子育て情報『こどもの皮膚科ドクターが語る あせもの話』

こどもの皮膚科ドクターが語る あせもの話

専門家・プロ:野﨑誠

目次

・あせもってなんだ?
・汗疹と“あせも”
・汗疹は、誰にどんなときにできるのか?
・“あせも”は誰にどんなときにできるのか?
・汗疹と“あせも”はなぜ起きる?
・汗疹と“あせも”予防の第一は汗をかかないこと
・汗疹と“あせも”の治療法


こどもの皮膚科ドクターが語る あせもの話

あせもってなんだ?

今回の「あせも」の話もハワイから始めていきましょう。ハワイに行くといろいろなものが日本と異なるので、非常に興味深くついつい眺めてしまいます。どうしても皮膚の状態に目が行ってしまうのはまあ、職業病なのでしょう。そこで気がついたこと。
ハワイではあせもができません。おや不思議です。なぜなんでしょう。


汗疹と“あせも”

汗疹。「あせも」と呼びます。この病気は当然ながら世界共通のもの。英語でも簡単な名前がついています。Heat rashです。Heatは熱。Rashは赤みで湿疹全般のこと。つまり、熱による発疹。
言い得て妙です。

この汗疹、専門的な本を読むと2つに分けられています。紅色汗疹と、水晶様汗疹です。

紅色汗疹は読んで字の如く、赤いポツポツとした発疹が体の特に汗をかく部分にできること。水晶様汗疹はクリスタルのように透明でキラキラした発疹が、同様に体の汗をかいた部分にできることをいいます。

全然違う見た目をしている2つの発疹ですが、原因は同一です。

汗の排出口がふさがってしまうために汗の成分が皮膚の中に入る。そのためにアレルギーの反応が起こると考えられています。
ただし汗の溜まる部分が浅いと赤い発疹となり、深い部分で汗が水たまりのように溜まると水疱のような発疹になるとされています。

言われてみるとそういうものかと思われるかもしれませんが、“あせも”といってみなさんがイメージするものはそのような発疹ではないはずです。多分、暑い日に首や肘などの関節の内側にできる赤いぶつぶつとした発疹で、ときに痒くなるもの。そしていつの間にかなくなってしまうものではないでしょうか。そのような発疹については専門書には書かれていなかったりするんです。つまり、汗疹と“あせも”が同一ではなさそうなんですね。なんと。

汗疹は、誰にどんなときにできるのか?

しかし、専門書に書かれている汗疹も当然できることがあります。
それはどんな場合か?

このような汗疹は一般に乳児期によく見かけるものです。場所は関節の内側に限りません。汗をかくところ、そして蒸れる・こすれるところであればどこにでも発生する可能性があるのです。最も多いのはおなか、次いで腰からお尻にかけて、最後に背中です。手足にはあまり発生しませんね。特に乳児に多く発生し、幼児期以降ではよっぽど汗をかいたとき、もしくは高熱を出したあとくらいにしか見かけることはありません。

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