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発達障害の娘は、2歳半になっても言葉を発することがなく…Upload By SAKURA娘の発達に初めて遅れが見られたのは2歳半の頃。「ママ きて」などの単語をつなげた二語文はおろか、単語さえほとんど話さない状態でした。このことを相談したカウンセラーの先生からは「たくさん話しかけて、たくさんの言葉に触れさせるようにしてください」と言われます。この言葉を聞いて、「私の普段の話しかけが足りないのかもしれない…」と思った私は、毎日、たくさん娘に話しかけました。この状況をなんとか変えたい一心で、娘を毎日外に連れ出し、いろんな刺激が得られるようにしました。Upload By SAKURAしかし、私がいくら話しかけても反応なし。娘が話すことはありませんでした。何をしても無駄なのでは…?疲れ果てた私に先生がかけてくれた言葉。Upload By SAKURA私の必死な話しかけは全く効果を見せず…。もう毎日の努力に疲れてしまいました。そんな時、言語の先生に「何をしても無駄な気がしてきました…。」と、今の正直な気持ちを打ち明けたのです。すると先生は、「響いてないように感じるかもしれないけど、ちゃんと届いてるから、話しかけることをやめないで!」「水と一緒でね、今は溜めてる時期なの。そのうちにあふれてくる時期が来るから。水を止めてしまったら溜まらないから、こぼれないでしょ?だから水を出すこと(話しかけること)をやめないでね!」と言ってくれました。この言葉に励まされ、私は考え方を変えることができたのです。「すぐに効果が出なくてもいい」と思えるように。Upload By SAKURA私は、すぐに結果を求めようとすることをやめました。そして、「今やっていることは、何年も先に響いてくるんだ!」と自分に言い聞かせ、反応がなくても、とにかく娘に話しかけ続けました。花を見て…「お花、きれいだね~」と言い、毎日毎日、娘に「大好きだよ」と言い続けました。そして、3年がたった今では…Upload By SAKURAたくさん話しかけることを始めてから3年が経った現在。娘は花を見ると必ず「おはなきれいね~」と言い、1日に何度も何度も「ママだいすき」と言ってくれるようになりました。あの時、たくさん話しかけるのをやめないで、あきらめないで本当に良かったと思います。そして、今も続けている言語の訓練。この訓練もきっと、3年後、4年後につながると思いながら、気長に続けています。
2017年03月15日いざ支援級へ進学!と思いきや…就学相談の担当者から1本の電話が出典 : 発達障害のある長男の進学先選び。発達が気になるお子さんがいるご家庭の多くの例に漏れず、一悶着二悶着・右往左往ありましたが…結果的に長男の「支援学級」進学へと方向性は決まっていきました。就学相談でも支援級の方向性でまとまり、学級の体験も完了。あとは委員会でお墨付きをもらって進学先決定!お疲れ様!!…のつもりでした。毎年恒例の家族旅行の途中で、就学相談担当者の方から留守電が入っていました。「お話があるので、折り返しお電話いただけますか。」いつもなら用件も留守電に入れてくださる方なので、「これはちゃんと話さなければいけない事態に違いない…」。そんな予感を抱えながら折り返しの電話を入れました。見学時の長男の振る舞いが理由で…委員会には支援学校を勧められる出典 : 折り返して掛けた電話口で、担当者の方から告げられたのは、「委員会で検討した結果、支援学校をお勧めします」との言葉でした。どうやらヒアリングや発達検査の段階では支援級が適切とされていたのですが、支援級に体験に行った際に長男が暴れてしまったことに引っかかったようで…。支援学校が適切との判断が下りたようです。そして色々と電話で説明を受けた最後に担当者の方がこう仰いました。「追って書面で通知が届きますが、決断されるのはご家庭ですから。」そして届いた書面。そこにあった言葉は…我が家としては、「自分たちの視野だけで子どものことを決めず客観的な意見を取り入れながら子育てを」と思っていたので、委員会の判定は受け入れ、支援学校進学へとすぐに気持ちを切り替えました。そしてそんな折に届いたのが、先日の電話で伝えられていた『通知書』です。封筒の中にはA4の紙が一枚、そしてそこあったのは、Upload By OKASURFER『特別支援学級(固定)不適切』の文字。わかってはいたけれど…強く強く拒絶されたような気持ちでした。支援級への進学が難しかったことはショックじゃない。傷ついたのは「不適切」という言葉出典 : 我が家は別に判定を不服だと訴えるつもりもないし、騒ぐつもりもありません。それでも「不適切」という言葉は「とにかく黙ってろ」というような有無を言わさない強さがありました。告白してもいないのに酷く振られたような理不尽な気持ちもこみ上げます。これがもし「支援学校に適しています」という通知であればどれだけ前向きになれたか。自分の子どもを「不適切」とされて、落ち込まない親がいるでしょうか?支援学級への進学が難しかったことはショックでもなんでもなかったのに、「不適切」という言葉はとてもショックでした。そこまで拒絶しなくったっていいのにな。もやもやした気持ちは今でも残っています。まずは教育機関から、伝え方を見直してみてほしい。出典 : 障害のある子どもを育てる中で、「走らない!」→「歩きます」「そんなことしないの!」→「〇〇をしようね」というように、「肯定的な言葉がけ」がとても大切だと言われてきました。それは教育の現場でも同じはずです。そして教育機関であるからこそ、一つ一つの言葉に教育的な信念を持って欲しいと思うのです。特別支援学校は、支援学級に「不適切」だとされた子どもたちが「仕方なく」通う場所でしょうか?決してそうでは無いと私は思います。そんなイメージを作らないような取り組みを、教育機関にはしてほしいのです。障害者差別解消法が施行されていくぶん月日も経ちました。そろそろ昔のテンプレートを見直してみてほしい。ほんの少し言葉尻を変えるだけで障害や支援に対して前向きな気持ちになれるのだと知ってほしい。今はそんな気持ちでいっぱいです。
2017年03月15日忘れ物や衝動性で怒られてばかりのADHDの息子。唯一褒められることそれは…Upload By かなしろにゃんこ。普段は衝動性や忘れ物の特性があり、怒られることがとにかく多いADHDの息子。そんな彼にも唯一褒められることがあります。それは、なんといっても「好き嫌いがなく、出されたものは全て食べるところ」!嫌いなものありません!恐い存在の父親から「食べ物を大事にしろ!残すな!」と小さい頃から厳しくすりこまれ、食事のマナーもきちんとしていました。行儀よく、食べ残さないのは素敵!でも褒めるたびに不安なこともあって息子は「食べ残さない自分」をすごく誇らしく思い、自信を持っているようです。食事に敬意を払い、絶対食べ残さない姿は私も嬉しいので、よく褒めています。しかし褒めれば褒めるほど、その反応に気になることもあって…Upload By かなしろにゃんこ。どうやら息子の頭の中はこんな風になっていたようです。Upload By かなしろにゃんこ。その厳しいマイルール、他人に押し付けるのはちょっと待って!発達障害がある子の中には、親の意見を疑わずにのみこんでしまう子もいると聞きます。夫や息子の考えも基本的には間違っていません。でもだからといって、偏った考えや厳しいマイルールにとらわれないでほしい。自分には厳しくしてもいいけれど、他者は優しい目で見てほしい。そう思った私は、息子に「体が小さい子は給食を全部食べれない場合もあるよ!」「体調が悪くて食欲がない人もいるよ」「歯が痛い人は泣く泣く残しちゃう場合もあるよ」と他人の状況を想像できるように教えました。「そういうこともあるのか…そういうのは仕方ないよね」と、その時は素直に納得できたようでした。Upload By かなしろにゃんこ。それでもやっぱり気になる!クラスメイトの食べ残しに息子は…Upload By かなしろにゃんこ。様々な理由や体調が食事に影響すると少し理解はしたようです。しかし、あいかわらず給食の時間に目の前に残された食べ物のがあると気になって仕方がない息子。なんと!クラスの女子の残したものを食べていたというので驚きました。そんなことしたら女子引くだろっ!(笑)
2017年03月14日「ママ、靴下脱いでもいい?」私の許可を求め続ける、アスペルガーの娘出典 : 「ママ、お茶飲んでもいい?」「ママ、このおもちゃで遊んでもいい?」「ママ、工作でセロテープ使ってもいい?」「ママ、靴下を脱いでもいい?」春から小学4年生になるアスペルガーの娘。毎日何度もこのような「許可」を母親である私に求めてきます。私「あなたはどう思うの?」娘「お茶は飲むためにあるから、別に飲んでもいいと思う」私「ママもそう思うよ。みんなが飲むためにお茶を沸かしてあるんだから、いちいち聞かなくても好きなときに飲めばいいんじゃないかな?」そんなやり取りをすると、娘もその時は納得するのですが、また「ねえママ、喉が渇いたからお茶飲んでもいい?」が始まります。挙句の果てには「靴下を脱ぐ」という行動にまで許可を求めてくるので、いちいち対応しなければならないこちらの神経もすり減ってきます。一体どうして娘は執拗に「許可」を求めるのでしょうか?そこにあったのは、「もう2度と傷つきたくない」という娘の切実な思いだった出典 : 疲れ果てた私は、娘と話し合ってみました。「ねえ、どうして『ママの許可』が必要なの?」「もう自分でいろんな事をしっかりと考えられるようになっているんだから、許可を取る必要はないんだよ?」「自分で考えて行動して、もし失敗しちゃったら、その時にどうすればいいのか一緒に考えてみようよ」すると、娘から思いがけない答えが返ってきました。「私も考えてみれば、靴下を脱いじゃいけない理由なんてないと思う」「でも、前に勝手に靴下を脱いでママに怒られたことがあってすごく悲しかった」「もうあんな辛い思いをするのは絶対に嫌だから、先に聞いて安心してから脱ぎたいの」確かに4~5年前、娘がまだ幼稚園生の頃、ピアノのレッスンを先生のお宅でしてもらっている最中に娘が靴下を脱いだことがありました。その時私は、「汗いっぱいの靴下を触った手でピアノを弾くと汚れて迷惑でしょ!」「どうしても脱ぎたかったらママが脱がせてあげるから、今度からママに言いなさい」と叱ったのです。あの時の叱責が娘を傷つけたのでしょう。娘は「靴下を脱ぐ」という行動を起こそうとするたびに辛い感情が胸をよぎり、「もう二度とあんな思いをしたくない」という強い思いから、私の許可を求めるようになったのです。同様のことがいろんな場面であったのだと思います。セロテープを床に貼りまくって叱られたこと、自分でお茶を飲もうとしてこぼしてしまったこと、好きなおもちゃを出して遊んでいたらお出かけ前だったので「ダメでしょ」と注意されたこと…。それに加えてアスペルガーの娘は、つらい記憶をいつまでも忘れられないという特性を持っています。他の子どもだったら遠い記憶として消えていくはずの数々の出来事が、娘の中では消化されずに燻り続けます。その結果、「また叱られるかもしれない」という恐怖心と人知れず戦っていたのです。自分のことは、自分で決められるようになってほしい。我が家で採用したのは…出典 : 娘と話し合っているうちに、「もう許可は取らなくていいんだよ」と諭すだけでは不十分だと気付きました。娘の「また怒られるかもしれない」という不安を取り除かなければ意味がありません。そこで、「許可を取る」という行動を別の行動に置き換えてみることにしました。私「今度からママは、『〇〇してもいい?』って聞かれたら、『ダメ』って言うことにするね」娘「えっ!?どうして?」私「許可を取るっていうことは、相手に自分の行動を委ねるっていうことでしょ?それは『ダメ』でも受け入れますっていうことじゃないかな?」娘「確かにそうだけど…。じゃあお茶を飲みたいときや靴下を脱ぎたいとき、どうしたらいいの?」私「そうねぇ。これからは、許可を取るんじゃなくて『提案と確認』にしてみたらどうかな?」娘「提案と確認?」私「そう!例えば『今から〇〇で遊ぼうと思うんだけど、お出かけの予定はなかったかな?』とか、自分が不安だと思っていることをママに確認してみるの。それだと、ママはあなたが何に不安を感じているかが分かるし、あなたは自分の行動を自分で決めることができるようになると思うの。」娘「自分で決めるの?」私「そりゃそうだよ!自分の時間は自分のもの。自分の人生も自分のもの。誰かの許可を取らなきゃ生きていけないなんて、そんなのおかしいよ。自分で考えて行動する。誰かに手伝ってもらったり、予定を変更してもらう時は、それをきちんと確認したり伝えたりする。そうやって、自分の人生は自分の足で歩いて行かなきゃ楽しくないよ!」娘「そっか!なるべくがんばってみる!」こうして、わが家では『許可』制度の変わりに、予定の変更を提案したり、自分の選んだ行動で不都合が起きないかの確認をしていくシステムを採用することになりました。少しずつだけど…これが「自立」への第一歩!出典 : もちろん、すんなりと今までの行動が改善されるわけではありませんので、まだまだ娘が「許可」を求めてくることはよくあります。娘「今日の夜、映画を観てもいい?」私「ダ~メ!」娘「えっ!?あ、そっか!えっとえっと、今日の夜、映画を観ようと思うんだけど、何かやらないといけないことが残ってなかったかな?」私「やらないといけないことは全部終わったよ!後は映画の時間を逆算して、お風呂を済ませれば自由に過ごしていいと思うよ」娘「そっか!そうだよね!じゃあ、8時までにお風呂から出てきて映画を観ようっと!ママ、ありがとう!」はじめの頃、娘は「ダメ」と言われると傷ついた顔をしていました。でも段々とこのやり取りに慣れてきて、少しずつ「私はこうしようと思う。不都合はない?」という確認ができるようになってきました。今は私への提案と確認になっていますが、この思考回路が定着すれば、大きくなったときに『自分自身への提案と確認』という形にスムーズに移行できるのではないかと思っています。そして、なによりも自分の行動を自分で決めるという自立への第一歩を踏み出せたのではないかと思います。子どもたちが何度もしつこく確認を行ったり、許可を求める背景には、外から見ただけではわからない大きな不安や恐怖が隠れている場合があります。「何度言ったらわかるの!」と声を荒げる前に、少しでもその不安を取り除ける方法をお子さんと見つけ出せるといいですね。
2017年03月14日うちの学校の支援級、わが子に合ってる…?出典 : 「支援級か、通常級か…迷ってるけど、どうやって判断すればいいの?」「うちの子が通う学校の支援級、どんな環境だろう?どういうところを気にしたらいいの?」現在、希望者急増で過渡期にある、特別支援学級(以下、支援級)をめぐる状況は様々です。情報を探すと、「うちの子も是非お願いしたい!」と思える素晴らしい支援級もあれば、残念ながら、現場の事情が追いつかずに、十分な理解や子どもに合った対応が得られない支援級もあるようです。支援級をご検討の際には、実際に、お子さんが通う「その」支援級がどうなのか、自分の目で確かめてみることが必要です。長男が自ら通常級から支援級への転籍を希望した際、私はまず、特別支援コーディネーターの先生の案内で、実際にクラスを見学させて頂き、事前に疑問な点、不安な点の詳しいご説明をお願いし、長男本人も見学・体験させて頂きました。それでも、後から「もっと早く確認しておけば良かった」と思ったことも少なからずありました。そこで、支援級を選択する前に「確認してよかったこと」「確認しておけばよかったこと」の、判断のポイントを、あくまで「うちの経験上」ではありますが、楽々かあさんこと、大場美鈴がお伝えします。支援級見学の際にぜひ確認しておきたい!4つのポイント出典 : 長男が通っている支援級は、身体・知的に障害のあるお子さんのクラスと、長男のように、大きな知的・言葉の遅れの心配はないものの、発達障害の傾向のある子が中心となる、情緒級に分かれています。学校によっては、どの障害の状態のお子さんも一緒のクラスになる場合もあります。その場合でも、個別に学習内容を調節して頂ける場合はいいのですが、そうでない場合、お子さんに学習面での理解力がある程度あっても、学習内容や課題が簡単過ぎるケースがあります。そうなると本人の理解度とのミスマッチが起こり、その支援級がその子の力を伸ばせる環境とは言いがたくなる可能性があります。逆に情緒級がある場合も、その子の学習の進度に合わせた課題でない場合もあります。本人の能力や理解度に合わせた学習ができるかどうかは、よく確認しておきたいポイントの一つです。万が一合わない場合でも、先生と学習内容を調整して頂けるか、相談の余地があるかどうか、見極めておいたほうがいいでしょう。また、基本的に支援級の成績表は、「国語は漢字ドリルをがんばり、丁寧に漢字を書けるようになりました」というような、言葉による表現がされることが多いようです。特に将来的に、中学受験の可能性がある場合には、念のため希望した際には通常級と同じ評価で対応可能かどうか、確認しておいたほうがいいでしょう。(中学受験の際、全ての学校で成績表の提出が必須という訳ではないようですが、一部の入試日程や推薦、A.O.入試の場合などには、成績表のコピーの提出が必要になる場合があります。)出典 : 次に気をつけたいのは、今のところ、すべての支援級の担任の先生が、特別支援教育の知識・経験が豊富であるとは限らない、ということです。支援級の担任には、特別な資格などは必須ではなく、今まで通常級で担任してきた先生が、急に支援級を受け持つ場合も多いようです。長男の今年の担任も、長年通常級を受け持ったベテランの先生ですが、支援級の担任は人生初でした。ただし私は、支援に詳しくない先生=子どもにとって良くない先生、とは限らないと思っています。確かに、凸凹のある子に伝わりやすい方法を多く知っている先生なら心強いと思います。しかし、詳しい先生1人に負担がかかり過ぎてしまったり、クラスの他のお子さんの状況などによって、少人数であっても十分に子ども一人ひとりを見ることができない…など、先生お一人の力では解決できない現場の事情がある場合もあります。そのため支援に対する知識・経験の有無で、一概には判断できないと思います。もし、先生が支援に詳しくないからと、あからさまに保護者が落胆してしまうと、それが子どもや先生にも伝わって、その後の信頼関係に影響が出てしまうかもしれません。私は、知識・経験の有無よりも、・先生が子どもを肯定的に見ようとしてくれるか・子どもに合わせた指導をしてくれるか・親の話に耳を傾ける余力があるかのほうが大事だと思っています。しかし、見学の時点で気持ちよく応対してくれた先生に会えたとしても、翌年に我が子を担任してくれるとは限らないというのは注意したい点です。通常級に比べれば、支援級の先生は比較的長く同じクラスを担当することが多いようですが、異動がないわけではありません。また、大変残念なことながら、今まで毎年のように支援級の補助教員や介助員の先生が、年の途中で1人、2人とお辞めになってしまうことも、私は学校のお便りで度々知らされてきました。厳しい現場の現実があるように感じます。出典 : 人事異動がある先生方と違い、子どもたちは比較的同じメンバーでともに支援級で過ごすことが多いです。もちろん、入学や卒業、転籍などによる入れ替わりはありますが、クラス替えもなく、ほぼ同じメンバーで何年間も過ごすことになります。支援級は、学年を越えて、多種多様な子ども達の集まりとなるため、それが合う子、合わない子がいると思います。支援級の低学年のお子さんは、かなり自由気ままな印象がしたりで、見慣れてないと「これで大丈夫かしら…」と少々不安に感じられるかもしれません。そういう時は、何年もその環境で過ごしてきた、高学年のお子さんの様子が参考になると思います。