「発達障害」について知りたいことや今話題の「発達障害」についての記事をチェック! (68/98)
突然訴え始めた、ある異変とは…無事高校受験を終えたLD息子のリク。進学高校も決まり、一息ついたころ、リクはある異変を頻繁に訴えるようになりました…。Upload By ひらたともみUpload By ひらたともみそれは頭痛。風邪のような症状もなく、静かに横になっていると治まっていくという、なんとも「怠け病」にも似た頭痛ですが、なにせ「高次能機能障害」を抱えた身でもあるため、病院でみてもらうことにしました。くも膜下出血の後遺症は、高次脳機能障害だけではなかった!?Upload By ひらたともみUpload By ひらたともみ検査の結果、「脳脊髄液減少症」という病気ではありませんでしたが、頻繁に起こる激しい頭痛の正体が、くも膜下出血で転倒した際の脳震盪による後遺症だったとは!しかも、この症状は、珍しいものではなく、数カ月から1年以上続く人もいるそうです。「脳脊髄液減少症」ではなかったけれど…Upload By ひらたともみ脳がデリケートだということは、なんとなく知ってはいましたが、そこにダメージが加わると、こんなにも症状がでるのか!と思うほど。私とリクにざまざまな難題を与えてくれます…。中学校にも理解をお願いし、コマメな連絡に助けられてはいるものの、眠り続けるリクが心配すぎて、後遺症についてPCで検索する手が止まらなくなったり、今までは見向きもしなかった脳機能の専門書を取り寄せたり。いつまでたっても不安と恐怖から解放されずにいます。ですが、私も母親の端くれたる身!そのうち心臓に毛が生えて、大きな海原に舟を出す覚悟と根性が備わるはずだと思うのですが…。まだまだ凹んでしまうことも多いけれど、リクのあっけらかんとした表情に、日々励まされています。
2018年02月27日次男が大熱!全く兆候に気づかなかったけれど冬休みが終わったばかりの頃、学校から帰ってきた次男(定型発達)がランドセルを玄関に投げてそのまま仰向けに倒れこみました。真っ赤な顔をしているので驚いて額に手を当てるとすごい熱!「なんで先生に言って早退しなかったの!」と聞くと「我慢しちゃった…」とのこと。すぐ病院に連れて行くと、インフルエンザではなかったものの気管支が炎症を起こしており翌日にも熱はひかず学校を休みました。Upload By シュウママ幸い大事には至りませんでしたが…朝はいつもと変わらず元気だったのにどうしたんだろう。私は次男の様子から、その後体調が崩れるなんて、思ってもいませんでした。自閉症の長男の場合。体調が悪くなる前に教えてくれる、ある「におい」それから2週間後のことです。朝、長男を起こそうとしたとき、いつもと違う、ふっと何か匂う感じがしました。うまく伝えられないのですが、いつもの長男の体臭とは違う、汗のようなカビのような不思議な匂いです。Upload By シュウママとっさに「これ、熱が出る前兆かも!」と思いました。長男は体調を崩す前、いつも体臭が変わるのです。注意して見ていると、朝ごはんはよく食べるものの、いつもより食べるスピードが遅い。鼻水も咳も熱もないけど、いつもより目に力がない。普段とどこか様子が違っていました。Upload By シュウママ念のため学校を休ませると、やはり夕方から急に熱が上がり始め翌朝まで下がりませんでした。こちらも病院に連れていくと、風邪という診断でほっとしたのですが…ふと思ったんです。そういえば…どうして私は次男の体調には気付かなかったのに長男の異変だけ察知することができるのだろうかと。なぜ長男の異変だけには気付くのか。それはある習慣があったから思い当たったのは一つの小さな習慣でした。長男が夜寝る前と朝起きた時、私はいつも必ずぎゅっと抱っこしてくんくんとにおいを嗅いでいました。Upload By シュウママ双子の息子たちは9歳です。普通嗅ぎませんよね。でもなぜそれをするのかというと、長男が7歳まで言葉を話せなかったということが大きな理由です。話せないなら私が感じ取るしかない。実際毎日抱っこしているといつもと違うときに気が付くことがあります。あれ、何か不純物の匂いがするなあって(笑)言葉で説明できないから、無意識に五感を駆使できるようになったのかも定型発達の次男は、体の調子の悪さを言葉に出して訴えることができます。けれど自閉症の長男は違います。最近ではパパ、ママ、電車など見たものをそのまま伝えることはできるようになっていますが、それでもまだ暑いとか寒いとか、お腹が痛い頭が痛いといった、感覚的なものを伝えることは、まだ難しい。Upload By シュウママそのため私は体調の良し悪しを、長男の表情や仕草、顔色、果ては匂い…ほんの小さな「いつもと違う」異変から推し量るしか術がなかったのです。たぶん、無意識に五感全部を使って子どもを守ろうとする本能が働いていたのかもしれません。発達障害のある子どもを育てることは大変なこともあります。けれど子どものほんのわずかの変化に誰よりも敏感に気付くことができるようになっている、と感じる瞬間があるかもしれません。それは、親子の毎日の小さな積み重ねにも気付かせてくれました。そしてそれは、子どもにとってお母さんが一番安心して身を委ねられる場所である証なのかもしれない。そんな風に感じるのです。
2018年02月26日発達障害に気づいていなかった子どもの頃の私。小学校時代に感じていたつらさとは?出典 : 私は大人になってから発達障害であると診断されました。子ども時代は、困難さを感じても理由が分からず、不登校にもなったりしながらなんとか生活している状態でした。前回の「感覚過敏の子ども時代を振り返って。あの頃こんな気持ちだった!大人にこうして欲しかった!【日常生活編】」では、子ども時代に、日常生活で感じていた困難などをご紹介しました。今回は【学校生活編】として、特に小学校生活を送るうえで感じていたこと・考えていたことをご紹介していきます。「声が大きすぎる」子どもだった出典 : 子どものころ、よく同級生から「声が大きい」と言われていました。休み時間に同級生と話すとき、他の子にとってはうるさいと感じる声量で話していたようです。私は、周りがうるさいと他の人の声が聞こえません。当然、相手も聞こえにくいだろうと思って、大きな声で話していたのです。自分としてはちょうどいいと思っていた声量が大きすぎると言われて、少なからずショックを受けました。何回も声が大きいと言われていたので、私に声が大きいと言ってきた子に「自分はこのくらいの声量でないと聞こえないと思っていた」と正直に自分の気持ちを伝え、「どのくらいの声量で話せばいいのか」を教えてもらうことにしました。そこで、適切な声量を調べるために、発声練習をすることにしました。最初は今まで通り声を出し、それから少しずつ小さくしていきます。相手にも話している内容が聞こえ、かつ大きすぎない声量を確認しました。ちょうどいいと言われた声量は自分には聞こえづらいものでしたが、相手にはちゃんと聞こえているというのが、とても不思議だったことを覚えています。家に帰ってからも親を相手にちょうどいい声量で話す練習をしていました。今でも、このとき身につけた声量で話すよう心がけています。「待つこと」「じっとしている時間」が苦手な子どもだった出典 : 全校集会などの待ち時間がとても苦手でした。10秒くらいはじっとしていることができるのですが、それ以降は指を絡ませて遊んだり、身体を触っていないと落ち着きません。じっとしていられないという感覚は言葉ではうまく言い表せませんが、五感に刺激がない状態が続くと衝動的に何か感覚を求めてしまいたくなってしまいます。五感に刺激を得るために何かを触ったり、しゃべったりしてしまうのだと思います。席を立ったり歩き回ったりはしなかったので表向き問題はなかったと思っていますが、じっとできなくなってしまうときの何とも言えない感覚があまり好きではなかったので、自分なりに何とかしたいなぁと感じていました。子どものころの私は、ひとつの解決法をみつけました。いつも何かをしていれば落ち着くのだから「やることがないときには、何かを想像したり、考えたり」することにしたのです。例えば、「今日の晩ごはんは何かな?」と想像したり、ゲームの攻略法を考えたりしてみました。歳をとるごとに考える内容は変わっていきました。目についた数字を四則演算して10にする方法を考えたり、哲学的なことを考えてみたり…。こうして培われた「じっくり考えるクセ」は、考えることが重要なプログラマーという仕事をしている私の、強力な武器になっています。中学校にあがってからは常に文庫本を持ち歩くようにし、やることがなくなったらすぐ本を読むようにしていました。この習慣は今も続いていて、成人してからも常に技術書やKindleを持ち歩いています。おかげで、特に意識しなくても新しい技術や知識を覚えることがまったく苦ではありません。じっとしているかわりにやることを決めておくと、じっとしている時間に対する苦手意識が薄くなり、少し生きやすくなるように思います。もちろん、私のやり方以外にもさまざまな方法があると思います。それぞれに合った方法を見つけておくとよいと思います。「漢字は読めても、書けない」理由出典 : 私は物心つくころから兄や両親に絵本を読み聞かせてもらっていたこともあってか、漢字の読みに困ったことはありませんでした。しかし、漢字を書くのがとても苦手でした。国語のテストでも読みはほとんど間違えたことがなかったのですが、書き取りのテストは毎回ボロボロでした。まったく分からないわけではないのに、書き取りだけできないというのがとても悔しかったです。おそらく私は漢字全体の形や前後の言葉とのつながりで読み方を覚えていたのだと思います。なので学校の宿題などで何回も漢字を書く練習をしても書けるようにはなりませんでした。自分が好きでも興味もないことを何回も繰り返さなければいけないうえ、全然できるようにならなかったので、余計に書き取りに苦手意識を持っていきました。このころのトラウマか、何回も書くという勉強方法は今でも嫌いです。漢字には部首などのよく使われるパーツがあります。私は漢字そのものだけではなく、それらのパーツを覚えることにしました。この漢字はどの位置にどのパーツがある というような覚え方です。例えば「解」という字は「角」「刀」「牛」というパーツが組み合わさってできています。「解」は左に「角」右上に「刀」で右下に「牛」というように覚えていきます。とはいえそれでもある程度書けるようになったくらいで、書き取りが苦手なのは、大人になった今でも変わりません。しかし社会生活をするうえでそれほど不便を感じたことはありません。読むことはできるのでパソコンなどで入力する際には困りませんし、いざ書くときにもどんな漢字だったか思い出せないときにはスマホなどを見ながら書くことができるからです。漢字が書けずからかわれることはありますが、それ以外に不便を感じることはありません。最近では書き取りが苦手なことをあまり意識することもなくなりました。「字が汚い」。練習すればするほど書くことが苦痛に出典 : 漢字の書き取りが苦手なところにも影響しているかもしれませんが、私は子どものころから字がとても汚いです。どのくらい汚いかというと、自分で書いた字を読めないことがあるくらいです。子どものころは「大きくなれば綺麗になっていくよ」なんて言われていましたが、結局この歳になってもほとんど上手にはなりませんでした。参考までに最近書いたメモをご紹介します。Upload By 凸庵(とつあん)子どもなりにも、自分の字が汚いことは自覚していたので、丁寧に書く練習をしたこともありました。しかしそもそも線をまっすぐ引けないので、丁寧に書いたつもりでもいつもとほとんど変わらない字になってしまい、がっかりするだけでした。周りの子たちはどんどん字がうまくなっていくのに自分だけ取り残された気持ちになっていました。少しずつ字を書くのが上達していったのか、中学校を卒業するころには、ようやく他の人も読める字になってきました。高専に進学してからは、字の汚さについて悩んだことはありません。むしろすぐに自分の字だとわかるので独特の味があるなぁなんて感じるようにもなってきました。社会人になっても、字を書く機会があまりないので、困ったことはあまりありません。しいて言うなら冠婚葬祭のときに名前を書くときくらいでしょうか。そういう場面では他の人と比べて明らかに字が下手なので、少し恥ずかしい気持ちになることもありますが…。他の人も読める程度に字が書ければ、それ以上は無理してうまくなる必要はないと私は思っています。もちろんきれいに書けることは素晴らしいことですが、いくら練習しても上達が見えない場合は、練習を続けることで字を書くことそのものが嫌いになってしまうかもしれません。生きていくうえで不便を感じないのであれば、きれいに書くことをあきらめてもよいのではないかと私は思います。そのかわりに得意なことや好きなことに時間を使うほうがずっと有意義で、成人してからも役に立つ経験になると思います。算数は好きなのに「ケアレスミスする」「暗算が苦手」出典 : 小学校のころは、算数の計算問題で解き方が分からず苦しんだことはありませんでした。私の得意分野だったのかもしれません。しかしどこかで計算ミスをして、答えを間違えてしまうことはたくさんありました。通信簿でも何年か連続で「計算ミスが多い」なんて書かれていました。暗算が苦手だったこともよくなかったのかもしれません。計算をしていく際に出てきた数字を覚えておくことができず、次の計算をしているうちに前の計算で算出した数字を忘れてしまいます。大人になった今でも2桁以上の四則演算をする際には時間がかかってしまいます。解き方はわかっているのになかなか満点が取れず、子どものころの私は非常に悔しい思いをしていました。解き方は分かっているので、テストの時間には余裕がありました。そこで、計算ミスを減らすために、算数のテストを全問解き終えたら確かめ算としてもう1回以上、最初から全問解き直すようにしていました。同じ計算をなぞっても意味がないので、初めて解くように計算をし直していました。それでも完全には計算ミスはなくなりませんでしたが、少しずつ減るようにはなっていきました。今でもケアレスミスは多いと言われますが、2回以上チェックすることで根本的なミスは減ってきていると思います。職場では周りの他の人にダブルチェックをお願いしたり、他の人の作業のダブルチェックを行ったりすることで職場全体でのミスを減らすよう心がけています。苦手を補う工夫が、いつか武器になる出典 : 子どものころから、学校生活を送るうえで感じる困難や、苦手な部分について、何とかするためにいろいろ工夫してきました。そうして身につけたさまざまなスキルは、大人になった今も、苦手な部分を補ってくれたり、ときには強力な武器になったりもしています。苦手を補うために必要に迫られて身につけたことが、「武器になる」という感覚はとても面白いと感じています。できないことや苦手なことに目を向けると、未来が暗く見えるかもしれません。でも、完全には克服できなくても、うまく回避する方法を身につけることができれば、ラクに生きていくことができるようになると体感しています。そしてときには、身につけた回避方法が、将来、強力な武器になることもあるかもしれません。
