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パーソナリティ障害とは出典 : パーソナリティ障害とは、一般の人と比べて著しく偏った考え方や行動パターンのために家庭生活や社会生活、職業生活に支障をきたした状態を指します。どんな人にでも性格の偏りはあるものですが、その偏りによって二次障害が現れたり、日常生活に支障が生じることではじめて「障害」と判断されます。米国精神医学会によって作成される『精神障害の診断と統計マニュアル第5版(DSM-5)』では、パーソナリティ障害は以下のように説明されています。パーソナリティ障害とは、その人が属する文化から期待されるものから著しく偏り、広範でかつ柔軟性がなく、青年期または成人期早期に始まり、長期にわたり変わることなく、苦痛または障害を引き起こす内的経験および行動の持続的様式である。出典:DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル(医学書院.2014)以上のように「苦痛または障害を引き起こす」という特徴により定義されるパーソナリティ障害ですが、周囲から見てパーソナリティ障害であるかどうかを見分けることは極めて困難であるとされており、パーソナリティ障害は理解のされにくい病気と言われています。パーソナリティ障害に対する理解を深める前に、「そもそもパーソナリティって何?」という疑問を持つ人もいるのではないでしょうか。人間は誰でも、考え方や行動のパターンに何かしらの特徴・偏りを持っていて、そうした「その人らしさ」といえるような特徴を“パーソナリティ”と呼びます。「人付き合いの好きな人」「自己中心的な人」「神経質な人」「怒りっぽい人」などさまざまなパーソナリティがあります。今日の精神医学・心理学の分野では、パーソナリティは「性格」と「気質」という2つの要素が合わさったものと考えられています。「性格」はパーソナリティの心理社会的側面を、「気質」は遺伝的・器質的素因といった生物学的な側面を意味します。アメリカの精神科医ロバート・クロニンジャーは、性格を形作るものとして「自己思考」「強調」「自己超越」という3つの要素を、気質を形作るものとして「新奇性探求」「損害回避」「報酬依存」「固執」という4つの要素があると考え、合計7つの要素からなるパーソナリティ理論を提唱しました。この理論は、前者の3つの要素は体験からの学習として得られ、後者の4つは生まれつき備わっている要素なのではないかということを示唆しています。参考:岡田 尊司『パーソナリティ障害がわかる本』ちくま文庫(2014)p.22, 23以前は、パーソナリティ障害は英語名である“Personality Disorder”を直訳する形で「人格障害」と呼ばれていました。しかし、日本語の「人格」という言葉は人としての道徳観や良心の有無といった意味合いを含むため、「人格障害」という呼び名を用いることは当事者に対する否定的なイメージや偏見につながりかねない、と考えられるようになりました。現在は使われる頻度も減少しているようです。本記事では、それぞれ異なった特徴を持つパーソナリティ障害のタイプ別分類、各種パーソナリティ障害の概要やパーソナリティ障害の原因といった基本情報に加えて、パーソナリティ障害と発達障害との関連、具体的な治療法、周囲の接し方などについて、わかりやすく解説します。参考:パーソナリティ障害|厚生労働省参考:パーソナリティ障害(境界性/自己愛性)について|すぎうらメンタルクリニックパーソナリティ障害の分類出典 : 現在、精神科医療の現場で広く用いられている診断基準である『DSM-5』では、パーソナリティ障害は10のタイプに分類され、それぞれの特徴・傾向をもとにA・B・C群という3つのグループに分けられています。Upload By 発達障害のキホンそれぞれのタイプの詳しい症状などについては、関連記事を参照してください。A群:奇妙で風変わりに見えるA群は「オッド・タイプ」という別名を持ち、非現実的な考え方にとらわれやすいという特徴があります。統合失調症や妄想性障害といった精神疾患とのつながりが指摘されています。A群には以下の3タイプがあてはまります。・猜疑性パーソナリティ障害/妄想性パーソナリティ障害・シゾイドパーソナリティ障害/スキゾイドパーソナリティ障害・統合失調型パーソナリティ障害B群:演技的で情緒的に見えるB群は「ドラマチック・タイプ」とも呼ばれ、感情的かつ衝動的なのが特徴です。そのため、周囲を巻き込んで迷惑をかけることが多いタイプであるといえます。B群には以下の4タイプがあてはまります。・反社会性パーソナリティ障害・境界性パーソナリティ障害・演技性パーソナリティ障害・自己愛性パーソナリティ障害C群:不安または恐怖を感じるC群は「アンクシャス・タイプ」と呼ばれることもあります。不安・恐怖心などが強く、自己主張は控えめなのが特徴です。自己本位というより他社本位なタイプといえるでしょう。A群には以下の3タイプがあてはまります。・回避性パーソナリティ障害・依存性パーソナリティ障害・強迫性パーソナリティ障害新たな種類のパーソナリティ障害上で挙げた10種類のパーソナリティ障害に加え、近年では「循環病質」という病前性格、すなわち疾患を発症する以前の性格をベースとしたパーソナリティ障害も増えていると言われています。この種類のパーソナリティ障害には、普段は社交的・活動的だが激しい気分変動が起きるという特徴があります。この種類には以下の2つのタイプが当てはまります。・サイクロイド・パーソナリティ障害・サイクロタイパル・パーソナリティ障害以上、DSM-5に従ってパーソナリティ障害の3つのグループと10の下位分類、そしてDSM-5にはない、新たな種類のパーソナリティ障害について紹介しましたが、世界保健機関(WHO)により作成される疾病分類であるICD-10など、他の診断マニュアルにおいては分類のしかたや下位分類の名称が違うこともあります。参考:DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル(医学書院.2014)パーソナリティ障害(人格障害)|慶應義塾大学病院複数のパーソナリティ障害が重なり合うこともある出典 : パーソナリティ障害は10のタイプに分類されていますが、実際のところ、パーソナリティの特徴が明確に見られる「典型例」といえるような患者さんばかりではなく、複数のパーソナリティの傾向を同時に持ち合わせている人もいるため、どのパーソナリティ障害なのかを見極めることが困難な場合もあります。もともと何らかのパーソナリティの偏りを持っていた人が、その偏りが原因で問題を抱えるようになった結果、二次的に新たなパーソナリティ障害の傾向を示すようになることもあります。なかには3~4つのパーソナリティ障害を併発する人もおり、そのようなケースではその人がもともと持っていたパーソナリティを特定することが重要となります。パーソナリティ障害のなかには、重複しやすいタイプがあると言われています。例えば、・境界性パーソナリティ障害・演技性パーソナリティ障害・自己愛性パーソナリティ障害・反社会性パーソナリティ障害といったパーソナリティ障害は「対人関係に支障をきたす」「自己中心的な考え方をする」「反社会的な行動をとる」など共通した特徴を持っており、相互に重複の可能性が指摘されています。さらに、自己愛性パーソナリティ障害と強迫性パーソナリティ障害が重なるケースも指摘されているようです。参考:牛島定信『図解 やさしくわかるパーソナリティ障害 正しい理解と付き合い方』ナツメ社 (2011)参考:パーソナリティ障害|厚生労働省パーソナリティ障害の原因出典 : パーソナリティ障害は、誰でもなる可能性があるといわれています。しかし、パーソナリティ障害の原因に関して、現時点では十分なことは明らかになっていません。それでも、さまざまな研究が進められていて、生物学的な特性や発達期の経験がパーソナリティ障害の発症に関与することなどが指摘されています。例えば、衝動的な行動パターンには脳内の神経物質の関与が認められること、幼少期の辛い経験が発症に影響を及ぼすといった研究結果が報告されています。パーソナリティ障害の原因に関する研究でしばしば用いられるのが遺伝的要因と環境的要因という分類です。遺伝的要因とは遺伝子による影響だけを指し、それ以外の要因はすべて環境的要因として捉える考え方です。すなわち、環境要因のなかには生まれ育った環境、親との関係、病気やケガ、社会的影響などすべてが含まれます。遺伝的要因が関与する割合については、双生児による研究を通して推定されることが多いです。ある疾患の遺伝率を求める場合、一卵性双生児と二卵性双生児で、一人がその疾患にかかっているとき、もう一人の兄弟がその疾患にかかる割合(一致率)を調べます。遺伝性が高い疾患では、二卵性に比べて一卵性双生児での一致率がとても高くなります。一方で、遺伝率が低い疾患だと、一卵性双生児と二卵性双生児との間で一致率にあまり差は見られません。このような方法を用いた研究によれば、パーソナリティ障害の遺伝率は50~60%ほどという結果もあるようです。このことから、程度遺伝的要因はパーソナリティ障害に関連するが、それだけではない環境要因も影響すると言われています。参考・出典:岡田 尊司『パーソナリティ障害がわかる本』ちくま文庫(2014)p.82子どもの性格の形成に関して、親との関係は大きな影響を与えるといわれています。そのため親子関係の変化する各段階におけるなんらかのつまづきによって偏ったパーソナリティが形成されて行く可能性も少なくないと考えられます。例えば、乳児期に適切な世話や愛情を受けることができないと、安定した愛着が構築されず、外界や他者に対して不安や恐怖を抱くなるようになってしまう可能性があることが専門家によって指摘されています。しかし、その可能性は様々にあるパーソナリティ障害の要因の一つにすぎません。また、どのような要因があるにせよ、原因探しが必ずしも治療の手助けになるわけではありません。時をさかのぼって過去をやり直すことができない以上、原因は原因として客観的に受け止め、「現実の問題に対して対応していく方法」について考えていくことが大切なのではないでしょうか。参考:パーソナリティ障害|厚生労働省参考:牛島定信『図解 やさしくわかるパーソナリティ障害』ナツメ社 (2011)参考:岡田 尊司『パーソナリティ障害がわかる本』ちくま文庫(2014)パーソナリティ障害と関連するその他の障害出典 : パーソナリティ障害には、合併しやすい障害や疾患があると言われています。また、その他にも症状が似ている障害の存在も指摘されています。本章では、前半で合併しやすい障害・疾患について、後半で症状の似たものについて紹介します。それぞれの障害・疾患について詳しく知りたい方は、関連記事をご参照ください。■うつ病気分障害の一つであるうつ病は、パーソナリティ障害と合併しやすいといわれています。■双極性障害双極性障害はうつ病と同じく気分障害の一つであり、気分が高まる「躁(そう)状態」と気分が落ち込む「うつ状態」を繰り返す精神疾患です。サイクロイド・パーソナリティ障害、サイクロタイパル・パーソナリティ障害の場合、双極性障害へと進展するケースが指摘されています。■統合失調症幻覚や幻聴、気分の落ち込みがある統合失調症。妄想性パーソナリティ障害、スキゾイド・パーソナリティ障害、統合失調型パーソナリティ障害から進展することがあるといわれています。■不安障害不安が異常に高まってしまう疾患である不安障害はパーソナリティ障害と合併することがあります。不安障害とはどのような疾患なのか|せせらぎメンタルクリニック■強迫性障害自己愛性パーソナリティ障害に合併しやすいといわれています。■摂食障害摂食障害の症状の中でも、「過食」は境界性パーソナリティ障害、統合失調型パーソナリティ障害に合併しやすいようです。摂食障害|厚生労働省■アルコール依存・薬物依存アルコールや薬物への依存症状は、反社会性パーソナリティ障害と合併しやすいといわれています。参考・出典:岡田 尊司『パーソナリティ障害がわかる本』ちくま文庫(2014)p.82■妄想性障害妄想性障害は、妄想性パーソナリティ障害や妄想型統合失調症と症状が似ています。妄想性障害(パラノイア)とはどういう病気なのか|せせらぎメンタルクリニック妄想性障害のほかにも、発達障害はパーソナリティ障害と似た特徴・傾向がみられることがあります。パーソナリティ障害と発達障害との関係については、次章で解説します。パーソナリティ障害と発達障害の関係は?出典 : 発達障害とは脳機能に先天性の障害があるために、幼児期から発達に何らかの遅れや困難が生じることを指します。その症状は、通常低年齢の発達期において発現することが多いといわれています。他者と考え方や感じ方か違う、自己中心的になりやすい、衝動的な言動がみられるといった特徴・傾向は、パーソナリティ障害・発達障害の両方でみられることがあるため、見分けるのは容易ではありません。また、発達障害のある子どもは、学校でいじめを受けたり、勉強についていけなくて周囲に叱責されたりと、自尊感情が損なわれやすい傾向があります。そのために自我がうまく育たず、他者と友好関係を築くのが苦手になり、しだいにパーソナリティに偏りが生まれてしまう場合もあるようです。上記のように、発達障害をベースとして二次的にパーソナリティ障害と同様の症状が現れている場合には、発達障害の治療と並行してパーソナリティ障害への対応に準じた対応策が必要とされます。パーソナリティ障害かもと思ったら?相談先は?出典 : パーソナリティ障害であるかどうかを、当事者本人が自覚したり、周囲の家族や友人が判断することはきわめて難しいといわれています。身近な人に抑うつ症状や衝動行為をしていて、それが心配になるレベルである場合には、精神科か心療内科に受診して専門医の診断を仰ぐことが好ましいでしょう。すぐには診断は出ませんが、それでも相談したり、強い症状をある程度治療によって抑えることができる場合もあります。精神的に安定した状況を取り戻し、ほかの障害の併発を防ぐためにも、できるだけ早期の受診が望まれます。はじめから医療機関に行くことに対して抵抗を感じる場合は、精神保健福祉センター・保健センター・地域活動支援センターなどといった地域の相談窓口を利用してもよいでしょう(名称は地域によって異なることがあります)。地域にある相談先|厚生労働省全国の保健福祉センター一覧|厚生労働省パーソナリティ障害の診断の流れと診断基準出典 : 前章でも述べた通り、パーソナリティ障害の疑いがある場合は精神科もしくは心療内科を受診するとよいでしょう。基本的に、初診でパーソナリティ障害の判断がつくことはあまりありません。初診時の面接では現在困っていること・悩んでいること・気分の状態などについて聞かれることが多いようです。医師は、面接を繰り返す中で、気持ちや考え方に変化がないかなどを確認しながら診断を進めていきます。また、患者さんは過去の出来事や幼少期の親子関係などについて聞かれることもあります。患者さんの話だけでは性格や気質を捉えきれないと医師が判断した場合には、心理テストを行い、その結果を判断材料とすることもあります。問診や心理テストの結果を分析し、DSM-5、あるいはWHO(世界保健機関)が作成する疾患の分類であるICD-10の診断基準に照らし合わせながら最終的な診断が下されます。DSM-5では、パーソナリティ障害の全般的基準は以下のようにまとめられています。A. その人の属する文化から期待されるものから著しく偏った、内的体験および行動の持続的様式。この様式は以下の領域の2つ(またはそれ以上)の領域に現れる。(1)認知(すなわち、自己、他者、および出来事を知覚し解釈する仕方)(2)感情性(すなわち、情動反応の範囲、強さ、不安定性、および適切さ)(3)対人関係機能(4)衝動の制御B. その持続的様式は柔軟性がなく、個人的および社会的状況の幅広い範囲に広がっている。C. その持続的様式が、臨床的に意味のある著しい苦痛または、社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。D. その様式は安定し、長時間続いており、その始まりは少なくとも青年期または成人期早期にまでさかのぼることができる。E. その持続的様式は、他の精神疾患の表れ、またはその結果ではうまく説明されない。F. その様式は安定し、物質(例:乱用薬物、医薬品)または他の医学的疾患(例:頭部外傷)の直接的な生理的作用によるものではない。引用:DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル(医学書院.2014)この診断基準に当てはまる場合、さらに10タイプある下位カテゴリーそれぞれの診断基準に照らして、慎重に診断されます。パーソナリティ障害の経過と治療法出典 : パーソナリティ障害は自然に治るものではありませんが、症状や困難性は、適切な治療を受けることで改善させることができます。しかしながら、すべての人に有効な決定的な療法は見つかっておらず、同じ治療法でも人によって効果は異なります。根本的な治療法は精神療法、対症療法としては薬物療法が用いられるのが基本ですが、さまざまな治療法を組み合わせながら、その人に合った方法で治療が進められます。より具体的には、以下のような治療法が代表的といわれています。■個人精神療法医師や心理技術者といった治療者が患者さんとの面接を通して患者さんのパーソナリティ障害に対する理解を促したり、認知や思考・行動パターンの偏りや問題点の改善を目指していく根本的な治療です。面接は、治療者と患者さんの1対1で1週間に1~2回、30分~1時間程度行われるのが一般的なようです。この治療法では、患者さんと治療者の間に信頼関係があることが前提条件になります。■集団精神療法その名の通り、集団で行うことが特徴の治療法です。患者さん、治療者に加え、ほかの患者さんも交えたグループで話し合いをしたり、共同作業を行ったりという活動の中で生まれる患者さん同士の相互効果を治療に生かします。同様の障害を持つ人と交流することで、障害を客観的に理解したり、「人の振り見て我が振り直せ」効果を期待することができます。■家族療法家族療法では、患者さん本人のみならず、家族に対しても治療を行います。患者さんと家族との関係性を捉え、そこに存在する問題の解決を目指す治療法です。家庭における家族一人ひとりの役割を見直し、正常化することで、患者さんの精神的な安定をはかります。具体的には、治療者が家族と面接を行ったり、家族内での問題への対処法に関する助言や指導を行ったりします。パーソナリティ障害を根本から治す薬は現在のところありません。薬による治療はあくまで対症療法になりますが、強い不安や緊張、抑うつなどといった精神症状を一時的に和らげる目的で投薬治療を行うことがあります。認知行動療法とは、患者さんの認知のしかたの「ゆがみ」の改善をはかる治療法です。患者さんに自分を客観的に観察してもらい、認知のゆがみがいつ、何をきっかけに起きたのかを記録し、そのゆがみについて自覚してもらいます。そのうえで、そうしたゆがみを改善するための認知のしかたや行動の取り方を、ロールプレイングなどを通して実践的に身につけていきます。参考:牛島定信『図解 やさしくわかるパーソナリティ障害』ナツメ社 (2011)パーソナリティ障害のある人に対する、周囲の接し方は?出典 : パーソナリティ障害は、本人にとっても周囲にとっても理解しにくい障害であり、本人に対する接し方においてもさまざまな配慮が求められます。家族が医師の話を聞きながら適切な対応をとっていくことが大切です。家族がパーソナリティ障害の患者さんと向き合い、支えていくうえで最初のステップとなるのが、パーソナリティ障害について正しく理解することです。程度に差はあれど誰もが持っている「考え方の偏り」によって社会活動に支障が生じるパーソナリティ障害は、誰にでも起こりうる障害であるといえます。「治療には時間がかかる」「本人には自覚が乏しいこともある」「治療においては周囲のサポートが重要」といった特徴について理解しておくことで、治療が進みやすくなります。本人が医療機関の受診を拒むケースも少なくありません。患者さんが、自分が抱えるトラブルの原因は自分ではなく周囲にあると捉えていることも多いです。そうした状況下で周囲によって受診を強くすすめられると、「どうして自分が病院に行かないといけないんだ!」とますますかたくなになってしまう可能性もあります。家族は、本人が医療機関を受診する前から「病気」や「障害」と決めつけるようなことはせず、「あなたの悩みを軽減・解消するために行ってみない?」といった促し方をしてみましょう。受診について切り出すタイミングに関しては、患者さんの気持ちが安定していて、落ち着いて会話ができる状態が好ましいでしょう。パーソナリティ障害の人のなかには、家の中にひきこもり、社会活動に参加を拒む人もいます。患者さんがひきこもるのには、さまざまな理由が考えられます。例としては、自分が他者に受け入れてもらえるか・どう評価されるのかということを過剰に心配してそとの社会との関わりを避けるケースや、もともと人付き合いが嫌いもしくは苦手で、対人関係のストレスを避けるケース、仕事上の失敗などが原因で自信を失い社会に戻ることを拒むケース、外の世界に興味・関心が持てなくて外に出る気持ちが起こらないケースなどが挙げられます。患者さんがひきこもっているとき、家族が無理に外へ連れ出すのは好ましくないとされています。その人がひきこもっているのにはそれなりの理由があるはずなので、その気持ちを尊重し、理解しようとする姿勢を示すほうが解決につながりやすいでしょう。社会での対人関係やコミュニケーションをとることに対する不安からひきこもり状態になっているときには、ソーシャル・スキル・トレーニング(SST)を受けることが状況の改善につながることもあります。パーソナリティ障害の人のなかには、激しい怒りなどの感情とともに、暴力を振ったり暴言を吐いたりする人がいます。こうした暴力や暴言も衝動行為の一つで、自分の感情をうまくコントロールできないために直接的な行動によって発散している状態です。親や交際相手、自分の子どもなど、身近な人ほど対象になりやすいです。パーソナリティ障害の人が粗暴な言動をしたとき、周囲の人は極力冷静に対応することが求められます。家族まで感情的になって同じように暴力や暴言で対抗してしまうと、患者さんはさらに動揺し、不安を強め、精神が不安定になり、さらに衝動的になるという悪循環に陥ってしまう可能性があります。解決を目指すうえでは、容易なことではないとは思いますが、専門家との連携をとりながら、患者さんをつねにあたたかく見守っていく姿勢をくずさないようにすることが重要です。患者さんを安心させることで衝動行為の抑制をはかりましょう。まとめ出典 : 人はみなそれぞれ異なる性格を持っています。それぞれ異なる考え方を持っています。ただ、同じような傾向の性格を持っていたとしても、その性格の偏りによって家庭生活や社会生活、職業生活に支障をきたしてしまう場合は、パーソナリティ障害と判断されます。治療に際しても、一人ひとりの症状や考え方の違いに応じて、異なった対応が必要になります。専門の医師による治療やアドバイスを受けながら、患者さん本人や周囲の人たちもその症状を理解し、焦らずじっくりと対応していくことが大切です。
2017年05月28日ひゃっほう!デコボコやスリル満点な場所がいっぱい!今年のゴールデンウィーク、連日いいお天気でした。5月は爽やかですよね。そう、まさにアスレチック日和!というわけで、アスレチックに遊びに行きました。Upload By ラム*カナ水を得た魚のよう…。遊びまくる息子ADHDの長男。動くことが大好きです。診断をもらったときも、先生から「土日はぜひデコボコしたところで遊んでくださいね。」と言われたことがあります(笑)でもまさにその通りで、長男は歩いていても自らデコボコした場所を選び、遊んでいても本能的に障害物を探しては遊んでいます。なので、小学生向きのアスレチックは、今の長男にピッタリ!Upload By ラム*カナそして一言。Upload By ラム*カナなんてかわいいことを!Upload By ラム*カナアスレチックからの帰り道、長男から「あ~!さいこうの1日だった!つれてきてくれてありがとうね!!」と何度もお礼を言われました。こちらこそ、楽しんでくれてありがとう!
