公立中高一貫校、「受検」します! 第11回 冬期講習のコマ数が倍増
トップライター:高橋すず
コウタが持ち帰った冬期講習の時間割を見ると、1日2コマ(1コマ90分)と予想より楽なスケジュールです。私立受験の子は、朝から夜まで塾に缶詰という話も聞くけど……。
とのんびりしていたのも束の間。冬期講習の前日に持ち帰った模試の結果によって、冬期講習のコマ数が倍増することになるのです。
模試の結果にいびつなヘキサゴン
塾に行く直前に、前回の模試の結果をサラッと置いていったコウタ。コウタを送り出してから目を通すと、なんともいびつなヘキサゴンが目に飛びこんできました。ヘキサゴンは、問題に取り組むプロセスで必要とされる力を6つにわけ、その達成率を六角形のチャートで表したものですが、とくに凹んでいたのが「数の操作」。模試を始めたばかりの頃は、確かに苦戦した項目ですが、回を重ねるごとに得点できるようになっていたので、この時期にどうして?さらに、総合順位も落ちています。
ちなみに公立中高一貫校の受検は、適性検査I~IIIと分かれています。でも、学校によって違いがあり、コウタが受験する学校は適正IとIIのみです。
- 適正検査I……文章、表、データなどの情報を読み解き、分析し、表現する力をみる。
- 適正検査II……自然科学的な問題や数理的な問題を分析し考察する力や、解決に向けて思考・判断し、的確に表現する力をみる。
しかし、速さと正確さを求める学校もあれば、読解力を求める学校など、学校によって問題の傾向が少し違うようです。
さて、コウタの成績表を見て、わたしは肩を落としたと同時に受話器に手が伸びていました。そして、電話に出た塾長先生に、コウタの成績のことをたずねると、
「適性Iで読解を落としたんです。適性IIは今まででいちばんとれています」とのこと。
“数の操作”がとくに悪かったので、適性IIで失敗したと思ったのですが、たしかに、これまでの模試の結果を見直してみると、今回の適性IIの得点は悪くないのかも。落ち着いて細かく見ていくと、適性Iで、得点率の高い問題を2問、落としていたのです。2問で、総合順位がこんなに下がってしまうなんて……。
「解き直しの結果を見て、冬期講習の個別授業の内容を再考します」
と、塾長先生。
その日、塾から帰ったコウタが、黄色の蛍光ペンで塗られた冬期講習の時間割・パート2を持ち帰りました。塾長先生が、さきほどの電話の内容をさっそく反映してくれたようで、コマ数がかなり増えています。