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お腹の不調がつらい「過敏性腸症候群(IBS)」の具体的な症状とは?出典 : お腹が痛い、下痢や便秘が長引いている、お腹にガスが溜まっているような気がする。腸の疾患がないのにお腹に痛みがあったり、調子が悪く、それに関連した下痢や便秘などの異常が数ヶ月以上続くなどの症状に悩まされているなら、過敏性腸症候群(Irritable Bowel Syndrome: IBS)かもしれません。過敏性腸症候群の症状は多岐にわたります。代表的なお腹の痛み、腹部不快感、下痢・便秘が続く症状のほかにも、腹部膨満感(腸内に水分やガスが溜まりお腹が張って苦しい状態)、おならがよく出る、食欲不振、頭重感、お腹がゴロゴロ鳴るといったさまざまな身体症状が現れます。夜寝ている時に症状が出ることはほとんどなく、排便すると一時的に症状から解放されるのも特徴です。過敏性腸症候群には身体症状だけでなく、精神症状が伴うケースもあります。特に重症になると、トイレに自由に行けない環境に不安を感じたり、見た目では理解されない苦しみを抱え込んだりします。過敏性腸症候群は命にかかわる病気ではありませんが、日常生活に支障をきたし、生活の質が著しく下がる病気です。学生であれば、授業中やテスト中に何度も教室を抜け出すのがつらい人もいます。働いている人であれば、通勤には各駅停車を使って、いつでもトイレに駆け込めるように対策している人もいるほどです。こういった不安や苦痛を隣り合わせのため、勉強に集中できなくなったり、働く気が起きなくなったりすることもあるようです。さらには外出を控えるようになり、不登校になったり、仕事を辞めることまで考える人もいます。参考:過敏性腸症候群(IBS)患者さんとご家族のためのガイド「Q1 過敏性腸症候群(IBS)ってどんな病気ですか?」|日本消化器病学会ガイドライン実は10人に1人が過敏性腸症候群。4つのタイプや性別・年齢との関係は?出典 : 過敏性腸症候群は、便の形状や排便頻度によって4つのタイプに分かれています。・便秘型: 週に3回以下の排便で便が固くなる。お腹にガスが溜まりやすい。・下痢型: 1日に3回以上の排便で便が水っぽくなる下痢型。急に襲ってくる便意があるため、トイレに自由に行けない環境に不安を感じやすい。・混合型: 便秘型と下痢型の症状を繰り返す・分類不能型: 以上3つのタイプには当てはまらないタイプ過敏性腸症候群は10人に1人がかかっている病気で、決してめずらしい病気ではありません。男性より少し女性に多く、加齢とともに患者数は減少すると考えられています。一般人口の11.2%(95%CI,9.8%-12.8%)が IBS を発症しており,男性に比べて女性が発症しやすいことが示された(男性:女性=1:1.67)。年から,1991年から,2001年からの各10年間にわたるIBSの有病率は変化していない. しかし,30歳未満,30歳代,40歳代,50歳代,60歳以上の有病率は各々11.0,11.0,9.6,7.8,7.3%であり,全体として,50歳以上ではそれより若年者に比して有病率が低い傾向が認められた.過敏性腸症候群を発症する原因は?ストレスとの密接な関係が指摘出典 : 過敏性腸症候群の発症の原因は解明されていません。ただし、腸の検査や血液検査をして、腸に明らかな異常(潰瘍や腫瘍など)がある病気ではないため、ストレスが原因ではないかと考えられることも多くあります。実際に、過敏性腸症候群はストレスと密接な関係があり、強いストレスを感じたときには症状が強く表れ、ストレスが軽減されたときには、症状が軽くなる傾向があります。これは脳と腸が自律神経でつながっていて、脳が不安やストレスを感じ取ると、その影響を受けて腸の動きが乱れ、痛みを感じやすい状態になるためです。特に過敏性腸症候群の患者はこの状態が強く現れる傾向があり、腸の動きの早さによって下痢や便秘などの症状につながります。精神的なストレスを感じていなくても、過労や睡眠不足、乱れた食生活が続いている場合は腸に負担がかかっているため、過敏性腸症候群を発症しやすくなります。また細菌やウイルス性の胃腸炎から回復した後は、過敏性腸症候群にかかりやすいと言われています。そのほか、腸内細菌のバランスが崩れて発症することもあります。善玉菌が減って悪玉菌が増えることによって腸が過敏になるためです。参考:過敏性腸症候群(IBS)の病態・診断・ 治療|日本内科学会雑誌 第102巻 第 1 号・平成25年 1 月10日過敏性腸症候群の症状にあてはまったら…出典 : 過敏性腸症候群の症状が続いている場合は一度病院の受診を検討するとよいでしょう。まずはかかりつけ医もしくは内科医に行き、重症で内視鏡検査などの精密検査が必要になる場合は消化器内科か胃腸科をおすすめします。もし大きなストレスがかかる状態が続いていて、抑うつ状態や気分の落ち込みがある場合は、心療内科やメンタルクリニックの受診も視野に入れてみましょう。診察の際、飲んでいる薬があれば必ずお薬手帳を持参してください。また、直近の健康診断の結果が手元にあれば合わせて持参すると、診断がスムーズになります。腹痛、下痢・便秘を繰り返す腸の病気は、過敏性腸症候群以外にもあるため、医師の診察をしっかり受けることが必要です。過敏性腸症候群の診断にはどんな検査がある?出典 : 過敏性腸症候群の診断は、国際消化器病学会の専門委員会が作成した診断基準で、国際的にも多くの医師が用いている「ローマⅢ基準」によって行われます。IBSの診断基準(ローマⅢ基準)最近3ヵ月の間に、月に3日以上にわたってお腹の痛みや不快感が繰り返し起こり、下記の2項目以上の特徴を示す1)排便によって症状がやわらぐ2)症状とともに排便の回数が変わる(増えたり減ったりする)3)症状とともに便の形状(外観)が変わる(柔らかくなったり硬くなったりする)「ローマⅢ基準」による診断を確定するために尿・便検査、血液検査のほか、症状や過去にかかった病気(既往歴)や家族の既往歴によって、腹部X腺検査、大腸内視鏡検査、超音波検査、CT検査などが追加されることもあります。急激な体重減少・血便・寝ている間もトイレに行きたくなる場合は、過敏性腸症候群ではなく他の病気の可能性もあるため、追加の検査が必要となることもあります。潰瘍性大腸炎やクローン病などの初期症状は過敏性腸症候群の症状に似ていること、細菌・ウイルスに感染していることも考えられるため、自己診断ではなく必ず病院で診察を受けましょう。検査以外にも、心理状態や生活状況を聞き出して総合的に診断することもあります。市販薬で乗り切れているから自分は大丈夫だ、と思っていても重大な病気が隠れている場合もあります。胃に違和感を感じたり、下痢や便秘などの症状に悩まされている場合は、早めに医師による診断をしてもらいましょう。治療法はさまざま。症状に合った治療法を選ぶことが大切出典 : 過敏性腸症候群の治療は、たいてい以下の順番で行われます。1 生活習慣の改善・朝、排便をする習慣をつける・夜更かしをせずに十分な睡眠をとる・運動不足であれば適度な運動をする(運動療法)※運動することでストレスが減り、便通も促されるため2 食事指導(食事療法)・香辛料、冷たい飲み物、脂っこいもの、コーヒーやアルコールなど、腸に刺激を与えるようなものは控える・食物繊維を多く含んだ消化に良い食べ物を食べる・食事は早食いしない、食事を抜かない、1日3食決まった時間にとる3. 薬物療法・生活習慣や食事を改善しても症状が変わらない場合は、症状(身体症状・精神症状)に合わせて薬や漢方を使う4. 心理療法・薬を使ってもあまり症状が改善されないときやストレスが強い場合は心理療法が用いる・心理療法には認知行動療法やストレスマネジメント、対人関係療法などがある※薬を使いながら心理療法を併用する治療もある過敏性腸症候群の治療では、自分の症状に合った治療法を選び、症状を改善させます。日常生活の工夫で過敏性腸症候群を予防することはできる?出典 : 過敏性腸症候群を予防できるという研究はありませんが、普段からの心がけで症状を避けたり軽減したりすることはできます。十分な睡眠、心地よい睡眠環境、規則正しい食生活、お酒やたばこを避ける、ストレス解消法を見つける(休む時間を作る)、胃に優しいものを飲む・食べるなどさまざまな方法があります。もし運動不足であれば、軽い散歩をすることで、腸の働きを整えるだけでなくストレス解消になります。こうした規則正しい生活習慣や自分なりのストレス解消法を取り入れて過敏性腸症候群を改善していきましょう。まとめ出典 : 過敏性腸症候群は、めずらしい病気ではありません。ただし、お腹の不調を伴う病気は過敏性腸症候群以外にも多くあるため、一度病院で医師の診察を受けることが重要です。下痢や便秘が長引けば、ストレスや不安も大きくなり、生活の質も落ちてしまいます。現在過敏性腸症候群の治療法はたくさんあり、自分の症状に合わせて治療ができます。もしもお腹の不調に悩んでいるのであれば、なるべく早めに病院に行って症状を軽減していくことをすすめます。
2018年05月15日春休みに話し合ったときのムードはどこへ…スタートしたばかりの高校生活ですが、早くも大きな壁にぶつかってしまいました。Upload By ひらたともみUpload By ひらたともみUpload By ひらたともみ入学前の面談では、理解を示していたように思っていただけに、なぜ入学してから、あれもダメ、これもダメになってしまったのかと困惑しました。確かに、高次脳機能障害のある人が、再び頭部を強打するようなことがあると、新たな症状に苦しめられる場合もありうることです。しかし、それを心配するあまりになにもかもが制限されてしまうのは、リクの望む高校生活とかけ離れたものでした。Upload By ひらたともみUpload By ひらたともみ激しい頭痛を抱えながらも中学校では「経験すること」を優先Upload By ひらたともみUpload By ひらたともみ今の子どもたちは、わりと簡単に「死ね」と言います。そして簡単に「死にたい」とも言います。だからそんなに深刻に考えることではないのかも…。学校で体育や部活に参加させられないとダメ出しされただけで、命なんて捨てられるものか!という思いも正直あります。ですが、息子の口から出た言葉は聞き捨てることができません。15歳の「今」は、私たち大人が思う「今」とは全く異なります。息子の望む高校生活のためにUpload By ひらたともみ「まだまだチャンスはあるでしょう?」「いいじゃない、そのくらい。もっと大変な人はたくさんいるんだから」そういった言葉はいくらでもかけられますし、私も大人たちからその言葉を埋もれるほどに言われてきました。そうしてすっかり大人になった「今」、やはり、あのころできなかったことに納得などしていないのです。10代というのは、理屈で未来を語るより、体感することのほうが、何十倍も充実感を味わえるのだと思います。「心配」という言葉を使えば、体裁はいいかもしれません。でも「転ばないように」と予防することは子どもを守っているようで実はそうではない面もあると思います。リクのように体調に不安があろうがなかろうが、まだ15歳の少年ならこれからいくらだって「転ぶ」ことがあるかもしれないのです。大人の一方的な都合で、貴重な3年間の経験の機会を奪ってしまうのは納得できません。さて、私は「リクの望む高校生活に近づけるなら」と高校が指示する通り、許可をもらうべく病院に行ってきました。正直、とても辛かったです…。そのお話はまた次回に。
2018年05月14日ヘルプマークが必要、でも周りの目が気になる娘娘は高校1年生の時に電車で体調を崩して以来、遠出する時や一人で初めての場所に出かける時に、ヘルプマークを携帯するようになりました。でも、周りの目が気になる娘は、近場の外出や通学時などでは、ヘルプマークを携帯しようとはしませんでした。娘の心境を変えた、ある出来事高校2年生のころ、娘が荒れました。イライラしては自分の部屋で暴れ、衣装ケース、ゴミ箱、扇風機、ドア、壁などいろいろなものを壊しました。ある時、娘は壁掛けフックを力任せに引っ張り、壁とフックを固定していた留め具を折りました。気持ちが落ち着き、自分で直そうと考えた娘は、販売メーカーのHPで「留め具のみの販売」をしていることを確認し、フックを購入したお店に留め具を買いに行きました。買い物がうまくできなくてその日、手ぶらで帰って来た娘は落ち込んだ表情で、お店でのやり取りを私に話しました。Upload By 荒木まち子再度チャレンジしてみたものの…翌日、娘はそのお店のHPに掲載されていた商品の画像をプリントアウトし、持って行きました。Upload By 荒木まち子帰宅後「やっぱり無いと言われた…」としょんぼり話す娘。私は助け舟を出しました。「HPで販売していると載っているなら有ると思うけど。明日もう一度行ってどうしてもうまく聞けなかったら、私も店員さんと話をしてみるから電話してきても良いよ」結局、親が出動することに…翌日お店から電話があり、私は店員さんと話をしました。Upload By 荒木まち子言葉でのやりとりが苦手な娘娘は一見障害があるようには見えませんが、言葉でのやり取りが苦手なタイプです。相手に強く言われれると、言いたいことがあっても言葉が出なくなります。忙しいせいもあるのか、店員さんはテキパキと早口で話す方でした。これでは娘は聞き取れないし、たとえなんとか聞き取れたとしても、萎縮してしまい上手くしゃべれなかったのだろうと感じました。Upload By 荒木まち子娘が求めるのは「ヘルプ」<「理解」娘はこの出来事以来、近所へ外出する時もヘルプマークを身につけるようになりました。周りに合った歩調で歩けないのも、人と目が合わせられないのも、せかされた状態ではうまくしゃべれないのも、大きな周りの音に邪魔されて上手く聞き取れないのも…理由があります。へルプマークには「助けて欲しい」という想いだけでなく■分かって欲しい■理解して欲しい■認めて欲しい■ほんの少しの配慮が欲しいなどさまざまな想いが込められていると思います。娘がこのマークをいつも携帯するようになったのも「分かってほしい」という想いがあったからなのです。想いは十人十色ヘルプマークの認知度は、3年前に比べ格段に増してきました。これからは、「見えない障害」にはさまざまな種類があり、ヘルプマークを携帯する人にもさまざまな想いがあることを知ってもらえたら良いなと思っています。
2018年05月13日東田さんが描く―これまでの自分の人生を振り返って―今回紹介する『自閉症の僕の七転び八起き』(KADOKAWA)を執筆した東田直樹さんには、重度の自閉症があります。このエッセイには、障害のある子どもとの接し方、当事者の心の中、一人の人間としての葛藤、前向きに生きていく力、障害があるがゆえの悲しみや喜びが詰まっています。東田さん自身が振り返る、通常学級での悩みや、家族の自分への接し方、これまでのさまざまな選択からは、本人の努力だけでなく、家族や周囲の支えがどれだけ大きかったのかが伝わってきます。特別支援学校から通信制高校へ。自分がやりたいことを探し続けた青年期出典 : 東田直樹さん(ひがしだなおきさん:以下東田さん)は、重度の自閉症があり、口頭で会話をすることが困難です。ですが、パソコンや文字盤ポインティング(文字盤を指差しながら言葉を発する方法)を使うことで、コミュニケーションを取ることができます。東田さんは小学5年生までは通常学級に在籍、小学6年生から中学3年生の4年間は特別支援学校に通いました。その後特別支援学校の高等部には進学せずに、アットマーク国際高等学校(通信制)に入学、2011年3月に卒業。彼が13歳のときに執筆した書籍『自閉症の僕が跳びはねる理由』は、今や20カ国以上で翻訳・出版されているベストセラーとなっています。東田さんが発する言葉や挑戦する姿勢からは、前向きな性格を感じ取ることができますが、東田さんが初めからそうだったわけではありません。自分が一生かかっても「できない」ことを、同級生が簡単にやってのける姿を見て、苦しんだ小学5年生までの日々。逃げるように転校した特別支援学校で知った、人から大切にされることの重要性。そこは、できないからと言って責められることも叱られることもない、居心地の良い場所でした。特別支援学校で4年間自分を見つめなおした東田さんは、自分の人生を生きたいと、通信制高校への入学を決意します。現在は紆余曲折を経て、作家や詩人として活躍している東田さん。彼は何を思い、どう生きてきたのでしょうか。今の自分があるのは家族のおかげ―東田さんはどう支えられてきたのか出典 : 大人になった東田さんは、子どもの頃に「できなかった」たくさんのことが「できる」ようになりました。幼児用の工作ワーク、人とのコミュニケーション、我慢をすること、家族に言いたいことを言うこと。それから、誰の人生も大変だということにも気づけました。できることが増えた今、東田さんは自閉症で良かったと思える機会も増えたそうです。そして、自分がここまで頑張ってこられたのは、否定せず、障害があるからできないだろうと決めつけず、長所を伸ばそうと努力してくれた家族のおかげだと言います。本書では、東田さんの経験に基づいた、自閉症のある子どもとの接し方も紹介されています。・人格を否定するような叱り方はしない・本人に選ばせる練習をする(選ばせるときは2回確認する)・機嫌がもとに戻ったら、いつものように接する・どんな人になりたいのか聞いて、将来の楽しみを一緒に考える・コミュニケーションを諦めない・問題のある行動は辛抱強く注意するこのように日々心掛けることから、あめのなめ方やおかずを取り分ける方法といった、細かい接し方まで具体的に書かれています。こうした両親のささやかなサポートが積み重なり、今の伸び伸びとした東田さんがあるのでしょう。「愛」と「自分の心」―東田さんの背中を押した、生きる希望と勇気出典 : けれど、接し方よりも大事なのは、「愛」だと言います。「人の心を育てるのは、愛情です。」「愛情を注いでもらっているから、心は育つのです。」「たとえ、自己表現できなくても、知能が低くても、愛は伝わります。自分が大切にされているという実感は、生きる希望につながります。」本書の中で東田さんは、「愛」という言葉を何度も使っています。障害のある子どもを育てることは、ときに一筋縄ではいかない難しさがあります。強く叱りすぎてしまったり、接し方を意識しすぎて疲れてしまったり。しまいには自信を失くしてしまうこともあるかもしれません。子育てに正解がないと分かっていても、上手くいかない、と落ち込むこともあるかもしれません。でも、それでいいのです。落ち込んだり悩んだりするのは、しっかりと子どもに向き合って愛を注いでいる証だからです。無理せず、自分のペースで愛情を注ぐこと。いつかあなたの愛は、その子にとって生きる希望になるはずです。もう一つ、東田さんは「自分の心」の大切さについても述べています。今何をしたいのか、どう感じているのか、本当に幸せなのか。自分の心に正直に生きること。自分の気持ちを大切にしていれば、周りの人の気持ちも尊重できるようになります。もしも、みんなが頑張っているように見えて、自分だけが頑張れない時があっても大丈夫。「頑張れないときがあっていいのです。頑張る基準は、自分の心が決めればいいと思います。」「もしも子どもに障害がなかったら」そう思うのは別に悪いことじゃない出典 : 「障害児の子育てには、たくさんの苦労があります。僕は、子供を愛せない親が悪いのではなく、愛せないほど苦しい状況になってしまうこと、そのものが「悪い」と思っています。親が、もしも子供に障害がなかったらと考えたとしても、別に悪いことではなく自然なことです。」東田さんは当事者目線で、障害のある子どもを育てることについて触れています。彼自身も、自分に障害がなかったらどんな人生を歩んでいたのだろうと考えることもあり、そのことに罪悪感を持っていた時期もあったようです。「普通である想像上の僕は、いつも笑っています。しかし、今の僕より幸せかどうかはわかりません。悩みのない人などこの世にはいないからです。」障害者は決して特別な存在ではありません。それぞれが不安や悩みを抱えて生きている。障害を抱えながら生きていくには、たしかに困難や壁がつきものですが、“普通”と言われる定型発達の人の日常や人生にも、悩みや孤独があります。どんな人も、みんな同じように心を持っている。それが東田さんの考えです。「自分らしく生きられる社会を目指して」―誰にでも必要な3つのこと―出典 : 東田さんは、障害のある人自身にも必要な3つのことを挙げています。・この社会の中で、自分の生きる意味を探すこと・自分のことを理解すること・なぜできないのか、どうすればいいのか自分で考えることこれらをすべて実現するには、周囲のサポートが欠かせません。ずっと自分と向き合い続ける努力も必要です。この3つは、どんな人にとっても大切なことだと思います。どれだけ多くの人が自分のことを理解し、生きる意味を見出し、できないことに立ち向かっているでしょうか?障害があっても、多様な生き方を選択でき、社会の中で自分らしく生きられる温かい未来を東田さんは望んでいます。そんな東田さんの今後の目標とは…「自閉症で本当に良かったと思える人生を歩むこと」。それを達成すべく、日々自分の気持ちと向き合い、行動のコントロールに挑戦しています。ちなみに外出やお金の払い方は、今もトレーニングを継続中だそうです。「どんな生き方を選ぶかは人それぞれでいい、大切なのは自分の気持ち」と語る東田さん。彼はこれからどんな未来を切り拓いていくのでしょうか。悩みや葛藤に向き合い、自分に正直に生きる東田さんの生き方は、たくさんの人の人生の選択を後押ししてくれるでしょう。
2018年05月12日小学校は「学びの場」。わが子はきちんと学習できる?出典 : 子どもが小学校に入学するということは、一体これまでと何が1番変わるのでしょう。それは言うまでもなく、「学びの場」に入っていくということです。それまで走り回って元気よく遊んでいれば良かった生活から、急に1日何時間も椅子に座り、勉強をする生活に変わります。この急激な変化を前に、不安を覚える親御さんも多いのではないでしょうか。立ち歩かずにきちんと授業に参加できるのか、毎日の宿題をこなすことができるのか、そもそも漢字や計算を問題なく習得できるのか。1年前の私も、そんな不安でいっぱいでした。漢字学習の苦手を救ったアイテム!発達障害のある息子は、自分の嫌いなことに黙々と取り組むのが苦手です。入学後、やはり漢字の学習でつまずいてしまいました。ただ形を覚えるだけであれば、それほど時間をかけずに達成できます。けれども、ノートに手本どおりに何回も繰り返し書く作業、さらに、それを先生に赤ペンで直されて、その上からなぞる作業…。これが毎日延々と続くことが、息子の苛立ちを誘うようです。また、息子はとにかく頑固で人の言うことを聞きません。漢字の書き順が完全に自己流になるのです。何度訂正しても直す気がありません。しまいには、訂正したそばから怒り始めます。人によっては書き順にそこまでこだわらせず、とにかく形を覚えさせればいいという考えもあるようですが、息子は一筆書きで書いてしまったり、変な順番で書き始めたりすることで、ノートのマスから文字がはみ出してしまいます。ですから、やはり書き順はある程度守ってもらいたいと思いました。そこで、息子に何かをさせるとき、私がいつも一番大切にしていることに立ち返ってみました。それは、「成果が見えるようにする」ことです。これを踏まえて、学習支援グッズを手づくりしてみることにしたのです。そこで、「楽々かあさん」さんのアイデアを参考にさせていただきました!これが、想像していたよりもずっと息子の学ぶ力を伸ばしてくれることになりました。参照URL:楽々かあさんのアイデア支援ツールと楽々工夫noteUpload By 林真紀上の写真が、手づくりしたカードです。材料は名刺カードと名刺ホルダで済むというのもうれしいです。教材やレイアウトなどはそれぞれのお子さんに合ったものを選ぶのが良さそうです。基本的には、1年生~6年生までに習う漢字をコピーして、名刺カードに1枚ずつ貼っていきます。6年間の間に習う漢字は1,006字です。時間のあるときに切って貼ってとやっていると、意外とあっという間にできてしまいました。1,006字を学年ごとに名刺ホルダに収納します。文部科学省 学習指導要領「生きる力」 別表学年別漢字配当表Upload By 林真紀Upload By 林真紀ちなみにわが家で使っているカードの教材は、漢字の成り立ちを絵で表現していたり、書き順を絵描き歌の歌詞のように書いたりしている漢字辞典を採用しています。表面は成り立ち、裏面はその漢字をパーツで分解し書き順を表記したものを貼ってつくります。息子に書かせるときには、「細」という字であれば、「くムとつづけて」「たてチョンチョン」と記述されている順番通りに声を出して読み上げてあげれば、正しい書き順で書けるようになりました。ただし、シンプルなカードのほうが好きな子どももいますので、そういう子は漢字が一文字だけ大きく書かれただけのカードをつくってみたほうがいいかもしれません。「僕、こんなに覚えたの!?」達成感でやる気スイッチON!漢字ノートに毎日ひたすら練習をしていた時は、「いつ終わるんだ~」「毎日こんなのが続くなんて~」「つまんないよ~」とグズグズでしたが、このカードを使ってみて息子の漢字学習は劇的に変わりました。2年生が始まって1ヶ月で、その学年で習う漢字をほとんど習得してしまったのです。なぜ息子のやる気を起こすことができたかというと、このアイテムは製本されている漢字ドリル等に比べて、覚えた漢字の量やこれから学習が必要な漢字の量が一目瞭然だからです。覚えた漢字を上の写真のように積み上げていくうちに、「え!?僕こんなに覚えたの?」と、達成感を得ることができ、次々に自分から学習してくれるようになりました。さらに、まだ習得できていない漢字のカードをよけておくと、「5枚分かあ。これだけなら頑張れるかも」という見通しがたつようです。先生の赤ペンがびっしり入った真っ赤な漢字練習帳を前にすると、一文字書いて突っ伏してしまう息子が、カードにすると「まだいけるかも!」「よし、また覚えた!」と楽しく学習してくれます。小学校6年間に習う漢字は1,006文字。こうして名刺ホルダに収めてみると、見通しがたって、それほど大変な気がしないというのも面白いものです。先取りで漢字をどんどん覚えると、漢字練習帳にコツコツ書くのもそれほど嫌がらないようになりました。わが家の息子のやる気もぐんぐん伸びた学習支援グッズ、是非お試しを!
