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平成30年度の「東京都立高等学校募集案内」が発表。障害への合理的配慮は?出典 : 東京都教育委員会から、「平成30年度東京都立高等学校募集案内」が発表されました。全日制高校の推薦入試の場合は2018年1月23日(火)が、学力検査の第一次募集の場合は2月6日(火)・7日(水)が入学願書の受付日となります。平成30年度東京都立高等学校募集案内入学試験が差し迫ってくる中、障害のあるお子さんや保護者の皆さんにとって、受験時に特性を踏まえた配慮をしてもらえるのかが気になるのではないでしょうか。今回の記事では、具体的にどのような合理的配慮が可能か、またその申請方法などについて、都立高校の場合を例にご紹介します。「障害者差別解消法」で、受験時の合理的配慮を義務付け2016年4月に施行された「障害者差別解消法」では、障害がある志願者が公立高校を受験する際、障害による不利益が生じないような配慮について申請があれば、過度に負担にならない範囲内で合理的配慮を提供することが義務付けられました。障害者差別解消法でも定められているように、都立高校での入学試験でも障害特性に応じた合理的配慮がされています。学力検査、小論文又は作文、面接等において、検査方法、検査時間、検査会場等についての特別な措置を申請することが可能です。志願者の障害の特性等を考慮した上で、問題用紙・解答用紙の拡大、英語リスニングテストでの座席の配慮、別室受検、検査時間の延長、記号選択式での受検、ICT機器の使用、介助者(代筆者や音読者などを含みます。)の同行などが認められます。また、現住所から通学至便な全日制又は定時制の高校を志願する場合、選考の特例を申請することが可能です。合理的配慮の例としては、書字に困難がある場合:・問題用紙を拡大して記入をしやすくする・試験時間を延長する・パソコンを使用して作文問題に解答できるようにする識字に困難がある場合:・問題用紙にルビをふる・介助者が検査問題を読み上げるといったことが考えられます。車椅子を使用する場合などは、検査会場となる教室の階数や机の位置、高さなどへの配慮も申請できるでしょう。ただし、志願者の特性や都立高校側の状況によって、可能となる配慮の内容は異なるので、中学校を通して早めに申請することが大切です。なお、合理的配慮を求めたからといって受験の合否判定で不利になることはありません。都立高校受験の合理的配慮、申請手続きの締切や方法は?出典 : 申請は、在学する中学校を通して行います。まず、担任の先生に相談し、中学校長を通じて志望する都立高校の学校長へ、所定の申請書を用いて申請します。申請後、中学校・都立高校・東京都教育委員会で、志願者の特性や、中学校での学習指導の状況などを考慮した対応を調整することになります。都立高校への申請締切は2017年12月22日(金)までですが、早めに申請ができると、その分余裕をもって都立高校とのやりとりをすることができます。中学校に在籍していない場合は、都立高校入試相談コーナー(電話 03-5320-6755)まで問い合わせます。高校入学後の学校生活での合理的配慮についても相談できる?出典 : 障害がある生徒の場合、入学試験だけでなく、入学後の生活でも合理的配慮が必要となることがあります。学校生活における合理的配慮についても、志願する都立高校に事前に相談することができます。入学試験での配慮の申請に合わせて相談してみましょう。東京都以外の公立高校受験での合理的配慮の対応は?各都道府県それぞれで対応の方法や基準は異なるため、すべての都道府県で都立高校と同様の配慮があるとは限りません。詳しくは、在籍する中学校の先生を通して確認をする必要があります。子どもたちが、未来への一歩を踏み出せるように出典 : 障害があっても、その特性や困り事に応じた合理的配慮を受けることによって、自分の力を発揮して入学試験に臨むことができるようになります。志望校に合格する。そのことで、子どもたちは未来へ向かう道へ踏み出していくことができます。そのためには、自分の力を発揮できる環境をつくることが大切です。これから高校受験を控える生徒さん・保護者の方々は、まずは中学校の先生に相談をしてみましょう。
2017年11月10日”バディウォーク”ってどんなイベント?出典 : 「バディウォーク」とは、ダウン症のある人たちと一緒に、みんなで歩くチャリティーウォーキング・イベントです。全米ダウン症協会が、1995年に「ダウン症啓蒙月間」の一環としてニューヨークで始め、今では世界各地で開催されるようになりました。ダウン症への理解と受容(acceptance)、社会的な平等(inclusion)を促進することが目的で、誰もが参加できる1マイル(約1.6km)を歩きながら、ダウン症のある子どもたち同士、親同士、一般市民が触れ合えるチャリティイベントです。日本では2012年10月に初のバディウォークが開催されました。2016年には東京・横浜・京都・名古屋・仙台・長崎の6ヶ所で開催され、全国に広がっています。今年のテーマは、”みんなで「インクルージョン」を考える日”インクルージョンとは、多様な個性をもつ人々がお互いを尊重し合い、認め合い、対等にかかわりながら多様な人々が一体化している状態のことを言います。また、障害のある子どもを含む全ての子どもが同じ場で学び合うことを「インクルーシブ教育」といい、日本でも学校教育に取り入れられ初めています。バディウォーク東京2017は、イベントを通じてダウン症のある方を含む多様な個性を持つ方々と触れ合うことができます。だれでも楽しめるショーやアクティビティもたくさん用意されているので、家族や友達などと気軽に参加して、楽しみながらインクルージョンを体験してみませんか。たくさんの”ハート”に包まれる1日に。”ハート”をつけて参加しよう!出典 : バディウォーク東京2017は、明るく人なつっこい性格の方が多いダウン症の一面を表す「ハート」がデザインテーマ。ぜひ、ハートをモチーフにしたアイテムを身につけて参加してみましょう!きっとたくさんのハートに包まれた一日になるはずです。ウォーキングだけでなく、さまざまなイベントが企画されています!メイン会場となる新宿中央公園では、ステージはもちろん、飲食ブースやアートコーナー、スポーツコーナーなどさまざまなブースが並びます。アートコーナーでは、参加型ペインティングアートが行われます。出典 : 焼きたてピザやジュースバー、スローフードなど、バリエーション豊かな飲食ブースも楽しみのひとつ。出典 : ステージでは、「かいけつゾロリショー」や、コーラス、歌、バレエ、ダンスなど、多彩な出演者による多種多様なプログラムが。まさにインクルージョンなステージになりそうです。出典 : 出典 : ステージの司会は、峰尾紗季さん、あべけん太さんのお二人です。出典 : 年、リオ・パラリンピック閉会式でパフォーマンスも行ないました。平日は飲食店に勤務しながら、週末はダンスや演劇などの練習に励んでいます。会社員として勤務しながら、ダウン症について少しでも多くの人に知ってもらう為、タレント活動や、父・俊秀さんと親子講演を行っています。バディウォーク東京2017開催概要2017年11月19日(日)新宿中央公園(水の広場)無料イベント詳細については下記のページでご確認ください。バディウォーク東京2017
2017年11月09日熊谷晋一郎先生におすすめの本をききました!小児科医の熊谷先生は、脳性マヒのある障害当事者としての立場から、当事者研究も行っています。ロボット工学を専門とする、脳情報通信融合研究センターの長井志江先生チームと、熊谷先生・綾屋沙月さんの当事者研究チームが研究・開発した「自閉症知覚体験シミュレータ」を、発達ナビのコラムでご存知のユーザーの方も多いのではないでしょうか?平成28-33年度 戦略的創造研究推進事業(CREST)「認知ミラーリング:認知過程の自己理解と社会的共有による発達障害者支援」今回は、熊谷先生に発達ナビのユーザーに読んでほしい本を教えていただきました。自分や周りの人への理解が深まるきっかけに、ぜひ読んでみてはいかがでしょうか?『うわわ手帳と私のアスペルガー症候群』「一組の母と娘の間でつむがれた、静かで、繊細で、丁寧な、相互理解の軌跡」(熊谷晋一郎先生)高橋紗都さんは10歳のアスペルガーの女の子。ある日紗都さんにお母さんの尚美さんは「好きなことに使ってええで」と1冊の白い本を手渡します。紗都さんはその本を『うわわ手帳』と名づけ、自分の世界を自分の言葉で書き始めました。「うわ~っとなる」自分のしんどい状況を「うわわオバケ」という言葉で表現し、どんなときにどんなことに困るのか、どんな風に感じているのかが綴られたその手帳は、紗都さんの世界を写しだします。そしてそれは紗都さん本人や家族が理解し、対処法を探る大きなツールとなったのです。もちろん発達障害のある人の困りごとや、感じ方は人それぞれですが、高橋さん親子の手帳は発達障害のある子どもの世界を知る、一つのきっかけとなるのではないでしょうか?『こんな私が大嫌い!』「タイトルにぴんと来たら、ぜひ読んでみよう」(熊谷晋一郎先生)自分が嫌い、でも「自分を好きになろう」…そう言われてもどうしたらいいのか、迷う方も少なくないのではないでしょうか?エッセイストの中村うさぎさんが、。中村さん自身の体験と実践をもとに、きれいごとや欺瞞抜きで「自分嫌い」という呪いを解く方法を語ります。ふりがなやイラストも多く入り、わかりやすい言葉で綴られているので、思春期の悩める子どもにおすすめです。『母よ!殺すな』「子育ての重荷を親だけに背負わせる社会にNO!」(熊谷晋一郎先生)日本の障害者解放運動、自立生活運動をけん引した「青い芝の会」の脳性マヒ者、横塚晃一さんをご存知でしょうか?横塚さんは生後10ヶ月の高熱により重度の脳性マヒがありました。当時の日本では、障害者への支援が十分でなく、家庭での子育ての負担に耐えられないことを背景とした事件が社会問題となっていました。横塚さん達「青い芝の会」は重症児殺し告発運動を行い、その障害者の立場からの批判や運動は大きな反響を呼びました。そんな横塚さんの発言を聞き書きとして集めたのが本書です。1975年に出版され、長く絶版となっており入手困難でしたが2007年に復刊されました。初版に未収録の文章や年表、原一男監督によるドキュメンタリー映画『さようならCP』のシナリオも収録されています。『暇と退屈の倫理学』「あらゆる苦しみの根底には「退屈」という宿命があった!」(熊谷晋一郎先生)熊谷先生に、面白かった本、好きな本は?と伺ったところ、教えていただいたのが高崎経済大学准教授、哲学者國分功一郎さんの本です。「なぜ人間は退屈するのか」という問いを持った國分さんが、文化人類学、哲学、経済学、倫理学など様々な側面から論考します。2012年には読者が選ぶ人文書の賞「紀伊國屋じんぶん大賞」を受賞。分厚くとっつきにくいと感じるかもしれませんが、哲学だけに収まらない視点で、この疑問への答えを導き出そうとするその道筋そのものが面白いと話題になりました。2015年に出版された増補新版ではさらに新版に寄せた論考「傷と運命」も足されています。熊谷晋一郎先生プロフィールUpload By 発達ナビ編集部熊谷晋一郎(くまがやしんいちろう)・東京大学先端科学技術研究センター准教授、小児科医・日本発達神経科学学会理事新生児仮死の後遺症で、脳性マヒに。以後車いす生活となる。東京大学医学部医学科卒業後、千葉西病院小児科、埼玉医科大学小児心臓科での勤務、東京大学大学院医学系研究科博士課程での研究生活を経て、現職。専門は小児科学、当事者研究。主な著作に、「リハビリの夜」(医学書院、2009年)、「発達障害当事者研究」(共著、医学書院、2008年)、「つながりの作法」(共著、NHK出版、2010年)、「痛みの哲学」(共著、青土社、2013年)など。熊谷晋一郎|東京大学先端科学技術研究センター
2017年11月08日Upload By ぽんぽんUpload By ぽんぽんUpload By ぽんぽんUpload By ぽんぽんUpload By ぽんぽんUpload By ぽんぽん長男が3歳だった頃、言葉の遅い長男に対する不安がピークに達していました。その頃は不安に思うことがある度にネットを開き、同じようなことをする子が他にいるのか、どれくらいなら普通なのか、どれくらいからが遅れているうちに入るのか、発達障害とはどういうものなのかなどを、何度も繰り返し調べていたような気がします。はじめのうちは子どもの前でスマートフォンを使うこと自体ためらっていたので、子どもが寝ている間にだけ調べていたのですが、不安が大きくなるにつれ「今すぐに知りたい!」という気持ちが強くなり、ついに子どもの前でも検索するようになってしまいました。そんな時、スマートフォンをただただ見つめる私に長男が話しかけてきて、ハッと我に返りました。長男が目の前にいて、遊んで欲しがっているのに、私は何をしていたのだろう…と。それからは、子どもの起きている時間にはスマートフォンを見ないようにしようと決意。不安なことがあって調べたくても、子どもたちが寝るのを待ちました。余談ですが…ネットで得られる情報の中には、気持ちがネガティブになってしまうものもありますよね。私はそういった情報ではなく、不安を抱えながら頑張っている方のブログなどを読んで元気をもらっています。私自身のブログでも、少しでも共感の声が聞けるだけで「私だけじゃない。頑張ろう」と前向きな気持ちになることができるので、ネットも活用次第で得られるものが全然違うのかな、と思います。とはいえ、子どもの前でのネット使用は自粛中!スマートフォンを見ながら生返事をするのではなく、きちんと目を見て相手をしてあげることを心掛けています。
2017年11月08日かけっこ万年ビリ!でも動じない娘…やっぱり母は心配だ!運動会でいつもビリの、広汎性発達障害の娘。そんな娘の姿に父が熱血コーチで走り方を教えましたが、結果は惨敗…それでも一生懸命走ってくれたらいいのですが…娘は安定のニコニコゆったり走法で、ビリでも一向に気にしていない様子…「このままでは、連帯責任の時、責められる日が来るかもしれない…。どうしたものか…」と思いながらも、ただ見守ることしかできませんでした。もしかして、足が遅いだけじゃないのかも…!?そんな娘を日々観察し…そして悟った…!!!娘は足が遅いだけではなく…かけっこで一番大事なアレがないようなのです。そう…Upload By SAKURA走ることへの『競争心』がない!!!娘よ、かけっこは走って競争するスポーツなんだよ…?娘がまったく勝ち負けにこだわらないかと言うと…Upload By SAKURAUpload By SAKURA玉入れは、勝てば喜ぶし…ダンスは、家でも真面目に練習するほど楽しそうでした。他のことであれば、『勝ちたかったのに~!』と悔しがることもあります。Upload By SAKURAしかし、走ることに関しては、一番になりたい!負けたくない!という気持ちがないようで、明らかに全力疾走ではない余裕っぷり。負けても笑顔な娘…なぜかけっこだけ競争心がわかないの…?娘に聞いてみた問題は『走ることに関しての競争心』だとわかった!娘に「なぜ、走ることに関しては…そうなのか」問いかけてみました。Upload By SAKURAリアクションは謎…「と…とにかく、競争心を育てよう」母が立ち上がった!父が必死になって教えてくれた、走りのフォームなど、技術的な教えは、ほとんど効果を見せませんでした。そこで今度は、私が立ち上がることに。競争心と言うものを感じてほしいと、とにかくテンションをあげてもらうため、一緒にかけっこをしたり、走ることの勝ち負けを教えてみました。しかし、親とのやり取りでは、勝ちたがっても、学校の体育となると、結局スイッチオフ(笑)親として、見ていて何とももどかしい結果しか出ていません。Upload By SAKURA「競争心」を手に入れるまで、見守るしかないけれど技術的なことよりも、気持ちのありかたや考え方というのは教えることが難しいです。どんなに説明しても、本人が変わらなければ意味がない。今はその時期ではないのかもしれません…結局、いまだ解決策は見つからず。しかし、どこかのタイミングで…競争心を見つけるかも!しばらくは引き続き、見守ることが続きそうです。Upload By SAKURAいつかは運動会で一生懸命走る娘を見られる日が来ますように!
