「発達障害」について知りたいことや今話題の「発達障害」についての記事をチェック! (95/98)
うちの子、発達障害かも?でも診断を受けるのは怖い…出典 : 子どもの発達が気がかりだけど、病院に行く程ではないだろう。障害だなんて…そんな風に思う方もいるかもしれません。でも、大人が思う以上に子ども自身が困っているかもしれません。私の娘は、療育施設に1年ほど通い、その後保育所へ3年通って、現在は地域の小学校に通っています。どの施設でも行事に参加したことがありますが、保育所や小学校の通常クラスであっても「この子、発達障害じゃないかなあ」と思える子が1人、2人ほどいました。しかし保護者会に行くと「まだ子どもは診断を受けていないんです」と言う方もいらっしゃいました。私自身は、親の「発達障害かもしれない…でも、もし障害だと判明したら怖い…」という気持ちが、子どもの得意不得意をちゃんと知れる機会を遅らせしまうのも1つだと思っています。不安な気持ちは、私もよくわかります。療育手帳を持つことに「抵抗がある」という知人もいました。そう簡単に子どもに障害があると受け入れることはできないと思うのです。私たち親子が診断を受けるまで出典 : 確かに、病院へ行って発達障害だと診断を受けたら、気持ちが落ち込むかも知れません。私の場合も、娘の様子が何かおかしいと最初に気づいたのは妻でした。でも私は「ただちょっと遅れているだけだろう」としか思いませんでした。誰しも自分の子どもの成長を、発達障害を前提にして考えてはいません。しかし、インターネットや関連本などで調べていくうちに、その症状が当てはまることに気付いてからは、きちんと病院で調べてもらう気になりました。診断が出たときは、薄々気づいていたとはいえやはりショックでした。でも、娘が大人になった時、社会の一員として暮らしていけるように親として今出来る限りの手助けをしてあげないといけない、と考えなおしました。きちんと診断を受けたからこそ、行政から支援を受ける事ができるならそれは利用するのが得策だとも思いました。誰のための診断なのか、ゆっくり考えてみよう。答えを出すのは家族のペースで良い。出典 : 病院へ行き、診断を受けるのは子どもです。親ではありません。現実を受け止めることは難しいかもしれませんが、親の都合や気持ちで子どもの自身の成長のキッカケを遅らせてしまう一方では、子ども本人のためにはならない、と考えるようになりました。診断を受けるということは、その子に必要な支援がどんなものか?周囲はどう支えたらよいか?をきちと知る機会なのです。診断に行くことは、「障害のラベル」を子どもに付けることじゃない。出典 : 私も診断を受けた直後はショックでしたが、時間の経過とともに大事なことに気づきました。診断名だけにとらわれず、まずは子どもが困っている事にきちんと注目するということです。診断の有無に関わらず、子どもの成長は人それぞれです。。理解のはやい子・ゆっくりな子、運動の得意な子・苦手な子、おしゃべりな子・大人しい子…。子どもの苦手なことが見えたら、どうすれば伸びるかを考えますよね。発達障害の診断がある子どもに関しても、基本的には同じような考え方でいいのではないでしょうか?診断名にとらわれすぎず、今目の前にいる自分の子どもが困っていることや、苦手なところに寄り添い、サポートをしていけばいい。そう思っています。もし、発達障害かもと心配していながらも、病院に行く一歩を踏み出せずにいる方…少し立ち止まってゆっくり考えてみませんか?「診断を受ける」ということは、子どもに「障害」というラベルを付けることではないと思います。診断は、子どもが困っていることに気付き、子どもに合ったサポートや学び方をきちんと考える為のもの、なのですから。
2016年08月21日なんでボクだけ怒られるの!?納得できない息子Upload By かなしろにゃんこ。ツライけれど伝えないといけないこともある!?Upload By かなしろにゃんこ。些細なことでイライラしやすい息子は、学校でトラブルがある度に「周りのみんなは分かってくれない、自分だけが責められる」と泣いて訴えます。苦しんでいる息子を見ていると、つい情けない気持ちや可愛そうな気持ちになります。しかし、普段からイライラしやすい息子に対し、日頃から我慢しているクラスメイトのことも先生からよく伺っていたので、冷静に考えると「揉め事は気性の荒いお前も悪いんじゃ!」と思うのです。担任の先生からは、「揉め事が起こったときはみんなが学べるときなので、すぐ介入したり助けたりせず、見守っています。一方で、いつももめ事を我慢している周りのみんなは、リュウ太くんが弱っているときに、うっぷんを晴らすように集中攻撃してしまうこともあります。」と教えて頂きました。「揉め事の原因はボクではないのに、ボクだけが怒られることに納得がいかない!」この気持ちは分かります。しかし、集中攻撃される原因を本人が知らないと、この先も同じようなことがあったときに不平等感にイライラするのではないかと考えた私は、マンガにあるような図で説明をすることにしたのでした。その後、中学になったときに同じようなもめ事がありイライラムシャクシャする息子に「あの図覚えてる?アレだよアレ!」と言うと、「あーーハイハイあーそうですかー」と思い出してくれました。ここでも中学生の息子に「大変だったんだね」と一言優しい言葉をかけて終らせれば良かったのですが、私は「世の中にはあまり平等はない!平等を求めないこと」も大事だと伝えたかったのです。人間関係は本当にいろいろな経験しないと学べませんね。Upload By かなしろにゃんこ。発達障害 うちの子、人づきあい だいじょーぶ!? (こころライブラリー)
2016年08月21日つまり「キライ」っていうこと??息子が通うスイミングスクールでは、上の級へあがるためのテストがあります。テストの前日、こんなやりとりがありました。Upload By ラム*カナUpload By ラム*カナUpload By ラム*カナUpload By ラム*カナどうやら息子は、ホットケーキはあまり好きではないようでした(笑)実は息子、日頃から「きらい」というワードをあまり使わない子です。息子は意識していなかったようですが、これはとても大切なことだと思いました。息子は自然とできていた!ふわふわ言葉とチクチク言葉出典 : 「ふわふわ言葉とチクチク言葉」をご存知でしょうか。発達障害センターの先生によると、チクチク言葉は・「きらい」・「うるさい」・「やだ」という尖った言葉です。これを、・「すこし苦手」・「元気で声が大きい」・「あまりしたくない」など、柔らかい表現にしたものがふわふわ言葉です。ふわふわ言葉を使うことで、家族や周りのお友達を嫌な気分にさせずに自分の気持ちを伝えることができます。私は大学の授業や発達障害センターでこれを知ったのですが、息子はなんと自然に「ふわふわ言葉」を使っていたのです。ふわふわ言葉を使って、発達障害を前向きにとらえよう出典 : ふわふわ言葉は日常会話だけではなく、性格や特性を表わす言葉にも応用できます。発達障害の子どもが持つ・落ち着きがない・忘れんぼう・多弁・集団行動が苦手などの特性は、一般的にはマイナスなイメージかもしれません。しかし私はこれらの特性を、・とにかく元気!体力がすごい!・過去は振り返らず、「今」に全力!・頭の中に広がる想像力・創造力が壮大!・周りにとらわれず自分を貫く!というように、ふわふわ言葉に変換してとらえています。もちろんこれから社会に出て、息子の特性が短所になりうる場面も出てくるかもしれません。でも、息子には自信を持っていてほしい。自分の持っているものは力なのだと。そのためには、私たち親が子どもの特性をもっとプラスにとらえることが大切だと思うのです。息子のようにふわふわ言葉を使うことで、自分も周りも発達障害をポジティブに考えられるようになると良いなと思っています。
2016年08月20日不安だらけだった2歳までの育児出典 : 私には発達障害の息子がいます。息子が2歳までの間、私には気持ちが休まる時間というものはありませんでした。多動で動き回る息子を追い回し、癇癪で泣き続ける声にどうしたら良いのか分からず、思わず「うるさい!!」と泣いてしまったこともありました。発達障害の診断が出て、その瞬間は少しホッとしました。実態の見えなかった不安に解決の糸口が見えたからです。「よし、息子のために頑張ろう!」出典 : 診断後、私は発達障害についての情報収集に、空いている時間の全てを投入しました。様々な実践を繰り返す中で、「言葉かけ次第で、子どもの困った行動がなくなっていく」ということがわかっていきます。これはとても救いになりました。そしてそこから、私は「こういうときはどうやって声かけをしようか」ということを常に考えながら、行動をするようになりました。また、発達障害の情報収集をする上で、沢山の人と繋がることができました。そして、私の生活には発達障害に関する情報が、間断なく入ってくるように。雪崩のように流れ込んでくる情報を分別しながら、ためになりそうなことは、すぐ取り入れていました。気が付くと、私の生活はネット検索も、SNSも、「支援」と「配慮」の情報だらけ。息子の診断が出てからの4年間、私は起きている間ずっと、頭が高速回転している状態でした。1番大変だった息子の多動がやっと落ち着いた頃に、突然訪れた気の緩み出典 : 歳手前で、それまで1番辛かった息子の多動が落ち着いてきました。私は思っていたよりも、息子の多動に気力体力を削がれていたということに、このとき初めて気が付きました。そして、それまでずっと張りつめていた心がふっと緩んだのです。「発達障害」という言葉をもう見たくない…!発達障害の情報を見るだけで疲れる…!息子への言葉かけを考えようにも、頭が回転しない…!!私は、ネット上の情報をチェックしては、「発達障害」の文字が目に入るだけでイライラするようになりました。息子への「支援」や「配慮」も、あれだけ熱心に頑張っていたのに、息子のために頭を使おうとすると、思考がまとまらなくなってしまうのです。ここで私は気付いたのです。自分が「支援疲れ」に陥っていたと。6年間、常に頭を高速回転させてきた結果、ふと気が緩んだのと同時に、緊張の糸が切れてしまったのでした。「支援疲れ」で気付いた、支援よりも大切なこと出典 : 私は今も、この「支援疲れ」から、完全には脱出できていない状態です。けれども、Twitterで誰かが呟いていた言葉に、私は気持ちが楽になれました。「どんな支援が必要とか、療育は何がいいとか、そういうことばかり考えさせられるんだけど、ただうちの子可愛い!じゃダメなのかな?本当に本当に可愛いよ。それじゃダメなのかな?」この言葉に、私はハッとしたのでした。「うちの子可愛い!」と言えたら、それでいいじゃないか、と。「うちの子可愛い!」は、どんな実践にも勝る「支援」であるはずです。私は、ずっと「支援」と「配慮」で頭がいっぱいで、「うちの子可愛い!」という気持ちが置いてけぼりになっていた気がします。心が疲れている今は、「うちの子可愛い!」を堪能しようと思います。
2016年08月20日いつも注意されていた子どもの頃を振り返る…Upload By モンズースー私は子どもの頃、「挨拶をする理由」がわからず、挨拶を求められることにとても違和感がありました。いつ、どのタイミングで、誰に、何と言えばいいのかがわからなかったのです。わからないまま、「しないと注意される…だからしなきゃ…」と思っていたので挨拶が段々嫌いになっていきました。声をかけられたときは、相手の挨拶を真似してオウム返しをすればその場は何とかやりすごす事ができます。ですが、一体そのフレーズで合っているか、そもそも自分に声をかけられているのかがハッキリとわからないときは、うまく挨拶できないこともありました。今思えば、大人から挨拶をしようねと注意されても、私が困っていたことを教えてもらえる機会はなく、私はずっとどうすればいいのか困っていました。大人になった今でも、タイミングをはかったり、自分から言うべきかどうかなど考えることが多いので挨拶は得意ではありませんが、それでも経験を重ねれば、昔のように不安になることはほとんどなくなりました。今、息子の幼稚園や遊び場で挨拶が苦手な子を見かけると、「あの頃の私と同じような気持ちなのかな…」とたまに考えてしまいます。
2016年08月19日広汎性発達障害(PDD)とはUpload By 発達障害のキホン広汎性発達障害(Pervasive Developmental Disorders:略称PDD)は、コミュニケーションと社会性に障害があり、限定的・反復的および常同的な行動があることを特徴として分類される発達障害のグループ です。世界保健機関(WHO)の『ICD-10』(『国際疾病分類』第10版)の診断カテゴリでは、このグループには自閉症、アスペルガー症候群のほか、レット症候群、小児期崩壊性障害、特定不能の広汎性発達障害という5つの障害が含まれています。広汎性発達障害の中でも特に自閉症やアスペルガー症候群がよく知られていますが、自閉症の半数以上が知的障害を伴うのに対して、アスペルガー症候群は言葉の発達の遅れが伴わない「知的障害のない自閉症」と言われています。また、知的障害のない自閉症は「高機能自閉症」とも呼ばれますが、アスペルガー症候群との定義の違いが曖昧で、専門家によって異なります。さらに、広汎性発達障害は、最新の診断基準であるアメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神障害のための診断と統計のマニュアル』第5版テキスト改訂版)では自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害というカテゴリに変更されています。広汎性発達障害の障害名、症状の中には自閉症スペクトラム障害の概念では除外されたものも含まれています。ですが、行政や医療機関で広汎性発達障害の名称を使用している場合も多いこと、すでにこの名称で診断を受けた人も多いことから、本記事では『ICD-10』の診断カテゴリに準拠して広汎性発達障害の名称でご説明します。広汎性発達障害の子どもの生活での4つの困難と対処法出典 : 広汎性発達障害の主な症状は・対人関係・社会性の障害・コミュニケーションの障害・特徴的なこだわりや興味の3つが挙げられます。その他、広汎性発達障害のある人の多くに「視覚」「聴覚」「味覚」「触覚」などの感覚に対して特定の刺激に苦痛や不快感を感じる「感覚過敏」や感覚の鈍い「感覚鈍麻」という症状が見られると言われています。このような特徴を持つ広汎性発達障害の人は、どのようなことを困難に感じるのでしょうか。以下に4つの困難と対処法を述べたいと思います。広汎性発達障害のある子どもは、人の感情を読み取って人の気持ちに共感したり、想像したりすることが難しい傾向にあります。また、比喩やたとえ話も理解しにくい傾向があります。そのため相手の気持ちを考えずに、思ったことをストレートに口に出してしまって相手を傷つけたり怒らせたりしてしまうこともあります。対人関係を築くのが苦手でコミュニケーション障害もあることから、広汎性発達障害の子どもにとって友達を作ることは困難な作業です。例えば、一緒に遊びたいなと本人が思ったとしても、友達を誘う方法自体が分からないこともあります。【対処法】「君太ってる」「あのひと臭い」など、相手を傷つけるような発言をした場合は「そんなこと言っちゃダメ!」