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失語症とは出典 : 失語症とは言語障害の一つで、脳の言語中枢が何らかの損傷を受けることによって、言語を操る能力に障害が残った状態を言います。具体的には、言いたい言葉が浮かんでこない、思ったことと違う言葉を口にしてしまうことなどが症状としてあげられます。私たちが言葉を覚えるとき、言葉そのものを覚えることに加えて、その言葉が指し示している「もの」はどのようなものかを同時に学んでいます。そして脳の中には「クルマ」「リンゴ」といった言葉そのものを貯蔵する「言葉の貯蔵庫」と、「クルマ」「リンゴ」がどのようなものを意味しているのかを貯蔵する「意味の貯蔵庫」の2つがあります。この貯蔵庫には無数の引き出しがあり、またそれぞれの引き出しが相互につながっています。私たちが「話す」とき、膨大な言葉の引き出しと意味の引き出しが適切に対応しているため、表現したいこととぴったりの言葉を選ぶことができているのです。しかし失語症になると、この言葉の引き出しと意味の引き出しのつながりが混乱してしまいます。言葉の貯蔵庫も意味の貯蔵庫も頭の中には残っているのですが、一つひとつの意味の引き出しに対応している言葉の引き出しをすばやく探すことが困難になります。そのため言いたい言葉が浮かばず何も言えなくなったり、「テレビ」と言いたいのに「メガネ」と言ってしまったりするのです。「失語症」という名称から、言葉を発することや話すことに困難が生じている状態だととらえられがちです。しかし失語症になると話すことだけでなく、聞く・読む・書く・話す・計算するといった言葉にかかわるすべての作業が難しくなります。失語症はよく、「言葉の分からない国に放り出された状態」にたとえられます。私たちが外国に行ったとき、現地の人とは言葉が通じず、相手が何か言っていることは聞こえますがその内容を理解することはできません。看板などに何か書いてあることは分かりますが、音読したり意味をつかむのは難しいです。相手に伝えたいことや自分の考えはあるのですが、それをすらすらと伝えることも困難です。このように、失語症になっても聴力や視力、記憶力や判断力などには問題がないのですが、言葉にかかわる働きのすべてがうまくいかなくなってしまいます。失語症と構音障害・失声症・学習障害の違いは?出典 : 失語症と症状が似ているため混同されやすい障害・疾病に構音障害、失声症、学習障害があります。それぞれ失語症とは何が違うのかを見ていきましょう。失語症と同じ言語障害である構音障害は、「言葉が出にくい」という点で失語症とよく似ています。しかし失語症と構音障害では、ダメージを受けている脳の部分が異なります。私たちは話す内容は言語中枢で考えますが、話すという行為のときには、呼吸筋や口を動かす運動中枢を使います。構音障害は、運動中枢がダメージを受け、言葉を話すのに必要な唇、舌、声帯など発声・発語器官の麻痺などによって発声や発音がうまくできなくなる状態をいいます。失語症は言語中枢がダメージを受けている状態のため、麻痺がなく口を動かすことができても、言語中枢からの指令が不十分なため言葉が出なくなったり、正しくない単語が口から出たりします。失声症とは、主としてストレスや心的外傷などによる心因性の原因から、声を発することができなくなった状態を言います。「発声器官に問題はないのに、話すことができなくなった」という点は失語症と共通していますが、失語症の原因は脳の損傷であり、心理的なショックや精神的なストレスなどが原因ではない点で異なります。参考:心因性失声症|心身条件反射療法協会失語症と同様に、読む・書く・話す・計算するといった能力に困難が生じるもののひとつに、学習障害があります。学習障害とは、全般的な知的発達に遅れがないものの、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算・推論する」能力のうちいずれかまたは複数のものの習得・使用に著しい困難を示す発達障害の一つです。学習障害の原因ははっきりとは解明されていません。しかし学習障害は先天的な脳の機能障害であるのに対して、失語症は、脳の言語中枢が何らかのきっかけで損傷を受けた結果生じる後遺症であり、症状もその損傷を受けた後に現れる後天的なものである点が、学習障害とは異なります。失語症の原因は?出典 : 失語症の原因は、脳の言語中枢が傷つくことです。この損傷の原因の9割以上が脳出血、くも膜下出血、脳梗塞といった脳卒中です。脳卒中の患者は中高年が多いため、失語症も中高年に多くあらわれます。そのほかは交通事故や転落による頭部外傷、脳腫瘍、脳炎などになっています。出典:加藤正弘・小澤知幸監修『失語症のすべてがわかる本』(講談社,2006)失語症になるとどんな症状があらわれるの?出典 : 失語症になると、話すことだけでなく聞く、読む、書く、計算することすべての能力に困難が生じます。しかしその症状やその重さは一様ではなく、脳の損傷の場所と大きさによって違いが生じます。失語症の症状を「話す」「聞く」「読む」「書く」「計算する」の5つの側面に分けて説明します。・言いたい言葉が浮かんでこない思ったことを言葉ですらすらと表現できなくなります。特に人名や地名などの固有名詞が出にくく、「ここまででているんだけど」というもどかしさを感じます。また、「包丁」と言いたいのにその言葉が思い浮かばないため「魚を切るやつ」と遠回しな回りくどい表現をすることもあります。この症状は記憶力の低下によるものではなく、意味の引き出しと言葉の引き出しがうまく対応していないために起こっています。・思ったことと違うことを言ってしまう「病院」を「学校」、「みかん」を「りんご」のように単語を言い間違える場合と、「メガネ」を「メダネ」、「時計」を「トテイ」というように違う音に言い誤る場合があります。言葉の言い間違いがひどい場合は、まったく意味不明の言葉(ジャルゴン)が続くようになります。・文章で話すことが難しくなる「オトーサン…カイシャ…ヤスミ…」のように単語でポツリポツリとしか話せなくなってしまったり、「お父さんは会社へ休みでいます」のようにすらすらと話せても正しい文章ではないことがあります。・同じ言葉が言えたり言えなかったりする一度言えた言葉でも、もう一度言おうとすると言えないことがあります。反対に、さっき言えなかった言葉が今度は言えるということもあります。・前に言った言葉が続いて出てくるいったんある言葉が出始めると、その言葉ばかり繰り返し出てしまうことがあります。例えば、名前を聞かれて、名前が言えたあと、続いて年齢を聞かれても名前を言い、次に住所を聞かれても名前を繰り返すような状態です。・唇や舌に麻痺がないのに発音がたどたどしくなるすんなり正しい発音ができなくなり、たどたどしい話し方になります。耳は聞こえているのに、聞いた言葉の意味が理解できなくなるというのも失語症の症状です。・大勢の人が集まっているところで会話を聞きとるのが難しい症状が軽い人の場合、日常的には聞き誤ることはほとんどありませんが、大勢の人が集まっているところで集中して会話を聞きとることが難しくなります。・早口や回りくどい言い方、複雑な内容や長い文章の理解が難しい講演会で話されるような複雑な内容の文章を理解することが難しくなります。また、もう少し症状が重くなると「冷蔵庫から牛乳と卵を出して」という程度の長さの文章を理解することが困難になります。これは聞いた内容を頭にとどめておくことが難しくなるためです。この場合、「冷蔵庫から牛乳をとって」といい、牛乳を取り出したところで「卵も取って」というと分かりやすくなります。・身の回りの品物の名前を言われても意味が分からない障害が重くなると、身の回りの品物の名前を言われても意味が分からずきょとんとしていたり、間違った理解をしてしまうこともあります。しかし、判断力が低下しているわけではないため、言われた単語の意味が分からなくても状況から推察して適切な行動をとることができます。そのため周りの人からは失語症の症状があると分かりにくいことがあります。失語症になると、目は見えているのに文字や文章の意味の理解が難しくなります。・複雑な内容の文だと意味を読み取れない症状が軽い人の場合、簡単な読み物など楽しむことができますが、複雑な内容になると文の意味を読み取ることが難しくなります。・単語の意味を理解できない症状が重くなると、文章だけでなく単語の意味を理解するのが困難になります。失語症の人は一般的に、かな文字に比べて漢字のほうが理解しやすい傾向があります。かなは表音文字であり、発音を表しているだけなので、その文字を見ただけでは意味はとれません。一方漢字は表意文字であり、文字を見ただけで直接大まかな意味を取れることが多いので、かなよりも漢字のほうが理解しやすいのです。・難しい漢字が思い出せない、文法を間違える症状が軽い人の場合、文章を書くことはできますが、難しい漢字を思い出せなかったり、濁点や拗音(ようおん)が抜けることがあります。また、助詞を誤るなどの文法上の問題もみられます。・自分の名前が書けない症状が重くなると、自分の名前も書けなくなることがあります。自力では書けないときに漢字のへんやつくりの部分を書き示すとあとを続けて書くことができたり、見本の文字を示すと書き写すことができる場合があります。・数字を言い間違える・聞き間違える数字は失語症の人にとって聞き間違えたり言い間違えたりしやすいものの筆頭にあがり、軽度の人にとっても難しいものと言えます。数字の桁数が上がるほど理解も表現も難しくなり、たとえば電話番号や金額、日付や時間を言い間違えたり聞き間違えることがよくあります。・計算が難しい計算は一般的に九九を使う掛け算・割り算が難しく、足し算や引き算でも繰り上がり・繰り下がりがあると難しくなります。失語症にはどんなタイプがあるの?出典 : 失語症の症状は人によって千差万別ですが、脳が損傷を受けた場所や症状の程度によっていくつかのタイプに分けることができます。運動性失語症は、脳(左脳)の比較的前の方の部分に障害が起き、運動性言語中枢(別名:ブローカ中枢)に障害がある状態です。このタイプの失語症は、イメージが言葉になる過程で障害がおこるため、話すことがうまくできず、ぎこちない話し方になります。また、言葉の発音が不明瞭になったり他の音に置き換わることがあります。軽度の人は文章で話せますが、話すスピードは遅く、言葉の発音はしにくいです。重度の人は単語や短い言葉を話しますが、文章を話すことは難しくなります。感覚性失語症は、脳の比較的後ろの部分に障害が起き、感覚性言語中枢(別名:ウェルニッケ中枢)に障害がある状態です。このタイプの失語症は、なめらかにぺらぺらと話すことができますが言い間違いが多く、また相手の言ってることが理解できず会話が成立しないことがあります。話すことよりも聞いて理解することが困難になるのがこのタイプの失語症です。軽度の人でも複雑な文章は聞き取りにくくなり、重度の場合は日常の意思疎通が大変困難になります。比較的軽度の失語症です。聞いて理解することはでき、会話も口頭で楽しめますが、物の名前が出てこないため、回りくどい話し方が多くなります。例えば、「スイカ」という単語が思い出せず「ほら夏に食べる、大きくて、丸くて、おいしいの」と言いたいものを抽象的に表現します。「聞く・話す・読む・書く」のすべての言語機能に障害がある、重度の失語症です。聞いて理解するのは困難ですが、その人の感情に強く訴える言葉は理解できることもあります。意味のある言葉を言うことがほとんどできなくなり、決まりきった言葉しか言えなくなったり、相づち程度になります。失語症の診断から検査に至るまで出典 : 失語症の原因は脳の損傷です。言葉が出ない、呂律(ろれつ)が回らないなどの言語症状も、脳の機能の異常を示す症状の一つであり、本格的な脳卒中の前触れかもしれません。少しでも疑いがある場合は、神経内科や脳神経外科への受診をおすすめします。脳卒中や事故による頭部外傷などで脳に損傷が起こった場合、主治医はその主となる病気やけがの治療にあたります。その後、後遺症として失語症が起こった場合、主治医の紹介により言語聴覚士が検査や診断、治療にあたります。言語聴覚士は言語治療のプロフェッショナルです。失語症によって患者さんの気持ちが混乱したり落ち込んだりすることもあるため、失語症の検査は病状が落ち着いたころに始めます。日本の代表的な失語症検査のひとつは「SLTA(標準失語症検査)」です。言語聴覚士が患者さんに質問をして答えられる割合を調べます。この検査では患者さんの聞く力・話す力・読む力・書く力・計算する力を測ります。回復の程度を調べるために、治療中にも一定期間ごとに何度か行います。失語症の治療・リハビリテーションはどんなことをするの?出典 : 失語症の治療では、言葉の働きを取り戻すための言語訓練を、言語聴覚士と行います。言語訓練にはさまざまな方法があり、症状に合わせて最適な組み合わせが選ばれます。まず、脳の障害の範囲や検査の結果などから重症度を判断します。まずは、患者の趣味に関することや過去に撮った写真などを用いてコミュニケーションの方法を探します。同時に、周囲の人も失語症の患者さんにどう対応すればいいかを学びます。こうした活動を通じて脳の状態がある程度落ち着いてくると、言語治療がおこなえるまでコミュニケーション力が回復する場合があります。言語聴覚士の口の動きを見たり、鏡で自分の口の動きを確認しながら話すなどの発音動作の練習を、他の失語症の治療と並行して実施します。短い単語から長い言葉を思い浮かべる訓練をします。「火」や「目」など、1文字の単語の発音練習から始め、少しずつ長い単語に変えていきます。長い単語も、最初は「え」「ん」「ぴ」「つ」というように、一音ずつゆっくりと確実に発音してから「えんぴつ」とつなげて言えるように訓練します。みかんを「りんご」と言ってしまうような症状のときは、言葉と意味を結ぶ訓練を重点的に実施します。耳で聞いた単語やかなで書かれた単語がどれか、絵の描かれたカードの中から選ぶ練習から始めます。これは一般的な失語症でおこなわれる訓練でもありますが、このタイプの失語症では特に大切な練習です。りんごを「ごりん」と言ってしまうような症状のときには、音を正しく並べる訓練を重点的に実施します。絵を見て、その名前をゆっくり思い出しながらかなで書く練習をします。かなが一文字ずつ書かれたカードを並べる方法もあります。また、漢字の単語にふりがなをつける練習も効果的です。これらの言語訓練の進め方はあくまで目安です。正しい治療法の決定には、医師や言語聴覚士の助言が欠かせません。失語症の治療は症状の程度、タイプによって進め方もさまざまなので、他の人と内容や進み具合を比較することは意味がなく、また患者さんにとってもプレッシャーになります。失語症の人が受けることのできる支援出典 : 失語症になると、治療や仕事への影響で経済的な負担が大きくなります。失語症の人が受けられる支援にはどのようなものがあるのでしょうか。患者さんが40歳以上である場合、介護保険によるサービスを受けられることがあります。主治医からの意見書の提出や本人の状態の調査をしたのち、非該当、要支援1・2、要介護1・2・3・4・5の区分に分けて認定が下りますが、失語症の程度によっては認定が下りないこともあることに注意が必要です。認定が下りて介護の必要性が認められると、デイケアやデイサービスといった通所サービスや、訪問介護、訪問看護や訪問リハビリテーションといった在宅サービス、入所介護などのサービスを受けることができます。認定の程度によって受けられるサービスは異なりますが、施設を選ぶときは言語聴覚士がその施設にいるかどうかを確かめるようにしましょう。介護保険のサービスは、介護保険の被保険者以外の人は受けることができません。40歳未満で介護保険の対象にならない場合や介護保険にはないサービスを受けたい場合、障害者福祉のサービス活用が考えられます。1.身体障害者手帳取得により受けられるサービス身体障害者手帳を取得すると、身体障害者福祉のサービスを受けることができるようになります。受けられるサービスは認定された等級や住んでいる地域によって多少異なりますが、下記のようなものがあげられます。・医療費の助成や手当・補助具や生活用品の給付や貸与・住宅改善のための費用の給付・交通費などの割引制度・障害者施設の利用・美術館、音楽会、映画館などの割引・公共料金の減額、免除、携帯電話の割引身体障害者手帳の等級には1級から6級まであり、数が小さいほうが障害の程度が重いことを意味します。現在、言語障害が該当する等級は3級と4級のみであり、言語を「完全喪失」した場合が3級、「著しい障害」がある場合が4級になります。これに手足の麻痺の程度などが重ければ肢体不自由の障害の分が加わって等級は重くなります。逆に、失語症があって言葉が出にくいけれど、手足に麻痺がなく、家族や近隣の人との会話が成立している場合は身体障害の認定を受けられないこともあるので注意が必要です。手帳取得を考えている人は、まずは主治医に相談することをおすすめします。2.障害者総合支援法によるサービス2013年に成立した障害者総合支援法ににより、居宅介護や機能訓練を始め、補装具や自立支援医療費の支給や日常生活用具の給付などのサービスを受けられます。どのサービスを受ける場合でも、サービスの窓口は市町村の障害者福祉の窓口になります。サービスによっては介護保険と同様に、認定調査を経る必要があります。障害のある人を支援するNPO、地域の社会福祉協議会や民間の団体でも特徴あるサービスを行っているところがあります。地域のボランティアセンターなどに情報が集まっているので、確認してみることをおすすめします。また現在、全国で135の「失語症友の会」が活動しています。「失語症友の会」は失語症の患者さんとその家族でつくられたものであり、同じ病気をもつ患者さんやその家族が交流する場を設けたり、失語症についての知識を広げる活動を行っています。同じ病気の人と交流することで患者さんの孤独感を軽くでき、家族同士でアドバイスを交換することもできます。失語症友の会失語症の人とコミュニケーションをとるときに気をつけたい、6つのポイント出典 : 失語症が起こった直後は、患者さんは混乱して気持ちの変化が激しくなることがあります。また、自分の言いたいことがうまく言えなかったり、相手の話を理解出来ない自分の状態に気づいて落ち込み、「どれくらい良くなるんだろう」「自分はずっとこのままなのだろうか」という不安でいっぱいになったりします。家族や周りの人は、失語症について正しく理解し、適切なコミュニケーションをとることで患者さんの支えになることが大切です。周囲の人が「言葉を取り戻してほしい」という思いからついやってしまうことが、患者さんの心を傷つけたりいらだたせたりすることがあります。たとえば、身近なものだからすぐに思い出すだろうという思いから、「これなんだ?」と名前あてクイズをする人がいますが、これは歩けない人に「ここまで来て」というのと同じようなものです。失語症は単なる度忘れでなく脳の機能障害であり、このようなクイズを何度繰り返してもできるようにはなりません。また、「”コ”から始まるあなたの好きな飲み物だよ」というヒントを出すようなことも控えましょう。患者さんは、言いたいものが「どんなものなのか」というイメージを頭の中で描けている場合がほとんどです。それを周囲の人から言われても、「それは分かっているけれど言葉が出てこない…」という患者さんのいら立ちを余計強くしてしまいます。失語症の患者さんと話すときは、ゆっくり、はっきり話すことが大原則です。早口で話したり、突然話題を変えたりすると患者さんは話についていくことができません。1対1で落ち着いて会話できる場を設けたり、患者さんの表情やしぐさを見逃さないよう目を見て話したり、伝わっていない様子のときは繰り返し話したりするようにしましょう。このとき、患者さんは耳が遠いわけではないので、大声で話しかける必要はありません。また、記憶力や判断力が低下しているわけでもないので、患者さんを子ども扱いすることのないように気をつけましょう。言葉を正しく選んで話す作業は、失語症の人にはとても難しい作業です。しかし相手の話を理解できる患者さんの場合には、質問して答えを引き出すことができます。でもこのとき、例えば「何が食べたい?」と漠然とした質問をしてしまうと、患者さんは答えるときに言葉を選ぶ必要があり、好ましくありません。「あっさりしたものがいい?」「ご飯がいい?」「麺がいい?」「そばがいい?」というように、「はい」「いいえ」で答えられる質問を繰り返すことで、患者さんの意図をくみ取ることができます。言葉以外のコミュニケーションを患者さんととることは非常に大切です。時間や場所を伝えたいとき、時計やカレンダー、地図といった道具は「何を伝えようとしているのか」がはっきりわかるので、より患者さんに分かりやすいコミュニケーションをとることができます。また、「野球」という言葉を伝えたいとき、漢字で端的に「野球」と書いたり、バットとボールの絵を描いて見せるのも良いでしょう。ほかに、バットをスイングする仕草といった身振りで伝えることも効果的です。患者さんにとって、話すことは勇気と強い気持ちが必要です。そんなとき、周囲の人が「聞こうとしてくれている」という姿勢を見せてくれると、患者さんの励みになります。患者さんが何かを話そうとしているときは、まずは黙ってじっくりと待ちましょう。沈黙が続いている間も、患者さんは一生懸命考えています。先回りして患者さんの言いたいことをこちらが言ってしまうと、患者さんの話そうとする意欲を削いでしまいます。それでも患者さんが困り果てているときは、助け船を出すことも有効です。ただし、「○○でしょ」ときめつけることはせず、「○○?それとも××?」と質問して答えを引き出すようにしましょう。患者さんの日常生活をよりすごしやすくするために、日常よく使うものや生活に必要なものをまとめた「会話ノート」があると便利です。たとえば食事について、「カレー」「寿司」「うどん」などのイラストや写真と、名称をいっしょに載せたノートをつくっておくと、会話の幅がぐんと広がります。また、患者さんは自分の体調について明確に言葉で伝えることができません。しるしをつけるだけでコミュニケーションがとれるチェックシートがあると便利です。パソコンや電子辞書は、漢字を探したり読みを調べたりするときに便利です。また、外出先から家にいる患者さんに伝えたいことがある場合はファックスをつかうとスムーズに伝言ができます。まとめ出典 : 失語症になると、住み慣れた環境は変わらず、また判断力などが衰えないまま、突然周りの言っていることが理解できなくなったり、自分の考えや言いたいことを言葉で表現できなくなってしまいます。そのショックは大変なものであり、誰よりもつらいのは患者さんです。家族や周りの人も、突然うまく話せなくなった患者さんの様子に戸惑うこともあるかもしれません。しかし、本人も家族も焦ることなく、あきらめずにコミュニケーションをとり、自信を取り戻すことが大切です。患者さんの気持ちに寄り添って、治療やリハビリテーションに向き合うようにしましょう。参考:加藤正弘・小澤知幸監修『失語症のすべてがわかる本』(講談社,2006)参考:NPO法人言語障害の社会参加を支援するパートナーの会・和音『改訂失語症の人と話そう』(中央法規、2008)参考:脳卒中と言葉の障害|国立循環器病研究センター循環器病情報サービス
