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以前、ADHD長男のハンカチが日に日になくなるという記事を書いたことがあるのですが(結局、ジャージや白衣のポケットの中に溜まっていたり、道に落ちていたりした。)そのとき、男の子を持つ先輩ママたちに「学校の机とかお道具箱も穴場だよ」という有力情報をいただきまして、先日の授業参観のときに確認してまいりました。Upload By ラム*カナUpload By ラム*カナUpload By ラム*カナUpload By ラム*カナおやぁ…?Upload By ラム*カナUpload By ラム*カナ先生と気持ちがリンクした時間でした…☆たぶん、先生は、大雑把な息子のお道具箱のことだから、きっとしっちゃかめっちゃかなんだと思い(むしろ私はそれを期待していたのですが…笑)すごく焦ったみたいです。でも、思いの外きれいで、2人して「あれっ」ってなりました。担任の先生とは、連絡帳や電話などを通じて、連絡を取り合い、いつも温かく見守っていただいております。
2017年02月25日我が家で役に立ったお手軽療育グッズをご紹介!出典 : 私たち夫婦が娘に家庭内療育を始めたのは、2歳半で娘に自閉症の診断がおりた後、3歳になる直前ぐらいからです。このころは、少しずつですが言葉が出てきだしたころでした。その当時の私たちは、療育に使う教材といってもどのようなものがあり、それがどこで手に入るのか全然見当もつきませんでした。そこで療育の先生から手に入りやすいグッズや簡単に自作出来る教材を幾つか教えていただき、手探りで実践してみました。実際で我が家で使用した療育グッズを紹介します。ご褒美を与えるトークンを100円ショップの磁石で簡単手作りUpload By あいちゃんパパ私の記事にたびたび登場する100円ショップ。安い上にアイデアになる商品がたくさんあります。療育を始めた当時、娘の物の名前や属性が良く分かっておらず、まずは身の回りの物の名前を教える必要がありました。最初は課題ができるたびにご褒美を与えていました。しかし、慣れてくると徐々にご褒美を減らしていく必要があります。とはいえ子どもの療育に対するモチベーションは維持していかなくてはなりません。発達障害児の療育には、子どもが好ましい行動をするたびにご褒美としてトークンを与え、あらかじめ決めておいた数だけトークンを集めることができたらご褒美を与えるトークンエコノミー法がよく使われるのですが、我が家では画像のトークンを自作しました。鉄製の平べったい筆箱と磁石を5個買ってきて、課題が1つできるたびに磁石をくっつけさせ、5個付けるとご褒美を貰えるというものです。これを作ることで、磁石をくっつける楽しさやそれがたまっていく過程が分かり易いこともあり娘のモチベーションも落ちずにすみました。また他にも100円ショップのアイテムを療育グッズとして活用していました。例えばプラスチック製の緑・黄・赤色スプーンとフォークをそれぞれ3組買って来て、同色や同形でマッチングさせたりしました。絵を模倣させるための画用紙や、マッチングに使う色違いの製品、おもちゃの積み木など、100円ショップはアイデア次第で療育グッズの宝庫です。物の名前を覚えるのに大活躍!「くもんの生活図鑑カード」シリーズ出典 : 今でこそ、インターネットでなんでもそろう時代ですが、私たちの頃はまだそこまで普及していませんでした。なので、書店などで「くもん」から出ている「やさいくだものカード」「たべものカード」「のりものカード」(くもんの生活図鑑カード)などを購入し、療育に使いました。くだものやさいカード〈1集〉 (くもんの生活図鑑カード)このくもんのカードには、カード1枚に1つの絵がまるで写真のように本物そっくりに描かれています。我が家では物の名前付け、カテゴリー分けの練習などに使いました。・名前付け・・・りんごのカードを1枚机に置いて「りんごはどれ?」→指差しさせる、「これは何?」→「りんご」と答えさせる・物の区別・・・りんご、みかんのカードを置いて「りんごはどれ?」→どちらかを選ばせる・カテゴリー分け・・・車、船、飛行機、電車のカードを置いて、「空を飛ぶものは?」と言って飛行機を選ばせる。同様に「水の上に浮かぶもの」「線路の上を走るもの」「陸を走るもの」も。また、やさいくだものカードでは全てのカードを置いて「やさいとくだものに分けて」と言う。絵がリアルなせいか、このカードでの練習で娘は徐々に物の名前とその機能を理解していきました。教材はカードでなくても本でもよいのでは?と思われるかもしれません。しかし、本だと同じページに絵が複数載っていることがあり、子どもが集中できないかもしれません。カードだと、目的の絵だけを教えることができるので分かり易いと思います。新聞の折り込みチラシを使った療育グッズ出典 : 市販の物以外にも、お金をかけなくても身近にあるもので教材を作ることが出来るものがあります。それは新聞の折り込み広告のチラシを利用したものです。広告にはモデルさん(男の人、女の人、子供、お年寄り)などの写真が載っています。これらを切り抜いて、カテゴリー分けに使いました。目的はくもんの生活図鑑カードと重なりますが、こちらは無料で作ることができます。切り抜いた人物をいっしょに混ぜておき、「男の人はどれ?」「男の人と女の人に分けて」などと言って、たくさんある中から同じ仲間に分けさせたりします。同様に、果物や野菜、肉、その他の商品などの写真を利用してカテゴリー分けの練習を行いました。カテゴリー分けの練習に生活図鑑カードとチラシの両方を使うことは、自閉症児が苦手だととされる、本質的ではない違いを無視して「同じもの」として扱う「汎化」の練習にもなりました。親が子どもといっしょに、気軽に出来る療育を!出典 : お金をかけてもかけなくても、工夫次第で療育の教材は身近にあると思います。チラシに載ってる商品が分かるようになると、今度はそのチラシを持って実際にお店に一緒に行ってみるのもいいかもしれませんね。
2017年02月25日知的障害者向けの療育手帳、発達障害の私は取得できないの?出典 : 現在、発達障害者のためだけの独自の手帳制度はありません。発達障害者のための法律は、2005年にやっと「発達障害者支援法」が施行されました。ですが手帳制度は定められていません。そのため、知的障害者に発行される療育手帳か、精神障害者保健福祉手帳がその代わりになっているというのが実情です。少し、療育手帳と精神障害者保健福祉手帳の制度について調べてみました。療育手帳は、1960年に施行された「知的障害者福祉法」には記述がなかったのです。1973年9月に当時の厚生省が出した通知「療育手帳制度について」に基づいて、各都道府県知事(政令指定都市の長)が知的障害と判定した人に発行するようになりました。それ以前にも独自に療育手帳を発行していた自治体もあったそうですが、1973年までは国の法律に基づいた制度ではなかったのですね。精神障害者保健福祉手帳は、1995年(平成7年)に改正された精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(精神保健福祉法)に基づいて、各都道府県知事(政令指定都市の長)が発行しています。私は、「発達障害で、実際にかなり生活や仕事で困難を感じているのになぜ療育手帳を取ることができないのか?」という疑問を抱いていました。療育手帳では受けられても、精神障害者保健福祉手帳では受けられないサービスもありますし(特に交通関係のサービスは療育手帳の方が手厚いです)。そして「それなら実際に取得のチャレンジをしてみよう」と決心したのです。大人になってから療育手帳を取るには、どんな手続きが必要?出典 : 大人になってから療育手帳を取るためには、まず市役所等の障害福祉課に申し込む必要があります。申し込んでからしばらくして日時を指定されて、市役所の職員から成育歴や現在の生活の状況などの聞き取りが 約1時間ありました。そして、「取れてB2(一番軽度)ですね。また都道府県の指定機関で検査を受けてもらうので、日時が決まったら連絡します」と言われました。役所での聞き取りから約1カ月後、都道府県の指定機関から連絡がありました。そのときに「子どもの頃のことを聞かせてほしいのでご両親に同行してもらってください」と言われました。父はもう亡くなっているので母にお願いしました。けっこうな歳なので申し訳なかったですが。しかも「そんな昔のこと覚えてない」って言われますし。けっこう不安な気持ちになりました。ちなみに親が高齢で足を運べない場合は、電話での聞き取りになるそうです。親がいない場合はどうなるんでしょうね…?検査を受けた結果は、手帳の取得は…出典 : 検査の流れは、午前中に2時間かけて私はWAIS-Ⅲを受け、その間に母は別の部屋でチェックシートに回答し、それを心理士さんが見ながら追加で質問をいろいろと受けるというものでした。WAIS-Ⅲは途中で休憩をはさみながらも2時間少々で終わりました。心理士さんはとても手慣れていて、検査のベテランという印象でしたね。お昼過ぎに母と合流し、20分間待って母と私を担当した心理士さんたちによる結果の見通しと所見の説明がありました。結果から言うと、「療育手帳の支給はできません」でした。理由はわたしのIQが100を超えていたこと、成育歴に特に問題もなく、大学に進学したことがトドメになったようです。療育手帳の審査ではふたつのことを見るそうです。1.検査でIQを計る2.成育歴で、18歳までに知的障害の状態であったかどうかどちらでもダメだったわけですね。心理士さんにズバリと聞いてみました。「私みたいな知的に問題のない発達障害の人が検査に来ることってよくあるんですか?」すると「はい、けっこう多いケースです。やはり手帳を取っていただくことはできませんが」と答えてくれました。この日も何組もの親子が検査を受けに来ていました。検査を受けに来る人はとても多く、忙しい状態が続いているそうです。WAIS-Ⅲの所見も簡単ではありましたが、説明してくれました。もう少し詳しい所見がきけるのかと思っていましたが、分析する時間もほとんどなかったでしょうし仕方がないのかなと感じました。最後に、精神障害者保健福祉手帳で受けられるサービスについての案内がありました。発達障害に関する啓発パンフレットも、親子に1セットずつくれました。WAIS-Ⅲの結果レポートは、頼めば切手代だけで自宅まで郵送してもらえました。私は医師に提出するためにお願いしました。判定基準は都道府県によって異なります出典 : 療育手帳の判定基準は都道府県によってかなり異なります。甥が発達障がいのため、療育手帳の交付申請をしたが、知能指数が基準の75より1高い76であるという理由で却下された。社会生活に適応できないのに、手帳が交付されないことに納得できない。知能指数が高い発達障がい者も療育手帳の交付を受けられるようにしてほしい。私が住む県では、知能指数が高い自閉症などの発達障がい者には、交付基準に該当しないとして交付されないが、他の県や政令市では交付されている例があると聞いた。療育手帳の交付に当たっては、全国の発達障がい者が平等に手帳の交付が受けられるよう、交付基準を統一してほしい。どこに住んでいるのかによって、判定基準が大きく異なるというのは制度として大きな問題があると思いました。必要な人が手帳を取れる世の中に出典 : 今回の経験で感じたのは、「発達障害の生きづらさはIQで測れるものではないのに、どうして『実生活でどれだけ困難を感じているか』ということを考慮してくれないのだろう」というむなしさでした。そして、療育手帳の基準の地域差が公的文書で問題になっているのに、事務的に振り分けられることの理不尽さを感じました。大人の発達障害は今までほとんど理解されることはありませんでした。少しずつ社会も変わろうとはしていますが、現実としては「努力してもできない」「なまけているのではない」ということも理解されず、SOSを出したくてもうまく福祉につながれない人が多いと思うのです。発達障害が社会的に認知されるためにも、そして発達障害のために生きづらい人が顔をあげてイキイキと生きていくためにも、手帳を必要とする人には公正にスムーズに手帳が手に入る世の中になってほしいと思います。そして、発達障害者のための手帳ができることを心より願っています。
2017年02月24日記憶力が良いはずの長男。なのにどうして…!?Upload By モンズースー興味のあることは何年前のことでも覚ええいる長男、たまに乳児期に行った場所や授乳していたことまで記憶していて思い出を語ってくれます。しかし興味の無いことはまったく覚えません。ひらがなや数字などを覚えるのも苦手です。同じような凸凹のある子にはひらがなや数字を1度見ただけですぐに覚えた…なんて子の話も聞きますが、長男には興味のないことだったようです。でも本が好きなので読めるようになれば絶対に楽しいと思うのですが…。どうしたらひらがなに興味を向けられるか、楽しく覚えられるのか、日々模索しています(笑)。
2017年02月24日保健センターとは?出典 : 保健センターは、地域住民に対し、母子保健事業や成人・老人保健事業など総合的な保健サービスを提供する施設です。市町村ごとに設置されており、地域保健法では市町村保健センターと呼ばれています。例外として、区ごとにも保健センターを設置している地域もあります。例えば、東京都では市町村のほかに、23区にも保健センターが設置されています。地域保健法は、それぞれの地域に住んでいる方の健康を推進するために定められました。この法律において、市町村保健センターは「住民に対し、健康診断、保健指導、健康診査その他地域活動に関し必要な事業を行うことを目的とする施設」と定義されています。母子保健をはじめ生活習慣病や高齢者保健など、地域住民の健康に関するニーズはさまざまです。地域によって、年代や性別など住民の構成も異なります。各地域の健康に関するニーズに応え、住民の健康を助ける身近な施設として設置されているのが、市町村保健センターなのです。地域保健法保健センターの役割出典 : 市町村保健センターでは母子保健をはじめ、健康づくり、精神保健、救急医療、食育、保健衛生など、幅広いサービスを受けられます。そのため市町村保健センターには、保健師と管理栄養士をはじめ、歯科衛生士、理学療法士、看護師などがおり、さらに施設によっては助産師、医師、心理発達相談員なども配置されています。この章では市町村保健センターで受けられる一般的なサービスをご紹介します。・母子保健事業母子並びに乳幼児を対象に、家庭訪問、保健指導、健康調査、健康教育などを実施し、健康の保持および増進を図ることが目的です。母子保健事業については、後ほど詳しくご説明します。・歯科保健事業子育て支援を意識しながら、「80歳になっても20本以上歯を保とう」という8020運動を推進することを目的に行われている事業です。具体的な事業内容としては、歯科健康相談、健診事業(1歳6ヶ月健診・2歳6ヶ月健診・3歳児健診)、「親子歯みがき教室」などの実施が挙げられます。乳幼児だけでなく、子育てに忙しい保護者に対しても歯周病予防などの大人向けパンフレットを配布するなどの活動も行っています。・栄養保健事業乳幼児から成人・高齢者に対して、健全な食生活への支援を行う事業です。生活習慣病の予防と改善を促すとともに、食事に関する知識をつけて健康な生活を送る「食育」を推進しています。栄養相談や栄養指導なども行っています。・成人・老人保健事業成人及び高齢者を対象に生活習慣病などの予防を推進し、健康な状態で日常生活を送れる期間である「健康寿命」を伸ばすために行う事業です。具体的には、健康手帳の交付や健康相談、生活習慣病予防などに関する健康講座、保健師や栄養士、歯科衛生士、理学療法士による家庭訪問指導などを行っています。地域によってサービス内容は少しずつ異なります。市町村によっては保健センターのサービスの一部を、母子保健センターや健康増進センターなどで、受けられる地域もあります。利用を検討する際は、市町村のホームページや広報誌などで確認しておくとよいでしょう。保健センターと保健所の違い出典 : 市町村保健センターが地域の健康づくりを中心とした施設であるのに対し、保健所は公衆衛生を中心とした施設です。どちらも地域保健法において定義されていますが、役割をはじめ、設置場所・運営、職員などに違いがあります。<役割>保健センターは、母子保健をはじめ、成人・老人保健や予防接種などのサービスを提供しており、対人サービスが多いのが特徴です。それに対して、保健所は保健センターよりも幅広い役割を担い、さらに専門性が高いです。保健所の具体的な事業内容は、人口動態統計や地域保健に関わる統計の作成、栄養改善及び食品衛生、伝染病の予防、水質調査などの環境衛生、医事・薬事、精神保健などです。さらに児童福祉法においては、障害のある子どもの療育にかかわるとされています。<設置場所>保健センターは基本的に市町村ごと、保健所は都道府県、政令指定都市、中核市及び東京の特別区に設置されています。<職員>保健センターの場合、職員は保健師が多いです。さらに地域の健康ニーズに合わせて、専門知識を持つスタッフが配置されています。保健所の施設長は、原則として医師が務めます。職員は、保健センターよりも幅広い分野における専門スタッフが配置されています。最近では母子保健などの事業において、市町村保健センターの役割が大きくなりつつあり、保健所は専門性の高い業務に特化している場合もあります。 詳しくは、お住まいの地域にある保健所・市町村保健センターのホームページを確認してみてください。保健センターにおける母子保健のサービス内容出典 : 保健センターは、小さいお子さんがいらっしゃるパパ・ママに多く利用されています。乳幼児健診で保健センターを利用する方が多いようですが、そのほかにも子育てに役立つさまざまなサービスを受けられます。保健センターは、妊娠から子育てまでの一連の支援が充実しているのです。ここでは母子保健事業を、妊娠から子育てまでの流れにおいて欠かせないサービスと、子育てに役立つさまざまなサービスの2つに分類してご紹介します。◇妊娠の届け出と母子健康手帳交付及び妊婦相談妊娠届出をした方に対し、市町村から母子健康手帳が交付されます。この妊娠の届出・母子手帳の交付を行う窓口の一つが保健センターです。妊娠の届出は、必要な保健指導や健康診査の対象となる方が、それらを受けられるようにするためのものです。◇新生児・妊産婦訪問指導妊娠中の方、出産前後の方、新生児や未熟児のお子さんがいらっしゃる方に対して、医師、助産師、保健師が家庭を訪問し、健康の保持や日常生活全般に関する指導が行われます。◇乳児家庭全戸訪問事業(こんにちは赤ちゃん事業)生後4ヶ月までの乳児のいるすべての家庭を訪問し、さまざまな不安や悩みを聞き、子育て支援に関する情報を提供する事業です。また親子の心身の状況や養育環境などの把握や助言を行います。乳幼児がいるご家庭と地域社会をつなぐことを目的としており、実施は特別区を含む市町村が行っています。新生児・妊産婦訪問指導とこんにちは赤ちゃん事業がどのように行われているかは、自治体ごとに少しずつ違いがあるようです。◇4ヶ月児健康相談など4ヶ月児健康相談は、生後4ヶ月の時期に相談を行い、育児不安に対応して、前向きに子育てができるようにする支援です。さらに精神科医や臨床心理士による育児ストレスの相談なども行われています。◇乳幼児健診乳幼児健診は、子どもの成長、栄養状態、先天的な病気の有無などを確認するとともに、栄養指導や母親へのサポートを行う機会でもある、大切な健診です。・1歳6ヶ月児健康診査1歳6ヶ月児健康診査とは、発達の目安が比較的容易に得られやすい1歳6ヶ月の時期に行う総合的な健康診査のことです。先天性疾患や、斜視、聴覚異常、心音異常、皮膚の異常などの有無を確かめる重要な機会でもあります。さらに虫歯予防や栄養、育児に関する指導なども行われています。・3歳児健康診査3歳児健康診査は、身体発育、精神発達の面から最も重要な時期である3歳児に行う総合的な健康診査のことです。子どもの心身の成長、栄養状態、先天的な病気の有無などを確認するとともに、子育てのサポートを行います。言葉の発達や運動能力の発達の確認は、3歳児健康診査における重要な目的です。これらの健診において精密検査が必要とされた場合は、専門的な診断を図り、適切な治療や療育を促していきます。さらに内科個別健康診査で精密検査が必要となった場合は、指定された医療機関で健康診査を行います。出典 : ◇母性教室(母親教室、ママになるための教室)妊娠・出産・育児について、正しい知識の普及や不安の解消を図ります。安心して妊娠期間を過ごし、出産を迎えられるようにする支援です。さらに地域におけるママどうしの友達づくりを推進しています。◇両親教室(パパ・ママ教室など)夫婦で妊娠・出産・育児を学び夫婦共同の子育てや家庭づくりを促していきます。◇健康教育・健康講座子どもに起こりやすい病気や事故について学習し、日常の健康管理・事故防止の重要性について認識を促します。・母性教室同窓会母性教室の同窓生の母子交流を通して、孤立化の防止と子育ての健全育成を促すことを目的で行われます。・地区健康教育子どもの健康や育児などについて学習し、日常の健康管理の重要性について、認識を促します。地区を担当する保健師・栄養士・歯科衛生士が、児童ホーム・公民館・自治会などと連携を取りながら、計画し実施されます。・ブックスタート事業絵本の読み聞かせをし、親子が触れ合う時間をつくります。子どもの健やかな心の発達を促し、より良い親子関係を育むことが目的です。◇母子交流支援・育児サークル育成支援地域の育児サービスの育成を図るとともに、自立活動を支援し、地域ぐるみの子育て支援を促すために行われます。地区の育児サークルの育成・支援を健康教育などを通じて実施します。◇健康相談・子育て支援相談子育てに関する相談に総合的に対応し、育児に対する不安を解消する目的で設けられています。電話や窓口で相談を行い、他の専門分野や手続きなどに及ぶ場合は、その分野の担当職員が担当します。