2017年05月27日<目次> ■「枠からハミでる子」は、普通のママには異質なのか!? ■「まともな子ども」を評価する社会 ■「発達障害のない子になって欲しい」という気持ちはないか? ■活躍している人は個性的な人が多い 【木村先生がママたちに伝えたい20のこと】 毎日子育てに悩み、自分の子どもが「普通」になれないことに心を砕いているママがたくさんいます。「素人なのにプロ」を求められてしまうママ業。そこで「どうしたら、ママのプロになれるのか?」を木村 泰子先生にうかがいます。<木村 泰子先生とは>全国で多くの反響をよんだ不登校ゼロをめざした小学校のドキュメンタリー映画『みんなの学校』で初代校長を務める。普通の子と発達障害の子どもを「普通に育てる」ことに悩み続けた3人の子持ちであるライター楢戸ひかるが、木村先生と子育てについて話をします。木村先生が教えてくれる「ママたちに伝えたい20のこと」とは?■「枠からハミでる子」は、普通のママには異質なのか!?「枠からハミ出てしまう子(発達障害)」と「普通の子」を一緒の教室で学ぶことは、はたして本当に良いことなのでしょうか。大人が出す「あの子がいると迷惑」という空気を吸ってしまっている子は、めちゃくちゃ不幸だと木村先生は話します。木村:「枠からハミでた子」と「普通の子」が一緒に育つ良さについて理解するために、『みんなの学校』という映画が存在していると思うの。静かな環境で勉強してつく力と、いつも誰かが動きまわる環境の中、勉強してつく力。どちらの方が、より高い力がつくかを、ママさんたちに問いかけてみたらどう答えると思いますか?楢戸:おそらくいつも誰かが動き回っているうるさい環境で勉強したほうがより高い力がつくと答えると思います。木村:誰が考えても、そういうふうにわかるわけですよね。それだけではダメなの? 楢戸:そういったことを、多くのママたちにどうやって伝えていけばよいのだろうか? と考えています。わが家の場合で言うと、長男は品行方正な普通の子で、次男が発達障害なんです。■「まともな子ども」を評価する社会木村:そうやって、比較されてしまう子どもが不幸なんよ! あなたの次男は、二次障害(被害)、三次障害(被害)を受けているんじゃないかと心配になります。楢戸:でも、普通の子(定型発達の子)と、枠からハミ出た子(発達障害の子)は、「生き物として違うんじゃないか」と思いたくなるときがあるんです。これは実際に育ててみての実感です。木村:本人たちにしか、「自分がまとも」なんてわからないの。いまの世の中は、長男が評価される社会であるっていうだけの話。楢戸:長男は、「俺は、次男みたいなものをもっていないから、次男とずっと暮らしたい」と言っています。長男は、次男のことを、すごく評価しています。■「発達障害のない子になって欲しい」という気持ちはないか?木村:それは、長男がじゅうぶん育っている証拠じゃない。だから、ちゃんと次男を尊敬できる。そうしたら次男は、家庭の中では、絶対に安心して育つ。楢戸:正直に言えば、「長男も次男も安心して家庭で暮らしていられる」というのは、私のコンディション次第、という条件がついちゃうんです。木村:その心の根底にあるのは、発達障害があると診断されている次男に、母として「この子は、発達障害のない子になって欲しい」という気持ちがあるからじゃないの? ■活躍している人は個性的な人が多い楢戸:じつは、意外と、それはないんです。私がマスコミ業界で仕事をしていて、普通の職場でないというのもおおきく影響しているとは思うのですが。私が取材で出会う相手は、みな個性的な人が多いです。だから「あなたの話を聞かせてほしい」と思えるような人は、もしかしたらある意味、発達障害傾向があるんじゃないかと思っています。木村:私も、発達障害あると思いますよ。多動だし。めっちゃ、学習障害だし。みなさん、どう思っているかわからないけれどね。楢戸:ピンで活躍されている人は、普通とはどこかが異なっていると、取材を重ねた実感として言えます。だから、私自身は「発達障害」に対して、あまり悪いイメージはないんです。木村:発達障害という名前を、「素晴らしい能力を持った方々」にするっていうのは、どうでしょうね?次回は、「「この子は良い子」「この子は悪い子」と枠に入れたママの未来は?」 です【木村先生がママたちに伝えたい20のこと】15. 子ども本人たちにしか、「自分がまともかどうか」なんてわからない。いまの世の中が普通の子が評価されるというだけ。16. 静かな環境で勉強してつく力と、いつも誰かが動きまわって勉強してつく力。どちらの方が、より高い力がつくう?17. 発達障害という名前を、「素晴らしい能力を持った方々」にしませんか?≫「木村先生がママたちに伝えたい20のこと」については こちら ■今回取材にご協力いただいた木村 泰子先生の著書『 不登校ゼロ、モンスターペアレンツゼロの小学校が育てる 21世紀を生きる力 』木村 泰子,出口 汪/ 水王舎 ¥1,400(税別)木村 泰子先生プロフィール大阪市出身。大阪市立大空小学校初代校長として、「みんながつくるみんなの学校」を合い言葉に、すべての子どもを多方面から見つめながら、全教職員のチーム力で「すべての子どもの学習権を保障する学校をつくる」ことに情熱を注ぐ。その取り組みを描いたドキュメンタリー映画『みんなの学校』が話題に。2015年に退職後、現在は、全国各地で講演活動を行っている。
2017年05月26日先週末(2017年5月21日)、NHKスペシャルで発達障害の特集が放送された。( NHKスペシャル「発達障害 ~解明される未知の世界~」 )番組内では、最新の脳科学研究や当事者への聞き取りにより、発達障害の人にはどんな風に世界が見えているのかを映像化したり、発達障害の人がどんな悩みを抱えているか、ひとつひとつの事例を丁寧に紹介。発達障害でない人にとっても、とてもわかりやすい形で解説していた。筆者は発達障害の子を持つ親として放送を楽しみにしていたが、期待を裏切ることのない、とても良い内容だったと思う。当事者の親として私なりの感想をまとめてみた。■やっぱり映像の力はすごい!まず、「おぉ!」と思ったのは、発達障害当事者の視点を再現した映像力だ。発達障害は外見からはわかりにくい障害だ。それゆえ、よく「我慢が足りない」「わがまま」などと言われ、なかなか理解してもらえないことも多い。だが、今回の番組の映像化により、一般の人にとっても発達障害の人が見ている世界がどんなものかわかり、ずいぶんと認識が変わったのではないだろうか。■もしかして、あれが息子の見ている世界なの…?私自身も、大きな発見があった。自閉症スペクトラムでADHDの傾向もありと言われている筆者の4歳の息子は、集団に向けた一斉指示が入りにくい傾向がある。確かに同世代と比べると、言葉の理解度は低いところもある。だが、決して言葉の意味が分からないというわけでもない。その証拠に、療育などで先生が目の前で1対1で説明すれば、指示に従うことができる。番組では、教室でいろいろなものが気になってしまい黒板に集中できない女の子の例や、カフェの雑踏の中で相手の話がうまく聞き取れない女性の例などが紹介されていたが、あれが息子が見ている世界なのかもしれない……と考えさせられた。今、保育園のクラスで集まる時、息子はたいてい後ろではじっこの方に配置されている(おそらく、もう一人の先生がフォローに入りやすいという配慮でこの場所になったのだと思う)。もちろん先生方がいろいろ考えた上での場所であり、それもありがたいのだが、先生が遠くなると先生の声はますます聞きとりにくくなってしまうし、注意も向けにくくなってしまう。番組を見て、例えば、集まりの時は思い切って席を先生のど真ん前に配置したら、注意力が変わってくる可能性もあるのでは? などと、息子をとりまく環境について、改めて見直すきっかけをもらった気がした。「この子には無理」「この子はやる気がない」ではなく、子どもの状態に合わせて環境を変えてあげれば、解決できることがもっとあるかもしれない。そして、息子ももっと今より楽しい生活が送れるようになるかもしれない。■みんなが楽になれる配慮は、障害にかかわらず真似したいまた、番組にはモデルの栗原類さんをはじめ、発達障害と診断された当事者たちが出演していた。みな、なんらかコミュニケーションに苦手を抱えており、スタジオのセットをより心地よい環境に変えたり、ずっと相手の目を見ないで話してもOKというルールを作ったり、ぬいぐるみを抱っこして気持ちを落ち着かせるという工夫もされていた。これ、発達障害にかかわらず、もっと広げてもいいのでは?だって、程度の差こそあれ、健常の人だってコミュニケーションで苦手なことを抱えていると思うのだ。健常の人だって、思った以上にコミュニケーションで必死に気をつかって戦っていると思うのだ。■どこからが個性で、どこからが障害?自閉症スペクトラムのスペクトラムとは、連続体のことだ。よく、虹に例えられる。虹は微妙に色が変わっていくが、その境界線ははっきりせず、基本的には連続している。 「今(番組で)見てきたような特徴は、どんな人でも多かれ少なかれありますよね。問題は、それがどのくらい程度が大きいのかということと、一番重要なのは、それによって自分やまわりの人にどれくらい生活に支障があるかということだと思うのです。逆に言うと、本人に特徴が強くても、まわりが全面的に受け入れてくれるような生活環境ならばあまり苦痛にならない場合もあるんです。(中略)本人と環境との関係というのが大きいですよね」出典: (NHKスペシャル「発達障害 ~解明される未知の世界~」番組出演者・本田秀夫医師のコメントより) このことは、以前取材した放課後デイを経営されている(株)アイム代表の佐藤典雅さんの「発達障害の子育ても健常児の子育ても、本質的には何ら変わりはない」や「普通って何だろう?」という話に通じるところがあった。 参考:【連載】大変だけど、不幸じゃない。発達障害の豊かな世界 出演者たちも、「発達障害というものでひとくくりにしないでほしいこと。一人一人の特徴は違うということ」を繰り返し伝えていたように思う。発達障害に目を向けるということは、一人一人の特性にきちんと目を向けるということ。それはすべての人へとっての、生きやすい環境作りにつながるのではないだろうか?■「社会の役にたつから認めるっていうのは、ちょっと違う気がする」今回の番組では、自分のことをきちんと話せるような高機能な人たちを中心に、発達障害が紹介されたように思う。後半では、発達障害の人の能力に注目した就労支援の話にまで展開した。もちろん、その取り組み自体はとても素晴らしいことだと思う。だが、今回はあまり紹介されなかったが、発達障害の中にはどんなにがんばっても就労が困難な人たちもいるのに…と、ちょっとモヤッとしたところで、有働由美子アナウンサーのこのひと言。「(発達障害の)能力が注目されると、能力があって社会の役にたつから認めるっていうのがあって、それもまた違うのかな…?と思って」ちょっとめでたしめでたしで終わりそうな流れの中、こういう意見をしっかりはさんでくれる有働さんのコメント、個人的にとてもうれしかった。NHKが1年かけて取り組んでいくという「発達障害プロジェクト」、今後はぜひ、自己表現がまだうまくできない子どもや、知的障害を伴う発達障害、コミュニケーションをとることが難しいような重度の自閉症の世界なども、取り上げてほしいと思っている。そして、司会はぜひ有働由美子アナウンサーとイノッチのコンビに続けてほしいと願っている。文:まちとこ出版社N 【発達障害についての連載一覧】大変だけど、不幸じゃない。発達障害の豊かな世界(全4回)「うちの子、発達障害かも!?」と思ったら(全9回)
2017年05月26日不安が強くて出かけられない子ども出典 : パニック障害や不安神経症の人は外に出かけられなくなることがあります。それは、「外に出て具合が悪くなったらどうしよう」という強い不安があるからなんです。小学校4年生でアスペルガー症候群と診断された娘の場合は、いつ始まるかわからない腹痛が大きな不安の種となっています。また、人がたくさんいるところ、騒がしいところ、電車・車などの乗り物がとても苦手です。生まれつきの気質もあったと思いますが、外出できなくなるほどひどくなったのは登校へのプレッシャーが強くなった3年生からでした。それまでは電車に酔いながらも遠方への旅行も行くことができていました。しかし、精神的なストレスが強くなり不安がよりいっそう大きくなったことが、出かけることができないほどに娘を追い込んだのだと思います。小3で引きこもった娘が出かけるようになった理由出典 : 娘は小3で引きこもってからというものの、お医者さんの診察や年に1度くらいの散髪など、必要最低限しか出かけなくなってしまいました。外に出てお腹が痛くなることも怖かったようですが、人がいるところに出ていくのが嫌なようで、外にいても元気や活力を全然感じることができませんでした。転機となったのは、中2になった時です。学習支援を受けることになり、自転車で30分ほどの場所まで通うことになりました。娘自身も、「将来のことを考えて勉強しなくては」と思っていたようで、何度か休みながらも月1回、私と一緒に通い続けました。そして、「私は勉強している」ということが自信となり、それまでよりは出かける回数が増えていったのです。「映画館に連れて行ってくれる?」と言われた時は耳を疑うくらいビックリしました。途中退場も覚悟の上だったのですが、「ちょっとしんどかったけど楽しかった」と笑う娘を見てとてもうれしかったのを覚えています。ただ、出かけたあとは大量にエネルギーを消耗するようで、1回のお出かけで行ける場所は2ヶ所まで、時間はだいたい3時間が限界でした。そして出かけたあとは1週間は寝込んでいましたね。怖がりで慎重な性格の娘のカバンの中は、トイレに行きたくなったときに読む本、胃薬(処方してもらったものと市販薬両方)、水、飴など不安解消グッズでいっぱい。でも、そういう工夫が自分でできるようになったことにも成長を感じていました。娘みずから大チャレンジを提案!その内容とは出典 : そんな娘が中3になったゴールデンウィーク前のことです。「ママ、遊園地にキャラクターショーを見に行きたい」と娘が言いだしました。昔はよく行っていた遊園地ですが、電車3本を乗り継ぎ1時間強かかる遠さです。確かに、娘はそのキャラクターのためなら映画館も行きますし、ショッピングセンターでのショーも見に行くようになっていました。遊園地の大きな舞台のショーを見たいから、遠出にもチャレンジする気になったのでしょう。ですが、私は正直、不安でいっぱいでした。電車に3駅ほど乗るだけで真っ青になるこの子が無事に行って帰ってこれるのだろうか。でも同時に、私は娘の「行きたい」という気持ちを大事にしたいとも思ったのです。そして、無謀とも言えるこのチャレンジに娘と2人で挑戦してみることにしたのでした。行きは順調!でも帰るころになると…出典 : 行きは少し混んだ電車でも「乗ろう」とやる気を見せていた娘。ですが、乗り換えが重なるごとに口数も少なくなってきました。遊園地の手前では、「ちょっともたれかかっていい?」と私の方にぐったりもたれかかる様子に少し不安になりました。遊園地は朝一番でまだ人は少なかったのですが、娘のテンションは低く、「早くショーのあるステージに行こう」と不安そうでした。もともと遊園地の乗り物は嫌いで、小学生になっても幼児用の乗り物にしか乗れなかった娘は、周りのアトラクションには全く興味を示しません。不登校になるまでは露店や動物コーナーなどには興味いっぱいで、フリーパスを持って幼児用の乗り物を堪能し、あちこち走り回っていたので、その差にちょっと悲しくなりました。そしてお目当てのショーを2人で見ることに。しかし、ショーが終わるとすぐに「もう帰ろう」と満足ながらも疲れた顔。帰りの電車に乗ってしばらくすると「もう降りたい」と言い出したのです。途中下車してトイレに行ったり、ベンチに寝かせてみたりしましたがもう動くこともできません。駅の救護室で長い間休ませてもらったのですが、ひどい吐き気が治まらずとうとう救急車を呼ぶことになりました。やはりストレスが原因のようで、病院では「吐き気止めを飲んで少し休んでもらうことしかできませんね。入院するほどではないですし」と言われました。それでも病院に運んでもらってベッドで休んでいるという状況に安心したのか、娘も次第に落ち着いてきました。そして、「タクシーで帰る」と自分で答えを出したのです。タクシー代は大変痛かったですが、駅員さん、救急隊員さん、病院の方に親切にしていただき感謝の気持ちでいっぱいでした。自分の楽しみのために出かけられるようになってほしい出典 : 次の日、娘は私に言いました。「いきなり遠いところにチャレンジしたのは失敗だった。今度はもう少し近いところにしたい」「でもイベントに行けたのはうれしかったし、楽しかった」「いろいろな人に迷惑をかけてしまったのが残念」ああ、この子は何もかも分かっているんだ。たとえ失敗があったとしても、外出することを決して諦めていないことに、私は嬉しく思いました。今回は失敗だったように見えるかもしれませんが、決して無駄ではなく、次の1歩を踏み出すための大切な経験だったと感じます。それと、「もし外で具合が悪くなっても助けてくれる人たちがいる」ということを実感できたことも、娘にとってプラスになったと思います。以前、ひきこもりの子どもへの支援講演会で聞いたのですが、「次も一緒に行ってくれる?」と言えるようになったらひとりで行ける日も近いのだそうです。これから先、高校などのこともどうしようか考えてはいますが、まずは娘が自分の楽しみのために出かけられるようになってほしいと願っています。それがきっと娘に生きていくための楽しみと力を与えてくれると信じています。もちろん、「ママ、もういいよ」といわれるまではどこにでも付き合う覚悟です。
2017年05月26日<目次> ■みんなができることが、何でアンタはできないの! ■子ども時代に受け止めてもらえなかったママの子どもは? ■型にはまった教育を受けてきた苦しみ ■発達障害の子は、ママには異質!? 【木村先生がママたちに伝えたい20のこと】 子どもを生んではじめて、ママとなる。でもママになった瞬間、自分自身もそして周りからも「プロ」であることを求められているような呪縛にとらわれることありませんか?どうしたら本当の「ママのプロ」になれるのか? 木村 泰子先生からプロの極意である「ママたちに伝えたい20のこと」を教えていただきます。<木村 泰子先生とは>ドキュメンタリー映画『みんなの学校』に出演して、不登校ゼロの公立小学校として話題を集めた大空小学校の初代校長。話を聞くのは、「先生の言うとおりにできない自分がダメ」と小学校時代に思いこんで育ちながら、「枠からハミ出てしまう」わが子に対して、「世の中で生きていくためには、フォーマットの中にいれないと」という気持ちにもなってくるライター楢戸ひかる。■みんなができることが、何でアナタはできないの!木村:親の視点で物事を考えているから、自分の価値観にはめよう、はめようとしてしまう。自分が子どもにかけた言葉を、いま振り返ってみてください。楢戸:「ちゃんとして」「何で、そうなの?」「いい加減にして」などです木村:こんな風に言わなかった? 「○○ちゃんをよく見てみなさい。アナタみたいなこと、していないでしょ」「みんなができることが、何でアナタはできないの」楢戸:「みんなができること、何でアナタはできないの」。それ、私も言われていました。木村:みんなができることを、させようとする。ハミ出ている子を、普通にちょっとでも近づけようとする。これって、本人からしたらハタ迷惑な話ではなかった?楢戸:私自身、「みんなができることができない」と言われ続けてきました。私は、「みんなができること」、いわゆる「普通」を目指したのですが、結局、「普通」にはなれなかった。「『普通路線』は無理だ」と思ったので、自分が生き残る道として、得意な書くことを生かしたライターの仕事をすることにしました。■子ども時代に受け止めてもらえなかったママの子どもは?木村:もし30年前に「あなたは、あなたで、いいよ」と、先生や親に言ってもらっていたとしたらどうですか? 「みんなができることができない」で、楢戸さんは誰かに迷惑をかけたと思う? 楢戸:「迷惑をかけている」ということになってしまうんです。先生からは「みんなと同じことができない、あなたが悪い」と言われる。親からも、「学校の先生に怒られたから、あなたは悪い」と言われてしまうんです。木村:それは「親が自分の子どもを丸ごと受け入れて信じろよ!」っていう話でしょ。楢戸:「自分が受け入れてもらってきていないから、子どもを受け入れてやれない」ということに、最近、気がつきました。「息子が普通であって欲しい」と思う根にある問題は、私自身の問題だというところに行きつきます。木村:楢戸さんの話は、「母が変われなかったから、子どもが二次障害(被害)を受けてしまいますよ」ということだと思うの。同じように、このことを集団の場に置き換えて考えてみて。「教員が変わったら、子どもが苦しまない」。もっと言えば、「まわりの子が変わったら、その子は苦しまない」。まったく一緒の仕組みなんですよ。 ■型にはまった教育を受けてきた苦しみ楢戸:「型にはまった教育を受けてきた苦しみ」というものに、みんながそろそろ気がつき始めていると思います。私たちの世代が、心の傷を癒やすことができたのなら、うちの息子のような子も受け入れられていくのではないか? と思うようになってきました。二次障害(被害)を防ぐためには、まずは母である私自身を癒やさないといけないということですね。木村:もし、「自分の子どもとママが世界中で二人だけだったら、苦しまなかった」でしょ?社会の価値観は、化石時代のままなの。だから、ママがこの社会で生きる中、「何が欠けているか?」という理屈に気がついてほしい。そうしたら、「いまのこの瞬間から、人に求めずに、自分が変わろう」ということを考えられるようになると思います。楢戸:「息子と自分が世界中で二人だけだったら、苦しまなかった…」本当にそうかもしれません。■発達障害の子は、ママには異質!?木村:いまだに過去を引きずっている。いまの日本は大間違い。小学校によっては、子どもは分けられて、発達障害の子は別室に連れていかれてしまう。このことは、教室に残される子にとっても、ハタ迷惑な話なの。楢戸:でも、「枠からハミ出てしまっている子」は、大多数のママたちにとって、迷惑な話ではないんでしょうか? 木村:冷静に考えてみて。大人が出している「あの子がいると、迷惑よ」という空気を吸っている子どもは、めちゃくちゃ不幸でしょ。そんなことは、ママさんたちもわかっているんじゃないのかしら。楢戸:でも、木村先生。ママさんたちはわかっていないんじゃないかと思います。大多数のママたちにとって、「枠からハミ出てしまう子(発達障害の子)」と、「普通の子であるわが子」が一緒に育つ良さについて、よく理解していないということを前提に、話をしていただけませんか?次回は、「普通の子が評価される時代。個性的な子どもは「まとも」じゃないの?」 です。■【木村先生がママたちに伝えたい20のこと】12. 親が自分の子どもを丸ごと受け入れて信じてあげて!13. ママがこの社会で「何が欠けているか?」という理屈に気がついたら、いまのこの瞬間から、人に求めずに、自分が変わろう14. 大人が出している「あの子がいると、迷惑よ」という空気を吸っている子どもは、めちゃくちゃ不幸なの≫「木村先生がママたちに伝えたい20のこと」については こちら ■今回取材にご協力いただいた木村 泰子先生の著書『 不登校ゼロ、モンスターペアレンツゼロの小学校が育てる 21世紀を生きる力 』木村 泰子,出口 汪/ 水王舎 ¥1,400(税別)木村 泰子先生プロフィール大阪市出身。大阪市立大空小学校初代校長として、「みんながつくるみんなの学校」を合い言葉に、すべての子どもを多方面から見つめながら、全教職員のチーム力で「すべての子どもの学習権を保障する学校をつくる」ことに情熱を注ぐ。その取り組みを描いたドキュメンタリー映画『みんなの学校』が話題に。2015年に退職後、現在は、全国各地で講演活動を行っている。
