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そうだね、うん、たしかにその通りだね今年の夏休みのことです。Upload By ラム*カナ夏休みの宿題、ほんとに手伝わないといけなさそうなもの(読書感想文など)は手伝うにしても、観察日記なら授業でもやっていたし、もしかしたら手伝わなくてもできるのでは?思ったので、ちょっとノータッチで放置してみることにしました。Upload By ラム*カナお、やってるやってる。その後、長男:「おかあさーん、できたよー」私:「どれどれ」Upload By ラム*カナ「水をあげたら、トマトが赤くなったり大きくなったりした。」当たり前のこと、堂々と書く結果と相成りました。(事実を書けるなんて素晴らしいや!)
2017年10月14日「こんな顔だったっけ?」とある俳優さんの顔が覚えられない私Upload By 鈴木希望どうしてもお顔を覚えられない俳優さんがいる。何度見ても「あれ、こんな顔だったっけ?」と思ってしまう。テレビや映画、雑誌等では滅多に見られない役者さん、というわけではない。名は秘すが、あらゆる作品に引っ張りだこ、イケメン俳優として人気を集めている。そう、私はいわゆるイケメンの顔が覚えられない。軽度の相貌失認なのだ。相貌失認とは、簡単に言ってしまえば、人の顔を認識するのに困難が生じる疾患のことだ。俳優のブラット・ピットが明らかにしたことで、数年前に話題となった。人の顔が覚えられない……相貌失認の症状・対処法Upload By 鈴木希望当事者の方のブログや症例などを拝見すると、全く覚えられないわけでもない私は、比較的軽度であるようだ。とはいえ生活に支障がないわけではない。前職では、1週間ほぼ毎日顔を合わせていた人に、毎日「初めまして」と挨拶をし続けた。またプライベートでは、とある講座を一緒に受け、一緒に修了した同期生に数日後対面し、やはり「初めまして」と挨拶をしてしまった。前者の場合、発達障害を明らかにして入社したため、「そういうこともあるんだね」と笑って流してもらえたが、後者は大層嘆いていらした。それもそうだろう、共に学び、仲が良いと思っていた相手に、たった数日で忘れられてしまっていたのだから。「関心がないから覚えられないのでは?」と誤解されがちなのだが、決してそうではない。関心があっても覚えられないのだ。これが辛い。お付き合いしていた男性の顔を、家に帰ったら全く思い出せないなんてこともあった。とはいえ、顔以外の声や仕草を覚えていることがあるので、次に会ったときは「こっちを見ている。あ、この声。そうだ、この人だ」といったかたちで確認するわけだ。覚えやすい顔と覚えにくい顔。その違いは一体なんだろう?出典 : 相貌失認の概要については前述のリンクをご覧いただくとして、ここからは私の話。前述したように、誰もの顔を全く覚えられないわけではないし、何度か会えばいずれ覚えられる。中には1度会っただけで覚えられることもある。そうした経験を通して、私には「覚えやすい顔」と「覚えにくい顔」があるということに気づいたのだ。ただ、その差がなんなのか、長年わからなかった。そのヒントになったのが、イラスト描きを生業としてる知人の、「美形を絵に描くのは難しい」という言葉だった。曰く、「整った顔立ちは特徴が捉えにくい。少しバランスが狂っただけで美しさが削がれてしまうし、似顔絵の場合だとデフォルメがしにくいから、似せるのが本当に難しい」と。相貌失認のない人でも、美形は認識しにくいのか!―目からうろこだった。後日、冒頭の俳優さんを雑誌で見かけた際、「こんな顔だったっけ?」と思いながらじっくりと確認する。うん、美形だ。そうか、私は美形であればあるほど覚えられないのか……「イケメン嫌いのブサイク好き」?違う!断じて違う!!出典 : そんなこんなで、私はいわゆるイケメンに関心がない。というか、覚えるのが苦手だから関心の持ちようがないのだ。しかし、「ノゾミちゃんってブ専(ブサイク専門)なんだね」などと言われたら、烈火のごとく逆上する。「私の大好きなあの人やあの人に土下座しろ!」と。まぁ、逆上は大げさだが、正直いい気分はしない。自分にとって愛しいもの、心地いいものを、あたかも美しくないかのように言われるのだから。現に、私にとって覚えやすい顔の美形もいる。パーツやバランスが特徴的であればあるほど認識しやすいので、いわゆるこってり顔の方は早い。俳優さんで言えば、阿部寛さんとか伊勢谷友介さんとかね。なので、「スズキに好かれた、もしくはすぐ認識された=ブサイク」というのは大きな間違いなのだ。上記のような話を友人にしたところ、「相貌失認の方は、あっさり顔が苦手なのかな?」と聞かれたのだが、そうとは限らないからややこしい。やはり軽度の相貌失認を持つ別の友人は、「こってり顔の人がみんな同じ顔に見える」というのだ。彼女にとっては、顔のパーツがあっさりしている方が特徴的に感じられるのだとか。どうしてこうした違いが生じるのかについては、私は専門家ではないから何とも言えないし、「まぁそういうこともあるんだね」としか言い様がない。もちろん覚えようと努力はしている。しているけれど…出典 : 顔を覚えるのが苦手であるぶん、お会いした方に失礼がないよう自分なりに尽力している。まず、可能であれば、自分が相貌失認であることをあらかじめ相手に伝えるようにしている。それから、お会いした当日に交わした会話やエピソードがあれば後でそれを記録して、エピソードと顔を結びつけて記憶しやすいようにする。顔以外のパーツや骨格、動き、声などに注意を向けるのも、私の場合は記憶の定着に一役買うらしい。―というか私は、自然に相手のパーツや骨格などに注意が向きやすいようだ。そちらの方が覚えやすいためか、なかば癖になっているのかもしれない。余談だが、その癖のせいで、他の方の目で見たら全く似ていない二人を「(骨格が)似ていますね」と判断したり、「素敵な手首と手の動きですね」と、マニアックな賞賛を口にしてしまうことがある。我ながらちょっと気持ち悪い。しかし上記のような方法も完璧ではない。コラムで何度か触れているが、いかんせん私はADD、注意欠陥障害を持っている。メモすることを忘れたり、その場でメモすることを先方が許してくださったにも関わらず、そのメモを紛失したり、お名前を忘れたり、下手をすれば自分が相貌失認であることさえ忘れて、対策を講じることさえ不可能になってしまう場面もある。最悪だ。バカなのだろうか?いや、バカではない。そう信じたい。私が「あなた、誰だっけ?」状態になってるときに、覚えておいてほしいことこんな私だから、関心を持っているあなたやあなたやあなたの顔を覚えられず、再度お会いした折には「誰だっけ…?」と言いたげな表情で見つめてしまうかもしれない。そんなときは「そうか、自分はあっさりした美形なのだな」と思っていただきたい。そして逆に、わたしにすんなり認識されたあなたは、”はっきりした”美しいお顔立ちなのだ。うん、断言する。世の中にはこんな人間も存在する、ということを頭の片隅にでも置いていただけたら、スズキ、嬉しい。
2017年10月13日先月、NHK総合テレビで 「深夜の保護者会/発達障害 子育ての悩みSP」 をはじめ、Eテレ「ハートネットTV」では 「自閉症アバターの世界1・2」 、NHK「あさイチ」では 「シリーズ発達障害/どう乗り越える? コミュニケーションの困りごと」 など、続々と発達障害特集が放送された。どれも見ごたえのある内容だったが、4歳の自閉症スペクトラムの息子を持つわが身としては、やはりリアル世代である「深夜の保護者会」が一番興味深かった。話し合いにのぼったテーマは、「周囲へカミングアウトはするべきか?」「カミングアウトするとしたら、どう説明したらよいのか?」「夫や子どもの本音は?」「ありのままのわが子を受け入れるには?」など。どれも、まさに発達障害の子育てをしている親の悩み、ど真ん中の内容だったと思う。現役ママの葛藤は、私には痛いほど伝わってきて、ちょっとホロッとしてしまうほどだったし、すでにさまざまなことを乗り越えてきた先輩ママたちが、試行錯誤の上生み出した、わが子との向き合い方はとても参考になった。■わが子を嫌いになる、自分が辛いそして、現役ママの苦しい胸の内を聞いて、改めて発達障害を持つわが子の「ありのままを受け入れる」ことの難しさを思い知った。「彼らを大好きなのに、大嫌いになる時がある自分が辛い」(番組に寄せられたファックスのコメント)「比べるものではないと重々わかっているけど、どうしても下の子と比べてしまう。下の子はできが良くて、かわいくてギュッって抱きしめられるけど、上の子にはできない…。できない上の子を受け入れられない」(番組に参加した現役ママのコメント) NHK総合テレビ「深夜の保護者会/発達障害 子育ての悩みSP」より そんなママたちの悲痛な叫びに、胸が締め付けられた。■本当に、子どものこと受け入れてる?ありのままのわが子を受け入れる――それは発達障害の子育てのスタート地点のように思えるのだが、実は、親にとっては、それが一番難しいことのような気がする。私自身も、「私は周囲にもカミングアウトしてるし、もう受け入れているから大丈夫!」と、すっかり達観したつもりでいたのに、自分でもビックリするほど些細な事で傷ついてしまうことがある。そんな時は、「実は、心のどっかでは息子のことを受け入れられてないのかも…?」と心が揺れる。ブレない自分でいたい。…なのに、なかなかなりきれない! それが自分でも、すごく歯がゆくて悔しいのだ。■子どもが笑ってくれる、そのために何ができるか?これに対して、先輩ママたちや尾木ママの意見は…「試行錯誤する、という作業がすごく大事。私たちも最初はどうしたらいいのかわからない状態で、いろいろ試して、今がある。のちのちつながっていくことだから、あきらめないで少しずつでも進んでいってほしい」「高望みせずに、『一個できたらすごい!』を積み重ねていけばいい。とにかく今できることを褒めて。『褒めるは認めること』って言葉に置き換えてもいい。良いところを褒めるのではなく、できていることを認めればいい。それが丸ごとの発達障害と付き合っていく姿勢につながっていくはず」「発達障害は、息子の世界と私たち世界の交わるところにある、『壁』みたいなもの。でも、その壁は環境や周囲の考え方、関わり方で低くもなる。息子の世界も尊重しつつ、私たち側もお互い気持ちよく過ごせるエリアが広がるように、私たち側が変わっていかなければならない」 NHK総合テレビ「深夜の保護者会/発達障害 子育ての悩みSP」より 様々なアドバイスが飛び交ったが、なかでも印象に残ったのは、先輩ママの次の言葉だった。「よっちゃん(息子さんの名前)に笑ってほしい。そのために自分がどうしたらいいか? それを考えれば自ずと変わってくる。それを変えただけ」私は、障害(発達障害に限らず)を持つ子どもの親というのは、何か高尚な考え方ができるような、立派なママにならなければならないような気がしていた。でも、そうではなくて、この先輩ママが言うような、子どもの毎日の笑顔の積み重ねの先に、いつの間にか生まれてくるような、もっと自然な感情なのかもしれない。そう思うと、私はまだまだ肩の力が入ってしまっているようで、まだまだだなぁ~と苦笑してしまった。■障害は敵ではないまた、当事者である子どもの発言にも考えさせられた。「悪いのはこの子ではなく、障害のせい」と、子どもと障害を別々に考えるということで気持ちが楽になったというお母さんに対してお子さんの考えは違った。「僕は、そういう考え方はやめてほしい。障害は敵ではない。生まれてしまった以上しょうがない。しょうがないから向き合う。うまく付き合っていけたら気持ちは楽になる」 NHK総合テレビ「深夜の保護者会/発達障害 子育ての悩みSP」より この2人のやり取りを見て、発達障害の子育てを描いたコミックエッセイ『母親やめてもいいですか』に書かれていた、自閉症当事者によって書かれた「私たちのことを嘆かないで」という詩の一節のことを思い出した。自閉症は人を閉じ込める殻ではありません中に普通の子どもが隠れているわけではないのです自閉症は私が私であること、そのもの私という人格から切り離すことはできません「うちの子が自閉症でなければよかった」「この子の自閉症がよくなりますように」その嘆き、その祈りは、私にはこう聞こえます。「自閉症ではない別の子がよかった」両親が語りかける夢や希望に、私たち自閉症者は思い知るのです彼らの一番の願いは、私の人格が消えてなくなり、もっと愛せる別の子が私の顔だけ引き継いでくれることなのだと… 『母親やめてもいいですか』(山口かこ・文/文春文庫)より引用 ■何を持って「息子」なのだろう?障害を持つ子どもの親であれば、誰しも、わが子の障害がなおることを願ったことが、一度はあると思う。私自身も、息子が自閉症スペクトラムと診断された当初は何度となく、この障害を息子から取り除きたいと願った。一生治らないものだと知った時は、夜中パソコンの前で号泣した。でも、1年経った今は、こう思うのだ。例えば、息子がいきなりおしゃべりで明るい社交的な子になったとしたら…? それはそれでうれしい面もあるのかもしれないけど、果たしてそれは息子なんだろうか? と。改めて、「何を持って息子なのだろう?」と考えると、思い浮かぶのは、なぜか、やっかいで面倒なエピソードばかり(笑)。むしろ、そのやっかいなところこそが、息子が息子であるための大切な要素なのかもしれない、と。最近ではそう思うのだ。最後に、先輩ママたち全員が、声をそろえていたことがある。それは、「まずは、お母さんが元気なことが基本。自分を犠牲にしちゃダメ。お母さん自身の人生も大事にしてほしい」ということ。子どもに笑顔でいてほしいなら、そのためには、まずはお母さん自身が笑顔でいることこそが大切なのだ。まちとこ出版社N NHK 発達障害プロジェクト 【発達障害についての記事一覧】▼大変だけど、不幸じゃない。発達障害の豊かな世界(全4回)▼「うちの子、発達障害かも!?」と思ったら(全9回)
2017年10月12日双子の兄弟が就学年齢に。長男は特別支援学校、次男は通常学校への入学が決定重度自閉症の長男は、比較的早い段階で特別支援学校への入学が決まっていました。そして我が家は双子であるため、同時に通常学校へ入学する次男の学校手続もしなければなりませんでした。忙しい日々でしたが、10月に長男の就学通知書が届いた時にはなんだか肩の荷がおりてほっとした気持ちになったものです。入学前の準備。支援学校のカバンはランドセル?それとも?Upload By シュウママそして11月も過ぎたころ、はっと気が付いたのは長男が学校に持っていくカバンのこと。次男はもちろんランドセルのつもりでしたが、長男はランドセルが必要だろうか――入学説明書にはこのカバンで!という明確な記載がなかったので、私は支援学校に問い合わせてみました。電話で丁寧に答えて下さった女性の返事は「特に規定はありませんよ」というものでした。Upload By シュウママこの言葉を聞いた私は、じゃあリュックでいいかな…と思い大きめの新しいリュックサックを長男のために、次男には同じ頃、ランドセルを購入しました。次男のランドセルをじっと見ていた長男に、母として想うことピカピカのランドセルを見て次男は嬉しそうでした。色は黒、ふち取りは赤、何日も前から次男が選んで注文しておいたものでした。入学式の前から次男はランドセルを背負い鏡を見て満足そうにしていました。そんな次男の姿を療育から帰ってきた長男がじっと見つめていました。Upload By シュウママ次男がランドセルを床に置いて遊びに行ってしまうと、長男はランドセルにそろりそろりと手を伸ばしました。どうしたのかな?と見ていると、長男はランドセルの肩ベルトに腕を通して背負おうとしました。けれど不器用で筋力のない長男は、うまく手が通せなかったのかごろりと前のめりになり床であごをごんっ!と打ち、大きな声で泣き出しました。Upload By シュウママ私は驚いて長男のあごをさすってやりました。もちろん長男は痛くて泣いているのでしょう。でもこの泣き声がまるで「僕もランドセル背負いたかった!」という長男の叫び声に聞こえてきました。私はランドセルにするか、リュックにするか、ほとんど逡巡せずに決めたことに対して申し訳ない気持ちになりました。当時、まだ言葉で意思の疎通ができなかった長男に、どちらかを選択させるという考えが私にはなかったのです。ごめんね…と私は長男に謝りました。Upload By シュウママ長男が入学。そこで目にしたのは…そしてひと月が過ぎ長男は支援学校に入学しました。ほどなく父兄の懇談会が長男の教室で行われました。私は同じクラスのお母さん達に挨拶しながら、何気なくロッカーに目をやりました。すると長男のリュックの入ったロッカーの隣りに、横長の形をしたランドセルがあることに気がつきました。Upload By シュウママ「横に長いランドセルってあるんですね」私はランドセルの子のお母さんに聞いてみました。障害児を育てる親に寄り添うランドセルがあったするとそのお母さんは微笑んで言いました。Upload By シュウママお子さんは足が悪いため、車椅子に取り付けやすいベルトがついていることと、沢山荷物が入るということが横型ランドセルを選んだ理由だそうです。最近は障害のある子ども用のランドセルも充実しており、多機能でいろんな色が選べるんだというお話でした。「何よりランドセルを背負った姿が見たかったから・・」お子さんを優しい目で見つめながら言われた気持ちが、私にはよく分かりました。障害のあるお子さんをお持ちなら親は何度も選択を強いられます。そしてそれはとても辛い選択です。普通学校の支援級ならランドセルが必要、でも支援学校なら必要ない――それもその一つです。けれど障害があっても背負えるランドセルもある。それは苦しみを少しだけ軽減してくれ、親心に寄り添ってくれる素敵なランドセルだなと、私もほわっと温かい気持ちになるお話でした。