・地区健康相談地区を担当する保健師が地区住民の要望に応じて、心身の健康や育児不安などに関して個別に相談を行います。さらに指導・助言を行い、育児不安の解消や適切な療育を促すために行います。◇家庭訪問指導健診や各集団事業の要指導者に訪問し、それぞれの状況に合わせた支援を継続的に行います。不安の解消や健全な子育てについての指導が目的です。妊婦相談、乳児相談、乳幼児健診などにおいて、ご家族から家庭訪問の希望があった場合、あるいは医療機関から依頼があった場合に、育児・療養・その他の支援を行います。保健センターの利用方法出典 : ・費用費用はサービスによって異なります。無料の健診も多いですが、健診の種類によっては有料の場合もあります。子育て相談や乳幼児健診は基本的に無料で受けられます。・対象年齢乳幼児から高齢者までが対象です。検査によって対象年齢が異なっていたり、該当の年齢であれば無料でサービスが受けられたりする場合もあります。・利用の流れ検査を受ける時や健康に関する講座を受講する時など、事前に予約が必要なこともあります。費用や対象年齢、手続き、当日の持ち物などの確認も兼ねて、利用前に問い合わせて確認しておくとよいでしょう。保健センター利用の流れはサービスによって異なりますが、ここでは例として乳幼児健診の流れをご紹介します。3歳の誕生日前後に、市区町村から案内が届きます。これに詳しい診査日や場所の記載、診査受診券や要綱が同封されています。当日の持ち物は送付された案内に記載されていますが、具体的には診査受診券や保険証、問診票、自宅で行う検査の結果、着替えなどです。当日はまず受付をしたあと、問診票を参考に保健師による問診が行われます。さらに歯科検診、測定、医師による診察、診査結果についての説明という流れで進められていきます。診査結果を説明される際、子育ての悩みやお子さんの発達に気になる点があれば、何でも相談しましょう。特に3歳児健診は、最後の乳幼児健診となることも多く、発達障害やその他の疾患を早期発見する大切な機会とも言えます。健診での診査や相談、再診査をきっかけに、必要な治療や支援につながるケースもあるのです。保健センターにおける発達相談とその後の流れ出典 : 発達相談では、保健師による聞き取りが行われます。お子さんの発達に関する質問のあと、発達が気になるお子さんの集まりを紹介してもらえたり、検査や療育について教えてもらえたりします。言葉の遅れや発音がはっきりしない、落ち着きがないなど、お子さんの発達に気になる点がある場合は、保健センターに相談してみるとよいでしょう。保健センター以外にも、子育て支援センター、児童相談所、発達障害者支援センターといった施設でお子さんの発達に関する相談ができます。また幼稚園や保育園の先生に保健センターでの相談をすすめられることも少なくないようです。通常の保育所・幼稚園に通っている際に、障害や発達の遅れがだんだんと明らかになってくる場合は、発達相談、発達検査や知能検査の受検、専門医療機関や療育センターの利用といった流れになります。乳幼児健診を受けて、経過観察が必要とされた場合も、発達の確認や助言指導を行い、適切な療育を促すための発達相談が行われます。乳幼児健診では、発達の遅れの可能性を見極める精密検査が必要かどうかを判断するスクリーニングが行われます。スクリーニングにおいて気になる兆候が見られた場合は、発達相談を実施し、発達検査や知能検査の受検、医療機関での2次スクリーニング、療育センターの利用をすすめられることがあります。発達検査や知能検査の結果を受けて、専門機関で確定診断を受けたい場合は発達検査を受けた機関に問い合わせるか、もしくは改めて保健センターなどの相談機関に問い合わせてみてください。まとめ出典 : 保健センターは相談や健診など、地域住民に対して総合的な保健サービスを提供する施設です。さまざまなサービスの中でも母子保健サービスは、妊娠している方やお子さんがいらっしゃる方にとって、欠かせないものです。乳幼児健診の際に保健センターを利用する方が多いですが、そのほかにお子さんの発達に関する相談などもできます。発達相談において、一人ひとりに合った検査や支援などを教えてもらうことは、お子さんの今後の成長に役立てられるでしょう。お子さんに合った支援を見つける際の、最初のステップとして利用できるのが保健センターなのです。気軽に利用できる場所なので、子育ての悩みや、お子さんの発達に気になる点があれば、ぜひ相談してみてください。結城康博・嘉山隆司・佐藤純子・本多敏明/著「新・よくわかる福祉事務所のしごと」2013年ぎょうせい/刊木村容子・有村大士/著「新・基礎からの社会福祉⑦子ども家庭福祉」2016年ミネルヴァ書房/刊母子保健事業団/著「わが国の母子保健ー平成28年ー」2016年
2017年02月23日発達障害があると「生きづらい」?出典 : 歳の発達障害の息子を育てていると、ごく当たり前のように「この子が生きづらくないように」と考えている自分がいます。「生きづらさ」という言葉は、発達障害児を育てていると頻繁に見聞きするものではないでしょうか。大人になっても「生きづらさ」を感じている人は沢山います。発達障害でなくても「生きづらさ」を感じている人は沢山います。でもやはり、発達障害の息子を見ていると、私はいつも「この子は生きづらいだろう」と感じてしまうのです。そして、「どうやったらこの子の生きづらさが取り除けるだろう」とそればかり考えています。では一体、発達障害児の「生きづらさ」って何なのでしょうか。発達障害特有の困難さは、支援で克服できることも増えてきた出典 : 息子には発達障害児特有の様々な困難があります。言葉の使い方が変わっているのでお友達に不思議がられたり、お友達の輪に入るのが好きではなかったり、聴覚や触覚が過敏だったり、運動が苦手だったり、手が不器用だったり…。これらの困難のために、息子は集団の中で様々な苦労をしているようですが、それは息子が自己肯定感を落とす直接的な原因になっていないようなのです。今は、支援方法がかなり確立されています。運動が苦手だったり、手先が不器用だったりしても、先生方や私たち親の工夫次第で結構頑張れてしまうようです。例えば息子は運動会で足が遅いことをずっと気に病んでいましたが、今は発達障害児専門のスポーツ支援の本などが結構出ています。先生方はそれに基づいて、息子に走り方の指導をしてくださいました。おかげで、運動が苦手なことで息子がひどく落ち込むようなことはありません。また、気にして見ていると、発達障害児向けの学習支援グッズなども沢山発売されています。私はそのようなグッズを探して購入したり、自分で作ってみたりしました。ですから、息子が手先の不器用さでひどく生きづらさを感じているようなことはありませんでした。また、私も幼稚園の先生も決して息子に友達の輪に入ることを強制しませんでした。周りが「この子はこういう子だ」と淡々としていれば、本人はそれほど気に病まないのです。運動や手先の不器用さなどについては支援で克服できることは結構多く、それが即息子の「生きづらさ」に繋がるわけではないように思いました。では何が「生きづらさ」につながっているのだろう。私が息子を見ていて気付いたこと出典 : けれども、どんなに支援をして息子の困難を取り除いても、私はやっぱり「この子は生きづらいだろうなあ」と感じてしまう瞬間があるのです。それは何かといえば、息子の「認知のズレ」です。例えば、息子とのやり取りで以下のようなことが毎日のように起こります。・誰かが息子の言ったことが可愛くて笑った。→「僕のことをバカにして笑っただろう」と激怒orパニック。・何かについて「ダメだよ」と注意された。→ 「この人は僕を嫌っている」と激怒。・何かの問題が難しくて解くことができなかった。→「僕はどうしようもないバカなんだ」と落ち込んで立ち直れない。・先生に「これはいけないよ」と注意される→「僕はいつも先生に叱られているダメな奴だ」と思う。・誰かが息子をからかう。→「みんなが自分を嫌っている」と落ち込む。このように、息子には認知のズレがあり、物事を過度に一般化したり、そうかと思えば突然自責の念にかられたりするところがあります。また、物事を白黒極端に捉える傾向もあり、「え?どうしてそんな風に考えちゃうの??」ということが頻繁にあります。その思考を助長するのが、相手に否定語で何か言われたり、ちょっと笑われたりということなのです。「認知のズレ」は支援することが難しい。私が息子に接するときに心がけていること出典 : 息子の生きづらさの根本的な原因について考えたとき、この「認知のズレ」が大きいのではないかと思うのです。そして、こういった認知のズレは、支援することがとても難しいです。手の不器用さや学習上の困難などは、支援グッズを使いながらなんとか解決の糸口を見つけ出すことができました。けれども、「認知のズレ」だけは、長い時間かけて手探りで修正していくしかないのです。支援グッズを使うでもなく、支援方法が確立しているでもない。私たち親ができることは、ただただ失敗したり落ち込んだりしている子どもに辛抱強く語りかけていくことだけです。だからこそ、認知のズレは親にとっても子ども本人にとっても「生きづらさ」へとつながっていくのかもしれません。けれども、だからこそ、発達障害の子には、なるべく大きな失敗をしないように環境調整をすることに意味があるのだと思います。私は息子の生きづらさを知ったうえで、人間関係や学習などで大きな失敗をさせない、挫折をさせない、本人が乗り越えられるハードルをうまく設定しながら成功体験を増やすことに集中しています。なかには、それは過保護だという人もいます。けれども、認知にズレがあるからこそ、ひとたび大きな挫折でボッキリと折れてしまうと、それを立て直すのに大変な労力がいるのです。また息子の場合、大きな失敗をすることで、他者への不要な憎しみや恨みが長いこと心に残ります。大きな失敗や挫折の体験は、発達障害の子どもの生きる糧にはなりづらいと私は思います。私は失敗を乗り越えさせることに力を振り絞ることよりも、成功体験を積ませることに力を使っていきたいです。発達障害の子どもにとって、小さな成功体験の積み重ねが心の体力になっていきます。心の体力があれば、多少の認知のズレがあっても、自分で態勢を立て直すことができるはずです。認知のズレそのものを修正するために躍起になるよりも、小さな成功体験を増やしていくことに重点を置いていくほうが、親も前向きに取り組むことができるのではないでしょうか。生きづらさは、心の体力で克服できるものだと私は信じています。
2017年02月23日保育園生活最後の面談で、息子が担任の先生から言われたのは…出典 : 私は、いわゆるシングルマザーです。息子が2歳の頃に離婚をし、私と息子は実家に戻って生活をしていました。当時は保育園に息子を預け、私は毎日働いていました。トイレトレーニングからお箸の持ち方にいたるまで、すべて保育園の先生がやってくださり、まさに第2の母のような存在でした。しかし小学校進学前の最後の面談、担任の先生のある一言から私たちの生活は一変したのです。「お子さんは、小学校での授業の45分間、椅子に座り続けることが難しいかもしれません。」言われてみれば確かに息子は、普段の保育園の様子を聞いていても、立ち歩いたり、興味のないことには参加せず、マイペースに過ごしていました。しかし家庭では特にこれといって変わった様子はなく、レゴブロックが大好きで夢中になったり、テレビを観ては踊ったりと、私からすれば、何の違和感もありませんでした。当時の私には、保育園での素行も「ただの暴れん坊将軍なのでは…?」という認識しかなかったのです。しかし、保育のプロである先生に懸念されるということは、それなりの問題であるということです。楽観視していた私でしたが、今まで自治体の教育研究所に相談にいった経験もなかったこともあり、「せっかくだからいろんなことを相談してみようかな」という前向きな気持ちで支援機関に相談することにしました。息子が受けた知能検査。「発達障害」というものを初めて知る出典 : いざ、自治体の教育研究所にて相談をすると、発達や知能の指標を見定めるため、「WISC」というテストを受けてみることを勧められました。5歳の子がそのテストを受けることで何かわかるのかな……という思いもありましたが、専門家の手に委ねることに。結果は、「言語理解能力」は著しく高い割に、「問題処理能力」が著しく低いとのこと。このように、能力の高低差が大きい場合、社会生活に困難が生じることもあるということを聞き、一気に不安が押し寄せました。息子がいわゆる「ADHD(注意欠如・多動性障害)」といわれるものに非常に近い状態ということを知った私は、専門書を買って、最初から最後まで、一字一句逃さず何度も何度も読み返しました。本を読めば読むほど、息子の行動にあてはまるものがたくさんあり、「あぁ、やはり息子はADHDなのかもしれないな」と思いました。発達障害に関してまだ知識が浅い私は、「今後、母親としてどうすればいいのか」「息子はこれからどのように成長していくのか」という漠然とした不安と闘うことになったのです。1人で悩み、行き詰まっていた私を変えたのは…友人の一言だった出典 : 先述のとおり、我が家は、親1人子1人の母子家庭であるため、夫がおりません。本来であれば、こうした困難を1番に相談できる相手が夫なのでしょう。しかし、私にはその夫がいないという心細さをどこかで感じていました。しかし、私の周りには、夫以上に頼れるような友人がいてくれたこと、それが唯一の救いでした。彼女は、私よりも6歳年上。私にとって、家族よりも身近な存在といっても過言ではありません。無論、彼女は、こうした分野の専門家ではありませんが、1児の小学生女児の母として、子育て、そして自分自身の生き方に1本筋がとおったような信念をもつとても強い女性です。私は彼女に、息子にADHDがある可能性が濃厚になったことや、本を読んで感じた漠然とした今後への不安、すべてを話しました。頭では理解したつもりでいたものの、心のどこかで、「まさか自分の子が発達障害とは…」と納得までできておらず、その困惑ぶりは、彼女にも伝わっていたのでしょう。そんな彼女は、私にこう言いました。「あなた自身が、どれだけ息子さんを理解してあげられるか、どれだけ受け止めてあげられるか、それが要になるだろう」彼女の一言があったからこそ、今の私たち親子がある出典 : 発達障害と一言でいっても、障害は障害。語弊があるかもしれませんが、「あぁ、私は障害児を生んだのか…」「私1人でこの子を育てられるのかな?」「将来、この子がいくつの困難にぶち当たるのだろう」、そんな不安と腹落ちしない気持ちが当時はあふれ出ていました。しかし彼女のその一言で、不思議と一気にスッキリしたことを今でも覚えています。息子はこれから周りにはなかなか理解してもらえないような生きづらさを抱え、それに立ち向かうという困難を経験するでしょう。同世代の子が当たり前のようにできることができないかもしれない息子を見て、私もイライラしたり、他の子どもと比べて悩んだりすることもあるかもしれません。それでも息子の全てを理解し、そしていかに寄り添えるか。彼女が言いたかったのは、「あなた自身が、息子さんの1番の理解者であれ」ということだったのです。発達障害の症状は、十人十色です。専門書では解決できないことであっても、私は息子を育てていく中で、目の前に起きる1つ1つのことを大きく受け止めることが、息子にとって1番の安心材料になるだろうと理解しました。例えば、息子は「問題処理能力」は低い値ですが「言語理解能力」は高いため、冷静かつ理論的に話すことによって、少しずつものごとを把握していくことができます。そのため、「大人対子ども」という立ち位置ではなく「1対1の人間関係」で話し合うことで、認識のズレを修正していくことが必要であると分かりました。一般的な親子関係とは少し異なるかもしれませんが、こうしてコミュニケーションをとることが我が家の日課になりつつあります。こうした工夫ができるのも、彼女の一言があったからこそ。何事に対しても前向きに捉える心構えができました。そう、彼女の一言は、私のマインドを180度変えたのです。親が勇気を出して1歩踏み出すことが、子どもの大きな支えになる出典 : 「うちの子、ひょっとしたら発達障害かも…」と不安を抱える保護者の方は、最近ますます増えていると思います。私も、ちょっと前まで「発達障害って?」「ADHDって?どうすればいい?」と、右も左も分からず、ただただ不安のるつぼにはまっていた1人でした。しかし、1番不安を抱えているのは誰なのか…それは、発達障害を抱える子どもなのではないでしょうか。もちろん、それを支える親の苦労も尽きません。とはいえ、私たち親は、現実的に子どもたちよりも先に、あの世へと旅立つ日がくるのです。そんな日がくる前に、いかに子どもが自立できるかを一緒に考え、成長を見守るとともに、親も成長していくのが理想ですよね。私が今回の出来事で痛感したのは、「世の中、そんなに捨てたもんじゃない」ということ。相談できる家族や友人、自治体など、>困っているあなたにアドバイスをくれる人は意外といるのです。だからどうか、今ある現実に不安を覚えたとしても、悲観はしないでほしいです。「なかなか相談できない」「恥ずかしい」、いろいろな気持ちがあるかと思います。けれど、親がその1歩を踏み出す勇気が、いつか子どもにとっての大きな支えになるでしょう。
2017年02月23日こんにちは、親子でADHD(注意欠陥・多動性障害)をやっています、ママライターの木村華子です。息子の発達障害を疑ったのは、小学校へ入学してすぐのこと。夏休み前に行われた担任と保護者の二者面談で、私は息子の発達障害を疑っていること、 そして受けることのできる支援や相談窓口があれば教えてほしい旨を伝えました。ところが担任の口から発せられたのは、「発達障害だなんて!お母さん、そんなに思いつめなくても大丈夫ですよ」という慰め(?)の言葉。結局その後一年間、何のアプローチもないまま息子の不得意は放置 されてしまいました。当時の私は、「どんな支援があるのか分からない」「どこに相談すれば良いのか分からない」「そういう機関を利用する際には、学校を介さなければいけない気がする」などの疑問や思い込みから、「担任が気付いてくれなければ何もできない……」と動き出せずにいたのです。今考えると、その時点で親としてしてあげられることがあったのだと分かります。今回は、早期療育の大切さと、発達障害の相談窓口についてをお話しします。「うちの子もしかして……」と思い始めたパパ・ママへ、いち早くお子様へのアクションを起こすヒントにお役立てください。●早期療育の大切さ〜放置は二次障害の原因に!〜2年生になったばかりのころ、新しい担任から療育センターへ行くことを勧められ、ようやく息子への支援が行われるようになりました。発達障害を受け入れ支援に踏み切ることは、多くの親にとって勇気のいる決断ですが、息子の凹凸を考慮したアドバイスや指導により、私たち親子がこれまでの育児で乗り越えられなかった課題や問題が日々改善されていく様子 には、「もっと早く相談すれば良かった!」と思わせるだけのメリットがありました。と同時に、カウンセリング・検査・相談等の過程で相談員の方や支援学級の先生から何度も聞かされた「早期療育が大切」という言葉に、親としての反省と後悔も感じています。発達障害を放置し、適切な対応をせず過ごしていると、・できないことを友人になじられたり・先生や両親から怒られたり・いくら頑張っても成功しなかったり……という失敗経験を重ねて自己評価が低くなり、高い確率で別の障害(不安障害やうつ病、統合失調症など)を引き起こす原因になってしまう のだそうです。これを“二次障害”と言い、思春期の引きこもりや不登校、家庭内暴力、犯罪行為などにもつながると言われています。カウンセリングで「“もう手遅れ”ということはないけれど、療育をはじめるのは早いに越したことはありませんよ」というアドバイスを受け、私は子どもが1年生の段階で気が付いていたのに……と少し後悔しました。きっと、担任の動きを待つあいだにできることがあったはずです。発達障害の特性でつらい思いをするのは本人。二次障害を予防するためにも、ぜひ「うちの子もしかして……」と気が付いた段階で適切なアクションを起こしてあげたいものですね。●「うちの子もしかして……」と感じたときに相談できる窓口4つ「発達障害の支援を受けるには学校との連携が不可欠なのだから、相談も学校を介さなければいけない気がする……」と、特に行動をしないまま息子の1年生を過ごしてしまった私。しかし後になって、ダイレクトに相談できる機関がいくつも存在していることを知りました。もちろん、普段の様子を知っている学校や幼稚園、保育園の担任に相談することも大切です。しかし、私のように不安がうまく伝わらなかった場合や、「どこに相談すべきか……」とお悩みであれば、ぜひ以下の窓口で支援や相談の第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。●(1)発達障害者支援センター発達障害を持つ大人や子どもへの支援を総合的に行う専門機関。“発達障害”と名が付いていますが、「まだ診断されたわけじゃないんだけど……」という方でも相談や支援を受けることができます。●(2)児童相談所虐待児保護の印象が強い児童相談所ですが、業務には“児童に関するさまざまな問題について、家庭や学校などからの相談に応じる”という項目があり、0〜17歳の児童 を対象に発達障害の心身障害相談も行われています。●(3)市町村保険センター地域の母子保健・老人保健の拠点を担う施設。未就学児や小学生だけでなく、高校生や大人の発達障害にまつわる相談 も行われています。相談は予約制となるケースが多いので、利用の際は前もって問い合わせを。●(4)子育支援センター乳幼児(0歳〜就学前)のいる親子の交流や育児相談、情報提供などを行う子育支援センターでは、教育不安などの相談・指導を受けることもできます。発達障害児のサークル活動が行われているケースも。●早期発見で、二次障害を食い止めて!お子様の様子を誰よりも見ているパパ・ママが感じる「もしかして……」には、わが子からのSOSが隠れているのかもしれません。もしそうなら、一刻も早く最適な対応を施してあげたいものですよね。お子様を取り巻く環境をより良いものにするためには、周囲の大人が動きだすこと が必須です。ぜひ早期発見・早期養育をして、二次障害の予防につなげてあげてください。【参考リンク】・相談窓口の情報 | 発達障害情報・支援センター()・平成28年度全国児童相談所一覧 | 厚生労働省()●ライター/木村華子(ママライター)
