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21歳になった息子の様子現在、自閉症(自閉スペクトラム症)のある息子は21歳になりました。以前は多かった腕を噛むなどの自傷や、パソコンのマウスを思い切り叩きつけるなど物に当たり散らすこともたまにありますが、そうしたことは減ってきました。Upload By 立石美津子自分自身を傷つけるという行為は、形を変えながらも今も続いているのではないかと感じています。幼児、小学生のころの自傷身体への自傷が最も激しかったのは幼児期です。息子は6歳になるまで言葉が出なかったので、思い通りにならないとき自分の身体を傷つけるしか、方法を知らなかったのではないかと思います。Upload By 立石美津子例えば・自分の頭を叩く・腕を思い切り噛む・(普段は適切な量を口に入れることができるのにもかかわらず)入りきらない量の食べ物を口に押し込む・壁に頭を打ちつける・顔を叩くただ、「これ以上やると痛いぞ」のギリギリのところまでのラインでやっているように見えました。ですから、大けがをするようなことはありませんでした。言葉で自分を傷つけている?言葉がでるようになってからは、自分の身体を傷つけるだけでなく、言葉によって自分を傷つけるようになってきました。例えば、気持ちと反対のことを叫び、そして癇癪をおこすのです。「もう、帰る!」と家に居ながら叫ぶ。(←どこに帰る?)「入院する」(←入院したくない)「注射する」(←注射したくない)「家出してやる」(←家出したくない)「死んでやる」(←死にたくない)「9時58分に寝る!」(←毎日必ず10時に寝るこだわりがあるのに、僅かに時間をずらして叫ぶ)心にもない言葉を言うときの対応法これらの言葉は、実は息子の心にもないこと、望んでいないことだろうとわかるので、息子の言った言葉をオウム返ししながら、共感の形をとるようにしています。息子「もう、帰る!」と家に居ながら叫ぶ。私「もう、帰りたくなっちゃたんだね」息子「入院する」私「入院したくなっちゃったんだね」息子「注射する」私「注射したくなっちゃったんだね」息子「家出してやる」私「家出したくなっちゃったんだね」息子「死んでやる」私「死にたい気持ちになっちゃったんだね」息子「9時58分に寝る!」私「9時58分に寝たくなったんだね」火に油を注がないようにもし、「家出する!」と言ったとき、「気をつけていってらっしゃい」と家出を推奨するような言葉をかけたとしたら、特性のある息子は字面通り受け止めて、出て行ってしまうかもしれません。ですので、そのような言い方はしないようにしています。Upload By 立石美津子また、以前、次のように言ったことがあるのですが…「なんでそんなこと言うの!」「いい加減にしなさい!」これらは、火に油を注ぐ結果になってしまい、息子は激しい癇癪を起こしてしまいました。切り替えの手段を探す私は、身体への自傷も言葉での自傷も、自分の混乱した心の安定を図るためにやっているような気がしています。そんなとき親が止めようとすればするほど、混乱して自傷が続くことがあります。先に述べたように、癇癪をおこし自傷までするときは、共感する言葉をかけるのも一つの方法ではありますが、状況によっては、その言葉がけ自体が刺激になることもあるかもしれません。そんなときは時間経過によりクールダウンするのを待つしか方法がありません。わが家は共感の言葉でも息子が落ち着かないときは、黙って見守りながら、ぬるめの湯加減のお風呂を用意し、入浴を促します。息子の場合は、風呂につかり気分が変わると、気持ちの切り替えがしやすくなるようです。お子さんによって、切り替えられるきっかけはそれぞれだと思います。それを一緒に探してあげるのも大切なことだと感じています。執筆:立石美津子(監修者・鈴木先生より)思い通りにならないときの癇癪は自閉スペクトラム症の易刺激性からきていると考えられます。マンションの壁を蹴って穴をあけたり、ドアを壊したりするケースも多いです。自傷や他傷は抗精神病薬で調整することも可能です。爪をかむお子さんには、「爪はばい菌がたくさんついていてきたないよ」と説明したりしますが、それでも難しい場合は、逆に透明なマニュキアを塗ってきれいにして「噛まないでおきたい」と思わせるようにしてみるのも一つの手です。いい景色を見て散歩したり、何か運動したり、音楽を聴いたりするのもいいですね。また、リズムが乱れると癇癪をおこしやすくなるので、サーカディアンリズム(睡眠覚醒リズム)を規則的にすることも重要です。
2022年03月01日人づき合いが苦手な息子は、中学校でもトラブル多発Upload By かなしろにゃんこ。ADHDと広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)がある息子、リュウ太。小学生のときは、意見が合わないと周りの子と衝突してしまい、うまく人間関係を築けなかったり、人づきあいの悩みがありました。不器用な息子を見ては、親の私も心配で悩んでいました。小1から小6まで息子は、「からかい甲斐がある」と同じ学年の男子からケンカを売られることが頻繁にありました。息子がからかいに対してすぐ反応するのを面白がっていたようです。そんな息子も中学生になると気の合う友達ができて、グループ行動になり、楽しい学校生活を送っていました。しかし、仲の良い友達以外の人との小競り合いは中学校になってもありました。息子は、目立ちたがり屋で、状況を考えずに大声ではしゃいでしまうところがあります。そんな息子をよく思わない同級生もいて、それがトラブルに発展してしまうことがよくありました。違うクラスの話したことがない同級生から、突然文句を言われることもあったようです。息子は「なんで急に関わりがあまりない人に文句を言われなくちゃいけないんだろう?」と家に帰ってきてはいつもグチを言っていました。中2のころ、大けがをするトラブルがUpload By かなしろにゃんこ。人づき合いが苦手な息子は、小学生のときは同級生に暴力をふるってしまうというトラブルが何度もあり、親子でその謝罪ばかりしていました。そのときに「今後は何があっても絶対に暴力はふるわないこと、手を出さないこと」を約束しました。ケンカっぱやい息子ではありますが、中学生になってもそのことだけは、ずっと守ってくれていました。そんな中2のころ、息子は当時足を骨折していたにもかかわらず自分よりも体格のいい男の子とトラブルになり、さらにケガさせられてしまいました。息子は手は出さなかったものの、相手を言葉で挑発して刺激してしまったのです。息子は「お母さんとした『相手に手は出さない』って約束を守ると、逆に自分を守れないよな~」と不満気でした。このトラブルでは、相手のお子さんが学校から厳しく指導される案件となりました。Upload By かなしろにゃんこ。相手は、わが家まで親子で謝罪に来てくれました。息子とトラブルになった同級生は(オレは謝りたくない)というような顔をしていて、頭を軽く下げた程度の謝罪でしたが、保護者の方は誠心誠意謝罪してくださいました。私は、「ケンカは両成敗」「相手がけがをしてもおあいこ」と思っています。ケガをさせてしまった方だけが悪いとは思っていないので、謝りに来てくれた保護者の方には「うちも悪いんです。すみません」と言いました。「申し訳ない…」と頭を下げる相手の保護者の方の気持ちがとても分かるので責める気になれませんでした。小学生のころは、息子が友達に手を出してしまい謝罪をするということばかりでしたが、このトラブルで”けがをさせられた親”の立場になりました。息子にはヒドイと思われるだろうと思い、本人には話せませんでしたが、「うちの子が傷ついて悲しいな、イヤだな」という気持ちよりも、「息子が相手にケガをさせたのではなくてよかった」とホッとしてしまったのが本心でした。ケンカになる前に感情をコントロールするUpload By かなしろにゃんこ。このトラブルのあと、ケンカを売られても怒らずに気持ちをコントロールする方法を改めて息子と話し合いました。息子は、性格上イラっとしたときにスルーすることはできないけれど、相手に嫌なことを言われたら文句で返すことはやめて、“相手にしたくない”という態度で受け流すことにすると言いました。その甲斐があってか、文句を言われたり、「からかいがいがある」と思って声をかけられたりしても、あまりケンカにならずに済むようになっていきました。Upload By かなしろにゃんこ。それでもなお、ケンカを売られるようなことがなくなったわけではありませんでしたが、受け流すことで相手とこじれることはなくなりました。全てをうまくコントロールができるわけではなく、売られたケンカの3割くらいは受け流すことができたというレベルですが、“腹が立って、相手を強く攻撃したい気持ちが消えずにイライラしてしまっていた”という以前に比べて、息子はだいぶ我慢できるようになりました。息子に聞いたところ、ケンカを仕掛けてくるような人は「退屈でイライラしてしまう幼稚な人」というキャラクターに置き換えることで、感情のコントロールが少しずつできるようになったのだそうです。それからしばらくして息子は中3になり、卒業前はなんと、中2までしょっちゅうケンカをしていた子とゲームの話で盛り上がり、家に遊びに行くほど仲良くなりました。もしかしたらお互いに気になっていて素直に仲良くなれずにケンカという関わりになっていたのかもしれないな?なんて思いました。中学は人づきあいで子どもの気持ちもいろいろ複雑になりますが、その後、わが家では息子に「つき合いのコツ」だけを提案して、あとは本人に任せるという方法にしました。反抗期なので、親のアドバイスに対して「干渉してくるなよ!」と息子は文句を言っていましたが、あとから「お母さんのアドバイスは大事な場面で取り入れてた」と教えてくれました。Upload By かなしろにゃんこ。現在、23歳になった息子は23歳になった現在、息子は、混んでいる商業施設などの駐車場で2台分の駐車スペースに斜めに停めている(通称:番長停め)人に腹が立って仕方がないんだそうです。そんなときには「車の持ち主は、トイレのために急いでいて、きちんと停められなかった可哀想な人」というキャラクターに置き換えて「怒りの気持ち」を「笑い」に転換する方法でイライラしないように工夫しているそうです。執筆/かなしろにゃんこ。(監修:井上先生より)感情のコントロールは、とても大きな課題だと思います。本人は頭で理解していても、その場では感情をコントロールするのが難しいということはとても多くあることだと思います。かなしろさんのお子さんが言われるように、怒りの感情が起き上がりそうになったときに怒りの対象をユニークな捉え方に変換するというのはとてもいい方法だと思います。また受け流し方を具体的に学ぶこともすごく大切です。それも具体的なセリフを考えてあげるのはお子さんにとってすごく分かりやすいと思います。またうまく感情がコントロールできたとこに対して周囲の人が「よく我慢したね」と伝えるように、肯定的な態度で接することもとても重要だと思います。
2022年02月28日手伝っても着替えが難しかった理由は…長男けんと(6歳)は、自閉スペクトラム症があります。けんとが4歳になる少し前。自分で着替えをする気がまったくなく、いつもママが着替えをしていました。ズボンをはくのは大丈夫だったのですが、問題は上着!腕を上にあげる「バンザイポーズ」ができないので、脱がすのも難しいし、自分で着替えられる気もしていませんでした。発達支援施設でお友達が上手に自分で上着を着替えている姿にビックリ!思わず「どうやって脱ぐの?」とママ友に聞いたら「腕をクロスして…」と教えてくれたのでチャレンジしてみました…が、案の定うちの子はできませんでした。Upload By ゆきみ年中から地域のこども園に通うことになっていたので、自分で上着が脱げないと…と思い、少しずつ練習。なんとか、転園前に脱げるようになって安心しました。いつかいろいろなタイプの洋服を着れるように…と、発達支援施設のバザーでゲットした手芸のボタンをとめたり、はめたりするオモチャで遊びながら指先を使うのを意識しました。Upload By ゆきみ制服のボタンに苦戦!細工をしてみた年中で転園したこども園には制服がありました。その制服はボタンがとてもかたいため、指先の力が弱いけんとにはとても難しく、首元のボタンは見えない場所についていたので、更に難易度アップ。ネットで調べてボタンに細工をして、少しの力でとめられるようにしてみました。そして、毎日1回5分程度、着替えの練習をしました。けんとは「自分で着たい!」と思ったようで、誘うと嫌がることはなく練習をしてくれました。最初は1番下の見やすいボタンを1つはめるところから。親がサポートして、「できたね」をひたすら続けました。できるようになったら、下から2番目のボタンを追加。これを地道にくり返し、半年かかって全部のボタンをはめられるようになりました。途中、あまりの難しさに親子で何度か心が折れそうになりました。普段「悔しい」感情を出さない子なのですが、1度だけ、悔しくて号泣。今でもそのときの泣き顔を忘れられません。初めて全部を自分ではめられるようになったときは、家族みんなで拍手喝采の大感動に包まれました。Upload By ゆきみ前、後ろを間違えるのは日常茶飯事着替えは年長になった今でも大の苦手です。そもそも洋服がどのような状態なのかを見ないで着るので、前後を間違えて着てしまうのは日常茶飯事。たまに表裏が違うこともあります。さらに…上着、ズボン、下着、パンツ、全ての前後を間違えているときがあり、裸の状態から着替えなおしになるときもあるほどです。上手くいかなくて、けんともイライラがはじまります。園の制服はポケットが前についているので「ポケットがついている方が前だよ」と教えたら、私服のジーパンもポケットがついている後ろ側を前にしてはいていました。着替えなおそうとすると「ポケットがついてるからこっちが前!」と…。これが、こだわりになってしまい、号泣。今は地道に、洋服ごとに前と後ろを教えています(それでも間違えますが…)。Upload By ゆきみUpload By ゆきみ園に着ていく上着は予め前側に名札をつけて、着る前に「名札が前よ」と説明しても…やはり間違えてしまいます。来年度の小学校入学に向けて、そして将来できるようになるのか…心配で悩んでいる最中です。着替えで怒って…自己嫌悪さらに悩まされているのが…着替えている最中に遊び始めたり、ボーっとしてしまったりして、全然着替えが進まないこと。園のバスの時間もあるので、毎朝ママはイライラ!怒ってしまうことも多々…。そのたびに自己嫌悪に陥ってしまいます。そこでやり始めたのは…、タイマーを使って「4分以内に着替えましょうゲーム」や、「みんなで競争!誰が1番に着替えられるかな?ゲーム」を開催すること(ママと次男も参加)。ママのよーいドンのかけ声で、子どもたちはテンション大上昇!「いそげー」と笑いながらも真剣に着替えをしてくれます。急いで着替えるので前後を間違えてしまうことも多いのですが、楽しいようでイライラすることは少なくなりました。Upload By ゆきみ「ママに余裕がないとき」にイライラしてしまうことが多いと思うので、なるべく「余裕をもって行動する」を心掛けていきたいな…と思っています。実際はなかなか難しいですが…。将来、親なきあとのことを考えて、着替え問題が少しでも解決できたらいいなと願っています。執筆/ゆきみ(監修:鈴木先生より)着替えている最中に遊び始めたりボーっとしてしまったりということは、ADHDの特性である不注意からくることが多いです。いっぺんに全部はできないので、少しでもできたことから褒めてあげてください。ボタンも大きめのものから始めて徐々に小さくしていくといいでしょう。ボタンやヒモが難しい場合はマジックテープという使い方もありです。洋服が着られなかったり、靴を左右逆に履いたり、ボタンができなかったりと、衣食住の「衣」に関する問題は多く聞かれます。一つのヒントを以下に示します。無理をせずできることからやっていきましょう。(引用)くふう3さゆうのくべつをつける“みぎ”と“ひだり”をはっきりさせたら しっぱいせずに着替えることができました。Upload By ゆきみ
2022年02月25日最初の相談は担任の先生、専門家はスクールカウンセラーが窓口だった私が最初に相談した専門家はスクールカウンセラーでした。次女が小学1年生のときに相談したスクールカウンセラーは、私が不安に思っていることへのアドバイスを具体的にしてくれて、とても助かったのを覚えています。そのあと小学校2年生のときに引越しをして、環境の変化などで何か変わるかも?と思っていましたが、そこでも次女の場面緘黙の症状は変わらずでした。新しい学校でも相変わらずしゃべることができない次女。そんな次女に対しての環境や担任の先生の対応、今後親としてどのように見守っていけばよいかなど、とても悩んでいた私は、新しい学校のスクールカウンセラーに藁にもすがる思いで相談したのでした。しかし、そこで言われたのは「学校に来られていて、教室にいることができていれば問題ない、見守るしかない」という言葉でした。「クラスメイトと話せないだけだから大丈夫、5年生くらいになったら話せる子もいるから今は見守るしかない」などと言われました。確かにそこまで心配しなくてもそのうち自然としゃべるようになるかもしれない…でも個人的にはどうしてもそう思えず、ほかの支援先について聞いてみました。支援センターには行く必要がないと言われるUpload By まりまりUpload By まりまりUpload By まりまりこんな感じで、「支援センターはもっと大変な状態のときに相談するところ」ということで、「学校に行けていて、勉強もできている」次女には必要ないというお話でした。今なら、そうは言われても…と疑問に思うところですが、このときは「そういうものなのか…」と素直に受け取ってしまいました。なぜかというと、私自身この問題に対しては初心者で、このときはどうしていいか分からず、どこに相談して、どうするのがベストなのか、なにが普通なのか全く分からない状態でした。そんな中、初めて相談した専門家から言われる言葉の影響はとても大きかったのです。※支援センターは都道府県・市区町村など管轄により相談できる内容が違う場合があります。都道府県:地域の支援の情報を提供してくれます。センターによっては直接的な相談を行っていない場合があります。市区町村:相談などを行っている場合が多いですが、相談種類、件数、予約状況などそれぞれの地区ごとに違うので一度問い合わせてみてください。最初の相談先として病院を選んだ理由Upload By まりまりUpload By まりまりただ、もう自分一人では抱えきれないと思ったことと、場面緘黙の本を読んで、場面緘黙の裏に隠れて発達障害が潜んでいる場合も多かったりするということを知り、その精査のためにもまず病院に行った方が良いのではないかと思い、最初から病院へ行く決断をしました。合わなかったらいろいろなところに相談してみると、選択の幅が広がるこうしてわが家の場合は支援センターには行かずに病院へ行ったわけですが、結局そのあと、継続した支援を受けるためだったり、学校との連携のために、病院の臨床心理士さんの紹介で支援センターにも相談に行っています。次女は病院の医師、臨床心理士、学校の先生、支援センターの担当の方、いろんな方にお世話になっています。ですが、人間同士なのでもちろん相性もあるし、専門性が違えば視点も変わってきます。このことから、もし相手と自分の考えが違ったりした場合、また別の、いろいろな場所に相談してみることも視野を広げるために大事なんだと思いました。そして、自分も分野は違えど支援に携わる者として(作業療法士です)、まずは支援を必要としている方の意見を受け入れ、そのあとにいろいろな選択肢を提示していくことが、安心につながっていくんだな、と改めて思ったのでした。執筆/まりまり(監修:井上先生より)場面緘黙症は不安症の一つに分類されており、単に特定の場所や人と話せないだけではなく、対人関係やそれに関連する不安が強いお子さんも多いです。また、まりまりさんが書いておられるように自閉スペクトラム症との合併がある場合もあります。年度替わりなどの環境の変化に対して困難を感じるお子さんも多いので、引継ぎのために複数の機関の相談先を持つことは、本人や親御さんの安心につながると思います。