2018年05月12日中学校まではほぼ自習ゼロ。高専でも通用する?出典 : 私には最近ADHDと診断された3歳年の離れた弟がいます。弟は、「やる気スイッチ」がどこにあるのかまったく分からないタイプで、周りの人が何を言っても自分がやりたいことだけをやり続ける子どもでした。中学3年生になっても真面目に勉強しないので、両親は相当心配していたようで、私もよく相談されていました。私も弟も小・中学校では授業を真面目に受けるくらいでそれほど力を入れて勉強していたわけではありませんでした。さすがに受験直前には家でも勉強していましたが、そのとき以外は家で勉強した記憶がありません。同じ地元の高専(工業高等専門学校)に進学したのですが、そのとき二人とも「中学校までのやり方で、高専でもやっていけるのかな?」と考えたのです…。当時の私は入学した年代は違うのに同じことを考えるなんて面白いなあと思っていましたが、両親はかなりヒヤヒヤしていたようで、お願いだからやめてくれなんて言われていました。そうだ!入学1年目は自習なしで過ごしてみよう!出典 : というわけで、ふたりとも入学してすぐの1年目を、自習することなく、ほぼ授業を受けるだけでどこまでやれるのか試してみることにしました。いま考えても無謀な挑戦です。でも当時はそうしないと自分で勉強する必要性を体感できないと思ってやっていました。おそらく弟も似たようなことを考えたのではないかと思います。それでは、それぞれどういう結果になったのでしょう。自習なしチャレンジ!私の場合出典 : 私の学科は情報系で、私自身それを勉強するために学校に入りました。そのおかげもあってか、専門教科の情報系の教科は授業と関係なく勉強していました。それ以外の教科は基本的に授業を受けるだけで、試験前も特に勉強などしていませんでした。高専なのでロボコンをやる部活もあったのですが、みんなで同じことをしなければいけないことから部活自体があまり好きではなかったので、特に部活には所属しませんでした。その時間を使ってプログラミングの勉強をしたいと思っていましたし、実際にやっていました。出典 : その結果は…クラスで下から2番目。赤点の教科もいくつかあって危うく留年してしまうところでした…。学校から届いた結果を見せながら両親に「自習しないでどこまでいけるか試してみた結果なんだ」と話したところ、母親には「お願いだからやめてくれ!」と悲愴な顔で懇願されてしまい、父親には「そんな馬鹿なことをやってないでちゃんと勉強しろ」とあきれられました。その年の冬休みは申し訳なさでいっぱいだったのでとても家に居づらかったことをいまでも覚えています。自分自身もっとやれると思っていたのですが、いままで通りのやり方ではまったく通用しないことが分かったので、翌年から試験勉強をしっかりやるようにしていきました。このころ周りの友人と一緒に授業をさぼったりしていることもあったのですが、それもやめなきゃ"自分はこの先ダメになる"と考えていました。出典 : 結局卒業するまでずっと1時間目の遅刻の常習犯ではありましたが、真面目に勉強するようにしたところ、徐々に順位が上がっていき、卒業するころにはクラスで一桁の順位に入っていました。1年目に無茶をやって危機感をもって生活していたことや、「過去問を仕入れてくる代わりに勉強を手伝ってほしい!」とお願いしてくる友人をもてたことが大きな要因だったのだと思っています。自分も勉強しておかないと友人の点数が上がらないので、自分一人でやるよりも本気で勉強することができていたからです。いつもは気の向くままにプログラミングの勉強をして、試験が近づいてくると試験対策の勉強をする。そんな生活を続けていたらいつの間にか順位が上がっていき、最終的には自分なりに満足できる成果を挙げることができました。自習なしチャレンジ!弟の場合出典 : 弟は機械系の学科に進みました。元々形があるものをつくるのが好きだったためか、弟はロボコンをつくる部活に入ってその作業にかなりの時間をかけるような生活をしているようでした。たまに部活の情報系の友人を私のところに連れてきて分からないところを聞きに来ることはありました。部活を謳歌してるんだなあという印象があるくらいで、まさか私と同じチャレンジをしているなんて夢にも思っていませんでした。その年の期末テストで弟の成績が明らかになると、弟も私と同じようなことを両親に話していたようです。両親が私に「弟が1年のころの私と同じようなことを言ってるんだけどどうしたらいい?」と相談をしてきたため、そのときようやく私も弟が私と同じチャレンジをしていることを知りました。それを聞いた私は「やっぱり兄弟だと考えることも似るものなんだなあ」なんてのんきなことを考えていました。両親には本人がそう考えているならどうしようもない旨と、私からも弟に話をしておく旨を伝えました。そして、弟に自分も1年のころ同じことをやっていたんだという話をしたらかなり驚いていました。先輩からのアドバイスとしては「来年からは真面目に勉強しないと本当に留年することになるよ」ということだけ伝えました。出典 : その後も弟はそれほど順位を上げずに、赤点になるかどうかギリギリの成績を続けていたようです。母親も卒業する直前まで心配そうにしていました。勉強面ではそんな状況の弟でしたが、ロボコンの部活には打ち込んでいたようで、高専最後の大会では全国大会に進むという大きな成果を挙げました。私も応援しに、会場まで足を運びました。大きい舞台で活躍することは、勉強だけでは味わえない貴重な経験だと感じました。成績があまりよくなかったことが響いたのか、就職先が決まるまではなかなか苦戦しましたが、最終的には無事に就職することもできて両親と一緒にほっと胸をなでおろしていました。崖っぷちに立たされる経験から学べたこと出典 : 弟にとって「自習はまったくしないけれど、ロボコンに没頭する」という経験をせず中途半端に過ごしていたら、途中でドロップアウトしていたかもしれません。勉強の「やる気スイッチ」が見つからなくても、自分で勉強して何とか卒業できたのは良かったと思います。私にとっても、自分の実力を知るいい機会になりました。この経験があったからどうやって自分で力をつけていくかを身をもって理解できたし、自分で勉強する習慣がついたのだろうと思います。両親には心配をかけてしまったし、崖っぷちに立たされて場合によっては留年してしまうので、あまりおすすめできませんが…。もしお子さんが「勉強をまったくしない」ことで悩んでいるなら、ギリギリの経験からお子さんが得るものもあるかもしれないということを、お伝えしたいと思います。
2018年05月10日生活の妨げになっていたのは「努力不足」ではなく…出典 : 言語能力に頼って生きている私は、目の前にあるものの形を捉えたり認識したりすることはできるのですが、脳内でそれを再生できません。それによって人の顔が覚えられない、道が分からずしょっちゅう迷子になる、服を着た自分を想像できないため服選びが困難といったことがあります。長い間、それが当たり前だと思って生きました。なので、何もかも一生懸命にやらなければ人並みにこなすことができない自分をでき損ないだと思い続けてきました。しかし、子どもを育てながら発達障害についての勉強をしていくうちに、私に当てはまるそれらは努力不足なのではなく“脳の構造の問題”なのだと気づいて心がかなり楽になりました。同じような特性がある私の子どもたちには、自分自身を卑下することなく生きていってほしいという願いが大きくなるばかりです。そこで、私自身の苦手なことは子どもたちに折に触れて「ママ、こういう理由でこういうことが苦手なの」と伝え、「だからこんな風にしているよ」とどんな風に乗り切っているのかを伝えていくことにしました。この作業を行うことで、私にとっても何を苦手とし、どこにその原因があるのかを真剣に考えるよいきっかけとなっています。今回は、アスペルガー症候群の特性がある主婦の私が、家事の中でもっとも苦痛を感じる「食事の用意」について考えたいと思います。掃除や片付けとは違う、料理の難しさ出典 : どうして食事の用意が私にとって大きな負担となっているのか、改めてじっくりと考えてみることにしました。部屋の片付けや掃除・洗濯は面倒ではあるけれど、そこまで気持ちが重くなる家事ではありません。なぜなら…片付け=決まった位置に戻す掃除=汚れを取り、きれいな状態に戻す洗濯=洗濯機を回して干し、畳んで収納するつまり、どの状態がゴールなのかが始める前から分かっているので、取りかかる前のストレスが少ないのです。では、料理はどうでしょう?食にあまり興味のない私と息子は同じものを食べ続けても平気ですが、娘と夫はそういうタイプではないので、毎日同じ献立というわけにはいきません。そうすると、まず「献立を決める」という難関が立ちはだかっています。これは特性のない人でもとても面倒な作業だと思いますが、私の場合は今口の中にある料理が好きか嫌いかは判断できても、「食材やレシピをから味を想像する」ことができません。つまり、“こういう味になればよい”という「料理のゴール」が皆目分からないのです。できることなら毎日外食や総菜で済ませたいと思うのですが、私や子ども達には卵や乳製品、エビといったいくつもの食物アレルギーがあるため、簡単にはできません。そのため、特にしっかりとしたおかずをつくらなければならない夕方になるといつも憂鬱になるのでした。味をイメージできない!頼っているのは…出典 : そんな私の役に立ってくれているものの一つが、レシピサイトです。私が参考にしているサイトでは、有料会員になるとレシピのランキング表示ができるようになります。そのレシピでご飯をつくった人が「美味しかったよ」「こんな風にアレンジしてみたよ」とレポートを投稿する機能があり、投稿の多い順にレシピを並べ替えられます。味を想像できない私にとって、これはとてもありがたい機能です。多くの人が美味しいと思って何度もつくっているのなら、と安心して調理することができます。上位のいくつかのレシピの中からシンプルな手順のものを選んだら、食材と調味料がすべて揃っているかを入念にチェックします。味を想像できない分、確実にレシピを再現するために1つでも足りない調味料があると、もうつくることはできません。大さじ・小さじ・計量カップ・量りといった道具もレシピに忠実に従って使います。ちなみに、調理工程を記憶することもできないので、1つ終わるごとにレシピサイトをのぞいて手順を確認します。さらには、途中でキッチンを離れてしまうとほかのことに夢中になってしまい、すっかり料理のことを忘れてしまいます。そのため「10分煮る」と書いてあればコンロの前で10分待機するのです。同時に何品も調理することも混乱のもとになるのでできません。やっと1品ができあがったころには疲れてしまいぐったりです。その後、食に興味のある娘が「美味しい」と言ってくれてはじめて1つの料理が「ゴールにたどり着いた」ということになります。調理器具の活用で手順の大幅カットに成功!出典 : 毎日の献立を考えたり、味つけの基準とするべきものが見つかった次の課題は、毎回へとへとになってしまう調理の手順をいかに簡単にするか。そんな私を救ってくれたのは、新しい調理家電でした。みなさんは、ノンフライヤーをご存知でしょうか。油を使わずに揚げものができるというノンフライヤーを、わが家にお迎えしたのは2年ほど前のことです。偏食が激しく、肉といえば鶏の唐揚げしか食べてくれない息子のために導入したのがきっかけでしたが、これが思いのほか私を救ってくれました。とにかく、塩コショウを振りかけた鶏肉をノンフライヤーに放り込んでしまえば、メインの1品ができあがるのです。これならレシピを見なくても手順が覚えられるので、冷蔵庫に鶏肉が入っている日はすごく気が楽になりました。唐揚げ風にしたければ片栗粉をまぶすこと、カレー粉やクレイジーソルト、青のりや鶏がらスープで味付けのバリエーションを広げられることはレシピサイトで覚えました。偏食の息子がもりもり食べてくれるので、大満足です。ノンフライヤーの導入は「私がしんどいところは機械に助けてもらえばいいんだ!」と気づかせてくれました。そして次に購入したのが水なしで自動調理してくれる調理器具です。材料をカットして決められた調味料を投入さえすれば、後はこちらも放っておくだけで料理が完成するという夢のようなグッズです。簡単に買える値段ではなかったのでずいぶん迷いましたが、「コックさんを1人雇ったと思えば安い買い物」というレビューを見て節約を決意。お金を貯めてから購入しました。複雑な手順に惑わされることなく、いつも同じ味のものができあがる。味が分からない私をこれほど安心させてくれる道具はほかにありません。さらに、コンロの前に張りつく必要がなくなったので大助かりです。この2つの調理家電を導入したことで、私の夕食づくりは劇的に楽になりました。外食やお総菜で済ませたり機械を使って楽をすることはなんだか後ろめたいことだと思っていました。しかし、「そこに膨大なエネルギーを注いで疲れ果てるぐらいなら、頼ってしまってもいいじゃないの!」と思えるようになったのは、私にとって大きな進歩でした。後ろめたさを感じずに何かに頼れるようになると、他人が何かに頼っていても責めたり努力を求めたりする気持ちがなくなっていきます。「どんどん頼っていこう!」「もっといい道具があったらいいね!」という方向に思考が進んでいくのです。せっかく便利な道具がたくさんある時代に生まれたのですから、使える道具はどんどん取り入れて使っていけばいいのです。今度はスープを自動でつくってくれる調理器具を買えたらいいなあといろんな情報を仕入れているところです。私のように味が想像できなかったり、手順が多すぎてパニックになってしまう方は、スムーズな生活を送るための手段として、いろんな調理器具の活用を試してみてもいいのではないかなと思います。
2018年05月09日【ニュース】障害のある人も安心して空港の利用を。「成田空港ユニバーサルデザイン基本計画」が決定!!出典 : 日本の玄関口である成田国際空港は4月、発達障害のある人への対応も盛り込んだ「成田空港ユニバーサルデザイン基本計画」の決定を発表しました。目や耳、身体が不自由な人がより安心して利用できるような対策を拡充し、これまであまり配慮されてこなかった知的、精神、発達障害への対応を国内では他の空港に先駆けて実施します。具体的には、ボックスタイプの「クールダウン・カームダウンスペース」ができます。すでに第一、第二両ターミナルに1箇所ずつ設置されているので、見かけた人もいるかもしれませんね。これは、空港という普段とは違う環境に戸惑いを感じたり、音や光、においなどに過敏さがあってストレスや不安を感じる人が、パニックになった際や、パニックを未然に防止するために利用できるスペースです。今回の基本計画によって既存の救護室もそうした用途で活用できるようにもなりました。ただ、救護室は普段は施錠されているため、使用するにはスタッフに解錠してもらう必要があります。一方、新設するボックスは、空いていたら自由に利用が可能です。2人が向き合って座れるほどのスペースがあります。今後は、利用状況や障害のある方々の意見を踏まえてどんな設備がどこにあるべきか、検討と改善が進められていくそうです。ほかにも、異性介助の利用を想定して、男女共用であることを示す案内表示を掲示するオールジェンダートイレが試行的に整備されます。これまで、介助のためとはいえ多機能トイレに一緒に入るのは気がひけると感じていた人にも気兼ねなく使えるような配慮がされています。適切な応対や切れ目のないサポートをするため、空港職員への研修も実施されています。案内カウンターでは、パニック予防や回復をサポートするツールを準備してくれます。どんなものを用意するかは、これから専門家などの意見を集めて検討していくそうです。また、初めて空港を利用する人でも、出発と到着の一連の流れがわかる冊子や動画など、見通しを持ち安心して利用してもらうための情報提供ツールもつくられることが盛り込まれています。つまり、ハード面とソフト面の両方から空港内の「バリア」を取り除いていく計画です。国は東京オリンピック・パラリンピックに向け、「ユニバーサルデザイン2020行動計画」を制定しました。さまざまな場所で、現在の「バリアフリー」を見直し、改善していくきっかけになっています。成田国際空港のような試みが、全国各地に広がり2020年以降の将来にも続いていくといいですね。成田空港ユニバーサルデザイン基本計画 | 成田国際空港株式会社成田国際空港 | 成田国際空港株式会社【ニュース】自閉スペクトラム症(ASD)の視覚世界を疑似体験できる2日間!理解と共感を深めるワークショップが大阪で初開催!Upload By 発達ナビニュース自閉症スペクトラム症(ASD)者への理解を深めるためのワークショップが大阪で開催されます。VRを用いたASD当事者の視覚体験や専門家による講義、当時者の語りを聞く映像視聴、座談会と盛りだくさんの内容になっています。ASD者が感じるコミュニケーションの難しさ。その原因の一つに、知覚過敏や知覚鈍麻といった非定型な知覚があります。このワークショップでは視覚に着目し、ASD当事者がどのように世界を見ているかをVRを通して疑似体験します。また、そのように見えるメカニズムやASD当事者が生活の場面で実際に感じる困難さを理解し、参加者同士で共有します。5月21日ごろから参加者の募集が開始される予定です。約4時間30分の長時間ワークショップですが、その分、非常に充実した内容になっています。ASDへの理解を深めたい方はぜひ応募してみてください。【日時】6月9日(土)、6月10日(日)両日とも13:00~17:30(12:40受付開始)【会場】情報通信研究機構脳情報通信融合研究センター1階講義室(大阪府吹田市山田丘1-4)【参加】参加費無料【定員】各日44人(抽選:当選者にのみ、応募期間終了後1週間以内に連絡)【内容】(1)講義:情報通信研究機構 主任研究員 長井志江氏「自閉スペクトラム症の視覚世界を体験 〜なぜ対人コミュニケーションが難しいのかを考える〜」(2)ASD視覚シミュレータの体験(3)映像視聴:ASD当事者の体験および海外の支援設計事例についての映像紹介(4)座談会:学びや気付きの共有、ASD者へのサポートシステム改善、構築に向けた議論【主催】JST CREST「認知ミラーリング」情報通信研究機構脳情報通信融合研究センター東京大学先端科学技術研究センター当事者研究分野株式会社LITALICO【問い合わせ先】LITALICO研究所事務局 メール:info.lab@litalico.org認知ミラーリング CREST PROJECT【ニュース】基礎から最新情報まで専門医から学べる2日間!「第41回てんかん基礎講座」の大阪(7月)、東京(8月)各会場の参加者を受付!出典 : 日本てんかん協会が主催する年に1度の基本講座です。てんかんのある人々と関わり合うすべての人に正しい理解と知識を持ってもらおうと開催されています。今回もてんかんの基本から最新情報まで、専門医から幅広く学べそうです。てんかんはどんな病気で、どんな発作があるのかといった基本的な内容から、毎年、受講者から好評を得ている「発作の介助」、薬の治療や副作用、最新情報と、てんかんのことを「知っている」人にとってもおさらいしておきたい内容についての講義が初日に行われます。2日目は、外科療法をはじめ精神科的障害の具体的な治療と対策、てんかんの発作と症状が似ている病気についてなど、2日間の日程でかなり濃密な内容です。1日のみの受講も可能です。現在、受講者を募集中です。てんかんのある人を支えられるように、改めて学んでみるのはどうでしょうか。【日時】大阪:7月24日(火)25日(水)、東京:8月9日(木)10日(金)両会場とも1日目10:00〜17:00(17:30交流会)、2日目9:15〜16:00【会場】大阪:大阪商工会議所(定員550人)、東京:ベルサール汐留(定員800人)【参加】2日間参加10,000円(会員6,000円)、1日のみ参加7,000円(会員4,000円)、交流会5,000円【内容】<1日目>■講義1てんかんとはどういう病気か:白石 秀明氏■講義2てんかん発作の介助:川崎 淳氏■講義3てんかんの治療1─薬物療法:山内 秀雄氏<2日目>■講義4てんかんの治療2─外科療法:田村 健太郎氏■講義5てんかんに合併する精神科的障害の治療と対応:岡崎 光俊氏■講義6てんかんと見誤りがちな病気:兼本 浩祐氏【申し込み・問い合わせ】日本旅行国際旅行事業本部ECP営業部担当:海下、山岸、張TEL:03-5402-6412FAX:03-3437-3944※クリックすると、株式会社日本旅行のページに遷移します新着ニュース | 公益社団法人日本てんかん協会【イベント】芸術に障害の有無は関係ない!アール・ブリュットの美術館による企画展「無意味、のようなもの」(福島県)Upload By 発達ナビニュース「無意味に思えるかもしれない行動や行為の裏には、実は大切な意味や伝えたいことがあり、それはその人のひとつの表現だったりするのではないでしょうか?」─。そんな気づきを与えてくれるかもしれない美術展が福島県で開催中です。今回の展示では、『大阪府現代アートの世界に輝く新生発掘プロジェクト第6回公募展』最優秀賞を受賞した平野喜靖さんのタイポグラフィのアートなどの平面作品をはじめ、インスタントラーメンの袋を毎日握る、ペットボトルを並べていくといった行為も表現として紹介されています。また、田中偉一郎さんの「板phone」はテレビCMで見覚えのある方もいるのではないでしょうか?今井さつきさんの「人間ノリ巻き」は、今井さんの滞在中、来館者がノリ巻きの具となって巻いてもらえるという参加型アートでもあります。障害のある人もない人も個性が光る作品を出品しています。期間中は、館内に「こだわり掲示板」が登場!ほかの人から見ると無意味に思える日頃のこだわりや、ついやってしまう癖などを書き込めば、あなたも出展者に!?ほかにも、美術館スタッフや作家によるトークイベントなども企画されています。