2017年11月08日アナログゲーム療育アドバイザー・松本太一さんに発達ナビユーザーへのおすすめ本を聞きました!松本太一さんは、アナログゲーム療育アドバイザー。ボードゲームやカードゲームなどを使って発達障害のある人のコミュニケーション能力を楽しく高めるという「アナログゲーム療育」の開発者です。全国で研修や講演を行う傍ら、発達ナビでもコラムを発表しています。今回は、松本さんに子育てをしている発達ナビユーザーに読んでほしい本を教えてもらいました!『子どもへのまなざし』「子育てのバイブルとして多くの親御さんに読まれています。「子どもの発達」と親の役割について、これほど平易に書かれた本は他にありません。」(松本太一さん)著者は児童精神科の医師として40年以上活躍された故・佐々木正美さん。自閉症のある方への支援プログラム「TEACCH(ティーチ)」を日本に紹介、普及に尽力されたことでも知られています。乳幼児期は子どもの人間としての基礎となると考える佐々木さんが、あたたかな視点で語る育児書です。佐々木さんには多くの著書がありますが、語りかけるようなわかりやすい言葉で書かれたこの本は特にパパママに長く愛されています。「これでいいのかな?」「がんばっているのにうまくいかない」と子育てに悩んだときに開いてみてはいかがでしょうか?『赤ずきんとオオカミのトラウマ・ケア: 自分を愛する力を取り戻す〔心理教育〕の本』「トラウマやフラッシュバックに悩まれている思春期以降のお子さんとその親御さんに読んでほしい。思い出したくない記憶とどう向き合うか、わかりやすく具体的に解説されています。」(松本太一さん)みんなが知っている『赤ずきんちゃん』に登場するオオカミと赤ずきんちゃんの物語仕立てでトラウマについてわかりやすく説明しています。トラウマに苦しむ人や家族が理解しやすいように工夫されていますが、その内容は、トラウマの仕組みからフラッシュバックへの具体的な対処法、家族や支援者の具体的な支援法まで、具体的かつ網羅的に紹介されています。『勇気づけて躾ける―子どもを自立させる子育ての原理と方法』「別名「対人関係の心理学」とも言われるアドラー心理学に基づいた子育てを、豊富な事例とともに解説。子どもの自主性を尊重した親の関わり方や、兄妹の間に働く心理の解説は、子育てに新しい視点を与えてくれるはず。」(松本太一さん)子育てに悩むパパ・ママにおすすめの本として挙げてくれたのがこの本。アドラー心理学はオーストリアの精神科医アルフレッド・アドラーが築いた心理学です。アドラー心理学では「人間は、分割できない個人という全体として、目的に向かって行動する」と考えます。「子どもが言うことを聞いてくれない」「自主性を身につけてほしい」と悩むパパ・ママも多いのではないでしょうか?この本ではアドラー心理学をもとに、子どもへの理解や自由をどう教えるかなどを紹介しています。『教育心理学講義』「「心理学のモーツァルト」と呼ばれた天才ヴィゴツキーの30歳の著作。「教師が100で生徒が0」という前提の一方的な知識教授に偏った教育は時代遅れであり、教師は子どもが自ら学ぶ環境を整える調整者であるべきだという彼の主張は、この本の出版から90年後を経て今なお先進的。」(松本太一さん)松本さんが愛読する座右の書として教えてくれたのが旧ソ連の天才心理学者ヴィゴツキーの名著。ヴィゴツキーは唯物弁証法の立場から現代心理学を方法論から問い直し、批判しました。この『教育心理学講義』は師範学校で行われた教育心理学の講座をまとめたもので、1926年に刊行されました。37歳という若さで亡くなったヴィゴツキーですが、今もなお世界中の心理学者に影響を与えています。松本太一さんプロフィールUpload By 発達ナビ編集部松本太一(まつもとたいち)フリーランスの療育アドバイザー。カードゲームやボードゲームを用いて、発達障害のある子のコミュニケーション力を伸ばす「アナログゲーム療育」を開発。各地の療育機関や支援団体で、実践・研修を行っている。東京学芸大学大学院障害児教育専攻卒業。教育学修士。NPO法人グッド・トイ委員会認定おもちゃインストラクター
2017年11月06日スクールカウンセラーってどんなお仕事?専門家・池田行伸先生(國學院大学)に、詳しくお聞きしました!Upload By かなしろにゃんこ。就学期のお子さんを育てている、悩める保護者のみなさんにとって「スクールカウンセリング」はどんなイメージがありますか?子どもだけが相談に行く所だとか、少し敷居が高い、と思っていませんか?スクールカウンセリングは特別なものではなく、気軽に相談できる場所なんです。今回、学校現場で、たくさんの子どもや保護者の方々と関わってきた、國學院大學・人間開発学部子ども支援学科池田行伸先生(特別支援教育士スーパーバイザー) にインタビューをさせていただきました。インタビュー担当は、私、かなしろにゃんこ。です(ADHDと軽度の自閉症スペクトラムがある、息子・リュウ太の母・職業は漫画家)。思春期真っ只中の息子との関わりに苦戦する私…「もっと早くスクールカウンセラーのことを知って活用していたら!」と強く思いました。今回のコラムでは、池田先生にスクールカウンセリングについてや、発達障害がある思春期の子どもとの関わり方をお聞きしました。スクールカウンセリングの方法・対象は?誰が相談できるの?Upload By かなしろにゃんこ。池田先生: 一般的なカウンセリングでは、言葉のキャッチボールをしながら相談者の悩みを聞いていきます。鏡に自分を映すように、徐々に自分のことが見えてきて、相談者が自分自身で解決策に気がついていけるようになります。スクールカウンセラーは、一対一のカウンセリングに加え、教職員へ児童・生徒に関するアドバイスを行ったり、保護者と教職員双方を取り持つ役割としても機能しています。もちろん、保護者ひとりだけで利用することもできます。その他にも校内会議等への参加や相談者への心理的な見立てや対応、時には事件・事故等の緊急対応における被害児童生徒の心のケアなど多岐にわたっています。この制度が始まった背景には、いじめや不登校の子が増えてきて、児童・生徒とその保護者の心のケアが必要になってきたことがあります。現在は全国の小中高にカウンセラーが配置されるようになってきました。参考:スクールカウンセラーについて |文部科学省利用の仕方って?相談料金はかかるの?Upload By かなしろにゃんこ。池田先生: 国の予算の関係でスクールカウンセラーが学校にいるのは月に2回程度、学校によっては月に1回のところもあります。相談は無料です。日数は少ないですが、折角ですから毎回利用したほうがお得ですよね。カウンセリングは予約制で、「〇月〇日にスクールカウンセラーが来ますよ」というお知らせを学校が保護者に配付するきまりになっています。それを見て予約する方法が一般的です。学校に電話して日程を教えてもらい電話で予約することもできます。基本的に午前10時~夕方4時まで学校にいますよ。子どもがカウンセリングに行きたがらない場合は?Upload By かなしろにゃんこ。ーとにかく、カウンセリングは最初が肝心だそう!池田先生: スクールカウンセリングの対象者は、保護者や教師も含まれとても間口が広いのですが、「子どもを無理やり連れてくるのだけはやめてください」と、大人たちにお願いしています。特に、親がいくらカウンセリングを受けろといっても、子ども自身が受ける必要を感じていないときは絶対受けてくれないものです。池田先生: 子どもがカウンセリングに行くことを渋る場合は特に、まずは親がカウンセリングを受けてみるといいです。スクールカウンセラーは、親御さんの心のケアも大切にしています。そして、親が自分の体験を「カウンセラーとこんな話をしたよ」「こんな人で、こんなことがあったよ」と子どもに伝えていくことで、徐々に子どもも「そういう場所なんだ、わたしも・僕も行ってみようかな」という気になってきます。子どもの気持ちが動くのを待って、行く気になったら親と一緒に行けばいいのです。カウンセリングに来る保護者は圧倒的に母親が多いです。父親は仕事で忙しい場合が多いのと、カウンセリングに否定的な考えを持っていることも、ままありますね。しかし、スクールカウンセリングに行った妻の報告を毎回聞いていたら、カウンセリングに対してポジティブな変化が起きるお父さんもいて、「じゃあ、夕方の時間帯に家族で行ってみようか!」となり、相談後「怒ってばかりの育て方を変えよう」と、子育てを見直すきっかけになったケースもあります。いつからカウンセリングに行き始めるといいですか?Upload By かなしろにゃんこ。ーファーストステップである「初見」の時期はとても大切だそう。池田先生: 思春期には、様々なハードルを超えないと本人のカウンセリングまでたどり着かないことも、よくあります。なので、なるべくお子さんが低学年のときから親がスクールカウンセリングに通っておくといいですね。子どもは「自分のことを思って通ってくれているんだな」と分かります。もし思春期で少し反抗的になったとしても、「親は自分を守ってくれる存在だ」という信頼関係がすでに形成されているので、それが安心感の礎となり、支えになってくれます。池田先生: 親子の信頼があれば、思春期以降大きく違いが出ます。それは発達障害がある子でも定型発達の子でも同じく大事なことです。カウンセリングを受けることは思春期の親子関係にも役立ちます。保護者側の反抗期への心構えも、早めにカウンセリングに行き始めることで形成されてゆきます。子ども側も、高校生になると徐々に人格が出来上がってきますが、その前からカウンセリングを受けていると、自分のことを他人に話せるように成長してきます。ー早めの相談が大事なんですね。一方、反抗期に突入してから、いざカウンセリングを受けても、カウンセラーだけでは解決できない複雑な内容となっていることもあるといいます。池田先生: 小学校では、いじめやからかいを受けてひとりぼっちの子に話しかけることがあります。そういったケースでも、「いじめられたの?」とは聞きません。たあいのない雑談をして少し話すだけなんですが、気持ちがらくになって、もう少し学校でがんばってみようかなと思ってくれたりするのです。大学にも学生相談室があり、学生のさまざまな悩みを聞いてくれます。カウンセリングは、小・中・高だけでなく、教育現場全般に必要になってきているんです。池田先生: 学校生活に関わる深刻な悩みについても、まずは友達のように話を聞きます。忘れ物が多くていつも注意されて落ち込んでいる子が「どうしても忘れちゃうんだよね…」と相談してきたとします。それに対して「みんなも忘れ物するよ、君はみんなよりも頻度が少し多いだけで、忘れちゃうのは仕方ないよね~」と言うと「なんでわかるの!?そうなんだよ!」と打ち解けてくれます。ーまずは”子どもに共感することが大切”という姿勢で、接し方も配慮してくれるんですね!いつ行っても大丈夫?居場所として使ってもいいのですか?出典 : 池田先生: 基本的には予約制ですが、イヤなことがあったらすぐにカウンセリングルームに来てくれればいいんです。そういう場所が子どもには必要です。カウンセリングルームにずっといる子もいます。「ここに来ると教室に帰ってこない」なんて、教師が嫌がることもありますけれど(笑)発達障害がある場合、お医者さんなどにも繋いでいただけますか?出典 : 池田先生: 児童、生徒と先生それに保護者の橋渡しをするのも仕事ですから、発達障害の傾向があるお子さんをお持ちの親御さんから発達障害の診断について相談されれば、医療機関を紹介することもあります。教師から聞いた生徒の学校の様子をまとめて紹介状と一緒にお渡しすることもあります。卒業後や学校以外でもカウンセリングを受けたいという方には一般のカウンセリングルームを紹介することもあります。とにかく、発達障害がある子の保護者の方は特に、大変なことも多いですから、人に任せられることはどんどん任せてください。いろんな手段を使って「親子関係をフレンドリーにしておく」ことが、思春期や受験、就職へと続く未来のためにもいい結果を生みます。ーなるほど…将来を見据えても、スクールカウンセラーは積極的に利用していきたいですね。「ママ友」に関する相談も、のっていただけますか?Upload By かなしろにゃんこ。池田先生: もちろんOKです。ママ同士のいじめトラブルの相談も増えています。発達障害の傾向にあるお子さんを持つお母さんは、やはり周りのママから言われるんですよ。子どもの悪口メールが回ってくることもあるんです。ママ同士の情報網ってスゴイですからね。子どもが発達障害の傾向がある場合、子育ての悩みは誰にも相談できなかったりします。そんなときはスクールカウンセラーにお話ししてください、そのために我々はいるんです。先ほども言いましたが無料なんですから利用しなくちゃ損です(笑)学校での指導にモヤモヤする場合、話をきいてもらえますか?Upload By かなしろにゃんこ。ー学校の先生に「こういう接し方はやめてほしい」と思っていても、言いづらく遠慮してしまうこともあります…池田先生: 特に発達障害がある子どもの保護者は、(普段学校に迷惑をかけてばっかりで申し訳ない…)と思っている方も多いので、余計にそうです。学校での行き過ぎた指導への不満がある保護者はとても多いです。そういうときもぜひスクールカウンセラーに相談してほしいですね。教師に面と向かって言ってしまうとケンカになってしまうようなことも、スクールカウンセラーが間に入って指導方法を変更してもらうように掛け合います。それも我々の仕事のひとつです。ー中学では特に、先生にクレームなんてつけたら内申書に響くんじゃないかって思って心配する親が多くいます。池田先生: 内申書の心配はよく上がる相談です。スクールカウンセラーは、学校組織とは独立した第三者機関です。安心してまずはカウンセラーへ相談してください。逆にカウンセラーを介さずに、先生に言いたいことをぶちまけてしまうとガチンコの対決になってしまいます。そうなると間に立つ子どもは立場がないんですよ。それでは子どもが苦しむことになりますから、ケンカでエネルギーを使わないで欲しいのです。カウンセラーは、困り感のある子どもたちへの適切な指導方法の資料を教師に渡して一緒に指導方法を考えますし、学校の会議でも提案していきます。例えば、パニックになる子がいたらパニックにならないようにする方法を教師と一緒に相談したり、具体的な方法を一緒にさぐります。池田先生: 子どもを取り巻く環境の質を上げていくのが、スクールカウンセラーの今後の使命です。そして質のいいスクールカウンセラーを育てるのも私たちの仕事です。子どもが気軽に一人で相談できるようになるために、まずは保護者がスクールカウンセリングを体験してみてください。せっかくの制度ですから、気軽にドアをノックしてみることが大切です。この記事が保護者の方の利用へのハードルを下げる一助となることを、切に願っています。―子どもたちと保護者のこれからに向けて、ためになるお話をありがとうございました!
2017年11月06日食べることが苦痛な子どもたち出典 : 私は大学附属病院小児科で「思春期やせ症」(神経性無食欲症)の子どもたちを見てきた経験があります。思春期やせ症というのは、思春期の子どもに起こるいわゆる拒食症のことで、栄養不足によって、無月経、低血圧、内臓の障害、骨粗しょう症など、様々な異常が生じるだけではなく、時には死亡することもあります。患者は小学生から高校生までいました。私が出会った「思春期やせ症」の保護者、特にお母さん方はとても子ども思いの方々でした。お母さん方は、子どもの健康のために様々な努力をしていました。例えば、子どもが見て食べたくなるように、色どりや形を豊かにした食事を作っていました。それでも子どもは、食べることにまったく興味を示さないのです。また、おもちゃを買ってあげるなどのご褒美を示しながら少しでも食べさせようとしますが、子どもは口を開こうとしません。食べることが苦痛なようです。何も食べないと激しい空腹感に襲われ、食べられるものはなんでも口にしたくなる健康な食欲とは大違いです。食べなければ年齢相応の食事量を満たすことができずやせていきます。体重が一定の水準を切ると入院する必要も出てきます。重症になるとトイレも自力で行けません。歩くという行為だけでも心臓が止まる可能性があるからです。自力で食べられなければ鼻からチューブを入れて栄養物を胃に流し込まなければなりませんが、子どもたちはこの処置を嫌がります。発達段階の若い女性に起こる、思春期やせ症出典 : なぜ子どもたちはこんなにも食べることを拒否し続けるのでしょうか。そして、思春期やせ症が男性ではなく女性に多発するのは、なぜなのでしょうか。私は、ちょうど発達段階にある若い女性の母性に、その原因があるのではないかと考えています。私は、視覚系の研究に従事していた頃、出産前後の母子ネズミを扱っていました。そこで、母性を強く感じる出来事がありました。ある時、母ネズミと生まれたての子ネズミたちを放置してしまったことがありました。ネズミの乳首は10個ですので子の数は10匹程度が適切ですが、生まれた子ネズミは20匹ほどいました。子はかわるがわるお乳を吸い、すくすくと育ちました。一方、母ネズミは徐々にやせていき死んでしまいました。半面、子育て中の母ネズミは防御本能が強く、巣に不用意に手を入れると噛みつかれて大けがを負うこともあります。子を守るためにはわが身を顧みず渾身の力で闘う一方、お乳を吸いつくされても決して子を襲わず、なすがままにされて命までも落としたのです。母性とはこのように、母体の生死に関わるほどの力を持っています。子どもを守るためには、自分の体を犠牲にさえします。そして思春期の女性は、この母性を獲得していく途上にあるのです。思春期やせ症を発症するメカニズムとは出典 : 思春期やせ症の原因は、今のところ分かっていません。「太りたくない、自分を美しく見せたい」とか「大人になりたくない」という深層心理で説明する人もいます。しかし思春期やせ症をすべてそのような深層心理で説明するには無理があると思っています。若い女性には過食が生じることも知られています。人を含め動物は子を宿すとよく食べるようになります。過食もまた、母性と関係するのかもしれません。私は、大人の摂食障害の病態と、早期に発症する思春期やせ症とはメカニズムが少し異なるのではないかと考えています。思春期やせ症の場合は、脳神経系の発達になんらかのトラブルがあり、アンバランスな状態になっているのではないでしょうか。性ホルモンの分泌が盛んになる思春期に、母性に関わる脳神経系も発達していくと考えられます。また、食事行動をコントロールするのは脳なので、食事行動がうまくいかないということの背景に、脳神経系の発達上のトラブルがあるのではないでしょうか。思春期やせ症は、生理学、病理学などの専門家によっていずれそのメカニズムが明らかにされるでしょうが、私は、母性が発現し維持されはじめる若い時期の女性に多発するという現実から、母性の発達との関係を否定することはできないように思います。大きな変化を迎えた思春期の体は、時にバランスを崩すこともあるからです。今後、こうした神経系の働きや影響について究明できれば、よりよい治療方法が見つかるかもしれません。思春期やせ症への対応方法出典 : ただ現在は、思春期やせ症に対しては対症療法的に対応するしかありません。ご褒美や罰を用いて食べることへの動機づけを高める行動療法的やり方を取ったり、場合によっては、医療的処置で命をつなぐことも必要でしょう。ある思春期やせ症を患った女性は就職先にケーキ屋を選び自分自身を食べることに興味を持たせようとしました。食欲がわかなくても薬を飲むように一定量の食事をとり、体重の増加や維持を確認することが自分へのご褒美となるようにしている人もいます。周りの人は、深層心理の問題だと片付けず、患者にとって適切な支援を行っていくことが大切だと思います。