2022年02月24日6歳で発語ゼロ、たとえ発語しても言葉でのやりとりは難しそうわが家の息子ほぺろうは現在保育園の年長さん。自閉スペクトラム症と中度知的障害の診断を受けています。ほぺろうはもう6歳ですがいまだに発語がなく…。私としては「喋ったとしても意思疎通として言葉を使いこなすのはまだまだだろうな。だったら発語にこだわらなくてもいいかも…」という気持ちもありつつ、「どこが痛い、具合が悪いくらいは教えてくれるようになってほしい」という願望もあります。なので発語を促すべく『言葉を浴びせる』ことも日々行っていますが、言葉以外のコミュニケーションに力を入れるべきか悩んでいます。Upload By ぼさ子ほぺろうはツールに頼ると発語しなくなるかも?ぼさ子(以下、――): 以前「ほぺろう君は絵カードなどに頼りきると発語しなくなるかも」と言われた経緯があり、わが家では積極的には絵カードを使用していません。もっとちゃんと取り組んだほうが良いでしょうか?三木先生:言葉以外の方法となると、『ジェスチャー』や『ハンドサイン』などがあって、喋らないお子さんのいる家庭で使っている方は多いですね。言葉以外のツールを使うことで喋らなくなってしまうかは正直分からないですが、障害のあるお子さんに限らず1~2歳くらいの子どもだとほかの簡単なツールがあると言葉が伸び悩むというのは理屈としては分かります。ですが、言葉を使う必要性は何か?と考えると「思っていることを伝えたい・相手のことを分かりたい」という『意思疎通したい』欲求なんですね。それに、『頭の中のことを相手に伝える→相手のことを受け取って理解する』という複雑なコミュニケーションが必要・できるという感覚が分からないと、そんなに複雑な意思疎通をする必要性を感じないものです。例えば、絵カードやジェスチャーならしてくれるけど言葉は使わなくてもいいや~くらいのニーズレベルのお子さんだと、絵カードがなければコミュニケーションしなくていいと思っちゃう…なんてことも見られます。Upload By ぼさ子『理念より行動』、良い体験の積み重ね三木先生: ほぺろう君はジェスチャーで意思を伝えてくるんですか?――「ちょうだい」と「ごめんなさい」の2つだけです。Upload By ぼさ子三木先生:二ーズからやっているのか、ものごとがスムーズに進むからやっているのか。『理念か行動か』という議論が子育て全般でよくあるんですけど、子どもは小さければ小さいほど『方法から入らざるをえない』んですね。なんかよく分からないけどこの行動をしたら褒められた→またやろうみたいな。現象からスタートするものなんです。やりとりする経験を積み重ねることで「人とコミュニケーションするのっていいかも!」と思える貯金をしています。絵カードにしろジェスチャーにしろ、やりとりした結果が自分にとって気持ち良いものでなくてはならないので、ほぺろう君に合ったツールを使いながら欲求を満たしてあげて、やりとりが楽しいという経験を積んであげると良いでしょう。自閉の窓が開いたときの経験が心地よければ、閉じていた窓が開きやすくなったり窓が大きくなったりしますよ。Upload By ぼさ子鍵は『欲求と信頼関係』――方法はどれにしろ、「コミュニケーションしたい」という気持ちになる所を目指していくということですね。三木先生: そうですね。それには、閉じた世界の子どもが「コミュニケーションっていいな」と思える構造をつくっていく必要がありますね。例えば、お腹が空いた・喉が渇いた・かまってほしい…など、ニーズを満たしていくことで、安心してもらいつつ、提供者である我々を信用してもらう。赤ちゃんに対して行うことと近しいかもしれませんね。―― この人とならコミュニケーション取りたい!という信頼関係ですね。三木先生:そうそう、カッコ良く言えば『信頼関係』ですね。まぁ子どもには「自分にとって得!」と思ってもらえればいいかな。――なるほど~、今まで『発語がゴール』みたいに目指してましたが、そうじゃないって思えてきました。三木先生:コミュニケーションしたくなるのって『ニーズ』とか『伝えたい』もそうですが、『誰かが喜ぶ』というのも大切な動機なんですよね。ただそれは、「自分のアクションに対して発せられた、相手のリアクションを受け止められる」という態勢ができているかもポイントなので、もしかしたらせっかく親が「わー、すごーい!」とやったとしても反応が薄いこともあるかもしれません。でも、反応が薄くても、「周りが喜んでくれた和やかで穏やかな空気を浴びる」という経験の積み重ねは良いことだと思います。お子さんのアウトプットに対してこちらが反応したとき、期待するほど沁み込んでいないときもあるかもしれませんが、お子さんにどんなインパクトがあったのか観察してみると良いですね。Upload By ぼさ子感想Upload By ぼさ子私は今まで「ほぺろうにとにかく喋ってほしい」「発語が無理ならツールでコミュニケーションしてほしい」と思っていましたが、三木先生のお話を聞いているうちに、「そうか~、ほぺろうは『まだ今は』その段階じゃないかも」と思い、焦っていた自分に気づくことができました(たしかに、ほぺろうは発達年齢が2歳ですし)。でも、いつか出る芽を育てるために「お母さんとやりとりすると楽しい」とほぺろうに思ってもらいたい。そしてそれには私自身がほぺろうとの関わりを楽しむことが鍵という気がしました。対談の中で三木先生が要所要所で、「お母さんが無理しない程度に」と仰っていたのが印象的でした。発達ゆっくりのほぺろうの育児は焦燥感との戦い…なんてこともありますが、力を抜いてユル~く接していく方が、案外コミュニケーション欲求を育てる近道なのかもしれません。Upload By ぼさ子執筆/ぼさ子
2022年02月23日発達の後退?保育園から言われた言葉Upload By まる初めて息子から言葉が出たかな?と思ったのは1歳半すぎ。「バイバイ」や「デンシャ」「アンパンマン」のようなことを言っていた気がしていたのだが、2歳ごろに気がつくとそれらの言葉すら発しなくなっていた。これに関して保育園から「発達の後退が見られる」と言われたときはとてもショックを受けた。発達って後退するの…?もっと話しかけないといけなかったの?などの考えが頭の中をぐるぐる回っていた。しかしその後相談をした支援センターのSTさんに「そもそも発語があったか分からない。なんとなくそう言っているように聞こえていただけの可能性もあるから、発達の後退と言われたことは気にしなくていいよ」と言われほっとした。確かにバイバイに対して毎回「バイバイ」と答えるわけでもないし、「デンシャー!」と言っていた気がしたのもほんの数回だ。ただそうなると2歳過ぎてまだ1つも単語がでてないのかぁ…と新たな不安が生まれたのだ。なかなかない発語に焦るママUpload By まるそれから数ヶ月後、息子は簡単な発音のオウム返しをするようになった。「ぶー」や「ママー」などの一文字だけのオウム返しで、気分がのっているときにしかやってはくれない。一日一回やってくれればいい方だ。一文字だけのオウム返しでも、出てきてくれたことが嬉しくてこちらも必死になる。「ママーて言ってみな!ママー」と言ってくれるまで風呂場でしつこく詰め寄ったり、抱っこしてほしくて手を出して待っている息子に対して「ッコー!(抱っこ)って言ってみな!ほらっ!ッコー!!言うまで抱っこしないよ!」と無理強いして泣かせてしまったりした。私は何をしているんだろう…焦ってイライラしてしつこくして、息子に対して申し訳ない気持ちが溢れ、泣いている息子を抱きしめながら私も泣いた。ついに出た!初めての単語Upload By まる初めて自信を持って言葉が聞き取れたのが2歳11ヶ月のころ。保育園からの帰り道に車でバス停の横を通り過ぎたときだった。「ほらバスがいるねー。バース」その道を通るときは決まって同じことを言っていたので、なんの気もなしにいつものように独り言のつもりだった。「パフ」と息子が言った。え、うそでしょ??私がまた「バス」と言うと「パフ」と返してくれる。ええええええええ!言えるの??急に??本当に急でびっくりした。あれだけ毎日喋りかけていたことが無駄じゃなかったんだ、この子は喋れるようになる。喜びと安心感で泣き叫びながら帰宅した。好きなものから広がる言葉Upload By まる「パフ」が出てから数ヶ月、ものすごく単語が増えてきた。オウム返しも最初は一文字しかできなかったが、徐々に真似する文字数が増えていっている。驚いたのは大好きな電車の種類を覚えたり、電車の塗装から色を覚えだしたりしたことだ。黄色い電車が来ると「キイロー!」青い電車が来ると「アオー!」と叫んで教えてくれる。そしてついに、電車を見ながら初めての二語文「デンチャ、バッバーイ!」が出てきた。これも突然だったので駅のホームで驚き、泣きながら息子を抱きしめたのを覚えている。好きなもの、興味があるものから世界は広がっていくんだと実感し、今では休みのたびに電車を見るために駅へ行っている。これからの成長が楽しみUpload By まる現在は単語は少しずつ増えていっているが、二語文は増えないし会話をすることもまだまだできない。「◯◯はどこ?」などの問いかけにまったく答えられない状態だ。前の私ならこの状況に焦りを感じていたかもしれない。でも一年前にはまったく出ていなかった単語が、今はどんどん増えている。私が焦っても仕方ないし息子は確実に成長しているのでゆっくりと見守っていきたい。私も心に余裕ができて成長したなぁと思う。また数ヶ月後、一年後にはどんな言葉を話しているか、どんなやり取りができるようになっているか今から楽しみだ。(執筆/まる)(監修:初川先生より)発語の遅さについてのご心配、臨場感を感じながら読ませていただきました。共に過ごす時間が長い家族だからこそ、保護者からすると、不明瞭な言葉・音であっても、それなりに聞き取れてしまうけれど、あたらめて考えてみると言葉と呼べるほどのものではないかもしれない…という不安をお持ちの保護者もいらっしゃるかと思います。体はすくすく育っているのに、言葉が出ないままだったらどうなるんだろうという不安は、発語の遅いお子さんを育てている保護者の方にとって強烈に感じられることもあり、焦るのも自然なことに感じます。ただ、まるさんも語られているように、お子さんに迫ったところで発語できるわけでもない(だからこそつらい面もありますね)。具体物の名前を教える、子どもに分かりやすい言葉を聞き取りやすく話すなど、言葉が育つ土壌を地道に耕しながら、また、言語聴覚士の先生などのご助言もうかがいながら、言葉が発せられるときをゆったりとした気持ちで待てるといいですね。まるさんの書かれているように、お子さんはお子さんのペースで成長していると思います。保護者の方はそこをぜひ見逃さず喜べるといいなぁと思います。
2022年02月22日担任と加配の先生から発達検査を提案されてゆいは勉強のつまずきや友達がなかなかできないなどあり、担任の先生と加配の先生から「発達検査を受けてみては?」と提案があり、発達相談センターに連絡を取ったのが4年生の3学期。すぐに検査をお願いしたのですが、予約が取れるのが一番早くて3ヶ月後と言われ驚きました。実際に検査を受けたのは5年生になってからです。Upload By 吉田いらこゆいに発達検査を受けることを言うと…検査の数日前、ゆいに発達検査を受けるよう話をすると「私がバカだからそのテストを受けるの?」と落ち込んでいました。焦って違うと説明しましたが、私の言葉が全く響いていないようでした。もうこの年齢になると、学校で友達と比べて、自分にはできないことが多いのではないかと少しずつわかってくる年齢なのだと思います。ゆいは完全に自分はダメだと思っているようでした。どれだけ親が訂正してもそのように受け止めてしまうんだな、と悲しくなってしまいました。確かに原因としては勉強につまずきがあるから発達検査を受けることになったのだけど、自分のことをダメな子だとは思ってほしくない。高学年になり、いろいろな物事を理解できるようになったゆいに発達検査を受けることに対してどのように説明したらよかったのか。今でも正解が分からず、悩んでいます。Upload By 吉田いらこ発達検査の結果は発達検査当日は学校を休み、新版K式という検査を受けました。発達検査を受けることに対して落ち込んでいたゆいでしたが、当日は落ち着いて検査を受けられたようでした。 そして検査の結果は『通常より2年程度の遅れがあり、療育手帳の申請対象に当たると』いうことでした。このときに、事態は自分が考えているよりもっと大ごとなのだと分かりました。ちょっと勉強が苦手なだけだと思っていたのに…うちの子は手帳が発行されるくらい遅れがある…?胃がギュッと縮まった感覚がありました。Upload By 吉田いらこただひとつ、このときに『療育手帳ってなに?』という疑問があったのですが、質問できませんでした。そのことを質問する余裕もないほど頭がいっぱいになっていたのです。この時点では、障害者手帳は聞いたことがあっても療育手帳というものがあることは知らず、療育手帳が知的障害のある子に発行されるものだというのは、帰宅後にネットで検索して知りました。(※自治体によって「療育手帳」の名称が違う場合があります。)参考:療育手帳について(厚生労働省)Upload By 吉田いらこ検査結果の説明のときにはっきり「軽度の知的障害があります」と言われるのではなく「療育手帳を申請できます」と言われるのが私としてはキツイいなあと感じました。手帳を取るか取らないか、保護者が自由に選べるということなんですよね。これがまた、『わが子を障害者にするもしないも保護者次第』と言われているようで、自由に選べる反面、責任が重くしんどいなと感じました。一通りの説明が終わったあと、スタッフの方に「この結果についてどう思われますか?」とクールに問われたのですが「どうと言われましても…」と固まってしまいました。そのときの私は事実を受け取ることだけで頭がいっぱいで、感想どころの話ではなかったからです。Upload By 吉田いらこでも逆にスタッフの方がとても事務的だったのが、私にとっては嬉しかったです。淡々と事実だけを説明してくださる、それだけでいいのです。説明された側は少なからず動揺している状態なので、ここで変に慰められたり、励まされたりしていたら感情の壁が決壊して大泣きしていたと思います。Upload By 吉田いらこまた、この日検査を受けた発達相談センターでは、発達障害の診断までは下りないと言われたので、後日発達障害の診断をしてくれる個人クリニックを探すことになりました。やっと見つけて予約を入れましたが、ここでも一番早くて検査は3ヶ月後と言われ、どこも混んでいるのだなと笑ってしまいました。執筆/吉田いらこ(監修:井上先生より)いらこさんが仰っているように、検査の前にお子さんに検査の内容を説明するのは難しいですね。発達検査や知能検査をするメリットは単に数値を得るだけでなく、検査結果を支援に活用できることです。目から入る情報処理は得意だけど耳から入る情報は苦手など、自身の知的能力の強みや苦手さの特徴がわかることで、適切な支援や配慮に役立てることができます。検査からわかる具体的な認知特徴や適切な支援について教えてもらえるとよいと思います。相談機関や発達検査、知能検査の種類によっても異なりますが、ある程度は答えてもらえると思います。すぐに質問をする余裕などないときには後日改めて問い合わせをしても良いと思います。
2022年02月21日1クラスが、2クラスに!?しのくんの誕生日は3月30日。ちょうど3歳になったころに、年少さんへのクラス替えがありました。今までずっと、しのくんの同年齢クラスは1クラスしかありませんでしたが、年少さんから幼稚園枠のお友達が増えて、2クラスになりました。Upload By keiko集団行動が苦手で、一人遊びが好きなしのくん。そんなしのくんにも、一人だけお友達がいました。その子の名はYくん。一緒に手をつないで園庭で遊んだり、Yくんがキックスケーターで遊んでいるのを見て、しのくんもキックスケーターに乗れるようになったりと、とても仲がよかったそうです。当時しのくんにはいつも遊ぶような特定のお友達がいないと思っていた私は、この話を先生から聞いて、とても嬉しかったのを覚えています。ですが…Upload By keikoその、唯一と呼べるYくんとは、クラス替えで別のクラスになってしまいました。そして、担任の先生も変わってしまいました…。またそのころ、しのくんが集団行動できるように療育にも力を入れ始めたりと、しのくんの周りの環境が目まぐるしく変化していきました。Upload By keiko環境の変化からか、しのくんに異変が…?!新しいクラスになって3日ほどたったある日……。環境の変化からか、しのくんに異変が起きました。Upload By keikoお昼寝しているときに、急に大泣きし始めたのです。Upload By keikoしのくんは、寝ながら大泣き。「しのくん!」と声をかけても起きません。全く起きる気配もなく(どうしよう?)と焦る気持ちばかりが膨らみました…。普段、こんな風に泣くことはなかったのでとても心配しました。Upload By keiko10分ほどすると、スーッと嘘のようにしのくんは泣き止み、何事もなかったかのように寝ました。こんな様子が毎晩続きました。当時、病院には行ってないので、ハッキリとは分からないのですが…今思えば、ストレスや不安から、寝てる間に大泣きする「夜驚(睡眠時驚愕症)」だったのかもしれません。参考:睡眠不足や睡眠障害、子どもへの大きな影響|e-ヘルスネット(厚生労働省)Upload By keikoしゃべることができなくても、いろいろなことを感じとり、それがしのくんにとって、ストレスや不安の原因になっていたのかもしれません…。何日も夜中に大泣きをする様子が続いていたので、このことを保育園の先生にも連絡しました。どうなることかと思いましたが、幸い一週間ほどで症状は落ち着きました。現在あれから一年経ちますが、再発はありません。家では、自分の気持ちを話すことが難しいしのくんの気持ちに寄り添うように努めています。保育園の担任の先生が、なにかあるたびに「しのくんの気持ちに添ってやっていきますね!」と言ってくださいます。また、加配の先生も一人しのくんについてくださっているのもあって、しのくんはとても楽しそうに、保育園へ通っています。これからもいろいろな方のサポートに感謝しながら、しのくんの気持ちに寄り添って頑張っていこうと思います。執筆/keiko(監修:初川先生より)環境の変化は子どもにとってなかなかのインパクトがありますね。自分の気持ちを言葉で表現できないからこそ、また、自分のその不安や戸惑う気持ちが何であるかまだ分からないからこそ、泣くという形で表出したのかなと思います。ほかにも、怒りっぽくなるなど出し方はさまざまあります。しのくんのそういう姿に、保護者も戸惑いますし、不安にもなりますね。保育園の先生にご連絡されてよかったです。変化に戸惑うことを園とも共有し、できるだけ変化の大きさを小さくしてゆく、あるいは安心できるように声掛けなどに工夫するなどができると思います。仲の良いお友達とクラスは別れてしまっても、隣のクラスにはいるのだ、と目で見て確認したり、新しいクラスではそもそも不安でいっぱいになりがちなので先生から見通しをこまめに声掛けしてもらったりするなどができるかもしれません。変化の時期はどうしても不安と戸惑いが高まりやすい時期です。大人でも変化の多い「春」が苦手な人は結構いるのではないでしょうか。変化への準備をしつつ、来た変化の幅を小さくしつつ、変化というものを経験してゆくことが成長の1つになってゆくと思います。変化の多い時期は子どもは一時的に不安定になりやすいという大人側の心の準備も次第に上手になってゆくことと思います。
