すことも可能となります。子どもが癇癪を起こしてしまった! クールダウンの方法は?癇癪への対応はそれが起こる前の環境調整や対応に力を注ぐことが原則です。しかし、十分な対応をしても癇癪が起きてしまう場合があります。その場合はどのように接するべきか前もって知っておくことで、焦らずに対応しやすくなります。癇癪が起きたときは、まずは子どもが怪我をしないように安全を確保します。危険なものを遠ざけたり、周りの安全を確保したりします。癇癪が生じた場合、必要以上に声掛けをしたり、注意したりしてかまうことで、結果的にそれが子どもの注目要求をかなえてしまったり、より興奮させてしまうことに繋がってしまうかもしれません。難しいところもありますが、できるだけほかのことに気を散らしたりして落ち着くまで待つほうがよいでしょう。癇癪が止まり、子どもが完全に冷静さを取り戻したタイミングで落ち着けたことをしっかり褒めるようにしましょう。褒めてあげることで子どもは安心感を抱き、さらには気分を落ち着けるための方法を学ぶことで、予防にもつながります。時間が経ってからだと、癇癪を起して落ち着いたという一連の流れを忘れてしまうので、落ち着いたらその場で褒めてあげることを心がけましょう。不適切な対処は、癇癪をエスカレートさせてしまう先に述べたように子どもが激しい癇癪を起こしている様子に周囲の大人が感情的に引きずられないように注意しましょう。親自身も子どもの隣にいるだけでイライラしたり、気分が乱れてしまいます。対応する大人の心が乱れていては、子どもに冷静に対応することはできません。物が飛んできたり、たたいたりと怒りの矛先が自分に向いたときには距離をとることも大切です。・感情的に叱るのはNG頭ごなしに叱りつけたり、いきなり力でおさえるような対応は、子どもを混乱させ、癇癪をエスカレートさせてしまうこともあります。逆に、強い癇癪に対して好きなものを与えてその場をおさめることを繰り返すと癇癪によって自分の要求をかなえると言う事を学習してしまう可能性もあります。・要求を通さないようにする癇癪を鎮めるためにおもちゃやお菓子を与えると、子どもの癇癪はその場では止むこともありますが、子どもに「癇癪を起こすとなにかいいことがある」と言うことを学習させてしまうことに繋がります。また、要求を通さないと最初に子どもに言ったならば、その態度を貫き一貫性をもって接することが大切です。ただ、乳児期の子どもの泣きやぐずりについては、子どもと保護者の愛着関係をつくり上げるための大切なコミュニケーション手段となり、その後の子どもの気持ちの発達の基礎となるので、子どもの要求に合わせて応対するという姿勢が必要です。子どもの癇癪に悩んだら、早めに相談を子どもがたびたび過剰に癇癪を起こす場合、保護者が一人で継続して向き合うことは簡単ではありません。また、癇癪が起こる場面を予測し、予防の方法を考えるには、専門性が求められることがあります。特にプランを見直しながら継続するのは負担が大きいので、専門家と連携しながら取り組むとよいでしょう。もし現在子どもとの関わり方や、癇癪への対応に一人で悩まれているのでしたら、なるべく早く相談できる味方を見つけることをおすすめします。子育て支援センターは、乳幼児の子どもと子どもをもつ親が交流を深める場です。市区町村ごとに、公共施設や保育所、児童館などの地域の身近な場所で、乳幼児のいる親子の交流や育児相談、情報提供などを行っています。子育てをしている家庭の支援活動を行う施設であり、保護者にとっては、育児に関する不安の相談に総合的に応じてくれる心強い施設です。詳しくは、お住いの市区町村のHP内の子育て・育児のページをご覧ください。子どもの特性や困りごとに応じた支援を行う、いわゆる療育プログラムを提供している福祉施設です。事業所によっては相談支援事業も行っており、保護者からの子育ての相談にも乗ってもらえます。また施設にもよりますが、言語聴覚士や理学療法士、 作業療法士などの専門家による支援を受けられる場合もあります。利用までにはお住まいの自治体の福祉担当窓口への申請が必要となりますが「通所受給者証」を取得することで、低い自己負担額で利用できます。発達障害の当事者、及びその周囲の関係者(保護者や教師など)を支援する機関です。大人の発達障害や、その関係者の支援が充実している施設ですが、基本的に年齢に関わりなく相談できる場所です。子どもの問題行動について機能分析の知識をもつ発達支援の専門家がいることもあります。癇癪があまりに強すぎると、反抗挑戦性障害や破壊的気分調節不全障害 、行為障害として診断される場合があります。そのようなときには何らかの医療・福祉的な配慮によってトラブルを解決できることもあります。あまりに高頻度で長時間の癇癪が続いたり、自傷行動を行うなど身体的、精神的にダメージが大きいときや、解決に緊急性が求められるときには医療機関への相談も選択肢の一つです。医療機関に相談する場合、「発達外来」や「小児神経科」「児童精神科」が専門となります。まとめ子どもが癇癪を起こさないように気をつけていても、すべてうまく対応できる訳ではありません。予期せぬ癇癪や、子どもの癇癪が続くことで親自身が落ち込んでしまったり、子どもに対して感情的な態度をとったことで自分自身を責めてしまうことがあります。つらい、どうしたらいいのか分からない、など悩むことがあれば、一人で抱え込まずに上の相談機関などに相談することが重要です。イラスト/かなしろにゃんこ。