行楽にぴったりの時期、美術館を訪れてみてはいかがでしょうか。【日時】7月16日(月)まで(火曜日休館)、10:00〜18:00【会場】はじまりの美術館(福島県耶麻郡猪苗代町新町4873)【入場】一般500円、65歳以上250円、高校生以下・障害者手帳を持っている人および付き添い(1人まで)は無料【出展作家】今井さつき、けうけげん、酒井美穂子、三瓶沙弥香、田中偉一郎 、平野喜靖、福田尚代、吉田格也【問い合わせ】社会福祉法人安積愛育園 はじまりの美術館TEL/FAX 0242-62-3454無意味、のようなもの | はじまりの美術館【イベント】「津久井やまゆり園障害者殺傷事件」「強制的不妊手術」から考える。第34回DPI日本会議全国集会in神奈川「ともに生きる~だれも取り残されない社会へ~」Upload By 発達ナビニュース「ともに生きる〜だれも取り残されない社会へ〜」をテーマにしたDPI日本会議全国集会が6月1、2の両日に神奈川県で開かれます。DPI日本会議には、身体障害、知的障害、精神障害、難病等の障害種別を超えた96団体が加盟しています。今回の集会では、19人の命が奪われた史上最悪の「津久井やまゆり園障害者殺傷事件」や「優生思想」から強制的に不妊手術を受けさせられた障害のある人たちの声が大きく社会に取り上げられてきたことなどに焦点をあてています。これらのできごとから、社会の実情を見詰め、障害のある人が取り残されない社会の実現について考えます。初日の特別公演「インクルーシブ社会の実現に向けて」をはじめ、2日目の全体会「障害者権利条約の完全履行に向けて障害者基本法改正待ったなし!」、「地域生活」「交通」「尊厳生」「障害女性」の分野を取り上げる分科会などいずれも重要なテーマで学び、考えを深め合える機会となっています。分科会では、障害のある当事者やその家族、支援者、研究者などがパネリストとして登壇します。障害のある人が当たり前に安心して暮らしていくために、よりよい方向へ変えていくきっかけになりそうです。フェイスブックでも随時最新の情報が発信されているので、ぜひチェックしてみてください。【日時】6月1日(金)13:30〜20:30、2日(土)10:00〜16:30【会場】横浜市技能文化会館【参加】3000円(介護者で資料が必要ない場合は無料)、弁当代1000円(2日希望者のみ)、懇親会(定員80人、1日希望者のみ、18:30〜20:30)【内容】<1日目>DPI日本会議2017年度総会特別講演「インクルーシブ社会の実現に向けて~相模原障害者殺傷事件を二度と繰り返さない~」鈴木治郎氏(神奈川県障害者自立生活支援センター事務局長)<2日目>午前の部:全体会「障害者権利条約の完全履行に向けて障害者基本法改正待ったなし!」■報告1「DPIレコメンデーション(最終版)発表」 DPI日本会議■報告2「障害者基本法成立と改正の経緯」 内閣府(調整中)■シンポジウム「障害者権利条約の完全履行に向けて障害者基本法改正待ったなし!」午後の部:分科会■地域生活「『自立生活』という選択肢を当たり前に~重度知的障害者の日常を追ったドキュメンタリーフィルムが描き出すリアル~」■交通「検証!改正バリアフリー法~バリアフリー法の課題と私たちの取り組み~」■尊厳生「厚生労働省「終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン」をめぐって~終末期医療に関する国の考えを学び、備える~」■障害女性「旧優生保護法被害者の語りを通して〜国家賠償請求と経過、今後に向けて〜」【申し込み・問い合わせ】認定NPO法人 DPI日本会議TEL:03-5282-3730ファックス:03-5282-0017第34回DPI日本会議全国集会in神奈川実行委員会TEL:045-341-0869FAX:045-341-0888※クリックすると、NPO法人DPI日本会議のページに遷移します法人DPI日本会議日本会議フェイスブック【ニュース】パラスポーツを盛り上げる!フリーマガジン『GO Journal』 2号が5月17日に発行Upload By 発達ナビニュースパラスポーツの興奮とアスリートの息遣い、それを取巻くカルチャーの交差点を伝えるグラフィックマガジン「GO Journal」2号が5月17日に発行され、21日から全国の蔦屋書店などで無料配布されます!「GO Journal」は、日本財団パラリンピックサポートセンターが2017年11月に創刊したフリー(無料)マガジンです。表紙は写真家で映画監督の蜷川実花さんが手がけています。蜷川さんは、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会理事でもあり、このフリーマガジンのクリエイティヴ・ディレクターを務めます。2号では、水泳の一ノ瀬メイ選手(リオパラリンピック日本代表)、山田拓朗選手(リオパラリ ンピック S9クラス50m自由形銅メダル)の撮り下ろし写真とインタビューのほか、車いすフェンシング・安直樹選手と日本フ ェンシング協会会長で北京・ロンドンオリンピックの銀メダリスト太田雄貴さんとの対談、そして、リオパラリンピック閉会式・フラッグ ハングオーバーセレモニーでダンスを披露した義足ダンサーの大前光市さんを取り上げています。蜷川さんは、2号の発刊にあたり、「『この本が、パラスポーツ、パラアスリート、障がい者を取り巻く環境や意識がかわるキッカケになれたら本当にうれしい』という創刊の思いは、ますます強くなってきました。私を含め、GO Journal に関わっていただいているみんなの意識や、世界の見え方は変わってきた気がします。そして、パラアスリートのかっこよさを伝え続けていきたいと思います。」とコメント。障害のある人の取り組みやパラスポーツが、ポジティブにかっこよく発信されています。【発行】2018年5月17日(木)※配布は5月21日(月)から開始、在庫がなくなり次第終了【価格】無料【部数】20,000部【判型】A3タブロイド判型/ページ数48p【問い合わせ】日本財団パラリンピックサポートセンターメール:gojournal@parasapo.tokyoパラスポーツと未来を突き動かすグラフィックマガジン GO Journalまとめさまざまな場所で障害のある人の未来を考える動きがあります。気になる話題やイベントはありましたか?「こんなものがあるんだ」と興味を持つことで、普段の生活を送る中でも、視野が広がっていきそうです。今後も月ごとに発達障害に関するニュースやイベントを紹介していきます。6月に各地で開催されるイベントなどを募集しています。情報をお待ちしております!
2018年05月07日Upload By かなしろにゃんこ。ADHD息子、昭和なガンコおやじに頭が上がらず!息子リュウ太にはADHDと軽い広汎性発達障害があり、小さいときから気性が荒く育てにくい子でした。母親の言うことをきかない息子が、唯一頭が上がらない人がいます。それは、父親。単身赴任先から帰ってくる日には、おびえておなかを壊してしまうほど…。昭和のマンガに出てきそうな、ガンコおやじなのです。片付けられない息子へ、父親のながーい説教がUpload By かなしろにゃんこ。夫はしつけに厳しく容赦なく怒るタイプで、お説教も長い!小さい頃の息子は、とにかく片付けができませんでした。ADHDの特性からか、遊んでいてもアレコレ興味があるものに手をつけてはオモチャを散らかします。すると、夫は息子にとても怒るのです。幼児は親と一緒でないと片付けできないものですが、特に息子は片付けが苦手なのでうまくいかず、オモチャを投げながら片付けるのでさらに怒られるという悪循環。私の膝におびえて逃げてくるのですが、抱っこされている姿を見た夫はさらに「甘えるな!離れろ!」と怒ります。小さい子だからといって失敗や怠惰を許そうとはしません。私も「そんなに怒らないで、注意だけにしてほしい…」と伝えていましたが、夫の教育の理想は高く、誰にも曲げられません。父親の理想は、はるか高くUpload By かなしろにゃんこ。夫の理想の子は頭のいい子です。疑問に感じたことに好奇心を持って調べるような賢い子、そんなふうに息子に育って欲しいという願望が強く「教養番組やクイズ番組を見なさい!」「歴史番組を見なさい!」と息子に勧めます。でも、息子はアニメやバラエティが大好き…。自分の希望通りのことをしてくれない息子に「は~もう、うちの子はダメだな~」とイヤミを言うこともありました。「ダメ扱いされたら悔しがって、勉強へのヤル気を出すだろう!」という父親の作戦だったのですが、息子は負けず嫌いな性格ではないので逆効果です。息子の本音は…父親に認めてもらいたい!父親は、「発達障害の特性は努力でなんとかなる!」と思っているので、できない努力を要求してしまうところがあります。息子は努力がキライで、怠惰な部分もあるので、その姿を見ているとイライラするようでした。息子が中高生になると、父親に怒られた後はぐちることもありました。「お父さんは、オレのやることすべてに文句を言うし反対する。オレのことがキライなんだ」と言い、本当にそう思い込んでいるのです。「そうじゃないよ…子どもに期待しすぎているだけなんだよ」と伝えますが、”父親にかわいがられていない=自分は認めてもらっていない”と感じると言います。父親に認めてもらえなくたって、母親に愛されていればいいじゃないの!?と思うのですが、リュウ太はそれでは気が済まなかったようです。「父親にほめてもらえないと、自信がもてないのかな?」なんて思っていました。Upload By かなしろにゃんこ。父親の前ではいい子アピール!Upload By かなしろにゃんこ。単身赴任しているので、普段は家にあまり居ない父親。「今日、帰るぞー」と連絡が来ると、息子は緊張のせいか下痢になってしまいます。さらに部屋を急いで掃除したり、いい子に振る舞おうと一生懸命。演技がかっていて、ぎこちなくなるので笑ってしまいます。厳しい父親だけど、助かることもあってUpload By かなしろにゃんこ。息子に厳しい夫には、怒り方が人格否定になっているときもあり、言い方に気をつけてほしいなと思うこともあります。でも、厳しくしてくれることで助かる面もあります。箸の持ち方や自転車の乗り方など、母親が相手だと甘えて覚えようとしないことは、すべて父親に任せることにしました。何度言ってもやらない部屋掃除も、父親から促してもらうと渋々やります。夫にガツンと言ってもらえると早く覚えられたり、早く解決することが分かりました。ライオンのオトンみたいな父親が理想!?Upload By かなしろにゃんこ。私と息子の親子喧嘩が増えると、「こんなときに、夫が家にいてくれたらな~」と思います。普段は積極的に育児に関わらない父親ですし、「そこまで怒らなくても?」と思うこともありますが、ヤンチャな息子をある程度コントロールしてくれるので助かる面もあります。理想が高く、厳しい父親ですが、ライオンのオトンのように「ここぞ!」というときに存在感を示してくれればいいかな?と今は思うようになりました。
2018年05月04日ここは、誰もが自分の「色」を織物の上で表現できる場所砂場でお城をつくったり、絵の具や切り絵で夢の世界をつくろうとしたり…自分の内側から湧き上がる何かを表現しようと、夢中になった子ども時代のこと、覚えていますか。誰に教わったり指図されたりするわけでもなく、ただ自由に、心のおもむくままに手を動かしていた時間。もう記憶にも残っていないかもしれないけれど、きっと誰しも経験したことがあるはず。いつしか大人になり、知識や技術を身に着け、仕事をしたり、家事をしたり、周りの人たちとか変わったり…そうやってできることを増やしていった私たち。だけど、「知っていること」が増え、周りの目を気にするあまりに、いつしか「正しさ」の枠に囚われてしまい、失敗を恐れて、自由に振る舞えなくなってしまうこともしばしば。そして、子育てや教育の場面で、ついつい子どもの自分の「正しさ」を押し付けてしまったり…。「子どもの個性を育もう」、「子どもの自由な感性を大事にしよう」頭ではわかっていても、なかなかそうは振る舞えない。大人になればなるほど、余計なことを考えやすくなっている気がする…そんな悩みやもどかしさから離れて、大人も子どもも、障害のある人もない人も、自由に、感性のままに表現することができる場所があったなら。そんな願いを叶えてくれるのが、今回の記事でご紹介する放課後等デイサービス「SAORI Hands(さをりハンズ) 」です。大阪市都島区にある「さをり織り」の工房を訪ねました。Upload By 発達ナビ編集部Upload By 発達ナビ編集部工房に入ると、部屋一帯に広がる織り機の数々。壁一面には色とりどり、さまざまな素材の糸が並びます。Upload By 発達ナビ編集部ワンピースやバッグ、小物など、廊下に並び、販売される作品の数々は、この工房の利用者さんが自らつくったもの。形も色も、ひとつとして同じものがない一点物。これらの作品は、どれも「さをり織り」という手法で織られています。「さをり織り」による織物活動を中心とした工房である「さをりHands」は、一般の方が利用する教室を開く一方で、児童福祉法に基づく放課後等デイサービスも併設し、発達が気になる子どもや、障害のある子どもたちを受け入れています。ここで営まれる「さをり織り」は、いったいどういった織物なのか。開設の経緯や、障害のある子どもも受け入れる放課後等デイサービスを運営する上での想いとは。さをり織りの創始者、故・城みさをさんの息子さんである城英二さん、孫である城哲也さんにお話をお聞きました。キズを模様と考えたら、織物の世界が広がった城英二さん「さをり織りは、私の母である故・城みさをが約50年前に創始した織りの手法です。城みさをが、さをり織りを始める前の頃の織物の考え方というのは、とにかく一本の乱れもない、機械のように精緻な織物が良いとされていました。織り機で織っている過程で、糸が飛んだりスキマができたりすることがあるのですが、そうなってしまうともう『キズモノ』といって、二束三文でしか売れなかったんですね。でも、みさをはその考え方に疑問を覚えたんです。キズを、キズではなく模様と考えたらどうだろうか。太さや感覚に幅を持たせれば、織る度にに違った個性が出るし、それが機械にできない手織りの良さなのではないだろうか、と。それが『さをり織り』のはじまりです。当時の”当たり前”と真逆のアプローチをとったさをり織りは、だんだんと専門店などからも評価を得るようになりました。以来みさをは、この自由な『さをり織り』の楽しさを伝えようと普及活動を続けてきました。この大阪の工房をはじめ、今では全国各地にさをりの輪が広がっています。城哲也さん「機械に負けないぐらい精密に、一本の乱れの無いものを目指すという考え方もひとつだと思うのですが、その域には長年修行をした一握りの職人しかたどり着けないですよね。一般の人はとてもじゃないけど敷居が高くて近寄れなくなってしまう。でも、織物をはじめ、ものづくりってもっと気軽で自由なものでいいんじゃないかと思うんです。織り機にもっと気軽にさわって織物の楽しさを味わってほしい。そんな思いでこの工房を運営しています」Upload By 発達ナビ編集部Upload By 発達ナビ編集部障害のある人を工房に受け入れて発見したことSAORI Handsで織られている織物は、どれも自由奔放で個性豊か。織り手の感性を反映するかのように、ところどころに差し色が挟まれたり、異なる素材の糸を絡ませて凹凸がつくられたり…時に真剣な顔で集中しながら、時に隣の人と談笑しながら、利用者さん一人ひとりが、気兼ねなく自由にこの場で過ごしている様子が伝わってきます。Upload By 発達ナビ編集部城哲也さん「たとえばお料理の世界でも、必ずしもレシピ通り作ることがが一番良いのかというと、そういう訳ではないと思うんですね。レシピをちょっとアレンジしてスパイスを変えてみたり、レシピ通りやろうと思ったけど、途中で少し焦げちゃって、でもそれはそれで美味しかったり…。織物も、一度も間違えないことが”正解”なのではなくて、一人ひとりの発想力や、試行錯誤する過程の楽しさを大事にしてほしいと思っています」ひとつの”正解”を持たず、一人ひとりが楽しみながら試行錯誤をすることを大切にするさをり織り。この活動を、放課後等デイサービスという形で、発達が気になる子どもや、障害のある子どもも参加できるようにしたのは、どうような思いがあってのことなのでしょうか。城哲也さん「この工房に限らずですが、さをり織りの輪が段々と全国に広がっていくなかで、自然と障害のある人も利用者として混ざってくるようになったんです。最初は、障害のある人が織物をやるということに対して、僕たちもどう受け入れて、どうサポートすればよいか、正直分からない状態でした。ですが、いざ受け入れてみると、そういう人たちの方が、自分の世界を非常に素直に表現していることに気づいたんです。たとえば年配のおばちゃんの利用者さんの傾向として、『これ、どうやったらいいんですか、先生!』と、やっぱり最初は私わたしに”正解”を教わろうとするんです。非常に素直だったんですね。もうなんていうか、自分の世界というのが、バッと出たんですね。でも、障害のある人の多くは、一度織り機の使い方を覚えたら、私たちに何も聞かずにいきなり自分の作品をどわーっとつくるんです。これには驚きました」Upload By 発達ナビ編集部城英二さん「これは面白い。障害のある人にもどんどん混ざってもらった方が、さをり織りの良さを一般の人たちにも啓発できると思って、一緒に混ぜこぜでやろう、となったんです。それがそもそものスタートですね。今では全国の工房の大体8割以上は障害のある生徒さんを受け入れていると思います」城哲也さん「一般利用のコースでも、そのように障害の有無にかかわらず混ぜこぜで運営しているのですが、ここSAORI Handsでは放課後等デイサービスの枠組みも利用して教室を併設し、そちらに登録いただいた方は、児童福祉の枠組みで、低負担でご利用いただけるようになっています」Upload By 発達ナビ編集部「作品づくり」を通して成長していく、発達が気になる子どもたち実際にここでさをり織りを始めた子どもたちは、どのように過ごしているのでしょうか。城哲也さん「最初はみんな、まず好きなようにやってもらいます。落ち着きがなかったり、行動面に特性のあるお子さんの場合だと、最初は糸も絡まったりしてハチャメチャになるんですよ。でもね、周りの大人に教えてもらったり、自分で何度かやっていくうちに、段々とそういう子も落ち着いてくるんですよね。なんとなくこの工房での自分の居場所も見つけて、織り機に向かっているときも、ハチャメチャにならず、落ち着いて作品づくりに没頭できるようになっていくんです。一つでも、自分の作品が完成すると、大人か子どもかとか、障害があるかどうかではなく、作家として自分が認められる経験が持てるんですね。その認められたという感覚が、だんだんとその子を成長させていくんだと思います。ときどきスランプ陥ったりもするし、気持ちが落ち着かないときもあるので、僕らスタッフがちょっと手を添えてアドバイスすることもあるんですが、基本的には教えないスタンスです。その子自身が自分の作品とどう向き合っていくのか、自分の感情だったり、起伏とどう向き合っていくのか。じっくり焦らず見守っていると、自然とセルフコントロールもできるようになっていきます」Upload By 発達ナビ編集部たった一つでも自分にとって納得のいく「作品」をつくり、周囲に認められる経験をする。それが、子どもにとっての足場となり、気持ちや行動が安定していく上での大事な”軸”となっているようです。さをり織りを通して自分の感性を表現し、成長していく子どもたち。子どもの発達が気になり、SAORI Handsにわが子を通わせる保護者の方に対して、「保護者さんたちも、自分自身の感性を大事にしてほしい」と城哲也さんはいいます。城哲也さん「これは僕の考えですが、保護者さんが自分自身のことを好きになってくれることが、お子さんの成長にも繋がると思っています。障害のあるお子さんの保護者さんの中には、子どものためにつきっきりでがんばっておられる方も多いのですが、それでも保護者さんとお子さんは別人格です。保護者さんは保護者さんで楽しんで、お子さんはお子さんで楽しんでほしい。それがお子さんにとっても、自分の世界を広げていくチャンスになるんです。心配なこともあると思いますが、ここに連れてきたときはお子さんと少し離れて、自分の休憩時間を持ってもらったり、一般利用でさをり織りを保護者さんも体験してもらったり…自分の楽しさというのを大事にしてほしいと思います」Upload By 発達ナビ編集部一人ひとりの素直な感性から生まれるさをり織りの多彩な作品。ここSAORI Handsでは、「普通になること」や「正解を探すこと」のプレッシャーから解き放たれて、誰もが自由に作品づくりに打ち込むことができます。発達が気になるお子さんも、学校とは違う自由な空間で、自分らしく安心して過ごすことができそうです。併設の一般利用コースもあるため、同じ空間で世代や障害の有無を超えて多様な人たちが交わるのも魅力のひとつ。保護者の方も一緒にさをり織りを楽しめるのが良いですね。Upload By 発達ナビ編集部大阪市都島区の放課後等デイサービス「SAORI Hands」。発達が気になるお子さんの通所施設を探している保護者の方も、一般利用でさをり織りを体験してみたいという方も、ぜひ気軽に訪ねてみてください。Upload By 発達ナビ編集部撮影: ナムフォト