2017年10月12日精神的にほんの少し余裕が出てきた頃に気がついた衝撃の事実出典 : 自閉症スペクトラム&ADHDの診断が下りている9歳の娘と7歳の息子を抱え、日常生活を送るだけで精一杯だったこの数年間。何かをしようと思っても、すぐにヘルプが必要になる子どもたちに呼ばれ、洗い物も掃除も洗濯も最後までできた試しがありませんでした。我が家では娘も息子も、小学校に籍はあるものの、日常的に通学はしていません。代わりに、自宅でホームスクールを行っています。子どもたちの絶え間ない呼びかけに対応していると、思考は常に分断され、ゆっくりと頭の中を整理する時間はほとんどありませんでした。精神的にも肉体的にもゆとりのない状態が続きましたが、昨年、ようやく毎日麦茶を沸かすことができるようになりました。普通に家事をこなされている方からすると「麦茶を沸かせるようになるってどういうこと?やかんに水とお茶パックを入れて火にかけるだけでしょう?」と思われるかも知れません。ですが、たったそれだけのエネルギーを絞り出すことすらできないほど、いっぱいいっぱいの日々だったのです。そして、ついに今年の夏は日に3度、麦茶を沸かせるようになりました。書いてしまえば他愛もないことで自分でも笑ってしまうのですが、家事にまわす余力が出てきたということは子どもたちが成長した証でもあるので、なんだかとっても嬉しいのです。こうして少しゆとりが出てきたところで、ふと気がついたのです。「そういえば...これまで息子の爪を切った記憶が1度もない!」起こす、食べさせる、着替えさせる、お風呂に入れる、歯磨きをさせる、寝かしつける。それをこなすのに精一杯で、すっかり爪のお手入れのことが頭から抜け落ちてしまっていたのです。息子の爪をチェックしてみると...出典 : 慌てて息子の爪をチェックしてみると、なんと白い部分が一切なく、えぐられたような状態になっていました。考えてみれば、息子は幼い頃からずっと指を口に入れており、手をグーにしてすべての指が口に吸い込まれていることもありました。不潔だからやめるように注意をしてはいたのですが、アスペルガーの娘がタオルを手放せないのと同じように、安心感に繋がっているのかも知れないと強制的にやめさせることは考えていませんでした。とはいえ、こんなになるまで爪を噛んでいたとは......一番近くにいる私がなぜこんなことにも気づけなかったのかと落ち込んでいる間も、息子は口で爪を削り続け、ついには足の親指から出血も化膿してしまったのです。(もちろん足の爪も口で削っていたのです!)いくら悔やんでも過去は変えられませんから、後は改善あるのみ!まずはどうして息子が爪噛みをやめられないのかを考えてみることにしました。やめられないのは足りない刺激を補うため!?出典 : 爪噛みについて調べてみると、親の愛情不足や欲求不満という文字が踊っていて、落ち込んでいる私にさらに追い打ちをかけてきます。しかし、息子の爪噛みは生まれたときからずっと続いています。愛情不足や欲求不満ならムラがあってもいいような気がするのですがそれもありませんし、1日中いつでも、気がついた時にはずっと口に指を入れているのです。そこで発達障害の特性が原因なのかと思いを巡らすと、ADHDの息子は刺激を求め続ける傾向が強いことに思い当たりました。「爪を噛む」という口腔内への刺激と「指の痛み」という二重の刺激を手軽に得られる爪噛みは、息子にとって常に刺激を得られる手段として定着しているのかもしれない。そんな私なりの仮説を立ててみました。ならば手軽に別の方法で刺激を得られれば、爪に向かう意識が薄れるかもしれません。そこで役に立ちそうないろんなグッズを試してみることにしたのです。息子の爪噛み防止グッズをご紹介今話題のハンドスピナーは、自閉症スペクトラムやADHDの方と相性がいいと聞いて試してみました。確かにある程度の刺激は与えられますし、情動行動を好むタイプの子どもたちにはピッタリのアイテムです。しかし、以下の理由からあまり効果は得られませんでした。・ 幼い息子の手には少し大きい・ 読書中などの爪噛みには効果がない・ 飽きるとその辺にポンと置いてしまって、その存在をすぐに忘れるおもちゃとしてはとても気に入っていますので、今はおもちゃ箱にしまってって遊びたいときに遊んでいます。そこで、次に常に手元に携帯できるものをと思い、くるくる回せる指輪を購入してみました。息子の小さな手に合うのは8号サイズしかありませんでしたが、これなら置き忘れることなく常に指にはめておけるのでとっても便利です。しかし、さすがは年季の入った爪噛み癖!指輪をクルクル回しながら爪を噛むという合わせ技を繰り出されてしまいました。私もつけてみましたが、例えば歩きながら、読書をしながらもくるくると回すことで不思議な安心感が得られます。とてもよいグッズだと思いますので、小さなものを飲み込んでしまうお子様がいらっしゃらないご家庭にはおすすめです。こうなったら、こちらも合わせ技で対抗するしかありません。今度は片手いっぱいで握れるフィジェットパッドというものを購入してみました。カチカチなるスイッチや、ゲームコントローラーの様にくるくる回せる仕掛けなどがあちこちに施されているものです。これも、購入当初はあちこちにポンと置いて探し回ることが続いたので、百円均一のネックストラップを買ってきて、首からぶら下げておくことにしました。刺激が欲しいとき、読書など片手が余ってつい口に入れそうになってしまったときなどはこれを利用するよに。でもこれだけでは、くるくる回せる指輪と同じように、この仕掛けを触りながら指を口に入れてしまう可能性もありました。なので、息子が幼いころに使用していた「マヴァラバイターストップ」という苦い味のするマニキュアを爪に塗っておくことにしました。この苦さを知っている息子は「もう噛まないから大丈夫!」となかなか塗らせてくれませんでしたが、「もう噛まないんだったら苦くないよ?おまじないみたいなものだから塗っておこうね。早く爪が伸びてきますように」と話しながら塗っています。そして1週間の月日が流れ…出典 : こうして、さまざまな対策を講じてから1週間。息子の爪にはようやくうっすらと白い部分が見えてきました。とはいえ、毎日チェックしていると、ときどき特定の爪がきれいになくなっているので、苦さをこらえて噛んでしまっているのだと思います。それでも、爪を噛まないためにどうすればよいかを息子と話し合いながら試行錯誤することで、不思議な連帯感が生まれ、うっすらと生えてきた爪に2人で感動しています。爪がないと指先に力を入れにくくなったりすることもあるそうなので、爪が伸びきったあかつきには、不器用な息子の震える文字が少しでも改善されればいいのになと淡い期待も抱いたりしています。完全に爪噛みから卒業するにはまだまだ時間はかかりそうですが、爪を噛む欲求を別の方法で代替することができれば、息子のストレスを最小限に抑えながら進めていけるのではないかと思っています。発達障害のある方には、こだわりや独特の癖を持つ場合も珍しくありません。それが安全な行動なのであれば、できる限り自由にさせてあげることも大切だと思いますが、息子のように身体に害が出てしまったり、危険が及ぶことのあるような行為はなるべく避けてもらいたいと思ってしまいますよね。そんなときはどうか無理にそれを取り上げてしまうのではなく、他に代用できるものがないか、少しでも安全なものに変えられないか、お子さまと一緒に相談し、いろんなものを試してみることが近道なのかもしれません。一方的な指示を受けるのではなく、大人の方が一緒に取り組むことで、子どもが安心して次のステップに進む勇気がわいてくるといいですね。
2017年10月11日川崎市では発達障害児の生活支援ツールのひとつとして「サポートカード」を発行しています。川崎市健康福祉局から発行されているこのカードは、発達障害により日常生活のさまざまなシーン(学校、医療機関、美容院など)でうまくコミュニケーションがとれずに困っているお子さんが、特性に応じた配慮を受けられるよう提示するものです。このカードを作ったのは、川崎市通級親の会・前会長の今村優子さん。普通の主婦であり母である今村さんがどのように行政を動かしたのか、話しを聞きました。発達障害児への無理解や偏見が誕生のきっかけに今村さんは、サポートカード誕生のきっかけとなった辛い体験を次のように話してくれました。当時小3だった息子さん(DAMP症候群=外的刺激に対して健常児よりも過敏または鈍感。感情のコントロールが困難。口頭でのルール説明などの理解が困難)が、学校の耳鼻科健診の結果を持参して受診したときの体験です。診察室に入り、今村さんは、息子さんが発達障害児で、耳の中の刺激に過敏で耳かきをさせてくれないこと、ピンセットで耳垢をはがす処置にも過剰反応を示すこと、そのため点耳薬でふやかして洗浄する処置を望むことを医師に伝えました。しかし、医師は聴覚過敏と早合点したのか、途中で話をさえぎり「聴覚過敏と耳垢は話が別だ!甘やかすな!」と一喝。看護師を呼び、4人ががりで息子さんの両手・両足・頭を押さえるように指示し、ピンセットを用意。突然のことに息子さんが驚き頭を動かそうとすると「ばかたれ!」と言って息子さんの頭をげんこつで殴りつけました。耳垢をはがすだけだったため、息子さんが恐怖で固まっている数秒で処置は終わり。医師に「終わり。大騒ぎするな」と言われて診察室をあとにしたそうです。待合室に戻っても息子さんは興奮状態。「あんなに大きい子が大騒ぎして…」と言いたげな周囲の視線も辛かったといいます。「私は息子に『あなたは何も悪いことはしていないけれど、これからもきっと同じ思いをする。だから世の中の無理解にもっと慣れていく必要がある』と話しました。ですが、私自身も納得がいかず、悔しくて涙が止まりませんでした」と今村さん。親の会で知り合った友人に相談したところ、同じような経験をしているお母さんたちがたくさんいることに驚いたそうです。「友人と話しているうちに『発達障害は目に見えにくい障害だけど、医療の現場ですらその特徴が受け入れられずにいるのはおかしい』と思うようになりました」。ある出会いで活動が大きく前進今村さんは、在籍校の校長、区役所福祉課、通級指導教室、川崎市発達相談支援センター、総合教育センターにアポを取って経緯を説明。「学校健診後のしばらくの間だけでも、特別なニーズのある児童も受診の機会が増えることを医師会に通達してほしい」と相談しましたが、いずれも「医師会には直接的な繋がりがないから難しい」という回答。医師会とのコンタクトを試みて相談窓口を探し始めてから1年が経過。話を聞いてもらえる場所すら見つからない状況が続いていました。そこで“窓口探し”や“医師会とコンタクトを取る方法探し”を中断。別の方向から改善に向けて声を上げてみようと考えました。「発達障害を社会に広く認知してもらうきっかけになり、無理解者が支援者に変わるような、または、支援者と要支援者をつなぐようなツールを発信できないか。イメージは妊婦さんのマタニティバッジでした」。ここで誕生したのが「サポートカード」というアイデア。今村さんが自身の高校時代の恩師にこの話をしたところ、市議会議員の田村伸一郎議員を紹介されました。田村議員は自身も難病を抱える子どもを持ち、障害者支援に力を入れていました。今村さんの辛い経験から2年。この出会いが活動を大きく前進させます。田村議員の力添えで、市民・こども局こども福祉課長と今村さんの面談が叶いました。田村議員同席のもと、今村さんは発達障害児の医療機関受診時の現状を訴え、カードの必要性・実現化・医師会へのアプローチを切望。田村議員も行政に働きかけてくれました。今村さんはさらに、自身が会長を務める川崎市通級親の会本部に協力と応援を要請。さらに2年後、ついに現在のサポートカードが完成し、川崎区役所保険福祉センター、発達相談支援センター、療育センターなどでだれもが無料でこのカードを受け取れるようになりました。サポートカードの認知と普及はまだまだこれから!発達障害児を抱える家庭の悩みのひとつが“病院探し”。今村さんは、無理解から来る不適切な対応により、子どもたちの病院嫌いが強化される悪循環を断ち切り、発達障害についての社会認知が広まってほしいという一心で、4年に渡ってこのカードの必要性を訴え続けました。川崎市通級指導教室親の会本部では今後もカードの普及・浸透に向けた活動を展開していく予定とのこと。「現在はまだ、サポートカードの存在を知らない人がほとんど。カードが認知され、実用性・有効性が本当の意味で決まってくるのは、ユーザーである私たちがどのように利用するか、その姿勢に関わってくると考えています。カード発行の際は、川崎市の医師会・歯科医師会・理容協議会・美容連絡協議会にも健康福祉局を通じて連絡をしました。相手側にすべてを期待するのではなく、無理解者を理解者に変えるきっかけとして、積極的に活用していきたいと思っています」取材協力:川崎市通級指導教室親の会前会長・今村優子さん<文・写真:フリーランス記者森藤理絵>
2017年10月07日息子にとって「お祭り」はとても楽しめるものではなく…。出典 : 発達障害のある小学1年生の息子は、聴覚・味覚・触覚などに過敏性があります。そのために、他の人から見たら理解に苦しむようなところでパニックになってしまったり、異常な疲れを感じて動けなくなってしまったりします。そんな息子の過敏性を、私自身がまだきちんと理解できていなかった頃、どこかへ出かけるたびに私は息子に対してイライラしてばかりいました。Upload By 林真紀「お祭り」はその最たるもの。夏祭りは、家族全員とても楽しみにしている行事で、街をあげての準備が始まるたびにワクワクしていました。しかし、そんな気持ちとは裏腹に、出かけるとすぐにパニックを起こす息子。当然、私たち家族にお祭りを楽しむ余地は少しもありません。「他の家族みたいに、普通にお祭りを楽しみたい」そんなことを何度願ったことでしょうか。毎回パニックを起こして真っ青になった息子を連れて帰り、はだけた浴衣を脱ぎ捨てて、家族全員家で大きなため息をつく…。それが毎年の恒例行事となってしまっていました。息子にも他の子どもみたいに、お祭りを楽しめないものか…。そう思いつめるたびに、やり場のない苛立ちが、私の中を支配していました。今思えば、過敏性の強い息子にとって太鼓、お神輿、屋台、たくさんの人、それらの全てが耐えがたいものであったのでしょう。聴覚の過敏により、お祭りの太鼓の音は頭が割れそうなほどつらかったのです。濁流のように押し寄せる音と光と人の刺激に、息子は激しい頭痛と倦怠感で座り込んでしまっていたのでした。自らの過敏性に気づいた息子。訪れた夏祭りで発した言葉は。Upload By 林真紀そんな息子も小学校1年生になり、自分の感覚の特性について自ら気付くことができるようになりました。以前はただただ刺激に翻弄されて泣き叫んでいたけれど、今は「自分のこの感じ方は、自分特有のもの」だと分かってきたといいます。それにつれ、激しいパニックを起こすこともほとんどなくなりました。そして今年もお祭りの季節がやってきました。地域のみんなが楽しみにしているお祭り。夏休みの最後の一大行事で、お祭りには小学校のお友達も大勢集まります。息子は、お友達たちとの再会をとても楽しんでいる様子。そして、小学校のお友達が息子にこう言いました。「盆踊り始まるよ。あっちに行って一緒に踊ろうよ。」すると、息子から飛び出した言葉は、私の思いもよらぬものでした。「盆踊り始まるなら、僕は帰る。またね!」盆踊りこそが夏祭りの盛り上がりの華。それなのに、もう帰るという息子お友達も、お友達の親御さんたちも不思議そうな顔をしています。それでも息子は気にしません。会場を後にして、さっさと家に帰っていってしまいました。そうです。息子はちゃんと分かっていたのです。盆踊りが始まれば、大音響の音楽と太鼓の音が鳴り響くということ。そして、その場に自分がいると、頭痛やパニックに見舞われてしまうこと。そして何よりも、それは我慢する必要のないことだということ…!!他の人と違う楽しみ方があってよいUpload By 林真紀毎年毎年、息子がパニックを起こして、家族全員が無言になっていた夏祭り。今年は息子と私は一番盛り上がっているときに帰宅しましたが、他の家族はお祭りを最後まで楽しむことができました。息子自身も自己嫌悪で終わっていた夏祭り。しかし、今年の息子の口から飛び出したのは「今年のお祭りは楽しかったよ~!!」という言葉でした。誰も我慢する必要なんてない、誰も無理する必要なんてない、その子に合った楽しみ方をすればいいんだ…。そう気づいたとき、初めて私も息子も、そして他の家族も、この世界に居場所を見つけたような気持ちになったのでした。家族も、常にみんな一緒じゃなくて良いのです。家族が4人いれば、それぞれ持って生まれた性質や特性も違うのです。それぞれが無理をしなくて良いように、それぞれのスケジュールで動けば良いのです。誰かが誰かに無理をして合わせるのではなく、それぞれがほどほどに楽しめるためにはどうしたら良いのか、そう考えながら生活を回していくことの大切さ…。私は今年の夏祭りで気づかされたのでした。
2017年10月07日「第11回 LITALICO 教育実践フォーラム 2017」開催!Upload By LITALICOニュース2017年11月18日(土)の13:30より、大阪・梅田の「AP 大阪梅田茶屋町」(D+E+F+Gルーム)にて、発達障害に対する学校教育での合理的配慮をテーマとしたイベント、「教育実践フォーラム」が開催されます。登壇者は、発達障害児への教育支援研究の第一人者である大阪医科大学LDセンター顧問 竹田契一先生、障害児のICT活用等の研究を進める関西学院大学教育学部教授 丹羽登先生、障害や不適応状態について「環境」と「個人」両方向からの心理的支援や教育を研究する鳥取大学大学院の井上雅彦教授ほか、小中学校・高校の教員、児童・生徒の保護者の方々。「障害のない社会をつくる」をビジョンに、児童発達支援事業や就労支援事業などを展開する株式会社LITALICOが主催し、教育を取り巻く課題と実践、未来の展望を考える「教育実践フォーラム」。2012年の初回企画から数えて、今回で11回目の開催となります。11回目のテーマは「合理的配慮」。どんな人々も個性を尊重され、過ごしやすい世の中になれば理想ですが、特定の個性や心身の症状を持っている人にとって生きづらい状況がまだまだ残っているのが現状です。たとえ障害のある方であっても、一人ひとりの困りごとや状況に応じた適切な配慮を受けることで、自分の力をより発揮しやすくなり、日常生活や社会生活を営むことが出来るようになる、という考えのもと進められているのが、「合理的配慮」です。今回は、専門家・現場の教員・保護者それぞれの立場から合理的配慮のあり方について考えていきます。第11回教育実践フォーラム専門家と保護者、それぞれの立場から語る教育現場の合理的配慮2016年4月に施行された「障害者差別解消法」(障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律)により、公立学校の教育現場でも合理的配慮が義務化されました。発達障害のある子どもにとって、学校生活における困りごととして、授業やテスト、成績評価、行事、さらには食事や排泄、友だちとの関わりなど、さまざまな場面が想定されます。フォーラムの基調講演では、発達障害に対する教育現場での合理的配慮に関して、発達障害児への教育支援研究の第一人者として長年ご活躍される竹田契一先生のお話を伺います。講師:大阪医科大学LDセンター 顧問 竹田契一先生Upload By LITALICOニュース竹田契一大阪医科大学LDセンター顧問、大阪教育大学名誉教授、一般財団法人特別支援教育士資格認定協会理事長。専門は発達障害児(LD・ADHD・高機能広汎性発達障害)への教育的支援など。主な著書は「高機能広汎性発達障害の教育的支援」(明治図書)他、多数。基調講演のあとは、障害児のICT活用について研究を重ねられている丹羽先生からお話を伺います。社会の情報化が急速に展開している中、授業の双方向性を高め、児童生徒の主体性・意欲・関心や知識・理解を高める効果があるとして、学校教育におけるICT活用が注目されています。指導内容や指導方法を変更・調整することが合理的配慮の1つとして求められていますが、お子さんによっては、タブレット端末等のICTの活用が効果的なことがあり、積極的な活用が望まれています。丹羽先生の講演では、教育現場での合理的配慮の手段としてのICT活用について考えていきます。講師:関西学院大学 教育学部 教授 丹羽登先生Upload By LITALICOニュース丹羽登特別支援学級や特別支援学校の教員として重度障害児教育に携わる傍ら障害児のICT活用等の研究活動を進める。文部科学省初等中等教育局特別支援教育課特別支援教育調査官を経て、関西学院大学教育学部教授。病弱教育や障害児のICT活用に関する著書・論文多数。最後に、専門家・保護者等それぞれの立場から教育現場の合理的配慮の実際と課題について語るパネルディスカッションです。コーディネーター: 鳥取大学大学院教授井上雅彦Upload By LITALICOニュース井上雅彦鳥取大学大学院 教授/LITALICO研究所所長(アドバイザー)応用行動分析学を理論的基盤として障害や不適応状態について「環境」と「個人」両方向からの心理的支援や教育を研究。ペアレントトレーニングシステムなどの支援プログラムの開発をはじめ、著書も多数。合理的配慮の導入を円滑にするためには、学校や本人・保護者が合理的配慮実現のための流れやしくみを共通理解し、コミュニケーションを密にすることが鍵となります。現場の教員の方々をパネリストに招き、保護者の方々にコメンテーターをしていただきながら、今現場で必要とされることについて考えていきたいと思います。第11回教育実践フォーラム詳細開催日時:11月18日(土) 13:30~18:45(受付開始 13:00)(教材等自由閲覧時間18:45~19:45)定員:240名参加費:無料(事前申込制)対象:小学校~高等学校、幼稚園、保育施設の職員、スクールカウンセラーなど子どもの教育や医療・福祉・行政機関など子どもの支援に関わられている方会場:AP 大阪梅田茶屋町 D+E+F+Gルーム(大阪府大阪市北区茶屋町1-27ABC-MART梅田ビル8F)アクセス:JR「大阪駅」御堂筋北口より徒歩約3分阪急電車「梅田駅」2F中央改札口より徒歩約1分地下鉄御堂筋線「梅田駅」北改札より徒歩約3分地下鉄谷町線「東梅田駅」北東改札・北西改札より徒歩約5分阪神電車「梅田駅」東改札口より徒歩約5分お申込み締切:2017年11月17日(金)13:00お問い合わせ:03-5704-7361(地域教育相談室 岡野)※お申込みは下部ボタンのお申込みフォームよりお願いいたします。主催:株式会社LITALICO(LITALICOジュニア)12:00~発達ナビ活用セミナー〈希望者のみ〉(50分)13:00~受付開始13:30~開会挨拶(30分)株式会社LITALICO執行役員 野口晃菜14:00~基調講演(60分)【講師】大阪医科大学LDセンター 顧問 竹田契一先生15:00~質疑応答&休憩(15分)15:15~講演(60分)【講師】関西学院大学 教育学部 教授 丹羽登先生16:15~質疑応答&休憩(10分)16:25~パネルディスカッション(120分)【コーディネーター】井上雅彦先生【パネリスト】小中学校・高校の教員など数名【コメンテーター】丹羽登先生、児童・生徒の保護者さま18:25~質疑応答、インフォメーション、閉会挨拶(20分)18:45~パネル展示・教材自由閲覧・発達ナビ活用セミナー〈希望者のみ〉(60分)19:45終了学校や幼稚園、保育園の先生やカウンセラーの方々、子どもの発達が気になる保護者様はじめ、学校教育における「合理的配慮」に関心のある方々はどなたでもご参加いただけます。たくさんの方のご来場をお待ちしております!