2022年03月13日カナヅチ克服のために通ったスイミングASDのある私は、子ども時代いろいろな習いごとに通いました。しかし、「私には向いていなかったなあ」と感じるものも多くありました。私は水泳がまったくできませんでした。水が怖いのです。バタ足をしてみてもうまく水が蹴れず、どんどん沈んでいく。無理してクロールしてみれば、息継ぎのときに上げた側の耳にどうしても水が入ってしまうのが嫌だし、息継ぎの瞬間に盛大に沈んでプールの床に足がついてしまう。親から「水泳の苦手克服のためにスイミング教室に通いなさい」と言われ、仕方なく通ったのですが、特に目立った効果は感じられませんでした。しかも今思えば、室内プールの中って音がすごく反響するので、すぐに疲労困憊してしまう。当時は誰も私に発達障害があると知らなかったので、特に障害特性に沿った指導がなされなかったのも、目立った効果が感じられなかった理由のひとつだと思います。算数の苦手克服のために通った塾国語は飛び抜けて得意だったものの、算数が苦手だった私。苦手克服のために、決まった内容のプリントを繰り返し行うことで基礎力をつけることを謳う塾に通いましたが、これも合いませんでした。もともと興味の持てない、苦痛なことを単純に繰り返すだけなので、いかに楽をして乗り切るかばかり考えるようになります。もう詳細は忘れてしまいましたが、同じプリントを繰り返しこなす塾のシステムを悪用して、以前やった答案を参照しながら答えを書き写すようなことをしていました。こういったタイプの塾は、発達障害のある子どもでも、タイプによってはすごく合っていて、ゲームのように何周もこなすうちに確実に力をつけていく場合もあるようです。しかし、私にとってはまったく効果がないばかりか、苦しいばかりの習いごとだったように思います。30歳を過ぎて受けた知能検査では、IQのバランスが「単純作業を手際よくこなすことが非常に苦手」なものだとわかって、私は初めて、あのときの塾がなぜ自分に合わなかったのか理解することになりました。習いたくて通ってみたけど、合わなかったピアノ合わなかった習いごとの中で唯一、私が自ら希望して通い始めたものにピアノがあります。同級生の子がピアノに通っていると聞いて、単純にぼんやりとした憧れを抱いて「私も通いたい」と言ったのですね。しかし、「ピアノを習っている」ということに満足してしまったら、私はまったく練習をしなくなりました。毎週まったく練習せずに教室に行って、毎度先生にこってり怒られるのにまったく意に介さない。楽譜を読めるようになろうという気概もなく、いつまでも楽譜にドとかミとかカナをふっていました。あなたが言い出して始めたことなんだからまじめに続けなさいと言われて、ものすごく面倒臭かったのを覚えています。仕方なく何年か続けたものの、確か中学受験をするために進学塾に通い始めるタイミングでそそくさと辞めてしまいました。唯一楽しく続いた課外活動はバトン部、部長にまでなる自ら希望して始め、かつ楽しんで続けられた課外活動は学校のバトントワリング部でした。私はスポーツ全般が苦手でしたが、いま思えば障害特性に合った指導をしてくれる指導者に出会えなかっただけで、身体を動かすこと自体は嫌いではありません。特にリズムにのって踊ることが好きで、嫌いな運動会の練習でもダンスの練習だけは楽しみでした。バトントワリングとはもともと器械体操の種目。そのとき私が通っていた学校のバトン部では、運動会で可愛い衣装を着て、鼓笛隊に先導されてクルクルとバトンを回して踊リながら行進することをメインの活動にしていました。よくある大学のチアリーダー部の妹版みたいな感じで、花形だったのです。当時は目立ちたがり屋でもあった私には、運動会で出しゃばれるのは行進やダンスだけだったので、すっかりのめり込みました。3年生から始めて4年間続け、6年生になったときには部長まで務めました。本人のモチベーションが何より大事いま振り返ると、単純な苦手克服系習いごとをはじめ、私の障害特性と合わない習いごとはやはり私に向いていなかったなあと思います。根本問題は、当時誰も私の発達障害に気づいておらず、学校においても、私の障害特性に合った指導法がなされていなかったところにあります。私が体育全般が苦手だったのにも算数が苦手だったのにも理由があるから、その苦手な理由をクリアしていない習いごとをいくら重ねても苦手を克服できるわけもなく、負担が増えるだけでした。発達障害のある子どもの体力は多くの場合、定型発達の子よりも限られていると思います。このため、習いごとや課外活動をたくさん掛け持ちすることには限りがあるでしょう。習いごとや課外活動を選ぶ際には、本人の障害特性に対する理解と配慮があり、本人が自らモチベーションを示すようなものを選んでいくのが大事なのではないでしょうか。こうした、繊細な条件に合う習いごとや課外活動だけをさせるのは遠回りのように見えます。甘やかしのようにも感じられるかもしれませんが、本人に大きな負担をかけずに楽しく続けられるものを選ぶことが、結局は近道のように思えます。文/宇樹義子(監修・鈴木先生より)いろいろな習いごとで向き不向きはありますが、指導者との相性も重要になります。「できないことを克服」できたのも理解のある指導者が優しく丁寧に教えてくれたからだと推察します。また、バランスが悪く、運動嫌いで、不器用なお子さんは発達性協調運動症の並存が考えられます。以前にもお話ししたように、リハビリでは作業療法士(OT)が行っている感覚統合訓練が効果的です。算数が苦手なお子さんは特異的学習症の計算障がいの可能性もありますので専門家と相談して対処するのがいいでしょう。将来的には電卓ができればいいと思います。
2022年03月12日凸凹兄妹は行動がユニーク!?うちの凸凹兄妹は21歳と14歳。2人ともASDがあり、知的障害はありませんが日常生活では年齢の割にできないことが多々あります。Upload By 寺島ヒロまた、こだわりの強さゆえに、好きなものに没頭して、行動がユニークになることもあります。Upload By 寺島ヒロとはいえ、日常生活で必要なことは、ゆっくりではありますが身につけていってますし、好きなことに没頭するのも悪いことではないと、私は思っています。日々の暮らしの中でのフォローは大変ですが、大抵のことは受け入れて、彼らのペースでの成長を見守ってあげたいのです。しかし、そんな私にも、どうしても許容できない息子の行動がありました…。どうしても許容できない、息子の行動とは?それは、小学校4〜5年生のころ頻繁に起こっていた、軽く飛び跳ねながら「わっわっ」「わっわっ」と二回ずつ繰り返して言うという行動です。Upload By 寺島ヒロ一度この「わっわっ」が始まると、2~30分は続きます。本人に「耳障りなのでやめてくれない?」と言っても、「やろうとしてやってるわけじゃない。自然に出てくるんだよ」と言うだけです。木曜日と金曜日によく見られるので、学校に行く日が続くとストレスが溜まってきて、こういう行動が出るのかもしれません。療育センターの先生に聞いてみたところ、チックの一種かもしれないと言われました。ストレスを逃すための行動だとすると、無理に止めると本人の負担が増えて良くないかもしれません。ですが…この「わっわっ」が、なぜか私はすごく気に触るのです!