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わが子の急激な成長を期待ばかりしていた私…Upload By みん療育を始める前の私は「療法士の先生が療育をしてくれるんだから、きっとすぐに効果が現れてどんどん言葉を発したり、いろんなことができるようになるのだろう!」と期待ばかりしていました。でもその様子を何度見学しても、先生は毎回毎回同じようなことを繰り返しているだけで、療育というよりは先生と遊んでいるだけのように見え、これが半年も待った療育?と最初は疑問に思っていました。周りにいるPよりも少し大きい子どもたちの様子を見ていると、その子たちは椅子に座って机の上で勉強のような療育をしているのに、何でうちの子はこんな遊びのようなことばかりしているんだろう?と不安に思ったりしていましたが、この考えは間違っていたとあとで気づかされることになります。Upload By みん先生たちは個別に支援計画を立ててくださるのですが、保護者からのニーズだけではなく、子どもの様子を把握し、検討した上でその子の発達段階や性格に応じた療育をしてくれていたのです。そのようなことを何も知らなかった私は、初めての要望では「単語が増えてほしい」「スプーンやフォークが使えるようになってほしい」などと当たり前のように言っていたのですが、そのころのPはまだまだそれらを目標にできる発達段階ではなかったのです。いきなり単語が出たり、道具が使えたりするようになるわけもなく、まずは現在できること、分かること、認知や概念がどれだけ育っているのか?など子どもの全体的な発達を知り援助することが必要でした。先生は最初にPとの信頼関係をつくり、先生と関わりたいという気持ちを育て、その上でこの先必要となる療育をする為の「土台づくり」をしてくれていたのです。でも対人関係が苦手な自閉症のPは、月に数回、数時間だけのやり取りだけでは簡単に信頼関係を築くことはできません。何回も同じ場所へ通い何回も同じ人と同じようなことをすることでやっと先生と関わりたい、伝えたいという気持ちが芽生え、信頼関係の土台ができ、そこから次のステップへとつなげることができるのです。療育は想像していたものとは違っていたUpload By みん早期療育の大切さが分かった現在はこのように先生の狙いや目的などが分かり、その効果が半年後一年後に目に見えて現れるようになってからは、私も前とは違った視点で療育を見学できるようになりました。先生が何ヶ月も何年もかけてPに土台をつくってくれたことで、現在は私が療育を始める前に思い描いていた、座ってお勉強のようなこともできるようになりました。なぜ早期療育が良いという声を聞くのか?を振り返って考えてみると、必要な手続きや待ち時間の話だけではなく、療育を受ける為の「土台づくり」にも時間がかかるからなんだと分かりました。何でもいきなり成長するというわけではなく、スモールステップで積み重ね全体的な成長があるからこそできるようになる。そしてこのように個別にも対応してくださることでP本人に合った必要な療育を一緒に考えながら進められるので、親の私にも目標や狙いが分かりやすく、とても勉強になっています。Upload By みん「遊んでるように見えるだけ」ってこと、ありますよね。僕も初めて療育を見たときは「え、これ大丈夫なの?」って思いました(笑)場所も人も発達も、安心感や土台がしっかりあって初めて次のステップに進むことができますよね。
2021年07月29日お子さま向けワークショップがいよいよ開催!夏休み突入!なかなか外出も難しいこのご時世、お子さまと何をして過ごそうかとお悩みではないでしょうか。そこで発達ナビでは、夏休みの思い出に残る楽しい時間をお届けするイベントを企画し、「オンラインサマーフェスタ2021」として開催中!7/17・7/18に行われたオンラインセミナーは、おかげさまで多くの方にご覧いただいたイベントとなりました。続いては、いよいよお子さま向けワークショップです!オンライン開催なので、全国どこからでもご参加可能です。サマーフェスタを通して、皆さまの夏のおうち時間が、充実したものになりますように。たくさんのお申込み、お待ちしております。Upload By 発達ナビ編集部開催概要<お子さま向けワークショップイベント>■日時:7/31(土)・8/1(日)■参加費:無料■形式:Zoom配信■参加方法:事前申込必須■定員:あり(先着順)■内容:発達が気になるお子さま向けの楽しくまなべるオンライン教室英会話、工作、科学実験などおうち時間を盛り上げるコンテンツをご用意しています。7/31(土)おうちでできるオンライン英会話レッスンの体験会Upload By 発達ナビ編集部お子さま一人ひとりのレベルに合わせたマンツーマン英会話レッスンを提供する、「リップルキッズパーク」。今回のイベントでは、レッスンを"オンライン"で特別体験できるセミナーをご用意しました。ご自宅のいつもの環境から参加できるので、発達が気になるお子さまにも安心です。英語に自信がないけどやってみたいお子さまは【おやこ】一緒でも、自信がある場合は【マンツーマン】でもチャレンジが可能!お子さまの「好き」が見つかるきっかけになるかも。ここだけのマンツーマン体験で、外国人の先生と楽しくお話ししてみませんか?8/1(日)4つのテーマで、よしもと芸人によるワークショップUpload By 発達ナビ編集部「ラフ&ピース マザー」は、吉本興業とNTTグループが今年3月にスタートさせた、まったく新しい“学び”のプラットフォーム。自分の“好き” が見つかる動画や、遊びながらいろんな力が身につくアプリなど、何度でも遊べるコンテンツが盛りだくさんのサービスです。今回のイベントでは、講師は吉本興業所属の芸人さん!そして【科学実験・日本史・工作・英語】のテーマで、一緒に手を動かしながら学びへの探究心を育みます。楽しく遊んでいると思いきや、気がついたらたくさんの学びが得られている、そんな夢のような時間をぜひお楽しみください。【満員御礼】VRゴーグルでバーチャル旅行へUpload By 発達ナビ編集部満員となったため、お申し込み受付は終了しました。ご参加予定の方はお楽しみに!【アーカイブ配信登録受付中】7/17・7/18保護者さま向けセミナーさらに、7/17(土)・7/18(日)に開催された保護者さま向けセミナーの、アーカイブ配信がスタートいたしました。専門家や登壇者への質問コーナーは、オンラインとはいえかなりの熱気を感じ、日々の子育てに役立つ情報が盛りだくさんな時間となりました。そんな内容充実なセミナーを、期間限定でアーカイブ配信中!当日配信を見逃してしまったという方、もう一度じっくり見返したいという方はぜひこの機会をお見逃しなく!さらに、アーカイブ視聴者の方へのサマーフェスタ限定特典もあります!今からでもアーカイブ視聴を希望の方は、ぜひ特設サイトから参加登録をして、アーカイブをご覧ください。Upload By 発達ナビ編集部
2021年07月26日Upload By スガカズスガカズ現在4人の子どもを育てているママです。・長男(中2 ASD、ADHD)・次男(小5 ADHD)・長女(年長 定型発達)・三男(年中、定型発達)障害のある子に手がかかることできょうだい児がガマンしすぎていないか?精神面のフォローはどうすればいい?Upload By スガカズスガカズ(以下、――)障害のある子にどうしても手がかかることで、きょうだい児に、例えば注意散漫や自己肯定感の低下など、発達障害に似た症状に陥る事例があると聞いています。親としてそういったことは心配です。実際子育てをする上できょうだい児にガマンさせているだろうという場面が多々あるので…三木先生:どんな場面で、心配だと感じますか。――例えばわが家の場合だと、3番目の子(年長・長女)です。長女は家では口が達者なので上の子たち(障害児)に対して指摘する場面をよく見ます。保育園では下の学年の子たちのお世話を率先して行っているようです。例えば、乳児クラスのお友達の子に靴をはかせてあげていたり。私はそんな様子の長女に感心しましたが、一方で、この子は本来世話好きな性格と言う訳ではなく、普段の生活で『私が頑張らないと』と潜在的に思って無理しているのではないか…と、心配にもなります。三木先生:長女さんだけの時間をとって、タスクオフにするとどう振る舞うのか見てみるのは大事かもしれないですね。それで本当に無理させていないかの温度感を見てみましょう。タスクオフにしてあまりにはしゃぎすぎていると確かに心配ですが、タスクオフでもお世話をするようなら、もともとお世話することが好きだと考えてもいいのではないでしょうか。――ときどき2人の時間をとっています。タスクオフにしてもお世話するタイプです。三木先生:であれば長女さんにとって、お世話をしたり他人に気を遣うことが自然なのかもしれないですね。年齢的に考えても誰かのお世話をしたがる時期でもあります。行動の是非を評価するのではなくて、彼女がしたくてやっていることを認めてあげる、というイメージです。Upload By スガカズきょうだい児を育てる上で親がとる姿勢Upload By スガカズ三木先生:きょうだい児に対しても障害のある子と同様に、普段『この子大丈夫かな?』と思う目線は大事です。子育てでトラブルをゼロにすることは不可能です。トラブルの兆候を早めにキャッチできると早めに対応しやすいので、大きなトラブルにつながりにくいと思います。――ちょっとしたトラブルが起こると、『きょうだい児だからなのか?発達障害の素質があるのか?』と、考えながら毎日子育てしています。発達障害のある子が2人いる時点で『この子は大丈夫だ』とは、まずならないので…三木先生:発達障害の特性があるとしてもどれくらい強く出るかは子どもの環境が影響しますが、長女さんの場合は『そうなのかもな』と頭の隅に置いておくくらいで大丈夫ですよ。スガカズさんはしっかりとお子さんを見ているように感じますので安心して子育てしてもらって大丈夫だと思います。親が頑張りすぎないことが大事Upload By スガカズ三木先生:とはいえ…あまり子どもたちに気を遣いすぎるとお母さんも疲れませんか。――そうですね。ときどき疲れがたまって『もうお母さん今日は何もしません!』という日もあります(笑)三木先生:その方がよいです。頑張りすぎていることに気がつかないで、ある日突然倒れるよりも、自分でオンオフを切り替えられる方が大崩れしにくいです。無理だと感じたら遠慮なく楽をしてください。そんな姿を親が見せることで、頑張り過ぎるタイプの子どもにも『力をぬいてもいいんだ』と理解してもらえるんですよ。Upload By スガカズ障害のある子を育てているお母さんは、きょうだい児に対して「この子の精神面は大丈夫なのだろうか?」「もしかしてこの子も発達障害があるのかも?」など、ふとしたときに心配する経験も多いのではないでしょうか。三木先生は、そんな親の気もちを理解し、ねぎらった上でアドバイスしてくださったので、私自身、目を光らせたり、時には楽をすることは悪いことではないのだと再確認できましたし、きょうだい児との向き合い方も明確になった気がします。
2021年07月26日小学5年生の宿泊学習は途中離脱こんにちは。加藤路瑛です。僕自身、感覚過敏の特性があることから13歳のときに「感覚過敏研究所」を立ち上げ、感覚過敏の課題解決に取り組んでいます。当事者目線、特に子どもの視点で感覚過敏について話していきたいと思います。感覚過敏があると修学旅行でどんな困ったことが起きるのか、またどんな対策ができるのかを、僕の経験を通してお伝えします。Upload By 加藤路瑛小学4年生のとき、学校で宿泊学習があり、2泊3日で山に行きました。それほど高い山ではありませんでしたが、2日間とも山の中をトレッキングしました。僕は味覚過敏や嗅覚過敏があり、食べられるものが限られています。給食もほとんど食べられません。ですから、宿泊先のご飯は食べられるものがないだろうと不安でした。1日目のお昼は家から弁当を持って行き、夜から宿泊先の食事になります。もちろん事前に、親と担任も食事の件は話し合っていました。「無理に食べなくていいので、食べられるものがあれば」という感じだったので、それなら食べられなくても怒られないし、大丈夫だろうと考えていました。1日目の夜ごはん、2日目の朝ごはん、お昼ごはん……食べられるものがありませんでした。白米だったら食べられるのですが、混ぜごはんだったので主食も食べることができませんでした。問題は飲み物でした。1日目は家で水筒に水を入れていきました。2日目は、宿泊先で生徒全員の水筒に麦茶を入れてくれました。ですが僕は、麦茶は飲めません。ホテルを出てトレッキングしているときに、喉が渇いて水筒の水を飲もうとしたら…麦茶だということに気がつきました。1日目の夜、2日目の朝と昼も夜も、僕は何も食べられませんでした。そして、トレッキング中は水筒に入っている麦茶も飲めず水分補給ができませんでした。僕は栄養不足と脱水で気持ち悪くなり、動けなくなりました。保健の先生と相談し、親に迎えに来てもらうことになりました。夜、おそらく22時くらいだったと思いますが、両親が車で迎えに来てくれました。とてもほっとした記憶があります。車にのったら、僕が食べられるおにぎりや飲み物やお菓子がたくさん買ってありました。僕は夢中で食べました。とても美味しく感じました。水分もとれて元気になりました。途中で父が車を止めて、家族で外に出ました。見上げると、星がいっぱいキラキラ光っていて、こんなに空には星があるのだとびっくりしました。そして、父が「よくがんばった」と頭をなででくれました。小学6年生の修学旅行。去年の反省を活かそう!出典 : 小学6年生の修学旅行では、日光に2泊3日で行きました。もちろん、僕の心配事は食べ物についてでした。小学6年生のときの先生は、事前に親に連絡してきてくれました。母から聞いた内容は以下のような感じです。「5年生のときの宿泊学習の件、聞きました。まず、飲み物ですが、水が飲めるということなので、必要な分だけペットボトルを持たせてください。重いと思うので私が代わりに持ちます。次に食べ物ですが、食べられるパンを持たせてください。おなかが空いて困ることがあれば、教職員の部屋で食べられるようにします。」話を聞いて、こんなことができるんだ!とびっくりしました。この担任の先生は、以前、給食が食べられない僕に弁当持参を提案してくださったこともあります。食べられない僕のことを本当に考えてくださる先生でした。Upload By 加藤路瑛先生は修学旅行中の食事のメニューをすべて調べて、事前に教えてくれました。それを母が見ながら、「2日目のお弁当の焼きそばなら食べられかも」など、先生と打ち合わせてくれました。さらに、宿泊先のホテルの料理長と母が電話で話ができるよう取り計らってくれました。料理長は「お食事がご不安だとお聞きしました。できるだけ食べられるものをお出ししたい。」と言ってくれたそうです。母は、白米があれば大丈夫なことや、豚肉はしゃぶしゃぶにして、できれば焼肉のタレがあれば食べられることなど、僕が食べられる食材や調理方法を伝えてくれました。料理長の「安心して食事の席につけるようにします」という言葉がとてもうれしかったです。(担任も調理長も神対応です!)おかげで僕は、小学6年生の修学旅行では、“まったく食べられるものがない”という状況にはなりませんでした。水筒の中身も持参した水を入れて飲むことができました。お菓子も持っていっていたので、非常食のパンを出動させることはありませんでした。ちなみにパンは、チョコチップのついたスティックパンを持って行きました。こうして2泊3日の修学旅行は、親に迎えにきてもらうこともなく、楽しむことができました。中学1年生。入学オリエンテーリング。中学校では、入学式の翌日からオリエンテーリングで宿泊がありました。入学前の説明会で、オリエンテーリングで食事について相談したいと親が学校に言ったところ、「それなら養護教諭が担当します」と保健室の先生が相談にのってくれることになりました。この時点でも僕も親も感覚過敏という言葉を知りません。「味に敏感なため食べられるものがあまりありません。飲める飲料も限られているので、脱水にならないか心配です」と言うと、先生は「それなら栄養補助食品を持参されるのはどうでしょう?お腹が空いたとき、食べていただいて大丈夫です。それから、飲み物はホテルの自動販売機を自由に使って大丈夫です。まだ、担任が決まっておりませんので、決まり次第、担任には伝えておきます」と1分くらいの相談で解決しました。小学校の時は一大事件みたいな扱いだったのに、中学では、“たいした問題ではない”という感じで、僕はうれしかった記憶があります。実際、オリエンテーリングでは、食べられなかったら栄養補助食品もあるし、お菓子もあるし、なんなら自販機で飲み物を自由に買えるし、なんとかなりました。ただ、結局、オリエンテーリングでは体調が悪くなりました。当時は理由がわからなかったのですが、今、感覚過敏という知識を持って振り返れば、聴覚過敏による体調不良ではないかと思います。味覚過敏についての対策はできていたけれど、聴覚過敏についての対策はできていなかったからです。入学直後のオリエンテーリングだったので、「友達をつくろう、みんなと仲良くなろうと」生徒たちのテンションも高く、騒がしい状態が続いていました。その音の洪水にやられてしまったように思います。Upload By 加藤路瑛もう宿泊学習は行きたくない。出典 : 感覚過敏が強い人の宿泊学習・修学旅行で気をつけたいこと中学1年の秋にも宿泊学習がありました。海のフィールドワークというもので、海辺で生物をさがしたり、グループワークをするようなものでした。入学後のオリエンテーリングと同じような感じで、念のため栄養補助食品を持って行きました。飲み物は自動販売機が使えるのも同じでしたので、困ることはありませんでした。この頃は、教室の騒がしさで体調が悪くなることが多く、保健室に駆け込むことが多いころでした。保健室の先生から「聴覚過敏」という言葉を聞き、自分の体調不良が聴覚過敏からくるものではないかと調べているころでした。宿泊学習でも、やはり具合が悪くなりました。海でフィールドワークをしているときは問題ないのですが、ホテルの自由時間や食事の時間は、音の洪水で頭が痛くなって、気持ち悪くなるのです。中学2年の4月。また2泊3日のオリエンテーリングがありました。宿泊学習のあの雑踏にいるような騒がしさを思い出し、「行きたくないな」と思いました。食べるものも限られてしまうので、気持ちが乗りませんでした。親にオリエンテーリングに行きたくないことを伝えました。オリエンテーリングを欠席することのメリット、デメリットも話し合いました。メリットは、「とりあえず行きたくないので気持ちが安定する」です。話し合った結果、デメリットは「学校での思い出が1つ減ること。オリエンテーリングの話題に入れないこと」だと思いました。僕は、思い出が1つ減ろうが、その会話に入れないことがあろうが、それよりも、宿泊学習に行くストレスの方が高いと思いました。親には、自分で先生に相談するようにいと言われたので、自分で先生にオリエンテーリングを欠席することを伝えました。1年生の3学期は、オリエンテーリングの班決めや準備の時間もあるので、当日は欠席してもよいが、準備には参加するようにと言われました。自分が行かないと分かっていて、班のメンバーにも伝えている中で、準備に参加するのは多少の罪悪感や面倒臭さがありましたが、オリエンテーリングを欠席することに後悔はありませんでした。これまでの宿泊学習を振り返って思うことは、まず、子ども本人は、感覚過敏のある自分が宿泊学習に行くことによって、どんな困った状況が起きるかについて、想像することが難しいので、親や先生が起こる状況を想定して対策を考えて欲しいということです。また、「1日、2日くらい我慢すればよい」という考え方も危険だと思います。僕は小学5年生の宿泊学習で、丸1日食事をとれず、トレッキング中に水分を取れなかったことで具合が悪くなりましたが、低血糖や脱水などで生命に関わる可能性もあったのではないかと思います。家や学校とは違う環境で逃げ場もありません。心配だと思うことは、1つずつ先生と親と生徒で確認していくのがいいと思っています。そして、修学旅行などは学校行事の中でも大きなイベントです。「思い出のために」「みんなと一緒に」という気持ちを親や先生が子どもに押し付けているかもしれないと、考えてみてもらいたいと思います。小学生時代の僕は「学校行事は参加するもの」と思っていました。休むという選択肢を持っていませんでした。僕は中学1年の終わりに、「宿泊学習は行かない」という選択をしました。クラスの話題に入れなくなっても、学校の思い出が少なくなったとしても、それでもいいと思えるようになりました。最後の切り札として「行かない」という選択肢があること、たとえ、一つの行事に参加できなかったとしても、そのことで損なわれるものは思っているほどはないことをみなさんに知っていただきたいです。出典 : 小6の時の先生や宿泊先の神対応が素晴らしいですね。また、必要な支援や取り組みのメリット・デメリットをしっかりと自分で考えられるようになった成長にも目を見張ります。このように、困っていることを整理して皆で相談できるようになると良いですね。(監修:児童精神科医 三木 崇弘先生)