2016年12月28日ジストニアとは出典 : ジストニアとは、筋肉の緊張の異常によって筋肉が勝手に動いたりすること(ジストニア運動)によって、姿勢の異常などが起きる神経系の疾患です。また、日本神経学会の用語では「ジストニー」と表記され、世界神経学連合(WFN)が1981年の特別臨時委員会においてまとめた「錐体外路性障害の国際分類と用語集の提案」では以下のように定義されています。身体のひとつ以上の部位の不随意な持続する筋収縮で、しばしばねじるような反復する運動や異常姿勢の原因となると特徴付けられる運動障害ジストニアは知能が侵されたり命にかかわるような病気ではないものの、日常生活に支障が出ることもある疾患です。また、いまだに病態の解明が進んでおらず、根治的な治療法もまだ見つかっていないのが現状です。患者数は全国で約2万人といわれていますが、まだまだ認知度の低い病気であり、周囲の理解が得られず患者さんが悩んでしまうこともあります。ジストニアは、特定の動作を反復的かつ高頻度で行っている、特定の向精神薬を服用している等、外部要因が特定できる続発性ジストニア(二次性ジストニア)と、外部要因が特定できない本態性ジストニア(一次性ジストア、主に遺伝性と診断される)に大別されています。中でも遺伝性ジストニア(変形性筋ジストニーとも呼ばれる)は発症率は少ないのですが、厚生労働省によって「難病」と「小児慢性特定疾病」に指定されており、前者は障害者総合支援法、後者は児童福祉法に基づいて国からの支援を受けることができるほか、その他のジストニアでも症状や障害の程度によっては身体障害者手帳や障害年金を受給できる可能性があります。ジストニアの症状出典 : ジストニアの症状は、脳や神経系統における機能異常により筋肉の異常緊張が起きることによって、無意識な体の動きや異常姿勢となって現れます。そうした症状は顔面・四肢・体幹筋など様々な部位に現れ、その分布により身体の一部分に限定して症状が現れる局所性ジストニアと、下肢を含む体幹部など広範囲にジストニアが発症する全身性ジストニアに分けられます。また、身体の一部を酷使する人が発症する職業性ジストニアのように特定の動作をするときだけ症状が現れるということもあります。ジストニアの症状の例として、具体的には、・字を書くときにしびれや震え、こわばり、脱力といった症状が現れて文字を書くことが困難となる「書痙(しょけい)」・ピアノやギターなど特定の楽器を弾く時だけ手指が震えたり勝手に動いたりするケース・脚の筋肉に異常が見られ歩行困難となるケース・顎や口、唇や舌が勝手に動いたり、口が開かなかったり、物が飲み込みにくかったり、しゃべりにくかったりするケースなどがあります。ジストニアの原因と、原因別の分類出典 : 筋肉の自由がきかなくなってしまうジストニアの根本原因は、脳内の神経に起きる変調にあり、そうした変調はそれぞれ以下のような理由で引き起こされます。以下の分類のうち遺伝性は本態性に、それ以外の3つは続発性に属します。遺伝性ジストニアは両親から受け継いだ特殊な遺伝子が原因で起きるジストニアを指します。この種類のジストニアは早くから発症し、下肢を含む体幹部など広範囲にジストニアが発症する全身性ジストニアに発展しやすいという特徴があります。遺伝性ジストニアの患者は希少で、患者数は全国で500人ほどと言われています。病因となる遺伝子を持っていても発症しないケースもあり、病態に関して未解明な部分も多いです。職業性ジストニアは、同じ動作や姿勢を反復的かつ高頻度に繰り返すことによって脳の神経になんらかの影響が生じた結果起きるといわれており、音楽家・アスリートなど身体の一部を酷使する職業を持つ人に多く発症します。職業性ジストニアは、症状が身体の一部にのみ現れる局所性ジストニアであることがほとんどで、その場合「フォーカルジストニア」とも呼ばれます。最近では人気バンドRADWIMPSのドラムを務める山口さんが、ドラム演奏時に使う右足に現れたジストニアを理由に休養を発表しました。数年前には、コブクロのギターボーカルを務める小渕さんが歌うときに声がうまく出せない「発声時頚部ジストニア」を発症しましたが、約1年間の投薬療法とリハビリの後、見事復活を果たし現在も活躍を続けています。参考:コブクロ及び、オフィスコブクロからのご報告参考:株式会社ワーナーミュージック・ジャパンコブクロに関するご報告参考:RADWIMPSからの大事なお知らせ脳卒中、脳炎、脳梗塞といった脳の疾患の後遺症がジストニア運動として現れることがあります。抗精神病薬・抗パーキンソン病薬などの副作用としてジストニア運動が現れる場合もあります。ジストニアの診断・検査方法出典 : ジストニアは神経の病気です。そのため、ジストニアの疑いがある場合は脳や神経、筋肉の病気を扱う神経内科に相談するとよいでしょう。ただ、ジストニアは医療従事者の間でも認知度が低く、別の病気として診断されたり、特に問題がないと誤診されたりすることも多い病気のためジストニアの検査ができる病院を受診することをおすすめします。以下のリンクはジストニアを専門で見られる病院の一覧です。ジストニアの診療が可能と思われる病院|NPO法人ジストニア友の会ジストニアは神経の病気であるうえ、ジストニアと似た症状の病気も多く存在します。そのため、ジストニアと確定診断されるまでにはいくつもの検査を要する場合が多いです。頭部CT・MRI検査…二次性ジストニアの原因となる脳血管障害や、腫瘍といった病気の有無を確認します。筋電図検査…ジストニアの特徴である筋肉の収縮を記録し、異常が見られるか確認します。血液検査…肝臓・腎臓などの臓器の状態や他の病気の兆候を推測できます。遺伝子検査…遺伝性ジスト二アは、CT検査や血液検査では異常を確認できないことが多いです。一方、遺伝子検査は一般的に費用が高く検査結果が出るまでに時間がかかることが多いものの、確定診断に役立てることができます。ジストニアの治療法出典 : ジストニアは未だに症例が少なく、確立された治療法はまだ存在していません。根本原因に対処する根治療法はなく、対症療法によって症状の緩和を目指します。病型によって有効な治療法が異なるため、専門知識を持つ主治医に相談し、治療方針を立ててもらう必要があります。副交感神経を活発化させるアセチルコリンという物質の作用を抑える「抗コリン薬」の投与が行われることがあります。あるいは、一般的ではないもののドーパミン遮断薬の投与による治療が行われる場合もあります。その他の経口薬物としては緊弛緩薬や向精神薬、および一般的な鎮痛薬が用いられることがあります。参考:GRJジストニア概説「ボツリヌス毒素」というヒトの神経毒を、症状が出ている部位の筋肉に注射します。注射によって、神経筋の結合部分でのアセチルコリンの放出を阻害し、症状の緩和をはかります。筋肉の局所的な弛緩性麻痺を生み、効果は数週間から数ヶ月間持続します。成功率が高く合併症の頻度も低いため、専門家の間で広く容認されています。参考:GRJジストニア概説ジストニアの症状が重い場合、部位や症状によっては末梢あるいは定位脳手術という手術を行うことがあります。ジストニアに対して行われる末梢手術の例としては、選択的末梢神経遮断術(SPD)という、神経の末梢部分を選択的に遮断する手術法があり、有効かつ安全な治療としてヨーロッパ神経内科学会や英国のガイドラインにも明記されています。参考:ジストニアの外科治療(平孝臣)定位脳手術は、脳の中の特定の構造物をターゲットとして、そこへ電極を留置して治療を行う方法のことです。細い電極の先端を、1mm単位で正確に特定の場所に留置する必要があることから、定位(位置を定める)脳手術といいます参考:東京女子医科大学脳神経外科定位脳手術:凝固術と脳深部刺激療法定位脳手術によって、不随意運動の改善が期待できます。ジストニアの人が受けられる支援は?出典 : 「遺伝性ジストニア」のみ、厚生労働省が指定する難病として認定されています。遺伝性ジストニアの患者であれば、ジストニアの医療費の自己負担割合が3割から2割に引き下げられるほか、世帯の所得に応じて医療費の自己負担上限額(月額)が設定されるので、経済的負担を緩和することができます。詳しい内容は以下のリンクをご参照ください。難病情報センター遺伝性ジストニア難病医療費助成制度遺伝性ジストニアの中でも、DYTシリーズとして指定されている特定の遺伝子が原因のジストニアを持つ18歳未満の患者であれば、小児慢性疾患として医療費の自己負担分の一部が助成される可能性があります。詳しくは以下のリンクを確認してみてください。小児慢性特定疾病の医療費助成について小児慢性特定疾病情報センター変形性筋ジストニー身体障害者福祉法に基づいて発行される身体障害者手帳の認定基準においては、身体の「機能」の障害を中心に認定の可否が評価されるほか、その障害が将来に渡っても回復する可能性が極めて少ないものという条件も挙げられています。ジストニアは症状が改善する場合も多いため、身体障害者手帳の習得が比較的難しいと言われていまが、症状が重い場合は手帳が発行されるケースもあるようです。一度自治体の福祉担当窓口に問い合わせてみるとよいでしょう。ジストニアの症状は一人ひとり違います。そのためジストニアであるからといって障害年金を受けられるわけではありません。しかし、眼瞼痙攣(がんけんけいれん)や歩行困難など、障害年金の障害認定に当てはまる症状がある場合は受給できる可能性があります。障害年金の受給条件としては以下の5点が挙げられます。・初診日(初めて医師の診察を受けた日)に国民or厚生or共済年金に加入していること・初診日までに一定以上保険料を払っていること・障害の程度が受給条件を満たしていること・初診日当時の年齢が20歳以上65歳未満であること・20歳未満だが先天性の障害を持つ、あるいは20歳前に障害を発症していること上記の条件を満たしていれば、身体障害者手帳を持たない人でも障害年金を申請することができます。実際に自分の症状が認定基準に当てはまるかどうかは、以下のリンクからご自身で確認してみてください。国民年金・厚生年金保険 障害認定基準まとめ出典 : 神経の異常が原因で起きるジストニアは、生命や知能を脅かすような病気ではありません。しかしその症状は、日常生活や仕事に支障をきたすことも少なくありません。病態の解明が進んでおらず、いまだに根治治療が確立されていないため、医療機関では薬物や注射療法、手術による対症療法によって症状の緩和を目指します。希少な遺伝性ジストニアが難病指定されているほか、その他のジストニアでも症状の程度によっては身体障害者手帳や障害年金の対象となり、各種支援を受けられる可能性があります。最後に、ジストニアを紹介するドキュメンタリー映画や、ジストニアを持ちながらも「左手のピアニスト」として活躍する智内威雄さんを以下に紹介します。ジストニアに関心のある方は、ぜひご覧になってください。ドキュメンタリー映画「ジストニア」左手のピア二スト智内威雄さん
2016年12月28日広汎性発達障害の娘(5歳)は、お薬が大キライ!「子どもに薬を飲ませる」ことに苦労した経験をお持ちの親御さんは多いのではないでしょうか。我が家の広汎性発達障害がある5歳の娘も、例外ではありません。3歳ごろまではどうしていたかというと…夫と協力し押さえつけて、スポイトを使って飲ませていました。Upload By SAKURA4歳を過ぎたら、苦い薬もなんとか飲めるように。でもその前に…4歳を過ぎる頃になると、説得が通じるようになり、無理矢理飲ませることはなくなりました。ただ、薬を飲む前に娘が必ずすることがあります。Upload By SAKURAUpload By SAKURAUpload By SAKURAUpload By SAKURAUpload By SAKURAUpload By SAKURA「目についたものを片付けて、えずく!」これが薬を飲む前の、娘のお決まりのルーティンです(笑)。この流れ、結構長く待つのが大変ですが、「飲んでくれるなら…」と娘のやり方に合わせています。
2016年12月28日お出かけ前の「身だしなみ」。今まで全く気にしてなかったのに…Upload By かなしろにゃんこ。ある日、ADHDのある息子・リュウ太がSNSで知り合った女の子とお出かけすると言ってきました。何を着ていったらいいのか悩んで私に相談してきたのですが…息子「これでいいかな~」手にしていたのは着心地が良くてお気に入りの、毛玉だらけの普段着…。私「ダメダメ!そんな服あなたは良くても完全に女子引くわ~。もっと早く言ってくれれば洒落た服を用意してやったのに…」そう言いながら息子の服の中でマシなものをチョイスして急いでコーディネートしていたら、なんだか楽しい気分になりました。息子はよくしゃべる明るい人間ですが、女の子にモテるタイプの子ではありません。「この子が女子と出掛けるなんて日がやってくるとはな~」と嬉しかったのです。しかし、ヒゲはチョイチョイ伸びてるし鼻毛も顔の角度によっては見えそうです。普段からムダ毛の処理や爪の手入れなどの「身だしなみ」をうるさく言っていたのですが、息子は全く聞き入れてくれませんでした。人からどう見られても平気で、「人の良さは見た目で決まるものではない!」という考えの子でしたから、親が口酸っぱくして伝えても心に響かなかったのです。しかし、相手が初めて会う女の子となると息子も自分の見た目を気にしたようで、この日だけは私の話を素直に聞き入れてくれたのでした。服装だけじゃない!こんなことも思春期男子は悩むんですUpload By かなしろにゃんこ。さらに、「クラスの女子以外の女の子と何を話したらいいのか全く分からない!女子ってどんな話好きなの?」と相談してきました。息子は早口で自分の話が大好き…うまく女の子をリードできるものなのか!?アレもこれも伝えたいことは山ほどありますが、3つ以上のことは覚えていられないので、次のことだけ気をつけるように伝えました。Upload By かなしろにゃんこ。●お互い話せる話題を探ること●マニアックなしつこい長話は避けること●こちらから質問して女の子にしゃべってもらうこと人の気持ちを想像するのが苦手な息子は、今までも友達とのコミュニケーションで何度か困った場面に遭遇したことがあります。これを機に、相手を気遣うコミュニケーションができるようになったらいいな~という想いを込めて話ました。女の子とうまく話せなかった…と失敗で落ち込んでほしくないですからね。母のアドバイスが功を奏した!?無事彼女をゲットした息子は…Upload By かなしろにゃんこ。そんなことを経て、今は彼女もできてルンルン楽しいおつき合いをしているようです。親の言葉よりも異性の存在がきっかけで変わっていくんだな~と感じた出来事でした。
2016年12月27日付添い登校でようやく学校に慣れてきた頃。先生が長男を褒めると…出典 : 小学校入学直後から「学校いかれへん!」となった大混乱から、私との付添い登校により少しずつ学校に慣れてきた長男。発達障害の診断を受けている長男は、ごく簡単なことでも自分の興味のあること以外は取り掛かるのにものすごくエネルギーを使います。かつ、大の「学校嫌い」のため、学校での作業はたいてい嫌々モードからのスタート。ある時、当番の仕事であるバケツの水捨て、なんとかやり終えかけたときに先生から「よくできたね」と声を掛けられました。その瞬間「もう、やらへん!」とバケツを投げ出してしまいました。先生は、どうしてだろう?と困り顔。このとき、「やはり褒められるのが苦手なんだ…」ということがハッキリわかりました。褒められても嬉しくないの?長男の本音とは出典 : 振り返ってみると小さい時から、どうも褒めた後の表情が嬉しそうではないな…という気はしていました。長男は、ときどき夕ご飯のお皿洗いをしてしてくれるのですが、その時ふと言った言葉が頭をよぎりました。「お母さんはあんまり褒めないから、ええねん。だって、お手伝いしてるっていうより、単に洗いたくなったから洗ってるだけ。面白そうだな!と思ったからやってるだけやもん」とつぶやいたのです。この言葉を思い出し、ハッとしました。「そもそも、嫌なのに何かをさせられるというのが、腕をもがれるほどつらい」という趣旨の文章を自閉症関連の本で以前目にし、もしかして長男の辛さはコレかも…と思ったからです。療育を意識した「褒める」という行為には、「この行動は望ましいから、またしなさい」という意味が含まれています。長男は何か嫌なタスクに臨むとき、なんとか嫌な気持ちを消し、「やってみたら面白いかも…」と意識をスイッチさせているようです。つまり「他人の指示」を「自分の指示」にシフトして取りかかるのです。でも、先生に褒められてしまうとそれが台無しになってしまうので「もうやめる!」と怒ってしまうようなのです。でも、つい嬉しくなっちゃうときはあるようで…出典 : でも、長男には褒められて嬉しいときもあるのです。工作で狙った以上に面白い作品が作れたとき、野菜の収穫がたくさんあったとき、クイズ番組を見ていて正解できたときなどは、「ドヤ顔」でこっちを見てきます。そんなとき、私は「腕をあげたな」「おお、いつの間に覚えたん」など、率直に感じたことをに口に出すようにしています。「やった!」「嬉しい」という気持ちを誰かと共有したいという面も持っているんだと少しホッとします。自分の動機を大切にする長男。将来に向けて親ができること出典 : 小3になった今は、少し自分を客観的にみられるようになってきて、「褒められるのが苦手」もネタとして会話できるようになりました。学校から帰ったとき、冗談めかして「いやー、今日は学校行けてえらかったね~」と言ってみると長男「もう、やめてや!」私「いやいや、褒めて伸ばすっていうのが子育て界の基本なんだよ」長男「誰がそんなん考えたん?」私「誰が考えたかわからないジョーシキになってるよ」長男「自分には、あてはまらへん」私「とはいえ、ほとんどの子どもに当てはまるから、先生はキミのことを褒めてくれるんだよ」長男「いらんわ~」私「ははは。嬉しく感じる人もいっぱいいるんだよ。キミに必要なのは、褒められても動揺しない心と身体だな」心と身体を作るためには言葉かけだけでなく、長男自身が自分の心と身体を知ることも大切かな、と思います。どんな時に動揺し、どんなときに嬉しくなるのか?動揺したときと嬉しいとき、身体はどうなるのか?イメージしておくことで、他者からの評価の言葉を適切に受け取れるのではないかと、私は考えています。「褒められるのは苦手です」という”取扱説明書”をしばらくは使いながら、その間にカラダとココロが少しずつ育っていけばいいな…と思っています。