2017年11月05日スクールカウンセラーの池田先生に聞いた、発達ナビユーザーへのおすすめ本!発達ナビでコラムを連載している池田行伸先生。スクールカウンセラーとしての豊富なご経験の中から、印象的だった保護者や子どもへの支援を紹介しています。コラムの具体的な事例やさまざまな立場への支援を参考にしている発達ナビユーザーもお多いのではないでしょうか?今回は池田先生に、保護者や支援者など、子どもとかかわる大人に読んでほしい本と、愛読している本を教えていただきました!『子どもに障害をどう説明するか―すべての先生・お母さん・お父さんのために』「障害を理解していない人に話す話し方がよくわかる。子どもを傷つけない言い方で子どもに説明する方法のヒントが得られる本。」(池田行伸先生)「障害について子どもにどう説明したらよいのか」「障害って何?と子どもに聞かれたらどう答えたらよいのか」そんな悩みを抱える保護者や学校の先生も少なくないのではないでしょうか?本書では、障害をどのように説明するか、特別支援学級の教師である相川さんと東北大学教授の仁平義明さんがわかりやすく具体的に答えます。『夜と霧』「ユダヤ人強制収容所の体験が書かれている。希望の持つ意味を教えてくれ、困難に向き合うときの知恵と勇気を与えてくれる。」(池田行伸先生)池田行伸先生が愛読書として挙げてくださったのは、フランクルの『夜と霧』。ユダヤ人精神分析学者が自身のナチス強制収容所での体験を綴った世界的名著です。原著の初版は1947年。日本では1956年に霜山徳爾が訳し、2002年に新版として池田佳代子訳が発行されています。池田行伸先生プロフィールUpload By 発達ナビ編集部池田行伸(いけだゆきのぶ)國學院大學人間開発学部子ども支援学科教授特別支援教育士スーパーバイザー上智大学文学部卒業上智大学大学院修了博士(心理学)専門は神経心理学。現在は國學院大學人間開発学部子ども支援学科教授、佐賀大学名誉教授。特別支援教育士スーパーバイザー(S.E.N.S-SV)の資格を持ち、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校のスクールカウンセラーを歴任している。人が生まれて発達していく過程の概略、性格・人格・人格の偏りの概略が学べる本です。
2017年11月04日井上いつか先生に聞いた、発達ナビユーザーにおすすめしたい本!井上いつか先生は、医療・福祉機関などで、言語聴覚士として多くの子ども達と接してきました。発達ナビでもコラムの監修をご担当いただいています。先生がおススメしてくださったのは、保護者や子どもにも読みやすく、様々なヒントがもらえる本ばかりです。『発達障害のある子とお母さん・先生のための思いっきり支援ツール―ポジティブにいこう! 』「子どもたちを支援するための具体的なやり方を紹介する本です。様々な支援ツールのねらいや作り方、活用例、成功のポイントなどが、イラストを使って解説されています。わたしは、お子さまご本人にとってわかりやすい支援ツールづくりのヒントとして、また、お子さまの長所を見つけるワークを入り口にサポートブック作成を進めるために、ご家族と一緒に読み進めることが多いです。パラパラと見ていただいて、少しでも楽に過ごすことができるようなヒントが見つかると良いなと思います。」(井上いつか先生)発達障害があると、目に見えないものやことを推測したり、実行するのが苦手なことがあります。そうした、「見えないもの・こと」を理解しやすくするためのツールやヒントが紹介されています。日常生活のなかの様々な場面で、”自分で理解し、考え、実行できる”ことが増えると、子どもたちは自信をつけ、自立にもつながっていきます。「支援といっても、具体的になにをしたらいいの?」と悩む保護者にとって、そのやり方を分かりやすく教えてくれる本です。『キラキラ どもる子どものものがたり』「吃音(どもり)のあるお子さまが、周囲の大人の支えとともに、“クラスのみんなに吃音を理解してもらうための作戦を考えていく”物語です。吃音を抱える本人や支える人が、吃音をどう捉えると良いのか、どう関わると良いのか、何ができるのかを考えるキッカケを与えてくれる一冊です。平易な文章で書かれており、漢字には読み仮名がふってあります。小学校低学年のお子さまが理解できる内容になっているので、お子さま自身が読むのも良いですし、ご家族や先生など身近な大人と一緒に読むというのもおススメです。」(井上いつか先生)本の著者は、病院の小児言語科などに勤務してきた言語聴覚士。子どもにも読みやすい物語の形をとって、クラスメートや保護者・教師などの、吃音のある子どものまわりにいる人達が、どう関わればよいのか、なにができるのかについて、具体的に紹介されています。『はじめの一歩だよ子どもと始めよう編 』『はじめの一歩だよ子どもと始めよう編 』 アスペ・エルデの会「発達障害のお子さまの特性やメカニズムがわかりやすく解説されていて、上手に支援を受けるコツや、今からできる子育てのコツも紹介されています。ご家族に向けて作成された1冊300円の冊子なのですが、支援者をはじめお子さまに関わる方へもよくおススメしています。」(井上いつか先生)アスペ・エルデの会からは、保護者向けの本だけでなく、本人やきょうだい、支援者向けの冊子も発行されていて、そちらもおすすめだそう。支援者向けの「はじめの一歩だよみんなでサポート編」も発行されています。井上いつか先生のプロフィールUpload By 発達ナビ編集部言語聴覚士。医療・福祉機関で勤務後、現在フリーランス。発達に凸凹のあるお子さんへの療育や自立支援、ご家族や指導者のサポート、記事の監修等を行っている。医療・福祉・教育・心理、社会的養護、社会的マイノリティ、ソーシャルワークにも関心がある。
2017年11月03日木村ナオヒロさんに聞いた、発達ナビユーザーにおすすめしたい本!木村ナオヒロさんは、ひきこもり当事者・関係者にとっての情報発信の場、『ひきこもり新聞』の編集長として活動しています。『ひきこもり新聞』は、「ひきこもり当事者による、当事者のためのメディア」として、社会に届きにくいひきこもり当事者の声を発信し、「全てのひきこもり系」が安心していられる世界の実現を目指しています。ひきこもり新聞web版木村さん自身、ひきこもりだった経験があり、ひきこもりに対する理解と適切な支援情報を提供するために、現在さまざまな活動をされています。10月に行われた、木村さんの当時の主治医である、精神科医・斎藤環先生との対談イベントも大盛況のうちに終わりました。そんな木村さんに、「読んでよかった!」とおすすめできる本を教えていただきました。『「社会的うつ病」の治し方―人間関係をどう見直すか 』「ひきこもり対策がうつ病にも効果的だったという内容です。孤独でうつ傾向な人に読んでいただければと思います。」(木村ナオヒロさん)木村さんの主治医であり、ひきこもり支援を専門とされる斎藤環先生が、新しいうつ病治療・対策に関して書かれた本書。「軽症なのに、動けない…」「怠けるつもりはないのに、動けない…」そんなうつ病当事者に向けて、今まで治療方法として多く導入されてきた休養や服薬ではなく、「人間関係」に注目した新しい支援を紹介しています。『星の王子さま』「いつまでも心に残る物語です。子供の時に読みたかった本です。」(木村ナオヒロさん)木村さんが、子どもに読んでほしい本としておすすめする本が、不朽の名作『星の王子さま』。「大切なものは、目に見えないんだよ」など心にしんみりと届く言葉、優しくて可愛らしい挿絵に癒され、魅了された方も多いと思います。『星の王子さま』は、様々な出版社から刊行されています。手に入りやすい文庫本のほか、子ども向けの児童書や絵本などもあります。まだ幼くて長い活字を読むのが難しい、たくさんの文を読むことが苦手なお子さんには、そのお子さんの年齢や特性に合わせて、『星の王子さま』に触れてみるのもよいですね。『NHK「100分de名著」ブックス サン=テグジュペリ 星の王子さま』「星の王子様を読んだことがある人でも、もう一度この解説本と一緒に読むと新しい感動があると思います。」(木村ナオヒロさん)続いて、子育てに疲れた時・悩んだ時に読んでほしい本として木村さんが挙げてくれたのは、先ほどご紹介した『星の王子さま』の解説本。NHKで放送されている、「100分de名著」という番組から生まれた解説本です。「『星の王子さま』読んでみたいけど1冊読む時間がなかなかとれない…」「子どものころ読んでそれっきりだったけど、大人になった今、改めて星の王子さまの世界を理解しながら読み直したい!」そんな方にはぴったりの1冊です。この機会に、星の王子さまの新たな発見や奥深さを感じてみてはいかがでしょうか。『ライフ・レッスン』「死を受け入れた人々のメッセージが心を揺さぶります。名も無き人々の言葉に真実が宿っていました。一番好きな本です。」(木村ナオヒロさん)最後に、木村さんの座右の書として教えてもらった本書。精神科医で、終末期医療の先駆者であるエリザベス・キューブラー・ロスさんによって、「人生の最後で捉えた生と死の事実」「生と死から見た、人生における15のレッスン」が紹介されています。木村ナオヒロさんプロフィールUpload By 発達ナビ編集部木村ナオヒロ(きむらなおひろ)『ひきこもり新聞』編集長。元ひきこもり。暴力的支援団体を好意的に取り上げたマスコミに疑問を持ち『ひきこもり新聞』を創刊。ひきこもりに対する理解と適切な支援情報を提供するために活動している。主治医は斎藤環教授。ひきこもり新聞web版
2017年11月02日臨機応変が苦手な子どもたち発達の凸凹が大きい子ども達の中には、一度覚えたことを臨機応変に変更するのが苦手な子がいます。漫画『光とともに…』の光くんの場合「ママ」から「お母さん」への変更が大変だったり、学校には黄色い帽子を被ると覚えたので上級生になっても同じ帽子を被っていたりする様子が印象的でした。Upload By モンズースーUpload By モンズースー画像:©戸部けいこ・秋田書店『光とともに…』第3巻p.79より引用長男も「いつもと違う」が大の苦手!うちの長男も同じようなところがあります。例えば幼稚園の入り方。幼稚園にはいくつか入り口があるのですが、長男は最初に来た時に入った昇降口を毎日使っていました。一度、別の昇降口から入ろうとしたら「違う!」と大きな癇癪を起こしたことがありました。よく行く遊び場でも毎回同じ順番で遊ぼうとしたり、一度間違えて覚えた歌や言葉は何度訂正しても直らなかったりします。Upload By モンズースーUpload By モンズースーUpload By モンズースーUpload By モンズースー覚えたルールを守れることは、大きなプラスにも絶対に変更できないわけではないのですが、一つのことを変更するのもとても大変……。なので最初からできるだけ正しいことを教えるようにしていました。子どもは多少ふざけたようなことやマナーの悪いことも周囲から許されることがありますが、一度許してしまうと成長しても同じことを繰り返す可能性があると思えたからです。漫画で描いた噴水も、入っていいと覚えると着替えを用意していない時、急いでいて入る余裕の無い時、入ってはいけない場所でも入ってしまう可能性があると考え、入らないように教えることにしました。ですが一度正しく覚えてしまえば、ずっと正しいことができるのは良いことですよね。同じ作業を繰り返す仕事などでは役に立ちそうです。伝え方次第で、プラスにもなるすごい能力なのかもしれません。最近、そんな息子に成長とともに変化が!最近の息子はというと…ちょっと変化が!幼い時は臨機応変な対応が難しいことも多く、どう教えたらいいのかわかりませんでしたが…Upload By モンズースーUpload By モンズースー「まあ、いいか」……最強の臨機応変ワードを手に入れた長男です(笑)※このコラムは『光とともに・・・~自閉症児を抱えて~』の場面の中から発達障害の事例を取り上げてご紹介しています。秋田書店『フォアミセス』誌でも掲載しています。よかったらお手にとってご覧くださいね!フォアミセス|秋田書店
2017年11月02日スクールカウンセラーとは?出典 : スクールカウンセラーとは、学校現場において児童や生徒、その保護者に対して、臨床心理に関する専門知識を生かしながらサポートしていく専門家を言います。様々な心の問題をもつ人たちを、専門的な知識や技法を使って支援する役割を担っています。近年は教職員に対する心のケアや研修も行ったり、事件や事故が発生した時に被害児童・生徒のサポートを行ったりと、より幅広い業務が求められています。スクールカウンセラーは、平成7年(1995年)に国が打ちだした「スクールカウンセラー活用調査研究委託事業」により各学校に配置され始めました。その後、いじめ問題や東日本大震災をはじめとする災害の発生、貧困問題などから、子どもの心をケアする重要性が広まり、全部の公立小中学校で、スクールカウンセラーの配置が進められてきました。平成28年時点でスクールカウンセラーは2万5500校の公立小中学校に配置されていて、これは全公立小中学校の約93%にあたります。また私立の小中学校・高等学校は、公立小中学校がスクールカウンセラーに関する事業を始める前からスクールカウンセラーを配置し始めています。そのため、小中学校全体として、スクールカウンセラーが配置されている割合は年々増えてきています。平成28年チーム学校の構想における心理職の役割-文部科学省佐藤誠・高塚雄介・福山清蔵/著『続 電話相談の実際 各論編 (相談シリーズ) 』双文社/2005スクールカウンセラーの仕事内容って?出典 : 具体的に、スクールカウンセラーはどんな仕事をしているのでしょうか。スクールカウンセラーとして最も中心的な仕事が、児童・生徒や保護者へのカウンセリング対応です。カウンセリングは児童生徒・保護者からの希望で行われたり、担任教員からの紹介で行われたりとさまざまです。児童生徒の場合、カウンセリング内容は友人関係に関するものが多く、他には担任教員との関係、家庭での悩みなどがあるようです。また、発達障害があり学校生活で困り感を抱いている子どもへのSST(ソーシャルスキルトレーニング)や、災害や環境変化などによるストレスに対して心のケアをなど、様々な支援を行います。保護者の場合、子どもの友人関係や学校生活での問題行動に関する相談のほか、直接言いづらい学校への不満について相談することで、スクールカウンセラーから学校側へ指導方法について掛け合ってもらうこともできます。また、家庭状況に関するカウンセリングを行うこともあります。担任教員には直接言いにくい悩みも、第三者であるスクールカウンセラーになら話しやすいのではないでしょうか。スクールカウンセラーは、中立な立場から、教員と保護者の関係を調整する役割を担ってくれています。スクールカウンセラーは、教員に対してもカウンセリングを実施することがあります。カウンセリングは、支援が必要な児童生徒・保護者に対し、教員がどうサポートしていけばよいのかに関するアドバイスが主な内容です。他にも、教員自身に悩みがある時のケアもスクールカウンセラーが行い、教員がより快適に働けるように相談や助言をすることがあります。カウンセリング対象の児童・生徒はもちろん、すべての子ども達が快適に学校生活を送ることができているかどうかを見るため、子ども達の生活現場へ実際に足を運ぶことも、スクールカウンセラーの大切な仕事です。授業や昼休みの様子だけでなく、クラブ・委員会活動、学童保育にも足を運び、子ども達の様子を確認し、学校生活を送る環境として適切かどうか確認します。スクールカウンセラーは、心のケアが必要になった対象者の支援だけでなく、何か問題が発生するのを防ぐためにさまざまな活動をします。例えば、「スクールカウンセラーだより」のような配布物を作り、スクールカウンセラーという相談窓口の認知を広めたり、児童・生徒・保護者・教職員などにアンケート調査をし、ストレスチェックを行ったりします。また、スクールカウンセラーは、その多くが臨床心理士の資格をもつ専門家です。そこで、その知識を生かして、保護者・教員向けに、児童・生徒の心のケアや、よりよい教育相談のための研修を行うこともあります。石村 郁夫 /著『カウンセリングのすべてがわかる-カウンセラーが答える本当の心理学- (ぐっと身近に人がわかる) 』技術評論社/2010スクールカウンセラーになるには?出典 : 基本的にスクールカウンセラーになる人は、臨床心理士、精神科医、大学教員のいずれかが多いです。スクールカウンセラーの募集・採用は、各都道府県・指定都市ごとに行っています。文部科学省は、スクールカウンセラーの資格要件を以下のように定めています。「スクールカウンセラー」(1)財団法人日本臨床心理士資格認定協会の認定に係る臨床心理士(2)精神科医(3)児童生徒の臨床心理に関して高度に専門的な知識及び経験を有し、学校教育法第1条に規定する大学の学長、副学長、教授、准教授又は講師(常時勤務をする者に限る)の職にある者又はあった者「スクールカウンセラーに準ずる者」(1)大学院修士課程を修了した者で、心理臨床業務又は児童生徒を対象とした相談業務について、1年以上の経験を有する者(2)大学若しくは短期大学を卒業した者で、心理臨床業務又は児童生徒を対象とした相談業務について、5年以上の経験を有する者(3)医師で、心理臨床業務又は児童生徒を対象とした相談業務について、1年以上の経験を有する者このような条件のもと、書類と面接によって選考が行われます。スクールカウンセラーの割合として一番多いのは、臨床心理士です。