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友達と趣味の話がしたい!!中学で見えた息子の成長Upload By かなしろにゃんこ。ADHDがある息子、リュウ太は電車や車が大好きです。ただ、小学校高学年の頃はマニアックな話題を早口で友達にしてしまい、次第に話を聞いてもらえなくなってしまいました。その度に話し方や友だちとの付き合い方のアドバイスをしていったものの、当時は「周りが悪い!」と一点張りでアドバイスを聞き入れてはくれませんでした。でも中学生になると、息子の気持ちに少し変化が出てきました。小学校のときのアドバイスしていたことを実践してくれたようで、趣味の違う人の前では自分の趣味の話をセーブしたり、趣味の話をしたとしてもマニアックにならないように短く話したりと工夫していると言うのです。ようやく友だちに合わせた会話ができるようになって、母も一安心!小学校高学年のときに友だちとうまくいかなかったことを振り返り、「これではいけない!」と息子も考えていたのかもしれないな~と思います。思う存分趣味の話ができる!専修高校に入学したはいいけれど…Upload By かなしろにゃんこ。車系の専修高校に進学すると、「友だちいっぱい作ってマニアックな話しすっぞー」と嬉しそうでした。車好きな子がいっぱい在学している学校で楽しく通学していたのですが、息子のADHDの特性が弾けて大好きなモータースポーツの話を全開でしたら周りの子から「マニアックすぎてついていけない」と言われたそうで…少しガッカリ。自分と周りの子の熱量の差を知ったようでした。でもこれまでの経験を生かしながらいろいろなグループと付き合うようになり、中学生の頃よりもドンドン社交性は高まっていったように感じます。ここでもある程度好きな趣味の話をセーブしなければいけないのは少し気の毒です。笑
2017年02月07日「発達障害ってなあに?」もし子どもに聞かれたら、どう答える?出典 : わが家には「自閉症スペクトラム+ADHD」と診断された娘と息子がいます。病院で医師からWISC検査の結果と診断についての説明を聞いていた時、娘は私の隣にいました。当時、娘はまだ小学校低学年でしたが、言語IQが異常に高くアスペルガーの要素が強い娘は、私の本棚に並べてあった発達障害に関する本を既に何冊か読んでいたため、医師の話すキーワードを理解してしまったのです。思わぬ形で「自分は発達障害である」ことを知り、娘はショックを受けていましたが、今は自分の特性とどう向き合えば楽に生きられるかということを一緒に考えながら歩んでいる最中です。一方、就学前の息子はまだ自分が発達障害であることも、人とは違う部分があることも知りません。いつか、誰かから指摘されたり言葉を耳にしたりして、「発達障害ってなに?」「ぼくはみんなと違うの?」と聞かれる瞬間が突然やってくるかも知れません。その時に備えて、慌てずにきちんとした説明ができるように、発達障害とは何かということをよく考えておかなければと思うようになりました。「発達障害は個性かどうか」という議論をあちこちで見かけるたびに、その思いは強くなる一方です。なんとか「発達障害とは何か」という問いに対する「わが家なりの答え」を導き出せないものでしょうか。その答えを導き出すカギは、日常生活の中にありました。ヒントは「たわし頭」にあった!?娘とのある会話出典 : 話は変わりますが、皆さんは、毎日髪をセットするのにどれぐらいの時間をかけていますか?わが家では、娘の髪をセットするのに10~15分、私の髪も同じぐらいの時間がかかります。つまり、毎日30分近くを髪をセットするためだけに鏡の前に立ち続けている計算になります。決して特別な髪型やオシャレをしているのではなく、たわしのような髪についてしまった寝癖を直すため、いったん髪の毛を根本から濡らしてドライヤーをあてて伸ばさなくてはならないのです。そうしなければ、瞬く間に髪は広がってぼさぼさになり、不潔に見えてしまいます。2日で1時間、1週間で3時間、1ヶ月でなんと10時間越え!「一度も髪を梳いたことがない」という美しい髪の持ち主である姪っ子を見るたびに、毎朝たわし髪と格闘している私たち親子は一体なんだんだろう?とがっくりきてしまいます。ある日、娘とこんな会話をしました。出典 : 娘「ママ、せっかくこうやって髪型を整えても、姪っ子ちゃんの方がきれいに見えるね…」私「そうだねぇ。頑張ってるんだけど仕方ないよね。こういう髪を持って生まれたんだもんね。」娘「他の髪に変えてもらうわけには…いかないよね。」私「そうだよね。この髪で生きて行くしかないんだから、嘆くよりも、どうやったらこの爆発的な頭を清潔に見せられるか、テクニックを磨くしかないよね。」娘「そのかわり、私にも誰かから『うらやましい』と思ってもらえるところがあるのかなぁ?」私「きっと持ってるよ。生まれ持ったスペックってみんな全然違っていて、良いのも悪いのもごちゃ混ぜになってるからね。あなたが当たり前だと思っていることが、誰かにとっては羨ましくて仕方のないところだったりするんだよ、きっと。」娘「そっか。自分では当たり前だと思ってることが、他の人にとっては手に入れられないものだったりするんだね。髪のキレイな人が私の苦労を知らないのと同じだね!」そんな話をしてから、娘は毎朝、自分で髪を整えるようになりました。もちろんブラシでとくだけでは清潔に見えないので、また一から私が濡らしてセットをするのですが、「なんとかしてみよう!」という気持ちが嬉しくて、頭をなでながら「きれいにできたね」と声をかけるようにしています。そうしているうちに、発達障害の特性もこれと同じじゃないかな?と思うようになりました。発達障害は、人が生まれながらに持った「スペック」のひとつ出典 : 発達障害の人が抱えるさまざまな特性は、生まれ持ったスペック(=仕様)であって、誰かと取り替えることもできなければ、努力したからといって仕様自体を根本から変更することもできません。たまたま大勢の人が装備しているスペックとは異なるものを持ち合わせてしまったので、同じ世界では生きづらく感じることもあるでしょう。けれども、それは決して卑屈になるようなことではなく、自分のスペックを最大限に生かすことができれば、とても個性的で魅力的な人間になれるのではないかと思うのです。ただ、その他大勢の方が手にする「マニュアル」は通用しません。自分なりのマニュアルを作る作業が必要です。まずはしっかりと自分の装備を確認することで、どんな環境でなら自分が穏やかに暮らせるかを知り、どんなコミュニケーションの取り方なら相手も自分も楽しい時間を過ごせるかを模索する。それが特性を抱えて生きていくということなのではないでしょうか。100人いれば、100通りの答えがある出典 : 「発達障害ってなに?」「僕はみんなとは違うの?」そんな問いに対するわが家なりの答えが出たような気がします。思うに、「発達障害」という言葉は「こういうグループに属する」という記号のようなものです。そのグループの中には「個性」では済まされないほど深刻に悩んでいる方もいれば、悩みながらもなんとか社会生活を送ることができているという方もいらっしゃると思います。また、他人から見れば「個性」といえるような特性であっても、当人は非常に苦しんでいるというケースもあるでしょう。100人いれば100通りの「発達障害って何?」に対する答えがあるのです。それを単純に「発達障害は個性だ」「いや個性ではない」と議論するのは、あまり意味がないような気もします。いろんな答えがあっていいんです。それが当たり前なんです。いつかお子さまから「発達障害ってなに?」と聞かれた時、あなたならどう答えますか?お子さまが劣等感を抱かず、その答えを胸に前向きに生きていける。そんな答えが見つかるといいですね。
2017年02月07日孫のためにプレゼントを選ぶ祖父。しかし違いが…わからない!Upload By 荒木まち子Upload By 荒木まち子発達障害の娘が、5才の頃お気に入りだったのが…出典 : これまで、発達障害の娘が乳幼児の頃に好きだった本をご紹介しましたが、今回は娘が5才の頃お気に入りだった絵本をご紹介します。娘がハマったのは「ノンタン」でした。出会いは病院の待合室にあった「ノンタンおやすみなさい」という絵本です。夜なのに眠くないノンタンが、友だちのところに行くお話に娘はドキドキワクワク…。そこから娘は、ノンタンの魅力にハマっていったのでした。Upload By 荒木まち子(ノンタンあそぼうよ2)ノンタンおやすみなさい (キヨノサチコ/作・絵偕成社)ノンタンシリーズの楽しさは、ストーリーの多様性とリズム感出典 : ノンタンにはたくさんのお話があります。風船ガムで空を飛ぶ「ほわほわほわわ」、ボールをどんどん追いかけていく「ボールまてまて」のような話の展開を楽しむもの。ゴミをちらかしっぱなしにする「ぱっぱらぱなし」や、ブランコを独り占めする「ぶらんこのせて」など、ルールを教えてくれるもの。そして「およぐのだいすき」や「たんじょうび」のような優しさを描いたもの…。また、ノンタンの絵本は文字のリズム感がとても良く、娘もよく一緒に口ずさんでいました。何度読んでも娘はお気に入りの場面で笑ったり、ノンタンのマネをしたりと、飽きることがないようでした。ノンタンあそぼうよ(21点各1冊セット)(キヨノサチコ/作・絵偕成社)娘の心をつかんだ理由は、ノンタンの性格にありました出典 : そんな優しいノンタンですが、決して大人が望むような「良い子」ではありません。いたずらが大好きで、わがままなところもあります。周りの言うことを聞かずに自分がしたいことをします。「失敗から学ぶタイプ」の代表のようなキャラクターです。でもそこが、子どもの心をつかむのでしょう。娘がノンタンシリーズで1番気に入っていたのは、『がんばるもん』です。娘は小さい頃、病気やケガで入院したことが何度かあったので、特に共感したのだと思います。Upload By 荒木まち子ノンタン がんばるもん(キヨノサチコ/作・絵偕成社)ノンタンが大好きすぎてヒヤヒヤしたこと出典 : 才の誕生日のとき、娘は祖父母に「誕生日プレゼントはノンタンのぬいぐるみが欲しい」と、お願いをしました。ところが祖父母が買ってきたのは…キティちゃんのぬいぐるみでした。(しかも特大)私は娘が大泣きするのではないかとヒヤヒヤしましたが、娘は「おじいちゃん、おばあちゃんはお年寄りだからノンタンがわからないのね。しょうがないか…」と納得してくれて、私は心からホッとしたのでした。もっと小さなお子さんにはコチラ出典 : 小さいお子さんには「赤ちゃん版ノンタン」シリーズもお勧めです。絵本ではないですが、ノンタンにはパズルやひらがなや数字が学べるボードブックなど、関連グッズが多くあります。Upload By 荒木まち子赤ちゃん版ノンタン 全9巻(キヨノサチコ/作・絵偕成社)Upload By 荒木まち子(ノンタンボードブック) ノンタン あいうえお(キヨノサチコ/作・絵偕成社)木製パズル「ノンタンあそぼうよ」株式会社コンセル
2017年02月06日LDっ子長男が宿題を嫌がるのには理由があるけれど…出典 : 小5の長男は学習障害(LD)の診断を受けていて、「書く」ことが苦手です。特に「プリントに答えを書く」「漢字の書き取りをする」ということは、彼にとっては大変苦痛のようです。また文字を書くことが困難なことに加え、見通しを持つのも苦手なので、冬休みの宿題では文字を書き込むところがたくさんある宿題のプリントが数枚あるのを見たとたん、「こんなにたくさん!ぼくにはムリだよ、死んじゃうよ~!」と、転学して以来初めての大パニックを起こしました。「2週間あるから、分けてやれば1日分の勉強は少しだけで済む」というのが、頭ではわかっていても感情的に受け入れられないようです。とにかく「目の前にあるたくさんのプリントをやらなくてはならない」というプレッシャーに押しつぶされてしまうのですね。宿題を前にパニックを起こし大泣き!そんな長男に対して親が出来ること出典 : これまで宿題に悩み苦しむ長男の様子を見てきた父親は、今回の宿題に対しても「やらせる必要ないよ。学校にも僕から話をするから!」と言っていました。私も正直、悩みました。パニックを起こし、大泣きしながらまでやらせる必要があるのだろうか…。正直、親として、「この子にとって、書き初めはなんの意味があるのだろう?」「この課題は、どうしてもプリントに書いて取り組まなくてはできないことだろうか?」と考えてしまいます。とはいえ、最初から「うちの子には無理なので、必要ないので、やらせません」と言っていいのだろうか…と悩みもしました。特別支援学級では、彼のレベルに合わせて今の彼に必要な課題を出してくれているのがよくわかるのです。それなのに「イヤだからやらない」をこれからも通していくのは、彼にとっていいことなのだろうか、と。いろいろ考えた結果、「長男にとって、冬休みの宿題を少しでもやりやすい形に工夫してやらせる」ことにしました。工夫①: 文字を書くハードルを下げてあげるUpload By みくたくママ右側が、学校から渡された書き初め用紙です。不器用な長男にとっては、少しでもマスが大きい方が書きやすいので、同じA4用紙に収まる範囲で最大限に拡大コピーをしました。それが左側の用紙です。用紙の大きさは変えなかったのは、学校の書き初め展で展示されるときのためです。Upload By みくたくママ九九表を書くプリントや、掛け算割り算が20問ずつあるプリントも、量を見ただけで「無理だ~!」となってしまいます。そこで、書く負担を減らしてみようと、「単語カード」を使っての計算問題にしてみました。単語カードを使った勉強は、長男にとっては「一問ずつの提示でプレッシャーがない」「書く負担がない」という点から合っているようです。また、彼にはこのような形で毎日繰り返すことが記憶の強化につながりやすいようで、単語カードは漢字の読みを練習するのにも使っています。工夫②: 見通しを持つため宿題を細かく分けてあげるUpload By みくたくママどんなに口で「一問ずつでもいいよ」と言っても、たくさん問題があるのを見るだけでプレッシャーに感じて苦しくなってしまう長男。そこで、プリントを一問ずつ切り離し、一枚ずつ提示するようにしました。不思議なもので、1枚ずつ提示すると落ち着いて取り組むことができ、調子がよければ「もう1枚やってみる」と自分から取り組むことができました。算数の文章題については、学校と相談して、式を立てることが出来れば計算は電卓を使っていいことにしています。Upload By みくたくママお手本を一行ずつに切り離し、「一日にこれだけ書けばいいんだよ」と、視覚的な負担感をやわらげました。一行(十文字程度)なら、なんとか集中して丁寧に書くことができました。書くときは、上の写真のように、マスのすぐ横にお手本を置いて、視線を大きく動かすことなく視写しやすいようにしました。画数の多い漢字を書くときは、横で私が一画ずつ書くのを真似して書きました。「宿題がイヤだ」には理由がある!大事なのは「その子に合った勉強法」であること出典 : 宿題が「イヤだ、やりたくない」は、彼にとってはわがままではなく、ちゃんと理由があることです。だったら、その理由を考慮して、彼に合わせた形で勉強できるように工夫すればいいのではないか。そう思って、上に挙げたような工夫をしたところ…「やだな~」とは言いながらも、泣いたりパニックを起こしたりすることはなく、毎日少しずつの宿題をこなすことができました。「このぐらいだったら大丈夫だから、もうちょっとやってみようかな」と言うこともありました。以前にもコラムに書いたように、「その子に合った勉強法」であれば、勉強に苦手意識を持つ学習障害の子どもであってもすすんで学習に取り組むことができることを、今回改めて実感しました。
2017年02月06日も~、また食べ散らかしてる!そう思ってみかんの皮を拾いに行ったら…Upload By ラム*カナADHDがある長男は、現在小学1年生。ある日、長男が登校後、床にみかんの皮が落ちていることに気付きました。さては、ファンヒーターの前でぬくぬくしながらみかんを食べ、皮の始末を忘れたのでしょう。まぁよくあることです。「んもー!食べっぱなしでー!」と軽くプンスカしながら拾いに行ったら…Upload By ラム*カナすっごく笑ってました。長男のこのセンスが好きです。Upload By ラム*カナ著書『カラフル男子牧場 -ADHD長男とお調子者次男の兄弟物語- 』
2017年02月04日卒園式の練習を毎回逃げ出すちひろくん。そこには彼なりの理由がありましたUpload By モンズースーもうすぐ卒業、卒園の時期になりますね。長男の通う支援の幼稚園でも昨年の春先、卒園式の練習をやっていました。卒園式など行事の練習は、待ち時間が多く静かにしなければならないので、凸凹のある子どもたちは苦手な様子。私はちひろくんの逃走も、待ち時間に飽きたのが原因なのかな…と思っていましたが、違ったようです。彼は卒園をきっかけに、お友達や先生とさよならするのが嫌だし、幼稚園に来られなくなるのが嫌だったのですね。それに加え、「卒園式は大好きなママが泣くから嫌」、という話も聞きました。また、支援の幼稚園には色々な地域の子どもが通うので、進学先もみんな違うことが多いのです。Upload By モンズースー例え同じ地域でも、支援学校や支援級に分かれたり、同じ学校でも知的クラスと情緒クラスに分かれたり。息子の通っている幼稚園でも、殆どの子がたった1人で新しい環境に行かなければなりませんでした。卒園するとお友達と離れ離れになってしまう…ちひろくんにはそんな寂しさや不安もあったのかもしれません。卒園から半年後、ちひろくんに会う機会がありましたUpload By モンズースー卒園から半年後、ちひろくんの通う小学校へ見学に行く機会がありました。新しい環境で頑張っていたちひろくんには笑顔が見られ、きっと不安なこともたくさんあったと思いますが、とても成長を感じました。そんな笑顔に、私も何だか安心しました。よく自閉傾向の子などに「他人に興味なんてない」「この子に何言っても伝わらない」なんて言う方がいますが、子どもたちは私たちが思っている以上に、より多くのことを知っているし考えているように思えます。確かに、「他人への興味が薄かったり」「言われたことをすぐに理解し反応できなかったり、伝わりにくい」場合もあるかとは思います。ちひろくんも言葉をあまり話す子ではありませんし、気持ちのコントロールが苦手で人や物に当たることもありました。このため、本人の困りごとが理解されず誤解されることも多いですし、迷惑行為は本人も周囲も過ごしやすくなるような支援が必要でしょう。でも学校が楽しくて、先生やお友達と一緒にいることが好きで、お母さんが大好きな優しい子なのだと、私は思います。理由が聞けたらいつもと違うかわいい素顔を知ることができました。
2017年02月03日お話が苦手な次男のために、保育園の先生が提案してくれたもの。それは…出典 : 発語がみんなより遅く、お話があまり得意ではない次男。生活のほとんどを「かして」「あけて」「ぎゅうにゅうちょうだい」で乗り切っています。さしづめ「ハロー」「センキュー」「マネー」「プリーズ」だけで海外生活をしているようなものでしょうか。そんな彼が、「よりスムーズに周囲とコミュニケーションを取れるように」「周りの状況を把握し、見通しとなるように」と、保育園の先生が絵カードを作ることを提案してくださいました。今や誰でも簡単に手に入る絵カード。手軽に作れるし、お願いしちゃおうかな出典 : 私が知っている絵カードといえば、インターネットなどで無料で配布されているイラストをプリントアウトしたものが定番です。私もよく、絵カード用イラストをスマートフォンにダウンロードしていました。このように、絵カードは買ったりしなくても手軽にすぐ手に入る時代です。先生にわざわざ保育園用の絵カードを作って頂くのは手間になるし、恐縮ではあったものの、まあプリントアウトして頂くだけなら甘えてもいいかな…と、お願いすることにしました。そうして出来上がったカード。見せてもらうと…出典 : しかし、出来上がった絵カードを見てびっくり…!なんと、先生の愛情がこもった手描きの絵カードだったのです。そして更に驚いたことに、色は同じクラスのお友達が塗ってくれたのだそうです。Upload By OKASURFERUpload By OKASURFERUpload By OKASURFERUpload By OKASURFER最後の「うがいカード」は、さすがに体調が悪そうなのでお蔵入りになりましたが…。(笑)先生とお友達の手によって完成した絵カードは、次男の「次の見通しをつけるために」活用できているそうです。また、次男以外のお友達も絵カードに興味を持ち、ときには一緒に活用しているのだとか。手作り絵カードがもたらした、暖かな気持ち出典 : 先生のご配慮で、心のこもった世界に1つだけの絵カードが出来上がりました。今はこちらの絵カードをコピーしたものを、私も自宅で使わせてもらっています。クラスのお友達にとって、「支援する」「支援される」という意識が芽生える前から「絵カードがあると、スムーズに生活できるお友だちがいる」ということを、なんとなく感じてもらえていたら…本当に嬉しいです。一方、次男の保育園のように理解のある先生がいらっしゃることは単にラッキーだっただけで、実際には協力的でない保育園や幼稚園もあるかもしれません。それでも諦めずに声を挙げてほしいなと思う一方で、私が特に気をつけていることは、「クレクレ星人」にはならないということです。「うちの子を支援してくれ」というだけの態度ではなく、「クラス・園単位でみんなが過ごしやすくなるように」という目線でいることが大切だな、と思っています。そういう立ち位置でいるうちに、いつのまにか協力者が増えていくような気がします。「自分も、相手も、無理なく。」それが合理的配慮の原則だと、私は感じています。日々のお忙しいお仕事の中でもこうしてクラス全体を見渡した暖かい配慮をして下さった先生には、感謝してもしきれません。寂しいけれどこれから先、健常のお友達と次男の人生が交差することは無いのかもしれません。それでもどこか心の隅で、「絵カード」の存在を覚えていて、それによって助かる人がいると知ってくれていたら、とっても素敵なことだな…そんなことを考えながら宝物の絵カードを眺めています。