2017年05月25日成長障害とは?出典 : 成長障害とは、各年齢の標準身長と比べて、極端に身長が低かったり高かったりすることを指します。子どもが大きくなることを、「成長」「発達」などとさまざまな表現で表わします。広義では、子どもが大きくなるという意味合いはどちらにもあてはまりますが、正確には違いがあります。「成長」は、見た目からわかるような、身体のサイズが大きくなることを指します。一方、言葉が上手に話すことができるようになったり、友達とうまく付き合うことができるようになったりするなど、身体の機能や精神面が育つことは「発達」と言われています。林泰史、長田久雄/編『最新 介護福祉全書 9発達と老化の理解』2013年/メヂカルフレンド社つまり、成長障害の「成長」が指すのは、身体の、主に身長の伸びのことです。それゆえ、成長障害は身長の伸びに対する何らかの障害を指します。成長障害についての本やウェブサイトには、低身長を中心に取り上げられていることが多いですが、成長障害には平均身長から極端に外れるような高身長も含まれます。成長障害の判断は、子どもの身長と年齢をグラフ化した「成長曲線」をもとに行われます。成長曲線を通して、その子どもの身長がどんなペースで伸びているのか、平均とどのくらい違いがあるのかを明らかにし、成長障害といえるのかどうか判断します。つまり、自分の子どもが他の子どもと比べて身長があまりに低い・高いからといってそれが必ずしも成長障害であるとは限りません。あくまでも子ども1人の成長の記録を見ることで、身長の伸びに異変がないかどうかを見ていくことが大切です。成長曲線を活用した小児成長障害の診かた成長障害の理解のために押さえたい!成長曲線・SDとは?出典 : 子どもの身長の伸びを正確に理解したり、成長障害であるのかどうかを判断したりするためには「成長曲線」と「SD」についての理解が重要となってきます。一見わかりにくい「成長曲線」と「SD」について、詳しく説明します。成長曲線とは、子どもが生まれてから身長の伸びが止まるまでの間、身長と体重の伸び方や増え方をグラフ上に記録したもののことです。通常、身長の伸びが止まるとは、思春期を過ぎ、子どもの身長の成長速度が1年間で1cm程度になった年齢を目安としています。大半の成長曲線の年齢軸には0歳から18~20歳までの目盛がふられているため、おおよそこの年齢の間、身長を記録していきます。よく使われる成長曲線は、横軸に年齢、縦軸に身長が記入できるようになっています。成長曲線から、子どもの年齢が増えるにつれて、どのくらいのペースで成長しているのかを客観的に確認することができます。成長曲線に子どもの身長を記録することで、平均の身長と比べて身長が低すぎるのか、高すぎるのか、などが明らかになります。このように子どもの成長を目に見える形で記録すると、身長の伸びに異変が起きた時、早めに気づくことができます。もし、成長障害が何らかの病気が原因でもたらされている場合、その病気の早期治療にもつながります。そのため、子どもの身長を計測した時に、ただ数値を記録するだけでなく、成長曲線というグラフで記録することが重要です。公益財団法人日本学校保健会特集第1回「成長曲線」~学校での成長曲線の活用~SDとは、標準偏差(StandardDeviation)の略称を指します。成長障害や子どもの身長に関してSDは、子どもの身長が、平均身長と比べるとどの程度低いのか、高いのか、客観的に判断するための基準という役割を果たします。先ほどもご紹介したように、成長障害には大きく分けて低身長と高身長という2つのパターンがあります。医学的に診療の対象になる低身長は、-2SD以下、高身長は+2SD以上と言われています。医学的に基準が設けられた低身長や高身長はそれぞれ、同い年の子どもの中で2%程度いると言われています。野瀬 宰/著『子どもの身長が気になったら読む本 親がわが子にしてあげられること』2012年/幻冬舎成長障害の原因とは?出典 : 成長障害になる原因には、何が考えられるのでしょうか。低身長と高身長に分けて、それぞれの原因や隠れている可能性のある病気に関して説明します。低身長とは、その年齢の子どもの平均身長に対して極端に身長が低い状態を指します。医学的には、-2SD以下の身長の伸びを記録していると、低身長と認められます。低身長は、原因別に考えると以下の3つが挙げられます。・特発性低身長(原因不明)・家族性低身長・病気が原因で起こる低身長低身長は、特発性低身長と呼ばれる、これといった原因がない・体質的なものである、という場合が大半です。また、身長の伸びはある程度親の影響を受けるものなので、両親が小柄な場合、子どもも小柄になることがあります。一方、病気が原因で低身長になっている場合は、以下のような病気が考えられます。■成長ホルモンや甲状腺ホルモンの病気出産の時に仮死状態になったり、事故など何らかの原因で脳が傷ついてしまったり、脳腫瘍など脳の機能障害になったりすることにより、成長ホルモンが分泌される脳下垂体という部分に障害が残ることがあります。そうなると、成長ホルモンの分泌が十分に行われず、低身長につながります。低身長の原因に病気が関わっている場合、成長ホルモンや甲状腺ホルモンの分泌が低下することで発症する、成長ホルモン分泌不全性低身長症と甲状腺機能低下症が一番多いと言われています。このようなホルモンの分泌不足が原因で低身長になっている場合、成長ホルモンや甲状腺ホルモンを治療で補うことで、身長の伸びを促進することができます。成長ホルモンなどにまつわる詳しい治療方法はこの後解説します。■染色体の病気(ターナー症候群、プラダー・ウィリ症候群)ターナー症候群とは、染色体の全体または一部が欠けることによって、低身長や女性ホルモンの不足といった特徴を引き起こす疾患です。女性だけに発症するという特徴があります。ターナー症候群が原因で低身長を引き起こした場合も、成長ホルモン治療や女性ホルモン治療など、足りないホルモンを外から補う方法が効果的な治療法とされています。プラダー・ウィリ症候群とは、15番染色体という染色体の異常により発症する症候群です。症状は、低緊張、また、お乳を吸うための筋肉が弱い哺乳障害、幼児期からの過食と肥満、発達の遅れ、低身長などが特徴とされています。プラダー・ウィリ症候群によって低身長になっている場合も、成長ホルモン治療が有効とされています。他にも、食事や運動療法を通じて症状の改善が見られる場合もあるようです。難病情報センタープラダー・ウィリ症候群■子宮内発育不全(SGA性低身長症)母親のお腹の中でゆっくりと成長したため、お腹の中にいた期間の割に小さく生まれてきた赤ちゃんがいます。このような赤ちゃんは、8割以上が2,3歳までに急速に成長し、標準身長に追い付く一方、2,3歳になっても標準身長に追い付くことができない場合もあります。この、標準身長に一定の年齢になっても追い付くことができず低身長になることを、SGA性低身長症と言います。SGA性低身長症は何も治療をしないと低身長のまま大人になる可能性が高いだけでなく、肥満や思春期が早く来る、糖尿病になりやすいなどの傾向があります。SGA性低身長症に関しても、成長ホルモン治療が平成21年度から認められたため、医師からの診断を得次第、成長ホルモン治療をすることができます。■骨や軟骨の病気(軟骨異栄養症、軟骨無形成症)骨や軟骨そのものに何かしらの異常があることが原因で、低身長になることがあります。骨や軟骨の病気で低身長になっている場合、胴体にくらべて手足が短いなど、体のバランスに気になる点が見られることが特徴です。このような骨や軟骨の病気に関しても、成長ホルモン治療が有効とされているほか、整形外科での治療を施すこともあります。■心臓・肝臓・腎臓などの臓器の異常心臓や肝臓などの重要な臓器に病気があると、体に十分な栄養を取り込むことができないために身長の伸びが悪くなり、低身長になることがあります。このような場合、何よりもまず臓器の病気への治療を行います。治療をし、病気の回復に伴って身長の伸びも良くなることが考えられます。一般社団法人日本小児内分泌学会低身長高身長とは、低身長の反対でその年齢の子どもの平均身長に対して極端に身長が高い状態のことです。医学的に+2SD以上の身長記録があると、高身長であると認められます。高身長も低身長と同様に、原因ごとに以下の3つのパターンがあります。・特発性高身長(原因不明)・家族性高身長・病気が原因で起こる高身長特に高身長の場合は、低身長の時よりも不安を感じることが少なく、「すくすくと大きく育っている!」とむしろ喜ばしく思うことが大半だと思います。もちろん、高身長の多くの場合は病気と関係なく起こりますが、高身長にも病気が影響していることがあります。考えられる病気には、以下のようなものが挙げられます。■ホルモン分泌に関する病気成長ホルモンの分泌過剰による下垂体性巨人症や、甲状腺ホルモンの分泌過剰による甲状腺機能亢進症(バセドウ病)が考えられます。低身長の場合とは反対で、成長に関するホルモンが必要以上に分泌される病気が影響し、高身長になります。また、高身長の原因として、思春期早発症ということも考えられます。思春期早発症とは、性ホルモンが突然過剰に分泌されることで、思春期に見られる身体の変化が早期に起こることです。思春期の身体の変化の一つとして身長の伸びが目立って見られる、ということがありますが、思春期早発症の場合、この目立つ身長の伸びも早く見られるため、極端な高身長につながる可能性があります。■染色体・遺伝子に関する病気染色体や遺伝子など、いわゆる先天的な病気が原因で、高身長になっていることもあります。高身長につながる先天的な病気には以下のようなものがあります。・マルファン症候群・ホモシスチン尿症・ソトス症候群・ベックウィズ・ヴィーデマン(Beckwith-Wiedemann)症候群・クラインフェルター症候群いずれも難病指定をされていたり、小児特定慢性疾患であったりする、発症率から見ると比較的まれな病気であると言えます。いずれも専門的な治療を必要とするため、もしこのような病気への不安がある場合、難病や小児特定慢性疾患に関する専門的な診断・治療を行っている病院へ相談に行くことをおすすめします。難病情報センターマルファン症候群小児特定慢性疾患情報センターホモシスチン尿症難病情報センターソトス症候群小児特定慢性疾患情報センターベックウィズ・ヴィーデマン(Beckwith-Wiedemann)症候群子どもの身長が伸びるメカニズム出典 : 子どもの身長はいつ、どのように伸びていくのでしょうか。ここでは乳幼児期・前思春期・思春期の3つの時期ごとに、それぞれ成長にどのような特徴があるのか見ていきましょう。新生児期、そして乳幼児期は、一生のうちで最も成長スピードが速い時期と言われています。赤ちゃんは平均して約50cmで生まれてきますが、1歳時の平均身長は約75cmと、1年間で25cmも身長が伸びるとされています。そして、1歳から2歳、2歳から3歳と、成長につれて身長の伸びはゆるやかになります。乳幼児期を過ぎた後から思春期に入るまでは、男女ともほぼ一定のスピードで比較的ゆるやかに身長が伸びていきます。この時期の成長には成長ホルモンの分泌が大きな影響を与えると言われています。成長ホルモンを安定的に分泌させ、健やかな成長を促すためには、睡眠や食生活など日々の生活習慣が大切です。それゆえ、この時期の子どもには、正しい生活習慣が身に着くよう親としてもはたらきかけていくことが子どもの成長にとって大切な要素であると言えます。思春期になると、だんだんと男性・女性らしい身体つきになっていきます。思春期には男女ともに身体の変化が見られますが、身長に関しても例外ではありません。思春期では、急にスパートがかかったように身長が伸びていきます。思春期は女の子が10歳~14歳、男の子が11歳~16歳ごろを指します。思春期が始まってから終わるまで、女の子は約25cm、男の子は約30cm伸びると言われています。このような身長の急激な伸びとともに骨が大人の骨になっていき、やがて成人身長に達するのです。野瀬 宰/著『子どもの身長が気になったら読む本 親がわが子にしてあげられること』2012年/幻冬舎成長科学協会子どもの成長・発達一人ひとりの子どものために成長曲線を描こう成長障害の治療・費用・保険ってどうなっているの?出典 : 成長障害の疑いで初めて診察を受ける場合、まず子どもの体型や顔つきを診ることで、成長障害の原因が先天的なものによるのかどうかを確認します。また、生まれてから現在に至るまでの身体成長の様子を調べるとともに尿・血液検査、X線検査などを行い、病気が隠れていないかを調べます。成長障害が起こる背景に何らかの病気が関連していない場合は治療不要と見なし、経過観察という措置が取られます。成長障害に治療が必要とされる場合、多くの場合はホルモン治療という方法が用いられます。低身長の場合、成長ホルモンや甲状腺ホルモン、性ホルモンなど足りないホルモンを補うことで身長が伸びるようにしていきます。低身長のホルモン治療で最も多いとされる成長ホルモン治療は、決まった量の成長ホルモン剤を1日1回、お尻や太もも、お腹などに自己注射するという治療方法です。ただ、成長ホルモン治療を始めたからといって、すぐに効果が出るわけではありません。身長の伸び方には個人差があり、伸び率も一定とは限らないため、数年を見越して根気強く治療をしていく必要があります。高身長の場合は、その原因の病気によって治療方法は異なってきます。中でも投薬治療が多く、ホルモンの分泌を抑える薬を飲むことで過剰な身長の伸びを防ぐことが期待されています。野瀬 宰/著『子どもの身長が気になったら読む本 親がわが子にしてあげられること』2012年/幻冬舎成長障害の治療にかかる費用や保険は、原因の病気によって変わってきます。病気が原因の成長障害の治療によく利用される成長ホルモン治療は、長期的な治療になることが多いため自然と治療費用も高くなると考えられます。また、病気によっては基準を満たせば小児慢性特定疾患として公費負担が認められることもあります。成長障害を引き起こしている病気にどのような支援が受けられるのか、専門家に詳しく聞いてみることをおすすめします。また、小児慢性特定疾患として認められない場合でも、健康保険を利用した治療が可能なこともあるので、合わせて聞いてみましょう。額田 成/著『子どもの身長を伸ばすためにできること―小児科専門医が教える食事と生活習慣』2004年/PHP研究所子どもの成長を見守るうえで気をつけたいこと出典 : 親にとって、子どもの身長が伸びるということは、「大きくなったなあ」と実感できる、嬉しいことだと思います。一方で、子どもの身長がなかなか伸びず不安に思ったり、周りの子どもと比べて心配になったりする親御さんも少なくないと思います。親が子どもの成長を見守るうえで大切なことは、子どもは一人ひとり成長のスピードが違うこと、子どもの身長を周りの同い年の子どもと比べて心配しすぎる必要はないということです。背の順で並ぶといつも1番前・後ろになるなど、周りの子どもより身長が低い・高い、といっても必ずしも成長障害であるわけではありません。また、小学生や中学生ごろになると、学校で身長順に並ぶことも増え、子ども自身が自分の身長にコンプレックスを抱くこともあるかもしれません。そんな時、親として子どもの身長に関して正しく理解したうえで、良いアドバイスと励ましをしてあげたいですね。例えば、「男の子は高校生くらいまで身長が伸び続けるらしいよ。」「身長がぐんぐん伸びる時期は人それぞれ。あなたは少し早めに背が伸びたけど、これからあなたを追い越すほど身長が高くなる人だっているんだよ。」など、身長が伸びる可能性を具体的に教えてあげたり、身長の伸び方には個性があることを伝えてあげたりするなど、アドバイスをするのも良いでしょう。まとめ出典 : 成長障害とは、子どもの身長が、平均と比べて極端に低かったり高かったりすることです。自分の子どもが他の子どもと一緒にいるところを見ると、「自分の子どもは小さいのでは?大きすぎる?何か病気かもしれないの?」などと不安に思う親御さんもいらっしゃるかもしれません。子どもの身長の伸びを見る時には、他の子どもと比べることで判断するのではなく、成長曲線への記録から、成長に異常はないか見てみることが大切です。成長障害の多くは原因不明とされていて、何かしらの病気が関係している可能性は低いと言えます。ですが、子どもの身長を見てみた時に、平均からあまりに離れている場合や急に伸び率が高くなったり悪くなったりしていたら、不安に思うのも無理はありません。子どもの身長記録を客観的に見た結果、心配だなと感じたら小児科など専門機関へ相談してみることをおすすめします。子どもの成長には個人差があります。ぐんぐん育つ子どももいれば、ゆっくりと育っていく子どももいます。我が子の成長を温かく、丁寧に見守っていきましょう。
2017年05月25日RDI(対人関係発達指導法)とは出典 : 「RDI(対人関係発達指導法)」とは、英語のRelationship Development Interventionの略で、自閉症児の社会的活動をサポートするための療育方法です。RDIの目的は、家族へのコンサルティングを通して、子どもが非言語コミュニケーションを活用した対人関係を構築することのサポートをすることです。非言語コミュニケーションとは態度や表情など、言葉以外を使ったコミュニケーションのことを言います。RDIは1996年、アメリカの臨床心理学博士スティーブン・E・ガットステインが自閉症スペクトラム障害の療育方法として提唱しました。それまでの自閉症スペクトラムの療育方法では治療対象になっていなかった、社会性に焦点を当てた療育方法です。さらに、RDIの特徴として以下の2点が挙げられます。・困難を抱える子どもだけではなく、その家族を療育の対象としていること・療育にインターネット上のラーニングシステムや、ビデオ通話を使ったりすることRDIのラーニングシステムは、アメリカ・ヒューストンにある「RDI Connections center」というRDIの公式機関が定めているものであり、自閉症ではない子どもとその家族の行動をモデルにしています。支援を受ける家族はRDI認定のコンサルタントのガイドに従って、段階的に実践を進めていきます。「RDI認定コンサルタント」とは、アメリカにあるConnections Centerで公式認定をされたコンサルタントのことを言います。公式認定を受けるためには、Connections Centerで研修を受けた後、スーパーバイズを受けながらの臨床試験を1~1.5年ほど行いながら実力をつける必要があります。研修から臨床までがすべて英語で行われること、アメリカでしか受けられないこともあり、日本にはRDI認定コンサルタントは2017年現在で7人しかいません。 Connections CenterRDIの対象となるのはどんな人たち?出典 : はもともと自閉症、アスペルガー症候群、広汎性発達障害のある人々の対人関係上の困難を解決するために開発されたプログラムですが、最近はADHDや学習障害など、様々な要因から対人関係に困難を抱えている人々にも実践されています。「自閉症ではない子どもの行動を模倣しながら成功体験を積んでいく」という方法は、脳の発達分野や発達度の影響を受けにくいため、年齢や診断名に関係なく効果的な療育方法だと言われています。RDIの具体的な療育方法出典 : という療育方法の基本的な考え方は、「子どもがコミュニケーションをとることが楽しいと思えるような関係性の築き方を、親に考えてもらう」という内容です。親子間の非言語コミュニケーションの量と質を上げるために、自閉症ではない親子をモデルにした行動モデルの模倣をします。この行動モデルは6段階に分けられており、レベルごとに目標となる行動が決められています。例えばレベル2では、ボールを投げ合うといった、簡単な順番のあるゲームをします。ゲームをしている間、家族はガイドされた通りの表情や態度で子どもに接します。子どもは家族の態度に影響されて、物事の順番を予想することや、パートナーと協調するために自分の行動を調整することを学ぶのです。こうして家族のガイドに沿った関わりに触れながら、自らも非言語コミュニケーションを使う経験を重ねることで、子どもたちはより高いレベルの行動目標をこなせるようになっていくのです。具体的な療育の流れは以下の通りです。1. 親がRDI認定コンサルタントとのデモンストレーションやインターネット上の学習システムを通して「子どもにどう接すればいいか」を勉強する。2. 親子は別の部屋に移動して、コンサルタントから指示された簡単な遊びを始める。その間、後に自分たちの行動を客観的に評価できるようにビデオ撮影を行う。コンサルタントは遠隔でその様子を観察している。3. 録画したビデオを見ながら行動評価をして、課題特定を行う。4. コンサルタントと一緒に親子の間での非言語コミュニケーションが十分であったかを評価し、課題となる行動領域を決める。RDIがもたらす効果とは...?出典 : で期待されている効果として、「子どもたちが人と経験を共有することに喜びを感じられるようになる」ことが挙げられます。具体的な行動に起こる変化としては以下の3点が挙げられます。・非言語コミュニケーションを使った柔軟な対応ができるようになる・自分と他者の個性を認め、尊重できるようになる・人間関係を継続させるために、自分から行動を起こせるようになる例えば、「人に話しかけたいときに、どのような表情で、どのようにアイコンタクトをとるのか」「みんなで遊ぶ時はどのように順番を守るのか」など、子どもたちが社会で生きていくために必要なスキルを学んでいきます。このように、対人関係に関する成功体験をつんでいくことによって、子どもたちの中に「人と関わることって楽しい!」という気持ちが芽生えてきます。その気持ちを育てることで、コミュニケーションを単に「必要なモノ・情報を手に入れるための手段」ではなく、「自分の人生をより豊かにするための手段」として捉えられるようになっていくのです。RDIが注目されている理由の一つに、その効果の高さが挙げられます。RDI公式サイトから見ることのできる資料によると、RDI指導を1年半受けた自閉症スペクトラムの子どもたちは、「ADOS(自閉症診断観察尺度)」という尺度を用いた測定で、15人中13人が自閉症の症状が軽減したと診断され、その中でも11人は自閉症の域から外れたという研究結果もあるそうです。® Introductory Workshop Going to the Heart of Autism with Relationship Development InterventionABA、TEACCHなど...他の療育方法とのちがいは?出典 : 発達障害療育には様々な方法が存在しています。現在主流となっている支援法としては、応用行動分析(ABA)とTEACCHなどが挙げられます。この章では、その2つの支援法とRDIとの違いについて説明します。◆応用行動分析(ABA)応用行動分析学、通称「ABA」(Applied Behavior Analysis)とは、発達障害児を対象とした療育の理論と実践の体系です。人間の行動を個人と環境の相互作用の枠組みの中で分析し、実社会の諸問題の解決に応用していくという考え方がベースになっています。◆TEACCHTEACCHとは、ASD(自閉症スペクトラム障害)の当事者とその家族を対象とした生涯支援プログラムのことで、ASDの人々の自立とQOL向上を目指す包括的な「支援の枠組み」を指します。「構造化された環境で認知発達を促す訓練をする」という考え方がベースになっています。ABA、RDIは実践の体系を表すのに対して、TEACCHは支援の枠組みを指す言葉なので、役割の面では一概に比較することはできません。ABAとRDIの違いは、支援対象と教える内容にあります。まず、ABAは子どもに対して、社会生活の行動における正解を与える方法のこと。一方RDIは、家族に対してコミュニケーションの取り方をガイドする方法のことです。ABAは本人と環境にある問題を分析・指導し、RDIは「どういったかかわり方をすれば、本人がコミュニケーションに対する意欲を引き出せるか」を親に対して指導します。どれか一つの正解をだすのでなく、症状や段階に応じて組み合わせることでより個別最適化された療育が可能になるといわれています。自閉症児のためのTEACCHハンドブックRDIを受けられる場所、必要な費用や期間は?出典 : 日本にいるコンサルタントは、Connections Centerのホームページから探すことができます。RDIに関する本も出ていますが、毎年アップデートされているシステムであるため、個人で学ぶよりも専門家と協力して行うことが推奨されています。RDIにかかる費用はコンサルタントによって変わりますが、大体1時間のコンサルティングで1万円ほどが相場です。RDIは他の療育方法と比べ効果が見えづらい療育方法で、2週間に1回程度のコンサルティングを行いながら、約1~2年で効果が見えてきます。療育にかかる費用や期間は、担当するコンサルタントによって変わることが現状です。療育を受けようと思っている家族は、複数のコンサルタントを比較検討してみてもよいでしょう。 Connections Centerより、日本におけるコンサルタント一覧ページまとめ出典 : とは、対人関係において困難を持つ子どもの、生活の質を向上させることを目的とした家族向けの療育プログラムです。RDI認定コンサルタントと協力して、子どもが価値を感じられるようなコミュニケーションの取り方を学んでいきます。RDIは自発的にコミュニケーション上の最適解を見つけていく過程を大事にしているため効果が出るには1~2年ほどの時間がかかりますが、診断名や年齢に関係なく療育を受けることができます。まだ日本ではあまり浸透していない療育方法ですが、子どもが社会活動に一歩踏み出すための身近な環境作りのために、家族同士の関わり方を見直す良いきっかけとなるのではないでしょうか。取材協力:白木孝二RDI®Program Certified Consultant認定臨床心理士