2017年10月06日すっかりお姉ちゃんに!広汎性発達障害のある娘は、小学1年生(6歳)。去年、弟が産まれました。最初のうちは新しい家族の出現に戸惑ってもいたようです。娘は聴覚過敏のため、「弟の泣き声が苦手…」と感じ、母に訴えることもありました。しかし、今では一方的に迷惑がるということは少なくなりました。その理由は、自分が「おねえちゃん」という自覚が育まれているから、のようです。2人とも成長中!きょうだいの愛が感じられ、母は嬉しい…日々の様子をお伝えします。娘のお姉ちゃん歴も…もうすぐ1年!最初はどうなることかと思っていたのですが、娘はすっかりお姉ちゃん。弟に対する接し方も、板についてきました。最近では、自分から「面倒見るよ~♪」と声をかけてくれるようになりました。Upload By SAKURAそんな2人の遊び風景を、いくつかご紹介したいと思います。姉と弟…その1Upload By SAKURA姉と弟…その2Upload By SAKURA姉と弟…その3Upload By SAKURA弟に対して、寛大すぎる!Upload By SAKURA娘と比べ、わんぱくすぎる息子は、ちょっとばかし遊び方が激しい…。そんな息子の相手をする娘は、いつもやられっぱなし。Upload By SAKURAいくら相手が赤子といっても、あまりに寛大すぎる娘。頭が下がります。(私は、11か月の赤ちゃん相手でも、寛大でいられない。)と、同時に優しい姉を持つ、このわんぱくすぎる息子のこれから…。ちょっと恐ろしいです(笑)
2017年10月04日子どもの成長は嬉しい。でも反抗期は超たいへん!?ーかなしろにゃんこ。さんの漫画エッセイ新刊、第2話を先行公開!発達ナビにも漫画コラムを連載中、かなしろにゃんこ。さんの新刊『うちの子はADHD反抗期で超たいへん!』(講談社)が、10月4日に発売されます。注意欠陥と衝動性のADHDなどがある、著者・かなしろさんの息子さんのリュウ太くんがとうとう反抗期に突入!この漫画では、発達障害と診断された小学校高学年から、高校受験までの様子が、描かれています。発達ナビでは、新刊の第1話・第2話を特別に先行公開!(第1話は以下のリンクから読めます)第2話「ADHDのことを伝える」です。(画像提供: 講談社)Upload By 発達ナビ編集部Upload By 発達ナビ編集部Upload By 発達ナビ編集部Upload By 発達ナビ編集部Upload By 発達ナビ編集部Upload By 発達ナビ編集部Upload By 発達ナビ編集部監修は田中康雄先生(北海道大学名誉教授、こころとそだちのクリニックむすびめ院長)、かなしろさんの漫画のほか、著書内には田中先生の書き下ろしの解説も収録しています。
2017年10月03日子どもの成長は嬉しい。でも反抗期は超たいへん!?ーかなしろにゃんこ。さんの漫画エッセイ新刊、第1話を先行公開!発達ナビにも漫画コラムを連載中、かなしろにゃんこ。さんの新刊『うちの子はADHD反抗期で超たいへん!』(講談社)が、10月4日に発売されます。注意欠陥と衝動性のADHDなどがある、著者・かなしろさんの息子さんのリュウ太くんがとうとう反抗期に突入!この漫画では、発達障害と診断された小学校高学年から、高校受験までの様子が、描かれています。発達ナビでは、新刊の第1話・第2話を特別に先行公開!第1話「反抗期のまえぶれ!?」です。(画像提供: 講談社)Upload By 発達ナビ編集部Upload By 発達ナビ編集部Upload By 発達ナビ編集部Upload By 発達ナビ編集部Upload By 発達ナビ編集部Upload By 発達ナビ編集部監修は田中康雄先生(北海道大学名誉教授、こころとそだちのクリニックむすびめ院長)、かなしろさんの漫画のほか、著書内には田中先生の書き下ろしの解説も収録しています。
2017年10月02日長男が本気で嫌う意外なモノ。ちょっと怖がりすぎじゃない?Upload By モンズースー長男は公衆トイレのハンドドライヤーが大嫌いです。ずいぶん大げさだな、と思っていましたが…Upload By モンズースーある日、長男のお友達と遊んでいると、次男がふとしたことで泣いてしまいました。その声を聞いたお友達は、部屋を飛び出し別の部屋に移動して帰って来なくなりました。それって聴覚過敏だったんだUpload By モンズースー「何か悪いことしてしまったかな…」その行動の意味がわからず、心配していたらその子のママが「ごめんね、聴覚過敏で赤ちゃんの鳴き声がダメなの」と教えてくれました。そういえば『光とともに…』の光くんと同じだ…とふと思い出し納得できました。Upload By モンズースーそのお友達にとっては、次男の声が耐えられないくらい嫌だったから部屋に入れなくなってしまったのでした。そしてその子は他にも「ハンドドライヤー」などの機械音も苦手と聞き、長男も同じだということに気づきました。Upload By モンズースー長男も聴覚が過敏で音の刺激に弱く、他の人が気にならない音でも怖いくらい不快に感じて困っていたのでした。人によってこんなに違う音の感じ方別の機会に長男と同じく発達の遅れを抱える子の集まりで「うちの子ハンドドライヤーがダメで…」と一人のママが話すと、なんとそこにいたほとんどの子ども達が苦手ということが分かったのです。他にも、トイレの水が流れる音、掃除機の音、ドライヤーの音などが苦手で、音が鳴ると別の部屋に移動したり、耳を塞いだりしている子もいました、普段何気なく聞いている音が人によってこんなに感じ方が違うのかと驚きました。Upload By モンズースー聞こえ方の違いは目に見えないので分かりづらいですが、こんなことが理由で困っている子もいるのだと知りました。※このコラムは『光とともに・・・~自閉症児を抱えて~』の場面の中から発達障害の事例を取り上げてご紹介しています。秋田書店『フォアミセス』誌でも掲載しています。よかったらお手にとってご覧くださいね!フォアミセス|秋田書店※新刊のご案内2017年9月にKADOKAWAよりコミックエッセイ『生きづらいと思ったら 親子で発達障害でした 入園編』を刊行しました!長男の入園を迎えた親子の日々を綴ります。将来について考える中で出会った進路の問題や、支援制度についても描いています。
2017年10月02日児童福祉法とは出典 : 児童福祉法とは、児童福祉を保障するためにあらゆる児童がもつべき権利や支援が定められた法律です。初めて児童福祉法が制定されたのは、戦後間もない1947年です。 戦争により親を亡くした戦争孤児たちは家もなく、路上での生活を余儀なくされていました。そんな社会背景から、子どもの健やかな成長と最低限度の生活を保障するために、児童福祉法が制定されたのです。それから半世紀以上が経過し、子どもたちのよりよい暮らしの実現に向けた改正が行われてきました。子育てに関する支援の中には、児童福祉法によって定められているものもあります。また、障害児の福祉サービスや基本的な考え方などを定めているので、お子さんの発達が気になる保護者の方々や、発達支援・障害福祉に携わる方々にとっても重要な法律です。今回は、児童福祉法とはどんな法律なのか、わかりやすく解説します。参考:厚生省児童局『日本における児童福祉の概況』児童福祉法の構成出典 : 法律は、総則・実体的規定・雑則・罰則の4つで構成されています。児童福祉法は8章あり、そのうち第一章が総則、第二章から第六章が実体的規定、第七章が雑則、第八章が罰則です。それらの8つの章により、児童福祉の大まかな枠組みが定められています。まずは簡単にそれぞれの章でどのようなことが定められているのかをご紹介します。総則とは、児童福祉法全体に共通する規定のことを指します。たとえば、国や地方自治体が保護者と共に児童の生活を守り、健やかな成長に対する責任があることが述べられています。児童の福祉を保障する上で、重視されている児童相談所の役割も定義があります。他にも、都道府県の児童福祉を保障するための児童福祉審議会の役割についても触れられています。さらに、児童の定義や児童に関する福祉施設や資格に対する規則も定められています。資格の中には、保育園で働くために必要になる保育士、児童相談所に配置される児童福祉司、市町村に配置される児童委員の3つの資格が規定されています。この章では、小児慢性特定疾病児童や身体に障害のある児童への療育の実施などについて記載されています。たとえば、小児慢性特定疾病医療費の支給であれば、その該当児童の保護者が都道府県が定める医師に診断書と共に都道府県に申請することが明記されています。このように、支援をだれが行うのか、何が必要なのか、などといった全体像が提示されています。詳しくは、後の「児童福祉法によって定められている支援とは」でご紹介します。章のタイトルにある「事業」には、放課後等デイサービスなどの障害児通所支援事業や保育園などの保育事業に代表されるような児童福祉に関連する事業が含まれています。これらの事業は、地方自治体が中心となっているため、自治体がその事業を行う権利を認めている規定が多くなっています。加えて、「養育里親」についても、詳しくまとめられています。里親制度は、家庭での養育が困難又は受けられなくなった子ども等に、温かい愛情と正しい理解を持った家庭環境の下での養育を提供する制度です。家庭での生活を通じて、子どもが成長する上で極めて重要な特定の大人との愛着関係の中で養育を行うことにより、子どもの健全な育成を図る有意義な制度です。この章では、それぞれの支援や事業の運営の予算をどこからだすのかを定めています。大きく分けて予算の出所は3つです。国、都道府県、市町村にわかれています。国の予算から都道府県、市町村の費用を負担している場合もあります。限られた予算でより良い児童福祉を実現するために細かく負担者が決められています。日本では、国民は何らかの健康保険に加入することが義務付けられています。保険に対してお金を支払っている以上、その保険は加入者にとって公平公正でなければなりません。国民健康保険団体連合会は、国民健康保険を通して社会保障を向上させるための法人として各都道府県に設置されています。児童福祉法の中では、この国民健康保険団体連合会が障害児通所や障害児相談支援などの支払に関する業務を行うことが定められています。参考:神奈川県国民健康保険団体連合会ー国民健康保険団体連合会とは?参考:国民健康保険法審査請求とは、行政による決定に対して不服がある場合に、再度その決定が適切であるかどうかを再審査する手続きのことを指します。児童福祉法では、市町村の障害児に関する給付費に不服がある場合に、保護者が審査請求を行う権利を明記しています。参考:総務省ー1.「行政不服審査制度」とは?第六章までに明記されてきた内容に関する細かい規則が定められています。総則ほどは重要ではない部分でも、児童福祉を保障する上で必要になる規定がここにまとめられています。児童福祉法で制限されている規定や禁止されている行為などを行った場合の処罰がまとめられているのがこの罰則です。児童福祉法によって定められている支援とは出典 : ここでは、児童福祉法によってどのような支援が定められているのかをご紹介します。おもに第二章「福祉の保障」と第三章「事業、養育里親及び施設」に規定されている、給付金や支援事業となります。児童福祉法では、児童の健やかな成長のために放課後児童健全育成事業なども定められており、地域での居場所つくりにも役立っています。子育て支援に関する事業を児童福祉法では「児童自立生活援助事業」と呼んでいます。その中には11個の事業が含まれており、子育ての中での困りごとに対する支援が行われています。今回は児童福祉法に記されている支援のなかから、特に障害児や小児慢性疾病などのサポートや子育てにおいて必要不可欠な支援をまとめました。・養育にまつわる事業児童福祉法では、保護者が何らかの理由で日常的な養育や保育が行えない場合に「子育て短期支援事業」や「一時預かり事業」として一時的な施設などでの保護を行う事業を定めています。自治体によってはショートステイと呼ばれることもあります。ほかにも「乳児家庭全戸訪問事業」は原則として、すべての乳児がいる家庭に訪問することで、保護者が悩みを相談することや、乳児の養育環境が適切かどうかを確かめる事業だと定められています。この事業によって、さらに支援が必要だとされた保護者向けに「養育支援訪問事業」があります。また、保護者のない児童又は保護者に監護させることが不適当であると認められる児童がみつかった場合には、「小規模住居型児童養育事業」により保護環境を届けることと定めています。・保育にまつわる事業乳児や幼児を対象にした「一時預かり事業」のほかにも、困りごとや特性に合わせていくつかの保育事業が規定されています。自分の家庭に保育士を呼び、面倒を見てもらうことを認める「居宅訪問型保育事業」や、保育園の中でもさまざまな理由から少人数での保育を提供する「小規模保育事業」があります。保育が必要な場所や理由もさまざまなために、保育士の家で保育を行う「居宅訪問型保育事業」や勤務先での保育を可能にする「事業所内保育事業」、病気に対するケアが充実している「病児保育事業」が規定されています。できるだけニーズに合わせた子育てを実現するために、多様な保育支援が用意されているのです。しかしながら、現状では整備しきれていない制度もあるため、決められた制度の中でどのような支援を行っていくのかは難しく課題でもあります。それらの支援に対する悩みなどを共有する場として、「地域子育て支援拠点事業」を児童福祉法では規定しています。乳児又は幼児をもつ保護者が相互の交流を行う場を用意し、子育てについての相談、情報の提供、助言その他の援助を行う事業になっています。悩みを抱え込まずに相談できる支援も、子育ての支援事業の中で保育と同じぐらい必要な支援として位置付けられています。児童福祉法では、虐待が見つかった場合の措置や、虐待を受けていた児童に対する支援を規定しています。虐待に関する基準などは下記の記事をご覧ください。また、虐待を受けた児童を保護する里親に関する規定も児童福祉法が規定しています。この虐待に関する支援や、措置に関しては平成28年度に改正が加えられました。この改正に関しては「児童福祉法の改正について」の章にまとめています。ここで紹介する事業は、施設に通うか、入所するかの障害児通所・入所支援とそれらの支援に対する給付金に関する事業の3種類です。・障害児通所支援事業障害児通所支援事業については以下の記事にまとめられています。法律の中では、児童発達支援、医療型児童発達支援、放課後等デイサービス及び保育所等訪問支援が障害児通所支援であると明記されています。4つの支援についてそれぞれ簡単に紹介します。・児童発達支援障害のある未就学(~6歳)の児童が通う。生活能力の向上のために必要な訓練、社会との交流の促進その他の便宜を供与する。・医療型児童発達支援(医療型児童発達支援センター)上肢、下肢又は体幹の機能の障害(肢体不自由)のある児童が通う。児童発達支援及び治療を行う。・放課後デイサービス6~18歳の就学児童(※場合によって20歳まで)が通います。授業の終了後や学校が休みの日に、生活能力の向上のために必要な訓練、社会との交流の促進などを目的とした多様なプログラムを設けています。・保育所等訪問支援専門知識を持つ児童指導員や保育士、理学療法士などが、障害のある児童が通う保育園・幼稚園を訪問します。障害のある子どもや保育園・幼稚園のスタッフに対し、集団生活に適応するための支援や支援方法の指導を行います。・障害児入所支援何らかの施設に入所して、支援や治療を受けることを障害児入所支援と呼びます。施設の利用に関しては、児童相談所が主に相談することが多いといいます。医療機関からの紹介や、身体的なリハビリなどを行うなど目的や理由もさまざまです。児童福祉法の中で、定義されている児童福祉施設に関しては、後ほどご紹介します。・障害児通所/入所給付費などの支給障害児通所給付費あるいは障害児入所給付費として国と自治体から利用料の9割が給付されることにより、自己負担1割でサービスが受けられるように定められています。詳しくは下記の記事をご覧ください。・小児慢性特定疾病医療費の支給特定の医療機関からの診断によって、医療費を支給することが厚生労働省によって定められています。詳しくは以下の記事をご覧ください。・小児慢性特定疾病児童等自立支援事業この事業では、小児慢性特定疾病児童をはじめ保護者や関係者に対する相談事業を行っています。