2022年02月20日特性、不登校…わが子の進路、どうしたらいいの?小学校、中学校と違い、高校、大学選びは選択肢も広がり迷ってしまう方も多いと思います。今回はそんな進学についてのコラムをまとめてご紹介いたします。今振り返る勉強に取り組めなかった理由、就職率と高卒資格で迷ったとき、ASD息子の大学選び、私立中高一貫校のメリットデメリットなどなど…進路に迷ったときのヒントになりそうなコラムがたくさんです。興味はあるけれど一体どんなところなの?と思っている方も多い「通信制高校」についての特集サイトも期間限定でオープンしています。発達が気になる子の進路選びに役立つ「通信制高校特集2022」高校選びは保護者さまにとってもお子さんの大きなテーマの一つ。発達ナビではそんな保護者のみなさんの関心の高い「通信制高校」について紹介する特集サイトを期間限定でオープンしました!4つの通信制高校について、特徴やサポート例などを紹介。3/26(土)には無料オンラインセミナーも開催予定!発達が気になる子、不登校の子の進路選びをサポートします。通信制高校ってどんなところ?勉強や日常生活を大公開!「感覚過敏研究所」を立ち上げ、感覚過敏当事者として課題解決に取り組んでいる加藤路瑛さん。加藤さんはその特性から私立中学を中退、公立中学校に籍を置きながら角川ドワンゴ学園のN中等部に通いました。その後、S高等学校のネットコースへ進学した加藤さんのリアルな学校生活を紹介します!頑張る時期が周りより5年ズレてた!?ADHD息子の見つけた勉強法とはADHDと広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)があるリュウ太くん。感覚過敏などの特性から教室にいることがつらかったり、教室での勉強に集中できないことがほとんどでした。現在23歳になったリュウ太くんに高校受験の時期に受験勉強に真剣に取り組めなかった理由を改めて聞いてみました。就職率?高卒資格?障害のあるわが子はどちらが良い?「特別支援学校高等部卒業だと、就職するとき中卒扱いとなってしまうから不利になると聞いたよ」と知人から言われたことのある立石さん。果たして本当にそれは企業就労するとき「不利」なのでしょうか。特別支援学校高等部に入学した知的障害を伴う自閉スペクトラム症の息子さんの進路指導エピソードです。「楽しい勉強しかしたくない」ASD息子の大学選びASDがあり、得意科目と苦手科目の差が激しいタケルくん。苦手な英語に対して「楽しくないから勉強したくない」と爆弾発言!そんなタケルくんの大学選びのポイントや、先生からの特性を生かした苦手科目克服のためのアドバイスなどを紹介します。ASD当事者が振り返る、私立中高一貫校のメリット、デメリットASDの特性もあり、周囲となじめずにいじめられていた公立小学校時代。お兄さんが両親に頼みこみ私立中学校に進学した宇樹さんが、当事者として私立進学校のメリット・デメリットや進路選択についてを振り返ります。まとめ公立高校、私立高校、通信制高校など学びの選択肢はさまざま。セミナーやオープンスクールを活用して、お子さんに合った進学先を一緒に相談して決めていけると良いですね。お子さんにも保護者のみなさんにとっても前向きな選択ができますように。
2022年02月19日突然スイッチが入る「頑なモード」…譲れないコウとの押し問答!Upload By 丸山さとこ先日、コウが調理実習の宿題をしていたときのことです。「教科書の手順を見ながら料理をつくり、その過程をタブレット端末で撮影し提出する」という宿題なのに、材料の段階で撮るのを忘れていたコウは「もう切っちゃった…」と大慌て!パニックになりかけている彼に「材料の残りを撮れば大丈夫だよ」と言うと、コウは「それは今つくっている料理の材料じゃない」と頑なに拒みました。Upload By 丸山さとこ「じゃぁもう一度つくり直す?」と聞くと「ここまで作ったのに!」とは言うものの、”宿題として今つくっている料理”と、”調理された食材の調理前の写真”にこだわるコウ。しばらく押し問答したのちに、しぶしぶ納得してくれたコウは、その後調理が進むにつれて落ち着いていき、無事に宿題のレポートも提出することができました。調理前の食材を撮るという課題に対して「今使っている食材」と「袋にまだ残っている食材」を”同じ物”と認識しないコウを見て、『今でもこういうことってあるんだな~!』と少し驚きました。「食材の状態で写真を撮ったあとで、それを調理するという段取りだったはずだ」「もう切ってしまった食材の”調理前”の状態を撮ることはできないのだ」というコウの認識そのものは正しいだろうと思います。ですが、次善の策として”残っていた食材を撮る”という選択をできないほど強固に「この食材(調理済)と、あの食材(袋に残った物)は別の物」と考えるのは、小学6年生の子どもとしては融通のきかない認識の仕方だな…と感じます。Upload By 丸山さとこそのような融通のきかなさは、小学1年生のころまで多く見られましたが、今では大分減ってきました。そのことにより本人も周りも楽になった反面、”抜け道を探して解決しようとする行動”が増えたことで、新たに増えてきたトラブルもあります。かつてはルールに厳密過ぎて困ったときもあったのに、今度は「勝手なルール変更」で手を焼くことになるとは!…と思うと頭を抱えたくなりますが、それもまた成長の過程の一つなのだろうなと思います。上に載せた”融通がきかないコウ・抜け道を探すコウ”を対比したイラストを見たコウは、「これ、どっちの僕も『人の話』を聞いてないね」と言いました。Upload By 丸山さとこ私も、その通りだと思います。融通がきかないほうのコウは、一見すると”自分の外にある条件”に合わせて行動しているように見えます。ですが、”自分が取り込んだ条件”に従って行動している状態のため、外から条件を変えようと働きかけても中々通りません。そのことに気づいたコウは、以前より自分を客観視するようになったのだなと思います。改めて”コミュニケーションは大切”なのだなと思いました”融通がきくかどうか”について「変更を受け入れて柔軟に対応することができるかどうか」という点から振り返ってみると、コウは少しずつ確実にその力をつけているのではないかと思います。Upload By 丸山さとこ「融通がきかない状態」から「融通はきくが、自分に都合のよい解釈や思い込みが多い状態」を経て、「人の話(都合・考え・気持ちなど)を聞き、自分の話を伝えることができる状態」「お互いに納得できる点を探したり交渉したりできる状態」になっていけたらいいなと思います。『人を認識して、人と社会と自分との間で情報交換をして意思の疎通をはかることは大切なことなのだな…』と、コミュニケーションの意義の深さを改めて考えた調理実習の一コマでした。執筆/丸山さとこ(監修:初川先生より)融通の利かない自分、抜け道を探す自分の絵を見て、客観的に「どっちも人の話を聞いてないね」と言えるコウくん、素晴らしいですね。まさに成長してきているのだなと感じます。調理実習時のエピソードは、たしかに久しぶりの“融通の利かない”エピソードなのだと思いましたが、それほどに調理実習への真摯な思いもあったのかなと感じました。幼いころに融通が利かなかったのは、発達段階的にその域で留まっているという面もあると思いますが、一つひとつの出来事への並々ならぬわくわく感や緊張などもあったのではないでしょうか。成長するにつれ、初めてのことであっても、だいたいこんな風な展開になるだろうとざっくりとした予想ができたり、これまでの経験から、初めてあるいは経験の浅い事柄自体へのゆとりも持ちやすくなってきているのもありそうだなと感じました。認知様式もコミュニケーションも、さまざまな段階を経て変化し続けるものであると思います。成長という大きな方向性もある一方で、経験によって向きが変わることもあるかもしれません。ともあれ、その段階がゴールなのではなく、変化し続けると周りの大人が思えることも、お子さんにとってはおおらかな眼差しで包まれることとなり、きっと成長の一助となるでしょう。
2022年02月19日1週間ToDo タスクチェックリストボードの商品開発モニターを担当発達ナビ×フェリシモコラボの、発達が気になるお子さんや保護者さまが便利で快適に過ごせるためのグッズづくりに参加させていただきました!私は『できたらチェック!色が変わるから一目瞭然(りょうぜん) 1週間ToDo タスクチェックリストボード』を担当しました。※詳細ボタンをクリックすると発達ナビのサイトから株式会社フェリシモのサイトに遷移しますUpload By 寺島ヒロ曜日ごとに異なる日々のルーティンを、ワンタッチでチェックすることができるタスクボード。お薬の管理や、曜日ごとに入っている習い事の準備や、勉強の目標などを可視化して、習慣化するお手伝いアイテムです。裏にマグネットがついており、冷蔵庫など目につきやすいところに貼って使えます。Upload By 寺島ヒロ見本のタスクボードが到着したので、早速、息子のタケル(21歳・ASD)と、娘のいっちゃん(14歳・ASD)にお披露目。「色がかわいい!」「薄いのにつくりがしっかりしてる!」と反応は上々です。いっちゃんには、非24時間性睡眠覚醒症候群という睡眠障害があります。生活時間が毎日少しずつずれていくので、「朝7時だから朝ごはん」「夜7時だから晩ごはん」などと時間を目安に生活習慣をつけることが難しいのです。また、絵を描いたり、ピアノを弾き始めると、お腹が空いたことにも気がつかず何時間でも熱中してしまう特性があります。そのため、しばしばごはんを食べ忘れたり、薬を飲むタイミングが分からなくなったりします。Upload By 寺島ヒロタスクは以下の5項目でつくりました。・朝ごはん・昼ごはん・晩ごはん・発声練習・薬朝ごはんを食べたらチェックをして、ボタンの色のついた面を表示させます。昼ごはん、晩ごはん…と順にタスクを達成して、チェックをしていくとカラフルなボタンが並んで見えるようになるという仕掛けです。いつでもふと目をやれば、まだやってないタスクがわかるので、いっちゃんにはとても向いているようです。モニターをやっていた1週間の間、ごはんを食べ忘れることもなく、薬も一人できちんと飲むことができました。※カタログなどではスライドして色を消す提案をしていますが、逆にするなど好みに合わせて自由な使い方ができます。さて今回は、実際に見本のタスクボードを娘と使いながら、気になったところや、もっとこうだったら嬉しいなどの要望を、いくつかフェリシモさんに伝えてさせていただきました。例えば、冷蔵庫や玄関などに取り付けるためのボードの裏のマグネット。マグネットつきはとても良いアイデアだとは思いますし、ない方がいいというわけでは決してないのですが、実は、わが家には冷蔵庫がありません。もう一回言います。冷蔵庫はありません。詳しくは上記のコラムを見ていただきたいのですが(笑)、私はフタのある収納がとにかく嫌いなのです!冷蔵庫がないというご家庭は今どき珍しいとは思いますが、すでにほかの掲示物が定位置になっている場合も多いと思いますし、今ある掲示物が移動させられてタスクボードに変わると、環境の変化に弱い発達障害のあるお子さんには、思わぬ負担になってしまうかもしれません。そこで「マグネットで冷蔵庫に貼る以外の選択肢が用意されていてほしい、例えば紐を通して吊るせるようになっているとかはどうか?」と、企画担当者さんにお伝えしました。すると、次に見本ができたときには、紐を通せる金具がついていました!企画担当者さんに聞くと「お手持ちの紐を取りつけてもらえるように改善しました」とのこと。フェリシモさんのユーザーに寄り添った商品づくりへの情熱を感じた出来事でした。Upload By 寺島ヒロ一方、お兄ちゃんのタケルは、メールチェックとゴミ出し、それから運動不足解消のために時々やっていたランニングをタスクにしました。元々きっちり物事を進めていかないと気が済まない性格のタケル。やるべきことを忘れることは、ふだんはほとんどないので、今回はまあ使い心地をみるだけって感じかな、と思っていました。が、初めてみると意外な効果があらわれました…!ランニングは毎日やっていたわけではなかったのですが、タスクボードにチェックを入れていくと、ランニングのボタンだけ白いまま残ってしまうので、なんとなく気になってしまうようです。毎日ランニングに行くようになり、1週間を過ぎたころには目に見えてお顔がスッキリ!測ってみると4kgも痩せていました!いつも見えるところにタスクボードがあると、良い習慣をつけることにも繋がっていくんですね。Upload By 寺島ヒロ執筆/寺島ヒロUpload By 寺島ヒロUpload By 寺島ヒロUpload By 寺島ヒロ※詳細ボタンをクリックすると発達ナビのサイトから株式会社フェリシモのサイトに遷移します【NEW】LITALICO×CCP できたらチェック! 色が変わるから一目瞭然 1週間ToDoタスクチェックリストボード1セット¥2,980(+10% ¥3,277)→うち5円は「CCPチャレンジド応援基金」として運用されます。(基金部分は非課税)※この商品は、お申し込みいただいた月だけお届けします【発達ナビ×フェリシモ】 発達障害フレンドリーなグッズづくり第4弾が始動します!発達障害があったり、発達障害グレーゾーンであることによる日常の困りごとをぜひ教えてください。
2022年02月18日聴覚過敏の指摘聴覚過敏とは感覚過敏の一つで耳に入ってくる環境音に対して、不快感や苦痛をともなう状態を指します。むっくんが聴覚過敏を指摘されたのは診断を受けた3歳半のころでした。それまで音によく反応する耳のいい子だなとは思っていましたが、耳をおさえたり音を嫌だと訴えたりすることはなく音でつらい思いをしているなんて考えたことはありませんでした。だけど、音と癇癪を記録してみると音に晒されると過度に疲労してしまうようで、いつも以上に癇癪を起こしがちになっていたことが分かりました。Upload By ウチノコむっくんの苦手な音むっくんは大きな音や特定の音が苦手というよりは、人の会話に長時間晒されることをつらく感じるようです。自分に関係のない周囲の人の会話を次々と聞き取り脳内で理解し反応するため、それが長時間になると疲れ果ててしまうのです。また、怒りを含んだ声なども全て自分に向けらているように受け取りがちで、関係ない時も必要以上に恐怖を感じてしまいます。また、むっくんの音に対する反応は不安感の強さや体調によって変化するようで、不安や緊張を感じていたり疲れや眠気があったりするといつも以上に音に過敏になりストレスを感じるようです。Upload By ウチノコ音を減らす工夫4歳のころに21db程度の遮音性のあるイヤーマフを購入しましたが好んで使うことはなく「イヤーマフで音が聞こえにくくなることも不安だ」と訴えていました。生まれ持って音を聞き取りやすい特性があるため、暮らしの中で聴覚情報に頼る場面が多いからではないかと感じています。ただ、弟が泣くと自分からつけることもあり一定の効果はあるのだと思います。Upload By ウチノコイヤーマフで音が小さくなることが不安だけど、音をつらく感じるときは遮音性の低い耳栓を好んでつけています。私が付けてもさほど変化を感じませんが、本人は「ないのとあるのは違う、あると安心できる」と話します。外出時は耳栓を好むことが多いのでカバンに常備していますが、イヤーマフよりも持ち歩きやすいので助かっています。6歳のときに買いましたがイヤーマフと同様にあまりつけることはありませんでした。ところが、8歳になった今はヘッドホンをつけて好きな曲をかけながら自宅学習しています。普段なら気になってしまう周囲の雑音が聞こえないので学習に集中しやすいと話しています。高額なため購入時に家電量販店の店員さんに相談しましたが、その方が聴覚過敏をご存じでその上で商品説明をしてくださって。それがとても嬉しかったことを覚えています。Upload By ウチノコ音の少ない環境づくりむっくんは長時間音に晒されると疲れるので、テレビを長時間つけないなど音の少ない暮らしを心がけています。小学生になり自室をつくったことで、家族の生活音に疲れたら自分から部屋へ行き静かに過ごす様子も見られるようになりました。また、音に晒される時間が2時間を超えてくると疲れて自制が難しくなる傾向があるので、外出や友達と遊ぶ時間などは2時間を目安にするなど疲れすぎないように計画的に過ごしています。Upload By ウチノコむっくんは人が多いところ苦手なため一緒に出かけるときはできるだけ人の少ない場所や時間帯を狙い、買い物などは30分~1時間くらいで終える努力をしています。また、外出はできるだけ車を使います。というのも、車は静かな個室になるのでどこへ行ってもすぐに休むことができるからです。集団生活はやはりつらいようで、周りがうるさくてやりたいことに集中できないと訴えていました。少しでも楽になるように集団生活の場にはイヤーマフや耳栓を持っていきました。また、むっくんは園時代に声の大きい友達を過度に怖がり他害に至ることもあったため、保育所等訪問支援をしていただいた専門家から「声の大きい子とは別のクラスにしたり席を離す」「教室が騒がしいときは別室で休める」などの配慮を行い安心できるようにしてあげてとのアドバイスを受けたこともあります。小学校ではむっくんは特別支援学級を選択しましたが、これも音を意識した部分が大きいです。特別支援学級は通常学級よりも人数が少ないので音も少なくてすみますし、音に疲れたときに休むスペースが確保しやすいのです。現在は不登校を選んでいますがそれでもときどき学校に行けるのは特別支援学級だからだと感じています。音に敏感なことは強みにもなる感覚過敏と聞くとデメリットが浮かびやすいかもしれませんが、一方でむっくんは耳からの情報だけで学ぶことが得意で聴覚情報を使った学習に強い人だなぁと感じています。英語の発音などの聞き取りも得意で、調子がいいときは複数の人の会話を同時に聞き取り理解できることもあるようです。こういった部分はむっくんの人生を豊かにする力を秘めているように感じています。今はまだ聴覚過敏との付き合い方を模索している途中ですが、さまざまなツールの力を借り環境を整えながら持って生まれた聴覚の力と上手に付き合って生きていけたらと思っています。執筆/ウチノコ(監修:初川先生より)冒頭「音と癇癪を記録してみると」が、まず素晴らしいですね…!保護者の方の感覚として、“こういうときはこんな風になる気がする”という法則性ももちろん大切ですが、そこに客観的に見てみるために記録をつけられたのですね。自分の感触の裏づけ、予想との違いなど、さまざま気づくことができるので記録をつけてみるのはおすすめです。聴覚過敏に限らず感覚過敏は一般的に、本人のコンディションによって、特に不安によって増悪することが研究からもここ最近指摘されているところです。コンディションがよくないときには、いつも以上に過敏になってしまう面はその通りです。そして、聴覚過敏とうまく付き合うためのツールとしてのイヤーマフなどを試してみたことの詳細も、同じように悩む親子の方にとって、とても参考になりますね。もちろんどれを好み、使っていくかはその子次第ですが、情報として知っておくと導入しやすくなりますね。