2017年02月02日石鹸が痛い!?息子が「触覚過敏」だとは、まだ知らなかった頃…出典 : 発達障害がある人の中には、「聴覚過敏(音に敏感)」や「触覚過敏(肌の感覚が敏感)」がある人もいる、ということはよく知られています。私が息子の触覚の過敏さを疑い始めたのは、毎日の入浴がきっかけでした。息子の場合、シャワーを嫌がることはありませんでしたが、少しでも石鹸が身体に残っていると「お母さん、痛い!!!流して!!痛い!!!」と顔をしかめるのです。最初は石鹸が身体に残っていることが単純に気になっているだけなのかと思いきや、背中やお尻など、本人から見えない場所に石鹸が残っていても、息子はすぐに察知するのです。そして、半ばパニックになりながら、「痛い!!!痛いよぉお!!はやく、はやく流してぇぇ!!」とジタバタ暴れるのでした。触覚過敏のある子は、赤ちゃんの頃に抱っこされるのを嫌がったり、触られるのを嫌がったりすると言われていますが、息子が赤ちゃんの頃は触れられるのを嫌がるようなことはなかったのに…。当時はまだ発達障害の診断が出ていませんでしたが、私の中で「この子の感覚は何かが違う…」と思った最初の出来事でした。冬場、いつも薄着だった息子。どうしてジャンパーを着てくれないの!?出典 : その他にも、触覚過敏なエピソードはあります。息子はナイロン製のジャンパーやダウンジャケットを着ることができませんでした。ズボンもジーンズ素材は履けません。でも、親戚や友達から頂いたりしたジャンパーなどは、くださった方にも申し訳なく、なんとか息子に着せようと私は頑張っていました。そのたびに息子は絶叫…!その嫌がり方は常軌を逸していましたが、当時の私は「着て!!いいから着なさい!!」と涙目の息子を押さえつけ、服を着せようとしていました。息子は真冬でも雪が降っていても、薄手のフリース素材や綿のコートしか着ようとしませんでした。当時通っていた保育園から、「砂や葉っぱが落としづらいので、なるべくナイロン製のジャンパーで来てください」「1人だけ寒そうなので、もうちょっと暖かい上着を…」と繰り返し言われていましたが、息子はナイロン製のジャンパーを決して受け付けませんでした。あるママ友との会話で、突然解けた謎出典 : そんな生活にほとほと疲れていたある日、発達障害のお子さんを持つママ友とお茶する機会がありました。そのママ友がぼそりと話したことが、私の疑問に全て答えてくれる内容だったのです。ママ友「シャワー浴びるとき、毎日絶叫するんだもん。とにかくすごい泣き方で。お隣さんが心配して電話かけてきたぐらい。発達障害って分かって理解できたよ。触覚過敏で、シャワーが痛かったんだよね」シャワーが痛い!?これを聞いたとき、身体に残った石鹸を「痛い!!痛い!!」と泣き叫ぶ息子の姿に繋がったのでした。これまで嫌がっていたものは、ほとんど触覚過敏が原因だった!出典 : このママ友との会話がきっかけで、息子は発達障害の診断に結びつきました。診断がおりたとき、これまで私は何も知らずに息子にひどいことばかりしてきたことに気付いたのでした。・ナイロンのジャンパーやジーンズを嫌がること・風が吹くたびに「痛い、苦しい」としゃがみこんでしまうこと・前ボタンのある洋服を全力で拒否して逃げ回ること・歯磨きのたびに「痛い痛い」と泣くこと・ぬかるみに足が触ると大泣きしてしまうこと…全て、息子が冗談か我儘で大騒ぎしているのかと思っていました。そのたびに私は「痛いのなんて気のせい!」「やりなさい!」と厳しく叱っていたのです。でもそれは、気のせいなどではなかったのです。息子は、本当に痛かったのです。治るものではないけれど、付き合い方は工夫できる出典 : これまでいろいろ調べ、主治医や療育先にも相談してきましたが、触覚過敏はそう簡単になくなるものではないようです。息子は成長していろいろなことに取り組むことができるようになりましたが、様々な過敏性はまだ残っています。ただ、大きくなってくると「これは痛いから、こっちにして欲しい」などの要求をしっかり口に出してくれるようになりました。これができるようになると、訳も分からず痛みでパニックになるようなことも少なくなります。今では、本人も私も触覚過敏とうまく付き合いながら生活することができるようになりました。大切なのは触覚過敏をなくすことではなく、いかに苦痛を和らげながら生活ができるかを、子どもと一緒に考えていくことなのかもしれません。発達障害の子どもが感じている「痛み」は、気のせいでも我儘でもなく本当の「痛み」なのだと知ることが、まずは大きな第一歩なのだと私は思います。
2017年02月02日我が家でも大流行中!PPAPの替え歌遊び♪Upload By SAKURAいま流行っているPPAPの歌。5歳で広汎性発達障害の娘は、あの歌が大好きです。我が家ではあの歌をアレンジしてよく遊ぶのですが、娘はコレが大好き!自分で言いたいと、言うのでやらせてみると…。Upload By SAKURA…ロンリーなパパが出来ちゃった(笑)。
2017年02月01日視空間認知とは出典 : 視空間認知とは、目から入った視覚の情報を処理し、空間の全体的なイメージをつかむための機能です。ものとの距離感や奥行き、文字や形を把握するときに使われます。目でとらえた映像は、そのままだと「点」「線」「色」などの単なる情報にすぎません。しかし、私たちは「3本の縦線」を見ると漢字の「川」であることがわかりますし、平面である地図の情報を見て、自分の現在地がどこかを把握し、実際に目的地までたどり着くことができます。これらはすべて視空間認知の機能のおかげです。このように視空間認知機能とは、視力とは異なり、はるかに幅広く複雑なものです。「ただ単にものを見る」ための視覚のシステムは生まれたときにはほぼできあがっていますが、視空間認知は発達とともに身についていくものです。この機能を身につけていくためには、実際にものを見たり触ったり、興味のあるものを目でとらえて手を伸ばしたりと、空間の中で目や体を使う経験が必要です。さて、視空間認知は「見たものの全体像を把握する機能」ですが、その機能はいくつかの要素に分けて考えることができます。・対象と背景を区別するはたらき・形や色を認識するはたらき・形・方向に左右されず、同じ形を「同じだ」と把握するはたらき・ものともの(あるいは自分ともの)の位置関係を把握するためのはたらき詳しくはのちほどの章でご説明しますが、これらの4つのはたらきにより視空間認知機能は構成されています。また、視空間認知機能は、運動機能や記憶力とも関連する重要な機能であるといえます。脳で処理されたイメージが鮮明であればあるほど、即座に反応して体を動かすことができますし、複雑な形も覚えることができます。逆に、この機能に弱さのある場合には、ものを覚えることや、体を動かすことに対して苦手を持っていることが多くなります。視空間認知の力が弱いとどうなるの?出典 : 私たちは日常生活のさまざまな場面で視空間認知の機能を使いながら過ごしています。学習や集団での行動につまづきがある子どもの中には、その背景に視空間認知の問題が潜んでいることがあります。視空間認知に課題がある場合には、以下のような姿が見られることが考えられます。例えば、【生活】・探している本を本棚から見つけることができない・ぬり絵をするとき、枠からはみ出たり、すきまだらけになってしまう・人の顔をなかなか覚えられない【学習】・教科書の中から特定の単語を探し出すことができない・文字(漢字やひらがな・アルファベットなど)をなかなか覚えられない・図形の問題が苦手【スポーツ】・ダンスを見て覚えたり、まねしたりするのが苦手・飛んでくるボールをうまくつかむことができないこれらの項目に多く当てはまる場合には、視空間認知機能に弱さが見られる場合があります。視力の問題はともかく「見えにくさ」の問題は、子どもが自ら気づくことは少なく、周りもなかなか気がつかないことが多いです。視空間認知が成立するまでの「見る」ことのメカニズムって?出典 : そもそも、私たちはどのようにものを「見て」いるのでしょうか。ものを見るために必要な機能はさまざまです。視空間認知機能は、たくさんの「見る力」のうちのひとつの機能にすぎません。「見る力」と聞いてまず思い浮かべるのは視力でしょう。視力とは、目に見える物体を鮮明にとらえる力のことで、止まっているものの形を見分ける力です。しかし、たとえ視力がよくても「見る力」のはたらきが優れていとは限りません。「見る力」は、「入力」「情報処理」「出力」という3つのステップから捉えることができます。この3つは関連し合っており、この3つのうち、一つでも欠けてしまった場合には「見えにくさ」が生じ日常生活に支障があらわれてしまいます。Upload By 発達障害のキホン1.【入力】にあたる「眼球運動」…動いている物体を目で追う、ピントを合わせる2.【情報処理】にあたる「視空間認知」…目で見た情報を脳で処理する3.【出力】にあたる「目と体のチームワーク」…目で見たものに合わせて体を動かすこのうち視空間認知は「情報処理」の部分にあたります。ではこれから、私たちがものをどのように見ているのかのメカニズムを3つのステップに分けてお伝えします。Upload By 発達障害のキホンものを目で追ったり、視線をすばやく動かしたり、両目を寄せたり離したりするのが眼球運動のはたらきです。このはたらきは「入力」の部分にあたり、目の動きが適切に行えることで、情報をくまなく目から取り込むことができます。眼球運動には、以下の3つの種類があります。◇ものを目で追う「追従性眼球運動」一本の長い線や、本に書かれた文字をゆっくりと追いかける眼球運動のことです。見ているものの動きに合わせて滑らかに、動いているものと同じ速さで眼球を動かすことです。また、ひとつのものに焦点を絞って見つめ続けることも、追従性眼球運動のひとつです。例えば以下のようなとき、追従性眼球運動がはたらいています。・飛んでいる飛行機を目で追う・書き順を目で追う・ものをじっと見る◇視線をすばやくジャンプさせる「跳躍性眼球運動」すばやく、一点から別の一点へ視線を動かす眼球運動のことです。飛び石から飛び石へ視線を移していくというイメージがわかりやすいかもしれません。この眼球運動は、多くのものの中から必要な情報を早く、正確に見つけるために必要なはたらきです。例えば以下のようなとき、跳躍性眼球運動が働いています。・黒板とノートを交互に見る・人ごみの中から探している人を見つける・本を読む際、次の行に移る◇見るものに合わせて右目と左目を離したりする「両目」のチームワーク普段意識することはないかもしれませんが、私たちは両目を使うことにより物の距離感や立体感をつかんでいます。片目を閉じて、周りを見渡してみてください。片目で見るときには周りの景色が写真のように見えるのではないでしょうか。写真ほどではなくても、見え方に少し違和感があると思います。ものとの距離に合わせて、右目と左目の視線を変化させています。つまり、対象物に焦点を合わせるために、近くのものを見るときには両目を真ん中に寄せ、そして遠くのものを見るときには両目を離しているということを指します。これら3つの眼球運動が正しく機能することにより、情報を目から取り入れる「入力」という第1ステップが完了します。Upload By 発達障害のキホン第1ステップで「入力」された視覚情報は脳へ伝わり、「情報処理」という第2ステップへと引き継がれます。この情報処理の段階ではじめて、本記事のテーマとなる視空間認知の力が発揮されます。視空間認知は、目から入った情報を脳で把握する能力です。空間の一部ではなく、全体像を把握するはたらきがあります。ただの点や線だった情報が、一つの形として具体的にイメージすることができるのは空間認知のはたらきのおかげです。空間認知のはたらきは4つに分けて考えることができます。◇見たい対象と背景を区別するはたらき私たちは、目に入るすべての情報から、必要な情報だけを選びとって、ものを見ています。これは、その対象物と背景を見分ける力があるおかげです。たとえば町の中でも、道路を渡るときには信号を見たり、目の前に飛び込んでくる自転車を見てよけたりなどと、必要な情報だけを選びとって見ることができるのは、「対象と背景」が区別できているからです。◇形や色を弁別するはたらき目から入った情報を分析し、形や色、輪郭などを認識するはたらきです。例えば、さまざまな色や形のビーズの中から、色・形ごとに正しく分けることができるのはこのはたらきのおかげです。そのほかには、お絵かきやぬりえをするときにも、図形の問題を行うときにもこのはたらきが役立っています。◇位置や色・形の不揃いにかかわりなく、「同じ」ものだと認識するはたらきこれは背景や位置、大きさ、多少の乱れがあっても、同じものを同じであると認識するためのはたらきです。例えば、書体が違っても筆記体でも「A」を同じ文字として認識することができるのはこのはたらきのおかげです。また文字や図形に限らず、人の髪型や化粧が変わっても、同じ人であるとわかるのもこのはたらきのおかげです。◇空間的な位置を把握するはたらき目で見たものを立体的に把握して、空間の中で位置関係や向きを認識する力です。ものと自分との距離感、奥行きの感覚を把握します。上下・左右などの判別や、ものをつかんだりするために必要な能力です。Upload By 発達障害のキホン第1ステップで情報を目で見て、第2ステップで脳の中で認知された情報をもとに、私たちは体を動かします。これは、「入力」「情報処理」の次のステップの「出力」にあたります。「目と体のチームワーク」とは、視覚のはたらきと体の動きを連動させることです。例えば「赤信号を見て横断歩道の手前で止まる」ことを例にあげて考えてみましょう。1.赤信号を目でとらえる2.脳が体に「止まれ」という命令を出す3.脳から送られた命令に従い、体が反応し立ち止まるこのように、視覚の情報をもとに体を動かしています。私たちは、これらの一連の動きを普段意識することなく瞬時に行っています。「見る」と「動く」という能力のつながりは生まれたばかりの赤ちゃんにはなく、心身の発達とともに身につけられていくものです。これらの3つの「眼球運動」「視空間認知」「目と体のチームワーク」を合わせて「見る力」といいます。視空間認知などの「見る力」に弱さがある場合の原因は?出典 : 「眼球運動」「視空間認知」「目と体のチームワーク」という3つの「見る力」がすべてスムーズに行われることにより、私たちはものを見て、それに即して体を動かすことができています。しかし、これらの力が一つでも欠けていたり、足りなかったりした場合には生活に支障をきたすことがあります。「見る力」が弱いときに抱える困難は一人ひとり異なっています。たとえば、ものが二重に見えたり、鏡文字のように反転して見えたり、見たいものにすばやく目線が合わせられないなどです。困難のもう一つの原因として、生活の中で「見る力」を育てる機会が少ないことが考えられます。室内でテレビやゲームをしたりする遊びばかりしていると、近くと遠くを見たり、動くものを目で追ったりする機会が減ってきます。そのような場合には、見る力を育む経験、例えば鬼ごっこやボール遊び、自然の中で空を見ることなど取り入れ、見る力を鍛える機会を作ることが大切です。発達障害がなくても「見る力」に問題が出てくる場合もあることを知っておくとよいでしょう。このような「見えにくさ」の背景に発達障害がある場合があります。発達障害とは、何らかの要因によって、脳の機能の一部に機能不全が見られる状態であり、発達が遅れたり、偏ったりすることです。具体的には、LD(学習障害)やADHD(注意欠陥性多動性障害)などの子どもは「見えにくさ」を抱える場合が多く、主に学習場面での「読み書きができない」問題としてあわられてきます。視空間認知能力を測るためには?出典 : 視空間認知能力を測るにはいくつかの方法があります。自分で行うセルフチェックと専門機関に見てもらう方法です。本来、子どもの見る力を確認するには専門家の検査が必要ですが、簡単なチェックリストでも状況を把握することができます。以下のチェックリストの中で、チェックが多く当てはまれば視空間認知に課題があることが予測されます。漢字やひらがなの書き間違いが多い。覚えた漢字やひらがなを思い出すのに時間がかかる。または思い出せない。よく鏡文字を書く。うまく描けない図形がある。またはお絵かきで書いたものが周りの人に伝わらない。文字を書くときに、マスや行からはみ出す。また、読めないくらい形の乱れた文字を書く。筆算で桁をそろえて書くのが苦手で、書いているうちに位がずれてしまう。はさみで切る、ボタンをはめる、ひもを結ぶといった、手を使った作業が苦手で、不器用。ボールを投げたり、キャッチしたりするのが下手で、球技が苦手。ラジオ体操やダンスを見て覚えたり、まねしたりするのが苦手。鍵盤ハーモニカやリコーダーなどを演奏する時、鍵盤や穴の位置をよく間違えてしまう。左と右をなかなか覚えられず、よく間違える。方向音痴で、よく道を間違ったり、迷ったりする。家具や歩いている人などによく体をぶつけたり、つまずいたりする。北出勝也/監『発達の気になる子の学習・運動が楽しくなる ビジョントレーニング』p25 2015年/ナツメ社/刊ここにたくさんのチェックが当てはまる場合には、空間認知の弱さがあると考えられます。ここのチェックに当てはまらないけれど、子どもに「見る力」に問題があるのではないかと疑う場合には、「眼球運動」や「目と体のチームワーク」の領域に課題があるのかもしれません。子どもの視覚認知を評価するために、さまざまなテストが開発されています。例えば、視覚能力評価テスト、「見る力」理解力テスト、未就学視覚運動評価、K-ABC検査、視知覚スキル検査、運動除外視覚認知テストなどです。これらのテストは、自閉症スペクトラム症やADHDなどの発達障害のある子どもたちの特性を把握するときにも使われることがあります。検査は、テストごとに年齢は異なりますが、最も幼い場合2歳から受けることが可能です。検査は視覚機能のトレーニングセンターや、視覚発達支援センターで受けることができます。場合によっては、「見る力」の専門家がメガネ屋さんにいることもあります。それ以外に発達検査や知能検査を受けたい場合には、公的病院や民間病院で検査を受けることができます。精神科や臨床心理士による検査が受けられる病院を受診するといいでしょう。「児童発達支援センター」などで受けることもできます。現在、診察希望の人が多いために実際に受診するまでには、予約から長い時間がかかることもありますので、ご了承ください。小児眼科を専門とする医師|日本小児眼科学会HP視空間認知能力って鍛えられるの?出典 : 視空間認知能力に限らず、「見る力」はトレーニングにより鍛えることが可能です。「見る力」の弱さを克服するために、よく利用されているのはビジョントレーニングです。ビジョントレーニングとは、「見る力」を高めるための訓練の方法であり、子どもに限らず、スポーツ選手など大人にも取り入れられています。ビジョントレーニングを行う専門家は大きく分けて2種類あります。視覚訓練士といわれるプロが行う場合には、スポーツ選手や大人に行われることが多いです。また、発達臨床心理士、発達支援員などの発達に関する専門家により行われる場合は、他の発達で課題となる領域と合わせて行われます。専門家が行う場合には、検査を行うことから始めます。視力、眼球運動、視空間認知、目と体のチームワークのうち、どこに課題があるかを把握し、それぞれの過大に合わせてオリジナルのトレーニングが提供されます。見る力の弱さがどこにあるかの原因・分析をしたり、プログラムを組んだりすることを望む場合には、専門家に一度相談してみてください。◇おうちでできるビジョントレーニングビジョントレーニングは、専門家にかからずとも自宅や学校でも行うことができます。専門家にかかるには大幅に時間をとる必要がありますが、おうちで行う場合には、おやつの時間やすきま時間などに簡単に取り組むことができる点がメリットです。現在ビジョントレーニングに関する本がたくさん出版されているので、本を参考にしながら行っていくとよいでしょう。専門家ほど詳細ではありませんが、チェックシートが添付されていることもがあるので、どの部分に課題があるかどうかをおおまかに把握することができます。トレーニングは、日常的に行うことが望ましいです。推奨される時間は、3~15分と若干幅があるもののできれば毎日行っていきたいものです。・注意点個人の問題にあった適切なトレーニングを行うことです。「見る力」のうち、眼球運動、視空間認知、目と体のチームワークのどこに弱さがあるのかによりトレーニングの中身が変わってきます。まずは、「見る力」のうちどこに弱さがあるかどうかを把握することからはじめましょう。ビジョントレーニングを行う前にまず、子どもの目に異常がないか、視力は適正であるか確認しましょう。視力に問題があるのに放置をしておくと、トレーニングを行っても適切な効果が出ないことがあります。気がかりな場合には一度眼科で検査をしてもらってください。◇眼球運動のトレーニング方法眼球運動のトレーニングでは、目を上下左右に動かして、視線をスムーズに動かすトレーニングを行います。繰り返し行うことで、正確にすばやく情報を目でとらえる力が身に付きます。例えば線や点を目で追うトレーニングが考えられます。あみだくじのように、スタートとゴールを設定し、交差させたりぐるぐると渦巻いたりした線を書いた紙を準備します。スタートからゴールまでの線を目を追っていくことで、目の追従眼球運動を鍛えることができます。他にも、眼球運動には、ジャンプさせる能力である「跳躍性眼球運動」と「両目のチームワーク」がありますが、以下の動画では3分ほどでそれらの3つすべてを網羅できるトレーニングが紹介されています。(音声が流れますのでご注意ください。)◇視空間認知のトレーニング方法視空間認知を鍛えるためには、実際に「ものを手でさわって動かす」ことが有効となります。この能力をはぐくむトレーニングでは、具体物を使い、見本をもとに形を再現するような練習を行います。例えば、大人が作った見本と同じように、ブロックを作ったり、見本と同じように色を塗ったりすることで視空間認知能力を鍛えることができます。他には、服をコーディネートして写真に撮り、実際目の前に服をもってきて、同じように再現する遊びなどもよいでしょう。難易度をあげたければ、見本を見せる時間に制限をかけて、頭で記憶するように工夫してみるのもよいでしょう。また、ワークシートを使ったトレーニングもあります。机の上に置いたシートを見ながら行うので、目の細かな動きや、それに合わせて手先の動きの訓練を行うことにもつながります。ワークシートを用いたトレーニングについて、詳しくはこちらの本に載っているので参考にしてみてください。北出勝也/監『発達の気になる子の学習・運動が楽しくなる ビジョントレーニング』2015年/ナツメ社/刊◇目と体のチームワークのトレーニング方法目で見たものにすぐに反応をして適切に体を動かすためのトレーニングを行います。目と体のチームワークを高めるためには、目と体の動きを連動させるような練習をします。例えば、「↑ → ↓ ← 」などと矢印がランダムに描かれた紙を使用してトレーニングを行うことができます。2人組となり、1人が上記の矢印が描かれた紙をもち、指差していきます。もう1人の人は、指差された矢印の方向に動きます。「↑」だとジャンプする、「↓」だとしゃがむ、「→」だと右に一歩ずれる、「←」だと左に一歩ずれる、というように目で見た通りに体を動かすような練習を行ってみてください。「見る力」つまり視覚機能の能力をトレーニングする手段のひとつとして、作業療法という方法があります。「見る力」の向上のみに特化しているビジョントレーニングに対して、作業療法は身辺の自立や学習・社会参加のために必要な能力全般を向上させるためのトレーニングです。視覚機能のほかには、手先の器用さを養う微細運動や大きく体を動かす粗大運動、身辺自立など、基本的な運動能力から集団の中で生活する力まで、幅広い能力を養います。作業療法については以下の記事で詳しく紹介しているので、関心のある方は参考にしてみてください。まとめ出典 : この記事では、「見ること」のメカニズムから視空間認知のテストの方法、「見る力」の鍛え方や発達障害との関連などをご紹介しました。「見えにくさ」と発達障害には関連があると述べましたが、まずは子どもの「見えにくさ」がどこからくるのか分析をし、弱さのある部分はどこなのかを発見することが大切です。そして弱さを発見したあとに私たちがするべきことのは、その弱さにより子どもが困ってしまわないように次の手立てを考えることです。発達障害があるかないかということは、さほど問題ではないのかもしれません。「見えにくさ」の難しいところは、本人にとっても周囲の大人にも、「見えにくさ」があることに気がつかないことが多い点です。本人はその状態でずっと生活してきている上、ほかの人の見え方との比較ができないため見え方が偏っていることに気がつくことはできません。子どもの学習場面、運動場面、生活動作を観察して、「ん?」と思うことがあれば、一度「見る力」について思い出してみてください。