と抽象的に叱らずに「太ってると言われると○○さんは悲しいと思うから言わないで」と相手の気持ちを推測できるように促し、具体的に何を言ってはいけないかを提示してあげましょう。相手の気持ちを理解する練習をすることで、言っていいことと悪いことの区別をつけさせるのが大切です。他人とのコミュニケーションをとるのが難しい場合、具体的に友達の誘い方を教えてあげたり、親が遊びの場を作ってあげることも大切です。例えば療育機関などで、社会的スキル訓練や、集団療育を行うことも有効です。広汎性発達障害のある子どもの多くは感覚の過敏性や鈍さを抱えています。電車の音や騒音などにとても強く反応してしまうことがあります。赤ちゃんの泣き声などにも強い拒否反応を示し、自分が癇癪を起したりパニックになったりする子もいます。また、体に触れられることを嫌ったり、温度に敏感でお風呂に入りたがらなかったりなど、少しの刺激でも本人のストレスに繋がってしまい、パニック状態を起こしてしまうこともあります。【対処法】無理に触ろうとはせず、機嫌がいい時や心の準備ができているような時に声かけをしてあげましょう。「今からお風呂にはいろうね、お風呂で○○して遊ぼうか」「今から背中を触るね」など、いきなり体を触らずに声かけしてあげると心積もりができるようになります。にぎやかな場所へいく場合はイヤーマフを使用してみたり、なぜその音が鳴るのか、どうして賑やかなのかを落ち着いているときに説明してあげるとよいでしょう。それでも嫌がる場合は無理をせず、苦手なものを避けてあげるのも一つの手です。広汎性発達障害のある子どもは、こだわりが強く、変化が苦手な場合が多いです。規則や法則など、一定の安定したルーティーンを好むため、少しでも自分のマイルールが侵されることを嫌がることがあります。よって、イレギュラーな対応や予定の変更についていくことができず、癇癪やパニックを起こしてしまうこともあります。【対処法】「○時になったら○○するよ。約束ね」と一緒に時計をみて確認し、一つひとつ理解を促すようにスケジュール管理を行うようにしましょう。言葉で言っても理解しづらそうなときはイラストや写真などを使うのも有効です。見通しが立つと安心することが多いので、予定をあらかじめ把握し、お子さんに伝えてあげるようにしましょう。広汎性発達障害のある子どもは、集団内で暗黙に共有されている「常識」や"空気"を理解するのが難しい傾向にあります。人との距離感や場に合った振る舞いなど、抽象的で境界線がはっきりしないことについて理解が難しく、友達が表情で悲しさや怒りを伝えてきても、感情を読み取れないこともあります。【対処法】指示は分かりやすく伝えるようにしましょう。例えば静かにしなければいけない場面の場合、具体的にルールを短い言葉や文字で示してあげることが大切です。また、「会場内は静かにしましょう」というアナウンスだけでは、何をすべきかがわからないので、「お絵描きしながら静かに待ちましょう」など具体的にどうすればいいかを指示の中にいれると良いです。広汎性発達障害の子どもへの日常の接し方のコツ9選これまで、広汎性発達障害の子の困難とそれらの対処法をご紹介してきました。以下では、広汎性発達障害の子の日常生活の子育てにおいて、どのようなことに気をつければ良いかを紹介します。出典 : 広汎性発達障害のある子どもは聴覚刺激よりも視覚刺激を利用すると効果的な場合もあります。紙に文字を書いて説明するのもよいですが、言語能力の発達に遅れが見られる場合は絵や写真、図表にして説明すると理解しやすくなります。例えば、時間管理をする際はタブレット上に大きいタイマーを表示して、視覚的に「あと何分あるか」を提示しながら取り組んだりするといいと思います。耳よりも目から入った情報の方が記憶にも残りやすいと言われているので、遊びやスポーツのルールを伝える際も紙に書いて説明するとよいでしょう。曖昧な表現を理解することが難しいため、できるだけ具体的な表現や手順を使うことが大切です。例えば、「ちょっと」ではなく「何分、何個」という具体的な数を使って話したり、片付けの際も「ちゃんと片付けて」「キレイにして」ではなく「おもちゃ箱におもちゃを入れる」といった具体的にやるべきことを伝えます。ついつい曖昧な表現を使いがちですが、どうすれば伝わりやすくなるかを常に頭に入れて指示するようにしましょう。その際、上記で挙げた絵や写真を使うのも効果的です。広汎性発達障害の子どもを持つ保護者は、できないことや、やめさせたい行動が多く目につき子育てが不安になってしまうこともあるかもしれません。ですが否定的な言葉を使ったり、大声で叱ることは控え、できるだけ褒めることを心がけることも子育てのコツの1つです。褒めることで「褒められた→嬉しい→またやろう」とやる気を促すことにも繋がります。また、子どもによっては大げさに褒められることを嫌う子もいますので、その子にあった褒め方をしていきましょう。広汎性発達障害のある子どもは、他人と比べて自分ができていないと感じて自信を失ったり、自暴自棄になってしまうケースもあります。子どもの得意分野を見つけて、できることをさらに増やし、成功体験を積むことが大切です。例えば食べ物が好きな子であれば調理やお菓子作りを教えたり、家事を手伝ってもらったりすることも今後の生活に役立ちます。広汎性発達障害のある子どもは、人の気持ちを理解するのが苦手な傾向があります。そのため、嬉しいことは嬉しい、嫌なことは嫌と、気持ちをはっきり言葉にして伝えることも大切です。友達とケンカした際も相手がどう思っていたかを伝え、どう対処すれば良かったかなどを、絵や文字にして具体的に教えることが大切です。頭ごなしに否定してしまうと、やる気をなくしたり、物事自体を拒否するようになってしまいます。まずは子どもの気持ちに寄り添い、なぜそういうことをしてしまったのか子どもの考えを聞いたり、どうすればよかったのかを一緒に考えることが大切です。子どもが興奮したり、泣きわめいてしまった場合、落ち着いてから話をするようにします。広汎性発達障害のある子どもは、急な予定の変更や初めての場所が苦手です。場合によってはパニックとなってしまう可能性もあります。こういった状況を避けるため、できるだけ予定を早めに伝えておき、初めての場所でも子どもが安心できるように、事前に写真やビデオを見せるなど、工夫をしてみましょう。広汎性発達障害のある子どもは、推測することが苦手な場合が多いです。そのため遊びの中でルールを自然に理解することが難しいこともあります。あらかじめ、絵や図にしてルールを予習をしておくと、子どもが理解しやすくなります。また、自由時間といった何をすればよいか曖昧な時間も不安になってしまうことが多いので、何をするとよいか、選択肢を提示したり、選ばせてあげるとよいでしょう。自分ひとりだと子育てのコツが掴みづらい場合は、ペアレントトレーニングのような子育てトレーニングや療育相談を受けることも有効です。専門的なトレーニングを受けた講師から、子どもにあった子育て方法を学ぶことができます。これらのプログラムでは、子どもが危険な行動をとったときに上手に止める方法や褒め方のコツなどを知ることができます。広汎性発達障害の子どもに接する際に注意するべきこと普通の子には当たり前にとる対応や反応でも、広汎性発達障害の子だとパニックを起こしてしまうこともあります。以下のポイントを頭に入れておいて、広汎性発達障害の子とよりよいコミュニケーションがとれるようにしましょう。出典 : ついつい大声で叱りたくなる気持ちも分かりますが、大声は広汎性発達障害のある子どもにとってトラウマとなる可能性があります。怒られるという恐怖心で何もできなくなってしまうこともあります。一度深呼吸をして落ち着く、感情的になったら一度その場を離れるなどして、冷静になってから具体的に悪いことを伝えて、どうすればいいかを指示するようにしましょう。手をひらひらさせたり、ぴょんぴょん飛び跳ね続けたりするなど、広汎性発達障害のある子どもの中には同じ行動を長時間続ける常同行動が見られる場合があります。これらは視覚支援によって見通しを持てる環境を作ったり、コミュニケーションスキルを学んだり、適切な遊びにかえることなどで改善することが多いです。無理に止めさせようとするとパニックに陥ることもあるため、何回やったら終わりと決めたり、何か違うことに集中するための課題などを与えてあげたりするとよいでしょう。何度伝えても伝えたことができない場合、「どうしてできないんだろうか」と悩んでしまう人もいますが、「今日はできなかったな」ぐらいの気持ちで受け止めてみることも大切です。また、自分では上手く伝えていると思っていても、子どもにとっては理解しづらい可能性があります。絵や図などを使い、伝え方を変えてみるなど工夫してみましょう。他の子にとっては当たり前でも、広汎性発達障害のある子どもにとって困難なことは多々あります。親としてはつい他の子と比較したり、同じことができないことに悩んだりすることもあると思います。しかし大切なのは、子どものできることや、頑張っていることに目を向けることです。それらのことを褒めたり認めていくことは、子どもの成長に繋がっていきます。まとめ出典 : 広汎性発達障害のある子どもの子育ては、その子の特性を理解し、視覚的な情報の活用や事前の予告など、工夫を学んでいく必要があります。一人で悩まずに、療育機関や支援センターなど周りの環境を上手く利用しましょう。ペアレントトレーニングや療育相談など、様々なサービスがありますので、地域の情報を探してみましょう。参考文献: 田中康雄 (2014) 『発達障害の子どもの心と行動がわかる本』 西東社
2016年08月18日言語IQは150。アスペルガー症候群で、常に頭の中はフル回転。出典 : 娘は、言語能力が突出しているアスペルガーです。言語IQは150を超えており、頭の中は常にフル回転状態なので、休む暇なくいつも話し続けています。良くも悪くも娘の大きな個性の一つとなっています。そんな娘は、自己肯定感が低く自分を否定しがち。誰かが自分のことを話していると「否定されてる…」と感じてしまうのです。自分に以外の話題は、まさにアスペルガーの特性通り「言葉通りに受け取り、意図が読めない」のに、自分に関することとなると、反応が全く異なるのでした。否定的な考え方は、昔の私に似ていた。他人のアドバイスを上手に受け取れない時がある出典 : 娘は、「いい笑顔だね!いつもそんな風に笑ってるとステキだよ!」と褒められると、「どうせ私はいつもちゃんと笑えていないから。いつもの私はダメってことでしょ!」と怒ります。「すごく上手にできたね!」と褒めらると、「いつもいつも失敗して、たまたま上手く行っただけ!頑張ってもなかなか上手く行かない私なんて全然ダメ!」と泣きながら訴えます。そんな娘を見ていて、ふと、私自身も長年同じような思考のパターンだった事を思い出しました。昔の私は、そもそも「アドバイスされる」という事がとても苦手。自分から「どうすればいいと思う?」と相談した場合はアドバイスを素直に聞けるのですが、相談をしているわけでもないのにアドバイスされると、その内容よりも「今のままではお前はダメだ」と否定されているという風に捉え、そこのみを強烈に受け取っていたのです。「適当に受け流せばいいじゃない」と言われることもありましたが、一度入ったマイナス要素は頭の中で何度もリピート再生されるため、「受け流す」ということもできないのです。私を知っている人が、私を否定的に見ている。その事実に猛烈に怒りを感じるとともに、傷つき、とどまることのない思考の中で深く深く自己否定に紐づけてしまう。私はこの思考のパターンにずいぶん長く苦しんできました。娘もそうなのでは…と思い、長年苦しんだからこそ娘にはなんとかこの思考をコントロールしてもらいたい。この苦しみから逃れさせてあげたい。そう願って、対応を模索してきました。【1】言葉でほめるのをやめて、代わりに「はなまるノート」を作った出典 : まず、娘の自己肯定感を高めるために「はなまるノート」を作りました。「このノートには、ママが本当にいいと思ったことしか書かない」と宣言し、毎日の生活の中で些細な“はなまる”な出来事を具体的に記入しました。自分で探し物を見つけられたこと、泣きながらも諦めずに最後まで取り組めたこと、怒ってしまったけど小さな噴火で済ませられたこと…娘はこの「はなまるノート」に書かれていることは、とても素直に受け止め、何度も読み返しては顔をほころばせています。というのも、娘の場合は「耳から入る言葉(音声言語)」には、思考のフィルター「なぜその人は、そのような発言をしたのか」を通して背景を深読みし、「これを単純な褒め言葉と受け取ってはいけない」と考えてしまうのです。一方で、「目から入る言葉(文字情報)」は、思考のフィルターを通さずに済むようで、素直にほめ言葉も受け取れるようです。とにかく、文字に書いてほめれば素直に受け止められるという法則を見つけてからは、娘をほめやすくなりました。自己肯定感も少しずつ上昇に向かっているように思います。親としても、はなまるノートを書こうと子どもの良い所に注目できるようになったので、これもいい収穫でした。言語優位|文字は思考を凌駕する「言葉は人を作る」プロジェクトで見えた娘の特性【2】ほめられたらまず最初に何を言うのか、明確に決めた出典 : ほめられたらどうするのか、を娘と話し合って決めました。「ほめられたら、ありがとうと言う」というシンプルなルールです。今まで、ほめられたらまず最初に口をついて出てくるのは自分を否定する言葉でしたが、まず「ありがとう」を言うと決めてしまったのです。ルールは厳格に守るというアスペルガーの特性を逆手にとったこの作戦は大成功。これを決めて以来、娘がほめられた後に怒りをあらわにすることは、ほとんどなくなりました。また、ほめられた瞬間に自己否定をしてしまう前に「ありがとう」と発することで、この音声言語が娘の思考のフィルターを通り、「ああ、自分はほめられて嬉しいんだ」という信号が脳に送られているのではないかと思っています。ネガティブすぎる、と言われても余計自信がなくなるだけ。色々試してみよう出典 : 私自身、幼いころからこの思考パターンでずいぶんと苦労をしてきました。考え過ぎだ、ネガティブ過ぎる、被害妄想が激しい、堅苦しい、真面目すぎる…。周囲から様々な言葉をかけられ、その言葉に傷つき、さらに自己否定を行う、という悪循環の中で暮らしてきたのだと思います。今回はたまたま、自分の経験を活かして娘を理解しながら対応策を考えることができました。これは本当にラッキーでした。子育ての中で、どうすれば良いのだろう?と頭を悩ませることは尽きませんが、あれこれ考えてトライしてみることに無駄な事はひとつもないはずです。「試してみて合わなければ、また考えよう」そんな風に、ひとつずつ子どもたちと実験をして幸せに近づけたらいいなと思います。