2021年07月25日「怒る」の定義が親と子で違う?ウチノコ(以下、――)むっくんは現在小学2年生。ADHDと自閉スペクトラム症の診断を3歳の時に受けました。感覚過敏もあり周囲からの刺激に対する不安感の強い子なのですが、昔から悩んでいるのが癇癪。怒られるのがいやだ!という恐怖心や怒られたらどうしようという不安から癇癪を起すことが多く、本人の恐怖心や不安をどう取り除いたらいいのか、どう関わってあげたらいいのか悩んでいます。Upload By ウチノコ三木先生:う~ん、なんでだろう。普段怒ることは多いですか?――小さなころは危険な行動の多い子だったので、それなりに叱責はあったけど…診断も早く、早期から対応を学べたので「過度に」というほどでもないかと思います。…でも、例えば「お菓子食べたい」という息子の欲求に対して「ご飯前だからダメ」と私が返すと「怒られた!」と捉えるんですよね。なので、私が思うよりも本人が怒られたと感じる回数はずっと多いかもしれません。三木先生:なるほど「要求が通らない=怒られた」になってしまうんですね。怒った(怒られた)か怒っていない(怒られていない)の定義が親子で統一できていないってことですね。そこは統一した方がいいかもしれないです。――ああ!なるほど!三木先生:本人が「怒られるんじゃないか」と怯えている時に、親側がいくら「怒っていないよ」と伝えたところで、【怒る】の意味がかみ合っていないから伝わらないのでしょうね。だからそれを本人に伝わるようにわかりやすく伝えるというのをやって、怒られたと感じる回数を減らしてみるか…。でも要求が通らないことが嫌なんだよね~。――そうなんですよね…先生のおっしゃる通り「怒った」か「怒ってない」かで親子で言い争いになることが多いので、実は一か月くらい前に「お母さんが怒るときの条件」を紙に書いて壁に貼ってみたんです。ここに書いている内容以外ではお母さんは絶対怒りません!だから安心してって。それで要求が通らない時の反応が穏やかになりました。まぁ効果は2週間くらいで既にマンネリ化してるのですが、そういうことを繰り返していくっていうイメージで合ってますか?Upload By ウチノコ三木先生:そうです!掲示は目新しい方が入りやすいと思うので、その表を数種類作って、2~3週間おきに張り替えて目新しさを維持してみるとマンネリ化を防げるかもしれません。まぁ張り替えでどの程度効果が得られるかは試してみないとわからないのだけど、2度目が初回の7割くらい目新しく感じてくれるといいですね。――ウチノコ:そっか~!それだけでも新鮮になるのですね!三木先生:とは言っても、目新しさが弱かったらまた同じことを伝える新しい方法を探さないといけないので果てしないんですけどね(笑)――ウチノコ:ひぇ~(苦笑)三木先生:まぁ、目先を変えるというのは合うと思います。他にも掲示を左右替えてみたり、色合いを変えたり、紙の縦横を変える、それでも変化になります。どういう変化が合うかはその子によって異なりますが、そういった工夫で伝えたいことを意識しやすくなればいいですよね。Upload By ウチノコ癇癪後に我に返る力を育む――瞬間的に爆発して、暴言などが起きる瞬間はどうしたらいいのでしょう…。結局きっかけの出来事ではなく、爆発中の暴言やらで怒られてしまうので、損しているなって思うんですよね。嘘でいいから黙って悲しそうな顔で下を向いていたら嵐は過ぎ去るのに…三木先生:爆発するその瞬間はどうしようもないです。でも、その後に必ずハッと我に返るタイミングがあるはずです。それが何秒後か、何分後か、どれくらい時間が必要かわからないけど、その時に「今気が付いたね!」と言ってあげる。Upload By ウチノコ――ああ!確かに爆発して私に掴みかかろうとした手を引っ込めることが最近見られます!三木先生:おお!それはすごくいいですね。それを認めて、リピートしてハッと我に返れるようにしていきましょう。そしてあわよくば、ですが我に返った後に元の場所に戻って悲しそうにシュンとする動作をやってみる。――シュンとするは本心でなくてもいいんですよね!三木先生:そうそう!それが、怒られるかもという不安に対するデフォルトの動作になるといいですよね。嫌なことがあったらシュンとする練習を普段からしていくのもいいかもしれません。見た目はちょっとシュールですが。それを「いいねいいね!悲しそうだね。お母さん守ってあげたくなっちゃう!」と褒めておく。――あはは(笑)シュンとできるようになると、すっごく助かりますね。Upload By ウチノコ三木先生:もう我に返るまでは親もどうしようもないし、本人にもどうしようもないんです。とにかく子どもがハッと我に返ったという見極めを親ができるかどうかが大事です。爆発中に声かけをしてもいいけど、無駄だと思うので…。我に返るまではしょうがないなと、本人が怪我などしないように安全にして見守る。そして我に返った後に対応していくしかないのかなと思います。三木先生との対談では、私の持つ情報ををうまく引き出してもらい、先生の言葉で改めて耳から聞くことでむっくんへの理解が深まるという不思議で楽しい時間でした!悩ましい癇癪ですが、先生のアドバイスを参考にできることから一つずつ意識していこうと思います。
2021年07月23日頑張れる場合と、頑張り切れない場合があるその昔、とある実業家の先輩に聞いた話です。その方は、とある仕事で頑張って頑張って頑張って、プロジェクトの終わりのほうで自然と涙が出てきたと。それで初めて「ああ、こんなに涙が出て止まらないほど自分は頑張ったんだな」と思えたそうです。最初から難しいプロジェクトだったので結果は残念なものだったそうなのですが、それでも納得感はあったそうです。僕を含め一定数の人が、このエピソードに対して「やっぱり『やり切る』って大事だよな」と感じたと思います。でも実際には、保護者もお子さんも、頑張りきれずに疲れてしまうことも多いのではないでしょうか。あるいはお子さんが頑張りきれずにいることにたいして、イライラすることもありますよね。それで叱ってしまったり、あるいはもう頑張りきれないところまで頑張って擦り切れて僕たち専門家のところにたどり着く子もいます。世の中には「頑張れたエピソード」があり、でも一方で自分の暮らしの中では「頑張りきれないこと」が溢れています。これって、何が違うのでしょうか?自分が頑張りたいかどうかが分かれ目一つのポイントは「本人が頑張りたくて頑張っているかどうか」です。先の先輩はおそらく、自身がやりたくてたまらないからこそ「自然と涙が出るまで」頑張りきれたのでしょう。僕もありがたいことにいろんなお仕事をいただくようになり、しかも仕事の合間に大学院にも通っていて、そしてこうやって原稿も書き…我ながらよく頑張れているなと思います。しかしこれが「嫌々やらされている」「他人の基準でやると決めた」仕事や勉強だったら、どうだったでしょうか。ここまで頑張れなかったかもしれません。単純化してしまうのは危険ですが、とは言えざっくり、擦り切れてしまう子どもたち、あるいは働きすぎてうつになってしまう人は、「やりすぎている」「自分がやりたくないものをやっている」のかもしれません。擦り切れないために、頑張る対象を絞り込もうとすると、我々は頑張る対象をある程度絞り込んだほうが良いのかもしれません。優先順位の低い家事、やったほうがいいけどやらなくても困らない雑用、気が進まない頼まれごと…。組織に属していたり、コミュニティでの関係性を維持するためには不本意ながらやらなければならないこともたくさんあります。しかし、自分が「やりたい」と思うことの比率をあの手この手で高めていくことに注力するのは一つの方法です。「疲れ」には2種類ある次は、疲れには2種類あるんじゃないかという話です。僕が疲れの違いを実感したエピソードがあります。僕は初期研修の後、小児科医としてキャリアをスタートしました。若手時代は(日にもよりますが)朝から21時や22時まで続けて働くこともありました。そのころは「あ~~疲れた~~~」と思いつつも、スッキリとした気持ちで家に帰ることができました。ところが児童精神科医になり、朝から18時くらいまで働くと、そっちのほうがものすごく疲れるのです。外来が伸びて19時、20時になった日なんて、終わったあとしばらく外来の椅子から立ち上がれないほど消耗していました。「働く時間は減ったのにこんなに疲れるなんて、前と何が違うんだろう?」と思ったとき、一つの仮説にたどりつきます。「疲れの種類が違うんじゃないか?」ということです。あなたの疲れはどっちの疲れ?それは、「体の疲れ」と「心の疲れ」があるのではないか、ということです。小児科医時代は、ある程度想像のつく風邪や肺炎、アレルギーなどパターン化された作業を大量にこなしながら、その中に混ざっている難しい症例の診断と治療に頭を使うような働き方でした。また、外来と病棟と往復したり、広い病棟を歩き回ったり、処置や診察で何回も姿勢を変えたりと、体の動きも多かった。ところが児童精神科医になってからは、基本的に外来診療がメイン。一日中椅子に座って人の話を聞いています。しかも内容は人によって千差万別で、その内容もなかなかに重いものが多い。正解がどこにあるのか分からない闇の中を、一緒にうんうん唸りながらかき分けていく感じです。この「心が擦り減る疲れ」が、疲労感の原因なんだと感じました。つまり、小児科医時代はどちらかというと体力的な疲れです。体は動かしているけど、お昼を食べる時間もそこそこに一日中活動していたことによる疲れ。一方、児童精神科的な疲れとしては、精神心理的な疲れです。さまざまな人の悩みや不安といった感情に触れ、患者さんと一緒にもがき、ぐったりする。そういう疲れです。自分の疲れに必要なのは?体と心の休ませ方、ほぐし方をみつけよう疲れたら休むのはもちろんなのですが、「どう休むか」「どうほぐすか」もけっこう大事かなと思います。先ほどの僕の例は「心が疲れたから、心は空っぽにして体を使う」という解決方法でした。でも人によっては「心が疲れたから、心が癒されるものを眺める」でもいいし、「体が疲れたから、体は休めてクロスワードパズルに熱中する」でもいいかもしれません。休む方法には人に合ったものがあります。自分は何をすると楽になるのかを見つめ直していくのも、疲れをとるヒントになるかもしれません。
2021年07月23日Upload By スガカズスガカズ現在4人の子どもを育てているママです。・長男(中2 ASD、ADHD)・次男(小5 ADHD)・長女(年長 定型発達)・三男(年中、定型発達)定型発達の下の子たちにとって発達障害の上の子たちが良くないお手本に…これって誤学習?解決方法は?Upload By スガカズスガカズ(以下、――):日々障害児と定型児を育てていく中で、「これって誤学習なのでは?」と感じる場面がよくあります。例えば、食事の時間だと、ADHDのある次男は食事に集中できずに遊び始める場面が頻繁にあります。偏食や注意散漫からその日によってごはんの進みが全く違います。下の子たちにとっては次男がお手本となっているようで、同じように立ち歩いて遊び始めるなどで食事に時間がかかってしまいます。Upload By スガカズ三木先生:次男さんに対して黙認状態ではなく、「これは良いこれは悪い」と提示はできていますか。――はい。毎回口酸っぱく伝えています。例えばそれぞれの子のマークを作って机に貼り、「ここがあなたの席だよ。食事中はここで食べようね」「ごはんは30分で終わりだよ」「食事中は遊ばないよ」と伝えていて、下の子たちは「わかった」と返事をします。次男も理解はできています…ですが、結局遊びだすことが多く、30分で終わりません。簡潔に「30分過ぎたから片づけるね」と言うと次男は納得するんですが下の子たちは「食べたい!」と言って泣きだすし…仕方なく「10分だけだよ」と言って延長しますがその繰り返しで多くて1時間かかる日も…。さらに、上の子たち(障害児)のこだわりは『食卓におもちゃをもっていくこと』…。それを奪うと逆に集中できなかったり言い合いに発展するので、結果落ち着いて食事をする環境を作れていません。三木先生:つまり実際のところ、「時間は守らなくてもいい」と言うような形になってしまっているんですね。――そうですね…三木先生:うーん…まぁ、現状難しいと思います。だって好ましくない見本が目の前にあるわけですから。上の子と下の子の食事の時間をずらすなどの対応もあると思いますが、そうすると別の問題(母親のタスクが増える)が出てきますからね。「できる」「わかる」どちらを優先したらいい?Upload By スガカズ三木先生:ADHDのある次男くんのように、高学年だったらもう理解と自制がある程度伴なっているので、食べなければ片づければいいと思いますが、下のお子さんたちはまだ幼く、行動が伴わない年齢なので、難しいですね。この年の子(未就学〜低学年)は、『できる』より『わかる』を大事にした方がいいです。もちろん「なんだかよく分からないけどやる→褒められる→行動が定着」と言った『できる』を優先して成功するルートもあります。でも今のこの場合でしたら大事なのは『枠の提示』ですね。――『できる』より『わかる』ですか…『わかる』はできていそうなのですが、実際子育てする上で『できる』に目がいきがちです。三木先生:できることを求めだすと毎日がげんなりして過ごすことになるので、そこは一旦3~5年後くらいに「ごはんって、ちゃんと座って食べるよね」と運用実行できることにゴールを置いた方が現実的じゃないでしょうか。メッセージ(枠の提示)とできるは即イコールにならないことが多いです。今は60~90分など長時間になってないだけ一旦OKとしてあげていいと思います。逆に年中さん年長さんでちゃんとできていると心配だなと。下のお子さんたちは充分がんばっているんじゃないでしょうかね。――確かに…生活する上で、きょうだい2人とも『がんばっているな』と感じる場面も多いです。3番目の子(長女 年長)は、特にがんばり屋さんな面もあります。誤学習の確認方法は?今回は食事中でのできごとでの悩みについてお話しましたが、「これって誤学習じゃない?」と感じる機会がとても多いわが家…。誤学習かどうかの確認についても三木先生からアドバイスをいただけました。Upload By スガカズ三木先生:誤学習の心配については、下2人が「お兄ちゃんだってぐだぐだしてるじゃん」と心底思っているか聞いてみても良いかもしれないですね。――「お兄ちゃんずるい」「ボクも!」「私も!」と言う機会はよく目にします。三木先生:それが理念ベースで言っているのかエクスキューズ(言い訳)から言っているのかの違いがわかればいいですね。うらやましさから言ってるのであれば、「うらやましいのはわかるよ。でも本当はわかってるよね?」でOKです。外でできることは基本的に「できる」とみなしてOKです。――それでいうとエクスキューズ(言い訳)なのかもしれません。保育園では座って給食を食べているのに、家では違っているので、オンオフを切り換えていそうです…。三木先生:であれば、状況理解と自覚が整えばできるということですね。家で食事に時間がかかったとしても多少目をつむってあげてもいいと思います。感想きょうだい児の誤学習を心配していた私。現実問題上の子と下の子を育てる上で誤学習に繋がりそうな機会はとても多いです。ですが、そんな中でもきょうだい児たちはがんばっていると再確認…。親が心配する気もちが、「誤学習にならないようにしないと…」「物事の良し悪しを正しく理解してもらわないと…」と、肩に力が入っていたのでしょう。短期的に解決させる問題ではないので、「『今できなくても仕方ない』と割り切る」「枠の提示はくずさない」「緊急性がないものに関しては3~5年後をゴールに置く」ことを大事にしようと思いました。
2021年07月22日「なぜそうなるのか分からないとできない」と言うけれど…?「聞き分けのよい子だね」と言われることも多いコウですが、その一方で「ああ言えばこう言う」「納得を求めて『なんで?』が多い」「言われた通りにスッと動かない」と評されることの多い子でもあります。確かに、理屈を理解して納得することができるという意味では”聞き分けがよい子”なのかもしれません。ひっくり返ってダダをこねるのも見たことがありません。けれども、私は彼のことを「分かりやすく”ジタバタするタイプのダダこね”をしないだけで、受け入れがたいことに対する拒否の強さはかなりものだな」と思って見ています。Upload By 丸山さとこ拒否していることを強引に進めようとされたコウはパニックになることもあります。「〇〇なはずなのに!?」と一度パニックのツボ(?)に入ると本人にもどうしようもないようで、落ち着いてから「焦る必要なかったな…何で焦っちゃったんだろう…?」とグッタリすることもしばしばです。この「納得いかなければ動かない・強引に進めればパニックになる」というコウの行動は、”パニックになること”を取引材料にしてゴネることで起きているわけではなさそうです。(一部そのパターンもあるかもしれませんが、全てがそうではないのだろうと思います)Upload By 丸山さとこやりたくないことだけではなく、やりたいことに関しても「えっ、えっ?だって○○だから□□なのに…!」と青ざめ涙ぐみながら抵抗するコウは、ガラス張りの床を怖がって歩きたがらない人のようだなと感じます。”ガラスは割れる”と知っているけれど”人が乗っても割れないガラスがある”とは知らない人が「ガラス張りの床を歩け」と言われたら、抵抗するのは当然だと思います。そんなのムリだと抵抗しているのに「大丈夫だから」と腕を引っ張って強引に連れていかれそうになったとしたら、必死で抵抗したりパニックになったりするのも自然な反応なのかもしれません。『人の話』に耳を傾けるということガラス床の上を歩けるということは知らなかったとしても、信用できる人が「大丈夫だよ」と言っていたり実際にガラス床の上でニコニコしているとしたら、多くの人はそれを信じるのではないかと思います。反面、大丈夫だと知識や経験では分かっていたとしても、周囲の反応から不安になることもあるだろうと思います。コウと接していると、そのような”人の言葉や反応を見て自身の考えや行動に反映するシステム”が弱いのかな?と感じるときがあります。そんなコウですが、私の話は「納得はいっていないけれどお母さんの言うようにしてみたら上手くいった」という経験があるため、いくらか聞けるのだと言います。これは「お母さんを信じている」というよりは「お母さんを信じて上手くいったという自分の経験を信じている」というニュアンスの言葉なのだと思いますが、それでも話に耳を傾けてくれることがあるのはとても助かります。Upload By 丸山さとこあまりにも「なぜそうなるのか分からない」と言うコウにじゃあ炊飯器でなぜ米が炊けるのか、どういう仕組みなのか理解しているのか!?」と何だかよく分からない追及をしてしまうこともある私ですが、少し冷静になると「まぁ…コウにとって、炊飯器は『機能と使い方を理解していれば米は炊けるもの』だもんね…」と一歩譲る余裕が出てきますし、そうなるとコウの方も「いや、今ボクはそれと同じ構造の話をしてたよね…僕も1回やってみてから言えばよかったね…」と譲ってくれたりします。Upload By 丸山さとこそれはあくまで”スムーズにいったとき”の話であって、大体の場合はコウの「何で?だって〇〇なのに」にひとつひとつ返していく毎日ですが、説得(?)の最後の一押しに「試してみてくれないか?」と提案することで何度か壁を越えられたのは、ありがたいことだなと感じます。「上手くいった!」と「上手くいかなかった…」を積み重ねて先日も私が提案する漢字練習の方法を取り付く島もなく跳ねのけていたコウでしたが、「コウの今のやり方だと多分テストまでに範囲が終わらないと思う。ここ最近何回もそのパターンを繰り返しているので、できたら3文字だけこの方法を試してみてほしい」と伝えると、「それなら…」と試した上で「あっ、この方法いいね!どんどん進んでいく…これなら最後まで間に合いそう!!」と喜んで取り組んでくれました。Upload By 丸山さとこそうして「納得はしていないけれど1回試してみて上手くいった経験」と「試してみたけど上手くいかなかった経験」の両方を少しずつ積み上げて、『試してみないと分からない』ということや『人の話しに耳を傾ける』ということをゆっくり知っていってくれたらいいなと思います。お子さんに伝わるように、さまざまな工夫をされていますね。保護者の方が「こうしたほうが良い」と思っても、お子さんが納得しないことは日々の子育てでよくあると思います。このコラムのように、少しだけ試す提案をしてみたり、いくつかの選択肢を示して本人に選ばせてあげたりするやり方など、方法はいろいろありますが、お子さん自身が納得するやり方を見つけられると良いですね。また、うまくいったときには「 ~だからうまくいったよね」と整理してあげると次につながっていきます。
