虫を見つめる視線が優しくて、虫へのあふれんばかりの愛情が伝わってきます。うちの子は特に、人の顔に見える模様のページがお気に入り。『かわいいね』とか『こわいね』ってちっちゃく書いてあるところも好き。絵だけでなく、色や図形にこだわって読んだり、虫の名前に注目したり、年齢によって読み方が変わってくる楽しさもあります」
素敵な絵とともに詩を味わう
絵本を開くたびに優しい気持ちに
『くまさん』
絵:手島圭三郎文:藤村久和¥1500/絵本塾出版
自然に口ずさみたくなる、まど・みちおさんの優しい詩に、ましませつこさんが心をこめて描いた絵。「はるがきてめがさめてくまさんぼんやりかんがえたさいているのはたんぽぽだがええとぼくはだれだっけだれだっけ……」春の暖かさに誘われて、冬ごもりの穴から出てきたこぐま。まだ覚めない頭で「ぼくはだれだっけ」と考えますが……。草木が芽吹く春の喜び、こぐまの生きている嬉しさが伝わってきます。
「私が出産したとき、ましませつこさんとお友達のアーティストの山田愛子さんがプレゼントしてくださった絵本です。『くまさん』は小学校の教科書にも載っている有名な詩ですが、こうしてページごとに一語一語、味わいながらじっくり読んでいくと、一語一語に新しい発見がある。詩だけサラッと読むのとは、また全然違う読み方ができるんです。ゆったりしたテンポと、かわいい絵のバランスも絶妙。読み聞かせにもすごくおすすめです」
好奇心を恐れない気持ちは
幼い頃ジョージに出会ったおかげ
『ひとまねこざるびょういんへいく』
文:マーガレット・レイ絵:H.A.レイ訳:光吉夏弥大型絵本版¥1400/岩波書店
※この本には2種類の判型があり、岩波の子どもの本版は¥800です
パズルのかけらをキャンディと間違えて飲み込んでしまったこざるのジョージは、具合が悪くなり、さあ大変!病院でレントゲン写真を撮ったジョージは、急きょ入院することに。無事、手術でかけらを取り出してもらったら、すっかり元気になって、たくさんいたずらをします。ジョージのいたずらが、ただ騒ぎを巻き起こすだけでなく、入院中の他の子どもたちを元気にしてくれたように、失敗にも力が秘められているのだと教えてくれる名作。
「私自身、好奇心が旺盛で、おっちょこちょいだから、まわりに迷惑をかけちゃうことも多いんですが、そこで『おもしろいね』って笑ってくれる人がいるんだと思うと、すごく安心して、勇気がわいて、好きなことを追求して生きられる。