その子なりに落ち着いていたり、交流級に意欲的に参加している様子が見られれば、その支援級の環境がプラスに働いていると受け取ってもいいのではないかと私は思っています。また、掲示物が破れっぱなしになっていないか、といった備品の様子、ロッカーに分かりやすいマークなどの工夫があるか、といった教室環境も、その支援級が安定しているかの参考になると思います。(ちなみに私は、教室の備品の乱れが放置されている場合、先生に余裕がなく、かなりお疲れ気味…というシグナルだと受け取っています。)出典 : 私が見学した時、1クラス6~7名と聞いていた支援級の情緒クラスには、いつも低学年の2~3人のお子さんしかいませんでした。他のお子さんは「交流級」に行っているのだそうです。長男の学校の場合、大抵は学年が上がるほど交流級で過ごす時間が増えていき、最終的に通常級に移籍する子も多いそうです。ご家庭で「いずれは、できれば通常級へ」と希望している場合には、交流級の活用状況は要チェックです(また、そもそも支援級から通常級への転籍が可能かどうか、よく確認しておく必要がある学校もあるようです)。交流級の活用状況は学校によって様々です。長男の小学校はかなり積極的なほうだと思います。後に担任の先生からその理由を伺うと、「年々、支援級への希望者が増えているので、◯太郎くんのように、交流級の授業に意欲がでてきたお子さんは、どんどん”卒業”して、通常級に戻って頂けると助かります」…とのこと。なかなか厳しい内情もうかがえます。とはいえ交流級を充分に活用できている学校は、通常級の子達も支援級の子に日頃から馴染んでおり、支援級”卒業”後も、比較的クラスに溶け込みやすいのではないかと思います。交流級の活用については、見学時、私はあまり気にしていませんでした。でも今思うと、重要なポイントだったと思います。どんな状況の支援級も、本人が体験してみるのがイチバン!出典 : 見学をする際には、参観日のようなよそ行きの状態ではなく、支援級のありのままの状態を子ども本人が、できるだけ何回も見られるほうがベターです。長男が普通級から支援級へ転籍する前に、私は長男本人が何度も支援級を見学・体験できるよう、お願いしました。でも見学を予定していたある日、突然見学がキャンセルになったことがありました。先生によると、「今日は、落ち着けてないお子さんがいたので、見学は中止させて頂きました。また日を改めて、予定を調整させて下さい」とのこと。それを聞いて、私はこう言いました。「是非、そういう時も本人に見せてください。ご迷惑になるようでしたら、廊下からでも構いませんので。支援級は、皆が落ち着いている時もあれば、そうでない時もあることを、本人が十分知って、納得したうえで転籍したいです。」支援級は、長男と同じように、あるいはそれ以上に、特別な配慮・支援を必要とするお子さんの集まりです。当然のことながら、少人数とはいえ、いつもクラス全体が落ち着いているとは限りません。そんな支援級で過ごすイメージを本人が持てると、入級後の環境の変化にもついていき易いと思います。長男の場合は実際に何度も授業を見学させて頂き、給食の時間を支援級の子達と一緒に過ごしたり、といった機会を作って頂きました。すると、「今日はすんごい泣いてる子もいたよ」「一年の子が途中で教室出てっちゃった」なんて言うときもありました。私は「支援級はそういう時もあるよ。それでもいい?」と聞きましたが、長男は「それでもいい。支援級に行く」と決心は変わりませんでした。「うちの」支援級には良いところも、そうでないところもあることを、十分納得の上で転籍をした私達。結果的にこの一年は、長男の成長のプラスになりました。実際に自分の目で確かめて、後悔のない選択を出典 : 長男の先生からの話にもありましたが、近年、支援級を希望する子どもが急増している傾向があります。なかなか現場がそれに追いつけないという裏事情もあり、全てが保護者の希望どおり、理想どおりという訳にはいかない場合も、多いかと思います。それでも、事前にメリット・デメリットを良く比較検討し、納得のゆくまで説明をして頂き、実際に自分の目で確かめて、体験して、自分たちの意思で決められれば、後悔するリスクを減らすことができます。学校生活でお子さんが自信をつけてゆける、プラスの選択ができるよう、祈っています。Upload By 楽々かあさん大場美鈴(著), 汐見稔幸(監修), 『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母のどんな子もぐんぐん伸びる120の子育て法』ポプラ社, 2017年
2017年03月13日文字を書くのが苦手なADHD長男。愛すべき凸凹連絡帳を大公開しちゃいます!ADHDのある長男は、文字を書くことがとにかく苦手です。小学校に入学してからというもの、日記や漢字の練習といった宿題には毎度悩まされてきました。悪戦苦闘しつつも、最近は文字を書くことがだいぶレベルアップしてきた長男。ただ、毎日持ち帰ってくる連絡帳の誤字脱字がひどくて笑ってしまいます。口頭での話を書き写すのではなく、黒板に書かれたもの書き写すだけなのに、本当に間違いがひどい!(笑)書き写す時間が下校間際ということもあり、きっと意識は帰宅後のおやつあたりに飛んでいるんだと思います。Upload By ラム*カナそんな間違いだらけの連絡帳を見ることが、私のひそかな楽しみとなっております。さて、そんな長男の連絡帳を一部お見せしちゃいます!Upload By ラム*カナ個別団子に独自感想文。おおよそのニュアンスで書いているんだろうな、というのがヒシヒシと伝わります。(確かに長男の感想文はいつも独自路線だけども!)Upload By ラム*カナこれ、2学期の終業式の日の連絡帳だったんですが、もう完全に意識が冬休みに持ってかれていますね。先生も、あまりに誤字がひどすぎて、「すごしで」の『で』には気付けなかったという…。先生、本当に本当にいつもありがとうございます!Upload By ラム*カナ著書『カラフル男子牧場 -ADHD長男とお調子者次男の兄弟物語- 』
2017年03月11日臨床心理士とは出典 : 臨床心理士とは、不登校や精神障害などのこころの問題をかかえた人に対する療法や、こころの問題を予防するための研究にもとづいて、人のこころにアプローチする専門家です。臨床心理士はクライエント(=カウンセリングや福祉での相談者)の視点に立って、クライエント一人ひとりの独自性や固有の特徴、問題点を見つけることに重きを置いています。これに加えて、どのような援助の仕方が最適なのかも同時に明らかにしようとします。クライエントの特徴によって、さまざまな臨床心理学技法を用いてクライエントのこころを支えていきます。しかし、臨床心理士はこころの専門家ではありますが医師とは異なります。そのため、薬をつかった治療や障害かどうかの診断をすることはできません。また医師にかかる場合は、健康保険が適用されますが、臨床心理士に相談する場合は基本的には健康保険が適用されません。参考臨床心理士の専門業務|日本臨床心理士資格認定協会臨床心理士の活躍の場出典 : 臨床心理士は発達障害や精神疾患で苦しんでいる患者さんをはじめ、身体疾患のある患者さんや人間関係に悩んでいる人なども対象にしています。臨床心理士は幅広い人を対象にしているため、その活躍の場も多岐にわたります。医療機関や福祉施設だけでなく、学校や会社の相談室で活躍されている臨床心理士の方もいらっしゃいます。家庭裁判所で調査員として関わったり、鑑別所で子どもの特性を踏まえたうえで処遇の検討をしたりする方もいます。他にも、DVで苦しんでいる方の相談にのったり子育てに悩んでいる保護者の相談にのったりしている方もいらっしゃいます。ただ心理学系の資格は臨床心理士以外にも多く、臨床心理士ではない資格でも活躍されている方も多くいます。そのため実際にどの資格をもっているのかを職業から判断することはできないので注意してください。臨床心理士になるための資格取得の方法は?出典 : 平成27年の時点で臨床心理士の資格を持っている人は全国31,291人で、そのうち医師免許を持っている人は573人です。臨床心理士の資格は国家資格ではなく、公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会による民間資格です。出典「臨床心理士」資格取得者の推移|日本臨床心理士資格認定協会臨床心理士の資格を取得するには、受験資格を満たしたうえで年に1度東京で10~12月にかけて行われる資格審査に合格しなければいけません。受験資格は大きく3つの種類にわけることができます。・日本臨床心理士資格認定協会によって指定された大学院を修了している者(ただし、大学院によっては1年以上の心理臨床経験も必要になる場合があります)・諸外国で上記と同等かそれ以上の教育をうけて、日本で2年以上の心理臨床経験がある者・医師免許取得者で、取得後2年以上の心理臨床経験を有する者試験は一次試験と二次試験があり、臨床心理査定、臨床心理面接、臨床心理的地域援助およびそれらの研究調査等に関する基礎的知識と技能について問われます。一次試験は筆記で100問のマークシート型の試験(150分)と定められた字数内での論述型試験(90分)の2種類を1日で実地します。二次面接は2名の面接委員による口述での面接試験です。一次試験、二次試験ともに合格すると、臨床心理士として名乗ることができるようになります。資格取得後も臨床心理士は、5年毎に資格の再認定を受けることが義務付けられています。参考臨床心理士になるには|日本臨床心理士資格認定協会臨床心理士による相談の流れ出典 : 臨床心理士による療法は心理アセスメント→治療方法の選択→治療開始というおおまかな流れで行われることが多いです。心理アセスメントとは、生活におけるクライエント独自の行動やふるまいを調べたり、さまざまな検査をしたりして、クライエントの状態を理解して判断することです。たとえば観察法、質問紙法、投影法、作業検査法、面接法などの方法を用いて行われます。心理アセスメントの結果から、臨床心理士はクライエントにとってよりベストな療法を提示し、療法をすすめていきます。臨床心理士による、発達障害に対する心理アセスメント出典 : ここからは発達障害の子どもによく行われる心理アセスメントの紹介をします。発達障害の子どもにはよく以下の3種類のアプローチで心理アセスメントが行われます。臨床心理士が子どものことを身近で見ている保護者にいくつか質問をしたり、話し合ったりすることで手掛かりを見つける方法です。保護者が子育てをしているなかで、感じている問題や子ども自身の今までの生活の様子・病歴・家族関係などさまざまなことを聞かれることがあります。他にも、成育歴を聞かれることもあり、出生状況や出産時の子どもの状態といったことから食事・衣服の着脱・排泄・睡眠などの生活習慣がどれくらい身に付いているのかということを質問されることもあります。知能検査・発達検査・スクリーニング検査は、子どもの問題に応じていくつかの検査を使い分けて行われます。それぞれの検査について説明します。◇知能検査知能検査ではおもにIQ(知能指数)の値を指標とすることが多いです。従来は、精神年齢と生活年齢をもとにもとめる比例IQを用いることが多かったですが、最近では、同年代の平均との隔たりをもとにもとめる偏差IQが中心になってきています。知能検査を行う目的は認知発達の水準を科学的・客観的に評価することで、その人の得意分野、不得意分野を分析することです。知能検査の結果からわかる子どもの得意、不得意分野から療法の方向性を決定するために使われます。代表的な知能検査に以下のようなものがあります。・ウェクスラー式知能検査・田中ビネー知能検査・K-ABC心理・教育アセスメントバッテリー・DN-CAS 認知評価システム◇発達検査発達検査では日常生活や対人関係などにおける子どもの発達基準を数値で表したDQ(発達指数)を算出します。子どもが成長していくには、発達段階に適したアプローチが必要になります。そのため、発達段階を客観的に知るための手段として発達検査は使われます。ただし、発達指数の値だけで子どもの発達状態を判断をすることはありません。あくまでものさしの一つであり、発達検査から分かる能力のバランスや日常生活の様子などを総合して子どもの発達状態を把握します。代表的な発達検査には以下のようなものがあります。・新版K式発達検査・乳幼児精神発達診断法◇スクリーニング検査発達障害に関するスクリーニング検査は、どの精密検査を行うべきかの判断や潜在的な発達遅滞や発達障害の可能性を検査するために行われます。スクリーニング検査は、たくさんある発達障害のうち、子どもの障害として可能性のあるものを絞り込むためのものです。スクリーニング検査には網羅性が重要視されるため、正確性はそれほど高くはありません。かりに検査で陽性が出たとしても精密検査するかどうかの判断基準になるだけで、発達障害であることが確定するわけではないということに注意が必要です。スクリーニング検査は乳児健康診査、1歳6ヶ月健康診査、3歳児健康診査などの場でも活用されています。代表的なスクリーニング検査には以下のようなものがあります。・STRAW・M-チャート・ADHD-RS・LDI-R・PARS臨床心理士は言葉をかけた時の子どもの反応や、話し方、質問を正しく理解しているのかなどのさまざまな反応をできるだけ詳細に観察して、子どもの特徴やくせを見つけようとします。臨床心理士による、発達障害へのアプローチ出典 : 臨床心理士が心理アセスメントをした結果、発達障害の可能性が高いと判断したときや、すでに医療機関で発達障害と診断されているとき臨床心理士はどのような支援をしてくれるのでしょうか。臨床心理士と一概に言っても、臨床心理士の行う療法にはさまざまな種類があり、それぞれの臨床心理士によって療法が異なる場合もあります。ここでは、発達障害へのアプローチとして代表的なソーシャルスキルトレーニングとペアレントトレーニングを紹介します。ソーシャルスキルとは、抽象度が高く明確な定義が決まっているわけではありませんが、他人とよい関係を築き、社会に適応するために必要な能力だといえます。発達障害の子どものなかには、支援を受けないままではソーシャルスキルを身につけることが難しく、友達と良好な関係をつくることが困難である場合や、集団生活が苦手な場合があります。ソーシャルスキルトレーニングは、スムーズに身につけられなかったソーシャルスキルを獲得するための療法です。ペアレントトレーニングは、「親は子どもの最良の治療者」という考えからうまれた保護者向けのプログラムです。ペアレントトレーニングにはいくつか種類がありますが、基本的には臨床心理士などの専門家のもとで講義・ワークを行うことが中心のプログラムです。臨床心理士のもとで学んだことをホームワークとして継続していきます。保護者はホームワークをしていくなかでうまれた不安や悩みを相談することもできます。ペアレントトレーニングの効果として、保護者の不安解消や子育てに対する自信を得られることや子どもが好ましい行動をとる傾向が強くなることが期待されます。臨床心理士による、不安障害に対する心理アセスメント出典 : 臨床心理士は精神疾患で苦しんでいる人への支援もしています。精神疾患のなかでも、発達障害の二次障害としておこりうる不安障害を例にとって心理アセスメントについて説明します。心理アセスメントは、クライエントに絵を描いてもらったり、はい/いいえで答えられる質問を複数聞いたりしてクライエントのこころの様子や性格などを知るための方法です。臨床心理士は心理アセスメントを通して、クライエント一人ひとりの不安障害の原因となる考え方を明らかにしていきます。心理アセスメントは具体的には投影法、作業検査法や質問紙法などの方法が用いられます。臨床心理士は、不安にかられてしまうような場面を具体的に想定して、そのときの無意識な思考をクライエントから読み取ります。さらに、その思考になった原因となる考え方やその場面でのクライエントの行動などを明らかにしていきます。参考社交不安障害(社交不安症)の認知行動療法マニュアル(治療者用)臨床心理士による、不安障害へのアプローチ出典 : 臨床心理士による不安障害に対する代表的な療法として、認知行動療法・森田療法・曝露法(エクスポージャー法)があります。認知行動療法では、不安の原因になっている考え方を再構成することで不安をなくしていきます。たとえば、テストであまり点数がとれなくてなにをやってもだめだと不安になっている場合について考えてみましょう。「次回はいい点が取れるかもしれない」と考えたり、「勉強ができなくても歌はうまいから、自分はなにをやってもだめなわけではない」と考えたりすることができるようになると、強く不安にかられることがなくなります。森田療法の特徴は、不安や恐怖を消そうとするのではなく、不安や恐怖を自然な感情として受け入れようとすることです。森田療法には、「自然な感情を自覚して、受容する」などの5つの指針が定められており、それをもとに療法が行われます。曝露法ではあえて不安を感じる場面に身をおくことで、その場面に慣れて少しずつ自信をつけていくものです。いきなり本人にとって強い不安を克服しようとすると、かえって悪化してしまうこともあるので弱い不安から少しずつ克服していくことが大切です。たとえば、人前で話すことが苦手な人であれば、親しい人からはじめて、少しずつ人数を増やしたり見知らぬ人の前で話したりするようにしていきます。臨床心理士にどこで会えるの?出典 : 臨床心理士に発達障害や精神疾患についての相談ができる場所としては、医療施設、学校・園のスクールカウンセラー、福祉施設、大学附属の施設、私設相談室などがあります。◇医療施設精神科医と臨床心理士が連携して治療をしている病院もあります。◇学校・園のスクールカウンセラー学校や園にはスクールカウンセラーのいる相談室がある場合があります。スクールカウンセラーの多くは臨床心理士の資格を持っています。スクールカウンセラーが相談室に常駐せず、毎週決まった時間のみ相談を受け入れているようなケースもありますので、詳しくはお子さんの通われている学校・園にそれぞれお問い合わせください。◇発達障害者支援センター発達障害者支援センターは、発達障害のある人に対して総合的な支援をしている専門機関です。地方自治体によって指名された社会福祉法人、特定非営利活動法人によって運営されており、保険・医療・福祉・教育・労働などの機関と連携することで地域における総合支援ネットワークを築いています。発達障害者支援センターには「発達障害者支援センター運営事業実施要綱」に基づいて障害者支援の専門家が配置されています。しかしセンターによっては、臨床心理士ではなく、言語聴覚士、精神保健福祉士や医師などの専門家が配置されている場合もありますので、相談に行く前に臨床心理士がいるかどうかをご確認ください。◇大学附属の施設多くの大学には、学生向けの相談室を用意してあります。また大学によっては、学生だけでなく一般の方向けの相談室もある場合があります。詳しい利用方法については各大学のホームページで確認できるようになっているのでご確認ください。◇私設心理相談室施設心理相談室は個人もしくは複数人で経営されている相談室です。臨床心理士ではない資格でも同じような相談室を経営している場合もあるので、臨床心理士に相談したい場合は各相談室に確認してください。以下のサイトからお近くの臨床心理士のいる相談室を探すことができます。臨床心理士に出会うには|一般社団法人日本臨床心理士会公認心理師とは出典 : いままでは、心理学系の国家資格はありませんでした。そのため近年、心理学系の国家資格をつくろうとする動きがありました。その結果、公認心理師法という法律が平成27年9月9日に議員立法によって成立して、9月16日に公布されました。公認心理師法は、公認心理師という国家資格を定めるとともに、国民の心の健康を増進させていくことを目的にした法律です。公認心理師法の大部分は公布の日から2年以内に施行されることになっています。厚生労働省によれば、平成29年9月15日までに施行される予定になっています。公認心理師という資格の説明は、以下の通りです。公認心理師とは、公認心理師登録簿への登録を受け、公認心理師の名称を用いて、保健医療、福祉、教育その他の分野において、心理学に関する専門的知識及び技術をもって、次に掲げる行為を行うことを業とする者をいいます。(1)心理に関する支援を要する者の心理状態の観察、その結果の分析(2)心理に関する支援を要する者に対する、その心理に関する相談及び助言、指導その他の援助(3)心理に関する支援を要する者の関係者に対する相談及び助言、指導その他の援助(4)心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供第1回国家試験は平成30年までに実施すると厚生労働省は発表しています。公認心理師が制度化されたことで、臨床心理士や精神科医の仕事内容がかわっていく可能性もあるので今後注意が必要です。参考公認心理師について|厚生労働省まとめ出典 : この記事では、臨床心理士になるための方法から具体的な療法や検査の種類に至るまで説明してきました。臨床心理士について知りたいときや、相談するか迷っているときに参考にしていただければ幸いです。この記事内で取り上げた療法はあくまで一例にすぎないということをしっかり留意して、臨床心理士とよく相談して療法や通う頻度・期間を決めていただけると幸いです。