2017年05月25日<目次> ■ベテラン教員でも「保護者」になると迷う ■子どもの味方だけが学校にいる時代ではない ■「良い大学を出ることが幸せじゃない」時代のママの役目は? ■「一般的な子どもになって欲しい」と願う親がすべきこと ■「子どもを、枠にはめること」が教育なのか? 【木村先生がママたちに伝えたい20のこと】 子どもが生まれて、はじめて「ママ業」を始めるママたち。でも自分自身でも、そしてまわりからも「素人なのにプロ」を求められているように感じていませんか?ママたちの心の中にある「どうしたら、ママのプロになれる?」という気持ちに、少しでもこたえたいと思い、プロ教師歴40年の木村 泰子先生から「ママたちに伝えたい20のこと」をききます。<木村 泰子先生とは>木村先生は、すべての子に居場所のある「大空小学校」の初代校長先生を務め、その様子が映画『みんなの学校』として公開されました。そして今回お話をさせていただくのは、「育てにくい子」とされる息子を持ち、「まわりに迷惑をかけているのではないか」と考えながら子育てを行ってきたライターの楢戸ひかるです。■ベテラン教員でも「保護者」になると迷う前回、木村先生の元同僚であるベテラン教員から、発達障害のある孫の就学前教育相談で、どこまで話すべきか相談を受けたというお話がありました。●木村先生の同僚の教員(Aさん)から受けた相談内容Aさんは、発達障害の子とたくさん接してきたベテラン教員。そんなAさんの孫は、幼稚園で先生の言うことをまったく聞かない子で、Aさんも幼稚園での参観日やお迎えで孫の様子は理解しています。この孫が小学校就学前相談を受けることになります。そこでAさんの娘さんから「就学相談で、息子の現状をきちんと伝えるべきか? 伝えないべきか?」と相談を受けたそうです。どんなに「ベテラン教員」であっても、「保護者(祖母)」となると、どうすればいいのか判断することができなかった。そこで、Aさんは木村先生に相談することに…。木村先生は、どのような回答をAさんに送ったのでしょうか。■子どもの味方だけが学校にいる時代ではない木村:環境が整えば、子どもは育つ。でも、「整っていない環境に子どもを送りこまなければならないとき、保護者は、どうフォローすればいいのか?」というのは大きな課題ですよね。楢戸:「親は手も足も出ない」と、私だったら思ってしまいます。木村先生は、ベテラン教員であるAさんにどのような言葉を返したのでしょうか? 木村:周囲は、「その子は、発達障害なんでしょ」と、決めたがる。Aさんの娘であるママも、「発達障害の診断を受けた方が良いのかな?」と迷う。校長室に行って、「うちの子は、もしかしたら発達障害なんです」と言うほうが良いのか、言わないほうが良いのか、迷う。すごく、迷うと思います。楢戸:わかります。木村:私は、即答でした。「何も言わんとき。一切相談せんとき」って。「相談する相手が信用できる相手か、わかってる? わからんやろ?」って。子どもの味方だけが、学校にいる時代ではありません。「学校の先生は、すべての子どもたちを守ってくれるっていう時代じゃないやろ」って返しました。■「良い大学を出ることが幸せじゃない」時代のママの役目は?楢戸:とても現実に即したお話ですね。木村:「学校は立派」「先生の言うことは聞け」「たたいてでも、先生の言うことを聞かせる」それは化石時代の話。いままでは、ひとつの価値観を信じたら、みんなが幸せになれると信じられた、イケイケ・ドンドンの時代だったでしょ?その当時の学校や学校を取り巻く社会と、いまは、全然違う。そういう世の中から、いま、向かっている世の中は、「良い大学を出ることが幸せじゃないよ」ということに、みんな気がつきはじめた時代だと思うの。 「幸せは、自分がなりたい自分になることだよ。幸せは、人が決めない。自分が決めるものやで」。だからそのフォローは、まわりがしなさいよってこと。それが、これからの教育だと思うの。昔と今では、教育の目指す方向が全然違う。違うのに、過去の価値観だけを引きずっている。楢戸:つまりは、ママの役目は、子どもが決めた幸せをフォローすることですか? もっと言えば、何が幸せかを自分で決められるような子どもを育てることなんでしょうか。何というか、子育てについてコペルニクス的な発想の転換が求められている気がします。■「一般的な子どもになって欲しい」と願う親がすべきこと楢戸:では、「普通からハミ出てしまう子」の母親として、まず、私は何をすべきなのでしょうか?木村:まず、自分の子どもを「発達障害」という言葉で括らないということ。親が自分の子どもを信じないとね。楢戸:「普通からハミ出てしまう子」を育てることは、毎日が戦いなんです。そんな日々の中で子育てをしていると、疲れてきちゃって。「子どもを信じる」ということが、正直、厳しいです。木村:それって、「わが子が、一般的な子どもに近づいて欲しい」って思うからじゃないの?楢戸:そういうことなのかもしれないですね。木村:でもいまは、反省しているんですよね? 楢戸:反省していますね。(はじめて取材で)木村先生にお会いした2016年の7月以降、さほど、子どもを怒らなくなりました。■「子どもを、枠にはめること」が教育なのか?木村:すばらしい! いま、「親の立場」で、「苦しかった」と楢戸さんは言うけれど、子どもの立場になって、そのときのことを振り返ってみたことがある?子どもは、どんな暴れている子でも、芋虫みたいにゴロゴロしている子でも、反抗したくてやっているのとは、違うの! これは、私が子どもから学んだことだから、確信を持って言える。親の価値観は、「何で、私の言うことを聞かないの!」ってことだと思うけど、そうやって、ゴロゴロしている中で、その子は、その子なりの学びの時間をもっている。だからその場所を、安心して「学びの場」にしてあげたら、その子自身、傷つかないでしょ。「みんなはできているのに、どうして、アナタはできないの?」と、「こういう子であって欲しい」という枠に、無理やり子どもをはめないで、子どもを信じることが、とても大切です。楢戸:「子どもを、枠にはめること」。それが教育だと、先生と出会うまで思っていました。次回は、「「みんなができることが、アナタはできないの!」と言ってしまうママへ」 です。■【木村先生がママたちに伝えたい20のこと】8. 学校の先生は、すべての子どもたちを守ってくれる時代じゃない9. 幸せは、自分がなりたい自分になることだよ。幸せは、人が決めない。自分が決めるもの10. 昔と今では、教育の目指す方向が全然違う。過去の価値観にママは引きずられないで11. 「どうしてアナタはできないの?」という枠に子どもをはめないで。子どもを信じてあげて≫「木村先生がママたちに伝えたい20のこと」については こちら ■今回取材にご協力いただいた木村 泰子先生の著書『 不登校ゼロ、モンスターペアレンツゼロの小学校が育てる 21世紀を生きる力 』木村 泰子,出口 汪/ 水王舎 ¥1,400(税別)木村 泰子先生プロフィール大阪市出身。大阪市立大空小学校初代校長として、「みんながつくるみんなの学校」を合い言葉に、すべての子どもを多方面から見つめながら、全教職員のチーム力で「すべての子どもの学習権を保障する学校をつくる」ことに情熱を注ぐ。その取り組みを描いたドキュメンタリー映画『みんなの学校』が話題に。2015年に退職後、現在は、全国各地で講演活動を行っている。
2017年05月24日5歳まで続いた寝かしつけ、ときには2時間かかったこともUpload By SAKURA現在6歳の広汎性発達障害の娘。少し前まで生まれてからずっと夜は私と一緒に寝ていました。そして、その寝かしつけにとにかく時間がかかっていました。娘が寝るまで横にずっといなければならず、ときには寝かしつけに2時間かかることも!家事も残っている、やりたいこともある、でも全然寝ない……ただ横にいるその時間がダラダラ流れていく中、「早く一人で寝られるようにならないかな……」と思っていました。娘から突然の「一人で寝る」宣言!キッカケは意外なところにUpload By SAKURAそんな娘が5歳・年長さんになった頃。我が家は引っ越し、娘に自分の部屋が出来ました。引っ越してしばらく経ってから、娘は「自分のベッドが欲しい」と言い始めたのです。今まで一度もひとりで寝れたことがない娘。一人で寝れないのにベッドを買っても邪魔になるだけ……そう思って私は娘に「ベッドは一人で寝れる子じゃないと買えないよ?」と説明しました。すると娘は「一人で寝る!」と宣言。購入に踏み切れたのは、夫の助言のおかげでしたUpload By SAKURA「一人で寝る」宣言をした娘。しかし、私は「本当に一人で寝られるの?」と疑心暗鬼。ベッドの購入を迷い、夫に相談してみることに。すると夫は、「一人で寝るって自分で言ったその思いを大事にしてあげたら?寝られなくてもいいよ。どうせいつかは買うもの、無駄にはならないよ。」と言いました。結局、数日後にベッドを購入し娘の部屋に置くことになったのです。ベッドを購入し、一人寝に挑戦!Upload By SAKURAベッドを設置した夜、娘は意気揚々と一人で部屋に向かいました。……ところが娘が部屋に行って1時間半後。「ねむれない」と泣きながら私のところにやってきました。自分から寝れるって言った手前、1時間半も娘は一人で頑張って寝ようと格闘していたはず……。そう考えると、部屋から出てきた娘を抱きしめずにはいられず、その日は一緒に寝ることに。翌朝、起床後に娘は、「あー!ひとりでねたかった!」と悔しがっていました。めげずにリベンジした二日目!その結果は……?Upload By SAKURA次の日の夜。私は娘に「今日はどうする?一緒に寝る?」と聞きました。すると娘は「ひとりでねる!」と、その決意は揺るがない様子。また眠れないと言って来たら、一緒に寝ればいいか。とその日も一人で部屋に行かせました。そして、娘が部屋に行って15分後、部屋に様子を見に行くと……爆睡している娘の姿が。結局そのまま朝まで起きてきませんでした。それから娘はずっと、寝かしつけもなく一人で寝ることができています。何でも、「やるといったことはやらせてみる」ことが大事Upload By SAKURAいろんなことが、みんなと同じように出来るまで時間がかかる娘。しかし、一人で寝るようになるまでは、あっけないほどすぐでした。(笑)何だか今までより大きく見えます。『ひとりでねる』と言った時、私が「できない」と決めつけてしまったことをとても申し訳なく思いました。これを機に、子どもの「やりたい!」という気持ちを大事にしていかないといけないなぁと少し反省した出来事でした。
2017年05月24日普段の口の悪さは天下一品Upload By かなしろにゃんこ。現在19歳のADHDがある息子はまだまだ反抗期です!機嫌が悪いときは話しかけると「うぜーマジでキモイ」や「は~!?1回死んでくんねぇ?」とか母親の私への態度は最悪です。ところが、そんな息子が4カ月前に親戚から仔猫を預かり、しばらく面倒をみることになったのです。今まで借家だったので動物を飼うことができなかったため、生き物と接する機会がほとんどなく育った息子。いきなり家の中に仔猫が走り回り、困っていました。小さな命をどう扱っていい?戸惑う息子。Upload By かなしろにゃんこ。踏んじゃうかもしれない、噛んでくるかもしれない、と最初は仔猫と距離を置いていました。いったいどう接していいものか、分からなかったようです。しかし仔猫をじっと見つめて「かわいい…」と写真を撮ったり、徐々に仔猫が近寄ってきて、なでなでしながら、「かわいすぎる~~~!!」と興奮するようになりました。Upload By かなしろにゃんこ。仔猫を見ているときは優しい目をしています。コイツにこんな一面があったんか!と嬉しさがこみ上げました。繊細な動きが苦手な子ですが、子猫の毛を優しくなでる手は傷つけないように気を遣っているようでもあります。いつもはイライラしたり機嫌が悪いと怒鳴ったりする息子とは別人だな~と思いました。仔猫にだけは小さい子に話しかけるような口調になるのも笑いました。かわいい生き物は人間をいい人にしてくれる力があるのですね(笑)お母さんに優しくなくても別にいーけど、いつか家族ができるときにはそのように優しくしてほしいと思った出来事でした。
2017年05月23日NHK「発達障害プロジェクト」第1弾、NHKスペシャルに大きな反響NHKが2017年5月からスタートした「発達障害プロジェクト」。複数の番組横断で、発達障害のある人や周囲の人たちの、様々な暮らし方や働き方、悩みや対策を伝えていく試みです。昨日5月21日(日)には、NHKスペシャルでの特集第1弾「発達障害 ~解明される未知の世界~」が放送されました。 「発達障害プロジェクト」スペシャル, 「発達障害 ~解明される未知の世界~ 」発達障害のある人や周囲の人、より多くの人たちから様々な意見を集め紹介していきたいという趣旨から、生放送・リアルタイムで視聴者からのコメントを紹介しながらの番組展開。集まった意見は6600件以上。今後の番組制作にも活かされていくそうです。当日はNHKのウェブ・FAXフォームだけでなく、Twitterでも多くの視聴者が感想や意見を発信、発達ナビ編集部も実況中継に参加しました。 【実況まとめ】NHKスペシャル・発達障害特集(発達ナビ)上での視聴者の声は、ハッシュタグ #発達障害 や #NHKスペシャル 等からご覧になれます「甘えではない」発達障害当事者の“感じ方”のちがいを描き出すUpload By 鈴木悠平(発達ナビ編集長)これまで、主に「社会性やコミュニケーションに問題がある障害」などと言われてきた発達障害ですが、最新の脳科学研究や当事者への聞き取りにより、生まれつき、独特の「世界の見え方・聞こえ方」をしているケースが多いことがわかってきました。今回のNHKスペシャルは、こうした先天的な「感じ方のちがい」を、感覚過敏のある当事者へのインタビューや街中同行、再現VTRなどを通しての再現・共有を試みたことが、大きな特徴です。スーパーの中にいると、話し声やBGMだけでなく、冷蔵庫や空調の電子音までが「音の洪水」のように大量に入ってくるという感覚、飲食店で目の前の人と話していても周りの音がいっぺんに入ってくる症状などが、出演したASD(自閉症スペクトラム)当事者の口から語られます。聴覚情報の受け取り方の過敏性や、選択的な注意(自分に関係ある情報にフォーカスすること)の難しさなどがかけ合わさって、このような困難さが生じると言われています。また、小学校の授業風景を再現したVTRでは、教室内の掲示物や周りの同級生の様子に注意が引っ張られ、先生の話を集中して聞くことができないADHD(注意欠如・多動性障害)の症状や、教科書を読もうとしても文字のつづりを脳内で意味と照合する作業に困難があるLD(学習障害)の症状の一例が紹介されています。単に困りごとを描くだけでなく、発達障害のある人たちの脳内で何が起こっているか、症状の背後にあるメカニズムについても、これまでの研究仮説をベースに説明がなされていました。スタジオには、俳優の栗原類さん、40歳前後でASD(自閉症スペクトラム)と診断された片岡さん、ASD当事者で東大にて「当事者研究」を進める綾屋紗月さんなど、成人の発達障害当事者の方々もゲストとして登壇。ゲストのひとり、40代の片岡さんは「この歳になるまでずっと我慢して来たけど、若い人たちには、我慢しなくていいんだよって伝えたい」と述べます。一人ひとりが外部の刺激をどのように受け取っているか、その「感じ方」の違いを私たちは直接共有することはできません。だからこそ、これまで視覚過敏・聴覚過敏をはじめとした感じ方のちがいを要因とする生きづらさは、その感覚を持たない人には伝わりにくく、単なる「我慢の問題」と見なされがちでした。人間が集団で生活する上で、ある程度の共通土台は必要となりますし、空間作りにおいてはどうしてもどこかで線引きは避けられません。ですが、同じ空間にいても、その刺激を我慢できる「閾値」が人によって違うということを前提に、空間づくりやコミュニケーションのあり方を問い直していくことが大切なのだと感じました。週に1度、照明や音声を落とし、感覚過敏のある方でも買い物をしやすくする「クワイエットアワー」というイギリスのスーパーマーケットでの取り組みも紹介されていましたが、こうした環境調整を部分的にでも行ってくれる場所が増えていくことで、日常生活上の困難さを軽減し、苦手な場所に行かないで済む「選択肢」を増やすことに繋がるでしょう。番組中でも触れられていましたが、今回の番組づくりは、ゲストの方をはじめ、発達障害当事者の方の意見を取り入れながら進められたそうです。例えば、スタジオトークでは「話し相手の顔を見ないでいいルール」を採用。人の顔を見ると、余計な情報が多く入ってきて、それをまとめ上げるのが困難だという特性を持つ人にとって、「目を見て話すこと」がマナーや礼儀とされる文化に合わせて過ごすことは、非常にストレスが大きいと言えます。海外の研究でも、"Autistic Sociality"(自閉圏の社交性)という考え方が提唱されており、対面的ではない関わり方、情動を抑えめにした話し方など、ASD(自閉症スペクトラム)の人たちにとって心地よい他者との関わり方を分析・整理した論文も出されています。番組内では栗原さんが「会話に使うエネルギーが他の人たちより倍ぐらい多いのだと思う」と述べていました。また一方で、あまり目を見ないとしても相手のことはリスペクトしているのだということを、相手に事前に伝えるようにしているとも語ります。目を見て話さないことは、無礼なわけでも、相手に関心がないわけでもなく、物事の受け取り方や、相手への敬意の示し方が異なるだけなのだという観点を共有することができれば、ASDの人にとっても過ごしやすいコミュニケーションの方法を考えやすくなるかもしれません。 Ochs, Olga Solomon, "Autistic Sociality", Journal of the Society for Psychological Anthropology, 11 March 201また、スタジオデザインについても、ゲストの綾屋さん・片岡さんから事前に相談をした上で決められたとの背景が語られます。フリップで見せられたスタジオの「初期案」は発達障害特性の多様さをイメージしてか、多くの色をふんだんに使用したカラフルなものでした。「色や光が強すぎてこの空間に長くいるのは辛い」とのフィードバックを受け、白を基調とした今回のシンプルな内装に決まったそうです。スタジオ生放送で感想を求められたところ、綾屋さんは「反射もそれほど強くなく安心できるレベル」、片岡さんにとっては「これでもまだ反射が強くて眩しい」と回答。視聴者からもリアルタイムで様々な意見がありました(テレビ画面からだと、スタジオの方とはまた違った見え方をしているかもしれません)。今回のように事前の相談・工夫を経た場合でも、なかなか万人にとって過ごしやすい空間を作るのは難しいものですが、むしろ、このスタジオに対する反応のバラツキこそが、一人ひとりの見え方、感じ方の多様さを浮き彫りにしているように感じました。たとえ全員が満足できる環境にはできなくとも、こうしてなるべく多様な意見を取り入れながら空間づくりを考えていくことには意義があると思います。また、それでも難しい場合には、たとえばサングラスを着用可能にしたり、疲れた時にいつでもその場を抜け出せるようにするなど、その人のしんどさに合った、個別の合理的配慮を組み合わせていくことが重要だと思います。アフタートークでも、「発達障害を扱っているのにBGMがうるさくて集中できなかった。配慮してほしい」との視聴者の声が紹介されました。こうした意見も受け止める必要がある一方で、音声やビジュアルによる補助が多い方が理解しやすいという人の存在も同様に考える必要があります。こうした問題を一度に解決することは難しいかもしれません。ですが、たとえば手話通訳や副音声の利用ができるようになったように、BGMの有無を選択できるようにするなど、今後の放送技術や環境の進化によっては、異なる感じ方の人同士が共存しやすい未来が訪れるかもしれません。発達障害、とりわけ視覚や聴覚の過敏がある人のみならず、感じ方の違いを前提としたコミュニケーションのあり方について、多くを考えさせられる番組だったと思います。伝えきれない「ちがい」について出典 : 今回のNHKスペシャルの放送内容の大きな意義は、一つには、発達障害は先天的な脳機能障害であり、甘えやしつけの問題ではないということを、その症状メカニズムと共に丁寧に伝えたこと、もう一つには、そうした先天的な凸凹に対しては、本人の努力不足や自己責任論で片付けるのではなく、刺激やストレスを減らすための環境調整や、その人の得意を活かす仕事や役割づくりの重要性を示したことだと思います。そんな放送内容に対して、「よくここまで丁寧に掘り下げてくれた」「自分の苦しみを代弁してくれて嬉しかった」などと好意的な反応も数多く寄せられていましたが、一方で、「まだ○○についても触れて欲しかった」「○○な人への視点や配慮が足りなかった」といった、さらなる掘り下げや発信の工夫を求める声も少なくありませんでした。発達障害はその特性も症状も多様であるがゆえに…限られた時間で全ての「ちがい」を描き尽くすことはできない。そのことをわかっていつつも、もっと伝えてほしい、もっと知ってほしい、という思いを持つ方が、それだけ多くいるということなのかもしれません。だからこそ、NHKも単発の特集で終わらず、通年で取り上げていくという決断をしたのでしょう。回を追うごとに、多くの人の意見が集まり、交わされ、またひとつ発達障害を取り巻く実態が明らかになっていくことを願います。全てを語り尽くすことはできないけれど、一人ひとりが生きる日常の中で、今までよりほんの少しだけ、お互いの「ちがい」に対する想像力を働かせ、分かち合うことはできるはず。これからも「発達障害プロジェクト」の番組を追いながら、考えていきたいと思います。
2017年05月22日<目次> ■ママのプロになるために! 極意を教えてくれるのはこんな人 ■「先生の言うことを聞きなさい」とママである私は言うけれど ■わが子が先生の言うことを聞けない子だったら ■「子どもを枠の中に押し込める大人」は、子どもの敵だった? ■自分の中の「排除される要因」を隠せない子が生きにくい世の中 【木村先生がママたちに伝えたい20のこと】 ■ママのプロになるために! 極意を教えてくれるのはこんな人子どもを産んだら、ママになる。あたり前のことなのだが、「ママ業」は、デビューしたての素人も、「プロであること」を求められる仕事なんだと思います。知識も、経験値もないのに、自分が無意識にイメージしている「ママ」は、じつは「プロレベル」のスーパーママなのではないか? と、気がついたのは、わりと最近のこと。周囲からも、「ちゃんとしたママであること」を求められているような気がして、「そんなの、できるわけないじゃん!」と、叫びたいけど、叫べない。そんな、ひとりのママである私が、プロ教師歴45年の木村 泰子先生と、子育ての話で対談をさせていただきました。木村 泰子先生プロフィール大阪市出身。大阪市立大空小学校初代校長として、「みんながつくるみんなの学校」を合い言葉に、すべての子どもを多方面から見つめながら、全教職員のチーム力で「すべての子どもの学習権を保障する学校をつくる」ことに情熱を注ぐ。その取り組みを描いたドキュメンタリー映画『みんなの学校』が話題に。2015年に退職後、現在は、全国各地で講演活動を行っている。木村先生については、「 『みんなの学校』流 親子関係のつくり方 」もぜひご覧ください。今回、この対談を担当させていただくのは、ライターの楢戸ひかる。3人の子持ちの母であり、うちひとりの息子には、発達障害があります。プロ教師の木村先生と、素人ママの私が対談することで、木村先生が教育実践の中で得てきた「プロの極意(知恵)」を、普通のママたちが日常の子育てで使える「ママたちに伝えたい20のこと」としてお届けします。目指せ! ママのプロ!■「先生の言うことを聞きなさい」とママである私は言うけれど楢戸:木村先生は、「学校の授業で正解のあることなんて、6時間の授業があるうち1時間も教えていない」と、おっしゃいました。「学校で教えてもらうことには正解があり、正解を教えてもらうのが学校だ」と思っていたので、とても驚いたのですが…。木村:もし学校が正解だけを教えているとしたら、先生は給料を1千万円くらいもらわないと割にあいません。そんな人間離れしたこと、できるわけないと思いません?それって、じつはママたちが「学校をどう見ているか」という話だと思うんです。ママたちの「学校観」は、ママたちが受けてきた学校教育がベースになっていると思います。「学校で先生の言うことを聞いている子が『良い子』」と、思っている。だから、「先生の言うことを聞きなさい」と、子どもに言い聞かせて、小学校にいれているわけでしょ?■わが子が先生の言うことを聞けない子だったら楢戸:わが子は、「先生の言うこと」をきちんと聞くことができない、つまりは「普通」からハミ出てしまう子です。だから学校生活では、「うちの子が悪い。申し訳ありません」という気持ちでいっぱいになります。木村:では、楢戸さんは小学校時代、本当にすばらしい学びを得たなぁと思っている?楢戸:じつは、1ミクロンも思っていなくて。「小学校」と聞くだけでイヤな気持ちになります。木村:それなのに、何で、自分の子が小学校に行ったら、「うちの子、迷惑かけてすみません」って言うの? そういうものだと思ってしまう根拠はどこにあるの? ■子どもを「枠の中」に押し込める大人は、子どもの敵だった?楢戸:諦めているわけです。「学校なんて、しょせん、そういうところなのだから」と。木村:小学校のときにそう思いながら、乗り越えられたの?楢戸:ただ、ただ、「自分はダメな人間だ」と思いながら、小学校に6年間通いました。木村:「学校なんて、そんなもん」と思ってしまうのは、卒業したあとの価値観でしょ? 小学校生活を送っている6年間は、「何で、こうなんだろう」「学校って、おもしろくない」の繰り返しだったわけでしょ?楢戸:いえ、実際にはもっとダメで。私は「先生の言うとおりにできない自分がダメ」と思いこんでいました。木村:自分が経験したことを、もう1回、自分の子どもにさせたいの?楢戸:そこが大きなジレンマで。「させたくない」。それが本音です。けれども、親としては「世の中で生きていくためには、フォーマットの中にいれないと」という気持ちにもなってくるんです。木村:こういう考え方をする大人が、一番、子どもの敵なの。「普通にやってきた自分」が、異質なものを排除する。その差別する感情を自分自身が持っていないか、省みなければ。■自分の中の「排除される要因」を隠せない子が生きにくい世の中楢戸:「自分は、排除されないようにしよう」。これが、いまの世の中にはびこる空気だと思っています。どんな人の中にも「排除されるようなもの」は、必ずある。でも、自分の中の「排除されるようなもの」を隠さなければいけない。そんな圧力があるのかな、と。木村:それを隠せる子は、いいの。隠せない子が、「育てにくい子」とか発達障害と呼ばれる子になるわけでしょ? 隠せない子が生きにくい世の中でしょ? でも「隠せる子」は、「隠すことで」生きている。そんな世の中、みんなにとって間違っていますよね。楢戸:そうだとは思います。でも、一方で「今日、うちの息子が、学校で迷惑をかけている」という現実もあります。そういう現実と理想の間で、ひとりの母親として戦っていると感じているんです。 木村:卵が先か、鶏が先かの話。息子さんが幼稚園の段階で、楢戸さんの価値観が変わっていたら、息子さんはいま、通常の学級で学んでいたかもしれないですよ。次回は、「自分の子どもがうまく育っていないと劣等感を感じているママへ」 です。【木村先生がママたちに伝えたい20のこと】1. 学校の授業で正解のあることなんて、1時間も教えていない2. 「普通にやってきた自分(ママ)」が、異質な子どもを排除しようとしている3. 自分の中にある「排除される要因」を隠せない子が、生きにくい世の中になっている。でもそんなの間違っている≫「木村先生がママたちに伝えたい20のこと」については こちら ■今回取材にご協力いただいた木村 泰子先生の著書『 不登校ゼロ、モンスターペアレンツゼロの小学校が育てる 21世紀を生きる力 』木村 泰子,出口 汪/ 水王舎 ¥1,400(税別)
2017年05月22日楽しかったなあ。大満足のお花見ピクニックUpload By ラム*カナ楽しいお花見をして、家に帰ってきました(たぶん息子は花なんぞ見ていませんが)。育ち盛りの子どもたちは、到着してすぐさま、手作りのおにぎりやお花見弁当をぱくぱくかき込みました。お弁当箱は空っぽです。桜をのんびり眺めなどしない息子たちの目の前に広がるのは野原、そして小川…。花見に行ったはずが、ばしゃばしゃ川遊びまで楽しみました。そして、ハヤ弁したお弁当だけではみごと足りませんでした…。そのあとでコンビニでおにぎりや空揚げも買い足してパクつき、子どもたちは大満足の様子でした。全力で外遊びを楽しんだ息子。さあ、日記を書こう!「日記の宿題やったの?」と息子にうながしました。毎週末に出る恒例の宿題です。すると息子は、Upload By ラム*カナちょいまて。ていねいに一日を振り返ってみると…まるで日記に書くようなこと全然してないー!というような口ぶり。いや、ちょっと待てよ。今、思いっきり楽しいお出かけしてきたじゃないか。Upload By ラム*カナどうやら記憶の引き出しから思い出してくれたようです。良かった良かった。さて、なんて書くのかな。まぁ君は桜なんて見てなかったから、小川で遊んだことでも書いたらいいんじゃないかな。すると息子、「あ!」と何かいいアイデアを思い付いたよう。うんうん、何書く?本日のハイライトそれですか!!母さん、君が大好きだょ…Upload By ラム*カナあー…なんかデジャブ!(夏休みの宿題、一行日記もこんな感じでした)母が用意していった手作りおにぎり弁当のこと、水遊びで楽しんだこと。それらの上を行く「コンビニのおにぎり」…。うん。母さん、君の着眼点が大好きだ!