2021年07月22日0歳のお誕生日。なんて可愛いんだろうUpload By かさはらあやこ0歳のお誕生日。(いま思い返すと)出てくる気力がなかったのか、陣痛が始まってから25時間後に先生に上から押されやっと出てきた息子。産まれた数時間後から目をぱっちり開けていました。とても静かで、ただただ、なんて可愛いんだろうと見つめていました。不思議なことに、夜に授乳のためベッドのライトを点灯すると、眩しそうに少しバタバタし、必ずくしゃみをしていました。〝……産まれたばかりなのに、光が眩しいなんてことあるの?〟と少し違和感がありましたが、誰に伝えても特に相手にされず…自分に似て視力がいいのかもしれないと思っていました。1歳のお誕生日。おしゃれな記念写真は撮れなかったUpload By かさはらあやこ1歳のお誕生日。「大きくなったら欲しいものを指定されて、プレゼントを選んであげることなんてなくなるから、3歳まではわたしが選びたい!」。そんな想いで選んだ、とっておきのプレゼント。頑張って飾りつけをし、おじいちゃん、おばあちゃんを家に招き、ごちそうを用意して臨んだ初めての誕生日。SNSでよくみる、おしゃれな記念写真を撮りたくて、飾り付けた壁の前に連れて行くと、秒で破壊。指示が通るはずもなく〝おしゃれな記念写真〟は撮れませんでした。誕生日前から注文していた一升餅。当日までに歩くことはできず。普段あまり会わない祖父に抱かれて、これでもかというほどギャン泣き。1歳児向けの玩具には見向きもしない。無表情で、目も合わず、にこりともしない息子を見て、せっかく来てもらった両親に申し訳ない気持ちでいっぱいでした。2歳のお誕生日。ケーキも玩具も…Upload By かさはらあやこ2歳のお誕生日。第二子の産後2ヶ月。それでも頑張って息子の好きそうな食事をつくり、大好きなキャラクターのたくさん乗ったケーキを用意。全く喜んだような反応をせず、食事には口をつけず、終始無表情で終了。2歳児向けの玩具にはやっぱり見向きもせず。悲しくて、涙を流しながら片づけをしました。当時は児童発達支援に通ってはいたものの診断前で、発達障害のことも、息子の状態もまだ全然知らない時期でした。2歳児って、こんなものなのかなぁ…?と思いながらも、せっかく用意した食事を食べないことにイライラしたり、期待した反応が返ってこないことの虚しさや、焦り、不安。毎日の夜泣き、乳児の世話…。自分でもよく耐えたなと思うぐらいストレスフルな毎日でした。妹が現在2歳。食事を出すと、「わぁ〜!おいしそう!」と言い、ハッピーバースデーも歌います。3歳のお誕生日から、頑張ることをやめてUpload By かさはらあやこ3歳のお誕生日。知的障害を伴う自閉症であることがわかってから初めてのお誕生日。廃棄するだけの料理をつくることをやめ、喜ばないケーキを注文することをやめ…とにかく頑張ることをやめました。大人はオードブル、息子にはいつものメニューを用意。ケーキはシンプルで小さなホールケーキ。誰かを呼ぶわけでもなく、騒がず、はしゃがず、小さくお祝いする。息子はオードブルのレモンをツンツンして終了でしたが、終了後に涙が溢れて止まらない誕生日を過ごした前年とは違い、心を乱すことなく、落ち着いて成長を見守ることができるようになりました。4歳のお誕生日。自閉症育児をする中で、よく「2〜3歳が一番大変」と聞いていたので、4歳を迎えるにあたって、〝あぁー、やっと4歳か。やっと大変な時期を抜けるのか〟と思っていましたが、実際に4歳を迎えてみて思うこと。相変わらず、大変。大癇癪はいまだに起こるし、身体は成長しているから、その分怒りのエネルギーもすごい。身辺自立も何一つできていないし、偏食は加速し、睡眠も不規則。いまのところ、ここが成長して楽になったなぁ~という部分は一切ありません。想像していた4歳より全然成長しておらず、あぁ、これが自閉症のわが子の成長なのかと徐々にわかってきた感じですが、一年前と比べ、身体が少し大きくなったこと、発語があったこと、笑顔が増えたこと。それでじゅうぶんだと思うようになりました。と言ったそばから、4歳のお誕生日は人生初めてのアレルギー事件が発生し、(長くなるので割愛)バタバタしてしまいましたが…。4歳は、健康で楽しく笑っていてくれたら、それでいいな、と思います。誕生日は、お子さんの記念日であり、保護者にとっても大切なメモリアルです。誕生日ごとに振り返ることで、しんどかったことも思い出されるけれど、当時と比べるとお子さんの成長も感じられると思います。お母さまには「よくぞここまで!」と大きなエールを送りたいです。お子さんがなぜパニックになるのか、なぜ喜ばないのかという理由が少しずつ分かるようになると同時に、どうしたら楽しめるか?という視点が加わることで、これからももっと、そのときの成長に合ったオリジナルな誕生日の祝い方を楽しめるようになれると思います。
2021年07月21日歯科検診で虫歯が見つかる学校の歯科検診で虫歯が見つかり、さっそく近所の子ども専門の歯医者を予約。予約のときにミミがASDであることを伝えました。人気の歯医者で、初診まで3週間!それまで毎日「今日は○○日だね、○○日は学童を休んで○○時から歯医者だよ」とミミに伝えました。Upload By taeko4歳くらいのころ、保育園から「フッ素の塗布」を勧められました。でも、当時のミミはじっとして居られなかったので、歯医者に行っても椅子にも座れないだろうと思い込み連れて行きませんでした。Upload By taeko当日は問診票の記入があるので、早めに到着。問診票にもASDであることや、療育・通級に通っていること、お医者さんの器具を触りたがることを書きました(眼科で先生が注意しても何度も器具を触ってしまうことがあったので)私が記入している間、ミミはキッズスペースでぬいぐるみ同士をバトルさせて遊んでいました。Upload By taeko時間になり、呼ばれて「え〜」と、もう少し遊びたかったようだけど、しぶしぶ診察室へ!改めて先生にASDであることを伝えると…先生「療育に行ってるんですよね」しっかり確認してくれたので、発達障害に理解がある先生かも?と少し期待しました。歯医者の椅子に座ると後ろを向き先生の様子を伺うミミ。先生は問診票をしっかり見てくれていて…先生「(薬品などを指して)これは触ると洗っても落ちない薬が入ってるから触らないでね~」「前を向いてね、イスがベッドになるんだよ~」イスが動いて行くけど、ミミはおとなしくしている…奇跡!?いよいよ診察が開始。先生はこれからすることを説明してから進めてくれます。普通に診察を受けるミミ。逃げ出すかも知れないと思っていた私はビックリ!「エライ!すごいよ~」と私も先生・助手さんもミミを褒めました。Upload By taeko口の中に空気を入れる際も、ミミの手のひらに空気を当てて「風を当てて良い?こういうの口に入れるね」など、丁寧に説明していただいたこともありスムーズに進んでいきます。虫歯は深いらしくレントゲンも撮ることに。別室に移動して口の中に検査用具を入れても大丈夫。またイスに戻り、穴の空いた虫歯に蓋をし、歯石を取って今回は終了。次回は麻酔を打って歯を削る本格的な治療になるので、まだまだこれからだけど、ひとまず安心。私がやっていた仕上げ磨きは、磨けていなかったということなのでしっかりと教えてもらい、その日の夜から実践。私の膝に頭を乗せ、ミミとのコミュニケーションの時間が増えて嬉しいです。Upload By taekoこのお子さんのように過敏さや不安が強い場合、事前に保護者の方がお医者さんと作戦を練られると良いですね。視覚的なカード(絵カード)を使って手順を説明してくれたり、椅子に座って口の中を見るだけ、次は歯磨きの練習だけ、などスモールステップで時間をかけて慣れていく方法をとっていただけたりすることもあります。また、障害がある方に特別な配慮を行う『障害者歯科』もありますので、事前に調べてみたり、親の会などで聞いてみたりすると良いでしょう。
2021年07月20日障害者手帳は3種類Upload By 立石美津子発達障害者手帳、これがあったらどんなにいいかと思いますが、残念ながら存在しません。障害があることを証明する手帳は次の3つのみです。・身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳つまり、知的障害を伴わない、あるいは軽度の発達障害の人のための “発達障害者手帳”というものは存在しないのです。発達障害がある場合、精神障害者保健福祉手帳の対象として分類されています。厚労省精神障害者保健福祉手帳の障害等級の判定基準について障害者手帳があると就活でも活用できる従業員が一定数以上の規模の事業主は、従業員に占める身体障害者・知的障害者・精神障害者の割合を「法定雇用率」以上にする義務があります。(障害者雇用促進法43条第1項)民間企業の法定雇用率は2.3%です。従業員を43.5人以上雇用している事業主は、障害者を1人以上雇用する必要があります。一般枠で企業就労するのが難しい場合、障害者雇用枠で就労することができますが、その際に障害があることを証明する手帳が必須となります。しかし…・視覚障害、聴覚障害、上肢下肢の欠損、体幹障害による歩行困難など身体障害がなければ、身体障害者手帳の対象とはなりません。・(自治体によって異なりますが)東京都の場合、知能指数が76以上だったら療育手帳の対象とはなりません。愛の手帳について | 東京都保健福祉局精神障害があると認めたくない保護者もいる一定の知能指数のため療育手帳対象に該当しない、身体障害もないため身体障害者手帳の該当にならないとなると…残るのは“精神障害者保健福祉手帳”となります。すると、「うちの子は発達障害。精神障害ではない!」と憤る親御さんを見かけたことがあります。これに対して私は心の中で「いやいや、そうじゃないのよ。知的障害のない発達障害児が、障害者雇用促進法のもと、法定雇用率でカウントされて企業就労するには、なんらかの障害者手帳が必要。今の制度上では、知的障害のない発達障害児は精神障害者保健福祉手帳が必要となるのに」と呟きました。知的障害がなくても療育手帳の対象になる地域も発達障害のある人は知的障害がなくても、社会生活を送るにあたって多くの困難を伴います。社会生活での困難と言う面では、知的障害、精神障害、身体障害がある人と同じだと言えます。そのため、知能指数が療育手帳の範疇以上の人に対しても、療育手帳を発行している自治体もあるようです。全国的にこれが広まればよいと感じます。Upload By 立石美津子自己申告制日本の福祉は自己申告制です。親がわが子の障害に気づいて積極的に動くことで取得できます。精神障害者保健福祉手帳について紹介しましたが、こちらが取得できない場合もあると思います。たとえ障害者手帳の対象とならなかったとしても、障害福祉サービス受給者証をとって、福祉とつながっている人だということを示す方法もあります。「精神障害者保健福祉手帳が必要?わが子には精神障害はないのに!」と憤るのではなく、福祉サービス、制度を活用することで、わが子の将来の選択肢を広げられるかもしれません。精神障害者保健福祉手帳で雇用枠での就労を目指したり、受給者証で福祉サービスを活用したり、支援者につながる機会を増やすことが、わが子を守ることにつながるのではないかと思います。
2021年07月01日母親を失い、イキイキとしていたダフネの生活に変化が訪れるUpload By 発達ナビ編集部ダウン症がある30代の女性と、その家族の姿を描いたイタリア映画「わたしはダフネ」。信頼する母親が突然亡くなり、茫然自失とする父親と二人きりになったところから物語が描かれます。自分をしっかりと持ち、毎日の暮らしの中に喜びと誇りを見出すダウン症のダフネと、お酒ばかり飲みお店をなかなかあけることができないでいる年老いた父。障害がある子どもを親が一身に支えるのではない、互いを信じあえるようになったとき、一方通行ではなく支えあう家族の形が生まれていくさまが描かれた作品です。フェデリコ・ボンディ監督へ発達ナビ編集長がインタビュー今回、この映画の監督である、フェデリコ・ボンディさんに、LITALICO発達ナビ編集長・牟田がインタビューを行いました。このコラムでは、そのインタビューの様子をご紹介します。Upload By 発達ナビ編集部編集部 牟田(以下、――):映画を描くきっかけになったのは、バス停でバスを待つ親子の姿を見かけたことだったそうですね。フェデリコ・ボンディ監督(以下、監督):ええ、偶然目にした光景がこの映画を作るきっかけとなりました。渋滞中に、車の窓から外を見ると、バス停で年をとった父親と、背の低い30代くらいのダウン症のある女性が、手を握り合っていたのです。父親は目がうつろでした。そのとき私がまず思ったのは「母親はどこに?」ということ、そして「どちらがどちらをささえているのだろう?」ということでした。手を握り合っていたことがとても印象的で、「握り合う手のような映画を撮りたい」と思ったのです。――:お互いを支え合うということをテーマにした映画を作りたいと思ったということでしょうか。監督:支え合う人々の物語を撮りたいと思ったのです。でもこれは、私にとっては未知の分野でした。そこで、住まいのあるフィレンツェの協会を尋ね、そこに所属している(ダウン症がある人の)保護者と対話を重ねました。一人では脚本を書くことすら難しかったと思っています。そして、いろんなご家庭を訪問する中で、保護者の皆さんとの話しは、どんな心理学者と話すことよりも豊かだと感じました。――:ダウン症のある女性とその父親が手を握り合っていた。一般的には、父親のほうが障害のあるわが子を支えると考えがちだと思いますが、そのようにさまざまなご家庭を訪ねて気づいたことはあったのでしょうか?監督:ダウン症がある人とそのご家族と話をするようになってすぐに分かったのは「ダウン症の有無にかかわらず、誰一人同じではない」ということです。定型発達と言われる人も一人ひとり違うように、ダウン症がある人も一人ひとり違うということです。そもそも、私はダウン症についての映画を撮ろうと考えていたわけではありません。インクルージョンはとても大切なテーマではありますが、私がまず描きたいと思ったのは、一人ひとりがもつ資質についての物語です。そして、回復の物語です。主人公であるダフネは母を亡くします。年老いた父親を支えなくてはいけないし、自身の痛みとも向き合わなくてはいけない。そこからどのような反応をしていくのかを描きたいと思いました。Upload By 発達ナビ編集部――:主人公であるダフネを演じているカロリーナは、ダウン症があり、主人公と同じようにスーパーで働いています。そしてポジティブな女性ですよね。監督:彼女は自信がありすぎるくらいありますよ!ベルリン映画祭でのインタビューで何と言ったと思います?「この作品は大傑作です!こんな素晴らしい映画はほかにありません!」そして私に向かって「あなたもよくやったわよね。この傑作が生まれたのにはあなたの貢献もあると思う」と(笑)――:スーパーで、同僚の女性が「この仕事はつなぎだから。食べていくためにやっている」というようなことを言うシーンがありました。ですが、仕事に誇りを持つダフネと話すうちに、自分のやっていることって素敵なのかもと気づかされる描写でした。監督は、そうした姿勢をカロリーナから感じて描かれたのでしょうか?監督:カロリーナだけでなく、他のダウン症がある人々からも仕事への誇りは強く感じました。カロリーナ自身、スーパーで働いていて、彼女はワインの棚を担当しているのですが、彼女の持ち場のワイン棚はとても整然としているんですよ。また、カロリーナの素晴らしいところは、(前向きさや仕事へのプライドだけではなく)そのアイロニー(皮肉)の精神です。自分自身を客観的に見ることができる力があるのです。映画の撮影中、カロリーナに「泣いたほうがいい」とアドバイスされたんです。泣くことで心を解放できるからと。でもその時は特に泣きたい気持ちでもなかったし「映画が完成したらきっと泣くよ」と言ったのですね。映画が完成して初めての試写が終わったときに彼女が電話をしてきて、開口一番に「泣いた?」と。泣いてないと答えると「泣くって約束したじゃない!」と怒って、そして言ったんです。「泣くための薬を飲むべきよ」って。映画の中に、母親が亡くなって泣いているダフネに父親が薬をすすめるシーンがあるのですが、それを踏まえてのジョークです。アイロニーのセンスが素晴らしいなと感嘆しました。Upload By 発達ナビ編集部――:映画の中には「涙を止める薬なんていらない。私は泣きたいの」「人生はしんどいの。だから人間なの」など、哲学的なセリフがいくつか登場します。そうしたセリフにもカロリーナの影響はあるのでしょうか。監督:カロリーナと両親や同僚、友人との会話をかなり観察しました。そこから得たものもあるし、手紙や電話でひんぱんにやりとりをしていたから、そこから得たものもあります。そこで気づいたのは、カロリーナの中にある「生きる喜び」や「人生を楽しみたい」という思いの強さです。彼女は自分自身の弱さを力に変える力がある。ひっくり返す力があるのだと思いました。彼女のアイロ二―のセンスも、自分を客観視できるからこそ。自身を客観視できるから、弱さも強さに変えることができるのです。――:私自身、重度の障害がある娘がいます。ダフネ、そしてカロリーナが自分に自信をもって生きている、その姿を見て、わが子にも彼女のように人生を楽しめるような人になってほしい、それができるように育てられたらと感じました。監督:カロリーナの両親は、彼女に絶大な信頼を置いています。彼女が自立できるようにすべての手を尽くしているところが素晴らしいと感じました。――:娘は自立までは難しいかもしれないのですが…娘は言葉がしゃべれないのですが、この映画を一緒に見ていた時、涙を流している私を見て、頭をなででくれたんです。そしてハグをしてくれた。障害が重いと何もできないと思いがちですが、実は私自身娘にすごく支えられているんだと改めて感じられたんです。監督:その行為は、1000の言葉に匹敵しますね。素敵なエピソードをありがとう。グラッツェ。――:グラッツェ!Upload By 発達ナビ編集部第69回ベルリン映画祭にて国際批評家連盟賞受賞。2021年7月3日よりロードショー。東京・神保町の岩波ホール他、全国順次公開予定です監督・脚本:フェデリコ・ボンディ原案:フェデリコ・ボンディ、シモーナ・バルダンジエグゼクティブ・プロデューサー:アレッシオ・ラザレスキープロデューサー:マルタ・ドンゼリ、グレゴリオ・パオネッサ撮影:ピエロ・バッソ編集:ステファノ・クラヴェロ音楽:サヴェリオ・ランツァ衣装:マッシモ・カンティーニ・パリーニ出演:カロリーナ・ラスパンティ、アントニオ・ピオヴァネッリ、ステファニア・カッシーニ、アンジェラ・マグニ、ガブリエレ・スピネッリ、フランチェスカ・ラビ2019年/イタリア/イタリア語/94分/カラー/シネマスコープ原題:DAFNE字幕翻訳:関口英子配給:ザジフィルムズ後援:公益財団法人日本ダウン症協会厚生労働省社会保障審議会 推薦【中学生以上、保護者・指導者等、一般(啓蒙) 】
