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授業参観で見た息子の姿はあまりにも…。Upload By 林真紀我が家の発達障害のある息子は今年の4月に1年生になったばかり。特別支援級に通級しているおかげで手厚いサポートも受けられ、特に学習上の困難があるという話も今まで聞きませんでした。困ったことといえば、身体がひどく疲れやすいことぐらい。それもさまざまな刺激に弱いという特性があるので、仕方ないのかなと楽観的に捉えていました。しかし、6月になって、授業参観で息子の算数の授業を見たときのことです。それまで「勉強は問題ない」と思っていた私は、教室での息子の姿を見て驚愕することになります。そこには、あまりにもオタオタとしながら板書をする息子の姿がありました。いや、オタオタというレベルではありません。一生懸命黒板を写そうとするのに、黒板のどこを書き写したら良いのか分からない様子なのです。ノートを見て、黒板を見て、またノートを見て…この一連の作業のなかで、完全に息子は「迷子」になっていました。それでも一生懸命ノートに書き写そうと、黒板をキョロキョロと眺めます。けれども写す場所が分からない様子。しまいには、隣の子のノートを覗き込んで写しているのです。これはしんどいな…と私は頭を抱えてしまいました。そして、息子が帰宅するとぐったりと横になってしまうのは、この「板書」に相当のエネルギーを使ってしまっているのではないだろうかと思い当たりました。もしかするとこの子は、視覚から情報を知りする「視覚認知」に少し問題があるのかもしれない…という疑念が、フッと心によぎったのです。思い当たる節は、息子が幼いころにも…。Upload By 林真紀息子の視覚認知について、私にはもう一つ思い当たることがありました。それは、1年生になった今でも、転がってくるボールを受け止めることができないことでした。ドッジボールのような形で高速で飛んでくるボールが怖いのはまだ分かるのですが、コロコロと転がってくるボールでも怖がって、すたこらサッサと逃げてしまいます。動いているものを目で追って、受け止めるということができないのです。これは、ボールだけではなく、息子がいろいろなものを怖がることに繋がっているような気がしました。息子は他人が飛んでいるなわとびすら嫌がります。無論、大なわとびなどは絶叫して嫌がります。動く物を目で見て捉えることができていないことは、息子の運動への苦手意識全般に関わってきているような気がしたのです。そこで、私は息子の視覚認知に問題があるのではないかということを、療育の先生に相談しました。そのときに、「千葉に視覚認知の発達検査をしてくれる眼科さんがあります。良かったら、検査に行かれてみてはどうでしょう。」と言われ、私は思い切って検査に行ってみることにしたのでした。検査の結果分かった、目の特性とはUpload By 林真紀視覚認知発達検査は、千葉県の浦安市にある「かわばた眼科」さんで予約してやってもらいました。こちらの病院は子どもたちの視覚認知発達検査を行う「視覚発達支援センター」を併設しているのが特徴です。私と息子も一日仕事の覚悟で検査を受けにいきました。その結果、息子は「追従性眼球運動」(見ているものの動きに合わせて眼球を動かす運動)や「跳躍性眼球運動」(すばやく一点から別の点へ眼球を動かす運動)の力がとても弱いことが判明したのです。それが顕著に分かったのは、私が試しに棒を持って、「これを目で追ってごらん」と右左にゆっくり振ってみたところ、息子が目ではなく、顔や身体を動かしてその棒の動きを追っていたときでした。息子は、目だけを動かして動いている物を追うことができていなかったのです。これが追従性眼球運動の弱さの表れでした。転がってくるボールが怖くて受け止められないのは、この追従性眼球運動の力が弱かったためだったと思われます。さらに、跳躍性眼球運動は、板書をノートに書き留めることにもにも大きく関わってくる目の動きです。黒板とノートを交互に見るということは、眼球をすばやく一点から別の点へ移動させる力が要求されます。けれども、眼球を素早く動かす力に欠いている息子は、黒板とノートの間を視線を移動させながら、必要な情報を素早く読み取るということができずにいたのでした。Upload By 林真紀さらに、詳しい検査の結果、息子は遠視であることが分かりました。「視力」として数値がはっきり出る近視と違い、遠視は早期発見が難しいといいます。遠視が「近くが見えない」というのは実は誤解で、近くであろうと遠くであろうとピントが合わせづらいことを言うそうです。これによって、近くを見ているときでも遠くを見ているときでも、物を見るために余計な力が入ってしまっている状態になってしまいます。そのために、イライラや落ち着きのなさ、頭痛や疲労感に悩まされることがあるそうです。息子の異常な疲れやすさの原因は、発達障害による刺激に対する弱さだけではなく、なんと遠視が関わっていたのでした。というわけで、来る9月の新学期に向けて、遠視用のメガネを作ることになりました。見え方が違うということ出典 : このように、発達障害の子どもの「見え方」について検査をすることで、その子が一体何に困っていたのかが見えてくることが分かりました。現在、息子は学習前に毎日ビジョントレーニングと呼ばれる、視覚認知の発達を促すトレーニングをやっています。これは、やればやるほど伸びていくものだと言われています。トレーニングを始めて数週間がたった今では、頭を動かさず、トレーニング用の棒を眼で追えるようになりました。これで生活の中に変化が現れるかはわかりませんが、気長に続けていこうと思っています息子の場合のように、発達障害の困難は、見え方や眼球の動きが関わっているようです。さらに、疲れやすさの原因は、発達障害の過敏性によるものだけではなく、遠視などの目の状態にも関係している場合もあるのです。本人の困難さが「見え方」にあるということを、自分自身で気づくことはなかなかできません。少しでも「この子の見え方は何か違うな」と思う点があれば、ぜひ視覚認知の検査を受けることをお勧めしたいと思います。その子の抱えている困難をより詳しく知ることで、具体的にどうすればいいか、どんな力を伸ばせばいいのかが見えてくるかもしれません。
2017年08月10日出来る会話は、簡潔なものだけだった娘。広汎性発達障害がある、6歳の娘。コミュニケーション、おしゃべりが苦手です。少しずつ、上手になってきましたが、その会話は、いつも単純で簡潔。答えをそのまま、受け止めるだけのものでした。質問の答えを聞いた娘に、ある変化が!Upload By SAKURAしかし、そんな娘にある変化が!ある日、娘が「ライオン好き?」と聞いてきました。以前から、「○○好き?」と聞いてくることが多かったので、いつものように答えました。すると、「ライオン好きだよ」という、私の答えを聞いた娘はびっくりして、「なんで?」と聞き、私がその「なんで?」に答えるより前に、「もしかして、見るのが…ってこと?」と言いました。返事を聞いて、予測した!?Upload By SAKURA娘は、私が「ライオン嫌い」と答えると思っていたようで…私の「ライオン好きだよ」の答えを聞いて、何でだろう…ライオン怖いのになと考え、そして、「あ、触るんじゃなくて、見るだけならってことかな?」と、答えの理由…詳細を予想したのです。今まで、こんな反応をしなかった娘。予想外の答えに、成長を感じ、私は涙ぐみました。その夜、夫に報告。夫もすごく喜んでくれ、寝ている娘を抱きしめに行きました。成長を感じると、抱きしめたくなる気持ちは、一緒でした。周りより、出来ないことも多く、言葉の発育も遅い娘ですが、ゆっくり確実に成長してくれています。これからも、一つ一つの成長を夫婦で噛みしめていきたいなと、思います。
2017年08月09日不登校支援から生まれた一冊の絵本出典 : 「なぜ学校に行かなければならないの?」「どうしてみんなと一緒じゃなければいけないの?」子どもから「なぜ?」と問いかけられた時、あなたならどうしますか?簡単に答えられそうで、よくよく考えると難しい…今回ご紹介するのは、そんな子どもの「なぜ?」と向き合う中で生まれた、『僕のナゼ、私のナゼ』という絵本です。奈良県北葛城郡にある「自遊空間ゼロ」という子どもと保護者のためのフリースペースを運営している桐生敏明さんが企画・編集をし、5月に編集工房DEPから発行されました。この絵本が生まれたきっかけは、桐生さんとつながりのある北海道のNPOを訪れた際に出会った一人の不登校児の疑問でした。その疑問は、「なぜ学校に行かなければいけないの?」といういたって、シンプルな疑問だったと言います。自遊空間ゼロは、桐生さんが陶芸教室などの親子のつながりを育むためのイベントを開催しています。その活動の根幹には、子どもとその保護者が一緒に過ごせる場所を提供したいという桐生さんの強い想いがあります。活動を続ける中で、「自然と不登校児と触れ合う機会が増えた」という桐生さん。ある時、北海道に住む昔からの知り合いを訪ねることがありました。そこで出会った不登校児の一人から「『なぜ学校に行かなければならないの?』と聞かれたんです。子どもたちの『なぜ?』という素直な疑問に対して大人はどう接すればよいのかを自分でもしばらく悩みました」(桐生さん)。そして、この子どもが抱く疑問との向き合い方を考えるうちに、不登校児の保護者たちから気づいたことがありました。「なぜ、不登校になってしまったの?」「どうすれば、学校に行くようになるの?」といった子どもの不登校の問題に、何とか「正しい答え」を出そうとするあまり、いつしか自分自身の本当の気持ちを忘れてしまう。自分の「なぜ?」に対して、模範解答を求めるあまり、もがき苦しむ。そんな保護者たちの姿です。「不登校の子どもと向き合い続けることは、保護者にとっても苦しいこともあると思います。子どもの問題を考えるあまり、大人のほうが自分と向き合えなくなってしまうことがあるんです」(桐生さん)答えを探すことは、もちろん大きな意味があります。しかし、それだけではなく自分が感じた「なぜ?」はどうしてうまれたのかを考えることも必要になることがあります。一度、子どものことに縛られずにまずは自分の置かれている環境や気持ちを素直に整理する時間を大人自身が持つことが大事なのではないか?そんな時間を持つ何かきっかけになるものはないか?そう考えた桐生さんは、子どもの実際の「なぜ?」を主題に、この絵本を作ることにしました。子どもたちのリアルな疑問を描くために、北海道や大阪の子どもたち七人に「なぜ?」と感じたことを教えてもらうなど協力もしてもらいました。大人になったら忘れてしまうような、子どもが抱く素直な疑問が一冊の絵本にまとまっています。自遊空間ZEROイルカたちと始まる「ナゼナゼ・パズル」Upload By 発達ナビ編集部絵本は、主人公のカエデという女の子が夢の中でイルカになってしまうところから始まります。何頭ものイルカたちと遊ぶ中で、カエデは「ナゼナゼ・パズル」を提案します。「カエデッ、それナゾナゾの間違いじゃないの?」「ちがうの!みんなが、自分の中に眠っている<ナゼ>を探し出すの。自分は<ナゼ>生きているのか、とか、<ナゼ>死ぬのか……とか」(同書8Pより)その提案を聞いたイルカたちはもちろん戸惑います。しかし、サカナしか探してこなかったイルカたちが自分の「なぜ?」を探し始めますそして、日常での「なぜ?」をお互いに交換していきます。だれも答えはわからないし、正解もない。そんな子どものとき、誰しも一度は考えたことのある「なぜ?」が並びます。「ナゼナゼ・パズル」は、みんなの「なぜ?」が出揃ったら、それぞれが自分にとって一番大事な「なぜ?」を選びます。最終的にイルカたちが選んだ一番大事な「なぜ?」はさまざまです。「私はナゼ生まれてきたの?」「僕はナゼ日本に生まれてきたのか?」「ナゼ、人は死にたいと思うの?」「そう思うことは、間違いなの?」など。大人が子どもに聞かれたら少し戸惑ってしまうような「なぜ?」ばかりですでは、実際、こうした「なぜ?」を問われたら、大人はどう答えるべきなのでしょうか?正解だけが大事じゃない。「なぜ?」との向き合い方桐生さんは「正解を伝えることが重要ではない」と言います。絵本の中でもそれが示されています。この世には人の数だけ考え方があります。だから、もしかしたら「正解」は存在しないのかもしれません。どんなことに対しても、ただ、多くの人が信じている、イコール正解というだけで……。(同書P53より)確かに、「周りの意見」が正解につながるとは限りません。自分で考えて、悩んで見つけた答えがその子にとっての一つの答えになることもあります。さらに、その答えも見つかるものと決まっているわけではありません。「まわりの大人たちの一つの役割は、その子が抱いた一つの『なぜ?』を、本人が逃げずに向き合えるようサポートをすること」(桐生さん)。一緒に悩む時間を過ごしたり、素直に「答えがわからない」など、考え方を伝えてあげるだけでも、身近な大人ができるコミュニケーションの一つです。「(これまでの活動を通して)不登校になるなど問題が起きるということは、自分と向き合い始める大きな機会にもなるのではないかと感じました。それは、子どもに限った話ではなく、子どもたちの問題に関わる大人たち自身が自分と向き合う機会にもなります」(桐生さん)この絵本には、桐生さんの「子どもたちが自分と向き合うことの大切さはもちろん、まわりの大人たちも自分自身と向き合う機会にしてほしい」という想いが込められています。実際の子どもたちが抱いた「なぜ?」が絵本の中でどのように、語られているのかは一つの見どころです。その疑問を見たときに、大人になった今の自分は何を感じるのか?子どもの時の純粋な好奇心や疑問を思い出す機会になるかもしれません。
2017年08月09日過去問を見るだけで生命力ダウン!?Upload By かなしろにゃんこ。うちの子は今大学生になりましたが、それまで本当に勉強をやりませんでした。小学校のときは授業中に寝ていることが多かったし、勉強をする時間があるなら工作や絵を書いていたいという子でした。中学では数学と英語の塾に通っただけで他の教科はヤヴァイくらい点数が悪かったので、なんとか家庭で自力で学習させようと過去問を買ってきたり、受験勉強のやり方を説得したり…私はかなり焦っていました。しかし、勉強しよう!と誘っても反抗期ですから反発がスゴくて、「過去問見るのイヤだ!やりたくない!」とか「やってもムダ」などと言っては勉強から逃げてばかり。それはそれは頑なに避けまくっていたので、何がイヤなのか聞いてみると、どうも過去問の厚さや文字の詰まった問題を見ていると生きるテンションが下がる(自分生命力が下がる的なこと)らしいのです。そこから私は息子に塾で勉強する以外は求めるのをやめようと思いました。「この子はこのまま一生勉強で努力はせずに過ごすのだろうな…」なんて考えたものでした。勉強に向かわせた目標の国家試験。Upload By かなしろにゃんこ。高校3年間も息子に期待せずにいたのですが、3年生のときの運転免許取得で、息子ははじめて「勉強すれば努力すれば報われる!」という成功体験をしました。そのことがきっかけで、すこしずつテスト勉強をするようになったのです。そして19歳になった今年、来年控えている整備士の国家試験に向けての専門課程に進んだことで、今までとは違いテストで手が抜けないため、テスト勉強は必須だと燃えています。Upload By かなしろにゃんこ。先週、連続8時間机に向かう息子をはじめて目撃…!「うそーーー!うちの子が真面目に勉強するなんて!雪降るわ!」と思いました(笑)。でもとても嬉しいことでした。「テストをクリアしないと夏休みに補習になるのが絶対にイヤだ!!」という理由ももちろんありますが、自分よりも頭のいい子に少しでも勝ちたい競争心が芽生えてきたようでした。テストの結果が出た日は、「オレより勉強できる友だちよりイイ点取れてた!ラッキー☆勉強しといて良かったZe!」と満足げ。今まで勉強を嫌がっていたのは気が向かないや怠惰な気持ちもあったと思うのですが、成功体験をしていなかったために「やってもムダ」と思い込んでいただけなんじゃないかと思いました。ようやく勉強への意欲が芽生えてきたため「オレ、今みたいにあのとき勉強してたら一番行きたかった私立の工業高校に行けたかもな~」と言うので、「そうかもね~今リュウ太ならどこの学校も目指せるかもね~」と少し盛って答えたのでした。
2017年08月08日NHK「あさイチ」シリーズ発達障害“ほかの子と違う?”子育ての悩みNHKが1年を通してさまざまな番組で、発達障害の多様な姿を伝えていく「発達障害プロジェクト」7/24(月)にも「あさイチ」で特集が放送されました。今回のテーマは、「“ほかの子と違う?”子育ての悩み」朝の番組で、発達障害のある子どもの子育てを取り扱ったことから、特に保護者の方々の視聴・感想が多かった様子です。発達ナビ編集部でもTwitterで番組の内容を実況し、視聴していた方々の感想もまとめました。以下の、Twitter「モーメント」機能によるまとめをご覧ください。「あさイチ」シリーズ発達障害“ほかの子と違う?”子育ての悩みワガママと発達障害の境界線は…?番組で投げかけられた問いと、視聴者の声今回の番組では、発達障害のある小学生の子どもが二人いるご家庭が取材されました。小学6年生の女の子が、学校から帰って来た場面。直前までお友達とおしゃべりしていた内容が心に残って、なかなか気持ちや行動の切り替えをすることができない、結果、宿題を始めるまでに50分もかかったという様子が映されます。お子さんの発達に違和感を感じたのは3歳児の頃。癇癪が激しく周囲に相談したが、その時は周囲から「大丈夫だよ」と言われるだけで、お母さんはギャップに苦しんだそうです。その後4歳児になったとき病院を受診、発達障害と診断されました。お子さんが「宿題をなかなかやろうとしない」「学校に行きたがらない」といった状況や悩み自体は、子育てしているご家庭なら大抵、一度は直面することかもしれません。ですが、発達障害のあるお子さんの場合、気持ちや行動の切り替えの難しさ、困りごとが起こる頻度や程度には大きな差があり、なかなか簡単には困りごとは解消されません。番組で映されるお子さんとお母さんのやり取りから、診断されてから今に至るまでの日々、積み重ねて来た工夫や理解、お子さんの成長の足跡も感じられます。それでもやはり、思うようにいかなくて、パニックや癇癪を起こしてしまうこともある。同じく発達障害のあるお子さんを育てる保護者の方や、ご自身も幼少期に似たような状態になっていたと語る、成人の発達障害当事者の方など、視聴者の方々から共感の声が寄せられていました。一方、スタジオゲストの方からは、「これが単なるワガママなのか、発達障害によるものなのか、わからない」という意見も出てきました。ワガママと障害はどう違うのか。そんな疑問に対して、Twitter上でも視聴者のさまざまな声が寄せられます。番組中でも、一見して誰にでも起こるような困りごとでも、発達障害の場合は、生活に支障がでるぐらい、程度や頻度が大きいという説明がなされていました。ですが、程度や頻度は違えど、起こっている症状や困りごと自体は、どんな子どもにも見られうるものであるゆえに、周囲の人からすると一見してその違いはわかりにくいのでしょう。どこまでがワガママで、どこからが障害なのか…発達障害が身近でない人からそのような疑問が呈されること自体は、無理もないことかもしれません。また、性質や程度の違うさまざまな凸凹のある人々が、連続体(スペクトラム)のように存在していると言われる発達障害それ自体の特性からも、明確な線引きをすることは非常に難しいと言えます。目に見えにくい、わかりにくい障害としての発達障害の性質を示すようなエピソードだったように思います。こうしたジレンマに対して、具体的にはどのように対処すれば良いのか。番組のゲストコメンテーターとして出演された、鳥取大学大学院の井上雅彦教授のコメントがヒントとなります。わがままと障害の線引きはどこかと線引きすることは、厳密には難しい。それよりも大切なのは、周りがどういう風に対応して工夫すれば本人が頑張れるようになるのか、という観点だと井上先生は語ります。線引きをすること自体を目的としても、議論にキリをつけることは難しいですが、その子が何に困っていて、周囲の人たちには何ができるのかと、個別具体的な対応・行動をベースに考えることができれば、発達障害かどうかに関わらず、どんな子どもにとっても有効な困りごと解決のアプローチが見つけられるはずです。番組の後半には、下のような声も寄せられました。どんな状況であれ、お子さんも、親御さんも、それぞれのありのままを受け止めて認めて合うことを願う声です。あさイチ出演、古山さんより保護者の方々へのメッセージ最後に、今回の番組のVTRに出演された古山さんからのメッセージをご紹介します。番組終了後、発達ナビ編集部宛にご連絡をいただき、いま、子育てに頑張っている保護者の方々へ伝えたい思いを語ってくださいました。Upload By 発達ナビ編集部「7月24日のあさイチで取り上げて受けていただいた、古山です観ていただいた皆様、本当に本当にありがとうございます井上先生はじめ、スタジオの皆様が沢山協力して下さり、短い時間でしたが、濃い内容になっていたと思います放送後も沢山の反響をいただき驚いています発達障害の子育てをしているママの沢山の方が涙を流しながら共感してくださったメッセージをいただき、勇気を出して良かったと思っています我が子の姿をさらけ出すことに抵抗がなかったわけではありませんその中で取材を受けた理由は、育児に悩んでいるママに伝えたい想いがあったからです毎日毎日、育児に行き詰まり悩んでいるかもしれません発達障害の子育ては育児上級者コースを受講しちゃったと私は捉えていますだから、もう、毎日100点は目指さないでください今日が20点だった日も落ち込んだり自分を責めたりしないで20点だったなら次の日60点以上を目指せばいい一週間で平均60点取れたら、花マルだから、40点が続いたらお休みの日に80点目指せばいいんですそれだって、1人で頑張らないで家族総出でかき集めたっていいんですあ、失敗した、言いすぎたって時は、素直に謝っちゃえばいいんですママが悪かったです、言い直すからさっきの言葉、消しゴムで消して欲しいっていま、悩んでいるママたち毎日、育児に奮闘していると一人で闘っている気持ちになるかもしれません誰にもカミングアウト出来ず誰にも共感してもらえず苦しくて寂しくて辛い毎日を過ごしているかもしれません私もそんな風な光の見えないトンネルの中にいた経験がありますでも少し勇気を出して周りを見てみてくださいあなたには必ず味方がいるはずですあなたは毎日毎日、子供に向き合い悩みながら色々なことを選択していることでしょうもしかしたら世間一般的には間違いかもしれない選択をしていることもあるかもしれません私自身が、子供達に学校以外の場所に行かせることを決めたように…でもあなたが真剣に子供達の幸せを想いながら出した選択ならたとえ、間違いかもしれない選択だとしてもあなたの決めたことなら応援してくれる人がいるはずです私にとっての実母のように味方がいればたとえ一緒に生活していなくても頑張れるチカラになります勇気を出してみてくださいまたもしも味方がみつからなくても覚えていてくださいあなたが真剣に子供達と向き合い孤独と闘いながら子育てしているとき同じ空の下で私も同じように過ごしていますあなたが今日も上手く対応してやれなかったと子供達の寝顔を見ながら涙しているとき同じ空の下で私も同じように涙していますあなたが真剣に子供達の幸せを想いながら頑張っているなら私はあなたの味方ですあなたは一人ではありませんつらいときくるしいとき良かったら私を思い出してくださいあなたとお子様達の幸せを心から願っています」