夫や、当時よく家に来ていた私の母もそれほど気にならないと言っていたので、相性があるものなのかもしれません。仕方ないので、この「わっわっ」が始まると、ほかの部屋に移動したり、ほかの家族がいるときは、もう任せて近くの喫茶店に逃げたりして凌いでいました。逃げ場のない車の中で事件が!しかしある日、私とタケルといっちゃんの3人で、車で出かけていたときに事件は起こりました。後部座席のタケルが座ったまま、「わっわっ」と言い出したのです。焦りました!タケルの「わっわっ」は、一度始まると2~30分は止まりません。運転中にこれをずっと聞かされてはたまらない。でも、この状態ではお店などで休むことも難しいでしょう。どうする?…懸命に考えましたが、後ろから聞こえてくる声が気になって考えがまとまりません。「少し黙ってて!」と叫びそうになったとき…意外なところから救世主現る!当時まだ4歳だったいっちゃんが「んぱぁぱ♪んぱあぱ♪」と、タケルの声に合わせて歌い始めたのです。Upload By 寺島ヒロ不思議なことに、メロディーラインが被さると、タケルの声が気に障らなくなりました。最初からそういう音楽の一部だったかのように聞こえてくるのです。これが「正解」だったのか!それから家でも時々いっちゃんは、タケルが「わっわっ」と言い出すと歌い出し、一緒に飛び跳ねて踊ります。なぜか歌が終わるとタケルの「わっわっ」も終わるのです。今までの1/10の時間に短縮され、私も逃げなくて良くなりました。いっちゃんには、お兄ちゃんを助けるというつもりはなかったと思いますが、結果的にこれが突破口となり、タケルは飛び跳ねたくなったら音楽プレイヤーで曲をかけて、リズムに合わせて体を揺するという方法を編み出しました。あの「わっわっ」という声も次第に聞かれなくなり、わが家に平和が訪れたのです。執筆/寺島ヒロ(監修:井上先生より)この行動がチックであるかどうかは分かりませんが、お子さんの示している常同的な行動(同じ動作を繰り返したりする行動)には、そのお子さんなりのさまざまな意味があることが多いです。状況によって、またお子さんによって異なるのですが、何もすることがないときに感覚刺激として行っている場合もあれば、嫌な刺激や浮かんでくる考えから逃れるためにしている場合もあります。寺島さんのエピソードのように、周囲が落ち着いた環境になることが、お子さんの行動を強化しないで減らすことにつながるかもしれません。
2022年03月09日受けてみるか、WISC-IV!Upload By 吉田いらこ発達相談センターで新版K式発達検査という検査を受けて、療育手帳の申請ができる(つまり軽度知的障害に該当する)と説明された小学5年生の長女ゆい。どうして民間のクリニックで追加の検査をしようと思ったのかというと、どうせ調べるなら成長に関わる全部を調べてほしかったからです。クリニックで検査を受ける前、ゆいにはこう説明していました。「このテストで、ゆいの得意なことと不得意なことが分かるんだって。まあ、性格診断みたいなものだよ。不得意なことが分かったら、学校の先生と相談してゆいに合った教え方をしてもらえるようにするからね」正直に『発達に気になるところがあるから検査をするよ』と伝えることは、やはりできませんでした。本人にどう伝えたらベストなのかがまだ分からなかったからです。ですが、この「性格診断」という言葉に興味を持ったのか、ゆいは特に不安がることもなく検査を受けてくれました。Upload By 吉田いらこ驚きの検査結果クリニックでWISC-IVという検査を数時間かけて受けたあと、1ヶ月たってから検査結果を教えてもらえることになりました。渡された検査結果は『報告書』というかたちで、具体的な数値やグラフが出てくることはありませんでした。すべて文章で、どういった特性があるかがA4サイズの用紙数枚にわたって書かれています。ただ、ゆいが読むには難しすぎるので、先生が平易な言葉で読み下してくださいました。Upload By 吉田いらこ私も検査結果に最後まで目を通したのですが、気になることがありました。発達障害の話題でよく聞くASDやADHDといった単語が出てこないのです。私は「つまり、診断名としては何になりますか?」と思わず聞いてしまいました。どうやらWISC-IVの結果だけでは診断名はおりないようでした。その後の医師の問診をふまえた診断の結果、ゆいには『ASD(自閉スペクトラム症)』『緘黙(かんもく)』と診断がおりました。そして軽度知的障害については今回調べたWISC-IVでは該当しないということでした。数ヶ月前に発達相談センターで受けた新版K式発達検査では軽度知的障害に該当し、療育手帳が申請できると言われたので、すぐに役所に行って手帳を発行してもらっていました。それなのに軽度知的障害じゃないの?と驚いたのですが、クリニックの先生がおっしゃるには、知的障害に関してはいわゆるギリギリラインだったそうです。「こういうことはよくありますよ。数年後に手帳の再判定がありますが、その際に対象から外れるかもしれません」と先生にさらりと言われて呆気に取られてしまいました。Upload By 吉田いらこなぜかASDと緘黙の結果が出たことについてのショックはほとんどありませんでした。最初に軽度知的障害の判定結果が出たときはショックを受けたのですが…。今日説明された特性2点については『あ、そうなんだ。じゃあ次の対策考えなきゃ』『次は学校に説明する段取りを取らなきゃな』と仕事をするときのような感覚しかありませんでした。検査を受けて思ったことはUpload By 吉田いらこクリニックからの帰り道、ゆいはご機嫌でした。判定結果の解説文にあった『言語化が得意』という一文がうれしかったようです。確かに算数と漢字が苦手なゆいですが、作文が好きなので長所を当ててもらったように感じたのかもしれません。『こだわりが強く、聴覚から入る情報を処理するのが苦手』といった一文についても、確かにその通りだなあ、と笑って気に留めていないようでした。私はゆいに発達検査のことを性格診断だと説明しましたが、意外と合ってるんじゃないかなと感じました。得意なことと苦手なことをはっきりさせて、さらにアドバイスしてもらう。人生をよりポジティブに生きるため、この検査を受けて良かったと私もうれしくなりました。執筆/吉田いらこ(監修:井上先生より)まずは、発達相談センターとクリニックでの二回にわたる検査、お疲れ様でした。お子さんもいらこさんも大変だったと思います。クリニックで受けたWISC-IVは知能検査なので、その子自身の認知の特性について詳しく知ることができます。しかし、WISC-IVの結果によってASDや緘黙の診断ができる訳ではありません。今までの発達の様子や、医師の問診によって、それぞれの発達障害の診断基準に適合するかどうかなどの総合的な判断で診断がおりるかどうかは決まります。また、いらこさんが体験されたように、知能検査や発達検査の種類によって数値が異なる場合もありますし、時期によって変動することもあります。全体の数値だけでなく、その子の中での得意なことや苦手なことの把握が重要になってきます。診断後は検査などで得られた本人の強みや苦手な部分を周囲の人が理解することで適切な環境や学習の方法などが見えてくると思います。