2021年06月27日ダウン症のある人たちのポジティブなエネルギーを写真から感じて!Upload By 発達ナビニュース2021年7月、ダウン症のある人たちの前向きなエネルギーをテーマとした写真展が、東京・渋谷のヒカリエで開催。全42点の写真が並びます!写真家の名畑文巨(なばた ふみお)は小さな子どもが持っているポジティブなエネルギーをテーマに、世界のダウン症のある子どもたちを取材撮影し、写真展を展開するプロジェクトを立ち上げ実行しています。2018年にロンドンで開催された第1回写真展「Positive Energies」では、日本・イギリス・ミャンマー・南アフリカ共和国での取材を行い、今回も出展しているイギリス人写真家リチャード・ベイリーらとともに三人展を実現させました。第2回となる日本展は、東京オリンピック・パラリンピックの理念の一つでもある「多様性と調和」を背景に、障害のある人たちへの心理的障壁を取り払い、すべての人が共存できる社会へ向かうきかっけにしたいと企画されました。ロンドンでの第1回展では、次のような感想がよせられています。美しい人たちの なんて感動的で詩的な写真たちでしょう。とても心動かされる展覧会でした! 共有してくれてありがとうございます。感動的で独創的な写真たち。写真に写っている人々が最高に美しく捉えられていますね。展覧会で涙を流したのは初めてです。写真による表現が持つ力を感じました。障害に関してのこれまでの表現は、悲しかったり、絶望的な印象を与える写真が多かったけれど、これらの写真にはポジティブな精神と温かみがあります。出生前検査・診断が普及しつつある中、胎児にダウン症のある可能性が高いとき、難しい選択に直面する場面も増加しました。新しい生命をめぐる施策の選択肢の一つとして、医師による合併症リスクなどの情報のみでなく、ダウン症のある人やその家族の姿を捉えた写真展を通して考える機会にしてもらえたら、という思いも込められています。ダウン症のある人たちの生き生きとした姿を撮り続ける、日英の写真家による作品Upload By 発達ナビニュース世界中のダウン症のある子どもやその家族を取材・撮影してきた名畑文巨と、ダウン症のある人が仕事やスポーツなどに打ち込む姿を捉え発信し続けるリチャード・ベイリー。第1回写真展でもタッグを組んだ二人による写真を、東京展で見ることができます。名畑 文巨(なばた ふみお)大阪府在住。子どもが見せるいきいきとした表情やしぐさ、それを見る者が抱く幸せな感情をテーマにした作品を撮り続ける。ダウン症のある子のエネルギーに衝撃を受け、世界のダウン症のある子どもたちを撮り発信している。APAアワード2009文部科学大臣賞受賞、公益社団法人日本写真家協会会員Richard Bailey(リチャード・ベイリー)ロンドン在住。彼自身、ダウン症のある子をもつ。英国ダウン症協会を中心に、同じ立場の人が集まり誕生した写真プロジェクト「Shifting Perspectives」にてキュレーターを務め、2005年から8年間に7カ国・40都市で写真展を開催。その後、2014年に公益財団法人日本ダウン症協会主催により東京で開催。開催日時/2021年7月22日(木・祝)~8月3日(火)11:00~20:00(入場は19:30まで)※7月24日(土)のみ17:30まで(入場は17:00まで)会場/渋谷ヒカリエ 8階 ギャラリースペース「CUBE」東京都渋谷区渋谷 2-21-1入場料/無料※感染防止対策渋谷ヒカリエ様の方針に従い、新型コロナウイルス感染防止対策を行います。マスクの着用、手指の消毒、入場者全員の氏名・連絡先の記入、検温等にご協力をお願いしています。主催:写真展ポジティブエナジーズ実行委員会助成:グレイトブリテン・ササカワ財団、大和日英基金特別協賛:金澤翔子協賛:ぜんち共済株式会社、日本コンパクトディスク・ビデオレンタル商業組合特別協力:Shifting Perspectives Project後援:外務省、厚生労働省、東京都、渋谷区公益財団法人スペシャルオリンピックス日本公益財団法人日本ダウン症協会公益社団法人日本写真協会特定非営利活動法人大阪USクラブ特定非営利活動法人アクセプションズ英国ダウン症協会、ミャンマーダウン症協会、南アフリカダウン症協会ダウン症のある人たちの前向きなエネルギー「Positive Energies」が写真からほとばしる、名畑文巨とリチャード・ベイリーの二人展 | 渋谷ヒカリエ写真展「ポジティブエナジーズ」| 渋谷ヒカリエ
2021年06月26日「頑張れ、フツウになれ」死を考えていた学生時代Upload By 桑山 知之2019年5月、ドキュメンタリーCM『見えない障害と生きる。』の取材で、筆者は初めて神山さんと出会った。「学校の先生が文字読めないなんて、悟られたくない。悟られちゃいけない」「どうやって死のう、ばっかり考えてましたね。『頑張れ頑張れ、フツウになれフツウになれ』って言われ続けると、そういうふうにならざるを得ない」彼は、文字が読めない教師。にこやかな表情とは裏腹に、これまで経験してきた生きづらさが言葉の節々からにじみ出ていた。岐阜市で生まれ育った、すぐに熱を出してしまう、体の弱い男の子。自分は文字が読めないと知ったのは、小学2年の道徳の授業だった。B4見開きのプリントの文章を読み、感想を書くという課題で、一時間経って読めたのはわずか3~4行だけだった。「ぼくはみんなと違う」――。それからは、どう叱られずに一日を過ごすかが神山少年の課題となった。教科書が丸々覚えられるようにと、3歳上の姉が音読してオープンリールのテープに吹き込んでくれ、擦り切れるまで聴いて授業に臨んだこともあった。それも小学校高学年になると、文量が増えて立ち行かなくなってしまう。Upload By 桑山 知之「先生たちにも『あいつはどうしようもないやつだ』って言われて。『学校に来る価値のない人間』とか『教室に入るな』とか、そういった言葉は日常茶飯事で。先生がそういう風にみんなの前で叱って、つるし上げたりすると、クラスの雰囲気もそうなって、いじめられました。みんなにバカにされていました」(神山さん)神山さんの母親は、端的に言えば世間体を気にしていたという。学校で何かがあると自宅に電話が入り、家に帰れば「あんたなんか産まなきゃよかった」「あんたのせいで近所も歩けない」と罵られた。中学、高校も含めて学生時代は「どうやって死のうか」とずっと考えていた神山さん。紆余曲折を経て選んだ道は、陸上自衛隊。活字とは縁遠い職業だった。つらい思いは自分で最後に…決断、そして教師へUpload By 桑山 知之18歳の神山青年は、2等陸士として京都・宇治市にある駐屯地にいた。誰も自分のことを知らないところへ行って、人生を再出発させる。体力に自信がある神山さんにとって、文字を使わないこの仕事はまさに天職だった。2年ほど過ごし、自衛隊の中で成人式をやってくれることになった。「上官が『今までの20年間をしっかりと振り返って、今後どう生きていくか人生設計を立てなさい』と話をしてくれて、考える時間もくださって。そこで、自分のようにあんなにつらい思いをするのは自分で最後にしよう、そういう教育者になりたいな、自分がそういう教育を変えていけるようにしたいなと思ったんです」(神山さん)Upload By 桑山 知之すぐに上官と相談して、夜間の短大に通い始めた。朝6時に起きて夕方まで訓練をやったあと、大学に行き、帰ってくるのはいつも23~24時だった。それでも、「同じ苦しみを抱えている子たちを放っておけない」という一心で頑張れた。そして23歳の頃、教員採用試験に合格した。しかし、教え子に対しては、なかなか自分の苦手さを伝えられずにいたという。「教科書は前日に丸暗記して、読んでいるフリをしていました。技術科の教師だったので、技術科の教科書と、自分が担任するクラスの道徳の授業ですね。行頭の文字とかキーワードだけで、そのあとの文章が出るように覚えたり。丸々暗記しようと思うと大変ですけど、段落の頭でその段落が思い出せるように、ブロックで覚えるのを毎授業やってました」(神山さん)27歳で知った自分はディスレクシアUpload By 桑山 知之自己の学習障害を隠したまま、神山さんは通常学級を6年間受け持った。そんなとき、NHKのとある番組でアメリカの小学校のことが報じられていた。それがディスレクシア(識字障害)だった。「そこではディスレクシアとかいう言葉は使われていなかったですね。読み障害とかそういう感じ。でもアメリカは移民の国なので、そういう子たちのプログラムで教育は保障できるっていう。その子たちの特性はこうです、というもの全部が自分に当てはまるから、本当に驚きました」(神山さん)その後、神山先生は特別支援学級を受け持つようになる。テレビでディスレクシアを知って「自分の中でつっかえていたものが取れた」ため、自分の苦手なこともすべてオープンに話した。劣等感を抱えている子どもたちの心に寄り添うことができた。Upload By 桑山 知之特別支援学級を5年間受け持ったあと、特別支援学校で17年間にわたり勤務。そして、主幹教諭という立場で3年間、岐阜市内の小中高などを回っていろんなアドバイスや支援をおこなった。いつしか神山さんの存在は全国各地で知られるようになり、講演依頼が絶えないほどになった。現在は、岐阜市内の小学校の用務員をやりながら、子どもたちや保護者らの相談を受けている。「日本の教育って無意識に人との比較をしてしまっているんですよね。人との比較で自分を評価することを学んでしまっているんです。それよりも、過去の自分と比べる方が自然かなって。もっと言えば、『あなたはそのままでいいんだよ』ではなくて、『あなたはあなただからいいんだよ』って僕は言いたいです」(神山さん)Upload By 桑山 知之平成元年愛知県名古屋市生まれ。慶應義塾大学経済学部在学中からフリーライターとして活動。2013年に東海テレビ入社後、東京支社営業部を経て、報道部で記者/ディレクター。2018年から公共キャンペーンのプロデューサーとして「いま、テレビの現場から。」や「見えない障害と生きる。」、「この距離を忘れない。」といったドキュメンタリーCMを制作。主な受賞歴は、日本民間放送連盟賞CM部門最優秀賞、ACC TOKYO CREATIVITY AWARDSゴールド、JAA広告賞 消費者が選んだ広告コンクール経済産業大臣賞、ギャラクシー賞CM部門優秀賞、広告電通賞SDGs特別賞など。取材・文:桑山知之取材協力:若者支援ネットワーク研究会in東海
2021年06月23日長男が8歳のとき、発達障害の1つである「ADHD」の診断がおりました。さらにお医者さんが言うには、自閉症の傾向も高めとのこと。生後半年ごろには育てにくさを感じていたのですが、受診に至ることはありませんでした。長男の発達障害がわかるまでの体験談と、「こうすればよかった!」と思ったことを紹介します。うちの子に限って!と思っていた私赤ちゃんのころからまったく人見知りをせず、抱くと毎回反り返っていた長男。とにかく動き回る子で、生後10カ月のころには私が疲労で倒れてしまいました。特におかしいなと思ったのが、月齢に合わせて届く通信教育のおもちゃをまったく使いこなせなかったこと。 ビデオ教材で見た子どもたちと違い、長男はおもちゃが分解できないことにかんしゃくを起こしていたのです。そこで発達の遅れを気にすればよかったのですが、私も初心者ママ。「まさかうちの子に発達の遅れがあるはずない」と思い込んでしまいました。 健診では悩みをうまく伝えられず…3歳までに何度か健診がありましたが、長男の発達について指摘されることはありませんでした。普段はかんしゃくを起こしがちな長男ですが、健診のときはたまたま落ち着いていたのです。 さらに健診では、保健師さんとママが1対1でお話する機会があります。保健師さんには長男に手がかかることは伝えていたのですが、具体例をうまく伝えられませんでした。事前に気になることをメモしておけば、スムーズに相談できたのかなと思います。 IQテストでまさかの平均値!健診をスルーした長男でしたが、何度か自主的に市の子育て相談にも行きました。そこでも問題は指摘されず、私はすっかり疲れ果てていました。そして5歳のとき、保育園の先生から市の療育室を紹介されたのです。 その療育室では、IQテストを受ける機会がありました。このときには「長男には何か問題があるはずだ!」と思っていた私は、これで何かわかるかも!とうっすら期待……。しかし結果は平均値。ここまでくると、私の育て方がいけないのでは?と思う自分がいました。 受診の希望を伝えると一気に話が進み!転機が訪れたのは、小学2年生に進級してすぐのこと。次男の1歳半健診のときに、長男のことで悩んでいると相談したのです。すると、県から委託されている相談先を紹介されました。それを聞いた私は即行動! 新しい相談先でIQテストを受けると、発達にかなりの凹凸があるとわかりました。 受診の促しはありませんでしたが、今度はこちらから受診を希望していると伝えました。そこからはトントン拍子で病院を紹介され、すぐにADHDの診断がおりたのです。 ふり返ると、こうしておけばよかったなと思うことがいくつかあります。まずは、「わが子に限って」と思い込まないこと。それから、健診では事前に気になる点をメモしておくこと。そして、親としての希望があればこちらから伝えていくことです。自分がどう思っているか・どうしたいのかを相手に伝えることは、とても大事だと学びました。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 監修/助産師REIKO作画/やましたともこ 著者:河津明香2男1女の母。旅行代理店勤務をしながらの育児を経て、フリーランスのライターへ転身。現在は発達障害の長男のサポートをおこないながら、旅行・育児・生活雑貨などの記事を中心に執筆。
2021年06月21日大好評だった「オンラインまなびフェスタ2021」に続く、夏のビックイベント「オンラインサマーフェスタ2021」が開催決定!どうやったら毎日楽しく勉強できるだろう?どんな高校が合うのだろう?将来のために、今からなにをしておけばいいのだろう?好きなことや得意なことを見つけてあげたい。学校の勉強がわかるようにサポートしてあげたい。そんな想いで今年の3月に開催された、「オンラインまなびフェスタ2021」。初めてのオンライン開催となりましたが、多くの専門家の方や13社の協賛企業にお集まりいただくことができました。「まなび」を大テーマに多様な選択肢と一気に出会える一日にするために、「家庭学習」「STEAM教育」「進路選び」「学用品」など幅広い切り口で、お子さまも参加できるワークショップも交えながら、計17コンテンツを配信しました。Upload By 発達ナビ編集部その結果、参加登録者数はなんと4600名以上で、当日視聴者数はのべ6600名以上!たくさんの満足の声と、大きな反響をいただき、私たちの想像も超える特別な1日となりました。【いただいたコメント】・オンラインなので気軽に参加できました。専門家の先生方のお話以外にも様々な企業の商品やサービスを詳しく知る事ができ、発達について悩みがあるなし関係なく参加できるイベントだと思いました。ありがとうございました。・好きなタイミングに参加でき、内容が盛り沢山でよかったです。企業さんの商品紹介も、実際話を聞いてみたら興味が湧いたものがあり、子育てに活かせそう!と思いました。抽選会があるのもとっても魅力的です!当日のYoutubeチャットでは、登壇者の方への質問や保護者様同士の交流のコメントで盛り上がり、オンラインイベントとはいえとても熱量の高いイベントとなりました。そして事後アンケートでは、またの開催を望む声をたくさんいただきました。そんな皆さまの声にお応えして、さらにパワーアップした形で「オンラインサマーフェスタ2021」を開催します!「オンラインサマーフェスタ2021」は、発達が気になるお子さんの夏の成長を応援するイベントです。サマーフェスタは、前回のまなびフェスタからさらにパワーアップし、保護者様向けセミナーとお子さま向けワークショップの2本立てで、2週にわけてお送りします!Upload By 発達ナビ編集部保護者の方には、お子さまと過ごす時間が増える夏休み前に、日々の子育てのお役に立てる情報を気軽に得られる機会を。お子さまには、なかなか外出が難しいこの夏、思い出に残る楽しい時間をお届けします。オンライン開催なので、全国どこからでもご参加可能。専門家の先生、発達が気になるお子さま・ご家族を応援する企業、LITALICOによる、まなびの詰まったセミナー&ワークショップをお楽しみに!サマーフェスタを通して、皆さまの夏のおうち時間が、充実したものになりますように。今回は、保護者さま向けのセミナーイベントと、お子さま向けのワークショップイベントを2週に分けて開催します!<保護者さま向けセミナーイベント>■日時:7/17(土)・7/18(日)10:00~15:30(予定)後日アーカイブ配信も予定しています。■参加費:無料■形式:Youtube Live配信■参加方法:事前申込必須。7月上旬より参加申し込みを受け付け予定です。■定員:なし■内容:専門家講演、発達が気になるお子さまを応援する企業によるセミナー、当日参加者限定の抽選会<お子さま向けワークショップイベント>■日時:7/31(土)・8/1(日)時間未定■参加費:無料■形式:Zoom配信■参加方法:事前申込必須。7月上旬より参加申し込みを受け付ける予定です。■定員:あり(先着順)■内容:発達が気になるお子さま向けの楽しくまなべるオンライン教室今回は先行して、「オンラインサマーフェスタ2021」のコンテンツの一部をご紹介させていただきます。※企画調整中のため、今後変更となる場合もございます7/17(土)特別講演:夏休みの宿題からゲーム依存、新学期の行き渋り対応まで発達障害子育てなんでもQ&A7月17日(土)の特別講演は、鳥取大学大学院教授で臨床心理士の井上先生と、児童精神科医の三木先生によるトークライブ!夏休みの宿題やゲームとの付き合い方、新学期明けの登校渋りなど、夏休み前に知っておきたいトピックを中心に、「発達が気になる子の子育て」にまつわるお悩みや不安などをQ&A形式で井上先生と三木先生にお話しいただきます。ただいま先生方への事前質問を募集中!当日はこの中からいくつかピックアップしてお二人にお答えいただきます。さらに、当日はチャット機能を使ってリアルタイムで井上先生・三木先生に質問できるチャンスも!臨床心理士の井上先生、児童精神科医の三木先生、保護者の皆さまそれぞれの視点で様々な子育てのお悩みについて一緒に考えていきましょう!(時間の都合上、すべてのご質問を取り上げることは難しい場合もございます)Upload By 発達ナビ編集部井上雅彦先生鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授 / 公認心理師 / 臨床心理士/専門行動療法士 / 自閉症支援士エキスパート / LITALICO研究所 客員研究員応用行動分析学をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のための様々なプログラムを開発している。Upload By 発達ナビ編集部三木崇弘先生フリーランス児童精神科医/スクールカウンセラー兵庫県姫路市出身。愛媛大学医学部卒・東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科博士課程修了。早稲田大学大学院経営管理研究科修士課程在学中。 愛媛県内の病院で小児科後期研修を終え、国立成育医療研究センターこころの診療部で児童精神科医として6年間勤務。子どもの暮らしを医療以外の側面からも見つめる重要性を実感し、病院を退職。 2019年4月よりフリーランス。“問題のある子”に関わる各機関(クリニック、公立小中学校スクールカウンセラー、児童相談所、児童養護施設、保健所など)での現場体験を重視し、医療・教育・福祉・行政の各分野で臨床活動をしている。7/18(日)特別講演:本人・親・きょうだいの"困った"どうすればいい?ー精神科医・田中康雄先生が教える夏休みの乗り切り方ー7月18日(日)の特別講演は精神科医 田中康雄先生に、夏休み前に知っておきたい内容をセミナー形式でお話しいただきます!夏休みは、1学期の学校生活での疲れが出たり、生活リズムが乱れやすくなったり、家の中のきょうだいトラブルも多くなったりと、お子さまの困りごとも増えがちな時期。保護者側も、家事や育児、宿題のサポートが増え、疲れがピークに…。そうしたスパイラルにおちいりがちな夏休みのおうち時間の過ごし方のポイントや、ご家族のレスパイトのためにも活用したい社会資源についてなど、コロナ禍の現状も踏まえて、精神科医の田中康雄先生からお話しいただきます。当日は視聴者の皆様からの質疑応答タイムもご用意しています。ぜひご参加ください!Upload By 発達ナビ編集部田中康雄先生北海道大学名誉教授/医療法人社団倭会 こころとそだちのクリニック むすびめ 院長発達障害の特性を持つ子どもとその家族、関係者と、つながり合い、支え合い、認め合うことを大切にした治療・支援で多くの人から支持されている。