2016年12月27日ソーシャルスキルとは?出典 : ソーシャルスキルとは、他人と良い関係を築き、社会に適応するために必要な能力のことです。「ソーシャルスキル」には、さまざまな定義があり、研究者の間で合意した定義はありませんが、広義に解釈すると上記の意味となります。ソーシャルスキルが低いと、社会において人とかかわりながら生きていくことに困難を感じたり、孤独感を引き起こしたりする可能性があります。参考書籍:相川充/著『人づきあいの技術―ソーシャルスキルの心理学 (セレクション社会心理学) 』(サイエンス社,2009年)以下に、ソーシャルスキルの具体的な能力の一部について紹介していきます。【子どもの場合】・自分の意見を適切に主張できる・自分の感情を上手に表現できる・計画を立てて問題を解決できる・仲間と良好な関係を構築できる・ルールを守ることができるなど参考書籍:相川充ら/編『社会的スキルと対人関係―自己表現を援助する (対人行動学研究シリーズ) 』(誠信書房,1996年)【大人の場合】・他人と関係を構築できる・相手の気持ちを察することができる・自分の気持ちを伝えられる・自分の感情をコントロールできる・対人関係を維持できる・表情や身振りで自分の感情を上手に伝えることができるなど参考文献:相川充, 藤田正美/著『成人用ソーシャルスキル自己評定尺度の構成』(東京学芸大学リポジトリ,2005年)ソーシャルスキルと発達障害の関係って?出典 : ソーシャルスキルは、通常、人が成長する過程で、他者とのかかわりを通じて無意識的に身につけられていくものです。ところが学習障害(LD)、ADHD、自閉症スペクトラム障害などの発達障害や、知的障害、協調運動障害がある場合などは、ソーシャルスキルをスムーズに身につけられないケースがあります。たとえば、学習障害(LD)、ADHDなどの発達障害がある子どもの場合、認知発達のアンバランス、 不注意や多動性・衝動性といった特徴により、社会的文脈の把握や相手の気持ちを察することが難しく、対人関係上の問題を引き起こすこともあります。参考文献:岡田智ら/著 『特別支援教育をサポートする 図解よくわかるソーシャルスキルトレーニング(SST)実例集』(ナツメ社,2012年)このような場合、ソーシャルスキルトレーニング(SST)によりソーシャルスキルを学ぶことで、他人と良い関係を築き、社会に適応するために必要な能力を身につけることができます。ソーシャルスキルは測れるの?出典 : ソーシャルスキルを測ることはできるのでしょうか。ソーシャルスキルの測定については自己評価尺度法など様々な測定や評価の方法が開発されています。また心理検査や発達検査で社会性を検査する項目もあります。ですが専門家以外が測定結果を判断するのは難しいと言えます。測定の対象である本人が自分で回答する「自己評定」と、本人以外が面接などで測る「他者評定」があり、それらを専門家が照らし合わせて考えることではじめて、総合的にソーシャルスキルを測定できると言えるからです。また、記事の冒頭にも述べたとおり、ソーシャルスキルには様々なとらえ方があり、ソーシャルスキルをどのようにとらえるかによって、どんな側面を測るのかも変わってきます。それだけでなく、目的や対象者によっても、測定方法は変わってきます。ソーシャルスキルを測定したい場合は、精神科、心療内科などの医療機関や専門機関に相談することをおすすめします。また、ソーシャルスキルを鍛えるソーシャルスキルトレーニングを行う場合は、その成果を把握するために、訓練前の状態を事前に測定しておくとよいでしょう。■専門機関【子どもの場合】・保健センター・子育て支援センター・児童発達支援事業所・発達障害者支援センター・児童相談所など【大人の場合】・発達障害者支援センター・障害者就業・生活支援センター・相談支援事業所など児童相談所などでは無料で知能検査や発達検査を受けられることも多いです。自宅の近くに相談センターがない場合には、電話での相談にのってくれることもあります。以下のリンクにおいて全国の発達障害者支援センターを検索できます。相談窓口の情報|発達障害情報・支援センターHPソーシャルスキルトレーニング(SST)とは?出典 : ソーシャルスキルを育むための支援方法としてソーシャルスキルトレーニング(SST)というものがあります。ソーシャルスキルトレーニングとは、対人関係をうまく行うための社会生活技能を身につけたり、障害の特性を自分で理解し自己管理をするためのトレーニングの総称です。まず、言葉で適切な行動を教え、次にお手本を示し、実際にお手本の真似をさせ、最後に評価する。この流れがソーシャルスキルトレーニングの核です。ソーシャルスキルトレーニングのポイントとしては、何かを教える際に、「○○しなさい」とただ伝えるのではなく、「○○をするためにはこうすればうまくいくよ」と、具体的な行動の仕方まで教えることです。基本的には、トレーニングを受ける人と、それをサポートし、フィードバックをする指導者で進行していきます。基本的には、以下のステップを踏んで進行していきます。1.教示最初に、これから向上させていきたい能力が、なぜ必要なのか本人に納得してもらいます。言葉だけでなく、絵カードなどを用いて説明すると効果的です。2.モデリングこの段階ではまず、これから向上させていきたい能力のお手本を示し、本人に観察させ、最後に真似させます。お手本はトレーナー自身がしても、ビデオや漫画などで示してもかまいません。3.リハーサル教示やモデリングで示した、適切な振舞い方を何度も繰り返し練習させます。具体的には、ロールプレイングで実践したり、言葉で説明させたりします。4.フィードバック行動を振り返り、うまくできたときには褒め、うまくできなかった場合には、どうすればもっと良くなるのかを伝えます。この際、本人を否定するような言葉は言わず、具体的な改善方法を伝えることがポイントです。5.般化1から4の繰り返しの結果、その場では適切に振る舞えるようになったら、時、場所、人にかかわらずどのような場面でも同じように振る舞えるよう練習をします。参考書籍:安住ゆう子ら/著『教室・家庭でいますぐ使えるSST―たのしく学べる特別支援教育実践101 』(かもがわ出版,2009年)参考書籍:相川充/著『人づきあいの技術―ソーシャルスキルの心理学 (セレクション社会心理学) 』(サイエンス社,2009年)ソーシャルスキルトレーニングを行うためには気をつけたいポイントがあります。ここではそのうちの2つをご紹介します。・ほめる楽しみながら自然に社会性を身につけていくためには、できないことを叱るのではなく、できたことを認めて褒めるということが重要なポイントです。社会性を身につけている側から見ると、社会のルールに従うことのできていない人の行動は目につくものとしてとらえられるかもしれません。しかし、誰しも叱られたり注意をされたりすること自体は嬉しいことではありません。それどころか、叱るという行為は社会性を鍛えるのに逆効果の場合もあります。・スモールステップを踏んでいくソーシャルスキルトレーニングを必要とする人は、生まれてから育っていく中で自ら周りの人を観察して、社会性を身につけていくのが苦手です。そのため、一般的に当たり前だと思われる会話や行動・思考が自然にできないケースが多く見られます。同時に、その人がそれまで積み上げてきた「当たり前」も存在します。その当たり前を変えるのには長い時間と、多くの小さなステップを踏まなければなりません。指導する側に立つ人間は、長い目で物事をとらえ、ゆっくりと成長を見守っていく姿勢が必要なのかもしれません。ソーシャルスキルトレーニングは特別支援学校や特別支援学級、通級指導教室などの特別支援教育や医療機関、児童発達支援や放課後デイサービスなどさまざまな場所で行われています。とはいえ、ソーシャルスキルトレーニングは、専門機関や学校でしかできないわけではなく、家庭でも手軽にできるものです。家庭でソーシャルスキルを育てるには?出典 : 「言葉で適切な行動を教え、次にお手本を示し、実際にお手本の真似をさせ、最後に評価する」という流れを意識的に行えば、家庭でも日常的に取り入れることができます。以下に、自分でソーシャルスキルトレーニングに取り組む際に参考になる書籍や商品について紹介します。安住 ゆう子 /著『教室・家庭でいますぐ使えるSST―たのしく学べる特別支援教育実践101』 (かもがわ出版,2009年)田中和代・岩佐亜紀/著『高機能自閉症・アスペルガー障害・ADHD・LDの子のSSTの進め方―特別支援教育のためのソーシャルスキルトレーニング(SST) 』(黎明書房,2011年)レイチェル・バレケット/著『自閉症スペクトラムの子どものソーシャルスキルを育てるゲームと遊び 』(黎明書房,2010年)横山 浩之/著 『マンガでわかる よのなかのルール (単行本) 』 (小学館,2011年)高取 しづか /著『イラスト版 気持ちの伝え方―コミュニケーションに自信がつく44のトレーニング 』(合同出版,2007年)ことばと発達の学習室M /著『絵を使ったソーシャルスキルトレーニング』(エスコアール,2009年)ことばと発達の学習室 M /著『場面の認知(危険回避と約束事) 幼年版 ソ-シャルスキルトレ-ニング絵カ-ド』(エスコアール,2009年)まとめ出典 : ソーシャルスキルの不足は、社会において人とかかわりながら生きていくことに困難を感じたり、孤独感や抑うつ状態を引き起こす可能性があります。そのため、ソーシャルスキルに不安を感じた場合は、専門機関に相談することをおすすめします。その結果、もしソーシャルスキルが低いとされた場合でも、ソーシャルスキルは学ぶことで身につけることもできます。専門家や支援機関のアドバイスも参考にしながら、課題に応じた支援を受け、一人ひとりにあった学び方、過ごし方を身につけることを応援していきましょう。
2016年12月25日コミュニケーション障害とは出典 : 近年コミュニケーション障害は“コミュ障”として一般的に知られるようになりました。いわゆる“コミュ障”という言葉は、2ちゃんねるなどのBBS(掲示板)やSNS(ソーシャル・ネットワーク)で作られたネット用語です。この“コミュ障”の特徴としては、重度の人見知りで人とまともに話すことができない、緊張して異性と話すことをむずかしいと感じる、同じ言葉を連呼する、どもってしまう、他人に興味がなく自分の意見を押しつけてしまう、などの傾向にある人のことを指すことが多いようです。しかし医学的な観点から見たコミュニケーション障害は、この“コミュ障”とは少し異なります。アメリカ精神医学会による診断基準である『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)においてコミュニケーション障害とは、ことばを扱うことに対して障害が発生する複数の疾患が一つにまとめられた、コミュニケーション症群/コミュニケーション障害群(Communication Disorders)という総称として認識されているのです。『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)/2014年医学書院コミュニケーション症群/コミュニケーション障害群とはことばを扱って他者とコミュニケーションをとることに困難が生じる疾患群です。具体的には、・言葉を相手に伝わるように発声することが困難である・すらすら、止まらずに話すことが困難である・他の人と円滑に会話することが困難である・相手の話していることを上手くくみ取ることが困難である・正しい言葉の使い方をすることが困難であるといった症状が挙げられます。人は認知や発声など多くの機能・能力をつかって他者とコミュニケーションを図ります。そのためコミュニケーションに何かしらの障害が生じている場合は、特定された一つの原因が作用している訳ではありません。その上、発症する症状は疾患によってさまざまです。そこで症状に合わせた5つの疾患が定められ、コミュニケーション症群/コミュニケーション障害群としてまとめられているのです。5つの疾患とは言語症、語音症、小児期発症流暢症(吃音)、社会的(語用論的)コミュニケーション症、および特定不能のコミュニケーション症群です。これらの疾患は主に幼児期、小児期、青年期に発症する傾向があり、成人になった後にいきなり発症することはあまり認められていません。本コラムではコミュニケーション症群/コミュニケーション障害群を、以下コミュニケーション障害と表記します。コミュニケーション障害の種類出典 : 言語症とは話したり、書いたりするために言語を取得することの困難さを特徴とする疾患です。それに伴い、使える語彙が少ない、正しい文章を作る力が弱く主語と述語の順番がぐちゃぐちゃになる、相手に自分の思ったことを正しく伝える表現力が弱いなどの症状が発生します。具体的には、・過去の話を話すことが困難である・話題に応じた適切な単語を選ぶことが困難である・電話番号や買い物リストを覚えることが困難である・一番伝えたいことをずれのないように伝えることを難しいと感じたりするといった症状が挙げられます。こうした症状は、その人の成長の段階に応じて、社会参加、学業成績、職業的能力など様々な場面に影響を与える傾向があります。言語症は通常発達期初期に発症することが多いため、言語症を発症しているのか、言語能力の取得のスピードの正常な範囲内での遅れであるのかが分かりにくい場合があります。そこで言語能力の個人差が安定すると考えられている、4歳を基準として診断することが多いです。4歳以降に言語症と診断された場合には個人差はありますが、成人期になっても持続する可能性があります。語音症とは、言葉をうまく発声できないことで引き起こる疾患です。語音症がある人が話している内容を周囲の人が完全には理解することができず、意思伝達が正しく行われない場合があります。語音症と診断される条件の一つとして社会参加、学業成績または職業的能力に対して少なからず1つ以上に影響が発生していることが挙げられます。人は話すとき、言葉がどういう響きを持つのかという音韻的知識と、会話のために呼吸と発声をしながら顎、舌、そして唇の運動を調整する能力の両方が求められます。語音症はこれらがバランスよく発達しない場合に引き起こされます。言葉の発音がその子の年齢及び発達と比較し、期待されるものになっていない場合に診断されます。症状の始まりは発達早期ですが子どもの成長スピードには個人差があるため、見極めの基準は3歳で分けられています。定型発達の場合、3歳では会話の大部分が分かりやすいものであることが求められます。また、8歳までにはほとんどの単語が正確に発音できることが求められますが、それまでに発音違いがある場合は正常範囲とみなされます。語音症は治療することができない疾患ではなく、治療をすれば会話の困難は改善することが多い傾向にあります。しかし、言語症が語音症と併存している場合は限局性学習症が発症していないかチェックする必要があります。『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)/2014年医学書院出典 : 小児期発症流暢症とは吃音(きつおん)とも呼ばれ、どもったり、会話の途中でいきなり話せなくなったりしてしまう症状を中心とした疾患です。2016年度の月9ドラマ『ラヴソング』にも取り上げられ知名度も上がっている疾患です。具体的には・あー、あーというように音声や音節を頻繁に反復したり、延長したりする・単語が不自然な区切りで途切れる・会話の途中でいきなり無言になる・過剰な身体的緊張を伴って話す・苦手とする言葉を避けた、遠回しの言い方を用いるなどの症状が挙げられます。小児期発症流暢症は人前に立つとき、就職の面接のときなどストレスや不安が伴う場面でより症状が重くなる傾向があります。一方音読したり、歌ったり、置物や動植物に話しかけるときは症状が現れないことが多いです。小児期発症流暢症を抱えている80~90パーセントの人が6歳までに発症しているといわれており、発症するときの年齢は2~7歳である場合が多いです。小児期発症流暢症は本人や周囲の人が気づかない間に急に発症する傾向があります。そのとき本人は急に話すことが苦手になってしまったことに戸惑いを感じ、徐々に人前で話す機会を避けたり、短く単純な発言を用いたりし始めます。最終的には社会との関わりをできるだけ断とうとする場合があります。しかし65~85パーセントの子どもたちが、小児期発症流暢症から回復するという研究結果もでており、決して症状の治療や改善ができない疾患ではないと言えるでしょう。またいわゆる“コミュ障”の主な症状であるどもりが、青年期またはそれ以降に出現する場合があります。それは小児期発症流暢症ではなく“成人期発症の非流暢性”です。これはその他の身体・精神疾患、神経損傷と関係している場合があるため、固有の疾患名は存在しません。『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)/2014年医学書院社会的(語用論的)コミュニケーション症は、社会生活においてのコミュニケーションを難しいと感じてしまうことが特徴の疾患です。本コラムは以下、社会的コミュニケーション症と記載します。代表的な症状としては以下の4つが挙げられます。1. 周りの人との挨拶、情報の共有など、社会生活を送る上で重要なコミュニケーションをとることが困難である2. 自身が置かれている状況に応じて適切な話し方を選択することが困難である話す相手が大人か子どもか、授業中と遊び時間など状況の変化に対して堅苦しすぎる言葉の使用を避けるなど、場面に応じてスムーズに話し方を変えることに難しさを感じる傾向があります。3. 人とコミュニケーションをとる上でのルールに従うことが困難である相手の話を聞かず自分の話ばかりしてしまったり、相手の理解を得られていないにもかかわらず繰り返しの説明を避けてどんどん話を進めてしまったり、身振り手振りのコミュニケーションを理解できなかったりすることが挙げられます。4. 相手が言いたいことを推測、察することが困難である相手がはっきりとは言わないけれど何かを要求している”ほのめかし”、論理的では無い文脈や、たとえ話などの曖昧な言葉の理解ができない場合があります。社会的コミュニケーション症がある人は過去に言語の発達に遅れがあったり、言語症を患っていた場合もあります。また重度の症状になると、コミュニケーション上の失敗を恐れ、徐々に社会的な関わりあいを避けるようになる傾向もあります。社会的コミュニケーション症は社会生活における、高度なコミュニケーションスキルに影響を与える疾患です。そのため言語や社会的交流がより複雑になる青年期早期まで発症していることが分からない可能性もあります。上記の疾患のどれにも当てはまらないけれど、日常生活においてコミュニケーションの障害が引き起こされたり、コミュニケーション症に特徴的な症状が発症していたりする場合に診断されます。コミュニケーション障害とその他の疾患の違い出典 : コミュニケーション障害は一般的にアスペルガー障害や自閉症と呼ばれる広汎性発達障害の特性に伴うものや、他の精神疾患、知的能力障害に伴うものには含まれません。しかし他の精神疾患、知的能力障害から生じることばの障害の症状よりも、明らかにコミュニケーション障害の症状が重度である場合があります。その際にはコミュニケーション障害を併存・合併していると判断されます。コミュニケーションに困難が発生するといわれている代表的な疾患として以下のものが挙げられます。■医薬品の副作用:医薬品の副作用としてどもりなどの吃音が生じる場合があります。■構造的欠陥:口蓋裂(こうがいれつ)などにより、会話をすることを困難に感じることがあります。口唇口蓋裂についての基礎知識l 愛知学院大学■構音障害:構音障害とは脳性麻痺によって音を作る器官やその動きに影響が与えられ、発音がうまくできない状態が引き起こされる疾患です。■選択性緘黙(かんもく):選択性緘黙とは1つまたは複数の状況や環境で会話ができず、黙り込んでしまうことが特徴の不安症の一つです。選択性緘黙を抱えている人の多くは、家庭内や親しい友人と一緒にいるなどの安心できる状況下では正常な会話ができることが多いです。■トゥレット症:児童期から青年期にみられるチック症の一種で、多様な「運動チック」と1つ以上の「音声チック」が1年以上持続することを特徴とする精神・神経疾患です。この疾患は小児期発症流暢症の反復的な音声と似ている症状であるため注意が必要です。■自閉スペクトラム症:自閉症スペクトラム障害とは対人コミュニケーションに困難さがあり、限定された行動、興味、反復行動がある障害です。自閉スペクトラム症では、行動、興味、及び活動の限定された反復的な様式が存在し、社会的コミュニケーション症ではそれらの症状がが存在しないことで区別されます。■社交不安症:社交不安症とは、対人関係に対する不安、恐怖、そして苦痛のためコミュニケーションスキルが発達しているにもかかわらず、人と会話をすることに問題を抱えてしまう精神疾患です。コミュニケーション障害の原因出典 : コミュニケーション障害の原因はストレスや、遺伝など諸説ありますが未だ明確にされていないのが現状です。その理由として対人コミュニケーションを取る際に必要となる能力の種類の多さが挙げられます。人は認知などの脳の働きや、聞く・発声するなどの運動能力など、様々な能力をつかって他者とコミュニケーションを図ります。そのためコミュニケーション障害が生じている場合は、一人ひとりの背景に異なった原因があると考えることが大切です。その事例としてSLP(Speech Language Therapist)が行っている、コミュニケーション障害の診断評価が挙げられます。SLPとは、アメリカで主に活躍していると呼ばれる言語に関する療法を行う専門家です。そこでの分析の手法はSLPの数だけ、患者の数だけあると言われており、コミュニケーション障害の原因は多様に広がっていることが分かります。についてl The Nemours Foundation子どもの言語・コミュニケーション障害の臨床と語用論/ 大井学/ 金沢大学1994年コミュニケーション障害の相談先出典 : コミュニケーション障害は幼少期・小児期・青年期初期に主に発症する疾患ですが、決して症状の治療・改善ができない疾患ではありません。例として小児期発症流暢症を挙げると65~85パーセントの子どもたちが回復するという研究結果がでています。しかし年齢が上がってからの治療は、子どもがすでに話すことに対して強い抵抗感を覚えてしまい、治療が思うように進まない可能性があるため、早期に診察・治療することがすすめられています。コミュニケーション障害の場合は以下の相談先に相談するか、医療機関の受診をおすすめします。■児童相談所:児童相談所は、すべての都道府県と政令指定都市に最低1つ以上設置されている児童福祉の専門機関です。主に、「子どもの養育に関する相談」、「障害に関する相談」、「性格や行動の問題に関する相談」などの育児に関する相談ができる機関となっています。全国児童相談所一覧l 厚生労働省■全国精神保健福祉センター:各県、政令市にはほぼ一か所ずつ設置されている、保健・精神保健に関する公的な窓口です。精神保健福祉に関する相談をすることができます。精神科医、臨床心理技術者、作業療法士、保健師、看護師などの専門職が配置されています。相談については、予約制、健康保険の適応があるところがあります。詳細は、それぞれのセンターにお問い合わせください。全国の精神保健福祉センターを探すl 厚生労働省■耳鼻咽喉科:言語聴覚士がいるケースも多いですので、吃音の場合でも耳鼻咽喉科に行く場合もあります。特にお子さんが吃音の場合は耳鼻咽喉科をご選択ください。■精神科:心の症状、心の病気を扱う科です。心の症状とは具体的に不安、抑うつ、不眠、イライラ、幻覚、幻聴、妄想などのことです。心の症状に対して治療を行います。■心療内科:心と体、それだけでなく、その人をとりまく環境等も考慮して扱う科です。上記の心の症状だけでなく、ほてり、動悸などの身体的症状とその人の社会的背景、家庭環境なども考慮して治療を行います。精神科、心療内科どちらに行ったらいいか迷う方もいらっしゃるかもしれませんが、コミュニケーション障害の場合は精神科を受診しても、心療内科を受診してもどちらでも大丈夫です。コミュニケーション障害の治療方法出典 : コミュニケーション障害の治療方法として投薬による治療法と、精神療法が主に挙げられます。投薬に関しては現在研究中の段階であるため、コミュニケーション障害を直接的に治療する薬が処方されることはあまりないでしょう。しかし明らかに精神的な問題によって、どもりなどのコミュニケーション障害の症状が出ているという場合は、気分安定剤、抗不安薬などを処方される場合もあります。また、コミュニケーション障害のストレスによって発症する不安障害やうつ病などの二次障害には個々の症状にあった薬を処方されることがあります。コミュニケーション障害の治療のための精神療法として、認知行動療法が挙げられます。認知行動療法とは物事の受け止め方や考え方である“認知”に働きかけ、こころを楽にする療法の一つです。人間はストレスとなる出来事が起こると、それを認知し、認知が感情・気分や行動にも影響を及ぼすようになっています。認知行動療法では、認知を通して、人間の感情・気分と行動の両方にアプローチし、良い循環を起こせるように働きかけていきます。コミュニケーション障害はストレスや不安により更に症状が悪化し、最終的に重度のコミュニケーション障害を抱えている人は社会との関わりを避けるようになる傾向があるといわれています。そこで認知行動療法を行うことによって、コミュニケーション障害によって引き起こされるネガティブな感情やストレス、ことばを扱うことへの不安感を軽くすることを目指します。また、子どものコミュニケーション障害の治療として言語能力を鍛えるために読書や計算問題を繰り返し解く方法も行われています。発達障害のある子どもに見られるコミュニケーションの特徴l LITALICOジュニアまとめ出典 : コミュニケーション障害とは、人前でしゃべったり、人と会話したりするときに、自身が思った通りに話すことを苦手とする複数の疾患が一つにまとめられた総称です。言語症、語音症、小児期発症流暢症(吃音)、社会的(語用論的)コミュニケーション症、および他の特定されるまたは特定不能のコミュニケーション症群が含まれており原因や治療法は様々です。コミュニケーションは語彙の知識、認知や発声など多くの能力を必要とする行為です。上手く話すという基準は人それぞれであり、話すということにはその人の個性が出ます。話すということに対して、周囲と比べて過度に劣等感を感じたり、考えすぎたりするのではなく、自分に合った話し方を探していくと良いでしょう。また、周囲の人も、「話し方はこうあるべき」という基準を押し付けず、その人の話し方と、自分の話し方の違いを尊重し合いながらコミュニケーションを試みて行きましょう。しかし、話すことの抵抗感がとれず、日常生活や身体の調子に支障が出ているなどの場合は、早めに専門家に相談して、適切なサポートを受けることをお勧めします。