2022年03月07日カナダ「National accessArts Centre(NaAC)」とはUpload By 発達ナビニュースカナダの障害者芸術団体「National accessArts Centre(NaAC)」。発達障害、身体障害、後天性障害のある人々に芸術的トレーニング、創作、展示の機会を提供しています。その活動は、障害のある人への経済的自立支援にもつながっています。NaACは、カナダで最も歴史ある障害者芸術団体です。創立から45年経った2020年、現代表・ジョンソク・リュウ さんが中心となり団体のコンセプトや支援の仕組みを刷新。団体名を「National accessArts Centre(NaAC)」とし、さらに躍進的に、障害者芸術の新しい支援の形を作り出し、唯一無二のアーティストたちを輩出する団体へと進化しました。NaACで最も大切にしていることは所属するアーティストが「障害のある人」として作品を提供するのではなく、「アーティスト」として仕事をし、適正な対価を得るということ。実際に芸術に関するサポートを受けた人々はすばらしい作品を生み出し、それらは芸術作品として高い評価を得ています。NaACの活動は、海外から見ても障害者芸術への支援の先駆けであり、その支援の仕組みや所属するアーティストたちの芸術性は、カナダ国内にとどまらず注目されています。その活動は芸術的支援のみならず、2021年の国連気候変動会議(COP26)では、カナダの代表として展示会「Conference of the Birds 」を開催しました。のホームページNaACの代表、ジョンソク・リュウさんに活動について伺いました。発達ナビ編集部(以下、ーー)NaACの活動を通して伝えたい思いを教えてください。Upload By 発達ナビニュースジョンソク・リュウ:NaACでの仕事を通じて私が学んだことは、機会を提供すると、驚くべきことが起こる可能性があるということです。長い間、障害のある人のコミュニティは無視され、差別されてきた印象があります…特に芸術の世界では。私たちはこれを変えるべく活動を始めましたが、これからもたくさんやるべきことがあると考えています。私たちはNaACのアーティストと、世界で活躍するさまざまなアーティストとのコラボレーションする機会もつくっています。今ではNaACに所属する12人以上のアーティストが、海外を旅して文化交流活動に参加しています。活動を通し、今までにないすばらしい芸術作品がうまれ、新しい価値を創造していると感じています。また2021年からNaACでは、音楽に関する活動も始めました。障害のある人々によって革新的な音楽が次々に作曲されています。さらに世界中でアーティストの作品を展示しています。アートの力で、障害のある人に対する社会の誤解や偏見を変えたいと思っています。NaACは、障害者芸術団体にとどまらず、よりよい社会をつくる最前線にいると感じています。展覧会「マイ・イマジネーションー創造性は無限だ!」の見どころそのNaACの展覧会「マイ・イマジネーションー創造性は無限だ!」が、東京都港区にあるカナダ大使館高円宮記念ギャラリーで022年5月25日(水)まで開催されています。※新型コロナウィルス感染拡大防止のため2022年1月17日(月)より一般公開を一時休止しています。今回日本で行われている展覧会では、発達障害のある5人のアーティストが手掛けた約20点の作品が一堂に並びます。Upload By 発達ナビニュースアーティストの一人、ジェーン・キャメロン(1949―2000)は、「発達障害のある芸術家が活躍できる」という道を開きました。 展覧会「マイ・イマジネーション ー創造性は無限だ!ー」というタイトルは、彼女の記した「My imagination is so many things」という言葉に由来しています。そして、アディール・サディク、デビッド・オポン、ドナルド・グリノー、レイ・ワンの4人は、ジェーンと共通する創造性を持って新たなメディアやその組合せを開拓している注目のアーティストです。世界中でこの2年の間に生活様式が変わり、今までのような制作活動が難しい面もありました。その中で彼らは新しい方法での制作に挑戦し、心ゆさぶられるような作品の数々をつくりだしています。キュレーターを務めるカーリー・モーティマーさんにこの展覧会について伺いました。Upload By 発達ナビニュースーー展覧会「マイ・イマジネーションー創造性は無限だ!」の見どころを教えてください。カーリー:全て注目してほしい作品なので、お気に入りをひとつ選ぶのは難しいですね。ジェーン・キャメロンの「Calgary Boy」は、パワーにあふれ、私たちが暮らすカルガリー市(カナダの都市)がよく表現されており大好きな作品です。Upload By 発達ナビニュースまたデビッド・オポンの作品は、自然災害からの復興という観点でも重要だと思います。 2013年、カナダのカルガリー市では約10万人が避難を余儀なくされる洪水があり、私を含めて多くの人々が家を失いました。デビッド・オポンは、困難に見舞われたあともアーティストとして芸術作品をつくり続けました。その前向きに進もうとするアーティストの力は、人々に希望を与えるものであると思います。Upload By 発達ナビニュース私はアーティストには世の中を変えていく力があり、あらゆる問題の捉え方を変えていく存在だと思っています。