2018年02月25日支援の本質ってなんだろう?出典 : こんにちは。『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母のどんな子もぐんぐん伸びる120の子育て法』著者・楽々かあさんこと、大場美鈴です。今日現在、「発達障害」などの言葉の認知度が上がり、通級指導教室や特別支援学級を希望する児童・生徒が急増し、学校現場がそれに追いつけない現状があると聞き及んでいます。そのため、支援級・通常学級の先生方への、発達障害に対する充分な理解と実践ノウハウの普及、教育現場への予算と人材の確保は、早急な対応が求められていると思います。また、2019年からは、教員の養成課程でも特別支援教育に関する単位を1単位以上取得することが義務となるなど、充分ではないながらも、制度上前進している部分もあります。しかし、これらは切実に必要なことですが、発達障害はあくまでその子の個性の「一部」であり、また、ASDとADHDとLDが複合している場合など、タイプ別のマニュアル対応だけでは難しいかもしれません。それから、通常級で「みんなと違う」特別扱いを気にする・されるなど、気持ちの問題もあります。そして、発達障害のある子だけへの対応では解決が難しい、いわゆる「フツーの子」達が抱える根深くて深刻な問題もあり、実際の教育現場の実情に合った経験則や実践知も必要なのです。その中で、うちではこれまで毎年学校の先生方と連携しながら、長男への配慮をお願いし、これまでの6年間を手探り状態で歩んできました。ただ、そんな長男が6年間で1度だけ、「支援要らず」だった学年があります。それは、A先生が担任だった、通常学級の2年生のとき。A先生の「通常運転」だけで、長男は1年間落ち着いて過ごせたのです。私も、特別な配慮をお願いしたり、面談の機会を作っていただくこともなく、連絡帳のやりとりも最小限で済み、安心してお任せすることができました。今、変わりつつある公教育を前に、私は時々、そんなA先生を思い出しては「支援の本質」について、考えさせられるのです。A先生が、毎日当たり前のように、どんな子にも自然に行っていたスゴ腕の職人技を、私はここでみなさんにお伝えしたいと思います。「A先生が怖くて学校行けない!」息子を前に先生が取った行動は…出典 : 年生に進級し、担任の先生と初顔合わせの始業式の日。長男が泣きながら帰るなり「A先生が怖い!おれ、もう学校行けない!」なんて言うので、「どんなヒドイ先生に当たったの!?」と、私は内心焦りました。実は、幼稚園児時代から小1まで、長男はずっと優しくて若い女性の担任ばかり。「先生=優しい女の人」という強い思い込みがあり、そこに人生初の男性の先生。しかもA先生は、超ベテランのご年配で、お坊さんのようによく通る声に、日焼けしてシワの刻み込まれた貫禄十分なお顔立ち。その第一印象にびっくり仰天した長男は、「いつもと違う見慣れぬモノ」に、パニックになってしまったのです。翌朝、子羊のように震えて「ムリ!怖い!」と座り込んで、玄関から一歩も動けず、欠席してしまった長男。私は学校に電話して、A先生に状況をそのまま正直に伝えました。すると、A先生は慌てる様子もなく「分かりました」と、短いやり取りだけで電話を切ったのです。この対応には私も少々不安になりました。ところが、その日の夜。玄関のチャイムが鳴るので出てみると、なんとA先生がにこやかに立っているのです。そして先生は「◯太郎君と、ちょっとだけお話させて下さい」と私に告げました。それから、長男と先生は玄関先で10分程度雑談をしました。この短時間の間でA先生は、長男の緊張と警戒心を魔法のように解いてくれたのです。長男の笑い声が聞こえて来た頃、A先生は「じゃあ、明日待ってるよ」と軽く長男の肩をポンと叩き、また親の私を責めるような様子もなく、「遅くにすみませんでした」と、ニコリと笑ってさっと帰っていきました。後から「A先生と何話してたの?」と聞くと、「うーん、別に。家で何するのが好きかとか、そんなこと。…あとね、A先生も子どもの頃、学校が怖くて、イヤだったんだって!」と、ちょっと嬉しそうに話す長男。A先生は、短い雑談の中で、長男の気持ちにしっかり寄り添って下さったのです。「学校に来なさい」と強制したり、長々とお説教することもなく、今の「学校が怖い、好きじゃない」という長男の気持ちを、否定せずにそのまま受け止めてくれました。それが、頑なだった長男の心の扉を、ほんの少し開いてくれたようでした。長男は「いやあ、A先生があんなに面白い人だったなんて…」と、見た目の印象だけで決めつけてしまったことを、少し恥じらっているようでした。翌日、長男は無事登校することができました。それからの1年間、支援要らずで、落ち着いて過ごすことができたその後すぐ、私はA先生に、長男には(当時の基準で)アスペルガー症候群の診断があることを伝えましたが、A先生は「そうですか。まあボチボチやっていきますワ」とだけ言うだけ。特に特別支援について詳しい様子もなく、最初のうちは正直不安でした。ところが私の不安をよそに、最終的には何事もなく1年間無事に終えることができたのです。ここで、長男に特に良かったと思われる、教師生活推定約35年・A先生の「スゴ技」を、私なりに分析しながら、紹介させて頂きますね(A先生の方法が全てのお子さんに合っている訳ではないでしょうが、ご一考の価値はあると思います)。出典 : あまりに当たり前のようで、見落としがちなことかもしれませんが、A先生は、・大きめの落ち着いた声で、分かりやすい言葉で、ゆっくりひとつひとつ話す…ことを、毎日ごく自然にしていました。たったこれだけで、「人の話を聞かない」などと注意されがちな長男も、ずっと聞き取りやすくなります。長男は、早口で高いトーンの声や、矢継ぎ早に次々指示を出されると、それだけで「聞こえなく」なってしまうのです。実は、その年の担任の先生の「声の聞き取りやすさ」次第で長男の成績も上下する程です。また、A先生は「声のトーンと表情の使い分け」も上手でした。長男は気持ちの切り替えや、人の表情から微妙な感情を正確に読み取ることが苦手なため、悪気はなくても、つい調子に乗ってハメを外してしまったり、夢中になると周りの状況に気づかずに、集団の中で目立つ行動を取って、何かと注意されがちに…。ところがA先生は、普段は目尻を下げて穏やかに接していましたが、長男が行き過ぎた行動を取ると、いかめしい表情と低く険しい声で、短い言葉でビシッと注意し、キッチリブレーキをかけるので、長男もハッと気づきやすいのです。また、クラスのどのお子さんにも、A先生はこのように接していたので、長男だけが何度も注意されて目立ってしまうこともありませんでした。出典 : 私が特に「神業だ!」と感動したA先生の行動は…・毎日、同じ時間・同じタイミングで行動する…ということ。A先生は、毎日キッカリ同じ時間に教室に入り、全く同じタイミングで子ども達から提出物と連絡帳を集めます。学校という場所は、感覚が敏感な子には、情報量が多過ぎて混沌としているように思えたり、「いつもと違うこと」が苦手な子は、毎日の天候の変化や様々な行事、クラスの子達の動きなど、予測できないことに不安や負担を感じやすいようです。そんな中、毎日同じことを同じ時間にする、A先生の安定した行動パターンは、長男に大きな安心感を与えてくれたようです。また、毎日同じタイミングで連絡帳を集めると、それが習慣として定着しやすく、うっかり忘れの多い長男でも、提出物を出し忘れることは、ほとんどありませんでした。また、A先生は感情も大変安定している方でした。少々元気のよい子どもたちをA先生が一喝する場面も見かけましたが、そこに先生自身の感情が巻き込まれることはありませんでした。子どもひとりひとりと先生が、日頃から信頼関係で結ばれているからこそ、時に厳しい態度でも、素直に受け容れられていたように思います。そして、子ども達が良くない行動をやめたら、何事もなかったように、いつもの「通常運転モード」に戻るのです。これらの安定した行動パターンは、実際にやってみると簡単にできることではなく、もはや「芸術」の域なのかもしれません。出典 : 先生は授業中、時折脱線しては、いろんな話を子ども達に披露して下さったようです。ユーモラスなA先生自身の経験談や身近な例え話は、なかなか教科書中心の授業では集中力が続かない長男も、興味を持ちやすかったようです。「A先生、釣りが好きなんだって。おれもやってみたい」なんて、言い出したこともありました。また、書字にやや困難さがあった長男が、大の苦手の漢字書き取りの宿題も、A先生は、いい意味でテキトーに、ぐるぐるっと大きなマルをつけるだけの大らかな添削で、細かなミスや字形の悪さには、片目をつぶってくれました。おかげで、一生懸命がんばっても字が上手に書けない長男にも、さほどプレッシャーにならず、毎日泣かずに宿題に取り組めるようになりました。そして、最初のうちは、A先生は長男を大きな声で注意せずにいてくれましたが、クラスに慣れてからは、長男だけを特別扱いすることはありませんでした。他のお子さん達と同じように、廊下を走れば「コラー!!」と、雷を落とされていたようです。でも、学年末の面談のときにA先生は「最近は、怒られてもケロリとしていて、また男の子達と校庭へ走っていっちゃうんですよ」なんて目を細めながら、どことなく嬉しそうに語って下さいました。このA先生のクラスでは、長男は「落ち着きのない問題児」ではなく、「ただの健全で元気な男の子」でいられたのです。出典 : そして、A先生は長男だけでなく、クラスのどんなお子さんにも同じように、大らかで肯定的な温かい目線で接していました。おかげで、どの子も素直にのびのびと過ごし、その年には集団から孤立しがちな長男にも、仲良しの友だちができたのです。実は、発達障害の診断のある・なしに関わらず、学校生活を送る上で障害となることがあれば、通常学級でも合理的配慮をお願いするのは、法的な根拠もあり、本来、堂々と主張して良いことなのです。ですが、現在日本では、発達障害への社会的な理解や支援体制が、まだまだ十分とまでは言えないようで、特に、通常学級の中で配慮をお願いすると、他のお子さん達から「◯◯君だけズルイ」などと思われてしまう場合もあるようです。いわゆる「フツーの子」であっても、子どもはみんな発達の途上にあることに、変わりないのでしょう。私は、障害のある子・方への配慮が当たり前の風景となる社会を望んでいますが、一方でそれぞれが必要とすることは違っても、どんな子も、大人から大事に特別に扱って欲しいと願う気持ちは、同じなのだと思います。支援の本質とは、ひとりひとりの個性や気持ちに寄り添い、信頼関係を築いて、子どもたち全てを肯定的な温かい目で、大らかに成長を見守ってあげること。本当の意味でのインクルーシブ教育とは、どんな子も特別で、どんな個性でも大事にしてあげること。…なんじゃないかな、なんて、A先生を思い出しては、私はいつも思うのです。変わりつつある教育の中で…出典 : そんなA先生は、長男のクラスを担任して下さった翌年、定年退職されました。今頃、毎日大好きな釣りを楽しまれていることでしょう。でも、ひょっとしたら、お父さんお母さんの懐かしい思い出の中にも、こんな先生に心当たりがあるかもしれませんね。こういった経験豊富な先生方は、それぞれ性格や教え方の違いはあっても、総じて大らかで、感情が安定している方が多いように思えます(勿論、ベテランだからといって、必ずしもうまくいく訳ではありませんし、お子さんとの相性もあるでしょう)。一方で、残念ながらこんな達人の先生方は、毎年、A先生のように、次々と定年退職されていく現実があります。日本の他の伝統産業と同じように、教育現場でも深刻な後継者不足・人手不足の問題が、今まさに現実になっているのを痛感する日々です。もちろん、若い先生の中にも、柔軟に新しい方法を取り入れて下さったり、発達障害について熱心に勉強して下さる方がいます。日本の教育は現在、過渡期にある特別支援教育だけでなく、いじめや不登校、親の経済力による教育格差、そして先生方の過剰な雑務や長時間労働の問題など、課題が山積みである以上、やはり大きく変わっていく必要があると私も思います。でも、そんな中で、日本の伝統的な教育制度の中で長く培われた、こんなに素晴らしい職人技と、どんな子も大らかに見守る温かい目線が、熱意溢れる若い世代の先生方にも、途絶えることなく受け継がれていくことを、私は切実に願ってやみません。
2018年02月24日Upload By ラム*カナこんな具合に、毎日のように書き間違いが発生し、ていうかコレ書き間違いなのか?というレベルにまで達している長男。もはや楽しみとなり、書き間違い発見がライフワークになりつつある私です。文字を書くことが苦手な長男にとって、文字に触れまくる「書写」の授業はきっと苦痛でしかないんだろうなぁと思っていたんです。しかしある日、こんなことを言ってきました。Upload By ラム*カナ意外や意外!「書写」の授業が好きになっちゃった宣言!一体どういうことかと思いきや…Upload By ラム*カナ
2018年02月23日「コミュ力UP」ワークショップで、会話のコツをGET息子リュウ太のコミュ力のなさに悩んだ私は、とあるワークショップに参加しました。それは、発達障害がある人のための自助会が主催する、コミュニケーション向上のためのワークショップでした。この会に参加して、コミュニケーションにはルールやマナーがあることを知ることができたのです。絶賛反抗期の息子は、人の話を聞かない…どうやったら伝わるの?Upload By かなしろにゃんこ。これまでは、会話にそんな気を使ってこなかった私。雑談でも、相手を思いやったり場の空気を悪くしないで盛り上げるテクニックがあることを知りました。発達障害がある人がやってしまいがちな「会話のクセ」を教えてもらうと、息子どころか私にもあてはまることがいっぱいありました。その悪いクセは、ワークショップで学んだ会話のルールやマナーを実践することで、改善することができるのです。ちょっとした物言いで、周りの子と争いが勃発しがちな反抗期の息子です。「早く教えなきゃ!教わったこと全部伝えたい!」と気持ちばかり焦ります。でも、絶賛反抗期の息子に「いいネタありまっせ」と教えたところで、荒ぶる思春期の負のパワーで拒否されるのは目に見えています。自分の話は長々とするくせに、人の話を聞くことは苦手なリュウ太です。どうしたらいいのか、途方に暮れてしまいました。「もしかして」「かも」語法で、自主性・想像力・柔軟性を育む!Upload By かなしろにゃんこ。ワークショップに再び参加したとき、司会進行役のKさんから「イイこと」を教えてもらいました。発達障害がある子はとっても素直な子も多いといいます。親の言うことは絶対守り、親の言ったことを疑わずそのまま大人になってしまう人もいるそうです。でも、親だって間違ったことを言うこともあるし、偏見で発言することもあるかもしれません。世の中にはいろいろな答えがあり、親の言うことがいつも正しいわけではない。自分で選んでいく力も必要です。また、「こうしなきゃダメ」と決めつけるのではなく、柔軟な考え方ができたほうが生きやすい面もあります。そういう考え方を育むためにも「断言しない伝え方をするといいですよ!」と教えてもらいました。言葉の頭に「もしかしたら~」とつけたり、語尾に「かもしれない」とつけて、他の考え方の余地もあることを示す言い方をするのがいいそうです。このアドバイスが私にドド―――ン‼!っと突き刺さりました。そうだ!子どもに「こうしなきゃダメ」とか決めつけて伝えてきたかもしれないと振り返ることができました。これが、息子にコミュニケーションのコツを伝えていくときの一番のポイントかも!と思ったのです。さりげなく刷り込む。反抗されても、聞く耳持たなくても、地道な声かけを続ける!Upload By かなしろにゃんこ。学校で同級生とトラブルになった日は、決まって帰宅後グチることが多かった息子。機嫌の悪いときに「こうしないからケンカになるのよ」と言えば火に油…カチン!ときて親の言うことなんて聞かないでしょう。そこで、グチってイヤな思いを吐き出した後に、さりげな~く「こうするといいかもよ~」と言ってみることにしました。例えば、友だちと音楽の趣味で話が割れたときなら「友だちの好きな音楽も聴いてみると意外といい曲あるかもよ~」と言ってみたり。干渉してくる子がいてムカついたときは「もしかしたらリュウ太のことが気になる存在なのかも。今後仲良くなることもあるかも~」と伝えてみたり。そうしたら、「んなことあるわけねーじゃん!」と怒鳴っていましたけどね。でも、何を言っても、反抗的な返しをしてくるばかりで、イラッとすることや悲しくなることもありました。この子には何を言ってもムダなのかしら?大きくなっても人のアドバイスを受け入れないで一匹狼で孤独に生きていくようになるんだろうか…?と心配もしました。それでも、人間関係でグチってきたときは「かもよ~」を語尾につけながら、さりげなくコミュニケーションのコツを伝えていったのです。刷り込み作戦開始から1年経過。時間差でキテる!?Upload By かなしろにゃんこ。会話のコツを教え始めたのは、息子が中1の頃。何度も何度も、刷り込むように伝えていると…中2の冬ころだったでしょうか?ようやく効いてきたのかも?と思うことがありました。「興味ねー」と言っていた友だちの趣味を受け入れるようになってきたのです。小学校のころは、よくわからないゲームやマンガの話をされると入っていけないと悩んでいたのに、「知らないことは質問するようにした」と言うのです。質問すると、新鮮な情報が得られてオモシロイことに気がついたようなのです!さらに、自分の趣味の話については、その場の雰囲気に合わない場合は控えるようにしているというのです。みんなで共有できるネタのほうが、バカ話で盛り上がれることにも気がついたのだと。私はそれを聞いて「時間差でキテる!!」と確信しました。コミュニケーションのコツを息子はちゃんと聞いてくれていたんだ!とうれしくなりました。少しずつ上がってきたコミュ力。異性とのおつきあいでもその力を発揮?Upload By かなしろにゃんこ。何を言っても反抗ばかりされて「もうこの子には何も言わない!」と諦めることもありましたが、地道に言い続けてよかったなと報われた思いでした。もしかしたら、私のアドバイスは実はスッカリ忘れていて、独自に学んだ結果なのかもしれません。でもとにかく、周りの子といい関係を築けるようになってきたんだな~と、うれしくなりました。ちなみに、「もしかしたらリュウ太のことが気になる存在なのかも。今後仲良くなることもあるかも~」と話した同級生とは、卒業近くには仲直りしていました。高校生になっても、人間関係のトラブルはありました。でもくり返し伝えてきたことで「もうわかってる。ちゃんとやってるよ」という言葉が聞けるようになってきました。自分の話ばかりしないで友だちに話させることや質問すること、相手が嫌がる話を避けることなど気をつけていると言います。ただ、息子を敵視する人には、どんなに会話のマナーに気を付けたり、会話のコツを踏まえて話してみても、イヤな表現で返されてくるから、会話は相手を選ぶ必要もあるな~ということにも気づいたそうです。ちなみに、地道に伝え続けてきた会話のコツとマナーですが、その後、異性とのおつきあいのときにも役に立ったようです!