2017年03月10日大人ADHDな私の、イライラ対処法は…「ネガティブイメージトレーニング」Upload By モンズースーついイライラしてしまったけど、後から落ち着いて考えると「別に怒らなくても良かったな…」って思うこと、結構ありませんか?私はそういうイライラが自分に多い気がしていました。そんな時は、起こってしまうかもしれない悪いことを事前に予想しておくとイライラしなくなるということに気づきました。それ以降、私には自然と「ネガティブなイメージトレーニング」をするという変な癖が付いています。イメージトレーニングの中では、周囲の人に対して普段は思っていないような失礼な考えで想像を膨らませたり、事件・事故レベルの最悪の事態まで考えてしまいます…。もちろんすべてのイライラがこれで解決するわけではありませんが、私の場合、些細なイライラはこの方法でだいぶ防げるような気がしています。そして、本来怒るべき事態であっても冷静に考えられ感情的にならずに対応できる時もあるのです。この変な癖は私なりに自分をコントロールするための一つの方法なのだと思います。
2017年03月10日切迫早産の可能性のため入院。そして出産後も消えない不安出典 : 妊娠したら、しばらくは普通に妊婦として生活して、直前になったら病院に担ぎ込まれて出産するんだとばかり思っていました。しかし、私の出産経験は、想像と全く違う結果となりました。妊娠4カ月半で切迫早産で入院、その後の検診で大きなトラブルが判明、出産までの長期入院を言い渡されてしまったのです。私が入院した病院では、切迫早産や切迫流産、合併症、胎児の病気などのトラブルを抱えた妊婦がたくさん大部屋で同室入院していました。基本的に体は元気な人が多いので、病室では人間関係のトラブルが耐えません。私が一番苦手な「女の園」の中で、逃げ出せない拘束生活…しかも、いつの間にか私が最古参に。くれぐれもトラブルに巻き込まれないようにと、心すり減らす日々が続きました。いつまで妊娠が継続できるかわからず、緊急手術で取り出さなくてはいけない可能性があるという日々はものすごいストレスを感じるもの。妊婦雑誌を読むと涙が出そうでしたね。やっと生まれた娘は検査のため、すぐに新生児として入院。いろいろとあったものの、幸い退院するころにはすっかり元気になりました。しかし長い間、ストレスを抱えながらも病院の中でスタッフに守られる日々を送っていたのに、出産を終えて病院を出た途端、「さぁ、これからあなたはお母さんですよ。頑張って。」というプレッシャーがかかるこの落差。それまでのストレスとホルモンバランスの崩れもあったのでしょう。私の心はあっという間に故障してしまいました。強迫神経症が悪化してなかなか次の行動に移れなくなったうえに、ひどいうつ状態がやってきたのです。入院中、実家、自宅…私の心を救ってくれたのは保健師さんのネットワークだった出典 : そんな私を見て、入院中から保健師さんとの面談が始まりました。精神的なつらさ、この先の不安な気持ちをしっかり聞いてもらい、退院後も実家から保健師さんに何度も電話してつらい気持ちを聞いてもらいました。時間を割いてしっかり対応してもらい、ずいぶん私の心は救われました。さらにその保健師さんは、実家が管轄下に入っている保健所につないでくれ、実家にも保健師さんが訪問してくれるようになりました。娘の発育状況を診たり、私の話もじっくりと聞いてくれて心強かったです。そして、自宅に帰ってからも保健師さんが訪問するよう手配してくれたのです。入院中から実家、そして自宅へと管轄がそれぞれ違う保健所が、ネットワークをつないで私を救ってくれました。赤ちゃんとふたりきりの生活で壊れた心。保健師さんのおかげで子どもとの時間を楽しめるように出典 : 実家から自宅に戻ると、昼間は赤ちゃんとの二人きりになる生活が始まりました。当時は近所にまだ知り合いがおらず、まだ公園にも連れて行けない赤ちゃんとの二人きりの生活は泣くほどさみしかったです。そんなときに訪問してくれた保健師さんはとても頼りになる存在で、育児のアドバイスをしてくれたり、私の悩み相談にも乗ってくれました。そして孤独に悩む私を、近くの保健所で行われる赤ちゃんとママ教室に誘ってくれました。初めて出会う他の親子たち、そして優しく見守ってくれる保健婦さん。出産してから初めて他のママと会話して、心が緩んでくる感じがしました。だけど、やはり日中のほとんどを赤ちゃんとふたりで過ごす孤独と、赤ちゃんを守らなければならないプレッシャーは私の心を蝕んでいきました。強迫神経症が悪化して日常生活が送れないレベルに達してしまったのです。当時は赤ちゃんを寝かせたまま、何時間もかけて哺乳瓶の消毒、掃除をするまでになってしまいました。私のSOSを聞いて母が世話に通ってくれましたが、その状況を見かねた父から強制帰還命令が出され、実家へ帰ることになりました。このときの父の決断力には今でも感謝しています。あのままだったらきっと親子共倒れになっていたことでしょう。その時も保健師さんは私を助けてくれました。そのころかかっていた実家近くの精神科はどうしても私に合わず、症状がひどくなっても対応してくれませんでした。それを知って自宅から通える精神科を調べてくれ、つないでくれたのです。結果的に紹介された精神科にかかったおかげで、だんだん症状は落ち着き、子どもとの生活を楽しめるようになりました。保健師さんがすすめてくれた親子教室のおかげで、育児がもっと楽しく!出典 : 少し落ち着いたころ、保健センターで1歳半検診がありました。指さしで引っかかってしまった娘を心配していると、育児に不安のある親子のための親子教室を薦められました。そのときは発達障害という可能性は聞いてなかったので、何も考えず娘を連れて親子遊びを楽しんでいました。いまから考えると、保健師さんは一人ひとりの子どもの様子をよく観察していたのだと思います。教室が終わるときには、「もう心配いりませんからね」とニッコリと送り出してもらいました。娘は小4でアスペルガー症候群と診断されましたが、この時点では気づいてもらえませんでした。特性らしきものが目立ち始めたのはもう少し後だったので、仕方ないと今では思っています。この教室のおかげでママ友もでき、地元情報の交換もできるようになって、ずいぶん暮らしも育児も楽しくなりました。本当に参加してよかったです。発達障害と二次障害を抱えていた私。それでも子育てができたのは…出典 : 保健師さんの存在を忘れかけていた、娘が3歳を過ぎたころのことです。私が働きだしてから娘の様子がおかしくなって「仕事を辞めた方がいいのかな」と思い詰めることがありました。そのとき頭によぎったのは、親子教室でお世話になった保健師さん。保健センターに電話して相談したところ、さっそく面談の場を設けて娘の様子を観察し、私に接し方のアドバイスをしてくれました。おかげで娘の問題行動もおさまり、私も安心して仕事に行けるようになったのです。こうして振り返ると、私は保健所と保健センターの保健師さんたちに支えられ、助けられたから、発達障害と二次障害を持ちながらもなんとか娘の幼児期を乗り切れたのだと思います。あのころは、まさか自分と娘が発達障害だとは思いもしませんでしたが…。分からなくても救われることがあるのです。育児で困ったときは保健センターに相談にのってもらうのはおすすめです。「こんなことで電話していいのかな?」とためらわず、まず助けを求めてみませんか?
2017年03月10日触覚・味覚・聴覚過敏のある息子。歯医者はつらいことのオンパレードで…出典 : 発達障害の子どもを持っていると、病院通いに精神的にかなり消耗する親御さんが多いのではないでしょうか。「何をされるか分からない」という状況に極度の不安を感じる子も多いですし、待ち時間に動き回ってしまう子もいるでしょう。うちの息子の場合、そのあたりのことは予告を繰り返すことでだいぶ楽になりました。ただやはりどうしようもないのは感覚の過敏さの問題です。内科や発達外来などは特に恐怖心もない息子ですが、歯科に対する恐怖心だけはどうしても消えません。それは、息子を悩ます触覚過敏・味覚過敏・聴覚過敏が、歯医者さんではフル稼働してしまうところにあります。Upload By モビゾウ息子は特に口周辺や首周りの感覚が過敏です。歯茎にも過敏性があるため、歯医者さんの使う電動の歯ブラシは拷問のようだと言います。また、「お口あーん」と言われて顎を触られた瞬間に「うわああああ、くすぐったい!!!助けて~!!」と絶叫です。また、子ども用に人工的な味をつけてあるフッ素がとても苦手です。口に入った途端に吐きそうになってしまい、しばらく治療がストップしてしまいます。シーラント治療(歯の溝を埋めて虫歯になりにくくする)はもっと最悪です。使う薬剤が酸っぱいのです。息子は嘔吐寸前になってしまい、結局治療を最後まで出来ませんでした。聴覚過敏があるので、電動ブラシの音や周りの患者さんを治療するときの音もダメです。ういぃぃぃぃん…という音に、「脳が削られる~~助けて~~」と叫びます。聴覚過敏の息子には、本当に音が脳にダイレクトに響くのでしょう。感覚過敏のつらさを、歯医者さんになかなか理解してもらえない…傷つく息子の自尊心けれども、どんなに「この子は発達障害があります」と歯医者さんに説明しても、こういった感覚の問題まで理解できる歯医者さんはなかなかいません。息子は大騒ぎするたびに叱られ、あるときなどは「僕は何歳??6歳でしょう??6歳でこんなに大声で騒いで暴れる子なんていないよ!?」と怒られてしまいました。息子の自尊心はズタズタです。「少しは我慢しなさい!!!」と言われては、息子は帰りの車で涙をポロポロと流すのでした。Upload By モビゾウドクターショッピングの繰り返し。そこには親の意地もあり…出典 : 「虫歯になったらもっと治療が大変になる…なんとかして虫歯になるのは防がなければ…」そういう思いから、私は定期的に歯医者さんに通う習慣は息子につけさせておきたいと思っていました。ところが、どこの歯医者さんに行っても、息子は耐えきることができません。息子は大騒ぎ、歯医者さんは汗まみれ、クタクタになっている歯医者さんの姿を見ると、もう一度行こうという気持ちにはとてもなれませんでした。私はママ友の話を聞いたり、ホームページを見たりしながら、ドクターショッピングを繰り返しました。受付に電話をかけ、「発達障害があるのですが」と何度も何度も説明しました。けれどもどうしてもうまくいかなかったのです。心身障害児専門歯科というものがあることは知っていました。けれども、私は近隣の歯科でなんとかしたい…という気持ちがありました。場所が遠かったのもありますが、「支援と配慮があれば、息子は『普通の子ども用の歯科』でなんとかなるはずだ…」そんな奇妙な意地が私にあったのです。けれども、ドクターショッピングを繰り返したところで、息子の歯医者さんに対する恐怖心も増幅していくばかりでした。フッ素やシーラントで吐きそうになったこと、先生に触られてくすぐったくて騒いだら叱られたこと、次第に息子にとって歯医者さんは「嫌なことをされて叱られる場所」になっていきました。そのうちに、歯医者さんと聞くだけで「やだっ!!!」と叫ぶようになってしまったのです。ようやく障害児専門歯科に行くことを決意!実際に見てみると、驚きの連続だった奇妙な意地を張り続けてドクターショッピングを繰り返していた私ですが、就学児健診で「上の歯で怪しいのが一本ありますねえ。早めに歯科に行って診てもらってくださいね」と言われ、もう気分がガックリとなってしまいました。「この子には歯医者さんはもう無理だよ…」「わたし、歯医者さん探すの疲れたよ」というくたびれはてた私の心の声が聞こえてきました。そしてようやく、「もうこれが最後の賭けだ…。障害児の専門歯科に行ってみよう」と決心したのです。当日、なんとか息子を説得して障害児(者)専門歯科に連れていきました。先生が息子の顎を触った瞬間、息子がいつもどおり「くすぐったい!!!」と叫びました。そのときに先生が、「あ、感覚過敏があるんだね~。感覚過敏があるのは、顎だけかな?首とかも嫌?」と聞いてきたのです。Upload By モビゾウこの質問に、私も息子も呆気にとられました。今まで必ず、「何言ってるの!!我慢しなさい!」と言われてきたからです。そして先生は、息子の顎を十秒ぐらいぎゅーっと押しました。「これ、脱感作療法っていいます。ぎゅーっと長いこと触れていると、感覚過敏が和らいでいくのよ。分かる?」私は、思わず涙が出そうになりました。息子もこのやり取りで、一気に先生に信頼を置くようになりました。感覚の過敏さは我慢できるものではない、そう分かってくれているというだけで、息子にとっては安心感があったのでしょう。その後、「フッ素とシーラントの味は味覚過敏で受け付けません」と私が言ったところ、先生はフッ素を何種類か持ってきてくれました。Upload By モビゾウそして、「りんご味、ブドウ味、チョコレート味のフッ素があるよ。お口に入れても大丈夫なのはどれかしら?好きなのを選んでね」と聞いてくれました。すると息子は、「チョコレート味のフッ素なら大丈夫。僕、毎日チョコレート味のキシリトールを食べてるから」と言いました。さらに息子にとって拷問だった電動ブラシによる歯のブラッシングも、「何秒なら耐えられるか、自分で設定してくれる?」と先生から言われました。息子は、「5秒なら耐えられます」と言い、いつものように大騒ぎせずに治療が終了しました。歯医者さんは、「発達障害の子には、こういう風に自分のハードルを自分で設定することが大事なんです。ここまでならできる、って自分で決めさせるんです。そうしたら、ちゃんとできるんですよ」とおっしゃいました。これは歯科治療に限らず、発達障害児の子育て全般に使える方法だと思います。歯医者さん克服が、息子の成功体験につながった!Upload By モビゾウいつも歯医者さんに行くと、「僕はどうせ」としくしく泣いていた息子でしたが、このときは自分から「次の予約取る」「ずっとここにする」と言ってくれました。帰宅してからも、今までダメだったフッ素がちゃんと塗れたこと、電動ブラシが我慢できたことをずっと誇らしげに話してくれました。息子にとって、歯科治療が成功体験になったのです。このときは、「とにかく普通の子のための歯医者さんで頑張らせたい」という意地で、親子ともに苦しんでいたことを反省しました。もっと早く、専門の先生にたどり着いていれば、息子があんなに苦しむこともなかったのにと。場所が少し離れていても、歯医者さんとの精神的な距離はグンと近くなりました。なによりも息子が、自分で次の予約を取ると言ってくれたのですから。
2017年03月09日大人のチック症とは?出典 : チック症とは、まばたきや首振り、咳払いなど、一見癖のように見える行為が間欠的に持続して現れる症状が特徴の、脳と神経の機能障害です。チックが出る子どもは10人に1,2人くらいと多く、その95%は脳の発達・成長に伴い症状が減少するといわれています。日常生活に困難がなく、周囲が受け止めてくれる環境なら、基本的に薬物治療は不要とされています。ただ、大人になってもチックが続いたり、治まっていた症状が環境や体調の変化をきっかけに再発したりするケースもあるそうです。2013年に出版されたアメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神疾患のための診断と統計のマニュアル』第5版)においては、チック症群/チック障害群という疾患分類に位置づけられます。かつてチック症は、家族関係の不調和などをきっかけとした精神疾患とされてきましたが、近年になって脳と神経の発達のアンバランスさが引き起こす症状であり、発達障害の一群と分類されることも増えてきました。参考リンク:厚生労働省|みんなのメンタルヘルス本記事では疾患の呼称を「チック症」、症状からくる動作や言動を「チック」と定義して説明していきたいと思います。『DSM-5』では、チックは以下のように定義されています。チックは, 突発的, 急速, 繰り返される不規則な運動もしくは発声(例:瞬目, 咳払い)である.(DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル 日本精神神経学会医学書院p239より)チックの種類は多種多彩で、首をかしげる、瞬きをするといった単純な動きから、モノに触る、相手の言葉を何度も繰り返すといった、複雑な動きを伴うものまであります。チックが起こる部位も様々で、脚に出ればジャンプ、口に出れば不自然なあくびなど、バラエティが豊富です。共通する特徴は、日常風景になじまない動作や声が、本人の意思では止め難く出てしまう、ということです。Upload By 発達障害のキホン『DSM-5』によると、チック症は1種類またはいくつかの運動性チックか、音声チックのみが18歳未満で発症し、1年以上継続しているもの、と定義しています。複数の動作のチックと音声のチックが重なって出現すると、トゥレット症候群と呼び名が変わります。こちらも発症の時期は小児~青年期が多いそうです。トゥレット症候群の発症率は10000人に4,5人で、神経系疾患の難病に認定されています。参考リンク:難病情報センター『DSM-5』によれば、チック症の診断基準には18歳未満で発症したものという定義があり、大人になって初めてチックが発症するケースは非常にまれだそうです。大人でチック症が出た場合は、小児期に未診断だったものの継続・重症化、あるいは再発である場合がほとんどだといわれています。大人になってから初めて症状が出た場合、チック症ではなく以下のような別の病気やその後遺症、薬の副作用の可能性があります。・ハンチントン病やウイルス脳炎などの後遺症による脳の中枢神経障害・コカインなどの薬物使用による副作用・てんかん、ジストニアなど、別の脳神経疾患また、チック症は他の発達障害や強迫性障害などの精神疾患を併発しているケースが一定数あるという指摘がされていて、研究が進められています。チック症は症状が多彩で一見すると癖と見分けがつかないため、本人も周囲も深刻にならずに生活しているケースは多々あります。また、チック症であるという認識があってもなくても生活に違いが出ないのであれば、診断や治療を受けなくても問題ない障害ともいえます。チック症の原因は?大人でチックが出やすくなる誘因は?出典 : チック症は脳の発達のアンバランスさによって引き起こされる障害です。なぜ突発的で生活風景になじまない動きや声が出てしまうのかは、いまだに解明されていない部分も多いそうですが、近年の研究によるとチックには以下2つの原因と3つの誘因があると考えられています。