2017年02月22日「やっちゃダメ」って言われたら、なおさら気になっちゃいますUpload By かなしろにゃんこ。「小学校3年生か4年生のときにマジで死ぬ!って思ったことがあったよ」と笑って話してくれた息子…。普段から危ないことは先回りしてキケンを伝えてきても、好奇心の強い子はやってみたい気持ちを抑えられないのか!?ビー玉を口に入れてしまい舐めていたら喉に詰らせてしまったというのです。家には誰も居ないときで自分一人、このまま喉に詰ったままだと確実に死ぬ!!と思ったというのです。Upload By かなしろにゃんこ。ダメだ!やってはいけない!と分かっていても一度気になると自分で確かめずにはいられないようです。下を向いて何度か思い切りお腹に力を入れて吐き出したらビー玉は出てきたようですが、これで出なかったら「死」と少し覚悟したようです。本当におバカです…キケンだとか怒られるとかはとりあえず置いといてやってしまいます。親が言い聞かせてもムダなことってあるんだって思いました。子どもの命を守るために、危ない経験などはなるべく報告を受けておきたいのですが、今さら教えてもらっても遅いわいっ!!どうせ止めてもやってしまうのなら、「親の見ている目の前で、一度気のすむまで試させて好奇心を満たしておけばよかったかもしれないな~」なんて考えたんですが、もうすぐ高校を卒業する息子を想い反省してみても、もう遅い…(笑)Upload By かなしろにゃんこ。
2017年02月21日外出先で自分がどこにいるかわからなくなる出典 : 初めて行くお店に入って買い物を済ませ、ドアを開けると帰り道がわからない。いつもと違う地下鉄の出口を上がると、どの方向に向かえば良いのか途方に暮れる。サービスエリアのトイレで用を足して個室のドアを開けると、どちらから来たのか分からなくなる。皆さんは、こんな経験がありますか?私は昔からかなりの方向音痴で、地図を持って出かけても、初めて訪れた場所では必ずと言っていいほど迷子になってしまいます。迷子になることは分かっているので、30分ほど前に到着できるように余裕をもって出掛けるのですが、それでも遅刻をしてしまうということもあるのです。その昔『話を聞かない男、地図が読めない女』(アラン・ピーズ, バーバラ・ピーズ著、主婦の友社、2002年)という本が流行ったこともあり、「私は女脳だから仕方ないのね」と思っていたのですが、自閉症スペクトラム+ADHDの診断がおりている娘と息子を見ていると、私と同じように『自分が今どこにいて、どの方向を向いているのか』ということがまったくわかっていません。発達障害の特性の一つに「方向音痴」が挙げられることがあるのですが、やはりこれも脳の構造に原因があるのかも知れません。私は専門家ではありませんので詳しいことはわかりませんが、今までの経験から原因を考え、子どもたちに対処法を伝えられればいいなと考えています。原因は空間認知能力の低さと言語化の失敗!?出典 : 一番大きな原因は、いわゆる「空間認知能力」が圧倒的に低いということだと思います。方向や距離、空間の広がりや大きさをとらえる力のことですね。地図を読むのが得意な知人に聞いてみると、今歩いている道について考えるとき、頭の中に俯瞰で見た街のイメージが浮かぶそうです。そのイメージの中で「ここを歩いている」というのが見えるので、まっすぐ進めば先には何があり、右に曲がるとどこに出るのかというのが、当たり前のようにわかっているそうです。その話を聞いた時、目の玉が飛び出るほど驚いたのを覚えています。頭の中に街のイメージがあって、その中を歩いている!?人の顔も覚えられず、頭の中が言語で埋め尽くされている私にとっては想像もできない世界です。ゲームの画面みたいな感じなのでしょうか。確かにそんな風に自分を俯瞰で見ることができれば、迷子にならずにきちんと目的地にたどり着くことができるんだろうな。そんな能力があれば外出するのも全然怖くないだろうな、と憧れてしまいます。残念なことに、私はそんなステキな能力を持ち合わせていないので、地図に頼ることになるのですが・・・。この「地図を見る」というのも、私にとってはとても難しい作業なのです。私が地図を見て余計に頭がこんがらがる理由出典 : こちらのコラムで、私の頭の中でどのような情報整理を行っているのかを書かせていただきましたが、何かを覚える時は「新しい箱を用意して名前を書いたラベルを付ける」「その中に言語化した情報を放り込んでいく」という作業を行っています。小学校で地図の見方を習った時、私は新しい箱に「東西南北の記号」というラベルを付けました。そして、その箱の中に「4の字の上が北、下は南、右は東、左は西」という言語化した情報を放り込んだことを覚えています。しかし、この言語化の方法がまずかったのです。私の乏しい空間認知力では、なぜか「上=前」「下=後ろ」のイメージがもともとあったため、それ以降、私の中では「目の前の方角=北」「後頭部側=南」「右手=東」「左手=西」が定着してしまったのです。頭では「それでは自分が動くたびに方角が変わってしまう」ということは分かっているのですが、いったん箱に放り込んでしまった情報をひっくり返すのは容易いことではなく、30年が過ぎた今でもそのイメージに振り回されて、「階段を上がって西へ進んでください」と言われれば、左側に進むという選択肢しか思いつかない状態になってしまったのです。あらかじめ印刷した地図を見るときも、自分が進む方向を上にしなくては、何がなんだかわからなくなります。たまたま進む方向が北だと上手く行くのですが、他の方角であった場合は地図をぐるぐる回転させながら途方に暮れ、なんとか目印になる建物を見つけて進むのですが、目的地にたどり着くまでには膨大な時間がかかってしまうのです。はじめの言語化を間違ってしまったために、私にとって「東西南北」というものは、ただただ私を惑わせる存在でしかなく、目的地にたどり着くためにはまったく役に立たない存在になってしまったのです。私ならではの道の覚え方地図が読めない私がどうやってやり過ごしてきたかというと・・・たとえば、学校へ行く道順など繰り返し通る道は、家の門を出たところからの道順を言語化して「学校へ行く道」ボックスに放り込んで覚えていました。①門を出て右へ進む。②公園を通り過ぎたところで右に曲がる。③集会所を通り過ぎて突き当りを左へ。④ポールが二本立っている間を過ぎたら右へ。⑤信号を渡って左に進む。⑥通りゃんせが流れる信号を渡って右へ進む。そんな風に覚えているので、一本でも道を間違えると、今自分がどの辺りを歩いているのかわからなくなってしまいます。また、帰り道は手順も左右も逆になってしまうので、この情報は使えません。新たに「学校から帰る道」ボックスを作り、そこに言語化した情報を放り込んでいくしかありませんでした。最近は、もっぱらスマホの地図アプリにお世話になっています。進行方向に合わせて地図自体が動き、東西南北で指示の出るグーグルマップは、残念ながら私を混乱させ迷子率を上げるだけになってしまいましたが、ヤフー地図は進行方向に対して「右に曲がる」「左に曲がる」と左右で指示を出してくれるので、これのおかげで迷子になる確率はうんと下がってきました。本当に便利な時代になってくれました。すぐに迷子になる子どもたちに必要なちから出典 : 私と同じように『自分が今どこにいるのか』『どの方向に向かっているのか』を把握できていない子どもたち。まだスマホを持たせて歩かせるには早いので、一緒に歩く時は、「〇〇というお店を通り過ぎたらすぐに右にまがるよ」「ここで赤・緑・黄色の道が見えたら正解だからね!」「ほら、この交差点は〇〇というプレートがついてるでしょ?あれが見えたら信号を渡るんだよ」などと、なるべく道順を言語化して伝えるようにしています。そうして何度も通っている道は、目印を見て子どもたちも安心して進むことができているようですが、初めての場所やいつもと違う道を通ると不安でいっぱいになり「本当にお家に帰れる?」「この道で合っているの?」「あとどのぐらいで着く?」と聞いてきます。そんな時は、スマホの地図アプリを見せて「あと〇〇メートルで着くみたいだよ」「ほら、次を右に曲がってねって書いてあるでしょ?」「ママと違ってスマホはちゃんと道がわかってるから大丈夫だよ!」と安心させるようにしています。今後は一人で出歩く機会も増えてくるであろう子どもたち。迷子になる確率も高く、外出に対する不安も大きいので、その時にはスマホを持たせる予定ではありますが、充電が切れてしまった時やスマホを忘れた時には、誰かに助けを求める練習も必要になってきます。助けを求めるときには『なにに困っていて、どのように手を差し伸べて欲しいのか』を、相手にきちんと伝えられるように練習をしておく必要もあります。わが家では、子どもたちが困っている時に直接手を差し伸べるのではなく、「ヘルプが必要なら言ってね」と声をかけるようにしています。そうすることで、少しずつ「これが出来なくて困っている」「こうして欲しい」という意思を言葉にできるようになってきました。迷子になった時以外にも、「道具を使って自力で解決してみる」「無理なときはきちんと助けを求められる」力というのは、発達障害を抱える子どもにとってとても大切なものになってくると思います。将来を見据えて少しずつ、その能力を伸ばしていってあげられるといいですね。
2017年02月21日・ 【第1回】発達障害の子育てに「療育」よりも大切なこと ・ 【第2回】発達障害の子どもが、充実した人生を送るために必要なこと ・ 【第3回】発達障害の子育てを「辛い、苦しい」と感じたら のつづきです。「発達障害」をもっと理解するために必要なことを、『療育なんかいらない!』の著者であり、独自の理論で放課後デイサービスを展開する「アイム」の佐藤典雅さんにインタビュー。今回は、「発達障害の子育てを楽しむコツ」についてお話を伺った。佐藤典雅(さとう・のりまさ)さん川崎市で発達障害の子どもをサポートする放課後デイサービス「アインシュタイン放課後」「エジソン放課後」を運営している、(株)アイムの代表。自身の自閉症の息子さんの療育のために、息子さんが4歳の時に渡米して、ロサンゼルスで9年間過ごす。前職は、ヤフー・ジャパンのマーケティング、東京ガールズコレクションとキットソンのプロデューサーという異色の経歴の持ち主。福祉という範囲を超えた目線で、自身の息子さんの成長を見守りながら、発達障害児が社会で幸せに生きるための道を広げる挑戦をしている。著書: 『療育なんかいらない!』 (佐藤典雅・著/小学館 ¥1,296 税込)※放課後デイサービス(= 放課後デイ):6~18歳までの障害のある子どもが放課後や学校休業日に利用できる、就学時向けの福祉サービスのこと。■子どもの障害は親のせいではありません―― この連載もいよいよ最終回。いろいろ伺ってきましたが、ずばり、佐藤さんが思う発達障害の子育てを楽しむコツって何でしょうか?佐藤典雅さん(以下、佐藤さん): まず、親自身がハッピーであること、充実した楽しい人生を送ることです。人が他人を幸せにするのは無理。幸せって自分が作り出す状態だから。状態である以上、自分で作り出すしかないんですよ。―― 子どもの障害に対して、親は自分の人生すべてを捧げるべきという風潮がありますよね。そういう中、親は自分のことを優先しにくいのかもしれませんね。佐藤さん: でも、親が療育に必死になって、「子どもには充実した人生を送ってほしい」ってボロボロな状態になっていたら、それを見た子どもがうれしいわけがないよね? こんなの、子どもにとっては重荷でしかない。―― 自分を犠牲にしてまでがんばってしまうのは、もしかしたらお母さんは「自分に責任があったのでは?」と感じてしまうからかもしれません。「妊娠中に無理したのが良くなかったのかな?」とか「早くから預けて働いたのがいけなかったのかな?」とか、いろいろ考えて自分を責めてしまうのかもしれません(※)。※もちろん発達障害の原因にそんな根拠はありません。佐藤さん: 子どもの障害は親のせいではありませんよ。僕は、それぞれの人にはそれぞれの生まれ持った宿命と人生があるのだと思っています。そして、その子どもが自分の人生の使命をまっとうできるようにサポートするのが親の役割。後は、親自身が自分の人生を楽しむのが、親の仕事だと思っています。―― 障害者の親って他の保護者より制限があるように思えるのですが、人生を楽しむことってできるのでしょうか?佐藤さん: 大切なのは、子どもに障害があろうがなかろうが、いかに、自分が今の状態を楽しめるか? なんですよ。お母さんが自分の人生を謳歌していれば、子どももその姿を見ていて楽しくなるでしょう。もちろん、普通の子育てより大変なことは多いですよ。でも、地獄で幸せになれない人は、天国にいっても絶対幸せになれませんから!―― どういう意味でしょうか?佐藤さん: 地獄で「暑い、暑い」って言ってる人は、天国に行けったら、絶対「暇だ~、なんかつまんない~」とか言い出すから。―― おもしろい考えですね(笑)。また、お母さんが生き生きとするためには、お父さんの存在も欠かせませんよね?佐藤さん: もちろんです。でも、残念ながら、うちの放課後デイに親子が面談にやってくる時、夫婦そろって来られるのは一割以下。平日の昼間、お父さんは仕事だから仕方がないにしても、お母さんの話からお父さんの存在が見えない家庭が多いのです。―― 療育センターなんかでも、付き添いはお母さんばっかりですものね。佐藤さん: 父親がちゃんと関わってくれないと、母親のストレスは2倍になります。日々の小さいことまでフォローする必要はないのかもしれないけど、重要なことには決断を下し、時々、お母さんの頭の中を整理してあげてほしいと思います。それに、話を聞いていると、お父さんの意見は結構合理的で的を得ているんですよ。なので、お母さんたちも、もう少し素直にお父さんの意見を聞いてあげてほしいと思います。■先輩お母さんとつながろう。人脈をどんどん広げよう―― 旦那が一緒になって考えてくれる、それだけでお母さんは十分心強いと思います。あと、私が心強かったのは、同じ悩みを持つお母さん仲間とのつながりです。佐藤さん: ただ、療育センターでは同じ年頃の子どもを持つ親同士でしか接点がないよね? 特に、就学前は一番不安な時期だし、子どもの先の姿が想像できない。だから、同世代だけで集まると不安を交換しあって、不安だけが増幅してしまうという難点もあります。―― 確かに。いつも同じメンバーで、ぐるぐると同じ話になってしまいがちなところもありましたね。佐藤さん: 一番有効なのは、発達障害をもつ未就学児のお母さんは、同じ発達障害を持つ中学生の親から話を聞くこと。すでにいろいろ経験してきたお母さんたちは、いろいろな情報を持っているので役立つアドバイスをくれます。わが子の将来のイメージもつかみやすいので、お母さんもあんまりパニックにならないですむ。違う世代とつながりを持つことをおすすめします。―― でも、なかなか違う世代とつながる機会がないのですが……。佐藤さん: うちの放課後デイに遊びにいらっしゃい! いろんな先輩お母さんがいるから。みんな仲が良くて、よくバーベキューやクリスマスパーティーしたり、頻繁に交流会をしていますよ!ただ、おもしろいんだけど、うちのお母さんたちが集まっても、みんな誰も子どもの話をしないんですよ。子どもそっちのけで、爆笑トークで盛り上がってるの(笑)。でも、これこそが健全な姿だと思うわけ。―― みなさん、佐藤さん同様、笑い飛ばす力を持っているんですね!佐藤さん: 発達障害の子育てをする親は、特に、開かれた視点で物事をみつめなおす必要があります。療育に通うのに夢中になっていると、気づいたら、接するのは療育センターの先生か学校の先生かママ友だけになってしまいますよ。意識的に努力して、開かれたマインドをもっておかないと。―― 人脈もどんどん広げるべきなんですね。佐藤さん: 例えば、子どもが興味のある業種に人脈を作って、その企業にインターンできるようにするとか、どうでしょう? うちの長女は将来ゲームクリエイターになりたいと言っているので、僕はプロが使うAdobeのフォトショップを覚えさせたり、夏休みは友達の会社でインターンさせたりしています。もちろん、中学生だからたいしたことはできないんだけど、興味ある業界で普段接することのない大人と過ごすことができるのは刺激的でしょう。それができたのは、僕に人脈があったから。―― なるほど! 子どもの興味があることにつながる人脈力か……。佐藤さん: 世の中にはいろんな人います。いろんな人と会って話して、どんどん外の世界に出て行ってほしい。自分の親とか同じ学校とか、同じマンションとか、同じ世帯年収とか、そういう狭い世界だけでみて、こうあるべきだと決めつけないでほしい。臨機応変に考えられるように、いろいろな情報収集をしてほしいと思います。 ■運命を受け入れることも、大切―― ところで、ここの子どもたちはとても自由に寛いでいますね(取材中の様子を見ながら)。図鑑に没頭している子もいれば、ボール遊びをしている子もいるし、寝ている子もいれば、カラオケで熱唱している子もいる(笑)。佐藤さん: 僕は、自分の放課後デイを「川崎のNASA」と呼んでいます。なぜなら、発達障害の子は宇宙人みたいなものだから。僕の役割は地球側の外交官みたいなもので、彼らの地球滞在が充実したものとなるように努めること。そして、いつか彼らが宇宙船に乗って地上に降りてきた時に、「あの時はありがとう」と言ってくれればいいな、と妄想しています(笑)。―― その妄想、素敵です(笑)。佐藤さん: 発達障害はガンダムのニュータイプみたいなもんで、既成概念の外にいる子どもたちなのだから、親の方も子どもに常識を求めるのはナンセンス。期待すればするほどドツボにはまるだけ。そしてもっというと、親自身も「こうあるべき」「こう育つべき」っていう規制概念の呪縛から出る必要があります。―― そう考えると、発達障害の子どもたちは、親に、子育てで忘れがちな、とても大切なことを教えてくれているのかもしれませんね……。佐藤さん: ちょっと話それるけど、みんなよく「結婚して幸せになりたい」とか言うじゃない? でも、結婚したって離婚する人もいるし、結婚は幸せを保証するものじゃない。「結婚すれば老後がさみしくない」っていう人もいるけど、うちのお祖母ちゃんはお祖父ちゃんが早く死んじゃったから、30年間ひとりだったわけ。結婚はさみしくない老後も保証しない。つまり、人生は何が起こるかわからない。だから、一生懸命人生の方程式を作ったって無駄なんですよ。―― では、どこを目指したらいいのでしょうか?佐藤さん: 死ぬときに本人が充実した人生だったと納得して死ねるか、そこしかないと思うんです。だから、子どもに障害があっても、お母さんは自分の人生を思いっきり生きるべきなんですよ! ―― 「やりたいことがあったなら、とりあえずやっておけ!」と?佐藤さん:そう。そして、運命というのか宿命というのかわからないけど、ある程度、受け入れることも重要だと思っています。自分にそういうカードがまわってきたということは、巡り合わせだと。―― 佐藤さんがまったくの異業種から福祉の世界に入ったのも、運命なのですね。佐藤さん: 福祉が大嫌いだった僕が、今福祉の世界で仕事をしているのも、きっと何か理由があるから(笑)。だとしたら、グダグダ文句言ってないでしっかりやりきろう、と。今目の前のことをやりきらないと、次のステージは見えてきません。それに、僕は一生福祉の世界で生きていくつもりはないので、せめて「他の福祉施設よりも結果を出してから辞めてやる!」と思っています(笑)。長時間にわたり、自身の熱い思いをしゃべり倒してくれた、佐藤さん。時に、厳しい指摘もあったが、ユーモアたっぷりの話しぶりで、発達障害の子育ての凝り固まった偏見や閉塞感を気持ちよくブチ壊し、勇気を与えてくれた。そして、著者は何より、佐藤さんのポジティブな姿勢と、常に息子さんの幸せな人生を考え、全力で取り組んでいる行動力に深い感銘を受けた。「この子なりの楽しい生き方ってなんだろう?」「この子が充実した人生を送るために、親として何ができるだろうか?」発達障害の子育てで、本当に親が悩むべきところは、そこにあるはずだ(もちろん、普通の子育てだって変わらない)。そして、大切なことは「子育てを楽しむ」ということを、常に忘れないでいたい。取材・文・撮影/まちとこ出版社 【大変だけど、不幸じゃない。発達障害の豊かな世界】 全4回・ 【第1回】発達障害の子育てに「療育」よりも大切なこと ・ 【第2回】発達障害の子どもが、充実した人生を送るために必要なこと ・ 【第3回】発達障害の子育てを「辛い、苦しい」と感じたら ・ 【第4回】発達障害の子育てを楽しむコツ
