学習指導要領の改訂で学校教育が変わる 第38回 変化の激しい社会で求められる能力を育成する
専門家・プロ:藤田由美子
今回は、特別活動で社会参画する力、安全を守る力をどのようにはぐくもうとしているかに焦点をあてて紹介します。
学んだことを成長につなげる
特別活動の内容は大きく3つに分かれます。
(1)学級(高等学校ではホームルーム)や学校における生活づくりへの参画
(2)日常の生活や学習への適応と自己の成長および健康安全
(3)一人一人のキャリア形成と自己実現
次期学習指導要領では、小学校、中学校での特別活動の内容を下図のように示しています。
小学校における特別活動の内容 (出典:文部科学省「小学校学習指導要領(平成29 年告示)解説特別活動編」をもとに作成)
中学校における特別活動の内容 (出典:文部科学省「中学校学習指導要領(平成29 年告示)解説特別活動編」をもとに作成)
学級活動を通して社会参画を学ぶ
「(1)学級や学校における生活づくりへの参画」とはなんのことでしょうか。
次期学習指導要領では、特別活動全体を通して、自治的能力※1や主権者として積極的に社会参画する力を育てることを重視しています。具体的には、学級や学校の課題を見いだし、課題を解決するためにみんなで話し合って合意形成すること、主体的に組織をつくり、役割分担して協力し合うことの重要性を明確にしました。
この背景には、子どもたちの社会参画意識を高めなければならないという社会的なニーズがあります。
※1所属する集団が決定した総意にもとづいて、教師の支援を得ないで行動する力
「(1)学級や学校における生活づくりへの参画」は、次の3つの内容に分かれています。
ア 学級や学校における生活上の諸問題の解決
イ 学級内の組織づくりや役割の自覚
ウ 学校における多様な集団の生活の向上
「ア 学級や学校における生活上の諸問題の解決」は、たとえば入学や進級のときに新しい学校生活に慣れること、学級での生活を見直す活動、いじめや不登校の未然防止や暴力のない学級づくりなどが想定されます。子どもたちが個々に学級や学校における課題を見いだし、おたがいの意見を認め合いながら、くふうして諸問題の解決に取り組みます。「イ 学級内の組織づくりや役割の自覚」は、次のような活動のことです。
- 子どもたちが話し合って決めた学級の目標をふまえ、目標を実現するために必要な組織をつくる。
- 仕事の役割分担やルールをつくる。
- 学級内の組織の意義や活動について話し合って合意形成を図る。