2017年05月21日言葉が遅い息子…まずは自治体の「ことばの教室」に通わせようかしら?3歳になっても言葉の発達が遅い長男。もしかしたら長男にはなにかあるのかもしれないと思い始めていた頃の話です。ただ悩むよりも、この子のために何が出来るのかを考えたほうがいいのかもしれない。そんな時に知ったのが、市などで行われている「ことばの教室」の存在でした。Upload By ぽんぽん専門家の方とお話しながら言葉を促してあげれば、きっと周りに追いつく。大丈夫。やってみよう!もうすぐ3歳児健診の日。そこで具体的に相談してみよう、そう思っていました。3歳児健診で、心理士の先生のアドバイスは意外なものでした思っていた通り健診で引っかかり、心理士との面談に移りました。健診で引っかかること自体は想定内で、特になんとも思いませんでした。「心理士からことばの教室を紹介してもらおう」と思っていたのです。ところが、心理士に言われたのは意外な一言。Upload By ぽんぽん「療育へ」ということばにショックを受ける問題は言葉ではなくコミュニケーション…健診で引っかかることも、言葉の遅れを指摘されることも覚悟していたはずなのに。ショックでした。Upload By ぽんぽんUpload By ぽんぽん長男の場合、私と離れてコミュニケーションを取ることの大切さを学んだ方がいいとの事でした。この時点で私は「ことばの教室を飛ばして、いきなり療育を勧められた」という印象だったので、すぐにはその事実を受け止められずにいました。実験室のような冷たいイメージだった"療育"。療育…と言われてもどんなことをするのか分からず「なにかの訓練を専門家と一緒に黙々とやるのかな…」というイメージがあるだけでした。Upload By ぽんぽん療育…長男に本当に必要なんだろうか…。行かないといけないんだろうか…。そんなことを思いながら、療育先を探し見学の申し込みをしました。しかし実際は…Upload By ぽんぽん不安を感じながらも覗いてみた療育の教室。私のイメージは、いい意味で裏切られました。子ども2人につき先生が1人つくというだけで、やっていること(朝の会から体操、遊びの時間、工作、音楽、運動など)は、普通の幼稚園や保育園とほとんど変わりありません。“実験室”だなんてもってのほか。明るく賑やかな雰囲気の療育、これなら長男も楽しめそう!Upload By ぽんぽんこうして私は長男を療育へ行かせることにしました。療育に通って8カ月。長男は毎回楽しそうに出発し、帰るのを惜しんで帰ってきています。言葉も増え、落ち着き、偏食も少しずつ改善されてきたのは、療育に通ったおかげだと思います。
2017年05月20日小児科外来のカウンセリング室にやってきた母娘出典 : 病院の小児科外来でカウンセリングを行っているカウンセラーの私のもとに、不登校の娘さんと母親が心理相談を受けに来ました。そのとき娘さんは中学3年生。母親の話だと中学2年生のころから学校に行き渋るようになったけれども、教師の働きかけで今は何とか相談室登校をしているとのこと。母親が説明する間、その子は一言も話さず暗い顔をして座っていました。私は「学校で何か嫌なことがあったのか」、「友だちと気まずいことでもあったのか」と問いかけましたが、無言のまま。母親は、「家で娘に尋ねても嫌なことやいじめはないと言うのです」と代弁します。医師の方では医学的処置は行わないとのことを聞いていたので、経過観察をしながらじっくり支援の方向性を探ろうと考え、「すぐには話したくないかもしれないので、時々来て状況を知らせて下さい」と言って初回の面談を終わろうとしました。しかし母親は「どこに行っても同じことを言われます。私が心配でたまらないのです。このまま一生引きこもりになるのではないかと不安です。ここで話を聞いていただけませんか」と言うのです。娘さん本人の考えは計り知れませんでしたが、母親の困り感が大きいことも鑑み、ひとまず次週も面談の予約を入れることにしました。カウンセラーと母親と娘の三者面談、しかし彼女は一言も話さず…出典 : 翌週、時間通りに母娘がやってきました。母親はこの一週間も娘の状況は変わらないことを説明してくれましたが、肝心の娘さん本人はやはり一言も発しません。母親がしゃべり過ぎるので娘さんが話さないのかと考え、母親の発言を抑えて彼女の発話を待ちました。しかしいくら待っても言葉を発しません。最後にはうなだれ、長く伸びた髪が顔を覆い、ホラー映画の「貞子」のような状態になってしまったので、「これ以上はまずい」と思い、母親との話に戻りました。親子で訪れる小児科の心理相談の時、私は特別の事情がない限り親子別々に話すことをしません。子どもは不安を抱いて訪れます。その時に親から離れて一人で知らない人と話すことは苦痛でしかないと思うからです。廊下で待たされ母親だけが診察室に通されると、そこでは自分のことを話しているに違いないが、何を話しているのか気になるでしょう。余計な不安や苦痛を子どもに与えないために親子で話すのです。まれに母親だけに伝えなければならないことがある場合は、子どもが退屈そうに見えたとき、「退屈なら廊下を歩いてきていいよ」と言って外に出します。時間的に余裕がある環境でしかできないことかもしれません。カウンセリングというより雑談?それでも続く、奇妙な3者面談出典 : そういうわけでその母娘との面談はいつも三者で行いましたが、話すのはいつも私と母親でした。それでも娘さんは毎週来ることを拒まず、一言も話さないにもかかわらず毎回1時間近くその場に座り続けていました。半年近く話しても事態が大きく変わることもなかったので、話の内容は徐々に雑談に変わっていきます。明朗快活なお母さんはニコニコしながらたくさんおしゃべりしました。よもやま話になるとつい笑いだすようなことにもなりますが、娘さんはそれでもやはり、無表情のまま。わずかでしたが相談料を支払っていただいていましたので、談笑でお金をいただくのはどうかと思い、母親に「このまま続けますか」と尋ねました。母親は「長い目で見なければいけないのは分かっているが、娘と二人でいると気が沈んでしまうので、迷惑でなければ続けさせてください」と言ったので、ひとまず継続することに。とはいえこのままずっと談笑を続けるというのも気が引けます。なにか改善のきっかけがつかめないかと、私は彼女が在籍する中学校を訪問することにしました。しかし、娘さんは中学校では人目を避けて登校し、ほとんど相談室で好きな漫画やイラストを描きながら過ごしているとのことで、変化を期待できるような情報を手に入れることはできませんでした。高校受験が迫ったある日、無言だった娘が、はじめて「やりたいこと」を口にした出典 : それからも、カウンセラーと母親が談笑するだけという、奇妙な"三者"面談が続きました。初夏から始まった面談も初冬にさしかかっていました。母親は高校進学のことを気にし始めました。私も引き受けてくれる学校があるか気になりました。そんなある日、母親が思いがけないことを話しだしたのです。「娘は、高校はイラストやデザインが学べるところにしたいと言っています。中学校で尋ねたらA高校のデザイン科があると言われたそうで、そこを受験したいと言うのですが、先生どう思いますか」。この話も三者面談の中でした。私は母親に「それは素晴らしい。本人が受けたいと言うのならぜひ受けさせるべきです」と言いました。本人が高校には行きたいと言い、志望校もはっきりと言った。母親はこのことには喜んでいましたが、実際受験するにあたっては、相談室登校で学力がきわめて不安、試験や面接に行けるかどうか、受験に失敗したらもっと落ち込みがひどくなるのではないかなど、心配でたまらないようでした。私は、「本人が自分で道を切り開こうとしているのです。今はそれを応援しましょう。失敗したらその時に次を考えましょう」と言い背中を押しました。その後。その子は自宅でも受験勉強をし、中学校では専願という受験方法を示され、無事試験会場にも行け、めでたく志望の高校、学科に合格したのです。娘さんの高校入学後も母親はしばらくの間、「また、いつ登校しなくなるか不安だから」と言い、私との心理相談にやってきましたが、不登校が生じやすい5月の連休明けまで様子を見ても特に問題は起こらず、母親も安心して心理相談を終了しました。ずっと黙っていた娘が、なぜもう一度学校に行けるようになったのか出典 : その後も娘さんが私の相談室に来ることはなく、毎日他の生徒と同じように登校し授業を受けており、部活もバスケットボール部に入り元気に活躍しているとのことでした。母親は「嘘みたい、今までのはなんだったの」とキツネにつままれたかのようでした。心理相談を続けている間は一言も発さなかった娘さんが、なぜこのように劇的な変化を起こしたのでしょうか。私が思うに、その子自身の伸びる力がもともと眠っており、表面には出ない間も、じっくりと力を蓄えていたのだと思います。不登校、相談室登校は彼女にとって不快な経験だったと思います。彼女自身もなんとかそれを克服しようと思ったでしょう。しかしなかなか克服の道が見えず、長い間ふさぎ込むことになったのだと思います。高校進学を目の前にして、やっと自分の好きなデザインを学び、本来やりたかったバスケットを行うことに道を見出し、光を見つけたのだと思います。道を見出したのは彼女自身です。それができたのはその子の成長する力によるものと思います。小学校や中学校で不登校を経験したのちに高校生になり、「休みたくなると、もうあの不登校を再び経験したくないからという気持ちになって、それで頑張って登校したんだ」と打ち明けてくれた子もいました。一人、二人ではありません。子どもたちはしっかり学んでいるのです。そしてそのような子どもの成長する力を発揮させることができたのは母親の頑張りだったのだと思います。相談室登校の娘さんを見放すことなく、少しでも効果があることは惜しまず与え続けました。それとともに母親は、娘を支え続けるために自分の心の安定も求めました。娘さんは三者面談の中で一言も発しなくても、母親の言葉、カウンセラーの言葉をしっかり聞いていたのです。自分を支えてくれる人たちの中で自分は何をすべきかを考え続けていたのでしょう。子どもは母親や家族に支えられ、母親や家族は社会に支えられるような循環が子どもたちの成長には不可欠だとの思いを深めたケースでした。
2017年05月20日視覚過敏とは出典 : 視覚過敏とは、視覚情報の処理に関するはたらきに偏りがあるために、光の刺激を過剰に受け取ってしまう状態のことを指します。視覚過敏のある人は、そうでない人にとっては気にならないような光に対して一見過剰に見える反応をしてしまったり、本を読むときに文字がゆがんで見え、読みにくさを感じたりします。また、人の顔がモザイク画のように見えたり、暗いところが苦手だったりすることもあります。知的機能に遅れがないのに、視覚過敏によって勉強することができず学習が遅れてしまったり、デパートを歩くだけでさまざまな視覚情報が目に入り疲れてしまったりと日常生活によくない影響を与えてしまうことも珍しくありません。そもそも視覚過敏というのは、感覚過敏の一つだと考えられています。感覚過敏は、自閉症スペクトラムやADHDをはじめとする、発達障害のある人が訴えることの多い症状です。感覚過敏は、感覚に偏りがあり、特定の刺激を過剰に受けとってしまうものです。視覚過敏の他にも、聴覚・嗅覚・触覚・味覚が過敏なこともあります。他にも、感覚が敏感ではなく、むしろ鈍感なケースも見られます。「感覚に偏りがある」といっても、すべての人が似たような偏りがあるわけではなく、一人ひとり感じ方が異なることが特徴です。視覚過敏は、視力のよさや目の異常が原因ではなく、中枢神経の異常であったり、なんらかの発達に支障があるために起こると考えられています。このように視覚過敏をはじめとする、感覚の偏りは本人の努力や慣れでどうにか克服できるものではありません。本人にとって好ましくない刺激をできるだけ遮断することや、周囲の環境を調整していくことが大切です。しかし、周囲の人が感覚過敏の人に見えている世界を理解することは難しいとされています。そのため最近ではVR技術などを用いて感覚過敏の人に見えている世界を体験できるような技術が発展してきています。以下の動画は、視覚過敏・聴覚過敏のある子どもから見るデパートを再現したものです。VRではない、パソコンやスマートフォンの画面でも体験できるものになっています。※ただし、感覚過敏のある子どもと言っても、一人ひとりの感じ方や症状は異なるため、あくまでイメージ動画としてご参考にしてください。動画のなかで、何度も蛍光灯がピカピカ光ったように見えたり、足音が気になったり、お母さんの言葉が聞き取りにくかったりしています。他にも、ピーっという音やお金を落としたときの音など、不快に感じる音も聞こえています。感じ方は症状は一人ひとり異なりますが、感覚過敏の子どもは、動画のように周囲の刺激に過剰に反応するためにパニックを起こしてしまうこともあります。視覚過敏の人にとっての日常生活出典 : 視覚過敏があると、蛍光灯がまるでディスコボールのように感じられたり、太陽の光や夜間の車のライトがまぶしすぎたりします。またそれだけではなく、視覚過敏のある子どもは、目から入ってくる情報の処理能力や一度見たものを覚えておく能力が高いとも言われています。このような能力は、美術の時間に非常にレベルの高い写生ができたり、多くの人には区別することができないような微妙な色の変化にも気づいたりと、プラスの面も少なくはありません。その一方で、視覚過敏があると、目からの情報を大量に処理してしまうことがあります。普段、ほとんどの人は目から入る情報を無意識のうちに必要な情報と不必要な情報に分けて考えています。そうしないと、頭が一度に処理できる情報量を越えてしまい、頭がパンクしてしまうからです。視覚過敏のある人は、環境によっては、まさに頭がパンクしている状態で日常生活を過ごすことになってしまいます。視覚過敏をはじめとする感覚過敏が一般的に知られるようになったのはごく最近です。そのきっかけになったのが、感覚過敏の人が自分自身が生活している世界をことばで表現し、発信するようになったことです。自らが生きている世界を自伝した第一人者であるドナ・ウィリアムズさんのメモに以下のような内容が残っていました。これは、彼女がスーパーマーケットで買い物をしているときの体験を書いたものです。雑誌売場を通ると、私の目には次々と雑誌の見出しが飛び込んできます。私の頭の中には私が理解できないほどのものすごいスピードで様々な文字が洪水のように入ってきてしまうのです。雑誌売場を離れても見出しの文字はまだ頭の中に残っています。そのため、緑色や葉っぱ状のものを見ても、それが野菜だということが理解できず、それを自分が買いたいのかどうかさえもわからなくなってしまいます。また他にも、視覚情報に敏感なため、多くの人が気づかないささいな変化に気がついたり、大きな変化があるとパニックになってしまったりすることがあります。そのため本来は楽しい場所であっても、今まで行ったことのない建物や部屋に入ることを嫌がったりすることがあります。学校生活や日常生活に慣れてくると、だんだん新たな場面に出くわすことが少なくなり、症状が軽くなったように感じられますが、運動会やクリスマスパーティーなどの特別な行事のときに再びパニックになることがあります。視覚過敏のある子どもは、一度見たものを記憶する能力が高いために、突然なにかを思い出すことがあります。いわゆるフラッシュバックと呼ばれているものです。フラッシュバックが起きると勉強をしていたはずなのにいきなり立ち上がっておもちゃを取りに行ったり、悲しいことを思い出して泣いてしまったりすることも珍しくありません。記憶する能力が高いことはすばらしいことですが、記憶にとらわれすぎて、目の前のことに集中できないと困ってしまうので、周囲がやるべきことを整理するなどの工夫が必要になります。参考書籍:熊谷高幸/著者『自閉症と感覚過敏ー特有な世界はなぜ生まれ、同支援すべきか?』(新曜社・2017)子どもが文字を読むのが難しい…視覚過敏が原因かも?出典 : 先の章では、主に生活面で困ることを紹介してきました。視覚過敏の人は生活面だけでなく、学習面でも困ることがあります。視覚過敏が原因となって、黒板の文字や教科書の文字が正しく読むことができなかったり、読むのに時間がかかり過ぎたりするからです。知的障害がないにもかかわらず、文字が読めない症状を総称してディスレクシアと呼ばれています。文字が読めないという症状は視覚過敏以外が原因となることもありますが、ここではディスレクシアを引き起こす可能性のある視覚過敏の症状を紹介します。視覚的な要因でディスレクシアが生じる場合、文章を読んでいるときに、どこを読んでいるのかが分からなくなってしまいます。視力が悪いわけではないのに、このようなことが起こるのは、文字の見え方そのものが異なるからです。一般的に、視覚過敏の子どもはゆがんだ見え方によって次のような困難を抱えています。・読む速度が遅い・効率のいい読み方ができない・文章を読んでいると、疲れて眠くなってしまう・長時間、読み続けることができない・読むことで、頭痛や吐き気が生じるでは、ゆがんだ見え方とはいったいどのような見え方なのでしょうか?視覚過敏のある人は具体的に次のような見え方で文字を読んでいると考えられています。◇洗浄現象文章を読むときに、白い部分が明るく見えすぎて黒い文字の部分を見えなくしてしまいます。たとえば、通常は区別することのできる、アルファベットの"b"と"d"が同じように見えることが起こります。◇光背現象洗浄現象と同じように、文字の周りの白い部分が原因で、読むことを難しくします。光背現象で困っていたアメリカの学校の教師は、すべての文字の周りの白い部分が燃えるような輝きをもって見えていたと話しています。◇リバー現象文章を読んでいるときに、仮に文字がダンスをしているかのように動いていたら読みにくいと思いませんか。リバー現象とは、まさにその状態です。それぞれの単語が波打つかのように動いていて、止まったかのように見えた瞬間にまた動き始めてしまいます。◇オーバーラップ現象オーバーラップ現象は言葉の通り、それぞれの文字や文が互いに重なり見えてしまう現象です。一つの文に着目し、それを読もうとすると単語と単語が重なって動いたり、文同士が交差したりして読むことが難しくなります。◇回転現象文字が上から下に動いたり、逆に下から上に動いたりと、それぞれの文字がばらばらの動きをしているように見えると言われています。場合によっては、すべての文字がまわっているように見えることもあります。◇シェイキー現象文字がゆがんで見える現象です。例えば、文字がらせん状にゆがんだり、3Dのように、浮かんで見えたりします。◇ぼやけ現象水に浸したように文字がにじんで見えたり、目が悪い状態のように文字が二重になったり、ぼやけて見えたりします。◇シーソー現象一つの文がシーソーのように上下に動いて見えます。そのため、行間隔が狭い文章を読むときには、上下の文が重なりあうように見えることもあります。◇トンネル現象文字に目をやるときに一度にわずか数文字しか判別できないような症状です。そのため、単語の途中で改行されている文章を読むことや、学校の教師が黒板の右端に達したら、左にもどって授業を進めていくような場面に遭遇すると困ってしまいます。人によっては本を読むことが、1文字しか書かれていないフラッシュカードをひたすら連続的に読んでいく作業に感じてしまうそうです。英語の動画ですが、30秒を経過したあたりから、ゆがんだ見え方が体験できるので参考にしてください。このような文字の見え方をしていると考えると、例えば学校の授業中に音読をすることになりうまく読めなかったとしても、怠けていたり、やる気がなかったりするせいだとは思わないでしょう。視覚過敏のせいで文字をうまく読むことができない人は、本人が一生懸命読もうとしているにもかかわらず、読むことができないのです。参考書籍:Helen Irlen/著者『アーレンシンドロームー「色を通して読む」光の感受性障害の理解と対応』(金子書房・2013)子どもが視覚過敏かなと思ったら出典 : 子どもの行動で気になる点があるときには、まずは行動をよく観察してみましょう。どのような状況で子どもが行動しているのか観察することで、子どもがどんな刺激に対して敏感なのかや、嫌悪感を抱いているのかを知る手がかりになります。子どもが不可思議な行動をとる背景には、なんらかの理由が隠れていると考えられます。視覚過敏の子どもにとっては、光がチカチカするのも文字が動いて見えるのも生まれながらの症状であるため、それが異常だと気づきにくいです。そのため、周囲の大人が子どもの感覚の特徴を知ることが重要になります。他にも、視覚過敏と似た症状であっても、視覚過敏ではない目の病気が背景に潜んでいることがあります。例えば、光に対して敏感になり、普段では気にならないような光を目があけられないほどまぶしく感じることがあります。このような症状は、緑内障や白内障などの目の病気あるいは、コンタクトの長期間利用やパソコンの見過ぎなどによって生じている場合があります。これらを素人が判断することは難しいため、専門家に相談するようにしましょう。視覚過敏に関する相談先としては、眼科や保健センター、子育て支援センター、児童発達支援事業所などが挙げられます。視覚過敏への対処法出典 : 視覚過敏の症状を根本治療する方法は、現状見つかっていません。しかし、工夫をすることで、子どもにとって生活しやすくなったり、文字を読むことが困難だった子どもがすらすら読めるようになるケースがあります。視覚過敏の子どもが生活していくうえで、子どもが安らぐことのできる空間を作ってあげるとよいでしょう。視覚を刺激するような光がなく、落ち着ける環境で、子どもが音楽を聞くことや、好きなことをできるような空間です。サングラスをかけることで、太陽の光などが気にならなくなることもあります。また、感覚過敏で苦しんでいる人の自伝の中で、片目ずつ別々のものを見ることで目に入ってくる情報を限定したり、逆にさらに強い刺激を自分に与えることでパニックになることを防いだりする方法が紹介されています。このような工夫は人それぞれなので、子どもに合った方法を探していくことが大切です。文字の読みにくさを解消する方法としては、色つきメガネを利用する方法と、文字の大きさなどを調整するなど手軽にできる方法があります。文字が大きくわかりやすい字体(フォント)にしたり、読みたい範囲以外を隠したり、長い文をスラッシュで区切ったりすることで文章を読みやすくできます。蛍光ペンで重要だと思われるところにだけ色を付けることで、読む情報量を調整できます。これにより、文章を読むことへの抵抗を減らせます。また、白黒のコントラストが原因で文章が読みにくい場合、紙の色を白から変えるだけで読みにくさが軽減されることもあります。参考書籍:山口真美/著者『発達障害の素顔ー脳の発達と視覚形成からのアプローチ』(講談社・2016)視覚過敏で文字が読めない人の中には、アーレン法と呼ばれる色つきメガネをかけることで、文字が読めるようになることがあります。56秒から2分05秒を見てみると、色つきメガネの有無で音読する速さに差があることが分かると思います。アーレン法では、一人ひとりにあう色つきメガネの色が異なるため、スクリーニング検査等をしたうえで、どの色がベストなのか調整していきます。アーレンシンドロームを知っていますか?|筑波大学附属学校教育局まとめ出典 : ここまで視覚過敏の人から見た世界や、視覚過敏の対処法を紹介してきました。視覚過敏の子どもを育てていると、音読がうまくできなかったり、楽しませようと思って連れて行った場所でパニックを起こしたりするかもしれません。しかし視覚過敏でいちばん大変な思いをしているのは、間違いなく視覚過敏のある子ども自身です。視覚過敏のある子どもが快適に生活していくためには、周囲が正しい理解をして、子どもが生活しやすい環境を整理したり、適切な配慮をしたりすることが大切になってきます。また、視覚過敏のある子どもは、これからずっと視覚過敏と付き合っていくことになります。日々生活していく中で、両親と子ども自身が協力しながら、その子なりの視覚過敏への対処法を見つけていけるといいのかもしれませんね。