2017年08月07日些細な失敗で「死んでしまいたい」と口走る息子出典 : 先日、自閉症スペクトラムの診断が下りている息子と並んで歯磨きをしていた時のことです。私の真似をして舌磨きをする息子に、「力を入れ過ぎると、舌にある味蕾(みらい)っていう細胞が傷ついて、味がわからなくなったりするかもしれないんだって。だから気をつけてそっとやるんだよ」と声をかけました。「えっ、味がわからなくなるかもしれないの?」と言いながら息子は静かにキッチンへと消え、その直後に娘の「やめてよっ!」という怒鳴り声と、夫が息子を叱る声が聞こえてきました。どうやら、娘が氷を入れて飲もうと準備していたコップの水を、息子が勝手に飲んでしまったようなのです。パニックを起こし、「だって!!!味がわからなくなってたら困ると思って!!!早く確かめなきゃ、味が、味がぁぁぁ!!!」と泣き叫ぶ息子。息子の行動には、どんな気持ちが潜んでいたのでしょうか。一旦キッチンから寝室へ息子を移して気持ちを落ち着かせた後、息子とじっくり話をすることにしました。「いったい、どんな気持ちだったの?」「お姉ちゃんなんか、殴ってやりたいと思った」私にはその怒りの根底には別の気持ちが潜んでいることが感じ取れました。「どうしてそう思ったの?」「だって味が分からなくなったら大変なのに怒るから」どうやら、味が分からなくなるって言われたことを必要以上に真に受け、怖くなってしまったようです。そのため、いてもたってもいられず、娘の用意した水をとっさに飲んでしまったということのようです。「そうか、味が分からなくなったらどうしようと思って怖かったのね。でも、あなたにそんな事情があるってお姉ちゃんもパパも知らないから、突然やって来てお水を飲まれたらやっぱり怒っちゃうよね。先にきちんと事情を話していたら、きっと『早くこれを飲んで確かめてごらん?』って言ってくれてたと思うよ」しかし、その言葉を受けめることはできなかったようで、「もう、僕は、なんてバカなんだ!僕なんて死んでしまえばいい!」と叫んで、息子はまた泣き出してしまいました。終わってしまえば、ささいな間違いなのに出典 : いつもは温厚な性格の息子が、他人を恨んだり、自分自身を傷つける言動をする回数が、ここのところ増えてきたのが気になっていました。いい機会なので、ゆっくり息子と向き合い、失敗の受け止め方について話してみることにしたのです。「朝起きてから夜眠るまで、人はいろんな選択をして、いろんな行動をとっているから、大人でも子どもでも絶対に間違っちゃうことがあるの。何万という行動や選択のうち、たった一つを間違えたからといって絶望したり他人を恨んだりしなくていいんだよ。誰だって間違うの。ママも毎日たくさん間違ってるよ」「間違ったって気がついたときはね、単純に『あ、間違った!』って思えばいいんだよ。そうして周りを見回して、誰かに迷惑をかけたり辛い思いをさせてしまったと思った時は、きちんとごめんなさいの気持ちを伝えよう。たった一つ間違えたからって、誰もあなたを否定したりしないよ。みんなが大切にしている君を、君自身が粗末に扱わないでほしいの」そんな話をして「確かにママも間違ってるね。うっかりさんだもんね」と息子が少し落ち着いた頃に、夫が息子に謝りに来ました。「いつもは『これ飲んでもいい?』と声をかけて了解を得てから飲んでいる君が、どうしてあんな行動を取ったのか、事情も聴かずに怒って悪かった。きちんと君の意見を聞くべきだった。ごめんな」「パパが謝った!」と驚きを隠せない息子に、ようやく笑顔が戻りました。「あ、間違った!」と思ったときには素直にその気持ちを伝えるという良いお手本を見せてもらって、息子もようやく娘に「勝手に飲んでしまってごめんね」と伝えることができました。2年後、3年後の成長を見すえて今が踏ん張りどころ出典 : ここ最近、怒りや悲しみを表現することが増えてきた息子。でもそれは成長の証でもあるので嬉しくも思います。しかし、自分の気持ちや衝動を制御していくことは、自然に何かを学ぶということが難しい息子にとって大きな課題となってゆくはずです。ここからは丁寧にひとつひとつ状況や感情を整理しながら息子と向き合っていく必要があると感じています。我が家ではこれまでも、怒りを抑えることができないアスペルガーの娘と、どうすれば自身が楽になるのか話し合うことを続けてきました。そして2年の月日が流れ、娘は同一人物とは思えないほどの変化を遂げることができたのです。とはいえ、決して平たんな道ではないあの作業をまた繰り返していくのか・・・と思うと少し気が遠くなったりもしますが、おそらくここが踏ん張りどころです。息子が自分自身の気持ちの変化をきちんととらえ、自分も周囲も楽しく過ごすことができるように、私は子どもをよく観察し時間をかけて子どもの気持ちを聞き出し工夫を重ねていくことが必要なのでしょう。その子どもに寄り添いともに歩いていく時間が、きっと子どもたちを安定させてくれると信じて、私は今日も子どもたちと向き合っています。発達障害のある子供にとっては決して生きやすいとは言えない世界。いつか子ども自身がその世界を上手く泳いで行けるように、一緒にステキな泳ぎ方を見つけられるといいですね。出典 :
2017年08月06日夕飯をモリモリ食べる長男夕飯は必ずごはんを2杯食べます、我が家の長男。(制限しないと炊飯ジャーのごはんがなくなりかねないので、2杯という約束にしています)ある日の夕食で、納豆も食べたいというのでテーブルに置いておいたのですが、おかずを予想以上に食べること食べること。Upload By ラム*カナすると長男、Upload By ラム*カナUpload By ラム*カナUpload By ラム*カナいいな、その便利機能…!発想力豊かな長男、色んな身体的機能が備わっているようです。
2017年08月06日言語能力は高く見える発達障害の息子。でもその困りごとは意外にも、出典 : 発達障害のある小学1年生の息子はとにかくよくしゃべる子です。興味のあることはあれこれと調べ、それについて一心不乱に話をしてくれます。息子は、大人が話すような難しい話し方をすることが多いため、一見すると言語能力は高く見えます。けれども息子は、幼稚園時代はずっと言語療法を受けていました。それは、自分の言いたいことを一方的に話すことはできても、相手の話を聞きながら、適切な返答をすることが苦手だったからです。言語療法のかいあって、小学校に入る頃には人の話を聞いてきちんと応答する努力ができるようになりました。ただ、意識しないで自然にふるまえるようになったわけではなく、あくまで常に話し方を意識し続けることが必要のようです。私から見ると、友達とのコミュニケーションも特に問題なくできているように思えました。けれどもある日、私と学校の友達について話しているときに、息子が衝撃的なことを言ったのです。「友達は何を話しているのか全然分からない。僕の分かる言葉で話して欲しい。」先生と話せるのに、クラスメイトの輪に入れないのはなぜ?出典 : 友達の話している言葉が分からないという息子の言葉に驚いて、「分からないってどういうこと?だってママとは普通に話してるでしょう。ママの言葉は分からないの?」と聞いたところ、息子はこう言いました。「ママや特別支援の先生たちの言葉は分かるんだ。でも、クラスの友達がワイワイやってる言葉は分からないんだよ…どうしてなんだろう…」息子の言葉を聞いて私はピンと来ました。私や特別支援の先生は、息子に向けて直接言葉を発します。一対一の慣れたコミュニケーションは、息子にとっては話題の推測もしやすく、理解も容易なのでしょう。けれども、クラスの子供たちがワイワイとみんなで騒いでいる言葉は、息子には推測のしづらい言葉なのです。何が飛び出してくるか分からない、どういう流れかもつかめない。そのような中でのコミュニケーションは、日本語であっても息子には理解がしづらいものだったのです。かつて私自身も、初めて海外で暮らしたとき、同じような経験をしたことを思い出しました。先生や特定の大人が話す外国語は理解できるようになっても、クラスメイトたちがワイワイ盛り上がっている場にいくと、途端に何を話しているのか分からなくなってしまうのです。私はクラスメイトたちがワイワイ盛り上がっている場はずっと苦手でした。気付いたら話題から取り残されていて、どのタイミングで会話に入っていけば良いかまったく分からなかったのです。もしかしたら息子にとって、大人数の中でのコミュニケーションの言葉は「外国語」に近いのかもしれない…!と私はこのとき気付いたのでした。日本語が話せる=コミュニケーションができる、という先入観を捨ててみる。出典 : 息子の言語能力を評価する際に、「これだけ日本語が話せているのだから、コミュニケーションもできている」という先入観があったことに気付きました。私とこれだけ話が出来ているということは、他人とコミュニケーションを取ることだって難しくないはずだ…言語能力が高いのだから、他人の話もきちんと理解できているはずだ…私はこんな思い込みを常に持っていたのです。けれども、息子にとって慣れていない友達同士や、対多数との予測不可能なコミュニケーションは、「外国語を聞く」という感覚に近かった。だから、息子はいつも仲間の輪に入ることに大変な疲れを感じていたのです。「この子は今日は一日、外国語の海の中に身を置いていたのか」という気持ちで接すると、息子が帰宅後にぐったりと疲れてしまうことにも、心から寄り添えることができるようになりました。せめて、私や特別支援の先生方だけでも「分かる言葉」を息子に投げかけることができたら。いつも安心できるコミュニケーションの相手でいることができたら。息子は自信を失うこともなく、さらにコミュニケーションの芽を育む助けになれるかもしれません。私はまた一つ、自分が担える大切な役割に気づくことができました。息子との日常の会話、その一つひとつをこれまで以上に大切にして、日々歩んでいこうと思っています。
2017年08月03日見た情報からインプットする『光とともに…』の光くんUpload By モンズースー自閉症を含む発達障害の方の中には、耳からの情報に弱く、目からの情報に強いという特性を持っている人もいます。自閉症児の光くんとお母さんの成長をつづったマンガ『光とともに…』(戸部けいこ/著)でも、口頭で伝えることが難しいこともある光くんにお母さんが「時計の形」や「イラスト」「写真」「文字」など視覚を使った方法で予定を伝えていたのが印象的でした。長男の場合。口頭で注意しても全く伝わらなかったのに!我が家の長男も耳からの情報に弱く、聴力が弱いわけでも、言語が理解できないわけでもないのですが、言われたことばを聞き取り理解することが困難な時があります。Upload By モンズースーUpload By モンズースーUpload By モンズースーUpload By モンズースーUpload By モンズースー私も耳からの情報は苦手です。会話をしている時に、話し相手の言葉も、周囲の会話や音楽、生活音も同じように聞こえてしまうので、聞き分けられず、どんなに集中して聞いても理解できないこともあります。ですが、そんな人の中には、目からの情報処理が得意な方も多いのです。得意なところを伸ばして苦手をおぎなっていこうね長男の場合、文字は読めなくても、お店や企業のロゴは多く読めました。目からの情報で覚えていたようです。何年も前に行った場所を再訪したときも、以前来たときのことをよく覚えていて、部屋の配置や置いてあったものなどの話をしてくれることもあります。長男の通う幼稚園では、「絵カード」や「写真」を使って予定や手順を丁寧に教えてくださいました。発達障害の方は不得意なことも多いですが得意とすることもあり、その力で苦手な部分を補っていくのも方法の一つなのだと思います。※このコラムは『光とともに・・・~自閉症児を抱えて~』の場面の中から発達障害の事例を取り上げてご紹介しています。秋田書店『フォアミセス』誌でも掲載しています。よかったらお手にとってご覧くださいね!フォアミセス|秋田書店
2017年08月02日先日、NHK 「あさイチ」 で「発達障害の子育て」についての特集が放送された。番組に出演した古山さん一家は、小6の長女と小3の長男が共に発達障害と診断されている。元気にあいさつしてリポーターを出迎える2人の姿は、障害があるとは思えないほどだが、3日間生活に密着しているうちに、「あれ?」と思うことが見えてくる。古山家のお母さんは、子どもとのコミュニケーションに、言葉ではなく筆談でそっと気持ちを伝えたり、タイマーを使って時間をわかりやすく提示するなど、随所に工夫を凝らしていた。また、お母さんは「長女の子育てに悩んだ末、4歳の時に1人で決めて1人で病院に行った」「旦那は診断を受け入れられず、障害者のレッテルを張ったのは私なのか? と悩んだ」とのこと。それから6年、今も整理できない気持ちを抱えながら、夫婦で手探りの子育てが続いているという。じつは筆者にも、8歳になる娘(定型発達)と4歳の息子(自閉症スペクトラム)がいる。決して感情的にならず、子どもの気持ちを受け止めて待つという古山家のお母さんの姿は、とても学ぶところが多かった。■子どもが発達障害と診断。その時、夫は……?しかし、今回の番組を見ていて私が一番気になったのは、子どもでもお母さんでもない。それは、お父さんの存在だ。当事者として出てくるのはほとんどがお母さんで、お母さんの話を通してからも、お父さんの存在があまり見えてこなかったのが気にかかった。個人的には「夫婦や家庭内の葛藤をもっと掘り下げて聞きたい!」と感じた。今回は放送時間の都合上、残念ながら「お父さんの存在」にはあまりフォーカスされていなかったようだ。次回以降のNHK「あさイチ」特集を含む、 NHK「発達障害」プロジェクト で、このテーマが深堀りされることを期待したい。「お父さんの存在」という問題。じつはこれ、療育ママの間では、よく聞く話である。「夫が子どもの障害を認めてくれない」「旦那が『就学先は絶対普通級』と言っている」「旦那が、幼稚園での発表会の様子を見てショックを受けちゃった…」などなど。他に、義理両親や自分の両親から理解してもらえないという話も時々聞く。「義理母に、あなたがちゃんと躾ければなおると言われた」「母親に、『あなたは甘やかしすぎ。このままじゃわがままな子になる』と注意された」などなど。こういう発言にはイラッとくるけれど、百歩譲って、祖父母世代に発達障害の理解は難しいのかもしれない。自分たちが子育てしていた頃には、きっと聞いたことのない話だろう。でも、同居していたらちょっとキツイ問題だけど、別々に住んでいるならうまくわかすこともできるし、子育てにそれほど強い影響もないはずだ。だが、夫の場合はそうはいかない。夫がきちんと向き合ってくれなければ、お母さんのストレスは2倍、いや数倍にも膨れ上がる。日々の小さなことまでフォローする必要はないと思うが、「ここぞ!」という時には、真剣に向き合ってほしい。意見が衝突することもあるかもしれないが、いざという時に一緒に本気で問題に取り組んでくれる同士(夫)がいると感じられれば、それは、お母さんにとって何よりも大きな心の支えになるはずだ。 ■他の子と比べすぎるお母さんと、比べすぎないお父さんまた、一般的に、子育てはお母さんが主役になることが多いので、同世代の友達と関わることも増えるが、お父さんは集団でのわが子の姿を見る機会がほとんどない。なので、年相応の発達状態を把握しにくく、「男の子なんてこんなもんじゃない?」とか「俺も子どもの頃そうだったよ」などと問題を見逃しがちな面がある。でも、これって悪い面もある反面、意外と良い面もあると思うのだ。わが家の場合は、私が他の子と比べてばかりいて、「普通」であることに縛られ、ふさぎ込んでしまっていた時期があった。だが、夫は、他の子と比べることは一切しなかった。「他の子と同じである必要はまったくない」、「比べることには何の意味もない。もし比べるなら、『他の子と』じゃなく『過去の息子と』」「『普通』の定義って何?」と、落ち込んでいる私を容赦なく詰めて(励まして?)くれたものだ。そんな夫に、「あなたは他の子のことを全然知らないからそんなに呑気なの!」と噛みついたこともあった。だが、文句を言いつつも、わが子のことだけをしっかり考えるという夫のブレない姿勢は、どこかで、とても心強い支えになっていたのだ。また、夫と私では子どもについての見方も全然違ったので、多面的に話し合えることもありがたいことだった。お父さんというポジションは、お母さんより、子育てを冷静かつ客観的に見られる位置にいると思う。お父さんには、ぜひそういう強みも活かしてほしいのだ。■「わがまま」と障害の線引きは?最後に、番組を見ていて、もう一つ気になったことがある。「わがまま」と障害の線引きは? ということだ。番組に出演した古山家のお父さんも、「どこまでが発達障害の特性なのか個性なのか切り分けが難しい」と葛藤していたし、スタジオの出演者たちもそのことについては判断つかないようだった。このことは、私も、よく健常児のママから聞かれるのだが、私も答えがわからずに困っている。専門家の井上雅彦さんも、「(線引きは)厳密には難しい」と言っていたので、かなり悩ましいテーマなのだろう。ただ、重要なのは、障害との線引きにこだわることではなく、「どう工夫すれば(生きにくさを感じている)子どもたちの努力が報われるか?周りがどう対応するか?ということの方に目を向けるべき」(井上雅彦さんコメント)とのこと。そう、私たちの目的は、子どもをカテゴリ分けしたり、レッテルを張ることではない。困っている子どもたちが、いかに生きやすくなるかを考えぬくことなのだ。まちとこ出版社N【発達障害についての記事一覧】▼大変だけど、不幸じゃない。発達障害の豊かな世界(全4回)▼「うちの子、発達障害かも!?」と思ったら(全9回)
2017年08月01日ある日曜日の夜Upload By ラム*カナ※思い立ったが吉日!とばかりに、言われた場所で服を脱ぐという・・・。Upload By ラム*カナUpload By ラム*カナうん…。ちゃんと入れられたね…。っておーい。Upload By ラム*カナサイレントツッコみ入れておきました。(君はまだ洗濯機を知らない)
2017年07月29日大人の癇癪とは?出典 : 癇癪(かんしゃく)とは、怒りの気持ちを抑えたり、怒りからくる突発的な行動をコントロールしたりすることができない状態を指します。私たちは、時には気持ちをぐっと抑え、実際に相手とのやりとりでは柔らく表現するなど、工夫をしながら生活しています。専門的には、ぐっと気持ちを抑えることを「情動調整」、「本当は怒りたいのだけれど、やわらかく言おうとする」ことを「行動制御」といいます。癇癪は、医学的に明確な診断名として確立されたものではなく、どのような症状や状態を癇癪とするかははっきりとしないのですが、一般的には、【気持ちのコントロール】【行動のコントロール】という2点について難しさがあるという状態のことが、「癇癪」として理解されています。癇癪というと子どもの行動をイメージするかもしれませんが、大人の場合、それとは原因やメカニズムが異なっています。ここでは大人の癇癪について、詳しく見ていきたいと思います。人が生活するなかで、ポジティブ・ネガティブ問わずさまざまな感情が湧き起こること自体は、自然な現象です。ネガティブな感情が起こったときには、状況に合わせてどのくらい感情を出せばよいのか、また起こった感情を上手になだめてあげるというように、ある程度頭で判断をして、感情とうまく付き合っていく必要が生じます。ネガティブ感情のコントロールがうまくできない場合には、頭で冷静に判断をすることができず、怒るとすぐに体が動いてしまったり、湧いてきた怒りのやりどころに困ったりします。具体的には、周りの人や物に激しく当たり散らしたり、攻撃的な言葉を発するなどの行動をとってしまいます。また、行動に出ないまでも、怒りの気持ちが長い時間おさまらず、仕事や勉強がまったく手につかないということもあるでしょう。このように気持ちをコントロールするのが難しいと、体のストレスを解消できなかったり、人間関係を発展させることができないなどの二次的な問題が起こることもあります。怒りが起こるきっかけはさまざまです。たとえば、人とのかかわりの中で相手から投げられた言葉や態度、また物事に対するうまくいかなさなどです。いずれにせよそれらのきっかけは、冷静に考えたらささいなものであり、それほど怒るようなことでもない場合が大抵です。癇癪を起こしてしまう原因は、その場での出来事、つまり物事のうまくいかなさ、相手の態度などではなく、もっと別のところに問題があるということも考えられます。この点については後の章でご紹介します。そもそも、怒りとは何か?出典 : 感情は、人が自分がどのような状況に置かれているかについて知らせるシグナルの役目をもっています。例えば、恐れの感情がその代表といえるでしょう。自分の生命を脅かすようなものに出くわしたときに、「怖い!」と感じることにより、危険を回避することができます。また、感情が起こることにより、周りの人との関係を作ってゆくことができます。例えば、「楽しい」気持ちによって出てきた笑顔が周りの人とのかかわりを生み出して、友好的なコミュニケーションを引き出すということは、誰しも経験があることなのではないかと思います。このように生命を維持したり、人とのかかわりをつくるのに感情は役に立っています。では、今回のテーマである「怒り」についてお話を進めていきます。「怒って暴言を吐く」という怒りの行動があるとします。怒りにはきっかけがありますが、そのきっかけが瞬間的に行動に移るわけではありません。そのきっかけがあったときに、どのようなプロセスを経て行動へと結びついているのでしょうか。怒りのメカニズムには以下の順序があります。1.きっかけとなる出来事が起こる2.反応する3.怒りの感情が起こる4.感情を調整する5.行動・表現する癇癪を起こしてしまう人は、上記のプロセスを経る中で「過剰に反応してしまう」「感情を調整することができない」「行動の調整をすることができない」のうちのいずれかの状況に陥っていると言えます。