原因1: 神経伝達物質の代謝や分泌が影響している脳から分泌されるドーパミンという神経伝達物質の働きを抑える薬を服薬すると、症状が改善することが臨床医学的に証明されています。このことから、チック症はドーパミンを代表とする神経伝達物質の代謝と、代謝に反応した神経回路の活動過剰が原因ではないかという仮説が立てられ、研究が進められています。出典:チックとトゥレット症候群がよくわかる本星加明徳/監修(講談社,2010)P48より参考リンク:心療内科:前田クリニック|チック症原因2:神経が過剰に活動しやすい体質であるチックを起こしやすい体質には遺伝が関わっているとも考えられていますが、チックは子どもの10人に1,2人に症状が出るという事実から、体質自体は特に珍しいものではない、といえるようです。出典:星加明徳/監修「チックとトゥレット症候群がよくわかる本」(講談社,2010)P22~28より誘因1:成長や一時的な体調の変化がチックの増減に関係するチックが出た子どもの95%は、成長に伴いチックが目立たなくなるそうです。言い換えれば、第二次性徴期を過ぎると症状が落ち着くということになります。その一方で、臨床で月経前緊張症がチックの再発や悪化に関係したとみられる症例や、慢性的な頭痛、腹痛、長びく睡眠不足がチックの増減に影響したと推測される症例も確認されているそうです。誘因2:環境の変化がきっかけで症状の出方が変わるチックは精神的ストレスで症状が変わることから、環境要因が関与していることが指摘されています。具体例をあげると、親しい人との離別や転職、昇進などのプレッシャーをきっかけにしてチックが出て、環境に慣れるにつれて症状が減っていく、というようなケースです。誘因3:性格的にまじめで、繊細、誠実な人に出やすい環境要因と重複しますが、性格とストレス感受性は関係が深いため、繊細な人ほどプレッシャーを強く感じることが多く、チックを誘発しやすいという臨床心理的な推論があるそうです。参考書籍:森谷寛之著「チックの心理療法」(金剛出版,1990)大人のチック症の困り事って?出典 : チック症によってもたらされる困り事で、大人にも子どもにも共通するのは以下の4つです。・自分の意思では止められない/止めにくい・周囲に障害だと理解してもらえない・場合によっては誤解されたり悪意をもたれてしまう・苦しいのに援助の求め方がわからないこれまで述べてきたとおり、チック症は学校や仕事を休むほどの症状にならないことも多く、癖と見分けにくいため「障害」と認知されにくいのも特徴です。また、「発達障害」や「精神障害」に対する社会の誤解と偏見から、当事者や周囲の人々もチック症の理解や受容が困難になりやすいという面があります。つまり、チック症当事者のいちばんの困難は、「見えない障害」であるがゆえに誤解され、社会から排除される恐怖を感じること、と言えるのではないでしょうか?そして大人にとっては、社会から排除されることは生活困窮に直結しやすいため、その恐怖はさらに増すと推測されます。チック症のいちばん効果的な対処法は、前述の通りストレス回避とそのための環境調整です。しかし、大人は自活のために仕事上のストレスを慢性的に抱えています。それはチック症当事者も同様です。つまり、チック症の大人はストレス回避がしにくく、そのため症状が長引きやすく、それが当事者の困難をさらに助長するという悪循環になっているのです。言い換えれば大人のチック症の困難は社会が生んでいるともいえるわけです。実際に、チック症とその重症例であるトゥレット症候群で悩む人たちは、長い間、情報と治療法の少なさ、周囲の誤解と偏見に苦しんできたそうです。しかしこの10年来、障害の研究と理解は徐々に進み、当事者や支援者による訴えも実を結びつつあります。今ではNPO法人が運営する当事者支援協会も発足し、自助グループの活動も各地域に広がってきています。参考:日本トゥレット協会参考:トゥレット友の会このように長い間苦しみを抱える人がいた一方で、人生のうち1度でもチックが出たことのある人は10人中1,2人いて、そのうち5%は慢性化したり再発したりすることから、計算上は200人に1,2人が間欠的にチック症に悩んでいることになります。この人数から考えると、実はチックはごく一部の人の悩みではない、ともいえるのではないでしょうか?大人のチック症、医療機関で受診したほうがいい?出典 : チック症は本人に生活上の不便がなく辛さも少なければ、必ずしも受診が必要なわけではありません。しかし、仕事や学校生活に支障が出る可能性があるようでしたら、対処法を知るために一度受診してみることをおすすめします。チック症は心療内科や精神科で診察を受けることができます。チック症は脳神経の働きの乱れで症状が出るので、精神神経科、神経内科がある病院はさらにおすすめです。上で紹介した日本トゥレット協会のHPには治療・診察ができる病院のリストがあるので、どうぞご利用ください。参考:日本トゥレット協会|医療機関リスト大人のチック症、どんな治療をするの?出典 : チック症の治療は、一人一人の症状の程度に応じて治療方針が決められます。軽度の場合:身体や心理的なストレスを減らす本人に対してはまず、ストレスを減らすための環境調整の工夫が提案されます。具体的には医師や臨床心理士による本人へのカウンセリング、箱庭療法・認知療法・行動療法などの心理療法です。本人だけでなく家族やパートナーへの症状理解を促すガイダンスも治療の一環になることもあります。重度の場合:服薬や認知行動療法の指導を受ける環境調整だけではつらさが解決しない場合は薬物療法が有効です。症状が長期・慢性化していて頻繁だったり激しかったりする場合には、ドーパミンに作用する抗精神病薬が処方されることが多いそうです。これらの薬はふらつくなどの副作用が出ることもありますが、チックが出る回数が減ったり、動きや声が小さく目立ちにくくなったりすることが確認されているそうです。薬物療法の他に、チックをコントロールしやすくする認知行動療法も最近では注目されています。参考:前田クリニックチック症がある大人の方の、暮らしの工夫は?出典 : チック症は一時的に激しくなっても時間が解決することもある病気です。しかし、脳神経の働き方の癖が原因であるため、環境が変わったり体調が変化したりすると症状が再発する可能性があります。ケガや風邪のように薬や安静で完全に治癒する、とはいえないのがチック症の悩ましいところです。ただ、チック症はもともと自然経過のなかで軽減していくことも多く、環境調整が効果的な治療なので、本人がリラックスできる生活習慣を身につけておくことに一定の効果はあると思われます。そこで、以下に3つの生活上の工夫を提案します。周囲の人に理解をしてもらえると、不安や緊張感にさいなまれる気持ちはだいぶ軽くなるのではないでしょうか?チック症を診察してくれる医療機関や自助グループでは、症状理解のためのパンフレットを作成し、啓発を促しています。下記に参考リンクを2つ紹介するので、ぜひご覧ください。参考:厚生労働省|障害者対策総合研究事業「チック」や「くせ」をよく知ってうまくつきあっていけるように参考:NPO法人 日本トゥレット協会|もしかして「トゥレット症候群」ではありませんか?チック症の説明を自分ですることが難しい時に、これらのリンクをメモしておいたりパンフレットを印刷して携帯しておいたりすることも、理解者を増やしていく工夫の1つです。しかし、現実には周囲の理解は得にくい、チック症が出ていると伝えること自体に羞恥心や恐怖心があるとお悩みの方も、中にはいらっしゃることでしょう。そのような、一人で悩まれている方々には、ぜひお知らせしたい言葉があります。それは「合理的配慮」という言葉です。合理的配慮とは、障害のある人が障害のない人と平等に人権を享受し行使できるよう、一人ひとりの特徴や場面に応じて発生する障害・困難さを取り除くための、個別の調整や変更のことです。障害者差別解消法では、合理的配慮の対象は“法が対象とする障害者は、いわゆる障害者手帳の所持者に限られない”としており、様々な社会の誤解や偏見により困難がもたらされている人も含むと規定しています。不安や緊張感にさいなまれるチック症当事者には配慮を求める権利があり、配慮は行政や事業者の義務であると法律が定めています。また、当事者を支援するために家族やパートナーが代理で配慮を求めることも認めているのです。このような法律を持ち出さなくても、人間の多様性を認め互いに合理的な配慮を行うことで社会は円滑に運営できる、社会はそこまで成熟しつつある、という考えは今後も広まっていくことでしょう。チック症においては孤立しないということも広い意味での心理的治療になるといえるので、支援の手を憶することなく利用できるとよいですね。チックの兆しを感じたら一人になれる場所をあらかじめ作っておくのもおすすめです。個別の状況によりますが、上記で紹介した合理的配慮の具体例として、学校では保健室や空き教室、会社では会議室や備品置き場などを一時避難場所にしてもらったケースもあるそうです。ストレスをためない工夫や自分にあうリラックス法を見つけておくことは、長期的にわたるチック症の軽減、再発防止に役立つのではないでしょうか?リラックス法の例として、睡眠や深呼吸、ストレッチ、好きな香りのする小物や飲み物を携帯するなどがあります。ヨガなどの軽い運動は「体が心地よい状態」を自発的に作れるので、心身を整える効果があると言われています。リラックスした状態を自分の意思で再現できるようになれば、緊張することは減り、脳神経の反応も安定していくかも知れません。ご紹介した工夫以外に、最近では「ハビット・リバーサル」と呼ばれる認知行動療法がチック症の治療に有効であると言われています。具体的には、まばたきのチックが出そうな時、あえて指先など一点を凝視し、まばたきをしないように意識するというような行動訓練で、衝動を感じた時にあえて逆の行動をすることでチックを打ち消すという方法です。参考:トゥレット障害を含むチック障害ただし、ハビット・リバーサルはあえてチックを意識する行動療法なので、軽いチックには逆効果になることもあります。治療としてとり入れたい場合は、専門家の指導を受けながら計画的に進めていきましょう。大人のチック症、周囲の人にできることは?出典 : チック症はわざとではないのにやめられない、止まらない動きや発声が主な症状です。この症状に誰よりも苦しんでいるのはチック症の当事者です。ここでは、チック症に悩む当事者を支援するために周囲の人ができることを考えていきます。1. まずはチック症を理解する当記事でここまで述べてきたとおり、チック症は脳の機能障害で、脳の神経活動の不安定さが引き起こす症状です。チック症特有の言動の繰り返しに、とまどいやイラ立ちを覚えることもあるでしょうが、故意や悪意でやっているのではないことをぜひ理解してください。2. 日常生活では「温かい無視」を「温かい無視」とは、簡単に言うと症状を理解した上で見て見ぬふりをするということです。チックに苦しむ当事者にネガティブな感情をぶつけるのは論外ですが、はれものに触るような扱いも当事者を傷つけることはあります。症状のささいな変化には目をつぶり、チックは当事者の特徴の一つでいつかは消える、消えなくても大したことはない、とおおらかに受け止めることは、じゅうぶんな当事者支援になります。3. 求められた時には手助けする大人のチック症はまだ認知度が低いため、周囲の人がなかなか理解できないのと同様に、場合によっては当事者自身も気づいていなかったり、受容できずに苦しんでいたりすることがあります。周囲の人にできることの基本は「温かい無視」なので過度の手助けは考えものですが、チック症であるという自覚や受容ができないまま苦しんでいる場合は、相談に乗るなどの支援をしてもよいかもしれません。支援の仕方はチック症当事者との関係・距離感に応じて変わりますが、症状を抱えながらも努力し成長しようとする人が、社会に阻まれることなく暮らしていける世の中こそ、誰にとっても暮らしやすい社会であるはずです。チック症のあるなしに関わらず、すべての人がのびのびと暮らせる社会になるとよいですよね。まとめ出典 : チックは一見するとただの癖に見えるため、自分の意思でやめられると勘違いされやすいのですが、脳神経の発達のアンバランスがひき起こす障害です。時にはわざとやっていると誤解されたり、悪意を向けられたりすることもあるため、当事者は社会適応に困難を感じているのが現状です。チックは子どもによく見られますが、大人でも症状がある人はいます。学校や会社を休むほどの症状ではなくても、本人が苦しいと感じているのであれば、一度病院へ行き、相談をしてみてください。周囲の人々はチック症の特徴を理解し、当事者の困りごとに寄り添った「温かい無視」を心がけてあげてください。チック症の根本的な治療法はまだ確立していませんが、研究も日々進められています。チックとのつきあい方を知り、服薬などの治療を受ければ症状は緩和できます。その症状や当事者の暮らしぶりは少しずつ周知され、支援の輪も広がってきています。社会適応に困難を感じているチック症の方々は、「合理的配慮」という考え方をこの機会にぜひ知ってください。当事者も周囲の人々もチック症の知識と対応を学んで、チックで孤立する人を生まない社会を目指していきましょう。
2017年03月08日いつでもマイワールド全開の娘(5歳)、ある日の天気の話題でも…Upload By SAKURAUpload By SAKURAUpload By SAKURAUpload By SAKURAUpload By SAKURAま、眩しすぎる!!私は、こんな素敵なことを言う娘が大好きです(笑)
2017年03月08日松葉づえをついていた息子。大人のマナーについイライラして…Upload By かなしろにゃんこ。中学の校外学習で、息子が電車に乗り継ぎながら遠出をしたときのことです。その頃、足を骨折して松葉杖で歩いていた息子はもうヘトヘト。電車の優先席で休みたかったのですが、席が空いていませんでした。優先席の前に松葉杖で立てば気がついて席を譲ってくれるかな?と思ったそうなのですが、座っている大人は誰一人譲ってくれず…気がついていないフリを決め込む大人に「そこは優先席だろっ!健康な人はどけよ!」と腹が立ってきたそうで、優先席の前でわざとイヤミをぼやいたというのです。目には見えない、いろんな可能性があることを学んでほしい!親子で話し合ってみたものの…Upload By かなしろにゃんこ。ぼやき足りなかったのか、息子は帰宅してからも優先席のマナーが悪い大人について文句たらたら…。確かに健康な人が優先席を陣取ることはマナーが悪いし、息子の言い分は正しいのですが、ここは「見えない痛みや疲れ」を抱えている人もいるということに目を向けてほしいと思いました。「座っていた人は妊娠中だったかもよ?」「重労働で疲れていたのかもよ?」「気持ちはあったけど、人見知りで声をかけられない人だったかもよ?」など、席を譲らない理由には実は隠れた原因があったのかもしれないね!といろいろな可能性の話をしてみました。見た目が健康だから元気なハズ!と決めつけて怒らないで欲しいと思ったのです。いろいろな可能性を考えることができれば腹が立つことは少なくなるし、自分よりも疲れている人を優先しよういう心も芽生えるんじゃないかと考えたのですが…反抗期なこともあり、社会への反発が鋭くって私の言葉は入っていないようでした…ショボン…。人に親切を求める前に…自分はどーなの?息子に聞いてみるとUpload By かなしろにゃんこ。Upload By かなしろにゃんこ。そのくせ息子は、気持ちよく親切にされたのにお礼を言うのをコロッと忘れます。校外学習から帰るまでカバンを持ってくれた友だちの親切は当たり前に受けていいかのような態度だったので、「バカ野郎!スゴク助けられているのに気がつきやがれ!」と怒鳴りました(笑)。いつも人に助けてもらってばかりの子だから「やってもらって当たり前」になってしまっているのかしら…?息子のこの感覚はヤバイ!早いとこ正さないと!と息子のマナーの悪さにも気が付けた出来事でした。
2017年03月07日家でのルールをうっかり守れなかった息子。するとそれを見た娘は突然…出典 : わが家には自閉症スペクトラムの診断を受けた9歳の娘と6歳の息子がいます。アスペルガーの要素が強い娘と、ADHDの要素が強い息子。タイプはまったく違います。さて、わが家ではYouTubeを観るのは1日30分と決めています。刺激を求め続ける息子は放っておくと丸1日、パソコンの前から離れられなくなるからです。それぞれにタイマーを用意し、「自分で時間をセットしてアラームが鳴ったら終了」というルールにしています。ですが息子は動画を選ぶのに夢中になって、時々タイマーのセットを忘れてしまいます。普段は私が声をかけて注意を促すのですが、先日たまたま息子の行動を見ていた娘が、突然怒りを爆発させたのです。「ちょっと!!タイマーをセットしてないじゃない!!」「時間を誤魔化そうとしてるんじゃないの!?」「適当なことばかり!いい加減にしなさい!!!」と、突然怒鳴りつけ、勝手に息子のタイマーをセットしました。それでも怒りは収まらず、ふんぞり返ってまだ文句を言っています。出典 : 「どうして突然怒鳴りつけるの?」「タイマーを忘れてるよ、って教えてあげるだけで良かったんじゃないかな?」と聞いてみましたが、娘本人もどうしてそんなに腹が立つのかわからない様子です。「ずるい、羨ましいっていう気持ちがあった?」と聞いてみても答えはノー。では一体、どうして他人の行動にそこまで腹を立ててしまうのでしょうか?そういえば、自分にも心当たりが。他人には「突然怒った」と思われるけれど出典 : 実は私にも似たような感情があるのです。まったく関係のない人でも、誰かがルールを破ったのを見てしまうと猛烈に腹が立ち、取り憑かれたようにそれについてばかり考え、怒りの感情に飲み込まれてしまうのです。誰かがルールを破る行為を見た瞬間、怒りは爆発的に湧いてきます。でもそれを口にする時は我慢の限界を超えたときです。他人にはこの経緯が見えないため、いつも「突然怒る」という印象を与えるようです。これは「ルールに厳格である」という特性に、「自分と他人の境界が曖昧」という特性が重なったために起こるのではないかと考えています。今回の娘の感情を洗い出すと、以下のようになりました。・ ルールは絶対に守るべき・ タイマーをセットし忘れるなんて有り得ない・ 早くタイマーをセットするべきだ・ どうしてセットしないんだ・ 私だったら恥ずかしくてたまらない・ 居ても立ってもいられない・ あなたがやらないのなら私がセットする・ これで最悪の状態は回避できた・ しかしどうしてきちんとルールを守らないんだ!途中までは息子がルールを守らないことに対して怒り、途中からは息子がルールを破ったことがまるで自分のことのように許せずに怒っています。その結果、勝手に自分の思い通りの状態にしようと強引に行動してしまいました。思い通りに状態が改善されたにも関わらずまだ怒りが収まらないのは、ルール違反に対する怒りが解消されていないからだとわかりました。娘の思考は理解できましたが、これでは突然怒鳴りつけられる息子が不憫です。どうすれば皆が快適に過ごせるようになるのでしょうか。「自分と他人は違う」ということを理解するために、親子で振り返ってみた出典 : 娘にはまず、紙に線を引いて、自分と他人の間には境界線があることを伝えました。この線はとても大事なもので、他人が勝手に相手の陣地に踏み込んではいけないこと。ずかずかと踏み込んで、他人の行動を無理矢理変えさせるような人の隣には、誰も寄りつかなくなること。息子のタイマーを勝手にセットしたのは、「相手の陣地に乗り込んで自分の思い通りにする」という暴力的な行為であったこと。「タイマーを忘れているよ」と教えてあげるのは親切、でも「タイマーをかけなさい」と命令するのは威圧。たとえ家族であっても、境界線を超えてはいけないこと。自分にも他人にも、それぞれ物事を選択する自由があること。今回、息子のタイマーを勝手にセットしたことで、息子が失敗からなにかを学ぶ機会を奪ってしまったこと。人は、境界線を超えてこないという安心感が信頼感に繋がり、共に歩んでいけるのだということ。娘は「そんなつもりはなかった」「正しいことをしたつもりだったのに」と目に涙を浮かべていました。でも、今の失敗を責めているのではなく、これからどうすればいいかを一緒に考える時間だよ、と諭しながら話し合いました。娘との対話で気付いた。親である自分も、気を引き締めよう!出典 : 話しているうちに、これは私も気をつけなければならないなと、気持ちを引き締めました。「早く寝なさい!」という命令は、「そろそろ寝た方がいいんじゃない?」という提案に。「早く用意しなさい!」という指示は、「早く用意を終わらせた方が出発まで焦らなくて済むから安心だね」という成功体験を思い出すきっかけに。そんな風に私自身も変えていくことにしました。やってみるとわかりますが、自分を変えるということは、本当に根気のいる作業です。子供にも自分にもすぐに成果を求めるのではなく、今やってることは「きっと来年の今頃に結果が出てくる」と長い目でゆったりと見守っていけるといいですね。