2016年08月18日「娘は自閉症かも」と母に打ち明けた日Upload By こころ娘が発達障害かもしれないということは、1番身近な存在である義両親にはすぐに話していました。実の母は住んでいる場所も遠くて、ほとんど会うことはありません。それでも話さなくちゃと思い、私はSNSを使って報告することに決めました。「発達相談にも行ってきたんだけど、娘は自閉症かもしれない……」そう送るとすぐに返事が返ってきました。「大丈夫」と言われるのがつらかったあの頃Upload By こころ「1人目だからそんな風に思うんじゃないの?ずっと2人で一緒にいるからそんな風に考えてしまうのよ」「そんなこと言ったら皆がストレスを感じてしまうじゃないの」「3歳まで話さない子なんて沢山いるし、考えすぎ」母から来たのはそんな返信内容でした。その時の私は娘に障害があるかもしれないことを否定されることにうんざりしていました。保健師や心理士、誰に話しても「大丈夫、大丈夫」と言われていたからです。私は娘がただ話せないだけならきっとこんな風に疑ったりしなかったと思います。話せないだけじゃなくて、言葉自体が通じないことや指差しだってしないのに……大丈夫って、一体何が大丈夫なの?自閉症の特性などを話しても母は聞く耳を持ちませんでした。でも母は、自分の知らないことや分からないことはすぐに調べる性格です。今思えば、あの時もきっとすぐにパソコンを使って検索していたのだと思います。診断結果を母に連絡。返ってきたのは意外な反応だったUpload By こころ「診断がおりたよ。やっぱり自閉症だって」母に連絡するとまたすぐに返信が届きました。「そうなんだ。普通に生まれてきても虐待を受けたりして殺されてしまう子だっているでしょう。障害があっても娘は娘だよ。生まれてきたことには何か意味があるんだから」最初は娘の発達の遅れを認めようとしなかった母でしたが、診断を機に娘に障害があることを受け入れてくれました。そういえば、私が娘の自閉症を疑う前に母と電話したとき、母はこんなことを言ってきました。「その歳になってもまだ一言も喋らないって、義両親は何も言ってこないの?」信じたくなかっただけで、本当は母が1番最初に娘に違和感を感じていたのかもしれません。滅多に会うことはないけど、娘のことを少しでも分かってくれる、それだけで充分だと思いました。
2016年08月18日広汎性発達障害(PDD)の原因は?出典 : 広汎性発達障害(Pervasive Developmental Disorders:略称PDD)は、コミュニケーションと社会性に障害があり、限定的・反復的および常同的な行動があることを特徴として分類される発達障害のグループ です。世界保健機関(WHO)の診断基準である『ICD-10』(『国際疾病分類』第10版)の診断カテゴリでは、このグループには自閉症、アスペルガー症候群のほか、レット症候群、小児期崩壊性障害、特定不能の広汎性発達障害という5つの障害が含まれています。広汎性発達障害は、最新の診断基準であるアメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神障害のための診断と統計のマニュアル』第5版テキスト改訂版)では自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害というカテゴリに変更されています。また、広汎性発達障害の障害名、症状の中には自閉症スペクトラム障害の概念では除外されたものも含まれています。ですが、行政や医療機関で広汎性発達障害の名称を使用している場合も多いこと、すでにこの名称で診断を受けた人も多いことから、本記事では『ICD-10』の診断カテゴリに準拠して広汎性発達障害の名称でご説明します。広汎性発達障害のはっきりとした原因はまだ解明されていませんが、脳の機能障害がその原因と考えられており、親の子育て方法が原因で起こるものではありません。このうち、レット障害(レット症候群)についてはX染色体上に存在する遺伝子の突然変異が原因であることが分かっています。ほかの障害についても最近では遺伝的要因の関与が有力視されていますが、必ずしも単純に親から子どもへ遺伝するという意味ではありません。遺伝的要因と環境要因が複雑に相互に影響しあっていることが原因ではないかと言われています。しかしながら具体的な障害の原因やメカニズムは分かっておらず、様々な説が議論されている段階です。広汎性発達障害って治療できるの?出典 : 広汎性発達障害を根本的に治療する薬や手術といった医学的な方法はありません。しかし、広汎性発達障害による困難を緩和・解消するための教育・療育によるアプローチは存在します。本人が困難への対応法を学んだり、困難を未然に防ぐための環境調整をすることで、生きやすい環境を作っていくことが可能です。広汎性発達障害のある人はその特性ゆえに、生活する中で様々な困難にぶつかりがちです。他者の感情の読み取りが困難なため、会話の意図を誤解して受け取ったり、コミュニケーションがかみ合わなかったりする場合があります。抽象的な指示が理解できないために同じミスを繰り返したり、こだわりのため順番やルールを守れずトラブルになったりすることもあります。中には自分に自信をなくしたり、周りに強い被害者意識を持ってしまうこともあります。こういった日々の困難さが引き金となって、うつ病やひきこもりなどのいわゆる二次障害が発現することもあるのです。特に思春期以降の不安障害や気分障害の予防が大切です。広汎性発達障害の特性による困りごとを緩和するのに加え、こうした二次障害のリスクを極力なくすためにも、周りが障害の特性についてよく理解し、どのように対応すれば本人が行動しやすいか、生きやすいかなどを考えていくことが必要です。また、てんかん発作や感覚過敏など、一部の症状に対しては薬物療法によって症状を緩和できる場合もあります。うつ病や睡眠障害などの二次障害に対しても精神安定剤などの薬物治療が行なわれることもあります。これらの二次障害に対する治療の一つとしては、心理療法である認知行動療法の有効性が示されています。広汎性発達障害の治療の判断基準は?出典 : 広汎性発達障害は主に「社会性・対人関係の障害」「コミュニケーションや言葉の発達の遅れ」「行動と興味の偏り」の3つの症状が現れると言われています。専門機関においても上記の3つの症状が見られるかを本人や保護者への問診や本人の行動観察などから評価・判断します。親が気づく子どもの症状としては「視線を合わせない、または避ける」「言葉の発達が遅い」などの症状がよく挙げられます。また、広汎性発達障害のある人のほとんどに何らかの感覚過敏が見られます。例えば、小さな物音を怖がったり(聴覚過敏)、抱っこされることを嫌がったり(触覚過敏)、偏食が多い(味覚過敏)などの感覚過敏があります。広汎性発達障害の症状は上記のように複数存在しますが、特定の症状がでたら治療が必要という明確な線引きはできません。また症状ごとに対処法や治療プログラムは異なります。本人が特性による困りごとに直面している場合、専門家による何らかの治療や支援が必要になると言えるでしょう。障害ではないかと気づいた場合には、まずは近くの保健センターや子育て支援センター、児童発達支援センターなどの専門機関に相談するようにしましょう。広汎性発達障害の治療法と治療を行う年齢は?出典 : 広汎性発達障害の根本治療はできませんが、症状を緩和するためには療育的アプローチと薬物療法の2つが効果的です。■療育療育は何歳からでも始めることができ、なるべく早くから通うことが推奨されます。療育とは、以下のように定義されています。療育とは医療、訓練、教育、福祉などの現代の科学を総動員して障害を克服し、その児童が持つ発達能力をできるだけ有効に育て上げ、自立に向かって育成することである。■薬物療法広汎性発達障害そのものを根本的に直す薬はありませんが、特定の症状を緩和するために使用することがあります。薬によって開始できる年齢や症状が決まっており、人によって副作用がある場合もあるので、主治医とよく相談し、用法用量を守って服薬していくことが大切です。薬物療法は、症状を一時的に抑えるためのものであり、症状が軽減している間に、教育や支援を行うと効果的であるともいわれています。治療を終える判断基準については、根本治療ができないため、はっきりと決まっているわけではありません。ですが、本人が特性への対処法を習得したり、環境調整を行ったりすることで困りごとが緩和されれば、治療が必要のない状態になることも少なくありません。しかし、進学や引っ越し、転職などの大きな環境変化によってさまざまな困難が再発する可能性もあるため、十分なフォローが必要です。広汎性発達障害の具体的な療育法・治療法出典 : 療育の遊びを通じてコミュニケーションの取り方を学んだり、友達を作ったりすることができます。また、ストレスを抱えがちな親にとっても療育の場は相談できる場所であり、同じ悩みをもつ親同士の交流の場所にもなっています。療育の効果は個人差があり、子どもに合った療育が必要となりますが、子どもにとっても親にとっても療育は心の面の大きなサポートになると言えるでしょう。広汎性発達障害の療育方法は様々ですが、下記の4つがよく知られています。それぞれの位置づけは異なりますが、ここでは簡単に概要のみを説明します。■ABA(エービーエー、Applied Behavior Analysis/応用行動分析)人間の行動を個人と環境の相互作用の枠組みの中で分析し、問題解決に応用していく理論と実践の体系です。広汎性発達障害に対する療育だけでなく他の障害や教育、福祉、医療、スポーツ分野でも利用されています。■TEACCH(ティーチ、Treatment and Education for Autistic and related Communication handicapped Children)米国ノースカロライナ州で生まれた、自閉症スペクトラム障害の当事者とその家族を障害支援する総合的なプログラムです。※自閉症スペクトラム障害とはレット障害を除く広汎性発達障害を指します。■PECS(ペックス、Picture Exchange Communication System)絵カードを使ったコミュニケーション援助プログラムです。上記のABAの原理に基づいて作成されています。■SST(エスエスティー、ソーシャルスキルトレーニング)対人関係をうまく行うための社会生活技能を身につけたり、障害の特性を自分で理解し自己管理をするためのトレーニングの総称です。紹介した療育方法はごく一部ですが、療育機関ではこれらの療育理論や方法を複数組み合わせたり、独自のプログラムを利用して、子ども1人ひとりにあった療育方法が行なわれます。広汎性発達障害の根本的な治療としての薬物療法はありませんが、一部の症状に対しては対症療法として薬を使用することがあります。例えば、パニック症状を緩和するためには抗精神病薬、てんかん発作や感覚過敏には抗てんかん薬などが処方される場合もあります。その他様々な症状に対して薬物療法が行なわれますが、薬は一時的なもので、症状が完全になくなるというわけではありません。また薬には副作用が出ることもあります。薬の使用は必ず医者の指示を守りながら使うようにしましょう。適切な治療やサポートを受けられない場合、広汎性発達障害の主症状とは異なる合併症や状態を引き起こしてしまうことがあります。このような症状や状態を、一般的には「二次障害」と言うこともあります。注意すべき症状・状態には以下のようなものがあります。・気分障害(うつ病など)・不安障害・睡眠障害・不登校やひきこもり・アルコールなどの依存症などこのような症状や状態が現れた場合には専門の相談機関や医療機関で早期に相談・治療を開始しましょう。二次障害の治療には、それぞれの症状によって認知行動療法などの心理療法的アプローチや薬物療法などが用いられます。二次障害の予防のためには環境調整や周囲の理解、親や家族以外にも本人が信頼して相談できる人間関係を作ることなどが大切です。接し方で大きく変わる!広汎性発達障害の子どもへの接し方のポイント出典 : 広汎性発達障害のある子どもの中には、使っている言葉の意味を理解していなかったり、遊びのルールを理解するのに時間がかかってしまう子もいます。その際は絵や写真を使うと、理解しやすくなる場合があります。また、あいまいな表現は苦手なので、できるだけ具体的な言い方をするようにしましょう。何度叱っても同じことを繰り返してしまうために、親もイライラしてつい大声で叱ってしまうかもしれません。広汎性発達障害のある子どもは恐怖心でトラウマになりやすい傾向にありますので、大声で叱ってしまいそうになったら一度その場を離れるなど、冷静になるよう心がけてみてください。広汎性発達障害のある子どもが適切な行動を習得するまでには、根気強く教える必要があることを理解しましょう。叱るときには感情的にならず、具体的に注意する方が効果的です。上記でお伝えしたように写真や絵を使うなど、どうすれば上手く伝わるかを試行錯誤することも大切です。手をひらひらさせたり、ぴょんぴょん飛び跳ね続けたりするなど、広汎性発達障害のある子どもの中には同じ行動を長時間続ける常同行動が見られる場合があります。これらは視覚支援によって見通しを持てる環境を作ったり、コミュニケーションスキルを学んだり、適切な遊びにかえることなどで改善することが多いです。無理に止めさせようとするとパニックに陥ることもあるため、何回やったら終わりと決めたり、何か違うことに集中するための課題などを与えてあげたりするとよいでしょう。広汎性発達障害の子どもを持つ保護者は、できないことや、やめさせたい行動が多く目につき子育てが不安になってしまうこともあるかもしれません。ですがマイナス面ばかりに目がいかないように、得意分野を見つけて、できることを増やすことが大切です。また、ちょっとしたことでも褒めることが子どもの自信につながります。広汎性発達障害のある子どもの子育ては通常に比べて少しコツが必要になってきます。家族だけで解決しようとするとつまづくことも多いため、プロの手を借りて、子育ての仕方を学んでいくのもおすすめです。ペアレントトレーニングでは褒め方のコツや上手な指示の出し方、危険な行動を予防する方法などを学ぶことができます。まとめ出典 : 広汎性発達障害の根本的な治療方法はありませんが、療育によってコミュニケーションを取りやすくなったり、生活の困難に対処しやすくなります。そのためできるだけ早く療育をスタートしたほうが、本人の生きづらさも減ると思います。日常生活において不安に思ったりすることもあるとは思いますが、何かあった場合は身近な専門機関に相談してみてください。また、本人にとってよい環境を整えて生きづらさを少しでも減らせるように、周囲の人たちは障害の特性を理解した上でサポートするようにしましょう。