では、そのような困った状況で、私たちは怒りをどのように抑えていけばよいのでしょうか。癇癪を自分でコントロールしたい出典 : 感情が生じてしまうこと自体は生物学的に自然なものです。ですから、感情の生起自体をコントロールすることは難しく、その感情が起こった後に、どのように対処するかが重要になります。ここでは怒りが起こったときに、どのような対処法が有効かをご紹介します。アンガーマネジメントとは、アメリカで開発された怒りを予防し制御するための心理プログラムです。プログラムの開発の当初は、軽犯罪者に対する矯正プログラムとして確立されていましたが、今では企業や教育現場などにも取り入れられています。怒りの感情を上手に向き合うことで「あのとき、あんなふうに怒らなければよかった」と後悔することが少なくなるでしょう。アンガ―マネジメントはトレーニングですので、すぐには怒りを抑えることができなくても、意識をして何度も行動に移すことで効果が現れてきます。諸説あるものの、怒りが頭にのぼるピークは6秒ほどといわれています。この短い時間をやりすごすことのできる方法についてお伝えします。1.怒りを数値化する怒りは目に見えないものです。だからこそ、振り回されてしまいます。怒りを数値化することによって、感情を客観的に評価することができ、怒り任せの行動を防ぐことができます。ここでは10点満点中、0~10までの数字を思い浮かべます。0 まったく怒りを感じていない状態1~3 イラッとするが、すぐに忘れてしまえる程度の軽い怒り4~6 時間がたっても心がざわつくような怒り7~9 頭に血が上るような怒り10絶対にゆるせないと思うくらいの激しい怒り戸田久美/著『アンガ―マネジメント怒らない伝え方』2015年/刊/かんき出版点数をつけることで、怒りの対象から意識がそらされ、怒りの気持ちにストップがかかります。また、点数をつけることを習慣にすることで、自分が怒りを感じるパターンが把握できるようになります。2.その場から離れるこれは、自分が感情をコントロールできなくなったときに有効です。怒りの気持ちがおこった環境を変えることにより、攻撃的な気持ちをリセットすることができます。怒りを感じたときに相手がいる場合には、「ちょっとお手洗いにいくので席をはずしますね」などと一言断ってから場を離れるようにしましょう。3.深呼吸をする怒りを感じたら深呼吸をするという対処法はよく聞きますが、生理学的にも効果が証明されています。深呼吸をすることによって、副交感神経という心をリラックスさせる自律神経のはたらきが高まります。怒りが湧いてきたら、鼻から大きく息を吸い、いったん呼吸を止めます。そして、口からゆっくりと息を吐きます。これを2~3回行っていきます。「4秒吸って、8秒吐く」など吐くことに時間をかけると効果的です。4.意味づけを行う問題のある状況に意味を見出すこと、またその状況に対してポジティブな解釈をすることです。例えば就職活動の面接に来た場合を例として考えてみましょう。面接官から非常に難しい質問をされたとします。その状況を「意地悪な面接で嫌だなあ」と思うかもしれません。しかし「面接官も好きで意地悪をやっているのではない。業務の一環なんだ」ととらえることもできます。そして面接官がした質問の捉え方によって、私たちの反応は変わってきます。おそらく前者では恐怖を感じる、自信をなくしてそのあとの質問にもうまく答えられないかもしれないですが、後者では、質問に何とか対応しようと冷静さが保てるかもしれません。このように、状況や相手の言葉や態度を見る視点を変えることを心理学では「認知的再評価」といいます。5.いまに意識を集中させるこれは怒りが頭に湧き起こってきたときにも有効ですが、他の方法と異なるのは、以下のようなときにも効果が見られることです。・怒りが長く続いているとき・過去に起こった怒りにとらわれているとき・よくない未来を想像しがちなとき目の前にあるものを観察したり、目を閉じて聞こえてくる音を心の中で描写します。例えば「紙がこすれるカサカサという音がする」「足音がする」「電気がチリチリと鳴る音がする」などです。これはマインドフルネスという瞑想プログラムでも用いられている方法で、今ここに意識をもってくることで、とらわれている感情から解放されることが目的とされます。癇癪が抑えきれない…障害や疾病との関係は?出典 : アンガ―マネジメントを試してみても、怒りの頻度や程度があまりにひどい場合どうしたらいいのでしょうか。もちろん睡眠不足やストレスなどの日常生活上の習慣は怒りの要因として大いに関係していますが、以下のような障害や疾病が関連していることも考えられます。ADHDとは、注意欠陥・多動性障害(または注意欠如・多動性障害)と呼ばれる、発達障害のひとつであり、不注意、多動、衝動性を主な症状としています。ADHDの特性から生じる障害のひとつとして、行動のコントロールの障害があります。ADHDのある人は、刺激と反応の間にワンクッションを入れることが苦手な傾向にあります。つまり衝動性が高く、カッとなったらすぐに手が出てしまうといった行動もこのひとつとして考えられます。また、ADHDの二次障害として、素行障害や反抗挑戦性障害を引き起こすことがあります。幼少期、就学期のころに、周囲から叱責や注意を多く受け、自分の行動が理解されないことから自尊心が下がることにより、反抗的な態度を取ることとなります。幼い頃は反抗的な態度をとるにとどまっていても、年齢があがってくると徐々に攻撃性がエスカレートし、また周囲からの理解が得られず、攻撃性がさらに高まり、暴力行為や非行問題に走ってしまうことがあります。このような負の連鎖をDBDマーチといいます。攻撃性のレベルが非常に高く、また高頻度で続く場合には間欠性爆発性障害である可能性が考えられます。アメリカの精神医学会の発行する『DSM-5(精神障害の診断と統計マニュアル)』には、この障害について以下のように述べられています。A. 下記のいずれかに現れる攻撃的衝動の制御不能に示される、反復性の行動爆発(1)言語面での攻撃性(例:かんしゃく発作、激しい非難、言葉での口論や喧嘩)、または所有物、動物、他者に対する身体的攻撃性が3カ月間で平均して週2回起こる。身体的攻撃性の損傷又は破壊にはつながらず、動物または他者を負傷させることはない.(2)所有物の損傷又は破壊、および/または動物または他者を負傷させることに関連した身体的攻撃と関連する行動の爆発が12カ月間で3回起きている.B. 反復する爆発中に表出される攻撃性の強さは、挑発の原因又はきっかけとなった心理社会的ストレス因とはひどく釣り合わない.C. その反復する攻撃性の爆発は、前もって計画されたものではなく(すなわち、それらは衝動的で、および/または怒りに基づく)、なんらかの現実目的(例:金銭、権力、威嚇)を手に入れるため行われたものではない.D. その反復する攻撃性の爆発は、その人に明らかな苦痛を生じるか、職業または対人関係昨日の障害を生じ、または経済的または司法的な結果と関連する.E. 暦年齢は少なくとも6歳である(またはそれに相当する発達水準).F. その反復する攻撃性の爆発は、他の精神疾患(例:うつ病、双極性障害、重篤気分調節症、精神病性障害、反社会性パーソナリティ障害、境界性パーソナリティ障害)でうまく説明されず、他の医学的疾患(例:頭部外傷、アルツハイマー病)によるものではなく、または物質の生理学的作用(例:乱用薬物、医薬品)によるものでもない。6~18歳の子どもでは、適応障害の一部である攻撃的行動にはこの診断を考慮するべきではない.注:この診断は、反復する衝動的・攻撃的爆発が、以下の障害において通常みられる程度を越えており、臨床的関与が必要である場合は、注意欠如・多動症、素行症、反抗挑発症、自閉スペクトラム症に追加することができる.引用:アメリカ精神医学会/編『DSM-5 精神疾患の分類と診断の手引』2014年/刊/医学書院親が役割を放棄していたり、虐待にあっているなどの過酷な家庭環境にさらされている場合には、情動制御の弱さが見られるケースが多く報告されています。というのも気持ちのコントロールは、他者とのあいだにある多様なやりとりによって、その方法を学ぶという要素が強いからです。人は相手との関係の中で、「気持ちをなだめる方法を教えてもらう」「気持ちをコントロールしてうまくいく」という経験を経て学習していくものです。しかし、虐待や育児放棄をされ、養育環境の中で適切なやりとりが行われなかった子どもだと、その方法を学ぶことができず、気持ちのコントロールをする方法がわからないことがあります。そしてそれが大人になっても続いていくことがあります。自覚できることがある場合、カウンセラーなどの専門家に相談してみることをおすすめします。人に危害を加えてしまうことがある、また対人関係が上手くいかないなどの具体的な悩みごとがあれば、その旨をしっかり伝えるとよいでしょう。癇癪の治療が必要かわからないけれど、一度相談してみたい出典 : 専門家の人に相談してみたいけれど、いきなり精神科やカウンセリングに行くのには抵抗がある…こういった悩みを抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。精神科やカウンセリングに行く前に相談に乗ってくれる機関があります。以下の相談機関では、こころの問題を含めた病気や生活の悩み事の相談に乗ってくれます。病院の受信が必要かどうかわからないときや、ご家族や知人の方が相談したいときには気軽に利用してみましょう。電話で相談、受診先を案内してもらったり、場合によっては面接の予約をしての相談となることもあります。これらは各都道府県と政令指定都市に1か所以上設置されています。公的機関であるので相談料金は無料です。・保健所・精神保健福祉センター以下のリンクからお近くの相談機関を調べることができます。保健所一覧|全国保健所長会精神保険福祉センター一覧|厚生労働省癇癪の治療を受けたいと思ったら出典 : 精神科医療機関とカウンセリングでは、問題に対するアプローチの方法が全く異なっています。精神科では怒りを鎮めるための処方箋を、カウンセリングでは根っことなっている認知の問題を解決するための治療が行われます。自分のニーズに合わせた機関へ行くことが重要です。注意したいこととして、「医療機関では長時間のカウンセリングは行われない」ということが挙げられます。逆に、病院でしかできないこととは、薬の投薬と医学的な検査(血液検査や画像検査)の結果をふまえた診断です。これらを求める場合には、是非病院を訪れてください。医療機関では、主に症状そのものの緩和のためのアプローチが行われます。主に投薬と生活指導が基本です。例えば、不安という症状に対しては抗不安薬を、不眠症状には睡眠導入剤や抗不安薬など症状を緩和するための薬剤を処方されます。医療機関では【症状を聞く】→【診断を下す】→【投薬をする】という一連の流れで患者の病状を改善していきます。病院によってはあまり長い時間をとってもらえないこともありますので、以下のような準備をしていくとよいでしょう。◇メモを用意する自分が困っていることとや、確認したいことについて事前に整理をしておきます。例えば、最近の体調、気持ち、仕事や学校のこと、家庭のことなどです。このように事前に自分の身に起きていることを整理したメモは、診察の場面で言いたいことをきちんと伝えるお助けツールになります。しかし苦しいという悩みはあるものの、実際に言葉にできないこともあるでしょう。そのようなときには、以下の質問リストを参考することで、聞きたいことをリストアップしてみることをおすすめします。これは統合失調症の患者さん向けに作られたものですが、精神科を受診するすべてのの人が参考にして役立てることができます。「質問促進 パンフレット」精神科外来での共同意志決定支援ツール|精神科外来における意思決定支援ツール開発・普及委員会また、病院によっては精神科と心療内科が分かれていることもあります。精神科は精神的な症状のみでとどまっている患者を対象としており、心療内科は、身体的な症状が現れており、心理的な要因が考えられる場合に受診するのがよいでしょう。カウンセリングでは、【話を聞く】→【何が問題となっているのか根っこを査定】→【心理的な療法】という流れで治療が行われます。医療的な治療と異なるのは、カウンセラーと相談者がともに問題解決の方法を探っていくという協同型の治療であるという点です。また、病院に併設されていることもありますが、多くの場合は自由診療であるので、診療以外の費用がかかります。カウンセラーは、意識的なものだけではなく、心の無意識的な働きについても考慮し、問題の原因を分析し、よりよい心の使い方や感情の向き合い方ができるような働きかけをしていきます。怒りについては、気持ちや行動の調整を妨げる原因によって、アプローチの方法は異なります。治療者によっても治療の内容は異なります。前の章で紹介したような怒りに対する瞬発的な対処法についても学ぶこととなり餡巣が、怒りとうまくつきあうための心の土壌づくりがメインとなります。例えば、考え方の枠組みを変える認知行動療法や、身体そのものに働きかけるリラクゼーション療法、マインドフルネス療法などが行われます。癇癪を起こす人の周りにいる方へ出典 : 癇癪を起こしてしまう人の周りにいる人もつらいと思います。なぜなら楽しい、うれしい、悲しいなどすべての感情はその場に伝染していきます。特に怒りは強いエネルギーをもつ感情のために、ほかの感情よりも伝染しやすい性質があります。周りの人たちはどのような心構えで本人と関わればよいのでしょうか。怒りが抑えられないと「我慢が足りない」と捉えられがちですが、癇癪と我慢には関係性はありません。これは、空腹な人に対して「根性が足りない」といっているようなものです。癇癪を起してしまう人は、爆発的な怒りをどうにかしたいと思っている一方で、気持ちをコントロールできず当たり散らしてしまう現状に対して葛藤を抱いています。癇癪は自分では「怒りを抑えられない」という状態のために、自分でも怒りの原因や対処法が分かっていないことが多く悩んでいます。また二つ目の問題として、癇癪による二次的な問題があります。すぐに感情的になってしまうために人とうまく付き合えず、家族や恋人、友人との間の人間関係や、職場や学校における適応に問題を抱えていることが多いです。そのような場合に、カウンセリングなど、他の人の支援を受ける方法を知らせるなど、解決したいという本人の支えとなる方法がないかを一緒にさがしてみるとよいでしょう。怒りの感情は周囲に伝染するので、あまりに癇癪がひどい場合には、周りの人も大きな精神的ストレスを受けてしまいます。癇癪が起きているその瞬間には逃げることも考えてください。周囲の人に明らかに非があった場合を除いて、本人の怒りのサンドバックになる必要はありません。大事なのは、周りにいる自分の苦しさがあると伝えた上で、自分の身を守るためにもその場を離れることがあると伝えておくことです。職場などの場合には「逃げる」という選択をすることが難しい場合もありますが、怒っている人のいる場から物理的に離れるという勇気をもってみることも大切です。また、あまりに癇癪が激しく、精神的につらい時や危害を受けている時には、ためらわず専門機関などに相談することも検討しましょう。相談ナビ総合労働相談コーナーのご案内まとめ出典 : 感情とうまく向き合うことができれば、感情を使って建設的な行動をとることができるようになります。怒りをバネにして何かを成し遂げるといったように、怒りは目的に向かって行動するきっかけにすることも可能です。わたしたちを怒らせるものの正体は「譲ることのできない価値観」です。しかし「こうあるべき」という価値観が大きすぎると、現実を受け入れにくくなってしまいます。自分がどのような「こうあるべき」という価値観を、どの程度望んでいるのか、それをお互いに伝え合うことができれば、職場や家庭での人間関係も良好になるかもしれませんね。
2017年07月29日『子どもも親も幸せになる発達障害の子の育て方』の著者の立石美津子です。「○○さえ出来たら…」親の価値観で子どもに期待を寄せていたあの頃子どもを産んだ瞬間は「元気であればそれでいい」とそんなに高望みはしていなかったのに…。ほかの誰かと比較することなく、我が子の存在そのものに喜びを感じていたのに…。定型発達児であれ発達障害児であれ、親になるとつい周りの子どもと比べてしまいます。「みんなと同じ行動がとれますように…」「お友達のようにお喋りができますように…」「集団行動がとれますように…」無意識のうちに、こんな言葉が頭をよぎることはありませんか?でも、これらは親が持っている独自の価値基準。「ここさえ改善されたら、私もこの子もきっと幸せになるに違いない」と勝手に思っているだけなのです。Upload By 立石美津子もし、親が定型発達で、子どもが発達障害児であればなおのこと、子どもは苦しみます。何故なら親に“共感”してもらえないからです。親が定型発達の場合「みんなと同じことが出来るようになることが幸せだ」「お友達がいることが幸せだ」という考えにとらわれていることも多くあります。私自身もそんなことを感じた出来事がありました。発達障害当事者のママに言われた衝撃の一言私は定型発達で、息子はバリバリの自閉症です。ですから、私も前記のような親の期待と子どもの状態のずれに悩んでいました。これは、14年前、息子が3歳だったときの保育園での写真です。皆と同じように帽子をかぶって合唱することはなく、息子は一人読書をしています。私は保育参観でこの光景を目の当たりにし、もの凄く悲しい気持ちになりました。Upload By 立石美津子当時、息子を病院内の療育施設に通わせていたのですが、そこで知り合ったあるママがアスペルガー症候群の当事者でした。そのママにこの写真を見せたことがあります。そこでの会話私「ねえ、うちの子を見てよ。何度叱ってもみんなと同じ行動がとれないのよ…」当事者のママ「この前列に立っている子ども達、どうしてみんな同じ格好をして歌を歌っているのかしら?後ろで本を読んでいる方が楽しいのにね」意外性のある回答を聞いてびっくりしました。同時に「このママは他人なのに、息子の気持ちがわかるんだ。そんな視点も存在するんだ~」と思ったのです。そして、私が自分の枠組みでしか子どもを見ていなかったことに気付かされました。個性を伸ばしたいといいながら、子ども自身の「世界観」を無視していた出典 : どんな子どもにもそれぞれ個性があります。ところが「個性を伸ばしたい」と口では言いながら、実際にやっていることは人並みを求めたり、平均値を意識する子育ての人が多いように感じます。ダウン症、視覚障害、肢体不自由などの障害は一目見ただけでわかるので、親自身も受け止めざるを得ないですし、いちいち説明して回らなくても周囲の理解を得られやすい場合もあります。でも、見た目が定型発達児と変わらない発達障害の子どもに対しては、まず親自身がなかなか受け入れられないことがあります。中には「このまま私が一生懸命育てれば、いつかきっと普通の子どもになるのではないか」と錯覚してしまう人もいます。また、母親が理解していても、姑から「しつけがなっちゃない!」となじられたり、理解のない夫から「お前の育て方が悪いからこうなったんだ。愛情不足だ」と責められている人もいます。こうなると誰も理解者がいなくなり、母親は更に苦しみます。偉人の母たちの行動から学ぶしかし、自分の育て方が間違っていると、苦しむことはありません。歴史上には学校に匙を投げられても、偉大な人物に成長した人、その人を育てた母の話がいくつも残っています。徹子さんは初めに入学した小学校で問題児扱いされました。教室の机のふたが珍しくて授業中何度もパタパタ開け閉めしたかと思うと、今度は窓際に行き、外を歩くチンドン屋を呼び込んだり…。学校からは迷惑がられて、とうとう退学処分となりました。立派なのはその時のお母さんの姿勢です。徹子さんを変えようとしないで「この子を受け入れてくれる学校を探そう」という視点で転校先を探しました。しかも、本人が傷つくことを恐れて、転校理由(退学について)は本人には絶対に伝えませんでした。この母親の配慮により、徹子さんは“自分の存在を否定された”と感じることなく、その後、転校先で素晴らしい先生に出会うことになりました。転校先で校長先生からかけられた「君は本当はいい子なんだよ」の言葉に元気づけられ、徹子さんの今があると『窓際のトットちゃん』に書かれています。出典 : 粘土を使って“1+1=2”を教える小学校教員。エジソンは「粘土と粘土を合わせたら1」だと言い張りました。これに対して担任は「腐れ脳みそ!」と言い放ったそうです。そのこと知った母親は子どもの発想力をつぶす教師と学校側に抗議し、とっととエジソンを退学させます。母がとった決断の結果、のちにエジソンは人類の生活を変える電球の実用化を果たしました。もちろん、みんながみんな偉人になるわけではありません。でも、こうした偉人のエピソードから親が学べることはあると思うのです。子どもを変えるのではなく、親が変わる。そうすれば、子どもは「この世に生まれてきて良かった。毎日が楽しい、幸せである」と感じます。親が子どもを産んだときに「この子が幸せな人生を歩んでいきますように」と願ったことは、親が子どもの立場に立ち、子ども自身の世界観を大切にすることでこそ、叶うのではないでしょうか。まとめ出典 : 親が定型発達であると、どうしても既成概念で物事を捉えがちです。「友達がいないことは可哀想だ。友達と一緒に遊ぶことが楽しいだろう」と考え、地面の虫や石ころとたわむれる一人遊びをする子どもを「そんなことしていないで皆のところへ行って遊びなさい」と連れ出します。部活を選ぶときも、みんなと協力しなくてはならないサッカーや野球をやらせたくなります。でも、子どものことを考えたら人と関わらないで済む個人プレイの体操、マラソン、テニス、卓球などをやらせた方が楽しめる子もいるはずです。我が子に対しては「こうあってほしい」と願いを託すのは親として自然な感情ですが、子どもを無理に変えようとしたら本人には無用な大きなストレスがかかります。もしかして…変わらなくてはならないのは親なのかもしれませんね。『立石流 子どもも親も幸せになる 発達障害の子の育て方』