学校における教育相談に関する資料|平成27年-文部科学省また、2017年9月15日に公認心理師法が施行されたことによって、心理職初の国家資格「公認心理師資格」が誕生しました。誕生したばかりの資格であるため、各自治体は順次対応していくようですが、これからはスクールカウンセラーの条件として公認心理師も追加されることが予想されます。スクールカウンセラーにどんな相談ができるの?出典 : スクールカウンセラーには、学校に関する悩みだけでなく、その背景にある家庭環境の問題や、個人の心身の問題など幅広く相談できます。例えば、次のようなことについて相談することができます。・不登校・いじめ問題・家庭環境・教職員との関係・暴力行為・非行・不良行為・心身の健康・保健・児童虐待・学業・進路・友人関係・発達障害・貧困対策・小中連携・校内研修・教育プログラムなど平成27年度スクールカウンセラー等活用事業実践活動事例集このような問題に対して、スクールカウンセラーはどのように関わり、解決を目指しているのでしょうか。具体的な事例を元にご紹介します。小学校2年生のA君は、落ち着いて集団の活動に取り組むことができません。担任のB先生は、授業中すぐに席を離れてしまうA君をつい叱ってしまい、自分の指導に行き詰まりを感じていました。母親との相談の中で、自分の正直な気持ちを伝えたB先生は、スクールカウンセラーとの相談を勧めました。最初は懐疑的だった母親も、継続したカウンセリングの結果、自分の子どものありのままを受け入れられるようになりました。さらに、アトピー性皮膚炎の受診と合わせて訪ねた専門医から、LDとの診断を受け、以前は自分の子を好きになれず、手もつなげなかった母親が「この子のためなら何でもしてやりたい」と強く感じるようになり、対応も穏やかになって行きました。B先生も、カウンセラーのコンサルテーションを受け「ほめるときはうんとほめ、叱るときははっきり分かるように短く叱る」という対応を続けた結果、クラスの友達も担任のまねをして、A君をほめることが多くなりました。帰りの会などでも「叩いたけど謝ってくれた」「ちゃんとイスに座っていた」など良いことを取り上げて発言し、それにつれて、A君の行動は次第に落ち着いてきました。この事例では、スクールカウンセラーが、「落ち着いて集団の活動に取り組むことができない」児童・「自分の子どもを受け入れることができない」保護者・「児童へどう指導してよいかわからず、つい叱ってしまう」教員それぞれに介入しています。学校生活での問題は、児童・生徒、保護者、教員の誰か1人の問題ではなく、さまざまな問題や背景が絡み合って発生します。スクールカウンセラーの強みは、臨床心理の専門知識を生かしつつ、問題に対して多方面からアプローチできる点にあると言えます。元気がなさそうな本人の様子に気づき、スクールカウンセラーが声をかけたところ、「小学校 4 年生までは仲が良かった友達から、無視されるようになった」と話す。話しかけても、「無視してないよ。」と言われるが、たびたび無視されることが続いた。原因が分からず、今まで楽しかった学校が、楽しくなくなってしまった。■スクールカウンセラーの取り組みと児童の変化5月:スクールカウンセラーとの相談を開始。・いつ無視がはじまったのか、何の時間だったのか、具体的にどんな無視の仕方だったのかなど詳細を話してもらった。・それにともなって、どんな気持ちがしたかを丁寧にききとっていった。・「また仲良くなって楽しい学校にしたい」という本人の希望を確認し、その目的に向けて一緒に考えていこうと話した。・困ったことがあった時は、周りの人を頼っていいこと、そして、それはとても大事なことであると伝えた。5月中旬:どのような無視なのかを一緒に考えていく・話をしていくうちに、相手の無視の仕方に特徴があることがわかった。・無視をしてくるのは特定の時間だけであることがわかった。・相手はどうやら”無視しているつもりはない”と思っていることがわかった。5月下旬:相手と無視について話し合う・無視について整理できたので、直接相手と話し合ってみることを提案し、スクールカウンセラーも同席した。・相手は無視のしぐさに全く気付いておらず、言われて初めて気付いた。そのしぐさが無視ではないということを本人が理解できた。・お互い仲良くしたい気持ちがあることを確認した。・無視されたと思うことはなくなり、楽しく学校に通っていると、後日、本人から報告があった。子どもにとって、友人関係の悩みは学校へ行くことが苦しくなるほど大きな問題です。スクールカウンセラーの多くは、子どもの学校での過ごし方を把握するために、学校生活の様子を見回っています。その中で、ちょっとしたトラブルの存在を早く見つけ、早期解決を目指すことで、深刻な問題に発展することを予防しています。スクールカウンセラーに相談するには?出典 : 実際に、「スクールカウンセラーに相談したい!」と思ったら、どのように申し込み、カウンセリングを受ければよいのでしょうか。以下では、多くの学校が実施している、カウンセリングまでの流れを紹介します。ただし、学校ごとに、スクールカウンセラーに相談を依頼するための方法は異なりますので、必ず自分の子どもの学校のスクールカウンセラーに関する決まりなどを確認するようにしましょう。スクールカウンセラーに相談したいと思ったら、多くの学校ではまず、事前にカウンセリングの予約をする必要があります。現状、スクールカウンセラーはほとんどが非常勤であるため、多くの学校はスクールカウンセラーが来校する日を決めています。平成27年3月9日(月)中央教育審議会チーム学校作業部会(第4回)「スクールカウンセラーの役割と活動の在り方」カウンセリングの予約をするには、担任教員またはスクールカウンセラー担当教員へ連絡を取るか、「スクールカウンセラーだより」のなどの配布物に記載している連絡先へ、直接連絡する必要があります。多くのスクールカウンセラーは、定期的に学校の様子や心のケアに関するアドバイス、カウンセリング可能日時などを記載した「スクールカウンセラーだより」をつくっています。このような配布物をチェックして、スクールカウンセラーのスケジュールを確認するようにしましょう。カウンセリングが決まったら、限られた時間で悩みや話したいことを満足に話し合うことができるように、前もって話したいことを考えたり、メモなどに簡単にまとめておいたりするとスムーズです。カウンセリングは親子で受けるのはもちろん、親だけ、子どもだけというケースも可能です。親だけでスクールカウンセラーに会い、家庭での子育てに関して相談することもできます。何か悩みや困りごとがある時、相談場所の一つとしてスクールカウンセラーの存在を覚えておくとよいでしょう。まとめ出典 : スクールカウンセラーとは、学校現場で臨床心理の専門知識に基づき、児童生徒・保護者・教員に対してカウンセリングや支援の手助け、心のケアを行う専門家です。学校で何か相談するとなると、最も身近な担任教員を思い浮かべがちですが、場合によっては担任教員も当事者であることが考えられます。そんな時、スクールカウンセラーに相談すると、当事者が抱える問題を客観的に、そして専門的に解決してもらうことが期待できます。保護者のみでスクールカウンセラーと話すことも可能なので、子どもの学校生活や家庭での過ごし方など不安に思った際に相談してみると、解決の手立てが見つかるかもしれません。子どもの学校生活、不安だけど誰に話したらよいかわからない…担任教員には相談しづらい悩みがある…そんな方は、スクールカウンセラーに一度相談してみてはいかがでしょうか。
2017年11月01日ダウン症当事者団体による、初めての全国的会議Upload By 発達ナビニュース「日本ダウン症会議」は、ダウン症のある方や家族はもちろん、現在第一線で活躍している専門家や研究者、支援者などが集い、「新しいダウン症像」を考えて意見交換をする、日本で初めての催しです。専門家もダウン症のある方も、一緒に議論する場に過去90年の間にダウン症の平均寿命は6倍となり、医療においては様々な治療の可能性が探られる一方、出生前検査(診断)の議論があるなど、ダウン症のある方や家族を取り巻く状況は近年大きく変化しています。そうした状況の中で、公益財団法人日本ダウン症協会(JDS)が、当事者団体による日本で初めての全国的な会議を開催します。医療・福祉・保育・教育・就労など、様々な領域での実践報告に加え、第一人者の方々やダウン症のある方々が、同じ席について議論したり学ぶことができる場です。市民公開講座も開催されますUpload By 発達ナビニュース11月11日(土)・12日(日)の特別講演や分科会については当日受付可能(事前登録は締切)ですし、12日13:30~15:30(13:00開場)に実施される市民公開講座は、無料でだれでも参加することができます。11日(土)は13:30に開会(12:00開場)。特別講演のほか、医療・福祉・保育・教育・就労のテーマごとに専門家やダウン症のある本人を交えての分科会が開催されます。12日(日)も、10:00から分科会が行われます。講演や分科会への参加費は、10,000円となっています。12日(日)の市民公開講座(参加無料)では、シンポジウムが開催されるほか、横浜ダウン症児サークル「ハマヒアポ:オハナフラ」で活動する、3歳から10歳の子どもと保護者によるフラダンスの発表もあります。シンポジウムでは、医師や大学教授、助産師などの専門家などに加え、ダウン症のあるタレント・あべ けん太氏らによるリレー講演や、質疑応答の時間も設けられます。いずれも、大正大学(東京都豊島区西巣鴨3-20-1)で開催されます。主催者からのメッセージ「ダウン症を取り巻く状況が大きく変化する中、当事者団体としての発信も広く専門家の協力を得ていく必要を痛感しています。今回の会議では、当事者団体であるJDSが企画する会議という特色を活かし、各部門で精力的に実践されている方の報告と、その領域における第一人者の先生方、さらには当事者が同じ席についての議論と学びの場にしていくつもりでおります。ダウン症のある方たち、その家族、支援に携わる方々、研究職の方々、ダウン症をめぐるすべての方たちに「これからの私たち」を考えていただける場にしたいと願っています。」という大会会長の玉井邦夫氏。ダウン症に関わる方の場としてだけでなく、様々な思いや多様性を認めていくことの大切さについても広く発信していく、記念すべき第1回の大会となるでしょう。
2017年11月01日阿部利彦先生に聞いた、発達ナビユーザーにおすすめしたい本!星槎大学・発達支援臨床センター長の阿部利彦先生は、特別支援教育、学校カウンセリングがご専門。発達障害のある子の魅力やサポート法についての講演・教員研修で全国各地を飛び回り、その取り組みはNHK Eテレなどでもたびたび取り上げられています。そんな阿部先生に、親子のかかわりについて学べる本や、親子で楽しめる感動作を教えていただきました!『クラスで気になる子の支援 ズバッと解決ファイル V3 対談編: 達人と学ぶ!ライフステージを見据えたかかわり』「井上雅彦先生をはじめ、梅永雄二先生、宇野宏幸先生、藤野博先生、川上康則先生など特別支援や教育相談で私が尊敬している専門家の先生方との対話的で深い学びをまとめた一冊です。なにせ各先生方の思いがいっぱいつまっています。皆さんも聴き手である私と一緒に先生方から支援のヒントをたくさんもらって下さいね。」(阿部利彦先生)阿部先生と特別支援教育・発達障害児者支援の第一人者が、「気になる子」の支援のコツとワザについて考える対談集を発達障害について学べる本として教えていただきました。登場されるのは11人の専門家。「気になる子」への支援の基本を学ぶ第一部、ライフステージから見る「気になる子」への支援を取り上げる第二部、「気になる子」の支援の基本に立ち返る第三部に分けてそれぞれの専門分野から学ぶことができます。『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』「タイトルが結構覚えにくい本書、9歳の男の子オスカー君が主役の物語です。あの9.11が土台となっている本ですが、ストーリーについては私が説明してしまうと皆さんの楽しみが半減してしまうので、先入観なしに読んでいただきたいと思います。映画(2011年公開)については、発達障害の知識があるとすごく共感できる作品です。こちらもぜひ。」(阿部利彦先生)阿部先生が大好きな本としてあげて下さったのが2001年のアメリカ同時多発テロ事件を背景にした小説『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』。作者ジョナサン・サフラン・フォアはアメリカの若手作家です。世界的ベストセラーとなった本書には「ビジュアル・ライティング」という実験的な手法が用いられています。『リトル・ダンサー』『めぐりあう時間たち』のスティーブン・ダルドリー監督による映画化でも話題となりました。『ワンダー』「本書も映画化されていますが、日本ではまだ公開が決定していません。主人公はオーガスト君。彼は発達障害ではなく生まれつき外見に障害がある男の子です。10歳にしてはじめて学校に通うことになったオーガスト君と周囲の人たちの視点で物語が進みます。本書のテーマ(例えばいじめ)について親子で話し合ってみるのもいいかも知れません。」(阿部利彦先生)阿部先生がおすすめする親子で読んでほしい本は、全世界で発行部数500万部を超える児童書『ワンダー』です。外見に障害がある人に対してまわりの人はどう接したらよいのか、子どもにどのように説明したらよいのでしょうか?作者のR・J・パラシオさんも、障害のある女の子と出会ったときに子どもたちの前で取ってしまった行動を後悔し、この本を書き始めたとのこと。本書はいじめをテーマにしていますが様々な人の視点で語られ、感動のあとに明るい気分になれる本です。「人と違うということ」「ふつうとは何か」について親子で考えるきっかけにしてはいかがでしょうか。阿部利彦先生プロフィールUpload By 発達ナビ編集部阿部利彦(あべとしひこ)星槎大学・発達支援臨床センター長。『新・発達が気になる子のサポート入門』(2015年,学研)、『見方を変えればうまくいく!特別支援教育リフレーミング』(2013年,中央法規出版 )、『見方を変えればうまくいく!発達が気になる子の子育てリフレーミング』(2015年, 中央法規出版)、など著書多数。
2017年11月01日いつもの「お金貸して」と様子が違う!?Upload By かなしろにゃんこ。高校生になってすぐにアルバイトをはじめた息子ですが、大きな買い物をする際は私にお金を借りることがあります。そんなときはニヤニヤしながら甘えてきて、「お願いがあるんだけど~」と交渉をはじめます。しかし問題が発覚したその日はいつもと様子が違い、深刻そうに「お金貸して」と言うのです。様子が変なので、お金の使い道を聞いてみたのですが、話そうとしません。「とにかく貸して」としか言わないので、理由を言うことを条件に貸すことにしたら…。買わなくても半額支払え!と言われて…Upload By かなしろにゃんこ。ちょっとクセありの同級生A君から、「安くするからパソコンを買わないか?」と声をかけられた息子。イイ品なら安くていいかも!と思い、「いいね~」とA君の誘いに好意的に応えてしまったことがはじまりだったようです。「お金は少しずつ払ってくれればいいから」と熱心に交渉してきたA君に「来月お金があったら買うよ」とあいまいな返事したところ、A君の中では「売買の約束」をしたことになってしまったのでした。その後、息子が「やっぱりお金払えないからいらない」と断わると、A君は売る気満々でいたので「買わなくても半額支払え!」と怒り出し、顔を合わせるたびに支払いを要求してくるようになったというのです。Upload By かなしろにゃんこ。「品物を受け取っていないのに支払う必要はない!」と考えて、息子もA君の要求を無視していたのですが、相手がかなりしつこく、息子は根負けしてしまったというのです。連日の要求から早く解放されたくて、少しずつ支払っていくうち、結局〇万円渡してしまった…。そして「あと五千円支払ったら終わりだから」と、いますぐその五千円を自分の地元まで持って来い!と要求してきたとのこと。そこで息子は、お金を貸して欲しいと相談してきたのでした。何度も金の催促するって、それってカツアゲと同じじゃない?支払う義理もないし一度支払ったらズルズル催促されるヤツじゃないの?息子はビビッてるし、コレは脅迫だわ~~と私も怒りがトサカにキテしまい、メラメラ…A君のことを訴えてやる!くらいの怒りに、横にいた息子は引いてしまうほど。しかし、「これを支払ったら終わりにしてやるから、金を持って来い!」というのはとても危険な誘いです。息子のソワソワした様子から、A君はしつこいだけでなく力関係で勝てない相手だから従っているのだと感じました。息子にお金を貸したらA君の言う通りに持っていってしまう…。それに、約束の場所にはA君だけが待っているとは限りません。人気のない場所でA君の仲間に囲まれたら、五千円支払うだけじゃ済まないヒドイことも起こるかもしれないと話し、A君の要求を無視して学校に相談するか、A君の親御さんに返金の要請をしようと息子と話し合ったのですが…。Upload By かなしろにゃんこ。「学校に相談しないで!」その理由がバカ正直すぎたUpload By かなしろにゃんこ。「生徒同士の金銭トラブルは生徒で解決する」という学校のきまりがあるようで、学校に相談してもムリだと息子は言います。それに事を大きくするとA君にまた何か言われることがイヤみたいでした。他の人に知られたくないなど男のプライドや複雑な気持ちは分かるけれど、放っておけるわけないし、「絶対にここで終わりにしなくっちゃ!」と思い、私から学校に相談しました。生徒同士のトラブルとはいえ、今回は金額も大きく例外だということで、先生が間に入ってくれることになりました。そして、今まで渡したお金を返してもらいたいこと、もう金銭の要求をしてこないでほしいことを伝えてもらいました。半年前に要求が始まった時点で学校に相談していればよかったのに、息子は学校のきまりをバカ正直に守って我慢していたようでした。学校側が言う「生徒同士の金銭トラブルは生徒で解決する」というルールは、何百円とかのレベルだったのでは?と思うのでした。〇万円ともなるとさすがに学校もムシできないはずです。実際、先生も積極的に動いてくれました。その辺の線引きについても、経験が浅いからか図々しさがないからなのか、息子には分からなかったのだと思います。ウソや隠し事が超絶ヘタだから、分かっただけUpload By かなしろにゃんこ。後日、先生からA君との話し合いの結果を聞きました。A君曰く、「品物を渡していない場合は、お金の請求をしてはいけない」ことを知らなかったというのです。うーんこれは…責められないように言い訳しているな…と正直思いました。A君から息子へは形だけの謝罪となったのですが、お金は返してもらう約束をして、只今きちんと約束が守られるか返金日を待っているところであります。小さいときは圧倒的に加害者になることが多かった息子。困り果てた私は、被害者のほうだったらいいのに…と思っていたものですが、いざ被害者になってみると、イヤなものですね。子どもはお金のトラブルについて隠そうとするケースがあると言いますが、うちもまさにそう!言いたがらない!今回は、息子が嘘や隠し事、芝居が超絶ヘタクソだったから気付けたのだと思います。もし上手に隠せる子だったら、何か大きな事件に巻き込まれてしまうなんてことにもなりかねないと思ったのでした。