2016年12月25日クリスマスイブの夜のこと。枕元にはきちんと靴下を置いて…クリスマスイブの夜。寝る前に靴下を用意して、息子たちのプレゼントへの思いを盛り上げる私。Upload By ラム*カナUpload By ラム*カナUpload By ラム*カナ翌日、クリスマスの朝に…ADHD息子の本領発揮!Upload By ラム*カナUpload By ラム*カナま、まさかのプレゼントスルー!!(泣)あんなに盛り上げたのに…そんな気持ちを抑えつつ、やっとの思いで息子に聞いてみました。Upload By ラム*カナUpload By ラム*カナUpload By ラム*カナこの目を見張る記憶力の悪さ…(笑)子どもには大イベントではないかと思われるクリスマスにも惜しみなく発揮してくれました。しかしその後、寝室に戻った長男は…Upload By ラム*カナプレゼントを見つけて笑顔で走ってきました!事前にプレゼントリサーチをしたときには、特に何も欲しいものがなかった長男なのですが、実は数日前…Upload By ラム*カナこんな場面に遭遇したのです。おもちゃのCMを見て、こんなことを言うのは珍しかったので、しかとこのおもちゃをサンタさんに伝え、クリスマスに届けてもらったのです。反応は…Upload By ラム*カナ大喜び!!プレゼントまでの道のりが長かった…(笑)クリスマス事情でした。著書『カラフル男子牧場 -ADHD長男とお調子者次男の兄弟物語- 』Upload By ラム*カナ
2016年12月24日不登校のまま中学生になった娘は、この先将来どうなるのだろう…出典 : 娘が全く学校に行かなくなったのは小学校3年生の9月からです。家では勉強を一切せず、パソコンとゲーム三昧の日々。長い間、鉛筆を握ることすら嫌がり、2ケタの計算やお金の概念もよくわかっていない、字はひらがなもおぼつかない…という状態が小学校時代は続きました。お金の概念は、お小遣いのやり取りや、ネットショッピングの代金引き換えを娘に払ってもらうことで、中学生になる頃には次第についてきました。その後、中2になって支援を受けられるようになり、日記を書くこと、九九を覚えることを始め、字もしっかりして進歩は見られるようになりました。だけど言語能力は高いものの、書くこと、計算することが極端に苦手な娘を見ていると、「この状態で本当に高校に進学できるのだろうか?」「進学したとしても仕事をすることができるのだろうか?」と正直不安でした。娘は、「高校へ行きたい」「できれば大学へも行きたい」「あまり無理しない程度に働きたい」と言っています。ただ、それは私を気遣って言っているのか、本心から望んでいるかはよくわからないな…と感じるのです。本当のところ、娘は将来についてどう思っているの?出典 : パソコンを持っていた娘は、パソコンで様々なニュースを見ていました。そして小6くらいから「働くこと」について、ネットでいろいろな情報を得るようになりました。そして不安から、こんなことをふとつぶやくようになりました。「コンビニの店長が借金苦に自殺したって。コンビニってブラックやんなぁ。バイトしようと思ってもブラックなとこばっかりやなぁ。でも私も考えてるんやで。高校入学の時までには計算できるように勉強しようと思ってるねん。バイトするには計算できなあかんもんな。プログラマーだけにはなりたくないけど、私にはこんな仕事しか無理かもしれない。」ブラック企業のことを知って、「学校に行っていない自分にはブラック企業しか行くところがない」と言っていたこともあります。出典 : そして今年、中2になって働いている人と話す機会を持つようになった娘は、ますます「働く」ということについて、自分の考えをしっかり持ちながら考察するようになっていきました。先日のことです。娘「来年、中3になるの?嫌やなぁ。もう1回中学生やりたいな。」私「え、6年間中学生やりたいわけ?」娘「そう。だって働きたくないねん。」私「小学校のときは働きたいって言っていたのにね」娘「何も知らなかったあの頃と、ブラック企業のことや、『どうやら自分はこの社会で楽しく働けそうにない』ってわかってしまった今と一緒にせんといて」この頃は、「自分には9時5時という働き方ができるとは思えない」「もっと短い時間で働きたい」と自分を分析したうえで、仕事のことを考えていた娘。「働きたくない」と言うのも無理はないなぁと思いました。振り返ってみて、娘はとても現実を正確にとらえているな、と感じました。そして、今の社会の生きにくさをしっかりと感じ取っています。それは思考停止状態でとりあえず前へ進むよりも、辛いけれど素晴らしいことだと私は思っています。母娘2人きりの家庭。不安を抱く娘を前に、親としてできることとは出典 : 娘が働くことやブラック企業のことを意識し始めてからは、「勉強はいくつになってからも挽回できる」、「いったん就職したからすべてが決まるわけじゃない。ダメだと思ったら何度でもやり直せばいい」と伝えていました。ただ、不登校の娘は、母である私の姿から社会を見ているところがあります。私はアスペルガー症候群の診断を受け、それは娘にも伝えています。どの職場でもイジメに遭い、だんだんと追い込まれてうつ状態になった末に退職する私の姿を、娘は側で見ているのです。それでは働くことに希望を持つことも難しいでしょう。だけど、発達障害者にとっての現実を見るのも大切なことだと思っています。社会が変わらない限り、同じような困難が待っているのは本当なのですから。そのかわり、失敗して終わりではなく、障害者職業センターに行って学んだことを娘に話したり、障害者雇用について「普通の働き方が辛い人には、こんな働き方があるよ」とさりげなく伝えています。娘自身にも障害があることはまだ本人に告知していませんが、同じ障害を持つ娘が抵抗なくそういう生き方もあると肯定的にとらえられるように気を配っています。不登校の子どもに親として与えるなら、不安ではなく安心を出典 : 私の娘にはアスペルガー症候群の診断がおりていて、小2から不登校になりました。同じような境遇の親御さんもおられることでしょう。「この子はこのままで大丈夫だろうか?」と思う気持ちは痛いほどわかるつもりです。でも、その不安を直接お子さんにぶつけるのはやめてあげて欲しいのです。なぜなら、不登校の子どもも「このままで将来どうなるんだろう」「自分が生きている意味はあるんだろうか」と真剣に悩んでいるからです。そして、その答えを親に求めてくることがよくあります。そんなとき、「だから学校に行かなければならないよ」「もっと勉強しなさい」「世間は甘くないんだよ」とつい言いたくなるのが親心ですが、そうした「やらなくてはならないこと」は子ども自身が一番よくわかっているのです。それができずに悩んでいるのです。ですから、そうした言葉は親からは決して聞きたくないと思うのです。ただただ、子どもの言葉に耳を傾け「あなたはそう思うんだね」としっかりと受け止めてあげて欲しいと思います。私も娘のつぶやきにはただ「そうか…。」と話を聞くだけに留めるようにしています。親としては焦りや不安もあると思いますが、子どもたちの不安をまずは払拭してあげたいものです。できるだけのことはしてあげて、口は出さない。それが自立への早道になると私は考えています。
2016年12月23日不登校の親の会で、仲間に出会う出典 : 誘われて参加するようになった【不登校の親の会】で出会ったのが、一緒にJERRY BEANSを始めることになる八田くんだ。八田くんや、ほかの不登校の仲間をみて、「自分だけじゃなかった」「同じように学校に行けない人がいるんだ」と知ることができた。八田くんは家が近所だった。出会ってすぐに仲良くなり、翌日からは毎日会うようになる。僕と双子の兄弟、八田くんの3人でいつも一緒にいた。それまで家に籠もりきりだったのが自分でも嘘のようだった。思い切り遊び、思い切りぶつかれる仲間みんなが学校へ行っている時間に、山で探検したり琵琶湖に釣りにいったり、山の中の公園で野球したり、と今までやりたかったことが溢れだした、本当に楽しい毎日。それでも常に、僕らの心の中にはうしろめたさがあった。だから、学校が終わる時間までには絶対帰っていたし、人に会わないようにと自然にそういう場所を選んだ。わざわざ言わなくても3人は同じ気持ちを共有していたんだと思う。当時の僕らは、コミュニケーションで相手に気を遣うことができなかった。嫌なことがあったらすぐに爆発していたし、穏やかだったのに、一瞬で顔色が変わって険悪になったり。空気を読むのがとても苦手だった。でも、共通の趣味である音楽を聴いている時や、楽器を合わせている時は、言葉がなくても自然と打ち解けていた。音楽にのめり込んだのは、親が背中を押してくれたから出典 : その頃、八田くんがギターを習っていて、それに憧れてみんなで音楽をやり始めた。楽器がほしいからと、新聞配達のアルバイトを始めたりもして。「仲間とバンド活動をする」ということが、僕たちの生活に希望を与えてくれた。夢中で楽しんでいる、その気持ちが親たちに伝わったのか、なんと自宅の部屋をスタジオみたいに改良してくれた!「のびのびできるものを見つけたんだから、思い切りやったらいい」、そう言って背中を押してくれた。不登校で困らせていたはずの親が喜んでくれた。そのことが嬉しくて嬉しくて必死で練習した。ある時、「自分はこれで生きていくんだ!」と決意した。自分にも存在価値がある、と思えるように自分なんて大嫌いで、存在価値もないと思っていたけれど、そんな考えを変えてくれたのは、自分と本気で向き合ってくれる周りの人たち。例えば、ずっと部屋から出られず、ご飯も食べられない時期に、リビングでご飯を食べただけで、本当に喜んでくれたり。そうやって1つひとつの小さな変化を喜んでもらえることで、「自分も生きていていいんやな」って思えるようになった。バンドを始めたら、どこから聞いたのか、同級生が文化祭の時期に「楽器を教えてほしい」と言って訪ねてきてくれたことがある。「ずっと学校行ってないのに、同級生が会いに来てくれた。褒めてくれた。」こんな嬉しい気持ちになったことはなかった。「僕らでも、何か出来る事が1つあれば、コミュニケーションしていけるんや」、「こうやって認めてもらえるんだな」と、少しずつ自信を持てるようにもなった。道徳の授業や特別授業の一貫として、生徒たちに過去の経験や未来への思いを伝えるという「講演ライブ」を行っている山崎さん。不登校に悩み苦しむ子どもたちやその親御さんに、いま伝えたいことを語っていただきました。
2016年12月22日感情のコントロールが苦手な息子。大変なのはキレると暴言を吐くだけでなく…出典 : 発達障害のある6歳の息子は、感情のコントロールが苦手です。息子はADHDの診断が出ていますが、衝動性のコントロールが小さい頃からできませんでした。成長と共に、気になる物に突然ダッシュすることはなくなりましたが、最後まで残っているのは「感情と言葉の衝動性」です。ちょっと他人から気に食わないことを言われると、「うるせぇこのバカヤロぉ!!」「黙れ、この○△★?▼◇★!!(←書くのもためらわれるような言葉多数)」と暴言が口をついて出ます。相手が子どもであれば、この暴言には黙っていません。当然言い返されます。すると、息子はパニックになって大泣きし始め、「○○くんがいじめた!!!」と言い始めるのです。発達障害の特性なのか何なのか、息子はとにかく被害者意識が強く自分はすぐにカッときて暴言を吐くにも関わらず、他人から言い返されると「いじめられた」とパニックになるのです。そんな息子の瞬間沸騰湯沸かし器に、私は毎度毎度ヒヤヒヤ、がっくり、胃がしくしくの6年間でした。どうにかして息子の辛さを軽減させてあげたい…息子と試してきたあれこれ出典 : 幼稚園の年長になり、多動性がだいぶおさまってきた息子でしたが、相変わらずカーッとなるとコントロールが利かなくなるところは変わりませんでした。そんなとき、息子は拳を握り締めて、私を叩こうとしてきます。我が息子ながら、そんなところが怖く感じられてしまい、彼が拳を握り締めるたびに私自身が半分パニック状態になっていました。カーッとなりやすい息子との6年間、私は悩みに悩んで様々なことを試してきました。「カーッときたら10秒数えてごらん」と伝えてみたことがありましたが、これはあまり効果がありませんでした。衝動性が高まってしまうと、数を数えることを忘れてしまうといいます。1番効果があったのは「その場をとにかく離れる」こと。そして「もし大人がいたら、大人に助けを求める」と言う指示でした。これで幼稚園のお友達との喧嘩は激減しました。しかし、その場を離れることができないシチュエーションのときに、パニックになってしまうことがわかりました。落ち着きたくても、その場をすぐに離れることができません。幼稚園のお教室で先生のお話しを聞いているときや、幼稚園バスに乗っているときなどが正にそうでした。そんなとき息子が考えたのは、逃げ場の無いときに使える感情コントロール法だった出典 : そんなある日のこと、幼稚園のお迎えでバスを待っていたときでした。息子は幼稚園のバスからぼんやりした顔で降りてきました。目線はどこか遠くを見ています。遠くを見ながら、ブツブツブツブツと呟いています。私が「どうしたの?疲れたの?」と聞いても答えません。何を言っているのか聞いてみると、「飛んでいる飛行機」「流れる雲」「駐車禁止のマーク」「スーパーマーケット」「赤いコートのおばさん」…などと、意味不明の言葉をズラズラと繰り返しているのです。さすがに私は焦ってしまい、「どうしたの。何を言ってるの」と聞いてみたところ、息子がこんなことを言ったのです。「幼稚園バスで友達に嫌なことを言われた」「頭がカーッときて止まらないときは、遠くの景色を見ながらそこにあるものを読み上げていくと落ち着くんだ…」これには驚きました。逃げ場のない場所でカーッとくるのが抑えられないとき、息子は自分なりに「アンガーマネジメント」の方法を一生懸命考えていたのです。これは我が息子ながらあっぱれで、大人の私がイライラしたときにやってみても、結構効果がありました。感情コントロール、「怒っちゃダメ」では解決できない出典 : カーッときて暴言を吐いて、周囲に白い目で見られる…。この状況で誰が辛いって暴言を吐いた本人も本当に辛いのです。発達障害の子どもは暴言を吐きたくて吐いているわけではないのです。衝動性をうまくコントロールする術がわからなくて、困っているのです。息子本人も苦しかったのでしょう。自分なりに一生懸命アンガーマネジメントの方法を考えていました。発達障害の子どもの感情コントロールは「怒っちゃダメ」では解決できません。私は散々息子に「すぐカッと怒るのは良くない」と言っていましたが、この方法は本人を追いつめるだけで、何の行動改善にも繋がりませんでした。こういう場合、「代わりの行動」を提案してあげると良いことがわかりました。「その場を離れる」というのもその1つです。息子が考えた「遠くに見えるものを読み上げる」というのも代わりの行動にあたります。湧き出てくる感情を抑え込むのではなく、湧き出てくる感情は感情で受け止めつつ、別の行動をするように促してあげると良いかもしれません。
2016年12月22日発達障害を自覚していなかった私が、障害者雇用で働くことを決意する出典 : 私は幼少期に学習障害の診断を受けていましたが、その事実を自分が知ることはありませんでした。大人になって就職すると、作業の指示をうまく理解できない、上司の指示を誤解してしまうなどさまざまな壁にぶつかり、自分に発達障害があることがわかりました。しかし当時の私は医師の診断を受け入れず、「健常者」として生きることを選びました。その後、仕事はうまくいかず、私は解雇されてしまいます。私は旅を通して自分自身を見つめなおし、ようやく「障害者」として生きる決意を固めたのです。今回は、障害者雇用で働き始めた私が、過去を振り返りながら今思うことをお話したいと思います。自分自身が障害を受け入れた決意を話すと、両親の反応は…出典 : 私が両親に「障害者として生きる」という決意を伝えたとき、両親はやんわりと反対しました。無理もない話だとは思います。解雇されたとはいえ、今まで健常者だと思っていた自分の子どもが障害者になるのです。あまり表面に出していませんでしたが、混乱や嫌だと思う気持ちは少なからずあったようです。もちろん、障害特性を理解し、健常者枠で就職するという選択肢もありました。しかし私の場合は「4年近く健常者として働いたが、どう頑張っても成果を出せなかった」という紛れもない事実がありました。この事実の前に、議論の余地はありませんでした。また、発達障害についても改めて調べ直したところ、「単純作業が苦にならない」という、働く上で強みになる特性が私にもあることを知りました。そこで「発達障害を個性として受け入れ、その個性を最大限活かして働く」という方針を決めました。前職の仕事では作業中に細かな仕様変更が度々発生し混乱していたため、作業内容の変更が頻繁に起きないであろう事務職の仕事を希望する事にしました。障害者雇用での再出発、しかし現実は厳しく…出典 : 発達障害を受け入れて生きることを決めてからは、通院を再開し、ウイングル(2016年8月1日に「LITALICOワークス」に改名)の就労支援事業所や、あではで会という発達障害の当事者達が助け合う集まりへ通い、発達障害に対する理解を深めつつ再就職の活動に取り組み始めました。私がウイングルを選んだのは、模擬就労という実際の職場に似せた環境で職業訓練を受けることが出来たためです。実際、習うより慣れる方が向いていた私は順調にスキルアップをしていきました。私は訓練での評価も良かったので、4ヶ月もすれば就職先は決まるだろうと思っていました。しかし実際には、面接どころか書類選考すら通過せず4ヶ月が過ぎてしまいました。上手く行かないのはなぜだろうかと思っていたとき、新聞である記事を読みました。その記事には大手転職斡旋会社へ寄せられる障害者求人の内、9割以上が身体に障害のある方を対象にしたものだということが書かれていました。つまり多くの企業は、障害の種類を理由に私の雇用を断っている可能性があったのです。とても残念で悲しいことでしたが、憤ってどうにかなるわけではないので、焦らずに就労訓練で自分を鍛えつつチャンスを待ちました。その甲斐もあって、無事、一般企業の事務職へ再就職することが出来ました。ちなみに現在では、身体障害者以外を対象にした求人も増えてきているそうです。障害者雇用で働きはじめ、今は生き生きと暮らせている出典 : 再就職してから約3年が経過した今、前職とは違って楽しみながら働いています。入社当初は非正規雇用での採用でしたが、順調に成果を出して行き、やがて作業の1つを担当として任されました。さらに作業担当になってから数ヶ月後、私の担当作業は重要な作業として注目されるようになりました。一般社員・役職者を問わず数十名の方を率いて、作業の人頭指揮を執るという経験もしました。前職の頃では到底成し得なかったでしょう。しかし、自分の発達障害を知り、受け入れた後は、その特性を最大限活かせるように準備を整えて挑みました。