そして作品をつくるためには、アーティストたちは多くの課題に取り組む必要があります。 ドナルド・グリノーの作品「Sheriff Rug」は、それを強く印象づけるものです。 彼はこの作品を完成させるのに、なんと8年の年月を費やしました。彼が作品を完成させた日、私たちは作品を誇らしげに掲げる彼の写真を撮りました。Upload By 発達ナビニュース障害のある子どもたち、そして保護者へ伝えたいことジョンソク・リュウ:ぜひ展示会を見に来てください。今回ギャラリーまで足を運べない場合でも、インターネットで障害のあるアーティスト、ダンサー、ミュージシャンの芸術を見ることができます。きっと、芸術を通して自分自身の価値観を表現している人がたくさんいることに気づくでしょう。芸術にふれ、「やってみたい」と感じているか、ぜひたしかめてみてください。あなたの視点と創造性にワクワクして、あなたが持つその価値観をすばらしいと感じている人たちが、身の回りや世界中にいることを忘れないでくださいね。表現することを恥ずかしがらなくて大丈夫。障害があってもなくても、あなたはあなたなのです。もし『自分の感じていること、思っていること、表現したいことを誰かと共有したい』と思うのならば、ぜひ一歩踏み出してみてください。そこに共感してくれる人がきっといますよ。のYouTubeチャンネルはこちらカーリー:価値観を限定せず、思い切ってのびのびと作品をつくること、表現をすることを恐れないでくださいね。今回の展覧会でアーティストたちは、今までにない新たな挑戦をしました。私はそこから今まで以上に彼らの力強さを感じ、とても胸を打たれました。世界中の人たちが、発達障害のある人々の視点や価値観からもっと多くのことを学ぶ必要があると感じています。あなたが何かをつくり出すことで、あなたのすばらしい視点や価値観がきっとたくさんの人に伝わると思います。ジョンソク・リュウ:私たちはみんな、障害のある人々にとってより良い世界をつくろうと思っている仲間です。私はたまたま、発達障害のある人々が驚くべき創造性と可能性を持っていることを世界に証明しようとしている芸術団体の代表をしています。障害のあるお子さんを育てる保護者のみなさんも、いろいろな形でより良い世界をつくるための行動をしていらっしゃることでしょう。やっていることが何であれ、それがときには挑戦的で、落ち込んでしまうようなことがあるということを私は知っています。私たちの挑戦や苦悩を知らない人たちは、「どうして、さらに求めるの?」と聞くかもしれません。 私はNaACの活動する中で「今のままでも十分ではありませんか?」とこれまで何度も聞かれました。難しいことではあるのですが、そんなとき「いいえ、まだまだ」と言う勇気と力を持ち、子どもたちにとって最高のサポートと環境を求めることが大切ではないかと思っています。お子さんは、やがて成人へと成長し、その可能性を開いていくことで、自分らしい充実した生活を送ることができます。お互いに、そして私たちのようなグループや団体からインスピレーションを得てみてください。良い世界をつくっていく勇気と力をみんなが持てることを願っています。カーリー:みなさんのお子さんは世界を変えていく存在であり、将来の仕事などにつながる新しい方法を見つけるでしょう。彼らはイマジネーションの力と考える力を秘めていて、私たちがこれまでに見たことのないような芸術的な表現をすることがよくあります。保護者の方はお子さんや、そのほかの障害のある方たちの一番のサポーターになることができます。彼らのために一番よい方法に出合ったら、それが今までにないサポートだとしても怖がらず挑戦してみてください。障害のある人たちの才能と能力がたくさんの人たちに知られることで、みんなにとっての壁がなくなるのではないかと思います。NaACは、いつでもその味方になります。※クリックすると発達ナビのサイトからカナダ大使館のホームページに遷移しますUpload By 発達ナビニュース〈詳細〉【会期】:2021年12月6日 (月)~2022年5月25日(水)10:00~17:30(入場は17:00まで)休館日:土曜、日曜および、2022 年 3 月以降は、3 月 21 日(月)、4 月 15 日(金)~18 日(月)、5 月 3 日(火)~4 日(水)※新型コロナウイルス感染予防のため、同時のご入場は 5 名まで※2022年1月17日(月)より一般公開を休止しています。詳しくは以下へお問い合わせください【会場】:カナダ大使館 高円宮記念ギャラリー(東京都港区赤坂7-3-38)【観覧料】:無料※ ご入館に介助を必要とされる方は事前にご連絡ください。【問い合わせ】:カナダ大使館広報部(tel) 03-5412-6310現在、オンラインでも展示会の紹介動画を公開しています
2022年03月06日癇癪と発達障害って関連はあるの?Upload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンたびたび癇癪が起こるからといって発達障害があるというわけではありません。ですが発達障害のある子どもに強く見られる傾向が癇癪が起こるきっかけと絡んでいる場合があります。自閉スペクトラム症、ADHDなど発達障害のある子どもによく見られる4つの傾向と癇癪の関係自閉スペクトラム症のある子どもには、感覚過敏がある場合が多くあります。周りの子が大丈夫な刺激でも過敏に反応して癇癪を起こしてしまうことがあります。また、自閉スペクトラム症のある子どものこだわりや不安の強さによって、普段と違うことが起きたり、突然の予定変更に気持ちがついていかず、癇癪に繋がってしまうこともあります。強い癇癪の背景には、言葉の理解と表出の発達に関するアンバランスさが影響している場合があります。また、知的障害を合併する場合は言葉の発達全般に遅れが見られたり、身振りや手振りなど言葉以外での表現も苦手であることで、その伝わらないもどかしさや要求を伝えるための手段として、癇癪を起こしやすくなると考えられます。このほかにも感覚の過敏性がある、決まったパターンが乱れることが苦手(同一性保持)、余暇の乏しさなどが、癇癪の背景にある場合もあります。私たちは、自分の意思と相手の意思の両方を考えながら、時には譲ったり、自分の願いを優先させるために交渉したりして、他人との関わりの中で生きていきます。