データで読み解く、子どもとスマホ 第59回 スマホルールを守ることの難しさ
専門家・プロ:渡邉純子(コドモット)
東京都調査からみえる親のかっとう
今回は、東京都の「家庭等における青少年の携帯電話・スマートフォン等の利用等に関する調査」(平成29年度)※1から、スマホや携帯電話を子どもに使わせている保護者について、その実態をみていきます。
この調査は東京都が平成26年から毎年行なっており、都内在住の青少年の保護者を対象に、携帯電話・スマホの所有率や保護者の意識などについて調べています。前回までお伝えしてきた内閣府の調査と重なる部分も多いのですが、より細かく調べている項目もありますので、その内容を中心にお伝えしていきます。
はじめに、子どもにスマホを持たせた理由についてみてみます。
東京都「家庭等における青少年の携帯電話・スマートフォン等の利用等に関する調査」 (平成29年度)」より。なお当該質問項目は複数回答です。
最も多いのが、「子供にせがまれたため仕方なく持たせた」で33.1%、2番目が「子供の所在地がわかるようにするため」で30.8%。この2つの回答が飛び抜けて多くなっています。
「子供にせがまれたため仕方なく」という理由は、実にリアルで、保護者のかっとうがみえるようです。同じ状況で心揺れている保護者の方も多いことと思います。
さて、子どもの安全にかかわる「子供の所在地がわかるように」という回答を学校種別ごとにみてみます。小学生が 42.6%、中学生は 37.4%で、高校生の19.6%に比べ割合が高くなっています。
学齢の低い子どもの保護者ほど子どもの居場所把握に敏感なことがわかります。
ポジティブな理由で選ぶ保護者も
さて、回答のうち3番目に多かったのは、「持たせた方が、メディアリテラシーや情報処理能力がつくと思ったため」の14.9%です。
学校種別ごとにみると、小学生が24.4%で、中学生(12.7%)、高校生(12.6%)のおよそ2倍と高いのが興味深いところです。早めにスマホを持たせてリテラシーを鍛えることを選択した小学生の保護者が一定数いることがわかります。
東京都「家庭等における青少年の携帯電話・スマートフォン等の利用等に関する調査」 (平成29年度)」より
「携帯電話にはない便利なアプリ等を使用するため(11.0%)」、「パソコンの代わり(7.0%)」「学校の授業・宿題等で必要なため(6.6%)」も、大きなくくりで分類すると、ICTのポジティブ利用といえるでしょう。