2017年07月28日つないだ手を振りほどかれる。泣いて駄々をこねる。長男と一緒に歩くのが辛い…自閉症の長男は幼い頃からこだわりが強かったため、外に連れ出すのが困難でした。車や電車といった乗り物は大好きなのですが、徒歩で出かけると、決まって座り込んで泣き出すのです。歩くのが疲れた、行きたい方向と違っていた――おそらくそういった理由だったと思います。つないでいた手を振りほどき、地べたに座って「あー!」と叫ぶ長男…。Upload By シュウママ自閉症という診断が下る前だったこともあり、私は泣きわめく長男が理解できませんでした。次第に散歩するときは長男をベビーカーに乗せ、定型発達の双子の次男とお喋りしながら一緒に歩くようになりました。ベビーカーに乗れなくなってからはできるだけ歩かなくていいように、タクシーを使うようになりました。Upload By シュウママ長男に対して申し訳ないとは思ったのですが、いつも座りこまれてはどこにも行けません。正直、パニックになる長男の姿を見るのは辛く、恥ずかしくもあったのです。タクシーがつかまらない!不安だけど一緒に歩こうかそれから何年か経った日のことです。長男は8歳になっていました。持病があるため定期的に病院に通っているのですが、通院日に困ったことが起きたのです。いつも病院へは電車で行き、最寄りの駅まではタクシーを利用しているのですが、その日はタクシーが一向につかまりません。また座りこんで泣くのではないか――不安を覚えながらも、仕方なく私は長男と駅まで20分の道のりを一緒に歩くことにしました。Upload By シュウママあれ、長男の様子が前と全然違う…?外に出た途端、長男は自分の小さな手を私の手に絡めてきました。そしてぎゅうっと握りしめたのです。小さい頃、どんなに手をつなごうとしても振り払っていたのがうそのように、長男は自分から手を握りスタスタと歩いていきました。時折下から私の顔を仰ぎ見てはにこにこと笑顔を向けます。一緒に歩いていることが楽しくて仕方ないことがその表情からよくわかり、私も温かい気持ちになりました。Upload By シュウママ突然立ち止まった長男が口にした言葉はそうして手をつないでしばらく歩いていたのですが、突然長男がぴたりと立ち止まりました。そして私に向かって大きな声で言ったのです。Upload By シュウママ驚きました。長男が魚という言葉を知っていただけでなく、一生懸命私に伝えようとしたことに。それからも長男は何か見るたびに、見た物をどんどん口にしていきました。「ケーキ!」「ねこ!」「アジサイ!」長男の顔には、発見を一緒に共有しようとする喜びがあふれていました。もう、私の手を振り払って泣き叫んだ幼い頃の姿はどこにもありません。ゆっくり、ゆっくり。5年後に次男と同じ場所にたどりついたんだね単語を口にする長男を見ながら、ふっとある記憶が蘇りました。それは定型発達の双子の次男が、ものの名前を覚えたての頃、ちょうど3歳頃でしょうか――同じように見た物を片っ端から私に教えてくれていた5年ほど前のことです。Upload By シュウママ看板に書かれた文字を読み上げ、道端に咲いた花を見て、名前を教えてくれた次男。四季の移り変わりを感じながら次男と散歩していた頃の記憶。ああ、この子はあの頃の次男に追いついたんだ――言葉でやりとりできないし、一緒に歩いてたってきっと楽しくなんてないだろう、きっとまたつないだ手を払いのけるんだ――私が長男に対して、そう思い込んでいた長い長い間、彼の心はちゃんと成長していたのです。そして5年前、次男が立っていた地点に、長男も今ようやくたどりついたのです。Upload By シュウママそのことが涙が出るほど嬉しくて、私はしゃがみこんで、小さな長男の頭をしばらく撫で続けていました。
2017年07月27日研究に協力するために参加したセラピーがきっかけで出典 : 大学などの研究機関では、比較的安価な費用でセッションやセラピーを提供してくれることがあります。常にアンテナを張っておけば、規模の大きな総合大学などで発達障害児向けのセッションやセラピー、講演会といったイベントが結構な頻度で実施されています。(ただし、あくまでも研究目的でのセッションやセラピーなので、研究プロジェクトが終了すると途中でも打ち切られてしまったり、状況が良くならなくとも回数が厳密に決められていたりという制限はあります)私はとある総合大学の心理学研究室の実験で、アメリカで行われている手法を実験的に取り入れたペアレントトレーニングに参加することができました。そのときの出来事です。問題は息子より私だった!?手渡されたストレスチェックの結果は、このセラピーでは、息子は私とは別部屋でプレイセラピー(遊戯療法)を受けるというものでした。その間、私は個室で大学の先生にカウンセリングをして頂くことに。私はそこで、息子との関わり方や息子の生育について、とめどない勢いで話し続けてしまいました。それもそのはず、私の頭のなかは、常に息子のことでいっぱいだったのです。先生はふんふんと私の怒涛のトークを聞いていらっしゃいましたが、ある日、「お母さんのストレス状態のほうも少し把握しておきたいので」と、何やら10枚ぐらいあるチェックリストのようなものを渡されました。「何も考えずに○をつけていってください」と言われたので、思ったとおりに記入をしていきました。その結果は…Upload By 林真紀私のストレススコアは46点。先生いわく、このスコアが13点を超えていると「強いストレス状態にある」ということで、うつ病などを疑われるレベルだそうです。私のスコアは13点どころか、46点。なんと基準の3倍以上!先生も「これは、息子さんよりもお母さんの状態のほうを早急になんとかするべきかもしれないよ…」と目を丸くしているではありませんか。その時期の私のストレスは尋常ではなく、時と場所を選ばずに繰り返される発作に、常に心身はガチガチに固まっている状態。気付けば顔の表情までこわばり、人相が変わってしまっていました。食欲もがっくりと落ち、体重もかなり減っていました。実はこの時、私は「パニック障害」という病気を発症して、外に出るのも車の運転をするのも命がけの状態でした。カウンセリングの際に、「おかしな発作が繰り返し起こる」というようなことを先生にも話していた矢先のテスト結果でした。ストレスが多かったからパニック障害になったのか、パニック障害だったからストレスがたまっていたのか、どちらが正解かは分かりません。とにかく、「息子さんよりもお母さんをどうにかしなければならない」というのが、ペアレントトレーニングのチームにとって喫緊の課題となったようです。「ストレススコアがこんなに高いようでは、パニック障害になってもおかしくないよ」とため息をついた先生は、「パニック障害にも効果のある」という、あるリラックス法を教えてくれたのです!教えてもらったリラックス法に救われる!私の場合、考え方や認知のせいで疲れているというよりは、毎日育児のことなどであれこれ小さなことを悩んだり考えたりしているうちに、体中がガチガチに緊張していたために体調が悪くなっている状態でした。過呼吸発作も、ぶつぶつといろいろ考えながら、呼吸が浅くなっていることが原因だったのでしょう。さらに、パニック発作への恐怖心が身体の緊張をより高めてしまい、いつの間にか力の抜き方が全く分からなくなっていました。身体が常に緊張していると、肩が凝り、頭痛が酷くなります。ひどいときには、夜眠れないぐらい身体が凝り固まってしまうこともあります。夕方の疲れは特にひどく、夕食を作らなければいけないのに起き上がれないことも頻繁にあったのです。Upload By 林真紀先生は、私の捉え方を変えようとか、息子の態度を変えようとかいう前に、まず私が「適切にリラックスできるようになること」が大切だとおっしゃいました。そして先生が教えてくださったのは、「自律訓練法」というリラックス法です。ストレスや緊張を緩和させる訓練法で、どこででも気軽に練習することができます。具体的には、椅子に腰かけて目を閉じ、「気持ちがとても落ち着いている…」「右手が重い」「左手が重い」「右足が重い」「左足が重い」「右手が温かい」「左手が温かい」というように、身体全体を弛緩させるリラックス法です。1回の所要時間は3分ほどですので、時間を取ることも、それほど苦になることもありません。また、先生にこちらの本を頂き、1日3回、各3分ずつ練習するように言われました。どんなことでも習慣化していかなければ効果というのはなかなか出ません。自律訓練法も、毎日短い時間でも練習し続けることが大切だと聞いた私は、毎日練習と身体の変化について記録を取ってゆくことにしました。大切なのは、自分自身の心の状態を省みること出典 : 私は先生の指示通り、自律訓練法を1日3回行いました。最初は半信半疑でしたが、確かに身体がガチガチになって夕方寝込んでしまうようなことが確かに減っていったのです。また、パニック発作が起こりそうなときに、自律訓練法をやってみると、パニック発作の回数がかなり減らすことができました。実際の身体の状態の改善以上に、自律訓練法を始めたことで、「自分にはこれだけの負荷がかかっていたのだ」「リラックスする時間は意図的に作らなければならない」と、自分自身のメンタルの状態を省みるきっかけになったと思います。緊張状態がずっと続く育児をしていると、リラックスの方法を忘れてしまうことがあるのです。だから、リラックスのやり方も、私の場合は「学習」しなければならないのだと分かりました。育児で肩がガチガチに凝っていませんか?知らず知らず浅い呼吸になっていませんか?あるいは、パニック発作のような症状に苦しんでいませんか?どうか親御さんも意図的にリラックスする時間を作ってくださいね。時間を使って、意識的にリラックスすることが大切なのだと私は思っています。
2017年07月27日夏休み、子どもにたくさん思い出をつくってあげたい!出典 : もう季節は夏。子ども達にとって楽しみな夏休みも目前ですね!夏休みは子どもにとってかなり長い休暇です。また、保護者にとってもいつもより長い時間子どもと過ごすことになります。特に発達障害のあるお子さんの場合は、生活リズムが崩れやすかったり、夏休みの宿題がうまく進められず困ってしまったり、お出かけしても人が多くて疲れてしまったり…楽しい夏休みでも心配ごとが尽きない、という保護者の方も少なくないと思います。だけどせっかくの長期休み、親子で外に出かけて、一緒に楽しい思い出を作りたい…そこで!今回の記事では、障害があるお子さんや発達が気になるお子さんへの配慮やサポートのある夏の子ども向けイベント・2017年版を一挙にご紹介します!この夏のお出かけ先選びの参考にしていただければ嬉しいです。夏休み子ども向けイベント一挙ご紹介!出典 : 年の夏に開催が決定している子ども向けイベント情報をご紹介します。レジャーやアート、学習プログラムなどさまざまなイベントがあるので、子どもの興味に合わせて選んでみると楽しいですね!Upload By 発達ナビニュース日本有数の動物園である上野動物園で、障害のある子ども達とその家族に楽しいひとときを過ごしてもらうためのイベントが行われます。事前申込不要で、園内を自由に見て回ることができるだけでなく、小動物とのふれあいや東京動物園ボランティアーズによるガイド、「さわれる標本はくぶつかん」などの展示コーナーなど、さまざまな催しが企画されています。視覚障害者向けのプログラムや聴覚障害者向けの手話対応なども用意されているので、さまざまな子どもが思い思いにゆったりと動物園を楽しむことができます。【内容】動物園園内見学、動物とのふれあい体験など【対象】以下手帳などを持っている子どもとその家族及び介助者・身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・小児慢性疾患受給者証【開催場所】上野動物園(〒110-8711東京都台東区上野公園9-83)※当日、入園場所が東園表門と西園弁天門となっているのでご注意ください。【日時】2017年8月28日9:30~15:00(入園受付12:00まで)【費用】無料【予約】不要【問合せ】上野動物園教育普及係TEL:03-3828-5171上野動物園公式ホームページUpload By 発達ナビニュース上野動物園ドリーム・デイ・アット・ザ・ズー概要Upload By 発達ナビニュース子どもの時から美術・芸術にたくさん触れてほしい、でも美術館で静かに鑑賞することは自分の子どもにとっては難しいかも…そう思っている親御さんはいませんか?東京都美術館では、「キッズデー」という子どものためのイベントを夏に開催します。普段は休室日である月曜日を、子どもたちのために特別に開室し、周りを気にすることなくゆったりと過ごすことができる企画です。また、美術作品のスケッチを楽しめる「とびらボードでGO!」や、「とびラー」と呼ばれる美術館を楽しむ達人が作品展示を案内してくれる「とびとびスペシャル ボストン美術館」(申し込み締め切り:7月17日23:59まで)など、特別プログラムも用意されています。【内容】美術鑑賞【対象】中学3年生以下の子どもとその保護者※ただし、小学3年生以下の方は保護者同伴での入室をお願いします。【開催場所】東京都美術館 企画展示室【日時】2017年7月31日(月)9:30~16:00(入室は15:30まで)【費用】中学生以下は無料、保護者はボストン美術館の至宝展の観覧券(招待券・前売券も可、半券不可)が必要です。【予約】申し込みは不要です。 ただし、「とびとびスペシャル ボストン美術館」など、一部のプログラムは事前申し込みが必要です。詳細は以下のWebページをご覧ください。【問合せ】東京都美術館 アート・コミュニケーション係 キッズデー担当TEL:03-3823-6921(平日9:30~17:30)E-mail:acinfo@tobikan.jp東京都美術館キッズデーUpload By 発達ナビニュース東京都美術館では、特別展ごとに「障害のある方のための特別鑑賞会」(事前申込制)を実施しています。普段は混雑している特別展を障害のある方がゆっくり鑑賞できるよう、休室日に開催する鑑賞会です。今年の夏は、「ボストン美術館の至宝展-東西の名品、珠玉のコレクション」で特別鑑賞会が行われます。こちらでも「とびラー」による受付や移動のお手伝いや、展覧会を担当した学芸員による手話通訳付き展覧会ワンポイント・トークなど、障害のある方へのサポート体制が整っているため、安心して作品鑑賞を楽しめます。【内容】美術鑑賞【対象】身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳などをお持ちの方各回350名とその介助者【開催場所】東京都美術館 企画展示室【日時】2017年8月28日(月)10:00~16:00(受付終了時刻は15:00)【費用】無料【予約】ホームページに掲載されている「ご希望の受付時間の申込フォーム」ボタンより申込フォームへ進み、必要事項を入力のうえ、お申し込みを完了させてください。(申し込み締切7月24日)【問合せ】東京都美術館 アート・コミュニケーション係 アクセスプログラム担当TEL:03-3823-6921E-mail:access@tobikan.jp東京都美術館障害のある方のための特別鑑賞会Upload By 発達ナビニュース音楽文化療育士による、ちいさな子どもからパパ・ママまで楽しめる音楽コンサートが開催されます。音楽に合わせて楽しく踊ったり、絵本『だるまさんが』のマネっこ遊びをしたりして楽しめます!また、発達障害の子ども向けに絵本のお買いもの体験ができる、「そらマーケット」も同時開催されます。当日は授乳室やベビーカー置きも準備されているので、赤ちゃんがいるパパ・ママも安心して参加することができますね!【内容】音楽コンサート【対象】新生児~小学生(特に3~8歳程度)の子どもとその保護者中高生や、大人のみの参加なども可能【開催場所】東京都目黒区上目黒2-1-3中目黒GTプラザホール【日時】2017年7月22日(土)10:15~11:30(10:00受付開始)※要事前予約【費用】大人1000円小学生以下無料(当日現地支払い)【予約】以下で掲載している予約用URLから予約してください。【問合せ】スタジオそら(アース・キッズ株式会社)TEL:03-3403-4389スタジオそらリズムであそぼう!そらコンサート予約Upload By 発達ナビニュースゲームコーナーやちびっこ広場、手作りおもちゃコーナーなど、子どもが楽しめる催し物が盛りだくさん!食べ物・飲み物の販売や、マッサージ、囲碁コーナー、ビンゴ大会もあるので、家族全員で楽しめます。【内容】夏祭り【開催場所】京都市左京区高野玉岡町5番地【日時】2017年8月6日(日)11:00~16:00【費用】入場無料【予約】不要【問合せ】京都市障害者スポーツセンターTEL:075-702-3370京都市障害者スポーツセンター京都市障害者スポーツセンター夏祭りUpload By 発達ナビニュース障害がある人もない人も共に参加できるアートプログラムを提供しようと、クリエイティブ・アート実行委員会主催のさまざまな企画が夏、開催されます。サマー・アート・スクールでは、ダンスや演劇、音楽、絵画、造形などあらゆるアートが体験できるプログラムが5回開かれます。「演劇ワークショップ―音で遊ぶ、身体で遊ぶ、物語で遊ぶー 」(8月5日~8月6日10:00~16:00開催※子どもが参加できるのは午後の部14:00~16:00)、「動物を描く絵画ワークショップ」(7月29日~7月30日13:00~16:00開催)「視覚を超える造形ワークショップ」(8月19日~8月20日13:00~16:00開催)は子ども(対象年齢9歳以上)も参加できます。絵画と造形のワークショップに関しては、参加者の作品を飾る展覧コーナーも設けられています。【内容】アート活動プログラム【対象】子どもが参加する場合、9歳以上【開催場所】プログラムごとに異なりますので、以降に掲載したホームページをご参照ください。【日時】2017年7月22日~9月3日(※プログラムの開催日はイベントにより異なります。展覧コーナーは8月31日~9月3日)【費用】プログラムへの参加費用はそれぞれ異なりますので、ホームページをご覧ください。展覧コーナーでの鑑賞は無料です。【予約】メールあるいはファックスにて、ホームページに掲載されているフォーマットに沿って申し込んでください。【問合せ】クリエイティブ・アート実行委員会事務局ミューズ・カンパニーTEL:03-6426 -5182Fax:03-6426-5183ミューズ・カンパニー夏休みの宿題といえば読書感想文。本を読むのが苦手、文章を書くのが苦手など、読書感想文に毎年悩まされている方はいませんか?そんな親子にぴったりの、読書感想文講座が開催されます。物語・科学・社会の3種類の本から子どもの興味に合わせて選ぶことができ、「読書感想文のためのワークブック」を使って読書感想文にチャレンジします。【内容】読書感想文講座【対象】一般、賛助会員、正会員、及びそれぞれのきょうだいの受講も可能です。※親子での参加となります。【開催場所】名古屋市北区清水4-17-1北区総合庁舎内名古屋市総合社会福祉会館大会議室東【日時】2017年7月27日(木)10:30~14:30※要事前予約【費用】一般 3,000円賛助会員: 2,000円正会員: 1,000円(会員制度の詳細についてはアスぺ・エルデの会にお問い合わせください。)【予約】以下掲載の申込サイトから予約してください。【問合せ】NPO法人アスペ・エルデの会夏休み読書感想文セミナーお申し込み三河湾に浮かぶ愛知県日間賀島を会場にしてアスペ・エルデの会が毎年恒例で実施している、発達障害の子どもや青年、そのきょうだいを対象とした4泊5日の支援体験合宿です。中京大学の辻井正次教授をはじめ発達障害支援の専門家によるスキルトレーニングのほか、島の民宿に泊まり、おいしい海の幸や海水浴、キャンプファイヤーなど夏の思い出づくりもできます。たくさん遊びながら安心して過ごせるよう、子ども1人に支援スタッフが1人つき、特性や困りごとに合わせたセミオーダーのプログラムになっています。【内容】支援体験合宿【対象】発達障害のある子どもとそのきょうだい【開催場所】日間賀島(愛知県南知多町)内の民宿【日時】第1クール;2017年 8月16~20日、 第2クール;2017年 8月21~25日 (第1〜2クールを通した参加も可能)【日時】2017年7月27日(木)10:30~14:30※要事前予約。(参加には事前面接が必要です。2017年7月30日(日)10:00~14:30頃※会場:安城市民会館視聴覚室)【費用】一般 75,600円賛助会員: 64,800円正会員: 60,000円※スポーツ安全保険料別途(会員制度の詳細についてはアスぺ・エルデの会にお問い合わせください。)【予約】以下メールにて件名を『日間賀島合宿参加希望』として予約してください。(申し込み締切7月24日)メールアドレス:info@as-japan.jp【問合せ】NPO法人アスペ・エルデの会法人アスペ・エルデの会「話す」「聞く」「会話」をテーマに、ワークショップ形式のセミナーが開催されます。昨年度も開催されたSSTワークショップ、今年は対象を高校生まで広げた開催となります。人と何とはなしに会話するのが苦手、雑談・会話スキルの向上に興味がある、という人はぜひ参加してみてはいかがでしょうか。【内容】成人向けセミナー【対象】高校生~成人【開催場所】青葉台地域ケアプラザ多目的ホール(横浜市青葉区青葉台2丁目8-22)【日時】2017年8月26日14:00~15:30(開場13:30~)【費用】500円(資料代)【予約】ホームページまたはチラシ内のQRコードから予約してください。【問合せ】高校生〜大人向け SSTワークショップ「雑談セミナー」事務局メールアドレス:althaea117@gmail.com高校生〜大人向け SSTワークショップ「雑談セミナー」成人のためのSSTワークショップ雑談セミナーチラシUpload By 発達ナビニュース発達ナビを運営する株式会社LITALICOでは、「LITALICOワンダー」というIT×ものづくり教室を運営しています。プログラミングやロボット、デジタルファブリケーションといった、テクノロジーを活用したものづくりの機会を提供しているLITALICOワンダーで、「この夏、クリエイターデビュー!」をテーマに特別講習が行われます。最近プログラミングや科学教室が盛り上がりを見せていますが、LITALICOワンダーの特別講習は「本格ゲームサウンドをつくってみよう!」「3Dプリンタでビー玉迷路をつくろう!」というように本格的な創造活動に取り組める内容になっています。夏休みの自由研究のヒントになるだけでなく、子どもの「好き・得意」を探し、没頭できることへの発掘になるのではないでしょうか。【内容】サマーラボ(全19種類のIT×ものづくりワークショップ)【対象】年長、小学生、中学生、高校生(開催ワークショップごとに対象年齢・学年が異なりますので、詳しくは以下掲載のホームページをご覧ください)【開催場所】LITALICOワンダー渋谷、池袋、秋葉原、川崎、横浜(ワークショップによっては開催していない場所もあります)【日時】2017年7月17日から8月31日のうち希望する1日(多くのワークショップは1日あたり90分×2クラス受講ですが、90分1クラス、90分×3クラスのワークショップもあります)【費用】5,400円~15,120円(税込)(ワークショップごとに異なります)【予約】以下ホームページ中の「お申し込みはこちらから」からお申込みください。