2022年02月18日認知能力と非認知能力の違いって?みなさんは、「非認知能力」という言葉をご存じでしょうか。昨今は、学力やIQといった数値では計れない、協調性やコミュニケーション力、思いやりなどを指して「非認知能力」と称し、「非認知能力が大事だ」という風潮もあるようです。でも、実は、「非認知能力」という言葉はあいまいで、何を指すのかといった決まった定義がありません。それにわざわざ非認知能力という言葉を使わなくても、協調性などが大切なのは誰でも知っていることです。一方で、例えば、相手の表情をしっかりと見て、あわてているのか、怒っているのかを察するには、「見る力」も「想像する力」も必要でしょう。見て、想像する力は認知の力そのものです。相手の表情を読んだり、人の気持ちを想像したり、次に何をしたらいいのかを考えるには、すべて「認知の力」が土台になっているはずなのです。「認知の力」には5の要素が含まれるでは、「認知の力(認知機能)」とは何でしょう?それには、「注意」「記憶」「言語理解」「知覚」「推論・判断」という5つの要素が含まれます。そして、この5つの要素を強化させるために、考案されたのが「数える」「覚える」「写す」「見つける」「想像する」力を伸ばすトレーニングです。題して「コグトレ」です。コグトレとは、「認知機能に特化したトレーニング」で、Cognitive(コグニティブ:認知)とTraining(トレーニング)の頭文字をとったものです。Upload By 宮口幸治開発までに5年かかったトレーニングこれまで、児童精神科医として少年院で勤務をしたり、とある自治体の教育相談などを受けたりして、子どもたちと向き合ってきました。すると、「見る・聞く」「数える・想像する」といった認知機能が弱くて、学業不振につながっているケースが多いことに気づきました。現在、提供しているコグトレは、約5年間の歳月をかけ開発し、医療少年院でトレーニングを実施して検証し、手ごたえの得られた認知機能強化トレーニングをアレンジしたものです。勉強ができなくてつらいのは子ども自身教育相談を受けていると、「勉強ができない」ために一番つらいのは子ども自身だとよく分かります。学校には、基本的には授業を受けて、教科学習をしに通っているわけですから、毎日長くいる場所で、肝心のことができていないのだとしたら、それはつらいでしょう。将来の進路にもかかわってきますし、自分の力で生きていくためにも、勉強は大事なのですが……。「学習の土台」はトレーニングで高められる例えば、簡単な図を見ながらそれを正確に写すということができなければ、漢字はなかなか覚えられないでしょう。漢字が覚えらなければ教科書がだんだんと読めなくなってきます。そこで、漢字の練習の前にしっかりと形を認識して模写する力、いわば「学習の土台」となる力をトレーニングで高めていく必要があります(課題例「点つなぎ」「くるくる星座」)。Upload By 宮口幸治また、記号や絵柄を5個、6個とまとめて囲むといったことができなければ、計算で必要な「数を量としてみる力」が育っていないため、計算が苦手になってしまいます。コグトレではそこをトレーニングしていくのです(課題例「コバケをまとめる」)。Upload By 宮口幸治ほかにも、共通点、相違点を見つけるトレーニングは、算数で数字の並びからパターンを見つけることにも役立ちますし、人の顔や表情を見分けるのにも役立つでしょう(課題例「違いはどこ?」)。Upload By 宮口幸治「できないこと」をひたすらやらせるよりも簡単な計算ができない、基本的な漢字が覚えられない、などがあれば、どんどん難しくなっていく勉強についていくのはどうしても難しくなります。だからといって、ひたすら漢字の練習をさせる、ひたすら計算ドリルを解かせるというふうに「できないこと」をやらせようとしても、効果的ではありません。漢字や計算といった学習の下には、「写す」「数える」「見つける」といった土台があります。そこはトレーニング次第で伸ばしていける可能性があるのです。「できないこと」をやらせるよりも、まずは遊び感覚でできるパズル問題からチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
2022年02月17日いつか片づけができるようになる?みん(以下、――):自閉スペクトラム症のある6歳のPは、自分の身近なところにお気に入りの絵本やおもちゃを置いておきたいようで、いつも机の上やベッドの上にそれらを並べていっぱいにしています。寝るときも寝るところがないくらいおもちゃを広げてその上で毎日寝ています。片づけようと頑張ってみたのですが、片づけたら片づけたでパニックになってしまうので、安心して遊んだり寝たりするために今はもう片づけないようにしています。いつか片づけができるようになるのでしょうか?Upload By みん三木先生:何かで片づけの動機づけをすることが大事ですね。でも家で片づけをするモチベーションや理由をつくるのは難しいですよね。外(療育園)では、片づけに苦痛を感じている様子はあるのですか?――外(療育園)では嫌そうにしながらも習慣づけとしてできてはいます。片づけないと給食が食べられない、外へ遊びに行けないなど、療育園で過ごしていると片づけをする理由があるので、何とかしぶしぶと片づけをしているようです。なので、家でも同じように、片づけたらおやつが食べられる…など動機づけをしようと頑張ってはみましたが、出しているおもちゃの量が量なので、全部片づける気にはならないみたいです。でもそれなら私が片づけをしてしまおうとすると、「それは片づけないで!」と怒ってしまいます。Upload By みんもうすぐ小学校1年生のPに効果的な動機づけは…三木先生:いきなり全部を片づけるのは難しいと思うので、段階的におもちゃの数を減らしていくのはどうでしょう? 最初は例えば10個あるとしたら、そのうちの2つは片づけて、8個は置いておいて良いことにする。次のステップで7個…次は6個…と最初から全部片づけようとしなくてもいいかもしれません。おもちゃを8個に減らしたら しばらく8個で様子をみて、8個に慣れたらまた減らしていくなど、スモールステップで徐々に習慣づけをしていく。あとはおもちゃを減らしていく場合、可能であればルール説明をあらかじめしておくと良いと思います。1週間前くらいから「この日からおもちゃを減らしていくよ」と確認をするなどですね。また、何であれ理由があると人は納得しやすいので、例えば「7歳になったから片づけしようね」と言ってみるのはどうでしょう?本人が急に変わるというよりは自覚やマインドの問題で、その子が納得さえするなら大人から見たら納得できないような理屈でも動機づけをすればOKだと思います。――なるほど!例えばPはもうすぐ小学校1年生になるので、「1年生になったんだから」という動機づけの仕方も、もしかしたら効果的かもしれません。三木先生:環境も大きく変わり良いタイミングだと思うので、今から「1年生になったらどんな風にする?」と親子で話し合い本人のモチベーションを上げてみては?気分を上げることができれば理屈が真っ当じゃなくても良いと思います。「小学生は10個しかベッドにおもちゃを置かないんだよ!」などと伝えてもいいかもしれません。良いこだわりに置き換えてくれたら良いのですが…。また、本人の中にあるこだわりの総量は変わらないと言われているので、いかに害がない社会適応的なものにこだわりの内容を置き換えられるかがポイントですね。――そうですね!片づけを頑張る理由を与えるのは良いかもしれませんね!Upload By みんなぜ片づけたくないのか三木先生:それから、ベッドに物をたくさんおいて寝るというのは、何かが体に触れてた方が良い場合もあるかもしれません。布団で優しく包み込んであげたりすると落ち着くかもしれませんね。――たしかにPは狭いところにお気に入りのものをたくさん入れて、感情が不安定になったときなどは、そこで過ごすことで気分を落ち着かせたりしています!もしかしたらベッドにも自分なりに落ち着く空間を作っているのかもしれません。三木先生:例えば片づけのエリア分けをしてあげるように、ベッドもエリア分けをして「ここからはお母さんのスペースだからはみ出たらおもちゃは片づけるよ」と伝えて、でも自分のスペースなら置いても良いとしていくのも良いかもしれません。あとは少しずつベッドの上のおもちゃを減らしながらもそれは捨てずにとっておいて、ベッドの上ではなく、寝る場所から見えるほかの場所に置き「ほかのおもちゃもPくんのことを見てるよ~」と伝えることでベッドに置かなくても安心につながるかもしれません。――時間はかかるかもしれませんがやってみようと思います!それにしても、そもそもPは何故このように片づけたくないというこだわりがあるのか?単純に片づけが面倒くさいというだけではない理由があるのでしょうか。どうして?と不思議に思うことがあります。三木先生:やはりPくんはいつもと同じ状況が落ち着くのではないでしょうか?目の前からなくなっても隠れているだけでそこにあるということが理解できる(例:いないいないばあで顔がかくれてもその下に顔があることがわかる)、上に物を被せても見えなくなっただけでそこに物があると認知できるのが大体1歳過ぎたあたりくらいなので、そういう発達段階が原因で不安になることはあるかもしれません。本のページを閉じたくないのも、見えていないとお気に入りのページがあるのかないのか?分からなくなってしまうのかもしれません。――そうかもしれません!Pがまだそこまでの発達段階になっていないのも理由なのかもしれません。例えばPはテレビが消えると不安になります。もしかしたら消したらもう見れなくなってしまうと思っているのかもしれないですね。片づけや絵本を閉じるのが嫌なのもそれと同じ心理で自分の目の届くところに見えていないと、ないものと思ってしまい不安になるのかもしれません。何だかとても腑に落ちました!Upload By みん感想片づけたくない物を片づけするためには動機を作るのが必要で、本人が片づけをしよう!と思えるように理屈をつけて意識づけをする方法はとても面白いと思いました。例えば私が「年末だから大掃除をしなきゃ!」と思うのと同じように、Pにも「1年生だから頑張ろう!」と思ってもらえるように、促して行きたいです。さまざまな原因、理由を想像しながら、Pの発達に合わせてゆっくり対応していけたらと思います。執筆/みん
2022年02月17日一人ひとりのお子さまが自分に合う学校と出会い、前向きな選択ができますように。大好評だった昨年9月のイベントを受け、第2弾を企画しました!昨年9月に開催し、2,800名を超える方から参加登録をいただいた「一人ひとりに合った進路選び応援セミナー」。発達ナビユーザーでご検討されている方が多い通信制高校をメインでご紹介し、参加者の方々からご好評をいただきました。Upload By 発達ナビアライアンス プログラム進路選びについて継続的な情報発信の機会を望む声も多くいただきましたので、この度、進路選び応援企画第2弾として、通信制高校の情報をまとめたサイトを公開しました!「通信制高校のしくみや特徴を理解するところから始めたい」「通信制高校はわが子に向いている選択なのか悩んでいる」「発達が気になる子や不登校の子の入学を相談できる通信制高校の選択肢を知りたい」「高校ごとにどんな違いがあるのか知りたい」このような方はぜひご覧ください!さらに、3/26(土)には、サイトに掲載されている学校から直接話を聞けるオンラインセミナーも開催!こちらは、通信制高校についてまだよく知らない方にもおすすめのイベントです。通信制高校のしくみや各学校の特徴のほか、進路に関する会話をする際の思春期のお子さまとのコミュニケーションについてもお伝えします。コロナ禍で、実際に学校を訪れることもなかなか難しいご時世。ぜひ気軽に情報が得られる機会として、ご活用ください。企画1:気になる高校にすぐに資料請求ができるサイトをオープン!Upload By 発達ナビアライアンス プログラムかねてから発達ナビユーザーからの要望が多かった「発達が気になる子や不登校の子の入学を相談できる学校情報サイト」をつくり、気軽に資料請求ができるようにしました!サイト内では、全国から入学でき、学習スタイルや学べる内容も多様な通信制高校をご紹介しています。期間限定公開なので、ぜひ今のうちにご覧ください!各学校の紹介ページには、コースの特徴などとともに、・学生への心理面への支援・学習の遅れがある子への対応・卒業に必要な単位取得のためのサポート体制・卒業後の進路選択に向けたサポート体制など、特に発達ナビユーザーで気になる方が多そうな項目について直接取材した情報をまとめており、ここだけの情報が満載です。気になる学校があれば、ぜひお気軽に資料請求を行ってみてくださいね。企画2:専門家と学校が登壇!通信制高校について理解がぐっと深まるオンラインイベントを開催!Upload By 発達ナビアライアンス プログラムLITALICO内の専門家と通信制高校4校が登壇する、特別セミナーを開催!直接学校担当者の話が聞け、さらにその場で質問もできる貴重な機会です。LITALICOからは、元N高等学校副校長で通信制高校の実情に詳しい上木原と、発達が気になるお子さまへの指導経験が豊富なLITALICOジュニアシニアスーパーバイザー永塚が登壇。保護者の方から実際に寄せられた疑問や不安をもとに、進路選びに役立つ内容をお話します。Upload By 発達ナビアライアンス プログラム「一人ひとりに合った進路選び応援セミナー2022春」【企画概要】○日時:3/26(土)10時~15時(第1部:10時~12時/第2部:13時~15時)○参加費:無料○形式:Zoom配信を予定○参加方法:事前の参加登録必須。登録いただいた方に、視聴URLをお送りいたします。○対象:中学生のお子さまをお持ちの保護者の方向けのイベントですが、ご興味のある方はどなたでもご参加いただけます。○内容:通信制高校による学校紹介プレゼン、進路選びに関する専門家講演みなさまからのお申込みをお待ちしております。
2022年02月16日青年期の子どもとの関わり私は、発達が気になる子どもたちの幼児期や学齢期の心理的支援の仕事に長年携わってきています。たくさんのご本人・ご家族との関わりから教わった、ライフステージを通じて大切にしたいことの中から、今回は青年期について、ご家族に知っておいてほしいことをお伝えします。「青年期」とは、何歳ごろからを指すのでしょう?中学生?高校生?それとも、もっと大人になってから?発達心理学における青年期の定義は、研究者によって多少異なりますが、だいたい中学生以上を指すことが多いようです。とはいえ、人は突然青年期になるわけではありません。小学校の半ばごろから、ゆっくりと時間をかけて青年期に移行していきます。身体つきが少しずつ変化するだけでなく、心も変化します。幼少期の子どもは、「みんなが自分をどう見ているか」「こんなことをしたら、周りはどう思うか」ということをあまり意識していません。しかし小学校の半ばから、子どもは「周りの目」をだんだんと意識し始めます。そして、同世代の仲間と自分を比べて、できていないことを気にしたり、自分だけが目立って注目されると不安を覚えたりします。周りの目を気にするようになると、子どもによっては「いつまでもお母さんに甘えていると知られたら、恥ずかしい」と思う場合もあります。いつかは親から自立する、という気持ちが強い子ほど、親に甘えることをカッコ悪いと思うのかもしれません。そして、家庭ではまだまだ親に甘えているのに、家の外では親から距離をとろうとしたりします。ついこの前まで一緒に手をつないで歩いていたのに、急に拒否したりするのです。子どもによっては、親が自分の部屋に入ってきて、掃除をしたり物を動かしたりすることを、極端に嫌がるようになります。親からすれば「散らかっているから、ちょっと片づけてあげよう」という親切心でやっているのに、子どもから乱暴な言葉で反発されると「二度とやってやるもんか」という気持ちになりますよね。こんなふうに、子どもが親から距離をとろうとすることを「親離れ」と言います。親離れの始まりでは、多くの親は戸惑うものです。赤ちゃんのころからずっと世話をしてきたわが子に対して「あれ?」「いつもと違う」と感じ、急に大人びて見えたり、なかには「最近、自分の言うことを聞かない」と苛立ちを覚えたりする場合もあります。こうした親御さんのちょっとした心の変化、違和感は、「子離れ」の始まりです。まず子どもの側から「親離れ」のサインがあって、それに気づいた親の側にも「子離れ」が始まる。だんだんと、親子関係が変化していくのです。出典 : 前回、子どもに合ったペースは一人ひとり違う、という話をしました。親離れについても、時期ややり方は、子どもによって全く違います。中学生や高校生になっても「親離れ」のサインが見えにくく、人前で親に甘える子もいますが、まったく心配はいりません。「うちの子は、こうなんだ」と思って、それぞれの個性やペースを尊重したいですね。ただ、子どもの「親離れ」のサインが見えにくいと、親の側が「子離れ」のタイミングを逸してしまうことはあります。たとえば、高校生の子どもが鼻をぐずぐずさせているとき、お母さんがパッとティッシュを取って、「はい、チーン」と子どもの鼻をふいてしまうことがあります。お母さんにとっては、赤ちゃんのころからずっとしてきたことですから、違和感はありません。でも、電車の中など周囲の目がある場所でそれをしたら、周りはびっくりしますよね。親離れ・子離れとは、単に距離をおくことではなく、親子双方が相手を自分と独立した一人の人間として意識することです。子どもが赤ちゃんのときは、先に親が気づいて鼻をふいてあげていた。いわばディレクター(仕切り役)の役割を、自然ととっているんです。でも、子どもを自分と独立した存在と認識すると、子どもには自分のことは自分で考え、自分でやってほしいと思うものです。そして、できないことがあれば、そっと手伝ってあげようと思う。ディレクターから黒衣へと、自然と役割の転換が起こります。ちなみに黒衣とは、舞台で役者が演技しやすいように、黒い衣を来て目立たないようにしながらサポートする役割のことです。ディレクターとは、ずいぶん違いますね。前回、幼少期は保護的な環境が大切、という話もしました。保護的な環境の中で、大人に手伝ってもらってできることが増えるに従って、子どもは「困ったときは、助けてもらえる」という絶対的な安心感を心の中に育んでいきます。そして家庭や学校といった、いつもの慣れた人間関係や場所だけでなく、一人でお店に入ったり、遠くまで外出したり、趣味の仲間を見つけたりと、世界を広げていきます。もちろん、失敗もたくさんします。でも、「困ったときは、助けてもらえる」という安心感があるからこそ、多少の失敗にめげることなく、自分で乗り切ろうとするのです。これを「試行錯誤」と言います。そして、試行錯誤を通じて成功体験を積むことは、子どもの折れない心(「レジリエンス」)を強くします。青年期は、安心して試行錯誤できる環境が大切です。常にディレクターが子どもに口出しをしていると、子どもは試行錯誤の機会を持つことができません。多少の失敗を体験しないと、折れない心も育ちません。ですから親の役割は、黒衣くらいがちょうどよいのです。ちょっとハラハラするかもしれませんが、子どもがやりたいことはやらせてみる。失敗したら、どう立ち直るかを見守りましょう。どうしても難しそうだと判断したら、子どもに声をかけてみる。こうすることで、子どもの側に「人に相談する力」も育ちます。ライフステージの変化に沿って、子どもも親も変化します。子育てに悩んだり迷ったりしたときは、先のライフステージにも目を向けながら考えてみましょう。この度の新刊『発達が気になる子の子育て10か条――生活スキルやコミュニケーションを伸ばすコツ』は、幼児期、学齢期、青年期のどのステージにおいても大切なことを、ギュッと詰め込んだ1冊です。それぞれのお子さんのペースに合った育て方のヒントとして、きっとお役に立つと思いますので、ぜひご一読ください。執筆/日戸由刈