2016年08月17日言葉が理解できない娘に、予定を伝えるときはUpload By SAKURA娘には広汎性発達障害があります。2歳半の頃は自分が今からどこに行くかが分からないと、不安でパニックになってしまいました。この頃の娘は、私の言葉も理解できなかったので、次に行く場所の絵や関係したものを見せて、どこに行くかを伝えようとしていました。でも予定が突然変わると大パニックに…Upload By SAKURAしかし、突然の予定変更で行く場所が変わったときは、いくら説明しても娘には理解できませんでした。娘の行きたいところを後回しにしようとすると、娘はそこに連れて行ってもらえなくなると勘違いして癇癪を起してしまうのです。娘の大泣きに、私もとても苦労していました。数字を理解し始めた娘に、私はひらめいたUpload By SAKURAUpload By SAKURA3歳になったばかりの頃、娘は数字を理解するようになりました。そこで私は、これからやることの順番を数字を使って教えることにしました。娘は「順番」が大好きになった!Upload By SAKURAUpload By SAKURAUpload By SAKURAこの方法が娘にはとても合っていました。娘は「順番」が気に入ったようで、幼稚園に迎えに行くと、毎日毎日今日この後することの「順番」を聞くようになりました。そして、私が言った順番をきっちりと守って行動していました。順番を聞くことで、先の行動をきちんと理解することができ、また先が見通せる安心感につながっていたようです。一つひとつ順番をこなしていく娘は、とても満足そうでした。予定が突然変更になったときでも…Upload By SAKURAこの順番を伝える方法は、以前困っていた突然の予定変更にもとても役立ちました。娘がやりたかったその項目は、なくなったわけではなく、「順番が後になっただけ」と娘に分かるのです。最初は、私が順番を突然変えたりすると娘は怒っていましたが、少しずつ変更を受け入れてくれるようになりました。娘なりのペースで、少しずつ成長しているUpload By SAKURA娘は3歳から4歳半過ぎぐらいまでの約1年半、順番を毎日聞いてきました。「いつまで続くんだろう…」と私はちょっと心配していましたが、5歳になる頃には、娘は私に順番を全く聞かなくなりました。5歳5ヶ月になった娘は、私の話だけで先の見通しを立てられるようになったのです。そして、突然の予定変更にも癇癪を起すことなく、説得だけで理解してくれるようになりました。時間はかかりましたが、娘に合った方法で、娘のペースに任せてゆっくり成長できてよかったなと思います。
2016年08月17日そのカミングアウトは誰のため?出典 : 発達障害とわかったら、周囲の人に伝えるべきなのだろうか?子どもの特性をどういう言葉で伝えるか?…と、頭を悩ませる方も多いかと思います。しかし、「何のために、そして誰に、どう伝えるのか?」と整理して考えると、答えが出てくることがあるかもしれません。紆余曲折を経て、「息子のために伝えよう」と思えるようになった、私なりのカミングアウトをお話します。息子の障害を隠し続けた理由出典 : 息子が発達障害と診断されたのは7歳のとき。今から7年前のことです。当時は学校の先生へは診断名を伝えたものの、周囲の人にはひた隠しにしていました。学校の先生からは「同じクラスの子どもたちには、伝えたらどうか?」という提案がありました。ですが私はそれを断り、通級指導教室に参加するために、息子がクラスを抜ける際も、「毎週病院へ行っている」と、苦しい言い訳をしていました。周囲にバレないように、細心の注意を払い、息子の通級の送り迎えをしていたのです。当時の私には、息子の障害をどう伝えたら良いのか分かりませんでしたし、何よりも親としての余計なプライドを捨てられず、周囲の偏見を恐れていました。今思えば、息子の障害を受容したつもりでいましたが、気持ちの根底には障害を認めたくない自分がいたのかもしれません。もうこれ以上は誤魔化せない!出典 : そんな中、あるきっかけで息子の障害をカミングアウトすることになりました。通級のたび「病院へ行くので授業をお休みします」と説明されることに混乱した息子が、「ぼくは病院へ行っていない!」と学校でパニックになってしまったのです。息子に予定を偽るなんて、この頃の私は自閉症の子どもの苦手な事を、まるで分かっていなかったのだと思います。このまま偽り続ければ、息子がまたパニックを起こす可能性があります。こうして私は、クラスの同級生に「担任の先生から伝えてもらう」ことを決めたのでした。相手は同級生でしたし「自閉症」という障害名ではなく「苦手なことがあって、それをお勉強しに行っている」という通級の説明を中心に伝えることにしました。「子どもたちを通して、保護者の中で噂が広がるだろう!」私は内心、とてもハラハラしていました。しかし、そんなネガテイブな考えとは裏腹に、噂や誤解は広がりませんでした。少なくとも私の耳には入りませんでした。それどころか、困っている息子を積極的に手伝ってくれる同級生が何人も現れたのです。通級へ行く息子を見送ってくれる子、通級から戻ったときに先生を呼びに行ってくれる子、教室に入れず、1人で給食を食べている息子に、おかわりを持って来てくれる子…。こんな同級生の様子を見て、息子よりもむしろ私が救われたのです。伝えることが息子のためになる、とわかり…出典 : 息子と同級生との関わりを見て、「カミングアウトすることで生きやすくなる場合がある」と知り、私は息子の障害を隠さなくなりました。でも、はじめから障害名だけを伝えることや、懇談会などで大勢を前に伝えることは、ほとんどありません。大切なのは、息子のために、協力者となって欲しい人に、分かりやすく伝えるという視点。また、伝え方も工夫しています。「あれが苦手」「こういう配慮は混乱しやすい」など、ネガティブな言葉だけで終わらずに、療育で学んでいる話など前向きな情報も一緒に伝えるようにしています。ネガティブで深刻な話というのは、聞くだけでも気持ちが重くなり、相手が負担に思うかもしれません。私の経験から言うと、周囲の人は、親が子どもの障害と向き合っているという事実に安心するような気がします。怖かったカミングアウトだけれど、伝え方を考えることで深まったのは…出典 : 診断前は、息子の行動や私のしつけに関して、批判されることもありましたが、障害を受容し、療育に励むことで周囲からの批判は収まってきました。私は今、発達障害児の保護者のコミュニティを運営していますので、息子の障害については、かなりオープンにしています。不思議なことに息子の障害をオープンにしてから、あれ程心配していた嫌な思いをしたことは、ほとんどありません。そしてオープンにするにつれて、私自身の障害への理解、そして障害を受容することも、深まってきたと感じています。カミングアウトは、家族それぞれの形があって当然ですし、私の経験は一例にすぎません。場合によっては、言わないということが賢明なこともあるでしょう。ですが、言う言わないはひとまず考えずに、「伝え方」だけイメージしてみるのはいかがでしょうか。子どものために、「学校に」「友達に」「保護者に」、そして「身内に」、どうやって伝えるか?それは様々な場面にいて、子どもが過ごしやすい環境を考えることでもあります。子どもにも周囲にも、メリットをもたらす伝え方を考えることで、そのプロセスがより子どもを理解し、受容させてくれるかもしれません。
2016年08月17日みんなの遊びに入らない息子に、保育園の先生は…出典 : アスペルガー症候群の息子(ハル)は現在小学1年生。今では、友達と鬼ごっこなどにも喜々として参加していますが、保育園の頃は集団に入らずに、よく1人で数字を書いて遊んでいました。保育園の担任の先生は、その様子を見て、息子の友達との関わり方が独特かつ積極性に欠けること、それを問題視しているようでした。気になった私は、息子の普段の様子を聞いてみることにしました。私「お友達と遊ぶことを息子が拒絶する、ということですか?」先生「そうではないのですが、遊びに誘ってもみんなと関わりたがらずに、1人でずーっと数字ばかりを紙に書いているんです」私「それがお友達や先生方のご迷惑になっているのでしょうか…?」先生「いいえ。ただ、もしかしたらハル君は発達障害の特性だけではなく、何か不安を抱えているのではないかと心配で…」後日、息子とほぼ同時期に、アスペルガー症候群(自閉症スペクトラム)の診断を受けることになる私には、このとき先生がおっしゃったことの何が独特かつ消極的なのか、イメージすることができませんでした。「みんなと遊んでるの?」息子に聞いてみることに出典 : その後、先生がおっしゃった「息子の不安」がわからなかった私は、息子に直接聞いてみることにしました。私「みんなと保育園で遊んでる?」息子「ハルは一緒に遊んでいるよ」私「え?どういうこと?先生は『電車ごっことかになると加わらない』って言ってたけど…」息子「電車ごっこの電車には入らないけど、同じ部屋にいて楽しいって思ってるもん」私「なるほど。でも先生やほかの人はそういうのを“一緒に遊んでない”って思うみたいだよ。じゃあ、聞き方を変えようか。みんなと同じように電車の輪に入らないのは、何か理由があるのかな?」息子「見てるのは楽しいけど、入りたいって思わないから。だって、入らなくちゃいけないわけじゃないでしょう?」私「うん、そうだね。私もそう思うよ」息子「じゃあどうして先生はそんなことを聞いたのかなあ?」私「ハルが何かを心配していて、仲間に入りたくても入れないんじゃないかって心配だったみたい」息子「あ、そうなんだ。でもね、別にハルがいなくてもみんな楽しそうだからね、ハルは別の遊びをしながら見ていたいんだ」そのさっぱりした口調からは、「仲間に入りたいけれど入れない」と嘆いているようには感じませんでした。翌日、先生への不信感は増すことに出典 : 息子に本心を聞いた私は、翌日先生に大まかな会話の内容を伝え、私自身はこの現象を息子らしい「個性」と捉え、のんびり見守ることにしました。しかし今度は、担任の先生より「協調性がない」という視点で問題視されました。これまでも、息子の意志をできるだけ尊重してきた私は、「みんなと仲良く一緒に遊びなさい」などの無理強いをするつもりはありません。この会話の後、先生との価値観の違いを感じた私は、ストレスから次第にノイローゼ気味になっていったのでした。年長になり、担任の先生が変わったことで対応にも変化が出典 : 新年度が始まってからしばらくは、保育園の先生方全員に対し、まだ不信感で一杯だった気がします。そのため、新担任のY先生に「今日、みんなでごっこ遊びをするときに、ハル君を誘ったのですが…」と話しかけられたときは、思わず身構えてしまいました。私「…何か問題でもありましたか?」Y先生「いえ、そうではなくて、誘ったんですけど、ハル君は加わりたくないみたいで、ずっと数字を書いていたんです」ああ、また「協調性がない」とのご注意を頂くのかな…とうつむきかけたところ、Y先生「ハル君、すごい集中力ですね!」まさかの褒め言葉が。私「へ…?」Y先生「一緒に遊べなかったのは残念なんですけど、周りが賑やかなのを気にせずに、一所懸命に数字を書いているハル君を見て、すごいなって思ったんです!好きなことにそうやって取り組めるハル君、素敵ですよね!」邪気が一切ないY先生の笑顔に、毒を抜かれた私は、「あああありがとうございます。ここここれからもよろしくお願いいたします」と、どもりながら頭を下げてしまいました。それからもY先生から、協調性の無さを問うような言葉を聞くことは、一切ありませんでした。しばらくして、みんなの遊びに自ら参加した息子。その参加の仕方が息子らしく…出典 : ある日のこと、「今日はハル君も電車ごっこに参加したんですよ!」とY先生からご報告がありました。いつものようにY先生が「一緒に遊ぼう」と声をかけて下さってもそれに乗らず、黙々と紙に数字を書き続けていた息子。今日も見学だけで、遊びには参加しないのかと思いきや、息子は立ち上がってお友達に近づき、数字を書いた紙を配り始めたのだとか。不思議そうにしているみんなに向かって、息子はポツリ。「電車に乗るには切符がいるし、切符を買うにはお金がいるでしょ?」そう、造幣局と切符を売る駅員さんの、二役を買って出たのだそうです。驚きながら話を聞いた私は、息子は自分なりの関わり方を模索していたのかもしれないのだと気づいたのでした。息子が大事にしたかった思い、それは出典 : その日、家で息子に「普段はどんな心境で、みんなが遊ぶ様子を見ているの?」と質問してみました。息子「(自分なりの関わり方を)ずっと考えていたわけじゃないけど、切符とお金を作る役を思いついたときは、嬉しかったよ」私「嬉しかったってことは、電車ごっこに加わりたいって気持ち、少しはあったの?」息子「うん。でもね、運転士さんやお客さんにはなりたいって思えなかったの。それなら見てる方が楽しいから」私「そうか」息子「…あのね、ハルはね、数字を書くのが大好きなんだよ。みんなが電車ごっこをするのと同じぐらい大好きなんだと思う。それはどっちも同じぐらい大事なことだと思ってたんだよ。だから、電車ごっこに入らないで数字を書いていることは良くないみたいに言われるのは、本当に嫌だったんだ」私「そりゃそうだよな、どっちが上でどっちが下とかないもんね」息子「でもね、Y先生はそういうのを言わなかったんだよ。ハルが数字を書くのを『いいよ』って言ってくれてたから、ずっと数字を書いていられたし、だからお金と切符を作る役を思いつけたのかもしれないなあ」相手の「好き」を尊重し、自身の「好き」も尊重されたいと願っていた息子。そんな彼が自分なりの関わり方を発見できたのは、Y先生が息子を尊重し、見守って下さったからでしょう。子どもの「やりたい」を尊重することで見えてくる可能性出典 : 学校などの集団生活で協調性が求められるのは、ごくごく当たり前の話だと、私は思っています。とはいえ、右向け右に従えない子どもにも思いがあり、言い分があるのです。それを無視して「みんなと同じようにしなさい」と押し付けられると悲しくもなるし、場合によってはできることも意固地になって、やらなくなるかもしれません。自分の過去を振り返ると覚えがあります。「できない」「やりたくない」の裏側にある「できる」「やりたい」を尊重することで、欠如しているように見えていた協調性が意外な形で発揮されることもあるのだな、と感じられた電車ごっこの一件。それを思い返すたび、Y先生への感謝の気持ちが、私の心に湧き上がるのでした。