2017年02月18日突然出てきた多動行動と登園拒否我が家の長男・キョウタにはADHDの診断があります。幼稚園に入園したての年少時代は、落ち着きがなく園の先生に色々注意される日々…。でも年中にあがると少しずつ行動に落ち着きが見られ、年長ではほとんど問題なく過ごすことができていました。ところが、順調に過ごしているものだと思われていた年長の10月半ばのことです。Upload By ラム*カナ「キョウちゃん(長男)、最近ちょっと落ち着きのない日が増えてきて…。話を聞く時間も体ごと違う方向いちゃったり、ぼーっとすることが結構あるんです。声掛けすれば直るんですけどね…。」と言われました。落ち着いたと思っていた時期に、こういう注意を受けたことはショックでした。今までも、色んな課題に直面しながらも、ゆっくりとはいえ良い方向に向かっていたので、急に多動っぽさが増えてきたことにドキリとしたのです。もしかして、これを機にガクッと不安定な方向に突き進んでしまうのでは…Upload By ラム*カナそんな不安にかられました。しかも、同じ時期に急に登園拒否反応も出てきたのです。Upload By ラム*カナそれまでだって、楽しい気持ちで幼稚園に行っていたことなどなかったのですが、それでもスケジュールとして割り切って、がんばって行けていました。なのに、ここにきて、急に登園拒否…。この、10月半ばという時期は、運動会(←長男苦手なイベント)が終わってホッとしたところに、おゆうぎ会(←長男がもっと苦手なイベント)の練習が始まるときでもあり、小学校入学に向け、幼稚園も少しピリピリし始めて長男が感じるプレッシャーの種類も重さも増えた時期だったのかもしれません。なので、長男にとってのストレスが増え、行きたくない気持ちが増えたのかな?と思いました。行きたがらなくなった最初のうちは、朝「行きたくないなー」と少しぼやく程度だったのですが、日が経つにつれ、前の晩から「行きたくない…」と言うようになり、幼稚園に着いても車から降りたがらなくなり、クラス部屋まで歩くのにも泣くようになってしまいました。私がそのときやっていた対処法は、・「そうだよね、行きたくないんだよね。つらいよね。」と受容しながら登園を促す・「今日のお弁当にはキョウちゃんの好きなからあげ入れたよ!」「今日のお迎えはばぁばだよ!」などの、ちょっとした楽しみを用意する・月に1~2度幼稚園を休ませ、スペシャルデーを過ごさせる。(休ませる前に、「今日は特別だよ?明日は幼稚園だからね?」と説明してから。)というものでした。うまく気分が乗ることもありましたが、登園拒否は止まらず、私も頭を抱えてしまいました。ADHD長男の頭のなか私が長男を見ていていつも思うことは、Upload By ラム*カナ常に色々な考えや興味や好奇心がひしめきあってて、かつどんどん壮大に広がっていって、いつもフル回転なんだと思います。普段家にいるときも、独自で様々なゲームを考え作成し工夫をして楽しく遊び、次々に溢れるアイデアをどんどん発揮したいのが伺えるのです。そして、もともと持っている凄まじい体力もさらに向上し、いつまででも体を動かしていたい気持ちも感じられました。6歳というこの時期にとめどなく伸びる創造力や体力。広がる「たくさんのやりたいこと」。でも、幼稚園では決まったスケジュールがあり、自分のやりたいことができない…。もちろんそれは社会の一員として必要な過ごし方で、長男自身もわかっていること。だからこそ「やりたいこと」と「しなきゃいけないこと」の差が広がっていくツラさが、登園拒否というカタチで現れたのではと思ったりしました。臨床心理士さんに相談してみることにどんどん悪化する登園拒否反応に悩んだ末、地元の臨床心理士の先生に相談することにしました。この先生は、長男が3歳のとき落ち着きのなさが心配で最初に相談した先生であり、通っていた発達支援センターでも普段からお世話になっている先生でもありました。小さいときの長男のことも、私のことも知ってくださっているこの先生とどうしてもお話しがしたくなったのです。Upload By ラム*カナ今までの経緯を一通りお話しすると先生は、「そうかぁ、お母さんが思っている理由で合っていそうだね。でも、本人は何が嫌なのかきちんとわかっていないからツラいんだろうね…。だからと言って、毎日休ませることが最善なわけではないものね。やっぱりここは、気持ちを受容してあげてね。“そうだよね、行きたくないよね”って。長男くんは今までだって特に幼稚園に行きたくなかったけど、何かキッカケで、急にここにきて行きたくない気持ちを出してきたわけじゃない?しかもお母さんと離れたくないっていうかわいい理由でさ。だから“行きたくない気持ちを言ってくれてありがとう”って伝えてあげてね。」とおっしゃいました。え…っUpload By ラム*カナまさか、その部分にありがとうとは…!あまりの盲点箇所だったので驚きました。でも確かに、行きたくない気持ちを正直に表してくれることは、我慢して溜めてしまうことより何倍もありがたいことです。そしてそのあとも先生とお話しし、結論としては“気持ちを受容しながら登園を促す”が一番いいということになりました。(あくまで我が家の長男に対しては)気持ちを受容しただけですべてが解決するわけではないけれど、それでも一番近くにいる私が気持ちを理解してあげているだけでも不安の軽減にはつながるはず。もしかしたら、ちょっとした何気ないキッカケで気持ちが前向きに変わることがあるかもしれない…。ごほうびを用意してみた嫌がりながらも、登園やおゆうぎ会の練習をがんばっていた長男に、ひとつごほうびを用意してみました。それは、“おゆうぎ会が終わったら遊園地に行こう!”という約束です。そしてこんなものを作りました。Upload By ラム*カナ毎朝登園前にシールを貼ることにしたのです。Upload By ラム*カナUpload By ラム*カナUpload By ラム*カナこんな日を続け(大荒れの日もありましたが…)、どうにか登園とおゆうぎ会をがんばり、2学期を終えることができました。向き合って感じたこと大人だって、行きたくない仕事や、やりたくない家事…色々あります。子どもだって同じこと。ましてや平均の枠におさまりきれないADHDの子にしたら、毎日を周りのみんなと同じように過ごすだけでもかなりの気力を要しているはずです。そう思うと、しっかり登園拒否を示してくれたことは、本当にありがたかったなぁと思いました。そして、冬休みが明け3学期が始まったあと、思いのほか気持ちが安定し「ちぇ、幼稚園かー」くらいの嫌がりレベルで、どうにか卒園まで過ごせました。もしかしたら、ごほうびのディズニーランドや、間にあった冬休みで充電みたいなものができ、心の欠けていた何かが埋まったのかもしれません。本当のところはわかりませんが、前向きなキッカケになる何かが長男に降り注いだのは確かです。今後ももし課題に直面することがあっても、このときのやりとりを思い出し、家族で支えていければいいなぁと思っています。
2017年02月18日つい周囲と比べて焦りイライラ・・・そんな時に考えることUpload By モンズースー良くないとは分かっていても、私はよく中々できない長男にイライラして怒りっぽくなってしまう時があります。周囲より遅く課題が中々進まないことも多い長男、比べることは良くないと思いつつも同年代のできる子が目に付いてしまうと焦ってしまうことも。そして長男にもイライラがうつり失敗・・・落ち着いたら反省して話し合う・・・というような事を繰り返していました。そんなことにならないように、イライラした時はなるべく周囲の子ではなく「去年の本人」と比較して考えるようにしています。環境の変化などでできていたことができなくなることもあるかもしれませんが、大体の子が前の年よりその子なりに成長していると思います。それは周囲から遅れていたり、とても小さな変化かもしれません。でも成長していると思えるとイライラした気持ちが静まり、私は子どもの良い所、がんばった所が見つけられるようになりました。でも結局イライラしてしまう事も多い気がしますが、なるべく立ち止まって考えるようにしています。
2017年02月17日夜驚症・睡眠時驚愕症とは?出典 : 夜驚症は、夜眠っている時に突然起き上がり、極度のパニックを起こす睡眠障害の一つです。睡眠時驚愕症(すいみんじきょうがくしょう)ともいいます。3歳~7歳の間の子どもに発症しやすいと言われていますが、まれに大人でも発症することがあります。この記事では、主に子どもの夜驚症についてご紹介します。子どもの夜驚症は、睡眠から覚醒するための脳の機能が発達途中にあることが原因であるとされているため、多くの場合は成長とともに症状が落ち着き、特別な治療を必要としません。夜驚症の症状は、眠りについてから起床するまでの前半3分の1以内の時間(入眠後1~2時間後くらいが最も多いと言われています)で起こります。そして1回のパニック状態の多くが1~10分以内で消失します。夜驚症は、パニックを起こしている間に家族などが話しかけても、無反応かあるいはとても鈍い反応しか見せないということが多くあります。そして、朝に目を覚ますとパニックのことをほとんど何も覚えていないという特徴があります。夜驚症・睡眠時驚愕症は医学的にはアメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)と世界保健機関(WHO)の『ICD-10』(『国際疾病分類』第10版)で定義されています。以下はDSM-5の定義です。DSM-5では、「睡眠時驚愕症型」として「睡眠時随伴症群」のうちの「ノンレム睡眠からの覚醒障害」の中に分類されています。睡眠から突然驚愕覚醒するというエピソードの反復で、通常は恐怖の叫び声で始まる。各エピソード中に、強い恐怖と、瞳孔散大、頻拍、呼吸促拍、発汗など自律神経系緊張の徴候がある。エピソード中、他の人達が落ち着かせようとしても反応がかなり悪い。(日本精神神経学会/監修『DSM-5 精神疾患の分類と診断の手引』(2014,医学書院/刊)p.181より引用)夜驚症・睡眠時驚愕症の原因とは?出典 : 夜驚症・睡眠時驚愕症の原因は明確に判明しているわけではありません。現時点では、脳における睡眠機能の発達が途中段階であることが深く関わっていると考えられています。そのため、目覚めの機能が完成する思春期までにほとんどの夜驚症の症状は自然に消えます。睡眠は大きく分けてレム睡眠とノンレム睡眠にわけることができます。レム睡眠は比較的浅い眠りで、身体は休んでいるものの脳は活動している状態を指します。一方で、ノンレム睡眠は深い眠りで、身体も脳も休んでいる状態を指します。この2種類の眠りが睡眠の中で一定の時間ごとに交互に起こります。しかし、夜驚症・睡眠時驚愕症を発症しやすいと言われている3歳~7歳は、レム睡眠とノンレム睡眠をはじめとした睡眠システム形成の真っ最中です。そのため、脳の中の睡眠と目覚めを調節している部分がまだうまく働いていないことがあります。これにより、子どもが深い眠りのノンレム睡眠中であるにも関わらず、日中感じていた不安やストレス、恐怖などによって、脳に興奮が与えられてしまうことがあります。そうすると、脳が深い眠りにあるまま一気に目覚めに向かって覚醒しようとしてしまいます。通常眠りから目覚める時は浅い眠りのレム睡眠を経て覚醒しますが、まだその機能が未発達な子どもの場合、脳が完全には覚醒しないまま興奮状態になってしまうのです。これにより、寝ている時に脳の一部が覚醒し、興奮・パニックを引き起こしてしまうにもかかわらず、本人は何も覚えていないという症状が現れるのです。パニックを引き起こす原因となる、興奮の要因の多くが心理的なものです。心理的な要因とは、以下のようなことが挙げられます。・日中のストレス・恐怖体験・緊張・刺激過多・不安大人にとっては何でもないことだとしても、子どもにとっては強い不安や恐怖、興奮状態を引き起こす要因になります。例えば、怖いテレビ番組や本を見たり読んだりした、発表会や学芸会など緊張してしまいがちな出来事が近くにある、といったことでも夜驚症を発症する場合があります。また、旅行や遊園地へ行くなどといった子どもにとって楽しい体験も強い興奮が与えられるという点で、夜驚症のきっかけになることがあります。また、その他の要因として、疲れている時や発熱している時といった身体的な要因、遺伝的要因があります。遺伝的要因に関して明確にはわかっていないですが、DSM-5によると第一度生物学的親族(特定の個人から見て、父母や兄弟、姉妹を指します)では、夜驚症になる確率が10倍高いと言われています。出典:日本精神神経学会/監修『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』(2014,医学書院/刊)夜驚症と夜泣きの違いって?出典 : 夜に子どもが泣く、と聞くと子育て中のパパ・ママは「夜泣き?」と思うことが多いと思います。子どもを寝かせたのにまた泣き出してしまう、という共通点がある夜驚症と夜泣きはどの点で異なってくるのでしょうか。夜泣きとは、「お腹がすいた、おむつが濡れた、暑い、寒い」などといった生理的な理由と関係なく泣き続けることです。夜泣きは生後3、4ヶ月ごろから1歳、2歳までの子どもに多く見られます。この時期の子どもは睡眠サイクルが不安定であるため、睡眠が浅くなりやすい傾向にあります。そして眠りから覚醒しやすいことに加え、この時期の子どもは覚醒した時に感じた不安や興奮をうまくコントロールすることもまだ難しい段階にあります。そのため、夜目覚めたときに泣いてしまい、夜泣きが起こるのです。夜泣きはパパやママの抱っこやスキンシップでだんだんと落ち着き、また眠りにつくことが多くあります。参考:生駒医院‐夜泣き‐一方夜驚症は、ただ泣くのではなく突然泣き叫んだり、恐怖に満ちた顔で泣き続けたりすることが特徴です。夜泣きが発生する時期が新生児期~乳児期であるのに対し、夜驚症は3歳から7歳といった、幼児期から学童期に多く発症します。また、「夜驚症の原因とは?」でご紹介したように、夜驚症から起こるパニック状態は脳の一部分だけの覚醒により起こっています。そのため、周りが落ち着かせようとしても効果がなく、本人はパニックを起こしたことを覚えていないという点が大きな特徴です。夜驚症と悪夢障害の違いとは?出典 : 夜驚症は睡眠障害の一つ、とはじめに説明しましたが、専門的な治療を必要とせず、辛抱強く見守るというケースがほとんどです。しかし、中には夜驚症とよく似た違う障害や疾患を抱えている場合もあります。以下で、夜驚症とよく似ていると言われている悪夢障害について、症状や夜驚症との違いを見てみましょう。悪夢障害とは、強い不安や恐怖を伴った夢を頻繁に見る、睡眠障害のことです。3~6歳で始まることが多く、青年期後期あるいは成人期初期に重症度が高まります。寝ているときに激しい不安や恐怖を感じ、睡眠に影響が出るという点で夜驚症と悪夢障害はよく似ていると言えます。夜驚症との違いは、悪夢障害の場合、絶叫や体動はあまりなく、目覚めと同時にはっきりと意識が戻るという点です。自分が見た嫌な夢をこと細かく話すことができるほど鮮明に覚えているという点も特徴です。夜驚症が深い眠りのノンレム睡眠中に起こるのに対して、悪夢障害は浅い眠りのレム睡眠中に起こるため、はっきりと覚醒できるのです。悪夢障害は過去の恐怖体験やトラウマが原因となり、似たような恐怖体験の夢を繰り返し見ることもあります。また悪夢障害の場合は自然に消滅しにくいと言われています。子どもが悪夢を見る回数があまりに多い、目が覚めて夢の内容を詳しく話せる、という様子が見られるなら、一度小児科や精神科へ相談してみることをおすすめします。参考:ハートクリニックホームページ悪夢・悪夢障害夜驚症とてんかんの違いとは?もう一つ、夜驚症とよく区別される疾患にてんかんがあります。特に夜驚症と区別が難しいてんかんに「睡眠関連てんかん」というものがあります。これは、てんかん発作が睡眠時に限って起こる、あるいは発作の70%が睡眠中に起こるてんかんを指します。てんかんとは、慢性的な脳の疾患で、大脳の神経細胞が過剰に興奮することで、さまざまな発作が繰り返し見られます。夜驚症と特に発現が似ているてんかん発作としては、一つに精神発作が挙げられます。精神発作とは、見た目では分からない自覚症状のみの発作で、不安や恐怖感がわき起こってくるという発作です。他にも、突然意識を失ってうろうろ動き回る発作など、夜驚症の症状と見分けることが難しいてんかん発作がいくつかあります。千葉茂、田村義之、阪本一剛、阿部泰之、高崎英気、山口一豪、吉澤門土、松田美夏/著『【夜、寝ている時に起こる異常行動】睡眠関連てんかん』(精神科治療学24巻2号)/2009睡眠関連てんかんのように、寝ているときにてんかん発作が起こることはまれなパターンです。そのため、パパ・ママにとって夜驚症と睡眠関連てんかんをはっきりと見分けることはとても難しいことです。見分ける際には、以下に挙げたような、夜驚症を起こす頻度や時間がヒントとなります。・子どもが寝始めた後、夜驚症の症状を起こす回数があまりにも多い・子どもが眠りについてからあまりにも時間がたってから症状を起こす・症状があらわれる一回の時間が10分以上である子どもの夜驚症の症状にこのような「てんかんかも?」と思われるような特徴がみられる場合、一度病院で診察を受けてみましょう。小児科や精神科の先生に診てもらうことで、「子どもがてんかんかもしれない...」「夜こんなに激しく泣いたりわめいたりするなんて何かの病気かもしれない...」という不安の解消・軽減につながります。また、夜驚症が頻繁あるいは激しく起こる子どものパパ・ママは睡眠不足になってしまったり、子どもをなだめたりすること、また子育てをしていること自体にも疲れていたりすることが多くあります。症状に不安を感じた時はもちろん、パパ・ママが疲れてしまうほどの症状を見せる場合も病院へ行くことをおすすめします。夜驚症と発達障害との関係は?出典 : 夜驚症をはじめとする睡眠障害は、発達障害の二次障害として現れることが多いとされています。ここで注意すべきことは、夜驚症などの睡眠障害が発達障害を引き起こすという意味ではない、ということです。発達障害特有の性質が原因で、睡眠に影響が出やすいということです。実際、発達障害のある子どもは発達障害がない子どもに比べて夜に覚醒する割合が高いというデータが出ていることから、発達障害のある子どもで夜驚症も併発しているケースも少なくありません。自閉症児の睡眠についての研究これは、発達障害のある子どもは刺激に対して過敏であることが多いため、興奮状態になりやすい、ということが密接に関係していると考えられます。また、夜驚症は脳の発達と関連があり、発達障害のある子どもの場合睡眠をつかさどる脳機能が未成熟であったり、発達が遅れてしまうことがあると言われています。これが、発達障害と夜驚症が同時に現れる場合があることの理由の一つであると考えられます。夜驚症の対処法は?治療法はあるの?出典 : 夜驚症は子どもの脳の発達との関連が深いため、成長が進むにつれて症状が治まるケースがほとんどです。それゆえ、多くは専門的な治療を行うことはなく、経過観察といった方法をとります。つまり、子どもの夜驚症に対してパパ・ママ自身が落ち着いて、対応することが何よりも大切です。子どもに夜驚症という診断がつき、経過観察という措置を取った場合、以下のようなことを頭において夜驚症を起こす子どもに接してみましょう。・子どもがパニックを起こしても無理に押さえつけたり止めたりしない・子どもが泣き叫んだり動き回ったりすることを想定して、危険がないような環境をつくる(戸締りを確認する、けがにつながるようなものを置きっぱなしにしていないか確認する、など)パパ・ママが夜驚症についてよく理解し、このようなことを意識して子どもに接することが、夜驚症を発症する子どもを見守る際に大切な姿勢となります。しかし、夜驚症があまりに激しく、親子の睡眠や健康に支障をきたしている、子どもだけでの宿泊行事の際に不安を感じている場合など、経過観察だけでは心配に思うパパ・ママもいると思います。その際は、小児科や睡眠外来のある精神科に症状を具体的によく相談し、何か良い治療法や方策がないか聞いてみることもよいでしょう。カウンセリングや投薬治療などで夜驚症の症状を軽くすることができることもあります。公益財団法人東京都保健医療公社多摩北部医療センターホームページDSM-5には、夜驚症を発症している人のうち大人である確率は2.2%というデータがあります。冒頭でもご紹介しましたが、夜驚症を発症する大人はとても珍しいと言えます。出典:日本精神神経学会/監修『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』(2014,医学書院/刊)大人が夜驚症の症状を見せる場合、ストレスが関与している何らかの二次障害であることが多くあります。そのため、まずストレスの要因が何にあるのか、そして軽減できないか考えてみましょう。また、子どもの場合と同じように、寝室環境を整えることも夜驚症の無意識な行動によるけがの防止のために重要な対処の一つです。夜驚症の症状に悩んでいる、原因が自分ではわからないときは、睡眠外来や精神科のある病院・クリニックを訪れてみるのもよいでしょう。また、以下に掲載したような病院・クリニックのホームページなどを参考にする際は、「睡眠時随伴症」と書かれた箇所に夜驚症に関する情報が載っていることもあるので、合わせて見てみることをおすすめします。国立精神・神経医療研究センター病院厚生労働省知ることからはじめようみんなのメンタルヘルスまとめ出典 : 夜驚症とは、眠っていても突然泣き出したり騒いだりしてしまうことです。恐怖に満ちた顔つきや泣き方の激しさ、そしてそのパニック状態を覚えていない様子を見ると、パパ・ママとしてはどうしても不安に感じてしまいますよね。しかし、夜驚症は子どもの成長の一過程で起きるものであることがほとんどであり、時間の経過とともに症状が落ち着くというパターンがほとんどです。そのため、夜驚症の子どもがいるパパ・ママにできることは夜驚症のメカニズムや詳細を知り、落ち着いて子どもを見守ってあげることです。しかし、成長段階で起きるものとはいえ、子どもだけでなくパパ・ママも睡眠不足などで生活に支障が出る場合、他の疾患も疑われるほど夜驚症の症状が激しい場合は小児科や精神科で診察してもらうことも一つの手でしょう。病院で一度診てもらうだけで、不安がある程度軽減できたり、子どもへの対応方法がわかったりします。子どもの状態を一度冷静に見直したうえで心配なことが残るならば、小児科医や精神科医の先生に相談することをおすすめします。