2018年02月21日息子の着替えチャレンジがスタート!果たしてどうなる…?大人でもうっかりすると失敗する着替え。服が後ろ前だったりボタンを掛け間違えたりファスナーがうまく上がらなかったり。着替えって結構難しい。息子は、脱ぐのはまあまあできるものの、服を着るのが苦手。寒い時期は服を脱ぐことよりも着ることに協力的なので、「服を着る」練習に力を入れることにしました。まずは簡単そうなトレーナーや長袖Tシャツなど、ファスナーやボタンの付いていない服からやってみよう!なかなか袖が通せない?そのワケは…今までも何度か一人で服を着たことのある息子は、服にズボッと頭を通すところまではなんとかできる。しかし、袖に腕を通す時、時間がかかってうまくできない。どうしてだろう…?Upload By shiori腕がなかなか通らない原因はこれでした。…腕を交差させていたのです!こ、これじゃ、まるで変身のポーズだ〜!片方ずつ丁寧に。新たな「お着替え変身」ポーズをトレーニング!でも、この変身ポーズでは、いつまでたっても服を着て変身することはできない…原因がわかったところで、片腕ずつ丁寧に誘導してみることにしました。Upload By shiori利き手の左から誘導してみました。左の袖を通しやすいように持ち上げ、左腕をトントン。こっちを動かして、と指示します。左ができたら右も同様に。1週間ほどやり続けたらコツをつかんだようで、袖を通す動きがスムーズになりました。着替えの味方「袖通しマン」あらわる!とりあえず袖通しがうまくできるようになったことで、息子はスッスッと素早く着替えられるようになりました。そんなある時、私が着替えをしていた時のこと。ちょっと考え事をしながらモタモタと着替えていたら…Upload By shiori息子が私の服の袖を持ち上げてくれたのです。こ…これは、以前私が息子にやっていた着替えサポート!なんと、袖通しができるようになっただけでなく、私の着替えのサポートまでしてくれるようになりました。手助けをしてくれるなんて。お兄ちゃんになったなぁ〜。これは嬉しい変化です!ありがとう!とお礼を言うと、誇らしげな表情を浮かべ、にっこり。一人ですべて着替えるにはまだまだ長い道のりですが、着替えの練習からいろんなことを学んでいけそうな予感がしました。
2018年02月20日あなたの街にも出張するかも?「発達ナビ保護者会」定期開催中♪Upload By 発達ナビ編集部この度、発達ナビでは「発達ナビ保護者会」と題して、発達が気になるお子さんの保護者の方々同士が交流できるイベントを定期開催することになりました。「"発達が気になる子どもの子育て"の悩みを話せる人がいない。」「地域の施設情報を知りたい」「親向けのサポートって何があるの?」「発達支援施設っていっぱいあるけど、どうやって選んだらいいの?」などのお悩みがある方に最適なイベントとなっております。興味をもたれた方はご来場ください♪スタッフ一同お待ちしております。ジュニアの公式サイトにも掲載中です♪-発達ナビ保護者会「通所施設えらびワークショップ」開催2018年3月開催のイベント情報(2018年3月5日更新)「発達ナビ保護者会〜通所施設えらびワークショップ〜」●うちの子にあった支援ってどれを選べばいいの?●施設をチェックするときのポイントって何があるの?そんな疑問を解消するためのワークシートをご用意!シートを完成させるだけで、施設選びのポイントを整理できるようになっています!初めての施設えらびに困っている方はもちろんのこと、すでに施設に通われている方も支援プランを見直すキッカケになるのでオススメ!ぜひ奮ってご参加ください☆日時・会場: 以下、応募フォームをご参照ください。募集人数: 30名程度参加費用: 500円(お茶菓子付き)募集締切: 各回、開催日の前日まで※ 参加費お支払い方法はイベント当日に受付にて現金払いとなっております。※ 応募者多数の場合は抽選とさせていただきます。※ 参加可否につきましては、お申込み後1週間以内にご連絡します。発達ナビ保護者会とは?Upload By 発達ナビ編集部発達ナビ会員のうち、保護者の方々を対象とした講座・茶話会です。保護者さん同士で集まり、情報収集の場をつくることで、お子さまとの生活をより良くするきっかけを得てもらうことを目的としています。日々の生活で抱えている悩みや困っていることを話してみませんか?※他の方のお話を聞くだけでも全く問題ありません。また、お疲れになったとき用に、休憩スペースもございますので、ご自身のペースでの参加が可能です。◎通所支援施設を初めて利用する方、複数の利用を検討している方◎施設の利用方法がわからなかったり、どう選んでいいかわからない方◎周りに子育てのお悩みなどを話せる人があまりいらっしゃらない方「私は進学のことで悩んでいたので、先輩ママさんからお話が聞けて良かったです」(千葉県開催)「実際に当事者同士話ができたので有意義な時間でした」(東京都開催)「相談に真剣にのっていただけました。スタッフと相談する時間がもっとたくさん欲しい」(神奈川県開催)「皆さんのお子さまたちの事情や進み方(病院情報や施設の使い方、やり方etc)の情報が得られて良かったです。」(埼玉県開催)などなど、イベント後のアンケートにて嬉しいお声を多数いただいております。※ 参加費お支払い方法はイベント当日に受付にて現金払いとなっております。※ 応募者多数の場合は抽選とさせていただきます。※ 参加可否につきましては、お申込み後1週間以内にご連絡します。よくあるお問い合わせ出典 : 参加可能です。ただし、小さいお子様のための託児スペースをご用意しておりませんので、保護者様ご自身でお子さまの様子を見ていただくかたちとなります。ご了承くださいませ。大変申し訳ございません。このイベントへご参加いただけるのは、発達が気になるお子さまの保護者の方々のみとなっております。過去開催イベントの編集部レポートほか、発達ナビの関連記事はこちら
2018年02月20日想定外の「3校合格」。選択の自由に困惑するわが家は…Upload By ひらたともみ年明け早々、立て続けに受けた私立高校。どこかに合格すればいいかな?と思っていたところ…まさかの3校すべて合格!ケガをする前までは、県立高校が本命でしたが、くも膜下出血の後遺症による高次脳機能障害と診断されたリクには、これ以上の勉強は難しいだろうと判断。合格した3校から、進学する高校を決めようということになったのですが…。合格した3校ではなく…「オレ、普通科に入りたい!」Upload By ひらたともみUpload By ひらたともみUpload By ひらたともみUpload By ひらたともみ「リクって、普通科にそこまでこだわっていたっけ?」正直、そこまでの思いを感じたことがなかった私は、当然ながらあんぐり…。むしろリクには、パソコンを使う情報処理科のほうが、断然向いていると思うのですが。でも、目から炎、頭から湯気!ってくらいの気迫がでてしまったリクのことを、誰も止めることができず…。たった数日で「前言撤回!」。高次脳機能障害ゆえの、起伏の激しさよ(涙)Upload By ひらたともみUpload By ひらたともみ高次脳機能障害の診断をもらったとき、病院の先生がこの障害の厄介な面として「気分や行動の浮き沈みが激しいこと、虚言ともとれる本心ではない発言を繰り返すこと」があるとおっしゃっていました。障害による脳の誤作動のために、少し振り回されてしまいましたが、ようやく進路も決まりわが家も落ち着きを取り戻しました。受験勉強から解放されたリクは、県立受験の友だちより、ひと足先にのんびりしています。そして兄と同じ高校に進むリクですが、改めて入学案内をすみずみまで拝読。はぁ~、やっぱり、私立高校の学費は高い!!ありがたいことに(?)、まだまだ伏せる暇もなさそうです…。LDと高次脳機能障害という二重苦の中、リクが頑張って勝ち取った「合格」。私もますます頑張らねば!と決意を新たにするのでした。
2018年02月14日いつもの場所に枕がないと、泣きわめいていた4歳の私出典 : 私は昔から、質感やにおいにこだわる子どもでした。4歳くらいのころは、タオルケットとパジャマと枕が、私の3大お気に入りでした。くるまったり抱えたりしていると、自分のにおいがしてとても安心できた記憶があります。特に気に入っていた枕は、よだれや汗でベトベトになっていましたが、いつもの場所にないと私が泣いていやがったため母親も洗濯ができませんでした。そのためあまりに汚くなってしまい、数年くらい使ったころに親戚のおばさんまで出動して、枕と引きはがされてしまい、捨てられてしまいました。なぜそこまで、枕にこだわっていたのでしょうか。大好きな肌触りで、ぽかぽかあたたかくて、自分のにおいのする寝具にくるまれていると、ものすごい幸福感と安心感に包まれました。あの感覚を言葉にするのは難しいですが、例えるなら南国リゾートホテルのプールで優雅な時間を過ごしている以上に、幸福で満たされた気持ち。そこまでの幸福感を得ることができるものなので、引きはがされるのがとても嫌だったのだと思います。南国リゾートホテルでゆっくりしていたら、突然の仕事が入り急遽帰国しなければいけないような状況…というイメージといえば伝わりやすいかもしれません。ストレスがかかったり不安なときは、好きなもので五感を満たしていたくなります。程度は軽くなりましたが、これは大人になった今でもやっています。例えば好きな曲を聴いたり、好きな肌触りのものを触っていたり、好きな香りをかいだり…。子どものころは、幼稚園や公園など、家の外で遊ぶのは不安でいっぱいだったと記憶しています。幼稚園に通っていたころを思い返すと、■周りの子どもたちといても楽しくない■いろんな子がいろんなことを大きい声で言っているのでうるさい■みんながやっているからという理由で、やりたくないことをやらされるぱっと思い出しただけでも嫌だなぁと思っていたことがこれだけ思い浮かびます。子どものころの私にとって、家の外は不安でいっぱいでした。だから、好きなもので満たされたかったのだと思います。好きなものは、外の世界でたくさんの不安を感じて疲れてしまった自分に、安心を届けてくれる存在だったのです。きっとどの子も多かれ少なかれ、持っていることで安心できるものがあるのではないでしょうか。外への不安感が強い、特性のある子なら、なおさらです。もしどうしても取り上げる必要がある場合は、他の方法で安心させてあげたり、交渉してみるのがよいと思います。洋服のタグや羊毛のようにチクチクする服が苦手出典 : 子どものころの私は洋服のタグがチクチクするのが、とても苦手でした。兄も弟もとても嫌がっていたので、我が家にある服はどれもタグがきれいに切り取られていたようです。素材では羊毛のセーターなど毛足が長い素材の服もチクチクするので苦手でした。下着を着ていても肌に刺さってくるからです。今も羊毛の服は着れません。単純に痛いんですよね…。あとはゴムがきつく、締めつけてられる服や下着も苦手でした。特に靴下は大の苦手で、外に出るときは仕方なくはいていましたが、家に着いたらすぐに脱いでいました。服に締めつけられると、締めつけられている箇所がずっと気になってしまい落ち着かないのです。私の場合肌が弱かったので、ゴムのあたる部分が、かゆくなってしまうこともよくありました。一日中ずっと体のどこかがほんの少しだけかゆいというような状態です。こんな状態じゃ、落ち着かないし、集中できませんよね…。よく着ていた服は、ぶかぶかして肌にまとわりつかない服です。例えばカーゴパンツやトレーナー、パーカーなどはよく着ていました。着ていても、それほどストレスを感じなかったことが、気に入っていた理由です。最近はユニクロのシルキードライの下着が、とてもいいなぁと思っています。私が子どものころはなかったので、当時の自分が気に入るかどうかは分かりませんが、もし感覚過敏で下着選びに困っているなら、ぜひ試してほしいです。全般的にごわごわしていないやさしい肌触りの生地なところが気に入っています。触覚が過敏なお子さんには、ぜひゆったりしていたり、肌触りのよい服を用意してあげてほしいなと思います。晴れの日は目を開けられないほど、日光が苦手出典 : 私は子どものころから日光がとても苦手でした。晴れている日はギリギリまで目を細めて外に出ていました。まぶしい蛍光灯などでも同じように目を開けていられません。強い光を受けると、目がヒリヒリするような刺激を感じます。ライターなどの火でジリジリと目をあぶられるような刺激です。そのため外出するときには、サングラスが手放せません。子どものころはお小遣いで100均のサングラスを買い、車で移動するときなどは必ずつけていました。外を歩くときにつけていると他の子たちからからかわれてしまうので、仕方なく外していました。お子さんが、外に出た時にものすごく目を細めているようであれば、サングラスをつけてあげると喜ばれるかもしれません。もし喜んでもらえるようであれば、色が薄い普通の眼鏡のようなサングラスを買ってあげるとよいと思います。色が薄ければ普通の眼鏡と同じように着用することができるので、どこにでもつけていけるし、他の子どもにからかわれることもないのでおすすめです。にぎやかな場所では、全部の音が同じ音量で聞こえてくる出典 : 私は昔から人混みやにぎやかな場所が苦手です。例えば年末年始の東京駅や、人がたくさんいるカフェや居酒屋あたりを想像してください。他の人がどう聞こえるのかは分かりませんが、私は昔からその中にいると全部の音がそのままの音量で聞こえます。感覚としては、youtubeなどで動画を、5~8つ同時に再生しているようなイメージです。その状態で一つだけ聴きたい曲を追加で再生してみてください。全然聞こえないわけじゃないけれど、ところどころ他の音が邪魔をして、聞き取りづらいと感じると思います。がやがやしているところで私が相手と話をしているときは、そういう状況で聴きたい曲を聴く状態とよく似ています。子どものころは、その音をどう処理していいのか分からず、すぐに具合が悪くなっていました。どこかに出かけても、人混みの中にいると具合が悪くなってしまうので、目的地についたとたん「もう帰りたい!」と駄々をこねていました。いまでもにぎやかなところは苦手です。出かけても、3時間もすると疲れて眠くなってしまいます。大人になって、さまざまな対処方法を身につけてもこうなのですから、子どものころの自分はもっとつらかったはずです。駅やショッピングモール、スーパーなどに行くとすぐ疲れてしまうお子さんもいらっしゃると思います。おそらくその子にとってにぎやかな場所は、youtubeで同時に複数の音楽を流しているような環境なのだと思います。最初は本当にわくわくしているのに、いざ到着すると人の声やBGM、お店のアナウンスなどが同時に聞こえてきて、どう処理していいのか分からず具合が悪くなってしまうのです。だから、叱らないであげてください。本人には悪気はないのです。大人の私でも家に着いたらすぐ寝てしまうくらい疲れてしまうのです。もし家族で出かけたいなら、自然の中とか、静かな場所がいいかもしれません。まとめ出典 : 子どものころの自分が感じていたこと、困っていたことを、言葉にして表現してみました。もちろん、私個人が感じたことなので、万人にはあてはまらないと思います。それでも、■わが子が何か困っている様子なのだけれども何に困っているのか分からない。■わが子があまり自分のことを話してくれなくてよく分からない。でもどう感じているのか知りたい。そう思っていらっしゃる親御さんや周囲の方の参考にしてもらえたらと思います。そして、困っているのにどう伝えたらいいか分からない子どもたちが、少しでも暮らしやすくなるといいなと願っています。
2018年02月13日序章雪は次男を詩人にする雪が降った朝、次男がこんなことを言っていました。Upload By ラム*カナおもわず雪くんに感謝があふれ出す次男。まったく!かわいいぞ!!さて、長男が学校から帰ってくるころを見計らって、「さぞかし喜んでいるだろうなぁ」と思いながら、通学路の途中まで行ってみると…其の一雪は長男を怪力にするUpload By ラム*カナ手には顔より大きい雪のかたまり(と壊してきた傘)…!このかたまり、たぶんですが学校(徒歩30分)から持ってきた可能性が高いです。喜びの表れですね…。雪はこのあともドカドカ降り続いたので、あっというまに積もりました。そこで、絶好の雪遊び場所と化した近くの空き地に行くことになりました。其の二雪は長男を除雪車にするUpload By ラム*カナ結構風も強かったのですが、お構いなしで元気に叫びながら進む長男は、まるで除雪車!毎日思うことですが…元気だなぁ。暗くなるまで遊び、体が冷えたので帰宅後急いでお風呂に入れようと思い、お湯をため始めた私。其の三雪は長男を超ハイな男にするUpload By ラム*カナ服を脱ぐように声をかけたあと、なぜか外から寒い風を感じまして。「なんで?」と思って窓の方を見るとUpload By ラム*カナUpload By ラム*カナ安心して。日ごろから思ってるよ♡(雪は、普段から豪快な長男をさらにパワフル化させる魔力があるようです)おまけUpload By ラム*カナ
2018年02月09日日常生活は滅茶苦茶…なのに出典 : 反抗期一歩手前の小学校中学年の頃だったでしょうか。私は母に泣きながら、こう訴えたことがあります。「お父さんが学校に来ると恥ずかしいから、行事には絶対来させないで!!」今思うとひどい娘でした。父はADHDの特性が強くあり、小学生だった当時の私には耐えられないようなことがたくさんありました。父は話し声がとても大きいうえに、父母が行事の観覧に集中しているようなときにもフラフラと抜け出して、校庭でバスケットボールをやり始めるような人でした。「あいつのお父さん、変だよな~」と周囲に言われるたびに、私は恥ずかしくて恥ずかしくて、泣きそうでした。いつもフラフラと動き回って落ち着きのない父。家にいるときは、家族に叱られてばかりの存在でしたが、不思議と会社では結構仕事ができる、やり手な人であると評判だったのです。また、いろんなことをすぐに忘れてしまう特性があったにも関わらず、勉強でそれほど困ったという話は不思議と聞きませんでした。そして父は、同じ特性のある私と息子に、ADHDならではの生活のコツや学習のコツを伝授してくれたのです。父の授けてくれた生活のコツのおかげで、私も息子もさまざまなな困難を克服することができています。秘伝一、ひたすらメモるべし!Upload By 林真紀幼い頃、父の手帳を見て驚いたことがあります。普通の人は、手帳といえば予定ぐらいしか書きこまないと思います。けれども父は、仕事から日常生活の小さなことまで、ひたすら文字に落として書いていたのです。父の手帳は几帳面な字がびっしりです。例えば「花の水のやり方」「ゴミの分別の仕方」というような日常生活の些細なことも、全て文字に落としています。1、2、3、のように丁寧に番号までつけて、それを順番に辿っていけば間違いがないようにしてあります。父も私も(そして息子も)、人から聞いた話をインプットすることがとても苦手です。長いこと話をされると、後になって頭にほとんど残っていません。ですから父は、人から聞いた話をすぐに手帳にまとめます。そして自分が後から見て分かるように、簡潔にメモに残していくのです。「とにかくひたすらメモれ」という父の教えを、私はある程度の年齢になってから忠実に実行しています。そのおかげで、苦手とするマルチタスクの仕事なども、自分のメモを見ながらやることで、それなりにできるようになりました。私も父と同じく、仕事や生活での「自分用マニュアル」が山のようにあります。秘伝二、予行練習は入念にすべし!Upload By 林真紀私が幼かった頃、父はすぐに道に迷っていました。父の運転する車に乗せられて、初めての場所に行くのは、私たち家族にとって苦行でしかありませんでした。「どこだ~、おい、どこだぁ」パニックになって父は、行先の電話番号を調べて電話をかけます。一生懸命電話で行き方を聞きますが、「何がなんだか全然分からん!」と怒り出す始末でした。パソコンもインターネットもなかった時代は、そうするしかすべがなかったとも言えるでしょう。しかし、最近の父は、初めての場所に出かけるときは、パソコンの道路画像を何度も何度も見て、経路を予習します。初めての場所は、普通の地図で見ても風景が分かりません。その点、画像で風景を見ながら経路をシミュレーションすることで、初めての場所でも予測できる情報が増え、パニックになりにくいのです。父にその話を聞いてからは、私も初めての場所に行くときは画像で経路をチェックするようにしています。息子を初めての場所に連れていくときも、息子に行先の画像を見せるようにしています。こうすることで、パニックを防ぐことにもつながりました。秘伝三、とにかくやることを口に出せ!Upload By 林真紀ADHDの特性では、周囲の刺激に弱く、他の刺激が入ると、自分がいまやるべきことを忘れてしまうことがあります。これは集中力の持続の弱さにも繋がってきます。例えば学校生活で、「〇〇をやりましょう」と先生に言われてやっていても、目の前に可愛らしい髪留めをしている子どもがいたら、そちらに注意を奪われてしまいます。父も私も息子も、この特性のために学校生活はかなり苦労したと言っていました。息子の場合はまだ周囲の理解がありますが、私と父は、小学校時代は先生に怒られてばかりだったのです。そんな父が私たちに教えてくれたのは、「今やらなければいけないことを、とにかく口に出せ」ということでした。父は、家の中にいてもしょっちゅう指差し確認をしている人です。指差し確認をしながら、そのときにやらなければならないことを、ブツブツと口で繰り返しているのです。父曰く、独り言を言って自分のやるべきことを確認することで、注意が他に奪われてしまうのを防ぐのだそうです。これは、注意欠陥の特性が強い人にとってはとても効果的で、父も私も息子も常に独り言を言っています。とはいえ、周りには「独り言多いよ…」と少し迷惑そうにされたりするので、ボリュームが大きくならないように注意するようにしています。秘伝四、学習は細切れに!Upload By 林真紀ADHDの特性があると、長い時間集中して学習することが難しいときがあります。私が父から習って一番役に立ったのは、「細切れ学習」のススメです。普通であれば、一科目に50分ぐらいの時間をかけて取り組むものかもしれませんが、私の場合はとても50分も集中が持ちません。そんな私に、父は自分がやっていた勉強法を教えてくれました。それは、15分学習+5分休憩を1セットにして学習する方法です。私の場合は、休憩をはさむごとに科目まで変えていました。15分英語の長文を読んだら5分休憩、次の15分は古文…というようなリズムで学習をするのです。他人から見れば「飽きっぽい」「集中力が続かない」というような印象だったようですが、15分集中すれば良いというスモールステップの目標であれば、比較的達成しやすくなると感じています。息子も同じやり方で学習をしているため、今のところ勉強に対する抵抗感を感じずに済んでいるようです。忍耐を要求せず、「これなら出来るかも」という細切れのハードルを設定することが大切だということを、私は父から学びました。三代ADHDに救われている出典 : このように、私と息子は、自分なりに工夫することで生きづらさを克服してきた父の教えで、困難をなんとかやり過ごし楽しく生きていくことができています。発達障害は遺伝する、というようなことがよく取りざたされます。自分が発達障害だから子どもに遺伝するのではないか、と悩んでいる人たちもよく見かけます。けれども、私は父がADHDで本当に良かったと思っています。そして、自分自身にも特性があったことで、息子に伝えられることがたくさんあります。ほんの少しの工夫と手助けで、生活がぐーんと楽になる、それを自分自身が分かっているということは、財産であると思います。 父からもらった宝物を、今度は私が息子に与える番です。