2016年08月16日支援級の先生と相談して決めた、運動会のゴールは…出典 : 急な予定の変更や、予期しない場面への対応が苦手な子どもにとって、大きな学校行事は緊張の連続だと思います。我が家の長男の場合、1年生の時は、母親の付き添いが無くては、学校へ通うのも精いっぱいでした。この年の運動会では、練習はほぼ見学のみ。当日は大音量、人の多さ、暑さ、緊張感等々で気分が悪くなり、早退しました。2年生進級時に、支援級に所属することになり、今度の運動会は学びの機会として、いろいろ作戦を練ることにしました。最初の全校練習では、500人余りの生徒が集まる中で行われました。整列、行進、体操などは、先生の指示通りに動くことはまだまだ難しく、行進1つとっても、周囲とずれると注目を浴びたり、前後の子に手や足がぶつかってプチトラブルになったりします。こうした様子を踏まえ、「開会式から閉会式まで参加する」を長男と先生と私の3人の仮の目標(ゴール)としました。そのゴールにむかって、難題を小分けしたり、長男の身体の感覚に合った難易度に調整していこう、ということになったのです。どうすれば団体競技に参加できるだろうか?出典 : 徒競走や団体競技への参加にもいろいろ知恵をしぼりました。入学をきっかけに、空間認知がより鋭敏になった長男は、練習の待ち時間に押しあいへしあいになると、「やめて!」と言えずに強い力で同級生を押し返しすことが頻発しました。感覚統合セラピーや、コンディショニングなどのアプローチで、感覚を和らげつつ「慣れるまでは、最後尾や端っこに並ばせてもらったり、顔なじみの子の隣にしてもらったりするとありがたい」と、先生に相談しました。綱引きでは、長男が握りやすいようにと、特別に細いロープを継ぎ足し、それを引っ張ることになりました。こうして、もろもろの配慮と参加する度合いは、支援級の先生が「少し頑張ればできる?」として提案したものを、長男自身が「できそう」「無理そう」と判断して全て決めていきました。ダンスの練習で見えてきた、課題と長男に合った支援出典 : 学年で行うダンスの練習では、まず壇上で先生が見本を見せます。多くのクラスメートは自然に真似をしていますが、長男はただ見ているだけで、全く身体を動かしません。この様子から、私は「動かさない」のではなく「動かせない」のだと認識を変えることにし、どうしたら長男が理解しやすいのかを考えてみました。人の動きを見るのに目がついていってない?脳から手足に指令が出るのが遅れてる?目と耳と体を強調させて動かすのが極端に苦手?見て真似しにくい代わりに、「腰に手を当てて天井を見る」「これは”元気だよ”の表現」という具合に、口頭で動きや意味を伝えると、少し動きやすいようでした。これらを踏まえて学校では、・一通りできあがるまではプリントアウトした歌詞を見ながら支援級の先生としっかり見学する(誰が一番上手かな?など見るポイントがあると集中しやすい。)・キーになる音の聞き分けや、わかりすい決めポーズからチャレンジ・隊列変化は図示してもらう・可能な範囲で踊りやすいポジションを選ばせてもらうといったアプローチを試してもらいました。家庭でも、テーマ曲の動画を見るなど、とにかくダンスの音と動きに慣れる工夫をしました。少しでも当日の緊張を減らすため、取り組んだのは…出典 : だんだんと運動会当日に近付いてきました。少しでも急に入る情報を少なくするため、私は1日の流れとBGMの一覧表を先生からもらい、動画サイトで聴きながら、「この曲が鳴ったら入場だね」など、長男と何度もシミュレーションしました。見通しを少しでも楽しめるようにと、先生は「何組が優勝するかなぁ?」と、長男と予想勝負もしていました。練習がラストスパートに差し掛かると、生徒たちもだんだんと一生懸命な雰囲気に。このタイミングで、最初に決めた目標をあらためて、長男と確認することにしました。合わせて、「運動会はお祭りの意味もあるんだよ。当日は観戦、応援を楽しもうね」と伝え、できるだけ長男の気持ちをほぐすよう心がけました。たとえ完璧じゃなくても、いい経験だったと思えるように出典 : いよいよ運動会当日です。徒競走は、直前でやっぱり「あかんわ…!」と出場できず。ダンスでは衣装を着ることができました。輪からはみ出したり、振りを間違えたりもありましたが、将来チャレンジする、高学年の組体操などは、リラックスして見ることができました。そして長男は、当初の目標だった閉会式まで参加することができたのです。「今年はぜんぜん緊張しなかったわ。」「目標、クリアできたな。」そのあと「1番おもしろかったのは?」と訊ねると「まあ、綱引きやな~。負けたけど」。そうか、そうか。運動会以外でも、しょっちゅう飛び出す「無理やもん。僕は出なくていい」という言葉。まずは受け止めて、そのうえで、親としては「ちょっとやってみたら」とも言いたいものです。その時、どこまでを「ちょっと」とするのか、加減が難しいのですが、私は、そのつど長男の表情を見ながらエイヤッと決めています。それでも「あかん!」となることも受け止めながら。残暑厳しく、課題の難易度も年々上がってくるので、来年の運動会はどうなるのか、まだわかりません。でも、せっかくなのでこれからも運動会は、「体を動かす」「ハレの場に慣れる」「勝ち負けを経験する」いい機会として、活かしていけたらなと思っています。
2016年08月15日アメリカ合衆国在住教育関係のITベンチャーでプログラマーとして働く編集部:まずは現在のお仕事からお聞きしてもいいですか?上杉:職種はプログラマー、アメリカで学校関係者が使うシステムを作っています。アメリカの授業って日本と少し違って、先生たちは授業準備のときにプリントや教科書だけでなく、自分の学校に合ったITアプリを探す場合も多いんですね。例えば「この1時間の授業をどう作ろうか」と考えたときに、20分講義、20分グループワーク、最後は20分でデジタル教材で学ぶ、とか。ほら、マインクラフトを使って算数を学ぶのが面白かったりしませんか?編集部:え、そうなんですか?マインクラフトってあのオンラインゲームの?いま、日本の子どもたちにもすごい人気ですよね。上杉:そうそう、それです。そうやって学校の先生が、授業に合ったツールを選ぶんです。先生たちがツールを探す際に使うシステムを、僕は作っています。編集部:どうして現在のお仕事に?上杉:キッカケは偶然ではあるんですけど、僕は中学生のときにアメリカに引っ越してきてからはずっとこっちで育ちました。漠然と、シリコンバレー(AppleをはじめITベンチャー企業の聖地と言われるアメリカの地域)で働きたいなという気持ちがあったので、大学生のときにAppleやFacebookでインターンをして、新卒でシリコンバレーのベンチャーに就職しました。そこから色々とご縁あって今に至ります。算数は得意だったけど、図工はバカにされた記憶しかない(笑)編集部:プログラマーとして働くようになったのは、昔からそういう分野に興味があったんですか?上杉:…しいて言えば、昔からものづくりは好きだったような気がします。ものづくりと言うよりも、ゲーム性のあるものを攻略して、自分で作る事ですね。編集部:例えば…上杉:うーん、あ、小6の夏休みに、自分でRPGを作った事がありました。(RPG:ロールプレイングゲーム)その頃はまだプログラミングが出来なかったので、サイコロを2つ使って出る目の確率を計算しながらゲームを設計していきました。ゲームのストーリーはもう忘れてしまったけど、システムはポケモンに近かった気がします。当時からプログラミングできればよかったんですけどね…出典 : 編集部:確率って、中学の数学で習いますよね?それを小6から?上杉:算数は昔から出来るほうで、低学年のときには中学受験の参考書を読んでいました。教科書が簡単だったから…まぁ友達があまりいなかったので、結果的に自分でゲームを作るとかインドアな遊びにはまっちゃったんですよね(笑)編集部:そうでしたか。上杉:でも得意なのは算数だけで、他は大体苦手でした。国語、体育、図工…暗記系はほとんど出来なかったですね。図工なんか、馬鹿にされた記憶しかないです(笑)編集部: なんだか意外です。上杉:小学校ではクラスに馴染めずいじめられていて、中学から引っ越したアメリカでは英語が喋れずにずっとクラスから浮いていました。勉強も得意不得意の差が激しくて、成績は芳しくありませんでした。いつだって「子どもなりの主張」にきちんと耳を貸してくれた母がいた編集部:親御さんは、学力の差に何ておっしゃっていたんですか?上杉:とくに色々言わなかったですね。でも、僕の興味を遮るような事はなくて、むしろ没頭できる状況をつくる手助けをしてくれたと思います。たとえば、僕はゲームをするよりも攻略本を読んで「ゲームの仕組みを知る」のが好きでした。なので、1つのゲームにつき何種類もの攻略本を欲しがっていました。それを「こないだ買ったでしょ」「全部同じでしょ」なんて言わずに買ってくれました。子どもなりにそれぞれの攻略本が欲しい理由があるってことを、ちゃんと理解してくれたんですよね。そんな風に自分の主張を聞き入れてくれた親には感謝しています。振り返れば、こうやって友達とは遊ばず、1人遊びが好きだったのは失敗を恐れていたからかもしれません。人と比べなければ失敗もなにもありませんしね。自分だけなら、成功するまで続けられるから。そんな上杉さんが「人生の転機」と語る大学時代について、詳しくお話をうかがっていきます。
2016年08月15日発達障害者支援センターとは?出典 : 発達障害者支援センターとは、発達障害のある子ども、大人の方々、またその関係者をサポートするための専門機関です。都道府県や指定都市、社会福祉法人、特定非営利組織によって運営されており、現在は全国に67個のセンターがあります。保健・医療・教育などの機関と連携を取りながら、発達障害のある方や、そのご家族に最適なサービスを提供しています。障害についての相談ができる場所は、市町村の保健センターや、子どもの場合は児童相談所などもありますが、発達障害者支援センターは、発達障害についての相談に特化していることが特徴的です。どのような人が利用できるの?出典 : 基本的に利用対象者は、センターのある都道府県に在住している、発達障害がある本人またその関係者となっています。ここでの発達障害とは、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、ADHD(注意欠陥・多動性障害)、その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものを指すことが多いです。対象年齢は各センターごとに異なり、子どもから大人までを対象とするところと、大人の方を中心にサービスを提供するところとがあります。ご利用の際はお住まいの地域にあるセンターにお問い合わせください。発達障害者支援センターの提供するサービスとは?出典 : 発達障害者支援センターは発達障害に関する様々なサービスを展開しています。以下に紹介する3つの他にも、発達障害への理解をより多くの人に広めるという活動もしており、発達障害に伴う問題・課題解決に尽力している組織です。発達障害についての相談をすることができます。「他人とのコミュニケーションがうまくいかない」や、「集中することが苦手」、「物覚えが悪い」など、日常生活で感じる「生きづらさ」を相談することが可能です。発達障害に伴う様々な課題について適切な支援を受けることができます。例えば知能テストや生活スキルに関する発達検査です。検査を受け、日常生活において得意なこと・不得意なことを確認することにより、これからの課題と対応策を考えて行くことができます。また家族や教育関係者など、発達障害者に関わる方からの相談にも応じており、発達障害のある人への対応の仕方や教育・療育方法についての助言が受けられます。就労に関する相談をすることができます。就労を希望している発達障害者の相談に応じ、ハローワークなどの労働機関と連携することによって発達障害者が就労するのに必要な支援をしています。発達障害者支援センターは、どのように利用するの?出典 : 発達障害者支援センターは基本的に無料で利用することができます。利用の流れは一般的に以下のようになります。まずはセンターに電話をして問い合わせをします。そこで解決が可能な内容もあれば、センターへの来所を求められる場合もあります。初めから来所を希望する場合も、予約が必要なセンターが多いため初めに電話をすることをおすすめします。問い合わせには電話が一般的ですが、センターによってはメールやファックスでの問い合わせも受け付けています。またお近くの発達障害者支援センターを探す際は、以下のウェブサイトをご活用ください。発達障害者支援センター一覧センターに直接行き発達障害についての相談をします。上手く説明ができるように自分の相談したい内容や自分の生育歴について、あらかじめ整理をしてから来所すると良いでしょう。相談内容によっては、引き続き来所をしたほうが良いと考えられる場合や、病院で診察を受けた方が良いと考えられる場合・他の専門機関の支援を受けた方が良いと考えられる場合などがあります。発達障害者支援センターは、必要に応じてそれらの専門機関の紹介を行います。発達障害者支援センターを実際に利用した人は?出典 : 実際に発達障害者支援センターを利用した人はどのように感じているのでしょうか。以下の記事は、発達障害のあるお子さんを持つ母親である、発達ナビライターのヨーコさんによる体験談です。発達障害のあるお子さんを育てる上での悩みを発達障害者支援センターに相談しました。そこで納得できるアドバイスをもらったり、自分の子育て方法を認めてもらったことによって、それまでよりも前向きに子育てに向き合うことができるようになったと言います。「生きづらさ」に悩んだら?発達障害者支援センターという選択肢。発達障害は見た目では分かりづらく、その辛さは他の人から理解されにくいものです。発達障害者支援センターはそんな「生きづらさ」に対して、適切なアドバイスや支援、選択肢を提供してくれる場所です。「辛いのに誰に相談してよいかわからない」、「でも病院に行くのはためらわれる」そんな場合は一人で抱え込まず、一度センターに相談してみてはいかがでしょうか。発達障害情報・支援センター東京都発達障害者支援センター参考書籍:中山和彦・小野和哉/著『図解良く分かる大人の発達障害』(ナツメ社,2011年)
2016年08月15日ADHDと診断される前、息子の行動を叱る日々だったが…Upload By かなしろにゃんこ。これは息子がまだ発達障害の診断を受ける前、小学校2年生か3年生くらいのときのお話です。注意するとすぐに反抗してくる子を「ワガママな子」だと思い込み、甘やかさないように注意して接していました。ある日、息子があまりにも言うことをきかないので、ついついブチッと来てしまい、「ちび捨て山に捨てるから!」と外にある神社に連れ出してしまいました。あんなに口答えしていた息子が必死になって見せた底力Upload By かなしろにゃんこ。捨てられる!と思うと猛ダッシュして親に追いつく息子の足は、大人の走りと同じくらい速かったのです。息子は運動が苦手で、普段は体育の授業はまともに受けないような子です。そんな息子が私をブチ抜く姿を見て驚き、真剣に走る姿がいい感じで「コイツやるな!」と後から笑いがこみ上げてきました。この速さを運動会で出したらきっと一等賞間違いない!本当は運動が苦手じゃないのでは?と思ったのでした。小学校6年間は体育が苦手科目でしたが、中学ではそれ程でもなく、体を上手く動かせるまでに人より時間が必要だっただけなのかもしれません。あの時の私が気づけなかった、育児のコツ。このときの私の行動を振り返ると、子どもを捨てる行為は脅しですから一番やってはいけないことですから、反省しています。私は家を出ていって近所を軽く一周してクールダウンすればよかったのかもしれません。あまりの育児のしんどさに、この子を捨てたい、母親やめたいと思うことも、正直何度もありました。今となっては、当時何に怒っていたのか思い出せませんが、一度離れれば冷静になれるという育児のコツに、このときはなかなか気が付くことができませんでした。ちび捨て山の帰り道に仲直りしたことは、今では親子で笑える思い出話です。
2016年08月14日息子の体力は無限大!Upload By ラム*カナ今年から小学校に入学した長男は、外へお出かけして遊ぶのが大好き。公園で何時間でも走り回ることができる、底なしの体力を持っています。普段の生活ではまず「疲れた」などと口にすることはありません。そんないつも元気いっぱいの息子ですが、唯一“疲れること”があるのです。外遊びが大好きな息子が、唯一苦手なお出かけ先とは…?Upload By ラム*カナ息子が唯一疲れてしまうお出かけ、それは…お買いもの!!公園ではあんなに走り回っていたのに、買い物に付き合わせるとものの30秒でぐったりしてしまいます。「歩いているだけなのにどうしてこんなに疲れてしまうのだろう?」と思った私ですが、・自由に動きたいのに、他人のペースに合わせなければならない・特に物欲もないので、スーパーに興味がなく楽しくないという理由から、公園を何時間も走るより、スーパーを数分歩くほうがよっぽど疲れるそうです。いよいよ夏休み!息子が毎朝言うセリフに、母は思う…8月になって、夏休みになりました。息子は相変わらず早起きして、朝ごはんを食べる前から外でひと遊び。そしてお腹がすいてくると、母を起こしがてら、毎朝こう聞いてきます。Upload By ラム*カナそして私は毎朝思うのです。「買い物♪」って言ってみたいなー!!と。でも、スーパーに連れて行くだけであんなにぐったりした息子を思うと、「買い物だよ!」とは言えなくなってしまいます…いつか息子と楽しくお買い物ができる日を夢見ながら、結局毎日のように公園に行くことになるのでした(笑)