2017年02月16日すぐ人の会話に割り込む、ADHDのある6歳の息子出典 : 発達障害のある6歳の息子は、誰かが会話をしていると、すごい勢いで突進してきて会話に割り込んできます。私と夫の会話、私とママ友の会話、私と医師や療育の先生との会話、私と娘の会話…。私が誰と話していようと、会話が盛り上がって楽しくなり始めると、ダダダダダッと近づいてきて「お母さんあのねあのねあのねーーーー!!」「あのねあのね、お話しやめて、僕のはなしを聞--いーーーてーーー!!」と息子が大声でがなり立て始めます。「今お母さんはお話し中でしょう」と諭しても効果ゼロ。一緒に話していた人たちもみんなうんざりしてしまい、仕方なく話を切り上げることが多いです。原因はADHDの衝動性?でも息子の様子は少し違うようで…出典 : 息子は社会生活のいろいろな場面でつまづいてきましたが、きっちり「ルール化」してあると、やるべきことがスッと頭に入って出来るようになることが多いのです。だから「人がお話ししているときは割り込んで入ってはいけません」というのことも、「ルール」として息子に何度となく言い聞かせてきたのですが、なぜかこればかりはどうしても頭に入りません。1年近く言い続けましたが未だに守れないでいます。発達外来の診察のときも、療育のときにも息子のこの行動について相談しました。しかし答えはいつも「ADHDの衝動性からきているのでしょう」というものでした。息子は療育でも日常生活でも、衝動性をなるべくコントロールできるように頑張っています。以前よりもかなり衝動性は落ち着いてきているはずなのです。ですから、私はなぜこの行動だけ衝動性が残ってしまっているのか分かりませんでした。息子の言葉を聞いてピンときた!会話に割り込む理由は衝動性ではなく…出典 : しかし考えているうちに、やはり息子の「会話に割り込む」という行動は、衝動性だけが原因ではないのではないかと思うようになったのです。そのヒントは、「幼稚園バスに乗るととても疲れる」という息子の言葉にありました。息子が幼稚園バスに乗るとき、誰もいないシートを真っ先に陣取って、外をボーっと眺めていることが多いです。お友達の喋り声が頭に響いてひどく頭痛がしてくることが多いため、誰もいない席で外を眺めながら疲れを最小限に抑えるようにしているのだそうです。毎日ギリギリの状態で幼稚園バスに乗ってくる息子を見たとき、「もしや…息子には、人の喋り声が普通の人よりもうるさく感じるのではないだろうか…!」と私は気付いたのです。このことを考えていたとき、私は成人発達障害の当事者の方から聞いた体験談を思い出しました。どこかから聞こえてくる人の雑談が、全てはっきりと聞こえてきてしまい、集中力が維持できなくなってしまうこと。どこかから聞こえてくる会話の全てが、しっかり漢字変換までされて頭の中に乱立してしまい、頭の中がごちゃごちゃになっていくこと。それが原因で、毎日がひどく疲れること。そして他の人たちがみんなそれを我慢しながら生活しているのだと思い込んでいたこと…。この当事者の方の体験談を思い出したとき、息子の行動の謎について、パズルのピースが全てはまったのでした。聴覚過敏×言語優位な特性に、息子自身が苦しんでいるサインだった出典 : 息子は発達障害の特性で聴覚過敏があり、周りの人が普段気にしていないような音でもひどく嫌がることがあります。そのようなときは、頭痛がして身体がひどく疲れるらしく、真っ青になってしまいます。それに加えて、言語優位型の息子は「言葉へのこだわり」がとても強く、人との会話で知らない言葉があると、いちいち電子辞書で定義をチェックするようなところがあります。会話の中で分からない言葉が出てくると、スルーできません。息子にとっては私と夫の会話や、私とママ友の会話は、いわゆる「大人の会話」です。分からない単語がいっぱい出てくるはずです。そうすると、息子はそれをスルーすることができません。気になって気になって聞かずにはいられなくなるのです。さらに、聴覚過敏の息子にとって、私と誰かが話している声はとても不快なもののようです。だから、話が盛り上がり始めると、必死に邪魔をしてくるのでしょう。息子は「自分の話したいことをおしゃべりする衝動性が抑えられない」からではなく、「他人の会話が気になってスルーできず、しかも、うるさく感じる」という理由から会話に割り込んで自分を守っていたのです。発達障害の子どもが、人の会話に割り込んでしまうというのは「衝動性」の観点から説明されることが多いですが、もしかしたらうちの息子のように、聴覚過敏や言葉こだわりといった別の要素が絡んでいる可能性もあります。親子のどちらかが限界がこないように、会話のボリュームや場所などをうまく調整できると良いなと思います。
2017年02月16日ストラテラとはどんな薬なの?出典 : ストラテラは不注意、多動性、衝動性といったADHDの症状を改善するために処方される薬です。現在ADHDの治療に承認されている薬は、ストラテラとコンサータの2つです。どちらの薬も医師から処方されるもので、薬局などで自分で買うことはできません。ストラテラは2003年にアメリカで発売開始されてから海外でも広く使用されており、日本では2009年に18歳未満の子どもに承認されました。さらに、2012年には18歳以上の成人にも承認が拡大され、幅広い年齢の人への処方が可能となっています。ただ、6歳未満の子どもへの安全性と有効性は確立されていません。ストラテラはアトモキセチン塩酸塩という成分の入った薬で、脳の前頭前野部分に多く存在する神経伝達物質「ノルアドレナリン」を活性化させる働きを持っています。脳の前頭前野部分は、順序だてた行動や、行動をコントロールする役割を果たしており、ADHDの人はこの部分に何らかの不具合があると推測されています。ストラテラはドーパミンの代謝も調節することで、症状を改善させると推測されています。また、ストラテラは薬物依存に関係する中枢神経系には作用しないために、薬への依存性は低いといわれています。参考書籍:ADHDの診断・治療指針に関する研究会、齊藤万比古編『注意欠如・多動症-ADHD-の診断・治療ガイドライン第4版』(株式会社じほう、2016年)240ページストラテラはどういった場合に処方されるの?出典 : 先ほど述べたとおり、ストラテラは医師の指導のもとで、本人の症状などにあった適正量が処方されます。自己判断で飲むのをやめたり、飲む量を変えたりすることはせず、医師の指示どおりに飲み続けることが大切です。それでは、どのような場合にストラテラが処方されるのでしょうか。アメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)に記載されているADHDの診断基準でADHDが重度と判断された場合には、治療初期から薬物療法を検討することが推奨されています。またたとえ重度でなくとも、環境調整などの薬物療法以外の治療をすすめているにもかかわらず、ADHD症状が改善されず本人も周りも日常生活に大きな困りごとが生じている場合にも薬物療法が検討されます。ただし、どのような場合であっても、ADHDの症状や日常生活の困りごとは個人差が非常に大きいことから、医師とよく相談することが重要です。参考書籍:ADHDの診断・治療指針に関する研究会、齊藤万比古編『注意欠如・多動症-ADHD-の診断・治療ガイドライン第4版』(株式会社じほう、2016年)226-228ページ参考書籍:日本精神神経学会/監修『DSM-5』(『精神疾患の診断と統計マニュアル』第5版)(医学書院、2014)ストラテラの用法・用量出典 : ストラテラは飲み薬で、現在カプセルと液体薬剤のどちらかが処方されます。カプセルは5mg・10mg・25mg・40mgの4種類あり、医師が処方した用量になるように組み合わせることが可能です。カプセル内の物質は刺激物のためカプセルを分解することは禁止されています。そこで、まだカプセルが飲めない子どもや、カプセルが飲みづらい人には、液体薬剤(内用液)0.4%を選べるようになっています。18歳未満の子どもと18歳以上の成人では処方量や処方回数が異なります。子どもには体重に基づき決定した1日分の用量を1日2回に分けて処方される一方、成人では体重に関係なく用量が決められ1日1回もしくは2回に分けて処方されます。また、子どもも成人も少量からの服用で治療がはじまります。どのように処方されるかは、医師が診断の上で判断しますので、かかりつけの医療機関で相談してください。出典:患者向医薬品ガイドストラテラ5mg・ストラテラ10mg・ストラテラ25mg・ストラテラ40mg|日本イーライリリー株式会社出典:患者向医薬品ガイドストラテラ内用液0.4%|日本イーライリリー株式会社ストラテラが効き始めるまでには時間がかかります出典 : 薬には飲んですぐ効果が現れるものと、効果が現れるまでに時間がかかるものがあります。ストラテラは後者のタイプで、毎日飲み続けることで効果があらわれる薬ですから、ADHD症状が改善するためには少し待つ必要があります。約2週間で不注意、多動性、衝動性の改善がみられるようになり、安定した効果が得られるまでには6~8週間かかると考えられています。なお、薬の効果があらわれれば、その効果は途切れることなく終日にわたって続くといわれています。参考書籍:榊原洋一、 高山恵子 / 著 『図解よくわかる大人のADHD[注意欠陥多動性障害・注意欠如多動症]』 (ナツメ社、2013年)65ページストラテラがADHD症状の改善に効果があることは、2009年に高橋道宏医師らが行った調査研究で明らかとなっています。調査は国内41医療機関で合計245人の日本人のADHDのある子ども(6歳以上18歳未満)を対象に行われました。この調査研究では、ストラテラを服用するグループと、ストラテラの薬成分(アトモキセチン塩酸塩)が入っていないニセの薬を服用するグループに分けられ、医師も子どももどちらがストラテラか分からないようにした上で実施されました。調査票を用いてADHD症状を点数化し、服用前と服用後の変化について調べた結果、ストラテラ(アトモキセチン塩酸塩1.8mg/kg)を服用したグループで総合点が11.6ポイント改善し、ストラテラがADHD症状の改善に有効であることが明らかとなりました。また、アメリカのマウントサイナイ医科大学のNewcorn JH医師らが2008年に発表したストラテラとコンサータの薬の効果を比較した研究では、ADHDに適応が認められている薬コンサータを服用しても効果のあらわれなかった6歳から16歳までのADHDのある子ども70人のうち、30人(43%)はストラテラを服用して効果があったことが報告されています。出典:Takahashi, M., et al. Journal of Child and Adolescent Psychopharmacology. August 2009, 19(4): 341-350 JH. et al.. Am J Psychiatry. 2008, 165(6):721-730ADHDの症状や、薬の効果の感じ方には個人差が大きいため、一概に「ストラテラを服用したからこのように改善した」ということはできません。しかし、実際に服用した人の体験談を見てみると、ゆるやかな症状改善を実感する人が多いようです。15歳、男児。混合型AD/HDで反抗挑戦性障害を併存する。家庭では朝起きが困難で親が何回起こしても起きない、起きても登校の身支度が遅く、遅刻することが多い。指示に従えず、反抗的態度が目立つ。アトモキセチンを1日0.5mg/kgより開始し、徐々に1.5 mg/kgまで漸増していったところ、1.2mg/kg頃から上記症状が軽減してきて、朝起きがスムーズになり、自分で起きることができるようになった。身支度ができるので、遅刻もしなくなった。有害事象は認められなかった。出典:酒井隆、宮本聖也、芳尾隆、諸川由実代/編『こころの治療薬ハンドブック第10版』(株式会社星和書店、2015)263ページストラテラの副作用出典 : への効果が報告されている一方でストラテラには副作用があることも分かっています。特に気をつけなければいけない副作用は、重大な副作用の肝機能障害・黄疸・肝不全・アナフィラキシーです。非常にまれなもので、先ほどご紹介した2009年に高橋道宏医師らが実施した試験でも、これらの副作用は報告されていません。しかし、どのくらいの頻度で起こるかは不明であるものの、服用する場合には念のため注意する必要があります。以下に副作用ごとの自覚症状をご紹介します。一般的には、記載された症状のうち複数の症状が同じ時期に起きるようですので、服用後に自覚症状が出た場合はすぐに服用を中止して、医師もしくは薬剤師に相談してください。・肝機能障害:からだがだるい、吐き気、嘔吐、食欲不振、かゆみ・黄疸:白目が黄色くなる、皮膚が黄色くなる、尿が褐色にな る・肝不全:吐き気、嘔吐、食欲不振、羽ばたくような手のふるえ・アナフィラキシー:からだがだるい、ふらつき、意識の低下、考えがまと まらない、ほてり、眼と口唇のまわりのはれ、しゃがれ声、息苦しい、息切れ、動悸、じんましん、判断力 の低下引用:患者向医薬品ガイドストラテラ5mg・ストラテラ10mg・ストラテラ25mg・ストラテラ40mg|日本イーライリリー株式会社重大な副作用ではないものの、ストラテラを服用すると起きやすい副作用もご紹介します。子どもを対象に行われたストラテラの安全性を確かめる試験では、頭痛(22.3%)、食欲減退(食欲がなくなる)(18.3%)、傾眠(眠気でうとうとしてしまう)(14.0%)、腹痛(12.2%)、悪心(吐き気)(9.7%)の副作用が報告されました。また、成人を対象にして行われた試験で報告された副作用は、悪心(吐き気)(46.9%)、食欲減退(食欲がなくなる)(20.9%)、傾眠(眠気でうとうとしてしまう) (16.6%)、口渇(口の渇き)(13.8%)、頭痛(10.5%)です。このような症状が出た場合でも、すぐに医師に相談しましょう。食欲がなくなる、吐き気や腹痛などといった消化器系の副作用を防ぐためには、食事直後に薬をのむなどの対策をとることが重要です。出典:注意欠陥/多動性障害治療剤(選択的ノルアドレナリン再取り込み阻害剤)ストラテラ5mg・10mg・25mg・40mg添付文書|独立行政法人医薬品医療機器総合機構参考書籍:ADHDの診断・治療指針に関する研究会、齊藤万比古編『注意欠如・多動症-ADHD-の診断・治療ガイドライン第4版』(株式会社じほう、2016年)240-241ページ出典:Takahashi, M., et al. Journal of Child and Adolescent Psychopharmacology. August 2009, 19(4): 341-350なお、ストラテラを服用すると、自殺したくなる気持ちを生じる(自殺念慮)リスクが高まる可能性が心配されています。2008年にBangs医師らは過去に発表された複数の論文を横断的に調べて検証した研究を行っています。この研究では、ストラテラを服用した患者で、実際に自殺した例はなかったことが報告されました。ストラテラを服用したグループで自殺念慮が発症した率は0.37%、ストラテラの薬成分の入っていないニセの薬を服用したグループでは0%と、ストラテラを服用したグループで自殺念慮の発症率が高いことが分かりました。一方、実際に自殺をしてしまう危険率は両グループとも違いがなかったことも明らかとなっています。また、2016年にフロリダ大学のStephan博士らが行った最新の調査結果でも、他のADHD服用薬と比べてストラテラを服用している人の自殺リスクは高まらなかったことが報告されています。まれではあるもの、ストラテラを服薬した直後にはげしく興奮したり攻撃的になることが報告されているので、自殺念慮も含めて周囲の人はストラテラを服用する際には注意深く見守る必要があります。出典:Bangs, ME., et al.J Am Acad Child Adolesc Psychiatry, 2008, 47(2):209-218出典:Linden, S., et al., Pediatrics. May 2016、 137 (5) e20153199; DOI: 10.1542/peds.2015-3199参考書籍:杉山登志郎/著『発達障害の薬物療法―ASD・ADHD・複雑性PTSDへの少量処方―』(岩崎学術出版社、2015)99ページまた、ADHDの子どもがストラテラを服用する場合は、長期間にわたる服用への影響も心配になるかもしれません。しかし、ストラテラ服用後に身長と体重の伸びがゆるやかになる場合があるものの、成長へ与える影響は一時的なものであることが分かっています。2007年にアメリカのマサチューセッツ総合病院のSpencer医師らが、ストラテラを服用している北米人の子ども61人を5年間にわたって調査したところ、成長には影響がなかったことが報告されています。出典:Spencer, TJ. et al. J Child Adolesc Psychopharmacol.2007, 17(5):689-700ストラテラの値段出典 : ストラテラの薬価は厚生労働省が定めており、決定した薬価に基づいて医療機関で診療報酬が計算されます。今のところストラテラと同じ効果をもつ後発医薬品(ジェネリック薬)は承認されていないため、治療をすすめていく上で用量が増量される場合などには、経済的負担も大きくなることも考えられます。子どもへの医療費助成をしている自治体も多くあるので、お住まいの地域の自治体のホームページなどで確認してみると良いかもしれません。また、子どもや大人も利用できる自立支援医療制度(精神通院)を活用すると、通常であれば3割の自己負担が最大で1割に減額することも可能です。関連記事をぜひ参考になさってください。ストラテラカプセル 5mg1カプセル : 272.50円ストラテラカプセル10mg1カプセル : 324.70円ストラテラカプセル25mg1カプセル : 409.50円ストラテラカプセル40mg1カプセル : 461.20円ストラテラ内用液0.4%1mL : 209.20円引用:薬価基準収載品目リスト及び後発医薬品に関する情報について(平成28年12月9日適用)|厚生労働省への薬物療法に期待できること出典 : 医師にストラテラでの治療をすすめられたとき、薬物療法をはじめることに悩む方も多いかもしれません。4章で副作用を説明したので、この章では薬物療法でどんなことが期待できるのかについて考えてみたいと思います。まず、薬物療法はADHDの症状を軽くすることだけが目的ではないということを知ってください。薬物療法をすすめることで、その子の成長を支えていくことが目的です。薬はADHDを治すものではなく、早い段階で服用したからといって将来の症状が軽くなるものでもありません。しかし、薬を服用してADHDの症状が改善すれば、日常生活での困りごとが少なくなります。その結果、これまで本人が困っていたことへの対処法を身につける機会が増えたり、新しいことを学びやすくなります。また、周りの人も「褒める」といったADHDのある人への好ましい声がけも実践しやすくなることも考えられます。ADHDのある人は、日常生活でさまざま困難が多く叱られることも多いため、「自分はだめなんだ」と自分自身を否定しがちです。ADHD症状が改善することで、スキルを身につけて困りごとを少なくすれば、本人にも自信がついて自尊心を高めることにもつながることも期待できます。また、忘れてはならない重要なことは、これらのことは薬物療法をしたからといって達成されるものではということです。薬物療法と同時に、環境調整をすることや、ペアレントトレーニングやソーシャルスキルトレーニングなどの薬物療法以外の取り組みも、ADHDの治療には非常に大切であることを覚えておきましょう。参考:Q32:発達障害の子どもの薬物療法について教えて下さい。|日本小児神経学会参考書籍:ADHDの診断・治療指針に関する研究会、齊藤万比古編『注意欠如・多動症-ADHD-の診断・治療ガイドライン第4版』(株式会社じほう、2016年)ストラテラはやめられるの?出典 : のある子どもでは、成長すると薬の必要がなくなる場合も多くなります。なぜなら、ADHDの症状は成長するにしたがって軽くなることが多いからです。ストラテラは薬への依存リスクが低いことから、減薬せずに中止することが可能です。しかし、どのように薬を終了していくかは、処方するときと同じように本人の様子を見ながら医師が判断します。したがって、自分の判断で薬の服用を中止することなく、医師に相談することが重要です。なお、日本を含めた海外の治療ガイドラインでは、子どもが薬物療法を必要としているか毎年確認することをすすめています。参考書籍:ADHDの診断・治療指針に関する研究会、齊藤万比古編『注意欠如・多動症-ADHD-の診断・治療ガイドライン第4版』(株式会社じほう、2016年)■経過幼少期から多動であり、幼稚園でもトラブルが絶えなかった。小学1年生になり、多動のみならずクラスメイトをたたくなどの衝動性や集中が続かないなどの理由から受診となり、ADHDと診断された。学校の環境調整を行い、母親がペアレント・トレーニングを受けるなど心理社会的治療が行われ、ADHD症状は軽快傾向にあった。しかし、小学3年になった頃からクラスメイトとの関係の悪化などから症状が悪化し、学校との連携を強化するも改善がみられないため、アトモキセチンを用いた薬物療法を開始した。次第に症状は改善し、小学高学年では特に問題がみられなかった。中学進学を前に薬物療法の終結を検討するも、中学入学という環境変化に伴う悪化を危惧し継続を望んだ。入学後も特に問題はなく、中学1年の2学期から減薬し、3学期には薬物療法を終結した。その後、定期的な通院は継続したが、問題はなく中学卒業を機にフォロー終了とした。■まとめ薬物療法の終結後は多少の症状の悪化はみられたが顕著ではなく、家族や学校の協力があり、本人ができる工夫を適宜治療者と相談しながら治療を継続した。フォローを終了する際、今後いつでも再診できることを付言しておくことも重要である。引用:ADHDの診断・治療指針に関する研究会、齊藤万比古編『注意欠如・多動症-ADHD-の診断・治療ガイドライン第4版』(株式会社じほう、2016年)235ページまとめ出典 : のある人に医師が処方する薬のひとつ、ストラテラを解説しました。薬物療法を開始するにあたっては、副作用への心配から不安が大きくなってしまうこともあるかもしれません。そんなときは、不安をひとりで抱えこまずに医療機関に相談することを考えてみてください。正しく知ることで不安が解消されるかもしれません。なお、医師だけでなく薬剤師も薬の相談に乗ってくれます。