具体的には、療育相談指導 、巡回相談、ピアカウンセリング 等などの支援が含まれています。上記の記事の中に、相談事業についてのまとめも掲載しています。そちらもご参考ください。参考:厚生労働省ー小児慢性特定疾病児童等自立支援事業の取組状況について・結核にかかった児童に対する支援児童福祉法では、結核にかかった児童のために療養とあわせて学習支援を行う制度を定めています。療育の給付と呼ばれており、この中には学習面はもちろん生活必需品の支給など物品面でのサポートも定められています。児童福祉法によって定められている児童相談所とは出典 : 児童相談所とは子どもに関するあらゆる問題の解決のために設置される専門的な相談機関です。児童相談所には、スタッフとして児童福祉司(ソーシャルワーカー)、児童心理司、医師などの専門家から構成され、すべての都道府県と政令指定都市に設置されています。詳しくは下記の厚生労働省ページから各自治体の設置情報をご覧ください。児童相談所は、18歳未満の子どもに関することであれば、本人・家族・学校の先生・地域の住民等、どんな立場からでも相談することができます。相談することで、周辺の機関との連携によって必要な援助を行っていきます。相談される内容は、親の事情や子どもの問題行動等による子育ての悩み、障害児福祉、虐待の対応などの問題などが主になっています。それらの問に対して、専門家による助言や治療の補助、さまざまな手当ての案内などの支援を行います。いきなり学校や病院に相談することは気が引けるが自分だけでは解決が難しい時、誰かに相談に乗ってほしい時には、児童相談所に相談してみることをお勧めします。参考:全国児童相談所一覧|厚生労働省児童福祉法によって定められている児童福祉施設とは出典 : 今回は、児童福祉施設を3種類にわけてご紹介します。・保育所幼保連携型認定こども園幼稚園と保育園の両方の機能を持った施設です。就学前の児童に対する教育から、0歳からの保育を行うことができます。詳しくは以下の内閣府ページをご覧ください。Upload By 発達障害のキホン内閣府ー認定こども園とは・助産施設主に産科病院や助産所が「助産施設」と認定されている場合が多いです。経済的な理由により、入院などが難しい場合、妊産婦から申込みがあったとき助産施設は助産を行わなければならない、と規定されています。・乳児院何らかの理由で保護者の養育を受けられない乳幼児を養育する施設です。一般的な養育だけではなく、被虐待児・病児・障害児などに対応できる専門的養育機能を持っている場合もあります。・母子生活支援施設何らかの理由で一般的な生活を送ることが困難になった母親と児童がともに入所して生活を送ることができる施設になります。施設では、利用者の安定した生活のための相談や援助を行っており、自立した生活を目指しサポートを行っています。・児童厚生施設児童館や児童センターなどの施設を児童厚生施設と呼びます。児童が安全に遊べる場所であり、発育には欠かせない大切な機能を持っている施設です。・児童養護施設児童養護施設は、保護者のない児童、虐待されている児童などの養護を目的とした施設です。退所した児童に対しては相談を行うことや、自立のための援助も行っています。・児童自立支援施設及び児童家庭支援センター児童に関係する人からの相談に応じ、必要なサポートの提案を行う施設です。また、児童相談所など実際の支援につながる機関への紹介を行っています。この施設は、児童相談所の機能をサポートするために児童福祉施設等に設置されていることもあります。児童福祉法で定められる、障害のある児童の支援に関する施設出典 : ・障害児入所施設障害のある児童を対象に、医療や保護などを行う入所施設です。障害種別ごとに作られていた入所施設が障害者総合支援法の改正に合わせて一元化されました。・情緒障害児短期治療施設(児童心理治療施設に改名予定)軽度の情緒障害を有する児童を対象にした施設です。情緒障害とは、精神的なコントロールが難しく生活に困難が生じることを指します。この施設に短期間、入所もしくは通所することで、その情緒障害を改善することを目的としています。さらに、自閉症や発達障害の児童も利用可能なため、治療を受けることができます。・児童発達支援センター障害のある児童に対しての療育や、相談事業を行っています。詳しくは下記の記事をご参照ください。参考:児童福祉施設の設備及び運営に関する基準児童福祉法の改正について出典 : 平成28年度に児童福祉法が改正されました。児童によりよい発育を届けるために、法律も社会背景にあわせて改正が行われているのです。今回の改正で主に着目されたのは以下の4つです。今回の改正により、すべての児童が適切な療育をうけることが改めて強調される形に改正されました。また、都道府県・市町村の役割と責任も再整理され、より児童の養育環境が地域単位で充実するように改善が行われました。母子家庭に対する母子健康包括支援センターの設置を市町村に命じたり、虐待を起こさないための改正が行われました。虐待に関する情報を市町村にどのように共有するかという課題を改善するための取り組みが行われています。自治体単位での児童相談所の増設や、児童福祉司などの専門的な職員の増員が決まりました。そもそも虐待に関する業務を行う人員を増加する流れもあるといえるかもしれません。里親に引き取られた児童の自立支援の充実を目的としています。それに合わせて里親の認定を推進していくことも児童相談所の業務として位置付けることで、援助の充実につながる改正となっています。参考:厚生労働省ー児童福祉法等の一部を改正する法律案の概要まとめ出典 : 子どもの健やかな成長のためには、保護者の養育はもちろん地域単位での支援が必要不可欠です。児童福祉法では、児童と保護者の支援をもとに、地域社会に対する責任や支援内容も規定しています。これからも児童のために法律が改正されることでしょう。市民の声が法律に反映されていることも少なくありません。児童福祉法で新たな支援が決まることで社会に与える影響はとても大きいのです。どこまで児童福祉法の支援が影響を与えるかは人それぞれ異なりますが、子どものためにはなくてはならない法律なのです。さまざまな支援がある中で、どのような支援を利用するのかを知ることや、地域での取り組みを知ることでこれまでとは違った子育ての方法が見えてくるかもしれません。児童福祉法の理念を知れば、保護者の皆さんがわが子を大事に思うように、社会全体で児童という存在がいかに大切な存在なのかに気づかせてくれるはずです。
2017年09月30日実家に帰省すると、突然実母に褒められた息子たちを連れて実家に遊びに行ったときのことです。Upload By ラム*カナUpload By ラム*カナそう。母も私も、長男(すこぶる記憶力のないすっとぼけ男子)に、何か聞いたところでまともに返事が返ってこない日常に、慣れ過ぎていたのです。ズッコケな日々に、キラキラの裏側が隠れていたなんて…。だってうちは、こんな普通のことで感動できるよ…!
2017年09月30日人生の岐路!?中3夏の三者面談息子が中学校にあがるとき、私の一番の不安は、教科ごとに先生が変わるということでした。Upload By ひらたともみ小学校のときは担任の先生にLDの理解を得ることが出来ており、本人も困ったことがあれば気軽にサポートを受けることができました。たとえばグループ活動での授業や理解の難しい連絡事項などは、家庭宛てに担任が一筆メモをしてくれていたので、目立った大きな失敗もなく卒業することができたのです。ですが中学校で関わる先生は担任ばかりとはいきません。担任以外に教科ごとの先生にLDのことをお話したほうがいいのだろうか、部活の顧問の先生にもサポートを頼んだ方がいいのだろうかと悩みました。Upload By ひらたともみ結局私は毎年担任の先生にLDについての理解を求めるだけにとどめたのですが、3年間、すべての担任の先生に恵まれ、学校ぐるみで理解を示してくださり、息子リクは、ずっと普通クラスに在籍し、大好きな部活もこの夏の引退まで続けることができました。そしてLDっ子が高校生になれるか否かの大事な三者面談が、この夏行われました。家でほとんどリクが勉強している姿を見たことがない私は、高校進学は諦める方向を打診されるんではないかとビクビクしながら行ってきたのです。想像の斜め上を聞かされた母、唖然呆然…リクの担任は女性。もちろんLDについての理解もあるので、なにかと頼りになる存在です。そしていきなり、受験生らしい核心にふれた話になったのですが…Upload By ひらたともみUpload By ひらたともみUpload By ひらたともみUpload By ひらたともみUpload By ひらたともみUpload By ひらたともみUpload By ひらたともみいろいろとショックな三者面談でした…。家ではあまり勉強する姿を見たことがないし、それどころか、たぶん課題も出せない(できないから…)のだろうと勝手に考えていたのです。リクの性格は温和ですが、思春期真っ只中ということもあって、母親には学校での出来事など話さなくなりました。よく勉強し、クラスの頼れる存在なんて、自分の耳を疑いましたが、中3になってからリクに学習意欲がでてきたことは、心から嬉しく、そして先生方や周囲に恵まれてきたことに、心から感謝した一日でした。
2017年09月30日突然手つなぎを拒否するようになったカム、なんで?Upload By shiori手をつなぐことを拒否され、ショックを受けた私。これはもしや反抗期か?ママと手をつないで歩くのが恥ずかしい?自由に一人で歩きたいという要求?ああ〜その気持ちはわかるけど一人で歩くのはまだ危ない…どうしよう!頭の中で色々なことを考えました。…するとカムは私の腕を取り、手を添えたのです。カムの本当の要求は、手をつなぐのが嫌ということではなく、ママと腕を組んで歩きたいということでした。なんだ〜そうだったのか!それならまぁいいんだけど…いったい何故腕を組みたいと要求してきたのだろう?この時はわからなかったけど、後日、買い物に出かけた時に原因が発覚しました。やっぱりママが犯人出典 : 買い物中、どうしても両手が必要な時、つないだ手を離してしまうとカムが何処かへ行ってしまうので、いつもこうやってカムの手を脇に挟んでいたのです。私が毎回こうするので、これがカムの中でルールになってしまったようです。無意識でやっていたことだったので気がつきませんでした。そうか。やっぱり私の行動が原因だったか。カムと一緒にいる時間が長いので、私の行動がカムの習慣になってしまうかもしれない!これからは自分の行動に気をつけなければ!と思ったのでした。ラブラブ?出典 : やっぱり腕を組むよりは手を握った方が安心なので、一応毎回手をつなごうと誘ってみますが、お散歩の時や買い物の帰り道では腕を組んで歩くことを要求するカム。ん〜そうか。ちょっと歩きにくい…けど、なんか仲良しカップルみたいで内心嬉しい。私のポジションは男側ですけどね。
2017年09月29日初めて双子の母になった私。幸せをかみしめていたけれど8年前のクリスマスイブ、我が家の双子は産声をあげました。か細い声で泣く次男とは対照的に、長男は振り絞るような大声で泣いたことを覚えています。Upload By シュウママ思っていたよりも小さく生まれてしまったので、双子はそのまま保育器に入ることになりました。私はおもちゃのように小さな双子の手を握りながら、他には何も望まない、ただ元気に育ってほしい――そのことだけを強く念じました。生まれた時にか細い声で泣いていた次男は、搾乳したお乳を飲んでどんどん体重が増えていきます。けれど、同じように飲んでも長男はなかなか大きくなりませんでした。Upload By シュウママ結局、次男は私と一緒に退院できましたが、長男は一人残され、病院の保育器で過ごさなくてはなりませんでした。明日が退院という日。長男の体に異変が「体重が増えてきたから、明後日には退院できますよ!」2週間が経ち先生と看護師さんにそう言われた時、どれほど嬉しかったことでしょう。やっと一緒に帰れるんだ!不安が募っていた私の心は浮き足立ちました。けれど翌日病院に行くと、いつものベッドに長男の姿はありませんでした。Upload By シュウママ不審に思っていると、看護師さんから診察室に入るように促されました。診察室の中で、先生はどこか浮かない顔をして言いました。「昨日の夜に、息子さん変わった色のウンチをしましてね…。念のため今から検査したいと思います。結果は明日お話します」きっと大丈夫だ、念のための検査なんだ――この時はまだ、私は事態を深刻に受け止めてはいませんでした。私は「わかりました」とうなずいて病室を後にしました。Upload By シュウママ検査の結果は重い難病…。告知を受けて、目の前が真っ暗に翌日のこと。検査結果を聞くために診察室に入った瞬間、私は先生が暗い顔をしていることに気が付きました。先生は1枚のレントゲン写真を私に見せ、辛そうな顔をして言いました。「この子の体には胆嚢が確認できません。詳しくは大学病院で検査を受けてください。結果によっては早急に手術が必要になります。黄疸もありますし、場合によっては肝臓移植は必要になるかもしれません。」Upload By シュウママ医師からそう告げられた瞬間目の前が真っ暗になりました。その後、私は自分がどんな顔をしているのか、どんな風に診察室を出たのかも覚えていません。ただ待合室の椅子に座り、双子が生まれた時のことを思っていました。元気な体で産んであげられなくてごめんね……そんなことを考えていると、あとからあとから涙がこぼれてきました。Upload By シュウママ待合室で涙をぬぐっていた私に声をかけたのは…しばらくそうしていると、渡り廊下の向こうから見覚えのある看護師さんが歩いてくるのが見えました。双子がお腹にいる間、私はしばらく入院していたのですが、その間お世話になった方でした。看護師さんは私の涙に気付かないふりをして、明るい声で声をかけて下さいました。Upload By シュウママ私はハンカチで涙をふきながら、ろくに挨拶もできないでいました。けれど看護師さんは、私が泣いている理由をおおよそ知っている様子で、どこか労わるような目で私の方を見ていました。『そうか、この人が長男の便の色に気がついたのかもしれない』そう思った私は「長男の病気を見つけてくださってありがとうございました」と頭をさげました。看護師さんが気付かせてくれた長男の生命力すると看護師さんは「違いますよ」と大きな、はっきりした声で言いました。「お母さん、私たちじゃないですよ」思わず顔を上げた私に、彼女はこう言ってくれたのです。Upload By シュウママそれは完全に打ちひしがれていた私にとって大きな力をくれた言葉でした。『この子は生命力のある子ですよ。だって最後の最後で自分の体の危険信号を知らせてくれたんだから』彼女の言葉からそんなメッセージが汲み取れたのです。その時すっと涙がひきました。振り絞るような大声で生まれてきた長男の姿と「生命力」という言葉が重なったからです。もし長男が退院前のタイミングで便を出さなかったら、私では病気に気付けなかったでしょう。治療は適切に行われず、現在、命があったかどうかも正直わかりません。この後、長男は薬が効果的に働いたことで肝臓疾患特有のかゆみが治まり、さらには旺盛な食欲で離乳食をどんどん食べるようになりました。生きるために必死にしがみつき、食べて食べて食べまくり、自分で体を大きくしていったのです。本当に生命力のある子どもだったのです。Upload By シュウママあの時の言葉があるから、苦しい時も長男の力を信じて進める今でも長男は毎月検診を受けなくてはならず、自閉症の経過観察で通院しなければなりません。けれど、あの時看護師さんがくれた言葉は、様々な苦しい場面で私を助けてくれるのです。うまく意思疎通ができず癇癪をおこす長男に対するとき、私も心が折れそうになります。けれど大丈夫――。長男は強い子だからきっと運命を変える力がある、そのうち言葉が話せるようになるーそう強く念じました。今、長男は少しずつ言葉数が増えて、簡単なやりとりができるようになりました。かつて絵本を引き裂き、テーブルをひっくり返して癇癪をおこしていた長男がです。そんな時私は、絶望を希望へと導いてくれた看護師さんの言葉がどれほど温かいものだったか思い出すのです。ああ、あの時私を救ってくれてありがとう、と。