2016年08月13日どんなに嫌がってもしつこく被らせていた帽子Upload By モンズースー今では、長男自ら被れるようになった帽子ですが、赤ちゃんの頃は、何か頭に被せるだけで、怒ってすぐ脱いでいました。当時は車がなかったので、徒歩での外出です。元々髪が薄く、夏場は熱中症などで体調を崩さないか?よく転ぶ子だったので、頭を打って怪我をしないか?心配だった私は、少し強引でしたが、毎回「外に出るときは帽子を被る」と伝えていました。帽子を被っていると、外出先で会う大人に「かわいいね」「素敵な帽子だね」と褒められていた長男。それもあって、だんだん帽子が好きになり自分で被るようになりました。「好き」はだんだん「こだわり」へ…Upload By モンズースーその後、長男にとっての帽子は「被らないとお出かけできない」というこだわりに変わっていき、冬でも最初に教えた麦わら帽子を被る!と言って聞きませんでした。以前、子どものこだわりへの対応として、生活に必要なことは「良いこだわり」に定着させるといいという話を聞いたことがあります。例えば、「信号は青の時だけ渡る」、と伝えるのもその1つですね。長男の帽子へのこだわりは、ちょっと面倒なこともあるけれど、人に迷惑をかけるわけでもないし、夏場は自分から進んで被ってくれると助かるので、良いこだわりかな…と思っています。
2016年08月12日発達障害の「こだわり」から起きた強迫性障害出典 : 強迫性障害という言葉を聞いたことはありますか?忘れ物はないか、手が汚れていないか、ガスの火を止めたか、など確認行為を何度も繰り返してしまうことが主な症状です。周囲から見てもその様子が辛いほど、確認行為を繰り返してしまうというところが特徴です。これは、発達障害の「こだわり」とよく似ているため、周囲から見ると「こだわりなのかな?」と見える事も多いと思います。私は、23歳のときに強迫性障害になり、後になってからアスペルガー症候群と診断されました。ガスの確認からどんどん症状は広がり、確認することや心の中で頭に浮かんだことを取り消したりするので心はいっぱい。自分でも「本当はばかばかしいことをしている」という自覚があり、泣きたくなるような気持ちで、恥ずかしいし、みじめで疲れ果てて、情けなくてたまらない気持ちでいっぱいでした。病院に行くと私の主治医は、「今の君の心のエネルギーはゼロではなくマイナスです。病気になるのにかかった時間の倍かけて治していきましょう。」といいました。「小さなことが気になるあなたへ」子どもの不安障害:親が知っておきたいこと私が、強迫性障害になった原因はどこにあるのだろう出典 : 私の場合、強迫性障害は発達障害の二次障害として現われました。しかしカウンセリングによると、原因は様々で、親子関係での葛藤や自分自身に対するとらえ方の歪みも、強迫性障害に影響を与えていたということでした。このつらい症状は、「心に押し込めている何か」の代わりに症状として出ているのだなと今では納得しています。この障害の本当のつらさは、発達障害の凸凹が理由ではなく、別のところにあるんだと。子どもが強迫性障害になるときも、その原因は心の中にあるのかもしれません。発達障害のある子どもは、驚くほど早い段階でたくさん傷ついています。学校でうまくいかない、自分ではできるつもりなのに出来ていないと言われる、そういった傷つきの積み重ねで二次障害として症状が出るのだと思います。家族の対応の仕方で、私がおすすめしたいこと子どもの強迫性障害は発達障害とのかかわりも強いとされていますし、相談は児童精神科に行くことをおすすめします。児童精神科がどこにあるかわからない場合は、各自治体の発達障害者支援センターに相談するといいですね。発達障害についての相談もできますし、適切な病院も紹介してくれます。強迫性障害の治療は、大人と子どもとで大きな違いがあります。1.SSRIよりも心理支援・社会支援・環境調整が優先される2.いじめやからかいなど、学校生活の順応への支援(スクールカウンセラーや教師との協力も含む)3.親の協力が必須-子供の認知能力のみに頼った治療は難しい強迫性障害で特徴的な症状として、「巻き込み」というものがあります。これは、不安を家族などにぶつけて不安解消を手伝ってもらったり(確認を手伝ってもらったり大丈夫と言ってもらうなど)、自分の不安解消行為(手洗いなど)を家族に強要するといった行為です。巻き込みには応じないのがポイントです。子どもは全力で巻きこんでくるケースが多いですが、巻き込まれてしまうと家族のストレスはそれはもうひどく、本人も自己嫌悪と罪悪感でいっぱいになってしまいます。ただし断り方には細心の注意が必要なので、そこは医師としっかり連携をとっていきましょう。叱ったり怒ったりして無理に止めさせるのは逆効果です。どんなにはたから見てバカらしくても、病気ですので本人はとても苦しんでいます。「いいかげんにしたら?」「バカじゃないの?」など批判的な言葉やからかいは、本人がますます不安になるだけではなく、大きな傷となります。医師から接し方のアドバイスを聞き、本人は病気で苦しんでいることを理解した上で、そっと支えてあげてあげたいですね。症状が軽くなる日を目指して出典 : 強迫性障害はきれいさっぱり治る病気ではありません。私は今でもストレスがかかると確認行為が出ます。ですが、治療を続けた結果、今では症状が出ても「ああ、またストレスがかかってひどくなっているんだなぁ」と以前よりは余裕を持って捉えられるようになりました。一歩進んで二歩下がることだってあります。でも、あきらめずに環境調整したり、治療を受けていたら必ずトンネルから出る日は来ます。焦らず、医師や周りの人にも助けを求めながら見守ってあげてください。
2016年08月12日息子の得意を伸ばそうと選んだはずだけど…Upload By GreenDaysみんなと同じやり方をしても、なかなか思い通りにいかないのが、発達障害児の子育て。しかし、1つでもその子に合ったやり方が見つかると、大きく成長することがあります。自閉症の息子は来年小学生。身体が弱く苦手な事も多いため、自己肯定感が下がってしまう機会も多いのですが、何か1つでも自信を持ってできる事を見つけてあげたくて、息子の好きな算数を公文でやらせてみることにしました。公文を始めた当初は、楽しそうでサクサクと進んでいたのですが、計算が繰り上がりに差し掛かると、途端に進みが遅くなり、1枚のプリントに数10分かかるように。1問解くたびに「ママ、これで合ってる?」と聞くようになり、「1枚終わったら丸つけをするから」「間違ってもいいから、自分できちんと考えなさい」と何度話しても、1問ずつ答え合わせをしないと次に進めなくなっていきました。「息子の得意なこと」が、つまづきの原因だった?出典 : なぜこんなに不安に思うのだろう?間違えるのが嫌だから?どこにつまづいているのか疑問に思い、発達検査の結果を見直してみると…WISC検査の結果から、息子は複雑な思考が苦手ということがわかりました。しかし、それを補うように右脳に発達していて、見たものを丸ごと記憶する能力は秀でています。この検査結果を見直してから気づいたのですが、実は息子は、苦手な部分を補うべく、計算問題の答えを丸暗記していたのです。だから1桁+2桁になると、パターンが多すぎて暗記しきれず、1問解くたびに「(自分の暗記は)合っているか?」を確認していたのですね。息子は、暗記力が強かったから算数が得意に見えただけで、自分で考えて答えを出してはいなかったのです。「道具を使うのが好き」が大きなヒントに出典 : 「息子が暗記に頼らずに、自分で考える力を身に付けるにはどうしたらよいのだろう?」そう考えた私は、目で覚えるのが得意な息子が概念を理解しやすいようにと、ブロックを使って一緒に計算したり、紙に書いてみたりして試行錯誤を繰り返しました。しかし息子は、なかなか「答えを暗記する」方法から脱することができません…思い悩んでいた私に解決のヒントを与えてくれたのは、なんと姪っ子でした。二人で算盤(そろばん)の話をしていたときのことです。「私は道具を使って何かをするのが好きなの!紙と鉛筆だけでお勉強するより、ずっと楽しい!」という姪っ子の言葉を聞いてハッとしました。そうです、息子も「道具を使うのが好き」なのです。iPadやパソコンの操作が好きで、そこからあっという間に、いろんな知識を吸収していきます。それはきっと「自分がこの操作をすれば、瞬時に必ず同じ反応が返ってくる」という安心感が大きいのでしょう。ならば、算数も道具を使えばいい。自分が数字を入れて正しく操作すれば、必ずいつも同じ答えを返してくれる。そんなそろばんは、息子にぴったりだと思いました。息子に合った方法が見つかったとたん…出典 : 今まで何かを計算する時は、目を斜め上に向け、記憶の中から正解のカードを引き出そうとしていた息子でしたが、そろばん教室に通い始めて1ヶ月で、大きく変化しました。そこにそろばんが無くとも、人さし指と親指を使って宙で玉を動かし、1人で正しい答えを導き出せるようになったのです!おまけにたし算だけではなく、ひき算も出来るようになりました。公文を続け、あのまま1問ずつ暗記を頑張らせていたら、ここまで算数を好きにならなかったかもしれません。正しく玉を動かせば、正しい答えが返ってくる。「自分で計算ができる!」ということが、たくさんの自信を息子に与えてくれていることを、日々実感しています。そろばんに出会えて本当に良かったと思います。親は親、子は子。息子本人に合った方法を見つけられるように出典 : 今回の出来事を通して、人は誰しも得意なことや苦手なことが違うということを改めて痛感しました。実は私も幼い頃に、そろばん教室に何年も通っていたのですが、頭にそろばんを思い描くことができなかった経験もあり、息子の習い事の候補からは、完全にそろばんを除外していました。親は親、子は子。頭ではわかっていたつもりですが、本人の持つ特性によって、合うものは1人ひとり違うんですよね。息子に合った方法を見つけるのは、とても大変です。でも、そのことをよく頭に置いて、これからもいろいろな方法を探っていきたいと思います。
2016年08月11日娘のおもちゃが無くなると、いつも探すのは…Upload By こころ娘は言葉の発達に遅れがあり、少しだけ発語はありますが、会話ができません。このため、遊んでいたおもちゃが無くなっても、「どこにあるの?」と聞くことができません。私は、娘が色々な物を家のどこかに置いてくるたびに、探し回っていました。娘は自分が何処に置いたのかを覚えているみたいなので、本当は本人に聞きたいのだけれど…。そうだ!娘の得意な遊びがあるじゃない…!先日も、おままごとのコップが足りないことに気付きました。娘は物を並べることが大好きで、同じ形のものを見るとつい並べたくなってしまいます。それならば!と、私がコップをテーブルに並べると―…Upload By こころUpload By こころ「コップどこ?」と聞いても無反応だった娘が、テーブルに並べられたコップを見て、すぐに足りないコップを持って来てくれました。全て揃ったコップを眺め、とっても満足そうです。娘の障害を認めたくなかったあの頃…Upload By こころ幼い頃から、恍惚とした表情で物を並べ、何度も入れ変えては、色々な角度からいつまでも眺めていた娘。それは、積木、カードから、ジュースのパック、スリッパまで…同じ形のものは何でも並べて遊んでいました。自閉症の子どもは、物を並べる遊びを好む、ということは知っていました。でも、娘が自閉症であると思いたくなかった私は、この遊びを見つけた時、正直に言うとゾッとしましたし、何度見ても鳥肌がたちました。娘は自閉症かもしれないと疑っていたのに、本当は信じたくなかったのです。ですが、今はこの遊びを見ていると、何を考えてるのかな?どんな気持ちでやってるのかな?と思え、楽しそうに遊ぶ姿にクスッと笑えるようになりました。こんな風に、探し物を見つける時に役に立つことに気付き、時々持ってきて貰います。同じ形の物を探す時だけですけどね。
2016年08月11日4歳になった娘。一度火が点くと話を聞かなくなり…Upload By SAKURAUpload By SAKURA広汎性発達障害のある娘。4歳になるとだんだんこだわりが強くなり、一度泣き出すとなかなか私の話を聞いてくれなくなりました。泣き続ける娘に私もイライラ…イライラ…泣く子を怒るとさらに泣く…火に油を注ぐとわかっていながら、ついつい怒鳴ってしまっていました。正直言ってもう疲れた…思い切って主治医の先生に相談するとUpload By SAKURAあの大人しかった2,3歳の頃の娘を考えると、反抗するのは成長の証…頭ではわかってはいても、日常の揉め事にうんざりして、だんだんと疲れてきます。ちょうどそんな時期、半年に一回の発達外来の検診がありました。「最近どうですか?」と聞かれた私は、「疲れました…」と正直に現状を話しました。先生がくれたアドバイスに衝撃!Upload By SAKURA娘との関係について相談すると、先生はこう言いました。「まずは気持ちを同調してから、話を進めてみてはどうですか?娘さんは、自分の気持ちを言葉にして表現することが苦手だから泣くんです。泣いている理由や嫌な理由を、お母さんがまず代弁してください。それから気持ちの同調をしてあげてください。お母さんが自分の気持ちをわかってくれていると思えれば、娘さんも落ち着くと思いますよ。この信頼関係の土台を作ると、だんだん話をしやすくなっていくはずです。」Upload By SAKURAそう言われて思い返してみると、私は娘の気持ちの代弁も、同調も全くしていなかったことに気づきました。娘は泣いて訴えていました。訴えていたのにその話を聞かずに私は怒っていたのです。気持ちが伝わっていない状態で怒られたら、誰だって話を聞きたくないはず…私はその助言に衝撃を受けました。「気持ちの代弁」「気持ちの同調」をやってみると…Upload By SAKURAUpload By SAKURAその日から私は、話をする前に「気持ちの代弁」と「気持ちの同調」をやることにしました。娘が泣き出したり、怒りだしたりしたときに、「そっか~○○だったんだ~○○したかったんだ~」と気持ちを代弁し、それに対して「わかるよ~ママもそうだよ~」と気持ちを同調します。その後、落ち着いてきたら「でもさ、○○したした方がいいと思うんだよね~どうかな~?」と言います。以前なら最初に言っていたこちら側の要求を、「気持ちの代弁」と「気持ちの同調」の後に話すようにしたのです。これを何度も繰り返していると、娘は私の話を最初から聞いてくれるようになりました。嬉しい気持ちのときも忘れずに!Upload By SAKURAUpload By SAKURAこの「気持ちの代弁」「気持ちの同調」は、トラブルが起きた時だけではなく、いつでもどこでも出来るコミュニケーション方法でした。他人から見れば、少し大げさ?と思われるくらいのコミュニケーションを繰り返していき、娘と「嬉しい!」「楽しい!」という気持ちを共有することで、私と娘のつながりは強くなっていきました。娘は泣いているときや怒っているときも私の話を落ち着いて聞けるようになり、娘と私との間に信頼関係が生まれたのが自分でもはっきりと分かりました。娘が話を聞けるようになった今でも、この「気持ちの代弁」「気持ちの同調」のコミュニケーション方法は続けています!