2017年02月15日・ 【第1回】発達障害の子育てに「療育」よりも大切なこと ・ 【第2回】発達障害の子どもが、充実した人生を送るために必要なこと のつづきです。「発達障害」をもっと理解するために必要なことを、『療育なんかいらない!』の著者であり、独自の理論で放課後デイサービスを展開する「アイム」の佐藤典雅さんにインタビュー。今回は、発達障害の子育てをする親の「心の持ち方」についてお話を伺った。佐藤典雅(さとう・のりまさ)さん川崎市で発達障害の子どもをサポートする放課後デイサービス「アインシュタイン放課後」「エジソン放課後」を運営している、(株)アイムの代表。自身の自閉症の息子さんの療育のために、息子さんが4歳の時に渡米して、ロサンゼルスで9年間過ごす。前職は、ヤフー・ジャパンのマーケティング、東京ガールズコレクションとキットソンのプロデューサーという異色の経歴の持ち主。福祉という範囲を超えた目線で、自身の息子さんの成長を見守りながら、発達障害児が社会で幸せに生きるための道を広げる挑戦をしている。著書: 『療育なんかいらない!』 (佐藤典雅・著/小学館 ¥1,296 税込)※放課後デイサービス(= 放課後デイ):6~18歳までの障害のある子どもが放課後や学校休業日に利用できる、就学時向けの福祉サービスのこと。■「大変」と「不幸」はイコールではない―― 芸能人の告白やメディアの影響などで、発達障害はだいぶ世間に認知されてきました。でも、まだまだ発達障害への社会の受け皿や理解は少ないと感じています。また、子どもに手がかかる分、親が心のゆとりを失ってしまったり、子育てにおける精神的な負担も多いように思います。日々多くの発達障害児を持つ親御さんと接している佐藤さんは、どのように感じていますか?佐藤典雅さん(以下、佐藤さん):まず、初めに言っておきたいことがあります。「子育ての本質とは、子どもに障害があってもなくても変わらない」というのが、僕の結論です。放課後デイの仕事をはじめてから、発達障害児を持つたくさんの親子を面談しましたが、面談中、「子育てが辛い、苦しい」と言って泣き崩れるお母さんも珍しくありませんでしたよ。―― やはりお母さんの負担は大きいと? 佐藤さん: でも、僕は、苦しいか苦しくないかというのは、その人の受け止め方の問題だと思っている。親が「発達障害の子育ては辛い、苦しい」と思った瞬間、それは本当に辛いことになってしまうんです。もちろん、事実として、発達障害の子育てで大変なことはあります。ただ、それを不幸だと捉えるかどうかは、親の受け止め方次第だと思うのです。―― 確かに、同じ障害を持つお母さんでも、軽く受け流せる人と重く受け止める人がいますものね。佐藤さん: 大変と不幸は、決してイコールではない。だって、オリンピックの選手だって、自分の練習が大変だからって自分が不幸だとは思わないでしょう?あと、これは、僕がいつも言っていることなんだけど、不幸な子どもなんていないんですよ。でも、周りがいつも「この子は不幸だ」って言い続けたら、子どもも親も本当に不幸になってしまう。だって、もし、あなたが自分の親から「あなたはかわいそうな子だ、不幸な子だ」って言われ続けたら、「ちょっといい加減にしてよ!」と怒りたくなるでしょう(笑)?―― 確かに(笑)。それに、自分のせいで親が悲しむなんて、そんなの辛すぎますよね……。佐藤さん: 僕は「不幸だ、辛い」と言っている親ほど、発達障害に対する差別や偏見があると思っている。だって、親に発達障害に対する偏見がなかったら、「あ~、そうなんだ」で終わる話でしょう? でも、「発達障害は不幸だ、かわいそうだ」と悲観して泣き暮らすってことは、それだけ発達障害であることが悲しいと思っているということ。実は、親自身が発達障害を差別している可能性が高いんですよ。―― これはずいぶん痛いところをつかれました(苦笑)。というのも、以前、私は周囲に対して「子どもの障害に偏見を持ってほしくない」と強く思っていた時期がありました。でも、そこにこだわっている自分こそが、何より、わが子のことを受け入れていなかった、ということだったのでしょうね……。佐藤さん: 親が社会的通念や常識で、「受験勉強をして、いい学校に入って、いい企業に入る」という、こうあるべきだという考えに縛られてしまっていると、そのルートから外れた瞬間に、子どもにも親にも、双方にストレスがかかってしまんです。でも、本来は、これが苦手でもあれは得意、というのがあればいいはず。例えば、うちの顧問で新田明臣さんというキックボクシングの元世界チャンピオンがいるんだけど、彼はいまだに割り算ができません。でも、キックボクシングのチャンピオンになれたら、割り算なんてどうでもいいじゃないですか?―― おっしゃる通り。でも、なかなか佐藤さんのように強くはなれません(泣)佐藤さん: もちろん、落ち込んで泣いて過ごす時期があってもいい。落ち込むのは自然な現象ですし、物事を消化するためには必要な過程です。でも、「1年以内に終わらせよう!」とか、短期間に蹴りをつけることが大事。思いっきり泣いた後に、「とりあえずわかりました。では、次はどうしたらよいだろうか?」って、しっかり取り組めばいいんです。 ■笑い飛ばすって、すごく重要―― ところで、著書の中では、がっちゃん(息子さんの名前)のエピソードをユーモアたっぷりに描いていましたね。佐藤さん: 僕は、笑い飛ばせるということが、すごく重要だと思っているんです。うちの子だってすごく大変だけど、もう全部お笑いネタにしちゃってる(笑)。例えば、ロサンゼルスで過ごしていた7歳の頃なんか、がっちゃんが部屋の真ん中でウンチすることにハマった時期もあって(笑)。最近だって、こっそりビニール袋にウンチして勝手にどっかに捨ててくるワザを覚えちゃったり。だから、僕はどこかに捨てられたわが子のウンチを探しにいかなくちゃならないわけ(笑)。すっごく大変ですよ!―― 著書では漫画でとても面白く描いていましたよね(笑)。でも、これと同じことが起こったら、ものすごく深刻に受け止めちゃう親だって多いと思うのです。でも、佐藤さんは「それって、おもしろくない?」と笑い飛ばしている。まさに先ほどのお話の、「親の受け止め次第で全然違ってくる」ということなんですね。佐藤さん: うちにはたくさんの親が面談にくるんだけど、だいたいみんな「学校でこんなことがあって……」と泣きながら話すの。だから、僕はそこで「はい! ストップ!」と大声で声をかけます(笑)。そして、「お母さん、それって本当に悩むべきことでしたっけ?」と言うと、だいたい「え?」とビックリして止まるんですよ。たとえ笑いにできなくても、意識して悩みにストップをかけることはできるんじゃないかな?■問題をごちゃ混ぜにしない。目の前にある課題を客観的に適正評価しよう―― でも、泣いてしまうお母さんの気持ち、よくわかります。私もいまだに、わが子が突飛な行動をすると、周囲の目が気になってしまうことがあります。佐藤さん: でも、それって「周りに迷惑をかけているかもしれない」「周りに申し訳ない」と、お母さんが過剰に周囲に遠慮してしまっているだけなんじゃないかな? もし、実際に面と向って子どものことで悪口言ってくるような人がいたら、そんな人権に侵害してくるような低レベルな奴は放っておけばいいんですよ!―― お母さんはもっと堂々とするべきだ、と?佐藤さん: うちに通っているお母さんには、「わが子のためには親として死ぬ覚悟がある」と豪語する人も多いのですが、そのわりには、隣のお母さんの顔色を気にして謝ったり、学校の先生の顔色を見て傷ついたりしている。それって、どんだけの覚悟なの? 本当に覚悟があるなら、たとえ世間になんと言われようと、「うちの子はこうだ!」って通す強さを持たないと!―― 周囲や世間はともかく、身内の理解はどうでしょう? よく「旦那が理解してくれない」なんて声も聞きますが?佐藤さん: これは、子どもの問題ではなく夫婦の問題。障害児の子育ては、健常児の子育てより、より夫婦で一緒に取り組まなければならない問題が起きやすいので、どんな家庭でも起こりうるトラブルが早く顕在化しやすいという面があります。今までは「この人、なんとなく窮屈だな」って思うくらいで、スルーしていたかもしれない。でも、子どもの障害によって夫婦で向き合うべきことが増えて、問題が浮かびあがってしまったわけ。新しく問題が増えたわけではなく、もともとあった夫婦問題が表面化しただけのことです。―― そうすると「子どもの問題どうするの?」という話ではなく、「夫婦関係どうするの?」という話になってきますね。佐藤さん: 事実として、発達障害の子育てで大変なことはあります。ただ、それを取り巻く環境、例えば、自分とどう向き合うかとか、旦那とどう向き合うかとか、義理両親とどう向き合うかとか、学校の先生とどう向き合うかとか、問題にしなくてもいいことも問題にしてしまっている方が多いと思う。表面に出てくる問題と問題の原因をごちゃ混ぜにしてはいけない。だから、僕はいつも、うちに通っている親には言っています。「今、目の前にある課題を客観的に適正評価しましょう」と。今回、佐藤さんのお話を通して、改めて「笑い飛ばすことの強さ」に気づかされた。「笑いにするなんて不謹慎だ」と感じられる方もいるかもしれない。でも、そうできるのは、何より、佐藤さんご自身が息子さんと放課後デイに通う子どもたちの障害をまるごと受け止めて、受容しているからこそ。笑い飛ばせる強さや、たとえ誰に何と言われようとも負けない強さを、佐藤さんのお話を通して、ほんの少しだけもらえた気がした。次回、最終回は「発達障害の子育てを楽しくするコツ」について伺います。取材・文・撮影/まちとこ出版社
2017年02月15日発達障害のある娘は会話がとても苦手。3歳のころは、話しかけられても返事の仕方が分からず…広汎性発達障害がある娘は、会話がとても苦手です。3歳ごろになると、簡単な内容なら、相手の言っていることを少しずつ聞き取ることや理解することが出来るようにはなりました。ですが、相手が言ってきたことに対して、まだどういう返事をしたらいいのかが分からないようでした。Upload By SAKURA会話に合った返事や言葉は、繰り返し教えていくことで、少しずつ覚えてくれました。しかしそのせいか、決まりきった返事しかできなくなってしまい、娘との会話はほとんど定型文のように…Upload By SAKURA5歳になって、自分で返事を考えられるように!すると娘との会話にユーモアがあふれだした「いつになったら、娘とたくさん会話が出来るんだろう…」そう心配していた私でしたが、娘は5歳を過ぎたころから、自分で考えた返事ができるようになりました。すると娘との会話は、以前では考えられないようなユーモアなものになったのです!Upload By SAKURAUpload By SAKURA他の子に比べればゆっくりだけど…確実に成長していた少しずつしゃべるようになった3歳ごろから、5歳ごろまでは決まりきった会話の引き出ししか持っていなかった娘。でも今、もうすぐ6歳になる娘と、私は会話を楽しめています!他の子に比べればゆっくりだったけど、娘は少しずつ成長してくれました。改めて『療育は、焦らずゆっくり』だな…、と実感しています。Upload By SAKURA
2017年02月15日人生初の彼女ができたADHD息子。アルバイトにも熱が入る!Upload By かなしろにゃんこ。ADHDのある現在高校生の息子、リュウ太。昨年の正月に人生初の彼女ができ、遠距離恋愛をしています。小学校や中学校のときは親の金ばかりをアテにして、面倒くさいことから逃げてきた子でした。でも最近は、「彼女に会いに行くために働くなんてイヤ!」と言っていたのになんだかんだアルバイトの日数を増やすなど、ヤル気が出てきたようです。彼女のおかげで息子は大人になってきたように思います。たまにしか会えないデートの前は特急の乗車券の予約や高速バスの確認など忙しそうですが、ルンルンしていて幸せそうです。彼女と会う前の時期は、親への当たりもソフトになって、反抗期特有の怒鳴ったり怒ったりが少なくて私も嬉しい(笑)我が家では以前から、恋愛の話はオープンにしてきました。私も息子の好きな女の子の話を茶化さず聞いてきたので、息子から彼女の話をしてくれることもあります。そんなある日、息子はこんな相談をしてきたのです…!初めての彼女ができたADHD息子の恋愛相談。その内容は…Upload By かなしろにゃんこ。「キスってつき合ってどのくらいでするものなの?」と聞いてきました。そんなの友だちと話せよっ!!(笑)キスのタイミングよりも注意して欲しいことがあるんだけど。Upload By かなしろにゃんこ。キスのタイミングとか雰囲気作りとかの前に、お母さんは女の意見として息子に伝えたい!キスしてもいいかな♡と思ってもらえるように日ごろから歯磨きや身だしなみに注意して欲しい!どんなに好きな人でも歯が汚い人はイヤでしょうから、息子が寝る前の歯磨きを面倒くさいと言う度に「女の子はね、汚い歯の男とは絶対キスなんかしたくないんだから!」と伝えています。すると息子は不思議と渋々歯を磨きはじめるのでした。…と、昭和な意見しか言えなかった母ですが、心の中ではこう思っています。キスはな、したいと思ったら勢いだよ!壁ドンでもしてろ。
2017年02月14日言語優位な娘と私、視覚優位な息子出典 : 幼い頃から息をするように本を読み、水を得た魚のようにどんどんと新しい知識を吸収していくアスペルガー症候群の娘は、いわゆる言語優位タイプです。私も同じタイプだったので、子ども向けの本にかけるお金は惜しまず、他の出費を削って絵本や児童小説を増やしてきました。図書館にも毎週のように通いました。後から生まれた息子も、本に囲まれて暮らし、家族が本を読む姿を見たり、読み聞かせをしていれば、本好きな子になるだろうと思ってました。ところが、息子の場合そう上手くは行かなかったのです。絵本は猛スピードでめくって終了!読み聞かせをすると、絵の細かい部分が気になってしつこく同じ質問を繰り返します。また、お話を読んでいる最中に強引にページをめくって破いてしまったりすることが続き…お互いストレスを感じて次第に読み聞かせの機会が減っていきました。しかしその後、息子に自閉症スペクトラム及びADHDの診断が下りてこんなことが分かりました。・耳から入ってくる情報に弱く、目からの情報の方が取り入れやすいこと・見通しが立たないと不安になること・常に新しい刺激を求める傾向にあることどうやら娘や私とは、脳の構造が違う。知識を得る方法も表現する方法も違うようなのです。どうすればそんな息子の「〇〇ってこういうことだったんだね!」という笑顔がたくさん見られるんだろうか。私は悩みながらも、絵本以外に息子が興味を持つ学び方を探ることにしました。見通しが立たないと不安になる息子に、時計の読み方を教えたい!さて、その方法は…出典 : 診断が下りたときに知った「見通しが立たないと不安になる」という特性通り、息子は幼い頃から何をしていても「もうすぐ終わる?」「ねえ、もう終わり?」と問い続けてきました。家族だけでいる間は良かったのですが、幼稚園や習いごとに通い始めると息子の不安はどんどん増し、先生や周囲の人に何度も「終わりの確認」をするようになりました。そこで息子がまだ4歳のころ、少し早いかな?と思ったのですが、時計の読み方を教え、終了時刻を書いたカードを息子に持たせて、自分で「もうすぐ終わるかな?」の確認ができるようにしようと思ったのです。そこで私は、時計を覚えるために息子に合った学習法は何なのかをいろいろ試してみました。ドリルを買ってみたり、九九の5の段だけを歌で一緒に覚えたり、自作のプリントを作ってみたり…色々試してみましたが、その中で息子がいちばん良い反応を示したのが、DVD教材だったのです。「おぼえちゃおう!とけい・数えかた(DVDビデオ)」 にっく映像株式会社こちらはにっく映像株式会社が出している「おぼえちゃおう!とけい・数えかた」という学習DVDです。これを購入して息子に観せてみると、時計への興味が一気に増して、DVDの音声に合わせて時刻を言うようになりました。そして、DVDの最後で紹介されている他のDVDの内容を観て、「次は『せかいちず』を見てみたい!」「次は『かんじの部首』っていうのが欲しい」と言うのです。自分から進んで「ああしたい、こうしたい」と言うことの少ない子でしたから、とても驚きました。そうして、買ってきたDVDは何度も何度も飽きることなく繰り返し見続け、内容をすっかり覚えてしまうのでした。文字から情報を得るタイプの私は「こういう学び方もあるんだ!」と、とても新鮮な気持ちで息子を眺めていました。春から小学生になる今でも、息子はこのシリーズが好きでよく観ています。内容も多岐にわたっているので、小学4年生になる娘も一緒に観て楽しんでいます。DVD以外で、息子に合った方法はなんだろう?出典 : さて、映像学習がとても良いということに気がついたものの、販売されているDVDには限りがあります。どうしたものかと悩んでいた矢先のこと、息子がたまたま本棚から手に取った本を読んで、声をあげて笑い始めたのです。それは、ドラえもんの学習シリーズ漫画でした。絵本はあんなに猛スピードでページをめくっているだけだったのに、どうしてマンガは楽しめるんだろう?と不思議に思い、息子を観察してみました。すると、息子はいったん開いたページの絵を全部ざっと眺めてから、吹き出しの文字を読んでいることに気がつきました。おそらく、・先にストーリーの展開をざっと確認することで見通しが立ち、「どうなるんだろう?」という不安が払しょくされる・絵本と違って1ページにたくさんの絵があることで、常に新しい刺激を求める衝動が満たされる・吹き出しに書かれた短い言葉を読むだけで内容が理解できるのでストレスを感じにくいという点で、視覚優位&ADHDの息子にとっては楽しく読み進めることができたのだと思います。それから、息子はドラえもんの学習シリーズをむさぼるように読み始めました。初めはおもしろいストーリーを楽しんでいたようですが、最近では、「ママ、敬語ってこんな風に使うんでしょ?」「ママ、これは英語で〇〇っていうんだよね~!」とそこで得た知識をお披露目してくれるようになりました。最近では普通の絵本にも手を伸ばすようになっています。いったん猛スピードですべてのページをめくって絵を確認する行為は変わりませんが、その後、始めに戻って文字を読んで内容を把握するようになりました。学習マンガで「読む楽しさ」に触れた息子は、絵本も自分なりに楽しめるようになってきたのです。ドラえもんの学習シリーズ小学館子どもに合った方法で楽しく学んで、好きなものを増やそう!出典 : わが家の場合、いわゆる「お勉強ができる」ことを目指しているのではなく、知っていること・好きなものが増えることで、少しずつ子どもたちの世界を広げていくことに焦点を当てています。DVDを観て国旗があることを知る、好きな国旗がある、テレビでその国の名前が聞こえると気になって見てみる、世界遺産があることを知る、図鑑を一緒に観る、ほかの国にも興味が出てくる。そんな風に世界が広がって行けばいいなぁと思っているのです。だからこそ、日常生活の中で視覚優位の息子が楽しく過ごせるように、他にもいろいろ工夫をしています。好きな歌手の歌を聴くときは、歌詞をプリントアウトしたものを渡しています。耳からの情報だけではなかなか歌えなかった息子が、目で歌詞を確認すると、あっという間に最後まで歌えるようになりました。以前にも紹介しましたが、テレビには常に字幕をつけるようにしています。そうすることで視覚優位の息子は、今誰が喋っているのか、何を言ったのかが正確につかめるようになり、家族と同じように番組を楽しめるようになったのです。また、そろそろ1年生になるということで、楽しんで学校のお勉強に取り組めるように、パソコンの学習用ソフトも購入してみました。視覚優位の息子にはドリルに取り組むよりも、ゲーム形式で学べる学習ソフトの方が合っているようです。ADHDの診断が下りたからこそ、息子に合った方法で前に進める出典 : 言語優位の私が視覚優位の息子を育てるのはなかなか大変です。私の想像もつかない場面で苦労していることがたくさんあるのかも知れません。もしもあの時、私が息子に「お姉ちゃんと同じように本を読みなさい」「本を好きになりなさい」と強要していたら、息子が心から読書を楽しめる日は来なかったように思います。発達障害の診断が下り、その特性を知れたからこそ、子供を観察し、その子に合った方法を探して前に進むことができるようになる。診断が下りることの最大のメリットは、その辺りにあるのかも知れません。発達ナビさんが提供してくださるこの場で、皆さんでたくさん情報交換をし、いろんなタイプの方の物事のとらえ方や困りごと、対処方法を共有していけるといいですね。