その結果、十分な成果を出すことができました。今では正社員に昇格し、メンバーに作業指示を出す立場になりました。しかし、仕事上のコミュニケーションに関するトラブルは、前職のときほど問題にはならないものの、常に付きまとっています。その際は外部の支援者を頼っています。自身の障害を受け入れて約3年。いま、振り返って思うこと出典 : 私が障害者雇用で安定して働くことができている理由としては、●自分の障害特性を含めて自己分析を納得するまで行い、自分の強みを最大限発揮できる職種を選んだ●入社時に、障害特性上配慮が必要なことと、得意なことを上司に伝えた●出来ないと思ったことでも、「配慮や手助けがあれば自分で出来ないか」を考えたことが挙げられると思います。特に、ただ「出来ない」とだけ伝えてしまうと印象が良くないため、代わりに強みになることや、出来るようになる方法を考え伝えるようにしていました。ここで1つお断りしておきたいのは、”私の場合は”障害者枠で就職したほうが、良い結果が出せただけということです。障害のある人全員が、障害者枠で入社するのが最善とは限らないと思います。残念ながら障害者を受け入れる職場環境などが整っていない職場も依然として多くあります。そのため、障害を隠して就職するのも選択の1つなのかもしれません。ただ、障害の特性のためにどうしても苦手になってしまう仕事や不利になる部分について、会社から理解を得られるとは限りません。障害を隠すにしろ明かすにしろ、自身の障害特性を十分に把握して対策を考えておくことが必要でしょう。また、就職してから職場に馴染めるまでは、障害者の就労移行支援を行っている事業者など、外部の支援者が必要だと思います。少なくとも会社と重要な交渉をするとき、1人ではどうしても不利になるということを覚えておいて下さい。「発達障害」という障害の困難さ。だからこそ、「自分を知る」努力を続けたい出典 : 一般的に「障害」というと、ハンデとなる部分が目に見えたり、症状をある程度明確に言葉で表現出来るものが多いと思います。しかし、発達障害はパッと見で分かることは無く、症状も多種多様な組合せがあり、診断名と明確に紐付けることはできません。私はこのことが、「発達障害」という障害の最大のハンデだと思っています。例えば、私の場合「できない」と思っていたことでも、条件がそろえば出来ることもあれば、その逆もあります。それを見た上司は、私に何ができて何ができないのか、その判断を誤解してしまうことがあるのです。いったん納得出来るまで自己分析を行った私ですが、自分を知ることに終わりは無いと感じています。何故なら生活環境や人間関係が変化することで、今までは無かった問題が表れるためです。また、自分を知ることで事前に周囲とのトラブルを避けられるだけでなく、自分の強みが見つかることもあります。後から来る人たちを思うことで、先へと進んでいける出典 : 近年ようやく発達障害は世間に認知されつつありますが、私達が歩む道は未だに困難なものです。例えば2016年7月26日に発生した相模原の殺傷事件。この事件に対する一部の人々の反応から「障害への偏見」という氷山の一角を改めて感じました。ですが研究者やLITALICOを始めとした民間の支援者、そして発達障害の当事者、先を行く皆さんは道を少しずつ踏み固めて整備し、後から来る者の手助けをしてくれています。正直、私は書くことが大の苦手です。しかし、私が伝えることで少しでも誰かの助けになり、少しずつ社会が良い方向へ変わっていく事を願って、今後も書き続けて行きたいと思います。障害特性とも相まって遅筆な私ですが、これからもまた困難を乗り越えたらここで発信したいと思います。これで今回のお話は終わりです。最後までお付き合い下さりありがとうございます。みなさんの先行きが明るいことを願っております。
2016年12月22日発達障害の娘(5歳)に弟ができた!その事実を伝えると…我が家には広汎性発達障害がある娘がいます。先日、娘の5歳の誕生日直前に、私の第2子妊娠がわかりました。いつも面白い回答や、予想以上のリアクションをくれる娘。「ママのおなかに赤ちゃんがいる」と言ったらどんな反応をするのか、ドキドキしながら告げると…。Upload By SAKURAUpload By SAKURAUpload By SAKURA娘の発言は、いつも想像を超えます…(笑)。
2016年12月21日「早くしなさい!」何回言ったであろう、この言葉…出典 : 「早く○○しなさい!」「今やろうと思ってたところだから!」何度も繰り返されるこのやりとり。皆さんのお家でもよくありますか?(もう、いちいちお母さんはウルサイなっ)(せっか今くやろうと思っていたのに!やる気がなくなった…)昔は私も子どもの立場でしたから、親からこんな風に注意された時の子どもの気持ちはよくわかります。わかりきったことを親から注意されると、子どもたちはついイライラしてドアを思い切りバタンと閉めたり、部屋に戻ってクッションを床に投げつけたりします。こうなってしまうのはなぜでしょうか?ましてや、うちの子供は2人とも自己肯定感が低く、「お母さんに全てを否定された」「自分はなんてダメなんだ」とマイナス思考に陥りがちなので、なんとかこの悪循環を断ち切りたいと思っていました。「今やろうと思っていたのに…」の後に唱えることでトラブルを防ぐ!その合言葉とは出典 : そこで我が家では、主人が家庭に持ち込んだ言葉遊びを子どもたちのルールに活用することにしました。それは、会話中に同じタイミングで同じ言葉を言った時、「ハッピーアイスクリーム!」と言って相手に早くタッチした方が勝ち、というゲームです。私はこのゲームを知らなかったのですが、主人がわが家にこのルールを持ち込んだおかげで、子どもたちが小さい頃からこの「ハッピーアイスクリーム」は、同じことを同時に考えていた!やったね!という喜びを表現する手段として当たり前のように使われていました。活用の仕方は、こんな感じです。私 「早くお風呂に入りなさいよ~!」娘 「わかってるよ!今お風呂に行こうと思ってたところです!」私 「えっ!?じゃあ、ママもあなたも同時に同じこと考えてたんだ!ハッピーアイスクリーム!イェーイ!」そう言って、ハイタッチをしてしまうのです。こちらが高めのテンションでハイタッチを求めるので、子どもたちは「あれ?こっちはイラッとしながら答えたんだけど…」と戸惑いながらも、「行ってらっしゃ〜い!」と笑顔で送り出され、雰囲気が悪くなる間もなくお風呂に入るというミッションに取り組むことになります。半ば強引に負の感情に浸る時間を断ち切ってしまうことで、悪循環の環に入らず、サッパリ事を進めてしまおうという作戦です。切り替える言葉を持つことで、親も子も楽になる出典 : イライラしたときというのは、怒れば怒るほど怒りの感情も増幅していきます。親も子も、どちらも「早くやった方がいい」と共通の認識を持っているのだから、無駄な戦いをして気分を害するよりは、フラットな状態で次の行動に移ることができれば万々歳だと思うのです。わが家の場合は、もともと「ハッピーアイスクリーム!」の文化が根付いていたので、簡単に応用できました。しかし、今までそんな言葉を発したことのないご家庭で突然「ハッピーアイスクリーム!」と親がテンション高く言い始めたら、子どもは変なものを見るような目で親を眺めるかもしれません。悪循環を断ち切る言葉は、何でもいいのだと思います。出典 : やらなければいけないことは、子どもも十分わかっています。そんなときは、「だったら早くしなさいよ!」とお説教をするのではなく、「あら、同じタイミングで同じこと考えてたのね!」「やろうやろう!」と朗らかに声を掛けてみるだけでも、険悪なムードに陥らずに済むかもしれません。少し時間と心に余裕があるとき、お子さまの「今やろうと思っていたのに!」が飛びだしたら、ぜひ1度この方法を試してみてくださいね。
2016年12月20日高校生になったADHDの息子、アルバイトに初挑戦!Upload By かなしろにゃんこ。高校生の息子、リュウ太はADHDがあります。小さいころからモノを忘れたり、人の名前を忘れてしまったり、友達とのコミュニケーションがうまくいかず困ることがよくありました。あるとき障害者雇用のコンサルテイングをしている方から、「発達障害がある子も、なるべく学生のうちから社会勉強のためにアルバイトを始めるといいですよ」とアドバイスをくださいました。発達障害がある子は、家ではコミュニケーションに問題がなくても、社会に出てから人間関係や実務でつまづいてしまうことがあるからのようです。それまで私は、「ご迷惑にならないように…」社会と息子を離して育てがちでしたが、これを聞いて考えが変わりました。アルバイトをしてイヤなこともイイことも経験して欲しい!働く喜びを知って欲しい!そう思うようになったのです。しかし急にいわゆるブラックなバイトを経験して、「社会は恐いものだ」と挫折してほしくないな~と思いまして、友人が経営するラーメン屋で少しの間だけ息子を雇ってもらうことにしました。面倒見のよい大人がいて安心して働ける場所なら、失敗してもフォローしてもらえます。友人には、うっかりミスや勘違い、早とちりなどが多いなど息子の特性をあらかじめ説明し、理解してもらいました。接客で出会ういろんな人々…「お互いさま」を勉強していく今まで家や学校でしか生きてこなかった息子にとって、お店に来てくれるいろいろなお客様が最初は刺激的だったみたいです。あるとき、お箸で遊んでいた子どもについて話してくれたことがあります。Upload By かなしろにゃんこ。Upload By かなしろにゃんこ。「お客さんだから怒れないし、店の中で暇な気持ちも分かるけれど、お箸をまた洗わないといけなくなるから止めてほしかった」と、最初はご立腹の様子だった息子。でも結局お客様には何も言わず、後でお箸を洗い直したそうです。「それでいいんじゃない、怒らなくていいんだよ、だってあなたも小さいときは周りに迷惑かけたじゃない」と私が言うと、「そーか、そーか、お互い様なのか!」と小さかった頃のことを恥ずかしそうにしていました(笑)。他人の気持ちを考えることが苦手なところもある息子ですが、アルバイト先で出会った人の話から人間の行動について、親子で話し合う機会も増えていきました。バイト先での困った問題など、1つひとつの出来事が社会勉強になっていると感じます。そしてバイト開始から2年もたつと…「イヤなことにイチイチ腹を立ててもしょうがない!」と大人になっていく息子を感じることができました。「お金を稼ぐ大変さ」早いうちに学んでくれてヨカッタ!中学生のときは、親のお金を盗ってしまうこともありましたが、バイトを始めるとそれもなくなりました。お金を稼ぐ大変さが分かったこともあるのだと思います。息子を雇ってくれた友人には、何か問題を起こしていないかメールで聞いてみたり、働きぶりを報告してもらったりと連絡をとっていました。Upload By かなしろにゃんこ。このラーメン屋のバイトのおかげで、その後スーパーマーケットのバイトでも、周りと上手くやりながら働けていけたと感謝しています。
2016年12月20日障害があり、体の小さい双子の兄を屈託なく受け入れていた次男Upload By シュウママ現在7歳になる長男は難病を持って生まれ、その後自閉症という診断も下りました。それゆえ、双子の定型発達の次男を含め、同学年の子どもたちに比べると体が小さく幼く見えます。子ども達が幼稚園にあがる前、私は二人を連れてよく近所の公園へ行っていました。当時、長男はコミュニケーションをとることがまだ困難で、こだわりが強かったため滑り台から離れようとしません。次男はそんな長男の背中にぴたりとくっつき、一緒に滑ろうとします。周りからは体の小さい長男と定型発達の次男が双子だとは見えないのでしょう。遊ぶ次男に、ベンチに腰かけたおばあさん、赤ちゃんを抱っこした女性、いろんな人が話しかけてきました。「お兄ちゃん大きいねえ。いくつになるの?かわいい弟君がいて良かったね」その度に次男はいつも笑顔で答えていました。「違うよ。僕が弟であっちがお兄ちゃん。病気だから体が小さいんだよ」次男は自分より小さい「お兄ちゃん」の存在を幼い頃から見つめ続け、当然のように受けとめていました。まわりにも説明すればわかってもらえる、そう信じていたのでしょう。小学校に入学した次男。ある日お友達に聞かれたのは……そんな次男が小学校に入学して間もない頃のことです。黒板の横に貼られた入学式の写真を見て、休み時間にクラスの子どもたちが騒いでいました。「わあ、このお母さんかわいいね」「あ、このお父さん、頭つるつるだ~」その時、ある一人の男の子が、写真を指さしていいました。Upload By シュウママそこには長男を抱っこした夫と私が写っていました。Upload By シュウママそれを聞いた次男は「弟じゃなくて、僕のお兄ちゃんだよ。僕たち双子だもん」といつものように答えました。Upload By シュウママ「嘘じゃないよ、小さくても僕のお兄ちゃんなんだ!」「嘘だあ。だってこの子小さいじゃん。それに抱っこされてるし」他の子にそう言われても次男は、「本当だよ。病気だから体が小さいんだよ」といつも通りに話しました。けれど子ども達は、「嘘つき~!こんな小さい1年生がいるわけないじゃん」と次男の話を信じようとしませんでした。Upload By シュウママ「わかってもらえない」初めての経験に傷ついた次男学校から帰ってきた次男は、目に涙をためてこのことを話してくれました。今までは説明すれば、大人はみんなお兄ちゃんのことを分かってくれていたのに、どうして?次男の中に事実を受け入れてもらえない悔しさが広がった経験だったと思います。同時に大事な兄のことを馬鹿にされたように感じ、憤りもあったのかもしれません。涙を流す次男は、兄を思う悔しさと優しさが入り混じり、私がはじめてみるようなぐちゃぐちゃな顔になっていました。Upload By シュウママ「お兄ちゃんだけど、病気だから小さいんだ」ということを伝えた時、大人のように「ああ、そうなんだね」と理解し優しく受け止めてくれる反応ばかりではないんだと、次男ははじめて知ったのです。無防備だった心がどんなに傷ついたことでしょう。これから先、この子が長男のことを無邪気に話せる日はないかもしれない。そんな思いが駆け巡りましたが、なるべく冷静に、内心の焦りを悟られないように努めて言いました。「それは辛かったね。嘘つきって言われても負けずに言い返すなんて、本当に強い子だね!よく頑張ったぞ。だけどみんな小さいから、君の言うことがまだ分からないのかもしれないね。大丈夫。後はお母さんに任せなさい」なんでも思ったことを口にする一年生です。家族を揶揄されるということはどうしても出てきます。でも、ここで私が責める言葉を発してしまえば、この子は友達を憎むようになってしまうかもしれません。子どもには「病気ゆえ体が小さい子もいる」ということは大人がきちんと話さないと理解できないでしょう。私は先生宛の連絡帳に、「年齢が同じでも、生まれつきの障害ゆえ体が小さい子どももいるのだということを、子どもたちに伝えてほしい」と記しました。先生の対応は早く、翌日にはクラス全員の子に話してくれ、嘘つきといった子どもたちも謝ってくれました。障害児のきょうだいを親としてどう守っていく?出典 : 子どもは無邪気ゆえときに残酷です。特に障害のある子どものきょうだいは、悪意のない無邪気な言葉で傷つけられることがあるかもしれません。次男はこれからも長男のことを「どうして体が小さいの?」「どうして抱っこされてるの?」と尋ねられることがあるでしょう。そのたびに相手にわかるように言葉を選んで説明するのは、幼い次男にとって心に負担がかかることだと思います。できることなら、子どもが悲しい思いをしないように守りたい……。それが親の本心です。けれど、子どもは友達の言葉で傷ついたり、逆に傷つけたり、そんなことを繰り返して大人になってゆくのでしょう。そして、心ない言葉を浴びたぶんだけ、きょうだい児は強く器の大きな人間へと成長していくのだと思います。その代り、子どもの表情が暗かったり、とげとげしい物言いをするなど、いつもと違う様子があれば見逃さないようにしていけたらと思います。傷ついて帰ってきたときに、せめて包帯を用意して、「大丈夫!なんてことないんだよ!」と穏やかな笑顔で受け止めてあげられる親でありたい、そう思っています。
2016年12月19日はじめまして。「a.school」(エイスクール)の岩田です。Upload By 岩田拓真私たちは、「ワクワク学ぶ人を増やしたい」というビジョンを掲げ、そのための学びの環境づくりをしている会社です。具体的には、補習塾でも進学塾でもない、探究型の学習塾 「a.school」(東京・文京区)の運営や、全国の学校や学習塾のサポートを行っています。はじまりの学校「a.school」あなた(のお子さん)は普通ですか?変ですか?出典 : 突然ですが、あなた(のお子さん)は普通ですか?変ですか?小学生や中高生の頃、クラスの中で「自分だけ、なんかちょっと違うな」と感じたことのある人、「おまえは変だ、おかしい」と直接言われた経験がある人、さらにそういったことを理由にいじめられた人まで含めると、実は少なくないのではないでしょうか?私自身も小学生の頃、喜怒哀楽が激しく、何かに没頭すると全く周りが見えなくなるタイプだったため、クラスメートと一緒に同じペースで活動することが苦手で、和を乱しては「変なやつ」扱いをされてきました。言葉で言われてショックだったこともありますが、それ以上にあの時の私を見る同級生の目は忘れられません。好きなことをやっているだけなのに、まわりとぶつかっていた少年時代出典 : 当時の私としては、ただ素直に「好きなことや興味のあることを思い切りやっているだけなのに、なんで止められたり笑われたりしないといけないの?」と思っていました。先生や同級生の目線で考えることはできず、かといって自分のことを適切にコントロールすることもできず、悶々としていました。喧嘩ばかりして親を困らせることも多かったです。喧嘩をして問題を起こしたのは私自身だし、「◯◯したらだめでしょ」という先生の指摘にはある程度納得できる部分もあったのですが、そもそも「ちょっと変だと言われる自分」が、「クラスという小さな社会」の中でどう毎日を過ごしていけばいいか、自分の何が悪くて何を改善すればいいかわからず、不安やイライラはなかなか解消できませんでした。「変な自分」が好きになる。支えてくれた人と背中を見せてくれた人出典 : 子どもの頃に苦しんできた、「変(他の人との違い)」であること。けれど、実は今「変だね」と言われると少し嬉しい自分がいます。没頭して考える姿勢は今の仕事に活かされているし、「変」だということも含めて私のことを理解してくれている人が多いからです。そして、何より「変」な自分が好きでもあります。詳細は省きますが、私自身が「変」との戦いを乗り越えられたのは、何をしても最後は味方でいてくれた母親や、世界で活躍する「変な人たち」のおかげです。スティーブ・ジョブズ、イチローといった有名人から、中高の先生や大学の先輩まで、色んな人に背中を見せてもらいました。特に、小学生の時に出会った個別指導塾の先生に言われた「君は数学の才能がある。この問題解いてみない?難しいよー」というセリフは今も心に残っています。その後たくさんの難問を私にぶつけて、数学への興味や数学力を伸ばしてくれました。理系の大学院生で、知的好奇心の強い先生でした。こういった自分自身の小さな経験から、「変なところ(=ユニークな個性)を潰されてしまう子どもを減らしたい」「人それぞれの変なところを理解しあい、活かしあえる学習環境がつくれたらいいな」と、思うようになりました。それが、今のa.schoolの活動にもつながっています。「マイノリティ」について探究しよう!子ども一人ひとりが“研究者”Upload By 岩田拓真そういう想いのもと、私がa.schoolの「探究ラボ」というクラスで今期の探究テーマに選んだのは「マイノリティ(社会的少数者)」というテーマです「探究ラボ」は、毎学期探究テーマを設定し、大学のラボ(研究室)のような形式で、小中高生が各々の興味関心に従って自由に学ぶ授業です。小学生にはちょっと難しいかなと思いながら授業を始めましたが、今では「マイノリティ」という言葉を学校で流行らせた子も出てきて、完全に私の杞憂でした。最初に行ったのは、「自分はマイノリティ(少数派)?マジョリティ(多数派)?」というテーマの議論です。例えば、左利きも10人に1人で社会の中では少数派に属します。ここでの議論が非常に面白くて、「僕、腕が変な方向に曲がるの」「私、走り方がちょっと変わっていて気持ち悪いんだよ」「僕、女の子の部分持っていると思う」と、自分の中にある「マイノリティ」な要素を、子どもたちはとても軽やかに、ユーモラスに表現してくれたのです。Upload By 岩田拓真これには私たちもビックリさせられました。「マイノリティ」という言葉を狭く捉えて勝手にネガティブなイメージを抱いているのは、大人である私たちだけだったのかもしれません。大学生メンターの女の子の「私、蕎麦屋の娘なの」というカミングアウト?にクラスは大盛り上がりで、「なるほど、そんなマイノリティもあったか」と学ばされました。そういった話し合いを通じて、マイノリティと言っても色んな種類があることを知り、誰もがマイノリティでありマジョリティでもある(誰もが変であり普通である)んだなという教室の雰囲気ができた気がします。「はじめて」との出会いが、子どもたちの心に火を点けるその後、小さい頃から珍しい病気(1型糖尿病)を抱えていた女性、男の子も女の子も両方好きなバイセクシュアル当事者の女性、マイノリティについてのオンラインメディアを制作する方々などにゲストに来て頂き、a.schoolの子どもたちと対話するセッションを設けました。ただ教室の中で学ぶだけでなく、直接人に会い、関係性ができる中で、熱が生まれ学びが加速します。Upload By 岩田拓真Upload By 岩田拓真特に印象的だったのは、話を聞いている時の生徒の反応です。