2017年10月31日特性を生かして活躍する岩本さんに聞いた、発達ナビユーザーにおすすめしたい本!岩本友規さんは、成人してから発達障害(ADHD、アスペルガー症候群)と診断されました。新卒で就職した会社では、法人営業の部署に所属しましたが、電話番すら思うようにできず挫折。現在はご自身の特性を生かして、外資系企業のデータアナリストとして活躍し、著書「発達障害の自分の育て方」(主婦の友社)も執筆されています。今回は、生きていくうえで大切にしたいことを教えてくれたり、読むと頓服薬的に元気になれる本、子どもたちに読んでほしい本などを教えてくださいました!『小説十八史略』「人生の中で一番読み返した本で、子どもに読んで欲しい本でもあります。 特に小学校高学年~中学校時代に全6巻を何十回もまわしました。受けた恩を返すため、親友や主君の身代わりになる話。 人間の強さと弱さの話。 私はこの本に、いまの活動につながる「義」の心を意識・無意識の中に刷り込まれました。人間はやはり最終的には、利他の行いをすることで幸せになっていきます。 そうした発想を自然に育むために、私の知る限り最適な本です。」(岩本さん)紀元前の中国の英雄たちの生きざまや人間模様が生き生きと描かれています。子どもにもよみやすい文章なので、親だけでなくお子さんも一緒に楽しめそうです。『ポケットのないカンガルー』「ないものを嘆くだけではなくて、どう補うかを探しにまわりの動物たちのあり方を学ぶお母さんとこどもカンガルー。前向きに行動を続ける大切さと、多様なあり方について感じることができる絵本です。「おさるのジョージ」と同じ方の挿絵なので、なじみやすいと思います。」(岩本さん)ぜひお子さんと一緒に読んでほしい1冊。ポケットがない母カンガルーが、こどものフレディを運ぶ方法をいろいろと考えます。ないものねだりをするのではなく、どう前向きに生きるのかを、やさしいタッチの絵と文章を通して教えてくれます。『22世紀的「人生の攻略本」 起こることは全部マル! 3時間で新しい自分になれるワークブック』「理屈抜きで、徹底して現状の自分や状況を肯定してくれる本。ブログでも紹介していますが、私もつらくて眠りたくない夜、なんとか気持ちを楽にしたいときはこの本に頼っていました。頓服薬的に効いてくれる、とてもお世話になった本です。」(岩本さん)過去を悔んだり、将来に不安を抱くのではなく、起こることは全部”マル”と決めてしまおう。難しいことは考えず、本に書いてあるワークの質問に答えていくだけでOK。自分のエネルギーを「いま、ここ」に向ければいいのだということを教えてくれる、人生の攻略本です。『発達障害の原因と発症メカニズム』「かなり専門的な本。発症原因の項目は少し距離をおいて読む必要があるかもしれませんが、それ以外の基礎知識はどの立場の人にとっても大変有用だと感じました。一般的な発達障害本では納得しきれない方におすすめです。」(岩本さん)成人当事者として、自分の特性とはどんなものなのか、原因はなんなのか、しっかりと理解したいと考えて読んだ1冊だそう。環境要因による発達障害への影響から療育についてまでと、幅広い内容となっています。岩本友規さんのプロフィールUpload By 発達ナビ編集部成人してから、発達障害があることを診断。その特性を生かして、現在は外資系企業でデータアナリストとして活躍するほか、著書やブログの執筆、講演活動などを行う。11/17(金)、18(土)に長野県佐久市にて「今日から実践!発達障害の自分の育て方講座」が開催されます。
2017年10月31日真面目でおとなしいA君との出会い出典 : 「今日のノートはここまでしか書けませんでした。」これはA君が私に、初めてかけてきた言葉です。姿勢が良く、授業中も真剣な眼差しで教師を見つめている姿がとても印象的だったけれど、いつも少し困った表情を浮かべていました。そんな彼が、書きかけのノートを持ってきて、私に訴えかけてきたのです。ノートを見ると、黒板に書かれた内容の9割までしか写しきれていません。ですが、そもそもノート提出をその日に課したわけでも、時間内に写す事を課したわけでもないのです。多くの生徒は、授業時間内に写し終わらなかった分は、休み時間に残りを写すか、友人のノートを借りて写します。ノートを取り終えられなかった事について許可を求めたり報告する事はないし、もちろん私自身そんな指示は出していませんでした。中学一年生になりたてとはいえ、その判断は自分でできるはずだと思いながらも、A君の真面目さ故の行動だと思い、「大丈夫、次の時間までに写しておこうね。」と声をかけました。数日後、「今日は全部写しきれました。」と報告してきたA君。「すごいね、頑張ったね」とその場で褒めはしましたが、私はこの時点で、何か少しおかしいな、心配だなと感じていたのです。「ごめんなさい」が言えない、彼なりの理由出典 : 君について小さな違和感を抱きながらも、4月、5月は特に問題なく過ごしていましたが、6月ごろからA君の周囲をとりまく対人関係のトラブルがクラス・部活共に続出しました。クラスでは、体育大会の種目決めの時に、何を選んでいいのか自分で決められず、あまりものの長距離走になりました。「大丈夫?」と本人に聞いたところ、「走りたかったから大丈夫」といいました。しかし、帰宅後母親に泣きながら「たぶん、走りたくないと思います」と訴えたらしいのです。翌日学校で改めて確認すると、今度は「よく分からない」と答えました。母親との会話からも分かるように、自分自身の感情を表現する事が極端に苦手で、意思決定ができないのです。嫌なはずなのに、「たぶん、走りたくないと思います」と、他人の事のように言います。彼の中で、自分の感情や気持ちと、周りの状況、求められているものが一致しないのです。彼の頭の中ですべてがバラバラになっているのではないかと思いました。部活でのトラブルは、「ゲップ、おならなどを人前でしてしまう」といった公衆道徳が身についていないことが原因でした。それを周りの生徒から注意されると癇癪をおこしパニック状態になっていました。「お前らなんかに言われたくない」「勉強もできひんくせに」などの暴言があり、謝罪の場を設けても、謝る事ができません。どうやら同学年の生徒に対するこだわりが相当強いらしく、自分が納得しないと行動できないところもあるようなのです。彼が同学年の生徒に対してこだわりを持つには彼なりの理由がありました。真面目な彼から見ると、勉強ができたり、先生の言うことをしっかり聞く生徒が常識的な生徒で、指摘してきた生徒があまり勉強ができなかったり、教師に対して反抗的だったりすると非常識な人間と判断してしまうのです。そんな(彼にとって)非常識な人間から言われたことは非常識なことと認識され、自分の行動に非があったとしても認められないのです。そのため、彼が同学年の生徒に対して見下したりする発言も多く、そこからのトラブルもありました。A君の周りからはどんどん人が離れていき、いじめの対象になるような状況も発生してきました。そこで、発達に何か課題があるのではないかと、市内の学校を巡回指導しているアドバイザーの先生にみてもらう事になりました。”伝える”方法を支援する出典 : アドバイザーの先生はA君について大きく二点を指摘しました。一つ目は脳のアウトプットの機能についての問題、二つ目はA君の融通が利かない性格からくる自分ルールについてです。まず一つ目について、どうやらA君は思考が絡むアウトプットをする事が苦手らしいのです。覚えた事をテストで書くという単純なアウトプットはできるのですが、一度自分で考えたり、感情を交えた上で行動にうつすのが苦手な事がわかりました。どうやら、1. 体験→2. 考え→3. 思い→4. 話す・書くといった一連の流れの、2と3をまとめて4にする事がうまくできないようなのです。校外学習の作文を書いても、そこがつながらないから支離滅裂な文章が出来上がります。例えば、「校外学習に行った。僕はとても学んだ事があったのであるが、友達は僕に早く行けと言って僕は悲しかった。」この文章で彼が言いたかった事は”校外学習中、友達とトラブルがあった。僕は、そのトラブルから学んだこともあったけれど、悲しい気持ちにもなった”という事だったようです。しかし、このように時系列がめちゃくちゃで、感情と思考が入り交ざっています。彼の頭の中で混乱が生じている証拠なのです。アウトプットが苦手な生徒はたくさんいるし、作文が苦手な生徒もたくさんいますが、A君ほど話がつながらない生徒はそうそういませんでした。そこで、支援の一つとして、頭の中を整理させながら話を聞くということを行いました。何かトラブルがあって困っている彼に対して、話を聞き、彼の言った言葉をオウム返しにしていきます。「B君がダメなんです」「B君がダメなんですか?」「B君はいつもダメなんです」「B君はいつもダメなんですか?」「B君はいつも僕をからかってくるからダメなんです」「いつもからかってくるんですね。だから、だめなんですね。では、どうしてほしいんですか?」という具合です。自分の頭の中で整理ができないなら、周りの人間がA君のかわりにA君の言いたいことを整理していくのです。そうすることで少しずつA君が自分の言いたい事をまとめて言えるようになりました。実際、「なんで?」「それで?」「だから?」という聞き取りをしていた時よりも、このやり方のほうがA君は文章をつなげて話せるようになったのです。二つ目の融通の利かない性格=こだわりが強いという傾向から、A君には自分ルールが存在しています。その自分ルールは時に極端で、例えば、「先生の指示に従いましょう」と言われたら、1から100まで従おうとします。そのため、「黒板を写しなさい」=「必ず黒板を時間内にうつさなければいけない。」となり、冒頭のようなやり取りが出てくるのです。部活内での公衆道徳にまつわるトラブルについても、きっと「おならを我慢したら病気になるよ」と小さい時に教わったのでしょう。母親に言われたことを厳守していたのです。彼の中にはちゃんと理論だったルールがあります。そのルールを否定されると癇癪をおこし、どうすればいいか分からなくなるのです。そこで、学校で守ってほしいことは「この学校では、このようなルールになっているので、覚えてください」と話すようにしました。個人的にこう思うと伝えるよりも、「この組織では、このようなルールなんです」と言う方が、真面目で規律を守りたい彼にとっては一番効果的だったのです。真面目さを個性に変えて…出典 : 様々なトラブルを抱えながらも彼は三年生になりました。一、二年生の頃は特異な存在と見られがちで、周りと距離があった彼ですが、三年生になって少しずつ変化が出てきました。彼が三年になった時に、担任を受け持つ事になりました。私は、彼の話の聞き役を私以外にもやってもらったらいいのではないかと、考えました。そこで、クラスの学級委員長のR君に、「A君が困っているみたいやから、話を聞いてあげて」と声をかけてみました。はじめ、R君はA君と話す事に苦戦していましたが、子供は柔軟です。そのうち話を整理しながら聞くという事を自分で考えて実践していきました。R君が、A君が困っている時に助けるという構図ができだしてから、何かあったらR君がA君とみんなの間に入って話をしていきました。そうするうちに、周りの生徒もA君の苦手なこと、得意なことがわかるようになり、上手に交流を持てるようになりました。それでもトラブルが起こってしまう時は私が話をしたりしましたが、基本的には生徒達の中で解決される事が多くなりました。本人も三年生にしてようやく居場所ができた事が嬉しいらしく、周りが投げてくる笑いのネタに対して、自分なりにパフォーマンスするなどして周囲を笑わせていました。真面目で硬い性格のA君がちょっとおかしなことをするのが面白いらしく、周囲の生徒達も少しずつ関わりを多く持つようになっていきました。他にも、クラスの生徒はA君の真面目さによく気がつきました。誰もが嫌がる事を引き受けたり、みんながうっかり忘れていた大事な提出物を良く覚えていて先生に確認して、クラスの生徒が助けられるといった経験から、生徒達の中でA君は「真面目で、いつも一生懸命なちょっと個性的な子」として、位置づけられるようになりました。クラス経営において、私がしたのはクラスの中心となる生徒にA君に対して声をかけるようお願いすることと、その活動を見守ることでした。きっかけさえ作れば生徒達は自分達でお互いをフォローしあえるようになるのです。もちろん、一、二年生の時の接し方やそこから得られたA君自身の成長もあり、三年生でうまくいったという事もあるのでしょう。みんなで支え合う相互理解の社会へ出典 : 大小含めて発達に課題がある生徒は、私が受け持つクラスの40人中、10人ほどいます。その中で同じ方向を向いて共同生活を行う上で大事なのは、お互いに理解し合うことです。できない、苦手な部分を個性とし、できる部分を伸ばしていくこと。できない部分はみんなでフォローして、できる部分でみんなを助けてもらうこと。それが相互理解に大事な行動だと思います。そのためには、本人や教師、保護者だけが頑張るのではなく、周りの生徒も巻き込んで、居場所を作っていく。そうするとみんなで支える姿勢を作ることになります。今の社会はまだ、特異な存在に対する風当たりが強いです。しかし、相互理解を学んだ生徒がこれから成長し、作っていく未来の社会はきっと今よりも優しくなります。そんな社会のために私たち教員は、「生徒が支え理解し合える、違いを認め合える環境作り」をしていく事が使命だと感じています。
2017年10月30日斎藤環先生に聞いた、発達ナビユーザーにおすすめしたい本!ひきこもりを長年支援してこられた精神科医の斎藤環先生。先日発達ナビが行った『ひきこもり新聞』木村ナオヒロさんとのトークショーも盛況でした。そんな斎藤先生は批評本も書かれているほど、まんがやアニメにも造詣が深いのです。今回は専門書から話題のマンガまで、バリエーションもゆたかな本を教えてくれました!『発達障害当事者研究―ゆっくりていねいにつながりたい』「自分が自分の先生なのだ。」(斎藤環先生)アスペルガー症候群当事者の綾屋紗月氏と小児科医・熊谷晋一郎氏による当事者研究。発達障害のない人からは「感覚過敏」「こだわり」などの言葉でくくられてしまう特性。発達障害のある人がどのように感じているのか、その世界が綾屋さんの目を通して丁寧に語られます。保護者や支援者など、発達障害のない人が、発達障害のある人の世界を想像し、理解しようとすることが、彼らとつながるために重要だと気づかせてくれる本です。『夜廻り猫』「猫は、寄り添って人を癒やす。」(斎藤環先生)育児に疲れた時にパパ・ママに読んでほしい本は?とうかがったところ、斎藤先生が教えてくれたのは、ツイッターで話題となった8コママンガ。第21回手塚治文化賞短編賞受賞作の『夜廻り猫』です。「泣く子はいねが~」と夜更けの街を見まわるのは、なんと猫の遠藤平蔵!涙のにおいをたどって悩んでいる人を見つけ、話を聞きます。ただ寄り添うだけで解決はしないその距離感はまさに猫。ちょっと疲れた時や悲しい時にちょうどいいあたたかさで読めるマンガです。『ジェーン・エア』「子どもたちよ、これが”物語”だ。」(斎藤環先生)「子どもに読んでほしい本」として斎藤先生が挙げてくれたのが、イギリス文学の名作『ジェーン・エア』。幼くして孤児となった家庭教師のジェーンと裕福な主人ロチェスターは次第に惹かれあいます。身分の差やロチェスターの過去など、様々な困難が二人の前に立ちはだかり、一度は彼のもとを去ったジェーンでしたが…。全てを失っても、大きな障害も、愛の前には障害ではなくなるという、ジェーンの想いに心打たれる恋愛物語です。『治療文化論―精神医学的再構築の試み』「わたしの、たった一人の“師”。」(斎藤環先生)斎藤環先生の座右の書が、本書。日本の精神病理学を代表する医学者・中井久夫氏の代表作です。統合失調症やPTSDの研究者として知られる中井氏ですが、歴史にも精通し、詩の翻訳やエッセイの名手としても活躍していました。『治療文化論』では精神医学と文化の両面から「病気とは何か」「何をもって治療と言うのか」を探ります。斎藤環先生プロフィールUpload By 発達ナビ編集部斎藤環(さいとうたまき)1961年、岩手県生まれ。1990年、筑波大学医学専門学群環境生態学卒業。医学博士。爽風会佐々木病院精神科診療部長(1987年より勤務)を経て、2013年より筑波大学医学医療系社会精神保健学教授。また,青少年健康センターで「実践的ひきこもり講座」ならびに「ひきこもり家族会」を主宰。専門は思春期・青年期の精神病理、および病跡学。著書に 『文脈病(青土社)』『社会的ひきこもり(PHP研究所)』『ひきこもり救出マニュアル(PHP研究所)』『ひきこもり文化論(紀伊國屋書店)」『生き延びるためのラカン(バジリコ)」『ひきこもりはなぜ『治る』のか?(中央法規出版)』, 『ひきこもりのライフプラン』(共著: 畠中雅子, 岩波書店), 『オープンダイアローグとは何か』(医学書院)