2017年02月14日分数が苦手だった娘に、オリジナルの教材を使ってみると…Upload By 荒木まち子Upload By 荒木まち子九九は覚えられるけど…「なんとなく」しか掛け算を分かっていなかった娘出典 : 発達障害のある娘。小学校では2年生で「掛け算」の勉強が始まります。暗記が得意な娘は九九は苦労することなく覚えることができました。でも娘は記憶力が良いだけで、実は掛け算の概念を理解していたわけではありませんでした。小学3年生になると、掛け算を応用した「割り算」「分数」が始まります。掛け算の概念を十分に理解していない娘は、当然割り算や分数の意味もぼんやりとしかわかりません。それでも3年生程度の問題であれば、まだ“なんとなく”または“ヤマカン”で解くことができました。通分も「学んだ方法」を「手順通り」に行えば解くことができました。同じように「少数」や「割合」の単元も“なんと~なく”終えたのでした。難しい計算は必要ないかもしれないけど…中学生になって分かった娘のつまづき出典 : 中学校になり算数から数学へと変わると、さすがに“なんとなく”や“ヤマカン”は通用しなくなりました。でも私達親子は、「別に難しい問題はできなくてもいいよね」「大人になったら計算機やパソコンを使えば良いんだし」と、数学のテストの点数が悪くても、さほど気にはしませんでした。しかしある日、娘と買い物に行ったときのことです。私「ほら、欲しいって言っていた文具が30%OFFになってるよ!持ってるお小遣いで買えるんじゃないの?」娘「そんなにお金もってないよ」私「でも今日お小遣い○○円持ってるよね?」娘「うん。でもきっと足りないと思う…」私「そうかな?定価の30%引きだよ」娘「…よくわかんない…」この時私は初めて、娘が普段の生活で大切な「おおよその計算」や「割合のイメージ」ができていないことに気が付いたのです。家に帰って娘に「小数」や「割合」をどこまで分かっているか確認すると、小数と百分率は理解しているものの、全体を1(または100)とした場合の割合と分数のイメージがうまくつかめていないようでした。紙に円を描いてもわからないようだったので、紙をピザのように切って説明してみましたが、娘にはピンとこないようでした。知り合いの間ではわかりやすいと評判だった『くもんの分数パズル』を使っても、娘はイマイチよくわからないといった感じでした。「はじめての分数パズル」くもん出版通級の先生の一言で、一気に解決!娘に合った教材を作ってみたら…当時、定期的に相談をしていた通級の先生にこの話をすると、「円ではなく棒状の方が理解しやすいお子さんもいますよ。試してみてはいかがですか?」とアドバイスして下さいました。私は早速100円ショップで両面マグネットを購入し、棒状の分数パズルを作ってみました。Upload By 荒木まち子両面マグネットの裏は少数になっています。Upload By 荒木まち子このパズルを見せたところ、「あ、これならわかる!なーんだ、こういうことか!」と、娘はあっさり納得しました。それまでどれだけ説明しても理解してもらえなかったので、私にはとても驚きでした。同じ説明をしているのになぜ円だと分からなくて、棒状だと分かるのかを娘に聞いてみると…「円は何だか見づらいの。私は棒状の方がパッと見て分かるから好き。あと円だと重ねると下の数字が見えなくなっちゃうでしょ。これだと重ねなくても並べて比較できるからすごく分かりやすいの。」娘が一瞬で理解してくれたおかげで、あっという間にお役御免となってしまった教材…娘が分かってくれたので良しとしましょう。娘に褒めてもらったこの分数パズル、実はダメ出しも受けました。「凄く良い教材なんだけどさ、この色合い、何とかならなかったの?」ごめん、娘よ。百円ショップの材料では、これが限界なんですヨ。
2017年02月13日・ 【第1回】発達障害の子育てに「療育」よりも大切なこと のつづきです。わが子の発達が気になり、「もしかしてうちの子は発達障害なのでは?」と不安に思ったことがあるかもしれない。発達障害をもっと理解するために必要なことを、『療育なんかいらない!』の著者であり、独自の理論で放課後デイサービスを展開する「アイム」の佐藤典雅さんにインタビュー。今回も引き続き、「療育よりも大切なもの」についてお話を伺った。佐藤典雅(さとう・のりまさ)さん川崎市で発達障害の子どもをサポートする放課後デイサービス「アインシュタイン放課後」「エジソン放課後」を運営している、(株)アイムの代表。自身の自閉症の息子さんの療育のために、息子さんが4歳の時に渡米して、ロサンゼルスで9年間過ごす。前職は、ヤフー・ジャパンのマーケティング、東京ガールズコレクションとキットソンのプロデューサーという異色の経歴の持ち主。福祉という範囲を超えた目線で、自身の息子さんの成長を見守りながら、発達障害児が社会で幸せに生きるための道を広げる挑戦をしている。著書: 『療育なんかいらない!』 (佐藤典雅・著/小学館 ¥1,296 税込)※放課後デイサービス(= 放課後デイ):6~18歳までの障害のある子どもが放課後や学校休業日に利用できる、就学時向けの福祉サービスのこと。■いろいろなものに肌で感じる接点を持たせること―― 引き続き、佐藤さんが発達障害の子育てにおいて、療育よりも大切だと感じていることについて伺いたいと思います。佐藤典雅さん(以下、佐藤さん):いろいろなものに接点を持たせることだと思っています。「こんな場所があるんだ」「こういう大人もいるんだ」と、肌で感じさせること。それ自体がその子の人生を変えるわけではありませんが、肌で感じることの重要性はあると思っています。だから、うちは遠足でアップルストアとかに連れて行ったりしています。―― それは楽しそうですね! でも、子どもたちの高価な電子機器の扱いに不安はありませんでしたか?佐藤さん: それが、スタッフの心配をよそに、みんなちゃんとテーブルについて、iPadが配られると指示に従って操作していたんですよ! 普段教室ではみんな全然人の指示を聞かないのに(笑)。これには本当に驚きました。アップルストアも発達障害の子を受け入れるのは初めてだったらしいけど、「普通の子たちとまったく変わらないペースで体験プログラムができましたよ」って喜んでいました。―― 発達障害があってもなくても、子どもはみんなiPadやスマホをいじるのが大好きですよね。佐藤さん: 僕は、障害者だろうが健常者だろうが、子どもの頃から電子機器にどんどん触わらせるべきだと思っています。これからの世の中、仕事をするときにPCスキルがないことは致命的。だから、うちは電子機器がすごく充実しています。パソコンが8台にiPadも数台、それに最新のVRも。子どもたちがVRのゴーグルとつけると、みんな大興奮して遊んでいますよ。―― でも、子どもが電子機器やゲームに夢中になることに、否定的なお母さんも少なくないように思いますが?佐藤さん: うちに通っている親にも、子どもにパソコンやiPadをやらせることを嫌がるお母さんはいますよ。でも、そういうお母さんには、いつも「ビルゲイツが1日30分しかパソコンさわっていなかったら、マイクロソフトを作っていませんよ」と言っています。昔、「漫画を読むとバカになる」とか「ビートルズを聴くと不良になる」などということも言われていたけど、それと同じで、どの時代にも常に新しいものに対するアレルギーはあるものなんです。―― 私も息子を見ていて、電子機器との相性の良さを感じています。「いつどうやって覚えたの?」とビックリするほどiPadやスマホをスラスラと操っていたり、勝手に新しい知識を仕入れてきたり。でも、一人でiPadに没頭している姿を見ていると、ちょっと不安を覚えてしまうことも。やはり、子ども同士で交流を持って遊んでほしいという願望が湧いてしまうのですが(苦笑)。佐藤さん: うちに通う親からも、よく「同じ年頃の子どもと交流させたい」って言われるんだけど、うちの子たちにWiiを与えると、同世代の子たちが集まって遊びますよ。しかも、誰にも言われなくても、ちゃんと順番とルールも守って(笑)。それに、NHKスペシャルで東田直樹君(※)も言ってたじゃない?「大人は友達作れって言うけど、僕、いなくても幸せです」って。うちに通っている子どもたちも、一緒に遊んだりしなくても友達の名前は憶えているし、だいたい一緒にいるのが嫌だったら違う部屋に逃げるから。遊んでいないから交流してないというわけではない。それは、全部大人の既成概念の押しつけなんですよ。 ■子どもの将来を心配する前に、まず目の前のことに全力で取り組もう。―― その子なりの距離感があるはずだし、友達の定義だって人それぞれ違うはずですものね。自分の既成概念の枠の中で子どものことを見てしまう、この癖は意識して外す努力をした方がよさそうですね(苦笑)佐藤さん: 僕が放課後デイをやるようになって感じるのは、やればやるほど、日常の積み重ねでしかないということ。日々のトライ&エラーです。でも、僕は、小さいことの積み重ねが大きな奇跡を起こすと思っています。みんな、「ここの療育に通っていれば良くなる」って大きな奇跡を期待するけど、そんなのはない。いろいろやってきて、1年間振り返った時、「あれ? なんか最近言葉が増えた?」というふうに、奇跡って振り返って実感するものだと思っています。―― 発達障害の子どもも、スピードはゆっくりだけど成長します。今の子どもの姿がすべてではない。……でも、頭ではわかっているはずなのに、先のことばかり考えて不安になってしまうときも(苦笑)。佐藤さん: 子どもの将来に対して、そりゃ、僕だって不安はありますよ。でも、わからないこと悩んだって仕方ないでしょう? それは、独身の女性が「将来の私の旦那さんは……」って言っているのと同じだよね(笑)。人生には順序があって、AをクリアしなければBはこないんですよ。それをすっとばしてZのことを考えても仕方ない。まず、目の前のことをしっかり考えましょうよ!―― 先のことがわからないのは、発達障害の子育ても普通の子育ても一緒ですね。佐藤さん: そうです。親は、今自分の子どもには何ができるか? 何だったら期待していいか、また期待できないか? しっかり精査すること。例えば、動物が好きだったら動物図鑑をそろえてあげたり、パソコンが好きだったらある程度の環境設定をしてあげたり、その子が興味を持っている環境をそろえて、その子の進歩を促すことが大事だと思います。―― がっちゃんはもうすぐ高校生ですよね? 息子さんのために、今、佐藤さんが取り組んでいる目の前の課題は何ですか?佐藤さん: 僕は、アメリカから帰国した時、がっちゃんを通わせたいと思える施設がなかったから、自分で作ろうと思って、たまたま放課後デイから事業を始めました。だから、うちの子の成長に合わせて、フリースクールや就労支援の事業も計画しています。今年の4月には、フリースクールもオープンしますよ!―― 常に、息子さんが充実した人生を送るにはどうしたらいいのか、ということを考えて行動している、佐藤さん。その行動力、見習いたいものです!佐藤さん: 今は、普通に就職することが難しい子たちに対して、その受け皿は就労支援という一つしかない。だったら、うちでその受け皿も作ろう!と。もっと儲かりながら楽しい就労支援を計画しています。―― 確かに、今の就労支援で得られる報酬はほんのわずかです。このシステムでは障害者の自立は難しい……。佐藤さん: みんな、福祉は感動とか想いだと思っている。でも、そんなのは働き手の都合であって、僕は、福祉で一番重要なのはシステムだと思っています。例えば、駅で車いすの人が電車に乗りやすいように、エレベーターをつける。このエレベーターというのはシステム。やった人の感動や気分の問題ではないんです。社会の多くの一般の人と障害を持っている人とのギャップを埋めるシステムをどうやって福祉で作っていくか、そこを考えていきたい。発達障害と就労支援はとても難しいテーマだ、という佐藤さん。でも、もうすでに、具体的な就労支援の計画を3つも持っていた!(ただし、計画段階なのでまだ記事にはできません)ぜひ、この難題に対する答えを開拓し続けてほしいと思う。次回、第3回は、「発達障害の子育てにおいての親の心の持ち方」についてお伺いします。※東田直樹くん 「自閉症の僕が跳びはねる理由」 (エスコアール)や絵本、詩集など多数執筆。2016年12月11日(日)のNHKスペシャル「自閉症のきみがおしえてくれたこと」で出演されました。取材・文・撮影/まちとこ出版社
2017年02月13日とにかく寝起きが悪い次男。ADHDの長男が考えた起こし方は…我が家の次男・アイキ(5歳)は、毎朝寝起きがとーーっても悪いです。9割の確率で泣きます。布団から「オカーツァンきてよぉぉぉ!」と泣き叫んだり、夫が起こしに行くと「オカーツァンがいいぃぃぃ!」といちゃもんをつけたり、寝室から「ビエェェェェ!」と泣きながら走ってきたり…。次男の泣きのバリエーションの豊富さよ、といったところなんですが、忙しい朝に不機嫌な次男に対応するのは非常にハード!先日ADHDのある長男・キョウタが、そんな泣き虫な弟に素敵なことをしてくれました。Upload By ラム*カナUpload By ラム*カナUpload By ラム*カナUpload By ラム*カナその発想と優しさに乾杯!!毎朝次男の対応に追われ、困っていた私を心配していた長男。持ち前の発想力で、普段から私が喜ぶことをいつも考えてすぐ実行してくれるのですが、今回の発想にもつい心が温かくなったのでした。著書『カラフル男子牧場 -ADHD長男とお調子者次男の兄弟物語- 』Upload By ラム*カナ
2017年02月11日最近、モデルで俳優の栗原類さんが自ら発達障害の告白を行うなど、テレビや新聞、インターネットで、発達障害のことがよく取り上げられるようになった。そんな中、自分の子の発達に気になることがあり、「もしかして発達障害なのでは?」と不安に思ったり、すでに診断を受けたりして、この記事をクリックした人もいるのかもしれない。わが子が発達障害と診断された場合、親が、まずはじめることは療育だ。だが、ほとんどの親は、そもそも療育という言葉すら、その時になって初めて聞くことが多いのではないだろうか?そこで今回は、『療育なんかいらない!』の著者であり、独自の理論で放課後デイサービスを展開する「アイム」の佐藤典雅さんにインタビュー。発達障害をもっと理解するために必要なことを、経験談を交えて語ってくれた。佐藤典雅(さとう・のりまさ)さん川崎市で発達障害の子どもをサポートする放課後デイサービス「アインシュタイン放課後」「エジソン放課後」を運営している、(株)アイムの代表。自身の自閉症の息子さんの療育のために、息子さんが4歳の時に渡米して、ロサンゼルスで9年間過ごす。前職は、ヤフー・ジャパンのマーケティング、東京ガールズコレクションとキットソンのプロデューサーという異色の経歴の持ち主。福祉という範囲を超えた目線で、自身の息子さんの成長を見守りながら、発達障害児が社会で幸せに生きるための道を広げる挑戦をしている。著書: 『療育なんかいらない!』 (佐藤典雅・著/小学館 ¥1,296 税込)※放課後デイサービス(= 放課後デイ):6~18歳までの障害のある子どもが放課後や学校休業日に利用できる、就学時向けの福祉サービスのこと。■わが子が「発達障害」だと診断されたとき筆者の息子が自閉症スペクトラムと診断された時も、そうであった。療育の意味もよくわからないまま、「とにかく早期療育が大事」「ABA(応用行動分析学)が効果的」などと初めての情報に右往左往し、診断を受けたばかりの混乱の中、さまざまな焦りと戦いながら模索していた。そして、療育に通いはじめてからは「2歳から始めたんだから大丈夫」などという周囲の言葉に、療育に過剰な期待を持ってしまったり、療育での子どもの出来に一喜一憂してストレスを抱えてしまった苦い経験がある。だからこそ、『療育なんかいらない!』というタイトル本はとても目を引いた。しかも、著者の佐藤さんは、本場アメリカで息子さんの療育を9年間も受けてきた人だ。取材を申し込まずにはいられなかった。■「発達障害」を、ありのままを受け入れる場所を作ろう―― 佐藤さんは、自身の息子さんの自閉症の療育のために、家族でロサンゼルスに引っ越して、9年間も本格的な療育を受けています。それなのに、なぜ「療育なんかいらない」という考えに至ったのでしょうか?佐藤典雅さん(以下、佐藤さん): 息子のがっちゃんが3歳児検診で「自閉症傾向」と診断された時、僕は自閉症も療育もほとんど予備知識がありませんでした。そこで、調べていくうちに、ロサンゼルスがもっとも療育対策が進んでいるらしいということが分かったので、家族で引っ越すことに決めました。―― ロサンゼルスの療育はいかがでしたか?佐藤さん: 最初の頃は、しっかりした療育を受ければ、がっちゃんの問題行動が改善するのでは? と期待していたんだけど、がっちゃんの問題行動は一向になおらず(笑)。その様子を見て、療育とは問題行動を改善するものではないと気づいたのです。―― そこで、目標設定を変えることにしたんですね。佐藤さん: 療育によって問題行動が変わることを期待するのではなく、「わが子にとって適切な環境とは何か?」を考えるようになりました。そして、もし療育が発達障害を治すものでないならば、自身の放課後デイで療育を提供すべきではない、との結論に至りました。―― 放課後デイで療育を行うのは、もはや常識となっています。療育なしの放課後デイとは、かなり思い切った決断ですね。佐藤さん: 放課後デイを設立中、面談に訪れる高学年以上の子どもをもつ親から、「療育ではなく、この子の居場所を探しています」という言葉をよく聞くようになったのも後押しになりました。―― わが子の行動を改善する場所よりも、わが子が安心していられる居場所を求める親が多かった、ということでしょうか。佐藤さん: 子どもが小さいうちは、その子の実力や可能性が見えにくいから、親は療育に期待しがちです。さらに、今は「早期療育」の大切さが力説されているので、特に親は熱心に療育する傾向がある。―― お子さんの年齢が上がると、変わってきますか?佐藤さん: 子どもの年齢が上がるにつれて、だんだんとその子が持つ本来の力がみえてきます。そして、ある時、それは療育の問題ではない、ということに気づくのだと思います。―― 療育では解決しない部分がある、ということに気がつくと。佐藤さん: そうです。すると、次の段階として、その子のありのままを受け入れてもらえる環境が必要となる。そこで、「アイム」の放課後デイでは、発達障害のままを受け入れてくれる居場所を作ろうと思いました。そして、子どもたちが自分自身でいられる環境を、自分の感情を表現したり、引き出したりできるプログラムを用意しようと考えました。―― それでは、アメリカでの療育生活はどのような意味があったと思いますか? 佐藤さん: 一番意味があったのは、人との関りです。がっちゃんも療育で大好きなセラピストたちと時間を過ごすことを、とても楽しんでいました。そこで私は、「アイム」の放課後デイでは療育プログラムではなく、人との関わりを提供すべきだと思いました。だから、うちの採用基準は厳しいですよ(笑)。第一条件は、子どもたちから好かれるということ。どんなに人手不足でも、子どもたちと合わない人は採用しません!■療育はほどほどに。―― 私自身は息子の療育を経験して、やはり良かったと感じています。確かに、「とにかく療育でなんとかしなければ」とストレスを感じていた頃もありましたが、今では楽しい遊び場のひとつとして、そして日々の生活で困っていることなどを専門の先生に相談してアドバイスを受けられる場として、とても心強いと感じています。佐藤さん: もちろん、僕も療育のことを全否定しているわけではありません。ただ、今の療育は子どものためというより、親が納得するためにあるように感じてならないのです。療育に熱心なお母さんが一番よく言うのは、「後になって、あれをやればよかった」っていう後悔をしたくない、ということ。また、「早ければ早いほど良い」とか「どんなに遅くても4歳までに始めないと手遅れだ」などとせかされて、本来親を救うべき療育そのものが、逆に親を追い込み、療育に効果を求めるあまり、親も子どもも多大なストレスにさらされているように思えてならないのです。―― 確かに、「療育で子どもが良くなる」と過度な期待を寄せてしまうと、子どもが変わらない場合、まるで子どもと親の努力不足のように感じてしまいそうです。また、他人から「療育のおかげで成長した」などという話を聞くと、つい、わが子も療育さえ受ければ同じように伸びると思ってしまいがちですね。だけど、他の子が伸びたからといって、自分の子どもも同じようになるとは限らない。その子が持つ力も個性も障害の程度も、それぞれに違うから。佐藤さん: 僕は、人のキャパシティっていうのは子ども一人一人によって違い、療育を受ける受けないにかかわらず、それぞれの能力が伸びる器のサイズに左右されると思っています。つまり、どれだけ療育を施したところで、その効果はその子が持っている上限値を超えることはない、とういこと。―― どういうことでしょうか?佐藤さん: どんなにかけっこをがんばっても、全員がオリンピックに出られるほど早くはなれないでしょう? それと同じことです。親が、子どもが持っているキャパシティ以上の効果を療育に求めてしまうと、子どもにも親にも多大なストレスがかかってしまう。そして、本来大切なところ、「いかに人生を楽しく生きるか」ということに目がいかなくなってしまう危険がある。だから、僕は、療育はほどほどがいいと思っているんです。―― もし、佐藤さんがもう一度子育てするとしたら、もう療育はしないのでしょうか?佐藤さん: やってみて、はじめて「ああ、無理だった」ってことがわかったので、多分、何もしないのは難しいと思います。ただ、療育をするなら、2つ条件があります。―― 佐藤さんの経験から編み出した条件ですね。今悩んでいるお母さんたちにぜひお聞かせください。佐藤さん: まずひとつは、その子のストレスにならないこと。もうひとつは、家庭の金銭負担にならないこと。子どもが楽しく療育に通って、親も負担にならないならいいと思います。でも、子どもが泣いて嫌がったり、親が必死になってやるようなものじゃない。■「普通」って何だろう?―― 療育で、親は子どもの自閉行動や問題行動が良くなり、「普通」になることを期待しますよね。だけど、そもそも「普通」って何でしょうね?「私は、この子にどうなってほしいのだろうか?」そう考えると、答えに詰まってしまう時があります。 佐藤さん: 僕は、もし療育で自閉症を治したいという人がいるなら、「自閉症の何を治すんだ?」って聞きたい。―― 自閉症は治す、という種のものではないということですね。佐藤さん: それって、本人の認識、認知を変えちゃうってことですよ?「そもそも人を形成している人格って何ですか?」というレベルの話なんですよ。「何をもってあなたなんですか?」って、すごく難しい問いじゃない?放課後デイで発達障害の問題に取り組んでから、「人って何なんだろう?」ってよく考えるようになりました。発達障害ってものすごく難しいテーマだよね。佐藤さんのお話を聞いて、発達障害の子育てを描いたコミックエッセイ『母親やめてもいいですか』(山口かこ・文/文春文庫)に書かれていた、ジム・シンクレアという自閉症当事者によって書かれた詩のような一節を思い出した。自閉症は人を閉じ込める殻ではありません中に普通の子どもが隠れているわけではないのです自閉症は私が私であること、そのもの私という人格から切り離すことはできません出典: コミックエッセイ『母親やめてもいいですか』(山口かこ・文/文春文庫) 「子どもの力をできるだけ伸ばしてあげたい」―― そう思うのは、親として当然だ。ただ、「普通に近づけたい」とがんじがらめにならず、子どもをありのままに受け入れ、その子にとって居心地のいい場所を作ってあげることの大切さも、改めて思い知った。次回は、「発達障害の子育てで、療育よりも大切なことは?」を伺います。取材・文・撮影/まちとこ出版社
