妊婦健診で「卵巣が腫れている」と言われて不安…。治療は必要?
今回は、妊娠初期に「卵巣が腫れている」と指摘されたときに知っておいてほしい知識についてお話しします。
「卵巣が腫れている」とはどういう状態?
卵巣は、子宮の左右に1つずつあり、通常は2~3cm程度の大きさです。卵巣内に水や血液などの分泌物がたまって通常のサイズよりも大きくなった状態を「腫れている」と表現します。
妊娠初期(0~15週)は、卵巣はホルモンの影響によって自然に腫れている状態になりやすいため、妊婦健診で「卵巣が腫れている」と指摘され、「次回の健診まで様子を見ましょう」と言われることは比較的多いケースです。
妊婦健診で「卵巣が腫れている」とわかった場合は、超音波検査で自然な腫れなのかを観察して、妊娠や出産に影響を与える腫れと疑う場合は、MRI検査をおこなって診断します。
妊娠中に卵巣が腫れている状態は自然に治る?
妊娠中に卵巣が腫れている状態は、自然に治るものと、自然に腫れが引かず手術が必要となるものがあります。 妊娠に伴う生理的な変化によって卵巣が腫れている場合は、その後1カ月ほど経過すれば、自然に腫れは引いていきます。
「卵巣が腫れている」と指摘されても自覚症状はないことが多いでしょう。体調がよければ、普段どおりの生活をしてかまいません。体調が優れないときは、妊娠中である自分を労わるように生活しましょう。もし、突然の激しい腹痛や性器出血が起きた場合は、直ちにかかりつけの産婦人科を受診しましょう。
卵巣の腫れが自然に引かない「卵巣腫瘍」とは
さまざまな原因によって、卵巣が通常のサイズよりも大きく腫れている状態を「卵巣腫瘍(らんそうしゅよう)」と呼びます。
卵巣は通常、骨盤内にあるため、大きく腫れても、にぎりこぶしほどの大きさになるまで、目立った自覚症状がないことが多いです。
そのため、卵巣腫瘍は妊婦健診や健康診断で偶然発見されることがよくあります。
妊娠初期に卵巣が腫れていると指摘を受けたあと、週数を重ねても自然に腫れが引かない場合は卵巣腫瘍ができていると考えられます。
卵巣腫瘍は、良性腫瘍のほか、卵巣がんである悪性腫瘍、良性と悪性の中間となる境界悪性腫瘍の3つに大きく分かれます。良性でも悪性でも、卵巣の腫れが続いたり、サイズが大きくなったりする場合は手術をします。