2018年04月30日Upload By 楽々かあさんこんにちは。『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母のどんな子もぐんぐん伸びる120の子育て法』著者、楽々かあさんこと、大場美鈴です。まずはご報告。うちの「あの」長男が、無謀にも約一年間の自宅学習で中学受験に挑戦し、第一志望の中高一貫校に無事、合格しました!小学校時代、字を書くのが苦手で、ノートもロクに書けなかった長男。漢字は何回書いても覚えられないし、得意なハズの算数もミスばかり。折角やった宿題は提出し忘れ、持ち帰ったテストはくっちゃくちゃ!成績表はC評価の「がんばりましょう」ばっかり…。そんな発達凸凹男子の彼の強い希望が叶ったこと、そして、受験勉強をきっかけに「おれ、勉強好き〜」と、今は言えるようになったことが、私は何より嬉しいんです。今回、親子で一緒に歩んだ日々を振り返りながら、「みんなと同じ」学び方が合わない子や、発達凸凹の差が大きい子が「勉強が好きになる」勉強法…そして、しんどい時期の乗り切り方などを、息子にインタビューを敢行!前・後編の2回に分けて、彼自身の言葉で語ってもらいました(文責・インタビュアー:製造責任者・母)。好きなことを入口にした、ボクの勉強法出典 : かあちゃん(以下、母):まずは、第一志望合格おめでとうございます。長男・◯太郎(以下、長男):Thank you!母:(笑)じゃあ、まずは志望校に合格した、今の素直な気持ちは…?長男:1つは嬉しいという気持ち。もう一つは「勉強大丈夫かなぁ」という不安もある。母:なるほど、中学での勉強に対する不安もあるんだね。第一志望の学校、すごく気に入ってたけど、どういうところが良かったの?長男:教育に新しい方法を取り入れてるトコと、明るい感じがしたこと。あと、おれの好きなカレー屋さんが近くにあったから!母:…いや、確か校則で「買い食い禁止」だから、まっすぐ帰ってネ(汗)。でも、かあちゃんも、小規模校でチャレンジ精神を大事にする校風だし、全校でICT導入済みで、すごくキミの個性にピッタリだと思う。自分に合った学校への希望が叶って、本当に良かった。Upload By 楽々かあさん母:じゃあ、具体的に勉強のことを聞くよ。キミは受験勉強を始めたのが正直かなり遅かったけど、そこからすごくがんばれたし、勉強楽しそうになったよね。「勉強ができるようになった」「楽しくできるようになった」その理由は…?長男:…とにかく歴史が楽しかったから。歴史に興味を持てたのは、かあちゃんが買ってくれたPCゲーム「信長の野望」とかがきっかけで!母:(笑)ソレだね。キミは元々PCゲーム大好きだから、「信長の野望」にすぐハマったよね。自分の好きなことからまず入っていって、そこから他の勉強にも広がっていったね。長男:他の普通のゲームでも、例えば、おれが前から大好きな「マインクラフト」でも、世界遺産の歴史的な建造物を再現して作ったりすれば、それは立派な学習になる。母:なんでも工夫次第で活かせるよね。それに、自分の好きなことや興味のあることだと、結構集中できるかな?長男:うん!母:でも、これだけだとゲームで遊んでるだけになっちゃうでしょ?ただのゲーム好きな子が「もっといろんなことを知りたい」って思えるには何が必要?長男:やっぱり、最初のうちは、興味を持てそうなところからやって…興味の輪を広げる!母:「興味の輪を広げる!」いい表現だね、これ。長男:おれは、歴史で興味を持ったけど、これはあくまで一例だから。例えば、算数の分数が好きな子もいれば、理科の元素記号とかが好きな子もいる。だから、まず自分の好きなことからやる!それで、自分の形に合うものからはめていく。母:ほうほう、ちょっとイメージを図に書いてくれる?Upload By 楽々かあさん長男:それぞれの子でいろんな形と穴があって、自分の持っているピースもそれぞれ違うから。だから、自分の好きなものから、ドンドン順番にはめていって、そして最後に、最初はあんまり興味持てなかったことも、埋めていくっていうか…。母:好きなものが広がると、興味も広がっていくよね。キミの場合は「信長の野望」が入り口で、そこから歴史全体が好きになって…長男:そう、戦国時代から…次が同じ武士つながりで、室町・鎌倉・幕末と明治維新とか、プラス江戸時代とかって感じで、次に日本の地理とか…。最初は1コだった「勉強の拠点」が、どんどん広がっていって…。母:なるほど!「信長の野望」と同じで、自分の拠点が増えて領土が広がっていくんだね。まずは歴史を一国制覇したら、地理でも「信濃川」「越後平野」とか、旧国名に因んだ地名は自然と覚えちゃうし、戦国モノは漢字もいっぱい出てくるもんね。長男:そう、漢字も見慣れる。社会を制覇したら、他のところにも勢力を広げる。母:興味が持てれば、勉強は全然苦にならない?長男:うん。母:でも、やっぱり問題集解いたり、「墾田永年私財法」とか覚えることも必要でしょ?(笑)それも嫌じゃない?長男:うん!興味持てれば!「マインクラフト」公式サイト「信長の野望」30周年記念サイト:GAMECITY(コーエーテクモゲームス)Upload By 楽々かあさん母:あとは「体験する」っていうのが、大事だよね。長男:そう!実際に見て、やってみる!まずは、地元の城とか、近所の郷土資料館とかでもいい。それで、実際に体験したら、思ったことをまとめる。ただ見ただけだと「楽しかった〜」で終わっちゃって、ただの観光になっちゃう。母:じゃあ、更にそれを勉強に活かすにはどうしたらいいの?長男:家族に「こういうところが面白かったんだよ」って話す!これだったら家族も、お土産より喜ぶ。母:人に話すって凄く大事だね、アウトプットするの。長男:そう、ノートに絵を入れて描いたり、家族に話して、外側に自分の考えをまとめる。母:実際に甲冑着てみると「もし戦場に出たら、こんな凄い重いのを着て、素早く動けないな」みたいなことも分かったよね。長男:映画だと、普通に歩けているように見えるけれど、あれはプロだから。それか、軽い素材でできてるのかも。実際の戦国時代で身軽に動けてるのは、相当鍛えてるからだと思う。だから、「実際どうなのか」自分で確かめる。火縄銃の実演見学も、空砲でもあんなにすごい音がしたらねえ…実際の戦場では火薬バンバンつめてさ、もっともっとスッゲー音がすると思う!!(瞳キラキラ)Upload By 楽々かあさん母:ああいう音は、体験しないとわからないね。長男:「どんくらい凄い音なのか」とか、まず行く前に予想立てる。母:おお、いいね。長男:城の天守閣からの景色はどんなか…「めちゃめちゃキレイだろう」みたいな予想。火縄銃の音は「スピーカー音30くらいかな」とか。で、実際見た後で、やっぱり「景色高くて怖かった」とか「スピーカー音50位だった」とか。あと本の図では、城のお堀があんまり深くなさそうだったけど、実際は予想以上にめちゃくちゃ深かったとか。実際に感じたことをまとめるといい。母:感覚が敏感なキミは肌で感じ取るのが得意だろうし、更にそれを人に話すのは、すごく◯太郎に合った勉強法だと思う。自分で体験してみないと分からないことは沢山あるよね。それからキミの場合、実際体験したことは、テストでも結構覚えてられるんじゃない?長男:そう結構覚えてる。本だけだと受験用の勉強はなおさら難しい。YouTubeとかの面白動画だったら、覚えるのはカンタンだけど。母:(笑)。やっぱり「楽しい」と思えるかどうかが大事かな?理科の実験もいろいろやってみたけど、家ですべての実験ができるわけじゃないよネ。長男:例えば爆発の実験とか、危険なのは動画で見る。でも、スチールウール燃やす程度だったら、ウチでスグできる。母:そうだね。スチールウール燃えるの、キレイだったね。あとは、YouTubeで塾の先生とかが、面白く分かりやすい解説動画を沢山UPしてたよね。そういうのも含めて「ひたすら問題集を解く」じゃなくて、自分に合った方法で勉強したのがすごく良かったなと思う。長男:結局、勉強の中で一番大事なのは、「興味の輪」を広げられるか、広げられないか、だとおれは思う。受験勉強中に本当につらかったのは、過去の記憶。出典 : 母:じゃあ逆に、この一年間で一番つらかったことを聞いてもいい?長男:……学校。母:うーん、やっぱりそうかあ。学校の何がつらかったかな?長男:もう、ずーっと前に、他の子に言われたヤなこととか…。母:そうだね。何年も昔のことを、ちょっとしたキッカケで何度も思い出しちゃうんだよね…。かあちゃんも、見ててつらかったけど、勉強してる最中に急にイヤな体験を、よく思い出してたよね…。長男:イヤな体験は「忘れようとしても忘れられない」みたいな、そういうのがある。母:そうだね。特に、受験勉強を始めて最初の三か月くらいは、ヤなことしょっちゅう思い出して、一旦ストップしたり…◯太郎にはつらい時期だったと思う。やっぱり、勉強に興味が持てても、いろいろ気になる事があると、余計に集中力が落ちたり、ミスが増えたり、ぼーっとするのが増えちゃうように思うんだよね。長男:うん…。出典 : 母:でも、多分◯太郎と同じように、学校でイヤなことがあって、勉強に集中できなかったり、「学校行きたくないなあ…」なんて思ってる子は結構いると思うんだけどネ。かあちゃんはネガティブなことも、決して思っちゃダメなワケじゃなくて「そういう時どうしたらいいか」が大事だと思う。キミはどうしてきたっけ?長男:うーん。おれは「スクールカウンセラーの先生に話す」とかした。母:そうだね。スクールカウンセラーの先生と、何度も相談させてもらったよね。長男:思い切って話した。母:そうすると、少しスッキリしたりする?長男:する。母:じゃあ、カウンセラーの先生は、どんなカンジで話を聴いてくれたのかな?長男:フレンドリーに話してくれた。あと、相談しながら一緒に給食食べてくれたし。だから、相談するのは「ちょっと恥ずかしい」とか、「初めてだから、よく分かんない」って利用しない子は多いかもしれないけど、友だちだと思って一回やってみるといいと思う。それでも不安な時は、親にも一緒について行ってもらうとか。母:慣れるまでの最初の何回かは、かあちゃん隣にいたもんね。それだと安心して相談できたかな?家の中だけじゃなくて、学校にも味方がいたのは、キミに取って大きいことだったかな、と思う。長男:そう、そう。一緒に勉強してくれた母と、いつも通りにしてくれた家族。出典 : 母:では、キミが勉強してる時、家族や周りの人が「してくれてよかった、助かったこと」ってある?長男:まず、かあちゃん。ずっと一緒に毎日勉強につき合ってくれてありがとう。母:そっか(照)。一緒にやったこと自体が、よかったんだね。長男:それから、弟と妹ととうちゃん。一緒にゲームしたり、フツーに息抜きしてくれて、今まで通りに接してくれたこと…うん。そしてMy dog は癒し。ぺろぺろしてね、おやつをねだってきてね、カワイイ。母:そうか。他の家族はいつも通りだったのが、かえって気が楽だったかな?長男:うん!それから勉強も、休憩を挟んで、朝・昼・夜に分けて、ちょこちょこやるのがいいと思う。母:まぁ無理しすぎないと言うか…集中できる時間も個人差あるもんね。キミはあんまり、毎日何時間も続けて勉強だと、ちょっと負担が大き過ぎるから「それはやめよう」って思ってた。成長期にしっかり睡眠を取るのも大事だしね。長男:それに、遊ぶのも大切なことだから。おやつ食べたりさ。そういう時間を作る方が、より集中しやすいと思う。母:うん、そうだね。じゃあ一旦、おやつタイムにしよう!(笑)その子に合った学び方なら、できる子は沢山いる…!出典 : この一年間での、自分の学び方に合わせた主体的な勉強は、多感な少年の心も成長させてくれました。そして、例え今、お子さんの学校の成績がイマイチでも、それはその子の本当の「学力」を表しているのではないと思います。「自分に合った学び方なら、勉強ができる子は沢山いる!」…私はそう、心から確信しています。☆次回「後編」では、長男が生意気にも、現在の日本の教育制度について思うことを正直に語ります。お楽しみに〜!大場美鈴/著『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母のどんな子もぐんぐん伸びる120の子育て法』2017年/刊/ポプラ社
2018年04月29日障害者雇用枠で再就職。時短勤務を利用して、無理のない就労に出典 : 私は就労移行施設を利用し、障害者雇用で再就職しました。発達障害の診断のショックなどもあり、前職を離職してから1年が過ぎていました。ASD(自閉症スペクトラム)の障害特性で環境の急な変化が苦手なこともあり、最初の1ヶ月の間は、時短勤務にしてもらいました。これにより、フルタイムで働くという感覚を取り戻しつつ、自分の体調を考慮した就労が可能になりました。ASDである私は、自分の疲れを自覚しにくいといった特性や、人混みや雑踏でのノイズといった過敏によって消耗しやすい特性もあります。そうした特性をあらかじめ想定した上で、時短勤務を希望したのです。ただし、定着支援の支援員から、時短勤務は本来、求人票とは異なる勤務体系であるため、求人票通りに働いて欲しいというのが企業側の本音であると間接的に聞きました。私にとって、1日8時間働くことは、それほど大きな問題には感じませんでした。しかし、時短勤務が終わったらフルタイムで週5日…連日となると少し辛いなと感じました。そこで人事に、週5日のうち1日を自宅などで勤務するリモートワークを認めてもらえないか相談しました。疲れに対して鈍感な私でも、流石に木曜日くらいになると身体がだるいと感じていたからです。その際にエナジードリンクや、滋養強壮剤を飲んで対処していたのですが、どうも身体的な疲労とは異なるような気がしていました。現状、成果に対する評価が難しいリモートワーク出典 : リモートワークができないか?と相談した背景には、会社に来て行う業務が、機密情報を扱うわけでもなく、インターネットに繋がったパソコンと専用のソフトが入っていれば、自宅でも支障なく業務ができると考えたからです。しかし、現状リモートワークには、その成果に対して何時間かけて行ったのか、そもそも8時間ちゃんと働いているのか?など、そうした労務管理の問題や情報漏洩の懸念などから、導入するつもりはないと言われてしまいました。障害者として働いているのは自分のみ。職場で困ることも出典 : この会社では、障害者雇用で就労しているのは私のみという環境でした。また私が入社したのは、去年の冬のことで、2018年春の障害者の法定雇用率の引き上げを視野に入れた採用だったのかなと思います。こうした採用は今後、増えてくると思いますが、周囲が発達障害などの障害者との接し方に慣れているとは限りません。理解が得られにくいとも言える環境で、私が実際に体験した困りごとと、どう対処したのかを振り返ってみたいと思います。出典 : 例えば、イベント会場のリストを作成する仕事では、いくつ項目をピックアップするのかが分からないことがありました。そのことを聞くと、「できるだけ、たくさん」といった指示が返ってきます。そんな時「どのくらい必要か?と具体的な数を聞いているのに、どうして返答がそんなに曖昧なんだ。質問の答えになっていないじゃないか」と苛立ちを感じることがありました。私がここから得た教訓は、定型の人にとって、そもそも曖昧な指示が何なのかが分からないらしいということです。私は、普段から曖昧な指示を具体的に変えてもらうために、次のような表現を使っています。■「〜という理解でよろしいでしょうか?」私は、相手の意図を汲み取ることが苦手で、勝手に判断して仕事を進め、怒られるということがありました。それからは分からないことを分からないまま進めることはせず、確認してから進めるようになりました。■「どうすれば、もっと良くなりますか?」上記のように、方向性が間違っていないことを確認できてから、仕事に取り組みます。進捗を2〜3時間くらいで伝えます。PowerPointなど資料の作成業務は、一通り終えたら、報告して確認してもらいます。そこで「どうすれば、もっと良くなりますか?」あるいは、「他に必要な項目はありますか?」と聞くことで、「この項目が欲しいな」と指示が明確になり、私自身も安心して業務に取り組めました。また、このように聞くことによって、例え仕事が上手くこなせなくても意欲はあるというアピールに繋がるような気がします。このことについては、「質問力」について書かれた書籍も参考にしました。出典 : 私は、ASDであると同時に衝動性が高いタイプのADHDです。「〜すべき」「こうあるべきなのに実際はなっていない」といったことに対して怒りを感じることが多く、つい衝動的に相手にぶつけてしまうことなどが多かったです。例えば、先輩社員のやり方より、自分のやり方の方が効率的だと感じた際には、「(先輩社員の)そのやり方は非効率だ、こうした方が間違いなく効率的だ」と言ってしまいました。入社早々、先輩社員のやり方を真っ向から否定するような表現を直接的かつ衝動的にしてしまったのです。その先輩社員とは、にらみ合いになり、喧嘩になりかねない状況に陥ってしまいました。私は昔から、こうした衝動性の強さから好戦的な部分があるなと感じています。加えて物事を白黒ハッキリさせないと気が済まない性格です。しかし、こうした特性は外見からはわかりません。そのこともあって常識がない、先輩に対する敬意がないなど、そういう風に捉えられてしまうのではないかと思っています。上述の先輩社員とは馬が合わないことが多く、周囲には、またやっているよと見られていました。見かねた別の先輩社員からは、「悪目立ちしているから、今は不満に思っても控えた方がいい。新入社員という立場なんだから」といった指摘を受けたこともあります。■感情をコントロールする練習を現在は、そうした点を反省し、アンガーマネジメントの本を読んだりしています。また主治医にも相談した所、漢方の抑肝散(ヨクカンサン)を勧めて頂き、服用を継続しています。出典 : 障害者雇用の担当者は1人で複数の業務を兼任しています。そのため、配属先に伝わっていない障害特性について、自分で説明する必要が生じました。例えば、ADHDによる不注意傾向について伝わっていなかったので、宅急便の伝票を書く際に、先輩社員にチェックして欲しいと自分でお願いしました。こうした説明は、いつ言えばいいかタイミングが分からないのに加えて、「そんなこともできないのか」と周囲に見られるのではないかと感じました。恥ずかしさと不安が同居するような気持ちになり、かなり負担に感じました。■人事や定着支援担当から間接的に伝えてもらう人事の支援体制に関して、相談できる環境があることで、不満や要求を間接的に伝えてもらえることが個人的に一番ありがたかったです。やはり、面と向かっては伝えづらいこともあったりするので、そうした制度の存在は、心強い味方でした。上述の件も、結局、自分自身で説明することになったのですが、最初に人事から伝わっていると良かったなぁと思います。時短勤務が無くなってから…出典 : 時短勤務を経て、2ヶ月目から通常勤務に移行しました。1時間半ぐらい伸びても、さほど影響がないだろうと思っていたのですが、人間関係の緊張や、過敏による疲労は思ったよりも大きかったようです。帰ってくるとごはんを食べて、すぐに就寝せざるを得ないほど、ぐったり疲れているという生活が続きました。時短勤務の際は、夜に洗い物などができていたのですが、それすらもできなくなってしまいました。■朝中心の生活にそこで生活の基盤を変えることにしました。例えば、朝起きてからのSNSを控え、必要な情報は電車内で確認することにしたり、朝食をコンビニで済ます代わりに、洗い物と洗濯物を干すところまでを全て終わらせるなど工夫することで、一度に全てこなすのは難しくても、何とか両立ができていると思います。疲れが溜まってくると、きちんと睡眠を取ったのに朝から眠いということがありましたが、エナジードリンクや、ブラックコーヒーを飲むことで、仕事をする上ではそれほど大きな支障なくできていると思います。使いたくても使えなかった、居宅介護の家事援助出典 : 私は大人になるにつれて、こだわりが少なくなってきたり、妥協できることも多くなりましたが、今でも自分の持ち物やインテリアに関しては強いこだわりがあります。そのため常日頃から室内を清潔に、きちんと整頓された状態を保ちたいと思っていました。そこで、居宅介護の項目の一つである家事援助を利用したいと考えていました。しかし、週5日で勤務している場合、ヘルパーさんとのマッチングが上手くいかず、利用が難しかったのです。担当のケアマネージャーから聞いた話では、土日に家事援助をしてくれるヘルパーさんの登録がほとんどなく、サービスを提供するのが事実上、難しいと言われてしまいました。働いてわかったこと。障害者が輝ける働きかたは?出典 : これまでを振り返ると、障害を抱える私のような人にとっては、ある程度、業務の範囲が定まっている仕事の方がやりやすいのではないかと思います。上述したように曖昧な指示を補完して取り組む仕事は苦手ですが、パソコン操作などのハードスキル面では、それほど大きな問題を抱えているようには思いません。イレギュラーや新しく取り組む業務に関しても、きちんとした指示があれば、仕事量の調節は必要ではあるものの、遜色なく取り組めるのではないかと考えています。しかし、対人関係の構築などのソフトスキル面での課題を抱えている…。このことを採用面接の段階で伝えることが出来たら楽だなぁと思います。やはり会社という場所は、みんなとの協業、団体行動が求められる場である以上、対人関係でうまく行かない障害特性は、事前に知らせておくべきなのかもしれません。しかし、本当に入社したい会社であれば内心、求職者としては伏せておきたい情報です。ここで上手く支援員の方が障害者と会社側の担当者とを結ぶ架け橋となってくれたなら、もっと働きやすくなるかなと思います。今の障害者雇用を巡る状況では、障害を明らかにしつつも一部分を隠して採用面接に臨み、入社後に隠していた特性が出てしまう人も少なからずいるのではないかと思います。私自身も就職活動で使用したナビゲーションブックでは、衝動性の部分は触れないままでした。やはり、怒りやすいとは書けなかったからです。また、リモートワークに関しても、今後、導入が進んで欲しいなと思います。やはり刺激を受け流すことが難しいからこそ、疲れやすいという特性があることは事実です。自宅で身体や脳を少し休ませながら働くことができれば、もっと障害者が輝ける働き方が実現できるのではないかと考えています。