2018年02月08日「コミュ力UP」ワークショップで、会話のコツを学ぶ!Upload By かなしろにゃんこ。発達障害がある人や、その家族、支援者などいろいろな立場の人が参加できる会が、発達障害がある人の「コミュニケーション力の向上」を目指すワークショップを行っていると知り、行ってみることにしました。そこで教えてもらったコミュニケーションのコツは目から鱗だったのです!どんなコツなのかについては、前回のコラムを読んでいただけると嬉しいです。コミュニケーションのコツを教えてもらったら、いよいよロールプレイングを行います!6~8人のグループに分かれてスタートです。まず、ファシリテーター(会の進行役)からお題が出されます。そして、そのお題に沿った内容について、2人1組で5分間雑談をするのです。2人以外は、周りで2人の会話の様子を見守ります。いざ雑談を…と言われても、初めて会う者同士です。何から話していいのか分かりません。でもとにかく、私と相手役のNさん(男性)は、与えられたお題「和菓子」について話し始めたのでした。いよいよロールプレイング開始!ミッションは「いいところ」さがしUpload By かなしろにゃんこ。5分間は短いようで長い!自分の好きな和菓子の話をしてみたり、Nさんに話を振ってみたり。Nさんが好きな和菓子について掘り下げて聞いたり、和菓子のデザインの話まで広げてみたりと、アレコレ一生懸命話しました。私が気をつけたところは「嫌いなもの」や「苦手なもの」など否定的な会話をしないようにすることです。司会進行役のKさんの「否定的な会話からは何も生まれない」という発言が、私の心に響いたからです。肯定的な会話になるよう意識してみると、雑談もスムーズ!5分間の会話が終わると聞き役の方たちから「どこがよかったか!」を発表してもらいます。周りで見守っているメンバーは、話している2人をよく見て「いいところ」を探すのです。必ず「いいところ」だけをコメントするのが、このワークショップのポイント。会話をしている2人を観察して、長所を見つけることがミッションなのです。もちろん私も、他のメンバーが会話している間は聞き役になって、2人の「いいところ」を探しました。発達障害がある人は周りの人に興味がない、気にしないと言われることがありますが、こういう風に意識することで、変わるんじゃないかと思いました。皆さんから「いいところ」を発表してもらうと気持ちがいいものです。たとえそれがお世辞であっても!「雑談中、うまく話せなかった」「余計なこと話しちゃったかな?」と反省したりクヨクヨすることが多かった私ですが、肯定的なコメントをもらうことで、自己嫌悪を感じることがありませんでした。「私のこのしゃべりでも認めてもらえるんだ!」と自信を持てたのです。グループディスカッションで、会話の引き出しづくりUpload By かなしろにゃんこ。そしてテーマ「和菓子」について、もっと話せることはないか!?とみんなでディスカッションをします。これが楽しい!自分では引き出しが無くて思いつかなかった話や伝え方、テーマについてこんな切り口があるよ!とオモシロイ発想をグループのみなさんから聞くことができました。何度かワークショップに参加者しているという男性(会社員)は、「雑談はこうする!」というコツが分かってきたから「会社でも困らなくなった」と言っていました。コツが分かると、積極的に話したくなるのだそうです。「知識はひけらかさない」あえて避けるのがポイントUpload By かなしろにゃんこ。何度も参加している方に、雑談で気をつけていることを聞いてみると、「テーマに沿って相手も乗ってくれて話がうまくいったとしても、歴史や素材など話が長くなってしまいそうなものは避けます」とおっしゃっていました。そして「話がマニアックになってしまいそうになったら、自分からマニアックになってしまうので止めて違う話にしましょう」と方向転換することも身についたとも。ついつい知識を伝えたくなってしまうけれど、「あえて話さない」ことで雑談の雰囲気がよくなって、会話のイイ流れをつくれるのだと、勉強になりました。最大の難関…反抗期真っただ中の息子に、どう伝える!?Upload By かなしろにゃんこ。自助会でたくさんの情報を得てホクホクな私は早くこの素晴らしいコミュニケーションのコツを息子に話したい!とウキウキ。が!反抗期真っただ中で、親の言うことにはいちいち反発してくる息子です。うまく伝わるものなのか…???どうやったら伝えられるのか、悩んでしまいました。この続きは次回に!少し長い話になりましたが、もう少しお付き合いいただけたら幸いです~♡
2018年02月08日「バレンタインって?」広汎性発達障害の娘に説明すると…女の子が夢中になるイベント…それはバレンタイン♡うちの娘も例外ではありません。初めて意味を理解したのは、娘が4歳の時。当時はしゃべりも理解力も、まだまだだったので、簡単な言葉と、絵で説明してみました。Upload By SAKURA「チョコを一人で作りたい!」5歳になった娘がやる気になった!?そして翌年、娘5歳。娘は、スーパーのバレンタインコーナーなどを見て、バレンタインが近いことに気づき、「早く作らなきゃ~!!私一人で作りたい!!」とやる気満々。4歳の時も、チョコレートは作りましたが、私がほとんどやったようなもの。一人で挑戦させたら、やり遂げることが、娘の自信に繋がるかもしれない。「やればできる」と思ってもらいたい!あげる相手はどうせパパ…失敗しても大したことはない(ひどい)…ということで、市販のバレンタインキットを使って、初めて一人で作らせることにしました。Upload By SAKURA娘がやりやすいように、準備できるところは?購入したキットには、材料がほとんど入っていたので、準備も楽。とは言っても、説明書の字が読めない娘。そこで私は、あらかじめ説明を読んで、説明絵を作ることにしました。順序を絵に描き、順番もわかりやすくするため、材料が入っている袋に番号を書きました。Upload By SAKURA「…(ああ~こぼれるッ)!」娘一人でやり遂げるために、お口チャックで見守ります娘に絵を見せ、ざっと説明すると、「よし!わかった!私一人でやるぞー!」と調理を開始しました。娘がやっている最中、私は最低限のこと以外は口を出さないようにしました。何度も手助けしたくなりましたが、ぐっと我慢…!手伝うこともせず、とにかく見守ります。それは、娘が「一人でやる」と言ったことを大事にしたいと同時に、一人でやることの大変さを理解してもらいたい、という気持ちからでした。口も手も出さないわけですから、もしかしたら取り返しのつかない失敗をする可能性もあります。間違えても大丈夫なように、予備もスタンバイしました。視覚優先で情報収集するという特性がある娘は、説明絵を真剣に見ながら、材料とにらめっこ。加えて真面目過ぎる性格が、功を奏し、一つひとつ確認しながら作業を進めていきました。Upload By SAKURA「できた!」大喜びの娘、でもちょっと待って…?Upload By SAKURA一時間ほどかけながらデコレーションまで終わらせ、冷蔵庫で固めて完成!初めて一人で作った娘は、できあがったものを嬉しそうに眺めていました。そして味見…味見…自分が作ったものがよっぽどおいしかったのか、味見が止まりませんでした(笑)貴重なチョコにパパ大喜び♡「あーさんのバレンタイン作戦」大成功なんとか守った残りをラッピングし、パパにプレゼント。初めて娘が一人で作ったチョコレートを、嬉しそうに味わうパパ。Upload By SAKURA半分以上、あげる前に娘が食べてしまったことは内緒です(笑)今年のバレンタインも、娘と相談し、お菓子を作る予定です。去年よりお姉さんになり、できることも増えた娘。今年のバレンタインはどうなるかな~!楽しみです!
2018年02月07日多動な長男との外食。ようやく母子3人でも、大丈夫に!Upload By ぽんぽん2~3歳ぐらいのころの長男は、多動でなかなか席にすわっていられませんでした。いろいろ練習して、対策グッズも常備して…徐々に座っていられるようになってきました。最近では、私と子ども2人だけでも外食できるようになってきたのです。母子3人で外食へ。長男リクエストのドーナッツ店は大混雑で…Upload By ぽんぽん外出中にお昼の時間になったため、私と子ども2人で、長男がリクエストしたドーナッツ店へ入ることにしました。外食するときに心がけているのは、「長男が食べたいものがあるお店」を選ぶこと。リクエストに応えることで、飽きっぽい長男と楽しく昼食を取るためには外せないポイントです。ですが、長男リクエストのドーナッツ店は大混雑!「先に席をお探しください」と言われても…Upload By ぽんぽん2歳の次男はもちろん、4歳の長男も私から離れたがらないので、席を取っておくなんて無理だと思いました。すぐ近くの席が空いた!長男は、席を取れるのか!?Upload By ぽんぽんどうしよう…と悩みながらもレジ待ちの列に並んでいると、レジのすぐ近くの席が空いたのです。そこで、イチかバチか、長男に頼んでみることに。Upload By ぽんぽんUpload By ぽんぽんUpload By ぽんぽんUpload By ぽんぽんUpload By ぽんぽんちゃんと座って待っていられるじゃないですか!!もぅ、母、じーん(涙)。「一人で席を取って待っていられる」ようになった長男。外食がまた少し、楽しみに!Upload By ぽんぽん少し前までは、席に座っていることもできなかったのに、今や1人で席に行き、きちんと座り、私が来るまで待っていることができるようになったことに、とても感動しました。まだ私の目の届く範囲でしか席の確保をしたことはありませんが、これでまたお店の選択肢が増え、グッと外食がしやすくなりました!あんなに苦痛だった外食でしたが…少しずつですが、外食を楽しむことができるようになってきたかなと思っています。
2018年02月06日姉弟で異なる「縄張り意識」がケンカの原因に...出典 : 発達障害のある9歳の娘と7歳の息子は、その特性の違いからさまざまな摩擦が生まれ、毎日同じような揉めごとが繰り返しては、泣いたり叫んだり大騒ぎです。その中で多くを占めているのが、距離感の問題。アスペルガー症候群の特性が強い娘は縄張り意識が強く、自分の座席やクッション、所有物などに、母である私以外の人間が近づくことを常に警戒しています。逆にADHDの特性が強い息子は、他人との距離感が上手く掴めず、すぐ他人に寄りかかったり、抱きついてべったりすることが多いため距離のとり方を学んでいる最中です。今日もまた、その距離感が原因でケンカが始まりました。娘がパソコンでマインクラフトというゲームをしていたときのことです。「お姉ちゃん、ちょっと僕にも見せて」と、娘が座っている椅子の背もたれに息子が体を寄せ、後ろから画面をのぞき込みました。「やめてよ!近寄らないで!!」「なんで?いつも僕のマイクラをお姉ちゃんも見に来るじゃない?僕にも見せてよ」「いやだったら!離れてよ!お姉ちゃんに近寄らないで!!」「ケチ!意地悪!怒ってばっかり!!」「うるさい!誰が怒らせてるか考えてみなさい!」そのうち自分たちで解決できるようになってくれれば…、そう思ってしばらく口出しをせずに見守っていたのですが、どれだけ同じ揉めごとを繰り返しても、彼らの行動や発言に変化が訪れる様子はありませんでした。今ある状況から何かを学んでいくことが苦手な発達障害の子どもたちにとって、インプットされていない解決策を自分で導き出すという作業は、やはり難しいことのようです。そこで、なにが原因で同じ揉め事が起きているのか、子どもたちと話し合ってみることにしました。自分と他人は違う感じ方をするという大前提を明確に出典 : 私が「どうしてケンカしてるのか、順番に思っていることを話してみて」と声をかけると、不満が溜まっている子どもたちは、いかに相手が酷いことをしたのかを、涙を浮かべながら切々と訴えかけてきます。お互いの会話を遮りながら、「ちがう!それはそっちが○○したからだろう!」と泥試合を演じる始末。相手の悪いところばかりを責めたてるだけでは、物事は解決しません。ではどうすれば解決に繋がるのだろうかと考えて、こんな風に声をかけてみました。「ねえ、二人の意見はよくわかったんだけど、お互いに相手が何をされたら嫌なのか知ってる?」「そんなの、自分がされて嫌なことは嫌に決まってるんだから、考えなくてもわかるでしょ!」 「そうだよ!」なんで大人がそんなこともわからないんだ!と、今度は怒りの矛先がこちらに向いてきそうな勢いです。「なるほど、あなたたちのケンカの原因はそこにあるんだ!」「えっ、どういうこと?」 「んんん?」大切なことなので、例を挙げながら話していきます。「たとえばお姉ちゃん、あなたは弟がマイクラをしてるときに弟の席に強引にお尻を入り込ませて、見るだけじゃなくてマウスを奪って自分でゲームを操作し始めるでしょ?」はっとした顔で 「それはそうだけど...」と口ごもる娘。「でも弟は怒らないよね?それは弟にとっては、そんなに嫌なことではないからだと思うの」「うんうん!いっつもお姉ちゃんが来るけど僕は別に構わないよ。でもどうして僕がお姉ちゃんのところにいくとダメなの?」息子は不思議顔で首を捻ります。「そこが問題なんだよ。お姉ちゃんは自分から他人の縄張りに入っていくのは平気なんだけど、他人には絶対に自分の縄張りに入って欲しくないんだと思うの」「そうそう!」 「へぇ〜、そうだったの?」「でも、弟は自分の縄張りに入られるのは平気だから、他人の縄張りにも平気で入っていくでしょ?」「そこが嫌なのよ!」「入っちゃダメだったの?」「もう一度よく考えてみて。本当に自分が嫌なことは他人も嫌だと思ってるかな?自分が平気なことは他人も平気なのかな?」しばらく考えた後、納得したような顔で二人が答えます。「やっぱり違うね」 「全然違うね」「そうでしょ?同じ親から産まれて同じ家で育った姉弟でもこんなに違うの。自分とまったく同じ感じ方をする人間なんてどこにもいないんだよ。それでたくさん揉め事が起きちゃうの」「だからこそ、お互い一緒にいて『嫌だな』と思ったことは、怒るんじゃなくて『自分はこういうことをされると嫌だ』って相手にインプットされるまで伝えていかないといけないんだよ」「そして大切な相手だからこそ、相手がなにを嫌だと思っているのかよく耳を傾けて理解し合えると、揉めごとも減って楽しく過ごせる時間が増えると思うよ」他人に伝えることで自分自身をより深く知れるように出典 : こうして、ケンカが起こったときには「なにが嫌なのかを伝えてみた?」と声をかけると、お互いプンスカしながらも「えっと、○○をされると嫌だからやめて欲しい」「それは知らなかった。ごめんね」と言い合えるようになってきました。具体的にどんなことが嫌なのかを伝えるためには、自分の怒りの原因がどこにあるのかを探らなくてはいけません。これは、感情の起伏が激しいわが家の子どもたちにとって、とても大切な作業です。毎日感情が乱高下する彼らが、自分の怒りの根底に気づくことができれば、それを回避したり周囲に伝えたりすることができるようになるはずです。そして、それはきっと過ごしやすい日常へと繋がっていくでしょう。もちろん、この思考回路が身について自分たちのものとなるには、途方もなく長い時間がかかることでしょう。それまでは、きっと何万回も同じような声掛けをしなければいけないかもしれません。どれだけ声をかけても、なかなか成果が出ずに疲れていらっしゃる方もいるかもしれません。そんなときは温かい飲み物を飲んでリラックスした状態で、結果がでるのは10年後ぐらいかも知れないなあとスパンを延長してみるといいかもしれませんよ。ちなみに、私は「結果は10年後」と自分に言い聞かせてから、子どもたちと向き合っています。なので、まれに数ヶ月で子どもが変わり始めたときには本当に嬉しくて、つい手放しで褒めてしまうので子どもはますます張り切る、というプラスのサイクルに突入できることもあったりするのでオススメです!お試しあれ!
2018年02月05日長男は朝の子ども番組が大好き!でも困ったことが…自閉症の長男は朝が苦手です。イライラしてごはんをわざとこぼしたりするのでほとほと困り果てていたのですが、最近そんな長男に変化が現れはじめました。朝食中にたまたま観たNHKの朝の子ども向け番組がきっかけでした。長男は8時から始まるこの番組を楽しみにして毎朝すっきりと目覚めるようになったのです。Upload By シュウママ歌をうたったりクイズをしたり…長男はご機嫌です。ごはんもパクパク食べています。なあんだ、こんな簡単な解決方法があったのかと安堵しました。そうこうするうち番組は終わりに近づきました。見るとテレビに表示された時間は8時20分!早めにバス停に着くためにはもう家を出発しないといけません。私は長男に声をかけました。Upload By シュウママ「テレビを消すよ」そういうと長男はパニックを起こしました番組は8時25分まで。まだ途中なのですが、私はテレビの電源を切ろうとしました。その瞬間、長男は私からリモコンを奪い取って怒りはじめました。「ダメだよ。もうお家出る時間です」毅然と言ってみたのですが長男は「イヤ~」と泣き始め、てこでも動こうとしません。Upload By シュウママ結局テレビ画面の下に「終」という文字を確認した瞬間「おわり!」と自ら叫んですくっと立ち上がり、通学リュックを背負って玄関へと駆け出して行きました。そのまま私は、大急ぎで自転車をこいでバス停に向かったのですが着いた時間は発車時刻ちょうど。バスも同時に到着したので長男を自転車から降ろしたりするのに手間取って待たせてしまうことになってしまいました。Upload By シュウママ夫婦の会話を聞いていた次男が提案してくれたのはその後も長男は「終」という文字を確認しないと動こうとしない日々が続きました。学校からの通達では、予定時間の5分前にはバス停に着いているようにと指示されています。バスの後続の車にも迷惑がかかってしまうからです。このままではいつか遅刻する・・どうしたものかー私は夫に相談しました。すると夫から出た答えは「子ども番組を見せなきゃいいんじゃない?」でした。…まあそれができれば苦労はないんですがね。長男は朝、番組があることを知っているので、別のチャンネルに合わせるあるいは電源をオフにしてしまうと大きなパニックを起こすことは明白なのです。大人同士うーんうーんと唸っているとき双子の次男が「ちょっといいかな」と会話に割って入ってきました。「5分早く家を出ればいいだけだよね。なら、あらかじめ、今日の分をビデオに録画しておくんだよ。そして明日になったらさ~」Upload By シュウママそっ…そうかそうだよね。言われてみてなるほど!と思いました。夫の顔を見るとちょっと顔が赤らめながら「俺もそう言おうと思っていたんだよ!」と気づいていたけどあえて言わなかったんだよ、という大人の威厳をちらつかせようと必死になっていました。ちょっと恥ずかしい…。Upload By シュウママ自閉症のこだわりや特性、困りごとは家族みんなで考えて克服できるようにUpload By シュウママそうして次男の提案通りにやってみたところ大成功!(さすがに同じものだと飽きてしまうので毎日録画して新しいものを見せますが…)録画を見終わると長男はご機嫌で家を出ます。こうして朝の遅刻はなんとか免れることができるようになりました。次男、お手柄です!自閉症児を育てていれば、いろんな困難に直面することがでてくると思います。けれど、一つひとつの壁を、家族で乗り越えていくぞ!と思えた出来事でした。
2018年01月31日つくることも、大切な「食」体験食べ物を噛むことを拒否し、口にするものにもこだわりが強い息子。自分でごはんを口に運ぶようになったのは7歳の時でした。食に対してこだわりの強い息子ですが、キッチン用品で遊ぶのは大好き。最近は私が料理しているところを見学することも多くなりました。これはもしかして、つくることに興味を示してくれるかもしれない…。食べ物をつくることで、食への関心が深まるかもしれない。淡い期待がふつふつと…。小麦粉粘土でこねこねするのが好きだから、こねる過程があって、最近よく遊んでいるマッシャーを使うもの。できれば簡単にできるもの…。と考えて、真っ先に浮かんだのが…北海道では定番料理の、ジャガイモに片栗粉を混ぜた「いももち」!これを、息子の大好きなかぼちゃでつくろう。そんなわけで、メニューは「かぼちゃもち」に決定です。出典 : 「かぼちゃもち」のつくり方まずは材料です。■かぼちゃ1/4個■片栗粉大さじ4くらい以上!今回は無農薬のかぼちゃが手に入ったので、皮も使いました。出典 : 息子とは、工程2と3を一緒にできたらいいな。大事なのは本人が「やってみたい!」と思って、自分から動くこと。無理やりやらせても意味がないので、どれだけ興味を引けるかが今回の料理のポイントです。もし全く興味を示さなくても落ち込まない!よーし。心の準備も完璧です。いざ!息子との「たのしい料理」体験、スタート!かぼちゃが柔らかく蒸せたら、息子の目の前でたのしそうに作業開始を開始します。出典 : 息子は腕の力が弱いので、最初は私が上から手を添えてサポートしました。ある程度かぼちゃが潰せた段階で、本人が「一人でやりたい」というのでお任せしました。マッシャーの隙間から、かぼちゃがニョキニョキ出てくるのがたのしいらしい。よしよし。いい感じだ。今までよく遊んでたマッシャー、実はこうやって使う道具なんだよ~。息子よ、勉強になるね!出典 : こねこねするのも好きだから、かぼちゃに片栗粉を混ぜたあとに手でこねるのもやってもらおうと思ったのですが…。すっかりマッシャーマシンと化した息子。もう真剣そのもの。仕方ないので息子にはひたすらマッシャーでかぼちゃを潰してもらい、私が横でこねこねすることに。出典 : ハンバーグのように形をつくり、息子に見せてみたところ…、マッシャーマシンから我に返った息子、ペタペタ触っては嬉しそうにするではないですか。ね、料理するのってたのしいでしょ!見事な指のあとを残してくれましたが、これも記念!このまま焼いてみました。バターを塗ったフライパンで両面を焼き色がつくまで焼いて、できあがり!!さあ食べましょう。一緒につくったかぼちゃもちが完成。いただきます!息子は大好きなかぼちゃでも、いつも食べている形や食感、調理法が違うと食べません。だから、せっかくつくったかぼちゃもちですが、食べることはできません。でも、片栗粉を入れる前のマッシュした状態なら食べられます。そこで、少し取り分けておき、いつものおかずに混ぜて食べてもらいました。どうだい?自分でマッシュしたかぼちゃは?さて、できあがったかぼちゃもちを、夫と一緒に食べてみようとすると…!出典 : じーっと私の様子を見ていた息子、急に「食べろ食べろ」と催促してきました。これはもしかして、自分がマッシュしたかぼちゃだってわかっているのかな?と思えました。この時食べたかぼちゃもちは、いつものかぼちゃもちよりも、ずっとおいしく感じました。息子と一緒に料理をつくる日が来るとは…。嬉しすぎて胸がいっぱいでした。これで息子の食べられるメニューが増えるのかは、まだわかりません。でもとても楽しそうにつくっていたのが印象的でした。今回の発見は、マッシャーで潰す作業がとても気に入っていたこと。これを利用して、息子もたのしめるレシピを考えて、どんどん「たのしい料理」をやっていくつもりです。料理を通して、食への興味が自然と育めたらいいなと思っています。かぼちゃもちは、ラップに包んで冷凍が可能です。いっぱいつくって冷凍しておいて、おじいちゃんおばあちゃんにも食べてもらおうかな。孫のつくったかぼちゃもちは、きっと最高においしいはず!
