シリーズ 専門家にきく! 教育とテクノロジーの融合で子どもたちの教育格差解消をめざす スタディサプリ
専門家・プロ:渡邉純子(コドモット)
小宮山利恵子(こみやまりえこ) リクルート次世代教育研究院院長。同研究院はリクルートマーケティングパートナーズにおける次世代の教育を考える調査研究機関で、小宮山さんは立ち上げからかかわり、未来の教育を研究している。超党派国会議員連盟「教育におけるICT利活用促進をめざす議員連盟」有識者アドバイザー。2018年8月より東京学芸大学客員准教授。
第4回教育とテクノロジーの融合がひらく子どもの未来とは?
渡邉:教育にテクノロジーが入ってくることで、これからの教育はどう変化していくのでしょうか。
小宮山:テクノロジーのなかでも、VR(仮想現実)やAR(拡張現実、現実の風景とデジタル情報を重ね合わせて表示する)が教育に入ってくると、かなり変わってくることが予想されます。
先日わたしが参加した米国の発表会では、VR・ARを使って古代エジプト史を学ぶというコンテンツが紹介されていました。ピラミッドの中に友だちといっしょに入って、壁画を見たりできるんです。
医療にはすでにVR・ARが入ってきている例もあります。
手術の前の子どもたちは精神的にとても不安定なので、VR・ARを使って直前に気もちを緩和してから手術室に行くと、脈拍などが安定するそうです。こういった取り組みは、運動会がいやだ、数学がいやだという子に、その前にゲーム的な取り組みで緩和するというようなかたちで、学校に応用できるかもしれません。
渡邉:過去のできごとのように実際に体験できないこと、子どもの気もちや技術が理由でできないことを、できるようにするためのサポートをテクノロジーがして、子どもの世界を広げていく時代になりそうですね。
小宮山:潜在的な能力を引き出すことって、カンに頼っているところが多いですよね。それは先生もそうです。いままでカンで、こういう子はこう、みたいな導きがあったと思いますが、はたしてそれが今後もそうなのかわからない。
そして、テクノロジーが進展していくなかで、去年成功していたことが今年はもう陳腐化してしまうこともある。だから、学びもどんどん刷新していかないと追いつかないんです。そのなかで、昔はこうだったという話がどこまで通用するでしょう。
そこにテクノロジーが役立ちます。テストの解答分析や学習者全体のデータ分析などから、潜在的な能力を引き出すためのレコメンドやアドバイスが可能ですから。