発達障害のある子どもたちは、他者の意思と自分の意思を調節することが難しい傾向があります。自分と他者の意思を調整するためには、まず相手の気持ちを把握した上で、「これぐらいなら譲れる(または要求できる)」という2つのステップが必要です。自閉スペクトラム症といわれる発達障害のある子どもの場合、まず最初に必要な相手の気持ちや意図を理解するというステップを通過することが難しく、そのために自分と相手の意図を調節するための材料を持ち合わせていない状態に陥りやすいのです。こだわりがある、他人のペースに合わせるのが苦手、ということもあります。また、ADHD(注意欠如・多動性障害)がある場合は、「やりたい」という気持ちを抑えるのが難しいために、相手の気持ちが分かったとしても、その気持ちを譲ることができないことと、感情がすぐに表面化することで、爆発的に怒ってしまうことがあります。成長するにつれて人は自分のストレスを減らすために工夫を行います。発達障害のある子どもたちは、この自己調整や衝動性のコントロールを行うことが難しい傾向があります。このような行動の工夫を行うことが苦手なので、不快な状況をそのまま経験することになり、ストレスが蓄積されていきます。最後には自分の気持ちをコントロールすることができずに不満や怒りが爆発して癇癪を起こすことがあります。まとめ癇癪の原因は必ずしも子どもに発達障害があるから、というわけではありません。ですが発達障害のある子どもに強く見られる傾向を知っておくことで、子どもに癇癪が起きたときにより良い対応が取れる可能性があります。イラスト/かなしろにゃんこ。
2022年03月05日癇癪の予兆をつかむむっくんは小さなころから癇癪を起しやすい子でした。最近では以前と比べると自力でコントロールできるようになってきましたが、相変わらずときどき元気いっぱいに癇癪を起しています。パニック状態になり叫んだり暴れたり、周囲の言葉が届かなくなるので勘弁してよと言いたくなるむっくんの癇癪ですが、起こすときは必ず理由があります。むっくんの場合は周囲からの強い刺激(騒がしい音などの不快な感覚)や疲れに眠気。また、物事が思うようにいかないフラストレーション、他者から怒られるという恐怖、周囲に自分の想いを伝えられない苦しさ、自分を理解してもらえない悲しさなどが多いです。Upload By ウチノコこういった経験を重ねるうちに、私はむっくんの中にストレスや不快感をためておくコップがあってそれがあふれるときに癇癪が起こるイメージを持つようになりました。一度コップがあふれはじめると、むっくんはある程度発散し終わるまで落ち着くことが難しくなります。だけど癇癪を起こしたいと思っているわけではありません。それしか発散方法がない所まで追い詰められるから、癇癪で放出するしかなくなるのだろうと感じています。そのため、わが家の癇癪対応のカギのひとつは【コップの中身をあふれさせない過ごし方】であると考えています。Upload By ウチノコクールダウンアイテムむっくんの癇癪の予兆は、イライラしていたり家族の生活音を嫌がるなどがあります。基本的には不快、恐怖、不安などがストレスの成分なので、予兆を感じたら安心安全心地よさを感じられるアイテムを発動します。むっくんの大好きな揺れや包まれた感覚、浮遊感などの感覚刺激を入れることができます。そこで本を読む時間がとれると、最高に落ち着けるようです。体重を預けて横になると、とてもリラックスできるようで本人も疲れると自分から横になっています。周囲を囲まれた段ボールの中などの狭い空間は落ち着く様子で、イライラしてくると自分からソファーの下に潜り込んだり、静けさを求めて自分の部屋にこもったりすることもあります。そういうときは家族みんなむっくんが落ち着くまで刺激を与えず、そっと見守るように心がけています。好きな音楽はむっくんにとってクールダウン効果の高いアイテムです。好きな音楽はむっくんのタブレット端末に入れてあり、自分の判断で聞けるようにしてあります。また、好きな音楽を使った音楽ゲームなども視覚、聴覚から心地よい感覚を入れることができる様子です。Upload By ウチノコこれはむっくんが小さなころから大好きな4原則。この要素を含んでいてぼんやり眺めることのできるおもちゃは8歳の今も相変わらず大好きです。こういった同じ動きを反復するものを静かに眺めることはクールダウンにつながりますむっくんは大人向けの宇宙の番組が小さなころから好きでいくつかお気に入りがあるのですが、疲れを感じるときほど好んで見ている様子です。興奮したりワクワクする番組ではなく、何度も繰り返し見ている静かな宇宙の番組を選ぶのは安心できて落ち着くからなのだろうと感じています。全身でお湯の心地よさを感じることができるお風呂やシャワーは小さなころからクールダウン効果の高いアイテムです。癇癪を起こしてからでも水に触れると落ち着きやすいのでよく利用しています。むっくんは空腹感で癇癪を起こしやすくなることがあります。彼には感覚鈍麻な一面があり空腹に気づきにくいことがあるので、イライラしていたらラムネやチョコなどで血糖値を上げることを意識しています。むっくんはどこへ行くにも決まったお気に入りのおもちゃ(ぬいぐるみやブロック)を持っていきます。これは遊ぶためではなく、かばんに入っていると思うだけでとても安心できるから持ち歩きたいのだと教えてくれました。年齢にそぐわない行動かもしれませんが、外出時はいつも以上に不安を感じやすいので彼なりのお守りなのかな?とその習慣を尊重するよう心がけています。Upload By ウチノコ自分と折り合いをつけていく小さなころは癇癪を自制することがとても難しかったむっくんですが、現在は一生懸命自分の中にある激しさと折り合いをつける努力を重ねるようになりました。癇癪は問題行動とレッテルを張られてしまうこともありますが、何より、誰より、本人がそれと折り合いをつけたいと思っているように感じています。むっくんが7歳になったころから、ストレスにうまく対処する方法【ストレスコーピング】を意識してどんなときに緊張が高まるか、どんな方法をつかうと緊張が和らぐかということを一緒に話し合うようになりました。自分の感覚を共に言語化していくことで、自分を知り少しずつ対処できることも増えてきたむっくん。これからも相談し合いながら心地よい環境を整えていけたらと思っています。