2017年02月10日長男が知人にされた、お絵かきへの何気ないアドバイス。それがこんなに影響するとは・・・Upload By モンズースー知人はどうやら「子どもの絵は心を写す」というような内容の情報を見て、「もっと明るい色をたくさん使って描いたほうが良いのでは」と思いなにげなくすすめたようです。長男は当時、「色を選んで絵を描く」ということをしませんでした。そもそも「何か描いて遊びたい!」「色をつけたい!」というより、大人が長男が線や丸を描けるかどうかを知りたがるので、興味は無いけど何か色をつけてみる…といったような感じでした。だから長男にとっては色を変える必要はなく、最初に手にした色を最後まで使うので毎回1色の作品ができるのでした。長男がたくさんの色を使って絵を描くと知人は喜んで褒めたので、長男は嬉しくなってだんだんと色々な色を使うようになりました。しかし、いつからか「全色使って描くのが良い書き方」と認識したようで、毎回全色の色を使うようになりました。それは選んでいるとかではなく、クレヨンの端から1色ずつ使い全部使ったら完成というもので、それが長男の「お絵かき」のルールになりました。Upload By モンズースーその結果児童館などでは、「こんなにカラフルな絵が描けるなんて心が綺麗な子なのね」などと褒められたのですが、何か素直に喜べませんでした。私には、「これは自由に描いているのかな??」と少し疑問だったのです。「好きに描いていいよ」と伝えても自分から描きたいもののない長男には伝わりません。かといって全色使う描き方を止めさせるのも違う気がするし…結局、「別に本人が困っていないならいいか…自己流のルールで描くのも自由かな」と思いそのまま見守ることにしました。絵の具で遊ぶことが好きになった長男。しかし、ルールはその後も変わらず…Upload By モンズースーその結果、絵の具を使い始めてもこれまで通り全色使うので、色が混ざって幼稚園から家に持ち帰る工作は全部ドドメ色に… !!たまに「好きな色だけ使ってみたら?」「2つだけ混ぜてみたら?」とアドバイスしたのですが、もう全色使うが長男のルールになってしまったので変えることはありませんでした。決してきれいな色とは言えませんが、長男はそんな絵の具遊びをとても楽しく取り組めていたので、強く言って変えることはしませんでした。一度覚えたルールの変更が苦手な長男ですが、お絵かきにまでルールを作りこだわっていたようです。1色か全色かしか使えなかった長男でしたが、その後…その後、何かを表現したいという気持ちが出てきて少しづつ色を選び、形を描き、絵にしていくことができるようになりました。自分ひとりでは難しいことも多いですが先生と一緒だと描きたいものを見ながら色が選べるようになりました。Upload By モンズースーそんなふうにして描いた絵を周囲に褒められ、自分でも満足し、少しづつですが絵が好きになってきたようです。
2017年02月10日やっと固まった、娘の不登校と向き合う決意出典 : 不登校の子どもや、障害のある子どもを育てていると、世間一般的な子育てをするだけではうまくいかず、悩んだり、選択を迫られたりする場面が多いと思います。自分の子育てに対する考え方を問われるようなこともあるかもしれません。私の娘は小2で不登校になり、小4でアスペルガー症候群と診断されました。娘を育てていく中では、「学校とどうやって付き合うか?」「勉強はどうするか?」「昼夜逆転、パソコン・ゲーム漬けをどうするか?」「発達障害の療育はしなくていいのか?」など悩むことばかりでした。問題とぶつかるたびに、主治医と相談したり、本やブログを読み漁ったり、相談機関にかかったり、親の会で話を聞いてもらったりと必死で手掛かりを求めました。ときには失敗して娘も自分も傷つきましたが、だんだんと「私はこういう考えで娘を育てていく」という気持ちが固まっていきました。私の考え方は、「学校も勉強も無理しなくていい。昼夜逆転でもいい。娘の心が元気であることを第一にして本人を信じて、任せて、待つ」です。発達障害については発達障害者相談センターで「今のままの育て方で問題ありませんよ」と言われたので、特別なことはしないでおこうと決めました。こうやって自分なりの考え方をしっかり持っていれば、迷わず娘を育てて行けると思っていました。しかしそれでも、周りの声や世間の常識、自分のなかに巣食っている価値観に、何度も迷い自分を見失いそうになったのです。そんなときにどうやって対処してきたのか、私の経験を書きたいと思います。私の育児は間違っているの…?周りの声に気持ちは揺れ動く出典 : 私が仕事をしていたときのことです。お昼休みはどうしても職場の人と話す機会が多いですよね。そこで子どもの話になったとき、私は嘘をつきとおすのも疲れるので「娘は学校に行ってないんですよ」と正直に話すわけです。すると、年上の先輩お母さんには、「のんきなお母ちゃんやねぇ」と言われ、高卒すぐの子には「学校だけは行っといた方がいいですよ」と言われ…周りからの言葉に、「私は怠慢なのかなぁ、もっと娘にとっていい方法を探さなくてはいけないのかなぁ」と心がかき乱されて、どっと疲れてしまったのです。そして、突然焦って塾を探したり、居場所を探したり、福祉サービスを探してみたりと、すっかり自分を見失ってしまいました。そのときだけではありません。例えばブログなどで、「不登校だったけど親がしっかり支えて学校に通えるようになった話」を読んだときや、新聞で引きこもりの記事を読んだとき。私の中の「子どもは学校へ行って就職して独立して一人前。それは親の義務。」という刷り込まれた価値観がムクムクと顔を出し、「本当に子どもに任せていて大丈夫なの?」「このまま引きこもりになったらどうするの?」と不安でいっぱいになってしまいます。そして「うちの子は簡単な計算もできないし、雑談もうまくできないし、家の中で好きにさせていたら本人のためにならないんじゃないのかな…。私が何もしないのは努力不足なのかな?」と自信がなくなってしまうのです。大事なことを思い出させてくれたのは、同じ悩みを持つ仲間たちだった出典 : そんな私に大事なことを思い出させてくれたのが不登校の親の会の仲間たちでした。「娘さんにはね、今は『世界は安心なところだ』ということを確認してもらうのが先ですよ。この前、編み物カフェにいったでしょ?それだけでもすごいことなんだから、できたねって一緒に喜んだらいいんです。無理に新しいことをしなくていい。」「娘さんは『ちゃんとやらなければいけない』と思い込んで、外に出られない状態なんだと思います。何かできた、気持ちよく体を動かせたとかいう『今はこれが気持ちいい』という体験を積み重ねていくことが大切なんですよ。」「勉強はいつでもできます。全然あせらなくていいんですよ。」そう言われて目が覚めました。私は何を焦っていたのだろうって。もう少しで、一番大切なことを見失ってしまうところでした。私たち親子にとって、いちばん大事なことは何だろう出典 : 親の会の仲間たちの言葉を聞いて、思い出したのです。娘が不登校になった当初、よく「死にたい」「私なんていない方がママが楽になる」といって泣いてばかりいました。だけど、私が娘が学校に行かないこと、勉強をしないことを受け入れて、「本人の力で立ち上がるまで待つ」と決めてからは、娘もすっかり落ち着いて家で楽しそうに過ごしていました。一番大切なことは、「生きていてよかった」と娘自身が思えること。そして、家で安心して心を休ませて、「楽しいな」と思えることが一つでも増えていくこと。それだけでいいんです。娘もこの春には中3になります。また私の心が揺れ動いてしまうこともあるでしょう。だけど、私たち親子に寄り添ってくれる親の会の仲間や教育相談の先生、支援者の方たちがいれば大丈夫だと確信しています。「お母さん、それでいいねんで。よくやってるよ」と言ってくれる人がそばにいてくれたら私は頑張ることができます。この記事を読んでくださっている方も、私のように心揺れ動きながら奮闘されているのかもしれません。しんどい育児を家族だけで乗り切っていくことは、とても難しいと私は感じています。つらい時にはためらうことなくSOSを出して、一人でも多く自分たちを応援し支えてくれる人たちとつながっていくことを願っています。
2017年02月10日発達障害のある息子のために、習い事をさせたい!思考錯誤を試みるも…出典 : 息子に発達障害の診断がおりた3年前、私はネットの検索魔になっていました。発達障害についての知識を調べることはもちろん、検索窓に繰り返し繰り返し打ち込んだのは「発達障害児 習い事」の文字でした。インターネットのQ&Aなどを見ても、「発達障害児に習い事をさせたいのだけれど、何が良いですか?」という質問の多いこと多いこと!発達障害のある子どもを持つ保護者がこれほど習い事探しに必死になるのは、「発達障害の特性が少しでも軽くなって欲しい」「発達障害でも普通の子に負けないで生きていって欲しい」という想いがあるのかもしれません。私も息子が発達障害だと分かった途端、習い事探しに奔走しましたが、それも同じようにこんな理由からだったように思います。・習い事で苦手を克服して欲しい(息子は運動や協調運動が苦手)・何か「好きなこと」を見つけて欲しい・先生や友達との関わりが上手に出来るようになって欲しい・「楽しい」と思える場所を増やして欲しいしかしあれこれとネットを徘徊し、「これは!」と思った習い事に息子を連れて行っては、癇癪を起こされてあえなく退会…を日々繰り返していました。好きなことを増やしてほしかったのに…失敗だらけだった息子の習い事選び出典 : 例えばトランポリン教室。「発達障害の子どもにはトランポリンが良い」という話もよく見聞きしていました。けれども、競技用の跳ね幅の大きい本格的なトランポリンは、重力に対して強い不安を感じるという特性を持つ息子のパニックを誘発しました。また、先生に支えてもらいながら飛ぶことも、触覚過敏の息子には苦痛でしかなかったようです。それから、ピアノも発達障害児の協調運動を鍛えるのに良いという話。目で楽譜を追いながら、左右の手を別々に動かすからです。理論上は確かに効果的に思えます。けれども、ピアノの習い事はどうしても自宅で練習する必要があります。幼稚園で疲れ果てて帰ってくる息子には、それはあまりに重い負担でした。その他にも、体操教室、サッカー、乗馬教室等々、「理論上は特性を克服するのに良いけれど…」という習い事を、息子が続けることはできませんでした。そして、この経験は息子にとっても「失敗経験」になってしまい、「好きなことを増やしてほしい」という私の期待とは正反対の結果になってしまったのです。「どうしてうまくいかないんだろう?」息子の様子をみて辿りついた答えは出典 : このように私の場合、「発達障害の特性をなんとかしよう」「発達障害でも生きていけるように好きなことを」と思って選んだ習い事は一つもうまくいきませんでした。「なぜうまくいかないんだろう?」私が考えて行き着いた答えは、・「発達障害の特性」といってもあまりに多様であり、必ずしもその習い事がマッチするわけではない・理論上は発達障害の特性に良いことであっても、先生が発達障害に理解があったり、発達障害の子どもでも集中して取り組めるような環境設定が出来ていなければ息子にとっては負担にしかならないというものでした。そして私は途中で気づいたのです。習い事にそんな大それた成果を期待するのではなく、子どもの生活に何かしらの「習慣づけ」をする手助けになれば良いのだと。多くの発達障害のある子どもがそうかもしれませんが、息子は毎日の見通しがきちんとたつこと、日々の規則的なルーティンを好みます。例えば息子は「日中は幼稚園に行く」というのが日々の規則的な習慣です。そのため、イベントが盛りだくさんで幼稚園が休みになったり行事が増えたりする年末年始のほうが、むしろ不安になって辛いと言います。年末年始が終わって、制服を着て通園バスが来たとき、息子は「ああ、やっと幼稚園だ。良かったぁ」と言っていました。お友達との交流や課題などは疲れることも多いようですが、それでも「習慣」をこなすことが彼にとってとても安心のできることなのです。私は息子のこの特徴から、「習慣作り」をつくるための取り組みとして習い事を考えるようになりました。習い事に対する考え方を変えたら、息子に「好きなこと」ができた!出典 : 息子の習い事にとって大事なのは、得意か不得意かではなく、ただ「習慣作り」をすること。私がそう考え方を変えたところ、息子は公文式にうまくハマりました。毎日同じ枚数を同じ時間に取り組むこと、週に二回は教室に行って勉強すること、それが彼の生活習慣となっていきました。そのうちに、公文をやらずにいるとモヤモヤするらしく、毎日決まった時間に自分から教材を持ってくるようになりました。もちろん、一日の課題を終えたらご褒美(うちは息子の好きなYouTube動画を5分だけ見ていいことにしています)をつけるなど、モチベーションを維持する工夫は最大限しています。それを繰り返すうちに、進級したり、賞状をもらったり、先生に褒めて頂いたりすることが出てきて、気付いたら息子の中で「好きなこと」になっていったようです。「好きなこと」は、突然は生まれないのです。地味な習慣の積み重ねと繰り返しの末、なんとなく好きになるのだと思います。習い事を探すときは、「この子をなんとかしよう」という気持ちではなく、「何か習慣を作ろう」という気持ちで検討してみると気持ちが楽になるかもしれません。親子ともに、それを「習慣」にするまでの過程が苦痛ではない習い事が良いかもしれませんね。
2017年02月09日生後1か月の息子への授乳。痛がる私を見た娘が…Upload By SAKURAUpload By SAKURA娘は、痛がる私の代わりに、授乳しようとしてくれました。まさかの気づかい!気持ちだけありがたく受け取りました。ありがとうね!(笑)
2017年02月08日友達と趣味の話がしたい!!中学で見えた息子の成長Upload By かなしろにゃんこ。ADHDがある息子、リュウ太は電車や車が大好きです。ただ、小学校高学年の頃はマニアックな話題を早口で友達にしてしまい、次第に話を聞いてもらえなくなってしまいました。その度に話し方や友だちとの付き合い方のアドバイスをしていったものの、当時は「周りが悪い!」と一点張りでアドバイスを聞き入れてはくれませんでした。でも中学生になると、息子の気持ちに少し変化が出てきました。小学校のときのアドバイスしていたことを実践してくれたようで、趣味の違う人の前では自分の趣味の話をセーブしたり、趣味の話をしたとしてもマニアックにならないように短く話したりと工夫していると言うのです。ようやく友だちに合わせた会話ができるようになって、母も一安心!小学校高学年のときに友だちとうまくいかなかったことを振り返り、「これではいけない!」と息子も考えていたのかもしれないな~と思います。思う存分趣味の話ができる!専修高校に入学したはいいけれど…Upload By かなしろにゃんこ。車系の専修高校に進学すると、「友だちいっぱい作ってマニアックな話しすっぞー」と嬉しそうでした。車好きな子がいっぱい在学している学校で楽しく通学していたのですが、息子のADHDの特性が弾けて大好きなモータースポーツの話を全開でしたら周りの子から「マニアックすぎてついていけない」と言われたそうで…少しガッカリ。自分と周りの子の熱量の差を知ったようでした。でもこれまでの経験を生かしながらいろいろなグループと付き合うようになり、中学生の頃よりもドンドン社交性は高まっていったように感じます。ここでもある程度好きな趣味の話をセーブしなければいけないのは少し気の毒です。笑
2017年02月07日「発達障害ってなあに?」もし子どもに聞かれたら、どう答える?出典 : わが家には「自閉症スペクトラム+ADHD」と診断された娘と息子がいます。病院で医師からWISC検査の結果と診断についての説明を聞いていた時、娘は私の隣にいました。当時、娘はまだ小学校低学年でしたが、言語IQが異常に高くアスペルガーの要素が強い娘は、私の本棚に並べてあった発達障害に関する本を既に何冊か読んでいたため、医師の話すキーワードを理解してしまったのです。思わぬ形で「自分は発達障害である」ことを知り、娘はショックを受けていましたが、今は自分の特性とどう向き合えば楽に生きられるかということを一緒に考えながら歩んでいる最中です。一方、就学前の息子はまだ自分が発達障害であることも、人とは違う部分があることも知りません。いつか、誰かから指摘されたり言葉を耳にしたりして、「発達障害ってなに?」「ぼくはみんなと違うの?」と聞かれる瞬間が突然やってくるかも知れません。その時に備えて、慌てずにきちんとした説明ができるように、発達障害とは何かということをよく考えておかなければと思うようになりました。「発達障害は個性かどうか」という議論をあちこちで見かけるたびに、その思いは強くなる一方です。なんとか「発達障害とは何か」という問いに対する「わが家なりの答え」を導き出せないものでしょうか。その答えを導き出すカギは、日常生活の中にありました。ヒントは「たわし頭」にあった!?娘とのある会話出典 : 話は変わりますが、皆さんは、毎日髪をセットするのにどれぐらいの時間をかけていますか?わが家では、娘の髪をセットするのに10~15分、私の髪も同じぐらいの時間がかかります。つまり、毎日30分近くを髪をセットするためだけに鏡の前に立ち続けている計算になります。決して特別な髪型やオシャレをしているのではなく、たわしのような髪についてしまった寝癖を直すため、いったん髪の毛を根本から濡らしてドライヤーをあてて伸ばさなくてはならないのです。そうしなければ、瞬く間に髪は広がってぼさぼさになり、不潔に見えてしまいます。2日で1時間、1週間で3時間、1ヶ月でなんと10時間越え!「一度も髪を梳いたことがない」という美しい髪の持ち主である姪っ子を見るたびに、毎朝たわし髪と格闘している私たち親子は一体なんだんだろう?とがっくりきてしまいます。ある日、娘とこんな会話をしました。出典 : 娘「ママ、せっかくこうやって髪型を整えても、姪っ子ちゃんの方がきれいに見えるね…」私「そうだねぇ。頑張ってるんだけど仕方ないよね。こういう髪を持って生まれたんだもんね。」娘「他の髪に変えてもらうわけには…いかないよね。」私「そうだよね。この髪で生きて行くしかないんだから、嘆くよりも、どうやったらこの爆発的な頭を清潔に見せられるか、テクニックを磨くしかないよね。」娘「そのかわり、私にも誰かから『うらやましい』と思ってもらえるところがあるのかなぁ?」私「きっと持ってるよ。生まれ持ったスペックってみんな全然違っていて、良いのも悪いのもごちゃ混ぜになってるからね。あなたが当たり前だと思っていることが、誰かにとっては羨ましくて仕方のないところだったりするんだよ、きっと。」娘「そっか。自分では当たり前だと思ってることが、他の人にとっては手に入れられないものだったりするんだね。髪のキレイな人が私の苦労を知らないのと同じだね!」そんな話をしてから、娘は毎朝、自分で髪を整えるようになりました。もちろんブラシでとくだけでは清潔に見えないので、また一から私が濡らしてセットをするのですが、「なんとかしてみよう!」という気持ちが嬉しくて、頭をなでながら「きれいにできたね」と声をかけるようにしています。そうしているうちに、発達障害の特性もこれと同じじゃないかな?と思うようになりました。発達障害は、人が生まれながらに持った「スペック」のひとつ出典 : 発達障害の人が抱えるさまざまな特性は、生まれ持ったスペック(=仕様)であって、誰かと取り替えることもできなければ、努力したからといって仕様自体を根本から変更することもできません。たまたま大勢の人が装備しているスペックとは異なるものを持ち合わせてしまったので、同じ世界では生きづらく感じることもあるでしょう。けれども、それは決して卑屈になるようなことではなく、自分のスペックを最大限に生かすことができれば、とても個性的で魅力的な人間になれるのではないかと思うのです。ただ、その他大勢の方が手にする「マニュアル」は通用しません。自分なりのマニュアルを作る作業が必要です。まずはしっかりと自分の装備を確認することで、どんな環境でなら自分が穏やかに暮らせるかを知り、どんなコミュニケーションの取り方なら相手も自分も楽しい時間を過ごせるかを模索する。それが特性を抱えて生きていくということなのではないでしょうか。100人いれば、100通りの答えがある出典 : 「発達障害ってなに?」「僕はみんなとは違うの?」そんな問いに対するわが家なりの答えが出たような気がします。思うに、「発達障害」という言葉は「こういうグループに属する」という記号のようなものです。そのグループの中には「個性」では済まされないほど深刻に悩んでいる方もいれば、悩みながらもなんとか社会生活を送ることができているという方もいらっしゃると思います。また、他人から見れば「個性」といえるような特性であっても、当人は非常に苦しんでいるというケースもあるでしょう。100人いれば100通りの「発達障害って何?」に対する答えがあるのです。それを単純に「発達障害は個性だ」「いや個性ではない」と議論するのは、あまり意味がないような気もします。いろんな答えがあっていいんです。それが当たり前なんです。いつかお子さまから「発達障害ってなに?」と聞かれた時、あなたならどう答えますか?お子さまが劣等感を抱かず、その答えを胸に前向きに生きていける。そんな答えが見つかるといいですね。
2017年02月07日私の愛すべき家族
育児に遅れと混乱が生じてる !!
こどもと見つけた小さな発見日誌