【問合せ】LITALICOワンダー渋谷、池袋、秋葉原、川崎、横浜ホームページ下部、開催会場より各教室にお問い合わせください。Upload By 発達ナビニュースワンダーSUMMER LABUpload By 発達ナビニュース障害への理解を深めるという趣旨のもと、滋賀県立障害者福祉センターにて夏まつりが行われます。和太鼓やオーケストラの演奏や大道芸のパフォーマンスから、縁日やフリーマーケット、フィナーレのエコ風船飛ばしなど、見て楽しい・参加して楽しい催しが盛りだくさんの夏まつりになっています!【内容】夏まつり【開催場所】滋賀県立障害者福祉センター(草津市笠山八丁目5番130号)【日時】2017年7月23日10:00~14:30【費用】入場無料【予約】不要【問合せ】滋賀県立障害者福祉センター夏まつり実行委員会事務局077-564-7327滋賀県立障害者福祉センター第27回夏まつり滋賀県立障害者福祉センター第27回夏まつり夏休みのイベントに参加する時に心がけたいことって?出典 : ご紹介したように、夏休みにはさまざまな団体や機関が楽しいイベントを開催しています。そんなイベントに、子どもが楽しく元気に参加できるためにはどのようなことを心がければよいのでしょうか。・事前にイベントに関して下調べをする特に発達障害のある子どもと一緒にイベントに参加する場合、イベントそのものだけでなく、開催場所へのアクセスやアクセス手段に関しても事前に調べておくことが大切です。事前に調べたり、問い合わせたりしておくことで、子どもの特性上考えられる困りごとがある程度予測でき、そしてその困りごとに対する対処法も考えることができます。また、発達障害のある子どもの中には、予定外のことが起こるとパニックを起こす子どもも少なくありません。下調べによってわかったことや計画立てたことを、事前に子どもにわかりやすく伝えておくことも良いでしょう。・子どもが拠り所になるようなグッズなどをもっていくイベントでは、普段子どもが過ごしている家や学校などとは雰囲気も参加している人も大幅に異なります。そのような空間で過ごしていると、子どもが疲れてきてしまったり、ストレスを感じてしまったり、パニックや混乱の元となったりすることがあります。そんな時のために、子どもがいつも使っているおもちゃや、身につけているものを持っていくことをおすすめします。もしパニックや混乱、癇癪(かんしゃく)などを起こしたとしても、いつも使っている物に触れるだけで落ち着きを取り戻すこともあります。また、公共交通機関でイベント会場へ向かうなど、他の人と行動を共にする場面でも、子どもが落ち着くようなグッズを渡してあげることでスムーズに行動できることがあります。・子どもの特性ゆえの困りごととその改善策を考えておく発達障害のある子どもはその特性からさまざまな困り感を抱くことがありますが、それはイベントなど非日常的な場面でもありえることです。例えばADHDの子どもで、じっと順番待ちをするのが難しかったり、自閉症スペクトラム障害の子どもで、突然の予定変更を受け入れられなかったりするなどの困り感が考えられます。そのような子どもの特性から考えられる困り感をあらかじめ予測するとともに、実際にそうなったらその困り感をどのようにやわらげてあげるかについても考えておくことが大切です。前もって困り感とその改善策を対応させておくことで、親御さんの不安やストレスも軽減することができます。まとめ出典 : 夏休みは子どもと過ごす時間が長い分、たくさんの魅力的なイベントが開催されています。発達障害はじめ、さまざまな障害がある子どもも安心して参加できるようなイベントもどんどん増えています。子どもを連れてイベントに参加する場合、子どもの特性を把握したうえで、イベントにスムーズに参加できるように、あらかじめ準備することが大切です。これからも随時イベント情報を更新していきますので、ぜひ夏休みの過ごし方、夏の思い出作りの参考にしてみてくださいね。
2017年07月26日穏やかな時間が一変!娘の顔色が変わった瞬間出典 : 先日、知人から間違い探しの雑誌をいただきました。この本の回答形式は、間違いを探したうえで、絵の中の間違いのないエリアを選択していくものでした。1つの問題に、間違いのないエリアは1つだけ。そのエリアを探して、アルファベットで回答しましょう!そんな問題が100個ほど入った雑誌です。ある夜、共に発達障害のある娘と息子が「ママ、一緒に間違い探しの続きをやろう!」と雑誌を持ってきました。娘と息子は間違いを見つけやすいように2人で並んで座り、その正面に私が座って楽しく取り組んでいました。娘がペンを持って、みんなが見つけた間違い部分に〇を入れていく、和やかな時間が流れていたのです。しばらくすると、ページの構成が変わり、息子が座っている側に書き込みをする箇所が移動しました。私が「今度は息子が座っている方に問題があるから、〇を付けるのは息子にやってもらおうか」と声をかけると、娘の顔色がさっと変わったのです。心底嫌そうに「えっ」と一言だけ発して眉間にしわを寄せてうつむき、荒い息を吐きながら自分の怒りと向き合っている様子が見てとれます。今までであれば、瞬時に怒りの感情を爆発させペンを机に叩きつけていた娘が、一生懸命自分の感情と向き合っている。すごい進歩です。とはいえ、余計な口出しはしない方がいいと思い、私は娘の苛立ちに気づかないふりをして、息子にペンを譲る様子を見守っていました。しぶしぶ不機嫌そうな顔で参加しながら、息子がペンで〇を付けるたびに「ちょっと!そんなに大きく〇を書かないで!」「ペンが乾かないうちに手でこするから汚れたじゃない!」と注文を付けながら、娘の怒りはどんどん大きくなっていきます。最終的には、息子が回答として書いたアルファベットの書き順に難癖をつけ、机に突っ伏してしまいました。「みんなで楽しむ」から「完璧に記入する」に目的が入れ替わっていた出典 : どうして娘が怒っているのか理解できず、「ごめんね。怒らないで、お願い」と謝っている息子に、「これはあなたの問題ではなく、お姉ちゃんの問題だから謝らなくてもいいの。でも、ちょっとだけ待ってくれる?」と前置きをして娘と話をすることにしました。私「どうして怒りの感情が湧いてきたかわかる?」娘「う~ん、よくわからない」私「じゃ、最初に感じた気持ち、第一感情を探してみよう。ママが弟に〇付けをお願いしたことで、自分が信頼されてないと思って傷ついた?」娘「それもあるけど、それだけじゃない気がする」私「じゃあ、自分が書き込んでいた雑誌に人の手が加わるのがすごくイヤだった?」娘「それ!ママ、それ!弟はきれいに〇が書けないし、おまけに字だって上手じゃないし!せっかくきれいに書いてたのに、すごくイヤ!」娘の怒りの第一感情はここにありました。自分が思い通りに積み上げてきた世界を壊される“苦痛”が第一感情で、それが怒りに結びついたのです。私はこう続けました。私「気持ちはよくわかるよ。でもよく考えてみて?なんのために一緒に間違い探しをしていると思う?娘「みんなで楽しむため?」私「そうだよ。みんなで楽しい夜を共有するために間違い探しをしていたの。目的はみんなで楽しく過ごすこと。それなのに、いつの間にかあなたの目的は『完璧に記入して思い通りの誌面にすること』になってしまっていて、権利をはく奪されたと思って悲しんだり、誌面が汚されたと苦痛を感じて怒ってしまったんだと思う。ママもそういうところがあるからよくわかるけど、でもどうかな?みんなで楽しむどころか、弟はおびえているし、何よりあなたが一番苦しんでいるんじゃないかな?」娘「私もこんなつもりじゃなかったの。一緒に遊べて楽しかったのに・・・・・・。ママ、お願いがあるんだけど、今度からは、今みたいに失敗しちゃった時に指摘するんじゃなくて、遊ぶ前に目的を伝えてもらえる?それだったら、自分でも意識できるし我慢もできると思うの。失敗した後に言われると、どうしても自分がダメな人間だって思って悲しくなるの」私「わかった。いつかは自分で『今の場の目的はなんだろう?』って考えられるのがいいんだけど、最初は一緒に繰り返しやっていこう!いつか自分で考えられる日が来たら、きっとあなたの人生に役立つと思うよ」少しずつ「完璧」を求める場面を判断できるように出典 : こうして、家族でゲームをしたり、お友だちと遊んだりする時には「その場にいる全員で楽しむことが目的だよ」と声掛けをしておくことになりました。すると娘もその場の目的を意識することができるようになり、いろいろな葛藤をしながら自分なりにその目的を達成しようとあれこれ工夫するようになりました。アスペルガー症候群の娘は、その特性が"完璧主義"として表出することがあります。それ自体は、何かを成し遂げるときにはとても良い方向に作用します。ところが、他人にも完璧さを要求してトラブルを起こしたり、自分自身の苦手な部分にまで完璧さを求め、自分で自分の首まで絞めてしまうことも少なくないのです。目的さえきちんと把握できれば、今度はそれに向かって真摯に向き合う真面目さも持ち合わせている娘。今から場の目的を意識し、他人を追い込まず、自分自身も苦しまずに過ごす経験を重ねていけば、きっと穏やかな人生に繋がるはずです。そして、完璧さを求められる場面では、いかんなくその実力が発揮できるようになればいいなと願っています。発達障害を抱える方が持つ特性というのは、押さえつけようとして抑えられるものではありません。しかし、その特性をきちんと認識した上で、いかに本人や周囲が楽しく過ごせるか、その方法を丁寧に探していくことで、ステキな個性として捉えられる日が来るかもしれません。将来のことを考えると大きな不安が襲ってきて、いたたまれなくなってしまう方もいらっしゃると思います。もちろん私もその一人です。でも、今目の前にいる子どもたちに寄り添っていくことが、きっと子どもたちの力になってくれると信じてがんばっていきましょう。
2017年07月23日小学校の運動会が終わり、そのあと楽しみなのは振替休日。長男は私との2人きりのお出かけを特別嬉しがることはないのですが(むしろ弟も一緒のほうが嬉しいみたいです。ケンカするのに)、私はたまにどちらかの息子単体とお出かけできるのはとても嬉しいです。来年は次男も入学するため、長男と2人きりの振替休日はしばらくありません。なので、2人だからこそ行けるような特別なお出かけ場所に行きたいなぁとワクワクしていました(私が)。候補地を考えているとき、先日あった次男の幼稚園の親子遠足の話題になりました。次男「このまえ、ジェットコースターのったんだよー!」長男「えー!いいなー!」あら?ジェットコースター羨ましがってる?じゃ、お出かけ先はそこにしたらいいんじゃない?遊園地だもん、喜ぶよね!でも、当日までナイショにして驚かせよう…そんなことを思いつつ、振替休日を迎えました。Upload By ラム*カナUpload By ラム*カナUpload By ラム*カナUpload By ラム*カナUpload By ラム*カナUpload By ラム*カナてっきり大喜びしてくれるかと思いきや、予想と全然違う反応をされ、ついガッカリ。えー、なーんだ。そんな反応なら行くのやめようかな…でもな…。行き先変更も考えたりしつつも、Upload By ラム*カナ遊園地到着…!はたして長男は楽しめるのか…!?Upload By ラム*カナお、おやぁ…?ものすっごい楽しんでいる…っ!!!あー、良かった。楽しんでくれて良かったー。と安心し、私も一緒になって遊園地を目一杯楽しみ、帰る時間になったときのこと、Upload By ラム*カナUpload By ラム*カナUpload By ラム*カナUpload By ラム*カナ素直すぎてびっくりしちゃいましたよね。もし、私が長男の立場だったら、こんなこと絶対言わなかった!最初行き渋ってたところが実は楽しかったとしても、親に「あんなこと言わなきゃ良かった」とか「ありがとう」なんて、絶対言わなかった!(しかも、私の母だったら「ほら、楽しかったじゃない!最初にあんなこと言うもんじゃないわよ。」と言ってきて余計素直にさせづらくする系。)あまりの長男の可愛い素直さに心打たれ、私もとっても良い一日になったのでした。
2017年07月22日7月24日(月)、NHK 「あさイチ」 では、子どもの発達障害についての特集が放送される。「あさイチ」からの事前情報によると、「これまで番組に寄せられたメールやファックスの中でも特に多かった、発達障害の子どもを持つ親の悩みに徹底的に向き合う」とのこと。じつは筆者にも、8歳になる娘(定型発達)と4歳の息子(自閉症スペクトラム)がいる。5月の NHKスペシャルの放送 から、ぜひ次回は、発達障害の子どもや子育て中の親にフォーカスした企画を! と思っていたので放送が楽しみだ。■当事者が語る、発達障害の子育てのリアル今回の放送では、3人(うち2人が発達障害)の子育て真っ最中の家庭を訪問し、発達障害の子育ての大変さや、それに対してどう向き合い、対応しているのかを伺っていくのだそう。子どもが診断された時の気持ちや、夫や祖父母、周囲の反応、子どもの将来への不安など、様々な角度から、当事者たちに発達障害の子育てをリアルに語ってもらうそうだ。さらに、番組では、ペアレントメンターなどの親を支援する仕組みなど、当事者の親に役立つ情報も紹介する予定だという。■娘とは桁違いの大変さだった、息子の子育て筆者のケースをお話しよう。定型発達児(娘)と発達障害児(息子)の両者を育ててみて思ったが、その子育ての大変さは、まさに桁違いだった。もちろん娘だって、成長の過程では、当然大変なこともあった。イライラして頭が沸騰しそうになったことだって、多々ある。でも、娘の怒りや泣きのツボはだいたい理解できたし、コミュニケーションもしっかり通じたので、私の理解の範囲内で対処することができた。ところが、息子の場合はまったく違った。指示が通らない。言葉の説明を理解してくれない。急に走り出したと思ったら、今度はテコでも動かないなど、動きが読めない。保育園ではイベント事が大の苦手で、隙あらば逃走。歯磨きやお医者さんの診察では毎回大暴れ…。何より困ったのは、コミュニケーションが通じないこと。変な言い方だが、言語も思考も違う異星人を相手にしているようで、本当にお手上げ状態であった(4歳過ぎた今では、ずいぶんマシになってくれたが)。■3歳で確定。「だから大変って言ったじゃん!」周囲に相談しても、「男の子なんてそんなもの」「上が女の子で楽だったんだよ~」などと言われ、なかなか理解してもらえなかった。だから、3歳で息子が自閉症スペクトラムと診断された時は、もちろんショックではあったが、同時に、「だから大変って言ったじゃん!」と、周囲にちょっと毒づきたいような気持ちも生まれた。今思うと、周囲は私が思い詰めないように、気を使ってくれていただけだろうに…。不健康な考え方に陥っていた当時は、ひねくれたとらえ方しかできなかった。 ■周囲にガードを張っていのは、私の方?息子は1歳半検診から疑いをかけられていたので、宙ぶらりんの期間が長かった分、私にとって診断は、腹をくくる良いきっかけになった。その頃には、この障害についてしっかり勉強して、一生向き合っていこう! という覚悟もできた。また、さまざまな専門書を読んで勉強するうちに、息子の特徴や対処法が少しずつわかるようになり、突飛な行動にも笑えるような余裕も出てきた。周囲にも、息子のことを説明しやすくなった。仲の良い園ママにはすでに話していたが、診断がおりるまでは、息子のことをクラス全体にどう説明したらいいのかわからなかった。保護者会で息子のことを説明した時はちょっと緊張したが、幸い、クラスのママたちからの理解も得られ、温かい言葉もかけてもらった。私の方も、長年抱えた秘密(?)をやっと言えたような気がしてとてもスッキリした。それまでは、保育園のイベントで息子が突飛な行動をするたびに、「他のお母さんにどう思われてるんだろう…」とビクビクしたり。お迎え時、他の子がお母さんと楽しそうにおしゃべりする姿を見るのが辛くて、園から逃げるように帰ったり。そんな日々の連続だった。だが、今にして思うと、周囲に対して変にガードを張っていたのは私の方で、私は、勝手に傷ついていただけだったのかもしれない。■自分の物差しだけに縛られない。意識して視野を広げることこうして振り返ってみると、一番辛かったのは、息子のことを周囲に話せず、ひとりで抱え込んでいた時期だった。そんな状況を変えてくれたのは、オープンにしたことと、やはり人との関わりであった。家族や両祖父母、療育の先生、取材で会った方々、そして、同じ悩みを持つお母さん仲間と繋がれたことはとても大きかった。発達障害の子育ては、子どもに手がかかる分、心も生活も余裕をなくし、周囲が見えにくくなってしまう。自分の偏った考えだけに浸食されて、それがすべてのように感じてしまいがちだ。でも、自分の物差しだけがすべて、なんてことは決してない。物事は、捉えようによって、どうにでも変わるし、世の中には変わった人(?)がいっぱいいて、いろんな考え方がある。発達障害の子育て中は、特に、自分とは違った考えを持つ人に会ったり、新しい考え方を学んだり、自分の視野を広げるという気持ちを、常に意識してもち続けた方が良いと思うのだ。今回の特集に関して、担当ディレクターからは「外からは『見えにくい障害』と言われる発達障害の子育ての苦労や、当事者のリアルな姿や声を伝えることで、少しでも誤解を解いていきたい」という、力強いメッセージをいただいた。また何か新しい発見があるかもしれないと、私も放送を心待ちにしている。・NHK「あさイチ」 シリーズ発達障害 「“ほかの子と違う?”子育ての悩み」 2017年7月24日(月)放送予定 ※内容は変更になる場合があります文:まちとこ出版社N【発達障害についての連載一覧】大変だけど、不幸じゃない。発達障害の豊かな世界(全4回)「うちの子、発達障害かも!?」と思ったら(全9回)
2017年07月21日ダウン症って?治療法はあるの?出典 : ヒトの体は無数の細胞によって構成されています。細胞のなかには遺伝子があり、さらにその遺伝子がらせん状に繋がったものを「染色体」といいます。染色体は通常23組46本で構成されていますが、この並びや数にたまたま変異が起こり、21番目の染色体が通常より1本増えた状態をダウン症といいます。21番目の染色体が1本増えて3本になることが原因で起こるタイプを「標準型21トリソミー」と呼び、これがダウン症全体の95%を占めています。このほか、3本目の染色体が別の染色体にくっついている転座型、21番目の染色体が3本のものと2本のものが混じっているモザイク型があります。上記のようにダウン症が引き起こされる原因やタイプはある程度わかっていますが、ダウン症そのものを治療する方法は、現在のところ解明されていません。一方、ダウン症のある人に合併しやすい疾患(心臓や消化器の内臓疾患など)の症状を軽減したり治療したりする方法については確立されているものが多く、比較的早期の乳幼児期から、治療が開始できるようになってきています。ダウン症の確定診断はいつ行われるの?赤ちゃんの合併症はすぐにわかるの?出典 : 出生後に医師によってダウン症の疑いが認められた場合は、ご両親やご家族に説明し承諾を得たのちに、赤ちゃんの血液で染色体の検査を行い、確定診断を行います。出生前に母親の血液を採取して調べる検査もありますが、確定診断には、母親の腹部に針を刺して羊水を採取し、染色体を調べる検査を受けるのが一般的です。診断後は医師から説明があるほか、希望すれば医療機関のスタッフや地域の保健担当に詳しい話を聞くことができる場合もあります。合併症についても、妊娠中や出産後の検査で早期に診断されるものも多く、新生児期に手術が可能な場合には、生まれてすぐ医師から手術をすすめられることがあります。生まれたばかりのわが子の手術についての説明に戸惑い、医師と相談をしてもなお不安なことがあるようなら、セカンドオピニオンを求めることもできるかもしれません。ダウン症協会や地域の親の会などに相談すると、ダウン症のあるお子さんに詳しい医療機関等の情報を紹介してくれることもあるようです。公益財団法人日本ダウン症協会ダウン症親の会一覧ダウン症の合併症の治療法は?出典 : 合併症を伴わずに生まれてくるダウン症のある赤ちゃんもいますが、20〜40%の赤ちゃんは循環器(心臓など)の疾患を伴って生まれてくるといわれています。近年は出産直後に発見されることが増え、早期の外科治療によって完治することも可能になってきました。その他、消化器系の疾患が合併している可能性もありますが、このような疾患についても、医療の発達により手術法が確立され、乳幼児期のあいだに改善できるものも多くなってきています。また、風邪などが重症化すると、気管支炎や肺炎など呼吸器疾患に発展する場合や、中耳炎を引き起こすことがあります。乳幼児期に風邪をひいた場合は早めに診察を受けたほうがよいでしょう。出典:産婦人科の現在「ダウン症候群について遺伝カウンセリングで伝えるべきこと」◇循環器(心臓など)の疾患循環器の疾患のうちダウン症のある赤ちゃんに合併していることが多いのは、・出生後すぐに閉鎖するはずの動脈管が閉じない「動脈管開存症」・左右の心室あるいは左右の心房の間の壁に穴があいている「心室中隔欠損」・心臓の真ん中部分が形成されず穴があいている「心内膜床欠損症」・循環器に関する4つの症状を持つ「ファロー四徴症」などがあります。あいていた穴が閉じるなど自然に治る場合もありますが、自然治癒が見込めない場合には乳幼児期に手術治療を行います。また、心臓に疾患があると、心臓から血液を送りこまれる肺にも影響が起こることがあります。肺への負担を軽減するために、原因や状態によって、投薬治療などが行われます。◇消化器官系の疾患なんらかの原因で生まれつき十二指腸が閉じている「十二指腸閉鎖症」、肛門が閉じている「鎖肛」などの疾患があります。これらの疾患があるとミルクなどを消化して排泄することが困難になるため、新生児期の早い時期に手術が必要です。術後の予後は良好だといわれています。◇環軸椎不安定性(首の1番目と2番目の骨にずれが生じる状態)首の1番目と2番目の骨は、細い筋肉や腱によって固定されていることに加え、骨同士を噛み合わせるように突出している2つ目の骨の突起構造が小さいため、ずれが生じやすい箇所です。この関節がずれている亜脱臼の状態を「環軸椎不安定性」といい、ダウン症がある子どものうち1~2%にあるとされています。亜脱臼の状態からさらに関節がずれ、脱臼すると、脊椎の背中側にある脊椎神経の束が強く圧迫され、麻痺が起こることがあります。脱臼させないためには何より早期発見が重要です。一般に3~4歳の時期にレントゲン検査をし、環軸椎不安定性の有無を確認することがすすめられます。環軸椎不安定性と診断されると、うつむく姿勢で首に強い力が加わる前転のような運動は避けるよう指導されます。