2017年03月07日意思決定の力で変身!!Upload By 荒木まち子Upload By 荒木まち子まるで別人!別人28号モード今回のカルタの「別人28号」は、成人した自閉症の娘さんを持つ先輩お母さんであるTさんの言葉です。「苦手なことでも自分の意思が入っている時“自分で決めたこと”は頑張れるのよね。まるで別人のようにテキパキ動けたり早足で歩けたり^^私は『別人28号』って呼んでるの。」Tさんの娘さんの意思決定エピソード出典 : さんの娘さんにはこだわりや癇癪、視覚の過敏があり、トイレの黒や赤のピクトグラムが特に苦手でした。将来トイレに入れないのは困ると考えたTさんが、娘さんが中学生の時に外出先でトイレにチャレンジしたところ、娘さんは恐怖で「絶叫&大暴れ」だったそうです。その後はピクトマークの無いトイレを調べたり、長時間の外出を控えたりしていたそうですが、ある時、どうしても我慢できなかった娘さんは自らトイレに行くことを決め、下を向き震えながらもトイレに向かったそうです。足早に戻った後、緊張から解放され深いため息をつく娘さんの姿を見た時、Tさんは「こんなに嫌な事でも、自分の決めたことは頑張れるんだな」と思ったそうです。いくら意思決定が大切だからといっても…出典 : いくら本人の意思が大切、といっても・うちの子はまだ小さいから意思表示ができない・子どもの意思ばかり優先していたら生活のリズムが乱れてしまう・我儘な子になってしまいそうと心配される方もいらっしゃるかもしれません。その場合は絵カード、写真などを使っていくつかの選択肢を示し、本人に選ばせると良いと思います。最初はうまくいかないかもしれませんが、お子さんに分かりやすい方法を探して繰り返し試していくうちに身についていくはずです。「自分の要求を表現する手段を知ること」「自分で選ぶこと」「選んだことが実現すること」を理解すると癇癪やパニックはぐっと減るはずです。意思を表現する手段を身に付けることの大切さ出典 : 子ども自身が1.自分の気持ちを表現する(親以外の第三者に伝える)手段2.自分の意思が認められることによる自己肯定感3.自分で決めた事に対する自己責任感を身に付けることは、進路を決める時や自我が芽生える思春期、親亡き後にどう暮らしていくかを決める時にとても大切になってきます。親や支援者主体ではなく、本人の意思を尊重した支援こそが当事者にとっての一番の幸せだからです。ちなみに発達障害の我が子(高校2年)は現在1と2に苦戦中です。早期発見・早期療育が大切だと思う理由のひとつ早期発見・早期療育したからといって自閉症や発達障害が治るわけではありません。しかし、早くから子どもの特性を理解することで、その子に合った「意思表示の手段」を探すことができます。また支援者(理解者)と繋がることで、子どもが安心できる環境を小さいうちから作ることもできます。早期発見・早期療育は、本人が望む支援=「意思決定支援」の為にも欠かせないものだと思います。
2017年03月06日特別支援学校に通う息子が、将来「働く」ということ出典 : こんにちは。『子どもも親も幸せになる発達障害の子の育て方』著者の立石美津子です。私には、知的な遅れを伴う自閉症の息子がいます。現在、特別支援学校高等部に通う1年生です。特別支援学校高等部のカリキュラムは、一般的な高等学校とは少し異なります。国語や数学と言った教科学習だけでなく、入学直後から3年後の就労に向けて必要な知識、技能、態度についての学習が中心になります。それに加えて、木工、農園芸、食品加工、ビルクリーニングなどの作業学習も行われます。今回は、障害のある子どもが「働く」とはどういうことなのか、働くことで得られる喜びとは何なのか考えてみました。知的な遅れがある自閉症の息子。その人生の先にあるものは出典 : お子さんが特別支援学校の高等部を卒業した先輩ママが、ある日こんなことを呟いていました。「18歳までは“学校”という障害があっても守られた環境のなかで、先生や友達と一緒に充実した毎日を送っていた。でも卒業後は朝から夕方まで作業所でナッツをビニール袋に詰める作業をしている。わが子はこれで幸せなんだろうか…?」「猛暑の中で、来る日も来る日も公園のトイレ清掃。わが子の人生は、これでよかったのだろうか…」この話を聞いた私は、息子が支援学校を卒業してから1日中、袋詰めの作業をしている姿を想像しました。そして…こんなこと言ってはいけないのかもしれませんが…「なんのためにこれまで一生懸命育ててきたんだろう」と悲しい気持ちになってしまいました。誕生したときの喜び、診断されたあとのショック、療育に必死に通った過去の日々が蘇り……。どんなに一生懸命学校に通わせたり、療育をして本人に出来ること増やしたとしても、その先にあるのは結局ひたすら単純作業をこなす人生なのかもしれない、そう考えてしまいました。授業参観で、ひたすら単純作業を行う息子を見て。浮かんでしまった正直な気持ちUpload By 立石美津子昨年の7月に、息子が通う高等部の授業見学に行きました。知的障害の度合いが重度の子は「園芸班」「ホームサービス班」「工芸班」「紙工芸班」に、中度・軽度の子は「事務班」「接客班」「清掃班」「食品加工班」「施設管理班」に分かれて、将来の就労に向けての訓練を受けていました。施設班のグループの生徒達は猛暑のなか、ほうきの毛束についたゴミをひたすらとる作業をしていました。これを“けがき”と呼ぶそうです。(私はそんな言葉があることを初めて知りました)接客班の生徒達はテーブルを囲んで輪になり、一人ずつテーブルを拭く練習をしていました。私語禁止のなか、左端から右端、上から下とロボットのようにテーブルを拭いている子は「よくできました」と先生に言われ、丸く拭いた子は「やり直しです」と注意されます。息子は事務班でしたが、ネクタイをしめながら、同じ紙を3時間大型カッターで切る訓練を受けていました。Upload By 立石美津子人として生まれ、 15 歳まで義務教育を受け、高等部で職業訓練を受けて…。社会からたくさんの恩恵をもらったぶん、息子も働いて社会に恩返しするのが望ましいのでしょう。また息子が将来自立するためにも、働くための技能を身につける必要があります。特別支援学校という設備の整った恵まれた環境で、息子に合った訓練を受けられることは幸せなことです。そういう意味で息子は充実した高校生活を送れていると思います。しかし頭でそれを分かってはいながらも、延々と同じ作業を続ける息子の姿を見ていたら涙が出てきました。「普通の子に産まれていたら、もっと楽しい変化のある充実した高校生活なんだろうな…」という気持ちが正直に、浮かんできました。他のママも「ちょっとショックだった」とこぼしていました。働く喜びは、息子自身が決めるものそれでも気を取り直して授業参観の日の夕方、帰宅した息子に「事務班でのお仕事の練習、すごーくがんばっていたね」と褒めてやりました。すると、「カッティング上手になったから綺麗に切れた」と嬉しそうに自信満々にこんなのを見せてくれました。Upload By 立石美津子Upload By 立石美津子そして、息子の様子を見て気がつきました。「そうだ。『こんな作業つまらないだろうな』『苦痛だろうな』 『こんな簡単な作業しかできないなんて不憫だ』なんて感じてしまうのは、健常者である私の奢った感情だったんだ」私がどう思っていようと、何も関係がないのです。息子さえ「この作業が楽しい」と感じていれば、それが息子の働く喜びなのです。公園清掃だって箱折り作業だって、工賃が1万円以下の仕事だって、それが本人の適性に合っていてやりがいを感じていれば、「それが最高の仕事なのだ」と思いました。仕事や職業に感じる価値ややりがいを決めるのは私ではなく、本人なのです。Upload By 立石美津子そんなことを考えながらも、心のどこかでは、「ああ、どんどん年齢を重ねないで欲しい。就労のことなんか考えないでいられたらなあ~。ずっとかわいい子どもでいて欲しいなあ」「温かい先生に見守られている学校のような居場所が、 18 歳以降もあったらいいなあ」と思うのでした。これって、親のエゴなんでしょうか?皆さんはどう思いますか?出典 :
2017年03月05日長男が受けた2度目の発達検査。そのとき受けた問診で…出典 : 約2年半前、長男が2度目の発達検査を児童精神科で受けたときのことです。知能検査と心理士さんによる問診が終わり、ホッと一息ついたところに、心理士さんから「気になることがあるので検査を追加したい」と言われ、たくさんの質問でいっぱいの問診票を渡されました。問診票には乳幼児・幼児期・学童期の年齢のグループごとに、それぞれ質問が並んでいました。質問の内容は、視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚など五感全てに関するもので、同じようなものが繰り返して出てきたため、さっきはなんて答えたっけなんて、少し混乱しながらチェックしていきました。初めて知った「感覚過敏」のこと。長男はどれほどつらかったのだろう出典 : 約4週間後、検査結果を聞きに行くと、長男の検査結果は、軽度の自閉症スペクトラムと強い「感覚過敏」があると言われました。このとき、初めて「感覚過敏」という言葉と症状を知りました。この日、主治医からは「これだけ感覚過敏が強いと、感覚過敏だけで不登校になってもおかしくない状態」「学校生活は、しんどくて大変だったはずだ」だと言われびっくりしました。主治医は、長男の聴覚過敏の状態を「長男が私語などでざわざわとした状態の教室で過ごしている状態=感覚過敏のない人が工事現場の中にいる状態」と私にもわかりやすいように具体的な説明をしてくれました。当時、長男からは、クラスの教室の状態はかなりうるさく、「後ろの席では先生の声がきちんと聞こえない」と聞いていましたし、立ち歩いたりちょっかいをかけてくる子もいるほど落ち着きのない時間もあったようです。そんな教室の状態に感覚過敏が加わっていたとは、どれほど辛い毎日だったのかと胸が苦しくなりました。長男に落ち着きがなく気が散りやすいのは、ADHDというより視覚過敏(目に入るもの全てが刺激になり集中しにくい)の影響が強いとも言われました。長男を苦しめた、感覚過敏の激しい症状とは出典 : 長男は、二次障害を起こして2年前の冬頃に体調の悪化が激しくなり、不登校になりました。体調が戻り始めるまで、いろんな感覚過敏の激しい症状が出ていました。感覚過敏の症状は、本人の体調やメンタルの状態によっても変わってくるようでした。たとえば一番体調の悪かった時期は、「服が肌に当たると痛い」と言って、真冬でも半袖でいました。本当は何も着たくないほど辛かったようです。食事は、味がなく「砂を噛んでいるみたいだ」と言いながらも頑張って食べていました。他にも、ちょっとした匂いが不快で気分が悪くなるようで、真冬に自室の窓を全開にしたりする日も結構ありました。雑音が辛くて、好きな音楽を大音量でかけることでかき消したりもしていました。他人にはなかなか理解してもらえない感覚過敏のつらさ。存在を知ることで変わることもある長男の感覚過敏を知り、それがきっかけで次男の感覚過敏にも気づきました。それから感覚過敏についても情報を集める中で、Twitterでの交流で知ったのが「ひといちばい敏感な子」という本です。Twitterでの交流やこの本を読むことで、息子たちだけでなく自分自身も感覚過敏を持っていることに気づき、とてもびっくりしました。Upload By でめきんちゃん『ひといちばい敏感な子』エレイン・N・アーロン (著), 明橋大二 (翻訳)、2015年、1万年堂出版息子たちの感覚過敏を知り、視点を変えて関わる中で感覚過敏への理解や対応の難しさを感じています。まず、「感覚過敏」そのものが世間にまだあまり知られていません。そして、知っていてもあくまで個人の「感覚」なので他者にはそのつらさが伝わりにくく、理解も得にくいのです。こうした状況だと、感覚過敏から起きる症状や言動が、神経質やワガママと誤解されやすいのだと思います。そのため、違和感や苦痛を感じながらの集団生活で我慢の限界を超えてしまい、二次障害を起こしたり不登校などになる子もいるのです。感覚過敏は、自分の感覚なので他者との比較をすることなく過ごしていることが多く、知らなければ本人や家族も気づきにくいことが多いことも、追い詰められてしまう一因になっていると思っています。実は次男も、味覚過敏で給食が食べられないことからイジメに発展し、不登校になりかけました。でも次男の場合は、先生の適切な対応で危機を乗り越えることができました。それは先生が、感覚過敏を知っていたからこその対応でした。周囲の理解と少しの配慮で、感覚過敏があってもしんどい思いをせずに過ごす事もできるのです。だから、まず「たくさんの方に感覚過敏というものの存在を知ってもらいたい!」と強く願っています。給食が苦手じゃダメですか?その偏食、もしかして感覚過敏かもしれません|Conobie
2017年03月05日あらゆることに無頓着なADHD長男。ある日、下校途中に…Upload By ラム*カナUpload By ラム*カナUpload By ラム*カナUpload By ラム*カナえー!いつから入ってんのー!?色々気にしない性格とは言え、足の裏が丈夫すぎる…!と感心してしまいました。Upload By ラム*カナ著書『カラフル男子牧場 -ADHD長男とお調子者次男の兄弟物語- 』
2017年03月04日言葉のないお友達、息子はどう接していたのかと言うと…Upload By モンズースー長男のクラスメイトのりゅうくん。年少さんのときから一緒に活動していますが、私はりゅうくんの言葉を聞いたことはありませんでした。子ども達は今までそのことを気にすることはなかったのですが、ある日のこと、長男が先生にりゅうくんのことを話したそうです。「りゅうくんはお話しないよね」「でも、りゅうくんのことはわかるよね」確かに長男は、りゅうくんが暑くて泣いている時はうちわで扇いであげたり、りゅうくんが喜ぶ好きな遊びで一緒に繰り返し遊んだり…りゅうくんの気持ちを分かって行動しているような時もありました。お互い一人で自由に遊ぶことが多い二人ですが、言葉は使わなくてもコミュニケーションをとっていたのだと思います。そのためか「なんでお話しないの?」というような質問ではなく、「そういえばお話しないね…」という言葉になったのだと思います。長男の中で、りゅうくんがお話しないことはそれほど問題ではなかったようです。大人と子どもの関係だと、子どもが話さないとどう接したらいいのか難しく考えてしまうこともあるかもしれません。でも子ども達同士は言葉以外で自然とコミュニケーションができているのかもしれません。
2017年03月03日小2から不登校になった娘。「信じて待つ」と決めたけれど…出典 : 娘が学校に通えなくなったのは小2のとき。それから全く勉強もすることなく、時間は流れていきました。引きこもってパソコン、ゲーム三昧、昼夜回転生活する姿を見て心配でしたが、不登校の親の会、教育相談、児童精神科などに足を運んで相談し、「本人に生活は任せ、信じて待つ」ことに決めて待ち続けました。だけど、「信じて待つ」というのは、親にとってとてもしんどいことです。「いつ立ち上がるのか」という見通しが全くつかない中、待ち続けるのですから。でも、娘の変化は突然やってきました。中2になる年のお正月のこと。突然娘が「今年は勉強を始める」と宣言したのです。しかしここで前のめりになって、「じゃあ学校行く?ドリル買う?」と親ばかりが意気込んでは、子どもを追い詰めてしまいます。恐る恐る立ち上がった小動物を見守るように、「そうか」と微笑んで黙って娘の様子を見ていました。すると予想通り、娘はそれから3カ月全く動きを見せませんでした。学力テストを受け、中2の娘に与えられた目標は出典 : 中2になる直前に、幸運にも学習を支援してくれる方とつながることができ、まず現在の学力を計るテストを受けました。様子を見ていた先生によると、娘は九九や繰上りができないのに決してあきらめず、指を駆使して掛け算は足し算を繰り返し、3時間半かけてテストを終えたそうです。漢字はほとんど書けていませんでしたが、へんやつくりの一部を書いてあったりと、必死で思い出そうと努力したあとがありました。結果は読解力、文法力は高校1年相当。だけど算数と文字の書き取りは小2レベル以下と極端なものでした。学習障害(LD)ではなく、学習機会がなかったためと判定されました。そこで、まずは・文字を書く機会を増やすために交換日記をする・基本的な計算ができるように九九を覚えるという目標がたてられたのです。娘なりのペースで始まった勉強。ついに九九を制覇!!出典 : とはいえ、娘はこれまでほとんど勉強をしたことがありません。日記を書くのも最初は筆圧が弱すぎるのを矯正するため筆ペンを使っていました。漢字がほとんど書けない娘は、スマホで漢字辞典のサイトを見ながら「3の段の『段』って漢字は何でこんなに難しいの!」とキーッとなったりもしつつ、自分の出来るペースで(1ヶ月に2日程度のこともありましたが)日記を書きました。そして九九は、本人の希望で、「ママがいないところ(風呂)で声に出して読んで覚える」ことになりました。小2のときに通信教材の付録でついていた、お風呂の壁に貼る九九のポスターを、娘はずっと「はがさないで」と言っていました。この言葉が生きるときが来たのです。娘がお風呂に入っているとき、「にさんがろく、にしがはち…」という声を聞くとかわいくってたまらない気持ちになりました。自信がついたら「ママ聞いてくれる?」とその段を暗唱します。勉強を始めて10カ月たった先日、ついに九の段を暗唱。中2にして九九を制覇したのでした。それでも浮かない顔の娘。どうして勉強しようと思ったのか聞いてみた出典 : だけどせっかく覚えたのに、なんだか娘は浮かない顔をしています。どうしてなんでしょう?思い切って娘に聞いてみました。私「九九、覚えることができてどう?」娘「うれしい」私「そっか。ところでどうして勉強しようと思ったの?」娘「(きっぱりと)困るから。困るやろ?」私「まぁ、それは困るだろうけど…」私はこのとき気づきました。まだ娘は、心の底から「勉強したい」という気持ちが湧いているわけではないのかもしれないと。私は娘に、「小学生程度の勉強ができないと働くのは難しい」と以前から伝えていました。娘は、おそらく中2という学年から逆算して「将来自分はどうなるのか」「そろそろ勉強を始めないと人並みに高校に行けない」と、おびえていたのではないでしょうか。つまり娘の「勉強したい」という言葉は、「○○ができるようになりたい!」という希望の気持ちに基づくものではなく、「勉強できないと人並みに生きていけない」という悲痛な気持ちの表れだったと思うのです。「勉強したい」という気持ちに嘘はなく、だからこそゆっくりなペースながらも九九もやり遂げたのだと思います。ただ、「やりたい!」というよりも「しなければならない」という気持ちの方が強かったのかもしれません。娘が自分の意思で始めた勉強。どんな形であれ、親は信じて待つのみ出典 : 不登校の親の会でも、「本当にやる気になったら小学校の勉強は数か月でクリアできる」「本人の意思で立ち上がったら、親が止めてでもやる」と聞いていました。実際に回り道しても、懸命に勉強に取り組んで大学に進学する子も少なくありません。娘は、エネルギーが満ちて立ち上がったわけではないのでしょう。自分と周りの普通の子どもたちとを比較して、「九九は小2でクリアしなければならないものだ」と自分の学習の遅れを強く自覚しているようです。だから、九九ができたのをほめられても、「そんなの本当はとっくにできていて当たり前なのに」と喜ぶ気持ちになれなかったのだと思います。それでも彼女が自分で「勉強する」と決めたのですから、こうした劣等感や不安とは自分で向き合っていくしかないのだと、親としては考えています。勉強を始めてからというもの、娘は「私は勉強しているんだから」と意気込んで、以前よりもずいぶん意欲的になりました。時には勉強もストップして「しんどい」と寝込んでしまうこともあるけれど、自分の意志で頑張ろうとしているのだから、私は後ろからそっと見守るのみです。不登校や引きこもりから立ち上がろうとする子どもたちは、一気に階段を駆け上がるわけではありません。一段がとてつもなく長い道のりだったり、次の段の前で立ちすくんだりと葛藤しながら進んでいきます。親としてはプレッシャーを与えることなく、長い目で気長に待ちたいところですね。もう、「待つことが育児なり」という心境です。