2022年02月15日ダウン症という障害があるという告知を受けただけでも衝撃だったのに…こんにちは。6歳のダウン症のある男の子、きいちゃんを絶賛子育て中の星きのこです。きいちゃんは現在保育園の年長さんで、もうすぐ小学校一年生になります。いやー早いです!!きいちゃんを出産したばかりのころは6歳のきいちゃんを思い浮かべることなんてできませんでした。何しろあのころの私は産後1週間できいちゃんに「ダウン症の疑いがある」と告知を受け、その障害をすぐに受け入れることができなくていっぱいいっぱいだったのですから。わが子にダウン症という障害があるという告知を受けただけでも衝撃だったのに、さらに衝撃だったのは、次々と聞かされる「合併症」の数でした…。特に心臓疾患の合併症があるダウン症の子どもの割合は高いと言われています。きいちゃんも例外ではなく、「心臓に8ミリの穴が空いている」と言われたときは、もうつらすぎて涙があふれて止まりませんでした。参考:MSDマニュアルプロフェッショナル版 ダウン症候群(21トリソミー)Upload By 星きのこ結局きいちゃんは、心房中隔欠損症、甲状腺機能低下症、動脈開存症というたくさんの合併症がありました。ひとくちに「ダウン症」といっても、その障害の程度はさまざまで、合併症がない場合もあれば、たくさんの合併症がある場合もあります。知的障害に関しても、軽度から重度まで本当にいろいろで、身体能力もさまざまです。最近はダウン症のある方も大学に行ったり、一般企業に勤めたり、才能を生かして活躍する人もたくさんいます。Upload By 星きのこついついほかの子と比べてしまう染色体異常のある赤ちゃんは、流産になってしまい生まれてこられない場合が多いと言われています。ダウン症の場合も、流産になってしまう可能性が高いそうです。その中でも頑張って生まれてきてくれたわが子…。子どももお母さんも誇っていいことだと私は思っています!…と、そんな話をしたあとに恐縮なのですが、この「合併症や障害の程度に幅がある」ために多くのダウン症のある子どもの親が陥りがちなことの一つに、ほかのダウン症のある子と比べてしまうということがあるのではないかと思います。「わが子の知的障害の程度は?」「わが子の発達はダウン症のある子どもの平均とくらべてどうなの?」などです。え?私??ええ、そりゃもう昔はガッツリ比べてしまっていました…。でも、これ、当たり前のことじゃないかと思うのです。わが子の障害が少しでも軽くあってほしいと願うのが親心ではないかと思うのです。でも、ずーっと、ほかのお子さんとわが子を比べてばかりだなんてつらいですよね…?私はつらかったし、そんな自分が嫌でした。周りの人には「ダウン症のあるわが子を差別してほしくない」と思う一方、わが子に対しては重くあってほしくないことを望む自分。それって自分が「障害があること」に対して差別していることなんじゃないかと気づいたときには愕然とし、深く反省しました。Upload By 星きのこきいちゃんに教えてもらったこと現在、私はきいちゃんをほかの子と比べることなく楽しく子育てできています。(たまに比べてしまうときはありますが…笑)それはどうしてか?何故ならきいちゃんの成長と共に年々きいちゃんの個性が出てきて、きいちゃんはきいちゃん!と思えるようになってきたからです。そして、どんなきいちゃんも愛しく思えるようになった自分がいます。Upload By 星きのこきいちゃんに限らず、障害があっても、感情表現がとっても豊かで楽しい子が多いんですよ!(笑)本当に、この6年間できいちゃんに成長させてもらってるな…と思います。障害があろうとなかろうと、命や心はみーんなみんな一緒なんだなあとしみじみきいちゃんを子育てしながら思うのです。これもきいちゃんから教えてもらった「大切なこと」の一つです。Upload By 星きのこ執筆/星きのこ(監修:鈴木先生より)障害がある子どもの心身に治療が必要な場合は主治医が対応していきますので、ぜひお母さんは子育てを楽しんで、たくさん遊んであげてください。きいちゃんから教わったように、「命や心はみんな平等」に授かっているのです。ダウン症のあるお子さんに限らず、どんなお子さんもさまざまな困難や問題があるでしょう。きいちゃんには感情表現が豊かで楽しい一面があるので、その個性豊かないいところを大切にして育ててあげればいいのではないでしょうか。親もまた、子どもに育てられています。私のような小児科医でもいまだにお子さんから教わることが多いのです。
2022年02月15日公立中学校に進学しなかった理由私は公立小学校に在学中、6年間ずっといじめられていました。勉強ができるいっぽうで運動は苦手で、コミュニケーションも不得手。言動がいちいち周囲から浮いているので、周囲の子どもたちから排除されたのです。私が小学校6年生になるころだったか、地元の公立中学に通っている兄が、突然両親に「義子を私立の中学に行かせてやってくれ」と泣いて頼みました。兄は、「義子は地元の公立中学に行ったら、いじめ殺されるかいじめを苦に自殺するかになる」と言います。当時、地元の公立中学は荒れていて、ひどいいじめが横行しているとのことでした。それで両親は震え上がり、私は中学受験をして私立の学校に進むことになったのでした。私立進学校のメリットとデメリット進学校ではある程度以上勉強のできる子が集められているので、授業を聴いていて退屈に感じることがありませんでした。私の場合、勉強ができても周囲から嫉妬による攻撃を受けないので、それもとても居心地が良かったです。進学校においては、成績が良いことがスクールカーストを大幅に上げる傾向があると感じます。友達が「義子はいつも学年で上位3位以内ぐらいにいて、すごく頭がいいんだよ!」とほかの子に自慢しているのを聞いたときにはとても驚きました。これはたまたま私のいた学校がそうだっただけかもしれませんが、特定の誰かが少しグループから外されるようなことはあったものの、深刻ないじめはなかったように思います。どちらかというと、多くの子は勉強すること、自分の生活を健康的に律することのほうに興味とエネルギーを注いでいて(注ぐことのできる環境に恵まれていて)、学校の中でのグループの立ち位置がどうのとか、特定の子に対してどうこうするという方向にあまり興味を向けていないように見えました。私も、やはり発達障害の特性によりなんとなく浮いているところがあったので、何回か軽くグループから排除されるようなことはありましたが、積極的にいじめと言えるほどまで加害されつづけるようなことはありませんでした。私のいた学校では、大学受験の基礎固めのために必要なトレーニングをうまくカリキュラムの中に練り込んであって、塾に行かなくてもそうとうの力がつけられるようにしてありました。これは卒業して10年ほども経ってから学習塾で講師のアルバイトをするようになって初めて気づいたことです。国語の時間には百人一首、文学史、評論文用語の暗記と小テストの時間があり、英語の時間には英単語・英熟語の暗記と小テストの時間がありました。私にとってこれは、面倒で苦痛ながらもあたりまえに享受していたこと。でも、私が20代になって講師を担当した子どもたちは、そういったサポートを受けていないようでした。「英単語・熟語は暗記しておかなきゃいけないんだよ、それにはこういう単語集がいいよ」とか、そういう指導を中学側はやっていないか、やっていたとしても、生徒たちにちゃんと伝わっていない…私立の進学校でさせられた単語などのトレーニングは、ものすごく大学受験に役立ったし、今でも私の英語力や文章力のベースを支えています。進学校の学費は高いですが、こういうところで還元されていたんだなと、今は思います。私の学校は女子校だったのですが、地域で「伝統的なお嬢様校」としてステータスがありました。学校の周囲に卒業生がいたりするので、少しでも「お嬢様らしくない」服装や言動をしていると「わたくしの母校も落ちぶれてしまって嘆かわしい!」みたいに学校にクレームが入ります。そういうわけで、校則はとても厳しいのですが、どうも生徒の側である私たちには、それが私たちの将来のための教育ではなく、学校の体裁を保つための強制であるように感じられました。女性であってもどんどん社会に出て活躍してほしい、と口では言いながら、生徒が皆勤賞をとったらなぜか両親ではなく“お母さん”が表彰されたり、昼食は母親が弁当箱に詰めたものであることを求めてきたり… 結局は家父長制の中での良妻賢母像を維持することに加担しているような保守的な雰囲気。それが私にはとても嫌でした。(※)※私が在籍していたのは今から20年以上前のことです。こうした校則や賞は、現在は異なっていると思います。お金持ちの、勉強のできるお嬢様ばかりが集まる、かなりの均質集団だった私の学校。特に私の所属した特進クラスでは、すべての前提が「東大京大・早慶上智に入る」でした。私はそのプレッシャーの中で視野が狭くなり、汲々として、常に過労状態だったのです。同時に、自分が非常に恵まれた学習環境に置かれていることに自覚がなく、とても傲慢だったとも思います。当時から、人生の進路には人それぞれ向き不向きがあって、どれが上とか下でもないし、自分はどんな進路を選んでもいいのだ、選択肢も無数にあるのだ、ということを知っておきたかったなと思います。本人の「楽」を大事にした進路選択を私の場合、総合的に考えて、私立の中高一貫進学校に進んだことは自分にとって良いことだったと思っています。ただ、やはり私立の進学校には私立の進学校なりのデメリットもあるし、発達障害のある人が元気に過ごすには繊細な環境調整が必要です。定型発達の人でも将来に確実な約束のない今、発達障害のある人はなおさら、一般的に言う高学歴を身に着けたからといって順風満帆な人生が約束されるわけではありません。公立、私立、専門学校、高等専門学校、通信制の学校など、いろいろな選択肢の中から、本人の中でいちばんメリットとデメリットのバランスがとれて、楽に過ごせる進路を選べるといいなと思います。文/宇樹義子(監修者・井上先生より)体験として貴重な記事だと思います。そらきさんが中学進学の際に、ご自身の得意な分野、個性が認められる環境を選べたことは、とてもラッキーでしたね。このコラムで書いておられるように、私立の学校にはそれぞれ特有の校風があると思います。加えて「進学クラス」など特別に設置されているコースを目指す場合、良いクラスメイトに恵まれることもありますが、相性の悪い同級生がいてもクラス替えもなくずっと一緒に過ごさなくてはいけないリスクもあります。また私学の場合、学校側が特別な支援ニーズや合理的配慮についてどこまで学校側が理解してくれるかは、学校によりかなり異なるので、その学校の情報をオープンスクールなどでしっかり調べて進路決定することが大切だと思います。
2022年02月14日自主・自立を求められる環境に親子で迷走した一年間Upload By スガカズ中学校は小学校のころとは違って、自主自立の精神が求められていると感じます。発達に凸凹のある長男は小6のときに受けたWISC-IVの結果で処理速度が低いことが分かっています。また、注意散漫、過集中といった特性もあり、学校で次の行動に移るときに時間がかかったり、やるべきことを忘れてしまうことも多いです。中学校では課題は教科ごとにあり、提出日はバラバラ。課題がでていることを忘れてしまうので、プリントや教科書など、帰宅してから使うものを学校に置いたままにすることがよくありました。気づいた時点で学校に取りにいけばよいのですが、長男は自宅から通学するのに1時間ほどかかる私立中に通っているので、取りに行くのは難しいです。入学してからそのことを学級担任に相談しました。先生は、課題を見える化できるように、「課題チェックシート」をつくってクラス全員に配布してくれました。シートに教科、内容、日付、締め切りを予め記入しておけば抜けもれを防ぐことができます。始めのころは長男も活用していたのですが、もともと「忘れないようにメモをとる」こと自体を忘れてしまう子です。小学校までは家庭で声をかければなんとかなっていたのですが、中学校に入ると小学校のときほど家庭で把握できず、家庭で声かけするといった配慮は難しいです。2ヶ月ほど経つころにはそのチェックシートを使わなくなっていました。中学生になり慣れないことの連続で、本人は大変だっただろうと思いますが、「せめてメモをとってくれたら手伝えるのになぁ…」と、何度思ったことでしょう。また、中学校は教科担任制なので、学級担任(クラスの先生)が一人ひとりの各教科の状況を詳細に把握することは難しいようです。そのため、学級担任と話をしたあとに保護者ができることはかなり限られる気がします。学級担任からときどき保護者向けに連絡網が届くのですが、その中に「課題未提出の生徒」として長男の名前が挙げられていました。長男に聞くと「出した」の、一点張り。学級担任に電話で確認すると、「教科担任に言われたことを集約しているだけなので、私は分からないです」と返答がきました。課題を出したか否かは、各教科担任にしか分からないのです。……これは、親が把握をするのは難しいと思います。あとから、その日の課題は長男の言った通り提出できていたと分かったのですが、別の日では出していないことも多く、長男は課題未提出の生徒の中では常連です。未提出の課題に加えて、常に次の課題もこなす必要があり、なかなか全てをこなす時間が取れません。日を追うごとに未提出の課題がたまっていきます。加えて範囲が分からなくなってしまうという場合もたくさんありました。この困りごとは、友達に携帯電話で「課題の内容(または試験の範囲)は何だっけ?」と聞くことで解決することもあります。聞くと友達も教えてくれるのでよかったのですが、私が「友達に聞いてみたら?」と言わない限り本人は誰にも聞かないことがもう一つの問題でした。思春期でコミュニケーションが取りづらくなる時期Upload By スガカズ平日、部活がある日は帰宅が夜7時を越えるので、小学校のときよりも親子のコミュニケーションをとる時間が少なくなりました。長男は、帰宅してまず自分の自由時間を確保してからようやく日常生活(ご飯、風呂)の行動にうつります。そうすると課題に取り掛かる時間は多くても30分です。本人がメモをとっていないと課題の内容を親が把握するのは難しいですし、私は本人を信用するしかありません。私は、「課題は終わった?」「帰る前にメモした?」と本人に聞くと、「終わらせたってば」と、煩わしそうに答えます。また、平日の夜は、長男に話しかけても無視されることが目立ってきました。きっと「うるさいなぁ…オレの自由時間を邪魔しないでよ」と思っているのでしょう。中間期末試験では、範囲を間違っていたり、気持ちの切り替えができず勉強の時間を確保できなかったりしたため、それが成績にも顕著に現れました。教科担任に相談しました。どうやら先生も、長男のやる気を引き出すポイントを模索しているようでした。先生からは「大学附属の私立中学校なので、基本的には進学先はありますが、このままだと自分のやりたいことが明確になったときに、ほかの大学や希望の学部学科などの進学先を選べないかも知れません」と返答がありました。勉強も大事だけど、なによりも重要なのは、自分の居場所があることUpload By スガカズ中学校生活でつまずいた経験はたくさんありますが、一方で、何にも代えがたい経験もあります。長男が通う中学校には、長男と似たタイプのお子さんが多いようで、小学校と比べると友達もずいぶん増え、コミュニケーションの幅が広がったように感じます。私は、人とのコミュニケーションが円滑でない長男に対して「この子は中学校で対人関係のトラブルがおきてしまうかもしれないな」と心配していました。ですが、現在学校で自分の居場所が確保できているようです。これは成績という目に見えた評価とは比べられません。「本人に合った環境で成長すること」が重要であると改めて感じました。中学生の長男と関わる上で気をつけたこととはいえ、本人に合った環境で過ごせているのであれば、環境を維持するためにも勉強を頑張らないといけません。関わり方を模索する中で、親として気をつけたいと思っていることがあります。それは、「長男が帰宅したらすぐ(できれば笑顔で)出迎える」ことです。Upload By スガカズ親が笑顔でいることが居心地のよい場所になるという理由もありますが、目的は別にあります。帰宅して真っ先に出迎える(長男が遊び始める前に先手を打って話しかける)ことで、親子で言い合いになる機会が減ったり、「やるべきこと」が伝わりやすいです。行動するのは本人ですが、せめて話がしやすい状況はつくっておきたいと思います。執筆/スガカズ(監修:井上先生より)息子さんが思春期の中学生になり、学校も担任の先生がすべてを掌握していない中学校という環境で、「全てをサポートすることはできない」という、親としてのもどかしい気持ちが伝わってきました。中学~大学という期間は、自分に合った勉強の仕方やミスをなくすやり方などを自分自身で発見していく期間だと思います。そのはじまりが中学時代なので、親子共に戸惑いもあるかもしれません。親子の関わり方も変化していく時期です。直接的な指示などがうまくいかない場合は、保護者自身の中学時代の失敗体験や、その中で試行錯誤してうまくいった体験などを話していくことは、一方的な指示を嫌う世代にはよいかもしれません。もどかしい思いの中でも少し距離をおいて見たときに、毎日学校で楽しく過ごして帰ってくる息子さんの様子に気づき、本人なりの居場所がある大切さを感じられたんだと思います。笑顔で迎えるというのもとてもよいと思いました。
2022年02月13日今までの健診では「問題なし」Upload By taekoミミの弟、ふーは4歳。1歳半健診のときは、発達に関してなど特に何も言われませんでした。しかし兄のミミにASDがあるので、ふーも同じ可能性があるかも知れないと思い私は保健所の方に「少しでも息子に気になる所があったら教えて欲しい」と伝えました。すると半年後にフォロー健診をしてもらえることに。そのフォロー健診でも特に問題はない、とのことでした。ふーは保育園では帽子をかぶることを嫌がったり、冬の散歩時に上着を嫌がるというところがありましたが、ひとまず安心しました。ほかのふーの様子というと……、コロナ禍では3歳以上はマスクの着用を求められることが多いですが、頑なに嫌がるところがあります。電車内ではしぶしぶつけるけど、マスクから鼻が出ています。4歳になった今もオムツ。指しゃぶりとタオルは乳児のときから手離せません。でも、小学生になるまでには落ち着けばいいかなと思い、私自身はそれほど深刻に考えてはいませんでした。ある日、保育園の先生にUpload By taekoそんなある日、保育園の先生から療育をすすめられました。ふーの発達に関して、あまり悩んだり困ったりはしていなかったので、療育をすすめられたときは正直ショックでした。この子のどこが気になるの?? 兄のミミが保育園のころと比べたら、ふーは神さまにしか見えないほどに手のかからない子! お迎えに行くと笑顔で駆け寄って来てくれる!! ミミはお迎えに行っても帰るまでに30分かかることがしょっちゅうだったから、すぐ保育園から帰れるふーのことが信じられない! こんな仏さまのような子! いつも笑ってミミと遊び、ミミもふーの反応がうれしくて喜ぶ、とても良いきょうだい関係!こんなに手のかからないおだやかな子どもがいるのかと、私は毎日感動しているほどです。それなのにどこが気になるの? ほかの子どもはもっともっと育てやすいの?!(でも……、ふーはミミと比べて大人しくおだやかだけど、本人は帽子やマスク、上着と戦っているのかも…)と、私自身を落ち着かせ、善は急げと、1ヶ月半後に療育の面談を予約しました。面談の結果、療育が必要になったら仕事を休む口実ができたと喜ぼうと思っています。Upload By taeko私は子どものことについては、わが子の二人のことしかよく知りません。保育園の先生は何年もたくさんの子どもを見ているから、先生の指摘は適切なのだと思います。ふーに何が必要なのか、できるだけ早く見つけてあげたいと思っています。Upload By taeko執筆/taeko(監修:鈴木先生より)私の外来に初診する患者さんには二通りのケースあります。自分自身や保護者が困っていて受診するケース、もう一方は自分自身や保護者は困っていないが園や担任など周りが困っていて受診をすすめられ受診するケースです。前者は、お子さんや保護者の困難を改善・対処したいという意思があるので通院を継続し治療にも同意されるケースが多いのですが、後者の場合は神経発達症(発達障害)がある可能性を否定されたいという思いで受診する保護者もおり、診断をしたあと、通院が途切れてしまうというケースもあります。今回、taekoさんが保育園の先生からの指摘を受け入れ、早期療育につながったというのはとてもよかったと思います。1歳半児健診や3歳児健診で異常がないからと言っても神経発達症(発達障害)の可能性がないとは言い切れません。また、母子手帳の「子育てに困っていますか?」という質問項目で「いいえ」以外に〇をつけても適切にフォローされているケースはまだまだ少ないという現状があります。担当の医師や保健師が少しでも保護者の話に耳を傾けてくれれば、早期介入が可能となるケースも後を絶ちません。今回は保育園の先生の知識と経験により早期に指摘されたことで療育につながったラッキーなケースだと思います。今の日本の健診システムにおいて、診察では主に身体における発達を診ることが多く、心における発達まで診られることが少ない現状なのです。保育園の先生もtaekoさんに言うまでは、言っていいのかどうか悩んでいたのではないかと思います。しかし、今回お子さんの発達に関する現状を適切に伝えられたという背景には、園長先生の理解や園の環境のよさもあるのではないかと思いました。