2017年01月31日ミュンヒハウゼン症候群とは出典 : ミュンヒハウゼン症候群は周囲の関心や同情をかったり、懸命に病気と闘っている姿をアピールし精神的満足感を得るために病気や重病であることを装ったり、自傷行為や尿検査などの検体をすり替えたり、偽造工作などを繰り返し行う精神疾患です。「ミュンヒハウゼン症候群」は1951年にイギリスの医師リチャード・アッシャーが発見しました。ミュンヒハウゼン症候群という名前は『ほら吹き男爵』という物語で知られる、ドイツ貴族ミュンヒハウゼン男爵(実在の人物がモデル)の名前から命名されました。しかしこの名前は精神医学における診断名としては確立しておらず、「虚偽性障害」という別の診断名で診断されることが多いようです。虚偽性障害は世界保健機関(WHO)の『ICD-10』(『国際疾病分類』第10版)とアメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)で定義されています。次は『ICD-10』が示す定義になります。・虚偽性障害身体的あるいは心理的な症状を意図的に捏造することが行われる障害であるが,特にその目的が経済的利益や医療上の恩恵を得るといった外的動機のためではなく患者の役割を得るという心理的動機によって行われるものを指す.出典:岡崎祐士/総編集『ICD-10精神科診断ガイドブック』(中山書店,2013)まだ日本での罹患率ははっきりとは分かっていませんが、病院の患者では約1%の人にミュンヒハウゼン症候群の診断基準を満たす病像があるといわれています。またミュンヒハウゼン症候群と関連して代理ミュンヒハウゼン症候群があります。代理ミュンヒハウゼン症候群も虚偽性障害という精神疾患の一部です。対象が自分自身ではなく代理の人に対して傷害を加え、自分に周囲の関心を引き寄せることで、自らの精神的満足を他者から得ようとします。多くの場合、対象は自分の子どもであるため児童虐待にあたります。ここでは主にミュンヒハウゼン症候群について紹介していきます。参考書籍:岡崎祐士/総編集『ICD-10精神科診断ガイドブック』(中山書店,2013)ミュンヒハウゼン症候群の主な症状出典 : ミュンヒハウゼン症候群の主な症状は、自分自身に負わせる身体的または心理的な徴候と症状のねつ造・ごまかしです。ときには病気や外傷をわざと誘発して周囲からの関心を求めています。これらがミュンヒハウゼン症候群の症状と認められるためには、保険金や休暇を得るなど個人的利益のためではなく、周囲の関心を引くために行っている場合に限ります。病気ねつ造の方法には大げさに表現したり、作り話をしたり、自傷行為などによる誘発などが含まれます。例えば神経症状(けいれん、めまい、失神など)のエピソードをごまかして周囲の人に話すといったことから、検査で異常がでるように尿に血液を加えるなど病気であるように見せかけます。または敗血症を誘発するために傷口に糞便を入れるなどの自傷行為が見られます。参考書籍:日本精神神経学会/監修『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』(医学書院,2014)ミュンヒハウゼン症候群の原因出典 : ミュンヒハウゼン症候群の根本の原因はよく分かっていません。発症する背景としてミュンヒハウゼン症候群がある方は幼少期に精神的および身体的虐待を経験している場合があるといわれています。また小児期に重度の疾患を経験した場合や重病の身内がいた場合もあります。ミュンヒハウゼン症候群の人は自己肯定感の低さや不安定な対人関係といった問題を持っていることがあります。病気を装うのは自尊心や自分に対する関心を高め、維持しようとする手段だといわれています。ミュンヒハウゼン症候群の診断基準は?出典 : ミュンヒハウゼン症候群および虚偽性障害については世界保健機関(WHO)の『ICD-10』とアメリカ精神医学会の『DSM-5』が診断基準を示していますが、ここでは『DSM-5』の「自らに負わせる作為症/虚偽性障害」の診断基準で説明していきます。自らに負わせる作為症/虚偽性障害A.身体的または心理的な徴候または症状のねつ造,または外傷または疾病の意図的な誘発で、確認されたごまかしと関連している.B.自分自身が病気,障害,または外傷を負っていると周囲に示す.C.明らかな外的報酬がない場合でも,ごまかしの行動が確かである.D.その行動は,妄想性障害または他の精神病性障害のような他の精神疾患ではうまく説明できない.出典:日本精神神経学会/監修『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』(医学書院,2014)この診断基準に当てはまる項目の他にも病歴の聴取やこれまでかかった病院遍歴などをもとに臨床的な診断をしていきます。いくつかミュンヒハウゼン症候群と同じような症状がある精神疾患があります。・詐病(さびょう)詐病とは、虚偽またはおおげさに強調された身体的・心理的不調を意図的に装うことです。いわゆる「仮病」と、広義では同じです。兵役を逃れる、仕事を避ける、金銭的な補償を獲得する、犯罪の訴追を免れる、薬物を得るといった動機が背景に存在しています。このような明らかな意図があれば詐病の診断が示唆されます。詐病と仮病との違いは、詐病の方がより大きな利益を求めて虚偽な言動を行う点です。またミュンヒハウゼン症候群と詐病との違いは、虚偽をするその目的です。詐病は利益を得るために行っていますが、ミュンヒハウゼン症候群は人からの関心を得て精神的な満足感を感じたいために行っているという違いがあります。・境界性パーソナリティ障害境界性パーソナリティ障害とは対人関係、自己像、および感情の不安定と、著しい衝動性を示す状態のことです。現実または想像の中で見捨てられることを避けようと、なりふりかまわない努力をします。例えば治療者が面接時間の終了を告げられたことに対して突然の絶望感を味わうことがあります。他にも自分にとって重要な人物がほんの2~3分遅れたり、約束を取り消さなくてはならなくなったりしたときにパニックや激怒することがあります。ミュンヒハウゼン症候群はこれらの障害と鑑別される必要があります。参考書籍:日本精神神経学会/監修『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』(医学書院,2014)ミュンヒハウゼン症候群かも?と思ったら・・・出典 : もしかすると自分はミュンヒハウゼン症候群かも・・・と思った場合、また家族が身体の不調を訴えているけれどミュンヒハウゼン症候群の可能性がある場合、どの医療科目を受診するのが良いのでしょうか?基本的にミュンヒハウゼン症候群の専門科目は精神科になります。ミュンヒハウゼン症候群である可能性が高ければ精神科を受診してください。ミュンヒハウゼン症候群かもしれないという自覚症状がある場合は本人自らが精神科を受診することをおすすめします。精神科によって専門医に正しい診断と治療の手立てを受けましょう。カウンセリングなどの治療を早期に開始することで、症状が悪化することを防ぎます。一方で本人は自覚がなくとも周囲がミュンヒハウゼン症候群である可能性が高いと気づいた場合、いきなり精神科をすすめてしまうと本人の自尊心を傷つけてしまう恐れがあります。受診を促す際の声のかけ方などを工夫したり、付き添いながら受診したり工夫が必要です。または本人がかかっている内科や外科などの医療機関にミュンヒハウゼン症候群である可能性を伝え、精神科への受診を促してもらえるように協力してもらうことも一つの手段です。ミュンヒハウゼン症候群は特別な検査はなく、問診や家族からの聞き取りなどによる臨床的診断を行います。診断はこれまでの病歴の聴取や診察に加えて、本人が訴える身体疾患を除外するために必要な検査を行います。身体症状をおおげさに表現していること、作り話をしているのかなどを証明していきます。ミュンヒハウゼン症候群の治療法はあるの?出典 : ミュンヒハウゼン症候群の治療は難しく根本的な治療法は確立されていません。しかし虚偽によって処方されている過剰または不要な薬剤の使用を止めたり、避けたりする必要はあります。そのため早期に精神科または心理士とのカウンセリングなどの治療を開始することが重要です。しかしミュンヒハウゼン症候群の方が治療へ参加するきっかけをつくることは難しいですよね。そのためミュンヒハウゼン症候群がある本人に対して病気であると告げず、家族の了承を得て精神医学的治療を行うことを推奨する専門医もいるようです。治療は本人だけでなく医師・家族の連携が必要になってきます。ミュンヒハウゼン症候群の方が積極的に治療に参加すると症状が緩和していくことがあります。逆に治療を本人の意思とは関係なく、強制してしまうと本人の自尊心を傷つけ、怒りを買ったり、医師または病院を替えてしまったりすることがあるので注意してください。まとめ出典 : ミュンヒハウゼン症候群は虚偽性障害という精神疾患のひとつです。別名で「病院はしご症候群」、「医者めぐりをする患者」と呼ばれています。本文中で述べたとおり、病院の患者では約1%の人にミュンヒハウゼン症候群の診断基準を満たす病像があるといわれています。この病気に気づきやすいのは本人よりも、周囲の人たちの方が多いと言えるでしょう。治療法はまだ確立していませんが、カウンセリングなどの精神医学的治療を受けることで症状が緩和する場合があります。周囲の人たちの本人に対する接し方などを専門家に聞くこともできます。周囲の人も本人がどうして病気を装ってまで関心を引きたいと思っているのか考え、病気が悪化・再発しない環境を協力しながらつくることが大切だと思います。ミュンヒハウゼン症候群にかかってしまった本人の背景を理解しておくことが効果的な治療たのための手掛かりとなるかもしれません。
2017年01月31日通信制高校とは?出典 : 通信制高校とは、テレビやインターネットなどの通信手段によって教育を行う高校のことです。学校教育法第4条において、通信制課程は「通信による教育を行う課程」とされています。さらに、通信制課程における教育の方法等については、「高等学校通信教育規定」に定められています。通信制高校と一口に言っても、通学日数や通学時間によってさまざまな学習スタイルがあり、自分のペースで勉強に取り組むことができます。さらに全日制高校と同じように高校卒業資格がもらえる、比較的入学が簡単であるといった点から、高校進学の選択肢の一つとして注目されているのです。もともと通信制高校は、家庭や職場の事情などで毎日学校に通うことができない子どもに対して、高等学校の教育を受ける機会を与えるという目的でつくられました。しかし現在は、対人関係に問題を抱えて不登校になってしまった、勉強中心の生活になじめなかった、発達障害があるなどといった、さまざまなお子さんが通信制高校に通っています。参考:定時制・通信制課程について|文部科学省通信制高校の分類出典 : 通信制高校は公立と私立があり、さらに単位の取り方や通学頻度によって分類できます。◇公立通信制と私立通信制全日制の高校と同じように、通信制高校にも公立と私立があります。公立の通信制高校のメリットは、私立の通信制高校よりも学費が安いことです。それに対して私立の場合は、公立よりも学費はかかりますが、卒業するためのサポートが手厚いなど、独自の取り組みを行っていることが多いです。◇単位制と学年制通信制高校の単位の取り方は、単位制と学年制の2種類があります。単位制であれば、最終的に必要な単位を3年間で取得していれば卒業することができます。それに対して学年制の場合は、進級に必要な単位を取得しなければ次の学年に上がることができません。現在の通信制高校は単位制が多く、ほとんどが3年間で卒業できるようになっています。前後期制を採用している単位制の通信制高校では、10月に入学し9月に卒業するといったこともできるようです。◇通学頻度による分類通信制高校では、定期的に登校して先生から直接指導を受ける日があり、これをスクーリングと言います。スクーリングのほかに、登校して授業を受けることができる通信制高校もあります。・集中スクーリング型自宅学習が基本で、年に数回、3日~1週間程度、スクーリングを受けます。泊まりがけで登校日があるというケースもあるようです。・週1日型週に1回、土曜日または日曜日に通学します。毎日通学するのには不安がある、あるいは平日に仕事をしているといった生徒が多く通っているようです。・週3日型毎日ではありませんが、1週間のうち決まった曜日に定期的に登校します。自分の時間を取りやすい、週5日型に比べ生活リズムを保ちやすいといったメリットがあります。・週5日型全日制高校と同じように平日に通学する通信制高校であり、最近増えている通学スタイルです。授業内容は緩やかであり、午後からは好きなことを学べる学校もあります。一般的な高校の勉強のほかに資格取得を目的とした授業や、実習・体験授業などが多いのも特徴です。・その他の通学型登校日は不定期で、一定のスクーリングを消化すれば単位を取得することができます。受講の仕方次第でスケジュールが変わってきます。通学日数が多いからと言って、単位修得につながる授業が多くあるとは限りません。学校を好きになるような特別活動を増やしている場合も多いようです。どんな活動をするか、どんなスタイルで勉強をするかは、学校ごとに異なるので、資料請求をするなど前もって調べておくと良いでしょう。通信制高校の学習スタイル出典 : 通信制高校を卒業するためにはスクーリング、レポート、試験の3つが必要です。スクーリングとは、登校して先生の指導を受けることです。科目によって出席する日数が異なります。また入学式や卒業式などの行事に参加することもスクーリングとしてカウントされます。スクーリングの出席日数に加え、定期的なレポートと期末試験によって、単位の認定がされます。通学型の通信制高校では、レポート指導の時間が設けられていることが多いため、無理なく取り組むことができるようです。ご家庭において、お子さん一人でレポートに取り組むことが難しい場合は、サポート校と組み合わせると良いでしょう。サポート校は、通信制高校におけるレポート提出や期末試験に合格するための指導をしてくれる学校であり、学習塾のようなところです。レポートや試験対策以外に、学校の楽しさを学べる、自分の興味に合った授業を受けられるという魅力もあります。サポート校にも通うかは、お子さんの学習ペースや通学日数、学校が勉強のフォローをどのくらいしてくれるかなどによって決めましょう。通信制高校と他の進学先との違いは?出典 : 中学校卒業後の進学先は、通信制高校以外にもいくつかあります。この章では、通信制高校とその他の進学先のメリット・デメリット、さらに通信制高校と合わせて通える学校をご紹介します。◇通信制高校先ほどご説明したように、テレビやインターネットなどの通信手段を中心に使って教育を行う高校のことを言い、高校卒業資格を取得することができます。<メリット>・自宅で学習できる・対人関係のトラブルが少ない・卒業までの期限がないので、自分のペースで卒業できる・入学しやすい<デメリット>・通学日数によっては、学校生活を通した交友関係ができにくい・自宅学習が中心のため、自分で学習のペースを管理しないといけない◇全日制高校平日の昼間に授業を受ける高校のことを言い、高校卒業資格を取得することができます。<メリット>・普通高校、工業高校、商業高校、農業高校などがあり、選択の幅が広い・進学、就職など卒業後の進路の幅が広い・友人ができ交友関係が広がる・部活動などを通して社会性が身につく<デメリット>・授業の進みが早い・個別支援が受けにくい・人間関係のトラブルが起きやすい◇定時制高校全日制とは開講している時間帯が違う高校であり、高校卒業資格を取得できます。夜間のみの定時制高校の他に、昼間定時制と呼ばれる全日制に準じたスタイルの学校も増えてきています。<メリット>・午前、午後、夜間など開講以外の時間が好きな時間に使える・授業以外の時間を自由に使うことができる・さまざまな年代の人と交流することができる<デメリット>・卒業まで4年かかる(3年で卒業の場合もある)・生徒の年代が違うことによるトラブルが起きやすい・自由な時間が多いので、自分でしっかり時間の管理をしないといけない◇高等専門学校高等専門学校は中学校卒業後、技術者になるための必要な教養や専門的な知識を身につけることを目的とした高校です。5年間勉強するのが特徴です。<メリット>・得意分野を伸ばすことができる・卒業後、大学に編入することができる<デメリット>・入学してからは基本的に学科を変えられない◇高等専修学校専門学校・専修学校の高校版であり、専門学校高等課程と呼ぶこともあります。職業に関する専門的な知識・技術・技能や社会生活に役立つ教養を身につけるのが目的です。<メリット>・得意分野を伸ばすことができる・私服で通えるなど自由な校風の学校が多い<デメリット>・高校卒業資格を取得できないため、資格を得るためには技能連携制度などの制度を利用しなければならない◇高卒認定予備校高卒認定試験に向けて、勉強をサポートしてくれる予備校のことを言います。<メリット>・大学受験資格を取得できれば、将来的な進路を広げることができる<デメリット>・あくまで大学受験資格のための認定試験の対策をする学校であり、高校卒業資格を取得することはできない◇技能連携校定時制・通信制高校の教科のうち、専門科目の一部を分担して教えてくれる施設です。通信制高校に平行して通うことになります。不登校や高校を中退したお子さんなども積極的に受け入れているようです。◇サポート校通信制高校におけるレポート提出や期末試験に合格するための指導をしてくれる学校です。通学日数がさまざまであり、柔軟な通い方ができます。通信制高校のほかにもさまざまな進路の選択肢があり、さらに学校ごとに雰囲気が異なります。それぞれについて理解し、お子さんの特性と適性を考えて、進学先を選ぶと良いでしょう。またどんな環境で学ぶか、どんな先生や仲間と学ぶか、などを確認するために、お子さんと一緒に実際に学校を見学してみることをおすすめします。通信制高校にかかる費用と奨学金出典 : 通信制高校の学費は私立か公立か、サポート校にも通うか、通学日数などによって差があります。全体としては、卒業までのサポートの手厚さによって学費が変わるようです。私立の通信制高校の場合でも、私立の全日制高校に比べれば学費は安いです。公立の通信制高校であればより学費はかかりませんが、卒業までのサポートは私立の通信制高校よりも少ないです。サポート校に通う場合はさらに学費がかかるので、全体としてかかる費用は変わってきます。さらに私立か公立かどうかに関わらず、通学日数が多いとそれだけ学費は高くなります。通学日数が多いのがその理由で、卒業までしっかりと面倒を見てもらうことができます。奨学金を利用することで、学費の負担を軽減できる場合があります。さまざまな方法がありますが、奨学金を検討する場合は志望校の先生に相談してみると良いでしょう。・高校奨学金世帯所得が各自治体が定める基準以下であり、修学が困難な方に支給される奨学金制度です。現在は各都道府県の教育委員会などの管轄になっています。高校奨学金を利用する場合は、各自治体に問い合わせてみてください。・学校の奨学金制度通信制高校の中には、独自の奨学金制度で学費の援助をしてくれる学校もあります。学校と連携する企業で働く生徒に対して、学校または企業がその授業料を負担するなどの制度がよく見られます。・その他の奨学金制度高校奨学金とは別に各都道府県や市区町村でも奨学金制度を設けている場合があります。また民間企業による奨学金制度を利用する方法もあります。通信制高校に入学するには?出典 : 通信制高校の入学手続きの方法は、基本的には全日制高校と変わりません。入学するためには試験に合格する必要があります。全日制高校との違いは、入学試験のハードルが比較的低く、入学時期が柔軟であることが多い点です。入学試験の内容は学校によってさまざまですが、一般的には面接や作文、書類選考で選考が進められます。入試で学科試験を課すところは非常に少なく、その結果で不合格になるケースはさらに少ないです。「この高校へ入学し、きちんと勉強したい」という気持ちを、言葉や文章でしっかりと伝えることが大切です。入学時期は学校や入学のルートによって異なります。入学ルートには新入学の場合、他の高校からの転入する場合、高校を中退するなど除籍になったあとに編入する場合の3つがあります。新入学と編入は4月または10月入学、転入は随時入学となります。