こどもの皮膚科ドクターが語る 秋 -季節の変わり目‐ になぜ湿疹が悪化するのか
対策として最も現実的なものは保湿剤の使用だといえます。
その保湿剤ですが、環境の変化に合わせて少しずつ変えていく必要があります。夏のあせもには保湿力よりも塗りやすさを重視した乳液や化粧水といったサラサラした製品をおすすめしていましたが、乾燥する季節となるとそうもいきません。クリームのような少しベッタリとした、保湿力が高めの保湿剤に切り替えることで皮膚の表面を保水し、皮膚からの水分の蒸発を抑える必要があるのです。とくに、少しカサついている、少し粉を吹いているというレベルの乾燥肌には保湿剤で十分に効果が期待できます。塗り心地はよいとはいえませんが、そこは少しがまんしてもらいましょう。
子どもの皮膚の乾燥が気になる方は、まず保湿剤の種類を切り替えてみても良いかもしれませんね。
小春日和に要注意
前回と今回のお話をまとめてみましょう。
秋に湿疹が悪くなる原因は、汗からの刺激により湿疹ができてしまうこと、乾燥により皮膚が乾いてしまい湿疹ができることという2つが挙げられます。そしてその2つの要因はそれぞれ、温度、湿度が関係します。
もう1つ秋の湿疹が悪くなる要因があります。それは秋の天候は1日単位で変わりやすく、しかもその変化の幅が大きいということ。昨日大汗をかいたかと思えば今日は皮膚の乾燥があるというような極端な変化が秋には見られるため、皮膚の環境も日々変化にさらされてしまうのです。
したがって、秋のスキンケアで最も重要なことは情報収集だったりするんですね。今日の気温はどうなのか、湿度はどう変化するのか、その後の天候の移り変わりはどうか、今後の行動予定は何か。そういった情報を総合して、シャワーなどのスキンケアをどうするか、どのようなタイプの保湿剤を使用するのか、何を着て出かけるのかといった選定をしなければいけません。
そしてそれを間違えると、一気に湿疹が広がってしまう。こんな綱渡りをしながら皮膚をケアしていかなければいけないのです。
だから、秋のお肌のケアって、難しいのです・・・。
次回は皮膚と社会生活の深~い関係をお話しします。
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野﨑誠(のざきまこと)わかばひふ科クリニック(東京都武蔵野市・皮膚科、小児皮膚科)院長。国立成育医療センター(小児皮膚科)、東京都立東大和療育センター(皮膚科)