子育て情報『家族の再出発は、いまからでも間に合うだろうか。/連続小説 第22話』

家族の再出発は、いまからでも間に合うだろうか。/連続小説 第22話

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【前回のお話はこちら】

俺は眠っている奏太を抱えて、病院の駐輪場に向かった。

奏太はとても疲れているようで、チャイルドシートに座らせても、ヘルメットをかぶせても起きなかった。

薄暗い道を自転車のライトが照らし出し、俺は気持ちが収まらないまま自宅へと走らせる。

(「パパだって替えがきかない」?そんなこと知ってる。分かってる。「奏太のこと心配しない?普通」だって?俺が奏太のことを心配しないとでも思ってるのか?「奏ちゃんを後回しにできるパパの気持ちなんて分かんない」?ちくしょう!ちくしょう…!)

いつもなら怒りの感情しかなかったかもしれない。でも、今回は違った。

素直になれない自分にも嫌気がさす。悔しさにも似た、不思議な感情だった。

マンションに到着するとまだ眠っている奏太を再び抱え、自宅へ向かう。

そして奏太を布団に寝かせると、俺は苛立ったままソファーに腰を下ろした。

テーブルの上には開いたままのノートパソコンがある。

家族の再出発は、いまからでも間に合うだろうか。/連続小説 第22話の画像

出典 : Upload By 連続小説『夫婦の言い分』

一時保育をする奏太が不安にならないように、園内が明るくて、先生が優しくて、そんな託児所がないか昨夜ずっとネットで探していた。

「ともだちっこ」を見つけたあとも、本当に安心して預けられそうか、口コミサイトを見て回った。その上で今日、奏太を預けた。

トラブルがなければ17時に「お待たせ」って奏太を迎えに行くはずだった。

でもトラブルは起きた。それは仕方のないことだし、それをまとめるのが俺の仕事でもある。

仕事は大変なこともあるけど、それでも好きで働いてる。

でもそれだけじゃない。キリコと結婚して、奏太が産まれて、より一層仕事を頑張ることができている。

会社の状況も含めて、俺のそういう気持ちもキリコに話したかった。

話したかったのに、いざ向き合うと難しかった。

病室に着いて、開口一番「ごめん」も言えなかったし、興奮気味のキリを前にして、自分も冷静に話せなくなっていった。

気持ちが落ち着かなくて、お茶でも飲もうかと立ち上がろうとした時、スマホが鳴りだした。

社長からだった。

満「…お疲れ様です」

社長「お疲れ。ケンゾーから聞いたよ。大変だったな」

満「あー…はい」

社長「セノーチェの岡田さんからも電話が来て、良い撮影だったって喜んでたよ。

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