執筆/ウチノコ(監修:初川先生より)癇癪を起こすことを“コップに注がれるストレスや不快感があふれるイメージ”と捉え、癇癪を起こしたくて起こしているのではなく、そういう方法しかないところまで追いつめられているからそうなっているのだ、という理解。その理解によってどれほどむっくんは救われていることか…!と思います。癇癪を起こされると、保護者や周りの関わる大人はご自身が困ってしまうため、いかにして癇癪を起こさないようにするか、だって癇癪が起きたら迷惑…そんな風に考えてしまうこともあると思います。しかし、癇癪を起こしたくて起こしているのではなくそうせざるを得なかったから、という理解があるだけで、お子さんへのまなざしはとてもあたたかいものになっているだろうと感じます。不快感やストレスを減らし解消する具体的な方法も、同じように困っている子や保護者の方にはとても参考になりますね。さまざまなところで言われているように、触覚、聴覚、視覚に働きかけるものが多いですね。お子さんの好みに合うものをぜひ探してみてください。持ち歩けないものは写真で持ち歩き安心感を得る、というのはなるほどそういう方法もあるんだなと勉強になりました。むっくんはまだ子どもですが、大人になるにつれて、自分自身でどういう場面でどう疲れてしまうのか、そのためにどうしたらよいか、ということを理解していく(自己理解を深めていく)ことが求められていきます。その準備として、親子で試行錯誤してみることはとても大切ですね。親子での理解、自己理解が深まるにつれ、「折り合いをつける」ことがどんどん上手になってゆくことと思います。
2022年03月04日子どもをうまく愛せない……。そう深く思い悩み、心療内科を受診した私の行き着いた先は「愛着障害の疑いがある」という診断でした。なぜ愛着障害になったのか? それは私自身の生い立ちにありました。 なぜ無性にイライラするの?私は現在2児の母親ですが、上の子どもを出産したときは実家との折り合いが悪く、里帰り出産をしませんでした。したがって、退院してからは自分ひとりで子育てをしなければならず、毎日とても必死だったのを覚えています。そんなストレスフルな環境で、上の子どもが1歳半くらいのときから、子どもに対して無性に腹立たしくなってしまうことがありました。 子どもは特にかんしゃくがひどいとか、何か成長に関して大きく気になることがあるといった問題もありません。冷静に考えてみれば、ごく一般的な子どもが、ごくごく普通にママに愛情を求めて泣いたり、自己主張したりしているだけなのに、それだけでもイライラしてしまう自分がいたのも事実です。 2人目もワンオペ。そして精神の限界へ本格的に上の子に対して嫌気がさしてきたのは、下の子を出産したときでした。このときも里帰りはせず、退院直後から3歳になった上の子と新生児をワンオペで見る毎日。もう私の精神も限界に達していたのでしょう。思わず感情的に怒鳴り散らしたり、またある日は突然涙が止まらなくなったり。 そんな状態が下の子を出産して半年。私の情緒は落ち着くばかりか、ますます不安定になっていき、ついに意を決して心療内科を受診することに。結果は「適応障害」と「産後うつ」。おまけに「発達障害の疑いがある」とも言われ、後日心理テストを受けることになったのです。 発達障害を調べるテストを受けた私発達障害などを詳しく調べる検査は2日かかりました。1日目は臨床心理士さんとの面談があり、具体的にどのような家庭で生まれ育ったか、また学業成績など客観的な私の過去のデータについて話したのです。2日目はIQテストや、日常生活においてどれほど困難さを感じるかの自己記入式テストをしました。 2日合わせて3~4時間ほど費やして、精密に検査をしていただきましたが、結果は「発達障害はない」との所見でした。しかし、私の症状や実親からの虐待などの出来事から「愛着障害である可能性がある」と聞かされたのです。 検査を通してわかったこと「愛着障害」とは、乳幼児期において暴力やネグレクトなど適切な愛情を持って育てられなかった子どもが、社会人になったときに対人関係や仕事、そして育児などに支障が出る障害のことだそうです。 愛着障害と聞かされたときは「やっぱりな」と腑に落ちる私がいました。しかし、この検査を通して愛着障害と判明したことで、今までの生きづらさの理由がわかり、それを私の子どもたちに味合わせたくないと強く感じたのです。 イライラの理由が明確にわかったことで、これからは自分のつらかった過去とも向き合いながらも、子どもたちを育てていこうと心に決めることができたので、私は検査を受けてよかったと感じています。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 「共感した」「私の場合はこうだった」など、ぜひベビーカレンダーサイトのコメント欄にご感想をお寄せください。また、ベビーカレンダーでは皆さんから募集した体験談を記事でご紹介させていただくことも。ベビーカレンダーに会員登録すると届くメルマガから、皆さんのオリジナル体験談をご応募ください。 イラストレーター/あさうえさい著者:仲本まゆこ自身の体験をもとに、妊娠・出産・子育てに関する体験談を中心に執筆している。 監修者・著者:助産師 松田玲子医療短期大学専攻科(助産学専攻)卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務。 大学附属病院で助産師をしながら、私立大学大学院医療看護学研究科修士課程修了。その後、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。