2017年05月19日指示をうけることは「問題ない」と言われていたけど…出典 : 発達障害のある息子が就学する際、一つの指標にするように言われたのが「集団での指示が通るかどうか」でした。集団での指示が通れば、発達障害で多少の困難があっても通常級で頑張れる…。これが周囲の専門家や保護者からよく言われていた言葉でした。この点について幼稚園の先生に伺うと、いつも「問題ないですよ」「みんなと同じことがちゃんとできてます」「指示が通らないと感じたことはありません」という答えが返ってきていました。ですから私も、最後の最後まで特別支援級を選ぶか通常級を選ぶか悩み、最終的には国語と算数だけは特別支援学級で勉強することに落ち着きました。しかし、小学校に入学した途端に息子は困難に直面することになるのです。「指示が通らない」ってそういうことなのか…。息子の直面した困難ささて、小学校に入って息子が打ち明けた悩みは、「先生が一回しか指示を出してくれない」ということ、しかも、「一度に複数の指示を出されること」でした。ワーキングメモリが少ない息子は、「お道具箱から○○と××を出して、そのあとロッカーに行って△をしまって…」というような指示をされてしまうと、お道具箱から物を取り出した瞬間に次の指示を忘れてしまうのだそうです。そこでどうしたら良いのか分からず、オタオタしてしまうようでした。Upload By モビゾウ小学校での「指示」は、幼稚園の「指示」とはかなり形態が違うようです。幼稚園の先生方は、相手は幼児ですから、易しい言葉で繰り返し繰り返し指示を出してくださいます。また、息子の幼稚園は1クラス2人担任制でした。前から先生が指示を出し、後ろから先生がフォローをする形を取っていたのです。ですから、息子は「集団の指示」といえども、幼稚園では周囲から遅れることなく行動が出来ていたのだと思います。Upload By モビゾウそんな息子の心強い助っ人…それは!けれども、息子には心強い助っ人がいるのだそうです。Upload By モビゾウそれは特別支援員の先生方です。息子は特別支援学級に通級していますが、特定の科目以外は通常級で授業を受けています。小学校には特別支援学級の担任以外に、特別支援員と呼ばれるサポーターの先生方が3人配置されています。3人で順々に通常級を周り、支援級在籍の子どもたちのサポートをしてくださっています。指示を忘れてしまってオタオタする息子の横にいつも誰かしらがついていてくださるそうで、短い言葉で「まず○○を取り出そう」「次に△をしまってこよう」というように、息子の耳元で分割した指示を出してくださるそうです。これが、不安でいっぱいの息子にとってどんなに助けになっているか、想像に難くないと思います。息子の一言にハッとするUpload By モビゾウ小学校から帰宅するときに息子が言ったのです。「僕には、通訳が必要みたい」この言葉に私はハッとしたのでした…。発達障害児にとっての「支援」は、「通訳」みたいなものなのです。物の捉え方、聞こえ方、見え方、感じ方などが違う子どもたちにとって、教室内で起こるさまざまな出来事は意味の分からない外国語を聞き続けているようなものなのかもしれません。意味の分からない外国語を聞いている子どもに、「努力して理解しろ!」「集中すれば分かる!」というのは酷な話。そう考えると、「支援」という言葉の意味も違って捉えられてくるはずです。「支援」という名のちょっとした手助けは、発達障害の子どもたちにとっては「通訳」と言えるほど、大きな意味を持っているのです。
2017年05月19日LITALICO初のスマートフォンアプリが登場!発達ナビの運営会社である株式会社LITALICOより、2つのスマートフォンアプリが登場しました。ひとつは、発達上の困難さから声でのコミュニケーションが苦手なお子さん向けのコミュニケーションアプリ「えこみゅ」、もうひとつは、ことばの学びに役立つパズルゲーム「どうぶつまるカード」です。Upload By LITALICOニュースUpload By LITALICOニュースアプリの開発は、LITALICOが運営する学習教室「LITALICOジュニア」の支援実績と学術研究をベースに、LITALICOジュニアに通うお子さんたちに実際に遊んでもらいながら進められました。現在では教室での学習のサポートツールとして、ご家庭でもご利用いただいています。それぞれのアプリがどういったお子さまの困り感に役立つのか、その理由と使い方を紹介します。発語が難しくても、絵カードで気持ちを伝えられるアプリ「えこみゅ」自閉症スペクトラムをはじめとする、発達障害のあるお子さんのなかには、言葉の発達がゆっくりであったり、言葉は発せても耳で聞いた言葉が記憶に残りにくく、言葉を使って他人とコミュニケーションを取ることが難しいお子さんもいます。一方で、そういったお子さんの中も、目で見たものを理解することは得意である場合も多く、「絵カード」を使うことで、言葉のコミュニケーションを補完したり代替することが有効である場合があります。このアプリは実際にLITALICOの学習教室で使われている絵カードをいつでも、どこでも、どなたでも使えるようにアプリにしたものです。すべての絵カードには音声がついており、意思表示はもちろん、ことばの学習にもお使いいただけます。Upload By LITALICOニュースUpload By LITALICOニュースまた、身近な物を写真で撮って音声を吹き込むことで、ご家庭でも簡単にオリジナルの絵カードを作ることができます。基本となるカードのセットに加えて、ご家庭ごとに日常生活でよく使う物や行動に合わせたカードを組み合わせてお使いください。Upload By LITALICOニュースUpload By LITALICOニュースえこみゅ●iPnone By LITALICOニュース●Android By LITALICOニュースどうぶつまるカード、なぜ言葉の学びに役立つ?どう使う?そもそも言葉の発達は個人差の大きいものですが、自閉症スペクトラムをはじめとする発達障害のあるお子さんは、言葉の発達が比較的ゆっくりな場合が少なくありません。私たちが何気なく行っている読み・書き・話し…という、ことばを学ぶ土台となる「意味・音・形」の三つの結びつき関係の理解が、お子さんの発達特性上、難しいからだと考えられています。また「意味・音・形」の三項関係の理解以前にも、同じものと同じものを合わせること、例えば、犬の絵カードともう1枚の犬の絵カードを重ね合わせる「マッチング」が苦手な場合もあります。スマホアプリ「どうぶつまるカード」では、同じもの同士をぶつけるマッチングから始まり、意味、呼び方(音)、文字(形)のそれぞれ結びつきの関係をゲームをクリアしていきながら楽しく学ぶことが出来ます。※以下のモデル画像は英語となっておりますが、アプリは日本語を含めた多言語に対応しており、日本語で安心してお使いいただけます。Upload By LITALICOニュースUpload By LITALICOニュースUpload By LITALICOニュースUpload By LITALICOニュースUpload By LITALICOニュースUpload By LITALICOニュースどうぶつまるカード●iPnone By LITALICOニュース●Android By LITALICOニュースLITALICOがスマホアプリをつくる理由これまでLITALICOでは、学習教室「LITALICOジュニア」を中心に、発達が気になるお子さんに向けて一人ひとりに合わせた教育・支援を行ってきました。しかし、子供の発達を支援する教育業界全体を見渡してみると、困難を抱えているご家庭の数に対して、専門的な支援技術を持った人材やサービスが大きく不足しているのが現状であると考えています。そこで、LITALICOのノウハウをITサービスにすることで、これまで学校や事業所での専門的な支援を受けられなかった子どもたちにも発達障害の特性に合った学習機会を提供出来るのではないかと考え、スマートフォンアプリの提供を開始しました。「社会課題を技術で解決する」ことを目指し、今後も発達障害のあるお子さんやご家庭を応援する様々なアプリをリリースしていく予定です。「えこみゅ」と「どうぶつまるカード」、ぜひご家庭で使ってみてくださいね!えこみゅどうぶつまるカード
2017年05月18日見ている方も、手に汗握る…!Upload By 荒木まち子Upload By 荒木まち子またもや算数!?つまづきのビッグウェーブがやってきた!発達障害で握力が弱く手先が不器用な娘。小二の時は“定規うまく使えない問題”を自分に合った文具で何とか克服したのですが、1年後、また新たな壁にぶつかります。そう、それは“コンパス回せない問題”です。娘がコンパスを使って円を描こうとすると線が途切れ途切れになってしまったり、針がずれてしまったり。力を入れ過ぎてしまい、針と鉛筆の間がどんどん広くなって綺麗な円が書けなかったり、苦戦している様子でした。なぜ上手くコンパスが使えない?原因と対策を考えるUpload By 荒木まち子私達母娘は上手く描けない原因と対策を考えました。コンパスで円を描くには針を刺し続ける(下に押す)小さなつまみを回転させるえんぴつを下に押し付けるという三つの動作を同時にしなければなりません。違う動作を同時に行う事が苦手な娘にはこれがとても難しいようです。救いの手を差し伸べてくれたのはそんなある日、娘に学習指導をしていた個別支援教室の先生が、煮詰まっていた私達にある文具をすすめて下さいました。それがコチラ!Upload By 荒木まち子ソニック スーパーコンパス くるんパス 鉛筆用この「くるんパス」最大の特長は、円を書くときにつまむ部分に「くるんキャップ」という大きめのキャップがついていること。このくるんキャップを、つまむのではなく握って円を描きます。指先の力が弱くコンパスをつまむ部分をつまんで上手く円が描けない娘でも、グーで握るのなら力が入りやすく一発でスムーズに円を描くことができました。またこの「くるんキャップ」は取り外すことも出来るため、成長に応じて外すことでごく普通のコンパスとしても使うことが出来ます。壊しちゃったけど…結果オーライ!くるんパスを使い始めてから数か月程すると、娘もくるんキャップを外して使い始めました。くるんキャップでコンパスを回すコツをつかめたことで、くるんキャップ無しでも上手に円が描けるようになったようです。しかし娘がくるんキャップを外した理由が…私「くるんキャップなしでもコンパスで円を描けるようになったから、キャップを外したの?」娘「ううん、くるんパスを落としたらくるんキャップが割れちゃったの。でもくるんキャップでコンパスのコツが掴めてたみたいで、くるんキャップ無しでも円が描けるようになってたの。」そう、ぶきっちょさんはすぐに物を壊すのです。でもコンパスは使いこなせるようになっていたので、今回は良しとしましょう!Upload By 荒木まち子
2017年05月18日晴れて2人きょうだい!娘の成長を振り返ると…私には、広汎性発達障害の6歳の娘と、7ヶ月になる息子がいます。娘が5歳の時、息子を妊娠しました。結婚当初、「子どもは2人欲しい」と思っていた私。しかし、娘が2歳半で発育遅れを指摘され…。「しばらくは娘の療育に集中しよう」と決めました。その後、娘が4歳の時に『広汎性発達障害』と診断されました。療育を続けておかげで、娘の問題は少しずつ落ち着いていき…。そんな時、私の妊娠がわかりました。Upload By SAKURAオメデタは嬉しい。だけど…2人目の妊娠を知った時は、家族が増えることが本当に嬉しくて、浮かれていました。しかし、下の子は妊娠期特有のトラブルも結構多かったのです。具体的には、妊娠初期に出血を繰り返して入院したり…妊娠後期に『赤ちゃんが大きい』と言われたりしました。一児を育てる母であっても、子どもにはそれぞれ悩むものです。段々と「この子にも障害があったら…」と不安に思う日が増えてきました。Upload By SAKURA成長した娘の姿は私の心を映す鏡でした不安を感じていた時、娘を見て、私は自分に問いかけました。この子が広汎性発達障害で『ダメ』だった…?答えは『NO』です。私は、娘が我が子で、本当に良かったと思っています。とても可愛くて…優しくて、面白くて。もちろん、大変なこともたくさんありました。しかし、それ以上に娘に教えられたことが多いのです。Upload By SAKURA娘はきっと…私たち夫婦を選んで、ここに来てくれたと私は思っています。だから…きっとお腹の子も、私たちを選んでくれた。何があっても、愛おしい我が子には変わりない。不安はなかなか消えるものじゃないけれど、『生まれた子を愛する』という結論は変わらない。そう思って妊娠中過ごしてきました。Upload By SAKURAゼロではない親の不安…。でもそれ以上に育っている想いもありますそして、無事元気に産まれた息子。今も正直、時々不安を感じることもあります。でもその時は、自分に問いかけます。「もし障害があったら…?どうするの?」と。障害があったとしても、育てる。愛する。そこは変わらないのです。だから不安に思う必要はないと…。この先何があるかは誰にもわかりませんが、私たち夫婦を選んでくれた2人を、大切にしていこうと思っています。2人とも、生まれてきてくれてありがとう。Upload By SAKURA
2017年05月17日Twitterから火がついたADHDのマンガ家レトロな画風で、ちょっぴり泣ける1ページマンガをTwitterで発表していくうちに人気に火がついたマンガ家、史群アル仙(しむれ・あるせん)さん。彼女は、その作風や自画像からは意外な印象も受ける20代の女性作家で、ADHDと不安障害の症状も抱えているとのことです。そんな彼女の自身の不安障害と、統合失調症との"誤診"による体調悪化、入院、そしてADHDの診断に至るまでといった紆余曲折の苦悩の日々を綴ったマンガ、『史群アル仙のメンタルチップス~不安障害とADHDの歩き方~』が、秋田書店より発売となりました。『史群アル仙のメンタルチップス』中身を一部ご紹介!Upload By 発達ナビ編集部学校を卒業後に引きこもり状態となった作者。その状態を抜け出して一人暮らしをはじめ、アルバイトも順調だったものの突然調子を崩し、初めて精神科にかかることとなりました。この後も幾度となく、調子のアップダウンを繰り返してしまいます。Upload By 発達ナビ編集部誤診と処方薬の乱用であいまいになる作者。作者は自ら「ゴミクズ時代」と表現しています。Upload By 発達ナビ編集部底つきを迎え精神病院に入院することになった作者を支えたのは、後書きにも登場するイラスト教室の恩師でした。Upload By 発達ナビ編集部イラスト教室での挙動不審な様子に対し、恩師からの一言。この一言が作者の運命を変えるきっかけとなります。Upload By 発達ナビ編集部作者につきまとっていた生きづらさの正体が姿を現わした瞬間です。Upload By 発達ナビ編集部ADHDという診断を受けた作者のこれから本のタイトルには「tips(チップス)」「歩き方」とありますが、この本では大人になってからの診断に至るまでの、学生時代のいじめ、引きこもり、誤診、二次障害、自殺未遂、入院…といった波乱万丈な日々を中心に綴られており、作者がようやく未来に向かって歩きだしたばかりのところでお話は終わります。診断を受けた作者は、「診断を受けても何か変わるワケではない」「診断は免罪符にはならない」とは綴っています。しかし診断を受けたことは作者にとって自分を知っていくきっかけとなり、以前より前向きに行動を起こすようになったようです。「前向きにとりくんでいると不思議と特技なんかも見つかったりします」「もちろんすぐにはうまくいきませんでも諦めなければ何かがおきます」傷つき、模索し、自暴自棄にもなる日々の中で、作者がようやく出会ったのはADHDの診断と、希望。渾身の力を振り絞り、自らの半生を綴った、とても熱量のある作品です。史群アル仙のメンタルチップス ~不安障害とADHDの歩き方~
2017年05月17日聴覚過敏の息子の「魔法の呪文」出典 : 先日、人混みに酔ってしまう凸凹姉弟を連れて、平日に休みを取ってテーマパークへ遊びに行ってきました。私たちの他には数組の観光客がいるだけでしたので、子どもたちの緊張度合いも軽く、ゆっくりと楽しめていたように思います。ところが、マイナス20℃の世界を体験できるというブースに入った時のことです。予想に反し、お化け屋敷のような造りになっていたため、息子は怖がって私の手を握り前に進めなくなってしまいました。早く脱出しようと、息子を抱っこして足早に出口に差し掛かったところで、「バーン!」という大きな音とともに冷風が吹きつけられてきました。その瞬間、聴覚過敏の息子はパニックに陥りました。私の胸にしがみついたまま目をつぶって大粒の涙を流し「怖い!怖い!」と泣き喚き、誰の声も届かない状態になってしまったのです。息子を抱いたまま慌ててその場を離れ、花壇の側に腰を下ろして、息子の顔をそっと両手で挟んでこちらを向かせます。私「大丈夫、大丈夫!ママはここにいるからね。とりあえず、あの呪文を言ってみるよ!せーの!」二人「「ああ、ホッとした!」」まだ小さい頃、しょっちゅうパニックに陥っていた息子と二人で決めた魔法の呪文、それが「ああ、ホッとした!」です。ママと目を合わせてこの呪文を唱えたら、心が落ち着くからね。パニックを終わらせられるからね。そうやって、何年も一緒に唱えてきた呪文のおかげで、息子は今回もあっさりとパニックから抜け出すことができました。次の瞬間にはもう花壇を眺めながら「きれいねぇ」「ママはこの色のお花が好きそうだね」とのんびりとお話しています。確かにあの大きな音には私も驚いたけれど、息子にとっては考えられないほどの衝撃があったんだな。そう考えつつも、こんなにあっさりと抜け出せるなら、さっきの大泣きは何の意味があったんだろう?そんな疑問もわいてきました。一体、どうして息子はパニックに陥ってしまうのでしょうか?パニックに陥ることで、息子に何かメリットがあるのでしょうか?パニックの時、息子の中で何が起こっている?出典 : そんなことを考えながら息子の手を引いて歩いているうちに、とあるテレビ番組を思い出しました。臆病な芸人さんたちをわざとビックリさせて、彼らが驚くようすを見て楽しむという番組です。テレビは作られた世界なのでやらせや演技だという意見もあるそうです。しかしわが子たちも、驚いた時や恐怖を感じた時は固まって動けなくなったり、飛び上って尻もちをついたりしています。それを思うと、番組での芸人さんの反応は、あながち演技ではないと感じたりもします。さて、その番組の中で、ある芸人さんがパニックを脱するために必要なことを「怖いという気持ちを抜く」と表現していました。そして今回、息子がパニックから抜け出すまでの過程を見て、息子も怖いという気持ちを抜くために、パニック状態に陥ってるのかしれないなと思うようになりました。感覚過敏の息子には、突然降りかかってきた大音量は恐怖以外のなにものでもなかったのだと思います。私たちが「わぁ!ビックリしたなぁ!」と笑えるほどの音であっても、息子は何百倍、何千倍という強烈な感覚で受けて止めているのでしょう。そして、全身を襲う恐怖の感情をなんとか体から追いだそうと、大声で泣き叫んだり、逆に何も感じないように固まったりして、「怖いという気持ちを身体から抜く」作業を行っているのかもしれない。そう思うと、少し息子を理解できたような気がしたのです。だから、私と「ああ、ホッとした」という呪文を唱えることで、「怖いという気持ちを身体から抜く」という作業は完了し、いつもの息子に戻れたのではないでしょうか。今まで息子がパニックに陥るたびに、私は一刻も早くパニック状態から抜け出させてあげることだけを考えていました。周囲への配慮もありますが、なによりも息子が一番辛そうだったからです。しかし、パニックに陥るのにも意味があるとわかったことで、「どうしようもないほど怖かったんだね」と共感し、「怖い気持ちは追いだせた?」と声をかけることができるようになりました。息子が感じる恐怖がどれぐらいのものなのか、他人である私には本当の意味で理解することはできません。ですが、寄り添ってくれる人がいるということだけでも、安心して過ごせる材料になるかもしれないと思っています。保護者として私たちにできること出典 : 発達障害を抱えるお子さまの中には、パニックを起こしてしまう人も多くいらっしゃると思います。それを支えるご家族の方も本当に大変です。でも、次にお子さまがパニックを起こした時には、「今、恐怖を追いだそうと戦ってるんだな」「行き場のない感情を処理しようとしているんだな」と少し視点を変えて見守ってみるのはいかがでしょうか?パニックの内容を言語化してあげることで、お子さま自身も、なぜ自分がパニックに陥ってしまうのかがわかり、別の対処法が見えてくるかも知れません。残念ながら、些細なことに恐怖を感じたり、上手く体を動かせなかったりすることで、からかいやイジメのきっかけになるようなこともあります。今の私たちにできることは、苦手な刺激から子どもたちを守り、対処方法を一緒に探ること。そして、「自分を大切にしてくれない人からは全力で逃げなさい」と教えてあげることぐらいなのかも知れませんね。