2016年08月10日気持ちをうまく表情にできず、コミュニケーションが苦手な息子Upload By たっくんママ息子には発達障害があり、幼児期から人の気持ちなど目に見えないものを想像するのが苦手でした。保育園に入ると、相手の表情を読み取れなかったり、息子の表情と気持ちがちぐはぐだったりで、お友達とのコミュニケーションがうまくできませんでした。例えば、保育園とのお友達に嫌な事をされたとき。「やめて」と少し怒っていい場面でも、息子はにこにこ笑いながら「やめて」と言うため相手に全く伝わらず、喜んでいると思われてしまったこともありました。年少で入園したとき、息子の関心は人より物が中心!年中になって、人への関心が増えてきた分、気持ちを顔に表す練習も必要だと感じました。絵本を使って、いろんな「かお」を楽しく学ぼうUpload By たっくんママ相手の表情にも興味を持ってほしい、自分の気持ちも色々あると気づいてほしいと思っていたときに出会ったのが、柳原良平さんの「かおかおどんなかお」です。どんな絵本なのかというと…とにかく、顔・顔・顔のオンパレード。たのしいかおかなしいかおわらったかおおこったかおといった表情の「かお」が1ページごとにかいてあります。喜怒哀楽だけではなく、あまーいかおいじわるなかおたくましいかおなど、たくさんのバリエーションがあります。「かおかおどんなかお」著:柳原良平絵本を使った親子のコミュニケーションで、息子は大成長!息子に最初に読んだときはあまり反応を示してくれませんでしたが、少し経ってまた読んでみると、息子とコミュニケーションをとりながら絵本を楽しめるようになってきました。読みながら「これはどんな顔~?」と息子に聞いてみたり、私が絵本の顔をマネして息子に見せたり…慣れてきたら、「このページのおこった顔と同じ顔をしてみて!」と言って息子と顔遊びをしたりと、色々な楽しみ方があります。息子は特に、「できない」「嫌だ」「分からない」「大変だ」などマイナスの言葉を使うのが苦手なところがあります。でも、相手に助けを求めたいときに自分のマイナスな気持ちを伝えることは大切です。良い気持ちだけではなく、マイナスの気持ちも表現していいんだよと伝える上で、この絵本はよいヒントになりました。幼児期からこの絵本を使ったり、少しづつ練習を重ねたことで、小学2年生の今は人の顔を見る回数も増えたり、息子の表情や表現も豊かになってきました。マイナスな感情も表現できるようになり、困ったときに助けを周りの人に求められるようになりました。息子は自分の気持ちと相手の気持ちに目を向けることで、少しずつ周りとコミュニケーションがとれるようになったように思います。大切なのは、子どもが「気持ち」に関心を持てるようになることUpload By たっくんママ他にも、自宅で年長のときから表情ポスターを使って、折に触れて楽しみながら気持ちに目を向けるようにしています。このポスターは、学校によっては特別支援学校や支援級の授業で使われていたりもするそうです。「かおかおどんなかお」のほかに、森田ゆりさんの「気持ちの本」もおすすめの絵本です。「気持ちの本」著:森田ゆり大切なのは、子どもがいつでも自分や他人の気持ちに目を向けられるようになることです。もし、私と同じように「子どもが気持ちを上手に表せない」「もっと人の気持ちに関心を持ってほしい」「子供の表情がとぼしい」と困っているお母さんがいたら、「かおかおどんなかお」の絵本をぜひ手に取ってみてください。親子で絵本で盛り上がって楽しみながら、ソーシャルスキルの練習ができますよ。
2016年08月10日娘を「人並み」に育てなくては!と厳しかった主人子どもの障害を受け止める過程というのは、人それぞれだと思いますが、夫婦で考え方が大きく違う場合は、少し時間が必要なようです。主人は発達障害の娘が小学生になると、それまで気付かなかった「周りの子どもとの違い」を感じ始めました。そして、娘を人並みにするために人並み以上の努力を強いたのでした。「電気がつけっぱなしだ」「ドアがきちんと閉まっていない」「自分が出したものは自分で片付けなさい」家の中で、娘はいつも父親の注意を受けていました。私が娘の障害について「特性というものがあって、厳しくすれば本人も落ち込む」と説明しても、「このままで困るのは本人だ。俺は本人が将来困らないように言っているんだ」と、聞き入れようとしませんでした。増えてゆく夫婦喧嘩主人と私の「子どもの障害に対する考え方の違い」は日に日に大きくなっていきました。Upload By 荒木まち子娘が中学で一般級を希望した時は、「一般級を臨むなら人並み以上に努力しろ」「俺は普通に学校に行って結婚して欲しいと思ってるんだ」と自分基準の"普通"を押し付けるのです。夢にまで見るほどにそれほど主人の"普通"に対する信念は強く、「娘が普通になった夢」を見るほどに。Upload By 荒木まち子主人の娘に対する期待は変化し…それからしばらくして、主人に変化が現れたのは、娘が中1の秋、発達検査の結果を聞きに病院へ同行した頃でした。Upload By 荒木まち子それまで「努力すればなんとかなる」とかたくなだった主人が、検査結果を聞いて途端に弱気に。夫も夫なりに、娘の将来を心配していたんですよね。ある「お父さん」からのメッセージを読んで…主人との考え方の違いに悩んでいたとき、あるお父さんブロガーさんから頂いたコメントがあります。「男性の場合は『社会経験から努力することに意義がある』という思考が先行するのでやむを得ないと思います。旦那さんが変わっていくには、氷が溶けるように多くの時間と月日を要しますね。」このコメントを読み、私も「発達障害のある子どもを持つ父親の気持ち」が少しわかったような気がしました。確かに、娘を厳しく叱っていた頃と比べると、主人の固定観念は氷が溶けるように少しずつ少しずつ変化していきました。母親に比べ、子どもと接する時間が圧倒的に少ない父親が、子どもの障害を理解し受容するのには長い長い時間が必要なのだと思います。
2016年08月09日夢に向かって思い切って挑戦できたのは、父の言葉のおかげ編集部:今回は、親子関係についてお伺いできればと思います。例えば進路を決める時期は保護者も本人も保守的になりやすいと思うのですが、女優という挑戦を伝えた時は、ご両親はどんな様子でしたか?津田:そうですねえ。でも私はいつも長い将来のことまでは全く考えていないく、その場その場で決めてた気がします。でも、家族がちゃんとサポートしてくれた。その安心感があるから挑戦しやすかったんだと思います。編集部:挑戦しやすさ、ですか。津田:今思えば、父は将来私の仕事場を作ることを考えてくれていたのではないかと思うんです。「コーヒー屋やろうかなあ、そしたら絵理奈も働けるしなあ」なんて。そんな風に「働ける場所は作るから、安心して好きなことしなさい」というようなメッセージをよく会話の中で言ってくれていたような気がします。父ははっきりと言わないのでもしかしたら違うのかもしれないけど、私はそう感じていました。編集部:そうなんですね。津田:だからあまり「出来なかったらどうしよう」とは考えていませんでしたね。編集部:それは、事務所に応募するときも…?津田:多少迷いましたけど、聞こえない女優さんのロールモデルもいたらから「このひとがいるなら、うちもやれるわ」って踏み切れました。憧れの人との共演、自分の気持ちを信じて良かった津田:ロールモデルというのは、難聴で女優の忍足亜希子さん。高校の廊下にお芝居のポスターが貼ってあり、踏み出すキッカケになりましたね。女優として初めて舞台に挑戦した際に共演した方が、忍足さんに会う機会をつくってくださって…編集部:え!憧れの方にお会いできたんですね!津田:はい、それはもう嬉しくて嬉しくて。あの時勇気だして応募して本当によかった…そう思いましたね。食事に連れて行ってもらったんですけど、緊張しすぎて何を話したかは全く覚えていません(笑)編集部:あはは(笑)親が怒るのは、応援してくれている証拠だから編集部:現在津田さんは子育て中なんですよね。お子さん、インタビュー開始から約1時間ほど、とても静かに待ってくれて…津田:普段はもっとやんちゃなんですけど「今は仕事なんだ」ってわかっているのかもしれませんんね(笑)編集部:子育てで大事にされている事はなんですか?津田:今はまだ小さいのでいっぱい話しかけることを意識していますけど、将来はたくさんの選択肢を見せてあげたいなって思います。編集部:選択肢、ですか?津田:はい、私の親がそうだったように子どもには色んな道を見せてあげたい。少し覗いてから、本人が自分で選べばいいと思うんです。編集部:なるほど。津田:私は、学校と家だけの生活が長かったので、友達との間に居場所がないと感じて不登校の時期もありましたけど、親はどんな時も味方でいてくれました。味方といっても、怒られることも、意見が違うこともありました。それは良いんです。そういうの含めて「親だけは絶対に応援してくれている」そう感じていました。心強くて、とても幸せで嬉しかったです。だから、私もそんな親でありたいなと思っています。【完】
2016年08月09日親が子どもの発達障害を受け入れられるようになるまで出典 : お子さんに発達障害があることが分かったとき、まず最初に「なんとかしたい」「どんなことをしてもいいから、普通の子にしたい」と考える親御さんも少なくないと思います。でもそんな親でも、専門家の先生から「子供に無理にストレスを与えてはいけません。逆効果です。」「子供のあらゆる行動は、子供の『こうしたい』という自己主張なので、子供の全てを受け入れて抱きしめて下さい」と言われると、当初の「普通の子にしたい」という思いから、「発達障害を何とかしようというのは間違っていた。子どものすべてを受け入れなければならないんだ」という気持ちにだんだんと変化していくようです。本当にお子さんの「障害を受け入れて」いますか?出典 : この気持ちの変化は、お子さんのありのままを受け入れて、お子さんに本当に必要な教育やトレーニング、支援方法は何なのかを考え得るために大切なことです。しかし、お子さんの「障害を受け入れる」ということの意味ををはき違えてしまっている保護者の方も多いように思われます。例えば、障害がない兄のことは厳しく育てていたのに、弟に発達障害があると分かった途端に何もしなくなり、なんでもその子の自由にさせているご両親がいました。その子が人の物を壊しても、「この子はこうしたかったんです。分かってください」といって、子どもに「謝る」というコミュニケーションをまったく教えようとしません。他にも、「この子は今まで大人しかったが、最近は癇癪がでてきた。これも立派に自己主張するようになったということ。成長を感じるよ。」と言っている保護者の方がいました。もちろんそういった場面でお子さんの成長を感じる場面はあると思います。でも、その方はあまり嬉しそうな顔をしていませんでした。これは本当にお子さんの「障害を受け入れている」と言えるのでしょうか。子どもの発達障害に向き合うということ出典 : 私は、「発達障害を何とかしよう」と考えることは、「障害を受け入れていない」ということにはならないと思います。むしろ、子どもに障害があることが分かった後「この子は障害があるから」と言って、その子が社会に適応するための支援や教育を何もしないことこそ、「障害を受け入れていない」ことになるのではないでしょうか。そういった親の教育の仕方は、問題を後回しにしているだけのように私は思います。私の娘は学校での勉強を習得するのに、他の子どもたちの何倍も時間がかかります。もしかすると、娘は他の子どもたちと同じように勉強ができるようになることは難しいかもしれません。でも私は、発達障害を理由に娘の成長を諦めたわけでは決してありません。私は娘に、勉強はほどほどにして家事を教えることにしています。娘には、洗濯物を干してもらったり、味噌汁を作らせたり、ご飯を炊いてもらったりしています。障害のある私の娘には、こういった社会に適応するための教育こそが必要なのです。確かに今はできなくても、成長とともに出来るようになることもあります。しかし、親が子どもの障害をきちんと受け入れられれば、子どもが将来自立して生きていくためには何を教えればよいのかが見えてくるのではないでしょうか。子どもが将来、社会の一員として生きていくために出典 : 障害のある子どもでも、将来は社会の一員として自立して暮らしていく必要があります。そしてそのように生きる権利もあります。そのため、障害があろうとなかろうと、社会で生きていくうえで最低限必要なスキルやマナーは身につけている必要があると思います。もしかすると、障害のある子どもとない子どもの育て方は違うと考えている人が多いのかもしれません。しかし、「その子の得意な部分を見つけて伸ばしてあげるようにすること」が親の役目だとするならば、基本的には変わらないと私は考えています。子どもにいろいろなことを経験させることで、その子のの得意不得意が分かると思います。その経験をさせるきっかけを与えたり、その後に子どもにとって適切な支援は何なのかを考えることが、本当に親がやらなければならないことではないでしょうか。どんな子どもでも、社会で生きていく1人の人間として育てる事に変わりはありません。子どもの障害を本当に受け入れられたのであれば、社会で生きるために必要なことを一つずつ教えていくのが、親の役目だと私は思っています。
2016年08月09日不登校になって1年。息子は落ち着いているけれど…出典 : 発達障害のある息子が小学校で不登校になってから、1年が経とうとしています。振り返ってみると、本人にとって家庭はとても居心地がよかったようで、精神的にもどんどん安定していきました。嬉々として好きな事に没頭し、今その時だけを楽しみながら落ち着いた日々過ごしている息子。でも私のほうは、そんな息子を見て「よかったなぁ」と手放しには喜べませんでした。この1年間、悩みを抱え込みがちな自分の性格も相まって、私は不安と期待と心配とが目まぐるしく入り混じる複雑な思いで過ごしていたのです。私ひとりで息子を支え続ける自信がないから、不安だった出典 : 息子は今この時を思う存分満喫している様子で、将来については特に何も考えていないように見えました。私はそんな息子を見て、どうしてもイライラしてしまうことがありました。息子とは何度も将来についての話をしているし、私の気持ちもぶつけているのですが、焦っているのは私だけで、息子には何も響いていないように感じたのです。息子はこの後もずっと学校に行かないままなのだろうか?息子自身が自分を律して、受験や高卒認定などに取り組む日は本当に来るのだろうか?そうやって考えているうちに、私は自分の不安の元にたどり着きました。「中学生になった後、ただでさえ親子関係が難しくなる時期を、学校という場所なしに乗り越えることはできるのだろうか?」息子の将来に対する不安は、今後の子育てに対する自分自身の不安も原因だったのです。これから先反抗期にも突入していく息子をひとりで支えきる自信が、私にないことに気がつきました。息子だけでなく、自分のためにも必要だった「他人」の存在出典 : 息子は次第に一人で行動する事も増えてきました。親の言うことを素直に聞かなくなるような年頃にもうすぐなることを、私はなんとなく感じていました。今は落ち着いて過ごせていますが、そんな年頃になれば私と衝突することが増えて、また居場所がなくなってしまうかもしれません。息子がそのような状態になれば、私のほうも今以上にストレスを感じ、親子関係が悪くなってしまう可能性があります。息子の将来のために、そして自分のために、今の私ができることは何だろう?考え抜いた末、「今のうちに、息子と信頼関係を築いてくれる親以外の人と、息子との関わりをつくっておこう!」ということに行き着きました。自分の思春期を振り返っても、だんだん親には素直になれなくなり、むしろ他人の方が自分の話をしやすく、意見も聞き入れられたような気がします。学校に行っていない息子がそうなったとき、支えになる親以外の存在が必要だと考えたのです。息子が、積極的に外へ出る機会を自らつくることは、おそらくまだ難しいでしょう。ですが外に出るきっかけをもたらしてくれるような人や場所との繋がりさえ私が作っておけば、きっと息子の助けになる日が来るに違いないと考えたのです。それに私も、1人だけでは息子を支える自信がありませんでしたが、他にも息子を見守ってくれる人がいれば、何とかやっていけると思えるようになりました。息子の不登校を通して、私自身が成長したこと出典 : これまで私は、他人に助けを求めることが苦手で、全部抱え込んでしまうタイプでした。でもこれは、息子の将来のためにも、自分のためにも必要なことです。これを機に、以前より気軽に周りの人に頼ることができるようになってきました。自分や息子のことで周りに頼るということをためらってしまうこともまだまだあります。でも、やはり私一人の力だけでは限りがあります。それに、私がいないところで息子が困ったとき、助けてもらえるようになって欲しいのです。ドキドキしてしまうこともたくさんありますが、周りの人たちにも助けてもらいながら、これからも息子と一緒に前を見て歩いて行きたいと思っています。
2016年08月09日きっかけはお医者さんの一言。咳込みがちな娘にマッサージをしてみると…出典 : 発達障害のある子どもは、心に様々な不安やストレスを抱えていると思います。私の娘も発達障害があり、小さいころから心や体に強い緊張を感じている様子でした。そんな娘に、私は小さいころから今までずっとアロママッサージをしてきました。マッサージは身体のリラックス以外にも、さまざまな効果があるようです。私と娘の体験談をご紹介します。最初にアロママッサージを娘にしてみようと思ったのは、接骨院の先生の一言がきっかけでした。「うちの娘、寝入るときに咳き込みがひどくてかわいそうなんです」「咳き込みがひどい子は肩甲骨と肩甲骨の間が固くなっているので、そこをほぐしてあげるとラクになりますよ」なるほど!でもまだ3歳だし、ほぐすといってもどうしたらいいのか分かりません。そんなときにひらめいたのがベビーマッサージでした。ベビーマッサージとは、親子でスキンシップをとる方法のひとつです。マッサージすることで子どものストレスが解消し情緒が安定したり、睡眠時間が長くなって夜泣きが軽減したりすると言われています。またママにとっても、赤ちゃんに触れる事で女性ホルモンの分泌が増え母性が高まったり、ホルモンバランスが改善して精神的に安定したりと、良いことがたくさんあるようです。さっそく娘が寝る前に、手のひらにアロマ専門店でおすすめされたオイルをつけて、滑らすように背中をゆっくりとマッサージをしてみました。するとあんなに咳こんで苦しそうだった娘が、すやすやと眠り始めたのです。マッサージをしている私まで、かすかに香るラベンダーの香りと、娘のぬくもりですっかり癒されて眠ってしまいました。その後娘は大きくなってもずっと、寝る前になると「ママ、アロママッサージして」とねだるようになりました。娘の心の緊張も癒す、アロママッサージ出典 : 娘は後に、アスペルガー症候群と診断されました。とても繊細でいつもどこか張りつめている様子だった娘は、保育所の頃は先生が他の子を叱るだけで自分まで緊張で体が動かなくなったり、「眠るのが怖い」と夜に泣き出したりしていました。そういうときにゆっくりと腰から背中、肩のあたりまでオイルをつけてマッサージをすると、緊張やストレスでゴリゴリとこわばった娘の身体から力が抜けていくのを感じました。また、小学生になると神経性の胃痛がおこるようになりました。ひどいときは「脳に痛さがきて死ぬかと思うほど痛い」そうで、恐怖のあまりパニック状態になることもあります。そんなときにもアロママッサージをすると、娘には効果がありました。背中をマッサージすると、娘はそのまま眠ってしまったり、トイレに駆け込んでお通じがきて落ち着いたりということもよくあります。発達障害の子どもたちは小さなころから傷つくことが多く、ストレスも溜まっていると思います。アロママッサージは、そんな子どもたちの身体だけでなく、心にあるこわばりもゆるめる効果もあるようです。私の実感では、精神的なパニックにもよく効きます。マッサージをきっかけに、思春期の娘とコミュニケーション出典 : 普段は人に体に触れられるのを嫌がる娘ですが、中学2年生になった今でも、時々「アロママッサージして」と言ってきます。3歳のころに比べてすっかり広くなった背中をマッサージしていると、ポツリポツリと今までため込んでいた気持ちを話してくれることがあります。もしかすると娘はただ体をほぐしてほしいだけではないのかもしれません。娘にとってマッサージは、普段はなかなか私に話しづらいことを口にする、コミュニケーションのきっかけにもなっているみたいです。アロママッサージは、高齢者施設や震災の際のボランティアにもよく使われています。人の手のぬくもりと、天然のやさしい香りが人の心をほぐしてくれるのかもしれません。あまり難しく考えず、さすってあげるだけでも十分ですよ。子育てに取り入れてみてはいかがでしょうか?