◇ウエスト症候群(点頭てんかん)ウエスト症候群(点頭てんかん)も、合併症として起こる可能性がある疾患です。身体の一部をピクピクさせてミルクを飲まなかったり、首をガクッと落としたりするような様子がある場合には、脳波の異常を調べ、必要があれば投薬等による治療を開始します。ウエスト症候群は国の指定難病に定められています。ダウン症のあるお子さんに起こるウエスト症候群は、比較的予後が良いといわれています。出典:産婦人科の現在「ダウン症候群について遺伝カウンセリングで伝えるべきこと」参考:難病情報センター◇ 甲状腺機能の問題甲状腺から分泌されるホルモンが過剰となる甲状腺機能亢進症、逆に低下する甲状腺機能低下症があります。どちらも起こる可能性がありますが、特に甲状腺機能低下症の合併率が高いようです。症状がでにくい場合もありますので、年に1回の血液検査で確認することが望ましいようです。必要があれば投薬により治療します。◇筋肉の緊張が低く柔らかい(低緊張)ただ立っているだけ、座っているだけでも、姿勢を保つためには、ある程度、筋肉を緊張させておく必要があります。ダウン症がある子どもは、筋肉の緊張の度合いが低く、体が柔らかいことが多いと言われています。そのため、寝返りやお座り、つかまり立ち、歩行など一連の運動発達がゆっくり進むようです。また、歩き始めても、足底の親指側に体重がかかってしまう外反扁平足になりやすいため、靴の中に足をサポートする足底版を入れることをすすめられることがあります。◇耳や目の問題聞こえの問題や、遠視や近視、乱視など見え方の弱さがある場合には、補聴器やメガネの装用をすすめられることがあります。また、滲出性中耳炎にも罹患しやすいため、耳を気にする様子などがあったら耳鼻科を受診してみてくださいダウン症のあるひとの医療費、養育費のサポート出典 : ダウン症がある子どもには、特に乳幼児期に合併症の手術などで高額な医療費がかかることがあります。金銭的負担を軽減するために、いくつかの医療費に関する制度を利用することができます。・乳幼児医療費助成制度自治体から医療費が助成される制度です。利用には年齢制限があり、各自治体によって定められています。ダウン症、障害の有無に限らず、対象年齢内のすべてのお子さんの医療費が助成されます。・小児慢性特定疾病医療費助成ダウン症は小児慢性疾患の対象疾病になっています。合併症のうちいくつかの疾患で長期にわたる治療を要する場合に、小児慢性特定疾病の医療費助成が受けられます。助成には条件がありますので、病院のソーシャルワーカーや各都道府県の担当部署にお問い合わせください。参考:小児慢性疾患・特別児童扶養手当医療費に関する制度ではなく、子どもの養育のための手当が支給される制度です。支給される条件は各自治体によって異なります。・障害児福祉手当重度の障害のためにかかる日常生活上の精神的、物質的な負担を軽減する目的で支給されます。障害による生活の困難さによって、受給されるかどうか判断されます。ダウン症の診断のみでは、手帳の習得はできませんが、合併症による障害があることによって日常生活に支障があると考えられる場合に、以下のような手帳を取得し、福祉サービスを受けることができます。・「療育手帳(愛の手帳など)」知的な障害によって日常生活に不便さがあるお子さんに、各都道府県から交付される手帳です。交通機関などを一人で利用できず介助者を必要とすることがあることから、公共交通機関の料金の減額や、公的機関の駐車料金の支払い免除などの福祉サービスを受けることができます。等級によって受けられるサービスに違いがありますので、各都道府県にお問い合わせください。・「身体障害者手帳」心疾患などの合併症で長期間身体的に不自由さがある場合や、歩くことが難しい場合、また聴覚障害がある場合などに、身体障害者手帳が交付されます。療育手帳と同様に、さまざまなサービスを受けることができますが、交付の対象となるかどうかは医師の診断書などにより各都道府県が判断します。こういった手帳の取得は強制ではなく任意です。保護者の申請なしに交付されることはありません。また、補助制度には地域差もあります。一度お近くの福祉担当課窓口にご相談に行かれることをおすすめします。東京都心身障害者福祉センター愛の手帳(療育手帳)について厚生労働省身体障害者手帳制度の概要ダウン症の合併症の治療法は医療以外にもあるの?療育って何?出典 : 「療育」とは、「治療」と「教育・保育」をあわせて作られた言葉です。成長を促す関わりや訓練を総称して「療育」と呼んでいます。ダウン症のある赤ちゃん、子どもは、一般的にゆっくり成長すると言われており、発達段階にあわせてさまざまな療育的なかかわりを受けている子どもが多いようです。また、自閉症など発達障害を合併することがあるともいわれており、そういった場合には、一般的な発達障害への療育的対応が役にたつことがあります。「療育」には、主に運動発達を促す目的で提供される理学療法(PT)、日常生活動作の自立を促す目的で行われる作業療法(OT)、言語コミュニケーションの発達を促す言語聴覚療法(ST)、発達心理学や学習に関する知見をもとに提供される療育的かかわりなどが含まれます。また、ダウン症のある子どもの様々な特徴を踏まえ、日常生活を不自由なく過ごせるようにサポートすることも「療育」サービスのひとつです。お子さんにどんな療育的関わりが必要なのかは、その時点でのそれぞれの発達によって異なります。療育の内容から、家庭での関わり方のヒントが得られることがありますので、相談したいこと、疑問に思っていることなどがあるときにも、利用してみてください。地域にどのような療育機関があるかは、自治体の子育てに関する窓口が情報を持っている場合があります。なお、こういった療育サービスを受けるためには、市区町村より発行される受給者証という証明書の取得が必要な場合があります。詳しくは、療育サービスの事業者または市区町村の窓口でお尋ねください。子育てには悩みがつきものです。ダウン症がある子どもの子育ても同じですが、ダウン症があることで生まれる特別な悩みもあるかもしれません。もし何か相談したいことが出てきたら、まずは身近な存在である主治医や、自治体の子育て支援に関する窓口、利用している施設のスタッフなどに相談してみましょう。出口がないように感じていた悩みにも、何か解決の糸口が見つかるかもしれません。相談先は、病院や自治体の窓口のほか、以下のような施設・団体があります。電話で相談を受け付けているところもあるようです。◇相談できる団体、施設など・日本ダウン症協会・地域のダウン症の子を持つ親の会・児童相談所・自治体の保健センター、子育て支援、福祉担当課等・自治体および民間の療育機関・知的障害者更生相談所(障害者福祉センター等の名称で事業を行っている自治体もあります。主に18歳以上の人の相談に応じます。)日本ダウン症協会全国児童相談所一覧(厚生労働省)ダウン症の合併症治療最先端医療の研究出典 : ダウン症がある人は、「アミロイド前駆体タンパク遺伝子」という遺伝子が、遺伝子病のない人と比べて1.5倍存在し、その結果、脳の中のアミロイドタンパクが増加して、若年期からアルツハイマー病様の変化を脳内に生じ、それが引き金となって、急激退行症を発症する可能性があります。それまでに知的障害や発達障害を伴っていたとしても、それとは別に、突発的に「言葉を発しない」、「寝たきりになる」、「コミュニケーションが取れない」などの症状となって現れる場合があります。根本的な治療法はないとされていますが、アルツハイマー病治療薬である塩酸ドネベシルが急激退行症に有効であるという仮説に基づき臨床実験がされています。主に認知機能の低下に対する臨床試験が、ヨーロッパの製薬会社などが開発した薬を使って行われています。日本でも、アリセプト(ドネペジル塩酸塩)などを使用した治験が開始されました。実用化に至るにはまだ時間はかかりそうですが、いつか、すべてのダウン症のある人たちが、認知機能の低下によって生活の質が下がる心配をしなくてもいい未来が実現するかもしれません。参考:ダウン症者・家族が幸せに暮らすために/近藤 達郎参考:アリセプト難病情報センター急激退行症(21トリソミーに伴う)まとめ出典 : ダウン症そのものを治療する方法は現在のところありませんが、合併症の治療についてはそれぞれ手立てがあり、また、発達を促すための療育に関する知見も日々更新されてきています。さまざまな支援や療育サービスなどを利用しながら、かけがえのない日々の子育てを楽しんでくださいね。参考:ヨコハマプロジェクト参考:NDSS(National Down Syndrome Society)参考文献 『ダウン症者の豊かな生活』菅野敦・池田由紀江(福村出版)参考文献 『ダウン症のすべてがわかる本』池田由紀江/監修(講談社健康ライブラリー)参考文献 『ダウン症は病気じゃない』正しい理解と保育・療育のために飯沼和三/著(大月出版)参考文献 『出生前診断』河合蘭/著(朝日新書)『When Down Syndrome and Autism Intersect: A Guide to DS-ASD for Parents and Professionals』 Margaret Froehlke , Robin Zaborek
2017年07月20日ある日突然、パニック障害を発症して出典 : 前回の記事で紹介したとおり、私はある日突然「パニック障害」になってしまいました。前触れなんて全然ありませんでした。電車の中で突如起こった、激しい動悸、吐き気、いてもたってもいられないほどのめまい、そして過呼吸発作。そのまま救急搬送されたその日から、私の生活は一変してしまったのです。私が生きる世界は、出来ないこと、行けない場所、怖い場所だらけになってしまって、これまで楽しかったいろんなことが、「怖いこと」に変わってしまいました。パニック障害は、激しい発作が起きていないときでも、心身に大きな負担がかかります。外の世界は怖いものばかりで、常に身体の変化に敏感になって身体がガチガチになっているのです。パニック障害が一番ひどかった時期、SNSなどに自分の写真を投稿すると、「なんか痩せました?」「やつれた?体調悪いの?」というようなコメントをたくさんもらいました。発作に翻弄され、疲れ果てていた私は、顔つきまでも変わっていたようでした。また、発作が起こる状況も、徐々に多様化してゆきました。ときには、階段を上ったり、ちょっと走ったりするだけで発作が起きてしまうこともあります。これは、運動をして心臓がドキドキしたり、呼吸が荒くなったりしてしまうと、身体が「パニック発作だ!」と勘違いして、臨戦態勢に入ってしまうためです。さらには、夏の暑さで発作が誘発されることもありました。暑い日というのは、ちょっと頭がくら~っとしたりするものですが、これを身体が「発作だ!」と間違って知覚してしまうのです。パニック障害になってから、私は暑さにことさらに弱くなりました。発作からの逃げ場のない状況を避けていればよかった初期と違い、このころには暑くても発作、運動をしても発作です。この地球上に私の逃げ場はどんどんなくなっていきます。そのうち、友達とお喋りして大笑いしたりするだけでも発作が出てくるようになりました。それがショックで、友達からの食事の誘いなども全て断るようになってしまったのです。こうして、日を重ねるごとに自分にできることが減っていき、最後は「家に閉じこもる」こと以外の選択肢が消えてしまったのでした。そうだった、できるところから少しずつだ!踏み出した回復への一歩出典 : もはや生きていることすらも辛く感じられたとき、私は医師に「認知行動療法」を薦められたのです。パニック障害の認知行動療法では、恐怖場面に直接臨み、「発作が起こらない」、あるいは「起こったとしても必ず落ちつく」ということを確認していくのだそうです。恐怖の対象から逃げれば逃げるほど不安が増すというパニック障害の悪循環を断ち、ある場面で条件反射のように発作が起こる反応を消去することを目的としています。重要なのは無理をしないことで、例えば電車に乗ることが怖ければ、最初は一駅だけ乗ってみる。それで大丈夫であれば、次の日はもう一駅乗ってみる。無理そうだと思ったら、一度休憩する。こうやって、少しずつ距離を伸ばしていくのです。最初は「電車に乗る」と考えただけで息が苦しくなりました。私は電車で発作を起こし救急搬送されたあの日から、それこそ「パブロフの犬」のように、電車に対して恐怖反応を示すようになっていたのです。そこで私はこう考えました。「電車に乗れた先に、ご褒美を設定しよう。どうしてもやりたかったことを、我慢せずにやってみよう!」そのとき、私にはどうしても見たかった映画がありましたが、パニック障害のためにずっと見に行けずにいました。映画館は、最寄りの駅から五駅ほど。さらに、私にとっては映画館も怖い場所でした。あの暗い空間に入った瞬間に、発作が起こってしまうのです。でも、平日の午前中なら、きっと映画館はガラガラのはず。発作が起きたら外に出ればいい!そうだった、発達障害の息子を育てながらいつも言っていたじゃないか。「できるところから少しずつ」私も、できるところから少しずつやっていけばいいんだ!私は勇気を振り絞って、駅に向かったのでした。パニック発作に向き合い、訪れた「クリア!」の瞬間出典 : 読者の皆さんの予測どおり、電車で5駅は遠い道のりでした。アロマを染み込ませたタオルで顔を覆って、リラックス音楽をガンガンかけて、とにかく気持ちを紛らわすためにありとあらゆることをやりました。しかし、電車の扉が閉まった瞬間に「そいつ」はやってきたのでした。「キ…キタ」「うううう、この感覚、ひえええええ」「倒れるっ倒れるっ」「もう帰ろう、ムリっムリっ!!!」頭の中はパニックに陥った自分の声でぐちゃぐちゃになっています。何度も諦めて電車を降りようとしましたが、「あともうちょっとで念願のあの映画が見られる」「きっとたどり着いて見ることができたら、自信になるだろう」と自分を励まし続けました。また、夫にお願いして常時連絡が取れるようにしておき、「発作きた!」「もう無理」「降りる~!!」などと辛い気持ちを送信し続けました。既読がつくたびに、ホッとする気持ち。そして、「頑張れ」「大丈夫」「君ならできる」という言葉が返ってくると、辛いけれど一人じゃないという気持ちになれました。そしてなによりも、これだけは自分に言い続けました。「パニック障害で死ぬことはない!」「たとえ発作が起こっても、10分もすれば必ずおさまる!」そして、発作と戦いながらとにかく気を付けていたこと。それは、「呼吸を整える」ということでした。パニック発作で怖いのは、過呼吸になってしまうことです。なったことがある方は分かると思うのですが、過呼吸ってびっくりするほど苦しいんです。私の場合、過呼吸で顔と手足まで痺れてしまい、手の指はこわばって変な方向に曲がってしまっていました。呼吸をし過ぎて辛いはずなのに、とにかく息が苦しくて、本当に空中をひっかきまわしながら空気を求めるような状態でした。私は心臓が激しく打ち鳴らされるのを感じながらも、冷静に自分に言い聞かせました。「過呼吸にさえならなければ、倒れることはない」発作で頭がめちゃくちゃな状態のなか、とにかく呼吸を整えることに集中しました。大きく1回息を吸って、10秒かけて吐く。これを繰り返すのです。そのうちに、ふと気づいたら、目的地の駅に着いていました。顔面は蒼白で、身体中が冷たい汗でぐっしょりになっていました。周囲から見たら、ちょっと心配な状態だったかもしれません。それでも私は、やり遂げた満足でいっぱいでした。降りた駅で空に向かってガッツポーズ。今でも忘れられない瞬間です。自分の中の「クリア!」を増やしていくために出典 : 映画館でも何度か小さな発作はありましたが、途中からは映画の内容に集中することができました。平日の午前中でお客さんが少なかったということも、リハビリとしては良い条件だったと思います。そして、なんと帰りの道中ではパニック発作を全く起こさずにいることができたのでした。そのときに、電車の窓から見えた空の青さを私は忘れることができません。パニック障害で一番つらかったころ、世界は色を失い、全ての景色が灰色に見えていたのでした。残念ながら、今でもたまに発作が起こることはあります。パニック障害は、一度発症してしまうと、長い付き合いになることが多いようです。その中で、私はパニック発作を怖がって、やりたいことを我慢することをやめました。会いたい友達がいれば、電車で会いにいくようにしました。参加したいイベントなどがあれば、閉塞空間でも頑張って出かけています。相手が理解してくれそうなときは、「実はパニック障害だから、途中で抜けることがあるかもしれない。そのときはごめんね。」と前もって言うようにしています。相手が分かっていてくれるというだけで、だいぶ気持ちが楽になるものです。「できることから少しずつ取り組んで、できることを増やして自信をつける」このことの大切さを教えてくれたのは、他でもない発達障害の息子です。息子と一緒に歩み続けた7年間が、パニック障害に苦しむ自分を救うヒントをくれたのでした。そしてもう一つ。「好きなことに取り組むこと」、最後はこれが回復への糸口になります。同じくパニック障害で長いこと苦しんでいた長嶋一茂さんも同じことを言っていました。私が行動療法の恐怖に立ち向かうことができたのは、どうしてもやりたいこと、好きなことを「やりたい」と強く思う気持ちでした。パニック障害をすぐに治すことのできる魔法は、残念ながらなかなかないようです。子育てと同じ、一歩一歩、できることをやっていくしかありません。その一歩一歩はとても辛いことなのですが、確実に前進している実感があります。だから今日も私は、できるところから一歩一歩、です。
2017年07月20日放課後等デイサービス。思春期の娘の居場所でした現在、高校3年の発達障害のある娘(広汎性発達障害、自閉症スペクトラム、ADD、LD)は中1の時から放課後等デイサービスを利用しています。放課後等デイサービス(以下、放課後デイ)は、学習支援をメインに行うところや運動を多く取り入れるところ、療育に近い支援を行っているところなど様々な特色がありますが、娘が通っているデイサービスは本人や親の希望を元に、それぞれの子どもの特性を配慮した指導を幅広く行っている施設です。娘はLDの症状があり、私達親子は家庭での学習に限界を感じていました。娘が中1の夏休みから、近所に新教室を開いた放課後デイに通う事にしたのでした。普段学校では知り合えない子たちグチを言い合う仲Upload By 荒木まち子中1の夏休みの前から通っている放課後デイでは、複数の指導の先生達が日々の勉強の方法や、試験前の勉強の仕方、夏休みの課題の取り組み方などを指導してくれました。勉強がマイペースで進められるようフォローしていただいたのと同時に、同世代の子ども同士が友愚痴を言い合う会(通称「グチ会」)にも参加し、学校では普段言えないことも吐き出して、ストレス軽減できる場所として、大いに役立っていたようです。通い始めたきっかけは、初めての定期テストでした。中学のテストは小学校のテストとは全く違い、周りの友達もピリピリし始めます。いつもとは違った雰囲気の中で数日間テストを受け続けるということは、環境の変化に弱い娘にはとても大きなプレッシャーでした。自分で勉強の計画を立てることが出来ない娘は、気持ちばかりが焦ってしまい試験前にはプチパニックを起こしました。テストが終わるとすぐに夏休み。各教科ごとに「夏休みの課題」が出されます。そして夏休み明けには、また定期末テストが控えているという目まぐるしいスケジュール。学校で息が詰まる思いをしていた娘に、居場所をくれたのでした。お腹が痛い…中2のある日突然、学校に行けなくなりましたUpload By 荒木まち子中2になると娘は「学校の友達と自分の違い」や「自分の障害」について色々と考えるようになりました。この頃の娘は皆と同じになりたいと思う強い気持ちと、いくら頑張ってもどうしてもできないことがある自分にとても悩んでいました。自分では気付かないまま無理を重ねるうちに、娘は体調を崩すようになりました。ドクターストップで一時休学…放課後デイは、さあどうする?Upload By 荒木まち子学校に行けなくなったことで、周囲の目が気になりだし、娘はすべてのことに疑心暗鬼になっていました。そんな娘の様子を知った放課後デイの先生は、「好きな教科だけ勉強したらいい」、そして「学校が辛い時には学校を休んで放課後デイで過ごしたらいい」と提案してくれました。それまでの“学校の授業についていくための学習指導”を“苦手な教科の学習ではなく、本人が学びたいと思う教科のみの指導”に変更し、かつ『居場所』としての放課後デイの利用をすすめて下さったのです。当初は学校を休むことに不安が強かった娘ですが、学校の先生や主治医の協力もあり、娘は少しずつ『心や体を休める事の大切さ』を学んでいったのでした。趣味に没頭することで落ち着きを取り戻し、高校生活がスタートして…Upload By 荒木まち子精神的に落ち着くと、娘は自ら英検や漢検、パソコン検定などの資格取得のための学習を希望し始めました。これらの資格取得は娘の自信に、しっかり繋がったようです。高校生になってから娘は放課後デイでピアノや英語、絵画や小説作成など趣味の活動を主に行っていました。でも学年が上がるにつれ同世代のメンバーが徐々に減っていき・同じ趣味を持つ友達がいないこと・悩みを相談できる先輩がいなくなったこと・少・中学生と一緒に活動することに娘は少しずつ違和感を覚え始めました。そして趣味によって自己肯定感が増した反面、大人の言いなりになりたくない!と思うようになってきた娘は、徐々に荒れ始めました。娘に次の波が押し寄せてきたのです。<続く…>