2017年09月28日「好き」が、強い「こだわり」になってしまった息子。発達障害のある子どもは、よく興味の対象が「狭くて深い」と言われます。自閉症スペクトラム障害、ADHDと診断されている息子の場合も例に漏れず、発語があった1歳前半から幼稚園の年中あたりまで、興味の対象は「車」のみでした。Upload By 林真紀「トミカ」は恐らく100個ぐらいは集めたと思います。何かのご褒美として買うのはもちろん、フリーマーケットやバザーなどで大量買いすることもありました。息子はトミカを何個も並べ続けて、それを寝っ転がって眺めては幸せそうにしています。最初は、そんなトミカ遊びを続ける息子に、私はほのぼのとしていたものです。しかし、息子の「興味」はやがて「こだわり」に変わります。やがて、誰かからトミカ以外のプレゼントをもらうと癇癪(かんしゃく)を起こすほどになりました。プレイルームなどに行って、車のおもちゃがないとパニック。新しい環境で不安になると、「トミカ~、トミカどこ~」とべそをかきながらグルグル回り始めます。私たち家族は、息子の「トミカ大好き」に振り回され始めるのでした。「何かをうんと好きになって極めて欲しい」。そんな親の願いはある意味叶っていたにも関わらず、そのあまりのこだわりの強さに親の側が疲弊してしまう結果に。そしてまた、トミカ以外の物にはほとんど興味を示さない息子にも、不安を感じ始めました。興味の対象が狭いので、人形劇や紙芝居などは全く聞いていられません。幼少期の息子はどこに連れていっても、トミカを並べて遊ぶ以外のことが出来なかったのです。なんとか興味を広げていきたいという親の願い息子の興味の狭さとこだわりに疲れを感じつつも、私はトミカから息子を遠ざける気にはなりませんでした。息子にとっては、精神的に不安定になったときに、唯一自分を癒してくれる世界がトミカだったのです。そう考えた私は、思う存分息子にトミカで遊ぶ時間を与えることにしたのです。1歳のときから、およそ3年間。息子は寝ても起きてもトミカ一色でした。Upload By 林真紀そんなある日私は、息子の様子がいつもと違うことに気づきます。トミカに埋もれる息子の様子はこれまでよりも覇気がなく、どうやら「遊び尽くした感」を感じているような気がしたのです。新しいものは怖いからトミカで遊ぶ、でも正直飽きた、でも新しいものは怖い…。そんな、悪循環に囚われ身動きが取れなくなっている様子を見て取ることができたのです。加えて、トミカで遊ぶときの息子の集中力が明らかに落ちていて、トミカの新製品を見つけても、大喜びで飛びつくようなことはなくなりました。私はそのとき、「興味の対象を広げるなら今だ!」と感じたのです。とはいえ、私は息子のこだわりの強さはよーく分かっているので、突然全く新しいものを与えたとしても「トミカじゃなきゃ嫌!!」と癇癪を起こすことは火を見るより明らかでした。そこで私は、連想ゲームのように、「トミカ」「車」に関係のある別のおもちゃを探しました。また今度は「出来上がった」ものではなく、息子自身が作ってゆけるものを選ぶことを思いついたのです。さまざまなアイテムを調べた結果、車を作ることのできる幼児用のレゴセットを見つけました。国内では売っていなかったので、インターネットで海外から取り寄せることに。最初にそれを見た息子は、「作るのは嫌っ!!!」「出来上がったのちょうだい!!」と癇癪を起こしたもの、少しずついじっているうちに、すぐにハマり始めたようです。やがて、車だけが興味の対象だった息子は、レゴの世界に引き入れられていきます。最初はいろいろな形の車を作って遊んでいましたが、今度は周りの建物も作り始めました。これは大きな変化でした。息子の世界は、最初こそ目の前の車だけでしたが、ときがたつにつれ立体的に広がっていき、車の周りにある信号、道路、ビルへと飛躍的な広がりを見せたのです。そして遂に、ゲームの世界へ息子にレゴを与えたのは4歳のとき。息子は、レゴとトミカを組み合わせながら、部屋の全面を使って遊び続けました。これも、一切邪魔することなく、小学校入学まで思う存分やらせました。そして小学校1年生になって、息子の興味の対象に、大きなブレイクスルーがあったのです。Upload By 林真紀息子は、「マインクラフト」というゲームの面白さにハマり始めます。姉がやっていたのを見て、息子も興味を示し始めました。「マインクラフト」の世界は、立方体のブロックで構成されており、建造物やその他の様々なものをブロックを使って自由に創造することができます。これは、今まで息子がハマっていたレゴ遊びを、ゲーム上でやる感覚です。ブロックにはたくさんの種類があり、積み上げるのも壊すのもリモコン1つで簡単にできます。息子は、このゲームの面白さを知ってから、外出するたびに目に飛び込んでくる建造物に大きな関心を示すようになったのです。狭くて深い興味を強みに変えるUpload By 林真紀マインクラフトにハマっていった息子は、本屋さんで攻略本を欲しがるようになりました。ところが攻略本は、小学校1年生には読めない漢字や英語表記などが満載です。私は負荷が大きすぎるとすぐに投げ出してしまう息子の性格を知っていたので、「攻略本はもうちょっと大きくなってから買おうよ」と言ったのですが、息子はどうしても引き下がりません。結局私のほうが根負けし、何冊か購入することになったのです。攻略本への興味もいつまで持つやら。そんなことを考えていました。ところが蓋を開けてみてびっくりです。息子は漢字も英語表記も、辞書を使ったり、私や娘に聞いたりしながら、必死に読みこなしているのです。発達障害のある息子の「こだわり」や「狭くて深い興味」が、強みに変わった瞬間だったように思います。最近は、気付けば攻略本を読んでいるので、これも思う存分ハマらせてみようと思い、口を出さずに見守っています。興味の対象を「取り上げず」に「広げる」出典 : このように、うちの息子は「トミカ」→「レゴ」→「マイクラ」という感じで、狭くて深い興味を少しずつ広げていくことができました。発達障害のある子どもはこだわりが強いため、ひとたび「好きなもの」にこだわり始めると、親も振り回されて疲れてしまうことがあります。けれども、そのこだわりを取り上げてしまわないことが大切だと強く感じます。決して取り上げず、思う存分遊ばせて、連想ゲームのようにそこから少しずつ世界を広げていくことが重要だと思うのです。子どもの世界を広げたいと願うのは多くの親が同じだと思います。けれども、そのこだわりを否定して、全く別のものを与えても、子どもは不安になるだけです。親子の信頼関係も崩れてしまうと思います。興味の対象を「取り上げず」に「広げる」、全く違うものを持ってくるのではなく、その興味の対象と重なるものを増やしていく。そのうちに、不安なときに小さな世界に逃げ込むばかりだった子どもが、自らの世界を広げていくために好きなものを開拓していくようになる日が来るかもしれませんね。
2017年09月28日小さいころからおしゃべりが苦手だった娘。一歩ずつ成長してきました!娘は、現在6歳。2歳半で、発育遅れを指摘され、4歳で、広汎性発達障害の診断を受け、今年、普通小学校に入学しました。Upload By SAKURA小さな頃から、おしゃべりが苦手で、人に、物事に、興味を示さなかった娘は、4歳前までまともに会話が出来ない状態でした。しかし、少しずつ…少しずつ成長してくれ、現在、日常会話はしっかりと出来るようになっています。Upload By SAKURA娘の激しい凸凹…出来ることには驚異的な力を発揮する一方娘は、出来ることと出来ないことの、凸凹が激しいという特性を持っています。自分で考えたことを文章にする作文や、自分の思いを話したりすることがほとんど出来ません。娘にとって、「自分で考える」という、自由な発想や不確かなものは、とても難しいのです。逆に、決まりきったものは好きなので、暗記は得意。文章や図形の暗記には、大人顔負けの記憶力を発揮します。現在、娘が苦手な分野に関しては、少しずつ…少しずつ出来るようになるように、作文の練習や、思ったことを口に出して言う訓練も続けています。Upload By SAKURAUpload By SAKURA周りからかけられる言葉に、つい焦りそうにしかし、小学校に入学すると急に、周りから、「まだ作文書けないね~」「なんで言えないのかな~」「ちゃんと、思ったことを言えるように、親が言い聞かせないとね~」と、指摘されることが増えてきました。娘は、言わない、やらないのではなく、どうしても出来ないのです。こういった特性を持つ子は、言われたから出来るようになるものではありません。今までも、時間をかけて出来るようになったのだから、きっと時間はかかる。それでも少しずつ、毎日の成長は目に見えないぐらいちょっとでもいい。数年かければ、きっとかわる!そう信じて療育を続けてきても、周りからの言葉は私の心に突き刺さり、傷つき、焦ってはいけないと思いつつも、イライラし、流され、焦りそうになってしまうことが何度もありました。Upload By SAKURA『うさぎとかめ』の、「かめ」でいようそんな時…何度もこう自分に言い聞かせてきました。「娘には娘のペースがある。私が焦っても、娘が早く成長するわけではない。周りからの言葉に傷つき、悩む暇があったら、療育に時間をかけよう!」と。人間にはそれぞれ価値観があります。自分と違う考え方をする人を変えることは、なかなか難しいです。自分と違う価値観の人がいることは、当たり前。他人は、私たちの今までの日々を知らないのですから。私たちにとっては「心ない…」と受け取れる、その言葉に流されて、傷ついて、ここまで、娘と頑張ってきた療育の軸をずらしてはいけない。ーそう思い、いつもブレそうになる自分を、元の位置に戻しています。そして、いつも思い出すのは、うさぎとかめの物語。私は娘と、かめのようにゆっくり歩き、他の子があっという間に登ってしまう山を、周りから「遅いな~」と言われながらでも、少しずつ確実に登っていきたいなーと思うのです。Upload By SAKURA
2017年09月27日今年は日本科学未来館で開催!みんなが主役のIT×ものづくり発表会Upload By LITALICOニュース2017年10月15日(日)に、子どもによるプログラミングやロボット製作による作品発表会「ワンダーメイクフェス4」が日本科学未来館にて開催されます。当日はパソコンにはじめて触れるような子どもでも楽しめる、最新のテクノロジーやガジェットに触れられるワークショップも同時開催となります。「ワンダーメイクフェス」は、プログラミングやロボット、デジタルファブリケーションといったテクノロジーを活用したIT×ものづくり教室「LITALICOワンダー」が主催のイベントです。LITALICOワンダー開校当初から、子どもたちと社会との接点を増やすことを目的に、通塾生の作品発表会として開催を続けています。2015年の初めての開催から回を重ねるごとに、内容・規模ともに大きく進化しており、今年で4回目となる今回は来場者3000名以上、発表者450名以上を見込んでいます。当日は、プログラミングやロボット製作など、テクノロジーを活用した学びについて楽しみながら知ることができるコンテンツが盛りだくさん!マウス操作のみでプログラミングが可能なビジュアルプログラミング環境「Scratch(スクラッチ)」や、子どものロボット世界大会でも使用されているロボット教材「教育版レゴ®マインドストーム®EV3」などをその場で体験できるブースや、年長~高校生に子どもたちによるゲームやアプリ、ロボット、デザインなどの制作物のプレゼンテーションも観覧できます。親世代にとっても、具体的なイメージの持ちにくいプログラミング教育やICT教育に関して、実際に見て体験できる場となっています。Upload By LITALICOニュースワンダーメイクフェスを主催するIT×ものづくり教室「LITALICOワンダー」は、幼児から高校生を対象として、試行錯誤することを通じて「創造力」を育むことを目的に、2014年4月、渋谷に開校しています。プログラミングやロボット、デジタルファブリケーションといったテクノロジーを活用したものづくりの機会を提供しています。現在、6教室合わせて約1900名の子どもたちが定期コースに通っています。LITALICOワンダーでは、IT×ものづくりの機会を通して、子どもたちが創造力を解放してその子らしい世界を拡げられる社会をつくることを目指して教室運営を行っています。発達障害の子どもたちも多数通塾しており、年齢や特性などでクラス分けなどなくフラットに通っています。好きなものを通じて、できることが増え、自信や自己肯定感が高まる子どもたちもたくさんいます。子どもがテクノロジーに見て、聞いて、触れるイベント!ここからは、今年の「ワンダーメイクフェス4」の見どころをご紹介します!Upload By LITALICOニュース年長・小学生~高校生の子どもたちによるプログラミングやロボット製作などのプレゼンテーションや展示が、ワンダーメイクフェスの目玉プログラムです。プロのエンジニアやデザイナーによる作品審査やフィードバックも実施します。発表スタイルは、様々な形式を用意しており、ブース出展122名、ステージ発表66名、ポスター・動画展示236名の子どもたちが発表予定です。コーディングやデザイン、企画、プレゼンテーション力など、子どもによって異なる特徴や強みが作品や発表内容を観覧できます。プログラミング教育やICT教育における多数の成長事例を感じられる場です。Upload By LITALICOニュースLITALICOワンダーが実施するゲームプログラミングやロボット製作が体験できるコーナーです。Scratch(スクラッチ)、マインドストームといったICT教材を体験できます。プログラミングやロボットの習い事や、学校への導入を検討している方向けの相談も受けつけています。<実施予定コンテンツ(対象学年)>※変更の可能性あり・パソコンで簡単なゲームづくりに挑戦(小学1年生~高校生)・ブロック教材でロボットをつくって動かそう(年長~小学3年生)・ロボット製作とプログラミングでミッションに挑戦(小学3年生~高校生)パートナー企業による最新ガジェットを体験できるブースです。子ども向けのIT教材や楽しいガジェット/ツールの最新事情をいち早く手にとって知ることができます。誰でも参加できるブースコーナーとミニワークショップ(一部事前申し込みが必要なものがあります)があり、こどもも大人も楽しめるコーナーになっています。出展予定企業※今後も追加・変更の可能性がありますユニティ・テクノロジーズ・ジャパン合同会社/ブラザー工業株式会社/KOOV(株式会社ソニー・グローバルエデュケーション)/MESH(ソニー株式会社)/合同会社GENKEI/株式会社サーティファイプログラミングやデザイン等を学ぶことができる専門学校や、多様な個性を持ったお子さまが安心して通える通信制高校などによる「学校説明会」を行うブース。将来専門的にプログラミングやデザインを学ぶ際の選択肢として、どのような学び方があるのかを知ることができます。出展予定校※今後も追加・変更の可能性がありますCode Academy/バンタンゲームアカデミー高等部/クラーク記念国際高等学校(秋葉原ITキャンパス)/明蓬館高等学校など10/15「ワンダーメイクフェス4」開催概要Upload By LITALICOニュース▼開催日時2017年10月15日(日)10:30~17:30(10:00~開場)▼開催場所日本科学未来館(東京都江東区青海2-3-6)新交通ゆりかもめ「テレコムセンター駅」下車、徒歩約4分▼タイムスケジュール<ステージ発表>10:00開場10:30オープニング11:00第一部ステージ発表13:00第一部表彰式15:00第二部ステージ発表17:15第二部表彰式<ブース出展>10:00開場10:30第一部ブース発表13:00第二部ブース発表15:30第三部ブース発表※12:00-13:00、14:30-15:30の時間帯はブース発表者の設営時間となっており、作品展示を見ることができません。そのほか、・動画&ポスター展示・IT×ものづくり体験ブース・協賛企業ブースなどは開催時間中、随時参加可能です。そのほか、子どもたちがその場で製作するライブクリエイトブースやフォトスポット、サインラリーなど、「IT×ものづくり」を1日しっかり楽しめるコンテンツを多数用意しています。休日のお出かけ先にいかがでしょうか。ご興味のある方は、以下のボタンをクリックし、申し込みフォームからぜひお申込みください!
