菅内閣が発足し、少子化対策の目玉として「不妊治療への助成拡大」を掲げています。
現在、不妊治療のうち、公的な医療保険の対象となっているのは、タイミング法や排卵誘発法など、ごく一部。体外受精や顕微受精といった高度な不妊治療は、高額な治療費の一部を条件付きで国と地方で助成する制度がありますが、公的な医療保険の対象外となっています。子どもを持つことを希望する人たちにとって、重い費用負担の軽減につながる、支援の拡充は朗報と言えます。
不妊治療の種類って?
そもそも、不妊治療にはどんなものがあるのでしょう?
●タイミング法(保険適用)
超音波検査や尿検査などにより、排卵日を予測して性行為のタイミングを合わせる方法
●排卵誘発法(保険適用)
薬によって卵巣を刺激し、排卵を起こさせる方法
●人工授精(保険適用外)
採取した精液から精子を取り出し、排卵の時期に合わせて細いチューブで子宮内に注入することで妊娠を試みる方法
●生殖補助医療(保険適用外)
体外受精と顕微授精がある。体外受精は、培養器内で人為的に卵巣から取り出した卵子と精子を混ぜ合わせ、受精前に女性の卵管に戻す方法(GIFT)と人為的に卵巣から取り出した卵子と精子を培養器の中で受精させ、培養したあと順調に発育した良好な胚を子宮に戻す方法(IVF-ET)がある。顕微授精は人為的に卵巣から取り出した卵子の中に精子を顕微鏡下で注入して授精させ、受精卵を培養したあと順調に発育した良好な胚を子宮に戻す方法。(ICSI-ET)
下に行くほど高度な治療法となっており、選択した治療法で妊娠が得られない場合には、必要に応じて高度な治療へステップアップしていきます。
高度な不妊治療ほど費用も高額に。半数以上の人が100万円越え
不妊治療にかかる費用は高度な治療になるにつれ高額となっています。2018年にNPO 法人 Fine(ファイン)が実施した「不妊治療と経済的負担に関するアンケート2018」では、体外受精の1周期あたりの平均費用は30万~50万未満と回答した人(44%)が最も多かったのですが、50万円以上と回答した人(43%)と拮抗。50万円以上と回答した人は2010年の調査と比較して約2.5倍に増加しています。