子育て情報『家族の再出発は、いまからでも間に合うだろうか。/連続小説 第22話』

家族の再出発は、いまからでも間に合うだろうか。/連続小説 第22話

渡すから出ておいでよ」

―――プルル、プルル

奏太が何も答えてくれなくて、静まり返った家の中で再びスマホが鳴り始めた。

俺は仕方なく立ち上がり、テーブルの上のスマホを手にする。

…また社長からだ。

スケジュールの確認を始めると、電話が長くなる。奏太は閉じこもっているから、しばらくは出て来なそうだ。

(…いや)

俺は鳴り続けているスマホを音からバイブに切り替え、ポケットに突っ込んだ。

すると…。

奏太「…うっ、…うっ」

泣いている奏太の小さな声が聞こえてきた。

そっと洋室の扉を開けると、奏太は壁に寄りかかって泣いていた。

満「…奏太」

俺は奏太の前にそっとしゃがみ込み、ゆっくりと奏太に手を伸ばす。

俺を拒否しない奏太の肌が柔らかくて、温かくて涙がこみ上げる。

奏太「…パパ、ぎゅーして」

満「…うん」

家族の再出発は、いまからでも間に合うだろうか。/連続小説 第22話の画像

出典 : Upload By 連続小説『夫婦の言い分』

その小さな体を包み込むと、奏太の細い腕が俺を抱きしめ返した。

満「…ごめんな…ごめん」

(どんな理由があるにせよ、奏太に寂しい思いをさせたのは俺だ。俺が預け先を決めて、仕事の時間を延ばすことも決めたんだ。何かを「決める」というのはそういうことだ。キリはいつもそれを一人で背負ってたんだな。いつも単に不機嫌だったんじゃない。いっぱいいっぱいだったんだ)

奏太「パパ、お迎えなかった…」

満「…パパね、お仕事してたんだ。今日ね、奏太と同じくらいの歳の子と話したんだよ。その子はね、長堀鶴見緑地線が好きなんだって」

奏太「………」

電車の話をしたら奏太が少し笑ってくれるかな、と思ったけど、奏太の悲しい表情は消えることがない。

奏太にはいつも笑っていてほしい。奏太の笑顔が大好きだ。(…キリだってきっとそうだ。ずっと奏太のことを一番に考えてきたんだ。奏太が産まれてもう三年も経ってるのに、こうなってやっとキリの苦労を分かるだなんて…。)

満「…遅すぎるかな」

――ブブーッ

ポケットの中でスマホがバイブし、それが何度も続く。鳴り方からして電話ではなくメッセージだ。

(社長がメッセ…?)

不思議に思いながらスマホを取り出し見ると、それはキリコからのメッセージだった。

▶次回、いよいよ最終回!!7/14(金)更新予定です。

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