2017年09月27日モデル・栗原類さん15万部突破の自叙伝が、コミック版となって12月8日(金)発売決定!テレビの情報番組で、ご自身が発達障害のADD(注意欠如障害)であることを公表したモデル・俳優の栗原類さん。生い立ちから現在まで「発達障害」に向き合って来た道のりを語った自叙伝『発達障害の僕が輝ける場所をみつけられた理由』は反響を呼び、「発達障害」が広く世間に知られるきっかけとなりました。書籍は、当事者や発達障害の子を持つ親御さんを中心に多くの方に支持され15万部を突破。このたび、子どもたちや活字が苦手という方にも手に取りやすいコミック版としての発売が決定しました!『マンガでわかる発達障害の僕が羽ばたけた理由』概要2016年10月に出版し、15万部突破となったエッセイ「発達障害の僕が 輝ける場所を みつけられた理由」(KADOKAWA)をコミック化。8歳のときNYで発達障害と診断され、生い立ちから現在までどう歩んできたか、ストーリーマンガ形式で、当時どのような気持ちで、どう壁を乗り越えたのかがよくわかり、ポイント解説で、羽ばたくことのできた理由を、わかりやすく知ることができる。文字だけの本が苦手な方やお子様にも。母、主治医のコメントも収録。スマホの活用方法や、現在の発達障害の支援環境についてなど、参考になる情報も加筆。『マンガでわかる発達障害の僕が羽ばたけた理由』著:栗原類画:酒井だんごむしKADOKAWA /2017/12/8発売予定/1200円(税別)著者: 栗原類(くりはらるい)1994年東京生まれ。イギリス人の父と日本人の母を持つ。8歳のときニューヨークで発達障害と診断される。11歳のときコメディ俳優になりたいという夢が芽生える。同年日本に帰国。中学時代にメンズノンノなどのファッション誌のモデルを経て、17歳の時にバラエティ番組で「ネガティブタレント」としてブレイクする。19歳でパリコレのモデルデビュー。22歳の現在は、モデル・タレント・役者としてテレビ・ラジオ・舞台・映画などで活躍中。楽天ブックス: 『マンガでわかる 発達障害の僕が 羽ばたけた理由』 著: 栗原類昨年、『発達障害の僕が輝ける場所をみつけられた理由』を栗原さんが出版された際も、LITAICO発達ナビでは、編集長によるインタビューや、発達ナビライターによる感想コラムなどを通して書籍の見どころや栗原さんのお人柄を紹介してきました。以下は、栗原類さんを特集した発達ナビコラムのリンクになります。コミック版の新著発売を待つ間、これまでのコラムをお楽しみいただければ幸いです。
2017年09月26日厚労省が「精神・発達障害者しごとサポーター」の養成を決定出典 : 精神障害や発達障害のある人が働きやすい職場作りを促すべく、厚生労働省は今秋から「精神・発達障害者しごとサポーター」の養成講座の開催を決定しました。企業の経営者や管理職、人事部といった人材に限らず、広く一般従業員を対象にした講座です。実際に職場の同僚となる人たちに、精神・発達障害に関する知識や必要な配慮について学んでもらうことで、より身近で具体的な支援体制を作ることを目的としています。「今年度内に2万人の受講およびサポーターの養成を目指す」(厚生労働省)とのことです。毎年、厚生労働省が発表している「障害者雇用状況の集計結果」によると、精神・発達障害者の雇用は2006年から年々増加しています。そのような中、厚生労働省は精神障害者の雇用義務化に伴ない、今年5月に民間企業に義務付けている障害者の法定雇用率の段階的な引き上げを決めました。今まで以上に精神・発達障害者の雇用機会が増え、その人数も増えることが予想されています。一方で、厚生労働省が行った2013年の障害者雇用実態調査によれば、精神障害者の平均勤務年数は約4年。身体障害者のそれが約10年であることと比べても、職場の定着率は高いとは言えません。主な理由は「職場の人間関係」にあると考えられています。例えば、同調査では、精神障害があり、転職を経験した人のうち、半数以上は転職の理由を「個人的理由」だと回答しています。さらに具体的な理由を複数回答で選択してもらうと、「職場の雰囲気や人間関係」と答えた人が33.8%と最も多い結果となりました。こうした状況を受け、「職場の同僚がその人の障害特性について理解し、共に働く上での配慮をしていくことが重要であろうと考え、人事担当者や障害者雇用担当者を中心に行っていた従来のセミナーに加えて、一般の従業員の方を主な対象に、精神障害、発達障害に関して正しく理解いただき、職場における応援者=精神・発達障害者しごとサポーターになっていただこうと考えました」(厚生労働省障害者雇用対策課)とのことです。厚生労働省は約4,300万円の予算を拠出し、今秋から随時、講座を開催していく予定です。誰が講座を受けられるのかこの講座は、企業の雇用者であれば、誰でも受講可能です。受講時間は2時間程度で、特に企業は受講や受講人数を義務付けられてはいません。有志による受講となっています。修了者には「精神・発達障害者しごとサポーター」として、パソコンにはることができるステッカー(写真)や首からかけるストラップなどの「精神・発達障害者しごとサポーターグッズ」の進呈が予定されています。Upload By 発達ナビニュース精神・発達障害者しごとサポーター養成講座では、具体的に「精神疾患(発達障害を含む)の種類」、「精神・発達障害の特性」、「共に働く上でのポイント(コミュニケーション方法)」を学びます。これらの内容について75分程度の講義で学んだ後、15分から45分程度の質疑応答を行う構成となっています。養成講座の講師は普段から、精神・発達障害のある方の就労支援をしているハローワークの職員が担当します。精神・発達障害者サポーターの役割は?出典 : ここで、改めて理解しておかねばならないのは、「精神・発達障害者しごとサポーター」は特別に何かの義務や責任を負う資格ではないということです。サポーターになったら、「○○をしなければならない」といったことは決まっていません。また、しごとサポーターは障害のある特定の同僚を一人で支援しなければならないといったものでもありません。確かに、精神・発達障害者しごとサポーターがいることで、職場で精神障害のある人や発達障害のある人が働く上で、周囲から正しい理解や配慮が受けられるようになり、より働きやすい職場に変わっていくことが期待されます。しかし、障害の有無にかかわらず、共に働くことができるような職場の実現のためには、精神・発達障害者しごとサポーターに特別な役割を求めるのではなく、講座を受けていない方も一緒に職場の雰囲気作りにかかわっていくことが大切です。精神・発達障害者サポーターに関する問い合わせ先企業に勤めている方であれば、勤務先や身近身近に精神・発達障害者で働いている方がいなくても、誰でも講座に参加できます。「ぜひ参加したい」と思われた方はお住まいの地域の都道府県労働局にお問い合わせください。講座は、厚生省があらかじめ指定した会場で行われるものだけでなく、講師が事業所を訪れて行う「出前講座」も用意されています。出前講座に関しても、問い合わせ先は地域の都道府県労働局となっています。養成講座では、精神・発達障害について学ぶだけでなく、精神・発達障害者を雇用する上での実際の困りごとについて質問したり、ハローワークの精神保健福祉士や臨床心理士などの専門家に相談するきっかけを作ったりできます。以下のサイトで、養成講座に関する各地域の問い合わせ先を確認できます。より詳しい情報や、なにかわからないことがあれば、気軽に問い合わせてみましょう。障害者雇用対策施策紹介事業主の方へ|厚生労働省しごとサポーター養成講座リーフレット
2017年09月25日9/27追記:このイベントは定員に達したため募集を締め切らせていただきました。たくさんのご応募ありがとうございました。精神科医と元当事者、それぞれの立場から語る、ひきこもり支援のあり方元ひきこもり当事者で、現在は「ひきこもり新聞」の編集長として活動する木村ナオヒロさん、そして、木村さんの主治医であり、引きこもり支援を長年続けられている精神科医の斎藤環先生による対談イベントを開催します。北欧発祥の「オープンダイアローグ」の実践を通したひきこもり支援の事例を紹介しながら、支援者・元当事者それぞれの視点から、ひきこもり支援のあり方を考えます。10月11日(水) 19:00から、中目黒の株式会社LITALICO本社にて開催(参加費1000円)。・お子さんやご家族、身近な人が引きこもり状態にあり、どのように向き合えば良いか悩んでおられる方・その他、引きこもり支援の現状や方法について関心があり、学んでいきたい方ぜひご参加ください。Upload By 鈴木悠平(発達ナビ編集長)斎藤環1961年、岩手県生まれ。1990年、筑波大学医学専門学群環境生態学卒業。医学博士。爽風会佐々木病院精神科診療部長(1987年より勤務)を経て、2013年より筑波大学医学医療系社会精神保健学教授。また,青少年健康センターで「実践的ひきこもり講座」ならびに「ひきこもり家族会」を主宰。専門は思春期・青年期の精神病理、および病跡学。著書に 『文脈病(青土社)』『社会的ひきこもり(PHP研究所)』『ひきこもり救出マニュアル(PHP研究所)』『ひきこもり文化論(紀伊國屋書店)」『生き延びるためのラカン(バジリコ)」『ひきこもりはなぜ『治る』のか?(中央法規出版)』, 『ひきこもりのライフプラン』(共著: 畠中雅子, 岩波書店), 『オープンダイアローグとは何か』(医学書院)Upload By 鈴木悠平(発達ナビ編集長)木村ナオヒロひきこもり新聞編集長。元ひきこもり。暴力的支援団体を好意的に取り上げたマスコミに疑問を持ちひきこもり新聞を創刊。ひきこもりに対する理解と適切な支援情報を提供するために活動している。主治医は斎藤環教授。10/11(水)対談イベント詳細Upload By 鈴木悠平(発達ナビ編集長)開催日時: 10月11日(水) 19:00~20:30(18:30~受付)定員:50名参加費:1000円(※参加確定後、Peatixというイベント管理システムにて事前にお支払していただきます。)対象:お子さんやご家族、身近な人が引きこもり状態にあり、どのように向き合えば良いか悩んでおられる方その他、引きこもり支援の現状や方法について関心があり、学んでいきたい方会場:株式会社LITALICOセミナールーム〒153-0051東京都目黒区上目黒2-1-1中目黒GTタワー16階アクセス:東急東横線「中目黒駅」より徒歩1分お申し込み締め切り:10月10日(火)17:00まで主催:株式会社LITALICOLITALICO発達ナビ編集部18:30 受付開始19:00 開会のご挨拶19:10 斎藤環先生プレゼンテーション19:20 木村ナオヒロ編集長プレゼンテーション19:30 斎藤環さん・木村ナオヒロさん対談(モデレーター: 発達ナビ編集長・鈴木悠平)20:10 参加者同士でのグループによるリフレクション、講師への質疑応答20:30 閉会のご挨拶イベントご参加希望の方は、以下のフォームの必要事項を埋めて送信してください。9/27追記:このイベントは定員に達したため募集を締め切らせていただきました。たくさんのご応募ありがとうございました。イベントの様子は、LITALICO発達ナビ会員限定で、youtubeでのライブ中継・録画配信をいたします。遠方にお住まいの方、ご都合がつかず参加できない方で観覧をご希望の方は、イベント当日までに発達ナビ会員へのご登録をお願いします。
2017年09月25日ダウン症の娘との海外生活、紆余曲折の2年半Upload By Masami「障害のある子と一緒に海外で生活すること」について、考えたことはありますか?私は、現在16歳になるダウン症の娘と15歳の息子を育てている、40代後半のパート主婦です。娘がダウン症だとわかった時、将来、旅行ぐらい行けたらいいな…とは思いましたが、まさか家族で海外に暮らすことになるなんて夢にも思いませんでした。それどころか、夫には「もし転勤(もちろん国内)の話があっても、絶対に断ってね!!」と言っていたほどでした。ところが、娘が中学に入った夏、突然持ち上がった夫のタイ・バンコクへの転勤話。紆余曲折ありながら、2年半現地の生活を楽しんで帰ってきました。海外で障害のある子と暮らした体験談をつづりたいと思います。タイに行きタイ!なんて話していたら…Upload By Masamiダウン症の娘は、地域の保育園、小学校支援級、中学校の支援級へと進みました。中学校では、まさかの陸上部に所属し、私はそのサポートでバタバタとしていました。そんな時、夫に突然のタイ・バンコクへの転勤話が持ち上がったのです。娘が小さなころは定期的な病院通いや療育のこともあり、引っ越しなんてとんでもない!!と思っていましたが、中学に入るころには、いろいろと落ち着き、「今なら行ってもいいかも?」と思えるようになっていました。また、結婚した頃は海外赴任に憧れていた時期もあったので、夫婦で「タイに行きタイ!」と盛り上がりました。とはいえ、学校や生活はどうなるんだ??ということで、タイの情報収集を始めました。まずは学校。タイのバンコクには「泰日協会学校」(通称:バンコク日本人学校)という、世界で一番古い、しかも世界で一番生徒数の多い日本人学校があります。ホームページを見ると、小・中学校があり、支援級もあるとのこと。また、「Group With」という海外で暮らす家族をサポートしているサイトの、「海外日本人学校における特別支援教育―心身の発達に障害があり、特別な教育的支援を必要とする児童生徒の受け入れについて」というアンケートをみたところ、中学生の受け入れもあるような体裁で書かれていました(今ははっきりと小学校6年生までと書いてあります)。学校のホームページに「支援学校のお子さんは入学できません」とは書いてあったものの、我が娘は支援級在籍だし、何も問題ないだろうと思っていました。夫とも、「家族で行く方向で考えよう!」ということになり、数カ月後、夫は一足早くタイへ旅立っていきました。 With日本人学校編入希望が、まさかの「門前払い」に!?Upload By Masami秋から、次年度の入学・編入受付が始まることで、申し込み日に子ども二人分の申し込みをしました。ところが、まさかの「中学校には支援級がないので編入できません」とのお返事が…メールを読みながら、サーっと血の気が引きキーボードを打つ手がわなわな震えるのを感じました。しかし、伊達に障害児の母を15年もやっていません!(笑)わなわなしながらも、頭の中ではクルクルと相談先をサーチしていました。まずは日本人学校編入学担当者へ「なんとか受け入れてもらえないか」というメールを出しつつ、現地の情報を集めることにしました。偶然、以前勤めていた会社の同期がバンコクに駐在家族として住んでいたので、お友達経由で日本人学校中学部の障害のあるお子さんの状況を聞いてもらいました。また、日ごろお世話になっている元支援学校の先生に、お知り合い経由で情報を聞いてもらうことにしました。すると、このネット時代、海外の情報なのに、その日の夜には情報が入り始めました!どうやら中学校にも障害のあるお子さんがいるらしいけれども、支援級は設置されていない様子。そして、今後も障害のある生徒の中学部の受け入れは難しい状況のようだということがわかってきました。それでもやっぱり「家族でいたい」決意の先に見えてきた道Upload By Masami当時、下の息子は小学校5年生。思春期の入り口で、とてもこれからの数年間を父親なしに私だけで育てる自信はありませんでした。また、中学生になったとたんに、娘の進路に就労のことがちらつき始め、なんとなく閉塞感もあったことから「とにかく家族でタイに行く!!」という方針は変えず、最悪の場合はホームエデュケーションでもいい!!というつもりで方法を探ることにしました。日本人学校の小学校部支援級にいたお子さんが中学部に上がる時はどうしているのかと聞いたところ、ほとんどが日本に帰るか、現地校に行くとのお返事でした。でも、具体的な行き先は教えてもらえませんでした。次にあたったのは、「海外子女教育振興財団」です。ここにメールで相談したところ、インターナショナルスクールで障害児を受け入れているところをいくつか紹介してくれました。しかし、どこも軽度の発達障害のお子さんが対象のようでした。その次に、前出のGroup withのページでバンコクにある親の会「OZの会」の存在を知り、そちらにもメールを出しました。すると、財団では紹介されなかった学校情報をいただくことができました。そのうちの一つが、娘を受け入れてくれた、イギリス式インターナショナルスクールの養護学校、「The Village International Education Center 」でした。夫が「14歳の日本人のダウン症の女の子で、全く英語がわからないけれど受け入れてもらえるか?」とメールを出したところ、「大歓迎です!あなたのお嬢さんのよりよい教育環境を一緒に考えるために、日本からでは大変だと思うけれども、できたら、一度見学に来ませんか?」とすぐにお返事をもらいました。このお返事にどれほど救われたかわかりません。ちなみに、この他にも、タイの非営利団体が運営している「サタバン サエン サワン ファンデーション」という、障害児・者の通園施設に通っている日本人のお友達もいました。海外子女教育振興財団 Village International Education Centerサタバン サエン サワン ファンデーションここはプロ集団だ!やっていけそう!Upload By Masamiそんなわけで、12月のクリスマス休暇前に母子3人でバンコクへ下見に行きました。バンコクは思ったよりも都会で、日本語対応の病院も近くにあることがわかりました。街の治安も悪くなく、「ここならばやっていけそう」だと感じたのを覚えています。そして、家族でインターナショナルスクールの養護学校へ見学に行きました。ヘッドティーチャーと少し話したのち、実際のクラスに1時間ほど入らせてもらうことに。7.8人の子どもに先生が2人。丁寧に子どもたちを見ながら指導していました。いきなりの訪問にもかかわらず、娘をすんなりと受け入れ、工作をしたり読み聞かせをしたりしてくれました。娘も嫌がることなく、授業を受けている様子。その間、先生はじーっと子どものことを観察し、何ができて何ができないのかよく見ていました。日本だったら、すぐに「これはできますか?あれはどうですか?」と聞かれるようなところも、全て子どもとのやり取りの中で理解してくれたのです。できあがった作品に名前を書くとき、最後の最後で「彼女はアルファベットが書けるか?」と初めて私の顔を見て確認する様子を見て、「この人たちはプロ集団だ!やっていけそう!」と強く思うことが出来ました。背中を押してくれたのは、「専門家」ではなくて「私たちをよく知る人たち」Upload By Masami日本の特別支援教育を離れるにあたり、どこかサポートしてくれる機関はないかと、とある公的な相談機関にメールをしたところ「せっかくこれまで日本の教育で育ったのに、英語の環境になってしまうのはもったいない。たった2,3年の事ならば、お父さんに時々日本に帰ってきてもらうなどして親子の関係を保ちながら、日本で暮らすことを考えてもいいのではないか」というお答えもいただいたりもしました。でも、娘が小さなときから私たち親子をよく知る地域の主任児童委員さんや、保育園、学童の先生、友達も「家族一緒が一番、久保さんちなら大丈夫よ!!私達ここで待っているからいってらっしゃい!!」と笑顔で背中を押してくれました。そんなわけで、私達は無事2014年の4月からバンコク生活を始めたのでした。イギリス式の養護学校での2年間で学んだものUpload By Masami娘と同時期に日本人学校小学部を卒業したダウン症の男の子も一緒に入学しました。学校の中で唯一日本語が通じる相手で、最初は二人ともお互いを心のよりどころにしていたようです。彼と彼のお母さんがいてくれたおかげで、私達親子は頑張れたなぁと今でも出会いに感謝しています。最初の一年間は、学校の中には誰も日本語がわかる先生がいない状態でしたが、先生方はあたたかく私たちを受入れ、そして時には厳しく指導してくださいました。