2022年02月12日学校の研修での質問私は、学校から研修講師を依頼されることがあります。そうした研修時、先生方から「集団行動がとれない生徒にはどう対応すればよいですか」、「椅子に長く座っていられない生徒にはどうすればいいですか」などの質問を受けることがよくあります。それらの質問を聞いて思うことは学校の先生方は、・椅子に座っている。集団行動がとれる。勉強ができるなどの枠組みの中で捉えている・算数、国語、運動などオールマイティにできる子が評価される世界で生きているもちろん、そうではない先生もいますが、一定の枠組み内で評価すること以外は想定していない先生方も確かにいます。リフレーミングしてみる先生方にも、そして親御さんにも伝えたいこと、それは、リフレーミング(=枠組みを変える)してみるということです。・集中力がなくて、椅子に座っていられない=さまざまなことに興味関心が行く・給食で好き嫌いが多い=味がわかる敏感な舌を持っているので、将来料理人になる素質があるかもしれない「捉え方を変えてみると学校生活の中では問題視されることでも、才能を発揮するかもしれません。だから、学校での評価が低いことは気にしないで、リフレーミングして明るい未来を想像しましょう!」このように親御さんには伝えたいところなのですが…人生の初めの段階で長く一緒に過ごす大人、特に担任の先生は子どもの人生に大きな影響を及ぼします。また、学校は日中一番長く過ごす場所です。そこで、担任の先生からの評価が低く、自信を失くしたり、自己肯定感が低くなったりしたら、卒業後に認めてくれる人が現れたとしても回復はなかなか難しいかもしれません。褒めポイントを変えてみる生徒を叱ることが多い先生方に伝えたいことは、「褒めポイントを変えてほしい」ということです。例えば・給食をおかわりする・寝癖がついていない・誰よりも早く学校に到着している(※忘れ物魔でも)・蝉とりがうまい・風邪をあまり引かない・砂場で泥団子を上手に作れるほんの小さなことでも、子どもが頑張っていること、一心に取り組んでいることなどを褒めてほしいと思うのです。また、支援が必要な児童ばかりに関わっていると、ほかの児童は「えこひいきしている」と感じるかもしれません。そして、大人の注意を引こうとする行動をするかもしれません。中には、「先生、○○君が席を立っています」と「チクリ魔」と化してしまう生徒もいるかもしれません。ですから、それぞれの生徒に合わせて、褒めポイントを変えてほしいと思います。生徒は「自分のことをよく見てくれている」と感じ、変わってくると思います。中高生以上で、自己肯定感が低い場合先生方から以下の質問も受けました。「二次障害までは至らないけれど、中高生や大人になって自己肯定感が低い場合どうしたらよいですか?」中学生にまでなってしまうと、それまでの人生で「自分はできないという経験」を積み重ね過ぎているので、できなくても、それごと受け止めてくれる人に出会うことが大切になるのではないかと思います。自分の適性に合っていない職場で働いて叱責されることが続くと失敗体験を重ねてしまいます。例えば、あまり人とのコミュニケーションが得意ではないのに、接客や営業職についたり、野球やサッカーなどのチーム競技の部活に入ったりしないで、一人で黙々と作業ができる仕事に就いたり、個人プレイのスポーツに取り組むのがよいのではないでしょうか。自己肯定感を壊されてしまうような場に「努力すれば何とかなる」、「気合で乗り越える」と鼻息荒くして、これからは跳びこまない方がいいと思います。子どもの特性を理解し、「定型発達児に近づけよう」として子どもにとって苦手なことをばかりをしいないことが、その子どもの将来にわたっての生活の質を高めることになるのではないでしょうか。学校の先生方には、子どもをリフレーミングしてみてほしい、そして小さなことでも褒めてあげてほしい。叱責ばかりで自信を喪失させ、二次障害をおこさせない関わり方をぜひ意識していただきたいと思っています。(監修・鈴木先生より)神経発達症(発達障害)のあるお子さんは、保護者や理解のない担任など周囲の大人たちから叱られる場面が多く、自尊心が低い状態となっている場合がよく見受けられます。ADHDのあるお子さんは6歳から治療ができるので、早期介入によって自尊心を下げないようにしていくことが肝心です。私の外来では、神経発達症(発達障害)のあるお子さんに対して、部活は一人でもできる、またはシングルスのあるスポーツを勧めています。今は部活の数も少なくなっているので、実際には美術部や吹奏楽部(パーカッション系)に入部しているお子さんが多くみられます。宿題などに関しても特別支援学級に在籍するお子さんに対してはハードルを下げ、交流学級とは異なった独自の宿題を出すことで達成感を味わらせることが重要です。そのお子さんに何ができるか、「Not unable, but able」の精神が学校を含めたその子を取り巻くコミュニティーの中に根付くことを願っております。一方、「外れ先生」ももしかしたら被害者と言えるのかもしれません。今まで神経発達症(発達障害)の研修も受ける機会がなく、相談できる上司にも巡り合わなかったのかもしれません。各市町村の教育委員会が定期的な神経発達症(発達障害)の研修会を“きちんと”やって少しでも理解してくれる先生を増やしていくしかないのではないかといつも考えています。教員ファーストではなく、生徒ファーストの考えをすべての学校の先生方に持っていただきたいと常々思っております。
2022年02月11日感覚過敏のある私の高校選びこんにちは。加藤路瑛です。15歳、高校1年生です。自分の困りごとである感覚過敏の問題を解決したいと思い13歳のときに「感覚過敏研究所」を立ち上げ、感覚過敏の課題解決に取り組んでいます。当事者目線、特に子どもの視点で感覚過敏について話していきたいと思います。 今回は、感覚過敏から少し離れて、私が通っている通信制高校の角川ドワンゴ学園N高等学校・S高等学校の学生生活についてお話します。私は中学2年生の夏、当時通っていた私立中学を退学し、地元の公立中学に在籍しました。しかし(公立中学には)1度も通うことはなく、角川ドワンゴ学園のN中等部に通いました。N中等部は、いわゆるフリースクールのようなものです。地元公立中学には事前に相談し、N中等部での出席日数をそのまま公立中学校の出席日数にしてもらうことができました。ですので公立中学校には通っていませんでしたが、出席日数はあったので不登校としての人数にはカウントされないようでした。と言っても、私は地元公立中学校の通知表をもらったことがないので本当に出席日数にカウントされていたのかも分かりません。出席日数の扱いは学校や校長先生の判断で変わってしまうようですが、私自身はとても理解のある対応をしていただいたと思っています。私立中学をやめ、フリースクールのような扱いであるN中等部に行った理由は複数ありますが、大きな理由は感覚過敏でした。私立中学時代、教室内は聴覚過敏のある私には騒がしく、保健室に通う日々でした。教室にいること自体が苦痛になり、校内の静かな場所を求めて一人で行動することが増えます。そうすると、仲良しの友達というのもいなくなってしまい、ますます学校に居場所のなさを感じてしまいます。特にいじめられたわけでも無視されたわけでもありませんが、賑やかな校舎の中で私は孤独を感じることが多かったように思います。感覚過敏だけが理由ではありませんが、学校に行くのが苦痛に感じることが増え、中学1年生の冬ごろから学校は休みがちになり、中学2年生の9月に退学しました。地元の中学に通っても、感覚過敏で学校生活がつらいのは変わらないでしょうし、そのころはすでに私は起業していたこともあり、先進的な学びができそうなN中等部に行くことにしました。この時点で高校はそのままN高等学校に行くつもりでいました。N高等学校・S高等学校とは?N高等学校・S高等学校はKADOKAWA・ドワンゴが創るネットと通信制高校の制度を活用した、新しいネットの高校です。生徒数は両校合わせて20,603名になります(2021年9月30日現在)(※)私は中学2年の時点で高校はN高に行くとほぼ決めていたので、受験勉強もなく平和な中学生時代を過ごしました。N高は通信制高校で、入試の際に、(中学校に通えず)不登校生であっても問題ありませんし、ネットコースなら、学力テストのようなものもありません。基本的には書類選考だけです。通学コースの場合は面接や筆記試験があるようなので、N高のホームページなどでご確認ください。N中等部ネットコースからN高ネットコースへの進学には特別な優遇措置はありませんでしたが、通学コースへの進学に関しては一般受験者よりも早くに試験と結果がわかる制度もあるようです。キャンパスによっては定員になれば募集終了なので、早めに入学が決まるのは楽です。友達が欲しいので通学コースも魅力ではありましたが、感覚過敏で疲れやすいこともありますし、好きなことに時間を使いたかったのでネットコースを選びました。出願の話題が出るころに、S高等学校が新設されることを知りました。中身は同じ。ただ、N高の本校が沖縄に対して、S高の本校がつくばで、違いはそれだけということでした。私はN高6期生よりもS高1期生というピカピカな感じに惹かれて、S高進学を選びました(※)参考:N高等学校・S高等学校ホームページUpload By 加藤路瑛普段の勉強は?Upload By 加藤路瑛普段の勉強は学習アプリ「N予備校」を使います。単元ごとに動画があり、それを受講し、レポートを提出して単位を取っていく単位制です。動画が工夫されていて、早送りやスキップができないのです!全部再生し終わらないとレポートに取り組めないようになっています。鬼です。動画は教科や単元によって違いますが、3-5分くらいです。美術や家庭科などは1単元で30分ある場合もあります。早送りや飛ばせないのは生徒にとってはめちゃくちゃ迷惑な機能ですが(笑)、教育視点ではよくできた工夫だと思います。1回視聴済みになると、2回目以降は早送りや飛ばし見できるので、レポート提出で調べ直したい時は便利です。レポートは各単元16問の問題と4問の記述で構成されています。それほど難しいものではなく、教科書や動画に沿ったものです。正直にいうと、動画見なくても解ける問題も多いですし、教科書見れば答えがわかる問題もあります。ですが動画を見ないとレポートが表示されないので、ここは耐えるしかありません(笑)動画は教科書に沿って淡々と説明している感じで、面白要素はゼロです。ギャグなどは無縁なコンテンツです。レポートは毎月15日が提出日で、それぞれの単元の提出日がわかるようになっているので、自分で提出日に合わせて動画をみてレポートを提出しなければなりません。結構な量があり、動画を再生しないとレポートに取り組めないので、締め切り前日に全部やろうと思っても、残念ながらレポートを表示することもできません。締め切り当日に動画の総合再生時間が25時間あれば、もう絶対に間に合わないのです。私は、隙間時間に動画を再生しています。真面目に机に座ってパソコンを広げて学校で授業を受けるように動画を見ることはありません。横になってみたり、食べながら見たり、自由なスタイルで受講しています。(これ、公開して先生に怒られないでしょうか?笑)N予備校はパソコンだけでなく、スマホでも見られるので、締め切りギリギリなときは電車の中でスマホで再生していることもあります。とにかく再生させてレポートに取り組めるような状態にしてしまうことがポイントです。レポートの問題は、すぐに分かるものもあれば、教科書見れば分かるもの、動画を見直さないと分からないものがあります。レポートを先に見ることができれば、その部分の動画を集中して見られるのですが、これができないのが苦しい。結局2回見た単元もあります。期限内にレポートを提出できればOKです!もしできなくても問題はなくて、最終提出日が12月15日で、その日に全部クリアできていれば大丈夫です。私は、毎月15日の期限だけは守っています。溜めるとやりたくなくなると思うからです。大体、13日か14日に提出しています。早い人は1年分の単元を夏前に終わらせて、あとは自由!という強者もいるようですが、私はギリギリをせめています。事前に先生から、12月は最終提出日目前ということで、全生徒が動画再生し、サーバーが混み合う可能性があるので、できるだけ11月中に終わらせることを勧められました。多くの生徒が締め切りギリギリまで頑張っているのだと思います。課題は大変と言っても1ヶ月分の課題は1−2週間集中的にやれば終わります。なので私は、1ヶ月のほとんどの時間は学校の勉強とは無縁な生活をし、好きに生きています。高校を卒業するということだけなら、この動画を見てレポート提出をしていけばいいので、予習とか復習とかありません。なので、私の場合は、英単語は覚えないですし、漢字も書けないですし、暗記なども必要に迫られることはありません。もし、勉強をきちんと身につけたい、大学受験を考えているというならば、足りない状態です。ネットコースの日常生活は?私はネットコース生なので、毎月15日に課題をコンプリートすることだけに集中すれば、あとは高校生っぽいことは何もありません。大体、毎月月初に「そろそろ課題やらないと締め切りに間に合わないな」と思ってぼちぼち初めて、10日ごろに「やばい、間に合わないか?」と焦りながら集中的に動画やレポートに取り組み、14日くらいに全課題を提出という感じです。提出もWEB上にある問題や記述に回答すればいいですし、提出済みかも確認できます。毎回、「次は早めに取り組んでギリギリはやめよう」と思うのですが、結局、次の月まで勉強はせず、「やばい、レポート!」と思い出してやりはじめます。ですので、ほかの時間は好きなことができます。私は学生起業をしているので普段は仕事をしています。ほとんどが家で作業したりオンライン会議です。もちろん、外出して打ち合わせもしています。また、起業だけでなく、カフェでバイトもしています。隙間時間は、動画見ていることが多いですし、深夜の時間帯はゲームをしていることが多いです。ゲーム仲間とオンラインで通話しながらゲームも多いです。同じN高生やS高生ともゲームしたりします。ほかのネットコース生も、バイトしたり、ゲームをしたり、イラストや音楽など自分の好きなことに時間を使って、勉強は最低限をしている感じです。私の交友関係の中にはいませんが、勉強を好きなようにやりたくて一般的な高校には通わず自分のペースで勉強をとことんやっている人もいるようです。通学コース生の勉強部分はネットコースと変わりはありません。日中の時間帯にキャンパスに通っています。ただ、キャンパスで教科の勉強だけをするわけではなく、プロジェクト学習などをしているようです。通学してプロジェクト学習などリアルでの体験をし、必修授業はネットコースと同様N予備校を使って勉強しています。スクーリングは?通信制高校は基本は家で学習できますが、実際に会場で参加型の授業を受ける単元があります。N高S高は生徒が2万人いるので、スクーリングの日程を自由に選べるという感じではありません。スクーリングは5日間程度が必須でしたが、コロナ禍のため、オンラインでのライブ授業が開催され、リアル会場での授業は2日間だけとなりました。オンライン授業の日程は、ピンポイントで指定されて連絡がきました。ただ、予定があって参加できない場合は、日程変更をお願いすれば大丈夫です。私も参加できない日があって変更してもらいました。オンライン授業は、カメラやマイクをオンにする必要もないです。ただ、そこも工夫しているなと思うのが、授業中に先生が合言葉を発表するのです。その合言葉を投稿して受講チェックされます。ログインだけして画面放置しないでねという工夫です。早く合言葉を送信して遊びたい人や、見逃すのが不安な人たちが「先生、早く、合言葉を!!!」とコメント入れていて面白いです(笑)オンラインライブの授業は結構面白かったです。一番面白かったのは、家庭科で、アパートを借りるときの物件の見方を教えてもらいました。敷金とか礼金とか、LDKって何なのかとか。実際に自分が家を借りることになった場合をリアルに想像しながら話が聞けて面白かったです。リアル会場でのスクーリングは、私は東京会場を選びました。ほかの地域はわかりませんが、3つくらいの候補日が提示されて、その中で選びましたが、予定があわなければ、ほかの候補日をくれるはずです。N高・S高の良いところは、日程を変更して参加できたり、内容によってはアーカイブ視聴ができることです。学校の指定した日程に合わなくても何とかなります。リアルスクーリングは朝からびっしり授業が詰まっています。普通の学校のように授業を受けます。だいたいはプリントが用意されていて、それを埋めていく感じです。特にテストみたいなことはしないので、心配なく参加することができます。テストは?Upload By 加藤路瑛12月15日までに全てのレポートを提出し、スクーリングも受講が終わると、テストの案内が届きます。これも日程が決まっていますが、都合が合わなければ変更可能です。私の場合は9教科で、各教科30点以上取れれば合格です。テスト範囲が1年分というのがハードです。私の試験日は1月13日でした。お正月明けくらいから「そろそろ勉強しないとまずいな」という気持ちになります。1週間前くらいから、N予備校の問題を解き直しました。2日前に本気でやらないとまずいと思い1日集中的にやりました。前日は、スクーリングのプリントを見直しました。テストは紙ではなくタブレットです。学生番号でログインして、入力していきます。選択肢式ではなく、タブレットのキーボードで入力して回答する感じです。テスト受験後順次、WEB上で教科ごとに採点が終わったものから「合格」という表示がでます。採点中のものは「提出済み」となっています。私は全教科合格でした!なので、赤点だった場合、「不合格」と表示されるのかは未確認です。30点未満だった科目があった人の話では、追試の問題が届き、定められた期間内に回答すれば良いみたいで、教科書などを見て回答も可能で、合格するまで何回でも挑戦できるようなので、進級できないとか卒業できないとかそういう心配はテストに関してはしなくても大丈夫そうです。テストの点数は成績確認のページから確認できます。WEB上にコメントも表示されていて、理解ができていない部分が多いようですとか、苦手な部分は見直しておきましょうなどの文章がありました。1月19日に全教科の合格が判明したので、もう勉強に関してはやることがありません。自由です!!!!人数も多いので2月にテストの人もいると思いますが、テストに合格すれば、その学年の課題はなくなるので、あとは好きなことをして進級・卒業を迎えられます。私のテスト会場は茨城つくば本校でした。つくば駅から校舎までは距離があり、スクールバスが出ています。試験当日、8:20くらいにつくば駅集合でバスに乗ります。朝が弱い私は、つくば駅前のホテルに前泊しました。同じような高校生がホテルにたくさんいました。朝は8時までホテルにいたので、体力的に疲れることなく試験会場に入れました。高校1年生である今年度は全てのことが初めてで、特にテストはどんな感じなのか不安でしたが、難易度は基礎問題のみで、追試があっても問題なく進級できそうなので安心しました。勉強以外のことUpload By 加藤路瑛通学コースにいる人はキャンパスで友達を作ることができるかもしれませんが、ネットコース生は、リアルに同級生と会う機会はスクーリングとテストの日だけという人が多いかと思います。これだけで友達は作りにくいかもしれません。普段の交流はコミュニケーションツールSlackを利用します。N高生・S高生と先生が参加している巨大コミュニティです。事務的な連絡チャンネルもありますが、部活のチャンネルや非公式のチャンネルがいろいろあって、興味のあるチャンネルに参加すれば、誰とでも繋がることができます。Slackは実名参加しなくていいので、誰が誰なのか分かりません。私はSlackをマメに見ておらず、業務連絡でしか使っていないので、Slackで友達を増やした経験はありませんが、みなさん、結構Slackで友達を増やしているようです。部活も基本はネット中心でリアルに集まる部活は少ないです。生徒中心で主体的に動いている部活は生徒間の交流も多いかもしれません。私は立ち上げ初年度の研究部に所属していますが、積極的にリアルに集まって交流するという感じにはまだなっていません。