2017年10月28日いつも元気いっぱいの息子が1週間も学校を欠席Upload By ラム*カナADHDのある息子キョウタはとてもパワフル、底なしの体力を持っています。普段の生活ではまず「疲れた」などと口にすることはありません。そんなキョウタが今年の3月、インフルエンザBにかかりました。熱が下がったと思ったらまた上がったり、落ち着いたかと思ったら嘔吐下痢が始まったりして、学校をまるまる1週間も休んだときがあったんです。完治してようやく学校に行けた病みあがりの日。私はキョウタがまだ本調子じゃないかもなぁと思い、帰りは学校まで車で迎えに行ったところ、私の迎えを担任の先生がキョウタと一緒に待っていてくれました。担任の先生のお話Upload By ラム*カナほ。良かった。こんなにお休みするのは初めてだったけど、無事に過ごせて良かった。Upload By ラム*カナな、なんですか!?先生ッ!!もしかして、嘔吐しました!?いや、下しましたか!?そ、それとも給食を全然食べませんでしたかーーー!?(ゴクリ…)Upload By ラム*カナ充分ですぅぅ…ッ!!普段の長男は、休み時間や体育では人一倍元気に動き、給食でも誰よりも早く・誰よりも多く食べる…そういう子で、担任の先生からはパワフル男子タイプという認識を持ってもらっていました。(ADHDということも伝えてあります)そんな子が、インフルで1週間休み…病み上がりの登校で、いつものレベルの元気さはない…(←とはいえ平均タイプぐらいのレベル)いつもあんなに食べる給食さえも控えめ…(←とはいえ定量は普通に食べてる)先生が認識していた長男の元気レベルがあまりにも高かったため、(冷静に見れば健康児童となんら変わらない様子だったのですが)「キョウタ君が給食をおかわりしないなんて…!!」と、素直に心配してくださったことに少し笑ってしまい、それと同時に感謝の気持ちでいっぱいになりました。先生、優しい報告ありがとうございました。
2017年10月28日創作に興味を持ってほしくて…息子とプラ板づくりに挑戦Upload By shiori息子カムはお絵かきや工作といった創作活動にこれまで全く興味を示しませんでした。こういった学校の宿題はいつも悩みの種でしたし、私自身、絵を描くのが好きなので、カムにも創作の楽しさを知ってほしいという気持ちがありました。そこで私は考えました。日頃から、お菓子の袋などカラフルなものや、ペットボトル容器などの透明感のあるものがすきなカム。プラ板なら気に入るんじゃないか?と思い、カムと一緒にプラ板作りに挑戦することにしました。出典 : まずは透明で薄いプラスチックのプラ板シートに、油性ペンで線を描きます。私はカムの手にペンを握らせ、ここに線を描いて!と猛アピール。描いている時は、今まで通り、あんまり意欲を示さないカム。この時はまだ、やらされている感満載の抜け殻状態でしたが…Upload By shiori程よい大きさにカットしてオーブントースターでチンすると小さく縮み、ふにゃふにゃだったシートがしっかり硬い板になりました。ストラップをつけてキーホルダーにしてカムに渡すと、カムはどうやら嬉しそう。このプラ板1号はお気に入りのおもちゃになりました。出典 : プラ板再びしばらくした頃、私はプラ板シートがまだ残っていることを思い出し、またカムと一緒になにか作ることにしました。カムの好きな葉っぱの絵を描き、あとはカムに色でも塗ってもらおうかな…と思ったら、プラ板シートを見たカムが急にペンをつかみ、自分から線を描きたい!と要求してきました。出典 : その絵を描く様子が激しい!とにかく激しい!シャシャシャシャーーーー!!手首を軸にして振り子のようにペンを動かす技法で、次々と違う色を重ねていき作品はどんどん深みを出していきます。小さなプラ板シートには収まらないようで、机にまではみ出すはみ出す…まさに、芸術が爆発状態!カム画伯の誕生です。Upload By shioriカム画伯、もう誰にもその勢いは止められない!こんなに激しくなるとは思わなかったので、机が無防備でした。このままでは机が大変なことに。そうだ、下に紙を敷こう。と思い、一旦画伯にストップをかける。ところがカム画伯、溢れ出る想いを止めることができないようで、ちょっと目を離したすきに、ペンのケースにまで線を描き始めた。他にも、透明なプラスチック容器などに描きまくる!!もう透明なものならなんでもいいのか!?Upload By shioriそうして仕上がったカム画伯の作品Upload By shioriUpload By shiori今まで興味を示さなかったことでも、きっかけさえあればスイッチが入ることもあるんですね。プラ板に絵を描くと大好きな透明感のある作品ができる!ということが経験から理解出来たことや、色鉛筆やクレヨンよりも、色がはっきりしている油性ペンが楽しいという発見、プラ板に描かれた油性ペンの線は焼いて縮むとより繊細な線に変化し、きれいな作品が出来たということも楽しかったようです。やらされる作品作りではなく、自分の作りたいものを作る。これからは、そんな作品作りができるような予感。北海道は夏休み同様に、長い冬休みにも作品を制作する宿題が出ます。次は何を作ろうか。大好きなプラ板でちょっと違うものを作るか?全く違うものに挑戦して、新たな楽しみを見つけてみるか?今からドキドキワクワクです。
2017年10月27日いつもの夜。寝ようと思ったその時、台所から物音が…10月に入ったばかりのある夜のことです。いつもだいたい9時半までには床に就くのに、私と子ども達はその日グズグズして寝るのが遅くなってしまいました。私は「早く寝るよ」と声をかけ、子どもたちを寝室へと促しました。その時です。自閉症のある長男がものすごいダッシュで、寝室とは反対方向の台所へと向かったのです。Upload By シュウママそのあとバシャン!という大きな音が聞こえてきました。私は何事?と思いながら眠たい目をこすりながら行ってみました。Upload By シュウママああ~、やっちゃった…!そこで目にしたのは…棒立ちになった長男と、足元に広がる大きな水たまり。水たまりの上には流し台があり、2リットルのペットボトルが横倒しになっています。そしてペットボトルの口からはお茶が滴り落ちてます。Upload By シュウママ私はあわててペットボトルを元に戻しました。見ると2リットルなみなみに入っていたはずのお茶が半分くらい減っています。床には長男のコップが転がっており、私は何が起きたか分かりました。喉が渇いた長男が冷蔵庫からペットボトルのお茶を出し、自分でコップに注ごうとしてこぼしてしまったのでしょう。「お茶が欲しかったらお母さんに言いなさい!」思わず声を荒げてしまった私床一面にこぼれたお茶を拭きながら、思わずため息が出ました。Upload By シュウママ長男はと見ると、呆然として水浸しになった床を見つめています。もう、これから寝るという時になんでこんな面倒なことさせるのよ…長男の姿を見ながら私は思わず声を荒げて注意してしまいました。Upload By シュウママ悲しそうな顔の長男に思い出したあの出来事怒った私の顔を長男は悲しそうに見つめていました。いつもは何か失敗をするとパニックを起こすのに、ただじっとその場に立ちつくしたまま固まっているのです。「どうしてこんなに怒られるんだろう。僕、頑張ったのに――」悲しみの中に戸惑いのような表情が浮かんでいて、私はそんな長男の顔を見ながらはっと思い出しました。この子は、ほんの少し前までは「お茶!」と言葉に出すことすらもできなかったんだということに。Upload By シュウママ発語に遅れのあった長男が、初めて「お茶!」と叫んだあの夜――長男が言葉で意思を伝えることができた瞬間、夜中にたたき起こされてもあんなに嬉しかったのに…。今、長男はあの時よりもさらに成長し、誰の手も借りず自分の意思で欲しいものを取りに行き、コップを手にして小さな手で一生懸命重たいお茶を注ごうとしたのです。あれほど長男が「お茶!」と叫んだときの幸せな気持ちもほんの少し時が経つだけで薄れてしまって、知らず知らずできて当然のことなんだと感じていたのです。私は長男の体を抱きしめ「ごめんね…」と謝りました。すると長男は私のほっぺたをなでて、いい子いい子してくれました。失敗しても、そこに成長を見つけられる親になれたらUpload By シュウママこの子に24時間穏やかな笑顔を向けることはできないけれど――せめて「どうしてお茶をこぼすの!」と失敗と捉えさせるのではなく、「こぼしたところ一緒に拭こうね」と優しく言ってあげられる親でありたいなと思いました。(でもシュウ、私に「いい子いい子」は、ちょっと違うんじゃない…?笑)なんて思いながら、長男の小さな体をぎゅっと抱きしめたのでした。
2017年10月26日運動大好き!…なのにいつもビリ!?広汎性発達障害のある6歳になる娘。ダンス大好き!運動大好き!スポーツ大好き!体を動かすことが、大好きです。しかしそんな娘が、なぜか…Upload By SAKURAなぜか…走るのが遅ーーい!幼稚園の頃から、運動会のかけっこは、年少さん、年中さん、年長さん…と、毎年ビリ。年長さんの時に行った、組対抗リレーでは、娘一人が足を引っ張ったと言っても、過言ではないぐらいの有様でした。毎年父が熱血指導!今年の運動会こそは…娘のかけっこは、遅いうえに速く走ろうという様子もあまりない…毎年毎年、その焦りのない走りを見ては、頭を抱えていた父。「せめて一生懸命走るということを教えなければ!」と、まずは、娘の走るフォームを指導。しかし、娘は一向に速くなりませんでした。そしてやってきた、小学生になって初めての運動会。「あんなに教えてきた…練習の時は本気で走ってくれなかったけど、きっと本番では、今まで教えたことを発揮して、去年よりは速くなっているはず!」という期待と…「難易度も高く、全体責任になるリレーで、クラスのみんなに迷惑をかけるんじゃないか…」と言う不安が、混ざり混ざって見守りました。Upload By SAKURA娘、安定の走りっぷり…!運動会、母として最も怖いのは…私が怖いのは…連帯責任の場合に、娘のせいで負けてしまったとき。見るからに一生懸命でない娘に対しての、周りからの責めの声です。Upload By SAKURA幸運にも、今のところ、娘がそういった状況になったことはありません。自分の頃を思い出してみれば…当たり前のようにあった状況。Upload By SAKURA私の場合…一度責められると、怖くなり、好きな運動であっても、避けるようになってしまっていました。しかし、親が口を出すこともありませんでした。小学校と言う社会で、おそらく多くの子が経験するであろうこと…わかっていても、自分の娘のこととなると…冷静に状況を見ることができるか…?親としては不安ですが、今はただ、現状を見守るしかできない日々です。
2017年10月25日『子どもも親も幸せになる発達障害の子の育て方』の著者の立石美津子です。「どこに出しても恥ずかしくない子でいなさい!」「人に迷惑をかけない子でいなさい!」幼い頃からこんな風に言われ続けて育った人が、やがて母になり、生まれた子に障害があると知ったら…。子どもの障害について、幼稚園の先生やママ友などになかなか言えない人もいます。「障害があることは恥ずかしい」という気持ちがどこかに潜んでいるのかもしれません。Upload By 立石美津子ダウン症候群であったり、障害が重い場合は、理解を得られやすいためか、周りに伝えたり相談したりできる人も多いようですが、自閉症児の場合は見た目でわかりにくいこともあり、わが子の障害を周りに伝えず、知的発達の遅れがあっても療育手帳を取らないで隠し通そうとする人もいます。けれども、これでは親一人で孤軍奮闘して頑張らなくてはならない事態に陥ってしまいます。福祉は自己申告制、役所からの案内を待たずに行動を障害のある子のいる家庭に、役所から「3歳になったら療育手帳を取り、必要な支援を受けてください」といった連絡は来ません。税金の滞納があれば督促状が送られてきます。障害基礎年金は年収が一定額越した時点で段階的に支給停止になります。けれども、税金の戻し(例えば、確定申告時に医療費控除を受け、還付金を受け取ること)などは、自分から申請する必要があります。これと同様に、親が自分から動かないと、障害のある子に必要な支援については、役所からの案内はこないのです。療育手帳や身体障害者手帳などを持っていると…・ヘルパー派遣を受けられる・特別支援学校への入学許可が出やすい・法定雇用率の中で就労できるなど、様々な支援を受けることができます。「診断を受けて療育手帳を取得して、障害者のレッテルを貼られてしまうと伸びるものも伸びなくなる」という考えでいると、かわいそうなのは子どもだと私は思います。療育手帳がないために、支援の網の目からこぼれ落ちてしまう可能性が高まるからです。手帳を持っているだけではダメ、使える支援制度について知ろうけれども、療育手帳を持っているだけでは実は不十分なのです。なぜなら手帳取得者に対して、「お子さんに合った、こんな支援がありますよ。あんな支援がありますよ」と親切に細かく連絡は来ないからです。そうなると、受け身の状態で待っていればよいのではなく、自ら役所に出向くなど、受けられる支援を調べる姿勢が必要になってきます。その一つの例が「自立支援医療制度」です。私の住んでいる自治体では中学3年生までは医療費は無料です。しかし、高等部になると3割負担となります。実は、「精神障害や発達障害などで、それに関わる医療機関に係る場合、自立支援医療受給者証を発行してもらうと薬や診察代は1割負担」になります(所得に応じた、月当たりの負担上限額も設定されています)。でも、これを知らない人がたくさんいます。参考:自立支援医療制度の概要 l 厚生労働省Upload By 立石美津子東京都の場合、交通費は愛の手帳を提示すれば割引になります。また、都営交通(都営バス、都営地下鉄、都電など)は本人は無料になります。しかし、これは区役所に行き「都営交通無料乗車券」を申請し、受け取らなければ無料にはならないのです。Upload By 立石美津子私も上記2点は友達から教えてもらい役所に申請に行きました。これ以外にも自己申告によって受けられる支援がたくさんあります。親だけで頑張りすぎないで、周囲にSOSを出すことも視野に入れてつまり何が言いたいのかと言うと…我が子に障害があるとわかったら、隠したり、「親の力だけで何とかしよう!」と頑張るのではなく、「うちにこんな子が生まれました。皆さん気にかけてください。助けてください」とSOSを出す姿勢が大切だと言うことです。多くの場合、親が子どもより先に死ぬことになります。親亡き後は、様々な支援に頼らなくては生きていけない子ども達です。幸いにわが国は、社会と接点があれば、どこかで救ってもらえる体制が準備されています。でも、そのつながりは親が作っておかなくてはならないのです。だから、子どもを囲い、隠すのではなく、発信してほしいと思います。先日、読んだこの二冊の本には、障害のある人が受けられる支援や、親が元気なうちにしておくべき準備にについて具体的に書いてあります。とても役に立ちましたので是非皆さんお読みくださいね。Upload By 立石美津子
2017年10月24日小学校から不登校だった娘のフリースクールでの過ごし方出典 : アスペルガー症候群の診断を受けている中学校3年年生の娘は、小学校2年生のときから学校には通っていません。自宅でもほとんど勉強をしてこなかった娘ですが、「高校には行きたい」と自ら訴え、特別支援コーディネーターの先生にも相談し、来年からは通信制高校に行くことが決まりました。合わせて、自宅から通える場所にある、技能連携校にも通うことに。技能連携校というのは、通信制高校の分校のようなところで、通信制高校と技能連携校の両方に入学することで、技能連携校の方で卒業に必要な出席日数、レポート提出、試験をすべて済ませることができるそうです。娘が通う予定の技能連携校では、フリースクールとしての機能も持っており、高校入学までのあいだは、ここに通うことになりました。フリースクールでの1日はというと出典 : 娘の行くこのフリースクールでは、ピアノ教室と提携していて生徒は無料でレッスンを受けることができます。好きな曲をピアノの先生に聞いてもらって、 それを先生が聴き取って、弾き方を教えてくれます。先生のモットーは「音楽は楽しむもの。 譜面も見ないで自分の好きな曲をまずは弾いて楽しむ」なんだとか。だから、みんなピアノの時間が大好きだそうです。娘もまずは15分ほど先生とピアノを弾きます。特にピアノに興味がなかった娘ですが、自分の大好きなゲーム音楽を弾けるようになるのは楽しいようです。それから学習スペース(特に決まってないのですが)で、校長先生か教頭先生と一緒に勉強します。2人とも元小学校の先生で、塾講師のキャリアも長いので教え方が上手。学校と比べて生徒の自主性を重んじ、いくらできなくても決して声を荒げるようなことはありません。なので、怒られることが怖くてたまらない娘も安心して教わっています。小学校2年生で学力が止まっている娘は、レベルにあったプリントを1枚ずづ取り組んでいきます。たとえば、1桁 + 1桁の計算問題、また別の日は4年生くらいの漢字の読み問題。時間にしてわずか20分くらいで終わってしまう内容です。時にはほかの生徒さんも交えておやつタイム。ジュースとお菓子を頂きながらホッコリと休憩。そして1日は終了。滞在時間は全部合わせて1時間程度です。1回20分の勉強って効果があるのだろうか?出典 : 娘は満足そうなのですが、親としてやはり気になるのが勉強時間。「え、こんなちょっとでいいの?」と思うのが正直なところです。「ただでさえ人より遅れてるのに」って。でも、校長先生が言うには「学校のように、1日6時間も座って興味のないことも勉強するより、こうやって少しずつ集中して勉強したほうが効率がいいんですよ。」この言葉に疑いを持ったわけではありませんが、どうしても腑に落ちず、娘の主治医である思春期外来の先生にも勉強時間について聞いてみたのです。すると、「娘さんのような子どもたちは、普通の学校のようにカリキュラムを組んで、これをこなさないと次にいけないとなると絶望的な気持ちになります。 今のやり方がいいと思いますよ」とのこと。そういえば、以前娘の支援に関わってくれた先生にも同じようなことを指摘されたことを思い出しました。その人が言うには、ただ漫然と課題を与えられても、いつまでやり続ければいいのかわからず、不安になってしまう。だから、全体図を見せて今はここをやっているんだよと教えてあげることが大切だと言うのです。確かに、今の娘の学習の遅れは大きく、どれくらい勉強したら追いつけるのか本人も分からず不安になっている様子が見受けられます。だからこそ、フリースクールでの小学校1年生レベルから徐々に始められる環境、先生が「大丈夫、ちゃんと追いつくからね」と言ってくれる環境があることで、過度な負担や不安に悩むことなく学習を進めることができるのだと気づくことができました。在校生・卒業生たちとの交流も!出典 : フリースクールも技能連携校も、スペースやスタッフはみんな同じです。なので、娘が勉強している側で高校生や、遊びに来た卒業生が娘に勉強を教えてくれることもあります。また、先日は卒業生に仕事の体験談を聞いたりして、とても話が盛り上がっていたそうです。そうして世代を超えた交流ができるのも魅力の1つだと感じました。また、そうやって高校生たちと交流することで、実際に通うことになる技能連携校に馴染んでいくことができるのも、校長先生の狙いだけあって、さすがと思います。実際、娘はフリースクールに入ってから「学校(フリースクール)の予定表ちょうだい」と言ってくるようになり、すっかりフリースクールに所属意識を抱いているようです。思い返せば、小学校を卒業するときには、中学生になる不安で体調も悪かった娘。でも中学を卒業する今回は、気持ちもすこぶる安定していており、私もホッとしています。あきらめないでよかった出典 : このフリースクールに出会うまでには、さまざまな機関を頼り、そして失敗を繰り返してきました。今回やっと娘に合うところに出会うことができ、あきらめずチャレンジを続けてきたことは間違いではなかったと思うことができます。娘に起こったなによりの変化は、「私には行くところがある」という安心感による気持ちの安定だと思います。また、同時に、来春から通う技能連携校の様子を内部からまじまじと見て、見通しがたったことも大きな理由でしょう。こうした要素が合わさったことによって、娘は希望を持って、春を迎えることができると思います。小学校から中学校に進学する際、不安から体調やメンタルを大きく崩した経験があるだけに、中学3年生になるのが怖かった私。でも、笑顔でいつも通り過ごしている娘を見て、本当によかったと胸をなで下ろしています。