2017年07月19日天真爛漫で声が大きいのはいいことだけど。Upload By かなしろにゃんこ。息子リュウ太は調子がいいときはハリきってしゃべります。元気な様子をいつでも否定したくはないので、多少でっかい声だなぁと思うことがあっても、ボリュームについては今まで話してきませんでした。小学校3年生くらいのときに夜のお出かけで、住宅街に響く息子の声に「さすがにこりゃまずい!」と思うことがあり、小声で話してね、と要求してみると…。Upload By かなしろにゃんこ。小声、いわゆるヒソヒソ話の声をやったことがないと言います。そんな人がこの世にいるなんて!まさかうちの息子が!と驚きました。でも教えたことなかったかも?自然にできるものだと思っていましたから…。びっくりです。息子の前で実演してみせたり、声の出し方を教えてみるものの、息子はちっともできませんでした。Upload By かなしろにゃんこ。「こうでしょ!」と自信たっぷりにしゃべった声は普段話す音量のレベル!でも本人は完ぺきに「できてるって!」と言い張るんです。どこがだよ?まだ声大きいし?とうまくできない息子に私も少しムキになってしまいました。ヒソヒソ声が自然には出来ない子、って案外いるのかもUpload By かなしろにゃんこ。私が小学生だったときに友だちに一人、ヒソヒソ話が苦手で授業中に先生によく怒られる子がいたのを思い出しました。あの子も一生懸命小声を出しているつもりだったよな~と息子と重なりました。ヒソヒソ話が出来ない人の中には耳や喉の関係など、小声の調節をしにくい原因があるひとも、もしかしているのかもしれないですね。Upload By かなしろにゃんこ。うちの子がヒソヒソ話が出来ないのは、どうやら耳や喉の器質性とかじゃないようなんです…。それまで定期的に受けた聴力検査で、ひっかかったことは全くなかったのですから。私のヒソヒソ話だって聞こえてるし。だから、母もぜんぜん小声で話せない事実を気にも留めなかったわけで…。ひそひそ話ができないひとと一口に言っても、いろんなタイプがありそうです。ひとまず納得。声をわざと「調整しない」わけじゃななかった調子よくおしゃべりしているときに注意をしたくないのですが、ここは住宅密集地…夜間の人の迷惑も考えようね!と水を差すこともしばしば。19歳になった現在も息子は夜に声のボリュームを下げずに話すので、すぐ親子喧嘩になります(笑)。今は「あ、ごめんごめん、ハイハイ静かにするよ」と素直に応じてくれるようになりました。大きい声を出すのはけしていけないわけじゃないんだよ~、TPOをわきまえたマナーが問題なんだよー。ここが大草原の一軒家だったら気にせずにいられるのにな…なんて思う母でした。Upload By かなしろにゃんこ。
2017年07月18日子どもたちの困りごとの理解に…と見始めたNHKスペシャルの発達障害特集出典 : 月21日(日)に放送されたNHKスペシャルでの特集第1弾「発達障害 ~解明される未知の世界~」。放送からしばらく時間が経ってしまいましたが、以前録画したままになっていたものを、やっと見ることができました。我が家には、9歳の娘、7歳の息子がおり、ともに自閉症スペクトラム障害と診断されています。この番組を見ることで、子供たちへの困りごとの理解に繋がれば…と思い、再生ボタンを押したのですが、見えてきたのはそれだけではありませんでした。スーパーに行くと必ずぐったりとしてしまう息子出典 : 今回の番組の中で私たち家族にとても役に立ったのが、聴覚過敏の方がスーパーやカフェを訪れて、音の聞こえ方を説明してくださっている部分でした。実は、小学1年生の息子も、幼いころからスーパーがとても苦手だったのです。息子と一緒にスーパーに行く機会はとても少ないのですが、何かの折に連れて行くと、数分も経たないうちに疲れ果て、「もう帰りたい」と言い出します。その疲れ方は尋常ではなく、立っているのもやっと。せがまれて抱っこをすると、私の肩に顔を埋め、高熱を出した時のようにぐったりとしているのです。スーパーを出た後も回復するには時間がかかり、その間はじっと顔を伏せて自分の世界に閉じこもってしまいます。以前まで、これは視覚優位の特性から、スーパーの情景や照明が負担になっているものだと、なんとなく考えていました。しかし、番組の中で当事者の方が語ってくれた音の聞こえ方を知り、息子も聴覚過敏の特性から音の情報に圧倒され、苦しんでいたことがわかったのです。番組に出演していらした方と息子がまったく同じように感じているかどうかはわかりません。ですが、ドライヤーや掃除機の音にも耳を塞いでしまうほどの聴覚の過敏性を持つ息子。普通は聞き流してしまうような小さな音であっても、耳に突き刺さるように飛び込んでくることを想像すると、スーパーから帰るときの息子の疲れようにも納得がいくのです。怒りの原因は「脳が上手く指令を出せていない」ことだった!?出典 : そしてもう一つの驚きは、私自身も聴覚過敏を持ち合わせていたことに気づいたことです。本来、脳にはさまざまな音のボリュームをつかさどる司令塔のようなところがあって、その場に応じて必要な音と不要な音を判断し、不要な音に関してはボリュームを下げ、必要な音を聞こえやすくする働きがあるそうです。ところが、自閉症スペクトラムのある人の中には、この司令塔がうまく働かず、自分に向かって目の前で話している相手の声も、後ろのお客さんの話し声も、食器がぶつかる音も、BGMも、すべて同じボリュームで耳に入ってきてしまう人がいるということでした。実際に当事者の方が再現していた喫茶店での音の感じ方は、目の前の席に座って話しかけている人の声でも途切れ途切れにしか聞き取れず、会話を行うことが困難な様子でした。思い返せば、私にも同じような体験がたくさんあったのです。小さなカフェでは集中すれば相手の話が聞き取れるのですが、それ以上の規模の場所になると他の音が耳を覆い尽くしてしまって、ところどころしか聞きたい話を拾えなくなってしまうのです。その“ところどころの話”を拾うのにも結構な労力を費やす必要があり、結果きちんとした会話をするのが難しくなってしまいます。特に子どもの声は笑い声であっても泣き声であっても、大音量で耳に突き刺さってくる感覚があるので、小学生や幼稚園などの集団に遭遇してしまうと、あらゆる方向からあらゆる声がキンキンと耳に攻め込んできて、ただその場にいるだけでもずいぶん我慢をしている状態になっていたのです。そしてその状態で、子どもがふざけて飛び出してきたり、押し合いをしてこちらにぶつかってきたりすると、大人気もなく怒りの感情が湧いてきてしまっていました。自分でも「小さい人間だな......」と思っていたのですが、聴覚過敏で音をコントロールする司令部が弱いのだと分かった今では、とにかくその場から離れることを心がけるようにしました。楽しく盛り上がっている小学生や園児が悪いのではなく、それに怒りを覚えてしまう私が人としておかしいわけでもない。相手を責める必要も、自分を責める必要もない。事実として、自分に関係のない音のボリュームを下げることができないという特性が自らにあることを理解できれば、それに対して工夫をして対策を考えることもできます。そうすれば、余計な怒りを感じる機会がまた一つ減り、穏やかに過ごせる時間が増えるということに気づくことができたのです。「よくわからない」部分を考えることで楽になれることも出典 : わが家はたくさんの特性を持った人間の集まりですので、家族で出かけると全員が「よくわからないけどイライラしている」という状態によく陥ります。家に戻ると、それぞれが自分の殻に閉じこもってしまい、1時間以上誰も口を開かない、ということもよくあります。しかし、発達障害特集を見て以来、この「よくわからないけど」という部分に疲労を回避するためのヒントが隠されているのではないかと思うようになりました。自分では当たり前だと思っている聞こえ方が、実は脳を疲れさせていたり、よくよく考えてみるとこの場所に行くといつもイライラが募るという場所があったり。その原因を突き止めることができれば、疲れ方も大幅に変わってくると思うのです。なので最近では、子どもたちと一緒に「どうしてイライラしたんだろうね?」「どこまでは平気でどの当たりから疲れた?」「あの音がダメだった?」「床が白すぎてまぶしかったかな?」などと原因について具体的に話し合うようにしました。まだ「なんでだろう?」という回答の方が多いですが、「もう一度あのお店に行って疲れるかどうか、疲れるなら原因はなにか確認してみたらどう?」という感じに次のアクションを見据えた返事がかえってくることも増えてきました。「よくわからない」をわからないままにしておくと、いつまでも対処のしようがありません。お子さまがぐったりと疲れてしまったとき、一度ゆっくりとその「わからない」部分を整理してみませんか?そうして、1つずつ原因を突き止め無理なく出かけられる場所が増えれば、子どもたちは必要以上に消耗することなく、いろんなことにチャレンジできる機会が増えるかもしれません。日頃からそう問いかけながら暮らしていくことで、お子さま自身が自分の得手不得手を把握し、快適に過ごせる手段を考える練習にもなるかも知れませんね。
2017年07月16日ささのはさらさら~♪七夕の笹、我が家に到着!Upload By ラム*カナ父が実家の裏山から七夕の笹を1本くれました。大きくて願い事し放題サイズ!早速息子たちは短冊に願いごとをば。長男、何枚かお願い事を書いていたんですが…そのなかのひとつがこちら。Upload By ラム*カナちょ、ちょいおまっ!!!その願いごと、ランドセルを忘れて登校しようとするアナタにそっくりそのままお返ししますね!…ってなツッコミ上等な感じだったんですが、一旦飲み込んで、念のため「なんでこのお願いごとにしたの?」と本人に聞きましたところUpload By ラム*カナどうやら忘れん坊な私(事実)のために、願ってくれた模様。この願い事を見たとき、最初は「いやいや自分(長男)でしょ(笑)!」と思ったんですが、長男は心からの優しさで母のことを願ってくれたみたいです。長男自身、ちゃんと忘れん坊の自覚はあって、それを直したい気持ちもあるのに、そこは置いといて(「棚に上げて」とも言う)私のことを願ってくれるなんて…。ありがたい話です。そして翌日のこと。Upload By ラム*カナナルホドネ!
2017年07月15日ティーンエイジャーが友情と葛藤の中で成長していく映画「パワーレンジャー」7月15日(土)より全国でロードショーされる映画「パワーレンジャー」をご存知ですか。日本でおなじみの5人組ヒーロー“スーパー戦隊シリーズ”をもとに、ヒーロー大国アメリカで「パワーレンジャー」としてシリーズ化され大ヒットしてきた作品が、映画化しての凱旋上映です。遡ること時は紀元前。古代の地球で世界の運命を決する、大きな闘いが終焉を迎えていた。ある5人の戦士たちによって守られた地球。そこにはやがて新しい命が芽生え、物語は現代に帰ってくる。小さな町、エンジェル・グローブで暮らす5人の若者たち。互いを知りもしなかった彼らがある日偶然にも出会い手にしたのは、超人的なパワーだった。それは、星の生命を守る5人の戦士=パワーレンジャーの力。彼らは、かつてパワーレンジャーの1人として世界を守っていたゾードンと、機械生命体・アルファ5と出会い、古代の地球で封印された悪の戦士=リタ・レパルサによって地球が危機にさらされていることを知る。しかし彼らは、突然降りかかった自分たちの運命を受け入れられず、与えられた力で“変身”することができずにいた。残された時間はあとわずか。果たして彼ら普通の高校生に、この世界を守ることができるのか?世界のために、仲間のために、5人が真に結束するとき――、ついに“その力”が目覚める。物語は、カリフォルニアにある小さな町、エンジェル・グローブに暮らす5人の若者たちを主人公にして展開されます。彼らはそれぞれ複雑なバックグラウンドを抱えながらも、ある日から戦士として地球を救う使命を課せられ、もがき苦しみながら成長していきます。映画『パワーレンジャー』公式サイトヒーロー初!レンジャー・ブルーのキャラクター設定は、自閉症スペクトラムUpload By 発達ナビニュース本作に登場するキャラクター、ブルー・レンジャーのビリー・クランストン。亡き父親との思い出の遊び場である金鉱を心の拠り所にしている、機械の扱いに長けた物静かな少年として描かれています。なにより彼の最も特徴的な設定として注目したいのが、自閉症スペクトラムがあるキャラクターという点。実は、自閉症スペクトラムのキャラクターがヒーローとして活躍するのは、ハリウッド初の試みなのだそうです。自閉症のキャラクターを起用した理由とは?Upload By 発達ナビニュース本作の見どころは、彼ら5人のヒーローは自分自身でレンジャーの能力を獲得しなくてはいけないところ。ある日突然能力が開花して大活躍するのではなく、それぞれが一人前のレンジャーになる方法を探すところからストーリーは動き始めます。奇跡の能力が与えられた強いヒーロー像をステレオタイプに描くのではなく、等身大の若者が自分の力で仲間と協力しあいながら力を合わせる姿を描くことをテーマにしているのです。「彼らの勇姿に共感してもらうためにも、作中にでてくるキャラクターは等身大である必要がある」そんな制作陣の考えから、「現代のティーンエイジャーが抱える様々な問題」のうちの一つの例として、自閉症スペクトラムやLGBTのキャラクターを登場させるに至ったのだそうです。ビリー役のRJ・サイラーが自身のキャラに触れて、こうコメントをしています。「ビリーは社会性がなくて友達がいない。でも本当は友達が欲しい。友達が欲しくてもそれをどういえば言いかわからないし、どう友達を作ればいいかわからない。だけど、今までの彼の人生にはなかった新しいグループに属するチャンスをつかみ、ビリーは彼自身を発見していく。ビリーが知っていることは科学と数式だけ。だからこれは、人を知り、繋がりを持つという、彼にとって新しいことなんです。僕はこれは大切なメッセージだと感じています。」劇場でパワー・レンジャーのみんなを応援しよう!Upload By 発達ナビニュースそんな制作秘話が込められた「パワーレンジャー」ですが、7月15日(土)より公開されます。魅力的なキャラクターたちが力をあわせて戦う姿をぜひお近くの劇場から応援してくださいね。なお、字幕吹き替え版では視覚障害のある方たちのためにバリアフリー上映が行われているようです。詳しくは公式サイトの案内をご覧ください。バリアフリー上映のご案内東映映画宣伝部TEL:03-3535-7193/〒104-8108東京都中央区銀座3-2-17(c)2017 Lions Gate TM&(c) Toei & SCG P.R.※記事中の挿入動画及び画像すべてに関して
2017年07月14日中学不登校だった僕が出会った“通信制高校”。そこは、自分の興味を思いっきり追求できる場所だったUpload By 吉開拓人こんにちは、現在大学生で、プログラマーとしても活動している吉開拓人といいます。これまで、ベンチャー企業でのロボットの開発などに携わってきました。開発に携わったロボット「Gatebox」今でこそ、大学生活にエンジニアの仕事にと充実した毎日を送っている僕ですが、実は中学から約3年半の不登校経験があります。そんな僕がプログラミングに打ち込み、そして大学進学という目標を持てた理由の一つには、「通信制高校」という選択肢があったことがあると思います。通っていたのは、長野県にある通信制高校「コードアカデミー」。国語や数学といった通常の高校の授業科目だけでなく、プログラミング教育に力を入れた学校です。2014年に開校されたばかりでまだ歴史は浅く、僕が卒業第一期生です。コードアカデミーでの日々はとても充実していました。自分の好きなことや楽しいことに3年間ずっとノンストップで取り組むことができただけでなく、面白い生徒にたくさん出会えましたし、その人たちから普通の高校に通う以上の良い刺激をたくさん受けとることができました。今回は、僕自身の「コードアカデミー」での高校生活をお話し、不登校であったり、学校に行く理由を見出せないでいる中高生の後輩たちに向けて、通信制高校のポジティブな活用方法をお伝えできればと思います。「勉強する目的が分からない」ー3年半の引きこもりから、プログラミングという道に出会うまで出典 : 通信制高校へ通うようになったキッカケは中学生のころまでさかのぼります。僕は中学生1年生の時から、家に引きこもるようになりました。学校に行かなくなった理由は人間関係などではなく、「勉強する目的が分からない」から。小学校と違い中学にあがってから大きく変わるのは勉強への姿勢。周りは受験モードに切り替わり、勉強に力を入れる人が増えていきます。友達が塾に行き始めるのをみて「自分も勉強をがんばらなくては」と焦燥感をかんじ勉強に向かってみたものの、目的を定めずに何かをすることが苦手だった僕は、目的のない受験勉強をし続けることに対しもやもやとした疑問を抱き始めます。そしてついに中学一年の秋、糸が切れたように通学ができなくなってしまい、そこから3年以上もの間引きこもり生活が続きました。ですが今振り返ると、この不登校経験は僕の人生のターニングポイントとなったかけがえのない時間だったと思います。一日中ゲームをしていた僕に、父が「そんなに好きなら、自分でゲームを作ってみれば?」とプログラミングの専門書を買ってくれ、僕がエンジニアになるきっかけを与えてくれたからです。※詳しくは、以前発達ナビでインタビューしていただいたコラムでお話していますので、こちらも併せてご覧いただけると嬉しいです。プログラミングに特化した通信制高校がある?ニュースを見てすぐに入学を決意出典 : 引きこもり始めて3年の月日が経った頃、「まだ学校に行きたくはない」と中学卒業後も家で過ごしていた時のこと。ふと目にしたのが“通信制高校「コードアカデミー」開校”のニュースでした。コードアカデミーは、日本でも稀なプログラミング科目を導入した高校です。国語や数学、英語といった普通科目とプログラミング科目の授業はネットで受講し、メールで課題を提出。あとは半年に一度、約5日間長野県にある本校で授業とテストを受けて単位を修得します。卒業に必要な単位を取れれば高校卒業資格が取得できるので、大学を受験する事が出来ます。さきほどお話した通り、不登校生活で一番力を入れてたのがプログラミングの勉強だったこともあり、このニュースを見たときは飛び上がるような気持ちになったのを覚えています。将来のために今以上のプログラミング技術が学べるかも…ここだったら自分のやりたいことに向かって努力できるはず。高校に通うならここしかない!不登校になる前と違い、勉強することに大きな目的を持てた瞬間でした。すぐさま資料請求し、願書を提出。入学が認められ、記念すべき第一期生としてコードアカデミーに入ることになりました。コードアカデミー高等学校通信制高校のイメージを変えてくれたのは、魅力的な同級生との出会い出典 : 「やりたいことができる!」と入学を決めたものの、正直に言うと僕自身も通信制高校にまったくネガティブなイメージを持っていなかったといえばウソになります。就職や進学には明らかに不利だし、世間にもあまり良いイメージは持たれていない…全日制の高校には確実に劣ると思っていました。少し不安な気持ちも残ったまま入学式初日を迎えた僕ですが、そんなイメージを180度変えてくれた出会いがありました。コードアカデミーの本校は長野県にあり、そこで行われた入学式の日のことです。同じく第一期生として入学式に参加していたK君と出会いました。彼は通信制高校に対してとてもポジティブな考え方を持っていたんです。「通信制高校と普通の高校の違いは、時間を自由に使えること。好きなように予定を入れて行動できる。やりたいことのために時間を有効活用できるのは大きなメリットだ。」社会問題やインターネット文化に興味があった彼は、とても好奇心旺盛。学校外でやりたい事がたくさんあった彼は、昼間の時間を「やりたい事」に使うために通信制高校を選んだのだそうです。昼間の時間は、気になるビジネスに取り組んだり、旅に出たりとアクティブに過ごしたいと張り切っていました。彼の考えは僕にとってとても衝撃的で、それでありながら僕の胸にストンと落ちるものでした。「平日の時間を有効に使えること」をどう活用するか、それが高校生活を有意義なものにするかキーポイントになっているのではないか……だったら、僕も彼のように通信制高校の環境をポジティブに活かせるように行動すればいい。この考えに出会ってから、僕の通信制高校に対するイメージは大きく変わり、結果、高校生活も充実したものになっていきました。自分で目的を持って通信制高校を“活用”してみたところ…出典 : ここからは、実際に僕が「コードアカデミー」で行動してみて体感した、通信制高校のメリットをご紹介したいと思います。学校の中の友達や繋がりは大事ですが、それだけに限られてしまうと、思考も限定されてしまいます。僕はできるだけ外に出ました。フリーランスのエンジニアの方々に会ったり、カフェで店員さんとおしゃべりしながら作業したり、平日に開催されるイベントに参加したり…通信制の平日の時間が使えるというメリットをフル活用したのです。全日制高校と違って単位制で履修の時間を自由に決めることができるからこそできたことです。また、僕は空いていた平日の時間の大半を「仕事」の時間に使っていました。働く目的は、遊ぶお金がほしいからではなく、将来に向けてプログラミング技術を磨くこと。むしろお金はおまけのような感覚でした。高校生でもプログラマーとして働ける会社を見つけて勤務していたのですが、そこで学んだことはとても大きかったです。毎日社会人といっしょに仕事をする機会をもてるのは、まさに通信制高校ならではのメリットだと思います。ほぼ毎日仕事をしていましたが、働くこと自体が楽しくて仕方なかったので、遊ぶ時間は必要ありませんでした。プログラマーとしての業務に必要なのは「コミュニケーション」と「勉強」です。仕事を通じて、その2つのスキルはどんどん磨かれていきました。この経験は社会人スキルとして一生活きていくでしょう。新しい人に会って新しい友達が出来ると、新しい情報を知る事が出来ます。そして多くの人から自分の知らない世界を教えてもらうことにより、自分のやりたいことが新しく見つかる場合もあります。もちろん時間はたっぷりあるので、そのやりたいことにすぐさま取り組むこともできます。やりたいことにフットワーク軽く、自分の満足のいくようにひたすら模索できるのは時間を自由に使える環境があったおかげだと思っています。今の大学に行くことができたのも、志望大学の先輩方に会って将来の夢を語り、受験の相談に乗っていただけたから。夢の実現のために自由に動ける時間が得られたのは、とても良かったと思っています。僕の高校時代は自由そのものでした。そして何も出来ないのび太くんだと思っていた自分でも、時間の使い方を理解し、使いこなす事が出来れば、どんなことでも出来るようになると分かりました。エンジニアは生涯勉強し続けなければいけない職業です。勉強し続けるには仕事と休みの合間に勉強の時間を作らなければいけません。それは自分の限られた自由をマネジメントするということです。高校時代、平日いつ・どこに行き、誰と会うのも自由。全て自分で選択して生活してきたお陰で、自分の自由をマネジメントする癖が付きました。その能力はこれから先、エンジニアの僕にとって大きく役に立ってくれるはずです。不安も失敗もあった。でも勇気を持って挑戦すれば、その経験はきっと自分の財産になるUpload By 吉開拓人そんな高校生活を経て、僕は今年4月に慶應義塾大学の総合政策学部に入学しました。「目的のない勉強」が嫌で学校に行かなくなった僕にとって、大学の「目的のある勉強」は楽しくて仕方がないです。興味はテクノロジー以外の分野にも広がっており、今後も高校生活で得られた行動力をもとに活動の幅を広げていきたいと思っています。僕の高校生活を転換させてくれたKくんは、在学中、自分の興味の赴くまま全国を駆け回り、フィールドワークをしていました。卒業後は早稲田大学に進学。そんな彼の最近の口癖は「情報は足で稼ぐもの」、まさに有言実行を貫いていました。Kくんだけでなく、他にも自分の興味のある領域を研究する時間に使い、学問を究めるため大学に進んだ人もいます。このように、みんな自力で進路切り開いていきました。大学生、社会人となるにつれて、ますます学習が大切になっていきます。それを両立させるためにも、僕らが通信制高校で身に付けた「自分の時間を管理」する能力が役に立ってくれるはずです。通信制高校に入って将来が不利になるのでは……と心配になることもあるでしょう、でも実は、全日制高校でなければ出来ないことより、通信制高校でなければ出来ないことの方がたくさんあると思っています。もちろん僕も、ただ順風満帆な高校生活を送っていたわけではありません。たくさん失敗もしました。でも、その失敗も今の自分には必要不可欠なことだったと思っています。そのおかげで、最近は失敗するのがそんなに恐くなくなりました。上手く活用すれば、普通の高校生が見たこと無いような景色を見たり、やれない事をやったり、出会えない人と友達になれます。時間と場所の制約がなければ自由な発想力が身につきます。その結果、好きなことを仕事にしたり、好きな分野を研究したり、興味を持ったことは何でも挑戦出来るんです。この高校生活で得られたモノは、ずっと自分の武器になるはずです。もし高校の勉強に時間を奪われ、自分のやりたいことが出来ないと感じているなら、通信制高校の入学を検討するのもいいかもしれません。僕の体験談が、少しでもお子さんやご自身の進学先選びの参考になれば幸いです。