学校の大まかな流れ自体は日本とよく似ているので、娘たちは学校生活にすぐになじんでいきました。学校ではマカトンサインも取り入れていたため視覚支援も多く、困ることはなかったようです。2年目からは週の半分ほど日本人の先生がサポートで入ってくださるようになり、そこから英語の理解も進んだように感じました。娘たちは英語が全く分からないので、小学校高学年相当のクラスに入りました。授業は、算数、英語、理科、社会、家庭科、体育がありました。算数に関しては、日本の小学校のほうが難しいことをしているので、娘にとっては簡単に感じたようです。目標は「将来の自立」という点では日本と変わりはありませんが、そのアプローチは日本とはちょっと違うように感じました。どの教科も、体験を通して学んでいくスタイルで、ビデオやiPadも活用しながらすすめていました。学校で宇宙のことを学んだことで、バンコクで行われていたNASA展に興味を示したり、家庭科でバランスの良い食事について学んだことで食べるものを意識するようになったりと、学ぶことにより、娘の視野が広がっていくのを感じました。日本の中学校では、高校卒業後の就労を見据えて、洋服の畳み方だったり、挨拶の仕方だったりといった生活に関する体力作りが多くなり、教科学習が小学校に比べてぐんと減った感じがするのが、親としてはちょっと寂しかったのです。イギリス式養護学校での学びにより、生活や人生に幅が出るという体験はとても新鮮に映り、嬉しく感じました。また、先生方は娘に可能な限り英語も教えようとしてくださり、2年目に入るころにはヒアリングはかなりできている状態だったように感じます。日本で英語を教えたことのある先生が取り出しで教えてくれるようになったこともあり、結果として在タイ中に英検5級と4級に合格することが出来ました。これは、娘にとっても大変自信になりました。在学中に、学校のスタッフから感じたことは「障害があっても学ぶことを諦めない姿勢」だったように思います。学校にST・OTが常駐しており、学期の終わりには関わる先生と一緒に評価と次の学期の目標設定をします。生徒数50名程度の小さな学校なので、スタッフも先生も子どもたちの様子をよく見てくれているという印象でした。毎年全校で、リゾートホテルに泊まりに行く宿泊学習があったり、クリスマス前には全生徒が出演する劇もありました。劇が終わると学校の庭で先生や保護者と一緒にパーティーが催されるところが「インターナショナルスクールだなぁ!」と感じたところでした。1年目の担任はインド人のシルビア先生。長年特別支援教育に携わってきた大ベテランの先生です。娘たちのことを大変かわいがってくださいました。また、子どもだけではなく英語が全然できなかった私のこともフォローしてくれました。1年弱お世話になったところで故郷のインドに帰られたのですが、その時は涙の別れ。いつかインドに遊びに来てねとお誘いも受けました。また一人恩師が増えました。2年目以降は、イギリス人のエイミー先生。若くて年の近い先生で日本のアニメも知っていて、娘は先生と話したい!という気持ちが強くなって英語が上達したようにも思います。最後は娘お得意の「聞こえないふり」を見抜くほど娘のこともよく理解してくださいました。日本に帰国後半年ほどたったときに、バンコクに残る父親を訪ねながら、また学校で1日交流させてもらったのですが、どこの部屋へ行っても子どもたちやスタッフの歓迎を受けて、確かにここは娘の居場所だったのだなぁと、あらためてジーンとしました。制度がないだけに助け合うコミュニティUpload By Masamiタイには、首都バンコクを中心に約7万人の日本人が住み、バンコクの日本人学校は2017年5月現在は小・中学校合わせて約2600人の生徒が在籍しています。毎日約150台のバスが運行され、子どもたちを運んでくれています。日本人の多くが、企業のオフィスの多い街の中心地から、電車で30分くらいの範囲に集まって住んでいます。世界でも比較的治安のいいバンコクではありますが、やはり日本と同じようにはいきません。海外で暮らす人同士であること、また駐在家族は日本のように気軽にアルバイトに出たりできないため、時間に余裕のある人も多く、友達、近隣とのおつきあいは日本よりも多い印象です。日本のように、福祉の制度も整っていない反面、「何かできることがあったら言ってね」と言われることが多かった気がします。タイの特別支援教育・療育Upload By Masami前出の日本人学校には小学部に特別支援級があり、日本から特別支援教育のスキルを持った教員が赴任し、手厚く専門的な指導をしているとのことです。また普通級在籍の生徒にも必要があれば個別の支援が行われ、日本人学校においては日本と同じ程度の特別支援教育が受けられると思われます。しかし、義務教育期間ではありますが、私立なので障害のある児童や母国語が日本語でない生徒など特別な支援を要する児童については、学校と相談となるようです。詳しくはホームページなどに詳しく掲載されますので、ご確認ください。療育に関しては、日本のような療育施設はありません。その代わり病院にPT・OT・ST・心理職がおり、療育を受けることが出来ます。ただし、言語はタイか英語なので通訳を手配する必要があります。また、日本のように健康保険がないので、治療代については各企業で加入する駐在向けの海外旅行保険などで賄われます。また、療育センターに当たるものがありませんので、親子でのグループ療育や、保健福祉センターのように気軽に相談できる公的機関はありません。タイに在住の発達に心配のあるメンバーは、日本人会の相談会を利用したり、サークルで情報交換や日本で療育関係にお勤めされていたボランティアさんに相談をしたりしながら、各自の判断で病院での療育を受けながら子育てしています。子どもに寛容なタイUpload By Masamiタイは仏教が国教で、子どもたちを大事にするお国柄なので、子どもがどこで何をしても、タイの人たちは笑顔でそれを見守っています。日本人からしたら、「お行儀が悪いなぁ」と思えるようなことをしていても、誰も怒る大人はいません。それどころか「元気ねぇ」とでもいうようなまなざしで見てくれています。だから、ちょっと動きの多いタイプのお子さんをお持ちのママさんたちは、「タイは本当に育てやすい!」と話していました。また、困っていたらすぐに手も差し伸べてくれます。娘も身長がとても小さく子どもに見られるので、電車に乗るとすぐに席を譲ってくれます。障害者に対する差別がないわけではありませんが、「タンブン」という、来世のために現世で徳を積むという仏教上よいとされている行いが生活の中に根付いており、障害のある人に対しても大変親切です。車いすを利用している友人は、タクシーから降りるとすぐに人がワーッと集まってきて階段をあげてくれると言っていました。設備的には全くバリアフリーではありませんが、人の心にはバリアが少ないように感じます。世界各地からいろいろな人種、民族、宗教の人が集まる観光都市なので「多様性」には大変寛容なのだと思います。私もバンコクにいる間は、「日本人」つまり「マイノリティー」で娘と立場は同じでした。ですから、娘が「ダウン症」であることを意識する機会がすごく減ったのが大変印象的でした。海外赴任前に確認したほうがいいことUpload By Masami海外で暮らすときに、母親として気になるのは「教育」と「医療」です。現地の病院にかかる時は、会社が加入している「海外駐在保険」を利用してかかることが多いです。保険の種類によって、療育は保障の範囲外だったり、会社からも療育の費用は自費扱いとなったりする場合があるので、お子さんがたくさん療育が必要な年齢の場合は、費用負担がどうなるのかを確認しておくとよいでしょう。駐在で赴任する場合はたいてい日本の会社の健康保険はそのまま日本で使えるので、基礎疾患による経過観察が必要な受診や、詳しい発達検査などは一時帰国の時にまとめて受診する人が多いです。ただし、現地採用になってしまうとそのあたりがなくなってしまうので、注意が必要です。赴任する土地にもよりますが、たくさんの予防接種が必要な場所もあります。また、現地の医療のレベルには国によってかなり差があるので、よく情報を集めたほうがよいでしょう。小学校、中学校での日本への帰国は、住民票を入れた時点で問題なく転校できますが、養護学校高等部の編・入学については、自治体によっては自治体内の中学を卒業していることが要件となる場合もあるようです。お子さんの年齢によっては、そのあたりも各自治体の教育委員会に確認してから渡航することをお勧めします。また、海外へ引っ越しする際は、住民票は抜いていくので、「愛の手帳」などの障害者手帳は返還する自治体が多いと思います。よって一時帰国の際は手帳が使えません。ご注意ください。タイが教えてくれたことUpload By Masamiバブル世代なので、海外旅行は何度かいったことがありますが、住んだことはなかったので、今回改めて、「日本のあたりまえが当たり前じゃない」ということを強く感じました。これは、きょうだい児である弟も強く感じたようです。日本以外の多様な価値観を体で感じる機会に恵まれたことは、大変貴重な体験でした。また、タイ人の社員と仕事をしているお父さんたちの話を聞くと、その様子は、とても「障害者雇用」に似ているなぁと感じました。言葉がうまく通じない人たちといかにコミュニケーションミスを減らすか。相手の文化を尊重していかに心を通わせて、いいチームを作って企業としての成果を出していくか。障害のある人達もある意味「違う文化を持った人」と言えるのではないでしょうか。そういう意味では、障害のある子とない子が一緒に学ぶことも「インクルーシブ教育」と言わずに「グローバル教育」だと謳った方が受け入れてもらいやすいのではないかとも思うようになりました。タイは貧富の差が激しく、また、社会福祉の整備は先進国に比べて遅れています。しかし、だからこそ、人々の助け合いで成り立っている部分も多く、日本が失ってしまったものがたくさん残っているなぁと感じました。また制度がないからこそ柔軟に対応できることも多いのだと思いました。日本はこの10年、いや私たちが日本を離れている2年半の間にも、かなりいろいろな制度ができたり、児童デイなどの新しい施設が急激に増えたりと制度的には整ってきました。しかし、新たな問題も生まれており、制度や施設ができればそれでいいというものでもないのだなと、半世紀くらい遅れたタイの福祉の状況を見て思いました。最初から「無理」とあきらめないでUpload By Masamiタイで出会った、障害のある子を連れてまで海外に来たご家族は、みな明るく家族を大事にする人たちばかりでした。数年後に子どものライフサイクルに合わせて母子だけで帰国する場合も多いですが、「行けるところまでは家族一緒に!」という思いで来ているのは同じでした。障害のある子がいると、いろんなことを諦めなければならないような気がしてしまいがちです。しかし、「『やる!』と決めたら、道は開けてくるもんだよね!!」と、仲間たちとよく話していました。子どもが小さいうちはあまり実感がないと思うのですが、日本にいても、家族がみんな一緒に時間を共有できる期間は、実はそう長くはありません。一時の間、家族の時間を優先するというのも悪くないと自分や周りのお友達の様子を見ていて思います。しかし、海外は日本のように何でも整っている環境ではないし、治安やその他不安要素もあり、いい面ばかりでないのも事実。また、国や法律が守ってくれることも少ないので、すべてが「自己責任」となります。働くお母さんが増えてきている今、お父さんだけではなくお母さんにも海外赴任の話が持ち上がることもあるかもしれません。100人の話をきいたら、100通りの答えがきっとあり、どれが正しく、どれが間違っているとは言えないと思います。ただ、もしも、ご両親のどちらかに海外赴任の話が持ち上がった時は、最初から「ああ、うちは無理無理!」とあきらめるのではなく、ご家族の優先順位をよく話し合い、現地の情報を集め、あらゆる方法を考えたうえで決められるとよいのではないでしょうか。あきらめさえしなければ、親も子も「可能性は無限大!」2年間半のタイ生活を経て、実感しています。
2017年09月25日息子2人を見ていると、色んな違いがあって面白いです。えー、まず次男は…Upload By ラム*カナ続いてADHDのある長男!Upload By ラム*カナはい全入れ。しかしUpload By ラム*カナ次男は、幼稚園だと「こういうことすると怒られるからやらない」「先生がこう言ってたから守る」「ぼく男の子だからこうする」というような、社会性や協調性があるタイプ。一方長男は学校でも「先生の話…?なんだっけ?」「流行…?はて?」という大らか我が道タイプ。みんな違ってみんないいな、と心から思います。
2017年09月23日2017年7月に放送されたNHK「あさイチ」の発達障害特集の続編として、9月24日(日)午後11:00~11:50にNHK総合テレビで 深夜の保護者会「発達障害 子育ての悩みSP」 が放送される。「あさイチ」とEテレ「ウワサの保護者会」のコラボ特番だ。出演は、発達障害の子を持つ一般&先輩ママ、有働由美子アナ、尾木ママこと教育評論家の尾木直樹さん、タレントのはなわさん。「ママ友の『大丈夫だよ~』という善意の励ましが辛い」、「夫が非協力的」、「周囲にどう伝えたらいいか?」など、発達障害の子を持つ親が抱えがちな悩みに、先輩保護者らが自らの経験で、具体的な対処法や解決のヒントを紹介してくれるとのこと。また、今回はママだけでなく、夫の本音や当事者である子どもの声も紹介するという。例えば、「悪いのはこの子ではなく、障害のせい」と「子どもと障害を別々に考える」ということで楽になったというお母さんの発言に対して、それを聞いた子どもからは意外な本音が飛び出す。子どもの生の声を放送するのは、今までほとんどなかった試み! 今回の放送は、非常に内容の濃いものになりそうだ。■同じ境遇のママと繋がることのメリット一般的に、発達障害の子育ては少数派なので、子育ての情報源が少ない。だから、こういった番組で、ママの本音や先輩ママから具体的なアドバイスが得られるのは、とても貴重なことだと思う。筆者にも自閉症スペクトラムの息子がいるのだが、以前の保育園でのことを振り返ってみると、正直、居心地の良いものではなかった。他のママの子育て話は、申し訳ないがほとんど参考にならなかったし、正直、保育士の中にも、「発達障害のことをあまり理解していない?」と思わせる先生もいた。だから、療育で同じ境遇のママ友に出会えたことは本当にありがたかった。療育では、みな似たような子育てを経験しているので、相手の気持ちは痛いほどわかるし、こちらも気持ちもわかってもらえるという安心感があった。子どものことをありのままに話せるという心地よさもあった。療育機関や小学校、病院の評判など、地域の情報が得られたり、良質な専門書について情報交換ができるのもとてもありがたかった。また、不思議なもので、「同じような境遇で頑張っている人たちがいる」と感じられるだけで、励まされ、心が強くなれた。療育ママとの座談時間は、まさに、私の癒し&パワーチャージの場であった。■療育ママだって、さまざまだが、当たり前のことだが、次第に、療育ママもさまざまなのだなと思うようにもなった。同じ発達障害でも、子どもの特性や障害の程度はさまざまだし、親の価値観や考え方も違う。子どもの障害を認めたがらないママもいたし、支援学級や支援学校に対して偏見を持っているママもいた。また、コミュニティができればできたで、その中でまた比較が生まれて、誰かが誰かの成長をうらやましいと思ってしまったり。時には、愚痴が長引いたり、悪口などのマイナス話で盛り上がってしまったり。ちょっとした違和感を感じることもあった(もちろん、こんなことは少なかったけど)。 ■自分の身近な範囲を「世界の基準」にしない同じ境遇の仲間、それは本当に心強く大切な存在だ。だが、その世界だけにどっぷり浸かっていると、自分でも知らないうちに、周囲が見えなくなってしまう危険性がある。以前 取材 した(株)アイムの佐藤典雅さんは、「発達障害児のママこそ、常に意識して開かれた視点を持つことが大切。療育だけの狭い世界に自分を閉じ込めずどんどん外の世界に出なさい」と、力説されていた。人は、自分の身近な範囲を世界の基準にし、子育てやわが子の生き方について「こうあるべきだ」と決めつけがちだ。でも、自分の知っている世界なんて、ほんのわずか。偏った価値観に縛られないためには、常に広い世界に触れる必要がある。■発達障害は、「支援すべき少数派の種族」また、以前、NHKスペシャルに出演した本田秀夫氏の著書には、自閉症スペクトラムは「治療すべき“病気”」ではなく、「支援すべき“少数派の種族”」である、という認識を持っておくことが重要 「自閉症スペクトラム10人に1人が抱える『生きづらさ』の正体」(本田秀夫 著)より一部編集して抜粋 と表現されており、なるほど! と思ったものだ。少数派の種族が多数派の種族(一般の人たち)とうまくやっていくには、まず、多数派に自分たちのことを正しく理解してもらわなければならない。そのためには、内輪で慰め合っているだけではなく、積極的に外に向けて発信していかなければならないと思うのだ。私のように、「健常児のママの悩みには共感できない」とか「自分の大変さをわかってもらえない」など、自分で壁を作って引きこもっていても、問題は解決しない。■健常児の子育てをしているお母さんにこそ、知ってほしい私は、たまたま縁あって、ウーマンエキサイトに寄稿する機会を得た。だが、今では、こうした一般の子育てサイトにこそ、発達障害の記事を掲載する意義があると思っている。「こういった子どももいるんですよ」と、普通の子育てをしているママにも、ほんの少しでいいから知ってほしいと思うのだ。私自身、上の娘(定型発達)を育てている時は、発達障害というものをまったく知らなかった。子どもというものは、親が愛情持って育てていれば、自然に優しい心を学び、真っすぐに育ってくれるものだと思い込んでいた。だから、感情の抑えられない子や暴力的な子を見ると、「親にも原因があるのでは?」などと、うがった目で見てしまったりしていた。あの時、私がこの障害のことを知っていたら、もう少し違った見方や対応ができたかもしれない。■壁を取り払うこと、隣の子育てに想像力を持つことだから、こうした寄稿を通して、発達障害の子育てを、周囲に広く知ってほしいと思っている。お互いに隣の子育てに想像力を持つことで、発達障害の子育てを一般の子育てともっと繋いでいきたいと思っている。そして、発達障害の子育てをしているママにも、一歩踏み出すきっかけになればと願っている。私自身、保育園の保護者会で息子のことを説明してからは、園での生活(私の)がずっと楽になった。児童心理学の知識があるママが役立つ情報を教えてくれたり、障害は違うけど障害児を持つママが就学相談のアドバイスをくれたり。「お兄ちゃんがそうかもしれない」と興味を持ってくれたり、「そういう子にはどう接したら負担じゃないかな?」と関わり方を知ろうとしてくれたママもいた。また、いろいろ話してみれば、健常児でも登校しぶりで悩んでいるママがいたり、お友達トラブルで悩んでいるママがいたり、離婚した元旦那と養育費でもめているママがいたり…。私は、自分の子育てばかりが大変だと思い込んでいた。でも、みなそれぞれ、いろいろな事情を抱えて生きている。壁を取り払い、隣の子育てに想像力を持つことで、見えてくる景色はずいぶんと違ってくるのだ。今回、番組の担当プロデューサーからも、「発達障害のある子を持つ親御さんに見てもらいたいのはもちろんだが、それだけではなく、周囲の人にも見てほしい。普段なかなか言えない、当事者の本音を周囲に知ってもらう意味は大きいと思っています」というメッセージをいただいた。さらに、NHKでは、今後、9月26日(火)、27日(水)に「Eテレ」ハートネットTVで「自閉症アバターの世界 1、2」が、9月27日(水)に「あさイチ」の特集で「シリーズ発達障害 どう乗り越える? コミュニケーションの困りごと」など、続々と発達障害が特集されるとのこと。今後の放送にも、注目していきたい。文:まちとこ出版社N<NHK発達障害プロジェクト 今後の放送予定>・2017年9月24日(日)午後11:00~11:50 NHK「深夜の保護者会」「発達障害 子育ての悩みSP」・2017年9月26日(火)午後8:00~8:29 Eテレ「ハートネットTV」 「自閉症アバターの世界 ①」・2017年9月27日(水)午後8:00~8:29 Eテレ「ハートネットTV」 「自閉症アバターの世界 ②」・2017年9月27日(水)午前8:15~9:54 NHK「あさイチ」 「シリーズ発達障害 どう乗り越える? コミュニケーションの困りごと」※内容は変更になる場合がありますNHK 発達障害プロジェクト 【発達障害についての記事一覧】▼大変だけど、不幸じゃない。発達障害の豊かな世界(全4回)▼「うちの子、発達障害かも!?」と思ったら(全9回)