企業コラボセミナー:発達が気になるお子さんを支える、商品・サービスのご紹介「サマーフェスタ2021」は、発達が気になるお子さまの成長を応援する企業の皆さまに協賛をいただき、セミナー・ワークショップをお届けいたします。育児や療育、普段の暮らしをより豊かにする商品・サービスをご紹介いただきますので、ぜひご期待ください。今回ご参加いただく企業の皆さまの一部をご紹介いたします。各企業の詳細日程は、7月上旬の予約開始時に公開となります。Upload By 発達ナビ編集部Upload By 発達ナビ編集部学習教材「すらら」の学習者数が2020年12月末時点で約33万人となりました。お子さん1人ひとりに合った学習が求められる時代、「無学年方式」はこれからの教材トレンドです。全国学習塾1,016校、学校1,026校が採用し「勉強のプロが認める教材」としてブランド先行しておりますが、それに迫る勢いで家庭学習サービスとしてのご利用者も年々、増えてきております。家庭学習の利用者の半数以上が不登校、発達障害、2020年も多くのお子さまを導くことができました。2021年も是非、注目いただけたら嬉しく思います。Upload By 発達ナビ編集部株式会社すららネットUpload By 発達ナビ編集部遊具の力で発達支援~感覚『新五感』に働きかける 遊びとは?~遊具メーカーのアネビーは、「発達障がい」を「感覚の障がい」ととらえています。そして遊具遊びは子どもの感覚に働きかける大切な活動。子どもにとって一番の楽しみが発達につながるのです。園や公園、お子様のまわりにはどのような遊具がありますか?本セミナーでは、「感覚の障がい」を特性に変える、身近な遊具の力を紹介します。ぜひご覧ください。Upload By 発達ナビ編集部株式会社アネビーUpload By 発達ナビ編集部ぜんち共済は、知的障がい・発達障がい・ダウン症・てんかんなど障がい者向けの保険を取り扱う専門保険会社で、前身の全国知的障害者共済会から20年の歴史があります。ぜんちのあんしん保険は、障がいのある方特有のパニック事故、トラブルに巻き込まれたときの弁護士費用、ご病気での入院、おケガでの入通院等を保障する総合保険で、5万人以上の方にご契約いただいております。お客様の障がい特性により添いながら、親身で誠実にサポートいたします。Upload By 発達ナビ編集部ぜんち共済株式会社Upload By 発達ナビ編集部「読むトレGO!」は、ディスレクシア、読み書き障害、学習障害などの「読むこと」に困難を抱える子どもたちに向け、発達障害分野の第一人者、医学博士の平岩幹男先生の監修のもとで開発したNintendo Switch用のトレーニングゲームです。文字の読み書きが困難な「ディスレクシア」。日本では小学2年生以上で100人に7~8人の確率で発覚している身近な学習障害(LD)のひとつです。日本の小学校学習では「読み」と「書き」を同時に行うため、読み書きの苦手なお子様にはとても厳しい学習となります。「読むトレGO!」は、「読み」に絞ってトレーニングを行うため、学習効果が上がります。Upload By 発達ナビ編集部株式会社サムシンググッドUpload By 発達ナビ編集部星みつる式家庭療育DVDは、視覚優位の特性を研究し、「見て覚える」をコンセプトに、お子さんに取り組みやすく、ご家族の負担が少なくなるよう開発された教材です。「言葉の遅れ」「友だちとの関わり」「勉強の遅れ」などの困りごとに応じて療育をカスタマイズすることが可能。小学生で療育が終了した子も、ご自宅で療育を継続できます。購入後から2年間ご利用頂ける取り組みサポートもあるので安心です。当日は、約7000人の臨床経験をもつ、星みつる式専任の発達障害専門カウンセラー水沢ありさが、これまで見てきた子どもたちの成果やタイプ別のおススメ教材についてお話致します。みなさまのお悩みにきっと役立つお話があると思いますので、ぜひご覧下さい。Upload By 発達ナビ編集部株式会社スターシップUpload By 発達ナビ編集部家庭学習教材「月刊ポピー」は創刊以来50年近く、全国のご家庭の家庭教育・家庭学習をサポートしてきました。単なる学力アップだけではなく、学習習慣や生活習慣、思考力などお子さまの成長や将来に不可欠な力を総合的に身につけることを目的に、教材・サービスをお届けしています。ポピーには元小学校の先生が所属しており、会員さまの家庭教育・家庭学習に関するお悩みにおこたえしています。当日はその経験豊富な先生が皆さまに、家庭教育・家庭学習をより充実・向上させるためのアドバイスをいたします。Upload By 発達ナビ編集部株式会社新学社Upload By 発達ナビ編集部「toio™(トイオ)」は、子どもたちを様々な創意工夫へと導く不思議なロボットトイです。コンセプトは、『つくって、あそんで、ひらめいて。』身近なブロックや工作など様々なものを取り付けて自由にあそべる「toio」。まずは見よう見まねからはじめ、次第に自分で手を動かして夢中になるうちに、創意工夫が自然に生まれる。そんな体験が詰まっています。また「toio」は、ご⾃宅で楽しめるプログラミング教材として、カードを使ったプログラミングやビジュアルプログラミング環境など、初級から上級までさまざまなプログラミング体験も可能です。Upload By 発達ナビ編集部株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント企業コラボワークショップ:発達が気になるお子さま向けの楽しくまなべるオンライン教室Upload By 発達ナビ編集部次から次へと「好き!」が見つかる。どんどんどんどん「夢中!」になる。遊んで学べる、学んで遊べる、新体験のオンパレード!ラフ&ピースマザーは、吉本興業とNTTグループがお届けする新しい“学び”のサービスです。自分の“好き” が見つかる動画や遊びながら様々な力が身につくアプリ、全国どこからでも参加できるオンライン教室など、何度でも遊べるコンテンツが盛りだくさんです。さらに、広告や不適切なコンテンツは表示されず、操作も簡単で、お子様に渡しても安心の設計となっています。今回は発達が気になる子のためのオンライン教室イベントを8/1に開催します!ぜひご参加ください!※詳細は後日ご案内いたします。Upload By 発達ナビ編集部株式会社ラフ&ピースマザーUpload By 発達ナビ編集部「未来のジブンが好きになれる高校」明蓬館高等学校に、中等部が誕生しました。学び辛さや生き辛さのある生徒のためのSNEC(Special・Needs・Education・Center / スネック)とCONEC(Coder’s NeuroHACK Center / コネック)には、支援員やスクールカウンセラーが常駐して「支援と伴走」の下、生徒たちは興味関心を大いに伸長させながら社会進出に向けて輝いています。そんな明蓬館高等学校が作る中等部では、一人一人が自分のペースでICTを活用しながら、学びの中で自己肯定感を高めています。上級生と一緒に高校卒業や、その先の進路に向けて学習をしたり、特別講座にチャレンジしています。「安心して安全な環境で挑戦できる」を毎日実践するのが明蓬館高等学校の中等部です。Upload By 発達ナビ編集部明蓬館高等学校中等部Upload By 発達ナビ編集部「リップルキッズパーク」は、2009年にスタートした子ども専門オンライン英会話サービスです。オンライン完結だから、送り迎えなくおうちでレッスンを受講することが可能です。マンツーマンだから、お子さま一人一人のレベルや性格、習熟度に合わせた最適なレッスンが受けられます。専任講師による楽しいレッスンだから、お子さまが英語を好きになり、継続して受講ができ、結果的に英語力を上げることが可能です。アカウントは1つでOK!きょうだい・親子でレッスンを分け合い、一緒に英会話を学ぶことができます。Upload By 発達ナビ編集部株式会社エンビジョン7/17(土)18(日)のセミナー参加者向けに、楽しい企画も準備中!発達が気になるお子さんの役に立つ商品を抽選でプレゼント!「サマーフェスタ2021」をより楽しんでいただくための企画もご用意しており、協賛いただいた企業から発達が気になるお子さんに役立てていただける商品をご提供いただいております。今後もプレゼント商品は増える予定です!お楽しみに!Upload By 発達ナビ編集部子どもたちの健やかな発達を考え続けるK’s kids。幅広いラインナップも魅力で月齢や発達ステージに応じて遊びの幅が広がります。・どんな気持ち?感情を学べるボード。感情の単語を並べたら鏡でお顔を確認。多様な感情を学びます。・お着換えトレーニングボタンやファスナー、くつひもで楽しくお着替えしましょう。表裏で男の子と女の子。練習しやすいように工夫されたサイズで日常生活動作の練習を。Upload By 発達ナビ編集部株式会社ダッドウェイUpload By 発達ナビ編集部パシフィックサプライ(株)は、リハビリ器具など福祉用具の製造販売を行っております。大阪人間科学大学教授/認定作業療法士 辻 薫様と開発した学習用クッション「ハートリーフクッション」をプレゼントとしてご用意しました。いすにもたれかかり、ずれ落ちてしまう。しっかり身体を支えることが難しいお子さまには、「姿勢が悪い」「ちゃんと座りなさい」「まっすぐしなさい」など、どうしても注意してしまいませんか?ハートリーフクッションは、硬めのブロックをお尻に合わせて使用することで、自発的に身体を支えやすくしております。Upload By 発達ナビ編集部パシフィックサプライ株式会社【アンケート実施中】専門家の先生、企業の皆さんへの質問を、どしどしお寄せください!当日のコンテンツをより磨いていくために、発達ナビユーザーの皆さんにアンケートを実施します。専門家や参加企業への質問などを受け付けておりますので、下記のボタンよりぜひご回答ください。ぜひ皆さんと一緒に、有意義な日をつくることができたらと思っております。フェスタでの開催内容について、新たに決定したことについては、随時メールマガジンやSNSを通して発達ナビユーザーの皆さんにお伝えしていきます。こちらも楽しみにしていただけると嬉しいです。たくさんの方のご参加を、心よりお待ちしております。
2021年06月21日2021年7月公開のイタリア映画「わたしはダフネ」Upload By 発達ナビ編集部ダフネは社交的でしっかり者の、ダウン症のある30代の女性。スーパーで働きながら、愛情ゆたかな両親と暮らしていましたが、突然親友のように仲が良く信頼していた母親が亡くなってしまいます。この映画は、妻を亡くし親なきあとの娘を心配するあまりふさぎこんでしまう父親と、父親とのこれからの暮らしを模索するダフネとの物語です。障害がある子どもと年老いた父親。父であるルイジは「自分が死んだらどうしよう」と娘に”なにかしてやらなければいけない”と思っていますが、ダウン症のあるダフネも父親のことを”お酒ばかり飲んでふさぎ込み、お店も閉めてしまって心配だ”と感じています。お互いへの「自分が支えてあげないとこの人はダメになるのではないか」という不安感が、二人の関係をぎくしゃくとさせてしまいます。でも、母の生まれ故郷へ向かう旅を通して、二人の関係に変化が訪れます。お互いを「信じる」ことができるようになり、親子の関係がぐっと深まっていくのです。障害がある子どもは一方的に支えるべき存在?Upload By 発達ナビ編集部障害がある子どもを育てていると、「これをしてあげなくては」「これがなかったら困るだろう」と、子どものこれからを案じて行動してしまうことも少なくありません。ですが、子どもの側も「お父さんは大丈夫かな」「お母さん元気がないな」と心を寄せ、支えようとしているのかもしれません。一方ばかりが支え合うのではなく、お互いに信じ、支え合うことが必要なのではないか―ーこの映画はそんな風に問いかけてくるようです。この映画の監督である、フェデリコ・ボンディさんは「バス停で年老いてうつろな目をした父親と、とても小柄なダウン症の女性が手を握り合っている姿をみた」ことをインスピレーションにこの映画を描いたそうです。「”ダウン症のある人について描いた映画”ではない。”握り合う手のような、支え合う人々についての映画”を撮りたいと思った」のだと。ダフネの「生きること」へのポジティブな姿勢が力をくれるUpload By 発達ナビ編集部また、映画の中で私たちが気づかされるのは、ダフネの「生きる」ことへのまっすぐでポジティブな姿勢です。ダフネの仕事へのプライド、同僚への分け隔てのない友情をまっすぐに伝えようとする態度、友人と楽しむダンスのひととき。母が亡くなったとき、ひどく悲しむダフネに薬を進める父親へダフネはこう言います。「薬なんていらない。私は泣きたいの」我慢する必要などない、泣くことで心を解放することが今の自分にとって必要だと感じて、周囲をはばかることなくまっすぐに実践します。勤務先のスーパーに新しく入ったばかりの同僚が「生活のために仕方なく働くことにした」とつぶやくと、スーパーの仕事へのプライド、尊敬する店長の素晴らしさについて、イキイキと語りかけるダフネ。そんなダフネの姿を見た同僚の表情には、変化があらわれます。Upload By 発達ナビ編集部自分に正直に、日々の何気ないことがら一つひとつにもプライドを持って生きるダフネから「自分のしていることすべてにかけがえのない意味があり、何気ない日常こそ愛おしいものなのだ」と励まされるのです。自立したダウン症の女性の芯の強さに励まされ、毎日の暮らしを大切にしたいと思わせてくれる、元気をもらえる映画です。第69回ベルリン映画祭にて国際批評家連盟賞受賞。2021年7月3日よりロードショー。東京・神保町の岩波ホール他、全国順次公開予定です。監督・脚本:フェデリコ・ボンディ原案:フェデリコ・ボンディ、シモーナ・バルダンジエグゼクティブ・プロデューサー:アレッシオ・ラザレスキープロデューサー:マルタ・ドンゼリ、グレゴリオ・パオネッサ撮影:ピエロ・バッソ編集:ステファノ・クラヴェロ音楽:サヴェリオ・ランツァ衣装:マッシモ・カンティーニ・パリーニ出演:カロリーナ・ラスパンティ、アントニオ・ピオヴァネッリ、ステファニア・カッシーニ、アンジェラ・マグニ、ガブリエレ・スピネッリ、フランチェスカ・ラビ2019年/イタリア/イタリア語/94分/カラー/シネマスコープ原題:DAFNE字幕翻訳:関口英子配給:ザジフィルムズ後援:公益財団法人日本ダウン症協会厚生労働省社会保障審議会 推薦【中学生以上、保護者・指導者等、一般(啓蒙) 】
2021年06月19日発達障害を持つ3歳の息子さんと病院へ向かうため、初めて2人での電車移動を試みたママ。いざ駅のホームにつくと、想定外のハプニングが次々と起こり、振り回されてしまった体験談です。 現在10歳で発達障害を持つ息子が3歳のころの話です。息子の検査のため、電車で病院へ行くことに。初めて2人で電車に乗るため、私もやや緊張気味でした。そんな中、電車を見た息子がすごい勢いで顔を上げ、予想外の行動に出たのです! 慌てて追いかけた私にもまさかのハプニングが次々と起こって……。 ※息子の言動はすべての発達障害の方に当てはまるものではありません。あくまでも、“息子個人”の特徴です。 初めての電車移動でいきなりハプニング!?発達障害を持つ当時3歳の息子と電車で病院へ向かうために、最寄り駅へ行ったときのこと。ホームに入ると、息子は耳を塞ぎ、しゃがみ込んでしまいました。息子は自閉症と知的障害があり、さらに視覚と聴覚が過敏なタイプの子です。普段聞かない、スピーカーを通しての駅員のアナウンスや初めて見るホームの風景は、息子の視覚と聴覚を刺激。今までに感じたことがない情報が波のように押し寄せ処理しきれず、パニック状態になってしまったのです。 耳を塞ぎ、しゃがみ込んでいる息子を見て、私は乗車をあきらめることに。「ごめんね。つらかったね。タクシーに乗ろう」と、息子の腕を軽く持ち上げたそのとき、「3番線に電車が到着します~」とアナウンスが流れました。 すると、電車がホームに入ってくるや否や、息子は突如顔を上げ立ち上がりました。かと思うと、電車の扉が開くと同時に軽やかなツーステップでそのまま乗車フィニッシュ! 顔を上げてからフィニッシュまで私の体感で3秒。息子はあっというまに電車内に姿を消しました。 あまりに突然のことで、電車内に消えた息子を呆然と見ていた私……。「扉閉まりまーす」のアナウンスを聞いてようやく「やばい! 息子を止めねば!」とダッシュし、扉が閉まるギリギリで乗車。「セーフ!」と安堵したのも束の間、なぜか前に進めない……!? なんと、電車の扉にガッチリ背中の服を挟まれていたのです。 自分の意思とは関係なく、ピーンと背筋が伸び、首を動かしても、手を動かしても首が締まる。動きを封じられたこの姿は、もはや拷問でした……。突如始まった拷問と闘いながら、首をなるべく動かさないように、息子を目だけで追いました。 身動きがとれない! 乗客の視線がつらい…電車内は座席にポツポツと数人が座っている程度で、立っているのは強制的に立たされている私ひとり。息子は、それほど混んでいない電車内をウロついています。そして息子流の“確認作業”が始まりました。ウロつきながら周囲の情報を集め、安心エリアと認定されれば作業終了となります。 「きゃあぁ!!」と声をあげ、手を叩きながらウロつき、ピョンピョンと小刻みにジャンプを始めた息子。「まずい、興奮し始めた」。息子は乗り物が大好きです。遊園地でも必ず汽車系の乗り物には、何度も乗りたがります。そんな息子の目の前に、本物の電車が現れれば興奮しないわけがありません。しかし障害があるとはいえ、公共の場で、これらの行動を放置しては迷惑になってしまう……。息子の行動を止めたいけれど、私自身の身動きが取れずにっちもさっちもいきません。今なら昆虫標本にされた虫たちの気持ちが痛いほどわかる、と思いました。 「ああ、こんなことになるなら最初からタクシーに乗ればよかった……。息子の社会勉強にもなるかと思ったのが甘かった」と、後悔が頭の中で何度も巡り続けました。乗客全員が、騒ぐ息子に冷たい視線を向けているように感じ、しかも息子を止められない理由が、己のマヌケな失態だと周囲にバレたくないので余計に焦りました。 「◯◯、こっちきて!」と何度か声かけをしていると「何で母親が動いて止めないのか?」と言いたげに、周囲がチラチラと私を見始めています。標本スタイルの拷問がバレないよう、足をクロスしたり、自然に振る舞っているつもりでしたが、扉の前で同じ体勢でずっと立っている人に、周囲が違和感を抱かないわけがありません。 息子を止めに行きたいのに、挟まれて動けない……。だからといって周りの人にこの状況を伝えるわけにもいかない……。そんなことを思いながら、心拍数を上げていると、息子が確認作業を終え、やっと私の元に戻ってきました。 抱っこを求められ、さらにピンチ!安心したのも束の間、息子は私の顔を見上げ、両手を上げて「あーおー」と言いました。「抱っこ」の要求です。「何で今やねん!?」と心の中で泣きツッコミ……。 表面上は「次で降りるからあとでね」とやさしく声かけをしていたが本音は違いました。「もうすぐ降りるから、先ほどの息子の行動を大目に見てほしい」と周囲へのアピールも兼ねていました。そんな私の気持ちも知らず、息子はなかなか抱っこしない私にイラつき始めました。シャツをグイグイ引っ張りながら、「あーおーあーおー!」と要求が強くなっていき、同時に私の首も精神的にもきつくなります。さらに周囲の視線も痛い。そんな闘いの最中、「まもなく○○駅に到着しま~す」と神の声が聞こえました。 「これで拷問から解放される!」。息子の手をぎゅっと握り、拷問からの解放を待ちわびていました。「次、降りるからねー」と息子に笑顔を向けつつ、周囲へのアピールも忘れません。電車がスピードをゆっくり落としながら、ガッ…タンと止まり、次の瞬間、私の目の前の扉が開きました。そう、逆の扉が開いたのです。まだ扉の拷問から、解放が許されませんでした。電車内の空気が「この人やっぱり……」という一体感に包まれました。 「扉閉まりまーす」と容赦なく扉が閉められました。目的地を過ぎ、もうどこに向かっているかもわかりません。電車内は変に静まりかえっています。次の駅まで2・3分の距離ですが、やたらと長く感じ、みっともなさ過ぎて一刻も早くこの場から消えたいと思いました。息子の抱っこ攻撃を「電車から降りたら抱っこするね」と誤魔化し対応をしている間に、次の駅に到着しました。 さらなる試練、そして衝撃の結末へ…ようやく拷問から解放された私は、焦る気持ちから「◯◯、降りるよ!」と勢いよく息子の手を引いてしまい、転ばせてしまいました。火が付いたように電車内で「ぎゃあぁ!」と泣き叫ぶ息子。「◯◯ごめん!」と謝りながら体を抱え、何とかホームに降りましたが、安堵はできませんでした。ホームで、とれたてのかつおのようにビチビチと泣き暴れる息子を何とか抱っこしながら時計を見ると、病院の予約時間の30分前。 「タクシーに乗ったらギリ間に合うか!?」と泣き暴れる息子をさらに強く抱き、タクシー乗り場に向かう際、ある異変に気づきました。「息子の靴が片方ない」。ベンチの下や、足もとを探しても見当たりません。「さっき電車内で転んだときに脱げてしまったのか!?」。拷問から解放されても終わらない試練に打ちのめされ、もう靴を探す気力も、病院へ行く気力も失ってしまいました。 息子が少し落ち着いたところで、病院へキャンセルの電話を入れました。ところが、受付の方が「少々お待ちください」と言ったまま、なかなか電話に出てくれません。その後、受付の方から衝撃の言葉が発せられました。 「◯◯くんの検査、先月になっておりますが……」。これまでの長い試練の時間は、この衝撃的なオチの前振りだったのかと、さらに衝撃を受けたのでした。 闘う必要のない場に勝手に飛び込み、ひとりで勝手に闘って、ひとりで勝手に負ける。そんな私の無駄な闘いに巻き込まれた息子が、気の毒でなりませんでした。電車の扉は、何か異物を挟むと自動的に開くと思っていたのですが、それも私の勝手な思い込みだったようです。この出来事以降、電車に乗るときは、扉に背を向けず、目をカッと見開き、扉をガン見しながら決して油断せずに乗車しています。 息子は療育手帳を取得。タクシー料金が割引になるため、必要に応じてタクシーも利用するようにしています。また、病院のすすめでイヤーマフ(見た目はヘッドホンに見えます)を購入。10歳になった今でもイヤーマフを愛用していて、電車内で騒ぐことなく、車窓から見える看板の文字を読んだり、電車レジャーを楽しんでいます。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 監修/助産師REIKOイラストレーター/Michika著者:猿 祭14歳娘と10歳息子の母。3月まで保育士として勤務。うつ病で休職中の旦那と受験生の娘、発達障がいを持つ息子を抱えながら無職に。これまでの子育てや、日々のあれこれを執筆中。