わざと背中を向けながら聞いてないふりをする小学生男子、一番後ろに座ってみんなに見えない場所で真剣に話を聞く小学生女子、ゲストにこっそりと後で手紙を渡す小学生女子、実は自分なりの意見があるのに何も口にできない男子中学生、堂々と思い切った質問をしまくる女子中学生。一人一人違った態度や反応を見せています。Upload By 岩田拓真自分だけ給食をみんなと同じように食べられなかった話、同性の部活の先輩のことを好きになった話など、ゲストの方々がオープンに話す『マイストーリー』に、恥ずかしながらも心動かされている様子が読み取れました。全員がこんなに真剣にテーマに向き合うことは珍しく、それだけインパクトがあったのだと思います。その後の調べ学習もいつも以上に本気度が見られました。子どもたち自身が手がけるメディア、「マイノリティ」をどう伝える?様々な形のマイノリティについて、ゲストと話をして、自分で調べ学習を行い、みんなで議論をして学んだ後、最後に学んだことをもとにアウトプット制作に挑戦します。a.schoolの「探究ラボ」の授業の一番の目玉です。今期のテーマは『オンラインメディア』。複数チームに分かれて、自分たちが伝えたいメッセージを、メディアに込めて表現していきます。LGBTに関心を持った小学生女子3人のチームは、「LGBTの人がクラスにいても、幸せに暮らせるようにしたい!」と言い出します。「LGBTのことを馬鹿にするやつをボコボコにするメディアがいい!」(どうやって?笑)という凶暴なアイディアや、「LGBTの小中学生本人が読んで安心できるメディアはどう?」といったアイディアなど、誰に何を伝えるかをたくさん議論してアイディアを詰めました。いくら小学生でも手は抜きません。「読み手」のための表現になっているか、何度も書き直し・作り直しをして試行錯誤していきました。最終的には「ラップで楽しく伝えたい」というところに落ち着き、現在メディア制作中です。Upload By 岩田拓真他にも、動物好きの小学生のつくる「障害犬に関するメディア」や、ファッション系の大学進学を希望する高校生がリードする「LGBTとファッションから個性について考えるメディア」、身体障害に関する「マンガメディア」などが続々と立ち上がっています。小中高生だからこそのピュアな想いをどう表現しきるか!?完成が待ち遠しいです(12月22日に最終発表会を行い、生徒の作った4つのメディアをリリースします)。他人と向き合い、自分と向き合う。変化はそこから生まれるUpload By 岩田拓真まだ学期の最中でこの学びがどこに行き着くかわかりませんが、みんな自分やまわりの子たちへの理解が深くなった子が多いように感じています。学校にあまり行っていないある男の子は「私の意見をここではみんなちゃんと聞いてくれるのがいい」「いつも喋りすぎちゃうから他の人の意見も聞けるようになりたい」と言っていました。自己肯定感が上がり、自分を客観的に見られるようになった気がします。最初「全員考えが違うから、グループワークなんてできない。一人ひとりメディアを作ったほうがいい!」と私に提案してきた小学生女子3人が、「◯◯ちゃんはここやって」「いや、こうしたほうがいいよ」とお互いに協力しながらメディアづくりを行っています。あの不協和音はどこへ・・・と見違えるほどです。このように、他人との違いに小さくぶつかって、自分と他人と向き合い、少しずつ乗り越えていく。そんな経験がみんなの中に溜まっていることが嬉しいです。もっと長い目線で見た時に、一人ひとりがこの経験をどう咀嚼していくだろうか、子どもたちの「これから」が楽しみです。はじまりの学校「a.school」
2016年12月19日子どもが学校に通っているときに悩ましいこと出典 : 発達障害児の子育てで悩むことの1つに、学校や先生とどう付きあっていけば、子どもが安心して通えるのか?という悩みがあると思います。私は先日、ちょうどこの悩みを取り上げたテレビ番組を視ていました。12月2日に放映されたNHK・Eテレ「ウワサの保護者会~子どもの発達障害Part3学校とのつき合い方」です。ご覧になった方も多いのではないでしょうか。番組では、学校との関係に悩むたくさんの保護者の声が紹介されていました。その中で代表的だったのが「学校が子どもの発達障害を正しく理解してくれない」というもの。理解のない先生に叱られ続け、学校に行けなくなってしまったお子さんの話や、逆に「障害がある」と決めつけて子どもの悪いところばかりを指摘する先生のお話が紹介され、そこには「学校への不信感」が強く表れていました。でも子どもが安心してのびのびと学校生活を送るためには、「先生が悪い!」と責めるだけ、あきらめるだけで終わらせるわけにはいきませんよね。先生になんとか理解してもらうには、協力してもらうには、どうしたらいいのでしょうか? Eテレ「ウワサの保護者会」14年前、私も教員だった。まだ発達障害そのものが知られていなかった頃…出典 : この番組を見て、自分が教員だった頃のことを思い出しました。今から14年ほど前は、まだ「ADHD」「発達障害」などという言葉は教育現場でさえほとんど知られていない時代です。私が受け持っていたクラスに「ADHD」の診断を受けた男の子がいました。4月の家庭訪問でその子のお母さんから「これ読んでください!」とある本を渡されたのです。それは、当時出版されたばかりの『のび太・ジャイアン症候群』という本でした。お母さんからはその他に、子どもの特性と一緒に「このように配慮してほしい」とたくさんの説明を受けましたが、小学校に赴任したばかりの新米教師だった私は正直、いっぱいいっぱいでした。特性や配慮事項についてはなんとなく認識しましたが、さすがに本を読む余裕はありませんでした。その子に対し、あまり手をかけてあげられなかったのが、今とても悔やまれます。新版 ADHD のび太・ジャイアン症候群 司馬 理英子 (著)両者の立場がわかるからこそ、できることがあるはず出典 : 私は元教員という立場と、発達障害児の母という両方の立場を経験し、両者の葛藤や考えがわかるようになりました。その経験を生かし、自分が母として学校の先生と関わっていくとき、心がけていたことをご紹介したいと思います。一番最初にしたことは「まずは先生に感謝を伝えること」でした。教員経験があるからわかるのかもしれませんが、先生は想像以上に多忙です。子どもの指導だけではなく、大量の事務仕事や様々な会議に追われています。そのため、まず親としてそのことに感謝し、労わりの言葉を先生には伝えていました。また、ほんの小さなことでも子どもの成長が見られたら、それを先生に伝えて「ありがとうございます!」と感謝しました。たとえその成長が直接先生の指導と関係なくても、子どもの成長は先生にとっても嬉しく、親に感謝されたら尚更だと思うのです。それが、「この子をもっと伸ばしてあげよう」という、教師のやる気につながることも多いのです。出典 : 感謝を伝えた上で、「この子はこのようなところがあるので、このような配慮をして頂けるとありがたいです。」ということを丁寧にお願いしていきました。その際には、病院や教育相談でこのようなアドバイスを受けたので、と、親の主観ではなく専門的な知見からのお願いであることを強調していました。そして、家で用意できるものは用意します、など、学校任せではなく家庭でも最大限の努力をしました。もちろん、全員の先生が、子どもの特性や配慮事項を理解してくれた訳ではありません。宿題への配慮を「みんなと同じでないと困るので」と断られたこともあります。それでも、このような先生への対応を続けていったことで、いつでも話ができ、できる範囲での配慮をして下さる関係を、保ち続けることができました。先生と親は、共に子どもを見守っていく同志でありたい出典 : 最後に、「ウワサの保護者会」の中で、面白い!と思ったエピソードがあります。あるお母さんが子どものことで朝の7時半に学校に電話をしたら、ちょうど担任の先生が出たとのこと。その先生も子育て中だと知っていたので「朝早くから大変ですね~」と言ったのだそうです。そうしたら、その先生が「そうなんですよ~!」と、いつもの声と違った素の声で返してきたのだとか。それ以来、そのお母さんと先生はフランクにお話ができるような気さくな関係になれたのだそうです。先生に、子どもに寄り添ってもらいたい、と思ったらまずはこちらが先生に寄り添ってみる。「子どもを見守っていく」という同じ目標に向かって協力する同志になるためには、先生と人間的な心のつながりを持てるよう、関係を築くところから始めるのも、1つの方法なのですね。子どもを守るためには、先生と保護者とで一緒に考えていくことが大事!番組もそう言っていましたが…保護者だけではなく、学校や先生方にも、子どもや保護者に寄り添おう、一緒に考えよう、という姿勢になっていってほしいと願います。
2016年12月19日息子にADHDがあるとまだ知らなかった頃。夫は息子にとても厳しく…出典 : 我が家にはADHDがあり、現在不登校の小学4年生の息子がいます。昔、息子にまだ発達障害があるとわからなかった頃、言うことを聞かず、動き回る息子に対して夫はよくブチギレていました。公共の場所で、皆が振り向くような大声を出して怒鳴り散らしたり、時には手を上げたりすることもありました。そこに来客がいようが、大勢の人が行き交う場だろうが関係ありません。夫は基本的に柔和な性格ですが、プライドが高い一面もあります。夫が息子を叱る様子を見ていると、どうやら息子の「行動そのもの」ではなく、「自分たち家族がどう見られているか」という世間体を気にして叱っているようでした。私は夫の態度について諭すこともありましたが、夫は私の話を受け入れる様子はありませんでした。「息子は発達障害かもしれない」そう話したとき、夫の反応は出典 : そんな夫に、「息子は発達障害かもしれない」という話をしたとき、どうだったと思いますか?ご想像の通り全く受け付けませんでした。「ワシの息子が頭おかしい言うんか!」「息子を頭おかしい奴らと一緒にするんか!」こんなことを言うのは日常茶飯事で、もっと聞いたこともないような差別用語のオンパレード。世間体を気にする性格ゆえに、「障害」という二文字に過剰に反応してしまったのだと思います。それにしても、認めないにもほどがありました。私はそんな夫の様子をみて、心底呆れました。私は発達障害の息子の頭の中がどうなっているか知りたい気持ちが大きかったのですが、自分の子どものことを受け入れられない夫を「心が狭い」と完全に軽蔑してしまっていました。無理に理解を得る必要はないかもしれない。そんな葛藤を抱えながらも出典 : そんなとき、前に幼稚園の親の会で園長先生が、「お父さんの理解が得られるに越したことはないけれど、そんなことに神経すり減らして費やしている間に、子どもはどんどん成長してしまいます。理解が得られないなら、もうお父さんを無視してお母さんだけで前に進むのも1つの手だと思います。」とおっしゃっていたことを思い出しました。この言葉は何度も私の脳裏をかすめました。確かに、それも1つの方法ですし、子どもの成長は待ってくれません。ですが私はやっぱり夫の理解を得ることにこだわりました。将来まで息子のことを1人で抱え込むことはやはり辛かったですし、自分たちの子どもは2人で育てていきたいと思っていたからです。夫には色々なタイミングで、さまざまな角度から何度も何度もあきらめずに話をしていきました。夫が息子の障害を受け入れるきっかけになったのは、義母の言葉だった出典 : 実は、夫と息子には似ているところもあります。すぐ癇癪を起こしたり、忘れ物が多くて言われたこともすぐに忘れたり、片付けができなかったり…もしかすると自分と似ている息子に「障害」があるのだとしたら、自分にもその可能性があるかもしれないという恐怖が、夫の中にあったのかもしれません。そのせいか、息子の優秀なところを素直にほめられなかったり、息子と張りあったりする場面もありました。しかしそんなとき、我が家の場合は幸運にも、義母が私の救世主となってくれました。義母は、仕事柄子どもと接する機会のある方で、息子と同じように困っている子どもたちを目にすることもあったようです。夫が息子の発達障害を受け入れないことを伝えたとき、義母は私と同じように憤慨してくれました。そして夫との電話で「早く気づいて良かったじゃない!父親のあなたが認めてやらないでどうするの!?」と仰ってくださったのです。その頃から、夫は少しずつ私の話に聞く耳を持ってくれるようになりました。ある日、夫から届いた1通のメール。そこには…出典 : 先日、夫からこんなメールを受け取りました。「私も〇〇(息子)が学校に行かない事が最初は不安だったけど、最近はあまり心配してない。〇〇は私よりも優秀で才能ある。また、私と違いしっかりしている。いつまでも彼は息子で愛おしい。彼が進みたい道に行けるよう、精一杯やる。産まれた時に初めて抱き上げた時の事を今でも覚えている。〇〇には特別な思いがあるのよ。同性で、しかも私によく似たところもある。自棄を起こすところとか。しかし彼は私みたいなところがあっても、しっかり芯を持っていって欲しいし、多分その辺は大丈夫と思うの。どちらにせよ、ヘタに学校行ってこじんまりとして欲しくないのね。学校行くのに納得して行くならいいんだけど、行くのがイヤだからとかそういうので無く、なんか学校に違和感みたいなのを感じたなら別に行かなくとも良いのね。皆が行くから、って違和感感じながらも学校行って大学行って、っていう私みたいにならなくとも良いのよ。あの誰にもない感性は大事にしたいデス。」夫の理解を得ようと悩み続けた2年間。いま振り返って思うことは出典 : この問題は、家庭ごとに千差万別ある本当に難しいことだと思います。我が家の場合、夫の理解を得るまでには2年程かかりました。子どもの日々を考えると2年というのはとても大きいですが、夫の無理解に直面してからの期間としてはとても短い方だという実感です。私の場合も、義母と連携が取れない状態だったらまだ悩みの渦中にいて、もしかすると離婚を考えていたかもしれません。私は夫に一緒に相談機関や医療機関などに出向いて欲しかったわけでなはく、積極的に発達障害や療育について勉強したり、口出ししてほしかったわけでもありません。ただそこにいる我が子のありのままを、当たり前のように正面から認めて欲しかった。その気持ちが伝わったからこそ、こんなメールを受け取ることができたのだといま振り返って思っています。
2016年12月18日物欲のないADHD息子、サンタさんに何をお願いする?ADHDのある我が家の長男(小1)は、小さい頃から特に物欲がありません。たぶん、一般的に行われている「ねだる→買ってもらえる」という仕組みを知らないのかもしれません…。周りの動きや流行りに鈍いタイプなので(笑)。でも、やっぱり子どもにはクリスマスプレゼントで喜んでもらいたい!そんなわけで12月初旬、プレゼントリサーチを決行いたしました。Upload By ラム*カナUpload By ラム*カナUpload By ラム*カナUpload By ラム*カナUpload By ラム*カナUpload By ラム*カナサンタさん!この子に何か美味しいお菓子を…!!(そしてあわよくば私にお肉を!)著書『カラフル男子牧場 -ADHD長男とお調子者次男の兄弟物語- 』Upload By ラム*カナ
2016年12月17日子どもの遊びでよくあるトラブル。夢中になるのはわかるけど…Upload By モンズースー子どもはおもちゃなど同じ種類の物を規則的に並べる遊びが好きですよね。発達の遅れのある子の中には特にこの遊びが好きな子が多いと聞きます。そんな発達の遅れのある子ども達が集まる場所で、毎回のように起こっていたトラブルが「並べる」と「積む」の争いでした。このブロック、どこの遊び場でも見かけるのですが、部屋に入るとまずこれを並べる子がいつも現れるのです。彼らは全部のブロックを並べたいのですが、我が家の長男を含む数人の子は「積む」遊びが好きなので別の場所から積んでいってしまいす。長男たちの目標は全部のブロックを上に積むこと。最初は相手の行動が見えていないのでお互いのブロックを崩しては並べたり積んだりを繰り返すのですが、なかなか完成せず途中で自分と違う行動の相手に気づきバトルに…。人数が多いと「積む派」と「並べる派」とで乱闘…なんてこともありました。年齢が上の子を見ていると、相手の考えを少し理解できるようになり、譲ったり言葉で交渉したりすることもできるようです。我が家の長男はまだ言葉での交渉が苦手で、相手の考えを理解できても自分の考えを変えられず、争ってしまう時もあります。しかし、人と自分の考えが違うことに気づき、どうすればいいのか考えられるようになった分、少しづつ成長しているのかな…と思いました。そんな経験も、長男にとっては大切な勉強なのだと思います。
2016年12月16日子どもの低緊張とは出典 : 低緊張とは、自分の体を支えるための筋肉の張りが弱い状態のことをいいます。専門的には、筋緊張低下症といわれており、その状態の子どもをフロッピーインファント(floppy infant)ということもあります。フロッピー(floppy)とは「ぐにゃっとした」、インファント(infant)は「子ども」という意味で、それらをつなげた言葉です。低緊張の子どもは、姿勢がよくなかったり、体がふにゃふにゃとしていたりするという印象がもたれます。というのも、低緊張の子どもは体を支えるための筋肉の張りが弱く、思うように体の動きをコントロールすることができないためです。低緊張の子どもは、体の筋肉の張りの弱さゆえに、運動発達に遅れがみられる傾向にあります。首や腰がすわるのが遅れることにより、その症状が顕在化し、乳幼児健診の際に医師から指摘されることが多いようです。低緊張には2つの種類があります。一つめは、良性筋緊張低下症といわれるもので、生後間もなくは、体がだらんとした状態にあるものの、発達の経過とともに低緊張が改善される場合です。二つめには、何らかの疾患や障害があり、その症状の一つとして体がだらんとした低緊張の状態が現れる場合です。例として、筋ジストロフィーやダウン症候群などが挙げられます。体がふにゃふにゃしている、長い間立っていられない、など低緊張の状態に気付いた場合には、原因となる疾患や障害がないかどうか調べ、専門的なアプローチを行うことが必要です。疾患や障害の程度にもよりますが、適切なリハビリを行い、筋肉を十分に使うことで少しずつ改善されていきます。低緊張の子どもの具体的な症状出典 : 低緊張の具体的な様子を知る前に、体の筋肉の緊張について理解しておくとよいでしょう。筋肉の緊張は、テントの張りに例えられます。テントがきちんと立つためには、適当な力でロープを張らなければなりません。ロープが緩んでいる状態だとぐらぐらとしてしまいます。筋緊張が低いお子さんの場合は、ロープの役割をする筋肉の張りが弱いために、テントとなる体は不安定になります。低緊張の子どもの特徴としては以下のようなものが挙げられます。◇口元・よだれがよく出る◇姿勢・うつぶせの姿勢から手だけで体を起こそうとする・立ち上がるときに、足の小指が浮いている・移動するときに、おしりを床につけてずりばいする・歩くときにおしりを後ろに突き出し、足を横に大きく広げている◇関節の極端な柔らかさ・足首を曲げたときに、足の甲がすねにつく・手のひらを内側に曲げたときに、腕につく低緊張の子どもの中には、同時に関節や靭帯(じんたい)の機能が弱い場合もあり、股やひざの関節に脱臼(だっきゅう)を起こすことがあります。足や手の左右に形の差がないかどうかを確認してみてください。立てた膝の高さや、足や手のしわが非対称の場合には、脱臼を起こしている可能性があります。低緊張の子どもは動くのを嫌がることがあります。筋肉の張りが弱く、体がぐらぐらとするために体を動かすことに対して不安を抱きやすいのです。また、低緊張の子どもは、疲れやすいという特徴もあります。というのも、不安定になる姿勢をなんとかまっすぐに保とうとするために、力が入る部分を過度に緊張させるからです。そのような行為が生活の中で幾度となく繰り返されるため、体の筋肉がアンバランスになることもあります。安藤忠/編『新版ダウン症児の育ち方・育て方』2002年 学研/刊 p173-175低緊張に関わる疾患、障害出典 : 低緊張には二つの場合があります。一つは、病気が原因ではなく、単に筋緊張や筋力が弱い場合です。このタイプの低緊張は、時間の経過とともに筋肉の緊張は元通りになります。二つ目には、疾患、障害の症状の一つとして低緊張が現れている場合です。それらは、筋肉に関する疾患、染色体異常による症候群、中枢神経系の障害という3つに分けることができます。このタイプには、先天性筋ジストロフィー、先天性ミオパチー、先天性筋強直性ジストロフィーなどの病気が含まれます。これらは、筋細胞膜を安定させる遺伝子が変異することによって筋肉の性質が変わったり、壊れてしまったりする疾患です。筋力の低下により、体がだらんとする低緊張の症状が現れます。また、他に見られる症状としては、母乳やミルクがうまく飲めない、呼吸困難がある、転倒しやすい、などが挙げられます。疾患が進行して筋力が低下すると、体の力が入らなくなったり、歩けなくなったりなど体の各部分の運動機能に障害がみられるようになります。合併症がある場合もあります。具体的に合併しやすいのは、中枢神経の障害や難聴、知的障害、発達障害、けいれん、白内障や網膜症などです。筋ジストロフィー/医学小知識通常の場合、人には46本の染色体があります。ですが、何らかの原因により染色体に異常が起こると、その数が多くなったり少なくなったり、変形したりします。染色体の異常は、妊娠中または出生後まもなく、血液検査により発見されることが多いです。染色体異常があって生まれた子どものうち、低緊張の状態が表れるのは、ダウン症候群、プラダー・ウィリ症候群などです。◇ダウン症候群通常、21番目の染色体が1本多くなっていることから「21トリソミー」とも呼ばれます。筋肉の緊張度が低く、場合によっては知的な発達に遅れなどを特徴とする症候群です。