2017年03月03日「いじめって、なくなるんですか?」私の考えるいじめ解決法出典 : 「いじめから子どもを守ろうネットワーク」東京代表の栗岡まゆみです。いじめで苦しむ子どもたちの心と命と未来を守るために、長らくいじめ問題の解決に関わっており、各地の学校などで講演活動をしています。昨年は、命の犠牲を伴ういじめ問題を耳にすることが多かったように思います。そのニュースに胸を痛め、「我が家の子どもは、大丈夫なのか?」「我が子の通う学校は、大丈夫なのか?」と不安になられた保護者の方もたくさんおられるのではないでしょうか?私は一昨年、『いじめゼロを目指して‐「いじめ防止授業」生徒5000人の現場から』という書籍を出版しました。その際、ある新聞社の記者さんからの取材で、「いじめって、なくなるんですか?」と質問されました。私の答えは、「早期発見・早期解決で、いじめ問題は解決できます」というものです。今回の記事では、保護者のみなさまにぜひ大切にしていただきたいこととして、・早期発見: 子どもの発するSOSサイン・早期解決: 冷静な文書化による学校との連携方法の2点を中心に、具体的なノウハウをお伝えしたいと思います。早期発見のために大切なのは、いじめのサインを見逃さないこと出典 : いじめられている子どもは、いじめられていることを親になかなか言わない・言えないことが多いです。いじめ自殺で子どもが命を落としたその悲しみの中で、親御さんは必ずといっていいほど、「いじめの事実に気がつかなかった…」という、後悔と無念のこもった言葉を語られます。親に心配をかけたくないという気持ち、親や教師に告げると「チクッた」と言われて、“倍返し”のいじめにあうかもしれないという不安が、子どもが親に相談できない大きな要因です。けれども子どもは、自分を助けてくれる大人、信じられる大人を求めて、「助けて!」というサインを必ず出しています。その声にならない助けを私たち大人が発見することが、子どもの命を守る命綱となるのです。もしかしたら、いじめに遭っている…?子どもの発する具体的なサインの例出典 : いじめ相談のお電話を頂くとき、「子どもが、頭が痛いと言って学校に行かなくなりました。もしかしたら、いじめがあるのでしょうか?」とご相談くださる保護者の方が、多くいらっしゃいます。「お腹が痛い」「頭が痛い」「学校に行きたくない」という症状は、実は、かなり深刻です。お子さんがそう言いだす前に、次のような症状が1つでも見られたら、夕食時にさりげなく学校での様子を聞いてあげて下さい。・急に元気がなくなる・帰ってくるとすぐに部屋に閉じこもる・理由のわからない成績の低下・親の前で携帯メールを見なくなる・友達から電話があっても、出たがらない・おねしょをする・妙に明るく装う・教科書に落書きがある・服が破れていたり、汚してくる・物をよく無くす・急にお金を欲しがる・擦り傷や打撲がある・頭痛などを訴え、学校に行きたがらなくなるまた子どもの発するこうしたサインにいち早く気づくためには、学校の保護者同士のネットワ―クを作っていくことも大切です。両親共に仕事を持っていたり、自由選択制で校区を超えた学校に通学したりすると、保護者同士のネットワークがどうしても希薄になりやすいです。保護者同士でお子さんの情報を共有できる機会を少しでも作り、お子さんのサインに気付きやすくなるようなネットワークを作っていきましょう。子どものいじめ、解決を困難にしているものとは出典 : いじめ問題の解決を困難にしているのは、「証拠がない」ことに尽きます。今のいじめで一番多いのは、教師や親など大人の見ていないところでの、言葉の暴力や無視などの精神的ないじめです。暴力を受けたのなら、体に傷が残ります。ノートや文房具など持ち物を壊されても証拠が残ります。けれども、言葉による暴力は証拠がありません。これを解決するためには、冷静な文書化が必要です。「子どもからの聞き取り+証拠集め」を通して、以下のような「事実」を文書にまとめていくのです。・いつ、誰が、どこで、どのようないじめをしたのか・加害者は一人か、複数か。その名前は・それを目撃していた子どもはいるのか。いたら、それは誰か・具体的にどんなことを言われたのか・具体的にどんなことをされたのか・怪我をさせられたことはあるのか・子どもはどう感じているのか・学校や担任の対応はどうだったのか時系列に従い、いつ、誰が、どこで、どのようないじめをしたのか。加害者は1人か複数か、それは誰なのか(実名)、怪我はないか、いじめられてどう感じたか…などを子どもから聞き取り、先ず文書にすることが大切です。そして、いじめを周りで見ていた友達が居ないかどうか子どもに聞き、怪我をしていたら病院で診断書をもらい、物を壊されていたらその証拠写真を撮る等、客観的な証拠を集めることも有効です。そのあとに、いじめ被害の客観的な事実をもとにして担任に連絡をし、担任や校長と話し合います。その際に、可能であればいじめ加害者とその保護者にいじめ事実を認めてもらい、心から反省と謝罪を求めることが、いじめ再発防止には大切です。加害者の心からの謝罪が、被害者の心を復活させる大きなポイントになります。また学校側にも、いじめ再発防止を要望書として提出することをお勧めします。この話し合いで、学校側がこちらの要望に応じない場合には、教育委員会や警察、法務局、議員、マスコミに、いじめ被害事実を訴えることも視野に入れてみましょう。子どもをいじめから守るために一番大切なこと。それは…出典 : ここまでの対応を現実のものとするために、保護者の方の“決意”が求められます。それは、「もし、いじめられていても、いじめられているあなたは決して悪くない」「何があっても、必ず、あなたを命をかけて守る!」というものです。この決意とその後の行動を実は、他でもない、いじめで傷ついた子どもが、じっと見ています。その真剣な決意とその後の学校との交渉の姿で、愛されていることを実感するのは、いじめで傷ついて、自信を失った子供なのです。その愛されているという実感が、いじめで傷ついた心から復活する鍵の一つとなります。ですが、保護者の方も、決して、一人ではありません。一人で、戦わないでください。悩まないでください。そのために、私たち、いじめから子どもを守ろうネットワークは存在しています。一本の電話する勇気を持っていただくだけで、いじめ解決までのすべてのプロセスに、ひとつひとつ、一緒に考え、お子様の心を救い、復活までの時間を共にさせて頂きます。一般財団法人いじめから子どもを守ろうネットワーク
2017年03月02日臨床心理士さんの元で、発達障害児の追体験!目からウロコだったその内容とは出典 : 先日、「発達障害の子どもに対する大人の関わりのポイント」についての講演会情報を見つけたので、聴講に行ってきました。保育園や幼稚園での発達相談や巡回を行っている臨床心理士の先生が、現場での体験を元にお話ししてくださいました。そこで私たちは、「発達障害児の気持ちを会場の皆さんも追体験してみましょうか。体験して想像してみなければ、子どもへの支援を考えることも難しくなってしまいますから」とおっしゃり、いくつかの実験を始めました。これまで、ブカブカの手袋をはめて細かい作業をしたり、全ての音が一斉に聞こえる動画を見て、「発達障害児の世界」を体感したことはありました。けれども、今回の講演ではこのような感覚の問題ではなく、「こういう風に目標を設定してもらえると楽になるよ」ということが分かる実験をしてもらいました。これがとても分かりやすく、私にとっては目から鱗でした。「頑張れ!頑張れ!」がうとましい…それを痛感した体験Upload By モビゾウ突然ですが、上の写真のように、手を逆に組んで、ひっくり返してみてください。この状態で、隣の人から「この指を動かして」「次はこっちの指を動かして」「次はこっち」「はいこっち」と横から矢継ぎ早に指示を出されたとします。隣から指示する人は、さらに「頑張れ!」「できるよ!」「はい頑張れ!」「よくできた!ハイ次!」と叱咤激励します。実際にやってみると分かるのですが、途中でどの指を動かしているのか全く分からなくなってきます。ゆっくりと順番に指示されていればなんとかできますが、「次!」「はい次これね!」「次!」と言われているうちに、段々と頭が混乱してくるのです。そして明らかに混乱している頭で必死に指を動かしているときに、隣から「頑張れ!頑張れ!」「できるよ!」という掛け声をかけられ続けると、非常にうとましく感じられます。プレッシャーになるのです。「もういいから、黙ってて、少し私のペースでやらせてくれ!」というイライラした気持ちになってきます。そのとき私はハッとしました。自分は、同じことを息子にやっている…。不器用な息子がもたもたと課題に取り組んでいると、私は隣から「はい次!」「頑張れ!」「できる、君ならできるよ!」と矢継ぎ早に言っていることに気付いたのです。この体験は、まさにそんな発達障害児の気持ちを追体験するためのものだったのです。キャパシティを超えた目標を設定されると、人はどうなる?出典 : 次にこんな実験です。発達検査でもよくやるかもしれません。数字の復唱をさせられました。講師の方が「4925」と言うと、会場の聴衆も元気に「4925」と復唱します。楽勝です。みんな7桁ぐらいまでは割とサラッと復唱できました。ところが、講師の方が突然18桁の数を言いました。「385025960324850256 はいどうぞ!」すると驚いたことに、私も他の聴衆も「3850…」以降が言えなくなってしまいました。これを聞いて講師の方が言いました。「みなさん、さっきまで7桁ぐらいまで楽に覚えられていたのに、4桁しか言えませんでしたね。つまり、キャパシティを超えてしまうと、今まで出来ていたことすら出来なくなってしまうんです。これは発達障害児に関しても同じことが言えます。右肩上がりの発達を望んではいけないんです。今何ができるか、それを見極めていかなきゃいけないんです。その子のキャパシティを超える発達を望むと、それまで出来ていたことすら出来なくなるんです。」これは、衝撃的な体験でした。私を含め、多くの親にとって、発達障害児が大きく成長する瞬間というのは喜ばしいものです。そして喜ばしい気持ちのままに、子どもに「もっと頑張ろう」「こんなに出来たんだからまだまだ出来るよ!」と次のステップを提示してしまうことがあります。けれども、子どもたち一人一人に違ったキャパシティがあることを、その都度考えていかなければならないのだと思います。折れない心をつくるのは、キャパシティに合った目標出典 : その他にも沢山の体験があったのですが、それらの体験から学んだことは、1. その子に合ったハードルを設定する2. その子自身にハードルを設定させるようにする3. 苦労をさせて出来るようにさせるのではなく、「楽」という気持ちを作る4. 気持ちが折れないような配慮をして、「これならできるかも」を沢山作ってあげるということでした。血と汗が滲むような努力をしなければできないことをやらせるのではなく、「これなら自分でも出来るかも」という気持ちになれる適切なハードルを設定すること。これの積み重ねが、折れない心を作る自信へと繋がるのだと思います。
2017年03月02日「ごめんなさい」はもう聞き飽きた!堪忍袋の緒が切れた私に、娘がとった行動は…?Upload By SAKURA広汎性発達障害のある5歳の娘。前々から注意していたことがなかなか直らず、注意をすれば「ごめんなさい」「もうしません」と謝り、また同じことをして怒られる…の繰り返しでした。ある日、ついに堪忍袋の緒が切れた私は、「もうその言葉は、聞き飽きた」と、ちょっと厳しく娘を叱りました。すると…Upload By SAKURAUpload By SAKURAな、なんと娘は泣いている顔を無理やり笑顔に変え、歌いだしたのです!!!「聞き飽きた」という言葉を聞いた娘は、「飽きない謝り方」を考えてくれたようです(笑)。そしてさらにたどり着いた答えは…謝罪ソング!!!!!あまりに面白すぎる展開に、笑いを堪えるのが大変でした(笑)。娘の行動は、いつも私の想像を超えます。
2017年03月01日失読症とは?どんな障害?出典 : 失読症は、脳の損傷によって言語・記憶・行為・学習・注意など認知機能に障害が起こるいわゆる「高次脳機能障害」の一つとして分類されています。もう少し詳細に説明すると、失読症は、高次脳機能障害の分類の中で代表的な障害として知られている失語症の中の一つです。この失語症では、「話す」「聞く」「読む」「書く」4つの言語機能の1つあるいは複数に影響が生じますが、中でも「読む」機能に障害が現れるものを失読症と呼びます。つまり失読症とは、脳梗塞や脳卒中、脳出血などによって脳の中の言語をつかさどる領域が損傷することで、文字や文章を正しく認識したり理解したりする能力が損なわれてしまう障害のことを指します。失読症は、脳の病気の中でも脳梗塞の後遺症として現れることが多いといわれています。これは、脳内の「脳梗塞を起こしやすい部分」と「視覚に関する領域」が重なっているためです。失読症は多くの場合、左脳の後頭葉から側頭葉が損傷した場合に引き起こされます。言語能力は、左脳がつかさどっており、後頭葉から側頭葉は視覚情報を扱う領域です。そのため、左脳のこの領域が損傷してしまうと視覚情報を言語と結び付けられなくなり、その結果文字がうまく読めなくなるというメカニズムです。脳梗塞はこの側頭葉から後頭葉で起きることが多いため、失読症の原因となることが多いのです。参考:土本亜理子『純粋失読』2002年、三輪書店失読症の症状とは?出典 : 失読症の人は、文字が読み取りづらく、語句や行を抜かしたり、逆さ読みをしたり、音読が苦手な傾向があります。また、平仮名と漢字の両方の読む機能が侵されたり、平仮名の読みの障害の方が漢字より強く現れるようなケースも報告されています。このような読みの障害の多様性は、病変部位や病変の大きさの違いによって左右されると考えられています。以下では具体的な症状をいくつかご紹介します。■文字がにじむ・ぼやける水に浸したように文字がにじんで見える、目が悪い状態のように文字が二重になる、あるいはぼやけて見えたりします。■文字がゆがむ文字がらせん状にゆがんだり、3Dのように浮かんで見えたりします。■逆さ文字(鏡文字)になる鏡に映したように文字が左右反転して見えることがあります。■点描画に見える文字が点で描いているような点描画に見えることがあります。言語や記憶の障害は、肢体不自由のように明らかな身体障害がなく、外見からうかがい知るのが難しいことから「見えない障害」とも呼ばれます。失読症もこうした特性を持つため、病気を知らない周囲の人から誤解されてしまうこともあります。残念なことに日本での失読症への認知度は依然低いままであり、今後社会全体による「見えない障害」を持つ人への配慮がより広がっていくことが待たれています。参考:土本亜理子『純粋失読』2002年、三輪書店同じく「字が読めない」障害、ディスレクシア(読字障害)と失読症の違いは?出典 : 「文字が読めない、読みにくい」という症状をもたらす障害としては、失読症のほかにもディスレクシア(読字障害)というものがあります。両者はどちらも脳の機能上の問題によって引き起こされ、似たような症状が現れるため混同されることも多いのですが、実はその根本原因は全く異なります。障害の種類という側面から見ると、ディスレクシアは発達性の学習障害の一つであるのに対して、失読症は後天的な脳の損傷によって起きる高次脳機能障害の一つであるという説明ができます。学習障害とは、全般的な知的発達に遅れがないものの、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算・推論する」能力のうちいずれかまたは複数のものの習得・使用に著しい困難を示す発達障害のことです。つまり、ディスレクシアは先天的な脳の特徴が原因で起こる、生まれつきの発達障害のために文字を読むことに困難が生じているのです。参考:土本亜理子『純粋失読』2002年、三輪書店ディスレクシアはこの点において、後天的な脳の損傷が原因で文字通り「読」む力を「失」ってしまう失読症とは全く異なっているのです。また、ディスレクシアは発症も、就学などによって文字を読む場面が出てくる学童期の子どもに多く見られます。ディスレクシアの治療・対処法は失読症のリハビリや対処法と類似している部分もありますが、相違点もあります。詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧になってみてください。失読症で困る場面は?出典 : パソコンやスマートフォン、SNSが普及した現代社会では、日々の生活やコミュニケーションにおける文字情報の役割はとても大きなものとなっています。あなたが今読んでいるこの記事も、家族や友人などからのメールやチャットも、ソーシャルメディアの投稿も、電車内に掲げられた車内広告も、すべて多くの文字と文章によって成り立っていますね。以下に、失読症の人が困難を感じる日常生活の場面をいくつかご紹介します。「自分がある日突然文字を読めなくなってしまったら...」想像しながら読むと、失読症の方々の大変さがよりわかるのではないかと思います。■仕事をするとき書類作成など文字を扱う業務が難しいことがあります。他にも、資料を利用しながら進む会議、メモが必要となる電話対応などで苦労する場合もあります。■買い物をするとき値札が読めない場合、値段を知ることができません。さらに、商品表示が読めず類似する商品の違いが判断できないという場合もあります。■電車に乗るとき駅にある路線図や運賃表示を読めないと、目的地までの行き方や値段を知ることが大変です。切符の自動販売機も文字情報が多く、切符を買うだけでも一苦労なのです。■趣味を楽しむとき小説や漫画、洋画であれば字幕など、もともと持っていた趣味を楽しむ上でも障害が生じます。上記のように、文字が読めないことは日常生活のさまざまな場面で影響を与えます。また、失読症の人の中には「文字が怖い」とまで感じる人もいるようです。参考:土本亜理子『純粋失読』2002年、三輪書店失読症の困難への対処法出典 : 失読症の中には、文字を読みにくく感じている人が多くいます。そうしたとき、例えば、文字を大きく分かりやすい字体(フォント)にしたり、読む範囲以外の上下左右を隠したりすることで、本人にとって文字が読みやすくなることがあります。