2017年05月17日人口の9割が「定型発達症候群」!?NHKが発達障害プロジェクトをスタート「およそ20年前に、アメリカの研究所が残した報告から、全人口の9割以上がある深刻な症状にあることが判明しました。」Upload By 発達ナビニュースとあるニュース番組で、キャスターが紹介した「衝撃のレポート」以下のチェック項目に一つでも当てはまったら、人間関係に深刻な問題を引き起こしかねない、「定型発達症候群」の可能性があるというのです。・暇な時はなるべく誰かと一緒に過ごしたい・集団の和を乱す人を許せない・社会の慣習にはまず従うべきだ・はっきりと本音を言うことが苦手・必要なら平気でウソをつけるUpload By 発達ナビニュース…実はこれは、NHKが制作した架空のニュース動画なんです。NHKが2017年5月から1年をかけて展開する、「発達障害プロジェクト」のページ上で公開されています。Upload By 発達ナビニュース「発達障害プロジェクト」「定型発達症候群」という言葉にびっくりした人もいるかもしれませんが、これは、医学上の病名でも、公式に定められた障害の名前でもありません。1998年、発達障害のひとつASD(自閉スペクトラム症)と診断された海外の一般女性が、ASDに関するさまざまな報道への皮肉の意味で「創作」した言葉が発端であると言われています(諸説あり)。「定型発達」とは、発達障害と対比して、心身の発達が「定型(平均的)」という意味で、「発達障害ではない人」をさす言葉として用いられます。つまり「定型発達症候群」とは、発達障害の人から、いわゆる「普通の人」を見た視点です。でも、「普通」ってそもそもなんでしょうか?全人口の大半の人が定型的(平均的)に感じているから「フツウ」?それじゃあ、違った感じ方をしている人は「フツウ」ではないの?そんな問題提起の意味も込めて、冒頭の架空のニュース動画はつくられました。NHKの発達障害プロジェクトでは、これまで当たり前に考えられてきた「普通」の概念にとらわれず、発達障害のある人々の感じ方・考え方を様々な角度から紹介していくことで、発達障害のあるなしに関わらず、一人ひとりの多様な感じ方や生き方への理解の促進をめざしていきます。NHKスペシャル、あさイチ、ハートネットTVをはじめ、番組横断で、継続的に発達障害を取り上げていくことが今回のプロジェクトの特徴です。知ってるようで知らない発達障害のこと、みんなの投稿で“トリセツ”をつくろうUpload By 発達ナビニュース生まれつきの脳機能の発達のアンバランスさ・凸凹(でこぼこ)によって、社会生活に困難が発生する発達障害。「なんとなくは知っているけど、結局どういうことかわからない」「漠然としたイメージはあるけど、何に困っているのかわからない」という方も少なくないのではないでしょうか。プロジェクトページでは、「この際、はっきり知っておきませんか?」という呼びかけと共に、発達障害の定義や特徴、困りごとなどが、イラスト付きでわかりやすく紹介されています。コンテンツ監修は、LITALICO発達ナビの監修も務める、鳥取大学大学院の井上雅彦教授です。また、「みんなで作る発達障害の“トリセツ”」と題したコーナーでは、日常生活の様々な場面での困りごとや対応策を、発達障害の当事者やその家族、学校や職場などの周囲の人々の投稿を通して集め、公開していく企画もスタート。「生活・暮らし」「対人関係」「学校・職場」と、大きく3つのカテゴリーの中で、様々なテーマに対するみなさんの投稿を募集しています。サイトオープン時の2017年5月16日現在では、事前に集めた投稿の中から「聴覚過敏」に関するエピソードを18件公開しています。以下のリンクの投稿フォームから、それぞれのテーマに対する体験談を随時投稿することができます。Upload By 発達ナビニュースみんなで作る発達障害の"トリセツ"投稿フォーム5/21(日)21:00から「NHKスペシャル」で生放送特集!Upload By 発達ナビニューススペシャル, 「発達障害 ~解明される未知の世界~ (仮)」ウェブ上のプロジェクトページと連動して、NHKの様々な番組で、継続的・多角的に発達障害について取り上げていくのが、今回のプロジェクトの特徴。テレビ特集の第1弾は、NHKスペシャル「発達障害 ~解明される未知の世界~ (仮)」。初回放送は、2017年5月21日(日) 午後9時00分~9時59分です。これまで、主に社会性やコミュニケーションに問題がある障害として知られてきた発達障害ですが、最新の脳科学研究や当事者への聞き取りにより、生まれつき、独特の「世界の見え方・聞こえ方」をしているケースが多いことがわかってきました。多くの人にとっては何でもない日常空間が、耐えられないほどまぶしく見えたり、小さな物音が大音量に聞こえてパニックになったり…NHKスペシャルでは、こうした発達障害当事者の方々の独特の感覚・認知や、それによって生じる生きづらさを映像を通して再現し、「目に見えにくい」障害の実態を伝えることに挑戦します。番組中では、大阪大学と東京大学が共同研究・開発した「自閉症知覚シミュレータ」も登場。発達ナビでは、当事者やご家族の方をお招きしての体験会兼取材・撮影に協力しました。今回のNHKスペシャルの最大の特徴は、生放送・リアルタイムで視聴者からのコメントを紹介しながら展開していくこと。たとえ同じ診断名でも、一人一人の特性や感じ方は、本当に様々です。十把一絡げに「発達障害」をまとめてしまうのではなく、一人一人の多様な暮らしぶりや思いを紹介していくことこそが、発達障害への理解・関心を広げていく上で大切だという趣旨からの企画だそうです。ご自分の経験について伝えたい思いやご経験、発達障害に対する疑問や悩みがある方は、ぜひ以下のメールフォームからご投稿ください。スペシャル, 発達障害特集メール投稿フォームUpload By 発達ナビニュース 「発達障害プロジェクト」また、NHKスペシャルの生放送終了直後から、「発達障害プロジェクト」ページ上でライブストリーミングが始まり、番組のアフタートークが催されるようです。ここでは、生放送中に紹介し切れなかった視聴者からの投稿を追加で紹介していくとのこと。あなたの投稿も紹介されるかも…!?発達ナビTwitterでNHKスペシャル&アフタートークを実況中継!発達ナビ編集部では、5/21(日)21:00からのNHKスペシャル及びアフタートークを実況中継予定!Twitterをご利用の方は、ハッシュタグ #NHKスペシャル #発達障害 でぜひ感想をご投稿ください。番組前の予習に、発達ナビの関連記事はこちら!プレスルーム: 5月21日(日)放送 NHKスペシャル「発達障害~解明される未知の世界~」の制作にLITALICOが協力しました。
2017年05月17日旅行があったのに、バイト代をつかい込んでしまった息子…Upload By かなしろにゃんこ。8月の猛暑の中、息子は「自宅から80キロ離れた海のキャンプ場まで友だちと数人で自転車で出掛ける」という約束をしてきました。出かける日が近くなってから、念のため所持金はいくらかとたずねると、なんとバイト代の残りは1万円だけというのです。Upload By かなしろにゃんこ。2泊3日のキャンプ代や食事代などの費用が1万円では足りなくなるから電車で行ったほうがいいよ!と促したのですが、電車代がかかるから自転車で行くのだし、この旅は自転車を楽しむための旅だといってききません。言い出したらきかない特性も理解していましたし、これも社会勉強だと思い、好きに行かせることにしました。真夜中のキャンプ場から、案の定SOSの電話Upload By かなしろにゃんこ。楽しそうに仕度をして元気よく出掛けた息子でしたが、案の定、道に迷ったり体力が尽きてきたりしてキャンプ場に着いたのは夜中。日中は猛暑で汗だくになり水分補給に所持金をほとんどドリンク代に遣ってしまったと電話がありました。お金を貸してください、あさイチで口座に振り込んでください!という相談の連絡でした。お金足りるわけないっしょ!こうなることは分かっていたので私はニヤリ☆息子にとって、この旅はいい経験になるかもしれない!と思いました。「可愛い子には旅をさせよ」とはよく言ったものです。友達と過ごしたかけがえのない夏の日。少しだけ大人になったかな~。電車で行ったほうが費用はかからなかったのですが、道に迷いながら雨に打たれたりして友だちと励ましながら目的地に着くという経験ができました。自転車の旅を選んで正解だったと感じました。予定外のハプニングの攻略やハプニングを楽しむ心の余裕も生まれたのではないかと思いました。母の願い通り、道に迷ったことも、蒸し暑い湿気の多いテントで眠ることも、トイレに虫がいっぱいだったことも、友だちと経験することで新鮮に受け入れていたようでした。Upload By かなしろにゃんこ。帰ってきてから「不自由なことが楽しかった」と息子は言います、少し大人になった感じがありました。ただ、替えの靴下を持っていかなかったため、雨で濡れた靴下をくり返し履くことになったことだけが辛かったそうな。「靴下を買うという思考にはならなかったの?」と聞くと「そうか!そういうこともできたね!」と気が付いたようでした(笑)「我慢するくらいなら靴下なんとかしよう!」とまでは考えられないところがまだちょっと幼いかな。
2017年05月16日アスピーガールの心と体を守る性のルールUpload By 発達ナビ編集部自分に自信がなくて相手に合わせるけれど、とても疲れる…「付き合っているのだから」と、相手の言うことをなんでも聞いてしまい、心も体も傷ついてしまう…友人関係を築くのも苦手だから、恋愛や性に関する情報源も少なくなりがち…そんな、アスペルガー症候群傾向の思春期女子が陥りがちな恋愛や性のトラブルから、自分たちの心と身体を守り、パートナーとより良い関係を育んでいくための書籍、『アスピーガールの心と体を守る性のルール』が東洋館出版社より発売されました。この本の著者は、自身も29歳でアスペルガー症候群と診断を受けた当事者であり、現在は自閉症の研究に従事する女性、デビ・ブラウン氏。「親愛なる妹たちへ」と呼びかけながら、主に著者よりも若い思春期の女の子たちに向けて本を書かれています。書名に「性のルール」と銘打たれている通り、本の後半ではアスペルガー女子にとって情報が得にくい性の情報や自衛についてのことが中心に書かれていますが、前半には、そもそも自衛が必要な危険な状況をつくりだす元となる、アスペルガー女性に特有の「生きづらさ」とその対処法についての情報にページが費やされています。その結果、アスペルガーとしては未診断でも、自分の感情や人間関係、ノーと言うのが苦手など、何かしらの生きづらさを抱える若い女の子にとって参考になる内容となっています。男の子のアスペルガーと、どう違う?出典 : アスペルガー症候群の特徴としては、「あいまいなコミュニケーションが苦手」「相手の気持ちを理解するのが苦手」などがよく挙げられ、他人からはマイペースな印象を持たれがちだと言われています。しかし本書によると、アスペルガー女子(本書では親しみを込めて"アスピーガール"と呼ばれます)は「人に嫌われたくないという気持ちから、本当の姿を隠し、壁を作ってしまう」「(他人に)ノーと伝えるのが苦手な人が多い」「完璧を目指しすぎることで、ストレスや不安を感じ、必要のないプレッシャーに襲われてしまう」などと、むしろ過剰なまでに他人に気を遣ってしまい、その結果しんどくなってしまうような、傷つきやすく繊細な特性を持っているのだということです。本書では、そんな彼女たちが、恋愛と性の問題にどのように対処していけば良いかの指針を示しています。あえて性をテーマの中心においた理由出典 : 生きづらさを抱えやすいアスピーガールにとって、日々の困りごとは多岐に渡ります。そのたくさんの困りごとの中でも、なぜ本書では、性をメインのテーマに置いたのかを考えてみました。つまるところ、アスペルガー女子は、良くも悪くも常識にとらわれないからこそ、危険な目に遭うリスクも多いといえるからではないでしょうか。心や体が傷つけられると時には取り返しのつかないことになりうるからこそ、筆者はアスピーガールの先輩として、本書を執筆したのだと思います。・自分を好きになるための7つのルール・悩みを聞いて支えてくれる「サポーター」の見つけ方・自分と相手との境界線を持ち「ノー」と伝えることの大切さ…などなど、アスピーガールたちが、自分の心と体を守りながら周囲の人やパートナーと関わっていくためのヒントが、本書には満載です。生きづらさを抱えるアスピーガール本人だけでなく、親御さんや先生方など、アスピーガールに関わる大人の方々にも読んで頂きたい本です。アスピーガールの心と体を守る性のルール
2017年05月16日「聴覚過敏」で辛い思いをしてきた長男出典 : 聴覚過敏のある長男は、小さい頃から色々な「音」に敏感でした。掃除機の音をひどく怖がったり、ハンドドライヤーの音が怖くて外出先のお手洗いに行けなかったり、赤ちゃんの泣き声が苦痛で赤ちゃんそのものが怖くなってしまったり…。今でも生活するのがとても大変そうです。また、大きい音だけに限らずザワザワした空間も苦手です。ザワザワで不安が強くなると更に過敏が強くなって、音の洪水に飲み込まれそうになり耳を塞いで逃げ出してしまうことがしょっちゅうでした。そんな長男のお守りアイテム「イヤーマフ」Upload By OKASURFER長男は「音」から逃れるためにしょっちゅう両手で耳を塞いでいました。それでは両手が使えずに危険だと思った私はなんとか耳を手で塞がずに済む手段がないかと手に入れたのが「イヤーマフ」です。イヤーマフとは大きな音を遮断したりノイズキャンセリングするアイテムで、見た目は「ヘッドフォンのコード無し」みたいなものです。身近な通販サイトなどでも販売しており、ヘリコプターの操縦士やスナイパーになるつもりでもない限り、1000円程度で買えるお手頃なものも多いです。我が家が購入したのも「使わなかったら勿体ないから」という理由で一番安い1000円弱のもの。それでもこのイヤーマフは、今や長男の大切なお守りになっています。集団生活に雑音はつきものだから出典 : 保育園など集団生活を行うときには教室にイヤーマフを置かせていただいていました。はじめて見るイヤーマフに「これ何?」「音楽が聞こえるの?」「僕にも貸して」とイヤーマフに興味を示すクラスのお友だち。そんなとき先生は「Aくんは大きな音が苦手だから、これで耳をふさぐんだよ。大切なものだから勝手に使わないようにね。」「じゃあAくんがびっくりしないために、みんなはどんな大きさの声で話すといいのかな?」などと、長男の聴覚過敏についてわかりやすくお友だちに伝えてくださっていました。そして何ヶ月も経たないうちに、長男が辛そうな時には、クラスのお友だちが長男のもとへ率先してイヤーマフを持ってきてくれる姿も見られ、子どもたちの素直で純粋な優しさにとても感動したものです。しかし一歩街中に出ると向けられる冷たい視線...出典 : とはいえ、日々の生活の中でいつでもどこでも「これは音が苦手だから付けているんです」と説明できるわけではなく。パッと見た目は大人用のヘッドフォンと変わらないため、装着するとどことなく漂う「NO MUSIC, NO LIFE」感。出かけ先や電車の中でイヤーマフをしていると「なぜ子どものくせにヘッドフォンをしているんだ?」「変なイキがった格好をさせて」「なんか変な子なのか?」「変な親なのか?」と、上から下まで2往復ほど舐めるように見られることが多いのです。ときには半笑いで、ときには汚い物を見るような目で。卑下するような目線を感じる時は、この視線を子どもが受け取ってはいないだろうかととっても辛い気持ちになります。ナチュラルにイヤーマフを着こなすために!母が取った苦肉の策周りからの視線なんて気にしなければいいのかもしれませんが、あいにくガラスのメンタルしか持ち合わせていない私。嫌〜な視線に耐えかねて、なんとかこのイヤーマフを街中でナチュラルに装着できないものかと考えました。そしてイヤーマフの「ヘッドフォン感」を逆手に取った作戦がこちらUpload By OKASURFER「NO MUSIC, NO LIFE」そして「Apple」のシールを貼ることで渾身の「リア充イヤーマフ」を作り上げ、長男に提案しました。これならば、相変わらず変な子、そして変な親とは思われるかもしれないけれど、「そういうファッションですけど何か」というバリアを張ることができるはず!……が、息子は2秒でステッカーを剥がしました(爆)そうでした。トンカツにソースがかかっていると拒否し、ごはんと納豆は別に食べたいタイプの長男。大切なイヤーマフをプレーンなままで使いたいのは当然のことでした。知ってほしい「イヤーマフ」のこと出典 : 「イヤーマフを街に溶け込ませるリア充作戦」に失敗した私はもう一つのことを考えました。【街中の人にイヤーマフのことを知ってもらう作戦】です。と言っても何か大きなプロジェクトを行えるような超能力は、私のような一介の主婦には無いので、私が今できる唯一の周知方法「発達ナビのコラムに書く」という作戦に出たわけです。ここまで読んでくださったのも何かの縁、もし今後街中で紐無しヘッドフォンを付けている人を見かけたら「おっ、あれか!」と温かい目で見守っていただければ…そんな気持ちでこの記事を書いています。足が不自由な方の車椅子、目が不自由な方の白状のように、「耳が聞こえすぎて困っている人のイヤーマフ」をもっと知ってほしい。そして、イヤーマフのことを知らない周りの方にもそっと伝えてほしい。そんな風に思います。「知らない」「得体が知れない」からこそ嫌な物を見る視線を向けてしまうのだと思います。逆に言えば、知っている人が増えればもっともっと温かい視線が街にあふれるのではないでしょうか。さて、街中で「リア充式ではないプレーンなイヤーマフ」を付けている子どもがいたら、それはうちの子かもしれません。見かけたらぜひ「おっ、あれか!」と、このコラムのことを(ついでに私のつまらない苦労話も)思い出してニヤっとしていただけると嬉しいです。
2017年05月16日民間の発達障害支援施設はどう選べばいいの?専門家に聞きました。発達に凸凹がある子どもの保護者にとって「どんな民間の支援サービスや学習塾を選んだらよいか」は頭を悩ませるテーマのひとつ。長年、特別支援教育の第一人者として活動を行ってきた大南英明先生に、民間の発達障害支援サービスの種類や選ぶ際に気をつけるべきこと、早期療育の意義などをお伺いしました。Upload By 福井万里【プロフィール】大南 英明全国特別支援教育推進連盟理事長1937年生まれ。公立小・中学校教諭、養護学校教諭を経て、東京都教育委員会指導主事に就任。文部省初等中等教育局特殊教育課教科調査官、東京都教育庁指導部心身障害教育指導課長、都立青鳥養護学校長を経て、98年帝京大学文学部教育学科教授に就任。2003年4月から帝京大学文学部教育学科長を兼任。2005年帝京大学小学校初代校長。2008年帝京大を定年退任、放送大学客員教授。人権擁護推進審議会委員。民間の発達障害支援サービスにはどんな種類が?一般の学習塾も有力な選択肢出典 : ー民間による発達障害支援サービスはどんな種類があるのですか。発達障害支援をする民間サービスというと、大きく分けて、2つの大きな流れがあろうかと思います。・発達障害児への支援を専門として受け入れる療育施設・発達障害児の受け入れをうたっていない一般向け学習塾前者の発達障害児向け専門の事業者は、バックに大学などの専門機関がある場合もあり、担当の指導員だけでは難しい場面には心理の専門家に相談できる仕組みなど、システムや組織が非常にうまくできている傾向があります。例えば、東京未来大学がバックにある三幸学園や、社内に研究所があり専門家の監修体制も敷いているLITALICOジュニア、武蔵野東学園(自閉症児の積極的受け入れを実施)と提携してカリキュラムを作った四谷学院には、発達障害のある子どもに合った専門的なカリキュラムやプログラムがあります。見落としがちなのは、後者である、看板に発達障害児の受け入れを銘打っていない学習塾です。ーそれは盲点ですね。実際、こうした学習塾の中には、30年以上前から現場レベルでさまざまな障害のある子どもの受け入れに取り組んできている施設もあるのです。 そういう施設は、最初は知的障害への支援が主でしたが、近年は発達障害への対応力も高めてきており、私自身どう指導していけばよいか相談にのってきました。独自のノウハウを学習塾ごとにためていっており、コマーシャルやプログラムなどには「発達障害」という言葉はでてこなくとも、今読めば発達障害のある子どもの学びをも想定しているとわかる内容になっています。ーどんなカリキュラムで学習塾が受け入れをしているのですか。障害児と障害のない子どもの内容を分けずに、同じプログラムでステップを細かくして指導しています。今もおそらく障害児を受け入れているとは言っていないけれど、受け入れている学習塾はあると思われます。そういうところは、口コミで広がっているのではないでしょうか。具体例としては、自学でのプリント学習を中心とする学習塾では、実質的には障害児の受け入れをしてきたと思います。療育用のプログラムで指導する民間サービスと、同じプログラムで障害がある子を受け入れる学習塾、この2つの種類の存在が頭にあるといいですね。ー他の種類はあるのでしょうか。最近は中間型も存在します。個人指導や個別指導をしている学習塾で、看板に小さく「学習障害やADHDなどの発達障害のある子どもも受け入れます」などと書いてある事業者です。本当に適切な指導ができるかは確認が必要ですが、わざわざ電車に乗って遠くに行かなくても、身近なところでそういう塾を利用するのも1つの方法だと思います。外からは見えにくい療育施設の質、市町村の無料相談で専門家の積極的活用を出典 : ー発達障害児の受け入れを明記していない学習塾でも、自分の子どもに合うプログラムであれば魅力的な選択肢になると思います。ですが、明示的な情報なしに、わが子に合った学習塾を探すのは難しそうです。障害のある子の親の集まりなどら得られる口コミが参考になります。そういう集まりに参加すると「あそこにいくと、子どもにあったプログラムで良かった」などの声をきけると思います。もうひとつは、自分で判断しないで専門家に相談して確認するといった手もあります。インターネットでも自分で様々な情報を集めることが出来ますが、即断せず、第三者の意見を参考にすることが大切です。ー相談できない専門家が身近にいない場合は、どうしたらよいでしょう。そういうときは、各市町村で実施している発達相談窓口の無料相談がよいと思います。相談する側には臨床心理士などの専門家が担当しているケースが多いです。公の機関なので、特定の施設の相談はできないかと思いますが、「こういう内容のプログラムの学習支援塾を探したのだけど、わが子の特性にあっているか?」などの聞き方は大丈夫です。子どもが3歳ぐらいの小さい時期からでも、相談にのってもらえます。無料で利用できる市区町村の相談機関は、大いに活用するとよいのではないでしょうか。ーなるほど、それは参考になりますね。発達障害のある子どもを受け入れてくれるかどうかも重要ですが、それ以上に気になるのは、実際の指導の質です。民間業者の質はどのようなところから決まってくるのでしょうか。民間事業者の質といった意味では、人、つまりよい指導者がいるかどうかに左右されます。良い指導者が多いところは、その施設の実績として結果がでているはずです。Upload By 福井万里ーよい指導者を探すには、どうしたらよいとお考えですか。一番は、さきほどお話した、お母さん同士の口コミだと思います。コマーシャルだけでは、推し量れない部分です。また、公の機関にも相談してみるといいでしょう。子どもに向くか向かないかは別の問題ですが、悪い情報がはいっているケースなどは、公の機関は意外に情報を持っているので、聞いてみるといいと思います。ただ、その子どもに合わなかった特定のケースの場合もあります。聞ける場合は、苦情の内容も聞き、お子さんの特性に照らし合わせて判断するとよいのではないでしょうか。ー悪い情報が入っているところが、悪い施設とは限らないのですね。そうです。話題になっている業者というのは、いいにつけ悪いにつけきちんとした指導をしています。しかし、ひとつのサービス機関がすべての子どもに合うようになるのは不可能です。コマーシャルや広告などでは、たいてい、どんな子にでも合う指導ができるかのように宣伝されがちです。一方で、口コミなどで伝わる悪い情報というのも、色々工夫はしたけれどやはりその子には合っていなかった、という可能性があります。幅広く展開すればするほど、合わない子もでてきます。そこを加味して冷静に判断するとよいと思います。発達障害のある子どもを受け入れる事業者の側にも、子どもを預かって指導をするわけですから大きな責任がありますが、一方で保護者の側も、施設の見学などの際には自分の子どもの様子をなるべく詳しく説明し、その子とその施設のプログラムや指導が合っているのかどうか、自分でもよく吟味することが大切です。「1対1の個別指導」=良い指導とは限らない出典 : ー次にお聞きしたいのは、指導の方法についてです。保護者の立場からすると、やはり個別指導の方が、自分の子どもの特性にあった対応をしてくれそうに思えます。1対1の個別指導だから良い、ということではなく、お子さんの特性にあった“個別の”指導プログラムを提供できるかどうかが重要です。たとえば、LD(学習障害)でもディスグラフィア(書字障害)とディスレクシア(読字障害)では、困り事が違います。読むことが苦手な子なのに、読むプログラムが多いと困ってしまいます。ですから、個別指導とうたっているところでも、どういう指導内容なのかが大事になってきます。また、1対1の個別指導の方が質が高いというイメージを持たれるかもしれませんが、複数の生徒がいたほうが、緊張感がほぐれて取り組みやすくなる子どももいます。どうしても友だちがいると気が散ってしまう子は別の方法を考えるとして、教えられる子ども側から見ると、生徒が複数の方が精神的に負担が少ないケースもあります。特に、先生と生徒が1対1の個別指導で、相性がよくない先生にあたったときに、子どもにとっては悲劇になります。やっている中で合わなそうであれば、替えてもらう勇気が必要だと思います。