事前に学校に問い合わせて、確認しておくことが大切です。またどんな学校に行けば良いのか迷っている場合でも、通信制高校で指導している先生に直接話を聞きに行くなどして、悩みを相談してみましょう。全日制高校から通信制高校への転校はできるの?出典 : 全日制高校からでも通信制高校へ転校することができます。「前の学校が合わなかった」「最初に入学した学校を中退してしまった」などの理由も、通信制高校の入学には影響しません。しかし安易に通信制高校に行くことを決めるのではなく、本人の状態や悩みを把握したうえで、慎重に進路を決めることが大切です。お子さんが今通っている学校へ行くことを嫌がっている場合は、無理に学校に行くことをすすめるなどせず、まずは話を聞いてあげ、不安や悩みを取り除いてあげましょう。通信制高校に転入する場合は、その時に在籍している学校から書類を送付してもらう必要があります。転入する学校が決まったら、早めに担任の先生に相談しましょう。通信制高校の卒業後の進路出典 : 通信制高校を卒業すると、高校卒業資格を取得することができます。そのため卒業後の進路は、大学進学や就職といった広がりがあります。文部科学省の「平成26年度学校基本調査」によると、通信制高校卒業後の進路は、大学進学が約16%、専門学校進学が約23%、就職が約17%、その他が約44%となっています。出典:学校基本調査-平成26年度(確定値)結果の概要-(初等中等教育機関、専修学校・各種学校)以前は通信制高校卒業後は就職というイメージが強く、実際に通信制高校から大学へ進学するケースはあまり多くありませんでした。しかし最近では学習カリキュラムの充実や大学進学予備校を母体とする学校、サポート校の増加により、大学進学を目標とする学校が増えてきています。また特別授業や補習などのサポートも行われているようです。参考:高等学校教育の現状|文部科学省障害がある子どもの進路選択と通信制高校出典 : 障害がある子どもの場合も、その障害・特性や困りごと、子ども本人の希望や状況に応じて様々な進路が考えられます。上で紹介した高校・専門学校以外にも、進路の一つとして特別支援学校というものがあります。特別支援学校では、個々人の障害や特性に合わせたプログラム・学習ペースで勉強することができます。個別の支援を受けやすいという点もメリットです。文部科学省の「平成26年度学校基本調査」によると、特別支援学校卒業後の進路は、大学等進学者が2.1%、専修学校が0.3%であり、さらに就職者の全卒業者数に占める割合は28.4%となっています。出典:学校基本調査-平成26年度(確定値)結果の概要-(初等中等教育機関、専修学校・各種学校)そうした障害のある子どもの場合でも、通信制高校のようなカリキュラムや利用方法が本人に適している場合は、通信制高校も有力な選択肢の一つとなるでしょう。文部科学省の「高等学校における特別支援教育の現状と課題について」によると、平成21年3月時点では、発達障害等の困難のある生徒の、各高等学校進学者全体に対する割合は、全日制高校が1.8%、定時制高校が14.1%、通信制高校が15.7%となっています。出典:高等学校における特別支援教育の現状と課題について|文部科学省進路を選ぶ際には、さまざまな進学先について理解をし、子どもの特性や本人の意思も尊重して考えていきましょう。また中学校の先生との進路面談に積極的に参加する、支援担当の先生に相談する、実際に候補先の高校の先生に支援体制などについて聞くといったことも大切です。さまざまな進路のうち、通信制高校への進学を検討している場合は、発達障害はじめ、その子の困難・障害に対して理解がある学校を選ぶと良いでしょう。発達障害の知識を持つカウンセラーが配置されている、ソーシャルスキルトレーニング(SST)を受けられるといった学校もあります。また進路選びについて悩んでいる場合は、以下の公的機関に相談することもできます。・小児神経科や児童神経科などの医療機関・児童相談所・発達障害者支援センター・精神保険福祉センターお子さんと一緒に相談に行く時は、相談先がどんなところか、何をするところかをしっかり説明して、お子さんの不安を取り除いてあげましょう。参考:定時制課程・通信制課程高等学校の現状|文部科学省まとめ出典 : 通信制高校と一口に言っても、最近では通学日数や学習スタイル、通っている生徒など学校ごとに違いがあります。さらに通信制高校以外にも、中学校卒業後の進学の選択肢がいくつかあります。どの高校に進学するかは、将来の選択肢にも関わってきます。それぞれの進路先について理解し、お子さんの特性や適性を把握して、慎重に決めることが大切です。またお子さんとしっかり話し合い、進路の選択に悩んだ時は高校の先生や相談機関に相談して、進学先を探していきましょう。最終的にはお子さんの意志を尊重し、悩みや不安を取り除きながら進学先を考えることで、お子さんが「この学校で勉強したい」と心から思える高校に進学することができるでしょう。高島俊文/著「通信制で見つけよう!―全国通信制高校案内〈2013~2014年版〉」2012年学研教育出版/刊高橋良臣、織田孝裕/著「悩みすっきり不登校・高校中退からの進路選択」2008年北樹出版/刊鈴木慶太/著「親子で理解する発達障害進学・就労の進め方」2016年河出書房新社/刊
2017年01月31日卒業前に始まった、ADHD息子の登校しぶり。「無理して行かなくていいよ」と言ってみると…Upload By かなしろにゃんこ。ADHDがある息子・リュウ太は現在高校生です。小学校5~6年あたりのころは、人間関係にいろいろ疲れていた様子で、卒業直前になると、毎日「学校行きたくない」をくり返し言うようになりました。こういうときに何を言ったらいいのか分からなかった私は、「精神的に何かツラくて行きたくないなら無理に行かなくてもいいか!いろいろあったけど6年間キチンと通ったんだものね、それだけで十分よ!」と思ってしまいまして、息子に、「6年間、雨の日も雪の日も暑い日も頑張って通ってきたね」「お疲れさま、よく通ったよ!エライ!」と伝えていました。そしてついでに、「大好きな給食はあと〇回しか食べられないけど、でも休んでもいいからね」「あの道をもう通わなくていいし、ランドセルも背負わなくていいんだよ」と郷愁にくるような話をしてみたら…。Upload By かなしろにゃんこ。すると6年間を振り返りはじめたのか、寝転がり天井を見つめて「あと給食〇回か~食べなきゃな~」と少し行く気になってきたようで、「やっぱり行く!」と支度を始めたのでした。学び舎を離れる寂しさは小学校を卒業するときが1番あるのかもしれません。結局休むことなく卒業を迎えることができました。現在高校3年生。卒業前の息子の様子は…Upload By かなしろにゃんこ。現在は高校卒業前の息子ですが、「学校行きたくない」とぼやいています。アレ?6年経っても変わってないな…息子…。
2017年01月31日モロー反射とは?出典 : モロー反射とは、生後まもない赤ちゃんに見られる原始反射の一つです。大きな音や明るい光、身体がグラッと傾いたときなど、赤ちゃんへ外から大きな刺激が与えられたときにモロー反射は起こります。刺激を受けると手足をビクッとさせ、ゆっくりと万歳をするように腕を広げます。それはまるで何かにしがみつくような姿勢のように見えます。では、なぜ外部からの刺激に対して赤ちゃんはモロー反射を起こすのでしょうか。目的は、自らの身を守ること、親に外部刺激から守ってほしいというメッセージを送ることの2つです。生後まもない赤ちゃんは、周囲が危険なのかどうか、またどのくらい危険なのかきちんと判断することができません。それゆえ赤ちゃんはどんな危険な状態に陥っても自らの身を守ろうと、刺激に対して無意識的にモロー反射を起こします。そしてパパ・ママに外部刺激から守ってもらおうとするのです。子どもの発達が進むスピードは個人差があるので、モロー反射が活発に見られる時期や消失する時期は子どもによって変わってきます。おおよそモロー反射は0~4ヶ月の間に見られる原始反射運動です。生後4ヶ月を過ぎると大体の子どもはモロー反射が見られなくなります。原始反射とは?出典 : モロー反射のように、赤ちゃんが生まれたときから備えている反射的な運動のことを原始反射と言います。赤ちゃんが外からの危険から身を守り、また運動機能の発達のためになくてはならない運動です。原始反射は足や指、口など赤ちゃんの身体のさまざまな部位で見られます。既に挙げたモロー反射の他にも、以下のような原始反射があります。◇自動歩行赤ちゃんを立たせるように支え、足を床につけてあげると、まるで歩いているかのように足を交互に屈伸させる動き◇把握反射手や足のひらに他の人の指などが触れた時、反射的に握りしめる動き◇吸てつ反射赤ちゃんが口に入ったものに反射的に吸いつく動き◇バビンスキー反射足の裏をかかとからつま先に向けてゆっくりこすると、足指が反射的に開く動きなど原始反射は平均的には生後0~3ヶ月の間で活発に表れ、生後4~5ヶ月ころを目安にだんだんと消えていきます。原始反射が消失することで、自分の意志で身体を動かすこと(随意運動)ができるようになります。原始反射は脳幹によってコントロールされている動きです。そのため原始反射の出現と消失を確認することは、脳や脊髄をつかさどる中枢神経の発達が順調であるかどうかの指標となります。モロー反射をはじめとする原始反射は、乳幼児健診にて確認されます。それぞれの病院や保健所などで差はありますが、おおむね3、4ヶ月健診まではモロー反射を含む原始反射が正常に見られるかといった検査項目があるそうです。産婦人科舘出張佐藤病院ホームページ‐母子1ヶ月検診‐わだこどもクリニックホームページ‐乳幼児健診‐モロー反射と点頭てんかん(West症候群)の違いとは?出典 : 一見可愛らしい動きに見えるモロー反射。しかしモロー反射の中でも赤ちゃんの動き方や程度、消失時期によっては何かしらの疾患のサインになることがあります。ここではモロー反射の動きととてもよく似ている点頭てんかん(West症候群)についてご紹介します。モロー反射と一番区別をすることが困難な疾患として、「点頭てんかん」があります。点頭てんかんとは、乳児期に起こる悪性のてんかんです。生後3~11ヶ月時に発症することが多く、その背景には重篤な脳障害があります。小児難治てんかんの中では最も多く発症するてんかんであるといわれています。点頭てんかんの80%は、生まれる前あるいは出生直後に起こった脳障害の合併症として起こり、症候性West症候群と呼ばれます。一方残りの20%は、発症までの発達も正常で、かつさまざまな検査でも異常なしであるため潜因性West症候群と呼ばれます。点頭てんかん自体は遺伝性の疾患ではありません。しかし、遺伝性の脳障害の合併症として点頭てんかんが発症した場合は遺伝する可能性があります。点頭てんかんの具体的な症状として、生後3~11ヶ月時に以下のような発作、様子が表れます。・眠い時や目覚めの前後で突然頭がガクッと垂れる・手足を一瞬縮めたり伸ばしたりする・このような動きが5秒~40秒毎に繰り返し続き、またこの一連の発作が一日に何回も見られる・情緒や運動の発達が停滞・後退する(発作が出現前後より患児は笑わなくなったり、不機嫌になったりする。また今までできていた首のすわりやお座りができなくなる)治療としては、薬物治療やホルモン治療、食事療法、外科治療を行います。それによって発作を抑制させることをねらいとしています。モロー反射の動きと、点頭てんかんで見られる動き(発作)はよく似ています。それゆえ、パパ・ママにとって子どもの動きがモロー反射なのか、点頭てんかんなのか判断することはとても難しいことが多いです。違いを見分けるには、赤ちゃんがどのようなタイミングやきっかけでその動きをしているのかを見ることがポイントとなります。モロー反射は赤ちゃんに大きな刺激を与えられたときに表れる反射的な運動です。一方で、点頭てんかんの場合は刺激の有無にかかわらずそういった動きが見られることがあります。また、点頭てんかんでは、一定時間ごとに発作的な動きとして表れるほか、一日に何回も見られることもあります。赤ちゃんの様子を見て、もし何か気がかりなことがあったら、かかりつけの小児科に一度相談してみるとよいでしょう。モロー反射の動きと点頭てんかんの動きは一般の人にはなかなか判断が難しいものです。「こんなことで相談するのは気が引ける...」などと遠慮せずに、少しでも気になったことはお医者さんに聞いて、子育ての不安を減らしていきましょう。難病情報センターホームページモロー反射が疾患に気付くきっかけになることも出典 : モロー反射がきっかけで、子どもが発症している疾患に気づくきっかけになることもあります。その疾患の代表例が、脳性麻痺(まひ)です。脳性麻痺とモロー反射は、モロー反射の続く期間と密接な関係があります。脳性麻痺は、妊娠中や出産前後、生後4週間以内で起きた、赤ちゃんの脳の損傷が原因となって発症します。目に見える症状としては、身体が反り返る、手足がこわばって硬くなるといった症状があります。また、このような症状がなくても、首のすわりや寝返り、はいはいなどの運動機能の発達が著しく遅いことから脳性麻痺が発覚することもあります。モロー反射をはじめとする原始反射が本来消えている月齢を過ぎ、1歳近くになっても表れている場合、脳性麻痺の可能性があります。ただ、子どもの発達は子どもそれぞれによってかなり差があるので、神経質になりすぎる必要はありません。ですが、モロー反射が消えていくおおよその期間を知っているだけで、子どもの抱えている疾患に早く気づくことができる可能性もあります。また、モロー反射があまりに弱い、全く見られないという場合も脳性麻痺につながる「核黄疸」であるケースも考えられます。黄疸とは、新生児期に起こる、皮膚や眼球が黄色を帯びる現象のことです。通常生後数日で赤ちゃんには黄疸が表れますが、ほとんどの場合これは生理的なものであるため遅くとも生後3週間以内に消えていきます。しかし、中には生理的なものではなく、「病的黄疸」と呼ばれる黄疸もあります。この病的黄疸の一種である核黄疸は、治療が遅くなると脳性麻痺につながることがあります。核黄疸は生理的黄疸よりも強力で、ただ皮膚が黄色を帯びるだけにとどまらず、脳機能や運動機能・筋力に大きな影響を及ぼすことがあります。モロー反射が極めて弱い、全く見られないときは核黄疸の初期症状による、運動機能や筋力の減弱である可能性があります。心配な場合はかかりつけのお医者さんに診てもらいましょう。発達障害とモロー反射の関連は?出典 : 先ほどもご紹介したように、モロー反射をはじめとする原始反射は発達状態のバロメーターです。この点から、原始反射が強く残存している場合、脳機能への問題が考えられます。そしてそれが発達障害の兆候である可能性もあるのです。モロー反射が長く続くということは、外からの刺激に毎回反応してしまう、つまり刺激に対して敏感な状態が続くと解釈できます。そのため、以下の発達障害のような傾向が見られることがあります。・音や光をはじめとする刺激に対する感覚過敏・ADHDの症状がみられる(多動、不注意、衝動性)・社会的未熟さ(新しい状況・環境への参加対応が難しい)必ずしもモロー反射が長く続く=発達障害である、というわけではありません。しかし、モロー反射をはじめとする原始反射が長く続けば続くほど何らかの問題がある可能性が高まります。いざというときのために、日頃から子どもの動作をよく観察したり、場合によっては記録したりすることが大切です。モロー反射が激しいときはどうすればいいの?出典 : では、子どものモロー反射で不安を感じる場合、どうすればよいのでしょうか。多くのパパ・ママが子どものモロー反射に不安を感じることとして、モロー反射が激しく、子どもが泣きだすというケースが挙げられます。これは、大きな刺激に対して大きな動きで反応した赤ちゃんが、刺激と自分の動きに対してびっくりしてしまい、その衝撃で泣く、というメカニズムで起こります。モロー反射は刺激に対する無意識の反応のため、パパ・ママにできることとしては赤ちゃんに不要な刺激を与えないように環境を整えてあげることが必要です。・大きな音をなるべく立てない・赤ちゃんが極端な熱さ、冷たさに触れないようにする(冷たい風や指でも赤ちゃんはびっくりしてモロー反射を起こすことがあります。)・こまめなスキンシップで赤ちゃんを安心させてあげるまた、寝かしつけの際に赤ちゃんがモロー反射を起こし、なかなか寝てくれなくて悩んでいる...というパパ・ママもいるかもしれません。この場合、寝かしつけるとき、特に赤ちゃんをだっこしている腕の中からベッドへ移すときがポイントです。赤ちゃんにとって刺激となる要因をできるだけ少なくする、以下のような工夫をすることが大切です。・ベビーベッド・赤ちゃんの寝具を、だっこされている腕の中の体温くらいにあたためておく・だっこから腕を抜くときに、赤ちゃんの首の角度や体勢が大きく変わらないようにする・扇風機の風やヒーターの光が赤ちゃんに直接当たらないようにするこのように、モロー反射が激しく、一度起こるとしばらく泣き続けてしまうなどという場合、まずは子どもに余計な刺激を与えないような環境づくりをすることが重要です。また、モロー反射から泣きだす子どもの大半はびっくりして泣いています。パパ・ママがこまめにスキンシップをとることで赤ちゃんを安心させてあげることも一つの方法です。「眠ったと思ったら起きちゃう!赤ちゃんの寝ぐずり「背中スイッチ」攻略法とは?」まとめ出典 : モロー反射とは0~4ヶ月で見られる原始反射の一種です。大きな刺激を受けた時に身体をびくっとさせ、両手を広げてしがみつくようにする動作は赤ちゃんならではのとても可愛らしい動作です。また、ただかわいい動作であるだけでなく、モロー反射をはじめとした原始反射は子どもの発達状態の一つの重要な指標となります。原始反射の始まりと終わりの時期や動作の特徴などで子どもの発達状態に問題がないか気づくきっかけになることがあります。モロー反射とさまざまな疾患・発達障害との関係についてもご紹介しましたが、実際パパ・ママにとって、モロー反射と他の疾患の症状を区別することは難しいケースが多いです。モロー反射などの原始反射を通して、少しでも不安を感じたときは乳幼児健診の際に保健士や医師に相談したり、行きつけの小児科へ相談したりすることをおすすめします。
2017年01月31日総務省による、発達障害者の支援に関する実態調査。その結果は?出典 : 年1月20日、総務省は、文部科学省と厚生労働省に対し、発達障害者支援に関する行政評価と監視の結果に基づく勧告を行いました。この調査は、保育所・学校現場を含む、都道府県・市町村における発達障害者支援の実態を初めて調査したものとなります。前回の記事では、早期発見に関する実態の調査報告と総務省の勧告内容についてお伝えしました。今回の記事では、発達障害がある子どもへの支援状況と情報の引継ぎに関する調査・勧告内容についてご紹介します。発達障害児に対する支援「個別の教育支援計画」「個別の指導計画」とは出典 : 発達障害を含む障害のある児童生徒の指導について、学校等では、児童生徒それぞれに「個別の教育支援計画」(以下「支援計画」)と「個別の指導計画」(以下「指導計画」)を「必要に応じ」作成し、指導と支援を行っていくこととされています。(4) 関係機関との連携を図った「個別の教育支援計画」の策定と活用特別支援学校においては、長期的な視点に立ち、乳幼児期から学校卒業後まで一貫した教育的支援を行うため、医療、福祉、労働等の様々な側面からの取組を含めた「個別の教育支援計画」を活用した効果的な支援を進めること。また、小・中学校等においても、必要に応じて、「個別の教育支援計画」を策定するなど、関係機関と連携を図った効果的な支援を進めること。(5) 「個別の指導計画」の作成特別支援学校においては、幼児児童生徒の障害の重度・重複化、多様化等に対応した教育を一層進めるため、「個別の指導計画」を活用した一層の指導の充実を進めること。また、小・中学校等においても、必要に応じて、「個別の指導計画」を作成するなど、一人一人に応じた教育を進めること。特別支援教育の推進について(通知)なお、2016年の改正発達障害者支援法においても、発達障害児が年齢及び能力に応じ、かつその特性を踏まえた十分な教育を受けられるようにするために必要な措置として、これらの支援計画及び指導計画の作成を推進することが具体的に明示されています。法律第六十四号(平二八・六・三) ◎発達障害者支援法の一部を改正する法律支援計画や指導計画、実際にどれくらい作成されているの?その効果は?出典 : しかし支援計画に関していうと、必ずしも発達障害のある児童全員に作成されていないのが現状のようです。この度の総務省の調査で調査対象となった111の保育園および幼小中高校において、発達障害児(発達障害が疑われる児童生徒を含む)は計2,431人でした。そのうち支援計画作成が「必要」と判断された児童生徒は829人であり、さらにそのうち支援計画を作成済みの児童生徒は690人でした。支援計画作成が「必要」と判断されたものの、未作成の生徒が139人いることが明らかになりました。未作成の理由としては、教員の業務が多忙で作成する時間の確保が困難であるため、保護者の同意が得られないため、などとされています。また、支援計画作成が「必要」と判断する範囲に関して、111の調査対象のうち19の保育園および幼小中高校では、医師の診断がある児童生徒のみなど、計画の作成対象をかなり限定した範囲にとどめている例がみられました。そしてこうした計画作成対象が限定されていたことの結果として、支援計画や指導計画が作成されていなかった生徒の中には、不登校等の二次障害が生じている例がみられたとのことです。問題行動の度合いが高くない生徒には支援計画及び指導計画を作成することとしていないため、発達障害の診断を受けているにもかかわらず、両計画とも作成されず、結果として、学習障害等で授業についていけずに、平成22年度から26年度までの間に、不登校4人、休学1人、退学1人が発生した。一方、調査した保育所及び学校において、支援計画又は指導計画を作成したことにより、特別支援学校など関係機関による助言や保護者との連携等が図られ状態が改善するなど効果的な支援が行われている例が30事例みられました。総務省は文部科学省と厚生労働省に対し、保育所及び学校において、一律の基準によって支援計画及び指導計画の作成対象を限定するのではなく、個々の児童生徒の特性や状態を踏まえ、支援が必要な児童生徒に対して着実に作成されるよう、作成対象とすべき児童生徒についての考え方を示すことを勧告しました。