2018年01月31日「やっても無駄」と自暴自棄なリク。でも、挑戦してほしい…!年が明けると、私立高校の受験が始まります。ケガをする前までは、本命は県立高校だったのですが、今となっては、正直、滑り止めと考えていた私立の3校も、難しい状況でした。Upload By ひらたともみUpload By ひらたともみ高次脳機能障害の後遺症の診断を受けてから、リクは「勉強しても無駄」という、もっとも私が懸念していた自暴自棄になっていました。Upload By ひらたともみ「高校生にオレはなる!」と高らかに宣言したあの日から、猛勉強したにも関わらず、ケガを負って後遺症まで背負うことになったリク。確かに、やる気なんて出るわけない。やってもやってもできないという経験は、私にもあるけど、おそらくリクの「できない、覚えられない」とは、全く違うものなんだと思います。でも、ここで、受験すらしないという選択はなんだか少し違うような気がしていたのです。どうせダメなら、当たって砕けろ!やらないでのちのち後悔することになったら…それは、いつまでも治らない傷になるような気がしてたのです。私はなんとかリクを励まし、背中を押し続けました。やっぱり友だちってすごい!改めて思う、同志のチカラUpload By ひらたともみ一旦はすべてのやる気をなくしたリクも、友だちのサポートもあって、最後の奮起!受験1週間前は再び、塾で5時間、できない、わからないを繰り返しながらも眠気と戦い、ハードスケジュールをこなしていったのです。そして迎えた、受験当日。私立高校3校が、ほぼ一日おきの受験日程。3校目ともなると、疲れもピークに達しているようでした。桜が咲いても咲かなくても…結果発表の朝、不思議とワクワクしていたUpload By ひらたともみUpload By ひらたともみ決して順調ではなかった受験期間だったのに、私はその朝、とてもワクワクしていました。どんなトラブルがあっても、苦しみながらも、受験に向かって努力してきたリク。妹想いで、友達に恵まれて、やさしくて、音楽が好きで、センスだっていいリク。受験で人生が決まるわけではない。結果がどうであれ、きっとこれからもうまくやっていける…!…なぜそう思っていたのか自分でもわかりません。でも合格発表の日、いつものように家事をしながら、不思議とワクワクしている自分に気づいて驚きました。そして、合格!私のハグは断固拒否されましたが、合格の知らせに、とにかくうれしくて号泣しました。夫に電話で報告すると、夫はただただ「よかった…よかったな…!」と言って、泣いていたように思います…。LDで高校受験に挑戦し、最後には高次脳機能障害にも苦しめられながらの挑戦でした…。ホント、神様のいたずらが過ぎるぞ!って、感じです。さてさて、県立高校の受験…。どうするべきか…。受験日まであと2ヶ月あるものの、今のリクのコンディションを考えると、険しい道のりなので、まだまだ考えること山積です。
2018年01月30日『子どもも親も幸せになる発達障害の子の育て方』著者の立石美津子です。みなさんは、「就学猶予(就学義務の猶予)」という制度についてご存知でしょうか?これは、病気などの理由で、就学年齢になったけれど小学校入学が難しい場合に、治療・療養をし、教育を行けられる状態になるまで入学を遅らせることができる制度です。ですが、持病はないけれど子どもの発達が遅い場合に、この制度を利用し、1年間しっかり訓練して周りの子ども達と同じようにできるようになってから小学校に入学させようと考える保護者さんもいるようです。つまり、1つ下の学年の子ども達と一緒に小学校に入学するのです。私自身にも、自閉症の息子がいますが、自閉症のある子どもの家庭がこの制度を活用することに、疑問を感じています。1年間しっかり訓練してようやく追いついたとしても、入学後に同級生と同じようにできるでしょうか?また、子どもはつらい思いをしないでしょうか?「就学義務の猶予」とは?出典 : そもそも、「就学猶予」って何?特に持病がない自閉症児の場合でも使えるの?と疑問を持つ人もいらっしゃると思うので、まずこの制度について説明したいと思います。日本では明治時代の中期ごろから義務教育の基盤が出来上がり始めました。でも、当時は障害のある児童が学校で義務教育を受けるための環境はほとんど整備されていませんでした。そのため、障害のある子どもの保護者は「就学義務の猶予又は免除」を受けることとなり、結果として、障害のある子どもたちは教育をほとんど受けられませんでした。つまり就学義務の猶予や免除は、その制度の確立当初、重い障害がある子どもが義務教育を受けられない場合に利用されてきたのです。1970年代に養護学校(現・特別支援学校)が義務化され、特殊学級(現・特別支援学級)も増設されました。これ以降、就学猶予や免除を利用する必要のある家庭の数は大幅に減っています。つまり、障害があっても、学校に通える子どもが増えたのです。ちなみに、就学義務が猶予や免除される事由については、次の通りです。日本国民に対して、この就学義務が猶予又は免除される場合とは、学校教育法第18条により、病弱、発育不完全その他やむを得ない事由のため就学困難と認められる場合とされています。ここでいう「病弱、発育不完全」については、特別支援学校における教育に耐えることができない程度としており、より具体的には、治療又は生命・健康の維持のため療養に専念することを必要とし、教育を受けることが困難又は不可能な者を対象としているところです。参考URL:文部科学省|養護学校の義務制実施への道発達が「ゆっくり」と「凸凹」の違いは?出典 : ある幼稚園の園長先生が、発達障害児を育てている保護者に、何気なく次のような言葉をかけていました。「発達がゆっくりなのだから、焦らないで、のんびりと長い目で見て育てましょう」園長先生が意図して言ったわけではなくても、親御さんの中にはこの言葉で誤解してしまう人もいます。「ゆっくり」という表現には、兎と亀の昔話のように、歩みの遅い亀でも地道に努力して頑張れば…・必ずゴールに到達する・いつかは追いつくというニュアンスを私は感じます。「マラソンでゆっくり走っていても、途中棄権することなく完走すれば、いつかは皆と同じゴールに達する」と解釈して、「頑張らせれば、いつかはほかの子と同じことができるようになるだろう」と考える方もいらっしゃるでしょう。もちろん、ゆっくり発達し、障害のないお子さんに追いつくお子さんもいるかもしれません。でも、発達障害のある子どもは、能力のバランスや凸凹が大きいことが多く、単に「ゆっくり育つ」というのとは少し意味が違うのではないかと、私は考えています。1年遅れで、子どもを小学校に入学させた知人の選択出典 : 年以上前の話ですが、私の知り合いの自閉症児の保護者がこの制度を利用して、子どもに幼稚園の年長クラスを2年間経験させてから、小学校へ入学させました。自閉症以外「病弱である」などの遅れはありませんでした。知人は「年長さんを2年も経験すれば、ほかの子と同じことがきっとできるようになるに違いないわ」と言っていました。当時は自治体によってこの制度が自閉症児にも一部適用されていたようです。特別支援学校のことを養護学校、特別支援学級のことを特殊学級とまだ呼んでいた時代で、発達障害とかアスペルガー症候群の言葉もまだ理解されていなかった時代でした。その知人の選択を否定するつもりはありませんし、実際に1年遅らせることでできることが増える部分もあったかもしれません。でも、同じく自閉症のある子どもを育てる親である私は、心の中で「1年遅らせたからといって、同級生と同じようにできるようになるのだろうか…?」とも思っていました。特別支援教育についてありのままに受け入れ、子どもに合う教育を選ぶことの大切さ出典 : 特別支援教育が浸透している現在では、自閉症があることだけを理由に、就学猶予が認められることはそれほど多くはないようです。でも、幼稚園や保育園や療育関係者から「お子さんは発達がゆっくりなのですね」と言われると、「うちの子は少し発達がゆっくりなのだ。だから1年遅らせてその間に頑張らせれば、何とか追いつくだろう」と考え、この就学猶予を検討する人もいるかもしれません。発達がゆっくりであることと、凸凹があることとは、違うのではないかと思います。まず、「子どもに合った教育は何か」「その選択は、子どもに無理をさせすぎはしないか」ということを考えてほしいと思います。そのうえで、通常学級か特別支援学級か特別支援学校かを吟味するのがよいのではないでしょうか。保護者が子どもを「ありのままに受け入れる」ことは、子どもの育ちにとって、とても大切なことです。「できるだけ健常児に近づけよう」とすることは、保護者の願いであって、子どもに必要な環境や学びとは重ならないかもしれない。ありのままを受け入れたうえで、子どもにとって最適な道を選択をしていってほしい、私はそう願っています。
2018年01月30日意外と身近?拡張現実(AR)とは出典 : 発達障害のある子どもたちの療育シーンを覗いてみると、いろいろな遊びやゲームを活用していることが分かります。わが家の息子の療育でも、半分はお勉強感覚、半分はゲーム感覚というプログラムがよく見受けられました。課題に遊びやゲームを取り入れることによって、子どものモチベーションがアップすることはなじみのある話だと思います。さて海外では、発達障害の子どもたちの療育において、「課題をゲーム化」することに加え、 拡張現実(AR:Augmented Reality) の技術を使ってソーシャルスキルトレーニングを行うことのできるメガネが開発されました。拡張現実(AR)と言っても、ピンとこない方もいるかもしれません。拡張現実とは、私たちが実際に見えている世界に、さまざまな画像や映像を重ねて表示する技術などを指す言葉としてよく用いられます。身近な例では、最近流行した「ポケモンGO」があります。スマートフォンの先に見えている現実の景色の中に、ポケモンのキャラクターなどが重なって表示され、あたかも私たちが生きている世界の中にキャラクターたちが存在しているかのように見えます。さて、拡張現実(AR)を使ったメガネで、どうやって療育を行うのでしょうか。スマートグラスによるソーシャルスキルトレーニング出典 : このような拡張現実の世界を見せてくれる特殊なメガネを「スマートグラス」と言います。通常のメガネのレンズにあたる部分には透明なティスプレイがあり、現実の世界に重ねて、表示される内容を見ることができます。このスマートグラスを、自閉症スペクトラムの子ども向けの支援に使うことを見出したのがアメリカのBrain Power社とAffectiva社です。 SUPPORT (訳:自閉症者の支援)この取り組みで使われたのは"Google Glass"(グーグルグラス)と呼ばれるスマートグラスです。グーグルグラスは検索エンジンとしても有名な Google社が開発したものの、一般向けへの販売は2年以上前に終了していました。このまま幻の機械になってしまうかと思われたグーグルグラスでしたが、この製品の開発によって療育用の機器として再び注目を集めています。グーグルグラスによる療育は、発達障害のある子どものソーシャルスキルトレーニングに使われているようです。下の動画が、その様子になります。スマートグラスにはカメラも内蔵されており、メガネの先にいる人間の顔やジェスチャーなどをリアルタイムに認識することができます。実際のソーシャルスキルトレーニングでは、次のようなことを行っているようです。目の前にお母さんが座っています。お母さんは笑っています。それを見て、メガネの中に映し出されたアニメーションの顔を使った「表情当てクイズ」に回答します。お母さんが笑っている顔を見て、「ハッピー」のアニメーションを選ぶことができたら、目の前に「正解!」と出てきます。こうして、ゲーム感覚で、目の前の人の表情を学ぶことができます。また、スマートグラスを使って、相手と視線を合わせる訓練もできるようです。目の前にいるお母さんや療育者の目を見た瞬間に、目の前に拍手をするアニメーションが出てきたりして、何かしらの「ご褒美」が表示されるようになっています。スマートグラスの活用はスタンフォード大学でも同じような取り組みはアメリカのスタンフォード大学でも行われており、そこでも同じくグーグルグラスが用いられているようです。スマオートフォンアプリとも連動し、トレーニングの成果などを分析して、次のアクションの検討に役立てることも可能です。臨床研究も進められており、利便性と効果の両軸から、在宅での療育の可能性について日夜研究されているようです。Upload By 林真紀Upload By 林真紀Upload By 林真紀"Autism Glass Project" (訳:自閉症児用メガネプロジェクト)「ゲーム感覚」であることの重要性出典 : このように、海外ではAR技術が自閉症スペクトラムの人のソーシャルスキルトレーニングに活用されていることが分かりました。自閉症スペクトラムの人にとって、人と目を合わせたり、人の表情を適切に読み取ったりすることはとてもハードルの高いことで、このようなことを「訓練」として無理やり行うことは苦痛になってしまうでしょう。しかし、今回紹介したようなスマートグラスを用いて、ゲーム感覚でトレーニングを行うことによって、苦痛ではなく、楽しくソーシャルスキルを学び、訓練をすることができます。今後こういった技術が一般化していけば、療育も新しい進化を遂げるような予感がしています。「訓練」ではなく、苦痛なく、楽しく。そんなソーシャルスキルトレーニングを行うことのできる技術の先駆けとして用いられたこのAR技術・スマートグラス。これからの療育をどう変えるか、目が離せませんね。
2018年01月27日わが家の長男は、おおらか王子私には、服装に対してとてもおおらかで(無頓着ともいう)、字の書き取りもとてもおおらか(誤字ともいう)な小学2年生の長男がいます。先日授業参観に行ったときのこと。参観が終わったあとは下校時間だったので、長男がこんなことを言ってきました。Upload By ラム*カナまだまだ素直に甘えてくる長男。私と一緒に帰りたいと言ってきたので、帰りの会が終わったら一緒に帰れる旨を伝えました。Upload By ラム*カナお、素直!Upload By ラム*カナウキウキ走り去る長男…と、母、思わず二度見!ぅおおおおい。Upload By ラム*カナどうやら、腰回りについても無頓着だということがわかりました。(ズコーッ)
2018年01月26日自閉症である息子さんを通わせたいと思える放課後デイサービス(以下、放課後デイ)がなかったことから、自ら「アイム」を立ち上げた佐藤典雅さん。そこから、息子さんや生徒の成長に伴い、フリースクールや就労支援、グループホームまで立ち上げてしまった。それらの施設を立ち上げた理由も、やはり放課後デイ設立の時と同じように、既存の施設に大きな不満があったからだと言う。そんな佐藤さんに、現在の福祉業界の問題点や自ら立ち上げた施設への思いを語ってもらった。発達障害のある子を育てる親たちにとって、最大のテーマは、将来の自立や働き方。『療育なんかいらない!』の著者でもある佐藤さんのお話の中には、きっと、発達障害の子どもの幸せな将来のために、親としてやるべきことのヒントがたくさんつまっているはずだ。佐藤典雅(さとう・のりまさ)さん川崎市で発達障害の子どもをサポートする放課後デイサービス「アインシュタイン放課後」「エジソン放課後」を運営している、(株)アイムの代表。自身の自閉症の息子さんの療育のために、息子さんが4歳の時に渡米して、ロサンゼルスで9年間過ごす。前職は、ヤフー・ジャパンのマーケティング、東京ガールズコレクションとキットソンのプロデューサーという異色の経歴の持ち主。福祉という範囲を超えた目線で、自身の息子さんの成長を見守りながら、発達障害児が社会で幸せに生きるための道を広げる挑戦をしている。著書: 『療育なんかいらない!』 (佐藤典雅・著/小学館 ¥1,296 税込)※放課後デイサービス(= 放課後デイ):6~18歳までの障害のある子どもが放課後や学校休業日に利用できる、就学時向けの福祉サービスのこと。■子どもの将来について保護者が不安に思わないインフラの構築がテーマ――前回の取材から1年ほど経ちました。その間、がっちゃん(佐藤さんの息子さん)の高校進学にあわせてフリースクールを設立したそうですね?佐藤典雅さん(以下、佐藤さん):アイムの放課後デイには、たくさんの中学生の生徒がいるので、中学卒業後の進路は重要なテーマでした。というのは、高校って義務教育じゃないから支援学級がないんですよ。だから、支援学校に行くしか選択肢がないのですよ。でも、既存の支援学校だと高校卒業証書はもらえないから、中卒扱いになっちゃうんですよ。どうせ就労支援に行くなら、あんまり関係ないかもしれないけど、親の心情的な観点からいくとちょっと残念だよね。ウチが設立したノーベル高等学院は発達障害や自閉症の生徒に合った通信サポート校で、明蓬館高校の教育連携施設として、高校の卒業証書も取得できるんですよ。――がっちゃんの進路に、既存の支援学校を選択しなかったのはなぜですか?佐藤さん:中学校までは義務教育だから、だいたいどこも手厚くやってくれるんですよ。でも、高校になった瞬間、何が始まるかというと「職業訓練」という言葉が出てきます。見学に行ったらわかると思うんだけど、ほとんどのところが就労の準備期間として、封筒やチラシを折ったり、縫物の練習をしたり、昭和の内職みたいな作業をさせているんですよ。でも、普通の子が高校で青春を楽しんでいる時に、どうして障害者の子たちは就労準備しなくちゃならないのか? 親として、自分の子がそういう状況にいるのはしのびないよね。――それで、もっと楽しい高校をご自分で作ってしまったわけですね。ノーベルでは、日々どんなことをしているのですか?佐藤さん:最低限、取得しなければいけない単位があるので、午前中は主に課題をしていますが、午後はもう自由! 好奇心旺盛なスタッフが、毎日いろいろなおもしろいところへ遠足に連れて行ってくれています。最近では、足立区にあるアスレティック施設や渋谷ヒカリエで開催されていた「チームラボ」のイベントなどに遊びに行ってましたよ。――それは通常の支援学校とはずいぶん違いますね! 生徒はどれくらいいるのでしょうか?佐藤さん:今、生徒は2人です。もともとフリースクールは赤字前提でやっている事業なんですよ。でも、なぜ赤字でもやるかというと、今、ウチには放課後デイに通っている中学生の子たちがたくさんいて、その子たちのセイフティネットとして必要だから。アイムのテーマは、子どもの将来について、保護者が不安に思わないインフラを作ること。だから、赤字でもやらないといけない理由があるんです!■市場から「置いてきぼり」にされる福祉の世界――支援学校と同様に、就労支援にも疑問を感じて、アイムで取り組まれているそうですね? 既存の就労支援のどんなところに問題を感じているのですか?佐藤さん:いろいろありますが…例えば、就労支援に行くと、まず、みんなあいさつの訓練をさせられます。見学に行ったことありますか? 行くと、みんなが無条件に一斉に立って「いらっしゃいませ!」って言うから。トイレ行く時だって、みんな「佐藤さん、トイレに行っていいですか?」って聞いてくるの。トイレ行くのにどうして許可が必要なわけ? みんなロボットみたいになっちゃうんですよ。――確かに、そういう雰囲気がある気もしますね…。