コロナ禍というのも影響しているなとは思います。ネットコース生で友達ができるかは、人それぞれだと思うので何とも言えません。私自身はめちゃくちゃ少ないですが、一緒にゲームする仲間はいます。コロナが落ち着いたら、友達ともリアルに会いたいなとも思います。通学コースで友達がたくさんいる人を見かけると「いいなー」と思いますが、じゃあ自分が通学コースに変更したり、積極的に交流をするかというと、それはしなくていいかと思ってしまうので、自分の心地いい関わり方をすればいいのだと思います。S高の1年間の生活を振り返って私はネットコースなので、通うべき学校もなければ、みんなで会うような教室もありません。普段は自分の好きなことに没頭し、毎月15日締め切りの課題提出のために動画をみて、レポートを作成します。「高校生らしい」と呼ばれる生活かと言われれば、高校生らしい生活とはかけ離れています。そもそも「らしい」というものは本来ないものだと思っています。私は今のS高生としての生活にほぼ満足しています。不満はやっぱり同世代との交流が少ない部分でしょうか。それはN高・S高が悪いのではなく、そう行動していない私の問題です。N高・S高は良くも悪くも放任です。自主性が必要です。定期的に担任の先生が電話やSlackで連絡をしてくださいますし、レポート提出状況や、今の生活で困っていること悩んでいることは聞いてくれます。でも、結局は自分次第です。自分で課題提出日に間に合うように勉強しなければなりません。先生が家にきて、提出するまで見張ってくれる訳でもありません。友達がいないと相談しても、オンラインの海の中で友達と会うためには自分で動くしかなく、先生がマッチングしてくれる訳ではありません。通学コースでは人間関係などまた別の問題があるかもしれませんが、少なくとも、ネットコースで不満がある場合は、それは自分で解決するしかないと思います。ただ、全ての担任の先生はわかりませんが、私の担任は、生徒の悩みや近況を聴きながら、アドバイスというよりも本人が自分で答えを見つけるようにコーチングしてくれる感じです。私は高校とはゆるい関係性しか求めていないので、学校での悩みも全くないのですが、困ったことがあれば頼りになると思いますし、保護者へも定期的に電話を下さっているので、保護者の方も困ることがあれば、担任の先生に相談できると思います。こんな感じで私はS高の生活に不満は全くありません。オンラインコースなので、そもそも自分が高校生である自覚も薄いです。勉強も部活も人間関係もストレスがほぼないので、通信制高校のスタイルが私には合っているのでしょう。日中やりたいことがある人、勉強や人間関係などのストレスが嫌な人、マイペースに生きたい人にはN高・S高は最高にいいと思います。執筆:加藤路瑛(監修・初川先生より)S高での1年間の詳細なレポートをありがとうございます。N中、N高、S高について、興味関心を持っている不登校の中学生やその保護者の方は多くいると思うので、その方々からすると、学校からの公式案内だけではわからない、リアルな生徒の声を知ることができてとても参考になったことと思います。高校生活に何を求めるか、高校生活で何をしたいか、そのあたりを考えるきっかけがたくさんありましたね。
2022年02月10日進路指導は高校2年生からわが家のASDのある息子タケルは、大分市の私立の中高一貫校に通っていました。その学校を選んだのは、進学指導について実績があったことと、少人数制で先生方の面倒見がいいという評判があったためです。実際に通ってみると、1クラスしかないので、とても静かだったこと、ずっとクラス替えがなく人間関係の変化が少なかったことなどが大変良かったなと思いました。本格的な進路の指導は、高校2年生のときに受けました。タケルの目標は、子どものころから「生き物ハカセ」になること。希望の学部は理学部となります。2年生の2学期の三者面談の資料とするため、夏休み前に「希望の学部が決まっている人は、大学名も書いてください」と書かれたプリントをもらったのですが…。Upload By 寺島ヒロ大学のレベルとか評判みたいなことは私たちにはよく分からないので、オープンスクールに行って障害のある学生への支援の様子を見て決めよう!ということにしました。なお、プリントはいったん白紙のまま提出しました。オープンスクールとは、大学がキャンパスを高校生などに開放し、学校の様子やカリキュラムを知ってもらうために開くイベント。大体、夏休みから秋ごろにかけて開催されます。いざオープンスクールに行こうと、インターネットで調べてみると、理学部はあちこちの大学にあるけれど、基礎研究をやる生物学科となると実はそう多くないことが分かりました。生命学科、生物化学科、生物環境科…などは、タケルに言わせると似てるけど微妙に違うのだそうです。とりあえず、タケルの興味のありそうな研究をしている6校に絞り、順番に回っていくことにしました。が、結局は6校も行くことはなく、2校目にオープンスクールに行った公立の学校をタケルは気に入り「ここを受けたい!」「浪人してもいい!」と、いうことになりました。なったのですが…苦手科目を克服しないと…!さて志望校も決まり、意気揚々と挑んだ2学期の三者面談。Upload By 寺島ヒロUpload By 寺島ヒロ発達障害のある子どもの場合、興味のない教科は極端にできないということは「あるある」ですが、タケルも例にもれず、英語だけが極端に苦手だったのです。先生によれば、数学など問題数の少ない教科は、例えば4問しか出ない場合、2問見たことのない問題が出ると50%しか点が取れないことになる。しかし英語は問題数が多いのでこういう失敗が少ない上、70%ぐらいは暗記で解けるので、大学受験においては非常に重要とのこと。先生は「英語が普通の点数になれば合計点がぐんと上がります。伸びしろと思って頑張りましょう!」と言ってくれたけれど…タケルはしぶ~い顔…Upload By 寺島ヒロUpload By 寺島ヒロそう、タケルは楽しいから勉強しているだけ…!大学に行くのも、良い環境で勉強や研究ができるからいいなあ、とぼんやり思っているだけ。あれとあれをやっておくと次にこれが有利になって、これがあればいい点が取れて…みたいな受験のプロトコルを踏まえて言っているわけではないのです。どんなにテストができても、研究への情熱があっても、タケルはタケル。学校からもらう入試対策のプリントなど「興味がないから」読んでるはずはありません…。結局、先生との「英語、頑張れ」の話は平行線のまま、その場は終わり…。私はタケルに、受験での英語の重要性を理解してもらうにはどうしたらいいのかなあ…と頭を抱えていました。ところが…数日後、タケルが朝早く起きて英語の勉強しているのを見かけました。今まで、家では英語の勉強なんて全然やっていなかったのに!「学術論文は英語じゃないといけないから、もっと点数取れるようになっておけって。それで、とりあえず英検を目指せって、先生に問題集もらったから」と、タケル。目からうろことはこのこと…!たくさんの受験生を見てきた先生は、タケルには「受験において英語が重要だ」ということの理解が難しいことを見抜き「理解してもらう必要はない。英語の実力をつけさえすればいい」と考えたのでしょう。目標を設定して、こなすべき具体的な課題を与えるというのもタケルの特性にかなっています。さすが先生だ!!と感心しました。なお、その翌年、タケルは英検を2級まで取得し、希望の大学にも合格することができました。タケルも頑張りましたが、やはり先生の作戦のおかげだよなあと思います。執筆/寺島ヒロ(監修:井上先生より)思春期に「勉強する意味が感じられない」と言うお子さんは少なくありません。寺島さんとタケルさんのように、事前に大学で学べることを調べてオープンスクールに行くというプロセスはとても大事です。将来やりたいことが決まっているお子さんはオープンスクールに行くことで現実感を持てますし、その分野の第一線で活躍している先生たちと話すことでやる気が出やすくなります。合わせて、自分がやりたい分野では論文を英語で書く必要がある、英語で書かれている文献が多いといったことが分かると、自分で勉強できるようになりますね。志望校が決まれば、高校や塾の先生との勉強方法や対策についての相談もスムーズです。また、オープンスクールでは障害学習支援室などがあるかも確認すると良いでしょう。
2022年02月09日「できる」「できない」のギャップが気になったら私は、発達が気になる子どもたちの幼児期や学齢期の心理的支援の仕事に長年携わってきています。1992年から在籍した横浜市総合リハビリテーションセンターでは、児童精神科医の佐々木正美先生、発達精神科医の本田秀夫先生とともに20年以上、発達障害のある子どもや大人の支援に取り組みました。その中でたくさんのご本人・ご家族との関わりから教わった、ライフステージを通じて大切にしたいことの中から、今回は幼少期の子どもに対して家庭で取り組みたいことをお伝えします。お子さんが就学を迎える際など、ライフステージの変わり目では特に、お子さんの「できる部分」と「できない部分」のギャップが気になったりしませんか?保護者のみなさんが「できるようになってほしい」「できることを増やしたい」とお感じになるのは当然のことと思います。また「できる」を増やすための働きかけは、お子さんにとってもプラスになります。そこで、働きかけにあたって、ぜひ気をつけてほしいことがあります。それは、お子さんのペースに注目することです。「マイペース」という言葉がありますね。私たちは誰もが「自分に合ったペース」を持っています。そのペースは、人によって違います。テンポよくどんどん取り組みたい人、時間をかけてじっくり取り組みたい人…みなさんも自分にとって心地よい、ゆとりを持って取り組めるペースをお持ちではないでしょうか。そのことは、お子さんも同じです。自分のペースを崩され周りに合わせてばかりの状態が続くと、どうですか?「ゆっくり過ぎて、つまらない」「急かされて、とても焦った」…おそらく、ストレスが溜まることでしょう。マイペースと聞くと、よくないイメージがあるかもしれませんが、マイペースを保障されることは、実は心の健康にとって、とても大切なことなのです。幼少期(幼児期~小学校低学年)のお子さんは、「自分に合ったペース」がどれくらいなのかを、よく分かっていません。自分のペースが乱れたときに、周囲に対して「もっと早くして」または「ちょっと待って」など、大人のようにパッと伝えることもできません。ですから、お子さんが自分のことを分かって伝えることができる年齢(おおむね小学校高学年以降)までは、周りの大人がその子の「マイペース」をよく理解して合わせてあげること、すなわち「保護的な環境」が大切です。保護的な環境の中でこそ、お子さんは安心感を持ってさまざまなことにチャレンジしたいという気持ちになります。苦手なこと、できないことでも「やってみよう!」と思えるようになるのです。幼少期に取り組みたいことUpload By 日戸由刈お子さんの発達が気になるとき、家族は何から取り組んだらよいのでしょう。言葉の発達を伸ばすための声かけ?手先を器用にするための練習?いえいえ、家庭の中でもっと簡単にできる、とても基本的なことがあります。たとえば幼少期では、家族の「ちょっとした」コミュニケーションを心がけてほしいのです。朝、起きたときに「おはよう」という言葉を交わす、物を取ってもらったときに「ありがとう」と返す、うれしいこと・楽しいことがあったときに「よかったね!」「楽しかったね」「うれしいね」と分かち合う。日常場面には、人間関係を良好に保つような「ちょっとした一言」があふれています。これらを丁寧に使ってみてはいかがでしょう。お子さんの中には、繰り返し教えても、こうした一言がパッと出てこない子もいます。教えても身につかない…と否定的に考えるのではなく、「いつか、使えるようになるだろう」という気長な構えで、保護者のみなさんがお手本を示し続けてください。「ちょっとした一言」は、魔法の言葉です。日常場面で、繰り返しこうした言葉に触れることで、お子さんの中に「人間関係って、こういうものなんだな」という土台がつくられていきます。幼少期のお子さんを育てている保護者の方には、まだピンとこないかもしれませんが、実はこの土台こそが、生涯を通じてお子さんに大きな影響を与えます。これは20年余りの現場経験の中で、たくさんの親子を見てきて感じていることです。ちなみに、「ちょっとした一言」は、家族の関係を円満にする効果や、保護者のみなさん自身のイライラした気持ちを切り替える効果もあります。ぜひ試してみてください。幼児期、学齢期、青年期…どのステージでも大切なこととは幼少期から青年期まで、多くのお子さんとその保護者を支援してきた過程の中で学んだ、ご家族とお子さんとの関わりを、このたび書籍にまとめました。新刊『発達が気になる子の子育て10か条ーー生活スキルやコミュニケーションを伸ばすコツ』では、幼少期の関わりの基本を、「ちょっとした一言」についての第1条のほか、第7条までにまとめました。また、第8条から第10条では、小学校高学年から青年期までの子育てで大切にしたいことにも触れています。高学年以降については、別のコラムでそのエッセンスをご紹介したいと思います。幼児期、学齢期、青年期のどのステージにおいても大切なことを、ギュッと詰め込んだ1冊ですので、それぞれのお子さんのペースに合った育て方のヒントとして、ご参考いただければ幸いです。執筆/日戸由刈
2022年02月08日同い年の子にあまり興味のない娘。そんな娘にもお友達ができて幼稚園に入園し、娘は先生にべったりの様子でした。お友達が遊ぼう、と寄ってきてくれてもあまり興味を示してないよう。娘は昔から子どもよりも大人に安心感があるようでした。そんな娘にも唯一「もんちゃん」というお友達ができました。お互いの家を行き来したり公園で遊んだり。その光景を私もうれしく眺めていました。Upload By とまぱんここで怒るの?娘の謎の怒りスイッチ娘にお友達ができて喜んだのも束の間。娘は毎回もんちゃんとケンカばかり。そんなに怒らなくてもいいのに、という場面で娘がすぐに怒ってしまいます。おもちゃの取り合いはほかのお子さんでもよくある話ですが、娘はおもちゃの取り合い以外にも独特なところで怒ったりするのです。例えばもんちゃんのおうちにお邪魔したときのこと。もんちゃんが私たちを招き入れようと玄関の門を開けてくれました。Upload By とまぱんうちはマンションなため娘は門が珍しかったのでしょう。自分で門を開けてみたかった娘は怒り始めました。もんちゃんが親切に開けてくれたにも関わらず娘はたちまち不機嫌に。もんちゃんはなんで怒るの?と不思議に思ったことでしょう。Upload By とまぱんそう声をかけても機嫌が直らない娘。「じゃあ帰りはとまちゃんが開けようね」と、もんちゃんのお母さんも声をかけてくれましたが、娘は気持ちの切り替えがすぐにできませんでした。娘は4歳になった今でもエレベーターのボタンを絶対に自分で押したがります。今回の門もそうですが、娘は4歳ごろのお子さんにはもう興味がないであろうものにまだ強い興味と執着心があるのです。家の鍵の開け閉め、電気のスイッチなどもそうです。一人ぼっちにされたと思いまた癇癪に...あるとき、もんちゃんと娘が滑り台で遊んでいて、もんちゃんがふと滑り台を離れてシャボン玉で遊び始めました。娘は取り残されたことで不安になったのでしょう。もんちゃんが怒って行ってしまったと勘違いしたのかもしれません。そこからまた癇癪が始まってしまいました。Upload By とまぱん「もんちゃんはシャボン玉で遊びたくなっただけだよ。とまちゃんも一緒にシャボン玉やる?」と、私がどんなに言っても娘の耳には入ってない様子。なんでうちの子はちょっとしたことですぐ怒ってしまうんだろうと疲れてしまいました。やっぱりこれ。娘の気持ちを切り替える必須アイテム娘が怒り始めるとあるものを使います。やっぱりこれ、お菓子です…(笑)私はもんちゃんと遊ぶときは、必ずお菓子を忍び込ませています。いつも食べてるものではなく、新発売のものなどちょっと目新しいお菓子です。初めて見るお菓子に娘は一瞬で怒りがストップ。言葉で伝えておさまればベストですが、伝えても切り替えがうまくできないうちは開き直ってお菓子に頼ろうと思います。もんちゃんのお母さんも娘がギーギャーしたときは「2人で特別なお菓子食べよう!!」と言って用意してくれており…。ありがたい限りです。また、もんちゃんのお母さんが「あ!これ見て見て!!」と言って娘の気をそらしてくれたり。Upload By とまぱんしょっちゅう娘が怒っている中、最後には仲直りしお別れのぎゅーをしてる2人。もんちゃんのお母さんの協力があってこそです。人によっては「この子いつも怒ってるし、もう娘(息子)と遊ばせるのはやめよう...」と思うお母さんもいるかもしれません。そんな中、広い心で見守ってくれるもんちゃんのお母さんには感謝です。もんちゃんも娘が怒ったあと切り替えが早く「とまちゃん仲直りしよ」と言ってくれ…。そんなお姉さんなもんちゃんにも何度も助けられています。今は年少だけど、これから年中年長になると友達関係も複雑になってきます。「そうなったら娘はどうなるのだろう、こんなに怒ってばかりでお友達が離れてしまったら…」という不安でいっぱいです。でも娘も、1年前よりは少しずつこちらの言っていることを理解して感情をコントロールできるようになりました(本当に少しずつですが)。そんな娘の成長も受け止め根気強く娘に向き合っていけたらと思います。執筆/とまぱん(監修:井上先生より)小さい子のお友達関係は、大人から見ると冷や冷やすることが多いかもしれませんが、子どもは大人ほど気にしていないこともありますし、むしろ後ろにある親同士の関係が影響する場合があります。とまぱんさんのように親同士の信頼関係があると気持ち的には楽になると思います。このコラムのように、お子さんの特性や自分がやりたいことを遮られると不安になりやすいことなどを、相手のお母さんが理解してくれていることが大事だと思います。気持ちの切り替え方法としては、気そらせが一番良いですね。お菓子は、癇癪パニックになるとお菓子、という学習をしてしまう可能性もあるので、最終手段にできると良いですね。親同士の理解があれば多少のトラブルは、対人関係の学習には良いと思います。お子さんが落ち着いたあとで、ルールや理由をゆっくり伝えてあげてください。
