シリーズ 専門家にきく! 教育とテクノロジーの融合で子どもたちの教育格差解消をめざす スタディサプリ
専門家・プロ:渡邉純子(コドモット)
小宮山利恵子(こみやまりえこ) リクルート次世代教育研究院院長。同研究院はリクルートマーケティングパートナーズにおける次世代の教育を考える調査研究機関で、小宮山さんは立ち上げからかかわり、未来の教育を研究している。超党派国会議員連盟「教育におけるICT利活用促進をめざす議員連盟」有識者アドバイザー。2018年8月より東京学芸大学客員准教授。
第2回スタディサプリで子どもの学びはどう変わるのか
渡邉:スタディサプリで学ぶことで、子どもたちにはどんな学習効果があるのでしょうか。さきほど「つまずきの防止」(第1回参照)というキーワードがでてきましたが、そのほかにありますか?
小宮山:テクノロジーが入ってくることで、楽しいという気もちがわいてくるようです。学びへの興味関心の喚起、これがすごく重要だと思います。
わたしたちはスタディサプリを使って、名古屋市と協働して2017年の8月から不登校支援を行なっています。アンケートをしたところ、タブレット学習でおよそ8割の子どもが「勉強が楽しくなった」と回答しています。学ぶことが楽しいと思うようになったことが一番大きいんです。
また、学ぶモチベーションを維持するため、主に小学生向けには「サプモン」といって、学習すればするほど自分のモンスターが育つという意欲を喚起する要素を取り入れています。
学習すると自分のモンスターが育つ「サプモン」
小宮山:小学校・中学校では、学校で使う、または家庭で保護者といっしょに使う場合が多いです。そこで、学校向けにはほかの学校でどう使っているかをまとめた事例をお伝えし、家庭向けには声かけの方法などを講演でお伝えしています。
高校生向けだと、合格特訓コースといって、大学生コーチにオンラインで相談できる有料のサービスをご用意しています。
渡邉:授業動画自体にもくふうをしているのでしょうか?
小宮山:動画の質にはすごくこだわっています。いまの子どもたちはYouTubeなどに慣れているので、つまらないと思ったらすぐに消してしまうんです。わたしたちは動画の視聴ログをデータ分析しています。ある講義で、急に視聴率が下がるところがある、理由を検証したら先生が後ろを向いて無言で板書していた……というように、ログをとって離脱が多い要因を分析し、その都度動画の撮り直しもしているんです。