2018年04月29日長男、進級のストレスが爆発!?新年度の始まりは、担任やクラスの顔ぶれも大きく変わるため親は不安が大きくなりますね。幸いわが家の自閉症の長男は嫌がらず学校に通っています。けれど新しい環境に慣れないためでしょうか。家で癇癪を起こすことが多くなってきたのです。理由はどれも些細なことで、食卓に出したご飯が少し熱かっただけで茶碗をひっくり返したり、学校に着ていくお気に入りの洋服がなかったりすると大声で泣きわめいたりするのです。Upload By シュウママ朝の支度中に頻繁に起こるので、やはり今は学校に行くことが長男にとってストレスになっているのかなと想像できます。ある日、そんな状態の長男と接するのに限界が来ました。私は思わず怒鳴ってしまい、もう何もかも投げ出したくなっていまったのです。Upload By シュウママ「シュウが自閉症じゃなければ良かった?」という問いそんな様子を双子の次男がじっと見ていました。身支度を終えた次男は私の傍に歩み寄り、「お母さん大変だね」と静かに話しかけてきました。そして…Upload By シュウママ突然の質問になんと答えていいか分からず、言葉に詰まってしまいました。「自閉症はシュウの個性だよ、自閉症じゃなければいいなんて思ったことないよ」ーそう答えれば子どもたちを傷つけることはないのでしょう。ですが、この時は気持ちに余裕がなく、「そうだね。やっぱり自閉症じゃない方がよかったかな」と思わず本音が…。「でも可愛いからね。何とか頑張れるよ」と続けました。次男がかけてくれた言葉私の言葉を聞いた次男は、少し考えてこう言いました。「でもねオイラこう思うんだ。シュウみたいな病気の子どもはさ、お母さんを選んで生まれてくるんだよ」Upload By シュウママその言葉を聞いた瞬間、私は目頭が熱くなりました。きょうだい児として育まれていた優しさ心の余裕をなくしてしまったことに対して、いろいろな思いが巡りました。「でもお母さんイライラして怒鳴ったりするよ。シュウは失敗したと思ってるんじゃないかなあ」。次男は「うーん。それはあるかもしれないけど…」とまた考え込みます。(そこは否定して欲しかった!)けれど、すぐに「名案を思いついたぞ」という表情をして「まあ、お母さん荷が重いよね。だったら…」Upload By シュウママ「シュウの世話手伝ってやるから頑張れ~」と言い残し、ランドセルを背負って玄関へと走っていきました。次男もまだ4年生。まだ子どもと思っていてもしっかりと大人に近づいているんですね。もしかしたらそれは長男に手がかかるゆえに味わってきた、きょうだい児としての寂しさが次男の成長を後押ししているのかもしれません。それでも、障害のある長男だけでなく、母を思いやる優しさも育まれていたことに気づき、たくましくなった次男の後姿を見送りました。Upload By シュウママ
2018年04月28日発達障害のある子どもの遊び場探しは超難関!出典 : 発達障害がある子どもを自由に遊ばせる場所…、実は結構探すのが難しかったりしませんか?わが家の息子(自閉症スペクトラム障害・ADHD診断済)の場合は、社会性という意味でも、感覚という意味でも、遊び場の選択が難しかったです。社会性という意味では、順番が待てない、お友達の物を衝動的に取ってしまう、「返しなさい」と言うと癇癪を起こして泣き叫ぶ等の問題がありました。感覚という意味では、大きな音楽やまぶしい光で疲れてしまうため、デパートなどに入っているプレイスペースは苦手でした。結果どうなったのか…?私たち家族は、長いこと家に引きこもっていたのです。息子のパニックや癇癪が怖くて、どこへも出かけたくなかったのです。それだったら、家のなかでDVDを見ていたほうがずっとマシ。家にいれば、他人の冷たい目にビクビクしながら、頭を下げて逃げるように帰宅する必要もない…。息子の幼少期、私たち家族は一日中DVDを流しっぱなしにして、家の中で過ごしていたのでした。理想の遊び場を実現しちゃった!?NYのある夫婦出典 : そんな発達障害のある子どもの遊び場探しに頭を悩ます親の気持ちは、世界共通のようです。2017年の11月、ニューヨークのレイサムに、発達障害のある子ども向けのプレイルームがオープンしたことがアメリカで話題になっていました!Ring Around The Spectrum - Facebook Pageこのプレイルーム、Ring Around The Spectrum(リング・アラウンド・ザ・スペクトラム)は、発達障害のある子どもの感覚統合や感覚過敏に考慮したつくりになっています。(リンク先にプレイルームの写真と動画があります。)リング・アラウンド・ザ・スペクトラムでは、普通のプレイルームのように大きな音で音楽がかかっていたりしません。発達障害のある子どもの聴覚過敏に配慮しています。強い明るさの照明もついていません。全てのおもちゃや道具類は、作業療法士が選んでいます。感覚過敏に考慮したつくりになってるだけでなく、感覚統合を促せる遊具やクラスが設置されています。ざっと見回しただけでも、ゆらゆら揺れるスイング、バランスボール、ロッククライミング、ビーズクッションなど、発達障害児の感覚刺激に良さそうな遊び道具が沢山置かれています。さらに、少し明るさを落としてあるクールダウン用のスペースには、キラキラ光る泡のチューブや柔らかな光を放つチューブがあります。このプレイルームを開設したのは、支援が必要な二人の子どもを育てる、アッベ・ロバーツ(Abbe Roberts)とケン・ロバーツ(Ken Roberts)夫婦です。ロバーツ夫妻はある日、こんなことを思ったのだそうです。「地域にこの子たちが遊べる場所が欲しい。この子たちが非難されることなく心から楽しめる場所が欲しい。この子たちが支援の必要のない子どもたちと一緒に遊べる場所が欲しい…」そして、ロバーツ夫妻はこのリング・アラウンド・ザ・スペクトラムという場所を開設したのでした。「この子たちが非難されることなく心から楽しめる場所が欲しい」という夫妻の言葉にグッときたのは私だけではないでしょう。私も息子が幼少の頃は、いつも同じことを考えていました。「白い目で見られずに遊ばせる場所が欲しい」「発達障害のある子どもが、楽しみながらさまざまな経験を積んだり、力をつけることができる場所が欲しい」と。その想いは世界共通。そして、そんな想いを形にしたのが、このプレイルームなのです。New gym for children with Autism opens in Latham (訳:「自閉症児向けのジムがレイサムに新規オープン」)どの子どもたちも一緒に楽しく!こんな遊び場が日本にもあったら…出典 : リング・アラウンド・ザ・スペクトラムは、発達障害のある子どもに限らず、多くの子どもたちを歓迎しているそうです。遊具などは、発達障害のある子どものニーズに対応していますが、定型発達の子どもも遊ぶことができます。また、発達障害のある子どもの体幹トレーニングや衝動性コントロールなどに効果がありそうな、ヨガやマインドフルネスなどのクラスもプレイルーム内で開講しています。普通のクラスに連れて行くことが難しくても、このプレイルームでのクラスであれば、気軽に連れて行くことができそうですね。料金は一回の利用が12ドル(およそ1,300円程度)で、時間制限はありません。こんなプレイルームが日本にオープンしたら素敵だなあと思うとともに、遊び場探しに苦慮して自宅に引きこもっていた昔の辛い記憶も蘇ります。「この子たちが非難されることなく心から楽しめる場所が欲しい」。同じような想いを持って、こうしてプレイルームをつくった保護者がいる…。国境を超えて同じ想いを共有していることに、私は少しジーンときました。日本でもいつか、同じ想いを抱くご家族のために、こんな素敵なプレイルームがつくられる日がくるかもしれませんね。
2018年04月28日入学や進学など、年度切り替えのこの時期は、障害があるなしに関係なく、親がナーバスになる時期。でも、発達障害のある子を持つ親にとっては、さらに頭を悩ませる時期なのではないでしょうか?通常学級、通級、支援級、支援学校…わが子が安心して楽しく通える環境はどこなのか? 親は、就学問題に長い時間と労力を費やし、時には夫婦で揉め心をすり減らしながら、やっとの思いでわが子にベストと思える居場所を決めます。でも、そんな親の努力をすべてひっくり返すような、無理解な担任の先生に当たってしまったり…。そんな思い悩むことが多いこの時期、再びNHK総合テレビで発達障害をテーマにした特番 「超実践!発達障害 困りごととのつきあい方」 が放送がされます。番組では、寄せられた約4000通の体験談から「感覚過敏」「忘れ物・片付けが苦手」「読み書き計算が苦手」「コミュニケーション」という代表的な4つのテーマを取り上げ、発達障害の当事者はもちろん、家族やその周囲がすぐに実践できる「対処法」「周囲への助けの求め方」などをできるだけ具体的に伝えていく。さらに、「困りごと」「周囲の無理解」からどうやって人生を好転させたのか、その転機をとなった方法や出会いを描くほか、栗原類さんをはじめ一般の発達障害当事者8人をスタジオに招き、一人ひとり微妙に異なる困りごとに対する対処法をトーク。「どうすれば困りごとに対処できるか」「どうすれば人生楽しくなるか」「発達障害の人とそうでない人が共存するにはどうすればいい?」などを生放送で話し合う。■「発達障害」に対する社会の認知は高まってきたけれど…ここ数年で、発達障害に対する社会の認知は高まって、園や学校ではずいぶんと理解が進んだように思います。でも、当事者や家族の目線から見ると、依然としてサポート体制が不十分で必要な配慮が受けられなかったり、相談したはずの困り事が放置されたままだったり、個々人の対応はまちまちだったり……まだまだ難しいと感じることが多いのが現実です。今回の特番担当プロデューサーからも、「これまで発達障害については何度も放送してきましたが、無関心層へのリーチはまだまだだと感じています。しかし、そうした層に届かない限り当事者の困り事は解決しないため、繰り返しを恐れず伝えたいとも思っています」とメッセージをいただきました。これ、まさに、その通りだと思うのです(冒頭でお話した、すべてをひっくり返すような無理解な先生がいることもしかり)。でも、みなさん、日々自分の生活でいっぱいいっぱい…。当事者や家族でない限り、「大変そうだけどよくわからない」とか「障害を言い訳にしてない?」などとスルーされてしまうのも仕方ないことなのかもしれません。■自分が生きやすくなるためには「相手のことを知る」が一番の近道そんな私も、息子が自閉症スペクトラムと診断されるまでは、「大変そうだけど、結局よくわからない」の人でした。障害について理解する前は、「親子でがんばればなんとかなる!」などと、ワケのわからぬ根性論で発達障害を改善しようとしていた時期もありました。そして、息子に無理強いをさせては、それが自分に跳ね返って、ますます自分自身がイライラしてしまう、そんな悪循環に陥っていました。結局、無理解は相手だけでなく、まわりまわって自分自身をも辛い状況に追い込んでしまうのです。私は、息子を通して、「基本的に人(子ども)を変えることはできない」という当たり前のことを改めて思い知りました。相手(子ども)に自分の価値観を強いることは、トラブルと双方のストレスのもと。喜びや苦しみは現実と期待とのギャップで生まれ、相手(子ども)にできないことを求める行為は、結果、自分に対するストレスを生むことになります。■「発達障害の人のため」ではなく、「自分自身のため」にちょっと変な言い方かもしれませんが、今回の放送、「発達障害の人がより生きやすくなるために」というような道徳的な視点よりは、むしろ、「自分自身がより生きやすくなるために」という自分視点で見た方が、より幅広い方々に響くのかもしれません。発達障害は、今や40人学級で2~3人の割合でいると言われているほど。子どものクラスメイト、親戚、会社、ママ友仲間にも、障害とまではいかなくても、グレーな方を含めれば「もしかして…?」と思われる方も少なくないでしょう。もはや避けては通れない問題です。「なんであの人は、いつもあんな嫌な言い方をするんだろう?」とか「どうしていくら説明しても、あの人には話が通じないんだろう?」など、あなたが苦手に思っている人との、上手な付き合い方のヒントが得られるかもしれません。また、番組で語られる、コミュニケーションが苦手な方や生きにくさを感じている方が、自身の人生を好転させるために編み出したノウハウには、私たちの生き方にも参考になるところがあるのではないでしょうか?今回、私は、息子のためではなく、自分のためという視点で、番組を見たいと思っています。文:まちとこ出版社N【NHK 発達障害プロジェクト】超実践! 発達障害 困りごととのつきあい方放送日時:2018年4月30日(月・祝)午前8:15~9:59 NHK総合テレビMC:中山秀征さん、近江友里恵アナウンサーゲスト:栗原類さん(「あさイチ」で自分が発達障害であることを告白)ほか、発達障害のご本人(一般の方)8人と専門家
2018年04月28日次男の入学式。じっと座っている長男に感じた成長4月某日。次男の小学校の入学式がありました。もちろん、在校生であるADHD長男も参列します。なかなか見られない長男の学校での姿を見ることができ、ちょっとしたお得感を味わいました。5年前だったらこんな長時間座ってられなかったなぁ…なんて思い出すと、離席せずどうにか参加できていることに大きな成長を感じずにはいられません。そして帰宅後、そんな私の気持ちを長男に伝えました。Upload By ラム*カナ興味ないことに関わるとすぐ睡魔に襲われるタイプなので、それも納得。たくさんの方からの祝辞は、親としては嬉しいものですが、きっと長男にしてみたら退屈の極みだったことは間違いありません…。Upload By ラム*カナ祝辞の内容は、新1年生に向けてのものなので、みなさん言葉もわかりやすく、伝え方も優しかったです。そして、どの方も「学校は楽しいよ」「優しい在校生に頼ってね」というメッセージを、ワクワクドキドキでいっぱいの新入生に伝えてくれていました。それを思い出した長男、小学3年生なりに思うところがあった様子。大人のメッセージに、ADHD長男からの「ちょっと待った!」Upload By ラム*カナはっ…!Upload By ラム*カナ(たしかに…じゃない?)Upload By ラム*カナ「まかせすぎ」…そんなことを感じるとは思ってもみなかったので、長男の発言にはっとさせられたのと同時に、おもしろい感じ方するんだなぁ、と思いました。きっと長男なりに、記憶力が低かったり、興味のないことへの知識が蓄積しづらいことなどを自覚していて、まかせられることに自信がなかったのかもしれません。同じ小学3年生の周りの女の子は、率先して面倒を見たがるようなタイプの子も多いので、きっと「在校生に頼ってください」という言葉を聞いて喜んでいる子もたくさんいるんだと思います。やっぱりそこは、その子その子の感じ方があるでしょう。ただ、長男は自分は頼りにならないという気持ちを持っていたとしても、自ら掲げた「1、2年生には絶対優しくするんだ!」という目標が、充分頼りになっているぞ!と心強く思う私なのでした。
2018年04月27日人でいっぱいの会場。入学式からフラフラのリク…4月の上旬、リクの高校の入学式がありました。大きな高校なので、新1年生だけでも1,000人越え!さらにそこに保護者も加わるので、会場はすし詰め状態です。ただでさえ息が苦しくなりそうな状態でしたが、リクはなんとか最後まで頑張ってくれました。Upload By ひらたともみ早起き・弁当・叩き起こす!新生活は母の手際のよさが肝心…!Upload By ひらたともみUpload By ひらたともみそして、一番重要なのは、リクを起こすこと!!×3朝の戦いです。しかしなぜか、本人より隣の部屋の長男が、私の声に反応して律儀に起床する…。Upload By ひらたともみ高校生になれたけど…「学校に行くだけで精一杯」と語る背中に、涙Upload By ひらたともみUpload By ひらたともみUpload By ひらたともみ高校生活を送りはじめたリク。覚えることが山ほどあって、毎日疲れて帰宅します。自転車を40分ほどこいで、学校で自分の自転車置き場を注意深く探す。昇降口で、自分のクラスの靴箱を探す。1学年25クラスある中で、自分のクラスを探す。見たことのある顔を見つけて、ようやくホッとし、授業が始まるまでの数分間、友だちと談笑する。学校に行って帰ってくる…という、「普通」が、リクにはとても高いハードル。でも、なんとか頼れる友だちに助けてもらいながら、毎日、私の大盛り弁当を持って登校しています。高校生になれたのは、ゴールなんかじゃありませんでした。親が手を伸ばしたくても届かないところで、リクが自分なりに模索する後ろ姿しか眺めることができません。いろいろな人の手を借りながら「来た道は戻れないんだ」と奮い立たせて、私もリクも前に歩みはじめています。春はいつも子どもの心配ばかりですが、今年の春はなおさらで、ひたすら心から応援するばかりです。
2018年04月26日幼いころ、冒険が大好きだった私。息子にも…私が子どものころの思い出で印象に残っている遊びは、友達と近所を探検したこと。秘密基地をつくるのに良さそうな場所を探したり、野良猫を追いかけて草むらに入って行ったり。たくさんの冒険はどれも心に残る経験です。Upload By shiori息子のカムにも、自由に探検してほしい。でも、一人で出かけさせるわけにはいかず、外出時には必ず保護者同伴が必要です。公園に連れて行った時などは、なるべくカムの行きたいところ、やりたいことを優先しているつもりですが…、普段のお散歩は、その日の天候や用事の有無によって、公園や郵便局など私が行き先を決めていました。そこで、お散歩の自由度を高めようと思い、行き先もカムの好きに決めてもらおうと思ったのです。さて、どうなったのでしょう?お散歩に行こう!どこに行きたい?Upload By shiori自宅を出て3秒。家の前をくるくる回りました。公園かな?コンビニかな?ドラッグストアかな?カムの好きなところをいろいろ想像したので拍子抜け!まさか自宅の前だとは!でもカムは本当にご機嫌で、楽しそう。うん。それならいいかな。お散歩に行こう!2回目の冒険は…まさかの行き先で!?Upload By shiori1回目が自宅前だったのに、2回目はまさかの駅!?ミステリーツアー状態です。カムは言葉を話すことができないため、この時、どこに行きたいのかがわかりませんでした。とりあえず隣駅までの切符を買い、改札を通りました。ところがカムはホームのポスターを鑑賞し、エスカレーターの上り下りを堪能。電車には乗らずに満足して帰ってきました。もっと近所だと思ったのに!?駅へのルートで焦った私この2回目のお散歩、実はちょっとした発見があったのです。それは、駅に着くまでの道中のこと…前回が家の前だったし、普段のお散歩も近くの公園やコンビニ、ドラッグストア、文房具屋さんなどの近所にお気に入りの場所があるカムのことだから、そんなに遠くには行かないだろうと思い込んでいた私。この時の私の持ち物は、ハンカチとちり紙、携帯とお金を少し、オムツの替えを一組。カムと一緒に走りやすいようにと、軽装で家を出たのです。ところが、カムが向かっているのは駅へのルートでした。過去に何度か駅に連れて行ったことがあったので、「これは駅に向かっているかもしれない」と、気づきました。もしかすると電車に乗るつもりかな?それなら障害者手帳と、カムの着替え、オムツの替えももっと必要だし、お金ももっとあった方がいい。今日の装備では心配だな。だけど、カムの行きたいところへ行こうという趣旨のお散歩だし…どうしたものか。駅までには大通りを渡らなきゃ。そうだ、カムに任せてみよう!Upload By shiori駅に行くには大きな通りを渡らなければいけません。普段のお散歩では渡ることのない車の交通量が多い、大きな通りです。カムに任せたらどうなるかな…。きっとこの通りが渡れなくて駅に行くのを諦めるかもしれないとも思いました。Upload By shioriさあ、大きな通りに行く手を阻まれました!「車が多くて危なくて渡れないよ〜!どうしようか?」と、少し大げさに困って見せてみました。カムはちょっと考えて、キョロキョロ…。そして、私を信号の所まで連れて行きました。この時点で私は、信号を渡ろうとしているカムに「すごいすごい!!」と内心大はしゃぎ。でも、「ここでどうすればいいの?」とあくまでしらばっくれてみました。するとカムは私の手を信号の押しボタンへ持って行きました。「このボタンを押して」というように、私の指をボタンに押し当てました。(カムは押す動作に力を入れられないみたいで、まだボタンを押せません)Upload By shioriボタンを押したのを確認したカムは、満足気に何かを待っている様子でした。何かを…。信号が青になりました。でもカムはどのタイミングで渡ればいいのかわからないようで、車が止まる様子を見てキョロキョロしていました。さすがに青で渡るというところまでは分からなかったか。信号を指差して、「青だよ。車止まったよ」と伝えたらカムはトコトコと歩き出しました。そして無事に駅に到着したのです。冒険で分かった、カムの成長。もっともっと出かけようね…!普段、私に連れられて歩いている時は完全にお任せコースのカム。信号も車も私の指示も見ていない様子でした。ですが、まだ完璧ではないけど、私が思っていたよりは交通ルールを理解している部分もあるということがわかり、本当にびっくりしました。自分がやりたいと思うことには積極的で、なんとか目標達成しようとするカム。このやる気をうまく活用して交通ルールをもう少し理解させることはできないだろうか。きっとできるはず!次回のお散歩は完璧な装備で出かけてみよう。そして、カムの「やりたい」から、また新たな発見や学びがあるかも。希望の見えた楽しいお散歩でした。やっぱり冒険っていいな!