2017年07月14日きっと美術館が好きになる!!子どものための特別な日「キッズデー」とはUpload By 発達ナビニュース感受性の豊かな子ども時代に、美術・芸術になるべくたくさん触れさせてあげたい。でも、「美術館は静かに鑑賞するもの」という暗黙のルールを意識して、落ち着きがなかったり、静かに鑑賞することが難しいお子さんを美術館に連れて行くことに、ためらいを抱かれる保護者の方もおられるかもしれません。本日ご紹介する東京都美術館の「キッズデー」は、そんなご家族の心配を解消すべく生まれた、子どもとその家族のための特別な日。普段は休室日である月曜日を、子どもたちのために特別に開室し、周りを気にすることなくゆったりと過ごすことができる企画です。昨年に続き、2回目の実施となる今回は、子どもたちに、美術館を楽しんでもらうためのさまざまなプログラムを用意しているとのこと。また子ども専用の日のため、子どもたちがのびのびと展覧会を見て回ることができます。キッズデーの特別プログラムとは!?その一部をご紹介!事前申し込み不要で参加できる「とびらボードでGO!」では展示室の作品を実際に見ながら、とびらボードと呼ばれる磁気式のボードにスケッチをすることができます。Upload By 発達ナビニュース子どもたちが頑張って描いたスケッチは、スキャナーで読み取り、色をつけた後に絵ハガキにして持ち帰ることができるそうです。Upload By 発達ナビニュースアート・コミュニケータが子どもに寄り添い、展覧会を一緒に楽しむプログラムも!Upload By 発達ナビニュース東京都美術館(都美→とび)では、一般の方と美術館の架け橋となるような大人たちが、アート・コミュニケータ、「とびラー」として活動しています。「とびとびスペシャル ボストン美術館」のプログラムでは、美術館を楽しむ達人である「とびラー」たちが、障害の有無にかかわらず、子どもたちに寄り添い、いっしょになって展覧会を楽しみます。とびラーは障害に関する専門家ではありませんが、子どもたちが美術館に来てくれることを心待ちにしている大人のお友達として一緒に美術館を楽しんでくれます!「他のお客さんへ迷惑を掛けてしまうのでは?」「実際のところ、美術はよく分からないから」そんな不安をお持ちでも、とびラーが心強い味方になって親子での美術鑑賞を後押ししてくれるとのこと!こちらのプログラムは、あらかじめ予約が必要となっています(申し込み多数の場合、抽選)。締切は7/17(月) 23:59までとなっているので、興味のある方はお申し込みをしてみてはいかがでしょうか。東京都美術館「キッズデー」開催概要キッズデーにご来場頂いた中学3年生以下のみなさん(先着1000名様)には、特別なプレゼントもご用意しているそうです。気兼ねなく美術館を楽しむことができるこの機会。自由研究の題材も見つかるかもしれませんね!2017年7月31日(月)9:30~16:00(入室は15:30まで)東京都美術館 企画展示室中学3年生以下の子どもとその保護者※ただし、小学3年生以下の方は保護者同伴での入室をお願いします。中学生以下は無料、保護者はボストン美術館の至宝展の観覧券(招待券・前売券も可、半券不可)が必要申し込み不要。開催日時にご来場ください。 ただし、「とびとびスペシャル ボストン美術館」等、一部のプログラムは事前申し込みが必要です。詳細は以下のWebページをご覧ください。キッズデーのご案内|東京都美術館関連するイベント:「障害のある方のための特別鑑賞会」(事前申し込み制)東京都美術館では、定期的に障害のある方のための特別鑑賞会を実施しています。普段は混雑している特別展を障害のある方が安心して鑑賞できるよう、休室日に開催する鑑賞会です。キッズデー同様に、ゆったりと展覧会を楽しむことのできるイベントとなっています。このイベントは、身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳などを持っている方とその介助者(1名まで)が対象となります。次回は2017年8月28日(月)(申し込み7/24(月)まで)に行われるとのことなので、興味をもたれた方は下記のリンクから詳細を確認してみてはいかがでしょうか。障害のある方のための特別鑑賞会|東京都美術館
2017年07月14日ゲルストマン症候群とは出典 : ゲルストマン症候群とは、失書・失算・左右識別障害・手指失認などの症状が出る脳機能障害です。4つの症状すべてが出る人は少なく、大体の人は部分的な発症となります。ゲルストマン症候群は、脳の頭頂葉などの領域の損傷が原因とされており、脳卒中や交通事故で脳が傷ついた後に発症することが多い障害です。大人に発症することが多く、原因や症状が似ているため、アルツハイマー症候群との区別がつきにくいと言われています。子どもに発症する場合は発達性ゲルストマン症候群と呼ばれますが、その原因はよくわかっていません。文字の読み書きや計算ができず、学校生活についていけなくなった際に見つかることが多いです。症状が似ているため発達障害(特に学習障害)との見分けがつきにくく、対処法を決める際には医療機関での詳しい検査が必要となります。身体的な健康問題にかかわる病気ではありませんが、日常生活の基本的な動作に大きな不便が起きる場合もあります。それでも医療機関や家族の協力を得れば、生活の質を上げることができます。ゲルストマン症候群の症状出典 : ゲルストマン症候群の4つの症状について、より詳しく説明していきます。ゲルストマン症候群は、その他の脳機能の不調が併発する可能性があり、ここで出てくる症状以外の異変が見られる場合もあります。・失書失書とは、文字を書くこと・文章を組み立てることに障害があることを言います。例えば漢字が思い出せない、文字を書くことができない、それぞれの言葉にイメージを結び付けられず文の意味を理解できないといった症状があります。生活上では、相手の話をよく理解できない、思っていることを文字に起こせないなどの困りごとが生じます。・失算失算とは、基礎的な計算能力が低下することです。数の大小関係や「1、10、100...の順に大きい数を表す」という順序性の把握が苦手になります。数字の概念の理解が難しくなることで、日常的に数の計算が難しくなる以外にも、時計が読めなくなるという困りごとも生じます。・左右識別障害左右識別障害(左右誤認、左右失認とも言う)とは、自分や他人の体の左右の違いを認知できず、空間的な位置関係の把握が難しくなることを言います。集団行動の際に指示を理解することが難しかったり、ネクタイをしめたり絵を書いたりすることが苦手になるといった困りごとが生じます。・手指失認手指失認とは、手指に関する言語・視覚・触覚の刺激が働かなくなることです。例えば、目を閉じた状態で誰かに指を触られ「これは何指?」と聞かれても認知できなかったり、「親指を出してください」と言われても理解できなかったりすることがあります。指を上手に操作できないため、爪切りや料理をするなどの動作が難しくなります。ゲルストマン症候群かな?と思ったら...出典 : 気になる症状がある場合は、医療機関に相談してみましょう。ゲルストマン症候群については、大人は脳外科や脳神経外科、子どもは小児感覚器科などが担当になります。次のような検査を用いて診断をします。・脳の異変の調査脳に異変が生じていないか、脳を写し取って調べます。この場合に用いられる検査はCTスキャンやMRIがあり、担当する医師がそのときの状況に応じてどの方法を利用するか決定します。・手指認知テスト手指認知テストとは、手を触られ、どの指を触られているかを答える検査です。目を開けた状態や閉じた状態など、さまざまな状態のもと検査を行い、手指に関するどの感覚に異常があるのかを調べます。・左右認知テスト左右認知テストは、自分・他者の体に対して「右手を挙げてください」という単純命令と「右手で左耳を触ってください」という二重命令によって左右認知の程度を調べます。・読み書きテスト読み書きテストでは、「指示に従って書く」「音声を聞いて書きとる」「漢字単語の書きとり、仮名単語の書き取り」「五十音・数字を書きだす」「写字」「自分の考えを書きだす」などの方法で読み書き能力を測ります。・数の認知・操作・計算テスト数の認知・操作・計算テストでは、足し算・引き算などの基礎的な計算問題や、月・日・年・時刻などの数的情報を認識すること、数字を正しい順番で数えることなどを通して数字を扱う能力を測ります。これらの方法の以外にも、さまざまな検査があり、調べたい症状によっていくつかの検査を組み合わせて行います。ゲルストマン症候群の検査においては「この指標がどれくらいだと確定」といった明確な指標はありません。そのため、医療機関ごとにその評価基準が変わる可能性があるのが現状です。診断がつくかどうかよりも「どういった動作にどのような困りごとがあるのか」を確かめてリハビリに臨めるようにするとよいでしょう。ゲルストマン症候群とアルツハイマー、発達障害との違いは?出典 : ゲルストマン症候群が疑われる場合に、区別がつきにくい疾患があります。アルツハイマー型認知症と発達障害がそれにあたり、症状や病巣が似ているため医療機関で詳しく検査をする必要があります。症状が似ていても対処法はそれぞれ違うため、見分けた上で適切な処置を考えられるといいでしょう。アルツハイマーは脳に様々な問題が生じ、記憶力の低下や被害妄想などの症状が起こる病気です。・具体的な症状:判断力の低下、発話困難、記憶力の低下、「誰かが私の物を盗んだ!」というような被害妄想などがあります。・原因:脳のニューロンの機能低下、神経伝達物質の減少、ホルモンバランスの乱れなど、様々な要因があります。・対処法:アルツハイマーは明確な治療法が見つかっておらず、介護が必要となる場合があります。しかし、薬を飲むことで症状が軽減した例もあります。参考書籍:中根充文・山内俊雄/監修『ICD-10 精神科診断ガイドブック』(中山書店、2013)発達障害とは、先天的な脳機能の発達の凸凹と、その人が過ごす周りの環境とのミスマッチから、社会生活に困難が生じる障害です。ADHD、自閉症スペクトラム障害、学習障害(LD)といった種類があり、ゲルストマン症候群は、特に学習障害と見分けがつきにくいとされています。・具体的な症状:集中力の欠如、学習の困難、落ち着きがない、癇癪を起こす・原因:脳の発達の特性と言われていますが、詳しいことはわかっていません。・治療法:現在のところ根本的に治療する方法はありません。環境調整や周りの接し方、スキルトレーニングなどで困りごとが緩和される場合があります。または症状を緩和するための投薬が行われる場合があります。ゲルストマン症候群・アルツハイマー型認知症・発達障害の症状は似ている点があるため、見分けをつけることが難しいとされています。3つの疾患とも、脳の機能に異常が生じて起こる病気のため、判断が難しくなる場合があります。また、その症状も似ています。ゲルストマン症候群の4つの症状は、アルツハイマー型認知症での服を着ることが難しくなる「着衣失行」という症状や、発達障害での計算、文字を書くこと、手先を使う動きが苦手になる症状によく似ています。原因や症状が似ていたとしても、3章で挙げたような検査をしていくと違いを見つけることができます。問診や検査、脳のどの部分に異変が生じているのかなどを詳しく調べることで判別していきます。疑わしい症状が出たけれども、どの病気に当てはまるかわからない場合は、専門家に相談し検査を受けてみることをおすすめします。ゲルストマン症候群の治療法とリハビリ方法は?出典 : ゲルストマン症候群は治療法が見つかっていませんが、時が経つにつれて症状が和らいでいくと言われています。自然の回復を待つ以外にもリハビリによって日常で必要な動作ができるようにもなります。リハビリを希望する場合は、医療機関のリハビリテーション科に相談するとよいでしょう。ゲルストマン症候群のリハビリの一例を紹介します。作業療法では、検査で確認できた症状の中で、日常生活での困り度合いが大きいものを選び、具体的な行動目標を設定します。例えば、「箸を使ってご飯が食べられるようにする」「自分の名前を自分で書けるようにする」などです。目標を設定した後は、作業形式の練習を繰り返します。・文字を書くまず、ひらがなを書く練習から始めます。練習する文字を要素に分けます。そしてそれをなぞったり、模写をして慣れたら見本無しで書く練習をします。ひらがなが書けるようになったら、漢字も同じ過程に沿って練習します。・数字を理解する「1の次は2、3の次は4」「4から1つ減ったら3になる」などの数の変化をイメージしやすくなるための練習をします。例えば、積み木やおはじきを使って数の変化を視覚でとらえられるようにします。・その他の日常動作日常動作の練習をする際には、まず動作を単純化することから始めます。その後、簡単な動きから段階的に練習をしていきます。例えば、爪を切る練習では、安全な詰め切りの持ち方を覚えるために洗濯バサミをつかんで動かすことから始めたり、はさみで物を切る練習をする際にはまずはさみを平面に置いた状態で、穴に指を入れ、動かしてみることから始めます。日常動作の練習のときには、自助具(物を掴みやすくするグリップなど)を使う、いきなり空間操作ではなく、平面上で動かす練習をする、動きを単純化する、ということがポイントです。訓練による回復は、退院後も継続しないと効果が持続しないと言われています。なので、家族がサポートをしながら動作の練習を続けることをおすすめします。他には脳に高圧の酸素を注入する高圧酸素療法や、計算機を使うこと、ワープロを使って文章入力をする練習なども行います。計算機やワープロといったツールを使うことで、文章を組み立てることや、計算をすることの練習を負荷が少ない状態ですることができます。まとめ出典 : ゲルストマン症候群とは、脳の損傷や病変により、失語・失算・手指失認・左右認識障害などが現れます。命にかかわる病気ではなく、詳しい原因や治療法が発見されていませんが、症状の組み合わせによっては日常生活に大きな支障をきたします。少しでも生活上の不自由を解消するためには、作業療法や高圧酸素療法などを受けることがおすすめです。診断基準や療法が明確に統一されておらず、情報収集が難しいゲルストマン症候群ですが、専門家と相談しながら療法を続けていくことで困りごとの改善につながるでしょう。ゲルストマン症候群のような脳の分野の異変が原因となっている病気は、近くの脳分野が関係する病気を併発することも珍しくありません。そのため、専門家に症状や不自由を感じる点を相談しながら、自分に合った対処法を見つけられるとよいですね。
2017年07月14日突然の救急搬送。それは前触れもなく訪れた出典 : 今年度の初め、私は電車の中で過呼吸発作を起こし、救急搬送されてしまったことがありました。その症状は、本当になんの前触れもなく訪れました。思い当たることといえば、仕事の締切が重なって睡眠不足だったこと、朝から少し体調が悪かったこと、出先でコーヒーを二杯飲んでしまったことぐらいだったでしょうか。ただ、発達障害の息子の小学校への入学準備のため、頭の中は常にTo Do リストが何十個も並べられている状態でした。そんなとき電車の中で、激しい動悸とともに訪れた吐き気、めまい、そして過呼吸発作。「もう自分は死ぬ」というような感覚を味わい、救急車の中でも病院の中でも大暴れでした。ところが、「助けて~助けて~」「苦しい」「死ぬ~」とうめき声をあげて苦しむ私を見ても、救急隊員も医師も、全く動揺することがありませんでした。むしろ、「あ~これか~。まあしばらくすれば落ち着くだろう」というような悠々とした態度。(後で落ち着いてから聞いたところによると、このような発作を起こした人を救急搬送するケースは結構多いのだそうで…)その日は症状がおさまり、夫に迎えに来てもらって帰宅したものの、本当の地獄はこの翌日から始まったのでした。世界が変わってしまった日出典 : 翌朝、まだちょっと身体にだるさが残っているものの、普通に起き上がって家事をすることはできました。「昨日はなんだったんだろうなあ。生まれて初めて救急車なんて乗ってしまったよ…」こんな風に気楽な気持ちで前日の出来事を回想しながら、私は近所の喫茶店にお茶を飲みに出かけました。席について、注文をして、お茶が出てくるのを待ちながら数分。私は突然身体の異変に襲われました。電車の中で倒れたときと同じ、心臓がバクバクバクバクと変な打ち方をし始めたのです。と同時に、目の前に黒い幕が降りたような感じになり、天井がぐるぐると回り始めるではありませんか。もういても立ってもいられません。「また倒れてしまう!」「こんな場所で倒れてしまってはまずい!!」そう思えば思うほど、私の呼吸は荒くなっていきます。呼吸が荒くなっていくと、身体が痺れてきます。私は耐えきれず、お茶を待たずに外に飛び出しました。そして、外に出て冷たいお水を飲んでしばらく座っているうちに、さっきまでの恐ろしいような感覚はおさまっていったのです。どうして!?繰り返し襲ってくる発作に追い詰められる日々出典 : それからというもの、私はこの「変な症状」に繰り返し繰り返し襲われることになります。あるときはエレベータの中。あるときは映画館。あるときは美容院。あるときは車の運転中。(特に右折で待つときが危険)一番つらかったのは睡眠中にもこの症状に見舞われることがあったことです。「この状況であの状態になったらヤバいなあ、逃げ場がないなあ」という状況を想像すると、決まってその症状はやってくるのでした。そうして次第に、私は「逃げ場がない場所」を恐れるようになりました。特に、最初に発作が起きた「地下鉄」「電車」は一駅乗るだけで精一杯。自分が乗っているところを想像するだけで、息がきれるようになってしまったのです。出かけることが怖い。下された診断は…出典 : これまで発達障害の息子と一緒に新しい場所で出かけることの大変さは何度も記事にも書いてきましたが、なんともはや、自分のほうが息子よりも出かけられる場所が少なくなってしまったのです。本当にある日を境に、生活がガラリと変わってしまいました。悩んだ私は病院に行き、くだされた診断名は「パニック障害」。診断名を聞いた私は「ポカーン」です。だって、「パニック障害」なんて、自分とは遠くかけ離れた病気だとずっと思っていたのですから。テレビで見たり、友達で苦しんでいる人の話を聞いたりしても、「自分はそんな病気になることはないなあ」となんの根拠もなく思っていました。しかし、ある日突然、パニック障害に行動全てを制限されてしまう日がやってきたのです。海外を飛び回り、育児も友達づきあいもとにかく思いつくままに動いていた私は、「自分に負けた」という気持ちでいっぱいになりました。しかし、そんな私にパニック発作は容赦なく襲いかかり続けました。息子の晴れの卒園式も入学式も発作との闘い。仕事の打ち合わせも発作との闘い。毎月のように乗っていた電車は、恐怖の対象でしかありませんでした。怖い、怖い、何もかも怖い。そのやるせなさと孤独感は、言葉で言い表せないものでした。過去の活動的だった自分のことを思い出して、何度も涙を流しました。ドラマのセリフじゃないですけど、「もうあの頃には戻れない」という思いでいっぱいでした。パニック障害に追いつめられて出典 : このように、パニック発作を恐れる状態を「予期不安」といい、予期不安によって特定の場所を避けるようになる行動を「広場恐怖」と言います。例に漏れず、私は「予期不安」と「広場恐怖」に生活全てを変えられつつありました。あまりの辛さに、「この状態では電車に乗ることも打ち合わせに行くこともできない。…仕事をやめようか」と私は考え始めます。外に出る用事があるたびに、「この場所は無理かもしれない」「こうなったらどうしよう」という不安でいっぱいになり、私の生活はどんづまりになっていきます。そして「辛い」「怖い」が積み重なっていった先に私が行き着いてしまったのは、「もう、死んでしまおうか」という気持ちでした。それだけ、パニック障害というのは人の気持ちを追いつめてしまうのです。再び前を向くきっかけをつくった、医師の言葉出典 : パニック発作に翻弄される中、ふと私は以前、心療内科の医師がこんなことを言っていたことを思い出したのです。「予期不安も恐怖症も、逃げれば逃げるほど悪化する。悪循環なのだ。恐怖の対象から逃げて、恐怖が急激におさまる状態を脳は記憶する。それは、脳にとってものすごい快感だからだ。それを脳が覚えると、恐怖を感じたときに逃げることしかできなくなる。逃げることで、ますます不安が高まってしまう。大切なのは、少しずつその恐怖の対象と向き合っていくこと。そして、『意外に大丈夫だったぞ』という感覚を味わい、自信をつけていくことだ。」この言葉を思い出して、私は「これ以上逃げ続けるのはやめよう。少しでも恐怖と向き合ってみよう」と決意したのでした。そして私は、「〇〇をやりたい」という気持ちに蓋をせず、やりたいと思ったら、パニック発作のことを考えずに実践してみることにしたのです。こうして、私は少しずつパニック障害と向き合い、病気と共に歩み始めることができました。次回は、パニック発作が回復に向かっていった私の「行動療法」についてお話ししたいと思います。
2017年07月13日STEAM教育って何?
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