2017年10月23日我が家には、自閉症スペクトラムの診断が下りている9歳の娘と7歳の息子がいます。同じ診断名がありながらも、娘はアスペルガー症候群、息子はADHD不注意優勢型の要素が強く出ており、それぞれ異なる困りごとに直面していることも珍しくありません。そんな2人は幼いころからピアノを習っているのですが、発表会に向けての練習の姿勢もまったく違うものでした。3ヶ月間、練習を重ねる間に、2人の違いが浮き彫りになってきました。アスペルガーの娘に色濃く映る「完璧主義」出典 : 娘は課題曲が決まってからというもの「本当に自分に弾けるのか」「本番で失敗したらどうしよう」という不安が強く、その反動から苦手な譜読みを必死でこなす日々が続きます。大好きな曲をなんとかイメージ通りに弾きたい、でもピアノから響いてくる音は自分の想像しているものとはかけ離れている。そのジレンマから、数小説弾くたびに泣いたり怒ったりを繰り返していました。ピアノに関わらず、絵を書くときも勉強をするときも、娘の頭の中には100点万点の完成図が思い描かれています。そして始めたばかりであるにもかかわらず、完璧にできない自分を呪い、自責の念に駆られているのです。これは、娘の持つ「完璧主義」という特性が作用しているせいだと思います。娘がこの完璧主義という特性を持っているがゆえに困ることは2点あります。・ 娘が自分自身を責めて癇癪(かんしゃく)を起すため、本人も周囲も辛い・ 周囲の人にも完璧さを求めてトラブルを起こすことがあるまた、これを放置してしまうと、・ 失敗を恐れて行動できなくなる・ 完璧に出来ない人を見下してしまうといった弊害が出るのではないかと危惧していました。娘の成長。その第一歩。そこで幾度となく、紙に階段や山の絵を描いて「あなたはまだ登り始めたばかり。頂上にいないのは当たり前だよ?一歩一歩登っていけばきっと目標地点に辿り着けるよ」と話してみるのですが、娘はなかなか受け入れられません。それでも、繰り返しこの考え方を伝えていくことで、他人に対しては完璧を求めることは少なくなってきました。なかなか上手く弾けずに落ち込んでいる息子に「大丈夫だよ、今はまだ階段を登り始めたばっかりでしょ?少しずつ完成に近づいていくから、ね?」と声をかけられるようになってきたのです。この調子で成長してくれれば、他人を見下すことによって歓びを感じるような大人にはならないかな、今まで声をかけ続けてきたことは無駄ではなかったかな、とほっとしながら見守っています。しかし、まだ自分自身に対してはその考えを適用することができず、あっさり癇癪を起こします。今は私がそれを受け止めていますが、あきらめずにその都度「今すぐ100点じゃなくていいし、最終的に100点でなくてもいい」というメッセージを娘に発信し続けています。この考えを伝えていくことで、娘の頭にも完璧でないことを許容する回路ができてくれればいいなと思います。出典 : また、完璧主義であることは、マイナス面が捉えられがちですが、とても良い面もあると思うのです。完璧でありたいという子どもの願いを否定せず、とことん付き合ってあげると、時として驚くべき成長を遂げることがあります。娘の場合は、鞠つきに始まり、二重跳びや逆上がりなど、出来ない自分を罵り泣きわめきながらも着実にマスターしてきました。それこそ、手の皮がめくれても、夜中になってもひたすらずっと練習を重ねるのです。そうして人より随分長い時間をかけてマスターしたことは、何となく出来てしまったお友達よりも形や方法が正確で、がんばってマスターしようとしているお友達をバカにすることなく、的確なアドバイスを送ってあげることができるのです。完璧主義も使いよう、というと語弊があるかもしれませんが、癇癪や他人への攻撃をコントロールすることができるようになれば、とっても良い方向に作用するのではないかと期待しています。いつか娘が私の手を離れるまでに、自分の特性の活かし方をマスターしてくれればと切に願っています。コツコツ努力が苦手な息子が自分で見つけたモチベーションUPの方法!出典 : 一方、不注意優勢型の息子は、過去や未来ではなく「いま目の前にあること」にしか、なかなか注意を向けることが出来ません。ですので、何ヶ月か先のことを話されてもイメージが湧かない様子。「発表会でカッコよく弾くためにしっかり練習をしようね」と声をかけても、「もう弾けるから、大丈夫大丈夫」とあまり本気で練習をすることはありませんでした。そんな息子に変化が訪れたのは、リハーサルの日。リハーサルとはいえ大勢の人が聴いている中での息子の演奏は、ぼろぼろで間違いだらけでした。人前で弾くことを体験し、本番はもっと大勢のお客さんの前で弾かなくてはならないと身を持って知った息子は、それから大慌てで練習を開始しました。日々の私のアドバイスよりも、たった1回の体験が息子には強烈な学びの場となったのです。注意があちこちに向いてしまったり、衝動性が邪魔をしてひとつのことをコツコツと積み上げていくのが苦手なADHDの息子。ですが、リハーサル以来、YouTubeで同じ曲を演奏しているお子さんの動画を自分で観るなど、視覚優位の息子らしいモチベーションの保ち方が見られ、少しずつ自分に合った方法が身についてきていることに気付かされたのです。息子が手に入れた思わぬ「副産物」そして、思わぬ副産物を手に入れていることもわかりました。協調性運動障害を併せ持つ息子は、鉛筆で書く文字がどうしてもガクガクと震えてしまったり、文字の書き始めや書き終わりにいくつも関係のない細かい線が入ってしまいます。しかし、普段より多くピアノの練習をしたおかげで指の筋肉が付き、線がしっかりとしてきたのです。自分の体を上手くコントロールするのが苦手な息子にとって、「筋肉を鍛えればできることが増える!」という発見は、とても大きな自信となり、ピアノの練習にも熱が入るようになりました。ADHDの方の中には、継続した努力が難しく、他の方から怠けているように思われてしまう方も多いとも聞きます。視覚優位の息子がYouTubeを見てモチベーションを持続させたように、「こんなことができたらいいな!」と思える刺激を日々与えていくことが効果的なのかもしれません。親子で目標に向かうことは「生きるヒント」を探し出すこと出典 : ピアノに限らず、スポーツでも勉強でも遊びでも、親子で目標に向かって挑戦することは、子どもたちにとって大切なことだと思います。特に周囲の状況から何かを学び取っていくのが苦手な子どもたちが成長するためには、今の状況を冷静に判断して伝えてくれたり、計画の立て方や実行するサポートをしてくれる大人の存在が必要不可欠だと思うのです。ひとつの目標に向かって親子で進むうちに、親は子の特性をより深く知り、子は嫌でも自分自身と向き合うことになります。目標である頂上を目指して一歩一歩どのように進めばよいのか。どのように休息を取ればよいのか。共に行く家族とどう励まし合えばよいのか。面倒なことから逃げたくなったときはどうすればよいのか。努力の先には何があるのか。練習を重ねてテクニックを磨くことはもちろん大切なことですが、わが家の場合は、テクニックの向上よりもむしろそんな「生き方のヒント」を親子で探る旅をしていたような気がします。そうして目標を達成できたとき、子どもは自信を持って次のステップに進むことができると思うのです。他の子から遅れててもいい、目標を達成するのに時間がかかってもいい。目標の達成はゴールではなく、子どもたちの成長の通過点にしか過ぎない。そんなふうに考えて、お子さまと一緒に何かに挑戦してみませんか?「どうしてできないの!?」ではなく、「どうすればできるようになるかな?」と家族で作戦会議をしてみませんか?ご家族と一緒に取り組んで「できた!」という経験の積み重ねが、きっと「ひとりでできた!」に繋がる日が来るはずです。そんな日を楽しみにしながら、ぜひ小さなチャレンジをしてみてくださいね。
2017年10月22日発達障害のある子どもの歯科治療の大変さは世界共通!?出典 : 発達障害のある子どもを歯医者さんへ連れてゆくのは並大抵のことではない…そんな声を聞くことも珍しくありません。私の息子(自閉症スペクトラム障害・ADHD診断済)も、あちこちドクターショッピングを重ねましたが、長いこと歯科治療への恐怖が克服できませんでした。触覚過敏で口の周りや顎を触られる苦痛に耐えられなかったり、味覚過敏でフッ素の味にすら吐き気がしてしまったりします。さらに聴覚過敏の息子にとって、歯医者さんが使う器具の音は耐えがたいものだったのです。長い間、親子ともども泣きたいような思いをしましたが、我が家の場合は、障害児専門歯科に行きついたことで、ようやく静かに治療が受けられるようになりました。それまでは、歯科に連れていくたびに大暴れし、大声で叫び、抵抗の限りを尽くしてきた息子。最後には疲れ果てて汗びっしょりになった歯医者さんから「君みたいな子は初めてだよ!!」と怒られてきたのです。息子は歯科治療に行くたびに、帰りの車で泣いていました。みんなに迷惑をかけているのは分かっていたけれど、自分ではどうやってもコントロールができなかったのです。そんなとき、ある海外ニュースが私の目に飛び込んできました。そのニュースの見出しにある写真が私の目を奪います。なんてことでしょう、歯科治療を受けている男の子の足の上に、大きなラブラドールレトリバーが座っているのです!自閉症のディエゴくんと介助犬のズッカ海外には、自閉症児向けに訓練された介助犬がいることは、以前発達ナビの記事でも取り上げました。それだけでも海外移住したくなってしまうほど羨ましかった私ですが、なんと南米チリには、自閉症児の歯科治療に特化した介助犬を養成・派遣している団体まであるというのです。そのことを私に教えてくれた記事がこちら。(英語の記事です) Chile, Dogs Help Kids with Autism on Their Dentist Visits (南米チリー自閉症児の歯科治療に介助犬を活用)今回のニュースで取り上げられたのは、自閉症児のディエゴ・ロサレスくん(9歳)と、介助犬のラブラドールレトリーバー「ズッカ」です。自閉症児にとって歯科治療は強い恐怖を喚起させるものです。眼前に煌々と照らされたライトや、治療器具から発せられる音に、パニックになってしまう自閉症児もいます。ときには治療に鎮静麻酔が必要な場合もあるのです。息子が通っている障害児専門歯科でも、パニックが強いお子さんには全身麻酔が施されます。ディエゴくんも例に漏れず歯科治療に対する恐怖心が非常に強く、4歳の頃は治療をする歯科医の手を噛み続けて抵抗したと言います。ところが、記事の中で紹介されていたこちらの動画を見てみてください。ディエゴくん、とっても楽しそうです。歯科治療も落ち着いて受けており、麻酔の注射を前にしても、動じていません。全ては、介助犬ズッカのおかげです。ディエゴくんはズッカを膝の上に乗せながら治療をするようになってから、歯科医の手を噛んだり、叫んで抵抗したりすることがなくなりました。この日もディエゴくんは歯を抜くという難易度の高い治療をしたようですが、歯を抜かれた後もずっとズッカのことを穏やかに撫で続け、抜いた歯をケースに入れてもらって、ご機嫌に治療を終えたようでした。専門の訓練を受けた犬たちの活躍ズッカを含め、ディエゴ君が通う大学病院付属の歯科に介助犬を派遣しているのは、「フント・ア・ティ(Junto a Ti:あなたのそばで)」というNPO団体です。こちらの動画を見て頂くと分かるように、子どもたちは犬を優しくなでながら、穏やかに治療を受けている様子がわかります。こうした犬達には、子どもの叫び声だけではなく、治療器具の音などに耐え、さらに子どもが耳や毛を引っ張ったとしても、ジッと動かずにいる忍耐力が必要となるそうです。日本でも取り入れて欲しい!歯科治療の介助犬出典 : 歯科治療の介助犬について調べると、アメリカなどでは歯科クリニックに介助犬を常駐させているようなところもあることがわかりました。また、アメリカでは、大きな事件などが起きて多数の犠牲者が出た場合などでも、NPO団体がセラピードッグを病院に派遣する場合があるようです。このような介助犬に関する取組みは、海外のほうが進んでいることが見て取れます。今回のように、介助犬の助けによって歯科治療がスムーズになるのであれば、自閉症の子どもにとっても、その親にとっても、もちろん治療をする歯科医師にとっても、こんなに幸せなことはありません。日本ではまだまだ歯科治療に介助犬を同伴するというのは難しいと思いますが、こんな海外の事例があるということが少しでも広まっていけばいいなと願っています。
2017年10月21日たとえLDでも…「高校に通うのは息子」を貫く中3の夏休みといえば、公立・私立高校ともにオープンキャンパスを開催する時期。もちろん息子リクも、この夏、高校の体験見学に行ってきました。その感想はというと…。Upload By ひらたともみUpload By ひらたともみUpload By ひらたともみ高校見学の感想が独特すぎる!Upload By ひらたともみ見学した高校に関する感想として、どの学校でもまず「臭いか臭くなかったか」が最初に挙げられたのには思わずズッコケたものの…。そもそも重度の過敏症なので、なぜに家畜科の高校を見学したのかすら私にはよくわかりませんが(笑)、最後には、臭いも含め本人にしかわからない「雰囲気」というものを感じ取ってきたので、十分、大きな収穫があった夏の高校見学だったと思います。高校に行くのは、あくまでもリク本人。今回も親子での高校見学は可能ではあったのですが、私は「アドバイスはするけれど、求められてないことはしない」に徹するとあらかじめ心の中で決めていました。見学する高校選びも本人に任せ、送迎もしませんでした。さぁ!がんばろうじゃないか!リク!自分のたくさんのことを体験し、自分に合った高校を選ぶといいよ!…と送りだしたのです。もちろん息子自身がヘルプカードを出したときはいつでも手を差し出そうと思っていたのですが、とうとう私の出番もなく、高校見学の日を迎え、彼なりに何かを感じ取って帰ってきたようです。今回リクが見学希望を出した高校は4校。どれも家から通える高校でした。ひとりで電車に乗り、バスに乗り、相当なストレスだったはずですが、帰宅後談では「ひとりで行けた」という達成感がにじみ出ていて、私にとってもうれしい夏でした。それにしても、行きたい高校と自分の偏差値の差…。これはLD親子でなくとも、悩ましい問題…。うーん。。どうなることやら…。
2017年10月20日小学校を即退学!学校が合わなかった少年エジソン出典 : こんにちは。『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母のどんな子もぐんぐん伸びる120の子育て法』著者、楽々かあさんこと、大場美鈴です。【偉人の凸凹学】3回目は、出ました!発明王トーマス・アルバ・エジソン!「なぜ1+1は2になるの?」「なぜ風は吹くの?」「なぜ魚はおぼれないの?」「なぜ星は落ちてこないの?」好奇心の塊・少年エジソンは、小学校に入るや否や、教科書丸暗記スタイルのエングル先生を質問攻めにして困らせ、「落ちこぼれ」「問題児」のレッテルを貼られてしまいました。それに怒ったゴッドマザー・母ナンシーは「もういい!私が家で勉強を教えます!」と啖呵を切り、わずか3ヶ月で学校を退学したエピソードは有名ですね。そして後に起業したエジソンは、蓄音機、白熱電球、キネトスコープなど、生涯で1913件もの特許発明を成し、文字通り「発明王」として、歴史に名を残しました。彼は、それまでの人類の生活を、自分自身のアイデアですっかり明るく変えてしまったのです。…あれ?定番の偉人伝としてよく知られたエジソンの生涯ですが、「小学校退学」と「発明王」の間が、スッポリ抜けていませんか?一体その間、何をしてたんでしょうね。実は、母ナンシーの言葉どおり、エジソンはお母さんと一緒に家で勉強していたのです。学校が合わずに「落ちこぼれ」のレッテルを貼られてしまったエジソン。でも、学校の勉強が、勉強の全てではありません。母ナンシーは、エジソンの旺盛な好奇心に応えつつ、学ぶことの楽しさを家庭で教えていきました。これこそが「ホームスクーリング(ホームエデュケーション)」という教育の、ひとつの考え方なのです。そして、この時期に培われた知識と経験が、後の発明の源となり、起業家としても成功する人間性の土台となりました。エジソンと母ナンシーは、一体どんな勉強をしていたのでしょうか。学ぶことが好きになるヒントとともに探っていきたいと思います。ゴッド・マザー母ナンシーの決断。ホームスクーリングって…?Upload By 楽々かあさんまず、「ホームスクーリング(ホームエデュケーション)」とは、一言で言えば「学校に通わずに家庭を拠点とした学習を行っていくこと」です。実は、ホームスクーリングは、世界的に「教育のひとつの選択肢」として公的に認められている国・地域が多くあります。上の世界地図は、「ホームスクールの合法性」マップです(緑:合法、黄:ほぼ全域で合法、あるいは実践されているが論争中、赤:非合法/オリジナル作成者: Zginder、2010年版)。現在アメリカでは、220万人(2015年現在)の子どもが家庭で学んでいます。その中には一流大学に飛び級で合格するほど優秀なホームスクール出身者もいるようです。不登校やいじめ、経済的・宗教的・文化的理由…などから、やむを得ず家庭で学習を行うこともあります。でも、英才教育やギフテッド教育の一環としての、積極的・自発的な選択も多いのだそうです。