佐藤さん:でも、そもそも仕事において、あいさつってそんなに重要なの? それで売り上げが上がるんですか? 僕は、あいさつなんかより儲かる就労支援をつくることの方がずっと重要だと思ってます。だから、福祉業界の人に「あいさつはいりません!」って言ったら、「佐藤さん、それでは社会性が身につきません」って言われました。じゃあ、普通の世間一般の会社の社員が同じようなあいさつをしているのでしょうか? あいさつをしなくてもいい業種はたくさんありますよね。それでも全ての社員は型にはまったあいさつをしないと社会性がないといえるのでしょうか? 仕事においてどこに価値を求めるのかという話なんですよ。――確かに…。佐藤さん:どんな大手企業でも、行動パターンを変えられなければ、いつかはつぶれてしまうと思います。市場が変わっているのに、会社の倫理観、価値観、戦略、全部変えられないままでは、市場から置いてきぼりにされる。学校や福祉の世界でも、これと同じようなことが起こるはずなんです。しかし、助成金によって雇用も給料も守られているわけで、福祉は保険点数でも守られているからつぶれることがないわけです。こんなの民間企業だったら、とっくに淘汰されていてもおかしくないです(苦笑)。制度の枠組みで仕方ないのですが、そもそも行政からみて就労支援は「就職」でなく「介護」の延長線上にあります。なぜかというと、就労支援に配置される資格者は介護士なんですよ。これまでビジネス経験のない介護資格者がいきなり売り上げを求められるわけです。だから、発達障害の子たちのために利益分配を考えるのは、かなりハードルが高い話なんです。――そういう現状を、きちんと親が知って考えるべきなんですね…。佐藤さん:お母さんはみんな、「将来この子が困らないように」って療育で訓練することばかりに夢中になっているけど、だれも「出口」のことを考えていないし調べてもいない。僕は、「出口」のことしか考えてなくて、それは就労です。その子が自分の力で就職できるのか否かという明確なラインがあって、そこしか見ていない。今、支援学校を卒業した後の進路は、2つしかないんです。ひとつは、特例子会社に就職する。もうひとつは、就労支援に行く。一般企業に普通に就職できない子の出口は、就労支援しかないんです。将来、わが子の就職が難しいと考えた時、親として考えるのは、どういう就労支援だったらわが子が充実した毎日が送れるかということ。そこしかないんです。既存の就労支援には、がっちゃんを通わせたいと思えるような施設がなかったので自分たちでやる必要性を感じたわけです。――特例子会社の方はどうなのでしょうか?佐藤さん:特例子会社っていうのは、企業枠で障害者を2.3%雇用しなければならないという決まりがあって最低賃金が発生します。で、特例子会社は大手企業が多いから、ほとんどが都心にあって、オフィスで事務作業をすることができます。でも、僕から見ると、特例子会社も就労支援も両方同じようなもんですよ。封筒やチラシ折ったり、昭和の内職みたいな仕事をしている。もちろん、その子がその仕事を楽しんでいればいいけれど。――でも、キレイなオフィスで働けて最低賃金が発生するなら、保護者にとったら就労支援より特定子会社に入るほうが理想的ですね?佐藤さん:でも、特例子会社は民間企業だから、ある程度の基準を満たさないと入れないし、枠も限られています。加えて、都心のオフィスに通うために、通勤ラッシュにも耐えられる子が採用の前提となります。そうすると、当然、ある程度コミュニケーションがとれる軽度の子が採用されるんですよ。――そうすると先ほどのお話のように、重度な子は特例子会社には入れず、就労支援に行く進路しかない、というわけですね?佐藤さん:ウチのがっちゃんは、まさにそこなんです。特例子会社に行く子たちは、比較的障害が軽いので、社会で働いて賃金を稼いで満足を得ることができます。でも、がっちゃんは給料をもらってもよくわからないから、「このつまんない作業はなんなんだ!?」で終わっちゃう。――働くことにおいて、がっちゃんの幸せはどこにあるとお考えですか?佐藤さん:がっちゃんはあまりにも謎が多すぎてまだわからない(笑)。でも、親として、特例子会社に行くことががっちゃんの喜びにならないことはわかっています。だから、どういう就労支援だったら楽しめるのか、ということをずっと考えています。がっちゃんはかなり自閉症ど真ん中なので、ウチの子のニーズを満たせれば、ほぼすべての自閉症児のニーズを満たせると思ってる。がっちゃんの問題を解決することが、幅広い子どもたちの問題を解決することにつながる。それがどういう就労支援なのかということを、いくつか実験しているところです。 ■就労支援もきちんと利益を追求、「儲からない仕組み」を根本から改革――その手始めとして、就労支援ルピアをアイムの傘下に入れたのですね?佐藤さん:そうなんですよ、ルピアさんの協力で。おかげで、就労支援の仕組みがだいたいわかってきたので、来年のどこかで、ウチ独自のアートの就労支援を作ろうと計画しています。その後は、飲食の就労支援も考えています。カフェがいいのかビュッフェスタイルがいいのか…?どうやったら最小限の労力で最大限の利益を上げられるか、そこを必死に考えています。よく、福祉の世界は利益追求反対という風潮があるけど、資本主義の中で生きている以上避けられません。ビジネスとして利益をあげて、利用者の環境のために再投資をしていくために利益は大切なんですよ。――確かに、既存の就労支援って、あまり利益を出そうという雰囲気がないですよね…。佐藤さん:そこが就労支援の大きな問題なんです。就労支援は保険点数でまかなってるから、つぶれることがない。だから、彼らは利益なんか出なくてもいいんですよ。危機感が非常に薄い!ルピアも最初は課題が大きかったですよ。当初はお店もボロボロでいかにも「福祉!」っていう感じで…。 だから、アイムでプロデュースしてオシャレに改装したんですよ。すると後日、店の責任者は「全然効果ない」って言うから、よくよく話を聞いてみたら、なんと就労支援だからという理由で週末にお店を閉めていたんですよ! もう、ビックリしちゃって(爆笑)。お店、つまり小売りでしょう? 小売り店舗で土日閉まってるって、その時点で売り上げが出るはずもなく(笑)。福祉にいると、商品やサービスを提供するって時点で、就労支援も民間企業との競争になるっていう認識が薄くなるんです。もちろんその後、週末にお店を営業したら、案の上、売り上げは3倍になったわけで、みんなハッピー(笑)。一般的な就労支援を見ると、仕事内容が、ビラを折るとかボールペンの組み立てだったりするわけです。こんなところに入るために、支援学校で3年間も訓練させられたの!? って思いませんか?■既存の施設や他人に親は振り回されるだけ…子どもの将来はゆだねない!――確かに。親子で一生懸命職業訓練して、でも、その先がそんな職場ばかりだったら浮かばれないですよね…。佐藤さん:普通の就労支援でも、その子が働くことを楽しんでいればいいんです。でも、私から見たら、昭和の内職みたいな仕事をして時給100円の世界ですよ。実際にそれが合わずに引きこもりで終わってしまう障害者が多いと聞きます。特例子会社にしても、お母さんがわが子の就職先にそこを目指して、二人三脚で支援学校で3年間一生懸命訓練しても入れなくて。「ずっとがんばってきたのに特例子会社に入れなかった」って泣いたり落ち込んだりしている姿をいっぱい見ます。でも、全然落ち込む必要ないですよ!ってお母さんたちに言っています。だって、そんなところに入れなくたって、アイムがその子たちに合う就労支援を作ればいいだけのことでしょう?――そうしたら、お母さんも子どもの将来について余計な心配しなくてすみますね。佐藤さん:今ある既存の施設や他人に将来をゆだねると、親は振り回されるだけ。どうでもいいことで落ち込んだり泣いたりしてしまう。よく保護者が「将来、この子が困らないように、しつけてる」とか「療育で訓練してる」って言うけど、こんなところに入れてもらうために、子どもの個性をねじまげてまで訓練する必要なんてないですよ。大事なのは、その子自身をどうこうすることではなく、その子が生き生きと生活できる環境を与えること。だから、子どもがそのままでも安心して働ける楽しい就労支援を、アイムは目指します。そのために、ウチは「就労継続支援B型」をやるんです! ウチは「移行支援」には手を出さず、どんつきである「継続支援B型」をやります。(※)だって、たとえばうつ病とかなら、訓練してまた社会復帰できる可能性もあるかもしれないけど、自閉症は治らないから、訓練を受ければ復帰できるというわけじゃないじゃないですよね? それに「移行支援」では2年間しか訓練を受けられないから、最終的には「B型」に突っ込んで、「はい! おしまい!」なんですよ。その先のことは彼らにはあまり関係ないから。でも、これだとうちの息子の場合は困るわけですよ。※就労支援には、「就労移行支援」と「就労継続支援」の2タイプがあります。「就労移行支援」とは、一般企業への就職をサポートする訓練支援(2年間限定)なのに対して、「継続支援」は一般企業への就職が困難な障害者に就労の場を提供する支援です。さらに、「継続支援」には「A型」と「B型」の2タイプがあり、「B型」は「A型」の仕事が困難な障害者が対象となります。■健常者が「うらやましい!」と思うような就労支援を提供したい――アイムで就労支援を立ち上げるにあたって、さまざまな施設を見学に行かれたと思うのですが、参考になりそうなところはありましたか?佐藤さん:学ぶべき就労支援はたくさんありますよ。例えば、名古屋にある「世界の植物と昆虫のお店『APERO HYLE』」。虫好きの自閉症の子たちが昆虫や植物を育てて、それを売るの。ヘラクレスオオカブトとか高価な虫は1匹3万円ほどの値がつくんですよ。1日の売り上げが10万円あるから「B型」なのに、最低賃金も払えてるの! すごいなぁ〜って。――さまざまな施設を見学されて、アイムの方向性は決まりましたか?佐藤さん:ウチは川崎に3種類違う就労支援をもちたいと思ってます。だいたい3タイプくらいあれば、すべての生徒を対応ができるかな、と。アートの就労支援は決まったので、今年中に設立します。あとの2つは、案は出ているけれど、その時の状況や人材など、いろいろな要素が絡んでくるから、今のところリサーチにとどめています。でも、2年以内には作る予定です。――相変わらずすごいスピード感ですね。佐藤さん:福祉や教育は業界の特質として変わりにくいっていう前提で考えた方がいいですよ。だから、自分で作った方がずっと早いわけ。今の福祉制度をうまく使って、アイムでは新しい視点で就労支援を提供したいと思っています。もちろん、働く本人たちが楽しいっていうのが大前提なんだけど、一番重要なのは、健常者が「ここに通いたい」「こんな素敵な場所で楽しそうな仕事ができていいな」って思えるような施設を作ることだと思うんですよね。障害者がなんでかわいそうに見えるのか、それは、みすぼらしい場所にいるからだと思うんですよ。だから、うちのテーマは、健常者がうらやましいと思える職場を障害者に提供することなんです。――保護者も、福祉に頼るだけでなく、自ら行動を起こすべきなんですね。とはいえ、普通のお母さん(私)は佐藤さんのように、ガシガシ動ける自信もないのですが(苦笑)。佐藤さん:じゃあ、川崎に引っ越してきて、ウチに通えばいいじゃないですか(笑)。最近では、療育をしないというアイムの方針が浸透して、それに賛同する保護者がウチに通いたいと遠方から引っ越してきてるんですよ。だから、ウチの生徒になったら、ちゃんとアイムとして最後まで面倒を見たいなと思っています。今年の秋から、グループホームも始めました。放課後デイ→フリースクール→就労支援→グループホームと一つのレールを敷くことで、保護者の不安を取り除き、発達障害の子育てを明るいものにしたいと思っています。「すべての子どもがあこがれるような居場所を。健常者がうらやむような職場を」と、驚くような勢いで、発達障害の子どもたちの充実した人生のためのインフラ作りを進める、佐藤さん。その原動力は、「親として子どもに納得できる環境を与えたい」という想いだった。誰もが佐藤さんのように動けるわけではないが、障害を持つ子の親であれば、誰しも同じ想いを持っているのではないだろうか? わが子の幸せな働き方ってなんだろう? そのために、私は親として何ができるだろう? 改めて考えさせられた取材だった。取材・文/まちとこ出版社N
2018年01月25日小学校入学した広汎性発達障害の娘。勉強についていける?広汎性発達障害の娘は、小学1年生。小学生になる前に、親として、色々心配がありましたが、その中の一つが学校の「授業」。先生がクラスの子どもを一気に教える授業。娘が理解できるか…集中して受けられるのか…ついて行けるか…不安が募ります。Upload By SAKURAうまくいっていたのもつかの間!?担任の先生に告げられた娘の様子入学当初は、ひらがな五十音だったり…数字だったり…授業も宿題も簡単なものだけだったので、ついていけているようでした。Upload By SAKURAしかし、少しずつ内容が濃くなり…入学して2ヶ月ほど経った時、担任の先生から「授業についていけていない」という話をされました。娘は、先生が全体にする指示を聞き取れず、周りの子から大幅に遅れているとのことでした。また、授業中にマイワールドに入ることが多く、授業も聞いていないようでした。ちょっとだけ「小学生になったら、意外と何とかなるんじゃないかな」と思っていた私。自分の甘さを反省しつつ、新たにできた課題に挑むことにしました。発達外来の先生に相談したら…意外にも娘に必要だったのは今まで自宅での生活面や、コミュニケーションについては、いろいろ試してきましたが、小学生の勉強、授業の問題となると、ノープラン!!そこで私は、いつも的確なアドバイスをくれる、娘の主治医である、発達外来の先生に相談することにしました。私の話を聞き終わった後、先生は「宿題ってどんなものが出てる?」と聞いていきました。Upload By SAKURA先生は「おそらく宿題は、学校でやったことを確認するような復習の内容だと思う。発達障害のある子どもの多くは、復習と言うのはあんまり必要じゃないんですよ。娘さんのような子たちは、見通しのつかないことが苦手。初めて聞くことには、興味を惹かれないんです。こういう子にとっては、授業で聞くことは、二回目であったほうがいいんです。『あ、聞いたことある!』というのが、授業を聞こう!って興味になるんです。」とアドバイスをくれました。「だから、復習よりも予習が大事なんです。一度やってることは、自信にも繋がりますよ。」またまた私は、目からうろこ!何度この先生からのアドバイスに、うろこを落とした事か(笑)みんなと違う宿題をやってみる?それから先生はこんなことを言いました。「学校の先生にお願いして、みんなと違う宿題をだしてもらったらどうですか?例えば、来週出す予定の宿題を、先にもらうとか。」しかし…宿題を一人だけ別に…なんて…担任の先生の手を、これ以上煩わせるわけにはいかない。Upload By SAKURA学校で来週やる範囲をお家で予習!そこで私は、学校の先生に事情を説明し、毎週、来週やる授業の予定範囲を聞くことにしました。そして、娘が帰宅後、みんなと同じ宿題を終わらせた後、授業で使う教科書と、ワークブックをコピーして、来週予定のものを、先にやることにしました。ここでポイントなのは、教科書を書き写したりしてやるのではなく、同じ教科書やワークの、実際にやるものをコピーして使うこと!娘は視覚優先という特性があり、問題を書き写しても、それは同じものではありません。授業の時に娘が、「見たことある!」と思うよう、コピーを使うのです。娘は、この予習を毎日頑張ってくれました。Upload By SAKURA「やったことある」が授業中の娘をサポート!予習を始めて、1ヶ月ほど経った時、授業中の娘に変化がありました。学校の先生に聞いたところ、指示をしなければ書けなかったところが、 スッと書けているとのことでした。予習として事前にやっているためでしょう。もちろん、同じものをやっているので、当たり前と言えば、当たり前。しかし、娘にとっては「授業がわかるという自信」につながっているようでした。娘の口から、自信満々な授業の話を聞くと、私も嬉しくなり、予習の大切さを改めて感じました。Upload By SAKURA授業中はサポートできないけれど、家でできることは親子でやってみる娘は、みんなと同じ勉強方法・勉強量では、ついていけません。小学校に通っているからと言って、 学校にすべてを任せるのではなく、 娘がみんなと同じようにやれるように…家でも、努力でカバーできることは、 とにかくやってみる!! そういう気持ちをもって、取り組んできました。そうするうちに、授業を少しずつ聞けるようになってきたようで、予習をすることも少しずつ減ってきました。算数に関しては、ほとんど必要ないほどに。言語が苦手な娘は、国語が苦手。文章を読み取って問題に答える、文章問題や、文章を自分で構成しなければならない、感想文や作文は、まだまだです。ですが、徐々に、授業でやったプリントを、先生の指示を聞きながら、自分で丸付けできるようにもなりました。1年生も、残り僅か。4月には、娘も2年生になります。2年生になれば、勉強もより難しくなります。宿題やテストの結果などから、娘の学習状況を確認しつつ、担任の先生に授業の様子を細かく聞きながら、予習を調整していきたいと思っています。Upload By SAKURA