2022年02月08日調理実習の宿題は、調理以外にも大事な作業があって…!?Upload By 丸山さとこ小学校から学習用にタブレット端末が貸与されるようになった今、リコーダーの演奏や英語のスピーチなど「家庭で撮影した画像や動画を提出する」という宿題の形も見られるようになってきました。演奏やスピーチなど”発表する姿”を撮影して送信する宿題もあれば、調理実習など”途中過程を撮影してレポートに組み込んだもの”を送信する宿題もあります。Upload By 丸山さとこ特性からパニックになり硬直して呆然とし始めたコウに指示を出しても混乱すると思ったので、彼を一度その場から少し移動させてから、私は”調理実習で使ったものと同じ食材”を取り出して調理台の上に並べました。私が「これを撮ればいいよ」と勧めると、コウは怪訝そうに「これは(今つくりかけの料理で)使ってるものじゃないよ」と言いました。Upload By 丸山さとこ「確かに今使っているものではないね。じゃぁ最初からもう一度つくる?」と聞くと、『今つくっているこれが宿題の調理だから、やり直すことはできない』ということを繰り返し主張し、コウは頑なに拒みました。”宿題として今つくっている料理”と、”調理された食材の調理前の写真”にこだわり身動きがとれなくなってしまったコウに、「今調理に使っている食材と同じ物だから大丈夫だよ。同じ袋から出したジャガイモだし、ベーコンもセットで売ってたものでしょ? だからいいの」と少し強引に説得すると、しぶしぶといった調子ではありますが、コウは「そうか…」と言って作業を続けました。料理が出来上がってくるに従って「いい匂いがしてきた。美味しそう!」と表情もゆるみ、無事に盛りつけまで終えて写真を撮り、宿題を提出できました。Upload By 丸山さとこ普段とは違うことをしていると浮き彫りになる”苦手”と”成長”コウは普段から料理をすることが多く、レシピを見ながら料理をつくることも珍しくはありません。また、タブレットを扱うことにも慣れていますし、タブレットで撮影した画像や動画を学校に提出することもたびたび経験しています。ですが、一つひとつは簡単なはずの作業であっても、複数を同時進行で行うことは彼にとっては大きな負担のかかることなのかもしれないなと思いました。Upload By 丸山さとこまた、今回は”大きな負担”によって『不得意だけでなく成長も見えたな~』と感じる部分もありました。一度はパニックになりかけたものの落ち着くことができたコウに「どうして落ち着いて作業を再開できたの?」と聞くと、「実際にタブレットの画面を見たら『これで大丈夫だ』ってなったんだ」と返ってきました。Upload By 丸山さとこ言葉にすると簡単なやりとりですが、パニックになりかけたときに”人の言葉を聞いて差し出されたものを見る”ことはコウにとっては難しかっただろうと思います。それに加えて”タブレットの画面を見て「これで大丈夫だ」と受け入れられた”ということは、大きな変化だなと思いました。私がそう言うと、コウは「僕にもなんでそうなったか分からんけど、気づかない間に成長したんじゃない?」と言って笑いました。『親も本人も気づかない間に、じわ~っと成長していたのかもしれないな~』と思う、”調理実習写真撮り忘れ事件”でした。執筆/丸山さとこ(監修:井上先生より)タブレット端末で写真を撮ってそれを宿題として提出するというのは、学校の取り組みとしてとても進んでいますね。さとこさんがご指摘のように何かしながら、必要な場面だけを撮影するというのはとても難しい作業だと思います。そのような中でもお母さんの助言を聞き入れて、作業できたことはコウ君のすばらしい成長ですね。2つのことを同時並行で作業することは、難しいことです。しかし、それが『好きなこと』で、なおかつ『先に計画しておくこと』ができることであれば、要領よく作業できるかもしれません。今回のような料理をしているところを撮影するという場合ですと、(1、材料を並べる2、材料を並べたたところ撮影する3、材料を切る 4、材料を切ったところを撮影する…)などといった手順を、先に紙に書いておき、それを手元に置きながら作業をする方法があります。作業を始める前に必要な手順を書いておくことで、重要なことを忘れず、慌てずに作業ができるかもしれません。タブレット端末を使った学習は、多角的な視点で大切なことを学べるチャンスだと思います。作業をする、撮影をする……などの複雑な手順を行う体験にもなりますし、撮影をする中で写りこんではいけないものはないか、写っている人の許可は得ているか……などプライバシーについて学ぶこともできます。まだ、学校でも家庭でも試行錯誤しながら学習していると思います。はじめのうちはうまくいかないことがあっても、だんだんと上手になる過程を大切にすることが大事ではないかと思います。
2022年02月07日マンガで感覚過敏を学ぼう!マンガで分かりやすく発達障害が学べる『マンガで学ぶ発達障害』シリーズ。今回は感覚過敏、感覚の鈍感さなどの感覚の偏りについてまとめてご紹介!一体どのようなパターンがあるのか、発達障害との関連や子どもにもし気になる行動があったらどうする?など、公認心理師の井上先生の解説とともにご説明します。感覚は、個人の主観的なものであり、個々によって刺激の受け取り方はそれぞれです。そのために、感覚の偏りがある人の困難さは、ほかの人からは理解されにくいものです。感覚の偏りの4つのパターンを知って、客観的な把握をすることで安心して過ごせるような環境をつくっていきましょう。感覚過敏のある人に起こる、五感や固有感覚、平衡感覚についての症状をそれぞれ解説。感覚過敏と発達障害との関係性についても説明します。子どもの行動が気になったときには、まず何をすればいい?保護者のできることや対応方法などを解説。子どもの感覚の偏りを知ることで、日々の子育てに役立てることができたり、幼稚園や保育園、学校の先生に具体的なサポートをお願いしたりすることができます。まとめ感覚の過敏がある子どもに対してはまず環境調節が大切だと言われています。子どもの様子をよく見て、どのような刺激が苦手で、それがどのように引き起こされているのかを周囲の大人が知っておくことが重要です。特性を理解することで、家や保育園、幼稚園、学校での必要なサポートが分かり、子ども自身の過ごしやすさにつながっていきます。
2022年02月06日一般社団法人日本ビジョントレーニング普及協会(本部:大阪府大東市、代表理事:久保田 実希、理事:横田 幹雄)は、2020年より大阪府泉大津市の教育委員会と協働で、教員がビジョントレーニングの専門的な知識と技術を習得し、特別支援教育に関わる教員が特別支援の授業の中で活用・実践できるようになるための、従来なかった民間プロトレーナーの実践スキルを習得する研修をスタートしました。公式サイト: 研修風景1研修の実施期間は2020年度から3年度の2年間にわたり、「児童の視覚機能と認知能力」、「感覚統合による児童の発達」などの専門的なテーマを全8回に渡っておこなわれました。研修はコロナ禍の中でありましたが、感染対策をしっかりとおこない、対面で実践的におこなわれました。2021年10月に研修のすべてを終え12月に受験希望者24名が認定試験を受験。2022年1月に認定試験の合否が発表され、みごと受験者の全員にあたる24名の教員が合格し、当協会の発行する認定資格と認定証が2月1日にが授与されました。泉大津市ではビジョントレーニングを発達に課題のある児童・生徒への指導・支援に生かしていくことを目指しており、現在は学校内の通級による指導においてビジョントレーニングの実践と効果に検証をおこなっている。詳細は下記をご覧ください。取り組みの骨子は以下の3つです。〇公民連携で全国初となる、自治体の就学前施設、小・中学校の特別支援コーディネーター、通級教室の指導担当教員等を対象に集団研修をおこなう。(当協会として全国初の取り組み)〇教員に専門的な知識やスキル、プログラムメソッドを学ぶために研修費用を市教育委員会が負担し、個々の専門的スキルの向上を応援。(2カ年継続研修は教育委員会として初の取り組み)〇講座修了者で希望者には、学科と実技の認定試験を用意し、合格者には一般社団法人日本ビジョントレーニング普及協会よりビジョントレーニングの専門家として、合格された教員のそれぞれに認定資格証を授与(自治体として全国初の取り組み)資格名:一般社団法人日本ビジョントレーニング普及協会認定就学前・小・中学校教員 ビジョントレーナー資格(泉大津市の教員限定)※初の取り組みについては当社調べ認定証(サンプル)【ビジョントレーニングとは?】私どもが普及に努めている「ビジョントレーニング」は、人間に本来備わっている「見るチカラ(視覚認知機能)」を目覚めさせ、それを鍛えることによって、集中力や判断力、運動能力や情報処理能力など、さまざまな能力を向上させていくプログラムです。欧米では80年以上前から実践されてきたものですが、最近では日本国内でも、注意欠陥多動性障害(ADHD)や学習障害(LD)、読み書き障害(ディスレクシア)などの発達障害が見られる子どもたちの課題改善・克服に活用され、教育現場ではその効果が注目を集めるようになってきました。例えば、漢字を覚えるのが苦手な子、算数の計算が苦手な子、あるいは、エスカレーターに乗るときに不安を覚えるなど、日常生活に必要な身体の動きができていない子 ――そうした子どもたちが数カ月間~1年間のビジョントレーニングよって、それぞれのつまずきを改善、解消していったという事例はたくさんあります。このトレーニングの目的は、子どもたちの心と身体の発達を促し、学習能力と運動能力の土台を育てることによって健やかに成長して「生きる力」を身に付けさせることです。【日本のビジョントレーニングの歴史は始まったばかり】私ども「一般社団法人日本ビジョントレーニング普及協会」の設立は2018年。ビジョントレーニングの普及が子どもたちの未来を変えることにつながると考え、トレーニングスタジオの運営。また、地域の教員を始め様々な職種の方を対象にした講座、保育園や小・中学校でのビジョントレーニング講演会といった活動をおこなってきました。次第に私どもの一連の活動は、地元大阪府内の教育委員会から高い関心を寄せられるようになり、ビジョントレーニングの教育現場への普及を行う協働プロジェクトが次々に立ち上がるようになりました。今回皆様にご紹介する大阪府泉大津市とのプロジェクトもその一つです。【このプロジェクトは全国的にかなり画期的】教育委員会が一般社団法人との協働で研修を運営すること自体が画期的と言えますが、教育委員会主催で民間スキルを特定の方に習得していただく研修はほかに例がありません。同様のプロジェクトは大阪府内の他の自治体とも立案中で、まさに大阪がビジョントレーニング普及の発火点となり、発達支援の先進地として日本全国の子どもたちの未来を拓いていくことを私たちは願っています。日常生活や学習で、つまずきを克服できない多くの子どもたちのために、ぜひ多くの方に、泉大津市と私ども協会の協働プロジェクトに関心を持ってくださり、この活動の意義を広く理解していただくことにご協力を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。【法人概要】商号 : 一般社団法人日本ビジョントレーニング普及協会代表者: 代表理事 久保田 実希所在地: 大阪府大東市諸福1-12-12 From Earth Kids 2階設立 : 2018年11月14日URL : 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年02月04日見通しの大切さこれまで、発達障害の勉強会に参加すると何度も「見通しの大切さ」について学ぶ機会がありました。スケジュール表をつくって日々の予定を伝える工夫をすること。イラスト、写真、文字などその子に伝わりやすい方法を用いること。ものごとを教える時は手順を細かく分けた手順書を作るといいこと。外出時は特に。変更の可能性も含めて事前に予定を伝えておくこと。私にとって、むっくんが診断を受けてからの5年間はそのまま「見通し」の大切さを痛感する5年間だったように思います。日常生活での「見通し」はもちろん、叱られるとパニックを起こしがちなむっくんに「お母さんは〇時〇分まで怒ります!」と伝えると、緊張が解けてパニック回避できたこともあって。こんなとこまで「見通し」か!と、思わず笑ったこともあります。Upload By ウチノコそんなむっくんは8歳になった今も「見通し」が立ちにくい状況が苦手です。「どうして苦手なの?」と聞くと「何が起こるのか分からない状態がとても怖い。嫌なことや怖いことが起こったらどうしよう?って考えてしまって不安になるんだよ。だからできるだけ予定を教えておいて欲しい」と伝えてくれました。むっくんも自分が不安を感じやすいことを自覚しているので、外出時は安心できるアイテムを持ち歩くなどの心の平穏を保つ努力をしています。今では出先でパニックを起こすことはなくなりましたが、それでも予定を伝え忘れたり急な予定変更をしてしまうと強い疲労感をいだく様子で、帰宅後に不安定になることも多々あります。分からないことは怖い。見えないものは怖い。むっくんに「見通し」を伝えることは「見えない未来」を「見える未来」に変えることなのかもしれないなぁと感じています。見通しの立たない怖さを想像するいったい彼は見通しが立たないことをどんなふうに感じているのかな?なんて思っていたある日。私は出先から帰宅するために夜道を一人で歩いていました。そこは普段通らない慣れない道で、街灯は少なく薄暗くて周囲の様子が見えません。なんだかこわいな、スマホで地図確認しようかな?なんて思ったとき。ああ、そうか。むっくんはこんなふうに感じているのかもしれないと、ストンと腑に落ちたのです。Upload By ウチノコUpload By ウチノコUpload By ウチノコ見通しを伝える意味これまで私にとって「見通し」を伝えることは、【癇癪を防ぐ】という意味合いが大きかったように思います。夜道の比喩は私の想像にしかすぎないけれど。むっくんの心に想いを馳せたとき「見通し」とは【本人が怖くないように、安心できるように、楽しめるように】する意味を持つのだと気づくことができました。むっくんとの暮らしは、発見の連続で。8年も一緒にいるのに私はまだまだ彼を理解できていないのだと思います。と言っても、むっくんと私は違う人間だから、何もかも全て理解しあうことはできなくて、寄り添うくらいしかできないのかもしれないけれど。それでも私はもっと深く彼を知り、できる限り理解していきたいなぁと思っています。Upload By ウチノコ執筆/ウチノコ(監修:初川先生より)夜道の比喩、素敵ですね。私も見通しを持つことの良さをそんな風に捉えています。見通しがつかないと不安、パニックや癇癪を起こすことのベースは強烈な不安ともいえます。子ども本人や周りが困ったことにならないように、というよりも、安心して過ごすためにはと考えると、見通しを伝えたり、その余白(例えばウチノコさんの場合には「AがダメならBにするよ」というところまでの幅のある見通しをされていますね)も含めて伝えることがきっとやりやすくなると思います。お母さんが怒る時間(怒り終わる時間)まで伝えてこられたという積み重ねも素敵ですね。つらい時間は長く感じるものなので、大好きなお母さんを怒らせてしまったら、その時間が延々と続き大変なことになってしまったと感じるでしょうが、実際には大人の気持ちは切り替えられるものなので、目安を伝えるのはお子さんにとっては大切な“世界のルール”なんだろうなと感じます。最後に書かれている通り、最終的には独り立ちしてやっていくことを考えると、自分で見通しを立てる、その方法を伝授してゆくフェーズが来ます。ウチノコさんはむっくんに“道を照らす方法”を伝えながら一緒に照らしてゆく(一緒に見通しを立ててゆく)段階に入られてきているのですね。
2022年02月04日特別支援学校高等部卒業は、中卒扱い?「特別支援学校高等部卒業だと、就職するとき中卒扱いとなってしまうから不利になると聞いたよ」と知人から言われたことがあります。本当にそうであれば、「(高卒扱いとなる)高校へ行かせたい」と悩んでしまう保護者の方がいるのも無理からぬことだと思います。ですが、特別支援学校高等部を卒業すると、履歴書に書く学歴としては「特別支援学校高等部卒」になります。果たして本当に企業就労するときに不利になるのでしょうか。企業に求められる人材とは以前、障害がある子どもの就職についてのセミナーに参加したとき、企業が求める人材について聞きました。人事の採用者がご自身の考えをこのように述べられていました。「”○○ができる/できない”ということではなく、仕事をする上で知ったかぶりをしないで、素直に『分かりません』、『助けてください』と言える人、そう言う人が結果として長く勤めています。質問することを恥ずかしいと思ったり、注意を受けるとふてくされてしままったり、素直に聞けない場合、対応がなかなか難しいです」ということでした。そのためには、劣等感を感じず、自信を持てる学生生活を送ることができる環境に進級することが大切なのではないかと感じました。特別支援学校高等部での進路指導息子は高等部卒業後の進路希望先は就労移行支援事業所を希望していました。そのため、学校での個人面談前にこの用紙を提出しました。Upload By 立石美津子希望した就労移行支援事業所は、住んでいる行政区から少し離れた行政区にありました。面談日に進路担当の先生と担任から「私どもは(学校のある)〇〇区外の事業所について詳しくなかったので、午前中にお母さまが書かれたご希望の就労移行支援事業所を見学に行ってきました。見学をしないで、本日の面談で話ができないと思ったので…」と言われました。私「え、見に行って下さったんですか、先生、お忙しい中、わざわざ息子のために足を運んで下さりありがとうございます!」先生「進級希望先は保護者の方が直接交渉するよりも、学校長の名前でまず実習希望を依頼した方が先方の心象もいいことが多いです。仮に実習できたとしても、実習後、内定が出なかったら次の策として、区内の実習先で○○と○○がありますので、そちらに行って…」こんな風にドンドン決めてくれます。最後に担任と進路の先生から「お母さま、今日は寒い中、お忙しい中、お越し下さってありがとうございました」と言われました。(おい、おい、それはこっちのセリフ、先生方、息子のためにいろいろと考えて下さり、本当に感謝しています!)と私は心で叫び、頭を下げました。このやりとりを普通科高校に障害のある子どもを通わせている知人に話をすると「過保護すぎる学校!」と言われてしまいました。でも、私は(過保護でもありがたい。親の力ではできないことを、学校側が交渉してくれているのだから…)と心の中で思いました。情報が入らない地元の公立中学の特別支援学級で同じクラスだったお子さんが普通科高校へ進級しました。道でばったり会ったとき、お母さまが卒業後のことを悩んでいました。私が“就労移行支援事業所”の説明をすると、「それなあに?」との返答。「障害がある生徒が少ない学校に在籍していると、保護者にも情報が入らないのだな。就職指導でも障害がある人向けの就労先の案内などはなさそうだ」と感じ、改めて”特別支援教育を受けられる恵まれた環境”に感謝したことを思い出します。スペシャルスクール私の知人のお子さんで、特別支援学校高等部を卒業して、企業就労して8年目の人がいます。自分の苦手を知り、できないことについては、周りの人に頼ったり質問したりできます。言われた仕事をきちんとこなせ、注意や指摘されても素直に受け取り働き続けています。「普通科高校や商業科高校などに行った方が伸びるのではないか」と漠然と考えるのではなく、わが子の特性や障害の程度を見極めて進路を選ぶことが大切だと思います。学校生活の中でコミュニケーションや生活力を高める教育を受け、就労についても手厚い支援を受け、職業訓練や適性を見極めえ指導してもらえる特別支援学校高等部の利点にも目を向けていただけたらと思います。障害者雇用枠であっても卒業すれば否応なしに、すざまじい競争社会に放りだされるでしょう。そのとき、母校での安心安全を確保されていた経験がそれを乗り越えるエネルギーになるのではないでしょうか。学生生活最後の3年間を過ごす高等部、無理をさせることなく、わが子が自信を持って楽しく通える場所を探してほしいと思います。執筆:立石美津子(監修・鈴木先生より)息子さんの目標の中にあった「指示を最後までしっかり聞いて作業する」ことは、ADHDのある人にとっては困難なことなので、ADHDがあれば早めに治すことも必要になりますね。私の診ている患者さんのケースの中にも、保護者の思いから、特別支援学校高等部へ進学するのをためらうケースが毎年みられます。そういう保護者の方には、特別支援学校に所属している特別支援教育巡回相談員が地域の小学校に訪問して相談にのってくれるという都道府県の事業を紹介しています。神経発達症(発達障害)に理解の乏しい高校へ進学して情報が入らないよりも、理解があり地域の企業や事業所などともつながりのある特別支援学校で、社会性を身につけさせ、さらには就労支援までしてもらうという手もあるのです。実際に特別支援学校へ進学された方は、最終的な就職率はいいとされています。大切なのは「教育&就労環境」です。お子さんが今どのような状態でどのようなことができるのか、そして何がお子さんのためになるのかという基準で進路を考え、導いてあげてください。(「発達障がいに困っている人びと」鈴木直光著幻冬舎ルネッサンス新書より一部抜粋)最近はまだ少ないですが、神経発達症(発達障害)に理解のある私立高校や通信制の高校があり、集団が苦手なお子さんは「少人数または一人でも学習のできる環境」のある高校を選ぶ傾向にあります。知的なレベルにもよりますが、中学時代に不登校だったお子さんもそうした高校へ通うと、皆勤となっているケースも多くあります。学校も社会も「障害に理解のある環境」が重要ですね。
2022年02月03日細川珠生のここなら分かる政治のコト
私の愛すべき家族
育児に遅れと混乱が生じてる !!