継続的な支援のために欠かせない、進学先等への情報の引き継ぎ。しかし現状は…出典 : 支援計画や指導計画の作成だけでなく、支援の前提となる子どもに関する情報の引き継ぎ共有も重要です。こうした情報共有の実態についても調査がなされました。具体的には、・乳幼児健診の結果として発達障害の疑いがあるとする情報を保育所へ渡す取り組み・保育所や幼稚園で作成された支援計画等に適宜資料の追加等を行った上で、障害のある児童生徒等に関する情報を一元化し、支援計画や相談支援ファイル等として小・中学校等に引き継ぐ取り組みなど、関係機関同士の情報の引き継ぎ・共有が十分ではないという勧告がなされています。しかし、情報共有が十分に進まない背景には、個人情報保護の観点からの障壁もあるようです。そのことが明らかになったのは、調査対象となった31市町村が実施した乳幼児健診結果の引き継ぎ状況の調査からです。平成26年度に実施した乳幼児健診の結果の、進学先(保育所、幼稚園等)への引き継ぎ状況をみると、30市町村で「引継ぎを行うこと」という方針を立てているものの、個人情報保護の観点から、保護者の同意が得られた場合であって、保育所等から情報提供の依頼があった児童のみ引き継ぐとしている自治体が14市町村にのぼりました。つまり、半数近くの市町村では、保育所等からの働きかけがなければ引継ぎが行われない状況であるということです。調査した市町村の中には、乳幼児健診の結果の進学先への引継ぎ時における保護者の同意取得については、次のような取組を行っている例がみられたとのことです。乳幼児健診の問診票の中に、健診結果等について、保育所等の関係機関と連絡を取り合う場合がある旨をあらかじめ記載し、これに同意するか同意しないかを選択させることとしている。児童が幼稚園に入園する前に、心配事のある保護者に「保護者との連携シート」の記載を依頼しており、同シートにより、幼稚園が保健師等の関係機関等から情報を入手する旨の同意を得ている。また、乳幼児健診の結果が引き継がれなかったことにより、対応が困難になった例もみられたとのことです。市外からの転入により入所した児童について、転出元の市町村での乳幼児健診結果(発達障害の疑いあり)を把握できなかったため、支援計画の作成、個別の配慮、小学校への引継ぎ等を行わなかったところ、小学校で集団行動になじめない状況となり、急遽支援が必要となった歳児健診及び3歳児健診で紹介された親子教室において、軽度な知的障害を伴う発達障害の疑いを指摘されたが、それらの結果が、入園先の幼稚園に伝わらず、児童の知的障害の把握が遅れた。その結果、児童は、特別支援学級へ入級したが、知的学級ではなく、自閉・情緒学級へ入級することとなり、児童に対する教育的配慮や課題設定を行うのに数箇月要した同様に、進学の際や転校の際における引き継ぎの不備も指摘されており、総務省は厚生労働省に対して、市町村に乳幼児健診の結果等の進学先への引継ぎの重要性を周知し、積極的な引継ぎを促進することを勧告しました。他にも総務省は、厚生労働省と文部科学省に対して、保育所・幼稚園から大学・就労先までの各段階において、発達障害児に対する必要な支援内容等が文書により適切に引き継がれるような呼びかけを行なっています。都道府県、市町村、都道府県教育委員会及び市町村教育委員会に対しては、・具体例を挙げて支援内容の引き継ぎを周知すること・支援計画及び指導計画については、引継ぎまでの適切な保存・管理を求めるとともに、具体的な引継方法を提示し、確実に引き継がれるよう徹底を図ることを勧告しました。「切れ目のない支援」を実現するための課題は出典 : 情報の引き継ぎは、切れ目のない支援を推進する上で不可欠だと言われています。そして文部科学省でも障害のある子どもに対して小学校から高校まで一貫した支援ができるよう、進学先の学校へも引き継げる「個別カルテ(仮称)」の作成を学校に義務付ける方針を固め、推進しています。また逆に保育所から専門機関に相談するようすすめられる場合もあるようです。現在、4歳の男の子を持っていますが、引越しして、2ヶ月前ほどから、転園した先の、保育園の先生から、落ち着きがなく、みんなと一緒のことができない、話す単語が少ない、との指摘を受けて、療育センターに問い合わせをするように、言われました。保育園で発達障害を疑われました。3歳1ヶ月の男児です。保育センターの心理相談の結果、問題はなさそうでした。しかしモヤモヤと心配が晴れず、何か息子のためにできることはないかなと焦っています。親や支援者が発達障害をどう理解するか、そして個人情報保護や当事者、家族の不安に配慮する仕組みの構築が、実際に切れ目のない支援を実現するためには必要なのではないでしょうか。
2017年01月30日発達障害とはUpload By 発達障害のキホン発達障害とは、先天的な脳機能の障害で、学習面や行動面などで年齢相応の発達が見られない、または年齢相応のスキルの獲得が難しいことで起きる障害を指します。その症状は、通常低年齢の発達期において発現します。発達障害の定義は日本では平成16年に制定された発達障害者支援法によって定められており、世界保健機関(WHO)の『ICD-10』(『国際疾病分類』第10版)の基準に準拠しています。発達障害者支援法における発達障害の定義は以下になります。この法律において「発達障害」とは、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるものをいう。これらの規定により想定される、法の対象となる障害は、脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するもののうち、ICD-10(疾病及び関連保健問題の国際統計分類)における「心理的発達の障害(F80-F89)」及び「小児<児童>期及び青年期に通常発症する行動及び情緒の障害(F90-F98)」に含まれる障害であること。なお、てんかんなどの中枢神経系の疾患、脳外傷や脳血管障害の後遺症が、上記の障害を伴うものである場合においても、法の対象とするものである。発達障害はいくつかのカテゴリーに分類され、診断基準によって多少異なりますが、大きく分けて「広汎性発達障害(PDD)」「ADHD(注意欠陥・多動性障害)」「学習障害(LD)」の3つに分類されます。広汎性発達障害には自閉症やアスペルガー症候群などのコミュニケーションの障害が含まれますが、アメリカ精神医学会の診断基準である『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)では自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(ASD)という障害名に統合されています。また『DSM-5』ではADHDは注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害、学習障害は限局性学習症/限局性学習障害という診断名となります。自閉症やADHDなどの発達障害の中には知的障害が併存する場合もあります。発達障害の原因は?出典 : 発達障害にはさまざまな障害が含まれますが、身体障害などとは違い、周囲の人にとって発達障害自体がわかりにくいことから、発達障害の特性から本人ができないことやとトラブルがあった時などに親のしつけ不足や愛情が足りていないせいだ、育て方が悪いからだと思われがちです。しかし、決してしつけ不足や愛情不足、育て方が直接の原因ではないことがわかっています。現在、発達障害の医学的な原因ははっきりと解明されているわけではありませんが、多くの研究から発達障害は先天的な脳の機能障害によるものとされています。脳機能障害を引き起こすメカニズムとして、遺伝的な要因が原因の一部であると推測されています。何らかの先天的な遺伝要因に様々な環境的な要因が重なり、相互に影響しあって脳機能の障害が発現するのではないかという説が現在有力とされています。たとえば自閉症スペクトラムの関連遺伝子が数多く報告されています。ですが、さまざまな遺伝子が複雑に関連しているため、現時点では、原因となる遺伝子を完全に特定することはできてはいません。ただし、かつて広汎性発達障害に含まれていたレット障害(レット症候群)についてはX染色体上に存在する遺伝子の突然変異が原因だということが発見されました。1999年にMECP2という遺伝子が主な原因遺伝子であることが発見され、その後2004年にCDKL5、2008年にFOXG1という原因遺伝子も発見されています。そのため自閉症スペクトラム障害の概念から除外されました。現在、その他の発達障害についても関連する遺伝子や環境要因に関して、それぞれ研究が進められていますが特定には至っていません。またその遺伝子も一つではなく、複数の要因や組み合わせが存在すると考えられます。それらがさまざまな道筋をたどって発達障害の特性となって現れると言われているのです。そのため全ての発達障害のある人にあてはまる唯一の原因はないとも言えるのです。発達障害は親から子へと遺伝するの?出典 : 親から子へと遺伝する遺伝的要因はあるのでしょうか?発達障害に関しては双生児研究や家族間での一致率に関する研究が活発に行われ、遺伝子が近いほど一致率が高くなる傾向があるといわれ、これらのことから家族性があるとは言われています。「家族性」とは、その障害のある人がいる家系の場合、ない家系より発現しやすい傾向があるということですが、これもまだ研究段階ではっきりと確率が出ているわけではありません。家族間では遺伝による体質と、生育環境が似ているため、このような傾向が出るのではないかと考えられていますが、体質や環境要因が相互に、複雑に影響して発現するのではないかと言われています。これまでの研究で発達障害は単一の遺伝子が原因で起こる「メンデル型遺伝疾患」と呼ばれるタイプではなく、複数の遺伝子の変化が影響して起こる「多因子遺伝疾患」であることも推測されています。つまり、親の遺伝子が単純に子どもに遺伝して発達障害が起こるわけではないということです。発達障害の遺伝要因は原因の一部にすぎず、発達障害のある親から発達障害ではない子どもが生まれることもあれば、両親とも定型発達の場合でも発達障害のある子どもが生まれることもあるのです。この親から子へと遺伝する確率については、現在のところ不明です。親が発達障害だった場合で子どもも発達障害である確率も、調査によって数値がまちまちで確かな結果は出ていません。このことも、遺伝要因と環境要因の相互影響が複雑で、偶然性に左右される部分が多いことを示唆していると言えるでしょう。きょうだいで発達障害になる確率は?出典 : きょうだいや、双子の場合の発達障害児の確率についてもさまざまな研究が行われています。遺伝子が完全に一致する一卵性双生児の場合、ふたりとも発達障害をもつ割合は75~85%といわれています。もし、遺伝子のみで発達障害が出現するのであれば、100%の確率になるはずです。遺伝子が異なる二卵性双生児の場合は、5~10%と低くなります。中山 和彦・小野 和哉 (著)『図解よくわかる大人の発達障害』(ナツメ社,2010年)より引用これらの数値は報告されている様々な研究の一例ですが、このような研究から発達障害は兄弟・姉妹で発現する確率がないとは言い切れないということが分かります。また、同じ遺伝子を共有した生まれてきた一卵性双生児でも片方が発達障害であっても、100%の確率で発現するわけではないこともわかりました。きょうだいは遺伝的な要因となりうるリスク遺伝子を体質として共通してもっている可能性や同じ養育環境で成長していくことから影響を受ける「家族性」があるため、遺伝子が近い家族であるほど一致率が高くなる傾向があると推測されています。しかし、環境要因などの偶然性に左右される可能性も大きいため、例え同じ遺伝子を持っている一卵性双生児であっても、きょうだいに発達障害のある人がいるからと言って、同じく発達障害を100%発症するとも言えないのです。発達障害は男女で発現率が違うの?出典 : 医学的には、実際には発達障害の発現率は、男性の方が多いと言われていますが、割合に関しては諸説あります。またこの理由に関しても諸説あるとされています。近年、女性の発達障害についてはあらわれる症状や特性に男性とは違いがあり、発達障害の状態像にも性差があるからではないかとする説もあり、研究も進められています。以下が、自閉症、ADHD、学習障害それぞれの男女の発現率に関して現段階でわかっていることです。■自閉症男女比は3~4:1で男子に多いと考えられてきましたが、近年の調査では男女比の差は少なくなりつつあるとも言われています。理由としては、男性と女性では症状にも少し違いがあり、男性は「コミュニケーションの困難」「言語の発育不足」などの症状がより見られやすいからだといわれています。女性の場合は男性と比べて症状が表に出にくい傾向があり、自閉症であるとわかりくく、気づかないまま暮らしている人もいると推測されます。そのため、自閉症の女性は統計に十分反映されていないのでは、という可能性も指摘されており、実際のところ4:1よりは男女差は少ないとする研究者もいます。出典:岡崎祐士/総編集『ICD-10精神科診断ガイドブック』中山書店、2013年/刊■学習障害(LD)学習障害は男女どちらにも発現する可能性のある障害ですが、男性に発現する確率の方が高いことが分かっています。発表されているデータの数値は調査によってまちまちですが、その発現率は女性の約4倍であるというデータも発表されているのです。男性はその中でも読字障害になる確率が一番高いとされていて、その確率は女性の数倍とも言われています。ですが、男性に学習障害が多い理由ははっきりと分かっていません。出典:上野一彦/著 『LD(学習障害)のすべてがわかる本』 講談社,2007年/刊■ADHDADHDも男女によって発現率の違いがみられます。男女による違いは男:女の比率は4:1とされています。この比率の差は脳の働きや仕組みが男女によって異なるからではないかと推測されています。また、性別によって症状にも違いがあります。男の子は多動の症状が多く見られており、女の子は不注意の症状が多く見られています。この症状の差から女の子の場合、ADHDの症状が分かりづらいため、見逃されてしまうことも少なくありません。そのため、この4:1という男女の比率の差は実際はもう少し小さいのではないかとも言われています。ADHDであることが診断される年齢が男の子は8歳前後、女の子が12歳前後と差があります。この診断年齢の差も、女の子の場合は発達障害であることに気づくことが遅れやすいことに関係があるとされています。出典:月刊 「みんなのねがい」LD・ADHDの基礎知識独立行政法人 国立特別支援教育総合研究所 「発達障害と情緒障害の関連と教育的支援に関する研究」 2012年発達障害を診断する方法出典 : 現在の医学では妊娠中の羊水検査、血液検査、エコー写真などの出生前診断で発達障害が判明することはありません。また、出生後も遺伝子検査や血液検査といった生理学的な検査ではわかりません。これは、発達障害の原因が完全には解明されておらず、またその原因も複雑で単一ではないと考えられるためです。生理学的な検査方法を確立するのはかなり難しいとも言われています。発達障害の人の多くが幼児の頃から12歳ぐらいに何らかの症状をきっかけに専門機関を受診し、医師によって診断されます。診断は問診と心理検査・知能検査などの様々な検査を総合的に判断して行われます。その他MRIを使い脳の器質的な疾病がないかを確認する場合もあります。検査や診察は一度ではなく、何度か行われたうえで慎重に診断が下されることが多いです。医療機関では、多くの場合は、精神医学的な診断基準にに基づき、保護者や本人に問診に問診をしたり直接行動観察をしたりして、症状から判定します。アメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)や世界保健機関(WHO)の『ICD-10』(『国際疾病分類』第10版)など、国際的な診断基準の定義を用いて診断が行われます。また、必ずしも1つの障害しか持っていないということではなく、複数の障害を併発している可能性もあります。それぞれの障害の診断基準に沿って診断を下すことが基本ですが、基準の解釈には医師によってばらつきが生じることもあります。ばらつきの原因として、診察室で見ることのできる子どもの姿がその子どものすべてではないので、乳幼児期の診断はとても難しい場合があります。正確な診断のためには日常生活の様子などをくわしく医師に伝えることも大切です。まとめ出典 : 発達障害の原因を探ることは、治療法の開発・研究のためにはとても大切であり、世界中の研究者が日々、研究を進めています。その成果は少しずつ明らかになってはいるものの、いまだにわからないことも多いのが現状です。また、発達障害が発症する道筋は一つではなく、複雑な要因が絡み合っていると考えられるため、すべての人に当てはまるたった一つの原因は今後もわからないのではないかという考え方が主流となっています。そんななか、遺伝的要因が関係していると聞くと、不安を感じるかもしれません。また、遺伝するかどうかというのは本人や家族にとって大きな関心事でしょう。しかし、現段階でわかっている範囲でも「親の育て方のせい」というのも医学的に否定されていますし、発達障害の発現は様々な要因が複雑に影響しあい、いわば偶然性が大きいため、その人に発達障害があるかどうかは予測できないといえるのです。また得手不得手や特性のようなものは人間だれしもが持っています。少なくとも「遺伝のせいで発達障害が発現した」というのは正確ではありませんし、単純に親から子へと遺伝するのではないことがお分かりいただけたのではないでしょうか。目の前の子どもにとって大切なことは、どうしたら本人の困りごとが減らせるか、特性を生かしていけるかという対応方法を考えてみることです。一人ひとりの子どもの発達障害の特性は様々なバリエーションがあります。本人の成功体験を積み重ねながら、今のよりよい環境を大切にすることが重要です。保護者や支援者が一人で悩み考えるのではなく、地域の相談機関や専門家と繋がりながら解決していきましょう。
2017年01月30日障“害”という表記につきまとうネガティブなイメージ出典 : こんにちは。『子どもも親も幸せになる発達障害の子の育て方』著者の立石美津子です。「障害児」という言葉を聞いたとき、みなさんはどんなイメージを浮かべますか?私にも、知的な遅れを伴う自閉症の息子がいますが、子どもを表す言葉として“害”という字が当てられると、やっぱりネガティブな印象を受けてしまいます。元々、「障害」という言葉は「障碍(障礙)」という漢字でした。しかし戦後の国語改革で「碍(礙)」という字が当用漢字に含まれなかったために、「障害」という表記が一般的になったという経緯があります。碍の本字は元は礙であり、大きな岩を前に人が思案し悩んでいる様を示します。つまり自分の意思が通じない困った状態。意思が通らない、妨げられているという意味だったのでマイナスイメージはそれ自体にはありませんでした。そのため「障害」の「害」という漢字の負のイメージに対する反対意見から、「碍」という漢字を常用漢字にしてほしいという声が当事者からもあがっています。現在は「障がい」という交ぜ書きの表記を採用している自治体も多いです。朝日新聞デジタル: 「障害者」か「障碍者」か 「碍(がい)」を常用漢字に追加求め意見, 2010年4月5日「障害」「障がい」「障碍」。それぞれの表記についていろいろな考え方がありますが、この議論に違和感を覚えます。なぜなら「障害」の「害」ではなく「障」の字も、ネガティブな意味を含んでいるからです。しょう【障】1. じゃまをする。じゃま。さしさわり。「障害/故障・罪障・支障・万障・魔障」2. 隔てさえぎるもの。「障子・障壁」3. 防ぐ。「保障」コトバンクよりこのような考えから、現在は“チャンレンジド”などまったく違う呼び方をしている団体もあります。運動会でも “障害物競争”の種目名をなくしている学校もあると聞いたことがあります。「自閉症」という名前がもたらしている誤解・弊害は?出典 : <span><a class="linkclass" href="">同じように、言葉のせいでネガティブな印象を与えてるものに「自閉症」があると思います。自閉症の「閉」には、「閉める」「閉ざす」という印象を受けますが、今もこのまま使われており、この障害名により随分と誤解が生まれています。自閉症がこれだけ認知されてきているのに、字面だけで判断して“自閉→自分の心を閉ざしている→鬱みたいなもん”と考えてしまう人たちもいるようです。「私は若い頃自閉症だった」とか「あいつは自閉症だから付き合いが悪い」なんて平気で言う人もいます。私もママ友から息子について「殻に閉じこもっているの?」「鬱病みたいなもの?」「治療すれば治るんでしょ?」「もっと愛情をたっぷりかけて育てたら?」という言葉をかけられたことが何度もありました。自閉症は後天的にかかってしまった病気でもなく、薬により治癒するわけでもなく、親の育て方が原因でもないのですが…自閉症の特徴として、興味関心が限定的であり、外界とのコミュニケーションが難しいことがあります。たとえよく喋っていたとしても相手の気持ちを推し量ることが困難ですので、察したり空気を読むことが苦手でトラブルになることがあります。相手の顔色や声のトーンをキャッチして共感しながら会話する意思疎通はなかなか出来ず、一方的な話し方になってしまうこともあります。そういった意味で“自分の世界にいる=自分だけの独特の空間にいる”という特徴を表しているのが「自閉症」という言葉であり、その言葉ゆえ誤解を生んでしまっているように感じます。言葉が変わると、社会の見方も変化する出典 : <span><a class="linkclass" href="">一方で、呼び方が変わったことで社会の見方が変化したものもあります。例えば、今は「看護婦」「保母」という呼び方はしません。「看護師」「保育士」となっています。職業に対して女性の仕事と決めつけないようにこの言葉が生まれました。実際、男性看護師や男性保育士も今はたくさんいますし、「看護や保育は女性の職業」という社会の偏見も少しずつ緩和されてきたように思います。他にも、「父兄会」という言葉。現在はあまり使われなくなってきました。「父母会」という呼び名に変わったり、両親ともに居ない子に配慮して「保護者会」と言われることも、全国の保育園、幼稚園、学校で増えてきているようです。最近では、シングルマザー・シングルファザーの家庭に配慮して、「父の日」「母の日」ではなく「父母の日」、両親ともおらず祖父母の元や児童養護施設で育っている子に配慮して「保護者の日」としている園もあります。出典 : <span><a class="linkclass" href="">同じように、学校での学級種別の呼び名にも少しずつ変化が生まれています。これまで、小学校では、障害のない子のクラスを「普通学級」、障害のある子のクラスを「支援学級」と呼んできました。また支援学級は、「なかよし学級」「わかば学級」といった風に、各学校でクラス名を決めていることも少なくありません。これも今では、「そもそも何が“普通”と言えるのか?障害のないことを"普通"と考えることはどうなのか?」という議論もあり、「通常学級」と「支援学級」という表記に変わりつつあります。他にも、特別な感じを与えないため通常学級を1組~4組とし、最後の番号、例えば5組を支援学級としているところもあるようです。こうした事例を考えると、呼び名を変えることに、人々の見方や意識を変えていく意味はあるのかもしれません。けれども、呼び名を変える"だけ"では、当事者の抱えている現状は変わらない出典 : <span><a class="linkclass" href="">上に挙げた事例を考えると、呼び名を変えることに、人々の見方や意識を変えていく意味はあるのかもしれません。ですが、いくら呼び方や言葉が変わったとしても、それだけでは当事者が直面している状況は変わりません。いくら「保護者の日」と呼んだところで、親がいない子どもたちにとってその現実が変わることはありません。子どもたちは、「うちにはママがいない」「うちにはパパがいない。ママ一人で僕を育ててくれている」とちゃんと分かっています。同じように、「障害」であろうが「障碍」であろうが、その人が何らかの「障害に直面している」という現状も変わりはないのです。それはこの世の中は大多数の定型発達の人が生きやすいようになっているからです。例えば、合理的配慮が義務化された現在でも、まだまだ学習障害児の子どもも黒板の文字を読み、それを書きとることをさせられている現場は多いのではないでしょうか。音声ソフトやタブレットを使うことなど浸透はまだまだしていません。出典 : <span><a class="linkclass" href="">いつの時代も障害者は、社会から見て“障害がある”のではなく、理解や配慮のない社会で生きて行く上で“障害に直面している人達”です。言葉だけをいじって「ハイ、完了!」としないで、「殻に閉じこもっている人」「心の病」「愛情不足」「治療すれば治る」「人づきあいが悪い人」などの間違った認識がなくなり、それぞれに配慮し、みんなが生きやすい社会になればよいのではないでしょうか。皆さんはどう思いますか?立石美津子/著『立石流 子どもも親も幸せになる 発達障害の子の育て方』2016年/すばる舎/刊Upload By 立石美津子