心疾患などを伴うことも多いです。ダウン症の出現率は、国や人種によらず800~1000人に1人といわれています。◇プラダー・ウィリ症候群低緊張、また、お乳を吸うための筋肉が弱い哺乳障害、幼児期からの過食と肥満、発達の遅れ、低身長などを特徴とする症候群です。15000人に1人の頻度で発生します。ダウン症を授かったご家族へ|公益財団法人 日本ダウン症協会プラダー・ウィリ症候群|難病情報センター中枢神経系の障害とは、脳の機能に障害が起こることです。脳の中枢神経系が未成熟な場合には、発達全般に遅れが生じます。筋肉の緊張が低く、だらんとした姿勢になることがあります。運動発達面の他には、言語、認知面にも遅れが生じる場合があります。低緊張が引き起こる中枢神経系の障害には主に以下の2つが挙げられます。◇脳性まひ中枢神経系の障害の一つです。脳性まひは出生前、もしくは直後に脳のダメージを受けることにより起こる運動障害のことです。同時にてんかんや知的障害を併発する場合もあります。◇広汎性発達障害・自閉症スペクトラム障害アスペルガー症候群などを含む広汎性発達障害(『DSM-5』では自閉症スペクトラム障害と診断名が変更されました)のある子どもの中には、身体的発達に遅れが見られる場合もあります。身体的発達の遅れている子どもが、同時に低緊張の状態を見せることがあります。広汎性発達障害・自閉症スペクトラム障害に関して、その特徴や診断方法が以下のページに詳しく載っているので、ご覧ください。筋疾患患者の診察|国立精神・神経医療研究センター病院乳児健診で運動発達遅延を指摘されたフロッピーインファントの神経学的予後について低緊張が心配な場合には、専門家に相談を出典 : 低緊張かな、と思った場合や子どもの発達について気がかりなことがある場合には、以下に紹介する専門機関に相談するとよいでしょう。診断や医学的な診察を受けたい場合には、小児科へいくとよいでしょう。運動発達以外にも心配がある場合には、子どもの発達に関する悩みごとの相談にも乗ってくれます。また、子どもの発達に詳しい療育機関などの情報も持っており、地元の専門機関を紹介してくれる場合もあります。行政や自治体が実施主体となって行っている事業です。子育て中の親子が気軽に集い、交流や子育ての不安・悩みを相談できる場を提供することを目的として各地域に設置されています。無料で相談をすることができます。リハビリを受けたい場合には、ここに相談をしてみましょう。0~17歳の児童を対象として、育児の相談、健康の相談、発達の相談など、さまざまな相談を受け付けています。必要に応じて、発達検査を行う場合もあり、無料で医師や保健師、心理士、言語聴覚士などから支援やアドバイスをもらうことができます。基本的に予約制なので、あらかじめお住まいの市町村のHPなどを見て確認するようにしましょう。児童発達支援施設とは、小学校就学前の6歳までの障害のある子どもが主に通い、支援を受けるための施設です。日常生活の自立支援や機能訓練を行ったり、保育園や幼稚園のように遊びや学びの場を提供したりといった障害児への支援を目的にしています。児童発達支援は、支援が必要であると認められた未就学の障害のある子どもが対象の福祉サービスです。利用は有料となりますが、自治体に申請を出し、通所受給者証を取得することで、1割以下の自己負担でサービスを利用することができます。受給者証の取得については、以下で詳しくご紹介しています。また、以下のリンクから、全国の子どもの発達支援を専門に行っている施設や機関を検索することができます。児童発達支援事業所の情報|LITALICO 発達ナビ低緊張の治療法って?出典 : 低緊張が、何らかの疾患が原因となっている場合には、もととなる疾患に対する治療行為を行うことで、体の機能を向上させることを目指します。また、低緊張そのものを改善するために、理学療法と呼ばれるリハビリを行うことも多いです。筋肉の緊張を含めて、体の機能全体を向上を目指した支援を受けることができます。理学療法は、運動機能に改善の余地のある人に対して、体を動かしたり、筋肉に電気や熱をあてたりするなどして、運動機能を向上する治療法です。理学療法では、生活をする上で欠かせない基本的な動きをスムーズにこなせるようにリハビリを行います。例えば、歩く、座る、立ち上がる、寝返りをうつ、などです。リハビリを行うことで、全身の筋肉の活動を活発にしていき、運動能力の向上や、血流の改善といった効果を目指します。理学療法を行うのは、国家資格をもつ「動作のプロ」と呼ばれる理学療法士です。乳幼児期には、寝返り、お座り、ハイハイなどの基本動作をできるようになるための訓練を行います。そして、幼児期から学童期にかけては、歩行や走行、階段の上り下り、ボールを使った遊びなどをしながら、体を大きく動かす運動を中心に行い、体の不器用さを軽減するためにリハビリを行っていきます。また、施設によっては、リハビリだけではなく、ご自宅や学校などで行えるトレーニングや、生活で取り入れられる工夫の提案や、必要に応じて靴や椅子などの補装具の検討などを行ってくれる場合もあります。理学療法を受けたい場合には、かかりつけの主治医や、市町村保健センターや保健師へご相談ください。まとめ出典 : この記事では、低緊張の子どもの具体的な症状、発達障害との関連、治療法、相談先などをご紹介しました。低緊張とは、自らの体を支える筋肉の張りが弱い状態であり、その後の運動面の発達に影響を及ぼします。低緊張の子どもは、自分の体を支えるための筋肉の張りが弱いために疲れやすく、動くことを嫌がることもあります。周囲の大人が無理に動くことを強要するのではなく、低緊張ゆえに生じる疲れや心理的な不安を理解してあげることが大切です。体の基礎となる筋力は理学療法などの専門的なリハビリだけでなく、遊びを通して養うこともできます。保護者が抱っこして、くるくる回ったり、おんぶをして背中にしがみついたりするなど、大人が子どもの体を支えながら、自分の体を使う経験をさせてあげましょう。
2016年12月15日不登校の間に抱えていたのは「元気なのに行けない」罪悪感不登校になる前の学校生活は、いたって普通。むしろ、元気な子どもだった。勉強は苦手で遅刻もよくしていたけれど、人間関係に苦手意識はなくて、友だちもたくさんいた。学校は好きでも嫌いでもなく当たり前に行く場所だった。けれど、クラスの女の子へのいじめを止められない自分、「次は自分がいじめられるのでは」という恐怖から学校を休むようになった。「学校に行かなければ、楽になれる」と思っていた。けれど、それは間違いだった。いじめの恐怖はなくなったけれど、今度は「学校に行けない自分」に対する罪悪感を感じるようになる。友達や先生、近所の人にも会えない。外に出られない。健康な子が休むのはありえない、なぜ行かないんだ、なぜ行けないんだ、ということが頭の中でぐるぐると回りパニックになった。クラスでの悩みを思い返す余裕はなかった。何1つ解決をできず、自分の気持ちを誰にも相談することもできない。本当に辛い日々が続いた。自分のせいで、家族までしんどくなっていく母の「学校に行ってほしい」という気持ちが、痛いほど伝わってきた。毎朝ランドセルを持って起こしに来てくれて。母が僕のことで悩んでいるのはわかっていたけど、「僕はどうしてあげることもできない」。親の願いに応えられない状況は本当に苦しかった。顔を合わすことも辛くなっていた。それが原因で、不登校から引きこもり状態に。そのとき僕は、元気な姿を人に見せてはいけないと思っていた。病気でもないのに学校に行かないなんてダメだと思っていた。元気な姿を見られたら「学校いけるやん!」って思われ連れていかれる、と。そうやって過ごしているから気持ちも暗くなり、体調も悪くなった。家族にも重たい空気が伝染していくのを感じていた。「ぼくのせいで家族がしんどくなっていく」家族の中で笑える空気がなくなっていく状況を見ながら、自分を責めてばかりいた。罪悪感を和らげてくれた母の一言出典 : そんな時期に、同じように不登校になった双子の兄弟が自殺をしようとした。それをみつけた母が、「学校に行かへんって、死ななアカンほど悪いことなんか!お母さんはあなたが元気で生きていてくれたらそれだけでじゅうぶんや!何があってもお母さんは味方やで!」と言い切ってくれた。ずっとずっと行けない自分を責めていた僕たちに、この言葉は本当に嬉しくて救われた。そこから、家族の雰囲気も、自分も少しずつ変わっていった。同級生に遭遇しないような学区外の場所に連れていってくれたり、カウンセリングに出かけたりと、少しずつ外出を始めるように。外出すると、気持ちも開放された。元気な気持ちになると体調もよくなっていった。カウンセリングを受けに行くところも小児病棟だった。そこにはおもちゃや卓球台があったりして楽しかった。不登校の親の会に誘われて参加するようにもなった。家から遠いところにあるから、周りの目を何も気にしなくてよかった。普通の子どものように元気に思いっきり遊んで過ごしていい場所に連れてってくれたのは、本当に嬉しかった。山崎さんが音楽活動を始めたきっかけや、そこから生まれたご自身の変化についてお話を伺います。
2016年12月15日ことばの教室ってどんなところ?出典 : 小学校や中学校には、子どものさまざまな障害や困難に合わせた支援を行う、通級指導教室や特別支援学級が設置されています。「ことばの教室」とは、そのなかでも言語に障害のある子ども向けに設置された、通級指導教室と特別支援学級の通称です。また、ことばの教室は、「言語障害通級指導教室」、「言語障害特別支援学級」と呼称されたり、地域によっては「ことばときこえの教室」と呼ばれ、言語障害の支援と聴覚障害の支援が両方受けられる場所もあります。それは、言語を獲得し、言葉を発するのに聴覚(きこえ)が重要な役割をはたすためです。どちらか片方に障害があると、もう片方にも問題が生じる場合も多く、言葉を発することと聴覚に対する困りごとを同時に支援していく必要があります。通級指導教室や特別支援学級として設置されていることばの教室では、言語障害のある子どもへの支援を行っています。例えば言葉のおくれ、吃音(きつおん)などの話し言葉におけるリズムや声を出すための器官に障害がある構音障害に対して支援が行われます。また、障害の改善以外にも言葉に関する教科(例えば、国語、英語、音楽、算数、数学)の指導も行っています。通級指導教室とは、おおむね通常の学級の授業についていけるが、通常の学級の中で一部、特別な支援を必要とする子どもを対象に設置されている少人数教室です。通級指導教室に通う子どもは通常の学級に籍を置き、学習したり、給食を食べたりと通常学級でほとんどの時間を過ごします。そして、週に数時間、障害に合わせた個別の支援を受けるために通級指導教室へ通います。Upload By 発達障害のキホン一方、特別支援学級とは心身に障害があったり、発達に遅れがあったり、より手厚い指導・支援をより多くの時間必要とする子どもを対象に設置されている少人数学級です。特別支援学級へ通学する場合は、籍は特別支援学級に置きます。そして、体育や生活、道徳、課外活動をはじめ、一部の授業を通常学級の子どもと一緒に受けることが通例です。Upload By 発達障害のキホンどんな子どもがことばの教室に通うの?出典 : 言語障害のある子どもがことばの教室へ通います。言語障害と一口にいってもさまざまな種類があります。ここでは医学的言語障害ではなく、ことばの教室が対象としている言語障害について説明していきます。言語障害とは、話すため・言葉の発声のために必要な一連の動きに障害があることを言います。例えば、人は話す時にまず、頭の中で話す内容を考え、文章にします。次に音を出すための筋肉に脳から信号が出され肺による空気量の調節や声帯筋が運動し音がでます。次に音を声として発する鼻や口、舌の動きが調節され声となります。声は耳の聴覚によって感じられ、そして脳で言葉を言葉として理解します。言葉を話し、人とコミュニケーションをとるためには上記のような発声に関わる機能だけでなく、思考や社会性の発達、心理的問題や自己観の形成も深く関わってきます。そのため、言語障害は話すことに必要な器官の障害というだけでなく、話すことまた聞くことに問題がある障害を指します。ことばの教室は、言語障害のある子どもを対象にしていますが、通級指導教室と特別支援学級で、その対象が少し違います。ではどのように違うのでしょう。参考書籍:ピーター・B.デニシュ (著), エリオット・N.ピンソン (著)『話しことばの科学―その物理学と生物学』東京大学出版会/刊通級指導教室のことばの教室も、特別支援学級のことばの教室も以下のような子どもが対象となります。1. 唇の断裂(口蓋裂)や、音を発声させる器官(構音器官)のまひなどによる機能的障害のある子ども例) 声が鼻にかかったり、鼻に抜けてしまう。”さかな”の発音が”たかな”になってしまうようにサ行やカ行がうまく発音できないなど。2.b吃音などの話し言葉におけるリズム障害のある子ども例) ”きんぎょ”を”き、ききんぎょ”と言葉を繰り返してしまったり、”き...んぎょ”など言葉が詰まってしまうなど。3. 話す、聞くなど言語機能の基礎的事項に発達の遅れがあり、言葉の順序や表現に偏りのある子ども4. その他に上記のような障害に当てはまる子ども5. 言語障害の原因が上記でなく、他に原因がある子ども■「通級指導教室」のことばの教室に通う場合通級指導教室へ通う子どもは、多くの時間を通常の学級で過ごします。つまり、通常級に籍をおきながら、支援が必要な課題(ある特定の困りごとや、その困りごとから来る学習上の問題)だけを改善するために通級指導教室へ通い、そのほかの授業や活動は通常の学級で行います。そのため、通常の学級での集団行動や教員からの指示の聞き取りがある程度できる子どもに向いているでしょう。■「特別支援教室」のことばの教室に通う場合特別支援学級へ通う子どもは、逆に大半の時間を少人数の特別支援学級で過ごします。通級指導教室に通う子どもは一部の困りごとに対して支援を受けますが、特別支援学級に通う子どもは、困りごとへの支援に加え、国語や算数、社会などさまざまな教科の授業をうけます。特別支援学級に通うのは、通級指導教室に通う子どもに比べて、個別の支援の必要性が比較的大きい子どもです。また、通常の学級が1クラス35~40人に対し、特別支援学級は8人と少人数の編成です。ですので、落ち着いた環境で心理的な安定を保ちながら指導を受けたい子どもに向いているでしょう。ことばの教室で受けられる支援は?出典 : ことばの教室ではさまざまな支援や教育を受けることができます。通級指導教室と特別支援学級で共通した支援もあれば、異なる支援もあります。それらの点について詳しく説明していきます。通級指導教室や特別支援学級では、個別指導計画と個別の教育支援計画を作成してもらうことができます。個別指導計画とは、子ども一人ひとりの困りごとや障害に合わせ、各教科の学習や、集団行動・生活の指導目標や指導内容・方法を示した計画です。この指導計画に基づき、さまざまな教員・関係者が共有し連絡を取り合いながら指導・支援が行われます。具体的には、担任の教員を中心に保護者や、特別支援教育コーディネーター、専門家といったさまざまな人が、子どもの障害の状態や課題、優先事項などを話し合い作成します。一方、個別の教育支援計画は、個別指導計画より長期的な視点に立ち、学校のみならず、家庭や余暇活動も含めて、具体的な支援の計画を示した計画書です。医療、教育、または福祉、就職などさまざまな機関に引き継がれ、一貫した支援が受けられるようになります。通級指導教室では、子ども一人ひとりの言語に関する困りごとを改善するための支援が受けられます。一方、特別支援教室では、言語に関する困りごとの改善とともに、言語障害を考慮しながら各教科の授業を手厚く行います。具体的にどんな支援かご説明していきます。■通級指導教室では?通級指導教室では、学習の遅れや補充をするのではなく、子ども一人ひとりの困りごとに合わせた教育や指導が行われています。言語障害があるために学習が進まない場合には、学習指導も行われます。例えば次のような指導が行われます。・発音に誤りのある子ども正しい発音を身につける練習、音を聞き分ける練習、唇や舌の動きをよくする練習、コミュニケーションの力を育てる指導などが行われます。・吃音のある子ども吃音について正しく理解する学習、吃音の友達と出会ったり、気持ちを話し合ったりする学習(グループ指導)、発達・認知面の力を育てる指導、コミュニケーションの力を育てる指導などが行われます。・言語発達遅滞のある子ども子どもの実態に合った教材を使って言語理解・表出する力を育てる指導、発達の評価、コミュニケーションの力を育てる指導などが行われます。国立特別支援教育総合研究所■特別支援学級では?特別支援学級では、通常学級で過ごす交流学級という時間もありますが、特別支援学級に通う子どもは多くの時間を特別支援学級で学びます。子ども一人ひとりの困りごとに合わせた指導・支援はもちろんのこと、各教科の学習についても指導や支援が行われます。たとえば、国語や算数ではどのような支援が受けられるのでしょうか。・国語読むことに対する支援として、言葉の意味や概念の理解を深めるために絵や写真を使いながら話したり、動作を実際にやってみて説明したりします。また、辞書を活用し、意味を調べ自分でまとめた辞書を作ったりすることもあります。聞くことに対する支援では、話す内容についてそのポイントや重要な部分をあらかじめ説明し、子どもが聞き取るべき部分がわかるようにします。書くことや話すことに対しての支援は、教員との会話のなかで実際に子どもが体験したことを口頭で文章化したり、作った文章をさらに書き起こしてみたりするなどの練習が行われます。・算数文章題などを解くとき、文章の内容や意図を理解することが難しい場合があります。そのような場合は、単語の意味を確かめたり、図や絵を通して理解を促していきます。また、類似の問題に繰り返し取り組んだり、逆に類似の問題を作ってみることで理解をより深めていきます。ことばの教室のクラス編成はどうなっているの?出典 : ■通級指導教室通級指導教室ではほとんどの場合一対一で指導が行われます。ですが集団の中での困りごとやコミュニケーションでの困りごとがある場合は集団で行われることがあります。■特別支援学級特別支援学級ではクラス定員は8人までと決まっています。ですので少人数学級で授業を受けられます。ことばの教室にはいろいろな人が関わっています出典 : ことばの教室では、通級指導教室や特別支援学級の教員だけでなく、保護者、医療スタッフなどさまざまな人が子どもの教育、指導、支援に関わっています。通級指導教室でも特別支援学級でも、必要に応じて、口腔外科医、言語聴覚士、歯科衛生士などの専門家から正しい発音の基礎となる口腔の状態について助言を受けることができます。一方で、保護者や教員は、通級指導教室と特別支援学級では子どもとの関わり方が少し違います。保護者通級指導教室の場合、多くは保護者が付き添いをし、時には一緒に授業に参加することもあります。一方、特別支援学級の場合は、保護者が希望しない限り一緒に授業を受けたりすることはありません。しかし、通級指導学級も特別支援学級もお住まいの学区以外の学校へ行く場合は保護者の送り迎えが必要となります。教員通級指導教室の場合、担任の教員と指導の教員が異なるため、連絡ノート交換、指導報告等を通して、子どもへの共通理解を図ってゆきます。一方、特別支援学級では担任の教員が指導を行う場合が多いので一貫した支援が受けられます。ことばの教室にはどうやって入るの?出典 : 未就学児で来年度からことばの教室を検討している場合未就学児で来年度からことばの教室を検討している場合、就学相談に行く必要があります。就学相談とは、通級指導教室や特別支援学級を含めた特別支援教育を受けるためにお住まいの教育委員会と話し合いの場をもうけ、子どもにとって最適の学びの場を考える機会です。一般的に就学相談は早い地域で幼稚園・保育園の年長の春から、遅くとも秋ごろには始まります。就学相談については、お住まいの教育委員会の窓口まで問い合わせてみましょう。就学していて言語障害が気になり、ことばの教室を検討している場合まずは担任の教員に相談してみましょう。そこから教育相談をすすめられたり、特別支援教育コーディネーターを紹介してもらったりします。そして、一般的にはことばの教室の指導員の方などと面談をし通学の必要性が検討されます。まとめ出典 : ことばの教室では言語障害のある子どものサポートをしています。言語障害といってもさまざまな困りごとや課題を抱える子どもがいます。通級指導教室と特別支援学級の特徴をとらえながら、子ども一人ひとりにあった学びの場を考えてみましょう。