2018年04月26日特別番組「超実践!発達障害 困りごととのつきあい方」の内容は?Upload By 発達ナビニュース2018年4月30日(月)8:15からNHK総合テレビで特別番組「超実践!発達障害困りごととのつきあい方」が生放送されます。NHKが昨年5月から「あさイチ」など10番組で展開している「発達障害プロジェクト」の一環です。特設ホームページでは、「感覚が過敏」「片付けが極端に苦手」「感情のコントロールができない」といった発達障害による困りごとの解決策を募集してきました。すると、当事者や家族などから4000通を超える体験談が寄せられたそうです!今回は、その中から多くの人が悩んでいた「感覚過敏」「片付けが苦手」「読み書き計算が苦手」「コミュニケーション」の4つのテーマを中心にピックアップ。当事者をはじめ、家族や周りの人がすぐに取り入れられる具体的な「対処法」「周囲への助けの求め方」などが紹介されます!また、「困りごと」「周囲の無理解」をどう好転させたのか、実際に経験した転機となった方法や出会いも取り上げます。発達障害プロジェクト「対処法どうしてる?」出演者がスタジオで生トーク!!視聴者の意見も募集Upload By 発達ナビニュースステジオには、モデル・俳優の栗原類さんのほか、一般の発達障害当事者の方8人と専門医などをゲストに招いて、一人ひとり異なる「困りごと」への対処法をトークします。さらに、生放送中にも視聴者からのメールやFAXを募集。リアルタイムで「どうすれば困りごとを解決できるか」「どうすれば人生は楽しくなるか」などを話し合います。事前にホームページでも体験談や意見を募集しています。あなたも「こんな工夫をしてみたらうまくできた」「周りの人にこうしてもらえたらもっと助かる」といった声を送って番組に参加してみましょう。Upload By 発達ナビニュース番組にたくさんの意見が集まることで、より内容の濃いトークが聞けそうですね。これまで、困りごとを誰にも相談できずにいた人も、番組から改善の糸口が見つかるかもしれません。当事者の方だけでなく、身近に困りごとがありそうな人に心当たりがある人も、参考にしてみませんか?【番組名】NHK総合テレビ特別番組「超実践!発達障害困りごととのつきあい方」【放送日時】2018年4月30日(月)8:15〜9:59【出演者】MC:中山秀征、近江友里恵、ゲスト:栗原類ほか、一般の発達障害の当事者8人、専門家「困りごとのトリセツ(取扱説明書)」も一読を!Upload By 発達ナビニュースこのプロジェクトでは「困りごとのトリセツ」と題して、発達障害のある人が感じやすい「困りごと」を整理・解説し、当事者や周囲の人の体験談、要望を集めています。毎週金曜日に情報が更新され、多くの意見が掲載されています。30日の特別番組の予習・復習として目を通してみてはどうでしょう。また、投稿に参加することで、同じ悩みを持つ人の困りごとを軽くすることもできるかもしれません。
2018年04月25日赤ちゃんと目が合わない…出典 : 赤ちゃんは人の目を好んで見つめると言われています。赤ちゃんを抱っこしている時や授乳をしている時、パパ・ママが赤ちゃんを見つめていると、赤ちゃんもパパ・ママを見つめ返してくれる時があります。ですが、赤ちゃんと目が合わない、目をそらされてしまうことに悩んでいるパパ・ママもいるといいます。赤ちゃんと目が合わないと、赤ちゃんとのコミュニケーションが取れている気がしなくて辛いと感じることも少なくありません。また、目の病気があるのかも?目が合わないことが特徴の一つと言われている、自閉症スペクトラム障害かも?など不安に思う方も多いのではないでしょうか。以下から、赤ちゃんと目が合わない原因や赤ちゃんの視力発達のメカニズム、目が合わないことと疾患や自閉症スペクトラム障害との関係性について詳しく説明していきます。赤ちゃんと目が合わないのはなぜ?出典 : 赤ちゃんと目が合わない時、その原因としてどんなことが考えられるのでしょうか。育児本やウェブサイトで調べてみると、ついつい「目の疾患」「自閉症スペクトラム障害」という言葉が目についてしまうかもしれません。でも、赤ちゃんと目が合わない原因の大半は、そこまで心配しなくてよいものだったり、成長の過程であったりするものです。例えば、次のような原因があります。まずはそれらに当てはまる様子はないか、赤ちゃんの様子をよく見てみましょう。赤ちゃんにとって身の回りの物はすべて新鮮であり、興味や関心の対象です。大好きなパパ・ママがそばであやしてくれていても、他に何か気になるものを見つけると、そちらへ興味の対象が移ってしまうこともあります。生まれたばかりの赤ちゃんとはいえ、一人ひとり個性があり、性格も異なります。じっと凝視されるのが少し苦手な赤ちゃん、好奇心が強く、目新しいものにきょろきょろと視線を移す赤ちゃんなどさまざまです。育児書など子育てに関する情報から「赤ちゃんは一定の月齢になるとパパ・ママと目を合わせるようになるはずだ」などと思い込んでしまうと、自分の赤ちゃんにそのような様子が見られない場合、途端に不安になってしまいがちです。赤ちゃん自身の育ちのペースや個性を受け入れ、見守っていくという姿勢が大切です。水野 克已/著『笑顔で子育てあんしん赤ちゃんナビ―6か月(はじめ)よければすべてよし! 』2013年/メディカ出版公益財団法人母子衛生研究会赤ちゃん&子育てインフォ赤ちゃんは自分のことをあやしてくれる人の表情や声にとても敏感です。生まれつき視覚や聴覚からの刺激に敏感な赤ちゃんもいます。急に近づいたり、顔を近づけたり、大きな声で話しかけると顔を背けてしまうかもしれません。目が合わせにくいからと焦って目を合わせようとすると、赤ちゃんもその不安やストレスを敏感に感じ取るかもしれません。赤ちゃんをあやす時、自分がどのような表情をしているか確認することが、赤ちゃんと目が合わない原因を探り当てるヒントになるかもしれません。赤ちゃんと目が合わない時、ここまでで紹介したことが原因となっていることが多数ですが、もしかしたら次のようなことが原因である可能性もあります。目の病気の発症や視力の異常が見られる赤ちゃんは、視線が定まらなかったりきょろきょろしたりする様子が多く見られます。赤ちゃんによく現れる目に関する異常には、斜視・眼振・弱視などが挙げられます。これらの詳しい症状や治療方法に関しては「目が合わない赤ちゃんと目の病気の関係って?」の章で解説します。発達障害の一つである自閉症スペクトラム障害には、「人とのコミュニケーションが苦手・困難」「こだわりの強さ・感覚のかたよりがある」という特徴があります。自閉症スペクトラム障害の症状には視線が合いにくいことも挙げられていることから、目が合わない赤ちゃんに対して自閉症スペクトラム障害かも?と不安になるパパ・ママもいるでしょう。赤ちゃんと目が合わないということだけで自閉症スペクトラム障害であると診断されることはなく、さまざまな視点からの検査・観察から総合的に判断されます。ですが、自閉症スペクトラム障害と診断がつく年齢(3~5歳頃が多いとされています)の子どもが赤ちゃんの時、「目が合わなかったな…」と感じるパパ・ママは少なくないようです。目が合わない赤ちゃんと自閉症スペクトラム障害の関係性に関して詳しく知りたい方は、「目が合わない赤ちゃんと自閉症スペクトラム障害との関係って?」の章をご覧ください。赤ちゃんの視力発達のメカニズム出典 : 赤ちゃんは生まれた直後からものがはっきり見えているわけではありません。生まれてから1歳までの間、どのように視力が発達していくのかについて説明します。生まれてすぐの赤ちゃんの視力は、明るいか暗いかが分かる程度と言われています。生後1ヶ月ごろで視力は0.01~0.03くらいで、人や物の輪郭がぼんやり捉えられたり、はっきりとした色は認識できたりします。生後2ヶ月では、お母さん・おもちゃなどの動きを目で追う「追視」が見られるようになります。生後3ヶ月過ぎから生後6ヶ月頃は急激に視力発達する時期です。生後3ヶ月では人や物をじっと見つめることが増えたり、瞬きが上手にできるようになったりします。生後6ヶ月時点での平均的な視力は約0.1まで上昇します。生後6ヶ月になると、見えないところから声をかけるとその方向に目を向けるなど、視覚と聴覚が連動するようになってきます。また、追視も上下左右と細かくできたり、動くものに対しても目で追いかけたりできるようになります。小児の遠視 -弱視、斜視との関連-|沖縄県医師会医師会報生後7ヶ月を過ぎていくと、奥行や距離感も見て捉えられるようになっていきます。1歳にもなると視力は0.2ほどまで伸び、より細かいものも捉えることが可能になります。それゆえに探索活動が活発になり、行動の幅も広がっていきます。立体視の発達、可塑性、個人差解説-空間視の発達山口 真美乳幼児健康診査の手引改訂第5版新潟県福祉保健部新潟県医師会生後1ヶ月から1歳6ヶ月頃にかけては、特に視覚の発達が盛んな時期とされています。視力の発達自体は6歳から8歳くらいまでに成人と同じレベルに達します。視力が発達するこの時期に、両目で人や物をしっかりと見ているかどうかはもちろん、何か異変に気づいたらすぐに対応することが重要です。厚生労働省母子手帳省令様式厚生労働省母子手帳任意様式目が合わない赤ちゃんと目の病気の関係って?出典 : 先ほど、赤ちゃんと目が合わない場合、目の病気や視力の異常の可能性もあると説明しました。赤ちゃんの目や視力の問題について、詳しく解説します。◇斜視斜視とは、片目は正面を向いていても、もう片方の目が内側・外側・上側・下側など違う方向を見てしまっている状態を指します。斜視は子どもの約2%に見られる小児眼科の代表的な病気で、眼鏡などの矯正器具で治るものもあれば、手術による治療が必要なものもあります。片方だけ目が合うのに、もう片方は違う方向を向いていることが多く見られると、斜視の可能性があります。斜視のまま放っておいてしまうと、違う方向を向いている目の視力が育たないため、斜視かも?と思ったら早めに小児眼科を受診することが大切です。日本眼科学会子供の斜視公益財団法人日本眼科医会子どもの弱視・斜視-6.斜視の原因◇眼振(がんしん)眼振とは、知らず知らずのうちに目が動いてしまう疾患です。眼球の動きの特徴としては、動き方に規則性がある・周期性がある・本人が意図しているわけではないという3つがあります。原因として先天的な眼振をはじめ、脳や神経の異常で起こるものなど後天的なものがあります。赤ちゃんが注視・追視する様子が見られず、きょろきょろしていたり、不自然に頭を傾けていたりしていたら、注意する必要があります。◇弱視弱視とは、先ほど紹介した視力の発達する期間に、目をうまく使えなかったために視力が悪い状態のまま発達が止まってしまうことを言います。強い遠視や乱視が両目に見られる場合や、片目だけに遠視や乱視、斜視があるために視力が発達しない場合に弱視は起こりやすいと言われています。弱視は早期に適切な治療や矯正(眼鏡着用など)をすることによって、治る可能性は高まります。頻繁に目を細めている、目つきに違和感があるなどわかりやすいサインが見られることもありますが、特に目立った症状が見られないこともあります。乳幼児健診の際に気になる点がないか専門家に診てもらうとよいでしょう。3歳になったら受けられる3歳児眼科検診を受診するのもおすすめです。社団法人日本眼科医会3歳児眼科健診のすすめ紹介したような目に関する病気を赤ちゃんが発症している場合、次のような特徴が見られることがあります。・瞳が白や黄緑色に見えることがある・目が揺れることがある・追視が見られない・片目だけ上下左右に寄っていることがある・片目を順番にふさいでみると、一方の目だけ嫌がったり、顔を背けたりするなど目の健康を調べるチェックシートパパ・ママは赤ちゃんと目が合わないな?と思ったら、それまでよりいっそう赤ちゃんの目や目の動きを観察し、何か異常がないか見てみることが大切です。目が合わない赤ちゃんと自閉症スペクトラム障害との関係って?出典 : この章では、目が合わない赤ちゃんと自閉症スペクトラム障害がどのような関係にあるのかについて詳しく紹介します。自閉症スペクトラム障害は、主に「人とのコミュニケーションが苦手・困難」「こだわりの強さ・感覚のかたよりがある」という特性があります。診断基準によっては自閉症、アスペルガー症候群、広汎性発達障害などの診断名で呼ばれている場合もあります。自閉症スペクトラム障害の診断がつくのはだいたい3~5歳と言われています。このくらいの年齢になると、以下のような自閉症スペクトラム障害の特徴が目立ちやすくなります。◇周囲にあまり興味を持たない傾向がある例えば、生活の中で次のような様子が見られます。・視線を合わせようとしない・他の子どもに興味をもたない・名前を呼んでも振り返らない・指さしをして興味を伝えることをしないなど◇コミュニケーションを取るのが困難以下のように、会話や人と関わることが難しいと感じていることがあります。・言葉の遅れや、オウム返しが見られる(知的障害を伴う場合)・一方的に言いたいことだけを言ってしまう・質問に対してうまく答えられない・ごっこ遊びなど、集団での遊びにあまり興味を示さないなど◇強いこだわりを持つ日常生活での強いこだわりとは、例えばこのようなことを指します。・興味を持つことに対して、同じ質問を何度もする・ものごとの手順が変わると混乱してしまう・視覚・触覚・聴覚・味覚・嗅覚に対して過敏、鈍麻があるなど自閉症スペクトラム障害の診断がつく年齢では、このような特徴がいくつか見られるようになります。注意しなければならないのは、単に「赤ちゃんと目が合わない」ということだけで自閉症スペクトラム障害ということではないということです。自閉症スペクトラム障害の診断が出ている子どものパパ・ママが、その子どもが赤ちゃんだった時を振り返ってみて「そういえばあまり目が合わなかったな…」と思い起こすことはあるようです。ですが、自閉症スペクトラム障害はそれだけで判断されるものではなく、子どもの気になる様子と診断基準を照らし合わせ、総合的に判断されます。また、生後すぐに自閉症スペクトラム障害をはじめ発達障害の診断がつくことはありません。パパ・ママが自閉症スペクトラム障害の診断を求めても、赤ちゃんに対しては経過観察のような措置が多く取られることに、心配や不安の気持ちを抱くのも無理はありません。目が合わない赤ちゃんに対しては、「それだけで自閉症スペクトラム障害であるとは言えない」「赤ちゃんの時点で自閉症スペクトラム障害であると明確に診断できる場合は少ない」という2点をまず押さえましょう。そのうえで、それでも不安が残る場合や、目が合わないということに加えて他にも気になる様子が見られる場合は、かかりつけの小児科や近くの保健センター、子育て支援センターなどでその旨を詳しく相談することをおすすめします。一度専門家に赤ちゃんがどのような様子か話してみるだけでも不安や困りごとが解消されることがありますし、自閉症スペクトラム障害に関する、より詳しい情報も得られることもあります。赤ちゃんと目が合わなくて不安…そんな時に考えたいこと出典 : 赤ちゃんと目が合わないと、「赤ちゃんは自分のことをパパ・ママだとわかっているのだろうか」「赤ちゃんに好かれてないのだろうか」「発達が遅れているのだろうか」「病気や発達障害の予兆なのだろうか」など、さまざまな不安を感じることもあると思います。そんな時、パパ・ママが心がけたいことや考えたいことをご紹介します。生まれたばかりの赤ちゃんは、授乳などからどうしてもママの方が赤ちゃんに関わることが多くなると思います。そのため、赤ちゃんと目が合わないという不安を、つい一人で抱え込んでしまうことがあります。子育てに関する不安を感じた時こそ、同じ子どもの親であるパパにも悩みや不安を共有・相談するようにしましょう。またパパは、「気にしすぎだよ」「大丈夫だよ」と安易に言うのではなく、ママの子育てに関する不安感や心細さに寄り添ってあげることが大切です。また、子育ての先輩である自分の母親に相談するのも1つの手段と言えます。大切なのは、子育ての不安を一人で抱え込みすぎないことです。先ほど子育ての先輩である自分の母親に相談してみることをアドバイスの一つとして挙げましたが、そうはいっても子育てへの価値観が違ったり、母親の時代の子育て方針を押しつけられたりした、という経験をお持ちの方もいるのではないでしょうか。やはり知りたいのはリアルな子育て情報や、現時点の医学などからわかっている子どもの発達に関する情報ですよね。そのような情報を知るには、自分の赤ちゃんと同じくらいの月齢・年齢の赤ちゃんを育てているパパ・ママと交流することが有効かもしれません。地域の子育て支援センターは、赤ちゃんだけでなくパパ・ママの交流も目的とされています。そのような施設でさまざまなパパ・ママと交流し、それぞれの子育て体験談を聞くことで「子育てに悩んでいるのは私だけじゃない」「先輩パパ・ママはこのように悩みを乗り越えたんだ」など、参考になる意見やアドバイスが得られることもあります。また、子育てや子どもの発達に関して不安に感じた際に気軽に相談できる専門家を1人でも知っておくと心強いです。先ほど紹介した地域の子育て支援センターをはじめ、保健センター、またかかりつけの小児科医など、子育てや子どもの発達に関して相談することができる機関や専門家はたくさんあります。きちんとした専門家からの指導を受けることで、より安心感を得ることができたり、不安が軽減されたりするでしょう。その他に、子育てに関する電話相談サービスを行っている自治体もあるので、直接対面で相談することに抵抗がある方は、電話にて専門家に相談してみてはいかがでしょうか。東京都福祉保健局子育て支援情報一覧とうきょう子育てスイッチ-子育てに関する電話相談まとめ出典 : 赤ちゃんと目が合わない場合、赤ちゃんならではの周囲への興味や性格、あやしているパパ・ママの表情など、さまざまな要因が考えられます。また、目が合わないということだけで判断はできないものの、目の病気や自閉症スペクトラム障害であるという可能性もあります。赤ちゃんと目が合わなくて不安、と感じているということは、それだけパパ・ママが赤ちゃんのことを細かく観察し、見守ることができている証拠です。パパ・ママは日々子どもと丁寧に向き合っていることへの自信をもちつつ、子育てに関する悩みや不安を相談できる場を設けるなどして、ママ1人で抱え込んだり、パパ・ママ間だけで不安を溜めたりすることがないようにしましょう。
2018年04月24日学童で出会った、アスペルガー症候群のあるDくん出典 : 保育や教育については素人で経験もない私が、学童クラブ(以下、学童)のアルバイトに採用され配属されたのは、学校の校舎内に併設された学童でした。アスペルガー症候群があるDくんも、学童を利用していました。Dくんは、学校では特別支援学級に在籍していましたが、教室を飛び出し、特別支援学級の先生と2人で過ごすことが多くなっていたようです。ですが、その先生とのコミュニケーションもうまくいっておらず、だんだん学校に行きたがらなくなっていました。学校や友達のことは好きだったので、学童には毎日のように通ってきていました。でも、自分をコントロールできなくて友達や先生に怒られることや、本当は楽しく過ごしたいのに思うとおりにならないことに、悲しみや戸惑い、悔しさが混じったような何ともいえない表情を見せることがよくあったのを覚えています。Dくんにまつわるトラブルにはこんなことがありました。・遊んでいても気に入らないことがあれば癇癪を起こす・掃除などの当番を嫌がり、ほかの子に怒られる・終りの会など集まらなければいけないときに脱走する・人に注意されると殴ったり噛んだりと暴力を振るうほかの学童にヘルプに入ることもあったのですが、「発達障害があるので、細やかに見守ってほしい」といわれる子どもの中には、Dくんと同じようなトラブルのある子もいました。Dくんがトラブルを起こして、ベテランの先生に「ちゃんと対処してください」といわれてもどうしていいのか見当もつかなかった私。なんとかしたいと思い、発達障害についての研修を受けに行きました。でも、話を聞いてもピンときませんでした。自分に発達障害があると知ってからは、「自分のこと」として本を読むためか、さまざまな知識をどんどん吸収できるようになりました。ですが、自分が当事者であることさえ気づいていなかった私には、目に見えない「人の気持ち」を理解するのはとても難しいことだったのです。結局、懸命にDくんに関わろうとしたものの、彼の神経を逆なでしてばかり。今から思えばまったく支援になっておらず申し訳ないことをしたと思っています。そのような私ですが、今、発達障害当事者として気づけたことや、学童で働いていた経験をもとに考えた対処法を、少しでも多くの支援者や保護者の皆さんに伝えたいと思っています。そこで、次にどのような工夫があれば、発達障害のある子ども達にとって学童がより過ごしやすい場所になるかについて紹介していきたいと思います。発達障害のある子が、学童でストレスなく過ごすための「4つの工夫」出典 : 地域によって学童の上限人数やシステムには違いがありますが、比較的共通した問題と、それに対してできる工夫について紹介したいと思います。学童によっては100人近く在籍していて、教室も2つに分かれているところもあります。狭い教室に60人近くがひしめき合うように過ごしている場合もあるのです。騒がしい環境が苦手で騒音で疲れてしまう発達障害の子どもにとって、情緒も不安定になりやすい環境といえます。利用者数や場所を変えることはできませんが、次に紹介するような工夫をすることで、疲れやすい子どもにとって少しでも過ごしやすくなるかもしれません。■一番子どもの多い15時半過ぎ(6時間目が終わって子どもたちが全員帰ってくる時間)の様子をのぞいてみることをおすすめします。あまりに騒がしいなら「イヤーマフ」などの使用を学童の指導員に相談されてみるのもいいと思います。