2016年08月08日相模原で起きた障害者殺傷事件に寄せて出典 : 月26日未明、神奈川県相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で元職員の男が刃物を持って侵入して入所者らを次々に刺し、19人が死亡、26人が負傷する事件が起こりました。逮捕された容疑者は、「障害者は不幸を作ることしかできません」「安楽死にすればいい」などといった発言を犯行前後にしており、私も、知的障害のある子を持つ母として、非常に悔しい思いで、涙が出てしまいました。テレビやインターネット上でも、この容疑者の言動や人格の異常さを非難する声が多く見られますが、そうした意見を目にするなかで、私にある問題意識が浮かんできました。この犯人を「異常な心理を持つサイコパス」とし、“別世界の人“と見てしまうだけでよいのだろうか?実際にこんな事件を起こさなくても、同じような考え方の根っこを、まだまだ世間や私たちは持っていないだろうか?そしてそのような考え方を子どもたちが持つきっかけを、私たち大人が与えてはいないだろうか?今回の記事では、『1人でできる子に育つテキトー母さん流子育てのコツ』の著者、立石美津子が、障害のある人への排除の問題と、インクルーシブな共生社会に向けた考え方をお話します。世間にまだまだはびこっている、「障害者差別」の考え方出典 : 近年は障害者差別解消法の施行やインクルーシブ教育の浸透によって、以前よりも障害者に対する偏見は改善しているようにも見えます。しかし、障害者に対する差別的な姿勢は、世間からまだまだ消えていないように私は思います。今回の事件の報道のあり方にもそれが表れているでしょう。今回の事件で、殺された被害者の実名や写真が何日経っても報道されないことについて、私は疑問に思っていたところ、以下のような記述を発見しました。県警は26日の事件発生以降、被害者名を「A子さん19歳」「S男さん43歳」などと記号化して公表している。非公表の理由は「(現場が)障害者施設で障害者という条件のため。遺族による強い希望もあり、そのような判断をした」という。私はここで、「何がなんでも被害者名を報道すべきである」ということを言いたいわけではありません。被害者名が公開されれば、自宅に報道陣が押し寄せ、その友人や近所の人にも取材が行き、出身の学校まで報道陣が押し寄せます。ご遺族の方が公表を拒否したというのも、無理はないことでしょう。ですが、今回の神奈川県警の発表で気になるのは、事件が”障害者施設で障害者という条件”で起こったため、実名を非公表にしたという、その理由付けです。障害者施設での事件だからということを理由として、通常とは異なる「例外対応」をすることそれ自体が、障害者を特別扱い、あるいは差別しているように思います。本来なら、事件報道における実名・写真の公表が、被害者の障害のある無しに関わらずどうであるべきかを考えた上で、犠牲者一般に対して同様の原則を適用すべきでしょう。こうした報道姿勢にも、「障害者の生きる世界は、自分たちとは違う特殊な世界」という差別の考えが、無意識下に働いてはいないだろうかと、懸念を覚えます。大人の無意識な言動が、子どもの考えの根っこをつくる出典 : こうした私たち大人がつくりだす障害者に対する差別的な姿勢は、子どもの考え方にも大きく影響していると思います。私は、知的障害のある自閉症の息子を育てる母として、また学校や塾の教師として、さまざまな先生、保護者の方々と関わってきました。子どもたちが最初に障害のある人とかかわる場面は、多くの場合学校だと思います。残念なことに、「障害のある子どもが一人でもいると通学、通園させたくない」と望んだり、特別支援学級が併設されていない小学校をあえて選ぶ保護者の方がおられる現状を、私は見てきました。「我が子を勉強させるために通わせているクラスに障害のある子がいて、学習環境を妨害されたら困る」とその方が思うのは、親心としてはある種自然なことかもしれません。事実、障害のない子が授業中に迷惑をこうむってしまう場面はあると思います。しかしだからといって、障害児の存在そのものを否定する言動や、「障害児は絶対排除」という姿勢を親が子どもの前で見せてしまうと、今回の犯人と同じ考え方の種を植え付けてしまうのではないでしょうか。「障害者は絶対排除」とまではいかなくとも、障害者に対する差別的な考えを、親も無意識のうちに子どもに植え付けてしまう可能性は十分あります。たとえば、我が子を褒めようとするときも、出来ていない友達と比較して「あの子は努力しなかったから○○になったのね。その点あなたは頑張っているから○○できたね」などと言えば、“弱者を馬鹿にする考え”がついてしまうのです。相模原で起きた事件の容疑者も、26年前は人の子として生まれ、可愛い天使のような赤ちゃんだったのでしょう。容疑者がどのような環境で幼少期を過ごしたのかは定かではありませんが、少なくとも私たち大人の考え方は、純粋な子どものその後の価値観に大きく影響しているのです。人間は全員が健常者として生まれ育つわけではない出典 : 私が特別支援学校の教員免許をとるとき、授業でこんな話を教授から聞いたことがあります。「鉢植えに100個の種をまいたら全部同じようには成長はしない。種のまま芽が出ないこともあるし、途中から成長スピードが変わるもの、曲がってしまうものがある。人間も生物だから同じこと。全員が健常者として生まれ成長するわけではない。」これは「1人ひとり成長の凸凹はあって当然」というメッセージなのだと解釈しています。私は一人の親として、また教師として、いつもこの言葉を胸に留めています。学校という教育の現場で、障害のある子どもとない子どもが一緒に過ごすことで、「世の中には色んな人が存在するんだ」ということを子どもたちは身をもって体験することができると私は思っています。そのような環境で、「背が高い子、低い子、眼鏡をかけている子、かけていない子、色んな人がいるよね。走るのが早い子、遅い子、給食をおかわりする子、しない子。人間はみんな一人一人違っていて、得意なこと苦手なことがあります。○○君はじっと座っていることが苦手で、歩くことが得意なのよ。」というように、大人が子どもに働きかけていけば、子ども同士が関わりあうなかで、「多様な人が共に生きること」「鉢植えの中には色々な種があること」を学んでいくのです。誰だって障害者になりうる。だから、社会でもっと支えあおう出典 : できれば我が子には障害のない方が良い、と願うのは親として自然なことかもしれません。新型出生前診断でダウン症児だと分かると、90%の妊婦が中絶をしているという現実もあります。しかし、新型出生前診断で分かる障害は一部の障害だけで、視覚障害や聴覚障害、自閉症などの発達障害はわかりません。さらに、出産時の事故で子どもが脳性まひになることもあれば、障害なく生まれてきても、交通事故に遭ったり病気で脳にダメージを受けたりして、障害児になる可能性もあるわけです。また、親を含めた大人自身が、事故や病気、鬱病や統合失調症などの精神疾患によって、障害者になる可能性だってあります。そんなとき「あなた(の子ども)の存在は大変な税金がかかり迷惑をかけている。最初から生まれていなければよかった」と言われたら、どのように感じるでしょうか?生きている限り、誰がいつ障害者になってもおかしくはありません。だからこそ、同じ鉢植えの中の者同士、互いの存在を認め合い、支え合って生きていく必要があります。障害者を“自分とは関係のない人”として、そして今回の事件を“異常な人がやったこと”と他人ごとにせず、私たち自身の障害者に対する考え方を、もう一度見直す必要があると思います。Upload By 立石美津子一人でできる子になるテキトー母さん流子育てのコツ
2016年08月08日給食当番は超マルチタスク!?息子に付添登校して分かったこと出典 : 息子は、小学校へ入学するとすぐに「学校行かれへん!」と登校を渋るようになってしまいました。そこで、息子が落ち着くまでは私が付き添い登校をして、学校での様子を見守ることになりました。実際に付き添い登校をしてみると、小学校には家庭や幼稚園とは異なる大変さがたくさんあることに気がつきました。そのひとつが「給食当番」です。給食当番には、発達障害のある息子にとって、「苦手なこと」のオンパレードだったのです。4時間目終了を告げるチャイムが鳴り、先生が「さあ、給食だ」というと、教室の緊張が一気に緩みます。他の子どもたちは楽しみにしていた給食の時間に向けてすぐに準備を始められるのですが、息子の特性のひとつは「エンジンがかかるのに時間がかかる」こと。給食当番の子どもたちはエプロンをつけて給食室に向かわなければなりません。息子は気持ちの切り替えが苦手なため、給食室への移動に乗り遅れることもしばしば。ついには、「あかん!やっぱり無理や!」と軽いパニックを起こしてしまいます。息子をなだめてなんとか給食室へ行くと、次はペアの子と一緒におかずの入った鍋を運ぶ試練が待っています。息子は「こぼしたら大変だ」というプレッシャーを他の子どもたちよりも感じやすいようで、表情はこわばっています。また、他人と息を合わせて行動するのも苦手なので、ペアの子と歩調を合わせて鍋を運ぶのは息子にとって重労働です。3階まで鍋を持って上がるころには、息子はへとへとになってしまいます。教室に戻ると次は配膳です。お皿を両手に持って運びつつ、まだお皿が置かれてない机を目で探します。そして教室の中の通路は狭く、ゆずりあいが必要です。発達障害特有の不器用さもあり同時作業が苦手な息子にとって、お皿を傾けずに運ぶというのがそもそも難しい作業。それに加えて道をゆずりあうなど、複数のタスクを同時にこなすことが配膳には必要でした。息子が自立するためにも、この壁を乗り越えてほしい出典 : 息子にとっては、給食当番を「さぼってラクをしたい」わけではなく「難易度が高すぎるためにできない」だけなのですが、他の子どもたちには「○○君はどうしてやらないの?」「私ばっかり、重たいものを持たなきゃいけないの、もうやだ!」と不満に思われていました。こう言った言葉を聞くのは私もとても耳が痛かったです。でもこれは家庭では練習できない、社会に必要なスキルを磨くことができるチャンスなのだと思いました。「ありのまま」の息子の特性を尊重することは確かに大切ですが、それだけでは、いつか親の手を離れて生きていかざるを得なくなった時に、周囲も自分も大変な思いをしてしまいます。「息子が社会の中で何らかの役割を担えるカラダとアタマをつくる」というのが、私の強い願いです。そのため私は、「簡単じゃないのはわかるけど、見守ってるから、こぼしちゃってもいいからトライしよう」と息子に伝え、「やってみよう」とする姿勢の大切さを話しました。そして息子が少しでも給食当番の役割を担えるよう、家で配膳の手伝いをしてもらったり、学校では1人だけでできる仕事やプレッシャーのかかりすぎない仕事を息子に任せてもらえるよう、先生にお願いしたりしました。こうして少しずつですが、息子は給食当番で自分がするべき仕事を学んでいきました。まだまだ壁はあるけれど…学校だからこそ練習できることがたくさんある出典 : しばらくすると、息子が鍋を運ぶ姿が見られるようになりました。息子の調子にはまだまだムラがあり、教室に入れない日や給食を食べられない日もあります。ですが、当番の仕事ができた日はそれだけでも「ああ、また1つ学んだな」と感じます。ある日、給食当番の息子にクラスメートの子どもが「ありがとう」と言ってくれました。ところが息子は、「係の仕事をやってるだけやのに、お礼言われたくない!」と騒ぎだしてしまいます。息子いわく、「ありがとう、っていう言葉が重いっていうか、爆弾なみに破壊力あるねん」とのことです(笑)まだまだ予想外の言葉に対する受け止め方やリアクションが難しいようです。クラスの子どもたちに、息子に「ありがとう」と言わないように頼もうと思ったこともありましたが、思いとどまりました。社会に出れば、お礼を言われることもあれば、批判されることもあります。息子が将来自立するためには、コミュニケーションを学び、ある程度適切なリアクションをする力を少しずつ身に付ける必要があるからです。これからの学校生活では、給食当番以外にも様々な試練や壁があると思います。「ありのまま」でいられる環境を親や学校が無理に作るだけでは、息子は自立できなくなってしまうでしょう。これからも学校側と相談しながら、息子にとって適切な支援を考えて成長を見守っていきたいと思っています。
2016年08月08日STEAM教育って何?
子育て楽じゃありません
細川珠生のここなら分かる政治のコト