2017年01月29日冬休みが終わり、新学期スタート!ADHDな長男の朝のお支度。楽しかった冬休みも終わり、新学期が始まりました。ADHDがある長男は小学校1年生。環境の変化にストレスを感じることが多く、数年前までは新学期に感情が不安定になることもありましたが、今ではだいぶ順応性が高まってきたように思います。「あー、明日から学校かあー。」と、始業式前夜には漏らしていたものの、始業式の朝はしっかり学校モード!当たり前の光景ですが、こんな風に当たり前に気持ちを切り替えられる背景には、周りが思っている以上の長男の頑張りがあると思っています。さて、そんな新学期初日の朝…。Upload By ラム*カナUpload By ラム*カナUpload By ラム*カナ
2017年01月28日重度の自閉症と持病のある長男の通院。ほっと一息つけたのはタクシーの中でした重度の自閉症があり、生まれつき肝臓と心臓に疾患を持つ長男は、赤ちゃんの頃から小児病院へ通っていました。車の運転ができない私は、双子の次男も連れて、双子ベビーカーを押しつつミルクとオムツの入った大きなバッグを背負い、電車に揺られて最寄りの駅へ。駅から病院まではタクシーで息を切らしながら通院していました。Upload By シュウママこの頃は双子の育児と長男の闘病で、精神的にも肉体的にも辛い時期でした。会計を済ませて病院から出ると、疲労感で頭もぼんやりしています。そのままタクシー乗り場に向かうと、利用者が少ないためか、たいてい同じタクシーが停車していました。何度か通院するうちに、自然と一人の運転手さんのタクシーに乗ることが多くなり、顔なじみになりました。白いあごひげを垂らしたこの初老の運転手さんが、ベビーカーを畳んだり泣いている双子をあやしたり……Upload By シュウママとりわけ心を配ってくださったことで疲れがほぐれ、温かい気持ちで家路につくことができたのです。病院へ通う回数を重ねるうち、次第に運転手さんとの交流も増えていきました。「会うたびに大きくなりますね」そう言って双子に微笑みかけてくださる、その温かい人柄にどれほど心が救われたことでしょう。立派なひげの運転手さんはサンタクロース!?でも長男の反応は…Upload By シュウママ子どもたちが3歳になったころのある日、私はこの運転手さんが白い見事に長いあごひげをたくわえているのを見てこっそり「運転手さん、本当はサンタクロースなんだよ」と子どもたちに耳打ちしました。次男は目を丸くし、タクシーの客席から感嘆の眼差しをおくっていましたが、言葉の理解が遅れていた長男は反応せず、いつもどおり窓の外を眺めていました。Upload By シュウママ長男にはまだわからないかな、と思いましたが、雪がパラパラと降る夕刻、寒さに震えながら病院を出た時、変わらず待っていてくれるこの運転手さんの存在は私たちにとって本物のサンタさんのようだったのです。病院の移転で、運転手さんとはもう会えなくなってしまう子どもたちが8歳になる今年、長男の通っている病院は、老朽化が進んでいることもあり移転になります。昨年の12月、最後の通院の日は雨が降っていました。病院を出ると、ぽつんと1台だけ停まったタクシーが目に留まり、長男と共に走りよりました。そこにはいつものように、サンタの運転手さんがいてくれたのでした。Upload By シュウママ「雨で滑るから足元に気をつけてください」と細やかな気遣いをしてくださり、最後の通院日にこのやさしい運転手さんに会えてよかった、と嬉しくなりました。帰りの車の中、私は運転手さんにこの7年間お世話になったことにお礼を言いました。すると運転手さんは照れくさそうに微笑まれながら、もう今年でタクシー運転手は引退することを話してくれました。病院は変わってもどこかでまた、偶然乗り合わせることもあるかもしれない-そう思っていたのに……もうこの運転手さんと会うことはないのだとわかると一抹の淋しさがあり、タクシーの中はいつもと違う雰囲気に包まれていました。今まで運転手さんに関心がないと思っていたのに…。長男の心に届いていたもの自宅に到着すると運転手さんもタクシーから降りて下さり、私は最後のお別れの挨拶を交わしました。Upload By シュウママその時のことです。車内ではずっと黙って窓の外を見ていた長男が突然、ありったけの大声を出したのです。Upload By シュウママとても驚きました。重度の自閉症である長男が、今日で最後だという私と運転手さんの会話を理解しているとは正直思っていなかったから。まして今まで自分から他人に声をかけたり、お礼の言葉を言う事は今まで一度としてありませんでした。あるいはいつもと違う悲しい空気を察したのかも知れませんが、必死に声を振りしぼった長男の姿には、今まで助けてくれた人への感謝の気持ちが滲んでいました。本当はずっと、抱き上げてくださった手や、優しい言葉が長男の心に届いていたのでしょうか。私は目頭が熱くなりました。運転手さんも驚いたように長男を見つめ、バイバイと小さく手を振ってくださいました。あの瞬間、一生懸命思いを伝えた長男の必死な姿を、私はずっと忘れないだろうなと思います。
2017年01月27日なかなか周囲に理解されない子どもたち。そんな子どもたちの気質とは出典 : かつて東京都内の中学校で、心障学級・通級情緒障害児学級などを受け持っていた森薫(もりかおる)先生。2012年には、通信制高校等のためのシンクタンク『学びリンク総合研究所』の所長に就任され、非行や不登校で悩む当事者・家族への支援を行っています。森先生は、周囲の人からなかなか理解されることがない子どもたちに特有の気質を「スペシャルタレント気質」と名付けました。今回は、「スペシャルタレント気質」な子どもたちに対する森先生の考え方や、そんなお子さんの子育てへの思いを伺います。発達障害ではなく、特別な才能を持ったスペシャルタレント出典 : ―発達障害のある子どもたちや、集団生活に馴染めず引きこもりや登校拒否になってしまった子どもたちのことを「スペシャルタレント」と呼ぶ理由について教えてください。日本で発達障害という名前が世の中に広まり始めたのは、1995年頃のことでした。当時、中学校の教師をしていた私は発達障害に関する様々な勉強会に参加しましたが、どうしても“障害”という呼び方に抵抗があったのです。発達に偏りがある子どもたちは人に合わせることが苦手です。しかし、誰よりも優れた“ひらめき”と“こだわり””豊かな五感力”を持っていました。こういった才能を伸ばしていくためには、その子たちに合った学びの場が必要であると思い、通信制高校の立ち上げに参加しました。そして、これまでに私が関わってきた特別な才能を持つ子どもたちに尊敬の意を込め、彼らの特別な気質を「スペシャルタレント(”ST”)」と呼ぶことにしたのです。―こだわりが強かったり、人とは違う感受性を持っている子どもたちの特徴を、障害ではなく、彼らの良さとして捉えたのですね。集団生活に馴染めない子どもたちは、「困った子」として捉えられがちです。そして、発達障害という見方により、その子の足りないところばかりに着目してしまいます。学校の先生が「困った子」という見方をすれば、生徒たちも同じような目線でその子のことを見るのは当然です。こうしていじめが始まり、スペシャルタレントの子どもたちは学校に居場所を失ってしまうのです。教育現場にいる教師や支援者がこの子たちを、素晴らしい才能の持ち主としてリスペクトできたら、いじめは起こらないでしょう。現在の日本の教育は同質化を求めるあまり、バランスよく育っていない子は否定的に捉えられてしまいます。こういった構造的な問題がある限り、学校はスペシャルタレント気質の子どもたちにとって、居心地の悪い場所でしかないのです。シンプルなコミュニケーションが、才能を育てる鍵出典 : ―スペシャルタレントの子どもたちが、困っていることはどんなことですか?彼らは思春期を迎える頃になると、一生懸命周りの友達に合わせようと努力します。しかし、必死で気を遣ってついていこうとしても、安心できる場所を見つけることができません。学校の中では「そんなこともできないの?」といった言葉もいじめに直結します。空気が読めない、人並みにできない、コミュ障だなどと言われ続ければ、どんどん自己肯定感が低くなっていきます。―みんな同じ方向を向くことを求められる場では否定され、その結果、いじめや登校拒否に繋がっていくということですね。スペシャルタレントの子どもたちは、複雑なコミュニケーションが苦手です。特に同級生とのコミュニケーションは、実はとても複雑で難しいのです。例えば、相手が年上であれば敬語だけを使えばよく、コミュニケーションの仕方はシンプルですよね。しかし、同級生となるとそうはいきません。親しさによって丁寧な言葉を使ったり使わなかったり、距離の取り方も一人ひとり微妙に違います。そして、同級生は協力する仲間であると同時に、競争する相手でもあります。気持ちの切り替えが難しい子にとって、同級生との関係づくりは非常に厳しいものなのです。自分の生活の場をなるべくクリアに保ちたいと感じるスペシャルタレントの子にとって、曖昧で分かりづらいコミュニケーションは不安を煽るものであり、合わせようと努力をすることはとてもしんどいことなのです。―なるほど…そんなスペシャルタレントの子どもたちに合ったコミュニケーションが出来る環境はあるのでしょうか。年上や年下の人と関わることのできる場所に連れていってあげると、シンプルなコミュニケーションだけ求められるので、スペシャルタレントの子は安心して関係作りができるでしょう。もしくは、海外留学をすることもおすすめです。例えば英語圏では、日本ほど間柄によって呼び方を変えたり敬語を使ったりする必要がありません。友人でも年長者でも小さな子でも、ファーストネームで呼び合えば良いのですから。自分の意思表示も“Yes”“No”の二択で求められます。日本のように気を遣って言葉を選ぶ必要はありません。さらに欧米では、人といかに違っているかが逆に評価されます。みんなが個性的で他人と変わった能力の持ち主だからこそ、素晴らしい芸術や技術が生まれるのではないでしょうか。たとえば、“変人国家”なんて呼ばれるイタリアでは、人と変わっていることが当たり前で、その変わった人々によって優れた芸術やファッション、映画、音楽が数多く生み出されています。これは、人とは違う特別な才能をリスペクトし合ってきた証拠ですね。合言葉は「あ・し・た・あ・お・う・よ」出典 : ―学校での関わりに悩む、スペシャルタレント気質の子どもたちに対して、家族はどんなことができるでしょうか?お子さんが学校でいじめに遭ったり不登校になったりすると、お母さんたちは不安になると思います。しかし、子どもたちの豊かな才能に目を向けて、不安ではなくわが子の「ファン」になってあげてください。家族みんなが、その子の応援団になるのです。私のところに相談にいらっしゃるお母さんたちに対して、「あ・し・た・あ・お・う・よ」という言葉を紹介しています。「あいしている」「しあわせ」「たのしい」「ありがとう」「おかげさま」「うれしい」「よかった」この言葉を、お子さんにたくさんかけて、抱きしめてあげてください。すると、お子さんのエネルギーはみるみる回復していきますよ。―子どもがパニックになった時や、自傷行為をする時はどうしたら良いですか?自傷行為をしていたら、そのことを否定せず黙って抱きしめてあげてください。自傷行為は、うまく自分の思いが伝わらないという負の感情が蓄積して起こるものです。突然起こるものではありません。まずはしっかりとお子さんの気持ちに向き合い、丁寧に受け止めてあげることが大切です。大好きなお母さんに否定されることほど悲しいことはありません。通常、私たちは5歳くらいからの出来事を記憶していると言いますが、スペシャルタレントの子どもたちは記憶力が良いため2~3歳頃から記憶をしているようです。そのため、親に否定された経験も明確に覚えているのです。パニックが長時間続くこともほとんどありません。物を壊したり怪我をしたりしない限りは、止めずに見守ってあげましょう。落ち着いてから、「暴れるほど悲しかったんだね」と受け止めてあげてください。Upload By 佐藤 愛美(ライター)―自傷行為やパニックが起こっても、否定の言葉をぶつけるのではなく、まず子どものことを受け止める。とても大切だと思います。でも、お母さんたちが「子育てを正しくやらなければ」というプレッシャーに日々さらされていると、難しいですよね。そうですね。かつての日本には地域の中にたくさんの子どもたちがいて、未婚の若い女性でも子守り体験を通して将来のリハーサルをする機会が多かったのです。お母さんのお乳が出なければ地域の人が代わりにお乳を与えてくれたし、産後すぐに働きに出ても、おじいちゃんやおばあちゃんが子守りをしてくれるのが当たり前でした。そのため、現在のようにお母さんが子育ての責任をすべて一人で背負うことはなかったのです。この時代は、「子どもなんて少し変わっていて当たり前」と思われていたし、思春期の早い時期に社会に出ることが多く、18歳まで同級生の集団の中に身を置く必要もありませんでした。思春期のストレスも少なくて済んだのではないでしょうか。スペシャルタレントの気質を持った人たちも、周りに合わせることなくのびのびと生活できていたんです。しかし現在は、社会全体が評価主義によって動いています。小さい頃から偏差値や内申点で評価され、高学歴が求められ、大企業に就職する人々がエリートと呼ばれています。子育てすら、自分を評価するための材料になってしまっているのです。お母さんたちは人並みに育児ができなければ評価されず、公園デビューをする時もマニュアルが必要になっています。このような社会背景の中で、集団に馴染めない子どもを育てるのは非常に苦しいことでしょう。頑張り屋さんのお母さんは、自分で自分にOKを言おう出典 : ―評価主義社会の中に立たされたお母さんたちは、どうしたら心の余裕を持って子育てができるでしょうか。私は、相談に来たお母さんたちにまずこう言います。「よく頑張ってきましたね、お母さん。本当に頑張り屋さんですね」評価主義社会の中で認めてもらおうと必死になってきたお母さんたちは、「頑張っているね」という言葉をずっと求めているんです。しかし、大人になってしまうとなかなか褒めてもらえる機会はありませんよね。だから、「I am OK!」と自分で自分を褒めてあげることが大切です。洗濯物の干し方がうまい、畳み方なんか最高!って。自分はこんなふうに頑張っている、こんな良いところがあると、自分に「OK」を与えてあげてください。すると子どもに対しても「あ・し・た・あ・お・う・よ」の言葉を与えられるようになります。―お母さん自身が、まず自分に「OK」を…大切な視点ですね。一方で一つ気になるのが、スペシャルタレントと呼ぶと、「天才児」のようなニュアンスで捉える人もいるのではないかということです。そうなってしまうとやはり評価主義の中でプレッシャーに感じるお母さんも出てくるような…優れた才能を持っている子はたくさんいますが、「天才児」というニュアンスとは少し違いますね。私は面談の中でよく保護者に対して「この子が何をしている時がいちばん幸せそうでしたか?」と聞いています。すると、これまでの我が子の姿を思い返しながら、絵を描くことや人形を作ること、小さい頃はダンスに興味を持っていたなど、色々な話が出てきます。実はこれが、未来に繋がる資源(リソース)なんです。中には「うちの子には何も才能がない!」と嘆く方もいます。しかし、一つの物事にとことんこだわり、嘘がつけなくて優しいという素晴らしい資源にもっと気づいてほしいのです。この気質はスペシャルタレントの子だけが持った、特別な才能ではないでしょうか。不登校児が学校生活に戻らなくても良いルート作りを目指して出典 : ―スペシャルタレントの子どもたちが個性を伸ばせる進路には、どのようなものがありますか。不登校の子がいちばん苦しむのは、「いつかは学校に戻らなければいけない」というプレッシャーです。学校の先生も、スクールカウンセラーも、教育相談所も、そして親ですら彼らが早く学校へ戻るように促します。この子たちは、心身ともにぼろぼろになりながらやっとの思いで学校を抜け出したのに、こんなに辛い要求はありません。今の日本に必要なのは、“学校に戻らなくても良いルートづくり”なのではないかと私は考えています。具体的には、家庭でパソコンやタブレットを使って勉強ができるホームスクールや、通信制の高校、フリースクール、そして先ほども紹介した、海外留学が当たり前に選べるようになるといいですね。―スペシャルタレント気質を持った子が大人になった時、自分の特性を活かせる仕事に辿り着くためには、周囲の大人はどんなサポートをすれば良いでしょうか。その子たちの個性を潰さず、スペシャルタレントとして尊重することです。現在活躍しているスポーツ選手の多くが「小さい頃に自分のやりたいことをやらせてくれたから今がある」と語っています。普通科の学校や目の前の成績ばかりに囚われることなく、その子が夢中になれるものを一緒に発見し、色々な体験をさせてあげてください。苦手なことを人並みにしようと何十年も努力するより、自分の得意なことを活かして活躍したほうが幸せではないでしょうか。苦手なことは、他の人に任せたり手伝ってもらったりしても良いのです。私が今、老眼鏡を使って文字を読んでいるように、便利な道具を使えばできるようになることもあります。Upload By 佐藤 愛美(ライター)―最後に、森先生が今後取り組んでいきたいと考えていることがありましたら、教えてください。スペシャルタレントの子どもたちと一緒に農業体験ができる場所づくりをしていきたいと考えています。田んぼで自由に走り回り、泥を投げ合い、ありのままの自分を認めてもらえる場所です。農業をしている大人の手伝いをし、自分の得意なことや不得意なことに向き合っていく中で、自分に対する肯定感を育めるのではないでしょうか。親や教師が“普通の”進路に固執せず、可能性を広げる場所を作ってあげることで、この子たちの活躍の幅はきっと広がるはずです。―ありがとうございました。集団生活を苦手とする子どもたちの気質を「神様からもらったプレゼント」と言う森先生。苦手を克服する従来の教育から、得意なところを伸ばす新たな教育へのシフトを目指し、一人ひとりが自分を大好きになれる場所づくりが進んでいます。(佐藤愛美)Upload By 佐藤 愛美(ライター)『未来に輝け! スペシャルタレントの子どもたち 不登校・ひきこもりの解決方法』2013年、学びリンクUpload By 佐藤 愛美(ライター)『子どもと夫を育てる 「 楽妻楽母」力‐不登校・引きこもり・夫婦のすれ違い、すべて解決!‐』 2015年、学びリンク