Dくんも、騒音が原因のストレスが大きかったのではないかと思います。■どのお子さんでも人数が多いと集中して宿題に取り組むのは難しいです。段ボールを貼り合わせて簡易的なついたてをつくると、周りからの刺激を少し減らすことができます。試してみるといいかもしれません。■大人数の中で過ごすことに疲れた子のためのクールダウンスペースも必要かもしれません。家具の配置を工夫してつくることもできると思います。つい立てよりは、家具で仕切れたほうが、ほかの子どもが入ってくることも少ないのでおすすめです。こういう話をできるくらいの知識が、その頃の学童のスタッフにあれば、Dくんももう少し居心地よく過ごせたかもしれないと思うと、申し訳ない気持ちでいっぱいになります。学校の時間割は日によって何時間目に終わるか違います。もちろん学年ごとにも違い、1、2年生だけで静かに過ごせる時間がある日、みんな一斉に6時間目が終わって帰ってくる日など、スケジュールは曜日ごとに異なります。それに加えて懇談期間や家庭訪問期間など特別な時間割もあります。さらに夏休み、冬休み、春休みはスケジュールが大きく変わります。見通しが立たないことを嫌う発達障害の子どもたちにはつらい環境とも言えます。「どうして今日はこんなに遊ぶ時間が少ないの?」と納得できないかもしれません。そこで、考えられる工夫はスケジュールの見える化です。■学年ごとに時間入りの絵カードをつくり、教室の見えやすいところに貼っておくと、見通しがつきやすくなります。発達障害のある子どもだけでなく、定型発達の子どもも落ち着くのではないでしょうか。アスペルガー症候群のある私の娘は、当番の仕事の手順が分からないことに困っていました。分からないから、うまくできずに怒られると、当番自体が嫌になるのです。学童でも、こうした困難に対して工夫することができます。■当番の仕事のルールはできるだけシンプルにし例外をなくすこと、やることを分かりやすくリストにするのです。リストは、親がつくってもいいと思います。■ついうっかり当番を忘れてしまう、楽しいことに気を取られてしまうと場合は、指導員の声がけや、できたときに褒めることが大切です。■当番の仕事の必要性を分かっていない可能性もあるので「どうしてその当番が必要なのか」理屈で教えるのも、効果があるかもしれません。Dくんの場合、特性や支援の仕方などをまとめた、サポートブックがあれば学童のスタッフも支援しやすかったと思います。情報はあればあるほど助かりますし、サポートブックのようにまとめていればスタッフ間で情報を共有しやすいからです。これから学童を利用する・利用している方には、サポートブックの活用をおすすめしたいです。「困った子は、困っている子」だから…出典 : 正直に言うと、以前の私は、Dくんのことを「困った子だなぁ」と思ってしまうことがありました。ですが、一番困っていて戸惑っていたのはDくんだったんだと今では思います。「困った子は、困っている子」という言葉があります。その子の行動の背景に何があるのか、どう手助けすればその子が楽になるのか、一人ひとりの子どもに対して必要なサポートができれば、きっと学童は障害のあるなしに関わらず、どの子ものびのびと過ごせるインクルーシブな場になるのではないでしょうか。放課後の子どもたちの居場所が、すべての子どもたちに保障されることを祈っています。
2018年04月22日就職活動の落とし穴は、意外なところに…Upload By 荒木まち子Upload By 荒木まち子職場実習で困った、あることとは?高校卒業後、就労を目指していた娘はいくつかの企業の職場実習を受ました。実習では毎日業務終了後に、その日に行った業務について、報告書を書くことになっていたのですが…報告書には、罫線がなかった!Upload By 荒木まち子報告書の本人記入欄には罫線がありませんでした。障害の特性上、娘は罫線がないと字を真っ直ぐに書くことができません。さらに、書いているうちに字が徐々に小さくなったり重なったりしてしまい、自分でも読めないような字になってしまうのです。字を書く前に、まず罫線を引いた娘。でも…Upload By 荒木まち子そこで、娘は字を書く前に報告書に罫線を引くことにしたのですが、定規のメモリを読むことやメモリ打ちも苦手な娘が引く線は、どうしても曲ってしまいます。不器用な娘の救世主となる文房具、見つけた!母子で途方に暮れていたときのこと…テレビ番組で、便利な文房具が紹介されているのを目にしたのです。それは、「おもしろスケール」というものでした。早速使ってみると…母子で感動Upload By 荒木まち子近所の文具屋さんで取り寄せてもらい、使ってみました。「おぉ、(罫線を引く際の)メモリ点を打つための一センチ刻みのメモリ穴がある!」と母子で感動。Upload By 荒木まち子さらに定規にローラーがついているので、手先が不器用な娘でもまっすぐに罫線を引くことができました。これで報告書を書くストレスも軽減です。Upload By 荒木まち子1本線なのか平行線なのかで使い分け1本線を引くだけなら以前コラムにも書いた「ピタッとルーラー」の方がかさばらず便利ですが、平行線を何本も引く場合や、バランス良く字を書くために罫線を書くときには、この「おもしろスケール」が便利だと思います。今や、この文房具は娘の必需品となっています。
2018年04月19日主治医の先生に、特別支援学級進級のための診断書を頼まなきゃ夫婦で悩みながら、なんとか娘の次年度からの進級先を決めた私たち。しかし、まだやることが残っていました。それは、ずっと「通常学級」を勧めてくれていた主治医へ「特別支援学級にする」という報告をすること。そして、特別支援学級に進級するためには、主治医に診断書を書いてもらう必要があります。Upload By SAKURA実は、娘の進級先が決まる前から、7月にWISCという発達の検査を受けることになっていました。今現在の娘の得意不得意を詳しく理解し、家庭・学校での生活や、今後に役立てたいと思い、「1年生になったら・・・」と予約していたのです。7月の検査の日には、主治医の先生に会うことはできませんでしたが、WISC検査の結果が出た8月、先生から直接説明を聞くために病院を受診しました。「これなら通常学級で大丈夫!」検査の結果を見て喜ぶ先生に言いづらい…Upload By SAKURAあんなに通常学級を勧めてくれていた主治医の先生に、「特別支援学級にしました」と言わなければいけません。「通常学級の方がいいって言ったのに」なんて思われるんじゃないか…、ムッとされるんじゃないか…と、私は内心ビクビクしていました。検査の結果、娘のIQは凸凹はあるものの、すべて平均点内で、総合IQは、90。知的障害はありませんでした。主治医の先生は、この検査結果を見て、「項目によって凸凹が多いのは、こういう子たちの特徴だから。 知的障害はないですよ。 前より、実年齢と比べての激しい遅れもなくなっている。言語が苦手なだけで、今から少しずつ成長していくよ。ここまで来れたんだから! 成長のスピードも個性だよね!通常学級で大丈夫ですよ。」といつものようにニコニコ。しかし私は、診断書をもらうため、先生に「娘の特別支援学級行き」を伝えなければなりませんでした。思い切って「特別支援学級への進級」を報告私は、テスト結果の説明を終えた先生に「実は、今の学校に特別支援学級があったことがわかりまして。2年生から特別支援学級に行くことにしました」と事情を説明しました。Upload By SAKURA私は、 今まで学校で起きたことや、 自分の今の思いを、主治医の先生にお話ししました。「きっと今の先生は、お母さんと娘さんには合わなかったんだね。特別支援学級の方が、もしかしたら娘さんにぴったりの先生がいるかもしれないね。特別支援学級に行く…というよりは、特別支援学級と通常学級のいい所取りをしちゃいましょうよ!そう考えると、他の子より手厚いですね!」先生は、ムッとするどころか、私がこの決定に揺るがないよう、後押しする言葉をくれました。Upload By SAKURA「みんなに合う担任なんていない」先生の言葉に救われる1年生時に娘を担任してくれた先生は、低学年担任の経験も多いかなりのベテラン先生。クラスの保護者の方と話をしていても、皆さん今の担任の先生に、かなりの信頼を寄せていることはよくわかりました。「お兄ちゃんが○○先生(娘の担任の先生)に担任してもらったよ。とってもいい先生!だから、この子も見てもらえて嬉しい!」という声を、何人かの同じクラスの保護者の方から聞きました。悪い先生ではない…それはわかっていました。だからこそ、自分が違和感を感じるたび、どこの学校に行ってもある当然の対応のはず…と言い聞かせてきました。そんな私の思いに、主治医の先生は言ってくれたのです。「担任の先生との相性ってのは、すごく大事なんだよ。今の担任の先生がぴったり!って子もいれば、合わないなぁーって子もいる。みんなに合う先生なんていない。娘さんにぴったりで、お母さんの考え方に近い先生に見てもらうのが一番だよ」そして「お母さん、大変だったね~。いっぱい悩んで考えて…よく頑張ったね!」と労いの言葉までかけてくれました。それから先生は「よし!じゃぁ~診断書がいるよね?書くね!」 と、娘が特別支援学級に行けるように、診断書を書いてくれました。いつも精神状態がバラバラで来る私を、ニコニコ迎えてくれ、話をしっかり聞いてくれる主治医の先生には、本当に感謝しています。 困った時に的確なアドバイスをくれ、娘のことばかりか、私の思いまで汲んでくれる主治医の先生との出会いをありがたく感じました。Upload By SAKURA絶対に正しい判断はないから。大切にしたい親としての正直な気持ち娘の進学、進級問題において、当初から医者の意見に従えば間違いないと思っていた私でしたが、実際はそう簡単ではありませんでした。進学先、進級先を決める上で、主治医の先生の判断、アドバイスというものはなくてはならないものです。もちろん、専門の知識を持った先生ですから、その判断は医学的に見れば正しいのでしょう。でも主治医の先生…担任の先生…周りの人…それぞれのアドバイスは、絶対ではありません。そのアドバイスや思いを聞いて、保護者が悩みながらも判断し、決定する…それこそが絶対に大切にすべきことだと今回の娘の進級先を決めた経験から気づきました。主治医の先生であっても、来院した時の様子だけではわからないことがあります。私は今まで、発達外来の検診のたびに、学校での困りごとなどを話してきました。しかし、担任の先生に言われたことを、自分がどう感じているかや、やりにくさを話していませんでした。実際の学校生活の様子、担任の先生や周りの意見ももちろんですが、自分の感じることや不安…を正直に伝えることが大切だと思いました。Upload By SAKURA
2018年04月18日ついつい後回しにしてしまうこと、ありませんか?出典 : やらなければいけないことはわかっているのに、ついつい他のことに手を取られて後回しになってしまうこと、ありませんか?私にとっては「お風呂掃除」がその最たる例でした。やり始めれば15分で終わることなのに「服が濡れるから後にしよう、子どもに呼ばれたから先にそっちを片付けよう…」などと理由をつけ、結局入浴直前になってから、ようやくお風呂を洗う…。そんな自分をそのまま受け入れることができるのなら、それはそれでいいと思います。しかし、私は「どうして15分で済むことがきちんとできないのか?」と自分を責めてしまうのです。そうして翌日からはさっさとやってしまおうと思うのですが、結局、後回しになってしまって後悔を繰り返してはうんざり。なんとかしないといけないなと思っていた時、SNSで「エネルギーがたくさんある午前中にやるべき事をやってしまえばよい」という情報を目にしました。「1日のエネルギー量」という視点を持っていなかった私には、それはとても新鮮なアイデアだったのです。エネルギーの使い方と充電方法を考える出典 : 発達障害の特性からイライラがたまり殻に閉じこもりがちな子ども達にとっても、これは有益な情報です。2人は普通の生活を送るだけで激しく消耗してしまいます。どんな風に自分のエネルギーを配分をしたらいいのかや、自分なりの充電の仕方を把握できたら、もっと過ごしやすくなるはず!そこで、早速子どもたちにこの新しい考え方を伝えることにしました。「今日、すごくいい情報を知ったの!あのね、1日のうちでエネルギーが満タンになっているのっていつだと思う?」(母)「元気がいっぱいあるってこと?」(息子)「やっぱり朝かな?」(娘)「そうだよね!寝た後だから体も元気になってるし、心もリセットされてエネルギーが満ち溢れてる感じがするよね。そのエネルギーがあるうちに、ちょっと頑張らないといけないことをやってしまうと、そんなにしんどくないんだって!」「じゃあ、今『なりたい自分になるために努力する時間』を午前中にしてるのはいいことなんだね?」以前、こちらのコラムに書いたとおり、わが家では午前中を『なりたい自分になるために努力する時間』という位置づけにして、ピアノの練習をしたり勉強をしたりしているのです。「うんうん!そうなのよ!それでね、ママはいつもお風呂掃除を後回しにしちゃう自分が嫌だなぁと思っていたの。これからはエネルギーが満タンになってる午前中に終わらせることに決めたよ。頑張るから応援してね」「じゃあ、その間に私たちは目標に向かってしっかり頑張るよ~!」自分一人だけではなく、家族がそれぞれ努力していることを感じられると、頑張ろう!という気持ちが大きくなるから不思議です。「でもね、そうやって頑張っていくと、どうなると思う?」「う~ん、エネルギーが減ってしんどくなっていく。だって夕方はいつも疲れてイライラするもん」「いいところに気づいたね。エネルギーって勝手に湧いて出てくるものじゃないから、きちんと充電しておかないと動けなくなっちゃうんだよ。車はガソリンが切れたら走れないし、ゲームは電池がなくなったら遊べないし、人間はエネルギーがなくなったら笑えなくなったり、攻撃的になったりしちゃうよね。どうすればいいと思う?」私の問いかけに娘と息子は相談しながら一生懸命考えます。「ちゃんと充電すればいいんでしょ?」「でも人はどうやって充電すればいいの?コンセントついてないよ」「そうじゃなくて、ママに抱っこしてもらったら元気がでるでしょ?そういうこと」「ああ、そういうことね!じゃあ、ママにいっぱい抱っこしてもらう」「私もいっぱい抱っこしてもらう~!!」相談した結果、2人の答えは出たようですが、これにはちょっとした問題点があります。「必要な時はいつでも抱っこしてあげるよ。でもよく考えてみて。それだとママがいない時とかしんどい時に充電できないことになっちゃうよ?」「ええっ!」 「じゃあどうすればいいの?」「あのね。まずエネルギーを満タンにするには、“心と体”2つの充電が必要なの。この2つは、基本的には自分自身で充電する必要があるの。誰かに充電させてもらうっていうことは、その人のエネルギーを分けてもらうってことでしょ?ステキなことだけど、いつもそれだと今度は分けてあげる人がしんどくなっちゃうからね」「そっかぁ、そうなのか」「でも自分でできるかな?」理解はしてくれましたが、少し不安そうな2人。そこで、こんな提案をしてみました。「例えば、お姉ちゃんは本を読むのがすごく好きだよね?本を読んでると疲れる?」「ううん!全然!むしろワクワクして、いつまでも読んでられる!」「ほら、今すごく目がキラキラして楽しそうでしょ?そう思えるものとやっているときに、心は自然に満たされて、それが次に何かをするためのエネルギーになっていくんだよ」「それだったら簡単!僕はフィギュアで遊んだりユーチューブを見たりすればいいんだ!」こうして、わが家では、午前は『なりたい自分になるために努力する時間』、午後は習い事などに取り組み、夕食以降は『心の充電をするために自分で自分を喜ばせてあげる時間』、『次の日の自分のために夜更かしせずにしっかり寝て体を元気にしてげる時間』にあてるという過ごし方を取り入れることになったのです。明日の笑顔を少しでも増やせるように出典 : 午前中は「さあ、頑張るよ!」とお互いに発破をかける分、夜は「さあ、自分で自分を喜ばせてあげようね~!」と、なんだか楽しい言葉が家の中に響くようになりました。これまで、私や娘に依存して過ごしがちだった息子が 「あれをやってみよう」「これで遊ぶことにする」と自分で決めて一人で過ごせる時間が増えてきました。これはとても大きな変化です。おかげで私も月に1本程度ですが、ここ10年ほど遠ざかっていた映画鑑賞ができるようになってきました。午前中にお風呂掃除を終えられる確率もかなり上がってきました。今までは「家事が残っているのに楽しいことをするのは後ろめたい」という考えに縛られていました。ですが、「きちんと自分を喜ばせて充電してあげなければ明日を元気に過ごせない」と考えを改めることで、堂々と充電作業に向かえるようになりました。「自分で自分を満足させる」というのはとても大切なことなのに、日々の忙しさに翻弄されてすっかり忘れてしまっていました。発達障害のある子どもとしっかり向き合って育てていくためには、膨大なエネルギーが必要です。心も体も疲弊している人も多いのではないでしょうか。なかなか難しいかもしれませんが、1日のエネルギーの使い方や充電の仕方を考えてみてください。1日5分だけでも自分自身を満足させてあげることができれば、明日はいつもより1分多く笑顔でいられる時間が増えるかもしれません。私も自分にそう言い聞かせて、今の暮らしの中で自分を喜ばせる方法を模索していきたいと思います。
2018年04月17日息子の子育てに疲れていたときに舞い込んだ「被験者募集」出典 : 今から数年前、私は息子の子育てにとても疲れを感じていました。自閉症スペクトラム障害のある息子は、感情のコントロールが苦手なうえに、カーッとくると自分の気持ちを上手に伝えることができなかったからです。一度スイッチが入って泣きわめき始めると、もう私にはどうすることもできませんでした。何をどうしたら良いのか、あてもなく、ただただ疲れていた私のもとに、ある大学の心理学研究室から「被験者募集」のお知らせが舞い込んだのでした。そのお知らせには、「セカンドステップ」というタイトルが書かれていました。当時の私は、このプログラムについて全く聞いたことがありませんでした。「問題行動のあるお子様とその親御さんが対象」と書いてあったので、「ペアレントトレーニングの一種かな。親の声かけのレクチャーかな?」と思った程度です。何はともあれ、そのときの状況を打開したくて、藁をも掴む気持ちで被験者として息子と一緒に申し込んだのでした。アメリカ発「セカンドステップ」Upload By 林真紀こうして、私と息子は「被験者」として、月に一度のペースで大学の研究室に通うようになりました。通い始めてすぐ、私は「セカンドステップ」がペアレントトレーニングやカウンセリングとは別物であることに気付きました。セカンドステップとは絵、写真、人形劇のパペット、音楽等を使って、子どもにソーシャルスキルを学ばせるプログラムです。レッスンは25回ほどあり、指導者が毎回決まったレッスンを行います。ソーシャルスキルとは、具体的には「怒りへの対処(アンガーマネジメント)」「衝動性のコントロール」「共感」といったものです。息子が受けているセカンドステップの教材は、「相互の理解」「問題の解決」「怒りの扱い」の3つの柱から構成されています。(最新の教材では、「学びのスキル」「共感」「情動の扱い」「問題の解決」となったそうです)息子は現在、10回目のレッスンを終えたところです。レッスンでは、怒った子どもの写真を見せられて、「この子はどんな気持ちかな?」「怒っている」「どうして怒っているって分かる?どこを見ればいいかな」「眉毛が上がって…眉間に皺が寄って、口が下に下がっている」「〇〇君はどんなとき怒った気持ちになるかな?」「お友達にうるさいって言われたとき」「怒ったとき、身体はどんな感じになるかな?」「頭がカーッと痛くなって…手がブルブルして…殴りたいって思う!」というようなやり取りが行われます。このように、写真を分析したり、人形劇等を行うことによって、息子は顔の表情、気持ちがわかるようになり、そのときに自分や他人に起こる変化について、冷静に感じ取ることができるようになります。息子は今は感情について分析するレッスンを受けていますが、この後、「どうすれば怒った気持ちが落ち着くか」ということについてのワークも準備されているようです。セカンドステップは校内暴力が多発した1980年代のアメリカで、こどものための委員会(Committee for Children)が開発した教育プログラムです。この教育プログラムの実践により、問題行動のあった児童の攻撃的な態度がおさまり、人間関係にも改善が見られたと言います。アメリカのセカンドステップは、未就学児向け・小学生低学年向け・高学年向け・中学生向け、及びその保護者向けのプログラムが準備されているそうです。日本の教育機関でも出典 : 日本でもこの教育プログラムの効果に着目し、教材を翻訳し、教育機関に導入したNPO団体があります。「NPO法人 日本こどものための委員会」です。この委員会は、2001年4月に設立され、現在は「セカンドステップ」の普及活動を中心に行っています。本場アメリカでセカンドステップを開発したNPO法人であるCommittee for Childrenから、日本国内で普及活動を行う権利を唯一認められた団体だそうです。法人 日本こどものための委員会現在日本でも、東京都品川区の公立小学校をはじめ、保育園や児童養護施設、児童相談所、少年院でも導入されているそうです。わが家の息子は、月に一度セカンドステップに通うようになって一年になります。プログラムを受け始めてから、自分の感情についてきちんと理解し、大人に助けを求めたり、自分の気持ちを説明することがとても上手になりました。パニックになったり、キレてしまったりするときは、ほとんどが自分にわきおこる「何か(感情)」を理解できていないときです。「あ、僕は今怒っている」「手がブルブルしている。口が渇いている。涙も出てきた。」「こういうときはどうしたらいいんだっけ…?」息子は自分がコントロールを失いかけたとき、こんな風に自分自身と冷静に対話することができるようになったと言います。それは、セカンドステップで学んだことです。「怒っちゃダメ」「キレるのは恥ずかしいことだよ」そんな言葉では、子どもが自分自身をコントロールすることは難しいのかもしれません。自分の気持ちを一歩引いて眺めてみる、あるいは相手の気持ちになって考えてみる、そうすることで、自分の気持ちと上手につき合っていくことができるのかもしれません。息子のセカンドステップのレッスンはまだまだ続きます。今後も、息子の変化に期待です。