ほかにも、文字が小さすぎて読むのが困難に見受けられる場合は拡大コピーなどの工夫が効果的です。また蛍光ペンで重要と思われる部分にだけ色をつけることで、読む情報量を調整できます。これにより文章を読むことに対しての抵抗感を減らせます。国立特別支援教育総合研究所 「平成25年度インクルーシブ教育システム構築モデル事業 (モデル地域(スクールクラスター))報告書 成果報告書(Ⅱ)」 2015年耳からの情報は理解できることが多いため、問題文などの文章を音声にして聞くと問題なく理解できる場合も存在します。文字を見ながらその音声を聞くことにより、文字・音・意味が繋がる可能性があります。最近では電子書籍も普及し、音声での読み上げシステムが備えられている場合も多くなってきています。漢字などが分かりづらい場合、ふりがな(ルビ)を振ることが効果的な場合もあります。例えば、職場で使用する器具や資料などにふりがなを振ってもらうという方法が効果的な場合があります。しかし、周囲の理解を得ることが難しいこともあるため、しっかり話し合い、合理的配慮をお願いするとよいでしょう。また、文章のどこまでがひとまとまりなのか理解できないことがあります。このような場合は「スラッシュ」(/)を引き、どこが文章の区切りとなっているのか、明確に表すことで文が読みやすくなる場合があります。背景が白である文字よりも、青や緑など色がついていた方が見やすいという人もいるようです。色つきメガネなどをかけると、目が疲れずに文字が読める場合があり、文字を読むスピードが上がったなどの報告もあります。合理的配慮の一環として、教科書に黄色のクリアファイルを重ねて音読させたところ、読みやすさが上がったとも報告されています。国立特別支援教育総合研究所 「平成25年度インクルーシブ教育システム構築モデル事業 (モデル地域(スクールクラスター))報告書 成果報告書(Ⅱ)」 2015年スマートフォンやタブレットなどのICT機器を使うと、文字を拡大できたり、音読機能があったりと便利です。音声検索によって検索をし、検索結果を読み上げてもらう設定を活用することで、文字を読むことなしに情報を得ることができます。以下のサイトでは、スマートフォンの中でも使用率が高い、iPhoneで「読み上げ」機能を設定する方法を紹介しているので、参考にしてみてください。 「読み上げ」機能の設定方法失読症の相談先は?出典 : 本記事の序章で説明した通り失読症は高次脳機能障害の一つであり、検査にはMRIやCTが必要とされます。そのため、脳卒中や脳梗塞を経て失読症の症状が現れた場合、まずはかかりつけの脳神経内科や脳神経外科に相談することをおすすめします。その後、視空間認知能力や、言語機能についての検査をします。脳の損傷によってどの言語機能がどの程度の影響を受けているのかを明らかにするのが目的で、言語聴覚士という言語リハビリテーションの専門家などによって行われます。具体的には、標準失語症検査(SLTA)、標準高次視知覚検査(VPTA)などといった検査が行われる場合があります。「読む」機能だけではなく複数の認知あるいは言語機能に問題が生じている場合などもあるため、症状の程度や種類に合った言語リハビリテーションが施されます。標準失語症検査(Standard Language Test of Aphasia;SLTA)標準高次視知覚検査(Visual Perception Test for Agnosia;VPTA)高次脳機能障害の診断基準は、国立障害者リハビリテーションセンターHPにおいて以下のように示されています。I 主要症状等1.脳の器質的病変の原因となる事故による受傷や疾病の発症の事実が確認されている。2.現在、日常生活または社会生活に制約があり、その主たる原因が記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などの認知障害である。II 検査所見MRI、CT、脳波などにより認知障害の原因と考えられる脳の器質的病変の存在が確認されているか、あるいは診断書により脳の器質的病変が存在したと確認できる。III 除外項目1.脳の器質的病変に基づく認知障害のうち、身体障害として認定可能である症状を有するが上記主要症状(I- 2)を欠く者は除外する。2.診断にあたり、受傷または発症以前から有する症状と検査所見は除外する。3.先天性疾患、周産期における脳損傷、発達障害、進行性疾患を原因とする者は除外する。IV 診断1.Ⅰ~Ⅲをすべて満たした場合に高次脳機能障害と診断する。2.高次脳機能障害の診断は脳の器質的病変の原因となった外傷や疾病の急性期症状を脱した後において行う。3.神経心理学的検査の所見を参考にすることができる。また、以下の東京都福祉保健局のサイトのように、高次脳機能障害に対応できる医療機関をまとめて紹介している団体や地方自治体もあります。東京近辺にお住まいの方は参考にしてみてください。「高次脳機能障害に対応できる医療機関一覧(東京都内)」東京都福祉保健局失読症は治るの?治療法は?出典 : 程度に個人差はあるものの、本人の努力やリハビリによって失読症の症状が改善することは多くあるといわれています。言語脳は非常にフレキシブルで、たとえ元々言語をつかさどっていた領域が損傷したとしても、他の部分が働くことで言語能力を取り戻せる可能性があるのです。失読症のリハビリに関する報告はあまり多くはなく、また一致して効果を得たという方法はないようです。脳の損傷部位や損傷の大きさなどにより文字が見えにくくなる細かいメカニズムは異なる可能性があり、そのために同じ訓練をおこなっても、人によって違った結果になるのではないかと考えられています。リハビリの具体的な方法としては、小学生用の国語のドリルを使って読み書きの練習をしたり、新聞の見出しの書き写しなどをすることが多いようです。読みの訓練をするときには「なぞり読み」という方法によって読めなかった文字が読めるようになることがあるようです。なぞり読みとは、文字通り、書いてある文字を指でなぞりながら読む方法を言います。不思議なことに、文字をなぞるとそれまでわからなかった文字そのものの音や意味を思い出せることがあるのです。参考:「言語の認知科学 第3回配布資料」地道なリハビリの結果、見事職場復帰を果たせるレベルまで回復したという事例もあるようです。参考:土本亜理子『純粋失読』2002年、三輪書店まとめ出典 : 失読症は、脳の損傷によって言語、記憶、行為、学習、注意など認知機能に障害が起こるいわゆる「高次脳機能障害」の一つです。脳卒中などによる脳の損傷の結果、文字がうまく読めなくなってしまう障害です。言語や記憶の障害は、肢体不自由のように明らかな身体障害がなく、外見からうかがい知ることが難しいことから「見えない障害」と呼ばれます。失読症もそのような特性を持つため、その認知度の低さも相まり、周囲の人に誤解されたり、不思議がられたりして苦しい思いをすることも少なくないようです。特に近年は、インターネット・PC・スマートフォンの普及により、コミュニケーションにおける視覚的言語の役割は以前と比べ非常に重要になっているため、文字が読めない障害のある人は、想像以上にさまざまな場面で苦労をしています。しかし同時に、そんな人々を手助けする技術とかツールも日々生みだされているのも事実です。そうした日々の技術進歩と、人々の認知度や配慮の向上により、「障害の無い社会」をつくっていくことが大切です。本記事が少しでもその役に立つことを願っています。
2017年02月28日次男とはちょっと違う、長男の遊び方…もしかして自閉症なの?1歳になる前の長男は、まだ自閉症だとわかっていませんでしたが、定型発達の双子の次男に比べると変わった行動をとっていました。突然テーブルに頭をゴンゴンと打ち付けたり、重ねて遊ぶコップのおもちゃを回し続けたりするのです。Upload By シュウママいずれは次男のように積み木で遊ぶようになる…私は長男の行動が気になりつつも、成長すれば変わっていくだろうと思っていました。けれど、3歳を迎える頃になっても行動に変化はありません。飽きることなく、むしろ執拗といっていいほどに繰り返される遊びに不安を抱き、私はパソコンでこの行動について検索しました。そして浮かんできたのは自閉症という文字…。思い当たることはありました。Upload By シュウママUpload By シュウママ「おいで」と長男を呼んでも目をそらされ、抱きついてくるのはいつも次男だったこと。Upload By シュウママ呼びかけに反応せず、触れることを嫌がり、たまに目があってもガラス玉のような瞳で私を見ていたこと。そこに母への甘えや愛着といった感情は一切読み取れなかったのです。3歳になってすぐ、こども病院の保健発達課を受診しました。結果自閉症であると診断され、お医者さんからは療育へ通うことをすすめられました。悲しみにくれる間もなく、市役所で療育への入園手続を済ませた時、これからどうなるのか――という不安が押し寄せてきたのを覚えています。初めてひとりで療育に行く日も、淡々としている長男。ママに甘えてくれる日は来ないのかな?Upload By シュウママ不安な気持ちを抱えたまま数ヶ月がたち、やっと療育に通えるようになりました。桜の舞う4月の入園日、どうかこの子がママと言って甘えてくれますように、そう願いました。もし言葉が出なくても、せめて嫌がることなく抱きしめさせてほしいと思いました。けれど長男は初めて一人で通園するというのに、お母さんと別れて悲しい、嫌だというそぶりも見せず、淡々とした表情でバスに乗り込みました。長男を見送りながら、そんな日がくることはないのかな……と悲しい気持ちになりました。それほど当時の長男は、感情というものがみえにくい子どもだったのです。療育に通うことで表情が少しずつ変わり始めた!けれど療育に1年2年と通ううち、長男の表情が目に見えて明るくなっていきました。ふれあい遊びという時間では、先生方は音楽に合わせて長男のお腹をくすぐったり、リラックスさせて顔や手足に触れたりします。お友達と手をつないだり人同士が《触れ合う》練習をさせていくことで、次第に長男は触られることを嫌がらなくなりました。そして少しずつ笑顔も増え、表情が豊かになっていったのです。Upload By シュウママ後追いすらしなかった長男が、初めて母の私に見せてくれた表情は…療育に通って3年目の時だったと思います。その日は親子で通園する日だったのですが、父兄の懇談会が重なっていました。私はクラスで一緒に過ごした後、長男と別れ、懇談会のあるホールへ移動しました。懇談会が終わった後、私はもう一度長男のいる教室を覗きました。給食を取りにいこうとする長男の姿が見えました。特に私の姿を探しているようには見えません。普段から私を後追いしたり求めたりしない長男です。Upload By シュウママたぶん反応しないだろうなと思いながらも、私は先生の後ろに隠れ、ぱっと現れて声をかけてみました。すると長男はビックリした顔をして突然手で顔をおおい、その場にしゃがみこみました。えっ?と思って見ていると、長男はぱっと立ち上がりました。覆っていた手をはずしたその顔には満面の笑みが浮かんでいました。Upload By シュウママこんなに嬉しそうな長男の顔をはじめて見た――そう思ったとき、長男が私の元に走りより腰にしがみついたのです。Upload By シュウママ「ママ、帰ってきてくれた。もう離れちゃだめだよ!」私にしがみつく息子の強い力を感じながら、私は初めて療育へ来たときの願いが今、叶ったのだと涙がでました。自閉症児の親だからこそ、子どもの小さな変化が大きな幸せになる長男が私に体を寄せてきたり、膝に乗って甘えたり、目に見える形として愛情を示してくれるまで、長い長い時間が流れていました。この子が自閉症でなければよかったのに、何度も何度も思いました。けれど甘えてきたり、言葉を話したりすることが生まれつきの障害ゆえ、すぐにできない子どももいるのだということを療育へ通ううちに知り、決して私は一人ではないんだと多くの親子さんとの交流の中で気付きました。そして親子通園でたくさんの子ども達を見ながら、どんどん成長して変わっていく様子も見させていただきました。そのたびに思ったのが、発達がゆっくりな子どもの初めての瞬間に立ち会えることは、とてつもなく幸せだということ。例えば「お母さん」というたった一言の言葉を投げかけてくれるそれだけでも……定型のお子さんが自然に身に付けたことを、何倍も時間をかけてできるようになったとき、ほんとうに大きな大きな喜びを運んでくれるのです。おそらく、当時の私のように感情を示さないお子さんに不安を抱えている方がいらっしゃると思います。けれどその暗闇はずっと続くわけじゃないんです。いつかその子だけにしかできない、大きなご褒美をお母さんに届けてくれる日がくるということをどうか、知っていただければと思います。
2017年02月28日発達検査の結果はいつも「測定不能」の次男。出典 : 我が家のもうすぐ年長になる次男は、これまでに受けた発達検査で一度もまともに取り組むことができず、結果はすべて「検査不可」「測定不能」の状態です。「積み木を積んで」の指示がわからず、「丸描いて」の意味もわからず、そもそもテストをしているということすら認識していない様子でした。検査員の方が「この数字がそのまま彼を現しているとは決して言えないけれど…」と前置きをしたうえで、「知的レベルは1歳に満たないというのが測定の結果です」と私に告げるのも毎度のこと。そりゃそうです、一問も答えられていないのですから。それでも次男が検査の場所に(ときには大泣きしながらも)がんばって居られたことが立派だと思うばかりで、「検査結果がこうだから、なんとかして数値を上げなきゃ」というように思うことは、私にはありませんでした。「ありのままで成長してくれれば」その願いの裏で、どこか感じていた”諦め”出典 : 我が家の長男も発達障害の診断を受けていますが、ナイーブ・センシティブな長男とは打って変わって次男は生まれてこのかたずっと大らか。同じような特性を持っていてもこうも違うものかと、「特性」「個性」「性格」の違いをまざまざと見せつけられる毎日です。次男は散歩している犬を見かければ寄って行き、公園では木々が風でそよぐ様を見てずっと笑っているような、自然が好きでおっとりとした男の子です。「検査の数値がどうであろうと、君は君の感性で、君の早さで大きくなればいいよ」そう思っていました。でももしかしたら私は次男のことを「ありのままで」という美辞麗句の裏で、「こちらが必死で働きかけても仕方ない、できない子」だと思っていたのかもしれません。知的レベル1歳未満の次男が、iPadでつくったもの。それは…そんなわけで、私は次男は今のありのままの感性を生かして、将来は動物に関わる場所で仕事をしてはどうか。自然が大好きだから、どこか遠い島でのんびり暮らすのもいいのかも。なんてことを勝手に考えていました。しかし、驚きの事態が起こります。次男には、「動画を見るくらいにしか使えないだろう」と思いつつiPadを渡していました。なにやらそのiPadに夢中になっている次男。人気ゲームの「マインクラフト」で遊んでいます。その手元を見てみると…Upload By OKASURFERえ?Upload By OKASURFERえ!??3次元では積み木を指示通りに積めなかった次男は、2次元の世界で積み木らしきものを積み上げて、なにやら建造物やオブジェを作っていました…。私にはもうよくわからない「回路」たるものまで出来上がっているそうで…。「うそでしょ?これ誰が作ったの??」本当に本当に申し訳ないのですが、疑ってしまいました。だって「知的レベルは1歳に満たない」と言われた子がこのような物を、しかも誰にも教わらずに作れるなんて想像できるでしょうか?数値だけでは分からない、次男の本当の姿出典 : 「たくさん話しかけて」「絵本を読んで」「テレビは見せないで」「もっと愛情を注いで」世の中一般的に子育てでするべきといわれていることですが、周りからこんな言葉をかけられるたび虚しい思いをしてきました。だって何をやっても彼は1歳未満のままじゃないか。積み木は積めないし、円も描けない。ですが、この一件で頭を強く打たれた思いをしました。3次元の積み木を積むこと、紙に鉛筆で円を描くこと、それによって導き出された数値を追いかけるのはやめよう、と。次男の可能性は、これまでの尺度では計り知れない出典 : さて、次男のことを「自然や動物が大好きな男の子」とだけ認識していた私ですが、どうやらそれだけではなかったようです。もしかしたらこれまで「できない子」とされてきた人たちが今の時代を生きていたら、昔にはなかったツールを経て「できる」ことがもっともっと見つけられたかもしれない。可能性はもはや既存のルートだけに落ちているわけではないのかもしれない。そう思うと、「知的レベル1歳未満」の次男を見てワクワクすら覚える日々です。私自身は発達検査の方法やそれを行うことに対して反対ではありません。ただ、その結果を見て「成長のために絵本を読ませるといい」「テレビを見せるのはよくない」「iPadなんて育児放棄だ」と言いたくなる方もいるかもしれません。それでも、これまでの尺度で私の子どもを測らないでほしい。既存の「健全な子どものあるべき姿」にとらわれず、「2次元では積み木積めますが、何か?」と胸を張れる世の中になってほしい、と願うばかりです。
2017年02月28日スリルある遊びが大好きなADHDの息子。コンビカーが手放せない!Upload By かなしろにゃんこ。息子は1歳半くらいから徐々に自分で運転できる乗り物への憧れがありました。2歳でコンビカーを与えると、外遊びのときは何処に行くにも乗って出掛けるほどのこだわりのオモチャでした。玄関から出ると真っ先にコンビカーにまたがり引き留める親の声をムシしてさっさと道路に出てしまいます。ADHDのある息子は、その衝動性や刺激を求める特性もあってか早く走ることに燃えていていつでもパワー全開!思い切り足を蹴って進んでいくので危なっかしく…毎回引き留めて、交通事故に遭わないように気を遣いました。それにしても…スーパーカーを運転するドライバーになりきって走っているのか?ハンドルさばきがいちいちカッコつけていました(笑)。3輪車や自転車よりもコンビカーを選ぶ息子は、5歳になるときまで乗車していました。それまでにタイヤは走りつぶれてしまい2台も壊しました。狭い園庭でも派手に走行!その結果…Upload By かなしろにゃんこ。それでも乗りたい気持ちが溢れて、保育園の小さい子達用のコンビカーを奪って乗っていたのです。先生に止められても言うことを利くわけがありません。お前どんだけ好きだよ!!数年間走らせてきたせいなのか?息子の足の筋肉が発達してきてムッチリしていました(笑)。三つ子の魂、百まで!?自転車に乗っても相変わらずですUpload By かなしろにゃんこ。自転車になっても体を倒しながら曲がったりハンドルを思い切り曲げてカーブしたり危ない乗り方が止められない息子。タイヤがすぐにボロボロになるので忠告しても聞いちゃくれません!!飽きるまでやり続けるしかないのか…。交通事故に遭わずに大きくなったのが奇跡としか思えません。