2018年01月24日早口・マニアック・自己中…小学校高学年時代の息子は、友だちに敬遠されるようにUpload By かなしろにゃんこ。ADHDと広汎性発達障害がある息子リュウ太。小学校高学年の頃は、自分の得意な話題となると、話が止まりませんでした。そのうえ、早口でまくし立てるようにしゃべるのです。学校では、仲がいい子からも「早口すぎて聞き取れない」「言ってることが難しくて分からない」と、ドン引きされることがあったようです。学校から帰ると「誰もオレの話を聞いてくれない」と悲しそうにすることが、よくありました。「(自分の好きな)電車や車の話をすると避けられる」というのです。小学生だと、趣味の話を延々とされても、話を合わせてあげるなんてことはできません。クラスメートが、興味を持てない会話を避けるのも無理はありません。「自分の好きなことばかり話しても聞いてもらえないよ。みんなが興味を持てる話をしてみたら!」とアドバイスしても、自分が興味を持てない会話だと何を話していいかわからないようで、会話に入れず、孤立することもありました。流行のモノを与えても解決しない!?コミュニケーションの根っこを育てたい…!Upload By かなしろにゃんこ。そのころ私は、PTA役員をやっていたので週に2日ほど学校に行くことがありました。すると、休み時間にPTA会議室の前に息子がやってきて「仲間に入れない…」とボヤくのです。休み時間に一人で寂しそうにする姿を見るのは親としてやはり切ないです。もう一度「仲良くしたい子の好きな話題に合わせて話しかけてみたら?」などアドバイスしてみたものの、息子は「がんばってみたけど、モンスターゲームの話が分からないからついていけなかったよ」と…一番仲のいいグループの友だちの間では、モンスターゲームがブーム。休み時間も、その話に花が咲きます。でも、ゲームをやっていない息子は完全にアウェーに。話の輪に入っていけっこありません…。私も、どうアドバイスをしたらいいか途方にくれてしまいました。高学年になると仲間の中でこれから何が流行りそうか、話題の流れはどうなっていくかなど、空気を読んだり鼻をきかせたりなどのテクニックが必要です。でも、息子はそれを知らなかった・できなかったことで、出遅れてしまったのです。そんな姿を見ているとなんとかできないものか?息子に何を伝えれば一番いいのか?考えましたが「じゃあそのモンスターゲームを買ってやろう。早速やらせてみよう!」という、”モノを与えて追いつかせる方法”は違うと思いました。「もっとコミュニケーションの根っこの部分をどうにかしないとどうにもならない」と感じたからです。発達障害者向け自助会が主催する”コミュ力向上”ワークショップへUpload By かなしろにゃんこ。親ならば、孤立しないで会話を楽しんでほしいなと思ってしまいます。中学校生活も待っています。とにかく、息子のこの先のことが心配でした…。そんなとき、発達障害がある人向けの自助会に誘われました。そこは、発達障害がある人や、その家族、支援者などいろいろな立場の人が参加できる会で、発達障害がある人の「コミュニケーション力の向上」を目指すワークショップを全国で開催していました。そこで私も、ワークショップに参加してみることに。そして「発達障害がある人が、なぜコミュニケーションが苦手になってしまうのか!?」ということについて教えてもらうことができたのです!司会進行をつとめるKさんも発達障害がある当事者でした。そして「発達障害がある人はコミュニケーションが不得意になってしまう特徴がありますよね!」と少々耳が痛い(笑) 部分について、一つひとつ丁寧に説明してくれました。コミュニケーションが苦手になる原因ってなんだろう?Upload By かなしろにゃんこ。まず、コミュニケーションが苦手になる原因として、例えば次のような特徴があると教えてもらいました。■相手の話に、否定的な返しを言いがちで、会話が続かない■自分の話ばかりしたがる■不得意な話題になると会話に参加しなくなる■話をしているうちにテーマがそれ、どんどん違う話になる■話題の引き出しが少なく、話が広がらない一つひとつ、事例を交えて教えてもらいました。これはその一部です。Kさんの話を聞きながら「ハッ!!私もそうかも!?」と思いあたることがあったり、息子の特徴そのままだったり…。「人とうまく話せるようになりたい」と思っていても、上にあげたようなさまざまな原因によって「人と話すチャンスが減ってしまうことで、話すことに苦手意識が生まれてしまう。コミュニケーション面で成長できる機会に恵まれなくなってしまう」ということに気づきました。発達障害がある人が”うまく話せるようになるコツ”って?Upload By かなしろにゃんこ。私は、ワークショップで教えてもらったことを「一つ残らず聞き漏らさないで家に持ち帰るぞ~!」と決意し、メモに大忙し。次に、どうやったらうまく話せるようになるのか!?というコツを、教えてもらいました。■相手の話の中で面白く感じたことやいいところだけを見つけて伝える(相手のいいところを見つけるのでもOK)■会話するときは話す前に秒数、間をおく。自分ばかり話さずに相手にも話を振る■不得意な話題も食わず嫌いにならずに参加してみる。分からないことは質問すると会話が続く■どんな内容の話やどんな話し方をしているのか、他の人の話を意識して聞いてみる■公的なところでは、周りの人が分からないマニアックな話題は避ける数秒意識するとか、人の話を意識して聞いてみるということなど、ちょっと意識するだけで変わりそう!と感じました。私自身、トレーニングが必要だった!?ロールプレイングで楽しく学べたワークショップUpload By かなしろにゃんこ。発達障害がある人だけでなく、こうしたコツは定型発達の子(人)もできていないことがあるんじゃないかと思います。私自身、話し方がうまいわけじゃありませんから、気づきがいっぱいありました。ワークショップ前の説明で教わったことは「みんなに効果あるじゃん!」って目からウロコでした。そして、今までは息子のコミュニケーションのことばかり気にしていたけれど、「私自身も改善しなきゃいけないところだらけ」だと気がつけたことも、大きな収穫でした!講義のあとは、数人ずつグループになって、いよいよ個室でワークショップを体験です!説明で受けたコツを意識しながらロールプレイングしたり、ディスカッションをして会話のキャッチボールってどう作られていくのか実践しながら身につけていきます。ワークショップの様子や、獲得したコツを息子リュウ太へどう伝授したかについては、次回お伝えしたいと思います~☆
2018年01月23日「【前編】30歳、プログラマー、大人の発達障害。私が掴んだ「人生をラクに生きる」サバイバル術では、私の生い立ちについてお話しました。この【後編】では、不登校やうつ病、休職を経てようやく掴んだ、このサバイバル術についてお伝えします。「人生をラクに生きる」ためのサバイバル術とは出典 : それでは早速、私が実践する「人生をラクに生きる」ためのサバイバル術を紹介します。サバイバル術の基本となるのは、次の3つの考え方です。1. 他人から激しく嫌われなければそれでいい2. 周りと同じように振る舞えていれば問題にならない3. どうしようもないものはあきらめて受け入れるこの考え方をもとに行動することで、無理せず、ラクに生きていくことができています。あくまで私の実践例ですが、生きにくさを感じている方の参考例にはなるのではないかと期待しています。それでは、次からそれぞれについて解説していきます。他人から激しく嫌われなければそれでいい出典 : ひとつ目の考え方は「他人から激しく嫌われなければそれでいい」という考え方です。若いころの私は、人から嫌われることに恐怖を感じていました。何をするにも、相手から好かれるために「とりあえず相手にあわせる」ように行動していました。たとえば飲み会に誘われたら、私にとって楽しくないとわかっていても参加していました。断ったら嫌われていじめにあうと思っていたからです。上司からゴルフに誘われたのでゴルフを始めたこともありました。でも、飲み会もゴルフも、私にとっては苦痛以外の何物でもありませんでした。なぜなら…・相手が何を考えているのかわからないけど気を使わなければいけない・決して少なくないお金も払わなければならない・特に仲が良くなるわけでもないという三重苦しか感じられなかったからです。こうした行為は、自分で自分に罰ゲームを課しているようなものでした。うつ病にかかっていたこともあり、生きているのがつらく、何のために生きているのかよくわからなくなっていました。うつ病から回復し始めたころから「どうせほとんどの人と仲良くなれないなら、誰とも敵対しない程度に、自分がラクになる行動をしてみよう」と考えるようにしました。それからは、飲み会もゴルフも自分が楽しそうだなぁと思うものだけ参加するようにし、気のりしないものは全部断るようにしました。他のお誘いや普段の行動も、自分が楽しくなれそうかどうかを基準にして行くようにしました。「将来のために貯金を始めたんです」とか「その日は用事が入ってて…すいません」という具合に誘いを断っても、ほとんどの人は「ふーん」という感じで特に気にしていないようでした。そのうち、一緒にいて楽だなぁと感じる人と仲良くなることが増えました。私の振舞いや行動が変わったことで、周りの人に与える印象も変わっていったのかもしれません。相手に好かれるために、必要以上に好かれそうな行動をする必要はないのです。昔の自分はいったい何をそんなに怖がっていたのだろう?と思います。周りと同じように振る舞えていれば問題にならない出典 : でも、自分がラクなように行動してたら周りの人から白い目で見られるんじゃないか?という不安を持つ人もいるかもしれません。そこで紹介したいのが、2つ目の考え方「周りと同じように振る舞えていれば問題にならない」です。私は昔から周りの人と同じように振る舞うことができず、とても悩んでいました。そのため、周りの人がどのように考えていてその結果どのように振る舞っているのかをずっと観察し、なるべく同じように考えて同じように振る舞うように努力していました。数年かけていろいろと見聞きし、実践し、自分なりにたどり着いた答えは「誰もなぜそれをやるのかをそんなに深く考えていない」というものでした。私が本当に考えなければいけなかったことは、「どう考えてなぜそのような振舞いをしているか」ではなく、単純に「どういう状況でどんな振舞いをすべきか」ということに気づいたのです。・相手が自分に気を使ってくれたな と思ったらべつにありがたくなくても頭を下げてお礼を言う・相手が愉快そうなことを言ったら、意味がよくわからなくてもとりあえず笑顔を作る・集団で行動するときはとりあえずおとなしくしておき、どこかに移動しそうなら一緒に移動しておく多くの場合、その状況における適切な(らしい)振る舞いをすれば、なぜそういう振る舞いをしたのかは問われません。テーブルマナーや冠婚葬祭のしきたりと同じようなものです。なぜやらなければならないのか気になることもあるかもしれません。でも多くの場合理由なんてありませんし、知らなくても問題にはなりません。外国の独特な祭りや風習を見たときのように「ここではそういう風習があるのだなぁ」くらいの感覚でいれば良いのです。うまくやっていくためには、「どんな状況の時にどんな振舞いをするのが適切なのか」というパターンをたくさん身につけておくと、周りとの違いを減らせ、問題が起こることを防げます。そういうものだと思ってしまえば、心が壊れることもありません。どうしようもないものは、あきらめて受け入れる出典 : 何かで失敗してしまったときなどは自分が発達障害であることを呪ってしまうこともあるかもしれません。また、自分としてはなるべく周りとなじめるよう振る舞っているつもりなのにどうしても周りの人とうまくいかない ということもあると思います。そういう時は、3つ目の考え方の「どうしようもないものはあきらめて受け入れる」のです。自分が発達障害であることも、周りの人が自分を好きになってくれないことも、どちらも自分の力ではどうしようもないものです。朝起きたら突然発達障害の症状がたちどころになくなっているとか、ある日突然周りの人から好かれるようになるなんてことは起こりません。自分の力ではどうしようもないことに多くのエネルギーを浪費する必要はありません。それより自分にとってもっとプラスになることにエネルギーを注ぎましょう。自分が楽しいと思うことをやっていると自分に合った他者と巡り合う可能性が高くなると考えましょう。最後に出典 : とはいえ自分の力で変えれるかもしれないところは努力してみましょう。その経験はまったく思わぬところで活きてくるかもしれません。たとえば私が今書いているこの記事もそうして生まれたものです。サバイバル術を掴み実践するようになって、私はようやく発達障害の特徴を持っている自分を気に入ることができるようになりました。自分の世界に入ってひとつのことに深く集中し続けることはとても楽しい体験ですし、結果として他の人よりもたくさんの仕事をこなすことができます。感情論ではなく合理的に考えられることも、プログラマーとしてさまざまなことを効率化する際にはとても有利に働いています。発達障害の特徴があることは、必ずしもネガティブなことだけではないと、私は強く感じながら、今を生きています。
2018年01月23日発達障害児とその家族を支えるため、発達障害の正しい理解のための講演活動や、発達障害児を持つ家族のための相談支援活動などを行っている団体、一般社団法人「発達障害ファミリーサポートMarble(マーブル)」。その代表理事を務める国沢真弓さんは自身も、高校生になる自閉症児の母であるため、「当事者家族」の視点からのお話にはとても説得力があり、温かみのある方です。本業がアナウンサーであるため、周囲への「伝え方」のアドバイスは、なるほど! と深く納得できるものばかり。500名以上の発達障害児の家族の相談にのってきた国沢さんに、今回うかがったのは、発達障害の子どもを取り巻く、周囲との上手なコミュニケーション方法について。同じく発達障害の息子を持つ筆者が、「カミングアウトはするべきか?」「するとしたら上手な伝え方は?」、また「身近に発達障害児がいる場合、周囲はどう働きかければいいのか?」などを聞きました。■カミングアウトにあえて障害名を言う必要はない――発達障害の程度が重い場合は、あえて説明しなくても周囲は自然とわかるかもしれませんが、グレーな場合はわかりにくいですよね。特に説明する必要を感じない場合は、黙っていてもいいような気もしてしまいますが、身近なところにはカミングアウトした方が良いのでしょうか?「私が相談を受けた中では、カミングアウトした方が良いケースが多かったです。ただし、その際に、障害名をあえて言わない方が、結果的に良かったようですよ」――障害名をあえて言わないのはなぜでしょうか?「保育園や幼稚園だと、保護者が顔を合わせる機会が多いので、保護者の人となりが大体わかるのですが、小学生になると保護者の顔が見えにくくなってきます。残念ながら、中には噂好きのお母さんがいて、障害名だけ切り取って周囲に言われてしまったという例もあります。もちろん、障害名を伝えてうまくいくケースもあるので一概には言えませんが、カミングアウトする際は、どういう保護者がいるかわからないという想定で考えた方が良いと思います」――具体的には、どう伝えれば良いのでしょう?「上手くいった、ひとつの例をご紹介しましょう。『ホップ・ステップ・ジャンプの伝え方』…と私は名付けているのですが(笑)。まず“ホップ”。ユル~リと、子どもの具体的な行動を伝えます。例えば、『授業などの予定が急に変わると、混乱して泣いてしまうこともあるかと思います』とか『息子の〇〇は気持ちが高ぶると時々、乱暴な行動に出てしまうことがあります』など。ただ、この時、できればマイナス面だけではなくプラス面も話してほしいです。例えば、『小さな子には優しかったりするんですよ』など、良い面もくっつけると、聞いた時の印象が和らぎます。次に、“ステップ”として、子どもの行動に対して親として努力している姿勢を伝えます。例えば、『本人が行動を改められるように、1カ月に1回ほど専門家に相談に行っています』などというふうに『何もしていない訳ではないんだよ』と知らせます。最後に“ジャンプ”として、『〇〇のことで、何かありましたらお知らせください』と、いつでも受け入れる姿勢でいるということも伝えておく。そうすると、『ちょっと子どもはやっかいだけど、この保護者は何かあった時に聞く耳を持っているんだ』と、周囲も安心してくれるでしょう。本当は、しんどいんですけどね(汗)そして余裕があれば、最後に『今日は、話す前は緊張しましたが、親子ともども、楽しい学校生活を送りたいと思っているので、1年間よろしくお願いします』などと前向きな言葉で締められたら、グッド! ちょっとハードルが高いかな(笑)。でも、こんな順番でお話しすると、周囲に受け入れてもらいやすいようで、1クラスに2~3人は、応援してくれる保護者が出てくるケースをたくさん見てきましたよ」――なるほど。受け入れる姿勢を示すことはとても大事ですよね。では、もし、実際に子どものことで保護者からクレームがきた場合は、どう対処するのがベストでしょうか?「『周囲から子どものことでクレームがきた』という相談も、とても多いです。例えば、通常学級では『〇〇君がいると授業が進まない。支援学級にうつった方がいいんじゃないんですか?』なんて言われてしまうことも、残念ながらあります。そういう時は、もし、わが子が授業を中断しているのが事実だとしたら、まず謝ることが大切。そのうえで、『この子の居場所ができるように、クラスメートに迷惑がかからないように、学校と話し合いをしているので、もう少し見守っていただけますか?』とか『今、事態が改善されるよう、専門家にも相談をしています』などと、こちらが努力している姿勢を示しましょう。と言っても、こういう局面で、このように伝えるのは、すごくエネルギーを使いますよね。私も、相談する方のつらさがわかるだけに、なんとか力になれたらと思うんですよ」 ■発達障害の子どもに対して、周囲はどう対応すべき?――次は、逆の立場から考えた時のことをお聞きします。例えば、身近に発達障害の子どもがいた場合、周囲はどう接したら良いのでしょうか?「周囲が『歩み寄りたい』という気持ちを持ってくれたら、とてもありがたいです。発達障害の子どもの性質と接し方のコツを、周囲のみんながわかってくれたら、その子だけでなく、きっとみんなも楽になると思うんです。事実、障害児がいることで、その子を落ち着かせるために一致団結したり工夫したり、クラスがすごくまとまるケースもあるんです。…と言うことを、私たちのような“障害児の親サイド”から言ってしまうと、ちょっと押しつけがましいかもしれませんが(笑)。でも、実際、そういう例はあるんですよ」――「あの子はいろいろ問題行動を起こして迷惑」というふうにとらえるのではなく、「どうすればみんなが快適に過ごせるか?」というふうに視点を変えるのですね?「そうです。『授業を中断されて迷惑』とばっさり切り捨てるような一面的な考え方ではなく、『同じ教室に困っている子がいて、どうすれば解決できるか』を多面的にみんなで考える。その子が落ち着けば、自分たちへの飛び火も消えて、お互いに過ごしやすくなるはずですから。ただ一方的に、その子ばかりを特別扱いするというのではなく、みんなにも良いことがあるということを知ってもらえたら良いですね」――具体的には、周囲はどう接したらいいのでしょうか?「発達障害児に接する基本は4つです。1つは、話しかける時は『おだやかに・短く・肯定的な表現で・具体的に・わかりやすく褒める』。例えば、『廊下は走っちゃダメだよ!』ではなくて、『静かに歩きましょう』。『ちゃんとやってよ!』ではなくて、『〇〇を□時までに△△にしまいましょう』というふうに。2つ目は、あらかじめ予定を伝えることです。例えば、今日1日のスケジュールなどを表にして、『どこで、何が、いつ、誰が』を明記してわかりやすく伝えます。3つ目は、その子が集中できる環境を整えることです。好きなモノを手に握らせるなど、ほかにもその子が落ち着いていられるように工夫します。4つ目は、感覚過敏に配慮することです。発達障害児は知覚・触覚・嗅覚・味覚・平衡感覚が鋭かったり、逆に鈍かったりすることが多いので、近くで大声を出さないようにしたり、急に体に触れたりしないように、その子どもに合わせて配慮します。これら4つのことを組み合わせてやっていくと、落ち着いてコミュニケーションを取れることが多いと思います。すごくたくさんあって、大変という印象を持たれる方も多いかもしれませんね! けれど、こういうことを実践して、実際、発達障害の子どもが落ち着いて、クラスにいることができたら、それは周囲の皆さんの“努力賞”だと思いますよ」――なるほど。でも、このコミュニケーション方法って発達障害児だけではなく、すべての子どもに同じように役立ちますよね?「もちろん、発達障害児だけではなく、すべての子どもに有効な方法だと思います。私もこの対応法が身に着いてから、ずいぶん変わりました。例えば、忙しい時に子どもがミルクをこぼしたりすると、以前は『もう…! 何してんの!』