2018年04月16日発達障害の特性って?「社交辞令や、本音と建て前について考える」がテーマの当事者会へUpload By かなしろにゃんこ。息子に発達障害があると分かったころの私は、発達障害とはどういうものなのかもよく理解できていませんでした。息子の特性についても、すべてを分かってはいなかったと思います。他の人がどんなことで悩んでいたり困っているのかも知らなかった私にとって、当事者会は障害やその特性についていろいろ学べる場所だったのです。ある当事者会に参加したとき「社交辞令や、本音と建前について考える」というテーマで話し合う日でした。「こんなツライことがあったんです」と報告するムードではなく、どちらかというと失敗から気づいたことを伝え合っていました。そこで教えてもらったことは…社交辞令を、額面通りに受け取ってしまうUpload By かなしろにゃんこ。「いつでも本音で生きていたいから嘘がキライ、だから一般社会で社交辞令を使う意味が理解できない」という人が何人かいました。「社交辞令が分からない場面って?」具体的なエピソードで学べたUpload By かなしろにゃんこ。例えば…・引っ越しの挨拶で「お近くにお寄りの節はぜひ、わが家にお立ち寄りください」と言われれば「近くに行ったときには、訪問した方がいいのではないか?」と考えてしまう。・上司や親戚の家にお邪魔して「ゆっくりしていって」と言われたので、何日も泊めてもらった。「そんなに親しくないのに、なぜ誘ってくるんだだろう?」と考えてしまったり、「言われたようにしないと失礼なのでは?」と考えてしまったりするというのです。それが”定番の挨拶”であると知らないうちは、”額面通り”に受け取ってしまいアレコレ悩んでしまうのだと教えてもらいました。相手が気遣いから嘘を言っても気がつけない。相手の顔色を見て”本当は喜んでいるのか?それとも嫌がっているのか”を読み解くことは一番苦手なことだと言います。だから、「本当のことを言ってくれないと気がつけなくて失敗してしまうんだよね~」と告白すると、周りの人も「あるある、分かるな~」と共感。本音と建て前を使い分けする意味がイマイチ分からないから、「のみに行きましょう!」が定番の別れの挨拶だと知るまでは、誘われても本気かどうか分からない上、苦手な人だと「本当に誘われたらどうしよう…」と悩んでしまったり…。相手の表情から感情を読み取るのが苦手なのは発達障害の特性の中でよく聞いてはいましたが、具体的な場面でどう影響するのかまでは想像できていなかったので、とても勉強になりました。社交ルールは学校では教えてくれないですし、場の空気を読んで「コレはノリで言っているんだな」と判断することは難しいのだと理解できました。そもそも、「心にもないことを言う習慣が分からない」というので、日本人のならでは(?)の習慣を、客観的にとらえることもできました。う~ん…確かに少し面倒くさい習慣だわ(笑)友だちの言葉をうのみに…息子も一緒だった!Upload By かなしろにゃんこ。「そういうことあるある~」と皆さんと笑いながら話していたのですが…んん?待てよ!?うちの子も嘘がキライだし、本音だけで生きている…。その場のノリで出た友だちの調子のよい話を真に受けて、落ち込んだり振り回されてしまったことも一度や二度ではない!「一緒に文化祭の係をやろう」と友だちと話していたのに、結局は自分一人だけが立候補して、落ち込んでいたことも…。わが子にも同じような特性があるんだと改めて気づいたのです。反抗期の息子にはまだ早かった!?「本音と建て前」、バサリと斬られるUpload By かなしろにゃんこ。そこで、もう中学生だし少しずつ社交辞令について教えていこうと思いました。世の中には「本音と建前」というものがあることを、例文を交えて説明したとたん、流石は反抗期!「そんなつまらねー話をしている大人はクソだな!」とバサリ。反抗期の息子にとって”大人は全部敵”ですから、大人のルールも息子にとってはクソです。確かに、のびのび生きていったほうが本当はいい。でも…社会人になってから失敗したり、凹むことが少しでも減るなら、自分は社交辞令を使わなくても知識として持っていてもいいと思います。発達障害がある子は精神年齢が3割幼いとも言うので、息子には高校生になってから改めて話すことにしました。二十歳になった息子、社交辞令が理解できるようにUpload By かなしろにゃんこ。息子が高校生になってから、改めて社交辞令について教えはじめました。友だちの家にお邪魔する予定がある日には、「おいとまする時間が遅くなって、家の人が『ゆっくりしていって。ごはん食べて行きなさい』と言ったら帰る合図だよ」と伝えてから行かせるようにしました。高校生になると「あーそうなの!?そういうもんなんなの、分かった!」と、理解する姿勢を見せてくれ、母は嬉しく感じたものです。ただし!「覚えてたら気をつけるよ!だってオレ忘れっぽいじゃん」。そうだった、息子にはADHDがあるから、興味ないことは忘れちゃうよね…。でも諦めずに伝え続けています。二十歳になる今では、大人の人と趣味の交流会でお付き合いする機会も増え、「自分は社交辞令を使わないけど、そういうものもある程度必要なんだ」ということは分かっているそうです。少しお節介な親ですが、社会に出る日が迫ってきているので、これからもしばらくは機会があるごとに伝えていこうと思っています。
2018年04月15日精神科は行きにくい場所?出典 : 自分や家族が精神的なつらさを感じている、悩みや困りごとをずっと抱えているという方に精神科の受診をすすめると、「病院に行くほどではないから」と断られることがしばしばあります。精神科はもっと深刻な悩みや症状を抱えた人が行く場所ととらえている方や、子供が行く場所ではないのでは…と考えている方も多いのかもしれません。しかし、もしも何らかの病気や障害だった場合、早めに治療を始めれば症状が軽くなったり、対処法を知ることで生きやすくなったりします。自分や家族だけで悩んでいるだけだと、対応策が見つけられないことも多いものです。専門家の診察があってはじめて、状況を理解して良い方向へ進むことができるようになった人もたくさんいます。そこで今回は、どんな病気の人が精神科にかかっているのか、診察はどのように行うのかなどが理解できる本をご紹介します。これらの本を通して、精神科がどんなところかイメージできるようになると、受診しやすくなるかもしれません。「精神科ではどんな病気をみるの?」が分かる本出典 : 冊目にご紹介するのは、精神科医である斎藤環先生・山登敬之先生の共著である『世界一やさしい精神科の本』。「14歳の世渡り術」シリーズとして出版された単行本の文庫版になります。この本は、発達障害やひきこもり、摂食障害、うつ病、統合失調症といった精神科で診療を行うメジャーな病気や障害、症状について解説されたものです。もともと14歳の子どもたちを対象に書かれた本なので、難しい言葉が使われておらず、とても分かりやすい内容になっています。「発達障害って、そもそもどんな特性があるの?」「ADHDやアスペルガー症候群などと言われるけれど、どう違うの?」といった疑問の解決にも役立つ1冊となりそうです。「精神科医は何を考えながら診察をしているのか」が分かる本出典 : 精神科が対象としている病気や障害について理解ができたら、次に読んでみたいのが『精神科医はどのように話を聴くのか』という本です。精神科医である藤本修先生の著書で、「精神科医はどのようなことを考えながら診察をしているのか」について書かれています。精神科医というと、ただ話を聴いて薬を処方する、というイメージを持っている方もいるかもしれません。しかし、その行為の裏にはさまざまな思慮が隠されています。同じ病気であっても、詳しく話を聴かないほうがいい場合もあれば、適切な治療をするためにしっかりと聞いたほうがいい場合もあります。また、病気によっては話を聴き過ぎると逆効果になってしまうこともあり、精神科医は場面ごとに見極めながら対応をしているのです。診察中の医師の考えがわかると、受診したときに何を話せばいいのか、医師がなぜそのような対応をするのかなどが理解しやすくなると思います。そうすると、精神科を受診することへのハードルが低くなるかもしれません。巻末には、藤本先生が提案する「聴き上手になるための10箇条」も掲載されています。子供が悩んでいるときにどう接したら良いのかなど、家族と会話をする上での参考書にもなる1冊です。「精神科って行きにくい…」と感じる人に読んで欲しい本出典 : 最後にご紹介するのは、『ラブという薬』。タレントや作家として活躍するいとうせいこうさんと、精神科医でありながらミュージシャンとしても活動している星野概念さんの対談を本にまとめたものです。帯に書かれている、「つらいことを無理に我慢するのではなく、つらいときはもっと気軽に精神科に行こうよ」というメッセージ。精神科ってすごく困っている状況じゃないと受診してはいけないのでは…と思われがちですが、そんなことはありません。実際にいとうさんは、仕事ができなくなるほど深刻な状態ではなかったけれど、診察を受けるようになって楽になったと本書の中で話しています。風邪をひいたら内科へ行くように、怪我をしたら外科へ行くように、心がつらいときは精神科を頼っていい。そのことが腑に落ちると、我慢しすぎていた「きつい現実」が、誰かを頼ってもいいんだという「少しゆるい現実」に変わっていきます。読み物としても非常に面白いので、精神科の本と難しく捉えずに、ぜひ気軽に読んでいただきたい1冊です。まとめ出典 : 「なんだかつらいけれど、これくらいのことで受診していいの?」「病院に行っても、大したことないって言われたらどうしよう…」そんなふうに悩んでいる方もおられるかもしれません。ですが、悩んでいるうちに問題がより深刻になってしまうことも少なくありません。精神科は、こわいところではありません。もし、受診しようかどうか悩んでいるのであれば、今回ご紹介したような本を少し読んでみてください。精神科を受診するためのハードルが、少し低く感じられるのではないかと思います。
2018年04月14日待ちに待った始業式のはずが…4月です。新年度です。長男も小学3年生の春を迎えました。春休み中、3年生になることへの緊張の気持ちを話すこともあり、毎日のように始業式の日にちを確かめ、「あぁ、この日から学校かぁ…」とドキドキする日々を送っていました。そしてついに春休み最終日の夜。Upload By ラム*カナ「春休み終わりなの!?」と絶叫する長男…。いやいやいやいや、あんだけ確認していたでしょうよ!キミの脳内カレンダーどうなってるの!…と、一応ツッコみ。ま、予想範囲内な反応なんですけどね。自分から始業式準備!「おっ!」と思ったのもつかの間Upload By ラム*カナでもそのあと、そそくさと自ら筆箱の中身を整え始めまして、「おっ!偉い!」なんて思ったら…なんでしょう、この消しゴムの充実感。それに対する鉛筆の不足感。(ちなみに鉛筆は芯が折れています。そしてそもそも短い!)ひとまず、先日無事(?)に新学期を迎え、元気に学校へ行った長男。颯爽と帰ってきましたが、さて、ランドセルの中をチェック。あれあれ…!?始業式の日といえば、いろいろなプリントをもらってくるはずですよね。帰宅後、長男のランドセルをチェックしたらですね…Upload By ラム*カナぜーんぶ忘れてきましたよ!新年度早々、持ち物や時間割が行方不明!という幸先のいいスタートを切りました!あいかわらず絶好調です!!泣ける!!(ありがたいことに、しっかり者のお友達と同じクラスになれたので、その子のママに連絡をして情報を得られましたが、やはり膨大な量の要記入プリントが配られたと聞き倒れそうになりました…)なにはともあれ、楽しい3年生になりますように!
2018年04月13日高校入学前の春休み、リクの様子は…!?高校入学前の春休み。前半は友だちとテーマパークへいったり、東京に遊びに出かけたりしていたリク。そして春休み後半の今…Upload By ひらたともみUpload By ひらたともみ進学予定の高校へ。リクの障害について伝えることにその頃、進学予定の高校から、リクの高次脳機能障害の話を聞きたいと要請があり、私が高校に出向くことになりました。Upload By ひらたともみ事故の説明と現在の様子について一通り説明し、過去にはLD(学習障害)がグレーだったことなども話しました。母の思いを正直に打ち明けると…Upload By ひらたともみUpload By ひらたともみUpload By ひらたともみリクに障害が生じたことで、私の生活は変化しました。くも膜下出血の恐ろしさや二次被害への恐怖、おまけに3つの病院の書類申請や診察予約などで、あっという間に一日が過ぎてしまいます。私立なので出費も多く、仕事も休むわけにはいきません。そんな中、高校の先生の「お互いさま」という言葉に、とても救われました。私は、いつしか、リクの症状を話すたびに、「すみません、ご迷惑おかけします」が癖になり、まるで、リクがなにか悪さをするような、へりくだった態度になっていました。そんな私とは正反対に、リクは高校生活をとても楽しみにしています。先生に「お互いさまですよ」と言われたことで、私もハッ!となり、リクの障害に萎縮しないようにしよう!と心に決めました。テストはさておき、新生活を楽しんでほしいなぁ~!
2018年04月12日長時間のゲームで、子どもの体や成績に影響が…?出典 : 私は昔からデジタルゲームが大好きで、義務教育の期間は暇な時間はほぼずっとやっていました。それだけ魅力があるデジタルゲームですが、一般的にはあまりいいイメージを持たれていません。・目が悪くなる・攻撃的になる・勉強をやらなくなる etc...悪いイメージを挙げていくとキリがありません。長時間ゲームをやることにはさまざまな悪影響があると言われてもいるようです。デジタルゲームが大好きなお子さんを持つ方の中にも、長時間のゲームによる悪影響が心配だったり、勉強をしないために成績が芳しくないなど、対応に困っている方もいらっしゃると思います。デジタルゲームには「いい影響」もある出典 : 子どものころの私にも、長時間ゲームをやることでの悪影響があったと思います。しかし、デジタルゲームをやっていたからこそ身についた能力もいくつかあり、現在の仕事で役に立っているものもあります。次に、私が感じているデジタルゲームが持ついい影響について書いてみようと思います。もちろん科学的根拠があるわけではないので、そこはご了承のうえ参考にしてみてください。決められたルールの中での問題解決能力が抜群に出典 : 子どものころからゲームをやっていたという周りの人たちを見ると、ある程度ルールが明確になっている状態での問題解決能力がずば抜けている印象があります。例えば、システム開発で問題が発生したとき、問題が発生した状況が分かればすぐに原因と対応策を考えることができる人が多いです。私自身プログラミングをしていて、つくったプログラムが想定しない動きをすることがよくあります。そういうとき、私はそのプログラムが何をできて何ができないのか分かっているため、頭の中でプログラムを実行して問題個所と原因究明を行い、すぐに修正対応を行うことができます。これは世の中のプログラマと比較しても私が飛びぬけて得意な分野だと考えています。出典 : 最近は自由度が高いデジタルゲームが増えていますが、それでも多くのゲームではやれることに限界があります。プレイヤーはその限界の中で目的を達成するための方法を考えます。そして実際に試してみて、うまくいかなければ別の方法を試していきます。つまり、制約の中で最善を尽くすためにトライアンドエラーを繰り返すわけです。このトライアンドエラーはプログラムが想定しない動きをしたときの私の対応ととても良く似ています。「プログラムがやれることの限界を考慮したうえでなぜこのような動きになったのかを考え、その考えが正しいかどうかを検証する。うまくいかなければ別の方法を試す」。どちらも表面上やっていることはまったく違うように見えますが、ある程度定められたルールの中で目的を達成するために試行錯誤するという点は共通しています。デジタルゲームが好きな人はこのトライアンドエラーが苦にならないのだと思います。この能力をひたすら鍛え続けることになり、それが問題解決能力の向上に役に立っているのだと思います。出典 : しかし実社会では明確になっているルールはほとんどありません。私が社会人になった時に感じたように、いたるところにさまざまな暗黙のルールがあります。ルールが分かっていればどうすればいいのか考えることができるのに、肝心のルールが分からないのでどうすればいいのか分からない。20代前半の私はよくそんなことを考えていました。また、ゲーム好きだという、経験が浅いプログラマをフォローしたときに印象的なことがありました。最初は問題が起きても途方に暮れてしまい、どこから手を付けてよいのか分からない様子だったのが、私が質問しながらプログラムができること・できないことをまとめていくと「あっ!」と言って自分で問題を修正できるということがよくありました。つまり、「何を解決すればよいのかを見つける」ことができれば力を発揮できるのに、ルールが分からないために十分な力を発揮できず途方に暮れてしまうのです。問題の周辺にあるルールを探す能力は、発達障害があってもなくても身につけることが難しい能力だと思っています。そもそもルールを探す必要があることにすら気づかない人もいるでしょう。しかしこの能力を身につけることができれば、デジタルゲーム好きの人が持っている問題解決能力と合わさって、強力な武器になると私は考えています。ルールを設定するときのコツとは?出典 : 私のようにASDの傾向がある人にとっては、日常生活でルールを見つけることは困難です。そこで、私がルールを探しているときに気をつけていることを紹介します。一番大事なことは、ルールがまったく分からない状態にいる場合、間違っているかもしれないけれども「自分なりに適当なルールを設定する」ことです。次に大事なことは、ルールに従って行動してみた結果を判断し「勇気をもって最初に設定したルールをどんどん修正していく」ことです。ルールを探すと言いながら自分で設定するなんてどういうことなの?と思われるかもしれません。しかし、まったく何も分からない状況では、頭の中が真っ白になってしまい「何をやっていいのか、何をやってはいけないのか」が分からなくなってしまうと思います。「自分なりのルールの中で試行錯誤し、結果を見ながらルールを修正していく」経験を重ねることで、適切なルールを設定することができるようになっていきます。出典 : 自分だけで考えていてもうまくいかないことが多いので、できれば疑問に思ったことを素直に周りの人に聞いてみることが大切です。しかし社会人になると素直に聞くことが難しくなってくると思います。そこで、自分が行動した結果どうなるかを周りの人の反応を見て判断できるように訓練しておくと、問題解決のためのルールの設定ができるようになるだけでなく、格段に生きやすくなります。ASD傾向がある方には難しい訓練だと思いますし、思春期を過ぎてからようやく訓練し始めたASDの私もいまだに試行錯誤しているところです。私は聞けるときは直接どうだったか聞いてみたり、小説やアニメ、映画やゲームシナリオから、人はどういうときにどんな顔をしてどう思うものなのかを想像したり観たりすることで訓練してきました。相手の反応を見て行動の結果を判断できるようになると、それまでより格段に生きやすくなります。少なくとも私はその実感があります。デジタルゲームは居場所。生きていくためのスキルにつながることも出典 : デジタルゲームは、学校でも家でも居場所がないと思っていた子どものころの私が、唯一心の底から楽しめたものでした。体に悪いとか、目が悪くなるとか、ゲームにのめりこみすぎてはいけないことは、子どもながらにある程度分かってはいましたが、ゲームを完全に取り上げられたら生きる気力がなくなっていたと思います。そのような子は私だけではないと思います。さすがに1日8時間や10時間もやっていたら他のことができなくなってしまうので、周囲の方がゲームをやる時間を減らすよう働きかける必要はあると思います。しかし、ゲームにしか居場所がない、デジタルゲームでしか素の自分を出せない追い詰められた子どももいます。その子たちに素の自分を出せる場所を残しておいていただきたいと強く思います。デジタルゲームに夢中になった経験は、さまざまな形で生きていくための糧になっていきます。他のスキルと合わさることで強力な武器に変身するかもしれませんし、ゲームの中に出てくるものに興味を持つことがきっかけで生涯にわたってやりたいことが見つかるかもしれません。周りの方は心配することも多いかもしれませんが、子どもが好きなのであれば、デジタルゲームを完全には禁止しないでいただきたいと私は思っています。
2018年04月10日細川珠生のここなら分かる政治のコト
私の愛すべき家族
育児に遅れと混乱が生じてる !!