その学習のスタイルはまさに「自由」ですから、特定の勉強法はありません(ただし、単位取得のテストや、在籍校への報告義務がある場合もあります)。通信教材で教科書に添った学習、ネットや外部スクールなどを活用する学習、才能を育てるための独自の教育などなど、そこには「学び方はひとつではない」世界があります。ホームスクーリング「ホームスクーリング」Wikipedia参考:「アメリカのホームスクーリング事情から考える学校の存在意義について」一般社団法人こたえのない学校そういった世界的な流れもあり、最近日本でも、ホームスクーリングを選択するご家庭が、少しずつ増えて来ているようです。…とはいえ、2017年2月に施行された「教育機会確保法」では、不登校を「休んでも良い」と認めたものの、学校以外の学習を義務教育の一環として認めることは盛り込まれず、公的には十分な受け皿が整っていないのが現状のようです。実はうちでも、学校の勉強に意欲を失っていた当時3年生の長男が、エジソンの伝記マンガを読んで「おれは、こういう風にかあちゃんと家で勉強したい。それならできる気がする」とぽつりと言ったことがあります。でも私は、「ホームスクーリングって素敵だな」と思っていても、「いざ、実行」となると、結構な茨の道が予想され、弟妹への影響まで考えると、思い切ることができませんでした。ただ、それから現在まで、日常生活の中でエジソン親子式の学習法を「できる範囲で」取り入れてみることによって長男も「勉強が楽しい」と言うようになりました。オールC評価だった、学校の成績も上がってきましたよ。では、具体的に、少年エジソンと母ナンシーの家庭での学習法をみてゆきましょう。「教育機会確保法 不登校対策は」(くらし☆解説)NHK解説委員室・解説アーカイブス学ぶことって楽しい!「生きる力・考える力」を育てるエジソン親子の学習法エジソン親子の学習法は、『天才エジソンの秘密母が教えた7つのルール』(ヘンリー幸田・著、講談社)という本が詳しく、元小学校教師でもあった母ナンシーの先見の明と懐の深さ、そして、キラキラした瞳の少年エジソンの「生きた学び」の姿が伝わってきます。エジソンは、慣れ親しんだ家で、母や家族に見守られながら、後の発明につながる膨大な知識と経験を、着実に蓄えてゆくのです。出典 : まず、学校をやめたエジソンに与えられたのは、大量の本。百科事典や歴史書、化学実験に関する本や、世界の名作の数々…そして、自宅の物置小屋を改造した、実験のための専用の地下室でした。例えば、「なぜ、アヒルの卵がヒナになるの?」と、身近に不思議さを感じたら、まず実際に自分で卵を温めてみました。でも、うまくいかない…そこで、お母さんと一緒に百科事典を調べると、3週間以上も温めなくてはならないことが分かります。そして、それを調べる過程で、鳥の生態について多くの知識を得ることができた…といった具合です。全てこの調子で、エジソンは自分のペースで好奇心の赴くままに学んでゆき、高校生用の化学実験の本を片手に実験を繰り返すなど、まさに「毎日が自由研究」状態。こうして自ら、興味を持ったことや不思議に思ったことを、教科書や学年にとらわれずに、気が済むまで徹底的に掘り下げて、その周辺の知識や実際の経験とつなげることによって、学びを広めていったのです。現代の一般家庭では実験用の地下室までは難しいかもしれませんが、好きなことに集中しやすい環境を整えてあげるといいかもしれません。例えば、リビングの一角に趣味の専用コーナーを作ってあげたり、必要な道具や関連書籍を買い揃えて、いつでも手に取れるようにしてあげる…など。また、現代ではインターネットが手軽な百科事典として、気になったことをいつでも調べることができます。でも、膨大な情報から有益なものを取り出すのは結構コツと経験がいるので、お子さんが調べたいことがあったら、どんなキーワードで探せばいいか、どんなサイトの信頼性が高そうか、などをそばで助言してあげるといいでしょう。出典 : 地下室で化学実験を夢中で繰り返していたエジソンは、次第に「もっと実験材料を買いたい!」と思うようになりました。でも、エジソン一家の家計は楽ではありません。ここで母ナンシーの素晴らしさは、エジソンに、実際に仕事をさせてみたことです。当時は、子どもが働くのは珍しくなかったのですが、なんといっても「あの」エジソン君ですからネ。それまで、運河に落ちたり、火事を起こしたり、何度も危ない目に遭ってきたワケです。…それを考えると、「ウチの裏庭の野菜を売ってみたい!」と提案する我が子に、「名案ね!」と背中を押せる母ナンシーは相当な度胸です。「かわいい子には旅をさせよ」の実践ですね。そして、少年エジソンは町へ出て、野菜を売り始めます。すると、単に家で採れた野菜を持っていったのでは売れないことを知ります。そこには、それぞれの人々の生活があり、ニーズがあり、需要と供給のバランスでものの値段が決まる…という経済の原則を、「体感」して知ってゆくのです。実際の経験を積み重ねた学びは、何ものにも代え難い財産になります。この後も、何度か危なっかしいことをしながらも、少年エジソンは、列車の中で自分で発行した新聞『The Weekly Herald』を売るなど、「いいこと思いついた!」を次々と実践してゆきました。その中で、さまざまな立場や境遇の人達の、生の声を拾い上げた経験が、後に、世の中のニーズに応える商品開発の原点になったように思います。でも、そこまでできなくても、日常生活の中でお手伝いや買い物等を通じてもプチ体験を積んでゆけます。お手伝いでお駄賃をもらい、近所の駄菓子屋に行って、お店の人とお話する…などでも充分「生きた学び」になります。また、お子さんと一緒にスーパーで「ずっと天気が悪かったから、野菜が高いね」「この中で、一番おトクなのはどれかな?」「カゴいっぱいで何円くらいでしょう〜?」等と会話するのもいいでしょう。こういった物価の実感は、算数の単位間違いなど、テストの回答ミスを減らすのにも役立つと思いますよ。そして、エジソン親子の学習法の中で、私が最も素晴らしいと思うのが「親子の対話」の時間です。2人は、書物による膨大な知識と実際の経験を、対話しながらアウトプットして整理し、より本質的な理解を深めていったようです。エジソン親子はこの時間を心から楽しんでいたのだそうです。あるときは、エジソンが魅了されたギリシャのヘレニズム文化について、あまりの楽しさに時間を忘れ、夜が更けるまで2人で語り合ったんだとか。実は、エングル先生がエジソンの質問攻めに匙を投げたように、好奇心旺盛な子の知的な疑問につき合うには、大人のほうも、相当勉強し、余裕がないとできないことだと思います。実際に、こういう子を相手にしているとよく分かるのですが、次々と湧いて出る好奇心の芽を伸び放題にすると、うちの庭の雑草のように収拾がつかなくなってしまうのです。大人は、必ずしも答えを用意する必要はなくても、より広い視野に立ち、物事の本質を見極め、全体像を把握する「知の地図」を持っていないと、迷子になってしまうでしょう。現代では「夕飯までに宿題を終わらせなきゃ!」「洗い物が終わったら、明日の時間割の支度をさせて、ハミガキさせて…」なんて、毎日時間に追われながら子育てしていると、子どものとりとめのない話に根気よくつき合うこともなかなかできませんよね。こういった時間に縛られない教育ができるのも、ホームスクーリングの大きな魅力です。ですが、正直子どもの話についていけない(私もです!)、毎日忙しくてとても無理、という場合、習い事等で「その道のプロ」に教えてもらうなど、誰かにアウトソースしてしまうのもひとつの手です。また、お子さんの話をほどほどに聴きながら、考えを客観的に見つめる「鏡」になってあげるだけでも良いでしょう。好奇心旺盛な子が興奮気味でとりとめのない話をする時に、まずは、「うんうん」「そーなの」「それで、それで?」と相づちをうってあげると、気持ちが落ち着きやすくなると思います。それから、「それってつまり、◯◯ってコト?」「それって例えばどういうこと?」など、話の要点を確認したり、具体例を質問すると、自分の考えを把握しやすくなるでしょう。また、「お母さんはこう思う」「もしかしたら、こう考える人もいるかも」と、自分や他人の立場からの意見を伝えていくと、次第に、物事を多角的に検証する姿勢が身につくかもしれません。Upload By 楽々かあさんまた、うちではこんな時、筆談も併用しています。言葉だけではうまく伝わらないことも、図にしたり、絵にしたり、要点を箇条書きにすると、子どもが伝えたいことを共有しやすくなります。連想ゲームが止まらない子には、マインドマップやふせんメモなどを使って、考えを整理する習慣づけもいいと思います。得た知識を他の人と共有することは、本当に良い勉強になりますし、何より、人と話すことや学ぶことが好きになるでしょう。本当はどんな子だって、学ぶことが大好きのハズ!出典 : こんな豊かな子ども時代を過ごした「元・落ちこぼれ」エジソンは、ご存知のように明るく輝ける人生を歩みました。母ナンシーが61才でこの世を去った後も、晩年まで、母の面影と心の対話を続けていたことが、記録にも残っているそうです。もしかしたら、少年時代、お母さんと夜更けまで語り合ったひとときが、偉大な彼の人生の中で最も幸せな時間だったのかもしれませんね。でも、エジソン親子は、やっぱり特別な人たちなのでしょうか?確かに「いいと思ったことを実際にやってみる」行動力と、失敗にめげずに挑戦し続ける情熱には、天性の素質があるかもしれません。でも、本来子どもは、どんな子だって、好奇心いっぱいで学ぶことが大好きな生き物なんです。もし、今「勉強」に対して、あんまり良い印象を抱けないお子さんがいたら、こんな自由で豊かな、エジソン親子のホームスクーリングの考え方を、できる範囲で、少しでも日常生活に取り入れると、勉強という言葉のイメージがちょっぴり変わるかもしれませんね。だって勉強って、本当は、もっと楽しくて、ワクワクするものなんですから。「天才エジソンの秘密 母が教えた7つのルール」ヘンリー幸田・著(講談社)コミック版世界の伝記「エジソン」吉田健二・著(ポプラ社)学習漫画 世界の伝記「エジソン―魔術師といわれた発明王」三上篤夫、かたおか徹治・著(集英社)
2017年10月19日ADHDのある息子は、思春期真っ只中…母親はどうすれば?かなしろにゃんこ。さんの赤裸々コミックエッセイが発売!衝動性が強くてカッとなりやすかったり、物忘れが激しかったり……小さい頃は可愛いものだと見守っていたけれど、大きくなるうちに対人関係や学業への心配も大きくなって…ADHDのあるお子さんを育てる保護者の方々にとって、「思春期」のわが子とどう向き合うかというのは大きな悩み。そんな、発達障害のあるお子さんの思春期をテーマにしたコミックエッセイ、『うちの子はADHD反抗期で超たいへん!』(かなしろにゃんこ。著, 講談社)が10月4日に発売されました。著者のかなしろにゃんこ。さん。は、ADHDと軽度の自閉症スペクトラムがある、息子・リュウ太くんのお母さんで、漫画家さんです。これまで、さまざまな発達障害に関係する、ノンフィクション漫画や取材漫画を出版されており、近著に、息子のリュウ太君が幼少期から発達障害と診断されるまでを描いた『うちの子はADHD』や、発達障害がある人の進路選択について描いた『うちの子将来どーなるのっ?!』、人付き合いをテーマに取材した『うちの子、人づきあいだいじょーぶ?!』などがあります。かなしろさんの新刊、『うちの子はADHD反抗期で超たいへん!』は、とうとう思春期に突入したリュウ太君の日常、「なんでこうなの?」「どうしてそう考えるの!?」という、反抗期ならではのシーンがたくさん描かれています。ADHDがある思春期のお子さんを育てているパパ・ママはもちろん、「発達障害のある子どもってどんな進路を描くの?」といった将来に対する見通しを持ちたい保護者の方も参考にしていただける内容になっています。それでは新刊の中味を少し覗いてみましょう。子どもの発達障害、本人へ告知するタイミングって?Upload By 発達ナビ編集部赤ちゃんの頃から育てにくく、物音に敏感、保育園時代は衝動的に行動する生傷の絶えないやんちゃ坊主。小学校に入ってからも落ち着きがなく、授業中に教室を抜けだしたり居眠りすることもしょっちゅうあったり…というリュウ太君。小学4年生の時にADHDの診断を受け支援を受け始めました。(幼少期のエピソードは既刊の『うちの子はADHD』も併せてご参照ください)リュウ太君のかかりつけのクリニックの心理士さんのアドバイスもあり、かなしろさんはリュウ太君の愚痴も我慢して聞き、アドバイス役に徹していたといいます。しかし言葉づかいも日に日に乱暴になっていき、「生意気!」と思うこともどんどん増えていきました。ADHDと診断され、服薬も開始していたものの、まだ自分自身に発達障害があるとは知らされていないリュウ太君。「リュウ太本人も、自分の心と体のアンバランスさに戸惑っているんじゃないか?」という思いを募らせていたかなしろさんは「ADHDがあることを伝えるタイミング」について、真剣に考え始めます。リュウ太君を支える支援者は「中2くらいで告知すべき」とアドバイスをくれますが…。かなしろさんの決断はそれとは別のものでした(是非本編でご確認ください)。息子について伝えるオリジナル通信Upload By 発達ナビ編集部本人への告知を契機に、かなしろさんはリュウ太君の発達障害と、その特性を踏まえた周りの人たちとの付き合いについて、さらに考えを巡らせます。発達障害の支援は医療ケアだけではなく、学校や家庭をはじめとする生活環境も大きく育ちに影響するからです。「どのような方法でお友達にリュウ太のことをわかってもらえばいいだろう」と思っていたかなしろさんは、とあるウェブサイトに出会いました。自閉症スペクトラム当事者の「○○(名前)通信」という配布用告知シートを見つけたのです。かなしろさんは、それを真似て「かなしろリュウ太通信」(学校配布用告知シート)を作ります。(もちろんリュウ太君には了承済み)さて、このシートを配った結果、クラスメイトは?そして保護者会のメンバーの反応は?Upload By 発達ナビ編集部*新刊の巻末には、かなしろさんオリジナルの告知シートも付されています(男の子バージョンと女の子バージョンあり)。是非ご活用いただきたい付録となっています。中学入学…社会の現実を突き付けられ…Upload By 発達ナビ編集部本音と建前、理想と現実。社会の中には様々な矛盾もあります。発達障害がある子どもの教育に関して、その子の特性に合わせた支援や合理的配慮の重要性が語られる昨今ですが、実際の学校現場の教職員の認知度は様々…温度感のばらつきがあるのは、想像に難くありません。かなしろさんがリュウ太くんを通わせようと検討していた中学校でも、校長先生の反応はかなしろさんの願いに100%沿う形ではありませんでした。不安が募るかなしろさんですが、あまり強く主張して「モンスターペアレント」と思われるのも辛いし…とジレンマ。考えた結果、まずは入学後の息子さんの様子を、つぶさに見守ることにしました。「とにかく朝、元気に登校できているか?先生や友達の話を楽しそうにするか?」リュウ太君に対するセンサーを敏感にして、学校側の体制に意見するということは極力しない姿勢でいます。すると、当初の親の不安とは裏腹に、リュウ太君本人はなかなか機嫌よく通えている様子。校長先生との面談に同席していた担任の先生も、「体育会系っぽくて大丈夫かな?」と心配していたところ、絶妙な距離感でリュウ太くんをフォローしてくれていて、とても相性が良いようです。「面談で私が話したことを、先生なりに意識してくれているのかも…?」と思い直すかなしろさん。大切なのは、学校と不必要に対峙することではなく、子ども自身がどう感じて過ごしているかをしっかり見極めること。学校に対する母親としての正直な願い・期待と、現実を受け止めての折り合いの付け方、揺れる親ごころの機微を味わうことができるのも、この漫画の魅力の一つです。等身大のかなしろさんの姿勢に、きっと共感が持てることでしょう。あ、財布のお金減ってる…!思春期ならではのトラブルも、かなしろ流で見事に対応Upload By 発達ナビ編集部思春期は、社会と自分との繋がり、友達との繋がりをより意識し始め、家庭から距離を置こうとする巣立ちの準備をする時期です。しかし、そうは言ってもまだまだ子ども。大人に憧れ、いろいろ遊んだり買い物などをしてみたい気持ちはあっても、金銭を得るために働ける年齢ではありません。働けない立場の子どもがさあどうするか?ある日、かなしろさんは自分の財布のお金が減っていることに気付きました。(明らかに犯人はわかってる…、でもなんか言いづらい…。)そんな日々を過ごしていましたが、ある日とうとう犯行現場を押さえます…!裏表のない特性を持つ、リュウ太くんならではの「言い逃れ」も爆笑ものですが、この「家庭内での盗難事件(!)」を機に、お金のことを学ばせようとするかなしろさんの様々なアイディアも見どころです。こんな面白いレクチャーをされたら、みんなしっかり金銭感覚が身に付きそう!漫画家のかなしろさんならではの「金銭教育のテクニック」が記載されています。そこにはある飛び道具が…(かなしろさんの敬愛する有名漫画も登場します。どうぞお楽しみに)進学、就職、やがて来る「自立」の日を見据えて…Upload By 発達ナビ編集部学校、療育施設、病院など、さまざまな社会資源と繋がりを持ちながら、息子リュウ太君を育ててきたかなしろにゃんこ。さん。いつもハラハラしながら、まだまだ育児真っ最中です。新刊の後半では、自分の夢を見つけてまっすぐに挑戦しようとするリュウ太くんの受験・進学エピソードも。ADHDのあるお子さんが、自分の特性を理解しながら、どのように成長し、そして自立していくのか…ここから先は、ぜひ本書をお手に取って確かめてみてくださいまた、本著の巻末には、発達障害のあるお子さんを持つ親御さんならではのリアルな悩みに対して、精神科医の田中康雄先生が答えるQ&Aが掲載されています。掲題の「思春期を迎えたADHDの子どもたち」について、漫画では描き切れなかった話題や日々の子育てで感じる疑問について、田中先生のアドバイスが満載。思春期にまつわる悩みについてはもちろん、「服薬やカウンセリングについてどう考えれば良いの?」「イライラはADHDの特性によるの?それとも思春期だからなの?」など、発達障害がある子どもの親御さんが直面しやすいお悩みについても分かりやすく解説されています。かなしろさんの漫画本編と合わせて、大変参考になりますので、ぜひ手に取ってご覧いただきたいと思います。
2017年10月18日細川珠生のここなら分かる政治のコト
私の愛すべき家族
育児に遅れと混乱が生じてる !!