みたいに怒ってしまっていたけど(苦笑)、息子への対応法が身についてからは『これでキレイにふきます』とサッと布巾を渡せるようになりました。私がイライラすると息子がそれに影響されて大変になってしまうので、自分の身を守るためでもあるんですけどね(笑)」――対応法が、すっかり体に身に着いたのですね!「10年以上、発達障害児の子育てをしていると、ずいぶん変わりますよ(笑)。難しいことかもしれないけれど、周囲の皆さんにも、どんどん対応法を知ってもらえたらうれしいです。上手に対応できた子は、きっとクラスの中でも『えっ、すごいじゃん!』と羨望(せんぼう)も集まって、その子も鼻高々になるかもしれません。そうやって、お互いコミュニケーション方法を学ぶことで、お互いの理解が深まるような、そんな環境になれば素敵ですよね」集団の調和を乱す子を、単に『みんなの邪魔』と言って排除するのは簡単です。でも、排除するだけでは、そこからは何も学べませんし、成長もありません。自分も、いつ“障害を持つ側”になるかはわからない…。障害を持った時に、悲嘆したり絶望したりすることがないように、誰もが尊重される、暮らしやすい社会が実現できると良いなと、心から思います。ただし、発達障害の子どもが何に困っているかを考え、相手の立場を理解し、一緒に楽しく過ごす方法を考えるのは、手間も忍耐力もとても必要です。けれど、それを根気よく進めていくことで、子どもたち(もちろん子どもだけではなく私たち大人も)は、かけがえのないものを学んでいくのではないでしょうか?国沢真弓さん プロフィールフリーアナウンサー、自閉症スペクトラム支援士、一般社団法人 「発達障がいファミリーサポートMarble」 代表理事<役職>ペアレント・メンター、三鷹市相談支援事業「ママサロン」相談員 、三鷹市知的障害者相談員、三鷹市発達障害児親の会「モンブランの会」会長、社会福祉法人「清陽会」評議員、児童発達支援施設「すこっぷ調布」アドバイザー、三鷹市教育支援推進委員会委員。<経歴>都立新宿高校、聖心女子大学文学部歴史社会学科を卒業。富士通株式会社を3年勤務後、アナウンサーに転向。NHKテレビ「きょうの料理」「婦人百科」の進行を約10年務めたほか、多数のテレビ・ラジオ番組に出演。海外特派員、番組企画構成も担当。ナレーション・司会は各500回以上務め、厚生労働省主催「世界自閉症啓発デイシンポジウム」の総合司会を毎春担当。「3歳までの子育ての裏ワザ」「こんな時どうする?子どもの友達・親同士」(PHP出版)など共著多数。<現在の活動>一般社団法人「発達障がいファミリーサポートMarble」代表理事として、「発達障害」や「伝える力UP」といったテーマでの講演を、全国で行っている。また、「ペアレントメンター」として保護者や支援者の相談に応じるほか、障害児の家族が気軽に参加できるイベントやお喋り会の開催等を行い、家族の元気を応援している。(詳しくはホームページをご覧ください)。取材・文/まちとこ出版社N
2018年01月20日くも膜下出血から退院したものの…息子にみられた数々の異変学校での事故で外傷性くも膜下出血になり入院した息子リクでしたが、頭痛や眩暈もおさまり、2週間ほどで退院することができました。Upload By ひらたともみ退院して数日後には学校に行けるようになったリク。このとき私立の受験まで2か月。公立高校の受験まで4か月…。受験勉強もなんとか間に合いそう!と思っていた矢先、私はリクの異変に気づき始めました。Upload By ひらたともみUpload By ひらたともみケガをする前のリクは、私も仰天するほどの努力の甲斐もあり、成績も急上昇。ところが、上り調子だった勉強が退院してからさっぱりわからなくなったらしく、テストの結果も過去最低更新記録の連続。常にイライラして落ち着きがなく…おまけにどこでも寝てしまうのです!テレビを見ながらウトウト、食事中にウトウト、学校でもウトウトと、とにかくすぐ眠ってしまうようになりました。それに、思春期で私にはそっけないリクでしたが、おおらかさと面倒見の良さで慕われてきたはずなのに…学校では急に暴言を吐いたり、先生に食ってかかったりと、まるで人格が変わってしまったかのようなことが続いたのです。息子の異変に疑問を持ち、病院を受診したところ…Upload By ひらたともみ「やっぱりおかしい…!」心配になってネットで検索してみると、今のリクの様子は、高次脳機能障害の特徴に当てはまることばかりでした。高校受験も控えており、私立の願書も提出済み。病院になんとかお願いをし、最短で検査してくれる専門の病院を紹介してもらうことになりました。Upload By ひらたともみ心構えしていたせいか、医師の高次脳機能障害という診断を、リクも私も落ち着いて受け入れました。息子の不安と苦しみに手を差し伸べたのは妹の真っすぐな愛情Upload By ひらたともみUpload By ひらたともみUpload By ひらたともみUpload By ひらたともみ不快な異変の原因がケガの後遺症だとわかるまで、リクは相当なストレスと恐怖と混乱だったと思います。くも膜下出血も収まり、日に日に回復していく頭痛や眩暈と裏腹に、脳内だけが暗い森の中で、昼夜問わず光を求めて歩くような日々…。学校で窓ガラスを割ってしまったときは、はたと我にかえったとたん、どうして自分はこんな乱暴なことをしているのだと、ガクガクと震えて泣いていたそうです。会議室に私と娘が迎えに行ったとき、リクは妹のイロハを見て、安堵の表情を浮かべていました。リクの手を握るイロハの小さな手は、兄を想い、なぐさめ、未来の展望など皆無でもいいから、共に明るく一緒に進もうと言っているようで、自然と私も涙があふれ出し泣いていました。実際のところ、医師に高次脳機能障害と言われ、リクも私もホッとしました。というのも近年、高次脳機能障害は時間をかけてリハビリすれば改善されることが多くなったそうです。高校生になれてもなれなくても、リクはリク。怒りっぽい今のリクは、いつか元の優しいリクに戻る日がくるんだと、冬の満点の空を見ながら、毎夜祈るばかりです。
2018年01月19日楽しみな予定ですらすっぽかす、ADDの私出典 : (注意欠如障害)のある私は、とにかく忘れっぽい。過去の何気ないエピソードは仔細に記憶している半面、今日明日のタスクや来週の予定などを失念しやすいのだ。仕事については、日課となっているメールチェックで確認するし、前日からの流れで把握することができる。問題はイレギュラーな予定、月数回の通院などだ。通院は楽しくないから忘れやすいのではないか、と言ったらそうではない(実は結構好き)。楽しみな予定ですら忘れてしまうのだ。例えば観たいテレビ番組があったとする。その予定も覚えていられる自信がない。「テレビをつけっぱなしにしておけば?」というアドバイスをいただいたことがある。しかしわが家はテレビをつけっぱなしにする習慣がないというか、そもそもテレビの存在を忘れていることが多いのだ。そこで考えたのが、太字のペンでメモ書きをし、テレビに貼りつけることだった。これで見逃すことは激減した。Upload By 鈴木希望問題は前述した通院である。私はてんかんなどの持病があるため、うっかりすっぽかして薬を切らすと大変なことになる。とはいえ回数が多いため、テレビに通院予定メモを貼りつけたところ、今度はテレビ周りの情報の多さに疲れてしまい、逆にそちらを見なくなってしまったのだ。周りからのアドバイスも、「変化が苦手」で受け入れられず…。Upload By 鈴木希望もちろん手帳やカレンダーに、予定をきちんと書き込んでいる。それでも忘れてしまう私を見かねて、周りの皆さんがさまざまな解決案を提供してくださった。付箋紙を活用する手帳術、毎日ざっくりとした予定を書き込んでいくタイプのノートなど。ここで私のASD(アスペルガー)味、「慣れないものを受け入れられない」が発動する。気に入ったものを毎年買っている私にとって、タイプの違う手帳に変えることは、なかなかにして勇気がいることなのだ。ちなみにスマートフォンのアラームは、びっくりしすぎて具合が悪くなるもので、使うことができない。とりあえず、情報の多さに耐えながら、テレビ周りにメモを貼ることでしばらくはしのいでいた。しかしあるとき、ひょんなことから私は、毎日手帳をしっかり確認する人間に変わるのだった。「見ずにはいられない」きっかけは偶然に!?すごいぞ「推し」パワー!2017年の夏、私が応援している俳優さん(以下、推し)のソロ・コントライブがあった。チケットには先行予約があり、特典は推しのサイン入り生写真。これを逃してなるものかと、私は受付開始10分前からPCの前に正座し、時報と共に申込用WEBページをクリックした。そして公演当日入手したその特典を、汚したり折ることがないように、手帳のカバー内側、そで部分にしまい込んだ。Upload By 鈴木希望すると翌日以降、ちゃんと開くようになったのだ、手帳を。どこにしまったか忘れたり、その存在を忘れることさえ珍しくなかった手帳を、だ。それも毎日。日に数回。推しの写真見たさに開き、そのついでにスケジュールをちゃんとチェックするようになったのだ。あらゆる手帳術が意味をなさず、困り果てていた私が、スケジュールをチェックできるようになるなんて…。推しパワー、すごい。有効なライフハックは人それぞれ。「推し」がいる皆さん、いかがでしょうか?出典 : 以来、私は診察予約をすっぽかすことがなくなった。ついでに言うと、忘れたくない予定は全て手帳に書き込むようになったため、テレビにメモを貼り付けることも減った(たまに貼る)。発達障害当事者向けのライフハック(生活や仕事における工夫)はさまざまであり、それらには試す価値が大いにあると思う。しかし、発達特性の出方やグラデーションもさまざまであるため、全ての方法が全ての当事者に有効だとは限らない。それぞれの性格にもよるだろう。私は目の前にニンジンをぶら下げられたら、嬉々として走り回るタイプの動物なので、たまたま得たこの方法がてきめんだった。しかし全てのADD当事者にすすめられるものではない。とはいえ、「寝ても覚めてもその人ばかり。その人の話なら鼻息荒く何時間も語れる」という存在が、2次元3次元問わずいるという方は、一度試してみても損はないと思う。効果の保証はいたしかねますが。
2018年01月16日先生発案!目からウロコの「合理的配慮」の実例ベスト5出典 : こんにちは。『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母のどんな子もぐんぐん伸びる120の子育て法』著者・楽々かあさんこと、大場美鈴です。うちには、もうすぐ小学校卒業の発達障害のある長男と、グレーゾーンの小4の次男・小1の長女がいます。今まで私は、学校の先生方と連携し、さまざまな「合理的配慮」をお願いして、ここまでやってきました。でも、担任の先生がいつの間にかやってくれていた「さり気ない配慮」もたくさんあるんです。本当にちょっとしたことでハードルが下がって、すごく気持ちがラクになったり、みんなと一緒に取り組めたりするんですよ。今回はお忙しい通常学級の先生にも手軽にできて、「◯◯くんだけズルイ」だなんて目立たずに、クラス全体で取り組んだり、さり気な〜くサポートできる、目からウロコの「合理的配慮」の実例ベスト5を、一挙にご紹介します!Upload By 楽々かあさん教室の机の奥に、くっちゃくちゃのプリントやテストが押し込められて、大事なお知らせを持ち帰り忘れてしまう長男。おかげで、「一体いつの話?」という、提出期限切れの申し込み用紙が後から発掘されることも。そんな「困った」を担任の先生が、たった1本のヒモを使って問題解決して下さいました。連絡帳を入れる学校指定のジッパー式の「連絡袋」のカドに、書類用の綴じヒモを通して輪にするだけ!これを、長男の机の横のフックにひっかけて、プリントやテストを配ったら、すぐにそこに入れるように促して下さったのです。机の外に出て見えているので、長男も持ち帰る時に気づきやすく、先生も声かけしやすい、ナイスアイデアでした!出典 : ある年の学習発表会では、グレーゾーンの次男の担任の先生も、さり気ない配慮をして下さいました。緊張しやすく、大勢の人を前にすると固まってしまって、台詞や動くタイミングが吹き飛んでしまう次男。プレッシャーから、直前に「やっぱりムリィ〜!」と敵前逃亡した実績もあります。でも、その年の先生は、なんと、体育館のステージの正面2階の連絡通路から、まるでオーケストラの指揮者のように、次男に大きなジェスチャーでサインを送って、タイミングを教えてくれたのです。先生のサインに、マウンドのピッチャーのように小さく頷く次男。そして、無事台詞が言えたら、先生はニッコリ笑顔で大きな「マル」を作って見せてくれました。他の先生からは「◯◯先生と◯次郎君、コントみたい」なんて、面白がられていましたが、次男は安心して参加でき、「できた!」体験がとても自信になったようです。おかげで、翌年からは、配慮なしでも学習発表会が大丈夫になりました。出典 : もう一つ、次男の先生から。次男は「人の顔と名前が覚えにくい」ので、3学期になっても、クラスのお子さんたちの3分の2くらいは、名前が分からなくて、自信を持って話しかけることができず、本人もそのことを結構気にして悩んでいました。次の学年の初めに面談をお願いし、そのことを先生に伝えたところ、教室の後ろにクラス写真に名前を入れたものを掲示して下さいました。このように「クラス皆が共有できる」ことは、次男だけでなく、同じようなタイプの子や転校生、近年増えている外国人の子など、どんな子も安心できる素敵な「さり気ない配慮」だと思います。出典 : 教室の席というのは、実は大抵、視力や身長、クジ運だけではなく、ある程度担任の先生が、クラス運営のしやすさなどを加味して決められていることもあるようです。一般的に、席の配置では「ちょっと気になる子は、先生の目の前の、最前列中央の席」になることも多いかと思います。確かに先生がマメに声をかけやすく、目が届きやすいですよね。不注意性の高い長男が低学年の頃は、いつもココが定位置でした。でも、その時のクラスの雰囲気や他のお子さんたちとの関係で、優先することも変わって来るようです。3・4年生の時、長男の定位置は「中央一番後ろ」になりました。その理由は、「◯太郎君が授業中に何度も声かけされるのを、他の子の目につきにくくするため」とのこと。長男は「教科書◯ページだよ」「定規出してね」など、先生にその都度個別に声かけしてもらえれば気づきやすいけど、それが最前列の席だと、いつもクラスのお子さんたちから目についてしまいます。社会性が育って、仲間意識が強まる3・4年生は「ギャングエイジ」とも呼ばれ、ちょっとしたことが、仲間はずれやからかいの要因になることもあります。そんな空気をいち早く先生が気づいて細やかに配慮して下さり、一番後ろにしてくれました(そして、ちょっと遠回りしながら、声かけも続けてくれました)。この位置は長男もお気に入りで、安心できたようです。空気を読むのが苦手な長男は、自分で気づけない・モヤモヤした気持ちを言葉でうまく表現できないこともあるので、先生がさり気なく守ってくださって、本当に有難いなと思いました。また、聴覚過敏のある次男は、廊下側の柱の横の、片側が壁になっている席が落ち着くようです。班決めなども、大人しい子が多いグループになる確率が不思議と高い学年は、「ひょっとして、配慮してくれてるのかな?」なんて感じることもあります。他にも、夏休みの自由研究の発表などは、順番を最後のほうにしてくれて、他のお子さんたちの「お手本」をたくさん見てからだと、発表の仕方がイメージしやすくなったこともありました。マニュアルではなく、実際の状況に合わせた弾力的な対応と、ほんのちょっとの先生の采配で、下がるハードルも結構あります。出典 : 長男が1年生の2学期から、漢字書き取りが宿題に出るようになりました。ところが当時の長男は、視力に問題はなくとも、漢字のカドやトメ・ハネ・ハライが正確に認識できなかったため、どんなにがんばっても字がお手本どおりに書けませんでした。担任の先生は、漢字ノートをとても丁寧に添削して下さったのですが、本人には訂正前と後の違いが分からず、「どこをどう直していいのか、分からないよ〜」と泣きながら、何時間もかかって宿題をし、勉強にすっかり自信をなくしていました。丁度その頃に長男の発達障害の診断がつき、先生にそのことを相談したところ、漢字の間違っているところを「丁寧に訂正する添削」から、合っているところや丁寧に書けたところに、花マルやほめコメントをつけるという「丁寧にほめる添削」に、変えて下さったのです。そして「◯太郎君に良い方法は、他のお子さんにもいいと思うので、クラスで『ほめほめ作戦』やってみますね!」と、明るく言って、長男だけでなく、クラス皆のお子さんの漢字ノートを、同じように花マルで埋めて下さいました。先生が柔軟にものの見方を変えて、同じ添削指導に使うエネルギーを、少しでもできているところを見つける方向に使って下さったおかげで、長男は少しずつ自信を取り戻していきました(段階的に訂正にも慣れていき、今では、×をもらっても大丈夫になりました)。誰だって、自分のやり方を変えたり、人に合わせたりすることは、そんなに簡単なことではないのを、私は知っています。そこを快く譲って下さった、まだお若いその先生に、私は心底敬服したのです。先生方が、共に育ててくれたからこそ…出典 : こうして見ると、「合理的配慮」というのは、診断書を持っていって交渉するような、難しくて特別なことばかりではなくて、「集団教育の知恵袋」とでも表現できそうな、もっと手軽で身近な、さり気ないことだって、たくさんあるのだと思います。子どもたちにとっては、先生のちょっとした気遣いや思いやりが感じられるだけで、「学校」の印象だって全然違うんです。それにはまず、先生方に気持ちと時間の余裕が必要なのだと思います。ただでさえ、大人数の子どもたちをたった1人で引き受ける通常学級の担任の先生が、授業時間の増加や過剰な雑務による負担を長時間勤務でこなしている現状があります。そんな中で、子ども一人ひとりの小さな困り感に気づいたり、丁寧に関わる時間を持つのは、至難の業でしょう。中には、私がうまく連携できなかった先生もいましたが、お一人でさまざまな問題を抱え込んでいた印象でした。また、ある先生は「本当は◯太郎君のこと、もっと丁寧に見てあげたいのに、なかなか時間がなくて、そこまでできなくてごめんなさいね」と、申し訳なさそうに謝っておられ、私も胸が苦しくなりました。本当に今の教育現場は、厳しい状況に置かれているのが痛切に伝わってきます。でも、そんな中でも、結局6年間ずっと、学校があんまり好きではなかった長男に、それぞれの先生が「できる範囲で、できること」を探りながら関わり、一緒に育てて下さったからこそ、なんとかここまで来れたのだと思います。おかげさまで、その長男も、この春中学生になります。「取り残される日本の教育 わが子のために親が知っておくべきこと」尾木直樹・著(講談社+α新書)「池上彰の『日本の教育』がよくわかる本」池上 彰・著(PHP文庫)大場美鈴/著『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母のどんな子もぐんぐん伸びる120の子育て法』2017年/刊/ポプラ社
2018年01月15日STEAM教育って何?
子育て楽じゃありません
細川珠生のここなら分かる政治のコト