相性の問題は、生徒が複数のときはあまり表面化しませんが、1対1になると途端に難しくなってきます。1対1の個別指導の落とし穴だと思います。見学時には教室設備も観察を。子どもが落ち着けないのは、環境要因のケースも少なくない出典 : ー他に民間事業者を選ぶときに、気をつける観点はありますか。学ぶ環境にも目をむける必要があります。設備というと、最新の施設がよいと思われがちですが、そうではなく、子どもが安心する設備に工夫してくれているかです。例えば、天井が高いのが落ち着かないお子さんであれば、布をはって天井を低くすれば、落ち着きますよね。ガラス張りがたくさんあったら、普通の家ではないので、イヤだと思う子どももいます。そういう場合はカーテンをします。どの子にもあった設備をつくるのは難しいですが、あまりお金をかけない工夫ひとつで環境はつくれます。環境について、配慮や相談にのってくれるかどうかも大事なポイントだと思います。ーなるほど。落ち着かない理由を、「障害だから落ち着かない」と言ってしまっているケースをよく聞きます。でもその子が落ち着く環境を作ると、その子は落ち着けるわけですよね。落ち着かない原因が何なのかを見つけることだと思います。ー落ち着かない原因を探ってくれる雰囲気があるところがよい施設なのですね。そうです。ですから、最初のプログラムではすぐに具体的な学習指導などに入らずに、子どもの反応を確認して、もし落ち着いていなければ、何が原因なのかを考えてくれるところがいいですね。いつまでも落ち着かない、指示が入らないというのが、障害のためだと考えてしまったら、そこでストップしまい、子どもの可能性の芽が摘まれてしまいます。子どもの生活スタイルから、民間サービスに何を求めるかを整理しよう出典 : ーカリキュラムについてはどのように選んだらよいでしょうか?その学習施設で何を得たいのか、その子の一日や一年における、その時間の位置づけを考えることが大事です。他にどこにも通えていない子がその学習施設にいくのであれば、他人と触れ合う場所がここしかないので、そこで学ぶことが大事になってきます。しかし、5日間学校に通っている子が、プラスアルファとして通うのであれば、体力、集中力、思考力など総合して、何をどれくらいの時間学んだら良いのか、振り返る必要があります。ー親自身が、要望を整理する必要がありそうですね。そうです。親自身が要望を整理し、「こういうことを望んでいるがそれがかなえられるか?」と聞くことが必要です。また、子どもの成長に対してフィードバックされるような仕組みがあると、より好ましいですね。どんな子も先生が自分のことを褒めているということは、必ずわかります。フィードバックされた親が喜んでいるとさらに子どもは頑張ります。ー他には、どんな観点が必要でしょうか?子どもの興味関心を見極め、子どもが本当に楽しんで取り組んでいるかが大事です。それに合った課題やプログラムを提供するところがいいです。その上で、もう少し欲張ると、家へ帰ってもそこで学んだことを課題として出してもらえるといいですね。同じ課題や教材教具がむずかしければ、「家にある似たもので学習できますよ」とヒントをくれるような場所がいいです。施設での学習時間は限られているので、家庭で関心をもっている内容を毎日できるとなると、ものすごくよいでしょう。ー子どもが楽しんで取り組めているかが重要なんですね。子どもも意外に義務感があって、「ここにきたらこれをやらないといけない」などと考えています。興味も関心も意欲もないのだけど、お母さんに「ちゃんとやりなさいよ」と言われたら、頑張ってやったりするのです。ですが、子ども一人ひとりの関心事や困り事を観察して、楽しみながら取り組ませてくれるところが、真の個別対応です。そういう取り組みができる民間サービスを探すとよいのではないでしょうか。良い指導には、正しい「厳しさ」が重要。見学の際は子どもと指導員の関わり方の確認をUpload By 福井万里ー厳しい指導をするところは、避けたほうがよいのでしょうか。これも、一概に「厳しい」「優しい」と区分けすることはおすすめしません。子どもはある意味、厳しい指導を求めている場合があります。褒められてばかりや、やさしいことばかりしていたら、子どもは興味関心をもちません。そう簡単には達成できないレベルでありつつも、子どもが持ちこたえて乗り越えられるような、絶妙な課題設定ができる指導者がよいでしょう。レベルを段差で例えると、階段は登れないけれど、細分化してレベルアップするスロープ状なら登れる子もいます。その場合は、スロープを作ってくれるような取り組ませ方をしてくれる指導者がよいと思います。座っていられない子に、歩いていいよと放置してしまったら、子どもの姿勢は育ちません。求められる「厳しさ」というのは、強制的に指導するのではなく、子どもが出来ないことを出来るようにしっかり取り組めるようにする指導です。子どもに合わせてしまう指導が現在多いですが、できるようになるためのハードルを作る、正しい「厳しさ」が大事なのではないでしょうか。ー施設を選ぶという観点から考えると、そういう指導者はどうしたら見分けられますか。社会のルールを守るのは障害のある子どもたちも同じです。親が施設を選ぶときは、放置されている子がいないところをみてみるとよいです。動いている子がいても、担当の先生がちゃんと見て、フォローしているのであれば、野放しではありません。教室を見学する際には、他のクラスも見させてもらえるようであれば、その点をみてみるといいと思います。また、他のクラスを見学できなくても、下駄箱ひとつとっても指導が行き渡っているか確認できます。きちんと靴を揃えているかなど、見られる場所はあります。ー大南先生が感じる、民間の発達障害支援サービスの課題は何でしょうか?放課後等デイサービスは、単価が安いので資格がある人が少ない傾向にあります。本来は単価をあげて資格がある人が入ってくる方がよいのでしょう。質の底上げを狙って、厚労省はガイドラインを作りました。ですが、そのガイドラインは、普通の学習施設にとっては、自由度のあるカリキュラムが作りづらくなっているという課題もあります。また、送迎など親への支援を手厚くする一方、子どもも一人ひとりにあったカリキュラムや支援が手薄になるところも多くあります。利用する子ども一人ひとりに寄り添った支援が一番大事なので、そこを見失わないでほしいと願っています。早期療育の利点は「誤った学習や習慣」を未然に防ぎやすいこと出典 : ー大南先生は幼少期の療育についてはどのような考えをお持ちですか。早期の療育にはどのような効果があるのでしょう。比較的学習成果が出るのが早いことや、「誤った学習や習慣」を未然に防ぎやすいことは、早期領域の意義だと言えるでしょう。たとえば、その子に合った指導や支援を受けていないまま6〜8歳になった発達障害の子どもたちが、ちゃんと座れるようになるのにはそこから2〜3ヶ月かかります。それが、幼児の間から指導を始めると、すぐに自分で椅子を動かして座っていられるようになります。そういう状態から小学校で受け入れられれば、その2〜3ヶ月が必要ないことになります。ー早期療育の効果がでやすいのは、なぜでしょうか。まだ、子どもの中に誤った習慣や学習が定着しきっていないからだと思います。例えば、紙があったらぐちゃぐちゃにすることを一度学んでしまうと、紙があるのを見ればなんでもぐちゃぐちゃにしてしまうようになります。しかし、最初から紙をぐちゃぐちゃにしないように教えたり、ぐちゃぐちゃにしていい紙はこれですと教えたりすれば、幼児はよけいな学習をしなくてすみます。ー年齢を重ねたあとに療育をする場合は、どうすればよいですか。人はいくつになっても成長するので、いつから療育を始めても手遅れということはないです。ご家族も本人も大変にはなりますが、どこの時点からでも、人は成長できます。でも、年齢があがればあがるほど、間違った学習が増えてしまいます。そうなると、間違った学習を訂正していくことが、大変になってきます。ですから、子どもの発達障害がわかった時点から、やれることはやっておくことを強くおすすめします。担任、民間サービス、親の3者の連携が、子の発達を促進する出典 : ー民間サービスを利用する際に、小学校の担任の先生と共有する必要はありますか。支援サービスを利用していることを、学校に言いたくないという親もいらっしゃると思います。でも、先程もうしあげたように、支援サービスにどのような位置づけで通わせるのかが大事になってきます。学校で精力を使い果たして疲れ切っていて、支援サービス先で集中できないケースや、学校と支援サービスで内容が重複して飽きてしまっているケースもあります。子どもの抱えている困りごとの解決が、学校と支援先と連携しないとわからないこともあります。親と担任の先生、支援サービスの支援者の3者の連携が、子どもの成長によい影響を及ぼすのだと思います。ー小学校の先生方は、民間サービスの利用に理解があるのでしょうか。子どもの困り事を協力して解決していきたいと、関心をもっている教師はたくさんいます。だから、教師の意欲を見極めた上で、相談していけるとよりよい環境になるでしょう。学校でも取り入れてくれるケースもあります。学校は教科書を消化しないといけないという逃げ口上がありますが、工夫をしようと思えばできることはいっぱいあるのではないでしょうか。現在、小中学校では民間学習塾と連携して、教師の研修をしているところもあります。民間の発達障害支援サービスとも今後連携して、教員を指導ができるとよいと感じます。地域全体で発達障害児教育を盛り上げていくための秘訣は?出典 : ー大南先生は墨田区の社会福祉事業団に50年近く携わってきたそうですが、地域ぐるみで発達障害支援が盛り上がるポイントは何でしょうか。障害がある人たちのニーズを、その地域で公表できる雰囲気があるかだと思います。「何をバカいってるんだ」という地域だったらニーズを公表できません。下町である墨田区は昔から公表できる雰囲気がありました。実際、1953年という早い時期から、墨田区では全国に先駆けて特別支援学級を作ることができました。ーニーズが言える雰囲気づくりの他に、どういう方々が動いたのでしょうか。ニーズが公表できて、中心的に動く人たちがいて、サポートする人たちがいて成り立ちました。そして教育委員会が動いて継続しています。教育委員会を巻き込めるかどうかが、ポイントのひとつです。23区には学校卒業後の余暇活動のボランティアがあります。ただ、充実しているところとそうでないところの格差はありますね。ー余暇活動のボランティアとはどんな内容で、どういう方が携わっていますか。日曜日などにお茶やスポーツなどの余暇活動をサポートする活動です。区民ボランティアも100人くらい登録していただいています。ボランティア講座などを開いて、継続してボランティアに関われるよう工夫しています。高齢者の方のなかには、技能があっても、「お金はいらないからやらせてくれないか」という人が結構いらっしゃいます。眠っている市民の力がもっと活用できるといいなと感じます。ー民間の療育教室でも、地域の商店街との交流が盛んな事例があるようです。放課後に地域の方々が見守るような仕組みができるといいですね。実例を公表していくと、広がりやすいのではないでしょうか。障害がある子をもつ保護者の方々も、そういう雰囲気のある地域は、通いやすくなります。教室を通うこと自体後ろめたさを感じている保護者もいらっしゃいます。それを払拭できるのは地域の雰囲気づくりです。そして、地域の結びつきが深くないと、要望、つまりニーズを伝えづらいですよね。ー最後に発達ナビの読者へ一言をよろしくお願いします。まず第一に、お子様の好きなこと、得意なこと、興味のあることを見つけていただき、一緒に楽しんだり、ほめたりして、お子様を認めることが大切です。「子どもを知る、理解する」ことの第一歩です。お子様の気になること、課題は、保護者の方々の悩みの種になることが多いと思います。しかし、できないこと、課題のない子どもは、どこにもいないことも事実です。お子様のことで悩みをどこへ持ち込めばよいのか、そのことで悩まれることもあろうかと思います。公立の相談機関をまず尋ねることをお勧めします。公立の相談機関が近くにない場合には、NPO法人等が運営する相談機関を訪ねてはいかがでしょうか。それから具体的な指導、支援をしている教室等へ出向かれれば、お子様にふさわしい場所に巡り合えることにつながると思います。そして、お子様の一日のスケジュールを考えて、無理のない、お子様に背伸びをさせない場所と時間を選ぶことをお勧めします。
2017年05月15日うちの子が、またやらかした…!出典 : 幼稚園時代は、3年間登園しぶりを貫き通した長男。先輩ママ達は、口を揃えて「小学校に入ったらラクになるわよ〜」って、毎日お疲れ気味の私に希望を持たせようとしてくれました。ところが!入学した小学校にも慣れ、日に日に暑くなり始めたこの時期、私はパニックになりそうでした。私を待っていたのは、毎朝ランドセルを忘れる長男を、ジャージ姿にサンダルのまま走って追いかけ、さらに放課後は学校に忘れ物をとりに行く日々・・・あれあれ?こんなハズではなかった。なんだか話がちがーう!でも、そんなうっかりさん・あわてんぼさんのお子さんも大丈夫!実は、学用品をカスタマイズして、その子に合わせて分かりやすく、使いやすく、気づきやすくできるんです。工夫次第で、忘れもの・落としものを減らして効率UP。ゴミ出しだって間に合うし、下の子の習い事も連れてけます。そんなうちの工夫を、今となっては楽しい思い出となった当時のエピソードと共に、楽々かあさんこと、大場美鈴がご紹介します。ランドセルの中身がからっぽ…出典 : うちは小学校からかなりの距離があります。重いランドセルと暑さで、大抵は家に着く頃にはぐったりしていてもおかしくありません。それは小学1年生にはなおのこと大変でしょう。ところが、他のお子さん達よりも大幅に早く帰宅し、涼しげな顔で元気よく「ただいま!」と家に飛び込んできた長男。・・・アヤシイ。「ランドセル、見せて!」案の定、中身はからっぽ!これでは宿題もできないし、明日の時間割も分かりません。仕方ないので、放課後の学校に忘れ物を取りに行き、職員室の担任の先生に一声かけると、「ああ、◯太郎くんのお母さん。ちょうど良かった」と言われ、イヤな予感と共に一緒に教室に入って頂くと・・・まあ、出るわ出るわ。長男が学校で脱ぎ捨てた、大量のくつ下、上着、そして肌着(どうりで、ないと思った…!)。それから、「一体いつのお茶?」という、不気味な水筒。机の中も、道具箱の中も、くっちゃくちゃのゴミだらけ!・・・んー、目を背けたくなる現実。でも、口で言われた事をすぐに忘れちゃう子や、周りをみながら動くのが苦手な子は、紙に書いて「見える」ようにしてあげるだけで、気がつきやすくなるかもしれません。Upload By 楽々かあさん画像出典:「発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母の毎日ラクラク笑顔になる108の子育て法」p7よりというワケで、ランドセルのフタの「あの位置」に入るように、イラストで「持ち帰りリスト」を作ってみました。「毎日」「金曜日」「雨の日」など、曜日やシーン別に分けて、持ち帰るタイミングを伝え、水筒も「もし忘れたらどうしたらいいか」という対処法も書き添えました。この場所なら、帰りの会の時には、必ず目に入ります。イラストでなくても、持ちものセットをそれぞれ写真に撮って、写真加工・フレームアプリでも同様にできると思います。これで、さすがに「からっぽ」ってコトは減り、今はこのリストがなくても大丈夫になりました。それから、朝、長男が手ぶらで登校しようとしている時には、玄関先でこんなクイズを出しています。「クイズです。学校に行く時に、必要なものは何でしょうか?」「給食セット、オンリー」「オトコの大事なトコを隠す、葉っぱ1枚」「(弟の)◯次郎さえいれば、おれは他に何もいらない」…などのボケが返って来ることも多々ありますが、この朝の親子コントの風景。もはやうちの習慣として定着しています。時間割を書いて来ないッ!期限切れでシワシワの申し込み用紙…出典 : 連絡帳に明日の時間割を書いて来ないことが多かった長男。一体明日の持ち物は何なのか、宿題は何か。毎日のように先生に電話で聞くのもなんだか申し訳ないし…。その上、ランドセルの底からは、シワシワになった、提出期限切れの何かの申し込み用紙なんかが発掘されるのです。…はあ〜(ため息)。でも、実は連絡帳を書かない子や提出物を出し忘れる子には、その子なりの理由があるかもしれません。長男の場合は、当時、漢字学習が原因で学校を休みたがる程、字を書くのが苦手で、黒板の書き写しがかなり負担のようでした。その上、周りを見ながら動くのも苦手なので、連絡帳を書いたり、提出物を出したりするタイミングもよく分かってなかったようです。これも、工夫次第で負担感を減らして、気づきやすくすることができます。Upload By 楽々かあさんまず、連絡帳のカスタマイズから。連絡帳は表紙に「タグ」をつけると、連絡事項や提出物があるのが分かりやすくなります。【作り方の例】1.クリップボードのついたノートカバーと、パスケース(100円ショップ)を購入し、カバーの表紙に強力両面テープでくっつける。2.パスケースに入る大きさのカードを、オレンジ(目立つ色)と白の2枚用意し、オレンジのカードに「連絡提出物あり!」と書き、白のカードと裏表に貼り合わせる。ラミネートでパウチできるとなおよし。3.カードの端に穴を開け、紐を通してパスケースと結ぶ(完成!)。これで、先生に何か連絡や提出物がある時には、カードをオレンジに裏返して入れておけば、気がつきやすくなります。また、連絡帳を出すタイミング、書くタイミング、出す場所がよく分からない場合は、担任の先生に「このクラスのルールを教えて下さい」と、聞いてしまうのが確実でいいと思います。周りを見ても分からなければ、聞いてしまえばいいんです。それを箇条書きにしたラベルシールなどを、連絡帳か連絡袋に貼っておきます。そしてもう一つ。明日の時間割には「専用フォーマット」を作りました。全教科と、定番の宿題と持ちものをリストUPし、適宜空欄を入れたものを、ワープロソフトで作って大量プリントし、先のカスタマイズした連絡帳カバーのクリップボードに挟んでおきます。Upload By 楽々かあさん画像出典:「発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母の毎日ラクラク笑顔になる108の子育て法」p7より参考アイデア:Facebookページ「楽々かあさんのアイデア支援ツールと楽々工夫note」読者投稿よりこれなら、マルつけや、簡単な記入だけで済むので、明日の時間割の書き写しの負担を減らせます。無事、明日の時間割を揃え終わったら、その紙を外して、一番上には常に新しい用紙がくるようにします。また、教科や定番の宿題はクラスによって違うので、学年が上がる度にフォーマットを更新します。字を書けるようになってきたら、徐々に自分で記入する部分を増やしてゆくといいと思います。うちの長男は、これでずいぶん翌日の時間割を書いてくるようになりました。ただ、それでも忘れてしまうこともあるので、その時には先生と相談して「時間割を書き忘れた時にはどうしたらいいか」のルールを決めてもらいました(うちの場合「教科書は時間割表どおり。宿題は音読と計算ドリル1ページを、とりあえずやればOK」など)。先生に電話する回数も減って、お互いにWIN-WINです。参観日に目撃!ガチャガチャと一人で忙しそうな我が子。出典 : ある参観日。私が目撃したのは、「教科書◯ページを開きましょう」「◯◯を一旦しまいましょう」など、先生の指示が出る度に、ガチャガチャバラバラと、鉛筆や消しゴムを落としまくって、一人で忙しそうな我が子の姿。消しゴムを拾っている間に、何ページを開くように言われたのか忘れてしまって、今どこをやっているのやら、分かりません。ページを探してひとつひとつ内容を見ながらめくっている間に、クラスのみんなは次のことを始めています。しまいには諦め、窓からお外の様子を眺めては、お空の雲の形がフシギだなあ…って、コース・アウト。うーん、かあちゃん気が遠くなりそう。あ、こっち見て手を振ってる…。「イエーイ」じゃな〜い!前見て、前!実は、同時にいろんなことをするのが苦手な子や、好奇心が強くてあれこれ目に入ると手元がうっかりしちゃう子、手先が不器用な子などは、一斉にどんどんまっすぐ進む、授業のスピードがしんどいこともあります。だから、授業中に迷子になっているようなもので、やる気がない、とか、サボっているワケじゃない場合も多いんです。うちの場合、とりあえず文具を落とすのは仕方ないとして、教科書をカスタマイズして、早めにコースに戻れる工夫をしました。Upload By 楽々かあさん画像出典:「発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母の毎日ラクラク笑顔になる108の子育て法」p9よりじゃーん!教科書に「インデックス」です!市販のインデックスシールを、教科書の単元とページを裏表で書き込んで、ちょっとずつズラして貼るだけで、ずいぶんと効率UPです。これなら、鉛筆3回ぐらい落とせる余裕ができますね(笑)とっても便利なので、長男は今でも愛用していて、毎年新学年の新しい教科書を頂いたらすぐ教科書にインデックスを貼っています。現在の6年生の社会の歴史などは、教科書にインデックスをつけると、そのまま時代の流れの全体像が分かり、学習理解にも役立ちます。シャイでみんなと違う目立つ事が苦手なタイプの子は、教科書のフチをマーカーペンで塗って、単元やページ数の目印をつけておくだけでもいいと思います(私も高校時代、英和辞典などにやっていました)。それから、ささやかな抵抗ですが、机からコロコロと逃げてゆく鉛筆は、市販の三角軸の鉛筆や、四角い鉛筆キャップなどを使うと、少しは転がり落ちる回数が減らせ、落ちても捕獲しやすくなるようです。脱走する消しゴムには、とにかく沢山スペアを用意する作戦。うちでは業務用の安価な「切れ端消しゴム」を大量ストック。消しゴム本体に名前を書いて、筆箱に常時2、3個は入れています。まとめ出典 : どうでしたか?実は、子どもの持っている元々の個性によっては、「周りを見て、自然と学ぶ」「失敗すれば、自分で気づく」が、難しい場合もあります。そんな、うっかりさん、あわてんぼさんは、いくら「気をつけて」「忘れないで」と念押ししても、「言葉は消えていっちゃう(長男・談)」のだそうです。ちょっとだけ、一手間かかりますが、モノを工夫してカスタマイズするだけで、気をつけやすく、忘れにくくなります。子どもも、親も、先生も、ラクになる方法は沢山あると思いますよ。Upload By 楽々かあさん大場美鈴/著『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母のどんな子もぐんぐん伸びる120の子育て法』2017年/刊/ポプラ社
2017年05月13日楽しかった春休みも終わり、無事に2年生になった我が家の長男。楽しいことで頭がいっぱい、好奇心旺盛な息子の学校生活、気持ちも新たにスタート!春休み中、珍しく「2年生になるのはなんだか緊張するなあ」と、長男らしくない慎重な発言もあって、母は「学校に楽しい気持ちで行ってくれるかな」と、正直心配していたところもありました。間に合うように支度を済ませ、ランドセルを携えて玄関へ。さぁ、今日は新学期初日の朝!!!気持ち急ぎ目で靴を履いているようです。Upload By ラム*カナUpload By ラム*カナあれっ?なんだろう、去年も見たことあるな、このやり取り…。そんなデジャブ感を味わいつつ、新学期初日もすっとぼけ長男らしく、元気にスタートしたのでした。2年生も、がんばれ!
2017年05月13日STEAM教育って何?
子育て楽じゃありません
細川珠生のここなら分かる政治のコト