2017年01月26日子どもの発達障害診断が終わった直後、「お母さんも、あるね」出典 : 8年前に、子どもを連れて初めて精神科を訪れた日のことでした。予約時に「受診日には母子手帳を持ってくるように。」と言われていたのに、言われていたことすら忘れてしまい、母子手帳を持参しませんでした。子どもの診察が終わり、子どもには発達障害があると診断をした次の瞬間、病院の先生が私に言いました。「お母さんも、あるね」そしてこう続けました。「息子さんと貴女は似てところが沢山あるでしょう?お母さんもありそうだから、診察受けてみたらどう?お薬も出すよ。楽になるよ。」あまりに軽々しく言う先生の言葉を信用できずにいました。当時の私には、「楽になるよ。」と言う言葉が悪魔の囁きにすら聞こえたのです。発達障害の診断を受けることは、「逃げ」だと思っていた出典 : 子どもたちが発達障害と診断を受けて、通院しながらお薬飲んでいるのを見ると、私は羨ましく思う気持ちが生まれ、「私も子ども達のお薬を飲んでみたい」と何度も思いました。私は幼少期から忘れ物や宿題忘れが酷く、先生にきつく叱られた時には「明日は必ず忘れ物しないようにしよう。宿題は必ずやろう。」と決意するのですが、帰宅すると宿題の存在自体を忘れたり、さらには学校に勉強道具の忘れ物をする始末。数学や社会なども、教科書の文字全部が飛び込んでくる感じがして、どうしても覚えるということができませんでした。結婚して家事をするようになって困ったのは、片付けられないこと。1つのことに集中して片付ける、ということがどうしてもできませんでした。1番困ったのは鍋に火をかけたまま忘れること。いったい何度鍋の中身を真っ黒に焦がしたか分かりません。他にも財布をなくす、鍵をなくす、保険証をなくす、いろいろありました。探し物をするだけでクタクタに疲れてしまう日々でした。それなのに受診を拒んだのは、「私には診断が必要ない」、「診断を受けるのは、頑張ることから逃げることだ」という風に思えてしまったから。本当は、日常生活にたくさんたくさん困っていた。私は、それを認めたくなかったんだと思います。それでも、子ども達のカウンセリングを通じて少しづつ自分を知っていきました。子ども達が成長し、子育ての手が少しづつ離れてくると、ようやく自分と向き合ってみようかな?と思うようになってきました。そこである日、思い切って精神科での検査を受けてみることにしたのです。「忘れ物をするのは、あなたのせいじゃないんだよ」精神科で受けたのは、特性を見るための様々なテストです。そこで再確認したのは「私って覚えておくことが本当に苦手なんだな。」ということでした。次に感じたのは「子ども達はこんなしんどい検査を受けてたんだな。」ということ。子どもが経験した事を私も体験する事ができて嬉しく思いました。そして、私を検査した心理士さんからは心強い言葉を沢山いただけました。出典 : 心理士さん「あなたは人当たりやさしく気を使えるので、周りと上手くやっていけるタイプ。でも、本当の気持ちを言えているかは疑問。言いたい事を言えるようにしていきましょう。でも、自分の中に入ってくる情報が多過ぎるので、どうしても抱え込んでしまいがちになります。うまく休養をとっていきましょう。湧き上がるやりたいという衝動は、創造性が豊かということです。それからあなたのような人は、アイデアがポンポン出てくるあまり、あれもやりたいこれもやりたいとやり過ぎる傾向があります。そういう人は、なんでも自分でやろうとするのではなく、プロデュース業を仕事にすると良いです。貴女の創造性と人との関わりは素晴らしいところです。その素晴らしいところは消す必要はないですよ。ただ、少し荷を下ろす必要はあると思います。5つあるとしたら、3つにするとか。少し整理すると良いでしょう。忘れ物することは貴女のせいじゃないからね。そこは周りに助けてもらいましょう。後は周りに気持ちを伝えられるように、頼ったり甘えたりできるように、少し言葉を工夫して伝えていきましょう。自分が思う自分と、周りが思う貴女とでは、大きなギャップがあるように思います。そのギャップが、少し人間関係を難しくしてるようです。でも、お子さんを通して自分と向き合ってきて、おおよそ私から言われる事が予想できているようですから、今回のことは『あぁ、やっぱりそうか』と納得するのではないでしょうか?今回、テストを受けて自分と向き合うと決めたことは良いことですよ。それと、処理能力が遅いのもあり、仕事を失敗しないように丁寧にしようとすることで仕事の能率が悪くなりやすいようです。苦手なことはどんどん人に委ねていきましょう。」などなど…私の特性を説明するだけでなく、その活かし方まで伝えてくださる方でした。後は、日常生活での具体的な対応の仕方や言葉遣いの工夫なども教えてくれました。カウンセリングでの言葉を聞きながら「あぁそっか!そう言えばいいのか!」と納得しました。知ることって大事だと再確認できました。1番安堵したのは「忘れ物をするのは貴女のせいじゃないからね。」という言葉。努力だけでは乗り越えられないものがあると分かり安心しました。今回の心理士からの言葉から、やりたいという衝動が多い末っ子の「学校がつまらない」という言葉を意味を初めて理解しました。末っ子にとっては、自分の衝動性を満足させるものが学校にはなかったのだということに、初めて気付きました。自分の特性を知ることは、子ども達の発達障害の特性を理解するのにも良い参考材料となったのでした。診断を受けても変わらないもの出典 : テストの結果とその後の医師の診断から、私も子ども達と同じように発達障害があることが分かりました。結果が出たとして、私という存在は変わりませんし、これからも変わりません。変わるとしたら社会の目かもしれません。でも、今回の結果から、分かった事を利用して生活を豊かに過ごすことはできます。苦手を少し楽に過ごす工夫もしやすくなりました。得意なことはより自信を持って進んでいけます。診断を受けるまで長い年月がかかりましたが、今は勇気を出してテストを受けてみて良かったなと思っています。
2017年01月26日発達障害の息子との会話、それは6歳とは思えない話し方で…出典 : 私の息子は年齢に不釣り合いな独特の話し方をし、側で聞いている人が思わずギョッとして振り返ります。それはまるで、公式な文書を順番に読みあげているかのような話し方だからです。「お母さん、高速道路に侵入する際には落下物に気を付けてね」「僕は○○くんと一緒に遊んだ。しかし、○○くんは僕と一緒に遊ぶことを執拗に拒んだんだ。なぜなら、○○くんは…」使っている単語も、普通の6歳児のボキャブラリーとはかけ離れています。息子の喋り方は会話調ではなく、文書そのままのような感じなので、大人から聞いていても話の流れが非常に分かりやすいです。けれども、子ども同士の会話では、ひどく浮いてしまうことになるのです。なぜ息子はこのような言葉遣いにこだわるのでしょうか。こんなに難しい言葉、一体どこで覚えてきたの?出典 : 息子が言葉を習得するのは、主に本とニュース番組からです。バラエティ番組などは「いろんな言葉がうるさくて耐えられない」と言います。息子によると、淡々と一本調子で正しい言葉で読み上げるニュースが1番安心して視聴できるのだそうです。同様に、本を読むのも安心するようです。そして、崩した表現は苦手です。その結果、「お母さん、高速道路に何か落っこちてるかもしれないから気を付けてね!!」ではなく「高速道路に侵入する際には落下物に気を付けてね」という言葉が、彼の中での「言葉」になるのです。「正しい言葉」の方が頭に入ってきやすい分、息子は言葉にひどく拘ります。言葉の成り立ちや用法を、なんとなく覚えることができません。まさに、言葉を「スルーできない」のです。気になる言葉をすぐ聞いてくる息子にイライラ!もっとスッと会話したいのに…出典 : 言葉を「スルーできない」息子は、大きくなるにつれて耳から聞いた言葉について、納得がいかなくなることが多くなってきました。ある日シャツをベロンと出しながら歩いている息子に、私が「シャツを入れなさい。だらしがない」と言ったときのことです。息子はこう言ってきたのです。「“だらし”というのは何?」「僕は“だらし”というのが無いんだね?」「じゃあ、“だらし”が有るというのはどういう状態なの?」この調子で質問は続き、私は思わず「もういい、とにかくシャツを入れなさいったら!」と怒ってしまいました。話し言葉だけではなく、書き言葉にもこだわりは発動します。「お母さんは外国由来の言葉はカタカナで書くと言った。じゃあなぜトラは日本語なのにカタカナで書いてあるの?」この調子で、ちょっとやそっとでは答えられないような質問を1日中私に投げかけてくるのです。時間があるときは1つひとつ調べて丁寧に答えていましたが、この「言葉に対するこだわり」のためにやり取りがいちいち止まってしまうことが頻繁に生じ、私は息子と話すたびに「黙って質問に答えてよ~!!」とイライラしていました。もう限界!息子の関心・こだわりを活かすために私が用意したのは出典 : ある日、遂に限界に達した私は、電子辞書を息子に買い与えました。そして、「意味が知りたいとか、何でこういう言い回しをするんだろう?とか不思議に思ったら、これを使ってみて」と言ったのです。紙の辞書も考えたのですが、辞書をひく手間がかって息子が途中で音を上げます。電子辞書であれば、息子でも使いこなすことができるのです。結果は大成功!私にいちいち聞いてはお互いにイライラしていた時間が、電子辞書で調べることで解消しました。発達障害児の育児には、デジタル機器が非常に役に立つことがあります。デジタルの機器は、発達障害児にとってのメガネや杖のようなものかもしれません。活用できるものは積極的に活用し、本人も周囲も楽になること目指したいものです。
2017年01月26日私の娘は、22歳の時にアスペルガー症候群と診断されました。そんな娘が小中学生だった当時は、まだまだ発達障害についての世間の認識が薄かった時代。娘の特性に対する理解や支援を得られず、小学校高学年から続いたいじめの影響で、神経性食欲不振症、不登校、被害妄想、幻聴幻覚、解離などの二次障害が現れていきました。そして、いま現在も入院治療が続いています。今回は、前回記事の小学生時代に続き、娘の中学生時代についてお話します。これは今から、15年ほど前の出来事です。現在では信じられないような出来事に、親子で随分と苦しめられてきました。障害や教育に対する支援・態勢が、現在と比べてどのくらい異なっていたのか、その点も含めて読んで頂けると嬉しいです。入学した中学でもいじめが待ち受けていた出典 : いじめの事態が改善されないまま小学校を卒業した娘でしたが、期待を持って入学した中学でも、再びいじめが待ち受けていました。三校の小学校から生徒が集まる中学だったので、娘の名前はすぐに知れ渡ってしまい、新しい仲間にも打ち解ける事ができないようでした。学校に行く事が苦痛になっているのではないかと感じましたが、頑張って登校している娘を見ると何も言えず、ただ楽しく過ごせるようにと祈る事しか出来ませんでした。加えて同じ頃、重度知的障害のある四年生の次男が、担任が変わり環境が変わった事で落ち着かなくなり、些細な事でも大声を出しパニックを起こすようになりました。私は、娘の事が気になりつつも、目の前の次男の対応に追われていました。2泊3日の学年行事から帰宅後、言葉を話せなくなった娘。出典 : 娘に変化が起きたのは6月下旬でした。新1年生の行事である2泊3日のふれあい合宿を終えて帰宅した時のことです。「お帰り〜!」と、私は声をかけましたが、娘は何も言わずに黙って下を向いたまま。出かける前には、「行きたくない」と口にしていたので、いろいろあったのだろうなと思い、私はそれ以上は何も言いませんでした。夕食の時間になっても、娘は何も話さず、食事も口にせず、下を向いたままでした。私は娘の様子が気になったものの、「合宿で何かあったのだろうか。話したくないなら仕方がない、明日になれば、少しは元気になるだろう…」と考え、事態をあまり重く受け止めていませんでした。ところが事態は、私の想像をはるかに超えたものでした。翌日以降も、何を聞いても、返事をするどころか、顔を上げる事すらせず黙ったまま。言葉を発するのが困難なように見えました。ただ事ではないと感じた私は、担任に相談し、言葉が出ないまま学校に通うのは無理だろうと、夏休みまでの1ヶ月間、学校を欠席させると決めたのでした。娘の言葉は、その後の2ヶ月間も出る事はありませんでした。児童相談所の医師の言葉に、親としての自信を失くしてしまい…出典 : その後学校からは、娘を児童相談所に連れて行くように勧められ、私は娘と次男と出かけて行きました。相談所に行くと、女性職員との簡単なやり取りの後、「精神科の医師に診て貰います」と言われ、その場で待つように指示されました。しばらくして現れた若い医師は、私と娘と次男をチラリと見ていきなり、こう告げました。「お母さんが悪いです!」驚いて、言葉も出ない私に、医師は続けて言いました。「お母さんの育て方が悪いから、子どもがこうなったのですよ!」私は、あまりの言葉にショックを受けました。この時、医師とはまだ一言も言葉を交わしていません。何も話していないのに、なぜ断言するの?なんとひどい言い方。話も何も聞かないで、何が分かると言うの?私はただただ驚き、自分の子育てを全否定されたショックで、やりきれなさと悔しい気持ちでいっぱいでした。医師との面談の後、女性職員が申し訳なさそうに言いました。「こういうケースは、ものすごく多いのですよ。関東から九州に引っ越して来た人は、カルチャーショックで、子どもと母親は耐えられなくて関東に帰ってしまい、父親だけが残って単身赴任になるんです。」私は、この女性職員の言葉に救われたような気がしました。けれども、若い医師の言葉はずっと心に引っかかり、自分の子育ては間違っていたのだろうかと、母親としての自信を失いかけてしまったのでした。神経性食欲不振症(拒食症)と診断されて出典 : その後も娘は、下を向いて顔も上げられない状態が続き、歩くのもおぼつかなく、食事も取れなくなり、164cmで42kgだった体重が30kgを切るまでになりました。私たちは、次男の主治医に娘の診察をお願いしました。児童相談所のあの若い医師とは違い、娘の様子をしっかりと診てくれました。娘に下りた診断は、神経性食欲不振症(拒食症)。体力を回復させる内科治療をしながら臨床心理士のカウンセリングを受ける事に決まり、娘の治療が始まりました。週に一度、1時間の女性心理士のカウンセリングと並行して、次男の言葉の教室でお世話になっている言語聴覚士にもお願いをして、娘の指導をしていただきました。娘の言葉はすぐには出ませんでしたが、言語聴覚士の指導で行われた私と娘が身体を密着させて行う運動療法は、お互いの不安を解消させてくれました。二人で向かい合って座り、手を繋いで引っ張り合いをしたり、その手をお互いの背に回し、ギューッと抱きしめたり、背中合わせでおしくらまんじゅうをしたり…言葉はなくても、お互いの心が一つにならないと出来ない運動でした。何回か通ううちに、娘は、「うん…」と声が出るようになりました。絞り出すような娘の声を聞いた時、私は嬉しくて心から感謝をしました。それからようやく、少しずつ娘の言葉が出てきたのでした。ところがそのうちに、また別の奇妙な出来事が起きるのです。娘は「お母さん大好き」と言って、私の顔をじーっと見つめ、異様な笑みを浮かべ、それから、私の行く先々に着いて回り、トイレの中まで入ってくるようになったのです。いわゆる赤ちゃん返りでした。娘は、私のそばを片時も離れなくなり、「抱っこ!」と言って膝に乗って来ます。私は一晩中、私よりも身体の大きな娘を抱っこして座ったまま状態で過ごすことになり、朝まで眠れない日々が続きました。一瞬たりとも、心が休まる事はありませんでした。4,5日経つと、さすがに娘も辛くなったのでしょう。夜は布団で寝る…と言って、添い寝をするようになりました。日中も夜も、私は娘のそばを離れる事もできない状況でしたが、次第次第に、娘の様子も安定していきました。そして、夏休みも終わろうとする頃、娘はようやく無言状態から脱出したのでした。不思議なもので、娘が安定してくると、あれほど不安定だった次男も落ち着いてきました。2人が不安定になって、私ひとりでは手に負えない状態でしたが、少しずつ事態は進展していったのです。自らカウンセリングをストップさせ、再び学校へ…娘の家での様子はこのように変化していきましたが、その間も週に1度のカウンセリングは続けていました。カウンセリングは1時間ほど、心理士と娘だけで行われました。たわいもない話をしたり箱庭療法をしたりして過ごしながら、私たちには話さない学校での出来事を話していたようでした。何回目かのカウンセリングを受けた後、娘は自分から心理士に「もうこれ以上続けていても意味がないから、自分の気持ちに蓋をして、学校に行きます。」と言って、突然にカウンセリングを終了させました。私は驚きましたが、娘の決断は揺るぎませんでした。そして、10月の終わり頃、娘は休んでいた中学に再び通い始めました。私たちは、もう少しゆっくり休むようにと伝えましたが、娘は私たちを押し切って、学校へと戻って行ったのでした。体調はまだ戻っておらず、調子の良い時だけ登校する形で、通院しながら頑張って登校しました。以前は、男子生徒からの悪口が酷かったのですが、担任教師のお陰で、娘の悪口を言う生徒は減っていきました。若い教師でしたが、何度も家庭訪問をして下さり、娘や私の気持ちを親身になって考え、支えてくださいました。娘は、カウンセリングを終了しても、困った時には心理士に電話をかけていました。カウンセリングという形を取らなくても、いつでも深夜でも相談に応じてくださる心理士の存在は、娘にとって、どんなにか心強かった事でしょう。この心理士と担任教師の二人を味方につけて、娘は学校という孤独な場所に立ち向かって行ったのでした。出典 : 中3になった娘の高校受験対策出典 : 中1の10月から登校を始めた娘は、中2も同じ担任教師のクラスとなり、生活を変える事なく、体調の良い時だけ登校しました。無理のない登校で、だんだんと落ち着きを取り戻し、笑顔も見られるようになりました。けれども、中3では担任も変わり、娘への理解も得られませんでした。自分の考えを押し通す担任に、私は不安を覚えました。高校受験も控えているので、体調の良い時だけ登校する訳にもいかず、悪口を言われても、嫌がらせがあっても娘は我慢して登校を続けたのでした。担任教師が理解してくだされば、なんとか頑張れるものなのに、担任は娘の訴えを否定し続けます。クラスの生徒に悪口を言われて我慢できずに、娘が担任に相談に行くと、まるで娘のほうが告げ口をしているかのように思われて「どうして、いちいち言いに来るんだ。」と突っぱねて、少しも娘の気持ちを理解しようとしないのです。私自身も何度も学校に行き担任に話をしましたが、私の話など聞く耳を持ちません。そこで、小学校の時と同じように主人と2人で学校に出かけ、夫婦揃っての校長面談を取り付けることにしました。ですが、いざ学校に行ってみると、現れたのは校長ではなく学年主任。私たちの話を「はい、はい」と笑顔で頷いて聞くばかりで、全て分かっているかのように応答したのでした。私は、この表面的な応対に人としての温かさの微塵も感じず、失望したのでした。推薦入試で高校合格へ… 卒業への思い。出典 : 担任教師にも学年主任教師にも理解を得られず、修学旅行や体育祭、文化祭など行事があるたびに辛い思いをしながらも、娘はどうにか、残りの学校生活を乗り切っていきました。中3の2学期になって高校見学や説明会が始まると、私は娘と私立の美術科のある高校見学に行きました。私たちだけのために応対してくださった美術科主任教師は、とても穏やかな優しい方でした。私はその誠実なお人柄に惹かれて、初対面であったにも関わらず、心を開いて話が出来たのでした。「毎日一緒にいる担任教師よりも、この初対面の教師のほうがよほど理解してくださるではないか…こんな出会いはそうそうない」私は、この教師になら娘を安心してお任せ出来ると確信し、この高校の美術科の推薦入試を娘に受けさせ、無事に合格通知を頂いたのでした。九州に転居してからずっと、娘はひとりで耐えて来ました。転勤とはいえ、住みたくもない街で暮らし、行きたくもない学校に行かなければならない事は、辛く苦しいものだったに違いありません。苦しんでいる我が子に、してやれることは何なのか。親として出来る限りの事は、してきたつもりです。ですが、果たして、これで良かったのでしょうか。発達障害への認識が、現在のように進んでいたのなら、娘はこんなに苦しまなくても良かったはず。療育や支援を受けて、もっと娘自身を輝かせる事が出来たはずです。医師ですら、発達障害の認識がない時代では、支援も療育も受けられず、当事者だけが苦しみの中にいたのです。現在なら、学校に行かない選択も出来たでしょうし、必要な支援も療育も受けられるでしょう。時代のせいにはしたくありませんが、そんな時代であったのは事実です。卒業式の日、娘は立派に卒業証書を頂きました。晴れ晴れとした娘の顔を見て、私はホッとしていました。本当によく頑張ったね。卒業おめでとう…私は、娘のこれからの道が明るく光り輝くものとなるようにと、願ったのでした。
2017年01月25日言葉の理解が遅い娘とのコミュニケーション、そこにはちょっとした苦労があって…Upload By SAKURA広汎性発達障害がある5歳の娘は、言葉能力が他の子よりも大幅に遅れています。他の子が一度で理解できるようなことも、娘に言葉だけで伝えるのは至難の業。同じことを言葉を変えて何度も繰り返したり、絵を描いたりしてやっと伝わります。娘も一生懸命聞こうとしているのは、わかっているんだけど…娘は決してやる気がないわけでも、わざとやっているわけでもなく、本当にわからないのです。一生懸命に聞いているのですが、理解できない。それが十分分かっている私ですが、どうしても自分に余裕がないときはイライラしてしまいます。Upload By SAKURA何度説明してもわからなかったり、途中で諦めてしまう娘を見て、「も~!なんでわからないの!?」と酷い言葉を言ってしまうことも…。そんなことを言ってしまった日の夜は、罪悪感がこみ上げてきて、娘に申し訳なくなります。そんなときは、素直に謝るUpload By SAKURAそんな時は夜寝かしつけるときに、娘に正直な気持ちを伝えて謝るようにしています。私の言うことが100%理解できない娘なので、言ってる意味がわからないかもしれない…。それでも娘は「だいじょーぶ!きにしないで。」と言ってくれます。その度に、「あ~私の子どもがこの子で良かった…」と、改めて娘の良さを実感しています。完璧な親なんていない。親だって人間。イライラもするし、感情的に怒ったりもします。私は「いい親になろう」とは思いませんが、娘に素直に謝ることが出来る親でいたいな…と思っています。Upload By SAKURA