2017年09月22日9/24(日)深夜の保護者会「発達障害 子育ての悩みSP」見どころは?Upload By 発達ナビニュース2017年9月24日(日)、NHK総合の特別番組、「深夜の保護者会『発達障害 子育ての悩みSP』」が放送されます。小・中学生の保護者の皆さんと教育評論家の尾木直樹さんが子育てについての悩みを共有しながら、問題解決のヒントを探していくEテレの人気番組「ウワサの保護者会」。NHKの通年企画「発達障害プロジェクト」の一環として特別バージョンでの放送です。今回は7/24に放送されたあさイチ「他の子と違う?子育ての悩み」とのコラボとして、あさイチで紹介された家庭のVTRを見ながら話し合いをしていきます。■周囲の理解が十分ではない中、子どもの発達障害・または特性を周囲に伝える?伝えない?伝えるならば誰にどう伝える?■子どもの気持ちにどうやって寄り添う?など、発達障害がある子どもを育てる上での困り事や悩み事から、「発達障害ってなに?」「子どもを丸ごと受け入れられるためにどうする?」といった深い内容まで、出演者・保護者の皆さんが本音で語り合います。番組の詳細はこちら!Upload By 発達ナビニュース◆番組名NHK総合 深夜の保護者会「発達障害 子育ての悩みSP」◆放送日時2017年9月24日(日) 23:00~23:50◆出演者はなわ、尾木直樹、有働由美子、高山哲哉◆サイトURL総合 深夜の保護者会「発達障害 子育ての悩みSP」(画像提供:NHK)
2017年09月22日娘の部屋からなにやら不穏な音…高校1年の終わりごろから高校2年の夏頃にかけて、娘はイライラを繰り返し自分の部屋でよく暴れていました。Upload By 荒木まち子女子とはいえ、それなりの破壊力。その結果壁はこうなりUpload By 荒木まち子ドアはこうなるUpload By 荒木まち子ビ・ン・カ・ン母の勘違い「今日は機嫌が良いな」とか「今日は不穏な感じだからそっとしてうおこう」など娘の顔色を窺う日々を続けるうちに、私は娘の部屋から聞こえる物音に敏感になっていきました。ナーバスになりすぎて時にはこんなことも(笑)Upload By 荒木まち子娘の切実な思い、「好きで暴れているわけじゃない!」障害に対する配慮がなされた環境にいても、日々の生活の中では思春期ならではの避けられないストレスもあります。「学校の行事前には見通しが立たず不安になる」「大人に注意されるのが嫌」「友達関係が思うようにいかない」などなどです。娘はかかりつけの主治医にも相談をして、教えてもらった様々な方法を試しました。それは「好きで暴れているわけではない、自分でもなんとかしたい!」と思う娘の必死な気持ちの表れでもあったと思います。Upload By 荒木まち子Upload By 荒木まち子親以外の信頼できる大人の存在が大切親の言うことには反抗的でしたが、医師のアドバイスと同様に「相性の合う学校の先生」など「自分が信頼する親以外の大人」の意見はすんなり聞き入れる傾向が娘にはありました。Upload By 荒木まち子担任がすべてを担う小学校とは違い、高校では本人の希望に添い、副担任、養護教諭、学年主任、支援コーディネーター、進路指導専任、管理職の先生など様々な先生が複数で関わる体制が出来ています。子ども自身が相談内容によって相談する先生を選ぶことが出来る。これは思春期の子どもを持つ親としても心強く嬉しいことです。娘は自ら校長面談を希望したこともありました。しかし…それでも感情のコントロールが難しかった娘。ある晩ついに家を飛び出してしまったのです。もう、どこへでも行ける年齢…母を襲う、えも言われぬ不安小・中学生ならそれほど遠くには行けないでしょうが、娘はもう高校生。携帯やチャージ式のプリペイドカード、ある程度のお金を持っているのでどこへでも行くことができます。電車に乗って夜の繁華街へも行くことも可能です。娘が家を飛び出したのは午後8時。我が家には小学生の息子がいるのでその子をひとり家に残して、探しに行くことも出来ません。「もしなにかあったら…」と不安な気持ちを募らせながらも私は家で娘からの連絡を待ちました。1分が1時間に感じられる…。ヒリヒリした胸中のさなか、一通のメールが!事故にあってないかしら?もしかしたら祖父母の家に行ったのかしら?色々な事を考え悶々としている私の携帯にメールがきたのは一時間後のことでした。「娘さんは公園にいます」なんと、メールの送り主は小学生のころ学習支援とSSTの家庭教師をして下さっていたY先生からでした!指導を卒業した今もお付き合いは続いていましたが、この時改めて娘と恩師の強い絆に感謝せざるをえませんでした。このような心から信頼する先生と繋がりを持てている娘はとても幸せであるな、と強く感じたのです。周囲の無理解やいじめに苦しんでいた頃、娘を救ってくれたY先生は“どんな状況でも必ず理解してくれる”と娘が絶対の信頼を寄せている唯一無二の存在です。外に出たものの、行くあてがない娘は自宅近くの公園から先生にメールをしたのだそうです。Y先生から私宛に、「今、あなたが帰る場所は家です、と伝えました。駅前で少し気分転換をし、気持ちを落ち着かせたら帰るそうです。」と連絡が入りました。せき止めていた不安な気持ちが一気に解けるような内容のメールでした。娘はY先生のメールから暫くして帰宅し、自分の部屋に直行、就寝したのでした。翌日感情を爆発させた直後はとても落ち込む娘ですが、暫くすると鼻歌を歌ってお風呂に入ったり、何事もなかったようにけろっとして話しかけてきたりします。これは発達障害の子どもに多く見られることのようで、爆発を目の当たりにしたこちらの気持ちが置いてきぼりになることが度々あります。なので親には(さっきの混乱はなんだったのか?)とモヤモヤが残ります。この翌日も休むことなく登校したのり。帰宅後は黙々とパソコンで何かを検索していました。そして暫くして私に聞きました。「ねぇ、こども食堂の場所、知ってる?」こども食堂は、地域の大人が子どもに無料や安価で食事を提供する場所であることは私も知っていました。しかし、それ以上のことはよくわからなかったので、娘と一緒に調べました。こども食堂は地域の大人が子どもに無料や安価で食事を提供する、民間発の取り組み。貧困家庭や孤食の子どもに食事を提供し、安心して過ごせる場所として始まった。(中略)最近は、地域のすべての子どもや親、地域の大人など、対象を限定しない食堂が増えている。食堂という形を取らず、子どもが放課後に自宅以外で過ごす居場所の中で食事を出しているところもある。娘は前日の先生とのやり取りの中で、こども食堂の事を聞いて興味を持ったのだそうです。本人の意思を大切にするこの時期、娘は親や周りの大人に物事を決められることをとても嫌がっていました。「こども食堂」が今の娘の居場所に相応しいかはわかりませんが、私は娘自身が自分で居場所を見つけたいと思う気持ちを尊重したいと思っていたのです。また、娘があてもなく夜の街を彷徨うより、こども食堂に行く方がずっと安心だとも思っていました。「児童相談所に、こども食堂のことを電話して聞いてごらん」と提案時間はもう17時を過ぎていました。役所の相談窓口はもう終了している時間です。私は17歳の娘が相談できる場所の一つに「児童相談所」があることを伝えました。そして、「こども食堂が市内にいくつかあるのは知ってるけど、詳しいことは私もわからない。近くのこども食堂の場所と開催日時を知りたかったら、児童相談所に電話して、<自分が17才だということ>、<居場所としてこども食堂を利用したいということ>を伝えれば、きっと教えてくれると思うよ。」と話をしました。娘は電話が得意ではありません。初めての人と話すと緊張してなかなか言葉が出ません。順序建てて話すことも苦手です。それでも娘は児童相談所に自分で電話し、近くのこども食堂の連絡先を教えてもらい自ら参加の申し込みをしました。地図を読むことが得意ではない娘は、当日迷う事がないよう事前に場所の下見にも行きました。自分の意思がはたらく時、苦手なことにもチャレンジできる娘の姿は、見違えるようなとてもたくましい姿に見えたのです。~続く~
2017年09月22日昨今、メディアでも取り上げられることが増えてきた「発達障害」。身近に当事者がいない人でも、この言葉を耳にする機会は多くなってきているのではないでしょうか。そんななか、NHKが「発達障害プロジェクト」と銘打ち、今年5月から1年を掛けて特集放送を行っています。このプロジェクトのなかのひとつに、イギリスのTVドラマ『ハンク―ちょっと特別なボクの日常―』があります。このドラマは、ディスレクシア(読み書き障害)の少年ハンクを主人公にした学園ドラマ。もともと2016年にNHKで放映されていたものを、「発達障害プロジェクト」に合わせて選りすぐりの5本を再放映するというもの。日本ではまだ発達障害を扱ったエンタメ作品の数は少ないですが、このイギリスのドラマでは「ディスレクシアとはどんなものか」を視覚的にわかりやすく表現しています。当事者たちが学校生活を送る上でどんな困難を抱えているか、さらにその困難さを主人公のポジティブな性格と大胆な発想で乗り越えていくさまをスパイスたっぷりに、コメディタッチで描かれています。■ディスレクシア(読み書き障害)とは?ディスレクシアとは、発達障害のひとつである「LD(学習障害)」の一種で、知的発達に遅れはないものの、脳の働きに特徴があり、文字や数字の読み書きなどに困難が生じることをいいます。有名人では、俳優のトム・クルーズやオーランド・ブルーム、映画監督のスティーブン・スピルバーグなどがディスレクシアであると告白していて、多くの人が障害について知るきっかけとなりました。主人公ハンクは12歳の少年。彼の場合は文字を読もうとすると「字が躍っている」ように見え、書くこと、計算も苦手。「作文の宿題をやろうとしても、文字が躍ってなかなか書くことができない!」「ミュージカルの主役に抜擢(ばってき)されたのに台本が読めない!」など、たびたびピンチに陥ります。どんなふうにこのピンチを切り抜けるのだろう? と思っていると、作文を書かされる回では、考えて考えて考え抜いた結果、「作文ではなくて、工作で伝えよう!」というとっぴな方法を思い付き、立派な作品を作り上げてしまいます。そう、彼のすごいところは、どんなピンチに遭遇しても決してあきらめず、ユニークなアイデアで切り抜けること。じつはハンクは頭の回転がとても速く、行動力もあるのです。なんでも突っ走ってしまうので、先生には怒られてばかりだけど…。■ディスレクシアの子どもが学校生活を乗り越える処世術ディスレクシアであることを悲観せず、親友や家族に助けられながら学校生活を送るハンクですが、ちょっとだけ愚痴が出ることも。「成績はいつもビリだから、いじめられる。ディスレクシアだけど頑張ってるのに…。みんな結果しか見ないんだ」発達障害の子どもは、ときにいじめられたり、不登校になったりするとよく耳にします。これを「二次障害」と呼ぶのですが、まさにハンクも同じ。でも、彼はへこたれません! “成績ビリ”という自分のイメージを変えるためには、「何か得意なことをみんなに見せればいいんだ!」と考えることのできる強さがあります。ハンクの姿を見てハッとさせられるのは、そんな発想の転換。ディスレクシアの自分を受け入れ、ほかのことでカバーしたり名誉挽回を目指したり。とくに読み書きや計算についてはみんなと同じようにできないけれど、自分なりの方法でならゴールにたどり着くことができる。それがハンクの学校生活を乗り切る処世術であり、二次障害を深刻にしない助けになっているようです。■発達障害児子育てのヒントがいっぱいあった!筆者にも、発達障害の疑いのある息子3歳がいます(診断待ちの状態です)。まだ私自身も発達障害について初心者で、毎日迷いながら子育てをしています。療育や幼稚園、児童館など、ほかのお子さんたちと活動をする場所に行くと、つい「みんなと同じように」やらせたいと思ってしまいます。でも息子には「できること」と「できないこと」があって、それが息子にとって大きな負担になってしまっていると感じることも多くあります。そして私は、あとから反省することばかり…。また、同じような境遇のママたちと会話して思うのは、自分も含めみなさん真面目だということ。病院や療育の先生のアドバイスひとつ取っても、まっすぐ受け止めすぎてしまいます。子どものことを考えて、「少しでもできることを増やしたい」という必死な思いが、いつの間にか「アドバイスどおりにしなければならない」という強迫観念にも近いものに変わってしまい、そこから外れるものを許容できなくなってしまうのです。どんなことをするにも、答えはひとつではないし、手段もひとつではありません。ハンクの行動は、それを証明しているように思えます。ママの考え方にしてもきっと同じではないでしょうか。みんなと同じようにできなくてもいい。いろんなやり方を試して、生きる力を身に着けることの方がきっと大事なはず。ステレオタイプにとらわれず、柔軟な考え方・受け止め方ができれば、発達障害児の育児の窮屈さが少しでもやわらぐのではないでしょうか。そんな、ちょっとしたヒントを、ハンクから教えてもらった気がしました。TVドラマ「ハンク―ちょっと特別なボクの日常―」第4回は、NHKにて9月23日(土)23:25より、第5回は、NHKにて9月30日(土)23:35より放映。<NHK発達障害プロジェクト 今後の放送予定>・2017年9月24日(日)午後11:00~11:50 NHK「深夜の保護者会」「発達障害 子育ての悩みSP」・2017年9月26日(火)午後8:00~8:29 Eテレ「ハートネットTV」 「自閉症アバターの世界 ①」・2017年9月27日(水)午後8:00~8:29 Eテレ「ハートネットTV」 「自閉症アバターの世界 ②」・2017年9月27日(水)午前8:15~9:54 NHK「あさイチ」 「シリーズ発達障害 どう乗り越える? コミュニケーションの困りごと」※内容は変更になる場合がありますNHK 発達障害プロジェクト 【発達障害についての記事一覧】▼大変だけど、不幸じゃない。発達障害の豊かな世界(全4回)▼「うちの子、発達障害かも!?」と思ったら(全9回)
2017年09月22日習いごとには、苦い思い出ばかり出典 : 息子の習いごと探しは、私にとっての黒歴史ナンバーワンです。小さな頃から手が不器用で、身体の動かし方も不器用だった息子。苦手なことだらけの息子の将来を心配するあまり、「発達障害に良い」とか「発達を促す」とか言われる習いごとを、次から次にやらせたことがあります。しかしどんな習いごとも長続きはしませんでした。さらに悪いことに、息子にとって「習いごと=苦手なことを無理やりさせられる」という認識になってしまい、息子は習いごとに連れて行かれるたびに自信を失っていくという結果になってしまったのです。やりたくないことをさせられるとき、息子はよく奇声を発したり、その場から逃げ出したりしていました。そのたびに、先生にも周りの父母にも「あちゃ~…」「あの子は毎回大変だよね…」という白い目で見られているのを感じ、いたたまれなくなったものです。この失敗経験を経て、私は3つのことを心に強く決めました。1つ目は、「息子が十分に成長して、自分の意思でやりたいと言うまでは、習いごとはさせない」2つ目は、「苦手なことを克服させるために習いごとをさせることはしない」3つ目は、「『発達に良い』『発達障害に良い』といった文言に振り回されない」一生習いごとをやらないことになっても、後悔はしない。もう習いごとに飛びついて、息子を傷つける結果になるのだけは絶対にしたくない…!失敗から学んだ決心は固かったのです。同級生のお友達がダンスやサッカーを習って楽しそうにしている姿を見ていても、私に焦る気持ちはまったくありませんでした。初めての息子の「やりたい」出典 : もう「習いごとは一生やらなくても良い」と考えていた私。ところが、息子はある日突然「スイミングスクールに通いたい」と言い出したのです。私にとっては青天の霹靂(へきれき)もいいところです。息子の動機はよく分かりません。学校のプールで顔をつけられず、苦戦したことが悔しかったのかもしれません。しかし、私は動機よりもむしろ、息子のこんな言葉に注目しました。「サッカーとか野球は怖いけど、スイミングなら僕でも出来るような気がする」運動が苦手で、運動の時間になると不機嫌になってしまう息子。そんな息子が、「これなら出来るような気がする」と思えたことがどれほど貴重なことか私には分かります。それでも息子の気持ちを試したくて私は2週間ほど、いいともダメとも答えを出しませんでした。すると2週間の間、息子は毎日「お母さん、スイミング申し込んでくれた?」と聞いてくるようになりました。「苦手なことを克服させるために習いごとをさせることはしない」と決めていた私ですが、息子の自発的な挑戦の意欲を感じ取り、スイミングスクールへ通うことを本気で考え始めたのです。スイミングに伴う数々の困難息子は突然新しい場所で新しい経験をすることが苦手なので、まずは短期教室に通って様子を見ることにしました。そして、全部で4日間の短期教室を見ているだけでも、息子の発達障害の特性がいろいろと困難をもたらしている様子が見て取れたのです。Upload By 林真紀まず、触覚過敏。息子は、自分の身体に突然触れられるのが苦手です。触覚過敏があるため、くすぐったくて我慢ができなくなってしまうのです。スイミングのコーチは、泳ぎのフォームを教えるために、どうしても身体に触る必要があります。息子は泳いでいる最中に突然触られると、パニックになってしまいます。Upload By 林真紀また、息子はボディイメージが弱いという特性があり、自分の身体のどこがどういう風に動いているのかを感じることが苦手です。特に水の中に入ってしまうと身体の感覚が鈍るようで、手足の動きがバラバラになってしまいます。そして交わした約束とはUpload By 林真紀4日間の短期教室でも数々の困難が判明した息子。その困難については、本人もしっかりと理解していました。しかし、そのうえで息子は私に「それでもやりたい」と言ったのです。触覚過敏については先生にお話しして、予告をしてから触るようにしてもらえばだいぶ楽になること、ボディイメージの弱さについては、風呂場や部屋でイメージトレーニングをすれば頑張れそうだということ。本人のこの言葉を聞いて、私は息子を引き続きスイミングスクールに通わせることに決めました。そしてスイミングスクールに通うと決めたときに、息子と固く約束したことがあります。それは、「進度は気にせず、長く続けることを目標にすること」「周りの子たちと進度を比較しないこと」の二つでした。それが守れるのであれば、スイミングスクールに通っても良いよ、と言いました。これは、習いごとに限らず、発達障害のある子どもを育てるうえで大切なことかもしれません。息子としたこの約束は、実は私が自分自身と約束していることでもあります。息子を育てながら、周囲と比較して、泣きたくなるようなことがたくさんありました。けれども、この約束を自分自身としたときから、私は息子を育てることが楽しくなりました。だから、私は息子が新しいことを始めるようなときには、都度この約束を息子と一緒に確認しています。自分自身の中でも約束を結び治し、笑顔で息子を見守れるように、決意を新たにしているのです。
2017年09月21日STEAM教育って何?
子育て楽じゃありません
細川珠生のここなら分かる政治のコト