子育て情報『厚生労働省資料を読み解く(その1)〜待機児童増加の要因〜』

厚生労働省資料を読み解く(その1)〜待機児童増加の要因〜

2018年3月6日 07:01
 

保育がここまで必要とされるようになった背景には、やはり社会の大きな変化が考えられます。
保育の需要と供給バランスは整っていくのでしょうか。
需要が増えた要因、そして、供給を増やすための具体的な方法などを調べてみました。

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厚生労働省資料を読み解く(その1)〜待機児童増加の要因〜


保育の需要と供給

女性就業率近年、待機児童が大きな問題として取り上げられるようになりました。
その一番の要因は何かと考えた時に、やはり思い浮かぶのは「女性の社会進出」です。
他には、核家族化の進行も考えられるでしょう。

総務省の「労働力調査」によると、今から約30年前は夫婦のうち男性だけが主な労働力となる片働き家庭が大半を占めていました。
しかし、徐々に共働き家庭数との差は縮まり、1997年には共働き家庭数が片働き家庭数を上回りました。
その後も、共働き家庭は増加を続けており、その差は開く一方です。
つまり「女性就業率」が上昇しているわけですが、今回の資料では保育園利用が必要とされるであろう子育て世代(25〜44歳)における女性就業率を示しています。

平成23年では66.6%でしたが、29年には72.7%まで上昇しています。
もちろん、すべての女性に子どもがいるわけではありませんが、女性就業率の上昇にともない、保育園の申し込み数も増加していることを見れば、子どもを生んでも仕事を続けたい(もしくは、新たに働き始めたい)女性が多くいることは分かります。
実際の申し込み増加数は、平成25年から29年の5年間で約36万人増加しています。
直近1年間で見ると、平成29年4月時点の申込者数は約265万人で、28年度から比べると約9.1万人増加しました。保育の受け皿それでは、需要に対応する供給はどうなっているのでしょうか。
保育の受け皿について見てみましょう。

各自治体の取り組みにより、平成25年度から29年度までの5年間で約52.3万人分の受け皿拡大。
さらに、平成28年度から実施された企業主導型保育事業によって約7万人分拡大。
つまり5年間で、約59.3万人分拡大されました。

それでは、どんな方法で保育の受け皿を拡大させているのでしょうか。
「全国児童福祉主管課長会議資料」によると、
・都市部における高騰した保育園の賃借料への補助
・幼稚園における2歳児の受け入れや預かり保育の推進
・大規模マンションでの保育園の設置促進
・国有地、都市公園、郵便局、学校などの余裕教室等の活用などが挙げられます。

また、別フェーズでは、保育人材確保に向けての施策や保護者支援、認可外保育園の質の確保、保育実施に必要な安定財源の確保なども進めてられています。
そして、「働き方改革」で見られるように男性による育児参加促進もその一環となっています。
まさに、“社会全体”で取り組むべき課題であることが分かりますね。

都市部に集中する待機児童

資料によると、平成29年度4月時点の待機児童数は26,081人。
しかし、全国の市区町村のうち約8割の市区町村においてはゼロという数字なのです。
つまり、待機児童が集中しているのは都市部(埼玉・千葉・東京・神奈川の首都圏、京都・大阪・兵庫の近畿圏、7都道府県とその他指定都市・中核市)が全体の7割以上を占めています。
厚生労働省資料を読み解く(その1)〜待機児童増加の要因〜

都市部に待機児童が集中する理由平成29年4月時点で待機児童が200人以上の地方自治体ワースト20のうち、東京都の市区町村数は11。
半分以上です。
少子化なのに年々待機児童問題が大きくなるのは、都市部の子ども人口増加によるものでしょう。
総務省のデータによると、2017年4月時点の全国の子ども(15歳未満)の数は、1571万人で、2016年より17万人減っています。
1982年から36年連続で減少しています。

その一方で、2016年時点で前年より子どもの人口が増えているのは東京都だけというデータがあります。
その理由は、労働人口の増加にともなう子育て世代の流入です。
結果的に待機児童が増えているにもかかわらず、土地やスペース、周辺住民の問題などで保育園設置も進まない現状が都市部にはあります。
筆者在住の武蔵野市でも、周辺住民の反対により保育園新設が見送られているのを目の当たりにしています。

待機児童増加の要因

それでは、待機児童が100人以上増加した13市区町村における、その要因をさらに詳しく見てみましょう。
厚生労働省資料を読み解く(その1)〜待機児童増加の要因〜

申し込み増まず、すべての市区町村において共通していたのは「申し込み増」です。その理由として見られるのは、・マンション建設等にともなう就学前人口の増加及び保育ニーズの増加
・共働き世帯の増加
・施設整備にともなう潜在的な保育ニーズの掘り起こし
・保育料軽減の拡充など子育て施策の推進など。
これらの理由によって申し込みが増加しているわけですが、この数はそのまま小学校入学後の学童保育へと移行されます。
学童保育の待機児童問題も今度増々大きくなることが予想されますね。待機児童の取り扱いの見直し続いて、4つの市区町村で共通していた理由は、待機児童の取り扱いの見直しです。
これは、2017年3月31日に厚生労働省から各自治体に通知された、「新しい待機児童の定義」によってカウントされなおした結果、待機児童とする児童の数が増加した、という意味です。

これまでは、認可保育園の入園を目指して認可外保育園に通う園児や、親が育休中、求職活動を休止している、特定の園への入園を希望するという私的な理由で待機している、などの場合は待機児童としてカウントされていませんでした。
しかし、これらの解釈は自治体によって曖昧でした。
それを問題と捉えた厚生労働省は定義を見直すべく検討会を開催し変更、再定義に至りました。

結果、育休中でも復帰の意思確認できた場合には待機児童数に含まれることになり、入園できずに育休を延長している場合も含められることに。
また、曖昧だった求職中の扱いも、求職していることの証明書類の提出や本人への確認ができた場合には待機児童に含められることになりました。
他にも、特定園を希望している保護者に対して、他利用可能な園の情報提供を行うこと、など細やかな対応が必要とされました。
これらによって、潜在的だった待機児童もカウントされ待機児童数が増加したようです。保育士の不足最後に、3つの市区町村で挙げられた要因は保育士不足です。・申し込み増加に対応するべく、保育士の補充を行っても間に合わなかった
・契約更新が予定通りに進まず、新規雇用も必要数に届かなかったこれらの理由で、受入数が減少し待機児童の増加に至っています。

社会の大きな変化にともない、国や自治体も対応を急いでいるのは理解できますが、どれも後手後手な印象です。
5年間の「待機児童解消加速化プラン」を経て、次年度から始まる「新たなプラン」にも期待したいですね。

(文・亀山美千代

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