2016年12月15日周囲でよく耳にしていた「家で暴れる発達障害児」。その実態とは出典 : 発達障害児を育てている親たちからよく聞く困りごとの1つに「子どもが家で暴れて困る」というものがあります。更に、その暴力暴言の標的は母親であることが多いです。私も何度か子どもの暴力で悩む母親と話をしたことがあります。そのお母さんの手には、引っかき傷やあざが沢山ありました。全部、発達障害の子どもからの暴力による傷だと言います。ところがその、「家で暴れる子ども」に外出先で会うと、(変な表現ですが)とてもそんな風には見えない「普通の子」であることが多いのです。お母さんや兄弟姉妹とも、外ではとても穏やかに接していることが多く、公共の場で見る態度はとても模範的です。「こんないい子がどうして…」という場合がほとんどです。だからこそ、悩む母親が多いようです。体中に傷をつけられている状態なのに、周囲からは「こんなにいい子なのに」「普通じゃない?」「信じられない」という言葉をかけられることが多いからです。一体なぜ、子どもたちは家の中と外とで態度がこんなに違うのでしょうか?息子にも現れ始めた、暴力・暴言。やはり周囲にはなかなか理解してもらえず…出典 : 歳になってから落ち着きが出てきた我が家の息子。発達障害と診断された頃は、家で癇癪を起こしては何時間も泣きわめき、それはそれは大変でした。しかし最近は癇癪のコントロールも上手になり、感情を爆発させることが少なくなってきました。何よりも社会性が伸び、幼稚園でもしっかりと人間関係を構築し始めました。しかし、息子のこの「社会性の伸び」と相反するように、私に対する暴力・暴言が始まったのです。毎日毎日、「このバカヤロー!」「うっせぇ」「くそボケ!」と、びっくりするような言葉が息子の口から飛び出します。少しでも気に食わないことがあると、拳を振り上げ私にかかってきます。6歳であっても、このような暴力・暴言は身に応えます。出典 : ところが息子は、園や習い事など公共の場では、実に手のかからない「模範的な子」なのです。このため私の悩みは、どこにも理解してもらえませんでした。以前幼稚園の遠足で、息子が私のことを拳で叩きまくっているところを、たまたま先生が見かけたことがあります。先生はびっくりして、「○○くん、お母さん痛いでしょう。どうしたの!?」と止めに入りました。「いつもこんな感じです…」と私が言うと、先生は「信じられない…普段は本当にみんなに優しいんですよ…」と目を丸くしていたのを覚えています。どうして母親にだけ暴言・暴力が現れるのだろう出典 : 発達障害児の母親に対する暴力・暴言はなぜ現れるのでしょうか。外で頑張っているから家で爆発している、という意見もよく聞きます。だから母親は受け止めてあげるべきだとも言われます。けれども、徐々に身体が大きくなっていく子どもの暴力・暴言を全て受け止めきれるほど、母親は強いものではありません。限界があります。発達障害児は人間に対してもこだわりを持つことがあります。息子は小さい頃、物にこだわりがありましたが、それが思い通りに動かなかったり壊れたりすると、よく癇癪を起こしていました。そのこだわりが、人間にも向き始めているのでは…?つまり、母親に対する暴力・暴言は「母親こだわり」なのかもしれません。そして、思い通りに動かない母親に対して、癇癪を起こしている気がします。それが、暴力・暴言という形で出ているのだと私は思っています。けれども、母親は発達障害児の「お気に入りの物」ではありません。暴力・暴言を受け続ければ、母親といえども壊れます。極端な態度を少しでも緩和させるには出典 : 息子の様子を日々見ていて感じるのは、「発達障害児の暴力・暴言を、声かけ1つで変えていくのはとても難しい」ということです。このため、母親への内向きのこだわりをなくそうと努力するのではなく、外向きのベクトルを増やしていく必要があると思います。家庭の外でも、自分の気持ちが言えたり、自分を受け入れてくれる場所をたくさん持っておくこと。そうすることで、母親を思い通りにしたいというこだわり行動は、少しずつ薄れていくのではないかと私は信じています。外で常に模範的な態度をとることは、決して理想的ではないと思うのです。それがストレスとなり、内向きのこだわりをますます強めてしまっている可能性があります。外では模範的、内では暴力・暴言という極端な態度が、その子の基本行動になってしまわぬよう、外でも自分を崩すことのできる相手を増やしていくことが必要かもしれない、そう思うのです。
2016年12月15日発達障害のある5歳の娘は、とにかく褒め上手!Upload By SAKURA広汎性発達障害がある現在5歳の娘は、とてもよく人のことを褒めます。年少さんの頃から、お友達の服やカバンなど、身につけているものを褒めたり、お友達の描いた絵や、作った折り紙、行動を褒めたり…。ねたんだり、嫉妬することなく素直に人のことを褒められる娘を、私たち親は尊敬しています。お友達だけでなく、親のこともベタ褒め!!娘は幼稚園のお友達だけでなく、私たち親のこともいつも褒めてくれます。当たり前の行動でも、娘に褒められるとなんだかいい気持ちになります(笑)。Upload By SAKURA親とお友達だけじゃ物足りない!最近娘が褒めだしたのは…しかし、最近は親や周りのお友達を褒めるだけでは物足りないのか、外出先で見かけた知らない子まで褒めています。Upload By SAKURAそして私にも強制…。こうやって私は、いつも他人の子を全力で褒めさせられています(笑)。
2016年12月14日言葉の理解が遅かった娘。時間の概念を理解できず…出典 : 私が娘の成長を気にするようになったのは、2歳頃でした。言葉が出始めるのが遅く、コミュニケーションもほとんどとることができませんでした。多動もあり、いつも自分の好きに行動していました。そんな娘も3歳頃から徐々に言葉が出てくるようになり、それと共に、少しずつ会話もできるようになりました。それはそれで嬉しかったのですが、新たな問題も現れました。それは、会話を時系列に話せないのです。つまり、過去と現在をごちゃまぜに話していたのです。娘は、昨日起きたことも1週間前に起きたことも、全て「さっき」で話していました。抽象的な概念を、わかりやすく説明するにはどうしたらいい?出典 : それだけではありません。朝と昼の区別や、朝起きると次の日になっているということも理解できていませんでした。発達障害の子どもで、こういった概念系の言葉に非常に弱い子どもも多いのではないでしょうか。娘に時間の概念を理解してほしかった私はまず、昼と夜の区別を理解させることから始めました。昼の絵(太陽がでている)、夜の絵(暗くなってる)を描いて冷蔵庫に貼りました。そして、昼間に「今は昼だね~」と昼の絵を見せます。暗くなると、「今は夜だね~」と夜の絵を見せていました。このように、イラストと実際の空の色を見せながら、理解を促していったのです。娘が理解するまでに数ケ月はかかったと思いますが、徐々にわかるようになってきました。「曜日」と「きのう、きょう、あした」はセットで教えると楽チン!出典 : その頃、家庭内療育を始めていた私は、ヒントとして使えそうな教材を求めて100円ショップによく通っていました。そこで磁石を3個買ってきて、エクセルで簡単な日曜日から土曜日まで書いた1週間の表を作り、冷蔵庫に貼りました。3個の磁石には「きのう」「きょう」「あした」と書いた紙をそれぞれ貼りつけました。例えば、今日が月曜日なら「きょう」の磁石を月曜日のところにくっつけて、日曜日のところには「きのう」をくっつけます。火曜日のところには「あした」をくっつけます。次の朝に娘と、「朝が来たから今日は○曜日になったね、昨日は×曜日だったね」などと、一緒に曜日1つ分、3個の磁石を移動させました。このように、目で見て確認ができない日付や曜日の概念も、文字や道具を使うことで「曜日は毎日変わっていくもの」だと理解していったようです。時間を教えるには、大好きな予定と組み合わせて!出典 : 曜日や朝晩の理解ができた後は、時間の理解です。これも頭を悩ます問題です。小学生にもなっていない娘にいきなり、時間の概念(1時間が60分だということや、分刻みで時間が経過することなど)を教えるのは無理でした。このため、○時○分などの細かい時間は教えませんでしたが、おおまかな時間(○時)を教えるのは必要だと考えました。まず、身近なところからと考えていたのですが…そうだ、おやつの時間だ!と思い付きました。毎日、「午後3時はおやつの時間」と決め、「3時になったらおやつだよ」と娘に伝えたのです。これも根気よく伝えるようにしたところ、そのうち自分から時間が来たら時計を見せ「3時になったね、おやつだよ」と言うようになりました。こうして娘は、時計の針の位置で「3時」を理解することができるようになりました。時間通りに準備をしなければならないのは大変ですが、朝ごはんや昼ごはんなどそれに関連した行動と合わせて教えるのが、時間を理解するには早いような気がします。目で見て理解しやすい子なら、それを活用しない手はない!出典 : 発達に遅れのあるお子さんの場合は、これらの方法を実践しても、もしかしたらすぐに理解できないかもしれませんし、何年もかかるかもしれません。また、こだわりなどの特性があるお子さんの場合には、例外や急な予定の変更が苦手で、曖昧さを理解するのに一苦労するかもしれませんね。実際娘も、小学生に上がっても、しばらく朝でも昼でも「おはよう!」と言っていました。しかし、年齢が上がるにつれ、徐々に挨拶の曖昧さや昼ごはんの時間にもいろいろあるのだと理解できるようになっていきました。今では曜日はもちろん、過去、現在、未来の時間の区別も問題なくできています。時系列の理解が弱いお子さんの場合は、目で見て確認できるツールがあると大変便利です。ご家庭で試してみてはいかがでしょうか?
2016年12月14日常に刺激を求めて生きるADHDの息子…フツウの遊び方じゃ満足できない!我が家のADHD息子は、フツウの遊び方だと満足しないところがあります。常に刺激を求めて生きているようなのです(笑)。元気なのはいいことですが、救急車で運ばれるようなケガも何度かありました。小学生のころから、とにかくヒヤヒヤする遊び方が大好きなんです。Upload By かなしろにゃんこ。頼むから…その好奇心が活かせるまで生きていてくれ!Upload By かなしろにゃんこ。Upload By かなしろにゃんこ。面白そう!と思った遊びは「その先の危険」を考えずにすぐに実行してしまうところがありました。3・4年生くらいになると外で勝手に遊んでくるので、キケンな遊びは事後報告…聞きたくなかった報告ばかり…特にスケボーで十字路のある坂を滑って遊んでいた話を聞いたときは心配を通りこして「この子はいつか大けがするタイプの子だわ…」と少し諦めました。子どものやりそうなことは先回りしてキケンを知らせておかないといけないな!と心に決めながら、頼むからその好奇心がいい方向に働くときまで生きててねと祈りながら育てていた息子の小学生時代でした。
2016年12月13日怒りっぽいアスペルガーの娘が、ある日私に聞いてきたこと出典 : 現在小学3年生の娘は、アスペルガー症候群及びADHDの診断がおりています。アスペルガーの特徴である「怒りっぽさ・キレやすさ」は娘の中にもしっかりと息づいており、幼稚園の頃からずっと親子でアンガーコントロール(怒りの感情コントロール)に取り組んできました。ある日、寝る前に騒いでいた息子に、本を読んでいた娘が「もうちょっと静かに楽しんでくれるかな!?」と声をかけました。そして、その後で私に「ママ、今の言い方はどうだった?」と聞いてきました。私「う~ん、そうねぇ。80点っていうところかな?語尾に『〇〇してくれるかな!?』ってつけると、それが正しいからそうするべきだ!っていう感じが出ちゃうでしょ?そうすると、『なんだよ!』ってムッとする人も多いと思うの。」娘「でも、集中して本を読みたいから静かにしてほしいんだもん。」私「『本を読みたいから静かにしてほしい』っていう自分の気持ちを先に伝えたらどう?その後で、『だからこうしてほしいな』ってお願いをするんだよ。相手に『こうするのが正しい』って押し付けると上手くいかないことが多いからね。」娘「じゃあ、『今本を読んでるけどうるさくて集中できないから、もうちょっと静かにしてくれる?』って言ったらいいの?」私「そうそう!それだったら、静かにしてほしい理由もちゃんとわかるし、お願いされたら『は~い!』って素直に聞ける気がするよ!」娘「わかった!じゃあ、今度からそうしてみる!」どうすれば相手を不快にさせず、自分の思いを伝えられるか。そんな会話がこの半月のあいだに幾度も繰り返されました。怒りっぱなしだった娘がニコニコしている…なぜ?出典 : そんなある日、ちょっとはにかみながら、娘が私に問いかけたのです。「ねえママ、最近の私、ちょっと変わってきたと思わない?」この半月ほどで、確かに娘には変化がありました。今までは怒りの感情に流されっぱなしで、どうすることもできずに足掻いていた娘が、その都度なんとか怒りと向き合おうとしている。自分の感情によって他人にもたらされる影響を考え、言葉を選ぶようになっている。娘の人生の中で、とても大きな変化が起ころうとしているようです。私「もちろん、すごく良い方に変わってきているよ!カチンときても、ムカッときても、一生懸命言葉を選んで、相手に嫌な思いをさせないようにしようって、毎日努力してるよね!」娘「ママ、わかってくれてたの!?」私「もちろんだよ!すごいな、すごいな~って、毎日ちゃんと見てるよ。嬉しいなって思いながら、あなたが努力している姿をずっと見てるよ。気付いた時はたくさん褒めるようにしてるよ。」娘「ちゃんと見ててくれたんだね。ありがとう!私も嬉しい!」娘を変えるきっかけとなった、1冊の本との出会い何が娘を変えてくれるきっかけだったのか?娘に聞いてみました。それは、『怒っていい!?』(ひすいこたろう著)という本との出会いでした。娘とアンガーコントロールに取り組むようになってから、「怒り」に関するたくさんの本を継続的に図書館で借りては、娘の目の届く場所に置くようにしていました。本を読むことが大好きな娘がそれを手に取り、たくさんの本の中から、いずれぴったり来る方法を自分で見つけてくれればいいな、と思っていたのです。「怒ってもいい!?〈誰にも嫌われない〉〈相手を傷つけない〉怒り方」その内容は娘にピッタリだったようで…出典 : タイトルを見た娘は「え?怒ってもいいの?」と言いながら、あっという間に1冊を読み終えました。何度か気になった部分を読み返した後、「ママも読んでおいてね」とリクエストがあったので、私も目を通してみました。簡単にまとめると・・・●怒りの感情というのはとても大きなエネルギーを秘めている●人間が進化する過程で怒りの感情が残されたのは必要な感情だから●自分と自分にとって大切なものを守ろうとする怒りの感情を責められるのはおかしいと、怒りを肯定的に捉えようとする内容になっています。娘はまずこの部分を読んで、安心したのだそうです。今まで怒りの感情に振り回され、「どうして自分はこんなに怒ってしまうんだ」「どうしてみんなは怒らずにいられるんだ」と悩んでいた娘にとって、「怒ってもいいんだよ」という言葉がどれほど救いになったかわかりません。だからこそ、『悪いのは怒ることではなく、怒りによって人や物を傷つけてしまうこと』『ではどうすれば良いのか』という次のステップへの導きをすんなりと受け入れられたのだと思います。娘は自分なりにこの本の内容を消化し、なんとか相手を傷つけることなく自分の怒りの原因を伝えようと努力し始めたのでした。本を活用し、我が家で決めたルール出典 : この本を読んだきっかけに、娘とこんなルールを設けました。怒りに火がついてしまった時は、自分が何に怒っているのかをしっかり考え、次の手順で相手に話をする。① 怒りの原因となった相手の行動を伝える② その行動で自分がどんな気持ちになったかを伝える③ どうして欲しいのかを具体的に伝える初めに紹介したトラブルを例にとると、娘は息子に対してこのように伝えることになります。① 楽しそうだけど、ちょっと声が大き過ぎるよ② お姉ちゃんは今本を読んでいるんだけど、騒がしくて集中できなくて困ってるの③ もう少し小さな声で遊んでもらえると嬉しんだけどなこれを機に、今まで弟に対しては「静かにしなさい!」など、お願いではなく指図をしていた娘の話し方が少しずつ変わってきました。そして、その都度「今の言い方はどうだった?」と私に確かめ、反省しながら次に繋げることができるようになってきたのです。じゃあ、家の外ではどうする?出典 : また、正義感の強い娘は信号無視やたばこのポイ捨て、公共の場でのマナー違反を見かけると、自分とは全然関係のない人に対しても強い憤りを覚え、怒ってしまいます。そんな時は、「あの人は間違っている!」と怒った後で「でも自分はあの人とは違う」「自分はあんな行動をとる人にはならない」と、怒りの原因となった行動から何を学べるかを考えるようにしようと決めました。疲労が溜まっていてイライラし過ぎているときは、怒鳴り散らしてしまうこともありますが、何よりも「自分で意識ができるようになった」ということが大きな進歩だと思います。親だけが「もっとこうして欲しい」といくら願っていても、親の目が届く範囲でしか注意ができませんが、自分で意識ができるようになったら、成長するチャンスはとても多くなるからです。適切な方法も身に着くまでは時間が必要。だからこそ焦らずに出典 : イイな!と思う方法を見つけ、それが身に付くまでには、年単位の時間が必要です。上手くいかなかったときは子どもを責めるのではなく、一緒にどこをどうすれば良かったのかを考え、上手くいった時にはハイタッチをしながら一緒に喜ぶ。そんな時間を過ごすことで、きっと子どもも前向きにチャレンジを続けてくれるのではないでしょうか。来年、再来年の姿を想像しながら、親も子もゆっくりと成長を続けられるといいですね。
2016年12月13日戸惑いを隠せなかった診断結果。この子に一体何が起きているの?出典 : 我が家で行っている、「ゆらゆら」体操。その動きは、両足をゆらゆら揺らすという、簡単なものです。もともと身体の感覚が過敏だった長男の、緊張をほぐしてくれたこの体操を、今回はご紹介したいと思います。幼稚園の時から個性的だった長男。小学校入学をきっかけに大混乱し、登校を渋るようになりました。このままでは完全に不登校になってしまう…と考えた私は、長男の登校に付き添いながら、ゆっくりと学校に慣れていきました。そんな中、先生の勧めで学習支援を受けることに。支援を受けるため医療機関を受診したところ、「自閉症スペクトラムおよび知的障害」という診断が出たのです。この診断結果には正直戸惑い、「自閉症スペクトラムって何?」と、我が子をどう捉えていいのかがわからなくなりました。いうなれば、自分と長男の間に訳のわからないモノが挟まり、我が子が見えなくなってしまった感じがしたのです。戸惑いの中出会った1冊の本。自閉症への理解が深まった、その内容とは栗本啓司 (著), 聞き手 浅見淳子 (編集), 『自閉っ子の心身をラクにしよう!』, 花風社, 2014年その頃からでした。自閉症について気になることを本で調べるようになったのは。さまざまな本を読むうちに、「もしかして、息子もこんなふうに世界を見てるのかも?」と思ったのを覚えています。医師に聞いてもはっきりと答えてもらえなかった、「自閉症スペクトラム」の世界観に触れ、息子との間に感じていた壁が初めて少し薄れたように感じたのです。そんなとき出会ったのが『自閉っ子の心身をラクにしよう!』という本でした。感覚に過敏さを持ち合わせる自閉症の人たち。この本は、少しでもその感覚を和らげ、睡眠の質を高めたり生活の質を向上させたりするコツが載っています。この本によると、発達に遅れのある子は足裏にある「拇指球(ぼしきゅう)」というところが弱く、立ったり歩いたりするだけでとても疲れやすいのだそうです。出典 : さっそく妹と長男の足裏を触り、本の内容がすぐ腑に落ちました。妹と比べても長男の「拇指球(ぼしきゅう)」の存在感が薄かったのです。立ったり歩いたりするのにも、いちいち踏ん張る―頑張る必要があるんだ…。そりゃ、毎日背骨がカチカチに固まるよな。日常生活でも疲労度は他の子どもたちより倍になるだろうな…と、思い至りました。その他、触覚過敏があるからいつも身を縮めているような感じなのでしょう。赤ちゃんのように反射的な動きに優れ、自分で自分の体を十分にコントロールできてない段階なんだということなどが見えてきました。拇指球が育てば、もっと日々の動きがラクになるのではないか。そしたら色々なことにもチャレンジできるようになるかも…。そう考えました。本を参考にしながら、足に触れる。いざ実践!出典 : やるタイミングですが、短くてもいい睡眠をとって欲しいという思いから寝る前に「ゆらゆら」と「足裏さわり」をやっています。手順はこんな感じです。私「じゃあ、ふとんに寝転んで~。手をパーにして思いっきり伸びよう。伸びて、伸びて、はい、ゆるめて。じわ~っとした?」長男「ちょっときた」私「いいやん。じゃあ、次、”ゆらゆら”します」。足首を持って、自分の腰のあたりに軽く当て、腰を気持ちよくゆすります。「どう、振動、キミのアタマの先まで伝わってる?」長男「きてる、きてる」私「いい感じ。では、足の裏をさわるね」親指の付け根の下、正式には「拇指球(ぼしきゅう)」といわれる部分をそうっと触ります。「拇指球よ、しっかり育てよ」と心の中で声をかけます。触る時の力はほんの少し「赤ちゃんを抱くぐらい、そっと」でいいそうです。私は刺激しながら「育てよ~」と念じています。こわばっていた心と体をゆるめる「ゆらゆら」。そのコツは出典 : 実践は毎晩こんな感じです。基本はこの流れですが、その日の長男の様子を見て、足の指の間に手の指を入れて少し広げてみたり、足裏全体をなでることもあります。背骨、背中をリラックスする、頭に集中している意識を全身、特に下半身に下ろすことが狙いです。1番大事にしているのは一緒に「心地よさを感じる」ことです。自分があまりにくたびれすぎている時は「また明日ね」。足首を持った時にくすぐったがったりして「やめて~」と言ったりしたときもやめます。ちょうどこの時期はイヤイヤ期でもあったのですが、布団に入った後自分から「そろそろゆらしていいよ」と声をかけてきたり、逆に「今日はやってあげるわ」と揺らしてくれたりするようになりました。幼い頃は絵本の読み聞かせも行っていましたが、「ゆらゆら」の方が入眠効果があるように感じます。気付けば2年も続けているゆらゆら。その効果は子どもだけではないようで…出典 : 足首を持って腰に当て、腰を揺らして揺れを伝える「ゆらゆら」は、本では「金魚体操」という名前で載っています。他にもいろいろな親子の動きが載っていて、「いいな」と思ったら試しています。気が付けばこうした身体のスキンシップは2年程ほぼ毎日続けています。小3の今も、登校はスムーズにはいきませんが、これまでは「理解できない行動」だったものが、「こういう理由で、そうしてるんだね」と理解できるようになりました。そして、ゆっくりでもいいから発達を積み重ねていけば、きっと大丈夫…!と、子どもを信じられるようになりました。
2016年12月13日STEAM教育って何?
子育て楽じゃありません
細川珠生のここなら分かる政治のコト