2017年02月28日環境の変化が苦手なアスペルガーの娘。克服できてきたと思ってたけど…出典 : 発達障害を抱える方の特性の一つに「環境や状況の変化が苦手」というものがあります。スケジュールの変更を受け入れられない、決まった道しか歩けない、白い色の食べ物しか食べられない等々、いつもと違うものや事柄を受け入れるのがとても苦手で、反射的に拒絶し、パニックを起こしてしまうことも多々あります。自閉症スペクトラム+ADHDの診断が下りているわが家の娘と息子も、環境や状況の変化がとても苦手です。成長するにつれ「泣き叫んで手が付けられない」「その場を頑として動かない」などのパニック状態に陥ることは減ってきましたが、変化に対する不安がなくなったわけではありません。さまざまな不安が溜まったり、大きな不安が襲ってくると、チックや足の痛みといった身体症状として表れてくるのです。娘は小3から学校に行くのをやめ、なるべく穏やかな環境で自由に学んでいます。ストレスも減り、最近は症状も落ち着いていたはずですが、なぜか1月に入って新たなチックが出現しました。一体何に不安を感じているんだろう?と心当たりを娘と話し合ってみましたが、なかなか娘のチックはおさまりません。そして2月に入り、ようやく判明した原因は「テレビ番組」だったのです。大好きだったスーパー戦隊のアニメ。卒業するのはちょっと大人になったから…?出典 : 毎年、2月になると今までのスーパー戦隊のアニメが終了し、新たなシリーズが始まります。今年も先日「動物戦隊ジュウオウジャー」シリーズが終わり、新しく「宇宙戦隊キュウレンジャー」というシリーズがスタートしたところです。我が家では幼稚園に通っていた息子がお友だちとの会話で興味を持ち、「動物戦隊ジュウオウジャー」を見るようになりました。それがきっかけで、娘も毎週「動物戦隊ジュウオウジャー」を心待ちにして見るようになり、テレビの前で踊ったり、息子と一緒に本を眺めたりしていたのです。小学3年生にしては幼いかな?と思いましたが、発達障害を抱える子どもたちは「精神年齢が年齢より3割ほど幼い」と聞いていましたので、楽しめるものが増えて良かったな~!と軽く考えていたのです。秋が深まる頃には次のシリーズの情報が少しずつ解禁され、息子は「次は宇宙がテーマだって!」「9人もヒーローがいるらしいよ!」とノリノリで家族と話していました。しかし一方で娘は「私はジュウオウジャーでスーパー戦隊は卒業しようと思う」とそっけない態度です。もうすぐ4年生だもんね、少し精神年齢が上がったんだね、と思っていたのですが、娘がそう言う理由は私の予想とは違っていました。「環境の変化が苦手」な特性から、新しいヒーローを受け入れられずにいた出典 : 「スーパー戦隊はもう卒業する」と言っていたはずの娘ですが、1月の終わりになると、「ジュウオウジャーが終わってしまうなんて酷い!」「これから日曜日の朝は何を楽しみに生きればいいの?」と涙を流すようになりました。息子が買ってきた新しいシリーズ「キュウレンジャー」の本も、ちらっと見ただけで「お姉ちゃんはこんなの好きになれない」「ジュウオウジャーの方がいいに決まってる!」「こんな設定おかしいんじゃないの!?」と声を荒げます。娘は決して精神年齢が上がってスーパー戦隊を卒業しようとしていたのではなく、大好きなジュウオウジャーを大切に思うがあまり、その終わりを受け入れることができず、新しいヒーローを拒絶していたのです。環境の変化を受け入れるのが苦手な上に、1つの物に対する思い入れが強すぎるあまり他を拒絶するという娘の特性が重なり、娘自身も気づかない間に、どんどんと不安な気持ちが増大し、チックとして身体症状に表れていたのです。「キュウレンジャー」シリーズが始まった朝。親子で話し合ってみた出典 : さて、新シリーズが始まった朝。「お姉ちゃん!キュウレンジャーを見よう!」と元気に誘う息子を睨みつけながら、「金曜日に録画しておいたドラえもんをまだ見てなかったから、そっちを見る」と最後まで抵抗を続けた娘ですが、息子の意気込みに負けて渋々キュウレンジャーを視聴しました。私は敢えて娘の不安に気づかない振りをしながら、のろのろとテレビに向かう娘を見ていました。そうして、息子のリクエストで2回番組を見た後には、娘はすっかり新しいヒーローを受け入れました。私に「緑色の子は、〇〇なんだよ!」「それで青色の子が〇〇で・・・」ととめどなく喋りつづけます。少し落ち着いたところで、娘と今回の出来事について話し合いました。・ 自分が大切に思うものを守ろうとして、他のものを拒絶すると世界が狭くなること・ 新しいものを受け入れるかどうかは、一度体験してから考えること・ 状況の変化が起きる時には不安な気持ちが大きくなってしまうこと・ 今までの経験を思い返して「今は怖くても大丈夫かも知れないよ」と自分で自分を応援すること・ なるべく好きなものや知っていることを増やして不安を小さくすることいろいろ話していると娘も思い当たることがたくさんあったようで、「そういえばあのときも、初めは無理だって思ってたけど、一度体験したら大好きになったんだった」「でも、無理って思う気持ちは止められないよね?」「自分で自分を応援するのか~。ママも一緒に応援してね!」と、少しずつ何かが浸透し始めた様子でした。どんなときに不安を感じるのか、親子で考える時間をつくってみよう出典 : 「環境の変化に弱い」という特性が本人も気づかない間に不安を蓄積させ、心の健康を損ねてしまうこともあるということを深く考えさせられた出来事でした。これから春を迎えるにあたって、新しい教室、新しい先生、新しい人間関係、新しい時間割…。子どもたちが不安に思う材料は盛りだくさんです。お子さんがイライラしたり、気力を失くしたりしてしまった時は、どんなことに不安を感じているのか、どんな風に自分に声をかけてあげれば楽になれるのか、一緒に考える時間を作れるといいですね。その経験の積み重ねが、親の手を離れて生きていく時の力になると信じて、わが家もこつこつと話し合いを続けていきたいと思います。
2017年02月28日痛々しいけれど…勲章かな?Upload By 荒木まち子Upload By 荒木まち子運動が苦手な我が子発達障害の娘は運動が苦手で小学校での体育の時間は苦難の連続でした。徒競走、球技、マット運動に跳び箱、鉄棒…どれも学校の授業だけではコツをつかむことはできませんでした。今回はそんな娘が小学校1~2年生の頃のお話です。苦手な冬のカリキュラム出典 : 娘の通っていた小学校では寒くなってくるといつも決まって“ある運動”が始まります。それは「縄跳び」です。冬の間は体育の授業だけではなく、全学年合同の「縄跳び集会」も開催されていました。縄跳びをカリキュラムに入れている幼稚園もありますが、娘の通っていた幼稚園では、「縄跳びは園児がやりたいと思ったらやる。やりたくない園児は無理にやらなくても良い。」という方針でした。なので他の幼稚園に通うお友達が「縄跳び100回できたんだ!」と話すのを聞いても、私たち親子は「わぁ、すごいね!」と感心するだけで、焦る気持ちなどは全くありませんでした。なぜ跳べない?跳べない原因を考えて対策をした小1の冬休み出典 : でも小学生になったらそうも言っていられません。娘は冬休みに自宅で縄跳びの練習を始めることにしたのです。家には幼稚園からもらった紐の縄跳びと、100円均一で買ったビニールの縄跳びがありました。紐のものは長さが短かったので、100円のビニールの縄跳びを使うことにしました。こうして自宅でも縄跳びの練習を始めたのですが、1回は飛べても連続して飛ぶことができない娘。親子で何が原因か考え、辿りついた答えは1. つま先でなく足の全面を地面に付けて飛んでいる2. 手首ではなく腕全体を使ってロープを回している3. 一定のリズムが取れていないということ。そこでまず、縄を使わずつま先でジャンプする練習や、カスタネットを使って一定のリズムで飛ぶ練習をすることに。「ゆっくりでも良いから連続して10回飛ぶ」ことを目標にして毎日練習を続けました。練習しているうちにロープが当たって娘のむこうずね(弁慶の泣き所)はアザだらけ。それでも飛べるようになりたい一心で娘は何度も何度も練習を繰り返しました。娘にとって一石二鳥の特別ルール出典 : リズムを掴めるようになると一週間ほどで娘は最初の目標の10回を飛べるようになりました。その後20回、30回と飛べるようになったある日、こんな提案をしてきました。「クリスマスに買ったゲームをもっとやりたいから、縄跳び10回につきゲーム時間を1分追加しても良い?」この頃はゲーム機を買ったばかりの時期で、『ゲームは一日30分まで』というルールを決めていたのですが、冬休みの間は時間もあるのでこの特別ルールを認めることにしました。特別ルール効果もあり、娘は冬休みが終わるころには連続100回飛べるようになっていました。ゲームはできるし縄跳びはできるようになるしで、娘にとってはまさに一石二鳥のルールとなったのでした。小2の縄跳びは意外な方法で上達!出典 : 年生になるとただ回数を多く飛ぶだけではなく、様々な技も習得しなければなりません。後ろとび、歩きとび、二重跳び…そしてそれらを3年生の運動会のにダンス取り入れる予定というのだから、さぁ大変。また冬休みの自主トレスタートです。でもいくら練習しても、二重跳びはなかなか飛ぶことができませんでした。そこで私達は縄跳びを替えてみることにしました。大型スーパーのスポーツ品コーナーには様々な縄跳びが売られていました。その中で娘に一番合ったのはこれです。アシックスクリアートビナワジュニアその縄跳びを使って娘はすぐに「この縄跳び、飛びやすい!」と感じたそうです。そして数日後、娘は二重跳びに成功したのです。「縄跳びを替えただけで飛べてしまうなんて!」私も娘自身もこれには本当にビックリしました。諦める前に色々試してみるのも良いのではこの新しい縄跳びはグリップが長く、脇を締めたまま手首で楽にロープを回すことができます。またロープが細くて柔らかい素材でできていて、ロープがねじれて絡まることがありません。実は他にもロープに「おもり」がついているものや、グリップが柔らかい素材のものなどいくつか試してみたのですが、娘には合いませんでした。この縄跳びは値段もそれほど高くありません。ロープを切らずに長さを調整できる仕組みになっていて、背が伸びてもずっと使えるのでむしろお得かもしれません。もし縄跳びで苦労していらっしゃるお子さんがいらしたら“縄跳びを替えてみる”というのも一つの方法かもしれないですよ。
2017年02月27日うちの子は支援級?それとも通常級?悩む前に知ってほしい、もう一つの選択肢出典 : 「うちの子、本当に通常級で皆と一緒にやっていけるの…?」「心配だから支援級にしたけど、本当にこれで良かったの…?」この時期、発達障害・グレーゾーンのお子さんの入学を控えたお母さんは、気持ちが揺れ動いているかもしれません。また、入学後のお子さんを見て、「通常級で頑張っているけど、正直ついていけないみたい。私もトラブルばかりで、なんだか疲れちゃった…」「支援級でのんびりやってるけど、正直持て余しているみたい。うちの子、ずっとこのままでいいの…?」…なんて悩まれているお母さんもいるでしょう。我が家の長男は、通常級・支援級の両方を経験しています。通常級と支援級、両方を経験した私たち親子だから分かること。そして、「通常級か、支援級か」の二者択一ではなく、通常級で受けられる支援や、支援級でも出来る通常級との交流など、さらなる選択の可能性だってあることを、楽々かあさんこと、大場美鈴がお伝えします。通常級から支援級へ、そしてまた通常級へ。それぞれのクラスで受けることが出来た配慮出典 : うちの長男は、小学校入学時の健診までは、目立った知的・言葉の遅れはなく、発達障害に気づかずに入学し、4年生まで通常学級(以下、通常級)で過ごしました。そして、5年生で特別支援学級(以下、支援級)に自分の意思で転籍し、来年度は、また通常級に戻る予定でいます。(※転籍を希望する場合、いつ頃までに伝えれば翌年度のクラス編成に間に合うかは、地域・学校ごとによって異なりますので、それぞれご確認下さい)支援級にも、通常級にも、それぞれにメリット・デメリットがあり、その時々の担任の先生との相性や、クラスの他のお子さん達との関係などでも大きく、その環境が合うか、合わないかは変わってきます。正直、そのクラスがお子さんにとっていい環境になるかは、「実際に、フタを開けてみないと分からない」のです。だから、一概に「通常級で伸びる」「支援級で落ち着く」とは、言い切れない現実もあると思います。また逆に、「通常級で落ち着く」「支援級で伸びる」可能性だって十分あるのです。そして、「支援級か、通常級か」の間で揺れ動く、うちの子と似たようなお子さんには、「その中間のスタンス」である「通常級で受けられるサポート」と「支援級で可能な通常級との交流」もそれぞれあることも、是非知っておいて欲しいと思います。加配や取り出し個別指導、我が家が通常級で受けることが出来たサポート出典 : さて。入学時までに、親に発達障害に気づかれず、いきなり通常級に放り込まれた長男(ごめんね)。当然、大混乱・大パニックです!ランドセルの中身はからっぽ。登下校ではケンカばかり。漢字書き取りは投げ出す…毎日トラブル続きで、私も育児にすっかり自信をなくし、途方に暮れていました。そしてある日。長男はクラスのレクリエーションに参加できずに、泣いて教室を飛び出しました。…そんな時、一緒にいてくれたのが、「加配」の先生でした。「加配」とは、担任に加えて、他の教員などが通常級に入り込む形で、支援の必要な子を中心にサポートしてくれる制度のことです。呼び方も役割もそれぞれビミョーに違いますが、「加配」「補助教員」「支援員」「介助員」「民間のボランティア」などといった呼び名の人が、クラスに配置されて子供を支援してくれます(学習指導ができるのは、教員免許保持者のみ)。自治体の予算で人員が確保されるので、状況によっては、希望を伝えても、配置や増員がすぐには難しい場合もあるかもしれません。うちの学校の場合、加配教員の先生が、1・2年生の各学年に1名が配置され、各クラスを巡回しています。うちの子達がお世話になった例は…・教室を泣いて飛び出したり、パニックになってしまった時に、一緒に廊下にいてくれた・授業中、ぽわ〜んと上の空になっていた時に気づかせたり、漢字学習の時、下書きを入れてくれた・休み時間、友だちともめ事になった時に、仲介役をしてくれた…などなど。普段から何かと長男に声をかけてくれ、コミュニケーションを図ってくれました。他にも、読字障害のある子や、言葉での表現が難しい子、日本語が母国語でない子などに、教科書の代読や筆談をする、などのサポート例もあるようです。加配の先生は、支援・介助の必要な特定の児童1人につく場合もあれば、うちの学校のように、障害の有無に限らず「教室で気になる子」を中心に、全体的にフォローすることもあります。うちの加配教員の先生方は、商売大繁盛。いつも走り回っていて、忙しそう。正直、学年に1人の配置では、低学年のクラスでは手が足りず、充分とは言えない状況のように感じましたが、子ども達にとっては「教室を飛び出したら、加配の◯◯先生が捕まえてくれる」という、不思議な安心感があったようです。出典 : ところが、3年生になると、学年への加配教員の配置はなくなってしまい、特別支援コーディネーターの先生にご相談したところ、頂いた提案が「取り出し個別指導」(以下、取り出し)でした。実は、うちの自治体の他校に設置の「通級」は、希望者が多くて順番待ちの待機状態。私は「何年も待ってる間に、うちの子は大きくなっちゃう!」と、最初から通級の希望は出しませんでした。「取り出し」は、その学校の独自の裁量による任意のサポートです。必ずしも全ての学校で実施されている訳ではないのですが、近年、徐々に実施する学校も増えて来ているようです(実施の有無は、各学校にお問い合わせ下さい)。これは本当に助かりました。うちの場合、希望者が多く、週に1時間程度でしたが、空き教室を利用して、その時間に手の空いている先生(音楽などの教科担任、少人数指導、管理職の先生等)が1対1で、長男を個別に見てくれるというもの。算数を中心とした学習のフォローや、習字や作文など、授業の時間内に取り組めなかった、終われなかった課題を、一緒に丁寧に仕上げてくれました。それでも終わらなかったことは、家でフォローしていたので、私は内心「週1時間では全然足りない」と思っていました。でも、長男はこの「取り出し」の時間をとても楽しみにしていて、少しでも「これならできる」という体験を学校内で得られることが大事なのだと気づきました。それに、この1対1の時間で、長男はいろんな先生と打ち解け、何かと声をかけてくれたりと、学校に長男の理解者・味方が増えました。そして、「おれは、人数が少なければ集中できる!」という自信が持てたので、人数の少ない支援級への転籍を、自ら希望したのです。交流級制度を使うことでこれまでのクラスメイトとも一緒に学ぶことが出来る!出典 : 「交流級」は、「協力学級」「親学級」などとも呼ばれ、支援級に在籍しながら、特定の普通級のクラス(長男の場合、5年◯組)で、一部(または全部)の授業・活動に参加することです。長男は5年生で支援級に移ってからも、それまで一緒に普通級で学んで来たクラスメイトと突然「別世界」に切り離された訳では決してありません。というのも、長男の場合、書字や集中など特定分野に苦手さがあるだけで、今までも、「全て」の教科で「全く」ついていけない、という訳ではありませんでした。そこで「交流級」を活用して、一部の授業や活動は、今まで通り「皆と一緒に」、それ以外の授業は支援級で「その子に合ったペースで」という、選択をしました。長男の場合、転籍してすぐの数週間は、一日中支援級にいましたが、様子をみながら、徐々に交流級で参加する科目を増やし、3学期の現在は、全科目交流級で授業を受けています。他の支援級のお子さん達も、一日中支援級にいたり、交流級を増やしたり減らしたり、ずっと交流級で過ごしたり…と様々です。また、交流級では、支援級の介助員の先生が、慣れるまでそばで見守ってくれたりもしています。それから、それぞれの学年の係活動、運動会や遠足などの行事も、基本的に交流級のクラスメイトと一緒に活動しています。長男は、支援級で苦手分野をマイペースに学びながら、徐々に交流級で過ごす時間を増やしていった結果、再び学習への自信がつき「おれ、もっといろいろ勉強したくなった」と、6年生はまた普通級に戻ることを自ら希望しました。通常級と支援級を行き来させながら私が考えたこと…出典 : オリジナルな発達で、その時々で、伸びたりつまづいたりを繰り返してきた長男。うちでは、そんな彼にとって、なるべく「自信になるほう」の選択をし続け、今があります(勿論うちでも、全てが希望どおりに運ばなかったことだって沢山あります)。子どものことを真剣に考える程、親は期待したくもなるし、不安にもなりますよね。私だってそうです。ただ、私が実感しているのは、子どもの可能性に「絶対」などないということです。私自身、つい思い詰めてしまう性格なので、普段から「絶対〜すべき」や「必ず〜しなくてはならない」といった極端な考えが浮かんだ時は「できれば〜して欲しい」「なるべく〜だといいなあ」と頭の中で変換するように意識しています。子供への声かけ変換を、自分自身に対しても応用した形ですね。そして、「ずっと」「全部」ではなく、「今は〜かもしれない」「ここは〜の可能性もある」と、問題を部分的に絞って考えたりもしています。●「絶対、通常級でがんばるべき」→「できれば、通常級でがんばって欲しいなあ」●「ずっと、支援級で守ってあげなくては」→「今は、支援級で守ってあげたほうがいいかもしれない」…こんな風に変換して考えると、少しだけ気が楽になりますし、子どもの可能性だって広がります。選択肢は2択じゃない!あらゆる可能性には、あらゆる選択を。さて、うちの「もう一つの選択肢」って、何だったと思いますか?そう!ちょっとちゃっかりしていますが、通常級でもサポートの力を借りたり、支援級の在籍でも通常級との交流を行うなどといった、「通常級と支援級の、イイトコ取り」。マイペースな子には、マイペースな支援を。オリジナルな子には、オリジナルな支援を。あらゆる可能性には、あらゆる選択を。「支援級か、普通級か」の2択ではなくこんな選択肢だってあることを、頭の片隅で覚えておいて頂けたら嬉しいです。Upload By 楽々かあさん大場美鈴(著), 汐見稔幸(監修), 『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母のどんな子もぐんぐん伸びる120の子育て法』ポプラ社, 2017年
2017年02月26日私の愛すべき家族
育児に遅れと混乱が生じてる !!
こどもと見つけた小さな発見日誌