2022年03月03日3月21日は世界ダウン症の日!チャリティーTシャツ、2/28〜3/6の期間限定でオンライン販売Upload By 発達ナビニュース3月21日は、国連で定められた「世界ダウン症の日」。世界中でさまざまな啓発イベント・活動が行われます。日本ダウン症協会(JDS)では、啓発活動として毎年オンラインでチャリティーTシャツを販売。オリジナルTシャツをつくるブランドJamminとのコラボレーションにより、毎年新しいデザインのTシャツが販売されています。ダウン症は、染色体の変異によるものです。ヒトの46本(または23対)の染色体はそれぞれ、母親から1本、父親から1本受け継いで2本で1対になっています。3本あるのは突発変異でトリソミーといいます。このトリソミーが21番目の染色体に起こることがダウン症となる原因のほとんどであると言われています。チャリティーTシャツでは、その染色体の特徴をデザインにし「1つだけ3つある」というシリーズで販売しています。それぞれ2つ描かれたアイテムが23組並び、そのうち21番目だけ3つある、というものです。2022年に販売するTシャツは「靴」がテーマになっています。販売期間は、2022年2月28日(月)〜3月6日(日)。Tシャツのほかにもトートバッグなどのアイテムもあります。購入額の一部(700円~)は日本ダウン症協会(JDS)に寄付され、キックオフイベント開催、啓発ポスターの印刷費・発送費の一部に充てられます。これらのJamminオンラインショップより購入することができます。ぜひチェックしてみてください。※詳細ボタンをクリックすると発達ナビのサイトからJamminのホームページに遷移します障害のある人から寄せられた50編の詩を紹介する「第26回NHKハート展」東京展、3/2~3/13BunkamuraギャラリーにてUpload By 発達ナビニュース全国の障害のある人から寄せられた3,502編の詩の中から選ばれた50編を紹介する第26回「NHKハート展」東京展 ~ DIVE TO THE HEART!(ハートにとびこめ!) ~。展示される詩には、作詩者の日常のひとコマや、素直な思いがつづられています。作詩者の“ハートにとびこんで”、詩に込められた思いを感じてみてください。会場では、50編の詩の展示のほか、人気声優による50編の詩の朗読を聞けるコーナー、ハート展のテーマソング「ありふれたい」の上映コーナー、会場を訪れた方々が詩を通して感じた気持ちを共有できるデジタル寄せ書きのアートコーナーなどが設けられています。ぜひ足を運んでみてください。また第26回「NHKハート展」は、全国巡回も予定されています。詳しくはホームページをご確認ください。※詳細ボタンをクリックすると発達ナビのサイトからNHKのホームページに遷移します〈詳細〉会期:2022年3月2日(水)~13日(日)10:00~19:00※感染状況や荒天などで、開催時間の変更や中止をする場合があります。会場:Bunkamuraギャラリー(東京都渋谷区道玄坂2-24-1)入場料:無料(入場自由)主催:NHK、NHK厚生文化事業団、全国社会福祉協議会後援:内閣府問い合わせ先:「NHKハート展」事務局電話:03-6804-9295(平日/10:00~18:30)日本人のアール・ブリュット作品展「BRUT」、アニエスベー ギャラリー ブティックにて開催Upload By 発達ナビニュース「アール・ブリュット」とは、アートの専門教育を受けていない人がつくり出すアートのこと。そのアール・ブリュット作品展が東京・表参道にあるアニエスベー ギャラリー ブティックで開催されています。展覧会「BRUT(ブリュット)」に並ぶのは、日本在住の13組の発達障害や知的障害のある人たちによるアート作品です。展覧会に参加するアーティストの一人、菅原康匡さんは東京にある福祉サービス事業所「やすらぎの杜」でパン職人として働いています。その菅原さんのアート作品が遠く離れたフランスのとあるギャラリーに展示され、ブランド創設者のアニエス本人の目に留まったことが展覧会「BRUT」開催のきっかけだったといいます。アニエスベーでは1975年の創業当時から、持続可能な社会への意識をもって、環境問題や人権問題などの社会課題解決活動をし、発信してきました。この展覧会が行われているギャラリーが併設されたアニエスベー青山店では、海洋環境に関する作品の展示、HIV/AIDS患者支援の赤いエシャルップ(えり巻き)の販売など、アニエスベーのフィロソフィーがあふれています。ぜひ足を運んでみてください。※詳細ボタンをクリックすると発達ナビのサイトからアニエスベーのホームページに遷移します〈詳細〉会期:2022年2月25日(金)~4月17日(日)(定休日なし)11:00~20:00開催期間中無休(※ただし新型コロナウイルスまん延防止措置の状況によります)入場料:無料会場:【agnès b. galerie boutique | アニエスベー ギャラリー ブティック】(東京都港区南青山5-7-25 ラ・フルール南青山2F)問い合わせ:電話:03-3406-6010Instagram: @agnesb_galerie_boutiqueカナダの障害者芸術団体による展覧会「マイ・イマジネーション ー創造性は無限だ!ー」、東京都港区にあるカナダ大使館高円宮記念ギャラリーで開催Upload By 発達ナビニュースカナダの障害者芸術団体、「 National accessArts Centre(NaAC)」による展覧会が、東京都港区にあるカナダ大使館高円宮記念ギャラリーで2022年5月25日(水)まで開催されています。※新型コロナウィルス感染拡大防止のため2022年1月17日(月)より一般公開を一時休止していますNaACは、発達障害、身体障害、後天性障害のある人々に芸術的トレーニング、創作、展示の機会を提供しています。その活動は、海外から見ても障害者芸術への支援の先駆けといわれています。今回の展覧会には、カナダ在住の発達障害のある5人のアーティストが手掛けた約20点の作品が集結。国境を超えるイマジネーションに満ちた作品をぜひご覧ください。※クリックすると発達ナビのサイトからカナダ大使館のホームページに遷移します〈詳細〉【会期】:2021年12月6日 (月)~2022年5月25日(水)10:00~17:30(入場は17:00まで)休館日:土曜、日曜および、2022 年 3 月以降は、3 月 21 日(月)、4 月 15 日(金)~18 日(月)、5 月 3 日(火)~4 日(水)※新型コロナウイルス感染予防のため、同時のご入場は 5 名まで※2022年1月17日(月)より一般公開を休止しています。詳しくは以下へお問い合わせください【会場】:カナダ大使館 高円宮記念ギャラリー(東京都港区赤坂7-3-38)【観覧料】:無料※ ご入館に介助を必要とされる方は事前にご連絡ください。【問い合わせ】:カナダ大使館広報部(tel) 03-5412-6310
2022年03月03日STEAM教育って何?
子育て楽じゃありません
細川珠生のここなら分かる政治のコト