2021年06月15日発達凸凹男子が、授業参観で初めてほめられた日こんにちは。『発達障害&グレーゾーン子育てから生まれた楽々かあさんの伝わる! 声かけ変換』他、著者・楽々かあさんこと、大場美鈴です。小学校時代は「ワガママ」「協調性がない」と見られて、実年齢より精神的に幼いように扱われることが多かった、うちの長男。でも、中学校に進学して出会った外国人の先生の視点からは、同じ1人の子が全く違う姿に映ったようです。今回のコラムは、ある授業参観日での目からウロコのエピソードと、そこから私が気づいたことをお伝えしたいと思います。出典 : 授業参観日…それは、それまでの私にとって、正直憂鬱な学校イベントに他なりませんでした。だって、小学校時代のうちの長男ときたら、低学年ではキョロキョロよそ見したり、足をモゾモゾしたり、消しゴムを三角定規でみじん切りにしたり…。そして、机の上のピタゴラ装置からうっかり鉛筆を落としては、ガタガタと1人で忙しそうにしていたので、私は少々肩身が狭かったのです。…あ、こっち見てニッコニコで手を振っている。ヤ・メ・テ〜!高学年では、じっと座ってノートを取れるようになったものの、実験やグループワークでは「余計なことをしないのが、自分ができる最大の協力」だと学習してしまい、班行動の蚊帳の外で終始つまらなそう…。本来は好奇心とアイデアいっぱいの長男の、そんな大人しい姿を見るのは親として忍びなくもありました。そして、授業終わりの休み時間などに、担任の先生から「あ、〇太郎くんのお母さん!ちょうど良かった。ちょっとお話したいことが…」なんて声をかけられると、ギクリとしたものです。ところが、私立中学に進学した長男の、ある日の授業参観日のこと。長男の学校は「授業参観週間」があり、その中でならいつ参観してもいいので、長男が「外国人の先生の英語の授業が超楽しい」というから、その時間に合わせて授業を見に行くと…。あの長男が見違えたように、活き活きと挙手をして積極的に発言し、グループワークの時間も皆の意見を不器用ながらもまとめて、リーダーシップの欠片を発揮しているではありませんか!そして、授業が終わると、外国人先生が私のほうに”Hello!"とフレンドリーに近づいてきたので、過去の経験から、思わず身構えそうになりましたが、私が長男の保護者だと分かると、とても親しげに嬉しそうに、先生は長男のことをほめ始めました。出典 : 「彼は素晴らしいね。自分の意見がしっかり言えて、とても大人びていますね」なんとか聞き取れた外国人先生のそんな言葉に、私は我が耳を疑いました。…え!?人違いでは?小学校時代、長男は「ワガママ」「協調性がない」と見られて、同級生達より精神的に幼いように扱われることが多かったので、私は「うちの長男は口は達者だけど、精神面では凸凹の凹があるのかな?」と、思っていました。だから、彼が「大人びている」なんて評されたのは、私の育児史上初の出来事だったので、わが子がほめられた嬉しさよりも、驚きのほうが大きかったのです。でも、母の目から見れば、長男は中学で突然精神的に急成長したわけでもなく(多少は、まあ)、相変わらずのマイペースな宇宙人ぶりで、正直、小学校時代と中身はほぼ同じ。これは一体どういうこと!?その後も、外国人先生は、長男が休み時間などに積極的に話しかけて来て、ゲーム好きな先生と身振り手振りを交えた英語で楽しく雑談をしていることや、長男がどんどん意見を言ってくれるので、授業がしやすいことなどを教えてくれました。私はそこで、フと気がついたのです。「これは、長男自身が変わったのではなくて、この外国人の先生のものの見方や価値観が、小学校の日本人の先生方とは180度違うから、長男の個性をとても好意的に受け止めてくれているんだ」と。文化や価値観の違いで、短所は長所になる出典 : 以前私は、海外在住歴のある知人から、「外国では、はっきり意思表示しなかったり、周りを見ながら自分の態度を決めるのは、”幼稚”だと思われる」と聞いたことがあります(お国にもよるでしょうが…)。確かに、私が見学した、ある小学生向けの体験講座では、遠慮がちな子ども達の態度に、外国人講師の方が「周りを見ないの!自分が思ったことを言えばいいの!」って、少々ムッとされていたことも。日本だと、自己主張せずに周りに合わせることは、「我慢強い」「協調性がある」「大人の対応」等と評価されることが多いでしょう。実際、小学校時代の長男も、たまには先生からほめらることもあったのですが、それは大抵「よく我慢したね」「苦手なことをよく頑張ったね」といった内容がほとんどで、辛抱強く周りとの衝突を避けられたら「〇太郎君、成長しましたね」と喜ばれました。そして長男は、授業中に元気よくトンチンカンな質問をしたり、「おれはこう思う!」と自分の意見を強く主張したり、あるいは他の人の意見に異議を唱えたりすると、失笑されたり、少々困惑されることが多かったようで、だんだんと発言自体をしなくなっていきました。ところが、中学の外国人先生の目から見れば、多少的外れな意見でも黙っているよりはずっとマシで、はっきり自己主張したり、人と違った意見を言えることのほうが、「大人びている」ように映るのでしょう。こういった空気感の教室では、長男は自分の個性を無理に抑え込む必要はなく、失敗を恐れずに遠慮なく発言できるので、授業参加が楽しくなったのだと思います。この日の出来事で、「その環境の文化や価値観、相手のものの見方の違い次第で、短所は長所になるのだ」と、私は改めて実感しました。出典 : ただし、私は日本式の価値観や学校教育を批判したいわけではありませんし、主に欧米的な外国式の価値観による教育が、全てにおいて「優れている、進んでいる」とまでも思いません。なぜなら、日本式の我慢強さや協調性の豊かさに価値を置いた、和を重んじる文化があるからこその、利点やいい面もたくさんあるからです。例えば、日本では、新型コロナウイルスの感染拡大が、都市部の人口密度の高さや高齢化などの不安要素が多い中でも、大部分の諸外国に比べて、これまでかなり抑えられてきたといえるでしょう。それは、「他人や家族に迷惑をかけてはいけない」と、一人ひとりが地道にマスク・手洗いを続け、大部分の人が自分勝手な行動を控えて、(暗黙を含む)ルールや順番を律儀に守って社会的な混乱や衝突を避けてきたことが、大きく貢献しているからではないでしょうか。こういった規律の高い国民性は、幼児教育・義務教育の間から、長年に渡って園・学校での集団行動等を通して、根気よく地道に培われてきた成果だと私は思います。現在高校生になったうちの長男も、以前は「日本は同調圧力が強くてオレには生きづらいから、将来外国で働きたいな〜」なんてボヤいていたのですが、コロナ後の経験を通して、日本の清潔で衛生的で、安心・安全度の高い環境の価値を見直したようで、「やっぱり、地元で進学・就職しようかな」なんて思い始めています。ですから、「どちらがより優れているか」ではなくて、ただ単に「文化や価値観の違い」によって、全く同じ1人の子の個性の見え方・受け止められ方が大きく変わってくる…というだけなのではないでしょうか。たとえ今、わが子が学校でほめられなくても出典 : ただ、今置かれている環境とその子の個性との相性次第で、周りから好意的・肯定的に受け容れられることもあれば、"問題児”として映ってしまうこともあるでしょう。ですから、わが子が学校でほめられる経験が少なかったり、集団行動が苦手で注意や叱責を受けやすいお子さんを育てている方は、お子さん自身と同じように、子育てに自信をなくしがちかもしれません。「協調性」や「我慢強さ」に価値を置く環境の中では、のびのびと個性を発揮できないお子さんも少なからずいることでしょう。でも、それは「1つの価値観」の中での「1つの見え方」に過ぎないのだと思います。たとえ、今いる場所でわが子がほめられなくても、環境次第・相手のものの見方次第で、その子の短所が長所に変わる可能性はいくらでもありますから。きっといつか、お子さんの素晴らしい個性のいいところを分かってくれる人や、その子に合った環境に出会えるはずです。それまで凸も凹も、大事に大切にされますように…。大場美鈴(著),『発達障害&グレーゾーン子育てから生まれた 楽々かあさんの伝わる! 声かけ変換』あさ出版, 2020.6.27
2021年06月11日仕事での学校との出会い僕が最初に「学校」というものに触れたのは、児童精神科医として勤務しはじめてすぐのころでした。当たり前ですが、発達障害や不登校の子どもは学校でも困ったことが発生します。ですから、患者さんが先生方やスクールカウンセラーと一緒に外来を受診することもありました。ところが、僕が小学校を卒業したのはその時点で20年以上前です。外来で話を聞いても「この子が困っている学校って、そもそもどんな場所だったっけな…」とあまりうまく想像ができませんでした。そこで「現場では実際にどう困っているのか」に興味が湧き、折に触れて「学校に行ってみたいです」という話をしていました。学校から仕事が来たそんなことをあちこちで言っていると、少しずつですが学校から仕事の依頼を頂くようになりました。教員向けの研修講師や、ケースのコンサルティング(困っている子どもの様子を観察して教員にアドバイスする仕事)です。そうやって少しだけ学校に出入りするようになった僕は、そこで3つのことを感じました。1 先生たちは納得していない2 自分で見ないと分からないことがある3 やっぱり学校は良い場所だ学校で仕事をして気づいたこと研修では一般的な話もしますし、質問があった場合には具体的なケースの対応策などもお話しします。熱意があって前向きな先生は一生懸命聞いてくださるのですが、全体研修ではそんな先生ばかりではありません。うしろのほうで眠そうにしているベテランの先生や、明らかに興味のなさそうな管理職の先生もおられました。僕が国立病院の医師として「外部講師」に招かれ、話をしている限り、研修を受けても意識は変わらないんだろうなと思いました。その場では「貴重なお話をありがとうございました」とお礼を言ってくださっても、職員室では「あんなことできるわけない」と話しているのではないかと。そこで僕は「外の人」ではなく「中の人」になればいいんじゃないかと思ったのです。先生方がなぜ興味が持てないのか、なぜ納得できないのか、どうすればできるようになるのか。僕が外から偉そうなことを言ってるだけではだめなのではないかと。学校の様子は、診療中には子ども本人や保護者の方から伺います。しかし、見たことのないものは想像することができません。先ほども書きましたが、僕が自分の学校に行っていたのは20年前の話で、しかもいま働いている場所ではありません。時代も地域も違う学校のことを想像するのは難しい。実際に見てみた学校では「授業中立ち歩くってこういうことか」「この位置関係だと先生が個別に指示するのは難しいな」など、現場を見るからこそ気づくこともたくさんありました。僕が学校に行ってみた一番の感想は「学校は良いところだ」です。たくさんの子どもたちが生活を紡いでいて、彼らの成長を願っている大人たちが一生懸命に働いている。一見つまらなく感じるかもしれないような、小さなこと一つひとつを大人と子どもがお互いの視点から悩み、より良い人生になることを願っている。こういう「素敵な祈り」がある場所に、もっと触れていたいなと感じました。学校の「中の人」になりたいそんなエピソードもあり、僕は学校の「中の人」になる方法はないかと考えました。そうやって悶々としていたある日、友達のスクールカウンセラーから「精神科医はスクールカウンセラー採用試験の受験資格あるよ」という話を聞きました。なぜ採用対象に医師が入っているのかは謎でしたが、一も二もなく採用試験に申し込み、無事に東京都教育委員会に採用されました。中の人になってみて思うのは、やはり現場を知らずにコメントをしても実効的ではないということ。そとからの「こうあるべき」と学校現場がマッチしないことはしばしばありますし、全体の流れの中でしか分からないこともあります。定期的に見ているからこそ分かることや、先生たちの考え方、思い、できることとできないこと。教育行政のカタさや、一方でどういう方法ならその難しさをクリアできるのかなど、新しい学びがたくさんあります。(詳しくは次回以降で触れられればと思います)また、実際に働いてみると学校現場は楽しく、生き生きとしたものだと感じています。(ただ、子どもたちのエネルギーを浴びてものすごく疲れますが…笑)※厳密にはスクールカウンセラーは「学校の中の人」ではない立ち位置なのですが、僕的には「中の人=学校で定期的に働いてる人」でいいかな、という整理です。とにかく学校はいい!しつこいようですが、学校というのは本当に素敵な場所です。たくさんの大人が、たくさんの子どもの成長と幸せを願っています。(保護者の方によってはそうは思えないこともあると思いますが、基本的には学校関係者は善良で前向きな方が圧倒的に多いと思います)そういう場に身を置くことによって、また僕自身も子どもたちの未来に思いを馳せられる。誰かの暮らしの中で働くと、こういう楽しみがあるのだなと感じています。
2021年06月01日精神科へ行くとき発達が気になるわが子のことで、保護者の方が精神科に相談に行こう!と思っても、「診察でどんなことを相談したらよいのだろう」と迷っていたり、困っていたりしているのではないかと思います。あるいは連れて行くわが子になんと言ったらよいかと思っているかもしれません。ここでは、発達が気になる子どもの保護者の方が精神科に行くことについて、ちょっと考えてみたいと思います。そのうえで精神科でできることについてもすこし考えてみました。そもそも、受診前の保護者の思いは?とても前向きです。おそらくすでにいろいろと学ばれ、ある程度は医療的にどういった診断がつくかも想定されているかもしれません。そのうえで、自身も家族もきちんと理解したうえで、できれば関係者と手を携え、わが子のそだちを応援していきたい、という思いがあるのでしょう。その場合は、医療はきちんとその子の発達の様子を聞き取り、どういった関わりをしていくことが、よりよいかを一緒に相談し、可能な範囲で周辺の関係者とも連携をしていくことになるでしょう。でも…どんなに学んでも、どれほど頑張ろうとしても、本当は、わが子の思いに寄り添い、理解して関わりたい、それが一番の望みではないでしょうか。診断が付いた、関わりも整理できた、味方も得た。でも…本当は気になるわが子がなにを感じて、どう思って日々を送っているか、それが知りたいと思っているのではないかと思ったりしています。確かにわが子の様子も気になるが、まだなにを相談したいか、あるいはもう少しそだちの様子をみてから判断したいと思っている。でも、まだあれができない、これが遅い、あれが心配、これをどうしたら、と言われると、なにもしていない保護者のように思われているような気がする。医療に行ってなんになるという思いと、行くことで、わが子の様子がある程度はっきりするのかもしれない、という揺れる思いでいるかもしれません。だから…なんとなく、今いろいろなことがはっきりしてしまうことに、その後になにをしたらよいのかに、ただちょっと不安だったりしています。家族でも、段々と育っていくのではないかと、いう話になったり、周囲の様子を見て焦ったり、日々揺れています。だから…自分が、これをはっきりさせたいと思ってしまうと、どんどん、待ったなしでことが進んでしまうのではないかと、不安ばかりです。でも…もし、相談に行って、この揺れる思いがちょっと落ち着いて、わが子のそだちに向き合えるようなことになれば、いいなと思っているかもしれません。だから…きっと保護者として知りたいのは、わが子に今なにをすることができるのか、するべきなのか、という示唆なのではないかと思います。そもそも精神科ではなにをしてくれるの?上記のように、保護者はそれぞれ複雑な思いを抱えています。診断もさることながら、わが子にどう関わっていくべきかを知りたい、そして周囲にも理解してもらいたいという思いは一緒かもしれません。精神科は医療のひとつなので、当然病気を治すことに力点を置いてはいます。でもその一方で、困っていることを整理して、ちょっと生活をよくしたいと思う方々へのお手伝いもするところです。つまり、日々の生活をすこしでも過ごしやすくすることです。そのために、もつれているような糸を、一緒にほぐしたいと思っています。もつれは、保護者とわが子の関わりにあるかもしれません。保護者同士、家庭内にもつれがある場合もあります。関係者ともつれているかもしれません。わが子が他の子どもたちとの間でもつれている場合もあるでしょう。それは、それぞれによって異なります。そのもつれをほぐすために、医師は、その子の思いに想像を巡らし、保護者、関係者の思いに近づくために、面接をします。面接や心理検査、いろいろな情報を取得して、その子の言動や考え方を理解しようとします。一見奇妙に見える言動も、こちらの思いが届いていないように見える様子にも、一定の仮説を立てていきます。ひょっとしてこの子は、こんな風に物事を感じて、あんな風に考えているのかもしれないな、と想像し、日々の現実から検証します。想像が外れたら、また別の想定をして、できるだけその子の思いに近づこうとします。その過程で保護者や関係者が感じている、その子理解との検証をしていきます。ある人のその子理解と、別な人の理解は決して同じではないでしょう。かんしゃくを起こした子がいます。ある人はお腹がすいて不機嫌なんだと思うかもしれません。また別の人は好きなメニューでないから、また別の人は早く家にかえりたいから、他にも、さっきの遊びが思うように行かなかったからと、それぞれがその子の思いを代弁します。でも本人はちょっと眠たかったけどそれをうまく言葉で伝えられず、そしてちょっと寝ていいよと、誰も言ってくれないので、かんしゃくを起こした。でもそれは、その子が『眠たい』と言わない限り、なかなかわかり得ないことです。決めつける前に、いろいろとこれまでの経験から一緒に協力して推測する情報交換することで、その子理解は深まります。曖昧ななかでも精神科に相談しようと思った時点で、なにかしら漠然とした思いが保護者にはあるはずです。その思いを言葉にすることで、徐々に輪郭をはっきりとさせて、曖昧な相談が確認したい項目へと整理されていきます。診察室で大切にしていることできるだけ個々の不安や心配事に近づき、整理するお手伝いをしていきたいのです。でもその思いは個々に異なります。両親が来たときも、それぞれの保護者が不安に感じていることは別々なものです。保護者が発達の気になる子どもをつれて受診されたとき、僕は子どもに向かって「今日ここに来ることを、どんな風に説明されたの?」と確認します。ほとんどの子どもは、首をかしげます。「聞いていないのかもしれないね」、「ここは、生活しているなかで困ったこと、いやなこと、心配なこと、相談したいと思っていることを相談する場所なんだ」と伝えます。「もしかして、お父さんやお母さんが、なにか君が相談したいことがあると感じたのかもしれないね」と付け加えることもあります。いずれにしても、多くの子どもは、最初は「ないよ」と話します。初対面の大人に、気楽にべらべらと相談できるほうが、心配な位ですから、僕は「ないか、よかった。今はない。でも、もしこれからなにかあったら、相談しようね。ここはそのための場所だから」と伝えます。「じゃ、同じように今日はお父さんやお母さんからも、心配なことがあれば相談したいので、ちょっと待っていてね」と、子どもにはプレイルームへ移動してもらいます。もっとも、切羽詰まっている子どもの場合は、最初の関わりでたくさんの困りごとを語ることもあります。その場合は、診察室での面接を続けていきます。プレイルームに移動した場合でも、スタッフと遊びながら、ちょっと困ったことを口をしたりすることもあります。そのときは、スタッフは、それを相談したらいいんだよと後押しします。診察室では保護者の困りごとを聞きます。発達のうえで「気になっている」ところ、そして今日、受診するまでにあった思いを聞き取り感じ取りたいと思います。診察室は、子どもの、そして保護者の、今困っているこが語られるところです。そうしたことが、できるだけ肩の力が抜けて相談できるよう、環境、雰囲気を大切にしたいと思っています。精神科は生活相談する場所でもあります。生活相談は多種多彩です。漫画(ドラマ化もされた)『深夜食堂』のマスターの台詞に「できるものなら、なんでもつくるよ」というのがあります。生活相談も「できるだけのことはするよ」というようなことです。同時に子どもたちや保護者、関係者にも「できることはしてね」と思っています。できること、でいいのです。
