子育て情報『どうしてママじゃなきゃダメなの?「三歳児神話」について考えてみた』

どうしてママじゃなきゃダメなの?「三歳児神話」について考えてみた

2018年4月16日 11:01
 

三歳までの子どもは母親がしないと…といわれる三歳児神話。科学的に根拠はないと言われて久しいのですが、なぜかいまだに信じている人が多い「神話」です。三歳児神話がどうしていつまでも幅をきかせているのか考えてみました。

三歳児神話の歴史的背景

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まずはざっと三歳児神話の歴史をおさらいしてみましょう。
いわゆる「三歳児神話」のルーツは、1951年にイギリスの学者ボルビー博士が世界保健機関(WHO)の委嘱でおこなった、第2次世界大戦による戦争孤児の調査報告書である、といわれています。この報告書には、孤児や家族から引きはなされた子どもの精神発達に遅れが生じるということが記されています。
つまり養育者との間に愛着形成(=心のつながりのようなもの)をつくりあげることが大事、ということ。今では子育ての常識ですね。ボルビー博士はその結果を基に「アタッチメント理論」を提唱しています。
アタッチメント理論が日本に伝わったのは戦後の高度成長期。サラリーマン家庭が増加して「男は仕事、女は家庭」という分業に拍車がかかった時代です。育児が「女性の仕事」と位置づけられるのと同時に「母親が面倒を見なければならない」という風潮が生まれました(ボルビー博士は母親でなくてはならないとはひとことも言っていないのに)。
それが、だんだんエスカレートして「育児は母親の責任」「母親がちゃんと育てなければ」と、日本の母親はどんどん追い詰められていきました。
やがて「母原病」「密室育児」なんて言葉も生まれ、母親が育児で追い詰められていることが問題視されるようになりました。
そこで1998年厚生省(いまの厚労省)は「厚生白書」のなかで、三歳児神話に対して「少なくとも合理的な根拠は認められない」という記述をしたのが話題になりました。
三歳児神話が否定されたのは20年も前だったんですね。改めて驚きました。

参照:平成10年版厚生白書の概要

三歳児神話の問題点


乳幼児の時期に愛情をかけて育てることも、お母さんとの関わりも、子どもにとってはとても大事です。だからといって「三歳までは母親がすべてを犠牲にしてべったりそばについていないと子どもの発達に悪影響が及ぶ」なんてことはありません。子育て中の母親に、不要な罪悪感を抱かせ、自信を失わせるのが「三歳児神話」の一番大きな悪影響です。
三歳児神話が消えずに残っている理由は「育児はママの仕事」という日本の子育て丸投げ体制にとって、三歳児神話が都合がいいからではないかと私は考えています。
子どもに愛情をかけるのはお母さんだけではないはずなのに。

「3歳までは母がそばにいて手をかけてあげないと子育てに失敗してしまう」という脅しをかけ、「それはお母さんにしかできない」と丸投げをして押し付け、追い込んだあげくに「母親だったらどんな苦労も我慢できるはずだ」と自己犠牲を美化して、あおります。

これって、仕事に例えると、
「この仕事を納期までに仕上げないと会社の危機だ」と脅しをかけ「それは君にしかできない」と押しつけ、「会社のためなら苦労も我慢できるはずだ」と自己犠牲を美化する、というブラック企業のやりくちです。
さらに労働時間が長いのも、万が一失敗でもしようものなら一斉に責め立てられるであろう構図も、ブラック企業そっくりといえるでしょう。
子育てがどんなにブラックであれ、子どものためならかなり我慢ができるのが親というものです。そこにつけ込んでブラック化に拍車を掛けようとする力がどこかで働いているような気がします。
親の自己犠牲のもとでは、子どもの幸せは成り立ちません。親が自分のために犠牲になっていると思いながら育った子どもは、親を不幸にしているのが自分だと信じたくないため、大人になっても「そういうものだ」「子どもに尽くす母は美しい」と自己犠牲を一般化しようとします。その気持ちは薄れず、いやそれどころか強まりつつも共通認識として社会の隅々まで行き渡り、あげくに日本の母親たちは自己犠牲を強要され続けています。話題になった「あたしおかあさんだから」の歌詞のように。

スルー力を身につけよう


親が幸せであってこそ、子の幸せが成り立つのです。
自己犠牲を強要されているからといって、従わなければならないという義理はありません。というか子どもの幸せのためにも、自己犠牲の沼にはまらないほうがいいのです。

とはいえ、相手も善意の人間です。善意でアドバイスしたつもりが、こっぴどく反論されたり無視されたりしたら腹が立ってしまいますよね。そこでおすすめなのが、まずはお礼を言うこと。どんなに的外れなアドバイスでも、相手はこちらのためを思って言ってきているのですから、その気持ちだけはありがたいはず。
「考えてくださってるんですね。できるだけそうしたいと思います。ありがとうございます(にっこり)」
と感謝をしてあげれば、無責任な他人の8割以上はそれで満足して退散してくれるはずです。だって相手は、ただ自分が気付いたことを口に出したいだけなのですから。言葉が届いていることがわかれば、満足するんです。
三歳児神話に対しては無視するとか、受け流すとか、表面上だけ迎合するとか、粘り強く啓蒙して信者を改宗させていくとか、さまざまなやり方で、スルーしていくのが一番でしょう。
あるお母さんは、
「この子が可愛すぎてずっと一緒にいると甘やかしちゃうから、保育園で鍛えてもらっているんですよ」
といっていました。
(主観ですが)三歳児神話を押しつける人々は、どういうわけか甘やかしにも厳しい人が多いですから、そちらへの予防線もかねた返答としてはかなりいい線をいっていると思います。

(文・曽田照子

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