2017年01月25日しょっちゅうモノを壊す、うっかり・不注意なADHD息子…母の知恵をご紹介!Upload By かなしろにゃんこ。不注意のあるADHDの子は、モノを大事に使っていても、うっかり壊れちゃった!なんてことがよくあります。なかには買い替えると高くつくものも…発達障害がある子の子育て中は何かと出費がかさみます。これは、我が家でのセコイ工夫のお話です。リモコンにはラップ!割れたメガネフレームはコレ!Upload By かなしろにゃんこ。食卓でうっかり飲み物をこぼして、テレビのリモコンが水浸しに…なんてことのないよう、我が家ではリモコンに常にラップを巻いています。息子は勉強のときメガネをかけているのですが、過去何回メガネフレームを壊したことでしょう…。メガネはすぐに直せないときもあり、予備がないときは困ったものです。瞬間接着剤でも部位によっては上手にくっつかない場合があります。そこで我が家では、紫外線で固まるUVレジン液(アクリル樹脂)を活用しています!UVレジン液はハンドメイドなアイテムとして人気の接着剤で、百円ショップでも購入でき、お手軽で何かと便利です。UVレジン液の樹脂がしっかりフレームを包み込んで固まってくれたのでメガネ復活です!自転車のライトは…こんなもので代用できちゃう☆Upload By かなしろにゃんこ。また息子が小学校高学年~中学校のとき、自転車の乗り方が乱暴なためライトが壊れることがよくありました。その度に買い替えで1500円から2000円かかるのは家計的にキビシイので、台所の流しのゴミとりの網に電池で点灯する百円のライトを入れて自転車に吊るしました。最初、息子は「マジでダサい!」と言っていましたが、今では友だちの前でも、このダサさを自虐的な笑いに変えて出かけて行きます(笑)。発達障害がある子は、応用を利かせることが苦手と聞いたことがあります。息子も見本やお手本なしで、自分で工夫して解決策を考えるのは苦手だと思います。何かなくしたり使えなくなったときでも、こんなふうに色んなもので応用ができることをたくさん知ってほしいです。だから、代用品はセコくても多少(?)カッコ悪くてもいいかな~と思ってます。新しい物を買い替えなくても身の回りにあるもので何でもできる!と親の手元を見て覚えてほしい!母でした。
2017年01月24日幼いころから続いた、娘の「足が痛い」という訴え出典 : 歳の娘にはアスペルガー症候群の診断が出ています。ある日「学校をやめる」と宣言してから、毎日家で過ごしています。そんな娘ですが、不登校になる前はよく、足の痛みを訴えていました。そのたびに「成長痛かな?」「きっと身体が大きくなろうとしているんだよ」と軽く聞き流していました。しかし、ピアノの練習や宿題の最中など、「どうして今?」という場面でも痛みを訴えるため、不思議に思っていた私。足の病気かな?と不安に思ったりもしましたが、遊びの時間になると「もう治った!」と走り回っているので、病院へ行く程でもないのかな…と様子見を続けていたのです。本当に痛いの?どのくらい痛いの?あまりにも辛そうな娘を前に出典 : 足の痛みが子どもの心と繋がっていると気がついたのは、娘が登校を嫌がるようになってからのことでした。毎晩「足が痛い」「動かせない」と訴えるようになり、ベッドで娘の足をさすってあげる時間が増えました。学校をお休みすると痛みは引いていき、また夜になると痛みを訴えるのです。登校のストレスが、娘の体に痛みをもたらしていたのですね。学校を休みがちなお子さんの中には頭が痛い、お腹が痛いと訴えるケースが多いというのは知っていましたが、まさか足にくるとは!気がついたときは、目からウロコ状態でした。このような話をすると、「そう言えば休ませてもらえるから『痛い』って言ってるだけじゃないの?」「親が甘やかすから図に乗る」などと言われることがあります。確かにそのようなケースもあるのかも知れません。それでも、子どもがそこまで追い詰められているのならば、休ませてあげるのも大切な選択肢の1つなのかも知れないなぁ…と、個人的には思っています。娘と一緒に、痛みが現れるタイミングを洗い出してみた出典 : さて、子どもが足の痛みを訴えてきたとき、それが本当の痛みなのか?本当ならどの程度の痛みなのか?他人である私にはわかりません。それでも、涙目で痛みを訴えてくる子どもの言葉を信じることから始めてみることにしました。そして娘と一緒に、「どんな時に痛みが出るのか」を観察してみることにしたのです。観察を続けて行くうちに、少しずつ痛みの出るタイミングが見えてきました。前日から学校を休むと決めている場合は、痛みが出ることはありません。行けそうなら行ってみよう!と言ってベッドに潜ると痛みが出てきます。学校だけではなく、新しい習い事の体験日が迫っている時なども、痛みが出ることが分かりました。そうして長期間観察した結果、「安心できる場所以外へ出かける予定がある場合、足に痛みが出る」という結論に達しました。極度に緊張する場面で、手に汗をかくなどの反応が出る人もいますが、娘の足の痛みもそのような反応なのだと考えることで、少しずつ娘の不安を探る手段にもなっていきました。観察や分析を繰り返すことで知った、子どもが抱えている漠然とした不安出典 : ある日の会話です。娘「ママ、ここのところずっと足が痛いんだけど、どうしてかな?」私「あれ?特別なところに行く予定はないはずだけど...」娘「そうなの。でも痛いからどうしてかなぁと思って。」母「そうねえ・・・。あ!もしかして、この間水泳教室でテストに合格したから、次から平泳ぎに入るでしょ?それでちょっと水泳教室に行くのが不安に思えるのかも?どうかな?」娘「確かに!平泳ぎはやったことがないから、怒られたらどうしようってずっと怖かったんだ!ママ、ありがとう!それだ!」母「そっか。じゃあ少しでも不安を軽減させるために、パソコンで平泳ぎの基礎を調べてみたらどうかな?いろんな動画もあると思うよ!」娘「なるほど!やってみるね!」母「きっと、一度水泳教室で平泳ぎを教えてもらえば足の痛みは取れるから、それまではマッサージしたりして乗り切ろうね。」娘「そうだね!次の水泳教室までの我慢だね!」出典 : こんな風に会話することで、娘の中でよく見えていなかった不安を洗い出せるようになっていきました。生活の中で漠然と抱えている不安要素を、足の痛みをきっかけにきちんと捉えることができるようになり、娘自身理由が分からないまま機嫌が悪くなったり、他人にきつく当たったりすることが減っていきました。一時は娘が足の痛みを訴えるたびに「何がいけなかったのか」と、鬱々とした気分になる私でした。でも今では、「足が痛い」と相談されると、「いいサインを出してくれたね!何が不安なのか、一緒に考えてみよう!」と、プラス方向に捉えられるようになりました。子どもの訴えを信じることで、見えてくるものがある出典 : 「足が痛い」「頭が痛い」「お腹が痛い」…。子どもからいろいろなサインが出たとき、「気のせいだよ」「頑張りなさい」と痛みを無かったことにしてしまうのは、実はとてももったいないことなのかもしれません。まずは一旦痛みを受け止め、子ども自身がきちんと掴み切れていないストレスの原因を探るチャンスに変えてみても、よいかもしれませんね。
2017年01月24日普通級から特別支援学級へと転学した長男。過ごしやすさはどう変化した?出典 : 小5の長男には、自閉症スペクトラム・ADHD・学習障害の診断が出ています。就学相談では普通学級を勧められて小学校へ入学しました。ところが学年が上がるごとに学習障害に苦しめられ、学校に行くことができなくなった長男。いろいろ悩みましたが夫婦で話し合った結果、今年の2学期から知的障害対象の特別支援学級に転学しました。長男が現在通っている支援学級では、3人の担任と4人の介助員とで、1年生から6年生まで十数人の子どもたちを指導しています。授業では、学年ごと3、4人の少人数指導で、1人ひとりの実態と目標に合わせた課題の提示をしてくれるので、今まで授業のスピードについて行けず、わからなくても聞くこともできずに、ただ授業時間を耐えていた長男にとっては、やっと「学べる」授業を受けられるようになったのではないかと思います。生活面では、朝学習と朝の会から始まる規則正しいスケジュールで時間にもゆとりがあり、スケジュール変更や慌ただしいことが苦手な長男にとっては、過ごしやすいようです。また、友達と遊ぶことが大好きな長男に、新しい学校で友達ができるのか?楽しく遊べるようになるのだろうか?という不安もありました。今は同じ学年の交流学級には行かず、支援級だけで学習や生活をしています。その中で、下級生の面倒をよく見るので慕われているらしく、6年生のお兄さんとは意気投合し、放課後お互いの家で遊ぶほど仲良くなることができました。先生方のフォローなどがきっと行き届いていることもあるのでしょうが、すぐにみんなと仲良くなれて、休み時間には楽しく遊ぶ毎日を送れていること、本当に良かったと胸をなでおろしています。それでも、悩みや不安は尽きなくて…出典 : 彼の特性に合ったカリキュラムにはなったけれど、長男本人にとっても、以前より学校生活は楽になったのかな…?私たち親にとっては、それが何より気になるところです。家での様子は、以前に比べて穏やかになったと感じています。イライラして当たり散らしたり、自分を責めて大泣きしたりすることは減ってきました。それでもたまに、「学校いやだな~」「今日も疲れちゃったよ…」という言葉を長男から聞くたびに、「なんで?何があったの?何がまだ辛いの?」とビクビクしてしまう私がいます。支援級に移ってもまだ毎日が辛いなら、後はどうしてあげたらいいの?わからない…。また、将来のことを夫婦で話し合うたびに、「支援級に移ったことで、長男が将来やりたいことができなくなったらどうしよう…」という弱音を吐いてしまいます。今まで辛そうな長男をずっと見てきたので、親の私が少し過敏になっているのかもしれません。そんなある日、長男が自ら語ってくれた現在の心境出典 : そんなある日のことでした。大好きなハンバーガーショップでニコニコとお昼を食べていた長男が、私と2人きりになったとき、急に話し始めました。長男「お母さんあのね…、今ね、毎日楽しいな~と思えるんだ。大変なこともあるけど、前より楽になった感じ。」私は急に話し出した長男にビックリしましたが、笑顔で「うんうん」と聞くことにしました。長男「そうだな~…小さい頃の僕に戻った感じかな。いろんなことが楽しいって思えるし、嫌なことがあっても、まあいっかって思えるんだ。幼稚園の年中さんぐらいからね、僕ずっと辛かったんだ。グラグラする吊り橋にずっと乗ってるみたいで、いつかヒモがブチっと切れるんじゃないかって、怖かった。今思えば、1番辛かったのが、3年生の頃だったな。色んなことがワーッて僕を襲ってきて、どうしたらいいのかわからなかった。今はね、大丈夫だなって、思えるんだよ。」私たちの選択は適切だった。長男に、そう励まされた気がして…出典 : 私はただ笑って、彼の頭を優しくなでていました。次男がそのとき席に戻って来なかったら、たぶん泣いていたでしょう。長男は、幼児の頃から自分が抱えている辛さを自覚していたのでしょう。でも、上手に表現できなかったし、助けを求めることもできなかった。ただただ「幼稚園行きたくない、学校行きたくない。」と言って泣くことしかできない彼に、当時の私は「わがまま言わないの!」と理解してあげられなかった…。どれほど絶望的で救いがなく、辛い毎日だったのか…。その頃の気持ちを客観的に捉え、今こうして表現できる長男に本当に驚きました。そして、今を「楽しい!」と笑顔で話してくれた長男に、私の方が救われたような気がしたのでした。夫婦で思い出したのは、子育てで最も大切なことだった出典 : ちょうどその日の翌日、夫が嬉しそうに私に話しかけてきました。たまたま通勤途中に長男の学校を通りかかったところ、支援級のみんなで朝マラソンをしている長男に会ったそうです。友だちと笑顔で話したり、じゃれあったり…本当に楽しそうだったとのこと。夫「俺、思い出したんだよ。長男は小さい時、あんなふうに底抜けに楽しそうな笑顔をする子だったよね。長いことあんな笑顔見ていなかった気がするけど、そういえば最近また見られるようになったと思わない?」ああ…支援級に移って、あの子は本当に良かったんだ。やっと心底、そう思えるようになった瞬間でした。不安は尽きない。それでも「楽しい!」と思える日々が、きっと将来への道につながっている出典 : それでも、将来への不安はやはりあります。彼が幸せな大人になるための道を、これからも親子で真剣に模索していかなくてはならないし、支援級にいたことで辛い思いをすることが、今後出てくるかもしれません。それでも、今を「楽しい!」と言って、前を向いて生きていける。本来、長男が持っている明るさや優しさを活かし、伸ばすことができる。そんな長男なら、きっと困難にぶつかっても乗り越え、自分の道を前へと進んで行けるんじゃないか…。今の彼を見ると、そう思えるのです。私たち親にできることは、彼が「楽しい!」と思える毎日を過ごせるよう、環境を整えていくこと。そして、困難にぶつかったときに、「一緒にいるよ」と伝えて、共に乗り越えていくこと。これからも揺らぐことはあると思いますが、改めて親として彼を支え、見守っていきたいと思います。
2017年01月23日息子に療育を受けさせたい!しかし、立ちはだかったのは年齢の壁だった出典 : 皆さんは、お子さんがいくつのときに療育を始めましたか?早期療育という言葉も最近は耳にしますが、早期とは一体いつからを指すのでしょうか?わが子にいち早く療育を受けさせたかった私は、療育の施設探しに奮闘しました。今回はそのエピソードをご紹介いたします。息子は2歳で自閉症スペクトラムと診断を受けましたが、以前から気がかりなことがたくさんありました。衝動性があり声をかけるのですが、見向きもせずあっという間にどこかへ走っていきます。常に動き回る息子からは目が離せません。睡眠も不安定で、常に2, 3時間寝ては起きるを繰り返していました。息子と接するたびに何かが違う…と感じていました。そして、やっと取れた療育センターでの受診日。センターでは医師から、「自閉症スペクトラム障害」「ADHD(仮)」と診断を受けたのです。診断後に療育センターから伝えられたのは、・1対1の個別療育は行っていない・集団療育は行っているが、最低でも年少さんから・低年齢すぎると発達に個人差があり、似た特性を持つお子さんだけでグループを作ることが難しいこうした理由から「2歳では療育に参加できない」ということでした。施設を探しては電話をかけ、断られる日々出典 : 診断を受けたのに何もしないで待つなんて…私たち夫婦にはできませんでした。「療育センターがダメなら民間で探してみよう!」と、意識を変えました。とにかく少しでも早く療育を受けさせてあげたい。この一心で、我が家の療育機関探しがスタートしたのです。そんなとき、別の地域に住む友人から自治体によっては2歳からでも受け入れしている施設があると聞き、インターネットで探したり電話をかけたりしました。しかし、自治体が運営している施設の情報は、その自治区の住民でないと教えてもらえなかったのです。民間施設も探しましたが…私たちの居住区から近い場所にはありませんでした。また、区役所から事業所一覧表を貰う機会もありましたが、頂いた時点で掲載してある情報は2年前と古く、しかも電話番号と施設名しか載っていないため、1件ごとに電話をかける必要がありとても大変でした。電話をかけるたび、「え?2歳?2歳じゃちょっと…」というところや「居住区の方が優先です。」と早々に断られてしまうこともあったのです。受け入れてくれる施設をやっと見つけたけれど…出典 : やっと受け入れてくれそうな施設を見付けて見学に行っても、子どもへの接し方が厳しく「無理やり何かをさせる」「怒鳴って言い聞かせる」といった現場を目にしてしまうこともありました。ある事業所へ体験指導に参加したときのことです。息子は高い場所に上るのが好きで、その日もテーブルの上によじ登ろうとしました。その瞬間、先生が息子の目の前でテーブルを叩いたのです。その後、息子は委縮していました。また、衝動的にあちこち歩き回ろうとすると、手を強くつないで目的地まで引きずるようにして連れて行きました。「無理矢理で強引なやり方に見えるかもしれませんが、このタイプのお子さんにとって重要なのは、大人に従わせること。主導権は常に大人にあるのだとうえつけることが必要になります。」と、職員の方は説明していました。この方針を聞き、素人の親目線から感じた率直な気持ちは、「安心して息子を預けることができない事業所はやめよう」というものでした。やっと見つかった、息子に合った療育先出典 : その後も諦めず、インターネットで検索する日々が続きました。そんなとき、ある施設を見つけて電話したところ、「会ってお子さんの様子を見てみたい」とのこと。2歳になったばかりだと伝えると「2歳でも療育は開始することができるんですよ。衝動性があっても、お子さん側に寄り添った対応をしてあげることができます。」と言われ、安心したのを覚えています。やっと息子を安心して預けられる施設を見つけた!そう実感しました。安心して利用できる療育先を見つけるまでとても大変でしたが、諦めずに探し続け、本当に良かったと思っています。療育は子どものためだけじゃなかった!子育ての不安をそのままにする前に出典 : 療育を受けるようになってからというもの、・意思の疎通が以前よりできるように・興味に広がりがでてきた・目の前の人の話を、以前より聞けるようになったこのような変化が見られ、自宅で息子の対処に困ることが減ってきました。息子がこうして大きな成長を遂げたのは、療育での経験が大きいと思います。施設では、息子の行動や心理面を第三者の立場で分析してくれ、対策を一緒に考えてくれます。出典 : 一方で、パートナーや親族から早期に療育を受けることを、反対されてしまうケースもあるようです。それは、子どもがまだ2歳前後で小さい場合、行動や言葉の発達にもまだ個性が表れにくく、「もう少し様子を見よう…」と判断する方も多いからなのだと思います。また、「この子は他の子とちょっと違う…」そうした小さな違和感は、常に側にいる母親なら気付くかもしれませんが、普段あまり関わりの無い家族では、なかなか気付けずに「気のせいだよ」と一蹴されることも少なくありません。この場合、子どもと母親だけが取り残され、子どもは適切な支援が受けられず、母親も味方がおらず孤独に苦しむのではないでしょうか?でも、子どもや私たち親の笑顔が増えれば、家族みんなの暮らしが安定できるのではないかと思います。価値観の違う周囲の理解を得ることは簡単ではありませんが、子どものためにも親御さんの笑顔のためにも、不安な場合は相談だけでもしてみてはいかがでしょうか?
2017年01月22日とっても忘れっぽいADHD息子。子どもなら喜ぶはずのイベントですら…短期記憶のキャパの小さいADHDの長男のために、毎年「明日はクリスマスだね!」「サンタさん来てくれるかな!」「枕元にプレゼントあるといいねー!」などとイブの夜に気分を盛り上げる私。そうでもしないと見事にクリスマスプレゼントの存在を忘れてしまうんです…。いえ、この努力をしても結局毎年忘れるのですが…!今回のクリスマスイブも、同じように盛り上げて就寝させました。そして12月25日、クリスマスの朝。Upload By ラム*カナUpload By ラム*カナさすが小学1年生!その嬉しそうな顔!さては気付いたね!?と、思いきや…Upload By ラム*カナUpload By ラム*カナUpload By ラム*カナUpload By ラム*カナ面白いので、このままプレゼントスルー記録が伸びることを少し期待している私がいます(笑)。
2017年01月21日「もうおしまいよ!」「嫌だ!」子どもが切り替えができないとき、どうしてる?Upload By モンズースー普段の生活や学校での活動の中で、今やっていることを終わらせて次の行動に移さなくてはならないときって、どうしてもありますよね。長男はこの、「次の活動への切り替え」がとても苦手でした。おもちゃで遊んでいるときにお風呂に入ろうと伝えても、活動の切り替えができずに癇癪(かんしゃく)を起こします。その他、就寝・買い物・食事…全てのきりかえ時に癇癪を起こし、起きている時間の半分は泣き叫んでいる日もありました。会話ができるようになると、自分の言い分を話せるようになり、少しは交渉できるようになったのですが、それでも気持ちを切り替えることは難しかったです。そんなときに使っていた、「終わりの時間を把握できるアイテム」を、いくつかご紹介したいと思います。Upload By モンズースー砂時計やオイル時計は、時間が減るのを見て確認できるので、時計の針が読めない子でも使えます。時間が固定で長い時間には使えませんが、あと5分でおしまいにして欲しいな…という時に便利です。我が家ではテレビの脇に置き、子どもたち自身が見て確認できるようにしていました。デメリットとしては、時計自体が子どもたちの目を引いてしまい、何度もひっくり返して遊び始めてしまうので、逆に時間がかかってしまったり、音が鳴らないので熱中しすぎる遊びだと、時間が来たことを忘れてしまう…という点があります。オイルタイマーピンク/ブルーオイル時計Upload By モンズースーこちらは数10分先まで設定でき、終了時に音が鳴るので便利です。数字が得意な子や時間の概念を理解している子なら、目で見て残り時間がわかります。デメリットは、数字の苦手な子や時間の概念がわからない子の場合、時間が減っていることを理解できず、「音が鳴ったらおしまいだよ」と伝えておいても、突然鳴るアラームで終了になると、パニックになるかもしれない点です。タニタ でか見えタイマー100分 ホワイトUpload By モンズースー他のアイテムより少し高価ですが、便利なのがこのアナログキッチンタイマー。好きな時間に設定でき、音も鳴るので便利。赤いスペースが時間の経過と共に減っていくので、目で見て残り時間が確認しやすいのです!似たようなタイマーが療育教材として売られていますが、キッチン用なら1000円程度で買えました。教材より小さいので、カバンに入れて持ち運ぶことも可能です。長男の場合、60分のタイマーは「動いていない!」と言われました。ゆっくり動くため、減っていることが実感できなかったようです。そこで、12分のタイマーを使ってみました。こちらの方が動きが早いので、見てわかりやすいようでした。パラデック Twist アナログ ラバーキッチンタイマー レッドUpload By モンズースーそして、タイマーで測れない長時間の場合などに使えるのが紙の時計です。ワンコインショップなどで購入できます。これを終了時刻の形にセットし、「○時でおしまいだよ」「時計がこの形になったらおしまいだよ」と伝え、本物の時計の近くに置きます。すると、時計の針が読めない子でも、目で見て終了時間がわかるようです。この使い方は、療育先で知りました。まとめいかがでしたか?これまで色々と試してきたおかげか、長男は以前より切り替えができるようになってきました。今ではアイテムを使わず、口頭で伝えることも増えましたが、切り替えはもともとあまり得意ではないようです。お子さんがなかなか行動してくれず、切り替えが苦手で困っている方、切り替えの方法を探している方のご参考になれば嬉しいです。
2017年01月20日STEAM教育って何?
子育て楽じゃありません
細川珠生のここなら分かる政治のコト