2021年05月25日【追加アンケート】3つの商品化候補グッズについてさらに詳しく教えてください!【みんなのアンケート】21アイテムから「ほしい!あったらいいな」を教えてください!にご協力いただき、ありがとうございました。なんと1,100名を超える方からご回答をいただきました。「たくさんほしいものがあって、1つしか選べなくて困る…」など、みなさまからの投稿コメントやご要望のお声も嬉しく拝見しました。ありがとうございました。今回は人気の高かった順に、次の5つに商品化アイテム候補を絞りました。1.椅子の姿勢崩れを防ぐ「両面滑り止め付きクッション」2.感情コントロール苦手さんのための「感情コントロールレッスンキット」3.“1人になりたい”がかなう「室内テント」4.勉強道具もゲームも持ち運び「お片づけ収納ラック」5.曜日ごとのルーティンワークが一目瞭然「1週間TO DOリスト」今回多くの共感をいただいた5つの「欲しいグッズ」の中から、具体的な商品化に向けて、以下の3つのアイテムについて、さらに詳しくみなさまのご意見を教えていただくために、追加アンケートを実施いたします。アンケートを通して、発達ナビユーザーのみなさまと一緒にグッズをつくっていきたいと考えています。ぜひご回答をお願いいたします!次の3つです。(所要時間:約10~15分)・感情コントロール苦手さんのための「感情コントロールレッスンキット」・“1人になりたい”がかなう「室内テント」・曜日ごとのルーティンワークが一目瞭然「1週間TO DOリスト」※ご自身に関係のある箇所だけお答えいただいても結構です※5月31日(月)まで※上記アンケート回答ボタンを押すと、株式会社フェリシモが実施するアンケートサイトページへ遷移します
2021年05月19日「できるけど疲れる」ことがたくさんある筆者が吉川先生を知ったのは、2018年11月にNHK総合で放送された『発達障害って何だろうスペシャル』だった。千原ジュニアさんや南沢奈央さんらをMCに据え、スタジオには小島慶子さんのほか、筆者がテレビ取材もさせていただいた“トリプル発達障害”の漫画家・沖田×華さんも出演。そこでの吉川先生の発言に、思わず膝を打った。「発達障害のある方に関して『何かができるかできないか』っていうことだけで見ると、見誤るんですね。『できる』と『できない』の間に『できるけど疲れる』ことがたくさんある」(吉川先生番組内で)誤解を恐れずに言えば、吉川先生はちょっと異質的な存在だ。元々教員になりたかったが、学校教員の文化が自分に合わないことに高校時代に気づき、子どもの精神科医という道を選んだ。大学教員などを経て「自分は研究者向きではない」と感じたといい、現在では多くの発達障害当事者や養育者に支持されている。Upload By 桑山 知之「“正確さを犠牲にした分かりやすさ”っていうのを意識しているんです。専門の研究者って、正確さを大事にしなきゃいけない立場ですよね。正確さを犠牲にできないじゃないですか。でも僕は研究者ではないから、『誤解を招きかねないけど分かりやすい』ということがいくらか許される立場なんです。研究者になってしまうとできない表現や書き方ができるというのが、研究者ではない医者の特権かなと」(吉川先生)確かに、前述の「できるけど疲れる」ことがたくさんあるというのは、それに当てはまらないケースがあるのも事実だ。しかしながら、発達障害の苦しみを理解するうえでは非常に分かりやすい表現だといえる。福祉や法律といったあらゆる領域をまたいでいるからこその見識の深さを、自身は「ひとつの領域を突き詰めるというのがあんまりできなくて……」と謙遜する。Upload By 桑山 知之この子、発達障害かも?まずは「人手集め」から我が子にADHDや自閉症スペクトラム障害のような特性がみられた場合、多くの養育者はまず子どものことを理解しようと、発達障害の知識を蓄えることからスタートしてしまいがちだ。しかし、吉川先生によれば、まず「人手をできる限りたくさん集める」ことが入口として一番“無難”だという。「人手が足りないときに知識だけ集めたり、トレーニングだけ受けたりすると、わりとややこしいことになるんですよね。例えばこの子に何か新しいことを好きになってもらおうとすると、ちょっと演出しないと難しいよって。お母さんが歯磨きをしたあとに、すぐに僕もやる!ってなる子は歯磨きを覚えさせるのも難しくないんだけど、真似っこしたい気持ちが弱い子に対しては歯磨きって楽しいんだよっていうか、何かひと手間ふた手間かけないと歯磨きが好きにならないし、できるようにならないかもしれない。だから今、この子の子育てで何かを好きにさせるためにもできるようになるためにも、もっと言うと虫歯にさせたり怪我をさせたりしないためにも、余分に人手が要りますよねっていうところを共通認識にしていくことが入口なんですよね」(吉川先生)Upload By 桑山 知之あくまで順序としては人手、すなわちマンパワーを集めることが最優先事項。それがひと段落したあと、知識や技術を身につけていく。そのためにも、家族以外からサポートを受けることが精神的な支えになるそうだ。一般的には母親が先に気づいて父親はあとからついてくることが多いが、夫婦間だけでなく祖父母世代との間でも「足並みが揃うまでに時間がかかる」ことは多い。「早い時期に関わる支援者はつい子どもの特性とか子どもに対する関わり方をどんどん伝えたくなるんですけど、それよりも先にどうやってお父さんと足並みを揃えるのか、おじいちゃんおばあちゃんへの説明をどうしようか、っていう相談に応じていただいたほうがいいと思います」(吉川先生)Upload By 桑山 知之「できたら褒める」は要注意「挑戦したら褒める」にシフトをドキュメンタリーCM『見えない障害と生きる。』を放送したのは2019年5月。発達障害は、ここ5年ほどの間に急速な認知が広がったように筆者は感じている。こうした中、人手を含めたリソースの供給などが追いついていないと吉川先生は話す。「社会の認め方もそうですけど、当事者やその身近な方の認め方も確実に変わってきているというのは、確実にそうですね。ただ、変わってきているのも、いいところも悪いところも両方あるかなって思っています。必要な方が援助にたどり着きやすくなったってことはあると思うんですが、急速に知識だけが広がってきたので、支援のためのリソースがまだ充分足りていない。文化の変化というか、そういう人たちがたくさんいるんだっていうのを含んだ“文化の成熟”っていうのも遅れているんじゃないかなと」(吉川先生)Upload By 桑山 知之吉川先生は、発達障害の有無にかかわらず子育てをする中でつい陥りがちなことがあると指摘する。それは、「できたら褒める」ということだ。「できたら褒められるっていうのを子どもが学びすぎると、大人が好きなのは完成と達成と勝利だけと思ってしまうんですよね。そうすると、どうせ達成できないから僕はやらない!ということになってしまう。発達障害のあるお子さんの中には、難しそうな課題は手を出さなくなる子が一定の割合でいるんです。どちらかというと、『挑戦したら褒める』作戦でいく方が、子どもを育てやすくなると思います」(吉川先生)Upload By 桑山 知之完成と達成にフォーカスするよりも、何かに取り掛かり始めたところで応援することに軸足を置いた方が育てやすいという。特に、きょうだいの中に発達障害と定型発達の子がいたり、知的障害のある子がいる場合、完成と達成を評価してしまうと他方への褒め方が見つからなくなる。それよりも、挑戦に対して「ナイストライ」「いいチャレンジだったね」と声を掛ける方が“辻褄が合いやすい”と吉川先生は話している。Upload By 桑山 知之平成元年愛知県名古屋市生まれ。慶應義塾大学経済学部在学中からフリーライターとして活動。2013年に東海テレビ入社後、東京支社営業部を経て、報道部で記者/ディレクター。2018年から公共キャンペーンのプロデューサーとして「いま、テレビの現場から。」や「見えない障害と生きる。」、「この距離を忘れない。」といったドキュメンタリーCMを制作。主な受賞歴は、日本民間放送連盟賞CM部門最優秀賞、ACC TOKYO CREATIVITY AWARDSゴールド、JAA広告賞 消費者が選んだ広告コンクール経済産業大臣賞、ギャラクシー賞CM部門優秀賞、広告電通賞SDGs特別賞など。取材・文:桑山知之取材協力:若者支援ネットワーク研究会in東海
2021年05月17日いっちゃん誕生!タケルはお兄ちゃんにいっちゃんが生まれたのは、タケルが6歳のとき。年齢が離れているせいか、あまり嫉妬などすることもなく「赤ちゃんは起きました。どうしますか?」「それは赤ちゃんの分もありますか?赤ちゃんに持っていきましょうか?」と、一緒に世話をしてくれるお兄ちゃんになりました。いっちゃんの方も、そんなタケルによく懐いてくれました。しかし、そんないっちゃんにも、すでに1歳児の時点でASDのある子に特徴的な行動が現れていました。例えば…・抱っこを嫌がる・小さな音にも敏感で、不快な音が聞こえると泣きわめく・なかなか寝ない、一旦寝付いてもすぐ起きる・夜泣きとは違う寝ぐずりグズが生後2ヶ月目からずっと続く(今でも!)・物の形がわかる絵を描く、曲を8小節以上覚えてハミングで再現できる・喃語が出たのは5ヶ月前後だけ、それ以降ほとんど喋らない…などです。Upload By 寺島ヒロUpload By 寺島ヒロ※これらは、私が「気になったところ」ということで挙げさせていただいていたもので、お子さんにこの様な部分があったからといって、即、発達障害があるというわけではありません。念のため。お兄ちゃんの担当医師に気になることを聞いてみたそこであるとき、お兄ちゃんのタケルが通っていた療育センターの医師に、タケルの診察のついでに聞いてみました。私「妹の方も兄と似たような何らかの傾向があるように思えるんですが」医師「うーん、兄妹とはいえアスペルガー自体あまり見られない症例なのでその可能性は低いと思うのですが…現状何か困ってます?」私「困っているかというと…こんなに寝なくて大丈夫かと思うぐらいで、困ってはないです。まだ1歳児だし」医師「1歳だとまだ本人との意思疎通も難しいですし、3歳ぐらいで一度調べてみたら良いんじゃないですか?何かありましたらまたお知らせいただくということで」そんな会話があってから1年ほど経って、いっちゃんが3歳になったころ、そのときの医師に担当してもらい、改めて診察と知能検査などを受けました。結果は「広汎性発達障害の疑い」(後にASDに統合)とのこと。そのまま同じ療育センターで、定期的な診察と、主に粗大運動を鍛える療育を受けることになりました。いっちゃん本人に当時のことを聞いてみると…Upload By 寺島ヒロいっちゃんはお兄ちゃんが側にいたこともあって、物心つく前から「自分には発達障害があるんだ」ということは知ってはいました。しかし、早いうちから説明や療育を受け…いわば先回りして環境が整えられたため、大きな躓きを意識することはなかったようです。これが吉と出るかどうか、まだまだわからないことかもしれませんが、いっちゃんの成長に寄り添いながら「発達障害とは何か」一緒に考えていけたらなと思います。
2021年05月16日前回のお話はこちら2回目の保育所等訪問支援2回目の保育所等訪問支援を受けたのは4歳の冬、年少クラスのときでした。1回目の保育所等訪問支援から1年経ち、むっくんの成長に合わせた新たな支援策を求めて受けることに決めました。訪問は1回目と同じ支援員さんと今回は更に作業療法士さんも来てくださって、1年前との比較や、身体的発達などを見ていただきました。せっかくなら、対応に困る場面を見てもらいたいのに、この日も落ち着いていたむっくん。次はストレスがかかる時期に来てもらおうと心に誓いました。Upload By ウチノコ身体的発達についての指摘「やりたくない」ではなく「できない」?この頃のむっくんはイスにじっと座れない姿が目立っており、作業療法士さんから体幹が弱く体を自力で支えられないのでは?という指摘を受けました。また、折り紙などの制作活動を拒否する様子に、手先の不器用さのため「やりたくない」のではなく「できない」のではないか?という指摘も受けました。Upload By ウチノコ指摘のおかげで、低緊張や不器用さなど本人の努力でどうにもできない理由があると知り、関わり方を考えるきっかけになりました。また、対処法も教えていただき、担任の先生は即実践して下さいました。Upload By ウチノコ今も実践している癇癪対応アドバイスまた、当時むっくんは先生から注意を受けると癇癪を起こしがちで、どう対応するか悩んでいました。その様子を見てもらったところ、むっくんは感覚過敏が強いため「正面に立って、注意する」と視覚と聴覚の刺激が入り刺激過多となってしまう。その恐怖感から癇癪を起しているように思うと指摘を受けました。対処法は、例えば視界に入らないよう斜め後ろから近づき、名前を読んで注意するなど、できるだけ刺激を減らしてあげて下さいとのこと。実践してみると、癇癪がなくなるわけではありませんが様子に変化が見られ、こんなことで変わるのかととても驚きました。この方法は今も実践しています。Upload By ウチノコ親だけでなく、先生も悩んでいるあの頃、むっくんへの関わり方はとても難しく、私はよく担任の先生と話し込んでいました。その中で、私と同じように担任の先生も悩んでいるのだなぁと感じることも多々ありました。先生も長い時間をむっくんと過ごします。真剣に向き合うほどに、悩むことも多かったと思います。だけど、専門家に直接相談できる私とは違い、先生にはむっくんのことを専門家に相談できるチャンスはそうありません。Upload By ウチノコ保育所等訪問支援の後、先生から「関わり方への不安や悩みを支援員さんに相談できました」と笑顔で報告をいただきました。親には言いづらいこともたくさんあったと思います。先生が専門知識を持つ第三者に相談できる機会はとっても重要なのだなぁと感じました。先生の安心がむっくんの安心を維持し、むっくんの園生活を支えてくれたように私は思っています。誰に対しても「できていることを認める」支援員さんからは困り感への指摘ばかりではなく、むっくんの成長や、保育園側の好ましい対応についてもたくさん報告を受けました。気が付けなかった成長を知り、むっくんのことをより愛おしくなったり。先生方の努力を知り、先生たちがむっくんをとても大切にしてくださっているとしみじみと感じたり。おかげで、改めて先生にお礼を伝えることもできました。Upload By ウチノコ「できていること」と「できていないこと」だと、つい「できていないこと」に注目しやすくなります。だけど、発達障害の子どもたちへの関わり方のキーワードは「できていることを認める」です。そしてこれは発達障害の子ども達だけでなく、大人も子どもも、全ての人に当てはまることでもあります。親だって、頑張りを認めてもらえるから頑張れる時ってありませんか?Upload By ウチノコ支援員さんがむっくんや保育園の「できていること」に注目し、その努力を肯定して私に伝えて下さったことは、私の保育園への信頼を深めることに繋がりました。親と保育園が子どもにとってより良い支援を本音で相談しあうには、信頼関係が大切です。2回目の保育所等訪問支援は支援員さんにその橋渡しをしてもらえた、とても貴重な経験となりました。次回は最終回、年中クラスでの半年間の継続保育所等訪問支援のお話、継続だからこその経験になりました。Upload By ウチノコ
2021年05月14日『年少だから仕方ない』が通用しなくなった年中さん自閉症と知的障害を合わせ持つほぺろう。2~3歳頃が癇癪のピークで眠っている時以外は一日中ずっと爆音で泣き続ける様な子どもでした。保育園の年少さんのときも癇癪は治らず、私が知る以上に先生やお友達に大変な迷惑をかけていただろうと推測されます。そんなほぺろうですが、年中さんに進級した途端 何故か格段に癇癪が減り(ほぺろうの心境の変化は私にもわからない)、ずっと苦労してきた母子分離も平気になって随分と接しやすくなりました。変更が苦手で場所見知り・人見知りの激しいほぺろうが 進級に伴うクラス替えに適応できるか心配していましたが、園児数の少ない保育園だったことが幸いして 元々異年齢の子や他クラスの先生との交流が多かったおかげで クラスや先生が変わっても案外気持ちが崩れずに乗り越えられました。気持ちが落ち着き周りが見える様になってきたのか、ほぺろうはクラス活動やお片付けなど いろいろできることが増えて、凄く嬉しい成長!…なのに、素直に喜べない私がいました。Upload By ぼさ子何故なら、年少さんのときはほかの子と差を感じても『年少だから仕方ない』と私は勝手に逃げ道を作って自分に言い聞かせていたのですが、年中はもうお兄さん!今までの言い訳は通用しなくなったのです。できることが増えたとは言え、お喋りも行動も 同じ歳の子はおろか 歳下の年少さんの方が上回っていて、差を感じるどころか劣等感を持たずにいられませんでした。園児数の少ない保育園なので年中・年少クラスが合同になり、どうしても年少さんとの比較に目が行ってしまいます。Upload By ぼさ子年少さんにお世話されている息子を目撃!!その時母は…ある日のお迎え時、帰りの会終了後 お迎えを待つ間遊ぶために園児たちが広場に移動するというタイミングでした。ほぺろうのクラスは年中・年少合同だったので、年中さんと年少さんは二人一組のペアになって手を繋ぎ、年中さんがリードして年少さんをお世話するという形で場所移動していました。年少さんを気遣いながらリードしていく年中さんは立派なお兄さんお姉さんの顔で、私は頼もしくも微笑ましく遠くから眺めていました。でも1組、違和感のあるペアが…。なんか小っちゃい子がデッカい子を引っ張ってる!言わずもがな、それはほぺろうペア。「ほぺろう、こっちだよー」「ほぺろう、ママ来てるよーカバン持ったー?」と、しっかりとしたお世話されっぷり。当のほぺろうは上の空…。同じ歳の子と差を感じたりするのは大分慣れた気でいたけど、まさか歳下の子にまで面倒見てもらってるとは!!Upload By ぼさ子コロナ禍で保護者が園内の様子を見られる機会は例年よりグッと減ってしまっていたので この現場を目撃したのは偶然。でも、ほぺろうが歳下さんにお世話されているなんて きっと日常茶飯事なんだろうな…。情けないやら劣等感やらで、私はチョッピリ泣いてしまいました。気持ちをラクにしてくれた加配の先生の接し方お喋りができる子であれば 自分でママやパパに保育園での出来事を話してくれることが多いと思いますが、発語の無いほぺろうはそれが一切ありません。そんなほぺろうの代わりに加配の先生が毎日 保育園での出来事をお話ししてくれるのですが、先生の話が面白くて お迎え時間は私のお楽しみタイム。私が先生の話が好きな理由は、「今日は何ができた」とか「ここが成長した」という内容の話も混じえつつ、成長のことばかりに価値を置いているのではなく『ほぺろうと一緒に過ごすこと自体を先生が楽しんでくれている』と感じさせてくれるからでした。Upload By ぼさ子「成長していないとダメだ」と焦っている私に対し、先生は『ありのままのほぺろう』を受け入れてくれていて それがとても嬉しかったのです。ほぺろうのことを好きでいてくれる先生がいて、助けてくれるお友達がいて、ほぺろうも園生活を楽しんでいて…もしかしたら、『劣等感』というのは私一人の空回りなのかも知れません。現在は年長さん。劣等感がないと言ったら嘘になるけど…ほぺろうが年長さんになった現在、『一番上のお兄さん』になってしまったプレッシャーと劣等感がないと言ったら嘘になります。いつまでもドンと構えられない未熟な私…。でも ほぺろうから見たら、劣等感とかゴチャゴチャ考えているのは私だけであって、「そんな考え方をされるのは迷惑!」って怒られるかなーなんて想像したりします。残り一年の園生活、ほぺろうにはどんどん世界を広げて 癇癪で思うように過ごせなかった年少時代を補うくらい、目一杯楽しんで欲しいと願っています。Upload By ぼさ子
2021年05月13日新5年生!新しい学年のスタート!広汎性発達障害の娘は、10歳。4月から、小学5年生になりました。新しく始まった学年…、と言っても大きな変化はありません。娘は去年と同じく、引き続き特別支援学級の在籍。交流学級は、児童数も少なく、1クラスしかないので、クラス替えはありません。変わったことといえば、特別支援学級のメンバーが少し変わったことと、特別支援学級の担任が、新任の先生になったことでした。このような(人の)変化は全く平気な娘。(特別支援学級の)新しい先生にも、新しいメンバーにも、すぐ慣れて、始業式には、楽しい様子を報告してくれていました。毎年恒例の不安定が始まった。しかし、毎年、新年度はとても情緒不安定になる娘。去年は、長い休暇明けの新年度で、生活のリズムが崩れ、ちょっとしたことで泣くことが多くありました。今年もやってくるのだろうか…覚悟して構えていましたが、やはりやってきました。Upload By SAKURA今まで明日の準備は、娘に自分でやってもらい、あとからこっそりランドセルを確認していました。いつもは、私がチェックしてもしっかり準備ができていて、フォローすることは多くなかったのですが、新年度が始まってからは、「連絡帳を入れ忘れる」「薬を忘れる」「体操服を忘れる」ということが多く、補助なしでは忘れものだらけになる状態。以前は、連絡帳も自分でチェックできていたのですが、最近は、連絡事項を見忘れることが多くなりました。Upload By SAKURA今まで、し忘れていたことでも、あとから私が指摘すると「わかったー」という反応してくれていたのですが、情緒不安定なせいか、ちょっとした指摘で絶望し、泣き、パニックを起こすようになりました。Upload By SAKURA独り言は今までもあったのですが、その回数が極端に多くなり、ひどいときには、私がしゃべっていても自分の世界から抜け出せず、私の声に反応することなく、独り言を続けています。心の不安定が、身体に現れるようになり…そういった不安定さから、私とのやり取りがうまくいかなくなり、私も私でイライラ…。結果、衝突も増え、私と娘は言い合いばかりするようになりました。Upload By SAKURA私との衝突が増えたせいか、娘は精神的不安定な状態が身体にも現れるようになり、持病のアトピーが悪化したり、蕁麻疹が出たりするようになりました。肌がどんどん荒れていく姿を、私はただただ見ることしかできませんでした。状況を良くしたいけど…私が何か指摘するたび、ストレスから皮膚を掻きむしる娘。悪化しないようにするため、「言い過ぎないように言い過ぎないように…」と、私は自分に制御をかけるようになりました。そのうちに、私は娘のことに対応した後、目が真っ赤に充血するようになりました。Upload By SAKURA私はこの状況を少しでも良くするために、娘の不安定を解消しようと試行錯誤しますが、少し前から思春期&反抗期状態の娘に、療育グッズはもはや効きません。Upload By SAKURA毎年、何かしらありますが、今年は特に激しい気がしています。いつも、時間が経てば勝手に不安定から抜け出しているので、今はただ、嵐が過ぎるのを待っている状態です(笑)去年は5月末には元通りでしたが、今年はどうかな~…。
2021年05月12日Upload By かなしろにゃんこ。ADHDと広汎性発達障害がある息子リュウ太の中学時代のまんがコラムをこれまでにいくつか公開してきましたが、今回は後に就職に繋がる『進路選択』について考えるきかっけになったリュウ太の『ヤル気スイッチエピソード』になります。小さい頃から電車や車が好きで中学2年生になるとなかなかのマニアになりつつあったリュウ太は車の専門誌を読んだり、地域を走るJRや私鉄電車の乗車制覇をしたりしていました。同じ小学校出身でリュウ太と同じ趣味を持つ2つ年上のお兄さんが近所に住んでおり、そのお兄さんは電車が好きで鉄道マンになるための学校に通っていました。「鉄道マンになる専門の学校があるんだね~」、「どんな学校なのかね~」と親子で気になっていました。Upload By かなしろにゃんこ。リュウ太中2のある日、お兄さんのママにどんな学校か聞いてみると、「普通科と運輸科と機械科があって普通科の授業と専門的な授業のカリキュラムがある学校だよ!オープンスクールがあるから行ってみるといいよ!」と教えてもらいました。そこは上野駅の側にある創立120年以上の学校で日本に鉄道が敷かれるようになって産業化が進む中、鉄道員を育てる役割を担ってきた学校でした。鉄道ビジネスのノウハウを学ぶ運輸科は普通科と同じく進学にも対応できるカリキュラムがあり、機械科では自動車の整備を学ぶことができるとのことでした。(現在は機械科はありません)リュウ太にとっては好きな分野の学校でしたが、最初は高校ってどんなところかイメージがわかなかったらしく親に引っ張られるがままにオープンスクールについていったのでした。Upload By かなしろにゃんこ。その頃のリュウ太はまだ中2でしたが、私は早めに学校見学をしていく中で進学への意識が芽生えたりヤル気を刺激できるんじゃないかと考えていました。運輸科では運転シミュレーターソフトを使った体験ができたり、校内にミニ鉄道が走っていたりオープンスクールで校内が華やかに飾られて楽しい雰囲気もありリュウ太は大興奮!機械科の教室では車のエンジンを組むデモンストレーションをしていたりしてリュウ太は「オレこの学校に入りたい!」と目を輝かせていました。Upload By かなしろにゃんこ。Upload By かなしろにゃんこ。いつもダメダメな息子ですが、その様子を見て母は心の中で「よしよし、計画通りだわ!やりたいことが見つかり、これで勉強を頑張る方向にいくわね」と鼻息荒く、久々に大きく期待していたのでありました。学生さんたちがワイワイやっている出店で焼きそばを食べながら「運輸科と機械科どっちがいいと思う?オレ電車好きだけど自分に合うのは機械科かもしれない」と選択しはじめたのでした。予想外に進路のことを考えてくれているんだなと焼きそばを食べながら母はテーブルの下で「よっしゃー!」とガッツポーズ。Upload By かなしろにゃんこ。帰りに機械科にもう一度寄って在学生に機械科のカリキュラムやこの科を選択してみた感想を聞いたりしました。質問に答えてくれた先輩は「車が好きなら楽しい科ですよ!でも自分は機械に強いと思っていたけれど、やはり大変、電気やエンジンなど正直ついていけないな~と思うこともありますよ」と言います。このコメントをリュウ太自信はどう感じたのか聞いてはいませんがオレがやれるだろうか?と少しは感じたかもしれません。しかし、この日をきっかけにリュウ太は専門に学べる学校に意識が向いたと感じています。パンフレットではわからない、志望する学校の雰囲気を直に感じに行くのはとても良い経験になるな、と思いました。親は子どものやる気に合わせて学費の準備も始めなければなりませんから、校風を見て高い学費を払う価値があるものか判断することも重要だと感じています。Upload By かなしろにゃんこ。その後、死んでも勉強はやりたくないと拒否してきたリュウ太が個人塾に通うようになり、ゆっくりですが次第に変化が出てきたのでした。中3の進路相談で提出物ができていないことや、成績が悪いことで志望するその学校は難しいと先生に言われて諦めましたが、自分が目指せる範囲で自動車整備士の専修学校高等課を選択することになりました。自分が好きなことでしか努力ができないですから、普通科以外の道もあることを視覚で感じさせることでヤル気に繋がったのではないかと思いました。Upload By かなしろにゃんこ。しかし提出物が致命的にダメで泣けてきます、一つもできていないのでした。トホホ…。……提出物で玉砕した経験から専修学校では提出物をほどほどに守り、やるようになったのでした(笑)現在リュウ太は4月で23歳となり、車の整備士として地域にある自動車販売店のサービスで働いています。自分が好きなことを続けた結果、それが就労に繋がっていきました。
2021年05月11日集団行動が苦手なコウの姿に、不安を覚えた保育園時代Upload By 丸山さとこ保育園に着くと、まず下駄箱で靴を履き替え教室に入り、連絡帳を出してシールを貼ります。それから歯磨きセットやタオルを指定のフックにかけたりするのですが、コウは年中になってからもそれらの”登園後の支度”にもたつくことがありました。年少から通っている子はもちろんのこと、年中から入園した子であっても数週間もたてば1人で(ときに周りの子を見ながら)支度をすることができます。Upload By 丸山さとこ動きが止まったり所在無げにウロウロしたり、カゴの中の連絡帳などをそろえようとして涙目になったりするコウの支度を手伝いながら、「来年には年長、次は小学生…まだ1年半あるとはいえ、この調子で進学して大丈夫なのだろうか…?」と薄っすら不安を感じたことを覚えています。発表会で起きたハプニングに、コウのとった行動は…そんな園生活最後の発表会で劇を演じているのを見ていたときのことです。コウが演じるきつねが草むらに隠れて変身して出てくるシーンになり、コウ以外の子どもたちは次々と被り物を変えて現れました。ところがコウは一向に出てきません。Upload By 丸山さとこ「あれ?」と思ったころ、明らかに泣き顔のコウが草むらを出て舞台袖に降りていきました。さっと先生が駆け寄り、コウと何かを話しつつパネル裏に行くのを見て、「これは途中退場もあり得るかな…どうしたんだろう?」と首を傾げていると、コウが被り物を変えて出てきました。泣き顔のままではありますが、涙を袖でぬぐいつつダンスをしています。「あそこで『もう駄目だ!』とならずに続行できたんだ!?」…と驚きつつも心の中で応援し、無事発表会は終了。そのあとに先生に伺ったお話から、彼にとっては予想外のハプニングが起きていたことが分かりました。コウと先生からの話を総合すると、草むらのパネルの後ろに並んでいた被り物を子どもたちが取っていくときに、コウの被り物に当たってしまい、向きが”いつもと逆”になってしまっていたのが原因だったようです。Upload By 丸山さとこ最初に「コウ君の被り物の向きが逆になっていたので、『自分のがない!』って思って慌てちゃったみたいです」と先生からお話を伺ったときは、「いくらコウでも、逆向きになったくらいで混乱するかな?緊張していたからかな?」と思いました。ところが、話を詳しく聞いていった結果見えてきた理由はいかにもコウらしいもので、「なるほど~!そうなるとコウは混乱しただろうな~!」とパネル裏の光景が目に浮かぶ私でした。次回のコラムでは、”被り物はそこにあるのに「自分のがない!」となった理由”について詳しく書いていきます。
2021年05月10日ロゼレムとは出典 : ロゼレムは、不眠症で入眠に難しさを抱えている成人に処方される睡眠改善薬です。不眠症とは、睡眠問題が1ヶ月以上続き、日中に倦怠感や意欲低下、集中力低下、食欲低下などの不調が現れる病気のことです。不眠といっても症状はひとつではなく、4つのタイプに分けられます。眠りに就くことが難しい「入眠障害」、寝ている途中で何度も起きてしまう「中途覚醒」、朝早くに目が覚めてしまう「早朝覚醒」、睡眠時間は十分なのに睡眠の質が悪く休んだという実感が得られない「熟眠障害」です。睡眠に問題があると、日中に眠くなってしまって勉強や仕事に集中できないなど、日中の活動にも影響を与えてしまいます。さらに、発達障害のある人は幼少期から睡眠に問題を抱えることが多いことが分かっています。ADHDのある人の85%が日中の眠気か睡眠に問題を抱えていることも報告されています。睡眠の問題はADHDのある人だけでなく、自閉スペクトラム症のある人も同様に睡眠の問題を併せ持つ場合が少なくありません。発達障害のある人の睡眠問題には、体内で分泌されるホルモン「メラトニン」が特に有効であると考えられており、ロゼレムはメラトニンと同じ働きで睡眠を改善する効果があります。 Young Rosalia Yoon et al.(2013). Sleep and daytime function in adults with attention-deficit/hyperactivity disorder: subtype differences. Sleep Med . 14(7):648-55.厚生労働省『e-ヘルスネット不眠症』どのような仕組みで効果があるの?それではメラトニンは、睡眠にどのように作用するのでしょうか。睡眠には2つのメカニズムが関わっています。ひとつめは「脳が疲れたから眠くなる」メカニズムです。起きて活動すればするほど脳は疲れ、老廃物の一種である睡眠物質が蓄積されていきます。この睡眠物質がたまってくると、脳神経に働きかけて催眠鎮静作用が発揮されて眠くなるのです。もうひとつは「夜だから眠くなる」メカニズムです。私たちは普段寝ている時間になると、自然と眠くなりますよね。これには、脳の視床下部の視交叉上核というところに存在する体内時計が関わっています。夜になると体内時計が指令を出すことで、メラトニンが分泌されます。メラトニンが分泌されると、体の内部の体温や血圧が少しずつ下がり、眠りやすい状態に導き睡眠を促してくれるのです。反対にいつもと同じような時間に目覚めるのも、この体内時計の働きによるものです。体内時計の指示でメラトニンの分泌が止まって体の内部の体温が少しずつ高まり、一定レベルを超えると目覚めます。つまり、メラトニンが分泌されると自然な眠りを誘い、メラトニンの分泌が止まると目覚めるようになるんですね。このようにメラトニンは睡眠に大きく関わっていることから、睡眠ホルモンとも呼ばれています。人は目覚めて朝陽を浴びると体内時計がリセットされ、目覚めから14時間~16時間くらい経つと、体内時計が指令を出してメラトニンを分泌し、自然な眠りにつくことができます。ところが、光を発する電子メディアの見過ぎなど何かの理由でこのメカニズムがくずれてしまうと、睡眠に問題が生じて不眠症を引き起こしやすくなってしまうのです。メラトニンは光によって抑制されます。ロゼレムの有効成分ラメルテオンは、メラトニンを受け取るタンパク質の「メラトニン受容体」にくっついて作用し、メラトニンと同じ働きをします。つまりロゼレムを服用すると、体内時計の針を調節することができるわけです。たとえば望ましい就寝時刻よりも前にロゼレムを服用すると、体内時計の針が早まって体内での夜が早く訪れます。結果として、いつもよりも入眠時刻が早まり、眠りにつくのを改善します。眠りのリズムを整えることで睡眠の問題を改善するのです。武田薬品工業株式会社『体内時計と睡眠の仕組みメラトニンとは』ロゼレムの使用方法・用量は?・用量:1錠(ラメルテオンとして1回8mg)・用法:1日1回就寝前に経口投与・成人※監修者注:通常15歳以上からの適応となるが、18歳以上からが望ましい以下に該当する人には、ロゼレムは使用できません。・ラメルテオンに過敏症となってしまったことのある患者・高度な肝機能障害のある患者(肝臓で代謝されるため、有効成分の血中濃度が上昇してしまい、作用が強くあらわれる恐れがある)・フルボキサミンマレイン酸塩(SSRI)を服用している患者(販売名:ルボックス、デプロメール)また使用するにあたっての注意事項は、以下の3つです。・服用開始から2週間後をめどに、効果があるかを医師が確認します。効果が認められない場合には、服用を中止するかどうか医師が判断することとなっています。・服用は、必ず就寝前です。寝たい時間の直前に服用することで効果がみられます。なお、少しだけ寝たら起きて仕事をするなど、途中で起きる予定のある場合には服用を控えます。・服用する際は、食事と同時・食事直後は避けることです。食事と同時、もしくは食事直後にロゼレムを服用してしまうと、有効成分の血中濃度が下がり効果があまり出なくなってしまうからです。独立行政法人 医薬品医療機器総合機構『ロゼレム錠8mg』ロゼレムの副作用と注意点出典 : ロゼレムは、国内で販売されてから一定の期間が経過しているため、その安全性と有効性を確かめる再調査が行われています。ロゼレムを1回(ラメルテオンとして8mg)投与された3,223例のうち、109例(3.4%)に副作用が認められました。確認された主な副作用は、傾眠(1.2%)、浮動性めまい(0.7%)、倦怠感(0.3%)です。ロゼレムを服用した翌朝以降にも、薬剤の影響が残る場合があります。眠気、注意力・集中力、反射運動能力が低下する可能性があるため、車の運転など危険を伴う作業は行わないようにすることが必要です。海外でアナフィラキシーショックが起きたとの報告があります。出現回数がとても低く極めてまれであることから、頻度は不明ではあるものの注意が必要です。服用後に、じんましんや血管が浮き出てくるようなことがあれば、すぐに使用を中止し、医師に相談してください。他の睡眠薬とどう違うの?睡眠薬には、大きく分けて3つの種類があります。1.ひとつめは、先ほど説明したひとつめの睡眠のメカニズム「脳が疲れたから眠くなる」に働きかける薬です。これまで多く使われてきた薬の多くは、このメカニズムを利用しています。高い効果が認められる一方で、依存性があることから長期使用では注意が必要と言われています。2.ふたつめは、今回ご紹介するメラトニンによって体内時計を調節することで、入眠の困難を改善する薬です。ロゼレムの他には、「メラトベル」があります。メラトベルは、2020年に発売された、6歳から15歳までの神経発達症のある子どもに対して処方される入眠改善です。メラトベルは、その有効成分がメラトニンそのものである一方、ロゼレムはメラトニン受容体作動薬であり、メラトニンそのものではありません。 一般に受容体作動薬は小児には適用されません。3.最後は、睡眠と覚醒を調整する神経伝達物質「オレキシン」を受け取るタンパク質である「オレキシン受容体」に作用する薬です。過剰に働いてしまっている覚醒を抑えることで、睡眠を促します。比較的早くに効果があらわれ、依存性は少ないと考えられています。鹿児島市医報『ベンゾジアゼピン受容体作動薬について』(2020)59(10): 7-8まとめ今回は、不眠症で入眠に困難のある15歳以上の成人に対して処方される睡眠改善薬「ロゼレム」をご紹介しました。日本で発売されてから10年以上にわたって使用実績のある薬で、再調査でもその安全性と有効性が確認されています。ロゼレムは睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニンの受容体に働きかけることで、体内の時計の狂いを調節して睡眠リズムを整えます。薬の服用にあたっては、生活習慣を改善させることもとても大切です。
2021年05月07日子育て楽じゃありません
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